JP2020534257A - 歯科材料 - Google Patents

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Abstract

本発明は、熱硬化メタクリレートベースポリマーと、ナノ結晶セルロースとを含み、ナノ結晶セルロースは疎水性の改質がされている歯科材料に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、メタクリレートベースポリマーを含む歯科材料に関する。
歯科用接着剤の主な機能は、虫歯の除去後に充填しなければならない時に、象牙質の表面に歯科用充填材を付着させることである。しかし、良く知られている一般的なメタクリレートベースの歯科用接着剤は、象牙質が親水性であるため象牙質の構造に長期間耐久性のある付着をさせることについて、いくつかの問題を抱えている。接着剤は弾力性に欠ける可能性があり、その結果、歯科用充填材に全体的な亀裂を生じる可能性がある。従って、公知の従来の接着剤よりも優れた長期特性を有する歯科用接着剤を提供する必要がある。
象牙質は歯の主要成分であり、保護エナメル層の下に存在する。歯根部では、セメント質によって支えられており、歯根膜と呼ばれる膜で腔表に取り付けられている。さらに、象牙質は歯髄で満たされた歯髄腔(pulp cavity)と呼ばれる空間の周囲にある。象牙質はエナメル質に類似している一般的な生体組織であり、エナメル質組織に比べて濃度が低い無機質から形成されている。
象牙質の組成は重量換算で、無機質68%、有機物21%、水11%である。無機質はヒドロキシアパタイト結晶であり、象牙質の有機物含有量は、90%のコラーゲンと10%非コラーゲンで、特に、タンパク質、脂質、増殖因子及び酵素が含まれる。
実際、象牙質は複雑な構造をしており、異なる種類の象牙質のタイプによって組成が特定されうる。象牙質の周囲の外層は、象牙質の大部分を形成する髄周象牙質(circumpulpal dentin)よりも鉱質化されておらず、髄周象牙質は象牙質の大部分を占め、新しい象牙質を作り続けている象牙芽細胞(odontoblasts)を含む。
しかしながら、髄周象牙質層は均一ではなく、さらに、管間象牙質(intertubular dentin)と管周象牙質(peritubular dentin)から構成されることが特徴である。管間象牙質は、その細胞外有機物マトリックスが主に繊維状タンパク質コラーゲンI型であることから、髄周象牙質の基本的な部分である。
セルロースは生物性ポリマーであり、植物から細菌、藻類までさまざまな異なるソースから見つけることができる。持続可能な由来並びに高い強度と比較的低い密度と相まって剛性があることから、セルロースは過去数十年にわたって広く研究されてきた。特に、ナノフィブリルセルロース(NFCs)とナノ結晶セルロース(CNCs:以下、CNCs又はCNCと表記する。)にさらに分類できるナノセルロースは、さまざまな生物医学アプリケーションで補強材および改質プラットフォームとして使用できる可能性を示している。
一般に、ナノメートルスケールの独立したセルロース構造は、ナノセルロースと定義される。文献には、ウィスカ、ナノクリスタル、ナノ粒子、ナノファイバー、マイクロクリスタライト、マイクロクリスタルなど、CNCsの呼称がいくつか記載がある。
特許文献1(米国公報US 2011/20175)には、ナノ結晶セルロースをベースにした熱可塑性ナノ複合材料が開示されている。しかし、特許文献1には、ナノ結晶セルロースと組み合わされたいかなる熱硬化ポリマーも示されていない。
米国公開公報US 2011/201755号
以上より、本発明の目的は、先行技術の問題を少なくとも部分的に克服する歯科材料を提供することである。実際、親水性と疎水性の両方の性質を有し、従って象牙質の構造および従来の歯科用充填材に付着することができる歯科材料を提供することを目的とする。
図1は、精製CNCsと改質CNCsのFTIRスペクトルを示す。 図2は、ヤング率の値に対するmCNCsの量の影響を示す。 図3は、ヤング率の値に対するTEGDMAの影響を示す。 図4は、ヤング率の値に対する超音波処理の影響を示す。
本明細書は、熱硬化メタクリレートベースのポリマー樹脂及びナノ結晶セルロースを含む歯科材料に関し、ナノ結晶セルロースは疎水性になるように改質されている。
本明細書は、すなわち、親水性及び疎水性の両特性を有する補強材料である歯科材料の補強を提供することにより、先行技術に存在する問題を少なくとも部分的に解決する歯科材料を提供する。よって、材料は象牙質の構造と歯科用充填材の両方に付着でき、象牙質と充填材の界面での接着を改善することによって、現在の歯科材料を改善できる。
さらに、CNCsは歯科材料の粘度を高め、少なくとも重合する及び/又は歯科用充填材が適用される前に、必要ある場合にはそれが適用された場所にとどまるので、使用が容易になり使用の信頼性を増す。
さらに、理論に拘束されることは好ましくないが、本歯科材料中のCNCは方向性を決めることが推測される。すなわち、それらの親水性部分が象牙質の親水性部分を方向づけ、およびCNCsの疎水性部分は歯科用充填材(通常は歯科用充填材のマトリックス)の疎水性を方向づけると推測される。
熱硬化プラスチックまたは熱硬化性プラスチックとは、軟質の固体または、プレポリマーや樹脂の粘液から不可逆的に硬化するプラスチックを意味する。硬化プロセスにより、樹脂は不溶融性で不溶性のポリマーネットワークに変わる。硬化(重合)は、多くの場合高圧下での熱又は適切な放射線の作用によって、又は触媒との混合によって誘発され得る。
本歯科材料は、ポリマー樹脂、すなわち、重合(硬化)してポリマーを形成することができるモノマーの混合物を含む。改質されたナノ結晶セルロースは、材料の強度を改善するとともに、象牙質とメタクリレート樹脂との適合性を改善する。メタクリレート樹脂のpHは、酸性、塩基性又は中性であり得る。pHが過度に酸性の場合、結合強度は弱くなり、材料を使用する間に酸による加水分解もすすむ。pHが高すぎる場合も加水分解が進み好ましくない。
歯科材料は、疎水性に改質された改質ナノ結晶セルロース(mCNCs)を含む。mCNCsの量は、例えば、歯科材料の総重量の5〜30重量%であってよい。実際、mCNCsの量は、例えば、1、2、3、4、5、7、9、10、12、15、17、20、23、25、27、30又は35重量%から、最大、歯科材料の総重量の2、3、4、5、7、9、10、12、15、17、20、23、25、27、30、35、40又は45重量%まで、を取り得る。
従って、CNCsは疎水性になるよう改質されてきた。実際、本質的に、CNCsはセルロースと同様に主に親水性を有する。よって、それらは象牙質の構造に付着する可能性があるが、歯科材料は一般にメタクリレートベースであるため、歯科材料との適合性が制限される。ただし、CNCsのさまざまな特質は、表面改質を通じて取得され、これは、通常、CNCsの表面で共有結合的または非共有結合的に行われることが知られている。
一般的に、CNCsは酸加水分解で得られる。酸加水分解の条件は、セルロースの固有の不規則な領域は加水分解されて除去されるが結晶領域はそのままであるような条件に決定される。
通常、酸加水分解から得られた懸濁液は水で希釈され、さらに遠心分離される。これらの段階の後に透析が続き、その主な目的は、分散液から酸と反応生成物を分離することである。さらに、ろ過、さらなる遠心分離、超音波処理がしばしば行われる。CNCsから溶媒水を除去する一般的な方法は、凍結乾燥である。
酸の組成と濃度は、セルロース繊維と酸の比率と同様に、CNCsの歩留まりに大きく影響を及ぼす。塩酸を使用すると水性懸濁液が凝集し、CNCsの分散能力が制限されると報告されているものの、CNCsの製造に最も広く使用される酸は硫酸と塩酸である。CNCsを取得するための硫酸の推奨濃度は約65%(wt/wt)である。プロセスには2つの選択可能な方法がある。グリコシド酸素(glycosidic oxygen)又はサイクリック酸素(cyclic oxygen)のプロトン化である。反応の後に、セルロースの分解と水の導入が続く。追加的に、触媒として機能する硫酸の存在により、エステル化されたヒドロキシル基が生成され、CNCの表面に負に帯電した硫酸基が生成される。
精製CNCは、セルロースの固有の特性により親水性である。従って、それらは非極性有機溶媒またはモノマーへの分散が不十分であり、複合材料の疎水性マトリックスへの接着が限定される。
CNCsの化学的機能化はこれらの特性を改善し、複合材料で使用される溶剤やマトリックスへの高い分散性と互換性をCNCsに与えることができる。
CNCsの表面に存在する異なる3種類のヒドロキシル基により、CNCsの化学改質に複数の選択肢を与える。
もっとも多い改質は第一級アルコールとして機能する6位のヒドロキシル基に対する反応である。文献では、特にエステル化、シリル化、ポリマーグラフト、非共有結合性表面改質などCNCsのいくつかの改質方法が示されている。
エステル化とは、アルコールと酸の間の反応を指す。エステル化されたCNCsを製造するいくつかの異なる方法が報告されている。CNCsの最も一般的なエステル化は、硫酸基がCNCsの表面でエステル化される酸加水分解において行われる。このエステル化反応は、硫酸エステルが存在するため、硫酸化としても知られている。
さらに、別のエステル化の方法はアセチル化である。例えば、テトラヒドロフラン(THF)分散液中でのCNCsの表面への酢酸ビニルアセチル化が挙げられうる。さらに別のエステル化の方法はアシル化、例えば、CNCsのアルケニル無水コハク酸(ASA)改質である。この表面のアシル化では、2つの異なるASA;すなわち、iso-ODSA(イソオクタデセニル無水コハク酸)とn-TDSA(n-テトラデセニル無水コハク酸)を水に分散させる。改質の結果により、CNCsの疎水性が向上する。エステル化は、ポリマーグラフトのベースとして使用される典型である。例えば、アセトニトリル中で塩化10-ウンデセノイル(10-undecenoyl chloride)を使用してCNCsの共有エステル化を行うことができる。改質CNCsは、表面に疎水性を有する炭化水素物のブラシがあり、疎水性ポリマーマトリックスとの適合性を向上させる。さらに、ビニル基は、CNCsの反応性を向上させる。
さらなる改質方法はシリル化であり、シリル基はCNCsの表面に導入される。
CNCsとポリマー複合材料の相互作用を改善するシランカップリング剤はいくつかある。例えば、エタノール中の異なる加水分解前のアルコキシシランはCNCsの表面に吸着されうる。シランカップリング剤、特にMPSは、CNCsと共有結合を形成する。これらのシリル化CNCsは、ポリマーマトリックス中で利用される高い能力がある。さらに、CNCsの部分的なシリル化は、ポリL−乳酸(PLLA)複合材料における結合性を改善することが知られている。
さらに別の改質の方法は、CNCsの表面にポリマーブラシを取り付けるポリマーグラフトである。ポリマーブラシは薄いポリマーコーティングで、一端から表面に取り付けられたポリマーチェーンである。ポリマーのグラフト化を行うには、2つのオプションの方法がある。それは、グラフ導入法(grafting-to approach)とグラフト成長法(grafting-from approach)である。
グラフト導入法では、事前に合成されたポリマーの鎖がCNCsの表面に取り付けられる。一般的に、付着は物理吸着または化学吸着、すなわち共有結合を介して行われる。グラフト導入法は簡単な方法であるが限定的である。この方法では表面のグラフト密度が低下するため、結果は常に好ましいとは限らない。実際、ポリマーは既にグラフト化されたポリマーを介して拡散しなければならず、自由反応面に常に到達することはできない。
しかしながら、低いグラフト密度を克服するために、グラフト成長法(grafting-from approach)を使用することができる。この方法では、開始剤で機能化された表面と重合技術を用いた製造プロセス中にCNCsの表面でポリマーが成長する。これらの技術により、ポリマーブラシの機能、密度及び厚さを正確に制御できる。
いくつかのポリマーは、グラフト導入法を用いてCNCsの表面にうまくグラフトされる。例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)をグラフトしたCNCsは、静電的安定性ではなく立体的安定性を達成するために、水性懸濁液で調製されている。また、CNCsの表面への感熱性アミン末端統計ポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドコポリマーのグラフト化は、ペプチドカップリング反応によって行われる。
さらに、CNCsでグラフト成長法を用いて、例えば、開環重合によってポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)で改質されたCNCsが得られる。また、銅媒介表面(copper-mediated surface)の開始制御ラジカル重合を用いることで、ポリアクリル酸(PAA)鎖でグラフト化されたCNCsが合成されることも知られている。
さらに、CNCsは非共有結合的に改質されうる。CNCsの非共有結合表面改質は、一般的には界面活性剤の吸着によって得られる。界面活性剤とは、低濃度で水の表面張力を低下させる材料を意味する。例えば、アルキルフェノールテールを有するリン酸のモノエステルおよびジエステルからなる界面活性剤の使用、または、例えばヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HDTMA)臭化物等のカチオン性界面活性剤の使用が可能である。
一実施形態によれば、ナノ結晶セルロースは、有機エステルを含むビニル基で改質されている。1つの好ましい改質剤は、塩化10-ウンデセノイルである。
改質度(degree of modification)は好ましくは1であり、すなわち、セルロースの表面上の3つのヒドロキシル基のうちの約1つが改質されていることである。セルロースの最大改質度は3であり、セルロースの3つのヒドロキシル基すべてが改質されていることである。一般的には改質はナノ結晶セルロースの表面でのみ発生し、内部では改質されないことに留意すべきである。
歯科材料の熱硬化メタクリレートベースのポリマーは、任意の適切なポリマーであってもよい。例えば、メタクリレート系ポリマーは以下のような群から選択されるモノマーからなるものでもよい。
例えば、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、エチルメタクリレート(ethyl methacrylate)、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)、イソブチルメタクリレート(isobutyl methacrylate)、2−エチルヘキシルメタクリレート(2-ethylhexyl methacrylate)、シクロヘキシルメタクリレート(cyclohexyl methacrylate)、イソボルニルメタクリレート(isobornyl methacrylat)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(tetrahydrofurfuryl methacrylate)、ベンジルメタクリレート(benzyl methacrylate)、モルホリノエチルメタクリレート(morpholinoethyl methacrylate)、アクリル酸(acrylic acid)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA:triethylene glycol dimethacrylate)、ジウレタンジメタクリレート(diurethane dimethacrylate)、2,2−ビス(4−(2−(ヒドロキシ−3−メタクリルロキシ)フェニル)プロパン(BisGMA:2,2-bis(4-(2-hydroxy-3-methacryloxy)phenyl)propane)、メタクリレート官能化デンドリマー(methacrylate functionalized dendrimers)、他のメタクリレート化超分岐オリゴマー(methacrylated hyperbranched oligomers)及びこれらの混合物が挙げられる。
ポリマーはホモポリマーまたはコポリマーのいずれであってもよく、一以上のメタクリレート群を含んでいてもよい。
一実施形態によれば、熱硬化メタクリレートベースのポリマーは、ハイドロゲルを含むコポリマーである。一般に、ハイドロゲルは親水性ポリマーのネットワークで構成されており、水を保持する高い能力を持っている。ハイドロゲルは、架橋ポリマー鎖のネットワークで構成された高分子ポリマーゲルである。
ハイドロゲルは、ネットワーク形成を促進するための機能性架橋剤を用いて、鎖的または連鎖的成長によって親水性モノマーから合成される。ボイド欠陥を有する網状の構造により、水素結合を介して大量の水を吸収するハイドロゲルの能力が向上する。典型的なハイドロゲルは、水との反応性が高める少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。
一実施形態によれば、ハイドロゲルは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートと別のメタクリレートとの混合物である。
一実施形態によれば、熱硬化メタクリレートベースのポリマーは、70〜95重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び5〜30重量%のトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)から構成されるコポリマーである。ポリマーを構成するモノマーの組成は、例えば、90:10 HEMA/TEGDMA又は80:20 HEMA/TEGDMAであってもよい。
一実施形態によれば、歯科材料は、歯科用接着剤、歯科用複合材又はそれらの混合物であり、つまり、材料は複合材及び接着剤の両方である。
本明細書はまた、ナノ結晶セルロースを疎水性に改質すること、改質されたナノ結晶セルロースを少なくとも1つの熱硬化メタクリレート系モノマーと混合し、そしてモノマーを重合してポリマーを形成することを含む歯科材料の製造方法に関する。
一実施形態によれば、重合は非水溶液中で行われる。実際、モノマーは水とは異なる有機媒体中で用いられる。
歯科材料に関連して上述した実施形態は、必要な変更を加えて、本方法に適用できる。
(実験部分)
本実験の部分では、硫酸加水分解を用い、ろ紙からCNCsを用意することを含む。さらには、CNCsの表面の疎水性を向上させるために、末端にビニル基が付いた長い炭化水素鎖である塩化10-ウンデセノイルを用いて精製CNCは改質された。以下、特に明記しない限り、パーセンテージは重量パーセントである。
(試験に使用された材料と装置)
Whatman(ワットマン)1フィルターを製粉(grinding)に使用し、Spectra/por1透析バッグを透析に使用し、Whatman 541フィルターをブフナー漏斗濾過に使用した。透析用のSpectra/por1透析バッグと同様に3オングストローム モレキュラーシーブを改質CNCsの合成に使用した。装置 CURE Cordless II(Spring Health Products、Inc.、出力波長440−460nm)を光硬化に使用した。
使用した化合物は以下の通りである。
硫酸(96%、Sigma-Aldrich);水酸化ナトリウム(NaOH、0.1M);アセトニトリル(99%、Sigma-Aldrich);塩化10-ウンデセノイル(10-undecenoyl chloride)(97%、Sigma-Aldrich);ピリジン(99.9%、Sigma-Aldrich);4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、99.9%、Sigma-Aldrich);エタノール(Etax Aa、99.5%);(1R)−(−)−カンファーキノン(99%、Sigma-Aldrich);2−(ジメチルアミノ)−エチルメタクリレート(DMAEMA、98%、Sigma-Aldrich);2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、97%、Sigma22 Aldrich);トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA、95%、Sigma-Aldrich)、ビスフェノールA−グリシジルメタクリレート(bis-GMA、Esschem)。
(サンプルの準備)
セルロースナノクリスタルの調製
Wileyミルを使用して、15gのセルロースを粉砕した。得られたセルロース粉末を409gの64%硫酸(H2SO4)と混合した。混合物を45℃に加熱し、連続的な機械的攪拌下その温度を45分間維持した。45分後、反応を停止し、酸/セルロース混合物を大型ビーカー内の3000mlの水に注いだ。混合物を一晩放置して沈殿させた。
翌日、沈降した混合物はデカントされ、6000rmpで25分間遠心分離された。さらに、上澄みはデカントされ、小型遠心機を用いて速度2500rmpで45分再度遠心分離された。
遠心分離後、チューブからの残留物は透析バッグに入れられた。透析は、水を入れた5リットルのビーカー内で3日間続けられ、その間、バッグの水は1日2回交換された。
溶液の導電率が5未満の場合、pHが7を超えるまで懸濁液にNaOH溶液を滴下してイオン交換を行った。導電率が5未満になるまで、再度透析を水で3日間続けた。
透析後、混合物をブフナー漏斗で濾過した。得られた濾過物は、ナノ結晶セルロースの懸濁液であった。乾燥した結晶を得るために、懸濁液は3日間凍結乾燥された。最後に、水透析で除去されなかった不純物を除去するためにソックスレー(Soxhlet)装置中で48時間、エタノール中にCNCsが抽出された。
塩化10-ウンデセノイル改質CNCsの合成
以下のように、10−ウンデセノイルによるCNCsの改質が行われた。
まず、アセトニトリルを3オングストロームのモレキュラーシーブにかけ2日間乾燥して、反応中に水分子が存在しないようにした。次に、100mlの乾燥アセトニトリルと0.520gの乾燥CNCsを超音波チップで60分間分散させた。その後、分散液を磁気攪拌下に置き、同時に窒素で2時間脱気した。
窒素で脱気した後、分散液を0℃に冷却し、ピリジン1040μlと触媒量の固体DMAPを注意深く加えた。また、1380μlの塩化10-ウンデセノイルを加えた。添加の間ずっと磁気攪拌を続けた。反応物は室温まで温めることが許容され、そして、撹拌は一晩続けられた。翌日、反応物を再び0℃に冷却し、1000μlのピリジンおよび700μlの塩化10-ウンデセノイルを加えた。反応物はさらに4日間磁気撹拌された。
塩化物および可能性がある他のイオンを除去するために、サンプルを水に対して4日間透析することにより精製した。さらに、サンプルから有機化合物を除去するために、エタノールに対して4日間透析を続けた。
凍結乾燥を可能にするために、サンプルを再び水に対して透析し、最後に5日間凍結乾燥して乾燥mCNCsを得た。
mCNCsのマトリックスへの適用
凍結乾燥から得られた乾燥したmCNCsをマトリックスに適用した。マトリックスは、HEMA/TEGDMAまたはbis-GMA/TEGDMAのいずれかで構成された。全部で8つの異なるサンプルが準備された。表1に、各サンプルの構成を示す。以下に、20重量/重量%(wt/wt%)のmCNCsを使用した90:10 HEMA/TEGDMAの製造プロセスについて説明する。他のサンプルでは、同様の作業方法、および同じ量の(1R)−(−)−カンファーキノン(CQ)と2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)を使用した。
ただし、一部のサンプルでは、HEMAとTEGDMAの比率は80:20または40:60であったが、bis-GMA/TEGDMAの場合、比率はすべてのサンプルで50:50であった。
Figure 2020534257

最初に、光開始剤として使用される7.5mg(0.7wt/wt%)の(1R)−(−)−カンファーキノン、および0.2146g(20wt/wt%)のmCNCsをガラス瓶に量り入れ、通常どおりクロマトグラフィーで使用された。次に、900μlのHEMAと98μlのTEGDMAを追加して、90:10 HEMA/TEGDMAの比率の混合物を調製した。HEMAの安定化と重合性を改善するために、TEGDMAがHEMAマトリックスで使用された。超音波浴を10分間使用して成分を混合した。超音波処理後、共開始剤として使用される8μl(0.7wt/wt%)の2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)が添加された。DMAEMAの追加により、HEMAハイドロゲルの硬さが改善された。さらに、ボルテックスミキサーで攪拌された。
混合物の調製後、動的機械分析用の試験片を調製した。接着剤混合物の一部は、内径11mm、高さ2mmの金属製ワッシャー内のテフロン(登録商標)プレートに注がれた。接着剤を硬化させるために、光硬化を40秒間行った。最後に、重合したHEMAハイドロゲルを金属ワッシャーから取り外した。
また、三点曲げ強度試験用の試験片も用意された。2mm x 2mm x 25mmの金属金型が使用され、金型に材料が一層に充填された。上面をマイラーホイルで平らにし、顕微鏡のガラスプレートを型の上に置き、平らになるように押し下げた。
次に、試験片を金型の両側から3 x 20秒間ハンドライトで光硬化させ、試験片を2000グリットのSiCペーパーでこすり、インキュベーターに+37℃で72時間置いてから試験を行った。本明細書による材料から、および比較材料(改質CNC無し)から5つの相当する試料を調製した。
(試験方法)
動的機械分析
ヤング率は、弾性率とも呼ばれ、固体材料の剛性を指す。応力に対するひずみの比率として決定できる。応力は領域に加えられる力を指すが、ひずみは応力後の材料の変形で表される。この実験では、一方ではCNCsの量が、他方ではHEMAに対するTEGDMAの量が、材料の剛性にどのように影響するかをテストした。機械的試験は、動的機械分析(DMA)で行われた。圧縮モードのダイナミックメカニカルアナライザーQ800(TA装置)が使用された。複合材料の圧縮強度は、室温で18分の時間間隔で1N〜18Nの力を加えた圧縮試験で測定された。
三点曲げ試験
三点曲げ試験は、材料の機械的特性を試験するもう1つの方法である。このテストは「Lloyd LR30kPlus機械的テスト装置」と、2500Nセンサーを使用し、および標準ISO 4049、2009(E)(Dentistry - Polymer based filing, restorative and luting materials)を用いて行った。テストで使用したパラメーターは以下のとおりである。
ディレクション:圧縮
プリロード:1N
プリロード速度:10mm/分
伸長率:1mm/分
テスト停止:10mm拡張、負荷が30%低下したときにテストを停止
試験方法:三点曲げ
スパン長:20mm
変換度の測定
モノマーからポリマーへの変換度は、ATR(減衰全反射)アタッチメント(Perkin Elmer、FT-IR Spectrometer Frontier)を備えたFTIR(フーリエ変換赤外分光法)で測定された。サンプルは、直径5.4mm、高さ1.2mmの金属ワッシャー内のATRダイヤモンドに注がれた。配置後にIRスペクトルを測定され、さらに、HEMA/TEGDMAサンプルの場合は40秒間、bis-GMA/TEGDMAサンプルの場合には20秒間、Elipar S10 LED硬化ライト(3M、重合の波長範囲430-480nm)で光硬化された。光硬化後ただちに、IRスペクトルは10分間2分ごとに測定された。結果については、変換度は以下の式(数1)で算出された。
Figure 2020534257

ここで、Cは光硬化サンプルからの脂肪族およびカルボニルのピークの比、Uは未硬化サンプルからの脂肪族およびカルボニルのピークの比である。
(結果及び評価)
塩化10-ウンデセノイル改質CNCs
HEMAマトリックスとの適合性を向上させるために、CNCsはアセトニトリル中の塩化10-ウンデセノイルで改質された。CNCの10−ウンデセノイル改質の成功は、添加および4日間の磁気攪拌後の反応を示す黄色として観察された。透析の改質と精製の完全性はFTIRで確認された。初期のCNCsとmCNCsのFTIRスペクトルを図1に示す。横軸はcm−1の波数、縦軸は透過率(パーセンテージ)である。
透析における水とエタノールの使用は、比較的純粋なmCNCsをもたらした。FTIRスペクトルでは、1752cm−1に強いエステルカルボニルストレッチバンドが存在することで、改質プロセスの完全性が確認できる。このピークは、図1の下の部分では観察できるが、図1の上の部分では観察できない。さらに、915cm−1、1644cm−1、3082cm−1のピークは、炭化水素鎖の1位のアルケンを示す。飽和炭化水素鎖の存在は、2860cm−1および2930cm−1のピークで確認される。
10-ウンデセノイル改質CNCsの合成では、mCNCsの精製は水とエタノールに対する透析で行われた。エタノール透析はカルボン酸の除去に用いられた。
HEMAマトリックス中の改質CNCs
HEMAマトリックス中の改質CNCsと精製CNCsを超音波処理後に混合物の目視評価により分散性を比較した。結果は改質によりmCNCsと80:20 HEMA / TEGDMAマトリックスとの適合性が大幅に向上したことを示した。
さらに、mCNCsの沈殿についても検討した。(1R)-(-)-カンファーキノンから得られた混合物の黄色によると、1日後ではmCNCsのわずかな沈殿も記録されなかった。しかし、(1R)-(-)カンファーキノンがないものではmCNCsのわずかな沈殿が見られた。3日ではmCNCsは完全に沈殿していた。従って、HEMAとmCNCsの分散は長期的に安定していなかったが、混合物の粘度のために沈殿は遅くなった。
CNCsの改質により、HEMAマトリックスとの適合性が大幅に改善された。精製CNCsはHEMAに分散しないが、mCNCsはHEMAマトリックスによく分散している。FTIRスペクトルとともに、この裏付けによってCNCsの改質は成功したと見なされた。
動的機械分析
サンプルの圧縮強度は動的機械分析で測定された。測定は、10分間の超音波処理を行ったサンプルに対して実行された。さらに、比較サンプルを取得するために、50:50のBis-GMA/TEGDMA樹脂(0.7wt/wt%の(1R)-(-)-カンファ−キノンおよびDMAEMA、Bis-GMAとして2,2-bis-[4-[methacryloxypropoxy)-phenyl]-propaneを含む。)で動的機械分析を行った。表2は、各サンプルのひずみと応力の比率(ヤング率とも言う。)を示す。ヤング率の値は、動的機械分析で得られたグラフから決定された。動的機械分析測定中の力の増加によりサンプルの特性は影響を受ける可能性があるため、曲線の最初で勾配は算出された。
Figure 2020534257

表2によると、ヤング率の値は、複合材料のmCNCsの量の増加と正の相関がある。観察結果を図2に示す。90:10のHEMA/TEGDMAを使用したサンプルでは、横軸にひずみのパーセント、縦軸に応力MPaが示されている。
図2の上部において、左から1番目の曲線は5% mCNCsのサンプルの結果を示し、左から2番目の曲線はmCNCsがないサンプルの結果を示し、左から3番目の曲線は10% mCNCsのサンプルの結果を示し、右側の曲線は20% mCNCsのサンプルの結果を示す。
さらに、HEMAに対するTEGDMAの増加は、ヤング率の値がわずかに増加することも観察されているが、値は誤差限界内でオーバーラップしている。ヤング率の値に対するTEGDMAの影響を図3に示す。横軸はひずみのパーセント、縦軸は応力MPaを示す。図3では上部において左から1番目の曲線はmCNCsなしの90:10 HEMA/TEGDMAのサンプルの結果を示し、左から2番目の曲線は80:20 HEMA/TEGDMA(mCNCsなし)のサンプルの結果を示し、左から3番目の曲線は90:10 HEMA/TEGDMAで20%のmCNCsありの結果を示し、右側の曲線は80:20 HEMA/TEGDMAで20%のmCNCsありのサンプルの結果を示す。
最後に、長時間の超音波処理がヤング率の値に及ぼす影響を調査し、結果を比較樹脂のヤング率の値と比較した(図4は、横軸にひずみのパーセント、縦軸に応力MPaを示す。)。図4には超音波処理の影響が示されており、図4の上部において、左から1番目の曲線は、80:20 HEMA/TEGDMA、mCNCsなしのサンプルの結果を示し、中央の曲線は、80:20 HEMA/TEGDMA、20%のmCNCsあり、45分間の超音波処理のサンプルの結果を示し、右側の曲線は、80:20 HEMA/TEGDMA、20%のmCNCsあり、10分間の超音波処理をしたサンプルの結果を示す。
表2に示すように、10分間と45分間の超音波処理の値はほぼ同じであるため、超音波処理を長時間行っても複合材料のヤング率に影響はない。実際、樹脂のヤング率の値は、20% mCNCs、80:20 HEMA/TEGDMAのヤング率の値に等しいため、材料の剛性において類似していると言える。
動的機械分析の結果から、mCNCsの量を増やすと材料の剛性が増加し、いずれかのTEGDMAを増やした場合には材料の剛性がわずかに増加することがわかる。表2に示すように、最高のヤング率の値は、mCNCsが20%、80:20 HEMA / TEGDMAのサンプルで得られた。
三点曲げ試験
mCNCsなし、50:50 bis-GMA/TEGDMAと10%mCNCsのサンプルを、上記の三点曲げ試験で試験した。結果を表3に示す
Figure 2020534257
結果は、改質CNCsのサンプルが、いかなる粒子を含まないサンプルよりも大幅に低いわけではないことを示している。
変換度
モノマーからポリマーへの変換度は、ATRアタッチメントを備えたFTIRで測定された(Perkin Elmer、FT-IR Spectrometer Frontier)。測定の目的は、動的機械分析で得られた結果の検証である。表4は、各サンプルの変換度を表す。完全に重合した材料の変換度は100%である。
Figure 2020534257
結果は、mCNCsとTEGDMAの量が増加すると、モノマーからポリマーへの変換が増加することを示している。参照サンプル(mCNCsの有無以外は同じ樹脂)では、mCNCsを追加すると、効果なし、又は、変換度が向上する。ただし、mCNCsが20%のサンプルの場合、mCNCs20%、90:10 HEMA/TEGDMAのサンプルでの誤差の範囲が広いため、変換度の値は重複する。この不正確さは、ATR測定の前にサンプルで観察された凝集が原因で発生すると考えられる。したがって、測定された量はおそらく内容において等しくなかったと考えられる。ただし、ATR測定の結果は、動的機械分析の結果を強く裏付ける。mCNCsとTEGDMAの量が増えると、材料の剛性が向上する。したがって、TEGDMAの追加は、HEMAマトリックスの安定化と重合性を改善する。


Claims (12)

  1. 熱硬化メタクリレートベースポリマーと、ナノ結晶セルロースとを含み、ナノ結晶セルロースは疎水性に改質されている歯科材料。
  2. ナノ結晶セルロースは5〜30重量%含まれている請求項1に記載の歯科材料。
  3. ナノ結晶セルロースは有機エステルを有するビニル基で改質されている請求項1又は2に記載の歯科材料。
  4. ナノ結晶セルロースは塩化10-ウンデセノイルで改質されている請求項3に記載の歯科材料。
  5. メタクリレートベースポリマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、アクリル酸、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレートまたは2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)フェニル)プロパン(BisGMA)であるホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の歯科材料。
  6. メタクリレートベースポリマーは、ハイドロゲルを含むコポリマーである請求項1乃至5のいずれか一項の歯科材料。
  7. ハイドロゲルは2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む請求項6に記載の歯科材料。
  8. さらに、フィラー粒子を含む請求項1乃至7のいずれか一項に記載の歯科材料。
  9. メタクリレートベースポリマーは、70〜95重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、5〜30重量%のトリエチレングリコールジメタクリレートとを含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載の歯科材料。
  10. 歯科用接着剤及び/又は歯科用複合材料である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の歯科材料。
  11. ナノ結晶セルロースを疎水性に改質し、
    改質ナノ結晶セルロースを少なくとも1の熱硬化メタクリレートベースモノマーと混合し、
    モノマーを重合してポリマーを形成する、歯科材料の製造方法。
  12. 重合は非水溶液中で行われる請求項11に記載の歯科材料の製造方法


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