ある実施形態では、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オンを含む組成物を、それを必要としている個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置するための方法および医薬組成物が本明細書に開示される。
ある実施形態では、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オンを含む組成物を、それを必要としている個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置するための方法および医薬組成物が本明細書にさらに開示される。
<特定の用語>
前述の一般的な記載と以下の詳細な記載が典型的で、単に説明するためのものであり、請求されるいずれの発明特定事項にも限定されないことが理解されるべきである。本出願では、単数の使用は、特別に別記しない限り、複数を含む。明細書および添付の請求項内で用いられる通り、単数形「a」、「an」および「the」は、その文脈が他に明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」の使用は特に明記しない限り、「および/または」を意味する。更に、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれた(included)」といった他の形態と同じく制限はない。
本明細書で使用されるように、「ACK」と「接触できる(Accessible)システインキナーゼ」は同義語である。それらは、接触できるシステイン残基を備えたキナーゼを意味する。ACKは、BTK、ITK、BMX/ETK、TEC、EFGR、HER2、HER4、LCK、BLK、C−src、FGR、Fyn、HCK、Lyn、YES、ABL、Brk、CSK、FER、JAK3、SYKを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ACKはHER2である。いくつかの実施形態では、ACKはHER4である。
本明細書で使用されるように、「改善」は、化合物または組成物の投与に寄与または関連し得る、持続的か一時的か、永続的か瞬間的かどうかに係わらず、HER2増幅性乳癌の重症度、発病の遅れ、成長の緩和化、転移の緩和化、あるいは、期間の短縮を指す。
本明細書で使用されるように、用語「ブルトン型チロシンキナーゼ」は、例えば米国特許第6,326,469号(GenBank Accession No.NP_000052)に開示されているようなヒト(homo sapiens)からのブルトン型チロシンキナーゼを指す。
本明細書で使用されるように、用語「ブルトン型チロシンキナーゼホモログ」は、例えばマウス(GenBank Accession No.AAB47246)、犬(GenBank Accession No.XP_549139)、ラット(GenBank Accession No.NP_001007799)、ニワトリ(GenBank Accession No.NP_989564)あるいはゼブラフィッシュ(GenBank Accession No.XP_698117)からのオ−ソログ、およびブルトン型チロシンキナーゼの1つ以上の基質に対してキナーゼ活性を示す上述のいずれかの融合タンパク質(例えばアミノ酸配列「AVLESEEELYSSARQ」を有するペプチド基質)のブルトン型チロシンキナーゼのオーソログを指す。
用語「HER2」は、ERBB2としても知られ、または「V−erb−b2赤芽球性白血病ウイルスがん遺伝子ホモログ2」としても知られ、(a)上皮成長因子受容体サブファミリーのメンバーである受容体チロシンキナーゼをコードする核酸配列、あるいは(b)そのタンパク質のどちらか一方を意味する。ヒトHER2遺伝子を含む核酸配列については、GenBank Accession No.NM_004448を参照されたい。ヒトHER2タンパク質を含むアミノ酸配列については、GenBank Accession No.NP_004439を参照されたい。
用語「HER4」は、またはERBB4として知られ、または「V−erb−b2赤芽球性白血病ウイルスがん遺伝子ホモログ4」として知られ、(a)上皮成長因子受容体サブファミリーのメンバーである受容体チロシンキナーゼをコードする核酸配列、あるいは(b)そのタンパク質のどちらか一方を意味する。ヒトHER4遺伝子を含む核酸配列については、GenBank Accession No.NM_001042599を参照されたい。ヒトHER4タンパク質を含むアミノ酸配列については、GenBank Accession No.NP_001036064を参照されたい。
本明細書で使用されるように、用語「相同な(homologous)システイン」は、本明細書で定義されるように、ブルトン型チロシンキナーゼのシステイン481のシステイン残基に相同である配列位置内に発見されたシステイン残基を指す。例えば、システイン482は、ブルトン型チロシンキナーゼのラットのオーソログの相同なシステインであり;システイン479はニワトリのオーソログの相同なシステインであり;および、システイン481はゼブラフィッシュのオーソログの相同なシステインである。別の例において、ブルトン型チロシンに関連するTecキナーゼファミリーであるTXKの相同なシステインはCys350である。
本明細書で使用されるように、用語「不可逆的Btk阻害剤」は、Btkのアミノ酸残基と共有結合を形成することができるBtkの阻害剤を指す。1つの実施形態では、Btkの不可逆的阻害剤は、Btkのシステイン残基と共有結合を形成することができ;特別の実施形態では、不可逆的阻害剤はBtkのシステイン481残基(またはそのホモログ)と、あるいは、図1に示されるような、別のチロシンキナーゼの相同的な対応する位置のシステイン残基と共有結合を形成することができる。
本明細書で使用されるように、用語「pAKT」は市販のリン酸化部位特異的抗体(例えばSanta Cruz Biotech sc−16646)によって検出されるようなThr308のリン酸化AKTを指す。
本明細書で使用されるように、用語「pERK」は、市販のリン酸化部位特異的抗体(例えばCell Signaling Technologies #4377)によって検出されるようなThr202/Tyr204でリン酸化されたERK1およびERK2を指す。
用語「個体」、「患者」および「対象」は交換可能に使用される。それらは、処置、または観察の対象である哺乳動物(例えばヒト)を指す。前記用語は、医療者(例えば医師、医師の助手、看護師、看護助手、ホスピスケア従事者)の監督を必要とするものと解釈されるものではない。
本明細書で使用されるように、用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」あるいは、「処置(treatment)」は、HER2増幅性乳癌の重症度の減少、HER2増幅性乳癌の発病の遅延、HER2増幅性乳癌の成長の緩和化、HER2増幅性乳癌の細胞の転移の緩和化、HER2増幅性乳癌の期間の短縮、HER2増幅性乳癌の発達を妨げること、HER2増幅性乳癌の退縮を引き起こすこと、HER2増幅性乳癌によって引き起こされた状態を緩和すること、あるいはHER2増幅性乳癌に起因する症状を止めることを含む。前記用語「処置する」、「処置すること」あるいは「処置」は、予防的なおよび/または治療処置を含むが、これに限定されない。
本明細書で使用されるように、用語「乳癌」は、非浸潤性乳管癌(分泌管内癌)、非浸潤性小葉癌、侵襲性(あるいは浸潤性)腺管癌、侵襲性(あるいは浸潤性)小葉癌、炎症性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、乳頭のパジェット病、葉状腫瘍、血管肉腫あるいは侵襲性乳癌を含む。いくつかの実施形態では、侵襲性乳癌は、サブタイプへさらに分類される。いくつかの実施形態では、サブタイプは、腺様嚢胞(あるいは腺様嚢胞性(adenocystic))癌、低悪性度の腺扁平上皮癌、髄様癌、粘液性(あるいはコロイド)癌、乳頭癌、管状癌、異形成(metaplastic)癌、微小乳頭(micropapillary)癌あるいは混合(mixed)癌を含む。
いくつかの実施形態では、乳癌は、ステージあるいは腫瘍細胞が、乳房組織内および体の他の部分にどれくらい遠くに広がっているかによってさらに分類される。いくつかの実施形態では、0−IV期の乳癌の5つのステージがある。いくつかの実施形態では、ステージ0の乳癌は、原発部位(origin site)から脱した癌細胞あるいは異常な非癌細胞の証拠のない非侵襲性乳癌を指す。いくつかの実施形態では、ステージIの乳癌は、周囲の組織へ癌細胞が侵入した侵襲性乳癌を指す。いくつかの実施形態では、ステージIは、ステージIAとステージIBへ下位分類され、ステージIAは癌細胞の拡散なしで約2cmまでに測定される腫瘍を意味する。ステージIBは、乳房に腫瘍のないものを意味するが、リンパ節内に約0.2mmから約2mmの間の小さな塊の癌細胞を有している。いくつかの実施形態では、ステージIIの乳癌は、ステージIIAとステージIIBへさらに細分される。いくつかの実施形態では、ステージIIAは、乳房においてのみ約2cmから約5cmの間である腫瘍、あるいは乳房において腫瘍はないが腋窩リンパ節において約2mmから約2cmの間である腫瘍を意味する。いくつかの実施形態では、ステージIIBは、乳房においてのみ約5cm以上の腫瘍、あるいは腋窩リンパ節において約0.2mmから約2mmまでの小さな腫瘍の存在を備えた乳房において約2cmから約5cmの間の腫瘍を意味する。いくつかの実施形態では、ステージIIIの乳癌は、ステージIIIA、ステージIIIBおよびステージIIICへさらに細分される。いくつかの実施形態では、ステージIIIAは、約4−9個の腋窩リンパ節中の小さな腫瘍、あるいは腋窩リンパ節中のサイズにおいて約0.2mmから約2mmの小さな腫瘍を備えた乳房において腫瘍のないあるいは約5cmより大きな腫瘍を意味する。いくつかの実施形態では、ステージIIIBは、約9個までの腋窩リンパ節に腫瘍の存在を備え、胸壁、または乳房の皮膚へ拡散し、腫大あるいは潰瘍を引き起こす腫瘍を意味する。いくつかの実施形態では、炎症性乳癌もステージIIIBと見なされる。いくつかの実施形態では、ステージIIICは、10個以上の腋窩リンパ節における腫瘍の存在と共に、胸壁、または乳房の皮膚へ拡散している腫瘍のないあるいはあるものを意味する。いくつかの実施形態では、ステージIVの乳癌は、リンパ節と体の他の部分へ転移した侵襲性乳癌を指す。
<HER2増幅性癌>
治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法が本明細書に開示される。本明細書で示されるように、イブルチニブは、EGFR(ErbB1)、HER2(ErbB2)およびHER4(ErbB4)等のErbBキナーゼの活性を抑制するのに効果的なACK阻害化合物である。治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置する方法が本明細書にさらに開示される。
Neu、ErbB2、CD340(表面抗原分類340)およびp185としても知られるHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)は、細胞で発見される上皮成長因子受容体である。HER2遺伝子はヒト第17染色体上で見られる。HER2タンパク質は4つの細胞膜結合型受容体チロシンキナーゼからなる。HER2タンパク質によって活性化されたシグナル経路は:マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K/Akt)、ホスホリパ−ゼCγ、プロテインキナーゼC(PKC)、およびシグナル伝達性転写活性化因子(STAT)を含む。
本明細書で使用されるように、「HER2−増幅性癌」は、HER2遺伝子の増幅(あるいは過剰発現)によって特徴づけられる癌(例えば乳癌)を意味する。HER2遺伝子発現の増幅はHER2タンパク質の増加した膜発現をもたらす。増加した発現は、HER3とHER4を含むHER2タンパク質の増加した二量体形成に関連する。増加した二量体形成は、過剰な有糸分裂と細胞複製を結果としてもたらすHER2チロシンキナーゼの増加した活性化をもたらす。
HER2の増幅は乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、尿路上皮癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、卵巣癌、胃癌、胃食道接合部(GEJ)癌、頭頚部癌、胆道癌、前立腺癌、および膵癌の腺癌において確認された。HER2の増幅は、乳癌の約18%−25%において存在する。さらに、HER2の増幅は、GEJ癌の約30%および胃癌の約20%において存在する。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌は:乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、尿路上皮癌、肺癌、卵巣癌、唾液腺管癌、胃癌、および胃食道接合部(GEJ)癌から選択される。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌はHER2増幅性乳癌である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌はHER2増幅性胃癌である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌はHER2増幅性胃食道接合部(GEJ)癌である。
HER2増幅性癌は、高悪性度の表現型(例えば、増加した細胞増殖、増加した細胞生存、増加した細胞運動、および増加した細胞接着)、増加した転移、増加した再発、より短い無病生存期間、およびより乏しい全生存期間によって特徴づけられる。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌は転移性のHER2増幅性癌である。HER2増幅性乳癌を有する個体は脳転移にかかる危険性が高い。いくつかの実施形態では、HER2増幅性乳癌は転移性のHER2増幅性乳癌である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性乳癌は、脳に転移している。
HER2増幅の程度は腫瘍間で可変である。いくつかの腫瘍は高レベルの増幅(HER2:CEP17比率>4.0)を有している一方で、その他のものはより低いレベルの増幅(2.0−4.0のHER2:CEP17比率、あるいは2.2−4.0のHER2:CEP17比率)を有する。いくつかのテストがHER2増幅を診断し分類するために使用される:免疫組織化学(IHC)、蛍光インサイチュハイブリダイゼ−ション(FISH)、Subtraction Probe Technology Chromogenicインサイチュハイブリダイゼ−ション(SPoT−Light HER2 CISH)、およびインフォ−ムHER2デュアルインサイチュハイブリダイゼ−ション(ISH)。IHCを使用して、癌が3+とグレード分けされる場合、癌はHER2増幅性として分類される。FISHを使用して、癌が2.2−4.0のHER2:CEP17比率を有する場合、一般的に癌はHER2増幅性として分類される。1.8−2.2のHER2:CEP17比率は、不確かなものであると考えられる。
いくつかの例では、HER2増幅性癌は、ヘレグリンの発現の存在に関連し、いくつかの場合においてヘレグリンの発現の増加に関連する。ヘレグリン(HRG、またはニュ−レグリンとして知られている)はEGF様の成長因子と分化因子のメンバーである。HRG(HRG1−HRG4)の4つのアイソフォ−ムがある。HRGは、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーの受容体のメンバーであるErbB3とErbB4の受容体に高親和性で結合する。活性化に際して、ErbB3は、細胞分化、遊走、増殖および生存をもたらす、ErbBファミリーの他のメンバーとヘテロ二量体化を起こす。
いくつかの場合において、乳癌中のHRGの存在および/または増加したレベルが、組織学的なグレードの不良と関連する。いくつかの場合において、HER2増幅性乳癌中のHRGの存在および/または増加したレベルが、組織学的グレードの不良と関連する。いくつかの場合において、HER2増幅性腫瘍中のHRGの存在および/または増加したレベルが、組織学的なグレードの不良と関連する。
いくつかの場合において、乳癌は、HRGの増加したレベルを含む。いくつかの場合において、HER2増幅性乳癌は、HRGの増加したレベルを含む。いくつかの場合において、HER2増幅性腫瘍は、HRGの増加したレベルを含む。
いくつかの場合において、HRGが、乳癌中の耐性を誘導する。いくつかの場合において、HRGが、HER2増幅性乳癌中の耐性を誘導する。いくつかの場合において、HRGが、HER2増幅性腫瘍中の耐性を誘導する。
いくつかの場合において、HRGの存在の有無、あるいは発現レベルが、治療に適した患者を選択するために使用される。いくつかの場合において、HRGの存在の有無、あるいは発現レベルが、患者の処置の進行をモニター−するために使用される。いくつかの場合において、HRGの存在、欠如、あるいは発現レベルが、治療レジメンを最適化するために使用される。
HER2増幅性癌を治療するために使用される現在の薬剤は、トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン(アド・トラスツズマブエムタンシンでもある)、ペルツズマブおよびラパチニブを含む。補助トラスツズマブ療法の場に置かれたとしても、トラスツズマブで処置されたHER2増幅性乳癌を有する個体は再発性疾患にかかる。HER2増幅性癌の多くの患者が治療に反応しない、あるいはいくつかの例において、処置の1年以内に難治性疾患が進行する。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌は再発性である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌は、例えばトラスツズマブに対して難治性である。
<投与>
治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法および医薬組成物が本明細書に開示される。治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置するための方法および医薬組成物がさらに開示される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、HER2増幅性癌の進行の前、最中、あるいは後に投与される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、予防薬として使用され、HER2増幅性癌が進行する傾向を備えた対象に継続的に投与される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、HER2増幅性癌の進行の最中、あるいは進行の後できるだけすぐに個体に投与される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の投与は、症状の発症の最初の48時間以内に、症状の発症の最初の6時間以内に、あるいは症状の発症の3時間以内に開始される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の最初の投与は、例えば静脈内注射、ボ−ラス投与、5分以上から約5時間の点滴、丸剤、カプセル、経皮貼布、口腔送達等、あるいはその組み合わせのような実際的な任意の経路を介する。ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、病気の発症が検出されたまたは疑われた後、実行可能になって、できるだけすぐに、および例えば約1か月から約3か月等の病気の処置に必要な時間の長さにおいて投与されるべきである。処置の長さは各対象によって変わり得、その長さは既知の基準を使用して決定され得る。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、少なくとも約2週間、約1か月から約5年の間、あるいは約1か月から約3年の間投与される。
治療上有効な量は、疾患の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および医薬品に対する反応、並びに治療する医師の判断に依存する。予防的に有効な量は、患者の健康状態、体重、疾患の重症度と経過、以前の治療、医薬品に対する反応、および治療する医師の判断に依存する。
いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、例えば、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、あるいは3日おきに定期的に患者に投与される。他の実施形態では、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、例えば、1日2回に続いて1日1回に続いて1日3回;あるいは毎週の最初の2日;あるいは1週間の第1日、第2日および第3日に間欠的に患者に投与される。いくつかの実施形態では、間欠性の投薬は定期的な投薬と同じくらい有効である。更なるまたは他の実施形態では、患者が、例えば疼痛の発症、熱の発症、炎症の発症、あるいは皮膚障害の発症といった特定の症状を示す場合に、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)が投与される。各化合物の投薬スケジュ−ルはその他に依存し得、あるいはその他に依存しないことがあり得る。
患者の状態が改善しない場合に、医者の裁量に際して、化合物の投与は慢性的に投与されることがあり、すなわち、患者の障害を緩和させるために、さもなければ患者の障害の症状を制御または制限するために、患者の生涯を通して、を含む長期間の間投与される。
患者の状態が改善する場合に、医者の裁量に際して、化合物の投与は継続的に与えられ得る;代わりに、投与されている薬の用量は一時的に減少されるか、あるいはある時間の長さのために一時的に休止されることがある(つまり「休薬日」)。休薬日の長さは、例のみとして、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日あるいは365日を含む、2日から1年の間で変わり得る。休薬日中の用量の減少は、例のみとして、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%あるいは100%を含む、10%−100%であり得る。
一旦患者の状態の改善が生じたならば、必要な場合、維持治療レジメンで投与される。続いて、ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の投与の用量又は頻度あるいはその両方は、個人の改善された状態が保持されるレベルにまで症状に比例して減少され得る。しかしながら、個人はいずれかの症状の再発に際して、長期間にわたり間欠性の処置を要求できる。
ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は、特定の化合物、病気およびその重症度、対象の同一性(例えば体重)あるいは処置を必要とする宿主等の要因に依存して変化し、例えば投与されている特定の薬剤、投与経路および処置されている対象あるいは宿主を含む、その事例を取り巻く特定の状況によって決定される。しかしながら、一般に、成人の処置のために使用される用量は、典型的に1日当たり0.02−5000mg、あるいは1日当たり約1−1500mgの範囲になるだろう。所望の用量は、単回用量あるいは同時に(あるいは短期間で)、または例えば1日当たり2、3あるいは4回以上のサブ用量で適切な間隔で投与される分割用量のように存在し得る。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の治療上の量は、10mg/日から2000mg/日までを含む。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の治療上の量は、40mg/日から2000mg/日までを含む。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の治療上の量は、100mg/日から2000mg/日までを含む。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は、140mg/日から840mg/日までを含む。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は、420mg/日から840mg/日までを含む。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は、約10mg/日、約11mg/日、約12mg/日、約13mg/日、約14mg/日、約15mg/日、約16mg/日、約17mg/日、約18mg/日、約19mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約55mg/日、約60mg/日、約65mg/日、約70mg/日、約75mg/日、約80mg/日、約85mg/日、約90mg/日、約95mg/日、約100mg/日、約110mg/日、約120mg/日、約125mg/日、約130mg/日、約135mg/日、約140mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約170mg/日、約180mg/日、約190mg/日、約200mg/日、約280mg/日、約360mg/日、約420mg/日、約560mg/日、約700mg/日、約840mg/日、約980mg日、約1120mg日、あるいは約1260mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約140mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約280mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約420mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約560mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約700mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約840mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約980mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約1120mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約1260mg/日である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の量は約1400mg/日である。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の用量は、経時的に増大される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)の用量は、所定の期間にわたって約1.25mg/kg/日から約12.5mg/kg/日に増大される。いくつかの実施形態では、所定の期間は、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、11か月以上、12か月以上、18か月以上、24か月以上、またはそれを超える期間である。
ACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)は、正確な用量の単剤投与に適している単位用量の剤形に製剤化され得る。単位用量の剤形では、製剤は、1あるいは両方の化合物の適正量を含んでいる単位用量に分割される。単位用量は、製剤の離散量を含んでいる包装の形であり得る。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル剤、および、バイアルまたはアンプル中の粉末である。水性懸濁液の組成物は、単回投与の再密閉できない容器で包装され得る。あるいは、複数回投与の再密閉できる容器が使用され得、その場合には、組成物に保存剤を含むことが典型的である。例のみとして、注射剤のための製剤は、限定されないが、アンプルあるいは複数用量の容器を含む単位用量剤形中で追加の保存剤と共に存在し得る。
医療従事者が様々な要因に従って投与レジメンを決定することが理解される。これらの要因は、対象が苦しむ固形腫瘍、対象の体重、性別、食事および病状と同様に転移の程度も含む。
<化合物>
治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法および医薬組成物が本明細書に開示される。治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置するための方法および医薬組成物が本明細書にさらに開示される。
標準化学用語の定義は、Carey and Sundberg「ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED」Vols.A(2000) and B(2001),Plenum Press, New Yorkを含む参考資料で見られる。特に示さない限り、本技術分野の技術の範囲内で、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬理学の従来の方法が使用される。特定の定義が与えられない限り、本明細書に記載されている分析化学、有機合成化学、医薬並びに薬化学に関連する命名法と、検査の方法および技術は当業者に既知のものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬品、製剤および送達、並びに患者の処置に随意に使用される。標準的な技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、並びに組織培養と形質転換(例えばエレクトロポレ−ション、リポフェクション)に随意に使用される。反応と精製技術は文書化された方法論、あるいは本明細書に記載されたものを使用して実施される。
本明細書に記載される方法と組成物は、本明細書に記載される特定の方法論、手順、細胞株、構築物、および試薬に限定されず、随意に変わることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態についてのみ記載する目的のものであり、本明細書に記載される方法および組成物の範囲を限定することは意図されず、添付された請求項によってのみ限定されることが理解される。
特に明記しない限り、複雑な部分(つまり複数鎖の部分)に使用される用語は、左から右へ、あるいは右から左へのいずれか一方と等しく読みとられる。例えば、アルキレンシクロアルキレン基は、アルキレン基に続くシクロアルキレン基、あるいはシクロアルキレン基に続くアルキレン基の両方を指す。
基に追加された接尾辞「エン(ene)」は、そのような基がジラジカルであることを示す。例のみとして、メチレンはメチル基のジラジカル、すなわち、それは−CH2−基であり;およびエチレンはエチル基のジラジカル、つまり−CH2CH2−である。
「アルキル」基は脂肪族炭化水素基を指す。アルキルの部分は「飽和アルキル」基を含み、それはアルケンの部分またはアルキンの部分のいずれも含まないことを意味する。アルキルの部分はさらに「不飽和アルキル」部分を含み、それは少なくとも1つのアルケンあるいはアルキンの部分を含むことを意味する。「アルケン」部分は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する基を指し、「アルキン」部分は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する基を指す。アルキル部分は、飽和または不飽和でも、分枝鎖、直鎖あるいは環状の部分を含む。構造によって、アルキル基はモノラジカルあるいはジラジカル(つまりアルキレン基)を含み、「低級アルキル」は1−6個の炭素原子を有する場合を指す。
本明細書で使用されるように、C1−CxはC1−C2、C1−C3...C1−Cxを含む。
「アルキル」の部分は1−10個の炭素原子を随意に有する(本明細書で表される場合は常に、「1−10」等の数の範囲は、与えられた範囲の各整数を指し、この定義はまた数の範囲が指定されない場合の用語「アルキル」を包含するが、例えば「1−10個の炭素原子」は、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、10個の炭素原子までを有する部分から選択されるアルキル基を意味する)。本明細書に記載される化合物のアルキル基は「C1−C4アルキル」としての指定、あるいは同様の指定あり得る。例のみとして、「C1−C4アルキル」は、アルキル鎖に1個−4個の炭素原子があることを示す、つまり、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルの中から選択される。したがって、C1−C4アルキルはC1−C2アルキルとC1−C3アルキルを含む。アルキル基は随意に置換されているあるいは置換されていない。典型的なアルキル基は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。
用語「アルケニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が芳香族基の一部ではない二重結合を形成するアルキル基のタイプを指す。すなわち、アルケニル基は、原子−C(R)=C(R)−Rで始まり、ここでRは同じか異なるアルケニル基の残りの部分を指す。アルケニルの部分は随意に分枝鎖、直鎖、あるいは環状(その場合、それは「シクロアルケニル」基としても知られる)である。構造によって、アルケニル基はモノラジカルあるいはジラジカル(つまりアルケニレン基)を含む。アルケニル基は随意に置換される。アルケニル基の限定しない例は、−CH=CH2、−C(CH3)=CH2、−CH=CHCH3、−C(CH3)=CHCH3を含む。アルケニレン基は、−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CHCH2CH2−、および−C(CH3)=CHCH2−を含むが、これに限定されない。アルケニル基は随意に2−10個の炭素を有し、「低級アルケニル」は2−6個の炭素原子を有する場合を指す。
用語「アルキニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が三重結合を形成するアルキル基のタイプを指す。すなわち、アルキニル基は、原子−C≡CRで始まり、ここでRは同じか異なるアルケニル基の残りの部分を指す。アルキニルの部分の「R」部分は分枝鎖、直鎖あるいは環状であり得る。構造によって、アルキニル基はモノラジカルあるいはジラジカル(つまりアルキニレン基)を含む。アルキニル基は随意に置換される。アルキニル基の限定しない例は、−C≡CH、−C≡CCH3、−C≡CCH2CH3、−C≡C−、および−C≡CCH2−を含むが、これに限定されない。アルキニル基には随意に2〜10個の炭素を有し、「低級アルキニル」は2−6個の炭素原子を有する場合を指す。
「アルコキシ」基は(アルキル)O−基を指し、アルキルは本明細書で定義された通りである。
本明細書で定義されるように、「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたアルキルラジカルを指す。ヒドロキシアルキルの限定しない例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル、および2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルを含むが、これに限定されない。
本明細書で定義されるように、「アルコキシアルキル」は、本明細書で定義されるようにアルコキシ基で置換されたアルキルラジカルを指す。
用語「アルキルアミン」は、xとyがx=1、y=1およびx=2、y=0の中から選択される、−N(アルキル)xHy基を指す。x=2の場合、アルキル基は、それらに結合しているN原子と共に随意に環状の環系を形成する。
本明細書で定義されるように、「アルキルアミノアルキル」は、本明細書で定義されるようにアルキルアミンで置換されたアルキルラジカルを指す。
本明細書で定義されるように、「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は、本明細書で定義されるようにアルキルアミンとアルキルヒドロキシで置換されたアルキルラジカルを指す。
本明細書で定義されるように、「アルコキシアルキルアミノアルキル」は、本明細書で定義されるようにアルキルアミンで置換されたおよびアルキルアルコキシで置換されたアルキルラジカルを指す。
「アミド」は、式−C(O)NHRあるいは−NHC(O)Rを備えた化学物質の部分であり、Rはアルキル、シクロアルキル、アリ−ル、ヘテロアリ−ル(環炭素を介して結合した)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合した)の中から選択される。いくつかの実施形態では、アミド部分は、アミノ酸またはペプチド分子と、本明細書に記載される化合物の間に結合を形成し、それによってプロドラッグが形成される。本明細書に記載される化合物の任意のアミンまたはカルボキシル側鎖はアミノ化され得る。そのようなアミドを作る手順と特定の基は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons, New York, NY, 1999等の情報源に見られ、それは本開示において引用によって組み込まれる。
用語「エステル」は式−COORを備えた化学物質の部分を指し、Rはアルキル、シクロアルキル、アリ−ル、ヘテロアリ−ル(環炭素を介して結合した)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合した)の中から選択される。本明細書に記載される化合物の任意のヒドロキシまたはカルボキシル側鎖は、エステル化され得る。そのようなエステルを作る手順と特定の基は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons, New York, NY, 1999等の情報源に見られ、それは本開示において引用によって組み込まれる。
本明細書で使用されるように、用語「環」は、任意の共有結合で閉じた構造を指す。環は例えば、炭素環式化合物(例えばアリ−ルとシクロアルキル)、複素環(例えばヘテロアリ−ルと非芳香族複素環)、芳香族(例えばアリ−ルとヘテロアリ−ル)および非芳香族(例えばシクロアルキルと非芳香族複素環)を含む。環は、随意に置換され得る。環は、単環式または多環式でもよい。
本明細書で使用されるように、用語「環系」は1つ以上の環を指す。
用語「員環」は任意の環状構造を包含できる。用語「員」は、環を構成する骨格原子の数を示すことを意味する。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピランおよびチオピランは6員環であり、シクロペンチル、ピロ−ル、フランおよびチオフェンは5員環である。
用語「縮合した」は、2つ以上の環が1つ以上の結合を共有する構造を指す。
用語「炭素環式の」あるいは「炭素環式化合物」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である環を指す。炭素環式化合物はアリ−ルとシクロアルキルを含む。それゆえに、前記用語は、環骨格が炭素とは異なる少なくとも1つの原子(つまりヘテロ原子)を含む複素環(「ヘテロ環式」)から炭素環式化合物を区別する。複素環はヘテロアリ−ルとヘテロシクロアルキルを含む。炭素環式化合物と複素環は随意に置換され得る。
用語「芳香族」は、nが整数である場合に、4n+2πの電子を含んでいる、非局在化されたπ−電子系を有する平面環を指す。芳香環は5、6、7、8、9、あるいは9を超えた子から形成され得る。芳香族は随意に置換され得る。用語「芳香族」は炭素環式アリ−ル(例えばフェニル)とヘテロ環式アリ−ル(あるいは「ヘテロアリ−ル」あるいは「複素芳香環」)基(例えばピリジン)の両方を含む。前記用語は単環式または縮合環の多環式(つまり、隣接する炭素原子対を共有する環)基を含む。
本明細書で使用されるように、用語「アリ−ル」は環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香環を指す。アリ−ル環は5、6、7、8、9、あるいは9を超えた炭素原子によって形成され得る。アリ−ル基は随意に置換され得る。アリ−ル基の例は、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、フルオレニルおよびインデニルを含むが、これに限定されない。構造によって、アリ−ル基はモノラジカルあるいはジラジカル(つまりアリ−レン基)であり得る。
「アリ−ルオキシ」基は(アリ−ル)O−基を指し、アリ−ルは本明細書で定義される通りである。
本明細書で使用されるように、用語「カルボニル」は、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)2−、および−C(S)−からなる群から選択される部分を含む基を指し、少なくとも1つのケトン基、および/または少なくとも1つのアルデヒド基、および/または少なくとも1つのエステル基、および/または少なくとも1つのカルボン酸基、および/または少なくとも1つのチオエステル基を包含する基を含むが、これに限定されない。そのようなカルボニル基はケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステルおよびチオエステルを含む。いくつかの実施形態では、そのような基は直鎖状、分枝状あるいは環状分子の一部である。
用語「シクロアルキル」は、炭素と水素のみを含む単環式か多環式のラジカルを指し、随意に飽和、部分的に不飽和、あるいは完全に不飽和である。シクロアルキル基は、3−10個の原子を含む環を有する基を包含する。シクロアルキル基の実例は以下の部分:
等を含む。構造によって、シクロアルキル基は、モノラジカルあるいはジラジカル(例えばシクロアルキレン基)のいずれかであり、「低級シクロアルキル」の場合は3−8個の炭素原子を有する。
本明細書で定義されるように、「シクロアルキルアルキル」はシクロアルキル基で置換されたアルキルラジカルを意味する。限定しないシクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等を含む。
用語「複素環」は、O、SおよびNからそれぞれ選択される1−4個のヘテロ原子を含む複素芳香環およびヘテロ脂環式基を指し、それぞれの複素環基は、前記基の環が2つの隣接したOあるいはS原子を含まないという条件を備え、その環系中に4−10個の原子を有する。本明細書に、複素環中の炭素原子数が示される(例えばC1−C6複素環)場合は常に、少なくとも1個の他の原子(ヘテロ原子)は必ず環の中に存在する。「C1−C6複素環」等の指定は、環の炭素原子数のみを指し、環の原子の総数を指さない。ヘテロ環は環中に追加のヘテロ原子を有し得ることが理解される。「4−6員複素環」等の名称は、環に含まれる原子の総数(つまり、少なくとも1つの原子が炭素原子であり、少なくとも1個の原子がヘテロ原子であり、残りの2−4個の原子が炭素原子またはヘテロ原子のいずれかである、4、5、または6員環)を指す。2個以上のヘテロ原子を有する複素環では、それらの2個以上のヘテロ原子は互いに同じか別であり得る。複素環は随意に置換され得る。複素環への結合はヘテロ原子で、あるいは炭素原子を介し得る。非芳香族複素環基は、それらの環系に4個の原子のみを有する基を含むが、芳香族複素環基はそれらの環系に必ず少なくとも5個の原子を有する。複素環基は、ベンゾ縮合した環系を含む。4員複素環基の例は、アゼチジニル(アゼチジンに由来する)である。5員複素環基の例は、チアゾリルである。6員複素環基の例はピリジルであり、10員複素環基の例はキノリニルである。非芳香族複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルフォリノ、チオモルフォリノ、チオオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリルおよびキノリジニルである。芳香族複素環基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。上に挙げられた基に由来するような前述の基は、可能であれば随意にC−付加あるいはN−付加であり得る。例えば、ピロ−ルに由来する基は、ピロ−ル−1−イル(N−付加)あるいはピロ−ル−3−イル(C−付加)を含む。さらに、イミダゾ−ルに由来する基は、イミダゾ−ル−1−イルまたはイミダゾ−ル−3−イル(両方共N−付加)、あるいはイミダゾ−ル−2−イル、イミダゾ−ル−4−イルまたはイミダゾ−ル−5−イル(すべてC−付加)を含む。複素環基はベンゾ縮合した環系と、ピロリジン−2−オン等の1つあるいは2つのオキソ(=O)部分で置換された環系を含む。構造によって、複素環基はモノラジカルあるいはジラジカル(つまりヘテロシクレン基)であり得る。
用語「ヘテロアリ−ル」あるいは代わりに「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素および硫黄から選択される1個以上の環ヘテロ原子を含む芳香族基を指す。N−を含む「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリ−ル」の部分は、環の骨格原子の少なくとも1個が窒素原子である芳香族基を指す。ヘテロアリ−ル基の実例は以下の部分:
等を含む。構造によって、ヘテロアリ−ル基はモノラジカルあるいはジラジカル(つまりヘテロアリ−レン基)であり得る。
本明細書で使用されるように、用語「非芳香族複素環」、「ヘテロシクロアルキル」あるいは「ヘテロ脂環式」は、非芳香環を指し、環を形成する1個以上の原子はヘテロ原子である。「非芳香族複素環」あるいは「ヘテロシクロアルキル」基は、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ラジカルはアリ−ルまたはヘテロアリ−ルと縮合される。ヘテロシクロアルキル環は3、4、5、6、7、8、9個あるいは9個を超える原子によって形成され得る。ヘテロシクロアルキル環は随意に置換される。特定の実施形態では、非芳香族複素環は、例えば、オキソ−とチオ−を含む基等の1つ以上のカルボニルまたはチオカルボニルを含む。ヘテロシクロアルキルの例は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、環状カルバマ−ト、テトラヒドロチオピラン、4H−ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3−ジオキシン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキシン、1,4−ジオキサン、ピペラジン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチイン、1,4−オキサチアン、テトラヒドロ−1,4−チアジン、2H−1,2−オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツ−ル酸、チオバルビツル酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3−ジオキソ−ル、1,3−ジオキソラン、1,3−ジチオ−ル、1,3−ジチオラン、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、および1,3−オキサチオランを含むが、これに限定されない。
非芳香族複素環としても示される、ヘテロシクロアルキル基の実例は:
等を含む。用語ヘテロ脂環式は、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類を含むが、これに限定されず、炭水化物のすべての環形状も含む。構造によって、ヘテロシクロアルキル基はモノラジカルあるいはジラジカル(つまりヘテロシクロアルキレン基)であり得る。
用語「ハロ」あるいは代わりの「ハロゲン」あるいは「ハロゲン化物」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨ−ドを意味する。
用語「ハロアルキル」は、少なくとも1つの水素がハロゲン原子と置き替えられたアルキル構造を指す。ある実施形態では、2つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き替えられ、ハロゲン原子は互いに同じである。他の実施形態では、2つ以上の水素原子がハロゲン原子に置き換えられ、ハロゲン原子は互いにすべて同じではない。
本明細書で使用されるように、用語「フルオロアルキル」は、少なくとも1つの水素がフッ素原子で置き替えられたアルキル基を指す。フルオロアルキル基の例は、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3等を含むが、これに限定されない。
本明細書で使用されるように、用語「ヘテロアルキル」は、1つ以上の骨格鎖の原子が例えば酸素、窒素、硫黄、シリコン、リンあるいはその組み合わせのヘテロ原子である、随意に置換されたアルキルラジカルを指す。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部、あるいは分子の残りに付加されるヘテロアルキル基の位置に配置される。例は、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、および−CH=CHN(CH3)−CH3を含むが、これに限定されない。加えて、いくつかの実施形態では、例として、−CH2NH−OCH3および−CH2O−Si(CH3)3等の2個までのヘテロ原子が連続する。
用語「ヘテロ原子」は炭素または水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、典型的に酸素、硫黄、窒素、シリコンおよびリンの中から独立して選択されるが、これらの原子に限定されない。2個以上のヘテロ原子が存在する実施形態では、2個以上のヘテロ原子は互いに全て同じであるか、2個以上のヘテロ原子のうちのいくつかまたは全てがそれぞれ互いに異なり得る。
結合によって連結される原子は、より大きな部分構造の一部であると考えられる場合、用語「結合」または「単結合」は、2個の原子間あるいは2つの部分の化学結合を指す。
用語「部分」は、分子の特定のセグメントまたは官能基を指す。化学物質の部分は、分子に埋め込まれたまたは付加された化学物質としばしば認識される。
「チオアルコキシ」あるいは「アルキルチオ」基は−S−アルキル基を指す。
「SH」基もチオ−ル基またはスルフヒドリル基としてのどちらかを指す。
用語「随意に置換された」あるいは「置換された」は、アルキル、シクロアルキル、アリ−ル、ヘテロアリ−ル、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリ−ルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリルスルホキシド、アルキルスルホン、アリ−ルスルホン、シアノ、ハロ、アシル、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、モノ−およびジ−置換のアミノ基を含むアミノ、およびその保護された誘導体から個々に独立して選択される1つ以上の追加の基で置換され得る参照基(referenced group)を意味する。例によると任意の置換基はLsRsであり得、各々のLは、単結合、−O−、−C(=O)、−S、−S(=O)、−S(=O)2−、−NH−、−NHC(O)、−C(O)NH、S(=O)2NH、−NHS(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−(置換されたまたは非置換型のC1−C6アルキル)、あるいは−(置換されたまたは非置換型のC2−C6アルケニル)から独立して選択され;および、各々のRsは、H、(置換されたまたは非置換型のC1−C4アルキル)、(置換されたまたは非置換型のC3−C6シクロアルキル)、ヘテロアリ−ル、あるいはヘテロアルキルから独立して選択される。上記の置換基の保護誘導体を形成する保護基は、上記のGreene and Wuts等の情報源で見られるものを含む。
<ACK阻害化合物>
治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法および医薬組成物が本明細書に開示される。治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む組成物を個体に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置するための方法および医薬組成物が本明細書にさらに開示される。
本明細書に記載されるACK阻害化合物は、阻害化合物のMichael受容体部分と共有結合を形成することができる接触可能なシステインを有するキナーゼに選択的である。いくつかの実施形態では、システイン残基は接触可能か、あるいは不可逆的阻害剤の結合部位の部分がキナーゼに結合する場合、接触可能になる。すなわち、不可逆的阻害剤の結合部位の部分はACKの活性部位に結合し、不可逆的阻害剤のMichael受容体部分は接触が増える(1つの実施形態では、結合の工程はACKの中の立体構造の変化をもたらし、それゆえにシステインが露出する)か、そうでなければ、ACKのシステイン残基にさらされ;その結果、共有結合は、システイン残基の「S」と不可逆的阻害剤のMichael受容体の間で形成される。従って、不可逆的阻害剤の結合部位の部分は、結合されたまマーカー、あるいはそうでなければACKの活性部位をブロックする。
1つの実施形態では、ACKは、Btk、BtkのホモログあるいはBtkの中のシステイン481のアミノ酸配列位置と相同であるアミノ酸配列位置にシステイン残基を有するチロシンキナーゼである。いくつかの実施形態では、ACKはHER4である。本明細書に記載される阻害化合物は、Michael受容体部分、結合部位の部分、および結合部位の部分とMichael受容体部分を連結するリンカ−を含む(また、いくつかの実施形態では、リンカ−の構造は立体構造を提供するか、あるいはそうでなければ特定のACKの不可逆的阻害剤の選択性を改善するようにMichael受容体部分を配向する)。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤は式(A)の化合物およびその薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩類あるいは薬学的に許容可能なプロドラッグであって:
式中、
Aは、NまたはCR5から独立して選択され;
R1は、H、L2−(置換されたまたは非置換型のアルキル)、L2−(置換されたまたは非置換型のシクロアルキル)、L2−(置換されたまたは非置換型のアルケニル)、L2−(置換されたまたは非置換型のシクロアルケニル)、L2−(置換されたまたは非置換型の複素環)、L2−(置換されたまたは非置換型のヘテロアリ−ル)、あるいはL2−(置換されたまたは非置換型のアリ−ル)であり、ここで、L2は、単結合、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、C(=O)、−(置換されたまたは非置換型のC1−C6アルキル)、あるいは−(置換されたまたは非置換型のC2−C6アルケニル)であり;
R2とR3は、H、低級アルキル、および置換された低級アルキルから独立して選択され;
R4はL3−X−L4−Gであり、ここで、
L3は随意であり、単結合がある場合、随意に置換されたまたは非置換型のアルキル、随意に置換されたまたは非置換型のシクロアルキル、随意に置換されたまたは非置換型のアルケニル、随意に置換されたまたは非置換型のアルキニルであり;
Xは随意であり、単結合がある場合、O、−C(=O)、S、−S(=O)、−S(=O)2、−NH、−NR9、−NHC(O)、−C(O)NH、−NR9C(O)、−C(O)NR9、−S(=O)2NH、−NHS(=O)2、−S(=O)2NR9−、−NR9S(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−OC(O)NR9−、−NR9C(O)O−、−CH=NO−、−ON=CH−、−NR10C(O)NR10−、ヘテロアリ−ル、アリ−ル、−NR10C(=NR11)NR10−、−NR10C(=NR11)−、−C(=NR11)NR10−、−OC(=NR11)−、あるいは−C(=NR11)O−であり;
L4は随意であり、単結合がある場合、置換されたまたは非置換型のアルキル、置換されたまたは非置換型のシクロアルキル、置換されたまたは非置換型のアルケニル、置換されたまたは非置換型のアルキニル、置換されたまたは非置換型のアリ−ル、置換されたまたは非置換型のヘテロアリ−ル、置換されたまたは非置換型の複素環であり;
あるいは、ともに得られたL3、XおよびL4は、複素環を含む窒素を形成し;
Gは、
であり、ここで、
R6、R7およびR8は、H、低級アルキルまたは置換された低級アルキル、低級ヘテロアルキルまたは置換された低級へテロアルキル、置換されたまたは非置換型の低級シクロアルキル、および置換されたまたは非置換型の低級へテロシクロアルキルから独立して選択され;
R5は、H、ハロゲン、−L6−(置換されたまたは非置換型のC1−C3アルキル)、−L6−(置換されたまたは非置換型のC2−C4アルケニル)、−L6−(置換されたまたは非置換型のヘテロアリ−ル)、あるいは−L6−(置換されたまたは非置換型のアリ−ル)であり、ここでL6は、単結合、O、S、−S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、−NHC(O)O、−OC(O)NH、−NHC(O)あるいは−C(O)NHであり;
各々のR9は、H、置換されたまたは非置換型の低級アルキルおよび置換されたまたは非置換型の低級シクロアルキルの中から独立して選択され;
各々のR10は、独立して、H、置換されたまたは非置換型の低級アルキルあるいは置換されたまたは非置換型の低級シクロアルキルである;あるいは
2つのR10基がともに5−、6−、7−あるいは8−員複素環を形成することができる;あるいは、
R10とR11はともに5−、6−、7−あるいは8−員複素環を形成することができる;あるいは、
各々のR11は、Hまたはアルキルから独立して選択される。
1つの実施形態では、式(A)の化合物は以下の構造を有し:
式中:
AはNであり;
R2とR3は各々Hであり;
R1はフェニル−O−フェニルあるいはフェニル−S−フェニルであり;および
R4はL3−X−L4−Gであり、ここで、
L3は随意であり、単結合がある場合、置換されたまたは非置換型のアルキル、随意に置換されたまたは非置換型のシクロアルキル、随意に置換されたまたは非置換型のアルケニル、随意に置換されたまたは非置換型のアルキニルであり;
Xは随意であり、単結合がある場合、O、−C(=O)、S、−S(=O)、−S(=O)2、−NH、−NR9、−NHC(O)、−C(O)NH、−NR9C(O)、−C(O)NR9、−S(=O)2NH、−NHS(=O)2、−S(=O)2NR9−、−NR9S(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−OC(O)NR9−、−NR9C(O)O−、−CH=NO−、−ON=CH−、−NR10C(O)NR10−、ヘテロアリ−ル、アリ−ル、−NR10C(=NR11)NR10−、−NR10C(=NR11)−、−C(=NR11)NR10−、−OC(=NR11)−、あるいは−C(=NR11)O−であり;
L4は随意であり、単結合がある場合、置換されたまたは非置換型のアルキル、置換されたまたは非置換型のシクロアルキル、置換されたまたは非置換型のアルケニル、置換されたまたは非置換型のアルキニル、置換されたまたは非置換型のアリ−ル、置換されたまたは非置換型のヘテロアリ−ル、置換されたまたは非置換型の複素環であり;
あるいは、ともに得られたL3、XおよびL4は、複素環を含む窒素を形成し;
Gは、
であり、ここで、
R6、R7およびR8は、H、低級アルキルまたは置換された低級アルキル、低級ヘテロアルキルまたは置換された低級へテロアルキル、置換されたまたは非置換型の低級シクロアルキル、および置換されたまたは非置換型の低級へテロシクロアルキルから独立して選択される。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤は(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤は、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、CNX774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(BristolMyers Squibb)、BMS−509744(BristolMyers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5、AG−F−54930でもある)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−La Roche)、HM71224(HanmiPharmaceutical Company Limited)およびLFM−A13である。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤は、4−(tert−ブチル)−N−(2−メチル−3−(4−メチル−6−((4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニル)アミノ)−5オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)フェニル)−ベンズアミド(CGI−1746);7−ベンジル−1−(3−(ピペリジン−1−イル)プロピル)−2−(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4、5−g]キノキサリン−6(5H)−オン(CTA−056);(R)−N−(3−(6−(4−(1,4−ジメチル−3−オキソピペラジン−2−イル)フェニルアミノ)−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)−2−メチルフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド(GDC−0834);6−シクロプロピル−8−フルオロ−2−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1、6−ジヒドロ−・ピリジン−3−イル}−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オン(RN−486);N−[5−[5−(4−アセチルピペラジン−1−カルボニル)−4−メトキシ−2−メチルフェニル]スルファニル−1,3−チアゾ−ル−2−イル]−4−[(3,3−ジメチルブタン−2−イルアミノ)メチル]ベンズアミド(BMS−509744,HY−11092);あるいはN(5−((5−(4−アセチルピペラジン−1−カルボニル)−4−メトキシ−2−メチルフェニル)チオ)チアゾ−ル−2−イル)−4−(((3−メチルブタン−2−イル)アミノ)メチル)ベンズアミド(HY11066)である。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤は以下の化式の通りである:
<併用療法>
治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)と補足治療薬を含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法が本明細書に開示される。治療上有効な量のACK阻害化合物(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)と補足治療薬を含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置する方法が本明細書にさらに開示される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、BTK化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(BristolMyers Squibb)、BMS−509744(BristolMyers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5、AG−F−54930でもある)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited)、およびLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(BristolMyers Squibb)、BMS−509744(BristolMyers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5、AG−F−54930でもある)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited)、およびLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
いくつかの実施形態では、補足治療薬は抗癌剤である。いくつかの実施形態では、補足治療薬は化学療法剤である。化学療法剤のクラスは、アルキル化剤、代謝拮抗薬、紡錐体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、腫瘍親和性感光色素およびキナーゼ阻害剤を含むが、これに限定されない。イブルチニブを備えた投与のための化学療法剤は、「標的治療」および従来の化学療法で使用される化合物を含む。
いくつかの実施形態では、治療上有効な量のACK阻害化合物と抗癌剤を含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のACK阻害化合物と抗癌剤を含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置する方法が本明細書にさらに開示される。
いくつかの実施形態では、治療上有効な量のACK阻害化合物と化学療法剤を含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のACK阻害化合物と化学療法剤を含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置する方法が本明細書にさらに開示される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(BristolMyers Squibb)、BMS−509744(BristolMyers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5、AG−F−54930でもある)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited)およびLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
いくつかの実施形態では、治療上有効な量のACK阻害化合物とイブルチニブを含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性乳癌を処置する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のACK阻害化合物とイブルチニブを含む組成物を個体に共に投与する工程を含む、それを必要としている個体におけるHER2増幅性癌を処置する方法が本明細書にさらに開示される。
HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブを備えた投与のための化学療法剤の例は:エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)(Genentech/OSI Pharm)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Sanofi−Aventis)、5−FU(フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、CAS No.51−21−8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)、Lilly)、PD−0325901(CAS No.391210−10−9、Pfizer)、シスプラチン(シス−ジアミン,ジクロロプラチナム(II)、CAS No.15663−27−1)、カルボプラチン(CAS No.41575−94−4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4−メチル−5−オキソ−2,3,4,6,8−ペンタザビシクロ[4.3.0]ノナ−2,7,9−トリエン−9−カルボキサミド,CAS No.85622−93−1,TEMODAR(登録商標)、TEMODAL(登録商標),Schering Plough)、タモキシフェン((Z)−2−[4−(1,2−ジフェニルブト−1−エニル)フェノキシ]−N,N−ジメチル−エタンアミン,NOLVADEX(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標))、およびドキソルビシン(ADRIAMYCIN@)、Akti−1/2、HPPD、ラパマイシンおよびそのいずれかの組み合わせを含むが、これに限定されない。
いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を備えた投与のための補足治療薬は:オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(SUNITINIB(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾ−ル(FEMARA(登録商標)、Novartis)、イマチニブメシレ−ト(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、XL−518(MEK阻害剤、Exelixis、WO 2007/044515)、ARRY−886(Mek阻害剤、AZD6244、Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF−1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ−235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL−147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK 222584(Novartis)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファーニブ(SARASAR(商標)、SCH 66336、Schering Plough)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、BAY43−9006、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、イリニテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、CPT−11、Pfizer)、チピファルニブ(ZARNESTRA(商標)、Johnson&Johnson)、ABRAXANE(商標)(Cremophor−フリー)、アルブミン−操作微粒子製剤パクリタキセル(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,I1)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ZACTIMA(登録商標)、AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU 5271; Sugen)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標));ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパおよびウレドーパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロメラミンを含むエチレンイミンとメチロールメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンとブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシンの合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1とクリプトフィシン8);ドラスチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、kW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブチル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェンテルミン、プレドニマスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタ−ド等のナイトロジェンマスタ−ド;カルマスティン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン等のニトロソ尿素;エンジイン抗生物質(例えばカリケアミシン、カリケアミシン ガンマ1I、カリケアミシン オメガI1(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183−186))等の抗生物質;ダイネミシン、ダイネミシンA;クロドロネ−ト等のビスホスホネ−ト;エスペラミシン;ネオカルチノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団と同様に、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンとデオキシドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピュ−ロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等のマイトマイシン;メトトレキセートと5−フルオロウラシル(5−FU)等の抗代謝物質;デノプテリン、メトトレキセ−ト、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸アナログ;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフ−ル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジンアナログ;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノ−ル、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎;フロリン酸等の葉酸補液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジコン;エルフォニチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシンとアンサマイトシン等のマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニト−ル;ミトラクト−ル;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシッド(Ara−C);シクロホスファミド;チオテパ;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサ−ト;シスプラチンとカルボプラチン等の白金アナログ;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキセ−ト;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標)、Roche);イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤 RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DFMO);レチン酸等のレチノイド;および上記とそのいずれかの組み合わせのうちのいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸および誘導体。
いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を備えた投与のための補足治療薬は、(i)例えば、
タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェン)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびFARESTON(登録商標)(トレミフィンクエン酸塩)を含む抗エストロゲン薬と選択的エストロゲンレセプタ−修飾因子(SERM)等の腫瘍のホルモン作用を調節するか阻害するために働く抗ホルモン剤;(ii)例えば、4(5)−イミダゾ−ル、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロ−ル)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、ホルメスタン、ファドロゾ−ル、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾ−ル;Novartis)およびARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾ−ル;AstraZeneca)等の、副腎のエストロゲン製造を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマタ−ゼ阻害薬;(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン等の抗アンドロゲン;トロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ)も同様;(iv)MEK阻害剤(WO 2007/044515)等のプロテインキナーゼ阻害薬;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に例えば、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標)(Genta Inc.))等のPKCアルファ、Raf、およびH−Rasといった異常な細胞増殖に巻き込まれたシグナル経路の遺伝子の発現を阻害するもの;(vii)VEGF発現阻害剤(例えばANGIOZYME(登録商標))とHER2発現阻害剤等のリボザイム;(viii)遺伝子治療ワクチン剤(例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、VAXID(登録商標)等のワクチン剤;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)等のトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)ベバシズマブ(AVASTINョ、Genentech)等の抗脈管原性の薬剤;並びに上記のもののいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸および誘導体、並びにその任意の組み合わせの中から選択される。
いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を備えた投与のための補足治療薬は、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)(Genentech/Biogen Idec))、ペルツズマブ(OMNITARG(商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、および抗体医薬抱合体、ジェムツツマブオゾガミシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)、ならびにそのいずれかの組み合わせ等の治療抗体の中から選択される。
いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を備えた投与のための補足治療薬は:
アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ジェムツツマブオゾガミシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、パキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシービズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブおよびビシリズマブおよびそのいずれかの組み合わせの中から選択されるヒト化モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、補足治療薬は、エルロチニブ、ドセタキセル、5−FU、ゲムシタビン、PD−0325901、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、テモゾロミド、タモキシフェン、ドキソルビシン、Akti−1/2、HPPD、ラパマイシン、ラパチニブ、およびそのいずれかの組み合わせの中から選択される。
いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのAKT阻害剤(例えばイブルチニブ等の、例えばBTK阻害剤)を含む投与のための追加の化学療法剤は、抗体、B細胞受容体経路阻害剤、T細胞受容体阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法(radioimmunotherapeutic)、DNA傷害剤、プロテアソ−ム阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDCA)阻害剤、プロテインキナーゼ阻害薬、IRAK阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤(例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387、レスタウルチニブ(lestauritinib)、パクリチニブ、TG101348、SAR302503、トファシチニブ(Xeljanz)、エタネルセプト(Enbrel)、GLPG0634、R256)、プロテア−ゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、プロテオソ−ム阻害剤、CYP3A4阻害剤、AKT阻害剤、Erk阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、テルペノイド、細胞毒素、トポイソメラーゼ阻害剤あるいはその組み合わせの中から選択される。いくつかの実施形態では、B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、CD22阻害剤、Bcl−2阻害剤、IRAK 1/4阻害剤、微小管阻害剤、TopoII阻害剤、抗TWEAK、抗IL17二重特異性抗体、CK2阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)およびc−Met阻害剤であり、T細胞受容体阻害剤は、ムロモナブ−CD3、デメチラーゼ、HDM、LSDIおよびKDM等のデメチラーゼ酵素阻害剤、スピロ環状ピペリジン誘導体等の脂肪酸合成酵素阻害剤、グルココルチコイドステロイド(glucocorticosteriod)受容体アゴニスト、融合抗CD19細胞毒性剤抱合体、代謝拮抗薬、p70S6K阻害剤、免疫調節剤、AKT/PKB阻害剤、プロカスパーゼ−3活性化剤PAC−1、BRAF阻害剤、乳酸脱水素酵素A(LDH−A)阻害剤、CCR2阻害剤、CXCR4阻害剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、DNA二重鎖切断修復阻害剤、NOR202、GA−101、TLR2阻害剤、およびその任意の組み合わせである。
いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は、抗HER2治療薬である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は、キナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は:トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ラパチニブおよびMM−111(Merrimack Pharmaceuticals)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は、トラスツズマブエムタンシンである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は、ペルツズマブである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのACK阻害剤を含む投与のための補足治療薬は、MM−111である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(また、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5、AG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−La Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited)およびLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまり、PCI−32765/イブルチニブ)である。
いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は、抗HER2治療薬である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は、キナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は:トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ラパチニブおよびMM−111(Merrimack Pharmaceuticals)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は、トラスツズマブである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は、トラスツズマブエムタンシンである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は、ペルツズマブである。いくつかの実施形態では、HER2増幅性癌の処置のためのイブルチニブを含む投与のための補足治療薬は、MM−111である。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、全ErbB(pan−ErbB)阻害剤である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、アファチニブ、ニラチニブおよびダコミチニブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、アファチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ニラチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ダコミチニブである。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech社)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、全ErbB阻害剤である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、アファチニブ、ニラチニブおよびダコミチニブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、アファチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、ニラチニブである。いくつかの実施形態では、HER2に増幅された癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、ダコミチニブである。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、抗VEGF治療薬である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ベバチズマブ、ラニビズマブ、ラパチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ及びパゾパニブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ベバチズマブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ラニビズマブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、スニチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ソラフェニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、アキシチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、パゾパニブである。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche社)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、抗VEGF治療薬である。いくつかの実施形態では、HER2に増幅された癌の処置用のイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、ベバチズマブ、ラニビズマブ、ラパチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ及びパゾパニブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ベバチズマブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ラニビズマブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、スニチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ソラフェニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、アキシチニブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、パゾパニブである。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、テムシロリムス、パクリタキセル、ASLAN001(さらにARRY−543、ASLANファーマシューティカルズ社)、ボリノスタット、ドキソルビシン、シクロホスファミド、シスプラチン、ドセタキセルおよびダサチニブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ドセタキセルである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬はパクリタキサルである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ドキソルビシンである。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、テムシロリムス、パクリタキセル、ASLAN001(さらにARRY−543、ASLANファーマシューティカルズ社)、ボリノスタット、ドキソルビシン、シクロホスファミド、シスプラチン、ドセタキセルおよびダサチニブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ドセタキセルである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬はパクリタキサルである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ドキソルビシンである。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、トラスツズマブとドセタキセルである。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物はイブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、トラスツズマブとドセタキセルである。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ペルツズマブとドセタキセルである。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics社/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb社)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche社)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、ペルツズマブとドセタキセルである。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ドキソルビシン、シクロホスファミドおよびパクリタキサルである。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma社/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche社)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置用のイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、ドキソルビシン、シクロホスファミドおよびパクリタキサルである。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのACK阻害剤とともに投与するための補足治療薬は、ドキソルビシン、シクロホスファミドおよび5−FUである。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、ドキソルビシン、シクロホスファミドおよび5−FUである。
いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌の処置のためのイブルチニブとともに投与するための補足治療薬は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤である。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は3−[(ジメチルアミノ)メチル]―N−{2−[4−(ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ]エチル}−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド(つまりPCI−24781/アベキシノスタッド)である。
本明細書中に別記されるように、いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は以下からなる群から選択される:乳癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、尿路上皮癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、卵巣癌、胃癌、胃食道接合部(GEJ)癌、頭頚部癌、胆道癌、前立腺癌、及び膵癌。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性乳癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性結腸癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性子宮頚癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性尿路上皮癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性肺癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性肺癌はHER2−増幅性非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性卵巣癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性胃癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性胃食道接合部(GEJ)癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性頭頚部癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性胆道癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌はHER2−増幅性膵癌である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は転移性である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は、脳に転移した。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は、>4.0のHER2:CEP17比率を有する。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は2.2−4.0のHER2:CEP17比率を有する。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は、IHCを使用して、3+にグレード分けされた。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は、処置に対して難治性である。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌が難治性となる処置は、トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ラパチニブあるいはMM−111から選択される。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌が難治性となる処置はトラスツズマブである。いくつかの実施形態では、HER2−増幅性癌は再発性である。
補足薬剤がACK阻害剤と共に投与される場合、補足薬剤とACK阻害剤は同じ医薬組成物として投与される必要はなく、異なる物理的・化学的特性による随意に異なる経路によって投与される。最初の投与は、例えば確立しているプロトコルに基づいてなされ、その後、観察された結果に基づいて、用量、投与のモードおよび投与の回数が修正される。
単に例として、ACK阻害剤を受け取ることによって個体が経験した副作用が悪心である場合、ACK阻害剤と組み合わせて抗嘔吐性薬剤を投与することが適切である。
あるいは、単に例として、本明細書中で記載されているACK阻害剤の治療有効性は、アジュバントの投与によって向上される(即ち、アジュバントは単独では最小の治療上の利益しかないが、他の治療薬と組み合わせると患者への総合的な治療上の利益は向上する)。あるいは、単に例として、個体への利益は、本明細書中に記載されているACK阻害剤を、治療上の利益を有する他の治療薬(治療レジメンも含む)とともに投与することで向上する。どんな場合も、治療される疾患や障害にかかわらず、患者への総合的な利益は、いくつかの実施形態において単にある2つの治療薬の添加剤であり、あるいは他の実施形態においては、患者は相乗的な利益を得る。
使用される化合物の特定の選択は、主治医の診断書と、彼らによる患者の状態の判断及び適切な処置プロトコルの判断に依存する。化合物は障害の性質、患者の状態および使用する化合物の実際の選択に依存して、同時に(例えば、同時に、本質的に同時に、あるいは同じ処置プロトコル内で)あるいは連続して随意に投与される。投与の順番と、処置プロトコルにおける各治療薬の投与の反復回数の決定は、治療される疾患と患者の状態の評価に基づく。
いくつかの実施形態では、医薬品が複数の処置の組み合わせにおいて使用される場合、治療上有効量は変わる。併用処置レジメンで使用される治療上有効な投与量の薬物及び他の薬剤を試験的に決定するための方法が文献に記載されている。例えばメトロノーム投薬(metronomic dosing)の使用、つまり有毒な副作用を最小限に抑えるためにより頻繁でより低い投与量を提供することは、文献において広範囲に述べられている。併用療法は、患者の臨床上の管理を支援するために、様々な時点で始めて止める周期的な処置をさらに含む。
本明細書中に記載されている併用療法について、共同投与される化合物の用量は、使用する共同薬のタイプ、使用する特定の薬、治療する障害等に依存してもちろん異なる。加えて、補足治療薬と共に投与された場合、本明細書に記載されているACK阻害剤は補足治療薬と同時にあるいは連続してのいずれかで投与される。もし連続して投与されるならば、主治医は生物学上活動的な薬剤と組み合わせてタンパク質を投与する適切な順番を決める。
補足治療薬とACK阻害剤が同時に投与される場合、複数の治療薬は単一の、統一された形態、又は複数の形態(単に例として単一の丸剤として又は2つの別々の丸剤として)で随意に提供される。いくつかの実施形態では、治療薬のうちの1つは複数回投与で与えられる、あるいは、治療薬の両方が複数回投与で与えられる。同時でなければ、複数回投与間のタイミングは、約0週以上から約4週未満まである。さらに、併用の方法、組成物及び製剤は、2つの薬剤のみの使用に限定されない:複数の治療の組み合わせの使用も考えられる。
軽減したい症状を治療する、予防する又は改善するための投与レジメンは、様々な因子に基づいて変更することができる。これらの要因は、被験体の年齢、体重、性別、食事および病状と同様に、対象が苦しむ障害も含む。したがって、実際に使用される投与レジメンは広範囲に変わる場合があり、したがって本明細書中に述べられた投与レジメンから逸脱し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されている併用療法を構成する医薬製剤は、組み合わせた剤形又は実質的な同時投与を意図した別々の剤形で投与される。いくつかの実施形態では、併用療法を構成する医薬製剤は、2段階投与を要求するレジメンによって投与されている一方の治療用化合物と共に、連続して投与される。いくつかの実施形態では、2段階投与レジメンは、活性薬剤の連続した投与又は別々の活性薬剤の間隔が置かれた投与を要求する。複数の投与工程間の期間は、医薬品の潜在能力、溶解度、バイオアベイラビリティ、血漿半減期および動態学的プロファイルのような各医薬品の特性に依存して、数分から数時間までの範囲に及ぶ。いくつかの実施形態では、標的分子濃度の日周期の変化は、最適な投与間隔を決定する。
いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物と補足治療薬は一体になった剤形の中で投与される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物と補足治療薬は別々の剤形の中で投与される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物と補足治療薬は同時にあるいは連続して投与される。
<医薬組成物/製剤>
本明細書中の特定の実施形態において開示されているのは、治療上効果的な量のACK阻害剤化合物と薬学的に許容可能な賦形剤を含む組成物である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物(例えばイブルチニブのようなBTK阻害剤)は、式(A)の化合物である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Science)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Science)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。
ACK阻害剤化合物(例えばイブルチニブのようなBTK阻害剤)の医薬組成物は、薬学的に使用することができる調製物において、活性化合物のプロセシングを促進する賦形剤と助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能な担体を使用して、従来の方法で処方される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば:Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見られる。
本明細書中で使用される医薬組成物は、ACK阻害剤化合物(例えばイブルチニブのようなBTK阻害剤)と、担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤のような他の成分の混合物を指す。
特定の実施形態では、組成物は、さらに、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸と塩酸のような酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンのような塩基;及びクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムのようなバッファー;を含む1つ以上のpH調節剤または緩衝剤を含む。このような酸、塩基、およびバッファーは、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することに必要とされる量で含まれる。
他の実施形態では、組成物は、さらに組成物の浸透圧重量モル濃度を許容範囲にするのに必要な量で1つ以上の塩類を含み得る。そのような塩類は、ナトリウム、カリウムあるいはアンモニウムのようなカチオンと、クロリド、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩あるいは重亜硫酸塩のようなアニオンを含み、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および、硫酸アンモニウムを含む。
本明細書中で使用される用語「製薬の組み合わせ」は、1つを超える活性成分の混合または組み合わせに起因し、活性成分の固定された及び固定されていない組み合わせを含む製品を意味する。
用語「固定された組み合わせ」は、例えば本明細書中に記載されている化合物のような活性成分及び共薬剤が、両方とも患者に同時に単一の実体または用量の形で投与されることを意味する。用語「固定されていない組み合わせ」は、例えば本明細書中に記載されている化合物のような活性成分及び共薬剤が、同時に、共に、又は特定の介在するタイムリミットなしに連続して別々の実体として患者に投与されることを意味し、このような投与は患者の体内での2つの化合物の効果的なレベルを提供する。後者の用語はまた、カクテル療法、例えば、3以上の活性成分の投与にも当てはまる。
医薬組成物は、例えば単に例として従来の混合、溶解、造粒、ドラジェ生成、すりつぶし、乳化、カプセル化、封入又は圧縮プロセスのような従来の方法で随意に製造される。
本明細書中に記載されている医薬製剤は、任意の適切な投与経路によって投与され、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、口腔、局所、直腸又は経皮投与経路を含む。
本明細書中に記載されている医薬組成物は、任意の適切な剤形に処方され、限定されないが処置される個体による経口摂取のための水性の経口分散剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁およびその他同種、固体経口剤形、エアゾール剤、制御放出製剤、速溶解製剤、発泡性の製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、ドラジェ、カプセル剤、遅延放出性製剤、拡張放出製剤、拍動性放出製剤、多微粒子製剤、および混合即時放出と制御放出製剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物はカプセル剤に処方される。いくつかの実施形態では、組成物は(例えばIV投与用の)溶液に処方される。
本明細書中に記載されている薬学的な固体の剤形は、本明細書中に記載されている化合物、及び化合物と混合可能な担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香料添加剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑剤、安定化剤、経皮吸収促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、あるいはそれらの1つ以上の組み合わせのような薬学的に許容可能な添加剤を随意に含む。
さらに別の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition(2000)に記載されているような標準的なコーティング手順を使用して、フィルムコーティングが組成物のまわりに提供される。いくつかの実施形態では、組成物は粒子(例えばカプセルによる投与のため)に処方され、粒子の一部又は全部がコーティングされている。いくつかの実施形態では、組成物は粒子(例えばカプセルによる投与のため)に処方され、粒子の一部又は全部がマイクロカプセル化されている。いくつかの実施形態では、組成物は粒子(例えばカプセルによる投与のため)に処方され、粒子の一部又は全部がマイクロカプセル化されておらず、コーティングされていない。
いくつかの実施形態では、各単位剤形中のACK阻害剤(例えばイブルチニブのようなBTK阻害剤)の量は、1日当たり約140mgであるように、医薬組成物は処方される。
<剤形>
本明細書中に記載されている医薬製剤は、任意の従来の手段を介して対象に投与されるために処方され得、限定されないが、経口、非経口(例えば静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬、局所、直腸又は経皮投与経路を含む。いくつかの実施形態では、組成物は別々の剤形での投与のために処方される。いくつかの実施形態では、組成物は組み合わせた剤形での投与のために処方される。
いくつかの実施形態において、イブルチニブおよび/または補足治療薬を含む本明細書中に記載されている医薬組成物は、任意の適切な剤形へ処方することができ、限定されないが処置される個体による経口摂取のための水性の経口分散剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁剤およびその他同種のもの、固体経口剤形、エアゾール剤、制御放出製剤、速溶解製剤、発泡性の製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、ドラジェ、カプセル剤、遅延放出性製剤、拡張放出製剤、拍動性放出製剤、多微粒子製剤、および混合即時放出と制御放出製剤を含む。
経口使用のための医薬品は、1つ以上の固体の賦形剤を本明細書中に記載されている化合物の1つ以上と混合することにより得ることができ、錠剤あるいはドラジェ・コアを得るために必要であれば、随意に、適切な助剤を加えた後に結果として生じた混合物の粉砕、及び顆粒の混合物のプロセッシングを行う。適切な賦形剤は、例えば、ラクトーゼ、ショ糖、マンニトール、または、ソルビトールを含む砂糖などの充填剤;例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース製剤;あるいはポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)又はリン酸カルシウムのような他のもの、を含む。もし必要であれば、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸、あるいはアルギン酸ナトリウムのようなそれらの塩、等の崩壊剤を加えても良い。
ドラジェ・コアは適切なコーティングとともに提供されている。この目的のために、濃縮砂糖水が使用されてもよく、それは随意にアラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶剤混合物を含んでも良い。染料または色素は、活性化合物の用量の異なる組み合わせを識別するためにあるいは特徴づけるために、錠剤またはドラジェのコーティングに加えられても良い。
経口使用のための医薬品は、ゼラチンからできているプッシュフィットカプセル、並びにゼラチン及びグリセリンまたはソルビトールのような可塑剤からできている柔軟な密閉カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、及び/又は滑石又はステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、並びに随意に安定化剤を含む混合剤中の活性成分を含み得る。軟カプセル剤では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィンあるいは液体のポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解又は懸濁され得る。さらに、安定化剤を加えても良い。経口投与のためのすべての製剤はこうした投与に適した量でなければならない。
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されている固体の剤形は、錠剤(懸濁錠剤、速溶解錠剤、咬傷崩壊錠剤、速崩壊錠剤、発泡錠あるいはカプレットを含む)、丸剤、パウダー(無菌で包装されたパウダー、使い捨て(dispensable)パウダーあるいは発泡散剤を含む)、カプセル(両方の柔軟または硬カプセル剤、例えば動物性のゼラチンあるいは植物性HPMCから作られたカプセル剤、あるいは、「散布カプセル剤(sprinkle capsule)」を含む)、固体の分散剤、固溶体、生物学的に浸食可能な(bioerodible)剤形、制御放出製剤、拍動性の放出剤形、多微粒子剤形、ペレット剤、顆粒、あるいはエアロゾル、の形態であっても良い。他の実施形態では、医薬製剤は、パウダーの形態をしている。さらに別の実施形態では、医薬製剤は、限定されないが速溶解錠剤を含む錠剤の形態をしている。さらに、本明細書に記載されている医薬製剤は、単一のカプセルとして、あるいは複数のカプセル剤形で投与され得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤は2つ、3つ、あるいは4つのカプセル剤又は錠剤で投与される。
いくつかの実施形態では、固体の剤形(例えば錠剤、発泡錠、カプセル剤)は、バルク混合組成物を形成するために、1つ以上の薬学的な賦形剤と共に、イブルチニブおよび/または抗癌剤の粒子を調合することにより調製される。これらのバルク混合組成物が均質なものを指す場合、それは組成物が錠剤、丸剤およびカプセル剤のような等しく効果的な単位剤形へ容易に細分されるように、イブルチニブおよび/または補足治療薬の粒子が組成物の全体にわたって均一に分散していることを意味する。個々の単位用量はさらにフィルムコーティングを含んでも良く、それは経口摂取であるいは希釈剤との接触で崩壊する。これらの製剤は従来の薬学的な技術によって製造することができる。
従来の薬学的な技術は、例えば以下の方法の1つ又はその組み合わせを含む:(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾燥又は非水性の造粒、(5)湿式造粒、又は(6)融合。Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照されたい。他の方法は、例えば噴霧乾燥、パンコーティング、融解造粒、造粒、流動床噴霧乾燥又はコーティング(例えばワースターコーティング)、接線コーティング(tangential coating)、トップスプレー(top spraying)、打錠、押出加工などを含む。
本明細書中に記載されている薬学的な固体の剤形は、本明細書中に記載されている化合物、及び化合物と混合可能な担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香料添加剤、甘味剤、崩れる薬剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑剤、安定化剤、経皮吸収促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、あるいはそれらの1つ以上の組み合わせのような薬学的に許容可能な添加剤を随意に含む。さらに別の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition(2000)に記載されているような標準的なコーティング手順を使用して、フィルムコーティングが組成物のまわりに提供される。別の実施形態では、イブルチニブおよび/または抗癌剤の粒子の一部又は全部は、マイクロカプセル化されず、コーティングされていない。
本明細書中に記載されている固体の剤形で使用される適切な担体は、制限されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、バクガデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、ダイズレシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、燐酸二カリウム、ナトリウム・ステアロイルラクチラート塩、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸塩ステアリン酸塩、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールとその他同種のものを含む。
本明細書中に記載されている固体の剤形で使用される適切な充填剤は、制限されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート(dextrates)、デキストラン、デンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸塩ステアリン酸塩(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、などを含む。
特に剤形が結合剤で圧縮される場合、固体の剤形マトリックスからできるだけ効率的にイブルチニブおよび/または補足治療薬の化合物を放出するために、崩壊剤は製剤においてしばしば使用される。崩壊剤は、湿気が剤形へ吸収される場合に、毛管作用により剤形マトリックスを増大させる又は破裂させるのを助ける。本明細書中に記載されている固体の剤形で使用される適切な崩壊剤は、制限されないが、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンのような天然デンプン、National1551あるいはAmijel(登録商標)のようなα化デンプン、あるいはPromogel(登録商標)あるいはExplotab(登録商標)のようなデンプングリコール酸ナトリウム、木製品(wood product)、メチル結晶セルロース(methylcrystalline cellulose)、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka−Floc(登録商標)などのセルロース、メチルセルロース、クロスカルメロースすなわち架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース;グリコール酸ナトリウムデンプンなどの架橋デンプン;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などのアルギン酸塩;Veegum(登録商標)HV(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)などのクレイ;寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ(Karaya)、ペクチン、またはトラガカントなどのゴム;ナトリウムグリコール酸デンプン;ベントナイト;天然の海綿質;界面活性剤;陽イオン交換樹脂などの樹脂;シトラスパルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;混合デンプン(combination starch)中のラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
結合剤は固体の経口剤形製剤に粘着性を付与する:パウダーが充填されたカプセル製剤においては、結合剤は柔らかい又は硬いシェルのカプセル剤に充填できるプラグ形成を援助し、錠剤においては圧縮後も錠剤が完全なままでいることを保証し、圧縮又は充填工程の前に混合均一性を保証するのに役立つ。本明細書中に記載されている固体の剤形の結合剤として使用に適している材料は、制限されないが、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHypromellose USP Pharmacoat−603)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸ステアリン酸塩(Aqoate HS−LF及びHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))、ならびに微結晶性セルロース(例えばAvicel(登録商標));微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン(pregelatinized starch);トラガカント、デキストリン、ショ糖(例えばDipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))、およびラクトースなどの糖;天然ゴム、またはアカシア、トラガカント、ガティガム、isapol huskの粘着液、ポリビニルピロリドン(例えばPolyvidone(登録商標) CL、Kollidon(登録商標) CL、Polyplasdone(登録商標) XL−10及びPovidone(登録商標)K−12)などの合成ゴム、カラマツのアラボガラクタン、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ロウ、アルギン酸ナトリウムなどが含まれる。
一般に、20−70%の結合剤レベルがパウダーで充填されたゼラチンカプセル製剤の中で使用される。錠剤製剤における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒、ローラーコンパクションのいずれであるか、又はそれ自身が中程度の結合剤として作用できる充填剤のような他の賦形剤の使用によって変わる。当該技術分野の当業者である考案者は、製剤のための結合剤レベルを決定することができるが、70%以内の結合剤使用レベルが錠剤では一般的である。
本明細書中に記載されている固体の剤形で使用される適切な潤滑剤あるいは流動促進剤、制限されないが、ステアリン酸、水酸化カルシウム、滑石、トウモロコシデンプン、ステアリルフマル酸ナトリウム;カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムのようなアルカリ金属とアルカリ土類金属塩;ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ろう、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールあるいはCarbowax(商標)のようなメトキシポリエチレングリコール、PEG 4000、PEG 5000、PEG 6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘネート、パルミチン酸ステアリン酸エステル、グリセリル安息香酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム又はマグネシウムなどを含む。
本明細書中に記載されている、固体の剤形で使用されるのに適切な希釈剤は、制限されないが、砂糖(ラクトース、スクロースおよびデキストロースを含む)、多糖類(デキストレートとバクガデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトールおよびソルビトールを含む)、シクロデキストリン及びその他同種のもの、を含む。
用語「非水溶性希釈剤」は、医薬製剤中で典型的に使用される化合物を指し、そのような化合物は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、人工デンプンおよび微結晶性セルロース、並びにミクロセルロース(例えば、約0.45g/cm3の密度を有する、例えばAvicel、粉末セルロース)、及び滑石である。
本明細書中に記載されている、固体の剤形で使用されるのに適切な湿潤剤は、例えばオレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、Tween80、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、第四アンモニウム化合物(例えばPolyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクセートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSおよびその他同種のものを含む。
本明細書中に記載されている固体の剤形で使用されるのに適切な界面活性剤は、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレアート、ツイーン80、ポリソルベート、ポラクサマー(polaxomer)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー(例えばPluronic(登録商標)(BASF))などを含む。
本明細書中で記載されている固体の剤形で使用されるのに適切な懸濁化剤は、制限されないが、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25又はポリビニルピロリドンK30)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300から約6000、又は約3350から約4000、又は約7000から約5400の分子量を有し得る)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム(例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、ガーゴム)、キサンタンガムを含むキサンタン、糖類、セルロース化合物(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレート化されたソルビタンモノラウレート、ポリエトキシレート化されたソルビタンモノラウレート、ポビドン及びその他同種のものを含む。
本明細書中に記載されている固体の剤形で使用されるのに適切な抗酸化剤は、例えばブチルヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム及びトコフェロールを含む。
相当な重複が本明細書に記載されている固体の剤形の中で使用される添加剤間にあることは認識されるべきである。したがって、上記の列記された添加剤は、本明細書中に記載されている固体の剤形に含み得る添加剤のタイプの単に典型的なものであって、制限しているものではないこととして捉えられるべきである。そのような添加剤の量は、必要な具体的な性質に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。
他の実施形態では、医薬製剤の1つ以上の層が可塑化される。実例として、可塑剤は一般に高沸点固体または液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物に約0.01重量%から約50重量%(w/w)で加えることができる。可塑剤は、制限されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸塩エステル、ポリエチレングリコール、グリセリン、アセチル化されたグリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステロール、ステアリン酸塩、及びヒマシ油を含む。
圧縮錠剤は、上記の製剤のバルク混合を圧縮することにより調製された固体の剤形である。
様々な実施形態では、口に溶けるように設計された圧縮錠剤は、1つ以上の香料添加剤を含む。他の実施形態では、圧縮錠剤は、最終の圧縮錠剤を囲むフィルムを含む。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、製剤からのイブルチニブあるいは第2の薬剤の遅延放出性を提供することができる。他の実施形態では、フィルムコーティングは、患者のコンプライアンスに役立つ(例えばOpadry(登録商標)コーティングあるいは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的には錠剤重量の約1%から約3%までで変動する。他の実施形態では、圧縮錠剤は1つ以上の賦形剤を含む。
カプセルは、例えば上記のイブルチニブ又は補足治療薬の製剤のバルク混合をカプセルの内部に配置することで調製されても良い。いくつかの実施形態では、製剤(非水性の懸濁液と溶液)が柔軟なゼラチンカプセルに配置される。他の実施形態では、製剤は、標準ゼラチンカプセル剤中あるいはHPMCを含むカプセル剤のような非ゼラチンカプセル剤中に配置される。他の実施形態では、製剤は散布カプセル剤に配置され、カプセル剤は、全体を飲んでもあるいは開いて食事の前にその中身を食物にふりかけても良い。いくつかの実施形態では、治療用量は複数(例えば2つ、3つ、あるいは4つ)のカプセル剤に分割される。いくつかの実施形態では、製剤の全投与量はカプセル形態で送達される。
様々な実施形態において、イブルチニブおよび/または補足治療薬の粒子、及び1つ以上の賦形剤は、乾燥混合され、錠剤のようにある質量に圧縮されて、経口投与後実質的に約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、あるいは約60分未満以内で崩壊する医薬組成物を提供するのに十分な硬度を有し、その結果胃腸液へその製剤が放出される。
別の態様では、剤形はマイクロカプセル化された製剤を含んでも良い。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の混合可能な材料がマイクロカプセル化材料の中に存在する。典型的な材料は、制限されないが、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香料添加剤、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑沢剤、湿潤剤および希釈剤のような担体材料を含む。
本明細書中に記載されているマイクロカプセル化に役立つ材料は、イブルチニブおよび/または補足治療薬と混合可能な材料を含み、他の混合可能でない賦形剤から十分にイブルチニブあるいは補足治療薬のうちのいずれかの化合物を分離する。イブルチニブあるいは補足治療薬のうちのいずれかの化合物と混合可能な材料は、インビボでイブルチニブあるいは補足治療薬のうちのいずれかの化合物の放出を遅らせるものである。
本明細書中に記載されている化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに役立つ、典型的なマイクロカプセル化材料は、制限されないが以下を含む:Klucel(登録商標)またはNisso HPCのようなヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、Seppifilm−LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)―E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、及びBenecel MP843のようなヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)−Aのようなメチルセルロース・ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸塩ステアリン酸塩Aqoat(HF−LS、HF−LG、HF−MS)及びMetolose(登録商標)、E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surelease(登録商標)のようなエチルセルロース(EC)とその混合物、Opadry AMBのようなポリビニルアルコール(PVA)、Natrosol(登録商標)のようなヒドロキシエチルセルロース、Aqualon(登録商標)、−CMCのようなカルボキシメチルセルロース(CMC)とカルボキシメチルセルロースの塩類、Kollicoat IR(登録商標)のようなポリビニルアルコールとポリエチレングリコールの共ポリマー、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、改良された食物デンプン、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、及びEudragit(登録商標)NE 40Dのようなセルロースエーテルを有するアクリルポリマー並びにアクリルポリマーの混合物、酢酸フタル酸セルロース、HPMCとステアリン酸の混合物のようなsepifilm、シクロデキストリンおよびこれらの材料の混合物。
さらに別の実施形態では、ポリエチレングリコール(例えばPEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、PEG 800)、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸及びトリアセチンのような可塑剤は、マイクロカプセル化材料に組み入れられる。他の実施形態では、医薬組成物の放出を遅らせるのに役立つマイクロカプセル化材料は、USPあるいは国民医薬品集(NF)由来のものである。まだ他の実施形態では、マイクロカプセル化材料はKlucelである。さらに別の実施形態では、マイクロカプセル化材料はメトセルである。
イブルチニブあるいは補足治療薬のうちのいずれかのマイクロカプセル化された化合物は、当業者に知られている方法によって処方されても良い。そのような既知の方法は、例えば噴霧乾燥プロセス、回転ディスク溶媒プロセス、ホットメルトプロセス、噴霧低温法(spray chilling method)、流動床、静電塗装(electrostatic deposition)、遠心押出法、回転懸濁分離、液体ガスあるいは固体ガスのインターフェースでの重合、圧力押出法あるいは噴霧溶媒抽出浴(spraying solvent extraction bath)を含む。これらに加えて、例えば複雑なコアセルベーション(complex coacervation)、溶媒蒸散、ポリマー・ポリマー不適合性、液体溶媒での界面重合、インサイチュ重合、液体中での乾燥(in−liquid drying)及び液体の溶媒における脱溶媒のようないくつかの化学的な技術も使用して良い。更に、ローラーコンパクション、押し出し/球状化、コアセルベーションあるいはナノ粒子コーティングのような他の方法が使用されてもよい。
1つの実施形態では、イブルチニブあるいは補足治療薬のうちのいずれかの化合物の粒子は、上記の形態のうちの1つへ処方される前にマイクロカプセル化される。まだ別の実施形態では、粒子のうちのいくつかあるいは大部分は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に述べられていたもののような標準的なコーティング手順の使用により、さらに処方される前にコーティングされる。
他の実施形態の中で、イブルチニブおよび/または補足治療薬のうちのいずれかの化合物の固体の用量製剤は、1つ以上の層で可塑化される(コーティングされる)。実例として、可塑剤は一般に高沸点固体または液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%から約50重量%(w/w)で加えることができる。可塑剤は制限されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸塩エステル、ポリエチレングリコール、グリセリン、アセチル化されたグリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステロール、ステアリン酸塩、及びヒマシ油を含む。
他の実施形態の中で、本明細書中に記載されているイブルチニブおよび/または抗癌剤のうちのいずれかの化合物を備えた製剤を含むパウダーは、1つ以上の製薬の賦形剤と香料を含んで処方され得る。そのようなパウダーは、例えばバルク混合組成物を形成するために製剤と任意の薬学的な賦形剤を混合することにより、調製され得る。追加の実施形態はさらに懸濁化剤および/または湿潤剤を含む。このバルク混合は、単位用量パッケージングあるいは複数用量パッケージング単位へ一様に細分される。
さらに別の実施形態では、発泡散剤も本明細書の開示に従って調製される。発泡塩は経口投与のために、水の中で薬を分散させるために使用される。発泡塩は、重炭酸ナトリウム、クエン酸および/または酒石酸から通常できている乾燥した混合物に医薬製剤を含む顆粒または粗いパウダーである。本明細書に記載されている組成物の塩類が水に加えられた場合、酸と塩基は炭酸ガスを解放するために反応し、それによって「泡立ち」を引き起こす。発泡塩の例は、例えば重炭酸ナトリウムあるいは重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウム、クエン酸および/または酒石酸の混合物を含む。成分が薬学的な使用に適しており、約6以上のpHをもたらす限り、二酸化炭素の遊離を結果としてもたらす任意の酸−塩基の組み合わせが、重炭酸ナトリウム及びクエン酸と酒石酸の組み合わせの代わりに使用され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている固体の剤形は、腸溶コーティングを施した遅延放出性経口剤形として(つまり消化管の小腸における放出に影響するために腸溶コーティングを利用する、本明細書に記載されているような医薬組成物の経口剤形として)処方することができる。腸溶コーティングを施した剤形は、それ自体がコーティングされている又はコーティングされていない活性成分及び/又は他の組成物中の成分の顆粒、パウダー、ペレット剤、ビーズ又は粒子を含む圧縮又は成形又は押し出された錠剤/型であり得る。腸溶コーティングを施した経口剤形は、それ自体がコーティングされた又はコーティングされていない固体の担体又は組成物のペレット剤、ビーズ又は顆粒を含むカプセル(コーティングされた又はコーティングされていない)であり得る。
本願明細書中で使用される用語「遅延放出」は、もし遅延放出のための改変がなかったならば放出されていたであろう部位よりも遠位にある、消化管内の一般的に予測可能な部位での放出が遂行できるような送達を指す。いくつかの実施形態において、放出の遅延のための方法はコーティングである。任意のコーティングが約5未満のpHで胃腸液に溶けないように、任意のコーティングは十分な厚みで適用されるが、約5以上のpHで溶ける。消化管の下方への送達を達成するために、本明細書に記載されている方法及び組成物による腸溶コーティングとして、pH依存の溶解度プロファイルを示す任意の陰イオンポリマーを使用できることが期待される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されているポリマーはアニオンのカルボン酸ポリマーがある。他の実施形態では、重合体およびその適合する混合物、及びそれらの特性のうちのいくつかは、限定されないが以下を含む:
(セラック)
精製ラック(purified lac)とも呼ばれる、昆虫の樹脂質分泌物から得られた精製品である。このコーティングはpH>7の溶媒に溶解する;
(アクリルポリマー)
アクリルポリマーの性能(主として体液中での溶解度)は、置換の程度およびタイプによって異なる場合がある。適切なアクリルポリマーの例は、メタクリル酸コポリマーとアンモニウムメタクリル酸塩コポリマーを含む。有機溶媒、水性分散液あるいは乾燥パウダー中で可溶性になるように、EudragitシリーズE、L、S、RL、RSおよびNE(Rohm Pharma社)が利用可能である。EudragitシリーズRL、NEおよびRSは消化管において不溶性であるが、透過性であり、主として結腸をターゲットとする場合に使用される。EudragitシリーズEは胃で溶解する。EudragitシリーズL、L−30DおよびSは胃において不溶性で、腸で溶解する;
(セルロース誘導体)
適切なセルロース誘導体の例は、エチルセルロース;無水フタル酸を備えたセルロースの部分的な酢酸塩エステルの反応混合物。その性能は、置換の程度および型によって異なり得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)はpH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は水性に基づく系で、<1μmの粒子を備えた乾燥噴霧したCAP偽ラテックス(psuedolatex)である。Aquateric内の他の成分として、pluronics、Tween、アセチル化したモノグリセリドを含みうる。
他の適切なセルロース誘導体は次のものを含む:酢酸セルローストリメリット酸エステル (trimellitate)(Eastman);メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩(HPMCP);ヒドロキシプロピルメチルセルロースコハク酸塩(HPMCS);及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸塩コハク酸塩(例えばAQOAT(信越化学工業株式会社))。その性能は、置換の程度および型によって異なり得る。例えば、HP−50、HP−55、HP−55S、HP−55FグレードのようなHPMCPが適切である。その性能は、置換の程度および型によって異なり得る。例えば、適切なグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸塩コハク酸塩は限定されないが、AS−LG(LF)(pH5で溶解する)、AS−MG(MF)(pH 5.5で溶解する)およびAS−HG(HF)(より高いpHで溶解する)を含む。これらの重合体は水性の分散液へ顆粒剤、または細粉として提供される;ポリ酢酸ビニルフタル酸塩(PVAP)。PVAPはpH>5で溶解し、水蒸気と胃液に対して浸透性が非常に低い。
いくつかの実施形態では、コーティングは可塑剤及び着色剤、滑石及び/又はステアリン酸マグネシウムのような当業者に良く知られている可能な他のコーティング賦形剤を含み得、通常含む。適切な可塑剤はクエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(三酢酸グリセリン)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、カーボワックス400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、トリブチルクエン酸塩、アセチル化されたモノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコールおよびフタル酸ジブチルを含む。具体的には、陰イオンのカルボキシル基のアクリルポリマーは、通常可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンを10−25重量%で包含する。スプレーまたはパンコーティングのような従来のコーティング技術が、コーティングを施すために使用される。コーティングの厚みは、消化管への局所的な送達の所望部位に到達するまで、経口剤形が完全なままであることを保証するのに、十分でなければならない。
コーティング材料を可溶化する又は分散するために、及びコーティングの性能及びコーティングされた製品を改善するために、着色剤、脱粘着剤(detackifier)、界面活性剤、消泡剤、滑沢剤(例えばカルナウバろうあるいはPEG)を、可塑剤の他にコーティングに加えても良い。
他の実施形態では、イブルチニブ及び/又は補足治療薬を含む本明細書に記載されている製剤は、拍動性の剤形を使用して送達される。拍動性の剤形は、制御された遅延時間の後の所定の時点での、あるいは特定の位置での1つ以上の即時放出パルスを提供することができる。他の多くのタイプの制御放出系が当業者に既知であり、本明細書中に記載されている製剤のための使用に適している。そのような送達システムの例は、例えばポリ乳酸とポリグリコール酸、ポリ酸無水物とポリカプロラクトンのようなポリマーに基づく系;多孔性マトリックス、コレステロール、コレステロールエステル及び脂肪酸のようなステロール、又はモノ−、ジ−及びトリグリセリドのような中性脂肪を含む脂質である非ポリマーに基づく系;ヒドロゲル放出系;サイラスティック系;ペプチドに基づく系;ワックスコーティング、生体分解可能な剤形、従来の結合剤を使用する圧縮錠剤およびその他同種のものを含む。例えばLiberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms, 2 Ed., Vol. 1, pp. 209−214 (1990); Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 751−753 (2002); 米国特許第4,327,725号, 第4,624,848号, 第4,968,509号, 第5,461,140号, 第5,456,923号, 第5,516,527号, 第5,622,721号, 第5,686,105号, 第5,700,410号, 第5,977,175号, 第6,465,014号及び第6,932,983号を参照されたい。
いくつかの実施形態では、医薬製剤は本明細書中に記載されているイブルチニブ及び/又は補足治療薬の粒子及び被験体への経口投与のための少なくとも1つの分散剤又は懸濁化剤を含むように提供される。製剤は懸濁のためのパウダー及び/又は顆粒であり、水と混合した際実質的に均一な懸濁液が得られる。
経口投与用の液体製剤剤形は、限定されないが、薬学的に許容可能な水性の経口分散剤、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル剤およびシロップ剤を含む群から選択される水性懸濁液であり得る。例えばSingh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754−757 (2002)を参照されたい。加えて、液体の剤形は以下のような添加剤を含み得る:(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)湿潤剤;(d)少なくとも1つの保存剤、(e)粘性増強剤、(f)少なくとも1つの甘味剤および(g)少なくとも1つの香料添加剤。いくつかの実施形態では、水性分散液はさらに結晶の阻害剤を含み得る。
USP Pharmacists’ Pharmacopeia(2005年版(905章))に定義されるように、本明細書に記載されている水性懸濁液及び分散剤は少なくとも4時間均質の状態のままでいることができる。均質性は、全組成物の均質性の決定と首尾一貫して標本抽出法によって決定されるべきである。1つの実施形態では、水性懸濁液は1分未満続く物理的な撹拌によって均質の懸濁液へ再懸濁することができる。別の実施形態では、水性懸濁液は45秒未満続く物理的な撹拌によって均質の懸濁液へ再懸濁することができる。まだ別の実施形態では、水性懸濁液は30秒未満続く物理的な撹拌によって均質の懸濁液へ再懸濁することができる。まだ別の実施形態では、撹拌は均質の水性分散液を維持するのには必要ではない。
水性懸濁液と分散剤で使用される崩壊剤の例は、限定されないが、例えばトウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンのような自然なデンプン、National1551あるいはAmijel(登録商標)のようなα化デンプン、あるいはPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)のようなナトリウムデンプングリコラート等のデンプン;木製品、メチル結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)及びSolkaFloc(登録商標))、メチルセルロース、クロスカルメロース、あるいは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、あるいは架橋クロスカルメロースのような架橋セルロース;ナトリウムデンプングリコラートのような架橋デンプン;クロスポビドンのような架橋重合体;アルギン酸のようなアルギン酸塩あるいはアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩;Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)のようなクレイ;寒天、ガール、イナゴマメ、カラヤ、ペクチンあるいはトラガカントのようなゴム;ナトリウムデンプングリコラート;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;陽イオン交換樹脂のような樹脂;柑橘類の果肉;ラウリル硫酸ナトリウム;組み合わせたデンプン中のラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの同種を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されている水性懸濁液及び分散液に適している分散剤は、当該技術分野で知られており、例えば、親水性重合体、電解液、Tween(登録商標)60又は80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業的にPlasdone(登録商標)として知られている)、及び例えばヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルのセルロースエーテル(例えばHPC、HPC−SLおよびHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのエーテル(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15MおよびHPMC K100M)のような炭水化物に基づいた分散剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、ヒドロキシプロピルメチル酢酸セルロースステアリン酸塩、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(Plasdone(登録商標)(例えばS−630))、エチレンオキシドとホルムアルデヒドを有する4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである例えばPluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)およびF108(登録商標));及びポロクサアミン(例えば、エチレンジアミン(BASF株式会社、Parsippany、N.J.)へのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの連続する付加に由来した四官能性ブロックコポリマーであるPoloxamine 908(登録商標)として知られているテトロン酸908(登録商標))を含む。他の実施形態では、分散剤は次の薬剤の1つを含まない群から選択される:親水性重合体;電解液;Tween(登録商標)60または80;PEG;ポリビニルピロリドン(PVP);ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルのセルロースエーテル(例えばHPC、HPC−SLおよびHPC−L);ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのエーテル(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、HPMC K100MおよびPharmacoat(登録商標)USP 2910(信越化学));カルボキシメチルセルロースナトリウム;メチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩;ヒドロキシプロピルメチル酢酸セルロースステアリン酸塩;非晶質セルロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;トリエタノールアミン;ポリビニルアルコール(PVA);エチレンオキシドとホルムアルデヒドを有する4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー;ポロクサマー(例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであるPluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)およびF108(登録商標));あるいはポロクサミン(例えばPoloxamine 908(登録商標)として知られているTetronic 908(登録商標))。
本明細書中に記載されている水性懸濁液と分散液に適している湿潤剤は、当該技術分野において知られているものであり、限定されないが、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えばTween20(登録商標)、Tween80(登録商標)(ICI Specialty Chemicals)のような市販のTween(登録商標))およびポリエチレングリコール(例えばCarbowaxs 3350(登録商標)及び1450(登録商標)と、Carbopol 934(登録商標)(Union Carbide))、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクセート、トリアセチン、ビタミンE TPGS、タウロコール酸ナトリウム、シメチコン、ホスファチジルコリンおよびその他同種のものを含む。
本明細書に記載されている水性懸濁液または分散液にふさわしい保存剤は、例えばソルビン酸カリウム、パラベン(例えばメチルパラベンとプロピルパラベン)、安息香酸およびその塩類、ブチルパラベンのようなパラオキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコールまたはベンジルアルコールのようなアルコール、フェノールのようなフェノール化合物、又は塩化ベンザルコニウムのような4級化合物を含む。本明細書中で使用される保存剤は、微生物の生育を阻害するのに十分な濃度で剤形に組み込まれる。
本明細書中に記載されている水性懸濁液または分散液のための適切な粘性増強剤は、限定されないが、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Plasdon(登録商標)S−630、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン及びそれらの組み合わせを含む。粘性増強剤の濃度は、選択された薬剤及び必要な粘性に依存する。
本明細書中に記載された水性懸濁液または分散液に適している甘味剤の例は、例えば、アカシアシロップ、アセスルファムK、アリテーム、アニス、りんご、アスパルテーム、バナナ、バヴァロア、ベリー、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンフル、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、風船ガム、シトラス、シトラスポンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、クールフェリー、クールシトラス、シクラマート、チクロ、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリチルレチン酸ステアリル 、カンゾウ(リコリス)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルレチン酸モノアンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、メープル、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、ナシ、桃、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)パウダー、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、ワイルドチェリー、ウィンターグリーン、キシリトール、又はこれらの風味剤成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、及びそれらの混合物を含む。1つの実施形態では、水性分散液は、水性分散液の体積の約0.001%から約1.0%までの濃度での甘味剤または香料添加剤を含み得る。別の実施形態では、水性分散液は、水性分散液の体積の約0.005%から約0.5%までの濃縮での甘味剤または香料添加剤を含み得る。まだ別の実施形態では、水性分散液は、水性分散液の体積の約0.01%から約1.0%に及ぶ濃縮での甘味剤または香料添加剤を含み得る。
上記の添加剤に加えて、液体製剤は、水又はその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤のような当該技術分野において通常使用される不活性な希釈剤さらに含み得る。典型的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油およびゴマ油のような油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、あるいはこれらの物質の混合物、並びにその同種である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬製剤は自己乳化薬物送達システム(SEDDS)であり得る。エマルジョンは、通常は液滴の形態である、別の相の中の1つの不混和性の相の分散である。一般に、エマルジョンは活発な機械的分散によって作成される。外部からの機械的な分散あるいは撹拌のない過剰量の水が加えられた時、SEDDSは、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンに対立するものとして、自然にエマルジョンを形成する。SEDDSの利点は、溶液の全体にわたって液滴が分布するための温和な混合だけが必要ということである。さらに、不安定な又は疎水性の活性成分の安定性を保証するために、投与の直前に水又は水相を加えても良い。したがって、SEDDSは疎水性の活性成分の経口及び非経口の送達のために効果的な送達システムを提供する。SEDDSは、疎水性の活性成分のバイオアベイラビリティにおける改良を提供し得る。自己乳化剤形を生成する方法は、当該技術分野において知られており、限定されないが例えば米国特許第5,858,401号、第6,667,048号および第6,960,563号を含み、その各々は引用によって具体的に組込まれる)。
上記の添加剤は技術分野における異なる実務者によって異なった分類がなされているため又はいくつかの異なる機能のために一般的に使用されるため、本明細書中で記載されている水性分散液又は懸濁液において使用される上記の添加剤間で重複があることが理解されるべきである。したがって、上記の添加剤は、本明細書に記載されている製剤に含まれ得る添加剤のタイプは単に例示的なものであり、制限していないこととして捉えるべきである。そのような添加剤の量は、要求される具体的な性質に基づいて当業者によって容易に決定することができる。
<鼻腔内製剤>
鼻腔内製剤は当該技術分野において知られており、例えば米国特許第4,476,116号、第5,116,817号および第6,391,452号に記載されており、その各々は引用によって具体的に組込まれる。これらの及び当該技術分野においてよく知られている他の技術に基づいて調製されたイブルチニブおよび/または補足治療薬を含む製剤は、ベンジルアルコール又は他の適切な保存剤、フルオロカーボン、及び/又は当該技術分野において知られている他の可溶化剤又は分散剤を使用した生理食塩水中の溶液として調製される。例えば、Ansel, H. C. et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Sixth Ed. (1995)を参照されたい。好ましくは、これらの組成物及び製剤は適切な毒性のない薬学的に許容可能な成分とともに調製される。これらの成分は鼻腔用の剤形の調製に熟練している当業者に知られており、そのような剤形は当該技術分野において標準的な文献であるREMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 21st edition, 2005で見られる。適切な担体の選択は、要求される鼻腔用剤形(例えば溶液、懸濁液、軟膏剤、ゲル剤)の正確な性質に大きく依存する。鼻腔用剤形は、一般に活性成分に加えて大量の水を含む。pH調整剤、乳化剤あるいは分散剤、保存剤、界面活性剤、ゲル化剤あるいはバッファー、ならびに他の安定化剤と可溶化剤のような小さな量の他の成分が、さらに存在し得る。鼻腔用剤形は鼻の分泌物と等張にすべきである。
本明細書中に記載されている吸入による投与のために、エアロゾル、ミストあるいはパウダーの形態であり得る。本明細書に記載されている医薬組成物は、適切な高圧ガス(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、他の適切なガス)の使用と共に、加圧されたパックあるいは噴霧器からエアゾールスプレーの形態で使いやすいように送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与単位は、測定された量を送達するための弁を提供することによって決定されてもよい。単に例として、吸入器又は注入器において使用するためのゼラチンのカプセル及びカートリッジは、本明細書中に記載されている化合物及びラクトース又はデンプンのような適切なパウダー基材の混合物を含むように調製され得る。
<口腔製剤>
口腔製剤は、当該技術分野において既知の様々な製剤を使用して投与され得る。例えば、そのような製剤は、制限されないが、米国特許第4,229,447号、第4,596,795号、第4,755,386号および第5,739,136号に含まれており、その各々は引用によって特に組込まれる。それに加え、本明細書中に記載されている口腔剤形は、頬粘膜に剤形を付着させる役割も果たす生体分解可能な(加水分解性)の重合体担体をさらに含む。口腔剤形は、送達が実質的に所定期間中提供され続けるように、所定期間中徐々に崩れるように製造される。当業者によってそのように評価されるように、口腔薬剤送達は、経口薬剤送達が遭遇する短所(例えば、遅い吸収、消化管に存在する液体による活性成分の分解及び/又は肝臓における初回通過による不活性化)を回避する。生体分解可能な(加水分解可能な)重合体の担体に関して、要求される薬物放出プロファイルが損なわれず、担体がイブルチニブ及び/又は補足治療薬と混合可能である限り、実質的に任意のこのような担体及び口腔用量単位中に存在し得る任意の他の成分が使用され得ることが理解される。一般に、重合体の担体は、頬粘膜の湿った表面に付着する親水性(水溶性及び水膨潤性)ポリマーを含む。本明細書に有用な重合体の担体の例は、アクリル酸ポリマー及びコポリマー(例えば「カルボマー」として知られているもの(B.F.Goodrichから得られるCarbopol(登録商標)がそのようなポリマーの1つである))を含む。本明細書中に記載されている口腔剤形に組み込まれ得る他の成分は、限定されないが、崩壊剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、調味料、着色剤、保存剤などを含む。口腔又は舌下への投与のために、組成物は錠剤、ロゼンジあるいは従来のやり方で処方されたゲル剤の形態をとり得る。
<経皮的製剤>
本明細書に記載されている経皮的製剤は、当該技術分野において記載されている様々なデバイスを使用して投与され得る。例えば、そのようなデバイスは制限されないが、米国特許第3,598,122号、第3,598,123号、第3,710,795号、第3,731,683号、第3,742,951号、第3,814,097号、第3,921,636号、第3,972,995号、第3,993,072号、第3,993,073号、第3,996,934号、第4,031,894号、第4,060,084号、第4,069,307号、第4,077,407号、第4,201,211号、第4,230,105号、第4,292,299号、第4,292,303号、第5,336,168号、第5,665,378号、第5,837,280号、第5,869,090号、第6,923,983号、第6,929,801号及び第6,946,144号を含み、その各々全体は引用によって具体的に組込まれる。
本明細書に記載されている経皮的剤形は、当該技術分野において従来からある薬学的に許容可能な賦形剤を組込み得る。1つの実施形態では、本明細書に記載されている経皮的製剤は、少なくとも3つの成分を含む:(1)イブルチニブと補足治療薬の化合物の製剤;(2)浸透促進剤;および、(3)水性のアジュバント。加えて、経皮的な製剤は、制限されないが、ゲル化剤、クリーム剤と軟膏基剤などの追加の成分を含みうる。いくつかの実施形態では、経皮的製剤は、吸収を増強し且つ皮膚からの経皮的製剤の除去を防ぐために、織物または非織物の裏地材料をさらに含み得る。他の実施形態において、本明細書中に記載されている経皮的製剤は、皮膚中への拡散を促進するために飽和している又は過飽和している状態を維持することができる。
本明細書中に記載されている化合物の経皮的な投与に適している製剤は、経皮的な送達デバイスと経皮的な送達貼付剤を使用しても良く、脂肪親和性のエマルジョンあるいはポリマー又は接着剤中に溶解した及び/又は分散した、緩衝水溶液である。そのような貼付剤は、薬剤の連続的な、拍動性の、又は要求される送達のために構築され得る。またさらに、本明細書中に記載されている化合物の経皮的な送達は、イオン導入貼付剤等によって達成され得る。さらに、経皮的な貼付剤は、イブルチニブと補足治療薬の抑制された送達を提供することができる。吸収速度は、速度制御膜の使用により、あるいはポリマーマトリクスまたはゲル内で化合物を捕捉することにより遅くすることができる。反対に、経皮的な貼付剤において吸収促進剤は吸収を増加させるために使用され得る。吸収エンハンサーまたは担体は、皮膚を通る経路を支援するために吸収可能な薬学的に許容可能な溶媒を含み得る。例えば、経皮的なデバイスは、裏地、化合物及び随意に担体を含むリザーバー、随意に宿主の皮膚に化合物を制御された及び所定の速度で長期間にわたって送達するための速度制御膜、及び皮膚に装置を安定させるための手段を含む包帯の形態をしている。
<注射可能な製剤>
筋肉内、皮下あるいは静脈内注射に適しているイブルチニブおよび/または補足治療薬の化合物を含む製剤は、生理学的に許容可能な無菌の水性又は非水性の溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および無菌の注射可能な溶液あるいは分散液の中へ再構成するための無菌のパウダーを含み得る。適切な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒あるいはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、クレモフォールなど)、それらの適切な混合物、植物油(例えばオリーブオイル)、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機酸エステルを含む。適切な流動度は、例えばレシチンのようなコーティングの使用、分散液の場合要求された粒度の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。皮下注射に適している製剤は、さらに保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分配剤(dispensing agent)のような添加剤を含みうる。微生物の成長の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などのような、様々な抗菌剤及び抗真菌剤によって保証することができる。砂糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を含むことが必要な場合もある。注射可能な剤形の長期間にわたる吸収は、モノステアリン酸アルミニウムとゼラチンのような吸収を遅らせる薬剤の使用によって引き起こされ得る。
静脈内注射について、本明細書に記載されている化合物は水溶液の中で、好ましくはハンク溶液(Hank’s solution)、リンガー溶液あるいは生理食塩水緩衝剤のような生理学的に混合可能な緩衝剤の中で処方され得る。口腔粘膜投与については、浸透する障壁に適切な浸透剤が製剤の中で使用される。そのような浸透剤は、当該技術分野において一般に知られている。他の注射剤については、適切な製剤は水性または非水溶液、好ましくは生理学的に混合可能な緩衝剤あるいは賦形剤を含む水性または非水溶液を含み得る。そのような賦形剤は、当該技術分野において一般に知られている。
非経口注射剤は大量注射または持続注入を含みうる。注入のための製剤は、例えば保存剤を加えた、アンプル又は複数回用量容器の中で単位剤形として存在し得る。本明細書中で記載されている医薬組成物は、無菌の懸濁液、溶液又は油性又は水性のビヒクル中のエマルジョンのような非経口注射に適した形態であり得、懸濁剤、安定化剤及び/又は分配剤のような調製剤(formulatory agent)を含み得る。非経口投与用医薬製剤は、水溶性の形態に活性化合物の水溶液を含んでいる。さらに、活性化合物の懸濁液は適切な油性注入懸濁液として調製されうる。適切な脂肪親和性の強い溶媒あるいはビヒクルは、ゴマ油のような脂肪油、あるいはオレイン酸エチル又はトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、あるいはリポソームを含む。水性注射用懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトールあるいはデキストランのような懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。随意に、その懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために、適切な安定化剤又は化合物の溶解度を増加させる薬剤を含みうる。あるいは、活性成分は、使用の前は適切なビヒクル(例えば無菌の発熱性物質がない水)を用いて構成するための粉末形態であり得る。
<他の製剤>
ある実施形態では、例えばリポソームとエマルジョンのような医薬化合物用の送達システムが使用されうる。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、および、デキストランから選択される粘膜付着性ポリマーも含みうる。
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されている化合物は、局所的に投与することができ、溶液、懸濁液、ローション剤、ゲル剤、ペースト、薬用スティック、バーム、クリーム剤または軟膏剤のような様々な局所的に投与可能な組成物に処方することができる。そのような医薬化合物は可溶化剤、安定化剤、張度増強剤、緩衝剤および保存剤を含むことができる。
本明細書中で記載されている化合物は、ポリビニルピロリドン、PEGなどのような合成高分子と同様に、カカオバターあるいは他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を含んでいる浣腸剤、直腸用ゲル、直腸用泡状物質、直腸用エアゾール剤、坐剤、ゼリー状坐剤又は保持浣腸剤のような直腸用組成物に処方することができる。組成物の坐薬の形態において、脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスは、限定されないが、随意にココアバターと組み合わされて最初に融解する。
<診断法>
本明細書中に記載されているのは、患者の層別化のために、処置の経過をモニターするために、あるいは治療レジメンの最適化のために、バイオマーカーを使用する方法である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、バイオマーカー中の修飾又は変異の存在の有無、又は発現レベルに基づいて評価される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーはヘレグリンを含んでいる。いくつかの実施形態では、処置または治療レジメンは、ACK阻害剤と補足治療薬の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、補足治療薬は、抗HER2治療薬、全ErbB阻害剤あるいは抗VEGF治療薬である。いくつかの実施形態では、抗HER2治療薬は、トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ラパチニブあるいはMM−111から選択される。いくつかの実施形態では、全ErbB阻害剤はアファチニブ、ネラチニブおよびダコミチニブから選択される。いくつかの実施形態では、抗VEGF治療薬は、ベバチズマブ、ラニビズマブ、ラパチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブおよびパゾパニブから選択される。いくつかの実施形態では、補足治療薬は、テムシロリムス、パクリタキセル、ASLAN001(さらにARRY−543(ASLAN Pharmaceuticals))、ボリノスタット、ドキソルビシン、シクロホスファミド、シスプラチン、ドセタキセルおよびダサチニブから選択される。いくつかの実施形態では、補足治療薬はトラスツズマブとドセタキセル;ペルツズマブとドセタキセル;ドキソルビシン、シクロホスファミドおよびパクリタキサル;あるいはドキソルビシン、シクロホスファミドおよび5−FUから選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤はBTK阻害剤である。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、CNX 774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(さらに、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5とAG−F−54930)、ONO−4059(小野薬品工業株式会社)、ONO−WG37(小野薬品工業株式会社)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−la Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited)及びLFM−A13の中から選択される。いくつかの実施形態では、ACK阻害剤化合物は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロプ−2−エン−1−オン(つまりPCI−32765/イブルチニブ)である。いくつかの実施形態では、HRGは、HER2増幅性腫瘍中で耐性を引き起こす。いくつかの実施形態では、イブルチニブはHRG−誘発性耐性乳癌細胞を感受性にする。いくつかの実施形態では、イブルチニブの高いレベルはHRG−誘発性耐性乳癌細胞を感受性にする。いくつかの実施形態では、乳癌細胞はBT−474とMDA−MB−453細胞株由来の細胞を含んでいる。
いくつかの実施形態では、ヘレグリンの発現レベルは、ヘレグリンの基準レベルと比較して0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、75倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、又はそれを超えて高いものである。いくつかの実施形態では、ヘレグリンの発現レベルは、ヘレグリンの基準レベルと比較して0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、75倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、又はそれ未満に低いものである。
いくつかの実施形態では、基準レベルは、HER2−増幅性腫瘍を持っていない個人におけるヘレグリンの発現レベルである。いくつかの実施形態では、基準レベルは、ACK阻害剤と補足治療薬の組み合わせによる処置に先立った、個人におけるヘレグリンの発現レベルである。
ヘレグリンのようなバイオマーカーの発現レベル又は存在を決定する方法は、例えばELISA、放射線免疫検定法(RIA)、電気化学ルミネセンス(ECL)、ウエスタンブロット法、多重化技術(multiplexing technologies)あるいは他の同様の方法によるものが、当該技術分野において有名である。バイオマーカーの細胞表面発現は、例えばフローサイトメトリー、免疫組織化学、ウエスタンブロット法、免疫沈殿、磁気ビーズ選択およびこれらの細胞表面マーカーのどれかを発現する細胞の定量化によって測定される。RT−PCR、Qt−PCR、マイクロアレイ、ノーザンブロット法あるいは他の同様の技術によってバイオマーカーRNA発現レベルを測定することができる。
本明細書に開示されるように、タンパク質又はヌクレオチドレベルで目的のバイオマーカーの発現又は存在を決定する工程は、当業者に既知の任意の検出方法を使用して遂行される。
「発現を検出する」又は「レベルを検出する」は、生体試料中のバイオマーカータンパク質または遺伝子の発現レベルまたは存在を決定することが意図される。したがって、「発現を検出する」は、バイオマーカーが発現していない、検出可能に発現していない、低いレベルで発現している、通常のレベルで発現している又は過剰発現している例を包含する。
本明細書中で提供される方法の特定の態様では、腫瘍サンプルは分離される、検出される、又は測定される。ある実施形態では、腫瘍サンプルはイムノフェノタイピング技術を使用して、分離される、検出される、又は測定される。他の実施形態では、腫瘍サンプルは蛍光活性化細胞分類(FACS)技術を使用して、分離される、検出される、又は測定される。
ある態様では、生体試料中のこれらの様々なバイオマーカー及び任意の臨床的に有用な予後マーカーの発現または存在は、例えば、免疫組織化学技術、あるいはインサイチューハイブリダイゼーションとRT−PCRのような核酸に基づいた技術を使用して、タンパク質または核酸レベルで検出される。1つの実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在は、核酸増幅のための手段、核酸シーケンシングのための手段、核酸マイクロアレイ(DNAとRNA)を利用する手段あるいは特異的にラベルが付けられたプローブを使用するインサイチューハイブリダイゼーションのための手段によって行なわれる。
他の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在の決定はゲル電気泳動によって実行される。1つの実施形態では、決定は、特異的プローブを備えたメンブレンとハイブリダイゼーションへの転移を通じて実行される。
他の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在の決定は画像診断技術によって実行された。
さらに別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在の決定は、検出できる固体の基質によって実行された。1つの実施形態では、検出できる固体の基質は抗体で機能化された常磁性のナノ粒子である。
いくつかの実施形態では、生体試料における目的のバイオマーカータンパク質の発現レベルは、特にそのバイオマーカータンパク質と相互に作用することができる結合タンパク質あるいは生物学上活性のあるそれらの変異体を用いて検出される。いくつかの実施形態では、標識抗体、その結合部分、あるいは他の結合パートナーが使用される。本明細書中に使用される場合、単語「ラベル(標識)」は、「ラベル(標識)が付けられた」抗体を生成するように抗体に直接あるいは間接的に結合する、検出可能な化合物または組成物を指す。いくつかの実施形態では、ラベルはそれ自体が検出可能(例えば放射性同位元素ラベルあるいは蛍光性のラベル)、あるいは酵素ラベルの場合には、検出できる基質化合物または組成物の化学変換を触媒する。
バイオマーカータンパク質の検出のための抗体は、起原においてモノクローナルあるいはポリクローナルである、あるいは、合成的にあるいは組み換えによって生成される。複合型のタンパク質の量は、例えば結合タンパク質に関連したバイオマーカータンパク質(例えばバイオマーカータンパク質に特異的に結合する抗体)の量は、当業者に既知の標準タンパク質検出方法を用いて決定される。免疫学的分析の設計、理論及びプロトコルに関する詳細なレビューは、当該技術分野における多数の文献で見つかる(例えばAusubel et al., eds. (1995) Current Protocols in Molecular Biology) (Greene Publishing and Wiley−Interscience, NY)); Coligan et al., eds. (1994) Current Protocols in Immunology (John Wiley & Sons, Inc., New York, N.Y.)を参照されたい)。
抗体にラベルを付けるために使用されるマーカーの選択は適用に依存して変わる。しかしながら、マーカーの選択は、当業者が容易に決定できる。任意のバイオマーカーあるいは目的のタンパク質の存在を検出するために、これらの標識抗体は組織学的適用と同様にイムノアッセイの中でも使用される。標識抗体はポリクローナルあるいはモノクローナルである。さらに、目的のタンパク質の検出で使用される抗体は、本明細書に別記されるような放射性原子、酵素、発色団又は蛍光性の部分あるいは比色定量タグでラベル付けされる。タグ付けするラベルの選択も、必要な検出限界に依存する。酵素分析(ELISA)は、典型的には酵素基質との、酵素がタグ付けされた複合体の相互作用によって形成された有色の生成物の検出を可能にする。検出できるラベルとして役立つ放射性核種は例えば、I−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、RE−186、At−211、Cu−67、Bi−212およびPd−109を含んでいる。検出できるラベルとして役立つ酵素の例は、制限されないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含む。発色団の部分は制限されないが、フルオレセインとローダミンを含む。抗体は当該技術分野において既知の方法によってこれらのラベルに結合する。例えば、酵素と発色団の分子は、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミドなどのようなカップリング剤を用いて抗体に結合する。あるいは、結合はリガンド−受容体ペアによって生じる。適切なリガンド−受容体ペアの例は、ビオチン−アビジンまたはビオチン−ストレプトアビジン、及び抗体−抗原である。
ある実施形態において、本明細書中に記載されているバイオマーカーの発現又は存在は、放射線免疫検定法あるいは酵素免疫測定法(ELISA)、競合的結合酵素免疫測定法、ドットブロット(例えばPromega Protocols and Applications Guide, Promega Corporation (1991)を参照されたい)、ウエスタンブロット法(例えばSambrook et al. (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Vol. 3, Chapter 18 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.を参照されたい)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のようなクロマトグラフィーあるいは当該技術分野において既知の他の分析によって決定される。したがって、検出分析は、限定されないが、免疫ブロット法、免疫拡散法、免疫電気泳動法あるいは免疫沈殿のような工程を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているバイオマーカーの発現または存在は核酸レベルでも決定される。発現を評価するための核酸に基づく技術は、当該技術分野において有名であり、例えば生体試料中のバイオマーカーのmRNAレベルを決定する工程を含む。多くの発現検出方法が分離されたRNAを使用する。分離によるmRNAの選択が起こらない任意のRNA分離技術が、RNAの精製のために利用される(例えば、Ausubel et al., ed. (1987−1999) Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New Yorkを参照されたい)。さらに、多くの組織試料は、例えば米国特許第4,843,155号で開示されているシングルステップRNA分離プロセスのように、当該技術分野における当業者に有名な技術を使用して、容易に処理される。
したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーあるいは他の目的のタンパク質の検出は、核酸プローブを使用して核酸レベルで分析される。用語「核酸プローブ」は、具体的に意図したターゲット核酸分子(例えばヌクレオチド転写物)と選択的に結合することができるあらゆる分子を指す。プローブは、当業者によって合成される、あるいは適切な生物学的調製物に由来する。プローブは、例えば放射性ラベル、蛍光ラベル、酵素、化学発光タグ、比色定量タグ又は他のラベルあるいは上記のタグあるいは当該技術分野において既知のものを用いて、ラベル付けされるように特異的に設計されている。プローブとして利用される分子の例は、限定されないが、RNAおよびDNAである。
例えば、限定されないが、サザン又はノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析及びプローブアレイを含むハイブリダイゼーション又は増幅分析において、分離mRNAが使用される。mRNAレベルの検出のための方法の1つは、検出された遺伝子によってコード化されるmRNAにハイブリダイズする核酸分子(プローブ)と分離mRNAを接触させる工程を含む。核酸プローブは、例えば少なくとも長さで7、15、30、50、100、250あるいは500ヌクレオチドであって、バイオマーカーをコード化するmRNA又はゲノムDNAにとって厳格な条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドのような完全長cDNA又はそのタンパク質を含み、バイオマーカーは本明細書において上記のものである。プローブを備えたmRNAのハイブリダイゼーションは、バイオマーカーあるいは他の目的の標的タンパク質が発現されていることを示す。
1つの実施形態では、例えば、アガロースゲルに分離mRNAを流し、mRNAをゲルからニトロセルロースのようなメンブレンに転移させることにより、mRNAは固体表面上で固定され、プローブと接触する。他の実施例では、プローブは固体表面上で固定され、mRNAは例えば遺伝子チップアレイにおいてプローブと接触する。当業者は、既知のmRNA検出方法を、目的のバイオマーカー又は他のタンパク質をコード化するmRNAのレベルを検出するために容易に適用できる。
サンプル中の目的のmRNAのレベルを決定する別の方法は、例えばRT−PCR(例えば米国特許第4,683,202号を参照されたい)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189 193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874−1878)、転写増幅系(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173−1177)、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサイクル複製(米国特許第5,854,033号)又は任意の他の核酸増幅方法による核酸増幅のプロセスを含み、その後当業者によく知られている技術を使用した増幅分子の検出が続く。これらの検出スキームは、核酸分子がとても少ない数で存在する場合の核酸分子の検出において特に有用である。発明の特定の態様では、バイオマーカー発現は定量的な蛍光RT−PCR(つまりTaqMan System)によって評価される。
目的のRNAの発現レベルは、メンブレンブロット(例えばノーザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析に使用されるもの)、又はマイクロウェル、サンプルチューブ、ゲル、ビーズ又はファイバー(又は結合した核酸を含む任意の固体の支持体)を使用してモニターされる。米国特許第5,770,722号、第5,874,219号、第5,744,305号、第5,677,195号および第5,445,934号を参照されたい。発現の検出はさらに溶液の中で核酸プローブを使用する工程を含む。
発明の1つの実施形態では、マイクロアレイは1つ以上のバイオマーカーの発現あるいは存在を決定するために使用される。マイクロアレイは、異なる実験間の再現性のために、この目的に特によく適している。DNAマイクロアレイは、多くの遺伝子の発現レベルの同時測定のための1つの方法を提供する。配列はそれぞれ、保持体に結合した捕捉プローブの再生可能なパターンからなる。ラベルが付けられたRNAあるいはDNAは、アレイ上の相補的なプローブにハイブリダイズし、その後レーザースキャニングによって検出される。
アレイ上の各プローブのためのハイブリダイゼーションの密度が決定され、相対的な遺伝子発現レベルを表す定量的な値に変換される。米国特許第6,040,138号、第5,800,992号および6,020,135、6,033,860および6,344,316を参照されたい。高密度オリゴヌクレオチドアレイは、サンプル中の多くのRNAによる遺伝子発現プロファイルを決定するのに特に役立つ。
機械的な合成方法を使用するこれらのアレイの合成のための技術は、例えば米国特許第5,384,261号に記載されている。いくつかの実施形態では、アレイは、事実上任意の形状の表面又は複数の表面で組み上げられる。いくつかの実施形態では、アレイは平面アレイ表面である。いくつかの実施形態では、アレイは、ビーズ、ゲル剤、重合体の表面、ファイバーオプティクスのような繊維、ガラスあるいは他の適切な基質上のペプチドあるいは核酸を含み、米国特許第5,770,358号、第5,789,162号、第5,708,153号、第6,040,193号および第5,800,992号を参照されたい。いくつかの実施形態では、アレイは、診断又はその他の全てを含んだデバイスの操作を可能にするために、上記のような様式で包装されている。
いくつかの実施形態では、上記方法で使用されるサンプルは固形腫瘍(例えば乳癌細胞株)の細胞から得られる。いくつかの実施形態では、細胞株はBT−474、SK−BR3、MDA−MB−453およびUACC−893を含んでいる。いくつかの実施形態では、細胞株はMino細胞株とDoHH2細胞株を含んでいる。
いくつかの実施形態では、サンプルは患者からの任意の組織あるいは流体サンプルである。
サンプルは制限されないが、血液、リンパ液、尿、婦人科系の流体(gynecological fluid)、生検、及び塗抹標本を含んでいる。本明細書中に開示されている方法に有用な体液は、血液、尿、唾液、乳頭吸引液あるいは他の分泌液あるいはそれらの派生物を含んでいる。いくつかの実施形態では、血液は全血、血漿、血清あるいは血液の任意の派生物を含んでいる。いくつかの実施形態では、身体サンプルは乳腺細胞(例えば生検からの乳房組織)あるいは乳腺腫瘍組織サンプルを含む。
いくつかの実施形態では、身体サンプルは、例えばある領域をこする又は拭取ること、体液を吸引するために針を用いる又は組織サンプルを取り除くこと(すなわち生検)を含む様々な技術により患者から得られる。様々な身体サンプルを集める方法が、当該技術分野において有名である。いくつかの実施形態では、乳房組織試料は、例えば細針吸引生検、コア針生検あるいは切採生検によって得られる。固定剤と染色液は、試験片の保存のためにおよび試験の促進のために細胞または組織に適用されうる。身体サンプル(特に乳房組織試料)は、顕微鏡下で見るためにスライドガラスに移されうる。
<キット/製品>
本明細書中に記載されているのは、個体に治療上有効な量のACK阻害剤化合物(例えばイブルチニブのようなBTK阻害剤)を含む組成物を投与する工程を含む、必要とする個体におけるHER2−増幅性乳癌を処置するためのキットである。本明細書中にさらに記載されているのは、個体に治療上有効な量のACK阻害剤化合物(例えばイブルチニブのようなBTK阻害剤)を含む組成物を投与する工程を含む、必要とする個体におけるHER2−増幅性癌を処置するためのキットである。
本明細書に記載されている治療上の適用で使用するために、キットと製品も本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、そのようなキットは、バイアル、チューブ、およびその他同種のもの(各容器は本明細書中に記載されている方法において使用される別々の要素の内1つを含む)のような1つ以上の容器を受けるために仕切られる担体、包装あるいは容器を含んでいる。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプラスチックのような様々な材料から形成され得る。
本明細書に提供される製品は包装材料を含んでいる。医薬用包装材料としては、ブリスターパック、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、瓶、及び選択された製剤及び意図された様式による投与や処置に適切な任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中に提供される化合物及び組成物の製剤の広範囲のアレイは、Btkの阻害によって利益を得る、あるいはBtkが症状又は病因の媒介物質又は寄与物質である、任意の障害の様々な処置として考慮される。
容器には無菌のアクセスポート(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓がある静脈用注射液バッグあるいはバイアルである)が随意にある。このようなキットは、本明細書中に記載される方法におけるその使用に関する解説書、又はラベル、或いは説明書を有する化合物を任意に含む。
キットは典型的には、本明細書中に記載されている化合物を使用するために商業的に又は使用者の立場から必要な様々な材料(例えば随意に濃縮した状態の試薬、及び/又はデバイス)の1つ以上を各々が備える1つ以上の追加の容器を含んでいる。こうした材料の非限定的な例としては、限定されないが、緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ;担体、包装、容器、内容物および/または使用の説明書を列挙したバイアルおよび/またはチューブラベル、及び使用の説明書を備えた添付文書が挙げられる。1セットの説明書も典型的に含まれる。
いくつかの実施形態では、ラベルは容器上にある、あるいは結び付けられている。ラベルを形成する文字、数字、または他の字が容器自体に付けられているか、成型されているか、あるいは、エッチングされている場合、ラベルは容器上にあり得る;ラベルは、容器を保持する入れ物または運搬装置内に存在する場合、例えば、添付文書として容器に結び付けられる。ラベルは内容物が具体的な治療適用に使用されることを示すために使用され得る。ラベルはさらに、例えば、本明細書中に記載される方法で、内容物の使用のための指示を示すことができる。
ある実施形態では、ACK阻害剤化合物(例えばイブルチニブのようなBTK阻害剤)を含む医薬組成物は、1以上の単位剤形を含むことができるパックまたはディスペンサーデバイス中に存在する。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属ホイル又はプラスチックホイルを含み得る。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与説明書を添付することが可能である。パックまたはディスペンサに、製薬の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形式で包装容器に付随した通知が添えられることもある。その通知は、人間または獣医学の投与のため薬の形式の機関による承認を反映する。こうした通知書は、例えば、処方薬又は承認された生成物の挿入物に関して米国食品医薬品局により承認されたラベルである。化合物と混合可能な薬学的な担体において処方された、本明細書提供の化合物を含んでいる組成物はまた、適切な包装容器において調合、入れることができ、示された疾病の処置のためにラベル化される。
次の特定の及び制限しない実施例は、単に実例となるものとして解釈され、どのようにも本明細書中の開示を制限しない。
<実施例1>
(分析と試薬)
細胞と試薬:乳癌細胞株(BT−474、SK−BR3、MDA−MB−453およびUACC−893)はATCCから得られ、提供元が示すように培養した。抗体は、Cell SignalingとSanta Cruz Biotechnologiesから得られた。ウエスタンブロット試薬はLife Technology(Invitrogen)から得られた。Btkの抗体はBD Biosciencesから得られた。
BT−474とSK−BR−3細胞(ATCC)を、それぞれ10%のウシ胎児血清が補完されたDMEM及びMcCoy5A培地中で培養した。EGFR、pEGFR(Y1086)、HER2、pHER2(Y1248)、HER3、pHER3(Y1289)、Akt、pAkt、MEK、pMEKおよびpBtk(Y223)の抗体は、Cell Signaling Technologyから得られた。HER4、pHER4(Y1056)、ERK、pERKおよびα−tubulinの抗体は、Santa Cruz Biotechnology, Inc.から得られた。BTKの抗体はBD Biosciencesから得られた。
キナーゼ活性分析:LabChipプラットフォームをNanosyn, Inc.によって行った酵素活性分析に使用した。組み換え酵素を1μMの基質とともに5nMで使用した。
アラマーブル―を備えた細胞増殖分析:細胞を100μL中の10,000個の細胞/ウェルでプレーティングした。5%のCO2インキュベーター中の37℃での3日の培養の後に、アラマーブル―(Invitrogen 1:10)を各々のウェルへ加え、さらに2.5−3時間培養した。プレートは545/590nmの励起/放射波長で読まれた。
細胞成長阻害洗浄分析:細胞を、10cmプレートにおいて、BT−474では350,000個の細胞/プレートで、SK−BR−3細胞では300,000個の細胞/プレートでプレーティングした。細胞を1時間イブルチニブで処理した。洗浄の後新鮮な培地を加え、6日間培養を継続した。各プレート中の細胞数は、トリプシン処理した後に細胞カウンタによって数えられた。
細胞周期分析:細胞を、10cmのプレートにおいてBT−474では350,000個の細胞/プレートで、SK−BR−3細胞では300,000個の細胞/プレートでプレーティングした。細胞を1時間イブルチニブで処置した。培地で2度洗った後に、培養を24時間継続した。細胞を70%エタノールの中で固定し、PI/リボヌクレアーゼで染色した。データを、BD FACSCaliburで得て、細胞周期分析はFlowJoソフトウェアを使用して行った。
免疫ブロット法:細胞は、冷却PBSで1度洗浄され、1xサンプルバッファー(Invitrogen)の中で溶解した。細胞溶解物全体を茹で、超音波処理し、その後4−15%の勾配SDS−PAGEゲル上にロードした。タンパク質をPVDFメンブレンに転送した。抗体でプロービングした後に、検出をOdyssey spectrometer (Li−Cor)を使用して行った。ペアのマウスとラビットの抗体を、総リン酸化タンパク質及び相対的なリン酸化タンパク質をプロービングするために使用した。
腫瘍スフィア(Tumorsphere)培養:BT−474細胞を、3連の1mL培地中の120,000個の細胞で1時間イブルチニブで処理した。培養を、メーカー (Stem Cell Technologies)が薦めたMammoCult培地を使用した6ウェルの超低付着プレート(ultra−low adherent plate)において行った。処理については、細胞をトリプシン処理し、単一細胞懸濁液を3連でイブルチニブで1時間処理した。2度洗浄した後に、細胞を6mLの完全なMammoCult培地において再懸濁し、7日間培養した。腫瘍スフィア計測については、1.5mL培地へスフィアを濃縮し、96−ウェルプレートへ移した。5mmより大きい腫瘍スフィアの数を、接眼レンズの中に組み込まれたルーラーを使用したNikon位相差顕微鏡を使用して数えられた。腫瘍スフィアのサイズは4xの対物レンズを備えた顕微鏡で得られた写真から測定した。5つの写真を各々のウェルについて撮影し、コンピューターモニター中の腫瘍スフィアのサイズが測定された。
Aldefluor分析:BT−474細胞を1時間イブルチニブで処理し、2度洗浄し、3日間培養を継続し、あるいは3日間0.1μMイブルチニブが存在する状態で継続的に培養した。分析をメーカー(Stem Cell Technologies)によって提供される方針に基づいて行った。細胞をフローサイトメトリーに先立って35分間Aldefluor試薬とともに培養した。
ウエスタンブロット:1xサンプル緩衝剤(Invitrogen)中の細胞溶解物全体を4%−12%のビス−トリスゲル上で電気泳動にかけた。PVDFメンブレン上にタンパク質を転移させた後に、ブロットを抗体によってプロービングし、シグナルはOdyssey imager (LI−COR Biosciences)を使用して検出した。ペアのマウスとラビットの抗体を、総リン酸化タンパク質及び相対的なリン酸化タンパク質のプロービングのために使用した。
アポトーシス分析:細胞をアネキシン−V/PIあるいはPI/リボヌクレアーゼで染色し、アポトーシス細胞の量をFACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)を使用して計った。アネキシン−V陽性細胞またはsubG0細胞の数を計算した。
<結果>
(イブルチニブによるErbBキナーゼの阻害)
キナーゼのErbBファミリーは、保存されたシステイン残基のまわりのBtkと、それらのキナーゼドメインの相同性を高い程度で共有しており、イブルチニブに不可逆的に結合することができる(図1)。図1に例証されたイブルチニブの様々なキナーゼを阻害する能力が分析された。図の中で示されるように、イブルチニブは、BTKとTECキナーゼファミリーの他のメンバー(例えばBMX、TEC、TXK、ITK、JAK3およびBLK)に加えて、EGFR(ErbB1)、ErB2およびErb4を阻害することができた。別々の実験では、キナーゼ阻害が透析耐性だったことがさらに観察され(データは示されていない)、これは共有結合の阻害を支持する。
(HER−2陽性乳癌細胞の生育阻害)
HER2−増幅性乳癌細胞株(BT−474、SK−BR3、MDA−MB−453およびUACC−893)を、イブルチニブ、AVL−292およびPCI−45468が存在する状態で培養した。イブルチニブに3日間連続してさらした後、HER−2陽性乳癌細胞はアラマーブル―分析(例えば図2A−2D参照)による分析からイブルチニブの生育阻害効果に感受性があることが観察された。イブルチニブと1時間接触した後に洗浄し、6日間培養した後、生育阻害効果は保持され、用量依存的だった(例えば図3A、3B参照)ことが観察された。さらに、イブルチニブを用いた1時間の処理は、HERシグナル経路上に6日目以降でも継続する阻害効果をもたらした(例えば図33参照)。細胞周期分析は、一時間イブルチニブにさらされた細胞は24時間G1期の進行停止があったことを示した(例えば図4A及び4B参照)。BT−474細胞については、対照群とイブルチニブ処理群の違いは統計学的に有意であった(p<0.05)。SK−BR−3細胞については、対照群とイブルチニブ処理群の違い及び異なる用量群間の違いは統計学的に有意であった(p<0.05又はp<0.01)
イブルチニブは、BT−474細胞のアポトーシスを引き起こした(例えば図5A−C、図17参照)。1時間の薬物処理は、曝露から6日後の低いレベルのアポトーシスを引き起こした(図5)一方、連続的な処理(3日間)はカスパーゼ−依存性Q−VD−OPHである劇的なアポトーシスをもたらした(図5B及び5C、及び図17)。アポトーシスはサブG0期の、あるいはアネキシン−V陽性である細胞の割合として測定された。イブルチニブは、腫瘍スフィア数に影響されずに培地中のBT−474細胞の腫瘍スフィアの生育を阻害し(例えば図6A−B参照)、及びマウスMDA−MB−453異種移植片における固形腫瘍の生育を阻害した(例えば図7参照)。
EGFR、HER2、HER4、MEK、ERKおよびAKTの総発現量及びそのリン酸化された形態の発現量は、処置の1時間の後にイブルチニブがない状態または存在する状態(0.1μM)で様々な癌細胞株で検討された。イブルチニブに感受性があった乳癌細胞株もHER2/4−増幅された(例えば図8と9参照)。細胞を様々な回数でイブルチニブで処理し、その後さらに2時間培養された洗浄実験において、ErbBキナーゼ及び下流シグナル経路の阻害はイブルチニブの洗浄後も維持され、時間及び濃度に依存していた(例えば図10参照)。
BT−474乳癌細胞における前駆細胞マーカー発現に対するイブルチニブの効果は、Aldefluor分析によって分析され、それはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の発現に基づいて前駆細胞を識別する。ジエチルアミノベンズアルデヒド(DEAB)はアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を阻害し、分析において対照として使用された。イブルチニブの1時間又は継続的な処理は、乳癌細胞の推定上の「幹様」サブ集団を減少させた(例えば図11及び図18参照)。例えば、Aldefluor分析によって検出された、減少したアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、高濃度のイブルチニブへの短い曝露あるいは低濃度のイブルチニブへの連続曝露の後に見られた。したがって、イブルチニブへの短い曝露は、推定上の「幹様」癌細胞の潜在的な生育力の減少を引き起こす。
蛍光に基づいた分析を用いて、イブルチニブ又はゲフィチニブ(Iressa)による乳癌細胞株MDA−MB−453の阻害が決定された。ゲフィチニブは、イブルチニブと比較してEGFR阻害活性がより高く、HER2/4阻害活性がより低い、可逆的な阻害剤である。イブルチニブがMDA−MB−453細胞生育の阻害においてゲフィチニブより有力だったことが観察された(例えば図12参照)。イブルチニブは、SK−BR3細胞とMDA−MB−453乳癌細胞においても同様の生育阻害活性を示し、ラパチニブ、ネラチニブ及びダコミチニブと比較しても同様の生育阻害活性を示した(例えば図13A、13B参照)。別々の実験によって、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ及びダコミチニブと比較した、BT−474、SK−BR3およびMDA−MB−453乳癌細胞におけるイブルチニブの阻害活性が確認された(例えば、図14A−C参照)。イブルチニブは、BT−474、SK−BR3およびMDA−MB−453乳癌細胞において、AVL−292と比較してより有力な細胞生育阻害剤である(例えば図15A−Cを参照されたい)。加えて、AVL−292と比較して、AKTのような下流ターゲットのリン酸化によってイブルチニブだけがHER2及びHER4活性を阻害した(例えば図16を参照されたい)。
<実施例2−HER2増幅性乳癌>
研究タイプ:介入
研究設計:
分配:無作為化していない
エンドポイント分類:安全性/有効性研究
介在モデル:単一群割付(Single Group Assignment)
マスク化:オープンラベル
主目的:治療
(評価項目)
有効性を評価するため[総奏効率(ORR)=完全寛解(CR)及び部分寛解(PR)](II相)
転移性の組織試料中のHER2及びp95−HER2の発現レベルを決定し、これをHER2−増幅性腫瘍中のイブルチニブに対する反応と関連させること。
[時間枠:生検の時に一度][安全性の問題として指定された:いいえ]
(適格性)
研究のための資格を有する年齢:18歳以上
研究のための資格を有する性別:両方
健康な志願者を許容する:いいえ
(包含基準:)
I相のHER2−増幅性コホート
免疫組織化学(3+)あるいはFISH(≧2.0)によって決定されるようなHER2過剰発現および/または増幅
進行の証拠がある術後補助療法(adjuvant setting)又は転移性療法(metastatic setting)におけるレジメンの一部として以前にトラスツズマブを受けた。14日間のトラスツズマブのための洗浄期間。
疾患の進行の証拠がある術後補助療法又は転移性療法におけるレジメンの一部として以前にラパチニブを受けたことがある。14日間のラパチニブのための洗浄期間。
RECIST 1.1基準によって定義されるようなトラスツズマブあるいはラパチニブを備えた処置の間疾患のX線写真上の進行。
進行期疾患のための先の化学療法レジメンに対する制限はない。先のホルモン療法に関する制限はない。内分泌療法の同時使用は許可されない。
II相 HER2−増幅性コホート
免疫組織化学(3+)あるいはFISH(≧2.0)によって決定されるようなHER2過剰発現および/または増幅
進行の証拠がある術後補助療法(adjuvant setting)又は転移性療法(metastatic setting)におけるレジメンの一部として以前にトラスツズマブを受けた。14日間のトラスツズマブのための洗浄期間。
疾患の進行の証拠がある術後補助療法又は転移性療法におけるレジメンの一部として以前にラパチニブを受けたことがある。14日間のラパチニブのための洗浄期間。
RECIST 1.1基準によって定義されるようなトラスツズマブを備えた処置の間疾患のX線写真上の進行。
(先の治療の包含:)
進行期疾患に関しては4つを越えた先の化学療法レジメンは許可されない。先のホルモン療法のための制限はない。内分泌療法の同時使用は許可されない。
すべての対象のための包含基準
MSKCCでの組織学的検査または細胞診によって確認された乳房の侵襲性の腺癌の診断を持った患者。
病理学的に確認されているあるいは確認されたことがある転移性疾患。
RECIST 1.1基準に基づいて少なくとも1つの測定可能な転移性病巣。腹水、胸膜滲出および骨転移は、測定可能であると考えない。ヘリカルCTによる最小のインジケータ病変サイズ≧10mmあるいは従来の技術による最小のインジケータ病変サイズ≧20mm。
病理学的な節(nodes)は、測定可能であると考えられる短軸で15mm≧でなければいけない。
年齢は≧18、<18歳の患者におけるネラチニブ又はテムシロリムスを使用した際の投与又はその副作用に関するデータが現在得られないので、子供はこの研究から除外される。
処置の前に転移性乳癌の生検について同意することができ、自発的である。評価のための腫瘍コアの凍結され固定されたサンプルの保持に同意する。
原発腫瘍生検標本の評価に同意する。
患者は、登録に先立って、性ホルモン療法(例えば経口避妊薬、ホルモン置換療法)を自発的に中止しなければならない。処置、およびその後の期間、出産可能な女性は効果的な避妊に同意しなければならない。
生殖能力の更年期前の女性、および閉経期の12か月未満の後の女性のための陰性の血清HCG妊娠反応。
患者が3か月間ステロイドと抗痙攣薬の停止の後に臨床的に安定しているままならば、無症候性の中枢神経系転移が許可される。
≦2の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータススコア。
患者は正常な器官と骨髄機能を持っていなければならない:肝転移を持った患者を除いてAST/ALT≦制度上の正常の上限の2.5倍。肝転移を持った患者に関しては、AST/ALT/アルカリホスファターゼ≦制度上の正常の上限の5.0倍。肝転移を持った患者を除いて制度上の範囲内の総ビリルビン。肝転移を持った患者に関しては、総ビリルビン≦制度上の正常の上限の1.5倍。正常の限界あるいは≧60mL/min内のクレアチニンクリアランス、クマジンまたは低分子ヘパリンを有する患者を除いてPT及びPTT≦制度上の正常の上限の1.5倍、≧3,000/μlの白血球、≧1,000/μl好中球絶対数および≧75,000/μlの血小板。
経口薬物を呑み込み保持することができる。
(除外基準:)
潜在的な対象が次の基準のうちのいずれかに合致すれば、この研究への登録から除外される:
乳癌を治療する意図で任意の同時の抗癌療法あるいは治験薬も受ける患者。
ネラチニブまたはテムシロリムスと類似の化学的または生物学的組成物の化合物に起因するアレルギー反応の病歴。
転移性疾患の生検に同意することができないこと、あるいは、そのために生検が医学的に安全でない。
妊婦または母乳を与えている女性。
寿命が<3か月。
研究処置開始の<3週間前の先の化学療法レジメンの完了。先のホルモン療法は処置開始に先立って中止しなければならない。転移性疾患の処置用のベバシズマブを備えた生物学的製剤療法は、プロトコル処置の開始の≧3週間前に中止しなければならない。
同時の放射線療法はプロトコル処置上の疾患進行に許されないが、以前から存在した非ターゲット病変なら、調査の主要な責任者からの承認があれば許可されることがある。
進行中又は活性な感染、癌と無関係な著しい出血性疾患の病歴(先天性の出血性疾患、1年以内に罹患した出血性疾患)、HIV陽性又は活性な肝炎を含む、毒性のリスクを増加させ得る同時の医学的な症状。
うっ血性心不全、扁桃炎、心筋梗塞、不整脈および心臓(MUGAスキャン)あるいは心臓エコー像(ECHO)の多重ゲート制御された血液プールイメージングによって測定された50%未満の左心室駆出率を含む、臨床的に著しい又は制御できない心臓病の病歴。
QTc時間>0.47秒。
経口薬物を受けるのが難しくなる結果をもたらす消化管疾患、呼吸不良症候群、IV栄養補給の必要性、呼吸に影響する以前の外科手術、又は制御できない炎症性消化管疾患を有する患者。
外科的に処置された第1ステージの子宮内膜癌又は子宮頸がん又は前立腺癌、及び非メラノーマ性の皮膚癌を除いた、3年以内に診断された侵襲性の第2原発性の悪性腫瘍の病歴。
臨床的に重度であり、経口薬物の摂取に関する告知に基づく同意を妨げるあるいはコンプライアンスを妨げると調査者によって判断された制御できない発作、中枢神経系障害又は精神医学的な障害の病歴。
書面による告知に基づく同意をするのが不本意である、参加することが不本意である又は研究の間のプロトコルに応じることができない。予定された通院、処置計画、実験室での検査及び他の研究手順に応じる事を快諾する及び応じる能力は、この臨床試験への参加に必要である。
<実施例3−HER2−増幅性胃癌>
研究タイプ:介入
研究設計:
分配:無作為化されない
エンドポイント分類:安全性/有効性研究
介在モデル:単一基割付
マスク化:オープンラベル
主目的:治療
(評価項目)
30日目でのHER−2増幅性患者における受容体自己リン酸化の阻害の明確な証拠を示す患者の割合
目的奏効率
適格性
研究に資格を有する年齢:
21歳以上
研究に資格を有する性別:
両方
健康な志願者を受け入れる:
いいえ
包含基準:
告知に基づく同意が得られた時に21歳以上である男女。
組織学的に確認された、手術不可能な局所的に進行している転移性疾患を備えた胃、胃−食道接合又は遠位の食道の腺癌を有する患者。
標準的なFISHによるHER−2の遺伝子増幅を備えた腫瘍を持った患者。
転移性疾患を備えた胃、胃−食道接合部又は遠位の食道の腺癌の処置のために、以前に1つ以上の化学療法を受けた患者。
経口薬物を受けることができ、胃の内視鏡にする生検を行うことができ、全ての他の包含/除外基準に合致するならば、事前の部分的な胃切除を有する患者。
修正されたRECISTガイドラインで測定可能な及び測定可能ではない疾患を持った患者。測定可能な又は測定できない疾患を記録するために使用された全てスキャン及びX線は、登録前の28日間の間に行わなければならない。
0又は1の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(登録前の14日間内)を有する患者。
登録前の14日以内に、以下の室内研究によって証拠づけられるような適切な器官と血液の機能を有する患者:
以下のように血液の機能:
好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L;
血小板数≧75×109/L;
ヘモグロビン≧9g/dL;
以下のような凝析機能:実験室での正常範囲における、制度上の正常上限≦1.5の部分トロンボプラスチン時間(PTT)あるいは活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT);国際正常化比(INR)≦1.5
以下のような腎機能:血清クレアチニン≦1.5xULN;尿素≦1.5xULN
以下のような肝機能:総ビリルビン≦1.5xULN;血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)/アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)及び血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)/アラニントランスアミナーゼ(ALT)≦2.5xULN(肝転移が存在する場合≦5xULN)
除外基準:
経口の薬物を呑み込むことができない患者
持続性の胃流出路閉塞、完全なえん下障害あるいは摂食用空腸瘻造設を有する患者。
登録の≦14日前に胃残留物への放射線療法を受けた患者。患者はすべての放射線療法関連の毒性から回復していなければならない。
胃全摘をした患者。
外来患者用の薬物で制御できない心筋梗塞、不安定狭心症、グレード2以上末梢血管疾患、脳血管発作、一過性脳乏血発作、うっ血性心不全あるいは不整脈を含む、制御できない、臨床的に重度の症候的な心臓疾患を、登録前の6か月の間に経験した患者。
妊婦(つまりベータ−ヒト絨毛性ゴナドトロピンテストで陽性)あるいは母乳を与えている女性。
<実施例4−HER2−増幅性肺癌>
研究タイプ:介入
研究設計:
分配:無作為化されない
エンドポイント分類:安全性/有効性研究
介在モデル:単一基割付
マスク化:オープンラベル
主目的:治療
(評価項目)
無増悪生存率(PFS);4か月目の無増悪生存率割合(PFS)[コホートA]PFSは、登録の日から客観的な進行まであるいは任意の原因による死亡までの期間として定義される。
1つのコホート当たりの反応期間(DR)
1つのコホート当たりの総生存率(OS)
健康に関連した生活の質の患者報告アウトカム、及び欧州がん研究・治療機構の生活の質のアンケート(EORTCQLQ−C30)及び肺癌モジュール(LC13)によって測定されるような疾患/処置に関連した症状。
適格性
研究に資格を有する年齢:21歳以上
研究に資格を有する性別:両方
健康な志願者を受け入れる:いいえ
包含基準:
進行した肺腺癌、測定可能な疾患
喫煙状態にかかわらず標準FISHによるHER−2の遺伝子増幅を備えた腫瘍を有する患者
ECOG(米国東海岸がん臨床試験グループ)0−1。
コホートA:先の全身治療はない。
コホートB:
HER2−増幅性NSCLCを有する患者;先の治療をしたものであっても良い。
除外基準:
活性のある脳転移
コホートAのみにおける進行した疾患用の先の全身治療。コホートBは一連の先の全身治療を任意の回数したものであっても良い。
<実施例5>
細胞株BT−474、MinoおよびDoHH2はATCCから得られ、入手先が示すように培養した。
キナーゼ活性分析:キナーゼ活性分析を、5nMの組み換え型酵素(EGFR、HER2およびHER4)と様々な濃度の阻害剤(例えばイブルチニブ、アフチニブ、ネラチニブ、ダコミチニブ、ラパチニブおよびゲフィチニブ)を用いて、NanosynのLabChipプラットフォームを使用して行った。
DoHH2細胞については、次のプロトコルを使用した。DoHH2細胞(100万個/mL)は1時間阻害剤で処置し、続いてPCI−33380(2uM)の処置を30分行った。その後、細胞を沈殿させ、プロテアーゼインヒビターを含む24μLのPBSに再懸濁した。次に、細胞を4回凍結融解した。細胞溶解物の24uLの上清を、8μLの4x Invitrogenサンプルバッファーと混合した。細胞溶解物の混合物約15μLを、電気泳動ゲルの各ウェルにロードした。
イブルチニブによるシグナル経路の阻害をアファチニブと比較した(例えば図19参照)。
イブルチニブとアフォチニブの両方は、EGFRに対してよりも、HER2及びHER4に対してより強い阻害剤、すなわちより高いIC50を示した。Dacomitinib(全ErbB阻害剤)は、EGFRと下流のターゲットを阻害するのにそれほど効果的ではなかった(例えば図20参照)。イブルチニブは、EGFRとHER2シグナル経路よりも、MEKとAktシグナル経路の有力な阻害剤だった(例えば図21参照)。更に、イブルチニブのより高い濃度は、ヘレグリンによって誘発された耐性を解消することができた(例えば図22参照)。本明細書に記載されている追加の阻害剤と比較して、イブルチニブだけが、B細胞(例えばMino細胞)におけるBtkシグナル経路への選択的な阻害作用を示した(参照、例えば図23)。さらに、イブルチニブは、選択的にBtkへ共有結合した一方、残りの阻害剤であるネラチニブ、ラパチニブおよびダコミチニブは共有結合しなかった(例えば図24参照)。
<実施例6>
(ErbBキナーゼへのイブルチニブの共有結合)
細胞株BT474とSK−BR−3はATCCから得て、入手先が示すように培養した。
BTK透析分析:100nMと10nMの化合物を、100mM HEPES pH7.5、0.1%BSA、5mM MgCl2、1mM DTT、0.01%のトリトンX−100を含むバッファーにおいて1時間5nM BTK酵素で前培養し、同じバッファーに対して+4℃で合計24時間透析した(透析バッファーを3回換えた、名目上の累積的な透析比(nominal cumulative dialysis factor):8,000,000)。対照サンプルは、同一の方法で透析されたDMSO+5nM BTKを含む。化合物を備えた透析されていないサンプルは回収され、1時間間前培養した。透析に続いて、BTK活性は、250uM ATPと1uM基質ペプチドが存在する状態で、リアルタイムフォーマットで測定された。初速度はサンプルの中で決定された。
LCK透析分析:100nMと10nMの化合物を、100mM HEPES pH7.5、0.1%BSA、5mM MgCl2、1mM DTT、0.01%のトリトンX−100を含むバッファーにおいて1時間5nM LCK酵素で前培養し、同じバッファーに対して+4℃で合計24時間透析した(透析バッファーを3回換えた名目上の累積的な透析比(nominal cumulative dialysis factor):8,000,000)。 対照サンプルは、同一の方法で透析されたDMSO+5nM LCKを含む。
化合物を備えた透析されていないサンプルは回収され、1時間間前培養した。透析に続いて、LCK活性は、250uM ATPと1uM基質ペプチドが存在する状態で、リアルタイムフォーマットで測定された。初速度はサンプルの中で決定された。
EGFR透析分析:100nMと10nMの化合物を、100mM HEPES pH7.5、0.1%BSA、5mM MgCl2、1mM DTT、0.01%のトリトンX−100を含むバッファーの中で1時間5nM EGFR酵素で前培養し、同じバッファーに対して+4℃で合計24時間透析した(透析バッファーを3回換えた、名目上の累積的な透析比(nominal cumulative dialysis factor):8,000,000)。対照サンプルは、同一の方法で透析されたDMSO+5nM EGFRを含む。化合物を備えた透析されていないサンプルは回収され、1時間間前培養した。透析に続いて、EGFR活性は250uM ATPと1uM基質ペプチドが存在する状態でリアルタイムフォーマットで測定された。初速度はサンプルの中で決定された。
HER4透析分析:100nMと10nMの化合物を、100mM HEPES pH7.5、0.1%BSA、5mM MgCl2、1mM DTT、0.01%のトリトンX−100を含むバッファーの中で1時間5nM HER4酵素で前培養し、同じバッファーに対して+4℃で合計24時間透析した(透析バッファーを3回換えた、名目上の累積的な透析比(nominal cumulative dialysis factor):8,000,000)。対照サンプルは、同一の方法で透析されたDMSO+5nM HER4を含む。化合物を備えた透析されていないサンプルは回収され、1時間前培養した。透析に続いて、HER4活性は250uM ATPと1uM基質ペプチドが存在する状態でリアルタイムフォーマットで測定された。初速度はサンプルの中で決定された。
組み換え型酵素BTK、EGFRおよびHER4は、イブルチニブの10nMあるいは100nMの濃度のいずれかに対しても透析された。イブルチニブ(PCI−32765)はBTKの不可逆的阻害を実証した(例えば図25参照)。LCKが存在する状態で、イブルチニブは可逆的阻害を実証した(例えば図26参照)。リンパ球特異的なタンパク質チロシンキナーゼ(LCK)は負の対照として使用された。LCKは、そのキナーゼドメインに保存されたシステイン残基を欠き、その活性はイブルチニブへの1時間の前曝露の後に行った透析で回復した。EGFRとHER4が存在する状態で、イブルチニブは、両方の組み換え型酵素への両方の不可逆的阻害を示した(例えばEGFR阻害を示す図27とHER4阻害を示す図28参照)。DMSOの中の酵素(対照)は同様に透析された。
<実施例7>
(迅速な希釈を介したイブルチニブ(PCI−32765)による時間依存生阻害)
イブルチニブ(PCI−32765)は2つの組み換え型キナーゼであるBtkおよびHER2に対して試験された。イブルチニブは0.1μMの濃度で試験された。イブルチニブあるいはDMSO(対照)を、BtkあるいはHER2のいずれかで、5分、15分、30分、60分および90分のいずれかの時間前培養した(前培養サンプルは逆順で回収された: 90分、60分、30分、15分および5分)。イブルチニブ/キナーゼ複合体は、500uM ATPと2uM基質ペプチドを備えた分析緩衝剤で迅速に希釈された(希釈比500x)リアルタイム酵素活性分析は希釈されたサンプルの中で行なわれた。阻害剤の時間依存の不可逆性は、化合物が存在する状態で、および化合物が存在しない状態で希釈され、処置された酵素間の違いによって決定された。阻害の明白なコップス(Kobs)を決定するために、反応の初速度は前培養時間に対してプロットされた。図29は、迅速な希釈の後のイブルチニブによるBTKの時間依存の阻害を例証する。図30は、迅速な希釈の後のイブルチニブによるHER2の時間依存の阻害を例証する。
(イブルチニブ(PCI−32765)による阻害の動態を決定する)
イブルチニブ(PCI−32765)はBTK及びHER2の中で試験された。
化合物は、連続的にDMSOで前希釈された。連続希釈物は、4mM基質ペプチドで補われた35mLの1x分析緩衝剤へ移した。反応物は、35μLの、ATPで補われた1×分析バッファー中の2x酵素(0.5nM BTKあるいは1.0nM HER2)の付加によって開始された。
最終のBTK分析組成物は、100mM HEPES pH7.5、0.1%BSA、0.01%トリトンX−100、1mM DTT、5mM MgCl2、1000μM ATP、0.25nM BTK(Millipore)および2μMペプチドを含む。温度は25℃であった。DMSO濃度は0.05%であった。ペプチド配列はFAM−GEEPLYWSFPAKKK−NH2だった。
最終のBTK分析組成物は、100mM HEPES pH7.5、0.1%BSA、0.01%トリトンX−100、1mM DTT、5mM MgCl2、1000μM ATP、0.25nM HER2(BPS)および2μMペプチドを含む。温度は25℃であった。
DMSO濃度は0.05%であった。ペプチド配列はFAM−GEEPLYWSFPAKKK−NH2だった。
反応進行曲線は気候が制御されるCaliper LabChip(登録商標)機器を使用して、合計4時間内で得られた。得られた曲線は最適合式(best fitting equation)を用いて、XLfit4ソフトウェアを使用して適合させた。例えば、時間依存の阻害のための方程式として以下が使用された:
[P]=Vs*t+((Vo−Vs)/Kobs)*(1−exp(Kobs*t))。
方程式の中で:Viは反応の初速度であり、Vsは阻害剤が存在する状態での定常状態速度である。
時間依存の阻害剤のために:得られたコップス値を、いずれかの双曲線適合(hyperbolic fit)を使用して、化合物の濃度に対してプロットした。プロットから、K2(あるいはKinact)、K−2、KiおよびKinact/Ki値が決定された。
図31は、イブルチニブ(PCI−32765)によるBTK阻害の動態を例証する。図32は、イブルチニブ(PCI−32765)によるHER2阻害の動態を例証する。
本明細書中に記載されている実施例及び実施形態は、例証することのみを目的としたものであり、当業者によって示唆される様々な修飾あるいは変化が、本出願の精神と範囲及び添付の特許請求の範囲に含まれる。