JP2020525416A - 眼表面障害の治療及び診断 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤と、眼表面上の炎症性好中球産物の量を減らすことができる薬学的に活性な化合物と、任意にステロイド、抗炎症剤、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物とから本質的になる眼科製剤を提供する。特に、本発明は、薬学的に活性な化合物が、眼の不快感、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス、結膜下線維症及びヘルペス性眼疾患の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患からなる群から選択される臨床状態を治療することができる眼科製剤を提供する。本発明はまた、眼表面疾患を診断又は監視する方法を提供する。【選択図】図11

Description

[関連出願の相互参照]
本願は2017年6月29日に出願された米国仮特許出願第62/526,891号及び2017年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/575,508号(これらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす)の優先権の利益を主張する。
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
本発明は、アメリカ国立眼病研究所(NEI)/アメリカ国立衛生研究所(NIH)により与えられた助成番号R01 EY024966による政府支援によりなされたものである。アメリカ合衆国政府は、本発明に関し一定の権利を有する。
(発明の分野)
本発明は、1種以上の薬学的に許容可能な眼科用賦形剤と、眼表面上の炎症性好中球産物の量を減らすことができる薬学的に活性な化合物と、任意にステロイド、抗炎症剤、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物とから本質的になる眼科製剤に関する。別の製剤においては、薬学的に活性な化合物は、眼の不快感、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着(symblepharon)形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患からなる群から選択される臨床状態を治療することができる。本発明はまた、本明細書に開示される眼科製剤を使用して、そのような臨床状態を治療する方法に関する。
炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患は、限定されるものではないが、眼の不快感、ドライアイ症候群、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症を含む様々な症状を引き起こし得る。眼表面疾患のより具体的な型としては、眼移植片対宿主病(oGVHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens Johnson syndrome)、眼型瘢痕性類天疱瘡(OCP)、軽度、中等度及び重度の涙液減少型ドライアイ疾患(DED)、マイボーム腺疾患、上輪部角結膜炎(SLK)、涙液の十分なDED、フロッピー眼瞼症候群、神経栄養性の眼疾患、無虹彩症、術後/外傷後の眼状態及びヘルペス性眼疾患(例えば、眼部帯状疱疹及び単純ヘルペス角膜炎)が挙げられる。
これらの眼表面疾患の幾つか、特にドライアイ症候群のための従来の治療としては、(i)涙液補充及び刺激のための人工涙液の点眼、並びに(ii)眼表面炎症を軽減するための抗炎症薬の使用が挙げられる。一般的に、最近のドライアイ治療は、人工涙液製品/潤滑剤の局所適用、涙液保持管理、涙液分泌の刺激、抗生物質(例えば、エリスロマイシン又はバシトラシン軟膏)の局所適用、テトラサイクリン類(例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン又はミノサイクリン)の経口投与、抗炎症性化合物及びコルチコステロイド類の適用を伴う。これらの治療はしばしば時間を費やし、もどかしく、そして効果がないか又は効果が定まらないことが多い。さらに、従来の治療はドライアイ症候群の症状を或る程度軽減するのに効果があるが、その治療には灼熱感及び刺すような感覚等の多くの望ましくない副作用がある。局所的な副作用を減らし、患者の快適さを高めることは、本発明の目的の1つである。
眼表面疾患治療における従来の治療のもう1つの欠点は、角膜細胞への活性医薬成分の一貫性のない取込み、及び継続的な適用なく眼表面疾患症候群を効果的に治療するための角膜内でのそれらの成分の滞留時間である。軟膏製剤又はクリーム製剤はより長い滞留時間を可能にし得るが、そのような製剤は角質層(皮膚の表層の角化層)を破壊することができず、眼瞼組織のより深いところに存在する血管及び神経に届かない場合がある。
従来の治療に関連する更にもう1つの問題は、根本的な原因に直接対処していないことである。眼表面疾患の原因を見出すことで、より効果的な治療が可能となる。従来の治療は、大部分が眼表面疾患の症状のみを治療しているにすぎない。
したがって、眼表面疾患に関連する臨床状態の効果的な治療のための組成物及び方法が引き続き必要とされている。さらに、眼表面疾患の根本的な原因に対処する必要がある。
本発明の幾つかの態様は、(a)眼表面上の炎症性好中球産物の量を減らすことができる薬学的に活性な化合物と、(b)任意に、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物と、(c)薬学的に許容可能な眼科用賦形剤とから本質的になる眼科製剤を提供する。
幾つかの実施の形態においては、第2の薬学的に活性な化合物は、メチルプレドニゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、シクロスポリン、Lifitegrast(商標)、非ステロイド性抗炎症薬、N-アセチルシステイン、ナシステリン、N-アセチルグルコサミン(NAG)、デキストラン、DNaseI(ドルナーゼアルファ)、ゲルソリン、チモシンβ4、14員及び15員のマクロライド系抗生物質又はそれらの組み合わせを含む。
眼科製剤は、溶液形(例えば、水溶液、懸濁液、エマルジョン等)、ゲル又は軟膏で存在し得る。
本発明の別の態様は、(a)薬学的に許容可能な眼科用賦形剤と、(b)眼の不快感、ドライアイ症候群、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患からなる群から選択される臨床状態を治療するための薬学的に活性な化合物と、(c)任意に、ステロイド、抗炎症剤、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物とから本質的になる眼科製剤を提供する。薬学的に活性な化合物は、ヘパリンを含む。
本発明の更に別の態様は、眼の不快感、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患からなる群から選択される臨床状態を治療するために本発明に記載の眼科製剤を使用する方法を提供する。
本発明の別の態様は、眼表面疾患の少なくとも幾つかの根本的な原因の特定を提供する。これにより、より効果的な治療と、適切な治療プロトコルを特定する方法とが可能となる。本発明の1つの具体的な態様は、被験体から得られた試料からの1つ以上のバイオマーカーのレベルをコントロールと比較する方法を提供する。このようにして、該方法は、眼表面疾患の診断又は特定の治療の有効性の監視のために使用され得る。本発明の方法において使用され得る例示的なバイオマーカーとしては、限定されるものではないが、インターロイキン-8(IL-8)、オンコスタチン-M(OSM)、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)としても知られるLIGHT及びそれらの組み合わせが挙げられる。
炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患により引き起こされる結膜下線維症を示す涙液減少型ドライアイ及び眼GVHDの患者の写真である。 涙液減少型ドライアイ及び眼GVHDの患者の写真である。 涙液減少型ドライアイの患者の写真である。 好中球(赤色に染色された細胞)並びにそれらの炎症性産物及び線維化促進性産物を含む粘膜細胞凝集体の写真である。 用量依存的にヘパリンによって減少した被刺激好中球により産生される炎症性産物(A、緑色に染まっている糸状物)を示す写真である。 エノキサパリン(低分子量ヘパリン)が用量依存的に好中球炎症性産物(緑色に染まっている糸状物)を減少させることを示す写真である。 PMA被刺激好中球の炎症性産物と一緒に/該炎症性産物なしでインキュベートされたヒト眼表面上皮細胞のα-SMA抗体免疫蛍光染色(赤色)を示す写真である。 被刺激好中球が眼表面疾患において炎症性産物を産生することを示すフルオレセイン染色の写真である。 図9A:ヘパリンによる用量依存的な好中球炎症性産物の量の減少を示す動態アッセイのグラフである。図9B:エノキサパリンによる用量依存的な好中球炎症性産物の量の減少を示す動態アッセイのグラフである。 ヘパリンの抗凝固性用量はヒト角膜上皮細胞毒性をもたらすが、ヘパリンの抗凝固性用量を下回る用量は細胞毒性をもたらさないことを示す写真である。 LDHが、抗凝固性用量のヘパリン(1000 IU/ml及び10000 IU/ml)によって、コントロール条件(培養培地RPMI)及び抗凝固性ヘパリン用量を下回る用量(100 IU/ml)と比較して有意に高かったことを示す細胞毒性アッセイの棒グラフである。 涙液減少型DED、例えばoGVHDの患者が涙液中に過剰量のオンコスタチンM(OSM)を有することを示す棒グラフである。 OSMにより誘導される角膜フルオレセイン染色がヘパリン(100 IU/ml)又は抗体のOSMへの添加により有意に減少したことを示す棒グラフである。 オンコスタチンM(OSM)レベルが、明確なoGVHD患者の眼表面洗液中で有意に高かったことを示すグラフである。 ヘパリン及び中和抗体(NAb)の両方がOSMタンパク質レベルを減少させたことを示すグラフである。 NETに曝露された角膜が、ヘパリン処理されたNET及びOSM NAbとインキュベートされたNETと比較して有意により高い存在量の様々な炎症性サイトカインを有したことを示すグラフである。 図17A:健康な患者、非oGVHD患者及び明確なoGVHD患者の眼表面洗液中のLIGHTレベルのグラフである。図17B:実施例26の実験におけるNET中のLIGHTのグラフである。 MLR中に存在するLIGHTタンパク質の量におけるヘパリン又はLIGHT NAbの存在の効果を示すグラフである。 図19A:健康な患者、非oGVHD患者及び明確なoGVHD患者の眼表面洗液中のNGALレベルのグラフである。図19B:実施例27の実験におけるNET中のNGALのグラフである。 ヒトマイボーム腺(MG)細胞の増殖に対するNGALの効果を示すグラフである。 図21A:明確なoGVHD患者の眼表面洗液中のIL-8レベルを示すグラフである。図21B:実験におけるNET中のIL-8レベルを示すグラフである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合に、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上特に明記されていない限り、複数の指示物も含む。
本発明の1つの態様は、(a)眼表面上の炎症性好中球産物の量を減らすことができる薬学的に活性な化合物と、(b)任意に、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物と、(c)1種以上の薬学的に許容可能な眼科用賦形剤とから本質的になる眼科製剤を提供する。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「薬学的に活性な化合物」は、眼表面に局所的に適用した場合に薬学的に活性である化合物を指す。したがって、例えば薬学的に活性なNSAIDという用語は、眼表面に局所的に適用した場合に薬学的に活性であるNSAIDを指す。
本発明の別の態様は、(a)薬学的に許容可能な眼科用賦形剤と、(b)ヘパリンを含む薬学的に活性な化合物を治療的有効量と、(c)任意にステロイド、抗炎症剤、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物とから本質的になる眼科製剤を提供する。ヘパリンを含む薬学的に活性な化合物は、眼の不快感、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患からなる群から選択される臨床状態を治療することができる。「治療的有効量」とは、疾患又は臨床状態を治療するために哺乳動物に投与した場合に該疾患のそのような治療をもたらすのに十分である化合物の量を意味する。「治療的有効量」は、化合物、疾患又は臨床状態及びその重症度、並びに治療されるべき哺乳動物の年齢、体重等に応じて変動することとなる。臨床状態若しくは疾患を「治療する(treating)」又は臨床状態若しくは疾患の「治療(treatment)」には、(1)臨床状態若しくは疾患を予防すること、すなわち臨床状態若しくは疾患に罹りやすい場合があるが、該臨床状態若しくは疾患の症状をまだ経験若しくは呈していない哺乳動物において該状態若しくは疾患の臨床症状を発症させないこと、(2)臨床状態若しくは疾患を抑止すること、すなわち臨床状態若しくは疾患若しくはその症状の発症を阻止若しくは軽減すること、又は(3)臨床状態若しくは疾患を緩和すること、すなわち臨床状態若しくは疾患若しくはその症状の退縮をもたらすことが含まれる。
本発明の眼科製剤は、炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患と関連する様々な臨床状態の治療のために有用である。本発明の眼科製剤により治療され得る例示的な臨床状態としては、限定されるものではないが、眼の不快感、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症の症状が挙げられる。本発明の眼科製剤を使用して治療され得る臨床状態のより具体的な例としては、限定されるものではないが、眼移植片対宿主病(oGVHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼型瘢痕性類天疱瘡(OCP)、軽度、中等度及び重度の涙液減少型ドライアイ疾患(DED)、マイボーム腺疾患、上輪部角結膜炎(SLK)、涙液の十分なDED、フロッピー眼瞼症候群、神経栄養性の眼疾患、無虹彩症、角膜炎、又は術後/外傷後の眼状態並びに無菌性炎症又はウイルス感染、細菌感染若しくは真菌感染による角膜炎が挙げられる。本発明の眼科製剤を使用して治療され得る例示的な術後/外傷後の眼状態としては、限定されるものではないが、眼表面再建手術後、眼表面への代謝拮抗剤の適用、翼状片手術、緑内障手術、人工角膜移植術及び放射線傷害に関連する眼状態が挙げられる。
本発明の眼科製剤を使用して治療され得るその他の眼の臨床状態としては、限定されるものではないが、ドライアイ症候群(乾性角結膜炎)、シェーグレン症候群、先天性無涙症、眼球乾燥症(ビタミンA欠乏によるドライアイ)、角膜軟化症、甲状腺眼症、眼型酒さ、眼瞼障害、マイボーム腺疾患、マイボーム腺機能不全、眼瞼外反、眼瞼炎、眼瞼皮膚弛緩症、サルコイドーシス、ものもらい、麦粒腫、霰粒腫、下垂症、翼状片、眼瞼浮腫、眼瞼皮膚炎、睫毛乱生症、睫毛欠損、涙腺炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼移植片対宿主病、涙嚢炎、結膜炎、角結膜炎、眼瞼結膜炎、眼瞼角結膜炎、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、結膜紅潮、結膜弛緩症、結膜下出血、翼状片、結膜脂肪斑、結膜水腫、虹彩炎、虹彩毛様体炎、前部ぶどう膜炎、緑内障、充血、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、末梢潰瘍性角膜炎、神経栄養性角膜炎、神経栄養性眼疾患、角膜潰瘍、潰瘍性角膜炎、角膜擦過傷、光線角膜炎、紫外線角膜炎、露出性角膜炎、表在点状角膜炎、タイゲソン点状表層角膜症、帯状疱疹角膜炎、酒さ性ざ瘡、角膜血管新生、眼科手術(すなわち、眼瞼手術、白内障手術、角膜手術、レーザー屈折矯正角膜切除術を含む屈折矯正手術、緑内障手術、涙腺手術、結膜手術、眼筋手術)後の術後炎症、化学熱傷、熱傷又は身体外傷に起因する眼表面状態、以下の自己免疫障害又は血管障害:関節リウマチ、若年性関節リウマチ、強直性脊椎炎、ライター症候群、腸炎性関節炎、乾癬性関節炎、円板状エリテマトーデス及び全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、グレーブス病、抗リン脂質症候群、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症、ベーチェット症候群、結節性多発性動脈炎、高安動脈炎、皮膚筋炎、乾癬、再発性多発軟骨炎、血管炎、鎌状赤血球貧血、II型糖尿病及び糖尿病性網膜症に起因する眼状態が挙げられる。
幾つかの実施形態においては、本発明の眼科製剤は、ドライアイ症候群を治療するために使用される。2つの主要なクラスのドライアイ症候群、すなわち(i)涙液減少型ドライアイ(ADDE)及び(ii)蒸発亢進型ドライアイ(EDE)がある。混合機序型のドライアイ(すなわち、ADDEとEDEとの両方)の場合もある。ADDEは、主に涙液分泌の不全によるものである。ADDEは、シェーグレン症候群のドライアイ(涙腺及び唾液腺が自己免疫過程、例えば関節リウマチの標的となる場合)と、非シェーグレン症候群のドライアイ(涙液機能不全であるが、シェーグレン症候群の全身性自己免疫機能は除外される、例えば加齢性ドライアイ)とに更に細分化することができる。それに対して、EDEは主に正常な涙液分泌機能の存在下での露出眼表面からの過剰な水分損失によるものである。その原因は、外因性(例えば、幾らかの外因性曝露、コンタクトレンズの着用又はビタミンA欠乏による眼表面障害)又は内因性(例えば、マイボーム腺機能不全及び眼瞼開口の障害)であり得る。マイボーム腺は、前眼部涙液膜の外層を形成する脂質と他の成分との混合物を分泌する。この脂質層は、涙液膜蒸発を減らす機能を有する。マイボーム腺機能不全(MGD)は、蒸発亢進型ドライアイ疾患につながる。MGDにおいて最もよく認識される臨床所見の1つは、眼瞼縁にわたって走る多数の毛細血管拡張性血管の存在である。MGDは、眼移植片対宿主病(oGVHD)で見られるように、涙液減少型ドライアイ疾患を伴う場合もある。本発明の組成物を使用して治療され得るその他の具体的なドライアイ症候群としては、角結膜炎、結膜炎に起因するドライアイ、アレルギー性結膜炎に起因するドライアイ、眼瞼炎に起因するドライアイ、角膜炎に起因するドライアイ、涙腺炎に起因するドライアイ、眼型酒さに起因するドライアイ、boehm症候群に起因するドライアイ、結膜弛緩症に起因するドライアイ、眼瞼結膜炎に起因するドライアイ、眼瞼角結膜炎に起因するドライアイ、表在点状角膜炎に起因するドライアイ、タイゲソン点状表層角膜症に起因するドライアイ、oGVHDに起因するドライアイ、シェーグレンドライアイ症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群に起因するドライアイ、MGD、マイボーム腺疾患に起因するドライアイ、ビタミンA欠乏に誘発されるドライアイ、薬理学的に誘発されるドライアイ(すなわち、ホルモン補充療法、血圧薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗コリン薬、緑内障薬、抗高血圧薬、利尿薬、鎮痛薬、イソトレチノイン、鼻腔うっ血除去薬、経口避妊薬、ベータ遮断薬、フェノチアジン類、アトロピン、鎮痛性オピエート)、妊娠に誘発されるドライアイ、レーシック手術又は屈折矯正手術に誘発されるドライアイ、コラーゲン血管疾患(すなわち、全身性エリテマトーデス、ウェゲナー肉芽腫症、関節リウマチ、再発性多発軟骨炎)により誘発されるドライアイ、腫瘍又はサルコイドーシスによる涙腺の浸潤に起因するドライアイ、涙液産生腺の照射後線維症に起因するドライアイ、涙腺、マイボーム腺又は杯細胞剥離に起因するドライアイ、感覚神経支配除去に起因するドライアイ、熱傷又は化学熱傷に起因するドライアイ、基礎となる糖尿病状態に起因するドライアイ、ウイルス感染、真菌感染又は細菌感染に起因するドライアイ、コンタクトレンズの長期使用に起因するドライアイ、眼瞼障害又は眼瞼への損傷(すなわち、眼球突出、眼瞼下垂)に起因するドライアイ、角膜ジストロフィーに起因するドライアイ、自己免疫障害に起因するドライアイ、加齢に伴うドライアイ及びそれらの組み合わせが挙げられる。
幾つかの具体的な実施形態においては、本発明の眼科製剤は、マイボーム腺機能不全(MGD)を治療するために使用される。更に他の実施形態においては、本発明の眼科製剤は、涙液減少型ドライアイ(ADDE)を治療するために使用される。一部の場合には、ADDEを治療する方法は、シェーグレンドライアイ症候群、眼移植片対宿主病(oGVHD)又は非シェーグレンドライアイ症候群のための治療を必要とする患者を治療することを含む。更に他の実施形態においては、ドライアイ症候群を治療する方法は、蒸発亢進型ドライアイ(EDE)の治療を必要とする患者を治療することを含む。また他の実施形態においては、本発明の方法は、ADDEとEDEとからなる混合機序型のドライアイの治療を必要とする患者を治療することを含む。更にまた他の実施形態においては、本発明の方法は、屈折眼手術の合併症による又は以下の原因:ビタミンA欠乏症、眼表面障害、アレルギー、老化、コンタクトレンズ使用、薬物使用又は眼瞼障害の1つ以上を原因とするドライアイ症候群に罹患している患者を治療することを含む。
幾つかの実施形態においては、眼科製剤は、薬学的に活性な成分としてヘパリンから本質的になる。本発明の眼科製剤に使用され得るヘパリンの種類としては、限定されるものではないが、(i)未分画ヘパリン(UFH)、低分子量ヘパリン(LMWH、例えばエノキサパリン及びパルナパリン)、超低分子量ヘパリン(ULMWH)及び抗凝固特性を有することが当業者に知られる他のヘパリン種を含む凝固ヘパリン(coagulation heparin)(すなわち、抗凝固特性を有するヘパリン)、(ii)限定されるものではないが、硫酸化が変更されたヘパリン(例えば、2-O、3-O又は6-O脱硫酸化ヘパリン-ODSH又はODH)、グリコールスプリットヘパリン(すなわちgs-ヘパリン)、グリコールスプリットN-アセチル化ヘパリン及び大きな抗凝固特性を有しないことが当業者に知られるその他のヘパリン種(例えば、N-アセチル化ヘパリン)を含む非凝固性ヘパリン(non-coagulant heparin)(すなわち、大きな抗凝固特性を有しないヘパリン)、(iii)ヘパリンオリゴ糖、並びに(iv)ヘパリンを模倣する負に帯電したナノ粒子が挙げられる。他の有用なヘパリン種は、ナドロパリン、ダルテパリン、レビパリン、パルナパリン、アルデパリン、ベミパリン、エノキサパリン、チンザパリン等の生成物を得るための化学的(脱アミノ的、酸化的、アルカリ性等)方法、酵素的方法又はその他の方法を使用して解重合によって製造され得る。
本明細書で使用される場合に、「抗凝固特性を有する」という表現は、少なくとも約1000 IU/mL、一般的に少なくとも約500 IU/mL、しばしば少なくとも約300 IU/mL、より頻繁に少なくとも約200 IU/mLの抗凝固活性を有するヘパリンを指す。ヘパリンの抗凝固活性は、主として、それがアンチトロンビンIII(AT III)に結合する能力に起因する。このように、ヘパリンの抗凝固活性は、ヘパリンの固定化AT IIIカラム中への通過によって測定することができ、それはAPTT凝固アッセイとしても知られる。抗凝固活性のそのような測定方法は、当業者によく知られている。例えば、Barrowcliffe T.W. et al. in "The anticoagulant activity of heparin: measurement and relationship to chemical structure," J Pharm Biomed Anal. 1989, 7(2), pp. 217-26及びそこに引用される参考文献を参照のこと。それら全ては、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。「大きな抗凝固特性を有しない」という表現は、約200 IU/mL未満、一般的に約150 IU/mL未満、しばしば約100 IU/mL未満、より頻繁に約50 IU/mL未満、最も頻繁には約10 IU/mL未満の抗凝固活性を有するヘパリンを指す。ヘパリンは、ヘパリンの塩の形態(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩又はカリウム塩)であり得る。幾つかの実施形態においては、製剤中のヘパリンの活性は、200 IU/mL未満、一般的に約100 IU/mL以下を有する。
本発明の眼科製剤中に存在するヘパリンの量は、重量基準で約0.01 μg/mL〜約1 g/mL、一般的に約0.05 μg/mL〜約0.5 g/mL、しばしば約1 μg/mL〜約0.1 g/mLの範囲であり得る。
「薬学的に許容可能な賦形剤」又は「薬学的に許容可能な眼科用賦形剤」は、本発明の医薬組成物の製造において有用な賦形剤を意味する。そのような賦形剤は、当業者によって、一般に安全であり、非毒性であり、生物学的に活性ではないか、さもなければ不都合ではないとみなされており、獣医学的使用だけでなく、ヒト医薬的使用のためにも許容される賦形剤を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容可能な賦形剤」は、1種のそのような賦形剤と2種以上のそのような賦形剤との両方を含む。例示的な薬学的に許容可能な賦形剤としては、塩(例えば塩化ナトリウム)又は等張化剤、ゴム、樹脂、溶剤、例えば水、非水性溶剤(例えば、アルコール)、油、pHを維持するバッファー溶液、pH変更剤(例えば、水酸化ナトリウム等の塩基及び塩酸等の酸)、乳化剤、増粘剤、マイクロエマルジョン形成剤又はナノエマルジョン形成剤、防腐剤、界面活性剤等が挙げられる。本発明の眼科製剤において使用され得る例示的な薬学的に許容可能な賦形剤としては、限定されるものではないが、水、ベンジルアルコール、水酸化ナトリウム、塩酸、ヒマシ油(castor oil)、クエン酸バッファー、Trisバッファー、リン酸バッファー、及び当業者に知られるその他の賦形剤が挙げられる。
幾つかの実施形態においては、本発明の眼科製剤は、塩化ナトリウム等の塩も含み得る。更に他の実施形態においては、本発明の眼科製剤は、ベンジルアルコール、エタノール等の非水性溶剤又は当業者に知られるその他の非水性溶剤も含み得る。
また他の実施形態においては、本発明の眼科製剤のpHは、約5.0のpHから約8.5のpHまで、一般的に約5.0のpHから約8.0のpHまで、しばしば約5.0のpHから約7.5のpHまで調節される。本発明の眼科製剤のpHは、所望のpHレベルを達成する必要がある場合に、例えば水酸化ナトリウム及び/又は塩酸を使用して調節され得る。
眼科製剤は、点眼剤、軟膏剤又はゲル剤(例えば、ヒドロゲル中のヘパリンナトリウム)として製剤化され得る。眼科製剤は、油のナノエマルジョン又は懸濁液としても製剤化され得る。
幾つかの実施形態においては、本発明の眼科製剤は、防腐剤不含であり、単回使用バイアルのために又は複数回量バイアル中で製剤化される。防腐剤が使用される場合に、適切な防腐剤としては、限定されるものではないが、ベンザルコニウム、purite、クロロブタノール、過ホウ酸ナトリウム、安定化オキシクロロ錯体(SOC)、ポリクアテルニウム-1(Polyquad、PQ-1)、チメロサール、ベンジルアルコール、ソルビン酸、メチル/プロピルパラベン、クロロヘキシジン、EDTA二ナトリウム、sofZia及び眼科学又は眼科製剤化学の当業者に知られるその他の防腐剤が挙げられる。
存在する場合に、第2の薬学的に活性な化合物は、ステロイド、抗炎症剤、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明の眼科製剤において適している例示的なステロイド類としては、限定されるものではないが、メチルプレドニゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ロテプレドノールエタボネート、フルオシノロン、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、メドリゾン、フルオシノロン、リメキソロン、トリアムシノロン及びそれらの組み合わせが挙げられる。ステロイドが本発明の眼科製剤において使用される場合に、該製剤中に存在するステロイドの量は、約0.01%(重量/重量)〜2%(重量/重量)、一般的に約0.05%(重量/重量)〜1%(重量/重量)、しばしば約0.1%(重量/重量)〜約0.3%(重量/重量)の範囲である。本発明の範囲は、これらの特定の範囲のステロイドの量に限定されないことを理解されたい。特に、本発明の眼科製剤中に存在するステロイドの量は一般的に、使用されるステロイドに依存する。例えば、存在するステロイドの量は、使用される特定のステロイドの活性、ステロイドの分子量、及び本発明の眼科製剤におけるステロイドの使用目的に依存して変動し得る。
本発明の眼科製剤において適した例示的な抗炎症剤としては、限定されるものではないが、シクロスポリン、Lifitegrast(商標)、タクロリムス、インターロイキン1受容体アンタゴニスト(アナキンラ)、その他のNSAID類、例えばケトロラク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナク及びそれらの組み合わせが挙げられる。抗炎症剤が本発明の眼科製剤において使用される場合に、該製剤中に存在する抗炎症剤の量は、約0.01%(重量/重量)〜2%(重量/重量)、一般的に約0.05%(重量/重量)〜1%(重量/重量)、しばしば約0.1%(重量/重量)〜約0.3%(重量/重量)の範囲である。本発明の範囲は、これらの特定の範囲の抗炎症剤の量に限定されないことを理解されたい。特に、本発明の眼科製剤中に存在する抗炎症剤の量は、一般的に、使用される具体的な抗炎症剤、例えば使用される具体的な抗炎症剤の活性、抗炎症剤の分子量等に依存する。
本発明の眼科製剤において有用である例示的な粘液溶解剤としては、限定されるものではないが、N-アセチルシステイン、ナシステリン、デキストラン、DNaseI(ドルナーゼアルファ)、ゲルソリン、チモシンβ4、14員及び15員のマクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、エリスロマイシンの非抗微生物性誘導体(例えば、EM703及びEM900)、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、フィダキソマイシン、テリスロマイシン及びアジスロマイシン)並びにそれらの組み合わせが挙げられる。抗生物質が使用される場合に、抗生物質は主としてその粘液溶解活性のために使用されることを理解されたい。粘液溶解剤が本発明の眼科製剤において使用される場合に、該製剤中に存在する粘液溶解剤の量は、約0.01%(重量/重量)〜2%(重量/重量)、一般的に約0.05%(重量/重量)〜1%(重量/重量)、しばしば約0.1%(重量/重量)〜約0.3%(重量/重量)の範囲である。本発明の範囲は、これらの特定の範囲の粘液溶解剤の量に限定されないことを理解されたい。特に、本発明の眼科製剤中に存在する粘液溶解剤の量は一般的に、使用される具体的な粘液溶解剤、例えば、粘液溶解剤の活性、粘液溶解剤の分子量等に依存する。
本発明の眼科製剤は、均質又は不均質であり得る。幾つかの実施形態においては、本発明の眼科製剤は、油又は脂肪酸エステルを含有する。脂肪酸エステルは、当該技術分野において通常理解される意味を有し、アルコールと脂肪酸との間で形成されるエステルである。本発明の製剤において有用である例示的な脂肪酸エステルとしては、限定されるものではないが、植物油として一般に知られるトリグリセリドエステル、脂肪酸のモノグリセリドエステル及びジグリセリドエステル、脂肪酸メチルエステル、並びに当業者に知られているその他の脂肪酸エステルが挙げられる。脂肪酸エステルは、幾つかの化学的化合物の混合物であっても又はほぼ純粋な化合物であってもよいことを理解されたい。一般的には、脂肪酸エステルは植物油である。使用することができる植物油の具体的な例としては、限定されるものではないが、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油、綿実油、オリーブ油、落花生油、ベニバナ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、キャノーラ油及びMiglyol oil(商標)が挙げられる。
本発明の眼科製剤においては様々なビヒクルが使用され得る。これらのビヒクルとしては、限定されるものではないが、精製水(水)、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリオール類、ヒアルロン酸ナトリウム、プルロニック類、カルボポール(carbopol)、シクロデキストリン及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。ビヒクルは製剤中で、本明細書に開示される1種以上の活性化合物の濃度をもたらすために必要とされる量で使用される。1つの具体的な実施形態においては、ビヒクルは水を含む。
本発明の幾つかの実施形態においては、エマルジョン安定化ポリマーが使用される。本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、エマルジョン安定化ポリマーは、一般的にセルロース、糖類、エチレンオキシド、水酸化物、カルボン酸又はその他の高分子電解質のように親水性基を含む。何らかの理論に縛られるものではないが、これらのポリマーは、製剤の粘度の増加だけでなく、界面張力の低下によりエマルジョンの安定化を補助すると考えられる。ポリソルベート80等の界面活性剤又は眼科学のために許容可能なその他の界面活性剤は、エマルジョンの安定化のために使用され得る。本発明において有用なエマルジョン安定化ポリマーの幾つかの例としては、限定されるものではないが、カルボマー類、Pemulen(商標)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明の眼科製剤は、局所眼科薬の分野で知られる様々な包装形で包装され得る。1つの具体的な実施形態においては、眼科製剤は、滅菌の防腐剤不含の単回使用パック又はバイアル又は容器(すなわち、単位用量バイアル)中で包装される。例えば0.9 mL程の小ささの各バイアルを低密度ポリエチレンから作ることで、少量の製剤、例えば0.4 mLを単回使用のために収容することができる。こうして、眼科製剤が滅菌されて滴下の形態で局所使用するための使い捨ての単回用量容器中に収容される場合に、30個のバイアル一式、60個のバイアル一式等の多数のバイアルを、蓋付きのトレイ、例えばアルミニウム製のピーラブルな蓋を有するポリプロピレントレイにおいて包装することができる。各トレイの全内容物をそのまま分注することができ、1つのバイアル又はパックは、毎回使用されたら直ちに各使用後に廃棄される。例えば、プラスチック製のアンプル又はバイアル又は容器は、成形同時充填(BFS)技術を使用して製造され得る。BFS法は、1回の逐次動作においてプラスチック押出、成形、無菌充填及び気密封止を伴い、これらの方法は当該技術分野において知られている。別の実施形態においては、製剤は、滅菌保全性を維持する特殊な容器/クロージャを使用して毎回滅菌されたままで材料を分注することができように複数回量バイアル中に包装される。更に別の実施形態においては、眼科製剤は、従来のバイアル/容器中に滅菌製品として包装される。
幾つかの実施形態においては、本発明の剤形は、不均質な水溶液の点眼剤、すなわち点眼製剤である。
1つの具体的な実施形態においては、ヘパリンを含む眼科製剤は、点眼剤として製剤化され、そして眼の不快感、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス又は結膜下線維症の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患又は免疫学的眼表面疾患を治療するために使用される。本発明の眼科製剤を使用して治療され得る具体的な臨床状態としては、眼移植片対宿主病(oGVHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼型瘢痕性類天疱瘡(OCP)、軽度、中等度及び重度の涙液減少型ドライアイ疾患(DED)(シェーグレン症候群に続発する、非シェーグレン症候群、突発性及びその他の原因)、マイボーム腺疾患(機能不全又は萎縮)、上輪部角結膜炎(SLK)、涙液の十分なDED(同所性又は異所性)、フロッピー眼瞼症候群、神経栄養性の眼疾患、無虹彩症及び術後/外傷後の病状、例えば眼表面再建手術、眼表面への代謝拮抗剤の適用(マイトマイシン-C、5-フルオロウラシル等)又は人工角膜移植術又は放射線傷害後の病状のような疾患が挙げられる。
幾つかの実施形態においては、ヘパリンを含む本発明の眼科製剤は、その抗炎症作用のために、特に好中球炎症性産物を中和するその作用のために使用される。何らかの理論に縛られるものではないが、一部の場合には、眼表面上及び眼組織内でのヘパラナーゼ阻害が、DEDにおける臨床的に有益な効果のためにヘパリン治療効果にも寄与すると考えられる。以下の実施例の項に示されるように、本発明者らは、好中球産物が炎症誘発性及び線維化促進性であることを見出した。したがって、ヘパリン活性は、涙液膜における炎症性粘膜細胞凝集体を減らし、瞼球癒着及び結膜円蓋短縮等の線維性合併症を軽減するのに有益であると考えられる。
本発明の別の態様は、抗凝固量を下回る量のヘパリンと1種以上の第2の薬学的に活性な化合物とを含む眼科製剤を提供する。一般的に、第2の薬学的に活性な化合物としては、オンコスタチンMのインヒビター、LIGHTのインヒビター、NGALのインヒビター、DNaseI、IL-8のインヒビター又はそれらの組み合わせが挙げられる。ヘパリンの量について言及する場合の用語「抗凝固量を下回る量」とは、約1000 IU/mL以下、一般的に約500 IU/mL以下、しばしば約300 IU/mL以下、より頻繁には約100 IU/mL以下を意味する。或いは用語「抗凝固量を下回る量」とは、抗凝固の達成において治療で使用するためのアメリカ食品医薬品局(「FDA」)認証又は推奨の投与量を下回ることを意味し、一般的にFDA認証又は推奨の抗凝固剤投与量の少なくとも約90%以下、しばしば少なくとも約75%以下、より頻繁には約50%以下を意味する。
幾つかの実施形態においては、オンコスタチンMのインヒビター、LIGHT又はNGALのインヒビターは、対応する中和抗体を含む。中和抗体は、対応するタンパク質に対する選択的な結合体であり得る。NGALは、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカインを指す。LIGHT(すなわち、「リンフォトキシンと相同であり、誘導的発現を示し、かつヘルペスウイルス侵入メディエーター、つまりTリンパ球上に発現される受容体に結合についてHSV糖タンパク質Dと競合する(homologous to Lymphotoxin, exhibits Inducible expression and competes with HSV Glycoprotein D for binding to Herpes virus entry mediator, a receptor expressed on T lymphocytes)」タンパク質)は、腫瘍壊死因子スーパーファミリー、特に腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)により分泌されるタンパク質を指す。
表現「選択的結合体」は、抗体、抗原結合フラグメント又は結合相手(抗原結合ペプチド)が、対応するタンパク質に優先的に結合する能力を意味する。しばしば、表現「選択的結合体」は、対応するタンパク質(例えば、抗体、そのフラグメント又は抗原に対する結合相手)に特異的に結合する部分であって、任意の標準的アッセイ(例えば、イムノアッセイ)により測定される結合レベルが、そのアッセイのためのバックグラウンドコントロールより統計的に有意に高い部分を指す。例えば、イムノアッセイを実施する場合に、コントロールは一般的に、抗体又は抗原結合フラグメントだけを含む(すなわち、タンパク質不存在下での)反応ウェル/チューブを含み、タンパク質不存在下での抗体又はその抗原結合フラグメントによる反応性の量(例えば、ウェルへの非特異的結合)が、バックグラウンドであるとみなされる。結合は、酵素イムノアッセイ(例えば、ELISA)、イムノブロットアッセイ等を含む当該技術分野において標準的な様々な方法を使用して測定することができる。
所与のタンパク質のインヒビターは、様々な程度にまで精製することができる。全体抗体は、ポリクローナルであっても又はモノクローナルであってもよい。或いは1つ以上の抗体ドメインが欠損又は存在しない抗原結合フラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab'又はF(ab)2フラグメント)等の全体抗体の機能的等価物だけでなく、単鎖抗体又は2種以上のエピトープに結合し得る抗体(例えば、二重特異性抗体)又は1種以上の異なる抗原に結合し得る抗体(例えば、二重特異性抗体又は多重特異性抗体)を含む遺伝子操作された抗体又はそれらのタンパク質結合フラグメントを、本発明において使用することもできる。
一般的に抗体の産生において、例えば限定されるものではないが、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、マウス、ラット又はニワトリ等の適切な実験動物を、抗原、すなわち対応するものとして抗体が望まれるタンパク質(例えば、オンコスタチンM、LIGHTタンパク質、IL-8又はNGAL)に曝露する。一般的に動物は、該動物へと注射される有効量の抗原で免疫化される。抗原の有効量は、動物による抗体産生を誘導するのに必要とされる量を指す。その後に動物の免疫系を、予め決められた時間にわたり反応させる。免疫化過程は、免疫系が抗原に対する抗体を産生することが見出されるまで繰り返され得る。抗原に特異的なポリクローナル抗体を得るために、所望の抗体を含む動物から血清が収集される(又はニワトリの場合には、抗体は卵から収集され得る)。そのような血清は試薬として有用である。ポリクローナル抗体は、例えば血清を硫酸アンモニウムで処理することによって血清(又は卵)から更に精製され得る。
モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein(Nature, 1975, 256, 495-497)の方法に従って産生され得る。例えば、Bリンパ球を、免疫化された動物の脾臓(又は任意の適切な組織)から回収した後に骨髄腫細胞と融合させることで、適切な培養培地中で継続的な増殖が可能なハイブリドーマ細胞の集団が得られる。所望の抗体を産生するハイブリドーマは、ハイブリドーマにより産生される抗体が所望の抗原に結合する能力を試験することによって選択される。
また幾つかの実施形態においては、ヘパリンの量は、約1000 IU/mL、一般的に約500 IU/mL以下、しばしば約300 IU/mL以下、より頻繁には約100 IU/mL以下である。数値について言及する場合の用語「約」とは、数値の±20%、一般的に±10%、しばしば±5%、最も頻繁には±2%を意味する。
更に別の態様においては、本発明は、抗凝固量を下回る量のヘパリンを含む眼科製剤を提供する。一実施形態においては、前記ヘパリンの量は、約1000 IU/mL以下である。また別の実施形態においては、前記ヘパリンの量は、約500 IU/mL以下である。別の実施形態においては、前記ヘパリンの量は、約100 IU/mL以下である。
更に別の態様においては、本発明は、眼疾患の治療を必要とする被験体について眼疾患を治療する方法を提供する。そのような方法は一般的に、治療的有効量の抗凝固量を下回る量のヘパリン眼科製剤を被験体に投与して眼疾患を治療することを含む。幾つかの実施形態においては、ヘパリン眼科製剤は、上記被験体に少なくとも1日2回で投与される。また他の実施形態においては、ヘパリン眼科製剤は、上記被験体に少なくとも1日3回で投与される。眼科製剤は、水溶液、水性懸濁液、ゲル等であり得る。
本発明の別の態様は、被験体における眼表面障害を診断又は監視する方法を提供する。本方法は、被験体から得られる試料からのバイオマーカーのレベルを前記バイオマーカーのコントロールレベルと比較することで、前記被験体における眼表面障害を診断又は監視することを含む。本明細書で使用される場合に、バイオマーカーの「コントロールレベル」という用語は、試験試料中のバイオマーカーのレベルの比較対象となり得るレベルであって、(i)眼表面障害を有しない被験体のバイオマーカーのレベル、(ii)眼表面障害を有する被験体のバイオマーカーのレベル、(iii)治療前、治療開始直後又は眼表面障害の何らかの症状を示す前の同じ被験体からのバイオマーカーのレベルを含むレベルを指す。
幾つかの実施形態においては、コントロールレベルは、正常レベル、すなわち正常な患者、すなわち眼表面障害を有しない被験体からの試料中のレベルを意味する。このコントロールレベルは、より具体的には「ネガティブコントロール」と呼ばれ得る。これにより、バイオマーカーのコントロールレベルに基づいた測定が可能となり、その際、眼表面疾患について評価されるべき試料は、バイオマーカーレベルにおいてコントロールレベルと比較して測定可能な差異を有するか又は実質的に差異を有しない。
別の実施形態においては、コントロールレベルは、眼表面疾患を有すると考えられる被験体又は個体の集団からの試料において確立されるバイオマーカーのレベルであり得る。これは、より具体的には「ポジティブコントロールレベル」と呼ばれ得る。
本明細書で使用される用語「ポジティブコントロール」は、被験体、別の個体又は個体の集団からの試料であって、その試料からのデータに基づいて疾患を有すると考えられた試料において確立されるバイオマーカー発現又は生物学的活性のレベルを指す。
他の実施形態においては、コントロールレベルは、試験される被験体からの以前の試料から確立され得るので、該被験体の疾患の進行又は退縮を経時的に監視することができ、及び/又は治療の有効性を評価することができる。
1つの具体的な実施形態においては、被験体からの涙液試料において、眼表面疾患又はその治療の有効性を診断又は監視するバイオマーカーとして使用することができる一群の4種の新規のバイオマーカーが特定された。各バイオマーカーは、個々に使用又は分析することができる。或いは2種以上のバイオマーカーを、診断又は監視のために使用又は分析することができる。特段の定めがない限り又は文脈上他の解釈が必要な場合を除き、用語「監視する」は、眼表面疾患の進行を調べること又は特定の治療プロトコル若しくは薬物の有効性を調べることを指す。用語「診断」は、被験体における眼表面疾患の有無を調べる過程を指す。診断はまた、どの特定の眼表面疾患が被験体に存在するかを調べることも含み得る。
1つの具体的な実施形態においては、本発明の方法は、以下のバイオマーカー:(i)インターロイキン-8(IL-8)、(ii)オンコスタチン-M(OSM)、(iii)好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)及び(iv)腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)としても知られるLIGHTの1つ以上を使用することを含む。1つの具体的な実施形態においては、該方法は1種のバイオマーカーを使用する。更に別の実施形態においては、該方法は2種以上のバイオマーカーを使用する。また別の実施形態においては、該方法は4種のバイオマーカーを使用する。本発明者らによって、これらの4種のバイオマーカータンパク質のレベルが眼表面疾患を伴う患者の涙液/眼表面洗液中で、健康な被験体、すなわち眼表面疾患を有しない被験体と比較して増大することが見出された。
本発明者らはまた、これらのバイオマーカータンパク質が、眼表面疾患の病態生理に寄与する過程において増大することも発見した。特に、臨床的には眼球発赤及び粘膜細胞凝集体として現れ得る眼表面炎症においてIL-8が増加することが判明した。OSM増加は、角膜フルオレセイン染色として現れ得る上皮性関門破壊と関連している。LIGHT増加は、免疫増生及び適応免疫応答の刺激と関連している。NGAL増加は、蒸発亢進型ドライアイとして現れるマイボーム腺疾患と関連している。
バイオマーカーを眼表面疾患の診断のために使用して、例えばヘパリン点眼薬又は別の適切な医薬製品による適切な療法又は治療を開始することができる。バイオマーカーはまた、単独の作用物質としてのヘパリンによる又は他の有効な薬理学的作用物質単独若しくはヘパリンとの組み合わせによる治療を開始する治療剤の選択に向けることもできる。これらの薬理学的作用物質は、1種以上のバイオマーカータンパク質(すなわち、IL-8、OSM、NGAL及びLIGHT)のインヒビターであり得る。インヒビターは、ペプチド、抗体、アプタマー、小分子等であり得る。用語「アプタマー」(核酸抗体と呼ばれることもある)は、本明細書では所望の標的分子をその形状に基づき認識し、この標的分子に結合する一本鎖若しくは二本鎖DNA又は一本鎖RNA分子を指すために使用される。用語「アプタマー」はまた、特異的又は選択的な結合を提供するペプチド分子も含み得る。例えば、Hoppe-Seyler et al., J. Ster. Biochem. Mol. Biol., 2001, 78, pp. 105-111(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)を参照のこと。当業者は、当業者に知られる手順を使用することによってアプタマーを容易に製造することができる。例えば、PCT公開番号の国際公開第92/14843号、国際公開第91/19813号及び国際公開第92/05285号(それらの開示は、引用することにより本明細書の一部をなす)を参照のこと。個々のバイオマーカータンパク質は、特定の療法を示唆し得る。例えば、IL-8増加は、抗炎症性療法(例えば、Restasis、Xiidra、ブリモニジン、ヘパリン点眼薬又はステロイド類)の使用を示唆し得る。OSM増加は、防腐剤を含まない涙液/軟膏、ヘパリン点眼薬、血清涙液又はコンタクトレンズの使用を示唆し得る。LIGHT増加は、ヘパリン、タクロリムス又はステロイド類/NSAID類の使用を示唆し得る。NGAL増加は、エリスロマイシン軟膏、ドキシサイクリンPO又はヘパリン点眼薬の使用を示唆し得る。
バイオマーカータンパク質のレベルの変化は、療法への応答又は療法の有効性を評価するために使用され得る。治療強度は、バイオマーカーレベルに対して調整することもできる。
その方法は、瘢痕性眼表面疾患を診断及び管理し、そのような疾患のためにヘパリン点眼療法を単独の作用物質として又は他の有効な薬理学的作用物質と組み合わせて開始/調整する、迅速に結果が出る診療室内試験を提供するために使用することができる。
バイオマーカーを利用する本発明の方法はまた、oGVHD又はシェーグレン症候群及び他のドライアイ疾患等の眼表面障害を診断又は監視するためにも使用され得る。そのような方法は、一般的に、試験する被験体から採取された生物学的試料(例えば、涙液、血液/血清又は眼表面細胞)中に存在する1種以上のバイオマーカーのレベルを測定し、コントロールレベルと比較することを含む。コントロールレベルは、被験体の以前のバイオマーカーレベル、健康な被験体のバイオマーカーレベル又は眼表面疾患を伴う1以上の被験体のバイオマーカーレベルであり得る。
本発明の別の態様は、被験体から得られた1種以上のバイオマーカーのレベルを測定するためのセンサー、バイオセンサー、多分析物パネル、アレイ、アッセイ及びキットを提供する。バイオマーカー及びバイオマーカーが使用される方法は、診断を補助し、眼表面障害の発病及び発症を評価するために使用され得る。本発明はまた、臨床的スクリーニング、予後の評価、療法の評価における、薬物スクリーニング及び薬物開発のための、バイオマーカーの使用に関する。
具体的な態様においては、本発明は、被験体における眼表面障害を診断又は監視する方法であって、上記被験体から生物学的試料を取得することと、該生物学的試料中の1種以上のバイオマーカーのレベルをコントロールレベルと比較することとを含む、方法を提供する。
1種以上のバイオマーカーのレベルは、当業者に利用可能な従来の方法のいずれかを使用して容易に測定することができる。例示的な方法としては、限定されるものではないが、結合酵素法又は非結合酵素法、電気化学的方法、分光測定法(例えば、UV/VIS分光計を使用するような分光光度法、蛍光測定法、発光測定法、旋光測定法等)、クロマトグラフィー法(例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィー、MPLC、LPLC等)、ELISA等の免疫学的方法等のような直接法又は間接法が挙げられる。
本発明の更に別の態様は、眼表面障害又はその素因を診断又は監視する方法を提供する。そのような方法は、試験する被験体から採取された生物学的試料中に存在する1種以上のバイオマーカーのレベルを比較することと、それをコントロールレベルと比較することとを含む。1つの具体的な実施形態においては、本発明の方法は、眼表面障害を有する被験体、眼表面障害を有すると疑われる被験体、又は眼表面障害の素因がある被験体における療法(例えば、治療物質)の有効性を監視するために使用される。
本発明のまた別の態様は、本発明の1種、2種、3種又は4種のバイオマーカーを検出することが可能な多分析物パネル又はアレイを提供する。多分析物パネルは、数多くの種々の分析物を検出することが可能である。アレイは、数多くの試料中の単独の分析物を検出することが可能であり、又は多分析物アレイの場合に、試料中の数多くの種々の分析物を検出することが可能である。本発明による多分析物パネル又は多分析物アレイは、本明細書に記載される1種以上のバイオマーカーを検出することが可能であり、かつ本明細書に具体的に記載されるバイオマーカー以外の1種以上のバイオマーカーを検出することが可能である。
また、本発明による方法を実施するために適した診断用又は監視用の試験キットであって、任意に該キットの使用のための使用説明書と一緒のキットが提供される。診断用キット又は監視用キットは、本発明による1種以上のバイオセンサーを含んでいてよく、単独のセンサー若しくはバイオセンサー又は複数のセンサー及び/又は複数のバイオセンサーの組み合わせが、キット中に含まれていてよい。診断用キット又は監視用キットは、本発明によるパネル又はアレイを含み得る。診断用キット又は監視用キットは、本発明によるアッセイ又は複数のアッセイの組み合わせを含み得る。
さらに、(i)インターロイキン-8(IL-8)、(ii)オンコスタチン-M(OSM)、(iii)好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)及び(iv)腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)としても知られるLIGHTから選択される1種以上のバイオマーカーの、眼表面障害の診断及び/又は監視のための使用が提供される。
さらに他に、本発明による方法、センサー、バイオセンサー、多分析物パネル、アレイ又はキットの、眼表面障害を調節又は治療することが可能な物質を同定するための使用が提供される。眼表面障害を調節又は治療することが可能な物質は、眼表面障害の治療のために有用な抗炎症性物質、免疫調節物質、免疫抑制物質、抗生物質又は緩和策(palliative)(人工涙液、コンタクトレンズ又は涙点プラグ)であり得る。本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体を通して、疾患を「治療する(treating)」又は疾患の「治療(treatment)」には、(1)疾患を予防すること、すなわち疾患の素因があるが、まだ疾患の症状を経験若しくは呈していない被験体において疾患の臨床症状を発症させないこと、(2)疾患を抑止すること、すなわち疾患若しくはその臨床症状の発症を阻止若しくは軽減すること、又は(3)疾患を緩和すること、すなわち疾患若しくはその臨床症状の退縮をもたらすことが含まれる。
生物学的試験試料中のバイオマーカー(例えば、IL-8、OSM、LIGHT、NGAL又はそれらの2種以上の組み合わせ)の、ネガティブコントロールレベル(例えば、眼表面疾患を有しない被験体における1種以上のバイオマーカーのレベル)と比較してより高いレベルは、oGVHD、シェーグレン症候群又は他のドライアイ疾患等の眼表面障害が存在することの指標である。
本発明による監視及び診断の方法は、眼表面障害若しくはその素因の存在を確認するために、発病及び進行を評価することにより眼表面障害の発症を監視するために又は該障害の改善若しくは退縮を評価するために有用である。監視及び診断の方法はまた、臨床的スクリーニング、予後診断、療法の選択の評価、治療効果の評価のための方法において、すなわち薬物スクリーニング及び薬物開発のための方法において有用である。効率的な診断方法及び監視方法は、正しい診断を確立し、最も適切な治療を迅速に特定することができるようにする(こうして、有害な薬物副作用への不必要な曝露を減らす)ことで、「ダウンタイム」及び再発率を減らすことによって、予後を改善することが可能な非常に強力な「患者向けソリューション」を提供する。
療法の有効性を監視する方法を使用して、ヒト被験体及び非ヒトの動物(例えば、動物モデル)における既存の療法及び新たな療法の治療有効性を監視することができる。これらの監視方法は、新しい原薬及び物質の組み合わせのスクリーニングに組み込むことができる。タンパク質バイオマーカーレベルの調節は、眼表面障害の状態又はその素因の指標として有用である。タンパク質バイオマーカーのレベルの経時的な増加は、障害の発病又は進行、すなわち悪化の指標であるが、タンパク質バイオマーカーのレベルの低下は、該障害の改善又は緩解を示す。眼表面障害のバイオマーカーの同定により、診断手順と治療計画との統合が可能となる。現在、効果的な治療を決定するために利用可能な方法は存在せず、これまでは薬物反応の迅速な評価を行うことは不可能であった。慣例的に多くの眼表面疾患療法は、所与の治療アプローチのために数週間から数ヶ月続く治療試行を必要としていた。本発明のタンパク質バイオマーカーの検出は、臨床試験に参加する前に被験体をスクリーニングするために使用することができる。バイオマーカーは、治療反応、反応しないこと、好ましくない副作用プロファイル、投薬コンプライアンスの程度、及び適切な血清中薬物レベルの達成を示す手段を提供する。バイオマーカーは、全ての眼表面疾患薬で出くわす主要な問題である有害な薬物反応の警告を与えるために使用され得る。バイオマーカーは、反応の評価を使用することで投与量を微調整し、処方薬の数を最小限に抑え、効果的な療法への到達の遅れを減らし、有害な薬物反応を回避することができるため、個人専用の眼表面疾患療法の開発に有用である。したがって、本発明のバイオマーカーを監視することによって、患者の障害及び薬理ゲノムプロファイルによって決定される要求に合わせて、患者のケアを厳密に適合させることができるため、該バイオマーカーを使用することで、最適な用量を調整し、良好な治療反応を予測し、重篤な副作用のリスクが高い患者を特定することができる。
「バイオマーカー」という用語は、過程、事象又は状態の特徴的な生物学的又は生物学的に得られた指標を意味する。タンパク質バイオマーカーは、診断方法、例えば臨床スクリーニング及び予後評価において、そして療法の結果の監視において、特定の治療処置に反応する可能性が最も高い患者を特定するために、並びに薬物スクリーニング及び薬物開発において使用することができる。バイオマーカー及びその使用は、新しい薬物治療の特定のために、そして薬物治療の新しい標的の発見のために役立つ。
バイオマーカーの測定は、直接的な又は間接的な検出法によって行うことができる。バイオマーカーは、該バイオマーカーと特異的に結合することが可能である、酵素、結合受容体若しくはトランスポータータンパク質、抗体、ペプチド、アプタマー若しくはオリゴヌクレオチド、又は任意の合成の化学的受容体若しくは化合物等の1種以上のリガンドとの相互作用を介して直接的に又は間接的に検出することができる。リガンドは、発光性、蛍光性又は放射性の標識及び/又は親和性タグ等の検出可能な標識を有し得る。
1つの具体的な実施形態においては、本発明のバイオマーカーは、質量分析法に基づく技術、クロマトグラフィーに基づく技術、酵素検出システム(直接的又は間接的な測定による)又はセンサーを使用して、例えば電流測定的変換器、電位差測定的変換器、電気伝導度測定的変換器、インピーダンス変換器、磁気変換器、光学的変換器、音響的変換器又は熱的変換器を備えたセンサーシステムを使用して検出及び測定される。センサーは、物理的、化学的又は生物学的な検出システムを含み得る。センサーの例は、バイオセンサー、すなわち、例えばオリゴヌクレオチドプローブ若しくはアプタマー等の核酸、又は酵素、結合タンパク質、受容体タンパク質、トランスポータータンパク質若しくは抗体等のタンパク質に基づく生物学的認識システムを備えたセンサーである。バイオセンサーは、バイオマーカーの検出のための免疫学的方法、電気的技術、熱的技術、磁気的技術、光学的技術(例えば、ホログラム)又は音響技術を含み得る。そのようなバイオセンサーを使用することで、生物学的試料中に見られる予想される濃度で標的バイオマーカーを検出することが可能である。本発明の方法は、臨床的スクリーニング、予後の評価、療法の結果の監視、特定の治療処置に最も反応する可能性が高い患者の特定、薬物スクリーニング及び開発のために、そして薬物治療の新たな標的の特定を補助するために適している。疾患に特異的な主要なバイオマーカーの同定は、診断手順と治療計画との統合のための中核を成す。
本発明のバイオマーカーの検出及び/又は定量化を伴う方法は、卓上機器を使用して実施することができ、又は非研究室環境、例えば医師の診療室若しくは患者の病床周辺で使用することができる使い捨ての診断又は監視プラットフォームへと組み込むことができる。本発明の方法を実施するために適したセンサー又はバイオセンサーには、光学的読み取り装置又は音響的読み取り装置を備えた「クレジット」カードが含まれる。センサー又はバイオセンサーは、収集されたデータを解釈のために医師に電子的に送信することができるように構成され得るため、こうして電子医療ための基盤を形成することができる。
本発明の更なる目的、利点及び新規の特徴は、本発明の以下の実施例の検討により当業者に明らかとなるが、これらは限定を意図するものでない。実施例において、推定実施される手順は現在時制で記載し、実験室で行なった手順は過去時制で述べる。
実施例1:炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患は、結膜下線維症(すなわち、瘢痕化)を引き起こす。図1は、涙液減少型ドライアイ及び眼GVHDの患者の写真である。矢印は、好中球炎症性産物への曝露により誘導される過程である上皮間葉転換(EMT)によって引き起こされる結膜下線維症の領域を指し示している。ヘパリンは、好中球炎症性産物及び好中球炎症性糸状物の量を減少させた。したがって、ヘパリンはEMT及び線維症を軽減することで、涙液減少型ドライアイ及び眼GVHDを治療することができる。
実施例2:炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患は、瞼球癒着形成を引き起こす。図2は、涙液減少型ドライアイ及び眼GVHDの患者の写真である。矢印は、好中球炎症性産物への曝露により誘導される過程である上皮間葉転換(EMT)及びα平滑筋アクチン上方制御によって引き起こされる瞼球癒着の領域を指し示している。ヘパリンは、好中球炎症性産物及び好中球炎症性糸状物の量を減少させた。したがって、ヘパリンを使用することで、瞼球癒着を治療することができる。
実施例3:炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患は、粘膜細胞凝集体を引き起こす。図3は、涙液減少型ドライアイの患者の写真である。矢印は、粘膜細胞凝集体を指し示している。ヘパリンは、粘膜細胞凝集体及び好中球炎症性糸状物の量を減少させた。したがって、ヘパリンは炎症及び線維症を軽減することができ、瞼球癒着、結膜下線維症及び円蓋短縮並びにドライアイ疾患の予防又は治療のために使用される。
実施例4:炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患は、粘膜細胞凝集体を引き起こす。図4は、粘膜細胞凝集体が好中球(赤色に染色された細胞)並びにそれらの炎症性産物及び線維化促進性産物を含むことを示す写真である。ヘパリンは、粘膜細胞凝集体及び好中球炎症性糸状物の量を減少させたため、炎症及び線維症を軽減することで、瞼球癒着、結膜下線維症及び円蓋短縮並びにドライアイ疾患を予防又は治療することができる。
実施例5:被刺激好中球は、炎症性産物(A、緑色に染まっている糸状物)を産生するが、それらは、ヘパリンにより用量依存的(上から下へ、それぞれ0.01 IU/mL、0.1 IU/mL、1 IU/mL、10 IU/mL及び100 IU/mL)に低減される。100 IU/mLのヘパリンは、好中球の炎症性糸状物の量をほぼ完全に減らす。
実施例6:被刺激好中球は、炎症性産物(A、緑色に染まっている糸状物)を産生するが、それらは、図6に示されるようにエノキサパリン(低分子量ヘパリン)により用量依存的(上から下へ、それぞれ10 μg/mL、20 μg/mL、40 μg/mL及び80 μg/mL)に低減された。図6に見ることができるように、80 μg/mLのエノキサパリンは、好中球の炎症性糸状物をほぼ完全に減らす。
実施例7:被刺激好中球は、上皮細胞から平滑筋アクチン陽性の間葉細胞への変換を引き起こす炎症性産物を産生する。図7に示されるように、これらのα-SMA陽性細胞(赤色に染まっている細胞)は、ドライアイ疾患における瞼球癒着、結膜下線維症及び円蓋短縮に寄与する。この実験において、PMA被刺激好中球の炎症性産物をヒト眼表面上皮細胞と一緒にインキュベートした。上皮細胞は、α-SMA抗体(赤色)での強い免疫蛍光染色から明らかなように筋線維芽細胞へと転換した。ヘパリンは好中球の炎症性糸状物を減らし、したがって上皮間葉転換及び線維症を減らし、こうしてドライアイ疾患における瞼球癒着、結膜下線維症及び円蓋短縮を予防又は治療することができる。
実施例8:被刺激好中球は、眼表面疾患に寄与する炎症性産物を産生した。非刺激好中球の上清は、炎症性糸状物を含有しないため、したがって図8に示されるように、眼表面疾患を引き起こさなかった(非刺激好中球の上清への曝露の0日目のA1及び7日後のA2)。被刺激好中球の上清は、炎症性糸状物を含有するため、したがって、眼表面疾患を引き起こした(非刺激好中球の上清への曝露の0日目のB1及び7日後のB2)。好中球炎症性産物への曝露後に、B2においては広範なフルオレセイン染色を見ることができる。ヘパリンは、好中球の炎症性糸状物の量を減らすため、したがって、眼表面疾患及び線維症を軽減することができる。
実施例9:図9A及び図9Bに示されるように、動態アッセイにより、好中球炎症性産物が1 nMのPMA(正方形)による刺激で産生されることが示された。ヘパリン(図9A)及びエノキサパリン(図9B)は、1 nMのPMAによる刺激で産生された好中球炎症性産物の量を用量依存的に減少させた。結果としては、好中球炎症性産物の産生の減少がヘパリンによって達成され、炎症及び線維症を軽減することが示された。
実施例10:実験データ及び臨床データにより、抗凝固用量を下回る用量のヘパリン点眼薬がドライアイ疾患(DED)の患者において痛み及び不快感を大幅に軽減し、角膜上皮疾患及び角膜炎症も軽減することが示された。したがって、ヘパリン点眼薬の抗凝固用量を下回る用量(例えば、100 IU/mlを1日2回〜3回)は、DEDの治療及び眼科手術結果の改善に効果的である。大幅にヘパリン点眼液は、角膜糸状物の消失を引き起こし、眼痛及び充血を大幅に減少させた。
54歳の男性は、骨髄移植後に眼GVHDを発症した。臨床症状には重度の涙液減少が含まれていた。左眼は複数の角膜糸状物及び眼の不快感を生じていた。患者は、眼の不快感のためにバンデージコンタクトレンズを装着することができなかった。男性は血清涙液点眼薬を1日4回、メチルプレドニゾン点眼薬1%を1日1回使用していたが、緩和しなかった。ヘパリン点眼薬100 IU/ml(抗凝固用量を下回る用量)を1日3回で開始した。2週間後の再診時に角膜糸状物は見られなかった。眼痛の強さはヘパリン点眼薬を開始する前の9/10と説明された。ヘパリン点眼薬の使用後には、痛みは3/10へと大幅に軽減した。ヘパリン点眼薬の使用後には、眼の充血は60%だけ軽減した。患者は夜間により良く眠れることを報告した。
実施例11:この場合にヘパリン点眼薬の使用は、眼表面疾患及び眼痛の大幅な軽減をもたらした。53歳の女性は、白血病のための骨髄移植後に重度の涙液減少(両眼においてシルマーI=0)及び重度の眼表面疾患を発症した。患者は人工涙液、エリスロマイシン軟膏、ステロイド点眼薬、ドキシサイクリンPO及び強膜レンズを使用していた。この精力的な治療にもかかわらず、患者は重度の症状を呈し(OSDI=67.5)、症状の強度は6/10(苦痛/辛い)であった。1日2回のヘパリン点眼薬100 IU/mlを開始し、全ての他の治療を継続した。眼の症状は、患者の気分、人生の楽しみ及び社会化を「かなり」妨害した。患者は3週間後に再診した。患者はよりずっと快適であった。主観的な全般評価は「大幅な改善」であった。OSDIは19.4に大幅に減少し、症状の強度は2/10に減少した(少しいらいらする)。眼の症状は、患者の気分、人生の楽しみ及び社会化を「全く」妨害しなかった。角膜染色は、6/15から3/15へと大幅に(50%)減少した。結膜染色は4/6から1/6へと大幅に減少した。
実施例12:この場合にヘパリン点眼薬の使用は、術後眼表面線維症の軽減をもたらした。oGVHDのため重度の涙液減少型ドライアイ疾患(DED)を伴う57歳の女性は瞼球癒着を生じていた。左眼において瞼球癒着を手術により切開したが、それにより手術後に過剰な結膜瘢痕化が引き起こされた。ステロイド点眼薬及び血清涙液では、結膜瘢痕化の消失は不十分であった。ヘパリン点眼薬(100 IU/mlを1日3回)を開始した。ヘパリン点眼薬の使用8週間後には、瘢痕組織は大幅に減少した。周囲の紅斑(赤み)及び血管新生も減少した。
実施例13:この場合にヘパリン点眼薬の使用は、術後の付着性の炎症性粘膜細胞凝集体の減少をもたらした。54歳の女性は人工角膜移植術を受けた。術後に相当の量の炎症性粘膜細胞凝集体が人工角膜に付着した(角膜縫合糸及び前面プレートの周り)。人工角膜の光学部品(透明プラスチック)は、粘膜細胞の沈着物で覆われた。これらの粘膜細胞凝集体は好中球とその炎症性産物とから構成されているため、角膜組織の融解及び手術の失敗を引き起こす場合がある。ヘパリン100 IU/mlを1日3回で開始した。ヘパリンの使用4週間後に、粘膜細胞凝集体はほぼ完全に除去された。光学部品からもムコイド沈着物が取り除かれた。
実施例14:この場合にヘパリン点眼薬の使用は、眼表面疾患の軽減及び眼痛の著しい軽減をもたらした。混合機序型のDED(マイボーム腺機能不全を伴う涙液減少型ドライアイ疾患)を伴う58歳の女性は、重度の眼の不快感(80.55のOSDI)及び9/10の症状の強度(耐えられないような/耐えがたい)を呈した。患者はエリスロマイシン眼軟膏、ステロイド点眼薬及びドキシサイクリンPOを使用していた。この治療にもかかわらず、女性は極度の不快感を覚えていた。1日3回のヘパリン点眼薬100 IU/mlを開始した。ヘパリン点眼薬の使用4週間後には、患者はよりずっと快適になった。OSDIはわずか5へと低下した。症状の強度は0(なし)へと低下した。主観的な全般評価は「大幅な改善」であった。角膜染色も6/15から3/15へと大幅に(50%)減少した。上眼球結膜(superior conjunctival bulbar)染色も50%だけ減少した。臨床全般印象は「大幅な改善」であった。
実施例15:oGVHDによる涙液減少型DEDを伴う73歳の男性は、コンタクトレンズ(ソフト及びPROSE)上にかなりの粘膜細胞沈着物を有しており、視覚のぼやけを引き起こしていた。ヘパリン点眼薬100 IU/mlを開始した。ヘパリン点眼薬治療の4週間後に、コンタクトレンズ上の沈着物は大幅に減少し、患者の視覚は改善した。患者はまた不快感の改善を報告した。
実施例16:図10及び図11に示されるように、ヘパリンの抗凝血性用量はヒト角膜上皮細胞毒性をもたらすが、ヘパリンの抗凝血性用量を下回る用量は細胞毒性をもたらさない。この実験では、ヒト角膜上皮細胞をコンフルエンスになるまで増殖させ、引っ掻き傷を作った。抗凝固用量を下回る用量のヘパリン(100 IU/ml)での上皮細胞の治癒は、コントロール条件(培養培地RPMI)の治癒と同様であった(図10のA1→B1対A2→B2)。抗凝固用量のヘパリン(1000 IU/ml及び10000 IU/ml)での上皮細胞の治癒は、コントロール条件(培養培地RPMI)及び抗凝固用量ヘパリンを下回る用量(100 IU/ml)の治癒と比較して有意に遅くなった。細胞毒性アッセイにより、LDHが、抗凝血性用量のヘパリン(1000 IU/ml及び10000 IU/ml)によって、コントロール条件(培養培地RPMI)及び抗凝血性ヘパリン用量を下回る用量(100 IU/ml)と比較して有意に高かったことが確認された。図11を参照のこと。この実験は、抗凝固用量を下回るヘパリンはヒト角膜上皮細胞にとって安全であるが、より高い抗凝固用量は安全ではないことを示している。
実施例17:抗凝固用量を下回る用量のヘパリン(100 IU/ml)は、好中球産物(NET)に誘導される角膜疾患のマウスモデルにおいて角膜上皮疾患及び角膜炎症を有意に軽減した。好中球産物(NET)は、角膜表面に適用した場合に上皮疾患及びフルオレセイン染色を誘導した。ヘパリンをNETに加えた場合に、上皮疾患及びフルオレセイン染色は有意に軽減された。炎症性サイトカインのタンパク質レベルも、Magpixプラットフォームを使用して測定した(IL-1b及びIP-10)。NETへのヘパリンの添加は、角膜のIL-1b及びIP-10の存在量を有意に減少させた。
実施例18:oGVHDにおいて生ずるような涙液減少型DEDの患者は、涙液中に過剰量のオンコスタチンM(OSM)を有することが示された(図12)。過剰量のOSMは、DED患者に見られるのと同様の角膜上皮疾患を引き起こし得る。角膜上皮疾患を起こしたマウス角膜に組み換えOSMタンパク質を適用する実験を行った。組み換えOSMへのヘパリンの添加もOSMへの中和抗体の添加も角膜疾患を有意に軽減した。図13は、OSMにより誘導される角膜フルオレセイン染色がヘパリン(100 IU/ml)又は中和抗体のOSMへの添加により有意に減少したことを示している。これらのデータは、インヒビター又はOSMをヘパリン点眼薬と組み合わせることで、DEDにおけるヘパリンの有益な効果を増強することについての理論的根拠を与える。使用されるOSMインヒビターは、中和抗体、中和ペプチド及び小分子、並びに他の遺伝子に基づくアプローチから選択され得る。これらのOSMインヒビターは、DED治療のための治療タンパク質/ペプチド/小分子とは独立して使用することができる。
実施例19:実験により、以下の組み合わせがヘパリン点眼薬の有益な作用を増強し、これらの組み合わせをDEDで使用することができることも示された:1.ヘパリンとオンコスタチンMのインヒビター(例えば、中和抗体)、2.ヘパリンとLIGHTのインヒビター(例えば、中和抗体)、3.ヘパリンとNGALのインヒビター(例えば、中和抗体)及び4.ヘパリンとDNaseI。
実施例20:このex vivo実験において、重度の涙液減少型DEDの患者から粘膜細胞凝集体を収集し、ヘマトキシリン−エオシン及びSytox Greenで染色することで、それらの細胞構造及び細胞外構造を明らかにした。細胞外構造(緑色の糸状物)は、抗凝固用量を下回るヘパリン(100 IU/ml)で処理した場合に溶解したが、培養培地(RPMI)のみで処理した場合に実質的にそのままに留まった。この結果は、ヘパリンが涙液減少型DEDの患者において粘膜細胞凝集体の細胞外成分を溶解することを示している。
実施例21:この実験において、ヘパリン点眼薬の使用は、瘢痕性結膜炎の患者において眼痛及び粘膜細胞凝集体の顕著な軽減をもたらした。両眼の慢性的な充血及び絶え間ない炎症を訴える65歳の男性が紹介された。患者は中等度の症状を呈し(OSDI=20.83)、4.5の症状の強度(煩わしい/不快)を有した。男性の気分及び人生の楽しみは、眼の症状によって幾らか影響を受けた。涙液の生成は正常であった(右眼で16及び左眼で12のシルマーI)。マイボーム腺は正常であった。眼検査により、両方の上眼瞼において結膜上皮下のかなりの瘢痕があることが明らかになった。患者は、アトピー性の可能性がある瘢痕性結膜炎であると診断された。1日3回のヘパリン点眼薬(100 IU/ml)を開始した。ヘパリンの使用4ヶ月後に、検査は患者の状態が改善したことを示している。OSDIは20.8から5.0に減少し、症状の強度は4.5/10から2/10に減少した。症状による情緒的干渉はなかった。主観的な全般評価により、両眼において「大幅な改善」が明らかとなった。患者は、粘膜細胞凝集体及び痛み/異物感が約95%減少したことを報告した。臨床全般印象は、両眼において「中等度の改善」であった。
実施例22:この場合にヘパリン点眼薬の使用は、二次性シェーグレン症候群の患者において眼の光感受性及び角膜糸状物の減少をもたらした。関節リウマチ及びシェーグレン病の37歳の女性は左眼に角膜糸状物を呈した。患者は重度の涙液減少型DEDを伴い、重度の症状を呈した(OSDI=56.8)。症状の強度は両眼において4(煩わしい/不快)であった。1日3回のヘパリン100 IU/mlを開始した。ヘパリン点眼薬での治療1ヶ月後に、症状は軽度(15のOSDI)までかなり軽減し、症状の強度は両眼で2へと低下した(少しいらいらする)。主観的な全般評価は「改善」であった。スリットランプ検査では、角膜糸状物がないことが明らかになった。臨床全般印象は、「中等度の改善」であった。
実施例23:この場合に、ヘパリン点眼薬とDNaseI点眼薬との併用治療は、ヘパリン単独よりも効果的であった。55歳の男性は重度の涙液減少を有していた(シルマーIは、右眼で0 mmであり、左眼で1 mmである)。患者は重度の症状を呈し(OSDI=95)、8/10の症状の強度(厳しい/強烈)であった。患者はまた、強膜コンタクトレンズ上に視覚及び生活の質を妨げる広範囲の粘膜細胞沈着物を有していた。1日3回のヘパリン点眼薬100 IU/ml及び1日3回のDNaseI点眼薬1%の併用治療を開始した。治療1ヶ月後に、患者は症状の大幅な改善及び粘膜細胞分泌物の減少を報告した。患者はヘパリン点眼薬単独でも改善を認めたが、ヘパリン点眼薬及びDNaseI点眼薬の両方を使用した場合に改善が最高であった。
実施例24:この場合にヘパリン点眼薬の使用は、角膜のヘルペスウイルス感染及び涙液減少型DEDを伴う患者において偽膜の消失をもたらした。48歳の女性はoGVHDのため重度の涙液減少型ドライアイ疾患(DED)を有していた。女性はHSV角膜炎(角膜樹枝状病変及び下眼瞼に形成された偽膜)を発症した。アシクロビルPOに加えて、ヘパリン点眼薬100 IU/mlを1日3回で開始した。この治療はHSV角膜炎の角膜病変及び偽膜の消失に導いた。
実施例25:上皮症を引き起こし得る好中球細胞外トラップ(NET)の分子成分を調査した。オンコスタチンM(OSM)レベルは明確なoGVHD患者の眼表面洗液中で有意に高かったので(図14)、このNET成分が上皮症を引き起こすかどうかを調査した。OSMは、明確なoGVHD患者から収集された粘膜細胞凝集体(MCA)中に豊富に存在していた。OSMはヘパリン結合タンパク質であるため、ヘパリン又は中和抗体(NAb)とのインキュベートにより、組み換えOSMタンパク質レベルが低下した(図15)。マウスNETにおいては、OSMは非常に豊富に存在し(614.67±95.73 pg/mL)、そのレベルはヘパリン処理されたNETにおいて有意に低下した(19.95±0.00 pg/mL)。
ヘパリン又はOSM NAbを使用してナイーブNETのOSMレベルを低下させることで、ネズミ角膜におけるNETにより誘導される上皮症が妨げられるかどうかを調査した。ナイーブNET、ヘパリン処理されたNET及びOSM NAbとインキュベートしたNETをナイーブマウス角膜に5日間連続して適用した。ヘパリン処理されたNET(0.80±0.49)及びOSM NAbとインキュベートされたNET(0.40±0.24)と比較して、NETの適用後5日目に、有意により大きな角膜フルオレセイン染色が観察された(7.20±0.97;p<0.05)。5日目に角膜を切除し、溶解物中で炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6及びIP-10)の存在量を測定した。NETに曝露された角膜は、ヘパリン処理されたNET及びOSM NAbとインキュベートされたNETと比較して有意により高い存在量でこれらの炎症性サイトカインを有した(図16)。
さらに、OSM組み換えタンパク質がNETと同様に上皮症を引き起こし得るかどうか、及びヘパリン又はOSM NAbを使用してOSMレベルを低下させることでその効果が妨げられるかどうかも調査した。ヘパリンとインキュベートされたOSM(1.20±0.20)及びOSM NAbとインキュベートされたOSM(0.80±0.37)と比較して、OSMの適用後5日目に、有意により大きな角膜フルオレセイン染色が観察された(8.75±0.48;p<0.05)。これらの実験は、おそらくOSMの存在によりNETが角膜上皮症を引き起こすことから、上皮症をヘパリンで予防することができることを示している。この理論を検証するために、角膜及び結膜の上皮症を伴うoGVHDの患者を、4週間にわたりヘパリン点眼薬(100 IU/mL)で1日に3回治療した。角膜及び結膜の上皮症の有意な軽減が観察された。
実施例26:T細胞の活性化及び増殖は、慢性GVHDの病態生理において重要な役割を果たすことが十分に認識される。したがって、NETが混合リンパ球反応(MLR)におけるT細胞の増殖に影響を及ぼし得るかどうかを調査した。まず、MCAをCD3抗体で免疫染色して、NETに近接したT細胞の存在を実証した。CD3陽性T細胞は、調査した12個のMCAの42%に見られた。次に、アロ反応のシミュレーションのために2人の異なる健康な被験者からのリンパ球を使用してMLRを行った。ナイーブNETを追加するとMLRにおける増殖が有意に増加するが(1.95×106±1.31×105のRFU;p<0.05)、ヘパリン処理されたNETを加えると有意により低いMLR増殖がもたらされた(4.74×105±4.11×104)。次に、MLR増殖を引き起こし得るNETの分子成分を調査した。LIGHTレベルは明確なoGVHD患者の眼表面洗液中で有意により高く(図17A)、LIGHTが実験におけるNET中に豊富に存在した(図17B)ので、このNET成分が免疫増生を引き起こすかどうかを調査した。まずMCAをLIGHT抗体で免疫染色し、好中球細胞質中及び細胞外にLIGHTタンパク質が存在することを実証した。次に、MLRにおけるLIGHTタンパク質の効果を調査した。LIGHTをMLRに添加すると増殖の有意な増加がもたらされたが(2.49×106±2.49×105のRFU;p<0.05)、LIGHTをヘパリン又はLIGHT NAbのいずれかと一緒に加えると有意により低いMLR増殖がもたらされた(1.22×106±1.11×105のRFU)(図18)。ナイーブNETと比較して、NETをLIGHT NAbと一緒にMLRに加えると、増殖は有意に減少した(4.87×105±3.43×104のRFU;p<0.05)。これらのデータは、NET又は組み換えLIGHTがMLR増殖を増加させるが、ヘパリン又はLIGHT NAbの添加がそれを減少させることを示すことから、LIGHTがヘパリンで抑制することができる免疫増生を引き起こし得ることを示している。
実施例27:マイボーム腺疾患は、oGVHDの目立った特徴である。正常なマイボーム腺と比較して、oGVHDの患者はマイボーム腺の広範囲の萎縮又は欠損を伴う。oGVHD患者のマイボスケール(Meiboscale)は、健康な被験体又はoGVHDを伴わない患者と比較して有意により大きい(2.07±0.19;p<0.05)。NGALレベルは明確なoGVHD患者の眼表面洗液中で有意により高く(2212.00±430.71;p<0.05)(図19A)、NGALが実験におけるNET中に豊富に存在した(9475.34±1052.84;p<0.05)(図19B)ので、このNET成分がマイボーム腺の分化及び増殖に影響するかどうかを調査した。MCAをNGAL抗体で免疫染色し、好中球細胞質中及び細胞外にNGALタンパク質が存在することを実証した。マイボーム腺に対するNETの効果を調べるために、不死化マイボーム腺上皮細胞を培養し、分化させた。LipidTOX染色を使用して脂質蓄積を検出した。LipidTox Green中性脂質染色試薬の蛍光強度は、無血清培地(KSFM、ケラチノサイト無血清培地)(6.93±0.57のA.U)と比較して、分化培地(DFM)において有意により高かった(24.92±1.21のA.U;p<0.05)。DFM培地へのNETの添加は、脂質の蓄積を有意に減少させた(7.60±0.85のA.U;p<0.05)。対照的に、ヘパリン処理されたNETのDFM培地への添加は、脂質の蓄積を減少させなかった(33.98±2.18のA.U)。NETによる脂質蓄積の減少は、NGAL NAbの添加により妨げられた(21.21±0.83のA.U)。NETと同様に、DFM培地へのrNGALの添加は、脂質の蓄積を有意に減少させた(10.88±0.35のA.U)。NGAL NAb(17.82±0.43のA.U)及びヘパリン(15.66±1.72のA.U)の添加により、rNGALによる脂質の蓄積の減少が妨げられた。
次に、ヒトMG細胞の増殖に対するNGALの効果を調査した。コントロールKSFM培地(5.52×105±3.11×104のRFU)と比較して、KSFM培地にNETを追加すると、マイボーム腺の増殖が有意に減少した(1.72×105±1.58×104のRFU;p<0.05)(図20)。NETによるMG細胞増殖の減少は、NGAL NAb(6.98×105±6.18×104のRFU)及びヘパリン(8.25×105±2.56×104のRFU)の添加により妨げられた。NETと同様に、KSFM培地へのrNGALの添加は、MG細胞増殖を有意に減少させた。rNGALによるMG細胞増殖の減少はNGAL NAb及びヘパリンの添加により妨げられた。これらのデータは、NET又は組み換えNGALがMG細胞の増殖及び分化を有意に減少させるのに対し、ヘパリン又はNGAL NAbの添加はこの減少を妨げることを示していることから、NGAL(NETの分子成分)は、ヘパリンで抑制することができるMG細胞機能不全を引き起こし得ることを示唆している。
実施例28:この実施例は、眼表面疾患の患者におけるIL-8の量を測定している。IL-8のレベルは、明確なoGVHD患者の眼表面洗液中で有意により高く(図21A)、IL-8は実験におけるNET中に豊富に存在した(図21B)。
本発明の上述の考察は、例示及び説明の目的で提示されている。上記は、本明細書に開示されている単数又は複数の形態に本発明を限定する意図はない。本発明の記載は、1つ以上の実施形態並びに或る特定の変形形態及び変更形態の記載を含むが、他の変形形態及び変更形態も本発明の範囲内にある、例えば、本開示を理解した後に当業者の技能及び知識内にある場合がある。許容される範囲まで代替的な実施形態を含む権利を得ることが意図され、これには、特許請求されるものに対して代替の、互換可能な、及び/又は均等の構造、機能、範囲、又は工程が、そのような代替の、互換可能な、及び/又は均等の構造、機能、範囲、又は工程が本明細書に開示されているかにかかわらず、またいずれの特許請求可能な主題にも公然と供する意図はなく含まれる。本明細書に引用される全ての参考文献は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
図面訳
図4
Mucoid Debris 粘液デブリ
Red: Neutrophils 赤:好中球
Green: Conjunctival cells 緑:結膜細胞
Blue: Cell nucleus 青:細胞核

図5
Merge 統合
Merged 統合

図6
Merge 統合

図7
Non-stimulated Neurtrophils 非刺激好中球
PMA-Stimulated Neutrophils PMA被刺激好中球
Overlay 重ね合わせ

図8
No Neutrophil Products 好中球産物なし
Neutrophile products+ 好中球産物あり
Day 0 0日目
Day 7 7日目

図9A
No PMA PMAなし
TIME(H) 時間(時間)

図9B
No PMA PMAなし
TIME(H) 時間(時間)

図10
0 hours 0時間
30 hours 30時間
Heparin ヘパリン

図11
Relative wound density 相対創傷密度
Epithelial Healing 上皮治癒
Heparin ヘパリン
Absorbance 490 nm 吸光度 490 nm
LDH cytotoxicity assay LDH細胞毒性アッセイ

図12
Oncostatin M オンコスタチンM
Healthy 健康
None oGVHD 非oGVHD
Definite oGVHD 明確なoGVHD

図13
Corneal fluorescein staining 角膜フルオレセイン染色
Score スコア
Heparin ヘパリン
Day 0 0日目
Day 5 5日目

図14
Oncostatin M オンコスタチンM
Healthy 健康
None oGVHD 非oGVHD
Definite oGVHD 明確なoGVHD

図15
Heparin binds to OSM ヘパリンはOSMに結合する
Heparin ヘパリン

図16
Corneal Interleukin 1β 角膜インターロイキン1β
Heparin ヘパリン
Corneal Interleukin 6 角膜インターロイキン6
Corneal INF-gamma-inducible protein 10 角膜のIFNγ誘導性タンパク質10

図17A
Tumor necrosis factor superfamily member 14 腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14
Healthy 健康
None oGVHD 非oGVHD
Definite oGVHD 明確なoGVHD

図17B
Tumor necrosis factor superfamily member 14 腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14
No NETs NETなし

図18
Relative fluorescence units 相対蛍光単位
Affect of LIGHT in MLR MLRにおけるLIGHTの影響
Heparin ヘパリン

図19A
Neutrophil gelatinase-associated lipocalin 好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン
Healthy 健康
None oGVHD 非oGVHD
Definite oGVHD 明確なoGVHD

図19B
Neutrophil gelatinase-associated lipocalin 好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン
No NETs NETなし

図20
Relative fluorescence units 相対蛍光単位
Proliferation of Immortalized Human Meibomian Gland Cells 不死化されたヒトマイボーム腺細胞の増殖
Heparin ヘパリン

図21A
Interleukin 8 インターロイキン8
Healthy 健康
oGVHD None 非oGVHD
oGVHD Definite 明確なoGVHD

図21B
Interleukin 8 インターロイキン8
No NETs NETなし

Claims (47)

  1. (a)1種以上の薬学的に許容可能な眼科用賦形剤と、
    (b)眼の不快感、ドライアイ症候群、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患からなる群から選択される臨床状態を治療するための眼科用の薬学的に活性な化合物と、
    ここで前記薬学的に活性な化合物は、ヘパリンを含み、
    (c)任意に、ステロイド、抗炎症剤、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物と、
    から本質的になる眼科製剤。
  2. 前記製剤は、点眼製剤、眼科用ゲル製剤、懸濁液製剤、エマルジョン製剤又は眼科用軟膏製剤である、請求項1に記載の眼科製剤。
  3. 前記ヘパリンは、凝固性ヘパリン、非凝固性ヘパリン、ヘパリンオリゴ糖又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の眼科製剤。
  4. 前記凝固性ヘパリンは、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の眼科製剤。
  5. 前記非凝固性ヘパリンは、硫酸化を変更したヘパリン、グリコールスプリットヘパリン、グリコールスプリットN-アセチル化ヘパリン、その他のヘパリン誘導体又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の眼科製剤。
  6. 前記その他のヘパリン誘導体は、N-アセチル化ヘパリン又はヘパリンを模倣する負に帯電したナノ粒子を含む、請求項5に記載の眼科製剤。
  7. 前記第2の薬学的に活性な化合物は、メチルプレドニゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、エタボン酸ロテプレドノール、フルオシノロン、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、メドリゾン、フルオシノロン、リメキソロン、トリアムシノロン、シクロスポリン、Lifitegrast(商標)、タクロリムス、インターロイキン1受容体アンタゴニスト(アナキンラ)、その他のNSAID類、例えばケトロラク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナク、N-アセチルシステイン、N-アセチルシステイン、ナシステリン、デキストラン、DNaseI(ドルナーゼアルファ)、ゲルソリン、チモシンβ4、14員及び15員のマクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、エリスロマイシンの非抗微生物性誘導体(例えば、EM703及びEM900)、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、フィダキソマイシン、テリスロマイシン及びアジスロマイシン)又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の眼科製剤。
  8. 前記眼科製剤中に存在するヘパリンの量は、重量基準で約0.01 μg/mL〜重量基準で約1 g/mLの範囲である、請求項1に記載の眼科製剤。
  9. 眼の不快感、涙液膜中の粘膜細胞凝集体/デブリ、瞼球癒着形成、円蓋短縮、眼瞼縁/結膜角化、角膜血管新生/パンヌス及び結膜下線維症の症状を引き起こし得る炎症性眼表面疾患及び免疫学的眼表面疾患からなる群から選択される臨床状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に請求項1に記載の眼科製剤を投与することを含む、方法。
  10. 前記臨床状態は、眼移植片対宿主病(oGVHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼型瘢痕性類天疱瘡(OCP)、軽度、中等度及び重度の涙液減少型ドライアイ疾患(DED)、マイボーム腺疾患、上輪部角結膜炎(SLK)、涙液の十分なDED、フロッピー眼瞼症候群、神経栄養性の眼疾患、無虹彩症、角膜炎又は術後/外傷後の眼状態を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記角膜炎は、無菌性炎症又はウイルス感染、細菌感染若しくは真菌感染によるものである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記術後/外傷後の眼状態は、眼表面再建後手術、眼表面への代謝拮抗剤の適用、翼状片手術、緑内障手術、人工角膜移植術又は放射線傷害に関連する眼状態を含む、請求項10に記載の方法。
  13. (a)眼表面上の炎症性好中球産物の量を減らすことができる薬学的に活性な化合物と、
    (b)任意に、ステロイド、抗炎症剤、粘液溶解剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の薬学的に活性な化合物と、
    (c)1種以上の薬学的に許容可能な眼科用賦形剤と、
    から本質的になる眼科製剤。
  14. 前記薬学的に活性な化合物は、ヘパリンを含む、請求項13に記載の眼科製剤。
  15. 前記眼科製剤中に存在するヘパリンの量は、重量基準で約0.01 μg/mL〜重量基準で約1 g/mLの範囲である、請求項14に記載の眼科製剤。
  16. 前記ヘパリンは、凝固性ヘパリン、非凝固性ヘパリン、ヘパリンオリゴ糖又はそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の眼科製剤。
  17. 前記凝固性ヘパリンは、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン又はそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の眼科製剤。
  18. 前記非凝固性ヘパリンは、硫酸化を変更したヘパリン、グリコールスプリットヘパリン、グリコールスプリットN-アセチル化ヘパリン、その他のヘパリン誘導体又はそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の眼科製剤。
  19. 前記その他のヘパリン誘導体は、N-アセチル化ヘパリンを含む、請求項18に記載の眼科製剤。
  20. 前記第2の薬学的に活性な化合物は、メチルプレドニゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、エタボン酸ロテプレドノール、フルオシノロン、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、メドリゾン、フルオシノロン、リメキソロン、トリアムシノロン、シクロスポリン、Lifitegrast(商標)、タクロリムス、インターロイキン1受容体アンタゴニスト(アナキンラ)、その他のNSAID類、例えばケトロラク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナク、N-アセチルシステイン、N-アセチルシステイン、ナシステリン、デキストラン、DNaseI(ドルナーゼアルファ)、ゲルソリン、チモシンβ4、14員及び15員のマクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、フィダキソマイシン、テリスロマイシン及びアジスロマイシン)又はそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の眼科製剤。
  21. 前記薬学的に許容可能な賦形剤は、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー類、ポリオール類、カルボポール、プルロニック類、カルボマー類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シクロデキストリン類、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、Trisバッファー、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ポリソルベート80、植物油、防腐剤又はそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の眼科製剤。
  22. 前記製剤は、防腐剤を有する複数回量バイアル又は防腐剤を有しない単回用量滅菌容器を含む、請求項13に記載の眼科製剤。
  23. 抗凝固量を下回る量のヘパリンと、オンコスタチンMのインヒビター、LIGHTのインヒビター、NGALのインヒビター、DNaseI又はそれらの組み合わせを含む第2の薬学的に活性な化合物の1種以上とを含む眼科製剤。
  24. 前記オンコスタチンMのインヒビターは、オンコスタチンMの中和抗体を含む、請求項23に記載の眼科製剤。
  25. 前記LIGHTのインヒビターは、LIGHTの中和抗体を含む、請求項23に記載の眼科製剤。
  26. 前記NGALのインヒビターは、NGALの中和抗体を含む、請求項23に記載の眼科製剤。
  27. ヘパリンは、凝固性ヘパリン、非凝固性ヘパリン、ヘパリンオリゴ糖又はそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の眼科製剤。
  28. 前記凝固性ヘパリンは、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン又はそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の眼科製剤。
  29. 前記非凝固性ヘパリンは、硫酸化を変更したヘパリン、グリコールスプリットヘパリン、グリコールスプリットN-アセチル化ヘパリン、その他のヘパリン誘導体又はそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の眼科製剤。
  30. 前記その他のヘパリン誘導体は、N-アセチル化ヘパリンを含む、請求項29に記載の眼科製剤。
  31. 前記ヘパリンの量は、約500 IU/mL以下である、請求項23に記載の眼科製剤。
  32. 前記ヘパリンの量は、約300 IU/mL以下である、請求項23に記載の眼科製剤。
  33. 前記ヘパリンの量は、約100 IU/mL以下である、請求項23に記載の眼科製剤。
  34. 抗凝固量を下回る量のヘパリンを含む眼科製剤。
  35. 前記ヘパリンの量は、約1000 IU/mL以下である、請求項34に記載の眼科製剤。
  36. 前記ヘパリンの量は、約500 IU/mL以下である、請求項34に記載の眼科製剤。
  37. 前記ヘパリンの量は、約100 IU/mL以下である、請求項34に記載の眼科製剤。
  38. 眼疾患を治療する方法であって、治療的有効量の抗凝固量を下回る量のヘパリン眼科製剤を、そのような治療を必要とする被験体に投与する工程を含む、方法。
  39. 前記ヘパリン眼科製剤は、前記被験体に少なくとも1日2回で投与される、請求項38に記載の方法。
  40. 前記ヘパリン眼科製剤は、前記被験体に少なくとも1日3回で投与される、請求項38に記載の方法。
  41. 被験体における眼表面障害を診断又は監視する方法であって、被験体から得られる試料からのバイオマーカーのレベルを前記バイオマーカーのコントロールレベルと比較することで、前記被験体における眼表面障害を診断又は監視することを含む、方法。
  42. 前記バイオマーカーは、複数のバイオマーカーを含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記バイオマーカーは、インターロイキン-8(IL-8)、オンコスタチン-M(OSM)、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14又はLIGHT)又はそれらの組み合わせを含む、請求項41に記載の方法。
  44. 前記バイオマーカーのレベルは、酵素的方法、分光測定法、クロマトグラフィー法、免疫学的方法又はそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって検出される、請求項41に記載の方法。
  45. 前記監視する工程は、眼表面障害を有する被験体、眼表面障害を有すると疑われる被験体、又は眼表面障害の素因がある被験体における療法の有効性を決定することを含む、請求項41に記載の方法。
  46. 前記バイオマーカーのコントロールレベルは、療法の開始前の被験体における前記バイオマーカーのレベル、療法の早期段階の被験体における前記バイオマーカーのレベル又はそれらの組み合わせを含む、請求項45に記載の方法。
  47. インターロイキン-8(IL-8)、オンコスタチン-M(OSM)、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14又はLIGHT)及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるバイオマーカーを検出するためのバイオマーカーパネルのアレイを含む診断キット。
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