JP2021008369A - 炭素フォーム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、セル組の際、流路への落ち込みや破断が起こりにくい炭素フォームを提供することにある。【解決手段】本発明の炭素フォームは、線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、前記線状部の平均繊維径が0.1〜5.0μmであり、JIS P8125に準拠して測定されるテーバー曲げ剛さが、10gf・cm以上であることを特徴とする。また、本発明の炭素フォームは、少なくとも一部において、前記線状部のx方向に対する配向角度の平均値をθavex、y方向に対する配向角度の平均値をθavey、z方向に対する配向角度の平均値をθavez、と定義したときに、前記θavex、前記θavey、前記θavezの中の最大値と最小値との差θcが3°以上であることが好ましい。【選択図】図5

Description

本発明は、炭素フォームに関する。
炭素フォームは、例えばメラミン樹脂フォーム(発泡体)を不活性ガス雰囲気中で熱処理して炭素化することにより得られる材料であり(例えば、特許文献1参照)、その多孔性、柔軟性及び電気的特性により様々な用途に使用されている。
特開平4−349178号公報
炭素フォームは、レドックスフロー電池等の電極として用いられることがある。該電極を含むレドックスフロー電池用セルとしては、例えば、双極板、正極、隔膜、負極、双極板の順に積層された構造(図1参照)のように、電極が、双極板と隔膜とに挟まれた構造を含むセル等が挙げられる。また、このような構造において、セル内の電解液の流動性を向上させる観点から、双極板に電解液が流れる流路が設けられることがある(図1参照)。
セル組をする際、過剰な圧力を付加すると、双極板の流路に電極が落ち込んだり、電極中の繊維が破断したりすることがあり、セル組の際に圧力をかけても、双極板の流路に落ち込みにくい炭素フォームが求められていた。
従って、本発明の目的は、セル組の際、流路への落ち込みや破断が起こりにくい炭素フォームを提供することにある。
[1]
線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、
前記線状部の平均繊維径が0.1〜5.0μmであり、
JIS P8125に準拠して測定されるテーバー曲げ剛さが、10gf・cm以上である、ことを特徴とする炭素フォーム。
[2]
少なくとも一部において、前記炭素フォームの厚み方向をx方向、前記x方向に垂直な方向をy方向、前記x方向及び前記y方向に垂直な方向をz方向とし、
300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる前記線状部の
前記x方向に対する配向角度の平均値をθavex、
前記y方向に対する配向角度の平均値をθavey、
前記z方向に対する配向角度の平均値をθavez、
と定義したときに、
前記θavex、前記θavey、前記θavezの中の最大値と最小値との差θcが3°以上である、[1]に記載の炭素フォーム。
[3]
前記結合部の数に対する前記線状部の数の割合が1.3以上1.6以下である、[1]又は[2]に記載の炭素フォーム。
[4]
前記結合部の密度が、15,000個/mm3以上である、[1]〜[3]の何れかに記載の炭素フォーム。
[5]
前記結合部の密度が、30,000個/mm3以上である、[1]〜[3]の何れかに記載の炭素フォーム。
[6]
前記線状部の平均繊維径が0.5〜4.0μmである、[1]〜[5]の何れかに記載の炭素フォーム。
本発明の炭素フォームは、上記構成を有するため、セル組の際、流路への落ち込みや破断が起こりにくい炭素フォームを提供することができる。
レドックスフロー電池の流路構造の一例を示す概略図である。 比較例1による炭素フォーム表面のSEM像である。 比較例1の炭素フォームより得られるX線CT解析画像である。 図3の画像のライン及びノード検出を行った画像処理の画像である。 実施例1による炭素フォーム表面のSEM画像である。 図5を拡大したSEM画像である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
[炭素フォーム]
本発明の炭素フォームは、線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、JIS P8125に準拠して測定されるテーバー曲げ剛さが、10gf・cm以上である。
中でも、線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、前記線状部の平均繊維径が0.1〜5.0μmであり、JIS P8125に準拠して測定されるテーバー曲げ剛さが、10gf・cm以上である炭素フォームが好ましい。また、線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、少なくとも一部において、炭素フォームの厚み方向をx方向、前記x方向に垂直な方向をy方向、前記x方向及び前記y方向に垂直な方向をz方向とし、300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる前記線状部の前記x方向に対する配向角度の平均値をθavex、前記y方向に対する配向角度の平均値をθavey、前記z方向に対する配向角度の平均値をθavez、と定義したときに、前記θavex、前記θavey、前記θavezの中の最大値と最小値との差θcが3°以上であることが好ましい。
本実施形態の炭素フォームは、線状部と該線状部を結合する結合部とを有する炭素フォームであり、線状部が3次元的に連続している構造が、導電性の観点から好ましい。
炭素フォームを構成する少なくとも50%以上が線状部と該線状部を結合する結合部であることが、レドックスフロー電池を形成した際の通液性に優れ、電極表面積が大きく性能が良好である観点から好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
なお、線状部と結合部の割合は、炭素フォームの任意の断面において、炭素フォームを構成する部材が占める全面積100%に対する、線状部と結合部とが占める合計面積の割合としてよい。
線状部と結合部以外の構造としては、例えば炭素繊維の断面形状が、円から大きくはずれた構造であり、断面形状の短辺に対する長辺の長さが4倍以上の幅広構造等が挙げられる。電解液の通液性が低下するため、線状部と結合部以外の上記構造の面積は、炭素フォームの任意の断面において、炭素フォームを構成する部分の全面積に対して20%未満が好ましく、より好ましくは10%未満であり、さらに好ましくは5%未満である。
本実施形態の炭素フォームは、レドックスフロー電池を形成した際の通液性の観点から、連続空隙を持つものが好ましい。また、独立気泡のような、壁状の構造が、任意の炭素フォームの表面又は断面を500倍の倍率で観察したSEM画像において、単位面積当たりの独立気泡の面積割合が、5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
上記炭素フォームは、シート状であることが好ましい。上記炭素フォームは、1層の炭素フォームからなる単層炭素フォームであってもよいし、2層以上の単層炭素フォームからなる積層炭素フォームであってもよい。
本実施形態の炭素フォームのテーバー曲げ剛さとしては、10gf・cm以上であり、セル組の加圧時に流路への落ち込みを一層抑制し、電解液を通液させる際の圧損を抑制できる観点から、15〜200gf・cmが好ましく、より好ましくは20〜200gf・cm、さらに好ましくは25〜150gf・cmである。また、セル抵抗を一層低減できる観点から、50gf・cm以下であってもよく、30gf・cm以下であってもよい。
なお、テーバー曲げ剛さは、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
テーバー曲げ剛さは、例えば、炭素フォームの平均繊維径、炭素化前の樹脂フォームの浸漬条件(例えば、浸漬前の樹脂フォームの圧縮条件、浸漬する溶液中の樹脂濃度、樹脂フォームに付着した過剰な浸漬溶液を除去する条件等)等により、上記範囲に調整することができる。
本実施形態の炭素フォーム1gあたりの表面積は、反応面積を増大させ、活性化過電圧を低減させる観点から、3m2以上が好ましく、より好ましくは5m2以上、さらに好ましくは10m2以上である。炭素フォーム1gあたりの表面積の上限は、長期使用時の特性変動が少ない観点から、200m2以下が好ましく、より好ましくは180m2以下、さらに好ましくは150m2以下、さらに好ましくは120m2以下、さらに好ましくは100m2以下、さらに好ましくは70m2以下、さらに好ましくは60m2以下、特に好ましくは40m2以下である。
炭素フォーム1gあたりの表面積は、窒素ガス吸着等温線にBET解析法を適用して求めることができる。具体的には、あらかじめ粉砕した試料を200℃にて減圧乾燥したのち、自動窒素ガス吸着試験機(カンタクロームジャパン製、Autosorb1)を用いて測定する。測定温度は液体窒素温度である77Kとする。得られた吸着等温線の相対圧0.05−0.30範囲をBETプロットし、その傾きから表面積を求めることができる。
本実施形態の炭素フォーム1cm3あたりの表面積は、反応面積を増大させ、活性化過電圧を低減させる観点から、0.05m2以上が好ましく、より好ましくは0.1m2以上、さらに好ましくは1m2以上である。炭素フォーム1cm3あたりの表面積の上限は、電解液の通液圧損の観点から、16m2以下が好ましく、より好ましくは10m2以下、さらに好ましくは8m2以下である。
炭素フォーム1cm3あたりの表面積は、前述の炭素フォーム1gあたりの表面積に、かさ密度を乗じて求めることができる。
本実施形態の炭素フォームは、汎用性の観点から、平面視面積が100cm2以上の表面を有することが好ましく、この表面の面積は、225cm2以上が好ましく、より好ましくは600cm2以上である。また、生産性の観点から、炭素フォームの平面視面積は、60000cm2以下が好ましく、より好ましくは50000cm2以下、さらに好ましくは30000cm2以下、特に好ましくは25000cm2以下である。
本実施形態の炭素フォームの厚みは、抵抗の観点から、1.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.8mm以下、さらに好ましくは0.7mm以下である。上記厚みは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上である。
<線状部(炭素繊維)の平均繊維径>
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォームを構成する線状部(炭素繊維)の平均繊維径dは0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましい。本明細書において、「炭素繊維の径」は、結合部を繋ぐ線状部の直径を指す。
炭素繊維の平均繊維径は、電極として使用する際の強度の観点、物理的な強度と導電性を確保する観点から、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.6μm以上、特に好ましくは0.8μm以上である。また、隔膜への突き刺さりを抑止し、膜破れによるショートを抑制できる観点、隔膜表面の劣化抑制の観点、及び平均繊維径が細くなることで表面積が増え、セル抵抗が低減する観点、圧縮挙動時の変形性や復元性の観点から、5.0μm以下が好ましく、より好ましくは4.5μm以下、さらに好ましくは4.0μm以下であり、特に好ましくは3.0μm以下である。
上記平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で得た像を画像解析することによって求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍の倍率で繊維形状を観察し、得られた観察像から、無作為に選んだ20本の炭素繊維の太さを測定し、この平均太さとして算出することができる。
なお、繊維径は、結合部を繋ぐ線状部の太さのことを指し、上記と同様にして得られた走査型電子顕微鏡の画像から、1本の線状部(炭素繊維)から20箇所を無作為に選んで各箇所の太さを測定し、断面形状が円形であると仮定して、この平均太さ(平均直径)求めることで、各繊維の繊維径を測定することができる。
本実施形態の炭素フォームにおいて、全線状部に対する、繊維径が5μm超の線状部の割合としては、電解液を通液させる際の通液抵抗が低くなる観点から、10%未満であることが好ましく、より好ましくは5%未満、さらに好ましくは5%未満である。
なお、繊維径が5μm超の線状部の割合は、上述の平均繊維径の方法で得た画像から、無作為に選んだ100本の線状部から求める割合としてよい。
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォームを構成する線状部(炭素繊維)の平均繊維長は、15μm以上200μm以下であることが好ましい。本明細書において、「炭素繊維の長さ」は、線状部の長さ、具体的には任意の隣接する結合部の間の長さを指す。
炭素繊維の平均繊維長は、炭素フォームの柔軟性の観点から、15μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。また、炭素繊維の平均繊維長は、炭素フォームの導電性の観点から、200μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
なお、炭素フォームを構成する線状部(炭素繊維)の平均繊維長は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)像を画像解析することによって求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍の倍率で炭素フォームを観察する。得られた観察像から、無作為に選んだ20か所の隣接する結合部の間の長さを測定する。この平均長さを上記平均繊維長とする。
<結合部の数Nnに対する線状部の数Nlの割合R>
本実施形態の炭素フォームにおいて、結合部の数Nnに対する線状部の数Nlの割合Rは、1.3以上1.6以下であることが好ましい。割合Rは、換言すれば、結合部にて分岐する枝分かれの平均数である。Rを1.3以上とするのは、Rが1.3未満の場合には、線状部が結合部で結合した三次元網目状構造を有さず、不織布のように結合していない線状部が接触している構造が考えられるためである。また、Rを1.6以下とするのは、Rが1.6を超えると線状部が帯状の様になった、例えば蜂の巣の様な壁面で覆われた多孔性構造が考えられるためである。
結合部の数Nnに対する線状部の数Nlの割合Rは、より好ましくは1.35以上、さらに好ましくは1.4以上である。また、より好ましくは1.55以下、さらに好ましくは1.52以下である。
<平面視での空隙割合>
本実施形態の炭素フォームにおいて、平面視で0.5mm×0.5mmの領域内で、空隙を覆う凝集物の面積の割合が50%以下であることが好ましく、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。空隙を覆う凝集物の面積の割合は小さいほど好ましい。空隙を覆う凝集物の面積の割合の下限については特に限定はないが、1%以上であってもよく、3%以上であってもよく、5%以上であってもよい。
そして、炭素フォームにおいて、平面視で0.5mm×0.5mmの領域内で、空隙の面積の割合は、50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。
なお、上記面積は、炭素フォーム表面をSEMを用いて測定することができる。
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォーム表面上の存在する凝集物の重量は、炭素フォームのテーバー曲げ剛さを向上し流路等への落ち込みを抑制できる観点から、炭素フォーム100に対し、2以上が好ましく、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である。また、凝集物が炭素フォームの空隙を塞ぐことにより圧損が増加する観点から、炭素フォーム表面上に存在する凝集物の重量は、炭素フォーム100に対し、400以下が好ましく、より好ましくは200以下であり、さらに好ましくは100以下である。
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォームの表面積に対する、炭素フォーム表面上に存在する凝集物が占める面積の割合は、線状部の耐破断性が一層向上し、流路等への落ち込みを一層抑制でき、表面積が増加してセル抵抗が低減する観点から、1〜70%が好ましく、より好ましくは3〜50%、さらに好ましくは1〜30%である。
上記凝集物としては、樹脂フォームに浸漬したバインダー樹脂が炭素化したものであることが好ましい。
なお、炭素フォームの表面積に対する凝集物が占める面積の割合は、走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍等の倍率で炭素フォーム表面を観察し、任意の20箇所において、任意の領域(例えば、10μm×10μmに相当する領域等)の炭素フォームが占める面積、凝集物が占める面積を測定して、算出することができる。なお、上記の算出において、炭素フォームおよび凝集物が占める面積は、得られた画像(一方向から撮影した画像)中に占める、炭素フォーム又は凝集物の割合として良い。
炭素フォームの表面積に対する凝集物が占める面積の割合は、例えば、炭素化前の樹脂フォームの浸漬条件(例えば、浸漬前の樹脂フォームの圧縮条件、浸漬する溶液中の樹脂濃度、樹脂フォームに付着した過剰な浸漬溶液を除去する条件等)、炭化条件等により、調整することができる。
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォームの上記線状部の表面積に対する、線状部表面上に存在する凝集物が占める面積の割合は、線状部の耐破断性が一層向上し、流路等への落ち込みを一層抑制でき、表面積が増加してセル抵抗が低減する観点から、1〜70%が好ましく、より好ましくは3〜50%、さらに好ましくは5〜30%である。
なお、炭素フォームの線状部の表面積に対する凝集物が占める面積の割合は、測定対象を線状部に変更すること以外は、上述の炭素フォームの表面積に対する凝集物が占める面積の割合と同様にして求めることができる。
炭素フォームの線状部の表面積に対する凝集物が占める面積の割合は、例えば、炭素化前の樹脂フォームの浸漬条件(例えば、浸漬前の樹脂フォームの圧縮条件、浸漬する溶液中の樹脂濃度、樹脂フォームに付着した過剰な浸漬溶液を除去する条件等)、炭化条件等により、調整することができる。
<凝集物の平均直径>
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォーム内にある凝集物の平均直径は、400μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。凝集物の平均直径は、1nm以上であってもよく、5nm以上であってもよく、nmμm以上であってもよく、20nm以上であってもよい。
なお、上記平均直径は、炭素フォーム断面をSEMを用いて測定することができる。
<線状部の配向角度>
炭素フォームは、熱処理炉において、例えばメラミン樹脂フォームを熱処理して炭素化すると、炭素フォームの骨格を構成する炭素繊維が全ての方向に均等に広がった等方的な構造を有するものとなる。このような炭素フォームの場合、300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる線状部のx方向に対する配向角度の平均値をθavex、y方向に対する配向角度の平均値をθavey、z方向に対する配向角度の平均値をθavez、と定義したときに、θavex、θavey、θavezの中の最大値と最小値との差θcは通常は1°以下である。
なお、上記三方向は、炭素フォームの厚み方向をx方向、前記x方向に垂直な方向をy方向、前記x方向及び前記y方向に垂直な方向をz方向とする。
ただし、メラミン樹脂フォームを熱処理して炭素化する際に、炭素フォームの原料となる樹脂フォームに圧縮応力を印加すると、炭素繊維の拡がりに異方性を有する骨格構造の炭素フォームが得られる。このような炭素フォームの場合、圧縮荷重が印加された際にも、炭素繊維(線状部)の破断を抑制して粉落ちを低減したり、高い復元性を実現したりすることができる。この効果を得るために、本実施形態の炭素フォームは、上記差θcが3°以上であることが好ましく、より好ましくは5°以上、さらに好ましくは8°以上である。
本実施形態の炭素フォーム中の少なくとも一部に上記θavex、θavey、θavezの規定を満たす縦300μm×横300μm×高さ300μmの領域部分が含まれていれば好ましく、50体積%以上で上記角度規定を満たしていればより好ましく、75体積%以上で上記密度範囲を満たしていればさらに好ましく、炭素フォームの任意の箇所で上記角度規定を満たしていることが特に好ましい。
<結合部の密度>
本実施形態の炭素フォームの結合部の密度は、圧縮荷重を印加された際の復元性の観点から、8,000個/mm3以上が好ましく、より好ましくは15,000個/mm3以上、さらに好ましくは30,000個/mm3以上、特に好ましくは50,000個/mm3以上である。また、炭素フォームの柔軟性の観点から、5,000,000個/mm3以下が好ましく、より好ましくは4,000,000個/mm3以下である。
本実施形態の炭素フォーム中の少なくとも一部にこの結合部の密度を満たす箇所があれば好ましく、50体積%以上で上記密度範囲を満たしていればより好ましく、75体積%以上で上記密度範囲を満たしていればさらに好ましく、炭素フォームの任意の箇所で上記密度範囲を満たしていることが特に好ましい。
また、本明細書において、上記結合部の数Nn、線状部の数Nl、結合部の密度及び配向角度θは、X線CT(Computerized Tomography)装置を用いて炭素フォームを撮影し、得られた断層像データから、前処理としてMedian filterを使用した後に、大津の二値化アルゴリズム(大津 展之著、「判別および最小2乗規準に基づく自動しきい値選定法」、電子情報通信学会論文誌D、Vol.J63−D、No.4、pp.346−356(1980)参照)を用いて構造と空間に領域分割し、炭素フォームの内部を含めた構造の三次元画像を作製し、得られた三次元画像から構造解析ソフトウェアを用いて求めた値である。
具体的には、結合部の数Nn及び線状部の数Nlは、上述のように得られた三次元画像に含まれる結合部及び線状部を検出し、その数をカウントすることにより求める。こうして得られたNn及びNlから、Nnに対するNlの割合Rを求めることができる。
さらに、線状部の配向角度θは、線状部の両端の結合部を結ぶ直線と各方向との間の角度であり、上記三次元画像において互いに直交する三方向の各々に対して求め、各方向について、線状部の配向角度の平均値を求める。
炭素フォームの構造解析に用いるCT装置としては、低エネルギー高輝度X線によるCT装置、例えば株式会社リガク製の高分解能3DX線顕微鏡nano3DXを用いることができる。また、画像処理並びに構造解析には、例えば株式会社JSOL社製のソフトウェアsimplewareのCenterline editorを用いることができる。
なお、結合部の数Nn、線状部の数Nl、結合部の密度及び配向角度θの測定方法は、具体的には、実施例に記載の測定方法で測定することができる。
<炭素含有率>
本実施形態の炭素フォームの炭素含有率は、導電性の観点から、好適には51質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上である。上限は特に限定は無いが、100質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよく、98質量%以下であってもよい。
なお、炭素フォームの炭素含有率は、蛍光X線測定から求めることができ、具体的には後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
<空隙率>
本実施形態の炭素フォームの空隙率は、柔軟性の観点から、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは86%以上である。上限は特に限定は無いが、99.5%以下が好ましく、より好ましくは99%以下、さらに好ましくは95%以下である。
なお、本明細書において、空隙率は、かさ密度(後述)及び真密度(後述)から求めた値である。かさ密度は、炭素フォームに含まれる空隙も含めた体積に基づいた密度である。これに対して、真密度は、炭素フォームの材料が占める体積に基づいた密度である。
[かさ密度の測定]
まず、ノギス等を用いて炭素フォームの寸法を測定し、得られた寸法から、炭素フォームのかさ体積Vbulkを求める。次に、精密天秤を用いて、炭素フォームの質量Mを測定する。得られた質量M及びかさ体積Vbulkから、下記の式(1)を用いて炭素フォームのかさ密度ρbulkを求めることができる。
ρbulk=M/Vbulk ・・・(1)
かさ密度は、電極として用いた際の抵抗を下げる観点から、3.0kgm-3以上が好ましく、より好ましくは3.5kgm-3以上、さらに好ましくは4.0kgm-3以上である。また、炭素フォームの柔軟性の観点から、400kgm-3以下が好ましく、より好ましくは300kgm-3以下、さらに好ましくは200kgm-3以下である。
[真密度の測定]
炭素フォームの真密度ρrealは、n−ヘプタン、四塩化炭素及び二臭化エチレンからなる混合液を用いて浮沈法によって求めることができる。具体的には、まず、共栓試験管に適当なサイズの炭素フォームを入れる。次に、3種の溶媒を適宜混合して試験管に加え、30℃の恒温槽に漬ける。試料片が浮く場合は、低密度であるn−ヘプタンを加える。一方、試験片が沈む場合は、高密度である二臭化エチレンを加える。この操作を繰り返して、試験片が液中に漂うようにする。最後に、液の密度をゲーリュサック比重瓶を用いて測定する。
[空隙率の算出]
上述のように求めたかさ密度ρbulk及び真密度ρrealから、下記の式(2)を用いて空隙率Vf,poreを求めることができる。
f,pore=((1/ρbulk)−(1/ρreal))/(1/ρbulk)×100 (%)・・・(2)
<結晶子サイズ>
本実施形態の炭素フォームの結晶子サイズLcは、1.1nm以上が好ましく、導電性の観点からは、1.5nm以上がより好ましい。また、物理的な脆弱性の点から、4.0nm以下が好ましく、より好ましくは3.0nm以下である。
<酸素原子の割合>
本実施形態の炭素フォームの、蛍光X線分析による表面分析で測定される酸素原子の割合は、電解液への濡れ性の観点から、0.03質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.07質量%以上である。また、電極の抵抗の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
本実施形態の炭素フォームは、欠陥のない単一の部材で構成された炭素フォームであることが好ましい。本実施形態において、「欠陥」とは、上記面積が100cm2以上である表面Sを通り、炭素フォームを貫通する貫通孔Hであって、上記表面Sにおける面積が2000mm2以上のものを意味している。つまり、本実施形態の炭素フォームは、上記表面Sにおける面積が2000mm2以上の貫通孔Hを含まない炭素フォームであることが好ましい。なお、上記表面Sは、単一の面で構成された表面を意味しており、例えば多面体表面の隣接する複数の面で構成された表面は含まない。
本実施形態の炭素フォームにおいて、上記貫通孔Hの有無は、目視検査、並びに光源及び光検出器を備える検査装置(例えば、ピンホール検査機)を用いた検査により評価する。具体的には、まず上記表面Sを目視で観察し、貫通孔Hの有無を評価する。目視により貫通孔Hの存在が確認できなかった場合には、検査装置を用いた検査を行う。具体的には、炭素フォームの表面S側に光源を、表面Sの反対側の表面に光検出器をそれぞれ配置する。そして、光源から光を炭素フォームの表面Sに向けて照射する。すると、炭素フォームに貫通孔Hが存在する場合には、照射された光が貫通孔Hを通過して光検出器に到達する。こうして、貫通孔Hを検出できる。なお、光源及び光検出器の配置は、逆にしてもよい。現在市販されているピンホール検査機等の検査装置を用いることにより、数μm径のピンホールを検出することが可能であり、面積が2000mm2以上の貫通孔であれば、万一上記目視検査で見逃していたとしても確実に検出することができる。
上記検査により貫通孔Hが検出された場合には、表面Sでの貫通孔Hの面積を測定する。この面積の測定は、マイクロスコープ又は電子顕微鏡を用いて測定することができる。本実施形態においては、上記光源及び光検出器を用いた検査によって貫通孔Hが検出されなかった炭素フォーム、及び貫通孔Hが検出されたものの、その面積が2000mm2未満である場合には、欠陥のない炭素フォームとみなして本実施形態に含める。これに対して、貫通孔の面積が2000mm2以上の場合には、欠陥のある炭素フォームとして本実施形態に含めない。
なお、貫通孔Hの形状は限定されず、亀裂状や線状のものも貫通孔Hに含まれる。また、炭素フォームを製造後、セルに組み込むために加工により空けた穴のように、使用の際に後から加工により空けた穴は、欠陥ではないため、貫通孔には含まれない。
また、上記表面Sに複数の貫通孔Hが存在する場合には、それら各々の面積が2000mm2未満の場合には本実施形態に含め、1つでも面積が2000mm2以上の場合には本実施形態に含めない。
本実施形態の炭素フォームは、電極の強度の観点から、面積が2000mm2以上の貫通孔がないことが好ましく、面積が1000mm2以上の貫通孔がないことがより好ましく、面積が500mm2以上の貫通孔がないことがさらに好ましく、面積が100mm2以上の貫通孔がないことがさらに好ましく、面積が10mm2以上の貫通孔がないことが特に好ましい。
また、本実施形態の炭素フォームは、電極として使用した際の強度やハンドリングの観点から、面積が2000mm2以上の貫通孔がない領域が4000mm2以上あることが好ましく、6000mm2以上あることがより好ましく、8000mm2以上あることがさらに好ましく、10000mm2以上あることがよりさらに好ましい。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が1000mm2以上の貫通孔がない領域が2000mm2以上あることが好ましく、4000mm2以上あることがより好ましく、6000mm2以上あることがさらに好ましく、8000mm2以上あることがよりさらに好ましく、10000mm2以上あることが特に好ましい。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が500mm2以上の貫通孔がない領域が1000mm2以上あることが好ましく、より好ましくは2000mm2以上、4000mm2以上、6000mm2以上、8000mm2以上、10000mm2以上である。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が100mm2以上の貫通孔がない領域が200mm2以上あることが好ましく、より好ましくは500mm2以上、1000mm2以上、2000mm2以上、4000mm2以上、6000mm2以上、8000mm2以上、10000mm2以上である。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が10mm2以上の貫通孔がない領域が20mm2以上あることが好ましく、より好ましくは100mm2以上、500mm2以上、1000mm2以上、2000mm2以上、4000mm2以上、6000mm2以上、8000mm2以上、10000mm2以上である。
本実施形態の炭素フォームは、線状部の破断や落ち込みが少ないため、空洞、凹凸等の平らでない表面を有する部材に圧力をかけて密着させて用いる用途に適している。具体的には、燃料電池用途、レドックスフロー電池用途、水電解用途等に用いることができる。
なお、本実施形態の炭素フォームは、線状部が破断しにくく、粉落ちが少ないため、表面が平らな部材に密着させて用いる用途にも用いることができる。
(炭素フォームの製造方法)
本実施形態の炭素フォームの製造方法としては、例えば、樹脂フォームを圧縮するプレス工程、圧縮した樹脂フォームをバインダー樹脂を含む浸漬溶液に浸漬する浸漬工程、浸漬した樹脂フォームを炭素化する炭素化工程、を含む方法等が挙げられる。上記製造方法において、炭素化した樹脂フォームを酸化する酸化工程をさらに含んでいてもよい。
−プレス工程−
本実施形態の炭素フォームの製造の原料となる樹脂フォームとしては、メラミン樹脂フォーム;ウレタン樹脂フォーム;フェノール樹脂フォーム;アクリロニトリル樹脂フォーム;等の炭素フォームの原料として公知の任意の樹脂フォームが挙げられる。中でも、線状部の径のサイズと均一性の観点から、メラミン樹脂フォームが好ましい。
上記メラミン樹脂フォームとしては、例えば、メラミン類とホルムアルデヒドとの前縮合物、乳化剤、発泡剤、硬化剤、及び必要に応じて周知の充填剤等とを含有する水溶液または分散液を発泡処理した後、硬化処理を施すことにより製造することができる。発泡処理及び硬化処理は、使用する発泡剤の種類等に応じて設定される温度(例えば、発泡剤の沸点以上の温度等)に、上記成分からなる溶液を加熱すればよい。
上記メラミン類としては、メラミン、グアナミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、アメリン(N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン)等が挙げられる。上記メラミン類は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記前縮合物は、メラミン類、ホルムアルデヒド以外の単量体を用いてもよい。
上記前縮合物としては、例えばメラミン類:ホルムアルデヒド=1:1.5〜1:4、平均分子量が200〜1000のものを使用することができる。
縮合の条件としては、例えば、pH7〜10、温度70〜100℃等が挙げられる。
上記乳化剤としては、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸のナトリウム塩等が挙げられる。上記乳化剤は、上記前縮合物100質量%に対して、0.5〜5質量%の割合で用いることができる。
上記発泡剤としては、ペンタン、ヘキサン、トリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ヒドロキシフルオロエーテル等が挙げられる。上記発泡剤は、上記前縮合物100質量%に対して、1〜50質量%の割合で用いることができる。
上記硬化剤としては、塩酸、硫酸、蟻酸等が挙げられる。上記硬化剤は、上記前縮合物100質量%に対して、0.01〜20質量%の割合で用いることができる。
上記メラミン樹脂フォームとしては、例えば特開平4−349178号公報に開示されている方法により製造されるメラミン/ホルムアルデヒド縮合発泡体を用いることができる。
また、上記ウレタン樹脂フォーム、上記フェノール樹脂フォーム、上記アクリロニトリル樹脂フォームは、適宜、公知の方法により製造することができる。
上記樹脂フォームのかさ密度としては、0.001〜0.1g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.02g/cm3である。
また、上記樹脂フォームの空隙率としては、60〜99.9%であることが好ましく、より好ましくは80〜99%である。
上記プレス工程において樹脂フォームにかける圧力としては、多孔性構造を維持し、電解液の通液性を確保する観点から、0.1〜50MPaが好ましく、より好ましくは0.5〜10MPaである。
上記プレス工程において樹脂フォームに圧力をかける時間としては、多孔性構造を維持し、電解液の通液性を確保する観点から、1〜300分間が好ましく、より好ましくは5〜80分間である。
上記プレス工程は、加熱下で行ってもよい。
上記プレス工程において樹脂フォームに圧力をかける際の温度としては、プレス後形状維持の観点から、200〜600℃が好ましく、より好ましくは300〜400℃である。
上記プレス工程において、圧力をかけた後は、冷却をした後(例えば、室温まで冷却をした後)、浸漬工程を行うことが好ましい。
−浸漬工程−
上記浸漬溶液に含まれるバインダー樹脂としては、炭素化工程で炭素化する樹脂であることが好ましく、有機樹脂が挙げられ、ポリ塩化ビニルラテックス、サランラテックス、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ポリイミド、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、結着性と炭素化収率の観点からサランラテックスが好ましい。
上記浸漬溶液は、上記バインダー樹脂が分散媒で希釈されていることが好ましい。
上記分散媒としては、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン等の有機溶媒、水等が挙げられる。中でも、乾燥速度と粘度安定性の観点から、水が好ましい。
上記浸漬溶液中のバインダー樹脂の固形分濃度は、線状部が一層破損しにくく、セル組の際流路への落ち込みを一層抑制できる炭素フォームが得られる観点から、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
樹脂フォームを浸漬溶液に浸漬する方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、浸漬溶液に樹脂フォームをディップする方法、樹脂フォームに浸漬溶液を通液させる方法、樹脂フォームの少なくとも一方向から浸漬溶液をスプレーで吹き付ける方法、樹脂フォームの少なくとも一方向から浸漬溶液を塗布する方法等が挙げられる。
上記浸漬工程では、炭素フォームの空隙を塞ぐ被膜が形成されることを抑制する観点から、樹脂フォームに付着した余分な浸漬溶液を除去する工程を加えても良い。具体的には、遠心、圧縮、空気や不活性ガスのフロー、吸引等が挙げられ、中でも、炭素フォーム中の凝集物の抑制、製品への損傷の少なさの観点から、遠心が好ましい。
上記浸漬工程において、浸漬後の樹脂フォームは、乾燥(例えば、温度50〜200℃で0.5〜5時間の乾燥)をしてもよい。蒸気乾燥は、減圧乾燥であってもよい。
上記浸漬工程は、炭素化工程の加熱段階(例えば、300〜600℃程度に樹脂フォームを加熱した段階)で行ってもよい。
−炭素化工程−
上記炭素化工程としては、樹脂フォームに対して圧縮荷重を印加しつつ、窒素等の不活性気流中や真空等の不活性雰囲気下で熱処理して炭素化する方法;樹脂フォームを熱処理炉内に導入する原料フォーム導入工程と、熱処理炉内の温度を第1の昇温速度で熱処理温度まで昇温する昇温工程と、上記熱処理温度で所定の時間保持して樹脂フォームを炭素化して炭素フォームとする炭化工程と、熱処理炉内の温度を室温まで降温する降温工程と、熱処理炉から炭素フォームを搬出する炭素フォーム搬出工程とを含む方法;等が挙げられる。ここで、上記昇温工程は、少なくとも樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い第1の温度領域において、熱処理炉内を減圧排気しながら行う工程が挙げられる。
上記原料フォーム導入工程において、原料の樹脂フォームを炭素化するための熱処理炉としては、樹脂フォームを炭素化して炭素フォームが得られる炉であれば限定されず、例えば原料の樹脂フォームを収容する反応炉と、反応炉内を加熱するヒーターと、反応炉内に不活性ガスを導入するガス導入口と、反応炉内からガスを排出するガス排出口と、反応炉内を減圧して真空にする真空ポンプとを備える熱処理炉を用いることができる。
上記昇温工程において、樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い第1の温度領域において、熱処理炉内を減圧排気しながら行うことが好ましい。
炭素フォームの原料である樹脂フォームを加熱すると、樹脂フォームから発生した活性な分解性脱離ガスが、炭素フォームを構成する炭素繊維と反応して分解し、炭素フォームに欠陥が発生することがある。上記分解性脱離ガスの発生量は、炉内の温度に依存する。昇温工程における、樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)において、熱処理炉内を減圧排気することにより、樹脂フォームの内部で発生した分解性脱離ガスが樹脂フォーム外へ拡散するのを促進して、炭素フォームに欠陥が形成されるのを防止することができる。
なお、「樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)」は、昇温工程における原料の樹脂フォームの重量を0℃から100℃間隔で予めモニタリングし、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の5%以上減少する温度領域とする。例えば、300℃以上400℃未満、400℃以上500℃未満及び500℃以上600℃未満の全ての温度領域において、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の5%以上減少した場合には、第1の温度領域は300℃以上600℃未満とする。
樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)は、200℃以上800℃未満の温度領域である。
上記減圧排気は、真空ポンプ等の排気手段を用いて行うことができる。排気は、少なくとも炉内の圧力を10分以内に1Pa以下にできる排気能力を有するポンプを用いて行うことが好ましい。
熱処理温度までの昇温速度(第1の昇温速度)は、例えば、原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、分解性脱離ガスの発生量を抑制する観点から、10℃/分以下にすることが好ましい。また、全体の生産性の観点から、上記第1の昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。
また、昇温工程は、上記樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)においては、熱処理温度までの昇温速度(第1の昇温速度)よりも低い昇温速度(第2の昇温速度)で行うことが好ましい。これにより、樹脂フォーム内で発生する単位時間当たりの分解性脱離ガスの発生量を低減して、フォーム構造外への分解性脱離ガスの拡散をより促進することができる。第1の温度領域において昇温速度を低減した場合(すなわち、第2の昇温速度に変更した場合)、炉内の温度が第1の温度領域の上限を超えた場合には、昇温速度を第1の昇温速度に戻して昇温すればよい。
さらに、昇温工程は、上記脱離ガスの発生量が多い第1の温度領域内の、分解性脱離ガスの発生量の増加率が高い領域(第2の温度領域)において、上記第2の昇温速度よりも低い昇温速度(第3の昇温速度)で行うことが好ましい。これにより、樹脂フォーム内で発生する単位時間当たりの分解性脱離ガスの発生量をさらに低減して、フォーム構造外への分解性脱離ガスの拡散をさらに促進することができる。
なお、「樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量の増加率が高い温度領域(第2の温度領域)」は、昇温工程における原料の樹脂フォームの重量を0℃から100℃間隔で予めモニタリングし、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の20%以上減少する温度領域とする。例えば、300℃以上400℃未満及び400℃以上500℃未満の温度領域において、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の20%以上減少した場合には、第2の温度領域は300℃以上500℃未満とする。
原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、樹脂フォームからの脱離ガスの発生量の増加率が高い温度領域(第2の温度領域)は、300℃以上400℃未満の温度領域である。樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、昇温速度は、第1の温度領域において5℃/分以下にすることがより好ましく、さらに第2の温度領域において3℃/分以下にすることが特に好ましい。
また、昇温工程及び後述する炭化工程において、酸素と炭素フォームを構成する炭素繊維との分解反応を防止するために、炉内の雰囲気を不活性ガス雰囲気又は真空とすることが好ましい。ここで、炉内が「真空」であるとは、炉内の真空度が1Pa未満であることを指す。また、不活性ガス雰囲気は、炭素フォームの原料となる樹脂フォームを熱処理炉内に導入した後(原料フォーム導入工程)、炉内を減圧排気して酸素が含まれる空気を抜くことが好ましい。そして、炉内が1Pa未満の真空度に達して十分に空気が脱気された後、窒素ガスを導入することが好ましい。こうして炉内を窒素ガス雰囲気にすることができる。このように、炉内を不活性ガス雰囲気又は真空とした後、昇温を開始し、第1の温度領域においては炉内を減圧排気する。
さらに、メラミン樹脂フォームの脱離ガス量が多い200℃以上800℃未満の領域(第1の温度領域)においては、炉内に不活性ガスを導入しながら減圧排気し続けることが好ましい。これにより、炉内に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの流れを発生させて、樹脂フォーム内で発生した分解性脱離ガスの排出を促進することができる。
上記不活性ガスの導入の際、不活性ガスの流量は1L/分以上とすることが好ましく、2L/分以上とすることがより好ましい。また、不活性ガスの流量は40L/分以下とすることが好ましく、30L/分以下とすることがより好ましく、20L/分以下とすることが特に好ましい。
上記炭化工程において、昇温して到達した熱処理温度で所定の時間保持し、樹脂フォームを炭素化して炭素フォームとする。上記熱処理温度は、原料の樹脂フォームの軟化点以上の温度であることが好ましい。例えば、樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、メラミン樹脂フォームの軟化点は300℃〜400℃であるため、熱処理温度は軟化点以上の温度とする。好ましくは800℃以上、より好ましくは1000℃以上である。また、高い結晶性による物理的な脆弱性の観点から、好ましくは3000℃以下、より好ましくは2500℃以下である。
また上記熱処理温度で保持する時間(熱処理時間)は、原料の樹脂フォームが完全に炭素化する時間とすることが好ましい。例えば、原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、保持時間は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上である。また、生産性の点から、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下である。
上記降温工程において、メラミン樹脂フォームの炭素化の際の温度の降温速度については、急冷による炉内のヒーターや断熱材へのダメージを緩和する観点から、20℃/分以下にすることが好ましい。より好ましくは、15℃/分以下である。また、全体の生産性の点から5℃/分以上が好ましい。より好ましくは、10℃/分以上である。
なお、上記昇温工程及び上記炭化工程を、原料の樹脂フォームに圧縮荷重を印加しながら行うことにより、炭素繊維の拡がりに異方性を有する骨格構造の炭素フォームを得ることができる。異方性を有する炭素フォームは、圧縮荷重が印加された際にも、炭素繊維の破断を抑制して粉落ちを低減したり、高い復元性を実現したりすることができる。
上記圧縮荷重の印加は、原料の樹脂フォーム上に、例えば黒鉛板等のおもりを載せることによって行うことができる。印加する圧縮荷重は、好ましくは50Pa以上であり、より好ましくは200Pa以上である。また、好ましくは2000Pa以下であり、より好ましくは1500Pa以下である。
原料の樹脂フォームに圧縮荷重を印加する場合、分解性脱離ガスの拡散が、黒鉛板等のおもりによって抑制される。そのため、昇温工程では、圧縮荷重を印加しない場合に比べて、昇温速度を低減し、かつ不活性ガスを炉内に供給しながら減圧排気し続けて、分解性ガスの排出促進を行うことが特に好ましい。
例えば、原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、200℃以上800℃未満の温度領域(第1の温度領域)においては、昇温速度は5℃/分以下にすることが好ましく、脱離ガスの発生量の増加率が高い300℃以上400℃未満の温度領域(第2の温度領域)においては、2℃/分以下にすることがより好ましい。また、200℃以上800℃未満の温度領域(第1の温度領域)において、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを熱処理炉内に供給することが好ましい。
なお、原料の樹脂フォームへの圧縮応力は、一方向のみならず、二方向から印加してもよい。
−酸化工程−
上記酸化工程は、炭素化工程後に設けられることが好ましい。
上記酸化工程としては、酸素存在下(例えば、空気気流下)で加熱する方法や、化学的に酸化する方法等が挙げられる。
上記酸化工程の温度としては300〜600℃が挙げられ、酸化する時間としては0.5〜5時間が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[評価]
実施例及び比較例で得られた炭素フォームについて、下記の測定を行った。
<空隙率>
まず、ノギス等を用いて炭素フォームの寸法を測定し、得られた寸法から、炭素フォームのかさ体積Vbulkを求めた。次に、精密天秤を用いて、炭素フォームの質量Mを測定した。得られた質量Mおよびかさ体積Vbulkから、下記の式(1)を用いて炭素フォームのかさ密度ρbulkを求めた。
ρbulk=M/Vbulk・・・(1)
炭素フォームの真密度ρrealは、n−ヘプタン、四塩化炭素および二臭化エチレンからなる混合液を用いて浮沈法によって求めた。具体的には、まず、共栓試験管に適当なサイズの炭素フォームを入れ、次に、3種の溶媒を適宜混合して試験管に加え、30℃の恒温槽に漬けた。試料片が浮く場合は、低密度であるn−ヘプタンを加えた。一方、試験片が沈む場合は、高密度である二臭化エチレンを加えた。この操作を繰り返して、試験片が液中に漂うようにした。最後に、液の密度をゲーリュサック比重瓶を用いて測定した。
上述のように求めたかさ密度ρbulkおよび真密度ρrealから、下記の式(2)を用いて、空隙率Vf,poreを求めた。
f,pore=((1/ρbulk)−(1/ρreal))/(1/ρbulk)×100(%)・・・(2)
<平均繊維径>
SEMを用いて、10000倍に拡大して炭素フォームを観察した。炭素の線状部について、任意の20か所の線状部の直径を測定し、その平均値を平均繊維径(μm)とした。
<平均繊維長>
SEMを用いて、10000倍に拡大して炭素フォームを観察した。炭素の線状部の繊維長について、任意の隣接する結合部の間の繊維長20か所を測定し、その平均値を平均繊維長(μm)とした。
<平面視での凝集物割合>
SEMを用いて、200倍に拡大し、炭素フォームシート表面を観察した。0.5mm×0.5mmの領域内で、炭素フォームの空隙を塞ぐ膜状の部分の面積を、以下の観点で評価した。
◎(優れる): 10%以下
○(良好): 30%以下
△(普通): 50%以下
×(不良): 50%超過
<凝集物の直径>
得られた炭素フォームシートの任意の箇所をカミソリで切断し、断面をSEMを用いて、500倍程度に拡大し、炭素フォームシート断面を観察した。炭素フォーム内にある任意の凝集物20個の直径を測定し、その平均値を以下の観点で評価した。
◎(優れる): 50μm以下
○(良好): 100μm以下
△(普通): 400μm以下
×(不良): 400μm超過
<炭素含有率>
炭素フォームの炭素含有率(質量%)は、蛍光X線測定から求めた。蛍光X線測定は、株式会社リガク製の蛍光X線分析装置ZSX−100E(波長分散型、Rh管球)を用いた。サンプルは20mmφ以上のサイズを用いた。
<酸素原子の割合>
炭素フォームの酸素含有率(質量%)は、蛍光X線測定から求めた。蛍光X線測定は、株式会社リガク製の蛍光X線分析装置ZSX−100E(波長分散型、Rh管球)を用いた。サンプルは20mmφ以上のサイズを用いた。
<X線CTによる構造解析>
実施例で作製した炭素フォームについて、X線画像を撮像しやすくするため、無電解銅めっきを行った後、試験片を採取し、高分解能3DX線顕微鏡nano3DX(株式会社リガク製)を用いて構造解析を行った。具体的な無電解めっき条件、X線CT解析条件は以下の通りである。
図3に比較例1の炭素フォームより得られるX線CT解析画像を、図4に図3の画像のライン、ノード検出を行った画像処理後の図を結果の一例として示す。
[無電解めっき条件]
サンプルをOPCコンディクリーンMA(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)に70℃で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPCプリディップ49L(奥野製薬工業社製、10mL/Lに蒸留水で希釈、98%硫酸を1.5mL/L添加)に70℃で2分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPCインデューサー50AM(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)及び、OPCインデューサー50CM(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)を1:1で混合した溶液中に45℃で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPC−150クリスタMU(奥野製薬工業社製、150mL/Lに蒸留水で希釈)に室温で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPC−BSM(奥野製薬工業社製、125mL/Lに蒸留水で希釈)に室温で5分間浸漬した。続いて化学銅500A(奥野製薬工業社製、250mL/Lに蒸留水で希釈)及び、化学銅500B(奥野製薬工業社製、250mL/Lに蒸留水で希釈)を1:1で混合した溶液中に室温で10分間浸漬した後、蒸留水で5分間洗浄した。その後90℃で12時間真空乾燥を行い、水分を乾燥させた。
[X線条件]
X線ターゲット:Cu
X線管電圧:40kV
X線管電流:30mA
[撮影条件]
投影数:1500枚
回転角度:180°
露光時間:20秒/枚
空間解像度:0.54μm/ピクセル
[X線CT解析条件]
得られた3次元画像を、Median filterで隣接する1pixelにて処理し、大津のアルゴリズムを用いて二値化した。
続いて、JSOL社製のソフトウェアsimplewareのCenterline editor(Ver.7)をデフォルトの設定値で使用して、2.16μm以下の線をノイズとして除去した後、測定視野300μm×300μm×300μm内の結合部の数Nn、線状部の数Nlを検出した。
上記構造解析により、試験片に含まれる結合部の数Nn、線状部の数Nl、結合部の密度(個/mm3)、互いに直交する3方向(x、y、z)に対する配向角度の平均値を求めた。なお、表1における配向角度は、圧縮荷重の印加方向をx方向とし、圧縮荷重の印加方向に垂直な方向にy方向及びz方向を設定してθcの最小値を求めた値である。
<レドックスフロー電池評価>
レドックスフロー電池評価には、バイトンゴム製ガスケット、テフロン(登録商標)製流路枠、黒鉛製セパレータ、ステンレス製エンドプレートから構成されるセルを用いた。黒鉛製セパレータの電極と対向する33×30mmの部分には、短辺と平行に櫛歯型の流路を設けた。流路のリブ幅、溝幅、および溝深さは、それぞれ1mm、1mm、および1.5mmとした。電解質膜にはAldrichから購入したNafion212を用いた。ガスケットは電極の圧縮率が80%になるように膜厚を調節した。
50×80mmに切り出した膜、33×30mmに切り出した2枚の炭素フォーム、並びにセル構成部材を所定の順番に従って組み合わせ、ステンレス製ボルトを用いて所定のトルクにて締結した。組み立てたセルを、電解液タンクと送液ポンプから構成される電解液循装置に接続した。電解液タンクにバナジウムイオン濃度1.5M、バナジウムイオン価数3.5価、硫酸イオン濃度4.5Mのバナジウム硫酸溶液を30ml加え、流速100ml/minにて循環した。充放電試験はBioLogic社製ポテンショスタットVSPを用いて、定電流法にて行った。電圧範囲は1.00−1.55V、電流密度は80mA/cm2とした。充電および放電時における平均電圧VcおよびVdから、次式によってセル抵抗を求めた。
セル抵抗(Ωcm2)=(Vc−Vd)/(2×0.08)
また、電流密度80mA/cm2での充電量に対する放電量から、電流効率を求めた。
<テーバー曲げ剛さ試験>
炭素フォームの機械的強度はテーバー曲げ剛さによって評価した。試験方法はJIS P 8125に準拠して行った。寸法70mm×38.1mmに切り出した炭素フォームを、熊谷理機工業製テーバースティフネステスターに、荷重長が50mmとなるように固定した。試験片を左右にそれぞれ15°曲げたときの曲げモーメントを測定し、それらの平均値をテーバー曲げ剛さ(gf・cm)とした。
<圧損>
セルに電解液を流通させたときの供給口と排出口における圧損を、マノメータを用いて測定した。供給口と排出口のそれぞれに設けた分岐口に、直管部分が鉛直方向になるようにU字型ガラス管を接続し、マノメータとした。電解液を流通させたときに生じる電解液柱の高さの差と電解液の密度から圧損を求めた。尚、電解液流通速度は100ml/minとした。
(実施例1)
寸法300×300×20mmに切り出したメラミンフォーム(BASF Co.Ltd、 BASOTECT G)を北川精機社製真空プレス機(KVHC−II)で金属のスペーサーを挟んで厚み0.6mmまでプレスした。このプレスは真空減圧しながら昇温速度:5℃/分で360℃まで昇温した後、設定圧力:2.0MPaで押圧し、10分間保持してから冷却を行った。
サンプルを取り出した後、濃度10wt%のメチロールメラミン(日本カーバイド製,ニカレジン)の水溶液に浸漬した後、内部に含まれる過剰な溶液を遠心脱水によって除去した。続いて、樹脂で修飾されたメラミンフォームを、100℃にて3時間減圧乾燥することによって、被覆されたメラミンフォームを得た。
被覆されたメラミンフォームに寸法300×300×4mmの黒鉛板1枚を載せ、熱処理炉内に投入し、真空ポンプにより炉内を減圧排気して炉内の真空度を1Pa未満とし、減圧排気しつつ炉内に窒素ガスを流量:2L/分で供給しながら、炉内の温度を昇温速度:5℃/分で800℃まで昇温した。炉内の温度が800℃に到達した時点で窒素ガスの供給を停止し、昇温速度:5℃/分で1500℃の熱処理温度まで昇温し、1時間保持して被覆されたメラミンフォームを炭素化した。
続いて、炭素化したサンプルを1L/min乾燥空気気流下で、500℃にて1時間熱処理することにより、表面を酸化させた炭素フォームを得た。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
図5は、実施例1による炭素フォームの表面のSEM画像を示しており、図6は、図5を拡大したSEM画像を示している。
(実施例2)
被覆されたメラミンフォームを炭素化する際に、炭素化温度を1100℃とし、表面酸化処理温度を300℃とした。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例3)
使用するメラミンフォームの厚さを40mmとし、真空プレス機でプレスする際の厚みを1.0mmとした。さらに被覆されたメラミンフォームを炭素化する際の炭素化温度を2000℃とし、表面酸化処理温度を500℃とした。それ以外は、実施例1と同じ条件で実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例4)
メラミンフォームを含浸させる溶液を調製する際、樹脂にポリ塩化ビニルラテックス(旭化成株式会社製、固形分率45質量%)を使用した以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
(実施例5)
メラミンフォームを含浸させる溶液を調製する際、樹脂溶液濃度を15wt%とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
(実施例6)
メラミンフォームをプレスする際、プレス後の厚さを1mmとした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
(実施例7)
実施例1にしたがってプレスしたメラミンフォームを,1500℃にて炭素化して炭素フォームを作製した.
この炭素フォームに,固形分が10wt%となるように調製したサランラテックス(旭化成製、原液固形分率45質量%)を含浸した.内部に含まれる過剰な溶液を遠心脱水によって除去した。続いて、100℃にて3時間減圧乾燥することによって、サラン樹脂で被覆された炭素フォームを得た。
被覆された炭素フォームを,実施例1と同様に再度炭素化した後,空気酸化を施した.
(実施例8)
メラミンフォームを含浸させる溶液を調製する際、樹脂溶液濃度を25wt%とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
(比較例1)
寸法300×300×2mmに切り出したメラミンフォームを、熱処理炉内に投入し、真空ポンプにより炉内を減圧排気して炉内の真空度を1Pa未満とし、減圧排気しつつ炉内に窒素ガスを流量:2L/分で供給しながら、炉内の温度を昇温速度:5℃/分で800℃まで昇温した。炉内の温度が800℃に到達した時点で窒素ガスの供給を停止し、昇温速度:5℃/分で1500℃の熱処理温度まで昇温し、1時間保持することで炭素化した。
図2は、比較例1による炭素フォーム表面のSEM画像を示している。
(比較例2)
メラミンフォームを含浸させる溶液を調製する際、樹脂溶液濃度を75wt%とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
(比較例3)
メラミンフォームを含浸させる溶液を調製する際、樹脂溶液濃度を2wt%とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
(比較例4)
炭素繊維ペーパ(SGL CARBON製SIGRACET GFL39AA)を電極として、レドックスフロー電池評価を行った。

Claims (6)

  1. 線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、
    前記線状部の平均繊維径が0.1〜5.0μmであり、
    JIS P8125に準拠して測定されるテーバー曲げ剛さが、10gf・cm以上である、ことを特徴とする炭素フォーム。
  2. 少なくとも一部において、前記炭素フォームの厚み方向をx方向、前記x方向に垂直な方向をy方向、前記x方向及び前記y方向に垂直な方向をz方向とし、
    300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる前記線状部の
    前記x方向に対する配向角度の平均値をθavex、
    前記y方向に対する配向角度の平均値をθavey、
    前記z方向に対する配向角度の平均値をθavez、
    と定義したときに、
    前記θavex、前記θavey、前記θavezの中の最大値と最小値との差θcが3°以上である、請求項1に記載の炭素フォーム。
  3. 前記結合部の数に対する前記線状部の数の割合が1.3以上1.6以下である、請求項1又は2に記載の炭素フォーム。
  4. 前記結合部の密度が、15,000個/mm3以上である、請求項1〜3の何れか一項に記載の炭素フォーム。
  5. 前記結合部の密度が、30,000個/mm3以上である、請求項1〜3の何れか一項に記載の炭素フォーム。
  6. 前記線状部の平均繊維径が0.5〜4.0μmである、請求項1〜5の何れか一項に記載の炭素フォーム。
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