JP2021017104A - ステアリング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ギヤやモータのロストルクを利用して切り込み状態及び切り戻し状態を判別可能なステアリング制御装置を提供する。【解決手段】ステアリングホイールトルク制御部620は、トルクセンサの検出値T_snsが、「ステアリングトルク指令値T*stに少なくとも粘性指令値Tvisc及び戻し指令値Tretを加算した目標値T**st」に追従するよう反力トルク指令値T*rを算出する。反力装置電流制御部680は、反力トルク指令値T*rに基づき反力用回転電機に流す電流を制御する。切り込み切り戻し判定部410は、反力トルク指令値T*rとトルクセンサの検出値T_snsとを比較し、「切り込み状態」と「切り戻し状態」とを判別する。反力制御部510、粘性制御部520又は戻し制御部540のうち一つ以上は、対応する反力量演算、粘性量演算又は戻し量演算のうちいずれかの特性を、切り込み状態と切り戻し状態とで異なるものにする。【選択図】図4

Description

本発明は、ステアリング制御装置に関する。
従来、車両の操舵状態について、切り込み状態であるか、又は切り戻し状態であるかを判別する技術が知られている。
例えば特許文献1に開示されたステアリング制御装置は、電動パワーステアリングシステムにおいて操舵トルクの検出値に基づき、切り込み状態又は切り戻し状態の操舵状態を示す指標である操舵状態量を演算する。また、このステアリング制御装置は、操舵状態量に応じて、すなわち、切り込み状態と切り戻し状態とで調整トルク演算の制御定数を変更する。
特開2017−95076号公報
電動パワーステアリングシステムのアシスト制御では、ドライバの操舵トルク、モータトルク及び路面反力の3入力が用いられるのに対し、ステアバイワイヤシステムの反力装置は、ドライバの操舵トルク及びモータトルクの2入力で制御される。したがって、特許文献1の考え方がそのまま適用されるわけではない。また、現実にはギヤやモータでロストルクが発生するが、特許文献1にはロストルクに関して何ら言及されていない。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ステアバイワイヤシステムの反力装置において、ギヤやモータのロストルクを利用して切り込み状態及び切り戻し状態を判別可能なステアリング制御装置を提供することにある。
本発明のステアリング制御装置は、反力装置(70)と、転舵装置(80)と、トルクセンサ(94)と、を備えるステアバイワイヤシステム(90)において、反力装置及び転舵装置を制御するステアリング制御装置である。
反力装置は、反力用回転電機(78)、反力用回転電機を駆動する反力用電力変換器(77)、及び、反力用回転電機の出力を減速する反力用減速機(79)を含み、ステアリングホイール(91)と接続される。転舵装置は、転舵用回転電機(88)、転舵用回転電機を駆動する転舵用電力変換器(87)、及び、転舵用回転電機の出力を減速する転舵用減速機(89)を含み、車輪(99)を転舵する。トルクセンサ(94)はドライバの操舵入力を検出する。反力用回転電機のトルク指令値(T*rm)に反力用減速機の減速比(ρ)を乗算して得られる反力装置の出力トルク指令値を反力トルク指令値(T*r)とする。
このステアリング制御装置は、反力制御部(510)と、粘性制御部(520)と、戻し制御部(540)と、ステアリングホイールトルク制御部(620)と、反力装置電流制御部(680)と、切り込み切り戻し判定部(410)と、を有する。
反力制御部は、転舵装置の出力トルクに相当する物理量(Tt、T*t、It、I*t)に基づく反力量演算により反力装置の反力指令値(Trf)を算出し、さらに反力指令値に基づいてステアリングトルク指令値(T*st)を算出する。粘性制御部は、反力装置の回転角速度(ωr)に相当する物理量に基づく粘性量演算により反力装置の粘性指令値(Tvisc)を算出する。戻し制御部は、反力装置の角度(θr)に相当する物理量、及び、車速(V)に相当する物理量に基づく戻し量演算により反力装置の戻し指令値(Tret)を算出する。
ステアリングホイールトルク制御部(620)は、トルクセンサの検出値(T_sns)が、ステアリングトルク指令値に少なくとも粘性指令値及び戻し指令値を加算した目標値(T**st)に追従するよう反力トルク指令値を算出する。反力装置電流制御部は、反力トルク指令値に基づき反力用回転電機に流す電流を制御する。
切り込み切り戻し判定部は、反力装置の出力トルクに相当する物理量とトルクセンサの検出値とを比較し、ステアリングホイールがドライバにより切り込まれている「切り込み状態」と、ステアリングホイールが反力用回転電機により切り戻されている「切り戻し状態」とを判別する。反力制御部、粘性制御部又は戻し制御部のうち一つ以上は、対応する反力量演算、粘性量演算又は戻し量演算のうちいずれかの特性を、切り込み状態と切り戻し状態とで異なるものにする。
本発明では、ステアバイワイヤシステムの反力装置において、ドライバの操舵トルク及びモータトルクの2入力であること、及び、ギヤやモータのロストルクがあることを利用し、反力装置の出力トルクに相当する物理量とトルクセンサの検出値とに基づいて、切り込み状態及び切り戻し状態を判別することができる。これにより、トルクだけで判定するため、速度を使う場合に対して実際に角度変化が生じる前に切込みと切り戻しの判別が可能である。そして、反力量演算、粘性量演算又は戻し量演算のうちいずれか一つ以上の特性を、切り込み状態と切り戻し状態とで異なるものにすることで、操舵フィーリングを適切に調整することができる。
各実施形態のステアリング制御装置が適用されるステアバイワイヤシステムの全体構成図。 二系統の反力装置及び転舵装置の概略構成図。 転舵装置制御部の概略構成を示すブロック図。 反力装置制御部の概略構成を示すブロック図。 第1、第2実施形態のステアリング制御装置のブロック図。 切り込み状態/切り戻し状態における反力装置のトルク(Tr)とトルクセンサ値(T_sns)との関係を説明する図。 第1実施形態による切り込み切り戻し判定演算のフローチャート。 制御切り替え判定演算のフローチャート。 図5の(a)反力指令値マップ、(b)車速ゲインマップ。 図5の(a)粘性指令値マップ、(b)慣性指令値マップ。 第1実施形態の戻し制御部による戻し制御演算のブロック図。 図11の(a)一次戻し指令値マップ、(b)車速ゲインマップ、(c)角速度ゲインマップ。 第2実施形態による切り込み切り戻し判定演算のブロック図。 第2実施形態の戻し制御部による戻し制御演算のブロック図。 第3実施形態のステアリング制御装置のブロック図。 図15の(a)第1(第2、第4)補正演算マップ、(b)第3補正演算マップ。 図15の反力指令値マップ。 図15の(a)粘性指令値マップ、(b)慣性指令値マップ。
本明細書において「実施形態」とは本発明の実施形態を意味する。以下、本発明のステアリング制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。このステアリング制御装置は、ステアバイワイヤシステムにおいて反力装置及び転舵装置を制御する装置である。複数の実施形態で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。以下の第1〜第3実施形態を包括して「本実施形態」という。
図1に、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離されたステアバイワイヤシステム90の全体構成を示す。図1において、車輪99は片側のみを図示し、反対側の車輪の図示を省略する。ステアバイワイヤシステム90は、反力装置70、転舵装置80、及び、トルクセンサ94を備える。
反力装置70は、反力用回転電機78と、反力用回転電機78を駆動する反力用電力変換器77と、反力用回転電機78の出力を減速する反力用減速機79とを含み、ステアリングシャフト92を介してステアリングホイール91と接続される。ステアバイワイヤシステム90では、ドライバは操舵に対する反力を直接感知することができない。そこで、反力回転電機78は、操舵に対する反力を付与するようにステアリングホイール91を回転させ、ドライバに適切な操舵フィーリングを与える。
転舵装置80は、転舵用回転電機88と、転舵用回転電機88を駆動する転舵用電力変換器87と、転舵用回転電機88の出力を減速する転舵用減速機89とを含む。転舵用回転電機88の回転は、転舵用減速機89からピニオンギア96、ラック軸97、タイロッド98、ナックルアーム985を介して車輪99に伝達される。詳しくは、ピニオンギア96の回転運動はラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の両端に設けられたタイロッド98がナックルアーム99を往復移動させることで、車輪99が転舵される。
トルクセンサ94は、トーションバーの捩れ変位に基づき、ステアリングシャフト92に加わるドライバの操舵入力を検出する。トルクセンサ94の検出値T_snsはステアリング制御装置200に入力される。
ステアリングホイール91の操舵角は、ステアリングホイール91の中立位置に対する回転方向に応じて、例えば図1のCW方向が正、CCW方向が負と定義される。これに対応して車輪99の転舵角の正負が定義される。角速度は、角度と同じ符号で定義される。また、ドライバがステアリングホイール91をCW方向に回すときのトルクセンサ94の検出値T_snsは正である。
さらに、反力装置70でステアリングホイール91をCW方向に回すときの反力装置70の出力トルクも正である。反力装置70の出力トルクがCW方向に作用しているとき、ドライバがステアリングホイール91を保舵すると、ドライバはCCW方向にトルクを加えるため、トルクセンサ94の検出値T_snsは負となる。
ステアリング制御装置200は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。ステアリング制御装置200の各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
図1に示すように、本実施形態では、反力装置制御部270と転舵装置制御部280とが物理的に離れた状態で設けられている。二つの制御部270、280は、CAN通信等の車両ネットワークや専用の通信ラインを経由して互いに情報を通信することで、協働してステアリング制御装置200として機能する。
例えば二点鎖線で示すように、反力装置70は、反力装置制御部270と反力用電力変換器77と反力用回転電機78とが一体に構成される。同様に転舵装置80は、転舵装置制御部280と転舵用電力変換器87と転舵用回転電機88とが一体に構成される。このような、いわゆる「機電一体式」のモータ構造は、電動パワーステアリング装置の分野において周知である。
次に図2を参照し、反力装置70及び転舵装置80における電力変換器77、87及び回転電機78、88の具体的な構成形態について説明する。反力装置70と転舵装置80とは同様の構成であるため、図中の符号を併記する。以下の説明では、「反力用」、「転舵用」の記載を省略しつつ、代表として反力装置70の構成要素の符号を用いて説明する。転舵装置80については、符号を読み替えて解釈するものとする。
本実施形態の回転電機78は二系統の三相ブラシレスモータであり、電力変換器77は二系統の三相インバータである。回転電機78は、二系統の巻線として第1系統巻線781及び第2系統巻線782を有する。二系統の巻線781、782は、例えば位相を電気角30[deg]ずらして配置されている。回転電機78が出力するトルクTmは、第1系統巻線781への通電により生成される第1系統トルクTm1と、第2系統巻線782への通電により生成される第2系統トルクTm2との合算値となる。
電力変換器77は、第1系統巻線781に通電する第1系統電力変換器771、及び、第2系統巻線782に通電する第2系統電力変換器772を含む。図2の例では、二系統の電力変換器771、772は、共通のバッテリ11から供給された直流電力をそれぞれ三相交流電力に変換する。他の例では、各電力変換器771、772は、個別のバッテリに接続されてもよい。
次に図3、図4を参照し、反力装置制御部270及び転舵装置制御部280の概略構成を説明する。この部分では、図5、図15に示す各実施形態の詳細な制御構成の説明に先立ち、各実施形態に共通する反力装置70及び転舵装置80の基本構成や特有の構成について説明する。反力装置70の出力に関するパラメータの記号には「r」、転舵装置80の出力に関するパラメータの記号には「t」を付す。以下、反力装置70及び転舵装置80の符号「70」、「80」の記載を適宜省略する。
図3、図4において、反力装置の角度θr及び角速度ωr、転舵装置の角度θt等の値は、回転電機78、88の回転角度に減速機79、89の減速比を乗除した換算後の値とする。まず図3に転舵装置制御部280の概略構成を示す。反力装置の角度θrはバンドパスフィルタ(図中「BPF」)31を介して角度比制御部320及び乗算器33に入力される。角度比制御部320は、舵角感応マップ321、車速感応マップ322及び加算器323を含み、反力装置の角度θrや車速Vに応じて「反力装置の角度θrに対する転舵装置の角度θtの角度比RA」を算出する。
舵角感応マップ321は、反力装置の角度θrに応じた舵角感応項RA(θ)を算出する。角度の絶対値|θr|が0を含む比較的小さい領域では角度比RA(θ)は最小値1に設定され、角度の絶対値|θr|が比較的大きい領域では角度比RA(θ)は一定の最大値に設定される。所定の角度領域+Z、−Zにおいて、角度比RA(θ)は、反力装置の角度θrに応じて最小値から最大値まで変化する。以下、正負の角度領域+Z、−Zをまとめて「±Z」と記載する。
車速感応マップ322は、車速Vに応じた車速感応項RA(V)を演算する。車速感応マップ322の具体的な構成やマップの例については説明を省略する。舵角感応マップ321が算出した舵角感応項RA(θ)、及び、車速感応マップ322が算出した車速感応項RA(V)は加算器323で加算される。
加算器323で加算された角度比RAは、乗算器33に入力されると共に、図5に示す制御切り替え判定部42や、図15に示す各補正演算部431〜434等に通知される。或いは、二点鎖線で示すように、車速感応項RA(V)が加算される前の舵角感応項RA(θ)のみが切り替え判定部42や各補正演算部431〜434等に通知されてもよい。また、角度比RAに代えて、反力装置の角度θrから換算された角度比相当量が通知されてもよい。
さらに反力装置の角度θrは角度微分制御部340に入力される。角度微分制御部340の疑似微分器341は角度θrの時間変化率に基づき角速度ωrを算出する。角速度−角度マップ342は、角速度ωrと正の相関を有する角度θrの補正値を算出する。算出された角度θrの補正値は、加算器35にて、乗算器33の出力に加算される。
角度制御部360の偏差算出部361は、反力装置の角度θrに角度比を乗じた値と転舵装置の角度θtとの角度偏差Δθr-tを算出する。PID制御器362は、角度偏差Δθr-tを0に近づけるように、転舵トルク指令値T*t、又は、転舵トルク指令値T*tに対応する転舵用回転電機88の電流指令値I*tを演算する。転舵装置電流制御部380は偏差算出器381とPI制御器382とを含み、転舵トルクTt又は電流Itのフィードバック制御により、転舵用回転電機88に流す電流を制御する。
ところで、偏差算出部361で算出される角度偏差Δθは、正確には「反力装置の角度θrに角度比RAを乗じた値」と転舵装置の角度θtとの差分である。ただし本明細書では、「反力装置の角度θrに角度比RAを乗じた値」を「反力装置の角度θr」とみなし、「反力装置の角度θrと転舵装置の角度θtとの偏差」を「角度偏差Δθr-t」と記す。
図4に反力装置制御部270の基本構成を示す。ステアリングホイールトルク制御部620は、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530、戻し制御部540でそれぞれ算出されたトルク指令値に基づき反力トルク指令値T*rを算出する。ここで、反力トルク指令値T*rは、反力用回転電機78のトルク指令値T*rmに反力用減速機79の減速比ρを乗算して得られる「反力装置70の出力トルク指令値」である。
反力制御部510は、「転舵装置の出力トルクに相当する物理量」に基づく反力量演算により反力装置の反力指令値Trfを算出し、さらに、車速Vに応じた車速ゲインを反力指令値Trfに乗じてステアリングトルク指令値T*stを算出する。「転舵装置の出力トルクに相当する物理量」には、転舵トルクTt、転舵トルク指令値T*t、転舵用回転電機88に流れる電流It又は電流指令値I*t等が該当する。以下、「転舵装置の出力トルクに相当する物理量」を略して「転舵トルク相当量」とも記す。図5、図15には、転舵トルク相当量の入力として「Tt」の記号のみを記す。
粘性制御部520は、「反力装置の回転角速度ωrに相当する物理量」に基づく粘性量演算により反力装置の粘性指令値Tviscを算出する。図には、「反力装置の回転角速度ωrに相当する物理量」の代表として「ωr」の記号のみを記す。明細書中「回転角速度ωr」を単に「角速度ωr」とも記す。
慣性制御部530は、図5に示すように、回転角速度ωrの変化率から回転角加速度αrを算出する疑似微分部531、及び、回転角加速度αrに基づく慣性指令値マップ532を含む。慣性制御部530は、「反力装置の回転角加速度αrに相当する物理量」に基づく慣性量演算により反力装置の慣性指令値Tinertを算出する。図5には、「反力装置の回転角加速度αrに相当する物理量」の代表として「αr」の記号のみを記す。
戻し制御部540は、反力装置の角度θr、角速度ωr、車速V、トルクセンサ94の検出値T_snsに基づく戻し量演算により、ステアリングホイール91を中立位置に戻す方向に作用する戻し指令値Tretを算出する。
加算器552、553、554では、ステアリングトルク指令値T*stの符号反転値(−T*st)に対し、粘性指令値Tvisc、慣性指令値Tinert及び戻し指令値Tretが順に加算される。加算器554による加算後の値が「ステアリングトルク指令値T*stに基づく目標値T**st」としてステアリングホイールトルク制御部620に入力される。
ステアリングホイールトルク制御部620の偏差算出部621は、目標値T**stとトルクセンサ94の検出値T_snsとのトルク偏差ΔTFBを算出する。なお、図6、図13等のトルク差分ΔTLTとの区別のため、「フィードバック制御でのトルク偏差」の意味で記号をΔTFBと記す。PID制御器622は、トルク偏差ΔTFBを0に近づけるようにPID制御する。こうしてステアリングホイールトルク制御部620は、トルクセンサ94の検出値T_snsが目標値T**stに追従するよう、サーボ制御により反力トルク指令値T*rを算出する。
本実施形態では主に切り込み及び切り戻し操舵中の動作に注目するため、切り込み限界に関するエンド制御部580については参考として二点鎖線で示す。エンド制御部580は、反力装置の角度θr及び角速度ωrに基づきエンド提示指令値Tendを算出する。エンド提示指令値Tendは、加算器64で反力トルク指令値T*rに加算される。
反力装置電流制御部680は偏差算出器681とPI制御器682とを含む。反力装置電流制御部680は、反力トルクTr又は電流Irのフィードバック制御により、反力トルク指令値T*rに基づき、反力用回転電機78に流す電流を制御する。
また、反力トルク指令値T*rの演算過程に反力装置電流制限部67が設けられる。反力装置電流制限部67は、反力装置70の過熱保護、電力制限、電源低下防止等のため、反力装置電流Irを電流制限値以下に制限する。反力装置電流制限部67による制限前の反力トルク指令値をT*r、反力装置電流指令値をI*rと記し、制限後の反力トルク指令値をT*r#、反力装置電流指令値をI*r#と記す。制限前の反力装置電流指令値の絶対値|I*r|が電流制限値を上回る場合、反力装置70の出力が制限される。
反力装置電流制限部67で電流制限が実施されると、ステアリングホイールトルク制御部620のPID制御器622にも通知され、制御が停止される。「制御が停止される」とは、例えばPID制御器22の最終段に設けられた積分演算器による積分演算が停止されることを意味する。
さらに、本実施形態のステアリング制御装置200の反力装置制御部270は、特有の構成として切り込み切り戻し判定部410を備える。切り込み切り戻し判定部410は、反力トルク指令値T*r(もしくは反力装置電流指令値I*r)、及びトルクセンサ94の検出値T_snsを取得する。反力トルク指令値T*rに代えて、「反力装置の出力トルクに相当する物理量」として反力装置の実トルクTrが取得されてもよい。また、上記に加え、切り込み切り戻し判定部410は、反力装置の角速度ωrを取得してもよい。以下では、「反力装置の出力トルクに相当する物理量」の代表として反力トルク指令値T*rを用いる例を説明する。
切り込み切り戻し判定部410は、反力トルク指令値T*rとトルクセンサ94の検出値T_snsとを比較し、「切り込み状態」と「切り戻し状態」とを判別する。「切り込み状態」は、ステアリングホイール91がドライバにより切り込まれている状態である。「切り戻し状態」は、ステアリングホイール91が反力用回転電機78により切り戻されている状態である。
切り込み切り戻し判定部410による判定結果は、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540に出力される。各制御部510、520、530、540は、対応する反力量演算、粘性量演算、慣性量演算及び戻し量演算の特性を、切り込み状態と切り戻し状態とで異なるものにする。「異なるものにする」には「二値を切り替える」制御に加え、「二値の中間の値を含めて連続的又は段階的に変化させる」制御が含まれる。
本実施形態では、切り込み状態と切り戻し状態とで、四つの制御部510、520、530、540の特性をいずれも異なるものにする例を説明する。ただし、他の実施形態では、切り込み状態と切り戻し状態とで、四つの制御部510、520、530、540のうちいずれか一つから三つの特性を異なるものにしてもよい。
(第1実施形態)
続いて各実施形態の説明に移る。第1〜第3実施形態のステアリング制御装置の符号を、それぞれ「201」〜「203」とする。まず図5〜図12を参照し、第1実施形態について説明する。図5のブロック図は、第1実施形態のステアリング制御装置201及び第2実施形態のステアリング制御装置202にほぼ共通する。詳細には、切り込み切り戻し判定部410から制御切り替え判定部42へ出力される信号に関し、第1実施形態では判定結果のみが出力されるのに対し、第2実施形態では、後述する状態量σが出力される点が異なる。
以下、図5に関する状態量σ以外の説明は第1実施形態及び第2実施形態に共通する。また、図5にはステアリングトルク指令値T*stに基づく目標値T**stの算出までを図示し、ステアリングホイールトルク制御部620から先の制御構成は図4に準ずるものとする。
図4に示されていない制御構成として、ステアリング制御装置201、202は制御切り替え判定部42を有する。制御切り替え判定部42は、図3の角度比制御部320が算出した角度比RA又は角度比相当量を取得する。図8を参照して後述するように、制御切り替え判定部42は、角度比RAに基づいて切り込み状態と切り戻し状態との制御切り替えフラグを操作し、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540に指令する。
反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540は、それぞれ、入力に対する出力の特性を規定したマップを用いて反力指令値Trf、粘性指令値Tvisc、慣性指令値Tinert及び戻し指令値Tretを算出する。
図5に示すように、反力制御部510は反力指令値マップ512及び車速ゲインマップ514を有する。粘性制御部520は粘性指令値マップ522を有し、慣性制御部530は慣性指令値マップ532を有する。各マップの具体例については図9、図10を参照して後述する。制御切り替え判定部42からの制御切り替えフラグに基づき、反力制御部510、粘性制御部520及び慣性制御部530は、切り込み状態と切り戻し状態とで指令値マップを異なるものにする。
戻し制御部540の詳細な制御構成については図11、図12を参照して後述する。戻し制御部540は、制御切り替え判定部42からの制御切り替えフラグに基づき、反力制御部510等と同様に、戻し指令値マップ自体を異なるものにしてもよい。或いはマップにより算出された中間段階の指令値を操作することで最終的な戻し指令値Trfを異なるものにしてもよい。
次に図6を参照し、本実施形態の着眼点について説明する。ステアバイワイヤシステム90の反力装置70において、モータ(反力用回転電機78)の出力が反力用減速機79を介して伝達される構成では、ギヤやモータでロストルクが発生する。また、本実施形態では、ステアバイワイヤシステム90の反力装置70の制御に関し、目標値T**stに対してトルクセンサ94の検出値T_snsが追従するようにフィードバック制御する制御構成を前提とする。トルクセンサ94の検出値T_snsには、ドライバの操舵トルクが反映される。この部分の説明では、「トルクセンサ94の検出値T_sns」を「トルクセンサ値T_sns」と省略する。
図6のトルクの図において、実線は反力装置のトルクTrを示し、長破線は反力装置のトルクの符号反転値「Tr×(−1)」を示す。また、一点鎖線はトルクセンサ値T_snsを示し、二点鎖線はトルクセンサ値の反転値「T_sns×(−1)」を示す。同一の符号領域における実線の値と二点鎖線の値との差分、又は、一点鎖線の値と長破線の値との差分はロストルクを表す。現実のロストルクは常に一定とは限らないが、図6、図7では、ロストルクにほぼ等しいと推定されるトルク量を定数Cとして記す。
図6の左側には、反力装置の角度θrが0から正の値まで増加する方向の切り込み時におけるトルクの関係を示す。この方向の切り込み時、反力装置のトルクTrは絶対値が相対的に小さい負の値となり、トルクセンサ値T_snsは絶対値が相対的に大きい正の値となる。そして、トルクセンサ値の絶対値|T_sns|は、反力装置のトルクの絶対値|Tr|にロストルクを加えた値以上となる。すなわち、式(1.1)が成り立つ。
|T_sns|≧|Tr|+C ・・・(1.1)
式(1.1)を変形すると、式(1.2)が得られる。式(1.2)の左辺(|Tr|−|T_sns|)を「トルク差分」と定義し、「ロストルクに起因するトルク差分」の意味で記号をΔTLTと記す。
|Tr|−|T_sns|(=ΔTLT)≦−C ・・・(1.2)
図6の右側には、反力装置の角度θrが負の値から0まで増加する方向の切り戻し時におけるトルクの関係を示す。この方向の切り戻し時、反力装置のトルクTrは絶対値が相対的に大きい正の値となり、トルクセンサ値T_snsは絶対値が相対的に小さい負の値となる。そして、反力装置のトルクの絶対値|Tr|は、トルクセンサ値の絶対値|T_sns|にロストルクを加えた値以上となる。すなわち、式(2.1)が成り立つ。
|Tr|≧|T_sns|+C ・・・(2.1)
式(2.1)を変形すると、式(2.2)が得られる
|Tr|−|T_sns|(=ΔTLT)≧C ・・・(2.2)
このように、切り込み時と切り戻し時とでは、ロストルクに相当する定数Cを基準としたトルク差分ΔTLTの値の範囲が異なる。したがって、反力装置のトルクTrとトルクセンサ値T_snsとの関係から、切り込み状態と切り戻し状態とを判別可能である。
なお、電動パワーステアリングシステムのアシスト制御では、ドライバの操舵トルク、モータトルク及び路面反力の3入力が用いられるのに対し、ステアバイワイヤシステムの反力装置は、ドライバの操舵トルク及びモータトルクの2入力で制御される。そのため、ドライバの操舵トルクに対応する「トルクセンサ値T_sns」と、モータトルクに対応する「反力装置のトルクTr」とを比較することで、切り込み状態と切り戻し状態とを判別可能である。
そして本実施形態では、切り込み状態と切り戻し状態とで反力量演算、粘性量演算、慣性量演算又は戻し量演算のうちいずれか一つ以上の特性を異なるものにすることで、操舵フィーリングを適切に調整することを図る。
次に図7のフローチャートを参照し、第1実施形態の切り込み切り戻し判定部410による切り込み切り戻し判定演算について説明する。フローチャートの説明で記号「S」はステップを示す。フローチャート中の反力トルク指令値T*rに代えて、反力装置の実トルクTrをLPFでフィルタ処理した値を用いてもよく、トルクの増減に応じたヒステリシスが設定されてもよい。LPFは、ステアリングホイールトルク制御、位置制御、電流制御よりも時定数の大きなフィルタが用いられる。
なお、実トルクTrのフィルタ値を用いる場合、変数が多くなり複雑化するため、フローチャートでは指令値T*rを用いて説明する。また、反力トルク指令値T*rに代えて、転舵装置のトルク指令値T*t又は転舵装置の実トルクTtを反力装置のトルク相当量に換算した値が用いられてもよい。
S11では、反力装置の角速度ωr(=dθr/dt)が正の角速度閾値ωthより大きいか判断される。S11でYESの場合、S12に移行する。この場合、ステアリングホイール91は図1のCW方向に回っている。
S12では、上述の式(2.1)に対応する式(3)が成立するか判断される。式中のトルク定数Cは、図6と同様にロストルクに相当する値である。
|T*r|≧|T_sns|+C ・・・(3)
S12でYESの場合、S14で「操舵状態=切り戻し」と判定される。図6(b)に示すように、トルクセンサ94が負のトルクT_snsを出力しており、反力装置70が正のトルクTrを出力している場合、反力装置のトルクTrがトルクセンサ値の符号反転値「T_sns×(−1)」とロストルクCとの合計以上である。したがって、ステアリングホイール91が回っていると考えられる。
S12でNOの場合、S13では、上述の式(1.1)に対応する式(4)が成立するか判断される。
|T_sns|≧|T*r|+C ・・・(4)
S13でYESの場合、S15で「操舵状態=切り込み」と判定される。図6(a)に示すように、トルクセンサ94が正のトルクT_snsを出力しており、反力装置70が負のトルクTrを出力している場合、トルクセンサ値T_snsが反力装置のトルクの符号反転値「Tr×(−1)」とロストルクCとの合計以上である。したがって、ステアリングホイール91が回っていると考えられる。S13でNOの場合、S16で「操舵状態=中間」と判定される。
S11でNOの場合、S21では、反力装置の角速度ωr(=dθr/dt)が負の角速度閾値(−ωth)より小さいか判断される。S21でYESの場合、S22に移行する。この場合、ステアリングホイール91は図1のCCW方向に回っている。S22では、S12と同じ式(3)が成立するか判断される。
|T*r|≧|T_sns|+C ・・・(3)
S22でYESの場合、S24で「操舵状態=切り戻し」と判定される。図6(b)を正負反転して解釈可能なように、トルクセンサ94が正のトルクT_snsを出力しており、反力装置70が負のトルクTrを出力している場合、反力装置のトルクの符号反転値「Tr×(−1)」がトルクセンサ値T_snsとロストルクとの合計以上である。したがって、ステアリングホイール91が回っていると考えられる。S22でNOの場合、S23では、S13と同じ式(4)が成立するか判断される。
|T_sns|≧|T*r|+C ・・・(4)
S23でYESの場合、S25で「操舵状態=切り込み」と判定される。図6(a)を正負反転して解釈可能なように、トルクセンサ94が負のトルクT_snsを出力しており、反力装置70が正のトルクTrを出力している場合、トルクセンサ値の符号反転値「T_sns×(−1)」が反力装置のトルクTrとロストルクとの合計以上である。したがって、ステアリングホイール91が回っていると考えられる。S23でNOの場合、S26で「操舵状態=中間」と判定される。
その他、S21でNOの場合、すなわち角速度が0付近の場合、S29で「操舵状態=保舵」と判定される。最下段に「リターン」と示す通り、この切り込み切り戻し判定演算は繰り返し実行される。ここで、S12〜S16のステップ群とS22〜S26のステップ群とは同じ判断及び判定が繰り返される。したがって、操舵状態を判別する目的のみであれば、S11、S21の角速度の判断ステップは無くてもよい。
次に図8のフローチャートを参照し、制御切り替え判定部42による制御切り替え判定演算について説明する。S31で制御切り替え判定部42は、取得した角度比RAが所定の角度比閾値RA_th以上であるか判断する。S31でYESの場合、S32で制御切り替えフラグがONされる。制御切り替えフラグは、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540に通知される。
第1実施形態では、制御切り替えフラグを受信した各制御部510、520、530、540は、切り込み状態と切り戻し状態とでマップを切り替え、対応する演算の特性を、切り込み状態と切り戻し状態とで異なるものにする。図9(a)、図10(a)、(b)を参照し、反力制御部510、粘性制御部520及び慣性制御部530におけるマップの切り替え例について説明する。
図9(a)に示すように、反力指令値マップ512は、転舵装置のトルクTtと反力指令値Trfとの関係を規定する。反力指令値Trfは転舵装置のトルクTtに対して正の相関を有しており、上下限がガードされる。切り込み状態では実線のマップが用いられ、切り戻し状態では破線のマップが用いられる。切り戻し状態の特性は、切り込み状態に対し反力指令値Trfの絶対値が大きくなるように設定されている。
ここで、図5の車速ゲインマップ514についても一緒に説明する。図9(b)に示すように、車速ゲインマップ524は車速Vと車速ゲインとの関係を規定する。車速ゲインは、低速域では相対的に高く、中速域では車速Vの増加に伴い低下し、高速域では0になる。車速ゲインマップ514の詳細な特性は、切り込み側と切り戻し側とで同じであってもよく、異なっていてもよい。
図10(a)に示すように、粘性指令値マップ522は、反力装置の回転角速度ωrと粘性指令値Tviscとの関係を規定する。切り込み状態では実線のマップが用いられ、切り戻し状態では破線のマップが用いられる。切り戻し状態の特性は、切り込み状態に対し粘性指令値Tviscの絶対値が小さくなるように設定されている。また切り込み状態では、ドライバに手応えを与えるために回転角速度ωrにかかわらず一定のトルクを与えるロストルク相当のトルクが与えられるようマップが設定される。
詳しくは、切り込み状態における回転角速度ωrに対する粘性指令値の特性は、第1の勾配、及び、第1の勾配よりも緩やかな第2の勾配の二段階の勾配を有する。第1の勾配は、回転角速度ωrが0から増加し始める領域で、ドライバに手応えを与えるため、回転角速度ωrにかかわらず、ロストルクに相当する所定の大きさの粘性指令値Tviscを規定する。第2の勾配は、回転角速度ωrに応じた粘性指令値Tviscを規定する。図10(a)には第1の勾配をある程度傾斜するように記載しているが、第1の勾配はほぼ垂直に設定されてもよい。
図10(b)に示すように、慣性指令値マップ532は、反力装置の回転角加速度αrと慣性指令値Tinertとの関係を規定する。慣性指令値Tinertにより、反力装置の慣性感が低減される。切り込み状態では実線のマップが用いられ、切り戻し状態では破線のマップが用いられる。切り戻し状態の特性は、切り込み状態に対し慣性指令値Tinertの絶対値が小さくなるように設定されている。
次に図11、図12を参照し、第1実施形態の戻し制御部540による二値切り替え式の戻し制御演算について説明する。戻し制御部540は、切り込み側演算部540F及び切り戻し側演算部540Rを含む。切り込み側演算部540F及び切り戻し側演算部540Rは、それぞれ、一次戻し指令値マップ541F、541R、車速ゲインマップ542F、542R、及び、乗算器543F、543Rを有する。
図12(a)に示すように、一次戻し指令値マップ541F、541Rは、反力装置の角度θrと一次戻し指令値Tret1との関係を規定する。一次戻し指令値Tret1は角度θrに対して正の相関を有しており、上下限がガードされる。一次戻し指令値マップ541F、541Rの詳細な特性は、切り込み側と切り戻し側とで同じであってもよく、異なっていてもよい。異なる場合は切り戻し側を切り込み側より大きくする。
図12(b)に示すように、車速ゲインマップ542F、542Rは車速Vと車速ゲインとの関係を規定する。車速ゲインは、低速域では相対的に高く、中速域では車速Vの増加に伴い低下し、高速域では0になる。車速ゲインマップ542F、542Rの詳細な特性は、切り込み側と切り戻し側とで同じであってもよく、異なっていてもよい。
乗算器543F、543Rは、一次戻し指令値マップ541F、541Rにより算出された一次戻し指令値Tret1(F)、Tret1(R)に車速ゲインを乗じて、二次戻し指令値Tret2(F)、Tret2(R)を算出し、切り替え器546に出力する。切り替え器546は、切り込み切り戻し判定部410及び制御切り替え判定部42の判定結果に基づき、切り込み側又は切り戻し側の二次戻し指令値Tret2(F)、Tret2(R)のうちいずれか一方を選択し、三次戻し指令値Tret3として出力する。
図12(c)に示すように、角速度ゲインマップ547は、反力装置の角速度ωrと、角速度ゲインとの関係を規定する。角速度ωrが0付近のとき角速度ゲインは0であり、角速度ωrが所定値以上になると、角速度ゲインは負方向に減少する。乗算器548は、三次戻し指令値Tret3に角速度ゲインを乗じ、最終的な戻し指令値Tretを出力する。
(第2実施形態)
次に図13、図14を参照し、第2実施形態の切り込み切り戻し判定演算について説明する。第1実施形態では切り込み状態及び切り戻し状態の二状態を切り替えるため、操舵状態の切り替え時に特性が不連続に変化する。それに対し第2実施形態では、切り込み状態から切り戻し状態までの操舵状態を連続的又は段階的に示す「状態量σ」を用いることで、中間状態又は保舵状態を経由して特性を切り替える。
例えば状態量σを0〜1の範囲で設定した場合、全範囲を演算装置の分解能レベルに区分するのが「連続的」を意味し、例えば0.1毎の10段階に区分するのが「段階的」を意味する。厳密に言えば、分解能レベルであっても有限の数である以上、「段階的」とも言えるが、実用上の「段階的」に含まれる最大段階数は、当該技術分野の技術常識に照らして解釈されればよい。
図13に示すように、第2実施形態の切り込み切り戻し判定部410は、トルク差分感応量マップ411、角速度感応量マップ412及び乗算器413を含む。トルク差分感応量マップ411は、トルク差分ΔTLT(=|T*r|−|T_sns|)を引数とし、0〜1の無次元数であるトルク差分感応量σΔTを算出する。トルク差分ΔTLTが負の臨界値(−C0)以下の範囲ではトルク差分感応量σΔTは0であり、トルク差分ΔTLTが正の臨界値C1以上の範囲ではトルク差分感応量σΔTは1である。トルク差分ΔTLTが負の臨界値(−C0)から正の臨界値C1までの範囲では、トルク差分感応量σΔTは0から1まで漸増する。トルク差分感応量σΔTの特性は、実線で示すように、ΔTLT=0の点を中心として漸増してもよい。或いは破線で示すように、切り戻し側にずれた点を中心として漸増することで、切り戻し状態になりにくくしてもよい。
角速度感応量マップ412は、反力装置の角速度ωrを引数とし、0〜1の無次元数である角速度感応量σωを算出する。角速度ωrが0のとき角速度感応量σωは0である。角速度ωrの絶対値が増加するに従って角速度感応量σωは増加し、1に収束する。
乗算器413は、トルク差分感応量σΔTと角速度感応量σωとを乗算し、状態量σを算出する。状態量σは、σ=0のとき切り込み状態であり、σ=1のとき切り戻し状態であることを示す。また、0<σ<1のとき中間状態又は保舵状態であることを示す。図7のフローチャートのように中間状態と保舵状態とは区別されない。
図5に示すように、状態量σは、切り込み切り戻し判定部410から制御切り替え判定部42を介して反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540に出力される。各制御部510、520、530、540は、対応するマップを、状態量σに応じて切り込み状態から切り戻し状態まで、或いは、切り戻し状態から切り込み状態まで中間状態又は保舵状態を経由して遷移させる。
状態量σに基づく切り込み状態から切り戻し状態への遷移は、例えば配分比演算により実現される。図14を参照し、第2実施形態の戻し制御部540による配分比演算式の戻し制御演算について説明する。第2実施形態の戻し制御部540は、図11に示す第1実施形態の構成に対し、切り替え器547に代えて、状態量反転器544S、配分比乗算器544F、544R、及び、配分値加算器545を有する。それ以外の構成は図11と同様であるため説明を省略する。
状態量反転器544Sは、「1」から状態量σを減じた状態量反転値(1−σ)を算出する。状態量反転値(1−σ)は、(1−σ)=0のとき切り戻し状態であり、(1−σ)=1のとき切り込み状態であることを示す。切り込み側の配分比乗算器544Fは、二次戻し指令値Tret2(F)に状態量反転値(1−σ)を乗じる。切り戻し側の配分比乗算器544Rは、二次戻し指令値Tret2(R)に状態量σを乗じる。
配分値加算器545は、切り込み側の配分比乗算器544Fの出力と、切り戻し側の配分比乗算器544Rの出力とを加算し、三次戻し指令値Tret3を算出する。状態量σがσ=0又はσ=1の場合、図14の構成は、図11の構成と実質的に同一である。しかし、0<σ<1の場合、中間状態又は保舵状態の配分比に応じて、三次戻し指令値Tret3が連続的又は段階的に変化する。したがって、操舵状態の切り替え時に戻し量演算の特性が不連続に変化することが回避される。
(第3実施形態)
次に図15〜図18を参照し、第3実施形態のステアリング制御装置203について説明する。図15に示すように、第3実施形態のステアリング制御装置203は、図5に示す第1、第2実施形態のステアリング制御装置201に対し、制御切り替え判定部42に代えて、第1補正演算部431〜第4補正演算部434を有する。また、図13に示す、切り込み切り戻し判定部410が状態量σを算出する構成が共通に用いられる。
第1補正演算部431〜第4補正演算部434は、角度比RA、及び、切り込み切り戻し判定部410が算出した状態量σに基づき、それぞれ、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540に対応する第1補正係数k1〜第4補正係数k4を算出する。また、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540は、それぞれ補正係数乗算器513、523、533、549を有する。
反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530の補正係数乗算器513、523、533は、各マップ512、522、532が算出した補正前の反力指令値Trf、粘性指令値Tvisc及び慣性指令値Tinertに、それぞれ第1補正係数k1〜第3補正係数k3を乗算する。戻し制御部540については,補正係数乗算器549を除く部分をあらためて「戻し指令値演算部5410」と記す。図11又は図14の戻し制御部540が、そのまま戻し指令値演算部5410に該当する。補正係数乗算器549は、戻し指令値演算部5410が算出した補正前の戻し指令値Tretに第4補正係数k4を乗算する。
図16(a)に、反力制御部510に対応する第1補正演算のマップを示す。二点鎖線は、図3に示す角度比制御部320の舵角感応マップ321であり、補正前、すなわち制御切り替え前の角度比特性を示す。実線は補正後、すなわち制御切り替え後の角度比特性を示す。補正前後のマップにおいて、角度RAが最小値の1から最大値まで増加する所定の角度領域(±Z)は共通する。
ここで、第1補正係数k1は、所定の角度領域(±Z)における補正前後の角度比RAの変化率の比により決定される。例えば補正前の特性が切り込み状態に対応し、補正後の特性が切り戻し状態に対応する場合、補正後の角度比変化率は、補正前の角度比変化率より大きく設定される。したがって、第1補正係数k1は1より大きい値となる。なお、粘性制御部520に対応する第2補正演算及び戻し制御部540に対応する第4補正演算にも同様のマップが用いられる。第1補正演算と第2補正演算と第4補正演算とでは、補正前後の角度比変化率の比が異なってもよい。
図16(b)に、慣性制御部530に対応する第3補正演算のマップを示す。上記と同様に、二点鎖線は、図3に示す角度比制御部320の角度比マップであり、補正前、すなわち、切り込み切り戻し制御切り替えの特性を示す。実線は補正後の特性を示す。補正前後のマップにおいて、角度比が1から最大値まで増加する所定の角度領域(±Z)は共通する。
ここで、第3補正係数k3は、所定の角度領域(±Z)における補正前後の角度比RAの変化率の比により決定される。例えば補正前の特性が切り込み状態に対応し、補正後の特性が切り戻し状態に対応する場合、補正後の角度比変化率は、補正前の角度比変化率より小さく設定される。したがって、第3補正係数k3は1より小さい値となる。
図17の反力指令値マップ、図18(a)の粘性指令値マップ、図18(b)の慣性指令値マップは、それぞれ図9(a)、図10(a)、図10(b)のマップに対応し、縦軸は、補正前の反力指令値Trf、粘性指令値Tvisc、慣性指令値Tinertを示す。例えば補正前の特性が切り込み状態に対応する場合、図17、図18(b)のマップは、それぞれ図9(a)、図10(b)のマップの実線に相当する。なお、粘性指令値Tviscについては、図10(a)のマップの実線が二段階の勾配を有するのものであるのに対し、図18(a)のマップは二段階の勾配を有していないが、図10(a)のように二段階の勾配を有するものにしてもよい。
[本実施形態の作用効果]
(1)本実施形態では、ステアバイワイヤシステム90の反力装置70において、ドライバの操舵トルク及びモータトルクの2入力であること、及び、ギヤやモータのロストルクがあることを利用し、反力トルク指令値T*rとトルクセンサの検出値T_snsとに基づいて、切り込み状態及び切り戻し状態を判別することができる。これにより、トルクだけで判定するため、速度を使う場合に対して実際に角度変化が生じる前に切込みと切り戻しの判別が可能である。
また、回転電機の力行/回生により切り込み状態及び切り戻し状態を判別する場合に比べ、電気的な損失の影響を回避することができる。そして、反力量演算、粘性量演算、慣性量演算及び戻し量演算の特性を、切り込み状態と切り戻し状態とで異なるものにすることで、操舵フィーリングを適切に調整することができる。具体的には、切り込むときは、手応えを作るロストルクや粘性などのパラメータを大きくし、切り戻すときは路面からの反力やSATを強調するための戻し制御の量を大きくする。
(2)反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540は、それぞれ、入力に対する出力の特性を規定したマップを用いて反力指令値Trf、粘性指令値Tvisc、慣性指令値Tinert及び戻し指令値Tretを算出する。各制御部510、520、530、540は、例えば数式により指令値を算出してもよいが、マップを用いることで演算処理の負荷を低減することができる。
(3)第2、第3実施形態では、切り込み切り戻し判定部410は、反力トルク指令値T*r及びトルクセンサ94の検出値T_snsに基づき、「切り込み状態から切り戻し状態までの操舵状態を連続的又は段階的に示す状態量σ」を算出する。そして、第2実施形態では、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540は、対応するマップを状態量σに応じて遷移させる。これにより、操舵状態の切り替え時に特性が連続的又は段階的に変化するため、滑らかな操舵フィーリングが得られる。
(4)切り込み状態における回転角速度ωrに対する粘性指令値の特性は、第1の勾配、及び、第1の勾配よりも緩やかな第2の勾配の二段階の勾配を有する。第1の勾配は、回転角速度ωrが0から増加し始める領域で、ドライバに手応えを与えるため、回転角速度ωrにかかわらずロストルクに相当する所定の大きさの粘性指令値Tviscを規定する。これにより、切り込み時に粘性感を増やすような操舵フィーリングを作り出すことができる。
(5)第3実施形態では、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540は、状態量σに応じて算出される補正係数k1〜k4を乗じて対応する特性を変化させる。これにより、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、マップを固定した上で補正係数k1〜k4を用いることで、マップの切り替えによる処理負荷を低減することができる。
(6)角度比制御部320は、反力装置の角度θrについての所定の角度領域±Zにおいて、「反力装置の角度θrに対する転舵装置θtの角度の角度比RA」を反力装置の角度θrに応じて変化させる。そして、第3実施形態の補正係数k1〜k4は、所定の角度領域±Zにおける補正前後の「角度比RAの変化率の比」により決定される。これにより、角度比RAに基づき補正係数k1〜k4を合理的に決定することができる。
(7)図2に示すように、本実施形態では反力装置70及び転舵装置80が二系統で冗長的に構成されているため、仮に一系統が故障した場合でも、他の正常な一系統で駆動を継続することができる。したがって、信頼性が向上する。
(その他の実施形態)
(a)ステアリング制御装置200は、図1に示すような機電一体式の構成に限らず、制御部270、280及び電力変換器77、87が回転電機78、88と分離して配置されてもよい。その場合、二つの制御部270、280が物理的に分離せず、一体のステアリング制御装置200として構成されてもよい。或いは、反力装置70又は転舵装置80の一方が、統括的な制御部を含む機電一体式で構成され、他方の装置に対して信号を送受信する構成としてもよい。
(b)ステアリング制御装置200の反力装置制御部270に慣性制御部530が設けられなくてもよい。その場合、図4、図5、図15における加算器553は不要であり、ステアリングホイールトルク制御部620の目標値T**r_stは、ステアリングトルク指令値T*stに粘性指令値Tvisc及び戻し指令値Tretを加算した値となる。また、図15の第3補正演算部433も不要となる。
(c)本実施形態において各量の算出に用いられる「Xに相当する物理量」には、代表的に示される物理量Xの他、係数の乗除や微積分演算により一意的にXに変換可能な各種物理量が含まれる。例えば「反力装置の回転角速度ωr([deg/s]」に相当する物理量には、反力用回転電機78の回転数[rpm]や、反力用回転電機78の出力軸に減速機79等を介して接続される各部の回転数等が含まれる。
本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
200(201〜203)・・・ステアリング制御装置、
410・・・切り込み切り戻し判定部、
510・・・反力制御部、 520・・・粘性制御部、 540・・・戻し制御部、
620・・・ステアリングホイールトルク制御部、
680・・・反力装置電流制御部、
70・・・反力装置、77・・・反力用電力変換器、78・・・反力用回転電機、
79・・・反力用減速機、
80・・・転舵装置、87・・・転舵用電力変換器、88・・・転舵用回転電機、
89・・・転舵用減速機、
90・・・ステアバイワイヤシステム、
91・・・ステアリングホイール、 94・・・トルクセンサ、 99・・・車輪。

Claims (7)

  1. 反力用回転電機(78)、前記反力用回転電機を駆動する反力用電力変換器(77)、及び、前記反力用回転電機の出力を減速する反力用減速機(79)を含み、ステアリングホイール(91)と接続される反力装置(70)と、
    転舵用回転電機(88)、前記転舵用回転電機を駆動する転舵用電力変換器(87)、及び、前記転舵用回転電機の出力を減速する転舵用減速機(89)を含み、車輪(99)を転舵する転舵装置(80)と、
    ドライバの操舵入力を検出するトルクセンサ(94)と、
    を備えるステアバイワイヤシステム(90)において、前記反力装置及び前記転舵装置を制御するステアリング制御装置であって、
    前記反力用回転電機のトルク指令値(T*rm)に前記反力用減速機の減速比(ρ)を乗算して得られる前記反力装置の出力トルク指令値を反力トルク指令値(T*r)とすると、
    前記転舵装置の出力トルクに相当する物理量(Tt、T*t、It、I*t)に基づく反力量演算により前記反力装置の反力指令値(Trf)を算出し、さらに前記反力指令値に基づいてステアリングトルク指令値(T*st)を算出する反力制御部(510)と、
    前記反力装置の回転角速度(ωr)に相当する物理量に基づく粘性量演算により前記反力装置の粘性指令値(Tvisc)を算出する粘性制御部(520)と、
    前記反力装置の角度(θr)に相当する物理量、及び、車速(V)に相当する物理量に基づく戻し量演算により前記反力装置の戻し指令値(Tret)を算出する戻し制御部(540)と、
    前記トルクセンサの検出値(T_sns)が、前記ステアリングトルク指令値に少なくとも前記粘性指令値及び前記戻し指令値を加算した目標値(T**st)に追従するよう前記反力トルク指令値を算出するステアリングホイールトルク制御部(620)と、
    前記反力トルク指令値に基づき前記反力用回転電機に流す電流を制御する反力装置電流制御部(680)と、
    前記反力装置の出力トルクに相当する物理量(Tr、T*r)と前記トルクセンサの検出値とを比較し、前記ステアリングホイールがドライバにより切り込まれている切り込み状態と、前記ステアリングホイールが前記反力用回転電機により切り戻されている切り戻し状態とを判別する切り込み切り戻し判定部(410)と、
    を有し、
    前記反力制御部、前記粘性制御部又は前記戻し制御部のうち一つ以上は、対応する前記反力量演算、前記粘性量演算又は前記戻し量演算のうちいずれかの特性を、前記切り込み状態と前記切り戻し状態とで異なるものにするステアリング制御装置。
  2. 前記反力制御部、前記粘性制御部及び前記戻し制御部は、それぞれ、入力に対する出力の特性を規定したマップを用いて前記反力指令値、前記粘性指令値及び前記戻し指令値を算出する請求項1に記載のステアリング制御装置。
  3. 前記切り込み切り戻し判定部は、前記反力装置の出力トルクに相当する物理量及び前記トルクセンサの検出値に基づき、前記切り込み状態から前記切り戻し状態までの操舵状態を連続的又は段階的に示す状態量を算出し、
    前記反力制御部、前記粘性制御部又は前記戻し制御部のうち一つ以上は、対応するマップを前記状態量に応じて遷移させる請求項2に記載のステアリング制御装置。
  4. 前記反力装置の回転角速度に相当する物理量に対する前記粘性指令値の特性は、
    前記反力装置の回転角速度に相当する物理量が0から増加し始める領域で、ドライバに手応えを与えるため、前記反力装置の回転角速度に相当する物理量にかかわらず所定の大きさの前記粘性指令値を規定する第1の勾配と、
    前記反力装置の回転角速度に相当する物理量に応じた前記粘性指令値を規定するための前記第1の勾配よりも緩やかな第2の勾配と、
    を有する請求項2または3に記載のステアリング制御装置。
  5. 前記切り込み切り戻し判定部は、前記反力装置の出力トルクに相当する物理量及び前記トルクセンサの検出値に基づき、前記切り込み状態から前記切り戻し状態までの操舵状態を連続的又は段階的に示す状態量を算出し、
    前記反力制御部、前記粘性制御部又は前記戻し制御部のうち一つ以上は、前記状態量に応じて算出される補正係数を乗じて前記反力量演算、前記粘性量演算又は前記戻し量演算のうち対応する特性を変化させる請求項1に記載のステアリング制御装置。
  6. 前記反力装置の角度(θr)についての所定の角度領域において、前記反力装置の角度に対する前記転舵装置の角度の角度比(RA)を前記反力装置の角度に応じて変化させる角度比制御部(320)をさらに有し、
    前記補正係数は、前記所定の角度領域における補正前後の前記角度比の変化率の比により決定される請求項5に記載のステアリング制御装置。
  7. 前記反力装置又は前記転舵装置の少なくとも一方は、
    二系統の巻線(781、782、881、882)を有し、二系統のトルクを合算したトルクを出力する、前記反力用回転電機又は前記転舵用回転電機としての回転電機と、
    二系統の巻線にそれぞれ通電する、前記反力用電力変換器又は前記転舵用電力変換器としての二系統の電力変換器(771、772、871、872)と、
    を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。
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