JP2020532586A - 網膜血管性疾患の処置のためのangio−3 - Google Patents

網膜血管性疾患の処置のためのangio−3 Download PDF

Info

Publication number
JP2020532586A
JP2020532586A JP2020533879A JP2020533879A JP2020532586A JP 2020532586 A JP2020532586 A JP 2020532586A JP 2020533879 A JP2020533879 A JP 2020533879A JP 2020533879 A JP2020533879 A JP 2020533879A JP 2020532586 A JP2020532586 A JP 2020532586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
subject
angio
vegf
composition
peptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020533879A
Other languages
English (en)
Inventor
マイケル ベルキン
マイケル ベルキン
ヴェルチャミー アムタ バラティ
ヴェルチャミー アムタ バラティ
ラジャマニ ラクシュミーナラヤナン
ラジャマニ ラクシュミーナラヤナン
アール. マンジュナタ キニ
アール. マンジュナタ キニ
ルオウェン ジー
ルオウェン ジー
ティエン イン ウォン
ティエン イン ウォン
ジェミー チョイ ミン チュン
ジェミー チョイ ミン チュン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National University of Singapore
Original Assignee
National University of Singapore
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National University of Singapore filed Critical National University of Singapore
Publication of JP2020532586A publication Critical patent/JP2020532586A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P27/00Drugs for disorders of the senses
    • A61P27/02Ophthalmic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/04Peptides having up to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • A61K38/08Peptides having 5 to 11 amino acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0019Injectable compositions; Intramuscular, intravenous, arterial, subcutaneous administration; Compositions to be administered through the skin in an invasive manner
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0048Eye, e.g. artificial tears

Abstract

本開示は、有効量のAngio-3ペプチドを投与することを含む、対象において網膜血管性疾患を処置する方法を提供する。

Description

関連出願のクロスセクション
本出願は、2017年8月31日に出願された米国特許出願第62/553,051号に対して優先権を主張し、その開示は、目的のために参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる。
背景
網膜血管性疾患としては、加齢性黄斑変性症、網膜症、血管閉塞、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、および角膜新生血管形成が挙げられる。網膜血管性疾患、例えば、加齢性黄斑変性症(AMD)は、先進国において、高齢者の法的盲の最もよくある原因である(Van Leeuwen et al. (2003), European Journal of Epidemiology 18: 845-854(非特許文献1))。これは、中心部の高い視力が進行的に喪失することを特徴とする異種性疾患である。患者にとって、これは、患者が、読む能力、顔を認識する能力を失い、日常の作業が大きな障害になるので、生活の質を劇的に悪くする。世界保健機関(WHO)によれば、AMDが理由で、合計で3,000万〜5000万の個体が罹患しており、約1400万人が盲目または重度の視力機能障害である(Gehrs et al., (2006) Annals of Medicine 38:450-471(非特許文献2))。
網膜血管性疾患に関与する病理過程は、網膜下で無秩序に配向し生理学的に欠陥のある新血管の形成であり、脈絡膜新生血管形成(CNV)として公知である。加齢、酸化ストレス、遺伝的特質、および炎症はすべて、CNVの病因に寄与すると説明されているが、血管新生は、現在、最終的な共通経路に関与すると考えられている。
AMDについての現在の処置選択としては、レーザー療法、異常な血管を除去するまたは破壊するための手術、および抗血管新生療法、例えば、抗血管内皮増殖因子(「VEGF」)、すなわち、抗VEGF療法が挙げられる。これらの抗血管新生薬物は、典型的には、眼の硝子体中に注射され、これは、大きな不快感および不便を患者に引き起こす。さらに、一部の患者は抗VEGF療法に耐性を生じ、他の処置選択を必要としている。Yang et al., Drug. Des. Devel. Ther. 2016: 10:1857-1867(非特許文献3)。
Van Leeuwen et al. (2003), European Journal of Epidemiology 18: 845-854 Gehrs et al., (2006) Annals of Medicine 38:450-471 Yang et al., Drug. Des. Devel. Ther. 2016: 10:1857-1867
簡単な概要
対象において網膜血管性疾患を処置する方法が本明細書において提供される。本方法は、配列
Figure 2020532586
を有するペプチドを含む薬学的有効量の組成物を対象に投与することを含む。組成物は、経口的に、静脈内注射によって、または硝子体内注射によって、または舌下送達によって、対象に投与することができ、投与は、対象において網膜血管性疾患を処置する。
任意で、組成物は、2〜50mg/kg体重(Bwt)のペプチドを含み、静脈内注射によって投与される。任意で、組成物は、0.1μg/kg〜5mg/kg Bwtのペプチドを含み、硝子体内注射によって投与される。任意で、組成物は、2〜10mg/kg Bwtのペプチドを含み、経口的に投与される。
任意で、組成物は、静脈内(IV)または硝子体内(IVT)経路のいずれかを介して、4〜24週ごとに少なくとも1回投与される。任意で、組成物は、6か月間隔で1〜2週にわたって少なくとも1日1回、経口的に投与される。この処置プロトコールでは、組成物は6か月の休止期間の間投与されない。任意で、抗VEGF療法、例えば、VEGF抗体に応答性でない対象に対して。
任意で、対象は、加齢性黄斑変性症、網膜症、または血管閉塞を有する。任意で、対象は、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、または角膜新生血管形成を有する。任意で、対象はヒトである。
対象において網膜血管性疾患を処置する方法も本明細書において提供される。本方法は、抗血管新生療法に応答性でない網膜血管性疾患を有する対象を選択すること、および配列SEQ ID NO: 1を有するペプチドを含む組成物を対象に投与することを含み、投与は、対象において網膜血管性疾患を処置する。任意で、対象は抗VEGF療法に応答性でない。
任意で、本明細書において開示される組成物は、静脈内投与のために、硝子体内注射のために、または経口投与のために製剤化される。任意で、対象は、加齢性黄斑変性症、網膜症、または血管閉塞を有する。任意で、対象は、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、または角膜新生血管形成を有する。任意で、対象は抗血管新生療法に応答性でない。任意で、対象は抗VEGF療法、例えば、VEGF抗体に応答性でない。任意で、対象はヒトである。
対象において網膜血管性疾患を処置する方法も提供される。本方法は、Xaaがホモアルギニンである配列
Figure 2020532586
(SEQ ID NO: 3)を有するペプチドNを含む薬学的有効量の組成物を対象に投与することを含む。組成物は、経口的に、静脈内注射によって、または硝子体内注射によって対象に投与することができ、投与は、対象において網膜血管性疾患を処置する。
対象において網膜血管性疾患を処置する方法も提供される。本方法は、Xaaがホモアルギニンである配列
Figure 2020532586
(SEQ ID NO: 4)を有するペプチドQを含む薬学的有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物は、経口的に、静脈内注射によって、または硝子体内注射によって対象に投与され、投与は、対象において網膜血管性疾患を処置する。
図1A、1B、1C、および1Dは、ヒトVEGFを過剰発現しているKIMBAマウス(KIMBA-hVEGFトランスジェニック)の網膜の血管新生の減弱における、angio-3の単回IV投与の有効性を示す。図1Aは実験設計の概略図である。 図1A、1B、1C、および1Dは、ヒトVEGFを過剰発現しているKIMBAマウス(KIMBA-hVEGFトランスジェニック)の網膜の血管新生の減弱における、angio-3の単回IV投与の有効性を示す。図1Bは、ベースラインおよび処置後毎週の眼底フルオレセイン血管造影(FFA)画像を示す画像である。デジタルカラー眼底写真は、1%トロピカミド(Alcon Laboratories, Inc., Fort Worth, TX)および2.5%フェニレフリン(Bausch and Lomb Pharmaceuticals, Inc., Tampa, FL)の点眼液の局所投与で瞳孔を散大させた後に、げっ歯類の網膜イメージングのためのMICRON IV総合システム(Phoenix Research Labs, Pleasanton, CA)を使用して撮った。FFAのために、0.01mL/5〜6g BWtの用量で10%ナトリウムフルオレセイン色素をマウスに腹腔内注射し、MICRON IVを使用して眼底画像を得た。 図1A、1B、1C、および1Dは、ヒトVEGFを過剰発現しているKIMBAマウス(KIMBA-hVEGFトランスジェニック)の網膜の血管新生の減弱における、angio-3の単回IV投与の有効性を示す。図1Cは、各眼ごと、およびバッチごとで、Kimbaマウスにおける漏出の減退を示すグラフである。100μLのAngio-3のIV単回注射を4週目に与え、さらに4週間追跡した(25mg/Kg Bwt)。読み出しは、薬物投与後の網膜血管形成の漏出である。バッチあたりn=6個の眼;n=3バッチ;値は平均±標準誤差として表し、**P<0.01、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。 図1A、1B、1C、および1Dは、ヒトVEGFを過剰発現しているKIMBAマウス(KIMBA-hVEGFトランスジェニック)の網膜の血管新生の減弱における、angio-3の単回IV投与の有効性を示す。図1Dは、イソレクチン網膜染色を示す画像である。対照およびAngio-3で処置した眼を摘出し、PBS中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で、15分間室温で固定した。次いで、氷上の冷1×PBSに眼を5〜10分間移した。神経網膜および脈絡膜/RPEを別々に切り取り、冷(-70℃)エタノールに入れた。次いで、PBS中で網膜をすすぎ、1% Triton-X/PBS中で30分間ブロッキングした。次いで、ホールマウントを、グリフォニア・シンプリシフォリア(Griffonia Simplicofolia)由来のイソレクチンGS-IB4、Alexa Fluor594コンジュゲート(Molecular Probes, I21413 1:100)とともに4℃で一晩インキュベートした。染色したホールマウントをProlong Gold(Invitrogen)でフラットマウントし、一晩放置した。すべてのイメージングは、レーザー走査型共焦点蛍光顕微鏡で行った。 図2A、2B、2C、および2Dは、KIMBAマウスの網膜の血管新生の減弱における、angio-3およびEylea(抗VEGF)陽性対照の単回IVT投与の有効性を示す。図2Aは、実験設計の概略図である。 図2A、2B、2C、および2Dは、KIMBAマウスの網膜の血管新生の減弱における、angio-3およびEylea(抗VEGF)陽性対照の単回IVT投与の有効性を示す。図2Bは、ベースラインおよび処置後毎週の眼底フルオレセイン血管造影(FFA)画像を示す画像である。 図2A、2B、2C、および2Dは、KIMBAマウスの網膜の血管新生の減弱における、angio-3およびEylea(抗VEGF)陽性対照の単回IVT投与の有効性を示す。図2Cは、各眼ごとで、Kimbaマウスにおける漏出の減退を示すグラフである。 図2A、2B、2C、および2Dは、KIMBAマウスの網膜の血管新生の減弱における、angio-3およびEylea(抗VEGF)陽性対照の単回IVT投与の有効性を示す。図2Dは、バッチごとで、Kimbaマウスにおける漏出の減退を示すグラフである。1μl中1μgのAngio-3スクランブルのIVT単回注射であり;Angio-3ペプチドおよびEyleaを7週目に与え、さらに16週間追跡した。読み出しは、薬物投与後の網膜血管形成の漏出である。バッチあたりn=10個の眼;n=2バッチ;値は平均±標準誤差として表し、**P<0.01、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。結果は、Eylea(陽性対照)で処置することは、処置後4週にわたって網膜の血管新生を減弱するのに有効であり、angio-3でマウスを処置することは、処置後16週わたって網膜の血管新生を減弱するのに有効であることを示した。 マウス(B6J WTマウス)のレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおけるAngio-3の有効性に関する実験設計の概略図である。 ベースラインおよび処置後の様々な時点でのFFA画像である。0日目(予防方式)およびレーザー後4日目(退縮方式)で100μLのAngio-3のIV単回注射(25mg/Kg Bwt)を与え、10週間追跡した。 様々な群についての各眼ごとでの漏出面積を示すグラフである。 各群についてのすべてのバッチの漏出平均面積のグラフである。Angio-3の単回投与は、レーザー誘導性のマウスCNVモデルにおいて、予防方式と退縮方式の両方で、IV経路を介して、10週まで病変を縮小し、これは、予防方式で非常に有意であった。減弱網膜血管形成はスクランブルペプチドよりも優れていた。バッチあたりn=6個の眼;n=3バッチ。値は平均±標準誤差として表し、**P<0.01、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。 Angio-3処置および対照においてERGの変化を測定する網膜機能試験の結果のグラフである。しかし、Angio-3処置群のa波およびb波の振幅は、1週目の後にベースライン値と同様であった。 IVT投与による、Angio-3の有効性に関する実験設計の概略図である。 様々な群についての各眼ごとでの漏出面積のグラフである。 各群についてのすべてのバッチの漏出平均面積を示す。この図は、単回投与のAngio-3が、レーザー誘導性のマウスCNVモデルにおいて、IVT経路を介して、Eylea(抗VEGF)およびスクランブルペプチドと比較して、血管新生を有意に低減したことを図示する。バッチあたりn=6個の眼;n=3バッチ;値は平均±標準誤差として表し、**P<0.01、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。 舌下経路による、レーザー誘導性CNVモデルにおけるAngio-3の有効性に関する実験設計の概略図である。 Angio-3が、レーザー誘導性のマウスCNVモデルにおいて、舌下経路を介して、マウス抗VEGFまたはスクランブルペプチドよりも血管新生を有意に低減したことを示す画像である。 群ごとでの漏出平均面積のグラフである。 各群についてのすべてのバッチの漏出平均面積を示す。バッチあたりn=6個の眼;n=3バッチ。値は平均±標準誤差として表し、**P<0.01、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。 予防方式におけるIVT経路による、レーザー誘導性CNVモデルにおけるAngio-3の有効性に関する実験設計の概略図である。 単回投与のAngio-3が、レーザー誘導性のラットCNVモデルにおいて、IVT経路を介して、Eylea(抗VEGF)と比較して血管新生を有意に低減したことを示すグラフである。1群あたりn=10匹のラット;値は平均±標準誤差として表し、n=3回の独立実験であり、**P<0.01、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。 レーザー誘導性CNVのサルモデルにおけるAngio-3の有効性に関する研究設計の概略図である。 レーザー誘導性のサルCNVモデルにおいて、IVT経路を介して、単回用量(2mg)のAngio-3、抗VEGF(EyleaおよびLucentis)で処置した、サルの眼の眼底フルオレセイン血管造影(「FFA」)の画像である。 処置前後の各群において、漏出の減退を示すグラフであり、各眼ごとにプロットされている。1群あたりn=2匹のサル;値は平均±標準誤差として表し、***P<0.001、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。 図7に記載されているように処置したサルにおけるグレードの重症度およびグレードのパーセンテージを示すグラフである。Angio-3、Eylea、およびLucentis(登録商標)の単回IVT投与の後に、試験物製剤は良好な忍容性を示し、すべての動物は概して健康と思われた。少数の動物は、すべての群において、硝子体内注射後の研究用の眼に眼内炎症を発生し、大部分は短命であった。この介入研究では、ビヒクル対照について病変の重症度の変化は観察されず、病変の重症度の変化は、ビヒクル対照と比較して、すべての処置について有意に差があった。 EyleaまたはAngio-3の投与前後のサルにおけるレーザースポット領域の厚さおよび体積の結果を示すグラフである。Angio-3またはEyeleaの量は、図7に記載されているものと同じである。レーザースポット領域は、両方の群において、処置前と比較して、処置後に有意に低減した。 トルイジンブルーで染色したアラルダイト網膜切片の画像である(拡大率20×)。眼を取り出し、半強度のKarnovsky固定液中で2〜3日にわたって後固定し、次いで、処理するまでホルマリン中で保存した。1つまたは2つの病変部位を含む組織の細片をプラスチック中に包埋した。各病変の中央から30μm刻みで2μm厚の切片を得た。トルイジンブルーで切片を染色し、最も強い病変を有する試料を中心切断片と指定した。次いで、処置条件を知らない観察者(R.R.D.)がこの切片を評価した。以下の3つの判断基準に基づいて、各病変について組織増殖スコアを計算した:紡錘細胞増殖性病変のサイズ、網膜下腔中の新血管増殖の程度、および脈絡毛細管の上の網膜の隆起。ビヒクル処置した(対照)切片は、薬物処置した眼と比較して、より厚く、より血管性である。対照切片は、薬物処置した眼と比較して、より多くの脈絡膜の線維増殖、網膜厚の増大、より多くの脈絡膜新生血管形成、網膜厚の1倍または2倍延びる複数の血管、および網膜隆起を示した。 図11Aは、ベースラインおよび処置後の様々な時点でのFFA画像である。Angio-3(1μl中1μgまたは1μl中100ngの用量)、ならびに化学的に修飾されたAngio-3ペプチドPep-N(それぞれ、μl中5μg;μl中1μg;および1μl中100ng)、ならびにPEP-Qペプチド(それぞれ、μl中5μg;μl中1μg;および1μl中100ngの用量)の単回IVT注射をマウスに与えた。図11Bは、各眼ごとの漏出面積のグラフである。単回投与は、レーザー誘導性のマウスCNVモデルにおいて、IVT経路を介して、4週目まで網膜の血管新生を減弱する。3種のペプチドすべては、レーザー誘導性CNVマウスモデルにおいて、脈絡膜の血管新生を有意に減弱することができた。Eyleaは陽性対照である。1群あたりn=18個の眼;値は平均±標準誤差として表し、n=3回の独立実験であり、**P<0.01、*P<0.05(スチューデントのt検定)である。 図12Aおよび12Bは、HRMECのVEGF誘導性細胞増殖に対するAngio-3の効果を図示する。図12Aは、10ng/mlのVEGFと組み合わせたAngio-3の効果を示すグラフである。図12Bは、50ng/mlのVEGFと組み合わせたAngio-3の効果を示すグラフである。 図13Aおよび13Bは、以下のものの存在下でのHRMEC細胞の遊走に対するAngio-3の効果を示す:(1)EBM-2単独、(2)50ng/mlのVEGFが補充されたEBM-2、(3)300ug/mlのAvastin+50g/mlのVEGFが補充されたEBM-2、(4)300ug/mlのAngio3+50g/mlのVEGFが補充されたEBM-2、および(5)600ug/mlのAngio3+50g/mlのVEGFが補充されたEBM-2。図13BはFFA画像であり、図13Aは、図13Bの画像に基づいた、100×対物レンズ下での顕微鏡視野中の細胞数のグラフである。 図14Aおよび14Bは、以下のものの存在下でのHRMECのVEGF誘導性管形成に対するAngio-3の効果を示す:(1)EBM-2単独、(2)50ng/mlのVEGFが補充されたEBM-2、(3)300ug/mlのAvastin+50g/mlのVEGFが補充されたEBM-2、(4)300ug/mlのAngio3+50g/mlのVEGFが補充されたEBM-2、および(5)600ug/mlのAngio3+50g/mlのVEGFが補充されたEBM-2。図14Bは細胞のFFA画像である。図14Aは、図14Bの画像に基づいた、管の全長、接合部の数、およびループの総数の定量化のグラフである。**P<0.01、*P<0.05。別段明記されない限り、本出願で開示されるVEGFペプチドは、最も強力な生物活性を有し、インビボで最も大量に存在する、ヒトVEGFのサブタイプであるVEGF165を指す。 図15Aおよび15Bは、Angio-3が、VEGFまたはbFGFのいずれかの存在下で、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のアポトーシスを誘導したことを示すグラフである。図15Aは、Angio-3が、20ng/mlのVEGFの存在下で用量依存的にHUVECのアポトーシスを誘導したことを示す。図15Bは、Angio-3が、20ng/mlのbFGFの存在下で用量依存的にHUVECのアポトーシスを誘導したことを示す。*は、p<0.05、n=3を表す。 図16Aおよび16Bは、Angio-3が、VEGFおよびbFGFによって刺激されたHUVECの増殖を阻害したことを示すグラフである。図16Aは、Angio-3が、20ng/mlのVEGFによって誘導されたHUVECの増殖を用量依存的に抑制したことを示す。図16Bは、Angio-3が、20ng/mlのbFGFによって誘導されたHUVECの増殖を用量依存的に抑制することを示す。*は、p<0.05、n=3を表す。 図17A、17B、17C、および17Dは、Angio-3が、VEGFおよびbFGF誘導性のEC遊走を阻害したこと、ならびに毛細血管ネットワーク形成を阻害することを示す。図17Aは、Angio-3が、20ng/mlのVEGFによって誘導されたHUVECの走化性遊走を用量依存的に抑制したことを示す画像であり、17Cは、それを示すグラフである。遊走した細胞をHoechstで染色し、画像化し、数えた。図17Bは、Angio-3が、20ng/mlのbFGFによって誘導されたHUVECの走化性遊走を用量依存的に抑制したことを示す画像であり、17Dは、それを示すグラフである。遊走した細胞をHoechstで染色し、画像化し、数えた。n=3;*は、一元配置ANOVAによってP<0.05で、対照と比較して有意な低減を表す。 図18Aおよび18Bは、Angio-3が、Matrigel上でのHUVECの毛細血管ネットワーク形成を阻害したことを示す。図18Aは、Matrigel上でのHUVECの管形成の代表的な画像である。Matrigel上に播種するより前に、漸増用量のAngio-3とともにHUVECを30分間プレインキュベートした。図18Bは、HUVECの管によって覆われた領域のパーセンテージのグラフである。n=3;*は、一元配置ANOVAによってP<0.05で、対照と比較して有意な低減を表す。 図19A、19B、および19Cは、Angio-3が、複数の内皮細胞型をともなうVEGF誘導性血管透過性(VP)を阻害することができる新規な抗透過性作用物質であることを示すグラフである。図19Aでは、コンフルエント後のHUVEC単層を漸増濃度のAngio-3または培地単独で処理した。結果は、Angio-3が、基底レベルの透過性に影響を及ぼすことなく、コンフルエントなHUVEC全体にわたってVEGF誘導性透過性を用量依存的に阻害したことを示す。これらの実験では、100ng/mlのVEGFで刺激するより前に、コンフルエント後のHUVEC単層をAngio-3で30分間前処理した。図19Bでは、コンフルエント後のHMVEC単層を漸増濃度のAngio-3または培地単独で処理した。結果は、Angio-3が、基底レベルの透過性に影響を及ぼすことなく、コンフルエントなヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)全体にわたってVEGF誘導性透過性を用量依存的に阻害したことを示す。図19Cでは、コンフルエント後のHREC単層をAngio-3およびVEGFで3時間処理した。結果は、Angio-3が、基底レベルの透過性に影響を及ぼすことなく、コンフルエントなヒト網膜内皮細胞(HREC)全体にわたってVEGF誘導性透過性を用量依存的に阻害したことを示す。*は、p<0.05、n=3を表す。 図20Aおよび20Bは、それぞれ、Angio-3が、マウスにおいて局部的VEGF誘導性皮膚血管透過性を阻害したことを示す画像であり、グラフである。図20Aでは、Angio-3を皮内注射によってマウスに投与し、結果は、Angio-3が、15分以内に、VEGF誘導性皮膚透過性を用量依存的に阻害したことを示す。エバンスブルー色素の血管外漏出によって、皮膚透過性を可視化した。図20Bでは、色素のホルムアミド抽出およびOD610の測定によって、色素の血管外漏出を定量化した。1群あたりn=5匹の動物であり、*は、同時対照と比較した場合に、p<0.05で、有意に増大したことを表す。 図21A、21B、21C、および21Dは、Angio-3が、HUVECの接着結合(AJ)部からの、血管内皮(「VE」)−カドヘリンのVEGF誘導性解離を予防したことを示す画像である。Angio-3は、VE−カドヘリンを、細胞−細胞AJからのVEGF誘導性解離から保護した。コンフルエントなHUVEC単層を100μMのAngio-3で30分間前処理し、その後、単層を100ng/mlのVEGFで20分間刺激した。次いで、細胞を固定し、透過処理し、VE−カドヘリンについて調べた。図21A〜Dは、それぞれ、対照細胞、100ng/mlのVEGFで処理した細胞、100uMのAngio-3で処理した細胞、および100ng/mlのVEGF+100uMのAngio-3で処理した細胞を示す。 図22Aおよび22Bは、Angio-3が、HUVECのTJからの密着結合(TJ)タンパク質ZO-1およびZO-2のVEGF誘導性解離を抑制したことを示す画像である。細胞は、それぞれ、対照、100ng/mlのVEGF、100μMのAngio-3、および100ng/mlのVEGF+100μMのAngio-3の下で、処理した。 図23A、23B、23C、および23Dは、Angio-3が、HUVECにおいてVEGF誘導性アクチンストレスファイバー形成を抑制したことを示す画像である。しかし、VEGFがない場合に、Angio-3は皮質のアクチンファイバー形成を促進した。赤色は作用染色を表し、青はDAPI染色を表す。 網膜電図(ERG)を介して記録した網膜機能試験の結果を示すグラフである。未処置マウスは12週齢後にa波およびb波の両方の応答がない。Angio-3はa波およびb波の応答を処置後6週間増大させ、次いで、第2の投与で、応答を20週間再び増大させた。この結果は、Angio-3がKIMBAマウスにおいて網膜機能をレスキューしていることを示す。データは平均±標準偏差として表し、**=P<0.05;***=P<0.01である。 図25A、25B、25C、25D、25E、および25Fは、滲出型AMDの実験モデルとして開発されたカニクイザルのレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおける試験の結果を示す。図25Aは研究設計の概略図である。 図25A、25B、25C、25D、25E、および25Fは、滲出型AMDの実験モデルとして開発されたカニクイザルのレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおける試験の結果を示す。図25Bは、すべての群の代表的な眼底フルオレセイン血管造影(FFA)画像である。 図25A、25B、25C、25D、25E、および25Fは、滲出型AMDの実験モデルとして開発されたカニクイザルのレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおける試験の結果を示す。図25Cは、単回用量2mgのAngio-3、用量2mgの抗VEGF(Eylea)、2mgのペプチド(Q2)、および4mgのペプチド(Q4)、ならびに対照で処置したサルの眼の平均病変グレードの変化を示すグラフである。 図25A、25B、25C、25D、25E、および25Fは、滲出型AMDの実験モデルとして開発されたカニクイザルのレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおける試験の結果を示す。図25Dは、レーザー誘導性脈絡膜新生血管形成の非ヒト霊長類モデルで試験した、Angio-3、PepQ−低用量(2mg);PepQ−高用量(4mg)、Eylea、および対照の眼の処置前後の全グレードのパーセンテージのグラフである。 図25A、25B、25C、25D、25E、および25Fは、滲出型AMDの実験モデルとして開発されたカニクイザルのレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおける試験の結果を示す。図25Eは、ImageJソフトウェアによってFFA画像から定量化したレーザー面積のグラフである。 図25A、25B、25C、25D、25E、および25Fは、滲出型AMDの実験モデルとして開発されたカニクイザルのレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおける試験の結果を示す。図25Fは、ImageJソフトウェアによってPS-OCT画像から定量化したレーザー体積のグラフである。4処置群のすべては、ビヒクル対照と比較して、漏出および新生血管面積を有意に低減させた。Eyleaは、試験ペプチドと比較して優れた有効性を示す。しかし、Pep-Qは用量依存的有効性を示し、より高い用量の有効性はEyleaに近い。 図26Aおよび26Bは、アルカリ熱傷損傷から7日後の角膜新生血管形成の進行を示す画像である。図26Aは、ビヒクル処置した眼の代表的な画像である。図26Bは、関心対象の本発明者らの化合物(ペプチドQ)で1日あたり3回処置した眼の代表的な画像である。白矢印は、角膜の混濁および新生血管形成の違いを示す。 アルカリ熱傷損傷から7日後の角膜新生血管形成(NV)面積のグラフであり、ImageJソフトウェアによって定量化した。ペプチドQ処置した眼は、ビヒクル対照の眼と比較して、角膜のNV面積が有意に低減していた。 図28Aおよび28Bは、マウスモデルにおける創傷治癒の試験の結果を示す画像であり、グラフである。図28Aは、Angio-3処置および対照野生型マウスから角膜の上皮を除去し、上皮欠損部(緑)を局所フルオレセイン染色した後の、マウスの角膜の代表的な細隙灯生体顕微鏡画像である。図28Bは、Angio-3処置および対照野生型マウスにおける、経時的な(横軸)残存創傷欠損のパーセンテージ(縦軸)のグラフであり、2回の独立の実験で各群についてn=6である。両方の群は統計学的に有意であった。Angio-3は、通常の創傷治癒過程に影響を及ぼさなかった。データは、平均±標準偏差として表す。
詳細な説明
Angio-3ペプチドを含む組成物を投与することによって網膜血管性疾患を有する対象を処置するための組成物および方法が、本明細書において提供される。Angio-3ペプチドは、網膜血管性疾患を有する患者において新血管の形成を阻止するように作用し、抗VEGF療法に応答性でない患者に特に有用である。本療法は、好都合には、経口的に、または静脈内注射によって、または硝子体内注射によって、送達され得る。
値とともに使用される場合、用語「約」は、値に適度に近い、すなわち、値の±10%の範囲内である任意の値を意味する。特に、これは、値それ自体を含むであろう。例えば、45mg/kgの値と55mg/kgの値の両方とも「約50mg/kg」であるとみなされる。
用語「対象」、「患者」、または「個体」は、本明細書において互換的に使用されて、ヒトまたは動物を指す。例えば、動物対象は、哺乳類、霊長類(例えば、サル)、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、もしくはヤギ)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)、実験用試験動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、トリ)、獣医学的に重要な動物、または経済的に重要な動物であり得る。
本明細書において使用する場合、処置に対して「応答性でない」および「非応答性」という用語は、本明細書において互換的に使用されて、患者または対象が特定の処置に応答しない、または特定の疾患に対する処置後に望ましい利益を得ない状態を指す。用語「応答性でない」および「非応答性」は、対象が処置を受けるが、処置がない場合に疾患に付随する少なくとも1つの症状の低減を経験しない状態を含む。例として、抗VEGF療法を受けているにもかかわらず、患者の網膜下の新血管が形成し続ける場合、または処置を受けている間、新血管が増殖し続ける場合、対象は抗VEGF療法に応答性でない。
本明細書において使用する場合、用語「非応答者」は、特定の疾患に対する治療的処置が施されるが、その療法に応答しない、またはその療法から利益を受けない対象を指す。本用語は、疾患、例えば、網膜血管性疾患に付随する少なくとも1つの症状の低減を経験しない対象を指す。
本明細書において使用する場合、状態、疾患、もしくは障害、または状態、疾患、もしくは障害に付随する症状を「処置すること」、あるいは状態、疾患、もしくは障害、または状態、疾患、もしくは障害に付随する症状「の処置」は、臨床結果を含めた有益なまたは望ましい結果を得るためのアプローチを指す。有益なまたは望ましい臨床結果としては、限定されないが、部分的または全体的を問わず、1つまたは複数の症状または状態の軽減または改善、状態、障害または疾患の程度の縮減、状態、障害または疾患の状況の安定化、状態、障害または疾患の発生の予防、状態、障害または疾患の蔓延の予防、状態、障害または疾患の進行の遅延または緩徐化、状態、障害または疾患の発症の遅延または緩徐化、状態、障害または病態の改善または緩和、および寛解を挙げることができる。「処置すること」は、処置がない場合に期待される生存を越えて対象の生存を延ばすことを意味することもできる。「処置すること」は、状態、障害または疾患の進行を阻害すること、状態、障害または疾患の進行を一時的に緩徐化することを意味することもできるが、ある場合には、これは、状態、障害または疾患の進行を永続的に停止することを含む。本明細書において使用する場合、処置、処置する、または処置することという用語は、プロテアーゼの発現を特徴とする疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の影響を、またはプロテアーゼの発現を特徴とする疾患もしくは状態の症状を低減させる方法を指す。したがって、開示される方法では、処置は、確立された疾患、状態の重症度、または疾患もしくは状態の症状の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の低減を指すことができる。例えば、疾患を処置するための方法は、対照と比較して、対象において疾患の1つまたは複数の症状の10%の低減がある場合、処置であると考えられる。したがって、低減は、ネイティブまたは対照のレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%でもよく、または10%と100%の間の任意のパーセントの低減でもよい。処置は、疾患、状態の、または疾患もしくは状態の症状の回復または完全な消失を必ずしも指すとはかぎならいないことが理解されよう。さらに、本明細書において使用する場合、減少させること、低減させること、または阻害することへの言及は、対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上の変化を含み、そのような用語は、完全な排除を含むことができるが、必ずしも完全な排除を含むとは限らない。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用されて、アミノ酸残基のポリマーを含む。本用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的模倣物であるアミノ酸ポリマーに、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書において使用する場合、本用語は、アミノ酸残基が共有結合性ペプチド結合によって連結している、完全長タンパク質(すなわち、抗原)を含めた任意の長さのアミノ酸鎖を包含する。
用語「アミノ酸」は、天然に存在するおよび合成のアミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を含む。天然に存在するアミノ酸は遺伝暗号にコードされるもの、ならびに後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体としては、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素に結合しているα炭素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムが挙げられる。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。「アミノ酸模倣体」としては、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学化合物が挙げられる。
アミノ酸は、一般に公知の3文字記号またはIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される1文字記号のいずれかによって、本明細書において言及され得る。同様に、ヌクレオチドは、一般に認められた1文字コードで言及され得る。
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列中の単一アミノ酸またはごく一部のアミノ酸を変更する、付加するまたは欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、および/または付加は、変更が、あるアミノ酸と化学的に類似したアミノ酸との置換をもたらす「保存的修飾変異体」であることを認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野において周知である。そのような保存的修飾変異体は、多形変異体、種間相同体、および/またはアレルに加えられ、多形変異体、種間相同体、および/またはアレルを除外しない。
以下の8群はそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、スレオニン(T);および
(8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。
用語「治療的有効量」または「有効量」は、必要な投薬量および期間での、望ましい治療的または予防的結果を達成するのに有効な量または分量を含む。
用語「投与すること」は、対象への、経口投与、局所接触、坐剤としての投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病巣内投与、髄腔内投与、鼻腔内投与、もしくは皮下投与、または徐放性装置、例えば、ミニ浸透圧ポンプの埋植を含む。投与は、非経口および経粘膜(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、経鼻、腟、直腸、または経皮)を含めた任意の経路による。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内が挙げられる。送達の他の方式としては、限定されないが、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用が挙げられる。当業者は、本明細書において記載される治療的有効量の融合タンパク質を投与するためのさらなる方法について知っているであろう。
いくつかの網膜血管性疾患、例えば、加齢性黄斑変性症、網膜症、または血管閉塞を罹患している対象を処置するための方法が、本明細書において記載される。網膜症は、視力の機能障害または喪失をもたらす網膜の疾患を指す。加齢性黄斑変性症(「AMD」)は、黄班および網膜色素上皮などの眼の様々な構造体への新血管の侵入を特徴とする。血管閉塞は、網膜の血管、動脈、または静脈における遮断である。任意で、対象は、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、または角膜新生血管形成を有する。これらの状態のうちの1つを有する対象は、以下の症状、すなわち、視野欠損、環境中のテクスチャー(textures)および微妙な変化を見るのが困難であること、および光レベルの変化に適応することが困難であること、および奥行き感覚が損なわれることのうちの1つまたは複数を経験する可能性がある。網膜血管性疾患は、網膜下の血管生成を検査するための当技術分野において周知の方法、例えば、散眼検査、自己蛍光、眼底撮影、フルオレセイン血管造影、光干渉断層撮影(OCT)、眼圧測定、眼底検査、または検眼鏡検査を使用して、訓練を受けた検眼医または他の医療専門家が診断することができる。
任意で、Angio-3ペプチドで処置される対象は、抗血管新生療法、例えば、抗VEGF療法に非応答性であることが以前に確定していた。本明細書において使用する場合、抗血管新生療法は、血管新生を阻止する療法を指す。本明細書において使用する場合、抗VEGF療法は、1つまたは複数のVEGF機能を阻止する療法を指す。抗血管新生療法の非限定例としては、ペガプタニブ(PfizerによるMacugen(商標))、ラニビズマブ(GenentechによるLucentis(商標))、ベバシズマブ(GenentechによるAvastin(商標))、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、CM101、IFN-a、IL-12、血小板因子4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、血管新生抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来血管新生阻害因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、プロラクチン、アルファv.ベータ3阻害剤、リノミド、VEGF-Trap(Regeneron Pharmaceuticalsによる)、アミノステロール(Genera Corp.によるEvizion(登録商標))、コルチセン(Cortisen)(AlconによるRetaane(登録商標))、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血管新生siRNA、補体系の阻害剤、遺伝子治療療法(例えば、Genvec(Gaithersburg, MD)によるAdPEDF.11)が挙げられる。任意で、抗VEGF療法は抗VEGF抗体、例えば、市販されているベバシズマブである。
任意で、網膜血管性疾患を処置する方法は、網膜血管性疾患と診断されているが、抗VEGF療法に応答性でない対象を選択することを含む。組成物の投与は、本明細書において開示されるAngio-3ペプチド、例えば、SEQ ID No 1〜4のいずれか1つ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
アンギオスタチンは、プラスミノーゲンの断片であるプラスミンの断片である。プラスミノーゲン(UniProt No. P00747)は、ジスルフィド結合によって結合しているループ状の「クリングル」構造を形成する5つの相同な反復を含む。プラスミノーゲンは、5つのクリングルドメイン(k1〜k5)に位置するリジン結合部位を介してフィブリンに結合する(Folkman et al, Nature Medicine, vol. 1, No. 1, pp. 27-31 1999)。各クリングルドメインは約80アミノ酸残基の長さであり、異なるクリングルドメインは、アミノ酸配列が互いに非常に相同である。Angio-3は、プラスミノーゲンのクリングルドメインk4に由来し、血管新生阻害剤であり、すなわち、これは新血管の増殖を阻止し、抗炎症/抗血管新生活性を有する。Angio-3のシグナリング経路は、静止状態の内皮と、活性化した(すなわち、血管新生)内皮の切り換えを媒介する。血管新生を均一に促進すると思われる血管内皮増殖因子(VEGF)と異なり、Angio-3は、内皮細胞の状況に応じて異なる機能を有すると思われ、細胞−細胞と細胞−マトリックスの両方の接触が、得られるシグナルをモジュレートする。
多くの場合で、網膜血管性疾患を有する患者は、VEGF阻害剤療法に応答性でない、または一定期間の処置の後に非応答性になり、その結果、VEGF依存的内皮の保護がもたらされると考えられる。本明細書において記載されるように、Angio-3を送達することによって、新血管の形成を破壊することができ、患者は、抗VEGF療法に対する耐性を克服することができる可能性がある。特に、Angio-3ペプチドを投与することによって、網膜および/もしくは脈絡膜の血管新生を減弱することができ、ならびに/または網膜の血管新生に起因する眼内の漏出の病変領域を低減することができる。
網膜血管性疾患を処置するのに使用することができるAngio-3ペプチドは、ネイティブなAngio-3ペプチドでもよく、これは、
Figure 2020532586
の配列を有する。Angio-3ペプチドはまた、SEQ ID NO: 1からの修飾を含み、血管新生を阻止する機能を依然として保持するペプチドでもよい。ペプチドに対するいくつかの典型的な修飾としては、配列修飾および化学修飾が挙げられる。
ポリヌクレオチド配列は、Angio-3ポリペプチドをコードすることができ、これには、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、または置換を有する配列が含まれ、これらは、本明細書において記載されるように、本ポリペプチドの少なくとも1つの機能特性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをもたらす。本ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブ、および本ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に対する通常の染色体座以外の遺伝子座を有するアレル変異体への不適当なまたは予期しないハイブリダイゼーションを使用して、容易に検出することができてもよいし、できなくてもよい多型が、この定義内に含まれる。
ポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列を変えない配列変更は、「サイレント」変異と呼ばれる。遺伝暗号の縮重のため、それぞれメチオニンおよびトリプトファンをコードするATGおよびTGGコドンを除いては、同じアミノ酸について可能なコドンのいずれも、当技術分野において利用可能な様々な技法、例えば、部位特異的変異誘発によって置換され得る。したがって、配列表より選択される、配列の任意のおよびすべてのそのような変異は、本開示の特色である。
サイレント変異に加えて、Angio-3ペプチドの1つまたは少数のアミノ酸残基を変える他の保存的変異は、ポリペプチドの機能を変えることなく作製することができる。例えば、本明細書において提供される配列中に導入される置換、欠失および挿入も想定される。アミノ酸置換は、典型的には単一残基のものであり、挿入は通常約1〜10アミノ酸残基のオーダーであると考えられ、欠失は約1〜30残基の範囲であると考えられる。好ましい態様では、欠失または挿入は隣接する対において作製され、例えば、2残基の欠失または2残基の挿入である。置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせは、配列に達するように組み合わせることができる。ペプチドをコードするポリヌクレオチド中で作製される突然変異はリーディングフレームの外に配列を配置すべきではなく、2次mRNA構造を生成することができる相補性領域を作るべきではない。好ましくは、DNAにコードされるポリペプチドは望ましい機能を果たす。
保存的置換はアミノ酸配列中の少なくとも1つの残基が除去されており、異なる残基がその場所に挿入されているものである。そのような置換は、一般に、タンパク質の活性を維持することが望ましい場合に作製される。ポリペプチド中のすべての保存的アミノ酸置換(例えば、1つの塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸と置換される)は天然のポリペプチドと同じ活性を保持するポリペプチドを必ずしももたらすとは限らないと考えられるが、これらの保存的突然変異の多くがその活性を保持するポリペプチドをもたらすであろうことが期待される。
Angio-3ペプチドの配列変異体は、当業者に周知の方法に従ってそれぞれの野生型配列を修飾することによって、生成することができる。そのような方法としては、限定されないが、望ましい変化を含むように設計されているプライマーを使用する、PCRによる変異誘発;標的領域に変異導入するためのネステッドプライマー;および逆方向に配向されたプライマーを使用して未知配列の領域を増幅するインバースPCRが挙げられる。多くの他の突然変異方法および進化方法も利用可能であり、当業者の技能内であることが期待される。Angio-3ペプチド(SEQ ID NO: 1)の配列変異体およびAngio-3ペプチドそれ自体は、ペプチド合成のための当技術分野において周知の方法を使用して、研究室で合成することもできる。
したがって、本開示は、
Figure 2020532586
の配列を有するスクランブル化Angio-3ペプチドも提供し、これは本明細書において開示される一部の研究のための陰性対照として使用される。
発現される核酸およびポリペプチドの化学的または酵素的変更は、標準的な方法によって行うことができる。例えば、脂質、糖、ペプチド、有機または無機化合物の付加によって、修飾されたヌクレオチドまたはアミノ酸の包含によってなどで、配列を修飾することができる。これらの方法を使用して、任意の所与の配列を修飾すること、または本明細書において記載され、当業者に公知である様々な突然変異および人工的進化修飾方法によって生成された任意の配列を修飾することができる。
本明細書において開示されるAngio-3ペプチドは、天然アミノ酸、および任意で、それらの翻訳後修飾を含むことができる。しかし、インビトロペプチド合成によって、修飾されたおよび/または非天然のアミノ酸の使用が可能になる。例示的であるが、限定されない、修飾されたおよび/または非天然のアミノ酸の表を本明細書において以下に提供する。
(表1)修飾されたアミノ酸
Figure 2020532586
したがって、本開示は、突然変異、化学的もしくは酵素的修飾、または他の利用可能な方法による任意の所与の核酸の修飾と、例えば、様々な修飾アプローチのための出発基質として本明細書の配列を使用して、そのような方法を実施することによって生成された生成物とを提供する。
任意で、ネイティブAngio-3への修飾は、アルギニンをホモアルギニンと置換することである。ホモアルギニンは、L−アルギニン(Arg)のメチレン相同体である。これは、アミノ酸誘導体であり、一酸化窒素利用能を高めること、および内皮機能を増強することができる。したがって、任意で、網膜血管性疾患を処置するのに使用することができるAngio-3ペプチドはPep-Nであり、これは、Xaaがホモアルギニンである、
Figure 2020532586
の配列(SEQ ID NO: 3)を有する。任意で、網膜血管性疾患を処置するのに使用することができるAngio-3ペプチドはPep-Qであり、これは、Xaaがホモアルギニンである、
Figure 2020532586
の配列(SEQ ID NO: 4)を有する。
Angio-3ペプチドは、当技術分野において公知の方法によって調製することができる。これらの方法としては、合成ペプチド化学、適切な原核または真核宿主細胞を使用した本開示のペプチドの組換発現、および体細胞遺伝子導入の特色としてのペプチドの発現系または組換発現、すなわち、処置部位における投与レジメンの一部としての発現が挙げられる。
任意で、ペプチドは、標準的なペプチド合成技法、例えば、固相または溶液相ペプチド合成を使用して、化学的に合成することができる。すなわち、SEQ ID NO: 1〜4として開示されるペプチドは、例えば、当技術分野において周知の組成物および方法を使用して、固体支持体上でまたは溶液中で、化学的合成することができ、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Fields, G. B. (1997) Solid-Phase Peptide Synthesis. Academic Press, San Diegoを参照されたい。そのような標準的なペプチド調製技法としては、例えば、溶液合成またはメリフィールド型固相合成、Boc(tert.ブチルオキシカルボニル)、およびFmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)ストラテジーが挙げられる。任意で、ペプチドは、当技術分野において周知の方法を使用して、固相Fmoc化学によって合成される(Ajikumar PK, Lakshminarayanan R, Ong BT, Valiyaveettil S, Kini RM. Biomacromolecules. 2003 Sep-Oct; 4(5):1321-6)。
薬学的に許容される賦形剤およびAngio-3ペプチドを含む薬学的組成物が、本明細書において提供される。特に、抗血管新生療法、例えば、抗VEGF療法に応答性でない対象のために、網膜血管性疾患を処置するための組成物を投与する方法も提供される。
薬学的組成物または医薬は、1種または複数種の生理学的に許容可能な担体または賦形剤を使用して、標準的な技法によって製剤化することができる。適切な薬学的担体は本明細書において、および例えば、“Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Twenty-First Edition” by E.W. Martinに記載されている。Angio-3ペプチドおよびその生理学的に許容可能な塩および溶媒和化合物は、限定されないが、経口的、局所的、経鼻的、直腸的、非経口的(例えば、静脈内、皮下、筋肉内など)、およびそれらの組み合わせを含めた任意の適切な経路による投与のために、製剤化することができる。任意で、治療剤は液体、例えば水に溶解される。
経口投与については、本明細書において開示される薬学的組成物または医薬は、例えば、薬学的に許容される賦形剤を用いて従来の手段によって調製される、錠剤またはカプセル剤の形態をとることができる。(a)希釈剤またはフィラー、例えば、ラクトース、デキストロース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロース(例えば、エチルセルロース、微結晶セルロース)、グリシン、ペクチン、ポリアクリレート、および/またはリン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、(b)潤滑剤、例えば、シリカ、無水コロイドシリカ、タルカン、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくカルシウム塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム)、ステアリン酸金属、コロイド状二酸化ケイ素、水素添加植物油、コーンスターチ、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および/またはポリエチレングリコール;錠剤用にさらに、(c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンのり、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース;所望により、(d)崩壊剤、例えば、デンプン(例えば、ジャガイモデンプンもしくはデンプンナトリウム)、グリコール酸、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;(e)湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびに/あるいは(f)吸収剤、着色剤、香料、および甘味剤とともに活性成分を含む、錠剤およびゼラチンカプセル剤が好ましい。任意で、錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレングリコール6000と二酸化チタンとの混合物を含む。錠剤は、当技術分野において公知の方法に従って、フィルムコーティングまたは腸溶コーティングのいずれかをされていてもよい。
経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液剤、シロップ剤、もしくは懸濁剤の形態をとることができ、またはこれは、使用前に水もしくは他の適切なビヒクルで構成するための乾燥生成物として提供され得る。そのような液体調製物は、薬学的に許容される添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素添加食用脂;乳化剤、例えば、レシチンまたはアラビアゴム;非水性ビヒクル、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分画植物油;および防腐剤、例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸を用いて、従来の手段によって調製することができる。調製物は、適宜、緩衝塩、着香料、着色剤、および/または甘味剤も含むことができる。所望により、経口投与のための調製物は、活性化合物の制御放出をもたらすように、適切に製剤化することができる。
局所投与については、本開示の組成物は、乳濁液、ローション剤、ゲル剤、クリーム剤、ゼリー剤、溶液剤、懸濁剤、軟膏剤、および経皮パッチの形態でもよい。吸入による送達については、組成物は、乾燥粉末として、またはネブライザーを介して液体形態で送達され得る。非経口投与については、組成物は、滅菌注射用溶液剤および滅菌包装粉末剤の形態でもよい。好ましくは、注射用溶液剤は約4.5〜約7.5のpHで製剤化される。
組成物は、凍結乾燥形態で提供することもできる。そのような組成物は、投与前の再構成のために、緩衝剤、例えば重炭酸塩を含むことができ、または緩衝剤は、例えば水による再構成のために、凍結乾燥組成物中に含めることができる。凍結乾燥組成物は、適切な血管収縮剤、例えばエピネフリンをさらに含むことができる。凍結乾燥組成物は注射器中で提供することができ、任意で、再構成組成物を直ちに患者に投与することができるように、再構成のための緩衝剤と組み合わせて包装することができる。
化合物は、制御薬物送達システム、例えば、圧力制御送達カプセル、結腸標的送達システム、浸透圧制御薬物送達システムなどの中にカプセル化することができる。圧力制御送達カプセルは、エチルセルロース膜を含むことができる。結腸標的送達システムは、酸可溶性材料、例えばEudragit E(登録商標)でオーバーコーティングされ、次いで、腸溶性材料、例えば、Eudragit L(登録商標)でオーバーコーティングされたラクツロースを含む錠剤コアを含むことができる。浸透圧制御薬物送達システムは、硬質ゼラチンカプセルでカプセル化された単一またはそれ以上の浸透圧ユニット(例えば、カプセル浸透圧ポンプ;例えば、Alzet, Cupertino, CAから市販されている)でもよい。典型的には、浸透圧ユニットは、浸透圧プッシュ層および薬物層を含み、両方とも半透膜で取り囲まれている。
薬学的組成物または医薬は、本明細書において記載されるように、網膜血管性疾患を処置するために、治療有効量で対象に投与することができる。任意で、薬学的組成物または医薬は、対象において有効な処置応答を誘発するのに十分である量で、対象に投与される。
典型的には、活性化合物の投薬量は、望ましい効果を達成するのに十分である投薬量である。最適な投薬スケジュールは、対象の体内における薬剤蓄積の測定から計算することができる。一般に、投与される投薬量は、限定されないが、対象の体重、年齢、個体の状態、接触する領域の表面積もしくは体積を含めたいくつかの因子、および/または投与経路によって変動し得る。用量サイズは、特定の対象における特定の化合物の投与にともなう任意の有害作用の存在、性質、および程度によっても決定される。好ましくは、望ましい結果をもたらすのに必要とされる最小の用量および濃度が使用されるべきである。投薬量は、小児、高齢者、衰弱した患者、ならびに心臓および/または肝臓の疾患を有する患者に対して、適切に調整されるべきである。さらなるガイダンスは、投薬量を評価するための実験動物モデルを使用して、当技術分野において公知の研究から得ることができる。
任意で、組成物は静脈内注射によって投与される。個体(例えば、ヒト)への静脈内投与のための単位投薬量は、体重1kgあたり2〜50mgの活性成分を含むことができ、これは、2〜50mg/kg Bwtとも称される。例えば、約50kgの患者については、単位投薬量は、100mg〜2,500mgの活性成分のAngio-3ペプチドを含むことができる。任意で、単位投薬量は2〜50mg/kg Bwt.であり、例えば、10〜50mg/kg Bwt.、25〜45mg/kg Bwt.、または20〜40mg/kg Bwt.である。単位投薬量の体積は変動し、任意で、体積は、10〜200μl、例えば、40〜150μl、100〜200μl、120〜150μl、または50〜160μlの範囲内である。
任意で、組成物は硝子体内注射によって投与される。典型的には、硝子体内投与のための単位投薬量は、0.1μg/kg Bwt.〜2mg/kg Bwt.、例えば、0.5μg/kg Bwt.〜2mg/kg Bwt.、1〜2mg/kg Bwt.、または1〜1.5mg/kgのAngio-3ペプチドを含むことができる。単位投薬量の体積は変動する可能性があり、例えば、これは、10〜80μl、例えば、20〜60μlまたは30〜50μlの範囲内の体積である。
任意で、組成物は経口的に投与される。典型的には、経口投与のための単位投薬量は、2mg/kg Bwt.〜10mg/kg Bwt.、例えば、2μg/kg Bwt.〜8mg/kg Bwt.、5〜10mg/kg Bwt.、または4〜6mg/kg のAngio-3ペプチドを含むことができる。
組成物の投薬量は、症状の重症度、再発の頻度、および/または処置レジメンに対する生理応答に応じて、投与期間全体を通して、モニターし、調整することができる。当業者は、一般に、処置レジメンのそのような調整に携わる。
望ましい治療効果を達成するために、組成物を治療有効量で複数日にわたって投与することができる。したがって、対象において本明細書において記載される適切な状態または疾患を処置するための、本開示の組成物の治療的に有効な投与は、4週または2年またはそれ以上におよぶ期間にわたって続く定期的な(例えば、毎日の)投与を必要とする。治療的に有益な効果は、薬剤が、毎日、または対象において薬剤の治療的に有効な濃度を維持するのに十分な頻度で投与される場合に達成され得る。例えば、毎日、隔日、またはより高い用量範囲が用いられ対象が忍容性を示す場合は、例えば週2回、薬剤を投与することができる。
患者を処置するためのAngio-3ペプチドでの処置の持続時間は、対象の状態の重症度およびAngio-3に対する対象の応答に従って変動する。本開示によるAngio-3での処置は、したがって、5、6、8、10週またはさらに長く続く可能性がある。任意で、約4週〜2年、より典型的には、約6週〜約1年、最も典型的には、約6か月〜1年の期間にわたって、組成物を投与することができる。投与の適切な期間としては、約18週〜1年、9〜16週、16〜24週、16〜32週、24〜32週、24〜48週、32〜48週、32〜52週、48〜52週、48〜64週、52〜64週、52〜72週、64〜72週、64〜80週、72〜80週、72〜88週、80〜88週、80〜96週、88〜96週、および96〜104週も挙げられる。投与の適切な期間としては、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、25、30、32、35、40、45、48、および50週も挙げられる。一般に、組成物の投与は、状態の臨床的に有意な好転が観察されるまで続けられるべきである。
任意で、Angio-3ペプチドを含む組成物の投与は、持続的でなく、1つまたは複数の期間にわたって中断し、その後に、投与を再開する1つまたは複数の期間が続いてもよい。投与が中断する適切な期間としては、1〜9か月、1〜6か月、9〜16週、16〜24週、2〜32週、24〜32週、24〜48週、32〜48日、32〜52日、48〜52日、48〜64日、52〜64日、52〜72日、64〜72日、64〜80日、72〜80日、72〜88日、80〜88日、80〜96日、88〜96日、および96〜100日が挙げられる。投与が中断する適切な期間としては、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、25、30、32、35、40、45、48、50、52、55、60、64、65、68、70、72、75、80、85、88、90、95、96、および100日も挙げられる。
任意で、組成物は、1日あたり1回、2回、またはそれ以上、経口的に患者に投与される。任意で、Angio-3ペプチドを含む組成物の毎日の経口投与は、少なくとも2週、少なくとも3週にわたって、または期間中に1〜2週投与される。場合によっては、この期間は、3、4、6、7、または8か月である。一般に、Angio-3の投与は、望ましい治療的利益が得られるまで続けられる。最初の用量の送達から最後の用量の送達までの全体の処置期間は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、25、30、32か月であり得る。任意で、全体の処置期間は、6〜10か月、12〜24か月、6〜32週、24〜32週、24〜48週、32〜48か月、または32〜52か月続く。
任意で、組成物は、24週ごと、20週ごと、15週ごと、12週ごと、10週ごと、または4週ごとに、少なくとも1回、2回、またはそれ以上、静脈内にまたは硝子体内に送達される。任意で、組成物は、4〜10週ごとに1回、静脈内にまたは硝子体内のいずれかに送達される。
本明細書において開示されるAngio-3組成物は、網膜血管性疾患を処置するのに有用であることが公知である他の活性剤と、または単独では有効でない可能性があるが、アトロピンの有効性に寄与する可能性がある補助剤と組み合わせて使用することができる。Angio-3組成物は、網膜血管性疾患を処置するためのレーザー療法または手術とともに使用することもできる。
本明細書において開示されるAngio-3組成物は、適切な容器、例えば、瓶または滴瓶中に入れることができ、適応状態の処置についてラベルで表示することができる。アトロピン組成物の投与のために、そのようなラベル表示は、投与の量、頻度、および方法に関する指示を含むであろう。
患者は、処置の開始時に、および処置中および/または処置後の定期検査の間に、眼検査によってモニターされる。場合によっては、患者は、例えば、処置期間中および/または処置期間後に、4、5、6か月、7、または8か月間ごとにモニターされる。網膜血管性疾患の進行を判定するための方法は周知であり、例えばカラー眼底撮影(「CFP」)、眼底フルオレセイン血管造影(「FFA」)、光干渉断層撮影(「OCT」)、視力検査による。処置に対する応答は、臨床スコアリングシステムを介して、定性的解析と定量的解析の両方によって評価される。
以下の実施例は例示目的のためのみであり、制限として解釈されるべきでない。当業者に利用可能な様々な代替の技法および手法があり、これらは、同様に、提供される方法を首尾よく実施することを可能にするであろう。
実施例1.非ヒト霊長類(NHP)のレーザー誘導性CNVにおけるANGIO-3の有効性
このパイロット有効性研究は、NHPのレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(「CNV」)モデルで行った。このパイロット研究のために4匹のサルを使用し、各動物は眼検査手法を受けた。筋肉内ケタミン(10〜20mg/kg)およびメデトミジン(0.02mg/kg;IM)で動物を鎮静させた。局所麻酔(1〜2滴の1%キシロカイン)をかけて、眼の不快感を低減させた。眼イメージング手法のために、2.5%塩酸フェニレフリンおよび1%トロピカミドの滴剤で非ヒト霊長類の瞳孔を散大した。
レーザー光凝固術(レーザー誘導性CNV):
以前に述べられているように(Lai CM et al., 2005)CNVのためのモデルを作るために、動物の両眼にレーザー光凝固術を行った。手短に言えば、500〜800mWのパワー強度、50ミクロンのスポットサイズ、および0.1秒の持続時間のプロトコールで、9つのレーザー火傷を各眼の黄班の周囲に格子状に与えた。各レーザースポットから中心窩までの距離は、0.5〜1乳頭径サイズに維持した。中心窩を傷つけないように注意した。
潜在的な有害事象の徴候について1日2回、および食物摂取の定性的評価について1日1回、動物を観察した。移動日に、レーザー損傷についての動物選択時に、用量投与の日に、ならびに残りの研究を通して毎週、動物の体重を記録した。
硝子体内注射:
動物に麻酔をかけた後、一滴のキシロカインを結膜嚢中に落とすことによって、眼に局部麻酔をかけた。5%ポビドンヨード溶液を結膜嚢に入れた。自己保持開瞼器を眼の中に設置した。キャリパーを使用して、輪部の後ろ2mmの位置を測定し、印を付けた。鉗子も使用して眼を安定化し、30ゲージの針を使用して硝子体内注射を行った。15日目(レーザー損傷から14日後)に、試験化合物(50μl中2mg)を両眼に単回IVT注射によって投与した。すべての動物に対して毎日ケージサイド観察を行って、任意の眼の異常を含めた健康不良の臨床徴候についてモニターした。
カラー眼底撮影(CFP)および眼底フルオレセイン血管造影(FFA):
レーザー前ならびにレーザー後14日目、およびレーザー後29日目(処置から2週間目)に、両眼に対して眼底撮影を行った。撮影のために、前述のように瞳孔を散大し、眼底カメラ(TopCon Corp., Tokyo, Japan)で画像化した。眼底写真を使用して、網膜中の任意の変化、例えば、炎症および色素沈着を検出した。
10%ナトリウムフルオレセイン色素(0.1ml/kg体重)の静脈内注射によって、両眼に対してFFAを行った。色素注射後10秒から15分の間で、眼底画像を撮った。FFA画像を評価し、以下の標準化システムに従って段階分けした。
・グレード1−過蛍光なし−漏出なし
・グレード2−過蛍光−漏出なし
・グレード3−過蛍光−遅い漏出
・グレード4−スポットを越えて遅い漏出がある、明るい過蛍光
光干渉断層撮影(OCT):
レーザー前ならびにレーザー後14日目、およびレーザー後29日目(処置から2週間目)に、両眼に対してOCTを行った。
安楽死および組織採取:
30日目に動物を屠殺した。さらなる解析のために、眼、血液、眼液および内臓を採取した。
計画した日(30日目)に動物を屠殺し、大動脈(下行をクランプ)を通して半強度のKarnovsky固定液で上半身を灌流した。眼を取り出し、半強度のKarnovsky固定液中で2〜3日にわたって後固定し、次いで、処理するまでホルマリン中で保存した。1つまたは2つの病変部位を含む組織の細片をプラスチック中に包埋した。各病変の中央から30μm刻みで2μm厚の切片を得た。トルイジンブルーで切片を染色し、最も強い病変を有する試料を中心切断片と指定した。次いで、処置条件を知らない観察者が、この切片を評価した。
以下の3つの判断基準に基づいて、各病変について組織増殖スコアを計算した:紡錘細胞増殖性病変のサイズ、網膜下腔中の新血管増殖の程度、および脈絡毛細管の上の網膜の隆起。各尺度を0〜3まで段階分けし、0は存在しないことを示す。全組織増殖スコアは、各レーザー病変部位に対して記載した尺度のそれぞれの合計を含む。
結果
本発明者らの研究結果は、Angio-3ペプチドが、KIMBAマウスにおいて網膜の血管新生を有意に減弱することを示した(図1A〜D)。Eylea(陽性対照)は、IVTによって、6週齢のKimbaマウスで処置を開始した場合に、処置後4週間だけ有効である。しかし、Angio-3(試験ペプチド)は処置後16週までの間有効である(図2A〜D)。このデータは、マウスモデルにおける長時間のAngio-3の有効性を示す。レーザー誘導性マウスモデルの研究によって、Angio-3ペプチドが、単回投与によって、10週目まで、I/V経路を介して網膜および脈絡膜の血管新生を有意に減弱することが実証された(図3A〜C)。全身経路は、天然の創傷治癒過程、月経周期および行動変化に影響を及ぼさず、これは、Angio-3はIV経路を介して与えられても安全であることを示す。Angio-3はまた、IVT経路を介して、抗VEGFよりも、網膜および脈絡膜の血管新生を有意に減弱する(図4A〜B)。Angio-3はまた、舌下経路を介して、抗VEGFよりも、網膜および脈絡膜の血管新生を有意に減弱することを示す(図5A〜C)。さらに、本発明者らの研究は、Angio-3は、網膜および脈絡膜の血管性疾患のための潜在的な長時間作用型抗血管新生剤であり得ることを示す(図3および4)。さらに、本発明者らはまた、Angio-3処置ありおよびなしで、網膜機能を判定した。すべての群で認められた網膜機能に有意な違いはなかった。しかし、a波およびb波の応答は、26週目でベースラインより低く、これは、通常の加齢過程が原因であった(図3D)。ラットCNVモデルの研究で、最適用量が見出された。Angio-3は、5μg用量で、IVT経路を介して、抗VEGFよりも、網膜および脈絡膜の血管新生を有意に減弱する(図6A〜B)。
このNHPパイロット研究は、50μl中2mgの用量のSIPRAD-0276(Angio-3)は、IVTを介して良好な忍容性が示され、炎症の徴候は見られなかったことを示す。この用量は、50μl中2mgのEyleaと比較して同じ有効性を示した(図7A〜C)。しかし、これはLucentisより優れていなかった。病変グレードの重症度は、ビヒクル対照と比較して有意に低減した(図8)。病変領域の体積および厚さは、処置後に有意に低減した(図9)。
病理組織学的解析(図10)に基づくと、ビヒクル処置した(対照)切片は、薬物処置した眼と比較して、より厚く、より血管性である。対照切片は、薬物処置した眼と比較して、より多くの脈絡膜の線維増殖(赤矢印)、網膜厚の増大、より多くの脈絡膜新生血管形成(白矢印)、網膜厚の1倍または2倍に延びる複数の血管、および網膜隆起を示した。この図では、血管漏出性の程度は、レーザー損傷部位の網膜における形態変化と関係があった。網膜の肥厚、大規模な線維化、および浮腫性空胞によって明らかにされるように、29日目の時点でレーザースポットが強く漏出性であった場合、歪められた網膜構造が明らかであった。対照切片は、薬物処置した眼と比較して、より厚く、より血管性である。
Angio-3ペプチドはまた、ヒト網膜内皮細胞(HREC)のVEGF誘導性血管透過性(VP)を含めて、内皮細胞のVEGF誘導性VPをインビトロで抑制する。これは、マウスにおいて皮膚の血管透過性も阻害する。Angio-3は眼のVPも阻害するであろうこと、およびこの機能が、Kimbaマウスの眼において血管漏出を抑制するというAngio-3の機能に寄与することが想定される。
結論
NHPにおけるレーザー誘導性CNVは、RADの創薬および開発のためのゴールドスタンダードである。このパイロット研究の結果は、Angio-3がEyleaに近い有効性を示し、このペプチドは抗血管新生療法非応答者にとって利点であろうことを確証する。
このペプチドは、網膜血管性疾患の予防または処置のために、静脈内投与または経口投与または経IVT投与として投与することができる。
動物モデル研究の結果は、Angio-3は長期の抗VEGF効果を有し、したがって、市場に出ている現在の薬物よりも潜在的に大きな利点があることを確証する。
同じ疾患状態のための現在の薬物と比較して、このペプチドが10アミノ酸残基しか有さないので、本発明者らは、低費用のために、より高い濃度(忍容可能である最高の用量を次の研究から見つけるであろう)を生成することができる。
実施例2.比較基準のマウス抗VEGFと対比した、網膜血管性疾患に対するANGIO-3ペプチドの有効性
動物:
この研究の目的は、網膜血管性疾患に対する、比較基準のマウス抗VEGFと対比して、Angio-3ペプチドの有効性を評価することであった。C57BL/6J野生型(WT)マウスは、InVivos(Singapore)から購入した。Kimbaトランスジェニックマウス繁殖動物は、The Lions Eye Institute, Perth, Australiaから購入した。Brown Norwayラットは、Charles & River Laboratoriesから購入した。本発明者らの施設で、KIMBAマウス繁殖コロニーを維持し、本研究のためにマウスを繁殖させた。動物は12時間明/12時間暗サイクルで飼育し、食物および水は自由に与えた。すべての動物の取扱いおよび管理は、SingHealth Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC],Singaporeによって認められた指針に従って行い、動物実験について、Association for Research in Vision and Ophthalmology(ARVO)の推奨に従って行う。
動物モデル
Kimbaマウス(n=39)は、ヒト血管内皮増殖因子(hVEGF)タンパク質の光受容体特異的過剰発現によって生成された、網膜新生血管形成についてのトランスジェニックマウスモデルである。網膜新生血管形成の変化は、透過性の増大、周皮細胞および内皮細胞の喪失、血管の蛇行、白血球停滞および毛細血管の遮断、脱落および出血を含む。Kimbaマウスモデルは、hVEGFを標的にするように設計されている抗血管新生分子を試験するのに特に適している。
C57/BL6J(B6J)野生型マウス(n=90)において、レーザーによって脈絡膜新生血管形成(CNV)を誘導した。
Brown-Norwayラット(n=30)において、レーザーによって脈絡膜新生血管形成(CNV)を誘導した。
処置方式
静脈内(IV)経路、100μlの体積の単回注射を介して、25mg/kg BwtのAngio-3をKimbaマウスに与えた。Angio-3はまた、硝子体内(IVT)経路を介してKimbaマウスに注射した(1μg用量で1μlの体積の単回注射)。
B6Jマウスでは、25mg/kg Bwtの濃度のAngio-3で100μlの体積の単回注射を、静脈内(i/v)経路を介して注射し、これは、予防方式(レーザーの前)および退縮方式(レーザーから4日後)の両方で試験した。
B6Jマウスでは、3mg/kg Bwtの濃度のAngio-3で10μlの体積;3mg/kg Bwtの濃度のAngio-3スクランブルで10μlの体積、および0.1mg/kg Bwtの濃度の抗VEGFで10ulの体積を、舌下(経口)経路を介して与え、これは、退縮方式(レーザーから4日後)で試験し、5日間続けた(1日あたり単回投与)。
Angio-3はまた、硝子体内(IVT)経路、2つの異なる用量、すなわち、1μg(高用量)および100ng(低用量)で1μlの体積の単回注射によって、注射した。
Angio-3の最適な用量を特定するために、Brown-Norwayラットでこれをさらに評価した。IVT経路、3μlの体積の単回注射によって、5μg(高用量)および1μg(低用量)のAngio-3をラットに与えた。
レーザー誘導性CNV:
CNVを誘導するために、4か所のレーザー光凝固部位を両眼の視神経乳頭の周囲に同心円状に配置した。マウスについて120mWおよびラットについて250mWの相対効力スケール、0.05秒の暴露時間、および50μmのスポットサイズで、ダイオードレーザー(810nm)を使用した。レーザー光線の分散を避けるために、レーザースポットはクリスタルカバーを用いて焦点を合わせた。気泡の形成によって、ブルッフ膜の破裂を確認した。
眼底撮影および眼底フルオレセイン血管造影(FFA)は、MICRON IV眼底カメラ(Phoenix Laboratories USA)を使用して画像化した。FFAについては、5〜6gm体重あたり0.01mlの用量の10%ナトリウムフルオレセインを動物に腹腔内注射した。
手法全体で動物あたり約10〜15分かかった。処置後28日目(KimbaおよびIVTマウス;ラット群)ならびに25週目(IVマウス群)の終わりに、血液および組織の採取のために、ペントバルビタールの過剰投与によって動物を安楽死させた。
網膜電図検査(ERG)
動物を一晩(12時間)暗適応させ、薄暗い赤色光下で、記録の準備を行った。記載されるように、知覚消失および瞳孔散大を誘導した。ERG記録のために安定な再現性のある位置を確保するために、背上部および背下部にわたって、ファスナーストリップでステージに動物を軽く固定した。体温は、ステージの最上部に固定されたポンプ式加熱パッド(TP500 T/Pump; Gaymar Industries, Orchard Park, NY)で37℃から38℃の間に維持した。ERGは、角膜の単極電極(Mayo, Aichi, Japan)を用いて記録した(Espion; Diagnosis LLC, Redwood City, CA.)。参照電極として働くようにゴールドカップ電極(Grass-Telefactor, West Warwick, RI)を口内に設置し、接地電極として働くように銀−塩化銀電極(Grass-Telefactor, West Warwick, RI)を尾に設置した。記録は、暗適応(暗順応)条件下で、幅広い刺激強度(0.3-log単位の増分で、3.3〜1.0 log cd *s/m2)で行った。各強度での応答は、少なくとも5回の試行の平均であった。シグナルは、1〜100Hzの帯域通過フィルターにかけ、1kHzで得た。ERG記録セッションの持続時間は、各動物についておよそ30分であった。
イソレクチン染色
扁平化網膜を、氷冷70%vol/volエタノール中で20分間、次いで、PBS/1%Triton X-100中で30分間、透過性にした。血管構造を染色するために、AlexaFluor 568とコンジュゲートしたグリフォニア・シンプリシフォリア(Griffonia simplicifolia)イソレクチンB4(5μg/mL;Invitrogen-Molecular Probes, Eugene, OR)とともに、網膜を、1×PBS中で、4℃で一晩インキュベートした。次いで、網膜を1×PBS中で10分間ずつ3回すすぎ、退色防止培地(Prolong Antifadeキット(P7481);Invitrogen- Molecular Probes)中にマウントし、カバーガラスで密閉した。蛍光イメージングおよび共焦点顕微鏡(Live Cell TIRF SystemおよびA1R共焦点顕微鏡;Singapore Bio Imaging Centre-Nikon Imaging Centre, Singapore)で、網膜の血管構造の画像を取り込んだ。
結果
本発明者らの研究結果は、Angio-3ペプチドが、KIMBAマウスにおいて網膜の血管新生を有意に減弱することを示した(図1A〜D)。Eylea(陽性対照)は、IVTによって6週齢のKimbaマウスで処置を開始した場合に、処置後4週間だけ有効である。しかし、Angio-3(試験ペプチド)は処置後16週までの間有効である(図2A〜D)。このデータは、マウスモデルにおける長時間のAngio-3の有効性を示す。レーザー誘導性マウスモデルの研究によって、Angio-3ペプチドが、単回投与によって、10週目まで、I/V経路を介して網膜および脈絡膜の血管新生を有意に減弱することが実証された(図3A〜C)。全身経路は、天然の創傷治癒過程、月経周期および行動変化に影響を及ぼさず、これは、Angio-3はIV経路を介して与えられても安全であることを示す。Angio-3はまた、IVT経路を介して、抗VEGFよりも、網膜および脈絡膜の血管新生を有意に減弱する(図4A〜B)。Angio-3はまた、舌下経路を介して、抗VEGFよりも、網膜および脈絡膜の血管新生を有意に減弱することを示す(図5A〜C)。さらに、本発明者らの研究は、Angio-3は網膜および脈絡膜の血管性疾患のための潜在的な長時間作用型抗血管新生剤であり得ることを示す(図2および3)。
このペプチドは、網膜血管性疾患の予防または処置のために、静脈内投与または経IVT投与として投与することができる。本発明者らの動物モデル研究は、Angio-3が長時間作用型抗VEGFであり、これは、市場に出ている現在の薬物よりも潜在的な利点があることを確証する。
実施例3.網膜血管性疾患に対する修飾されたANGIO-3ペプチドの有効性
B6Jマウスでは、100ng、1μg、5μgのPEP-Q、PEP-N(修飾されたAngio-3)、Angio-3、およびEyleaの単回硝子体内(IVT)注射を行い、これは、レーザー誘導性CNVモデルの予防方式(レーザーの前)方法で試験し、注射は、上記のように説明された。
研究結果は、化学的に修飾されたangio-3ペプチド:PEP-NおよびPEP-Qペプチドが、100ng、1μg、および5μgの用量の単回硝子体内注射によって、レーザー誘導性CNVマウスにおいて、脈絡膜の血管新生を有意に減弱することを示した(図11A〜B)。元のAngio-3(100ngおよび1μg)ならびに同じ用量(100ng、1μg、および5μg)の陽性対照のEylea(登録商標)も、PEP-QおよびPEP-Nと同様の優れた有効性を示す(図11;表2)。PEP-QおよびPEP-Nは、網膜および脈絡膜の血管性疾患に対する潜在的な長時間作用型抗血管新生剤であり得る。
(表2)漏出面積に関するPEP-N、PEP-Q、Angio-3およびEylea(登録商標)の概要
Figure 2020532586
この2種のAngio-3ペプチド、PEP-QおよびPEP-Nは、網膜血管性疾患の予防または処置のために、硝子体内注射として投与することができる。動物モデル研究の結果は、化学的に修飾されたAngio-3ペプチド、PEP-QおよびPEP-Nは新規であり、市場に出ている現在の薬物よりも潜在的に大きな利点があることを確証した。
実施例4.ANGIO-3の機構的研究
HRMEC細胞のVEGF誘導性増殖に対するAngio-3の効果
100μlの培地中2000個のHRMEC細胞を96ウェルプレートに播種し、37℃のCO2インキュベーター中に置いた。化合物がVEGF誘導性HRMEC増殖に対して有する効果を評価するために、0.5%FBSが補充されたEBM-2中で一晩血清を欠乏させた後に、様々な濃度のAngio-3の存在下で、10ng/mlのVEGF165または50ng/mlのVEGF165で細胞を処理した。300μg/mlのAvastinを陽性対照として使用した。3日間の処理の後に、Alamar-Blueアッセイを行った。
VEGF165の存在または非存在下で、様々な濃度の化合物とともにHRMEC細胞を3日間インキュベートした。結果は、HRMEC増殖が10ng/mlおよび50ng/mlのVEGF165によって誘導されることを示した。300μg/mlのAvastinは、VEGF誘導性増殖を阻害するのに十分であった。しかし、Angio-3は、試験した3濃度すべてでVEGF誘導性増殖に効果を示さなかった(図12AおよびB)。
HRMEC細胞の遊走に対するAngio-3の効果
8.0μm孔径のインサートを含む24ウェル細胞培養プレート中で、トランスウェル遊走アッセイを行った。HRMEC細胞は、アッセイの前に一晩血清を欠乏させた。下部チャンバーをEBM-2、50ng/ml VEGF165+様々な濃度の阻害剤が補充されたEBM-2で満たした。EBM-2中の1×105個の細胞を上部チャンバーに播種した。37℃で一晩、膜の反対側に細胞を遊走させた。膜の最上部の細胞を拭き取り、反対側に遊走した細胞を固定し、0.4%クリスタルバイオレットで染色した。無作為に選択した5視野について、10×対物レンズの下で細胞数を数えた。
結果は、VEGF165によってHRMEC細胞の遊走が強く誘導されることを示した。VEGFによって刺激された遊走は、300μg/mlのAvastin 300μg/mlによって完全に阻止された。300μg/mlおよび600μg/mlのAngio-3もVEGF誘導性遊走に対して中程度の阻害効果を示した(図13A〜B)。
HRMECの管形成に対するAngio-3の効果
50μlの冷Matrigel GFR(BD Biosciences)を96ウェルプレートに加え、プレートを37℃で1時間インキュベートして、ゲル形成させた。次いで、HRMEC(1×105/ウェル)を、EBM-2中、様々な濃度のAngio-3とともにまたはそれなしで、50ng/mlのVEGF165が補充されたEBM-2中で、Matrigel上にプレーティングし、300μg/mlのAvastinを陽性対照として使用した。一晩インキュベーションした後、倒立位相差写真顕微鏡を使用して、細胞のネットワーク増殖領域の無作為に選択した5視野を撮影した。Image J Angiogenesis Analyzerを使用して、管ネットワークを定量化した。
管の全長、接合部の数、およびループの数に関して、HRMEC細胞のVEGF誘導性管形成に対するAngio-3の効果を検査し、定量化した。図14は、内皮細胞のVEGF誘導性管形成ネットワークが、すべての試験薬物によって強く阻害されることを示した。
図15Aおよび15Bは、Angio-3が、VEGFとbFGFの両方の存在下でヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のアポトーシスを誘導したことを示す。図15Aは、Angio-3が、20ng/mlのVEGFの存在下で用量依存的にHUVECのアポトーシスを誘導することを示した。図15Bは、Angio-3が、20ng/mlのbFGFの存在下で用量依存的にHUVECのアポトーシスを誘導することを示した。*は、p<0.05、n=3を表す。
図16Aおよび16Bは、Angio-3が、VEGFおよびbFGFによって刺激されたHUVECの増殖を阻害したことを示す。図16Aは、Angio-3が、20ng/mlのVEGFによって誘導されたHUVECの増殖を用量依存的に抑制したことを示す。図16Bは、Angio-3が、20ng/mlのbFGFによって誘導されたHUVECの増殖を用量依存的に抑制したことを示す。*は、p<0.05、n=3を表す。
図17A〜Dは、Angio-3が、VEGFおよびbFGF誘導性のEC遊走を阻害したこと、ならびに毛細血管ネットワーク形成を阻害することを示す。図17Aおよび22Cは、Angio-3が、20ng/mlのVEGFによって誘導されたHUVECの走化性遊走を用量依存的に抑制したことを示す。遊走した細胞をHoechstで染色し、画像化し、数えた。図17Bおよび22Dは、Angio-3が、20ng/mlのbFGFによって誘導されたHUVECの走化性遊走を用量依存的に抑制したことを示す。遊走した細胞をHoechstで染色し、画像化し、数えた。
図18は、Angio-3が、Matrigel上でのHUVECの毛細血管ネットワーク形成を阻害したことを示す。Matrigel上に播種するより前に、漸増用量のAngio-3とともにHUVECを30分間プレインキュベートし、完全EC増殖培地の下で培養した。HUVECの管形成は、6時間のインキュベーション後に画像化した。HUVECの管によって覆われた領域のパーセンテージを管形成のレベルとして定量化した。n=3;*は、一元配置ANOVAによってP<0.05で、対照と比較して有意な低減を表す。
図19A、19B、および19Cは、Angio-3が、複数の内皮細胞型をともなうVEGF誘導性血管透過性(VP)を阻害する新規な抗透過性作用物質であることを示す。図19Aでは、コンフルエント後のHUVEC単層を漸増濃度のAngio-3または培地単独で処理した。結果は、Angio-3が、基底レベルの透過性に影響を及ぼすことなく、コンフルエントなHUVEC全体にわたってVEGF誘導性透過性を用量依存的に阻害したことを示す。これらの実験では、100ng/mlのVEGFで刺激するより前に、コンフルエント後のHUVEC単層をAngio-3で30分間前処理した。図19Bでは、コンフルエント後のHMVEC単層を漸増濃度のAngio-3または培地単独で処理した。結果は、Angio-3が、基底レベルの透過性に影響を及ぼすことなく、コンフルエントなヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)全体にわたってVEGF誘導性透過性を用量依存的に阻害したことを示す。図19Cでは、コンフルエント後のHREC単層をAngio-3およびVEGFで3時間処理した。結果は、Angio-3が、基底レベルの透過性に影響を及ぼすことなく、コンフルエントなヒト網膜内皮細胞(HREC)全体にわたってVEGF誘導性透過性を用量依存的に阻害したことを示す。*は、p<0.05、n=3を表す。
図20Aおよび20Bは、Angio-3が、マウスにおいて局部的VEGF誘導性皮膚血管透過性を阻害したことを示す。図20Aでは、Angio-3を皮内注射によってマウスに投与し、結果は、Angio-3が、15分以内に、VEGF誘導性皮膚透過性を用量依存的に阻害したことを示す。エバンスブルー色素の血管外漏出によって、皮膚透過性を可視化した。図20Bでは、色素のホルムアミド抽出およびOD610の測定によって、色素の血管外漏出を定量化した。1群あたりn=5匹の動物であり、*は、同時対照と比較した場合に、p<0.05での有意に増大したことを表す。
図21は、Angio-3が、HUVECの接着結合(AJ)部からの、血管内皮(「VE」)−カドヘリンのVEGF誘導性解離を予防したことを示す。コンフルエントなHUVECを100ng/mlのVEGFで刺激して、AJからのVE−カドヘリンの解離を誘導した。VEGF刺激より前に、HUVECのコンフルエントな単層を100μMのAngio-3によって前処理した。VE−カドヘリンを抗体によって染色し、DAPIを使用し、核を対比染色した。Angio-3はVEGFがAJからVE−カドヘリンの解離を誘導する能力を妨げることができる。
図22は、Angio-3が、HUVECのTJからの密着結合(TJ)タンパク質ZO-1およびZO-2のVEGF誘導性解離を抑制したことを示す。HUVEC細胞を上記のように処理し、ZO-1抗体またはZO-2抗体で染色し、DAPIで対比染色して、核を示した。結果は、VEGFは、TJタンパク質ZO-1およびZO-2をコンフルエントなHUVEC単層のTJから解離するように誘導することを示す。Angio-3(100μM)の前処理は、VEGFのこの機能を抑制することができる。
図23は、Angio-3が、HUVECにおいてVEGF誘導性アクチンストレスファイバー形成を抑制したことを示す。しかし、VEGFがない場合に、Angio-3は皮質のアクチンファイバー形成を促進した。
実施例4.hVEGFを過剰発現するKIMBAマウスにおける網膜機能試験
hVEGFを過剰発現する8週齢のKIMBAマウスを一晩(少なくとも12時間)暗適応させ、すべての手法は薄暗い赤色光下で行った。ケタミン(20mg/kg体重)とキシラジン(2mg/kg体重)の組み合わせで、マウスに麻酔をかけた。1%トロピカミド(Alcon Laboratories, Inc., Fort Worth, TX, USA)および2.5%フェニレフリン(Bausch and Lomb Pharmaceuticals, Inc., Tampa, FL, USA)の点眼液の局所投与で瞳孔を散大した。
ERGの記録のために、体温制御器を有するERG記録テーブルに動物を載せた。網膜電図は、角膜の単極電極を用いて記録した(Espion; Diagnosys LLC, Lowell, MA, USA)。参照電極として働くようにゴールドカップ電極を口内に設置し、接地電極として働くように銀−塩化銀電極(Grass-Telefactor, West Warwick, RI, USA)を尾に設置した。記録は、暗適応(暗順応)条件下で、幅広い刺激強度(-3.0〜1.0 log cd.s/m2)で行った。各フラッシュ強度での応答は、少なくとも5回の試行の平均であった。シグナルは、1〜100Hzの帯域通過フィルターにかけ、1kHzで得た。
ERGは、未処置群(ナイーブ群)のマウスの8週齢〜24週齢まで記録した。Angio-3 IVT処置群では、ERGは、ベースライン(BL)として8週齢で記録し、次いで、処置後6週目および12週目に記録した。第1の処置から12週後に第2のIVTを与え、次いで、処置後8週間追跡した。スチューデントのt検定を使用して、2群間でデータを比較し;P<0.05を有意であるとみなした。図24に結果を示す。未処置マウスは、12週齢後にa波およびb波の両方の応答がない。Angio-3はa波およびb波の応答を処置後6週間増大させ、次いで、第2の投与で、応答を20週間再び増大させた。この結果は、Angio-3がKIMBAマウスにおいて網膜機能をレスキューしていることを示す。
実施例5.滲出型AMDの実験モデルとしてカニクイザルで開発されたレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルにおける、Angio-3の試験
滲出型AMDの実験モデルとして、カニクイザルにおいてレーザー誘導性脈絡膜新生血管形成(CNV)モデルを開発し、検証した。目的は、試験ペプチドの有効性および用量応答をEylea(臨床化合物)と区別することである。5匹の雄のカニクイザルの5つの群を本研究で使用した。2mgのAngio-3;ペプチドQ(SEQ ID NO: 4)、およびEylea(登録商標)(投与体積50μl)をそれぞれ、3群にIVT投与した。5匹のサルの1群に4mgのペプチドQを与えた。1群は、いかなる薬物処置もないレーザー対照として扱った。レーザーをあてた後14日目に、薬物の単回IVT注射によって両眼に注射した。フルオレセイン血管造影によって活性なCNVの発生を評価し、14日目に新生血管形成および漏出性のベースラインの程度を測定し、28日目に最終的な眼底フルオレセイン血管造影評価を行った。漏出面積は、ImageJソフトウェアによって定量化した。レーザー体積は、SD-OCT画像を使用して、Spectralis-Heidelbergソフトウェアによって定量化した。図25A〜Fに結果を示す。
この介入研究では、レーザー対照について病変の重症度の変化は観察されず、対照と比較した場合に、すべての薬物処置群について、病変の重症度の変化とレーザー面積は有意に差があった(分散分析[ANOVA]、それに続くチューキーの多重比較、対照と比較して@=p<0.05)。Eyleaは、試験ペプチドと比較して優れた有効性を示す。しかし、Pep-Qは、用量依存的有効性およびEyleaに近いより高い用量の有効性を示す。
実施例6.アルカリ熱傷損傷後のAngio-3ペプチドの効果
80mg/kgのケタミンと5mg/kgのキシラジンの組み合わせでマウスに麻酔をかけた。局部的鎮痛のために、角膜の表面に1%キシロカインを一滴投与した。およそ2mmの直径の、濾紙の丸い小片を、1M NaOHの溶液に浸した。NaOHに浸した一枚の濾紙を滅菌した鉗子で選び取った。濾紙を確実に正しく設置するために、NaOHに浸した濾紙を顕微鏡下で中心角膜上に設置した。これを30秒間放置して、およそ2×2mm2の面積の急性アルカリ熱傷を生成した。濾紙を除去し、次いで、10mlの1×PBSを2回眼に軽く流し、残留する1M NaOHを洗い流した。マウスの片方の眼のみを損傷させ、もう片方の目を対照として扱った。一滴の1×ペプチドQ(試験化合物として1%溶液)、またはPBSからなるビヒクル対照を、局所的に角膜に投与した。7日にわたって3回/日で、投与を繰り返した。エンドポイントで、以下に述べるように臨床評価を行い、角膜のフラットマウントのために眼を摘出した。
盲検様式でのマウスの毎日の検査を手術用顕微鏡下で行い、角膜の新生血管形成(NV)のスコア化は、角膜の混濁、NV、および血管サイズに基づいた。2人の観察者がスコア化し、2人の平均である最終的なスコアを記録した。0〜4のスケールで角膜の混濁をスコア化する。0=完全に透明;1=わずかに濁り、虹彩および瞳孔は容易に見える;2=わずかに不透明であり、虹彩および瞳孔は依然として検出可能である;3=不透明であり、瞳孔はほとんど検出不可能である;ならびに4=完全に不透明であり、瞳孔が見えない。0〜3のスケールでNVをスコア化する。0=新生血管なし;1=角膜輪部の新生血管;2=角膜輪部におよび、角膜中心部に接近している新生血管;3=角膜中心部に及ぶ新生血管。0〜3のスケールで血管サイズをスコア化する。0=新生血管なし;1=手術用顕微鏡下で検出可能な新生血管;2=手術用顕微鏡下で容易に見られる新生血管;3=顕微鏡なしで容易に見られる新生血管。画像は、手術用顕微鏡カメラおよび細隙灯生体顕微鏡を使用して取り込んだ。図26および27に結果を示す。ペプチドQ処置した眼は、ビヒクル対照の眼と比較して、角膜のNV面積が有意に低減していた。
実施例7.マウスモデルにおける創傷治癒
2mmのトレフィンを使用して、創傷サイズに印を付けた。鉗子を使用して剥ぐことによって、上皮、基底膜、およびいくつかの実質層を除去した。0〜5日目まで、角膜の創傷領域に対してフルオレセイン染色を行った(2回の独立の実験、1群あたりn=6匹のマウス)。マウスの角膜を傷つけ、扱う場合は穏やかな注意深いアプローチをとり、フルオレセインを希釈し、染色後数秒以内に細隙灯画像を撮らなければならなかった。ImageJソフトウェアによって創傷領域を定量化した。スチューデントのt検定を使用して、2群間でデータを比較した;P<0.05を有意であるとみなした。図28Aおよび28Bに結果を示す。Angio-3は、通常の創傷治癒過程に悪影響を及ぼさなかった。
本明細書において記載される実施例および態様は、例示目的のみのためであり、それらに照らせば、様々な修正または変更が当業者に示唆されると考えられ、それらは、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが理解されよう。本明細書において引用される、すべての刊行物、配列アクセッション番号、特許、および特許出願は、すべての目的のために、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。

Claims (24)

  1. 対象において網膜血管性疾患を処置する方法であって、
    配列
    Figure 2020532586
    を有するペプチドを含む薬学的有効量の組成物を該対象に投与すること
    を含み、
    該組成物が、経口的に、静脈内注射によって、または硝子体内注射によって、該対象に投与され、投与が、該対象において該網膜血管性疾患を処置する、方法。
  2. 前記組成物が、2〜50mg/kg Bwtの前記ペプチドを含み、静脈内注射によって投与される、請求項1記載の方法。
  3. 前記組成物が、0.1μg/kg〜2mg/kg Bwtの前記ペプチドを含み、硝子体内注射によって投与される、請求項1記載の方法。
  4. 前記組成物が、2〜10mg/kg Bwtの前記ペプチドを含み、経口的に投与される、請求項1記載の方法。
  5. 前記組成物が、4〜10週ごとに少なくとも1回、静脈内(IV)または硝子体内(IVT)経路のいずれかを介して投与される、請求項1記載の方法。
  6. 前記組成物が、6か月間隔で1〜2週にわたって少なくとも1日1回、経口的に投与される、請求項1記載の方法。
  7. 対象が抗VEGF療法に応答性でない、請求項1記載の方法。
  8. 前記抗VEGF療法が抗VEGF抗体である、請求項2記載の方法。
  9. 前記対象が、加齢性黄斑変性症、網膜症、または血管閉塞を有する、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 前記対象が、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、または角膜新生血管形成を有する、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  11. 前記対象がヒトである、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 対象において網膜血管性疾患を処置する方法であって、
    (a)抗VEGF療法に応答性でない網膜血管性疾患を有する対象を選択すること;および
    (b)配列SEQ ID NO: 1を有するペプチドを含む組成物を該対象に投与すること
    を含み、投与が、該対象において該網膜血管性疾患を処置する、方法。
  13. 前記組成物が静脈内投与のために製剤化される、請求項12記載の方法。
  14. 前記組成物が硝子体内注射のために製剤化される、請求項12記載の方法。
  15. 前記組成物が経口投与のために製剤化される、請求項12記載の方法。
  16. 前記対象が、加齢性黄斑変性症、網膜症、または血管閉塞を有する、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
  17. 前記対象が、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、または角膜新生血管形成を有する、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
  18. 前記対象が抗血管新生療法に応答性でない、請求項12〜17のいずれか一項記載の方法。
  19. 前記抗血管新生療法が抗VEGF療法である、請求項18記載の方法。
  20. 前記抗VEGF療法が抗VEGF抗体である、請求項19のいずれか一項記載の方法。
  21. 前記対象がヒトである、請求項12〜20のいずれか一項記載の方法。
  22. 対象において網膜血管性疾患を処置する方法であって、
    Xaaがホモアルギニンである配列
    Figure 2020532586
    (SEQ ID NO: 3)を有するペプチドNを含む薬学的有効量の組成物を該対象に投与すること
    を含み、
    該組成物が、経口的に、静脈内注射によって、または硝子体内注射によって、該対象に投与され、投与が、該対象において該網膜血管性疾患を処置する、方法。
  23. 対象において網膜血管性疾患を処置する方法であって、
    Xaaがホモアルギニンである配列
    Figure 2020532586
    (SEQ ID NO: 4)を有するペプチドQを含む薬学的有効量の組成物を該対象に投与すること
    を含み、
    該組成物が、経口的に、静脈内注射によって、または硝子体内注射によって、該対象に投与され、投与が、該対象において網膜血管性疾患を処置する、方法。
  24. 前記ペプチドが固相Fmoc化学によって合成される、上記請求項のいずれか一項記載の組成物を製造する方法。
JP2020533879A 2017-08-31 2018-08-31 網膜血管性疾患の処置のためのangio−3 Pending JP2020532586A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201762553051P 2017-08-31 2017-08-31
US62/553,051 2017-08-31
PCT/IB2018/056685 WO2019043649A2 (en) 2017-08-31 2018-08-31 ANGIO -3 FOR THE TREATMENT OF RETINAL ANGIOGENIC DISEASES

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020532586A true JP2020532586A (ja) 2020-11-12

Family

ID=65525123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020533879A Pending JP2020532586A (ja) 2017-08-31 2018-08-31 網膜血管性疾患の処置のためのangio−3

Country Status (7)

Country Link
US (2) US11266710B2 (ja)
EP (1) EP3675889A4 (ja)
JP (1) JP2020532586A (ja)
CN (1) CN111344002A (ja)
AU (1) AU2018326835A1 (ja)
SG (1) SG11202001595SA (ja)
WO (1) WO2019043649A2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9840553B2 (en) 2014-06-28 2017-12-12 Kodiak Sciences Inc. Dual PDGF/VEGF antagonists
KR20180104635A (ko) 2015-12-30 2018-09-21 코디악 사이언시스 인코포레이티드 항체 및 이의 접합체
CN114786731A (zh) 2019-10-10 2022-07-22 科达制药股份有限公司 治疗眼部病症的方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11508228A (ja) * 1995-04-26 1999-07-21 ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレイション アンジオスタチンフラグメント、アンジオスタチン凝集体および使用方法
WO2001018030A2 (en) * 1999-09-03 2001-03-15 National University Of Singapore Small peptides having potent anti-angiogenic activity
CN101942012A (zh) * 2009-07-08 2011-01-12 上海市第一人民医院 预防和治疗血管新生的多肽及其应用
JP2013528607A (ja) * 2010-05-28 2013-07-11 アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル 血管新生に基づく眼障害の処置のための抗cd160特異的抗体
JP2017502921A (ja) * 2013-10-28 2017-01-26 バイサイクル・セラピューティクス・リミテッド 新規なポリペプチド

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5902790A (en) 1995-10-03 1999-05-11 Cytran, Inc. Pharmaceutical angiostatic dipeptide compositions and method of use thereof
US5837682A (en) * 1996-03-08 1998-11-17 The Children's Medical Center Corporation Angiostatin fragments and method of use
US7317003B2 (en) * 1998-09-04 2008-01-08 National University Of Singapore Small peptides having anti-angiogenic and endothelial cell inhibition activity
JP2005530484A (ja) * 2002-02-07 2005-10-13 デルタ バイオテクノロジー リミテッド アルブミン融合抗血管形成ペプチド
WO2003080648A2 (en) 2002-03-20 2003-10-02 University Of Florida Research Foundation, Inc. Raav vector compositions and methods for the treatment of choroidal neovascularization
TW201427989A (zh) * 2012-12-18 2014-07-16 Novartis Ag 長效性蛋白質之組合物及方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11508228A (ja) * 1995-04-26 1999-07-21 ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレイション アンジオスタチンフラグメント、アンジオスタチン凝集体および使用方法
WO2001018030A2 (en) * 1999-09-03 2001-03-15 National University Of Singapore Small peptides having potent anti-angiogenic activity
CN101942012A (zh) * 2009-07-08 2011-01-12 上海市第一人民医院 预防和治疗血管新生的多肽及其应用
JP2013528607A (ja) * 2010-05-28 2013-07-11 アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル 血管新生に基づく眼障害の処置のための抗cd160特異的抗体
JP2017502921A (ja) * 2013-10-28 2017-01-26 バイサイクル・セラピューティクス・リミテッド 新規なポリペプチド

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JOURNAL OF THE AMERICAN SOCIETY OF NEPHROLOGY, vol. 17, JPN6022019820, 2006, pages 475 - 486, ISSN: 0004777605 *

Also Published As

Publication number Publication date
US11266710B2 (en) 2022-03-08
EP3675889A4 (en) 2021-05-12
US20220175876A1 (en) 2022-06-09
SG11202001595SA (en) 2020-03-30
EP3675889A2 (en) 2020-07-08
AU2018326835A1 (en) 2020-03-26
US20200246417A1 (en) 2020-08-06
CN111344002A (zh) 2020-06-26
WO2019043649A3 (en) 2019-05-02
WO2019043649A2 (en) 2019-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220175876A1 (en) Angio-3 for treatment of retinal angiogenic diseases
JP2005511576A (ja) 眼球血管新生病を治療する方法
NO333837B1 (no) Anvendelse av en sammensetning som omfatter et trunkert plasminprotein for fremstilling av et medikament for behandling av en lidelse i et øye samt sammensetning og sett.
US20070027102A1 (en) Methods and compositions for treating macular degeneration
US11406687B2 (en) Activators of CXCR3 for the treatment of angiopathies of the eye
TW200410699A (en) Use of ANECORTAVE acetate for the protection of visual acuity in patients with age related macular degeneration
US20140302009A1 (en) Medicinal Agent for Prevention or Treatment of Diseases Associated with Intraocular Neovascularization and/or Intraocular Vascular Hyperpermeability
US20180221339A1 (en) Compositions and methods for treating and diagnosing ocular disorders
TW201904610A (zh) 用於治療新生血管型青光眼之非抗體vegf拮抗劑
WO2011097577A2 (en) Compositions and methods for treating or preventing retinal degeneration
Kim et al. Emerging opportunities for C3 inhibition in the eye
US8722015B2 (en) Compositions and methods for treatment of angiogenesis-associated ocular disorders
JP2019530675A (ja) mTOR阻害剤を含有する黄斑変性治療用薬学組成物
US20170027936A1 (en) Abl1 inhibitor for treating and preventing ocular neovascularisation
Inagaki et al. Creation of retinal vein occlusion model in cynomolgus monkeys and determination of its pathological features
EP3934682A1 (en) Method for the treatment of a disease using pigment epithelium-derived factor (pedf)
WO2020018455A1 (en) Compositions and methods for the treatment of traumatic optic neuropathy
US20230077811A1 (en) Activation of neuropeptide receptors on plasmacytoid dendritic cells to treat or prevent ocular diseases associated with neovascularization and inflammation
US20170173111A1 (en) Semaphorin 3c variants, compositions comprising said variants and methods of use thereof in treating eye diseases
US20220401408A1 (en) Compositions and methods for rescuing retinal and choroidal structure and function
Ghoz Ocular neovascularization: pathological changes in cornea, conjunctiva and retina
Abd-El-Barr et al. 2008 E-ABSTRACT FIRST AUTHOR INDEX
Fernandez-Lloris Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO)-2015 Annual Meeting. Denver, Colorado, USA-May 3-7, 2015
Angunawela et al. vitreous, Choroid, and retina
Ferrer et al. Ophthalmic therapeutics: new basic research and clinical studies

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200513

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20210125

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20210303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210303

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220815

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220901