定義
本明細書で使用される以下の括弧内の用語は、以下の意味を有する。
「%w/w」は、例えばその中に成分が存在する層又は剤形の総重量の百分率としての成分の重量を意味する。例えば、「5%w/wのX」を含む組成物は、成分Xの重量が組成物の総質量の5%である組成物を指す。
記号「↓」は、服薬の用量又は頻度を下げることを意味する。
記号「↑」は、服薬の用量又は頻度を上げることを意味する。
記号「⇔」は、服薬の用量又は頻度を同一に保つことを意味する。
「約」は、それが指す分野、技術分野又は主題の誤差の余地内を意味する。量との関連で使用される用語「約」は、記述された値を含み、文脈によって書き記された意味を有する(例えば、特定の量の測定値に関連する誤差の程度を含む)。例えば、一定の非限定的な例では、数値xに関する用語「約」は、x±10%、x±5%又はx±1%を指す。
用語「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する飽和の炭化水素鎖を指す。例えば、「C1〜6アルキル」は、1〜6個の炭素原子、例えば1〜2個の炭素原子を有するアルキル基を指す。
「ART経験」又は「抗レトロウイルス療法経験」は、ヒトに関して、現在又は過去において、HIV又は後天性免疫不全症候群(AIDS)を治療するために使用される1種以上の抗ウイルス剤で治療されてきたヒトを意味する。本明細書中で定義しているように、「ART経験」は、異なるウイルス標的において作用する多剤の使用であるHAART(高活性抗レトロウイルス療法)を含む。
本明細書で使用される場合、「曲線下面積」又は「AUC」は、時間に対する血漿中の物質の濃度のプロットにおける曲線下面積である。AUCは、時間の間隔の間の瞬間濃度の積分測定値であり得、単位質量×時間/体積を有し、これはまた、モル濃度×時間、例えばnM×日でも表され得る。AUCは、典型的には、台形法(例えば線形の、線形logの)によって算出される。AUCは、通常、時間の間隔ゼロから無限までについて付与され、他の時間の間隔が示唆される(例えば、AUC(t1,t2)(式中、t1及びt2は、間隔の出発時間及び終了時間である))。そのため、本明細書で使用される場合、「AUC0〜24h」は、24時間にわたるAUCを指し、「AUC0〜4h」は、4時間にわたるAUCを指す。
2つの値に言及する用語「の間」は、これらの2つの値を含み、例えば、10mgから20mg「の間」の範囲は、例えば10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg及び20mgを包含する。
用語「C1〜6アルコール」は、-OHで置換されているC1〜6アルキル基を意味する。
本明細書で使用される場合、用語「共投与する」は、例えば臨床治療レジメンの部分として、2剤以上の作用剤を互いに24時間以内に投与することを指す。他の実施形態では、「共投与する」は、2剤以上の作用剤を互いに2時間以内に投与することを指す。他の実施形態では、「共投与する」は、2剤以上の作用剤を互いに30分以内に投与することを指す。他の実施形態では、「共投与する」は、2剤以上の作用剤を互いに15分以内に投与することを指す。他の実施形態では、「共投与する」は、単一の製剤の部分として又は同一の若しくは異なる経路により投与される複数の製剤としてのいずれかで、同時に投与することを指す。
用語「共結晶」は、例えば分子成分間のプロトン変換が部分的又は不完全である、2種以上の分子成分を含む結晶性化合物を指す。
本明細書で使用される場合、用語「変動係数(CV)」は、分散の測定値であり、それは、標準偏差と平均との比として定義される。それは、上記の算出値を100倍することにより百分率(%)として(%CV)報告される。
「本発明の組み合わせ」は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は薬学的に許容されるその塩の組み合わせであり、式Iはドルテグラビルであり、式IIはリルピビリンである。
「本発明の組成物」は、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩である2剤のみの抗ウイルス剤を含有する組成物を意味し、式Iはドルテグラビルであり、式IIはリルピビリンであるが、この組成物は他の成分を含んでもよい。
用語「含む(comprise)」及びそのバリエーション、例えば「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、オープンな包括的意味、即ち「が含まれるがこれらに限定されない」であると解釈される。
本明細書で使用される場合、「信頼区間」又は「CI」は、測定値又は試験値が所与の確率p(pは90%又は95%CIを指す)に対応して含まれる区間であって、算術平均、幾何平均又は最小二乗平均のいずれかの周りに算出される区間である。本明細書で使用される場合、幾何平均は、べき乗により逆変換された自然log変換値の平均であり、最小二乗平均は、幾何平均であってもそうでなくてもよいが、固定効果を使用する分散分析(ANOVA)モデルから導出される。
用語「からなる(consist)」及びそのバリエーション、例えば「からなる(consists)」及び「からなる(consisting)」は、狭く解釈され、即ち「それのみを含む」と解釈される。
用語「有効量」は、疾患を治療するために対象へ投与される場合に疾患のためのそのような治療に効果をもたらすために十分である化合物の量を含む、所望の生物学的又は医療的応答を引き出すために有効であり得る量を指す。有効量は、化合物、疾患及びその重症度、並びに治療される対象の年齢、体重などに応じて様々となる。有効量は、量の範囲を含むことができる。
本明細書の全体にわたる様々な場所での「一実施形態では(in one embodiment)」又は「一実施形態では(in an embodiment)」は、必ずしも全てが同一の実施形態を指すわけではない。更に、特定の様相、構造又は特徴は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされ得る。
固体の経口剤形をヒトの対象へ投与することに関する用語「摂食の」は、該剤形を摂食(中程度の脂肪の食事)条件下で経口投与することを意味し、例えば、ヒトが約300〜600カロリー及び約10〜約15gの脂肪の標準の食事を消費した約30以内に投与することを意味する。いくつかの実施形態では、「摂食の」は、ヒトが高脂肪の食事を消費した約30分以内に投与することを指す。
「HIV」又は「ヒト免疫不全ウイルス」は、それぞれ、HIV-1若しくはHIV-2(特にHIV-1)、又は任意の、その突然変異体、群、臨床分離株、サブタイプ又はクレードを意味する。
「本発明のレジメン」は、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩である2剤のみの抗ウイルス剤を使用した投与、製剤、投与経路、用量、服薬間隔及び治療期間の態様を含むレジメンを意味するが、このレジメンは、他の成分を含んでもよい又は使用してもよい。
本明細書で使用される場合、「最大血漿濃度」又は「Cmax」は、物質(例えばドルテグラビル又はリルピビリン)を哺乳動物に投与した後の、哺乳動物の血漿中の該物質の、観察される最大の濃度を意味する。
本明細書で使用される場合、用語「患者」は、ヒトを含む哺乳動物を指す。
物質に関する用語「薬学的に許容される」は、望ましくない毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、使用するのに安全で好適であると一般にみなされる、合理的な利益/リスクの比に見合った物質を指す。賦形剤に関する「薬学的に許容される」には、米国食品医薬品局によりヒト又は家畜での使用で許容されるものとして承認されてきた任意の補助剤、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、染料/着色剤、芳香増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張化剤、溶媒又は乳化剤が挙げられるがこれらに限定されない。
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬学的活性を有する(又はそれを有する形態へと転換され得る)化合物の塩を指す。そのような塩には、無機酸で形成されている酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;又は有機酸で形成されている酸付加塩、例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸など、及び親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン若しくはアルミニウムイオンのいずれかで置き換えられる場合に形成される塩;又は有機塩基が配位したもの、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどが挙げられる。更にこの定義中に含まれるのは、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩又は四級化アンモニウム塩である。薬学的に許容される塩の代表的な非限定的列挙は、S.M. Berge ら、J. Pharma Sci., 66(1), 1-19 (1977)、及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, R. Hendrickson編、第21版、Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA, (2005)、732頁、表38-5に見出すことができ、それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。
疾患を「予防する」、又は疾患の「予防」には、疾患の発現のリスクを減らすこと、即ち、疾患に曝され得る又は罹りやすくなり得るものの未だ該疾患の徴候を経験していない又は示していない対象中で、該疾患の臨床的徴候が発現しないようにすることが挙げられる。
本明細書で使用される場合、用語「塩」は、共結晶を含む。
錠剤内の一定の成分(例えばA及びB)に関して使用される用語「分離している」は、これらの成分が、1種の成分(例えばA)の存在が、該1種の成分と分離している他の成分(例えばB)の保存中の安定性に実質的に影響を及ぼさないように物理的に分かれていることを意味する。典型的には、成分が錠剤中で分離している場合、それらは、多層錠剤中の別個の層中に存在することになる。例として、成分AとBとは、多層錠剤中の別個の層中に存在してもよく、(a)成分Aを含有する層は成分Bを実質的に含まず、(b)成分Bを含有する層は成分Aを実質的に含まない。別個の層は、互いに接触していてもよく、又は例えば1つ以上の追加の層によって分けられていてもよい。
本明細書で使用される場合、「血清又は血漿の半減期」は、哺乳動物に投与される物質の半分の量が、通常の生物学的方法によって哺乳動物の血清又は血漿から代謝される又は除去されるために必要な時間を指す。
用語「溶媒和物」は、化合物、及び1種以上の薬学的に許容される溶媒分子を含む、分子複合体を意味する。溶媒分子の例には、水及びC1〜6アルコール、例えばエタノールが挙げられる。溶媒和物が水である場合、用語「水和物」を使用することができる。
例えば組成物内の所与の成分の存在に関連する用語「実質的に含まない」は、該組成物の5重量%未満(例えば該組成物の1重量%未満)がその所与の成分であることを意味する。用語「実質的に」は「完全に」を除外することはなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないことがある。必要な場合、用語「実質的に」は、本発明の定義から省かれ得る。
「治療有効量」又は「有効量」は、症状(障害)を予防することになる、又は治療されている障害の徴候の1つ以上をある程度まで和らげることになる、投与される化合物の量を指す。本明細書での使用に好適な医薬組成物には、企図した目的を達成するために十分な量で有効成分が含有されている組成物が挙げられる。治療有効量の決定は、特に本明細書で提供されている詳細な開示を踏まえれば、十分に当業者の能力内である。
本明細書で使用される場合、「治療」は、患者における疾患の予防、軽減、除去若しくは緩和、又は特定の障害に伴う確認できる測定値の改善を指し、無症候性の患者、例えばウイルス感染症が潜伏している患者における、徴候の再発の抑制を含み得る。
本明細書で使用される場合、「Tmax」は、哺乳動物に物質を投与した後の、観察される、哺乳動物の血漿中の物質の最大濃度に達するための時間を指す。
「ウイルス学的に抑制された」は、1mL当たりの所与のコピー数未満のHIVリボ核酸(RNA)コピー数を検出していることを意味する。例えば、所与のコピー数は、例えばTaqMan 2.0.(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN, USA)を使用して、<50c/mlである。
本明細書で使用される場合、「加重平均AUC」は、AUCを算出する時間の間隔で割ったAUCである。例としては、加重平均AUC0〜24hは、24時間で割ったAUC0〜24hを表すことができる。
当技術分野で理解されているように、様々な方法が、薬物動態データ、例えば血中、血漿中及び/又は他の組織中の活性化合物濃度を集め、測定及び評価するために利用され得る。
化合物
ドルテグラビルは、インテグラーゼ活性部位に結合することによって、及びHIV複製サイクルに必須であるレトロウイルスデオキシリボ核酸(「DNA」)組み込みの鎖転移工程をブロックすることによってHIVインテグラーゼを阻害する。DTGは、インテグラーゼ鎖転移阻害剤(INSTI)である。純化HIV-1インテグラーゼ及び前処理した基質DNAを使用した鎖転移生化学アッセイは、IC50(阻害濃度50%)値2.7nMをもたらした(Kalama及びMurphy、Dolutegravir for the Treatment of HIV, 2012 Exp. Op. Invest. Drugs 21(4): 523-530)。
ドルテグラビルの化学名は、(4R,12aS)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-7-ヒドロキシ-4-メチル-6,8-ジオキソ-3,4,12,12a-テトラヒドロ-2H-ピリド[5,6]ピラジノ[2,6-b][1,3]オキサジン-9-カルボキサミド(CAS登録番号1051375-16-6)である。本発明の一定のレジメン及び組成物は、ドルテグラビルの薬学的に許容される形態、例えば薬学的に許容されるその塩、その水和物及び/又はその溶媒和物を含む。例示的なドルテグラビルの薬学的に許容される塩は、ドルテグラビルナトリウム(「TIVICAY」として市販されている)である。ドルテグラビルのナトリウム塩、及びこのナトリウム塩の特定の結晶形態又はその水和物は、米国特許第8,624,023号で開示されている。非晶質ドルテグラビルナトリウムは、例えば、米国特許第9,206,197号に記載されている。ドルテグラビルの多形、異性体、プロドラッグ及びエステルもまた、本発明の観点で想定される。別段の指定がない限り、ドルテグラビルの重量(mg)は、その遊離形態にあるドルテグラビルの重量に基づく。
ドルテグラビルは、以下の構造式:
ドルテグラビルは、主にグルクロン酸抱合により代謝される。ドルテグラビルは、CYP3A4の基質であるとみなされるが、わずか約15%という低い程度までである。更に、ドルテグラビルは、インビトロでチトクロムP450(CYP)アイソザイムの誘導又は阻止を示す。米国特許付与前出願公開第2016/0184332号を参照されたい。
本明細書で使用される「ドルテグラビルに基づくレジメン」又は「DTGに基づくレジメン」又は「ドルテグラビル含有レジメン」又は「DTG含有レジメン」は、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩の投与(例えば、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物の投与)を含むレジメンを意味する。
ドルテグラビルは、HIV感染患者の広範な個体群における使用のために承認されている。ドルテグラビルは、2013年8月にFDAにより、2013年11月にカナダ保健省により、及び2014年1月にヨーロッパでEMAにより承認された。ドルテグラビルは、HIV療法を受けたことがないHIV感染成人(治療未経験者)、及びHIV療法を以前に受けていたHIV感染成人(治療経験者)(他のインテグラーゼ鎖転移阻害剤で治療されていた人を含む)を治療するために使用することができる。TIVICAYはまた、治療未経験者又は治療経験者であるが以前に他のインテグラーゼ鎖転移阻害剤を摂取したことがない12歳以上で体重が少なくとも40キログラム(kg)の子どもについても承認されている。
本明細書で使用される場合、用語「DTG」は、ドルテグラビルナトリウムを指すと企図される。ドルテグラビルナトリウムの化学名は、ナトリウム(4R,12aS)-9-{[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]カルバモイル}-4-メチル-6,8-ジオキソ-3,4,6,8,12,12a-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[1',2':4,5]ピラジノ[2,1-b][1,3]オキサジン-7-オレートである。実験式はC20H18F2N3NaO5であり、分子量は1mol当たり441.36gである。それは、以下の構造式:
を有する。ドルテグラビルナトリウムは、白色から淡黄色の粉末であり、水にわずかに溶解性である(表15)。
非微粒子化ドルテグラビルナトリウムは、水性媒質に、pH5.0及び6.5できわめてわずかに溶解性であり、pH1.2で実質的に不溶性である。
ドルテグラビルを作製する方法は、例えば米国特許第9,573,965号に記載されている。米国特許第8,217,034号及び米国付与前出願公開第2016/0184332号もまた参照されたい。
リルピビリンは、化学式C22H18N6を有し、化学名4-[[4-[[4-[(E)-2-シアノエテニル]-2,6-ジメチルフェニル]アミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルを有する。リルピビリンは、以下に示す構造式:
この化合物は、とりわけ、WO2003016306及び関連する国内出願に記載にされ、特許請求されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
リルピビリンは、Janssen Sciences Ireland UCからEDURANT(リルピビリン塩酸塩)として入手可能である。
本明細書で使用される場合、用語「RPV」は、リルピビリン塩酸塩を指すと企図される。リルピビリン塩酸塩の化学名は、4-[[4-[[4-[(E)-2-シアノエテニル]-2,6-ジメチルフェニル]アミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルヒドロクロリドである。その分子式は、C22H18N6・HClであり、その分子量は、1mol当たり402.88gである。リルピビリン塩酸塩は、以下の構造式:
リルピビリン塩酸塩は、白色からほとんど白色の粉末である。リルピビリン塩酸塩は、水性媒質に実施的に不溶性である(表16)。
治療方法
本発明の一実施形態は、それを必要とする患者におけるヒトHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)を治療する又は予防する方法を提供し、該方法は、該患者に、第1の抗レトロウイルス剤及び第2の抗レトロウイルス剤から本質的になる2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む医薬組成物を投与することを含み、第1の抗レトロウイルス剤は、治療有効量の式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩であり、第2の抗レトロウイルス剤は、治療有効量の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩である。
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)又はその突然変異体、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)又はその突然変異体(特にHIV-1)に感染している患者を治療するための別の実施形態の方法が提供され、該方法は、該患者に、第1の抗レトロウイルス剤及び第2の抗レトロウイルス剤から本質的になる2剤のみの抗レトロウイルス剤を含むレジメンを投与することを含み、第1の抗レトロウイルス剤は、治療有効量の式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩であり、第2の抗レトロウイルス剤は、治療有効量の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩である。
別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩から本質的になる、本明細書で記載した2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む医薬組成物が提供される。
別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩から本質的になる2剤の抗レトロウイルス剤を含む医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む。
別の実施形態では、患者におけるHIVを治療する又は予防する方法が提供され、該方法は、患者に、治療有効量の式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び治療有効量の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、並びに1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を投与することを含む。
活性剤は、化合物(単数)又は化合物(複数)として投与されることが可能ではあるが、本発明の一実施形態では、活性剤は、イオン性塩の形態で、又はイオンを共有することなく塩基若しくは酸と接触して(即ちコフォーマー(co-former))のいずれかで、酸又は塩基との接触を含むことができる医薬組成物として投与される。塩、酸若しくは塩基コフォーマー、担体又は希釈剤は、他の成分と適合性があり且つそのレシピエントに有害でないという意味において許容されるべきである。様々な異なる剤形のための薬学的に許容される賦形剤が当技術分野で周知であり、担体、希釈剤、充填剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、滑剤、着色剤、顔料、矯味剤、甘味剤、芳香剤、可塑剤、並びに任意の許容される補助物質、例えば吸収促進剤、浸透促進剤、界面活性剤、共界面活性剤、及び特殊化された油を含む。適正な賦形剤は、ある程度、剤形、企図された投与方法、企図された放出速度、及び製造信頼性に基づいて選択される。経口投与のための担体又は希釈剤の例には、コーンスターチ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、微結晶性セルロース、ステアリン酸、ポビドン、クロスポビドン、二塩基性リン酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース2910)、ラウリル硫酸ナトリウム、マンニトール、フマル酸ステアリルナトリウム及びタルクが挙げられるがこれらに限定されない。塩、及び酸又は塩基のコフォーマーの例には、フマレート、ヘミフマレート、ナトリウム及びヒドロクロリドが挙げられる。
別の実施形態では、本発明は、医療的療法における使用のための、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩の組み合わせを提供する。開示されている併用療法の活性剤は、従来の任意の方法でヒトに投与され得る。
別の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の非抗レトロウイルス(非ARV)活性剤を更に含む。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とが、別個の剤形で共投与される。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とは、単一の剤形で共投与される。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とは、それぞれ1日1回摂取される。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とは、一定用量の組み合わせで共投与される。別の実施形態は、そのような組み合わせの1種以上を、所与の患者にとって適当な用量に応じて、1日1回、2回、3回又はそれ以上の回数で摂取することを提供する。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とは、単一の錠剤で共投与される。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とは、経口で共投与される。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とは、液状形態若しくは固体形態若しくは別の形態(例えばジェル、ゾル又はエマルション)、又は患者への様々な投与経路の任意のものに好適な形態の組み合わせのいずれかである。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とは、1日1回経口摂取される単一の錠剤で共投与される。錠剤は、好ましくは、飲み込める錠剤である。錠剤は、任意選択で、本質において、当技術分野で既知の任意の不活性なコーティング材料を含むフィルムコートでコーティングされていてもよい。
他の実施形態は、例えば溶液若しくはサスペンションとして、又は経口投与のための錠剤、カプセル、顆粒、ペレット若しくはサッシェとして、様々な種類の剤形へと製剤された医薬組成物を含む。上記の形態の列挙は網羅的ではない。本発明の医薬組成物は、当技術分野で既知の標準的な方法に従って製造することができる。本発明による顆粒は、乾式圧縮又は湿式顆粒化によって得ることができる。これらの顆粒は、それに続いて、例えば好適な崩壊剤、滑剤及び潤滑剤と混合することができ、該混合物は、錠剤へと圧縮することができ、又は好適なサイズのサッシェ中若しくはカプセル中に充填することができる。
錠剤はまた、好適な粉末混合物の直接圧縮によって、即ち賦形剤の任意の事前の顆粒化なしでも得ることができる。本発明による好適な粉末混合物又は顆粒混合物はまた、噴霧乾燥、凍結乾燥、溶融押出、ペレット層化、医薬有効成分のコーティング、又は任意の他の好適な方法によっても得ることができる。そのようにして得た粉末又は顆粒は、1種以上の好適な成分と混合することができ、得られた混合物は、圧縮されて、錠剤を形成することができるか、又はサッシェ中若しくはカプセル中に充填することができるかのいずれかである。当技術分野で既知の上記の方法にはまた、所望の粒径分布の調整を可能にする粉砕技術及びふるい技術が挙げられる。
一実施形態では、2剤のみの抗レトロウイルス剤として式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含有する単一の剤形は、アルミニウム、水酸化マグネシウム及び/又は炭酸カルシウムを含有する制酸剤の摂取の4時間前又は6時間後に投与される。一実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含有する単一の剤形は、多価カチオン(例えばMg又はAl)を含有する製品の摂取の4時間前又は6時間後に投与される。一実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含有する単一の剤形は、カルシウム又は鉄の栄養補助剤の摂取の4時間前又は6時間後に投与される。別法では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、並びにカルシウム又は鉄を含有する栄養補助剤を含有する単一の剤形が、食品と共に摂取される。
なおも別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩からなる2剤の抗ウイルス剤の一方又は両方が、食品と共に、例えば少なくとも中程度以上の脂肪の含有量を含む食品と共に摂取される方法が提供される。一態様では、食品は、それが脂肪から30%超のエネルギーを供与される場合、高脂肪食品であるとみなされる。いくつかの事例では、高脂肪食品は、脂肪から30%超のエネルギーを供与される。一態様では、食品は、それが脂肪から20%から35%の間又は25%から35%の間のエネルギーを供与される場合、中程度の脂肪の食品であるとみなされる。
なおも別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩の組成物を、少なくとも中程度以上の脂肪の含有量を含有する食品と共に摂取する患者において、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のAUC(0〜∞)は、絶食状態と比較して少なくとも80%増加し、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のCmaxは、絶食状態と比較して少なくとも70%増加する。いくつかの態様では、2剤の抗レトロウイルス剤と共に摂取される、中程度の脂肪及び高脂肪の食事は、それぞれ、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を、AUC(0〜∞)でおよそ87%、Cmaxでおよそ75%増加させた。いくつかの事例では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のAUC(0〜∞)は、中程度の脂肪又は高脂肪の食品又は食事と共に摂取された場合の患者において、絶食状態と比較して、およそ70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%増加する。いくつかの事例では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のCmaxは、中程度の脂肪又は高脂肪の食品又は食事と共に摂取された場合の患者において、絶食状態と比較して、およそ70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%増加する。
いくつかの事例では、式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩は、中程度の脂肪及び高脂肪の食事で、絶食状態と比較して、AUC(0〜∞)がそれぞれ57%及び72%増加し、Cmaxがそれぞれ89%及び117%増加する。いくつかの事例では、式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のAUC(0〜∞)は、中程度の脂肪又は高脂肪の食品又は食事と共に摂取された場合の患者において、絶食状態と比較して、およそ50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%増加する。いくつかの事例では、式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のCmaxは、中程度の脂肪又は高脂肪の食品又は食事と共に摂取された場合の患者において、絶食状態と比較して、およそ70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%又は120%増加する。式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩がタンパク質に富む栄養飲料物のみと共に摂取された場合、曝露は、食事と共に摂取された場合よりも50%小さい。
なおも別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩の医薬組成物を少なくとも中程度以上の脂肪の含有量を含有する食品と共に摂取する患者において、絶食状態と比較して、式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のAUC(0〜∞)は少なくとも50%増加し、式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のCmaxは少なくとも80%増加する。
更なる実施形態では、式Iは、(4R,12aS)-9-{+[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]カルバモイル}-4-メチル-6,8-ジオキソ-3,4,6,8,12,12a-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[1',2':4,5]ピラジノ[2,1-b][1,3]オキサジン-7-オレートである。
別の実施形態では、式Iは、ドルテグラビルナトリウム(式Ia)であり、及び/又はドルテグラビル遊離酸50mgと当量である。
更なる実施形態では、式IIは、4-[[4-[[4-[(E)-2-シアノエテニル]-2,6-ジメチルフェニル]アミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリルである。
別の実施形態では、式IIは、リルピビリン塩酸塩(式IIa)であり、及び/又はリルピビリン遊離塩基25mgと当量である。
別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩は、式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のCmax値を、単剤療法として摂取される場合の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩のCmax値と比較して、統計的に有意に変更させない。当技術分野で理解されているように、薬物動態パラメーター、例えばCmax及びAUCは、1人のヒト若しくは患者内で、又は患者群においてベースラインから選択した終点までで、測定することができる。例として、式IIの化合物のCmax値は、1人の患者において、又は単剤療法として式IIの化合物若しくは追加の薬学的に許容されるその塩を受けている、若しくは式Iの化合物若しくは追加の薬学的に許容されるその塩との併用で受けている患者における平均として、比較することができる。統計的有意性は、当技術分野で既知のいくつかの方法によって算出することができ、これには、信頼区間(CI)及び/又はp値を計算することが挙げられるが、これらに限定されない。
ドルテグラビルの経口投与に続いて、ピーク血漿濃度が、投与2〜3時間後に観察された。1日1回の服薬で、薬物動態の定常状態はおよそ5日以内で達成され、AUC、Cmax及びC24時間についての平均累積比は1.2〜1.5の範囲である。ドルテグラビルは、インビトロでP-gp基質である。ドルテグラビルの絶対的な生物学的利用能(bioavailability)は確立されていない。
経口投与の後、リルピビリンの最大血漿濃度(Cmax)は、一般に4〜5時間以内に達成される。リルピビリンの絶対的な生物学的利用能は、未知である。
別の実施形態では、患者は、ドルテグラビル及びリルピビリンの医薬組成物を受ける前に3剤以上の抗ウイルス剤を受けてきていた。例えば、患者は、抗レトロウイルスレジメン(2剤のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤[NRTI]+第3作用剤)を受けてきていてよい。第3作用剤は、インテグラーゼ阻害剤(INI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、又はプロテアーゼ阻害剤(PI)のいずれかであり得る。一実施形態では、患者は、ドルテグラビル及びリルピビリンの医薬組成物を受ける前に、ビクテグラビル、テノホビル、若しくはテノホビルプロドラッグ、例えばテノホビルジソプロキシフマル酸塩(TDF)若しくはTAF(ヘミフマレート及びモノフマレートを含む)、又はエムトリシタビンを含む抗レトロウイルスレジメンを受けてきていた。別の実施形態では、患者は、ドルテグラビル及びリルピビリンの医薬組成物を受ける前に、ビクテグラビル、テノホビル及び/又はエムトリシタビンのいずれかに耐性を示してきた。より好ましい実施形態では、患者は、彼/彼女がQ148R及び/又はQ148Kにおいて突然変異を有するビクテグラビル耐性株に感染している場合、ビクテグラビルを含むレジメン(例えばビクテグラビル、TAF及びエムトリシタビンの組み合わせ)から、ドルテグラビル及びリルピビリンの医薬組成物へと切り替えられる。
本発明の一実施形態では、それを必要とするウイルス学的に抑制された患者におけるHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)を治療する又は予防する方法が提供され、該方法は、該患者を、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンへと切り替えることを含む。
本発明の別の実施形態は、それを必要とするウイルス学的に抑制された患者におけるHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)を治療する方法であり、該方法は、該患者を、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、第1の抗ウイルス剤が治療有効量の式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩であり第2の抗ウイルス剤が治療有効量の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩である2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンへと切り替えることを含む。そのため、一実施形態では、それを必要とするウイルス学的に抑制された患者におけるHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)を治療する方法が提供され、該方法は、該患者を、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、ドルテグラビル遊離酸50mgと当量のドルテグラビルナトリウム(又は他の好適なカチオンを有する)、及びリルピビリン遊離塩基25mgと当量のリルピビリン塩酸塩(又は他の好適な酸を有する)から本質的になる2剤のみの抗レトロウイルス剤、並びに少なくとも1種の不活性成分を含む治療レジメンへと切り替えることを含む。
本発明の別の実施形態は、それを必要とするウイルス学的に抑制された患者におけるHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)を治療する又は予防する方法であり、該方法は、該患者を、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、1用量当たり約50mgの式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、及び1用量当たり約25mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩から本質的になる2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンへと切り替えることを含む。別の実施形態では、方法又は組成物は、約1mgから200mgの間の式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、及び約1mgから200mgの間の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含む。別の実施形態では、方法又は組成物は、10mgから100mgの間の式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、及び10mgから100mgの間の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含む。
なおも別の実施形態は、10mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mgの式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、及び10mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩の当量を含む。更なる実施形態では、錠剤又は他の組成物は、ドルテグラビル遊離酸50mgと当量のドルテグラビルの追加の薬学的に許容される形態を含んでもよく、リルピビリン遊離塩基25mgと当量のリルピビリンの追加の薬学的に許容される形態を含んでもよい。本発明の任意の用量範囲のための実施形態として提供されるのは、用量範囲の両端数の間の、各整数の用量である。例えば15mg〜50mgという用量範囲はまた、16mg、17mgなどから49mgまで(各値の間の全ての小数点、分数及び整数を含む)も含むことができる。約50mgという値は、45mg超の値、更には55mg未満の値も含むことができる。他の治療有効用量のドルテグラビルとリルピビリンとは、既知の医薬的実践又は臨床的実践を使用して決定又は最適化することができる。
一実施形態では、抗ウイルスレジメンは、それぞれ、任意の数の工程を含んでもよく、又は任意の数の操作を受けてもよく、各レジメンで使用される組成物は、任意の数の成分、例えば賦形剤又は生物学的に活性な化合物(例えば非抗ウイルス医薬化合物)を含んでもよいが、第1の抗ウイルスレジメン及びその組成物における抗ウイルス剤の数に関して、その数は3剤以上の抗ウイルス剤に限定され、それより少なくはなく、第2の抗ウイルスレジメン及びその組成物における抗ウイルス剤の数に関して、その数は2剤の抗ウイルス剤に限定され、それより多くも少なくもない。
一実施形態では、少なくとも3剤の抗ウイルス剤を含む抗ウイルス治療レジメンから切り替えることを含む治療レジメンが提供され、該抗ウイルス剤は、以下の群から選択される1種以上の抗ウイルス化合物を含む:HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、MK8591(EFdA)、HIV非触媒部位(又はアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、HIV侵入阻害剤(例えばCCR5阻害剤、gp41阻害剤(即ち融合阻害剤)、又はCD4アタッチメント阻害剤(例えばコンビネクチン)、CXCR4阻害剤、gp120阻害剤、G6PD若しくはNADH-オキシダーゼ阻害剤、HIVワクチン、潜伏反転剤(latency reversing agent)(例えばヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プロテインキナーゼC(PKC)活性化剤、又はBRD4阻害剤)、HIVカプシドを標的とする化合物(「カプシド阻害剤」、例えばカプシド重合阻害剤又はカプシド崩壊性化合物、HIVヌクレオカプシドp7(NCp7)阻害剤、HIV p24カプシドタンパク質阻害剤)、薬物動態強化剤、免疫に基づく療法(例えばPd-1修飾剤、Pd-Ll修飾剤、CTLA4修飾剤、ICOS修飾剤、OX40修飾剤など)、トール様受容体修飾剤、IL-15作動剤、抗HIV抗体、二重特異性抗体、又はHIV gp120若しくはgp41を標的とするものを含む「抗体様」治療タンパク質(例えばDART、DUOBODY、BITE、XmAb、TandAb、Fab誘導体)、HIVのための併用薬剤、HIV p 17マトリックスタンパク質阻害剤、IL-13拮抗剤、ペプチジルプロリルcis-transイソメラーゼA修飾剤、プロテインジスルフィドイソメラーゼ阻害剤、補体C5a受容体拮抗剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、HIV vif遺伝子修飾剤、Vif二量体化拮抗剤、HIV-1ウイルス感染因子阻害剤、TATタンパク質阻害剤、HIV-1 Nef修飾剤、Hckチロシンキナーゼ修飾剤、混合結合キナーゼ-3(MLK-3)阻害剤、HIV-1スプライシング阻害剤、Revタンパク質阻害剤、インテグリン拮抗剤、核タンパク質阻害剤、スプライシング因子修飾剤、COMMドメイン含有タンパク質1修飾剤、HIVリボヌクレアーゼH阻害剤、レトロロシクリン修飾剤、CDK-9阻害剤、樹状ICAM-3グラッビング非インテグリン1阻害剤、HIV GAGタンパク質阻害剤、HIV POLタンパク質阻害剤、補体因子H修飾剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、デオキシシチジンキナーゼ阻害剤、シクリン依存キナーゼ阻害剤、プロプロテインコンベルターゼPC9刺激剤、ATP依存RNAヘリカーゼDDX3X阻害剤、逆転写酵素プライミング錯体阻害剤、HIV遺伝子療法、PI3K阻害剤、化合物、例えばWO2013/006738(Gilead Sciences)、US2013/0165489(University of Pennsylvania)、WO2013/091096A1(Boehringer Ingelheim)、WO2009/062285(Boehringer Ingelheim)、US20140221380(日本たばこ産業株式会社)、US20140221378(日本たばこ産業株式会社)、WO2010/130034(Boehringer Ingelheim)、WO2013/159064(Gilead Sciences)、WO2012/145728(Gilead Sciences)、W02012/003497(Gilead Sciences)、W02014/100323(Gilead Sciences)、W02012/145728(Gilead Sciences)、W02013/159064(Gilead Sciences)及びWO2012/003498(Gilead Sciences)及びWO2013/006792(Pharma Resources)に開示のもの、並びにHIVを治療するための他の薬剤。
一実施形態では、少なくとも3剤の抗ウイルス剤を含む抗ウイルス治療レジメンから切り替えることを含む治療レジメンが提供される。別の実施形態では、ビクテグラビル、テノホビル、若しくはテノホビルプロドラッグ、例えばテノホビルジソプロキシフマル酸塩(TDF)若しくはTAF(ヘミフマレート及びモノフマレートを含む)、及び/又はエムトリシタビンを含む抗ウイルス治療レジメンから切り替えることを含む治療レジメンが提供される。
別の実施形態では、レジメンは、本発明の組成物を使用することから、前述の抗ウイルス化合物の1種以上を含む組み合わせを含む組成物を使用することへと切り替えることを含む。別の実施形態は、2剤のNRTIと、INI、NNRTI又はPIからなる群から選択される抗レトロウイルス剤の1種以上とを含む抗レトロウイルスレジメンを含む方法を提供する。
方法の別の実施形態では、ヒト又は患者はウイルス学的に抑制されている。例として、患者が1mL当たり0から200コピーの間、1mL当たり20コピー未満、1mL当たり50コピー未満、1mL当たり100コピー未満及び/又は1mL当たり200コピー未満のHIVコピー数を有する場合に、該患者はウイルス学的に抑制されているとみなされる。本発明の任意のコピー数の一実施形態として、コピー数範囲の両端数の間の各整数のコピー数も提供される。例えば、1mL当たり20コピーから1mL当たり50コピーというコピー数範囲はまた、1mL当たり21コピー、22コピー、23コピーから49コピーまでも含むことができる。
本発明の一実施形態は、野生型HIV-1若しくはHIV-2(特にHIV-1)、HIVクレードBウイルス、MクレードA、B、C、D、E、F、G若しくはHのHIV、若しくはHIVグループOウイルス又はその突然変異体に感染している患者に投与される本発明の組成物を提供する。
本発明のレジメンの一実施形態は、一定の突然変異体HIV-1ウイルス又はHIV-2ウイルス(特にHIV-1)、例えば単一のアミノ酸置換又は2種以上の置換を含む突然変異体ウイルスに感染している患者に、本発明の組成物を投与することを提供する。一定のそのようなレジメンは、INSTI置換突然変異体、例えばラルテグラビル耐性突然変異体又はエルビテグラビル耐性突然変異体に感染している患者に、本発明の組成物を投与することを提供する。
NRTI耐性を示すHIV突然変異は、文献によく記録されている。TAF(テノホビルアラフェナミドフマル酸塩)(TAFはテノホビル及びテノホビルジソプロキシルと同一の耐性プロファイルを有する)及びFTC(エムトリシタビン)への耐性を示すHIV突然変異の例は、例えばCharacterization of HIV-1 Resistance to Tenofovir Alafenamide In vitro, Antimicrobial Agents and Chemotherapy, vN. A. Margotら、59巻10号(2015)で公開されている。更にオンラインでhttps://hivdb.stanford.edu/dr-summary/resistance-notes/NRTI/で公開されている。
更に提供されるのは、抗レトロウイルス治療(ART)経験患者を治療するために投与される又は使用される本発明のレジメン又は本発明の組成物である実施形態である。一定の実施形態は、この患者もまたウイルス学的に抑制されていると規定している。
本発明のレジメン及び本発明の組成物は、野生型若しくは突然変異体HIV、又はHIVインテグラーゼ相同体を含むウイルスに感染している患者を治療するために使用される。別の実施形態では、本発明は、本発明の組成物を、治療経験患者、例えばウイルス学的に抑制されている患者に投与する方法を提供する。
別の実施形態では、患者は、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンへと切り替える前に、1mL当たり50コピー未満のHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)RNAを有している。別の実施形態では、患者は、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含む治療レジメンへと切り替える前に、1mL当たり50コピー未満のHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)RNAを有している。別の実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含む治療レジメンに切り替えることは、治療失敗の履歴なしで、及び式Iの化合物又は式IIの化合物への耐性を伴う既知の置換なしで、ウイルス学的抑制(1mL当たり50コピー未満のHIV-1 RNA)の少なくとも6か月後に起こす。
別の実施形態では、本発明は、患者に、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含む本発明の医薬組成物を投与することによって、1mL当たり50コピー未満のHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)RNAを維持する方法を提供する。別の実施形態では、医薬組成物は、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、並びに1種以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む。更なる実施形態では、1mL当たり50コピー未満のHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)RNAが、治療レジメンを3剤以上の抗レトロウイルスレジメンから式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、並びに少なくとも1種の賦形剤、希釈剤又は担体からなる治療レジメンへと切り替えた48週後に、維持されている。
別の実施形態では、2剤の抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンは、追加の20mg〜30mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とリファブチンとで付加的に補われる。別の実施形態は、追加の20mg〜30mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩が、食品と共に、例えば少なくとも中程度以上の脂肪の含有量を含む食品と共に摂取される方法を含む。別の実施形態は、追加の20mg〜30mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩が、リファブチン共投与の期間の間に投与される方法を含む。
なおも別の実施形態では、2剤の抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンは、追加の25mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とリファブチンとで補われる。別の実施形態は、追加の25mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩が、食品と共に、例えば少なくとも中程度以上の脂肪の含有量を含む食品と共に摂取される方法を含む。なおも別の実施形態は、追加の25mgの式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩が、リファブチン共投与の期間の間に投与される方法を含む。
別の実施形態では、患者の平均骨密度は、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンへと切り替えた後に増加する。別の実施形態では、ここで、患者は、テノホビル、又はテノホビルプロドラッグ、例えばテノホビルジソプロキシフマル酸塩(TDF)又はTAF(ヘミフマレート及びモノフマレートを含む)で先に治療されていた。別の実施形態では、患者の平均骨塩量は、48週にわたり約1.5%増加する。当技術分野で理解されているように、骨密度は、腰及び/又は腰椎の総計として測定され得る。いくつかの態様では、約1.5%の骨密度増加は、約1.0%超の骨密度の任意の増加を含み、約1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.45、1.5%、1.6%、17%、1.8%、1.9%及び2.0%を含むがこれらに限定されない。別の実施形態では、患者の総腰骨塩量は、48週にわたり約1.3%上がる。別の実施形態では、患者の総腰椎骨塩量は、48週にわたり約1.5%増加する。患者が、TDFを含有するARTレジメンから、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容される塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容される塩を含有するレジメンへと切り替えられた本発明の更なる実施形態は、二重エネルギーX線吸光光度法(DEXA)研究において、TDF含有抗レトロウイルスレジメンでの治療を続けた人たち(腰0.05%と腰椎0.15%の総計)との比較において、ベースラインから第48週の平均骨塩量を増加させた(腰1.34%と腰椎1.46%の総計)。
一実施形態では、患者の現在の抗レトロウイルスレジメンが3剤以上の抗ウイルス剤を含んでいるヒト免疫不全ウイルス感染患者を、インテグラーゼ阻害剤及び非ヌクオシド逆転写酵素阻害剤を含む二薬剤レジメンを使用して治療する方法が提供される。当技術分野で理解されているように、3剤以上の抗ウイルス剤を含む抗レトロウイルスレジメンは、3剤、4剤、5剤、6剤、7剤又はそれ以上の抗ウイルス剤を含んでもよい。別の実施形態では、インテグラーゼ阻害剤は、式I:
の化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩である。別の実施形態では、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、式II:
の化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩である。
別の実施形態では、患者の現在の抗レトロウイルスレジメンは、2剤のヌクレオシド逆転写素阻害剤(NRTI)に加えて、INSTI、NNRTI又はプロテアーゼ阻害剤(PI)のいずれかを含む。別の実施形態では、患者の現在の抗レトロウイルスレジメンは、インテグラーゼ阻害剤、例えばビクテグラビル又は追加の薬学的に許容されるその塩を含む。別の実施形態では、患者の現在の抗レトロウイルスレジメンは、少なくとも3剤のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)を含む。
一実施形態では、本発明は、それを必要とするウイルス学的に抑制された患者におけるHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)の治療に使用するための、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は薬学的に許容されるその塩である2剤のみの抗ウイルス剤の組み合わせを提供し、これは、該患者を、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンへと切り替えることを含む。
一実施形態では、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩、並びにそれらを共投与するための指示書を含むキットが提供される。
更なる実施形態では、経口の剤形にある、式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩を含むキットが提供される。一実施形態では、医療的療法での使用のための、上記の組成物、キット又は組み合わせが提供される。別の実施形態では、上記の方法の任意のもので使用するための、上記の組成物、キット又は組み合わせが提供される。
本発明による組成物は、薬品として使用されてもよく、又は薬品を作製するために使用されてもよい。それは、パック又はキットにおいて供給されてもよい。
別の実施形態は、HIV感染症又はAIDSを予防する方法を提供し、該方法は、HIV感染症を獲得するリスクがある患者に、治療有効量の式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩と治療有効量の式IIの化合物又は追加の薬学的に許容されるその塩とを投与することを含む。例えば、方法は、静脈内薬物乱用者、HIV感染個体からの体液に接触する人若しくは接触する可能性のある人、又はHIV感染症を獲得するリスクを伴う性的若しくは他の活動に携わる人若しくは携わり得る人にとって、予防的であり得る。
本発明の一実施形態は、本発明の治療有効レジメン、又は本発明の治療有効組成物を提供する。患者を含む又は患者に関する本発明の任意の実施形態はまた、ヒトも含み又はヒトにも関する。本発明の任意の組成物は、ヒトに投与され得る。本発明の任意のレジメンは、ヒトに使用することができ、例えばヒト、例えばHIVに感染しているヒトを治療するために使用することができる。
本発明の一実施形態では、それを必要とするウイルス学的に抑制された患者におけるHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)の治療に使用するための、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩及び式IIの化合物又は薬学的に許容されるその塩である2剤のみの抗ウイルス剤の組み合わせが提供され、これは、該患者を、少なくとも3剤の抗レトロウイルス剤を含む抗レトロウイルス治療レジメンから、2剤のみの抗レトロウイルス剤を含む治療レジメンへと切り替えることを含む。いくつかの実施形態では、組み合わせは、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体を更に含む。本発明の組み合わせは、ドルテグラビルである第1の抗レトロウイルス剤及びリルピビリンである第2の抗レトロウイルス剤を含むことができる。これらの組み合わせの使用には、それを必要とするウイルス学的に抑制された患者におけるHIV-1又はHIV-2(特にHIV-1)を治療すること又は予防することが挙げられる。治療及び使用の開示されている方法は、該組み合わせとの関連で使用することができる。
例示的な錠剤
本発明の一部として、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む多層錠剤が提供される。
一実施形態では、剤形は、ドルテグラビル遊離酸当量50mg及びリルピビリン遊離塩基当量25mgを含む。
一実施形態では、剤形は、ドルテグラビルナトリウム52.6mg及びリルピビリン塩酸塩27.5mgを含む。
早期の発現適合性研究の間に、ドルテグラビルナトリウムとリルピビリン塩酸塩との間の相互作用が、両方の化合物の不均化へと至らせることが見出された。応力条件下で密接に混合させたドルテグラビルナトリウム及びリルピビリン塩酸塩の圧縮物を保存すると、遊離酸としてのドルテグラビルと遊離塩基としてのリルピビリンの高レベルの形成が示された。不均化は、両方の薬剤物質を単層錠剤に製剤した初期の単層錠剤を開放/露出条件下で保存した場合にも観察された。
図1及び図2は、40℃/75%RHでの最大4週間までの単層錠剤の開放/露出保存後の、ドルテグラビルとリルピビリンとの溶解プロファイルを示す。ドルテグラビルナトリウムの遊離酸への有意な不均化、及びリルピビリン塩酸塩の遊離塩基への有意な不均化により、報告された塩の量と一貫していない(患者に投与されるものに対するコントロールを欠く)製剤となる。
ドルテグラビルナトリウム及びリルピビリン塩酸塩の単層製剤の安定性を評価するために、6種の単層製剤(表17の製剤#1〜製剤#6)を、XRPD(X線粉体回析)及び19F SSNMR(固体状態核磁気共鳴)分光法を使用して安定性について試験した。
製剤1、4、5及び6の固体状態19F NMRスペクトル及びXRPDスペクトルを、図5〜図12に示す。これらのスペクトルにおいて、2週間又は4週間の保存の後、ドルテグラビルとリルピビリンの塩の形態に関連するピークはもはや見られず、遊離酸又は遊離塩基に関連するピークが現れたことが明確に見られ、このことは、不均化が起こっただけでなく、ドルテグラビルナトリウムとリルピビリン塩酸塩がもはやはっきりと現れていないことを示している。不均化は、特定の単層製剤に限るものではなく、試験した4種の単層製剤の全てで見られた。
不均化の課題への解決法は、ドルテグラビルナトリウムとリルピビリン塩酸塩とを、多層錠剤として製剤して別個にすることである。
したがって、一態様では、ドルテグラビルナトリウム及びリルピビリン塩酸塩を含む多層錠剤が提供される。
一実施形態では、多層錠剤は、二層錠剤である。
一実施形態では、多層錠剤は、コーティング錠剤である。
一実施形態では、多層錠剤は、コーティング二層錠剤である。
不均化の可能性を更に研究するために、19F SSNMR方法が開発されて、DTG/RPV錠剤中のドルテグラビル遊離酸の定量化を確認した。この方法は、製造後のDTG/RPV錠剤中のドルテグラビル遊離酸を測定するために及び主要な安定性研究(primary stability batch)(情報目的のみで)の間に錠剤のアドホックな評価を実施するために使用された。表18及び表19で示されているデータは、DTG/RPV錠剤の製造中に、又は使用安定性の間、並びに40℃/75%RHで最大6か月まで及び30℃/75%RHで最大12か月まで、提案された市販のパック中に保存された場合に、ドルテグラビル遊離酸が形成されないことを示している。
表18及び表19から、製造後に、長期/加速保存において、及び使用研究中に、ドルテグラビル遊離酸が検出可能なレベルでは観察されないことがわかる。
結論として、分析データが示したのは、二層錠剤の使用が、DTG/RPV錠剤中のドルテグラビルナトリウムの不均化の可能性を最小化することである。
不均化の可能性を更に研究するために、XRPD方法が開発されて、10%w/wの定量化限界を有するDTG/RPV錠剤中のリルピビリン遊離塩基の定量化を確認した。この方法は、製造後及び安定性研究の間、DTG/RPV錠剤中のリルピビリン遊離塩基を測定するために使用された。
加えて、基準安定性バッチ(primary stability batch)について使用研究を行い、患者が1個の錠剤を各日にパックから取り外して使用する間に薬剤製品の安定性を評価した。
リルピビリン遊離塩基は、25℃/60%RH及び30℃/75%RHでの12か月間の長期の保存(基準安定性バッチ)の後、及び30℃/75%RHでの18か月間の長期の保存(相対的生物学的利用能バッチ)の後、40℃/75%RHでの6か月にわたる加速保存の後(基準安定性バッチ)、及び25℃/60%RHでの30日間の使用研究の間、定量化限界未満のままである。
初期の二層製剤中のリルピビリン層は、ドルテグラビル層よりも小さかった(圧縮重量がリルピビリン110mg対ドルテグラビル300mg)。リルピビリン層が小さいほど、その重量を調整することが難しくなり、そのため薬剤含有量を調整することが難しくなり、標的の重量からの15mg偏差が、ドルテグラビル層では5%に相当するがリルピビリン層では13.6%に相当する。そのため、二層の全体の標的重量が全体にわたって維持されている場合、任意のドルテグラビル層の重量偏差は、リルピビリン層のほとんど3倍高い重量偏差とし得る。
解決法は、リルピビリン顆粒製剤及び顆粒外の賦形剤からなるリルピビリン層のサイズを増大させることであった。リルピビリン顆粒化が変化しないように維持すること、及びそれをより大きい割合の追加の賦形剤とブレンドすることが決定された。
リルピビリン顆粒化のプロセスパラメーター許容範囲は、図13に示されるように、顆粒のサイズが増大することを避けるように低減されなければならず、その理由は、真空搬送システムを介して圧縮機械に供給する場合に、顆粒が大きいほどリルピビリン層製剤のデミキシングを伴うためである。デミキシングの効果は、影響が及んだ層の均一性の欠如(層の成分の分離)であり、薬剤含有量の一貫性がなくなる可能性がある。
図13から、ピークLOD(乾燥減量)が12.3%w/w超では、LODにおける小さい変化は、平均粒径に重大な効果を有することがわかる。ピークLODが12.3%w/w未満では、LODにおける小さい変化は、平均粒径(「x50」又は「d50」)への効果がかなり少なく、そのため、均一性の欠如のリスクはより低い。リルピビリン層を製造する間、ピークLODを12.3%w/w未満に保つことが重要である。したがって、流動床顆粒化工程の間、水噴霧は、LODが12.3%w/w超である点を超えて続けることはできない。
乾燥減量を測定するために、既知質量の固定サンプルサイズが、乾燥前に、及び平衡に達するまで乾燥する場合の様々な時点において検量される。
したがって、一実施形態では、ピークLODが12.3%w/w未満であるリルピビリン製剤の製造方法が提供される。
一定用量の組み合わせの使用が、適当な薬物動態パラメーター及び/又は適切な錠剤安定性を達成するのに助けとなり得ることが見出された。加えて、一定用量の組み合わせとしての多層錠剤の使用はまた、薬物動態及び/又は安定性の利点ももたらし得る。
一実施形態では、(a)ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及び(b)リルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む多層錠剤が提供される。一実施形態では、錠剤は、(a)ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩を含む第1の層及び(b)リルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む第2の層を備える。一実施形態では、錠剤は、(a)ドルテグラビル遊離酸当量50mgを含む第1の層及び(b)リルピビリン遊離塩基当量25mgを含む第2の層を備える。一実施形態では、錠剤は、(a)ドルテグラビルナトリウム52.6mgを含む第1の層及び(b)リルピビリン塩酸塩27.5mgを含む第2の層を備える。一実施形態では、錠剤は、(a)ドルテグラビルナトリウム52.6mgを含む第1の層及び(b)リルピビリン塩酸塩27.5mgを含む第2の層を備え、第1の層は約350mg未満、例えば300mgの総重量を有し、第2の層は約250mg未満、例えば200mgの総重量を有する。
別段の指定がない限り、用語「第1の層」、「第2の層」などは、本明細書で開示の多層錠剤製剤の特定の順序又は方向を指定しない。むしろ、これらの用語は、組成物のセクションを互いに区別するために、及び各層又はセクション又は成分の特徴又は成分を指定するために使用される。第1の層が最初に合成されてもよく、又は2番目に合成されてもよい。第1の層は、頂部にあってもよく若しくは底部にあってもよく、又は第2の層を封入していてもよい。用語「第1の層」は、順序又は方向に関して限定しない。
本発明で開示の錠剤は、14〜21kPの範囲内の硬度を一般に有することになり、一定の指定の実施形態では、17kPの硬度を有することになる。硬度は、典型的には、圧盤を、USP 1217に従って操作して、錠剤が砕けるまで不変の荷重速度にて錠剤を圧縮するようにさせることによって評価することができる。
本発明の錠剤は、典型的には、1種以上の賦形剤を含むことになる。賦形剤は、製剤の他の成分と適合性がなければならず、且つそのレシピエントに生理学的に無害でなければならない。好適な賦形剤の例は、錠剤製剤の当業者に周知であり、とりわけ「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第7版、2012において見出すことができる。本明細書で使用される場合、用語「賦形剤」は、とりわけ、塩基化剤、溶解剤、滑剤、充填剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤などを指すと企図される。該用語はまた、作用剤、例えば甘味剤、芳香剤、着色剤、保存剤及びコーティング剤もまた含む。このような賦形剤は、一般に、錠剤内に添加混合物で存在することになる。
溶解剤の例には、イオン性界面活性剤(イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との両方を含む)、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリソルベート(例えばポリソルベート20又は80)、ポロキサマー(例えばポロキサマー188又は207)及びマクロゴールが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、溶解剤はポリソルベート20である。
潤滑剤、滑剤及び流動助剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素添加植物油、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素及びタルクが挙げられるがこれらに限定されない。錠剤中の潤滑剤の量は、一般に約0.5重量%から5重量%の間である。一実施形態では、潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウムである。
崩壊剤の例には、デンプン、セルロース、架橋PVP(クロスポビドン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。
充填剤(filler)(充填剤(bulking agent)又は希釈剤としても知られる)の例には、デンプン、マルトデキストリン、ポリオール(例えばラクトース)及びセルロースが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、充填剤は、D-マンニトール、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ラクトース一水和物から選択される。
結合剤の例には、架橋PVP、HPMC、スクロース、デンプンなどが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、結合剤はポビドンである。一実施形態では、結合剤は、ポビドンK29/32及びポビドンK30から選択される。
一実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、コーティングされていない。一実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、コーティングされている(この事例ではそれらはコーティングを備える)。コーティングされていない錠剤が使用されてもよいが、臨床セッティングにおいて、コーティング錠剤を提供することがより一般的であり、その事例では、従来の非腸溶性コーティングを使用することができる。フィルムコーティングは、当技術分野で既知であり、親水性ポリマー材料からなってもよく、多糖材料、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(ビニルアルコール-co-エチレングリコール)及び他の水溶性ポリマーからなっていてもよいがこれらに限定されない。一実施形態で、本明細書で開示の実施形態のフィルムコーティング中に含まれる水溶性材料が単一のポリマー材料を含むものの、一定の他の実施形態では、該水溶性材料は、1種以上のポリマーの混合物を使用して形成される。一実施形態では、コーティングはピンク色である。好適なコーティングには、ポリマーフィルムコーティング、例えばポリビニルアルコールを含むもの、例えばOPADRY 11(これは、部分的に加水分解されたPV A、二酸化チタン、マクロゴール3350(PEG)及びタルクを含み、任意選択の着色剤、例えば酸化鉄(例えば酸化鉄赤色又は酸化鉄黒色)又はインディゴカルミン又は酸化鉄黄色又はFD&C yellow #6を伴う)が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、コーティングはOPADRY 11 Pink(これは、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、マクロゴール/PEG、タルク、黄色酸化鉄及び赤色酸化鉄を含む)である。コーティングの量は、一般に、コアの重量の約2%から4%の間であり、一定の指定の実施形態では、約3%である。特に別段の記述がない限り、剤形がコーティングされているところでは、錠剤の重量%への言及は、総錠剤の重量%、即ちコーティングを含む重量%を意味すると理解されるべきである。
本発明の製剤を作製するために、最終のドルテグラビル-リルピビリン錠剤を製剤する前に、最初にドルテグラビルとリルピビリンの顆粒を別々に調製することが好ましい。
ドルテグラビル顆粒を作製するために、最初に、活性剤を、前述した賦形剤の1種以上と、好適なブレンダー中で混合して材料をブレンドする。一実施形態では、ドルテグラビル(ドルテグラビルナトリウムとして)を、高剪断顆粒化によって第1の量の賦形剤と添加混合する。この混合物を湿式顆粒化し、ウェットミリングし、次いで顆粒を乾燥させ、次いでドライミリングする。その後、第2の量の賦形剤を該顆粒に添加し、更にブレンドする。最終のドルテグラビル顆粒を好適な容器中に集める。ドルテグラビル製造のフロー図を図14に示す。
一実施形態では、利用されるドルテグラビルの量は、最終の錠剤製剤中にドルテグラビル(遊離酸として)50mgを送達するようなものとなる。一実施形態では、ドルテグラビルナトリウムの量は、ドルテグラビルナトリウム52.6mgである(遊離酸としてのドルテグラビル50mgと当量である)。
ドルテグラビル-リルピビリン錠剤の部分としてのリルピビリン顆粒を調製するために、リルピビリン(リルピビリン塩酸塩として)を第1の量の賦形剤と予混合する。この混合物を、流動床顆粒化によって顆粒化し、次いで、顆粒を乾燥させ、次いでドライミリングする。該顆粒をブレンドし、その後、第2の量の賦形剤を該顆粒に添加して更にブレンドする。潤滑を助けるために滑剤を添加し、最終のリルピビリン顆粒を好適な容器中に集める。
一実施形態では、利用するリルピビリンの量は、最終の錠剤製剤中にリルピビリン(遊離塩基として)25mgを送達するようなものとなる。一実施形態では、リルピビリン塩酸塩の量は、リルピビリン塩酸塩27.5mgである(遊離塩基としてのリルピビリン25mgと当量である)。
ドルテグラビル及びリルピビリンを含有する最終の錠剤を調製するために、ドルテグラビル顆粒混合物及びリルピビリン顆粒混合物の両方を、当技術分野で利用可能な装置を使用して二層錠剤へと圧縮する。一実施形態では、二層ツーリング法(bilayer tooling process)が本明細書における錠剤を作製するために利用される。一実施形態では、本発明の錠剤は、単層錠剤ではない。
本発明の二層錠剤は、自動錠剤化機を使用して調製し、これによると、第1の層の材料ブレンドを、単層錠剤圧縮と同様の圧縮ダイ中に充填し、低硬度へと圧縮する。次いで、第2の層の材料ブレンドを第1の層の頂部上に充填し、得られた二層系を二層錠剤へと圧縮する。
一実施形態では、多層錠剤は、ドルテグラビル遊離酸当量50±13mgを含む。一実施形態では、多層錠剤は、リルピビリン遊離塩基当量25±7mgを含む。
一実施形態では、多層錠剤は、ドルテグラビル遊離酸当量50±5mgを含む。一実施形態では、多層錠剤は、リルピビリン遊離塩基当量25±3mgを含む。
一実施形態では、多層錠剤は、ドルテグラビルナトリウム50±16mgを含む。一実施形態では、多層錠剤は、リルピビリン塩酸塩25±7mgを含む。
一実施形態では、多層錠剤は、ドルテグラビルナトリウム50±5mgを含む。一実施形態では、多層錠剤は、リルピビリン塩酸塩25±3mgを含む。
一実施形態では、多層錠剤の第1の層は、1種以上の賦形剤を含む。
一実施形態では、多層錠剤の第1の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第1の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第1の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第1の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第2の層は、1種以上の賦形剤を含む。
一実施形態では、多層錠剤の第2の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第2の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第2の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第2の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第1の層は、以下:
一実施形態では、多層錠剤の第2の層は、以下:
多層錠剤製剤の一実施形態では、第1の層は第2の層と接触している。
一実施形態では、最初に第1の層を製造し、続いて第2の層を製造する。つまり、一実施形態では、第1の層を調製及びプレスして第1の層にし、続いて第2の層を調製して第1の層と共にプレスして多層錠剤にする。一実施形態では、最初に第2の層を製造し、続いて第1の層を製造する。つまり、一実施形態では、第2の層を調製及びプレスして第2の層にし、続いて第1の層を調製して第2の層と共にプレスして多層錠剤にする。本明細書で使用される場合、本明細書で開示の多層錠剤を説明する場合に、用語「第1の層」及び「第2の層」は、錠剤が製造される方法を示すことは企図されず、とりわけ、層が得られる順序を示すことは企図されない。
一実施形態では、多層錠剤は、追加の層を更に備える。一実施形態では、追加の層(複数でもよい)は、第1の層と第2の層との間に配置される。一実施形態では、追加の層(複数でもよい)は、第1及び/又は第2の層のいずれかの側に配置され、それらが錠剤の外層であるように、及び/又はそれらが第1及び/若しくは第2の層とコーティング層との間に設けられるように配置される。一実施形態では、追加の層(複数可)は、第1及び第2の層をカプセルに包む。
一実施形態では、多層錠剤は、フィルムコーティングを更に備える。一実施形態では、多層錠剤は、約1mg〜約30mgのフィルムコーティングを更に備える。一実施形態では、多層錠剤は、約10mg〜約20mgのフィルムコーティングを更に備える。一実施形態では、多層錠剤は、約15mgのフィルムコーティングを更に備える。一実施形態では、フィルムコーティングは、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、マクロゴール/PEG、タルク、黄色及び赤色酸化鉄を含む。
一実施形態では、多層錠剤は、フィルムコーティングを更に備える。一実施形態では、多層錠剤は、約0.2%〜約6%w/wのフィルムコーティングを更に備える。一実施形態では、多層錠剤は、約2%〜約4%w/wのフィルムコーティングを更に備える。一実施形態では、多層錠剤は、約3%w/wのフィルムコーティングを更に備える。
一実施形態では、以下:
からなる第2の層、並びに任意選択でフィルムコーティングを備える錠剤が提供される。一実施形態では、錠剤はフィルムコーティングされている。
一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、D-マンニトールがラクトースで部分的に又は完全に置き換えられている。一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、D-マンニトールが二塩基リン酸カルシウムで部分的に又は完全に置き換えられている。一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、D-マンニトールが硫酸カルシウム二水和物で部分的に又は完全に置き換えられている。
一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、微結晶性セルロースがアルファ化デンプンで部分的に又は完全に置き換えられている。
一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、ポビドンがヒプロメロースで部分的に又は完全に置き換えられている。
一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、デンプングリコール酸ナトリウムがクロスポビドンに部分的に又は完全に置き換えられている。一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、デンプングリコール酸ナトリウムがクロスカルメロースナトリウムで部分的に又は完全に置き換えられている。
一実施形態では、層は、上記の実施形態の任意のものであるが、フマル酸ステアリルナトリウムが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ジベヘン酸グリセリル又は水素添加植物油のうちの1種又は組合せで、部分的に又は完全に置き換えられている。
一実施形態では、錠剤は、ピンク色の、フィルムコーティングされた、楕円形の両凸の錠剤である。
製造方法
本明細書で開示の組成物及び剤形(特に錠剤)を製造する方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、該方法は、(a)ドルテグラビルナトリウム、D-マンニトール、微結晶性セルロース、ポビドンK29/32、デンプングリコール酸ナトリウム、精製水及びフマル酸ステアリルナトリウムを混合してドルテグラビル層ミックスを得ること、並びに(b)リルピビリン塩酸塩、ラクトース一水和物、クロスカメロースナトリウム、ポビドンK30、ポリソルベート20、精製水、D-マンニトール、ケイ化微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合してリルピビリン層ミックスを得ること、続いて(c)ドルテグラビル層ミックスを第1の層として圧縮すること、並びに(d)リルピビリン層ミックスを第2の層として圧縮することを含む。一実施形態では、該方法は、前述した工程(a)及び(b)、続いて(c)リルピビリン層ミックスを圧縮すること、続いて(d)ドルテグラビル層ミックスを第2の層として圧縮することを含む。他の実施形態では、該方法は、前述した工程(a)及び(b)、続いて(c)ドルテグラビル層ミックスを1つの層として圧縮すること、続いて(d)リルピビリン層ミックスを第2の層として圧縮することを含む。第1の層と第2の層とは、別々に圧縮した後に合わせてもよい。しかしながら、より典型的には、第1の層を圧縮によって形成した後に、その第1の層上に第2の層を直接圧縮する。一実施形態では、多層錠剤の錠剤化における層の順序の選択は、錠剤の性質に影響を有することがある(例えば錠剤内での層の接着)。
いくつかの実施形態では、(a)ドルテグラビル層ミックスを第1の層として圧縮すること、及び(b)リルピビリン層ミックスを第2の層として圧縮すること、の方法によって第1の層が得られ得る錠剤が提供される。他の実施形態では、(a)ドルテグラビル層ミックスを第1の層として圧縮すること、及び(b)リルピビリン層ミックスを第2の層として圧縮すること、の方法によって第2の層が得られ得る錠剤が提供される。
一実施形態では、方法は、圧縮後に、例えば上記のフィルムコーティングで、錠剤コアをコーティングする工程を含むことになる。
一般に、錠剤化の方法は、調剤の技術分野において周知である。技術及び配合は、一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, PA)において見出され、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
錠剤は、任意選択で1種以上の賦形剤と共に、圧縮又は成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、好適な機械において、任意選択で賦形剤と混合された自由流動形態、例えば粉末又は顆粒の有効成分を圧縮することにより調製することができる。
薬物動態
Cmaxは、薬剤の、観察された最大血漿/血清濃度であり、ピーク全身曝露量を反映している。
AUC(0〜t)は、血漿/血清中で循環している、投与後の時間tにおける、薬剤への観察された曝露量である。
AUC(0〜∞)は、観察された、時間にわたる総薬剤曝露量である。
CV又は変動係数は、平均の百分率として表されるサンプルデータセットの変動性の測定値である。これは、サンプルの標準偏差とサンプルの平均との比として算出され、百分率で表される。
AUClast(tがtlastである場合、AUC(0〜t)とも称される)は、時間ゼロから測定可能な最終の時点までの血漿/血清濃度対時間の曲線下面積である。この値は、時間にわたる総薬剤曝露量を表す。
表20及び表21は、本発明の二層錠剤についてのリルピビリンとドルテグラビルとの薬物動態パラメーターを、ドルテグラビル及びリルピビリンの単回投与製剤を共投与することと比較してまとめている。該二層製剤が、リルピビリンとドルテグラビルとの共投与と同等の薬物動態パラメーターを示していることがわかる。
Cmax、AUC0〜t、AUC0〜∞及びAUClastは、手動で又は当技術分野で周知のモデリングソフトウェア、例えば非コンパートメントモデルを用いたPharsight WinNonlinパッケージを使用して見積もられ得る標準的な薬物動態パラメーターである。これらの量の算出のための一般的原理は周知である(例えばRowland & Tozer (2010) Clinical Pharmacokinetics and Pharmacodynamics: Concepts and Applications ISBN 978-0781750097、又はJambhekar & Breen (2012) Basic Pharmacokinetics ISBN 978-0853699804を参照されたい)。典型的には、該パラメーターは、少なくとも12人(普通は24人から36人の間)の健康なヒトの成人の群の中からの平均(例えば幾何平均又は算術平均)として評価されることになる。パラメーターは、医療規制機関、例えばFDA、EMA、MHLW又はWHOに承認され得る標準及び実践に従って測定されなければならない。値は、錠剤の摂取の時間後の適当な間隔、例えば1時間毎に、又は増していくまばらなサンプリング間隔で、例えば摂取後1時間、3時間、5時間、7時間、9時間、11時間、13時間、15時間、20時間及び24時間で取られる測定値に基づいていてもよい。それらは、薬剤の単一投与後に又は定常状態で、のいずれかで評価することができるが、典型的には、単一投与後に評価されることになる。
生物学的利用能及び生物学的同等性の技術において、任意の特定の錠剤が、等価の生物学的利用能及び薬物動態的生物学的同等性についての規制の要求事項に合うかどうかを如何に決定するかは周知である。例えばNiazi (2014) Handbook of Bioequivalence Testing、第2版、ISBN 978-1482226379; Guidance for Industry Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Drug Products - General Considerations FDA March 2003、及びGuideline On The Investigation Of Bioequivalence, EMEA 2010 CPMP/EWP/QWP/1401/98 Rev. 11 Corr **を参照されたい。検定力を確実にするために、Cmax値及びAUClast値を測定する研究は、複数の対象、例えば少なくとも12人(普通は24人から36人の間)の健康なヒトの成人の群において実施されることになる。
Cmax値及びAUClast値を決定することが必然的に破壊的であるので、これらのパラメーターは、検討中の剤形(特に錠剤)について直接決定されることにはならないが、むしろ同一の成分で同一の製造方法によって作製される剤形について直接決定されることになる。そのため、剤形(例えば錠剤)のバッチを特定の方法によって作製でき、これらの錠剤のサンプルについてCmax及びAUClastの90%信頼区間が評価されることになる。これらの値が、上に記した80〜125%の要件に合う場合、該製造方法によって作製された検討中の錠剤は、本発明の錠剤である。
一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約2800ng/mL〜約4200ng/mLのドルテグラビルのCmaxをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約2900ng/mL〜約4000ng/mLのドルテグラビルのCmaxをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約3000ng/mL〜約3900ng/mLのドルテグラビルのCmaxをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約3500ng/mL〜約3900ng/mLのドルテグラビルのCmaxをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約3600ng/mL〜約3800ng/mLのドルテグラビルのCmaxをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。
一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約56h.μg/mL〜約72h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜tをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約53h.μg/mL〜約75h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜tをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約51h.μg/mL〜約77h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜tをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約61h.μg/mL〜約72h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜tをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約62h.μg/mL〜約71h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜tをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の朝食をとる摂食の患者において約63h.μg/mL〜約70h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜tをもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。
一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の食事をとる摂食の患者において約51h.μg/mL〜約80h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜∞をもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の食事をとる摂食の患者において約54h.μg/mL〜約77h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜∞をもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の食事をとる摂食の患者において約57h.μg/mL〜約74h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜∞をもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の食事をとる摂食の患者において約61h.μg/mL〜約72h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜∞をもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の食事をとる摂食の患者において約63h.μg/mL〜約72h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜∞をもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、標準化した中程度の脂肪の食事をとる摂食の患者において約63h.μg/mL〜約71h.μg/mLのドルテグラビルのAUC0〜∞をもたらす、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。
治療方法
ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む多層錠剤を投与することを含む、HIV感染患者の治療の方法もまた提供される。一実施形態では、ドルテグラビルナトリウム及びリルピビリン塩酸塩を含む多層錠剤を投与することを含む、HIV感染患者の治療の方法が提供される。一実施形態では、(a)ドルテグラビル遊離酸当量50mg及び(b)リルピビリン遊離塩基当量25mgを含む多層錠剤であって、(a)と(b)とが多層錠剤中の別個の層内に存在する、多層錠剤の投与を含む、HIV感染患者の治療の方法が提供される。一実施形態では、(a)ドルテグラビルナトリウム52.6mg及び(b)リルピビリン塩酸塩27.5mgを含む多層錠剤であって、(a)と(b)とが多層錠剤中の別個の層内に存在する、多層錠剤の投与を含む、HIV感染患者の治療の方法が提供される。
一実施形態では、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む二層錠剤の投与を含む、HIV感染患者の治療の方法が提供される。
HIV感染症の治療における使用のための、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む多層錠剤もまた提供される。一実施形態では、HIV感染症の治療における使用のための、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩を含む二層錠剤が提供される。
したがって、本明細書で開示の多層錠剤を患者に投与することを含む、HIV感染患者を治療する方法が提供される。同様に、HIV感染症の治療における使用のための、本明細書で開示の多層錠剤が提供される。更に提供されるのは、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩の、HIV感染症の治療のための本明細書で開示の多層錠剤の製造における使用である。
一実施形態では、本明細書で開示の多層錠剤が、性的に獲得されたHIV-1のリスクを低減するための前曝露予防法(PrEP)のために使用される。したがって、本明細書で開示の多層錠剤を患者に投与することを含む、HIV-1感染症のリスクにある患者における感染症を予防する方法が提供される。同様に、HIV-1感染症のリスクにある患者におけるHIV感染症の予防における使用のための、本明細書で開示の多層錠剤が提供される。本発明はまた、ドルテグラビル又は薬学的に許容されるその塩及びリルピビリン又は薬学的に許容されるその塩の、感染のリスクにある患者におけるHIV-1感染症の予防のための本明細書で開示の多層錠剤の製造における使用も提供する。
本明細書で開示の方法は、多層錠剤を、患者に、典型的にはヒトに、投与することを含み、繰り返しの投与(典型的には1日1回)を一般に含むことになる。治療は、予防的な又は治療的な治療であり得る。
一実施形態では、多層錠剤は、1日1回、食事と共に経口摂取される。
以下の実施例は、本発明の様々な非限定的態様を例示する。
[実施例1]
リルピビリンはCYP3Aによって主に代謝され、CYP3Aを誘引する又は阻害する薬剤は、そのため、リルピビリンのクリアランスに影響を及ぼし得る。本発明の組成物と、CYP3Aを誘引する薬剤との共投与は、リルピビリンの血漿濃度の低下、並びにウイルス学的応答の欠如及びリルピビリンに対する又はNNRTIのクラスに対する可能な耐性をもたらし得る。本発明の組成物と、CYP3Aを阻害する薬剤との共投与は、リルピビリンの血漿濃度の上昇をもたらし得る。本発明の組成物の、胃のpHを上げる薬剤との共投与は、リルピビリンの血漿濃度の低下、並びにウイルス学的応答の欠如及びリルピビリンに対する又はNNRTIのクラスに対する可能な耐性をもたらし得る。1日1回のリルピビリン25mgは、CYP酵素によって代謝される薬品製品の曝露量に、臨床的に妥当な効果を有していそうにない。
ドルテグラビルは、CYP3Aからのいくらかの寄与があって、UGT1A1によって代謝される。ドルテグラビルはまた、インビトロでUGT1A3、UGT1A9、BCRP及びP-gpの基質でもある。本発明の組成物の、それらの酵素及びトランスポーターを誘引する薬剤との共投与は、ドルテグラビルの血漿濃度の低下をもたらしてドルテグラビルの治療効果を低減させることがある。本発明の組成物の、それらの酵素及びトランスポーターを阻害する薬剤との共投与は、ドルテグラビルの血漿濃度の上昇をもたらし得る。
ドルテグラビル、リルピビリン、又は本発明の組成物での潜在的な薬剤-薬剤相互作用に関する情報を、表1〜表5に提供する。本発明の組成物を使用するために、参照用に又は薬剤-薬剤相互作用を回避するように表示するために一定の情報が提供される。本発明の更なる実施形態は本発明のレジメンであり、本発明の組成物は式Iの化合物又は追加の薬学的に許容されるその形態を含み、表1又は表2中の化合物の1種以上を患者に投与する場合、本発明の組成物は、何も患者に投与しない場合と比較してより高い用量若しくはより低い用量で使用される又はより多い若しくはより少ない頻度で投与される。
本発明の更なる実施形態は、表1〜5中の化合物の1種以上を患者に投与する場合に、何も患者に投与しない場合と比較して、より高い用量若しくはより低い用量で使用される又はより多い若しくはより少ない頻度で投与される、本発明の組成物がリルピビリン又は追加の薬学的に許容されるその形態を含む本発明のレジメンである。
ドルテグラビルは、CYP3Aからのいくらかの寄与があって、UGT1A1を介して主に代謝される。[14C]ドルテグラビルの単一の経口投与の後、総経口用量の53%が便中に、変化せずに排泄される。総経口用量の31%が、尿中に排泄され、これは、ドルテグラビルのエーテルグルクロニド(総用量の18.9%)、ベンジル炭素にて酸化によって形成された代謝物(総用量の3.0%)、及びその加水分解性N-脱アルキル化生成物(総用量の3.6%)で表される。不変の薬剤の腎排出は、用量の1%未満であった。ドルテグラビルは、個体群の薬物動態分析に基づいて、およそ14時間の最終半減期、及び1時間当たり1.0Lの見かけのクリアランス(CL/F)を有する。
ドルテグラビルの薬物動態の性質を、健康な成人の対象及びHIV-1感染症の成人の対象において評価した。ドルテグラビルへの曝露量は、健康な対象とHIV-1感染症の対象との間で一般に同様であった。
インビトロの実験は、リルピビリンが、チトクロムP450 CYP3A系に仲介される酸化的代謝を主に受けることを示している。リルピビリンの最終除去半減期は、およそ50時間である。[14C]リルピビリンの単回経口投与の後、平均して85%の放射能を便中で、6.1%の放射能を尿中で回収することができた。便では、不変のリルピビリンが、投与された用量の、平均して25%を占めていた。微量のみの不変のリルピビリン(用量の<1%)を尿中で検出した。リルピビリンの薬物動態の性質を、健康な成人の対象及び抗レトロウイルス治療未経験の成人HIV-1感染症の対象において評価した。リルピビリンへの曝露量は、HIV-1感染症の対象において、健康な対象よりも一般に低かった。
更なる実施形態は、重症の発疹、又は熱性倦怠感、疲労、筋肉若しくは関節の痛みを伴う発疹、水疱又は皮膚剥脱、粘膜合併症[口腔の水疱又は傷害]、結膜炎、顔面浮腫、肝炎、好酸球増加症、血管浮腫、呼吸困難が挙げられるがこれらに限定されない重症の皮膚反応又は過敏反応を患者が発現しているところで、本発明の組成物の使用を停止することを提供している。
確立された及び他の潜在的に重要な薬剤相互作用
ドルテグラビルとリルピビリンとの潜在的な薬剤相互作用に関する情報を、表1〜表5に提供する。これらの勧告は、個々の成分の薬剤相互作用の治験か、又は相互作用の所期の大きさ及び重篤有害事象若しくは失効性についての可能性に起因する予測された相互作用か、のいずれかに基づく。
禁忌
JULUCAは、
・以前にドルテグラビル又はリルピビリンに対して過敏反応があった患者において、
・表1中の共投与薬剤を受けている患者であって、共投与薬剤について血漿濃度の上昇が、重篤な及び/若しくは命を脅かす事象と関連している、又はリルピビリン血漿濃度を有意に低下させている患者において、
禁忌である。
[実施例2]
実施例2〜5の説明を以下の表7に含める。
第1の組の参加者は、DTG50ミリグラム(mg)+RPV25mgを一緒に1日1回ほとんど同時に、食事と共に、非盲検で、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで受けた。第2の組の参加者は、該参加者の現在の抗レトロウイルスレジメン(2剤のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤[NRTI]+第3作用剤)を受け続けた。第3作用剤は、インテグラーゼ阻害剤(INI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)又はプロテアーゼ阻害剤(PI)のいずれかを含んでいた。CARは、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで、非盲検で、承認表示(approved labeling)に従って投与した。
結果は、表8及び表9において以下に示す通りである。
[実施例3]
第1の組の参加者(DTG50mg)は、DTG50mg+RPV25mgを一緒に、1日1回、食事と共に、非盲検で、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで受けた。第2の組の参加者(RPV25mg)もまた、DTG50mg+RPV25mgを一緒に、1日1回、食事と共に、非盲検で、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで受けた。
結果は、表10において以下に示す通りである。
[実施例4]
第1の組の参加者(DTG+RPV)は、DTG50ミリグラム(mg)+RPV25mgを一緒に1日1回ほとんど同時に、食事と共に、非盲検で、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで受けた。第2の組の参加者(CAR)は、該参加者の現在の抗レトロウイルスレジメン(2剤のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤[NRTI]+第3作用剤)を受け続けた。第3作用剤は、インテグラーゼ鎖転移阻害剤インテグラーゼ阻害剤(INSTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)又はプロテアーゼ阻害剤(PI)のいずれかを含んでいた。CARは、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで、非盲検で、承認表示に従って投与した。
結果は、表11及び12において以下に示す通りである。
[実施例5]
第1の組の参加者(DTG50mg)は、DTG50mg+RPV25mgを一緒に、1日1回、食事と共に、非盲検で、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで受けた。第2の組の参加者(RPV25mg)もまた、DTG50mg+RPV25mgを一緒に、1日1回、食事と共に、非盲検で、早期の切り替えフェーズの間、最長第52週まで受けた。
結果は、表13において以下に示す通りである。
[実施例6]
臨床的研究
JULUCAに切り替える成人の対象における臨床試験
JULUCAの効能は、患者の現在の抗レトロウイルスレジメンからドルテグラビルプラスリルピビリンに切り替えるウイルス学的に抑制された患者における、2種の非盲検の、比較対象試験[SWORD-1(NCT02429791)及びSWORD-2(NCT02422797)]からのデータによって支持されている。
SWORD-1及びSWORD-2は、同一の、148週、フェーズ3、ランダム化された、多施設での、並行群間の、非劣勢の治験である。安定な抑制的抗レトロウイルスレジメン(2剤のNRTIにプラスしてINSTI、NNRTI又はPIのいずれかを含有する)を少なくとも6か月間受け(HIV-1 RNAが1mL当たり50コピー未満)、治療失敗の履歴をもたず且つドルテグラビル又はリルピビリンへの耐性を伴う既知の置換のない総計1024人の成人のHIV-1感染症の対象が、この治験において治療を受けた。対象を、該対象の現在の抗レトロウイルスレジメンを継続するか、又は1日1回投与されるドルテグラビル+リルピビリンへと切り替えるかで、1:1でランダム化した。SWORD治験の主要有効性エンドポイント(primary efficacy endpoint)は、第48週に1mL当たり50コピー未満の血漿HIV-1 RNAを有する対象の割合とした。
プール解析において、ベースラインにおいて、対象のメジアン年齢は43歳(21歳〜79歳の範囲)であり、22%が女性、20%が非白人、11%がCDCクラスC(AIDS)であり、11%が1mm3当たり350細胞数未満のCD4+細胞カウントを有しており、これらの特徴は、治療アーム間で同様であった。プール解析において、該対象のベースライン第3治療作用剤クラスとして、ランダム化の前に、対象の54%がNNRTIを、26%がPIを、20%がINSTIを受けていた。この分布は、治療アーム間で同様であった。
プールされたSWORD-1治験及びSWORD-2治験のための、主要エンドポイント及び他のアウトカム(キーとなるベースライン共変量によるアウトカムを含む)を、表14に示す。SWORD-1及びSWORD-2のウイルス学的アウトカムの結果は、プールされたSWORD-1及びSWORD-2のウイルス学的アウトカムの結果と同様であった。
CD4+細胞カウント、年齢、性別、人種、及びベースライン第3治療作用剤クラスを含むベースラインの特徴について、治療差を維持した。
[実施例7]
ドルテグラビル/リルピビリン二層錠剤
本明細書で前に説明した錠剤化手順を用いて、ドルテグラビル及びリルピビリンの二層製剤錠剤を調製した。該製剤の組成を以下の表にまとめる。
実施例8の生物学的同等性の研究では、実施例7の錠剤をオパドライIIピンク85でフィルムコーティングした。
[実施例8]生物学的同等性の研究
実施例7の一定用量の併用(FDC)錠剤の生物学的同等性を、ドルテグラビル(DTG)50mg(Tivicay)及びリルピビリン(RPV)25mg(Edurant)の別個の錠剤製剤の、摂食状態における共投与に対して評価した。本研究は、単一施設での非盲検のランダム化した2ウェイクロスオーバーデザインとして、健康な対象を使用して行った。
118人の対象を登録しランダム化して、2種の治療をそれぞれ単回投与した。本研究の治療の詳細を以下に記載する。
総計113人の対象が、本研究の期間/治療の両方を完了した。
実際のサンプリング時間を使用した、ドルテグラビルのCmax(最大薬剤濃度)、AUC(0〜t)(時間0から最後の測定可能な時点までの血漿濃度時間の曲線下面積)、AUC(0〜∞)(時間0から無限時間まで外挿した血漿濃度時間曲線下面積)及び導出されたC24(投与後24時間における薬剤濃度)の統計分析の概要を以下に示す(表22)。実際の時間を使用して導出した4つ全てのドルテグラビルPKパラメーターについて、調整幾何平均の比は1に近く、該比の90%CIは、全て、生物学的同等性の限界値(0.80、1.25)内に含まれていた。
実際のサンプリング時間を使用して導出した、リルピビリンのCmax、AUC(0〜t)、AUC(0〜∞)及びC24の統計分析の概要を、以下に示す(表23)。実際の時間を使用して導出した4つ全てのリルピビリンPKパラメーターについて、調整幾何平均の比は1に近く、該比の90%CIは、全て、生物学的同等性の限界値(0.80、1.25)内に含まれていた。
CL/F(見かけの経口クリアランス)は、経口投与後の薬剤の見かけの総血漿クリアランスである。t1/2(半減期)は、血漿中の薬剤濃度が50%低下するために必要な時間である。Tlag(吸収ラグタイム)は、薬剤投与と、最初に観察されたLOQ(定量化限界)を超える血漿中濃度との間の、時間遅れである。Tlast(最終定量化可能時間)は、最後に観察されたLOQ(定量化限界)を超える血漿中濃度の時間である。
DTG分析物又はRPV分析物のいずれかに関連するメジアン濃度-時間曲線は、リファレンスと試験治療との間で同様であった(図16)。DTG分析物及びRPV分析物の両方についてのAUC0〜∞、AUC0〜t、Cmax及び投与24時間後での血漿濃度(C24)は、1に近い調整幾何平均比をもたらし、90%CIは、予め指定した生物学的同等性0.80〜1.25の範囲内であった(表22及び表23)。更なる薬物動態パラメーターを、表24において記述統計でまとめた。更なる薬物動態パラメーターは、DTG+RPVの別個の錠剤と、DTG/RPVのFDC錠剤レジメンとの間で同様である薬物動態プロファイルと一貫していた。
本研究の結果により、ドルテグラビル-リルピビリンのFDC製剤は、中程度の脂肪の食事の後に投与された場合、ドルテグラビル50mg及びリルピビリン25mgの別個の錠剤製剤と生物学的同等であることを確認した。
完全ARTレジメンを含有する一定用量の併用錠剤は広く入手可能となっており、治療の単純化及び患者の利便性を支える重要な選択肢とみなされる。したがって、摂食条件下でDTG+RPVの別個の錠剤と生物学的同等である、完全な、NRTIスペアリング(NRTI-sparing)DTG/RPVのFDC錠剤の利用可能性は、HIV-1感染症の治療において価値ある新規な選択肢を提供することになる。本研究は、DTG/RPVのFDC錠剤から、参加者がDTG+RPVを別個の錠剤として食事と共に摂取する進行中のフェーズIIIのSWORD治験への、薬物動態ブリッジとして働いた。
一定の状況下で、本発明のレジメン又は本発明の組成物に関する、本明細書に記載された又は本明細書から導出された任意の情報を、製品ラベル中に含ませることができる。そのような状況は、例えば規制機関の要求、臨床研究からのアウトカム若しくはデータ、又は製造会社若しくはその他の会社の決定事項を含み得る。
本発明の範囲から逸脱することなく、その他の実施形態を利用してもよく、論理的な変更及びその他の変更を行ってもよい。したがって、上記の詳細な説明は、限定的な意味では解釈されず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ定義される。