JP2021008551A - ポリアミド酸組成物及びポリイミド、並びに金属張積層体及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド酸組成物及びポリイミド、並びに金属張積層体及びその製造方法 Download PDF

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康弘 安達
Yasuhiro Adachi
康弘 安達
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Abstract

【課題】低固形分濃度であっても、室温において適度な粘度を有するポリアミド酸組成物の提供。【解決手段】酸二無水物成分から誘導される酸二無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基を含有するポリアミド酸と、溶媒と、を含むポリアミド酸組成物であって、A)粘度が1,000〜50,000cPの範囲内、B)固形分濃度が3〜10重量%の範囲内、C)前記ジアミン残基の合計100モル部に対して、ベンゼン環を有するジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が20モル部以上であるポリアミド酸組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば回路基板材料などの用途に有用なポリアミド酸組成物及びポリイミド、並びに金属張積層体及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。今後、電子機器は、さらに高機能化、小型化していくことが予想される。そのため、例えば、FPCを多層化した状態で使用するニーズが高まると考えられる。また、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の筐体の薄型化に対応して、回路基板自体もより薄いものが求められる傾向が高まる。
回路基板の絶縁樹脂層となるポリイミドフィルムの薄膜化に関する従来技術として、例えば、厚さが7.5μm以下のポリイミドフィルムをテンター法で製造する方法(特許文献1)や、化学イミド化によって得られる自己支持性のゲルフィルムを用いて、厚みが4μm〜18μmのポリイミドフィルムを製造する方法(特許文献2)などが提案されている。
特開2008−284703号公報 特開2017−145325号公報
ポリイミド層を薄く形成するためには、前駆体であるポリアミド酸を基材上に極力薄く塗工する必要がある。しかし、薄膜に塗工しようとする場合、コーターと基材とのクリアランスが狭くなるため、基材がコーターに接触して所望の膜厚で均一に成膜することが困難になるおそれがある。これを回避するためには、ポリアミド酸溶液の固形分濃度を低くすればよいが、固形分濃度を低くすればするほど、ポリアミド酸溶液の粘度が低下し、塗工ムラやハジキなどの塗工不良が生じやすくなる。そのため、キャスト法に使用するポリアミド酸溶液の固形分濃度を、例えば10重量%以下まで下げることは一般に困難であると考えられていた。従って、低固形分濃度でありながら、塗工が可能な程度の適度な粘度を有するポリアミド酸組成物が求められていた。
本発明の目的は、低固形分濃度であっても、室温において適度な粘度を有するポリアミド酸組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリアミド酸の原料として、特定構造を有するジアミン成分を所定比率で用いることにより、10重量%以下の低い固形分濃度であるにもかかわらず、塗工が可能な程度の適度な粘性を有するポリアミド酸組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリアミド酸組成物は、酸二無水物成分から誘導される酸二無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基を含有するポリアミド酸と、溶媒と、を含むものである。本発明のポリアミド酸組成物は、下記の構成A〜C;
A)粘度が1,000〜50,000cPの範囲内である、
B)固形分濃度が3〜10重量%の範囲内である、
C)前記ジアミン残基の合計100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が20モル部以上である、
を備えている。
Figure 2021008551
本発明のポリアミド酸組成物は、一般式(1)において、連結基Zは単結合もしくは−COO−から選ばれる2価の基を示し、Yは独立にハロゲンもしくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素または炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、またはアルケニル基を示し、nは0〜2の整数を示し、pおよびqは独立に0〜4の整数を示す。
本発明のポリアミド酸組成物は、前記ポリアミド酸の重量平均分子量が15万〜80万であってもよい。
本発明のポリアミド酸組成物は、前記溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン及び4−ブチロラクトンから選ばれる1種以上であってもよい。
本発明のポリイミドは、上記いずれかのポリアミド酸組成物の前記ポリアミド酸をイミド化してなるものである。
本発明の金属張積層体は、金属層と、該金属層に積層された樹脂層と、を備えた金属張積層体であって、前記樹脂層が、上記ポリイミドを含有するポリイミド層であることを特徴とする。
本発明の金属張積層体は、前記樹脂層の厚みが2μm以上10μm以下の範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層体の製造方法は、金属層と、該金属層に積層された樹脂層と、を備えた金属張積層体の製造方法であって、
基材上に、上記のいずれかのポリアミド酸組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を熱処理することによって前記ポリアミド酸をイミド化してポリイミドとし、前記樹脂層を形成する工程と、
を含んでいる。
本発明の金属張積層体の製造方法は、前記基材が、前記金属層となる金属箔であってもよい。
本発明の金属張積層体の製造方法は、前記樹脂層上に、前記金属層を形成する工程をさらに含むものであってもよい。
本発明のポリアミド酸組成物は、固形分濃度が10重量%以下でありながら、塗工が可能な程度の適度な粘性を有するものであるため、これを用いることによって、極めて薄いポリイミド層を形成することが容易になる。
従って、本発明のポリアミド酸組成物を使用することによって、樹脂層として極薄い膜厚のポリイミド層を有する金属張積層体を製造することが可能になる。
また、本発明の金属張積層体を回路基板材料として利用することによって、電子機器の微細化への対応が可能であるとともに、回路基板の信頼性と歩留まりの向上を図ることができる。
金属張積層体の概略構成を示す要部断面図である。 金属張積層体の製造工程例を示す図面である。 金属張積層体の別の製造工程例を示す図面である。 金属張積層体のさらに別の製造工程例を示す図面である。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
[ポリアミド酸組成物]
本実施の形態のポリアミド酸組成物は、酸二無水物成分から誘導される酸二無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基を含有するポリアミド酸と、溶媒と、を含み、下記の構成A〜C;
A)粘度が1,000〜50,000cPの範囲内である、
B)固形分濃度が3〜10重量%の範囲内である、
C)前記ジアミン残基の合計100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が20モル部以上である、
を備えている。
Figure 2021008551
一般式(1)において、連結基Zは単結合もしくは−COO−から選ばれる2価の基を示し、Yは独立にハロゲンもしくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素または炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、またはアルケニル基を示し、nは0〜2の整数を示し、pおよびqは独立に0〜4の整数を示す。ここで、「独立に」とは、上記一般式(1)において、複数の置換基Y、整数p、qが同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。
<ポリアミド酸>
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、酸二無水物成分から誘導される酸二無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基を含有するポリアミド酸である。なお、本発明において、酸二無水物残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。
(酸二無水物残基)
本実施の形態のポリアミド酸は、酸二無水物残基として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「PMDA残基」ともいう。)を含有することが好ましい。PMDA残基は、剛直骨格を有するため、他の一般的な酸二無水物成分に比べて、イミド化後のポリイミド中の分子の面内配向性の制御が可能であり、CTEの抑制効果がある。
このような観点から、本実施の形態のポリアミド酸は、酸二無水物残基の合計100モル部に対して、PMDA残基を50モル部以上100モル部以下の範囲内で含有することが好ましく、より好ましくは70モル部以上、さらに好ましくは80モル部以上、特に好ましくは90モル部以上で含有するように制御する。PMDA残基が50モル部未満では、CTEが増加するおそれがある。
本実施の形態で用いるポリアミド酸に含まれるPMDA残基以外の酸二無水物残基としては、ポリイミドの原料として通常使用される酸二無水物の残基を挙げることができる。具体的には、例えば、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
(ジアミン残基)
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、ジアミン残基として、全ジアミン残基の100モル部に対して、上記一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を20モル部以上含有する。
一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基は、秩序構造を形成しやすく、剛直な構造を有するため、CTEの増加を抑制し、ポリイミド層の寸法安定性を向上させる。また、ポリアミド酸の合成過程で重合度を上げていった場合に、ポリアミド酸組成物の粘度を適度に高める作用を有する。このような観点から、一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基は、ポリアミド酸に含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、40モル部以上含有することが好ましく、50〜100モル部の範囲内で含有することがより好ましい。
一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基の好ましい具体例としては、p−フェニレンジアミン(p−PDA)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EOB)、2,2’−ジプロポキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−POB)、2,2’−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。これらの中でも特に、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)は、秩序構造を形成しやすく、剛直な構造を有するため、ポリアミド酸組成物の粘度を適度に高めることができるので特に好ましい。
ポリアミド酸に含まれる他のジアミン残基としては、例えば、m‐フェニレンジアミン(m−PDA)、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(4,4'-DAPE)、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、3,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン(DTBAB)、4,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BAPK)、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等の芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、ポリアミド酸組成物の粘度、ポリイミドのCTE、貯蔵弾性率、引張弾性率等を制御することができる。
ポリアミド酸の重量平均分子量は、例えば15万〜80万の範囲内が好ましく、18万〜50万の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が15万未満であると、ポリアミド酸組成物の固形分濃度を10重量%以下とした場合に、粘度を十分に高めることができず、薄膜塗工が困難となる。一方、重量平均分子量が80万を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルム厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
本実施の形態で用いるポリアミド酸は、上記酸二無水物及びジアミンを溶媒中で反応させることにより製造できる。例えば、上記の酸二無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成するポリアミド酸が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは5〜15重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。ポリアミド酸の合成において、上記酸二無水物及びジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。
重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、4−ブチロラクトン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。重合反応に用いた有機溶媒をそのままポリアミド酸組成物の溶媒として使用する場合は、重合反応の段階から、ポリアミド酸組成物が所望の固形分濃度となるように、有機溶媒の量を調節して合成反応を行うことが好ましい。
<溶媒>
本実施の形態のポリアミド酸組成物における溶媒としては、ポリアミド酸を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、4−ブチロラクトン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等を挙げることができる。これらの中でも、溶解性の観点から、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、4−ブチロラクトンが好ましい。上記溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<粘度>
本実施の形態のポリアミド酸組成物は、粘度が1,000〜50,000cPの範囲内であり、2,000〜20,000cpの範囲内が好ましい。粘度が1,000cP未満では、塗工ムラやハジキなどの塗工不良が生じやすく、ポリアミド酸組成物の薄膜塗工が困難となる。一方、粘度が50,000cPを超えると、塗工作業の際にフィルム厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
<固形分濃度>
本実施の形態のポリアミド酸組成物は、固形分濃度が3〜10重量%の範囲内であり、5〜8重量%の範囲内が好ましい。固形分濃度が3重量%未満では、粘度の制御が困難になり、塗工不良が生じやすくなる。一方、固形分濃度が10重量%を超えると、例えば2〜10μmの範囲内の薄い膜厚の場合に均一に塗工することが困難となる。
[ポリイミド]
本実施の形態のポリイミドは、上記ポリアミド酸組成物のポリアミド酸をイミド化して加熱閉環させたものである。ポリアミド酸をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。本実施の形態のポリイミドは、上記ポリアミド酸で説明した酸二無水物残基とジアミン残基を、ポリアミド酸と同じ比率で含有するものである。なお、ポリイミドが構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよい。
[金属張積層体]
図1は、本発明の一実施の形態に係る金属張積層体の構造を説明するための断面図である。金属張積層体100は、金属層10と樹脂層20とを積層した構造である。この金属張積層体100は、金属層10と、該金属層10に積層された、単層又は複数層のポリイミド層を含む樹脂層20と、を備えている。
金属層10には、必要に応じて開口部11が形成されていてもよく、樹脂層20の表面に対して部分的に金属層10が形成されていてもよい。また、樹脂層20にも、必要に応じて開口部(図示しない)が形成されていてもよい。さらに、金属張積層体100は、樹脂層20の両側に金属層10が積層された構造(両面金属張積層体)であってもよい。
<金属層>
金属張積層体100において、金属層10を構成する金属としては、特に制限はなく、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、金、コバルト、チタン、タンタル、亜鉛、鉛、錫、シリコン、ビスマス、インジウム又はこれらの合金などから選択される金属を挙げることができる。また、金属層10は磁性体で形成されていてもよく、例えばインバー又はインバー合金を含む鉄ニッケル合金、炭素鋼、タングステン鋼、クロム鋼、KS鋼、MK鋼、NKS鋼等が例として挙げられる。
金属層10の厚みについては特に制限はなく、金属張積層体100の使用目的に応じて適宜設定可能であり、例えば2〜100μmの範囲内から選択することが好ましい。
<樹脂層>
本実施の形態の金属張積層体100において、樹脂層20は、単層又は複数層のポリイミド層を含むことができる。ポリイミド層の中の少なくとも1層が、上記ポリアミド酸組成物中のポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミドによって構成されていればよい。
樹脂層20は、必要に応じて無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂層20の厚みは、金属張積層体100の使用目的に応じて適宜設定可能であり、例えば2〜100μmの範囲内から選択することが好ましい。
また、ポリアミド酸組成物を用いることによって、樹脂層20の形成において、任意の基材上に塗工する場合の基材表面とコーターとの間隔(塗工ギャップ)を小さくすることができる。その結果、例えば2〜10μmの範囲内、より好ましくは2〜5μmの範囲内の極薄膜を容易に形成することが可能であり、樹脂層20の薄膜化が実現できる。
樹脂層20の熱膨張係数(CTE)は、金属張積層体100の使用目的に応じて適宜設定可能であり、例えば、面内の全ての方向で、−3ppm以上15ppm/K以下の範囲内であることが好ましく、−2ppm/K以上10ppm/K以下の範囲内であることがより好ましい。CTEを適切な範囲に制御することで、工程中の温度変化に伴う金属層10との寸法のずれを小さくできることから、金属張積層体100の反り、うねり、たるみなどが抑制され、その平坦性を維持することができる。
樹脂層20は、ポリアミド酸組成物を任意の基材上に塗布するキャスト法によって形成されたものであることが好ましい。キャスト法の場合、ポリアミド酸組成物を用いることによって、特に2〜5μmの範囲内の極薄の膜厚で樹脂層20を容易に成膜できる。それに対して、例えばテンター法で厚さ5μm以下の樹脂層を作製する場合は、破断や亀裂が発生しやすく、技術的ハードルが高い上、厚みばらつきやCTEの異方性が生じやすい。
樹脂層20が、キャスト法によってガラス基材上で形成される場合は、樹脂層10の厚みは、好ましくは3〜15μmの範囲内、より好ましくは3〜10μmの範囲内がよい。本実施の形態のポリアミド酸組成物は、低固形分濃度でありながら、塗工ムラやハジキなどの塗工不良を抑制できるので、特にガラス基材を支持基材とするポリイミド積層体に好適である。また、ガラス基材の厚みは、好ましくは0.5〜1.5mmの範囲内、より好ましくは0.5〜1.0mmの範囲内がよい。
[金属張積層体の製造方法]
本実施の形態の金属張積層体100を製造する方法については特に制限はないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。なお、ここでは、樹脂層20の全体がポリイミド層である場合を例に挙げる。
(1)金属箔にポリアミド酸組成物を塗布した後、加熱処理を行い、金属層10上に直接ポリイミド層を形成する方法。
(2)ガラスやSUS等の支持基材上にポリアミド酸組成物を塗布した後、加熱処理を行い、支持基材上にポリイミド層を形成した後に、このポリイミド層上に、例えばスパッタやメッキ等を含むセミアディティブ工法により金属層10を形成し、その後、支持基材を分離する方法。この場合、あらかじめ支持基材とポリイミド層とを分離して、ポリイミドフィルムを得た後、このポリイミドフィルム上に金属層10を形成してもよい。
(3)上記(2)と同様の方法等によって、ポリイミド層又はポリイミドフィルムを得た後に、接着剤を介すことなく、ポリイミド層又はポリイミドフィルムと金属層10とを直接熱圧着する方法。なお、熱圧着後、支持基材を分離してもよい。
(4)上記(2)と同様の方法等によって、ポリイミド層又はポリイミドフィルムを得た後に、金属層10と、ポリイミド層又はポリイミドフィルムとを接着剤、粘着剤等で貼り合わせる方法。なお、貼り合わせ後、支持基材を分離してもよい。
上記(1)〜(4)のいずれの手法においても、金属層10にはあらかじめ開口パターンが形成されていてもよい。また、スパッタやメッキ等を含むセミアディティブ工法により、樹脂層20の表面に部分的に金属層10を形成してもよい。
また、上記(1)〜(4)のいずれの方法においても、ポリアミド酸組成物を金属箔や支持基材などの基材上に塗布する工程では、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。ポリアミド酸組成物を用いることによって、基材表面とコーターとの間隔(塗工ギャップ)を小さくできるため、極薄膜の形成が容易になる。ポリアミド酸組成物を用いる場合の塗工ギャップは、例えば、20〜200μmの範囲内に設定することが好ましい。
ポリアミド酸組成物を塗工する場合の基材としては、ガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板を用いることによって、樹脂層20の低CTE化が可能になるとともに、樹脂層20におけるMD方向(長手方向・搬送方向)のCTE(CTEMD)とTD方向(幅方向)のCTE(CTETD)の差を小さくすることができる。つまり、CTEの面内異方性を抑制できる。一方、ガラス基板よりCTEの大きな基材上にポリアミド酸組成物を塗工して低CTEの樹脂層を形成すると、基材から剥離した時に残留応力によって反りが生じる可能性がある。また、テンター法により低CTEの樹脂層を形成すると、CTEの面内異方性が大きくなって、金属張積層体100の反りが発生しやすくなる。
金属層10が開口部11を有する場合に、金属層10に開口部11を形成したり、開口部11を有する金属層10を形成したりする方法については特に制限されないが、例えば、以下のa)〜c)の方法が挙げられる。
a)金属層10の表面に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、エッチングにより開口部11を形成する方法。
b)金属層10に対し、レーザー照射により開口部11を形成する方法。
c)樹脂層20、または、他の基材上に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、スパッタ、蒸着、メッキ等で開口部11を有する金属層10を形成する方法。
これらの中でも、生産性に優れることから、好ましくはエッチングにより開口部11を形成するのがよい。
樹脂層20が貫通孔である開口部を有する場合、樹脂層20に開口部を形成する方法については特に制限されず、例えば、以下のア)〜ウ)の方法を挙げることができる。
ア)樹脂層20の表面に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、エッチングにより貫通孔を形成する方法。
イ)樹脂層20にレーザーを照射して貫通孔を形成する方法。
ウ)樹脂層20にメカニカルドリルで貫通孔を形成する方法。
これらの中でも、精度や生産性等の観点から、好ましくはレーザー照射によるのがよい。ここで、樹脂層に開口パターンを形成するのに用いられるレーザーとしては、例えば、UV−YAGレーザー(波長355nm)、エキシマレーザー(波長308nm)等を用いることができ、なかでも好ましくは、UV−YAGレーザー(波長355nm)であるのがよい。
次に、金属張積層体100の好ましい製造方法について、図2〜図4を参照しながら、より具体的な3つの態様を挙げて説明する。これらの態様では、樹脂層20の全体がポリイミド層である場合を例に挙げる。なお、図2〜図4では、金属層10に開口部11が形成されている態様を示しているが、開口部11は任意の構成である。
<第1の態様>
第1の態様の製造方法は、下記の工程を含むことができる。図2に、第1の態様における主要な工程を例示した。
(工程I)
まず、ポリアミド酸組成物を、例えばガラス基板などの支持基材30上に塗工した後、熱処理することにより、単層又は複数層のポリイミド層からなる樹脂層20を形成し、図2(a)に示すように、ポリイミド積層体101Aを得る。
(工程IIa)
次に、ポリイミド積層体101Aの樹脂層20上に、少なくとも一つの開口部11を有する金属層10を形成し、図2(b)に示すように、金属張積層体101Bを得る。樹脂層20上に金属層10を形成する方法は、特に制限はないが、例えばスパッタ、蒸着、メッキ等を含むセミアディティブ工法を挙げることができる。
(工程IIb)
次に、金属層積層体101Bから支持基材30を分離し、図2(c)に示すように、金属張積層体101Cを得る。
<第2の態様>
第2の態様の製造方法は、下記の工程を含むことができる。図3に、第2の態様における主要な工程を例示した。
(工程i)
まず、ポリアミド酸組成物を、例えばガラス基板などの支持基材30上に塗工した後、熱処理することにより、単層又は複数層のポリイミド層からなる樹脂層20を形成し、図3(a)に示すように、ポリイミド積層体102Aを得る。
(工程ii)
次に、ポリイミド積層体102Aの樹脂層20上に、少なくとも一つの開口部11を有する金属層10を固定し、図3(b)に示すように、金属張積層体102Bを得る。ここで、樹脂層20上に金属層10を固定する方法は、特に制限されるものではないが、例えば接着剤からなる接着層40を介して貼り合わせる方法などが好ましく採用される。
(工程iii)
次に、金属張積層体102Bの樹脂層20から支持基材30を分離することによって、図3(c)に示すように、開口部11を有する金属層10と、樹脂層20とが積層された金属張積層体102Cを得る。
<第3の態様>
第3の態様の製造方法は、下記の工程を含むことができる。図4に、第3の態様における主要な工程を例示した。
(工程1)
まず、例えば金属層10A上に、ポリアミド酸組成物を塗工した後、熱処理することにより、単層又は複数層のポリイミド層からなる樹脂層20を形成し、図4(a)に示すように、金属層10Aと樹脂層20とが積層された金属張積層体103Aを得る。
(工程2)
次に、金属張積層体103Aの金属層10Aを部分的に除去して開口部11を形成し、図4(b)に示すように、開口部11を有する金属層10と樹脂層20とが積層された金属張積層体103Bを得る。金属層10Aに開口部11を形成する方法は、特に制限はないが、例えばエッチングやレーザー照射等の方法を挙げることができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度測定]
樹脂の粘度はE型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[重量平均分子量(Mw)の測定]
重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー株式会社製、商品名;HLC−8220GPC)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にはN,N−ジメチルアセトアミドを用いた。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
[膜厚の測定]
100mm×100mmのサイズのサンプル(但し、100mm×100mmサイズよりも大きいときは、サンプルの中央部の10mm×10mmの領域とする)を準備し、縦方向及び横方向のそれぞれ25mm間隔で16分割した正四角形の領域について、各領域の中心部の厚みを長さゲージ(HEIDENHAIN社製、商品名;MT1281)を用いて測定し、16箇所の各測定値の平均値を膜厚とした。
[レーザーリフトオフ;LLO]
ポリイミド層とガラス基板との積層体に、エキシマレーザー加工機(波長308nm)を用いて、ビームサイズ14mm×1.2mm、移動速度6mm/sのレーザーをガラス基板側から照射し、ガラス基板とポリイミド層が完全に分離された状態(カッターで剥離範囲を決め、切り口を1周入れてからポリイミドフィルムがガラス基板から自然剥離)とした。この際、レーザー照射エネルギー密度を110(mJ/cm)とした。
実施例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
m−TB:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
4,4’−DAPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
[実施例1]
500mlのセパラブルフラスコに、7.708gのm−TB(36.31mmol)、5.949gの4,4’−DAPE(29.71mmol)、372gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、14.343gのPMDA(65.76mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Aを得た。得られたポリアミド酸溶液Aの粘度は5,400cP、重量平均分子量は230,000、固形分濃度は7%であった。
[実施例2]
500mlのセパラブルフラスコに、10.463gのm−TB(49.29mmol)、3.290gの4,4’−DAPE(16.43mmol)、372gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、14.248gのPMDA(65.32mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Bを得た。得られたポリアミド酸溶液Bの粘度は3,200cP、重量平均分子量は200,000、固形分濃度は7%であった。
[実施例3]
500mlのセパラブルフラスコに、11.150gのm−TB(52.52mmol)、2.629gの4,4’−DAPE(13.13mmol)、372gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、14.220gのPMDA(65.20mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Cを得た。得られたポリアミド酸溶液Cの粘度は3,000cP、重量平均分子量は190,000、固形分濃度は7%であった。
[合成例1]
500mlのセパラブルフラスコに、16.629gのm−TB(78.33mmol)、12.833gの4,4’−DAPE(64.09mmol)、340gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、30.537gのPMDA(140.00mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Dを得た。得られたポリアミド酸溶液Dの粘度は20,000cP、重量平均分子量は120,000、固形分濃度は15%であった。
[合成例2]
500mlのセパラブルフラスコに、18.316gのBAPP(44.62mmol)、372gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、9.684gのPMDA(44.40mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Eを得た。得られたポリアミド酸溶液Eの粘度は500cP、重量平均分子量は210,000、固形分濃度は7%であった。
(作製例1)
厚み18μmの銅箔上に、ポリアミド酸溶液Aを均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで、段階的な熱処理を行い、厚み12μmのポリイミド層が銅箔上に形成された支持基材1を調製した。
[参考例1a]
支持基材1のポリイミド層側の面に、ポリアミド酸溶液Aを塗工ギャップ120μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結させた。常温まで冷却後、支持基材1より剥離することで、厚み8μmのポリイミドフィルム1を得た。得られたポリイミドフィルム1のCTEは7ppm/Kであった。
[参考例1b]
参考例1aで得られたポリイミドフィルム1に無電解メッキ処理を行い0.2μmのニッケル層を形成した。その後、電鋳により9μmの銅層を形成することで両面銅張積層板を得た。
[参考例2a]
支持基材1のポリイミド層側の面に、ポリアミド酸溶液Bを塗工ギャップ80μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、常温まで冷却後、支持基材1より剥離することで、厚み5μmのポリイミドフィルム2を得た。得られたポリイミドフィルム2のCTEは1ppm/Kであった。
[参考例2b]
ガラス基板上に、ポリアミド酸溶液Bを塗工ギャップ80μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結させ、厚み5μmのポリイミド層を形成した。常温まで冷却後、無電解メッキ処理を行いポリイミド層上に0.2μmのニッケル層を形成した。その後、電鋳により9μmの銅層を形成し、レーザーリフトオフでガラス基板上から剥離することで片面銅張積層板を得た。
[参考例3a]
支持基材1のポリイミド層側の面に、ポリアミド酸溶液Cを塗工ギャップ120μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで、段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、常温まで冷却後、支持基材1より剥離することで、厚み8μmのポリイミドフィルム3を得た。得られたポリイミドフィルム3のCTEは1ppm/Kであった。
[参考例3b]
ガラス基板上に、ポリアミド酸溶液Cを塗工ギャップ120μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結させ、厚み8μmのポリイミド層を形成した。常温まで冷却後、無電解メッキ処理を行いポリイミド層上に0.2μmのニッケル層を形成した。その後、電鋳により9μmの銅層を形成し、レーザーリフトオフでガラス基板上から剥離することで片面銅張積層板を得た。
[参考例4a]
支持基材1のポリイミド層側の面に、ポリアミド酸溶液Cを塗工ギャップ150μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで、段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、常温まで冷却後、支持基材1より剥離することで、厚み10μmのポリイミドフィルム4を得た。得られたポリイミドフィルム4のCTEは2ppm/Kであった。
[参考例4b]
ガラス基板上に、ポリアミド酸溶液Cを塗工ギャップ150μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結させ、厚み10μmのポリイミド層を形成した。常温まで冷却後、無電解メッキ処理を行いポリイミド層上に0.2μmのニッケル層を形成した。その後、電鋳により9μmの銅層を形成し、レーザーリフトオフでガラス基板上から剥離することで片面銅張積層板を得た。
[参考例5]
支持基材1のポリイミド層側の面に、ポリアミド酸溶液Dを塗工ギャップ80μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで、段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、常温まで冷却後、支持基材1より剥離することで、厚み12μmのポリイミドフィルム5を得た。
[参考例6]
支持基材1のポリイミド層側の面に、ポリアミド酸溶液Eを塗工ギャップ80μmで均一に塗布した後、130℃で加熱乾燥した。その後、130℃から360℃まで、段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、常温まで冷却後、支持基材1より剥離することで、厚み5μmのポリイミドフィルム6を得たが、厚みムラがあり均一なフィルムにならなかった。
参考例1a、2a、3a、4a、5の比較より、低固形分濃度のポリアミド酸溶液では、塗工ギャップが広くても薄膜ポリイミドを形成可能であることが示された。
また、参考例6より、低固形分濃度のポリアミド酸溶液の場合でも、剛直なジアミン骨格を含まない組成では高分子量化しても粘性が低く、広い塗工ギャップで均一な薄膜ポリイミドを形成することは難しいことが分かった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
10、10A…金属層、11…開口部、20…樹脂層、30…支持基材、40…接着層、100…金属張積層体、101A,102A…ポリイミド積層体、101B,101C,102B,102C,103A,103B…金属張積層体

Claims (9)

  1. 酸二無水物成分から誘導される酸二無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基を含有するポリアミド酸と、溶媒と、を含むポリアミド酸組成物であって、下記の構成A〜C;
    A)粘度が1,000〜50,000cPの範囲内である、
    B)固形分濃度が3〜10重量%の範囲内である、
    C)前記ジアミン残基の合計100モル部に対して、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が20モル部以上である、
    を備えることを特徴とするポリアミド酸組成物。
    Figure 2021008551
    [一般式(1)において、連結基Zは単結合もしくは−COO−から選ばれる2価の基を示し、Yは独立にハロゲンもしくはフェニル基で置換されてもよい炭素数1〜3の1価の炭化水素または炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、またはアルケニル基を示し、nは0〜2の整数を示し、pおよびqは独立に0〜4の整数を示す。]
  2. 前記ポリアミド酸の重量平均分子量が15万〜80万である請求項1に記載のポリアミド酸組成物。
  3. 前記溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン及び4−ブチロラクトンから選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のポリアミド酸組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物の前記ポリアミド酸をイミド化してなるポリイミド。
  5. 金属層と、該金属層に積層された樹脂層と、を備えた金属張積層体であって、
    前記樹脂層が、請求項4に記載のポリイミドを含有するポリイミド層であることを特徴とする金属張積層体。
  6. 前記樹脂層の厚みが2μm以上10μm以下の範囲内である請求項5に記載の金属張積層体。
  7. 金属層と、該金属層に積層された樹脂層と、を備えた金属張積層体の製造方法であって、
    基材上に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
    前記塗布膜を熱処理することによって前記ポリアミド酸をイミド化してポリイミドとし、前記樹脂層を形成する工程と、
    を含む金属張積層体の製造方法。
  8. 前記基材が、前記金属層となる金属箔である請求項7に記載の金属張積層体の製造方法。
  9. 前記樹脂層上に、前記金属層を形成する工程をさらに含む請求項7に記載の金属張積層体の製造方法。

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