JP2014143252A - 半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム - Google Patents

半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】仕事関数を所望の値にチューニングした金属膜を成膜することができる技術を提供する。
【解決手段】金属元素(例えばTi)と窒素(N)とを含む第1の層(例えばTiN)を形成する処理を第1の所定回数行う工程と、上記金属元素(例えばTi)と窒素(N)と炭素(C)とを含む第2の層(例えばAlCTiN)を形成する処理を第2の所定回数行う工程と、を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素(C)と炭素(C)とを所定の割合で含む金属膜(例えばTiAlCN)を成膜する工程を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)等の半導体装置の高集積化及び高性能化に伴い、電極や配線等として、様々な種類の金属膜が用いられている。その中でも、ゲート電極やDRAM(Dynamic Random Access Memory)のキャパシタ電極では、耐酸化性、電気抵抗率、仕事関数等の観点から金属炭化物系や金属窒化物系の金属膜が用いられることが多い(特許文献1)。
特開2011−6783号公報
MOSFETの特性を示す重要なパラメータとして、閾値電圧(スレッショールド電圧、Vth)がある。この閾値電圧は、電極の仕事関数で決定される。電極の仕事関数は、電極を構成する金属膜によってチューニング(調整、変調)することができる。
本発明の目的は、仕事関数を所望の値にチューニングした金属膜を成膜することができる技術を提供することにある。
本発明の一態様によれば、金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う工程と、前記金属元素と窒素と炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回数行う工程と、を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、基板に対して、金属元素を含む第1原料と、窒素または炭素を含む第2原料とを交互に第1の所定回数供給する工程と、前記基板に対して、炭素を含む第3原料と、前記金属元素を含む第4原料と、窒素を含む第5原料とを交互に第2の所定回数供給する工程と、を交互に第3の所定回数行うことで、前記基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、基板を収容する処理室と、前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、金属元素を含む金属含有原料を供給する金属含有原料供給系と、前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、窒素を含む窒素含有原料を供給する窒素含有原料供給系と、前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、炭素を含む炭素含有原料を供給する炭素含有原料供給系と、前記金属含有原料供給系、前記窒素含有原料供給系及び前記炭素含有原料供給系に接続されると共に、前記処理室に収容された前記基板に対して、前記金属含有原料と前記窒素含有原料または前記炭素含有原料とを交互に第1の所定回数供給する処理と、前記金属含有原料と前記窒素含有原料と前記炭素含有原料とを交互に第2の所定回数供給する処理とを、交互に第3の所定回数行うことで、前記基板上に、前記窒素と前記炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する処理を、前記金属含有原料供給系、前記窒素含有原料供給系及び前記炭素含有原料供給系を制御して実行させるように構成された制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う手順と、前記金属元素と窒素と炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回行う手順と、を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
本発明によれば、仕事関数を所望の値にチューニングした金属膜を成膜することができる。
本発明の実施形態に係る基板処理装置の処理炉の構成図である。 図1のA−A線断面図である。 図1に示す基板処理装置が有するコントローラの構成を示すブロック図である。 本発明に係る技術が適用される半導体装置の構成例を示す図である。 図4に示す半導体装置のゲート製造工程例を示す処理フロー図である。 図5に示すゲート製造工程における金属膜の成膜工程例を示す処理フロー図である。 図6に示す成膜工程におけるガス供給のタイミングを示す図である。 本発明の実施例1〜5で成膜した金属膜のそれぞれについて、等価酸化膜厚とフラットバンド電圧の関係を示す図である。 本発明の実施例1〜5で成膜した金属膜のそれぞれについて、CとNの割合と、実効仕事関数の関係を示す図である。 図10(A)は、本発明の実施例1〜5で成膜した金属膜のそれぞれについて、Cの割合に対する仕事関数を示す図であり、図10(B)は、本発明の実施例1〜5で成膜した金属膜のそれぞれについて、Nの割合に対する仕事関数を示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1および図2には、本発明の実施形態で好適に使用される基板処理装置10が示されている。基板処理装置10は、半導体装置(デバイス)の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されているものである。
<処理炉の構成>
図1および図2に示す通り、処理炉202にはウエハ(基板)200を加熱するための加熱手段(加熱機構、加熱系)であるヒータ207が設けられている。ヒータ207は上方が閉塞された円筒形状の断熱部材と複数本のヒータ素線とを備えており、断熱部材に対してヒータ素線が設けられたユニット構成を有している。ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
反応管203の下端には、例えばステンレス等から製作されたマニホールド209が取り付けられる。マニホールド209は筒状に形成され、その下端開口は蓋体であるシールキャップ219により気密に閉塞される。反応管203とマニホールド209とシールキャップ219の間には、それぞれOリング220が設けられる。これら反応管203、マニホールド209およびシールキャップ219により、処理室201が形成される。シールキャップ219にはボート支持台218を介して基板保持部であるボート217が立設される。
ボート217にはバッチ処理される複数のウエハ200が水平姿勢で管軸方向に多段に積載される。そして、ボート217は、ボートエレベータ115により反応管203に対し昇降(出入り)することができるようになっている。ボート支持台218の下端部には、処理の均一性を向上するためにボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267を駆動させることにより、ボート支持台218に支持されたボート217を回転させることができるようになっている。ヒータ207は処理室201に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱する。
処理室201内には、ノズル410(第1のノズル410)、ノズル420(第2のノズル420)、ノズル430(第3のノズル430)が反応管203の下部を貫通するように設けられている。ノズル410、ノズル420、ノズル430には、ガス供給ラインとしてのガス供給管310(第1のガス供給管310)、320(第2のガス供給管320)、330(第3のガス供給管330)が、それぞれ接続されている。このように、反応管203には3本のノズル410、420、430と、3本のガス供給管310、320、330とが設けられており、処理室201内へ複数種類、ここでは3種類のガス(処理ガス。原料)を供給することができるように構成されている。
ガス供給管310には上流側から順に流量制御装置(流量制御部)であるマスフローコントローラ312および開閉弁であるバルブ314が設けられている。ガス供給管310の先端部にはノズル410が連結されている。ノズル410は、L字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410の垂直部は、反応管203の内壁とウエハ200との間に形成される円弧状の空間に、反応管203の内壁に沿って上方(ウエハ200の積載方向上方)に向かって立ち上がるように(つまりウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように)設けられている。すなわち、ノズル410は、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。
ノズル410の側面にはガスを供給するガス供給孔410aが設けられている。ガス供給孔410aは反応管203の中心を向くように開口している。このガス供給孔410aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、ガス供給管310、マスフローコントローラ312、バルブ314、ノズル410により第1のガス供給系が構成される。
また、ガス供給管310にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管510が接続されている。キャリアガス供給管510にはマスフローコントローラ512およびバルブ514が設けられている。主に、キャリアガス供給管510、マスフローコントローラ512、バルブ514により第1のキャリアガス供給系が構成される。
ガス供給管320には上流側から順に流量制御装置(流量制御部)であるマスフローコントローラ322および開閉弁であるバルブ324が設けられている。ガス供給管320の先端部にはノズル420が連結されている。ノズル420は、ノズル410と同様に、L字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル420の垂直部は、反応管203の内壁とウエハ200との間に形成された円弧状の空間に、反応管203の内壁に沿って上方に向かって立ち上がるように設けられている。
ノズル420の側面にはガスを供給するガス供給孔420aが設けられている。ガス供給孔420aは反応管203の中心を向くように開口している。このガス供給孔420aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、ガス供給管320、マスフローコントローラ322、バルブ324、ノズル420により第2のガス供給系が構成される。
更にガス供給管320にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管520が連結されている。キャリアガス供給管520にはマスフローコントローラ522およびバルブ524が設けられている。主に、キャリアガス供給管520、マスフローコントローラ522、バルブ524により第2のキャリアガス供給系が構成される。
ガス供給管330には上流側から順に流量制御装置(流量制御部)であるマスフローコントローラ332および開閉弁であるバルブ334が設けられている。ガス供給管330の先端部にはノズル430が連結されている。ノズル430は、ノズル410と同様に、L字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル430の垂直部は、反応管203の内壁とウエハ200との間に形成された円弧状の空間に、反応管203の内壁に沿って上方に向かって立ち上がるように設けられている。
ノズル430の側面にはガスを供給するガス供給孔430aが設けられている。ガス供給孔430aは反応管203の中心を向くように開口している。このガス供給孔430aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、ガス供給管330、マスフローコントローラ332、バルブ334、ノズル430により第3のガス供給系が構成される。
更にガス供給管330にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管530が連結されている。キャリアガス供給管530にはマスフローコントローラ532およびバルブ534が設けられている。主に、キャリアガス供給管530、マスフローコントローラ532、バルブ534により第3のキャリアガス供給系が構成される。
このように、本実施形態におけるガス供給の方法は、反応管203の内壁と、積載された複数枚のウエハ200の端部とで定義される円弧状の縦長の空間内に配置したノズル410、420、430を経由してガスを搬送し、ノズル410、420、430にそれぞれ開口されたガス供給孔410a、420b、430cからウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させており、反応管203内におけるガスの主たる流れをウエハ200の表面と平行な方向、すなわち水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚を均一にできる効果がある。なお、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れるが、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
上記構成に係る一例として、ガス供給管310からは、第1の金属元素を含む原料ガスとして、例えば少なくともチタン(Ti)元素を含むTi含有原料である四塩化チタン(TiCl)がマスフローコントローラ312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201内に供給される。なお、TiClのように常温常圧下で液体状態である液体材料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、Ti含有ガスであるTiClガスとして供給することとなる。
ガス供給管320からは、炭素、および、第2の金属元素を含む原料ガスとして、例えば少なくとも炭素(C)元素とアルミニウム(Al)元素とを含むTMA(トリメチルアルミニウム。(CHAl)がマスフローコントローラ322、バルブ324、ノズル420を介して処理室201内に供給される。なお、TMAのように液体状態である液体材料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、CおよびAl含有ガスとして供給することとなる。
ガス供給管330からは、窒素元素を含む原料ガスとして、例えばアンモニア(NH)がマスフローコントローラ332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201内に供給される。
キャリアガス供給管510、520および530からは、例えば窒素(N)ガスが、それぞれマスフローコントローラ512、522および532、バルブ514、524および534、ノズル410、420および430を介して処理室201内に供給される。
なお、例えば各ガス供給管から上述のようなガスをそれぞれ流す場合、第1のガス供給系により金属含有原料供給系が構成される。また、第2のガス供給系により炭素含有原料供給系(あるいは炭素および金属含有原料供給系)が構成される。また、第3のガス供給系により窒素含有原料供給系が構成される。
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、ノズル410,420,430と同様に、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。排気管231は、マニホールド209において、ノズル410,420,430と対抗する位置に設けられる。この構成により、ガス供給孔410a、420a、430aから処理室201内のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向、すなわちウエハ200の表面と平行な方向に向かって流れた後、下方に向かって流れ、排気管231より排気されることとなる。処理室201内におけるガスの主たる流れが水平方向へ向かう流れとなるのは上述の通りである。
排気管231には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245、APC(Auto Pressure Controller)バルブ243、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、排気バルブであり、圧力調整部として機能する。また、排気管231には、排気ガス中の反応副生成物や未反応の原料ガス等を捕捉するトラップ装置や排気ガス中に含まれる腐食性成分や有毒成分等を除害する除害装置が接続されている場合がある。主に、排気管231、APCバルブ243、圧力センサ245により、排気系すなわち排気ラインが構成される。なお、真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。さらには、トラップ装置や除害装置を排気系に含めて考えてもよい。
なお、APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行なうことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。すなわち、排気系は、真空ポンプ246を作動させつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいてAPCバルブ243の弁の開度を調節することにより、処理室201内の「実際の圧力」を、所定の「設定圧力」に近づけることができるように構成されている。例えば、処理室201内に供給されるガスの流量に変化がない場合や、処理室201内へのガス供給を停止している場合等において、処理室201内の実際の圧力を変更するには、処理室201内の設定圧力を変更し、APCバルブ243の弁の開度を上述の設定圧力に応じた開度に変更する。その結果、排気ラインの排気能力が変更され、処理室201内の実際の圧力が、上述の設定圧力に次第に(曲線的に)近づいて行くこととなる。このように、処理室201内の「設定圧力」とは、処理室201内の圧力制御を行なう際の「目標圧力」と同義と考えることができ、その値に、処理室201内の「実際の圧力」が追従することとなる。また、「処理室201内の設定圧力を変更すること」とは、実質的に、「排気ラインの排気能力を変更するためにAPCバルブ243の開度を変更すること」と同義であり、「APCバルブ243の開度を変更するための指令」と考えることができる。
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410、420および430と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
図3には、コントローラ121が示されている。図3に示されているように、コントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random
Access
Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
I/Oポート121dは、上述のマスフローコントローラ312,322,332,512,522,532、バルブ314,324,334,514,524,534、APCバルブ243、圧力センサ245、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出したプロセスレシピに従って、マスフローコントローラ312、322、332、512、522、532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314、324、334、514、524、534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作およびAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
なお、コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ121を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
<半導体装置の構成>
次に、本実施形態に係る技術が適用される半導体装置の構成例について説明する。ここでは、半導体装置として、MOSFETを例に挙げる。
図4は、MOSFETのゲート構成例を示す説明図である。図示のように、MOSFETのゲートは、シリコン(Si)基板上に成膜された酸化シリコン(SiO)からなるシリコン系絶縁膜と、このSiO上に成膜された酸化ハフニウム(HfO)からなる高誘電体膜(High-k膜)と、このHfO上に成膜された炭窒化チタンアルミニウム(TiAlCN)からなるゲート電極としての金属膜とを積層したスタック構造とされる。本実施形態の特徴は、ゲート電極を構成する金属膜の成膜にある。
<半導体装置のゲート製造工程>
次いで、図5を参照し、図4に示すMOSFETのゲート製造工程例について説明する。図5は、MOSFETのゲート製造工程例を示す処理フローである。
まず、シリコン基板を、例えば1%HF水溶液で処理して、Si基板の犠牲酸化膜を除去する(「HF treatment」工程)。次いで、Si基板の表面に、酸化シリコン(SiO)を熱酸化により成膜する(「SiO formation」工程)。SiOは、Si基板と、この後に形成するHfOとの界面における界面層として形成される。
次に、酸化シリコン膜上に、高誘電体膜として酸化ハフニウム(HfO)を成膜する(「High-k formation」工程)。SiOとHfOにより、ゲート絶縁膜が構成される。HfOの成膜後、PDA(Post
Deposition Annealing)が行われる(「Post Deposition Annealing」工程)。このPDAは、例えば、熱処理炉(例えばRTP(Rapid
Thermal Process)装置)を用い、RTP装置の処理室内にHfOが成膜されたSi基板を収容し、この処理室内にNガスを供給してアニール処理を行う。PDAは、HfO中の不純物除去、HfOの緻密化もしくは結晶化を目的として行う。
次に、HfO上に、金属膜としてTiAlCNを成膜する(「TiAlCN deposition」工程)。図示のように、この工程では、窒化チタン(TiN)層(第1の層)を形成する処理(「TiN formation」)をX回(第1の所定回数)行う工程を実行した後、アルミニウム(Al)、炭素(C)、チタン(Ti)および窒素(N)を含むAlCTiN層(第2の層)を形成する処理(「AlCTiN formation」)をY回(第2の所定回数)行う工程が実行される。そして、それらの各工程が、Z回(第3の所定回数)交互に行われることで、TiAlCNが成膜される。この処理の詳細については後述する。
次いで、TiAlCN上に、Cap膜として例えばPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長)により窒化チタン(TiN)を成膜する(「Cap TiN deposition」工程)。そして、このTiN膜上にレジストをマスクにして、ゲート電極のフォトリソグラフィ技術を用いたパターニング(「Gate patterning」工程)と行うと共に、ドライエッチング技術を用いたパターンエッチング(「Gate etching」工程)を行う。その後、当該レジストを除去する(「Resist removal」工程))。そして、水素ガスアニーリング等のFGA(Forming
gas annealing)処理を行う(「FGA」工程)。
<金属膜の成膜工程>
次に、上記したゲート電極を構成する金属膜の成膜工程について説明する。金属膜の成膜工程は、上述した基板処理装置10の処理炉202を用いて、半導体装置(MOSFET)の製造工程の一工程として実行される。
本実施形態の好適なシーケンスは、
金属元素(例えばTi)と窒素(N)とを含む第1の層(例えばTiN)をウエハ200に形成する処理を第1の所定回数行う工程と、
上記金属元素(例えばTi)と窒素(N)と炭素(C)とを含む第2の層(例えばAlCTiN)をウエハ200に形成する処理を第2の所定回数行う工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、ウエハ200上に、窒素(C)と炭素(C)とを所定の割合で含む金属膜(例えばTiAlCN)を成膜する工程を有する。
また、本実施形態の好適なシーケンスは、
ウエハ200に対して、金属元素(例えばTi)を含む第1原料(例えばTiCl)と、窒素(N)を含む第2原料(例えばNH)とを交互に第1の所定回数供給する工程と、
ウエハ200に対して、炭素(C)を含む第3原料(例えばTMA)と、上記金属元素(例えばTi)を含む第4原料(例えばTiCl)と、窒素(N)を含む第5原料(例えばNH)とを交互に第2の所定回数供給する工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、ウエハ200上に、窒素(N)と炭素(C)とを所定の割合で含む金属膜(例えばTiAlCN)を成膜する工程を有する。
また、本実施形態において、上記の第1の所定回数、第2の所定回数および第3の所定回数は、金属膜(例えばTiAlCN)に含める窒素(N)または炭素(C)の割合、換言すれば、目標とするゲート電極の仕事関数に応じて決定される。
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
また、本明細書において金属膜という用語は、金属原子を含む導電性の物質で構成される膜を意味し、これには、導電性の金属窒化膜、導電性の金属酸化膜、導電性の金属酸窒化膜、導電性の金属複合膜、導電性の金属合金膜、導電性の金属シリサイド膜、導電性の金属炭化膜(金属カーバイド膜)、導電性の金属炭窒化膜(金属カーボナイトライド膜)等が含まれる。なお、TiAlCN(炭窒化チタンアルミニウム)は導電性の金属炭窒化膜である。
図6は、図5に示す処理フローにおける金属膜(TiAlCN)の成膜工程例を示す処理フロー図である。図7は、図6に示す成膜工程におけるガス供給のタイミングを示す図である。なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。なお、真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。なお、ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。続いて、回転機構267によりボート217およびウエハ200の回転を開始する。なお、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
続いて、TiN層を形成する工程(ステップ11からステップ14)を実行する。
<ステップ11>
(TiClガス供給)
ガス供給管310のバルブ314を開き、ガス供給管310内に第1の原料としてのTiClガスを流す。ガス供給管310内を流れたTiClガスは、マスフローコントローラ312により流量調整される。流量調整されたTiClガスは、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してTiClガスが供給されることとなる。すなわちウエハ200の表面はTiClガスに暴露されることとなる。このとき同時にバルブ514を開き、キャリアガス供給管510内にNガス等の不活性ガスを流す。キャリアガス供給管510内を流れたNガスは、マスフローコントローラ512により流量調整される。流量調整されたNガスはTiClガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル420、ノズル430内へのTiClガスの侵入を防止するために、バルブ524、534を開き、キャリアガス供給管520、キャリアガス供給管530内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管320、ガス供給管330、ノズル420、ノズル430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
このときAPCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜10000Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ312で制御するTiClガスの供給流量は、例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ512、522、532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。TiClガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.1〜120秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば200〜500℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。TiClガスの供給により、ウエハ200上に、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのTi含有層が形成される。
<ステップ12>
(残留ガス除去)
Ti含有層が形成された後、ガス供給管310のバルブ314を閉じ、TiClガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはTi含有層形成に寄与した後のTiClガスを処理室201内から排除する。なお、このときバルブ514、524、534は開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはTi含有層形成に寄与した後のTiClガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
なお、このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップにおいて悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、その後のステップにおいて悪影響が生じない程度のパージを行なうことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
<ステップ13>
(NHガス供給)
処理室201内の残留ガスを除去した後、ガス供給管330のバルブ334を開き、ガス供給管330内にNHガスを流す。ガス供給管330内を流れたNHガスは、マスフローコントローラ332により流量調整される。流量調整されたNHガスは、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給される。処理室201内に供給されたNHガスは熱で活性化された後、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、熱で活性化されたNHガスが供給されることとなる。すなわちウエハ200の表面は熱で活性化されたNHガスに暴露されることとなる。このとき同時にバルブ534を開き、キャリアガス供給管530内にNガスを流す。キャリアガス供給管530内を流れたNガスは、マスフローコントローラ532により流量調整される。NガスはNHガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410、420内へのNHガスの侵入を防止するために、バルブ514、524を開き、キャリアガス供給管510、520内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310、320、ノズル410、ノズル420を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
NHガスを熱で活性化させて流すときは、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜10000Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ332で制御するNHガスの供給流量は、例えば10〜50000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ512、522、532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。熱で活性化させたNHガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.1〜120秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ11と同様、ウエハ200の温度が、例えば200〜500℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
このとき処理室201内に流しているガスは、処理室201内圧力を高くすることで熱的に活性化されたNHガスであり、この活性化されたNHガスは、ステップ11でウエハ200上に形成されたTi含有層の少なくとも一部と反応する。これによりTi含有層は窒化されて、窒化チタン層(TiN層)へと改質される。
<ステップ14>
(残留ガス除去)
TiN層を形成した後、ガス供給管330のバルブ334を閉じて、NHガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはTiN層形成に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。なお、このときバルブ514、524、534は開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはTiN層形成に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室201内から排除する効果を高めることができる。
なお、このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップにおいて悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、その後のステップにおいて悪影響が生じない程度のパージを行なうことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
上記したステップ11からステップ14の処理を、予め設定されたX回(第1の所定回数)だけ実行する。すなわち、ステップ11からステップ14の処理を1セットとして、これらの処理をXセットだけ実行する。このように、TiClガス供給とNHガス供給とを交互にX回行うことにより、所定の厚さ(例えば0.03〜20nm)のTiN層(第1の層)を形成する。
上記したステップ11からステップ14の処理をX回(Xセット)行った後、以下に示すAlCTiN層を形成する工程(ステップ15からステップ20)を実行する。
<ステップ15>
(TMAガス供給)
ガス供給管320のバルブ324を開き、ガス供給管320内にTMA(トリメチルアルミニウム。(CHAl)ガスを流す。ガス供給管320内を流れたTMAガスは、マスフローコントローラ322により流量調整される。流量調整されたTMAガスは、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対してTMAガスが供給されることとなる。すなわちウエハ200の表面はTMAガスに暴露されることとなる。このとき同時にバルブ524を開き、キャリアガス供給管520内にNガスを流す。キャリアガス供給管520内を流れたNガスは、マスフローコントローラ522により流量調整される。流量調整されたNガスはTMAガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410、ノズル430内へのTMAガスの侵入を防止するために、バルブ514、534を開き、キャリアガス供給管510、キャリアガス供給管530内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310、ガス供給管330、ノズル410、ノズル430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
このときAPCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、ステップ11と同様、例えば1〜10000Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ322で制御するTMAガスの供給流量は、例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ512、522、532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。TMAガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.1〜120秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ11と同様、ウエハ200の温度が、例えば200〜500℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。TMAガスの供給により、TiN層上に炭素(C)およびアルミニウム(Al)を含む層が形成される。このCおよびAlを含む層は、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さに形成される。
<ステップ16>
(残留ガス除去)
その後、ガス供給管320のバルブ324を閉じてTMAガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは上記したCおよびAlを含む層の形成に寄与した後のTMAガスを処理室201内から排除する。なお、このときバルブ510、520、530は開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくは上記したCおよびAlを含む層の形成に寄与した後のTMAガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
なお、このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップにおいて悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、その後のステップにおいて悪影響が生じない程度のパージを行なうことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、Nガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
<ステップ17>
(TiClガス供給)
次に、ステップ11と同様な処理により、TiClガスを処理室201内に供給する。このときAPCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜10000Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ312で制御するTiClガスの供給流量は、例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ512、522、532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。TiClガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.1〜120秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば200〜500℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。処理室201内に供給されたTiClガスは、上記したCおよびAlを含む層の少なくとも一部と反応する。これにより、CおよびAlを含む層は、炭素(C)、アルミニウム(Al)およびチタン(Ti)を含む層に改質される。
<ステップ18>
(残留ガス除去)
続いて、ステップ12等と同様な処理により、処理室201内に残留する未反応もしくは上記したC、AlおよびTiを含む層の形成に寄与した後のTiClガスおよび副生成物を処理室201内から排除する。
<ステップ19>
(NHガス供給)
次に、ステップ13と同様な処理により、NHガスを処理室201内に供給する。このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜10000Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ332で制御するNHガスの供給流量は、例えば10〜50000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ512、522、532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。熱で活性化させたNHガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば0.1〜120秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ11と同様、ウエハ200の温度が、例えば200〜500℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。処理室201内に供給されたNHガスは、上記したC、AlおよびTiを含む層の少なくとも一部と反応する。これにより、C、AlおよびTiを含む層は、上述したAlCTiN含有層に改質される。
<ステップ20>
(残留ガス除去)
続いて、ステップ14等と同様な処理により、処理室201内に残留する未反応もしくはAlCTiN含有層の形成に寄与した後のTiClガスおよび副生成物を処理室201内から排除する。
上記したステップ15からステップ20の処理を、予め設定されたY回(第2の所定回数)だけ実行する。すなわち、ステップ15からステップ20の処理を1セットとして、これらの処理をYセットだけ実行する。このように、TMAガス供給と、TiClガス供給と、NHガス供給とを交互にY回行うことにより、所定の厚さ(例えば0.1〜20nm)のAlCTiN層(第2の層)を形成する。
ゲート電極としてのTiAlCN膜は、上記したTiN層とAlCTiN層との積層体により構成される。上記したTiN層を形成する工程と、AlCTiN層を形成する工程とを、交互にZ回(第3の所定回数)繰り返して実行することにより、所定の厚さ(例えば1.0〜20nm)のTiAlCN膜を成膜する。なお、TiAlCN膜は、TiN膜にAlおよびCをドープしたAlCドープドTiN膜(AlC添加TiN膜)と称することもできる。
ここで、TiN層を形成するステップ11からステップ14までの処理を行う回数(上述のX、あるいはXとZの乗算値)と、AlCTiN層を形成するステップ15からステップ20までの処理を行う回数(上述のY、あるいはYとZの乗算値)とにより、TiAlCN膜に含まれる各元素の割合を調整することができる。すなわち、各処理の回数を調整することにより、TiAlCN膜から構成されるゲート電極の仕事関数をチューニング(調整、変調)することができる。 換言すれば、X,Y,Zの各値は、TiAlCN膜に含める窒素または炭素の割合(あるいは、窒素、炭素、チタンおよびアルミニウムの割合)に応じて決定される。なお、XおよびYは0以上の整数であり、Zは1以上の整数とする。Xおよび/またはYは、好適には、1以上の整数とする。
TiAlCN膜に含まれる各元素のうち、2つの金属元素(TiとAl)の仕事関数はいずれも約4.3eVである。本願発明者らは、TiAlCN膜において、CとNの割合を調整することにより、TiとAlの仕事関数である約4.3eVを基準に、仕事関数を上下させることができるという知見を得ている。具体的には、Cの割合を多くすると4.3eVよりも低い仕事関数が得られ、Nの割合を多くすると4.3eVよりも高い仕事関数が得ることができる。したがって、上述のX,Y,Zの各値を、TiAlCN膜に含めるNまたはCの割合に応じて決定することで、所望の仕事関数を有する金属膜を成膜ことができる。
(パージおよび大気圧復帰)
所定の膜厚のTiAlCN膜を形成する成膜処理がなされると、N等の不活性ガスが処理室201内へ供給され、排気管231から排気されることで、処理室201内が不活性ガスでパージされる(ガスパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される。
(本発明の他の実施形態)
上述の説明においては、TiAlCN膜を構成する第1の層としてTiN層、すなわち、金属窒化膜を形成するようにしたが、金属窒化膜に代えて、金属炭化膜を形成してもよい。
例えば、以下のシーケンスにより第1の層として金属炭化膜を有するTiAlCN膜を成膜することができる。
金属元素(例えばTi)と炭素(C)とを含む第1の層(例えばTiC)をウエハ200に形成する処理を第1の所定回数行う工程と、
上記金属元素(例えばTi)と窒素(N)と炭素(C)とを含む第2の層(例えばAlCTiN)をウエハ200に形成する処理を第2の所定回数行う工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、ウエハ200上に、窒素(C)と炭素(C)とを所定の割合で含む金属膜(例えばTiAlCN)を成膜する工程を有する。
また、本実施形態の好適なシーケンスは、
ウエハ200に対して、金属元素(例えばTi)を含む第1原料(例えばTiCl)と、炭素(C)を含む第2原料(例えばHf[C(CH)](CH)とを交互に第1の所定回数供給する工程と、
ウエハ200に対して、炭素(C)を含む第3原料(例えばTMA)と、上記金属元素(例えばTi)を含む第4原料(例えばTiCl)と、窒素(N)を含む第5原料(例えばNH)とを交互に第2の所定回数供給する工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、ウエハ200上に、窒素(N)と炭素(C)とを所定の割合で含む金属膜(例えばTiAlCN)を成膜する工程を有する。
なお、このシーケンス例においては、処理室201にHf[C(CH)](CHを供給するためのガス供給系を基板処理装置10に追加する。
なお、上述の実施形態では、ゲート電極を構成する金属膜としてTiAlCN膜を形成する例について説明しているが、金属膜はこれに限らず、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等の金属元素を1以上含む金属炭化膜、金属窒化膜あるいは金属炭窒化膜、もしくはこれらにシリコン(Si)を加えたシリサイド膜を形成するようにしてもよい。その際、Ta含有原料としては塩化タンタル(TaCl)等を用いることができ、Co含有原料としてはCo amd[(tBu)NC(CH)N(tBu)Co]等を用いることができ、W含有原料としてはフッ化タングステン(WF)等を用いることができ、Mo含有原料としては塩化モリブデン(MoClもしくはMoCl)等を用いることができ、Ru含有原料としては2,4−ジメチルペンタジエニル(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム((Ru(EtCp)(C11))等を用いることができ、Y含有原料としてはトリスエチルシクロペンタジエニルイットリウム(Y(C)等を用いることができ、La含有原料としてはトリスイソプロピルシクロペンタジエニルランタン(La(i−C)等を用いることができ、Zr含有原料としてはテトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(Zr(N(CH(C)))等を用いることができ、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Hf(N(CH(C)))等を用いることができ、Si含有原料としてはテトラクロロシラン(SiCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)、ビスターシャルブチルアミノシラン(HSi(HNC(CH)等を用いることができる。
また、上述の実施形態では、Ti含有原料としてTiClガスを用いる例を説明しているが、これに限らず、テトラキスジメチルアミノチタン(TDMAT、Ti[N(CH)、テトラキスジエチルアミノチタン(TDEAT、Ti[N(CHCH)等のハロゲン化合物以外のチタン(Ti)含有ガスを用いてもよい。
また、上述の実施形態では、炭素含有原料としてTMAガスやHf[C(CH)](CHを例に挙げたが、これに限らず、Zr[C(CH)](CHガス、エチレン(C)、プロピレン(C)、ブテン(C)、ペンテン(C10)、へキセン(C12)、ヘプテン(C14)、オクテン(C16)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ペンタン(C12)、ヘキサン(C14)、ヘプタン(C16)、オクタン(C18)等を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、窒素含有原料として、NHガスを用いる例について説明しているが、これに限らず、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)、モノメチルヒドラジン(CH)、ジメチルヒドラジン(C)等を用いてもよい。また、不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
また、上述の実施形態では、第1の層として1つの金属元素を含む例を示したが、第1の層が2つ以上の金属元素(例えばTiとAl)を含むようにしてもよい。なお、上述の実施形態では、第1の層および第2の層に同一の金属元素を含めるようにしたが、必ずしもその必要はない。例えば、上述の実施形態において、第1の層にTiを含め、第2の層にはTiを含めないようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、金属膜に含まれるCの割合を0にする場合は、TiAlCN膜に代えて、TiAlN膜またはTiN膜を成膜することができる。また、金属膜に含まれるNの割合を0にする場合は、TiAlCN膜に代えて、TiAlC膜またはTiC膜を成膜することもできる。
また、上述の実施形態において、TiAlCN膜を成膜する際、TiN層、AlCTiN層の順で形成するようにしたが、AlCTiN層、TiN層の順で形成してもよい。同様に、TiC層、AlCTiN層の順に代えて、AlCTiN層、TiC層の順に形成してもよい。
また、上述の実施形態や各変形例や各応用例等は、適宜組み合わせて用いることができる。さらに、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下の各実施例では、上述の図6および図7に示すシーケンスにより、ウエハ200上(具体的には高誘電体膜であるHfO膜上)にTiAlCN膜を成膜した。
実施例1では、上述したX,Y,Zを、それぞれ6,1,36に設定した。すなわち、実施例1では、TiN層を形成する処理を6回(X=6)行う工程と、AlCTiN層を形成する処理を1回(Y=1)行う工程とを、交互に36回(Z=36)繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。
具体的には、実施例1では、TiClガスとNHガスとを交互に6回ずつ供給してTiN層を形成する工程と、TMAガスとTiClガスとNHガスとを1回ずつ供給してAlCTiN層を形成する工程とを、交互に36回繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。そのときの各ステップにおける処理条件は次のように設定した。
<TiN層形成>
(ステップ11)
処理室内温度:350℃
処理室内圧力:45Pa
TiClガス供給量:1.16g/min
TiClガス照射時間:5秒
(ステップ13)
処理室内温度:350℃
処理室内圧力:65Pa
NHガス供給流量:7500sccm
NHガス照射時間:15秒
<AlCTiN層形成>
(ステップ15)
処理室内温度:350℃
処理室内圧力:65Pa
TMAガス供給量:0.6g/min
TMAガス照射時間:6秒
(ステップ17)
処理室内温度:350℃
処理室内圧力:45Pa
TiClガス供給量:1.16g/min
TiClガス照射時間:5秒
(ステップ19)
処理室内温度:350℃
処理室内圧力:65Pa
NHガス供給流量:7500sccm
NHガス照射時間:15秒
上記の処理で成膜されたTiAlCN膜の膜厚は10nmであり、さらに、TiAlCN膜の上にキャップ層として30nmのTiN膜を形成した。
実施例2では、上述したX,Y,Zを、それぞれ3,1,52に設定した。すなわち、実施例2では、TiN層を形成する処理を3回(X=3)行う工程と、AlCTiN層を形成する処理を1回(Y=1)行う工程とを、交互に52回(Z=52)繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。
具体的には、実施例2では、TiClガスとNHガスとを交互に3回ずつ供給してTiN層を形成する工程と、TMAガスとTiClガスとNHガスとを1回ずつ供給してAlCTiN層を形成する工程とを、交互に52回繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。そのときの各ステップにおける処理条件は、実施例1と同様である。また、実施例2で成膜されたTiAlCN膜の膜厚は10nmである。
実施例3では、上述したX,Y,Zを、それぞれ1,1,78に設定した。すなわち、実施例3では、TiN層を形成する処理を1回(X=1)行う工程と、AlCTiN層を形成する処理を1回(Y=1)行う工程とを、交互に78回(Z=78)繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。
具体的には、実施例3では、TiClガスとNHガスとを1回ずつ供給してTiN層を形成する工程と、TMAガスとTiClガスとNHガスとを1回ずつ供給してAlCTiN層を形成する工程とを、交互に78回繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。そのときの各ステップにおける処理条件は、実施例1と同様である。また、実施例3で成膜されたTiAlCN膜の膜厚は10nmである。
実施例4では、上述したX,Y,Zを、それぞれ0,1,100に設定した。すなわち、実施例4では、TiN層を形成する処理は行わず(X=0)、AlCTiN層を形成する処理を1回(Y=1)行う工程を100回(Z=100)繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。
具体的には、実施例4では、TMAガスとTiClガスとNHガスとを1回ずつ供給してAlCTiN層を形成する工程を100回繰り返して行うことで、TiAlCN膜を成膜した。そのときの各ステップにおける処理条件は、実施例1と同様である。また、実施例4で成膜されたTiAlCN膜の膜厚は10nmである。
実施例5では、上述したX,Y,Zを、それぞれ1,0,340に設定した。すなわち、実施例5では、AlCTiN層を形成する処理は行わず(Y=0)、TiN層を形成する処理を1回(X=1)行う工程を340回(Z=340)繰り返して行うことで、TiN膜を成膜した。
具体的には、実施例5では、TiClガスとNHガスとを1回ずつ供給してTiN層を形成する工程を340回繰り返して行うことで、TiN膜を成膜した。そのときの各ステップにおける処理条件は、実施例1と同様である。また、実施例5で成膜されたTiN膜の膜厚は10nmである。
図8に、実施例1〜5で成膜した金属膜(TiAlCN膜あるいはTiN膜)のそれぞれについて、EOT(等価酸化膜厚)とVfb(フラットバンド電圧)の関係を示す。図示のように、Cの割合(濃度)が高い(Nの割合(濃度)が低い)実施例ほど、Vfbは負方向へシフトしていることがわかる。Vfbが負方向へシフトすると、仕事関数は減少する。
図9に、実施例1〜5で成膜した金属膜(TiAlCN膜あるいはTiN膜)のそれぞれについて、CとNの割合と、実効仕事関数eWFの関係を示す。また、図10(A)に、実施例1〜5で成膜した金属膜のそれぞれについて、Cの割合に対する仕事関数を示し、図10(B)に、実施例1〜5で成膜した金属膜のそれぞれについて、Nの割合に対する仕事関数を示す。なお、上述の各実施例では、X,Y,Zの各値を調整することで、金属膜そのものの仕事関数をチューニングしているが、図9および図10では、各実施例で成膜した金属膜を含むゲート電極の実効仕事関数eWFを示している。この実効仕事関数eWFは、上述のVfbから算出された値であり、HfO/SiO界面のダイポール込みの値である。
図9および図10に示すように、TiAlCN膜(あるいはTiN膜)に含まれるCの割合を増加させるほど実効仕事関数eWFが小さくなり、Nの割合を増加させるほど実効仕事関数eWFが大きくなる。ダイポールは高誘電体膜の種別に応じて決定されるものであり、各実施例で一定である。したがって、TiAlCN膜に含まれるCの割合を増加させるほどTiAlCN膜の仕事関数は小さくなり、Nの割合を増加させるほどTiAlCN膜の仕事関数が大きくなると言える。
HfO膜等のHigh−k膜では、工程中の熱処理により、High−k膜中の酸素が拡散してHigh−k膜から抜け出るため、High−k膜と界面層との間に界面ダイポールが形成されて実効仕事関数は高くなる。図9に示すように、実施例5に係る金属膜であるTiN膜の仕事関数はダイポール込みで5.0eV程度であるのに対して、実施例1〜4に係る金属膜であるTiAlCN膜の仕事関数は4.52〜4.68eVである。なお、ダイポールによる影響eΔdipole(0.31eV。Y. Kamimura et al.,IEDM(2007)、PP.341−344.より引用)を考慮すれば、TiAlCN膜の仕事関数は4.21〜4.37eV程度であり、それに含まれるCおよび/またはNの割合を制御することにより、上述したTiとAlの仕事関数(約4.3eV)を基準に仕事関数をチューニングすることができることが確認された。
また、金属元素としてTiを含みCを含まないTiAlN膜およびTiN膜の仕事関数は約4.6〜4.7eVであり、金属元素としてTiを含みNを含まないTiAlC膜の仕事関数は約4.1Vであることが発明者らにより確認されている。すなわち、金属元素としてTiを含み、さらにCおよびNを含むTiAlCN膜は、CおよびNの割合を制御することで、その仕事関数を、TiAlC膜の仕事関数とTiAlN膜(またはTiN膜)の仕事関数との間の所望の値にチューニングすることができる。
このように、Cおよび/またはNの割合を制御することにより、Vth(スレッショルド電圧、閾値電圧)を調整することが可能なメタル、すなわち仕事関数がチューニング可能な金属膜としてのTiAlCN膜が提供されることが実験により確認された。したがって、本発明によれば、用途に応じて異なる仕事関数の値を要求された場合であっても、同じ元素組成を有する1つの金属膜で仕事関数を調整することが可能である。
なお、実効仕事関数は、φダイポールやφFLP(Fermi-Level Pinning)でもチューニングすることができるが、以下の理由により、ゲート電極を構成する金属膜そのものの仕事関数をチューニングすることが望ましい。
φダイポールの値は、高誘電体膜の膜種で制御するか、ゲート電極からAlやLa等を高誘電体膜に拡散させて制御する。しかし、高誘電体膜の膜種で制御する場合、NMOSもPMOSも同じ方向にダイポールの値がシフトする(NMOSでは負方向、PMOSでは正方向にシフトするダイポールが必要)。そのため、NMOSとPMOSで高誘電体膜を作り分ける必要があり、プロセスが複雑化してしまう。また、ゲート電極からAlやLa等を拡散させて制御する場合、1000℃程度の熱処理が必要である。しかし、高誘電体膜を用いる場合は、一般にゲートラストプロセスであり、1000℃程度の熱処理は、ゲートスタック(電極/高誘電体膜/SiO/Si基板)の形成よりも前に行われる。なお、この熱処理は、ソースドレインを活性化させるための処理である。したがって、ゲートラストプロセスでは、ゲートスタック後に1000℃程度の熱処理が不要であることが望ましい。さらに、実効仕事関数のチューニング量を大きくするには、φダイポールを大きくする必要があるが、φダイポールが大きくなると、移動度(電子や正孔の動くスピード)が低下する要因にもなる。また、φFLPの値は電極にSiを入れることによって制御することができるが、その場合、電極の抵抗が高くなる可能性がある。したがって、金属膜そのものの仕事関数をチューニングすることが望ましい。
以下、本発明の望ましい形態について付記する。
〔付記1〕
本発明の一態様によれば、
金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う工程と、
前記金属元素と窒素と炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回数行う工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
〔付記2〕
本発明の他の態様によれば、
基板に対して、金属元素を含む第1原料と、窒素または炭素を含む第2原料とを交互に第1の所定回数供給する工程と、
前記基板に対して、炭素を含む第3原料と、前記金属元素を含む第4原料と、窒素を含む第5原料とを交互に第2の所定回数供給する工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
〔付記3〕
付記1または2において、前記第1の所定回数、前記第2の所定回数および前記第3の所定回数は、前記金属膜に含める窒素または炭素の割合に応じて決定される。
〔付記4〕
付記1において、前記第2の層は、前記金属元素とは異なる第2金属元素を含む。
〔付記5〕
付記2において、前記第3原料は、前記金属元素とは異なる第2金属元素を含む。
〔付記6〕
付記1から5のいずれかにおいて、前記金属膜は、前記基板に形成された高誘電体膜の上に成膜される。
〔付記7〕
付記1から6のいずれかにおいて、前記金属元素は、チタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンからなる群より選択された少なくとも一つの元素を含む。
〔付記8〕
付記4または5において、前記第2金属元素は、アルミニウムを含む。
〔付記9〕
付記2において、前記第1原料及び前記第4原料は、TiClを含む。
〔付記10〕
付記5において、前記第3原料は、TMA(トリメチルアルミニウム)を含む。
〔付記11〕
付記1から10において、前記金属元素はチタンであり、前記金属膜の仕事関数は、TiNまたはTiAlNの仕事関数とTiAlCの仕事関数の間の値である。
〔付記12〕
付記4または5において、前記金属元素はチタンであり、前記第2金属元素はアルミニウムであり、前記金属膜の仕事関数は、TiNまたはTiAlNの仕事関数とTiAlCの仕事関数の間の値である。
〔付記13〕
本発明の他の態様によれば、
金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う工程と、
前記金属元素と窒素と炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回行う工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する基板処理方法が提供される。
〔付記14〕
本発明の他の態様によれば、
基板に対して、金属元素を含む第1原料と、窒素または炭素を含む第2原料とを交互に第1の所定回数供給する工程と、
前記基板に対して、炭素を含む第3原料と、前記金属元素を含む第4原料と、窒素を含む第5原料とを交互に第2の所定回数供給する工程と、
を交互に第3の所定回数行うことで、前記基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する基板処理方法が提供される。
〔付記15〕
付記13または14において、前記第1の所定回数、前記第2の所定回数および前記第3の所定回数は、前記金属膜に含める窒素または炭素の割合に応じて決定される。
〔付記16〕
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、金属元素を含む金属含有原料を供給する金属含有原料供給系と、
前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、窒素を含む窒素含有原料を供給する窒素含有原料供給系と、
前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、炭素を含む炭素含有原料を供給する炭素含有原料供給系と、
前記金属含有原料供給系、前記窒素含有原料供給系及び前記炭素含有原料供給系に接続されると共に、前記処理室に収容された前記基板に対して、前記金属含有原料と前記窒素含有原料または前記炭素含有原料とを交互に第1の所定回数供給する処理と、前記金属含有原料と前記窒素含有原料と前記炭素含有原料とを交互に第2の所定回数供給する処理とを、交互に第3の所定回数行うことで、前記基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する処理を、前記金属含有原料供給系、前記窒素含有原料供給系及び前記炭素含有原料供給系を制御して実行させるように構成された制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
〔付記17〕
付記16において、前記第1の所定回数、前記第2の所定回数および前記第3の所定回数は、前記金属膜に含める前記窒素または前記炭素の割合に応じて決定される。
〔付記18〕
本発明の他の態様によれば、
金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う手順と、
前記金属元素と窒素と炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回行う手順と、
を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、前記窒素と前記炭素とを所定の割合で含む金属膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
〔付記19〕
付記18において、前記第1の所定回数、前記第2の所定回数および前記第3の所定回数は、前記金属膜に含める窒素または炭素の割合に応じて決定される。
〔付記20〕
本発明の他の態様によれば、
金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う手順と、
前記金属元素と前記窒素と前記炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回行う手順と、
を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
〔付記21〕
付記20において、前記第1の所定回数、前記第2の所定回数および前記第3の所定回数は、前記金属膜に含める窒素または炭素の割合に応じて決定される。
以上のように、本発明は、例えば、半導体装置の製造方法、半導体ウエハやガラス基板等の基板を処理する基板処理装置等に利用することができる。
10・・・基板処理装置
200・・・ウエハ
201・・・処理室
202・・・処理炉

Claims (6)

  1. 金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う工程と、
    前記金属元素と窒素と炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回数行う工程と、
    を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する半導体装置の製造方法。
  2. 基板に対して、金属元素を含む第1原料と、窒素または炭素を含む第2原料とを交互に第1の所定回数供給する工程と、
    前記基板に対して、炭素を含む第3原料と、前記金属元素を含む第4原料と、窒素を含む第5原料とを交互に第2の所定回数供給する工程と、
    を交互に第3の所定回数行うことで、前記基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する工程を有する半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1の所定回数、前記第2の所定回数および前記第3の所定回数は、前記金属膜に含める窒素または炭素の割合に応じて決定される請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記金属元素はチタンであり、前記金属膜の仕事関数は、TiNまたはTiAlNの仕事関数とTiAlCの仕事関数の間の値である請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  5. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、金属元素を含む金属含有原料を供給する金属含有原料供給系と、
    前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、窒素を含む窒素含有原料を供給する窒素含有原料供給系と、
    前記処理室に接続され、前記処理室に収容された前記基板に対して、炭素を含む炭素含有原料を供給する炭素含有原料供給系と、
    前記金属含有原料供給系、前記窒素含有原料供給系及び前記炭素含有原料供給系に接続されると共に、前記処理室に収容された前記基板に対して、前記金属含有原料と前記窒素含有原料または前記炭素含有原料とを交互に第1の所定回数供給する処理と、前記金属含有原料と前記窒素含有原料と前記炭素含有原料とを交互に第2の所定回数供給する処理とを、交互に第3の所定回数行うことで、前記基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を成膜する処理を、前記金属含有原料供給系、前記窒素含有原料供給系及び前記炭素含有原料供給系を制御して実行させるように構成された制御部と、
    を有する基板処理装置。
  6. 金属元素と窒素または炭素とを含む第1の層を形成する処理を第1の所定回数行う手順と、
    前記金属元素と窒素と炭素とを含む第2の層を形成する処理を第2の所定回行う手順と、
    を交互に第3の所定回数行うことで、基板上に、窒素と炭素とを所定の割合で含む金属膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラム。
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