JP2021017648A - 評価方法、評価装置、評価プログラム、生成方法、通信方法、及び成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ある成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能を実際に成膜することなく正確に評価する。【解決手段】評価方法は、対象成膜条件を評価予測モデルに入力することで対象成膜条件により成膜されて製造される切削工具の性能評価の予測値を算出する。評価予測モデルは、成膜条件と、成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されたモデルである。教師データとして用いられる成膜条件は、真空排気システムと、加熱冷却システムと、蒸発源システムと、テーブルシステムと、プロセスガスシステムとのうちの少なくとも1つに関するパラメータを含み、評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである。【選択図】図2
Description
本開示は、成膜装置に設定される成膜条件を評価する技術に関するものである。
近年、耐摩耗性の高い切削工具を製造するために、切削工具となる基材に対して物理的蒸着法(PVD法)により、TiN、TiAlN、CrNなどの硬質皮膜を成膜することが行われている(例えば、特許文献1)。耐摩耗性の高い工具を製造するためには、成膜条件を適切に決定することが要求される。従来、適切な成膜条件は熟練した技術者が長年の経験を頼りに試行錯誤によって決定されている。
しかし、試行錯誤により適切な成膜条件を決定する過程において候補として挙げられた全ての成膜条件のそれぞれについて実際に成膜することは手間がかかる。したがって、実際に成膜する前に成膜条件が適切であるか否かを評価することができれば、適切な成膜条件を決定するに際して無駄な成膜を避けることができる。
本発明の目的は、ある成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能を実際に成膜することなく正確に評価することができる評価方法及び評価システムを提供することである。
近年、ディープラーニングをはじめとする機械学習に関する様々なサービスがクラウド上で提供されており、ユーザはこのサービスを容易に利用することが可能になってきている。そこで、本発明者は、ある成膜条件と、その成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能の評価とを機械学習させれば、成膜条件を正確に評価できるとの知見を得て本発明を想到するに至った。
本発明の一態様は、切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置に設定される成膜条件を評価装置が評価する評価方法であって、前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムとを含み、評価対象の成膜条件である対象成膜条件を取得し、前記対象成膜条件を評価予測モデルに入力することで前記対象成膜条件により成膜されて製造される前記切削工具の性能評価の予測値を算出し、前記予測値を出力し、前記評価予測モデルは、前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されたモデルであり、前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである。
本構成によれば、対象成膜条件が取得されると、その対象成膜条件が評価予測モデルに入力されて切削工具の性能評価の予測値が算出される。評価予測モデルは、成膜条件と成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されたモデルである。ここで、評価予測モデルは、真空排気システムに関する第1パラメータ、加熱冷却システムに関する第2パラメータ、蒸発源システムに関する第3パラメータ、テーブルシステムに関する第4パラメータ、及びプロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つの成膜条件と、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値の少なくとも1つの評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されている。そのため、ある成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能を実際に成膜することなく正確に評価することができる。
上記構成において、前記第1パラメータは、排気速度、到達圧力、残留ガス種、残留ガス分圧、及びP−Q特性の少なくとも1つであってもよい。
本構成によれば、排気速度、到達圧力、残留ガス種、残留ガス分圧、及びP−Q特性の少なくとも1つが真空排気システムに関する成膜条件とされて評価予測モデルが学習されている。そのため、真空排気システムに関する成膜条件を考慮に入れて切削工具の性能評価の予測値を算出できる。
上記構成において、前記第2パラメータは、前記加熱冷却システムを構成するヒータのヒータ温度、前記ワークの温度であるワーク温度、前記ヒータの昇温速度、前記ワークの昇温速度、前記ヒータの出力、前記ヒータの温度精度、前記ワークの温度精度、前記ヒータ温度及び前記ワーク温度の応答特性、前記ヒータの温度分布、及び前記ワークの温度分布の少なくとも1つであってもよい。
本構成によれば、ヒータ温度、ワーク温度、ヒータの昇温速度、ワークの昇温速度、ヒータの出力、ヒータの温度精度、ワークの温度精度、ヒータ温度の応答特性、ワーク温度の応答特性、ヒータの温度分布、及びワークの温度分布の少なくとも1つが、加熱冷却システムに関する成膜条件とされて評価予測モデルが学習されている。そのため、加熱冷却システムに関する成膜条件を考慮に入れて切削工具の性能評価の予測値を算出できる。
上記構成において、前記第3パラメータは、前記ターゲットの組成、前記ターゲットの厚さ、前記ターゲットの製法、アーク放電電圧、アーク放電電流、蒸発源磁場、蒸発源コイル電流、及びアーク点火特性の少なくとも1つであってもよい。
本構成によれば、ターゲットの組成、ターゲットの厚さ、ターゲットの製法、アーク放電電圧、アーク放電電流、蒸発源磁場、蒸発源コイル電流、及びアーク点火特性の少なくとも1つが蒸発源システムに関する成膜条件とされて評価予測モデルが学習されている。そのため、蒸発源システムに関する成膜条件を考慮に入れて切削工具の性能評価の予測値を算出できる。
上記構成において、前記第4パラメータは、前記ワークに対するバイアス電圧、前記ワークに対するバイアス電流、異常放電回数、異常放電の時間変化、前記バイアス電圧の波形、前記バイアス電流の波形、前記ワークの回転数、前記ワークの形状、前記ワークの搭載量、前記ワークの搭載方法、及び前記ワークの材質の少なくとも1つであってもよい。
本構成によれば、バイアス電圧、バイアス電流、異常放電回数、異常放電の時間変化、バイアス電圧の波形、バイアス電流の波形、ワークの回転数、ワークの形状、ワークの搭載量、ワークの搭載方法、及びワークの材質の少なくとも1つがテーブルシステムに関する成膜条件として評価予測モデルが学習されている。そのため、テーブルシステムに関する成膜条件を考慮に入れて切削工具の性能評価の予測値を算出できる。
上記構成において、前記第5パラメータは、前記プロセスガスの流量、前記プロセスガスの種類、及び前記プロセスガスの圧力の少なくとも1つであってもよい。
本構成によれば、プロセスガスの流量、プロセスガスの種類、及びプロセスガスの圧力の少なくとも1つがプロセスガスシステムに関する成膜条件として評価予測モデルが学習されている。そのため、プロセスガスシステムに関する成膜条件を考慮に入れて切削工具の性能評価の予測値を算出できる。
上記構成において、前記少なくとも1つの成膜条件は、さらに前記エッチングシステムに関する第6パラメータを含んでもよい。
本構成によれば、エッチングシステムに関する成膜条件が考慮されて評価予測モデルが学習されている。そのため、エッチングシステムに関する成膜条件を考慮に入れて切削工具の性能評価の予測値を算出できる。
上記構成において、前記第6パラメータは、前記エッチングシステムのフィラメントを加熱するための加熱電流、前記フィラメントを加熱するための加熱電圧、前記フィラメントの直径、前記フィラメントの放電電流、及び前記フィラメントの放電電圧の少なくとも1つであってもよい。
本構成によれば、フィラメントの加熱電流、フィラメントの加熱電圧、フィラメントの直径、フィラメントの放電電流、及びフィラメントの放電電圧の少なくとも1つがエッチングシステムに関する成膜条件として評価予測モデルが学習されている。そのため、エッチングシステムに関する成膜条件を考慮に入れて切削工具の性能評価の予測値を算出できる。
上記構成において、さらに、前記予測値が基準を満たしているか否かを判定し、
さらに、前記予測値が前記基準を満たしていると判定した場合、前記成膜装置の運転を実行しなくてもよい。
さらに、前記予測値が前記基準を満たしていると判定した場合、前記成膜装置の運転を実行しなくてもよい。
本構成によれば、予測値が基準を満たさない場合、成膜装置の運転が停止されるため、不要な成膜を防止できる。
なお、上述の一態様に係る評価方法の各処理は評価装置に実装されてもよいし、評価プログラムに実装されて流通されてもよい。この評価装置は、サーバで構成されてもよいし、成膜装置で構成されてもよい。
本発明の別の一態様に係る生成方法は、切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置に設定される成膜条件を評価するための評価予測モデルをコンピュータが生成する生成方法であって、前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムとを含み、前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして取得し、前記教師データを機械学習することによって前記評価予測モデルを生成し、前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである。
本態様によれば、成膜条件と成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能の評価項目に対する評価値とが教師データとして機械学習されることにより評価予測モデルが生成される。そのため、ある成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能を実際に成膜することなく正確に評価する評価予測モデルを得ることができる。
本発明のさらに別の一態様に係る通信方法は、切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置の成膜条件を評価するための評価予測モデルを機械学習する際の前記成膜装置の通信方法であって、前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムと、通信部とを含み、前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目とを教師データとして取得し、前記教師データを送信し、前記教師データを機械学習することによって得られた評価予測モデルを受信し、前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである。
本構成によれば、評価予測モデルを機械学習する際に必要な情報が提供される。このような通信方法は、成膜装置にも実装可能である。
本発明によれば、ある成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能を実際に成膜することなく正確に評価することができる。
図1は、実施の形態に係る評価システムに適用される成膜装置の全体構成図である。成膜装置30は、アークイオンプレーティング法により切削工具の基材であるワーク(被コーティング物)に硬質皮膜を成膜する装置である。アークイオンプレーティング法は、真空アーク放電を利用して固体材料を蒸発させるイオンプレーティング法の一種である。アークイオンプレーティング法は、蒸発した材料のイオン化率が高く、密着性に優れた皮膜が形成できるため、切削工具の成膜に適している。硬質皮膜は、例えば、TiN、TiAlN、TiCN、CrNなどである。
成膜装置30は、真空排気システム510、加熱冷却システム520、蒸発源システム530、テーブルシステム540、プロセスガスシステム550、エッチングシステム560、及びチャンバー570を含む。
真空排気システム510は、排気装置511を含み、チャンバー570の内部を真空にする。排気装置511は、チャンバー570内の空気を排気するためのポンプなどを含む。
加熱冷却システム520は、ヒータ電源部521及びヒータ522を含み、ワーク545を加熱する。ヒータ電源部521は、ヒータ522に電力を供給する電源回路である。ヒータ522は、チャンバー570内に設けられ、ヒータ電源部521から供給される電力によって発熱する。また、加熱冷却システム520は、ヒータ522の発熱を停止させることでワーク545を冷却する。
蒸発源システム530は、ターゲット(成膜形成材料)を蒸発させるシステムである。蒸発源システム530は、アークカソード531及びアーク電源部532を含む。アーク電源部532は、アークカソード531に放電電流を供給する電源回路である。アークカソード531は、ターゲットを含み、アーク電源部532から供給された電力によって、チャンバー570の内壁との間で真空アーク放電を発生させる。真空アーク放電が開始されると、カソード表面上に数μm径のアークスポットと呼ばれる溶融領域が発生する。アークスポットには、高密度の電流が集中し、カソード表面は瞬時に溶融蒸発される。この真空アーク放電により、ワーク545の表面が成膜される。
図1の例では、2対のアークカソード531及びアーク電源部532が図示されているが、これは一例であり、アークカソード531及びアーク電源部532は、1対であってもよいし、3対以上であってもよい。
テーブルシステム540は、ワーク545を搭載する回転テーブルである。テーブルシステム540は、テーブル541、テーブル駆動部542、及びバイアス電源部543を含む。テーブル541は、チャンバー570内に設けられている。ワーク545はテーブル541上に載置される。テーブル駆動部542は、モータなどを含み、テーブル541を回転させる。バイアス電源部543は、テーブル541を介してワーク545に負の電位を与える。
プロセスガスシステム550は、チャンバー570内に反応性皮膜を形成するためのプロセスガスを導入する。
エッチングシステム560は、放電電源部561、一対のフィラメント電極562、及び一対のフィラメント電極562間に設けられたフィラメント(図略)を含む。放電電源部561はフィラメント電極562を介してフィラメントに放電電流を供給する電源回路である。エッチングシステム560は、アークカソード531及びフィラメント間並びにチャンバー570の内壁及びフィラメント間にアルゴンプラズマを発生させる。このアルゴンプラズマの発生により、ワーク545の表面が清浄化される。この清浄化において、アークカソード531及びチャンバー570の内壁はアノードとして機能し、フィラメントはカソードとして機能する。
チャンバー570は、ワーク545を収容する容器である。チャンバー570は、真空排気システム510によって内部が真空状態にされ、真空状態を維持する。
図2は、実施の形態における評価システムの全体構成図である。評価システムは、サーバ10、通信装置20、及び成膜装置30を含む。成膜装置30は評価装置の一例である。サーバ10は、評価予測モデルを生成するコンピュータである。サーバ10及び通信装置20はネットワーク40を介して相互に通信可能に接続されている。通信装置20及び成膜装置30はネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク40は、例えばインターネットなどの広域通信網である。ネットワーク50は、例えばローカルエリアネットワークである。サーバ10は、例えば1以上のコンピュータで構成されるクラウドサーバである。通信装置20は、例えば成膜装置30を使用するユーザが所持するコンピュータである。通信装置20は、成膜装置30をネットワーク40に接続するゲートウェイとして機能する。通信装置20は、ユーザ自身が所持するコンピュータに専用のアプリケーションソフトウェアをインストールすることで実現される。或いは通信装置20は、成膜装置30の製造メーカがユーザに提供する専用の装置であってもよい。成膜装置30は、図1で説明した成膜装置である。
以下、各装置の構成を具体的に説明する。サーバ10は、プロセッサ110、メモリ120、及び通信部130を含む。プロセッサ110は、CPUなどを含む制御装置である。プロセッサ110は、学習部111を含む。
学習部111は、成膜装置30から送信された教師データを機械学習することで評価予測モデルを生成する。教師データは、成膜条件と、成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを含むデータセットである。評価予測モデルは、例えば、ランダムフォレスト、再帰分割回帰木、バギング、ブースティング、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、及び深層学習などの機械学習モデルで構成される。
学習部111は、成膜装置30から送信され、メモリ120に蓄積された教師データが所定数を超えると、教師データを機械学習モデルに順次入力していくことで評価予測モデルを生成する。具体的には、学習部111は、教師データに含まれる成膜条件を機械学習モデルに入力したとき、その成膜条件に対応する評価値が出力されるように機械学習モデルを学習させる。学習部111は、生成した評価予測モデルを通信部130を用いて成膜装置30に送信すると共に、評価予測モデルをメモリ120に記憶させる。
通信部130は、サーバ10をネットワーク40に接続する通信回路で構成される。通信部130は、成膜装置30から送信される教師データを受信する。通信部130は、学習部111が生成した評価予測モデルを通信装置20を介して成膜装置30に送信する。
通信装置20は、送信器201及び受信器202を含む。送信器201は、成膜装置30から送信された教師データをサーバ10に送信すると共に、サーバ10から送信された評価予測モデルを成膜装置30に送信する。受信器202は、成膜装置30から送信された教師データを受信すると共に、サーバ10から送信された評価予測モデルを受信する。
成膜装置30は、図1で示す構成の他、プロセッサ310、メモリ320、入力部330、センサ部340、表示部350、及び通信部360を含む。
通信部360は、成膜装置30をネットワーク50に接続するための通信回路である。プロセッサ310は、CPUなどを含む制御装置である。プロセッサ310は、取得部311、予測部312、出力部313、教師データ生成部314、入力判定部315、及び成膜実行部316を含む。
取得部311は、評価対象の成膜条件である対象成膜条件を取得する。対象成膜条件は、オペレータが入力部330を操作することによって入力されたデータである。
予測部312は、メモリ320から評価予測モデルを取得し、対象成膜条件を評価予測モデルに入力することで対象成膜条件により成膜されて製造される切削工具の性能評価の予測値を算出する。
出力部313は、予測部312が算出した予測値を出力する。例えば、出力部313は、予測値を示す予測結果画面を表示部350に表示させることで、予測値を出力すればよい。予測結果画面は、例えば切削工具の性能の評価項目の名称と、評価項目に対する予測値とを対応付けて表示する。これにより、オペレータは各評価項目に対する予測値を容易に把握できる。
出力部313は、各評価項目について予測値が基準を満たしているか否かを判定し、判定結果を予測結果画面に表示させてもよい。この表示態様としては、例えば、基準を満たす評価項目の表示欄と、基準を満たしていない評価項目の表示欄とを色分けして表示する態様が採用できる。
教師データ生成部314は、メモリ320に記憶された成膜装置30の運転履歴データと、メモリ320に記憶された評価データとを用いて教師データを生成する。運転履歴データは、成膜装置30の状態を示す状態情報とタイムスタンプとを含む。状態情報には、後述する図5に示される成膜条件の名称と成膜条件の値とが含まれる。成膜条件の値は、例えば、センサ部340が検知したセンサ値及び入力部330に入力された入力値などである。タイムスタンプは、例えば状態情報が示す状態の取得日時である。
評価データは、例えば、後述する図6で列記された評価項目の名称と、評価項目に対応する評価値と、タイムスタンプとを含む。タイムスタンプは、例えば、評価対象となる成膜運転の実行日時である。
教師データ生成部314は、メモリ320に記憶された運転履歴データ及び評価データから、タイムスタンプをキーにして1回の成膜運転に対応する運転履歴データ及び評価データを抽出する。そして、教師データ生成部314は、抽出した1回の成膜運転に対応する、運転履歴データと評価データとを対応付けることで1つの教師データを生成する。これにより、成膜運転ごとに成膜条件と評価値とが対応付けられた教師データが生成される。評価値は各成膜条件に対する正常度合いを示し、例えば、0〜100の値を採る。なお、評価値は、例えば、n(nは2以上の整数)段階評価であってもよい。
教師データ生成部314は、生成した教師データを通信部360を用いてサーバ10に送信する。これが繰り返されることで、サーバ10には教師データが蓄積されていく。教師データ生成部314は、1回の成膜運転が終了し、それに対する評価値が入力される都度、教師データを生成してサーバ10に送信すればよい。
入力判定部315は、量産工程であるか否かを自動又は手動により判定する。入力判定部315は、量産工程であるか否かを自動で判定する場合においては、入力部330に入力された条件番号の入力回数が基準回数を超えた場合、成膜装置30は量産工程にあると判定する。条件番号とは、ある1つの成膜条件を特定するための識別番号である。条件番号により特定される成膜条件は、少なくとも図5に示す成膜条件のうちInputと記載された成膜条件を含む。
入力判定部315は、量産工程であるか否かを手動により判定する場合、入力部330に量産工程である旨のデータが入力されたことを条件に、成膜装置30は量産工程にあると判定する。量産工程にある場合、成膜装置30は、教師データを生成しない。
成膜実行部316は、入力部330に入力された成膜条件で成膜装置30の成膜運転を制御する。成膜実行部316は、予測部312により算出された予測値が基準を満たしているか否かを判定する。成膜実行部316は、基準を満たしていると判定した場合、成膜運転を実行し、基準を満たしていないと判定した場合、成膜運転を実行しない。
メモリ320は、例えば不揮発性の記憶装置である。メモリ320は、学習部111によって生成された評価予測モデルと、運転履歴データと、評価データとを記憶する。
センサ部340は、図5に示された成膜条件のうち、センサによって値が取得される成膜条件の値を取得するための各種センサである。入力部330は、キーボード、及びマスなどの入力装置である。入力部330は、オペレータによって入力された評価結果を受け付ける。評価結果は、例えば、表示部350に表示された評価結果入力画面を通じて入力される。評価結果入力画面には、図6に記載された評価項目に対する評価値の入力欄が設けられている。ユーザはこの入力欄に評価値を入力していく。
入力部330は、オペレータによって入力された成膜条件を受け付ける。入力部330が受ける付ける成膜条件は、図5に示す成膜条件のうち、少なくともInputと記載された成膜条件を含む。また、入力部330が受け付ける成膜条件は、図5に示す成膜条件のうちInputと記載された成膜条件以外の成膜条件であって、設定値が入力可能な成膜条件を含んでもよい。
表示部350は、例えば液晶パネルなどの表示装置であり、予測結果画面、評価結果入力画面などを表示する。通信部360は、教師データ生成部314が生成した教師データをサーバ10に送信する。通信部360は、サーバ10が当該教師データを機械学習することによって生成した評価予測モデルを受信する。
図5は、教師データとして用いられる成膜条件の一例を示す図である。教師データとして用いられる成膜条件は、大きく中分類に分類される。中分類には、真空排気システム510に関する第1パラメータと、加熱冷却システム520に関する第2パラメータと、蒸発源システム530に関する第3パラメータと、テーブルシステム540に関する第4パラメータと、プロセスガスシステム550に関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つが含まれる。さらに、中分類には、エッチングシステム560に関する第6パラメータが含まれても良い。
第1パラメータは、排気速度、到達圧力、残留ガス種、残留ガス分圧、及びP−Q特性の少なくとも1つを含む。排気速度は、真空排気システム510がチャンバー570内の空気や残留ガス、導入されたプロセスガスを排気する速度である。排気速度は、例えば真空排気システム510を構成するポンプの性能値から計算によって得られる。或いは、排気速度は、流量センサの計測値であってもよい。到達圧力は、成膜プロセス開始前のチャンバー570内の圧力である。到達圧力は、例えば真空排気システム510を構成するポンプの性能値から計算によって得られる。或いは、到達圧力は、圧力センサの計測値であってもよい。残留ガス種は、チャンバー570内に残留するガスであり、不純物である。残留ガス種は、例えば、窒素、酸素、水分、及び水素などである。残留ガス種は、後述する残留ガスの分圧に基づいて決定される。残留ガス分圧は、チャンバー570内に残留する複数の残留ガスの分圧である。残留ガス分圧は、四重極形質量分析計などの真空残留ガスモニタの計測によって得られる。P−Q特性は、チャンバー内の圧力(P)と流量(Q)との関係を示す特性である。P−Q特性は、例えば流量センサで検知されたチャンバー570内のガスの流量と圧力センサの計測値から計算によって得られる。
第2パラメータは、ヒータ温度、ワーク温度、ヒータ昇温速度、ワーク昇温速度、ヒータ出力、ヒータ温度精度、ワーク温度精度、ヒータ温度/ワーク温度、ヒータ温度分布、ワーク温度分布、冷却ガス種、冷却ガス圧力、及びワーク冷却速度の少なくとも1つを含む。
ヒータ温度は、ヒータ522の温度である。ヒータ温度は、例えば温度センサ(熱電対)の計測値である。ワーク温度は、ワーク545の温度である。ワーク温度は、例えばワーク545の近傍に設けられた温度センサの計測値である。ヒータ昇温速度は、ヒータ522が昇温する際のヒータ温度の変化速度である。ヒータ昇温速度は、ヒータ温度の時系列変化から得られる。ワーク昇温温度は、ワーク545が昇温する際のワーク温度の変化速度である。ワーク昇温速度は、ワーク温度の時系列変化から得られる。
ヒータ出力は、ヒータ522の出力である。ヒータ出力は、ヒータ電源部521の設定値から計算により得られる。ヒータ出力は、ヒータに供給される電流値と電圧値とのセンサによる計測値から計算されてもよい。
ヒータ温度精度は、ヒータ温度のバラツキを示す値である。ヒータ温度精度は過去のヒータ温度の計測値から計算される。ワーク温度精度は、ワーク温度のバラツキを示す値である。ワーク温度精度は過去のワーク温度の計測値から計算される。ヒータ温度/ワーク温度は、ヒータ522のワーク545に対する応答特性である。
ヒータ温度分布は、ヒータ522の温度分布である。ヒータ温度分布はヒータ522の周囲に設けられた複数の温度センサの計測値から得られる。ワーク温度分布は、ワーク545の温度分布である。ワーク温度分布は、ワーク545の周囲に設けられた複数の温度センサの計測値から得られる。
冷却ガス種は、チャンバー570内を冷却するガスの種別を示す情報であり、予め入力された入力値である。冷却ガス圧力は、冷却ガスの圧力である。冷却ガス圧力は、チャンバー570内に設けられた圧力センサによる計測値である。ワーク冷却速度は、ワーク545の冷却速度である。ワーク冷却速度は、ワーク545の近傍に設けられた温度センサが検出したワーク温度の時系列変化から得られる。
第3パラメータは、ターゲット組成、ターゲット厚さ、ターゲット製法、アーク放電電圧、アーク放電電流、蒸発源磁場、蒸発源コイル電流、及びアーク点火特性のうちの少なくとも1つを含む。ターゲット組成は、ターゲットを構成する物質の組成である。ターゲット厚さは、ターゲットの厚みである。ターゲット製法は、ターゲットの製造方法である。ターゲット組成、ターゲット厚さ、ターゲット製法は、予め入力された入力値である。
アーク放電電圧は、アーク電源部532がアークカソード531に供給する電圧であり、センサによる計測値である。アーク放電電流は、アーク電源部532がアークカソード531に供給する電流であり、センサによる計測値である。
蒸発源磁場は、蒸発源システム530に含まれる永久磁束が放出する磁場の位置及び強度である。蒸発源磁場は予め入力された入力値である。蒸発源コイル電流は、蒸発源システム530に含まれるコイルに流れる電流であり、センサによる計測値である。アーク点火特性は、アーク点火時のアーク表面の電圧及び電流の挙動である。アーク点火特性は、アーク放電電圧及びアーク放電電流のあるタイミングの計測値から得られる。
第4パラメータは、バイアス電圧、バイアス電流、OL回数、OL時間変化、バイアス電圧波形、バイアス電流波形、ワーク回転数、ワーク形状、ワーク搭載量、ワーク搭載方法、及びワーク材質の少なくとも1つを含む。
バイアス電圧は、バイアス電源部543がワーク545に供給するバイアス電圧であり、センサによる計測値である。バイアス電流は、バイアス電源部543がワーク545に供給するバイアス電流であり、センサによる計測値である。
OL(OverLoad)回数は、テーブルシステムまたはワークでの異常放電回数であり、センサによる計測値である。OL時間変化は、単位時間あたりのOL回数である。バイアス電圧波形は、バイアス電圧の波形であり、センサによる計測値から得られる。バイアス電圧波形は特にパルスバイアス時の電圧波形である。バイアス電流波形は、バイアス電流の波形であり、センサによる計測値から得られる。ワーク回転数は、ワーク545の単位時間あたりの回転数であり、テーブル541の単位時間あたりの回転数と、ワーク545がテーブル541上で自転する際の単位時間あたりの回転数とを含む。ワーク回転数は、例えばセンサによる検出値である。ワーク形状は、ワーク545の形状を示す数値であり、予め入力された入力値である。ワーク搭載量は、ワーク545の搭載量(例えば重量)であり、予め入力された入力値である。ワーク搭載方法は、テーブル541に対するワーク545の搭載方法であり、予め入力された入力値である。ワーク材質は、ワーク545の材質であり、予め入力された入力値である。
第5パラメータは、ガス流量、ガス種、及びガス圧の少なくとも1つを含む。ガス流量は、プロセスガスの流量である。ガス種は、プロセスガスの種類を示す情報である。ガス圧力は、プロセスガスの圧力である。これらは、例えばセンサの検出値である。
第6パラメータは、フィラメント加熱電流、フィラメント加熱電圧、フィラメント径、放電電流、及び放電電圧の少なくとも1つを含む。フィラメント加熱電流は、エッチングシステム560を構成する一対のフィラメント電極562を加熱するための加熱電流であり、センサによる計測値である。フィラメント加熱電圧は、一対のフィラメント電極562を加熱するための加熱電圧であり、センサによる計測値である。
フィラメント径は、一対のフィラメント電極562のそれぞれの直径であり、予め入力された入力値である。なお、フィラメント径は、計算によって算出されてもよい。放電電流は、一対のフィラメント電極562の放電電流であり、センサによる計測値である。放電電圧は、一対のフィラメント電極562の放電電圧であり、センサによる計測値である。
図6は、切削工具の性能の評価項目の一例を示す図である。評価項目は、切削工具の切削性能に関する評価項目である。評価項目は大きく中分類に分類される。具体的には、中分類には、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つが含まれる。加工可能数は、何回目の加工で皮膜が剥がれたかを示す値である。加工可能数は、成膜された切削工具を実際に使用したときの使用履歴から計算される。
刃先摩耗評価値は、切削加工具の刃先の摩耗の度合いを評価する値である。刃先耗評評価値は、逃げ面摩耗量及びすくい面摩耗量のうちの少なくとも1つを含む。
刃先損傷評価値は、切削工具の刃先の損傷の度合いを評価する値である。刃先損傷評価値は、境界摩耗、欠損、割損、チッピング、フレーキング、溶着、塑性変形、及び熱亀裂の少なくとも1つを含む。
刃先摩耗評価値及び刃先損傷評価値を構成する各種パラメータは、例えば、人物が切削工具を直接観察することで得られる計測値であってもよいし、人物が切削工具を顕微鏡を用いて観察することで得られる計測値であってもよい。
切削抵抗測定値は、切削工具の切削抵抗を示す値である。切削抵抗測定値は、切削力及び送り力を含む。仕上げ面評価値は、切削工具が切削した仕上げ面を評価する値である。切りくず状態観察値は、切削工具の切削により生じた切りくずの状態を示す値である。切りくず状態観察値は、切りくず形状及び切りくずの色が含まれる。切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値を構成する各種パラメータは、例えば、切削工具の切削中の力、動力、音、及び振動などをセンサにより計測することで得られる計測値である。
図6に示す評価項目のそれぞれには成膜装置30のオペレータにより評価値が設定される。したがって、教師データに含まれる評価項目の評価値は、オペレータによって設定された値が採用される。
次に、評価システムの処理について説明する。図3は、評価システムの処理の一例を示すフローチャートである。図3に示すフローは、学習部111により評価予測モデルが生成され、評価予測モデルがメモリ320に記憶されている場合に実行される。
ステップS1では、取得部311は、オペレータによって入力部330に入力された成膜条件を対象成膜条件として取得する。
ステップS2では、予測部312は、対象成膜条件を評価予測モデルに入力し、評価項目に対する予測値を算出する。これにより、図6に示す各評価項目に対する予測値が算出される。
ステップS3では、出力部313は予測値を出力する。この場合、表示部350に予測結果画面が表示され、各評価項目に対する予測値がオペレータに提示される。
ステップS4では、成膜実行部316は、評価項目に対する予測値が基準を満たしているか否かを判定する。成膜実行部316は、予測値が基準を満たしていないと判定した場合(ステップS4でNO)、成膜運転を実行しない(ステップS5)。一方、成膜実行部316は、予測値が基準を満たしていると判定した場合(ステップS4でYES)、対象成膜条件による成膜運転を実行する(ステップS6)。
なお、評価項目の基準は、各評価項目に対応して複数存在する。したがって、成膜実行部316は、全ての評価項目に対応する予測値が、各評価項目に対応する基準を満たしている場合、ステップS4でYESと判定すればよい。一方、成膜実行部316は、少なくとも1つの評価項目に対応する予測値が、各評価項目に対応する基準を満たしていない場合、ステップS4でNOと判定すればよい。また、成膜実行部316は、ステップS4の判定結果を示すメッセージを表示部350に表示してもよい。これにより、オペレータは実際の成膜運転を開始する前に、設定した成膜条件では切削性能の高い切削工具を製造できないことを知ることができる。また、予測値が基準を満たすか否かの判定は、予測値が基準として予め定められた閾値より大きい場合に予測値が基準を満たし、予測値が基準値以下の場合に予測値が基準を満たさないという処理であってもよい。
次に、評価システムにおける学習時の処理について説明する。図4は、評価システムにおける学習時の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11では、成膜装置30の教師データ生成部314は、メモリ320から評価データ及び運転履歴データを取得して1回の成膜運転に対応する教師データを生成する。生成された教師データはサーバ10に送信され、サーバ10のメモリ320に蓄積される。
ステップS12では、サーバ10の学習部111は、メモリ320に蓄積された教師データの数が所定数を超えたか否かを判定する。教師データの数が所定数を超えた場合(ステップS12でYES)、学習部111は、教師データを機械学習モデルに順次に入力して評価予測モデルを生成する(ステップS13)。一方、学習部111は、教師データの数が所定数以下の場合(ステップS12でNO)、処理をステップS11に戻す。
従来、成膜装置においては、良好な皮膜が得られるように成膜条件を変化させることによって成膜条件の開発が行われてきた。良好な皮膜を得るためには、皮膜の評価と成膜条件との関係性を見出すことが要求される。しかし、図5に示されるように成膜条件の種類は膨大であるため、このような関係性を規定するには極めて多くの物理モデルが必要となり、物理モデルによってこのような関係性を記述するのは困難であるとの知見が得られた。さらに、このような物理モデルを構築するには、どのパラメータがどの皮膜の評価に影響を与えているのかを人為的に見いだすことも要求され、この構築は困難である。
本実施の形態によれば、対象成膜条件が取得されると、その対象成膜条件が評価予測モデルに入力されて切削工具の性能評価の予測値が算出される。評価予測モデルは、成膜条件と成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されたモデルである。ここで、評価予測モデルは、真空排気システム510に関する第1パラメータ、加熱冷却システム520に関する第2パラメータ、蒸発源システム530に関する第3パラメータ、テーブルシステム540に関する第4パラメータ、及びプロセスガスシステム550に関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つの成膜条件と、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値の少なくとも1つの評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されている。そのため、ある成膜条件により成膜されて製造された切削工具の性能を実際に成膜することなく正確に評価することができる。
なお、本発明は以下の変形例が採用できる。
(1)図7は、本発明の変形例に係る評価システムの全体構成図である。変形例に係る評価システムは、成膜装置30A単体で構成されている。成膜装置30Aは評価装置の一例である。成膜装置30Aは、プロセッサ310A、メモリ320、入力部330、センサ部340、及び表示部350を含む。プロセッサ310Aは、取得部311、予測部312、出力部313、教師データ生成部314A、入力判定部315、及び成膜実行部316を含む他、さらに学習部317を含んでいる。成膜装置30Aの構成要素は、それぞれ、基本的には図2において同一名称のブロックと同じ機能を備えている。
但し、この変形例では、評価システムはスタンドアローンになったため、教師データ生成部314Aは、生成した教師データをサーバ10に送信せずに、メモリ320に記憶する。また、学習部317は、生成した評価予測モデルを成膜装置30に送信せずに、メモリ320に記憶する。
このようにこの変形例に係る評価システムによれば、成膜装置30A単体で評価予測モデルを学習させることができる。
(2)上記実施の形態では成膜装置30はアークイオンプレーティング法で成膜する装置であったが、本発明はこれに限定されず、蒸着法など他の物理的気相成長法により成膜する装置であってもよい。
(3)上記実施の形態において生成された評価予測モデルは、一定の周期で更新されてもよい。この場合、学習部111は、前回更新してから今回更新するまでに生成された教師データを用いて評価予測モデルを更新すればよい。
(4)図2では、成膜装置30は1つであったが、これは一例であり、複数であってもよい。この場合、学習部111は、複数の成膜装置30から送信された教師データを用いて評価予測モデルを生成すればよい。
10 :サーバ
20 :通信装置
30 :成膜装置
110 :プロセッサ
111 :学習部
120 :メモリ
130 :通信部
310 :プロセッサ
311 :取得部
312 :予測部
313 :出力部
314 :教師データ生成部
315 :入力判定部
316 :成膜実行部
317 :学習部
320 :メモリ
330 :入力部
340 :センサ部
350 :表示部
360 :通信部
20 :通信装置
30 :成膜装置
110 :プロセッサ
111 :学習部
120 :メモリ
130 :通信部
310 :プロセッサ
311 :取得部
312 :予測部
313 :出力部
314 :教師データ生成部
315 :入力判定部
316 :成膜実行部
317 :学習部
320 :メモリ
330 :入力部
340 :センサ部
350 :表示部
360 :通信部
Claims (14)
- 切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置に設定される成膜条件を評価装置が評価する評価方法であって、
前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムとを含み、
評価対象の成膜条件である対象成膜条件を取得し、
前記対象成膜条件を評価予測モデルに入力することで前記対象成膜条件により成膜されて製造される前記切削工具の性能評価の予測値を算出し、
前記予測値を出力し、
前記評価予測モデルは、前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されたモデルであり、
前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、
前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである、
評価方法。 - 前記第1パラメータは、排気速度、到達圧力、残留ガス種、残留ガス分圧、及びP−Q特性の少なくとも1つである、
請求項1記載の評価方法。 - 前記第2パラメータは、前記加熱冷却システムを構成するヒータのヒータ温度、前記ワークの温度であるワーク温度、前記ヒータの昇温速度、前記ワークの昇温速度、前記ヒータの出力、前記ヒータの温度精度、前記ワークの温度精度、前記ヒータ温度及び前記ワーク温度の応答特性、前記ヒータの温度分布、及び前記ワークの温度分布の少なくとも1つである、
請求項1又は2記載の評価方法。 - 前記第3パラメータは、前記ターゲットの組成、前記ターゲットの厚さ、前記ターゲットの製法、アーク放電電圧、アーク放電電流、蒸発源磁場、蒸発源コイル電流、及びアーク点火特性の少なくとも1つである、
請求項1〜3のいずれかに記載の評価方法。 - 前記第4パラメータは、前記ワークに対するバイアス電圧、前記ワークに対するバイアス電流、異常放電回数、異常放電の時間変化、前記バイアス電圧の波形、前記バイアス電流の波形、前記ワークの回転数、前記ワークの形状、前記ワークの搭載量、前記ワークの搭載方法、及び前記ワークの材質の少なくとも1つを含む、
請求項1〜4のいずれかに記載の評価方法。 - 前記第5パラメータは、前記プロセスガスの流量、前記プロセスガスの種類、及び前記プロセスガスの圧力の少なくとも1つである、
請求項1〜5のいずれかに記載の評価方法。 - 前記少なくとも1つの成膜条件は、さらに前記エッチングシステムに関する第6パラメータを含む、
請求項1〜6のいずれかに記載の評価方法。 - 前記第6パラメータは、前記エッチングシステムのフィラメントを加熱するための加熱電流、前記フィラメントを加熱するための加熱電圧、前記フィラメントの直径、前記フィラメントの放電電流、及び前記フィラメントの放電電圧の少なくとも1つである、
請求項7記載の評価方法。 - さらに、前記予測値が基準を満たしているか否かを判定し、
さらに、前記予測値が前記基準を満たしていると判定した場合、前記成膜装置の運転を実行しない、
請求項1〜8のいずれかに記載の評価方法。 - 切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置に設定される成膜条件を評価するための評価する評価装置であって、
前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムとを含み、
評価対象の成膜条件である対象成膜条件を取得する取得部と、
前記対象成膜条件を評価予測モデルに入力することで前記対象成膜条件により成膜されて製造される前記切削工具の性能評価の予測値を算出する予測部と、
前記予測値を出力する出力部とを含み、
前記評価予測モデルは、前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されたモデルであり、
前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、
前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである、
評価装置。 - 切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置に設定される成膜条件を評価する評価装置としてコンピュータを機能させる評価プログラムであって、
前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムとを含み、
評価対象の成膜条件である対象成膜条件を取得する取得部と、
前記対象成膜条件を評価予測モデルに入力することで前記対象成膜条件により成膜されて製造される前記切削工具の性能評価の予測値を算出する予測部と、
前記予測値を出力する出力部としてコンピュータを機能させ、
前記評価予測モデルは、前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして機械学習されたモデルであり、
前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、
前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである、
評価プログラム。 - 切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置に設定される成膜条件を評価するための評価予測モデルをコンピュータが生成する生成方法であって、
前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムとを含み、
前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目に対する評価値とを教師データとして取得し、
前記教師データを機械学習することによって前記評価予測モデルを生成し、
前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、
前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである、
生成方法。 - 切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置の成膜条件を評価するための評価予測モデルを機械学習する際の前記成膜装置の通信方法であって、
前記成膜装置は、チャンバーを真空にするための真空排気システムと、前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、エッチングシステムと、通信部とを含み、
前記成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目とを含む教師データを生成し、
前記教師データを送信し、前記教師データを機械学習することによって得られた評価予測モデルを受信し、
前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、
前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである、
通信方法。 - 切削工具の基材であるワークを成膜する成膜装置であって、
チャンバーを真空にするための真空排気システムと、
前記チャンバーを加熱及び冷却する加熱冷却システムと、
ターゲットを蒸発させる蒸発源システムと、ワークを載置するテーブルシステムと、
前記チャンバーにプロセスガスを導入するプロセスガスシステムと、
エッチングシステムと、
成膜条件と、前記成膜条件により成膜されて製造された前記切削工具の性能の評価項目とを含む教師データを生成する教師データ生成部と、
前記教師データを送信し、前記教師データを機械学習することによって得られた評価予測モデルを受信する通信部とを備え、
前記教師データとして用いられる前記成膜条件は、前記真空排気システムに関する第1パラメータと、前記加熱冷却システムに関する第2パラメータと、前記蒸発源システムに関する第3パラメータと、前記テーブルシステムに関する第4パラメータと、前記プロセスガスシステムに関する第5パラメータとのうちの少なくとも1つであり、
前記評価項目は、加工可能数、刃先摩耗評価値、刃先損傷評価値、切削抵抗測定値、仕上げ面評価値、及び切りくず状態観察値のうちの少なくとも1つである、
成膜装置。
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