本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するためのチャンバーを画定するハウジングと、チャンバーの中に少なくとも部分的に配置されたインダクタコイルとを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、使用時にインダクタコイルが交番磁界を発生してサセプタ素子を誘導加熱し、これによってチャンバーの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、インダクタコイルに接続された、かつ交流電流をインダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラーも備える。
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の主軸に沿った方向を説明するために使用され、「横断方向」という用語は、長軸方向に対して直角を成す方向を説明するために使用されている。チャンバーまたはインダクタコイルを参照する時、「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品がチャンバーまたはインダクタコイルの中に挿入される方向を指し、また「横断方向」という用語は、エアロゾル発生物品がチャンバーまたはインダクタコイルの中に挿入される方向と直角を成す方向を指す。
本明細書で使用される「幅」という用語は、エアロゾル発生装置の、またはエアロゾル発生物品の構成要素の、その長さに沿った特定の場所での、横断方向の主要な寸法を指す。「厚さ」という用語は、エアロゾル発生装置の、またはエアロゾル発生物品の構成要素の、幅と直角を成す横断方向における寸法を指す。
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部である。
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、システムの近位端またはユーザー側の端でマウスピースを吸うまたは吸煙するユーザーによって直接吸入可能なエアロゾルを発生する物品であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を含む物品は、たばこスティックと呼ばれる。
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、本明細書でさらに記述および図示される通りのエアロゾル発生物品と、本明細書でさらに記述および図示される通りのエアロゾル発生装置との組み合わせを指す。エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置は協働して、呼吸に適したエアロゾルを発生する。
本明細書で使用される「細長い」という用語は、その幅と厚さの両方より大きい(例えば、二倍)長さを有する構成要素を指す。
本明細書で使用される「サセプタ素子」は、変化する磁界に供された時に加熱する導電性素子を意味する。これはサセプタ素子内で誘起された渦電流、またはヒステリシス損失、または渦電流とヒステリシス損失の両方の結果でありうる。使用時に、サセプタ素子は、エアロゾル発生装置のインダクタコイル内に受容されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と熱的に接触して、または熱的に近接して位置する。このようにして、エアロゾル形成基体は、エアロゾルが形成されるように、使用中にサセプタ素子によって加熱される。サセプタ素子は、エアロゾル発生装置の一部またはエアロゾル発生物品の一部を形成してもよい。
有利なことに、抵抗ヒーターに関連する電力損失、特に抵抗ヒーターと電源の間の接続部における接触抵抗に起因する損失を理由に、抵抗加熱ではなく誘導加熱の使用はエネルギー変換の改善を提供しうる。
有利なことに、インダクタコイルをチャンバーの中に少なくとも部分的に配置することは、インダクタコイルとサセプタ素子の間の距離を減少または最小化しうる。有利なことに、インダクタコイルをチャンバーの中に少なくとも部分的に配置することは、インダクタコイルとエアロゾル発生物品の間のいかなる介在する材料も排除しうる。有利なことに、これらの特徴のうちの一方または両方は、インダクタコイルからサセプタ素子への誘導エネルギー伝達を最大化しうる。これは、サセプタ素子が使用中にエアロゾル発生物品の内側に位置付けられている実施形態において特に有意でありうる。
エアロゾル発生物品は、インダクタコイルの中に少なくとも部分的に配置されたサセプタ素子を備えてもよい。有利なことに、エアロゾル発生装置の一部としてインダクタコイルおよびサセプタ素子の両方を提供することは、単純かつ安価で頑丈なエアロゾル発生物品を構築することを可能にする。エアロゾル発生物品は典型的には使い捨てであり、またエアロゾル発生物品が動作されるエアロゾル発生装置よりもずっと大量に製造される。その結果、物品のコストを低減することは(それがたとえ、より高価な装置を必要とする場合でも)、製造者および消費者の両方にとって著しいコスト節約をもたらすことができる。
サセプタ素子は細長いサセプタ素子であることが好ましい。細長いサセプタ素子は、エアロゾル発生物品がインダクタコイルの中に挿入されている時に、エアロゾル発生物品の中への挿入のために配設されていることが好ましい。有利なことに、エアロゾル発生物品の中への挿入のために配設された細長いサセプタ素子は、サセプタ素子からエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体への熱伝達を最適化しうる。
サセプタ素子は、チャンバーの閉鎖端からインダクタコイルおよびチャンバーの中に延びることが好ましい。
インダクタコイルは、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分がチャンバーの中に受容されている時、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分をインダクタコイルの中に受容するように構成されてもよい。インダクタコイルは、エアロゾル発生物品がインダクタコイルの中に受容されている時、インダクタコイルがエアロゾル発生物品に接触するように構成されていることが好ましい。
有利なことに、インダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品と接触するようにインダクタコイルを構成することは、使用中にエアロゾル発生物品の加熱を増大させる場合がある。例えば、インダクタコイルは典型的に、交流電流がインダクタコイルに提供された時に、比較的少量の抵抗加熱を呈する。従って、インダクタコイルとエアロゾル発生物品の間の接触を提供することは、インダクタコイルからエアロゾル発生物品への伝導熱伝達を容易にする場合がある。
有利なことに、インダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品と接触するようにインダクタコイルを構成することは、使用中にエアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置内に保持することを容易にする場合がある。例えば、インダクタコイルとエアロゾル発生物品の間の接触は、使用中にエアロゾル発生物品がチャンバーから摺動して出るリスクを低減するために望ましい程度の摩擦を提供する場合がある。
ハウジングは、ハウジングを通って延び、かつチャンバーと連通する少なくとも一つのスロットを備えてもよい。インダクタコイルは、スロットを通してチャンバーに露出されていて、これによってインダクタコイルはチャンバーの中に受容されたエアロゾル形成物品に接触する。インダクタコイルは、スロットを通してチャンバー内に部分的に延びてもよい。
ハウジングは、外側ハウジング部分および内側ハウジング部分を備えてもよく、内側ハウジング部分は、少なくとも一つのスロットを画定する。インダクタコイルの外表面は、外側ハウジング部分の内表面に当接してもよい。インダクタコイルは、インダクタコイルの外表面を外側ハウジング部分の内表面に対して付勢するために弾性材料から形成されてもよい。
有利なことに、インダクタコイルが内側ハウジング部分内の少なくとも一つのスロットを通して部分的に延びる実施形態は、ハウジングの中のインダクタコイルの保持を容易にしうる。例えば、インダクタコイルは、チャンバーの中に挿入され、少なくとも一つのスロットの中に拡張され、かつ外側ハウジング部分に対して拡張されてもよい。
インダクタコイルはチャンバーの中に配置されてもよい。すなわち、インダクタコイルは、実質的に完全にチャンバーの中に配置されてもよい。ハウジングの内表面は、チャンバーを少なくとも部分的に画定してもよく、インダクタコイルの外表面はハウジングの内表面に当接する。インダクタコイルは、インダクタコイルの外表面をハウジングの内表面に対して付勢するために弾性材料から形成されてもよい。
ハウジングは、チャンバーの内表面に陥凹部を画定してもよい。ハウジングの内表面は、陥凹部を形成することが好ましい。インダクタコイルは、陥凹部の中に少なくとも部分的に配置されてもよい。有利なことに、陥凹部は、チャンバーの中のインダクタコイルの保持を容易にする場合がある。
陥凹部は、エアロゾル発生装置の組立中にインダクタコイルが陥凹部の中に挿入されるように、ハウジング内に予め形成されてもよい。例えば、インダクタコイルはチャンバーの中に挿入されて、陥凹部の中に拡張されてもよい。これは、別個の製造プロセスにおけるハウジングおよびインダクタコイルの構築を容易にしうる。
インダクタコイルの外表面はハウジングの一部分にオーバーモールドされてもよく、ハウジングのオーバーモールドされた部分は陥凹部を形成する。有利なことに、これは、ハウジングを製造することと、インダクタコイルをハウジングと組み立てることとを統合して、単一の製造工程にする。例えば、ハウジングの少なくとも一部分は、予め形成されたインダクタコイルの上にハウジングをオーバーモールドすることによって形成されてもよい。有利なことに、オーバーモールドは、陥凹部の中のインダクタコイルの保持を容易にする場合がある。例えば、オーバーモールド工程は、インダクタコイルの外表面をハウジングに接着する場合がある。
ハウジングは、チャンバーの長さに沿って実質的に一定の断面形状を有するチャンバーを画定してもよい。例えば、チャンバーは、円状の円筒形状または楕円状の円筒形状などの、実質的に円筒形状を有する容積を画定してもよい。インダクタコイルの外表面は、チャンバーの内表面に当接してもよい。インダクタコイルは、インダクタコイルの外表面をチャンバーの内表面に対して付勢するために弾性材料から形成されてもよい。インダクタコイルの外表面は、例えば接着剤を使用して、チャンバーの内表面に接着されてもよい。
本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかにおいて、インダクタコイルの各巻線は、インダクタコイルの隣接する巻線から間隙を介してもよい。有利なことに、隣接する巻線間の間隔は、インダクタコイルの巻線の間にらせん状のチャネルを形成してもよい。有利なことに、らせん状のチャネルは、エアロゾル発生物品がチャンバーの中に受容されている時に、チャンバーを通る気流を容易にしうる。例えば、インダクタコイルがインダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品と接触するように構成された実施形態において、気流は、エアロゾル発生物品がインダクタコイルの中に受容されている時に、らせん状のチャネルに沿って通ってもよい。有利なことに、隣接する巻線間の間隔は、らせん状のチャネルに望ましい断面積を提供するように調節されうる。有利なことに、これは、例えば望ましい引き出し抵抗を提供する場合がある。
インダクタコイルは、インダクタコイルの各巻線がインダクタコイルの隣接する巻線に接触するように構成されてもよい。有利なことに、これはインダクタコイルの隣接する巻線の間の間隙を無くす。有利なことに、これは汚染物質または破片がインダクタコイルの巻線の間に引っかかるリスクを低減または無くしうる。これは、インダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品と接触するようにインダクタコイルが配設されているため、特に有利である。有利なことに、インダクタコイルの隣接する巻線の間の間隙を無くすことは、インダクタコイルの単位長さ当たりの巻線の数を増加させ、これはインダクタコイルのインダクタンスを増加させる。
インダクタコイルは導電性コアおよび導電性コアを包囲する外層を備えるワイヤーから形成されていて、外層は電気絶縁性材料を含むことが好ましい。有利なことに、外層は、インダクタコイルの隣接する巻線の間の電気的短絡を防止する。有利なことに、外層は、インダクタコイル内に受容されたエアロゾル発生物品からインダクタコイルを電気的に絶縁する。外層は、ガラスおよびセラミックのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
インダクタコイルは、実質的に長方形の断面形状を有するワイヤーから形成されてもよい。本明細書で使用される長方形の形状は、正方形を含む任意の直角平行四辺形であってもよい。インダクタコイルは、実質的に正方形の断面形状を有するワイヤーから形成されていることが好ましい。
有利なことに、実質的に長方形の断面形状を有するワイヤーからインダクタコイルを形成することは、各巻線が隣接する巻線に接触する実施形態におけるインダクタコイルの隣接する巻線の間の間隙を無くすことを容易にする場合がある。インダクタコイルの各巻線の平面は、インダクタコイルの隣接する巻線の平面と接触することが好ましい。
インダクタコイルは、エアロゾル発生物品を受容するためにインダクタコイルを通って延びる内腔を画定することが好ましい。インダクタコイルが実質的に長方形の断面形状を有するワイヤーから形成されていて、かつ各巻線が隣接する巻線に接触する実施形態において、インダクタコイルの複数の連続巻線は、一定の断面積を有する内腔の第一の部分を画定することが好ましい。有利なことに、一定の断面積を有する内腔の第一の部分は、インダクタコイルの内表面の滑らかな部分を形成しうる。有利なことに、インダクタコイルの内表面の滑らかな部分は、インダクタコイルの中にエアロゾル発生物品を挿入することを容易にしうる。有利なことに、インダクタコイルの内表面の滑らかな部分は、インダクタコイルとインダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品との間の接触面積を増大しうる。有利なことに、これはインダクタコイルの中のエアロゾル発生物品の保持を容易にしうる。
内腔は、第一の端、第二の端、および第一の端と第二の端との間に延びる長さを有することが好ましい。
内腔は、その長さに沿って実質的に一定の断面積を有してもよい。
インダクタコイルは、インダクタコイルの中に挿入されたエアロゾル発生物品が内腔の第一の端を通して内腔に入るように、ハウジングの中に配設されてもよい。インダクタコイルが一定の断面積を有する内腔の第一の部分を画定する実施形態において、インダクタコイルは、内腔の第一の部分と内腔の第一の端との間に延びる内腔の第二の部分を画定してもよく、第二の部分の断面積は第一の部分から第一の端に向かう方向で増大する。有利なことに、これはエアロゾル発生物品をインダクタコイルの中に挿入することを容易にしうるテーパー付き断面積を内腔に提供しうる。第一の端での内腔の断面積は、第一の部分の中の内腔の断面積より大きいことが好ましい。第一の部分の中の内腔の断面積は、インダクタコイルの中への挿入のために構成されたエアロゾル発生物品の一部分の断面積と実質的に同一であることが好ましい。
内腔の第一の部分は、内腔の第二の部分と第二の端との間に延びてもよい。
インダクタコイルの外表面がハウジングによって画定された陥凹部またはチャンバーの内表面に当接する実施形態において、陥凹部またはチャンバーの断面プロファイルの変化は、内腔の断面プロファイルの変化に対応することが好ましい。
エアロゾル発生装置がサセプタ素子を備える実施形態において、サセプタ素子は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。サセプタ素子のための適切な材料としては黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウムが挙げられる。好ましいサセプタ素子は金属または炭素を含む。サセプタ素子は、例えばフェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、フェライトなどの強磁性材料を含む、またはその強磁性材料から成ることが好ましい。適切なサセプタ素子はアルミニウムであってよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ素子は、約5%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、約20%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、約50%超または90%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことがより好ましい。好ましいサセプタ素子は摂氏約250度を超える温度に加熱されてもよい。
サセプタ素子は、非金属コア上に配置された金属層を有する非金属コアを含んでもよい。例えば、サセプタ素子は、セラミックコアまたは基体の外表面上に形成された一つ以上の金属トラックを含んでもよい。
サセプタ素子は、保護外部層、例えば保護セラミック層または保護ガラス層を有してもよい。保護外部層は、サセプタ素子を封入してもよい。サセプタ素子は、サセプタ材料のコアの上に形成された、ガラス、セラミック、または不活性金属によって形成された保護被覆を備えてもよい。
サセプタ素子は任意の適切な断面を有してもよい。例えば、サセプタ素子は、正方形、楕円形、長方形、三角形、五角形、六角形または類似の断面形状を有してもよい。サセプタ素子は、平面形状または平坦な断面形状を有してもよい。
サセプタ素子は、中実であってもよく、中空であってもよく、または多孔性であってもよい。サセプタ素子は中実であることが好ましい。
サセプタ素子が平面形状または平坦な断面形状を有する実施形態において、サセプタ素子は約1ミリメートル〜約8ミリメートルの厚さを有することが好ましく、約3ミリメートル〜約5ミリメートルの厚さを有することがより好ましい。サセプタ素子の厚さは、エアロゾル発生装置の長軸方向で測定される。サセプタ素子は、約3ミリメートル〜約12ミリメートルの幅または直径を有することが好ましく、約4ミリメートル〜約10ミリメートルの幅または直径を有することがより好ましく、約5ミリメートル〜約8ミリメートルの幅または直径を有することがより好ましい。サセプタ素子の幅または直径は、その厚さに対して直角である。
サセプタ素子が細長いサセプタ素子である実施形態において、細長いサセプタ素子はピン、ロッド、ブレード、またはプレートの形態であることが好ましい。細長いサセプタ素子は5ミリメートル〜15ミリメートルの長さ、例えば6ミリメートル〜12ミリメートル、または8ミリメートル〜10ミリメートルの長さを有することが好ましい。細長いサセプタ素子は、約1メートル〜約8ミリメートルの幅を有することが好ましく、約3ミリメートル〜約5ミリメートルの幅を有することがより好ましい。細長いサセプタ素子は、約0.01ミリメートル〜約2ミリメートルの厚さを有してもよい。細長いサセプタ素子は一定の断面、例えば円形断面を有する場合、1ミリメートル〜5ミリメートルの好ましい幅または直径を有する。
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこと匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生装置は、およそ30ミリメートル〜およそ150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生装置は、およそ5ミリメートル〜およそ30ミリメートルの外径を有してもよい。
エアロゾル発生装置ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
ハウジングはマウスピースを備えてもよい。マウスピースは少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを備えてもよい。マウスピースは二つ以上の空気吸込み口を備えてもよい。空気吸込み口のうちの一つ以上は、エアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの温度を低減してもよく、またエアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの濃度を低下させてもよい。
別の方法として、マウスピースはエアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。
本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、ハウジングのチャンバー内に受容されたエアロゾル発生物品からエアロゾル発生装置によって発生されたエアロゾルを直接吸い込むためにユーザーの口の中に定置されているエアロゾル発生装置の一部分を指す。
エアロゾル発生装置は、装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えば装置の加熱を開始するボタン、または装置またはエアロゾル形成基体の状態を表示するディスプレイを含んでもよい。
エアロゾル発生装置は電源を備えてもよい。電源は再充電可能なリチウムイオン電池などの電池であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、装置の一回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
電源はDC電源であってもよい。一実施形態において、電源は、約2.5ボルト〜約4.5ボルトの範囲のDC供給電圧、および約1アンペア〜約10アンペアの範囲のDC供給電流(約2.5ワット〜約45ワットの範囲のDC電源に相当)を有するDC電源である。
電源は高周波で動作するように構成されてもよい。本明細書で使用される「高周波振動電流」という用語は、約500キロヘルツ〜約30メガヘルツの周波数を有する、振動する電流を意味する。高周波振動電流は、約1メガヘルツ〜約30メガヘルツの周波数を有してもよく、約1メガヘルツ〜約10メガヘルツの周波数を有することが好ましく、約5メガヘルツ〜約8メガヘルツの周波数を有することがより好ましい。
エアロゾル発生装置は、インダクタコイルに接続されたコントローラーと、電源とを備える。コントローラーは、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成されている。コントローラーはマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。コントローラーはさらなる電子構成要素を備えてもよい。コントローラーはインダクタコイルへの電流の供給を調節するように構成されてもよい。電流はエアロゾル発生装置の起動後、インダクタコイルに連続的に供給されてもよく、または断続的(例えば、毎回の吸煙ごと)に供給されてもよい。コントローラーは有利なことにDC/ACインバータを備えてもよく、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を備えてもよい。
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生システムは、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生装置を備える。エアロゾル発生システムはまた、エアロゾル形成基体を有する、かつエアロゾル発生装置で使用するために構成されたエアロゾル発生物品を備える。
エアロゾル発生物品はサセプタ素子を備えてもよい。エアロゾル発生装置がサセプタ素子を含む実施形態において、エアロゾル発生物品内のサセプタ素子は、エアロゾル発生装置内のサセプタ素子とは別の追加のサセプタ素子であってもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置がサセプタ素子を含まない実施形態において、サセプタ素子を備えることが好ましい。
サセプタ素子は、エアロゾル形成基体に隣接して位置付けられてもよい。サセプタはエアロゾル形成基体の中に位置付けられていることが好ましい。
サセプタ素子は、本発明の第一の態様に関して本明細書に記載の随意の特徴または好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行した隆起またはコルゲーションを有するシートを意味する。
エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3−ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールなど)である。エアロゾル形成体は、グリセリンであることが好ましい。存在する場合、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよく、また乾燥質量基準で5重量パーセント〜30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置のチャンバーは、物品がエアロゾル発生装置のチャンバーの中に部分的に受容されるように配設されてもよい。エアロゾル発生装置のチャンバーおよびエアロゾル発生物品は、物品がエアロゾル発生装置のチャンバーの中に完全に受容されるように配設されてもよい。
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲とを有してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル形成セグメントとして提供されてもよい。エアロゾル形成セグメントは実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成セグメントは実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成セグメントはまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル〜およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。一実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル〜およそ12ミリメートルの外径を有してもよい。一実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
エアロゾル形成基体は、約7ミリメートル〜約15ミリメートルの長さを有するエアロゾル形成セグメントとして提供されてもよい。一実施形態において、エアロゾル形成セグメントは、およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成セグメントは、およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。
エアロゾル発生セグメントは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。エアロゾル形成セグメントの外径は、およそ5ミリメートル〜およそ12ミリメートルであってもよい。一実施形態において、エアロゾル形成セグメントは、およそ7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルタープラグはおよそ7ミリメートルの長さであるが、およそ5ミリメートル〜およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。
エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18ミリメートルであってもよいが、およそ5ミリメートル〜およそ25メートルの範囲であってもよい。
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生装置と、サセプタ素子と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品がインダクタコイルの中に受容されている時にインダクタコイルがエアロゾル発生物品に接触するように、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分をインダクタコイルの中に受容するために、ハウジングおよびハウジングの中に配置されたインダクタコイルを備える。サセプタ素子は、インダクタコイルの中のサセプタ素子の少なくとも一部分の配置のために構成されている。エアロゾル発生装置はまた、使用時にインダクタコイルが交番磁界を発生してサセプタ素子を誘導加熱し、これによってインダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、インダクタコイルに接続された、かつ交流電流をインダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラーを備える。
エアロゾル発生装置は、本発明の第一の態様に関して本明細書に記載の随意の特徴または好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
エアロゾル発生物品は、本発明の第二の態様に関して本明細書に記載の随意の特徴または好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
本発明の第四の態様によると、エアロゾル発生物品がインダクタコイルの中に受容されている時にインダクタコイルがエアロゾル発生物品に接触するように、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分をインダクタコイルの中に受容するための、ハウジングおよびハウジングの中に配置されたインダクタコイルを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置はまた、使用時にインダクタコイルが交番磁界を発生してサセプタ素子を誘導加熱し、これによってインダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、インダクタコイルに接続された、かつ交流電流をインダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラーを備える。
有利なことに、インダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品と接触するようにインダクタコイルを構成することは、使用中にエアロゾル発生物品の加熱を増大させる場合がある。例えば、インダクタコイルは典型的に、交流電流がインダクタコイルに提供された時に、比較的少量の抵抗加熱を呈する。従って、インダクタコイルとエアロゾル発生物品の間の接触を提供することは、インダクタコイルからエアロゾル発生物品への伝導熱伝達を容易にする場合がある。
有利なことに、インダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品と接触するようにインダクタコイルを構成することは、使用中にエアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置内に保持することを容易にする場合がある。例えば、インダクタコイルとエアロゾル発生物品の間の接触は、使用中にエアロゾル発生物品がチャンバーから摺動して出るリスクを低減するために望ましい程度の摩擦を提供する場合がある。
有利なことに、インダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品に接触するようにインダクタコイルを配設することは、インダクタコイルとサセプタ素子の間の距離を減少または最小化する場合がある。有利なことに、インダクタコイルの中に受容されたエアロゾル発生物品に接触するようにインダクタコイルを配設することは、インダクタコイルとエアロゾル発生物品との間のいかなる介在する材料を無くす。有利なことに、これらの特徴のうちの一方または両方は、インダクタコイルからサセプタ素子への誘導エネルギー伝達を最大化しうる。これは、サセプタ素子が使用中にエアロゾル発生物品の内側に位置付けられている実施形態において特に有意でありうる。
エアロゾル発生装置はチャンバーを備えてもよい。ハウジングは少なくとも部分的にチャンバーを画定してもよい。チャンバーは開放端を含むことが好ましく、これを通してエアロゾル発生物品がインダクタコイルの中に挿入される。チャンバーは、開放端の反対側の閉鎖端を含むことが好ましい。使用中に、エアロゾル発生物品はインダクタコイルの中に受容されている時、チャンバーの中に受容されている。
有利なことに、チャンバーはエアロゾル発生装置の組み立てを容易にしうる。特に、チャンバーは、インダクタコイルをハウジング内の望ましい位置に保持しうる。
インダクタコイルは、チャンバー内に少なくとも部分的に配置されてもよい。
エアロゾル発生装置は、本発明の第一の態様に関して本明細書に記載の随意の特徴または好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
本発明の第五の態様によると、エアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生システムは、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる、本発明の第四の態様によるエアロゾル発生装置を備える。エアロゾル発生システムはまた、エアロゾル形成基体を有する、かつエアロゾル発生装置で使用するために構成されたエアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生物品は、本発明の第二の態様に関して本明細書に記載の随意の特徴または好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。