JP2021003011A - 生体試料評価デバイスおよび生体試料評価方法 - Google Patents

生体試料評価デバイスおよび生体試料評価方法 Download PDF

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武志 堀
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修 黒澤
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Abstract

【課題】正確、迅速かつ詳細に生体試料を評価できる、生体試料評価デバイスおよび生体試料評価方法を実現する。【解決手段】本発明の生体試料評価デバイスは、生体試料を表面の上に配置するメッシュシート(4)と、メッシュシート(4)の表面に向かって試料溶液を供給する供給流路(21)と、メッシュシート(4)の表面から当該表面に背向する裏面に向かってメッシュシート(4)内を通過した試料溶液を排出する排出流路(22)と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、生体試料評価デバイスおよび生体試料評価方法に関する。
1型糖尿病患者の数は、現在、日本では約10万人〜14万人(非特許文献1参照)であり、世界全体では約2000万人〜4000万人(非特許文献2参照)であると報告されている。世界全体では、毎年、約13万人の小児および若年者(0〜19歳)が、新たに1型糖尿病と診断されており、1型糖尿病の罹患率は年々増加している(非特許文献3参照)。
1型糖尿病に対する治療法としては、インスリン投与療法が挙げられる。しかしながら、インスリン投与療法は、1型糖尿病の患者の全てに対して有効であるわけではなく、インスリン投与療法による血糖値コントロールが難しい患者も存在する。このような患者に対する治療法として、例えば、膵臓移植および膵島移植が用いられている。
膵島移植は、膵臓移植と比較して、手術が容易であり、かつ、低侵襲である。その一方で、膵島移植は、(i)膵島の単離効率が低い、(ii)膵島の生着率が低い、および、(iii)膵島のドナーを必要とする、などの問題点も有している。膵島移植の問題点を解決するために、現在、幹細胞由来の膵島細胞を用いる技術、および、ヒトiPS細胞に由来する膵島細胞を用いる技術の開発が進められている。
膵臓移植および膵島移植に代表される移植医療では、移植される生体試料の機能(換言すれば、状態)を評価し、十分な機能を保持した生体試料を選別し、当該生体試料を患者へ移植することが、移植の成否を決める上で重要である。それ故に、現在、生体試料の機能を評価するための技術の開発が進められている。
例えば、膵島の機能を評価する技術として、12〜96ウェルプレートを用いた糖負荷試験が挙げられる。当該糖負荷試験では、各ウェル内に複数個の膵島を入れ、当該膵島を、低濃度グルコース含有緩衝液と高濃度グルコース含有緩衝液とで交互に30分〜1時間程処理し、処理後の低濃度グルコース含有緩衝液および高濃度グルコース含有緩衝液の各々を、手動にて回収する。その後、回収した低濃度グルコース含有緩衝液に含まれるインスリン量と、回収した高濃度グルコース含有緩衝液に含まれるインスリン量とをELISA等によって定量し、グルコースに対する膵島の応答が正常であるか否か確認する。グルコースに対する応答が正常であると確認された膵島を患者に移植することが望ましいが、この方法は時間がかかるため、実際には主に移植後にこの確認作業が行われている。
膵島の機能を評価する別の技術として、膵島培養用チップを用いた糖負荷試験が挙げられる。当該糖負荷試験では、膵島培養用チップ内に複数個の膵島を入れ、膵島培養チップ内に低濃度グルコース含有緩衝液および高濃度グルコース含有緩衝液を交互に灌流させる。当該技術では、フラクションコレクターを使用して、一定時間毎の低濃度グルコース含有緩衝液および高濃度グルコース含有緩衝液を分取する(非特許文献4参照)。
田嶼 尚子、1型糖尿病の実態調査、客観的診断基準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に関する研究 平成28〜29年度 総合研究報告書、厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業、2018年5月 You WP,Henneberg M. "Type 1 diabetes prevalence increasing globally and regionally:the role of natural selection and life expectancy at birth" BMJ Open Diabetes Res Care,2016 Mar 2;4(1) IDF DIABETES ATLAS Eighth edition,2017 Lenguito et al.,Lab Chip. 2017 Feb 28;17(5):772−781
しかしながら、上述のような従来の技術は、生体試料を正確、迅速かつ詳細に評価できないという問題点を有する。
例えば、12〜96ウェルプレートを用いる技術は、(i)所定の時間内に分泌されるインスリンの合計量を測定することはできるが、分泌されるインスリンの量を経時的に連続して測定することができない、(ii)低濃度グルコース含有緩衝液および高濃度グルコース含有緩衝液を手動にて回収する時などに、膵島に対して物理的刺激が加えられ、インスリンの量を正確に測定することができない、(iii)2時間近くの時間がかかる、などの問題点を有する。
一方、膵島培養用チップを用いる技術は、(iv)膵島培養用チップの底面上に配置された膵島が、緩衝液を灌流する際に移動し、その結果、膵島培養用チップ内の膵島の数が変化する場合がある、または、膵島培養用チップ内の膵島の観察を困難にする、という問題点を有する。
本発明の一態様は、生体試料を正確、迅速かつ詳細に評価できる、生体試料評価デバイスおよび生体試料評価方法を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る生体試料評価デバイスは、採取された生体試料を、表面の上に配置するためのメッシュシートと、上記メッシュシートの表面に向かって試料溶液を供給するための供給流路と、上記メッシュシートの表面から当該表面に背向する裏面に向かって上記メッシュシート内を通過した上記試料溶液を排出するための排出流路と、を備えていることを特徴としている。
上記構成では、試料溶液の流通経路上にメッシュシートが配置されている。当該メッシュシートは、生体試料を通過させることなく、その表面の上に生体試料を配置する。一方、当該メッシュシートは、試料溶液を通過させる。メッシュシートを通過した試料溶液は、生体試料の評価に用いられ得る。
上記構成によれば、メッシュシートは試料溶液を通過させるので、生体試料に水圧などのストレスをかけることなく、生体試料を正確に評価することができる。また、上記構成によれば、メッシュシートは生体試料を通過させないので、生体試料の量を変化させることなく、同じ条件下にて、連続的に、迅速に、かつ、詳細に生体試料を評価することができる。
本発明の一態様に係る生体試料評価デバイスでは、上記供給流路は、(i)上記メッシュシートの表面に向かって上記試料溶液を供給するための主流路と、(ii)上記主流路と接続されている複数の副流路であって、上記主流路に向かって複数種類の上記試料溶液を別々に供給するための複数の副流路と、を備えていることが好ましい。
上記構成では、複数の副流路(例えば、副流路A、および副流路B)を用いて、複数種類の試料溶液(例えば、試料溶液A、および試料溶液B)を、別々にメッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給することができる。例えば、副流路Aおよび共通の主流路を用いて、試料溶液Aを、メッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給することができる。一方、副流路Bおよび共通の主流路を用いて、試料溶液Bを、メッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給することができる。上記構成によれば、生体試料の周りの環境を変えながら、生体試料を評価することができる。
本発明の一態様に係る生体試料評価デバイスは、上記排出流路から排出された上記試料溶液を複数のフラクションに分けて取得するための基材を備え、上記基材の内部には、(i)上記複数のフラクションを別々に格納するための空間である複数の格納領域であって、互いが上下の位置関係にて配置されている複数の格納領域と、(ii)上記複数の格納領域の各々と接続されている分取流路であって、上記排出流路から排出された上記試料溶液を上記格納領域内に導入するための分取流路と、が設けられていることが好ましい。
上記構成では、複数の格納領域が互いに上下の位置関係にて配置されているので、排出流路から排出され、かつ、分取流路内へ導入された試料溶液は、重力によって、まず、一番下に配置されている格納領域内に導入され、当該格納領域が試料溶液にて満たされた後、次いで、下から二番目に配置されている格納領域内に導入される。つまり、上記構成では、下から順に、格納領域が試料溶液にて満たされることになる。
上記構成によれば、試料溶液を複数のフラクション(例えば、経時的な複数のフラクション)に分けた後、各フラクションを評価することができる。また、上記構成によれば、複数の構成(例えば、複数の容器、および、容器の駆動装置など)を備えていた従来の分取装置(フラクションコレクター)の機能を、一体化された構成によって実現することができる。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る生体試料評価方法は、本発明の一態様に係る生体試料評価デバイスを用いる生体試料評価方法であって、上記生体試料評価デバイスに試料溶液を供給する供給工程と、上記生体試料評価デバイスから上記試料溶液を排出する排出工程と、を有することを特徴としている。
上記構成では、試料溶液の流通経路上にメッシュシートが配置されている。当該メッシュシートは、生体試料を通過させることなく、その表面の上に生体試料を配置する。一方、当該メッシュシートは、試料溶液を通過させる。なお、メッシュシートを通過した試料溶液は、生体試料の評価に用いられ得る。
上記構成によれば、メッシュシートは試料溶液を通過させるので、生体試料に水圧などのストレスをかけることなく、生体試料を正確に評価することができる。また、上記構成によれば、メッシュシートは生体試料を通過させないので、生体試料の量を変化させることなく、同じ条件下にて、連続的に、迅速に、かつ、詳細に生体試料を評価することができる。
本発明の一態様によれば、生体試料に水圧などのストレスをかけることなく、生体試料を正確に評価することができる。
本発明の一態様によれば、生体試料の量を変化させることなく、同じ条件下にて、連続的に、迅速に、かつ、詳細に生体試料を評価することができる。
本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスの構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスの構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスの供給流路の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスのメッシュシートの構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスのフラクション分取用の基材の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスのフラクション分取用の基材の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスのフラクション分取用の基材から試料溶液を回収する方法を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスの構成を示す図である。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。本明細書中、数値範囲に関して「A〜B」と記載した場合、当該記載は「A以上B以下」を意図する。
〔1.生体試料評価デバイス〕
本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスは、生体試料評価用サンプルの製造装置、または、生体試料評価用サンプルの分取装置であり得る。
本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスは、採取された生体試料を、表面の上に配置するためのメッシュシートと、上記メッシュシートの表面に向かって試料溶液を供給するための供給流路と、上記メッシュシートの表面から当該表面に背向する裏面に向かって上記メッシュシート内を通過した上記試料溶液を排出するための排出流路と、を備えている。このとき、供給流路は排出流路よりも上の位置に配置されており、試料溶液がメッシュシート内を通過するときに、当該試料溶液が、上から下に向かってメッシュシート内を通過してもよい。
上記構成では、試料溶液の流通経路上にメッシュシートが配置されている。当該メッシュシートは、生体試料を通過させることなく、その表面の上に生体試料を配置する。一方、当該メッシュシートは、試料溶液を通過させる。メッシュシートを通過した試料溶液は、生体試料の評価に用いられ得る。上記構成によれば、メッシュシートは試料溶液を通過させるので、生体試料に水圧などのストレスをかけることなく、生体試料を正確に評価することができる。上記構成によれば、メッシュシートは生体試料を通過させないので、生体試料の量を変化させることなく、同じ条件下にて、連続的に、かつ、詳細に生体試料を評価することができる。
上記採取された生体試料は、特に限定されず、例えば、(i)生体から採取された、組織または臓器、(ii)生体から採取された細胞の集合体、または、株化された培養細胞の集合体、(iii)生体から採取された組織または臓器、および/または、生体から採取された細胞の集合体または株化された培養細胞の集合体などを用いて人工的に作製された生物試料、であってもよい。
より具体的に、採取された生体試料は、膵島、スフェロイド、オルガノイド、肝臓組織、腸管組織、皮膚組織、または、心臓組織であってもよい。当該構成によれば、様々な生体試料および細胞集合体の、様々な機能(例えば、膵島のインスリン分泌機能、肝臓組織の薬物代謝能、および、小腸組織のインクレチン分泌能)を評価することができる。
上記試料溶液としては、特に限定されず、評価対象である生体試料の種類、および/または、評価対象である生体試料の特性などに応じて、適宜、選択することができる。例えば、膵島のインスリン分泌機能を評価する場合には、低濃度グルコース含有緩衝液および高濃度グルコース含有緩衝液を用いればよい。
上記メッシュシートとしては、特に限定されず、表面の上に生体試料を配置することができ、かつ、メッシュシートの表面から当該表面に背向する裏面に向かって試料溶液が通過することができるものであればよい。
上記メッシュシートに形成されている孔の大きさとしては、特に限定されないが、好ましくは、(i)当該孔の外接円の直径が15μm以上である孔、(ii)採取された生体試料を内包する最小の球の直径の95%以下の長さの直径を有する孔、または、(iii)メッシュシートの空隙率が15%以上となる孔、である。当該構成では、メッシュシートに形成されている孔の大きさが、生体試料を通過させない大きさであって、かつ、大きく設定されている。それ故に、当該構成によれば、試料溶液がメッシュシートを通過し易くなるので、生体試料に水圧などのストレスがかかることを、より良く防ぐことができる。
上記メッシュシートのメッシュの線幅は、20ミクロン以下であることが好ましい。当該構成によれば、メッシュが組み込まれた生体試料培養チップから試料溶液が漏出する可能性を著しく減少させることが可能になる。
上記メッシュシートに形成されている孔の形状としては、特に限定されず、多角形(例えば、三角形、正方形、または、長方形)であってもよく、円形であってもよい。当該多角形の一片の長さ、および、当該円形の直径の長さは、例えば、15μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μ以上、100μm以上、150μm以上、または、200μm以上であってもよい。当該多角形の一片の長さ、および、当該円形の直径の長さの上限値は、例えば、10mm以下、5mm以下、1mm以下、または、500μm以下であってもよい。
1つの細胞の長さは、略10μmである。個々の細胞がメッシュシート上に接着して増殖すると、メッシュシート上に細胞の膜が形成され、当該膜が、メッシュシートの孔を塞ぐ傾向を示す。上述した孔の大きさ、および/または、孔の形状であれば、個々の細胞がメッシュシートを通過し易くなり、メッシュシート上に細胞の膜が形成されることを防止することができる。
上記メッシュシートの材質としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリプロピレンポリエチレンなどのポリマー;コーティング剤(例えば、パリレン、ポリスチレン、または、シリコン樹脂)によってコーティングされた金属(例えば、ニッケル、アルミニウム、または、銀);生分解性ポリマー;または、タンパク質であってもよい。上記構成であれば、メッシュシートが生体試料に対して悪影響(例えば、毒性)を与えることを防ぐことができる。
上記供給流路は、複数種類の試料溶液を別々にメッシュシートの表面に向かって供給するものであってもよい。例えば、複数種類の試料溶液(例えば、試料溶液A、および試料溶液B)が、別々にメッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給されてもよい。当該構成によれば、試料溶液Aを生体試料に供給したときに排出流路から排出される試料溶液と、試料溶液Bを生体試料に供給したときに排出流路から排出される試料溶液とを比較することによって、生体試料の機能の変化などを評価することができる。
試料溶液の種類の数は、特に限定されず、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類または9種類であってもよく、10種類以上であってもよい。試料溶液の種類は、評価対象である生体試料の種類、および/または、評価対象である生体試料の特性などに応じて、適宜、選択することができる。
上記供給流路は、一本の流路からなる直線流路であってもよいし、分岐した流路からなる分枝流路(例えば、Y字流路)であってもよい(例えば、図3の301および302を参照)。直線流路を用いれば、生体試料評価デバイスの構成を簡単なものにすることができる。一方、分枝流路を用いれば、複数種類の試料溶液同士が混ざり合うことをより良く防ぐことができ、かつ、生体試料に供給する試料溶液を容易に切り替えることができる。なお、図3の301には、各構成の長さが記載されているが、本発明は、当該長さに限定されない。
上記供給流路(特に、上述した分岐流路)は、(i)メッシュシートの表面に向かって試料溶液を供給するための主流路(換言すれば、メッシュシートの表面と対向している主流路)と、(ii)主流路と接続されている複数の副流路であって、主流路に向かって複数種類の上記試料溶液を別々に供給するための複数の副流路と、を備えていてもよい。上記構成によれば、複数の副流路(例えば、副流路A、および副流路B)を用いて、複数種類の試料溶液(例えば、試料溶液A、および試料溶液B)を、別々にメッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給することができる。例えば、副流路Aおよび共通の主流路を用いて、試料溶液Aを、メッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給することができる。一方、副流路Bおよび共通の主流路を用いて、試料溶液Bを、メッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給することができる。
副流路の数は、特に限定されず、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個または9個であってもよく、10個以上であってもよい。副流路の数は、評価対象である生体試料の種類、評価対象である生体試料の特性、および/または、試料溶液の種類の数などに応じて、適宜、選択することができる。
上記供給流路は、主流路と複数の副流路との接続状態を切り替えるためのバルブ(例えば、四方バルブなどの多方バルブ)を備えていてもよい。上記構成によれば、メッシュシートの表面に配置されている生体試料に供給される試料溶液の種類を、容易に変えることができる。
上記供給流路は、メッシュシートの表面に対して略垂直方向へ伸びる整流流路を備えていてもよい。より具体的に、上記供給流路は、メッシュシートが略水平方向に広がるように配置されるときに、当該メッシュシートの表面に対して略鉛直方向へ伸びる整流流路を備えていてもよい。上記構成では、整流流路を通過した試料溶液は、メッシュシートの表面に対して略垂直方向に向かって流れる。当該構成によれば、試料溶液がメッシュシートの孔を通過し易くなるので、生体試料に水圧などのストレスがかかることを、より良く低下させることができる。また、当該構成によれば、生体試料に対して、メッシュシートの表面に対して略垂直方向に向かう力が適度にかかるので、生体試料の位置が変化することを、より良く防止することができる。
上記供給流路は、メッシュシートが略水平方向に広がるように配置されるときに、当該メッシュシートの表面に向かって略鉛直方向へ伸びる流路を備えていてもよい。なお、当該流路は、上述した整流流路と同一の構成であってもよいし、上述した整流流路とは別の構成であってもよい。当該構成では、メッシュシートの上流側に、略鉛直方向へ伸びる流路が設けられ、当該流路では、上から下に向かって試料溶液が流れることになる。試料溶液中に気泡が含まれている場合、当該流路内で気泡が上に向かって浮かび上がり、当該気泡がメッシュシート(換言すれば、メッシュシートの表面の上に配置されている生体試料)と接触することがない。それ故に、当該構成によれば、生体試料にダメージを与えることなく、生体試料を評価することができる。
上述した略鉛直方向へ伸びる流路は、メッシュシートとは反対側(例えば、メッシュシートとは反対側の端部)に、(i)開口、または、(ii)開口および当該開口を開閉する蓋、を備えていてもよい。上記構成は、(a)開口を介して上記流路内へ生体試料を投入することによって、メッシュシートの表面の上に生体試料を容易に配置することができる、(b)開口を介して、試料溶液中に含まれる気泡を容易に除去することができる、および、(c)メッシュシートの表面の上に配置された生体試料を容易に観察(例えば、顕微鏡観察)することができる、という利点を有する。
本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスは、上記排出流路から排出された上記試料溶液を複数のフラクションに分けて取得するための基材を備え、上記基材の内部には、(i)上記複数のフラクションを別々に格納するための空間である複数の格納領域であって、互いが上下の位置関係にて配置されている複数の格納領域(以下、カラムとも呼ぶ)と、(ii)上記複数の格納領域の各々と接続されている分取流路であって、上記排出流路から排出された上記試料溶液を上記格納領域内に導入するための分取流路と、が設けられていてもよい。
上記構成では、複数の格納領域が互いに上下の位置関係にて配置されているので、排出流路から排出され、かつ、分取流路内へ導入された試料溶液は、重力によって、まず、一番下に配置されている格納領域内に導入され、当該格納領域が試料溶液にて満たされた後、次いで、下から二番目に配置されている格納領域内に導入される。つまり、上記構成では、下から順に、格納領域が試料溶液にて満たされることになる。当該構成によれば、試料溶液を複数のフラクション(例えば、経時的な複数のフラクション)に分けた後、各フラクションを評価することができる。当該構成によれば、複数の構成(例えば、複数の容器、および、容器の駆動装置など)を備えていた従来の分取装置(フラクションコレクター)の機能を、一体化された構成によって、低コストにて実現することができる。
1本の分取流路に接続される格納領域の数は、特に限定されず、例えば、2個以上、5個以上、または、10個以上であってもよい。1本の分取流路に接続される格納領域の数の上限値は、特に限定されず、例えば、1000個以下、500個以下、100個以下、50個以下、または、10個以下であってもよい。基材の大きさを適宜選択することによって、所望の数の格納領域を実現することができる。
1個の格納領域の容積は、特に限定されず、例えば、0.01mL以上、0.1mL以上、1mL以上、または、10mL以上であってもよい。1個の格納領域の容積の上限値は、特に限定されず、例えば、1000mL以下、500mL以下、100mL以下、または、10mL以下であってもよい。基材の大きさを適宜選択することによって、所望の容積の格納領域を実現することができる。
上記基材は、上記複数の格納領域と上記分取流路とからなるセットを複数セット備えていてもよい。当該構成によれば、1つの基材によって、より多くのフラクションを取得することができる。換言すれば、上記構成によれば、より多くのフラクションを取得することが可能な分取装置を、小さく構成することができる。
1つの基材に備えられるセットの数は、特に限定されず、例えば、2セット以上、5セット以上、または、10セット以上であってもよい。上記セットの数の上限値は、特に限定されず、例えば、1000セット以下、500セット以下、100セット以下、50セット以下、または、10セット以下であってもよい。上記基材は、複数の基板を貼り合わせることによって作製することができる。後述するように、貼り合わせる基板の数を適宜選択することによって、所望の数のセットを実現することができる。
上記分取流路は、排出流路から排出された試料溶液を格納領域内に導入する時に、鉛直方向(重力方向)に対して斜めの方向へ向かって伸びるように配置されるものであることが好ましい。
分取流路から格納領域内へ試料溶液を導入する時に、分取流路が鉛直方向(重力方向)へ向かって伸びるように配置されていると、格納領域内に導入される直前の試料溶液の移動速度が大きくなる。一方、分取流路から格納領域内へ試料溶液を導入する時に、分取流路が鉛直方向(重力方向)に対して斜めの方向へ向かって伸びるように配置されていると、格納領域内に導入される直前の試料溶液の移動速度が小さくなる。上記構成によれば、格納領域内に既に導入されている試料溶液が、当該格納領域内に新たに導入される試料溶液によって撹拌され、その結果、格納領域内に既に導入されている試料溶液が当該格納領域の外へ流出することを防ぐことができる。つまり、当該構成によれば、複数のフラクション同士が混ざり合うことを、より良く防ぐことができる。
分取流路が伸びる方向と、鉛直方向(重力方向)とがなす角度Aは、特に限定されず、例えば、0°<A<90°、0°<A<70°、0°<A<50°、0°<A<30°、または、0°<A<10°であってもよい。
上記基材は、分取流路および/または格納領域と連通する通気孔であって、分取流路内および/または格納領域内の空気を基材の外へ排出するための通気孔を備えていてもよい。排出流路から排出された試料溶液を基材の内部に導入する前には、当該基材の内部に空気が存在する。当該空気は、排出流路から排出された試料溶液を基材の内部に導入するにしたがって、当該基材の外へ排出される必要がある。上記構成によれば、基材の内部の空気(換言すれば、分取流路内および/または格納領域内の空気)を効率良く基材の外へ排出することができ、同時に、排出流路から排出された試料溶液を効率良く基材の内部に導入することができる。
上記通気孔の数は限定されず、適宜設定することができる。例えば、複数の格納領域と分取流路とからなるセット1つに対して1つの通気孔を設けてもよいし、複数の当該セットに対して1つの通気孔を設けてもよい。
上記格納領域の壁面、および/または、上記分取流路の壁面は、試料溶液を構成する溶媒(例えば、水、有機溶媒、または、これらの混合物)との接触角が小さいものであることが好ましい。当該構成によれば、試料溶液が格納領域内および/または分取流路内を移動し易くなる。その結果、当該構成によれば、試料溶液を一番下の格納領域から順に導入することができる。
試料溶液を構成する溶媒(例えば、水、有機溶媒、または、これらの混合物)と、格納領域の壁面および分取流路の壁面との接触角は、小さいほど好ましく、好ましくは20°以下、より好ましくは15°以下、より好ましくは10°以下、より好ましくは9°以下、より好ましくは8°以下、より好ましくは7°以下、より好ましくは6°以下、より好ましくは5°以下、より好ましくは4°以下、より好ましくは3°以下、より好ましくは2°以下、最も好ましくは1°以下である。
〔2.生体試料評価デバイスの製造方法、使用方法、および、構成〕
図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスを構成する生体試料培養チップ、試料溶液潅流システムおよび試料溶液分取チップ(基材)の一例について説明する。
〔2−1.生体試料培養チップ〕
生体試料培養チップは、主要な構成として、供給流路、排出流路、および、メッシュシートを備えている。生体試料培養チップは、更に、整流流路、および、蓋などの他の構成を備え得る。
図1の101は、溝が形成された複数の基板1(例えば、PDMS(Polydimethylsiloxane)シート)を重ね合わせることにより作製された生体試料培養チップの断面図である。一方、図1の102は、当該生体試料培養チップの斜視図である。生体試料培養チップは、内部に流路を備えており、上述した溝が当該流路を形成している。当該生体試料培養チップは、具体的に、供給流路21、整流流路23、および、排出流路22を備えている。
当該生体試料培養チップでは、整流流路23と排出流路22との間にメッシュシート4が備えられており、当該メッシュシート4の表面の上に生体試料5が配置される。当該メッシュシート4は、例えば、基板1同士を重ね合せるときに、これらの間に挟み込むことによって、設けられ得る。
整流流路23は、メッシュシート4の表面に向かって略鉛直方向に伸びている。整流流路23におけるメッシュシート4とは反対側の端部には開口が設けられており、当該開口は、蓋2(例えば、PDMS(Polydimethylsiloxane)の蓋)によって開閉され得る。
供給流路21および排出流路22の各々には、接続流路3(例えば、シリコンチューブ)が接続され、当該接続流路3を介して、生体試料培養チップと別の構成とを接続することができる。
メッシュシート4の一例として、ニッケルから成るマイクロメッシュシート(オプトニクス精密社製)を用いることができる(図1の104、および、図4の「ニッケル/パリレンマイクロメッシュ」を参照)。図4の「ニッケル/パリレンマイクロメッシュ」では、生体試料へのニッケルの影響を無くすために、ラボコータ PDS−2010(日本パリレン社製)を用いて、生体適合性に優れたパリレン(DPXC, CAS No. 28804−46−8)(日本パリレン社製)をニッケルからなるマイクロメッシュシート上に蒸着している。
メッシュシート4の一例として、ポリエステルからなるマイクロメッシュシート(天池合繊)を用いることもできる(図4の「ポリエステルマイクロメッシュ」を参照)。
図1の104に示すメッシュシート4は、一辺の長さが30μmである三角形の孔を有している。図4の左上に示すメッシュシート4は、一辺の長さが100μmである三角形の孔を有し、図4の右上に示すメッシュシート4は、一辺の長さが50μmである三角形の孔を有している。図4の左下に示すメッシュシートは、約118μm×約174μmの長方形の孔を有し、図4の右下に示すメッシュシートは、約62μm×約165μmの長方形の孔を有している。
図2の201〜204に、生体試料培養チップの構成の一例を示す。図2の201は生体試料培養チップの内部流路の斜視図であり、図2の202は当該生体試料培養チップの平面図であり、図2の203は当該生体試料培養チップのC’線における断面図であり、図2の204は当該生体試料培養チップのD’線における断面図である。なお、図2には各構成のサイズが記載されているが、当該サイズは一例であって、本発明は当該サイズに限定されない。
〔2−2.試料溶液潅流システム〕
図1の103は、生体試料培養チップ9、および、その上流側に接続された溶液灌流システムの像である。一方、図1の105は、生体試料培養チップ9の像である。
本溶液灌流システムは、試料溶液を収容するための2本の試料溶液用チューブ6(各々、50mLの容積)、2台のポンプ8(RP−HX01S−1A−DC3VS, アクアテック)、ポンプ制御装置11、四方バルブ7(本体OM1114,コネクターOM1080, ハギテック)、廃液用チューブ12、および、生体試料培養チップ9を備えている。四方バルブ7の上流側に溜まった、生体試料培養チップ9へ供給されなかった試料溶液は、ポンプ8によって排出され、当該試料溶液は、廃液用チューブ12内に収容される。
上述した構成同士を繋ぐ各流路は、シリコンチューブにより作製され得る。本溶液灌流システムは、生体試料培養チップ9から排出された試料溶液を96穴のプレート10の各ウェルへ手動で分注できる構成になっている。
本溶液灌流システムは、四方バルブ7によって、2種類の試料溶液のうちの何れが生体試料培養チップ9に向かって流れるか選択できる構成になっている。例えば、試料溶液Aが生体試料培養チップ9に向かって流れ、試料溶液Bが廃液用チューブ12に向かって流れているときに、四方バルブ7を90度回転させれば、試料溶液Aが廃液用チューブ12に向かって流れ、試料溶液Bが生体試料培養チップ9に向かって流れることになる。
〔2−3.試料溶液分取チップ(基材)(6カラム用)〕
試料溶液分取チップは、基本的に基材によって構成されている。当該基材は、主要な構成として、格納領域、および、分取流路を備えている。試料溶液分取チップは、更に、通気孔などの他の構成を備え得る。
試料溶液分取チップ(基材)(6カラム用)は、PDMS(Polydimethylsiloxane)(商品名: SILPOT 184, 東レ・ダウコーニング)を用いて作製することができる。
図5の501は、6カラム用の試料溶液分取チップを構成するシートaの作製方法を示している。まず、主剤と硬化剤とを10:1の比率で混合したPDMS溶液を鋳型13に流し込み、その後、当該PDMS溶液を加熱処理することにより、基板30を作製する。鋳型13は、3DプリンタAGILISTA−3200(キーエンス)等によって作製した造形物をディッシュ等に張り付けることにより作製することができる。鋳型13から剥がした基板30の流路部分をコーティング剤14(例えば、パリレン)によって被覆する。基板30の表面に対してプラズマ処理15を行った後、当該基板30を、シートaとして用いる。
図5の502は、6カラム用の試料溶液分取チップを構成するシートbの作製方法を示している。まず、基板31(例えば、厚さ1 mmのPDMSシート)をコーティング剤14(例えば、パリレン)によって被覆する。当該基板31の表面に対して、プラズマクリーナー(HARRICK PLASMA)を用いてプラズマ処理15を行うことによって、基板31の表面の親水性度を上げる。基板31の表面の親水性度をさらに上げるために、基板31の表面を超親水化コート剤16および17(例えば、商品名:セルフェイスコートWG−R1、および、下地処理剤NZ−550(丸昌社製))を用いて被覆する。基板31の表面に対してプラズマ処理15を行った後、当該基板31を、シートbとして用いる。
図5の503に示すように、シートaとシートbとを貼り合わせることによって、試料溶液分取チップを完成させる。なお、シートaとシートbとを貼り合わせた「シートa/b」において、(i)略水平方向に広がる6つの領域(6つのカラム)が、本発明における格納領域に相当し、(ii)格納領域の右側に当該格納領域と接続された状態で斜め方向に向かって伸び、端部に接続流路3が接続され、かつ、端部に空気を通す通気孔(穴)が設けられている流路が、本発明における分取流路に相当する。
一連の処理(コーティング剤(例えば、パリレン)による被覆、超親水化コート剤による被覆、および、プラズマ処理)によって、格納領域の壁面、および/または、分取流路の壁面を超親水性(例えば、接触角10°以下)にすることができる。使用する超親水化コート剤は、セルフェイスコートWG−R1に限らない。超親水化コート剤の代わりに液体ガラス等を用いることも可能である。
〔2−4.試料溶液分取チップ(基材)(12カラム用)〕
試料溶液分取チップ(基材)(12カラム用)は、PDMS(Polydimethylsiloxane)(商品名: SILPOT 184, 東レ・ダウコーニング)を用いて作製することができる。
図6の601おおよび602に示すように、試料溶液分取チップ(12カラム用)は、シートa、シートb、および、シートcを貼り合わせることによって作製することができる。
シートaおよびシートbの作製方法は、試料溶液分取チップ(6カラム用)の場合と同じである。一方、シートは、基本的に、シートaの作製方法と、シートbの作製方法とを組み合させて、作製され得る。
シートcを作製する場合、まず、主剤と硬化剤とを10:1の比率で混合したPDMS溶液を鋳型13と同様の構造をした鋳型に流し込み、その後、当該PDMS溶液を加熱処理することにより、基板30と同様の構造をしたシートcを作製する。鋳型は、3DプリンタAGILISTA−3200(キーエンス)等によって作製した造形物をディッシュ等に張り付けることにより作製することができる。なお、当該鋳型には、通気孔に相当する凸部を設け得る。例えば、流路に相当する凸部の上に、更に通気孔に相当する凸部を設けてもよい。鋳型から剥がしたシートcの流路部分および上面をコーティング剤14(例えば、パリレン)によって被覆する。シートcの上面に対して、プラズマクリーナー(HARRICK PLASMA)を用いてプラズマ処理15を行うことによって、シートcの表面の親水性度を上げる。シートcの表面の親水性度をさらに上げるために、シートcの表面を超親水化コート剤16・17(商品名:セルフェイスコートWG−R1、および、下地処理剤NZ−550(丸昌社製))を用いて被覆する。シートcの表面に対してプラズマ処理15を行った。
図6の601および602に示すように、シートaとシートcとシートbとを貼り合わせることによって、試料溶液分取チップを完成させる。当該製造方法であれば、格納領域と分取流路とからなるセットを複数セット備えている試料溶液分取チップを製造することができる。
〔2−5.試料溶液分取チップからの試料溶液回収方法〕
図6の604に示すように、試料溶液分取チップ(基材)内の格納領域に試料溶液が満たされた後、試料溶液分取チップをハサミ18等によって裁断し(例えば、分取流路に沿って、試料溶液分取チップをハサミ18等によって裁断し)、各格納領域内に入っている試料溶液を、ピペット19等を用いて回収することができる。
裁断時の試料溶液の滴りを防ぎたい場合には、図7に示す方法にしたがえばよい。すなわち、最下段の格納領域の付近に穴を開け、当該穴からパスツールピペット20等を用いて分取流路内の試料溶液を除去した後、試料溶液分取チップをハサミ18等によって裁断する(例えば、分取流路に沿って、試料溶液分取チップをハサミ18等によって裁断する)。その後、各格納領域内に入っている試料溶液を、ピペット19等を用いて回収することができる。なお、上記穴は、試料溶液分取チップの使用前(換言すれば、試料溶液の分取開始前)に開けておき、テープ(例えば、カプトンテープ)等で塞いでおけばよい。
〔3.生体試料評価方法〕
本発明の一実施形態に係る生体試料評価方法は、本発明の一実施形態に係る生体試料評価デバイスを用いる生体試料評価方法であって、上記生体試料評価デバイスに試料溶液を供給する供給工程と、上記生体試料評価デバイスから上記試料溶液を排出する排出工程と、を有する。
上記構成では、試料溶液の流通経路上にメッシュシートが配置されている。当該メッシュシートは、生体試料を通過させることなく、その表面の上に生体試料を配置する。一方、当該メッシュシートは、試料溶液を通過させる。メッシュシートを通過した試料溶液は、生体試料の評価に用いられ得る。上記構成によれば、メッシュシートは試料溶液を通過させるので、生体試料に水圧などのストレスをかけることなく、生体試料を正確に評価することができる。上記構成によれば、メッシュシートは生体試料を通過させないので、生体試料の量を変化させることなく、同じ条件下にて、連続的に、迅速に、かつ、詳細に生体試料を評価することができる。
上記供給工程は、より具体的に、採取された生体試料が表面の上に配置されたメッシュシートの表面に向かって試料溶液を供給する工程であってもよい。上記排出工程は、より具体的に、メッシュシートの表面から当該表面に背向する裏面に向かってメッシュシートを通過した試料溶液を排出する工程であってもよい。
本発明の一実施形態に係る生体試料評価方法は、排出工程の後に、排出された試料溶液を複数のフラクションに分けて取得するための分取工程を有してもよい。当該構成によれば、試料溶液を複数のフラクション(例えば、経時的な複数のフラクション)に分けた後、各フラクションを評価することができる。
〔1.生体試料評価デバイス〕および〔2.生体試料評価デバイスの製造方法〕の欄にて既に説明した構成については、ここでは、その説明を省略する。
〔実施例1〕
生体試料評価デバイスに2種類の試料溶液を交互に潅流させ、試料溶液を複数のフラクションに分けて分取可能か否か確認した。
試料溶液としては、PBS(−)溶液と、0.01W/V% トリパンブルー溶液とを用いた。0.01W/V% トリパンブルー溶液は、0.4%W/V% トリパンブルー溶液をPBS(−)にて希釈することによって調製した。
生体試料評価デバイスとしては、図1の103に示す構成を用いた。なお、本生体試料評価デバイスは、2本の試料溶液用チューブ6(各々、50mLの容積)、2台のポンプ8(RP−HX01S−1A−DC3VS, アクアテック)、ポンプ制御装置11、四方バルブ7(本体OM1114,コネクターOM1080, ハギテック)、廃液用チューブ12、および、生体試料培養チップ9を備えている。
まず、PBS(−)溶液を生体試料培養チップ9へ灌流し(50μL/min)、生体試料培養チップ9を通過した後に排出された試料溶液を、2分毎に96穴プレートのウェルに回収した(100μL/well)。
灌流開始から8分後に四方バルブ7をひねり、生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を、PBS(−)溶液から0.01W/V% トリパンブルー溶液に切り替えた。生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を切り替えた後、生体試料培養チップ9を通過した後に排出された試料溶液を、2分毎に96穴プレートのウェルに回収した(100μL/well)。
その後、潅流開始から20分後、32分後、および、44分後に四方バルブをひねり、生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を切り替えた。そして、潅流開始から60分後に、分取を終了した。
96穴プレートの各ウェル内に分取した試料溶液から80μLずつを新しい96ウェルプレートの各ウェル内へ移し620μmの波長における吸光度を、プレートリーダー(MultiSkan FC Basic, Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。検量線を用いて、各ウェル内に分取した各試料溶液のトリパンブルー濃度を算出し、当該トリパンブルー濃度をグラフ化した。
試験結果を図1の106に示す。四方バルブをひねった時間を、矢印で示す。潅流開始から10分後(四方バルブをひねってから2分後)では、分取された試料溶液内にトリパンブルーがほとんど含まれていなかった。一方、潅流開始から14分後(四方バルブをひねってから6分後)では、分取された試料溶液内に、原液(0.01w/v%)に近い濃度のトリパンブルーが含まれていた。
本実施例の生体試料評価デバイスであれば、生体試料培養チップ9内へ複数種類の試料溶液を交互に灌流できるとともに、試料溶液を複数のフラクションに分けて分取可能であることが明らかになった。
〔実施例2〕
Y字型の供給流路を備えている生体試料評価デバイスに2種類の試料溶液を交互に潅流させ、試料溶液を複数のフラクションに分けて分取可能か否か確認した。なお、本生体試料評価デバイスでは、供給流路として、図3の301の右側に示すY字流路を用いた。
試料溶液としては、PBS(−)溶液と、0.01W/V% トリパンブルー溶液とを用いた。0.01W/V% トリパンブルー溶液は、0.4%W/V% トリパンブルー溶液をPBS(−)にて希釈することによって調製した。
本実施例では、シリンジポンプ(kd Scientific)2台を用いて、生体試料培養チップ9へ試料溶液を送った。1台のシリンジポンプを用いて、生体試料培養チップ9へPBS(−)溶液を灌流し、もう一台のシリンジポンプを用いて、生体試料培養チップ9へトリパンブルー溶液を灌流した。シリンジポンプと生体試料培養チップ9とは、シリコンチューブによって連結した。2台のシリンジポンプの内、一方をONにしている時は、もう一方をOFFにした。この方法により、PBS(−)溶液と、0.01W/V% トリパンブルー溶液とを、交互に生体試料培養チップ9へ灌流した。
まず、PBS(−)溶液用のシリンジポンプを起動して、PBS(−)溶液を生体試料培養チップ9へ潅流し(50μL/min)、生体試料培養チップ9を通過した後に排出された試料溶液を、2分毎に96穴プレートのウェルに回収した(100μL/well)。
灌流開始から8分後に、PBS(−)溶液用のシリンジポンプを止め、0.01W/V% トリパンブルー溶液用のシリンジポンプを作動させた。これによって、生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を、PBS(−)溶液から0.01W/V% トリパンブルー溶液に切り替えた。生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を切り替えた後、生体試料培養チップ9を通過した後に排出された試料溶液を、2分毎に96穴プレートのウェルに回収した(100μL/well)。
その後、潅流開始から20分後、32分後、および、44分後に作動させるシリンジポンプを切り替え、これによって、生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を切り替えた。そして、潅流開始から60分後に、分取を終了した。
96穴プレートの各ウェル内に分取した試料溶液から90μLずつを新しい96ウェルプレートの各ウェル内へ移し620μmの波長における吸光度を、プレートリーダー(MultiSkan FC Basic, Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。検量線を用いて、各ウェル内に分取した各試料溶液のトリパンブルー濃度を算出し、当該トリパンブルー濃度をグラフ化した。
試験結果を図3の303に示す。2台のシリンジポンプのON/OFFを切替えた時間を、矢印で示す。潅流開始から10分後(2台のシリンジポンプのON/OFFを切替えてから2分後)では、分取された試料溶液内に略0.005w/v%のトリパンブルーが含まれていた。一方、潅流開始から12分後(2台のシリンジポンプのON/OFFを切替えてから4分後)では、分取された試料溶液内に、原液(0.01w/v%)に近い濃度のトリパンブルーが含まれていた。
本実施例の生体試料評価デバイスであれば、生体試料培養チップ9内へ複数種類の試料溶液を交互に灌流できるとともに、試料溶液を複数のフラクションに分けて分取可能であることが明らかになった。
〔実施例3〕
6カラム用の試料溶液分取チップを備えている生体試料評価デバイスに2種類の試料溶液を交互に潅流させ、試料溶液を複数のフラクションに分けて分取可能か否か確認した。
試料溶液としては、黄色溶液(2mg/mL黄色食紅水)と、青色溶液(2mg/mL青色食紅水)とを用いた。
生体試料評価デバイスとしては、実施例1に用いた生体試料評価デバイスから96穴プレートを除き、当該96穴プレートの代わりに図5の501〜503に示す試料溶液分取チップ(6カラム用)を備えたものを用いた。なお、試料溶液分取チップ(6カラム用)内に設けられている格納領域は、下から上に向かって、順に1番目〜6番目の格納領域と呼ぶこととする。
まず、試料溶液分取チップ(6カラム用)内に黄色溶液を導入し、1番目の格納領域、次いで2番目の格納領域が黄色溶液によって満たされたときに、四方バルブ7をひねり、生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を、黄色溶液から青色溶液に切り替えた。6番目の格納領域が青色溶液によって満たされたときに、分取を終了した。
試験結果を図5の504に示す。本実施例の生体試料評価デバイスであれば、生体試料培養チップ9内へ複数種類の試料溶液を交互に灌流できるとともに、試料溶液を6個のフラクションに分けて分取可能であることが明らかになった。更に、本実施例の生体試料評価デバイスであれば、格納領域間での試料溶液の混合が生じることなく、経時的に所定の量の試料溶液を分取可能であることが明らかになった。更に、本実施例の生体試料評価デバイスでは、試料溶液分取チップ内における試料溶液の移動がスムーズであり、格納領域の壁面、および/または、分取流路の壁面が超親水性になっていることが明らかになった。
〔実施例4〕
12カラム用の試料溶液分取チップを備えている生体試料評価デバイスに2種類の試料溶液を交互に潅流させ、試料溶液を複数のフラクションに分けて分取可能か否か確認した。
試料溶液としては、PBS(−)溶液と、0.01W/V% トリパンブルー溶液とを用いた。0.01W/V% トリパンブルー溶液は、0.4%W/V% トリパンブルー溶液をPBS(−)にて希釈することによって調製した。
生体試料評価デバイスとしては、実施例1に用いた生体試料評価デバイスから96穴プレートを除き、当該96穴プレートの代わりに図6の601〜602に示す試料溶液分取チップ(12カラム用)を備えたものを用いた。なお、試料溶液分取チップ(12カラム用)内に設けられている格納領域は、図6の601〜602の紙面手前に存在する格納領域を、下から上に向かって、順に1番目〜6番目の格納領域と呼び、図6の601〜602の紙面奥に存在する格納領域を、下から上に向かって、順に7番目〜12番目の格納領域と呼ぶこととする。
まず、試料溶液分取チップ(12カラム用)内にPBS(−)溶液を導入し、1番目の格納領域、次いで2番目の格納領域がPBS(−)溶液によって満たされたときに、四方バルブ7をひねり、生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を、PBS(−)溶液から0.01W/V% トリパンブルー溶液に切り替えた。7番目の格納領域が溶液によって満たされたときに、再び四方バルブ7をひねり、生体試料培養チップ9へ潅流させる試料溶液を、0.01W/V% トリパンブルー溶液からPBS(−)溶液に切り替えた。12番目の格納領域が溶液によって満たされたときに、分取を終了した。
図6の604に示す方法にしたがって、ハサミにて試料溶液分取チップを裁断し、各格納領域内に分取された試料溶液を、96穴プレートの各ウェル内へ移した。
96穴プレートの各ウェル内へ移した試料溶液から60μLずつを新しい96ウェルプレートの各ウェル内へ移し620μmの波長における吸光度を、プレートリーダー(MultiSkan FC Basic, Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。検量線を用いて、各ウェル内に分取した各試料溶液のトリパンブルー濃度を算出し、当該トリパンブルー濃度をグラフ化した。
試験結果を図6の603および605に示す。四方バルブをひねった時間を、矢印で示す。四方バルブを1回目にひねった後に注目すると、3番目の格納領域内の試料溶液にはトリパンブルーはほとんど含まれておらず、5番目の格納領域内の試料溶液には原液(0.01w/v%)に近い濃度のトリパンブルーが含まれていた。7番目の格納領域が溶液によって満たされたときに再び四方バルブ7をひねったが、8番目の格納領域内の試料溶液は、7番目の格納領域内の試料溶液と同様の組成であり、9番目の格納領域内の試料溶液ではトリパンブルーの濃度が低かった。
本実施例の生体試料評価デバイスであれば、生体試料培養チップ9内へ複数種類の試料溶液を交互に灌流できるとともに、試料溶液を12個のフラクションに分けて分取可能(約1.6mL/約32分)であることが明らかになった。
〔実施例5〕
本発明の生体試料評価デバイスを用いて、マウス膵島に対する糖負荷試験を行った。
BALB/cマウス(8週齢、オス)から膵島を単離し、当該膵島を、10% 牛胎児血清(FBS)、100 units/mLペニシリン、100 μg/mLストレプトマイシン(GIBCO)を含有したRPMI1640培地が入った15mLチューブへ移した。氷冷下にて、約3時間かけて膵島単離場所から膵島評価場所に膵島を運んだ。その後、膵島と培地とを、アガロースコーティングされた培養皿内へ移し、37℃、5%二酸化炭素(CO2)条件下のインキュベータ内で約3時間静置した。
試料溶液としては、以下の高濃度グルコース含有緩衝液と、低濃度グルコース含有緩衝液とを用いた:
高濃度グルコース含有緩衝液: Krebs−Ringer bicarbonate HEPES (KRBH) buffer(116 mM NaCl, 4.7 mM KCl, 2.5 mM CaCl, 1.2 mM KHPO, 1.2 mM MgSO, 24 mM HEPES, 25 mM NaHCO,and 0.1% BSA; pH 7.4) with 22.5 mM (4053 mg/L) D−Glucose and 0.028 mM (1 mg/L) phenol red、
低濃度グルコース含有緩衝液: Krebs−Ringer bicarbonate HEPES (KRBH) buffer with 2.5 mM (450 mg/L) D−Glucose and 4009 mg/L Ficoll PM400 (GEヘルスケア)、なお、Ficollは比重を調整するために添加した。
生体試料評価デバイスとしては、図8の801に示すものを用いた。
53個の膵島を生体試料培養チップ内へ入れた。膵島の画像を取得した(図8の803を参照)。当該画像に基づいて、取得した膵島を、直径150 μmの膵島を基準とした単位Islet equivalent (IEQ)に換算すると、46.6 IEQであった。画像解析にはImageJバージョン1.52a(National Institutes of Health)を用いた。
膵島を冷やさないために生体試料培養チップを37℃のヒーターの上に乗せた。当該生体試料培養チップを、低濃度グルコース含有緩衝液を用いて、予め30分間灌流した。その後、12カラム用の試料溶液分取チップを備えた生体試料評価デバイスを用いて、以下に記述する試験を行った。
まず、低濃度グルコース含有緩衝液を生体試料培養チップへ灌流した。試料溶液分取チップの2番目の格納領域が試料溶液にて満たされたときに、四方バルブをひねり、生体試料培養チップへ灌流させる試料溶液を、低濃度グルコース含有緩衝液から高濃度グルコース含有緩衝液に切り替えた。7番目の格納領域が試料溶液によって満たされたときに、再び四方バルブをひねり、生体試料培養チップへ潅流させる試料溶液を、高濃度グルコース含有緩衝液から低濃度グルコース含有緩衝液に切り替えた。12番目の格納領域が試料溶液によって満たされたときに、分取を終了した。なお、灌流の流速は、全て50 μL/minで行い、アッセイ時間は、合計約30分であった。
図6の604に示す方法にしたがって、ハサミにて試料溶液分取チップを裁断し、各格納領域内に分取された試料溶液を1.5mLチューブ内へ移し、当該チューブを−80℃にて保存した。
1.5mLチューブ内へ移した各試料溶液に含まれているインスリンの量を、Mouse insulin Ultrasensitive ELISA Kit(Mercodia)を用いて定量した。1.5mLチューブ内へ移した各試料溶液に含まれているグルコースの量を、グルコカード プラスケア(アークレイ)とGsensor(アークレイ)を用いて定量した。低濃度グルコース含有緩衝液、高濃度グルコース含有緩衝液、および、これらの混合溶液を用いて作成した検量線を用いて、グルコース量の測定値を補正した。
試験結果を図8の803〜806に示す。
本実施例に用いた生体試料培養チップは、メッシュシートに向かって鉛直方向に伸びる流路を備えており、当該流路は、メッシュシートとは反対側の端部に、開口を備えていた。それ故に、本実施例では、生体試料培養チップ内への膵島の投入が容易であり、かつ、糖負荷試験の前後におけるメッシュシートの表面の上に配置された膵島の顕微鏡観察が容易であった。
図8の803、805および806に示すように、糖負荷試験の後におけるメッシュシートの表面の上の膵島は、試料溶液の水圧および試料溶液に含まれる気泡によって破壊されることなく、大きな塊として残っていた。このことから、本発明の生体試料培養チップであれば、膵島へ与えるダメージを軽減できることが明らかになった。
図8の804に示すように、1〜5番目の格納領域内の試料溶液では、グルコース濃度の上昇に伴ってインスリン濃度が上昇した。6〜9番目の格納領域内の試料溶液では、グルコース濃度は高く維持されたが、インスリン濃度は経時的に減少した。10〜12番目の格納領域内の試料溶液では、グルコース濃度は低く維持されたため、インスリン濃度も低く維持された。
これらのグルコース濃度とインスリン濃度との相関関係は、他の研究者によるフラクションコレクターを用いた実験結果と一致していた。本試験では、従来のフラクションコレクターを使用することなく、本発明の試料溶液分取チップによって、グルコース濃度とインスリン濃度との相関関係に関する有用な情報を得ることができた。
本発明は、生体試料(例えば、膵島、スフェロイド、オルガノイド、肝臓組織、腸管組織、皮膚組織、または、心臓組織)の評価に利用することができる。例えば、肝臓組織の機能として薬物代謝能を評価する場合は、薬剤を含んだ溶液を灌流した時の代謝産物の生成速度を評価することができる。また、腸管組織(例えば、小腸組織)から分泌されるインクレチン(GLP−1やGIP)やセクレチンなどを分取して定量することによって、腸管組織(例えば、小腸組織)の機能を評価することができる。
1 基板
2 蓋
3 接続流路
4 メッシュシート
5 生体試料
6 試料溶液用チューブ
7 四方バルブ
8 ポンプ
9 生体試料培養チップ
11 ポンプ制御装置
12 廃液用チューブ
13 鋳型
14 コーティング剤
15 プラズマ処理
16・17 超親水化コート剤
18 ハサミ
19 ピペット
20 パスツールピペット
21 供給流路
22 排出流路
23 整流流路
30・31 基板

Claims (4)

  1. 採取された生体試料を、表面の上に配置するためのメッシュシートと、
    上記メッシュシートの表面に向かって試料溶液を供給するための供給流路と、
    上記メッシュシートの表面から当該表面に背向する裏面に向かって上記メッシュシート内を通過した上記試料溶液を排出するための排出流路と、を備えていることを特徴とする、生体試料評価デバイス。
  2. 上記供給流路は、(i)上記メッシュシートの表面に向かって上記試料溶液を供給するための主流路と、(ii)上記主流路と接続されている複数の副流路であって、上記主流路に向かって複数種類の上記試料溶液を別々に供給するための複数の副流路と、を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の生体試料評価デバイス。
  3. 上記排出流路から排出された上記試料溶液を複数のフラクションに分けて取得するための基材を備え、
    上記基材の内部には、(i)上記複数のフラクションを別々に格納するための空間である複数の格納領域であって、互いが上下の位置関係にて配置されている複数の格納領域と、(ii)上記複数の格納領域の各々と接続されている分取流路であって、上記排出流路から排出された上記試料溶液を上記格納領域内に導入するための分取流路と、が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の生体試料評価デバイス。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の生体試料評価デバイスを用いる生体試料評価方法であって、
    上記生体試料評価デバイスに試料溶液を供給する供給工程と、
    上記生体試料評価デバイスから上記試料溶液を排出する排出工程と、を有することを特徴とする、生体試料評価方法。
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