JP2021008642A - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低抵抗なタングステン膜を成膜する基板処理方法及び基板処理装置を提供する。【解決手段】基板を載置するサセプタを有する処理容器と、前記処理容器内へヨウ化タングステンガスを供給する原料ガス供給部と、前記処理容器内へ還元ガスを供給する還元ガス供給部と、を備える基板処理装置の基板処理方法であって、前記処理容器内にヨウ化タングステンガスおよび還元ガスを同時にまたは前記処理容器内のパージを挟んで交互に供給して、前記基板にタングステン膜を成膜する、基板処理方法。【選択図】図1

Description

本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
半導体装置の製造工程において、例えば、MOSFETのゲート電極、DRAMのワードライン等に、タングステン膜が用いられている。
特許文献1には、タングステン原料としての六塩化タングステンガスと、還元ガスとしての水素ガスと、を反応させて、タングステン膜を成膜するタングステン膜の成膜方法が開示されている。また、特許文献1の背景技術として、タングステン原料としての六フッ化タングステンガスと、還元ガスとしての水素ガスと、を反応させて、タングステン膜を成膜するタングステン膜の成膜方法が開示されている。
国際公開第2015/080058号
一の側面では、本開示は、低抵抗なタングステン膜を成膜する基板処理方法及び基板処理装置を提供する。
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板を載置するサセプタを有する処理容器と、前記処理容器内へヨウ化タングステンガスを供給する原料ガス供給部と、前記処理容器内へ還元ガスを供給する還元ガス供給部と、を備える基板処理装置の基板処理方法であって、前記処理容器内にヨウ化タングステンガスおよび還元ガスを同時にまたは前記処理容器内のパージを挟んで交互に供給して、前記基板にタングステン膜を成膜する、基板処理方法が提供される。
一の側面によれば、低抵抗なタングステン膜を成膜する基板処理方法及び基板処理装置を提供することができる。
本実施形態に係る成膜装置の断面模式図の一例。 CVDプロセスにより成膜する際のガス供給シーケンスの一例。 ALDプロセスにより成膜する際のガス供給シーケンスの一例。 膜構造の一例を示す模式図。
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
<成膜装置>
本実施形態に係る成膜装置(基板処理装置)100について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る成膜装置100の断面模式図の一例である。成膜装置100は、ウェハ等の基板Wに対して、成膜原料ガスとしてのヨウ化タングステン(WI)ガス及び還元ガスとしてのHガスを供給して、基板Wの表面にタングステン膜を成膜する装置である。成膜装置100は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、ALD(Atomic Layer Deposition)装置等により構成される。
成膜装置100は、気密に構成された略円筒状のチャンバ1を有しており、その中には被処理基板である基板Wを水平に支持するためのサセプタ2が、後述する排気室21の底部からその中央下部に達する円筒状の支持部材3により支持された状態で配置されている。このサセプタ2は例えばAlN等のセラミックスからなっている。また、サセプタ2にはヒータ4が埋め込まれており、このヒータ4にはヒータ電源5が接続されている。一方、サセプタ2の上面近傍には熱電対6が設けられており、熱電対6の信号はヒータコントローラ7に伝送されるようになっている。そして、ヒータコントローラ7は熱電対6の信号に応じてヒータ電源5に指令を送信し、ヒータ4の加熱を制御して基板Wを所定の温度に制御するようになっている。なお、サセプタ2には3本の基板昇降ピン(図示せず)がサセプタ2の表面に対して突没可能に設けられており、基板Wを搬送する際に、サセプタ2の表面から突出した状態にされる。また、サセプタ2は昇降機構(図示せず)により昇降可能となっている。
チャンバ1の天壁1aには、円形の孔1bが形成されており、そこからチャンバ1内へ突出するようにシャワーヘッド10が嵌め込まれている。シャワーヘッド10は、後述する処理ガス供給機構8から供給された各種の処理ガスをチャンバ1内に吐出する。シャワーヘッド10の上部には、成膜原料ガス(WIガス)およびパージガス(Nガス)を導入する第1の導入路11と、還元ガス(Hガス)およびパージガス(Nガス)を導入する第2の導入路12と、が設けられている。
シャワーヘッド10の内部には、上下2段に空間13,14が設けられている。上側の空間13には、第1の導入路11が接続されている。この空間13からシャワーヘッド10の底面まで第1のガス吐出路15が延びている。下側の空間14には、第2の導入路12が接続されている。この空間14からシャワーヘッド10の底面まで第2のガス吐出路16が延びている。即ち、シャワーヘッド10は、成膜原料ガス(WIガス)と還元ガス(Hガス)とがそれぞれ独立してガス吐出路15,16から吐出するようになっている。
チャンバ1の底壁には、下方に向けて突出する排気室21が設けられている。排気室21の側面には排気管22が接続されており、この排気管22には真空ポンプや圧力制御バルブ等を有する排気装置23が接続されている。そしてこの排気装置23を作動させることによりチャンバ1内を所定の減圧状態とすることが可能となっている。
チャンバ1の側壁には、基板Wの搬入出を行うための搬入出口24と、この搬入出口24を開閉するゲートバルブ25とが設けられている。また、チャンバ1の壁部には、ヒータ26が設けられており、成膜処理の際にチャンバ1の内壁の温度を制御可能となっている。
処理ガス供給機構8は、成膜原料ガス供給ライン30、還元ガス供給ライン50、第1のパージガス供給ライン60、第2のパージガス供給ライン70を有する。
成膜原料ガス供給ライン30は、成膜原料ガス(WI)の供給源であるWIガス供給機構31から延び、第1の導入路11に接続されている。
WIガス供給機構31は、成膜原料であるWIを収容する成膜原料タンク32を有している。WIは常温では固体であり、成膜原料タンク32内にはタングステン原料としてのヨウ化タングステンであるWIが固体として収容されている。成膜原料タンク32の周囲にはヒータ32aが設けられており、成膜原料タンク32内の成膜原料を適宜の温度に加熱して、WIを昇華させるようになっている。なお、ヨウ化タングステンとしては、WIに限られず、例えばWI、WI等を用いてもよい。
成膜原料タンク32には、キャリアガスであるNガスを供給するためのキャリアガス供給ライン33が接続されている。キャリアガス供給ライン33は、キャリアガス(N)の供給源であるNガス供給源34から延び、成膜原料タンク32に接続されている。キャリアガス供給ライン33には、Nガス供給源34から順に、バルブ35、マスフローコントローラ36、バルブ37、後述する分岐部33a、後述するバルブ42が設けられている。マスフローコントローラ36は、キャリアガス供給ライン33を流れるNガスの流量を制御する。バルブ35,37は、Nガスの供給・停止を切り替える。なお、キャリアガスとしては、Nガスに限られず、Arガス等の他の不活性ガスであってもよい。
また、成膜原料タンク32には、成膜原料ガスを供給するための成膜原料ガス供給ライン30が接続されている。成膜原料ガス供給ライン30には、成膜原料タンク32から順に、後述するバルブ43、後述する合流部30a、バルブ38、後述する合流部30bが設けられている。バルブ38,43は、WIガスの供給・停止を切り替える。また、成膜原料ガス供給ライン30には、WIガスの凝縮防止のためのヒータ39が設けられている。成膜原料タンク32内で昇華したWIガスは、キャリアガスとしてのNガス(キャリアN)により搬送され、成膜原料ガス供給ライン30、第1の導入路11を介してシャワーヘッド10内に供給される。
また、キャリアガス供給ライン33の分岐部33a(バルブ37とバルブ42との間)と、成膜原料ガス供給ライン30の合流部30a(バルブ43とバルブ38との間)とは、バイパスライン40によって接続されている。バイパスライン40には、バルブ41が設けられている。キャリアガス供給ライン33には、分岐部33aよりも下流側(成膜原料タンク32の側)に、バルブ42が設けられている。成膜原料ガス供給ライン30には、合流部30aよりも上流側(成膜原料タンク32の側)に、バルブ43が設けられている。バルブ42,43を閉じ、バルブ41を開くことにより、Nガス供給源34からのNガスを、キャリアガス供給ライン33、バイパスライン40を介して、成膜原料ガス供給ライン30に供給し、成膜原料ガス供給ライン30内の成膜原料ガスをパージする。
還元ガス供給ライン50は、還元ガス(H)の供給源であるHガス供給源51から延び、第2の導入路12に接続されている。還元ガス供給ライン50には、Hガス供給源51から順に、バルブ52、マスフローコントローラ53、バルブ54、後述する合流部50aが設けられている。マスフローコントローラ53は、還元ガス供給ライン50を流れるHガスの流量を制御する。バルブ52,54は、Hガスの供給・停止を切り替える。なお、還元ガスとしては、Hガスに限らず、SiHガス、Bガス、NHガスを用いることもできる。Hガス、SiHガス、Bガス、およびNHガスのうち2つ以上を供給できるようにしてもよい。また、これら以外の他の還元ガス、例えばPHガス、SiHClガスを用いてもよい。
第1のパージガス供給ライン60は、パージガス(N)の供給源であるNガス供給源61から延び、成膜原料ガス供給ライン30の合流部30bに接続されている。第1のパージガス供給ライン60には、Nガス供給源61から順に、バルブ62、マスフローコントローラ63、バルブ64が設けられている。マスフローコントローラ63は、第1のパージガス供給ライン60を流れるNガスの流量を制御する。バルブ62,64は、ALDプロセスの際にNガスの供給・停止を切り替える。なお、パージガスとしては、Nガスに限られず、Arガス等の他の不活性ガスであってもよい。
第2のパージガス供給ライン70は、パージガス(N)の供給源であるNガス供給源71から延び、還元ガス供給ライン50の合流部50aに接続されている。第2のパージガス供給ライン70には、Nガス供給源71から順に、バルブ72、マスフローコントローラ73、バルブ74が設けられている。マスフローコントローラ73は、第2のパージガス供給ライン70を流れるNガスの流量を制御する。バルブ72,74は、ALDプロセスの際にNガスの供給・停止を切り替える。なお、パージガスとしては、Nガスに限られず、Arガス等の他の不活性ガスであってもよい。
制御部9は、成膜装置100の各部の動作を制御する。制御部9は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。CPUは、RAM等の記憶領域に格納されたレシピに従って、所望の処理を実行する。レシピには、プロセス条件に対する装置の制御情報が設定されている。制御情報は、例えばガス流量、圧力、温度、プロセス時間であってよい。なお、レシピ及び制御部9が使用するプログラムは、例えばハードディスク、半導体メモリに記憶されてもよい。また、レシピ等は、CD−ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で所定の位置にセットされ、読み出されるようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る成膜装置100を用いてタングステン膜を成膜する動作について、図2及び図3を用いて説明する。
<CVDプロセスによる成膜>
図2は、CVDプロセスによりタングステン膜を成膜する際のガス供給シーケンスの一例である。
まず、成膜装置100に基板Wを搬入する。具体的には、制御部9は、ゲートバルブ25を開く。続いて、搬送アーム(図示せず)により、搬入出口24を介してチャンバ1内に基板Wを搬入し、基板Wをサセプタ2に載置する。サセプタ2は、ヒータ4により所定温度(例えば、200℃以上600℃以下)に加熱されている。搬送アームが搬入出口24から退避すると、ゲートバルブ25を閉じる。なお、基板Wとしては、例えば熱酸化膜の表面、またはトレンチやホール等の凹部を有する層間絶縁膜の表面に下地膜としてバリアメタル膜(例えばTiN膜、TiSiN膜)が形成されたものを用いることができる。タングステン膜は、熱酸化膜や層間絶縁膜に対する密着力が悪く、かつインキュベーション時間も長くなるため、熱酸化膜や層間絶縁膜上に成膜することは困難であるが、TiN膜やTiSiN膜を下地膜として用いることにより、成膜が容易となる。ただし、下地膜はこれに限るものではない。また、以下の説明において、バルブ35,37,42,52,62,72は開いているものとし、バルブ41は閉じているものとし、バルブ38,43,54,64,74の開閉制御について説明する。
ステップS1において、チャンバ1の圧力を上昇させ、基板Wの温度を安定させる。具体的には、制御部9は、バルブ38,43を閉じ、バルブ54を閉じ、バルブ64を開き、バルブ74を開く。これにより、Nガス供給源61,71のパージNガスをチャンバ1内に供給してチャンバ1内の圧力を上昇させ、サセプタ2上の基板Wの温度を安定させる。
チャンバ1内の圧力が所定の圧力に到達した後、ステップS2において、CVD成膜を行う。具体的には、制御部9は、パージNガスを流したまま、バルブ38,43を開くとともに、バルブ54を開く。ここで、Nガス供給源34のキャリアNガスが成膜原料タンク32に供給される。成膜原料タンク32内の固体のWIは、ヒータ32aにより加熱されて昇華し、WIガスを生成する。これにより、WIガス供給機構31からキャリアNガスとともにWIガスをチャンバ1内に供給する。また、Hガス供給源51のHガスをチャンバ1内に供給する。これにより、ヒータ4により加熱された基板Wの表面で、成膜原料ガスであるWIガスと還元ガスであるHガスが反応し、タングステン膜が成膜される。なお、タングステン膜の膜厚は、成膜時間により制御される。これにより、所望の膜厚のタングステン膜を成膜する。
ステップS3において、チャンバ1内のパージを行う。具体的には、制御部9は、パージNガスを流したまま、バルブ38,43を閉じるとともに、バルブ54を閉じる。これにより、チャンバ1内へのWIガスとHガスの供給が停止する。また、チャンバ1内へパージNガスを供給して、チャンバ1内へのWIガス、Hガス、反応生成物をパージする。
その後、成膜装置100から基板Wを搬出する。具体的には、制御部9は、ゲートバルブ25を開く。続いて、搬送アーム(図示せず)により、搬入出口24を介してチャンバ1内から成膜済の基板Wを搬出する。搬送アームが搬入出口24から退避すると、ゲートバルブ25を閉じる。
以上のように、本実施形態に係る成膜装置100は、CVDプロセスによりタングステン膜を成膜する。
<ALDプロセスによる成膜>
図3は、ALDプロセスによりタングステン膜を成膜する際のガス供給シーケンスの一例である。
まず、成膜装置100に基板Wを搬入する。具体的には、制御部9は、ゲートバルブ25を開く。続いて、搬送アーム(図示せず)により、搬入出口24を介してチャンバ1内に基板Wを搬入し、基板Wをサセプタ2に載置する。サセプタ2は、ヒータ4により所定温度(例えば、200℃以上600℃以下)に加熱されている。搬送アームが搬入出口24から退避すると、ゲートバルブ25を閉じる。なお、基板Wとしては、例えば熱酸化膜の表面、またはトレンチやホール等の凹部を有する層間絶縁膜の表面に下地膜としてバリアメタル膜(例えばTiN膜、TiSiN膜)が形成されたものを用いることができる。タングステン膜は、熱酸化膜や層間絶縁膜に対する密着力が悪く、かつインキュベーション時間も長くなるため、熱酸化膜や層間絶縁膜上に成膜することは困難であるが、TiN膜やTiSiN膜を下地膜として用いることにより、成膜が容易となる。ただし、下地膜はこれに限るものではない。また、以下の説明において、バルブ35,37,42,52,62,72は開いているものとし、バルブ41は閉じているものとし、バルブ38,43,54,64,74の開閉制御について説明する。
ステップS11において、チャンバ1の圧力を上昇させ、基板Wの温度を安定させる。具体的には、制御部9は、バルブ38,43を閉じ、バルブ54を閉じ、バルブ64を開き、バルブ74を開く。これにより、Nガス供給源61,71のパージNガスをチャンバ1内に供給してチャンバ1内の圧力を上昇させ、サセプタ2上の基板Wの温度を安定させる。
以下、ステップS12からステップS15を所定サイクル繰り返すことにより、ALD成膜を行う。
ステップS12において、チャンバ1内に成膜原料ガスであるWIガスを供給する。具体的には、制御部9は、バルブ64を開いた状態で第1のパージガス供給ライン60からのパージNガスを供給しつつ、バルブ74を開いた状態で第2のパージガス供給ライン70からのパージNガスを供給しつつ、バルブ38,43を開いてWIガス供給機構31からキャリアNガスとともにWIガスをチャンバ1内に供給する。チャンバ1内に供給されたWIガスは、基板Wの表面に吸着される。
ステップS13において、チャンバ1内の余剰なWIガスをパージする。具体的には、制御部9は、バルブ38を閉じる。これにより、チャンバ1内へのWIガスの供給が停止する。また、チャンバ1内へパージNガスを供給して、チャンバ1内の余剰なWIガスをパージする。
ステップS14において、チャンバ1内に還元ガスであるHガスを供給する。具体的には、制御部9は、バルブ64を開いた状態で第1のパージガス供給ライン60からのパージNガスを供給しつつ、バルブ74を開いた状態で第2のパージガス供給ライン70からのパージNガスを供給しつつ、バルブ54を開いてHガス供給源51からHガスをチャンバ1内に供給する。チャンバ1内に供給されたHガスは、基板Wの表面に吸着されたWIと反応(還元)して、タングステン膜を生成する。なお、タングステン膜の膜厚は、成膜時間により制御される。
ステップS15において、チャンバ1内の余剰なHガス及び反応生成物をパージする。具体的には、制御部9は、バルブ54を閉じる。これにより、チャンバ1内へのHガスの供給が停止する。また、チャンバ1内へパージNガスを供給して、チャンバ1内の余剰なHガス及び反応生成物をパージする。
以下、ステップS12からステップS15を所定サイクル繰り返して、所望の膜厚のタングステン膜を成膜する。
その後、成膜装置100から基板Wを搬出する。具体的には、制御部9は、ゲートバルブ25を開く。続いて、搬送アーム(図示せず)により、搬入出口24を介してチャンバ1内から成膜済の基板Wを搬出する。搬送アームが搬入出口24から退避すると、ゲートバルブ25を閉じる。
以上のように、本実施形態に係る成膜装置100は、ALDプロセスによりタングステン膜を成膜する。
<成膜条件>
成膜原料としてWIを用いた場合、還元ガス(H)との反応生成物であるヨウ化水素(HI)はエッチング作用を有する。このため、温度および圧力の条件によっては、タングステン膜の下地膜(例えば、TiN膜、TiSiN膜)がHIガスによりエッチングされてタングステン膜が成膜され難いことがある。したがって、温度・圧力条件が、そのようなエッチング反応が生じる条件以外であることが好ましい。より詳細には、温度が低い領域では成膜反応もエッチング反応も生じないため、成膜反応を生じさせるためには高温が好ましいが、成膜反応が生じる高温では、圧力が低いとエッチング反応が生じる傾向がある。したがって、高温・高圧条件が好ましい。
具体的には、下地膜の種類にもよるが、上記CVD法およびALD法ともに、基板温度(サセプタ表面温度):200℃以上、チャンバ内圧力:1Torr以上とすることが好ましい。これは、基板温度が200℃より低い温度であると成膜反応が生じ難く、また、圧力が1Torrより低いと200℃以上においてエッチング反応が生じやすくなるからである。また、基板温度が200℃では、1Torrにおいて成膜量が少なくなる傾向にあるが、10Torrになると十分な成膜量が得られることから、基板温度が200℃以上において、チャンバ内圧力:10Torr以上とすることがより好ましい。また、基板温度が500℃でより成膜量が増加し、1Torrでも十分な成膜量が得られることから、基板温度:500℃以上、チャンバ内圧力:1Torr以上とすることがより好ましい。十分な成膜量を得る観点からは、温度に上限は存在しないが、装置の制約や反応性の点から、事実上の上限は800℃程度である。より好ましくは、200℃以上600℃以下である。また、圧力に関しても上記点からは上限は存在しないが、同様に装置の制約や反応性の点から、事実上の上限は100Torrである。より好ましくは、1Torr以上40Torr以下である。なお、温度や圧力条件の好ましい範囲は実装置の構造や他の条件によって多少変動する。
他の条件の好ましい範囲は以下の通りである。
・CVD法
キャリアNガス流量:20〜1000sccm(mL/min)
(WIガス供給量として、0.25〜30sccm(mL/min))
ガス流量:500〜5000sccm(mL/min)
成膜原料タンクの加温温度:130〜190℃
・ALD法
キャリアNガス流量:20〜500sccm(mL/min)
(WIガス供給量として、0.25〜15sccm(mL/min))
WIガス供給時間(1回あたり):0.25sec以上15sec以下
ガス流量:500〜5000sccm(mL/min)
ガス供給時間:(1回あたり):0.1sec以上10sec以下
成膜原料タンクの加温温度:130〜190℃
なお、CVD法およびALD法のいずれにおいても、還元ガスとして、Hガスの他、SiHガス、Bガス、NHガスを用いることができ、これらを用いた場合にも同様の条件で好ましい成膜を行うことができる。膜中の不純物をより低減する観点からは、Hガスを用いることが好ましい。また、NHガスを用いることにより良好な反応性を得ることができ、成膜レートを高くすることができる。また、上述したように、他の還元ガス、例えばPHガス、SiHClガスを用いることもできる。
次に、基板Wの表面に形成される膜構造の一例について、図4を用いて説明する。図4は、膜構造200の一例を示す模式図である。ここでは、膜構造200の一例として、MOSFETのゲート電極を例に説明する。膜構造200は、p型半導体210と、ゲート絶縁膜(熱酸化膜、例えば、SiO膜)220と、ゲート電極膜(例えば、AlO膜)230と、バリアメタル膜(例えば、TiN膜、TiSiN膜)240と、第1タングステン膜250と、第2タングステン膜260と、を積層した構造を有している。なお、本実施形態に係る成膜装置100は、第1タングステン膜250を成膜する。なお膜構造200は、ゲート電極膜230またはバリアメタル膜240を省略する構成も含む。また、第1タングステン膜250と第2タングステン膜260とは、異なる方法によりタングステン膜をそれぞれ成膜する。なお、膜構造200は、第2タングステン膜260を省略して、第1タングステン膜250のみでタングステン膜を成膜する構成も含む。
ここで、成膜原料ガスとしてフッ化タングステンガス(WF)や塩化タングステンガス(WCl)を用いる従来のタングステン膜の成膜方法では、タングステン膜中に不純物としてフッ素や塩素が残留する。これに対し、本実施形態に係るタングステン膜の成膜方法では、成膜原料ガスとしてヨウ化タングステンガス(WI)を用いることで、タングステン膜中に不純物としてヨウ素が残留するものの、フッ素や塩素が残留することを防止することができる。ここで、フッ素の電気陰性度は3.98(「ポーリングの電気陰性度」より、以下同じ。)、塩素の電気陰性度は3.16であるのに対し、ヨウ素の電気陰性度は2.66であり、小さくなっている。このため、フッ素や塩素と比較して、ヨウ素の方が、タングステン膜中の自由電子を引き寄せる強さが小さい。よって、原料ガスとしてフッ化タングステンガス(WF)や塩化タングステンガス(WCl)を用いる従来のタングステン膜と比較して、ヨウ化タングステンガス(WI)を用いるタングステン膜は、低抵抗の膜とすることができる。
また、タングステン膜を、半導体素子の電極や配線、例えばMOSFETのゲート電極や配線として用いる場合、原料ガスとしてフッ化タングステンガス(WF)や塩化タングステンガス(WCl)を用いる従来のタングステン膜の成膜方法では、ゲート絶縁膜220中にフッ素や塩素が拡散する。これにより、半導体素子の電気特性が悪化する、例えばゲートリーク電流が増加する。このため、ゲート絶縁膜220とタングステン膜250との間に、ゲート電極膜230やバリアメタル膜240を設けて、フッ素や塩素の拡散を防止することでゲートリーク電流を抑制している。
これに対し、本実施形態に係る成膜方法では、原料ガスとしてヨウ化タングステンガス(WI)を用いることで、ゲート絶縁膜220中にヨウ素が拡散する。ここで、フッ素の電気陰性度(3.98)、塩素の電気陰性度(3.16)と比較して、ヨウ素の電気陰性度(2.66)は、半導体工程で多く使われる窒素の電気陰性度(3.04)や、シリコンの電気陰性度(1.90)に近い。即ち、ヨウ素と窒素との電気陰性度の差は、フッ素又は塩素と窒素との電気陰性度の差よりも小さい。また、ヨウ素とシリコンとの電気陰性度の差は、フッ素又は塩素とシリコンとの電気陰性度の差よりも小さい。このため、ゲート絶縁膜220中にフッ素又は塩素が拡散する場合と比較して、ゲート絶縁膜220中にヨウ素が拡散することによる半導体素子の電気特性の悪化を低減することができる。例えば、原料ガスとしてヨウ化タングステンガスを用いることにより、フッ化タングステンガス又は塩化タングステンガスを用いる場合と比較して、ゲートリーク電流を低減することができる。このため、ゲート絶縁膜220とタングステン膜250との間に設けるゲート電極膜230やバリアメタル膜240を薄膜化したり、省略したりすることができる。これにより、タングステン膜250よりも高抵抗となる金属膜(ゲート電極膜230、バリアメタル膜240)による抵抗を低減して、配線の抵抗を低減することができる。
また、第1タングステン膜250を成膜する際は、成膜原料ガスとしてヨウ化タングステンガスを用いた成膜処理を行い、第2タングステン膜260を成膜する際は、成膜原料ガスとしてフッ化タングステンガス、塩化タングステンガスを用いた成膜処理を行ってもよい。これにより、ヨウ化タングステンガスを用いて成膜した第1タングステン膜250が、第2タングステン膜260を成膜する際のフッ素や塩素がゲート絶縁膜220に拡散することを抑制する。これにより、半導体素子の電気特性の悪化を低減するとともに、配線の抵抗を低減し、タングステン膜の成膜コストを低減することができる。
なお、ゲート絶縁膜220におけるリーク電流の抑制を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、DRAMのワードラインにタングステン膜を成膜する際、層間絶縁膜におけるリーク電流も同様に抑制することができる。
以上、成膜装置100による本実施形態の成膜方法について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
枚葉方式の成膜装置100を例に説明したがこれに限られるものではない。複数枚葉方式の成膜装置におけるタングステン膜の成膜に適用してもよい。また、バッチ方式の成膜装置におけるタングステン膜の成膜に適用してもよい。
W 基板
100 成膜装置
1 チャンバ(処理容器)
2 サセプタ
3 支持部材
4 ヒータ(加熱部)
8 処理ガス供給機構
9 制御部
30 成膜原料ガス供給ライン(原料ガス供給部)
31 WIガス供給機構
32 成膜原料タンク
32a,39 ヒータ
33 キャリアガス供給ライン
34 Nガス供給源
36 マスフローコントローラ
40 バイパスライン
50 還元ガス供給ライン(還元ガス供給部)
51 H2ガス供給源
60 第1のパージガス供給ライン
61 N2ガス供給源
70 第2のパージガス供給ライン
71 N2ガス供給源
35,37,38,41,42,43,52,54,62,64,72,74 バルブ
53,63,73 マスフローコントローラ
200 膜構造
210 p型半導体
220 ゲート絶縁膜
230 ゲート電極膜
240 バリアメタル膜(下地膜)
250 第1タングステン膜
260 第2タングステン膜

Claims (10)

  1. 基板を載置するサセプタを有する処理容器と、
    前記処理容器内へヨウ化タングステンガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記処理容器内へ還元ガスを供給する還元ガス供給部と、を備える基板処理装置の基板処理方法であって、
    前記処理容器内にヨウ化タングステンガスおよび還元ガスを同時にまたは前記処理容器内のパージを挟んで交互に供給して、前記基板にタングステン膜を成膜する、基板処理方法。
  2. 前記基板は、前記タングステン膜の下地膜を有する、
    請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 前記下地膜は、TiN膜またはTiSiN膜である、
    請求項2に記載の基板処理方法。
  4. 前記ヨウ化タングステンガスは、WIガス、WIガスおよびWIガスから選択された少なくとも1種である、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  5. 前記還元ガスは、Hガス、SiHガス、BガスおよびNHガスから選択された少なくとも1種である、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  6. 前記サセプタに載置された前記基板を加熱する加熱部を備え、
    前記加熱部は、前記基板を200℃以上600℃以下の温度に加熱する、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  7. 前記基板に前記タングステン膜を成膜する際における、前記処理容器内の圧力は、
    1Torr以上40Torr以下である、
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  8. 前記処理容器内に前記ヨウ化タングステンガスを供給して前記基板に吸着させる吸着工程と、
    前記吸着工程の余剰な前記ヨウ化タングステンガスを排気する第1パージ工程と、
    前記処理容器内に前記還元ガスを供給して前記ヨウ化タングステンガスと反応させる反応工程と、
    前記反応工程の余剰な前記還元ガスを排気する第2パージ工程と、
    前記吸着工程、前記第1パージ工程、前記反応工程、前記第2パージ工程を繰り返す工程と、を有する、
    請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板処理方法。
  9. 前記吸着工程における前記ヨウ化タングステンガスの供給時間は、1サイクルあたり0.25sec以上15sec以下であり、
    前記反応工程とにおける前記還元ガスの供給時間は、1サイクルあたり0.1sec以上10sec以下である、
    請求項8に記載の基板処理方法。
  10. 基板を載置するサセプタを有する処理容器と、
    前記処理容器内へヨウ化タングステンガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記処理容器内へ還元ガスを供給する還元ガス供給部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記処理容器内にヨウ化タングステンガスおよび還元ガスを同時にまたは前記処理容器内のパージを挟んで交互に供給して、前記基板にタングステン膜を成膜する、基板処理装置。
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