JP2020536474A - 信号処理システム及び方法 - Google Patents

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Abstract

デジタル受信機で受信した信号中のノイズを低減するための、デジタル受信機用のノイズリダクションシステムが提供され、デジタル受信機は、アナログ信号を受信するための入力端子と、アナログ信号を処理するためのアナログ信号処理回路と、処理した信号をデジタル信号プロセッサへ供給するための出力端子とを具え、ノイズリダクションシステムは、入力端子とアナログ信号処理回路との間に配置され:第1構成要素と第2構成要素とを具え、第1構成要素は:アナログ信号を受信するように構成された入力端子と;受信したアナログ信号を評価して、受信したアナログ信号内の1つ以上のノイズ信号を識別するように構成されたプロセッサと;ノイズ信号識別の結果を出力するように構成された出力端子とを具え、第2構成要素は:ノイズ信号識別の結果を第1構成要素から受信するように構成された入力端子と;ノイズ信号識別の結果に応じた1つ以上の対策処理を、受信したアナログ信号に適用するように構成された電子回路とを具えている。

Description

本発明は信号処理システム及び方法に関するものである。具体的には、本発明は、信号を処理するためのシステム、特にデジタル受信機内のノイズを低減するためのノイズリダクション(雑音低減)システムに関するが、それのみではない。本発明の態様は、ノイズを低減するための方法にも関するものである。
電子信号の受信は、現在、我々の日常生活の一部であり、ケーブルを通して伝送または送信されるデータの良好な受信及び復号化を行うことに大きく依存している。こうした電子信号の利用は、携帯電話及び他のモバイル電子機器の利用の普及から;家庭、オフィス、あるいは公共の場所でのWi−Fi(登録商標)の利用まで;ケーブル及び衛星通信を通したブロードバンド(広帯域)接続まで;並びにオートメーション用の多数の目に見えない制御信号までに及ぶ。制御信号の例は無人自動車内に見出すことができ、無人自動車はリモートコントロール(遠隔制御)システムへの高信頼性のデータ接続を必要とする。
ユーザは、電子機器を使用する際に問題が頻繁に生じることが不都合である、というのは、特定の機能をサポート(支援)することができる良好な信号の受信は種々の問題による影響を受けやすいからであり、これらの問題は、信号の損失、または少なくとも大幅に低下した帯域幅のいずれかを生じさせる。具体的には、弱い信号を復号化する際に対象のシステムにエラーが生じると、帯域幅は大幅に低下し得る(ビットレートエラーとも称される)。こうしたビットレートエラーが過大になると、システムは、他のユーザ向けの能力を維持するために、アプリケーションまたはユーザが利用可能なサービスを制限することがある。
所望信号(即ち、復号化されるデータを含む変調信号)の信号帯域またはチャネル内に、あるいは所望信号の信号帯域またはチャネルに隣接した妨害ノイズ信号が存在することにより、入力電子信号の信号対ノイズ比(SNR:Signal-to-Noise Ratio)が低い際に、大きなビットレートエラーが発生しやすい。こうした帯域内または帯域付近の妨害ノイズ信号は、多様な発生源から発生し得る。これらの発生源は人為的及び環境の両方であり;ノイズ信号は類似したアプリケーションを有する発生源からも発生し得る。
例えば、携帯電話の信号受信を考えると、妨害ノイズ信号は、他の携帯ハンドセット、携帯電話アンテナ塔(マスト)、他の無線または非無線の干渉源から、あるいは単に他の電子機器からの静電または電磁波妨害により発生し得る。電子信号の他の応用分野を考えれば、妨害信号は惑星上の妨害または宇宙の大気圏の結果として生成され得る。ケーブル信号には、電気ノイズ信号、及び平衡のとれない信号による反射定在波の問題があり得るし、信号妨害は、ケーブルを通り抜けて、所望信号を搬送する導体上に電気ノイズ信号を生成し得る。それに加えて、長距離にわたって、無線信号及びケーブル信号は共に減衰して、最終的に、アンテナにおけるノイズ、増幅器の内部電子ノイズ、及び最終的に信号を受信して復号化する無線受信回路の内部電子ノイズを上回って受信するには弱過ぎになる。
本発明は、上述した問題の少なくとも一部を軽減または克服するために考案された。
本発明の1つの態様によれば、デジタル受信機で受信した信号中のノイズを低減するための、デジタル受信機用のノイズリダクションシステムが提供される。このデジタル受信機は、アナログ信号を受信するための入力端子(デジタル受信機入力端子)と、アナログ信号を処理するためのアナログ信号処理回路と、処理した信号をデジタル信号プロセッサへ供給するための出力端子とを具えている。なお、アナログ信号処理回路はアナログ−デジタル変換器を具え、これにより、デジタル信号プロセッサへ供給される処理した信号はデジタル信号を含むことができる。その代わりに、デジタル信号プロセッサは、アナログ処理回路が出力する処理した(アナログ)信号のアナログ−デジタル変換を実行することができる。
上記ノイズリダクションシステムは、(デジタル受信機)入力端子とアナログ信号処理回路との間に配置され、第1構成要素及び第2構成要素を具えている。第1構成要素は、アナログ信号を受信するように構成された入力端子(第1構成要素入力端子)と;受信したアナログ信号を評価して、受信したアナログ信号内の1つ以上のノイズ信号を識別するように構成されたプロセッサと;ノイズ信号の識別の結果を出力するように構成された出力端子とを具えている。第2構成要素は、ノイズ信号の識別の結果を受信するように構成された入力端子(第2構成要素入力端子)と;ノイズ信号の識別の結果に応じた1つ以上の対策処理を、受信したアナログ信号に適用して、修正(した)アナログ信号を生成するように構成された電子回路とを具え、修正アナログ信号は受信したアナログ信号に比べて低下したレベルのノイズを有する。上記ノイズリダクションシステムは、第2構成要素が適用した1つ以上の対策処理の有効性を評価して、何らかの追加的な対策処理が必要であるか否かを判定するようにも構成されている。なお、システム全体の所望の構成に応じた種々の要素が、こうした有効性の評価を実行することができ:例えば、(ベースバンド/制御)プロセッサがこうした機能を提供することができる。その代わりに、上記ノイズリダクションシステム内の第1構成要素のプロセッサ、さらにはそれ自体のプロセッサを有する専用の第3構成要素が、有効性の評価を実行することができる。
上記デジタル信号プロセッサは、デジタル信号を処理するように構成されたあらゆるプロセッサ、例えばベースバンド・プロセッサまたはベースバンド・チップまたはモデムを具えることができる。上記第2構成要素は、当該第2構成要素の電子回路内で1つ以上の対策処理信号を発生して、発生した対策処理信号を(電子回路内のミキサ構成要素を通して)出力することによって、1つ以上の対策処理を適用することができ、これにより、これらの対策処理信号が受信したアナログ信号と混合されて修正アナログ信号が生成され、この修正アナログ信号は、受信したアナログ信号に比べて低下したレベルのノイズを有する。次に、修正アナログ信号をアナログ信号処理回路へ送信し、その後にデジタル信号プロセッサへ送信することができる。
上述したノイズリダクションシステムは、妨害ノイズ信号が、さらにデジタル受信機の回路に入り得る前に除去/低減されることを保証することが有利であり、従って、このことは受信した信号のSNRを直接向上させて、その後の復号化中のエラーを低減する。このことは、ずっと高いデータレートを可能にし、従って所定の通信チャネルまたはケーブルが、ずっと大きい距離にわたってより高い帯域幅をサポートして、特定装置にとって改善された信号受信を生じさせることができる。上記ノイズリダクションシステムの構成要素によってフィードバックループも提供され、これにより、上記システムが特定の対策処理の成功を判定すること、及び追加的な、あるいは代わりの対策処理が必要であり得るか否かを判定することを可能にする。従って、上述したノイズリダクションシステムは自己評価型であり、妨害ノイズ信号が除去されたか否か、あるいは少なくとも十分に抑制されたか否かを判定して、その後の所望信号の処理及び復号化を行うことを可能にすることができる。
本発明の好適例によるノイズリダクションシステムを用いて、受信したアナログ信号中のノイズ信号の影響を軽減または低減することができる。ノイズ信号は、種々の発生源から生じ得るし、所望信号の信号帯域またはチャネル内の、あるいは所望信号の信号帯域またはチャネルに隣接した妨害信号を含み得る。上記ノイズリダクションシステムが低減または軽減することができるノイズ信号は、多様な発生源から発生する帯域内または帯域付近の妨害ノイズ信号をさらに含み得る。これらの発生源は人為的及び環境の両方である。ノイズ信号は、類似したアプリケーションを有する発生源からも発生し得る。携帯電話の信号受信を考えると、妨害信号は、他の携帯ハンドセット、携帯電話アンテナ塔、他の無線または非無線の干渉源から、あるいは単に他の電子機器からの静電または電磁波妨害により発生し得る。電子信号の他の応用分野を考えれば、妨害信号は惑星上の妨害または宇宙の大気圏の結果として生成され得る。ケーブル信号には、電気ノイズ信号、及び平衡のとれない信号による反射定在波の問題があり得るし、信号妨害は、ケーブルを通り抜けて、所望信号を搬送する導体上に電気ノイズ信号を生成し得る。それに加えて、長距離にわたって、無線信号及びケーブル信号は共に減衰して、最終的に、アンテナにおけるノイズ、増幅器の内部電子ノイズ、及び最終的に信号を受信して復号化する無線受信回路の内部電子ノイズを上回って受信するには弱過ぎになる。
一部の場合には、第1構成要素のプロセッサを、アナログ信号をデジタル信号に変換し、変換により得られたデジタル信号に対する数学的変換を実行するように構成することができ、この数学的変換は、上記1つ以上のノイズ信号、及び識別したノイズ信号に関連する少なくとも1つの特性を識別する。
入力アナログ信号をデジタル信号に変換することは、入力信号がアナログ信号処理回路に入る前にノイズ除去のために傍受されることを保証しつつ、上記ノイズリダクションシステムが、最終的にデジタル受信機自体によって処理されるものと等価なデジタル信号に作用することを可能にする。従って、上記ノイズリダクションシステムは、入力信号中に存在するノイズ妨害だけでなく、信号処理装置自体によって信号中に導入され得るあらゆるノイズも識別可能にすることができる。さらに、ノイズ信号を識別する際のプロセッサによる数学的変換の利用は、各信号を、ノイズを特性化する関連するあらゆる特性と共に容易に識別することを可能にして、上記第2構成要素が各個別の信号を除去するために用いる最も適切な対策処理を決定することに役立つことができる。
任意で、上記数学的変換は高速フーリエ変換を含む。高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)の使用は、入力信号を特性化する非常に効率的な方法であることが有利である、というのは、ノイズ信号の各々を(各信号を特性化する種々の特性と共に)非常に短期間内に(即ち、少数の命令サイクル内に、かつ可能な最短2、3ピコ秒までに)識別することができるからである。このことは特に有用である、というのは、妨害信号をできる限り迅速に識別し、評価し、そして除去することを保証し、これにより上記ノイズリダクションシステムが妨害ノイズ信号の変化に適応し反応することを可能にするからである。
任意で、識別したノイズ信号の各々の関連する少なくとも1つの特性は、次のグループ:信号の中心周波数、信号の振幅、信号の帯域幅、及び信号変調から選択する。特定のノイズ信号を、その中心周波数、及び任意でその振幅にも基づいて特性化することは、所望信号を含む関心事の周波数帯域(「通過帯域(パスバンド)」とも称する)内の当該ノイズ信号の正確な位置、及び所望信号に対する当該ノイズ信号のサイズを測定することを可能にすることが有利である。これらの特性を識別することは、上記ノイズリダクションシステムが、あらゆる信号処理装置を、所望信号に過度の影響を与えずにノイズ信号をできる限り正確に除去するように構成することをより容易にする。
一部の場合には、上記第1構成要素が、上記数学的変換の結果を、出力端子を通して上記第2構成要素の入力端子に対して出力するように構成されている。
このことは、上記第2構成要素の電子回路が、行うべき最も適切な対策処理を決定すること、及び(適切であれば)当該第2構成要素の内部信号処理装置が、選定した対策処理を実行することを可能にすることが有利である。その代わりに、上記数学的変換の結果を上記第1構成要素が保持し、代わりに、これらの結果に基づく制御信号を上記第1構成要素が上記第2構成要素に供給することが考えられ、この制御信号は、適切な対策処理を行うことを上記第2構成要素の電子回路に命令する。
一部の例では、上記第1構成要素のプロセッサを、上記数学的変換の結果に基づくデジタル・マトリクス(行列)を生成するように構成することができる。デジタル・マトリクスは、最小の記憶空間を用いて各ノイズ信号を特性化し、識別した特性を記憶する手段を提供すること、従って、容易に作成し、構成要素間で伝送し、(適切であれば)記憶されることが有利である。
任意で、上記第1構成要素のプロセッサは、入力/受信したアナログ信号から、1つ以上の識別したノイズ信号の各々を抽出して、抽出したアナログノイズ信号を上記第2構成要素に対して出力するように構成することができる。
次に、上記ノイズリダクションシステム(特に、上記第2構成要素の電子回路)は、これらのノイズ信号を用いて、ノイズの発生源をより正確に除去することができる、というのは、一部の対策処理は、元のアナログノイズ信号自体に対して信号処理を実行する必要があり得るからである。このことは、特に、単に中心周波数及び振幅のような特性に基づいて十分な精度で特性化することが必ずしもできない複雑な特性を有する信号の場合である。
一部の場合には、上記第2構成要素の電子回路が適用する対策処理のうちの1つが、フィルタを構成して入力アナログ信号に適用して、識別したノイズ信号のうちの1つを除去することを含む。それに加えて、上記第1構成要素のプロセッサが数学的変換を実行して、信号、及びこれらの信号の特性のうちの少なくとも1つを識別する場合、適用するフィルタはこの少なくとも1つの特性を用いて構成することができる。
事前に構成したフィルタの使用は、ノイズ信号を除去するための単純かつ容易な方法を提供することが有利である、というのは、実行する必要のある信号処理の量を最小にするからである。このことは、特に、識別した信号が狭帯域(ナローバンド)である際である、というのは、狭帯域の「ノッチ」フィルタは、ノイズ信号の特性を用いて動的にカスタマイズして構成することができ(例えば、ノッチフィルタは、ノイズ信号の中心周波数を中心とし、この中心周波数に適用されるように規定することができ)、これにより、所望信号に過度の影響を与えずに各ノイズ信号を正確に除去することを保証するからである。なお、一部の場合には、ノッチフィルタの中心周波数をわずかに移動させて所望信号のあらゆる偶発的な歪みを回避することができ、従って、除去するべき妨害信号の中心周波数に必ずしも正確に一致させなくてもよい。しかし、こうしたオフセットは、ノイズ除去の効率に悪影響を生じさせるべきでない。
一部の例では、上記第2構成要素の電子回路が、識別したノイズ信号のうちの1つに相当するレプリカ(複製)ノイズ信号を発生するように構成されている。上記第2構成要素の電子回路は、レプリカノイズ信号が識別したノイズ信号とほぼ逆相になるようにレプリカノイズ信号を調整し、次に、調整したレプリカノイズ信号を入力アナログ信号と混合することもできる。
識別したノイズ信号が単純なノッチフィルタを用いてそれほど容易に除去されない場合(例えば、広帯域ノイズの場合)、こうしたノイズ信号を除去する単純な方法は、上記第2構成要素の電子回路を用いてレプリカ信号を発生することであり得る。このレプリカ信号は、識別したノイズ信号の各々の特性及びプロファイルを模擬する。次に、このレプリカ信号を、対応するノイズ信号と逆相になるように反転させて位相調整することができる。このように処理/調整したレプリカ信号を入力アナログ信号と混合することは、対象のノイズ信号のほとんどすべてが相殺されるか、あるいは、修正アナログ信号内で少なくとも許容可能なレベルまで低減されることを保証する。
任意で、レプリカノイズ信号は、上記第2構成要素の電子回路を用いて、音信号の発生に基づいて発生することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、レプリカノイズ信号は、上記第1構成要素から受信した抽出ノイズ信号に基づいて発生することができる。
識別したノイズ信号が相当単純な信号に相当する場合、上記ノイズリダクションシステム(具体的には上記第2構成要素の電子回路)は音(または正弦(サイン)波)信号を発生してレプリカノイズ信号の基礎を形成することができ、この音信号は通常、識別したノイズ信号に関連する周波数と同じ周波数の信号である。その代わりに、あるいはそれに加えて、識別したノイズ信号がより複雑であり、単純な音信号によって正確に表現することができない場合、上記第2構成要素の電子回路は、上記第1構成要素のプロセッサが入力アナログ信号から抽出した実際のノイズ信号を用いて、発生するレプリカノイズ信号の基礎を形成することができる。
一部のシナリオでは、上記第1構成要素のプロセッサを、上記第2構成要素の電子回路が適用する対策処理を制御するための制御信号を発生して、上記第2構成要素の入力端子に対して出力するように構成することができる。このことは有用である、というのは、上記第1構成要素はノイズ信号の識別を実行しており、上記第2構成要素がノイズ信号を除去/低減する方法を上記第1構成要素が指定することもできることが効率的であるからである。
一部の場合には、上記第1構成要素のプロセッサを、上記第2構成要素の電子回路が適用する1つ以上の対策処理の有効性を評価するように構成することができる。その代わりに、上記第1構成要素のプロセッサは、上記第3構成要素(のプロセッサ)が実行する有効性評価を制御するための制御信号を上記第3構成要素に対して出力するように構成することができる。
任意で、上記第1及び第2構成要素の少なくとも一方が、上記デジタル信号プロセッサからそれぞれの構成要素への制御信号の出力により制御されるように構成される。適用可能であれば、上記第3構成要素も、上記デジタル信号プロセッサからそれぞれの構成要素への制御信号の出力により制御されるように構成することができる。
上記第1構成要素のプロセッサが上記ノイズリダクションシステムの有効性の評価を実行することが有利であり得る、というのは、このプロセッサは入力アナログ信号を分析してノイズの発生源を識別するように既に設定されているからである。その代わりに、上記第1構成要素のプロセッサは、他の(第3)構成要素を制御して、当該構成要素自体に評価を実行させることができる。さらに、単純かつ効率的にするために、上記ノイズリダクションシステムの全体機能を単一の実体または構成要素によって制御することが有利であり得る。この単一の制御構成要素は処理及び記憶能力の大部分を備え、他の構成要素は事実上の従属者として機能し、この制御構成要素から制御信号を受信して、それ自体の個別の機能を実行する。一部の場合には、上記制御構成要素が上記第1構成要素(のプロセッサ)に相当することができ、あるいは、上記デジタル受信機の上記デジタル信号プロセッサのような、上記デジタル受信機内に既に内蔵されている別個のプロセッサに相当することができる。
一部の例では、一旦、上記第2構成要素が1つ以上の対策処理を入力アナログ信号に適用して修正信号を形成すると、プロセッサを用いてこの修正アナログ信号を評価して、修正アナログ信号中の1つ以上の残留ノイズ信号を識別するように、上記第3構成要素を構成することができる。
上記アナログ信号の一部分を評価用に効果的に迂回させるか「盗聴する」ことによって、上記第3構成要素は、上記アナログ信号中にまだ残存するあらゆる残留ノイズを識別することができ、残留ノイズの存在は、上記第2構成要素が適用した対策処理が(完全には)成功でなかったことを示す。従って、上記第3構成要素は、上記ノイズリダクションシステムの性能をほぼリアルタイム(実時間)で評価して、何らかの追加的な、または代わりの対策処理を実行する必要があるか否か、あるいは対策処理が、信号復号化を良好に実行するための許容可能なレベルまでノイズを低減したか否かを判定する手段を提供する。
具体的には、上記第3構成要素のプロセッサは、修正アナログ信号(即ち、上記第2構成要素の電子回路が1つ以上の対策処理を適用した後に受信したアナログ信号)の数学的変換を実行するように構成することができ、この数学的変換は、上記第1構成要素が受信したアナログ信号に対して実行した数学的変換との比較のためである。このことは、「前」と「後」との直接的な比較を行うことを可能にし、残留ノイズを特性化する特性を決定することを可能にする。このことは、上記第2構成要素の電子回路が適用するその後の対策処理に影響を与える。
上記第1構成要素のプロセッサが有効性の評価を上述した方法で実行することができることは明らかであり、その場合、専用の第3構成要素は必要でなくなり、上述した特徴のすべてが上記第1構成要素に同等に当てはまる。
一部の場合には、上記デジタル受信機がモバイル機器内のデジタル受信機を含むか、モバイル機器内のデジタル受信機に相当する。この場合、上記入力端子がモバイル機器のアンテナを含み、上記デジタル信号プロセッサはこのモバイル機器のベースバンド・プロセッサを含む。
上述したノイズリダクションシステムをモバイル機器(例えば携帯電話)に関連して実現する場合、このノイズリダクションシステムは、ビットレートエラーの低減により、モバイル機器のデジタル受信機が知覚する信号強度を有利に増加させることができる。同様に、このことはモバイル機器のバッテリ寿命を延長することもできる、というのは、受信信号強度が増加するほどモバイル機器のRF(Radio Frequency:無線周波数)部を縮小することができるからである。
入力/受信アナログ信号は次のいずれかを含むことができる:モバイル・ネットワーク信号、無線信号、Wi−Fi(登録商標)信号、衛星通信、ブロードバンド接続。本発明のノイズリダクションシステムの用途は多様であり、信号強度、及び多様な異なる技術分野にわたる対象を増加させるために用いることができる。例えば、上述したシステム(または以下に説明する方法)を、妨害を含む信号を受信するように構成された無線受信機において実現して、信号中の妨害を減衰させ、低減し、または除去することができることが考えられる。
本発明の他の態様によれば、デジタル受信機で受信した信号中のノイズを低減するノイズリダクション方法が提供され、このデジタル受信機は、アナログ信号を受信するための入力端子(デジタル受信機入力端子)と、アナログ信号を処理するためのアナログ信号処理回路と、処理した信号をデジタル信号プロセッサへ供給するための出力端子とを具え、この方法は:入力端子とアナログ信号処理回路との間に配置された第1構成要素のプロセッサによって、受信したアナログ信号を評価して、アナログ信号内の1つ以上のノイズ信号を識別するステップと;入力端子とアナログ信号処理回路との間に配置された第2構成要素の電子回路によって、識別したノイズ信号に応じた1つ以上の対策処理を、受信したアナログ信号に適用して、修正アナログ信号を生成するステップであって、修正アナログ信号は受信したアナログ信号に比べて低下したレベルのノイズを有するステップと;適用した1つ以上の対策処理の有効性を評価して、何らかの追加的な対策処理が必要であるか否かを判定するステップとを含む。
本発明の他の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供され、これらの命令は、プログラムがコンピュータによって実行されると、上述した方法のステップをコンピュータに実行させる。
本発明の追加的な態様によれば、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体が提供され、これらの命令は、プログラムがコンピュータによって実行されると、上述した方法のステップをコンピュータに実行させる。
本発明の追加的な態様によれば、上述したノイズリダクションシステムを具えた、あるいは上述したノイズリダクション方法を実行するモバイル機器が提供される。このモバイル機器は、携帯電話または他の同様な機器を含むことができる。その代わりに、上述したノイズリダクションシステムを具えた、あるいは上述したノイズリダクション方法を実行するWi−Fi(登録商標)ルーターまたは同様な装置を提供することができる。
本願の範囲内で、これより前の段落、特許請求の範囲、及び/または以下の説明及び図面中に記載した種々の態様、好適例、例、及び代案、特にそれらの個別の特徴は、独立して、あるいは任意の組合せで用いることができることを明確に意図している。即ち、すべての好適例及び/または任意の好適例の特徴は、こうした特徴が両立しないものでない限り、任意の方法及び/または組合せで組み合わせることができる。出願人は、任意の出願当初の請求項を変更する権利、または任意の新たな請求項を相応に提出する権利を留保し、これらの権利は、出願当初はそのように特許請求されていなくても、任意の出願当初の請求項を他の任意の請求項に従属するように補正する権利、及び/または他の任意の請求項の特徴を任意の出願当初の請求項に含める権利を含む。
本発明の1つ以上の実施形態を、ほんの一例として、添付した図面を参照しながら以下に説明する。
携帯電話ハンドセット内で電子信号を処理するために利用される一般的なデジタル受信機のブロック図である。 本発明の一実施形態による、デジタル受信機内でノイズを低減するためのノイズリダクションシステムの構成要素を示す概略ブロック図である。 図2のノイズリダクションシステムの構成要素をより詳細に示す概略ブロック図であり、このノイズリダクションシステムは一般的な携帯電話システム・アーキテクチャ内に内蔵される。 図2のノイズリダクションシステムの第1構成要素をさらに詳細に示す概略ブロック図であり、この第1構成要素は入力信号を評価してノイズ源を識別する。 図2のノイズリダクションシステムの第2構成要素の第1部分を示す概略ブロック図であり、この第1部分は、受信信号中の識別したノイズを除去するための対策処理を適用する。 図2のノイズリダクションシステムの第2構成要素の第2部分を示す概略ブロック図である。 図2のノイズリダクションシステムがデジタル受信機内のノイズを低減するために利用する一般的方法を示すフローチャートである。 図2のノイズリダクションシステムがノイズリダクションを実行する際の電子信号に対する影響を示す一連の線図である。
詳細な説明
本明細書の大部分は、一般的な携帯電話ハンドセットにおけるノイズリダクションシステムの実現に焦点を当てるが、こうしたシステムの可能な用途は他の種々の形態の装置をカバーし、広範囲の技術及び分野も含むことは明らかである。信号送信及び受信がシステム内に発生する限り、その媒体にかかわらず、本明細書中に説明するノイズリダクションシステムが役に立つ。例えば、このノイズリダクションシステムは、モバイル・ネットワーク、無線通信、Wi−Fi(登録商標)、衛星通信、さらにはブロードバンド・ケーブル接続(銅ケーブルでも光ファイバ・ケーブルでも)に関連して用いることができる。
本発明を本文中で説明するために、既存のデジタル受信機のアーキテクチャの説明を以下に提供し、このデジタル受信機は一般的な携帯電話内に設けられ、入力アナログ信号をデジタル信号に変換し、このデジタル信号はその後に処理されて復号化される。しかし、こうした携帯電話のデジタル受信機システム及びその動作方法は当業者にとって既知であり、従って本明細書では非常に簡単な要約のみを提供する。
図1に、一般的な携帯電話または他の等価なモバイル機器の構造及び構成要素を示し、この携帯電話またはモバイル機器はソフトウェア無線(SDR:Software-Defined Radio)技術を用いる。このモバイル機器は、入力アナログ信号を受信するための空中線またはアンテナ2、及び入力アナログ信号をアナログ・ベースバンド信号にする初期の信号処理を実行するためのアナログ信号処理回路4を具え、アナログ・ベースバンド信号は次にデジタル信号に変換することができる。アナログ信号処理回路は、受信した変調(された)アナログ信号に対して動作して、受信したアナログ信号の変調された部分をアナログ・ベースバンド信号の形式で取り出す。
上記モバイル機器はプロセッサ6(一般にデジタル・ベースバンド・プロセッサと称される)も具え、プロセッサ6は結果的に得られたデジタル信号の追加的な処理及び復号化を実行する。より詳細には、入力信号はアンテナ2上に電圧を生成し、この電圧はアナログ信号処理回路4内のいくつかのバンドパス(帯域通過)フィルタ8及び増幅器(図示せず)を通過して、ミキサ10を用いて混合されてベースバンド周波数のI信号及びQ信号を生成する。次に、これらのアナログ・ベースバンド信号は、ADC(Analogue-to-Digital Converter:アナログ−デジタル変換器)機能14によってデジタル化する前に追加的なフィルタ及び増幅器を通過し;結果的に得られるデジタル信号はデジタル・ベースバンド・プロセッサ6に渡されて復号化される。なお、図示する場合では、アナログ信号処理回路4は入力アナログ信号をデジタル信号に変換する変換を実行するように構成されている。しかし、必ずしもこのようにしなくてもよく、一部の場合には、アナログ信号処理の部分集合のみをアナログ信号処理回路4によって実行し、アナログ−デジタル変換プロセスは代わりに他の構成要素によって、例えばベースバンド・プロセッサ6によってその後に実行することができることは明らかである。
増幅器12は、ハードウェア制御であるかソフトウェア制御であるかにかかわらず、所望の信号増幅がシステムの利用可能なフルスケール(最大範囲)に近くなり最大のSNRが実現されることを保証しようとするように構成されている。しかし、他の発生源からの信号が所望信号の帯域内に存在する場合、これらの増幅されたノイズ信号がシステムの能力またはフルスケールを超えないことを保証するために増幅が制限される。こうした状況を過負荷と称することがある。なお、代表的な4G LTE(4th Generation Long Term Evolution:第4世代ロングターム・エボリューション)モバイル受信機に対して実行した試験より、これらの隣接信号により所望信号が大幅に劣化する問題があり、このことはもちろん望ましくない。
図2に、本発明の一実施形態によるノイズリダクションシステム20の高レベルの図示を提供し、ノイズリダクションシステム20は既存の携帯電話システムに内蔵することができる。
本実施形態のノイズリダクションシステム20は、既存の携帯電話システム・アーキテクチャに統合され、入力アナログ信号21がアナログ信号処理回路4によって処理され次にデジタル信号に変換される前に、入力アナログ信号に対して作用するように設計されている。
ノイズリダクションシステム20は3つの構成要素または機能ブロックを具え、これらの各々は異なる種類の作業を実行する。第1の「信号評価」構成要素22は、受信したアナログ信号21を分析または評価して、受信した信号内に存在するノイズの種々の発生源を識別し;第2の「対策処理適用」構成要素24は、種々の電子回路要素(例えば、フィルタ、ミキサ、増幅器、スイッチ、等)を用いて複数の対策処理のうちの1つ以上を行って、識別したノイズの発生源を低減または除外するように構成されている。このことは、追加的な信号をミキサ25により入力アナログ信号中に含めて「修正アナログ信号」23がアナログ処理回路4に渡されるようにすることを含むことができる。第3の「性能評価」構成要素26は、ノイズリダクションシステム20の性能を評価するように構成され、このことは、修正アナログ信号23を分析すること(換言すれば、受信したアナログ信号を、第2構成要素24が当該アナログ信号に対して作用した後に分析すること)によって、及びこのアナログ信号内にまだ存在するノイズの発生源を識別して、さらなる、あるいは追加的な対策処理を第2構成要素24が行う必要があるか否かを確認することによって行う。
入力信号の初期のノイズレベル評価を実行することに加えて、本実施形態では、第1構成要素22は、ノイズリダクションシステム20全体の機能に対する全体的な制御を行うようにも構成されている。具体的には、第1構成要素22は、第2構成要素24が行う対策処理の種類を制御すると共に、第3構成要素26がノイズリダクションシステム20の全体的な性能を評価する方法を制御するように構成されている。しかし、この設定はいくつかの可能な構成のうちの1つに過ぎず、例えば、ベースバンド・プロセッサ6のような他の構成要素が、ノイズリダクションシステム20の全体または一部に対する制御を行うことができることは明らかである。
ノイズリダクションシステム20は、既存の携帯電話システム・アーキテクチャ及び構成内の当該ノイズリダクションシステムの位置の結果として、妨害ノイズ信号を、アナログ信号処理回路4に入る前に入力信号から除去するか軽減することができる。この回路は、処理されてデジタル化されるアナログ信号のSNRを直接向上させて、その後のデジタル信号の復号化におけるエラーを除去または低減する。このことは、(エラーの低減により)ずっと高いデータレートを実現することを可能にし、従って、所定の通信チャネルは、より高い帯域幅をずっと大きい距離にわたってサポートすることができる。
なお、受信したアナログ信号は、所望信号(即ち、復号化されるデータを含む変調アナログ信号)及びノイズ/妨害信号を含む信号である。従って、本発明の実施形態によるノイズリダクションシステムは、入力アナログ信号を受信し、受信したアナログ信号内のノイズの影響を低減または軽減して、所望信号及び(受信したアナログ信号に比べて)少量のノイズ/妨害信号を含む修正アナログ信号を出力することがわかる。
図3に、図2に概略的に記載したノイズリダクションシステム20の構成をより詳細に示す。具体的には、図3は、ノイズリダクションシステムの種々の構成要素の位置を(図1に示す)既存の受信機アーキテクチャ及び既存の信号処理経路に対して示す。
ノイズリダクションシステム20の第1の「信号評価」構成要素22は、信号処理の意味でアナログ信号処理回路4と事実上並列に配置されて機能する。換言すれば、第1構成要素22(図中では機能Aとも称する)は、アンテナ2からの入力アナログ信号を受信して、このアナログ信号を既存のアナログ信号処理回路4と同様の方法で処理して(当てはまれば)デジタル化するようにも構成されている。第1構成要素22は、種々のノイズリダクション対策処理をその後に行うための2つの出力30、32を第2構成要素24に供給するように構成され−第1出力30は第1構成要素22が識別した各ノイズ発生源を特性化する情報を含み;第2出力32は実際に識別したノイズ信号を含む。
図示する実施形態では、ノイズリダクションシステム20の第2の「対策処理適用」構成要素24が実際には(図中では機能B及びCとしてラベル付けした)2つの副構成要素34、36を具え、これらの副構成要素は種々のノイズリダクション/除去対策処理を(各服構成要素内に含まれる種々の電子回路要素を用いて)入力アナログ信号に適用して、修正アナログ信号23がアナログ処理回路4に入るようにする。こうした対策処理の具体例はこの後に図5及び6を参照して説明するが、一般に、ノイズ信号の特性に通常適用される対策処理の2つのカテゴリが存在し−一般に広帯域ノイズ信号と狭帯域ノイズ信号とは異なる処理を必要とする。対策処理の一方のカテゴリは信号(通常は非常に狭帯域の信号)のアクティブフィルタ処理(アクティブフィルタリング)及び除去を含むのに対し、他方のカテゴリはレプリカノイズ信号の発生を含み、これらのレプリカノイズ信号は反転されて入力アナログ信号中に混合される。後者の方法は、入力アナログ信号がアナログ信号処理回路4に到達する前に入力アナログ信号中のノイズ信号を「相殺する」効果を有する。
本図には2つの別個の副構成要素34、36を示しているが、それらの機能は単一の構成要素内に含めることができ−即ち、機能BとCは、そのように設計されていれば、組み合わせて単一の機能ブロックにすることができることは明らかである。
なお、図3では、第1構成要素22は第2構成要素24を制御するように構成されているように示し−図面中には機能Aと機能B及びCとの接続を示している。しかし、前述したように、これらの接続はシステム20が機能するために必ずしも整っている必要はない。主たる制御実体がベースバンド・プロセッサ6または他の処理構成要素である代案の実施形態が考えられる。
最後に、ノイズリダクションシステム20の第3の性能評価構成要素26(図面中では新たな監視装置(A)としてラベル付けしている)は、修正アナログ信号がアナログ信号処理回路に入る前に、但し第2構成要素24の後に(即ち、適切な対策処理を入力アナログ信号に適用した後に)、修正アナログ信号を受信するように構成されている。従って、第3構成要素26は、ノイズリダクションシステムの性能を直接評価して、適用した種々の対策処理の成功についてのフィードバックを提供することができる。
第3構成要素26は、第1構成要素22との類似性により、第1構成要素22の従属者とすることができ、及び/または第1構成要素22によって直接制御することができる。その代わりに、第3構成要素26は既存の携帯電話システム・アーキテクチャに内蔵することができ、第3構成要素の機能はベースバンド・プロセッサ6が代わりに実行することができることは明らかである。
上記3つの構成要素のより詳細な説明を、以下に図4〜6を参照しながら提供する。
図4に第1構成要素22の概略図を示し、第1構成要素22は、入力アナログ信号を評価してノイズの発生源を識別し(従って、本明細書中では互換的に「信号評価構成要素」と称する)、この概略図より、アナログ信号処理回路の前処理及びアナログ−デジタル変換(ADC)機能が第1構成要素内に効果的に複製されていることがわかる。
具体的には、第1構成要素22は、入力アナログ信号をアンテナ2から受信するための入力端子38;並びに一組の前処理装置−即ち、バンドパスフィルタ8、増幅器12(例えば、LNA(Low Noise Amplifier)または低雑音増幅器)及びミキサ10の直列配置を具えて−既存のアナログ信号処理回路4を再現する。第1構成要素22内に設けられた前処理装置は任意とすることができることは明らかである、というのは、所望信号を含む特定(所望)の周波数帯域を選択する代わりに、第1構成要素22が、受信したアナログ信号全体に対して動作して、アナログ信号全体を第2構成要素24に転送することができるからである。第1構成要素22は、既存のアナログ信号処理回路4内に設けられたものと同様の、デジタル信号を発生するためのADC(アナログ−デジタル変換器)機能14を具えることもできる。従って、第1構成要素22は、単純なバンドパスフィルタ処理を実行して、既存の携帯電話のアナログ信号処理回路4内で生成されるものと同様の前処理されたアナログ信号を得ることができる。第1構成要素22は一対の出力端子40、42並びにプロセッサ44も具え、出力端子40、42は、ノイズリダクションシステム20内の他の構成要素24、26へデータ及び信号を供給し、プロセッサ44はノイズ特性化プロセスを制御して、ノイズリダクションシステム20内の他の構成要素24、26との相互作用を処理する。
第1構成要素22のプロセッサ44は、ADC14が発生したデジタル信号を評価してデジタル信号中に存在する妨害ノイズ信号を識別するための命令をプログラムされている。具体的には、プロセッサ44は、デジタル信号に対して高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)46を実行して、受信した信号内に存在する各個別の成分(即ち、所望信号並びに種々の妨害ノイズ信号の両方)を識別するように構成されている。デジタル・マトリクス48がFFT46の結果として第1出力端子40を通して出力され、デジタル・マトリクス48は、各個別の妨害ノイズ信号毎に、所望信号に対する当該妨害ノイズ信号の中心周波数及び振幅を含む(但し、他の信号特性を含むこともできる)。所望信号の特性(例えば、中心周波数)は既知であるので、所望信号成分はFFTの結果内で識別してデジタル・マトリクスから除外することができる。FFTの結果に基づいて、プロセッサ44は、そうすることが適切であるものと考えられる場合に、識別したノイズ信号32のうちの1つ以上を、前処理したアナログ信号から(ADCによるデジタル化の前に)抽出するようにも構成され;この信号抽出は、ソフトウェア制御のスイッチ50及び1つ以上のプログラム可能なバンドパスフィルタ(図示せず)の使用により実現される。次に、生成したデジタル・マトリクス48及び抽出したノイズ信号32(後者は必要な場合)を、第1構成要素22から第2出力端子42を通して第2構成要素24に対して出力して、種々の対策処理を入力信号に適用することを可能にする。
高速フーリエ変換を用いて入力信号中のノイズを特性化することの利点は、FFT46を計算するために用いるプロセスが少数の命令サイクルしか要さず、携帯電話ハンドセットの一般的なベースバンド・プロセッサ6、あるいは専用のプロセッサまたはASIC(Application-Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)において利用可能な現在のハードウェアを用いてリアルタイムで実行することができることにある。しかし、同様の結果を同程度の期間で実現する他の数学的変換もここで用いることができることは明らかである。例えば、種々の周知のスペクトル推定技術、あるいは電力/周波数分布を推定する方法を、FFTの代わりに、あるいはFFTに加えて利用することができる。
また、ノイズ信号の抽出は、(a)1つ以上のプログラマブル(プログラム可能)なバンドパスフィルタを用いて上記アナログ信号から各ノイズ信号を「通過させる」か抽出すること;または(b)(プログラマブルなノッチフィルタを用いて)上記アナログ信号から「所望信号」を除去して、アナログ信号の残り部分をその後に出力すること、のいずれかによって実行することができる。第1構成要素22は入力信号中のノイズの初期の特性化を実行しているので、従って、この構成要素22は、他の2つの構成要素24、26によってその後に実行されるノイズ除去及び性能評価プロセスを制御する立場に置かれていることも明らかである、というのは、第1構成要素22は、最適なノイズリダクションを保証するためにとるべき行動を認識しているからである。しかし、ノイズリダクションシステム20内の他の構成要素の制御は、その代わりに、例えば別個のプロセッサ6によって代わりの方法で実行することができ、プロセッサ6は既存の携帯電話アーキテクチャの一部とすることができる。
ここで、信号からノイズを除去するための1つ以上の対策処理を適用するための、ノイズリダクションシステム20の第2構成要素24に目を向ければ、広範囲の特性を有して識別される妨害ノイズ信号を生じさせる多数の異なるノイズの発生源が存在し;従って、特定の特性を有するノイズ信号を低減または除外するに当たり、特定の対策処理が特に有効であることは明らかである。種々の対策処理を実行するために第2構成要素24内に内蔵させることができる種々の機能ブロックまたはサブ(副)ユニットの例を、図5及び6を参照しながら以下に説明する。
図5に、「対策処理適用」構成要素24の第1副構成要素34(図3では機能Bとしてラベル付けした)の内部構成及び電子回路を示し、構成要素24は、比較的単純なノイズ信号を除去するために必要な機能を提供するように構成され、これらのノイズ信号は反転させて入力アナログ信号中に混合(して、アナログ信号処理回路4に渡される修正アナログ信号を形成)することに適している。
図中に示すように、第1副構成要素34は2つの入力端子52、54を具え、各々が別個の信号処理及び発生経路に対応し;第1副構成要素34は第3の「制御」入力端子56も具え、この入力端子により、「信号評価」構成要素22からの制御信号を受信し、この制御信号を用いて第1副構成要素34内の信号処理装置を制御する。第1入力端子52は、信号のデジタル・マトリクス48を第1構成要素22から受信するように構成され、対応する経路に沿って設けられた信号処理装置及び電子回路はDAC(Digital-to-Analogue Converter:デジタル−アナログ変換器)58及びVCO(Voltage-Controlled Oscillator:電圧制御発振器)60を具えている。この第1信号処理経路は、受信したデジタル・マトリクス48を用いて、DAC58を用いることによって1つ以上のノイズ信号のレプリカを発生して、VCO60を制御するための電圧を生成することを含み、VCO60は要求された周波数の信号(即ち、対象の妨害ノイズ信号の周波数に相当する周波数を中心とする信号)を生成する。次に、この信号を、フィルタ、適応LMS(Least Mean Square:最小二乗平均)回路、及びLNA RF増幅器(集合的に62としてラベル付けする)のような種々の電子回路要素を用いて整形及び位相調整して、ほぼ等価に調整された妨害信号のレプリカを生成する。この技術によって有用に複製することができる信号は、比較的単純な信号であり−例えば単純なノイズスパイク、並びに単純な信号トーンまたは音が支配的な妨害信号である。
第2入力端子54及び信号処理経路は、第1構成要素22によって入力アナログ信号から抽出されたノイズ信号32を低減して伝送するように構成されている。この第2信号処理経路は、より複雑なプロファイルを有し、従って前述した第1信号処理経路を用いて複製することがより困難であるノイズ信号用に一般に利用され、例えば、信号中の全般的な背景ノイズレベルが、第2信号処理経路によって提供される対策処理の利用を必要とし得る。元の入力アナログ信号中に存在するノイズのレベル、並びに存在するノイズの種類に応じて、この第2経路を必ずしも利用する必要はないことは明らかである。例えば、単純で容易に複製可能な信号のみが入力アナログ信号中に存在する場合、この第2経路を必要としない。この第2経路が任意であるという性質は、図中にスイッチ64によって表され、スイッチ64を第1構成要素22によって制御して、適切であれば、例えば入力信号中のノイズの背景または全体的レベルがまだ十分に低いレベルであるものと判定された場合に、第2経路を「開」状態にすることができる。
第1副構成要素34は、第1信号処理経路に沿って発生したレプリカノイズ信号を、第1構成要素22から受信したアナログ信号と組み合わせて単一の信号にするミキサ66も具え、上記アナログ信号は第2処理経路に沿って伝送される。その後に、結果的な組合せのレプリカ信号に、種々のインバータ(反転器)及び位相調整装置62よる作用を施し、これらのインバータ及び位相調整装置は、組合せのレプリカ信号を「整形して」調整したレプリカ信号にし、調整したレプリカ信号は、元の入力アナログ信号中に存在するものと判定されたノイズ信号を相殺するために用いることができる形式を有する。本実施形態では、この信号処理装置は第1構成要素22によって第3の「制御」入力端子56を通して制御することもできる。
次に、調整したレプリカノイズ信号を第2副構成要素36に対して出力し、第2副構成要素36では(必要であれば)追加的な調整を適用して、調整したレプリカノイズ信号を入力妨害ノイズにできる限り近く一致させる。具体的には、図6からわかるように、「対策処理適用」構成要素の「(図3中に機能Cのラベルを付けた)第2副構成要素36は、位相微調整装置70並びにマルチタップ(多端子)遅延線72a、bを含む、電子回路の種々の要素を具えている。位相微調整回路70は、狭帯域のノイズ信号(例えば、比較的狭幅のノイズスパイク)の位相を調整するために用いられる、というのは、これらの信号の位相は信号の周波数スパン(範囲)全体にわたって変化しないからである。遅延線72bは、信号の周波数スパン全体にわたって信号の位相が変化するので単純な位相シフトによって遅延を生成することができない広帯域のノイズ信号に適切な遅延を適用するために用いられる。第2副構成要素36は1つ以上の増幅器(例えばLNA)74も具え、増幅器74は、調整したレプリカ信号の振幅を入力妨害ノイズ信号の振幅に一致するように調整するために用いられる。第1副構成要素34と同様に、第2副構成要素36内の信号処理装置も、第1構成要素22によって、またはその代わりにベースバンド・プロセッサのような他の別個の構成要素によって制御することができる。スイッチ76並びにミキサ78も設けて、調整したレプリカノイズ信号の入力アナログ信号への加算を制御して、アナログ信号処理回路4に渡される修正アナログ信号23を形成する(なお、図6のミキサ78は図2のミキサ25と同じ機能を実行する)。
第2副構成要素36は、1つ以上の設定可能な信号フィルタ処理電子回路構成要素をさらに具え、この信号フィルタ処理電子回路構成要素は、具体的に識別されたノイズ信号を入力アナログ信号から除去または除外するように構成されている。具体的には、第2副構成要素は1つ以上のプログラマブルな狭帯域ノッチフィルタ80を具え、ノッチフィルタ80は、第1構成要素22が発生したノイズ信号のデジタル・マトリクス48を用いるように構成されている。これらの狭帯域ノッチフィルタ80は、除外されるべき識別された各ノイズ信号の中心周波数と一致する中心周波数を有するように規定され、通常は、妨害信号を反転して入力アナログ信号に加算することに適さないものと考えられる状況において使用される。こうした狭帯域ノッチフィルタ80は、既存の広帯域フィルタよりもずっと尖鋭な性能を狭い周波数帯域の全体にわたって有し、これにより、所望の広帯域信号の形状または特性に過度に悪影響を与えることなしに妨害の除去を可能にする。
第2副構成要素36はマルチタップ遅延線72bも具え、マルチタップ遅延線72bでは、第1副構成要素34が発生した信号中へのミキサ78を用いた混合の前に位相整合が必要な場合に、入力アナログ信号に遅延が適用される。
妨害信号の性質は、フィルタ80のリアルタイムでの持続的な調整を必要とするような性質、例えばノイズの発生源及び/またはレベルが時間と共に急速に変化する場合であり得ることは明らかである。しかし、(修正アナログ信号を監視することによって)ノイズリダクションシステム20の性能を評価する第3構成要素26を用いることによって、そして他の構成要素22、24のうちの1つ以上へフィードバックを提供することによって、ノッチフィルタ80によって実行されるフィルタ処理プロセスが動的かつ適応型になり、システム20がノイズに対して能動的に反応してノイズの変動を保証することを可能にする。それに加えて、フィルタ処理及び信号除去の結果が第3構成要素26によって監視されるので、一旦、残留ノイズが、デジタル化された信号が完全にエラーなしに復号化されることを可能にするのに適したレベルであるものと判定されると、(その信号または信号の集合用の)ノイズリダクションプロセスが完了し、入力される妨害が変化するまではさらなる変化が行われないものと考えることができる。
本発明は、狭帯域フィルタ80が、現在の携帯電話のデジタル受信機内に見出される既存のバンド(帯域)フィルタよりもずっと制御された周波数範囲及び帯域幅を対象ノイズの除去用に提供する能力を用いる。このことは、既存のバンドフィルタは、広帯域幅信号用に必要な広い通過帯域(パスバンド)を有して、帯域付近または帯域内の妨害ノイズ信号を除去する能力の意味でずっと低下した性能を生じさせるからである。
本発明の一実施形態によるノイズリダクションシステム20が用いる方法100の例を、以下に図7を参照しながら説明し、こうした方法の効果を図8に示す。
方法100はステップ105で開始され、ステップ105では、ノイズリダクションシステム20内の第1(「信号評価」)構成要素22が入力アナログ信号をアンテナ2から受信する。第1構成要素22は、既存のアナログ信号処理回路4内に存在するバンドフィルタ及び他の前処理装置8、10を再現した集合を具え、所望信号に関するデータをプログラムされ−例えば、所望信号のチャネル(周波数)はベースバンド・プロセッサより既知である。従って、第1構成要素22は、ステップ110で、アナログ信号の前処理及びデジタル化を実行して、携帯電話のアナログ信号処理回路4が生成するものと等価なデジタル信号を発生することができる。
従って、第1構成要素22は、ステップ115で、所望信号に対するFFT(2、3クロックサイクルの時間または命令サイクル−例えば、最小で2、3ピコ秒までしか必要としない)を実行して、信号中に含まれる個別の成分のすべてを識別し−これらの成分は、所望信号、並びにフィルタの通過帯域内にも存在する他のすべての妨害ノイズ信号を共に含む。こうした妨害ノイズ信号は、所望信号にとって関心事の帯域外に中心周波数を有し得るが、信号スペクトルはそれでも所望信号の通過帯域上に入り込み得る。この場合、FFTは、関心事の周波数帯域上に入り込むノイズの(サイドローブ)周波数をフラグで示すに過ぎない。識別した妨害ノイズ信号の全部のデジタル・マトリクス48は第1構成要素22によって作成され、各信号は当該信号に関連する周波数及びサイズ(即ち振幅)によって特性化され;任意で、信号の幅(即ちスペクトル拡散)及び変調のような信号の他の特性も、生成されるマトリクス内に含めることができる。こうした妨害ノイズ信号の全部の識別に基づいて、第1構成要素22は、ステップ120で、適切な幅及び周波数の通過帯域フィルタの集合を構成して、妨害ノイズ信号の各々を受信したアナログ信号から抽出する。
次に、ステップ125では、これらの信号の各々を特性化するデジタル・マトリクス48を、適切であれば抽出したノイズと共に第2(「対策処理適用」)構成要素24へ送信し、第2構成要素24では、最も適切なノイズ除去技術を、識別されたノイズ信号毎に適用する。一部の例では、第1構成要素22が、採用するべき最も適切なノイズ除去技術を決定する、というのは、FFT46の期間中に第1構成要素22が生成したデジタル・マトリクス48内に必要な情報が含まれるからである;しかし、一部の例では、第2構成要素24が、第1構成要素22から受信したデジタル・マトリクスに基づいてこの決定を実行することができる。利用される正確な実現方法は、ノイズリダクションシステム20を使用する装置及びシステムに依存する(そして、例えば処理能力の余裕に依存し得る)。その代わりに、ノイズリダクションシステム20の全体または一部をベースバンド・プロセッサ6によって制御することができる。
単一の狭帯域の周波数を有する信号については、第2(「対策処理適用」)構成要素24が、ステップ130で、まず、(当該第2構成要素の)第1副構成要素34(図中では機能Bに相当する)がその内部電子回路を用いてレプリカ信号を発生することによって、信号を除去することを試みる。このことは図5を参照して前述した第1信号処理経路により実行される。具体的には、「対策処理適用」構成要素の第1副構成要素34が、対象のノイズ信号と同じ周波数の正弦波型の信号(時としてトーン信号とも称される)を発生することができる。前述したように、副構成要素34内のDAC58とVCO60との組合せが、デジタル・マトリクス48から取得した情報に基づいて、任意で、第1構成要素22の制御下でこの機能を実行する。それに加えて、あるいはその代わりに、より複雑な信号については、第1副構成要素34が、ステップ135で、第2信号処理経路を利用して、第1構成要素22から受信したアナログノイズ信号32に基づいてレプリカ信号を生成することができる。前に説明したように、上記2つの信号処理経路が生成する信号を混合して組合せのレプリカ信号を生成することができる。次に、結果的に得られたレプリカ信号を適応型LMSフィルタ及び位相微調整装置62に通して、調整されたレプリカ信号を生成し、調整されたレプリカ信号は元々識別された妨害信号とほぼ逆相である。次に、ステップ140では、調整されたレプリカ信号を、既存のアナログ信号処理回路4に入る前に、第2副構成要素36によって「生のスペクトル」−即ち入力アナログ信号と混合して、修正アナログ信号23を形成する。前に注記したように、第2副構成要素36は、調整したレプリカ信号に必要に応じて追加的な調整を適用して、この信号を入力信号との逆相により近づける。
第3構成要素26は、第1構成要素22とほぼ同一の回路を具えて、第2構成要素から出力された直後の修正アナログ信号23を絶えず監視し、ステップ145で、適用した技術が妨害信号を良好に相殺したか否か、あるいは適切なレベルまで低減させたか否かをリアルタイムで確証することができる。具体的には、第3構成要素26は事実上第1構成要素22の複製であり、第1構成要素22の制御下でも機能し;従って、第3構成要素26も(元の信号と発生して調整したレプリカ信号との混合を含む)入力信号をデジタル化し、デジタル化した信号のFFT46を実行して、修正アナログ信号23中に存在するノイズのデジタル・マトリクス48を生成する。次に、第1構成要素22からのFFTと第3構成要素26からのFFTとを比較して、対象の信号が適切に除去されたか否かを判定することができる。その代わりに、第3構成要素26からのFFTの分析を第3構成要素26自体で実行して、残留ノイズ信号の存在を識別することができる。
これらの信号からの何らかの残留妨害が修正アナログ信号23中にまだ存在するものと判定された場合、ステップ150で次の技術を適用し、即ち、非常に狭帯域のノッチフィルタ80を、除去するべき各妨害信号の中心周波数において動的に構成して適用する。この技術は第2副構成要素36によって実行する。ノッチフィルタ80の中心周波数は、所望信号のあらゆる偶発的な歪みを回避するように移動させることができ、従って、除去するべき妨害信号の中心周波数と必ずしも正確に一致しなくてもよい。しかし、こうしたオフセットはノイズ除去の効率に悪影響を生じさせるべきでない。
複雑に変調された広帯域の信号については、単一のトーン信号に基づいてレプリカ信号を発生するプロセスは適切でないことがある。こうした場合には、第1構成要素22が生成したデジタル・マトリクス48内に含まれる信号特性を第2構成要素24が用いて、妨害信号の除去を実行するために用いる1つ以上の構成可能なノッチフィルタ80のフィルタ特性を規定する。以上に説明したように、ノッチフィルタの中心周波数を、妨害信号の中心周波数から心もちわずかにオフセットさせて、妨害信号の除去中に所望信号の偶発的な歪みを回避することができる。
狭帯域信号について前述した技術と同様に、第3構成要素26は、ステップ135で、修正した入力アナログ信号23を監視して、ノイズ除去技術が正しく適用されたか否か、及びその成功の度合いを確認する。このフィードバック及び監視プロセスは、ノイズ除去技術をリアルタイムで変更して、最適かつ目標通りのノイズリダクションを提供することを可能にする。
一般的な帯域内ノイズについては、概ねは上記技術の両方の組合せを利用するが、本明細書中に説明するノイズ除去技術は、異なる順序で、さらには同時に適用することができることは明らかである。例えば、一部の場合には、ノッチフィルタによる信号除去技術をまず適用し、これに続いて信号複製による除去技術を適用して、あらゆる残量ノイズ信号を除去することが好ましくあり得る。
一実施形態では、ノッチフィルタ80をまず、所望信号のスペクトルを除いたすべてのノイズ信号を除去するように調整することが考えられ(例えば、一部の場合には、このことは妨害信号の90%までを除去することができる);残りのノイズは、(第2構成要素24内の信号処理経路の一方または両方を用いて発生した)遅延した入力アナログ信号を逆相に調整したレプリカ/コピーを混合することによってその後に除去する。こうした技術の組合せは、ノイズの全部ではなくても大きな割合を相殺して、妨害をずっと低い(許容可能な)レベルまで低減する。それに加えて、一実施形態では、信号複製技術の実現が、まず、第2信号処理経路を用いて発生した、反転して調整したレプリカのアナログノイズ信号を混合し、これに続いて、第1信号処理経路を用いて発生した反転トーン信号を混合することを含むことも考えられる。ノイズ除去の対策処理技術を適用する順序は一組の論理ルールによって支配することができることは明らかであり、これらの論理ルールはノイズリダクションシステム20内の第1構成要素22及び/または第2構成要素24によって記憶される。
既存の回路内に現在存在する周囲信号及び背景ノイズを除外することによって、携帯電話の既存のアナログ信号処理回路4は、所望信号を十分に増幅して、エラーなしの復調が発生することを可能にすることができる。エラーの除去は、システム帯域幅の全体をデータの転送用に利用することを可能にし、エラーを伴って復号化されたデータを再送または訂正することに帯域幅を全く浪費しない。
図8A〜8Cは、本明細書中に説明するノイズリダクションシステムが既存の信号に対してもたらす有益な効果を強調する。
図8Aに、隣接する妨害信号205も選択した通過内域内に存在するシナリオにおける所望信号の例の周波数スペクトル200を示す。前述したように、復号化されるデジタル信号のSNRを増加させて、このSNRが、信号内に含まれるデジタル情報の復号化を可能にするほど十分に高いことを保証する必要性が存在する。しかし、不所望な(妨害)ノイズ信号205の存在は、所望信号200の増幅の低下を生じさせ、このため、増幅された不所望な信号がシステムの能力を超えることを防止する。従って、所望信号200には、隣接するノイズ信号205の存在による大幅な劣化の問題があり、従って、結果的な復号化(ビットレート)エラーはずっと大きくなる。このことは図8Bのコンステレーション(星座)図中に可視化することができ、この図では、図中のポイント210の4つのグループの各グループ内に大きな散乱が見られ、この散乱は高いビットレートエラーに相当する。
これとは対照的に、図8Cは、図8A中に示したのと同じ信号を、本明細書中に説明するノイズリダクションシステム20を作用させた後に復号化した際の、ビットレートエラーのコンステレーション図を示す。明らかにわかるように、散乱の度合いは大幅に減少し、4つのグループ215の各グループ内の点はずっと密に集中し−従って、ビットレートエラーが大幅に低減されたことを(例えば測定により)確認することができる。
具体的には、図8Cに示すビットレートエラーの減少は、出願人によって、本明細書中に説明するノイズリダクションシステム20を用いた現実世界の試験中に実現され、復元された信号強度を54dBmだけ向上させた。現実のモバイル4G LTE信号に対して実行した他の試験は、受信信号における63dBmの改善を生み出した。従って、受信信号が増加することに比例してビットレートエラーが低下するので、向上した信号強度が携帯電話受信機によって知覚され、モバイル・ネットワークはより高いデータレートの転送を提供することができる、というのは、エラーを伴って復号化されたデータを再送または訂正して帯域幅を使用し尽くさないからである。
本発明のノイズリダクションシステム20の使用により、他の多数の利点も実現される。例えば、受信信号強度が十分であるので、携帯電話のRF部への電力を低減し、これにより携帯電話の全体的なバッテリ寿命を延長することができる。さらに、所定領域をカバーするために必要なセルタワーがより少数になる。
添付する特許請求の範囲に規定する本発明の範囲から逸脱することなしに、多数の変更を上記の例に加えることができる。特に、本明細書中に説明した技術は、既存のモバイル・ネットワーク規格のすべてに適用することができる。例えば、モバイル・ネットワークでは、こうした技術は現在の3G(3rd generation:第3世代)及び4G規格、並びに提案されている5G(5th generation:第5世代)規格に準拠する。
さらに、前に説明したように、本発明のノイズリダクションシステム20の用途は多様であり、携帯電話または他の同様の装置に限定されない。例えば、本発明のノイズリダクションシステム20の使用は、ブロードバンド・ケーブル接続用の所定のケーブルまたはファイバの下流の信号損失を回復し、これによりブロードバンド信号の延長を生じさせることができる。同様にWi−Fi(登録商標)信号のカバー範囲を、このノイズリダクションシステムの使用により大幅に拡張することもできる。宇宙(衛星系の)通信を、より長距離にわたって、あるいは電力を低減して実現することもできる。

Claims (25)

  1. デジタル受信機で受信した信号中のノイズを低減するための、該デジタル受信機用のノイズリダクションシステムであって、該デジタル受信機は、アナログ信号を受信するための入力端子と、該アナログ信号を処理するためのアナログ信号処理回路と、前記処理した信号をデジタル信号プロセッサに供給するための出力端子とを具えているノイズリダクションシステムにおいて、
    前記ノイズリダクションシステムは、前記入力端子と前記アナログ信号処理回路との間に配置され、
    第1構成要素と、
    第2構成要素とを具え、
    前記第1構成要素は、
    前記アナログ信号を受信するための入力端子と、
    前記受信したアナログ信号を評価して、前記受信したアナログ信内の1つ以上のノイズ信号を識別するように構成されたプロセッサと、
    前記ノイズ信号の識別の結果を出力するように構成された出力端子とを具え、
    前記第2構成要素は、
    前記ノイズ信号の識別の結果を前記第1構成要素から入力するように構成された入力端子と、
    前記ノイズ信号の識別の結果に応じた1つ以上の対策処理を、前記受信したアナログ信号に適用して、修正アナログ信号を生成するように構成された電子回路とを具え、該修正アナログ信号は、前記受信したアナログ信号に比べて低下したレベルのノイズを有し、
    前記ノイズリダクションシステムは、前記第2構成要素が適用した前記1つ以上の対策処理の有効性を評価して、追加的な対策処理が必要であるか否かを判定するように構成されているノイズリダクションシステム。
  2. 前記第1構成要素の前記プロセッサが、前記受信したアナログ信号をデジタル信号に変換して、該変換により得られたデジタル信号に対する数学的変換を実行するように構成され、該数学的変換は、前記1つ以上のノイズ信号、及び前記識別したノイズ信号の各々に関連する少なくとも1つの特性を識別する、請求項1に記載のノイズリダクションシステム。
  3. 前記第1構成要素の前記出力端子が、前記数学的変換の結果を前記第2構成要素に対して出力するように構成されている、請求項2に記載のノイズリダクションシステム。
  4. 前記第1構成要素の前記プロセッサが、前記数学的変換の結果に基づいてデジタル・マトリクスを生成するように構成されている、請求項2または3に記載のノイズリダクションシステム。
  5. 前記数学的変換が高速フーリエ変換を含む、請求項2〜4のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  6. 前記識別したノイズ信号の各々に関連する前記少なくとも1つの特性が、当該ノイズ信号の中心周波数、信号振幅、信号帯域幅、及び信号変調から成るグループから選択される、請求項2〜5のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  7. 前記第1構成要素の前記プロセッサが、前記識別したノイズ信号の各々を、前記入力アナログ信号から抽出するように構成され、前記第1構成要素の前記出力端子が、前記抽出したアナログノイズ信号を前記第2構成要素に対して出力するように構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  8. 前記第2構成要素の前記電子回路が適用する前記対策処理のうちの1つが、フィルタを構成して前記入力アナログ信号に適用して、前記識別したノイズ信号のうちの1つを除去することを含む、請求項1〜7のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  9. 前記フィルタが、前記識別したノイズ信号に関連する前記少なくとも1つの特性を用いて構成される、請求項2に従属する請求項8に記載のノイズリダクションシステム。
  10. 前記第2構成要素の前記電子回路が、前記識別したノイズ信号のうちの1つに対応するレプリカノイズ信号を発生し、該レプリカノイズ信号を前記識別したノイズ信号とほぼ逆相になるように調整して、該調整したレプリカノイズ信号を前記入力アナログ信号と混合して前記修正アナログ信号を生成するように構成されている、請求項1〜9のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  11. 前記レプリカノイズ信号を、トーン信号の発生に基づいて発生する、請求項10に記載のノイズリダクションシステム。
  12. 前記レプリカノイズ信号を、前記第1構成要素の前記出力端子から受信した、前記抽出したノイズ信号に基づいて発生する、請求項7に従属する請求項10に記載のノイズリダクションシステム。
  13. 前記第1構成要素の前記プロセッサが、制御信号を前記第2構成要素に対して出力して、前記第2構成要素の前記電子回路が適用する前記対策処理を制御するように構成されている、請求項1〜12のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  14. 前記第1構成要素の前記プロセッサが、前記第2構成要素が適用した前記1つ以上の対策処理の有効性を評価するように構成されている、請求項1〜13のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  15. 前記第1構成要素の前記出力端子が、制御信号を第3構成要素に対して出力して、当該第3構成要素が実行する評価の有効性を制御するように構成されている、請求項1〜13のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  16. 前記第1構成要素及び前記第2構成要素の少なくとも一方が、前記デジタル信号プロセッサからそれぞれの前記構成要素への制御信号の出力により制御されるように構成されている、請求項1〜15のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  17. 前記第3構成要素が、前記デジタル信号プロセッサからそれぞれの前記構成要素への制御信号の出力により制御されるように構成されている、請求項15または16に記載のノイズリダクションシステム。
  18. 前記第3構成要素が、一旦、前記第2構成要素の前記電子回路が前記1つ以上の対策処理を前記入力アナログ信号に適用して前記修正アナログ信号を形成すると、前記修正アナログ信号を評価して、前記修正アナログ信号中の1つ以上の残留ノイズ信号を識別するように構成されている、請求項1〜17のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  19. 前記デジタル受信機がモバイル機器内のデジタル受信機を含み、前記入力端子がモバイル機器のアンテナを含み、前記デジタル信号プロセッサが前記モバイル機器のベースバンド・プロセッサを含む、請求項1〜18のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  20. 前記入力アナログ信号が、モバイル・ネットワーク信号、無線信号、Wi−Fi(登録商標)信号、衛星通信信号、ブロードバンド接続信号、のうちのいずれかを含む、請求項1〜19のいずれかに記載のノイズリダクションシステム。
  21. デジタル受信機で受信した信号中のノイズを低減するためのノイズリダクション方法であって、該デジタル受信機が、アナログ信号を受信するための入力端子と、アナログ信号を処理するためのアナログ信号処理回路と、該処理した信号をデジタル信号プロセッサに供給するための出力端子とを具えている方法において、
    前記入力端子と前記アナログ信号処理回路との間に配置された第1構成要素のプロセッサによって、前記受信したアナログ信号を評価して、前記アナログ信号中の1つ以上のノイズ信号を識別するステップと、
    前記入力端子と前記アナログ信号処理回路との間に配置された第2構成要素の電子回路によって、前記識別したノイズ信号に応じた1つ以上の対策処理を、前記受信したアナログ信号に適用して、修正アナログ信号を生成するステップであって、前記修正アナログ信号は、前記受信したアナログ信号に比べて低下したレベルのノイズを有するステップと、
    前記適用した1つ以上の対策処理の有効性を評価して、追加的な対策処理が必要であるか否かを判定するステップと
    を含むノイズリダクション方法。
  22. 命令を含むコンピュータプログラム製品であって、該命令は、コンピュータによって実行されると、請求項21に記載の方法のステップを該コンピュータに実行させるコンピュータプログラム製品。
  23. 命令を含むコンピュータ可読媒体であって、該命令は、コンピュータによって実行されると、請求項21に記載の方法のステップを該コンピュータに実行させるコンピュータ可読媒体。
  24. 請求項1〜19のいずれかに記載のノイズリダクションシステムを具えたモバイル機器、または請求項21に記載の方法を実行するように構成されたモバイル機器。
  25. 請求項1〜19のいずれかに記載のノイズリダクションシステムを具えたWi−Fi(登録商標)ルーター、または請求項21に記載の方法を実行するように構成されたWi−Fi(登録商標)ルーター。
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