JP2020527553A - クロマトグラフィー - Google Patents

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Abstract

本発明は、精製、特にタンパク質精製の分野にある。本発明は、タンパク質及び他の生体分子の工業規模精製のための改善された技術を提供する。より具体的には、本発明は、クロマトグラフィーステップ、好ましくは半連続クロマトグラフィーステップを使用して、タンパク質、好ましくは抗体又は抗体断片などの目的の化合物を精製する方法に関する。

Description

本発明は、精製、特にタンパク質精製の分野にある。本発明は、タンパク質及び他の生体分子の工業規模精製のための改善された技術を提供する。より具体的には、本発明は、クロマトグラフィーステップ、好ましくは半連続クロマトグラフィーステップを使用して、タンパク質、好ましくは抗体又は抗体断片などの目的の化合物を精製する方法に関する。
タンパク質及び核酸分子の大規模で経済的な精製は、バイオテクノロジー産業にとってますます重要な課題である。一般に、タンパク質は、そのタンパク質の遺伝子を含む組換えプラスミドの挿入によって目的のタンパク質を産生するように操作された哺乳動物又は細菌細胞株を使用して、細胞培養によって産生される。使用される細胞株が生物であるため、これらに糖、アミノ酸及び成長因子を含有する複雑な増殖培地を供給しなければならない。目的のタンパク質を、細胞に供給される化合物の混合物及び細胞自体の副産物(供給流)から、ヒト治療薬として使用するのに十分な純度まで単離しなければならない。供給流からの不純物に関して、ヒトへの投与を意図したタンパク質について保健当局によって設定された基準は非常に高い。
工業用タンパク質の精製は、典型的には非常に大規模に行われる。抗体などの治療用タンパク質を製造する商業的バイオリアクターは、典型的には数百、数千又は数万リットルの培養培地を含有する。細胞は典型的には、例えば約600nmなどの適切な波長で増殖培地の光学濃度を測定することによって決定され得る所望のレベルまで増殖され、光学濃度増加が増殖培地中の細胞濃度の増加に対応する。
所望のレベルに達すると、典型的には粗タンパク質抽出物が調製される。粗抽出物は、粗抽出物を生成するための溶解、濾過及び/又は初期濃縮などの従来技術によって調製され得る。商業的バイオリアクターから処理される大量の培養培地は、それに対応して大量の粗抽出物を生成する。例えば、2000リットルの細胞培養は、典型的には、通常数キログラムの所望のタンパク質を含有する、数百リットルの粗タンパク質抽出物容積をもたらし得る。
工業用タンパク質合成技術で生成される大量の粗タンパク質抽出物は、専用の精製技術を要する。極めて少量(典型的には数十〜数百ミリリットル)の粗タンパク質抽出物(供給原料)の精製を意図した実験室規模の技術は、汚染の防止の困難さ、効率的な処理の必要性、自動化の要件等のために、典型的には工業レベルへの拡張性に乏しい。したがって、タンパク質などの生体分子の大規模精製のために、工業規模の精製技術が開発されてきた。
タンパク質精製は、通常、アフィニティークロマトグラフィー(目的のタンパク質とクロマトグラフィーマトリックスに結合した特定のリガンドとの間の可逆的相互作用に基づいてタンパク質を分離する);イオン交換クロマトグラフィー(帯電基とクロマトグラフィーマトリックスに結合した反対に帯電した分子の非特異的静電相互作用に基づいてタンパク質を分離する);置換クロマトグラフィー(クロマトグラフィーマトリックスに対する動的親和性に基づいてタンパク質を分離する);及びサイズ排除クロマトグラフィー(サイズに基づいてタンパク質を分離する)などのクロマトグラフィー技術を使用して達成される。生体分子を分離するために使用されるこれらの及び他のクロマトグラフィー技術の1つの共通の特徴は、通常樹脂と呼ばれる適切な分離マトリックスの存在である。クロマトグラフィーマトリックスは、不可逆的汚染、マトリックス材料の劣化、マトリックスの官能基での望ましくない反応等のために、典型的には高価であり、使用寿命が限られている。工業用タンパク質精製で処理する必要がある大量の粗タンパク質抽出物は、それに対応する大量のクロマトグラフィーマトリックスを要する。このようなマトリックスの高コストが、精製技術の効率を可能な限り最大化するための原動力となる。
タンパク質精製技術を設計する際に考慮しなければならないさらなる側面は、目的のタンパク質から除去する必要がある不純物の特性である。典型的には、粗タンパク質抽出物は、目的のタンパク質と比較してクロマトグラフィーマトリックスへの結合特性が有意に異なる不純物を含有している。このような不純物は、典型的には容易に除去される。他の不純物は、典型的には目的のタンパク質と類似の結合特性を有する。典型的には、これらの不純物は、ある程度の重複が観察されるように、少なくとも部分的に所望のタンパク質とマトリックスから共溶出し得る。したがって、目的のタンパク質及び不純物を含む供給原料を、典型的には、3つの成分:目的の生成物(すなわち、生体分子生成物(product biomolecule));目的の生成物よりも弱くクロマトグラフィーマトリックスに結合する不純物;及び目的の生成物よりも強くクロマトグラフィーマトリックスに結合する不純物を含むと見なすことができる。
このような成分を分離する伝統的な技術は、バッチカラムクロマトグラフィーに依存する。供給原料をカラムにロードし、カラム流出液を小さな画分で回収する。カラムに最も弱く結合する供給原料の成分が最初に溶出する。したがって、目的の生成物のみを含有する画分に加えて、先行する画分は目的の生成物と目的の生成物ほど強くなくクロマトグラフィーマトリックスに結合する不純物の両方を含み;後続する画分は、目的の生成物と目的の生成物よりも強くクロマトグラフィーマトリックスに結合する不純物の両方を含む。治療用途で使用されるタンパク質に対する厳しい純度要件のために、これらの「重複画分」(すなわち、先行する画分と後続する画分)は伝統的には廃棄され、精製方法全体の効率を低下させる。
伝統的なクロマトグラフィー技術のさらなる側面は、オーバーロードの概念である。クロマトグラフィーマトリックスの結合容量は限られている。この容量に達すると、過剰な目的の生成物はマトリックスに結合できず、典型的には「オーバーロード」として失われる。さらに、マトリックスの選択性は、典型的には結合容量に近づくにつれて低下する。伝統的な技術では、オーバーロードタンパク質試料が失われる、又はさらに処理しなければならなくなり、汚染のリスクが高まる。
使用される標準的な工業技術の1つは、マルチカラム向流溶媒勾配精製(MCSGP)である。MCGSPは、複数のクロマトグラフィーカラムに依存して、粗タンパク質抽出物を所望のレベルまで精製するクロマトグラフィー技術である。MCGSPでは、複数のクロマトグラフィーカラムが、粗タンパク質抽出物の流れ方向と反対の位置に切り替えられる。要約すると、目的のタンパク質がクロマトグラフィーマトリックス(樹脂)に結合するように、粗タンパク質抽出物が第1のカラムにロードされる。弱吸収不純物がマトリックスから洗い流されると、目的のタンパク質の溶出が開始される。所望のタンパク質の純粋な画分は保持されるが、先行重複画分と後続重複画分の両方が第2のカラムに向けられ、さらなる供給材料(粗タンパク質溶液)と合わせられる。次いで、第2のカラムでこのプロセスが繰り返され、重複画分がさらなるカラムに向けられる。理論的には、重複画分を第1のカラムに向け直すことができるが、実際には、再使用前の各カラムの洗浄、再平衡化等の時間を確保するために一連のカラムが典型的に使用される。このようにして、不純な重複画分は繰り返し精製サイクルにかけられるため、所望のタンパク質を高純度で得ることができる。
MCSGPは工業での大規模な使用を意図しているが、重大な欠点を伴う。上記の要約から明らかなように、MSCGPは最低2つの一致したクロマトグラフィーカラムを必要とし、実際には方法の効率を可能な限り最大化するために通常3つ以上のカラムが使用されることが多い。クロマトグラフィーで使用されるマトリックス(樹脂)のコストが高いため、複数のカラムの要件は、タンパク質製造コストを大幅に増加させることを意味する。複数の一致したカラムに加えて、精巧な流量制御装置及び制御ソフトウェア、ならびに各追加のカラムのためのインラインミキサー、ポンプ、バルブ、検出器及びハウジングを含む追加のクロマトグラフィーハードウェアが必要とされ、これらの全てがコストを増加させ、部品故障の可能性を増加させ、エラーの検証プロセス及び複雑な診断の複雑性を増加させるので、MSCGP技術の別の課題は必要とされる機器の高度に複雑な性質である。MSCGP技術のさらなる課題は、プロセスを連続的に運転するための要件である。これは、精製が行われるのに必要な時間(例えば、大量の培養物容積からの粗タンパク質抽出物)が標準的な作業慣行に従って結論付けられない場合に問題となり得る;例えばオペレーターに24時間体制で長時間作業することを要求する。さらなる課題は、十分な分離を達成するために、遅い流速及び/又は大きなマトリックス容積が要求されることである。
このような考慮事項に照らして、本発明者らは、大規模タンパク質精製のための改善された技術の必要性を認識した。したがって、本発明は、工業規模でタンパク質及び他の生体分子を精製するための改善された方法を提供し、上記の課題の一部又は全てを解決することを意図している。
MCSGPが大規模な工業用タンパク質精製に適用されているが、本発明者らは、単一クロマトグラフィーマトリックス、例えば単一カラムでの目的の生成物(すなわち、生体分子生成物)の分離ならびに重複画分及び任意に、オーバーロード画分の再利用から大きな利益が生じることを認識している。単一マトリックスの使用は、複数のカラムを使用する先行技術の技術を超える大きな利点に関連している。複数のカラムではなくただ1つのカラムのみが必要とされるので、必要とされるマトリックス(樹脂)のコストを大幅に削減できる。カラムを運転するために必要な機器(例えば)流量制御装置及び制御ソフトウェアの複雑さも大幅に減少し、インラインミキサー、ポンプ、バルブ、検出器等などのクロマトグラフィーハードウェアの必要性も減少する。重要なことに、プロセスを不連続に(非同期で)運転することができ、これによりおおよそ稼働日に精製を実行し、長期間中断したりすることさえ可能になる。また、以前から知られている技術と比較して、比較的高い流速及び/又は低いマトリックス容積を使用して、適切な分離を達成することができる。
以前、本発明者は、国際公開第2017/140881号パンフレットで、混合物からタンパク質を精製するためのクロマトグラフィープロセスを報告した。国際公開第2017/140881号パンフレットで報告されているプロセスは、マトリックスの結合容量を超えるようにクロマトグラフィーマトリックスをロードし、未結合のタンパク質を含有するフロースルーをマトリックスに通過させ、その後、さらなる運転クロマトグラフィーサイクルでフロースルーをマトリックスにリロードすることを含む。本発明者は、ここで、供給原料からの供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードし、生成物を溶出し、生体分子生成物と少なくとも1つの不純物の両方を含む溶離液の画分をマトリックスにリロードすることを含む新たなクロマトグラフィー技術を開発した。このような方法は、国際公開第2017/140881号パンフレットで報告されている方法とは異なり、精製収率の向上を含む重大な有益な効果を伴う。本発明の方法は、粗抽出物からの供給原料の初期部分精製後の「仕上げ」ステップに特に適している。
したがって、本発明は、精製化合物の収率及び純度を維持又は改善しながら、クロマトグラフィーマトリックスのより効率的で費用対効果の高い使用を伴う、生体分子生成物(目的の化合物、特に目的のタンパク質)を精製する方法を提供する。
したがって、本発明は、生体分子生成物及び少なくとも1つの不純物を含む供給原料から生体分子生成物を精製するための工業規模の方法であって、
a)生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、供給原料からの供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップと;
b)溶出溶液をクロマトグラフィーマトリックスに適用することによって、クロマトグラフィーマトリックスから溶離液に生体分子生成物を溶出し、
溶離液は:
−精製された生体分子生成物を含む第1の画分;及び
−生体分子生成物と少なくとも1つの不純物の両方を含む第2の画分であって、1つ又は2つ以上の先行する画分及び/又は後続する画分を含む第2の画分
を含み、第1の画分は第2の画分と分離されて回収されるステップと;
c)1つ又は2つ以上の容器に第2の画分を保持するステップと;
d)第2の画分中の生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように1つ又は2つ以上の容器からの第2の画分及び供給原料からの追加の供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードし;追加の供給材料は第2の画分と同時に又は続いてロードされるステップと;
e)溶出溶液をクロマトグラフィーマトリックスに適用することによって、クロマトグラフィーマトリックスから溶離液に生体分子生成物を溶出し、溶離液は精製された生体分子生成物を含むステップと
を含み;
ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(d)及びステップ(e)のクロマトグラフィーマトリックスは同じクロマトグラフィーマトリックスである方法を提供する。
好ましくは、本発明では、生体分子生成物がタンパク質、抗体、抗体断片、ポリヌクレオチド又はポリペプチドである。
精製された生体分子生成物を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又はアジュバントと共に製剤化することをさらに含む、本発明による方法も提供される。本発明はまた、本発明の方法によって得られる精製された生体分子生成物を提供する。
本発明の方法で使用するためのセットアップの概略図である。種々の液体緩衝液成分がタンクに保持されており、バルブを介して多孔質クロマトグラフィーマトリックスに順次ポンプで送られる。クロマトグラフィーマトリックスから出た後、溶離液の画分は、本明細書で溶離液の画分とも呼ばれる溶離液の個別の容積を分析する検出器を通過する。生成された生体分子生成物を含む「第1の画分」(すなわち、目的の化合物の所望の特性、例えば前記化合物の濃度又は前記化合物の純度を示す溶離液の1つ又は2つ以上の画分)が回収される。残りの画分から、生体分子生成物と少なくとも1つの不純物の両方を含む「第2の画分」(すなわち、所望の特性を示さないが、依然として目的の化合物を含有し、原則としてさらなるプロセシング(processing)に適した画分)が、同じクロマトグラフィーマトリックスへのリローディングのために回収される。図1のセットアップでは、容器「再利用1」及び「再利用2」に別々に回収される2つの画分が存在する。 図2〜図7は、本発明による方法の図を示している。典型的なクロマトグラフィー分離は、生体分子生成物(目的のタンパク質/標的化合物)が固定化マトリックスに結合する結合段階、及び生体分子生成物(標的化合物)がマトリックスから化学的に除去される溶出段階を含み得る。中間には、典型的には、さらなる不純物を除去し、マトリックスの品質を維持するための洗い流し及び調整ステップが存在し、その間、これらの材料は典型的には廃棄に向けられる。図2〜図7に示される方法では、本発明によると、生体分子生成物(目的の化合物)及び少なくとも1つの不純物を含む混合物がクロマトグラフィーマトリックスにロードされ、前記ロードされたクロマトグラフィーマトリックスが洗い流され、生体分子生成物(目的の化合物)がクロマトグラフィーマトリックスから溶出される。精製された生体分子生成物を含む溶離液の「1つ又は2つ以上の第1の画分」(すなわち、目的の化合物の所望の特性、例えば前記化合物の濃度又は前記化合物の純度を示す画分)の1つ又は2つ以上が回収され、生成物としてプロセスから回収及び除去される。図2〜図7に示されるプロセスでは、1つもしくは複数の第1の画分の前の溶離液の少なくとも1つの画分及び/又は1つもしくは複数の第1の画分の後の溶離液の少なくとも1つの画分が同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。この手順を数回繰り返すことができ、プロセスは典型的には、生体分子生成物を含む混合物の容積(すなわち、供給原料の総容積)が使い果たされるまで続けられる。 本発明の方法の例を示す図である。供給原料のクロマトグラフィーマトリックスへのロード後、精製された生体分子生成物を含有する第1の画分が溶出される。第2の画分は、クロマトグラフィーマトリックスにリロードする前に任意に、プロセシングされる(例えば、希釈により)先行する画分及び/又は後続する画分(本明細書で定義される)を含む。このサイクルが複数回繰り返される。図2は後続する画分と先行する画分の両方がリロードされていることを示しているが、当業者であれば、本発明の方法が両方の画分をそのようにリロードすることを要しない−例えば、後続(後の)及び/又は先行(前の)画分の一方のみをマトリックスにリロードしてもよいことを理解するだろう。 本発明の方法の別の例を示す図である。図3に示されるプロセスでは、少なくとも1つの前の(先行)画分及び/又は少なくとも1つの後の(後続)画分が、後の運転クロマトグラフィーサイクルで同じクロマトグラフィーマトリックスに別々にリロードする前にプロセシングされる。 少なくとも1つの前の(先行)画分及び少なくとも1つの後の(後続)画分が合わせられ、後の運転クロマトグラフィーサイクルで同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードする前に合わせた画分としてプロセシングされるプロセスを示す図である。 溶離液の合わせた画分の容積が有意に増加していることを除いて、図4に示されるプロセスと極めて類似であるプロセスを示す図である。合わせた画分の合わせた容積は、例えば希釈によって増加し得る。希釈は、マトリックスへのリローディング前の合わせた画分のプロセシングの例である。 少なくとも1つの前の(先行)画分及び少なくとも1つの後の(後続)画分が、供給原料からのさらなる供給材料(すなわち、クロマトグラフィーマトリックスに運転クロマトグラフィーサイクルでロードされる混合物のさらなる容積又はさらなる容積の一部)と合わせられ、クロマトグラフィーマトリックスに適用されるプロセスを示す図である。繰り返すが、この手順は数回繰り返すことができる。図6は後続する画分と先行する画分の両方がリロードされていることを示しているが、当業者であれば、本発明の方法が両方の画分をそのようにリロードすることを要しない−例えば、後続及び/又は先行する画分の一方のみをマトリックスにリロードしてもよいことを理解するだろう。 少なくとも1つの前の(先行)画分及び少なくとも1つの後の(後続)画分がフロースルー(図7では「再利用」と呼ばれる)と合わせられるプロセスを示す図である。このようなフロースルーは、生体分子生成物(目的の化合物)を含有するロードがクロマトグラフィーマトリックスから漏れるまでクロマトグラフィーマトリックスに適用されると得られる。したがって、この図は、本明細書でより詳細に説明されるように、過剰ロードの例を示している。図7は後続する画分と先行する画分の両方がリロードされていることを示しているが、当業者であれば、本発明の方法が両方の画分をそのようにリロードすることを要しない−例えば、後続及び/又は先行する画分の一方のみをマトリックスにリロードしてもよいことを理解するだろう。 図8〜図14は、本発明による方法の複数のサイクル中に記録されたクロマトグラムを示している。図8〜図14は、7つの運転サイクルを含む本発明の方法の例を提供する(すなわち、請求項1の方法に関して、ステップ(b)、(c)及び(d)が5回繰り返される)。図8〜図14は、複数のサイクルの再現性を示しており、本発明の方法を使用して、目的の化合物(例えば、生体分子生成物)を高収率で再現性よく得ることができることを実証している。図8は、クロマトグラフィーマトリックスの平衡化の初期段階とそれに続くロード段階(本発明の方法のステップ(a))を示している。ローディングが完了した後、マトリックスは洗い流され、次いで、目的の化合物(生体分子生成物)が、例えば勾配溶出でマトリックスから溶出され得る(方法のステップ(b))。260nm、280nm及び305nmで記録されたピークは、マトリックスからのタンパク質の溶出を示している。図9〜図14は、本発明の方法の後のサイクルを示している。図9〜図14では、ロード段階が本発明の方法のステップ(d)に対応する。 例のサイクル1のクロマトグラムを示す図である。 例のサイクル2のクロマトグラムを示す図である。 例のサイクル3のクロマトグラムを示す図である。 例のサイクル4のクロマトグラムを示す図である。 例のサイクル5のクロマトグラムを示す図である。 例のサイクル6のクロマトグラムを示す図である。 例のサイクル7のクロマトグラムを示す図である。 サイクル1〜7のクロマトグラムの重ね合わせを示す図である。図15は、本発明による方法からの標的生体分子の高収率を示している。 プロテインG HPLCによって決定されたCEX勾配溶出での融合不純物及びFabピークを示す図である。 保持プールの分析されたFabの量を要約する表である(保持プールの分析された量(主に非Fabを含有する画分9〜20及び主に目的のFabを含有する画分23〜31))。 後期陽イオン交換ピーク保持プールでの収率増加%を要約する表である。 後期陽イオン交換ピーク保持プールの純度増加%を要約する表である(図17〜図19では、サイクル7が異なる範囲の含まれる画分を有すること−初期ピークでは1〜8、後期ピークでは24〜31に留意されたい)。 ベースラインと共に、サイクルにわたる後期陽イオン交換ピークの収率及び純度増加を示す図である。(各画分で容積が一定であるので、総収率の増加はまた全体の濃度の増加に相当することに留意されたい)。このデータ及び図17〜図20に要約されるデータをもたらす実験を、例に記載する。
当技術分野で知られているタンパク質の多くの精製方法は、例えば低もしくは高pH、高塩濃度、又は精製されるタンパク質の生物学的活性を不可逆的に危険にさらし得る他の極端な条件の適用を要するステップを含むので、適切ではない。したがって、所望のタンパク質を十分な純度まで分離することは、手強い課題である。歴史的に、タンパク質精製スキームは、精製されるタンパク質と望ましくないタンパク質汚染物質との間のサイズ、電荷及び溶解度という分子特性の違いに基づいてきた。これらのパラメータに基づくプロトコルには、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、示差沈殿などが含まれる。
抗体及び抗体断片は、様々な治療分野でますます重要になっている。抗体及び抗体断片を産生する最も重要な方法の1つは、組換え技術によるものである。このような技術は、宿主細胞を使用して所望の抗体を発現させ、次いで、これを産生培地から分離し、精製する。
抗体はグリコシル化を必要とするので、真核細胞、特にCHO、PER.C6、NS0、BHK又はSp2/0細胞などの哺乳動物細胞を使用した真核生物発現系で一般に発現される。真核生物発現系では、抗体などの発現される目的のタンパク質が、一般に細胞培養培地に分泌される。その後、培地を、例えば遠心分離又は濾過によって、タンパク質分泌細胞から容易に分離することができる。目的のタンパク質は、典型的には、例えばクロマトグラフィーによるさらなる精製を要する。
種々のクロマトグラフィー技術、特に大規模な工業規模の精製方法に使用されるクロマトグラフィーマトリックスは、非常に高価である。これらは一般的に、洗浄後に再使用される。使用される洗浄剤の過酷な性質のために、クロマトグラフィーマトリックスの効率は時間とともに低下する。典型的には、クロマトグラフィーマトリックスは、例えば、それらの完全な最大タンパク質結合容量が活用されないため、当技術分野ではあまり効率的に使用されない。当技術分野では、収率を改善するため、それらの完全容量を下回る目的のタンパク質がロードされるように、クロマトグラフィーマトリックスが使用される。タンパク質マトリックスに目的のタンパク質をその完全容量までロードすると、フロースルーで多くの目的のタンパク質が失われる。クロマトグラフィーマトリックスのコストが高く、寿命が限られているため、当技術分野では、クロマトグラフィーマトリックスを最適に使用する方法が必要である。
大規模な細胞培養方法からの粗タンパク質調製物は、典型的には、単一精製サイクルでは精製できない。精製されるタンパク質の量のため、細胞培養の産物を精製するために同じ精製方法のいくつかのサイクルが必要となる。したがって、精製されるタンパク質混合物は、複数のクロマトグラフィーサイクルも含む複数の精製サイクルでバッチごとに頻繁に精製される。生物製剤の大規模製造方法では、連続方法も実装されている。連続クロマトグラフィーでは、方法要件に応じて、いくつかの同一のカラムが、直列及び/又は並列で運転されることを可能にする配置で接続される。単一カラム又はバッチクロマトグラフィーと比較して、単一クロマトグラフィーサイクルは、ローディング、洗い流し、溶出及び再生などのいくつかの連続したステップに基づき、複数の同一のカラムに基づく連続クロマトグラフィーでは、これらのステップ全てがそれぞれ異なるカラムで同時に行われる。連続的なクロマトグラフィー運転により、クロマトグラフィー樹脂のより良い利用率が得られ、処理時間が短縮され、緩衝液要件が軽減され、これらの全てが方法の経済性に有益である。連続クロマトグラフィーを運転する特定の方法は、擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーと呼ばれる。擬似移動床クロマトグラフィーでは、系を構成する全てのクロマトグラフィーカラムが、試料流れと反対方向に定期的かつ同時に移動する。カラムの移動は、精巧なセットアップを必要とするカラムへの/からの入口及び出口流の適切なリダイレクションによって実現される。したがって、SMB法などの連続クロマトグラフィー方法は、大きな複雑性を伴う。
当技術分野では、単一の大きなクロマトグラフィーカラムではなく、複数の小さなカラムを連続して使用し、より高い結合容量までロードする半連続クロマトグラフィー方法が記載されている。各カラムのフロースルーが、後のカラムに直接ロードされた。あるいは、第1のカラムのフロースルーが、目的のタンパク質との混合物を含む第1の容器に向けられ、次いで、第1のカラムにリロードされた(Mahajan、Georgeら2012)。使用されるカラムは非常に小さな実験室規模のものであり、著者らは、複数のカラムを使用する連続モードクロマトグラフィーが処理時間を短縮できるという利点を提供すると結論付けた。
いくつかのクロマトグラフィーカラムを連続で使用するには、コストを増加させ、部品故障の可能性を増加させ、エラーの検証プロセス及び複雑な診断の複雑性を増させる精巧な流量制御装置及び制御ソフトウェア、ならびに各追加のカラムのためのポンプ、バルブ、検出器及びハウジングを含む追加のクロマトグラフィーハードウェアが必要である。さらに、あるカラムからのフロースルーを隣接する受入カラムのために連続して正しい期間に揃えるために、遅延期間を一致するように導入して、運転速度を低下させなければならない。各追加の受入カラムを、交互に開始及び停止して、これらの期間中非アクティブであるカラムを得なければならないので、運転が停止又は再開されるたびに追加の生産性ペナルティを被る。
したがって、クロマトグラフィーマトリックスの使用を伴う、タンパク質、例えば抗体を精製するための単純で、効率的で、費用対効果の高い方法が必要である。本発明の方法は、この必要性に対処することを意図している。
本発明の方法
本発明の根底にある課題は、本明細書で提供される方法によって解決される。
本発明は、生体分子生成物及び少なくとも1つの不純物を含む供給原料から生体分子生成物を精製するための工業規模の方法であって、
a)生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、供給原料からの供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップと;
b)溶出溶液をクロマトグラフィーマトリックスに適用することによって、クロマトグラフィーマトリックスから溶離液に生体分子生成物を溶出し、
溶離液は:
−精製された生体分子生成物を含む第1の画分;及び
−生体分子生成物と少なくとも1つの不純物の両方を含む第2の画分であって、1つ又は2つ以上の先行する画分及び/又は後続する画分を含む第2の画分
を含み、第1の画分は第2の画分と分離されて回収されるステップと;
c)1つ又は2つ以上の容器に第2の画分を保持するステップと;
d)第2の画分中の生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、1つ又は2つ以上の容器からの第2の画分及び供給原料からの追加の供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードし;追加の供給材料は第2の画分と同時に又は続いてロードされるステップと;
e)溶出溶液をクロマトグラフィーマトリックスに適用することによって、クロマトグラフィーマトリックスから溶離液に生体分子生成物を溶出し、溶離液は精製された生体分子生成物を含むステップと
を含み;
ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(d)及びステップ(e)のクロマトグラフィーマトリックスは同じクロマトグラフィーマトリックスである方法を提供する。
以下で詳細に説明されるように、ステップ(d)は、供給原料からの追加の供給材料を第2の画分と同時に又は続いてクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを含む。
好ましくは、本発明の方法では、ステップ(b)、(c)及び(d)が繰り返される。好ましくは、ステップ(b)、(c)及び(d)は、少なくとも2回、より好ましくは少なくとも3回、例えば少なくとも4回、例えば少なくとも5回、例えば少なくとも10回又はそれ以上実行される。当業者であれば、供給原料の容積、供給原料中の生体分子生成物の純度、供給原料中に存在する不純物の特性等に従って、これらのステップを繰り返す適切な回数を容易に選択することができるだろう。
ステップ(b)、(c)及び(d)が1回繰り返される場合、方法が3つのローディング/溶出サイクル(すなわち、ステップ(a)の第1のロードサイクル;ステップ(b)の第1の溶出サイクル;ステップ(d)の第2のロードサイクル;第2のステップ(b)の第2の溶出サイクル;第2のステップ(d)の第3のロードサイクル及びステップ(e)の第3の溶出サイクル)を含むことが明らかであるだろう。ステップ(b)、(c)及び(d)が2回繰り返される場合、本発明の方法は、4つのローディング/溶出サイクル(すなわち、ステップ(a)の第1のロードサイクル;ステップ(b)の第1の溶出サイクル;ステップ(d)の第2のロードサイクル;第2のステップ(b)の第2の溶出サイクル;第2のステップ(d)の第3のロードサイクル;第3のステップ(b)の第3の溶出サイクル;第3のステップ(d)の第4のロードサイクル及びステップ(e)の第4の溶出サイクル)を含む。換言すると、ステップ(b)、(c)及び(d)がn回繰り返される場合(nは正の整数である)、方法は(n+2)のロード/溶出サイクルを含む。
好ましくは、ステップ(a)及び(b)が複数回繰り返される。したがって、供給原料からの供給材料は、複数の容積でクロマトグラフィーマトリックスに適用され、第1の画分及び第2の画分は、供給材料の各ローディング後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出され得る。回収された第2の画分は、好ましくは一緒にプールされ得る。ステップ(c)は、好ましくは1つ又は2つ以上の容器にプールされた第2の画分を保持することを含む。あるいは、ステップ(a)及び(b)の各繰り返し後に得られる第2の画分は、1つ又は2つ以上の容器に別々に保持され得る。次いで、第2の画分は、第2の画分中の生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、クロマトグラフィーマトリックスに単一容積又は複数の容積のいずれかとしてリロードされ得る。したがって、好ましくは、ステップ(a)及び(b)が複数回繰り返され;各ステップ(b)で回収された第2の画分が一緒にプールされ;ステップ(c)が、1つ又は2つ以上の容器にプールされた第2の画分を保持することを含み;ステップ(d)が、プールされた第2の画分中の生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、1つ又は2つ以上の容器からのプールされた第2の画分をクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを含む。
第2の態様では、目的の化合物を含む混合物から目的の化合物を精製する方法であって、
a)第1の運転クロマトグラフィーサイクルで、第1の容器からの目的の化合物を含む混合物を、化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップと;
b)クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収するステップと;
c)溶離液の1つ又は2つ以上の画分を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードするステップと
を含む方法が提供される。
第2の態様では、好ましくは、ステップc)のリロードすることが、さらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、溶離液の1つ又は2つ以上の画分を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードすることである。したがって、それによると、第2の態様の方法は、
a)第1の運転クロマトグラフィーサイクルで、第1の容器からの目的の化合物を含む混合物を、化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップと;
b)クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収するステップと;
c)さらなるクロマトグラフィーサイクルで、溶離液の1つ又は2つ以上の画分を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードするステップと
を含み得る。
好ましくは、第2の態様では、さらなる運転クロマトグラフィーサイクルが、直後のクロマトグラフィーサイクルである。
あるいは、第2の態様の別の実施形態では、ステップc)のリロードすることが、同じ運転クロマトグラフィーサイクルで、溶離液の1つ又は2つ以上の画分を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードすることである。したがって、それによると、方法は、
a)第1の運転クロマトグラフィーサイクルで、第1の容器からの目的の化合物を含む混合物を、化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップと;
b)クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収するステップと;
c)同じクロマトグラフィーサイクルで、溶離液の1つ又は2つ以上の画分を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックス、すなわち第1の運転クロマトグラフィーサイクルにリロードするステップと
を含み得る。
好ましくは、目的の化合物が、本明細書で定義される生体分子生成物である。
上記の議論から、本発明の方法が、供給原料(すなわち、目的の化合物、すなわち、生体分子生成物を含む混合物)をマトリックスにロードし;マトリックスから生体分子生成物(目的の化合物)を溶出し;精製された生体分子生成物を含む「第1の画分」(すなわち、所望の特性を有する画分)ならびに生体分子生成物及び少なくとも1つの不純物を含む「第2の画分」(すなわち、所望の特性を有さない画分)を回収し;1つ又は2つ以上のこのような第2の画分を同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードすることを含むことが明らかであるだろう。本発明のこれらの態様及び他の態様を以下で詳細に説明する。
保持される画分
上記のように、本発明の方法は、供給原料からの供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードし、マトリックスから目的の化合物、すなわち生体分子生成物を溶出することを含む。したがって、溶離液は、精製された生体分子生成物を含む1つ又は2つ以上の「第1の画分」を含む。溶離液は、生体分子生成物及び少なくとも1つの不純物を含む1つ又は2つ以上の「第2の画分」も含む。
1つ又は2つ以上の第1の画分は、本明細書では「所望の特性を有する画分」、又は「同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされない溶離液の画分」とも呼ばれる。第2の画分は、本明細書では「望ましくない特性を有する画分」、又は「同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の画分」とも呼ばれる。
当業者であれば、容易に本発明の方法のステップ(d)でクロマトグラフィーマトリックスに(リ)ロードされる溶離液の画分を特定し、精製された生体分子生成物を含む画分からこのような画分を区別することができるだろう。任意の適切な手段を使用して、本発明の方法のステップ(d)でクロマトグラフィーマトリックスに(リ)ロードされる溶離液の画分を特定することができる。例えば、(リ)ロードされる画分は、得られた溶離液の体積又は方法の実行時間を決定することによって(すなわち、供給原料の性質ならびに第1及び第2の画分の特性の事前に学習された知識に基づいて)特定することができる。あるいは、(リ)ロードされる画分は、方法の過程で取得された測定値に基づいて特定することができる。例えば、第1の画分は、好ましくは最小濃度の生体分子生成物(目的の化合物)及び/又は最大濃度の生体分子生成物以外の化合物、すなわち不純物を有する。好ましくは、第1の画分は、最小濃度の生体分子生成物(目的の化合物)を有する。
同様に、本発明の方法のステップ(d)でクロマトグラフィーマトリックスに(リ)ロードされる第2の画分は、好ましくは最大濃度の目的の化合物もしくは生体分子生成物及び/又は最小濃度の目的の化合物以外の化合物、すなわち不純物を有する。好ましくは、第2の画分は、最小濃度の目的の化合物以外の化合物(不純物)を有する。
溶離液の1つもしくは複数の画分及び/又はフロースルー(以下参照)中の目的のタンパク質又は任意の他の分子の濃度は、それだけに限らないが、光学吸光度又は蛍光の測定などの当技術分野で知られている任意の技術によって本発明の方法で測定することができる。
目的の化合物、特に目的のタンパク質は、試料中の他のタンパク質不純物によって引き起こされる、バックグラウンド紫外吸光度又は蛍光シグナルの定常レベルを超えた紫外吸光度又は蛍光シグナルの時間経過での増加又は減少を観察することによって、本発明の方法で、試料(例えば、第1の画分、第2の画分及び/又はフロースルー)において決定することができる。
試料(例えば、第1の画分、第2の画分及び/又はフロースルー)中の目的の化合物、特に目的のタンパク質の濃度は、当技術分野で知られている任意の適切な波長、例えば280nmでの紫外吸光度又は蛍光によって、また試料中のタンパク質不純物からの過剰なシグナルが存在する場合には、試料中の目的のタンパク質の検出を可能にするために、好ましくは290nm、300nm又は310nmなどの最適以下励起及び/又は発光波長を使用して、本発明の方法で測定することができる。
試料中の目的の化合物の濃度は、オンライン、アットライン又はオフラインで決定され得る。濃度をオンラインで決定することは、濃度が、例えばクロマトグラフィーマトリックスの出口に接続されている、又は前記試料がリアルタイムで回収される1つもしくは複数の容器にもしくは容器内に配置されている検出器で、本発明の方法で決定されることを意味する。濃度をアットラインで決定することは、クロマトグラフィーマトリックスの出口又は前記試料が回収される1つもしくは複数の容器から採取された標本から濃度が決定されることを意味する。濃度をオフラインで決定することは、クロマトグラフィーマトリックスの出口又は前記試料が回収される1つもしくは複数の容器から採取される標本から濃度が決定され、マトリックスから離れて配置された、すなわち別室の検出器で遅延後に測定されることを意味する。好ましくは、試料の濃度がオンライン又はアットライン、より好ましくはオンラインで決定される。
当業者であれば、試料中の不純物の濃度を、試料中の生体分子生成物の濃度を測定するために使用されるのと同じ方法で測定することができることを認識するであろう。
したがって、当業者であれば、本発明において、1つ又は2つ以上の第1の画分が1つ又は2つ以上の第2の画分と異なることを理解するだろう。第1の画分は、第2の画分とは分離されて回収される。典型的には、第1の画分はクロマトグラフィーマトリックスに(リ)ロードされないが、第2の画分はさらなる精製のためにクロマトグラフィーマトリックスに(リ)ロードされる。第1の画分は精製された生体分子生成物を含み、1つ又は2つ以上の第2の画分は生体分子生成物と少なくとも1つの不純物を含む、すなわち、1つ又は2つ以上の第2の画分は、精製された生体分子生成物を含まない。
本明細書で使用される場合、「精製された」生体分子生成物という用語は、生体分子生成物が100%純粋であることを必ずしも必要としない。精製された生体分子生成物は、許容されるレベル以下の不純物を含有してもよく、このようなレベルは、供給原料中の不純物のレベルよりも低いことを条件とする。精製された生体分子生成物は、不純物を実質的に含まないことができる(例えば画分中の全ての生体分子に対して、例えば重量%により決定すると、例えば、少なくとも50%純粋、例えば少なくとも70%純粋、より好ましくは少なくとも90%純粋、例えば少なくとも95%純粋、少なくとも97%純粋、好ましくは少なくとも98又は99%純粋)。不純物は、生体分子生成物以外の生体分子を含んでもよい、又は修飾もしくは分解された生体分子生成物を含んでもよい。第2の画分中に存在する不純物は、典型的には第1の画分中に存在する又は保持される不純物と異なる。
同様に、上記の第2の態様を特に参照すると、同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分は、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分と異なる。所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分は、同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされない。以下にさらに記載されるように、このようなリロードされない画分が、クロマトグラフィー処理とは異なる方法によってさらに処理される、又は使用準備ができていることは本発明の範囲内である。リロードされない画分の数は、クロマトグラフィー処理の根底にある目的に応じて、当業者によって決定されるだろう。例えば、溶離液の1つ又はいくつかの画分で目的の化合物の一定の含有量又は濃度に達した場合、このような1つ又はいくつかの画分は同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされない。溶離液の1つ又は2つ以上の画分の1つ又はいくつかを同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードするかどうかを決定する別の基準は、例えば不純物などの望ましくない化合物の非存在又は減少した濃度である。
先行する画分及び後続する画分
上記のように、生体分子の粗抽出物は、典型的には生体分子生成物(目的の化合物)と類似のクロマトグラフィーマトリックスへの結合特性を有する不純物を含有している。このような不純物の溶出プロファイルは、典型的には少なくとも部分的に生体分子生成物と重複する。したがって、「先行する画分」は、生体分子生成物(目的の化合物)と生体分子生成物ほど強くなくクロマトグラフィーマトリックスに結合する不純物の両方を含む。「後続する画分」は、生体分子生成物(目的の化合物)と生体分子生成物よりも強くクロマトグラフィーマトリックスに結合する不純物の両方を含む。先行する画分は生体分子生成物(目的の化合物)の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出し;後続する画分は生体分子生成物(目的の化合物)の後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する。先行する画分は「前の画分」とも呼ばれる。後続する画分は「後の画分」とも呼ばれる。
本発明の方法では、第2の画分が、本明細書で定義される1つもしくは複数の先行する画分及び/又は1つもしくは複数の後続する画分を含む。
好ましくは、第2の画分が1つもしくは複数の先行する画分を含む又は1つもしくは複数の先行する画分からなる。換言すれば、第2の態様を特に参照すると、同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、好ましくは所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の少なくとも1つの画分である。本明細書でさらに詳細に記載される所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出するこのような溶離液の1つ又は2つ以上の画分の数を決定することは、当業者の技能の範囲内である。換言すれば、当業者であれば、本発明の方法で使用するための第2の画分に組み込むのに適した先行する画分を容易に特定することができるだろう。第2の画分に組み込むのに適した先行する画分を特定するために使用することができるパラメータには、目的の化合物もしくは生体分子生成物の最小濃度、及び/又は目的の化合物以外の化合物、すなわち不純物の最大濃度が含まれ;これらは上記のように決定することができる。
好ましくは、第2の画分が、好ましくは、第1の画分の直前の先行する画分を含む、又は第1の画分の直前の先行する画分からなる。換言すれば、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分と異なる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、好ましくは所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから直ちに溶出する画分を含む。したがって、第2の画分が、好ましくは第1の画分に直接隣接し、第1の画分の直前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する画分を含む又はからなる。このような溶離液の画分を含めることによって、目的の化合物の精製及び/又は濃縮が特に増加する。例えば、第1の画分の直前の先行する画分は、典型的には第1の画分にさらに先行する先行する画分よりも高濃度の目的化合物/生体分子生成物を含有する。このような先行する画分を保持することによって、方法の全体的な精製収率が増加する。
好ましくは、第2の画分が、後続する画分を含む、又は後続する画分からなる。換言すれば、第2の態様を特に参照すると、同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、好ましくは所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の少なくとも1つの画分である。第2の画分が先行する画分(上記)を含む又はからなる場合のように、当業者であれば、本発明の方法で使用するための第2の画分に組み込むのに適した後続する画分を容易に特定することができるだろう。第2の画分に組み込むのに適した後続する画分を特定するために使用することができるパラメータには、目的の化合物もしくは生体分子生成物の最小濃度、及び/又は目的の化合物以外の化合物、すなわち不純物の最大濃度が含まれ;これらは上記のように決定することができる。
好ましくは、第2の部分が、第1の画分の直後の後続する画分を含む、又は第1の画分の直後の後続する画分からなる。換言すれば、所望の特性を有する1つ又は2つ以上の画分と異なる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、好ましくは所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから直ちに溶出する画分を含む。したがって、第2の画分が、好ましくは第1の画分に直接隣接し、第1の画分の直後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する画分を含む又はからなる。所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の直前に溶出する溶離液の画分をリロードする場合のように、このような溶離液の画分を含めることによって、目的の化合物の精製及び/又は濃縮が特異的に増加する。例えば、第1の画分の直後の後続する画分は、典型的には第1の画分にさらに続く後続する画分よりも高濃度の目的化合物/生体分子生成物を含有する。このような後続する画分を保持することによって、方法の全体的な精製収率が増加する。
好ましくは、第2の画分が、第1の画分の直前の先行する画分と第1の画分の直後の後続する画分の両方を含む又はからなる。換言すれば、第2の態様を特に参照すると、所望の特性を有する1つ又は2つ以上の画分と異なる溶離液の1つ又は2つ以上の画分、したがって同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる1つ又は2つ以上の画分が、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから直ちに溶出する画分及び所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから直ちに溶出する画分を含む。したがって、第2の画分が、好ましくは第1の画分に直接隣接し、第1の画分の直前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する画分及び第1の画分に直接隣接し、第1の画分の直後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する画分を含む又はからなる。
先行する画分と後続する画分の両方を含めることによって、方法の全体的な精製収率が増加し、本発明の方法で使用される機器を簡素化することも可能になり得る。例えば、第2の画分を保持するために使用される貯蔵容器の数を減らすことができるので、必要とされる供給ライン及び必要なバルブ位置の数を減らすことができる。さらなる利点は、先行する画分及び後続する画分をクロマトグラフィーマトリックスに均質にロードできることであり、これは、例えば溶出時間などの処理パラメータを容易に予測することを可能にするので有益である。
したがって、好ましくは、本発明の方法では、第2の画分が、第1の画分の直前の先行する画分及び/又は第1の画分の直後の後続する画分を含む又はからなる。好ましくは、先行する画分及び後続する画分が、クロマトグラフィーマトリックスに別々にリロードされる、又は合わせられ、同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。
同様に、上記の第2の態様を特に参照すると、好ましくは
i)同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分と異なる;
ii)クロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する;及び/又は
クロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する;
ならびに任意に、
iii)所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出するクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分;及び所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出するクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、
i)同じクロマトグラフィーマトリックスに別々にリロードされる;又は
ii)合わせられ、同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。
複数の画分
上記のように、本発明の方法は、供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードし、マトリックスから標的生体分子(目的の化合物)を溶出することを含む。精製された生体分子生成物を含む(したがって本明細書で定義される所望の特性を有する)第1の画分に加えて、溶離液はまた、少なくとも1つの不純物を含む(したがって本明細書で定義される望ましくない特性を有する)第2の画分も含む。本発明の方法は、1つ又は2つ以上のこのような第2の画分を生じさせることができる。以下により詳細に記載されるように、複数の第2の画分は、本発明の方法の単一サイクルから複数の第2の画分を回収すること、又は本発明の方法の複数のサイクルを実行し、各サイクルで単一もしくは複数の第2の画分を回収することを含む種々の方法で生じ得る。
好ましくは、本発明の方法では、2つ以上の第2の画分が回収され得る。このような状況では、回収された複数の第2の画分が、クロマトグラフィーマトリックスに個別に(リ)ロードされ得る;又は合わせられ(「一緒にプールされ」)、合わせた画分としてクロマトグラフィーマトリックスにリロードされ得る。換言すれば、溶離液の1つ又は2つ以上の画分が溶離液の2つ以上の画分である場合、溶離液の2つ以上の画分が同じクロマトグラフィーマトリックスに個別にリロードされる。あるいは、溶離液の2つ以上の画分が合わせられ、合わせた画分として同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされ得る。
本発明の方法は、種々の方法で複数の第2の画分を生じさせることができる。例えば、生体分子生成物を含む供給原料(すなわち、目的の化合物を含む混合物)は、複数の部分でクロマトグラフィーマトリックスにロードされ、各部分が第1の画分及び第2の画分を生じさせる。このような状況では、回収される第2の画分が、クロマトグラフィーマトリックスに個別に(リ)ロードされ得る。あるいは、第2の画分が一緒にプールされ;第2の画分中の生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、プールされた第2の画分がクロマトグラフィーマトリックスにロードされ得る。
別の例は、先行する画分を含む第2の画分が、後続する画分を含む第2の画分と分離されて回収される。したがって、先行する画分を含む第2の画分及び後続する画分を含む第2の画分が、クロマトグラフィーマトリックスに個別に(リ)ロードされ得る。あるいは、第2の画分が一緒にプールされ;プールされた第2の画分中の生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、プールされた第2の画分がクロマトグラフィーマトリックスにロードされ得る。
保持段階
本発明の方法では、供給原料からの供給材料がクロマトグラフィーカラムにロードされ、第1及び第2の画分が溶出されると、1つ又は2つ以上の第2の画分が、クロマトグラフィーマトリックスにリロードされる前に1つ又は2つ以上の容器に保持される。この保持段階は、特許請求される方法のステップ(c)に対応する。
保持時間は、方法に応じて制御することができる。好ましくは、保持時間が少なくとも5分であり、より好ましくは少なくとも30分、例えば少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間である。少なくとも5時間、10時間、24時間、1日、2日、7日、14日、1か月、2か月、6か月又は1年の保持時間などのより長い保持時間も適している。
したがって、本発明では、ステップ(c)が、好ましくは1つ又は2つ以上の第2の画分を少なくとも5分間保持することを含む。ステップ(c)は、好ましくは1つ又は2つ以上の第2の画分を一晩保持することを含み得る。
本発明の方法における保持ステップの利点は、必要に応じてクロマトグラフィー装置又は画分に修正を加えることができることである。例えば、以下でさらに記載されるように、クロマトグラフィーマトリックスから溶出した画分を、カラムにリロードする前にさらに処理することができる。あるいは、保持時間中にクロマトグラフィーマトリックスを交換、洗浄又は更新することができる。保持時間を長くすると、オペレーターの利便性の改善の点からも有利となり得る。例えば、保留時間を終夜又は週末にわたって実行するようにスケジュールできるので、オペレーターが反社会的時間に働く必要性がなくなり得る。保持ステップの別の利点は、クロマトグラフィーマトリックスから溶出した1つ又は2つ以上の画分(特に、1つ又は2つ以上の第2の画分)を、保持ステップ中に本明細書に記載されているように試験することができることである。
処理
本発明の方法では、クロマトグラフィーマトリックスにリロードされる1つ又は2つ以上の第2の画分が、クロマトグラフィーマトリックスによる生体分子の結合を促進するために処理され得る。1つ又は2つ以上の第2の画分は、好ましくはクロマトグラフィーマトリックスによる生体分子の結合を促進するために、クロマトグラフィーマトリックスへのリロードの前又は間に処理される。ただし、1つ又は2つ以上の第2の画分が、クロマトグラフィーマトリックスからの溶出中に処理されてもよい。したがって、本発明の特許請求される方法では、処理が、好ましくは方法のステップ(b)及び/又はステップ(c)及び/又はステップ(d)の間、好ましくはステップ(c)及び/又はステップ(d)の間;最も好ましくは方法のステップ(c)の間に行われる。
本発明の方法では、1つ又は2つ以上の第2の画分の処理が、好ましくは1つ又は2つ以上の第2の画分(すなわち、上記方法の第2の態様を参照すると、リロードの前又は間に処理される溶離液の1つ又は2つ以上の画分)のpH、イオン強度、濃度、温度及び/又は溶媒を変更することを含む。処理は、混合及び/又は脱気も含み得る。処理は、かき混ぜ又は攪拌も含み得る。本明細書に記載される試料を処理するのに適した技術は、当技術分野で知られている。例えば、試料のpHの変更は、酸又は塩基の添加を含み得る。イオン強度の変更は、塩などのイオン性物質の添加もしくは封鎖によって、又は希釈(例えば、水もしくは緩衝液)によって達成され得る。濃度の変更は、試料の濃縮(例えば、真空フィルタアセンブリの使用)又は希釈(例えば、水もしくは緩衝液)によって達成され得る。温度の変更は、従来の機器を使用して加熱又は冷却することによって達成され得る。試料の溶媒の変更は、緩衝液又は溶媒交換、例えばダイアフィルトレーションによって達成され得る。
本発明の方法は、有益には、1つ又は2つ以上の第2の画分を試験することを含み得る。好ましくは、このような試験は、非破壊試験、好ましくは本明細書に記載されるインライン試験である。以下により詳細に記載されるように、1つ又は2つ以上の第2の画分を試験することは、好ましくは1つ又は2つ以上の第2の画分の生体分子生成物の濃度;不純物の濃度;不純物の正体;pH;イオン強度;温度;溶媒;及び/又はガス濃度の1つ又は2つ以上を決定することを含む。
溶離液の画分(すなわち、1つ又は2つ以上の第2の画分)を有効に処理するために、典型的には、目的の化合物のクロマトグラフィーマトリックスへの結合に影響を及ぼすこのような画分の特性を最初に決定することが必要である。例えば、試料のpHを変更する前に、典型的には試料のpHを決定することが必要である。同様に、試料のイオン強度、濃度及び/又は温度を変更する前に、典型的には試料のイオン強度、濃度及び/又は温度をそれぞれ決定することが必要である。前記特性を決定する方法は、当業者に知られている。
前記特性を決定するステップと画分を処理するステップは、互いに直に連結していてもよい、すなわち、処理された画分に含有される目的の化合物が、適用時にクロマトグラフィーマトリックスに結合し得るように、特性が決定され、決定直後に前記特性の1つ又は2つ以上が変更される。あるいは、前記特性を決定するステップと処理するステップが、互いに分離されていてもよい。このような分離は、時間の分離であってもよい、すなわち、前記特性の決定と溶離液の1つ又は2つ以上の画分の処理との間に時間ギャップが存在する、すなわち、特性が決定され、一定期間の経過後にのみ、処理された画分に含有される目的の化合物が適用時にクロマトグラフィーマトリックスに結合し得るように、前記特性の1つ又は2つ以上が変更される。典型的には、このような時間ギャップが、少なくとも30分、1時間、2時間、5時間、10時間、24時間、1日、2日、7日、14日、1か月、2か月、6か月又は1年である。2日を超えない、より好ましくは24時間を超えない、例えば10時間を超えない、例えば5時間を超えない、例えば2時間を超えない、より好ましくは1時間を超えない、例えば30分を超えない時間ギャップなどの短い時間ギャップが、目的の化合物(すなわち、生体分子生成物)の分解及び/又は汚染の可能性を最小化することができるために有益となり得る。複数のバッチのタンパク質を精製しなければならない場合、2日を超える時間ギャップ、例えば少なくとも7日、例えば少なくとも14日、1か月、2か月、6か月又は1年又はそれ以上の時間ギャップなどの長い時間ギャップが有益となり得る;典型的には、このような場合、溶離液の画分(すなわち、第2の画分)を遅延期間にわたって凍結して、分解及び/又は汚染の可能性を最小化する。
溶離液の1つ又は2つ以上の画分(すなわち、第2の画分)の特性は、オンライン、アットライン又はオフラインで決定され得る。前記特性をオンラインで決定することは、好ましくは、前記特性が、例えばクロマトグラフィーマトリックスの出口に接続されている、又は前記溶離液の1つもしくは複数の画分がリアルタイムで回収される1つもしくは複数の容器にもしくは容器内に配置されている検出器で、本発明による方法で決定されることを意味する。前記特性をアットラインで決定することは、好ましくは、前記特性が、クロマトグラフィーマトリックスの出口、又は前記溶離液の1つもしくは複数の画分が回収される1つもしくは複数の容器から採取される試料で決定されることを意味する。前記特性をオフラインで決定することは、好ましくは、前記特性が、クロマトグラフィーマトリックスの出口又は前記溶離液の1つもしくは複数の画分が回収される1つもしくは複数の容器から採取される試料で決定され、マトリックスから離れて配置された、すなわち別室の検出器で遅延後に測定されることを意味する。好ましくは、画分の特性がオンライン又はアットライン、より好ましくはオンラインで決定される。
追加の供給原料
本発明では、第2の画分が、供給原料からの追加の供給材料(すなわち、目的の化合物を含む追加の混合物)と共にクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。追加の供給材料は、第2の画分と同時に又は続いてロードされる。得られる混合物がクロマトグラフィーマトリックスにロードされる前に、追加の供給材料を、1つ又は2つ以上の容器に保持された1つ又は2つ以上の第2の画分に添加することができる。あるいは、1つ又は2つ以上の容器からの1つ又は2つ以上の第2の画分のローディングの前、間又は後に、追加の供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードすることができる。
したがって、ステップ(d)は、供給原料からの追加の供給材料を第2の画分と同時に又は続いてクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを含む。換言すれば、上記の第2の態様を特に参照すると、溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、目的の化合物を含む混合物、又は少なくとも前記混合物の一部と一緒に同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。溶離液の画分と一緒にクロマトグラフィーマトリックスにロードされる目的の化合物を含む混合物は、好ましくは本発明の方法の運転クロマトグラフィーサイクルを受けていない。しかしながら、このような混合物が既に何らかの形の下流処理を受けていることは本発明の範囲内である。
本発明では、ステップ(d)が、供給原料からの追加の供給材料を第2の画分と同時に又は続いてクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを含む。第2の画分が、好ましくは供給材料とリロードする前又は間に処理される。換言すれば、上記の第2の態様を特に参照すると、本発明では、溶離液の画分が、目的の化合物を含む混合物の全部又は一部と一緒にクロマトグラフィーマトリックスにリロードされ、好ましくは目的の化合物を含む混合物と合わせられた溶離液の1つ又は2つ以上の画分中に含有される目的の化合物がリローディング時にクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、目的の化合物を含む混合物と合わせられた溶離液の1つ又は2つ以上の画分がリローディングの前又は間に処理される。
1つ又は2つ以上の第2の画分と供給原料からの追加の供給材料の組み合わせ(すなわち、溶離液の1つ又は2つ以上の画分と目的の化合物を含む混合物の組み合わせ)は、本明細書では合わせたロードとも呼ばれる。合わせたロードのこのような処理に関しては、上記の溶離液の1つ又は2つ以上の画分の処理に関連して本明細書で概説したのと同じことが当てはまる。
供給材料のローディング
本発明の上記の説明から明らかなように、本発明の方法は、生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックス結合するように、供給原料(すなわち、生体分子生成物、すなわち目的の化合物を含む混合物)からの供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを含む。
本発明は、除外されるわけではないが、供給原料全体が1つの容積でクロマトグラフィーマトリックスにロードされることを必要としない。したがって、本発明は、供給原料全体を1つの容積でクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを含み得る。しかしながら、より好ましくは、供給原料の総容積の一部(すなわち、供給原料からの供給材料)がクロマトグラフィーマトリックスにロードされ、本発明の方法が実施される。次いで、本明細書に記載される本発明に従って、追加の供給材料がクロマトグラフィーマトリックスにロードされ得る。例えば、上で説明されるように、方法のステップ(d)は、供給原料からの追加の供給材料を第2の画分と同時に又は続いてクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを含む。
換言すれば、上記の第2の態様を特に参照すると、目的の化合物を含む混合物の第1の容積が、好ましくは第1の運転クロマトグラフィーサイクルで、第1の容器から目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードされる。したがって、このような実施形態では、本発明の方法に供される目的の化合物を含む混合物全体が、第1の運転クロマトグラフィーサイクルでクロマトグラフィーマトリックスにロードされるわけではない。
好ましくは、本発明では、供給原料が、所望のローディングに達するまでクロマトグラフィーマトリックスにロードされる。例えば、供給原料は、好ましくは、クロマトグラフィーマトリックスの静的結合容量の40〜100%、例えば50%又は60%〜90%、例えば70%〜80%に達するまで、クロマトグラフィーマトリックスにロードされ得る。換言すれば、第1の容器からの目的の化合物を含む混合物を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードする場合、ローディングが、典型的には、クロマトグラフィーマトリックスの静的結合容量の40〜100%、50〜100%、60〜100%、70〜100%、80〜100%、90〜100%、70〜90%又は70〜80%、60〜90%、60〜80%に達するまで、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するようなものである。マトリックスの静的結合容量の100%未満のロードまで供給原料をクロマトグラフィーマトリックスにロードすることは、例えば、標的生体分子と不純物の分離の増加が望まれる用途でしばしば有利となり得る。
フロースルー
当業者が理解するように、生体分子生成物を含む供給原料をクロマトグラフィーマトリックスにロードする場合、供給材料中の生体分子生成物の総量の全部又は一部のみがクロマトグラフィーマトリックスに結合し得る。クロマトグラフィーマトリックスに結合しない過剰な生体分子生成物(目的の化合物)は、マトリックスによって捕捉されないままであり、フロースルーとしてクロマトグラフィーマトリックスから回収され得る。これは、マトリックスの静的結合容量を超えるように、過剰な供給材料がクロマトグラフィーマトリックスにロードされると生じ得る。
フロースルーは、存在する場合、状況によっては高レベルの生体分子生成物(目的の化合物)を含む場合があり、したがって、精製のために有用に回収され得る。マトリックスの静的結合容量を超えるように、供給原料からの過剰な供給材料がクロマトグラフィーマトリックスに添加された場合、例えばマトリックスの静的結合容量を少なくとも10%、例えば少なくとも20%、例えば少なくとも50%超えた場合、例えばマトリックスの静的結合容量を少なくとも100%又はそれ以上超え得る場合に、フロースルーが生じ得る。過剰なロードを、本発明の方法で意図的に適用して、例えば精製速度を最大化することができる。したがって、特許請求される方法のステップ(a)は、クロマトグラフィーマトリックスの動的結合容量を超えるように、供給原料からの供給材料をクロマトグラフィーマトリックスにロードし、未結合の生体分子生成物を含有するフロースルーを回収することを含み得る。このようにして回収されたフロースルーは、例えば方法のさらなるサイクルで、あるいは方法のステップ(d)で溶離液の第2の画分及び/又は供給原料からの追加の供給材料と一緒に、クロマトグラフィーマトリックスにリロードされ得る。
フロースルーの潜在的な価値が高いということは、目的の化合物(生体分子生成物)を得るための回収及び精製が望ましいことを意味する。
したがって、本発明の特許請求される方法のステップ(a)は、好ましくはクロマトグラフィーマトリックスに結合しない未結合の生体分子生成物を含有するフロースルーを回収することをさらに含み;ステップ(d)は、好ましくはフロースルーを1つもしくは複数の第2の画分及び/又は追加の供給材料と同時に又は続いてクロマトグラフィーマトリックスにロードすることをさらに含む。ステップ(d)は、フロースルーの全部又は一部のみをロードすることを含み得る。フロースルーの一部のみがステップ(d)でロードされる場合、フロースルーの残りは、好ましくは保持され、その後、例えば供給原料からの追加の供給材料と一緒に、クロマトグラフィーマトリックスにロードされる。フロースルーは、好ましくは以下で論じられるように保持時間の間、1つ又は2つ以上の容器に保持される。1つ又は2つ以上の容器は、1つ又は2つ以上の第2の画分を保持するために使用されるのと同じ1つ又は2つ以上の容器であり得る。あるいは、フロースルーを保持するために使用される1つ又は2つ以上の容器が、1つ又は2つ以上の第2の画分を保持するために使用される1つ又は2つ以上の容器と別であってもよい。フロースルーは、好ましくは生体分子生成物のクロマトグラフィーマトリックスへの結合を促進するように処理され得る。1つ又は2つ以上の第2の画分について上記の処理ステップのいずれかなどの、任意の適切な処理ステップを使用することができる。
フロースルーは、1つ又は2つ以上の第2の画分と同時に又は続いてクロマトグラフィーマトリックスにロードされ得るが、フロースルーが、代わりに1つ又は2つ以上の第2の画分と別にクロマトグラフィーマトリックスにリロードされてもよい。例えば、フロースルーを、供給原料からの追加の供給材料と同時に又は続いて(すなわち、方法のステップ(a)で)クロマトグラフィーマトリックスにロードすることができる。
方法のステップ(d)又はステップ(a)にかかわらず、フロースルーがクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる場合、クロマトグラフィーマトリックスが、好ましくはクロマトグラフィーマトリックスの静的結合容量の40〜100%、例えば50%又は60%〜90%、例えば70%〜80%に達するまでロードされる。これにより、生体分子生成物が、クロマトグラフィーマトリックスによって結合されることなくマトリックスを繰り返し通過する可能性が低くなる。
したがって、上に論じられる第2の態様の方法を特に参照すると、このような方法は、好ましくは、クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収する前に、
ab)未結合の目的の化合物を含有するフロースルーを第2の容器に回収するステップと;
ac)さらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、第2の容器からのフロースルーを、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードするステップと
を含む。
このような方法はまた、好ましくはクロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収する前に、
ab)未結合の目的の化合物を含有するフロースルーを第2の容器に回収するステップと;
ac)第2の容器からのフロースルーを同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードし、さらに新たなロード混合物を目的のタンパク質がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるさらなる運転クロマトグラフィーサイクルでロードするステップと
を含み得る。
新たなロード混合物は、供給原料からの供給材料の第2の容積であり得る。したがって、本方法は、好ましくは、第2の容器からのフロースルーをリロードし、第1の容器からの目的の化合物の第2の容積を、目的のタンパク質がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるさらなる運転クロマトグラフィーサイクルで同じクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップを含む。このような目的の化合物の第2の容積が、目的の化合物を含む混合物の第2の容積であることは本発明の範囲内である。
好ましくは、第2の容器からのフロースルーをリロードするステップでは、クロマトグラフィーマトリックスが、クロマトグラフィーマトリックスの静的結合容量の40〜100%、50〜100%、60〜100%、70〜100%、80〜100%、90〜100%、70〜90%又は70〜80%、60〜90%、60〜80%に達するまで運転される。好ましくは、クロマトグラフィーマトリックスの静的結合容量の40〜100%、例えば50%又は60%〜90%、例えば70%〜80%に達してもよい。
好ましくは、上に論じられる第2の態様の方法を特に参照すると、第2の容器に回収されるフロースルー及び溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、運転クロマトグラフィーサイクルで別々にリロードされる。フロースルーの一部のみ、すなわちフロースルーの容積の一部及び/又は溶離液の1つもしくは複数の画分の一部のみ、すなわち溶離液の1つ又は2つ以上の画分の容積の一部のみが運転クロマトグラフィーサイクルで別々にリロードされることは本発明の範囲内である。好ましくは、第2の容器に回収されるフロースルー及び1つ又は2つ以上の画分が、同じ運転クロマトグラフィーサイクル、好ましくは第1の運転クロマトグラフィーサイクルの直後のクロマトグラフィーサイクルで別々にリロードされる。
あるいは、第2の容器に回収されるフロースルー及び1つ又は2つ以上の画分が、好ましくは異なる運転クロマトグラフィーサイクルで別々にリロードされてもよい。溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、第2の容器に回収されるフロースルーの前に同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされることは本発明の範囲内である。しかしながら、第2の容器に回収されるフロースルーが、溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前に同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされることも本発明の範囲内である。
代替実施形態では、フロースルー及び溶離液の1つ又は2つ以上の画分が合わせられ、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスに組み合わせとしてリロードされ得る。前記組み合わせが、溶離液の1つ又は2つ以上の画分の処理に関連して本明細書に開示されるように処理されることは本発明の範囲内である。
したがって、本発明の第2の態様では、目的の化合物を含む混合物の第1の容積が、好ましくは第1の運転クロマトグラフィーサイクルで、第1の容器からクロマトグラフィーマトリックスの動的結合容量を超えるように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードされ得、本方法が、クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収する前に、
ab)未結合の目的の化合物を含有するフロースルーを第2の容器に回収するステップと;
ac)さらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、第2の容器からのフロースルーをリロードし、第1の容器からの目的の化合物の第2の容積を、クロマトグラフィーマトリックスの動的結合容量を超えるように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップと
を含む。
このような目的の化合物の第2の容積が、目的の化合物を含む混合物の第2の容積であることは本発明の範囲内である。
好ましくは、目的の化合物を含む混合物の第1の容積を、第1の運転クロマトグラフィーサイクルで、第1の容器からクロマトグラフィーマトリックスの動的結合容量を超えるように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップでは、最大静的結合容量の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%に達すると、目的のタンパク質のローディングが停止される。
好ましくは、本発明の方法では、フロースルーの回収が、フロースルー中の生体分子生成物(目的のタンパク質)の所定の第1の濃度で開始され、フロースルー中の生体分子生成物(目的のタンパク質)の所定の第2の濃度で停止される。フロースルー中の生体分子生成物(目的のタンパク質)の回収は、好ましくはフロースルー中の目的のタンパク質の濃度0.05mg/ml、0.1mg/ml又は0.2mg/mlで開始され、及び/又はフロースルー中の目的のタンパク質の濃度0.6mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml又は5mg/mlで停止される。好ましくは、例えばフロースルーの50%、40%、30%、20%、10%又は5%などのフロースルーの所定の画分が第2の容器に回収される。
好ましくは、一実施形態では、(例えば、第2の容器に)回収されたフロースルーが、例えばさらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、クロマトグラフィーマトリックス上にリロードされる前又は間に処理されない。好ましくは、(例えば、第2の容器に)回収されたフロースルーが、クロマトグラフィーサイクルの完了後、次の運転クロマトグラフィーサイクルでクロマトグラフィーマトリックスに直接リロードされる。好ましくは、別の実施形態では、(例えば、第2の容器に)回収されたフロースルーが、例えばさらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、クロマトグラフィーマトリックス上にリロードされる前又は間に処理される。処理は、例えば、かき混ぜもしくは攪拌、希釈(例えば、水もしくは緩衝液)、濃度調整(例えば、真空フィルタアセンブリを使用)、pH調整、導電率調整、緩衝液もしくは溶媒交換、冷却もしくは加熱又はこれらの任意の組み合わせであり得る。処理は、第2の画分について前記の通りであり得る。
好ましくは、(例えば、第2の容器内に)回収された複数の別個の運転クロマトグラフィーサイクル(すなわち、本発明の方法のいくつかのサイクル)からのフロースルーがプールされ、別のサイクルで同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11以上の運転クロマトグラフィーサイクルからのフロースルーが(例えば、単一第2容器に又は第2、第3、第4もしくはさらなる容器に)回収され、例えばさらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、クロマトグラフィーマトリックスにリロードされ得る。
好ましくは、本発明の方法の一実施形態では、回収されたフロースルーが、目的のタンパク質を含有する第1の容器からの混合物の新たなバッチがクロマトグラフィーマトリックスにロードされる前に、その後の運転クロマトグラフィーサイクルで(例えば、第2の容器から)クロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。目的の化合物、好ましくは目的のタンパク質を含有する第1の容器からの混合物の前にその後のクロマトグラフィーサイクルでフロースルーをリロードすることによって、再利用された目的の化合物、好ましくは目的のタンパク質の完全な結合が、これを2回のサイクルのみで確実に捕捉する空のカラムによって可能になる。あるいは、別の実施形態では、回収されたフロースルーが、好ましくは目的の化合物、好ましくは目的のタンパク質を含有する第1の容器からの混合物の新たなバッチがクロマトグラフィーマトリックスにロードされた後に又はこれと一緒に、その後の運転クロマトグラフィーサイクルで第2の容器からクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる。換言すれば、フロースルーが、供給原料からの追加の供給材料と別に、又は供給原料からの追加の供給材料と一緒に、クロマトグラフィーマトリックスにロードされ得る。
好ましくは、第2の容器に回収されたフロースルーが、少なくとも30分、1時間、2時間、5時間、10時間、24時間、1日、2日、7日、14日、1か月、2か月、6か月又は1年間貯蔵される。2日を超えない、より好ましくは24時間を超えない、例えば10時間を超えない、例えば5時間を超えない、例えば2時間を超えない、より好ましくは1時間を超えない、例えば30分を超えない保持時間などの短い貯蔵期間(保持時間)が、フロースルー中の生体分子生成物(すなわち、目的の化合物)の分解及び/又は汚染の可能性を最小化することができるために有益となり得る。複数のバッチのフロースルーを精製しなければならない場合、2日を超える保持時間、例えば少なくとも7日、例えば少なくとも14日、1か月、2か月、6か月又は1年又はそれ以上の保持時間などの長い保持時間が有益となり得る;典型的には、このような場合、フロースルーを保持時間にわたって凍結して、分解及び/又は汚染の可能性を最小化する。
供給原料
本明細書に記載される場合、生体分子生成物(すなわち、目的の化合物)を含む混合物は、供給原料としても知られる。本発明の方法では、供給原料からの供給材料がクロマトグラフィーマトリックスにロードされる。
好ましくは、一実施形態では、供給原料(混合物)が、生体分子生成物(すなわち、目的の化合物、好ましくは目的のタンパク質);及び原核生物、例えば細菌、宿主細胞汚染物質、例えば宿主細胞タンパク質、核酸又は脂質を含む。好ましくは、別の実施形態では、供給原料(混合物)が、生体分子生成物(目的の化合物、好ましくは目的のタンパク質)及び真核生物、例えば哺乳動物、宿主細胞汚染物質、例えば宿主細胞タンパク質、核酸又は脂質を含む。
好ましくは、本発明では、供給原料(すなわち、目的の化合物を含む混合物)が、少なくとも20リットル、例えば少なくとも50リットル、例えば少なくとも60L、例えば少なくとも80L、より好ましくは少なくとも100リットル、例えば少なくとも500リットル、例えば少なくとも1000L又はそれ以上、例えば少なくとも5000L、例えば少なくとも10000L、例えば最大少なくとも50,000L、100,000L又はそれ以上の容積を有する。したがって、混合物/供給原料は、好ましくは1,000L超、例えば1000L〜50,000L又は100,000L、好ましくは5,000L〜20,000L、例えば約10,000Lの容積を有し得る。2L〜100L、例えば20L〜50Lというより小さい容積も使用され得る。
好ましくは、生体分子生成物(すなわち、目的の化合物)が、タンパク質、抗体、抗体断片、核酸分子(すなわち、ポリヌクレオチド)、ポリペプチド及び小分子を含む群から選択され、例えば、目的の化合物(すなわち、生体分子生成物)が、好ましくはタンパク質、抗体、抗体断片、ポリヌクレオチド及びポリペプチドを含む群から選択される。好ましくは、生体分子生成物(すなわち、目的の化合物)がタンパク質、抗体、抗体断片、核酸分子及び小分子を含む群から選択される。好ましくは、生成生体分子(すなわち、目的の化合物)がタンパク質である。好ましくは、生成生体分子(すなわち、目的の化合物)が抗体又は抗体断片である。
クロマトグラフィーマトリックス
多くのクロマトグラフィー技術が当技術分野で知られており、本発明の方法と適合性である。
現在のほとんど全ての工業用抗体精製プラットフォームはプロテインAを使用している。プロテインAは、哺乳動物免疫グロブリンのFc部分に結合する細菌黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)の細胞壁に見られる細胞表面タンパク質である。プロテインAは、ヒトIgG及びIgGに対する高い親和性を有し、ヒトIgM、IgA及びIgE抗体に対する中程度の親和性を有する。結果として、プロテインA精製は、Fc部分を欠く抗体断片にはあまり適していない。しかしながら、プロテインAクロマトグラフィーはいくつかの抗体(特に、Fc部分を有するもの)によく適しており、本発明の方法と適合性である。アフィニティークロマトグラフィーは、目的のタンパク質(又はタンパク質群)とクロマトグラフィーマトリックスに結合した特異的リガンドとの間の可逆的相互作用に基づいてタンパク質を分離する。目的のタンパク質とクロマトグラフィーマトリックスに結合したリガンドとの間の相互作用は、静電気もしくは疎水性相互作用、ファンデルワールス力及び/又は水素結合の結果であり得る。親和性媒体から標的分子を溶出するために、競合リガンドを使用して特異的に、又はpH、イオン強度もしくは極性を変化させることによって非特異的に、相互作用を逆転させることができる。アフィニティー精製は、クロマトグラフィーマトリックスに共有結合することができるリガンドを必要とする。結合したリガンドは、標的分子に対する特異的結合親和性を保持しなければならず、未結合の材料を洗い流した後、リガンドと標的分子との間の結合は、標的分子を活性型で除去できるよう可逆的でなければならない。その一般的な使用にもかかわらず、アフィニティークロマトグラフィーは、特に治療用タンパク質を精製するために必要な工業規模で高価である。本発明の方法は、アフィニティークロマトグラフィーと適合性であり、方法の効率を最大化することを意図しているので、少なくとも部分的に関連する高コストに対処する。
イオン交換クロマトグラフィーを使用して、イオン化可能な分子を精製することができる。イオン化分子は、帯電基と、固相とより強力に相互作用するイオン化分子を遅らせる固相支持マトリックスに結合した反対に帯電した分子の非特異的静電相互作用に基づいて分離される。各タイプのイオン化分子の正味電荷とマトリックスに対する親和性は、帯電基の数、各基の電荷、及び帯電固相マトリックスとの相互作用について競合する分子の性質によって異なる。これらの違いにより、イオン交換クロマトグラフィーによって種々の分子タイプが分離される。固相に結合している分子の溶出は、一般に、緩衝液のイオン強度(すなわち、導電率)を増加させて、イオン交換マトリックスの帯電部位について溶質と競合することによって達成される。pHを変化させ、それによって溶質の電荷を変更することが、溶質の溶出を達成する別の方法である。導電率又はpHの変化は、漸進的(勾配溶出)又は段階的(段階溶出)であり得る。相互作用の2つの一般的なタイプが知られている:正に帯電した表面と相互作用する負に帯電したアミノ酸側鎖(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)によって媒介される陰イオン交換クロマトグラフィー、及び負に帯電した表面と相互作用する正に帯電したアミノ酸残基(例えば、リジン及びアルギニン)によって媒介される陽イオン交換クロマトグラフィー。陰イオン交換体は、弱又は強として分類することができる。弱陰イオン交換体の電荷基は弱塩基であり、高pHで脱プロトン化されるため、電荷を失う。ジエチルアミノエチル(DEAE)セルロースが弱陰イオン交換体の例であり、アミノ基がpH約9未満で正に帯電し、pH値が高くなると徐々にその電荷を失う。DEAE又はジエチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチル(QAE)は、例えば、対イオンとしての塩化物イオンを有する。
溶出緩衝液のイオン強度の増加による溶出(溶出クロマトグラフィー)の代替法は、結合タンパク質よりも固定相に対する動的親和性が高い分子を使用した溶出である。このイオン交換クロマトグラフィーを実行するモードは、置換クロマトグラフィーと呼ばれる。置換クロマトグラフィーは、溶質が移動相調整剤で脱着せず、移動速度の違いによって分離されるという点で、他のクロマトグラフィーのモードとは根本的に異なる。置換では、供給流の成分よりも固定相に対する親和性が高い置換剤分子の進行する衝撃波によって、分子がクロマトグラフィーカラムを下に移動させられる。この強制移動によって、他の運転モードと比較して生成物の濃度及び純度が高くなる。保持率が高く、引き続いて置換剤溶液がカラムに絶えず注入される。
当技術分野で知られているこれら及び他のクロマトグラフィー技術は、本発明の方法と適合性である。上記の議論から明らかなように、本発明の方法は、生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、生体分子生成物(目的のタンパク質)をクロマトグラフィーマトリックスにロードすることを必要とする。この種のクロマトグラフィーモードは、結合−及び溶出−モードとして知られている。このクロマトグラフィーは、国際公開第2014/158231号パンフレットに記載されているようなフロースルーモードと異なる。
好ましくは、方法が2つ以上のクロマトグラフィーステップを含み、2つ、3つ、4つ又は全てのクロマトグラフィーステップが、未結合の目的のタンパク質を含有するフロースルーが(例えば、クロマトグラフィーマトリックスがロードされた容器以外の容器に)回収され、フロースルーが後の運転クロマトグラフィーサイクルで(例えば、このような容器から)同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされるように運転され得る。好ましくは、方法が、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上のクロマトグラフィーステップを含む。好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つ又は全てのクロマトグラフィーステップがクロマトグラフィーカラムで実行される。好ましくは、方法が3つのクロマトグラフィーステップを含み、3つのクロマトグラフィーステップがプロテインAクロマトグラフィー、引き続いて陽イオン交換クロマトグラフィー、引き続いて陰イオン交換クロマトグラフィーである。本発明の方法の一実施形態では、プロテインAクロマトグラフィーの溶離液が、目的のタンパク質を含有する溶離液が回収される結合及び溶出モードで運転される陽イオン交換クロマトグラフィーに供され、このような溶離液が、陰イオン交換クロマトグラフィーに供されて、目的のタンパク質を含有するフロースルーを生成する。本発明による方法が3つのクロマトグラフィーステップの各々の間に例えばダイアフィルトレーションなどの他のステップを含んでもよいことが当業者によって理解される。
好ましくは、クロマトグラフィーが、アフィニティークロマトグラフィー、例えばプロテインAクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ミックスモードクロマトグラフィー、例えばヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、キラルクロマトグラフィー又は誘電クロマトグラフィーから選択される。したがって、好ましくはクロマトグラフィーマトリックスが、
−イオン交換クロマトグラフィーマトリックス;
−疎水性相互作用クロマトグラフィーマトリックス;
−アフィニティークロマトグラフィーマトリックス;
−ミックスモードクロマトグラフィーマトリックス;
−キラルクロマトグラフィーマトリックス;及び
−誘電クロマトグラフィーマトリックス
から選択される。
好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つ又は全てのクロマトグラフィーステップのための1つ又は2つ以上のクロマトグラフィーマトリックスが、1つ又は2つ以上のクロマトグラフィーカラムである。換言すれば、好ましくは本発明の方法では、クロマトグラフィーマトリックスがクロマトグラフィーカラムにある。
好ましくは、クロマトグラフィーマトリックスが、少なくとも1リットル、例えば少なくとも4リットル、例えば少なくとも5リットル、より好ましくは少なくとも10L、例えば少なくとも20L、例えば少なくとも30L、好ましくは50L超、典型的には75L超、より好ましくは少なくとも100L又は少なくとも200L、例えば好ましくは20L〜200L、例えば30L〜100L、例えば50L〜100Lのベッドボリューム(bed volume)を有する。換言すれば、好ましくは、クロマトグラフィーマトリックスの少なくとも1つが、1L超、20L超、30L超、50L超、75L超、100L超又は200L超、好ましくは20L〜200L、30L〜100L又は50L〜100Lのベッドボリュームを有するクロマトグラフィーカラムである。
好ましくは、本発明の方法では、ステップ(b)で、溶離液の体積がクロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームに少なくとも等しい。より好ましくは、溶離液の体積が、クロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの少なくとも2倍、例えばクロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの少なくとも5倍、例えばクロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの少なくとも10倍、例えばクロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの少なくとも15倍、例えばクロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの少なくとも20倍又はそれ以上である。好ましくは、溶離液の体積が、クロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの2倍〜20倍である。
他の実施形態では、好ましくはクロマトグラフィーマトリックスがクロマトグラフィー膜又はモノリス吸着器である。
好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つ又は全てのクロマトグラフィーステップが、膜又はモノリス吸着器で運転される。
好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つ又は全てのクロマトグラフィーステップが、単一のクロマトグラフィーカラム、膜吸着器又はモノリス吸着器で運転される。
本発明では、従来のクロマトグラフィー技術で典型的に使用されるよりも高い流速を使用することができる。部分的に、これは、供給原料(目的の化合物を含む混合物)中の標的生体分子(目的の化合物)と不純物との間の減少する分離が、さらなる精製のために第2の画分をクロマトグラフィーマトリックスにリロードすることによって補償されるために達成することができる。したがって、本発明の方法は、好ましくは、少なくとも0.05〜0.5クロマトグラフィーマトリックス容積/分、例えば少なくとも約0.1〜約0.4クロマトグラフィーマトリックス容積/分、例えば少なくとも約0.2〜約0.3クロマトグラフィーマトリックス容積/分の流速でクロマトグラフィーマトリックスから生体分子生成物(目的の化合物)を溶出することを含み得る。
本発明の方法は、好ましくは約60〜約900cm/h(cm表記はクロマトグラフィーマトリックスのベッド高さを指し;典型的には約20cm〜約30cm、好ましくは約20cmであり;h=時間である)、例えば約120〜約720cm/h、例えば約240〜約540cm/h、例えば約300〜約450cm/時間の流速でクロマトグラフィーマトリックスから生体分子生成物(目的の化合物)を溶出することを含み得る。
上記の議論から明らかなように、本発明の方法の利点は、プロセスの長さがクロマトグラフィーマトリックスの容積に限定されないことである。換言すれば、リローディング前の第2の画分の回収により、クロマトグラフィーマトリックスの容積を超える供給原料の容積を、本発明の方法に従って処理することが可能になる。したがって、本発明の方法では、プロセスの長さが、好ましくはクロマトグラフィーマトリックスの容積よりも大きい。これは、容器を使用して1つ又は2つ以上の第2の画分(すなわち、クロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の画分)を貯蔵することによって、有益に達成される。
任意の適切な容器を使用して、例えば、1つもしくは複数の第2の画分及び/又はフロースルーを貯蔵することができる。当業者であれば、第2の容器がクロマトグラフィー装置と一致していてもよいし、又は外部容器であってもよいことを認識するであろう。適切なバルブ等によって、必要に応じて画分を容器に向けることができるだろう。
追加の方法のステップ
好ましくは、本発明の方法の複数のサイクルからの第1の画分が合わせられる又は一緒にプールされ得る。したがって、本発明の方法は、好ましくは第1の画分の各々を合わせることを含む。
本発明の方法は、好ましくは第1の画分(標的生体分子、すなわち目的の化合物を含む溶離液の画分)をダイアフィルトレーション及び/又は濃縮することを含み得る。第1の画分は、好ましくは任意のダイアフィルトレーションの後に、治療用途に適した最終的な所望の濃度まで濃縮される。
本発明の方法は、好ましくは精製された生体分子生成物をナノ濾過することを含み得る。ナノ濾過は、任意の適切な装置を使用して実施され得る。典型的には、ナノ濾過は、約1nm〜約10nmの孔径を有するポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタラート)又は金属(例えば、アルミニウム)膜を使用して実施される。
本発明の方法は、好ましくは精製された生体分子生成物をさらなるクロマトグラフィー精製に供することをさらに含み得る。本明細書で論じられるクロマトグラフィーによるプロセスのいずれかなどの、任意の適切なクロマトグラフィー精製を使用することができる。
本発明の方法は、好ましくは精製された生体分子生成物を化学的に修飾することを含み得る。任意の適切な化学修飾を行うことができる。例えば、生体分子生成物を、還元及び/又はペグ化によって修飾することができる。生体分子生成物を、放射性核種、薬物、毒素、ポリマー(例えば、PEG)、金属キレート、フルオロフォア、ハプテンなどから選択される1つ又は2つ以上の実体に結合することによって修飾することができる。結合は、EDC/NHSカップリングなどの任意の適切な手段によって、又はタンパク質の反応性チオール基間のジスルフィド形成を介して達成され得る。還元は化学還元剤を使用して達成することができる。
本発明の方法は、好ましくは標的生体分子/目的の化合物を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又はアジュバントと共に製剤化することをさらに含み得る。
したがって、本発明はまた、目的のタンパク質を製造する方法であって、その任意の実施形態を含む本発明の方法を含み、標的生体分子の目的の化合物がタンパク質である方法も提供する。本発明はまた、このような方法によって得られる抗体又は抗体断片などのタンパク質も提供する。
本発明はまた、本明細書に開示される本発明の方法によって得られる目的の化合物又は標的生体分子も提供する。
定義
本明細書で使用される「陰イオン交換クロマトグラフィー」という用語は、固相が正に帯電している、例えば四級アミノ基などの1つ又は2つ以上の正に帯電したリガンドがそこに結合しているクロマトグラフィーを指す。市販の陰イオン交換マトリックスには、DEAEセルロース、QAE SEPHADEX(商標)、FAST Q SEPHAROSE(商標)Capto Q及びCapto Q Impres(GE Healthcare)、Unosphere及びNuvia Q(BioRad)、GigaCap Q(Tosoh)、Mustang Q XT(Pall)、Fractogel Q及びEshmuno Q(Merck Millipore)、ならびに陰イオン交換膜吸着器、例えばSartoBind Q(Sartorius)、ならびにモノリス吸着器、例えばQAモノリス(Bia Separations)が含まれる。
本明細書で使用される「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」という用語は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含むモノクローナル又はポリクローナル四量体完全長抗体を指す。例えばBiclonics(登録商標)又はDuoBody(登録商標)などの二重特異性抗体において、2つの重鎖及び2つの軽鎖は同一であっても異なっていてもよい。免疫グロブリン(immunoglobulin)又は免疫グロブリン(immunoglobulins)という用語は、それぞれ「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」と同義で使用される。本明細書で使用される「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」という用語には、それだけに限らないが、当技術分野で知られている組換え技術によって生成される組換え抗体が含まれる。「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」は、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、ヒト、例えばチンパンジー、ヒヒ、アカゲザルもしくはカニクイザル)、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギもしくはモルモット)、ヤギ、ウシ又はウマ種などの哺乳動物種を含む任意の起源のものであり得る。本明細書の抗体は、目的の「抗原」に対するものである。好ましくは、抗原は、生物学的に重要なポリペプチドであり、疾患又は障害を患っている哺乳動物への抗体の投与は、その哺乳動物に治療的利益をもたらし得る。しかしながら、非ポリペプチド抗原に対する抗体も考えられる。抗原がポリペプチドである場合、これは膜貫通分子(例えば、受容体)又はリガンド、例えば成長因子もしくはサイトカインであり得る。本発明に包含される抗体の好ましい分子標的には、CDポリペプチド、例えばCD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD22、CD34、CD38、CD40及びCD40−L;FcRN;OX40;HER受容体ファミリーのメンバー、例えばEGF受容体、HER2、HER3又はHER4受容体;細胞接着分子、例えばそのα又はβサブユニットのいずれかを含むLFA−1、Mac1、p150、95、VLA−4、ICAM−1、VCAM及びav/b3インテグリン(例えば、抗CD11a、抗CD18又は抗CD11b抗体);ケモカイン及びサイトカイン又はそれらの受容体、例えばIL−1α及びβ、IL−2、IL−6、IL−6受容体、IL−12、IL−13、IL−17A及び/又はIL−17F、IL−18、IL−21、IL−23、TNFα及びTNFβ;成長因子、例えばVEGF;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA−4;ポリペプチドC;PD1、PD−L1、PCSK9;スクレロスチン;等が含まれる。
本明細書で使用される「抗体断片(antibody fragment)」又は「抗体断片(antibody fragments)」という用語は、抗体の一部、一般的にはその抗原結合領域又は可変領域を指す。抗体断片の例としては、Fc部分を欠く又はこれを有さない抗体が挙げられる。抗体断片の例としては、例えばFab、Fab’、F(ab’)及びFv及びscFv断片;ならびにBiTEs(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲイジャー((Bi−specific T−cell Engagers))及びDART(商標)(Dual Affinity Re−Targeting技術)などのフォーマットを含むダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ドメイン抗体(dAbs)、例えばsdAbs、VHH及びVNAR断片、それだけに限らないが、Fab−Fv、Fab−scFv、Fab(Fv)又はFab−(scFv)構築物を含む、抗体断片又は抗体から形成された単鎖抗体、二重特異性、三重特異性、四重特異性又は多重特異性抗体も挙げられる。上に定義される抗体断片及び誘導体は、当技術分野で知られている(Kontermann 2012)。明確にするために、Fab−Fvは、任意の順序で結合した1つのFv領域と1つのFab領域を含有する構築物、すなわちFab−Fv又はFv−Fabを指すと理解されるべきであり、1つの領域の最後のアミノ酸に、次の領域の最初のアミノ酸が続く、又はその逆である。同様に、Fab−scFvは、任意の順序で、Fabの場合、いずれかのポリペプチド鎖に結合した1つのscFv領域と1つのFab領域を含有する構築物、すなわちFab−scFv又はscFv−Fabを指すと理解されるべきであり、1つの領域の最後のアミノ酸に、次の領域の最初のアミノ酸が続く、又はその逆である。同様に、Fab−(Fv)は、任意の順序で結合した2つのFv領域と1つのFab領域を含有する構築物、すなわちFab−Fv−Fv、Fv−Fab−Fv又はFv−Fv−Fabを指すと理解されるべきであり、1つの領域の最後のアミノ酸に、次の領域の最初のアミノ酸が続く、又はその逆である。同様に、Fab−(scFv)は、任意の順序で、Fabの場合、いずれかのポリペプチド鎖に結合した2つのscFv領域と1つのFab領域を含有し、20の可能な順列をもたらす構築物を指すと理解されるべきである。典型的には、これらの構築物は、第1の領域(例えば、Fab)と第2の領域(例えば、Fv)との間にペプチドリンカーを含む。このようなリンカーは当技術分野で周知であり、典型的には当業者によって長さ及び組成が最適化された1つ又は2つ以上のアミノ酸であり得る。あるいは、前記領域が、直接、すなわちペプチドリンカーなしで連結されていてもよい。可変ドメインをFab又はFab’に連結するための適切なリンカー領域の例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/068571号パンフレットに記載されており、それだけに限らないが、可撓性リンカー配列及び剛性リンカー配列が挙げられる。抗体断片を、アグリコシル化又はグリコシル化することができる。「抗体断片(antibody fragment)」又は「抗体断片(antibody fragments)」という用語は、別の抗体ドメイン、異なるタンパク質又は非タンパク質分子に共有結合した少なくとも1つの抗原結合又はfc受容体結合抗体ドメインを含む抗体誘導体も指す。
本明細書で使用される「核酸分子」という用語は、一本鎖又は二本鎖核酸を指す。核酸分子はプラスミド、mRNA、プライマー及びプローブを含む群から選択され得る。一実施形態では、核酸分子がD−ヌクレオチドを含む、又はD−ヌクレオチドからなる。代替実施形態では、核酸分子がL−ヌクレオチドを含む、又はL−ヌクレオチドからなる。「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」という用語は互換的に使用することができる。
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって結合された複数のアミノ酸を指す。ポリペプチドは、典型的には2〜100個のアミノ酸、例えば10〜50個のアミノ酸を含む。ポリペプチドは、もっぱら天然アミノ酸を含んでもよく、又は1つもしくは複数の非天然アミノ酸、例えばβ−アミノ酸(β3及びβ2);ホモアミノ酸;プロリン及びピルビン酸誘導体;3−置換アラニン誘導体;グリシン誘導体;環置換フェニルアラニン及びチロシン誘導体;直鎖コアアミノ酸及びN−メチルアミノ酸を含んでもよい。
本明細書で使用される「陽イオン交換クロマトグラフィー」という用語は、固相が負に帯電している、例えば1つ又は2つ以上の負に帯電したリガンド、例えばカルボキシラート又はスルホナート基を有するクロマトグラフィーを指す。市販の陽イオン交換マトリックスには、カルボキシメチルセルロース、アガロースに固定化されたスルホプロピル(SP)及びアガロースに固定化されたスルホニル、例えばCapto S、Capto Adhere及びCapto S Impres(GE Healthcare)、Unosphere S及びNuvia S(BioRad)、GigaCap S(Tosoh)、Fractogel S及びEshmuno S(Merck Millipore)又は陽イオン交換膜吸着器、例えばSartoBind S(Sartorius)及びモノリス吸着器、例えばSOモノリス(Bia Separations)が含まれる。
本明細書で使用されるクロマトグラフィーに関連する「クロマトグラフィーカラム」又は「カラム」という用語は、しばしばクロマトグラフィーマトリックスで満たされたシリンダー又は中空ピラーの形態の容器を指す。クロマトグラフィーマトリックスは、精製に使用される物理的及び/又は化学的特性を提供する材料である。
本明細書で使用される「クロマトグラフィーサイクル」又は「運転クロマトグラフィーサイクル」という用語は、それだけに限らないが、以下のステップの連続組み合わせの中のいくらか〜1つ又は2つ以上を含み得るクロマトグラフィーマトリックスの所与の割り当てに対する一連の方法のステップの単一サイクルの運転を指す:平衡化ステップ、リロードステップ、ロードステップ、オーバーロードステップ、ロード後洗い流しステップ、第2の洗い流しステップ、溶出ステップ、再生ステップ、洗浄ステップ、貯蔵ステップ及び一時停止又は保持期間。したがって、さらなるサイクルは、同じ一連の処理ステップの繰り返しを含み得る。
目的の化合物/標的生体分子のクロマトグラフィーマトリックスへの相互作用に関する「結合する(bind)」及び「結合(binding)」という用語は、マトリックスによる化合物又は生体分子の捕捉を指す。当業者であれば、目的の化合物/標的生体分子がクロマトグラフィーマトリックスと相互作用する手段が当のマトリックスの性質に依存することを理解するだろう。「〜に結合する(binds to)」という用語は、必ずしも共有結合を意味するわけではない。イオン交換クロマトグラフィーの場合、「結合(binding)」は、目的の化合物/標的生体分子とマトリックスとの間のイオン相互作用である。アフィニティークロマトグラフィーの場合、「結合(binding)」は、目的の化合物/標的生体分子とマトリックスとの間の親和性相互作用である。疎水性相互作用クロマトグラフィーの場合、「結合(binding)」は、目的の化合物/標的生体分子とマトリックスとの間の疎水性相互作用である。他のタイプのクロマトグラフィーに適用可能な関連する結合モードは、当業者に明らかであろう。
本明細書で使用されるクロマトグラフィーに関連する「動的結合容量(dynamic binding capacity)」という用語は、フロースルー中に有意な量の目的のタンパク質又は他の標的化合物を有することなく、一定流下でクロマトグラフィーマトリックスに結合することができる目的のタンパク質又は他の標的化合物の量を指す。クロマトグラフィーマトリックスの動的結合容量は、既知の濃度の目的のタンパク質を含有する試料をロードすることによって決定される。タンパク質試料のカラムへのロードを監視すると、未結合のタンパク質がマトリックスを通過する前に、一定のブレークポイントまでマトリックスに結合する。例えば、10%のタンパク質の喪失での破過曲線から、動的結合容量を見つけ、実験を停止する。通常、動的結合容量は、目的のタンパク質の5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、17%又は20%以下がフロースルー中に喪失される一定流下でマトリックスに結合することができる目的のタンパク質の量、好ましくは同じ時点でロードされている目的のタンパク質の濃度の量として定義される。
本明細書で使用される「フロースルー」という用語は、混合物をクロマトグラフィーマトリックスに通過させることによって得られる液体組成物を指す。
本明細書で使用される「疎水性相互作用クロマトグラフィー」という用語は、固相が疎水性である、例えば1つ又は2つ以上の疎水性リガンド、例えばフェニル又はブチル基を有するクロマトグラフィーを指す。市販の疎水性相互作用マトリックスには、アガロースに固定化されたフェニルもしくはブチル、例えばCapto PhenylもしくはCapto Butyl(GE Healthcare)、ToyoPearl HIC(Tosoh)、Fractogel EMD Phenyl(Merck Millipore)、又は膜吸着器に固定化されたたフェニルもしくはブチル、例えばSartoBind HIC(Sartorius)が含まれる。
本明細書で使用されるクロマトグラフィーに関連する「膜吸着器」又は「膜クロマトグラフィー」という用語は、半透膜が、供給流が供給される容器に収容されており、その表面に精製に使用される物理的及び/又は化学的特性を提供する材料である樹脂又はリガンドが付着しているクロマトグラフィーフォーマットを指す。
本明細書で使用されるクロマトグラフィーに関連する「モノリスクロマトグラフィー」又は「モノリス吸着器」という用語は、多孔質ポリマーの連続容積が、供給流が供給される容器に収容されており、その表面に精製に使用される物理的及び/又は化学的特性を提供する材料である樹脂又はリガンドが付着しているクロマトグラフィーフォーマットを指す。
本明細書で使用される「ミックスモード」クロマトグラフィーという用語は、固相が、例えばヒドロキシアパタイトなどの、異なる帯電又は非帯電リガンドの混合物を有し得るクロマトグラフィーを指す。市販のミックスモアマトリックス(mixed more matrices)には、セラミックヒドロキシアパタイト(BioRad)又はCapto Adhere(GE Healthcare)及びHA Ultrogelヒドロキシアパタイト(Pall)が含まれる。
本明細書で使用される「混合物」という用語は、同様に存在し得る宿主細胞タンパク質、DNA又は他の宿主細胞成分などの他の物質から精製しようとする少なくとも1つの目的のタンパク質を含む少なくとも部分的に液体の組成物を指す。混合物は、例えば、懸濁液、水溶液、有機溶媒系、又は水性/有機溶媒混合物もしくは溶液であり得る。混合物は、通常、多くの生物学的分子(タンパク質、抗体、ホルモン、ポリヌクレオチド及びウイルスなど)、小分子(塩、糖、脂質等など)及びさらには粒子状物質を含む複雑な混合物又は溶液である。生物起源の典型的な混合物は水溶液又は懸濁液として始まり得るが、溶媒沈殿、抽出などの初期の分離ステップで使用される有機溶媒を含有してもよい。本明細書で使用される場合、「混合物」という用語は、「供給原料」という用語と同一視され得る。混合物/供給原料の容積は、「供給原料からの供給材料」と呼ばれ得る。
本明細書で使用されるクロマトグラフィーに関連する「静的結合容量(static binding capacity)」という用語は、フロースルー中に有意な量の目的のタンパク質又は他の標的化合物を有することなく、静的条件下でクロマトグラフィーマトリックスに結合することができる目的のタンパク質又は他の標的化合物の最大量を指す。静的結合容量は通常、ビーカー内の回分モードで測定され、通常、所与の溶媒及びタンパク質濃度条件でクロマトグラフィー媒体に結合したタンパク質の最大量と呼ばれる。
「薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又はアジュバント」という用語は、生体分子生成物とは別の治療製剤の成分を指す。希釈剤には、例えばラクトース、デキストロース、ショ糖、セルロース、コーンスターチ又はジャガイモデンプンが含まれ;賦形剤には、潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、及び/又はポリエチレングリコール;結合剤;例えばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン;脱凝集剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩又はデンプングリコール酸ナトリウム;発泡性混合物;染料;甘味剤;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩;ならびに一般に、医薬製剤に使用される非毒性で薬理学的に不活性な物質が含まれる。アジュバントには、鎮痛剤、無機化合物、例えばミョウバン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム及びリン酸カルシウム水酸化物;鉱油、例えばパラフィン油;洗剤;サポニン、サイトカイン及び食品ベースの油が含まれる。当業者は、生体分子生成物の用途に応じて、適切な薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又はアジュバントを選択することができる。
さらなる詳細
本発明の方法に従って精製することができる抗体又は抗体断片などの目的のタンパク質は、組換え抗体又は抗体断片をコードする1つ又は2つ以上の発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することによって産生することができる。
本発明の実施形態による宿主細胞は、例えば、原核生物、酵母(例えば、限定されないが、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)及び他のクルイベロミセス属(Kluyveromyces)種、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))、粘菌類(Myxomycete)(例えば、限定されないが、キイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum))、糸状菌類(例えば、限定されないが、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)及び他のトリコデルマ属(Trichoderma)種、クロコウジカビ(Aspergillus niger)及び他のアスペルギルス属(Aspergillus)種)、コケ(例えば、限定されないが、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、ナミガタタチゴケ(Atrichum undulatum))、昆虫又は哺乳動物細胞である。哺乳動物宿主細胞は、例えば、限定されないが、NSO、SP2.0、3T3細胞、COS細胞、ヒト骨肉腫細胞、MRC−5細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、VERO細胞、CHO細胞、rCHO−tPA細胞、rCHO−Hep B表面抗原細胞、CHO−S細胞、HEK 293細胞、rHEK 293細胞、C127細胞、rC127−Hep B表面抗原細胞、ヒト線維芽細胞、ストローマ細胞、肝細胞又はPER.C6細胞である。
宿主細胞は、好ましくは真核生物宿主細胞、好ましくは哺乳動物宿主細胞、より好ましくは例えばDG44系統の、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
真核宿主細胞(例えば、酵母、昆虫又は哺乳動物細胞)の場合、宿主の性質に応じて、異なる転写及び翻訳制御配列が使用され得る。これらは、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミアンウイルスなどのウイルス源に由来してもよく、制御シグナルは、高レベルの発現を有する特定の遺伝子に関連している。例としては、ヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母gal4遺伝子プロモーター等がある。遺伝子の発現を調節できるように、抑制及び活性化を可能にする転写開始制御シグナルが選択され得る。導入されたDNAによって安定的に形質転換された細胞は、発現ベクターを含有する宿主細胞の選択を可能にする1つ又は2つ以上のマーカーを導入することによっても選択することができる。マーカーはまた、栄養要求性宿主への光栄養、殺生物剤耐性、例えば限定されないが抗生物質、又は銅などの重金属などを提供し得る。選択可能なマーカー遺伝子を、発現されるDNA遺伝子配列に直接連結する、又はコトランスフェクションによって同じ細胞に導入することができる。本発明のタンパク質の最適な合成のために、追加の要素が必要となる場合もある。
真核宿主細胞は、目的のタンパク質をコードする1つ又は2つ以上の発現ベクターでトランスフェクトされ、その後、目的のタンパク質の増殖及び発現を支持する任意の培地で培養される。培地は、動物血清及びペプトンなどの動物由来産物を含まない既知組成培地(chemically defined medium)である。細胞増殖及びタンパク質産生を可能にする適切な濃度で存在する、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、成長因子、イオン、緩衝液、ヌクレオシド、グルコース又は同等のエネルギー源の様々な組み合わせを含む、当業者に利用可能な様々な細胞培養培地が存在する。追加の細胞培養培地成分を、当業者に知られているであろう細胞培養サイクル中の異なる時間に適切な濃度で細胞培養培地に含めてもよい。
哺乳動物細胞培養は、必要な製造規模に応じて流加モードで運転してもしなくてもよい振盪フラスコ又はバイオリアクターなどの任意の適切な容器で行うことができる。これらのバイオリアクターは、攪拌槽リアクター又はエアリフトリアクターのいずれかであり得る。容量が1,000L超〜50,000L又は100,000L、好ましくは5,000L〜20,000L、又は〜10,000Lの種々の大規模バイオリアクターが利用可能である。あるいは、2L〜100Lなどの小規模のバイオリアクターを使用して本発明の方法による抗体を製造してもよい。
本発明の方法及び方法により、CHO細胞などの真核宿主細胞で産生される抗体又は抗原結合断片などの目的のタンパク質は、典型的には細胞培養物の上清に見られる。本発明の一実施形態では、前記上清が、本発明の方法で精製された混合物である。
したがって、本発明の特定の実施形態では、本発明の方法及び方法が、本発明の方法によるさらなる精製のための目的のタンパク質を含有する混合物を得るために上清の遠心分離及び遠心分離後の液相の回収のステップを含む。
あるいは、前記上清が、例えば深層濾過などの当業者に知られている清澄化技術を使用して回収され得る。したがって、本発明の特定の実施形態では、本方法が、本発明の方法によるさらなる精製のための目的のタンパク質を含有する混合物を得るために深層濾過のステップを含む。
あるいは、宿主細胞が原核細胞、好ましくはグラム陰性細菌、好ましくは大腸菌(E.coli)細胞原核細胞である。タンパク質発現のための原核生物宿主細胞は、当技術分野で周知である。宿主細胞は、抗体断片などの目的のタンパク質を産生するよう遺伝子操作された組換え細胞である。組換え大腸菌(E.coli)宿主細胞は、MC4100、TG1、TG2、DHB4、DH5α、DH1、BL21、K12、XL1Blue及びJM109を含む任意の適切な大腸菌(E.coli)株に由来し得る。一例は、組換えタンパク質発酵に一般的に使用される宿主株である大腸菌(E.coli)株W3110(ATCC 27,325)である。抗体断片はまた、改変された大腸菌(E.coli)株、例えば代謝変異体又はプロテアーゼ欠損大腸菌(E.coli)株を培養することによって産生することができる。
本発明の方法に従って精製することができる抗体断片は、典型的には、タンパク質の性質、製造規模及び使用される大腸菌(E.coli)株に応じて、大腸菌(E.coli)宿主細胞のペリプラズム又は宿主細胞培養物上清のいずれかに見られる。タンパク質をこれらのコンパートメントに標的化する方法は、当技術分野で周知である。タンパク質を大腸菌(E.coli)のペリプラズムに向ける適切なシグナル配列の例としては、大腸菌(E.coli)PhoA、OmpA、OmpT、LamB及びOmpFシグナル配列が挙げられる。タンパク質は、自然分泌経路に依存するか、外膜の限られた漏出を誘導してタンパク質分泌を引き起こすことによって、上清を標的化することができ、その例は、pelBリーダー、プロテインAリーダー、培養培地へのグリシンの添加を伴うバクテリオシン放出タンパク質、マイトマイシン誘導バクテリオシン放出タンパク質の同時発現、及び膜透過性のためのkil遺伝子の同時発現の使用である。最も好ましくは、本発明の方法では、組換えタンパク質が宿主大腸菌(E.coli)のペリプラズムで発現される。
大腸菌(E.coli)宿主細胞における組換えタンパク質の発現は誘導性系の制御下にあってもよく、それによると、大腸菌(E.coli)における組換え抗体の発現は誘導性プロモーターの制御下にある。大腸菌(E.coli)での使用に適した多くの誘導性プロモーターは当技術分野で周知であり、プロモーターに依存する;組換えタンパク質の発現は、温度又は増殖培地中の特定の物質の濃度などの様々な因子によって誘導することができる。誘導性プロモーターの例としては、ラクトース又は非加水分解性ラクトース類似体、イソプロピル−b−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導可能な大腸菌(E.coli)lac、tac及びtrcプロモーター、ならびにそれぞれホスファート、トリプトファン及びL−アラビノースによって誘導されるphoA、trp及びaraBADプロモーターが挙げられる。発現は、例えば、誘導因子の添加又は温度の変化によって誘導され得、誘導は温度依存性である。培養物への誘導因子の添加によって組換えタンパク質発現の誘導が達成される場合、誘導因子は、発酵系及び誘導因子に応じた任意の適切な方法によって、例えば、単回もしくは複数回添加によって、又は供給材料を通した誘導因子の漸進的添加によって添加され得る。誘導因子の添加とタンパク質発現の実際の誘導との間に遅延があり得、例えば、誘導因子がラクトースである場合、ラクトースの前に既存の炭素源が利用される間、タンパク質発現の誘導が起こる前に遅延があり得ることが理解さるだろう。
大腸菌(E.coli)宿主細胞培養(発酵)は、大腸菌(E.coli)の増殖及び組換えタンパク質の発現を支持する任意の培地で培養され得る。培地は、例えばに記載されるような任意の既知組成培地であり得る。
大腸菌(E.coli)宿主細胞の培養は、必要とされる製造規模に応じて、振盪フラスコ又は発酵槽などの適切な容器で行うことができる。容量が1,000L超〜最大100,000Lの種々の大規模発酵槽が利用可能である。好ましくは、1,000L〜50,000L、より好ましくは1,000L〜10,000L又は12,000Lの発酵槽が使用される。容量が0.5L〜1,000Lの小規模発酵槽も使用され得る。
CHO又は大腸菌(E.coli)などの宿主細胞の発酵は、必要とされるタンパク質及び収率に応じて、任意の適切な系、例えば連続、回分又は流加モードで実行され得る。回分モードは、必要に応じて、栄養素又は誘導因子のショット添加で使用され得る。あるいは、流加培養を使用してもよく、発酵槽に最初に存在する栄養素を使用して維持することができる最大特定増殖率及び発酵が完了するまで増殖率を制御するために使用される1つ又は2つ以上の栄養素供給体制で回分モードの事前誘導で培養物を増殖してもよい。
一実施形態では、本発明による方法が、第1のクロマトグラフィーマトリックスへのローディングの前に、捕捉ステップ、細胞培養収穫物の遠心分離のステップ、引き続いて抽出緩衝液の添加による宿主細胞の懸濁を含む。
抗体断片などの目的のタンパク質が宿主細胞のペリプラズム空間に見られる大腸菌(E.coli)発酵プロセスの場合、宿主細胞からタンパク質を放出することが必要である。放出は、機械もしくは圧力処理、凍結−融解処理、浸透圧ショック、抽出剤又は熱処理による細胞溶解などの任意の適切な方法によって達成され得る。タンパク質放出のためのこのような抽出方法は、当技術分野で周知である。
本発明の方法の特定の実施形態では、任意の実施形態による本発明の方法における混合物が、例えば、抗体又は抗体断片結合を破壊するのに適したpHを有する溶出緩衝液による、プロテインAに結合した抗体又は抗体断片の溶出によって生成される。前記pHは特定の分子に依存し、一般的に当業者によって経験的に決定され、所望の終点を達成するよう調整される。
例えば、MabSelect(登録商標)(GE Healthcare)、Absolute(登録商標)(Novasep)、Captiv A(登録商標)(Repligen)又はAmsphere(登録商標)(JSR)などの、前記天然組換えプロテインAを含有する多くのクロマトグラフィー材料が当業者に利用可能である。
プロテインAクロマトグラフィーの洗い流し及び溶出緩衝液としての使用に適した緩衝液は、当技術分野で容易に入手可能であり、非限定的な例として、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス、ヒスチジン、酢酸、クエン酸緩衝液、又はMES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸イミダゾール)、BES(N,N−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)−プロパンスルホン酸)、又はHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)緩衝液から選択され得る。
以下の例は本発明を説明するものである。しかし、これは決して本発明を限定するものではない。これに関して、例に記載される特定の方法、ならびに純度及び収率を実証するために使用される方法は、本発明の方法の指標を提供するためにのみ設計されていることを理解することが重要である。生体分子の収率及び純度を決定するために利用可能な多くの方法が存在するので、いずれか1つの特定のアッセイでの否定的な結果は決定的ではない。

濃度2.18g/L及び導電率約14mS/cmの裸のFabを含有する大腸菌(E.coli)培養物から遠心分離及び熱抽出された凍結清澄化細胞培養液を、脱イオン水で、pH約4.5及び導電率約3.76mS/cmで濃度0.5g/lに希釈した。3カラムボリューム(CV)相当の洗い流し緩衝液(50mM酢酸ナトリウムpH4.5 導電率4.0mS/cm)をカラムベースのクロマトグラフィーマトリックスに150cm/hでポンプで送ってカラムを平衡化し、引き続いて17.5g/L樹脂容積のロード負荷まで適用される目的のタンパク質を含有するロードを、225cm/時間でポンプで送り、引き続いて150cm/hでさらに5CVの同じ洗い流し緩衝液、引き続いて150cm/時間で10CVにわたって低導電率洗い流し緩衝液から高導電率溶出緩衝液に上昇する線形溶出緩衝液勾配(50mM酢酸ナトリウム 225mM塩化ナトリウム緩衝液pH4.5 導電率26.4mS/cm)、引き続いて2CVの高導電率再生緩衝液(50mM酢酸ナトリウム 1M塩化ナトリウム pH4.5 導電率85mS/cm)を300cm/時間で適用し、引き続いて2CVの高pH洗浄緩衝液を300cm/時間で適用し、この点で15分間保持した後、さらなる2CVの洗い流し緩衝液ですすぎ落とす、結合及び溶出クロマトグラフィーによるプロセスを実行した。使用したクロマトグラフィーマトリックスはGE 4.66ml 10cm Capto S HiScreen陽イオン交換カラムで、作業はGE Akta Avant機械で実行した。クロマトグラフィーの間中、カラムからの出力の導電率、pH、280nm吸光度、260nm吸光度及び305nm吸光度をインラインで測定し、リアルタイムで監視及び記録し、10CV溶出中の出力液を捕捉し、6℃で96ウェルディープウェルマイクロタイタープレートに1.55ml画分を保存した。10CV勾配溶出を通して振幅測定値を観察すると、2つの主に部分的に分離されたピークが強い重複で現れた;おおよそ22番目の画分のはるかに大きな非対称ピーク頂点の直前のおおよそ17番目の画分の別個の頂点を有する小さなピーク。各画分の30ulをサンプリングし、アフィニティープロテインG分析HPLCステップで実行して画分の組成を決定し、プロテインG HPLCを通過する各試料の別個のフロースルーピーク及び溶離液ピークのA280吸光度を積分することによって、Capto S勾配溶出での初期の小さいピークに相当する非抗体成分(HPLCのフロースルー、ここでは非Fabと呼ばれる)の量とCapto S勾配溶出の後期の大きなピークに相当する抗体成分(HPLCの溶離液、ここではFabと呼ばれる)の量の別個の決定が可能になり、両方の真のプロファイルを得た。
この第1のサイクルでのCEX勾配溶出の2つのピーク間の重複領域からの2つの特定の画分(合計32のうちの21番目及び22番目)の残りの保持容積(各画分の大部分を表す−それぞれからの5%未満をプロテインG HPLCアッセイに使用した)をプールし、容器内の前のクロマトグラフィー運転と同じ容積の新たなロードに添加し、脱イオン水を使用して再び同じ導電率3.76mS/cmに希釈してCapto Sクロマトグラフィーの次のサイクルで再びロードした。これらの画分を、高い含有量の目的のFab及び有意な含量の非Fabを有するので選択し、コンピュータモデルによって有効な選択を支援することができた(以下参照)。一方、これらの選択された2つの後の(23番目〜31番目、以下で保持プールと呼ばれる)、主にFabを含有する画分の残りの保持容積の大部分をプールし、このプール中の得られたFab及び残りの不純物を計算した。いずれの場合も、各プールの純度を、Fabの量÷非Fabの量として計算し、収率を、保持プール中のFabの量÷両溶出ピークをカバーする全ての画分(画分9〜31)中の総Fabとして計算した。
合わせたロード/再利用画分を、全て同じ運転で構成される後の第2のクロマトグラフィーサイクルでカラムに再適用し、再び同じ画分を回収し、同じ少量の各々をプロテインG HPLCによるアッセイのためにサンプリングし、もう一度、同じ2つの画分を保存し、追加の新たなロードとプールして、第3のサイクルに適用し、再び、23番目の画分〜31番目の画分をプールして、このセクションのFab及び非Fabの量及び収率を計算した。これを、第3及び第4のサイクルで同じ方法で繰り返した。これにより、生の新鮮な供給材料のみを受け、そのため伝統的な回分操作及び本発明の再利用運転の対照として運転していた初期サイクルと比較して、前のサイクルからの再利用画分を受けた第2、第3及び第4のサイクルの保持プール中のFabの収率はそれぞれ22%、23%及び25%有意に増加した。同時に、保持プールで測定されたFab1単位当たりの非Fabの比として計算された相対純度は、−4%、−4%及び+1%と初期サイクルで観察された純度比に近いままであり、いくつかのサイクル後、初期サイクルと同じレベルに平衡化した。したがって、第1のサイクルの保持プールが、保持プールの所与の領域での特定の収率及び純度を与える伝統的なクロマトグラフィーの結合及び溶出分離を表す場合、本発明による前のサイクルからの再利用画分を組み込んだ後のクロマトグラフィーサイクルは、この純度を維持しながら、保持プールの同じ領域の収率を増加させることができた。容器に再利用される画分を貯蔵することによって、本発明の収率向上を単一クロマトグラフィーマトリックスで達成することができ、方法の平衡化能力に実質的に影響を及ぼすことなく、クロマトグラフィーの別々のサイクル間の柔軟な時間ギャップが可能になり、また同様にオフラインアッセイを使用して、サイクル間の画分間の性能を試験する時間も可能になり、新たなロードで希釈することによって、これらの画分のための別の希釈緩衝液の必要性が排除された。最後に、溶離液中の保持されたFabの濃度も、伝統的な実行1と比較して、サイクル2、3、及び4で増加した。
再利用のために選択された同じ2つの画分を、第4のサイクルから再度保存して、第5のサイクルで再適用し、第5のサイクルで、新たなロードを第1のサイクルと同様に脱イオン水で標的導電率3.76mS/cmに希釈した後、再利用された21番目及び22番目の画分を混合し、今度は、2つの画分に含有される溶出緩衝液からの追加の塩の流入後、導電率を3.76mS/cmに再度低下させるためにさらなる脱イオン水を添加しなかった。次のサイクルに適用される新たなロードの導電率は、結合を確保するために必要なものよりもはるかに低く、その容積は2つの再利用された画分の合わせた容積よりもはるかに大きかったので、これらを混合すると、次のサイクルのローディング中に通常の結合可能成分の結合を妨げないよう十分に画分中の高い導電率性塩を希釈する効果があるだろう。第5のサイクルの保持プールでは、13%という初期(対照)サイクルに対する小さいが実質的な収率増加があり、6%の喪失というわずかに減少したがまだ同等の純度があり、純度*収率バランスの全体的増加は106%であり、合わせた供給材料のさらなる希釈がなくても追加の全体的性能の増加を達成することができたことを実証している。
もう一度、同じ2つの画分を回収し、第5から第6のサイクルまで再利用し、今回は、前と同じように合わせた供給材料を3.76mS/cmに希釈したところ、このサイクルでは、保持プールで収率と純度の両方の大幅な増加が同時に達成された。最後の第7のサイクルを実行し、ここでは第6のサイクルからの20番目、21番目、22番目及び23番目の画分を新たなロードと合わせ、脱イオン水で3.76mS/cmに希釈した後、第7のサイクルにロードした。この新しい拡張された範囲の画分が再利用されて将来の潜在的なサイクルが続く場合、保持プールに含まれる画分は必然的に1つ短くなり、24番目の画分から31番目の画分に及ぶ。この場合の保持プールは、初期サイクルの元の保持プールの範囲と比較してほぼ同じ収率(97%)及び8%増加した純度を維持し、収率を維持しながら純度を増加させることができることを実証し、同じ画分を含む初期サイクルの保持プールと比較して、32%高い収率及び11%増加した純度をもたらした。第7以降サイクルが続かない場合、第7のサイクルの23番目から31番目の画分を含む保持プールは、初期サイクルからの同じ再利用プールと比較して、34%高い収率及び12%高い純度をもたらし、両者が有意に増加し得ることを実証した。
全体純度増加を、所与のサイクルでの保持プールの純度÷初期サイクルでの保持プールの純度として計算し、全体収率増加を、所与のサイクルでの保持プールの収率÷初期サイクルでの保持プールの収率として計算した。
したがって、あるサイクルから部分的に分離されたピークの重複から取られた選択画分を次のロードに再利用して、残りの再利用されない保持材料の収率もしくは純度又は両者の組み合わせを増加させて、標的生成物の効率的な精製を増強するよう仕向けることができることが実証されている。再利用する画分の合理的な選択は、コンピュータモデリングを通して支援することができる−初期サイクルで試料にわたるFab及び非Fabの量を決定した後、潜在的に再利用する所与の画分の選択でFab及び非Fabの量を計算し、それらがリサイクルされる場合の次の保持プールにおけるピーク組成及び量の変化をシミュレートし、反復を通して、複数のサイクルにわたって得られる純度及び収率の変化を予測することができるピーク分布のコンピュータモデルを作成した。次いで、このシミュレーションで再利用に選択された画分を変更して、所望のように純度もしくは収率又はその両方を増加させるであろう条件を反復的に見つけた。この方法は、再利用された画分の一方(後期画分)の保持プールのFab又は再利用された画分の他方(初期画分)の非Fabのいずれかを支持するよういずれかの方向に駆動することができた。同様に、標的生成物の濃度も同じ指示された方法で増強することができた。この方法は、最初の6サイクルで21番目及び22番目の画分を再利用するという選択を指示し、第6のサイクルのアッセイデータを使用してシミュレーションを再調整したら、第7のサイクルで20番目から23番目の画分の再利用を示した。
この再利用アプローチは、異なる破過時間及びピーク形状をもたらす移動成分間の差動的分離が、それらと固定化リガンドと間の差動的な化学的及び/又は静電的相互作用に依存する所与のクロマトグラフィーについてそうであるように、破過時間及びピーク形状の点でピークの分離が同じままである限り、その部分的な分離が勾配溶出によって駆動されているかどうかに関係なく、記載されている例と同様に重複で溶出するピークを有する成分のクロマトグラフィーに自然に拡張されるだろう。さらに、この再利用アプローチは、2つの重複を有する3つの連続したピーク、又は3つの重複を有する4つのピーク、又はそれぞれ1つの重複を有する2つのペアに分割される4つのピークなど、複数のペアの重複を有する複数のピークを有する系にも自然に拡張されるだろう。いずれの場合も、後のサイクルに再利用される各重複の領域の最適化を使用して、重複するパートナーピークで優勢な望ましくない成分に対して、標的ピークの保持プールで優勢な所望の成分の収率(及び濃度)及び/又は純度を差動的に支持することができる、あるいは例えば所望の成分ピークが前後の2つの重複する望ましくない成分ピークに囲まれている場合、両方の重複する領域のセクションを再利用して、両方の隣接ピークに対して標的中央ピークを支持することができる。
上記の例は、本発明による方法により、純度の向上、収率の向上、濃度の増加、自由な希釈、中断可能な運転、単一カラム運転、任意のリローディング順序を含む種々の利点が実現できることを示している。
明細書、特許請求の範囲及び/又は図面に開示される本発明の特徴は、別々とそれらの任意の組み合わせの両方で、本発明をその種々の形態で実現するための材料となり得る。
参考文献
Kontermann,R.E.(2012).“Dual targeting strategies with bispecific antibodies.”MAbs 4(2):182-197.
Mahajan,E.,A.George and B.Wolk(2012).“Improving affinity chromatography resin efficiency using semi-continuous chromatography.”J Chromatogr A 1227:154-162.
ここで本発明を十分に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、また過度の実験をすることなく、広範囲の同等のパラメータ、濃度及び条件内で同じことを実施できることが当業者によって理解されるだろう。本発明をその具体的な実施形態に関連して説明してきたが、さらなる修正が可能であることが理解されるであろう。本出願は、一般に、本発明の原理に従って、本発明が属する技術分野内の既知の又は慣用的な慣習内にあり、添付の特許請求の範囲内で以上に示される本質的な特徴に適用され得るような本開示からの逸脱を含む本発明の変化、使用又は適応を網羅することを意図している。
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は1つ又は2つ以上を意味し得る。本明細書における「又は(or)」という用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されていない限り、又は代替物が相互排他的でない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は代替物のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。本明細書で使用される場合、「別の(another)」は、少なくとも第2の又はそれ以上を意味し得る。
本明細書で使用される場合、「X〜Y(between X and Y)」は、X及びYを含む範囲を意味し得る。
雑誌論文もしくは要約、公開もしくは未公開の米国もしくは外国の特許出願、発行された米国もしくは外国の特許又はその他の参考文献を含む、本明細書で引用される全ての参考文献は、引用された参考文献に提示される全てのデータ、表、図及びテキストを含めて、全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書で引用される参考文献内で引用される参考文献の内容全体も、全体が参照により組み込まれる。
既知の方法ステップ、従来の方法ステップ、既知の方法又は従来の方法への言及は、決して本発明の任意の態様、説明又は実施形態が関連技術で開示、教示又は示唆されていることの自認ではない。
以下は本発明の態様である:
1.目的の化合物を含む混合物から目的の化合物を精製する方法であって、
a)第1の運転クロマトグラフィーサイクルで、第1の容器からの目的の化合物を含む混合物を、化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるクロマトグラフィーマトリックスにロードするステップと;
b)クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収するステップと;
c)溶離液の1つ又は2つ以上の画分を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードするステップと
を含む方法。
2.ステップc)のリロードすることが、さらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、溶離液の1つ又は2つ以上の画分を、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードすることである、態様1に記載の方法。
3.さらなる運転クロマトグラフィーサイクルが、直後のクロマトグラフィーサイクルである、態様2に記載の方法。
4.同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分と異なる、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
5.同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の少なくとも1つ、及び所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の少なくとも1つである、態様4に記載の方法。
6.所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の少なくとも1つ、及び所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の少なくとも1つが、同じクロマトグラフィーマトリックスに別々にリロードされる、態様5に記載の方法。
7.所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の前にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の少なくとも1つ、及び所望の特性を有する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の後にクロマトグラフィーマトリックスから溶出する溶離液の1つ又は2つ以上の画分の少なくとも1つが、合わせられ、このような合わせた画分が同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードされる、態様5に記載の方法。
8.溶離液の1つ又は2つ以上の画分がリローディングの前又は間に処理され、処理された溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、リローディング時に目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合することを可能にする、態様1から7のいずれか1つに記載の方法。
9.クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収する前に、
ab)未結合の目的の化合物を含有するフロースルーを第2の容器に回収するステップと;
ac)さらなる運転クロマトグラフィーサイクルで、第2の容器からのフロースルーを目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードするステップと
を含む、態様1から8のいずれか1つに記載の方法。
10.クロマトグラフィーマトリックスから目的の化合物を溶出し、目的の化合物を含有する溶離液を溶離液の画分として回収する前に、
ab)未結合の目的の化合物を含有するフロースルーを第2の容器に回収するステップと;
ac)第2の容器からのフロースルーを同じクロマトグラフィーマトリックスにリロードし、さらに新たなロード混合物を、目的のタンパク質がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転されるさらなる運転クロマトグラフィーサイクルでロードするステップと
を含む、態様1から8のいずれか1つに記載の方法。
11.第2の容器に回収されるフロースルー及び溶離液の1つ又は2つ以上の画分が、運転クロマトグラフィーサイクルで別々にリロードされる、態様9から10のいずれか1つに記載の方法。
12.フロースルー及び溶離液の1つ又は2つ以上の画分が合わせられ、目的の化合物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように運転される同じクロマトグラフィーマトリックスに組み合わせとしてリロードされる、態様9から10のいずれか1つに記載の方法。
13.目的の化合物がタンパク質、抗体、抗体断片、核酸分子及び小分子を含む群から選択される、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
14.態様1から13のいずれか1つに定義される精製プロセスを含む、目的のタンパク質を製造する方法であって、精製プロセスで目的の化合物がタンパク質である方法。
15.態様14に定義される目的のタンパク質を製造する方法によって得られた、抗体又は抗体断片などのタンパク質。

Claims (29)

  1. 生体分子生成物を、前記生体分子生成物及び少なくとも1つの不純物を含む供給原料から精製するための工業規模の方法であって、以下のステップを含むもの:
    a)前記生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、前記供給原料からの供給材料を前記クロマトグラフィーマトリックスにロードするステップ;
    b)溶出溶液を前記クロマトグラフィーマトリックスに適用することによって、前記クロマトグラフィーマトリックスから溶離液に前記生体分子生成物を溶出するステップ、
    前記溶離液は以下を含む:
    −精製された生体分子生成物を含む第1の画分;及び
    −前記生体分子生成物と少なくとも1つの不純物の両方を含む、1つ又は2つ以上の先行する画分及び/又は後続する画分を含む第2の画分、
    前記第1の画分は前記第2の画分と分離されて回収される;
    c)1つ又は2つ以上の容器に前記第2の画分を保持するステップ;
    d)前記第2の画分中の前記生体分子生成物が前記クロマトグラフィーマトリックスに結合するように、前記1つ又は2つ以上の容器からの前記第2の画分及び前記供給原料からの追加の供給材料を前記クロマトグラフィーマトリックスにロードするステップ、前記追加の供給材料は前記第2の画分と同時に又は続いてロードされる;ならびに
    e)溶出溶液を前記クロマトグラフィーマトリックスに適用することによって、前記クロマトグラフィーマトリックスから溶離液に前記生体分子生成物を溶出するステップ、前記溶離液は精製された生体分子生成物を含む;
    ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(d)及びステップ(e)の前記クロマトグラフィーマトリックスは同じクロマトグラフィーマトリックスである。
  2. ステップ(b)、(c)及び(d)が繰り返される、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(b)、(c)及び(d)が少なくとも2回実行される、請求項1に記載の方法。
  4. 第2の画分が、(i)第1の画分の直前の先行する画分;及び/又は(ii)前記第1の画分の直後の後続する画分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 以下を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法:
    −ステップ(a)及び(b)が複数回繰り返され;
    −各ステップ(b)で回収された第2の画分が一緒にプールされ;
    −ステップ(c)が、1つ又は2つ以上の容器に前記プールされた第2の画分を保持する;
    −ステップ(d)が、前記プールされた第2の画分中の生体分子生成物がクロマトグラフィーマトリックスに結合するように、前記1つ又は2つ以上の容器からの前記プールされた第2の画分を前記クロマトグラフィーマトリックスにロードすること。
  6. ステップ(a)が、クロマトグラフィーマトリックスに結合しない未結合の生体分子生成物を含有するフロースルーを回収することをさらに含み;
    ステップ(d)が、前記フロースルーを第2の画分及び/又は追加の供給材料と同時に又は続いて、前記クロマトグラフィーマトリックスにロードすることをさらに含む、
    請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 1つ又は2つ以上の第2の画分をプロセシングして、生体分子のクロマトグラフィーマトリックスへの結合を促進することをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. プロセシングがステップ(c)及び/又はステップ(d)の間に行われる、請求項7に記載の方法。
  9. プロセシングが、1つ又は2つ以上の第2画分のpH、イオン強度、濃度、温度及び/又は溶媒を変更すること、ならびに/あるいは前記1つ又は2つ以上の第2の画分の混合及び/又は脱気を含む、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 1つ又は2つ以上の第2の画分を試験することをさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 1つ又は2つ以上の第2の画分を試験することが、前記1つ又は2つ以上の第2の画分の生体分子生成物の濃度;不純物の濃度;不純物の正体;pH;イオン強度;温度;溶媒;及び/又はガス濃度の1つ又は2つ以上を決定することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. ステップ(c)が、1つ又は2つ以上の第2の画分を少なくとも5分間保持することを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. ステップ(c)が、1つ又は2つ以上の第2の画分を一晩保持することを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. クロマトグラフィーマトリックスが保持時間中に交換、洗浄又は更新される、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 生体分子生成物がタンパク質、抗体、抗体断片、ポリヌクレオチド又はポリペプチドである、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 供給原料が少なくとも20リットル、任意に、少なくとも100リットルの容積を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. クロマトグラフィーマトリックスが少なくとも4リットルのベッドボリュームを有する、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. ステップ(b)において、溶離液の体積がクロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの少なくとも2倍であり、任意に、前記溶離液の体積が前記クロマトグラフィーマトリックスのベッドボリュームの2倍〜20倍である、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. クロマトグラフィーマトリックスが、
    イオン交換クロマトグラフィーマトリックス;
    疎水性相互作用クロマトグラフィーマトリックス;
    アフィニティークロマトグラフィーマトリックス;
    ミックスモードクロマトグラフィーマトリックス;
    キラルクロマトグラフィーマトリックス;及び
    誘電クロマトグラフィーマトリックス
    から選択される、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. クロマトグラフィーマトリックスがクロマトグラフィーカラム内にある、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. クロマトグラフィーマトリックスがクロマトグラフィー膜又はモノリス吸着器である、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
  22. クロマトグラフィーマトリックスからの生体分子生成物の溶出が、少なくとも約0.2クロマトグラフィーマトリックス容積/分の流速で行われる、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. 第1の画分の各々を合わせることをさらに含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 精製された生体分子生成物をダイアフィルトレーション及び/又は濃縮することをさらに含む、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  25. 精製された生体分子生成物をナノ濾過することをさらに含む、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 精製された生体分子生成物をさらなるクロマトグラフィー精製に供することをさらに含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 精製された生体分子生成物を化学的に修飾することをさらに含む、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
  28. 精製された生体分子生成物を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又はアジュバントと共に製剤化することをさらに含む、請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 請求項1〜28のいずれかに記載の方法によって得られる精製された生体分子生成物。
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