定義
本明細書中で使用されるように、「アルデヒドデヒドロゲナーゼ」または「ALDH」という用語は、NAD+依存性またはNADP+依存性の反応においてアルデヒドを対応する酸へ酸化する酵素をさす。「ALDH」という用語には、ALDH1、ALDH2、ALDH3、ALDH4、ALDH5、ALDH6等を含む、公知のALDHアイソザイムのうちの任意のものが包含される。
「アルデヒドデヒドロゲナーゼ3ファミリー、メンバーA1」または「ALDH3A1」または「ALDH3」という用語には、様々な種に由来するALDH3が包含される。様々な種に由来するALDH3のアミノ酸配列は、公に入手可能である。例えば、GenBankアクセッション番号AAB26658(ホモ・サピエンス(Homo sapiens)ALDH3)、NP_000683(ホモ・サピエンスALDH3)、P30838(ホモ・サピエンスALDH3)、NP_001106196(ムス・ムスクルス(Mus musculus)ALDH3)、およびAAH70924(ラッツス・ノルベギクス(Rattus norvegicus)ALDH3)を参照すること。「ALDH3」という用語には、本明細書中で使用されるように、ALDH3酵素活性を保持している断片、融合タンパク質、ならびにバリアント(例えば、1個または複数個のアミノ酸の置換、付加、欠失、および/または挿入を有するバリアント)も包含される。「ALDH3」という用語には、芳香族アルデヒドに対する特異性を示すアルデヒドデヒドロゲナーゼ、例えば、2-ナフトアルデヒド系列の芳香族アルデヒドを酸化するが、1-ナフトアルデヒドおよび高級多環芳香族アルデヒドに対しては不活性であるアルデヒドデヒドロゲナーゼが包含される。「ALDH3」という用語には、補助基質としてNAD+およびNADP+の両方を使用することができるアルデヒドデヒドロゲナーゼが包含される。「ALDH3」という用語には、胃、肺、唾液、および角膜に天然に見出されるアルデヒドデヒドロゲナーゼが包含される。
「保護」または「成体唾液腺幹細胞を保護する」という用語は、本明細書中で使用されるように、放射線損傷からの保護、例えば、放射線照射によって誘導される口内乾燥における唾液腺幹細胞の保存をさす。その用語は、傷害性薬剤、例えば、傷害性毒素、化学療法剤、放射線処置等からの唾液腺幹細胞の保護もさすことができる。
「唾液腺機能を改善する」という用語は、唾液腺幹細胞の自己再生および分化などの全ての幹細胞機能の改善をさすことができる。それは放射線損傷の低下もさすことができる。
本明細書中で使用されるように、「成体唾液腺幹細胞の増殖の増加」または「成体唾液腺幹細胞の増大」という用語は、唾液腺幹細胞の出発集団と比べた唾液腺幹細胞の数の増加または増大をさす。
「対象」、「個体」、および「患者」という用語は、本明細書中に記載される薬学的な方法、組成物、および処置を必要とし得る哺乳類または非哺乳類の種のメンバーをさすため、本明細書中で交換可能に使用される。従って、対象および患者には、非限定的に、(ヒトおよび非ヒト霊長類を含む)霊長類、イヌ、ネコ、有蹄類(例えば、ウマ、ウシ、イノシシ(例えば、ブタ))、トリ、ならびにその他の対象が含まれる。ヒト、ならびに商業的重要性を有する非ヒト哺乳類(例えば、家畜および飼育された動物)は、特に、関心対象である。
「哺乳類」とは、哺乳類の種のメンバーをさし、例えば、イヌ;ネコ;ウマ;ウシ;ヒツジ;齧歯類等、および霊長類、例えば、ヒトを含む。非ヒト動物モデル、具体的には、哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、ネズミ(例えば、マウス、ラット)、ウサギ目等は、実験的な調査のために使用され得る。
「単離された化合物」という用語は、それが自然界において共に存在する他の化合物から実質的に分離されているかまたはそれらと比べて濃縮されている化合物を意味する。単離された化合物は、重量で少なくとも約80%、少なくとも約90%純粋であるか、少なくとも約98%純粋であるか、または少なくとも約99%純粋である。本開示には、ジアステレオマーならびにそれらのラセミ体および分割されたもの、鏡像異性的に純粋な形態、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩が包含されるものとする。
「治療的に有効な量」または「効果的な量」とは、他の薬剤と組み合わせてまたは単独で、単回投与または複数回投与で、疾患または状態を処置するために哺乳類またはその他の対象へ投与された時、疾患または状態のためのそのような処置を達成するために十分である化合物の量を意味する。「治療的に有効な量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに処置すべき対象の年齢、体重等に依って変動するであろう。
「プロドラッグ」とは、そのようなプロドラッグが哺乳類対象または哺乳類細胞へ投与された時に、以下に示される一般式のうちの一つまたは複数による活性親薬物をインビボで放出する化合物を意味する。以下に示される一般式のうちの一つまたは複数の化合物のプロドラッグは、インビボで親化合物を放出するために修飾が切断されるよう、その一般式の化合物に存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、以下に示される一般式のうちの一つまたは複数におけるヒドロキシ基、アミノ基、またはスルフヒドリル基が、それぞれ、遊離のヒドロキシル基、アミノ基、またはスルフヒドリル基が再生されるようインビボで切断され得る基と結合している、以下に示される一般式のうちの一つまたは複数の化合物が含まれる。プロドラッグの例には、以下に示される一般式のうちの一つまたは複数の化合物におけるヒドロキシ官能基のエステル(例えば、酢酸誘導体、ギ酸誘導体、および安息香酸誘導体)、カルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
状態または疾患の「処置(treating)」または「処置(treatment)」には、(1)疾患に曝されるかもしくは疾患の素因を有する可能性があるが、未だ疾患の症状を経験していないかもしくは示していない哺乳類において、状態の少なくとも一つの症状を防止すること、即ち、臨床症状を有意に発症させないこと、(2)疾患を阻害すること、即ち、疾患もしくはその症状の発症を阻止するかもしくは低下させること、または(3)疾患を寛解させること、即ち、疾患もしくはその臨床症状の退縮を引き起こすことが含まれる。
「と組み合わせて」または「同時投与」とは、本明細書中で使用されるように、第1の化合物および少なくとも第2の化合物の投与に関して、例えば、第1の化合物が、第2の化合物の投与の間中、投与される使用;第1の化合物が、第2の化合物の投与とオーバーラップする期間、投与される使用、例えば、第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与の前に開始され、第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与が終了する前に終了する使用;第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与の前に開始され、第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与が終了する前に終了する使用;第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与が開始される前に開始され、第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与が終了する前に終了する使用;第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与が開始される前に開始され、第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与が終了する前に終了する使用をさす。従って、「組み合わせて」とは、2種以上の化合物の投与を含む計画もさすことができる。「と組み合わせて」とは、本明細書中で使用されるように、同一の製剤で投与されてもよいしまたは異なる製剤で投与されてもよく、同一の経路によって投与されてもよいしまたは異なる経路によって投与されてもよく、同一の剤形型で投与されてもよいしまたは異なる剤形型で投与されてもよい、2種以上の化合物の投与もさす。
「単位剤形」という用語は、本明細書中で使用されるように、ヒトおよび動物対象のための単一の投薬量として適当な物理的に不連続の単位をさし、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体、または媒体と共同で所望の効果を生じるために十分な量で計算された予め決定された量の化合物を含有している。剤形についての明細は、利用される具体的な化合物および達成すべき効果ならびに宿主における各化合物に関連した薬力学に依り得る。
「生理学的条件」という用語には、生細胞と適合性の条件、例えば、生細胞と適合性である温度、pH、塩分等の主に水性の条件が包含されるものとする。
「薬学的に許容される賦形剤」、「薬学的に許容される希釈剤」、「薬学的に許容される担体」、および「薬学的に許容される佐剤」とは、一般に、安全であり、無毒であり、生物学的にもその他の面においても望ましくないものではない、薬学的組成物の調製において有用な賦形剤、希釈剤、担体、および佐剤を意味し、獣医学的使用およびヒトにおける薬学的使用のために許容される賦形剤、希釈剤、担体、および佐剤を含む。「薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、および佐剤」には、本明細書および特許請求の範囲において使用されるように、1種類および複数種類のそのような賦形剤、希釈剤、担体、および佐剤が含まれる。
本明細書中で使用されるように、「薬学的組成物」には、哺乳類、具体的には、ヒトなどの対象への投与のために適当な組成物が包含されるものとする。一般に、「薬学的組成物」は、無菌であり、対象において望ましくない応答を誘発することができる汚染物質を含まない(例えば、薬学的組成物中の化合物は薬学的等級である)。薬学的組成物は、経口、頬側、直腸、非経口、腹腔内、皮内、気管内等を含む、多数の異なる投与経路を介して、それを必要とする対象または患者へ投与するために設計され得る。いくつかの態様において、組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)以外の浸透増強剤を使用して経皮経路によって投与するために適当である。他の態様において、薬学的組成物は、経皮投与以外の経路によって投与するために適当である。薬学的組成物は、いくつかの態様において、化合物(例えば、ALDHアゴニスト)と薬学的に許容される賦形剤とを含むであろう。いくつかの態様において、薬学的に許容される賦形剤は、DMSO以外である。
本明細書中で使用されるように、本発明の化合物の「薬学的に許容される誘導体」には、それらの塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和化合物、水和物、またはプロドラッグが含まれる。そのような誘導体は、そのような誘導体化のための公知の方法を使用して、当業者によって容易に調製され得る。作製される化合物は、実質的な毒性効果なしに動物またはヒトへ投与され得るものであり、薬学的活性を有するかまたはプロドラッグである。
化合物の「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を保有している塩を意味する。そのような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等といった無機酸によって形成された酸付加塩;もしくは酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、グルコヘプトン酸、4,4'-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等といった有機酸によって形成された酸付加塩;または(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンによって置換された時;もしくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン等といった有機塩基と配位結合した時に形成される塩が含まれる。
本発明の化合物の「薬学的に許容されるエステル」とは、薬学的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を保有しているエステルを意味し、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、およびボロン酸を含むが、これらに限定されるわけではない酸性基のアルキルエステル、アルケニルエステル、アルキニルエステル、アリールエステル、ヘテロアリールエステル、アラルキルエステル、ヘテロアラルキルエステル、シクロアルキルエステル、およびヘテロシクリルエステルを含むが、これらに限定されるわけではない。
本発明の化合物の「薬学的に許容されるエノールエーテル」とは、薬学的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を保有しているエノールエーテルを意味し、式C=C(OR)[Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである]の誘導体を含むが、これらに限定されるわけではない。
本発明の化合物の「薬学的に許容される溶媒和化合物または水和物」とは、薬学的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的な活性を保有している溶媒和複合体または水和複合体を意味し、1個もしくは複数個の溶媒分子もしくは水分子、または1個〜約100個、もしくは1個〜約10個、もしくは1個〜約2個、3個、もしくは4個の溶媒分子もしくは水分子との本発明の化合物の複合体を含むが、これらに限定されるわけではない。
同一の分子式を有するが、原子の結合の性質もしくは配列、または原子の空間的な配置が異なる化合物は、「異性体」と名付けられる。原子の空間的な配置が異なる異性体は、「立体異性体」と名付けられる。相互に鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオマー」と名付けられ、重ね合わせることができない、相互に鏡像であるものは、「鏡像異性体」と名付けられる。化合物が不斉中心を有する時、例えば、4種類の異なる基に結合している時、1対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対的な配置によって特徴づけられ得、CahnおよびPrelogのRS順位則によって記載されるか、または分子が偏光面を回転させる様式によって記載され、右旋性もしくは左旋性(即ち、それぞれ、(+)-異性体もしくは(-)-異性体)と表記される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体として存在してもよいし、またはそれらの混合物として存在してもよい。等しい割合の鏡像異性体を含有している混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
化合物は、1個または複数個の不斉中心を保有し得る;従って、そのような化合物は、個々の(R)-立体異性体もしくは(S)-立体異性体として作製されてもよいし、またはそれらの混合物として作製されてもよい。他に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲における特定の化合物の記載または命名は、個々の鏡像異性体、およびそれらのラセミ混合物またはそれ以外の混合物の両方を含むものとする。立体化学の決定および立体異性体の分離の方法は、当技術分野において周知である(例えば、Chapter 4 of "Advanced Organic Chemistry",4th edition J.March,John Wiley and Sons,New York,1992における考察を参照すること)。
本発明がさらに記載される前に、本発明は、記載された具体的な態様に限定されず、従って、当然、変動し得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書中で使用される用語法は、具体的な態様を記載するためのものに過ぎず、限定的ではないことも理解されるべきである。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の、前後関係が明白に他のことを指示しない限り、下限の単位の10分の1までの、介在する各値、およびその明示された範囲の中の他の明示された値または介在する値が、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立に含まれていてよく、本発明に包含され、明示された範囲の中の具体的に除外された限度に従う。明示された範囲が、限度の一方または両方を含む場合、含まれる限度の一方または両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語が、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書中に記載されたものに類似しているかまたは等価である任意の方法および材料が、本発明の実施または試行において使用され得るが、好ましい方法および材料が、本明細書中に記載される。本明細書中で言及される全ての刊行物が、その刊行物の引用に関連した方法および/または材料を開示し、記載するため、参照によって本明細書中に組み入れられる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、前後関係が明白に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。従って、例えば、「ALDH3アゴニスト」との言及は、複数のそのようなアゴニストを含み、「成体唾液腺幹細胞」との言及は、1種類または複数種類のそのような幹細胞および当業者に公知のその等価物の言及を含み、他も同様である。任意での構成要素を除外するため、特許請求の範囲が起草され得ることも、さらに注意される。従って、この陳述は、特許請求の範囲の構成要素の列挙または「否定的な」限定の使用に関して、「単独で」、「のみ」等といった排他的な用語法の使用のための先行する基礎として役立つものである。
明確のため、別々の態様に関して記載される本発明の特定の特色を、単一の態様において組み合わせて提供してもよいことが認識される。反対に、簡潔のため、単一の態様に関して記載される本発明の様々な特色を、別々に、または任意の適当な部分的組み合わせで提供してもよい。本発明に関する態様の全ての組み合わせが、本発明に具体的に包含され、各々の全ての組み合わせが個々に明示的に開示されたかのごとく、本明細書中に開示される。さらに、様々な態様およびそれらの構成要素の部分的組み合わせも、全て、本発明に具体的に包含され、各々の全てのそのような部分組み合わせが個々に明示的に本明細書中に開示されたかのごとく、本明細書中に開示される。
本明細書中に記述された刊行物は、本願の出願日より前のそれらの開示のためにのみ提供される。先行発明のため、本発明がそのような刊行物に先行している資格を有しないことの承認として解釈されるものは、本明細書中に存在しない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる可能性があり、それらは独立に確認される必要がある。
詳細な説明
本開示は、成体唾液腺幹細胞の増殖を増加させる方法、成体唾液腺幹細胞を保護し、唾液腺機能を改善する方法を提供する。本開示は、放射線治療を受ける個体において成体唾液腺幹細胞の数を増加させる方法を提供する。個体は、一般に、頭頸部癌のための放射線治療を受けている。方法は、成体唾液腺幹細胞を、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程、および成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含む。放射線処置は、成体唾液腺幹細胞と単離されたモノテルペンとを接触させる前または後に実施され得る。放射線処置の前または後に成体唾液腺幹細胞をモノテルペンと接触させる工程は、成体唾液腺幹細胞の数を25%以上増加させる。本開示は、ドライアイを処置する方法も提供する。方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンを、それを必要とする個体へ投与する工程を含む。
成体唾液腺細胞を処置する方法
本開示は、成体唾液腺幹細胞を処置する方法を提供し、本法は、成体唾液腺幹細胞の出発集団を、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程;および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含み、ここで、接触は、成体唾液腺幹細胞の出発集団と比べた成体唾液腺幹細胞の増殖の増加、成体唾液腺幹細胞の放射線処置からの保護、および成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能の改善のうちの一つまたは複数をもたらす。
本開示は、成体唾液腺幹細胞の増殖を増加させる方法を提供し、本法は、成体唾液腺幹細胞の出発集団を、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで、治療的に有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程;および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含み、ここで、接触および放射線処置の後に、成体唾液腺幹細胞の数は25%以上増加する。
一つの態様によると、本発明の方法は、成体唾液腺幹細胞を、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程、および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含み、ここで、接触および放射線処置は、単離されたモノテルペンと接触していない放射線処置を受けた成体唾液腺幹細胞の数と比較して、30%以上、40%以上、50%以上、75%以上、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超、成体唾液腺幹細胞の数を増加させる。
本開示は、成体唾液腺幹細胞を保護する方法も提供し、本法は、成体唾液腺幹細胞の出発集団を、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程;および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含み、ここで、接触および放射線処置の後に、成体唾液腺幹細胞は、成体唾液腺幹細胞の出発集団と比べて、放射線損傷から保護される。
一つの態様によると、本発明の方法は、成体唾液腺幹細胞を、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程、および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含み、ここで、接触および放射線処置は、単離されたモノテルペンと接触していない放射線処置を受けた成体唾液腺幹細胞の出発集団と比較して、30%以上、40%以上、50%以上、75%以上、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超、成体唾液腺幹細胞を放射線処置から保護する。
本開示は、成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能を改善する方法をさらに提供し、本法は、成体唾液腺幹細胞の出発集団を、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程;および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含み、ここで、接触および放射線処置の後に、成体唾液腺幹細胞は、成体唾液腺幹細胞の出発集団と比べて、改善された唾液腺機能を有する。
一つの態様によると、本発明の方法は、成体唾液腺幹細胞を、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程、および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含み、ここで、接触および放射線処置は、単離されたモノテルペンと接触していない放射線処置を受けた成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能と比較して、30%以上、40%以上、50%以上、75%以上、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超、成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能を改善する。
成体唾液腺幹細胞の数の増加、唾液腺幹細胞の保護、および成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能の改善は、頭頸部癌のための放射線処置を受けたかまたは受けようとしている個体を処置するために有用である。個体における成体唾液腺幹細胞の処置は、放射線処置後の個体における成体唾液腺幹細胞の数の増加、放射線処置後の個体における成体唾液腺幹細胞の保護を提供し、放射線処置後の個体における機能性唾液生成細胞の数の増加も提供する。例えば、本発明の方法は、本発明の方法による処置の非存在下での個体における機能性唾液生成細胞の数と比較して、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、75%以上、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超の、頭頸部癌のための放射線処置の後の個体における機能性唾液生成細胞の数の増加を提供する。
前述のように、いくつかのケースにおいて、本発明の方法は、インビトロで実施される。従って、例えば、成体唾液腺幹細胞の数を増加させるため、成体唾液腺幹細胞を、インビトロで、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させることができる。いくつかのケースにおいて、成体唾液腺幹細胞を保護するため、成体唾液腺幹細胞を、インビトロで、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させることができる。他のケースにおいて、成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能を改善するため、成体唾液腺幹細胞を、インビトロで、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させることができる。
いくつかのケースにおいて、本発明の方法は、エクスビボで実施され、例えば、成体唾液腺幹細胞がドナー個体から得られ、エクスビボで処置されたドナー成体唾液腺幹細胞集団を作製するため、成体唾液腺幹細胞を少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させることによって、成体唾液腺幹細胞がエクスビボで処置される。いくつかのケースにおいて、エクスビボでの少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞の処置は、成体唾液腺幹細胞集団の増大をもたらす。いくつかのケースにおいて、エクスビボでの少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞の処置は、成体唾液腺幹細胞の保護をもたらす。他のケースにおいて、エクスビボでの少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞の処置は、成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能の改善をもたらす。いくつかのケースにおいて、エクスビボでの少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞の処置は、成体唾液腺幹細胞の増大、保護、およびその唾液腺機能の改善をもたらす。エクスビボで処置されたドナー成体唾液腺幹細胞集団は、レシピエント個体、例えば、癌のための放射線処置を受けた頭頸部癌を有する個体へ導入される。いくつかの事例において、ドナー個体は、レシピエント個体と同一であり、例えば、ドナー個体が頭頸部癌のための放射線処置を受ける前に、成体唾液腺幹細胞がドナー個体から得られ、成体唾液腺幹細胞が本明細書中に記載されるようにエクスビボで処置され、ドナーが頭頸部癌のための放射線処置を受けた後に、エクスビボで処置されたドナー唾液腺幹細胞集団が、(ここでレシピエントとなる)ドナー個体へ導入される。他の態様において、ドナー個体およびレシピエント個体は、同一の個体ではない。特定のケースにおいて、レシピエント個体はヒトである。いくつかのケースにおいて、ドナー個体およびレシピエント個体の両方がヒトである。
本発明の方法はインビボで実施されてもよい。例えば、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンが、頭頸部癌のための放射線処置の前および/または後に個体へ投与される。
一つの態様において、単離されたモノテルペンは、ALDH3アゴニストである。
成体唾液腺幹細胞の単離および維持
成体唾液腺幹細胞を単離し培養するための多数のアプローチが、当技術分野において公知であり、本発明の方法において使用するための成体唾液腺幹細胞を得るため、そのような方法を使用することができる。例えば、Szlavikら(Tissue Eng.Part A(2008)14:1915-26);およびRotter N.ら(Stem Cells Dev.(2008)17:509-518)によって記載されたように、ヒト唾液腺組織を単離し、培養することができ、これらの開示は、参照によってその全体が本明細書中に組み入れられる。ヒト唾液腺幹細胞は、顎下腺および/または耳下腺などの組織から単離され得る。
本開示の一つの局面によると、ドナー個体から単離された唾液腺組織を細断し、適切な細胞解離培地において解離させ、遠心分離し、濾過し、解離した細胞の維持および生存を支持するための1種類または複数種類の増殖因子(例えば、上皮増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子2(FGF2)、インスリン様増殖因子1(IGF-1)等)、抗生物質等を含む培地に再懸濁させる。任意で、幹細胞を、一次細胞懸濁物から単離するかまたは濃縮する。これは、ドナー成体唾液腺幹細胞を、インビトロで、成体唾液腺幹細胞関連マーカーを特異的に認識する試薬(例えば、抗体)と接触させることによって達成され得、ここで、ドナー成体唾液腺幹細胞の試薬との接触は、ドナー成体唾液腺幹細胞と単離されたモノテルペンとの接触の前に実施される。
唾液腺幹細胞の有用なマーカーには、CD34、CD90、c-Kit、CD44、ネスチン、CD49f、ALDH1、およびそれらの組み合わせが含まれる。例えば、ヒトおよびマウスの成体唾液腺幹細胞は、例えば、EASYSEP(商標)陽性選択キット(STEMCELL Technologies,Inc.,Vancouver,BC)を使用して、それぞれ、CD34陽性細胞およびcKit陽性細胞を選択することによって単離され得る。CD49fなどのマーカーの検出は、マーカーに特異的な抗体を使用して達成され得、ここで、抗体は検出可能標識を含んでいてよい。蛍光活性化セルソーティング(FACS)などの標準的な方法を、細胞を単離するために使用することができる。ALDH発現は、ALDEFLUOR(登録商標)アルデヒドデヒドロゲナーゼ蛍光検出標識を使用して検出され得る。例えば、ALDHは、ALDH基質BAAA(BODIPY-アミノアセトアルデヒド)を蛍光性の生成物BAA(BODIPY-アミノアセテート)に変換する。高レベルのALDHを発現する細胞は、高度に蛍光性になり、標準的なフローサイトメトリー方法を使用して同定されかつ/またはセルソーティングによって単離され得る。例えば、Deng et al.(2010)PLoS One 5:e10277を参照すること。
マウス唾液腺幹細胞の単離および培養は、例えば、Lombaert et al.(2008)PLoS One 3:e2063に記載されている。ヒト唾液腺幹細胞の単離および培養物も、Lombaert et al.(2008)(前記)に記載されている。
特定の局面において、(単離されているかまたは単離されていない)成体唾液腺幹細胞は、単離されたモノテルペンと接触させられる前に培養培地において維持されてよい。例えば、細胞は、唾液腺幹細胞がより特殊な細胞へ分化することを防止する1種類または複数種類の因子を含む培地において維持されてよい。
一つの態様によると、ドナー成体唾液腺幹細胞は、個体が放射線処置、例えば、頭頸部癌を処置するための放射線治療を受ける前に、(例えば、頭頸部癌を有する)個体から得られる。他の局面において、ドナー成体幹細胞は、レシピエント個体以外の個体、例えば、癌を有しておらず、放射線処置も受けていない個体から得られる。特定のケースにおいて、レシピエント個体はヒトである。いくつかのケースにおいて、ドナー成体幹細胞はヒト個体から得られる。
成体唾液腺幹細胞と単離されたモノテルペンとのインビトロでの接触
前述のように、いくつかのケースにおいて、本発明の方法は、インビトロで実施される。本開示の方法は、成体唾液腺幹細胞を、インビトロで、単離されたモノテルペンと接触させる工程を含み、モノテルペンは、例えば、ALDH3の活性化剤であってよい。成体唾液腺幹細胞を、インビトロで、単離されたモノテルペンと接触させるケースにおいて、細胞培養培地には、有効量のモノテルペンが添加されていてよい。細胞培養培地は、その培地がモノテルペンと適合性であるよう、例えば、モノテルペンがその培地中で安定しており活性を有するよう、選択され得る。培地には、単離されたモノテルペンの安定性および/または活性を増強する1種類または複数種類の成分が添加されていてもよい。
成体唾液腺幹細胞と単離されたモノテルペンとのエクスビボでの接触
いくつかのケースにおいて、本発明の方法は、エクスビボで実施され、例えば、成体唾液腺幹細胞がドナー個体から得られ、エクスビボで処置されたドナー成体唾液腺幹細胞集団を作製するため、成体唾液腺幹細胞を少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させることによって、成体唾液腺幹細胞がエクスビボで処置される。いくつかのケースにおいて、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞のエクスビボでの処置は、成体唾液腺幹細胞集団の増大をもたらす。いくつかのケースにおいて、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞のエクスビボでの処置は、成体唾液腺幹細胞の保護をもたらす。他のケースにおいて、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞のエクスビボでの処置は、成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能の改善をもたらす。いくつかのケースにおいて、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンによる成体唾液腺幹細胞のエクスビボでの処置は、成体唾液腺幹細胞の増幅、保護、およびその唾液腺機能の改善をもたらす。
エクスビボで処置されたドナー成体唾液腺幹細胞集団は、レシピエント個体、例えば、癌のための放射線処置を受けた頭頸部癌を有する個体へ導入される。エクスビボで処置された成体唾液腺幹細胞集団は、成体唾液腺幹細胞を、エクスビボで、少なくとも1種類の単離されたモノテルペンを含む培養培地において培養することによって得られてよく、培養は、約4時間〜約72時間、例えば、約4時間〜約8時間、約8時間〜約16時間、約16時間〜約24時間、約24時間〜約36時間、約36時間〜約48時間、または約48時間〜約72時間、または72時間超、実施され得る。
いくつかの事例において、ドナー個体はレシピエント個体と同一であり、このケースにおいて、細胞は自己であると見なされる。例えば、ドナー個体が頭頸部癌のための放射線処置を受ける前に、成体唾液腺幹細胞がドナー個体から得られ、成体唾液腺幹細胞が、前記のようにエクスビボで増大させられ、ドナーが頭頸部癌のための放射線処置を受けた後に、エクスビボで増大させたドナー唾液腺幹細胞集団が、(ここでレシピエントとなる)ドナー個体へ導入される。
他の態様において、ドナー個体およびレシピエント個体は、同一の個体ではなく、このケースにおいて、細胞は同種である。ドナーおよびレシピエントは、移植前にヒト白血球抗原(HLA)型決定され、最も近いHLA適合者が、適当なドナーとして同定される。
唾液腺幹細胞のレシピエント個体への導入
前述のように、本開示の方法は、(例えば、細胞を、単離されたモノテルペン、例えば、ALDH3アゴニストと接触させることによって、増幅、保護、および唾液腺機能の改善が生成されている)処置された成体唾液腺幹細胞集団を、レシピエント個体(例えば、ヒト)へ導入する工程を任意で含み、レシピエント個体は頭頸部癌を有し、処置された成体唾液腺幹細胞集団は、レシピエント個体が癌のための放射線処置を受けた後に導入される。処置された唾液腺幹細胞の導入は、口内乾燥またはドライマウス(例えば、放射線治療に関連した口内乾燥)に苦しむ個体の唾液腺の機能を回復させるための、幹細胞に基づく治療を含む、多様な適用において有用である。例えば、導入された(例えば、「移植された」)唾液腺幹細胞は、放射線照射された唾液腺に生着し、機能性唾液生成細胞へ分化し、それによって、放射線照射された唾液腺の機能を回復させるかまたは増強することができる。
一つの態様において、レシピエント個体へ導入すべき細胞は、単細胞懸濁物であってもよいし、または小さい細胞塊の懸濁物であってもよく、注射または注入されるのではなく植え込まれる固形組織移植片とは区別される、懸濁物として提供される。細胞懸濁物は、レシピエントへ注射または注入され得る形態である。もう一つの態様において、細胞は、エクスビボで操作された組織構築物として提供される。細胞または組織の生存率は、短期間の後、例えば、少なくとも約3〜約7日後に測定され得る。
レシピエント個体へ移植される唾液腺幹細胞の数は、約10〜約108、例えば、10〜102、約102〜約103、約103〜約104、約104〜約105、約105〜約106、約106〜約107、または約107〜約108で変動し得る。レシピエント個体へ導入すべき成体唾液腺幹細胞集団は、一般に、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または98%超、成体唾液腺幹細胞である。
レシピエント個体へ導入すべき成体唾液腺幹細胞は、細胞移植物と呼ばれ得る。細胞移植物とは、本明細書中で使用されるように、一般的には、レシピエントにおける器官または組織の機能を強化することを目的とした、1個または複数個のドナー唾液腺幹細胞のレシピエント体内への移植である。ドナー幹細胞は、レシピエントの唾液腺に由来してもよく、このケースにおいて、ドナーおよびレシピエントは、同一の個体である。他の局面において、レシピエントは、一般的には、同一の種の、他の個体(ドナー)に由来する組織または細胞が移入された個体である。ドナーおよびレシピエントが、同一の個体でない時、HLA抗原のうちの1種類または複数種は、レシピエントと比較して、ドナーにおいて異なっていてもよいが、クラスIまたはクラスIIであり得るHLA抗原(またはMHC抗原)は、一般に、適合しているであろう。移植片のレシピエントおよびドナーは、一般に、哺乳類、例えば、ヒトである。齧歯類、例えば、マウス、ラット等といった実験動物が、関心対象である。細胞は、レシピエントに対して同種であってもよいし、自己であってもよいし、または異種であってもよい。
細胞は、1種類または複数種類の生存因子を含む懸濁物として提供されてもよい。本明細書中で使用されるように、「生存因子」という用語は、移植前の細胞の懸濁のための製剤の中に提供される、生物学的活性を有する薬剤をさす。生存因子の存在は、細胞がレシピエントの体内へ移入された後、細胞の生存を増強する。生存因子は、1種類の因子として利用されてもよいしまたは因子のカクテルとして利用されてもよい。いくつかの態様において、生存因子は、移植前の期間に培養添加物として利用されてもよい。
ドナー唾液腺幹細胞は、ヒトへの投与のため、十分に無菌の条件の下で調製された等張賦形剤を含む、生理学的に許容される賦形剤で投与され得る。医薬製剤における一般的な原理について、読者は、Cell Therapy:Stem Cell Transplantation,Gene Therapy,and Cellular Immunotherapy,by G.Morstyn & W.Sheridan eds,Cambridge University Press,1996;およびHematopoietic Stem Cell Therapy,E.D.Ball,J.Lister & P.Law,Churchill Livingstone,2000を参照すること。組成物の細胞賦形剤および付随する構成要素の選択は、投与のために使用される経路およびデバイスによって適応させられるであろう。細胞は、注射、カテーテル等によって導入され得る。細胞は、液体窒素温度で凍結させられ、長期間保管されてもよく、解凍時に使用され得る。凍結させられる場合、細胞は、例えば、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)、50%ウシ胎仔血清(FCS)(またはその他の適当な血清もしくは血清代用物)、40%RPMI 1640培地(またはその他の適当な培養培地)において保管され得る。
細胞製剤は、そのような処置を必要とするヒト患者またはその他の対象、例えば、癌のための放射線処置を受けた頭頸部癌を有するレシピエント個体において、組織(例えば、唾液腺)の再構築または再生のために使用され得る。細胞は、意図された組織部位に生着するかまたは遊走し、機能的に欠損している領域(例えば、放射線照射された唾液腺)を再構成するかまたは再生させることができるよう、投与される。
唾液腺幹細胞は、生存の増強、増殖の調節等のために遺伝学的に修飾されてもよい。細胞は、適当なベクターによるトランスフェクションもしくは形質導入、相同組換え、またはその他の適切な技術によって、関心対象の遺伝子を発現するよう、遺伝学的に改変されてもよい。例えば、細胞は、例えば、内在性プロモーターの下で起こるものよりテロメラーゼ発現を増加させる異種プロモーターの下で、テロメラーゼ触媒成分(TERT)をコードする遺伝子によってトランスフェクトされてよい(国際特許出願WO 98/14592を参照すること)。他の態様において、所望の分化細胞のより大きい純度を提供するため、選択可能マーカーが導入される。細胞は、8〜16時間にわたり、ベクターを含有している上清を使用して遺伝学的に改変されてよく、次いで、1〜2日間、増殖培地に交換されてよい。遺伝学的に改変された細胞は、ピューロマイシン、G418、またはブラストサイジンなどの薬物選択剤を使用して選択され、次いで、再培養される。
ドライアイ疾患を処置する方法
本発明は、ドライアイ疾患を処置するかまたは防止する方法も含む。本明細書中で使用されるように、(「ドライアイ症候群」、「ドライアイ障害」等としても公知の)「ドライアイ疾患」とは、(a)涙液生成の減少;(b)涙液膜蒸発の増加;(c)粘液含有結膜杯細胞の喪失;(d)角膜上皮の落屑;および/または(e)角膜涙液界面の不安定化:のうちの一つまたは複数を特徴とする疾患、状態、または疾病をさす。ドライアイ疾患は、公知の臨床基準によって、軽度、中等度、中等〜重度、および重度のドライアイ疾患として特徴決定され得る。従って、本発明は、軽度ドライアイ疾患、中等度ドライアイ疾患、中等〜重度ドライアイ疾患、または重度ドライアイ疾患を含む任意の程度のドライアイ疾患を処置する方法を提供する。ドライアイ疾患は、急性であってもよいしまたは慢性であってもよい。従って、本発明は、急性または慢性のいずれかのドライアイ疾患を処置する方法を提供する。ドライアイ疾患は、「涙液欠損型ドライアイ疾患」または「蒸発型ドライアイ疾患」のいずれかとしても分類され得る。従って、本発明は、涙液欠損型ドライアイ疾患および/または蒸発型ドライアイ疾患を処置する方法を提供する。
本発明によると、「ドライアイ疾患」には、例えば、加齢性ドライアイ、眼瞼炎、結膜炎、角膜落屑、角膜浸潤、上皮浮腫、巨大乳頭結膜炎、低酸素、乾性角結膜炎(KCS)、細菌性角膜炎、小嚢胞、眼瘢痕類天疱瘡、スティーブンス・ジョンソン症候群、シェーグレン症候群、および潰瘍性角膜炎が含まれる。「ドライアイ疾患」には、角膜損傷、(LASIKを含む)角膜手術、放射線治療、コンタクトレンズ使用、感染、栄養障害または欠損、薬理学的薬剤、眼ストレス、腺および組織の破壊、汚染物質および環境条件(例えば、スモッグ、煙、過乾燥空気)への曝露、大気中の微粒子、自己免疫およびその他の免疫不全障害、ならびに個体の瞬目能を損なうかまたは阻害するその他の状態に関連したドライアイ状態も含まれる。本発明の方法は、「ドライアイ疾患」の定義に含まれる前述の状態のいずれかを処置するかまたは防止するために使用され得る。
ドライアイを処置する方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンを、それを必要とする個体へ投与する工程を含む。
モノテルペン
本発明の方法は、モノテルペンである化合物の使用を含む。いくつかのケースにおいて、モノテルペンは、単離されている。いくつかの態様において、モノテルペンは、ALDH3アゴニストである。
いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、(本明細書中でALDH3A1とも呼ばれる)ALDH3の酵素活性を選択的にモジュレートする(例えば、増加させる)。例えば、いくつかの態様において、適当な単離されたモノテルペンは、ALDH3の酵素活性を増加させるが、ALDH3以外のALDHアイソザイムの同酵素活性を実質的に増加させず、例えば、モノテルペンは、ALDH3以外のALDHアイソザイムの酵素活性を、増加させるとしても、高々約15%、例えば、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満、増加させる。
適当なモノテルペンは、モノテルペンの非存在下でのALDH3ポリペプチドの酵素活性と比較した時、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%(または2倍)、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、または少なくとも約50倍、または50倍以上、ALDH3ポリペプチドの酵素活性を増加させる。
いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、アゴニストの非存在下でのALDH3ポリペプチドの酵素活性と比較した時、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%(または2倍)、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、または少なくとも約50倍、または50倍以上、ALDH3ポリペプチドの酵素活性(例えば、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、還元酵素活性、またはエステラーゼ活性)を増加させる。
いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、約1nM〜約1mM、例えば、約1nM〜約10nM、約10nM〜約15nM、約15nM〜約25nM、約25nM〜約50nM、約50nM〜約75nM、約75nM〜約100nM、約100nM〜約150nM、約150nM〜約200nM、約200nM〜約250nM、約250nM〜約300nM、約300nM〜約350nM、約350nM〜約400nM、約400nM〜約450nM、約450nM〜約500nM、約500nM〜約750nM、約750nM〜約1μM、約1μM〜約10μM、約10μM〜約25μM、約25μM〜約50μM、約50μM〜約75μM、約75μM〜約100μM、約100μM〜約250μM、約250μM〜約500μM、または約500μM〜約1mMのEC50(50%有効濃度)を有する。
モノテルペン化合物がALDHアゴニストであるか否かは、容易に確認され得る。ALDHのデヒドロゲナーゼ活性についてのアッセイは、当技術分野において公知であり、任意の公知のアッセイが使用されてよい。デヒドロゲナーゼアッセイの例は、例えば、Sheikh et al.((1997)J.Biol.Chem.272:18817-18822);Vallari and Pietruszko(1984)J.Biol.Chem.259:4922;およびFarres et al.((1994)J.Biol.Chem.269:13854-13860)を含む様々な刊行物に見出される。
デヒドロゲナーゼ活性についてのアッセイの一例として、ALDHアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、50mMピロリン酸ナトリウムHCl緩衝液、pH9.0、100mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4、または50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4において、25℃でアッセイされ、ここで、緩衝液は、NAD+(例えば、0.8mM以上のNAD+、例えば、1mM、2mM、5mM NAD+)、および14μMプロピオンアルデヒドなどのアルデヒド基質を含む。NAD+の還元は、分光光度計を使用して、340nmで、またはフルオロマイクロフォトメータ(fluoromicrophotometer)を使用して、蛍光増加によってモニタリングされる。酵素活性は、標準的な分光光度法を使用して、例えば、US 2005/0171043;およびWO 2005/057213に記載されるように、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の還元型(NADH)への還元反応を340nmで測定することによって、アッセイされ得る。例示的なアッセイにおいて、反応は、0.1ピロリン酸ナトリウム(NaPPi)緩衝液、pH9.0、2.4mM NAD+、および基質としての10mMアセトアルデヒドにおいて、25℃で実施される。酵素活性は、US 2005/0171043;およびWO 2005/057213に記載されるように、340nmで、NAD+のNADHへの還元反応によって測定される。あるいは、NADHの生成は、NADHを消費し、検出可能なシグナルを提供するもう一つの酵素の反応と共役させられてもよい。そのような酵素反応の例は、US 2005/0171043;およびWO 2005/057213に記載されるように、レサズリンを酸化型の蛍光性化合物レゾルフィンへ還元するジアフォラーゼに基づく反応である。590nmにおける蛍光性レゾルフィンの検出は、ALDHアルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素活性の変化についての、増幅された、より高感度のシグナルを提供する。NADP+が、このアッセイにおいて、NAD+の代わりに使用されてもよい。適当な基質には、オクチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、レチンアルデヒド、および4-ヒドロキシノネナールが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
もう一つの例として、ALDHポリペプチドのアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性に対するモノテルペン化合物の効果は、蛍光生成合成基質、例えば、7-メトキシ-1-ナフトアルデヒドが使用される、Wierzchowskiら((1996)Analytica Chimica Acta 319:209)に記載されるようにアッセイされてもよい。例えば、その反応は、7-メトキシ-1-ナフトアルデヒド、NAD+、ALDHポリペプチド、および試験すべきモノテルペンを含んでいてよく;蛍光(励起330nm;放射390nm)が、酵素活性のリードアウトとして測定される。
モノテルペン化合物がALDHポリペプチドのエステラーゼ活性を増加させるか否かは、エステラーゼ活性についての任意の公知のアッセイを使用して決定されてよい。例えば、ALDHのエステラーゼ活性は、添加されたNAD+の非存在下または存在下で、室温で、基質としての800μM p-ニトロフェニルアセテートを含む25mM N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)(pH7.5)において、400nmで、p-ニトロフェノール形成の速度をモニタリングすることによって決定されてよい。ニトロフェノールについての400nmにおける16mM-1cm-1というpH依存性モル吸光係数を使用することができる。例えば、Larson et al.(2007)J.Biol.Chem.282:12940を参照すること。ALDHポリペプチドのエステラーゼ活性は、基質としての1mM p-ニトロフェニルアセテートを含む50mM Pipes(pH7.4)において、400nmで、p-ニトロフェノール形成の速度を測定することによって決定されてもよい。p-ニトロフェノールについての400nmにおける18.3×103M-1cm-1というモル吸光係数を、その形成速度を計算するために使用することができる。例えば、Ho et al.(2005)Biochemistry 44:8022を参照すること。
化合物がALDHの還元酵素活性を増加させるか否かは、還元酵素活性についての任意の公知のアッセイを使用して決定され得る。ALDHの還元酵素活性は、薄層クロマトグラフィ(TLC)または放射標識された基質を使用した液体シンチレーション分光測定法を使用して、1,2-グリセリルジニトラートおよび1,3-グリセリルジニトラートの形成速度を測定することによって決定され得る。例えば、0.1mMまたは1mM GTN(グリセリルトリニトラート)を、ALDHの存在下で、100mM KPi(pH7.5)、0.5mM EDTA、1mM NADH、1mM NADPHを含有しているアッセイ混合物(1ml)と共にインキュベートする。37℃で約10分〜約30分間インキュベートした後、反応を停止させ、GTNおよびその代謝物質を3×4mlエーテルによって抽出し、プールし、溶媒を窒素ストリームによって蒸発させる。最終体積は、その後のTLC分離およびシンチレーション計数のため、エタノールにおいて100μl未満に維持される。例えば、Zhang and Stamler(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:8306を参照すること。
いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、(R)-(+)-リモネン、(S)-(-)-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピネオール、α-フェランドレン、βフェランドレン、(S)-(-)-ペリリルアルコール、および(R)-(+)-ペリリルアルコール、または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される化合物である。特定のケースにおいて、モノテルペンは、(R)-(+)-リモネンまたは薬学的に許容されるその塩である。
いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、単離されており、例えば、重量で少なくとも80%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約98%純粋、または少なくとも約99%純粋である。
本開示は、天然抽出物、例えば、モノテルペン化合物を天然に含有している植物およびその他の生物の抽出物から単離されたモノテルペン化合物の使用を提供する。天然の製剤および抽出物は、重量で約0.01%〜約30%または約30%〜約80%、例えば、約0.01%〜約0.05%、約0.05%〜約0.1%、約0.1%〜約0.5%、約0.5%〜約1%、約1%〜約2.5%、約2.5%〜約5%、約5%〜約7.5%、約7.5%〜約10%、約10%〜約12.5%、約12.5%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、または約25%〜約30%の量の少なくとも1種類のモノテルペンを含んでいてよい。いくつかの態様において、適当な天然製剤または天然抽出物は、重量で約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、または約70%〜約80%の量の少なくとも1種類のモノテルペンを含む。本明細書中で使用されるように、「天然製剤」または「天然抽出物」は、植物またはモノテルペンのその他の天然起源の成分を含んでいてよいが、モノテルペンの植物起源に通常見出されない成分の内含は除外されず、例えば、「天然製剤」または「天然抽出物」は、植物起源に通常見出されない添加された成分を含んでいてもよい。
特定のケースにおいて、モノテルペンは、伝統的な漢方抽出物などの単離された抽出物である。いくつかの態様において、モノテルペンは、以下に示されるAlda-341〜Alda-347、Alda-351、およびAlda-364のいずれかによる構造を有する。
植物または植物の一部は、水性溶液、アルコール、極性有機溶媒、および非極性有機溶媒のうちの一つまたは複数によって、一回または連続的に抽出されてよい。いくつかの態様において、モノテルペンは、疎水性であり、天然抽出物の有機相に存在する。例えば、植物または植物の一部は、ヘキサン、酢酸エチル、塩化メチレン、またはクロロホルムなどの有機溶媒によって抽出され得る。いくつかの態様において、植物または植物の一部は、アルコール、例えば、メタノールまたはブタノールによって抽出される。いくつかの態様において、植物または植物の一部は、メタノール:ヘキサン(1:1体積:体積)によって抽出される。いくつかの態様において、植物または植物の一部は、95:5〜1:1のメタノール:ヘキサンによって抽出される。いくつかの態様において、植物または植物の一部は、アルコールによって、次いで、アルコール:ヘキサン混合物によって連続的に抽出される。極性有機溶媒には、例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、およびイソプロピルアルコールが含まれる。いくつかの態様において、植物または植物の一部は、極性有機溶媒によって抽出される。いくつかの態様において、植物または植物の一部は、メタノールまたはヘキサンによって抽出される。
天然抽出物は、約15℃〜約20℃、約20℃〜約25℃、約25℃〜約30℃、約30℃〜約35℃、約35℃〜約40℃、約40℃〜約45℃、約45℃〜約50℃、約50℃〜約60℃、約60℃〜約70℃、約70℃〜約80℃、約80℃〜約90℃、または約90℃〜約100℃の温度で、植物または植物の一部を抽出することによって得られてよい。
天然抽出物は、植物全体または植物の1個もしくは複数個の一部の抽出物を含み、ここで、植物の一部には、葉、幹、根茎、根、塊茎、球、花、樹皮、種子、果実等が含まれる。従って、モノテルペンの起源には、例えば、植物全体または植物の1個もしくは複数個の一部が含まれ、ここで、植物の一部には、葉、幹、根茎、根、塊茎、球、花、樹皮、種子、果実等が含まれる。抽出前に、植物または植物の一部は、一つまたは複数の加工工程に供されてもよく;例えば、抽出前に、植物または植物の一部は、乾燥させられてもよいし、粉砕されてもよいし、凍結させられてもよいし、蒸気に当てられてもよいし、破砕されてもよいし、微粉砕されてもよいし、または発酵させられてもよい。微粉砕は、均質化、製粉、破砕、細断、混和、切断、および引裂のうちの一つまたは複数を実施することによって達成され得る。
2種以上の抽出物の組み合わせ、例えば、同一の植物に由来する2種以上の異なる植物の一部の抽出物;同一の属の2種以上の異なる種である2種以上の植物からの抽出物;2種以上の異なる属の2種以上の植物からの抽出物;水性抽出物とアルコール抽出物との組み合わせ;水性抽出物と極性有機溶媒抽出物との組み合わせ;水性抽出物と非極性有機溶媒抽出物との組み合わせ;等も、企図される。
適当な天然抽出物は、使用のために便利な任意の形態、例えば、ロゼンジ、カプセル、粉末、液状溶液、ゲル等に製剤化され得る。例えば、増量剤、結合剤、甘味料、風味剤、およびその他の要素を含む多様な成分のいずれかを、天然抽出物に添加することができる。経口投与用の薬学的生成物または天然サプリメント生成物の調製において使用するために公知であるほぼ任意の賦形剤を使用することができる。そのような賦形剤の例には、非限定的に、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロース、デキストリン、デキストロース、エチルセルロース、フルクトース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グルコース、マルトデキストリン、マンニトール、メチルセルロース、結晶セルロース、ポリメタクリレート、ポビドン、ソルビトール、デンプン、ショ糖、糖、スクラロース、ステビア、および風味剤が含まれる。
薬学的組成物、投薬量、投与経路
いくつかの事例において、前述のように、モノテルペン(例えば、ALDH3アゴニスト)は、成体唾液腺幹細胞の数をインビボで増加させるために使用され得、例えば、有効量のALDHアゴニストが、それを必要とする個体へ投与される。いくつかの事例において、モノテルペンは、成体唾液腺幹細胞をインビボで保護するために使用され得る。いくつかの事例において、モノテルペンは、唾液腺機能をインビボで改善するために使用され得る。「モノテルペン」および「ALDH3アゴニスト」という用語は、本明細書中で「活性薬剤」とも呼ばれる。個体への投与のため、適当なモノテルペンが、1種類または複数種類の薬学的に許容される賦形剤によって製剤化される。多様な薬学的に許容される賦形剤が、当技術分野において公知であり、本明細書中に詳細に記述される必要はない。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、A.Gennaro(2000)"Remington:The Science and Practice of Pharmacy",20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds.,7th ed.,Lippincott,Williams,& Wilkins;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3rd ed.Amer.Pharmaceutical Assocを含む多様な刊行物に十分に記載されている。
媒体、佐剤、担体、または希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤は、公に容易に入手可能である。さらに、pH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、安定剤、湿潤剤等といった薬学的に許容される補助物質は、公に容易に入手可能である。
「単位剤形」という用語は、本明細書中で使用されるように、ヒトおよび動物対象のための単一投薬量として適当な物理的に不連続の単位をさし、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体、または媒体と共同で所望の効果を生じるために十分な量で計算された予め決定された量の活性薬剤(例えば、モノテルペン)を含有している。活性薬剤のための明細は、利用される具体的な化合物および達成すべき効果および宿主における各化合物に関連した薬力学に依る。
本発明の方法において、適当なモノテルペンは、所望の転帰、例えば、ドライマウスおよびドライアイの処置等をもたらすことができる任意の便利な手段を使用して、宿主へ投与され得る。従って、適当なモノテルペンは、治療的投与のため、多様な製剤へ組み入れられ得る。より具体的には、適当なモノテルペンは、適切な薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせによって薬学的組成物へ製剤化されてよく、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射、吸入剤、およびエアロゾルなどの、固体、半固体、液体、または気体の形態の調製物へ製剤化され得る。
適当な賦形媒体は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、およびそれらの組み合わせである。さらに、所望により、媒体は、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤などの微量の補助物質を含有していてもよい。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明白であろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,17th edition,1985を参照すること。投与される組成物または製剤は、いずれにせよ、処置される対象において所望の状態を達成するために妥当な量の薬剤を含有しているであろう。
薬学的剤形において、適当なモノテルペン(「活性薬剤」)は、薬学的に許容されるその塩の形態で投与されてもよいし、または活性薬剤は、単独で使用されてもよいし、もしくは薬学的活性を有する他の化合物と適切に関連して使用されてもよいし、組み合わせられて使用されてもよい。以下の方法および賦形剤は、例示的なものに過ぎず、決して限定的ではない。
経口調製物について、活性薬剤は、単独で使用されてもよいし、または錠剤、粉末、顆粒、もしくはカプセルを作成するための適切な添加剤、例えば、乳糖、マンニトール、コーンスターチ、もしくはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤;結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、コーンスターチ、もしくはゼラチンなどの結合剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、もしくはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤;タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;所望により、希釈剤、緩衝剤、保湿剤、保存剤、および風味剤と組み合わせて使用されてもよい。
活性薬剤は、所望により、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、および保存剤などの従来の添加剤と共に、植物油またはその他の類似した油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステルなどの、水性または非水性の溶媒にそれらを溶解させるか、懸濁させるか、または乳化することによって、注射のための調製物へ製剤化され得る。
活性薬剤は、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤において利用されてもよい。活性薬剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等といった加圧された許容される噴霧剤へ製剤化され得る。
さらに、活性薬剤は、乳化基剤または水溶性基剤などの多様な基剤と混合することによって坐剤にされてもよい。活性薬剤は、坐剤を介して直腸投与され得る。坐剤は、体温では融解するが、室温では固体となるカカオ脂、カーボワックス、およびポリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの媒体を含んでいてよい。
シロップ、エリキシル、および懸濁液などの経口投与または直腸投与のための単位剤形が提供されてもよく、ここで、各投薬単位、例えば、小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤、または坐剤は、予め決定された量の活性薬剤を含有している。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、通常の生理食塩水、またはその他の薬学的に許容される担体による溶液としての組成物の中に活性薬剤を含んでいてよい。
活性薬剤は、注射による投与のために製剤化されてもよい。典型的には、注射可能組成物は、液状の溶液または懸濁液として調製され;注射前に液状媒体に溶解させるかまたは懸濁させるために適当な固体の形態が調製されてもよい。調製物は乳化されていてもよく、または活性要素がリポソーム媒体に封入されていてもよい。
特定の態様において、活性薬剤は、眼注射、眼内注射、硝子体内注射、または結膜下注射によって投与するために製剤化されてもよい。他の態様において、活性薬剤は、例えば、モノテルペンを含有しており、眼に直接適用され得る、点眼薬またはその他の液体、ゲル、軟膏、または液剤を介した、外用による投与のために製剤化されてもよい。コンタクトレンズもしくはその他の眼表面付着デバイスまたは涙点プラグに包埋された活性薬剤を含む、眼または眼周辺に置かれるデポ剤を介したモノテルペンの投与のためのその他の製剤が構成されてもよい。
投薬量および投薬
処置される対象および状態、ならびに投与経路によって、活性薬剤は、例えば、1日当たり0.1μg〜500mg/kg体重、例えば、1日当たり約0.1μg/kg体重〜1日当たり約1μg/kg体重、1日当たり約1μg/kg体重〜1日当たり約25μg/kg体重、1日当たり約25μg/kg体重〜1日当たり約50μg/kg体重、1日当たり約50μg/kg体重〜1日当たり約100μg/kg体重、1日当たり約100μg/kg体重〜1日当たり約500μg/kg体重、1日当たり約500μg/kg体重〜1日当たり約1mg/kg体重、1日当たり約1mg/kg体重〜1日当たり約25mg/kg体重、1日当たり約25mg/kg体重〜1日当たり約50mg/kg体重、1日当たり約50mg/kg体重〜1日当たり約100mg/kg体重、1日当たり約100mg/kg体重〜1日当たり約250mg/kg体重、または1日当たり約250mg/kg体重〜1日当たり約500mg/kg体重の投薬量で投与され得る。範囲は広く、それは、一般に、異なる哺乳類のための治療効果の効力が広く変動し、ヒトにおける用量は、典型的には、ラットより(単位体重当たり)20倍、30倍、またはさらには40倍小さいためである。同様に、投与のモードは、投薬量に対して大きい効果を及ぼし得る。従って、例えば、経口投薬量は、注射用量の約10倍であり得る。局所的な送達経路の場合、より高い用量が使用され得る。
例えば、モノテルペンは、1回当たり約1mg〜約1000mg、例えば、1回当たり約1mg〜約5mg、約5mg〜約10mg、約10mg〜約20mg、約20mg〜約25mg、約25mg〜約50mg、約50mg〜約75mg、約75mg〜約100mg、約100mg〜約125mg、約125mg〜約150mg、約150mg〜約175mg、約175mg〜約200mg、約200mg〜約225mg、約225mg〜約250mg、約250mg〜約300mg、約300mg〜約350mg、約350mg〜約400mg、約400mg〜約450mg、約450mg〜約500mg、約500mg〜約750mg、または約750mg〜約1000mgの量で投与され得る。
例示的な投薬量は、静脈内投与のために適当な溶液;1日2〜6回服用される錠剤、または1日1回服用され、比例して高い含量の活性要素を含有しているタイムリリース型のカプセルもしくは錠剤等であり得る。タイムリリース効果は、異なるpH値で溶解するカプセル材料、浸透圧によって徐々に放出するカプセル、またはその他の公知の放出制御手段によって得られてよい。
用量レベルは、具体的な化合物、症状の重症度、および副作用に対する対象の感受性の関数として変動し得ることを、当業者は容易に認識するであろう。所定の化合物のための好ましい投薬量は、多様な手段によって、当業者によって容易に決定可能である。
使用される投薬量は、達成される臨床的目標に依って変動するであろうが、適当な投薬量の範囲は、いくつかの態様において、化合物の個体への投与から約24時間後に、処置された個体から採取された血液試料の中に約1μg〜約1,000μgまたは約10,000μgもの活性薬剤を提供するものである。
シロップ、エリキシル、および懸濁液などの経口投与または直腸投与のための単位剤形が提供されてもよく、ここで、各投薬単位、例えば、小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤、または坐剤は、1種類または複数種類の本発明の化合物を含有している組成物を、予め決定された量、含有している。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、通常の生理食塩水、またはその他の薬学的に許容される担体による溶液としての組成物の中に化合物を含んでいてよい。
いくつかの態様において、活性薬剤は複数回投与される。化合物(「活性薬剤」)の投与の頻度は、多様な因子、例えば、症状の重症度等のいずれかに依って変動し得る。例えば、いくつかの態様において、活性薬剤は、月1回、月2回、月3回、隔週(qow)、週1回(qw)、週2回(biw)、週3回(tiw)、週4回、週5回、週6回、隔日(qod)、毎日(qd)、1日2回(bid)、または1日3回(tid)投与される。前述のように、いくつかの態様において、活性薬剤は、連続的に投与される。
活性薬剤の投与の継続時間、例えば、活性薬剤が投与される期間は、多様な因子、例えば、患者の応答等のいずれかに依って変動し得る。例えば、活性薬剤は、約1日〜約1週間、約2週間〜約4週間、約1ヶ月〜約2ヶ月、または約2ヶ月〜約4ヶ月、またはそれ以上の範囲の期間にわたり投与されてよい。
投与経路
適当なモノテルペンは、インビボおよびエクスビボの方法を含み、投与の全身経路および局所経路を含む、薬物送達のために適当な任意の利用可能な方法および経路を使用して、個体へ投与される。投与は、急性(例えば、短期間のもの、例えば、単回投与および1日〜1週間の投与)であってもよいし、または慢性(例えば、長期間のもの、例えば、1週間を超える投与、例えば、約2週間〜約1ヶ月、約1ヶ月〜約3ヶ月、約3ヶ月〜約6ヶ月、もしくはそれ以上の期間にわたる投与)であってもよい。
従来の薬学的に許容される投与経路には、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、経皮、舌下、外用、静脈内、眼(例えば、眼への外用、硝子体内等)、直腸、鼻、経口、ならびにその他の経腸および非経口の投与経路が含まれる。投与経路は、薬剤および/または所望の効果に依って、所望により、組み合わせられてもよいし、または調整されてもよい。化合物は、単回投与されてもよいしまたは複数回投与されてもよい。
活性薬剤は、全身経路または局所経路を含む従来の薬物の送達のために適当な任意の利用可能な従来の方法および経路を使用して、宿主へ投与されてよい。一般に、本発明によって企図される投与経路には、経腸経路、非経口経路、および吸入経路が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
吸入投与以外の非経口投与経路には、外用、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、関節内、脊髄内、胸骨内、眼、および静脈内の経路、即ち、消化管を通過しない任意の投与経路が含まれるが、これらに限定されるわけではない。非経口投与は、薬剤の全身送達または局所送達を達成するために実施され得る。全身送達が望まれる場合、投与は、典型的には、侵襲的であるかまたは全身に吸収される薬学的調製物の外用または粘膜投与を含む。
薬剤は、経腸投与によって対象へ送達されてもよい。経腸投与経路には、経口送達および(例えば、坐剤を使用した)直腸送達が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
皮膚または粘膜を通した適当なモノテルペンの投与の方法には、適当な薬学的調製物の外用、経皮伝達、注射、および表皮投与が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。経皮伝達については、吸収促進剤またはイオントフォレシスが、適当な方法である。イオントフォレシス伝達は、数日以上の期間、無傷の皮膚を通して、電気パルスを介して、生成物を連続的に送達する市販の「パッチ」を使用して達成され得る。
処置方法
本開示は、一般に、有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンおよび/または処置された成体唾液腺幹細胞集団(例えば、唾液腺幹細胞を少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させることによって、インビトロまたはエクスビボで増大させた唾液腺幹細胞)を、それを必要とする個体へ投与する工程を含み、いくつかのケースにおいて、モノテルペンの投与の前または後に個体を放射線処置に供する工程を含む、様々な処置方法を提供する。
モノテルペンの局所投与および/または全身投与
前述のように、頭頸部癌を有する個体は、しばしば、唾液腺の永久の傷害をもたらし、機能喪失およびその後のRTに関連した口内乾燥またはドライマウスを引き起こす放射線治療(RT)を一般的に受ける。そのような処置は、眼の粘膜も乾燥させ、ドライアイ疾患をもたらす。本開示の処置方法は、頭頸部癌を処置するための放射線治療を受ける予定であるかまたは受けた、頭頸部癌を有する個体の頭頸部の組織(例えば、1個または複数個の唾液腺)におけるALDH酵素ALDH3のインビボ活性化を含み得る。本法は、モノテルペンの(例えば、経口、静脈内、もしくはその他の全身投与による)全身投与、または(例えば、モノテルペンを含む組成物の標的部位への局所注射および/もしくは外用による)局所投与を含み得る。本開示の一つの態様によると、モノテルペンは、頭頸部癌を有する個体が放射線治療を受ける前に、(例えば、全身的にかつ/または局所的に)投与され得る。もう一つの態様において、ALDHアゴニストは、頭頸部癌を有する個体が放射線治療を受けた後に、(例えば、全身的にかつ/または局所的に)投与され得る。さらにもう一つの態様において、モノテルペンは、個体が放射線治療を受ける前および後に投与される。特定の態様において、モノテルペンは、個体が放射線治療に供される前のある期間、連続的に投与される。特定の態様において、モノテルペンは、個体が放射線治療に供された後のある期間、連続的に投与される。いくつかのケースにおいて、モノテルペンは、個体が放射線治療を受ける前および後のある期間、連続的に投与される。
前述のように、いくつかの態様において、モノテルペン(例えば、ALDH3の活性化剤)は、個体が放射線処置を受ける前に、例えば、放射線処置前の約1時間〜約1週間、例えば、約1時間〜約2時間、約2時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、約12時間〜約16時間、約16時間〜約24時間、約24時間〜約36時間、約36時間〜約48時間、約48時間〜約72時間、または約72時間〜約1週間、「前処置」として個体へ投与される。いくつかの態様において、モノテルペンによる前処置は、放射線処置に先行するある期間にわたり連続的になされる。
モノテルペン(例えば、ALDH3の活性化剤)による前処置は、例えば、十分な数の幹細胞が放射線処置後に生存している可能性が増加するよう、成体唾液腺幹細胞の数をインビボで増大させるために有用である。前記の状況は、対象が適当なモノテルペンによる前処置から利益を得る状況の一例に過ぎない。
いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、放射線治療の後に投与される。例えば、放射線処置後に投与される適当なモノテルペンは、唾液腺および対応する唾液腺機能に対する放射線処置の有害効果を軽減するために有効である。いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、虚血イベント後、1分以内〜15時間以内、例えば、約1分〜約5分、約5分〜約10分、約10分〜約15分、約15分〜約30分、約30分〜約60分、約60分〜約2時間、約2時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、または約12時間〜約15時間以内に投与される。いくつかの態様において、モノテルペンの増加した濃度は、放射線処置後、少なくとも数時間〜数日、例えば、虚血イベント後、約1日〜約1週間、約1週間〜約2週間、約2週間〜約3週間、約4週間〜約5週間、約6週間〜約7週間、約7週間〜約8週間、約8週間〜約9週間、約9週間〜約10週間、約10週間〜約11週間、または約11週間〜約12週間、血漿中に維持される。
例えば、いくつかの態様において、適当なモノテルペンは、放射線処置後、1分以内〜15時間以内、例えば、約1分〜約5分、約5分〜約10分、約10分〜約15分、約15分〜約30分、約30分〜約60分、約60分〜約2時間、約2時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、または約12時間〜約15時間以内に、頭頸部癌を有する個体へ投与される。
前記の「成体唾液腺幹細胞を処置する方法」という表題のセクションに記載されたように、本開示は、(例えば、細胞をモノテルペン、例えば、ALDH3の活性化剤と接触させることによって、処置された成体唾液腺幹細胞の増大、保護、および唾液腺機能の増加のうちの一つまたは複数が達成されている)処置された成体唾液腺幹細胞集団を、レシピエント個体へ導入することを任意で含む方法を提供する。処置された唾液腺幹細胞の導入は、多様な適用において有用である。例えば、導入された(例えば、「移植された」)唾液腺幹細胞は、放射線照射された唾液腺に生着し、機能性唾液生成細胞へ分化し、それによって、放射線照射された唾液腺の機能を回復させるかまたは増強することができる。
特定の局面において、本開示は、(例えば、前記の)処置された成体唾液腺幹細胞集団の放射線治療後の導入を、(例えば、前記の)モノテルペンの個体への放射線治療の前および/または後の投与(例えば、全身投与および/または局所投与)と組み合わせた処置計画を提供する。従って、本開示は、頭頸部癌を有する個体が放射線治療の前にモノテルペン(例えば、ALDH3の活性化剤)の投与を受容する処置計画であって、前記の処置された成体唾液腺幹細胞集団を個体へ導入することをさらに含む処置計画を提供する。本開示は、頭頸部癌を有する個体が、モノテルペン(例えば、ALDH3の活性化剤)の投与および処置された成体唾液腺幹細胞集団の投与を受容する処置計画であって、両方の投与が放射線治療後に実施される処置計画をさらに提供する。理解されるように、本開示は、モノテルペンが放射線治療の前および後に全身的にかつ/または局所的に投与される処置計画であって、処置された成体唾液腺幹細胞集団を放射線治療後に個体へ導入することをさらに含む処置計画を提供する。
特定の局面において、本開示は、頭頸部癌のための放射線治療を受けている個体の口および眼の粘膜の乾燥を緩和する処置計画を提供する。
以下の実施例は、本発明を作成し使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために示され、本発明者らが本発明と見なすものの範囲を限定するためのものではなく、下記の実験が実施された全てのまたは唯一の実験であることを表すためのものでもない。使用される数(例えば、量、温度等)に関しては、正確さを確実にする努力がなされたが、いくつかの実験誤差および偏差は考慮に入れられるべきである。他に示されない限り、部は重量部であり、分子量は量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。標準的な略語が使用され得る。例えば、bp、塩基対;kb、キロ塩基;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロ塩基;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内の(筋肉内に);i.p.、腹腔内の(腹腔内に);s.c.、皮下の(皮下に)等。
実施例1:ALDH3の喪失が、放射線照射後に正常な唾液腺幹/前駆細胞(SSPC)機能を損ない唾液分泌減少を加速するか否かの決定
SSPC自己再生におけるALDH3A1の役割を決定するため、C57BL/6野生型(WT)マウスおよびAldh3a1(-/-)マウスのSMGから蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって単離されたSSPC濃縮EpCAM+CD24+細胞の唾液腺スフェア形成を測定した。
サリスフェア(Salisphere)形成アッセイ:マウス顎下腺(SMG)から単離した細胞を、以前に記載されたように、細胞表面マーカーEpCAMおよびCD24を使用してFACS選別し、マトリゲル(BD Biosciences、BD356235)上に播種した。10%FBS、1×anti-anti、1%N2サプリメント(Gibco)、20ng/mL上皮増殖因子2(Sigma-Aldrich)、20ng/mL繊維芽細胞増殖因子2(Sigma-Aldrich)、10μg/mLインスリン(Sigma-Aldrich)、1μMデキサメタゾン(Sigma-Aldrich)、10μM γ-27632(Stem Cell Technologies)を含有しているDMEM/F12+GlutaMax(Gibco、10565-018)培地において、細胞を増殖させた。スフェアを、1mg/mLディスパーゼ(BD Biosciences)において20分間インキュベートし、0.25%トリプシン-EDTAにおいて20分間インキュベートすることによって、単細胞へ解離させることによって、7日毎に継代した。スフェアを7日間成長させ、z-スタック機能を使用して、BZ-X710 Keyence顕微鏡によって画像化した。スフェアの数および面積を定量化するため、ImageJ(NIH)を使用して、画像を1個の画像へと連結し、分析した。少なくとも3回、独立に実験を反復した。
WTマウス由来のEpCAM+CD24+細胞と比較して、Aldh3a1(-/-)マウス由来のEpCAM+CD24+細胞は、1回目、2回目、および3回目の継代において、次第にスフェア形成能力の減少を示した(図1、パネルA)。3回目の継代までに、Aldh3a1(-/-)マウス由来のサリスフェアの数は、対照よりおよそ80%低くなり、(面積として測定された)サイズが、WTマウス由来のものと比較して、はるかに小さくなった(図1、パネルB)。
さらに、ALDH3A1が正常なSSPC機能のために必要であるか否かを決定するため、胎生13.5日(E13.5マウス)から解剖された単離されたSMG上皮を、前駆細胞の存在量および短期間(成体組織の数週間に対して数日)の実質的な再生可能性によるモデルとして使用した。
胎仔上皮原基痕跡培養:上皮および間葉を、E13顎下腺について記載されたように(Steinberg,Z.,Myers,C.,Heim,V.M.,Lathrop,C.A.,Rebustini,I.T.,Stewart,J.S.,Larsen,M.,and Hoffman,M.P.(2005), FGFR2b signaling regulates ex vivo submandibular gland epithelial cell proliferation and branching morphogenesis, Development(Cambridge,England)132,1223-1234)、ディスパーゼ処理および機械的解離を使用して分離し、ホロトランスフェリンおよびアスコルビン酸を含有している無血清DMEM/F12(完全培地)上のニュークリポアフィルタ上のラミニンの液滴において培養した。上皮を、25〜200mM ALDH341または媒体(PEG)の存在下または非存在下で、400ng/ml FGF10(R&D Systems)および0.5μl/mlヘパリン硫酸(Sigma Aldrich)で培養し、RNA単離に供するか、または24〜48時間後に免疫染色のために固定した。
WT C57BL/6と比較して、Aldh3a1(-/-)胎仔に由来する上皮は、24時間の培養後に、腺房細胞が形成される領域である終末芽(end bud)の形成の低下および上皮面積の低下を示し、このことから、ALDH3A1が上皮増大において役割を果たすことが示唆された(図1C)。
SSPCおよび唾液腺機能の放射線損傷からの保護のためにALDH3A1が必要とされるか否かを決定するため、Aldh3a1(-/-)E13.5胎仔SMGが、放射線照射後に、より多くのアルデヒドを蓄積するか否かを最初に決定した。E13.5 SMGを24時間培養し、8Gyを照射し、Stanford(Stanford,CA)のEric Kool研究室によって開発された、細胞内アルデヒドを蛍光標識する新規のDarkZone色素によって処理した。
インタクトなE13.5胎仔SMGにおけるDarkZone色素アルデヒドアッセイ:E13.5胎仔SMG全体を手動で解剖し、50ug/mLトランスフェリンおよび50ug/mLビタミンCを含むDMEM/F12において、24時間培養した。腺に4Gyまたは8Gyを照射し、20uM DarkZoneフルオレセインアルデヒド色素および10mM 2,4-ジメトキシアニリン触媒(TCI America)と共に1時間インキュベートした(Yuen,L.H.,Saxena,N.S.,Park,H.S.,Weinberg,K.,and Kool,E.T.(2016), Dark Hydrazone Fluorescence Labeling Agents Enable Imaging of Cellular Aldehydic Load, ACS chemical biology 11,2312-2319)。Keyence BZ-X710顕微鏡GFPフィルタを10倍で使用して、放射線照射の3時間後に、腺を画像化した。平均蛍光強度をImage J(NIH)を使用して定量化した。
放射線照射の3時間後に、Aldh3a1(-/-)胎仔SMGは、WT SMGと比較して3倍を上回る高い蛍光強度を示し、このことから、より大きいアルデヒド蓄積が示唆された(図1F〜図1G)。
放射線照射によって誘導される唾液分泌減少のマウスモデルを使用して、WTマウスおよびAldh3a1(-/-)マウスにおける放射線照射後の唾液腺機能の喪失を比較した。基線ピロカルピン誘導唾液生成を、8〜10週齢マウスにおいて15分間収集した。身体の残りを鉛で遮蔽しながら、5日に分割した30Gy(6Gy/d)をSMGに局所的に照射した。ピロカルピン誘導唾液生成を、放射線照射の1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、および8週間後に測定した(図1H)。Aldh3a1(-/-)マウスは、WTマウスと比較して加速された放射線照射後の唾液生成の減少を経験することが観察され、このことから、ALDH3A1が、SMGにおいて放射線損傷に対する保護的な役割を果たすことが示唆された。
図1Aは、フローサイトメトリーによって選別されたC57BL/6 WTマウスおよびAldh(-/-)マウスに由来するEpCAM+CD24+細胞を、各群6回反復で、1ウェル当たり10,000細胞の密度で播種し、スフェアへ成長させたことを示す。Image J(NIH)によって各ウェルを画像化し、定量化することによって、1ウェル当たりの平均スフェア数を計算した。細胞を7日毎に3回継代した。
図1Bは、Image J(NIH)によって定量化され、ヒストグラムとして表された3回目の継代後のWT(左)およびAldh(-/-)(右)のスフェア面積を示す。
図1Cは、24時間培養され、10倍で画像化された、C57BL/6 WTマウス(左)およびAldh(-/-)マウス(右)の胎仔に由来する代表的なSMG上皮を示す。
図1Dは、17のWT上皮および16のAldh(-/-)上皮から計数された芽数を示す。
図1Eは、Image J(NIH)を使用して、15のWT上皮および14のAldh(-/-)上皮から定量化され、WTに対して正規化された、平均上皮面積を示す。
図1Fは、24時間の培養後に、DarkZone色素アルデヒドセンサーと共にインキュベートされ、4Gyの3時間後に、明視野で(上)、およびGFPフィルタによって(下)、10倍で得られたC57BL/6 WT(左)およびAldh(-/-)(右)E13.5マウス胎仔SMGの代表的な画像を示す。
図1Gは、Image J(NIH)によって定量化され、WTに対して正規化されたアルデヒド負荷を表す蛍光強度を示す。
図1Hは、基線時、および15Gyの線量をSMGに単回照射した後、1週間目、2週間目、4週間目、6週間目、および8週間目に、15分間収集されたピロカルピン誘導唾液生成を示す。基線唾液に対して正規化された。N=10〜11マウス/群。この図のエラーバーは、全て、平均値の標準誤差(SEM)を表す。*=p<0.05;*=p<0.01;***=p<0.001(スチューデントt検定)。
実施例2:ALDH3の低分子活性化剤を同定するための天然生成物のスクリーニング
ALDH3A1活性化が、放射線照射によって誘導される機能障害から唾液腺を保護するために十分であるか否かを決定するため、Sun Ten Pharmaceutical Co.(Taiwan)から寄贈された135個の伝統的な漢方抽出物のライブラリを、分光学的酵素活性アッセイおよび精製された組換えALDH3A1を使用してスクリーニングした。このライブラリからの少なくとも7つの抽出物が、ALDH3A1活性の増加を示した。次いで、本発明者らは、抽出物の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分画、および画分の核磁気共鳴(NMR)特徴決定を実施した。NMRフィンガープリントに基づき、本発明者らは、類似したフィンガープリントの既知の構成成分を同定し、酵素活性アッセイを使用して試験するため、市販の化合物を購入した。
伝統的な漢方植物のメタノールおよびヘキサンによる抽出:10gの原材料を、シェーカー上で37℃で100mLのメタノールまたはヘキサンに一晩浸漬した。その混合物を定性濾紙に通した(GE Healthcare Life Sciences Whatman、270mm直径、等級1)。残存する濾過されなかった材料を、さらに2時間、100mLのメタノールまたはヘキサンに浸漬した。第2の混合物を定性濾紙に通した。2つ類の濾過液を、全体積が200mLとなるよう合わせ、rotavapor(Buchi R-100)を使用して、20mLに濃縮した。1mLを、真空を使用して、さらに粉末にまで濃縮した。
HPLC:ヘキサン抽出物#139を、水およびアセトニトリルの1:2混合物によってさらに抽出し、逆相HPLC(Agilent 1260 Infinity、C18カラム、250×4.6mm)によって分画した。0.65ml/分の流速での30分にわたるアセトニトリルに対する水の直線勾配(5%〜100%)を使用した。オートサンプルコレクタを使用して、1分に1回、画分を収集した。示された波長は220nmである。
NMR:25℃に制御された試料温度、30°パルス、16〜264スキャン、1秒プレスキャン遅延、65536全データ点、10330.58Hzスペクトル幅で、Bruker Avance 500MHz分光計(TopSpin v1.3)で、Stanford Magnetic Resonance Laboratoryにおいて、1D 1H NMRスペクトルを取得した。ACD Labs SpecHPLCtrus Processorを使用して、データを処理し、分析した。
同定された構成成分のうち、D-リモネンとしても公知のAlda-341が、およそ14μMという最も低いEC50およびおよそ4.6というAmaxを有していた。
ALDH酵素アッセイ:ALDH1A1、ALDH1A2、2、3A1、3A2、4A1、5A1、7A1を、5μg/mlの組換えタンパク質を使用して、以前に記載されたように測定した(Chen,C.H.,Cruz,L.A.,and Mochly-Rosen,D.(2015), Pharmacological recruitment of aldehyde dehydrogenase 3A1(ALDH3A1) to assist ALDH2 in acetaldehyde and ethanol metabolism in vivo, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 112,3074-3079)。簡単に説明すると、増加する濃度のAlda-341またはDMSO媒体対照の存在下で、5分間、A340で、NAD+のNADP+への還元によって分光光度的に酵素活性を測定した。2.5mM NAD+および10mM基質の存在下で50mM NaPPi緩衝液(pH7.4)においてアッセイを実施し、25℃で3回反復で測定した。GraphPad Prism 7ソフトウェアを使用して、用量応答曲線適合およびEC50を計算した。
ALDH蛍光共役酵素アッセイ:Alda-341またはDMSO媒体対照の存在下で、5分間、レサズリンの蛍光性レゾルフィン(励起565nmおよび放射590nm)へのジアフォラーゼによる変換によって増幅される、NAD+のNADP+への還元によって、細胞溶解物において、または組換えのALDH1A1、ALDH1A2、ALDH3A1を使用して、ALDH酵素活性を測定した。二次反応のための1U/mLジアフォラーゼおよび0.1mMレサズリンを添加すると共に、50mM NaPPi緩衝液(pH7.4)、2.5mM NAD+、10mMアセトアルデヒドまたはオールトランスレチナール基質を使用して、前記の最初の酵素アッセイプロトコルからアッセイ条件を修飾した。25℃にて3回反復で測定値を収集した。
図2Aは、サフロール(Alda-89)と、天然生成物スクリーニングから同定された3つの上位の活性化剤についての用量応答曲線を示す。Alda-341およびAlda-89の活性は、いずれも、基質特異的であるようであり;アセトアルデヒドおよびプロピオンアルデヒドなどの小さいアルデヒドに対するALDH3A1の触媒活性のみを増加させ、芳香族アルデヒドまたは長鎖アルデヒドに対しては増加させない(図2B)。Alda-341は、ALDH1A1、ALDH2、ALDH3A2、ALDH4A1、ALDH5A1、またはALDH7A1の触媒活性を増加させなかった(図2C)。Alda-341は、ALDH1A1、ALDH1A2、またはALDH3A1におけるオールトランスレチナールの触媒活性も増加させなかった。より高感度の蛍光共役酵素アッセイを使用して、Aldh3a1(-/-)マウス唾液腺スフェア溶解物が、アセトアルデヒドの存在下で、WT溶解物の酵素活性のおよそ30%を示すことが観察された。さらに、100μMのAlda-341は、WT溶解物の酵素活性をおよそ30%増加させたが、Aldh3a1(-/-)マウス由来の溶解物の酵素活性は増加させなかった(図2D)。
図2Aは、天然生成物ライブラリスクリーニングから同定された3つの上位の活性化剤についての、基線活性に対して正規化された、分光学的酵素活性アッセイを使用した用量応答曲線を示す。6nM〜400μMの化合物濃度の存在下で活性を測定した。表(右)に報告された曲線適合、EC50値、およびAmax値を計算するため、GraphPad Prismソフトウェアを使用した。
図2Bは、10mMアセトアルデヒドおよび20μM Alda-341の存在下で、5μg/mlの組換えALDHアイソザイム、ALDH1A1、ALDH2、ALDH3A1、ALDH3A2、ALDH4A1、ALDH5A1、またはALDH7A1を使用して測定された酵素活性を示す。
図2Cは、10mMアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、デカナール、ヘプトアルデヒド、または200μM 4-ヒドロキシノネナール、および100μM Alda-341またはAlda-89の存在下で測定されたALDH3A1酵素活性を示す。
図2Dは、10mMアセトアルデヒドおよび100μM Alda-341の存在下で、蛍光共役酵素活性アッセイを使用して、C57BL/6 WTマウスおよびAldh3a1(-/-)マウスに由来する400μg/mLのマウス一次唾液腺スフェア溶解物において測定された酵素活性を示す。全ての測定が3回反復で収集され、エラーバーはSEMを表す。*=p<0.05;***=p<0.001(スチューデントt検定)。
実施例3:Alda-341によるALDH3の活性化が、正常なSSPC形成を増加させるか否かの決定
Alda-341によるALDH3A1の活性化が正常なSSPC機能を増加させるか否かを決定するため、EpCAM+/CD24+によって選別されたマウスWT細胞を、25μM Alda-341によって7日間処置したところ、媒体対照と比較して、全サリスフェア数の約15%の増加が観察された(図3A)。
25μM Alda-341によって処置された、頭頸部癌を有する患者から外科的に取り出された正常唾液腺組織から解離させたヒト唾液腺細胞も、未処置の細胞より約30%多いサリスフェアを形成した(図3、パネルB)。Alda-341によるスフェア形成の増加が、一部分には、アポトーシスの減少によるか否かを決定するため、100μM Alda-341によって処置されたEpCAM+/CD24+によって選別されたマウスWT細胞、および媒体対照によって処置された細胞を、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムによって処理し、細胞をFACSによって分析した(図3C)。Alda-341によって処置された細胞は、媒体対照と比較して約60%少ない初期および後期のアポトーシス細胞を示した。これらのデータは、Alda-341が、マウスSSPCおよびヒトSSPCの両方の自己再生能力を増強することができること、それが、この重要な細胞集団におけるアポトーシスの低下による可能性が高いことを示唆する。Alda-341がSSPC増大を増強し得るか否か決定するため、E13.5胎仔SMG上皮を24時間培養したところ、終末芽の数および上皮面積の用量依存性の増加が観察された(図3D〜図3F)。遠位前駆細胞増大マーカーc-Kitによる免疫蛍光染色は、WT上皮の枝および終末芽の両方においてc-Kit+細胞を同定した。対照的に、200μM Alda-341によって処置された上皮におけるc-Kit+細胞は、枝に見出されず、終末芽のみに限定されており、芽の外縁周辺において構造的に組織化されているようであった(図3G)。これらのデータは、Alda-341処置後のこれらの前駆腺房(pre-acinar)細胞が形態学的発達においてさらに進んでいることを示唆する。腺房前駆細胞マーカーSox10の発現の増加は、前駆細胞増大におけるAlda-341の機能をさらに支持し、腺房成熟マーカーAqp5およびMist1の転写物レベルの増加は、腺房特異的分化と一致している(図3H)。Alda-341が成体SSPC分化も増強するか否かを決定するため、コラーゲンおよびマトリゲルの表面に播種されたC57BL/6マウスのサリスフェアからの成体マウスオルガノイド形成に対するAlda-341処置の効果を測定した。25μM Alda-341によって処置されたサリスフェアは、媒体によって処置された対照より25%多いオルガノイドを発達させた(図3I)。
図3Aは、フローサイトメトリーによって選別され、継代され、100μMまたは200μM Alda-341または媒体対照によって、7日間、スフェアへ成長させたマウス顎下腺(SMG)EpCAM+/CD24+細胞を示す。Image J(NIH)によって定量化された1ウェル当たりのスフェア数。各群6回反復。
図3Bは、外科的に取り出されたヒト唾液腺から解離させられ、継代され、媒体対照または100μM Alda-341の存在下で、7日間、スフェアへ成長させたヒト唾液腺細胞を示す。Image J(NIH)によって定量化された1ウェル当たりのスフェア数。各群4回反復。
図3Cは、フローサイトメトリーによって選別され、継代され、100μMまたは媒体対照によって24時間処置され、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウムによって染色され、初期および後期のアポトーシス細胞の百分率についてフローサイトメトリーによって分析されたマウスSMG EpCAM+/CD24+細胞を示す。図3、パネルC(右)は、アネキシンV+PI-が、初期アポトーシス細胞として解釈され、左上の四半分に出現することを示す。アネキシンV+PI+は、後期アポトーシス細胞として解釈され、右上の四半分に出現する。各群5〜6回反復。
図3Dは、媒体対照、100μMおよび200μM Alda-341(左から右へ)によって処置され、400ng/FGF-10および0.2μg/mL HSの存在下で24時間培養され、明視野で10倍で画像化されたCD-1マウス胎仔由来のE13.5 SMG上皮の代表的な画像を示す。各群N=6〜7上皮。
図3Eは、各上皮について芽数が計数され、各群で平均化されたことを示す。
図3Fは、上皮面積がImage J(NIH)を使用して定量化され、媒体対照に対して正規化されたことを示す。
図3Gは、24時間培養された後、c-KIT、ECAD、およびDAPIによって免疫染色され、共焦点顕微鏡によって画像化された媒体対照(左)および200μM Alda-341(右)についての代表的な画像を示す。3つ全てのマーカーの1μM共焦点セクション(上)およびc-KITのみの平均化された共焦点セクション(下)。
図3Hは、各群4個の上皮から抽出されたRNAの逆転写定量的PCRを示す。媒体対照によって処置された上皮のRNA発現に対するlog2変化倍率として表された、200μM Alda-341によって処置された上皮のRNA発現。試料は3回反復で試験された。
図3Iは、オルガノイドをマウス成体SMGスフェアから成長させ、25μM、100μM Alda-341、または媒体対照によって7日間処置したことを示す。5個以上の芽を有するものとして定義されたオルガノイドを盲検的に計数し、オルガノイドおよび未分化スフェアの総数に対するオルガノイド数の比として定量化した。各群4回反復。全てのエラーバーがSEMを表す。*=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001(スチューデントt検定)。
実施例4:Alda-341は、単離された胎仔唾液腺において、放射線照射後のアルデヒド負荷を低下させ、放射線照射によって誘導される唾液分泌減少をインビボで軽減する
Alda-341が、放射線損傷を低下させるために十分であるか否かを決定するため、CD-1 E13.5胎仔からのインタクトなSMGを、25μM Alda-341または媒体対照と共に培養した。24時間後、腺に4Gyを照射し、細胞内アルデヒドを測定するため、SMGをDarkZone色素と共にインキュベートした。3時間後、放射線照射された媒体対照によって処置されたSMGにおけるアルデヒド負荷は、未照射の媒体対照によって処置されたSMGより4倍超高かった。25μM Alda-341による処置は、アルデヒド負荷を、ほぼ未照射レベルにまで低下させた(図4A〜図4B)。
放射線照射によって誘導される唾液分泌減少マウスモデルを使用して、Alda-341が、放射線照射後の唾液腺の損傷を低下させ、唾液腺の構造および機能を保存することができるか否かを次に決定した。基線唾液を、8〜10週齢雌C57/BL6マウスから収集し、マウス飼料中に混合された10%Alda-341による毎日の処置を、放射線照射の1週間前に開始し、放射線照射後1週間継続した。マウスSMGに広がったAlda-341レベルは、ガスクロマトグラフィ質量分析(GCMS)によっておよそ7000ng/gと測定された。一つの実験において、マウスに15Gyの線量を単回照射し、第2の実験においては、6Gy/dを5日間、計30Gyを照射した。両方の実験において、Alda-341を受容したマウスは、放射線照射後にほぼ基線唾液生成レベルを保持していたが、対照的に、処置を受容していないマウスにおいては50%低下した(図4C)。30Gy放射線照射の8週間後に、Alda-341によって処置されたSMGは、腺房面積の90%の保存を維持していたが、それに対して、放射線照射された対照によって処置された群については30%未満であった。予防的処置が必要であるか否かを決定し、最適の処置継続時間を同定するため、放射線照射の最終回の24時間後にAlda-341処置を開始し、その後、毎日継続すること以外は同一の実験設計を繰り返した。放射線照射の8週間後から、対照群および処置群をさらに4群に分割した。対照群の半分は毎日のAlda-341処置を開始し、処置群の半分はAlda-341を停止した。放射線照射の最終回の24時間後に開始された連続的なAlda-341を受容した群は、他の3群と比較して有意に高い唾液レベルを20週間にわたり持続した。放射線照射の8週間後にAlda-341処置を中止した群は、唾液生成の急速な減衰を経験し、放射線照射の8週間後にAlda-341処置を開始した群は、唾液生成の有意な改善を示さなかった(図4D)。これらのデータと一致して、20週間後、腺房細胞を陽性に染色する過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色は、連続的なAlda-341を受容した群において、Alda-341を受容していない群と比較しておよそ70%多い腺房細胞保存を示した(図4E〜図4F)。同様に、連続的なAlda-341によって処置されたマウスに由来する解離したSMGは、処置を受容していないマウスと比較して、ほぼ30倍のスフェア形成能力の改善を示し、このことから、連続的なAlda-341処置による放射線照射後のSSPC生存がより大きいことが示唆された(図4G〜図4H)。
30Gy放射線量の5日目に、SMGを取り出し、固定し、アポトーシスの程度を決定するため、切断型カスパーゼ3染色をした(図4E)。放射線照射されたSMGは、未照射SMGと比較して、切断型カスパーゼ3染色について5倍を超える増加を示し、このことから、アポトーシスが、分割放射線照射の過程で既に起こっていたことが示された。放射線照射前のAlda-341による処置は、アポトーシス細胞の数をほぼ未照射レベルにまで低下させた(図4F)。これは、放射線照射後のアポトーシス関連遺伝子発現の増加、およびAlda-341処置による放射線照射後のアポトーシス関連遺伝子発現の減少を証明した、30Gyの2週間後にSMGから単離されたEpCAM+細胞のRNA配列決定と一致している。RNA配列決定は、Alda-341処置とグルタチオン代謝増加および免疫応答減少との間の相関も証明した。
30Gyを照射され、Alda-341によって8週間処置された3匹のC57BL/6雌マウスおよび3匹の未照射対照マウスの全血球査定および剖検は、正常な全血球数および血液化学パネルを示し、器官毒性は示さなかった。SAS(ヒトパピローマウイルス[HPV]陰性)およびSSC90(HPV陽性)頭頸部扁平上皮癌細胞株が植え込まれた6週齢SCIDマウスの別の異種移植研究において、Alda-341処置は腫瘍成長を増加させず、放射線照射から腫瘍を保護しなかった。総合すると、これらのデータは、Alda-341がこの適応症のために安全であることを示唆している。
実施例5:ヒト唾液腺に広がったAlda-341
Alda-341が唾液腺および唾液に広がるか否かを決定するため、第0相研究を、Stanford Hospital and Clinics(Stanford,CA)において実施した。唾液腺腫瘍(良性または悪性のいずれか)の外科的除去を受けることが予定されていた患者に、予定された手術の直前の2週間、毎日、1日2g(1gを1日2回)の経口Alda-341を与えた。唾液および血漿の試料を、基線時および手術時に収集し、正常な唾液腺組織を手術時に収集した。血漿、唾液、および唾液腺組織におけるAlda-341レベルを、GCMSによって測定した。
頭頸部癌患者における第0相研究:この研究は、Stanford University's Institutional Review Boardによって認可された。唾液腺腫瘍を有すると診断され、唾液腺手術を受けることが予定されていた患者を、このAlda-341の2週間非盲検経口投与研究のためにリクルートした。患者は、18〜85歳であること、耳下腺または顎下腺の腫瘍の最近の診断のために手術を受けることが決定していること、および麻酔を受けるために適格であることが必要とされた。研究手法が実施される前に、書面でのインフォームドコンセントを全ての患者から得た。授乳中であるか、妊娠中であるか、または腎疾患、末期肝疾患、転移性癌、もしくは不安定な医学的状態を有すると診断された場合、その患者は研究参加から除外した。4人の対象が、手術前の14日間の2g/日(1gを1日2回)のAlda-341処置を開始した。血液および唾液の試料を、基線時および手術日に収集した。正常唾液腺組織および腫瘍唾液腺組織を手術中に収集した。組織、血漿、および唾液における薬物レベルを、本明細書中に記載されたGCMS法によって測定した。
最初の3人の患者から収集されたデータは、Alda-341が唾液および血液より唾液腺組織に高レベルに集中することを示したが、これは、おそらく、化合物の疎水特性のためであった。唾液腺薬物レベルは平均3156.7ng/gと測定され(図5A)、これは、マウス飼料で送達された2週間の10%Alda-341の後にマウス唾液腺において測定された薬物レベルに桁が類似している。平均血漿薬物レベルは、処置前に6.0ng/mL、処置後に144.3ng/mLと測定された(図5B)。平均唾液薬物レベルは、処置前に0ng/mL、処置後に6.1ng/mLと測定された(図5C)。
図5Aは、2週間の2g/dのAlda-341経口処置の後にGCMSによって測定されたヒト唾液腺組織におけるAlda-341レベルを示す。各患者について腺組織の異なる部分からの3個の試料を分析した。
図5Bは、基線時および2週間の2g/d Alda-341経口処置の後にGCMSによって測定されたヒト血漿中のAlda-341レベルを示す。各時点において1個の試料を分析した。
図5Cは、基線時および2週間の2g/d Alda-341経口処置の後にGCMSによって測定されたヒト唾液中のAlda-341レベルを示す。各時点において2個の試料を分析し、平均値として表した。
材料および方法
薬物:伝統的な漢方植物のライブラリは、Sun Ten Pharmaceuticals Co.(Taiwan)によって寄贈された。Alda-341(D-リモネン)および他の全てのスクリーニングされた化合物、PEG-400、およびピロカルピンは、Sigma-Aldrichから購入された。イソフルラン(VetOne)、ケタミン(VEDCO)、およびキシラジン(AnaSEd)は、Stanford University's Veterinary Service Centerを通して取得された。
動物:C57BL/6野生型マウスはJackson Labsから購入され、C57BL/6 Aldh3a1は、Yale School of Public Health(New Haven,CT(33))のVasilis Vasiliouの研究室から得られた。指定時期に妊娠させた(Timed pregnant)CD-1/ICRマウスを、Envigoから購入した(カタログ番号044)。Administrative Panel on Laboratory Animal Care at Stanford University(Stanford,CA)およびInstitutional Animal Care and Use Committee at University of California(San Francisco,CA)が、全ての動物プロトコルを認可した。マウスは、20〜26℃、30〜70%の湿度で、12時間明/暗サイクルで維持された。全ての動物実験が、NIH Guide for the Care of and Use of Laboratory Animalsを遵守して実施された。
唾液収集:8〜10週齢雌C57/BL-6マウスをJackson Labsに注文した。マウスを、飼料に混合された10%Alda-341によって処置するか、または未処置のままにした。15Gyの単回線量または5日に分割された30Gy(6Gy/d)を、身体の残りを鉛で遮蔽しながら、SMGへ送達した。Lombaert,I.M.,Brunsting,J.F.,Wierenga,P.K.,Faber,H.,Stokman,M.A.,Kok,T.,Visser,W.H.,Kampinga,H.H.,de Haan,G.,and Coppes,R.P.(2008), Rescue of salivary gland function after stem cell transplantation in irradiated glands, PloS one 3,e2063に記載されるように、刺激唾液を測定した。腹腔内注射によって送達されたケタミン(80mg/kg)およびキシラジン(16mg/kg)の混合物によってマウスに麻酔をかけ、2mg/kgのピロカルピンを皮下注射した。唾液を15分間収集した。収集された全唾液体積をマウスの体重(kg)によって割ることによって、唾液体積をマウス体重に対して正規化した。
唾液腺組織解離:マウスおよびヒトの唾液腺細胞を、Szlavik,V.,Szabo,B.,Vicsek,T.,Barabas,J.,Bogdan,S.,Gresz,V.,Varga,G.,O'Connell,B.,and Vag,J.(2008) 基底膜抽出物において培養された初代ヒト顎下線の分化(Differentiation of primary human submandibular gland cells cultured on basement membrane extract.)Tissue engineering.Part A 14,1915-1926に以前に記載されたように単離した。マウス腺を均質化し、37℃で、シェーカー上で、コラゲナーゼ(0.025%)およびヒアルロニダーゼ(0.04%)(Stem Cell Technologies、07912)、6.25mM CaCl、および抗真菌剤(Omega scientific;1:500)を含むDMEM/F12において1時間、ディスパーゼ(BD Biosciences)において1時間、インキュベートした。組織を100μMセルストレーナーで濾過し、1200rpmで6分間遠心分離した。赤血球をACK Lysing Buffer(Lonza、10-548E)によって2分間溶解し、10%FBS DMEMによって不活化し、100μMセルストレーナーで濾過し、1200rpmで6分間遠心分離した。次いで、細胞を0.25%トリプシンによって1分間トリプシン処理し、10%FBS DMEMによって不活化し、40μMセルストレーナーで濾過し、1200rpmで6分間遠心分離した。
アネキシンVアッセイ:EpCAM+CD24+によって選別された唾液腺スフェア細胞を、前記のようにマトリゲルにおいて増殖させ、媒体対照(PEG-400)または100μM Alda-341によって48時間処置した。細胞をマトリゲルから解離させ、Biolegend's FITC Annexin V Apoptosis Detection Kit with Propidium Iodide(Life Technologies)によって染色し、フローサイトメトリーによって分析した。アネキシンV+PI-細胞を初期アポトーシス細胞として分析し、アネキシンV+PI+細胞を後期アポトーシス細胞として分析した。各群5〜6回反復でアッセイした。
免疫組織化学:胎仔原基痕跡免疫蛍光分析は、Knox,S.M.,Lombaert,I.M.,Reed,X.,Vitale-Cross,L.,Gutkind,J.S.,and Hoffman,M.P.(2010), Parasympathetic innervation maintains epithelial progenitor cells during salivary organogenesis, Science(New York,N.Y.) 329,1645-1647に以前に記載されている。簡単に説明すると、組織を4%PFAによって20〜30分間固定した後、0.1〜0.3%トリトンXによって透過処理した。組織を、0.01%PBS-トゥイーン20中の10%ロバ血清(Jackson Laboratories)、1%BSA(Sigma Aldrich)、およびMOM IgGブロッキング試薬(Vector Laboratories)によって4℃で一晩ブロッキングした。SGを、一次抗体:ウサギ抗cKIT(1:200、Santa Cruz Biotech、M14)およびラット抗E-カドヘリン(1:300、Life Technologies、13-1900)と共に、4℃で一晩インキュベートした。Cy2、Cy3、またはCy5がコンジュゲートされた二次Fab断片抗体(Jackson Laboratories)を使用して抗体を検出し、Hoescht 33342(1:1000、Sigma Aldrich)を使用して核染色した。Leica Sp5共焦点顕微鏡およびNIH ImageJソフトウェアを使用して、蛍光を分析した。
qPCR:RNAqueous Micro Kit(Ambion)を使用して、組織全体からRNAを単離した。全RNA試料をDNase処理(Ambion)した後、SuperScript試薬(Invitrogen)を使用してcDNAを合成した。1ngのcDNA、ならびにPrimer3およびBeacon Designerソフトウェアを使用して設計されたまたはPrimerBank(http://pga.mgh.harvard.edu/primerbank/)を使用して見出されたプライマーを使用して、SYBRgreen qPCRを実施した。融解曲線およびプライマー効率を、以前に記載されたように(Hoffman,M.P.,Kidder,B.L.,Steinberg,Z.L.,Lakhani,S.,Ho,S.,Kleinman,H.K.,and Larsen,M.(2002), Gene expression profiles of mouse submandibular gland development:FGFR1 regulates branching morphogenesis in vitro through BMP- and FGF-dependent mechanisms, Development(Cambridge,England)129,5767-5778)、決定した。遺伝子発現を、ハウスキーピング遺伝子S29(Rps29)に対して正規化した。
オルガノイド形成アッセイ:スフェアを1mg/mLディスパーゼ(BD Biosciences)において20分間解離させ、80%コラーゲン、10%10X F12、および10%Solution C(100mLの0.05N NaOHおよび200mM HEPES中の2.2g NaHCO3)に再懸濁させ、60%マトリゲルと合わせた。1ウェル当たり200個のスフェアを、スフェア培地を含むMillicell細胞培養インサート(EMD Millipore)に播種した。2〜3日の培養後、5個以上の芽を有するものとして定義されたオルガノイドが形成され、それを、7日間成長させた後、z-スタック機能を使用して、BZ-X710 Keyence顕微鏡によって画像化した。画像を1個の画像へと連結し、分化したオルガノイドおよび未分化スフェアの数を盲検的に計数し、オルガノイドおよび未分化スフェアの総数に対するオルガノイド数の比として定量化した。少なくとも3回、独立に実験を反復した。
ガスクロマトグラフィ質量分析:ヒト唾液腺試料を、内部標準としての10,000ng/mLペリリルアルデヒド(アセトニトリル中)が追加されたリン酸緩衝液中の25%組織ホモジネートを使用して調製し、ヘプタンによって抽出した。ヘプタン層のアリコートを分析のために使用した。Alda-341濃度を、Agilent 7693オートサンプラー装備のAgilent 7890/5975C GC/MSDを使用して測定した。1μLスプリットレスの試料体積を、220℃の注入口温度で注入した。流速は1mL/分で一定であった。Agilent DB-5MS UIカラムを使用した(長さ30m、内径0.250mm、フィルム0.25ミクロン)。10分の全ランタイムのため、温度を、60℃に1分間保持し、30℃/分の速度で150℃に増加させ、60℃/分で320℃に増加させ、3.167分保持した。校正曲線は4〜8000ng/mLで直線であった。
過ヨウ素酸シッフ染色および腺房定量化:SMGをマウスから取り出し、10%ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。各群10枚の画像を、Leica DM6000 B顕微鏡を使用して30倍でランダムに得た。腺房領域を、RT_Imageソフトウェア(Graves,E.E.,Quon,A.,and Loo,B.W.,Jr.(2007) RT_Image:放射線腫瘍学においてPETを調査するためのオープンソースツール(RT_Image:an open-source tool for investigating PET in radiation oncology.)Technology in cancer research & treatment 6,111-121)を使用して定量化した。画像を、赤色、緑色、および青色のチャンネルへ分離し、20ピクセルボックスフィルタを使用して平滑化し、100um2の最小面積で110の強度輪郭を使用してセグメント化した。腺房面積を、顕微鏡視野の面積に対する腺房面積の百分率として計算した。
切断型カスパーゼ3染色:SMGをマウスから取り出し、10%ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。切片を、1:200希釈のカスパーゼ3ウサギ抗体(Cell Signaling、9664)およびDAPIによって染色した。各腺(6〜8腺/群)から3個のランダム画像を、赤色および青色のフィルタを使用して、Leica DM6000 B顕微鏡によって100倍で得、1視野当たりの切断型カスパーゼ3陽性(赤色)細胞を計数することによって定量化した。
RNA配列決定:試料をQiagen miRNeasyキット(217084)を使用して抽出した。抽出された試料を、Agilent Pico-RNAバイオアナライザーチップ(5067-1513)を使用して、質について査定した。Smarter Ultra Low Input RNAキット(Clontech、634848)を、全RNAからcDNAを生成するために使用した。増幅されたcDNAを、Beckman CoulterのSPRI Ampure Beadsを使用して精製し、質および量を、Agilent 2100 Bioanalyzer上でHigh Sensitivity DNAチップを使用して測定した。cDNAをCovaris S2を使用して300BPの平均長に剪断し、ライブラリをClontech Low Input Library Prepキット(634947)に従って生成した。インデックス付きライブラリをプールし、配列決定のために定量化した。配列決定データをIllumina HiSeq 4000において生成した。処理されたRNAseqリードを、Dr.Richard SimonおよびBRB-ArrayTools Development Teamによって開発された、遺伝子発現データの可視化および統計分析のための統合パッケージBRB-ArrayToolsにインポートした。インポートされた発現値をlog2変換し、Robust Multi-chip Average(RMA)によるクォンタイルノーマライゼーションに供した。未処置と放射線照射との間で示差的発現(単変量p値<0.01)を示す遺伝子を選択した。これらの有意な遺伝子が濃縮されている機能的なネットワークおよび経路を同定するため、これらの遺伝子をMetaCoreTMを使用して分析した。ヒートマップ生成のため、ArrayToolsのクラスタリング機能を、固定されたグルーピングおよびオーダーにおける実験試料と共に使用し、階層的クラスタリングによって遺伝子を順序付けた。個々のヒートマップのカラースケールが横に示される。これらのヒートマップから、類似した示差的発現パターンを共有している遺伝子を同定した。
病理:資格を有する獣医によって完全剖検が実施された。脳、心臓、腎臓、肝臓、食道、胸腺、気管、甲状腺、肺、脾臓、膵臓、気管、胃、膵臓、腸、膀胱、子宮、および卵巣からの組織を、スライド上に固定し、0〜5のスケールで炎症、壊死、およびアポトーシスについてスコア化した。全血球数および血液化学パネルが、Stanford's Veterinary Services Centerによって査定された。
異種移植研究:6週齢SCIDマウスをJackson Laboratoryから購入し、各群5匹のマウスを使用した。SCC90細胞およびSAS細胞(2×106細胞/注射)を、各マウスの両側腹部へ植え込んだ。Alda-341処置を、放射線照射1週間前に開始し、放射線照射の途中および後も継続した。身体の残りを遮蔽しながら、計30Gyを1週間に5回にわたって分割して腫瘍へ送達した。腫瘍サイズを1〜2日毎に測定した。腫瘍体積を、式(π×長さ×幅×高さ)/6によって計算した。
本発明を具体的な態様に関して記載したが、本発明の本旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が施されてもよく、等価物に置換されてもよいことは、当業者によって理解されるべきである。さらに、特定の状況、材料、物質の組成物、過程、工程を、本発明の目的、本旨、および範囲に適応させるため、多くの改変が施されてもよい。そのような改変は、全て、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。
添付の特許請求の範囲に関わらず、本明細書中に示された開示は、以下の項によっても記載される。
項1. 成体唾液腺幹細胞の出発集団を、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程;および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含む、成体唾液腺幹細胞の増殖を増加させる方法であって、接触および放射線処置の後に、成体唾液腺幹細胞の数が25%以上増加する、方法。
項2. 接触がインビボであり、接触が、有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンのそれを必要とする個体への投与を含む、項1の方法。
項3. 個体が頭頸部癌を有し、頭頸部癌のための放射線処置を受けたかまたは受けようとしてる、項2の方法。
項4. 接触がエクスビボであり、接触が、成体唾液腺幹細胞の増大した集団を生成する、項1の方法。
項5. 処置された成体唾液腺幹細胞集団をレシピエント個体へ導入する工程をさらに含み、レシピエント個体が頭頸部癌を有し、レシピエント個体が癌のための放射線処置を受けた後に導入が実施される、項4の方法。
項6. 増大させられる成体唾液腺幹細胞が、個体が放射線処置を受ける前にレシピエント個体から得られた成体唾液腺幹細胞を使用して増大させられる、項5の方法。
項7. 増大させられる成体唾液腺幹細胞が、レシピエント個体以外の個体から得られた成体唾液腺幹細胞を使用して増大させられる、項5の方法。
項8. レシピエント個体がヒトである、項5〜7のいずれか一項の方法。
項9. 単離されたモノテルペンがALDH3アゴニストである、項1〜8のいずれか一項の方法。
項10. 単離されたモノテルペンが、(R)-(+)-リモネン、(S)-(-)-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピネオール、α-フェランドレン、βフェランドレン、(S)-(-)-ペリリルアルコール、および(R)-(+)-ペリリルアルコール、または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、項1〜9のいずれか一項の方法。
項11. 単離されたモノテルペンが、(R)-(+)-リモネンまたは薬学的に許容されるその塩である、項10の方法。
項12. 成体唾液腺幹細胞と、成体唾液腺幹細胞関連マーカーを特異的に認識する抗体とを、インビトロで接触させる工程をさらに含み、成体唾液腺幹細胞と抗体との接触が、成体唾液腺幹細胞と単離されたモノテルペンとの接触の前に実施される、項1の方法。
項13. マーカーが、CD34、CD90、c-Kit、CD44、ネスチン、およびそれらの組み合わせより選択される、項12の方法。
項14. 以下の工程を含む、頭頸部癌を有する個体を処置する方法:
(a)個体を頭頸部癌のための放射線治療に供する工程;および
(b)個体における成体唾液腺幹細胞の数を増加させるために有効な量の単離されたモノテルペンを個体へ投与する工程であって、投与が、個体における機能性唾液生成細胞の数を増加させる、工程。
項15. 個体を頭頸部癌のための放射線治療に供する前に、有効量の単離されたモノテルペンを個体へ投与する工程をさらに含む、項14の方法。
項16. 有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンの投与が連続的である、項14または15の方法。
項17. 少なくとも1種類のモノテルペンが、頭頸部癌のための放射線処置の前に1週間以上、かつ頭頸部癌のための放射線処置の後に8週間以上、連続的に投与される、項16の方法。
項18. 成体唾液腺幹細胞の出発集団を、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程;および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含む、成体唾液腺幹細胞を保護する方法であって、接触および放射線処置の後に、成体唾液腺幹細胞が成体唾液腺幹細胞の出発集団と比べて放射線損傷から保護される、方法。
項19. 接触がインビボであり、接触が、有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンのそれを必要とする個体への投与を含む、項18の方法。
項20. 個体が頭頸部癌を有し、頭頸部癌のための放射線処置を受けたかまたは受けようとしている、項19の方法。
項21. 接触がエクスビボであり、接触が、成体唾液腺幹細胞の保護された集団を生成する、項18の方法。
項22. 成体唾液腺幹細胞の保護された集団をレシピエント個体へ導入する工程をさらに含み、レシピエント個体が頭頸部癌を有し、レシピエント個体が癌のための放射線処置を受けた後に導入が実施される、項21の方法。
項23. 保護された成体唾液腺幹細胞が、個体が放射線処置を受ける前にレシピエント個体から得られた成体唾液腺幹細胞を使用して生成される、項22の方法。
項24. 保護された成体唾液腺幹細胞集団が、レシピエント個体以外の個体から得られた成体唾液腺幹細胞から生成される、項22の方法。
項25. レシピエント個体がヒトである、項22〜24のいずれか一項の方法。
項26. 単離されたモノテルペンがALDH3アゴニストである、項18〜25のいずれか一項の方法。
項27. 単離されたモノテルペンが、(R)-(+)-リモネン、(S)-(-)-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピネオール、α-フェランドレン、βフェランドレン、(S)-(-)-ペリリルアルコール、および(R)-(+)-ペリリルアルコール、または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、項18〜26のいずれか一項の方法。
項28. 単離されたモノテルペンが、(R)-(+)-リモネンまたは薬学的に許容されるその塩である、項27の方法。
項29. 成体唾液腺幹細胞と、成体唾液腺幹細胞関連マーカーを特異的に認識する抗体とを、インビトロで接触させる工程をさらに含み、成体唾液腺幹細胞と抗体との接触が、成体唾液腺幹細胞と単離されたモノテルペンとの接触の前に実施される、項18の方法。
項30. マーカーが、CD34、CD90、c-Kit、CD44、ネスチン、およびそれらの組み合わせより選択される、項29の方法。
項31. 以下の工程を含む、頭頸部癌を有する個体を処置する方法:
(a)個体を頭頸部癌のための放射線治療に供する工程;および
(b)個体における成体唾液腺幹細胞を保護するために有効な量の単離されたモノテルペンを個体へ投与する工程であって、投与が個体における機能性唾液生成細胞を保護する、工程。
項32. 個体を頭頸部癌のための放射線治療に供する前に、有効量の単離されたモノテルペンを個体へ投与する工程をさらに含む、項31の方法。
項33. 有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンの投与が連続的である、項31または32の方法。
項34. 少なくとも1種類のモノテルペンが、頭頸部癌のための放射線処置の前に1週間以上、かつ頭頸部癌のための放射線処置の後に8週間以上、連続的に投与される、項33の方法。
項35. 成体唾液腺幹細胞の出発集団を、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで、治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンと接触させる工程;および接触の前または後に成体唾液腺幹細胞を放射線処置に供する工程を含む、唾液腺機能を改善する方法であって、接触および放射線処置の後に、成体唾液腺幹細胞が成体唾液腺幹細胞の出発集団と比べて改善された唾液腺機能を有する、方法。
項36. 接触がインビボであり、接触が、有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンのそれを必要とする個体への投与を含む、項35の方法。
項37. 個体が頭頸部癌を有し、頭頸部癌のための放射線処置を受けたかまたは受けようとしている、項36の方法。
項38. 接触がエクスビボであり、接触が、改善された唾液腺機能を有する成体唾液腺幹細胞集団を生成する、項35の方法。
項39. 改善された唾液腺機能を有する成体唾液腺幹細胞集団をレシピエント個体へ導入する工程をさらに含む、項38の方法であって、レシピエント個体が頭頸部癌を有し、レシピエント個体が癌のための放射線処置を受けた後に導入が実施される、項38の方法。
項40. 改善された唾液腺機能を有する成体唾液腺幹細胞が、レシピエント個体が放射線処置を受ける前にレシピエント個体から得られた成体唾液腺幹細胞を使用して生成される、項39の方法。
項41. 改善された唾液腺機能を有する成体唾液腺幹細胞集団が、レシピエント個体以外の個体から得られた成体唾液腺幹細胞から生成される、項39の方法。
項42. レシピエント個体がヒトである、項39〜41のいずれか一項の方法。
項43. 単離されたモノテルペンがALDH3アゴニストである、項35〜42のいずれか一項の方法。
項44. 単離されたモノテルペンが、(R)-(+)-リモネン、(S)-(-)-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピネオール、α-フェランドレン、βフェランドレン、(S)-(-)-ペリリルアルコール、および(R)-(+)-ペリリルアルコール、または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、項35〜43のいずれか一項の方法。
項45. 単離されたモノテルペンが、(R)-(+)-リモネンまたは薬学的に許容されるその塩である、項44の方法。
項46. 成体唾液腺幹細胞と、成体唾液腺幹細胞関連マーカーを特異的に認識する抗体とを、インビトロで接触させる工程をさらに含み、成体唾液腺幹細胞と抗体との接触が、成体唾液腺幹細胞と単離されたモノテルペンとの接触の前に実施される、項35の方法。
項47. マーカーが、CD34、CD90、c-Kit、CD44、ネスチン、およびそれらの組み合わせより選択される、項46の方法。
項48. 以下の工程を含む、頭頸部癌を有する個体を処置する方法:
(a)個体を頭頸部癌のための放射線治療に供する工程;および
(b)個体における成体唾液腺幹細胞の唾液腺機能を改善するために有効な量の単離されたモノテルペンを個体へ投与する工程であって、投与が個体における機能性唾液生成細胞を改善する、工程。
項49. 個体を頭頸部癌のための放射線治療に供する前に、有効量の単離されたモノテルペンを個体へ投与する工程をさらに含む、項48の方法。
項50. 有効量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンの投与が連続的である、項48または49の方法。
項51. 少なくとも1種類のモノテルペンが、頭頸部癌のための放射線処置の前に1週間以上、かつ頭頸部癌のための放射線処置の後に8週間以上、連続的に投与される、項50の方法。
項52. 治療的に有効な量の少なくとも1種類の単離されたモノテルペンを、それを必要とする個体へ投与する工程を含む、ドライアイを処置する方法。
項53. モノテルペンが、(R)-(+)-リモネン、(S)-(-)-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピネオール、α-フェランドレン、βフェランドレン、(S)-(-)-ペリリルアルコール、および(R)-(+)-ペリリルアルコール、または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、項52の方法。
項54. 単離されたモノテルペンが、(R)-(+)-リモネンまたは薬学的に許容されるその塩である、項53の方法。