本明細書において用いられるような用語「流体」は、導管を通る流動性のある任意の物質を指す一般的な意味で用いられる。したがって、用語「流体」は、別段の指定がない限り又は文脈上別段の指示がない限り、一般に液体又は気体のいずれかを指すことができる。
本明細書において用いられるような用語「液体」は、一般に流動性物質を指す。液体は、例えば、(生)化学化合物、ビーズ、又は他の粒子等の材料も含む混合物の一部とすることができる。そのような場合には、液体を、その材料を含むもの又は含有するものとして特徴付けることもできるし、材料を、液体内にあるものとして特徴付けることもできるし、液体内に又は液体によって保持されるものとして特徴付けることもできる。材料は、任意のメカニズムによって液体内に「保持」することができる。例として、液体及び材料の混合物は、溶液、懸濁液、コロイド、又はエマルジョンの場合がある。固体粒子及び/又は気泡が液体内に存在する場合がある。
本明細書において用いられるような用語「(生)化学化合物」は、化学化合物及び生物化合物を包含する。化学化合物は、例えば、小分子の場合もあるし、高分子量分子(例えば、ポリマ)の場合もある。生物化合物は、例えば、バイオポリマの場合がある。
用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書においては、任意の長さのポリマ、例えば、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドといったヌクレオチドからなる塩基が、例えば、約2塩基よりも長いもの、約10塩基よりも長いもの、約100塩基よりも長いもの、約500塩基よりも長いもの、1000塩基よりも長いもの、又は約10000以上の塩基までのものを示すものとして区別なく用いられ、酵素処理又は合成(例えば、米国特許第5,948,902号及びこの特許において引用されている文献に記載されているようなPNA)によって生成することができ、また、2つの天然に存在する核酸の方法と類似の配列固有の方法で天然に存在する核酸とハイブリダイズすることができ、例えば、ワトソン−クリック(Watson-Crick)塩基ペアリング相互作用に関与することができる。用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)に加えて、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、及び非構造化核酸(UNA)も包含することができる。
図1は、一実施形態による試料処理装置100の一例の斜視図である。図2は、図1に示す斜視図の反対側からの試料処理装置100の別の斜視図である。説明の便宜上、図1及び図2(及び他の図面)は、デカルト座標(X,Y,Z)基準系を含み、その原点は、図示した装置100に対して任意に配置されている。通常、X軸及びY軸は水平面に存在し、Z軸が垂直方向に向くようになっている。これらの軸は、別称として方向と呼ばれる。説明の便宜上、X軸、Z軸、及びY軸は、別称として、それぞれ第1の軸又は第1の方向、第2の軸又は第2の方向、及び第3の軸又は第3の方向と呼ばれる。
装置100は、以下で更に説明するように、試料の加熱、シェーク(撹拌)、及び磁性体ビーズ分離(磁性体ビーズを用いた分析物の分離)を行うように構成されている。これらの機能を実施するために、装置100は、一般に、ヒータ104、磁石アセンブリ108、及びシェーカ112を備える。装置100は、一般に、ヒータ104、磁石アセンブリ108、シェーカ112、及び装置100の他の様々な構成要素を支持するフレーム116も備える。フレーム116は、下側プレート又は基部120、上側プレート124、及び基部120と上側プレート124との間に(通常は垂直に)延在する1つ以上の側壁(又はビーム)128等の1つ以上の構造物を備えることができる。
装置100は、加熱、シェーク、及び磁性体ビーズ分離の動作を統合するスタンドアローン装置とすることができる。装置100は、ハウジング(図示せず)内に密閉することができる。ハウジング(設けられる場合)は、装置100によって処理されている試料を含む装置100を周囲環境から隔離するように構成することができる。ハウジングは、実質的に埃のない環境を提供するように構成することができる。ハウジングは、例えば、温度、圧力、湿度等に関する環境制御を提供するように構成することができる。装置100は、関連システムの一部(例えば、関連システムの内部にあるもの、関連システムに接続されたもの、又は関連システムに近接したもの)とすることができる。このため、基部120は、ベンチ若しくはテーブル等の適した表面上、又は、それ自体がベンチ若しくはテーブル等の適した表面上に配置されたハウジング若しくは関連システムの表面上に配置することができる。関連システム(設けられる場合)は、試料の準備、処理、及び/又は分析に関する機能を実行するように構成された任意の装置又はシステムとすることができる。例として、関連システムは、実験器具のハンドリング(例えば、ロボットによる把持及び移送)、液体のハンドリング(例えば、ピペッタ並びに関連したポンプ、弁、及び管類等を用いた試料、溶液、溶媒、試薬、染料等の標識等の吸引、移送、及び投与)、試料の準備(例えば、試薬、バッファ、希釈液等の液体の追加)、試料の検出又は測定(例えば、蛍光発光、ルミネセンス、吸光、顕微鏡検査等に基づく光学ベースの検出/測定又は撮像)、バーコード又は試料若しくは試料容器を一意に識別する他のインディシアの光学読み取り等を行うように構成することができる。
装置100は、1つ以上の試料を処理するように構成することができるとともに、複数の試料を同時に処理するように構成することができる。試料(及び/又は試料が存在する液体)のうちの1つ以上は互いに異なるものとすることもできるし、全ての試料が同じものとすることもできる。1つ以上の試料は、1つ以上のそれぞれの試料容器において支持することができる。シェーカ112は、当該シェーカ112によって生成されるシェーク動作を容器(複数の場合もある)に効果的に伝達するとともに、シェーク中にシェーカ112に対する容器(複数の場合もある)の固定が維持される方法で、1つ以上の試料容器を受容するように構成されている。したがって、シェーカ112は、取り付けられた容器(複数の場合もある)がシェーク動作に従って動作するように構成されている。幾つかの実施形態では、シェーカ112は、取り付けられた容器(複数の場合もある)がシェーカ112のシェーク(動作)構成要素とともに動作するが、シェーク構成要素に対しては動作しないように更に構成されている。
図3は、一実施形態による、装置100とともに利用することができる試料支持器300の一例の斜視図である。この実施形態では、試料支持器300は、個々の試料をそれぞれ受容することができる複数の個々の試料容器336(チャンバ、ウェル等)を画定又は支持するように構成された支持構造物332を備える。図示した実施形態では、試料支持器300は、2次元アレイのウェル(試料容器336)を備えるマルチウェルマイクロタイタプレート、又はマイクロプレートである。通常の実施形態では、2次元アレイは、ウェルの2:3方形マトリックスである。本実施形態では、試料支持器300は、8行12列のウェルを備え、全部で96個のウェルを備える。図示した例では、各列における試料容器336は、Y軸(第3の軸又は第3の方向)に沿って直線状に位置決めされるとともに互いに隔置され、これらの列は、X軸(第1の軸又は第1の方向)に沿って互いに隣接し、各行における試料容器336は、X軸に沿って直線状に位置決めされるとともに互いに隔置され、これらの行は、Y軸に沿って互いに隣接している。ウェルのアレイの構成は、本開示の出願時において最新の米国規格協会/ラボラトリオートメーションスクリーニング協会(ANSI/SLAS)のマルチウェルプレート規格等の標準フォーマットに従ったものとすることができる。ウェル(又は他のタイプの試料容器336)のピッチ、例えば、2つの隣接するウェルの中心間の距離は、本明細書ではウェル間ピッチPと呼ばれるが、アレイ全体にわたって均一とすることができる。例えば、ウェル間ピッチPは、ANSI/SLAS 4−2004 (R2012):Microplates - Well Positionsによって指定されているようにすることができる。したがって、1つの非限定的な例では、ウェル間ピッチPは、96ウェルフォーマットの場合には9.0mmであり、ANSI/SLAS 4−2004によって指定された位置公差を考慮すると約9.0mmである。
他の実施形態では、列の数は、12列よりも多くすることもできるし、少なくすることもでき、行の数は、8行よりも多くすることもできるし、少なくすることもできる。XY平面におけるウェル(又は他のタイプの試料容器336)の断面は、円形(図示のとおり)又は多角形とすることができる。ウェルの深さ(Z軸)に沿ったウェルの側方断面は、まっすぐなもの又は先細なものとすることができ、断面が感知できるほどに削減される(段階的に減少される)1つ以上の遷移部を有することができる。試料支持器300の全て又は一部(例えば、試料容器336の底部)は、光学読み取りを可能にするために光学的に透明なものとすることができる。他の実施形態では、試料容器336は、支持構造物332から取り外し可能とすることができる。例えば、支持構造物332は、ラック等とすることができ、試料容器336は、このラックによって支持されるバイアル等とすることができる。
図1、図2、及び図4〜図7は、シェーカ112の構成要素を示している。図4は、装置100の上面図である。図5は、主としてシェーカ112及びフレーム116を示すために様々な構成要素が除去された装置100の側面図である。シェーカ112は、試料支持器(例えば、図3に示す試料支持器300)が取り付けられる試料(又はシェーカ)ステージ(又はプラットフォーム)140を備える。試料ステージ140は、シェーク動作を行うように可動式である。試料ステージ140は、任意の適した構成の取り付け特徴部144を備えることができる。この取り付け特徴部は、試料支持器300の相補取り付け特徴部(図示せず)又は試料支持器300と係合する相補取り付け特徴部(図示せず)に結合し、それによって、試料支持器300を試料ステージ140に固定して取り付けることを可能にする。図5に最もよく示されているように、シェーカ112は、モータ548(例えば、ブラシレスDCモータ等のDCモータ)を更に備え、このモータ548は、当該モータ548によって回転される出力シャフト552を有する。モータ548は、回転出力シャフト552と、この出力シャフト552と試料ステージ140との間に結合された、適した伝動リンク機構とを介して、試料ステージ140の動きを駆動する(それによって、試料支持器300と、試料支持器300によって受容された試料(複数の場合もある)とをシェークする)。
本実施形態では、シェーカ112は、オービタルシェーカとして構成される。すなわち、シェーカ112は、オービタル運動を試料ステージ140に与え、その結果、試料ステージ140に取り付けられた試料支持器300に与えるように構成されている。この実施形態では、シェーカ112は、試料ステージ140に取り付けられた偏心駆動結合部156及び1つ以上の偏心ガイド結合部160を備える。図示した実施形態は、4つの偏心ガイド結合部160を備えるが、設けられる結合部は、5つ以上とすることもできるし、3つ以下とすることもできる。偏心駆動結合部156及び偏心ガイド結合部160の位置は、試料支持器300に与えられるシェーク力を分散させるために、試料ステージ140の占有面積全体にわたって分散させることができる。シャフトカプラ564は、モータ548と偏心駆動結合部156とを(出力シャフト552を介して)相互結合する。したがって、モータ548は、偏心駆動結合部156のオービタル運動を能動的に駆動し、これに応じて、偏心ガイド結合部160は、能動的に駆動されたオービタル運動に受動的に追従する。
図6は、偏心駆動結合部156の平面図である。偏心駆動結合部156は、駆動シャフト668と同心のベアリング676を通じて駆動偏心672に取り付けられた駆動シャフト668を備える。駆動シャフト668は、その中心軸と同軸に回転する。一方、駆動シャフト668の回転に応答して、偏心成形された駆動偏心器672は、駆動シャフト668の中心軸の回りを旋回し、それによって、当業者によって理解されるように、オービタルシェーク運動を試料ステージ140に与える。駆動シャフト668の中心軸に対する軌道の径方向の範囲は、オフセット680によって規定され、このオフセットは、例えば、1ミリメートル又は数ミリメートルとすることができる。
図7は、偏心ガイド結合部160のうちの1つの平面図である。偏心ガイド結合部160は、偏心駆動結合部156と同様に構造化され、動作する。したがって、偏心ガイド結合部160は、ガイドシャフト768と同心のベアリング776を通じてガイド偏心器772に取り付けられたガイドシャフト768を備える。ガイドシャフト768は、その中心軸と同軸に回転する一方、ガイド偏心器772は、偏心駆動結合部156のオフセット680と同じ値を有するオフセット780を有してガイドシャフト768の中心軸の回りを旋回する。ガイドシャフト768は、能動的に駆動されず、逆に、モータ548によって直接駆動される駆動シャフト668の回転と、その結果としてもたらされる試料ステージ140及びガイド偏心器772のオービタル運動とに応答して回転する。
図4を参照すると、ヒータ104は、1つ以上のヒータ素子184を備えることができる。これらのヒータ素子は、試料ステージ140の下方に位置決めされ、したがって、試料支持器300(図3)が試料ステージ140に取り付けられているときは試料支持器300の下方に位置決めされている。マルチ容器試料支持器300を利用する本実施形態では、ヒータ104は、線形アレイのヒータ素子184を備える。試料支持器300の列と同様に、ヒータ素子184も、Y軸(第3の軸又は第3の方向)に沿って直線状に位置決めされるとともに互いに隔置されている。ヒータ素子184の数は、試料支持器300の各列に設けられた試料容器336の数(本実施形態では8個)と同じである。ヒータ素子184は、試料容器336のウェル間ピッチP(図3)と同じピッチであるヒータ間ピッチを有する。したがって、ヒータ素子184が、試料容器336の任意の所与の列の下方に位置決めされると、各ヒータ素子184を試料容器336のうちの対応する1つに関連付けることができる。その上、ヒータ素子184の中心を、XY平面において試料容器336のそれぞれの中心と位置合わせすることができる。ヒータ素子184は、円柱形とすることもできるし、円柱形部分を有することもできる。一実施形態では、ヒータ104は抵抗加熱デバイスであり、この場合、ヒータ素子184は、金属組成(金属又は金属合金)等の良好な熱伝導率を有する材料から構成することができ、電気抵抗材料のストリップと熱的(通常は物理的)に接触したものとすることができる。この場合、電気抵抗材料に電流を通電することによってヒータ素子184を加熱することができ、それによって、電気抵抗材料から放出された熱エネルギーは、熱伝導によってヒータ素子184に伝達される。その結果、熱エネルギーがヒータ素子184から放出され、対流によって試料容器336に伝達される。
また、本実施形態では、ヒータ素子184は、列単位で指定することができるように移動可能である。すなわち、ヒータ素子184は、試料支持器300の試料容器336の各列と順次位置合わせすることができるように移動可能である。これを行うために、ヒータ素子184は、XY平面において少なくとも1つの水平方向(第1の方向)において(本実施形態では、X軸に沿って)移動可能(並進可能)である。特に、この第1の方向は、列が互いに隣接する方向であり、それによって、ヒータ素子184は、各列に連続して対処することが可能になる。また、ヒータ素子184を試料容器336に対して接離移動(上昇及び下降)させ、それによって、熱エネルギーを試料容器336に選択的に印加することを可能にするために、ヒータ素子184を垂直方向(第2の方向)に(Z軸に沿って)移動可能(並進可能)とすることもできる。
図2に最もよく示されているように、装置100は、ステージングアセンブリ134を備える。ステージングアセンブリ134は、ヒータ素子184の移動を行う第1のステージ188及び第2のステージ192を備える。第1のステージ188は、第1の軸(X軸)に沿って移動するように構成され、第2のステージ192は、第2の軸(Z軸)に沿って移動するように構成されている。第1のステージ188は、図示する歯付きベルトプーリ装置等の適した伝動リンク機構206を介して第1のステージ188に結合された第1のステージモータ196(例えば、双方向ステッパモータ)によって駆動される。第1のステージ188の移動は、1つ以上の第1の直線ガイド110によってガイドすることができる。第2のステージ192は、ラックピニオン装置、スクリュードライブ等の適した伝動リンク機構218を介して第2のステージ192に結合された第2のステージモータ214(例えば、双方向ステッパモータ)によって駆動される。第2のステージ192の移動は、1つ以上の第2の直線ガイド122によってガイドすることができる。本実施形態では、第2の直線ガイド122は、第1のステージ188に取り付けられ、第2のステージ192は、第1のステージ188と試料ステージ140との間に位置決めされている。加えて、ヒータ素子184は、第2のステージ192に取り付けられている。この構成によって、第2のステージ192(したがって、ヒータ素子184)は、第1のステージ188を基準にして相対的に試料ステージ140(したがって、試料ステージ140上に取り付けられた試料支持器300)に対して接離移動する。その上、第1のステージ188は、第2のステージ192(したがって、ヒータ素子184)を第1の方向(X方向)に移動させ、試料支持器300の列に順次対処する。
図4を参照すると、磁石アセンブリ108は、1つ以上の磁石126を備えることができる。これらの磁石は、試料ステージ140の下方に位置決めされ、したがって、試料支持器300(図3)が試料ステージ140に取り付けられているときは試料支持器300の下方に位置決めされている。マルチ容器試料支持器300を利用する本実施形態では、磁石アセンブリ108は、線形アレイの磁石126を備える。試料支持器300及びヒータ素子184の列と同様に、磁石126は、Y軸(第3の軸又は第3の方向)に沿って直線状に位置決めされるとともに互いに隔置されている。磁石126の数は、試料支持器300の各列に設けられた試料容器336の数(本実施形態では8個)と同じである。磁石126は、試料容器336のウェル間ピッチP(図3)と同じピッチである磁石間ピッチを有する。したがって、磁石126が、試料容器336の任意の所与の列の下方に位置決めされると、各磁石126を試料容器336のうちの対応する1つに関連付けることができる。その上、磁石126の中心を、XY平面において試料容器336のそれぞれの中心と位置合わせすることができる。磁石126は、円柱形(又はリング形状)とすることができる。磁石126は、永久磁石(例えば、ネオジム)とすることもできるし、電磁石とすることもできる。
本実施形態におけるヒータ素子184と同様に、磁石126は、試料支持器300の試料容器336の各列と順次位置合わせすることができ、それによって、各列に連続して対処することができるように、少なくとも第1の方向(X方向)に移動可能である。また、磁石126を試料容器336に対して接離移動させ、それによって、それぞれの磁石126によって生成された局在化した磁場を試料容器336に選択的に印加することを可能にするために、磁石126を第2の方向(Z方向)にも移動可能とすることができる。磁石126は、このように、Xステージ及びZステージによって移動させることができる。本実施形態では、磁石126は、ヒータ素子184と同じステージングアセンブリ134に取り付けられ、したがって、ステージングアセンブリ134は、ヒータ/磁石ステージングアセンブリ134とも呼ばれる場合がある。磁石126は、第2のステージ192に取り付けられ、したがって、ヒータ素子184及び磁石126の双方を移動させるのに、同じ第1のステージ188及び第2のステージ192が利用される。この構成によって、必要とされるモータ付きステージの数が削減され、線形アレイの磁石126を線形アレイのヒータ素子184に隣接して位置決めすることが可能になる。ヒータ素子184及び磁石126は、各ヒータ素子184と、第1の方向(X方向)に沿ってそのヒータ素子184に隣接した対応する磁石126との間のピッチである磁石ヒータ間ピッチを有する。図4から明らかなように、磁石ヒータ間ピッチは、試料容器336のウェル間ピッチP(図3)と同じとすることができる。したがって、磁石126を1つの列のそれぞれの試料容器336と位置合わせして、それらの試料容器に磁場を印加することができるとともに、ヒータ素子184を隣接する列のそれぞれの試料容器336と位置合わせして、それらの試料容器に熱エネルギーを印加することができる。
図4に最もよく示されているように、試料ステージ140は、一般に、対向する2つの端部領域438と、これらの端部領域に隣接した対向する2つの側部領域442と、端部領域438の内側エッジ及び側部領域442の内側エッジによって画定された、試料ステージ140の厚さを貫通する開口部130とを有する。開口部130は、試料支持器300が試料ステージ140上に取り付けられたときに、その試料容器336のアレイ全体の面積にわたる十分な大きさを有する。したがって、開口部130は、試料支持器300の底部側において全ての試料容器336を露出し、ヒータ素子184及び磁石126が全ての試料容器336にアクセスすることを可能にする。すなわち、ヒータ素子184及び磁石126を第2の方向(Z方向)に沿って移動させて試料容器336の底部に近接させ、熱エネルギー及び磁場を印加することを可能にする。その上、偏心駆動結合部156は、端部領域438のうちの1つに位置決めされ、偏心ガイド結合部160は、側部領域442に位置決めされ、これによって、ヒータ素子184及び磁石126による試料容器336の底部へのアクセスが容易になる。
一実施形態では、装置100は、第2のステージ192のホーム位置、したがって、ヒータ素子184及び磁石126のホーム位置を決定するように構成されたホーム位置決めデバイス(図示せず)を更に備えることができる。このホーム位置は、ヒータ素子184又は磁石126が試料容器336の所与の列と位置合わせされる(又はZ軸に対して同軸となる)ように決定された位置とすることができる。位置合わせ不良が見つかった場合、第1のステージ188を調整して、位置合わせ不良を訂正することができる。これを行うために、ホーム位置決めデバイスは、当業者によって理解されるように、ステージングアセンブリ134の動作を制御する装置100のシステムコントローラと通信する(システムコントローラにフィードバック信号を提供する)ことができる。非限定的な例として、ホーム位置決めデバイスは、当業者によって理解されるように、フォトインタラプタ、光学エンコーダ、リレースイッチ、又は他の適切なセンサとすることができる。
図8〜図11は、ヒータ104及び磁石アセンブリ108の動作(特に移動)を示している。具体的には、図8〜図11は、ステージングアセンブリ134によって実施されるヒータ104及び磁石アセンブリ108の移動シーケンスを示す、装置100の上側部分の側面図である。図8〜図10は、試料ステージ140上に取り付けられた試料支持器300を更に示している。試料支持器300は、試料容器336が見えるように断面で示されている。試料容器336の最初の3つの列には、それぞれC1、C2、及びC3のラベルが付けられ、最後の列にはC12のラベルが付けられている。この例では、第1列C1は、図8〜図11の観点から最も左の列となるように任意に選択されたものである。したがって、第1の方向(X方向)(又は列間方向)におけるヒータ104及び磁石アセンブリ108の移動の進行は、図8〜図11の観点からは左から右となる。
図8は、列に対する初期位置又は第1列位置におけるヒータ104及び磁石アセンブリ108を示している。磁石アセンブリ108は、列間(column-to-column)方向とも呼ばれる場合がある第1の方向(X方向)においてヒータ104に先行している。したがって、第1列位置では、磁石126は、(第2の方向(Z方向)において垂直に)第1列C1と位置合わせされる一方、ヒータ素子184は、試料容器336のアレイの占有面積の外部(試料支持器300の左端部の下)に位置し、したがって、列のいずれとも位置合わせされていない。第1列位置では、ヒータ素子184が熱エネルギーを能動的に放出しないように、ヒータ104はOFF(又は非アクティブ)とすることができる。第1列位置及び全ての後続の列の位置において、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、第2の方向(Z方向)に関して上方(又は上昇)位置と下方(又は下降)位置との間で移動可能とすることができる。
図8は、磁石126が第1列C1の試料容器336に近接している上側第1列位置を示している。この上側第1列位置では、第1列C1の試料容器336に含まれる試料は、磁石126によって生成されたそれぞれの磁場又は少なくとも磁場の強い領域に浸漬される。言い換えれば、上側第1列位置では、磁石126は、試料容器336に印加される磁場が、それらの使用目的(例えば、試料容器336の底部に磁性体ビーズを引っ張る等)に効果的である、試料容器336の底部から近距離に隔置される。比較として、図9は、ヒータ素子184及び磁石126が試料容器336からより遠隔に隔置された下側第1列位置を示している。下側第1列位置では、試料容器336は、もはや磁場に浸漬されないか、又は、少なくとも磁場の強い領域には浸漬されない。言い換えれば、下側第1列位置では、磁石126は、試料容器336に印加される磁場がそれらの使用目的に効果的でない、試料容器336の底部から遠隔の距離に隔置される。下側列位置のいずれにおいても、ヒータ104は、OFFとすることもできるし、少なくとも、試料容器336内に堆積する熱エネルギー量が僅かとなるように試料容器336から十分離れた距離とすることもできる。同様に、上側列の位置のいずれにおいても、ヒータ104は、ヒータ素子184の上方の試料容器336の列を加熱するのに利用されていない場合にはOFFとすることができる。
ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、実施されている試料処理のタイプに応じて、任意の所望の期間の間、図8に示す上側第1列位置に保持することができる。次に、ヒータ104及び磁石アセンブリ108を以下の方法で第2列位置に指定することができる。まず、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、図8に下向き矢印によって示すように、図8に示す上側第1列位置から図9に示す下側第1列位置に下降される。ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、上述したように、第2のステージ192を下方に並進させることによって下降される。下側第1列位置では、磁石126は、第1列C1と引き続き位置合わせされ、ヒータ素子184は、試料容器336のアレイの占有面積の外部に引き続き位置するが、ヒータ素子184及び磁石126は、この時、試料容器336から遠隔に位置決めされている。
次に、ヒータ104及び磁石アセンブリ108が、引き続き下側第1列位置にいるとき、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、図8に右向き矢印によって示すように、下側第1列位置から図10に示す下側第2列位置に1ステップ前方に並進される。下側第2列位置では、磁石126は、第2列C2と位置合わせされ(ただし、第2列C2から隔置されている)、ヒータ素子184は、第1列C1と位置合わせされる(ただし、第1列C1から隔置されている)。ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、上述したように第1のステージ188を前方に並進させることによって1ステップ前方に並進される。
次に、ヒータ104及び磁石アセンブリ108が、引き続き下側第2列位置にいるとき、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、下側第2列位置から図11に示す上側第2列位置に上昇される(図8における上向き矢印参照)。ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、上述したように第2のステージ192を上方に並進させることによって上昇される。上側第2列位置では、ヒータ104がONである場合、第1列C1の試料容器336に含まれる試料は、ヒータ素子184から放出された熱エネルギーに曝露される。また、上側第2列位置では、第2列C2の試料容器336に含まれる試料は、磁石126によって生成されたそれぞれの磁場又は少なくとも磁場の強い領域に浸漬される。この構成によって、磁場及び熱エネルギーを、第1列C1及びその後は試料容器336のアレイの連続する各列に(正:applied to)順次印加することができる。
ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、実施されている試料処理のタイプに応じて、任意の所望の期間の間、図11に示す上側第2列位置に保持することができる。次に、ヒータ104及び磁石アセンブリ108を次の列位置(第3列位置)に指定することができる。この列位置では、磁石126は第3列C3と位置合わせされ、ヒータ素子184は第2列C2と位置合わせされる。図8〜図11に示すとともに図8における矢印によって更に示す移動シーケンスは、試料支持器300の試料容器336の全ての列が処理されるまで、すなわち、磁場及び熱エネルギーを受けるまで繰り返すことができる。幾つかの実施形態では、最後の列位置は、ヒータ素子184が最後の列C12(本例では第12列)と位置合わせされていることと、磁石126が試料容器336のアレイの占有面積の外部(試料支持器300の右端部の下)に位置し、列のいずれとも位置合わせされていないこととに対応することができる。
したがって、装置100は、磁場を複数の試料(同じ列の試料容器336における試料等)に同時に印加し、その後、熱エネルギーを同じ組の試料に同時に印加することを可能にする。加えて、実行されている方法によって指示された任意の時点にシェーカ112を動作させることができる。必要な場合には、ヒータ104及び磁石アセンブリ108を下側位置に下降させ、シェーカ112が動作するためのクリアランスを設けることができる。このように、装置100によって、加熱、シェーク、及び磁場印加の組み合わせを利用して多種多様な試料処理プロトコルを実施することが可能になる。装置100は、単一ステーション、すなわち、装置100において、加熱、シェーク、及び磁場印加の3つの全ての動作を統合する。したがって、加熱、シェーク、及び磁場印加にそれぞれ専用化された従来の別々のステーションは必要とされない。この統合された構成によって、加熱、シェーク、及び磁場印加を行うのに必要とされるハードウェアの全体的な占有面積が削減される。統合された構成によって、ステーション間での試料の移送の必要もなくなり、それによって、処理スループットが向上する(処理時間が削減される)とともに、試料の汚染のリスクが低減される。
一般に、磁石アセンブリ108は、試料への磁場の印加を伴う任意のプロトコルに利用することができる。1つの非限定的な例として、磁石アセンブリ108は、磁性体ビーズ分離に利用することができる。磁性体ビーズ分離では、磁性体ビーズが試料に加えられ、磁性体ビーズが試料の液相全体にわたって分散された懸濁液が形成される。ビーズのサイズは、ナノメートル程度(例えば、約1000nm、すなわち約1マイクロメートル(μm)まで)、又はマイクロメートル程度(例えば、約1μm〜約1000μm)とすることができる。ビーズは、当業者によって理解されるように、シリカ又は他の適した材料から構成することができる。ビーズは、酸化鉄又は他の適した磁性体材料で被覆されることによって磁化される(磁場に応答する)。磁性体材料は、永久磁性体材料とすることもできるし、磁場によって永久的又は一時的に磁化される材料とすることもできる。本開示では便宜上、用語「磁性体」は、そのような全ての材料を包含する。ビーズは、試料から分離及び隔離したい試料の分析物(すなわち、対象となる目標化合物)に特に結合する組成物を有するプローブ又はリガンドを用いて官能化することもできる。分析物は、核酸等の生物化合物とすることができ、これらの核酸は、ハイブリダイズされた核酸とすることができる。或いは、分析物は化学化合物とすることができる。磁性体ビーズが、試料支持器300の試料容器336のうちの1つにあるような試料に加えられた後、試料内の分析物は、磁性体ビーズ(又は実施形態に応じて磁性体ビーズのプローブ若しくはリガンド)に結合する(磁性体ビーズによって捕捉される)。次に、磁石アセンブリ108が、磁石126のうちの1つが対応する試料容器336の底部に近接する上側位置に移動され、それによって、本明細書において説明したように、磁石126によって生成された磁場に試料が浸漬される。これに応答して、分析物を保持した磁性体ビーズが磁石126に引き寄せられ、したがって、試料容器336の底部に引動され、それによって、捕捉された分析物は試料容器336の底部に凝集される。その後、試料の液相を吸引(例えば、ピペット操作)及び/又は蒸発によって除去することができる。次に、適した溶媒内で磁性体粒子を洗浄して、磁性体粒子から分析物を解放することができる。次に、分析物を含有する溶媒を試料容器336から吸引することができる。次に、実施されている特定のプロトコルによって必要に応じて、分析物を更に処理又は分析することができる。
一般に、ヒータ104は、温度調節若しくは温度プログラミング又は試料の揮発性液相の蒸発等の試料の加熱を伴う任意のプロトコルに利用することができる。1つの非限定的な例として、プロトコル(例えば、磁石ベースの分離に関連するもの)は、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール等)等の揮発性溶媒を試料容器336に加えることを伴うことができる。ヒータ104は、磁性体ビーズが試料容器336の底部に引動された後等に、試料容器336内の溶媒を蒸発させるのに利用することができる。
一般に、シェーカ112は、試料のシェーク又は撹拌を伴う任意のプロトコルに利用することができる。例として、1つ以上の試料容器336内の試料(複数の場合もある)のシェークは、試料の2つ以上の成分間の混合、均質化、化学反応の増強又は他の相互作用、試料内の磁性体ビーズの分散又は再懸濁等を行うために実施することができる。
次に、一例として、試料を処理する方法を説明する。本方法は、本明細書において説明したようなヒータ104、磁石アセンブリ108、及びシェーカ112を備える装置100を用いて実行することができる。試料支持器が提供される。この試料支持器は、複数の列及び複数の行のアレイとして配列された複数の試料容器を備える。複数の列は、第1列と、この第1列に隣接する第2列とを少なくとも含む。第1列は、当該第1列の1つ以上のそれぞれの試料容器内に1つ以上の試料を含み、第2列は、当該第2列の1つ以上のそれぞれの試料容器内に1つ以上の試料を含む。試料支持器は、試料ステージの開口部を覆うように試料ステージに取り付けられる。この開口部は、当該開口部を通して試料容器を露出させることを可能にする面積(サイズ)を有する。複数の磁石が移動され、第1列の試料容器の底部と近接される。磁石によって生成された磁場が第1列の試料容器に印加され、第1列の1つ以上の試料がこれらの磁場のうちの1つ以上に曝露される。試料支持器が試料ステージに取り付けられた状態を維持しつつ、複数の磁石は移動されて、第2列の試料容器の底部と近接される。複数のヒータ素子が移動され、第1列の試料容器の底部と近接される。これらのヒータ素子から放出される熱エネルギーが第1列の試料容器に印加され、第1列の1つ以上の試料が熱エネルギーに曝露される。
複数の列は、1つ以上の追加の列を含む。磁場及び熱エネルギーが、第1列、第2列、及び追加の列のうちの少なくとも1つの追加の列の試料容器に連続的に印加されるまで、ヒータ素子及び磁石を列単位で順次移動させることができ、磁場を印加するステップ及び熱エネルギーを印加するステップを1回以上繰り返すことができる。
本方法は、本明細書において説明した装置100を用いて試料をシェークすることも含むことができる。例えば、試料への磁場の印加及び熱エネルギーの印加の1つ以上の反復の間で試料をシェークすることができる。
次に、別の例として、DNA等の核酸を含有する試料を処理する方法を説明する。本方法は、本明細書において説明したようなヒータ104、磁石アセンブリ108、及びシェーカ112を備える装置100を用いて実行することができる。ステップは、以下のとおりである。
1)DNAを保持する液体バッファが、マイクロプレートのウェル等の、試料支持器によって提供される試料容器のアレイの1つ以上の列内に分配される。
2)磁性体ビーズが試料容器に加えられ、均質な混合を得て、DNAと磁性体ビーズとの結合を可能にするために、シェーカが始動される。
3)シェーカがオフにされ、磁石が、DNAを含む試料容器の1つの列に移動され、それによって、磁性体ビーズは、磁場によって試料容器の底部に引動される。
4)磁性体ビーズの全てが容器の底部に沈殿した後、バッファが試料容器から吸引され、廃棄される。
5)次に、洗浄ステップとして、エタノールが試料容器に加えられる。
6)シェーカが再始動され、試料容器内でエタノール及び磁性体ビーズを分散させる。
7)シェーカがオフにされ、磁性体ビーズが磁石によって引動される。ステップ6のシェークの準備において、磁石を試料容器から遠ざけて、シェーク動作用のクリアランスを設けておくことができ、この場合、シェーカがステップ7においてオフにされた後に、磁石は試料容器に再び移動される。
8)磁性体ビーズの全てが容器の底部に沈殿した後、エタノールが試料容器から吸引される。
9)ステップ5〜8が、1つ以上のサイクル、例えば2つのサイクルの間繰り返される。
10)次に、ヒータ素子が列に移動され、エタノールを蒸発させるように起動され、磁性体ビーズの空気乾燥が可能になる。
11)適した溶媒が試料容器内に投与され、その結果、DNAは磁性体ビーズから溶離する。
12)次に、磁石(必要な場合には、適切に再位置決めされる)が利用され、磁性体ビーズを容器の底部に沈殿させる。
13)DNAをこの時点で保持している溶媒が試料容器から吸引され、装置100とは別の器具等によってDNAを更に処理又は解析することが可能にされる。
上記ステップは、試料容器アレイの1つ以上の他の列について繰り返すことができる。
図1及び図2を参照すると、装置100は、システムコントローラ(例えば、コンピュータ又はコンピューティングデバイス)146も備えることができる。システムコントローラ146は、例えば、ヒータ104、磁石アセンブリ108、シェーカ112、第1のステージ188(例えば、第1のステージ188に結合されたモータ、又はこのモータと通信するモータコントローラ)、第2のステージ192(例えば、第2のステージ192に結合されたモータ、又はこのモータと通信するモータコントローラ)、ホーム位置決めデバイス等の動作等の装置100の様々な機能面を制御、監視及び/又はタイミング調節するように構成された1つ以上のモジュール(又はユニット若しくは構成要素)を概略的に表すことができる。1つ以上のモジュールは、例えば、コンピュータワークステーション若しくはデスクトップコンピュータ、又は、ラップトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン等のモバイルコンピューティングデバイスとすることもできるし、これらに組み込むこともできる。システムコントローラ146は、試料支持器300のマップ、装置100のデータ及び制御パラメータを入力するフィールド等の、ユーザがインタラクトすることができるオブジェクト又はデータの画面表示を提供するユーザインタフェースを提供及び制御するように構成することもできる。システムコントローラ146は、本明細書に開示された方法のうちの任意のものの全て又は一部を実行する命令を含む非一時的(有形)コンピュータ可読(機械可読)媒体を搭載又は装填することができる1つ以上の読み取りデバイスを備えることができる。そのような全ての目的のために、システムコントローラ146は、有線通信リンク又は無線通信リンクを介して装置100の様々な構成要素と信号通信することができる。また、これらの目的のために、システムコントローラ146は、1つ以上のタイプのハードウェア、ファームウェア、他のタイプの電子機器、及び/又はソフトウェア、並びに、1つ以上のメモリ、データベース、ユーザ入力デバイス、及びユーザ出力デバイスを備えることができる。ユーザ入力デバイスの例としては、キーボード、キーパッド、タッチ画面、マウス、ジョイスティック、トラックボール、ライトペン、他のポインティングデバイス、マイクロフォン等があるが、これらに限定されるものではない。ユーザ出力デバイスの例としては、ディスプレイ画面、プリンタ、ランプ又は発光ダイオード(LED)等の視覚インジケータ、ラウドスピーカ等の可聴インジケータ等があるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において説明されたプロセス、サブプロセス及びプロセスステップの1つ以上は、1つ以上の電子デバイス又はデジタル制御デバイス上で、ハードウェア、ファームウェア、他のタイプの電子機器、ソフトウェア又は上記のものの2つ以上の組み合わせによって実行される場合があることは理解されよう。ソフトウェアは、例えば、図1に概略的に示されるシステムコントローラ146等の適切な電子処理構成要素又はシステム内のソフトウェアメモリ(図示せず)内に存在することができる。ソフトウェアメモリは、論理機能(すなわち、デジタル回路又はソースコード等のデジタル形式で実施することができる「ロジック」、又はアナログ電気信号、音響信号若しくはビデオ信号等のアナログ信号源等のアナログ形式で実施することができる「ロジック」)を実施するための非一時的実行可能命令の順序付きリストを含むことができる。命令は、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ、汎用プロセッサ、プロセッサの組み合わせ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を含む、処理モジュール内で実行することができる。さらに、概略図は、機能のアーキテクチャ又は物理的レイアウトによって制限されない物理的(ハードウェア及び/又はソフトウェア)実施態様を有する論理的機能分割を説明する。本明細書において説明されたシステムの例は、様々な構成において実現することができ、単一のハードウェア/ソフトウェアユニット、又は別々のハードウェア/ソフトウェアユニット内のハードウェア/ソフトウェア構成要素として動作することができる。
実行可能命令は、電子システムの処理モジュール(例えば、図1のシステムコントローラ146)によって実行されるときに、電子システムに命令を実行するように指示する、命令を記憶しているコンピュータプログラム製品として実現することができる。コンピュータプログラム製品は、電子コンピュータベースシステム、プロセッサを含むシステム、又は命令実行システム、装置若しくはデバイスから命令を選択的にフェッチし、命令を実行することができる他のシステム等の、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するための任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体において選択的に具現化することができる。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを記憶することができる任意の非一時的手段である。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、選択的に、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体システム、装置若しくはデバイスとすることができる。非一時的コンピュータ可読媒体のより具体的な例の網羅的でないリストは、1つ以上の導線を有する電気的接続(電子)、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(電子)、リードオンリメモリ(電子)、例えば、フラッシュメモリ等の消去可能プログラム可能リードオンリメモリ(電子)、例えば、CD−ROM、CD−R、CD−RW等のコンパクトディスクメモリ(光学)、及びデジタルバーサタイルディスクメモリ、すなわち、DVD(光学)を含む。例えば、紙又は他の媒体の光学走査を介してプログラムを電子的に取り込むことができ、その後、必要に応じて、コンパイルするか、解釈するか、又は別の方法で適切に処理し、その後、コンピュータメモリ又はマシンメモリ内に記憶することができるので、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、プログラムが印刷された紙又は別の適切な媒体であってもよいことに留意されたい。
また、本明細書において使用されるときに、「信号通信する」又は「電気通信する」という用語は、2つ以上のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールが、何らかのタイプの信号経路にわたって進行する信号によって互いに通信できることを意味することは理解されよう。信号は、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールと第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールとの間の信号経路に沿って、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールから第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールに情報、電力又はエネルギーを伝達することができる通信信号、電力信号、データ信号又はエネルギー信号とすることができる。信号経路は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、電磁的接続、電気化学的接続、光学的接続、有線接続又はワイヤレス接続を含むことができる。また、信号経路は、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールと第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールとの間に、更なるシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールを含むこともできる。
より一般的には、「通信(連通)する(communicate)」及び「通信(連通)している(in communication with)」(例えば、第1の構成要素が第2の構成要素と「通信(連通)する」又は「通信(連通)している」)等の用語は、2つ以上の構成要素又は要素間の構造的、機能的、機械的、電気的、信号、光学的、磁気的、電磁的、イオン又は流体的な関係性を示すために本明細書において使用される。その場合に、1つの構成要素が第2の構成要素と通信(連通)すると言われることは、更なる構成要素が、第1の構成要素と第2の構成要素との間に存在する場合があり、及び/又は第1の構成要素及び第2の構成要素と動作可能に関連付けられるか、又は関与する場合があるという可能性を除外することを意図するものではない。
本発明の種々の態様又は詳細は、本発明の範囲から逸脱することなく変更することができることが理解されよう。さらに、上述の記載は、単に例示目的のものであり、限定する目的はない。本発明は、特許請求の範囲によって規定される。