JP2021005177A - 電子機器、電子機器の伝搬遅延提示方法、及びプログラム - Google Patents

電子機器、電子機器の伝搬遅延提示方法、及びプログラム Download PDF

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直人 東出
彰 平尾
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彰 平尾
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英孝 林
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Hideaki Usami
秀晃 宇佐美
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和也 千藤
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Abstract

【課題】RTTのテキスト送受信時に伝搬遅延が発生した場合に、テキスト送受信の伝搬遅延の発生及び遅延程度を利用者に提示する。【解決手段】電子機器1は、テキスト情報を送受信する通信部6と、通信部6における通信の伝搬遅延時間を測定し、通信部6で受信したテキスト情報を表示するときに、伝搬遅延時間に基づいて自機の態様を変更する制御部10と、を備えることを特徴とする。自機の態様の変更の一例として、遅延程度に応じて、受信した文字が表示画面上で表示される位置へ移動する速度を切り替える、遅延程度を示すインジケータを表示する、バイブレーションの振動を変化させる、効果音を変化させる、テキスト表示内容を変化させる等がある。【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器、電子機器の伝搬遅延提示方法、及びプログラムに関する。
テキストメッセージングやメールの送信方法としては、操作者が送信するメッセージを作成し、送信操作を行うことで、作成したメッセージを送信する方法がある。これに対して、ネットワークを介した通信システムにおいて、テキスト表示機能を有する通信端末等の電子機器がテキストメッセージをリアルタイムに送信する技術として、リアルタイムテキスト(RTT:Real-Time Text)がある。RTTは、操作者が作成中のテキストが文字入力されると、入力された文字情報を送信する。RTTは、高い応答性でテキストの送受信が可能となり、テキストメッセージに対して音声会話と同等の対話性を持たせることが出来る。これにより、例えば聴覚障害者や発話障害者に対して、テキストメッセージを介した会話に近いコミュニケーションが提供可能になる。
RTTに関連する技術としては、特許文献1、2にリアルタイムテキストチャット通信機能に関する記載がある。
特表2013−541075号公報 特表2002−524935号公報
RTTのテキスト情報は、VoIP(Voice over Internet Protocol)やVoLTE(Voice over Long Term Evolution)等のIP(Internet Protocol)音声通話と同様に、一般的に、その呼制御にSIP(Session Initiation Protocol)、情報転送にRTP(Real-time Transport Protocol)を使用している。ここで、RTPは下位層にUDP(User Datagram Protocol)を使用しており、非確認型通信である。
RTTは、リアルタイム性を重視した技術であるため、例えば、自身が送信したメッセージに対する応答が遅い等、リアルタイム性が低下する状況においては円滑なコミュニケーションを阻害してしまい、利用者に不安感や不快感を与えてしまう可能性がある。
RTTを用いた通信において次のような通信の遅れが生じる場合がある。通信の遅れの原因としては、送信者側の文字入力操作自体が遅い(入力遅延)場合、電子機器(端末)間を介するネットワーク(NW)環境によりRTPパケット転送に遅延が発生している(伝搬遅延)場合がある。しかしながら、通信相手は、理由に関わらず、受信テキストの表示が遅くなるため、テキストメッセージのやりとりを円滑に行えない場合がある。
本発明は、リアルタイムテキストによるコミュニケーションをより円滑に行うことができる電子機器、電子機器の伝搬遅延表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、テキスト情報を送受信する通信部と、前記通信部における通信の伝搬遅延時間を測定し、前記通信部で受信したテキスト情報を表示するときに、前記伝搬遅延時間に基づいて自機の態様を変更する制御部と、を備える。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器の伝搬遅延提示方法は、通信の伝搬遅延時間を測定することと、テキスト情報を受信することと、受信したテキスト情報を表示し、かつ、前記伝搬遅延時間に基づいて自機の態様を変更することと、を含む。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のプログラムは、通信の伝搬遅延時間を測定するステップと、テキスト情報を受信するステップと、受信したテキスト情報を表示し、かつ、前記伝搬遅延時間に基づいて自機の態様を変更するステップと、電子機器に実行させる。
本発明によれば、RTTのテキスト送受信において通信に起因する伝搬遅延の発生及び遅延程度を利用者が知ることができ、リアルタイムテキストによるコミュニケーションをより円滑に行うことができる。
図1は、実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図である。 図2は、実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す模式図である。 図3は、音声通話の処理の一例を示すシーケンス図である。 図4は、送信者側の入力速度による遅延が発生している状況を説明するための説明図である。 図5は、ネットワーク内部において遅延が発生している状況を説明するための説明図である。 図6は、話中状態における伝搬遅延時間の測定方法を説明するための説明図である。 図7は、RTPパケットのヘッダ部分の構成を説明するためのフォーマット図である。 図8は、RTPパケットのうち、実施形態に係るペイロード部分の構成を説明するためのフォーマット図である。 図9は、伝搬遅延時間の測定結果に応じてRTT通信中の端末の画面上の表示を変化させる事例を説明するための説明図である。 図10は、伝搬遅延時間を示すインジケータを表示する事例について説明するための概念図である。 図11は、伝搬遅延時間に応じてバイブレーションの振動を変化させる事例について説明するための概念図である。 図12は、伝搬遅延時間に応じて効果音を変化させる事例について説明するための概念図である。 図13は、伝搬遅延時間に応じてテキスト表示方法を変化させる事例について説明するための概念図である。 図14は、呼制御時における発呼側の電子機器の伝搬遅延時間の測定及び提示に関する動作の一例を示すフローチャートである。 図15は、話中状態における電子機器の伝搬遅延時間の測定及び提示に関する動作の一例を示すフローチャートである。 図16は、話中状態における受信側の電子機器の測定応答に関する動作の一例を示すフローチャートである。 図17は、話中状態における電子機器の自機の態様の変更に関する動作の一例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図である。以下の説明において、同様の構成要素について同一の符号を付すことがある。以下の説明において、重複する説明は省略することがある。
本実施形態に係る電子機器1は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、モバイルパソコン、メディアプレイヤ、電子書籍リーダ、ナビゲータ、ウェアラブルデバイス、又はゲーム機等の通信機能とテキスト表示機能を有する機器である。但し、これらは例示であり、本発明を限定するものではない。
図1に示すように、電子機器1は、タッチスクリーンディスプレイ2と、ボタン3と、照度センサ4と、近接センサ5と、通信ユニット6と、レシーバ7と、マイク8と、ストレージ9と、コントローラ10と、スピーカ11と、カメラ12と、カメラ13と、コネクタ14と、モーションセンサ15と、バイブレータ16とを含む。
タッチスクリーンディスプレイ2は、ディスプレイ2Aと、タッチスクリーン2Bとを有する。ディスプレイ2A及びタッチスクリーン2Bは、例えば、重なって位置してよいし、並んで位置してよいし、離れて位置してよい。ディスプレイ2Aとタッチスクリーン2Bとが重なって位置する場合、例えば、ディスプレイ2Aの1ないし複数の辺は、タッチスクリーン2Bのいずれの辺とも沿っていなくてもよい。
ディスプレイ2Aは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro−Luminescence Display)等の表示デバイスを含む。ディスプレイ2Aは、文字、数字、記号、画像、及び図形等のオブジェクトを画面内に表示する。ディスプレイ2Aが表示するオブジェクトを含む画面は、ロック画面と呼ばれる画面、ホーム画面と呼ばれる画面、アプリケーションの実行中に表示されるアプリケーション画面を含む。ホーム画面は、デスクトップ、待受画面、アイドル画面、標準画面、アプリ一覧画面又はランチャー画面と呼ばれることもある。
タッチスクリーン2Bは、タッチスクリーン2Bに対する指、ペン、又はスタイラスペン等の接触又は近接を検出する。タッチスクリーン2Bは、複数の指、ペン、又はスタイラスペン等がタッチスクリーン2Bに接触又は近接したときのタッチスクリーン2B上の位置を検出することができる。以下の説明において、タッチスクリーン2Bが検出する複数の指、ペン、及びスタイラスペン等がタッチスクリーン2Bに接触又は近接した位置を「検出位置」と表記する。タッチスクリーン2Bは、タッチスクリーン2Bに対する指の接触又は近接を、検出位置とともにコントローラ10に通知する。タッチスクリーン2Bは、検出位置の通知をもって接触又は近接の検出をコントローラ10に通知してよい。タッチスクリーン2Bが行える動作を、タッチスクリーン2Bを有するタッチスクリーンディスプレイ2は実行できる。言い換えると、タッチスクリーン2Bが行う動作は、タッチスクリーンディスプレイ2が行ってもよい。
コントローラ10は、タッチスクリーン2Bにより検出された接触又は近接、検出位置、検出位置の変化、接触又は近接が継続した時間、接触又は近接が検出された間隔、及び接触が検出された回数の少なくとも1つに基づいて、ジェスチャの種別を判別する。コントローラ10が行える動作を、コントローラ10を有する電子機器1は実行できる。言い換えると、コントローラ10が行う動作は、電子機器1が行ってもよい。ジェスチャは、指を用いて、タッチスクリーン2Bに対して行われる操作である。タッチスクリーン2Bに対して行われる操作は、タッチスクリーン2Bを有するタッチスクリーンディスプレイ2に行われてもよい。コントローラ10が、タッチスクリーン2Bを介して判別するジェスチャには、例えば、タッチ、ロングタッチ、リリース、スワイプ、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、及びピンチアウトが含まれるが、これらに限定されない。
タッチスクリーン2Bの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。
ボタン3は、利用者(ユーザ)からの操作入力を受け付ける。電子機器1は、例えば、電子機器1の筐体に設けられた物理キー等である。なお、ボタン3は、キーパッドやキーボード等を含む。フィーチャーフォンのようにタッチスクリーン2Bを有しない電子機器1の場合、ディスプレイ2Aとキーパッド(ボタン3)を用いることで、同様の入力操作を実現することが可能である。
照度センサ4は、照度を検出する。照度は、照度センサ4の測定面の単位面積に入射する光束の値である。照度センサ4は、例えば、ディスプレイ2Aの輝度の調整に用いられる。
近接センサ5は、近隣の物体の存在を非接触で検出する。近接センサ5は、磁界の変化又は超音波の反射波の帰還時間の変化等に基づいて物体の存在を検出する。近接センサ5は、例えば、ディスプレイ2Aと顔とが接近したことを検出する。照度センサ4及び近接センサ5は、1つのセンサとして構成されていてもよい。照度センサ4は、近接センサとして用いられてもよい。
通信ユニット6は、無線により通信する。通信ユニット6によってサポートされる無線通信規格には、例えば、3G、4G、5G等のセルラーフォンの通信規格と、近距離無線の通信規格とが含まれる。セルラーフォンの通信規格としては、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、WiMAX(登録商標)(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、CDMA2000、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、PHS(Personal Handy-phone System)等がある。近距離無線の通信規格としては、例えば、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、NFC(Near Field Communication)、WPAN(Wireless Personal Area Network)等が含まれる。WPANの通信規格には、例えば、ZigBee(登録商標)が含まれる。通信ユニット6は、上述した通信規格の1つ又は複数をサポートしていてもよい。
レシーバ7は、コントローラ10から送出される音信号を音として出力する。レシーバ7は、例えば、電子機器1にて再生される動画の音、音楽の音、及び通話時の相手の声を出力することができる。マイク8は、入力される利用者の声等を音信号へ変換してコントローラ10へ送信する。
ストレージ9は、プログラム及びデータを記憶する。ストレージ9は、コントローラ10の処理結果を一時的に記憶する作業領域として利用されてもよい。ストレージ9は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。ストレージ9は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。ストレージ9は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。ストレージ9は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
ストレージ9に記憶されるプログラムには、フォアグランド又はバックグランドで実行されるアプリケーションと、アプリケーションの動作を支援する支援プログラム(図示略)とが含まれる。アプリケーションは、例えば、フォアグランドで実行される場合、当該アプリケーションに係る画面を、ディスプレイ2Aに表示する。支援プログラムには、例えば、OSが含まれる。プログラムは、通信ユニット6による無線通信又は非一過的な記憶媒体を介してストレージ9にインストールされてもよい。また、プログラムは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと結合されていてもよい。
ストレージ9は、制御プログラム9A、文字入力制御プログラム9B、アドレス帳データ9C、RTT(Real-Time Text)制御プログラム9D及び設定データ9Z等を記憶できる。制御プログラム9Aは、各種機能を提供するに際し、電子機器1が記憶する各種アプリケーションと連携できる。制御プログラム9Aは、通信ユニット6を介してクラウドストレージと連携し、当該クラウドストレージが記憶するファイル及びデータにアクセスしてもよい。クラウドストレージは、ストレージ9に記憶されるプログラム及びデータの一部又は全部を記憶してもよい。
制御プログラム9Aは、電子機器1の各種動作に関する処理を実現するための機能をそれぞれ提供できる。制御プログラム9Aが提供する機能には、照度センサ4の検出結果に基づいて、ディスプレイ2Aの輝度を調整する機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、近接センサ5の検出結果に基づいて、タッチスクリーン2Bに対する操作を無効とする機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、通信ユニット6の電話等の着信を報知する機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、通信ユニット6、レシーバ7、及びマイク8等を制御することによって、通話を実現させる機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、カメラ12、及びカメラ13の撮影処理を制御する機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、コネクタ14を介して接続される外部機器との間の通信を制御する機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、タッチスクリーン2Bの検出結果に基づいて判別したジェスチャに応じて、ディスプレイ2Aに表示されている情報を変更する等の各種制御を行う機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、モーションセンサ15の検出結果に基づいて、電子機器1を携帯する利用者の移動、停止等を検出する機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、対象となる情報を音声で読み上げる機能が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能には、アドレス帳データ9Cを管理する機能が含まれる。
文字入力制御プログラム9Bは、電子機器1において実行される文字入力を制御するための機能を提供できる。文字入力制御プログラム9Bは、例えば、ソフトウェアキーに対する操作を検出すると、操作が検出されたソフトウェアキーに対応付けられている複数のソフトウェアキーのそれぞれに、当該複数のソフトウェアキーに予め紐付けられている少なくとも1つの文字を割り当てる機能を提供できる。文字入力制御プログラム9Bは、対象となる情報を音声で読み上げる機能を提供できる。このように、文字入力制御プログラム9Bは、複数のソフトウェアキーに文字を割り当て、当該ソフトウェアキーに対する利用者の操作に基づいた文字入力を電子機器1で実現するための機能を提供できる。
アドレス帳データ9Cは、通信相手に関するアドレス情報を含む。アドレス情報は、例えば、名前、電話番号等の各種情報を含む。アドレス情報は、通信相手に対応したグループを割り当てることができる。例えば、アドレス情報は、電子メールアドレス、画像、SNS(Social Network Service)等のコミュニケーションサイトでその人物が各種のメッセージを投稿する際に用いるアカウント等を含んでもよい。
RTT制御プログラム9Dは、通話中に通話回線を用いて、入力が確定した文字を通信相手に出力して、通信相手から出力された文字情報を表示させる機能を提供できる。RTT制御プログラム9Dは、通信状況により生じる伝送遅延時間を測定し、測定した伝送遅延時間の程度に基づいて、遅延状態を通知する機能を含む。
設定データ9Zは、制御プログラム9Aにより実行される処理に用いられる情報を含む。設定データ9Zは、例えば、マナーモード、サイレントモード等の設定に関する各種の情報を含む。マナーモードは、通知音、着信音を出力せず、バイブレータ16、振動部30等で電子機器1を振動させるモードである。サイレントモードは、ディスプレイ2Aへの表示のみを行い、通知音、着信音を出力させず振動を発生させないモードである。
コントローラ10は、演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System-on-a-Chip)、MCU(Micro Control Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、およびコプロセッサを含むが、これらに限定されない。コントローラ10は、電子機器1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
具体的には、コントローラ10は、ストレージ9に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行できる。コントローラ10は、ストレージ9に記憶されているデータを必要に応じて参照できる。コントローラ10は、データ及び命令に応じて機能部を制御できる。コントローラ10は、機能部を制御することによって、各種機能を実現できる。機能部は、例えば、ディスプレイ2A、通信ユニット6、マイク8、スピーカ11、及びバイブレータ16を含むが、これらに限定されない。コントローラ10は、検出部の検出結果に応じて、制御を変更することがある。検出部は、例えば、タッチスクリーン2B、ボタン3、照度センサ4、近接センサ5、マイク8、カメラ12、カメラ13、及びモーションセンサ15を含むが、これらに限定されない。
コントローラ10は、制御プログラム9Aを実行することにより、電子機器1の各種動作に関する処理を実現できる。コントローラ10は、制御プログラム9Aを実行することにより、通信ユニット6の電話等の着信に関する処理を実現できる。電話等の着信に関する処理は、例えば、電話等の着信の報知に関する処理、電話等の着信に応じて通話を開始するための操作に関する処理、電話の発信に関する処理等を含む。
スピーカ11は、コントローラ10から送出される音信号を音として出力する。スピーカ11は、例えば、着信音、音声、音楽等を出力するために用いられる。レシーバ7及びスピーカ11の一方が、他方の機能を兼ねてもよい。
カメラ12及びカメラ13は、撮影した画像を電気信号へ変換する。カメラ12は、ディスプレイ2Aに面している物体を撮影するインカメラである。カメラ13は、ディスプレイ2Aの反対側の面に面している物体を撮影するアウトカメラである。カメラ12及びカメラ13は、インカメラ及びアウトカメラを切り換えて利用可能なカメラユニットとして、機能的及び物理的に統合された状態で電子機器1に実装されてもよい。
コネクタ14は、他の装置が接続される端子である。コネクタ14は、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、ライトピーク(サンダーボルト(登録商標))、イヤホンマイクコネクタのような汎用的な端子であってもよい。コネクタ14は、Dockコネクタのような専用の端子でもよい。コネクタ14に接続される装置は、例えば、外部ストレージ、スピーカ、及び通信装置を含むが、これらに限定されない。
モーションセンサ15は、電子機器1を携帯する利用者の動作を判定するための各種情報を検出できる。モーションセンサ15は、加速度センサ、方位センサ、ジャイロスコープ、磁気センサ及び気圧センサ等を備えるセンサユニットとして構成されてよい。
バイブレータ16は、電子機器1の筐体1hを振動させる。バイブレータ16は、振動を発生させるために、例えば、圧電素子、又は偏心モータ等を有する。例えば、バイブレータ16は、設定データ9Zのマナーモードの項目が有効となっている場合、電話等の着信を報知するためにコントローラ10の制御によって振動する。
電子機器1は、上記の各機能部の他、GPS受信機を備えてもよい。GPS受信機は、GPS衛星からの所定の周波数帯の電波信号を受信する。GPS受信機は、受信した電波信号の復調処理を行って、処理後の信号をコントローラ10に送出する。GPS受信機は、電子機器1の現在位置の演算処理をサポートする。電子機器1は、GPS衛星以外の測位用人工衛星の信号を受信可能な受信機を備え、現在位置の演算処理を実行してもよい。電子機器1は、バッテリ等、電子機器1の機能を維持するために当然に用いられる機能部、及び電子機器1の制御を実現するために当然に用いられる制御部を実装する。
電子機器1は、通信ユニット6を介してクラウド上の記憶サーバにアクセスし、各種プログラム及びデータを取得してもよい。
[通信システム]
次に、図2を用いて、本実施形態に係る図1に示す電子機器1を含む通信システムの構成について説明する。図2は、本実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す模式図である。なお、図2は無線通信システムの構成の一例であり、本発明を限定するものではない。
図2に示すように、本実施形態に係る通信システム100は、第1電子機器1Aと、ネットワークNWと、第2電子機器1Bと、を含む。ネットワークNWは、第1無線ネットワークNW1と、第2無線ネットワークNW2と、を含む。なお、通信システム100は、第1電子機器1A、第2電子機器1B以外の電子機器を含んでおり、ネットワークNWも第1無線ネットワークNW1と、第2無線ネットワークNW2以外のネットワークを含む。
第1電子機器1Aと第2電子機器1Bはそれぞれ上述した電子機器1の機能を備えるスマートフォンである。第1電子機器1Aと第2電子機器1Bは、通話機能と、テキストメッセージ通信を行う機能を備えていればよく、その他の機能の有無については限定されない。
第1無線ネットワークNW1と第2無線ネットワークNW2は、それぞれ、無線により通信を行う通信網である。第1無線ネットワークNW1は、第1電子機器1Aと無線で通信を行いデータの送受信を行う。第1無線ネットワークNW1は、中継局、基地局等を含み、機器間でデータの送受信を行うネットワークを構築する。第1無線ネットワークNW1は、無線で通信が可能で、サービス対象の他の電子機器とも通信を行う。第1無線ネットワークNW1は、第2無線ネットワークNW2を含む、他の無線ネットワーク、有線のネットワークと通信を行い、データの送受受信を行う。
第2無線ネットワークNW2は、第2電子機器1Bと無線で通信を行いデータの送受信を行う。第2無線ネットワークNW2は、中継局、基地局等を含み、機器間でデータの送受信を行うネットワークを構築する。第2無線ネットワークNW2は、無線で通信が可能で、サービス対象の他の電子機器とも通信を行う。第2無線ネットワークNW2は、第1無線ネットワークNW1を含む、他の無線ネットワーク、有線のネットワークと通信を行い、データの送受受信を行う。
なお、本実施形態では、第1無線ネットワークNW1と第2無線ネットワークNW2とをそれぞれ1つのネットワークとしたが、それぞれを1つの基地局としてもよい。また、第1無線ネットワークNW1と第2無線ネットワークNW2との間を他の通信機器で接続してもよい。
次に、図3を用いて、音声通信の処理について説明する。一般的に、音声通信の制御は、音声通話の接続及び解放のための一連の処理を指す。通信システム100の第1電子機器1A及び第2電子機器1Bは、音声通信中にリアルタイムテキストによるテキストの送受信を行うことができる。図3は、音声通話の処理の一例を示すシーケンス図である。図3では、通信システム100の第1電子機器1Aと第2電子機器1Bとの間で通信を行う場合について説明する。
第1電子機器1Aは、リアルタイム通信のためのプロトコルの1つであるSIP(Session Initiation Protocol)を用いて、第2電子機器1Bとのセッションを確立する。SIPは、アプリケーション層で相手に対して、音声や映像、テキストメッセージの交換等を行うために必要なセッションの生成・変更・切断を行うプロトコルである。セッションの確立は、セッション確立要求の送信から始まる。
図3に示すように、第1電子機器1Aは、第2電子機器1Bとのセッション確立のために、第2電子機器1Bへセッション確立要求、例えば「INVITE」を含むデータを送信する。第1電子機器1Aは、セッション確立要求を、第1無線ネットワークNW1に出力する(ステップS12)。
第1無線ネットワークNW1は、第1電子機器1Aから受信したセッション確立要求の宛先が第2電子機器1Bであることを検出し、第2無線ネットワークNW2へセッション確立要求を転送する(ステップS14)。また、第1無線ネットワークNW1は、発信元である第1電子機器1Aへ、第2無線ネットワークNW2へのセッション確立要求の送信を実行中であることを通知する暫定応答、例えば「100 Trying」を含むデータを送信する(ステップS16)。第1無線ネットワークNW1は、ネットワークに含まれるSIPサーバで処理を実行しても、IP−PBX(Internet Protocol Private Branch exchange:IP電話交換機)で処理を実行してもよい。
セッション確立要求を受信した第2無線ネットワークNW2は、第1無線ネットワークNW1から受信したセッション確立要求の内容に基づいて、配下の第2電子機器1Bへセッション確立要求を送信する(ステップS18)。
第2電子機器1Bは、セッション確立要求を受信すると、着信音を鳴らす等、相手からの呼び出し処理を行う。併せて、第2電子機器1Bは、発信元である第1電子機器1Aへ、セッション確立要求に対する呼び出し中であることを伝えるための暫定応答、例えば「180 Ringing」を含むデータを第2無線ネットワークNW2へ応答する(ステップS20)。第2無線ネットワークNW2は、第2電子機器1Bから受信した暫定応答を第1無線ネットワークNW1へ転送する(ステップS22)。第1無線ネットワークNW1は、第2無線ネットワークNW2から受信した暫定応答を第1電子機器1Aへ送信する(ステップS24)。
第2電子機器1Bは、着信に応答する場合、受話器のオフフック等に該当する操作によって、セッション確立要求に対する成功応答、例えば「200 OK」を含むデータを第2無線ネットワークNW2へ送信する(ステップS26)。第2無線ネットワークNW2は、第2電子機器1Bから受信した成功応答を第1無線ネットワークNW1へ転送する(ステップS28)。第1無線ネットワークNW1は、第2無線ネットワークNW2から受信した成功応答を第1電子機器1Aへ送信する(ステップS30)。
第1電子機器1Aは、第2電子機器1Bからの成功応答をもとに、セッション確立了解を通知する確認応答、例えば「ACK」を含むデータを第1無線ネットワークNW1へ送信する(ステップS32)。第1無線ネットワークNW1は、第1電子機器1Aから受信した確認応答を第2無線ネットワークNW2へ転送する(ステップS34)。第2無線ネットワークNW2は、第1無線ネットワークNW1のSIPサーバから受信した確認応答を第2電子機器1Bへ転送する(ステップS36)。これにより、第1電子機器1Aと第2電子機器1Bの間にセッションが生成される。第1電子機器1Aと第2電子機器1Bとは、生成されたセッション上で、互いに音声データの送受信が可能となり、通話状態となる。
本実施形態では、第1電子機器1Aと第2電子機器1Bとは、通話状態となった後、第1電子機器1Aと第2電子機器1Bは、互いに、例えばRTP(Real-time Transport Protocol)を使用して、アナログの音声をデジタル化したデータ及びテキストデータを含むデジタルデータをIPネットワークに送信する(ステップS38)。つまり、確立したIPネットワークの通信で、音声の送受信と、リアルタイムテキストの送受信を行う。RTPは、音声や映像をストリーミング再生するためのUDP(User Datagram Protocol)上で動作するプロトコルである。第1電子機器1A及び第2電子機器1Bは、音声及びテキストをRTPパケットに変換して、IPネットワークで送出する。
第1電子機器1A側から通話を終了する場合、第1電子機器1Aは、受話器のオンフック(受話器をおろす)等に該当する操作によって、セッション切断要求、例えば、BYEを含むデータを第1無線ネットワークNW1へ送信する(ステップS40)。第1無線ネットワークNW1は、第1電子機器1Aから受信したセッション切断要求を第2無線ネットワークNW2へ転送する(ステップS42)。第2無線ネットワークNW2は、第1無線ネットワークNW1から受信したセッション切断要求を第2電子機器1Bへ転送する(ステップS44)。
第2電子機器1Bは、セッション切断要求を受信すると、セッション切断要求に対する成功応答、例えば、「200 OK」を含むデータを第2無線ネットワークNW2へ送信する(ステップS46)。第2無線ネットワークNW2は、第2電子機器1Bから受信した成功応答を第1無線ネットワークNW1へ転送する(ステップS48)。第1無線ネットワークNW1は、第2無線ネットワークNW2から受信した成功応答を第1電子機器1Aへ送信する(ステップS50)。これにより、第1電子機器1Aと第2電子機器1Bとのセッションが終了し、第1電子機器1Aと第2電子機器1Bとの間の通話が終了する。
ここで、図4及び図5を用いて、RTTのテキスト送受信に伝搬遅延が発生している状況について説明する。図4は、送信者側の入力速度による遅延が発生している状況を説明するための説明図である。図4に示すように、第1電子機器1Aは、文字「A」が入力された場合、「A」を通知するためのPTPパケットを、第1無線ネットワークNW1及び第2無線ネットワークNW2を経由して、第2電子機器1Bへ送信する。第2電子機器1Bは、「A」を通知するためのPTPパケットを受信した後、「A」を画面に表示する。
次に、第1電子機器1Aにおいて「A」が入力された後、文字「B」が入力されるまでに所定の時間が経過する。例えば、第1電子機器1Aの利用者自身が当該電子機器での文字入力に不慣れである場合や、利用者が当該文字の入力や選択に逡巡する場合、あるいは、第1電子機器1A自体の不具合や処理遅延により利用者の文字入力に対する反応が遅くなっている場合に、利用者の入力が遅くなる。この場合、「B」を通知するためのPTPパケットを第1電子機器1Aから送信するまでに時間がかかることになる。第2電子機器1Bは、「A」が表示されてから、「B」が表示されるまで、通信にかかった時間に加え、「B」の入力にかかった時間が経過する。
次に、図5は、ネットワークの通信速度による遅延が発生している状況を説明するための説明図である。図5に示すように、第1電子機器1Aは、文字「A」が入力された場合、「A」を通知するためのPTPパケットを、第1無線ネットワークNW1及び第2無線ネットワークNW2を経由して、第2電子機器1Bへ送信する。第2電子機器1Bは、「A」を通知するためのPTPパケットを受信し、「A」を画面に表示する。
また、第1電子機器1Aは、「A」が入力された後、図4の所定の時間よりも短い時間で「B」が入力された場合、第1電子機器1Aは、「B」を通知するためのPTPパケットを、第1無線ネットワークNW1及び第2無線ネットワークNW2を経由して、第2電子機器1Bへ送信する。ここで、第1電子機器1Aにおいて「A」が入力されてから「B」が入力されるまでの間に、ネットワークの通信に遅延が発生すると、第2電子機器1Bへ「A」が伝播してから「B」が伝搬されるまでの時間が、ネットワークで発生した遅延時間分、長くなる。ネットワークの遅延の原因としては、第1無線ネットワークNW1と第2無線ネットワークNW2の少なくとも一方での、回線の障害や混雑等によりネットワークの通信の遅延が発生した場合、あるいは、選択された通信経路が切り換えられた場合がある。
図4及び図5のいずれの場合も、第2電子機器1Bは、「A」が表示されてから「B」が表示されるまでに想定されるよりも時間がかかることになる。電子機器1は、通信の遅延時間を検出し、検出結果を通知することで、図4の状況で表示に時間がかかっているか、図5の状況で表示に時間がかかっているかを利用者に伝達する。以下具体的な処理を説明する。
図3に加え、図6を用いて、RTT通信におけるテキストの伝搬遅延時間DTの測定方法について説明する。図6は、RTT通信が可能な状態である話中状態における伝搬遅延時間DTの測定方法を説明するための説明図である。図6は、ネットワークを1つのみ示しているが、図3と同様に複数のネットワークでもよい。
図3を用いて発呼時にテキストの伝搬遅延時間DTの測定方法について説明する。図3に示すように、第1電子機器1Aは、発呼側端末である第1電子機器1Aがセッション確立要求を送出した時(測定開始MS1)に伝搬遅延時間DTの測定を開始する。そして、第1電子機器1Aは、着呼側端末である第2電子機器1Bが送出する有効な応答のうち第1電子機器1Aが最も早く受信する暫定応答を受信した時(測定終了ME1)に伝搬遅延時間DTの測定を終了する。すなわち、第1電子機器1Aは、セッション確立要求の送出時(測定開始MS1)から暫定応答の受信時(測定終了ME1)までの時間を測定し、測定した時間を伝搬遅延時間DTとする。
第1電子機器1Aは、セッション確立要求を送出した時(測定開始MS1)に伝搬遅延時間DTの測定を開始し、第2電子機器1Bが送出するセッション確立要求に対する成功応答を受信した時(測定終了ME1a)に伝搬遅延時間DTの測定を終了してもよい。すなわち、セッション確立要求の送出時(測定開始MS1)からセッション確立要求に対する成功応答の受信時(測定終了ME1a)までの時間を測定し、測定した時間を伝搬遅延時間DTとしてもよい。
次に、図6を用いて、RTT通信が可能な話中状態で伝播遅延時間DTを測定する場合を説明する。第2電子機器1Bは、測定要求Reqを送出する(ステップS52)。第2電子機器1Bは、測定要求Reqを送出した時(測定開始MS3)に伝搬遅延時間DTの測定を開始する。ネットワークNWは、第2電子機器1Bから測定要求Reqを受信した場合、第2電子機器1Bと話中状態にある第1電子機器1Aに、その測定要求Reqを転送する(ステップS54)。
第1電子機器1Aは、ネットワークNWからその測定要求Reqを受信した場合、測定応答Resを送出する(ステップS56)。ネットワークNWは、第1電子機器1Aから測定応答Resを受信した場合、第2電子機器1Bにその測定応答Resを転送する(ステップS58)。第2電子機器1Bは、測定応答Resを受信した時(測定終了ME3)に伝搬遅延時間DTの測定を終了する。第2電子機器1Bは、ステップS52からステップS58の処理で、伝搬遅延時間DTを測定する。
次に、第1電子機器1Aは、測定要求Reqを送出する(ステップS60)。第1電子機器1Aは、測定要求Reqを送出した時(測定開始MS4)に伝搬遅延時間DTの測定を開始する。ネットワークNWは、第1電子機器1Aから測定要求Reqを受信した場合、第1電子機器1Aと話中状態にある第2電子機器1Bに、その測定要求Reqを転送する(ステップS62)。
第2電子機器1Bは、ネットワークNWからその測定要求Reqを受信した場合、測定応答Resを送出する(ステップS64)。ネットワークNWは、第2電子機器1Bから測定応答Resを受信した場合、第1電子機器1Aにその測定応答Resを転送する(ステップS66)。第1電子機器1Aは、測定応答Resを受信した時(測定終了ME4)に伝搬遅延時間DTの測定を終了する。第1電子機器1Aは、ステップS60からステップS66の処理で、伝搬遅延時間DTを測定する。なお、ステップS52からステップS58の処理と、ステップS60からステップS66の処理は、別々の処理として実行してもよいし、連動して行ってもよいし、処理の順序が逆になってもよい。
このように、伝播遅延時間を測定する電子機器である要求側端末は、測定要求Reqの送出時から測定応答Resの受信時までの往復時間を測定し、測定した時間を伝搬遅延時間DTとする。ネットワークNWの通信に遅延が発生している場合、ネットワークNWから相手側端末への測定要求Reqの転送や、要求側端末への測定応答Resの転送に遅延が生じ、通信の遅延時間に応じて伝搬遅延時間DTが変化する。
ここで、第1電子機器1A及び第2電子機器1Bは、要求側端末として測定要求Reqを送出する場合、利用者の操作に基づいて実行してもよいし、RTT通信の話中状態の間、バックグラウンドで周期的に実行してもよい。
[測定要求及び測定応答のRTPパケットの構成]
図7及び図8を用いて、測定要求Req及び測定応答ResのRTPパケット20の構成について説明する。本実施形態に係るRTPパケット20は、ヘッダ部分21と、ペイロード部分22とを含む。図7は、RTPパケット20のヘッダ部分21の構成を説明するためのフォーマット図である。図8は、RTPパケット20のペイロード部分22の構成を説明するためのフォーマット図である。
図7に示すように、RTPパケット20のヘッダ部分21の各領域は、先頭ビットアドレスに、オフセットビット数(bit offset)で指定した数を加算することにより示される。図7に示す例は、オフセットビット数は「0−31」(32bit)で指定される。
先頭ビットアドレス「0」の領域のうち、ビットアドレス「0−1」は、「バージョン(Version)」を示す領域であり、RTPのバージョン番号を示す。ビットアドレス「2」は「パディング(P)」を示す領域であり、パディング・データの有無を示す。1を入れた場合、パケットの最後にペイロードがパディングされ、本来の長さよりも長くなっていることを示す。ビットアドレス「4−7」は「CSRC識別子の数(CC)」を示す領域である。ビットアドレス「8」は「マーカー(M)」を示す領域であり、パケットストリームでのフレーム境界の有無やストリーム内での重要なイベントにマークを付けるために使用される。意味は使用するRTPプロファイルとメディアタイプによって定義される。ビットアドレス「9−15」は「ペイロード・タイプ(Payload type)」を示す領域であり、伝送する符号データの種類を示す。ビットアドレス「16−31」は「シーケンス番号(Sequence Number)」を示す領域である。一般的に、シーケンス番号(Sequence Number)は、符号なし整数で表され、接続が確立するとランダムな初期値が生成される。送信側はパケットを送信するたびにシーケンス番号に1を足していき、通し番号としてヘッダ内の専用の領域に書き込んで送信する。最大値に達すると0に戻って再び1ずつ増えていく。すなわち、シーケンス番号(Sequence Number)は、初期値が乱数で、パケットごとに1ずつ増加する。そのため、受信側でパケットの破棄や受信順序の入れ替りを検出することができる。
先頭ビットアドレス「32」の領域のうち、ビットアドレス「0−31」は「タイムスタンプ(Timestamp)」を示す領域であり、パケットに含まれる最も古いデータが発生した時刻を表す。すなわち、先頭ビットアドレス「32」からオフセットビット数「31」を加算したビットアドレス「63」までが「タイムスタンプ(Timestamp)」を示す領域である。例えば、クロックの周波数はペイロード・タイプ(Payload type)ごとに定義され、音声コーデックの場合はサンプリング周波数になる。例えば8kHzサンプリングの音声コーデックを20msecのパケット長で伝送する場合、1パケットには160サンプル分の音声データが含まれており、タイムスタンプもパケットごとに160ずつ増加する。
先頭ビットアドレス「64」の領域のうち、ビットアドレス「0−31」は「同期送信元(SSRC)識別子」を示す領域であり、RTPパケット20の送信元を識別するための識別子を示す。識別子の値には乱数を使用する。すなわち、先頭ビットアドレス「64」からオフセットビット数「31」を加算したビットアドレス「95」までが「同期送信元(SSRC)識別子」を示す領域である。
図8に示すように、本実施形態に係るペイロード部分22は、先頭ビットアドレス「96」の領域である。なお、先頭ビットアドレス「96」の領域は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。実際には、動的割り当てが可能な他の領域でもよい。ここでは、便宜上、先頭ビットアドレス「96」の領域を例に説明する。先頭ビットアドレス「96」の領域のうち、ビットアドレス「0」は「PTPパケットの種別(Req/Res)」を示す領域であり、当該PTPパケットが測定要求Reqと測定応答ResのいずれのPTPパケットであるかを示す。例えば、「PTPパケットの種別(Req/Res)」の示す値が「0」であれば測定要求Req、「1」であれば測定応答Resであるものとする。ビットアドレス「1−15」は使用しない領域(not used)である。ビットアドレス「16−31」は「シーケンス番号(Sequence Number)」を示す領域である。先頭ビットアドレス「96」の領域における「シーケンス番号(Sequence Number)」は、図7に示したRTPパケット20のヘッダ部分21の先頭ビットアドレス「0」の領域における「シーケンス番号(Sequence Number)」とは別の値であり、別の目的で使用される。
先頭ビットアドレス「96」の領域における「シーケンス番号(Sequence Number)」は、当該PTPパケットが測定要求Req、例えば「PTPパケットの種別(Req/Res)」の示す値が「0」であれば使用しない。当該PTPパケットが測定応答Res、例えば「PTPパケットの種別(Req/Res)」の示す値が「1」であれば、対応する測定要求ReqのRTPパケット20のヘッダ部分21の先頭ビットアドレス「0」の領域における「シーケンス番号(Sequence Number)」をコピー(複写/転写)して使用する。すなわち、本実施形態に係るペイロード部分22における「シーケンス番号(Sequence Number)」は、当該RTPパケット20が測定応答Resである場合にのみ、測定応答Resに対応する測定要求Reqを識別するための情報として使用される。言い換えれば、測定要求Reqを受信した端末(受信側)において、測定応答ResのRTPパケット20を生成する際に、受信した測定要求Reqのヘッダ部分21の「シーケンス番号(Sequence Number)」をコピーするために使用される。
RTTでは、話中状態においてRTPを使用してテキストを送受信する。RTPは非確認型の通信であり、送信側に応答を返さない。さらにRTTでは、電子機器1は、RTPパケット20のペイロード部分22にITU−T勧告(Recommendation)の「T.140」を基本にした情報を搭載して送受信する。このとき、電子機器1は、RTPパケット20のペイロード・タイプ(Payload type)に「T.140」であることを示す。一般的に、ペイロード・タイプ(Payload type)には、伝送する符号データの種類を示す。さらに音声も同様に異なるペイロード・タイプ(Payload type)が使用される。これらと同様に、RTPパケット20のペイロード・タイプ(Payload type)の未定義値を、この測定のために新たに定義する。これにより、RTTの通信に影響を与えることなく伝搬遅延時間DTを測定可能にする。
測定要求Reqを受信した端末は、測定要求ReqのRTPパケット20の図7に示すヘッダ部分21に含まれるシーケンス番号(Sequence Number)を、測定応答ResのRTPパケット20の図8に示すペイロード部分22の「シーケンス番号(Sequence Number)」の領域にコピーして返送する。測定応答Resを受信した端末は、測定応答ResのRTPパケット20の図8に示すペイロード部分22に含まれるシーケンス番号(Sequence Number)を参照し、どの測定要求Reqについて応答されたRTPパケット20であるのかを識別する。但し、これらは例示にすぎず、本発明を限定するものではない。
[伝搬遅延の発生及び遅延程度の提示方法]
図9を用いて、RTTにおける伝搬遅延の発生及び遅延程度(遅延量、遅延時間の大小)を利用者に提示する方法について説明する。図9は、上述の伝搬遅延時間DTの測定結果に応じてRTT通信中の端末の画面上の表示を変化させる事例を説明するための説明図である。図9には、電子機器1のディスプレイ2Aの画面上における、RTT通信で受信したテキストの表示領域が例示されている。図9には、便宜上、表示領域内におけるテキストの表示位置及び変化を明確にするため、表示領域の左端をL、表示領域の中心をC、表示領域の右端をRとして、仮想の基準線を記載している。
ここでは、電子機器1は、伝搬遅延時間DTの測定結果に応じてRTT通信中の端末の画面上の表示を変化させる等の自機の態様を変更する方法で、伝搬遅延の発生や伝搬遅延時間DTを利用者に提示する。例えば、電子機器1は、RTTのテキスト受信時に、最初は最終的なテキスト表示位置からずれた位置に表示し、最終的な表示位置に移動するまでの速度を伝搬遅延時間DTの程度に応じて3段階程度に切り替えて表示する。
RTT通信中に、送信側端末で「HELLO」というテキストを入力する場合、送信側端末で「H」「E」「L」「L」「O」という文字が順番に入力される。これらの文字はRTTに従い、入力と同時に直ちに受信側端末に送信される。したがって、受信側端末では、「H」「E」「L」「L」「O」という文字が順番に表示される。
本実施形態では、図9に示すように、受信側端末は、RTTのテキスト受信時に、受信した文字を、最初は最終的なテキスト表示位置からずれた位置に表示する。そして、受信側端末は、伝搬遅延時間DTに応じた移動速度で、1文字ずつ最終的なテキスト表示位置に移動させる。文字を移動させる際には、最初のテキスト表示位置から最終的なテキスト表示位置に表示位置が瞬時に切り替わるのではなく、最初のテキスト表示位置から最終的なテキスト表示位置まで所定の移動速度でスライドする。すなわち、最初のテキスト表示位置から最終的なテキスト表示位置まで文字が横方向に移動している様子が目視可能である。
図9に示す例では、送信側端末で「H」「E」「L」「L」「O」という文字が順番に入力された場合、受信側端末は、ディスプレイ2Aの画面上において、1文字目から3文字目までの「H」「E」「L」を、1文字ずつ順番に、表示領域の中心寄りに表示する(ステップS70)。
次に、受信側端末は、1文字目の「H」を最終的なテキスト表示位置である表示領域の左側まで伝搬遅延時間DTに応じた移動速度で移動させる(ステップS72)。次に、受信側端末は、4文字目の「L」を3文字目の「L」の右隣に表示し、2文字目の「E」を1文字目の「H」の右隣まで伝搬遅延時間DTに応じた移動速度で移動させる(ステップS74)。
次に、受信側端末は、5文字目の「O」を4文字目の「L」の右隣に表示し、3文字目の「L」を2文字目の「E」の右隣まで伝搬遅延時間DTに応じた移動速度で移動させる(ステップS76)。次に、受信側端末は、4文字目の「L」を3文字目の「L」の右隣まで伝搬遅延時間DTに応じた移動速度で移動させる(ステップS78)。
最後に、受信側端末は、5文字目の「O」を4文字目の「L」の右隣まで伝搬遅延時間DTに応じた移動速度で移動させる(ステップS80)。これにより、送信側端末で入力された全ての文字が最終的な表示位置に表示される。
この文字の移動速度を3段階に切り替える場合には、例えば、伝搬遅延時間DTに対する閾値を使用する。ここでは、伝搬遅延が発生しているか否かの判断基準となる第1閾値と、発生した伝搬遅延が軽度か重度かの判断基準となる第2閾値とを使用する。第2閾値は、第1閾値よりも大きな値である。受信側端末は、測定した伝搬遅延時間DT時間が第1閾値よりも小さい場合には最も速い第1速度で文字を移動させ、第1閾値以上で第2閾値よりも小さい場合には第1速度よりも遅い第2速度で文字を移動させ、第2閾値以上の場合には第2速度よりもさらに遅い第3速度で文字を移動させる。このように、文字の移動速度を多段階に切り替えることで、利用者に伝搬遅延時間DTの遅延程度(遅延量、遅延時間の大小)を提示することができる。
[他の提示方法]
図10から図13を用いて、RTTにおける伝搬遅延の発生及び遅延程度(遅延量、遅延時間の大小)を利用者に提示する他の方法について説明する。図10は、伝搬遅延時間DTを示すインジケータを表示する事例について説明するための概念図である。図11は、伝搬遅延時間DTに応じてバイブレーションの振動を変化させる事例について説明するための概念図である。図12は、伝搬遅延時間DTに応じて効果音を変化させる事例について説明するための概念図である。図13は、伝搬遅延時間DTに応じてテキスト表示方法を変化させる事例について説明するための概念図である。
図10に示すように、コントローラ10は、ディスプレイ2Aに、伝搬遅延時間DTを示すインジケータ(バー等)を表示する。また、インジケータの表示に相当する提示方法として、例えば、アイコン種別、アイコン色等の表示を変化させる、リニアインジケータの長さを変化させる、サーキュレータインジケータの速度を変化させる、発光素子(LED等)の色や点滅速度を変化させる、文字表示領域や、文字入力領域の背景色を変化させる等がある。
図11に示すように、コントローラ10が、バイブレータ16の振動を制御することで、伝搬遅延時間DTに応じてバイブレーションの振動を変化させる。例えば、振幅、周波数、振動パターン、振動時間等を変化させる。
図12に示すように、コントローラ10が、スピーカ11からの効果音の出力を制御することで、伝搬遅延時間DTに応じて効果音を変化させる。例えば、音の高低、大小、タイミング、鳴動間隔、音の種類等を変化させる。
図13に示すように、コントローラ10が、通信ユニット6を介して受信したテキストをディスプレイ2Aに表示する際、伝搬遅延時間DTに応じてテキスト表示方法を変化させる。テキスト表示方法の変化として、例えば、文字色、文字色の変化速度、文字色透過度、文字色透過度の変化速度を変化させる、フォントサイズ、フォントサイズの変化速度を変化させる、表示文字列のアニメーションを変化させる、または、文字入力領域背後の表示文言を変化させる等がある。
RTT通信ではテキストメッセージがリアルタイムで表示されるため、警告メッセージをポップアップで表示するとRTT通信の妨げとなり、好ましくない。また、テキストによる警告メッセージを普通に表示すると、利用者がRTT通信のテキストメッセージと混同する可能性がある。そのため、上記のような提示方法が好ましい。
このように、伝搬遅延の発生や遅延程度を利用者に提示する方法として、伝搬遅延時間DTに応じて自機の態様を変更することが考えられる。なお、伝搬遅延の発生や遅延程度の提示方法は、電子機器の表示処理遅延と混同されないような提示方法が望ましい。
[電子機器のRTTに関する動作]
本実施形態に係る電子機器1のRTTに関する動作は、図1に示すコントローラ10が、ストレージ9に格納されたRTT制御プログラム9Dを読み出して実行することにより実現する。このRTT制御プログラム9Dは、制御プログラム9Aと連携可能である。あるいは、RTT制御プログラム9Dは、制御プログラム9Aに組み込まれていてもよい。また、本実施形態に係る電子機器1のRTTに関する動作は、RTPプロトコルをベースにした独自のプロトコルとしてもよい。
図14から図17を用いて、本実施形態に係る電子機器1の伝搬遅延時間DTの測定及び提示に関する動作について説明する。図14は、図3に示したような、呼制御時における発呼側の電子機器1の伝搬遅延時間DTの測定及び提示に関する動作の一例を示すフローチャートである。図15は、図6に示したような、話中状態における電子機器1の伝搬遅延時間DTの測定及び提示に関する動作の一例を示すフローチャートである。図16は、図6に示したような、話中状態における受信側の電子機器1の測定応答Resに関する動作の一例を示すフローチャートである。図17は、図9に示したような、話中状態における電子機器1の自機の態様の変更に関する動作の一例を示すフローチャートである。
図14に示すように、コントローラ10は、RTT通信を行うための呼制御時において、相手側の電子機器とのセッション確立のために、通信ユニット6を介して、相手側の電子機器へ、発呼としてのセッション確立要求を送信する(ステップS101)。コントローラ10は、セッション確立要求の送信と同時に、伝搬遅延時間DTの測定を開始する(ステップS102)。
コントローラ10は、セッション確立要求の送信後、通信ユニット6を介して相手側の電子機器からセッション確立要求に対する呼び出し(鳴動)中であることを伝えるための暫定応答を受信したか確認する(ステップS103)。コントローラ10は、相手側の電子機器から暫定応答を受信していない場合(ステップS103でNo)、伝搬遅延時間DTの測定を継続し、相手側の電子機器から暫定応答を受信するまで待機する。
コントローラ10は、相手側の電子機器から暫定応答を受信した場合(ステップS103でYes)、伝搬遅延時間DTの測定を終了する(ステップS104)。コントローラ10は、伝搬遅延時間DTの測定の開始から終了までに測定した時間(開始から終了までの時間)を伝搬遅延時間DTとしてストレージ9に保存する(ステップS105)。すなわち、コントローラ10は、伝搬遅延時間DTを記録する。
その後、コントローラ10は、話中状態となったとき、ストレージ9に保存した伝搬遅延時間DTに基づいて自機の態様を変更し、伝搬遅延の発生及び遅延程度を提示する(ステップS106)。コントローラ10は、自機の態様の変更として、例えば、図9から図13に示した提示方法のいずれか又はこれらの組合せに変更する。
このように、呼制御時に予め(事前に)伝搬遅延時間DTを測定しておくことで、話中状態となったときに直ちに伝搬遅延の発生及び遅延程度(遅延量、遅延時間の大小)を利用者に提示することができる。
図15に示すように、コントローラ10は、話中状態において、伝搬遅延時間DTを測定するために、通信ユニット6を介して、相手側の電子機器へ、測定要求ReqのRTPパケット20を送信する(ステップS201)。コントローラ10は、測定要求ReqのRTPパケット20の送信と同時に、伝搬遅延時間DTの測定を開始する(ステップS202)。
コントローラ10は、測定要求ReqのRTPパケット20の送信後、通信ユニット6を介して相手側の電子機器から測定応答ResのRTPパケット20を受信したか確認する(ステップS203)。コントローラ10は、相手側の電子機器から測定応答ResのRTPパケット20を受信していない場合(ステップS203でNo)、伝搬遅延時間DTの測定を継続し、相手側の電子機器から測定応答ResのRTPパケット20を受信するまで待機する。
コントローラ10は、相手側の電子機器から測定応答ResのRTPパケット20を受信した場合(ステップS203でYes)、受信した測定応答ResのRTPパケット20が、送信した測定要求ReqのRTPパケット20に対する測定応答ResのRTPパケット20であるか確認する(ステップS204)。具体的には、コントローラ10は、測定応答ResのRTPパケット20のペイロードの所定領域に格納されたシーケンス番号が、送信した測定要求ReqのRTPパケット20のヘッダに格納されたシーケンス番号と一致するか確認する。RTPパケット20のペイロードの所定領域とは、例えば、図8に示した先頭ビットアドレス「96」の領域におけるビットアドレス「16−31」の領域である。このとき、コントローラ10は、シーケンス番号が一致していれば、送信した測定要求ReqのRTPパケット20に対する測定応答ResのRTPパケット20であると判断する。シーケンス番号が一致していなければ、送信した測定要求ReqのRTPパケット20に対する測定応答ResのRTPパケット20ではないと判断する。
コントローラ10は、受信した測定応答ResのRTPパケット20が、送信した測定要求ReqのRTPパケット20に対する測定応答ResのRTPパケット20ではない場合(ステップS204でNo)、伝搬遅延時間DTの測定を継続し、相手側の電子機器から新たな測定応答ResのRTPパケット20を受信するまで待機する。
コントローラ10は、受信した測定応答ResのRTPパケット20が、送信した測定要求ReqのRTPパケット20に対する測定応答ResのRTPパケット20である場合(ステップS204でYes)、伝搬遅延時間DTの測定を終了する(ステップS205)。
コントローラ10は、伝搬遅延時間DTの測定の開始から終了までに測定した時間(開始から終了までの時間)を伝搬遅延時間DTとしてストレージ9に保存する(ステップS206)。すなわち、コントローラ10は、伝搬遅延時間DTを記録する。コントローラ10は、ストレージ9に保存した伝搬遅延時間DTに基づいて自機の態様を変更し、伝搬遅延の発生及び遅延程度を提示する(ステップS207)。コントローラ10は、自機の態様の変更として、例えば、図9〜図13に示した提示方法に変更する。
このように、RTT通信が可能な状態である話中状態において伝搬遅延時間DTを測定することで、RTT通信の話中状態の間にリアルタイムで発生した伝搬遅延に関する伝搬遅延時間DTを測定でき、現時点での伝搬遅延の発生及び遅延程度(遅延量、遅延時間の大小)を利用者に提示することができる。
図16に示すように、コントローラ10は、話中状態において、通信ユニット6を介して相手側の電子機器1から測定要求ReqのRTPパケット20を受信する(ステップS301)。コントローラ10は、受信した測定要求ReqのRTPパケット20のヘッダに格納されているシーケンス番号を確認する(ステップS302)。
コントローラ10は、受信した測定要求ReqのRTPパケット20に対応する測定応答ResのRTPパケット20を生成する(ステップS303)。コントローラ10は、受信した測定要求ReqのRTPパケット20のヘッダに格納されていたシーケンス番号を、生成した測定応答ResのRTPパケット20のペイロードの所定領域に複写する(ステップS304)。RTPパケット20のペイロードの所定領域とは、例えば、図8に示した先頭ビットアドレス「96」の領域におけるビットアドレス「16−31」の領域である。実際には、シーケンス番号の複写は、測定応答ResのRTPパケット20の生成(ステップS303)と同時でもよい。
コントローラ10は、通信ユニット6を介して相手側の電子機器へ、受信した測定要求ReqのRTPパケット20に対応する測定応答ResのRTPパケット20を送信する(ステップS305)。
図17に示すように、コントローラ10は、話中状態において、ストレージ9に格納されている伝送遅延時間を確認する(ステップS401)。コントローラ10は、ストレージ9に格納されている伝送遅延時間が第1閾値以上であるか確認する(ステップS402)。第1閾値は、伝搬遅延が発生しているか否かの判断基準となる閾値である。
コントローラ10は、ストレージ9に格納されている伝送遅延時間が第1閾値以上ではない場合(ステップS402でNo)、第1速度で文字を移動、例えばスライドさせることを決定する(ステップS403)。この場合、図9に示すように、コントローラ10は、RTTのテキスト受信時に、画面上において、受信した文字を、最初は表示領域の中心寄りに表示する。そして、第1速度で、1文字ずつ最終的なテキスト表示位置である表示領域の左側に移動させる。第1速度は、最も速い移動速度である。
コントローラ10は、ストレージ9に格納されている伝送遅延時間が第1閾値以上である場合(ステップS402でYes)、ストレージ9に格納されている伝送遅延時間が第2閾値以上であるか確認する(ステップS404)。第2閾値は、発生した伝搬遅延が軽度か重度かの判断基準となる閾値である。そのため、第2閾値は、第1閾値よりも大きな値である。
コントローラ10は、ストレージ9に格納されている伝送遅延時間が第2閾値以上ではない場合(ステップS404でNo)、第2速度で文字を移動、例えばスライドさせることを決定する(ステップS405)。この場合、図9に示すように、コントローラ10は、RTTのテキスト受信時に、画面上において、受信した文字を、最初は表示領域の中心寄りに表示する。そして、第2速度で、1文字ずつ最終的なテキスト表示位置である表示領域の左側に移動させる。第2速度は、中程度の移動速度であり、第1速度よりも遅く、第3速度よりも速い。
コントローラ10は、ストレージ9に格納されている伝送遅延時間が第2閾値以上である場合(ステップS404でYes)、第3速度で文字を移動、例えばスライドさせることを決定する(ステップS406)。この場合、図9に示すように、コントローラ10は、RTTのテキスト受信時に、画面上において、受信した文字を、最初は表示領域の中心寄りに表示する。そして、第3速度で、1文字ずつ最終的なテキスト表示位置である表示領域の左側に移動させる。第3速度は、最も遅い移動速度であり、第2速度よりもさらに遅い。
上記の図17では、閾値で区切られた段階的な速度で文字を移動させる事例について説明しているが、実際には閾値で区切られた段階的な速度ではなく、伝搬時間に比例した速度で文字を移動させるようにしてもよい。例えば、所定の値を伝搬遅延時間で割った値を速度とし、その速度で文字を移動させるようにしてもよい。これにより、伝搬遅延時間が大きくなるほど文字を移動させる速度が遅くなるため、実際の伝搬時間を反映した速度で文字を移動させることができる。
また、本実施形態では、リアルタイムテキストでのテキストメッセージ通信を一例として説明しているが、本発明は、リアルタイムテキスト以外のテキストメッセージ通信に適用することも可能である。
[他の実施例]
なお、上記の説明では、本実施形態に係る電子機器1の例として、無線通信端末を挙げているが、実際には、固定端末でもよい。また、通信方式は、無線通信に限らず、有線通信でもよい。本実施形態に係る電子機器は、例えば、デスクトップパソコンやIP電話機でもよい。少なくとも、IP電話とRTTに対応可能な電子機器であれば、機器の種別や通信方式に関わらず、本発明を実施することが可能である。なお、IP電話には、光通信回線(光ファイバー等)を利用した電話サービスも含まれるものとする。
また、上記の説明では、文字入力の際、アルファベット等の文字を入力する事例を挙げているが、実際には、アルファベット等の文字に限らず、文字と同様に利用者の操作により入力が可能な数字、記号、画像、及び図形等でもよい。なお、利用者の操作による入力には、ソフトウェアキーの押下による直接入力に限らず、予測入力における入力候補の選択、予測変換における変換候補の選択等も含まれる。
また、上記の説明では、本実施形態に係る電子機器1に対する文字入力操作の例として、タッチスクリーンディスプレイ2に表示されたソフトウェアキーの操作を挙げている。但し、これは一例にすぎず、本発明を限定するものではない。実際には、マイク8を用いて音声入力された音声データや、カメラ12又はカメラ13を用いた画像認識により得られた画像データ等を基に、これらの音声データ又は画像データを解析して作成されたテキストデータを使用して文字入力を行ってもよい。例えば、音声をテキストに変換する自動音声認識ソフトウェアや、画像化されている文字からテキストを抽出する文字認識ソフトウェア等を利用してもよい。
また、上述した本実施形態に係る電子機器1のテキストメッセージ通信は、1対1(ユニキャスト)通信に限らず、1対多(マルチキャスト)通信でもよい。1対多(マルチキャスト)通信の場合には、どの通信相手のテキストが判別できるように通信相手ごとにテキスト表示方法を変更すると好ましい。例えば、テキストの表示領域を通信相手ごとに分ける、テキストの文頭に通信相手の名称や略称(識別情報)を表示する、テキストの文字色を通信相手ごとに変更する等の表示方法が考えられる。但し、これらは例示にすぎず、本発明を限定するものではない。
以上のように、本実施形態に係る電子機器は、テキスト情報を送受信する通信部と、通信部における通信の伝搬遅延時間を測定し、通信部で受信したテキスト情報を表示するときに、伝搬遅延時間に基づいて、自機の態様を変更する制御部と、を備えることを特徴とする。ここで、通信部は、図1に示す通信ユニット6に相当する。制御部は、図1に示すコントローラ10に相当する。自機の態様は、例えば、電子機器自体の挙動(動作)や電子機器自体の外観等であり、電子機器における伝搬遅延の発生及び遅延程度の表現方法である。自機の態様及びその変更(変化)は、人の知覚によって認識することができるものとする。
自機の態様の変更は、伝搬遅延時間に応じて、受信した文字が表示画面上で表示される位置へ移動する速度を切り替えることや、伝搬遅延時間を示すインジケータを表示することや、遅延程度に応じてバイブレーションの振動を変化させることや、遅延程度に応じて効果音を変化させることや、遅延程度に応じてテキスト表示内容を変化させることを含む。
本発明によれば、例えば、SIPをベースにした通話に付随したテキスト通信技術であるRTTにおいて、通信環境の要因等により発生する、テキスト送受信の伝搬遅延の大きさを、画面表示やその他の方法で利用者に提示することができる。例えば、上述の実施例にあるように、呼制御時および、話中状態におけるRTTの通信の伝搬遅延時間を測定し、発生している伝搬遅延時間に応じて、受信した文字を表示する際の画面効果(例:スライドスピード)を伝搬遅延時間に応じて変化させる方法や、伝搬遅延時間を示すインジケータ(例:バー)の表示を行うといった画面表示や、その他の方法で伝搬遅延の発生や遅延程度(遅延量、遅延時間の大小)を利用者に知らせることができる。
このように、伝搬遅延時間の測定及び伝搬遅延の発生や遅延程度の提示が可能となれば、RTTにおけるテキスト表示の遅延の原因が、送信側での文字入力自体が遅いこと(入力遅延)によるものではなく、ネットワークの通信速度が遅いこと(伝搬遅延)によるものであると判別可能になる。したがって、RTTにおけるテキスト表示の遅延の原因が送信側の利用者ではなくネットワークにあることを、受信側の利用者が認識、判断できるようになる。これにより、RTTにおいてテキスト表示が遅れていることに対する受信側の利用者の不安感や不快感をある程度軽減(緩和)することが期待できる。
すなわち、テキスト送受信に伝搬遅延が発生していることを画面表示やその他の方法で利用者に提示することで、伝搬遅延のある環境でのRTT利用者のテキスト表示遅延に対する不満を軽減することができる。
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
1 電子機器
1A 第1電子機器
1B 第2電子機器
2 タッチスクリーンディスプレイ
2A ディスプレイ
2B タッチスクリーン
3 ボタン
4 照度センサ
5 近接センサ
6 通信ユニット
7 レシーバ
8 マイク
9 ストレージ
9A 制御プログラム
9B 文字入力制御プログラム
9C アドレス帳データ
9D RTT制御プログラム
9Z 設定データ
10 コントローラ
11 スピーカ
12 カメラ
13 カメラ
14 コネクタ
15 モーションセンサ
20 RTPパケット
21 ヘッダ部分
22 ペイロード部分
100 通信システム
NW ネットワーク
NW1 第1無線ネットワーク
NW2 第2無線ネットワーク

Claims (12)

  1. テキスト情報を送受信する通信部と、
    前記通信部における通信の伝搬遅延時間を測定し、前記通信部で受信した前記テキスト情報を表示するときに、前記伝搬遅延時間に基づいて自機の態様を変更する制御部と、
    を備える電子機器。
  2. 前記通信部は、テキストメッセージをリアルタイムに送信する技術を使用した前記テキスト情報を受信する、請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記自機の態様の変更は、前記伝搬遅延時間の程度に応じて、受信した文字が表示画面上で表示される位置へ移動する速度を切り替えることを含む、請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
  4. 前記自機の態様の変更は、前記伝搬遅延時間の程度を示すインジケータを表示することを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
  5. 前記自機の態様の変更は、前記伝搬遅延時間の程度に応じてバイブレーションの振動を変化させることを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
  6. 前記自機の態様の変更は、前記伝搬遅延時間の程度に応じて効果音を変化させることを含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
  7. 前記自機の態様の変更は、前記伝搬遅延時間の程度に応じてテキスト表示内容を変化させることを含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子機器。
  8. 前記制御部は、呼制御時において、発呼に伴いセッション確立要求を送信してから、前記セッション確立要求に対して着呼側の電子機器から呼び出し中であることを示す暫定応答を受信するまでの処理に基づいて、前記伝搬遅延時間を測定する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電子機器。
  9. 前記制御部は、話中状態において、前記通信部を介して相手側の電子機器へ前記伝搬遅延時間の測定要求のパケットを送信してから、前記通信部を介して前記相手側の電子機器から前記測定要求に対応する測定応答のパケットを受信するまでの処理に基づいて、前記伝搬遅延時間を測定する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子機器。
  10. 前記制御部は、話中状態において、前記通信部を介して相手側の電子機器から前記伝搬遅延時間の測定要求のパケットを受信したとき、前記測定要求のパケットのヘッダに含まれるシーケンス番号を、前記測定要求に対応する測定応答のパケットのペイロードの所定領域に複写し、前記通信部を介して前記相手側の電子機器に前記測定応答のパケットを送信する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電子機器。
  11. 通信の伝搬遅延時間を測定することと、
    テキスト情報を受信することと、
    受信した前記テキスト情報を表示し、かつ、前記伝搬遅延時間に基づいて自機の態様を変更することと、
    を含む電子機器の伝搬遅延提示方法。
  12. 通信の伝搬遅延時間を測定するステップと、
    テキスト情報を受信するステップと、
    受信した前記テキスト情報を表示し、かつ、前記伝搬遅延時間に基づいて自機の態様を変更するステップと、
    を、電子機器に実行させるプログラム。
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