JP2020535139A - シポニモドの投与レジメン - Google Patents

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Abstract

本開示は、脳卒中、特に脳内出血(ICH)の処置におけるシポニモド又はその薬学的に許容される共結晶若しくは塩の投与のための新規な投与レジメンに関する。

Description

本開示は、シポニモド又はその薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくは混合物による脳卒中の処置の安全且つ有効な方法に関する。特に、本開示は、出血性脳卒中の処置方法及びより詳細には脳内出血(ICH)の処置に関する。
本開示は、脳卒中の処置、特にICHの処置におけるシポニモド又はその薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくは混合物の投与のための投与レジメンにさらに関する。
脳卒中は、依然として世界中の成人の死亡及び障害の主要な原因の1つである。脳卒中は、脳への不十分な血流が細胞死を生じる、すなわち脳への血液供給が中断又は減少する病状である。脳卒中には、主に、虚血性、例えば動脈閉塞により引き起こされる血流不足による急性虚血性脳卒中及び出血性、例えば出血による脳内出血(ICH)の2つのタイプが存在する。その結果、脳の一部が適切に機能しなくなる。
基本的に、脳自体の中で出血している(脳内の動脈が破裂し、周囲の組織に血液が溢れた場合)脳内出血(ICH))は、実質内出血(脳組織内の出血)又は脳室内出血(脳の脳室内における出血)のいずれかによる。
脳内出血(ICH)は、不健全な血管が破裂し、脳組織内に出血を引き起こすときに発生する。ICHに関連する最も一般的な危険因子は、高血圧、喫煙及び糖尿病である。ICHは、大脳基底核及び脳幹の高血圧性脳微小血管障害、高齢患者の皮質細動脈及び細静脈微小血管における脳アミロイド血管障害並びに経口抗凝血剤の使用と頻繁に関連付けられる。
脳内出血(ICH)は、虚血性脳卒中の次によく見られる脳卒中のサブタイプである。ICHは、全ての脳卒中の10〜15%を構成し、罹患率及び死亡率の一般的な原因となっている(Qureshi et al.2001)。ICHは、脳卒中の全症例の少数を占めるものであるが、脳卒中死の50%を生じ、脳卒中の罹患率及び死亡率に不釣合に寄与している(Qureshi et al.2001,Asuzu et al.2016)。病状の臨床転帰は、不良である。ICHの6ヶ月後に機能的自立を達成した患者は、わずか20%である(van Asch,C.J.et al.,2010)。生存した患者は、典型的には重度の神経障害を有する。
ICHは、出血の直接的器質的効果によって一次脳損傷を引き起こし、炎症過程及び浮腫形成を含む、影響を受けた組織におけるイベントの複合的カスケードのトリガーともなる(Urday et al.2015)。前記イベントは、数時間〜数日間にわたって発達し、ICH後の神経学的悪化に寄与する、二次脳損傷である血腫周囲浮腫(PHE)の形成に寄与する。
PHEの病態生理には、腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキンIL−1βを含む、サイトカインの分泌につながる常在性ミクログリアのトロンビン誘発性活性化が関与している。これらの炎症誘発性サイトカインは、血液脳関門の破壊を誘発し、その結果、末梢炎症細胞が血腫周囲領域に流入することにつながる。PHEの体積が増加するため、出血により引き起こされる初期損傷が増進する。したがって、PHEは、それ自体が出血の腫瘤効果を増大し得る。また、PHEは、他のタイプの二次脳損傷を引き起こすものと同じプロセスから生じると考えられており、PHEの体積は、サイトカイン、補体タンパク質及びマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を含む、これらのプロセスの根底にある病理学的メディエーターの活性を反映していると考えられている。この重複により、PHEは、ICH後の二次損傷を防ぐための新規治療薬の実験的及び臨床的研究に有用な代替エンドポイントを提供できる二次損傷の貴重なマーカーとなる。
ICH後の神経炎症には、常在性ミクログリアの早期活性化、二次脳損傷の病態生理に寄与する可能性のある炎症誘発性メディエーターの放出が関与している。リンパ球は、ICH後6時間でヒト脳脊髄液において早期に見出され、ICH患者の血腫周囲浮腫(PHE)でも検出された。CD4+T細胞は、1日目のマウスにおける優勢なリンパ球集団であることが見出された。他のT細胞集団と共に、炎症誘発性及び免疫抑制性の制御性T細胞が出血性脳に浸潤する(Mrasco and Veltkamp 2014)。実験的ICHにおけるリンパ球の浸潤パターンに関するこの情報にもかかわらず、これらの免疫細胞間の相互作用についてあまり知られていない。ICH後の二次脳損傷の遅延性のため、適応免疫細胞は、ICH後の亜急性期及び再生期で重要な役割を果たし得る。
ICH後の機能的帰結を改善する有意な有効性を実証した薬理学的介入は、存在せず、ICH患者の3分の1未満がICH後6か月までに機能的自立を達成する。そのため、ICHの処置の選択肢は、限られており、神経学的回復を改善し、脳卒中後の障害を軽減し得る薬剤に対する満たされていない膨大な医学的ニーズが存在する。
ごくわずかな臨床研究のみが、ICHの処置におけるシクロオキシゲナーゼ阻害剤(セレコキシブ)、スタチン(ロスバスタチン、シンバスタチン)、PPARガンマアゴニスト(ピオグリタゾン)及び鉄キレート剤(デフェロキサミン)などの薬剤の効果を調査した。これらの研究は、疾患の特異性に関する貴重な情報を提供するものの、ICHの効果的な薬物療法をもたらさなかった。したがって、ICHに対する薬物処置は、現在まで利用可能でない。
別のS1P受容体モジュレーターであるフィンゴリモド(Fu et al.JAMA Neurol.2014;Fu et al.PNAS 2014)を使用した最近の2つの非盲検試験では、浮腫形成への影響並びにICH及び虚血性脳卒中の神経学的帰結の改善が示唆されている。ICHに関するフィンゴリモドの研究(JAMA Neurol.2014;Fu et al.2014)では、患者は、標準管理又は標準管理に加えて0.5mgの用量のフィンゴリモドを経口的に1日1回、連続した3日間にわたって投与されるように割り当てられた。著者らは、フィンゴリモドを投与された患者と投与されなかった患者との間で血腫体積に差がない一方、絶対PHE体積(aPHE)がフィンゴリモド投与患者において7日目ではより低かったが、14日目ではそうでなかったこと、及び相対PHE(rPHE;aPHE/血腫体積)が、ICH後7日目及び14日目の両方において、フィンゴリモドで処置された患者で有意に低かったことを示した。しかしながら、Fu et al.の研究の限界には、無作為化の欠如、プラセボ対象の欠如及びサンプルサイズが小さいことが含まれる。さらに、フィンゴリモドは、5つの公知のS1P受容体のうちの4つ、すなわちS1P1、S1P3、S1P4及びS1P5と相互作用する。
現時点では、脳卒中に関与する炎症及び免疫メカニズムは、十分に理解されていない。さらに、比較的アクセスし難い脳微小環境で炎症中に発生する非常に動的なイベントを対象とすることは、困難であり、脳卒中における免疫系と脳との間の相互作用の不完全な理解により進展が制限される。
したがって、脳卒中、特にICHの処置のための薬剤であり、同時に最小限の副作用を有するか又は副作用を全く有せず、且つ優れた有効性を有する有効な薬剤に対する満たされていない高いニーズが存在する。
本開示は、脳卒中、特に出血性脳卒中、より特にICHの処置におけるシポニモド又はその薬学的に許容される共結晶、塩、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくは混合物の投与のための新規な投与レジメンを提供する。
驚くべきことに、脳卒中の処置のための本新規投与レジメンに従ってシポニモドを投与することにより、心拍数に影響を及ぼす負の変時性副作用など、シポニモドの投与に関連し得る副作用を軽減し、同時に即効性の抗炎症効果を生じて、脳卒中、特にICHに関連する炎症過程及び二次損傷を排除又は軽減することが可能であることが見出された。
特に、本開示は、シポニモド又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形体、共結晶及び/若しくは混合物による脳卒中、特に出血性脳卒中、さらに特に脳内出血(ICH)の処置方法を提供し、ここで、シポニモドは、(a)それを必要とするヒト対象に所定の期間にわたって複数の連続用量で静脈内投与され、ここで、
(i)第1の投与量は、0.25mg以上且つ1.25mg以下であり、
(ii)第1の用量後に投与される1つ以上の連続用量の各用量は、直前の投与量以上且つ直後の投与量以下であり、
(iii)連続した24時間の期間にわたって投与された連続用量の合計は、維持1日用量よりも少なく、及び、続いて、
(b)シポニモドの維持1日用量は、少なくとも2日間、例えば3日間の維持期間にわたって投与され、維持1日用量は、2mg以上且つ20mg以下のシポニモドである。
シポニモドの維持1日用量は、非経口的に、例えば静脈内(i.v.)投与を介して又は経口的に、例えば錠剤で投与され得る。
本開示は、シポニモド又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形体、共結晶及び/若しくは混合物並びに1つ以上の治療活性成分を含む組み合わせによる脳卒中、特に出血性脳卒中、さらに特にICHの処置方法をさらに提供する。
本開示は、液体であり、脳卒中、特に出血性脳卒中、さらに特に脳内出血(ICH)の処置において好ましくは静脈内投与(i.v.投与)される、シポニモドの新しい非経口製剤の使用をさらに提供する。
シポニモドが7日間のp.o.(経口)による漸増を伴って7日間i.v.投与され、維持1日用量が10mgのシポニモドである、投与レジメンスケジュールの例である。 12日間にわたる、シポニモドの10.0mgの1日固定用量に対する用量漸増試験(0.25mg〜10.0mg)の平均1日最小心拍数の概要である。 *1/*1対象においてシミュレートされたシポニモドの平均薬物動態(PK)プロファイルである。1.75mg及び0.25mgのシポニモドの経口固形薬に対するi.v.処置の初日(1.75mgの合計1日用量)。注入の最初の12時間におけるi.v.投与(2×0.25mg/6時間)について、0.25mg(経口用量漸増レジメンの開始用量)の経口用量のものと比較してより平坦な濃度−時間曲線勾配。注入の次の12時間におけるi.v.投与(0.5mg/6時間及び0.75mg/6時間)について、同様の濃度−時間勾配。脱感作がほぼ完了したため、初日後の濃度−時間曲線のより高い勾配が徐脈性不整脈をもたらすとは予想されない。 血腫周囲浮腫(PHE)の経時変化である。ICH後7〜11日目でプラトー(Staykov et al.Stroke 2011,42:2625−2629)。示される全ての時点で完全にフォローアップされている90人の患者のICH及び絶対PHE体積(A)並びに相対PHE(B)の経時変化。先の値と比較した絶対及び相対PHEの有意な増加にはアスタリスクが付されている。エラーバーは、標準誤差(SE)を表す。 図5:図5aは、1.75mg及び0.25mgのシポニモドを含有する経口薬剤に対する、i.v.処置の1日目に*1/*1対象においてシミュレートされたシポニモドの絶対リンパ球数(ALC)プロファイルである。1.75mgのシポニモドの1日目の用量に達する新しく提案されたフィボナッチi.v.漸増は、1日目において、1.75mgの経口用量と同様のALCの減少を達成する一方、本開示のステップ(a)の初期処置段階で徐脈性不整脈の影響を効率的に軽減する。体重が平均70.5kg、標準偏差が6で正規分布する1000人の患者の集団がシミュレートされる。このシミュレーションでは、バイオアベイラビリティは、0.84に等しいと見なされる。影付きの領域は、95%の予測区間を表し、太線(i.v.処置)、破線(0.25mgのシポニモド)及び点線(1.75mgのシポニモド)は、シミュレートされた集団の平均である。図5bは、1.75mg(1日目)、8.25mg(2日目)及び10mg(3日目)の経口投与に対する、10mg(72時間)のシポニモドの目標1日用量に達するまでのi.v.漸増の1〜3日目の、*1/*1対象においてシミュレートされたシポニモドの絶対リンパ球数(ALC)プロファイルである。体重が平均70.5kg、標準偏差が6で正規分布する1000人の患者の集団がシミュレートされる。このシミュレーションでは、バイオアベイラビリティは、0.84に等しいと見なされる。影付きの領域は、95%の予測区間を表し、太線(i.v.処置)及び破線(経口処置)は、シミュレートされた集団の平均である。 (上記のとおり。)
本開示の投与レジメンは、脳卒中イベント、特に出血性脳卒中イベント、より特にICHイベントなど、臨床的/医学的緊急事態の状況におけるシポニモド療法の開始のためのレジメンを含み、これは、最小限の陰性変時作用で、例えばシポニモド療法に関連する一過性の徐脈、洞停止(SP)及び/又はAVブロック(AVB)効果が最小限であるか又は全くなく、シポニモドの維持1日用量を迅速に達成できるという利点を有する。
さらに、驚くべきことに、本開示の新規な投与レジメンに従ってシポニモドを投与することにより、脳卒中、特に出血性脳卒中、さらに特にICHに罹患している患者が、シポニモドの使用に関連する望ましくない心臓への効果、例えば房室(AV)ブロック又は心臓の一時停止若しくは心拍数の急激な低下に(さらに)罹患し得るリスクを有意に減少させるか又は完全に排除し得、同時に二次損傷又は浮腫の有害な帰結、例えばPHE形成を防止又は最小化し、ICHに起因する、麻痺などの身体的、精神的障害又は運動の制御における問題、痛みを含む感覚障害、言語の使用若しくは理解における問題、思考及び記憶に伴う問題及び/又は情緒障害を予防又は軽減することが見出された。
驚くべきことに、本開示の新規な投与レジメンに従ってシポニモドを投与することにより、脳卒中に罹患している、特に出血性脳卒中に罹患している、より特にICHに罹患している患者の、ICHの90日後に修正ランキンスケール(mRS)で測定される全体機能の改善などの機能的帰結も改善されることが見出された。
本開示の新規な投与レジメンは、シポニモドの投与に関連し得る徐脈性不整脈(例えば、閾値下脱感作)を引き起こすことなく、早期の治療処置効果を提供する一方、S1P受容体の内在化によりシステムを適時に脱感作し、GIRKの活性化(すなわちGタンパク質共役型内向き整流性カリウムチャネルの活性化)を低減するという利点を有する。
さらに、本開示の新規な投与レジメンは、これがなければリスク/ベネフィット比がより好ましくないものであり得る患者のカテゴリーにシポニモドを投与することも可能にする。そのような患者には、例えば、CYP2C9*2*3及びCYP2C9*3*3低代謝群の患者が含まれ得る。
投与レジメン、投与経路及び処置期間の根拠
シポニモドの安全性プロファイルには、特定された以下のリスク:(i)徐脈性不整脈(初回投与の陰性変時作用及びAVブロックを含む)、(ii)トランスアミナーゼ上昇などの肝酵素上昇、及び(iii)リンパ球の再分布によるリンパ球減少(シポニモドの主な標的薬力学(PD)効果)が含まれる。ただし、(ii)肝トランスアミナーゼ上昇、及び(iii)リンパ球減少のリスクは、脳卒中に罹患している、特に出血性脳卒中に罹患している、より特にICHに罹患している患者の相対的短期処置について、より高い曝露レベル下でもモニタリング可能/管理可能と考えられる。したがって、(i)徐脈性不整脈は、脳卒中の処置中に制御下に維持すべき有害事象(AE)のうち、最も関連性が高いものとして残る。
シポニモドは、強力且つ選択的なS1P1/S1P5受容体モジュレーターであり、健康な対象及びMS患者の両方において、初期の一過性の陰性の変時及び変伝導(AV結節における伝導速度及びその後の心臓における電気的刺激の速度)作用を有する。これらの陰性の変時及び変伝導作用は、脳卒中患者にも影響すると予想される。顕著な徐脈は、徐脈性不整脈に関連し得る(例えば、AVブロック、AVB、洞停止、SP)。そのような徐脈及びその潜在的な関連副作用は、健康な患者にとって大きい問題ではないことがあり得るが、特に脆弱で生命を脅かされている患者集団である、脳卒中に罹患している対象にとって重大なものであり得る。したがって、脳卒中に罹患している患者においてシポニモドを安全に使用する方法について徹底的な評価が必要である。同時に、脳卒中の効果的な処置、すなわち脳卒中イベントに関連する免疫及び炎症成分の効果的な予防及び/又は管理は、シポニモドが早く作用し、迅速な処置効果を提供することが要求される。したがって、有効性及び安全性の両方のバランスをとる投与レジメンが開発されるべきである。
したがって、脳卒中におけるシポニモドの新規な投与レジメンの根底にある根拠は、神経学的、臨床的有効性及び安全性の考慮事項のバランスに基づいており、これらを以下に要約する。
健康なボランティアにおけるシポニモド単回投与試験(SAD試験)の結果に基づいて、健康な対象における単回最大耐量(単回MTD)は、25mgであると決定された。25mgの単回投与は、良好な安全性及び忍容性プロファイルを示した。
健康な対象における別の研究では、シポニモドを複数用量、すなわち0.3、1、2.5、10及び20mgで28日間にわたって投与した(複数漸増投与研究、MAD研究)。調査された最大の複数用量である20mgのシポニモドは、唯一の関連する有害事象として症候性徐脈と関連していると判断された。
上記のように、S1P受容体モジュレーターは、薬物摂取の2〜3時間以内に心拍数の用量依存的な一過性の減少を引き起こすことが知られている(Legangneux et al.2012,Hoch et al.2014)。シポニモドの徐脈性不整脈のリスクを最も軽減する方法を評価するために、健康な対象における複数用量漸増臨床研究を実施した。
この研究の主要目的は、経口シポニモド10mg(固定用量、1日1回)及び12日間にわたるプラセボの1日の変時作用と比較した2つのシポニモド用量漸増レジメンの毎日の変時作用を測定することであった(0.25mg〜10mg、それぞれ用量漸増(DT)1#及び2#)。心拍数(HR)変化は、2つの異なる漸増スキームを伴って又は伴わず、1日1回(QD)10mgのシポニモドに曝露した対象間で比較されている。この研究の漸増スキームは、次のとおりである。
・DT1#:1日目:0.25mg;2日目:0.25mg;3日目:0.25mg;4日目:0.5mg;5日目:1.0mg;6日目:2.0mg;7日目:4.0mg;8日目:8.0mg及び9日目〜12日目:毎日10.0mg。
・DT2#:1日目:0.25mg;2日目:0.25mg;3日目:0.5mg;4日目:0.75mg;5日目:1.25mg;6日目:2.0mg;7日目:3.0mg;8日目:5.0mg;9日目〜12日目:毎日10.0mg。
DT1#もDT2#も、臨床的に有意な徐脈又はAV伝導作用をもたらさなかった。両方の漸増レジメンは、心拍数の効果について、1〜12日目のそれぞれにおいて、1日目の非漸増レジメンに対して好ましい処置差を示した。非漸増レジメンにおける心拍数は、研究全体を通してプラセボから相当な分離を示した(図2)。いずれの漸増レジメンにおいても、1日目に統計的に有意な心拍数の減少がなかった。DT1#及びDT2#の3〜7日目において、対象は、HRのわずかな減少を経験した。9日目までに、両方の漸増レジメンにおける心拍数は、プラセボと同等であった。この効果は、12日目の処置終了まで維持された。試験した2つのDTレジメンの0.25mgの開始用量は、徐脈性不整脈と関連していなかった。その後、両方の漸増レジメンは、シポニモド10mgの毎日の固定用量での処置の1日目に観察された初期徐脈を効果的に減衰させたと結論付けられた。
再発寛解型多発性硬化症(CBAF312A2201)を有する患者におけるシポニモドの第II相用量設定研究において、磁気共鳴画像(MRI)脳病変パラメーターに対する安全性、忍容性及び有効性が評価された。プラセボと比較して1日1回経口投与されたシポニモドのMRIベースの有効性の用量反応曲線を決定した。
シポニモドの用量レベル10mgは、2mgと比較して追加の効果にほとんど寄与しないようであり、より悪い安全性プロファイルを有するようである。シポニモド1.25mg〜2mgの用量範囲は、良好な安全性プロファイルを有し、最大効果に近いようであった。有効性は、より少ない用量で低下するようであったため、主要エンドポイントで定義された用量反応曲線は、この範囲の上部、すなわちシポニモド2mgの範囲の用量に有利であった。シポニモドは、RRMS患者の処置に関する臨床試験で肯定的な結果を達成し(Selmaj et al.,Lancet Neurol,2013,12,756−767)、現在、SPMSを有する患者における進行中の第III相試験(EXPAND)で調査されている。2mgのシポニモドの用量は、このフォローアップ第III相研究で選択された用量であった。
シポニモドは、RRMS患者の処置に関する臨床試験で肯定的な結果を達成し(Selmaj et al.,Lancet Neurol,2013,12,756−767)、現在、SPMSを有する患者における進行中の第III相試験(EXPAND)で調査されている。2mgのシポニモドの用量は、このフォローアップ第III相研究で選択され、5日間の漸増が実施された。
慢性疾患であるMSと異なり、脳卒中は、脳卒中後の重篤な身体障害及び認知障害を引き起こし得る脳卒中後の炎症性/免疫学的カスケードを予防するか又は少なくとも最小限にするために即時の有効な治療的介入を要する、急性の生命を脅かす事象である。上記の臨床試験の漸増スキームは、安全であるが、脳卒中、例えばICHの病態生理に影響を及ぼすのに必要な高用量に十分に早く到達できない可能性がある。脳卒中に罹患している患者の処置は、安全であるだけでなく、脳卒中の発症から短い時間の経過で効果を有する必要がある。上記の健康なボランティアの複数用量漸増臨床研究のような8日間の漸増期間又はMSの第III相臨床試験で使用された投与レジメンのような5日間の漸増期間でさえも、脳卒中に罹患している、特にICHに罹患している患者の効果的な処置を保証するのに十分なほど早くないであろう。
脳卒中、特にICH後の二次損傷の負の影響を最小限にし得る処置方法は、ICHの発生から最短期間内に高用量でシポニモドを投与することにより、脳卒中に罹患している対象にシポニモドへの高度の曝露を迅速に提供できる処置であろう。
炎症の軽減に寄与し得る、したがってシポニモドによる処置の有効性に寄与し得る様々な潜在的要因の中で、1つの重要な要因は、絶対リンパ球数(ALC)の減少であり、ALCは、脳内のものを含む炎症過程で重要な役割を果たすことが知られている。S1P受容体の調節が脳卒中の病態生理を緩和し得る正確なメカニズムは、依然として完全に解明されていないため、絶対リンパ球数関連効果(ALC関連効果)に加えて、他の潜在的なメカニズムが役割を果たし得る。
上記の健康なボランティアでの複数漸増投与研究において、処置の1日目の0.3mg用量から10mg用量のシポニモドの急性反応は、ALCの用量依存性の低下を示したことが示されている。慢性反応は、ALCの減少が用量及び時間に依存し、10mgでは約80%でプラトーに達し、2.5mgでは70%に近いより小さい低下を示すことを示した(表1)。
上記の一連の考慮事項に基づいて、脳卒中の処置、特にICHの処置におけるシポニモドの効果を実証するために、10mgの維持1日用量が特に適している。
臨床データは、シポニモドの徐脈性不整脈の影響が、AUC又はCmaxよりもCmaxが達成される速度(すなわち濃度−時間勾配)とより相関していることを示している。したがって、処置の最初の12〜24時間中、Tmaxを遅らせながらCmaxを低下させることにより処置の安全性を改善し、確立された経口用量漸増レジメンの開始用量を表す0.25mgのシポニモドの経口用量を模倣することが有益であると考えられ、徐脈性不整脈の影響がないことが実証された。
さらに、臨床データは、心臓S1P受容体の内在化による脱感作の大部分が最初の12〜24時間中に発生したことを示唆している。これは、徐脈性不整脈イベントが主に処置の最初の24時間で発生することを示す臨床的観察と一致していた。
上記の研究は、用量をゆっくりと増加させ、同時に10mgの経口用量を使用することにより、徐脈を最小限とすることが可能であることを示した。
以前の研究からの1mg経口用量と、健康な対象に24時間にわたって注入された1mg/日i.v.用量との徐脈性不整脈の影響(HR、AVB、SP)の比較により、そのような効果が濃度−時間曲線の勾配に関連しているという仮説が支持された。
シポニモドを静脈内投与した前記研究において、PK及びPDが決定された。シポニモドの3時間にわたって0.25mgの単回用量及び24時間にわたって1mgのi.v.注入(4×0.25mg/6時間の注入)は、優れた心臓安全性プロファイルを示した。この発見は、0.25mg(初期経口投与レジメンの開始用量)の以前の経口投与と一致していた。この臨床研究の結果は、次のとおりである。
a)3時間にわたる0.25mg用量及び24時間にわたる1mg用量のi.v.のPD(ALC)効果の大きさ%Emaxは、この研究(0.25mg)及び以前の臨床研究(1mg)における同じ用量レベルでの経口投与後の効果と同等であった。
b)経口投与されたシポニモドは、良好なバイオアベイラビリティを示した(経口バイオアベイラビリティF%は84%であった)。
c)経口シポニモドTmaxの中央値は、投与の8時間後に観察された。
d)i.v.シポニモドTmaxの中央値は、3時間及び24時間の注入の終了時に観察された。
e)経口シポニモドの幾何平均Cmaxは、i.v.シポニモドCmaxの平均値よりも約48%低かった。
f)投与経路は、終末期T1/2(およそ27時間〜33時間)を変化させなかった。
g)シポニモドは、線形且つ時間非依存の薬物動態(PK)を示す。
上記の臨床試験の知見から出発して、本開示の新規且つ独創的な投与レジメンが設計された。上記の知見に基づいて、新規な本投与レジメンの発明者らは、第1の投与量、すなわち第1の用量の下限閾値を0.25mg以上のシポニモドに設定し、維持1日用量を2mg以上のシポニモドに設定した。
前述の利点に加えて、本開示の投与レジメンは、CYP2C9低代謝群によって生じる追加のリスクを大幅に低減するという利点も有する。ヒトにおいて、シポニモドは、代謝(主にCYP2C9、続いてCYP3A4による)により体循環から排除されることが知られている。シポニモドのCYP2C9代謝に関して、低代謝群におけるシポニモドの薬物動態(PK)パラメーターを調査する別の臨床研究では、シポニモドのAUCは、高代謝群(=CYP2C9*1*1遺伝子型)の参照AUCと比較した場合、約2倍及び4倍である一方、Cmaxは、低代謝群(=CYP2C9*2*3及びCYP2C9*2*3遺伝子型)においてわずかに大きく、Tmaxは、低代謝群と高代謝群において同等であることが実験的に決定された。
すでに上述したように、脳卒中イベントは、臨床的/医学的な緊急事態である。大きい患者集団における脳卒中、例えばICHに起因する二次損傷の有害な結果を予防又は最小化するために、迅速且つ強力な介入、すなわちできる限り最大耐量(MTD)に近い高用量のシポニモドの投与が重要であり得る。
本開示の投与レジメンは、陰性変時作用を最小限にしつつ、10mgのシポニモドの維持1日用量を迅速に達成できるという利点を有する修正フィボナッチi.v.用量漸増段階を含む。
10mgの維持1日用量などの維持1日用量は、効果的であると同時に、脳卒中に罹患している患者、例えばICH及びさらに低代謝群である、脳卒中、例えばICHに罹患している患者のような衰弱した対象に十分耐容される高用量である。実際、この疾患の急性の性質及びICHで起こる初期の病態生理学的イベントを中断するための迅速な介入の必要性のため、典型的には取得に14日超かかるCYP2C9遺伝子型判定に基づいて、参加時に患者を層別化すること又は全処置期間中に患者の用量調整をすることはできない。そのため、この急性期処置研究から、一般的な集団の1%未満を占めるCYP2C9*3*3患者を除外することはできない。短期間にわたるMAD最大レベルを超える患者亜集団におけるシポニモド曝露のリスクよりも、ICH及びその後遺症の重症度が上回っている。
本開示のi.v.投与レジメンのスケジュール及び集中治療室モニタリングは、最も重大な有害事象(AE)、すなわち徐脈性不整脈を緩和し、残りの一般的なAEである頭痛、めまい及び鼻咽頭炎は、急性脳卒中ユニット/ICU設定におけるICH集団では重大でなく、薬物中止後に完全に解決する。
より具体的には、本開示の新規な投与レジメンによるICHの処置におけるシポニモドの使用は、脳内出血(ICH)後に生じる炎症過程のカスケードによる神経学的及び他の臨床的損傷を予防又は最小化することを可能にし、安全である。本開示の用量制度によるシポニモドの投与は、患者の急性神経学的悪化を引き起こし、長期の悪い機能的帰結にさえ関連する、脳における腫瘤効果に寄与すると考えられる血腫周囲浮腫(PHE)の(少なくとも)増加期間にわたり、高用量のシポニモドに患者が迅速に曝露されることをさらに可能にする。
投与レジメン
本開示は、脳卒中後の有害な結果、特にICH後の二次損傷又は浮腫形成、例えば血腫周囲浮腫形成を予防又は最小化し、陰性変時性副作用又は他の心臓への効果など、シポニモドの投与に関連し得る副作用を排除又は軽減するように適合された新規な投与レジメンを提供する。
二次損傷
二次損傷とは、最初の損傷(「一次損傷」)後、数時間又は数週間にわたり機能障害又は死をもたらす、細胞及び組織の破壊性及び自己増殖性の生物学的変化に適用される用語である。脳卒中では、一次損傷は、通常、器質的である。例えば、ICHでは、出血の直接的器質的効果により一次脳損傷が生じる。生成された血腫は、数時間にわたって神経組織を開裂又は切断して、症状を呈する。血腫内のニューロンの損失は、広範囲であるが、保存されたニューロンの島がいくつか存在し得る。血腫拡大(HE)は、周囲の組織のタンポナーデ効果又は親血管での凝固により停止し、数時間〜数日間にわたり発達するプロセスを経て二次脳損傷をもたらす。急速な発症のため、ICHの一次損傷は、処置が困難である。一次発作による損傷を最小限にする最善の方法は、リスクの高い人における予防的手段及び症状が始まったときの治療への早期アクセスである。前述のように、一次損傷後、数日〜数週間にわたる出血周囲領域における二次損傷が続き、一次損傷よりも長い処置期間を提供する。
ICHでは、重度の障害及び/又は死亡並びに関連する予後不良は、一次損傷及び二次損傷の複合的効果によるものである。ICH後の二次損傷に寄与する複数の要因が存在し、そのいくつかは、同時に又は連続して発生し得る。ICH後の二次損傷は、2つの主要なタイプ:血腫拡大(HE)を引き起こす再出血並びに血腫周囲浮腫(PHE)を含む神経炎症及び神経細胞死の連続体に沿った修復経路、血液脳関門(BBB)の破壊を含む血腫周囲組織損傷、頭蓋内圧亢進(ICP)、水頭症及び脳萎縮という結果に分けることができる。
二次損傷の破壊段階は、ICH後の細胞死の機能的欠損及びその結果である神経学的悪化の主な原因であると考えられている。
浮腫及び血腫周囲浮腫(PHE)
ICHには、脳内出血による脳損傷の2つの主要なメカニズム:原発性血腫からの器質的損傷(その血腫の成長、例えば血腫拡大(HE)を含む)並びに血腫周囲浮腫及び炎症からの二次損傷が存在する。
突発性ICHにおける急性死亡率及び罹患率は、早期血腫拡大、細胞傷害性及び血管原性血腫周囲浮腫(PHE)形成、脳灌流圧の低下並びに頭蓋内圧(ICP)に関連付けられている。血腫誘発性神経損傷は、不可逆的であるが、PHEによるものは、可逆的であり、これにより後者が潜在的な治療標的となることは、広く受け入れられている。血腫体積は、帰結の強力な予測因子であり、絶対PHE体積の独立した予測因子でもあることが知られている(Jauch E,Kothari R,et al.Stroke.1999)。
PHEの病因は、主に3つのプロセス:血腫の拡大及び血液関門透過性の上昇、凝血退縮及び凝固経路の活性化並びに最終的には赤血球溶解及びヘモグロビン分解産物により引き起こされる細胞傷害性浮腫に関連する。ICHでは、PHEは、ICH後7〜16日目にプラトーに達する。より正確には、「絶対PHE」(aPHE)は、ICH後11〜16日目にプラトーに達し、ICHの帰結についてより予測的な測定を提供する「相対PHE」(rPHE)は、ICH後11〜14日目にプラトーに達する(Staykov et al.2011)。PHEは、ICH後の長期後遺症に寄与することで広く合意されている。PHEは、腫瘤効果に寄与し、患者の急性神経学的悪化を引き起こす可能性があり、長期機能的帰結の不良と関連してさえいる。
心臓への効果
心臓への効果は、例えば、心拍数の低下、一過性徐脈、変時作用又は変伝導作用であり、これは、第1度AVブロック(例えば、0.2秒を超えるPR間隔)及び第2度AVブロック、例えば第1度AVブロックを含むAVブロックを含む。心臓への効果には、洞停止、例えば2秒を超える洞停止が含まれる。
本開示の実施形態
本開示によれば、以下の実施形態が提供される。
実施形態1.1:脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法であって、
(a)第1の静脈内投与量から開始して計算された96時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量を前記対象に静脈内投与するステップであって、
(i)第1の投与量は、0.25mg以上且つ1.25mg以下であり、
(ii)第1の用量後に投与される1つ以上の連続用量の各用量は、直前の投与量以上且つ直後の投与量以下であり、
(iii)連続した24時間の期間にわたって投与された連続用量の合計は、維持1日用量よりも少ない、ステップと、続いて、
(b)シポニモドの維持1日用量を少なくとも2日間の維持期間にわたって投与するステップであって、
(i)維持1日用量は、2mg以上且つ20mg以下のシポニモドである、ステップと
を含む方法。
実施形態1.2:ステップ(a)に記載のシポニモドの複数の連続用量の前記対象への静脈内投与は、第1の静脈内投与量から開始して計算された72時間以下の期間にわたって行われる、実施形態1.1で定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.3:ステップ(a)に記載のシポニモドの複数の連続用量の前記対象への静脈内投与は、第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間以下の期間にわたって行われる、実施形態1.1又は1.2で定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.4:ステップ(a)に記載のシポニモドの複数の連続用量の前記対象への静脈内投与は、第1の静脈内投与量から開始して計算された24時間以下の期間にわたって行われる、実施形態1.1〜1.3のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.5:ステップ(a)の第1の投与量は0.25mgである、実施形態1.1〜1.4のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.6:ステップ(a)の第1の投与量は、0.5mgである、実施形態1.1〜1.4のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.7:ステップ(a)の第1の投与量は、0.75mgである、実施形態1.1〜1.4のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.8:ステップ(a)の第1の投与量は、1.0mgである、実施形態1.1〜1.4のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.9:ステップ(a)の第1の投与量は、1.25mgである、実施形態1.1〜1.4のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態:1.10:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ15mg以下のシポニモドである、実施形態1.1〜1.9のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.11:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ10mg以下のシポニモドである、実施形態1.1〜1.10のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.12:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ5mg以下のシポニモドである、実施形態1.1〜1.11のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.13:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、20mgのシポニモドである、実施形態1.1〜1.9のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.14:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、15mgのシポニモドである、実施形態1.1〜1.10のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.15:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、10mgのシポニモドである、実施形態1.1〜1.11のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.16:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、5mgのシポニモドである、実施形態1.1〜1.12のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.17:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mgのシポニモドである、実施形態1.1〜1.12のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.18:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも3日間の維持期間、例えば3又4日間の維持期間にわたって投与される、実施形態1.1〜1.17のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.19:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも5日間の維持期間、例えば5日間の維持期間にわたって投与される、実施形態1.1〜1.18のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.20:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも7日間の維持期間、例えば12日間の維持期間にわたって投与される、実施形態1.1〜1.19のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.21:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも14日間の維持期間、例えば14日間の維持期間にわたって投与される、実施形態1.1〜1.20のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.22:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも21日間の維持期間にわたって投与される、実施形態1.1〜1.21のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.23:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも28日間の維持期間にわたって投与される、実施形態1.1〜1.22のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.24:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも35日間の維持期間にわたって投与される、実施形態1.1〜1.23のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.25:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量の投与は、静脈内投与を含む、実施形態1.1〜1.24のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.26:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量の投与は、経口投与を含む、実施形態1.1〜1.25のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.27:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量の投与は、第1段階において静脈内投与によって行われ、且つ第2段階において経口投与によって行われ、好ましくは、第1段階は、5日間の期間を有し、第2段階は、7日間の期間を有する、実施形態1.1〜1.26のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.28:(c)シポニモドの第1の用量の投与から開始して計算された少なくとも最初の24時間にわたり、好ましくは少なくとも最初の48時間にわたり、心血管テレメトリーを介して前記対象を継続的にモニタリングするステップ
をさらに含む、実施形態1.1〜1.27のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.29:ステップ(a)の連続用量がある増量で増加する場合、前記増量は、修正フィボナッチ数列によって決定され、すなわち、与えられる用量は、直前2つの用量の合計±40%、例えば±35%、例えば±30%、例えば±20%、例えば約±23%又は例えば±10%である、前述の実施形態1.1〜1.28のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.30:(a)第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量を前記対象に静脈内投与するステップであって、
1日目において、投与量は、1日目の合計用量の1.75mgについて、6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.5mg及び次いで6時間にわたって0.75mgであり、及び
2日目において、投与量は、2日目の合計用量の8.25mgについて、6時間にわたって1.25mg、次いで6時間にわたって2mg、次いで6時間にわたって2.5mg及び次いで6時間にわたって2.5mgである、ステップと、
(b)3日目〜7日目において、維持1日用量の10mgのシポニモドを静脈内投与し、且つ任意選択により、8日目以降、好ましくは8日目〜14日目において、維持1日用量の10mgのシポニモドを経口投与するステップと
を含み、任意選択により、
(c)シポニモドの第1の用量の投与から開始して計算された少なくとも最初の24時間にわたり、好ましくは少なくとも最初の48時間にわたり、心血管テレメトリーを介して前記対象を継続的にモニタリングするステップ
をさらに含む、実施形態1.1、1.3、1.5、1.10、1.11、1.15又は1.18〜1.29のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.31:ステップ(b)でシポニモドが経口投与される場合、それは、経口固体剤形の形態で投与される、実施形態1.1〜1.30で定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.32:ステップ(b)の経口固体剤形は、即時放出経口固体剤形である、実施形態1.31で定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.33:ステップ(b)で投与される経口即時放出固体剤形は、表2.1又は表2.2に提供される組成を有する錠剤の形態である、実施形態1.32で定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.34:ステップ(b)のシポニモドの10mgの維持1日用量は、
(a)強度2mgの錠剤5錠、又は
(b)強度5mgの錠剤2錠、又は
(c)強度10mgの錠剤1錠
の形態において、それを必要とするヒト対象に投与され、用量が1錠を超えて投与される場合、錠剤は、同時に、連続的に又は別々に、好ましくは同時に投与される、実施形態1.31〜1.33のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.35:シポニモドを含有する投与されるi.v.組成物は、例えば、生理食塩水又は5%グルコース溶液中において、シポニモドを含有する濃縮物を希釈することによって得られ、前記濃縮物は、
(i)液体の形態であり、
(ii)1mg/mLのシポニモドを含有し、及び
(iii)
− 7重量%〜13重量%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、
− 緩衝剤、及び
− 任意選択により、等張化剤
を含有する、前述の実施形態1.1〜1.34のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、好ましくは出血性脳卒中、より好ましくはICHを処置する方法。
実施形態1.36:脳卒中は、好ましくは、出血性脳卒中、より好ましくはICHであり、シポニモドを含有する投与されるi.v.組成物は、例えば、生理食塩水又は5%グルコース溶液中において、シポニモドを含有する濃縮物を希釈することによって得られ、前記濃縮物は、
(i)液体の形態であり、
(ii)1mg/mLのシポニモドを含有し、及び、さらに、
(iii)
− 10重量%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、
− 3重量%のマンニトール、及び
− 0.06重量%の2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス)
を含有し、及び
(iv)そのpHは、約8である、実施形態1.35で定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.37:脳卒中は、好ましくは、ICHであり、前記方法の第1の用量は、ICHの発症から72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、例えば6又は12時間以内に投与される、前述の実施形態1.1〜1.36のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中の処置方法。
実施形態1.38:脳卒中は、脳内出血性脳卒中(ICH)である、前述の実施形態1.1〜1.37のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中の処置方法。
実施形態1.39:脳卒中、例えばICHは、国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)によって定義されるグレード4以上の脳卒中である、前述の実施形態1.1〜1.38のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.40:脳卒中、例えばICHは、国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)によって定義されるグレード6以下の脳卒中である、前述の実施形態1.1〜1.39のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.41:脳卒中は、突発性脳内出血(SICH)であり、テント上脳内出血は、深部脳構造(被殻、視床、尾状核及び関連する深部白質路)にあり、定期的な臨床磁気共鳴画像(MRI)又はコンピューター断層撮影(CT)によって決定される、ABC/2法により計算される)10mL以上且つ30mL以下の体積を有する、前述の実施形態1.1〜1.40のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中を処置する方法。
実施形態1.42:前記対象は、6以上のグラスゴー昏睡スケール(GCS)の運動スコアを有する、前述の実施形態1.1〜1.41のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHを処置する方法。
実施形態1.43:対象は、CYP2C9*2*3低代謝群又はCYP2C9*3*3低代謝群である、前述の実施形態1.1〜1.42のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHを処置する方法。
実施形態1.44:シポニモドは、経口固体剤形で含有され、フマル酸との共結晶の形態である、前述の実施形態1.1〜1.43のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHを処置する方法。
実施形態1.45:脳卒中に罹患している、特にICHに罹患しているヒト対象の全体機能を改善して、ICHの90日後に修正ランキンスケール(mRS)で測定して0、1又は2に等しいmRSスコアを達成する方法であって、シポニモドの投与は、先の実施形態1.1〜1.44のいずれかで定義される脳卒中を有するヒト対象を処置する方法による、方法。
実施形態2.1:脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモドであって、
(a)第1の静脈内投与量から開始して計算された96時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、前記対象に静脈内投与され、ここで、
(i)シポニモドの第1の投与量は、0.25mg以上且つ1.25mg以下であり、
(ii)第1の用量後に投与されるシポニモドの1つ以上の連続用量の各用量は、直前の投与量以上且つ直後の投与量以下であり、及び
(iii)連続した24時間の期間にわたって投与されたシポニモドの連続用量の合計は、維持1日用量よりも少なく、続いて、
(b)シポニモドの維持1日用量は、少なくとも2日間の維持期間にわたって投与され、ここで、
(i)前記維持1日用量は、2mg以上且つ20mg以下のシポニモドである、シポニモド。
実施形態2.2:第1の静脈内投与量から開始して計算された72時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、ステップ(a)に記載の前記対象に静脈内投与される、実施形態2.1に記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.3:第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、ステップ(a)に記載の前記対象に静脈内投与される、実施形態2.1又は2.2のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.4:第1の静脈内投与量から開始して計算された24時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、ステップ(a)に記載の前記対象に静脈内投与される、実施形態2.1〜2.3のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.5:ステップ(a)の第1の投与量は、0.25mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.6:ステップ(a)の第1の投与量は、0.5mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.7:ステップ(a)の第1の投与量は、0.75mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.8:ステップ(a)の第1の投与量は、1.0mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.9:ステップ(a)の第1の投与量は、1.25mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.10:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ15mg以下のシポニモドである、実施形態2.1〜2.9のいずれかによるヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.11:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ10mg以下のシポニモドである、実施形態2.1〜2.10のいずれかによるヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.12:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ5mg以下のシポニモドである、実施形態2.1〜2.11のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.13:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、20mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.9のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.14:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、15mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.10のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.15:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、10mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.11のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.16:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、5mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.12のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.17:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mgのシポニモドである、実施形態2.1〜2.12のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.18:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも3日間の維持期間、例えば3又は4日間の維持期間にわたって投与される、実施形態2.1〜2.17のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.19:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも5日間の維持期間、例えば5日間の維持期間にわたって投与される、実施形態2.1〜2.18のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.20:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも7日間の維持期間、例えば12日間の維持期間にわたって投与される、実施形態2.1〜2.19のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.21:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも14日間の維持期間にわたって投与される、実施形態2.1〜2.20のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.22:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも21日間の維持期間にわたって投与される、実施形態2.1〜2.21のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.23:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも28日間の維持期間にわたって投与される、実施形態2.1〜2.22のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.24:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも35日間の維持期間にわたって投与される、実施形態2.1〜2.23のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.25:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量の投与は、静脈内投与を含む、実施形態2.1〜2.24のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.26:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量の投与は、経口投与を含む、実施形態2.1〜2.25のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.27:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量は、第1段階において静脈内投与され、且つ第2段階において経口投与され、好ましくは、第1段階は、5日間の期間を有し、第2段階は、7日間の期間を有する、実施形態2.1〜2.25のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.28:前記対象は、シポニモドの第1の用量の投与から開始して計算された少なくとも最初の24時間にわたり、好ましくは少なくとも最初の48時間にわたり、心血管テレメトリーを介して継続的にモニタリングされる、実施形態2.1〜2.27のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.29:ステップ(a)におけるシポニモドの連続用量がある増量で増加する場合、前記増量は、修正フィボナッチ数列によって決定され、すなわち、与えられる用量は、直前2つの用量の合計±40%、例えば±35%、例えば±30%、例えば±20%、例えば約±23%又は例えば±10%である、実施形態2.1〜2.28のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.30:(a)第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、前記対象に静脈内投与され、ここで、
1日目において、投与量は、1日目の合計用量の1.75mgについて、6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.5mg及び次いで6時間にわたって0.75mgであり、及び
2日目において、投与量は、2日目の合計用量の8.25mgについて、6時間にわたって1.25mg、次いで6時間にわたって2mg、次いで6時間にわたって2.5mg及び次いで6時間にわたって2.5mgであり、及び
(b)3日目〜7日目において、維持1日用量の10mgのシポニモドは、静脈内投与され、及び任意選択により、8日目以降、好ましくは8日目〜14日目において、維持1日用量の10mgのシポニモドは、経口投与され、
(c)任意選択により、前記対象は、シポニモドの第1の用量の投与から出発して計算された少なくとも最初の24時間にわたり、好ましくは少なくとも最初の48時間にわたり、心血管テレメトリーを介して継続的にモニタリングされる、実施形態2.1、2.3、2.5、2.10、2.11、2.15又は2.18〜2.29のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.31:ステップ(b)でシポニモドが経口投与される場合、それは、経口固体剤形の形態で投与される、実施形態2.1〜2.30のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.32:ステップ(b)の経口固体剤形は、即時放出経口固体剤形である、実施形態2.31に記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.33:ステップ(b)で投与される経口即時放出固体剤形は、表2.1又は表2.2に提供される組成を有する錠剤の形態である、実施形態2.32に記載のヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.34:ステップ(b)のシポニモドの10mgの維持1日用量は、
(a)強度2mgの錠剤5錠、又は
(b)強度5mgの錠剤2錠、又は
(c)強度10mgの錠剤1錠
の形態で前記対象に投与され、シポニモドの10mgの1日用量が1錠を超えて投与される場合、錠剤は、同時に、連続的に又は別々に、好ましくは同時に投与される、実施形態2.31〜2.33のいずれかに記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.35:シポニモドを含有する投与されるi.v.組成物は、例えば、生理食塩水又は5%グルコース溶液中において、シポニモドを含有する濃縮物を希釈することによって得られ、濃縮物は、
(i)液体の形態であり、
(ii)1mg/mLのシポニモドを含有し、及び
(iii)
− 7重量%〜13重量%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、
− 緩衝剤、及び
− 任意選択により、等張化剤
を含有する、先の実施形態2.1〜2.34のいずれかで定義される脳卒中、好ましくは出血性脳卒中、より好ましくはICHに罹患しているヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.36:脳卒中は、好ましくは、出血性脳卒中、より好ましくはICHであり、シポニモドを含有する投与されるi.v.組成物は、例えば、生理食塩水又は5%グルコース溶液中において、シポニモドを含有する濃縮物を希釈することによって得られ、濃縮物は、
(i)液体の形態であり、
(ii)1mg/mLのシポニモドを含有し、及び、さらに、
(iii)
− 10重量%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、
− 3重量%のマンニトール、及び
− 0.06重量%の2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス)
を含有し、及び
(iv)そのpHは、約8である、実施形態2.35で定義される脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.37:脳卒中は、好ましくは、出血性脳卒中、より好ましくはICHであり、シポニモドの第1の用量は、ICHの発症から72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、例えば6又は12時間以内に投与される、前述の実施形態2.1〜2.36のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.38:脳卒中は、脳内出血性脳卒中(ICH)である、前述の実施形態2.1〜2.37のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.39:脳卒中、例えばICHは、国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)によって定義されるグレード4以上の脳卒中である、前述の実施形態2.1〜2.38のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.40:脳卒中、例えばICHは、国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)によって定義されるグレード6以下の脳卒中である、前述の実施形態2.1〜2.39のいずれかで定義される脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.41:脳卒中は、突発性脳内出血(SICH)であり、テント上脳内出血は、深部脳構造(被殻、視床、尾状核及び関連する深部白質路)にあり、定期的な臨床磁気共鳴画像(MRI)又はコンピューター断層撮影(CT)によって決定される、ABC/2法により計算される)10mL以上且つ30mL以下の体積を有する、前述の実施形態2.1〜2.40のいずれかで定義される脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中の処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.42:前記対象は、6以上のグラスゴー昏睡スケール(GCS)の運動スコアを有する、前述の実施形態2.1〜2.41のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHの処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.43:前記対象は、CYP2C9*2*3低代謝群又はCYP2C9*3*3低代謝群である、前述の実施形態2.1〜2.42のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHの処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.44:シポニモドは、経口固体剤形中に含有され、フマル酸との共結晶の形態である、先の実施形態2.1〜2.43のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHの処置における使用のためのシポニモド。
実施形態2.45:脳卒中、特にICHに罹患しているヒト対象の全体機能の改善における使用のためのシポニモドであって、改善は、ICHの90日後に修正ランキンスケール(mRS)で測定されて0、1又は2に等しいmRSスコアを達成し、シポニモドは、先の実施形態2.1〜2.44のいずれかで定義される処置のための使用に従って投与される、シポニモド。
実施形態3.1:脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用であって、
(a)第1の静脈内投与量から開始して計算された96時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量を前記対象に静脈内投与するステップであって、
(i)第1の投与量は、0.25mg以上且つ1.25mg以下であり、
(ii)第1の用量後に投与される1つ以上の連続用量の各用量は、直前の投与量以上且つ直後の投与量以下であり、
(iii)連続した24時間の期間にわたって投与された連続用量の合計は、シポニモドの維持1日用量よりも少ない、ステップ
を含み、続いて、
(b)シポニモドの維持1日用量を少なくとも2日間の維持期間にわたって投与するステップであって、
(i)維持1日用量は、2mg以上且つ20mg以下のシポニモドである、ステップ
をさらに含む使用。
実施形態3.2:第1の静脈内投与量から開始して計算された72時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、ステップ(a)に記載の前記対象に静脈内投与される、実施形態3.1に記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.3:第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、ステップ(a)に記載の前記対象に静脈内投与される、実施形態3.1又は3.2のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.4:第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量は、ステップ(a)に記載の前記対象に静脈内投与される、実施形態3.1〜3.3のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.5:ステップ(a)の第1の投与量は、0.25mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.6:ステップ(a)の第1の投与量は、0.5mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.7:ステップ(a)の第1の投与量は、0.75mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.8:ステップ(a)の第1の投与量は、1.0mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.9:ステップ(a)の第1の投与量は、1.25mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.4のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.10:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ15mg以下のシポニモドである、実施形態3.1〜3.9のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.11:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ10mg以下のシポニモドである、実施形態3.1〜3.10のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.12:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mg以上且つ5mg以下のシポニモドである、実施形態3.1〜3.11のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.13:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、20mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.9のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.14:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、15mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.10のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.15:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、10mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.11のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.16:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、5mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.12のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.17:ステップ(b)(i)の維持1日用量は、2mgのシポニモドである、実施形態3.1〜3.12のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.18:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも3日間の維持期間、例えば3又は4日間の維持期間にわたって投与される、実施形態3.1〜3.17のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.19:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも5日間の維持期間、例えば5日間の維持期間にわたって投与される、実施形態3.1〜3.18のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.20:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも7日間の維持期間、例えば12日間の維持期間にわたって投与される、実施形態3.1〜3.19のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.21:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも14日間の維持期間にわたって投与される、実施形態3.1〜3.20のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.22:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも21日間の維持期間にわたって投与される、実施形態3.1〜3.21のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.23:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも28日間の維持期間にわたって投与される、実施形態3.1〜3.22のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.24:ステップ(b)で投与されるシポニモドの維持1日用量は、少なくとも35日間の維持期間にわたって投与される、実施形態3.1〜3.23のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.25:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量の投与は、静脈内投与を含む、実施形態3.1〜3.24のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.26:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量の投与は、経口投与を含む、実施形態3.1〜3.25のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.27:ステップ(b)におけるシポニモドの維持1日用量は、第1段階において静脈内投与され、且つ第2段階において経口投与され、好ましくは、第1段階は、5日間の期間を有し、第2段階は、7日間の期間を有する、実施形態3.1〜3.26のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.28:(c)シポニモドの第1の用量の投与から出発して計算された少なくとも最初の24時間にわたり、好ましくは少なくとも最初の48時間にわたり、心血管テレメトリーを介して前記対象を継続的にモニタリングするステップ
をさらに含む、実施形態3.1〜3.27のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.29:ステップ(a)のシポニモドの連続用量がある増量で増加する場合、前記増量は、修正フィボナッチ数列によって決定され、すなわち、与えられる用量は、直前2つの用量の合計±40%、例えば±35%、例えば±30%、例えば±20%、例えば約±23%又は例えば±10%である、実施形態3.1〜3.28のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.30:実施形態1.3、3.3、3.5、3.10、3.11、3.15又は3.18〜3.29のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用であって、
(a)第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間以下の期間にわたり、前記対象にシポニモドの複数の連続用量を静脈内投与するステップであって、
1日目において、投与量は、1日目の合計用量の1.75mgについて、6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.5mg及び次いで6時間にわたって0.75mgであり、及び
2日目において、投与量は、2日目の合計用量の8.25mgについて、6時間にわたって1.25mg、次いで6時間にわたって2mg、次いで6時間にわたって2.5mg及び次いで6時間にわたって2.5mgである、ステップと、
(b)3日目〜7日目において、静脈内投与する維持1日用量の10mgのシポニモドを静脈内投与し、且つ任意選択により、8日目以降、好ましくは8日目〜14日目において、維持1日用量の10mgのシポニモドを経口投与するステップと
を含み、前記処置は、任意選択により、
(c)シポニモドの第1の用量の投与から出発して計算された少なくとも最初の24時間にわたり、好ましくは少なくとも最初の48時間にわたり、心血管テレメトリーを介して前記対象を継続的にモニタリングするステップ
をさらに含む、使用。
実施形態3.31:ステップ(b)でシポニモドが経口投与される場合、それは、経口固体剤形の形態で投与される、実施形態3.1〜3.30のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.32:ステップ(b)の経口固体剤形は、即時放出経口固体剤形である、実施形態3.31のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.33:ステップ(b)で投与される経口即時放出固体剤形は、表2.1又は表2.2に提供される組成を有する錠剤の形態である、実施形態3.32に記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.34:ステップ(b)のシポニモドの10mgの維持1日用量は、
(a)強度2mgの錠剤5錠、又は
(b)強度5mgの錠剤2錠、又は
(c)強度10mgの錠剤1錠
の形態において、それを必要とするヒト対象に投与され、シポニモドの10mgの1日用量が1錠を超えて投与される場合、錠剤は、同時に、連続的に又は別々に、好ましくは同時に投与される、実施形態3.31〜3.33のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.35:シポニモドを含有する投与されるi.v.組成物は、例えば、生理食塩水又は5%グルコース溶液中において、シポニモドを含有する濃縮物を希釈することによって直接得られ、濃縮物は、
(i)液体の形態であり、
(ii)1mg/mLのシポニモドを含有し、及び
(iii)
− 7重量%〜13重量%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、
− 緩衝剤、及び
− 任意選択により、等張化剤
を含有する、前述の実施形態3.1〜3.34のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、好ましくは出血性脳卒中、より好ましくはICHの処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.36:脳卒中は、好ましくは、出血性脳卒中、より好ましくはICHであり、シポニモドを含有する投与されるi.v.組成物は、例えば、生理食塩水又は5%グルコース溶液中において、シポニモドを含有する濃縮物を希釈することによって直接得られ、濃縮物は、
(i)液体の形態であり、
(ii)1mg/mLのシポニモドを含有し、及び、さらに、
(iii)
− 10重量%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、
− 3重量%のマンニトール、及び
− 0.06重量%の2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス)
を含有し、及び
(iv)そのpHは、約8である、実施形態3.35に記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.37:脳卒中は、好ましくは、出血性脳卒中、より好ましくはICHであり、前記処置のシポニモドの第1の用量は、ICHの発生から72時間以内、好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内、例えば6又は12時間以内に投与される、前述の実施形態3.1〜3.36のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.38:脳卒中は、脳内出血性脳卒中(ICH)である、先の実施形態3.1〜3.37のいずれかに記載のヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.39:脳卒中、例えばICHは、国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)によって定義されるグレード4以上の脳卒中である、前述の実施形態3.1〜3.38のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.40:脳卒中、例えばICHは、国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)によって定義されるグレード6以下の脳卒中である、前述の実施形態3.1〜3.39のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中の処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.41:脳卒中は、突発性脳内出血(SICH)であり、テント上脳内出血は、深部脳構造(被殻、視床、尾状核及び関連する深部白質路)にあり、定期的な臨床磁気共鳴画像(MRI)又はコンピューター断層撮影(CT)によって決定される、ABC/2法により計算される)10mL以上且つ30mL以下の体積を有する、前述の実施形態3.1〜3.40のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHの処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.42:前記対象は、6以上のグラスゴー昏睡スケール(GCS)の運動スコアを有する、前述の実施形態3.1〜3.41のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHの処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.43:前記対象は、CYP2C9*2*3低代謝群又はCYP2C9*3*3低代謝群である、前述の実施形態3.1〜3.42のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHの処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.44:シポニモドは、経口固体剤形中に含有され、フマル酸との共結晶の形態である、先の実施形態3.1〜3.43のいずれかで定義されるヒト対象の脳卒中、例えばICHの処置のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用。
実施形態3.45:脳卒中、特にICHに罹患しているヒト対象の全体機能の改善のための薬剤の製造のための、シポニモド又はシポニモドの薬学的に許容される塩、共結晶、水和物、溶媒和物、多形体及び/若しくはそれらの混合物の使用であって、改善は、ICHの90日後に修正ランキンスケール(mRS)で測定されて0、1又は2に等しいmRSスコアを達成し、シポニモドは、先の実施形態3.1〜3.44で定義される処置のための使用に従って投与される、使用。
本開示によれば、ステップ(a)の処置期間は、シポニモドが維持1日用量よりも少ない1日用量で投与される期間を指す。ステップ(a)の処置期間は、シポニモドの第1の投与(例えば、第1の用量の投与)から開始する。
本開示のシポニモドの第1の投与量は、0.25mg以上且つ1.25mg以下である。一実施形態では、第1の投与量は、0.25mg以上且つ0.75mg以下、例えば好ましくは0.5mg以下、より好ましくは0.25mg以下である。別の実施形態では、第1の投与量は、0.75mg〜1.25mg、例えば0.75mg又は1.0mg、好ましくは0.75mgである。
本開示のステップ(b)のシポニモドの維持1日用量は、2mg以上且つ20mg以下のシポニモドである。一実施形態では、維持1日用量は、2mg以上且つ10mg以下であり、例えば2mg又は5mgである。別の実施形態において、維持1日用量は、10mg〜20mgであり、例えば10mg又は15mg、好ましくは10mgである。「1日」という用語は、24時間の期間を示す。
本開示の処置方法のステップ(a)において、シポニモドの連続用量は、最大96時間の期間にわたり、脳卒中、好ましくは出血性脳卒中、より好ましくはICHに罹患しているヒト対象に静脈内投与される。一実施形態では、期間は、78時間〜96時間であり、例えば84時間又は90時間である。別の実施形態では、これは、60時間〜78時間であり、例えば66時間又は72時間である。別の実施形態では、これは、最大72時間であり、例えば42時間〜60時間であり、例えば48時間又は54時間である。別の実施形態では、これは、最大48時間であり、例えば36時間〜48時間であり、例えば42時間又は36時間である。別の実施形態では、これは、最大40時間であり、例えば30〜40時間であり、例えば33時間又は39時間である。別の実施形態では、これは、最大36時間であり、例えば18時間〜36時間であり、例えば24時間又は30時間である。別の実施形態では、最大24時間であり、例えば3時間〜24時間であり、例えば6時間又は12時間である。一実施形態では、これは、48時間である。一実施形態では、これは、24時間である。一実施形態では、ステップ(a)の処置期間は、この全日、すなわち24時間のスパンで投与されるシポニモドの総用量が維持1日用量に等しい最初の日の開始時に終了する。
一実施形態では、シポニモドの連続用量の各用量は、24時間ごとに投与される。別の実施形態では、これは、12時間ごとに投与される。さらなる実施形態では、これは、6時間ごと又は3時間ごとに投与される。好ましくは、これは、6時間ごとに投与される。
一実施形態では、シポニモドの維持1日用量は、最大90日間、例えば最大77日間、例えば最大63日間の期間にわたって投与される。別の実施形態では、これは、最大56日間、例えば35日間〜56日間、例えば42日間〜49日間である。別の実施形態では、これは、最大30日間、例えば25〜30日間、例えば29日間又は28日間の期間にわたって投与される。代わりに、最大25日間、例えば20〜25日間、例えば21日間又は24日間の期間である。代わりに、最大20日間、例えば15〜20日間、例えば18日間又は19日間の期間である。代わりに、10〜14日間の範囲の期間、例えば12日間又は14日間である。代わりに、より短いことができる期間、例えば7又は10日間などの5〜10日間の範囲の期間である。代わりに、シポニモドは、より短いことができる期間、例えば1〜4日間、例えば2又は3日間などの1〜3日間の範囲の期間にわたり、10mgの1日用量で投与され得る。好ましくは、シポニモドは、少なくとも12日、例えば12日である期間にわたり、10mgの1日用量で投与される。
維持1日用量が2mg〜10mgである一実施形態では、本開示に記載の処置方法のステップ(a)において、投与されるシポニモドの1日用量は、最大9.5mg、例えば最大9mg又は最大8.5mg、例えば約8.25mg又は約8mgであり得る。代わりに、これは、最大7.75mg、例えば約7.5又は約7.25mg又は最大7mg、例えば最大6.5mg、例えば6.25mg又は最大6mg、例えば最大5.75mg、例えば約5.5mg又は約5mgであり得る。代わりに、本処置方法のステップ(a)で投与されるシポニモドの1日用量は、最大4mg、例えば約3.75mg若しくは約3.5mg又は最大3mg、例えば約2.75mg又は最大2.5mg、例えば約2.25mgであり得る。代わりに、これは、最大2mg、例えば約1.75又は最大1.5mg、例えば約1.25mg又は最大1mg、例えば約0.75mg若しくは0.5mgであり得る。ステップ(a)のシポニモドの投与される1日用量は、ステップ(b)の維持1日用量よりも少ない。
維持1日用量が10mg〜20mgであるさらなる実施形態では、本開示に記載の処置方法のステップ(a)において、投与されるシポニモドの1日用量は、最大19.5mg、例えば最大19mg又は最大18.5mg、例えば約18.25mg又は約18mgであり得る。代わりに、これは、最大17.75mg、例えば約17.5又は約17.25mg又は最大17mg、例えば最大16.5mg、例えば16.25mg又は最大16mg、例えば最大15.75mg、例えば約15.5mg又は約15mgであり得る。代わりに、本処置方法のステップ(a)で投与されるシポニモドの1日用量は、最大14mg、例えば約13.75mg若しくは約13.5mg又は最大13mg、例えば約12.75mg又は最大12.5mg、例えば約12.25mgであり得る。代わりに、これは、最大12mg、例えば約11.75又は最大11.5mg、例えば約11.25mg又は最大11mg、例えば約10.75mg若しくは10.5mgであり得る。代わりに、これは、最大10.25、例えば約10mg若しくは約9.75mg、又は最大9mg、又は最大8.5mg、例えば約8.25mg若しくは約8mgであり得る。代わりに、これは、最大7.75mg、例えば約7.5又は約7.25mg又は最大7mg、例えば最大6.5mg、例えば6.25mg又は最大6mg、例えば最大5.75mg、例えば約5.5mg又は約5mgであり得る。代わりに、本処置方法のステップ(a)で投与されるシポニモドの1日用量は、最大4mg、例えば約3.75mg若しくは約3.5mg又は最大3mg、例えば約2.75mg又は最大2.5mg、例えば約2.25mgであり得る。代わりに、これは、最大2mg、例えば約1.75又は最大1.5mg、例えば約1.25mg又は最大1mg、例えば約0.75mg若しくは0.5mgであり得る。ステップ(a)のシポニモドの投与される1日用量は、ステップ(b)の維持1日用量よりも少ない。
さらなる実施形態において、ステップ(a)において、処置の1日目に投与される1日用量として、シポニモドは、最大4mg、例えば約3.75mg若しくは3.5mg又は最大3mg、例えば最大2.75mg、例えば2.5mg若しくは2.25mgの用量で投与され得る。代わりに、ステップ(a)において、処置の1日目に投与される1日用量として、シポニモドは、最大2mg、例えば約1.75mg若しくは1.5mg又は最大1.25mg、例えば約1mgの用量で投与され得る。代わりに、最大0.75mg、例えば0.5mg又は0.25mgの用量である。ステップ(a)のシポニモドの投与される1日用量は、ステップ(b)の維持1日用量よりも少ない。
さらなる実施形態において、ステップ(a)において、処置の2日目に投与される1日用量として、シポニモドは、最大9mg、例えば約8.75mg若しくは約8.5mg又は最大8mg、例えば最大7.75mg、例えば7.5mg若しくは7mgの用量で投与され得る。代わりに、ステップ(a)において、処置の2日目に投与される1日用量として、シポニモドは、最大6.75mg、例えば約6.5mg若しくは6.25mg又は最大5.75mg、例えば約5.5mg若しくは5.25mgの用量で投与され得る。代わりに、最大4.75mg、例えば約4.5mg又は4.25mgの用量である。代わりに、最大3.75mg、例えば約3.5mg又は3.25mgの用量である。ステップ(a)のシポニモドの投与される1日用量は、ステップ(b)の維持1日用量よりも少ない。
本開示によれば、ステップ(a)において第1の用量後に投与される1つ以上の連続用量の各用量は、(a)(ii)直前の投与量以上且つ直後の投与量以下であり、(a)(iii)連続した24時間の期間にわたって投与された連続用量の合計は、維持1日用量よりも少ない。
上記段落の上記条件(a)(ii)及び(a)(iii)の下で、シポニモドの維持1日用量が2mgである実施形態では、処置方法のステップ(a)で投与されるシポニモドの用量は、任意の投与において、2mgのシポニモドより約8倍小さい、又は約4倍小さい、又は約8倍〜4倍小さい、又は約3倍小さい、例えば2.7倍小さい又は約2倍小さい、例えば1.6倍小さいものであり得る。
上記段落の上記条件(a)(ii)及び(a)(iii)の下で、シポニモドの維持1日用量が5mgである実施形態では、処置方法のステップ(a)で投与されるシポニモドの用量は、任意の投与において、5mgのシポニモドより約20倍小さい、又は約10倍小さい、又は約8倍〜5倍小さい、例えば約6.7倍小さい又は約4倍小さい、約3倍小さい、例えば約3.3倍小さい、又は2.7倍小さい、又は約2倍小さいものであり得る。
上記段落の上記条件(a)(ii)及び(a)(iii)の下で、シポニモドの維持1日用量が10mgである実施形態では、処置方法のステップ(a)で投与されるシポニモドの用量は、任意の投与において、10mgのシポニモドより約40倍小さい、又は約20倍小さい、又は約15倍小さい、例えば約13.3倍小さい又は約10倍小さい、約8倍小さい、又は約6.7倍小さい、又は5倍、例えば約4倍小さいものであり得る。
上記段落の上記条件(a)(ii)及び(a)(iii)の下で、シポニモドの維持1日用量が20mgである実施形態では、処置方法のステップ(a)で投与されるシポニモドの用量は、任意の投与において、20mgのシポニモドより約80倍小さい、又は約40倍小さい、又は約30倍小さい、例えば約27倍小さい又は約15倍小さい、例えば13倍小さい又は約8倍小さいものであり得る。
本開示の方法のステップ(a)において、1日、すなわち24時間の期間に投与される用量の合計がステップ(b)の維持1日用量よりも少なく、シポニモドの維持1日用量まで、規定された増量比で段階的に増加するという条件の下でのさらなる実施形態では、好ましくは、処置の最初の7日間、例えば1日目〜7日目又は好ましくは最初の6日間、例えば1日目〜6日目又は好ましくは最初の5日間、例えば1日目〜5日目又は好ましくは最初の4日間、例えば1日目〜4日目又はより好ましくは最初の3日間、例えば1日目〜3日目又はさらにより好ましくは最初の2日間、例えば1日目〜2日目のシポニモドの投与量は、各投与で段階的に増加し、各投与量は、シポニモドの直前の投与量より0.1倍〜3倍高い、例えばシポニモドの直前の投与量より0.1倍〜2.5倍高い又は好ましくは0.1倍〜2倍高い、例えば0.2倍〜1.7倍高い、例えば0.2倍〜1.5倍高い、例えば0.5倍又は1倍高い。
一実施形態では、本開示の処置方法のステップ(a)で投与される連続用量の数は、最大32、例えば20〜32、例えば26又は28であり得る。これは、さらに、最大24、例えば20〜24、例えば18又は16であり得る。これは、代わりに、最大18、例えば10〜18、例えば12又は14であり得る。これは、さらに、最大12、例えば6〜12、例えば10及び8であり得る。代わりに、これは、最大6、例えば2〜5、例えば3又は4であり得る。
シポニモド
シポニモドのIUPAC名は、1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸であり、化合物は、式(I)の化学構造で表される。
シポニモドは、多発性硬化症(MS)などの自己免疫疾患の処置及び神経変性疾患の処置に使用される選択的スフィンゴシン−1−リン酸受容体モジュレーターである。
国際公開第2004/103306 A2号パンフレットは、免疫抑制化合物及びそれらの製造方法に関する。とりわけ、シポニモドの合成経路が記載されている。国際公開第2013/113915 A1号パンフレットは、シポニモドの代替合成経路を記載している。さらに、国際公開第2004/103306 A2号パンフレットは、シポニモドが一般に経腸的、非経口的、局所的及び経鼻又は坐剤形態などの任意の従来の投与経路によって投与できることに言及している。ただし、前記文献は、特定の剤形を記載していない。
スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)受容体は、密接に関連した脂質活性化Gタンパク質共役受容体のファミリーに属する。S1P1、S1P2、S1P3、S1P4及びS1P5(それぞれEDG−1、EDG−5、EDG−3、EDG−6及びEDG−8とも称される)は、S1Pに特異的な受容体として同定される。特定のS1P受容体は、リンパ球の相互作用によって媒介される疾患、例えば移植拒絶反応、自己免疫疾患、例えばMS及び炎症性ミオパシー、炎症性疾患、感染症及び癌に関連している。
シポニモドは、S1P受容体サブタイプ1及び5を選択的に標的とする。現在、多発性硬化症(MS)、特に二次進行型MS(SPMS)の処置のための経口製剤として第3相EXPAND臨床開発中である。脳卒中の薬剤としてのシポニモドの使用は、一般的に国際公開第2010/080409 A1号パンフレット、国際公開第2010/080455 A1号パンフレット、国際公開第2010/071794 A1号パンフレット及び国際公開第2012/093161号パンフレットで最初に言及された。しかしながら、前記文献は、脳卒中におけるその特定の使用に関する指針又は脳卒中に罹患している患者の処置方法及び非経口投与に適した特定の剤形を提供していない。
シポニモドは、5つのスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)受容体のうちの2つ:S1P1及びS1P5の選択的モジュレーターとして作用する。T細胞は、胸腺からの遊出のためにS1P1活性化を選択的に必要とし、T細胞とB細胞との両方は、末梢リンパ器官からの放出のためにこの受容体を必要とする(Matloubian et al.2004,Brinkmann et al.2004)。リンパ球におけるS1P1の発現に欠陥があるマウスからの前臨床データは、リンパ組織からのリンパ球の放出におけるS1P1の必須の役割を提案している。
シポニモドは、第1の用量からおよそ4〜6時間(h)後に末梢リンパ球数を減少させる第2世代のS1P受容体モジュレーターである。シポニモドの半減期は、およそ30時間であり、これにより処置中止後1週間以内に薬力学的効果の逆転及びベースラインリンパ球数の回復が可能である。シポニモドの作用機序には、リンパ組織から中枢神経系(CNS)などの炎症部位へのエフェクターリンパ球再循環のS1P1を介した予防が含まれると考えられている。さらに、S1P1及び/又はS1P5によって媒介されるCNSには直接有益な効果があり得る。シポニモドは、血液脳関門を容易に通過し、前臨床モデルからの証拠は、シポニモドがニューロン、星状細胞及び乏突起膠細胞上のS1P1及びS1P5を標的とし得、神経生物学的プロセスを調節し得ることを示唆している(Choi et al 2011)。したがって、シポニモドは、CNSにおいて追加の有益な活性を示し得る。
本開示の投与レジメンは、ICH後に末梢白血球数を急激に減少させ、このようにしてICH後の二次損傷を減少させ、それにより帰結を改善する。
脳卒中の処置に使用される医薬組成物は、遊離形態として又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形体、共結晶及び/若しくは混合物としてシポニモドを含有し得る。好ましい実施形態では、シポニモドは、塩又は共結晶などの酸付加生成物の形態で製剤に添加される。より好ましい実施形態において、シポニモドは、薬学的に許容される共結晶として添加される。
薬学的に許容される塩は、例えば、シポニモドと酸との反応により得られる。シポニモドの化合物の薬学的に許容される塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩及び硫酸塩などの無機酸との塩、並びに酢酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸との塩、並びにメタンスルホン酸若しくはベンゼンスルホン酸などのスルホン酸との塩又は適切な場合、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びアルミニウムなどの金属との塩、トリメチルアミンなどのアミンとの塩並びにリジンなどの二塩基性アミノ酸との塩が含まれる。
医薬組成物の組み合わせの化合物及び塩は、水和物及び溶媒和物の形態を包含する。好ましい医薬組成物では、シポニモドは、フマル酸との酸付加生成物の形態である。より好ましい医薬組成物では、シポニモドは、共結晶の形態である。
一般に、共結晶は、同じ格子内の2つ以上の異なる分子から構成される結晶材料と称することができ、これらの2つ以上の分子は、不揮発性である。共結晶は、好ましくは、塩と異なり、その成分が中性状態にあり、非イオン的に相互作用するため、塩と区別することができる。
特に好ましい医薬組成物では、シポニモドは、シポニモドとフマル酸との共結晶の形態であり、以下で(1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸−フマル酸共結晶とも称される。
1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸に対するフマル酸、すなわち(2E)−ブト−2−エン二酸の比率は、例えば、0.3〜0.7の範囲、好ましくは約0.5であり得る。
シポニモドとフマル酸との好ましい共結晶のIUPAC名は、(2E)−ブト−2−エン二酸−1−({4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ}エタンイミドイル]−2−エチルフェニル}メチル)アゼチジン−3−カルボン酸(1:2)である。
さらにより好ましい医薬組成物では、シポニモドは、1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸−フマル酸共結晶として、6.9、10.1、10.6、12.1、17.5、18.1及び20.7°(2θ)に特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有する多形体Aで使用される。
さらにより好ましい医薬組成物では、シポニモドは、1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸−フマル酸共結晶として、6.9、10.1、10.6、12.1、17.5、18.1及び20.7°(2θ)に特定のピークを有するX線粉末回折パターン(XRPDパターン)を有する多形体Aで使用される。
別の好ましい医薬組成物では、シポニモドは、遊離形態で使用される。本出願内で特に言及しない限り、シポニモドの量又は重量%は、遊離形態のシポニモドの量に基づいている。すなわち、シポニモドが塩の形で存在する場合、それに応じて遊離形態の量を計算しなければならない。例えば、シポニモドがそのHCl塩の形態で1.00gの量で存在する場合、この量は、約0.93の遊離シポニモドに対応する。
さらなる医薬組成物において、非経口製剤は、さらなるAPI、好ましくは非経口製剤の効果を高めるのに適したAPIを含むことができる。さらなるAPIは、他の薬物、例えば免疫抑制剤、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンデキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド又は非ステロイド性抗炎症剤を含み得る。組み合わせ処置の投与レジメンは、各活性剤の有効性及び作用部位並びに組み合わせ療法に使用される薬剤間の相乗効果に依存し得る。
別の好ましい医薬組成物では、シポニモドは、本開示による製剤及び/又は処置における唯一の活性医薬成分として使用される。
非経口製剤は、好ましくは、0.05〜3.5mg/mL、好ましくは0.1〜2.0m/mL、より好ましくは0.015〜1.5mg/mLの濃度でシポニモドを含有する。特に好ましい医薬組成物では、濃縮物の形態で存在する非経口製剤は、0.25mg/mL、0.5mg/mL又は1.0mg/mL、特に1mg/mLの濃度でシポニモドを含有することができる。前述のシポニモドの濃度に関する限り、これは、濃縮物として、すなわちさらに希釈されていない形態で存在する非経口製剤に適用される。濃縮物をさらに希釈して、例えば輸液を形成すると、濃度がより低くなることは明らかである。
製剤
一実施形態では、シポニモドを含む薬物製品は、経口投与に適した固体形態、例えば錠剤である。
さらなる実施形態において、シポニモドを含む薬物製品は、非経口投与、例えば注入又は静脈内投与(i.v.投与)に適した濃縮物、例えばバイアル内の液体の形態である。
経口投与のためのシポニモドを含有する医薬組成物
シポニモドは、経口投与のためのフィルムコート錠として入手可能である。シポニモドの経口剤形は、当技術分野で知られている。例えば、シポニモドを含有する錠剤は、国際公開第2012/093161 A1号パンフレット及び国際公開第2015/155711 A1号パンフレットに記載されている。さらに、国際公開第2007/021666 A2号パンフレットは、S1P受容体アゴニストの経口液体に関する。
シポニモドの経口固体組成物の例は、以下に提供されるフィルムコート錠である。
2mg錠剤の形態の経口固体組成物のさらなる例を以下に提供する。
非経口投与のためのシポニモドを含有する医薬組成物
一般に、非経口製剤は、胃腸管をバイパスすることにより投与される製剤と見なすことができる。ヨーロッパ薬局方8.0、「Parenteralia」のセクションを参照されたい。好ましい実施形態では、本開示の製剤は、注入又は注射によって投与される。特に、本開示の製剤は、静脈内投与される。
本開示で使用される非経口製剤では、シポニモドは、液体形態で存在する。好ましくは、シポニモドを含む非経口製剤は、溶液である。懸濁液は、あまり好ましくない。好ましくは、シポニモドを含む非経口製剤は、濃縮物の形態である。
本出願において、「濃縮物」は、好ましくは、患者に直接投与されるのではなく、投与前に希釈される非経口製剤を指す。例えば、濃縮物は、適切な液体、例えば生理食塩水又は5%グルコース溶液で希釈して、例えば注入又は注射として投与できる直ちに使用できる製剤を提供できる。代わりに(あまり好ましくないが)、濃縮物は、直接投与するために使用され得る。一般に、当技術分野では、濃縮物は、「Parenteralia diluenda」とも称される。
本開示における使用に適した代替的非経口製剤は、「直ちに使用できる」製剤であり得る。本開示に関連して、「直ちに使用できる」という用語は、典型的には、患者に非経口製剤を、例えば製剤を注射することにより投与する前にさらなる調製ステップが不要であることを意味する。さらに、非経口製剤の投与前に注射のために追加の添加剤又は水などの溶媒を追加する必要はない。
本開示の非経口製剤は、好ましくは、0.05〜3.5mg/mL、好ましくは0.1〜2.0mg/mL、より好ましくは0.015〜1.5mg/mLの濃度でシポニモドを含有する。特に好ましい実施形態では、濃縮物の形態で存在する非経口製剤は、0.25mg/mL、0.5mg/mL又は1.0mg/mL、特に1mg/mLの濃度でシポニモドを含有することができる。
前述のシポニモドの濃度に関する限り、これは、濃縮物として、すなわちさらに希釈されていない形態で存在する非経口製剤に適用される。濃縮物をさらに希釈して、例えば輸液を形成すると、濃度がより低くなることは明らかである。
本開示で使用される非経口製剤は、好ましくは、濃縮物の形態であり、
(A)0.05〜3.5mg/mL、好ましくは0.1〜2.0mg/mL、より好ましくは0.015〜1.5mg/mL、特に1.0mg/mLの濃度のシポニモド、
(B)50〜300mg/mL、好ましくは65〜200mg/mL、より好ましくは80〜150mg/mL、特に約100mg/mLの濃度のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、
(C)5〜200mg/mL、好ましくは10〜100mg/mL、より好ましくは20〜80mg/mL、特に30mg/mLの濃度のマンニトール、
(D)0.2〜2.0mg/mL、好ましくは0.3〜1.5mg/mL、より好ましくは0.4〜1.0mg/mL、さらにより好ましくは0.5〜0.8mg/mL、特に約0.60mg/mL、すなわち5mMの濃度の2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール、及び
(E)水
を含む。
製剤の保管条件:シポニモドフィルムコート錠並びに他の利用可能な錠剤及びカプセル製剤及び現場薬局で調製された経口溶液は、2〜8℃で冷蔵保存する必要がある。注入のための濃縮物は、2〜8℃で冷蔵保存すべきである。
臨床研究
臨床研究では、脳内出血(ICH)を有する患者においてプラセボと比較して、標準治療に加えて投与されるシポニモドの初期有効性及び安全性を調査する。これは、3つのエポック:スクリーニング/ベースライン、処置及びフォローアップ(図1を参照されたい)からなるICHの標準治療に加えて、シポニモドの無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間研究である。
1.目的及びエンドポイント
2.スクリーニング/ベースラインエポック
スクリーニング/ベースラインエポックは、ICHの発症時から24時間以下持続し、これは、患者がその正常な神経学的ベースラインにあることが最後に証明された時間として定義され、
・脳卒中の原因を決定するための初期診断神経画像研究(CT又はMRI)、
・症状におけるグラスゴー昏睡スケール(GCS、http://www.glasgowcomascale.org/)スコアの決定、
・現在の薬を含む病歴の取得、
・入院臨床研究、
・心電図(ECG)、
・閉経前の女性患者の妊娠検査、
・神経学的検査を含むバイタルサイン及び身体検査、及び
・症状におけるNIH脳卒中スケール(NIHSS、https://www.ninds.nih.gov/Stroke−Scales−and−Related−Information)スコアの決定
からなる。
3.処置エポック
全ての適格基準を満たす患者は、2つの処置群の1つに1:1の比で無作為に割り当てられる。処置は、可能な限り早く、ICHの発症後24時間以内に開始され、これは、患者が健康であることが最後に証明された時間として定義され、これは、イベント前の正常な神経学的ベースラインで機能していると定義される。
処置は、合計で14日間続く(図1を参照されたい)。
− 最終1日用量の10mg/日までの漸増を伴う7日間のi.v.シポニモド。7日間のi.v.注入処置中、全ての患者が処置病院の施設ガイドライン及び実務に従って嚥下安全性評価を受ける。
− 患者が嚥下安全性評価に合格した場合、7日間の10mgシポニモドp.o.QD。
− 嚥下安全性評価に合格しなかった患者は、処置のp.o.段階に移行せず、シポニモドは、7日目後に中止されるが、この患者は、研究を終了しない。これらの患者は、評価スケジュールの残りの間、継続して追跡される(表3)。
i.v.用量漸増
用量漸増スケジュールは、ICH患者における迅速で効果的なシポニモド濃度を達成するための治療的必要性とのバランスをとったシポニモドの心血管への効果の推定に基づき、ここで、予想される治療濃度の適時の達成が非常に重要である。
シポニモドi.v.投与レジメンは、次のとおりである。
・1日目:1日目の総用量の1.75mgについて、6時間にわたって0.25mg(×2)、次いで6時間にわたって0.5mg、次いで6時間にわたって0.75mg
・2日目:2日目の総用量の8.25mgについて、6時間にわたって1.25mg、次いで6時間にわたって2mg、次いで6時間にわたって2.5mg(×2)
・3日目〜7日目:10mgの1日総用量について、6時間にわたって2.5mg(×4)。
・患者が嚥下できる場合、8日目〜14日目の投与は、経口である。
i.v.漸増期における患者は、慎重にモニタリングされる。継続的な心臓モニタリングは、評価スケジュール(表4;以下を参照されたい)に示される日中の全ての患者の脳卒中ユニット/集中治療室の設定(テレメトリー又はベッドサイドモニタリング)で実施される。モニタリングは、シポニモドの第1の用量の1時間前から始まり、第1の用量の少なくとも48時間後まで継続される。継続的な心臓モニタリングは、治験責任医師及び/又は処置をする集中治療医の裁量で、ケースバイケースで長期にわたって行われる。心臓安全性モニタリングデータは、心調律評価(主に房室ブロック及び洞停止などの徐脈性不整脈)及びHR評価(徐脈)に使用される。シポニモド投与による徐脈及び/又は徐脈性不整脈は、典型的には投与の最初の48時間以内に発生し、本開示により特許請求されるシポニモドの漸増によりほぼ完全に排除される。徐脈が、顕著に症状を示すか若しくは処置をする集中治療医の判断で臨床状態として不適切である場合又は心調律異常(例えば、AVB又はSP)の場合、シポニモドのi.v.投与、i.v.注入は、中断される。
S1Pモジュレーターによる徐脈は、通常、良性で一過性であり、処置を必要としない(Schmouder et al.2012)。患者は、処置の継続が処置をする医師及び治験責任医師に許容され得るかを判断するために評価され(例えば、第1度又は第2度のAVブロック)、患者が症候性徐脈から回復すると処置が継続される。第3度のAVブロック及び/又は血行動態に影響を受けた患者の場合、処置は、再開されない。
治験責任医師又は処置をする集中治療医の意見で、臨床的に有意であり、介入が必要な任意の心拍数の低下(例えば、急性の精神状態の変化、進行中の重度の虚血性胸痛、うっ血性心不全、低血圧又はショックの他の兆候)は、標準的な医療実務に従って処置され、提案される処置には、(i)抗コリン薬(例えば、アトロピンの皮下又はi.v.)、又は(ii)ベータアゴニスト/交感神経刺激薬(例えば、ドーパミン又はエピネフリン)が含まれ得る。これらの投与は、処置をする集中治療医による望ましい臨床効果に関して個別化される。
経口用量
嚥下の安全性評価に合格した適格患者は、シポニモド10mg QDによる処置の7日間のp.o.段階を継続する。処置エポック中、全ての患者は、評価スケジュール(実施例セクションの表4)に従って研究固有の評価を受ける。
4.有効性/薬力学
4.1 臨床結果評価(COA)
4.1.1 修正ランキンスケール(mRS)
修正ランキンスケール(mRS)は、広く使用されている、臨床医により評価される計測手段であり、大半の保健当局によって現在の脳卒中帰結の標準評価と見なされている。これは、6段階の障害で構成され、スコアが高いほど重度の障害を示す(0=無症状、6=死亡)。
mRSの長所は、脳卒中後の活動及び参加におけるあらゆる制限を捕捉することである。スケールの評価者間信頼性は、中等度であり、構造的インタビューで大幅に改善し(0.56対0.78、Banks及びMarotta 2007)、この構造的アプローチは、本発明者らの研究で使用される(Wilson et al.2002、Wilson et al.2005)。mRSは、治験責任医師、研究看護師又は研究助手によって管理される。構造的mRSインタビューの管理におけるトレーニングは、必要に応じて施設の職員に提供され、習熟度の認定がモニタリングされ、一元的に記録される。この研究では、構造的mRSインタビューは、ビデオ録画され、中央独立審査委員会(Central Independent Adjudication Panel)に安全に転送され、評価される。個々の(評価者)mRSスコア(及びパネル平均)及び各インタビューのパネルコンセンサススコアが記録される。
ICHの90日後のmRSスコアは、この研究でシポニモドの有効性を測定するための主要エンドポイントである。
90日間のmRSスコアは、INTERACT2(Anderson et al.2013)、ATACH(Qureshi et al.2010)、SAMURAI−ICH(Koga et al.2014)及びENOS(ENOS Trial Investigators 2015)試験を含む多くの脳卒中研究のエンドポイントとして使用されている。さらに、mRSを使用した最近の研究(Murthy et al.2015)では、ICH後の早期PHE拡大と、30cc未満の大脳基底核出血における90日間の機能的帰結の不良との関連が見出されたが、これは、本開示の臨床試験のために選択された集団である。
4.1.2 NIHストロークスケール(NIHSS)
国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)は、急性脳卒中の神経学的影響を評価するために最も広く使用されている臨床的計測手段である(Lyden 2017)。NIHSSは、個別に採点された13個の項目からなり、最大の複合スコアは、42であり、スコアが高いほど脳卒中の重症度が高いことを示す。NIHSSは、調査員又は研究看護師によって管理される。NIHSSトレーニングの認定は、モニタリングされ、一元的に記録される。
ICHを有する患者は、多くの場合、脳卒中後の最初の数日以内に、初期血腫の拡大又はPHEの増加による早期の神経学的悪化(END)を経験する。
総末梢白血球数の増加(Sun et al.2012)及び絶対PHE体積の増大(Rodriguez−Luna et al.2016)の両方がENDと関連していることが示されている。様々な研究及び施設は、異なる評価スケール(GCS、NIHSS)を使用して、END基準をICH後の異なる時間枠(24時間〜7日間)で発生するものとして定義する。本開示の研究のために、ENDは、NIHSSが最初の症状とICH後7日目との間で4ポイント以上悪化することとして定義される。
5.安全性
5.1 心電図(ECG)
患者が脳卒中/集中治療室にいる数日間、全ての患者において、ベッドサイドモニタリングにより継続的な心臓モニタリングが実施される。心臓モニタリングは、投与の1時間前から最初の薬物投与の最大48時間後まで行われる。継続的な心臓モニタリングは、患者の病状に応じてケースバイケースで長期間にわたって行われる。表3に示す時点において、標準12誘導ECGが全ての患者に対して行われる。
心臓安全性モニタリングデータは、心調律評価(主に房室ブロック及び洞停止などの徐脈性不整脈:洞停止の頻度及び持続時間(>2秒))及び心拍数(HR)評価に使用される。
6.他の評価
6.1 CYP2C9遺伝子型判定
CYP2C9遺伝子型がシポニモドの薬物動態に影響を与えるかどうかを判断するために遺伝子型判定が実行される。
6.2 CTスキャン
磁気共鳴(MR)(Venkatasubramanian et al.2011)又はコンピューター断層撮影(CT)画像(Staykov et al.2011)のいずれかで評価された血腫周囲浮腫(PHE)の軌跡の研究は、その発達の平均的な経時変化に大部分が一致し、それは、ICH後7〜14日で増加してプラトーに達するというものである。VISTA−ICHアーカイブ(Murthy et al.,2015)からのデータの分析により、ICH後72時間以内の早期PHE拡大と、体積30cc以下の大脳基底核出血における90日間の機能的帰結の不良との関連が示された。
この研究では、初期診断CT後、診断スキャン(すなわちICHの標準治療)の24〜48時間後に繰り返しCT画像が取得され、ICH後の7日目及び14日目にICH後のPHE増加及びプラトーの軌跡を捕捉する。7及び14日目に非造影CTスキャンのみが取得される。分析では、最初のフォローアップ時(診断スキャンの24〜48時間後)に各患者について取得された非造影スキャンが使用される。ただし、標準的実務に従って通常起こるように、非造影スキャンを確実に取得することを超えて、初期及び最初のフォローアップスキャンの標準治療スキャンプロトコルを指示するものではない。
6.3 アクティグラフィー
脳卒中リハビリテーションを含む様々な神経障害及び筋骨格障害におけるウェアラブル又は外部モニタリングアクティグラフィーの使用が増えており、ウェアラブルデバイスは、患者の直接的なフィードバックを提供する場合もしない場合もあるが、機能的可動性及びリハビリテーションの結果を測定するために一層使用されている(Wang et al.2017)。アクティグラフィー装置は、腕時計に類似しており、軽量で耐水性があり、数日間連続して着用できる。機能的可動性をより高感度で、より自然な(例えば、家庭)設定で測定するために、本開示の研究の患者は、ICH後、14日目、30日目及び90日目前後に、手首に装着するアクティグラフィー装置をつける。
一般的用語
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む」及び「含有する」という言葉及びそれらの変形は、「含むが、それに限定されない」ことを意味し、他の部分、添加剤、成分、整数又はステップを除外することを意図しない(且つ除外しない)。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、文脈がそうでないことを要求しない限り、単数形は、複数形を包含する。特に不定冠詞が使用される場合、本明細書(この用語は、説明及び特許請求の範囲の両方を包含する)は、文脈がそうでないことを要求しない限り、複数性及び単数性を企図するものと理解されるべきである。
本開示の特定の態様、実施形態又は例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分又は基は、それと矛盾しない限り、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態又は例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書で開示される全ての特徴(添付の特許請求の範囲、要約及び図面の全てを含む)及び/又はそのように開示される方法又はプロセスの全てのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせ得る。本開示は、いずれの前述の実施形態の詳細にも限定されない。本開示は、本明細書で開示される全ての特徴(添付の特許請求の範囲、要約及び図面の全てを含む)の新規なもの全て若しくは新規な組み合わせ全て又はそのように開示される方法若しくはプロセスのステップの新規なもの全て若しくは新規な組み合わせ全てに拡張される。
「処置」という用語は、(1)状態、障害又は病状を患い得るか又はその素因があり得るが、状態、障害又は病状の臨床的又は無症候性の症状を依然として経験していないか又は示していない、動物、特に哺乳動物、特にヒトに発生する状態、障害又は病状の臨床症状の出現を防止又は遅延させること、(2)状態、障害又は病状を抑制すること(例えば、その臨床的又は無症候性の症状の少なくとも1つの維持処置の場合、疾患の発症又はその再発の阻止、軽減又は遅延)、及び/又は(3)病状を緩和すること(すなわち状態、障害又は病状又はその臨床的又は無症候性の症状の少なくとも1つの退縮を生じさせること)を含む。処置される患者にとっての利益は、統計的に有意であるか又は少なくとも患者若しくは医師にとって知覚可能である。しかしながら、疾患を処置するために薬剤が患者に投与される場合、帰結は、常に効果的な処置であるとは限らないことが理解されるであろう。脳卒中の処置の特定の状況において、最も好ましくは、処置は、ICH症状の発症時の後、可能な限り早く開始される。
「ICHの発症時」は、患者が最後に健康であることが証明された時間又は以前の神経学的状態が正常でない場合、患者がイベント前の神経学的ベースラインにあった時間として定義される。
本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」、「治療的処置」又は「処置すること」は、治療目的のために活性剤を投与することを指し、特に例えば炎症、浮腫形成及び他の脳卒中後の二次損傷の減少において臨床結果などの有益又は望ましい結果を得ることを意味する。
処置の一態様は、例えば、処置が患者に対して最小限の有害作用を有すべきであることであり、例えば、使用される薬剤は、例えば、陰性変時作用、肝酵素上昇又は過剰なリンパ球減少などの既知のS1P受容体モジュレーター処置レジメンの副作用を生じることなく、高レベルの安全性を有すべきである。
本明細書で使用される場合、「シポニモド処置の導入」という表現は、シポニモドの初期漸増レジメンを投与し、続いてそれぞれの維持レジメンを投与することを意味する。
本明細書で使用される場合、「用量」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。用量という用語は、一度に摂取する薬の特定の量を指し(例えば、第1の用量として投与される0.25mgのシポニモド)、薬の量は、その遊離形態の活性成分の重量に基づいて計算される。これは、1日に毎回(例えば、6時間ごと)患者が摂取するか又は投与される薬の量(amount)又は量(quantity)である。
本明細書で使用される場合、「第1の用量」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。シポニモドの「第1の用量」は、処置の1日目に最初に投与される用量である。
本明細書で使用される場合、「維持1日用量」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。シポニモドの「維持1日用量」は、本開示の処置方法のステップ(b)で投与される用量である。
本明細書で使用される場合、「投与レジメン」という用語は、ある期間にわたる薬物の投与パターンを具体的に示す処置計画を指す。投与レジメンは、疾患の処置に使用される特定の期間にわたる薬物の量並びにその投与の数及び頻度を定義する。投与レジメンを厳守することは、薬物の治療効果を達成し、治療を安全に維持するために重要である。ノンコンプライアンスの潜在的な結果は、治療効果の損失及び/又は有害事象のリスク増加である。投与レジメンは、例えば、ヒト用処方薬のラベル表示の「投与量と投与」セクション又は「薬量学と投与方法」セクションで説明される。
本明細書で使用される場合、「剤形」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。「剤形」という用語は、原薬と、ほぼ常に賦形剤、充填剤、香料、防腐剤、乳化剤などの他の成分とを含有する薬物製品の物理的特性(錠剤、カプセル、溶液など)を表す。剤形という用語は、単位用量を示す。剤形は、活性成分と不活性成分(賦形剤)との特定の配合において、特定の構成(例えば、カプセル、錠剤、軟膏、溶液、粉末など)で特定の用量に配分されて、使用目的で販売されている形態の薬物製品である。
本明細書で使用される場合、「AVブロック」という用語又は本明細書で使用される「AVB」という略語は、「房室ブロック」を意味する。
本明細書で使用される「SP」という略語は、洞房停止としても知られる「洞停止」を意味し、通常、心筋組織を刺激して収縮し、それにより心臓が鼓動させる電気的刺激の生成を心臓の洞房結節が一過性に停止する病状である。これは、2.0秒〜数分続くものと定義される。
「QT」という略語は、心臓の電気サイクルにおけるQ波の開始からT波の終了までの時間の尺度である。QTcfは、RRの立方根を使用した代替補正式であり、すなわちQTcF=(QT)/(RRの立方根)である。
本明細書で使用される場合、「PR率」という略語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。心電図では、PR間隔は、ミリ秒単位で測定される、P波の開始(心房脱分極の発生)からQRS群の開始(心室脱分極の発生)までの期間であり、通常、持続時間は、120〜200ミリ秒である。PR間隔は、PQ間隔と呼ばれることもある。
本明細書で使用される場合、「安静時心拍数」(RHR)という用語は、身体が完全に安静である間に1分間に発生する心臓の収縮の数を意味する。この数は、年齢、性別、人の一般的な健康状態によって異なる。
本明細書で使用される場合、「ベースライン心拍数」という用語は、慢性ベータ遮断薬処置下の心拍数などの他の心拍数と比較できる参照心拍数を意味する。典型的には、心拍数に影響する薬剤の不存在下におけるRHRは、ベースライン心拍数として機能する。本明細書で使用される場合、「徐脈」は、典型的にはRHR<50bpmを指す。本明細書で使用される場合、「HR」という略語は、「心拍数」を意味する。当業者は、典型的には心電計を使用してHRを測定するであろう。本明細書で使用される場合、「Emax」という表現は、対応する時間における時間平均HRのベースラインからの最大変化を意味する。
本明細書で使用される場合、「絶対血腫周囲浮腫体積(aPHE)」及び「相対血腫周囲浮腫体積」(rPHE)という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。相対血腫周囲(rPHE)体積は、絶対浮腫血腫周囲(aPHE)体積を血腫体積で割ったものとして定義され、単位のない比率変数が得られる。絶対浮腫体積は、当技術分野で知られるコンピューターを使った体積測定技術によって測定される。
本明細書で使用される場合、「ABC/2」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有する。ABC/2は、体積3D分析又はソフトウェアを必要としない脳内出血(又は他の楕円病変)の体積を推定するための高速で簡単な方法である。脳内出血体積は、罹患率及び死亡率(したがって治験適格性)の重要な予測因子であり、多くの場合、過小報告される。これは、十分に検証されており、面積測定法によって計算された体積と高度に相関する。ABC/2の計算式は、最初にKwak et al.(Kwak R,Kadoya S,Suzuki T.Factors affecting the prognosis in thalamic hemorrhage.Stroke.14(4):493−500)によって説明され、Kothari et al.(Kothari RU,Brott T,Broderick JP,Barsan WG,Sauerbeck LR,Zuccarello M,Khoury J.The ABCs of measuring intracerebral hemorrhage volumes.Stroke.27(8):1304−5)によって普及した。
式は、A×B×C/2であり、式中、
A=軸平面での最大出血直径
B=軸平面でAに対して90°での出血直径
C=元来、出血を伴うCTスライスの数にスライスの厚さを乗じたものとして説明されるが、多断面再設定を利用できる場合、出血の頭尾径と単純置換することができる。
測定がセンチメートル(cm)単位で行われる場合、体積は、立方センチメートル(cm)単位となる。上記の式は、楕円体の体積に関する式:4/3π×(A/2)×(B/2)×(C/2)を簡略化したものであり、式中、A、B及びCは、楕円体の3つの直径である。πが3と推定される場合、式は、ABC/2に簡略化できる。
本明細書で使用される場合、CYP2C9*2*3及びCYP2C9*2*3「低代謝群」又は「低代謝群遺伝子型」などの「CYP2C9*2*3低代謝群」又は「低代謝群」という用語は、シポニモド投与後、所定の薬物用量、例えば1日1回2mgのシポニモドで、正常な患者よりも有意に高い曝露を経験する患者を含む。低代謝群遺伝子型には、1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸の低代謝に関連するCYP2C9遺伝子型のサブタイプが含まれ得る。低代謝群遺伝子型には、CYP2C9*3*3及びCYP2C9*2*3遺伝子型、例えばCYP2C9*3*3遺伝子型が含まれる。
「医薬組成物」という用語は、本明細書では、特定の疾患又は病状を処置するため、特に脳卒中、特にICHを処置するために投与される少なくとも1つの活性剤(「活性成分」又は治療剤とも称される)を含有する混合物又は溶液を指すと定義される。別の実施形態において、「医薬組成物」という用語は、本明細書では、特定の疾患又は病状を予防するため、特にICHなどの脳卒中の発症又は発達又は進行を予防又は遅延させるために投与される少なくとも1つの活性剤(すなわち「活性成分」又は治療剤)を含有する混合物又は溶液を指すと定義される。医薬組成物は、経口又は局所投与などの特定の投与経路のために製剤化することができる。
本明細書で使用される場合、「共結晶」という用語は、非イオン結合及び非共有結合によって関連付けられ、一般に化学量論比にある同一の結晶格子内の2つ以上の異なる分子から構成される結晶材料を示す。製薬分野では、共結晶は、一般に、同一の結晶格子内の2つ以上の異なる分子、典型的には薬物及び共結晶形成剤(「共形成剤」)から構成される結晶材料として定義される。共結晶は、塩と異なり、その成分が中性状態にあり、非イオン的に相互作用するため、容易に塩と区別される。さらに、共結晶は、結晶格子、非晶質形態並びに溶媒和物及び水和物形態などの多成分相における分子の配置又は立体構造が異なる単一成分結晶形態のみを含むと定義される多形体と異なる。代わりに、共結晶は、両方とも格子内に2つ以上の成分を含んでいるという点で溶媒和物により類似している。物理化学の観点から、共結晶は、溶媒和物及び水和物の特別な場合であると見ることができ、ここで、第2の成分である共形成剤は、不揮発性である。したがって、共結晶は、第2の成分が不揮発性である溶媒和物の特別な場合として分類される。共結晶は、薬物製品のバイオアベイラビリティ及び安定性を高め、薬物製品の製造中に活性医薬成分(API)の加工性を高めるために調整できる。好ましい実施形態では、シポニモドは、共結晶の形態で製剤に添加される。
本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。シポニモドの薬学的に許容される塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩及び硫酸塩などの無機酸との塩、酢酸塩、フマル酸塩、ヘミフマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩などの有機酸との塩又は適切な場合、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びアルミニウムなどの金属との塩、トリエチルアミンなどのアミンとの塩並びにリジンなどの二塩基性アミノ酸との塩が含まれる。好ましい実施形態では、シポニモドは、ヘミフマル酸塩の形態である。本発明の組み合わせの化合物及び塩は、水和物及び溶媒和物の形態を包含する。好ましい実施形態では、シポニモドは、フマル酸との酸付加生成物の形態で製剤に添加される。
本明細書で使用される場合、「組み合わせ」、「薬学的組み合わせ」、「固定組み合わせ」、「非固定組み合わせ」、「共投与」、「併用投与」等の用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、好ましい実施形態は、本明細書で定義されるとおりである。本明細書で使用される場合、「薬学的組み合わせ」という用語は、2つ以上の活性成分の混合又は組み合わせから生じる製品を意味し、活性成分の固定及び非固定の両方の組み合わせを含む。「固定組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の化合物及び助剤が両方、単一の実体又は投与量の形態で同時に患者に投与されることを意味する。「固定組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の化合物及び助剤が両方、別個の実体として、同時に、併用して又は特定の時間制限なしで連続して患者に投与されることを意味し、ここで、そのような投与は、患者の体内で治療的有効レベルの2つの化合物を提供する。後者は、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも適用される。
以下の実施例は、本開示の範囲を限定することなく本開示を説明するのに役立つ一方、それらは、本開示の反応ステップ、中間体及び/又はプロセスの好ましい実施形態を表す。
1.シポニモドの非経口製剤の調製
実施例1:884.2gのトレハロースを18000mLのmilliQ水に加え、完全に溶解するまで混合物を撹拌した。12.0gの2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス、トロメタモール)を加え、完全に溶解するまで混合物を撹拌した。100gのポリオキシエチレン(20)−ソルビタン−モノオレエート(Tween80、Polysorbat80)を加え、完全に溶解するまで混合物を撹拌した。5.56g(正確に秤量)のヘミフマル酸シポニモドを加え、完全に溶解するまで混合物を撹拌した。溶液のpHを8.0±0.1の値に調整した。総重量が20.28gになるまでMilliQ水を加え、混合物を撹拌して均一な溶液を得た。溶液を0.22μmPVDFフィルターでろ過し、ろ液の最初の5000mLを廃棄した。溶液を6R透明バイアルに充填した。
生成物を以下のサイクルに従って凍結乾燥した。
凍結乾燥サイクルのパラメーター:シポニモド製剤の凍結乾燥プログラム
再構成のために注射用水が使用された。
実施例2:250mLのmilliQ水を適切なガラス瓶に移し、50gのヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンを加えた。混合物を500rpmで30分間撹拌し、透明な溶液が形成された。556mg(正確に秤量)の1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸/フマル酸(2:1)共結晶を加え、混合物を500rpmで15分間撹拌し、懸濁液が形成された。305mgの2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス、トロメタモール)を加え、混合物を500rpmで60分間撹拌し、7.897のpH値を有する透明な溶液が形成された。250μlの1N NaOHを加え、500rpmで2分間撹拌した後、7.983のpH値を有する透明な溶液が形成された。15gのマンニトールを加え、混合物を500rpmで15分間撹拌し、透明な溶液が形成された。MilliQ水を加えて、8.015のpH値を有する透明な溶液500mLとした。溶液を0.22μmPVDFフィルターでろ過し、ろ液の最初の20mLを廃棄した。溶液を6R透明バイアルに充填した。6mLの琥珀色のガラスバイアル及び灰色のゴムストッパー、アルミニウムフリップオフキャップのnature/natureは、充填前に30分間121℃でオートクレーブされていた。バイアルは、使用するまで2〜8℃で保管され、各バイアルは、以下を含有する。
実施例3:250mLのmilliQ水を適切なガラス瓶に移し、50gのヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンを加えた。混合物を500rpmで30分間撹拌し、透明な溶液が形成された。556mg(正確に秤量)の1−{4−[(1E)−N−{[4−シクロヘキシル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}エタンイミドイル]−2−エチルベンジル}−3−アゼチジンカルボン酸/フマル酸(2:1)共結晶を加え、混合物を500rpmで15分間撹拌し、懸濁液が形成された。305mgの2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール(トリス、トロメタモール)を加え、混合物を500rpmで60分間撹拌し、7.878のpH値を有する透明な溶液が形成された。250μlの1N NaOHを加え、500rpmで2分間撹拌した後、7.997のpH値を有する透明な溶液が形成された。3gの塩化ナトリウムを加え、混合物を500rpmで15分間撹拌し、pH値8.112の透明な溶液が形成された。220μlの1N HClを加え、500rpmで10分間撹拌した後、8.004のpH値を有する透明な溶液が形成された。MilliQ水を、8.002のpH値を有する透明な溶液500mLが形成されるまで加えた。溶液を0.22μmPVDFフィルターでろ過し、ろ液の最初の20mLを廃棄した。溶液を6R透明バイアルに充填した。6mLの琥珀色のガラスバイアル及び灰色のゴムストッパー、アルミニウムフリップオフキャップのnature/natureは、充填前に30分間121℃でオートクレーブされていた。バイアルは、使用するまで2〜8℃で保管され、各バイアルは、以下を含有する。
2.臨床研究
以前に実施された健康なボランティアにおける最大1mg/24時間の絶対バイオアベイラビリティ研究では、投与のi.v.経路が使用された(CBAF312A2126)。ヒトにおけるi.v.経路の安全性は、ウサギにおける局所耐性研究並びにi.v.(ボーラス)経路を使用したモルモット、ラット及びウサギの心血管安全性研究により裏付けられた。Cmaxに関連する一過性の心血管効果(予想される薬理学に沿ったもの)は、i.v.心血管安全性研究において特定され、経口経路で特定された効果と類似していた。
1.研究の目的
1.1.主要目的
主要目的は、ICHの90日後に修正ランキンスケール(mRS)スコアで測定される全体機能を改善における、プラセボと比較したシポニモドの毎日の投与を伴う2週間の処置(漸増を伴う7日間のi.v.後、7日間のp.o.)の有効性を示すことである。
1.2.副次的目的
最初の重要な副次的目的は、ICHに罹患している患者におけるシポニモドの安全性を実証することである。この副次的目的に関するエンドポイントは、研究の過程(90日間)での有害作用/重大な有害作用(AE/SAE)の継続的な評価である。
1.3.探索的目標は、以下を含む。
− ICH後7日目に、プラセボとシポニモドとの間において、4ポイント以上悪化する国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS又は派生mNIHSS)として定義される初期の神経学的悪化(END)を比較すること。この探索的目標に関するエンドポイントは、1〜7日目のNIHSSの測定値である。
− 絶対体積(aPHE)及び相対体積(rPHE)の両方で、血腫周囲浮腫(PHE)の発生について、ICH(標準治療)後24〜48時間及びICH後7〜14日目(研究評価)にCT神経画像で測定されるシポニモドの有効性を実証すること。この探索的目的に関するエンドポイントは、入院時のCTスキャン(標準治療)、初期スキャンの24〜48時間後(標準治療)、7日目(研究)及び14日目(研究)である。
− mRSスコアの変化を使用して、14日目〜90日目の回復の軌跡を測定すること。この探索的目的に関するエンドポイントは、14、30及び90日目の修正ランキンスケール(mRS)である。
− 90日目にNIHSSによって測定されたICHでのシポニモドの有効性を実証すること。この探索的目的に関するエンドポイントは、90日目のNIHSSの測定値である。
2.集団
研究集団は、以下に列挙した適格基準を満たすICHによる脳卒中を有する成人患者から構成される。処置群あたりおよそ50人の患者(合計100人の患者)が無作為化され、ここで、およそ80%の完了者を有するように、予想脱落率は、およそ20%(90日目)であった。
2.1.選択基準 除外基準
この研究に含めるのに適格なICH患者は、以下の基準を全て満たす。
2.1.1.18〜80歳(端点を含む)の男性又は女性の患者。
2.1.2.研究評価を実施する前に書面によるインフォームドコンセントを取得した。
2.1.3.患者がインフォームドコンセントを個人的に提供することができない場合、親戚又は法定代理人による同意が受け入れられる。
2.1.4.深部脳構造(被殻、視床、尾状核及び関連する深部白質路)にあり、定期的な臨床MRI又はCTによって決定される、10mL以上且つ30mL以下(Kothari et al 1996後のABC/2法により計算される)の体積を有する突発性のテント上脳内出血。
2.1.5.24時間前以内に事前に健康であることが証明/最終的に確認された、ICHの発症を有する患者。
2.1.6.グラスゴー昏睡スケール(GCS)の最高運動スコアが6以上である患者。
2.2.除外基準
以下の基準のいずれかを満たすICH患者は、この研究に含めるのに適格でない。登録から半減期5回以内又は予想される薬力学的効果がベースラインに戻るまで(生物製剤の場合)のいずれか長い方での他の治験薬の使用。
2.2.1.被験薬のいずれか又は類似の化学的分類の薬物(例えば、フィンゴリモド)に対する過敏症の既往歴。
2.2.2.強力なCYP2C9/3A4阻害又は誘導の可能性がある併用薬の現在の使用。
2.2.3.スクリーニング時の機械的換気の必要性。
2.2.4.テント下(中脳、脳橋、髄質又は小脳)又は表層皮質(小葉)ICH。
2.2.5.初診時における外科的血腫除去又は他の緊急の外科的介入(すなわち上昇した頭蓋内圧の外科的緩和)の対象。処置期間中に頭蓋内圧を下げるための外科的血腫除去又は外科的介入が指示された場合、治験薬は、中止されるべきである。
2.2.6.初期症状で水頭症を伴う又は伴わない脳室内血腫拡大を有する患者。
2.2.7.二次ICHは、以下に起因する。
− 動脈瘤
− 脳腫瘍
− 動静脈奇形
− 150,000/μl未満の血小板数で定義される血小板減少症
− 凝血障害の既往歴
− 急性敗血症
− 外傷性脳損傷(TBI)
− 播種性血管内凝固(DIC)
2.2.8.mRS評価を損なう他の疾患による以前の障害であって、それにより主要転帰に干渉し、ICH前の3以上の推定mRSスコア(既往歴による)として運用上定義されるもの。
2.2.9.既存の不安定なてんかん。
2.2.10.活動性で全身性の細菌、ウイルス又は真菌感染症の患者。
2.2.11.併用薬関連の除外基準:
− 静脈内免疫グロブリン、免疫抑制剤及び/又は化学療法薬。
− 無作為化の2ヶ月前以内の中等度の免疫抑制薬(例えば、アザチオプリン、メトトレキサート)及び/又はフィンゴリモド。
− 無作為化の6ヶ月前(最低)以内又は治験責任医師により決定される長期持続性免疫抑制薬ではより長い期間以内の長期持続性の免疫抑制薬(例えば、シクロホスファミド、免疫抑制mAb)
2.2.12.心血管除外基準:
− 洞停止若しくは洞房ブロック、心拍数50bpm未満、洞不全症候群、Mobitz Type II第2度AVブロック若しくはそれより高いグレードのAVブロック又は既存の心房細動(既往歴によるか、スクリーニングで観察される)を含む心伝導又は心調律障害
− PR間隔>220ミリ秒。スクリーニング心電図(ECG)における、男性で450ミリ秒超又は女性で470ミリ秒超のQT延長症候群又はQTcF延長。
− 長い半減期を有するQT延長薬(例えば、アミオダロン)で処置を受けている患者。
2.2.13.無作為化前の以下の異常な検査値のいずれか:
− 白血球(WBC)カウント<2,000/μl(<2.0×109/L)
− リンパ球数<800/μl(<0.8×109/L)
2.2.14.妊娠又は保育中(授乳中)の女性。ここで、妊娠は、受胎後、妊娠終了までの女性の状態として定義され、hCG臨床検査の陽性で確認される。
2.2.15.他の医学的に不安定な状態又は治験責任医師によって決定された重大な検査所見の異常を有する患者。
2.3.禁止処置
表3−1に示す薬剤の使用は、免疫抑制のリスクの増加、有効性の交絡及び/又は研究処置との潜在的な相互作用のため、シポニモドによる処置中は、許可されない(NB:CYP2C9及びCYP3A4は、シポニモドの主要な代謝酵素である)。
強力なCYP2C9及びCYP3A4阻害剤のみがシポニモド曝露に有意な影響を与える可能性があり、肝臓イベントを回避又は最小化するため、シポニモドと共投与すべきでない。CYP2C9/CYP3A4の誘導による曝露不足の場合にシポニモドの有効性が低下する可能性を回避するために、強力なCYP2C9及び/又はCYP3A4誘導剤をシポニモドと共投与すべきでない(局所使用が許可されていることに注意されたい)。
3.研究設計
これは、3つのエポック:スクリーニング/ベースライン、処置及びフォローアップ(図1を参照されたい)からなるICHの標準治療に加えて、シポニモドの無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間研究である。
3.1.スクリーニング/ベースラインエポック
スクリーニング/ベースラインエポックは、ICHの発症時から24時間以下持続し、これは、患者がその正常な神経学的ベースラインにあることが最後に証明された時間として定義され、
− 脳卒中の原因を決定するための初期診断神経画像研究(CT又はMRI)、
− インフォームドコンセントの取得、
− 症状におけるグラスゴー昏睡スケール(GCS)スコアの決定、
− 現在の薬を含む病歴の取得、
−入院臨床研究、
− 心電図(ECG)、
− 閉経前の女性患者の妊娠検査、
− 神経学的検査を含むバイタルサイン及び身体検査、及び
− 症状におけるNIH脳卒中スケール(NIHSS)スコアの決定
からなる。
3.2.処置エポック
全ての適格基準を満たす患者は、2つの処置群の1つに1:1の比で無作為に割り当てられる。処置は、可能な限り早く、且つICH後24時間以内に開始され、これは、患者が健康であることが最後に証明された時間として定義され、これは、イベント前の正常な神経学的ベースラインで機能していると定義される。
処置は、合計で14日間続く(図1を参照されたい)。
− 最終1日用量の10mg/日までの漸増を伴う7日間のi.v.シポニモド。
− 7日間のi.v.注入処置中、全ての患者は、処置病院の施設ガイドライン及び実務に従って嚥下安全性評価を受ける。
− 患者が嚥下安全性評価に合格した場合、7日間の10mgシポニモドp.o.QD。
− 嚥下安全性評価に合格しなかった患者は、処置のp.o.段階に移行せず、シポニモドは、7日目後に中止するが、この患者は、研究を終了しない。これらの患者は、評価スケジュールの残りの間、継続して追跡される。
i.v.用量漸増
用量漸増スケジュールは、ICH患者における迅速で効果的なシポニモド濃度を達成するための治療的必要性とのバランスをとったシポニモドの心血管への効果の推定に基づき、ここで、予想される治療濃度の適時の達成が非常に重要であり得る。
シポニモドi.v.漸増スケジュールは、次のとおりである。
− 1日目:1日目の総用量の1.75mgについて、6時間にわたって0.25mg(×2)、次いで6時間にわたって0.5mg、次いで6時間にわたって0.75mg
− 2日目:2日目の総用量の8.25mgについて、6時間にわたって1.25mg、次いで6時間にわたって2mg、次いで6時間にわたって2.5mg(×2)
− 3〜7日目:10mgの1日総用量について、6時間にわたって2.5mg(×4)。
i.v.漸増期における患者は、慎重にモニタリングされる。脳卒中ユニット/集中治療室(ICU)の設定における継続的CVテレメトリーによって促進されるHR及び心調律のモニタリングに特別な注意が払われる。症候性徐脈又は心調律異常(例えば、房室ブロック又は洞停止)の場合、治験責任医師は、用量の延期/スキップを検討すべきである。これらの予め定義された条件下では、用量は、延期又はスキップされ得るが、連続して2回を超えない。患者が処置の7日間のi.v段階を完了すると、患者は、自宅へと退院するか、又は治験責任医師及び/又は処置をする医師の裁量でリハビリテーション施設に移送され得る。
7日間のi.v.注入処置中、全ての患者が嚥下安全性評価を受ける。処置病院の施設ガイドライン及び実務に従う嚥下安全性評価に合格しなかったICH患者は、処置のp.o.段階に移行されず、シポニモドは、7日目後に中止される。
S1Pモジュレーターによる徐脈は、通常、良性で一過性であり、処置を必要としない(Schmouder et al.2012)。患者は、処置の継続が処置をする医師及び治験責任医師に許容され得るかを判断するために評価され(例えば、第1度又は第2度のAVブロック)、患者が症候性徐脈から回復すると処置が継続される。第3度のAVブロック及び/又は血行動態に影響を受けた患者の場合、処置は、再開されない。
治験責任医師又は処置をする集中治療医の意見で、臨床的に有意であり、介入が必要な任意の心拍数の低下(例えば、急性の精神状態の変化、進行中の重度の虚血性胸痛、うっ血性心不全、低血圧又はショックの他の兆候)は、標準的な医療実務に従って処置され、提案される処置には、(i)抗コリン薬(例えば、アトロピンの皮下又はi.v.)、又は(ii)ベータアゴニスト/交感神経刺激薬(例えば、ドーパミン又はエピネフリン)が含まれ得る。これらの投与は、処置をする集中治療医による望ましい臨床効果に関して個別化される。
経口用量
嚥下の安全性評価に合格した適格患者は、シポニモド10mg QD(1日用量)による処置の7日間のp.o.段階を継続する。処置エポック中、全ての患者は、評価スケジュール(表4)に従って研究固有の評価を受ける。
フォローアップエポック
患者は、評価スケジュールに従い、ICU又は入院患者病棟から退院した後、予定された外来患者(又は依然としてリハビリテーション施設にいる場合には入院患者)のフォローアップ訪問に戻る。フォローアップエポックは、ICH後90日目まで続く。
4.研究処置
4.1.治験薬及び対照薬
4.2.追加の研究処置
全ての患者は、AHA/ASA(Hemphill et al.2015)及びESOガイドライン(Steiner et al.2014)に従い、ICHを有する患者のための標準処置及び標準治療を受ける。この試験では、治験薬以外の追加処置は必要でない。研究中、一般脳卒中ユニット/集中治療室の管理は、併用薬eCRFに記録する必要がある。ICH後のリハビリテーション、日付及び治療セッションも同じCRFに記録されるべきである。
4.3.処置群
患者は、次の2つの処置群の1つに1:1の比で割り当てられる。
研究処置は、次のように定義される。
シポニモド
− 1日目:i.v.1日目の総用量の1.75mgについて、6時間にわたって0.25mg(×2)、次いで6時間にわたって0.5mg、次いで6時間にわたって0.75mg
− 2日目:i.v.2日目の総用量の8.25mgについて、6時間にわたって1.25mg、次いで6時間にわたって2mg、次いで6時間にわたって2.5mg(×2)
− 3日目〜7日目:i.v.10mgの1日総用量について、6時間にわたって2.5mg(×4)
− 8〜14日目;10mg p.o.QD、又は
プラセボ
− 1〜7日目:対応するI.V.プラセボ
− 8〜14日目;対応するp.o.プラセボ
5.有効性/薬力学
5.1 臨床結果評価(COA)
5.1.1 修正ランキンスケール(mRS)
修正ランキンスケール(mRS)は、広く使用されている、臨床医により評価される計測手段であり、大半の保健当局によって現在の脳卒中帰結の標準評価と見なされている。これは、6段階の障害で構成され、スコアが高いほど重度の障害を示す(0=無症状、6=死亡)。
mRSの長所は、脳卒中後の活動及び参加におけるあらゆる制限を捕捉することである。スケールの評価者間信頼性は、中等度であり、構造的インタビューで大幅に改善し(0.56対0.78、Banks及びMarotta 2007)、この構造的アプローチは、本発明者らの研究で使用される(Wilson et al 2002、Wilson et al 2005)。mRSは、治験責任医師、研究看護師及び研究助手によって管理することができる。構造的mRSインタビューの管理におけるトレーニングは、必要に応じて施設の職員に提供され、習熟度の認定がモニタリングされ、一元的に記録される。この研究では、構造的mRSインタビューは、ビデオ録画され、中央独立審査委員会に安全に転送され、評価される。個々の(評価者)mRSスコア(及びパネル平均)及び各インタビューのパネルコンセンサススコアが記録される。
ICHの90日後のmRSスコアは、この研究でシポニモドの有効性を測定するための主要エンドポイントである。
90日間のmRSスコアは、INTERACT2(Anderson et al 2013)、ATACH(Qureshi et al 2010)、SAMURAI−ICH(Koga et al 2014)及びENOS(ENOS Trial Investigators 2015)試験を含む多くの脳卒中研究のエンドポイントとして使用されている。さらに、mRSを使用した最近の研究(Murthy et al 2015)では、ICH後の早期PHE拡大と、30cc未満の大脳基底核出血における90日間の機能的帰結の不良との関連が見出されたが、これは、本開示の臨床試験のために選択された集団である。
5.1.2 NIHストロークスケール(NIHSS)
国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)は、急性脳卒中の神経学的影響を評価するために最も広く使用されている臨床的計測手段である(Lyden 2017)。NIHSSは、個別に採点された13個の項目からなり、最大の複合スコアは、42であり、スコアが高いほど脳卒中の重症度が高いことを示す。NIHSSは、調査員又は研究看護師によって管理される。NIHSSトレーニングの認定は、モニタリングされ、一元的に記録される。
ICHを有する患者は、多くの場合、脳卒中後の最初の数日以内に、初期血腫の拡大又はPHEの増加による早期の神経学的悪化(END)を経験する。
総末梢白血球数の増加(Sun et al 2012)及び絶対PHE体積の増大(Rodriguez−Luna et al 2016)の両方がENDと関連していることが示されている。様々な研究及び施設は、異なる評価スケール(GCS、NIHSS)を使用して、END基準をICH後の異なる時間枠(24時間〜7日間)で発生するものとして定義する。本開示の研究のために、ENDは、NIHSSが最初の症状とICH後7日目との間で4ポイント以上悪化することとして定義される。
6.安全性
6.1 心電図(ECG)
患者が脳卒中/集中治療室にいる数日間、全ての患者において、ベッドサイドモニタリングにより継続的な心臓モニタリングが実施される。心臓モニタリングは、投与の1時間前から最初の薬物投与の最大48時間後まで行われる。継続的な心臓モニタリングは、患者の病状に応じてケースバイケースで長期間にわたって行われる。表4に示す時点において、標準12誘導ECGが全ての患者に対して行われる。
心臓安全性モニタリングデータは、心調律評価(主に房室ブロック及び洞停止などの徐脈性不整脈:洞停止の頻度及び持続時間(>2秒))及び心拍数(HR)評価に使用される。
7.他の評価
7.1 CYP2C9遺伝子型判定
CYP2C9遺伝子型がシポニモドの薬物動態に影響を与えるかどうかを判断するために遺伝子型判定が実行される。
7.2 CTスキャン
磁気共鳴(MR)(Venkatasubramanian et al.2011)又はコンピューター断層撮影(CT)画像(Staykov et al.2011)のいずれかで評価された血腫周囲浮腫(PHE)の軌跡の研究は、その発達の平均的な経時変化に大部分が一致し、それは、ICH後7〜14日で増加してプラトーに達するというものである。VISTA−ICHアーカイブ、Murthy et al(2015)からのデータの分析により、ICH後72時間以内の早期PHE拡大と、体積30cc以下の大脳基底核出血における90日間の機能的帰結の不良との関連が示された。
この研究では、初期診断CT後、診断スキャン(すなわちICHの標準治療)の24〜48時間後に繰り返しCT画像が取得され、ICH後の7日目及び14日目にICH後のPHE増加及びプラトーの軌跡を捕捉する。7及び14日目に非造影CTスキャンのみが取得される。分析では、最初のフォローアップ時(診断スキャンの24〜48時間後)に各患者について取得された非造影スキャンが使用される。ただし、標準的実務に従って通常起こるように、非造影スキャンを確実に取得することを超えて、初期及び最初のフォローアップスキャンの標準治療スキャンプロトコルを指示するものではない。
7.3 アクティグラフィー
脳卒中リハビリテーションを含む様々な神経障害及び筋骨格障害におけるウェアラブル又は外部モニタリングアクティグラフィーの使用が増えており、ウェアラブルデバイスは、患者の直接的なフィードバックを提供する場合もしない場合もあるが、機能的可動性及びリハビリテーションの結果を測定するために一層使用されている(Wang et al.2017)。アクティグラフィー装置は、腕時計に類似しており、軽量で耐水性があり、数日間連続して着用できる。機能的可動性をより高感度で、より自然な(例えば、家庭)設定で測定するために、患者は、ICH後、14日目、30日目及び90日目前後に、手首に装着するアクティグラフィー装置をつける。
8.結果
上記のシポニモド投与レジメン、すなわちシポニモドの毎日の投与を伴う2週間の処置(漸増を伴う7日間のi.v.後、7日間のp.o.)は、プラセボと比較して、ICHの90日後に修正ランキンスケール(mRS)スコアで測定される全体機能を改善し、且つ/又はシポニモド処置の開始後24時間〜14日で血腫周囲浮腫(PHE)の発達を減少させ、且つ/又は患部の機能的可動性を改善する。

Claims (11)

  1. 脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法であって、
    (a)第1の静脈内投与量から開始して計算された96時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量を前記対象に静脈内投与するステップであって、
    (i)前記第1の投与量は、0.25mg以上且つ1.25mg以下であり、
    (ii)前記第1の用量後に投与される前記1つ以上の連続用量の各用量は、直前の投与量以上且つ直後の投与量以下であり、
    (iii)連続した24時間の期間にわたって投与された前記連続用量の合計は、維持1日用量よりも少ない、ステップと、続いて、
    (b)シポニモドの維持1日用量を少なくとも2日間の維持期間にわたって投与するステップであって、
    (i)前記維持1日用量は、2mg以上且つ20mg以下のシポニモドである、ステップと
    を含む方法。
  2. ステップ(a)の前記第1の投与量は、0.25mgである、請求項1に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  3. ステップ(b)の前記維持1日用量は、10mgのシポニモドである、請求項1又は2に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  4. ステップ(a)の連続用量がある増量で増加される場合、前記増量は、修正フィボナッチ数列によって決定され、すなわち、与えられる用量は、2つの直前の用量の合計±40%、例えば±35%、例えば±30%、例えば±20%、例えば約±23%又は例えば±10%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  5. ステップ(b)で投与されるシポニモドの前記維持1日用量は、少なくとも3日間、例えば5日間の維持期間にわたって投与される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  6. ステップ(b)におけるシポニモドの前記維持1日用量の前記投与は、第1段階において静脈内投与によって行われ、且つ第2段階において経口投与によって行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  7. (a)第1の静脈内投与量から開始して計算された48時間にわたり、シポニモドの複数の連続用量を前記対象に静脈内投与するステップであって、
    − 1日目において、投与量は、1日目の合計用量の1.75mgについて、6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.25mg、次いで6時間にわたって0.5mg及び次いで6時間にわたって0.75mgであり、及び
    − 2日目において、投与量は、2日目の合計用量の8.25mgについて、6時間にわたって1.25mg、次いで6時間にわたって2mg、次いで6時間にわたって2.5mg及び次いで6時間にわたって2.5mgである、ステップと、
    (b)3日目〜7日目において、1日維持用量の10mgのシポニモドを静脈内投与し、且つ任意選択により、8日目以降、好ましくは8日目〜14日目において、1日維持用量の10mgのシポニモドを経口投与するステップと、
    (c)任意選択により、シポニモドの第1の用量の投与から開始して計算された少なくとも最初の24時間にわたり、好ましくは少なくとも最初の48時間にわたり、心血管テレメトリーを介して、それを必要とする前記ヒト対象を継続的にモニタリングするステップと
    を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  8. シポニモドを含有する投与されるi.v.組成物は、シポニモドを含有する濃縮物を希釈することによって直接得られ、前記濃縮物は、
    (i)液体の形態であり、
    (ii)1mg/mLのシポニモドを含有し、及び
    (iii)7重量%〜13重量%の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、緩衝剤及び任意選択により等張化剤を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  9. シポニモドが経口投与される場合、シポニモドは、フマル酸との共結晶の形態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象の脳卒中を処置する方法。
  10. 脳卒中は、脳内出血(ICH)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の脳卒中に罹患しているヒト対象を処置する方法。
  11. 脳卒中、好ましくはICHに罹患しているヒト対象の全体機能を改善する方法であって、
    (a)第1の静脈内投与量から開始して計算された96時間以下の期間にわたり、シポニモドの複数の連続用量を前記対象に静脈内投与するステップであって、
    (i)前記第1の投与量は、0.25mg以上且つ1.25mg以下であり、
    (ii)前記第1の用量後に投与される前記1つ以上の連続用量の各用量は、直前の投与量以上且つ直後の投与量以下であり、
    (iii)連続した24時間の期間にわたって投与された前記連続用量の合計は、維持1日用量よりも少ない、ステップと、続いて、
    (b)シポニモドの維持1日用量を少なくとも2日間の維持期間にわたって投与するステップであって、前記維持1日用量は、2mg以上且つ20mg以下のシポニモドである、ステップと
    を含む方法。
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