JP2021012754A - 燃料電池用電極 - Google Patents
燃料電池用電極 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021012754A JP2021012754A JP2019124418A JP2019124418A JP2021012754A JP 2021012754 A JP2021012754 A JP 2021012754A JP 2019124418 A JP2019124418 A JP 2019124418A JP 2019124418 A JP2019124418 A JP 2019124418A JP 2021012754 A JP2021012754 A JP 2021012754A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ionomer
- catalyst
- electrode
- ratio
- fuel cell
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Inert Electrodes (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
Description
(a)電極触媒及びアイオノマを含み、固形分濃度が約10%の触媒インクを作製し、
(b)種々の方法を用いて、触媒インクを基材表面に塗布し、塗膜中の溶媒を揮発させることにより基材表面に触媒層を形成し、
(c)基材表面の触媒層を電解質膜に転写する
ことにより製造されている。
また、基材の代わりに固体高分子電解質膜に触媒インクを直接塗布する方法もある。
(a)白金担持カーボン(Pt/C)をナフィオン(登録商標)溶液に分散させた後、溶媒を除去することによりPt/Cの表面をナフィオン(登録商標)で被覆し、
(b)ナフィオン(登録商標)で被覆されたPt/Cを窒素雰囲気中、140℃で熱処理することにより、ナフィオン(登録商標)を溶媒に対して不溶化し、
(c)不溶化したナフィオン(登録商標)で被覆されたPt/Cを、さらにナフィオン(登録商標)溶液に分散させてペーストとし、ペーストをカーボンペーパー上に展開し、乾燥させる
ことにより得られる燃料電池用電極が開示されている。
(A)高分子電解質で被覆されたPt/Cをそのまま溶媒に再分散させてペーストにすると、高分子電解質が溶媒中に溶出し、電極のイオン伝導度が低下するする点、及び、
(B)ペーストに分散させる前にPt/Cを被覆する高分子電解質を不溶化処理すると、高分子電解質の溶媒中への溶出を抑制することができる点
が記載されている。
(a)高酸素透過アイオノマ及び白金担持カーボンを含む分散液を調製し、分散液から溶媒を蒸発させて乾燥粉とし、
(b)乾燥粉、及びナフィオン(登録商標)溶液を含む分散液を調整し、分散液をシート上に塗布する
ことにより得られる燃料電池用電極が開示されている。
同文献には、触媒層アイオノマを二層構造にすることにより、高酸素透過性材料の使用量が少量であっても酸素透過性が向上し、触媒使用量を低減できる点が記載されている。
(a)白金担持カーボン及び高酸素透過アイオノマを、水比率が0.8以上である溶媒に分散させて分散液とし、
(b)分散液を乾燥させて粉末とし、
(c)粉末を130℃以上200℃以下の熱処理温度で熱処理する
ことにより得られるアイオノマコート触媒が開示されている。
同文献には、このようなアイオノマコート触媒を用いると、低粘度、かつ、高固形分濃度の触媒インクを製造することができる点が記載されている。
(a)白金担持カーボン、高酸素溶解性アイオノマ、及び低酸素溶解性アイオノマを含む触媒インクを調製し、
(b)触媒インクを電解質膜表面に塗布する
ことにより得られるカソード電極触媒層が開示されている。
同文献には、酸素溶解性の異なる2種類のアイオノマを用いることによって、プロトン伝導性を低下させずに活性化過電圧を低減することができる点が記載されている。
同文献には、高酸素透過アイオノマを触媒層アイオノマに用いることによって、白金使用量を低減できる点が記載されている。
(a)白金担持カーボン、EWが910であるアイオノマ、及び、EWが1030であるアイオノマを溶媒に分散させてペースト状にし、
(b)ペーストをシートに塗布し、乾燥させる
ことにより得られる触媒シートが開示されている。
同文献には、触媒層アイオノマとしてEWの異なる2種類のアイオノマを用いることによって、触媒層内の水の排出能が向上し、高電流密度領域においても安定した電池電圧が得られる点が記載されている。
(a)白金担持カーボン、EWが700であるアイオノマ、及びEWが1000であるアイオノマを溶媒に分散させて触媒インクとし、
(b)触媒インクを転写シート上に塗布する
ことにより得られる電極触媒層が開示されている。
同文献には、
(A)EWの低いアイオノマで白金担持カーボンの表面を被覆することにより、塗膜のひび割れが抑制される点、及び、
(B)EWの高いアイオノマを添加することで、フラッディングを抑制できる点
が記載されている。
(a)白金担持カーボン、高酸素透過アイオノマ(例えば、環状構造を有する環式化合物)、及び低酸素透過アイオノマ(例えば、ナフィオン(登録商標))を溶媒に分散させて触媒インクとし、
(b)触媒インクを電解質膜の表面に塗布する
ことにより得られるカソード側電極が開示されている。
同文献には、
(A)高酸素透過アイオノマのみを用いて電極を形成すると、電極にひび割れが生じやすい点、及び、
(B)高酸素透過アイオノマと低酸素透過アイオノマの双方を用いると、電極のひび割れが抑制される点
が記載されている。
同文献には、膨張率(膨潤率)が上がるにつれて高温性能(Dry性能)は上がる一方、低温性能(Wet性能)は下がる点が記載されている。
例えば、特許文献10には、触媒層アイオノマの膨張率を最適化することにより、高温性能と低温性能を両立させる点が記載されているが、使用した触媒層アイオノマの種類やイオン交換容量等については示されてない。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、高温低湿度条件下における発電性能及び/又は低温高湿度条件下における発電性能を犠牲にすることなく、触媒の使用量を低減することが可能な燃料電池用電極を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、このような性能を備えた燃料電池用電極の製造時間(触媒インクの乾燥時間)を短縮することにある。
(1)前記燃料電池用電極は、
電極触媒の表面が第1アイオノマからなる第1層でコートされたアイオノマコート触媒と、
前記第1アイオノマに接している第2アイオノマからなる第2層と、
を備えている。
(2)前記第1アイオノマは、イオン交換容量が1.1meq/g以上1.25meq/g以下である高酸素透過アイオノマ(A)からなる。
(3)前記高酸素透過アイオノマ(A)は、その分子構造内に酸基及び環状構造を含む高分子化合物からなる。
(a)高酸素透過アイオノマ(A)のイオン交換容量を1.1meq/g以上にすることによって、高温低湿度環境下でも触媒層中のプロトン移動抵抗の増大が抑制されるため、及び、
(b)高酸素透過アイオノマ(A)のイオン交換容量を1.25meq/g以下にすることによって、アイオノマの過度の膨潤が抑制され、また、アイオノマ表面がより撥水性となるために、触媒層内に十分な空隙が確保されるため、
と考えられる。
[1. 燃料電池用電極]
本発明に係る燃料電池用電極は、以下の構成を備えている。
(1)前記燃料電池用電極は、
電極触媒の表面が第1アイオノマからなる第1層でコートされたアイオノマコート触媒と、
前記第1アイオノマに接している第2アイオノマからなる第2層と、
を備えている。
(2)前記第1アイオノマは、イオン交換容量が1.1meq/g以上1.25meq/g以下である高酸素透過アイオノマ(A)からなる。
(3)前記高酸素透過アイオノマ(A)は、その分子構造内に酸基及び環状構造を含む高分子化合物からなる。
アイオノマコート触媒は、電極触媒と、電極触媒の表面に接している第1アイオノマからなる第1層とを備えている。後述する方法を用いると、電極触媒の表面が第1層でコートされた触媒(アイオノマコート触媒)が得られる。本発明に係る燃料電池用電極は、このようなアイオノマコート触媒と、第2アイオノマとの複合体からなる。
本発明において、電極触媒は、特に限定されるものではなく、酸素還元反応活性又は水素酸化反応活性を示す材料であれば良い。電極触媒としては、具体的には、白金、白金合金、パラジウム合金、金属酸窒化物、カーボンアロイなどがある。
電極触媒は、触媒粒子のみからなるものでも良く、あるいは、適当な担体表面に触媒微粒子を担持したものでも良い。担体の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。担体ととしては、例えば、炭素材料(例えば、カーボン、活性炭、フラーレン、カーボンナノフォン、カーボンナノチューブ)、金属酸化物などがある。
これに対し、カーボン担体を含む電極触媒に対して本発明を適用すると、低粘度、かつ、高固形分濃度の触媒インクを製造することができる。
本発明において、第1層を構成する第1アイオノマは、イオン交換容量が1.1meq/g以上1.25meq/g以下である高酸素透過アイオノマ(A)からなる。この点が従来とは異なる。
「高酸素透過アイオノマ(A)」とは、その分子構造内に酸基及び環状構造を含む高分子化合物をいう。
高酸素透過アイオノマ(A)は、その分子構造内に環状構造を含むために、酸素透過係数が高く、触媒層アイオノマとして用いた時に、触媒との界面における酸素移動抵抗が相対的に小さくなる。
換言すれば、「高酸素透過アイオノマ(A)」とは、酸素透過係数がナフィオン(登録商標)に代表されるポリパーフルオロカーボンスルホン酸よりも高いアイオノマをいう。
高酸素透過アイオノマ(A)の分子構造は、相対的に小さい酸素移動抵抗を示す限りにおいて、特に限定されない。特に、その分子構造内に環状構造(脂肪族環構造)を含むアイオノマは、環状構造を含まないアイオノマに比べて酸素移動抵抗が小さいので、第1層を構成する第1アイオノマとして好適である。
(a)脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンユニットと、パーフルオロスルホン酸を側鎖に持つ酸基ユニットとを含む電解質ポリマー、
(b)脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンユニットと、パーフルオロイミドを側鎖に持つ酸基ユニットとを含む電解質ポリマー、
(c)脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンに直接、パーフルオロスルホン酸が結合したユニットを含む電解質ポリマー、
などがある(参考文献1〜4参照)。
[参考文献1]特開2003−036856号公報
[参考文献2]国際公開第2012/088166号
[参考文献3]特開2013−216811号公報
[参考文献4]特開2006−152249号公報
「酸素透過係数」とは、白金微小電極を用いたクロノアンペロメトリー法により測定された値をいう(参考文献5)。
[参考文献5]Electrochimica Acta, 209(2016)682-690
高酸素透過アイオノマ(A)のイオン交換容量は、高温低湿度条件下での発電性能及び低温高湿度条件下での発電性能の双方に影響を与える。一般に、イオン交換容量が過度に小さくなると、高温低湿度環境下における触媒層中のプロトン移動抵抗が増大する。従って、高酸素透過アイオノマ(A)のイオン交換容量は、1.1meq/g以上である必要がある。イオン交換容量は、好ましくは、1.15meq/g以上である。
「残存率」とは、アイオノマコート触媒を水/エタノール混合溶媒に分散させた時に、混合溶媒に溶解することなく、電極触媒の表面に残存しているアイオノマの割合をいう。残存率R(%)は、具体的には、次の式(1)で表される。
R(%)=(x0−x)×100/x0 ・・・(1)
但し、
xは、前記アイオノマコート触媒を水:エタノール=70:30(重量比)の混合溶媒に加えて分散液とした時に、前記混合溶媒中に溶け出した前記第1アイオノマの濃度、
x0は、前記混合溶媒に前記第1アイオノマのすべてが溶け出したと仮定した時の、前記混合溶媒中の前記第1アイオノマの濃度の理論値。
測定時の混合溶媒の温度及び処理時間は、目的に応じて任意に選択することができる。本発明では、混合溶媒の温度は、0〜10℃とする。また、可溶性成分を混合溶媒に十分溶解させるために、超音波ホモジナイザー等を用いて、分散液を9分間分散処理を行う。
このような効果を得るためには、残存率は、70%以上が好ましい。残存率は、好ましくは、80%以上である。
後述するように、本発明に係る燃料電池用電極は、アイオノマコート触媒を含む触媒インクにさらに第2アイオノマを加え、触媒インクを基材表面に塗工することにより得られる。そのため、燃料電池用電極は、第1アイオノマに接している第2アイオノマからなる第2層をさらに備えている。
(a)高価な高酸素透過アイオノマ(A)の使用量の低減、
(b)高酸素透過性以外の機能(例えば、高プロトン伝導性)の付与、
(c)燃料電池用電極のクラックの抑制、
(d)燃料電池用電極の強度の向上、
などを目的として添加される。
そのため、第2アイオノマは、目的に応じて最適なものを選択することができる。
(a)高酸素透過アイオノマ(B)、
(b)ナフィオン(登録商標)、アシプレックス(登録商標)、フレミオン(登録商標)、アクイヴィオン(登録商標)などのポリパーフルオロカーボンスルホン酸、
などがある。
第2アイオノマとして高酸素透過アイオノマ(B)を用いる場合、高酸素透過アイオノマ(B)は、高酸素透過アイオノマ(A)と同一の材料であっても良く、あるいは、異なる材料であっても良い。
[1.3.1. 第1アイオノマの含有量]
燃料電池用電極に含まれる第1アイオノマの含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な含有量を選択することができる。第1アイオノマの最適な含有量は、燃料電池用電極を構成する材料の種類に応じて異なる。
ここで、「I1/C比」とは、カーボン担体の重量(Wc)に対する第1アイオノマの重量(W1)の比(=W1/Wc)をいう。
一方、I1/C比が大きくなりすぎると、燃料電池用電極の電子伝導性が低下する。従って、I1/C比は、0.7以下が好ましい。I1/C比は、好ましくは、0.6以下、さらに好ましくは、0.5以下である。
燃料電池用電極に含まれる第2アイオノマの含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な含有量を選択することができる。第2アイオノマの最適な含有量は、燃料電池用電極を構成する材料の種類に応じて異なる。
ここで、「I2/C比」とは、カーボン担体の重量(Wc)に対する第2アイオノマの重量(W2)の比(=W2/Wc)をいう。
一方、I2/C比が大きくなりすぎると、第2アイオノマによって電極中の空隙が減少し、発電性能が低下する。従って、I2/C比は、1.0以下が好ましい。I2/C比は、好ましくは、0.9以下、さらに好ましくは、0.8以下である。
燃料電池用電極に含まれる第1アイオノマ及び第2アイオノマの総含有量もまた、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な含有量を選択することができる。
例えば、電極触媒が触媒担持カーボンである場合、第1アイオノマ及び第2アイオノマの総含有量は、「I1/C比+I2/C比(以下、これを、「I/C比」ともいう)で表すことができる。「I1/C比」及び「I2/C比」の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
一方、I/C比が大きくなりすぎると、アイオノマによって電極中の空隙が減少して発電性能が低下する。従って、I/C比は、1.4以下が好ましい。I/C比は、好ましくは、1.2以下、さらに好ましくは、1.0以下である。
本発明に係る燃料電池用電極は、固体高分子形燃料電池の空気極として好適であるが、水素極にも用いることができる。
本発明に係るアイオノマコート触媒の製造方法は、
電極触媒、第1アイオノマ、水、及び、必要に応じてアルコールを含み、水比率が0.8以上である分散液を調整する第1工程と、
前記分散液を乾燥させ、粉末を得る第2工程と、
前記粉末を130℃以上200℃以下の熱処理温度で熱処理し、アイオノマコート触媒を得る第3工程と
を備えている。
まず、電極触媒、第1アイオノマ、水、及び、必要に応じてアルコールを含み、水比率が0.8以上である分散液を調整する(第1工程)。
[2.1.1. 電極触媒、及び第1アイオノマ]
電極触媒、及び第1アイオノマの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
電極触媒、及び第1アイオノマを分散させる分散媒には、水、又は、水とアルコールの混合溶媒を用いる。
アルコールは、第1アイオノマの溶解及び電極触媒の分散が可能なものである限りにおいて、特に限定されない。アルコールとしては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどがある。
また、分散媒の量は、第1アイオノマの溶解、及び、電極触媒の均一分散が可能である限りにおいて、特に限定されない。
「水比率」とは、分散媒に含まれる水とアルコールの総重量(Wt)に対する水の重量(Ww)の比(=Ww/Wt)をいう。
次に、前記分散液を乾燥させ、粉末を得る(第2工程)。分散液の乾燥方法、及び乾燥条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法及び条件を選択することができる。
次に、前記粉末を130℃以上200℃以下の熱処理温度で熱処理する(第3工程)。これにより、アイオノマコート触媒が得られる。
一方、熱処理温度が高くなりすぎると、第1アイオノマが分解するおそれがある。従って、熱処理温度は、200℃以下が好ましい。熱処理温度は、好ましくは、190℃以下、さらに好ましくは、180℃以下である。
本発明に係る燃料電池用電極の製造方法は、
アイオノマコート触媒を製造する工程と、
アイオノマコート触媒、及び第2アイオノマを分散媒に分散させ、触媒インクを得る工程と、
触媒インクを基材表面に塗工し、乾燥させる工程と
を備えている。
まず、電極触媒の表面が第1アイオノマでオートされたアイオノマコート触媒を製造する(アイオノマコート触媒製造工程)。アイオノマコート触媒の製造方法の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
次に、アイオノマコート触媒、及び第2アイオノマを分散媒に分散させ、触媒インクを得る(触媒インク製造工程)。
[3.2.1. 第2アイオノマ]
第2アイオノマの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
分散媒は、アイオノマコート触媒及び第2アイオノマを分散させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。分散媒としては、例えば、アルコール、ケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、グリコール、エステル、カルボン酸などがある。
「固形分濃度」とは、触媒インクの全重量に対する電極触媒及びアイオノマの重量の割合をいう。一般に、触媒インクの固形分濃度が高くなるほど、触媒インクの粘度が高くなる。触媒インクの粘度が高くなりすぎると、均一塗工性やインク分散性が悪化するため、良好な塗面ができにくい。そのため、ブレードコート法では塗工できず、塗工方法はリバースロールコーター法などに限定される。
次に、触媒インクを基材表面に塗工し、乾燥させる(塗工工程)。これにより、本発明に係る燃料電池用電極が得られる。
触媒インクの塗工方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法を選択することができる。また、触媒インクを塗布する基材は、転写用の樹脂シートであっても良く、あるいは、電解質膜であっても良い。
電極触媒の表面を高酸素透過アイオノマ(A)でコートすると、固形分濃度が高く、かつ、低粘度の触媒インクを作製することができる。そのため、これを用いて燃料電池用電極(触媒層)を作製すると、乾燥時間を短縮することができる。また、電極触媒の表面が高酸素透過アイオノマ(A)でコートされているので、触媒の使用量が相対的に少ない場合であっても、高い性能が得られる。
(a)高酸素透過アイオノマ(A)のイオン交換容量を1.1meq/g以上にすることによって、高温低湿度環境下でも触媒層中のプロトン移動抵抗の増大が抑制されるため、及び、
(b)高酸素透過アイオノマ(A)のイオン交換容量を1.25meq/g以下にすることによって、アイオノマの過度の膨潤が抑制され、また、アイオノマ表面がより撥水性となるために、触媒層内に十分な空隙が確保されるため、
と考えられる。
[1. 試料の作製]
[1.1. アイオノマコート触媒の調製]
白金担持カーボンと、水と、エタノールと、高酸素透過アイオノマ溶液とを混合し、混合液を得た。カーボン重量に対する高酸素透過アイオノマの重量比(I1/C比)は0.4、固形分濃度は6wt%、水比率は94wt%とした。
高酸素透過アイオノマには、脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンユニットと、パーフルオロスルホン酸を側鎖に持つ酸基ユニットからなる電解質ポリマを用いた。高酸素透過アイオノマのイオン交換容量(以下、「IEC」とも表記する)は、1.0meq/g(比較例1)、1.2meq/g(実施例1)、1.3meq/g(比較例2)、又は、1.5meq/g(比較例3)とした。高酸素透過アイオノマの酸素透過係数は、IECによらず、いずれも、2.2×10-14mol/(m・s・Pa)以上であった。
得られた分散溶液を防爆型乾燥炉で80℃で3時間加熱し、溶媒を蒸発させた。次いで、真空乾燥機で減圧下、160℃で2時間熱処理した。さらに、熱処理後の粉末を電動ミルで粉砕し、アイオノマコート触媒を得た。特許文献3に記載の方法を用いてアイオノマコート触媒の残存率を測定したところ、残存率はいずれも70%以上であった。
粉砕されたアイオノマコート触媒と、水と、エタノールとを所定の比率で混合し、混合液を得た。混合液を高圧ホモジナイザー((株)スギノマシン製、スターバーストミニ)で分散処理し、触媒インク(A)を得た。ノズル径は150μmφ、処理圧力は75MPaとした。
次に、分散処理した触媒インク(A)に、さらに第2アイオノマを加えて混合し、触媒インク(B)を得た。第2アイオノマには、ナフィオン(登録商標)溶液を用いた。カーボン重量に対する第2アイオノマの重量比(I2/C)は0.7、触媒インク(B)の固形分濃度は20wt%とした。
[1.3.1. 空気極の作製]
触媒インク(B)をベーカー式アプリケーターを用いて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に塗工し、乾燥させ、触媒層を得た。白金目付量は、0.15mg/cm2とした。この触媒層を電解質膜の一方の面に加熱プレスで転写し、空気極とした。電極面積は、1cm2とした。
白金担持カーボン、及び、アイオノマとしてナフィオン(登録商標)のみを含む触媒インク(C)を調製した。カーボンの重量に対するアイオノマの重量比(I/C)は1.0、触媒インク(C)の固形分濃度は10wt%とした。
触媒インク(C)をPTFE上に塗工し、乾燥させ、触媒層を得た。この触媒層を電解質膜の他方の面に熱転写し、水素極とした。
触媒層が形成された電解質膜の両面を撥水層付きカーボンペーパーではさみ、評価セルとした。
評価セルを用いて発電試験を行った。バブラー温度は55℃、背圧は50kPaGとした。カソードには加湿した空気を供給し、アノードには加湿した水素を供給した。セル温度は、45℃(低温高湿条件)、又は82℃(高温低湿条件)とした。
試験を行った4つの電極の中で、セル電圧0.6V時の電流密度が最大となった電極の電流密度(I0)を基準とし、それに対する各電極の電流密度(I)の比(以下、「電流密度比(I/I0)」という)を求めた。図1に、高酸素透過アイオノマのイオン交換容量(IEC)と電流密度比との関係を示す。
図1より、高温低湿条件下及び低温高湿条件下のいずれにおいても電流密度比が高い値(具体的には、0.95以上)を示すIECの範囲は、1.1meq/g以上1.25meq/g以下であることが分かる。すなわち、この範囲のIECのアイオノマを用いたアイオノマコート触媒であれば、低湿高温から高温低湿の広い温湿度環境下において、高い発電性能が得られることが分かる。
Claims (7)
- 以下の構成を備えた燃料電池用電極。
(1)前記燃料電池用電極は、
電極触媒の表面が第1アイオノマからなる第1層でコートされたアイオノマコート触媒と、
前記第1アイオノマに接している第2アイオノマからなる第2層と、
を備えている。
(2)前記第1アイオノマは、イオン交換容量が1.1meq/g以上1.25meq/g以下である高酸素透過アイオノマ(A)からなる。
(3)前記高酸素透過アイオノマ(A)は、その分子構造内に酸基及び環状構造を含む高分子化合物からなる。 - 前記高酸素透過アイオノマ(A)は、温度80℃、相対湿度30%RHにおける酸素透過係数が2.2×10-14mol/(m・s・Pa)以上であるアイオノマからなる請求項1に記載の燃料電池用電極。
- 前記アイオノマコート触媒は、次の式(1)で表される残存率R(%)が70%以上である請求項1又は2に記載の燃料電池用電極。
R(%)=(x0−x)×100/x0 ・・・(1)
但し、
xは、前記アイオノマコート触媒を水:エタノール=70:30(重量比)の混合溶媒に加えて分散液とした時に、前記混合溶媒中に溶け出した前記第1アイオノマの濃度、
x0は、前記混合溶媒に前記第1アイオノマのすべてが溶け出したと仮定した時の、前記混合溶媒中の前記第1アイオノマの濃度の理論値。 - 前記電極触媒は、
カーボン担体と、
前記カーボン担体の表面に担持された触媒微粒子と
を備えている請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料電池用電極。 - I1/C比が0.2以上0.7以下である請求項4に記載の燃料電池用電極。
但し、「I1/C比」とは、前記カーボン担体の重量(Wc)に対する前記第1アイオノマの重量(W1)の比(=W1/Wc)をいう。 - I2/C比が0.2以上1.0以下である請求項4又は5に記載の燃料電池用電極。
但し、「I2/C比」とは、前記カーボン担体の重量(Wc)に対する前記第2アイオノマの重量(W2)の比(=W2/Wc)をいう。 - I1/C比+I2/C比が0.5以上1.4以下である請求項4から6までのいずれか1項に記載の燃料電池用電極。
但し、
「I1/C比」とは、前記カーボン担体の重量(Wc)に対する前記第1アイオノマの重量(W1)の比(=W1/Wc)、
「I2/C比」とは、前記カーボン担体の重量(Wc)に対する前記第2アイオノマの重量(W2)の比(=W2/Wc)をいう。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019124418A JP7152992B2 (ja) | 2019-07-03 | 2019-07-03 | 燃料電池用電極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019124418A JP7152992B2 (ja) | 2019-07-03 | 2019-07-03 | 燃料電池用電極 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021012754A true JP2021012754A (ja) | 2021-02-04 |
JP7152992B2 JP7152992B2 (ja) | 2022-10-13 |
Family
ID=74227974
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019124418A Active JP7152992B2 (ja) | 2019-07-03 | 2019-07-03 | 燃料電池用電極 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7152992B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017073357A (ja) * | 2015-10-09 | 2017-04-13 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池用触媒層及び燃料電池 |
WO2018064623A1 (en) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | Ballard Power Systems Inc. | Cathode electrode design for electrochemical fuel cells |
JP2018152333A (ja) * | 2017-03-10 | 2018-09-27 | 株式会社豊田中央研究所 | アイオノマコート触媒及びその製造方法、並びに触媒インク |
-
2019
- 2019-07-03 JP JP2019124418A patent/JP7152992B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017073357A (ja) * | 2015-10-09 | 2017-04-13 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池用触媒層及び燃料電池 |
WO2018064623A1 (en) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | Ballard Power Systems Inc. | Cathode electrode design for electrochemical fuel cells |
JP2018152333A (ja) * | 2017-03-10 | 2018-09-27 | 株式会社豊田中央研究所 | アイオノマコート触媒及びその製造方法、並びに触媒インク |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7152992B2 (ja) | 2022-10-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8148026B2 (en) | Multi-layered electrode for fuel cell and method for producing the same | |
US7419740B2 (en) | Membrane electrode unit for polymer electrolyte fuel cells and a process for the production thereof | |
US7910259B2 (en) | Anode for fuel cell, manufacturing method thereof, and fuel cell including the same | |
JP5458503B2 (ja) | 電解質膜−電極接合体の製造方法 | |
CN103563143A (zh) | 燃料电池用气体扩散层 | |
JP7006497B2 (ja) | 燃料電池用触媒層及びその製造方法 | |
JP5297786B2 (ja) | 固体高分子型燃料電池のアノード触媒層 | |
JP4987857B2 (ja) | 重合体分散物及び電気触媒インク | |
JP6070564B2 (ja) | 触媒粒子、触媒インク、及びこれらの製造方法、並びに、燃料電池用電極触媒層、膜電極接合体、及び固体高分子形燃料電池の各々の製造方法 | |
JP2018152333A (ja) | アイオノマコート触媒及びその製造方法、並びに触媒インク | |
JP5755833B2 (ja) | 燃料電池用アノード触媒層 | |
JP2005294175A (ja) | 電極触媒層およびその製造方法 | |
EP3416221B1 (en) | Method for preparing membrane-electrode assembly | |
JP7498271B2 (ja) | 高耐久性を有する燃料電池用電極、その製造方法、及びそれを含む膜-電極アセンブリー | |
JP7152992B2 (ja) | 燃料電池用電極 | |
JP5805924B2 (ja) | 電解質膜−電極接合体 | |
JP2009187803A (ja) | 膜電極複合体および燃料電池 | |
KR102244711B1 (ko) | 휴대전자 기기 전원용 이중 촉매층 양성자 교환막 연료전지용 막전극접합체 | |
JP7207023B2 (ja) | 触媒インク及び触媒層 | |
CN111095637B (zh) | 制备催化剂层的方法、催化剂层和包括该催化剂层的膜电极组件及燃料电池 | |
KR102199455B1 (ko) | 막-전극접합체 전극용 바인더, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 막-전극접합체 및 고분자전해질 연료전지 | |
JP2011014406A (ja) | 触媒用インクおよび該触媒用インクを用いて形成された触媒層 | |
JP7052576B2 (ja) | 燃料電池用電極触媒層の製造方法 | |
JP2010238513A (ja) | 固体高分子形燃料電池用触媒粒子含有凝集体 | |
KR20240098207A (ko) | 연료전지 전극의 촉매층용 슬러리 및 연료전지 전극의 촉매층용 슬러리 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210903 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220613 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220705 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220808 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220906 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220930 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7152992 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |