JP2021001620A - 摩擦ローラ式動力伝達装置及びハイブリッド車両 - Google Patents

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梓 日高
弘志 河原
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Abstract

【課題】極く低温の環境下で使用する場合にも、第3ローラ又は第4ローラと、第1ローラ及び第2ローラとの接触部にグロススリップが発生することを防止できる、摩擦ローラ式動力伝達装置を提供する。【解決手段】第3ローラ10が動力を伝達する場合において、第1ローラ8及び第3ローラ10の共通接線t1と第2ローラ9及び第3ローラ10の共通接線t2とのなす角の1/2を第1のくさび角α1とし、第4ローラ11が動力を伝達する場合において、第1ローラ8及び第4ローラ11の共通接線t3と第2ローラ9及び第4ローラ11共通接線t4とのなす角の1/2を第2のくさび角α2とした場合に、第2のくさび角α2を第1のくさび角α1よりも小さくし、極く低温時には、第4ローラ11を介して動力を伝達することで、上記課題を解決する。【選択図】図8

Description

本発明は、摩擦ローラ式動力伝達装置及びハイブリッド車両に関する。
従来から、2本の軸間で動力を伝達する場合に、滑りを生じることなく大きな動力を伝達できるなどの理由から、歯車式減速機などの歯車式の動力伝達装置が使用されている。ただし、歯車式の動力伝達装置においては、1対の歯車を滑らかに無理なく回転させるために、歯面間にバックラッシを設ける必要がある。このため、動力を伝達する際に、騒音や振動を発生させやすくなる。
これに対し、特開2005−147357号公報(特許文献1)には、転がり接触により動力伝達を行うことで騒音や振動の発生を抑えられる、摩擦ローラ式の動力伝達装置が記載されている。
従来構造の摩擦ローラ式の動力伝達装置は、第1ローラから第4ローラまでの4つのローラを備えている。第1ローラと第2ローラとは、それぞれの回転中心軸を互いに平行に配置している。第3ローラ及び第4ローラは、それぞれの回転中心軸を、第1ローラの回転中心軸と第2ローラの回転中心軸とを含む仮想平面を挟んで互いに反対側に配置しており、第1ローラ及び第2ローラにそれぞれ外接している。第3ローラ及び第4ローラは、それぞれの回転中心軸回りの回転を可能にホルダに保持されており、互いに同じ直径を有している。それぞれのホルダは、第3ローラ又は第4ローラを第1ローラ及び第2ローラに対して押し付けるように、押圧部材によって押圧されている。
第1ローラが正回転する場合には、第1ローラの動力を第3ローラ(又は第4ローラ)を介して第2ローラに伝達し、第1ローラが負回転する場合には、第1ローラの動力を第4ローラ(又は第3ローラ)を介して第2ローラに伝達する。このように、従来構造の摩擦ローラ式の動力伝達装置は、ローラ同士の転がり接触により動力の伝達を行うため、バックラッシが存在せず、騒音や振動の発生を抑えることができる。
特開2005−147357号公報 特開2016−223468号公報
従来構造の摩擦ローラ式の動力伝達装置は、ローラ間の動力伝達をトラクションオイルを介して行う場合に、次のような問題を生じる可能性がある。
すなわち、特開2016−223468号公報(特許文献2)などに記載されているように、トラクションオイルは、極く低温状態(たとえばマイナス10℃以下)になると、トラクション係数が極端に低下する特性を有している。このため、トラクションオイルの温度が低下して、トラクション係数が極端に低下すると、第3ローラ又は第4ローラを、第1ローラ及び第2ローラに押し付ける押圧力(接触部における法線力)が不足し、グロススリップを発生させる可能性がある。
ディスクとパワーローラ間での動力伝達をトラクションオイルを介して行うトロイダル型無段変速機においては、トラクションオイルの温度が低下した場合にも、グロススリップが発生するのを防止するために、たとえば、ディスクをパワーローラに押し付けるための押圧装置が発生する押圧力を大きくしたり、あるいは、必要な押圧力を小さくすべく、意図的に変速比を下げたりすることが考えられている。ただし、摩擦ローラ式の動力伝達装置においては、押圧部材から第3ローラ又は第4ローラに付与する押圧力を、トロイダル型無段変速機の押圧装置の場合のように、トラクションオイルの温度に応じて大きくすることは、装置の大型化を防止する面から困難であるし、第3ローラ又は第4ローラに必要な押圧力を、トロイダル型無段変速機の場合のように変速比を変更することで調整する(意図的に小さくする)こともできない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、たとえば極く低温の環境下で使用する場合にも、第3ローラ又は第4ローラと、第1ローラ及び第2ローラとの接触部にグロススリップが発生することを防止できる、摩擦ローラ式動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用している。
すなわち、本発明の一態様にかかる摩擦ローラ式動力伝達装置は、第1ローラと、第2ローラと、第3ローラと、第4ローラと、第1押圧部材と、第2押圧部材と、を備える。
前記第1ローラは、第1回転中心軸を有する。
前記第2ローラは、前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有する。
なお、前記第2ローラは、前記第1ローラと異なる直径を有することもできるし、前記第1ローラと等しい直径を有することもできる。
前記第3ローラは、前記第1ローラと前記第2ローラとにそれぞれ外接し、前記第1回転中心軸と前記第2回転中心軸とを含む仮想平面から該仮想平面に対し直交する第1の方向に関して一方側に外れた位置に、第3回転中心軸を有する。
前記第4ローラは、前記第1ローラと前記第2ローラとにそれぞれ外接し、前記仮想平面から前記第1の方向に関して他方側に外れた位置に、第4回転中心軸を有する。
前記第1押圧部材は、前記第3ローラを前記第1ローラ及び前記第2ローラに押し付ける。
前記第2押圧部材は、前記第4ローラを前記第1ローラ及び前記第2ローラに押し付ける。
そして、前記第3ローラが前記第1ローラと前記第2ローラとの間で動力を伝達する場合において、前記第1ローラと前記第3ローラとの接触部を通る前記第1ローラ及び前記第3ローラの共通接線と、前記第2ローラと前記第3ローラとの接触部を通る前記第2ローラ及び前記第3ローラの共通接線とのなす角の1/2を、第1のくさび角とする。
また、前記第4ローラが前記第1ローラと前記第2ローラとの間で動力を伝達する場合において、前記第1ローラと前記第4ローラとの接触部を通る前記第1ローラ及び前記第4ローラの共通接線と、前記第2ローラと前記第4ローラとの接触部を通る前記第2ローラ及び前記第4ローラの共通接線とのなす角の1/2を、第2のくさび角とする。
この場合に、前記第1のくさび角の大きさと前記第2のくさび角の大きさとを、互いに異ならせている。
本発明の一態様では、前記第3ローラの直径と前記第4ローラの直径とを、互いに異ならせることができる。
本発明の一態様では、前記第3ローラの径方向に関する剛性と前記第4ローラの径方向に関する剛性とを、互いに異ならせることができる。
この場合には、前記第3ローラを構成する金属材料と前記第4ローラを構成する金属材料とを、互いに異ならせることができるほか、前記第3ローラと前記第4ローラとで、中空部(肉盗み部)の有無や、中空部の数及び大きさなどを異ならせたり、外周面(トラクション面)の母線形状を異ならせることができる。
本発明の一態様にかかるハイブリッド車両は、エンジンと、回転機(モータジェネレータ)と、本発明の摩擦ローラ式動力伝達装置と、を備える。
前記エンジンは、クランクシャフトを有する。
前記回転機は、モータ出力軸を有する。
前記摩擦ローラ式動力伝達装置を構成する各部材のうち、前記第1ローラは、前記クランクシャフトに対してトルク伝達を可能に接続されており、前記第2ローラは、前記モータ出力軸に対してトルク伝達を可能に接続されている。
また、前記第2のくさび角は、前記第1のくさび角よりも小さくなっている。
そして、前記エンジンの始動時には、前記モータ出力軸を回転駆動することで、前記第2ローラの動力を前記第4ローラを介して前記第1ローラに伝達し、前記クランクシャフトを回転させるのに対し、前記エンジンの始動後は、前記第1ローラの動力を前記第3ローラを介して前記第2ローラに伝達し、前記モータ出力軸を回転させる。
本発明の摩擦ローラ式動力伝達装置によれば、第1ローラと第2ローラとの間で動力伝達を主として担うローラが、第3ローラである場合(モード)と第4ローラである場合(モード)とで、ローラ間の接触部におけるトラクション係数を異ならせることができる。このため、たとえば極く低温の環境下で使用する場合に、トラクション係数が小さいモードを選択することで、ローラ間の接触部にグロススリップが発生することを防止できる。
図1は、実施の形態の第1例にかかるハイブリッド車両の主な構成部品を示す模式図である。 図1は、実施の形態の第1例にかかる摩擦ローラ式動力伝達装置を示す斜視図である。 図3は、実施の形態の第1例にかかる摩擦ローラ式動力伝達装置を示す正面図である。 図4は、図3から片方の側壁部を省略して示す部分断面図である。 図5は、実施の形態の第1例にかかる摩擦ローラ式動力伝達装置を示す模式図である。 図6は、実施の形態の第1例にかかる摩擦ローラ式動力伝達装置を示す分解斜視図である。 図7は、図3のA−A断面図である。 図8は、実施の形態の第1例にかかる摩擦ローラ式動力伝達装置の動作説明に用いる概念図であり、図8の(A)は第1のモードを示しており、図8の(B)は第2のモードを示している。 図9は、実施の形態の第2例にかかる摩擦ローラ式動力伝達装置の動作説明に用いる概念図であり、図9の(A)は第1のモードを示しており、図9の(B)は第2のモードを示している。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1〜図8を用いて説明する。
[ハイブリッド車両の全体構成]
本例のハイブリッド車両(HV)は、それぞれが駆動源であるエンジン1及び回転機2と、摩擦ローラ式動力伝達装置3と、図示しない変速機、デファレンシャル機構などを備える。そして、走行状態に応じて、駆動輪に動力を伝達する駆動源の種類及びその組み合わせを切り替え、複数の走行モードを実現する。
エンジン1は、たとえばガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど、燃料を燃焼させて発生した燃焼ガスを利用して動力を得る内燃機関であり、クランクシャフト4を有している。
回転機2は、駆動トルクを発生させる電動機(モータ)としての機能と、発電機(ジェネレータ)としての機能とを兼ね備えたモータジェネレータであり、モータ出力軸5を有している。
摩擦ローラ式動力伝達装置3は、エンジン1と回転機2との間に配置され、ハイブリッド車両の走行モードに応じて、図1中に1点鎖線の矢印で示すように、エンジン1で発生した動力を回転機2に伝達したり、反対に、図1中に2点鎖線の矢印で示すように、回転機2で発生した動力をエンジン1に伝達したりする。具体的には、エンジン1の始動時(たとえばハイブリッド車両の走行開始時)には、回転機2で発生した動力をクランクシャフト4に伝達して、エンジン1を始動させる。また、エンジン1の始動後(常用時)には、エンジン1で発生した動力をモータ出力軸5に伝達して、回転機2で発電を行う。
[摩擦ローラ式動力伝達装置の構造説明]
本例の摩擦ローラ式動力伝達装置3は、トラクションドライブ式の動力伝達装置であり、互いに離隔した第1回転軸6と第2回転軸7との間で動力を伝達する。第1回転軸6は、クランクシャフト4に対し、直接又は他の部材を介してトルク伝達可能に接続されている。第2回転軸7は、モータ出力軸5に対し、直接又は他の部材を介してトルク伝達可能に接続されている。摩擦ローラ式動力伝達装置3は、第1ローラ8と、第2ローラ9と、第3ローラ10と、第4ローラ11と、第1ホルダ12と、第2ホルダ13と、第1押圧部材14と、第2押圧部材15と、ハウジング16とを備える。
〈第1ローラ〉
第1ローラ8は、第1回転軸6の一部に、相対回転不能に固定又は一体的に形成されている。このため、第1ローラ8は、クランクシャフト4に対してトルク伝達可能に接続されている。第1ローラ8は、第1回転軸6の軸心と一致する第1回転中心軸Oを有しており、ハウジング16に対し、第1ローラ8の両側に配置された1対の転がり軸受17を介して、第1回転中心軸O回りの回転を可能に支持されている。第1ローラ8は、金属材料により構成されており、円筒面状の外周面を有している。
〈第2ローラ〉
第2ローラ9は、第2回転軸7の一部に、相対回転不能に固定又は一体的に形成されて
いる。このため、第2ローラ9は、モータ出力軸5に対してトルク伝達可能に接続されている。第2ローラ9は、第2回転軸7の軸心と一致する第2回転中心軸Oを有しており、ハウジング16に対し、第2ローラ9の両側に配置された1対の転がり軸受18を介して、第2回転中心軸O回りの回転を可能に支持されている。第2回転中心軸Oは、第1回転中心軸Oと平行に配置されている。第2ローラ9は、金属材料により構成されており、円筒面状の外周面を有している。第2ローラ9の直径(外径)Dは、第1ローラ8の直径Dとは異なる。図示の例では、第2ローラ9の直径Dは、第1ローラ8の直径Dよりも小さい(D<D)。このため、本例の摩擦ローラ式動力伝達装置3は、第1回転軸6(クランクシャフト4)を駆動軸として用いる場合には、増速機として機能し、第2回転軸7(モータ出力軸5)を駆動軸として用いる場合には、減速機として機能する。
以下、第1回転中心軸Oと第2回転中心軸Oとを含む仮想平面を仮想平面Lとし、該仮想平面Lに対し直交する方向のことを、第1の方向Xと呼ぶ。第1の方向Xは、図4、図5及び図7の左右方向に対応する。また、第1回転中心軸Oと第2回転中心軸Oとにそれぞれ直交する方向のことを、第2の方向Yと呼ぶ。第2の方向Yは、図4及び図5の上下方向並びに図7の表裏方向に対応する。さらに、第1回転中心軸Oと第2回転中心軸Oとにそれぞれ平行な方向のことを、第3の方向Zと呼ぶ。第3の方向Zは、図4及び図5の表裏方向並びに図7の上下方向に対応する。
〈第3ローラ〉
第3ローラ10は、第3回転中心軸Oを有しており、第1ホルダ12によって、第3回転中心軸O回りの回転を可能にかつ第4ローラ11に対する遠近移動を可能に保持されている。第3回転中心軸Oは、仮想平面Lから第1の方向Xに関して一方側(図4、図5及び図7の右側)に外れた位置に配置されており、第1回転中心軸O及び第2回転中心軸Oと平行に配置されている。第3ローラ10は、金属材料により構成されている。第3ローラ10は、円筒面状の外周面を有しており、第1ローラ8と第2ローラ9とにそれぞれ外接している。第3ローラ10の直径(外径)Dは、第1ローラ8と第2ローラ9との周面間距離よりも大きく、図示の例では、第1ローラ8の直径Dよりも大きい(D>D)。第3ローラ10の外径寄り部分の厚さ寸法は、第1ローラ8の厚さ寸法及び第2ローラ9の厚さ寸法よりも十分に小さい。
〈第4ローラ〉
第4ローラ11は、第4回転中心軸Oを有しており、第2ホルダ13によって、第4回転中心軸O回りの回転を可能にかつ第3ローラ10に対する遠近移動を可能に保持されている。第4回転中心軸Oは、仮想平面Lから第1の方向Xに関して他方側(図4、図5及び図7の左側)に外れた位置に配置されており、第1回転中心軸O及び第2回転中心軸Oと平行に配置されている。第4ローラ11は、金属材料により構成されている。第4ローラ11は、円筒面状の外周面を有しており、第1ローラ8と第2ローラ9とにそれぞれ外接している。また、第4ローラ11の一部と第3ローラ10の一部とは、第3の方向Zに重畳している。第4ローラ11の直径(外径)Dは、第1ローラ8と第2ローラ9との周面間距離よりは大きいが、第3ローラ10の直径Dよりも小さい(D<D)。第4ローラ11の外径寄り部分の厚さ寸法は、第3ローラ10の外径寄り部分の厚さ寸法と同じである。なお、本例では、第4ローラ11の径方向に関する剛性は、第3ローラ10の径方向に関する剛性と同じである。
〈第1ホルダ〉
第1ホルダ12は、略矩形枠状に構成されており、その内側に第3ローラ10を回転可能に保持している。第1ホルダ12は、第3ローラ10の第2の方向Yに関する中間部の周囲を囲んでいる。そして、第1ホルダ12に固定された支持ピン19aの周囲に、1対の転がり軸受20aを介して、第3ローラ10を回転可能に支持している。第1ホルダ12は、ハウジング16に対し、第1の方向Xに関する移動(図4では水平移動)のみを可能に案内支持されている。このために、第1ホルダ12の第3の方向Zに関する一方側の端部を、ハウジング16に形成されたガイド溝21aに係合させている。
〈第2ホルダ〉
第2ホルダ13は、略矩形枠状に構成されており、その内側に第4ローラ11を回転可能に保持している。第2ホルダ13は、第4ローラ11の第2の方向Yに関する中間部の周囲を囲んでいる。そして、第2ホルダ13に固定された支持ピン19bの周囲に、1対の転がり軸受20bを介して、第4ローラ11を回転可能に支持している。第2ホルダ13は、ハウジング16に対し、第1の方向Xに関する移動(図4では水平移動)のみを可能に案内支持されている。このために、第2ホルダ13の第3の方向Zに関する他方側の端部を、ハウジング16に形成されたガイド溝21bに係合させている。
〈第1押圧部材〉
第1押圧部材14は、第3ローラ10を第1ローラ8及び第2ローラ9に押し付けるように、第1の方向Xに第1ホルダ12を押圧する。これにより、第3ローラ10と、第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部に法線力を付与する。第1押圧部材14は、弾性を有する金属板により造られた板ばね(薄板ばね)であり、押圧部22aと、取付板部23aとを有している。
押圧部22aは、略V字状(又は略U字状)の断面形状を有しており、第3の方向Zに関する中間部が、第1の方向Xに関して他方側(第1ホルダ12に対向する側)に凸となるように折れ曲がっている。
取付板部23aは、平板状に構成されている。取付板部23aは、押圧部22aと一体に設けられており、第3の方向Zに関して押圧部22aの一方側に隣接配置されている。取付板部23aは、第2の方向Yに離隔して配置された図示しない1対の貫通孔を有している。
本例では、第1押圧部材14を、締結部材である1対の固定ねじ24aにより、ハウジング16(後述する側壁部26a)に対して直接固定している。具体的には、取付板部23aに形成された図示しない貫通孔を挿通した固定ねじ24aを、ハウジング16に形成された図示しない雌ねじ孔に螺合しさらに締め付けることで、第1押圧部材14をハウジング16に対して片持ち支持している。なお、図示の例では、取付板部23aとハウジング16との間に座金(ワッシャ)25aを介在させている。
〈第2押圧部材〉
第2押圧部材15は、第4ローラ11を第1ローラ8及び第2ローラ9に押し付けるように、第1の方向Xに第2ホルダ13を押圧する。これにより、第4ローラ11と、第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部に法線力を付与する。第2押圧部材15は、弾性を有する金属板により造られた板ばね(薄板ばね)であり、押圧部22bと、取付板部23bとを有している。
押圧部22bは、略V字状(又は略U字状)の断面形状を有しており、第3の方向Zに関する中間部が、第1の方向Xに関して一方側(第2ホルダ13に対向する側)に凸となるように折れ曲がっている。
取付板部23bは、平板状に構成されている。取付板部23bは、押圧部22bと一体に設けられており、第3の方向Zに関して押圧部22bの他方側に隣接配置されている。取付板部23bは、第2の方向Yに離隔して配置された図示しない1対の貫通孔を有している。
本例では、第2押圧部材15を、締結部材である1対の固定ねじ24bにより、ハウジング16(後述する側壁部26b)に対して直接固定している。具体的には、取付板部23bに形成された図示しない貫通孔を挿通した固定ねじ24bを、ハウジング16に形成された雌ねじ孔に螺合しさらに締め付けることで、第2押圧部材15をハウジング16に対して片持ち支持している。なお、図示の例では、取付板部23bとハウジング16との間に座金(ワッシャ)25bを介在させている。
〈ハウジング〉
ハウジング16は、1対の側壁部26a、26bを備える。
1対の側壁部26a、26bは、第1ローラ8及び第2ローラ9をそれぞれ回転可能に支持するとともに、第1ホルダ12及び第2ホルダ13をそれぞれ平行移動可能に支持するもので、第3の方向Zに関して第1ローラ8及び第2ローラ9を挟んだ両側に、互いに平行に配置されている。
第3の方向Zに関して一方側に配置された側壁部26aは、挿通孔27aと、保持凹部28aと、ガイド溝21aと、台座部29aとを備えている。挿通孔27aは、側壁部26aの第2の方向Yに関する一方側(図6の上側)に配置された円形状の貫通孔であり、第1回転軸6を挿通させる。なお、挿通孔27aの内周面と第1回転軸6の外周面との間には、転がり軸受17が配置されている。保持凹部28aは、第3の方向Zに関する他方側面が開口し、かつ、円形の開口形状を有する凹部である。また、保持凹部28aは、側壁部26aの第2の方向Yに関する他方側(図6の下側)に配置されており、第2回転軸7を回転自在に支持するための転がり軸受18を内嵌保持する。ガイド溝21aは、側壁部26aの第2の方向Yに関する中間部に形成された断面矩形状の凹溝であり、第1の方向Xと平行に配置されている。
台座部29aは、第1押圧部材14を固定するための台座として機能する。台座部29aは、側壁部26aの第1の方向Xに関する一方側の側面のうち、第2の方向Yに関する中間部から張り出すように設けられている。台座部29aには、固定ねじ24aを螺合するための図示しない雌ねじ孔が形成されている。このような台座部29aに第1押圧部材14の取付板部23aを固定した状態で、第1押圧部材14の押圧部22aは、第1の方向Xに関して第1ホルダ12の一方側に配置される。そして、押圧部22aの先端部(屈曲部)が、第1ホルダ12の第1の方向Xに関する一方側の端面に弾性的に当接(線接触)する。これにより、押圧部22aが取付板部23aに対して弾性変形し(曲げ変形し)、第1ホルダ12を第1の方向Xに押圧する。そして、第3ローラ10を、第1ローラ8及び第2ローラ9に押し付ける。
第3の方向Zに関して他方側に配置された側壁部26bは、挿通孔27bと、保持凹部28bと、ガイド溝21bと、台座部29bとを備えている。挿通孔27bは、側壁部26bの第2の方向Yに関する他方側に配置された円形状の貫通孔であり、第2回転軸7を挿通させる。なお、挿通孔27bの内周面と第2回転軸7の外周面との間には、転がり軸受18が配置されている。保持凹部28bは、第3の方向Zに関する一方側面が開口し、かつ、円形の開口形状を有する凹部である。また、保持凹部28bは、側壁部26bの第2の方向Yに関する一方側に配置されており、第1回転軸6を回転自在に支持するための転がり軸受17を内嵌保持する。ガイド溝21bは、側壁部26bの第2の方向Yに関する中間部に形成された断面矩形状の凹溝であり、第1の方向Xと平行に配置されている。
台座部29bは、第2押圧部材15を固定するための台座として機能する。台座部29bは、側壁部26aの第1の方向Xに関する他方側の側面のうち、第2の方向Yに関する中間部から張り出すように設けられている。台座部29bの張り出し量は、台座部29aの張り出し量よりも小さい。台座部29bには、固定ねじ24bを螺合するための図示しない雌ねじ孔が形成されている。このような台座部29bに第2押圧部材15の取付板部23bを固定した状態で、第2押圧部材15の押圧部22bは、第1の方向Xに関して第2ホルダ13の他方側に配置される。そして、押圧部22bの先端部(屈曲部)が、第2ホルダ13の第1の方向Xに関する他方側の端面に弾性的に当接(線接触)する。これにより、押圧部22bが取付板部23bに対して弾性変形し(曲げ変形し)、第2ホルダ13を第1の方向Xに押圧する。そして、第4ローラ11を、第1ローラ8及び第2ローラ9に押し付ける。
上述のような1対の側壁部26a、26bは、複数(図示の例では4つ)の締結ねじ30を用いて、第3の方向Zに固定されている。
ハウジング16の内側には、潤滑剤(トラクションオイル又はトラクショングリース)を充填している。そして、第1回転軸6と第2回転軸7との間で動力を伝達する場合に、転がり接触するローラ間に潤滑剤を介在させることで、油膜を介して動力を伝達する。
[摩擦ローラ式動力伝達装置の動作説明]
本例の摩擦ローラ式動力伝達装置3は、前述した通り、エンジン1の始動時には、回転機2で発生した動力をクランクシャフト4に伝達して、エンジン1を始動させるのに対し、エンジン1の始動後には、エンジン1で発生した動力をモータ出力軸5に伝達して、回転機2により発電を行う。このため、本例では、第1ローラ8と第2ローラ9との間で、駆動ローラと被駆動ローラとの役割を変更して使用する。
たとえば、図8の(A)に示すように、第1ローラ8を、クランクシャフト4によって回転駆動されて正回転(時計回りに回転)する駆動ローラとし、第2ローラ9を被駆動ローラとして用いる第1のモードでは、第1ローラ8の動力は、主に直径の大きい第3ローラ10を介して、第2ローラ9に伝達される。
これに対し、図8の(B)に示すように、第2ローラ9を、モータ出力軸5によって回転駆動されて正回転する駆動ローラとし、第1ローラ8を被駆動ローラとして用いる第2のモードでは、第2ローラ9の動力は、主に直径の小さい第4ローラ11を介して、第1ローラ8に伝達される。
本例の摩擦ローラ式動力伝達装置3においては、エンジン1の始動時に実行される第2のモードから、エンジン1の始動後(常用時)に実行される第1のモードへの切り替えは、動力の伝達方向が逆向きになることに伴って自動的に行われる。これにより、動力伝達を主として担う伝達側ローラも、第4ローラ11から第3ローラ10へと自動的に切り替わる。なお、図8及び後述する図9には、動力伝達を主として担う伝達側ローラを実線で表し、動力伝達を実質的に担わない非伝達側ローラを破線で表している。
以下、図8の(A)を参照して、第1のモード(常用時モード)について、詳しく説明する。
摩擦ローラ式動力伝達装置3により動力伝達を行っていない状態で、第3ローラ10には、第3ローラ10を第1ローラ8及び第2ローラ9にそれぞれ押し付けようとする、第1の方向Xに関して他方側を向いた第1押圧部材14の押圧力(弾力)が加わっている。これにより、第3ローラ10と第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部には、第1押圧部材14の押圧力に基づく法線力が作用している。
エンジン1が始動し、クランクシャフト4が回転すると、正回転する第1ローラ8と第3ローラ10との接触部には、第1ローラ8から第3ローラ10に対して、第1ローラ8及び第3ローラ10の共通接線t1に沿って仮想平面L側(図8の(A)の左側)を向いた接線力が作用するため、第3ローラ10を負回転(反時計回りに回転)させる。また、負回転する第3ローラ10と第2ローラ9との接触部には、第3ローラ10から第2ローラ9に対して、第3ローラ10及び第2ローラ9の共通接線t2に沿って仮想平面Lとは反対側(図8の(A)の右側)を向いた接線力が作用するため、第2ローラ9を正回転させる。この際、第3ローラ10には、共通接線t2に沿って仮想平面L側を向いた接線力が反力として作用する。このため、第3ローラ10には、2つの共通接線t1、t2がなす角を二等分する第1の二等分線B1の方向に、2つの接線力の合力が作用する。つまり、第3ローラ10には、第3ローラ10を第1ローラ8及び第2ローラ9にそれぞれ押し付けようとする、引き込み力が作用する。
このため、第3ローラ10には、第1の方向Xに関してともに他方側を向いた、引き込み力と第1押圧部材14の押圧力とが作用する。ここで、第3ローラ10に作用する引き込み力の大きさは、第3ローラ10が伝達するトルク(動力)の大きさに応じて増大する。このため、第3ローラ10と第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部に作用する法線力の大きさも、第3ローラ10が伝達するトルクが増大するほど大きくなる。したがって、第3ローラ10と第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部における面圧は、トラクションドライブにより動力伝達を行うのに十分に大きな面圧となる。この結果、第1ローラ8と第3ローラ10との接触部及び第2ローラ9と第3ローラ10との接触部では、潤滑油膜を介して動力が伝達され、第1ローラ8の動力が第3ローラ10を介して第2ローラ9に伝達される。
ここで、動力伝達を主として担う第3ローラ10に作用する力の関係を整理しておく。
第3ローラ10には、第1ローラ8及び第2ローラ9からそれぞれ接線力が作用する。この2つの接線力の大きさは互いに等しいため、それぞれの接線力をFtとし、2つの共通接線t1、t2がなす角の1/2を第1のくさび角αとすると、2つの接線力の合力(引き込み力)は、2Ftcosαで表すことができる。また、第3ローラ10は、接線力Ftの分力と第1押圧部材14による押圧力の分力との合力により、第1ローラ8及び第2ローラ9を法線方向に押圧するため、第3ローラ10には、反力である法線力が、第1ローラ8及び第2ローラ9からそれぞれ加わる。法線力をFcとすると、第3ローラ10に作用する法線力Fcの合力は、2Fcsinαで表すことができる。また、法線力の合力(2Fcsinα)と、接線力の合力(2Ftcosα)とは、互いに釣り合うため、次の(1)式を満たす。
2Fcsinα=2Ftcosα ・・・(1)
また、この(1)式から次の(2)式を導くことができる。
Ft/Fc=tanα ・・・(2)
さらに、トラクション係数(設計トラクション係数)は、接線力を法線力で除して得られる値であるから、第3ローラ10と、第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部におけるトラクション係数をμとすると、次の(3)式が導かれる。
μ=tanα ・・・(3)
この(3)式から、くさび角とトラクション係数との間には、正の相関関係があることが分かる。つまり、くさび角が小さくなればトラクション係数も小さくなり、くさび角が大きくなればトラクション係数も大きくなる。
一方、第4ローラ11には、摩擦ローラ式動力伝達装置3が動力伝達を行っていない状態で、第4ローラ11を第1ローラ8及び第2ローラ9にそれぞれ押し付けようとする、第1の方向Xに関して一方側を向いた第2押圧部材15の押圧力(弾力)が加わっている。これにより、第4ローラ11と第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部には、第2押圧部材15の押圧力に基づく法線力が作用している。
エンジン1が始動し、クランクシャフト4が回転すると、正回転する第1ローラ8と第4ローラ11との接触部には、第1ローラ8から第4ローラ11に対して、第1ローラ8及び第4ローラ11の共通接線t3に沿って仮想平面Lとは反対側(図8の(A)の左側)を向いた接線力が作用するため、第4ローラ11を負回転させる。また、負回転する第4ローラ11と第2ローラ9との接触部には、第4ローラ11から第2ローラ9に対して、第4ローラ11及び第2ローラ9の共通接線t4に沿って仮想平面L側(図8の(A)の右側)を向いた接線力が作用するため、第2ローラ9を正回転させる。この際、第4ローラ11には、共通接線t4に沿って仮想平面Lとは反対側を向いた接線力が反力として作用する。このため、第4ローラ11には、第4ローラ11を第1ローラ8及び第2ローラ9からそれぞれ遠ざけようとする、引き離し力が作用する。
これにより、第4ローラ11には、第1の方向Xに関して互いに反対側を向いた、引き離し力と第2押圧部材15の押圧力とが加わり、引き離し力によって第2押圧部材15の押圧力の一部が相殺される。この結果、第4ローラ11は、第1ローラ8及び第2ローラ9に対し接触して回転するが、実質的にトルク伝達はしない。つまり、第4ローラ11が伝達するトルクは、第3ローラ10が伝達するトルクに比べて十分に小さくなる。
次に、図8の(B)を参照して、第2のモード(エンジン始動モード)について、詳しく説明する。
回転機2が始動し、モータ出力軸5が回転すると、正回転する第2ローラ9と第4ローラ11との接触部には、第2ローラ9から第4ローラ11に対して、第2ローラ9及び第4ローラ11の共通接線t4に沿って仮想平面L側(図8の(B)の右側)を向いた接線力が作用するため、第4ローラ11を負回転させる。また、負回転する第4ローラ11と第1ローラ8との接触部には、第4ローラ11から第1ローラ8に対して、第4ローラ11及び第1ローラ8の共通接線t3に沿って仮想平面Lとは反対側(図8の(B)の左側)を向いた接線力が作用するため、第1ローラ8を正回転させる。この際、第4ローラ11には、共通接線t3に沿って仮想平面L側を向いた接線力が反力として作用する。このため、第4ローラ11には、2つの共通接線t3、t4がなす角を二等分する第2の二等分線B2の方向に、2つの接線力の合力が作用する。つまり、第4ローラ11には、第4ローラ11を第1ローラ8及び第2ローラ9にそれぞれ押し付けようとする、引き込み力が作用する。
このため、第4ローラ11には、第1の方向Xに関してともに一方側を向いた、引き込み力と第2押圧部材15の押圧力とが作用する。ここで、第4ローラ11に作用する引き込み力の大きさは、第4ローラ11が伝達する動力(トルク)の大きさに応じて増大する。このため、第4ローラ11と第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部に作用する法線力の大きさも、第4ローラ11が伝達するトルクが増大するほど大きくなる。したがって、第4ローラ11と第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部における面圧は、トラクションドライブにより動力伝達を行うのに十分に大きな面圧となる。この結果、第2ローラ9と第4ローラ11との接触部及び第1ローラ8と第4ローラ11との接触部では、潤滑油膜を介して動力が伝達され、第2ローラ9の動力が第4ローラ11を介して第1ローラ8に伝達される。
ここで、2つの共通接線t3、t4がなす角の1/2を第2のくさび角αとすると、本例では、第4ローラ11の直径Dを第3ローラ10の直径Dよりも小さくしているため(D<D)、第2のくさび角αは第1のくさび角αよりも小さくなる(α<α)。また、前記(3)式より、くさび角とトラクション係数との間には、正の相関関係があるため、第4ローラ11と、第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部におけるトラクション係数をμとすると、トラクション係数μはトラクション係数μよりも小さくなる(μ<μ)。したがって、直径Dの小さい第4ローラ11が動力伝達を担う場合のほうが、直径Dの大きい第3ローラ10が動力伝達を担う場合に比べて、接線力に対する法線力の割合が大きくなる。つまり、より大きな法線力をローラ間の接触部に付与することができる。
一方、正回転する第2ローラ9と第3ローラ10との接触部には、第2ローラ9から第3ローラ10に対して、第2ローラ9及び第3ローラ10の共通接線t2に沿って仮想平面Lとは反対側(図8の(B)の右側)を向いた接線力が作用するため、第3ローラ10を負回転させる。また、負回転する第3ローラ10と第1ローラ8との接触部には、第3ローラ10から第1ローラ8に対して、第3ローラ10及び第1ローラ8の共通接線t1に沿って仮想平面L側(図8の(B)の右側)を向いた接線力が作用するため、第1ローラ8を正回転させる。この際、第3ローラ10には、共通接線t1に沿って仮想平面Lとは反対側を向いた接線力が反力として作用する。このため、第3ローラ10には、第3ローラ10を第1ローラ8及び第2ローラ9からそれぞれ遠ざけようとする、引き離し力が作用する。
これにより、第3ローラ10には、第1の方向Xに関して互いに反対側を向いた、引き離し力と第1押圧部材14の押圧力とが加わり、引き離し力によって第1押圧部材14の押圧力の一部が相殺される。この結果、第3ローラ10は、第1ローラ8及び第2ローラ9に対し接触して回転するが、実質的にトルク伝達はしない。つまり、第3ローラ10が伝達するトルクは、第4ローラ11が伝達するトルクに比べて十分に小さくなる。
上述した説明から明らかな通り、動力伝達を主として担う伝達側ローラは、押圧部材による押圧方向と接線力に基づく引き込み力とが、第1の方向Xに関して互いに同じ方向に作用するローラということができる。別な言い方をすれば、駆動ローラから仮想平面L側を向いた接線力が作用するローラは、動力伝達を主として担い、駆動ローラから仮想平面Lとは反対側を向いた接線力が作用するローラは、動力伝達を実質的に担わない。
以上のような構成を有し、上述のように動作する、本例の摩擦ローラ式動力伝達装置3によれば、第3ローラ10が動力伝達を担う第1のモードと、第4ローラ11が動力伝達を担う第2のモードとで、ローラ間の接触部におけるトラクション係数を異ならせることができる。具体的には、第4ローラ11の直径Dを第3ローラ10の直径Dよりも小さくすることで、第2のくさび角αを第1のくさび角αよりも小さくできるため、エンジン1の始動後(常用時)に実行される第1のモード時のトラクション係数μよりも、エンジン1の始動時に実行される第2のモード時のトラクション係数μを小さくすることができる。
ハウジング16の内部に充填するトラクションオイルなどの潤滑剤の温度は、通常、ハイブリッド車両の走行開始前、つまり、エンジン1の始動前の状態が最も低くなるため、エンジン1の始動前には、潤滑剤のトラクション係数が極端に低下している可能性がある。本例では、エンジン1の始動時に実行する第2のモード時のトラクション係数μを、エンジン1の始動後に実行する第1のモード時のトラクション係数μよりも小さくできる。このため、第4ローラ11として、第3ローラ10と同じ直径を有するものを使用した場合に比べて、第4ローラ11と、第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部に作用する法線力を大きくできる。したがって、エンジン1の始動時に、潤滑剤のトラクション係数が極端に低下している場合にも、第4ローラ11と、第1ローラ8及び第2ローラ9との接触部に、グロススリップが発生することを有効に防止できる。なお、第4ローラ11の直径Dは、エンジン1の始動時におけるトラクションオイルの温度(トラクション係数)、伝達する動力(トルク)の大きさ、第2押圧部材15の押圧力の大きさなどを考慮して決定する。
また、エンジン1の始動後に実行する第1のモード時のトラクション係数μは、エンジン1の始動時に実行する第2のモード時のトラクション係数μよりも大きいため、第3ローラ10と、第1ローラ8及び第2ローラ9とのそれぞれの接触部に作用する法線力が過大になることを防止できる。したがって、摩擦ローラ式動力伝達装置3の伝達効率が低下することを防止できる。
また、本例では、第1押圧部材14及び第2押圧部材15のそれぞれを、締結部材である固定ねじ24a、24bを利用して、ハウジング16に対して直接固定している。このため、第1押圧部材14及び第2押圧部材15を取り付けるためのホルダを不要にできるため、部品点数の低減を図ることができるとともに、装置の軽量化を図ることができる。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図9を用いて説明する。
本例では、ハイブリッド車両に組み込む摩擦ローラ式動力伝達装置3aに関して、第3ローラ10a及び第4ローラ11aの自由状態における直径は、互いに同じとしているが、第3ローラ10aの径方向に関する剛性と第4ローラ11aの径方向に関する剛性とを、互いに異ならせている。具体的には、第2のモード(エンジン始動モード)時に動力伝達を主として担う、第4ローラ11aの径方向に関する剛性を、第1のモード(常用モード)時に動力伝達を主として担う、第3ローラ10aの径方向に関する剛性よりも低くしている。
第4ローラ11aの径方向に関する剛性を、第3ローラ10aの径方向に関する剛性よりも低くするための具体的な手段は特に問わない。たとえば、第4ローラ11aを第3ローラ10aよりも縦弾性係数(ヤング率)の低い金属材料から構成することができる。また、第4ローラ11aと第3ローラ10aとで、中空部(肉盗み部)の有無や、中空部の数及び大きさなどを異ならせても良い。具体的には、第4ローラ11aにのみ中空部を形成するか、第3ローラ10aにも中空部を形成する場合には、中空部の数及び大きさを、第3ローラ10aよりも第4ローラ11aで大きくすることができる。また、第4ローラ11aと第3ローラ10aとで、外周面(トラクション面)の形状(母線形状)を異ならせることもできる。たとえば、第4ローラ11aの外周面の母線形状を凸円弧形状とし、第3ローラ10aの外周面の母線形状を直線形状とすることができる。また、剛性を調整するためのこれらの手段は、単独で又は複数を組み合わせて実施することができる。
また、本例の場合にも、図1に示したように、第1ローラ8を備える第1回転軸6を、エンジン1のクランクシャフト4に接続し、第2ローラ9を備える第2回転軸7を、回転機2のモータ出力軸5に接続している。
以上のような構成を有する本例では、第4ローラ11aの動力伝達時に生じる、第4ローラ11aの弾性変形量(弾性接近量)が、第3ローラ10aの動力伝達時に生じる、第3ローラ10aの弾性変形量よりも大きくなる。このため、モータ出力軸5によって回転駆動される第2ローラ9を駆動ローラとし、第1ローラ8を被駆動ローラとして用いる、図9の(B)に示した第2のモード(エンジン始動モード)時における第2のくさび角αを、クランクシャフト4によって回転駆動される第1ローラ8を駆動ローラとし、第2ローラ9を被駆動ローラとして用いる、図9の(A)に示した第1のモード(常用モード)時における第1のくさび角αよりも小さくすることができる(α<α)。なお、図9の(B)には、発明の理解を容易にするために、第4ローラ11aの弾性変形量を誇張して描いている。
この結果、エンジン1の始動後に実行する第1のモード時のトラクション係数μよりも、エンジン1の始動時に実行する第2のモード時のトラクション係数μを小さくすることができる。したがって、エンジン1の始動時に、潤滑剤のトラクション係数が極端に低下している場合にも、第4ローラ11aと、第1ローラ8及び第2ローラ9との接触部にグロススリップが発生することを有効に防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
上述した実施の形態の各例の構造は、矛盾が生じない限り、適宜組み合わせて実施することができる。
本発明の摩擦ローラ式動力伝達装置は、上述したようなハイブリッド車両以外の車両に組み込んで使用できるだけでなく、建機や産業機械、工作機械など、各種装置に組み込んで使用することができる。
本発明の摩擦ローラ式動力伝達装置は、第1ローラと第2ローラとの間で、駆動ローラと被駆動ローラとの役割を変更して使用する態様のほか、別の使用態様として、第1ローラと第2ローラとの間で、駆動ローラと被駆動ローラとの役割は変更しないが、駆動ローラの回転方向を変更して使用することができる。このような使用態様においても、動力伝達を主として担う動力伝達側ローラが、第3ローラと第4ローラとの間で切り替わる。
実施の形態の各例では、第1ローラの直径が第2ローラの直径よりも大きい場合について説明したが、本発明を実施する場合には、変形例として、第1ローラの直径を、第2ローラの直径よりも小さくしても良い。また、第1回転軸と第2回転軸との間で、減速や増速を必要としない場合には、第1ローラの直径と第2ローラの直径とを互いに等しくすることも可能である。また、本発明を実施する場合に、摩擦ローラ式動力伝達装置を構成する各部材の材質、及び、使用する潤滑剤の材質は、特に問わない。
1 エンジン
2 回転機(モータジェネレータ)
3 摩擦ローラ式動力伝達装置
4 クランクシャフト
5 モータ出力軸
6 第1回転軸
7 第2回転軸
8 第1ローラ
9 第2ローラ
10、10a 第3ローラ
11、11a 第4ローラ
12 第1ホルダ
13 第2ホルダ
14 第1押圧部材
15 第2押圧部材
16 ハウジング
17 転がり軸受
18 転がり軸受
19a、19b 支持ピン
20a、20b 転がり軸受
21a、21b ガイド溝
22a、22b 押圧部
23a、23b 取付板部
24a、24b 固定ねじ
25a、25b 座金
26a、26b 側壁部
27a、27b 挿通孔
28a、28b 保持凹部
29a、29b 台座部
30 締結ねじ

Claims (4)

  1. 第1回転中心軸を有する第1ローラと、
    前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有する第2ローラと、
    前記第1ローラと前記第2ローラとにそれぞれ外接し、前記第1回転中心軸と前記第2回転中心軸とを含む仮想平面から該仮想平面に対し直交する第1の方向に関して一方側に外れた位置に、第3回転中心軸を有する、第3ローラと、
    前記第1ローラと前記第2ローラとにそれぞれ外接し、前記仮想平面から前記第1の方向に関して他方側に外れた位置に、第4回転中心軸を有する、第4ローラと、
    前記第3ローラを前記第1ローラ及び前記第2ローラに押し付ける、第1押圧部材と、
    前記第4ローラを前記第1ローラ及び前記第2ローラに押し付ける、第2押圧部材と、を備え、
    前記第3ローラが前記第1ローラと前記第2ローラとの間で動力を伝達する場合において、前記第1ローラと前記第3ローラとの接触部を通る前記第1ローラ及び前記第3ローラの共通接線と、前記第2ローラと前記第3ローラとの接触部を通る前記第2ローラ及び前記第3ローラの共通接線とのなす角の1/2を、第1のくさび角とし、
    前記第4ローラが前記第1ローラと前記第2ローラとの間で動力を伝達する場合において、前記第1ローラと前記第4ローラとの接触部を通る前記第1ローラ及び前記第4ローラの共通接線と、前記第2ローラと前記第4ローラとの接触部を通る前記第2ローラ及び前記第4ローラの共通接線とのなす角の1/2を、第2のくさび角とした場合に、
    前記第1のくさび角の大きさと前記第2のくさび角の大きさとが互いに異なる、
    摩擦ローラ式動力伝達装置。
  2. 前記第3ローラの直径と前記第4ローラの直径とが互いに異なる、請求項1に記載した摩擦ローラ式動力伝達装置。
  3. 前記第3ローラの径方向に関する剛性と前記第4ローラの径方向に関する剛性とが互いに異なる、請求項1〜2のうちのいずれか1項に記載した摩擦ローラ式動力伝達装置。
  4. クランクシャフトを有するエンジンと、
    モータ出力軸を有する回転機と、
    請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載した摩擦ローラ式動力伝達装置と、を備え、
    前記第1ローラは、前記クランクシャフトに対してトルク伝達可能に接続されており、
    前記第2ローラは、前記モータ出力軸に対してトルク伝達可能に接続されており、
    前記第2のくさび角は、前記第1のくさび角よりも小さくなっており、
    前記エンジンの始動時には、前記モータ出力軸を回転駆動することで、前記第2ローラの動力を前記第4ローラを介して前記第1ローラに伝達し、前記クランクシャフトを回転させ、
    前記エンジンの始動後は、前記第1ローラの動力を前記第3ローラを介して前記第2ローラに伝達し、前記モータ出力軸を回転させる、
    ハイブリッド車両。
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