JP2021006936A - 検知装置および検知方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 媒体の移動量の検知において処理速度を維持しながら精度よく移動量を検知する。【解決手段】 記録媒体の種類に関する情報に基づき、テンプレート画像が対応する記録媒体上の領域のサイズを決定する【選択図】 図1
Description
本発明は搬送される用紙等の媒体の移動量を検知する検知装置および検知方法に関するものである。
画像記録装置内に用紙等の媒体を搬送させながら記録手段によって画像を形成する画像記録装置においては、エンコーダなどを用いた間接的な検出方法を用いて記録媒体の移動量を類推する制御をおこなっている。しかし、間接的な検知方法では、記録媒体の特性や搬送機構の構造の影響で、記録媒体の実際の移動量とは一致しない。そこで、特許文献1参照には、記録媒体の搬送量の検知精度を向上させるために、記録媒体の紙面状態を周期的に撮像することにより変位量を算出する技術が提案されている。
撮像画像の一致度を検出する手法としてテンプレートマッチングという手法が用いられる。テンプレートマッチングとは、あるタイミングでの紙面画像を基準紙面画像とし、その基準紙面画像内の特定の画像を基準画像とし、別の周期の紙面画像で基準画像が検出される位置を求める方法である。一般的にこの基準画像をテンプレートと称する。
さらに、特許文献2には、記録媒体の移動速度や移動量に応じてテンプレートのサイズを変更する技術が提案されている。
しかしながら、テンプレートマッチングを用いた搬送量検出では、テンプレート画素数が増えるほど、処理に時間がかかってしまう。その点に対応するために、テンプレート画素数を可変にすると最大のテンプレート画素数分の回路が必要になってしまう。さらに、昨今のプリンタでは、様々な記録媒体への対応が要求されているため、できるだけ小さいテンプレート画素数で、かつ、種類の異なる複数の記録媒体に対して高い検出精度を実現する必要があるにもかかわらず、その両立は困難であった。
本発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている移動中の記録媒体の表面を、撮像手段によって所定のタイミングで複数回撮像することによって複数の画像を取得する取得手段と、前記複数の画像のうちの一つを基準画像とし、前記基準画像の一部をテンプレート画像に決定する決定手段と、前記複数の画像のうちの前記基準画像とは別の画像に対して前記テンプレート画像を用いてテンプレートマッチング処理を行う処理手段と、前記テンプレートマッチング処理の結果に基づいて前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体の移動量を検知する検知装置であって、前記決定手段は、前記記録媒体の種類に関する情報に基づき、前記テンプレート画像が対応する記録媒体上の領域のサイズを決定することを特徴とする検知装置である。
本発明によれば、媒体の移動量の検知において処理速度を維持しながら精度よく移動量を検知することが可能になる。
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
図2は実施形態のインクジェットプリンタの内部構造の概略を示す模式図である。
インクジェットプリンタ200には、カセット給紙ユニット10とロール紙給紙ユニット9と手差しトレイ給紙ユニット(不図示)が設けられており、それらいずれかの給紙ユニットから供給される記録媒体に対して記録を行う。それらの給紙ユニットから給紙された記録媒体Pは、ニップローラ対4の位置まで給紙されると、ニップローラ4が回転し、所定の搬送方向に沿って搬送される。
記録媒体Pは、搬送ベルト8とピンチローラ対5とで挟持され、搬送ベルト8の移動に伴い、搬送方向に搬送される。そして、搬送ベルト8に伴い搬送された記録媒体Pは記録ヘッド1(1C、1M、1Y、1K)の記録開始位置まで搬送される。搬送ベルト8は、駆動ローラ6、従動ローラ7によって張架する。記録装置200においては、記録媒体Pがピンチローラ対5にニップされた位置を記録開始位置とし、駆動ローラ6の位置を基準として記録ヘッド1の記録タイミングを制御することにより記録媒体上の所定位置に画像を記録する。
記録ヘッド1は、搬送方向に沿って各色のラインヘッド(1C、1M、1Y,、1K)が並んでおり、ヘッドユニット2に取り付けられている。各色のラインヘッドのチップに設けられた吐出口から記録媒体Pに向かってインクが吐出される。各色のラインヘッドは、単一のノズルチップで形成されたものでも、分割されたノズルチップが一列または、千鳥配列のように規則的に並べられたものであってもよい。本実施形態では、本装置が使用可能な最大サイズのシートの印刷領域の幅分をカバーする範囲にノズルが並んでいる所謂フルマルチ(ライン)ヘッドであるとして説明する。図2では、各色のヘッドにおいて、紙面の奥行方向にノズルが並ぶことになる。
各記録ヘッド1は、各色のインクを独立して貯蔵するインクタンク(不図示)から、チューブによってインクが供給される。
また、ヘッドユニットリフト機構(不図示)により、記録ヘッドユニット2を上下させることが可能である。それにより、ヘッド−記録媒体間距離を変更することが可能である。
記録ヘッドユニット2の上流側に、撮像ユニット3を有する。本実施形態では、撮像ユニット3は、記録ヘッドにより記録される前の記録媒体の表面の画像を撮像する。
なお、本実施形態では撮像ユニットを記録ヘッドユニット2に搭載する構成として説明するが、撮像ユニット13のように記録ヘッドユニット2の対向側に配置し、記録媒体の裏面の画像を撮像する構成とすることも可能である。
図1は実施形態のインクジェットプリンタ200の制御系の一例を示すブロック図である。200はインクジェットプリンタ本体である。100は外部入力装置であり、PC(パーソナル)やHDDなどである。101はプリンタシステム全体を制御するためのCPUであり、102はプリンタ特有のハードウエア制御を行なうASICである。ASIC102は、外部インターフェース回路103、CPUインターフェース回路104、メモリ制御回路105、SRAM106、画像データ処理回路107、吐出画像生成回路108、ヘッドインターフェース回路109、転送タイミング制御回路110、装置本体駆動回路111、搬送制御回路113、メディアパラメーター制御回路114から構成されている。プリンタ全体を制御するためにCPUが利用するプログラムは、CPUインターフェース回路104あるいはバスを介してCPUと接続されるROM116に格納されている。
次にASIC102の内部回路の動作について説明する。外部インターフェース回路103は、外部入力装置と接続される。外部インターフェース回路には、USBインターフェース回路やLANインターフェース回路やIDEインターフェース回路など、外部入力装置と接続されるインターフェース回路を含む。CPUインターフェース回路104はCPUと接続して、CPUから各ブロックの通信を制御する。
メモリ制御回路105は、外部IF回路103、SRAM106、画像データ処理回路107、吐出画像生成回路108、ヘッドインターフェース回路109、DDR112と接続している。メモリ制御回路105は、外部入力装置100から入力される画像データをSRAM106に転送を行なう。また、SRAM106とDDR112へのデータの読み出しや書き込み制御も行なっている。SRAM106はSRAMなどのワークバッファであり、印刷画像データが特定サイズに分割されて格納されている。このSRAMの個数は色数分ある構成や、ノズル数分ある構成などがある。
画像データ処理回路107は、SRAM106に格納された画像データに対して画像処理を行なう。ここでいう画像処理とは、境界処理、エッジ処理、HV変換、スムージング、不吐補間などの処理であるが、この限りではない。
吐出データ生成回路108は、画像処理が終了した画像データを記録ヘッドのノズルに合わせた形式のデータ(以下、吐出画像データという)に変換する。転送タイミング制御回路110は、エンコーダセンサ116より入力される信号を逓倍することで信号の転送タイミング信号を生成している。ヘッドインターフェース回路109は、吐出画像データを転送タイミング信号のタイミングで記録ヘッド1へ転送する。DDR112は、ASIC102に外付けされる受信バッファである。受信バッファには、画像補正処理が行なわれた画像データが格納される。111は装置本体駆動回路であり、モータ117の駆動、ヘッドユニットリフト機構(不図示)やセンサ(不図示)の制御を行っている。
搬送制御回路113は、撮像ユニット3にて撮像した画像と、メディアパラメーター制御回路114にて決定されたパラメーターと、エンコーダ116から位置情報が入力される。撮像ユニット3で撮像した画像から移動量を算出し、転送タイミング制御回路110にて吐出タイミングの補正や、装置本体駆動回路111にてモータ制御の補正に使用する。なお、搬送制御回路113の詳細に関しては後述する。
メディアパラメーター制御回路114は、撮像ユニット3にて撮像した画像が搬送制御回路113を介して入力される。撮像ユニット3で撮像した画像から特徴量を特定し、搬送制御回路113の制御に使用する。また、メディアパラメーター制御回路114には不揮発性メモリ115が接続している。不揮発性メモリ内に記録媒体ごとのテンプレートパラメーターを保持している。テンプレートパラメーターの詳細は後述する。また、メディアパラメーター制御回路114内に記録媒体ごとのテンプレートパラメーターを保持することも可能である。なお、メディアパラメーター制御回路114の詳細に関しては後述する。
図3は本実施形態における撮像ユニット3の一例を示す模式図である。撮像ユニット3は、イメージセンサ301、光源302、レンズ303から構成される。イメージセンサ301は、受光素子を1次元に配列してなるラインセンサまたは2次元に配列してなるエリアセンサを用いたものとすることができる。また、受光素子としてはCCDやCMOSなどを用いたものとすることができる。
光源302は、白色LED光源を用いている。光源302は、記録媒体Pに光を照射できるものであれば、上記に限らない。
レンズ303は、記録媒体Pに入射した反射光を結像するためのレンズである。
動作原理は、記録媒体Pに対して、光源302が光を照射しイメージセンサ301はその反射光を一定時間間隔で取り込む。受光した光に基づいて記録媒体Pの光照射面上の像を結像し、画像データに変換する。また、ここではイメージセンサ301は、光源302による反射光を取り込む構成を例にしたが、光源302を記録媒体Pの裏面側に配置し、透過光を取り込む構成でもよい。
図5(a)は本実施形態におけるテンプレートマッチング処理方法を示す図、図5(b)はテンプレートを説明する模式図である。
ここで図5(b)を用いてテンプレートに関わる名称を定義する。510はテンプレート領域を示す。テンプレート領域510は単純にテンプレートとのみ呼称される場合もある。テンプレート領域510は、テンプレート画素ピッチ512とテンプレート画素数511で構成される。テンプレート画素ピッチ512は、テンプレート領域内の最小単位であり、1画素が対応する撮像領域の長さに対応する。イメージセンサの画素ピッチに関係し撮像ユニット3で決定されることが多い。正方形であることが多いため、数umで表されることが多く、一般的に一辺が数〜数十ミクロンである。ただし、正方形である必要はない。テンプレート画素数511は、テンプレート画素ピッチ512が縦V、横Hに並ぶ個数を示す。本文中では、テンプレート画素数V×Hピクセルと表記する。本文中でテンプレートサイズと表記した場合は、テンプレート画素ピッチNumと、テンプレート画素数V×Hから構成される実サイズを示している。これは記録媒体上におけるテンプレートが対応する領域のサイズに相当する。本文では、テンプレート画素ピッチ、テンプレート画素数、テンプレートサイズをまとめてテンプレートパラメーターと呼称する。
図5(a)はテンプレートマッチング処理を説明するための図である。ここで説明するテンプレートマッチング処理では、ある時間を周期として撮像ユニット3が印刷が行われる前の移動中の記録媒体の表面を複数回撮像し、あるタイミングで撮像された紙面の画像を基準画像とする。そして、その基準画像内の特徴点(テンプレートとして利用する)が、別のタイミングで撮像された紙面の画像において検出される位置を求める。説明のために、テンプレートサイズが4×4ピクセル、基準紙面画像500、503の紙面画像1、504の紙面画像Nが8×32ピクセルの画像サイズで撮像されたとする。用紙搬送方向は、図示の矢印の方向とする。また、用紙搬送方向(Y方向)を長手方向とする。X方向(Y方向に直角をなし、紙面に平行)はY方向に比べて移動量が少ないので画素サイズを小さくしている。また、特徴点を紙面画像内に取り込んだ撮影が2回以上出来るように、搬送速度を考慮して、撮像周期と画像サイズを設定する必要がある。
まず、あるタイミングで撮像された基準紙面画像500からそのうちの一部を抽出し、テンプレート501を生成する。テンプレート決定方法としては、基準紙面画像500の中で特徴的な領域を検出し、その箇所をテンプレートとする方法が知られているが、特徴的な領域を見つけるためには、基準紙面画像の全域をスキャンする必要があるため、処理時間がかかってしまう。そこで、本実施形態では、基準紙面画像中の任意の座標をテンプレートとすることができる。どの座標をテンプレートとするかについては、予め定めておき、ROM116等に記憶させておけばよい。また、搬送方向が図中の矢印の方向であるため、センサが取り込んだ基準紙面画像500の中で、搬送方向において上流側の座標の部分をテンプレートとする。このようにすると先の撮像から次の撮像までに記録媒体が大きく搬送されたとしても次の撮像画像内にテンプレート画像の領域が含まれる。しかし、センサの最端部は、レンズの光学収差等の影響を受けていることも考えられるので、センサのY方向の上流側の最端部より数ピクセル下流側の位置とすることが好ましい。
次に、取得した紙面画像503に対して、テンプレート501に一致する目標画像(以下ターゲット画像とも称する)を検出していく。ここで、領域502の画像がテンプレート501に対応する目標画像として検出された場合、領域502のX,Y座標とテンプレート501のX,Y座標から移動量を算出することができる。テンプレートとの一致度は相関の指標である相関値を求めることで測ることができる。ここでは、領域502の座標は閾値座標よりも搬送方向において上流の座標なので、所定の範囲外にあるとして得られた結果からは移動量の算出は実施しない。その後に撮像された、紙面画像504において、領域505の画像がテンプレート501と一致し、これが閾値座標よりも下流の座標である場合、領域505のX,Y座標とテンプレート501のX,Y座標から移動量を算出する。
ここでは、閾値座標を仮にY座標の中心(センサの中心)としている。撮像周期におけるターゲット画像の検出座標に応じて閾値座標をさらにセンサの中心よりも下流の座標にすることも可能である。例えば、用紙搬送速度が一定であり、テンプレート501と紙面画像1のターゲット画像検出座標から算出される移動量が小さい場合である。
また、用紙を搬送する際の搬送パラメーターは分かっているので、搬送パラメーターとセンサの画素ピッチに基づいて閾値座標を決定することも可能である。
ここで、本実施形態で利用できるテンプレートマッチング処理の計算手法としては、SAD(Sum of Absolute Difference)、SSD(Sum of Squared Difference)、ZNCC(Zero−mean Normalized Cross−Correlation)などを利用できる。これらの方法では、撮像された画像の画素値(輝度で表されている場合は輝度値)を利用してテンプレートと対象とする領域との相関の程度を示す値として相関値を導出する。ZNCCは正規化相互相関法として用いられるものであり、テンプレートおよび画像の輝度値の平均値をそれぞれの画素の輝度値から引いて計算するので、明るさの変動があっても安定的に類似度を計算することができる。しかし、計算負荷が大きく、目標画像を見つけるための処理の効率としては次に述べるSAD、SSDよりは低い。一方、SADはテンプレート画像の画素値と撮像によって得られた画像の画素値の差の絶対値和を相関値として求める方法、SSDは差の2乗和を相関値として求める方法である。これらは計算負荷が小さいため高速処理が可能であるが、テンプレートと画像と間の輝度値の差の絶対値の合計を利用するので、撮像期間中の明るさの変動には弱い傾向がある。テンプレートサイズが、精度と処理時間に与える影響はトレードオフの関係にあり、大きくすると、相関精度は高くなるが処理時間が長くなり、小さくすると処理時間は短くなるが相関精度が低くなる。
図7(a)〜(c)は本実施形態におけるテンプレートパラメーター決定フローを説明する図である。図7は記録媒体における表面の画像の空間周波数特性を説明するための図である。記録媒体701と記録媒体702の空間周波数に対するパワーを示したのが、それぞれ(a1)、(a2)である。記録媒体701は、(a1)のグラフが示すように、パワーが強くなる周波数が少ない記録媒体である。対して、記録媒体702は、(a2)のグラフが示すように、パワーが強くなる周波数が多数ある記録媒体である。一般的にパワーが強くなる周波数が少なければ、撮像した際に明暗差の変化が少なくなり、狭い領域内では特徴が出にくくなる。
図7(b)および図7(c)は記録媒体におけるテンプレートパラメーターの違いにより検出精度が異なることを示す図である。これは、空間周波数とテンプレートパラメーターの関係で説明することができる。711は、記録媒体701の撮像画像の一領域内の明暗を概念的に示した図である。暗部は濃く、明部は淡くなっている。図7(b)では、低周波数のパワーが強く明暗変動は広い領域で生じる。708のように十分なテンプレート領域をとることができれば、テンプレート領域内に明部と暗部が入り、異なった複数の特徴を有することになるため、テンプレートマッチング処理時の検出率が向上する。反対に、707のようにテンプレート領域が小さい場合は、テンプレート画素ピッチが小さい程、テンプレート領域内に同じような特徴を有してしまうことになるので、テンプレートマッチング処理時の検出率が低下し、検出精度を低下する。図7(c)は、707と710はテンプレート画素数が同じでテンプレート画素ピッチが異なる場合を示している。710のように、テンプレート画素数が同じでも、テンプレート画素ピッチが大きくなれば、テンプレート領域を大きくとることが可能になり、離れた場所の特徴を検出することが可能になるので検出率が向上する。
図8は記録媒体701と記録媒体702におけるテンプレートパラメーターの違いによる検出精度の差を示す図である。グラフ705は、テンプレート画素数を32x32ピクセルに固定し、テンプレート画素ピッチと搬送精度の関係を示した図である。縦軸の搬送精度は真値からの誤差であり、値が低いほど誤差が小さい。グラフ705から、テンプレート画素数が一定の場合は、テンプレート画素ピッチが小さいほど精度が向上するのではなく、記録媒体の種類と画素ピッチには最適値があることを示している。記録媒体701の場合は、テンプレート画素ピッチ11umが最適な値となり、記録媒体702においては5.5umが最適な値となる。このことからは、記録媒体702と比較して表面の平滑性が高い、すなわち滑らかな記録媒体701には、記録媒体702よりも長い画素ピッチとすると良いことがわかる。
グラフ706は、記録媒体701におけるテンプレート画素ピッチの違いによる、テンプレート画素数と搬送精度の関係を示した図である。縦軸の搬送精度は真値からの誤差であり、値が低いほど誤差が小さい。グラフ706は、この条件においては、テンプレート画素数がある程度大きいと、画素ピッチが小さいほど精度が向上することを示している。このように、記録媒体が決まれば、最適な画素ピッチと画素数を決定することが可能である。最適なテンプレートパラメーターで制御することで処理速度と、検出精度の向上を実現する。ここで、本実施形態では、記録媒体701ではテンプレート画素数64x64ピクセル、テンプレート画素ピッチ11um、記録媒体702ではテンプレート画素数32x32ピクセル、テンプレート画素ピッチ5.5umで移動量を検知できるように図8のメディアパラメーター制御回路114を構成した。
図4は本実施形態に係る撮像ユニット3および搬送制御回路113の詳細構成を示す図である。
撮像ユニット3は、画素ピッチ変更回路405を有する。画素ピッチ変更回路405は、イメージセンサの画素ピッチを変更する回路であり、複数ピクセルを擬似的に結合させて1ピクセルとして扱うことで疑似的に画素ピッチを大きくしている。一般的にビニング(binning)と呼ばれる手法で、イメージセンサ3が機能として有する場合もある。
搬送制御回路113は、撮像制御回路401、画像受信回路402、テンプレート生成回路403、テンプレートマッチング回路404から構成される。
撮像制御回路401は、エンコーダ116から位置情報を受け取り、撮像ユニット3を制御する制御信号を生成する。また、メディアパラメーター制御回路114から記録媒体のテンプレートパラメーターを受信する。そして、撮像ユニット3に画素ピッチ情報と、テンプレート生成回路403にテンプレートパラメーターを転送する。画像受信回路402は、撮像ユニット3から出力された画像を受信する。また、メディアパラメーター制御回路114に画像を送信する。テンプレート生成回路403は、撮像制御回路401から転送されたテンプレート画素ピッチとテンプレート画素数の情報をもとに、画像受信回路402の画像からテンプレートを生成する。
テンプレートマッチング回路404は、画像受信回路402が取得した画像に対してテンプレートマッチング処理を行い、移動量を算出する。テンプレートマッチング回路404にて算出された詳細移動量は、移動量判定回路405で判定される。
移動量判定回路405は、テンプレートマッチング回路404にて算出された概算座標から、座標が所定値以上か判定し、所定値以下なら移動量を破棄し、所定値以上の場合はテンプレートマッチング回路404に許可信号を送信し、テンプレートマッチング回路404から転送タイミング制御回路110、装置本体駆動回路111に出力される。
図9は本実施形態に係るメディアパラメーター制御回路114の詳細構成を示す図である。メディアパラメーター制御回路114は、メディア特徴量判定回路801、テンプレートパラメーター変更回路802から構成される。メディア特徴量判定回路801は、記録媒体のテンプレートパラメーターを決定する回路である。特徴量の判定方法は、CPUIF回路104を介して印刷設定から印刷するメディア情報を取得し、不揮発性メモリ115に格納されているメディア情報からテンプレートパラメーターを取得し、テンプレートパラメーター変更回路802に転送する。テンプレートパラメーター変更回路802にて、現在設定されているテンプレートパラメーターと比較し、変更の必要があれば、変更するパラメーターを搬送制御回路113に転送する。
また、ここでは記録媒体ごとのテンプレートパラメーターを不揮発性メモリ115に格納しているとしたが、撮像画像にFFT(高速フーリエ変換)を実施し、空間周波数から画素ピッチを算出しても同様の効果が得られている。その場合は、搬送制御回路113より撮像画像を取得し、メディア特徴量判定回路801にてFFTを実施し、テンプレートパラメーターを生成することも可能である。
図6を用いて本実施形態のインクジェットプリンタ200における記録媒体の移動量を検知するための動作フローを説明する。図6(a)は、フルマルチ(ライン)プリンタ構成、図6(b)は、シリアルプリンタ構成、での撮像ユニット3と移動量検知回路113のインターフェース信号と撮像した画像の関係を示すタイミングチャートである。フルマルチプリンタ構成では、図2に示したように、固定され、移動しないプリントヘッドの下方を記録媒体が通過することで、プリントヘッドと記録媒体との相対的な走査が行われる。プリントヘッドの下を通過する移動中の記録媒体へプリントヘッドからインクを付与することで、印刷が行われる。一方シリアルプリンタ構成の場合は、静止している記録媒体上をプリントヘッドが記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動し、移動中のプリントヘッドからインクが付与される。そして1回のプリントヘッドの移動が終わると、記録媒体が必要な距離だけ搬送されて止まり、再びプリントヘッドが移動し、インクを付与する。また、シリアルプリンタでは、転送タイミング制御回路110は、エンコーダ114とは別の、プリントヘッドを搭載するキャリッジの移動を検知するためのキャリッジエンコーダに基づいて転送タイミング信号を出力する。
図6(a)、(b)において、搬送フラグ、撮像イネーブル、撮像トリガ、テンプレートトリガは、撮像制御回路401により生成される。位置カウンタはエンコーダ114より入力される位置情報である。
搬送フラグは、用紙の搬送状態を示すフラグである。ここでは、停止時は、Lowとなり、搬送時はHighとなる。撮像イネーブルは、記録媒体の紙面状態を取得する期間を示し、撮像イネーブルがHighの期間に一定周期で撮像トリガを生成し、撮像トリガのタイミングで撮像ユニット3は記録媒体の表面を撮像し、移動量検知回路113に撮像データを送信する。
撮像トリガ上に記載されている数字は、撮像ユニット3が撮像トリガ入力時に撮像する画像を示している。基準画像Noはテンプレートとして使用する画像Noを示している。有効画像Noは、移動量算出に使用された画像Noを示し、移動量出力タイミングは、二次テンプレートマッチング回路406より移動量が出力されるタイミングを示している。
テンプレートトリガは、基準用紙画像を決定するためのトリガであり、撮像イネーブルの立ち上がり時と、移動量出力タイミングトリガに同期して生成され、移動量算出に使用された紙面画像が次の基準紙面画像になる。
また、ここで、フルマルチ(ライン)プリンタとシリアルプリンタの場合の移動量検知回路113で生成される信号のタイミングの違いに関して説明する。
まず、フルマルチ(ライン)プリンタは、搬送しながら印刷を行うため、搬送フラグ、撮像イネーブルは、印刷終了までHighとなる。また、撮像トリガは一定周期で生成可能である。
次に、シリアルプリンタは、搬送を停止した後に印刷を行うため、搬送フラグは、HighとLowを交互に繰り返す。印字中は搬送していない状態であるため撮像する必要はなく、撮像イネーブルは、搬送フラグの立下り後に立ち下げ、搬送フラグの立ち上がり前に立ち上げる。撮像トリガは、撮像イネーブルがHighの期間に一定周期で撮像トリガを生成するが、搬送フラグの立下り時にも撮像トリガを出力し、停止時の紙面画像を取得する。
図6(c)は本実施形態に係る移動量を検知する処理の流れを示すフローチャートを示す図である。図6(c)のフローチャートと、図6(a)のタイミングチャートを用いて本実施形態に係るフローを説明する。この移動量を検知する処理はASIC102の機能で実行するが、CPUの機能が一部を代替、あるいは全部を代替するような構成をすることも可能である。本実施形態では代表例として記録媒体701についてはテンプレート画素ピッチの最適化、記録媒体702についてはテンプレート画素数の最適化を用いた効果について説明する。図5(c)は説明のために、初期設定では、テンプレート画素数が64×64ピクセル、画素ピッチ5.5umに設定されているとする。また、記録媒体701、記録媒体702に印刷する場合を例に説明する。
まず、外部入力装置100より画像データおよび印刷設定がインクジェットプリンタ200に入力される。その際の印刷設定より記録媒体の種類についての情報としてメディア情報を取得(ステップS600)する。そして、メディアパラメーター制御回路114が取得したメディア情報に対応するテンプレートパラメーターを不揮発性メモリ115から読みだす(ステップS600)。そして、読み出したテンプレートパラメーターに基づいて既存の設定から変更する(ステップS601)。
ここで、記録媒体701が印刷メディアに設定された場合、メディアパラメーター制御回路114が不揮発性メモリ115から記録媒体701の最適なテンプレートパラメーターである、テンプレート画素数64x64ピクセル、テンプレート画素ピッチ11umというパラメーターを読み出す。テンプレート画素数は初期値と変わらないので、テンプレート画素ピッチのみ変更する。テンプレート画素ピッチの変更情報が搬送制御回路113を介して、撮像ユニット3の画素ピッチ変更回路405に入力され、テンプレート画素ピッチを設定値に変更する。
また、記録媒体702が印刷メディアに設定された場合、不揮発性メモリ115から記録媒体702の最適なテンプレートパラメーターである、テンプレート画素数32x32ピクセル、テンプレート画素ピッチ5.5umというパラメーターを読み出す。テンプレート画素ピッチは初期値と変わらないので、テンプレート画素数のみ変更する。テンプレート画素数の変更情報が搬送制御回路113のテンプレート生成回路403に入力され、テンプレート画素数が設定値に変更される。
ここで画像データ入力時に記録媒体情報を取得すると記載したが、ロール紙やカセット給紙の場合は用紙セット時に記録媒体情報を設定しているので、その際にテンプレートパラメーターを決定することも可能である。
そして、印刷が開始されるか、シリアルプリンタでは印字が終了し、記録媒体の搬送が再開される際に、撮像制御回路401が撮像イネーブルをアサートし、撮像トリガを出力する。そして、撮像ユニット3が記録媒体の紙面画像を取得する。印字開始時なので、テンプレートトリガも生成され、紙面画像が基準紙面画像として保存(ステップS602)される。
次に、紙面画像よりテンプレート生成回路403にて決定されたテンプレート画素数に基づいてテンプレート画像を生成(ステップS603)する。次に、撮像制御回路401から撮像トリガが出力される(ステップS604)のを待つ。撮像トリガが出力されると、撮像ユニット3が記録媒体の紙面画像を取得(ステップS605)する。
次に、テンプレートマッチング回路404にて、テンプレート画像と紙面画像を用いてテンプレートマッチング処理(ステップS606)を実施する。その結果、一致座標が算出(ステップS607)され、移動量判定回路405がその座標が閾値座標以上でないと判断した場合(ステップS608 No)、再度画像取得タイミングを待つ。
ここで、移動量判定回路405にて判定するデータを座標としたが、基準紙面画像のテンプレート座標と、紙面画像に対するテンプレートマッチングにより出力される座標から、容易に移動量を算出することができるので、移動量で判定してもよい。
そして、移動量判定回路405がその座標が閾値座標以上と判断した場合(ステップS608 Yes)、基準紙面画像と紙面画像より移動量を算出し、移動量を出力(ステップS610)する。
そして、まだ搬送が終了しない場合(ステップS610 Yes)は、テンプレートマッチング処理に使用した紙面画像を基準紙面画像とし(ステップS602)、テンプレート生成回路403にてテンプレート画像を生成(ステップS603)する。印刷の終了か、記録媒体の搬送終了までこのフローを継続する。
図6(a)のタイミングチャートを用いてフローを説明すると、まず、撮像トリガによって取得した紙面画像1(図内丸数字)を、基準紙面画像として保持(ステップS602)し、紙面画像1(図内丸数字)からテンプレート画像を生成(ステップS603)する。撮像トリガのタイミングにて撮像ユニット3が画像を取得(ステップS604)し、取得した紙面画像2〜3(図内丸数字)とテンプレートマッチング処理を実施(ステップS606)し、算出した座標が所定量以下(ステップS608)なので、撮像トリガの入力を待つ(ステップS604)。
次に取得した紙面画像4(図内丸数字)にてテンプレートマッチング処理を実施し、算出した座標が所定量以上なので移動量を算出(ステップS605〜S609)する。そして、搬送を継続する場合は、紙面画像4(図内丸数字)を基準紙面画像として保持し、紙面画像1(図内丸数字)からテンプレート画像を生成(ステップS602〜S603)する。以後、この処理を繰り返す。
以上の実施形態の構成を用いることにより、例えば記録媒体701のような明部と暗部とのは、メディア情報からテンプレートパラメーターを変更し、テンプレート画素ピッチを最適化することで、処理速度と検出精度を向上することができた。さらに、記録媒体702は、メディア情報からテンプレートパラメーターを変更し、テンプレート画素数を最適化することで、処理速度と検出精度を向上することができる。
本実施形態の構成を用いることで、様々な記録媒体の最適なテンプレートパラメーターへの変更を可能にする。それにより、処理速度を向上させ、高い検出精度を実現することが可能になる。
上述した実施形態では、フルマルチプリンタの例を取り説明を行ったが、シリアルプリンタであっても、上述した搬送量の検出を適用することは可能である。
また、上述した実施形態の移動量の検知方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを不揮発性のメモリに格納しておき、これをコンピュータのCPUが読み出すことで、上述した検知方法の各ステップをコンピュータが実行することが可能となる。
Claims (11)
- 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている移動中の記録媒体の表面を、撮像手段によって所定のタイミングで複数回撮像することによって複数の画像を取得する取得手段と、前記複数の画像のうちの一つを基準画像とし、前記基準画像の一部をテンプレート画像に決定する決定手段と、前記複数の画像のうちの前記基準画像とは別の画像に対して前記テンプレート画像を用いてテンプレートマッチング処理を行う処理手段と、前記テンプレートマッチング処理の結果に基づいて前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体の移動量を検知する検知装置であって、
前記決定手段は、前記記録媒体の種類に関する情報に基づき、前記テンプレート画像が対応する記録媒体上の領域のサイズを決定することを特徴とする検知装置。 - 前記決定手段は、前記記録媒体の種類に関する情報に基づき、前記テンプレート画像の画素数を決定することを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
- 前記決定手段は、前記記録媒体の種類に関する情報に基づき、前記テンプレート画像の1画素が対応する記録媒体上の領域の長さに対応する画素ピッチを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の検知装置。
- 前記決定手段は、第1の記録媒体の移動量を検知する場合には、前記テンプレート画像の画素数を第1の画素数、画素ピッチを第1のピッチに決定し、前記第1の記録媒体よりも表面の平滑性が高い第2の記録媒体の移動量を検知する場合には、前記テンプレート画像の画素数を第1の画素数、画素ピッチを第2のピッチに決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検知装置。
- 前記第2のテンプレートマッチング処理は、正規化相互相関法を用いた処理であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検知装置。
- 前記搬送手段と、前記第2のテンプレートマッチング処理の結果に基づく前記記録媒体の移動量に従って、前記搬送手段による前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検知装置。
- 記録媒体に記録を行う記録手段と、検知された前記記録媒体の前記記録媒体の移動量に従って、前記記録による前記記録媒体への記録を制御する手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検知装置。
- 前記撮像手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検知装置。
- インクを吐出することによって前記記録媒体へ印刷を行うためのプリントヘッドを前記記録手段として備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
- 搬送手段によって搬送されている移動中の記録媒体の表面を、撮像手段によって所定のタイミングで複数回撮像することによって複数の画像を取得する撮像工程と、前記複数の画像のうちの一つを基準画像とし、前記基準画像の一部をテンプレート画像に決定工程と、前記複数の画像のうちの前記基準画像とは別の画像に対して前記テンプレート画像を用いてテンプレートマッチング処理を行う処理工程と、前記テンプレートマッチング処理の結果に基づいて前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体の移動量を検知する検知工程と、を有する検知方法であって、
前記決定工程において、前記記録媒体の種類に関する情報に基づき、前記テンプレート画像が対応する記録媒体上の領域のサイズを決定することを特徴とする検知方法。 - 請求項10に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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JP2019120444A JP2021006936A (ja) | 2019-06-27 | 2019-06-27 | 検知装置および検知方法 |
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