JP2021011795A - テント - Google Patents
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Abstract
Description
また、建築物の解体、建替、改装には騒音がつきものであるが、それが近隣の住民との間で問題を生じる可能性がある。
また、雨雪の影響により、建築物の解体、建替の作業が滞ることもある。そのような作業にコストの要求が益々厳しくなり、また、作業員の労働環境についての規制が益々厳しくなっている近年の状況を踏まえると、そのような作業の滞りはなるべく排除したい。
使用の目的は様々ではあるが、そのような作業を行う場合に、解体、建替、改装等の対象となる建築物を、フレームと膜材とを含んで構成される仮設のテントによって覆い、その状態で建築物の解体や建替の作業を行うという技術が、近年採用されるようになってきている。
また、上述のように配列されたフレームのうち、隣り合うフレームの間に膜材が張り渡される。また、必要に応じて、一番端にあるフレームの2本の柱材と屋根材とに囲まれた空間にも、膜材が張り渡される。
仮設のテントは、このようなものであるが、テントという文言から通常想起されるイメージに反して、その一辺が100mを超えることがあり、またその高さが50mを超えることもある、巨大なものとなる。膜材を用いて軽く作ってあるとはいえ、そのような巨大なテントは非常に重く、その重量は、数十トンを超える場合がある。したがって、例えば、強風によってかかるテントが倒壊等することを避けるため、一般にかかるテントを構成するフレームに含まれる柱材の下端は、地面に対して強固に固定されることになる。
しかしながら、このような柱材の構成を採用することによる不具合も存在する。上述の如き柱材には、内柱と外柱が含まれているため、内柱と外柱を含む柱材に横方向の力(平面視した場合において、1つのフレームに含まれる2本の柱材を結ぶ方向)がはたらいたとき、内柱と外柱のそれぞれに個別に横方向の力がはたらくため、例えば内柱の下端を中心として見た場合に、外柱の下端に大きな力(トルク)がはたらいてしまう。同じ柱材に含まれる内柱と外柱とは同じ部材に固定されているのが通常であるが、上述のトルクに耐えるため、その部材の頑丈さ、或いはその部材を地面に固定するための基礎等に、非常に大きな頑丈さが要求されることになる。仮設のテントのためにそのような頑丈な基礎等を設けることは無駄を生じやすいし、またそのような頑丈な基礎等を設けるとその撤去にも過大なコストが生じ易い。
他方、上述の如き仮設のテントは、テントの構築或いはその解体をし易くしたり、さもなくば解体等の対象となる建築物における解体、建替、改装等の作業手順の都合といった何らかの理由により、移動させることが便利であることがある。それを踏まえて、本願発明者は予てから、上述の如き仮設のテントを上述の仮想直線に沿って移動させるための技術を提案している。とはいえ、移動可能なテントを特にその基礎等を低コスト化しつつ実現することには、未だに改良の余地がある。
本願発明は、所定の間隔で地面に引かれた、互いに平行な2本の仮想の直線である仮想直線の上方に、鉛直方向に伸びる柱である2本の柱材の下端がそれぞれ位置するようにして所定の間隔で置かれた、2本の前記柱材と、2本の前記柱材の上端を繋ぐ屋根材とを有する少なくとも2つのフレームと、隣接する前記フレームの間を少なくとも覆う膜材と、を含んで構成される、前記仮想直線に沿って移動可能とされたテントである。そして、かかるテントを構成する各フレームに含まれる2本の前記柱材はそれぞれ、それらのいずれもが鉛直方向に伸びる内側に位置する内柱、及び外側に位置する外柱を含んで構成されている。
ここまでで特定される内容は、移動可能に構成された従来の仮設のテントと同じであっても良い。
かかるテントは、前記内柱の下端をその上に乗せた状態で着脱自在に固定できるようにされた、前記仮想直線に沿う所定幅の水平な面である水平面を有する長尺な第1部材と、前記外柱の下端をその中に挿入することができるようにされた、前記仮想直線に沿う所定幅の水平な溝を有する長尺な第2部材と、を有している。そして、前記第1部材の前記水平面に前記内柱の前記下端が固定されたときに、前記外柱の前記下端が、前記第2部材の前記溝の中で浮いた状態となるようにされているとともに、前記第1部材の前記水平面に対するその前記下端の固定が解かれた前記内柱、及び前記外柱を一旦上方に持上げてから、前記第2部材の前記溝の中に入れられた、前記外柱の下端を下側から支持するとともに、前記仮想直線に沿う移動を前記外柱が行う際に前記外柱の下端と前記溝との間で生じる摩擦力を軽減するコロの上に前記外柱を下ろしたときに、前記内柱の下端が前記第1部材の前記水平面から浮いた状態となるようにされている。
本願発明によるかかるテントは、上述のように、内柱の下端をその上に乗せた状態で着脱自在に固定できるようにされた、前記仮想直線に沿う所定幅の水平な面である水平面を有する長尺な第1部材と、外柱の下端をその中に挿入することができるようにされた、前記仮想直線に沿う所定幅の水平な溝を有する長尺な第2部材と、を有している。
第1部材は、仮想直線に沿う所定幅(長さ方向すべての部分で幅が同一である必要はない。)の水平面をその上面に備えており、例えば、板により構成される。板等に設けられた水平面に対して、内柱の下端は接続可能となっている。後述するように内柱と第1部材の水平面との固定は解除されることがあるので、内柱の下端と第1部材の水平面との固定は、ボルトとナットとを用いた螺合のような、解除可能なものとされる。テントを移動させるとき以外のときにおいて、フレームを構成する柱材に含まれる内柱の下端は、第1部材の水平面に対して固定される。内柱の下端が第1部材の水平面に固定されることにより、柱材は第1部材に固定され、これによりフレームの地面に対する確実な固定が実現される。
第2部材は、上側に開放されその内部に外柱の下端を挿入可能とされた仮想直線に沿う長尺な溝を有する。溝の幅は所定幅であり、その長さ方向のすべての部分で幅が同一である必要はない。第2部材は、例えばH鋼により構成することができ、第1部材の外側に位置するようにして配される。上述のように、テントを移動させるとき(テントが実際に移動しているときの他、移動の準備をしているときと、テントの移動後に再びテントを固定する作業を行っているときを含む。)以外のときにおいて、フレームを構成する柱材に含まれる内柱の下端は、第1部材の水平面に対して固定される。そのとき、その内柱を含む柱材における外柱の下端は、その内柱が固定された第1部材の外側に位置する第2部材の溝の中に挿入された状態となる。ただし、外柱は、溝に挿入されたその下端も含めて第2部材には固定されず、結果として、第1部材に内柱が固定されたときに、外柱の下端は溝の中で浮いた状態となる。このとき、外柱は第2部材に固定されないので、内柱と外柱とを有する柱材が第1部材に対して固定されたとしても、地面に第1部材を介して固定されるのは内柱のみなのであって、外柱は地面に固定されないから、柱材に横方向の力がはたらいたとしても、外柱の下端に大きな力(トルク)がはたらくことがない。したがって、第1部材、第2部材、或いはそれらを地面に固定するための部材にも過度な強度が要求されることがなくなるから、かかるテントは、コスト的に有利である。加えて、上述のように、テントを移動させるとき以外のときにおいては、外柱の下端は第2部材の溝の中に挿入された状態となっている。したがって、仮に横方向の力が柱材にはたらいて外柱が傾くことになった場合には、溝の中に挿入された外柱の下端或いはその付近が、溝の内面と干渉して柱材がそれ以上傾くのを防ぐ。このように、本願発明では、柱材に含まれる外柱と内柱の役割分担を異なるものとすることにより、テント構築のコストを抑制することとしている。
他方、このテントは、以下のようにして移動させる。テントを移動させるときには、まず、第1部材の水平面に対する内柱の下端の固定を解除する。そして、水平面に対するその下端の固定が解かれた内柱、及び外柱を、適当な手段、例えば、ジャッキを用いて一旦上方に持上げる。そして、内柱と外柱とを持上げた状態で、第2部材の溝の中にコロを入れ、コロの上に外柱を下ろす。外柱は、コロの上に乗った状態となる。コロは、外柱の下端と溝との間で生じる摩擦力を軽減するためのものである。コロの上に外柱の下端が乗ったとき、内柱は、第1部材の水平面から浮いた状態となる。この状態では、フレームを構成する柱材に含まれる内柱は浮いており、外柱はコロの上に乗っている。テントを構成するすべてのフレームに含まれる2つの柱材における内柱を浮いた状態とするとともに、外柱をコロの上に乗った状態とすれば、テントの例えば少なくとも一部に上述の仮想直線に沿う方向の力を加えれば、テントは、その下端が溝に嵌った状態とされた外柱を第2部材の溝に案内されながら、仮想直線に沿って移動する。外柱には、テントの移動時において溝に案内される被案内部材としての役割も与えられている。
以上のように、外柱と内柱とに、テントを移動させるときとそれ以外のときのそれぞれにおいて異なる役割を担わせることにより、本願発明のテントは、移動が可能でありつつも、コスト的に有利なものとなる。
ここで、必ずしもこの限りではないが、前記外柱と前記内柱の少なくとも一方の下端には、板状体が取付けられていても構わない。
内柱の下端に設けられた板状体は、第1部材と内柱の下端を固定するために利用可能である。例えば、板状体の適宜の位置に孔を穿っておくとともに、第1部材としての板に板状体の孔と位置合わせ可能な孔を多数穿っておき、内柱の下端の板状体の孔と第1部材の孔とを位置合わせした状態で、それら孔を貫通させたボルトにナットを螺合させる等すれば、内柱の下端を第1部材に固定することが可能となる。
外柱の下端に設けられた板状体は、コロの上に外柱を安定的に乗せるに寄与する。また、後述するように、コロは外柱の下端に取付けられる場合があるが、その場合には、板状体は、コロを外柱の下端に取付けるのに利用可能である。
前記第2部材は、所定の間隔おきに複数設けられた鉛直方向に伸びる柱である外支柱によって、複数箇所で下方から支持されていてもよい。これも、テントのコスト削減に寄与する。前記第2部材は、所定の間隔おきに複数設けられた鉛直方向に伸びる柱である外支柱によって、複数箇所で下方から支持されており、前記外支柱は、その下端で前記基礎に接続されていてもよい。これもテントのコスト削減に寄与する。基礎は、外支柱毎のものとすることができる。
2本の外柱と内柱とは、それらのうちの隣接するもの同士の間に梁を渡してトラス構造を構成するようになっていてもよい。
例えば、板の下にコロが取付けられたエンドレスコロが知られている。一般的なコロを第2部材の溝に入れるのであれば、多数のコロを溝の中に並べなければならない。エンドレスコロの如き、外柱の下端に着脱自在に取付けられるコロを外柱の下端に接続すれば、外柱の移動に伴いコロも移動することになるので、溝の中に多数のコロを並べる必要がなくなる。これも、テントを使用する場合におけるコスト削減に寄与する。
もっとも、仮設のテントの使用場面は、上述した如き建築物の建替の場面に限られず、テントは、建築物の解体が行われる場合や、建築物を建築する場面でも利用される場合がある。建築物には、人がその内部に入ることを意図したビルディング、マンション、工場等のみならず、人がその内部に入ることを意図しない、橋梁、高架の道路、高層の煙突等の構造物も含まれうる。
いずれの用途にテントが用いられるにせよ、この実施形態で説明される仮設のテントは、後述するように移動させることができる。
テント本体1は、簡単に言うと巨大なテントである。これには限られないが、この実施形態におけるテント本体1は、図示を省略の解体前の建築物をすっぽり覆うような大きさとされる。テント本体1は、これには限られないがこの実施形態では平面視矩形であり、大きい場合にはその長辺が100mに及ぶことがあり、その高さは50mに及ぶことがある。
テント本体1は、支持体2の上に乗っている。支持体2はテント本体1を支持するものであり、2本であり、いずれも直線状である。支持体2は、図示せぬ解体前の建物を挟むようにして、互いに平行に設けられる。支持体2は、所定の間隔で地面に引かれた、互いに平行な2本の仮想の直線である仮想直線(図示を省略)の上に配されている。
また、隣接する骨部材10は、図示を省略の接続材によって、それらの間隔が不変となるようにして互いに接続されている。接続材は、隣接する骨部材10同士をそれらの距離を固定した状態で接続するものである。接続材はそれが実現可能なものである限りその構成は不問であり、公知又は周知の技術により実現することができるため、その構成については説明を省略する。
接続材を用いることによって、テント本体1は、全体として一体となっており、支持体2上を支持体2に沿って移動するときにおいても、骨部材10の間隔が変化するような変形を生じないようになっている。つまり、この実施形態では、テント本体1の一部に仮想直線に沿う方向の力をかけた場合に、テント本体1全体が仮想直線に沿う方向で一体となって移動する。もっとも、テント本体1の一部のみを動かしたいとき、例えば、テント本体1のうち端から3つの骨部材10までの部分のみをまとめて移動させたい場合には、テント本体1のうちの一体として動かしたい部分に対応する骨部材10のうち隣接するもの同士を、互いに接続すれば良い。また、隣接する骨部材10同士の接続は、テント本体1を移動させるときに、テント本体1のうちの一体として動かしたい部分に対応する部分で、その都度行うこともできる。
骨部材10は、いずれも棒状の2本の柱部11と、これもいずれも棒状の2本の梁部12とを備えて構成されている。柱部11はテント本体1の柱となり壁の一部を構成するものであり、梁部12はテント本体1の梁となり屋根の一部を構成するものである。2つの柱部11と2つの梁部12とは別部材とされており、それらが組合せられ、後述の状態で固定されることにより、一体の骨部材10となるようにされている。柱部11と梁部12とは、後述するように、更に複数の部材で構成されている。
柱部11は、所定の間隔を空けて、支持体2の上に事実上鉛直に立てられるものである。テント本体1が移動を行わないとき、柱部11は支持体2に固定される。その固定は着脱自在なものとされる。柱部11と支持体2とを固定する方法については後述する。
また、テント本体1が仮想直線に沿って移動するとき、柱部11の下端は支持体2の上を支持体2に沿って移動する。柱部11の下端が支持体2の上を支持体2から外れずに、或いは支持体2に案内されてどのようにして移動するかについては後述する。
2つの梁部12の一端は、2つの柱部11の上端にそれぞれ固定されている。また2つの梁部12の他端は互いに接続されるようになっている。平面視した場合における2つの梁部12は一直線上になるようにされている。梁部12の互いに接続される他端は、梁部12の一端よりもその高さが高くなるようになっている。かかる梁部12の構成により、テント本体1の屋根は、これには限られないが、いわゆる切妻型となる。梁部12は、水平な、2本の柱部11の上端同士を結ぶように渡された1本の棒状体であってもよい。そのような梁部12を採用するのであれば、テント本体1の屋根は陸屋根となる。もちろん、テント本体1の屋根の形状はこれらに限られない。
シート20は、従来のものとその構成は同じでよい。シート20は一般には樹脂製の膜材であり、骨部材10の間に張り渡すことができる程度の柔軟性を備えている。シート20のうち、隣接する骨部材10の間に張り渡されているものは矩形の長尺材であり、隣接する骨部材10に対してその長辺をそれぞれ支持されている。骨部材10とシート20の固定の方法は、従来技術に倣えば良い。
また、これには限られないが、この実施形態では、テント本体1の両端に位置する骨部材10で囲まれた空間にもシート20が張り渡されている。テント本体1の両端に位置する骨部材10で囲まれた空間に張り渡されたシート20には、テント本体1への出入口となる扉40が必要に応じて設けられる。
シート20は、二重に張り渡されていても良い。
以上で説明した内容のうち、テント本体1の内容はすべて従来技術に即したものとすることができ、この実施形態では実際にそうされている。
柱部11は、図3に示したように、金属製の角パイプにより構成されている。奥側の2本の角パイプが、内柱11Aであり、手前側の2本の角パイプが外柱11Bである。また、下方に左右に引かれた破線は、仮想直線を上方に平行移動させた線である。
内柱11Aは、鉛直であり、その下端に、板である内板11A1が取付けられている。内板11A1は、矩形であり、その周囲が内柱11Aから外に食み出している。内柱11Aの適宜の位置、これには限られないがこの実施形態ではその四隅には、円形の孔である内孔11A2がそれぞれ穿たれている。内孔11A2は、内柱11Aを後述する第1部材に固定するために用いられる。内柱11Aと内板11A1の一辺は仮想直線に平行であり、また、これには限られないが、平面視した場合に、内柱11Aの断面の中心は、内板11A1の中心と重なるようになっている。
外柱11Bは、鉛直であり、その下端に、板である外板11B1が取付けられている。外柱11Bの太さ、長さ、材質等は内柱11Aと異ならせることも可能であるが、この実施形態ではいずれも内柱11Aと同一となっている。外板11B1は、矩形であり、その周囲が外柱11Bから外に食み出している。外柱11Bの適宜の位置、これには限られないがこの実施形態ではその四隅には、円形の孔である外孔11B2がそれぞれ穿たれている。外孔11B2は、外柱11Bを後述するエンドレスコロに固定するために用いられる。外柱11Bと外板11B1の一辺は仮想直線に平行であり、また、これには限られないが、平面視した場合に、外柱11Bの断面の中心は、外板11B1の中心と重なるようになっている。
上述した内柱11Aにおける内板11A1と、外柱11Bにおける外板11B1とは、内柱11Aと外柱11Bとをそれぞれ第1部材とエンドレスコロに対して固定することができるのであれば、必ずしも必要とはされない。
柱部11を構成する内柱11A及び外柱11Bの間には、トラス構造を作るためのトラス梁11Cが張り渡されている。図3では作図の都合から、手前に位置する2本の外柱11Bの間に張り渡されているトラス梁11Cを二点鎖線で示している。もちろん、奥に位置する2本の内柱11Aの間にも、左右に位置する内柱11A及び外柱11Bの間にも、手前に位置する2本の外柱11Bの間と同じように、トラス梁11Cが張り渡されている。トラス梁11Cもまた、角パイプで構成することができ、この実施形態ではそうされている。トラス梁11Cは、基本的には、斜めに張り渡されているが、その最下段、及び最上段の部分では水平に張り渡されている。
なお、この実施形態では、一本の柱部11に含まれる内柱11Aと外柱11Bとは各2本とされている。しかしながら、一本の柱部11に含まれる内柱11Aと外柱11Bは、少なくとも各1本あれば良い。例えば、内柱11Aと外柱11Bとが各一本の場合、柱部11は、図3の例えば、右側に位置する内柱11Aと外柱11B(及びそれらを繋ぐトラス梁)とから成ることになる。
この実施形態における柱部11は以上のように構成されているが、この実施形態において柱部11とともに骨部材10を構成する梁部12も、4本の棒状体の間にトラス梁を渡した、事実上柱部11と同じといえる構成を採用している。もちろん、柱部11と梁部12の構成を同じにする必要はない。
支持体2は、上述したように、テント本体1を支持する。テント本体1は、上述のように仮想直線に沿って移動する。支持体2は、テント本体1が移動する範囲、より詳細には、テント本体1が移動した場合において、骨部材10の柱部11の下端が存在しうる範囲にわたって存在する。いきおい、支持体2は長尺となる。
支持体2の平面図を図4に、図4におけるA−A矢視図を図5にそれぞれ示す。なお、図4に示された支持体2は、右側が内側、左側が外側である。内側とは、他方の支持体2に面する側である。つまり、図4に示された支持体2は、図1において相対的に左側に位置する支持体2である。図1において相対的右側に位置する支持体2は、図4に示された支持体2と左右反転した鏡像の関係となる。
この実施形態では、基礎材21の少なくとも一部が地面Xに埋められているが、これもこの限りではない。各基礎材21の地上に現れた部分の高さは同一であってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、支持体2の長さ方向において地面が傾斜しているのであれば、後述する第1部材及び第2部材の水平を保つために、各基礎材21の地上に現れた部分の高さを適宜変更することが可能である。例えば、相対的に地面の高さが高いところにある基礎材21程、地上に現れた部分の高さを低くするといった工夫を行うことができる。
内支柱22は、この実施形態ではすべての基礎材21に設けられている。内支柱22は、後述する第1部材を下方から支持するための柱であり、それが可能な頑丈さを備えている。これには限られないが、この実施形態における内支柱22は角柱とされている。後述するように第1部材は、テント本体1の重量を直接受けるものであるから、その第1部材を支える内支柱22はかなりの頑丈さを備えている必要がある。例えば、内支柱22は、基礎材21と一体としてコンクリート、例えば鉄筋くんクリートで構成することができ、この実施形態ではそうされている。もちろん、内支柱22を基礎材21とは別体とすることもでき、その場合には内支柱22は例えば、金属製とすることができる。
外支柱23は、この実施形態ではすべての基礎材21に設けられている。外支柱23は、内支柱22の外側に立設している。外支柱23は、後述する第2部材を下方から支持するための柱であり、それが可能な頑丈さを備えている。これには限られないが、この実施形態における外支柱23は角柱とされている。後述するように第2部材は、テント本体1の重量を直接受けるものではないから、ある程度の頑丈さは必要なものの、内支柱22程の頑丈さは要求されない。そのため、これには限られないが、この実施形態では、外支柱23は内支柱22よりも細く、図4の平面図では、後述する第2部材の下に隠れている。例えば、外支柱23は、基礎材21とは別体とされた金属製の棒状体として構成することができ、この実施形態ではそうされている。もちろん、外支柱23を基礎材21と一体とすることもでき、その場合には外支柱23は例えば、コンクリート製とすることができる。なお、この実施形態では、外支柱23の構成を内支柱22と変えているが、材質を含めて両者の構成を同一とすることも可能である。
第1部材24は、柱部11、より正確には、柱部11に含まれる内柱11Aの内板11A1との固定をなすための長尺の部材である。第1部材24の長さは、支持体2の全長にわたる。もちろん、第1部材24は一体物である必要はなく、複数に分割された長尺の部材を接続して構成されていてもよい。
第1部材24は、この実施形態では、H鋼でできている。より詳細には、第1部材24はH鋼の溝が、横方向を向くような向きで使用される。第1部材24はその長さ方向で水平である。第1部材24の上側には、板材の上面である水平な平面である水平面24Aが形成されている。この水平面24Aは、支持体2の全長に及ぶ。水平面24Aは、所定幅であり、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では第1部材24の全長において同幅である。水平面24Aの幅は、例えば、内柱11Aの内板11A1の内外方向の長さよりも幾らか長くされており、それにより、当該平面の上に乗った内柱11Aを安定した状態で支持できるようになっている。第1部材24の両縁沿いには、第1部材24の長さ方向の全長にわたって、所定間隔、これには限られないがこの実施形態では一定の間隔で孔24Bが穿たれている。この孔は、第1部材24に、内柱11A、より詳細には内柱11Aの下端の内板11A1を固定するために用いられる。
第2部材25は、後述するようにして、移動させるとき以外のときのテント本体1を、或いはテント本体1に含まれる柱部11を安定させるとともに、移動するときのテント本体1を、或いはテント本体1に含まれる柱部11を案内することにより、移動するテント本体1を安定させる役割を担う。第2部材25は、長尺であり、その長さは、支持体2の全長にわたる。もちろん、第2部材25は一体物である必要はなく、複数に分割された長尺の部材を接続して構成されていてもよい。
第2部材25は、この実施形態では、H鋼でできている。より詳細には、第2部材25はH鋼の溝が、縦方向を向くような向きで使用される。これには限られないが、第2部材25は、板である接続板26を介して、外支柱23の上に固定されている。接続板26は、外支柱23の断面よりも一回り大きな矩形の板である。第2部材25の上側には、H鋼が元から備える形状によって、溝25Aが形成されている。H鋼である第2部材25は長さ方向で水平であり、溝25Aも水平である。この溝25Aは、支持体2の全長に及ぶ。この平面は、所定幅であり、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では第2部材25の全長において同幅である。溝25Aの幅は、外柱11Bの下端に取付けられている外板11B1の内外方向の長さと同じかそれよりも僅かに長くされており、それにより、外柱11Bの下端、或いはそこに取付けられた外板11B1は、溝25Aの中に挿入可能となっている。溝25Aの中に挿入された外板11B1は、基本的には水平を保つ。
第2部材25の溝25Aの幅方向の中心から、第1部材24の水平面24Aの幅方向の中心までの距離は、同じ柱部11に含まれる内柱11Aの中心から外柱11Bの中心までの距離に等しくされている。
また、第1部材24と第2部材25との間には、両者を繋ぐように、板である支持板27が取付けられている。支持板27は、これには限られないが、この実施形態では矩形である。支持板27はこれには限られないが、この実施形態では水平とされている。
まず、テント本体1が固定されている状態のときについて説明する。
図1を参照して既に説明したように、テント本体1は2本の支持体2に固定される場合がある。
その場合において、テント本体1を構成する各骨部材10にそれぞれ含まれる2本の柱部11は、2つの支持体2にそれぞれ固定される。
その場合における、支持体2とある柱部11との関係を図6に示す。図6は、支持体2と柱部11の下端付近を、図4におけるA−A矢視の方向から見たところを示す図である。
柱部11には上述したように、内柱11Aと外柱11Bとが含まれている。
これらのうち、2本の内柱11Aが、より詳細には、2本の内柱11Aの下端にそれぞれ取付けられた内板11A1が、第1部材24の水平面24Aの上に乗る。そして、その状態で、内板11A1と、第1部材24とが互いに固定される。かかる固定を行う場合、内板11A1に設けられた4つの内孔11A2と、第1部材24の水平面24Aに穿たれた多数の孔24Bのうちの4つとを位置合わせする。そして、内孔11A2及び孔24Bをまとめて貫く4本のボルト31のそれぞれにナット32を螺合させることにより、ボルト31の頭とナット32との間で、内板11A1と第1部材24の水平面24を有する板とをまとめて挟持する。これにより、内柱11Aの下端に固定された内板11A1が、第1部材24に固定され、これにより、内柱11Aを含む柱部11の下端が支持体2に固定される。このとき、図6に示したように、外柱11Bの下端に取付けられた外板11B1は、第2部材25の溝25Aの中に入ってはいるものの、浮いた状態となっている。
以上のような柱部11の支持体2に対する固定は、すべての骨部材10における両柱部11で行われる。また、かかる柱部11の支持体2に対する固定は、ボルト31とナット32の螺合を解除することによって解除される、着脱自在なものである。
柱部11が上述のような状態で、支持体2に固定されているとき、テント本体1の重量は、柱部11を構成する内柱11Aから、第1部材24、内支柱22を経て、基礎材21に掛かることになる。つまり、テント本体1の重量は、主に内柱11Aと第1部材24によって支えられることになる。他方、この状態で、外柱11Bの下端に取付けられた外板11B1は、第2部材25の溝25Aの中に入ってはいるものの、浮いた状態となっているから、テント本体1が横風を受けるなどして、柱部11に横方向の力がはたらいたとしても、基礎材21に横方向の2つの場所(つまり、外柱11Bと内柱11Aの下)で力がはたらくわけではないので、背景技術の欄で説明したようなトルクが生じることはない。とはいえ、外柱11Bの下端の外板11B1が第2部材25の溝25Aの中に入っているため、柱部11に含まれる内柱11Aがある程度以上傾くと、外板11B1が溝25Aの内面に係止されることにより、それ以上の柱部11の傾きが抑制される。
このように、内柱11Aと外柱11Bとに異なる役割を担わせることにより、テント本体1を強固に支持体2へ固定することが可能となる。
その場合には、テント本体1を構成する骨部材10の支持体2に対する固定を解除する。上述したようにテント本体1は、その全体をまとめて移動させることもあるが、その一部(例えば、ある骨部材10から、他の骨部材10までの部分)のみを移動させることもある。支持体2に対する固定を解除する対象となるのは、テント本体1に含まれる骨部材10のうち、移動の対象となる範囲に含まれる骨部材10である。
骨部材10と支持体2の固定を解除するには、ボルト31とナット32の螺合を解除して、内孔11A2及び孔24Bからボルト31を引き抜けば良い。
次に、支持体2との固定が解除された骨部材10を、例えばジャッキアップすることにより、上方に幾らか持ち上げる。骨部材10のどこをジャッキアップするかは自由であるが、この実施形態では、第1部材24と第2部材25との間に渡された上述の支持板27の上にジャッキ50を配置するとともに、そのジャッキ50で、支持板27の上方に位置する、柱部11に含まれる、内柱11Aと外柱11Bとの下端付近に設けられた水平なトラス梁11Cを押し上げることにより、柱部11を、ひいては骨部材10の全体をジャッキアップすることとしている。これには限られないが、この実施形態では、同じ骨部材10に含まれる2本の柱部11を同時にジャッキアップすることとしており、更に好ましくは、テント本体1のうち移動の対象となる骨部材10に含まれる柱部11のすべてを同時にジャッキアップすることとしている。
なお、ジャッキ50は、公知或いは周知のものとすることができ、その用法も公知或いは周知のものとすることができる。
その状態で、溝25Aの中にコロを置くか、外柱11Bの下端に位置する外板11B1の下面に、エンドレスコロを取付ける。コロを溝25Aの中に置く場合には、溝25Aの長さ方向の少なくとも柱部11が移動する範囲内に、多数のコロを並べる。この実施形態では、移動の対象となる、ジャッキアップすることにより、幾らか浮かされた状態となっている外柱11Bの下端に位置する外板11B1の下面にエンドレスコロ35を取付けることとしている。
エンドレスコロ35は、ジャッキアップすることにより幾らか浮かされた状態となっている外柱11Bのすべての外板11B1の下面に取付けられる。エンドレスコロ35は、板の下にコロを取付けたものであり、公知、或いは周知のものとすることができる。簡単にいうと、エンドレスコロ35は、板の下に車輪が取付けられた台車の車輪をコロに置き換えたようなものである。エンドレスコロ35としては、例えば、カツヤマキカイ株式会社が製造販売するエンドレスコロ(商品名:チルタンク(商標)のタイプ3)を用いることができる。外板11B1の下にエンドレスコロ35を取付ける方法は、公知或いは周知の方法によればよい。
幾らか浮かされた骨部材10に含まれる外柱11Bにおける外板11B1のすべてにエンドレスコロ35を取付けたら、ジャッキアップしていた骨部材10を下方に下ろす。骨部材10を下ろす場合には、これには限られないが、この実施形態では、同じ骨部材10に含まれる2本の柱部11を同時に下ろすこととしており、更に好ましくは、テント本体1のうち移動の対象となる骨部材10に含まれる柱部11のすべてを同時に下ろすこととしている。骨部材10が下ろされた状態を図7に示す。
下ろされた骨部材10に含まれる各柱部11における内柱11Aの下端の内板11A1は、骨部材10が下ろされてもなお第1部材24の水平面24Aから浮いた状態となっている。第1部材24からどの程度内板11A1を浮かせた状態とするかは適宜決定すれば良いが、例えば10mmも浮いていれば十分である。
他方、下ろされた骨部材10に含まれる各柱部11における外柱11Bの下端の外板11B1は、骨部材10が下ろされると、エンドレスコロ35に乗った状態となる。もちろん、このとき、エンドレスコロ35に含まれるコロの下面は溝25Aの底に当接している。また、外板11B1は、第2部材25の溝25Aの中に位置する。
ジャッキアップする前後で、第1部材24と内板11A1が上述の状態をそれぞれ生じ、ジャッキアップする前後で第2部材25と外板11B1とが上述の状態をそれぞれ生じるのであれば、内柱11Aと外柱11Bの長さ、或いは内板11A1と外板11B1の下面の高さは一致している必要はないし、第1部材24の水平面24Aと第2部材の溝25Aの高さは、図示した通りの関係である必要もない。
上述のような力を加えると、テント本体1のうちの移動させるべき部分は、仮想直線に沿って加えられた力の方向に移動する。そのとき、エンドレスコロ35が柱部11のより詳細には、柱部11に含まれる外柱11Bの下端に位置する外板11B1の下面に存在するので、外板11B1と第2部材25の溝25Aとの間の摩擦抵抗は小さい。したがって、比較的小さな力でテント本体1を移動させることができる。加えて、各外板11B1が、仮想直線に沿う方向に伸びる第2部材25に設けられた溝25Aの中で溝25Aによって案内されるので、テント本体1の移動は安定したものとなる。
そして、骨部材10を再び下ろし、第1部材24に対して内板11A1の内板11A1を、ボルト31とナット32を用いて上述した場合と同じようにして固定する。そうすると、骨部材10及び支持体2は、図6に示した状態に戻る。これにより、移動させられた位置で、テント本体1の移動させられた部分が支持体2に対して再び固定される。
テント本体1の一部のみの移動が行われたのであれば、上述の処理を繰り返せばテント本体1の全体の移動を行うことが可能となる。
2 支持体
10 骨部材
11 柱部
11A 内柱
11A1 内板
11B 外柱
11B1 外板
12 梁部
21 基礎材
22 内支柱
23 外支柱
24 第1部材
24A 水平面
25 第2部材
25A 溝
Claims (8)
- 所定の間隔で地面に引かれた、互いに平行な2本の仮想の直線である仮想直線の上方に、鉛直方向に伸びる柱である2本の柱材の下端がそれぞれ位置するようにして所定の間隔で置かれた、2本の前記柱材と、2本の前記柱材の上端を繋ぐ屋根材とを有する少なくとも2つのフレームと、
隣接する前記フレームの間を少なくとも覆う膜材と、
を含んで構成される、前記仮想直線に沿って移動可能とされたテントであって、
2本の前記柱材はそれぞれ、それらのいずれもが鉛直方向に伸びる内側に位置する内柱、及び外側に位置する外柱を含んで構成されているとともに、
前記内柱の下端をその上に乗せた状態で着脱自在に固定できるようにされた、前記仮想直線に沿う所定幅の水平な面である水平面を有する長尺な第1部材と、
前記外柱の下端をその中に挿入することができるようにされた、前記仮想直線に沿う所定幅の水平な溝を有する長尺な第2部材と、
を有しており、
前記第1部材の前記水平面に前記内柱の前記下端が固定されたときに、前記外柱の前記下端が、前記第2部材の前記溝の中で浮いた状態となるようにされているとともに、
前記第1部材の前記水平面に対するその前記下端の固定が解かれた前記内柱、及び前記外柱を一旦上方に持上げてから、前記第2部材の前記溝の中に入れられた、前記外柱の下端を下側から支持するとともに、前記仮想直線に沿う移動を前記外柱が行う際に前記外柱の下端と前記溝との間で生じる摩擦力を軽減するコロの上に前記外柱を下ろしたときに、前記内柱の下端が前記第1部材の前記水平面から浮いた状態となるようにされている、
テント。 - 前記外柱と前記内柱の少なくとも一方の下端には、板状体が取付けられている、
請求項1記載のテント。 - 前記第1部材は、所定の間隔おきに複数設けられた鉛直方向に伸びる柱である内支柱によって、複数箇所で下方から支持されている、
請求項1記載のテント。 - 前記第2部材は、所定の間隔おきに複数設けられた鉛直方向に伸びる柱である外支柱によって、複数箇所で下方から支持されている、
請求項1記載のテント。 - 前記内支柱は、その下端で、その一部が地面と固定された基礎に接続されている、
請求項3記載のテント。 - 前記第2部材は、所定の間隔おきに複数設けられた鉛直方向に伸びる柱である外支柱によって、複数箇所で下方から支持されており、
前記外支柱は、その下端で前記基礎に接続されている、
請求項5記載のテント。 - 前記柱材は、前記仮想直線に沿って並ぶ2本の前記内柱と、前記仮想直線に沿って並ぶ2本の前記外柱とを備えており、2本の前記内柱と2本の前記外柱とは、平面視したときに矩形となるように配列されている、
請求項1記載のテント。 - 前記コロは、前記外柱の下端に着脱自在に取付けられるようになっている、
請求項1記載のテント。
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