JP2021011621A - キャップ用アルミニウム合金板 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐応力緩和特性に優れるキャップ用アルミニウム合金板を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るキャップ用アルミニウム合金板は、Si:0.30質量%以下、Fe:0.20質量%以上0.70質量%以下、Cu:0.10質量%以上0.40質量%以下、Mn:0.20質量%以上0.80質量%以下、Mg:0.20質量%以上0.80質量%以下であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、125℃で3時間の熱処理の後における圧延平行方向の耐力をRAN/mm2とし、前記熱処理の前における圧延平行方向の耐力をRBN/mm2とした場合に、RA−RBが2以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、キャップ用アルミニウム合金板に関する。
通常、ボトル缶等のキャップは、キャップ用アルミニウム合金板に対して塗装や印刷を施した後、打ち抜き加工および絞り加工を施してカップ状に成形するといったキャップ加工等が施されて製造される。その後、ボトル缶の開口部にキャップが巻締された後、最終的に殺菌のためのレトルト処理が施される。
このレトルト処理では、温度上昇および温度上昇に伴う缶の内圧の上昇によって、キャップ天面が変形してしまう場合がある。
そして、近年におけるボトル缶全体の薄肉化や、開口部が広口化したボトル缶の登場に伴い、前記したキャップ天面が変形するという問題がより鮮明に現れることとなった。
このようなキャップ用アルミニウム合金板に関して、以下のような技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、mass%で、Si:0.1%以上0.6%以下、Fe:0.2%以上0.7%以下、Cu:0.01%以上0.3%以下、Mn:0.3%以上0.8%未満、Mg:0.2%以上0.8%未満を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成されるキャップ用アルミニウム合金板が開示されている。
そして、このキャップ用アルミニウム合金板は、引張強さが200MPa以上300MPa以下であり、最終板断面による金属間化合物の面積占有率が1.0%以上3.0%以下、かつ、円相当径3μmを超える金属間化合物の個数密度が300ヶ/mm以上1000ヶ/mm以下であって、耳率が−3%以上+3%以下であることを特徴としている。
特開2015−086401号公報
特許文献1に係る技術は、キャップ用アルミニウム合金板の高強度化という技術的思想に基づいて、キャップ天面の強度の低下を抑制しようとしている。
しかしながら、キャップ用アルミニウム合金板を高強度化すると、開栓性の低下や、成形性の低下を招いてしまう。
よって、従来から提案されてきた技術とは全く異なる技術的思想に基づいたキャップ天面の変形を抑制できるような技術の創出が求められている。
そこで、本発明は、耐応力緩和特性に優れるキャップ用アルミニウム合金板を提供することを課題とする。
本発明に係るキャップ用アルミニウム合金板は、Si:0.30質量%以下、Fe:0.20質量%以上0.70質量%以下、Cu:0.10質量%以上0.40質量%以下、Mn:0.20質量%以上0.80質量%以下、Mg:0.20質量%以上0.80質量%以下であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、125℃で3時間の熱処理の後における圧延平行方向の耐力をRN/mmとし、前記熱処理の前における圧延平行方向の耐力をRN/mmとした場合に、R−Rが2以上である。
本発明に係るキャップ用アルミニウム合金板は、優れた耐応力緩和特性を発揮する。
耐応力緩和特性の評価方法を説明するための図である。
以下、本発明に係るキャップ用アルミニウム合金板(以下、単にアルミニウム合金板ともいう)およびキャップ用アルミニウム合金板の製造方法(以下、単にアルミニウム合金板の製造方法ともいう)を実施するための形態について、詳細に説明する。
[キャップ用アルミニウム合金板]
本実施形態に係るアルミニウム合金板は、Si、Fe、Cu、Mn、Mgの含有量が所定範囲内(または所定値以下)であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。また、本実施形態に係るアルミニウム合金板は、熱処理前後の耐力の変化量が所定値以上となる。
以下、各構成について詳細に説明する。
(Si:0.30質量%以下)
Siは、適度に添加すると絞り成形性を向上することができ、また耳率を調整する役割を担うとともに再結晶挙動、強度特性にも影響を及ぼす。ただ、Siの含有量が0.30質量%を超えると、逆にキャップ絞り成形性およびキャップ巻き締め成形性が低下する。
よって、Siの含有量は0.30質量%以下である。
Siの含有量は、成形性の低下を抑制する観点から、0.25質量%以下が好ましく、0.20質量%以下がより好ましい。また、Siの含有量は、前記した効果を十分に発揮させる観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。
(Fe:0.20質量%以上0.70質量%以下)
Feは、Al、MnやSiと結びついて金属間化合物を生成し、亀裂伝播性、すなわち、巻き締め後開栓するときのブリッジ破断性を向上させる。Feの含有量が0.20質量%未満であると、開栓性が低下する。一方、Feの含有量が0.70質量%を超えると、ブリッジ強度が低下する。
よって、Feの含有量は、0.20質量%以上0.70質量%以下である。
Feの含有量は、前記した効果を十分に発揮させる観点から、0.30質量%以上が好ましく、0.40質量%以上がより好ましい。また、Feの含有量は、ブリッジ強度低下を抑制する観点から、0.65質量%以下が好ましい。
(Cu:0.10質量%以上0.40質量%以下)
Cuは、アルミニウム合金板の強度を高める役割と耐応力緩和特性を付与する役割を担う。Cuの含有量が0.10質量%未満であると、十分な強度確保が難しく、十分な耐応力緩和特性が得られない。一方、Cuの含有量が0.40質量%を超えると、強度が高くなりすぎて、キャップ巻き締め成形性が低下するとともに、開栓性が低下する原因ともなる。
よって、Cuの含有量は、0.10質量%以上0.40質量%以下である。
Cuの含有量は、前記した効果を十分に発揮させる観点から、0.15質量%以上が好ましく、0.20質量%以上がより好ましい。また、Cuの含有量は、成形性や開栓性の低下を抑制する観点から、0.35質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましい。
(Mn:0.20質量%以上0.80質量%以下)
Mnは、アルミニウム合金板の強度を高めるとともに、金属間化合物を生成して亀裂伝播性、巻き締め後開栓するときのブリッジ破断性を向上させる役割を担う。Mnの含有量が0.20質量%未満であると、十分な強度確保が難しい上に金属間化合物が不足し、ブリッジ破断性が低下するので開栓性が低下する。一方、Mnの含有量が0.80質量%を超えると、強度が高くなりすぎて、キャップ巻き締め成形性が低下するとともに、開栓性が低下する原因ともなる。
よって、Mnの含有量は、0.20質量%以上0.80質量%以下である。
Mnの含有量は、前記した効果を十分に発揮させる観点から、0.25質量%以上が好ましく、0.30質量%以上がより好ましい。また、Mnの含有量は、成形性や開栓性の低下を抑制する観点から、0.70質量%以下が好ましく、0.60質量%以下がより好ましい。
(Mg:0.20質量%以上0.80質量%以下)
Mgは、強度を高める役割を担う。Mgの含有量が0.20質量%未満であると、十分な強度を確保できない。一方、Mgの含有量が0.80質量%を超えると、強度が高くなりすぎて、キャップ巻き締め成形性が低下するとともに、開栓性が低下する原因ともなる。
よって、Mgの含有量は、0.20質量%以上0.80質量%以下である。
Mgの含有量は、前記した効果を十分に発揮させる観点から、0.25質量%以上が好ましい。また、Mgの含有量は、成形性や開栓性の低下を抑制する観点から、0.70質量%以下が好ましく、0.60質量%以下がより好ましい。
(残部がAlおよび不可避的不純物)
本実施形態に係るアルミニウム合金板を構成する基本的な化学組成は前記のとおりであり、残部はAlおよび不可避的不純物である。不可避的不純物は、材料の溶解時に不可避的に混入する不純物であり、アルミニウム合金板の諸特性を害さない範囲で含有される。不可避的不純物としては、例えば、Cr、Zn、Ti、Zrなどが挙げられる。また、前記したSiも不可避的不純物として含有されていてもよい。
これらの不可避的不純物は、個々に0.005質量%以下、合計で0.015質量%以下であれば本発明の効果を阻害しない。したがって、本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で不可避的不純物を含有させていてもよく、また、本発明の効果を阻害しない範囲で積極的に添加された場合であっても、本発明の効果を妨げない。つまり、これらの態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(熱処理前後の耐力の変化量)
本発明者らは、アルミニウム合金板の耐応力緩和特性について鋭意検討した結果、当該特性に対して熱処理前後の耐力の変化量が大きな影響を及ぼすことを見出した。
詳細には、本実施形態に係るアルミニウム合金板は、125℃で3時間の熱処理の後における圧延平行方向(圧延方向と平行となる方向)の耐力をRN/mmとし、前記熱処理の前における圧延平行方向の耐力をRN/mmとした場合に、R−Rが2以上となると、優れた耐応力緩和特性を発揮できることがわかった。
そして、熱処理前後の耐力の変化量(R−R)は、耐応力緩和特性をより向上させる観点から、3以上が好ましい。
そして、本実施形態に係るアルミニウム合金板の熱処理前後の耐力の変化量(R−R)を所定値以上とするのは、後記する特殊な仕上げ焼鈍を施すことによって実現することができる。
なお、耐力は、熱処理前後のアルミニウム合金板から、引張方向が圧延方向と平行になるように切り出したJIS5号の試験片を用いて、JIS Z 2241:2011に準拠して引張試験を実施して測定することができる。
(用途)
本実施形態に係るアルミニウム合金板は、キャップ用である。
そして、キャップとは、具体的には、スカート部の端部のブリッジが開栓時に破断することで開栓されたことが確認できるキャップ、いわゆるPPキャップ(pilfer proof cap)であり、スクリューキャップとも呼ばれる。
[キャップ用アルミニウム合金板の製造方法]
本実施形態に係るアルミニウム合金板の製造方法は、均質化熱処理工程と、面削工程と、再加熱工程と、熱間圧延工程と、第一冷間圧延工程と、中間焼鈍工程と、第二冷間圧延工程と、仕上げ焼鈍工程と、を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程は、製造するアルミニウム合金板の鋳造偏析成分の均質化と再結晶に必要な析出物を適切に成長させるために行う。そのため、この均質化熱処理工程では、保持温度:550〜630℃、保持時間:1〜10時間の条件で、前記した成分組成からなるアルミニウム合金のスラブに対して均質化熱処理を行う。
ここで、均質化熱処理の処理温度が550℃未満であると金属間化合物の生成が不十分となり、再結晶、キャップ開栓性に悪影響を及ぼす。また、均質化熱処理の処理時間が1時間未満であると、十分な均質化ができず、特性のばらつきが大きくなる。
一方、均質化熱処理の処理温度が630℃を超えると、バーニングを起こすので、製品表面品質上問題となる。また、均質化熱処理の処理時間が10時間を超えると、生産性が阻害され不適である。
(面削工程)
面削工程は、スラブ表面の不均一層を除去するために行う。面削工程におけるスラブ表面の面削量は、アルミニウム合金の成分組成や、製造条件などによって異なるので、事前に実験等によって適切な条件を設定するのが好ましい。
(再加熱工程)
再加熱工程は、熱間圧延温度への加温のために行う。そのため、この再加熱工程は、保持温度:450〜530℃、保持時間:1〜10時間の条件で、前記した面削工程で表面を面削したスラブに対して再加熱を行う。
ここで、再加熱温度が450℃未満であると、圧延負荷が大きくなり、熱間圧延パス回数を増やさなければならず、経済的に不利となる。また、再加熱時間が1時間未満であると、鋳塊全体に亘って均質な温度とすることが難しく特性がばらつき易くなる。
(熱間圧延工程)
熱間圧延工程は、冷間圧延厚まで板厚を減少させるため、および最適な内部組織への制御のために行う。熱間圧延工程は通常、リバース圧延機にて所定厚まで板厚を減少させる熱間粗圧延と、熱間粗圧延後、一気にホットコイル厚までタンデム圧延機を使って高圧下をかける熱間仕上圧延と、に分かれる。
この熱間圧延工程は、前記した再加熱工程で得たスラブに対して圧延終了温度:300〜380℃の条件で熱間圧延を行うことで熱間圧延板を得る。また、熱間圧延工程後、更に、360〜390℃、1〜5時間の粗焼鈍を実施してもよい。
(第一冷間圧延工程)
第一冷間圧延工程は、中間焼鈍厚まで板厚を減少させるために行う。そのため、この冷間圧延工程は、圧下率:50〜90%の条件で、熱間圧延板に対して冷間圧延を行うことで、冷間圧延板を得る。
ここで、冷間圧延の圧下率が50%未満であると、冷間圧延で導入される歪が不十分で中間焼鈍において粗大な再結晶が生じやすくなるため不適である。一方、冷間圧延の圧下率が90%を超えると、中間焼鈍厚までの冷間圧延パス回数が増え、生産性が低下する。
(中間焼鈍工程)
中間焼鈍工程は、加熱時間(加熱開始から終了までの時間):15〜30秒、到達温度:400〜530℃の条件で、冷間圧延板に対して中間焼鈍を行う。そして、必要に応じて、加熱炉を通過後の板材に対し空冷又は水冷を実施する。
中間焼鈍工程は、前記した条件等で実施してもよいが、保持温度:300〜500℃、保持時間:1〜5時間の条件で行ってもよい。
(第二冷間圧延工程)
第二冷間圧延工程は、製品厚へ板厚を薄肉化するため、および耳率と強度調整のために行う。そのため、この第二冷間圧延工程は、中間焼鈍を施した冷間圧延板に対して、圧下率:25〜75%の条件で仕上げ冷間圧延(第二冷間圧延)を行うことで、仕上げ冷間圧延板を得る。
ここで、仕上げ冷間圧延の圧下率が25%未満であると、十分な強度を得ることができない。
一方、仕上げ圧延の圧下率が75%を超えると、圧延集合組織が発達して耳率が大きくなる。
(仕上げ焼鈍工程)
仕上げ焼鈍工程は、従来一般的に採用されている炉の温度:200〜250℃、保持時間4時間以内の条件等で行われる低温長時間の仕上げ焼鈍を、加熱時間(加熱開始から終了までの時間):15〜30秒、到達温度:230〜290℃の条件の高温短時間での仕上げ焼鈍に変更することによって、板材に対して時効硬化特性を付与し、耐応力緩和特性を向上させる。高温短時間での仕上げ焼鈍後、必要に応じて、加熱後の板材に対し空冷又は水冷を実施する。なお、前記仕上げ焼鈍は塗装工程で行ってもよい。
(その他の工程)
本実施形態に係るアルミニウム合金板の製造方法は、例えば、仕上げ焼鈍工程の後の歪矯正処理などを適宜実施してもよく、さらに、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、他の工程(一般的に実施されるような工程)を含めてもよい。
なお、本実施形態に係るアルミニウム合金板の製造方法について、「均質化熱処理工程」→「面削工程」→「再加熱工程」→「熱間圧延工程」の流れ(いわゆる2回均熱)で説明したが、均質化熱処理の後、冷却することなく熱間圧延を行う流れ(いわゆる1回均熱)としてもよいし、均質化熱処理の後、熱間圧延開始温度まで冷却し、熱間圧延を行う流れ(いわゆる2段均熱)としてもよい。なお、「1回均熱」および「2段均熱」を行う場合は、均質化熱処理の前に面削を行っておけばよい。
[キャップ用アルミニウム合金板を製造した後の工程]
前記の方法によって製造されたアルミニウム合金板は、その後、打ち抜き加工および絞り加工を施してカップ状に成形するといったキャップ加工等が施される。そして、ボトル缶の開口部にキャップが巻締された後、最終的に殺菌のためのレトルト処理が施される。
このレトルト処理は、おおよそ125℃程度で10〜30分の熱処理で実施される。
以下、本発明の実施例を示して本発明について具体的に説明を行う。ただし、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
[供試材の準備]
表1に示す化学組成の鋳造したスラブに対して、面削、均質化熱処理、熱間圧延、第一次冷間圧延、を実施した。その後、中間焼鈍を実施し、板厚が0.21〜0.23mmとなるまで第二冷間圧延(冷間加工率:No.1は55%、No.2は55%、No.3は53%、No.4は53%、No.5は55%)を実施した。その後、表1に示す条件の仕上げ焼鈍を実施し、各供試材を製造した。
なお、面削、均質化熱処理、熱間圧延、第一次冷間圧延、中間焼鈍、第二冷間圧延は、前記した本実施形態に係るアルミニウム合金板の製造方法に記載した条件で実施した。
製造したアルミニウム合金板(供試材)について、下記に示す方法に基づき、「熱処理前後の耐力の変化量」と「耐応力緩和特性」を測定および評価した。
(熱処理前後の耐力の変化量)
まず、供試材に対して塗装工程を模擬した熱処理(190℃×10分)を施した。
そして、レトルト処理時の耐力変化を評価するための条件である熱処理(125℃×3時間)を施し、当該熱処理の後の耐力RAと、当該熱処理の前の耐力Rと、を測定した。
耐力の測定では、まず、供試材から引張方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号の試験片を切り出した。この試験片を用いて、JIS Z 2241:2011(オフセット方法)に準拠して引張試験を実施し、耐力(0.2%耐力)を測定した。なお、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
そして、熱処理前後の耐力の変化量(R−R)を算出した。
(耐応力緩和特性)
まず、供試材に対して塗装工程を模擬した熱処理(190℃×10分)を施し、予ひずみ(2.0%)を加えた。
そして、供試材から長手方向が圧延方向と平行になるように幅10mm×長さ100mmの試験片を切り出した。そして、下記(1)式における曲げ応力が、塗装工程を模擬した熱処理後の耐力の約80%負荷されるように、下記(2)、(3)式を用いて図1中のスパン長さを供試材ごとに決定し、次の試験を実施した。
曲げ応力を負荷した状態(図1に示す状態)で大気炉に入れ、レトルト処理を模擬した熱処理(125℃×3時間)を施した。その後、大気炉から取り出し、曲げ応力を除荷し、曲げ応力除荷後の変形量aを測定した。
曲げ応力除荷後の変形量aが4.5mm以下のものを耐応力緩和特性に優れる「〇」と評価し、4.5mmを超えるものを耐応力緩和特性に劣る「×」と評価した。
σ=M/Z・・・(1)
σ:曲げ応力[N/mm
M:曲げモーメント[N・mm]
Z:断面係数(Z[mm]=(w×t)/6)
w:板幅[mm]、t:板厚[mm]
M=P×x・・・(2)
M:曲げモーメント[N・mm]
P:先端荷重[N]
x:スパン長さ[mm]
P=(3×E×I×δ)/x・・・(3)
P:先端荷重[N]
E:ヤング率[N/mm
I:断面二次モーメント(I[mm]=(w×t)/12)
w:板幅[mm]、t:板厚[mm]
δ:たわみ量(10[mm])
x:スパン長さ[mm]
表には、アルミニウム合金板の化学組成、ならびに、前記で測定または評価した結果を示す。なお、表中の下線は、本発明の発明特定事項を満たしていないことを示す。
Figure 2021011621
[結果の検討]
表1に示すように、No.1〜3は、本発明の規定を満たすため、耐応力緩和特性に優れるとの結果となった。
一方、No.4、5は、仕上げ焼鈍の焼鈍時間が長かったため、熱処理前後の耐力の変化量(R−R)が小さく、その結果、耐応力緩和特性に劣るとの結果となった。
以上、本発明について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更などすることができることはいうまでもない。

Claims (1)

  1. Si:0.30質量%以下、
    Fe:0.20質量%以上0.70質量%以下、
    Cu:0.10質量%以上0.40質量%以下、
    Mn:0.20質量%以上0.80質量%以下、
    Mg:0.20質量%以上0.80質量%以下であり、
    残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
    125℃で3時間の熱処理の後における圧延平行方向の耐力をRN/mmとし、前記熱処理の前における圧延平行方向の耐力をRN/mmとした場合に、R−Rが2以上であることを特徴とするキャップ用アルミニウム合金板。
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