JP2021017009A - 透明防錆バリア積層体及びその製造方法、並びに防錆包装材 - Google Patents

透明防錆バリア積層体及びその製造方法、並びに防錆包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】取扱いが容易で、防錆性能を長期に亘って有する透明防錆バリア積層体を提供する。【解決手段】透明防錆バリア積層体10bは、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層1と、有機酸を含む防錆シーラントフィルム2と、を少なくとも備える。また、バリア層は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルム1aと、透明樹脂フィルムの一方の面に蒸着された無機酸化物からなる無機酸化物膜1bと、を備え、透明防錆バリア積層体は、無機酸化物膜と防錆シーラントフィルムの間に設けられた接着層3を更に備えた透明防錆バリア積層体。【選択図】図2

Description

本開示は、透明防錆バリア積層体及びその製造方法、並びに透明防錆バリア積層体を用いて製造された防錆包装材に関する。
鉄や鉄合金で製造された部品又は製品(以下、単に「部品」という。)は酸化により錆が発生しやすく、また、銅やアルミニウムなどの非鉄金属の部品においても酸化により腐食が発生する可能性がある。そのような錆や腐食(以下、錆と腐食の両方を指す用語として「錆」の用語を用いる。)により、部品の正常な使用が不可能となる場合がある。そのため、錆を防止する防錆の必要性があり、その手段の1つとして、気化性の防錆剤を含有する防錆フィルムが利用されている。たとえば、そのような防錆フィルムを部品に被せたり、防錆フィルムを袋状に加工して袋の内部に部品を入れたりして用いられる。気化性の防錆剤が徐々に気化して部品に吸着し、部品の表面に均一な薄い保護膜が形成される。この保護膜の存在により部品が酸素や水蒸気と反応することが阻止されるので、部品への発錆が防止される。
特許文献1には、ポリオレフィン樹脂のシート、接着剤層、エチレン―ビニルアルコール共重合体の層、接着剤層、及び防錆剤を含有するポリオレフィン樹脂の層が、この順に積層された防錆包装材が開示されている。この防錆剤として、アミン系の防錆剤を使用できることも開示されている。
アミン系防錆剤はニトロソアミン等の発ガン性物質を発生させる可能性があるため、アミン系防錆剤を含有する防錆包装材は適切に取り扱う必要がある。具体的には、防錆包装材の製造者には防錆剤の含有量が適切となるように含有量をコントロールすることが求められ、防錆包装材の使用者には防錆剤がブリードアウトする可能性を考慮して防錆剤が体に付着しないように手袋を使用する等の防護策を取ることが求められる。このように、アミン系防錆剤を使用する従来の防錆フィルム又はこれを用いた防錆包装材は、作業者に防護対策を求めるものであったので、作業者への負担を軽減するような製品の開発が望まれていた。
このような背景の下、特許文献2にはアミン系の防錆剤等と混ぜて非アミン系の防錆剤として飽和脂肪酸の一種であるカプロン酸を用いた防錆フィルムが教示されている。カプロン酸はココナッツオイルから抽出される成分であり人体に無害であるので、この防錆フィルムは取扱いが容易である。しかしながら、この防錆フィルムの防錆効果は4か月程度しか持続しないので、部品の長期保管に適さないという問題点があった。
また、防錆フィルムを通して部品を視認できると便利であるので、防錆フィルムの特性として透明であることを求めるニーズがある。
実願昭61−97317号(実開昭63−3432号)のマイクロフィルム 欧州特許出願公開第1916276号明細書
本開示の実施形態の一側面は、上述した従来技術の問題点を克服し、かつ上述のニーズを満たすためになされたものであり、取扱いが容易で、防錆性能を長期に亘って有する透明防錆バリア積層体を提供することを目的とする。
本開示の実施形態に係る透明防錆バリア積層体の一側面によれば、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層と、有機酸を含む防錆シーラントフィルムと、を少なくとも備える。
本開示の実施形態に係る透明防錆バリア積層体の一側面によれば、透明防錆バリア積層体は上記のように、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層と、有機酸を含む防錆シーラントフィルムと、を少なくとも備える構成とされているので、酸素又は水蒸気が透明防錆バリア積層体の一方の面から他方の面に通過するのを防止することができる。そのため、防錆剤として用いられる有機酸が、前記一方の面が晒される環境下の酸素や水蒸気と反応することを抑制でき、防錆シーラントフィルムに含有されている有機酸の濃度が減少するのを抑えることができる。
また、バリア層のガスバリア性により、気化した有機酸がバリア層を通過することが防止されるので、前記他方の面側において有機酸を有効に利用することができる。したがって、本開示の透明防錆バリア積層体によれば、防錆性能を長期に亘って有するという効果が奏される。
また、本開示の実施形態に係る透明防錆バリア積層体の一側面によれば、防錆剤として有機酸が用いられているので、取扱いが容易であるという効果が奏される。
本開示の透明防錆バリア積層体10aの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10bの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10cの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10dの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10eの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10fの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10gの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10hの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10iの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10jの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10kの概略断面図である。 本開示の透明防錆バリア積層体10lの概略断面図である。 本開示の防錆包装材の一実施形態による防錆袋20の斜視図である。
以下、本発明をより詳細に説明するため、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。本開示において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。また、本開示において、密度は、JIS K7112に準拠して測定される値である。さらに、MFRは、JIS K7210−1に準拠して測定される値である。
さらに、本開示において、「フィルム」及び「積層体」という用語は複数の層が積層された物を意味する点で同義であり、この意味で用いられる場合には両用語は代替可能である。但し、「フィルム」が単層からなる場合をも含むのに対し「積層体」が単層からなる場合を含まない点で、両用語は相違する。
さらに、本開示において、「透明」との用語は、可視光領域内の任意の波長の光について、ヘーズがJIS K7136に準じ0.1%から50%範囲にある場合をいう。ヘーズの値の取りうる範囲はより狭く0.3%から45%の範囲にある場合であってもよく、さらに狭く0.5%から40%の範囲にある場合であってもよい。なお、ここでいう可視光領域は、JIS B7079に準拠して光の波長が380nmから780nmの範囲をいう。
以下の実施形態の説明においては、まず、透明防錆バリア積層体の種々の層構成について説明する。次に、透明防錆バリア積層体のそれぞれの構成要素について説明する。その次に、透明防錆バリア積層体の製造方法について説明する。その次に、透明防錆バリア積層体を用いた包装材について説明する。
1.透明防錆バリア積層体の層構成
<基本的層構成>
図1から図12は、本開示の透明防錆バリア積層体10(10a〜10l)の層構成を示す概略的断面図である。図1は、透明防錆バリア積層体10aの層構成を示す概略的断面図である。図1に示されるように、透明防錆バリア積層体10aはガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層1と有機酸を含む防錆シーラントフィルム2とを備え、バリア層1は透明の樹脂からなる透明樹脂フィルム1aと無機酸化物からなる無機酸化物膜1bとを備える。図1に示されるように、透明防錆バリア積層体10aは、透明樹脂フィルム1a、無機酸化物膜1b、及び防錆シーラントフィルム2がこの順に積層された構造を有する。透明樹脂フィルム1aに無機酸化物を蒸着することにより、無機酸化物膜1bを透明樹脂フィルム1a上に形成することができる。また、防錆シーラントフィルム2としてヒートシール性の樹脂を用いることで、バリア層1と防錆シーラントフィルム2をヒートシールにより積層することができる。
<接着層を備えた層構成>
図2は、透明防錆バリア積層体10bの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10bは、図1の透明防錆バリア積層体10aと同様に、バリア層1と防錆シーラントフィルム2を備える。透明防錆バリア積層体10bは、さらにバリア層1(無機酸化物膜1b)と防錆シーラントフィルム2の間に設けられた接着剤又は接着性樹脂からなる接着層3を備え、バリア層1(無機酸化物膜1b)と防錆シーラントフィルム2が接着層3を介して接着された構造を有する。これにより、バリア層1と防錆シーラントフィルム2とをより強固に接着することができる。
<ガスバリア膜を備えた層構成>
図3は、透明防錆バリア積層体10cの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10cは、図1の透明防錆バリア積層体10aと同様に、バリア層1と防錆シーラントフィルム2を備える。透明防錆バリア積層体10cは、さらにバリア層1(無機酸化物膜1b)と防錆シーラントフィルム2の間にガスバリア膜4を備える。
図4は、透明防錆バリア積層体10dの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10dは、図2の透明防錆バリア積層体10bと同様に、バリア層1と、接着層3と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10dは、さらにバリア層1(無機酸化物膜1b)と接着層3の間にガスバリア膜4を備える。
透明防錆バリア積層体10c又は透明防錆バリア積層体10dのようにガスバリア膜4を設けることにより、ガスバリア性及び耐候性を高めることができる。
<共押多層フィルムを備えた層構成>
図5は、透明防錆バリア積層体10eの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10eは、図1の透明防錆バリア積層体10aと同様に、バリア層1と防錆シーラントフィルム2を備える。透明防錆バリア積層体10eは、透明防錆バリア積層体10aと異なり、防錆シーラントフィルム2が2層2a、2bの共押多層フィルムとして形成されている。
図6は、透明防錆バリア積層体10fの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10fは、図2の透明防錆バリア積層体10bと同様に、バリア層1と、接着層3と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10fは、透明防錆バリア積層体10bと異なり、防錆シーラントフィルム2が2層2a、2bの共押多層フィルムとして形成されている。
図7は、透明防錆バリア積層体10gの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10gは、図3の透明防錆バリア積層体10cと同様に、バリア層1と、ガスバリア膜4と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10gは、透明防錆バリア積層体10cと異なり、防錆シーラントフィルム2が2層2a、2bの共押多層フィルムとして形成されている。
図8は、透明防錆バリア積層体10hの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10hは、図4の透明防錆バリア積層体10dと同様に、バリア層1と、ガスバリア膜4と、接着層3と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10hは、透明防錆バリア積層体10dと異なり、防錆シーラントフィルム2が2層2a、2bの共押多層フィルムとして形成されている。
透明防錆バリア積層体10e〜10hのように、防錆シーラントフィルム2を共押多層フィルムとして形成することにより、例えば、2層のうちの一方にのみ防錆剤を添加して防錆層2bとし、他方については防錆剤を添加しない非防錆層2aとすることができる。これにより、非防錆層2aでのラミネート強度を向上し、かつ高価な防錆剤の使用量を減らすことが出来る。
また図示しないが、防錆シーラントフィルム2を、3層またはそれ以上の共押多層フィルムとすることもできる。例えば、層中の少なくとも1層、例えば中間層を、ポリプロピレンからなる層として、その他の層を所望のシール強度を発揮するオレフィン系樹脂からなる層とすることにより、所望のシール強度及びラミネート強度を維持したまま、酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性を向上させ、さらに、本開示の積層体に耐油性を付与することもできる。
<保護膜を備えた層構成>
図9は、透明防錆バリア積層体10iの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10iは、図2の透明防錆バリア積層体10bと同様に、バリア層1と、接着層3と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10iは、さらにバリア層1(無機酸化物膜1b)と接着層3の間に、プライマーコート樹脂からなる保護膜5を備える。
図10は、透明防錆バリア積層体10jの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10jは、図4の透明防錆バリア積層体10dと同様に、バリア層1と、ガスバリア膜4と、接着層3と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10jは、さらにガスバリア膜4と接着層3の間に、プライマーコート樹脂からなる保護膜5を備える。
図11は、透明防錆バリア積層体10kの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10kは、図6の透明防錆バリア積層体10fと同様に、バリア層1と、接着層3と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10kは、さらにバリア層1(無機酸化物膜1b)と接着層3の間に、プライマーコート樹脂からなる保護膜5を備える。
図12は、透明防錆バリア積層体10lの層構成を示す概略的断面図である。透明防錆バリア積層体10lは、図8の透明防錆バリア積層体10hと同様に、バリア層1と、ガスバリア膜4と、接着層3と、防錆シーラントフィルム2とを備える。透明防錆バリア積層体10lは、さらにガスバリア膜4と接着層3の間に、プライマーコート樹脂からなる保護膜5を備える。
透明防錆バリア積層体10に文字、絵柄などの印刷を施す場合には、透明樹脂フィルム1aの任意の面に行うことができるが、例えば、バリア層1の接着層3と対向する面上又はガスバリア膜4上に、裏刷り方式で予め印刷することにより、表面摩擦などで損なわれることのない印刷画像を形成することができる。この場合、裏刷り印刷を行う前に、バリア層1又はガスバリア膜4の印刷を施す面上に、透明防錆バリア積層体10i〜10lのように、プライマーコート樹脂からなる保護膜5を設けてもよい。
透明防錆バリア積層体10は、その用途、所望のシール強度、耐破れ強度、ガスバリア性等に応じて任意の厚さであってよい。
2.透明防錆バリア積層体の構成要素
<透明樹脂フィルム>
本開示の透明防錆バリア積層体10において、透明樹脂フィルム1aとしては、包装用途に応じて、所望の強度、耐熱性、透明性等を保持する任意の樹脂フィルムを使用することができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂のフィルムを使用することができる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、印刷適性や蒸着適性、並びに蒸着の帯電防止性等の理由から、本開示において好適に使用される。
上記の樹脂のフィルムとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものであってもよい。そのフィルムの厚さとしては、包装用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、防錆効果を持たすために50〜120μm、あるいは70〜120μmである。50μm以下であると防錆性能が足りず、200μm以上であるとコスト高かつ防錆性能がオーバースペックとなるからである。また、透明樹脂フィルムの、無機酸化物蒸着膜を設ける面と反対側の表面には、所望に応じてさらなる層、例えば、任意の印刷絵柄層やこれを保護する表面保護層を設けてもよい。
<無機酸化物膜>
上記透明樹脂フィルムの一方の面上に、無機酸化物膜1bを設けることにより、本開示の積層体を構成するバリア層1が得られる。無機酸化物膜1bを形成する材料としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有する物であればよく、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率の点などから、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムが好ましい。
防錆剤として用いる有機酸が気化して防錆対象物である部品から遠くへ散逸することを防止するためには、無機酸化物膜1bの材料として、用いる有機酸の材料に応じて気化した防錆剤のバリア効果が高いものを選択することが好ましい。このように有機酸の材料に応じて無機酸化物膜1bの材料を選択することにより、防錆剤の防錆効果を長期に亘って発揮することができる。一例として、有機酸として飽和脂肪酸、またその一種であるカプロン酸を用いる場合には、これに対するバリア性が高い酸化アルミニウムを無機酸化物膜1bの材料として選択してもよい。
また、無機酸化物膜1bは、1回の蒸着工程により形成される単層からなっていてもよく、又は蒸着工程を複数回繰り返すことにより形成される多層構造であってもよい。多層構造である場合には、各層は、同一の材料からなっていても、又は異なる材料からなっていてもよく、また同一の形成方法により形成されても、又は異なる形成方法により形成されてもよい。無機酸化物膜1bの膜厚としては、膜全体の厚さとして5〜100nmの範囲で設定することができ、より限定的に、10〜90nmの範囲、10〜80nmの範囲、10〜70nmの範囲、10〜60nmの範囲、10〜50nmの範囲、20〜90nmの範囲、20〜80nmの範囲、20〜70nmの範囲、20〜60nmの範囲、20〜50nmの範囲で適宜設定することができる。
膜厚が100nmを超えると、フレキシビリティが低下し、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、蒸着膜に亀裂を生じる恐れがあり、透明性が低下し、また、材料自身の応力が大きくなり、着色したりして好ましくない。また、上記の厚さが100nmを超えると、生産性を著しく低下させ、さらに異常粒の成長から突起が形成される傾向があるので好ましくない。一方、膜厚が5nm未満では、透明性は良いが、均一な層が得られにくく、またガスバリア性の機能を十分に果たすことが難しい。
蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法等を挙げることができる。本開示においては、真空蒸着法における蒸着方式が望ましく、抵抗加熱方式、誘導加熱方式、電子ビーム加熱方式等を必要に応じて適宜選択して採用することができる。
特に、本開示の積層体を、例えば金属部品を包装する防錆用包装体として用いる場合は、抵抗加熱方式の真空蒸着法により、無機酸化物蒸着膜を設けることが好ましい。上記抵抗加熱方式の真空蒸着法は、蒸着材料を、電気抵抗体を用いてジュール熱で加熱するものであり、その他の加熱方式と比して、全体的に加熱するために均一な蒸着膜が形成可能であり、また、ライン速度を速く設定することができる。
そして、抵抗加熱方式は、フィルムへの帯電を抑えるため、本開示の積層体に特に適している。さらに、抵抗加熱方式の真空蒸着法により、酸化アルミニウムの蒸着膜を設けることが、帯電防止性、ガスバリア性、透明性及びコスト等の観点から本開示においては、特に好ましい。
<ガスバリア膜>
本開示においては、上記無機酸化物膜1b上に、さらに以下で説明するようなガスバリア膜4を設けることによって、一層優れたガスバリア性が得られるだけでなく、接着層との密接着性が高まり、より高いガスバリア性が得られる。本開示において、ガスバリア膜4とは、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布してなる膜である。
該ガスバリア性組成物において用いるアルコキシドとしては、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種またはそれ以上のアルコキシドを挙げることができる。また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
本開示において、一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、金属原子Mとして、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。また、本開示において、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して用いることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。尚、本開示において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
本開示において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することができ、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494等が挙げられる。
また、本開示において、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールの含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5〜500質量部の範囲であることが好ましい。上記において、500質量部を超えると、形成されるガスバリア膜4の脆性が大きくなることから好ましくない。
本開示において、ポリビニルアルコールとして、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製PVA110(ケン化度=98〜99%、重合度=1100)、PVA117(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)、PVA124(ケン化度=98〜99%、重合度=2400)、PVA135H(ケン化度=99.7%以上、重合度=3500)、同社製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)及びゴーセノールNH−18(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)等を使用することができる。
また、本開示において、エチレン・ビニルアルコールとしては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。このようなケン化物には、酢酸基が数十モル%残存する部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか又は酢酸基が全く残存していない完全ケン化物までが包含される。特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、ケン化度が80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが望ましい。
また、上記のエチレン・ビニルアルコール中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。上記のエチレン・ビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
本開示において、ガスバリア膜4を形成するガスバリア性組成物を調製するには、慣用のシランカップリング剤等を添加することができる。本開示において用いられるガスバリア性組成物は、アルコキシドと水溶性高分子とを、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって加水分解及び、重縮合することにより調製することができる。
ガスバリア膜4は、ガスバリア性組成物を無機酸化物蒸着膜の上に塗布し、20℃〜200℃、好ましくは100℃以上、且つ透明樹脂フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理することにより形成することができる。
また、上記のガスバリア性組成物の調製において用いる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。更に、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等を用いることができる。
更に、上記のガスバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールは、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。本開示において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコールは、例えば、ソアノール(日本合成化学社製)として市販されているものを使用することができる。
上記のガスバリア性組成物を、無機酸化物蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なガスバリア膜4が形成される。
さらに、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が蒸着膜の表面の水酸基と結合する為、該蒸着膜とガスバリア膜4との密接着性等が良好なものとなる。
<プライマーコート樹脂からなる保護膜>
バリア層1の接着層3と対向する側の面、すなわち無機酸化物蒸着膜1b上に、又はガスバリア膜4上に、場合により、プライマーコート樹脂からなる保護膜5を設けてもよい。保護膜5があることにより、バリア層1上に裏刷り印刷を行う場合に、印刷工程でのロールとの擦れや、白インキによるバリア性の劣化を防止することができる。
本開示において使用されるプライマーコート樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ゴム系化合物等の樹脂またはそのプレポリマーもしくはモノマー等の一種ないしそれ以上の混合物をビヒクルの主成分とするものを使用することができる。上記プライマーコート樹脂を、無機酸化物蒸着膜1b上またはガスバリア膜4上に塗布し、乾燥することにより、保護膜5を形成することができる。
<防錆シーラントフィルム>
防錆シーラントフィルム2を構成する樹脂としては、各層が独立して、ポリオレフィン系重合体、つまり、オレフィンの単独重合体、及び/又は、オレフィンを単量体として用いた共重合体から選ばれた1種以上を選択して使用することができる。
ポリオレフィン系重合体を構成するオレフィン(オレフィン単量体)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
従って、ポリオレフィン系重合体としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、1−ブテン系重合体、1−ヘキセン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体等が挙げられる。これら重合体は1種のみで用いてもよく、2種以上を併用してもよい。すなわち、ポリオレフィン系重合体は各種の重合体の混合物であっても良い。
上記のうち、エチレン系重合体としては、エチレン単独重合体(ポリエチレン)、及び、エチレンと他の単量体との共重合体(エチレン共重合体)が挙げられる。エチレン単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
また、エチレン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる。
尚、エチレン共重合体に含まれるエチレン単位(エチレンに由来する構成単位)は、全構成単位数のうち50%よりも大きければよいが(通常99.999%以下)、例えば、全構成単位数のうち80〜99.999%とすることができ、また90〜99.995%とすることができ、さらには99.0〜99.990%とすることができる。また、プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、及び、プロピレンと他の単量体との共重合体(プロピレン共重合体)が挙げられる。プロピレン共重合体としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
尚、プロピレン共重合体に含まれるプロピレン単位(プロピレンに由来する構成単位)は、全構成単位数のうち50%以上(通常99.999%以下)であればよいが、例えば、全構成単位数のうち80〜99.999%とすることができ、また90〜99.995%とすることができ、さらには99.0〜99.990%とすることができる。
また、ポリオレフィン系重合体には、本開示の目的を害しない範囲で、オレフィンを除く単量体に由来する構成単位を含んでもよい。オレフィン以外の単量体としては、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等)、不飽和カルボン酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、ポリオレフィン系重合体に含まれるオレフィン以外の単量体に由来する構成単位は、含まれるとしても全構成単位数のうち40%以下(通常0.001%以上)が好ましい。例えば、全構成単位数のうち0.001〜25%とすることができ、また0.005〜15%とすることができ、さらには0.01〜10%とすることができる。
ポリオレフィン系樹脂の密度としては加工性の観点から0.880〜0.950g/cm3が好ましい。また、機械強度や加工性の観点から、メルトフローレート値(MFR)は1.0〜10.0g/10minの範囲が好ましく、溶融加工時に適度な粘度を持つことにより、粒子状の飽和脂肪酸を樹脂中に包含及び被覆することが可能となり、フィルムから飽和脂肪酸が脱落することを防ぐことが可能となる。
また、本開示の効果を妨げない範囲において、アンチブロッキング剤(AB剤)、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、加工性改良剤等の樹脂に添加される公知の添加剤をフィルム層に添加することができる。
またフィルム層の厚みは30〜200μmであり、さらに50〜120μmが好ましい。
<防錆剤>
防錆剤組成物としては、有機酸類が用いられる。これには吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ノナン酸、ラウリル酸等の脂肪酸やこれらの脂肪酸の炭化水素鎖の水素の一部を水酸基やアミノ基などに置換した物質(乳酸、アミノカプロン酸)、更に、安息香酸およびその誘導体、コハク酸、Lーグルタミン酸、Lーアスコルビン酸、ニコチン酸、ソルビン酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、ケイヒ酸、フマル酸、没食子酸等が単独または複数組み合わせて用いられる。その中でも、カプロン酸が安価で防錆性能が優れるために好適に使用する。
防錆シーラントフィルム2の全重量に対する、防錆剤の配合量は0.3重量%以上、10重量%以下がより好ましい。防錆剤の配合量が10重量%を超えると、防錆効果が向上しない上、防錆剤のフィルム表面への粉浮き、脱落が発生するため金属製品を汚染させる恐れがあり、好ましくない。一方、0.3重量%未満であると防錆性能を十分に発現することができなくなる。
ポリオレフィン系樹脂に防錆剤を混練する方法は特に限定されないが、一般の混練機を使用することができる。混練機としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリー式混練機、ロール式混練機、インテンシブルミキサーなどを好適に使用することができる。混練時の防錆剤の配合量はフィルム成形時での配合量より多くしたマスターバッチとして作製することが一般的である。マスターバッチでの防錆剤の配合量としては5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。50重量%を超えると、樹脂の流動性が低下するため好ましくはなく、一方、5重量%未満では生産性が低下するため好ましくはない。
本開示の防錆剤組成物において、酸化促進物質とは、主剤の飽和脂肪酸化合物あるいは不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物が酸素を吸収するのを促進するものであり、遷移金属もしくはその化合物、あるいはラジカル開始剤などがあげられる。
3.透明防錆バリア積層体の製造方法
透明防錆バリア積層体10は、バリア層1を準備し、バリア層1に、有機酸を含み、ヒートシール性の樹脂からなる防錆シーラントフィルム2を貼合することにより製造することができる。防錆シーラントフィルム2がインフレーション法により製造されてチューブ状をしている場合は、まずは防錆シーラントフィルム2を準備し、バリア層1を防錆シーラントフィルム2に貼合してもよい。
バリア層1の準備は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルム1aを準備し、透明樹脂フィルム1aの一方の面に無機酸化物を蒸着して無機酸化物膜1bを形成することにより行うことができる。蒸着は、たとえば抵抗加熱方式の真空蒸着法により行うことができる。
バリア層1と防錆シーラントフィルム2の貼合は、ヒートシール以外にも、無機酸化物膜1bに接着剤又は接着性樹脂を塗布して接着層3を形成し、接着層3に防錆シーラントフィルム2をドライラミネート法により貼り合わせることによって行ってもよい。この場合、接着層を形成する接着剤は、用途に応じて慣用のものを選択することができる。具体的には、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、上記2枚のフィルム(バリア層1と防錆シーラントフィルム2)を、押出ラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により貼り合わせることもできる。この場合は、接着層3を形成する接着性樹脂として、ポリオレフィン系の熱接着性樹脂、例えば、LDPEのほか、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等の単体、またはこれらにハードレジン等の接着性向上剤をブレンドした樹脂等を使用することができる。本開示において、接着層3の層厚(塗工量)としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
無機酸化物膜1bと防錆シーラントフィルム2又は接着層3との間に、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂又はエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とを含有するガスバリア膜4を形成してもよい。ガスバリア膜4の形成は、前記ポリビニルアルコール系樹脂又は前記エチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布することにより形成することができる。
バリア層1の接着層3と対向する側の面、すなわち無機酸化物蒸着膜1b上に、又はガスバリア膜4上に、場合により、プライマーコート樹脂からなる保護膜5を設けてもよい。プライマーコート樹脂を、無機酸化物蒸着膜1b上またはガスバリア膜4上に塗布し、乾燥することにより、保護膜5を形成することができる。
また、本開示の透明防錆バリア積層体10を用いて後述の包装材(包装袋)を製造し、その包装材(包装袋)の中に鋭利な形状を有する鋼材を収容するように包装材(包装袋)を用いることも考えられる。そこで、補強材としてバリア層の上や、防錆シーラントの間に延伸ナイロンやPBT(ポリブチレンテレフタレート)フィルム、各種ポリエチレン不織布(内容物が透けて見えるメッシュの粗いもの)等を接着剤等を介して設けても良い。補強材の厚みは12〜50μmで適宜選択する。(図示せず。)
4.包装材
図13は、本開示の防錆包装材の一実施形態に係る防錆袋20の斜視図であり、三方シールで製造したものである。本開示の透明防錆バリア積層体10は、袋や箱等の包装材として使用することができ、図13では袋の形態の防錆袋20が図示されている。防錆袋20は、たとえば、本開示の透明防錆積層体10を防錆シーラントフィルム2の面が対向するように2つ折にし、又は透明防錆積層体10を2枚を用意して防錆シーラントフィルム2の面を対向するように重ね合わせ、さらに2つ折にされ又は重ね合わせられた透明防錆積層体10の周辺端部を二方シール(2つ折の場合)又は三方シール(重合せの場合)によりヒートシールして製造される。図13では、ヒートシール部22a、22b、及び22cがシールされた場合を示している(三方シール)。図13では、このようにして製造された防錆袋20の中に金属部品21が入れられ、防錆袋20の内部が脱気され、さらにヒートシール部22dがヒートシールされた状態が図示されている。
防錆包装袋は、一方シール、二方シール又は三方シールの他にも種々の形態を取ることができ、たとえば、封筒貼りシール、合掌貼りシール(ピローシール)、ひだ付シール、平底シール、角底シール、ガゼット等の種々のヒートシール形態を取ることができる。
防錆包装材は、箱状の形態を取るものであってもよい。この場合、少なくとも人が触れた程度では型崩れしない透明又は不透明の樹脂製の容器本体に、透明防錆バリア積層体10を該容器の少なくとも一部に張り合わせた形態とすることができる。箱状の容器であれば容器を積み上げることが可能となるので、部品の保管が整理される。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本開示の透明防錆バリア積層体10は、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性及び防錆に優れ、嵩張らず低コストで製造可能である。したがって、様々な用途の包装材として好適に使用することができる。
特に、光や酸素ガスによって分解または劣化し易い物質を包装するために、好適に使用することができる。さらには、高い水蒸気バリア性を示す。
以上のとおり、本開示の透明防錆バリア積層体10を使用した防錆包装材では、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層と、気化性防錆剤を含有するシーラント層が積層された構造となっている。外層の透明ガスバリア性フィルムのバリア性が高いため、鉄鋼が錆びる原因となる酸素と水蒸気をほとんど通過せず、密閉性が高く安定している。また、無機酸化物膜が備えられているので、気化した有機酸が透明樹脂フィルムを通過することによって防錆包装の外へと抜けて行くことを防止することができる。そのため、防錆包装材内部の防錆効果を高めることができる。
本開示の透明防錆バリア積層体は、2層構成であり、製造コスト及び輸送コストがかからず、且つ、優れたガスバリア性及び防錆の両方を示す。さらに、上記無機酸化物蒸着膜上に、アルコキシドとポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含むガスバリア性組成物からなるガスバリア膜を設けることにより、酸素及び水蒸気に対するバリア性を一層高めることができる。
また、本開示の積層体においては、ヒートシール性樹脂フィルムを、単層フィルムではなく、2層以上の共押多層フィルムとすることも可能であり、これにより、ガスバリア性を一層向上したり、積層体にさらなる機能、例えば耐油性を付与したりすることができる。
また、防錆効果成分が包装空間内に徐々に放出されることで、長期的に防錆効果が発揮させることができる。また、その気化性防錆剤がアミン系化合物でないため作業者による取扱いが容易である。
本開示について、図4の層構成を一例として、その構成要素をいくつかの成膜条件で生成した場合の実施例について具体的に説明する。
[実施例1]
(1)厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(透明樹脂フィルム)1aの一方の面に、マグネトロンスパッタ装置を用いてアルゴンガスによるプラズマ処理面を形成した。得られたフィルムを、抵抗加熱方式の真空蒸着装置に装着し、そのプラズマ処理面上に、下記の蒸着条件にて、厚さ20nmの酸化アルミニウム蒸着膜(無機酸化物膜)1bを形成した。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム
供給ガス:酸素
蒸着チャンバ内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバ内の真空度:2×10-2mbar
インラインOD値:0.2
フィルム搬送速度:600m/min
次いで、上記で形成された酸化アルミニウム蒸着膜上に、上記と同様にしてプラズマ処理面を形成した。
(2)一方、下記に示す組成に従って、調製した組成(a)のポリビニルアルコール、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成(b)のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アルミニウムアセチルアセトン、塩酸及びイオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、無色透明のガスバリア性組成物を得た。
<塗膜液組成>
a. ポリビニルアルコール 1.24質量%
イソプロピルアルコール 20.1質量%
2 O 43.8質量%
酢酸 0.10質量%
b. エチルシリケート40(コルコート社製) 9.26質量%
イソプロピルアルコール 8.88質量%
アルミニウムアセチルアセトン 0.02質量%
塩酸 0.10質量%
2 O 16.5質量%
合 計 100質量%
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で調製したガスバリア性組成物をグラビアロールコート法によりコーティングして、100℃で30秒間加熱処理を行い、厚さ0.4g/m2(乾操状態)のガスバリア膜4を形成して、透明ガスバリア性フィルムを製造した。
(3)一方、メタロセン系触媒を使用して重合した密度0.920のエチレン・1−ヘキセン共重合体100重量部に、アンチブロッキング剤として粒径3.5μmのゼオライト0.5重量部、カプロン酸を3.0重量部添加して十分に混練し、これを、インフレーション製膜法を用いて製膜し、厚さ100μmの低密度ポリエチレン系樹脂フィルムを製造した。この一方の面にコロナ処理を施し防錆シーラントフィルム2を製造した。
(4)次に、上記の(2)で製造した透明ガスバリア性フィルムのガスバリア膜4の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型ポリウレタン系ドライラミネート用接着剤を、グラビアロールコート法を用いて厚さ4.0g/m2(乾燥状態)にコーティングして接着層3を形成し、この接着層3の面に、上記(2)で得られた防錆シーラントフィルム2を、そのコロナ処理面が対向するように重ね合せてドライラミネートし、本開示の透明防錆バリア積層体10dを製造した。
(5)最終的な層構成は、PETフィルム1a/酸化アルミニウム蒸着膜1b/ガスバリア膜4/接着層3/直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルム2であった。
(6)上記で得られた積層体について、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性、ヘーズを下記の方法により評価した。
(酸素ガスバリア性)
酸素透過度を、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国MOCON社製OXTRANを用いて測定した。
(水蒸気バリア性)
水蒸気透過度を、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国MOCON社製PERMATRANを用いて測定した。
(ヘーズ)
ヘーズを、株式会社村上色彩技術研究所製のヘーズメーターHM−150を用いて測定した。
(防錆試験法)
試験金属片として5cm角の鉄片をアセトン溶液に30分間浸漬し、油を除去したものを用意した。10cm角の四方シールで包装袋を製造し、この金属片1枚を入れて比較評価した。温度60℃、湿度90%の環境下に2、4、6週間置いた後に開封し、視覚によって金属表面の錆の状態を調べた。
[実施例2]
実施例1に記載のシーラントにおいて、カプロン酸を0.3重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、本開示に係る透明防錆バリア積層体を製造した。
[実施例3]
実施例1に記載のシーラントにおいて、カプロン酸を10.0重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、本開示に係る透明防錆バリア積層体を製造した。
[実施例4]
実施例1に記載の透明ガスバリア性フィルムにおいて、防錆剤カプロン酸の代わりに、ラウリル酸を使用する以外は、実施例1と同様にして、本開示に係る透明防錆バリア積層体を製造した。
[実施例5]
実施例1に記載の透明ガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア性組成物の塗工をしないこと以外は、実施例1と同様にして、本開示に係る透明防錆バリア積層体を製造した。
[比較例1]
実施例1の処方で防錆剤(カプロン酸)を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、バリア積層体を製造した。
[比較例2]
実施例1の処方で防錆剤(カプロン酸)を添加量を0.2%としたこと以外は、実施例1と同様にして、透明防錆バリア積層体を製造した。
[比較例3]
実施例1の処方で防錆剤(カプロン酸)を添加量を11.0%としたこと以外は、実施例1と同様にして、透明防錆バリア積層体を製造した。
[比較例4]
実施例1で用いたPETフィルムの一方の面にコロナ処理を施し、該コロナ処理面に、実施例1と同様にして、印刷模様を形成した。また、実施例1で用いた直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルムの一方の面にコロナ処理を施した。
上記PETフィルムの印刷模様を形成した面に、実施例1と同様にして接着層を形成し、この接着層の面に、上記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルムを、そのコロナ処理面が対向するように重ね合せてドライラミネートし、透明防錆バリア積層体を製造した。
結果を表1にまとめた。本開示の各実施例は、防錆能力が優れていることが解る。また、防錆剤にアミン系化合物を採用していないため、作業者にとって取扱いが容易な防錆フィルムを提供することが可能となった。
Figure 2021017009
5.付記
以下、本明細書が開示する種々の実施形態のうち、その一部について整理する。
<付記1>
付記1による透明防錆バリア積層体(10:10a、10b、10d、10f、10h、10i〜10l)は、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層(1)と、有機酸を含む防錆シーラントフィルム(2)と、を少なくとも備える。
<付記2>
付記2による透明防錆バリア積層体は、付記1の透明防錆バリア積層体(10)であって、前記バリア層(1)は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルム(1a)と、前記透明樹脂フィルムの一方の面に蒸着された無機酸化物からなる無機酸化物膜(1b)と、を備え、前記透明防錆バリア積層体(10)は、前記無機酸化物膜(1b)と前記防錆シーラントフィルムとの間に設けられた接着層(3)を更に備える。
<付記3>
付記3による透明防錆バリア積層体は、付記2の透明防錆バリア積層体(10)であって、前記無機酸化物膜(1b)と前記防錆シーラントフィルム(2)又は前記接着層(3)との間に、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂又はエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とを含有するガスバリア膜(4)を更に備える。
<付記4>
付記4による透明防錆バリア積層体は、付記3の透明防錆バリア積層体(10)であって、前記ガスバリア膜(4)は前記無機酸化物膜(1b)に塗布されている。
<付記5>
付記5による透明防錆バリア積層体は、付記2から付記4のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記無機酸化物は酸化アルミニウムである。
<付記6>
付記6による透明防錆バリア積層体は、付記2から付記5のいずれか1つの透明防錆バリア積層体であって、前記無機酸化物膜(1b)は、膜厚が5〜100nmの範囲内である。
<付記7>
付記7による透明防錆バリア積層体は、付記2から付記6のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記無機酸化物膜(1b)と前記接着層(3)の間又は前記ガスバリア膜(4)と前記接着層(3)の間に、プライマーコート樹脂からなる保護膜(5)を更に備える。
<付記8>
付記8による透明防錆バリア積層体は、付記1から付記7のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記防錆シーラントフィルム(2)は、有機酸を含まない非防錆層(2a)と、有機酸を含む防錆層(2b)と、を少なくとも備え、前記有機酸を含む防錆層(2b)は、前記有機酸を含まない非防錆層(2a)に対して、前記バリア層(1)と反対側に位置するように設けられている。
<付記9>
付記9による透明防錆バリア積層体は、付記1から付記8のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記防錆シーラントフィルム(2)はオレフィン系樹脂層からなる。
<付記10>
付記10による透明防錆バリア積層体は、付記1から付記8のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記防錆シーラントフィルム(2)はポリエチレン樹脂からなる。
<付記11>
付記11による透明防錆バリア積層体は、付記1から付記10のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記有機酸は飽和脂肪酸である。
<付記12>
付記12による透明防錆バリア積層体は、付記11の透明防錆バリア積層体(10)であって、前記飽和脂肪酸はカプロン酸である。
<付記13>
付記13による透明防錆バリア積層体(10:10c、10g)は、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層(1)と、有機酸を含む防錆シーラントフィルム(2)と、を備えた透明防錆バリア積層体であって、前記バリア層(1)は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルム(1a)と、前記透明樹脂フィルムの一方の面に蒸着された無機酸化物からなる無機酸化物膜(1b)と、を備え、前記透明防錆バリア積層体は、前記無機酸化物膜(1b)と前記防錆シーラントフィルム(2)の間に、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂又はエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とを含有するガスバリア膜(4)を更に備える。
<付記14>
付記14による透明防錆バリア積層体は、付記13の透明防錆バリア積層体(10)であって、前記防錆シーラントフィルム(2)は、有機酸を含まない非防錆層(2a)と、有機酸を含む防錆層(2b)と、を少なくとも備え、前記有機酸を含む防錆層(2b)は、前記有機酸を含まない非防錆層(2a)に対して、前記ガスバリア膜(4)と反対側に位置するように設けられる。
<付記15>
付記15による透明防錆バリア積層体は、付記13又は14の透明防錆バリア積層体(10)であって、前記無機酸化物(1b)は酸化アルミニウムである。
<付記16>
付記16による透明防錆バリア積層体は、付記13から15のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記無機酸化物膜(1b)は、膜厚が5〜100nmの範囲内である。
<付記17>
付記17による透明防錆バリア積層体は、付記13から16のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)であって、前記有機酸は飽和脂肪酸である。
<付記18>
付記18による透明防錆バリア積層体は、付記17に記載の透明防錆バリア積層体(10)であって、前記飽和脂肪酸はカプロン酸である。
<付記19>
付記19による透明防錆バリア積層体(10e)は、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層(1)と、有機酸を含む防錆シーラントフィルム(2)と、
を備えた透明防錆バリア積層体(10e)であって、
前記バリア層(1)は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルム(1a)と、前記透明樹脂フィルムの一方の面に蒸着された無機酸化物からなる無機酸化物膜(1b)と、を備え、
前記防錆シーラントフィルム(2)は、有機酸を含まない非防錆層(2a)と、有機酸を含む防錆層(2b)と、を少なくとも備え、
前記有機酸を含む防錆層(2b)は、前記有機酸を含まない非防錆層(2a)に対して、前記無機酸化物膜(1b)と反対側に位置するように設けられる。
<付記20>
付記20による透明防錆バリア積層体(10e)は、付記19の透明防錆バリア積層体(10e)であって、前記無機酸化物は酸化アルミニウムである。
<付記21>
付記21による透明防錆バリア積層体(10e)は、付記19又は20の透明防錆バリア積層体(10e)であって、前記無機酸化物膜(1b)は、膜厚が5〜100nmの範囲内である。
<付記22>
付記22による透明防錆バリア積層体(10e)は、付記19から21のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10e)であって、前記有機酸は飽和脂肪酸である。
<付記23>
付記23による透明防錆バリア積層体(10e)は、付記22に記載の透明防錆バリア積層体(10e)であって、前記飽和脂肪酸はカプロン酸である。
<付記24>
付記24による防錆包装材は、付記1から23のいずれか1つの透明防錆バリア積層体(10)を用いて製造される。
<付記25>
付記25による防錆包装材は、付記24の防錆包装材であって、袋状であり、前記防錆シーラントフィルム(2)は前記袋状の防錆包装材の内側に配置されている。
<付記26>
付記26による透明防錆バリア積層体の製造方法は、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層(1)を準備するステップと、前記バリア層(1)に、有機酸を含む防錆シーラントフィルム(2)を貼合するステップと、
を備える。
<付記27>
付記27による透明防錆バリア積層体の製造方法は、付記26の透明防錆バリア積層体の製造方法であって、前記バリア層(1)を準備するステップは、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルム(1a)を準備するステップと、前記透明樹脂フィルム(1a)の一方の面に無機酸化物を蒸着して無機酸化物膜(1b)を形成するステップと、を備え、前記防錆シーラントフィルム(2)を貼合するステップは、前記無機酸化物膜(1b)に接着剤又は接着性樹脂を塗布して接着層(3)を形成するステップと、前記接着層(3)に、前記防錆シーラントフィルム(2)を接着するステップと、を備える。
<付記28>
付記28による透明防錆バリア積層体の製造方法は、付記27の透明防錆バリア積層体の製造方法であって、前記無機酸化物膜(1b)と前記防錆シーラントフィルム(2)又は前記接着層(3)との間に、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂又はエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とを含有するガスバリア膜(4)を形成するステップを更に備える。
<付記29>
付記29による透明防錆バリア積層体の製造方法は、付記28の透明防錆バリア積層体の製造方法であって、前記ガスバリア膜(4)は、前記アルコキシドと、前記ポリビニルアルコール系樹脂又は前記エチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布することにより形成される。
<付記30>
付記30による透明防錆バリア積層体の製造方法は、付記27から29のいずれか1つの透明防錆バリア積層体の製造方法であって、前記無機酸化物膜(1b)を形成するステップは、抵抗加熱方式の真空蒸着法により行われる。
本開示の実施形態に係る透明防錆バリア積層体10は、長期に亘って防錆効果を奏するので、金属製の部品を封入する防錆包装材として利用することができる。
1 :バリア層
1a :透明樹脂フィルム(PETフィルム)
1b :無機酸化物膜(酸化アルミニウム蒸着膜)
2 :防錆シーラントフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルム)
2a :非防錆層
2b :防錆層
3 :接着層
4 :ガスバリア膜
5 :保護膜
10a〜10l:透明防錆バリア積層体
20 :防錆袋
21 :金属製部品
22a〜22d:ヒートシール部

Claims (30)

  1. ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層と、
    有機酸を含む防錆シーラントフィルムと、
    を少なくとも備えた透明防錆バリア積層体。
  2. 前記バリア層は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルムと、前記透明樹脂フィルムの一方の面に蒸着された無機酸化物からなる無機酸化物膜と、を備え、
    前記透明防錆バリア積層体は、前記無機酸化物膜と前記防錆シーラントフィルムの間に設けられた接着層を更に備えた請求項1に記載の透明防錆バリア積層体。
  3. 前記無機酸化物膜と前記接着層の間に、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂又はエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とを含有するガスバリア膜を更に備えた請求項2に記載の透明防錆バリア積層体。
  4. 前記ガスバリア膜は前記無機酸化物膜に塗布されている請求項3に記載の透明防錆バリア積層体。
  5. 前記無機酸化物は酸化アルミニウムである請求項2から4のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  6. 前記無機酸化物膜は、膜厚が5〜100nmの範囲内である請求項2から5のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  7. 前記無機酸化物膜と前記接着層の間又は前記ガスバリア膜と前記接着層の間に、プライマーコート樹脂からなる保護膜を更に備えた請求項2から6のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  8. 前記防錆シーラントフィルムは、有機酸を含まない非防錆層と、有機酸を含む防錆層と、を少なくとも備え、
    前記有機酸を含む防錆層は、前記有機酸を含まない非防錆層に対して、前記バリア層と反対側に位置するように設けられた請求項1から7のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  9. 前記防錆シーラントフィルムはオレフィン系樹脂層からなる請求項1から8のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  10. 前記防錆シーラントフィルムはポリエチレン樹脂からなる請求項1から8のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  11. 前記有機酸は飽和脂肪酸である請求項1から10のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  12. 前記飽和脂肪酸はカプロン酸である請求項11に記載の透明防錆バリア積層体。
  13. ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層と、
    有機酸を含む防錆シーラントフィルムと、
    を備えた透明防錆バリア積層体であって、
    前記バリア層は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルムと、前記透明樹脂フィルムの一方の面に蒸着された無機酸化物からなる無機酸化物膜と、を備え、
    前記透明防錆バリア積層体は、前記無機酸化物膜と前記防錆シーラントフィルムの間に、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂又はエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とを含有するガスバリア膜を更に備えた透明防錆バリア積層体。
  14. 前記防錆シーラントフィルムは、有機酸を含まない非防錆層と、有機酸を含む防錆層と、を少なくとも備え、
    前記有機酸を含む防錆層は、前記有機酸を含まない非防錆層に対して、前記ガスバリア膜と反対側に位置するように設けられた請求項13に記載の透明防錆バリア積層体。
  15. 前記無機酸化物は酸化アルミニウムである請求項13又は14に記載の透明防錆バリア積層体。
  16. 前記無機酸化物膜は、膜厚が5〜100nmの範囲内である請求項13から15のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  17. 前記有機酸は飽和脂肪酸である請求項13から16のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  18. 前記飽和脂肪酸はカプロン酸である請求項17に記載の透明防錆バリア積層体。
  19. ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層と、
    有機酸を含む防錆シーラントフィルムと、
    を備えた透明防錆バリア積層体であって、
    前記バリア層は、透明の樹脂からなる透明樹脂フィルムと、前記透明樹脂フィルムの一方の面に蒸着された無機酸化物からなる無機酸化物膜と、を備え、
    前記防錆シーラントフィルムは、有機酸を含まない非防錆層と、有機酸を含む防錆層と、を少なくとも備え、
    前記有機酸を含む防錆層は、前記有機酸を含まない非防錆層に対して、前記無機酸化物膜と反対側に位置するように設けられた透明防錆バリア積層体。
  20. 前記無機酸化物は酸化アルミニウムである請求項19に記載の透明防錆バリア積層体。
  21. 前記無機酸化物膜は、膜厚が5〜100nmの範囲内である請求項19又は20に記載の透明防錆バリア積層体。
  22. 前記有機酸は飽和脂肪酸である請求項19から21のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体。
  23. 前記飽和脂肪酸はカプロン酸である請求項22に記載の透明防錆バリア積層体。
  24. 請求項1から請求項23のいずれか1項に記載された透明防錆バリア積層体を用いて製造された防錆包装材。
  25. 前記防錆包装材は袋状であり、
    前記防錆シーラントフィルムは前記袋状の防錆包装材の内側に配置されている請求項24に記載の防錆包装材。
  26. ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有するバリア層を準備するステップと、
    前記バリア層に、有機酸を含む防錆シーラントフィルムを貼合するステップと、
    を備えた透明防錆バリア積層体の製造方法。
  27. 前記バリア層を準備するステップは、
    透明の樹脂からなる透明樹脂フィルムを準備するステップと、
    前記透明樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物を蒸着して無機酸化物膜を形成するステップと、
    を備え、
    前記防錆シーラントフィルムを貼合するステップは、
    前記無機酸化物膜に接着剤又は接着性樹脂を塗布して接着層を形成するステップと、
    前記接着層に、前記防錆シーラントフィルムを接着するステップと、
    を備えた、請求項26に記載の透明防錆バリア積層体の製造方法。
  28. 前記無機酸化物膜と前記防錆シーラントフィルム又は前記接着層との間に、一般式R1 nM(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂又はエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とを含有するガスバリア膜を形成するステップを更に備えた請求項27に記載の透明防錆バリア積層体の製造方法。
  29. 前記ガスバリア膜を、前記アルコキシドと、前記ポリビニルアルコール系樹脂又は前記エチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか一方又は両方とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布することにより形成する請求項28に記載の透明防錆バリア積層体の製造方法。
  30. 前記無機酸化物膜を形成するステップを、抵抗加熱方式の真空蒸着法により行う請求項27から29のいずれか1項に記載の透明防錆バリア積層体の製造方法。
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