JP2021001122A - 不快な官能的性質をもつ薬剤をマスキングした医薬固形製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】イソソルビド及び熱溶融物質を含有することで、不快な官能的性質を抑制した医薬固形製剤を提供し、更に、ざらつきの少ない医薬粒状製剤の製造方法を提供すること【解決手段】イソソルビドと熱溶融物質を含有する医薬固形製剤とすることで、イソソルビド特有の不快な官能的性質が改善された製剤とすることができることを見出した。さらに、ざらつきの少ない粒状の製剤を得る製造方法を見出し、本発明を完成した。【選択図】図1
Description
本発明は、不快な官能的性質をもつ薬剤及び熱溶融物質を含有する医薬固形製剤、及びその製造方法に関する。
脳腫瘍時の脳圧降下、頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下、腎・尿管結石時の利尿、緑内障の眼圧低下およびメニエール病の対症療法剤として繁用されるイソソルビド製剤として、現在、内用液剤及びゼリー製剤が開発、上市されている(非特許文献1〜3)。内用液剤及びゼリー製剤は顆粒剤等の固形製剤に比べて飲みやすい反面、イソソルビド特有の不快な官能的性質をもつため、かねてより服用性が改善されたイソソルビド製剤が求められていた。
特許文献1には、不快な味を有する医薬有効成分(アセトアミノフェンなど)、甘味度150以上の2種以上の高甘味剤(ステビア、アスパルテーム、サッカリン又はその塩など)及び酸味剤(クエン酸、リンゴ酸など)を含有する経口用医薬組成物が開示されている。この文献には、医薬有効成分1重量部に対して、高甘味剤を0.005〜4重量部、酸味剤を0.005〜2重量部の割合で含むこと、及び、医薬組成物が錠剤などの固形製剤やドライシロップ剤であることが記載されている。
特許文献2には、イソソルビドと、第1の甘味剤としてのアスパルテームと、アセスルファム又はその塩、グリチルリチン酸又はその塩、及びステビアから選択された少なくとも一種の第2の甘味剤と、酸味剤とを含む経口製剤であって、アスパルテーム1重量部に対して第2の甘味剤を2〜20重量部の割合で含む経口製剤が開示されている。
特許文献1、2に開示された製剤によれば、活性成分の苦味を軽減でき、服用性を向上することができる。しかし、これらの製剤では苦味を軽減するだけにとどまり、また、比較的多くの甘味剤(特にアスパルテーム)を必要とする。また、甘味剤及び酸味剤を組み合わせて活性成分の苦味を有効に軽減する方法、すなわち官能的な手法では、味を誤魔化しているだけにすぎず、服用時の苦味を完全にマスキングすることはできない。しかも、苦味が極端に強い成分、例えば、イソソルビドなどの不快な官能的性質を低減することは困難である。
特許文献3には、部分アルファー化デンプンにレバミピド及びメチルセルロースを噴霧して造粒物とし、胃溶性高分子であるポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートでコーティングした、レバミピドの苦味マスキング顆粒が開示されている。
特許文献4には、フェキソフェナジン及び沈降シリカの混合物を、オイドラギット(登録商標)E100を用いて顆粒化した後、更に沈降シリカを含有するオイドラギット(登録商標)E100のポリマー分散物で被覆して得られる、フェキソフェナジンの被覆された顆粒が開示されている。
特許文献5には、ミチグリニド及び結晶セルロースの混合物にアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを噴霧して得られる造粒物が開示されている。
特許文献3〜5に開示された製造方法は、薬物に高分子ポリマーの溶液を噴霧して乾燥することでマスキングコーティングした造粒物が得られる製造方法であるが、イソソルビドは低融点(60℃)であるため、加熱された熱風で造粒、乾燥するこれらの製造方法では、イソソルビドが溶解し、顆粒化することが困難である。
ホットメルトエクストルーダーによる熱溶融造粒は一般にはプラスチックの成形に用いられているが、医薬品分野においては、難水溶性化合物の固体分散体や苦味マスキングの顆粒の製造方法として広く知られている。しかしながら、この製法で得られる製剤の形状は、ペレット状もしくは棒状であるため、ざらつきの少ない製剤を製造することは困難である。
したがって、イソソルビド特有の不快な官能的性質を抑えた服用しやすい製剤、また、口腔内にざらつきの少ない製剤の製造方法が望まれる。
イソバイド(登録商標)シロップ70%添付文書(2018年4月改訂 第12版)
イソソルビド内用液70%添付文書(第2版)
メニレット(登録商標)70%ゼリー添付文書(2019年4月改訂 第6版)
本発明が解決しようとする課題は、イソソルビド特有の不快な官能的性質を抑えた医薬固形製剤及びその製造方法を提供することである。
本発明の医薬固形製剤を作製する上においては、イソソルビドの特性上、様々な克服すべき点があった。まず、イソソルビドは、高用量(100g/日)であるため、服薬コンプライアンスの観点から、使用する添加剤はできる限り少なくし、全体として服用量が少ない製剤を設計することが望まれるが、イソソルビド特有の不快な官能的性質は少量の添加剤では抑制することが困難である。また、苦味を有する薬物においては、苦味を解決するため、薬物に高分子ポリマーを用いてコーティングする技術(湿式造粒法)が用いられているが、イソソルビドは水に高溶解性(10g/mL)であり、コーティングする際の水やエタノールなどの極性溶媒に直ちに溶解するため、湿式造粒法ではイソソルビドを顆粒化することは困難である。さらに、イソソルビドは低融点(60℃)の性質をもち、流動層造粒法、転動造粒法などの一般的な湿式造粒法では、造粒及び乾燥工程中の熱風により、イソソルビドが溶解するため、これらの手法で顆粒化することが困難である。
本発明者らは鋭意検討した結果、イソソルビドと熱溶融物質を含有する医薬固形製剤とすることで、イソソルビド特有の不快な官能的性質が改善された製剤とすることができることを見出した。さらに、ざらつきの少ない粒状の医薬固形製剤を得る製造方法を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] イソソルビド及び1又は2以上の熱溶融物質を含む医薬固形製剤。
[2] イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を含む医薬固形製剤。
[3] イソソルビドを70重量%以上含有する、[1]又は[2]に記載の医薬固形製剤。
[4] 第17改正日本薬局方溶出試験法に準じて溶出試験を行った場合、pH6.8における溶出試験開始後1分の溶出率が30%以下である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[5] 前記熱溶融物質が、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類及び水不溶性アクリルポリマー類からなる群から選ばれる、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[6] 前記吸着剤が、ケイ酸類及びセルロース類からなる群から選ばれる、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[7] 甘味剤及び/又は酸味剤を一種又は二種以上含む、[1]〜[6]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[8] 医薬固形製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤及びドライシロップからなる群から選択される医薬粒状固形製剤である、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[9] 平均粒子径が300〜700μmである、[8]に記載の医薬粒状固形製剤。
[10] 下記(i)〜(iii)の連続する熱制御工程を含む、イソソルビドを含む医薬粒状固形製剤の製造方法。
(i)溶融・混練工程:イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を混合した後、混合末をその融点以上の温度に加温して溶融し、混練し、混練物を得る工程、
(ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物をその凝固点以下の温度に冷却しながら撹拌し、冷却固化された混練物を得る工程、
(iii)造粒工程:冷却固化工程よりも10℃以上低い温度で、ii)で得られた混練物を撹拌し、医薬粒状固形製剤を得る工程
[11] 溶融・混練工程又は冷却固化工程において、甘味剤、酸味剤及び/又は香料を更に混合する、[10]に記載の製造方法。
[12] 前記熱溶融物質が、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類及び水不溶性アクリルポリマー類からなる群から選ばれる、[10]又は[11]に記載の製造方法。
[13] 前記吸着剤が、ケイ酸類及びセルロース類からなる群から選ばれる、[10]〜[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
[14] [10]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法で得られたイソソルビドを含む医薬粒状固形製剤と、甘味剤及び/又は酸味剤を一種又は二種以上を混合する工程を含む、医薬粒状固形製剤の製造方法。
[15] 医薬粒状固形製剤の平均粒子径が300〜700μmである、[10]〜[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[1] イソソルビド及び1又は2以上の熱溶融物質を含む医薬固形製剤。
[2] イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を含む医薬固形製剤。
[3] イソソルビドを70重量%以上含有する、[1]又は[2]に記載の医薬固形製剤。
[4] 第17改正日本薬局方溶出試験法に準じて溶出試験を行った場合、pH6.8における溶出試験開始後1分の溶出率が30%以下である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[5] 前記熱溶融物質が、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類及び水不溶性アクリルポリマー類からなる群から選ばれる、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[6] 前記吸着剤が、ケイ酸類及びセルロース類からなる群から選ばれる、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[7] 甘味剤及び/又は酸味剤を一種又は二種以上含む、[1]〜[6]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[8] 医薬固形製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤及びドライシロップからなる群から選択される医薬粒状固形製剤である、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の医薬固形製剤。
[9] 平均粒子径が300〜700μmである、[8]に記載の医薬粒状固形製剤。
[10] 下記(i)〜(iii)の連続する熱制御工程を含む、イソソルビドを含む医薬粒状固形製剤の製造方法。
(i)溶融・混練工程:イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を混合した後、混合末をその融点以上の温度に加温して溶融し、混練し、混練物を得る工程、
(ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物をその凝固点以下の温度に冷却しながら撹拌し、冷却固化された混練物を得る工程、
(iii)造粒工程:冷却固化工程よりも10℃以上低い温度で、ii)で得られた混練物を撹拌し、医薬粒状固形製剤を得る工程
[11] 溶融・混練工程又は冷却固化工程において、甘味剤、酸味剤及び/又は香料を更に混合する、[10]に記載の製造方法。
[12] 前記熱溶融物質が、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類及び水不溶性アクリルポリマー類からなる群から選ばれる、[10]又は[11]に記載の製造方法。
[13] 前記吸着剤が、ケイ酸類及びセルロース類からなる群から選ばれる、[10]〜[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
[14] [10]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法で得られたイソソルビドを含む医薬粒状固形製剤と、甘味剤及び/又は酸味剤を一種又は二種以上を混合する工程を含む、医薬粒状固形製剤の製造方法。
[15] 医薬粒状固形製剤の平均粒子径が300〜700μmである、[10]〜[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
本発明によれば、イソソルビド及び熱溶融物質を含有することで、不快な官能的性質を抑制した医薬固形製剤を得ることができる。また、特定の製造方法を用いて製造することにより、ざらつきの少ない医薬粒状固形製剤が得られる。
<イソソルビド>
本発明の医薬固形製剤に含まれるイソソルビドの量は特に限定されない。例えば、メニエール病を適応症として処方される場合には、一日の服用量が63〜84gであり、脳圧降下、眼圧降下、利尿を目的に処方される場合には、一日の服用量が49〜98gであり服用量が多い。利便性や服薬コンプライアンスの観点から、医薬固形製剤全体としての服用量は可能な限り少ないほうが好ましい。したがって、イソソルビドの含有量は、医薬固形製剤全体の60%以上(重量%、以下同様)が好ましく、さらに好ましくは65%以上であり、特に70%以上であることが好ましい。
本発明の溶融・混練工程で使用されるイソソルビドの粒子径は特に限定されないが、好ましくは3000μm以下、特に好ましくは1400μm以下である。
本発明の医薬固形製剤に含まれるイソソルビドの量は特に限定されない。例えば、メニエール病を適応症として処方される場合には、一日の服用量が63〜84gであり、脳圧降下、眼圧降下、利尿を目的に処方される場合には、一日の服用量が49〜98gであり服用量が多い。利便性や服薬コンプライアンスの観点から、医薬固形製剤全体としての服用量は可能な限り少ないほうが好ましい。したがって、イソソルビドの含有量は、医薬固形製剤全体の60%以上(重量%、以下同様)が好ましく、さらに好ましくは65%以上であり、特に70%以上であることが好ましい。
本発明の溶融・混練工程で使用されるイソソルビドの粒子径は特に限定されないが、好ましくは3000μm以下、特に好ましくは1400μm以下である。
<熱溶融物質>
本発明において、熱溶融物質は、室温(1〜30℃)付近で固体状であるが、加熱により容易に軟化及び溶融する物質のうち、薬学的に許容されるものを表す。例えば、硬化ヒマシ油、硬化大豆油、硬化ナタネ油等の硬化油類、牛脂、カルナウバロウ、ロウなどのロウ類、ステアリルアルコ−ル、セタノ−ル、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ポリエチレングリコ−ル(PEG:マクロゴ−ル4000、マクロゴ−ル6000等)などの脂肪族アルコール類、ステアリン酸、パルミチン酸等などの高級脂肪酸類、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー等の水不溶性アクリル酸系ポリマー類等が例示される。工業的実施の面からは、融点及びガラス転移温度が約40℃〜約100℃の範囲内のものが好ましく、硬化油類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類、水不溶性アクリルポリマー類が更に好ましく、硬化ヒマシ油、グリセリン酸脂肪酸エステル、ステアリン酸の組み合わせが特に好ましい。
本発明で使用し得る熱溶融物質の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜25重量%が好ましく、0.2〜10重量%が更に好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。
本発明において、熱溶融物質は、室温(1〜30℃)付近で固体状であるが、加熱により容易に軟化及び溶融する物質のうち、薬学的に許容されるものを表す。例えば、硬化ヒマシ油、硬化大豆油、硬化ナタネ油等の硬化油類、牛脂、カルナウバロウ、ロウなどのロウ類、ステアリルアルコ−ル、セタノ−ル、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ポリエチレングリコ−ル(PEG:マクロゴ−ル4000、マクロゴ−ル6000等)などの脂肪族アルコール類、ステアリン酸、パルミチン酸等などの高級脂肪酸類、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー等の水不溶性アクリル酸系ポリマー類等が例示される。工業的実施の面からは、融点及びガラス転移温度が約40℃〜約100℃の範囲内のものが好ましく、硬化油類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類、水不溶性アクリルポリマー類が更に好ましく、硬化ヒマシ油、グリセリン酸脂肪酸エステル、ステアリン酸の組み合わせが特に好ましい。
本発明で使用し得る熱溶融物質の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜25重量%が好ましく、0.2〜10重量%が更に好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。
<吸着剤>
本発明において、吸着剤は、薬学的に許容されるものであれば特に限定されないが、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸水和物などのケイ酸類、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、リン酸水素カルシウム、薬用炭などが挙げられる。また、固結防止効果を目的に使用される公知の吸着剤を使用することも出来る。服用したときのざらつき感の少なさ、味、ドライシロップとして水に懸濁した場合の分散性を考慮すると、ケイ酸類、セルロース類が好ましく、ケイ酸類とセルロース類とを組み合わせて使用することが特に好ましい。
本発明で使用し得る吸着剤の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜25重量%が好ましく、0.2〜10重量%が更に好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。
本発明において、吸着剤は、薬学的に許容されるものであれば特に限定されないが、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸水和物などのケイ酸類、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、リン酸水素カルシウム、薬用炭などが挙げられる。また、固結防止効果を目的に使用される公知の吸着剤を使用することも出来る。服用したときのざらつき感の少なさ、味、ドライシロップとして水に懸濁した場合の分散性を考慮すると、ケイ酸類、セルロース類が好ましく、ケイ酸類とセルロース類とを組み合わせて使用することが特に好ましい。
本発明で使用し得る吸着剤の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜25重量%が好ましく、0.2〜10重量%が更に好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。
<甘味剤>
本発明において、甘味剤としては、例えば、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコール類、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、トレハロース、ソーマチン、ステビアなどが挙げられ、D−マンニトール、スクラロース、アスパルテームが特に好ましい。
本発明で使用し得る甘味剤の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜20重量%が更に好ましく、1〜15重量%が特に好ましい。
本発明において、甘味剤としては、例えば、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコール類、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、トレハロース、ソーマチン、ステビアなどが挙げられ、D−マンニトール、スクラロース、アスパルテームが特に好ましい。
本発明で使用し得る甘味剤の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜20重量%が更に好ましく、1〜15重量%が特に好ましい。
<酸味剤>
本発明において、酸味剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
本発明で使用し得る酸味剤の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%が更に好ましく、0.3〜3重量%が特に好ましい。
本発明において、酸味剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
本発明で使用し得る酸味剤の含量は、医薬固形製剤全重量に対して0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%が更に好ましく、0.3〜3重量%が特に好ましい。
<その他の添加剤>
本発明においては、上述の添加剤以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常用いられる添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、例えば、流動化剤、着色剤、香料、界面活性剤及び懸濁化剤などが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、含水二酸化ケイ素および軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用赤色102号、食用黄色4号および食用黄色5号などが挙げられる。
香料としては、例えば、オレンジ油、レモン油、ハッカ油及びパインオイルなどの精油;オレンジエッセンス及びペパーミントエッセンスなどのエッセンス;チェリー、フレーバー、バニラフレーバー及びフルーツフレーバーなどのフレーバー;アップルミ、クロン、バナナミクロン、ピーチミクロン、ストロベリーミクロン及びオレンジミクロンなどの粉末香料;バニリン並びにエチルバニリンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びスルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、カルメロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート80、トラガント末、カラギーナンおよびキサンタンガムが挙げられる。
これらの添加剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの添加剤の配合量は特に限定がなく、それぞれの目的に応じ、その効果が充分に発現されるように適宜配合すればよい。
本発明においては、上述の添加剤以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常用いられる添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、例えば、流動化剤、着色剤、香料、界面活性剤及び懸濁化剤などが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、含水二酸化ケイ素および軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用赤色102号、食用黄色4号および食用黄色5号などが挙げられる。
香料としては、例えば、オレンジ油、レモン油、ハッカ油及びパインオイルなどの精油;オレンジエッセンス及びペパーミントエッセンスなどのエッセンス;チェリー、フレーバー、バニラフレーバー及びフルーツフレーバーなどのフレーバー;アップルミ、クロン、バナナミクロン、ピーチミクロン、ストロベリーミクロン及びオレンジミクロンなどの粉末香料;バニリン並びにエチルバニリンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びスルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、カルメロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート80、トラガント末、カラギーナンおよびキサンタンガムが挙げられる。
これらの添加剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの添加剤の配合量は特に限定がなく、それぞれの目的に応じ、その効果が充分に発現されるように適宜配合すればよい。
<医薬固形製剤>
本発明の医薬固形製剤は、医薬品として使用可能な固形製剤であればその剤形に限定はない。好ましくは、散剤、細粒剤、顆粒剤またはドライシロップなどの医薬粒状固形製剤であって、散剤、細粒剤もしくは顆粒剤の様に直接製剤を口腔に含み服用する場合、または、ドライシロップとして水に懸濁後服用する場合のいずれの服用方法においても服用感の良い製剤である。
本発明の医薬固形製剤は、医薬品として使用可能な固形製剤であればその剤形に限定はない。好ましくは、散剤、細粒剤、顆粒剤またはドライシロップなどの医薬粒状固形製剤であって、散剤、細粒剤もしくは顆粒剤の様に直接製剤を口腔に含み服用する場合、または、ドライシロップとして水に懸濁後服用する場合のいずれの服用方法においても服用感の良い製剤である。
<製造方法>
本発明の医薬固形製剤は、例えば2軸エクストルーダー、例えば、Process11型(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)またはNano−16(奈良機械製)を用いて、連続する熱制御工程を行うことで製造することができる。それぞれの熱制御工程は、設定された温度に従って以下の3つの工程に分けられる:
−溶融・混練工程:イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を混合した後、混合末をその融点以上の温度に加温して溶融し、スクリューで撹拌し、混練物を得る。
−冷却固化工程:混練物をその凝固点以下の温度に冷却しながら、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得る。
−造粒工程:冷却固化工程よりも10度以上低い温度で、冷却固化工程で得られた混練物をスクリューで撹拌し、医薬粒状固形製剤を得る。
甘味剤、酸味剤、香料等を溶融・混練工程又は冷却固化工程で更に混合しても良い。
本発明の医薬固形製剤は、例えば2軸エクストルーダー、例えば、Process11型(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)またはNano−16(奈良機械製)を用いて、連続する熱制御工程を行うことで製造することができる。それぞれの熱制御工程は、設定された温度に従って以下の3つの工程に分けられる:
−溶融・混練工程:イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を混合した後、混合末をその融点以上の温度に加温して溶融し、スクリューで撹拌し、混練物を得る。
−冷却固化工程:混練物をその凝固点以下の温度に冷却しながら、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得る。
−造粒工程:冷却固化工程よりも10度以上低い温度で、冷却固化工程で得られた混練物をスクリューで撹拌し、医薬粒状固形製剤を得る。
甘味剤、酸味剤、香料等を溶融・混練工程又は冷却固化工程で更に混合しても良い。
上記の製造条件は、5〜50g/minの一定の供給スピードで、80〜500rpmの一定のスクリュースピードで、かつ、混合物の融点(Mp)+30℃、好ましくはMp+15℃でイソソルビド及び熱溶融物質等を溶融・混練して混練物を得る工程と、混練物の凝固点(Fp)−15℃、好ましくはFp−10℃、より好ましくはFp−5℃で混練物を冷却固化して混練物を得る工程と、一定のスクリュースピードで、かつ、上記冷却固化温度よりも低い温度で混練物を攪拌して医薬粒状固形製剤を得る工程を含む。
<平均粒子径>
本発明の医薬固形製剤は、口腔内に服用した際に感じる口腔内でのざらつき感や、口腔内への残留を改善する点で、好ましくは平均粒子径が50〜1000μmであり、更に好ましくは70〜850μmであり、特に好ましくは300〜700μmである。また、服用性(苦味及びざらつき)の観点から、100μm以下の粒子および1000μm以上の粒子が各20%以下であることが望ましい。ここでいう平均粒子径とは、ふるい分け法にて算出した平均粒子径を意味する。
本発明の医薬固形製剤は、口腔内に服用した際に感じる口腔内でのざらつき感や、口腔内への残留を改善する点で、好ましくは平均粒子径が50〜1000μmであり、更に好ましくは70〜850μmであり、特に好ましくは300〜700μmである。また、服用性(苦味及びざらつき)の観点から、100μm以下の粒子および1000μm以上の粒子が各20%以下であることが望ましい。ここでいう平均粒子径とは、ふるい分け法にて算出した平均粒子径を意味する。
<溶出率>
不快な官能的性質を抑えるためには、例えば医薬固形製剤をドライシロップ剤として用いる場合、水で懸濁してから口腔に含み、飲み込むまでの間、医薬固形製剤からのイソソルビドの溶出を抑える必要がある。本発明においては、第17改正日本薬局方崩壊試験法(パドル法)で試験を行い、第二液(pH6.8)の溶出率1分値が30%以下である場合に、不快な官能的性質を抑えることができる医薬固形製剤であると判断した。
不快な官能的性質を抑えるためには、例えば医薬固形製剤をドライシロップ剤として用いる場合、水で懸濁してから口腔に含み、飲み込むまでの間、医薬固形製剤からのイソソルビドの溶出を抑える必要がある。本発明においては、第17改正日本薬局方崩壊試験法(パドル法)で試験を行い、第二液(pH6.8)の溶出率1分値が30%以下である場合に、不快な官能的性質を抑えることができる医薬固形製剤であると判断した。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
イソソルビド 21g、硬化ヒマシ油 0.6g、グリセリン脂肪酸エステル 0.25g、ステアリン酸 0.25g、軽質無水ケイ酸 0.5gからなる混合物を、2軸エスクストルーダー(機器名型式Nano−16、奈良機械製)に充填した。製造条件は、供給量15g/分、スクリュー回転数250rpm、バレル温度を75℃から40℃まで段階的に設定し、ひねり角度が60度の混練エレメントを含むスクリューを使用した。充填された混合物を下記の工程に供し、医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を43℃の条件下で、スクリューで撹拌し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
イソソルビド 21g、硬化ヒマシ油 0.6g、グリセリン脂肪酸エステル 0.25g、ステアリン酸 0.25g、軽質無水ケイ酸 0.5gからなる混合物を、2軸エスクストルーダー(機器名型式Nano−16、奈良機械製)に充填した。製造条件は、供給量15g/分、スクリュー回転数250rpm、バレル温度を75℃から40℃まで段階的に設定し、ひねり角度が60度の混練エレメントを含むスクリューを使用した。充填された混合物を下記の工程に供し、医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を43℃の条件下で、スクリューで撹拌し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
(実施例2)
イソソルビド 21g、硬化ヒマシ油 0.6g、グリセリン脂肪酸エステル 0.25g、ステアリン酸 0.25g、カルナウバロウ 0.2g、軽質無水ケイ酸 0.5g、結晶セルロース 0.7g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(以下「L−HPC」という) 0.3g、ヒドロキシプロピルセルロース(以下「HPC」という) 0.1g、D−マンニトール 1.7g、エリスリトール 1g、アスコルビン酸 0.1g、スクラロース 0.01g、香料 0.02g、含水二酸化ケイ素 0.24gを手で混合し、その混合物を2軸混練エクストルーダー(Process11型、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に充填し、供給量27g/分、スクリュー回転数350rpm、バレル温度を75℃から30℃まで段階的に設定した。ひねり角度が60および30度の混練エレメントおよび分配フロー(Distributive flow)エレメントを含むスクリューを使用した。充填された混合物を下記の工程に供し、医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を30℃の条件下で、スクリューで撹拌しながら塊砕し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
イソソルビド 21g、硬化ヒマシ油 0.6g、グリセリン脂肪酸エステル 0.25g、ステアリン酸 0.25g、カルナウバロウ 0.2g、軽質無水ケイ酸 0.5g、結晶セルロース 0.7g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(以下「L−HPC」という) 0.3g、ヒドロキシプロピルセルロース(以下「HPC」という) 0.1g、D−マンニトール 1.7g、エリスリトール 1g、アスコルビン酸 0.1g、スクラロース 0.01g、香料 0.02g、含水二酸化ケイ素 0.24gを手で混合し、その混合物を2軸混練エクストルーダー(Process11型、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に充填し、供給量27g/分、スクリュー回転数350rpm、バレル温度を75℃から30℃まで段階的に設定した。ひねり角度が60および30度の混練エレメントおよび分配フロー(Distributive flow)エレメントを含むスクリューを使用した。充填された混合物を下記の工程に供し、医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を30℃の条件下で、スクリューで撹拌しながら塊砕し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
(実施例3)
イソソルビド 21g、硬化ヒマシ油 0.6g、グリセリン脂肪酸エステル 0.25g、ステアリン酸 0.25g、カルナウバロウ 0.2g、軽質無水ケイ酸 0.5g、含水二酸化ケイ素 0.5g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 0.2g、合成ケイ酸アルミニウム 0.6gを手で混合し、その混合物を2軸エスクストルーダー(機器名型式Nano−16、奈良機械製)に充填した。製造条件は、供給量15g/分、スクリュー回転数250rpm、バレル温度を75℃から40℃まで段階的に設定した。ひねり角度が60度の混練エレメントを含むスクリューを使用した。充填された混合物を下記の工程に供し、医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を43℃の条件下で、スクリューで撹拌し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を43℃の条件下で、スクリューで撹拌し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
(実施例4)
イソソルビド 21g、硬化ヒマシ油 0.6g、グリセリン脂肪酸エステル 0.25g、ステアリン酸 0.25g、軽質無水ケイ酸 0.5g、結晶セルロース 0.7g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 0.3g、ヒドロキシプロピルセルロース 0.1g、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE 0.1g、D−マンニトール 1.7g、エリスリトール 1g、スクラロース 0.01g、アスコルビン酸 0.1g、含水二酸化ケイ素 0.24g、香料 0.02gを手で混合し、その混合物を2軸混錬エクストルーダー(Process11型、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に充填した。製造条件は、供給量27g/分、スクリュー回転数350rpm、バレル温度を75℃から30℃まで段階的に設定した。ひねり角度が60および30度のニーディングエレメントおよび分配フロー(Distributive flow)エレメントを含むスクリューを使用した。充填された混合物を下記の工程に供し、医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を30℃の条件下で、スクリューで撹拌しながら塊砕し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
i)溶融・混練工程:混合末を75℃に加温して溶融し、スクリューで撹拌しながら混練し、混練物を得た。
ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物を53℃の条件下で、スクリューで撹拌し、冷却固化された混練物を得た。
iii)造粒工程:ii)で得られた混練物を30℃の条件下で、スクリューで撹拌しながら塊砕し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
(比較例1)
イソソルビド 21g、軽質無水ケイ酸 0.5g、を手で混合し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
イソソルビド 21g、軽質無水ケイ酸 0.5g、を手で混合し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
(比較例2)
イソソルビド 21g、軽質無水ケイ酸 0.5g、アスパルテーム 0.04gを手で混合し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
イソソルビド 21g、軽質無水ケイ酸 0.5g、アスパルテーム 0.04gを手で混合し、イソソルビド含有医薬粒状固形製剤を製造した。
<平均粒子径>
実施例又は比較例の試料3gを篩式粒度分布測定器(型式:ATM、機器名:ソニックシフター、セイシン企業)を用いて、目開き75、106、1212、500、850、1000μmの篩を用いて測定し、平均粒子径(50%径)を算出した。
実施例又は比較例の試料3gを篩式粒度分布測定器(型式:ATM、機器名:ソニックシフター、セイシン企業)を用いて、目開き75、106、1212、500、850、1000μmの篩を用いて測定し、平均粒子径(50%径)を算出した。
<官能試験>
被験者5名が実施例又は比較例の各試料をイソソルビドとして2.1g含む量を口に含み、味の評価を行った。先味(口に含んでいる間に感じる風味)と後味(口に残る風味)について、以下の点数を用いて評価し、5名の評価の平均値を算出した。
・驚異的に改善できている(5点)
・著しく改善できている(4点)
・改善できている(3点)
・少し改善できている(2点)
・改善できていない(1点)
被験者5名が実施例又は比較例の各試料をイソソルビドとして2.1g含む量を口に含み、味の評価を行った。先味(口に含んでいる間に感じる風味)と後味(口に残る風味)について、以下の点数を用いて評価し、5名の評価の平均値を算出した。
・驚異的に改善できている(5点)
・著しく改善できている(4点)
・改善できている(3点)
・少し改善できている(2点)
・改善できていない(1点)
<溶出率>
溶出試験第2液(pH6.8)900mLを用い、第17改正日本薬局方崩壊試験法(パドル法)により、毎分50回転で試験を行なった。イソソルビド 21g相当の実施例又は比較例の試料を量りとり、試験を開始し、溶出試験開始1分、3分、5分、10分、15分後のそれぞれにおいて、溶出液5mLを採り、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、初めのろ液2mLを除き、次のろ液を試料溶液とした。これとは別にイソソルビド 約2.33gを精密に量り、試験液に溶かし、正確に100mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液を10μLずつ正確に採り、下記の測定条件で液体クロマトグラフィー法により、それぞれの液のイソソルビドのピーク面積を測定し、溶出率を算出した。
[測定条件]
検出器:示差屈折計検出器(内部ヒーター設定温度:30℃、感度:4、極性:+)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したもの(GL Sciences製、Inertsil(ODS−3V)
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:薄めたギ酸(1→1000)/液体クロマトグラフィー用メタノール混液(19:1)
流量:毎分0.5mL
サンプル温度:25℃付近の一定温度
溶出試験第2液(pH6.8)900mLを用い、第17改正日本薬局方崩壊試験法(パドル法)により、毎分50回転で試験を行なった。イソソルビド 21g相当の実施例又は比較例の試料を量りとり、試験を開始し、溶出試験開始1分、3分、5分、10分、15分後のそれぞれにおいて、溶出液5mLを採り、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、初めのろ液2mLを除き、次のろ液を試料溶液とした。これとは別にイソソルビド 約2.33gを精密に量り、試験液に溶かし、正確に100mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液を10μLずつ正確に採り、下記の測定条件で液体クロマトグラフィー法により、それぞれの液のイソソルビドのピーク面積を測定し、溶出率を算出した。
[測定条件]
検出器:示差屈折計検出器(内部ヒーター設定温度:30℃、感度:4、極性:+)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したもの(GL Sciences製、Inertsil(ODS−3V)
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:薄めたギ酸(1→1000)/液体クロマトグラフィー用メタノール混液(19:1)
流量:毎分0.5mL
サンプル温度:25℃付近の一定温度
<評価>
実施例1〜4、比較例1の医薬粒状固形製剤の平均粒子径と官能試験の結果を表1、2に記載した。また、実施例1、3の医薬粒状固形製剤の溶出率を図1、2に示した。
実施例1〜4、比較例1の医薬粒状固形製剤の平均粒子径と官能試験の結果を表1、2に記載した。また、実施例1、3の医薬粒状固形製剤の溶出率を図1、2に示した。
図1〜2から分かる通り、実施例1、3の溶出率(1分値)は30%以下であることから、口腔内にてマスキング効果が期待できることが分かる。また、表1、2に示すとおり、イソソルビドと熱溶融物質を組み合わせた実施例1〜4の官能試験の結果より、苦味等の不快な官能的性質が改善され、更に、特定の製造条件とすることで、ざらつきの少ない平均粒子径300〜700μmの範囲の医薬粒状固形製剤を製造できることがわかる。
本発明によれば、イソソルビド特有の不快な官能的性質を抑制することにより、服薬コンプライアンスの改善が期待される、イソソルビド含有医薬固形製剤を提供することができる。
Claims (15)
- イソソルビド及び1又は2以上の熱溶融物質を含む医薬固形製剤。
- イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を含む医薬固形製剤。
- イソソルビドを70重量%以上含有する、請求項1又は2に記載の医薬固形製剤。
- 第17改正日本薬局方溶出試験法に準じて溶出試験を行った場合、pH6.8における溶出試験開始後1分の溶出率が30%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬固形製剤。
- 前記熱溶融物質が、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類及び水不溶性アクリルポリマー類からなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬固形製剤。
- 前記吸着剤が、ケイ酸類及びセルロース類からなる群から選ばれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬固形製剤。
- 甘味剤及び/又は酸味剤を一種又は二種以上含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬固形製剤。
- 医薬固形製剤が、散剤、細粒剤、顆粒剤及びドライシロップからなる群から選択される医薬粒状固形製剤である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬固形製剤。
- 平均粒子径が300〜700μmである、請求項8に記載の医薬粒状固形製剤。
- 下記(i)〜(iii)の連続する熱制御工程を含む、イソソルビドを含む医薬粒状固形製剤の製造方法。
(i)溶融・混練工程:イソソルビド、1又は2以上の熱溶融物質及び1又は2以上の吸着剤を混合した後、混合末をその融点以上の温度に加温して溶融し、混練し、混練物を得る工程、
(ii)冷却固化工程:i)で得られた混練物をその凝固点以下の温度に冷却しながら撹拌し、冷却固化された混練物を得る工程、
(iii)造粒工程:冷却固化工程よりも10℃以上低い温度で、ii)で得られた混練物を撹拌し、医薬粒状固形製剤を得る工程 - 溶融・混練工程又は冷却固化工程において、甘味剤、酸味剤及び/又は香料を更に混合する、請求項10に記載の製造方法。
- 前記熱溶融物質が、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ロウ類及び水不溶性アクリルポリマー類からなる群から選ばれる、請求項10又は11に記載の製造方法。
- 前記吸着剤が、ケイ酸類及びセルロース類からなる群から選ばれる、請求項10〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項10〜13のいずれか一項に記載の製造方法で得られたイソソルビドを含む医薬粒状固形製剤と、甘味剤及び/又は酸味剤を一種又は二種以上を混合する工程を含む、医薬粒状固形製剤の製造方法。
- 医薬粒状固形製剤の平均粒子径が300〜700μmである、請求項10〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
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