JP2021003820A - 3次元プリンタ、3次元プリンタ用モジュール装置、及び立体造形物の造形方法 - Google Patents

3次元プリンタ、3次元プリンタ用モジュール装置、及び立体造形物の造形方法 Download PDF

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【課題】信頼性の高い3次元プリンタの提供。【解決手段】造形材料を加熱して融解し吐出するホットエンドと、前記造形材料を前記ホットエンドに供給する送り手段と、前記造形材料の加熱を制御する制御手段と、を備えた3次元プリンタであって、前記ホットエンドは、前記造形材料が供給される供給口を有する供給部、融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給口と前記吐出口を連通する通路、及び、加熱手段が取付けられ前記造形材料を融解する融解部を備え、前記制御手段は、前記送り手段による前記造形材料の供給を一時停止している間、前記融解部内の前記造形材料の融解状態を維持するために前記加熱手段に所定量の電力を供給する制御、及び、前記送り手段が前記造形材料の供給を再開するのと略同期して前記加熱手段に前記所定量よりも大きい量の電力を供給する制御、を実行可能とすることを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、熱溶解積層方式を用いた3次元プリンタ、3次元プリンタ用モジュール装置、及び立体造形物の造形方法に関し、特にフィラメント状(線状、棒状等)の造形材料(フィラメント)を加熱して融解し吐出させるホットエンド、造形材料をホットエンドに供給するための送り手段、及びホットエンドの加熱を制御する制御手段を備える3次元プリンタ、3次元プリンタ用モジュール装置、及び立体造形物の造形方法、に関する。
近年、コンピュータを利用して3次元プリンタにより立体造形物を製造することが盛んに行われている。このような3次元プリンタによる主要な造形方式として、熱溶解積層方式(FDM)がよく知られている。この種の3次元プリンタに用いられるホットエンド(吐出ヘッド)として、例えば図10に示されるような構造のものが提案されている(特許文献1参照)。図10に示されるホットエンドは、内部に造形材料の流路(通路)が形成された、金属ブロックからなる流路構造体100の側面に、絶縁基板101a、発熱抵抗体101b、温度測定用抵抗体(図示せず)及びカバー部材101cからなる加熱板101が取付けられている。流路構造体100には取付部102を介して造形材料供給部103が取付けられ、フィラメント105が図示されない送り手段によって流路構造体100の流路に送り込まれる。流路内に送り込まれた造形材料は、加熱板101から与えられる熱により融解され、流路構造体100の先端に設けられる吐出口104から融解された造形材料106が吐出される。
このFDMに用いられるホットエンドでは、加熱板101に設けられる温度測定用抵抗やヒートブロックに設けられるサーミスタ等の加熱手段に設けられる温度センサが、フィラメントの種類に応じて設定される所定の温度範囲の下限値以下になったことを検知すると加熱手段への電力供給を再開して加熱を開始し、所定の温度範囲の上限値に達したことを検知すると加熱手段への電力供給を停止するといった加熱温度制御が行われている。つまり、加熱手段への電力供給のON/OFFによって、加熱温度を所望の温度範囲に維持するといった温度制御が行われている。
特開2018−66056号公報
しかしながら、上述のFDM用のホットエンドの温度制御では、立体造形物を造形している最中、次造形とのインターバル中、造形途中の立体造形物の観察による造形過程の確認時などに、造形動作(融解した造形材料の吐出)を一時的に停止し、その後に造形動作を再開する際、良好な造形動作が実施できない事態が発生する虞がある。すなわち、ホットエンド本体や加熱手段の小型化により熱容量が小さくなったり、積層速度を上げるためにフィラメントの送り速度が速くなったりすると、例えば、加熱手段の温度が所定の温度範囲の下限値に近付き加熱を再開すべく電力供給をONにする直前のタイミングでフィラメントが送り込まれ(押し込まれ)て造形が開始されると、低温のフィラメントに熱が奪われるなどして温度が下限値よりも低下してしまうのである。
フィラメントとして、特に、スーパーエンジニアリングプラスチック(例えば、PEEK)等、300℃以上で融解する必要のある高温融解材料(高温材料)を使用する場合には、この温度が低下する影響が大きくなりやすく、流路内での造形材料の粘度が一時的に上昇し、造形材料の送り込み(押し込み)及び吐出がスムースに行えなくなり、吐出される造形材料の途切れや、吐出した造形材料の密着性の低下をも引き起こしかねない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的は、FDMの3次元プリンタにおいて、造形動作を断続的に繰り返し実行した場合であっても、良好な造形動作を実行し得る信頼性の高い、3次元プリンタ、3次元プリンタ用のモジュール装置、立体造形物の造形方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、3次元プリンタのホットエンドにおける造形材料を融解させる加熱手段の制御において、一時停止した造形動作の再開時のフィラメントの送り込みの開始に同期して加熱手段への供給電力の追加を行うことにより、良好な造形動作を行えることを見出した。
すなわち、本発明は、フィラメント状の造形材料を加熱して融解し吐出するホットエンドと、前記フィラメント状の造形材料を前記ホットエンドに供給するための送り手段と、前記フィラメント状の造形材料の加熱を制御する制御手段と、を備えた3次元プリンタであって、前記ホットエンドは、前記フィラメント状の造形材料が供給される供給口を有する供給部、融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給口と前記吐出口を連通する通路、及び、加熱手段が取付けられ供給された前記フィラメント状の造形材料を融解する融解部を備え、前記制御手段は、前記送り手段による前記造形材料の供給を一時停止している間、前記融解部内の前記造形材料の融解状態を維持するために前記加熱手段に所定量の電力を供給する制御、及び、前記送り手段が前記造形材料の供給を再開するのと略同期して前記加熱手段に前記所定量よりも大きい量の電力を供給する制御、を実行可能とすることを特徴とする3次元プリンタ、に係る。
本発明においては、造形材料の供給を再開するのと略同期して加熱手段に所定量よりも大きい量の電力を供給する制御を実行可能としているが、本発明において「同期」とは、造形材料の供給開始と同時もしくは造形材料の供給開始時点より少し前(供給開始に前もって)を意味する。つまり、造形材料の供給の再開されるのと同時もしくは前もって加熱手段に供給する電力(W)を大きくすることで、造形材料の供給により融解部の温度が低下するのを事前にもしくは同時に補おうとするものである。なお、造形材料の供給開始時点より少し前、例えば約1.0〜0.3秒前、に加熱手段へ追加した電力(所定量よりも大きな量の電力)を供給するのがより好ましい。造形材料の供給開始(再開)時には融解部の温度(加熱温度)が低下するため、造形材料の供給再開時点より少し前に余剰な加熱をすることで、融解部内の融解造形材料の粘度が必要以上に高くなるのを軽減でき、円滑な吐出を行うことができる。
また、本発明は、フィラメント状の造形材料を加熱融解し吐出するホットエンドと、前記フィラメント状の造形材料を前記ホットエンドに供給するための送り手段と、前記フィラメント状の造形材料の加熱を制御する制御手段と、を備えた3次元プリンタ用モジュール装置であって、前記ホットエンドは、前記フィラメント状の造形材料が供給される供給口を有する供給部、融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給口と前記吐出口を連通する通路、及び、加熱手段が取付けられ供給された前記フィラメント状の造形材料を融解する融解部、を備え、前記制御手段は、前記送り手段による前記造形材料の供給を一時停止している間、前記融解部内の前記造形材料の融解状態を維持するために前記加熱手段に所定量の電力を供給する制御、及び、前記送り手段が前記造形材料の供給を再開するのと略同期して前記加熱手段に前記所定量よりも大きい量の電力を供給する制御、を実行可能とすることを特徴とする3次元プリンタ用モジュール装置、に係る。
本発明の3次元プリンタ又は3次元プリンタ用モジュールにおいて、ホットエンドは、加熱手段と供給部との間に、ホットエンドを取り囲むように設けられた温度調整部を備えていてもよい。温度調整部が設けられることによって、フィラメント状の造形材料は融解部に至る前に予熱され、造形材料の送り込みが再開された際の融解部の温度の低下が抑制され得る。また、温度調整部を設けることによって、ホットエンドの下端部(先端部)から供給部にかけて適切な温度勾配とし得、融解した造形材料が必要以上に供給部側へ逆流することを防止でき、一度融解した造形材料がホットエンドの上部側で再び固化することによる詰りの問題を軽減することができる。
本発明の3次元プリンタ又は3次元プリンタ用モジュールにおいて、加熱手段を、ホットエンド(融解部)を取り囲むように(周方向に)例えば2〜4個を配置して用いてもよく、また、ホットエンドの上下方向(長さ方向)に複数個、例えば2〜3個配置して用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。複数の加熱手段は、融解部に対向する加熱面積が同じもの(サイズが同じもの)であっても異なるもの(サイズが異なるもの)であってもよく、ホットエンドの長さ方向に互いにずれた位置に設けるようにしてもよい。
さらに、本発明は、所定のピッチで供給されるフィラメント状の造形材料を加熱手段によって加熱融解して積層する立体造形物の造形方法であって、前記造形材料の供給が一時停止したときに前記加熱手段に所定量の電力を供給する工程、及び前記造形材料の供給を再開するのと略同期して前記加熱手段に前記所定量よりも大きい量の電力を供給する工程を有することを特徴とする立体造形物の造形方法、に係る。
なお、本発明において、「加熱手段」としては、特に限定されず、例えば、絶縁基板上に発熱抵抗体を厚膜形成した加熱ヘッドのような加熱板、ヒートブロック等の公知のもの等を用いることができるが、発熱応答性に優れる加熱ヘッドを用いるのがより好ましい。
本発明によれば、造形動作の再開(開始)時に、フィラメント状の造形材料(フィラメント)の送り込みの開始と同時もしくは少し前に(同期して)加熱手段へ供給する電力の量を、フィラメント送りの一時停止時に加熱手段へ供給する電力の量よりも大きくするようにしたので、造形動作を一時停止した後に再開すべくフィラメントが送り込まれたときに、融解部の熱が新たに供給されたフィラメントに奪われることにより一瞬融解部の温度が低下して造形材料の粘度が必要以上に高くなることを抑制できて、良好な造形動作を行うことができる3次元プリンタ、3次元プリンタ用モジュール装置、及び立体造形物の造形方法を提供することができる。また、ホットエンドの小型化の促進、積層速度の向上、消費電力の低減を図ることができる。
なお、温度調整部を用いるときには、融解部に供給される前のフィラメントが幾分予熱されることで、フィラメントが再度送り込まれとしても融解部の温度が所定の温度未満に低下することの抑制効果をさらに向上し得る。また、温度調整部を設けることによって、ホットエンドの下端部(先端部)から供給部にかけて適切な温度勾配とし得、融解した造形材料が必要以上に供給部側へ逆流することを防止できて詰りの問題を軽減することができるので、より信頼性が高い3次元プリンタ、3次元プリンタ用モジュール装置、及び立体造形物の造形方法を提供することができる。
本発明の一実施形態の3次元プリンタにおけるホットエンドの(A)正面図及び(B)側面図である。 本発明の一実施形態の3次元プリンタにおけるホットエンドの、ヘッド本体の(A)正面図及び(B)底面図である。 本発明の一実施形態の3次元プリンタを説明する模式図である。 本発明の一実施形態の3次元プリンタにおけるホットエンドの、加熱手段である加熱板を説明する図である。 制御手段による加熱の制御を説明するブロック図である。 制御手段による加熱の制御を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態の3次元プリンタにおけるホットエンドの、別の例を示す側面図である。 本発明の一実施形態の3次元プリンタにおけるホットエンドの、さらに別の例を示す側面図である。 本発明の一実施形態の3次元プリンタにおけるホットエンドの、さらに別の例を示す側面図である。 従来の3次元プリンタにおけるホットエンドの一例を示す側面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態の3次元造形装置(3次元プリンタ)用のホットエンドを説明する。図1(A)には本発明の3次元プリンタに用いられるホットエンドの一例であるホットエンド10の正面図が、図1(B)にはホットエンド10の側面図が示され、図2(A)にはヘッド本体1の正面図が、図2(B)にはヘッド本体1の底面図が示されている。ホットエンド10は、フィラメント状の造形材料の供給口111を有する供給部11、供給されたフィラメント状の造形材料を融解する融解部13、融解された造形材料を吐出する吐出口141を有する吐出部14、供給部11と融解部13との間であって融解部13の熱が供給部11へ伝導するのを抑制する断熱部12、及び供給口111と吐出口141とを連通する通路2を有するヘッド本体1に、融解部13を加熱する加熱手段である加熱板15と、融解部13と断熱部12との間の境界部又は境界部近傍に温度調整部16が設けられている。図示される例では、一対の加熱板15がヘッド本体1の融解部13の対向する両面に接してヘッド本体1を挟むように設けられているが、加熱板15はいずれか一方にのみに設けられてもよい。なお、図1(B)においては、加熱板15はその構成要素である、発熱抵抗体152、電極153(図4参照)、及びリード150(図1A参照)は省略されて描かれている。
ホットエンド10は、3次元プリンタ又は3次元プリンタ用モジュール装置に、アダプター(図示せず)を介して取付けられ得る。例えば、アダプターに設けられた開口に、ホットエンド10の供給部11が挿入され、押しネジなどによって固定することができる。アダプターには供給口111に連通する通路が設けられ、フィラメント状の造形材料がこの通路を通じ、ホットエンド10の流路(通路)2に挿通される。供給部11の外周にネジ溝を切って螺合によってアダプターに取付けることもできる。
図3には、ホットエンド10が取付けられた、熱溶解積層方式(FDM)の3次元プリンタの構成の一例が模式的に示されている。図3では、造形室301内の3次元プリンタ用モジュール装置が概略的な斜視図として示され、z軸方向に可動なステージ3011に、xy平面方向に回転自在の造形台座3012が載置されている。プリンタヘッド3013には、y軸方向レール3014と摺動自在に係合してx軸方向に延びる支持シャフト3016と、x軸方向レール3015と摺動自在に係合してy軸方向にのびる支持シャフト3017とが結合しており、プリンタヘッド3013はx軸及びy軸方向に可動とされている。ホットエンド10はアダプターを介してプリンタヘッド3013に取付けられている。プリンタヘッド3013にはフィラメントリール304から送り手段305によって送られたフィラメントが供給される。この供給されたフィラメントはホットエンド10の流路内へと挿通され、ホットエンド10の融解部13の熱によって融解した造形材料は、回転台座3012上に吐出され、立体造形物が造形される。
プリンタヘッド3013、ステージ3011、及び回転台座3012の動作は、例えばステッピングモータである駆動手段302が、造形制御手段303からの制御信号によって制御される。送り手段305のフィラメント送り動作の制御も造形制御手段303からの制御信号によって制御され、フィラメントの送り動作の開始、停止、及び送り速度の調整は、送り手段305が有するローラーの回転数によって調整され得る。ホットエンド10から吐出される融解された造形材料の吐出量は、送り手段305によるフィラメント送り速度の制御により調整される。図3で示された例の3次元プリンタはプリントヘッド3013がxy平面で移動し、ステージ3011がz軸方向で移動(上下動作)するが、プリントヘッドがxyz方向で3次元に移動する、例えばデルタ式の3次元プリンタであってもよい。造形台座3012が設けられずにxy平面方向の回転動作がステージ3011によって上下動作と併せて行われてもよい。
前述のように、ホットエンドを用いた造形動作においては、造形材料の吐出を一時的に停止した後に造形動作を再開する際に良好な造形動作を行うことができない事態が発生し得る。本発明者がこの原因について鋭意検討を重ねて調べた結果、造形動作の再開に際して造形材料を融解させる領域における通路(流路)内の温度が低下して造形材料の粘度が一時的に上昇するために、造形材料を吐出しにくくなる状況が発生することを見出した。
本発明者がさらに鋭意検討を重ねて、造形動作の再開時に流路内の温度低下が生じる原因を調べた結果、造形動作の再開時に送り込まれるフィラメントに、融解に必要な熱が奪われることによることを見出した。すなわち、造形動作が一時停止された場合には、図10を参照すると、流路構造体100の流路において加熱板101により加熱される領域にある造形材料は所定の温度範囲に維持されて融解した状態であるが、加熱板101よりも造形材料供給部103側の流路内においては、フィラメントは固体状態である。造形動作が再開(フィラメントの送り込みが開始)されることにより、加熱板101より造形材料供給部103側にある固体状のフィラメントが、加熱板101が設けられている領域に送り込まれると、フィラメントの融解熱によって加熱板101が設けられている領域の流路内の温度低下を引き起こすことになる。この温度低下は、ホットエンドのサイズが小型であるほど、その熱容量が小さくなることが要因となって顕著に現れ得る。また、PEEKなどの比較的融点が高い造形材料を使用する場合にはその融解に必要な熱量も大きくなることから、温度の低下はさらに顕著になる傾向にある。
そこで本発明者は、詳しくは後述するように、造形動作を再開する際には、造形動作の一時停止中に行われる加熱手段への供給電力の量より大きい量の電力を、フィラメントの送り込み開始に同期して、加熱手段に供給を行うように制御することで、温度の低下を防止し、造形動作の不良を回避し得ることを見出した。また、さらに、詳しくは後述するように、温度調整部16を設けることにより、融解部13に送り込まれる前の固体状のフィラメントを、融解部13の余熱を利用して予熱しておくことで、造形動作の不良の発生を効果的に抑制し得ることを見出した。
続いて、先ず、ヘッド本体1について詳しく説明する。図2(A)にはヘッド本体1の正面図、図2(B)にはヘッド本体1の底面図が示されている。ヘッド本体1は、供給部11、断熱部12、融解部13及び吐出部14が、金属やセラミックス等の耐熱材料から一体的に形成されているものであってもよいし、一部又は全部が独立可能に形成されていてもよいし、各部の間のいずれか或いはすべてに他の部材を介在させるなど非連続的なものであってもよい。図示される例では、ヘッド本体1は、全長が例えば32mmで、直径が例えば4mmφの、例えば64チタン(チタンにアルミニウム6質量%、バナジウム4質量%を混ぜた合金)からなる円柱状の金属棒を、例えば切削加工してなるものである。
ヘッド本体1には、一端側のフィラメントの供給口111から他端側の融解された造形材料を吐出する吐出口141へ一直線に延びる、直径が例えば2mmφの通路(貫通孔)2が形成されている。なお、ヘッド本体1及び通路2のサイズは、フィラメントのサイズに応じて適宜変更され得る。
ヘッド本体1の供給部11は、例えば長さ5mm、直径4mmφの円柱形状(円筒形状)とされている。供給部11は、先端に供給口111が形成され、例えば2mmφの通路2が供給口111近傍において供給口111側に向けて、例えば3mmφまで拡がるようにテーパ状に形成されている。供給部11は、3次元プリンタに取付けるためのアダプター(図示せず)への取付部としての役割も兼ねている。
断熱部12は、融解部13よりも熱抵抗が大きくなるように形成されており、図示される例では、断熱部12は、供給部11と融解部13との間に位置し、例えば長さ11mm、直径3mmφの円柱形状(円筒形状)とされている。断熱部12は、上述のように直径3mmφとされ、その中心部を貫通する直径2mmφの通路2が形成されることから、外壁の肉厚が0.5mmの肉薄部とされている。また、断熱部12の中央部には、断熱部12の断面積を小さくしてその熱抵抗を高くし得る、例えば長さ8mm、幅1.8mmの開口部121が、通路2に対向して一対で形成され得る。開口部121は、ヘッド本体1の長さ方向及び/又は幅方向に1つ又は複数設けてもよく、サイズも適宜決定すればよい。熱抵抗との関係で断面積を、強度が保証される範囲内で適宜決定することができる。
融解部13は、例えば長さ13mm、直径4mmφとされている。融解部13には、平面側(図2(A)における紙面の表面側)と背面側(図2(A)における紙面の裏面側)が切削されて2つの平面部が、例えば3mm隔てて対向するように形成されている。平面部の中央部には、例えば長さ8mm、幅1mmの開口部131が、通路2を露出するように形成されている。開口部131は、長さ方向に複数並設するようにしてもよい。なお、加えて、平面部の表面を粗面化してもよいし、開口部131を形成せずに粗面化のみしてもよい。また、融解部13の吐出部14近傍において、通路2は吐出部14に向かってテーパ状に狭くされ、吐出部14内で例えば直径0.6mmφ程度とされる。
吐出部14は、例えば長さ3mmとされ、正面側と背面側から切削されて、例えば幅3mmとされ、吐出部14の長さ方向の途中まで、吐出口141に向かってテーパ状に細められ、吐出口141が形成された先端部は、例えば直径1.5mmφとされ、吐出口141は、例えば直径0.6mmφとされる。
ホットエンド10における融解部13を加熱する加熱手段としては、例えば絶縁基板上に厚膜抵抗体層を形成した加熱板(加熱ヘッド)、ヒートブロック等公知のものを広く使用することができるが、応答性やサイズの点において加熱板を用いるのが好ましい。本実施形態のホットエンド10に用いられる加熱板15の構造の一例を図4に示す。ヘッド本体1の融解部13に取付けられる加熱板15は、例えば厚さ0.3mm、長さ12mm、幅5mmの矩形板状のアルミナ又はジルコニアなどのセラミック基板(絶縁基板)151と、絶縁基板151の表面に形成された帯状の発熱抵抗体152と、絶縁基板151の表面において発熱抵抗体152の両端部のそれぞれに接続するように形成された電極153を有する。なお、発熱抵抗体152の表面を、例えばフィラーを含むガラス等の保護層(誘電体層)でコートしてもよい。
加熱板15は、絶縁基板151に、例えばAg、Pd、Pt等の合金粉末や酸化ルテニウムを含む厚膜用ペースト等を所定のパターンに印刷、乾燥後、所定温度で焼成することで発熱抵抗体152、電極153を形成することができる。
また、絶縁基板151の電極153の形成部には、電極153とリード150(図1(A)参照)との接続強度を向上させるために切欠部が形成され得る。図4に示される例では切欠部は1つの電極153に対して2つずつ設けるようにしたが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。さらに、切欠部に代えて貫通孔(スルーホール)を1つ若しくは複数設けてもよいし、切欠部と貫通孔とを組み合わせて用いるようにしてもよい。つまり、切欠部や貫通孔を設けるのは、電極153とリード150との接続強度を向上させるために、接続面積を増やしたり、アンカー効果等機械的係合が得られる対策をとることで、高温に加熱したり、2次元的又は3次元的に移動操作させた場合であっても接続不良が生じないようにしている。
ヘッド本体1に加熱板15が取付けられた状態では、加熱板15は、その裏面(絶縁基板151の発熱抵抗体152が形成されていない面)側をヘッド本体1の融解部13の平面部に、開口部131を覆うように、例えば銀系の厚膜ペースト(Agに例えばガラス、Cuが含有されたもの)を接合材料として塗布、焼成して、接合されている。このとき、接合材料が開口部131に入り込み、アンカー効果が得られることで、加熱部材をヘッド本体1の融解部13に強固に接合して取付けることができる。ここでは、融解部13の外壁面に対向するように研削して設けられた平面部に、一対の加熱板15を対向配置するようにしているが、加熱板15は、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。例えば、融解部の外周に研削平面を4面設け、3つ乃至4つの加熱板15を設けてもよく、さらに、加熱板15のサイズや設置位置を一部乃至全部の面を変えたり、ヘッド本体1の長さ方向にも複数の加熱板を並設したり、長さ方向の設置位置を変えたりして、融解部13の平面部により適切な温度勾配を形成するようにしてもよい。
本実施の形態では、加熱板の幅(5mm)を、ヘッド本体1の融解部13の平面部の幅(4mm)よりも僅かに広くし、加熱板15とリード150との接続部をヘッド本体1の融解部13の平面部の一方側の側縁から外方へ飛び出させて、ヘッド本体1に加熱板15を接合させるようにしている。
図5は、ホットエンド10において、加熱板15の発熱抵抗体152によって温度測定をも行い、測定された温度に応じて発熱抵抗体152による加熱を調整することで温度制御をする場合の駆動回路の一例を示すブロック図である。すなわち、この駆動回路は直流又は交流の電源154で駆動する例で、電源154としては、電池、商用電源又は商用電源をトランスなどにより電圧や印加時間を調整して、調整部を介して発熱抵抗体152に接続されている。
加熱板15の温度は、発熱抵抗体152を利用して、その抵抗値の変化によって検出することができる。発熱抵抗体152の抵抗値の変化は、図5に示されるように、発熱抵抗体152と直列にシャント抵抗155が接続され、その両端の電圧を測定することによって、電流の変化を検出できる。発熱抵抗体152に印加する電圧が一定のとき、電流の変化が分れば、抵抗値の変化を知ることができる。すなわち、発熱抵抗体152の抵抗値は温度によって変る温度特性を有している。そのため、その温度特性(温度係数)を予め検出しておくことによって、抵抗値が分れば、発熱抵抗体152、すなわち絶縁基板151の温度を知ることができる。この温度検出は制御手段によってなされる。また、シャント抵抗155は、発熱の影響を避けるため温度検知が可能な限り抵抗値の低い方がよい。また、できるだけ温度係数の小さい抵抗が好ましく、電流による発熱を避けるため、電流が小さくなるように設定される。なお、温度検出は、発熱抵抗体152とは別に温度測定用抵抗体を絶縁基板151の発熱抵抗体152付近に設けて、温度測定用抵抗体に接続される測定用電源から供給される電流と、温度測定用抵抗体の両端の電圧の測定により導出される抵抗値の変化を測定することによって、絶縁基板151の温度を検出してもよい。また、加熱板15の温度は、絶縁基板151の吐出部14側から断熱部12側にかけて温度勾配が生じたりして、絶縁基板151の下端部と上端部とで異なる温度となっている場合があるので、絶縁基板151の複数カ所で温度を測定し、その平均を検出温度として制御するようにしてもよい。複数の加熱板を用いるときも、各加熱板の温度の平均を検出してもよい。絶縁基板151を通して、融解部13の外壁面である平面部の全面の平均温度を検出するようにしてもよい。さらに、融解部13の外壁面に熱電対を溶着(融着)して温度勾配を測定してもよく、この測定温度に基づき、低温側に追加加熱したりして、温度勾配を変化させたり、温度勾配の中間点位置を変化させるようにしてもよい。
制御手段は、造形動作が一時停止された待機状態(融解部内のフィラメント(樹脂)が融解した状態)では、加熱板15に所定量の電力(例えば、10W)を供給し続けることで、融解部内に融解したフィラメントがある状態を維持する。一方、造形動作中は、検出した温度に応じて、発熱抵抗体152に印加される発熱用の電圧の量を調整しながら発熱抵抗体152の温度を所定の温度範囲内に維持されるよう調整する。すなわち、制御手段にはあらかじめ、発熱抵抗体152の温度を所定の温度範囲内に維持するための上限値と下限値が与えられており、検出した温度が上限値を上回る場合には、調整部に発熱用の電力供給量を下げる信号が、下限値を下回った場合には、発熱用の電力供給量を上げる制御信号が調整部に出力される。
先述したように、造形動作が一時停止された後に再開される際、フィラメントの供給による融解部13における温度低下を抑制するために、制御手段は、造形動作を再開する際のフィラメント送り開始に同期して、調整部に対して発熱抵抗体152に対する発熱用の電力の量を、一時停止時の所定量(例えば、10W)よりも大きい量の電力(例えば、13W)に増加させる信号を調整部に伝達する。具体的には、造形動作を制御する手段である造形制御手段303(図3参照)からフィラメントの送りを開始する信号が、送り手段305(図3参照)に出力されるのと前後して、加熱板15の加熱を制御する制御手段にも出力され、この信号に応じて制御手段は調整部に対して、フィラメントの送り動作開始よりも少し前(例えば、0.5秒前)、或いは同時に発熱用の電力の量を大きくする(例えば、13W)信号を伝達する。すなわち、造形動作の一時停止中には、所定量(例えば、10W)の電力を供給して融解部内のフィラメントを融解した状態に維持し、造形動作が再開されフィラメントの送り込みが再開されると、これと同期して加熱板15(発熱抵抗体152)への供給電力の量を大きくする制御を実行する。なお、加熱を制御する制御手段は、造形制御手段303に含まれるものであってよく、別途設けられるものであってもよく、図3においては図示せずに省略している。なお、一時停止時の電力の所定量、再開時に追加供給される電力の量は、フィラメントの種類、太さ及び送り速度に合せて適宜決定され得る。換言すれば、一時停止時に加熱手段に供給されている電力の量よりもフィラメント送り再開時の供給電力量を大きくすれば、大きくした分、低温のフィラメントが新たにホットエンドに押し込まれることで奪われる熱量を前もって補うことができるのである。なお、上述及び後述に示す温度及び電力の量は、平均直径1.75mmφのPEEKからなるフィラメントを用い、送り速度を2mm/秒としたときの例である。
この造形動作の再開時のフィラメント送り開始に同期した制御動作の一例を説明するフローチャートが図6に示される。先ず、3次元プリンタ本体の電源がONにされると(S1)、融解部(加熱手段)の温度が、例えば、約430℃まで予備加熱され、待機状態になるのを待つ。予備加熱は、加熱手段に、例えば、10Wの電力を供給することで実行される。また、待機状態において、融解部の温度が、例えば、約450℃を超えないよう加熱手段に供給する電力の量を調整する制御が行われる。具体的には、例えば、約400℃〜450℃の所定温度範囲内になるよう供給電力(10W)のON/OFFの制御が行われる。
その後、造形開始の信号が与えられると(S2)、待機状態にあるのを確認又は融解部の温度が所定温度範囲内(約400℃〜450℃)にあるのを確認した後に、フィラメントが送り込まれ造形が開始される(S3)。このフィラメントの送り込みが開始されるのと同期して加熱手段への供給電力の量の追加(例えば、+3W)が行われる。具体的には、例えば、造形データ記憶装置から3Dプリンタの制御部(造形制御手段303)へ造形開始信号と造形データを送り、制御部から送り手段302に駆動信号を送る間にバッファを介在させておくことで、開始信号が送られてからフィラメント送り開始までの間にインターバルを設けることができて実際にフィラメントの送り込みが開始されて造形が開始される時点がわかり、造形が開始される(フィラメントの送り込みが開始される)時点よりも少し前(例えば、0.5秒前)に、加熱手段に追加された電力(例えば、13W)を供給するようにすることができる。
以降のフロー(S4〜S8)で、造形中でフィラメント送りがされている間、加熱手段(融解部)の温度が所定温度範囲内となるように、電力の供給調整制御が行われるが、造形が開始されてからフィラメント送りが停止(一時停止)される前の所定時間経過した時点で、S3で加熱手段へ追加した分の電力の量の3Wを取り除き、例えば10Wに戻すようにしてもよい。これは、仮にフィラメント送りを停止した状態でずっと3W追加して13Wの電力を供給し続けると融解部内の温度が約480℃まで上昇し、この状態でフィラメントを押し込むとホットエンドの供給部側へ融解した樹脂(フィラメント)が逆流して通路の詰まりを引き起こす危険性があるからで、このことから、所定温度範囲の上限値を上回り(S4:YES)電力の供給をOFF(S5)するのと関係なく、造形開始後速やかに(所定時間経過した後に)待機状態のときの供給電力(10W)に戻しておくのがより好ましい。
次に、S8でフィラメント送りが停止されたことが確認されると、その停止が造形終了の停止であるか否か(一時停止であるか)が判断され(S9)、造形終了(本体電源OFF)の場合は電源供給がOFFされる(S11)。S9において一時停止(待機状態)であると判断された場合には、融解部を所定温度範囲内に維持する電力の供給調整制御が継続される。この待機状態において、フィラメント送り再開信号の入力があると(S10)、S3の前段階に移行し、フィラメント送り再開と同期して電力供給量の増加制御が実行される。すなわち、造形動作が一時停止した後のフィラメント送り再開時には、融解部が所定温度範囲内であっても、加熱手段に追加した電力である13Wの電力が供給されて造形が再開される。
上述の制御により、造形動作の再開によって融解部13に送り込まれたフィラメント状の造形材料は効果的に加熱され、先述した造形動作の再開時におけるフィラメント融解熱に起因する温度低下は抑制され得る。その結果、融解部13の流路2内における融解した造形材料の粘度が一時的に上昇することによる造形動作の不良の発生は抑制される。
ホットエンド10は、図1(A)及び(B)に示されるように、断熱部12と融解部13の境界付近に接して取り囲むように設けられた温度調整部16を有している。温度調整部16は、例えば、アルミニウム、ステンレスなどの所定の厚みを有する金属ブロックのように、断熱部12と融解部13の境界付近の熱容量を増加させる手段であり得る。
先述したように、温度調整部16は、造形動作再開時の造形動作の不良の発生を効果的に抑制し得る。すなわち、温度調整部16は、ヘッド本体1の断熱部12と融解部13の境界付近に接して取り囲むように設けられることによって、断熱部12と融解部13の境界部分の熱容量を増大させ、放熱量を増大でき、融解部13から断熱部12にかけての温度勾配を緩やかにする。融解部13の余熱で境界付近の流路2内にある固体状のフィラメントを予熱することができる。造形動作が一時停止した際に、断熱部12と融解部13の境界付近、特に断熱部12側の流路2内にあるフィラメント状の造形材料が予熱されることによって、造形動作の再開時に融解部13に送り込まれても、造形材料の融解に必要とする熱量が少なくてすむので、予熱されていない場合と比較して、融解に際して周囲から奪う熱量が減少する。これにより、造形動作の再開時における融解部13の温度低下がさらに抑制され、造形動作は良好に行われる。
ここに融解部13と断熱部12との境界部又は境界部近傍とは、融解部13と断熱部12との間(境界)、又は融解部13と断熱部12の少なくとも何れか一方側に属する部分を含み、このとき融解部13と断熱部12の境界を含む必要はない。このような位置に温度調整部16は設けられ得る。温度調整部16サイズ、形状、重量、容量などは、造形材料の種類、造形動作中の造形材料の送り出し速度などに応じて適宜決定され得る。例えば、形状の具体例としては、リング状、円筒状、多角柱状などを挙げることができる。形状をリング状とした場合、温度調整部16の外周の直径は例えば5mmφとされる。
また、図7に示されるように、断熱部12及び融解部13の境界部に接して取り囲む、例えばリング状の金属ブロックである温度調整部16の外周に、加熱板15及び断熱部12の中途部までを取り囲むように被覆するカバー160が取付けられてもよい。カバー160は熱放射率の良い材料で形成されることが好ましく、例えば酸化処理が施された銅やステンレスなどを使用することができる。カバー160は、その取り囲む領域を閉塞するように設けられる。このような構成にすることによって、融解部13の余熱をより効率的に断熱部12側のフィラメントの予熱に利用することが可能となる。また、加熱板15からの輻射熱を融解部13近傍に留めることができるので、融解部13の加熱をより効率的に行うことが可能となる。フィラメントの予熱には、別途、予熱の手段が設けられてもよく、ホットエンド10周囲の雰囲気温度を上げておくことで予熱することもできる。
図1(A)及び(B)に示されるホットエンド10ではヘッド本体1の融解部13の切削された一対の平面の両方に一対の加熱板15、15が取付けられている。上述の、融解部13の温度を所定の範囲内に制御する為の、上限値を上回った場合の電力供給の停止、及び、下限値を下回った場合の電力供給の開始をする制御と、造形動作の再開時にフィラメント送り開始と同期して電力供給を開始する制御とは、その両方が一方の第1の加熱板15、及び、もう一方の第2の加熱板15の各々で実行され得る。しかし、一対の加熱板15、15の片方で(例えば第1の加熱板で)温度を所定の範囲内にする為の制御が行われ、他方で(例えば第2の加熱板で)フィラメント送り開始と同期して電力供給を開始する制御が行われてもよい。
温度測定は一対の加熱板15、15の各々で行われ、検出された温度に基づいて各々の加熱板15の加熱の制御が行われてよいが、片方の加熱板15で温度測定がされ、その検出温度に基づいて一対の加熱板15、15両方の加熱が制御されてもよい。また、片方の加熱板15が温度測定のみを行うようにして、他方の加熱板15で、温度を所定の範囲内にするための制御、及び造形動作の再開時にフィラメント送り開始と同期して電力供給を開始する温度制御の両方が行われてもよい。
図1(B)に示される例では一対の加熱板15、15は同じサイズに描かれ、融解部13に接する面積(加熱部分の面積)も同じ大きさとなるように描かれているが、一対の加熱板15、15はサイズが異なってよく、一方の加熱板15の融解部13に接する加熱部分の面積と、他方の加熱板15の融解部13に接する加熱部分の面積とは異なるように設けられてもよく、融解部13に接する加熱部分は、ホットエンド10の長さ方向における位置を一対の加熱板15、15でずらして設置することもできる。一方と他方でサイズが異なる一対の加熱板15、15を設けたホットエンド10の例が、図8に示される。一対の加熱板15、15の加熱部分の位置やサイズ異ならせることで、流路2内の熱分布をフィラメントの種類、サイズ、及び送り速度にあわせて適切に調整し得る。
ホットエンド10の加熱手段である加熱板15は、一対の加熱板15、15として設けられずに、ヘッド本体1の片側にのみ接して設けられてもよい。図9には、ヘッド本体1の融解部13に片側のみ切削された平面部が設けられ、加熱板15がその平面部に接して設けられた例が示されている。この例では、融解部13の片側のみが切削されて平面部とされるので、融解部13の両面が切削されて平面部が設けられたものと比較して容積が大きく、すなわち熱容量が大きく形成されるので、先述の造形動作の再開の際の温度低下が緩和され得る。この場合、複数の、加熱板15を小型化した加熱板を融解部13の平面部に貼り付けてもよい。
上述した実施形態のホットエンド、フィラメントの送り手段、及び造形材料の加熱を制御する制御手段を備えた3次元プリンタを用いて、耐熱温度が高いスーパーエンジニアリングプラスチックとして知られるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)をフィラメントに用いて良好に造形できることが確認されている。上述の実施形態のホットエンド10は、全体として長さ32mm、幅5mm程度とされ、現存するホットエンドに比べて格段に小型となっているが、造形動作を一時的に停止した後にフィラメントの送り動作を再開した際の融解部13における温度低下は抑制され、粘度が一時的に上昇した造形材料の粘度を低下させる為の加熱に要する時間が短縮されることで積層時間の遅れは軽減され、積層速度が向上し、併せて消費電力の軽減(省エネ化)も図られており、良好に立体造形物が造形されることが確認されている。
また、上述した実施形態のホットエンドは、500℃の高温に迅速昇温可能であることから、造形材料として低融点金属類や低融点ガラス類にも使用することもできる。
1 ヘッド本体
2 通路
10 ホットエンド
11 供給部
111 供給口
12 断熱部
121 開口部
13 融解部
131 開口部
14 吐出部
141 吐出口
15 加熱板
150 リード
151 絶縁基板
152 発熱抵抗体
153 電極
154 電源
155 シャント抵抗
16 温度調整部
160 カバー
100 流路構造体
101 加熱板(加熱ヘッド)
102 取付部
103 造形材料供給部
104 吐出口
105 フィラメント状の造形材料
106 融解された造形材料
301 造形室
302 駆動手段
303 造形制御手段
304 フィラメントリール
305 送り手段
3011 ステージ
3012 造形台座
3013 プリンタヘッド
3014 y軸方向レール
3015 x軸方向レール
3016、3017 支持シャフト

Claims (3)

  1. フィラメント状の造形材料を加熱して融解し吐出するホットエンドと、
    前記フィラメント状の造形材料を前記ホットエンドに供給するための送り手段と、
    前記フィラメント状の造形材料の加熱を制御する制御手段と、を備えた3次元プリンタであって、
    前記ホットエンドは、
    前記フィラメント状の造形材料が供給される供給口を有する供給部、
    融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、
    前記供給口と前記吐出口を連通する通路、及び、
    加熱手段が取付けられ供給された前記フィラメント状の造形材料を融解する融解部を備え、
    前記制御手段は、
    前記送り手段による前記造形材料の供給を一時停止している間、前記融解部内の前記造形材料の融解状態を維持するために前記加熱手段に所定量の電力を供給する制御、及び、
    前記送り手段が前記造形材料の供給を再開するのと略同期して前記加熱手段に前記所定量よりも大きい量の電力を供給する制御、を実行可能とすることを特徴とする3次元プリンタ。
  2. フィラメント状の造形材料を加熱融解し吐出するホットエンドと、
    前記フィラメント状の造形材料を前記ホットエンドに供給するための送り手段と、
    前記フィラメント状の造形材料の加熱を制御する制御手段と、を備えた3次元プリンタ用モジュール装置であって、
    前記ホットエンドは、
    前記フィラメント状の造形材料が供給される供給口を有する供給部、
    融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、
    前記供給口と前記吐出口を連通する通路、及び、
    加熱手段が取付けられ供給された前記フィラメント状の造形材料を融解する融解部、を備え、
    前記制御手段は、
    前記送り手段による前記造形材料の供給を一時停止している間、前記融解部内の前記造形材料の融解状態を維持するために前記加熱手段に所定量の電力を供給する制御、及び、
    前記送り手段が前記造形材料の供給を再開するのと略同期して前記加熱手段に前記所定量よりも大きい量の電力を供給する制御、を実行可能とすることを特徴とする3次元プリンタ用モジュール装置。
  3. 所定のピッチで供給されるフィラメント状の造形材料を加熱手段によって加熱融解して積層する立体造形物の造形方法であって、
    前記造形材料の供給が一時停止したときに前記加熱手段に所定量の電力を供給する工程、及び
    前記造形材料の供給を再開するのと略同期して前記加熱手段に前記所定量よりも大きい量の電力を供給する工程を有することを特徴とする立体造形物の造形方法。
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