JP2021001633A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープの抑制と転がり軸受の小型化の両立が可能な好適な転がり軸受を提供する。【解決手段】外輪2と、外輪2に対して回転する内輪4と、外輪2および内輪4間に介在する転動体6とを備えており、外輪2の内周が軌道面3を有し、外周が軌道面3の径方向反対側で全周に形成された円筒面2aと、弾性部材11を装着する2本の環状溝10と、円筒面2aから径方向に高さをもって軸方向両側に形成された表面処理層12とを有し、2本の環状溝10が円筒面2aの軸方向外側に位置し、表面処理層12の表面を円筒面状の嵌め合い面12aとし、表面処理層12の径方向の高さが運転時に嵌め合い面12aに嵌め合う相手部材に円筒面2aが非接触状態となる大きさとなっている。【選択図】図1
Description
本発明は、転がり軸受に関する。
自動車のトランスミッションのシャフトは、転がり軸受によって回転可能に支持されている。
近年、自動車用トランスミッションでは、自動車の省燃費化のために小型・軽量化が進められていることから、転がり軸受の軌動輪又はトランスミッションのハウジングを薄肉にする傾向がある。そのため、転がり軸受の仕様、荷重条件によって、転がり軸受の固定輪が、ハウジングに対してクリープする可能性がある。
クリープの発生を抑制するために、固定輪の外周面の軸方向両側に形成された周溝にOリングを装着した転がり軸受が知られている(特許文献1参照)。
この転がり軸受は、周溝に装着されるOリングの弾性変形により生じる復元力とOリングの緊迫力によってOリングとハウジングとの間の摩擦抵抗を高めてクリープを抑制することができる。
特許文献1に記載された転がり軸受では、運転時、転動体荷重が軌道輪の軌道面に作用すると、その直下で固定輪の表面が突出し、波打つ。軸受の回転に伴って公転する転動体により、固定輪の表面の波打ちが進行波となる。この進行波は、転がり軸受の負荷圏にわたり円周方向および半径方向へのぜん動運動的な挙動をとる。
上記進行波がハウジングを転動体の公転方向と逆方向に移送しようとするが、ハウジングの抵抗で逆に押し戻される形となり、結果、固定輪が転動体の公転方向、すなわち軸受回転と同方向に回転するクリープの発生を許すこととなる。
この固定輪の表面に発生する進行波によるクリープを抑制するために、特許文献1の転がり軸受において、例えば、固定輪の外周部のうち軌道面の直下に凹部を全周に形成することが考えられる。
しかしながら、特許文献1の転がり軸受は、固定輪の外周部にOリングを装着するための周溝を有しており、さらに凹部を形成すれば、固定輪の肉厚を厚くする必要があり、クリープの抑制と転がり軸受の小型化の両立は困難である。
そこで、この発明の課題としては、クリープの抑制と転がり軸受の小型化の両立が可能な好適な転がり軸受を提供することにある。
上記の課題を解決するために、この発明は、
内周および外周を有する固定輪と、前記固定輪に対して回転する回転輪と、前記固定輪および前記回転輪間に介在する転動体とを備える転がり軸受において、
前記固定輪の前記内周と外周のうちの一方が軌道面を有し、
前記一方と反対側の他方が、前記軌道面の径方向反対側で全周に形成された円筒面と、弾性部材を装着する少なくとも1本の環状溝と、前記円筒面から径方向に高さをもって軸方向両側に形成された表面処理層とを有し、
前記少なくとも1本の環状溝が前記円筒面の軸方向外側に位置し、
前記表面処理層の表面が相手部材を嵌め合う円筒面状の嵌め合い面である構成を採用することができる。
内周および外周を有する固定輪と、前記固定輪に対して回転する回転輪と、前記固定輪および前記回転輪間に介在する転動体とを備える転がり軸受において、
前記固定輪の前記内周と外周のうちの一方が軌道面を有し、
前記一方と反対側の他方が、前記軌道面の径方向反対側で全周に形成された円筒面と、弾性部材を装着する少なくとも1本の環状溝と、前記円筒面から径方向に高さをもって軸方向両側に形成された表面処理層とを有し、
前記少なくとも1本の環状溝が前記円筒面の軸方向外側に位置し、
前記表面処理層の表面が相手部材を嵌め合う円筒面状の嵌め合い面である構成を採用することができる。
この構成では、固定輪の前記他方の軸方向両側に前記円筒面から径方向に高さをもって表面処理層が形成されている。この表面処理層により、固定輪の他方に前記円筒面を底面とする凹部が全周にわたって疑似的に形成される。この疑似的凹部が形成されることにより、運転時に前記嵌め合い面に嵌め合う相手部材と前記他方の円筒面間に径方向のすき間が残る状態となる。
前記表面処理層の径方向の高さは、運転時に前記嵌め合い面に嵌め合う相手部材に対して前記円筒面が非接触状態となる大きさである構成を採用することができる。具体的には、前記表面処理層の径方向の高さが0.01〜0.5mmに規定される。
この構成において、前記相手部材による前記弾性部材の圧縮量が、前記弾性部材の径方向の厚みに対して5〜20%に規定されている構成を採用することができる。
この構成によると、相手部材に対して固定輪を嵌め合せをする際、弾性部材を弾性変形させつつ容易に嵌め合せをすることが可能となり、相手部材に対する転がり軸受の組み立て性が良いものとなる。
前記転動体が玉であり、前記少なくとも1本の環状溝が複数の環状溝であり、前記円筒面が前記複数の環状溝の間に位置している構成や、転動体が円すいころである構成を採用することができる。
この発明は、固定輪の前記他方の軸方向両側に形成された表面処理層の表面の嵌め合い面と前記相手部材がその嵌め合い面でのみ接触するので、その接触部分のみにおいて、相手部材で圧縮される弾性部材の摩擦力によりクリープの発生を抑制することができる。
また、固定輪の前記他方の軸方向両側に径方向に高さをもった表面処理層を形成していない従来のものよりも、環状溝の径方向の深さが小さくなる。このため、固定輪での環状溝と軌道面間の肉厚を確保することができ、クリープの抑制と転がり軸受の小型化の両立を可能とすることができる。
この発明に係る第1実施形態の転がり軸受を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、第1実施形態に係る転がり軸受1は、外輪2と、外輪2の径方向内側に同軸状に配置される内輪4と、外輪2および内輪4間に介在する複数の転動体である玉6と、玉6を保持する保持器7とを備えている。
転がり軸受1は、玉軸受であり、外輪2を固定輪とし、内輪4を外輪2に対して回転する回転輪とした内輪回転タイプである。なお、転がり軸受1は、外輪を回転輪とした外輪回転タイプであってもよい。
この実施形態において、転がり軸受1の軸受中心軸に沿った方向を「軸方向」と呼び、転がり軸受1の軸受中心軸に直交する方向を「径方向」と呼び、転がり軸受1の軸受中心軸周りの円周方向を「周方向」と呼ぶ。
外輪2はその内周に軌道面3を有する。軌道面3は周方向全周において玉6と呼び接触角0°で接触可能である。
外輪2はその内周と反対側となる外周が、軌道面3の径方向反対側で全周に形成された円筒面2aと、弾性部材11を装着する少なくとも1本(この実施形態では複数)の環状溝10と、軸方向両側に形成された表面処理層12とを有するものである。
表面処理層12は円筒面2aから(円筒面2aを基準として)径方向に高さa1をもって外輪2の外周の軸方向両側に形成されている。表面処理層12はその径方向外側を向く表面が嵌め合い面12aとされる。
表面処理層12は、外輪2の外周の軸方向両側から外輪2の外周の軸方向両端部に形成される面取り部に至る範囲に形成される。表面処理層12は、外輪2の外周の軸方向両側部分において、円筒面2aから径方向に高さa1をもって形成され、上記面取り部において、軸方向外側に向かって次第に径方向の高さが小さく(薄く)形成されている。なお、表面処理層12は必ずしも上記面取り部に形成しなくてもよい。
表面処理層12は、外輪2の材料(例えば、高炭素クロム軸受鋼、浸炭鋼等)に対して良好な固着性を有し、かつ摩耗抑制効果を奏する低摩擦性を有するものであればよい。例えば、ベース剤と硬化剤からなるエポキシ系の有機系バインダーに二硫化モリブデン等の固体潤滑材を含むものなどを使用することができる。表面処理層12の形成方法としては、既知の方法を採用することができ、例えば、スプレーによる吹き付け、ローラによる塗布などを採用することができる。
嵌め合い面12aは、外輪2の外周の軸方向両側に位置している。表面処理層12により、外輪2の外周には円筒面2aを底面とする凹部が全周にわたって疑似的に形成される。
嵌め合い面12aは、円筒面である。嵌め合い面12aには、相手部材であるハウジングH(例えば、自動車のトランスミッションのハウジング)が嵌合している。外輪2は、ハウジングHとすきま嵌めされている。運転時、転がり軸受1に負荷されるラジアル荷重によって、外輪2の嵌め合い面12aとハウジングHとが接触させられる。
図2に示すように、円筒面2aに対する表面処理層12の高さa1は、運転時に嵌め合い面12aに嵌め合うハウジングHに、円筒面2aが非接触状態となる大きさである。この実施形態では、表面処理層12の高さa1は、外輪2の嵌め合い面12aの外径寸法をd1とし、円筒面2aの外径寸法をd2としたとき、(d1−d2)/2で算出され、0.01〜0.5mmに規定されている。
表面処理層12の高さa1が0.01mmよりも小さいと、運転時にハウジングHに円筒面2aが接触し、円筒面2aに摩耗が生じるおそれがある。表面処理層12の高さa1が0.5mmよりも大きいと、転がり軸受1の運転時、転動体荷重により連続的に生ずる外輪2のひずみを低減するために、円筒面2aと軌道面3間の肉厚を大きく確保する必要があり、転がり軸受1の小型化を図ることが難しい。
環状溝10は環状であり、外輪2の外周に2本設けられている。それぞれの環状溝10は円筒面2aの軸方向両側の外端部に位置している。環状溝10は、嵌め合い面12aと円筒面2aとの間に位置し、嵌め合い面12aから径方向に深さc1をもって形成され、円筒面状の溝底面10aを有する。溝底面10aの外径寸法は円筒面2aの外径寸法よりも小さい。
環状溝10には環状の弾性部材11が所定の締め代をもって装着されている。弾性部材11の素材は弾性を有するものであれば特に限定されない。例えば、ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムなどを適用することができる。
なお、環状溝10は、弾性部材11が締め代をもって装着可能であれば、径方向の断面形状が円弧状、多角形状、あるいはV字状など既存の形状とすることができる。
弾性部材11は断面形状が円形をなし、環状溝10に装着されている状態で、嵌め合い面12aから径方向に突出量b1をもって一部突出している。外輪2の嵌め合い面12aをハウジングHに嵌め合せると、弾性部材11はハウジングHにより径方向に圧縮されている状態となる。なお、弾性部材11は、断面形状が多角形状、あるいはV字状をなすものを採用することができる。
ハウジングHによる弾性部材11の圧縮量Xは、弾性部材11の嵌め合い面12aからの突出量b1を最大とし、弾性部材11の径方向の厚みとなる直径D1に対して、5〜20%に規定されている。なお、弾性部材11の直径D1としては、環状溝10に装着されており、かつ相手部材で圧縮されていない状態における直径を意味する。
圧縮量Xが弾性部材11の直径D1に対して5%よりも小さい場合、外輪2をハウジングHに嵌合すると、弾性部材11の弾性変形により生じる復元力および緊迫力が小さくなり、クリープの発生を抑制することが難しい。圧縮量Xが弾性部材11の直径D1に対して20%よりも大きい場合、ハウジングHと外輪2との嵌め合せが難しくなり、これらの組み立て性が悪くなる。
内輪4は、外周に軌道面5を有し、内周に周方向に延びる嵌め合い面4aを有する環状の軸受部品である。嵌め合い面4aに相手部材である回転軸S(例えば、自動車のトランスミッションに備わる回転軸)が嵌め合されている。
嵌め合い面4aは、内輪4の中心軸と同心の円筒面をなしている。軌道面5は、円周方向全周において玉6と呼び接触角0°で接触可能になっている。
3つ以上の所定数の玉6が、外輪2の軌道面3と内輪4の軌道面5との間を公転する。外輪2と内輪4とが同心に配置された状態で、外輪2と内輪4の間に形成された空間のうち、玉6が通り得る空間が軸受内部である。それぞれの玉6は、軸受内部で保持器7により周方向に間隔をおいて保持される。
保持器7は、例えば、波形保持器であり、玉6によって案内される転動体案内形式となっている。転がり軸受1は、前記軸受内部の軸方向両端部を密封する環状のシール部材8をさらに備えている。
第1実施形態の転がり軸受1は、以上のように構成される。転がり軸受1は、外輪2の嵌め合い面12aがハウジングHに嵌め合され、回転軸Sが内輪4の嵌め合い面4aに嵌め合される。転がり軸受1によりハウジングHに対して回転軸Sが回転自在に支持される。
転がり軸受1の運転時において、転動体荷重が外輪2の軌道面3に作用すると軌道面3の径方向反対側の円筒面2aが波状に変形する。転がり軸受1が回転すると、玉6も公転するため、その円筒面2aの波状変形が周方向に沿って発生する。
転がり軸受1は、外輪2の外周が軌道面3の径方向反対側で全周に形成された円筒面2aと、弾性部材11を装着する2本の環状溝10と、円筒面2aから径方向に高さa1をもって軸方向両側に形成された表面処理層12とを有している。
この表面処理層12の表面が嵌め合い面12aである。円筒面2aに対する表面処理層12の高さa1は、運転時に嵌め合い面12aに嵌め合うハウジングHに円筒面2aが非接触状態となる大きさである。このため、ハウジングHと円筒面2a間に径方向のすきまが残る状態となる。
径方向のすきまが残ると、上述のように外輪2の円筒面2aは波状に変形してもハウジングHに対して非接触状態となり、その波状変形が外輪2をクリープさせる進行波として作用することを防止することができる。
また、転がり軸受1の運転時、外輪2の外周のうち円筒面2aよりも軸方向外側の部分、すなわち嵌め合い面12aにのみハウジングHが接触させられる状態となる。この接触部分のみにおいて、ハウジングHにより圧縮される弾性部材11の摩擦力によって、クリープの発生が抑制されている。このため、外輪の外周の軸方向全幅でハウジングに接触している従来のものよりも、弾性部材11の摩擦力を低減することができる。
弾性部材11の摩擦力の低減により、その摩擦力を確保するための弾性部材11の径方向の大きさ(直径D1)を小さくすることができる。そのため、環状溝10の深さc1を小さくすることができる。
環状溝10の深さc1を小さくすれば、環状溝10と軌道面3間の肉厚を確保することができるので、外輪2の厚肉化が不要となり、クリープの抑制と転がり軸受1の小型化の両立を可能とすることができる。
さらに、転がり軸受1では、表面処理層12が摩耗抑制効果を奏する低摩擦性を有する素材から形成されている。この表面処理層12の表面が嵌め合い面12aである。嵌め合い面12aに嵌り合うハウジングHは、表面処理層12の表面に接触させられる。このような接触では、ハウジングHが外輪2の材料、例えば高炭素クロム軸受鋼などの金属材などと接触する場合よりも、クリープの発生が抑制される。
次に、この発明に係る第2実施形態の転がり軸受を図4〜6に示す。この実施形態の転がり軸受21は、第1実施形態とは異なり、転がり軸受を円すいころ軸受としたものである。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付するものとする。
転がり軸受21は、外輪22と、外輪22の径方向内側に配置される内輪24と、外輪22と内輪24間に介在する複数の転動体である円すいころ26と円すいころ26を保持する保持器27とを備えている。
転がり軸受21は、外輪22を固定輪とし、内輪24を外輪22に対して回転する回転輪とした内輪回転タイプとされている。外輪22は、その内周に軌道面23を有する。軌道面23は、軸方向一方側から軸方向他方側へ拡径する円すい面状をなしている。
外輪22は、その内周と反対側となる外周が、軸方向中央部分の全周に形成された円筒面22aと、弾性部材11を装着する少なくとも1本(この実施形態では1本)の環状溝10と、軸方向両側に形成された表面処理層12とを有するものである。
円筒面22aの軸方向の幅寸法は、円すいころ26のころ長さよりも小さい。円筒面22aは、円すいころ26の両端面よりも軸方向内方に位置している。
図5に示すように、表面処理層12は円筒面22aから(円筒面22aを基準として)径方向に高さa2をもって外輪22の外周の軸方向両側に形成されている。表面処理層12は、その径方向外側を向く表面が嵌め合い面12aとされる。
外輪2は相手部材であるハウジングH(例えば、自動車のトランスミッションのケースの一部)とすきま嵌めされている。運転時、転がり軸受21に負荷されるラジアル荷重によって、外輪22の嵌め合い面12aとハウジングHとが接触させられる。
円筒面22aに対する表面処理層12の高さa2は、運転時に嵌め合い面12aに嵌め合うハウジングHに円筒面22aが非接触状態となる大きさである。この実施形態では、表面処理層12の高さa2は、外輪22の嵌め合い面12aの外径寸法をd3とし、円筒面22aの外径寸法をd4としたとき、(d3−d4)/2で算出され、0.01〜0.5mmに規定されている。
環状溝10は環状であり、円筒面22aの軸方向外側に1本設けられ、軸方向背面側の端部(一端部)に配置されている。環状溝10は、嵌め合い面12aと円筒面22aとの間に位置し、嵌め合い面12aから径方向に深さc2をもって形成され、円筒面状の溝底面10aを有する。溝底面10aの外径寸法は円筒面22aの外径寸法よりも小さい。
弾性部材11は、断面形状が円形をなし、環状溝10に装着されている状態で、嵌め合い面12aから径方向に突出量b2をもって一部突出している。ハウジングHによる弾性部材11の圧縮量Xは、弾性部材11の嵌め合い面12aからの突出量b2を最大とし、弾性部材11の径方向の厚みとなる直径D2に対して、5〜20%に規定されている。
内輪24は、外周側で周方向に延びる軌道面25と、軌道面25の小径側(軸方向一方側)に位置する小つば24aと、軌道面25の大径側(軸方向他方側)に位置する大つば24bとを有する。
軌道面25は、軸方向一方側から軸方向他方側へ拡径する円すい面状をなしている。小つば24aおよび大つば24bは、径方向外向きへ突出している。大つば24bは、軸方向内側面が転がり軸受21の大径側端面に対向し、軸方向外側面が転がり軸受21の回転中心に対して直角な平面となっている。
内輪24は、内周側に周方向に延びる嵌め合い面24cを有する。嵌め合い面24cに相手部材である回転軸S(例えば、自動車のトランスミッションに備わる伝達軸)が嵌め合されている。
それぞれの円すいころ26は、図4に示すように、外周面の軸方向両端縁に面取り部を有し、その大径側端面が内輪24の大つば24b側となるように配置されている。円すいころ26の大径側端面は、大つば24bの軸方向内側面と対向している。
第2実施形態の転がり軸受21は、以上のように構成される。転がり軸受21では、外輪22の外周が軌道面23の径方向反対側で全周に形成された円筒面22aと、弾性部材11を装着する環状溝10と、円筒面22aから径方向に高さa2をもって軸方向両側に形成された表面処理層12とを有している。
また、表面処理層12の表面が嵌め合い面12aであり、円筒面22aに対する表面処理層12の高さa2は、運転時に嵌め合い面12aに嵌め合うハウジングHに円筒面22aが非接触状態となる大きさである。このため、ハウジングHと円筒面22a間に径方向のすきまが残る状態となる。
径方向のすきまが残ると、上述のように外輪22の円筒面22aは波状に変形してもハウジングHにに対して非接触状態となり、第1実施形態の転がり軸受1の場合と同様に、クリープが生じない。
また、転がり軸受21の運転時、外輪22の外周のうち円筒面22aよりも軸方向外側の部分、すなわち嵌め合い面12aにのみハウジングHが接触させられる状態となる。この状態の第2実施形態では、第1実施形態と同様に、外輪の嵌め合い面の軸方向全幅でハウジングに接触している従来のものよりも、弾性部材11の摩擦力を軽減することができる。
上述の第1実施形態または第2実施形態に係る転がり軸受によって自動車用のトランスミッションに備わる回転軸を支持する構成の一例を図7に示す。
図7に示すトランスミッション30は、段階的に変速比を変化させる多段変速機になっており、そのハウジングH(トランスミッションのケースの一部)に嵌め合され、回転軸(例えば入力軸(図示省略)や出力軸S1など)を回転可能に支持する転がり軸受Aとして、上述の第1実施形態または第2実施形態に係る転がり軸受を備えている。
図示のトランスミッションは、エンジンの回転が入力される入力軸と、入力軸と平行に設けられた出力軸S1と、入力軸から出力軸S1に回転を伝達する複数のギア列G1〜G4と、各ギア列G1〜G4と入力軸または出力軸S1との間に組み込まれた図示しないクラッチとを有する。トランスミッションは、クラッチを選択的に係合させることで使用するギア列G1〜G4を切り替え、入力軸から出力軸S1に伝達する回転の変速比を変化させるものである。出力軸S1の回転は出力ギアG5に出力され、その出力ギアG5の回転がディファレンシャルギヤ等に伝達される。
また、このトランスミッションは、ギアの回転に伴う潤滑油のはね掛けにより、又はハウジングHの内部に設けられたノズル(図示省略)からの潤滑油の噴射により、はね掛け又は噴射された潤滑油が各転がり軸受Aの側面にかかるようになっている。
上述の第1実施形態または第2実施形態に係る転がり軸受は、運転時、ハウジングHと外輪(2、22)の円筒面(2a、22a)間にすきまが残り、ハウジングHと円筒面(2a、22a)間が非接触状態となる。このため、あらかじめ、外輪(2、22)の外周であって、軸方向両側に形成される表面処理層12の間にグリースを保持させておく必要がなく、グリースレス化することができる。
1 転がり軸受
2 外輪
2a 円筒面
3 軌道面
4 内輪
5 軌道面
6 玉(転動体)
7 保持器
8 シール部材
10 環状溝
10a 溝底面
11 弾性部材
12 表面処理層
12a 嵌め合い面
21 転がり軸受
22 外輪
22a 円筒面
23 軌道面
24 内輪
25 軌道面
26 円すいころ(転動体)
2 外輪
2a 円筒面
3 軌道面
4 内輪
5 軌道面
6 玉(転動体)
7 保持器
8 シール部材
10 環状溝
10a 溝底面
11 弾性部材
12 表面処理層
12a 嵌め合い面
21 転がり軸受
22 外輪
22a 円筒面
23 軌道面
24 内輪
25 軌道面
26 円すいころ(転動体)
Claims (6)
- 内周および外周を有する固定輪と、前記固定輪に対して回転する回転輪と、前記固定輪および前記回転輪間に介在する転動体とを備える転がり軸受において、
前記固定輪の前記内周と外周のうちの一方が軌道面を有し、
前記一方と反対側の他方が、前記軌道面の径方向反対側で全周に形成された円筒面と、弾性部材を装着する少なくとも1本の環状溝と、前記円筒面から径方向に高さをもって軸方向両側に形成された表面処理層とを有し、
前記少なくとも1本の環状溝が前記円筒面の軸方向外側に位置し、
前記表面処理層の表面が相手部材を嵌め合う円筒面状の嵌め合い面であることを特徴とする転がり軸受。 - 前記表面処理層の径方向の高さは、運転時に前記嵌め合い面に嵌め合う相手部材に対して前記円筒面が非接触状態となる大きさであることを特徴とする請求項1に記載された転がり軸受。
- 前記表面処理層の径方向の高さが0.01〜0.5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載された転がり軸受。
- 前記相手部材による前記弾性部材の圧縮量が、前記弾性部材の径方向の厚みに対して5〜20%に規定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された転がり軸受。
- 前記転動体が玉であり、前記少なくとも1本の環状溝が複数の環状溝であり、前記円筒面が前記複数の環状溝の間に位置していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の転がり軸受。
- 前記転動体が円すいころであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された転がり軸受。
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2019
- 2019-06-20 JP JP2019114620A patent/JP2021001633A/ja active Pending
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