本開示の目的は、薬物送達デバイスなどのための新規なまたは改善されたアセンブリを提供することである。特に、改善された薬物送達デバイスが提供されるべきである。この目的は、独立請求項に画成される主題によって実現されるが、本開示はさらに有利な機能およびそれらの組合せを包含しうるため、必ずしも特許請求される主題のみによって実現されるわけではない。有利な実施形態および改良形態は従属請求項の主題であり、本明細書を通して開示される。
本開示の一態様は、アセンブリ、特に薬物送達デバイスのためのアセンブリに関する。別の態様は、アセンブリまたはアセンブリの要素を含む薬物送達デバイスに関する。したがって、アセンブリに関して以下に記載する機能は、薬物送達デバイスにも同様に当てはまり、逆も同様である。さらに、異なる実施形態または態様とともに記載する機能を互いに組み合わせることができ、また1つの請求項から任意に選択された機能、または1つの請求項もしくは複数の請求項のすべての機能と組み合わせることもできる。
一実施形態では、薬物送達デバイスは、好ましくはアセンブリに加えて、リザーバ、特にカートリッジを含み、リザーバは、好ましくは液体の薬物または薬物調合物を含む。リザーバは、薬物の複数の用量を保持することができる。薬物送達デバイスによって送達予定の用量のサイズは、使用者が設定することができる。用量のサイズは、使用者が変動させることができ、好ましくは、排他的ではないが、いわゆる固定用量デバイスと同様の薬物送達デバイスの機構の設計によって画成される。したがって、使用者は、1用量当たりどれだけの薬物が投薬されるかに影響を与えることができる。薬物送達デバイスは、ペン型デバイスとすることができる。
特に、薬物送達デバイスは、液体薬物調合物のいくつかの事前設定可能な用量、好ましくは多数の事前設定可能な用量をリザーバから分離および送達するための薬物送達デバイスとすることができる。リザーバは、好ましくは、分割されていないリザーバである。特に、分割されていないリザーバでは、薬物調合物は便宜的に、いくつかの用量または単位に事前にパッケージ化されて提供されるのではなく、リザーバ内の単一の空洞における連続する体積として提供される。この連続する体積から、用量送達中に、または用量送達のために、用量を分離することができる。
薬物送達デバイスおよび/またはアセンブリもしくは薬物送達デバイスの構成要素は、近位端および遠位端を有することができる。本開示では、「遠位端」は、デバイスの投薬端の最も近くに位置しまたは配置される端部を指すために使用され、「近位端」は、薬物送達デバイスの遠位端から最も遠くに位置しまたは配置される端部を指すために使用される。「遠位方向」という用語は、遠位端に向かうまたは近位端から離れる方向、特に軸方向を示すために使用され、「近位方向」という用語は、遠位端から離れるまたは近位端に向かう方向、特に軸方向を示すために使用される。遠位方向および近位方向は、反対の向きを有する軸方向、特に同一線上の軸方向を指すために使用することができる。
一実施形態では、アセンブリは、ハウジングを含む。ハウジングは、管状の形状を有することができ、アセンブリまたは薬物送達デバイスのさらなる構成要素を収納および保護するように設計することができる。ハウジングは、たとえば再利用可能デバイスの場合は解放可能に、またはたとえば使い捨てデバイスの場合は恒久的に、リザーバまたはカートリッジホルダに連結されるように設計することができ、カートリッジホルダは、薬物を有するリザーバまたはカートリッジを受け取って保持するように設計される。ハウジングは、以下により詳細に説明するアセンブリのさらなる要素、部材、または構成要素を保護および/または収納するようにさらに配置することができる。
一実施形態では、アセンブリは、可動部材を含む。可動部材は、ハウジングに対して2つの反対の回転または角度方向に回転可能になるように配置することができる。特に、可動部材は、ハウジングに対して第1の回転または角度方向および第2の回転または角度方向に回転可能であり、以下、第1の方向を増分方向(incrementing direction)と呼ぶことができ、以下、第2の方向を減分方向(decrementing direction)と呼ぶことができる。可動部材は、ハウジングに対して回転可能に取り付けることができ、ハウジングに対する可動部材の軸方向変位を制限することができ、またはさらには防止することができる。回転の増分方向は、アセンブリに対する所望の動作条件、たとえば所望のサイズの用量を設定するために使用される方向とすることができる。減分方向は、機構が増分しすぎた場合に、たとえば用量のサイズを減らすように、動作条件を補正するために使用される補正方向とすることができる。
一実施形態では、アセンブリは、ロックシステムを含む。ロックシステムは、減分方向などのハウジングに対して特定の回転方向へ回転しないように、可動部材を解放可能にロックするように設計することができる。これにより、減分方向への可動部材の回転が可能になる前に、解放可能ロックが解放されなければならないことが確実になり、したがってアセンブリが偶発的に減分される確率が大幅に低減される。
一実施形態では、アセンブリは、ロック機能、解放部材、および/または阻止機能を含む。ロックシステムは、それぞれの機能または部材を含むことができる。
一実施形態では、ロック機能は、阻止機能と協働して解放可能ロックインターフェース(releasable locking interface)を形成または確立するように配置される。ロック機能は、阻止機能に係合または当接して解放可能ロックインターフェースを形成または確立するように配置することができる。解放可能ロックインターフェースは便宜的に、解放可能ロックインターフェースが確立されたとき、減分方向へ、好ましくは減分方向のみへのハウジングに対する可動部材の回転運動が阻止されるように構成される。この場合、「阻止」とは便宜的に、減分方向への回転が一切可能でなくなることを意味する。インターフェースが確立されたとき、増分方向へのハウジングに対する可動部材の回転を可能にすることができる。したがって、インターフェースが確立されたとき、アセンブリを増分させることができる。解放可能ロックインターフェースが解放されたとき、可動部材は、好ましくは減分方向に、たとえば少なくとも制限された形で、好ましくは制限された形のみで、または制限されない形で回転可能である。したがって、ロックインターフェースを解放することによって、機構またはアセンブリを減分することができ、すなわち可動部材は減分方向に回転することができる。
一実施形態では、ロック機能および阻止機能は、異なる構成要素または部材上に設けられる。
一実施形態では、ロック機能は、ロック部材の一部であり、ロック部材に堅固に連結され、またはロック部材によって形成される。ロック部材は、1つまたは複数のロック機能を含むことができる。複数のロック機能が提供される場合、ロック機能は、特にロック部材上に、角度または円周方向に好ましくは均一に配置または分散される。ロック機能は、軸方向に位置合わせすることができる。すなわち、ロック機能は、対応する軸方向位置に配置することができる。ロック機能は、同様に設計することができる。ロック機能は便宜的に、剛性の機能である。具体的には、すべてのロック機能が同じ構成を有することができる。
一実施形態では、阻止機能は、阻止部材の一部であり、阻止部材に堅固に連結され、または阻止部材によって形成される。阻止部材は、1つまたは複数の阻止機能を含むことができる。複数の阻止機能が提供される場合、阻止機能は、特に阻止部材上に、角度または円周方向に好ましくは均一に配置または分散される。阻止機能は、軸方向に位置合わせすることができる。すなわち、阻止機能は、対応する軸方向位置に配置することができる。阻止機能は、同様に設計することができる。阻止機能は便宜的に、剛性の機能である。具体的には、すべての阻止機能が同じ構成を有することができる。
一実施形態では、解放可能ロックインターフェースが確立されたとき、インターフェースを解放するために、ロック機能を阻止機能に対して可動にすることができる。ロック機能は、解放可能ロックインターフェースを解放するためおよび/または解放可能ロックインターフェースを再確立するために、阻止機能に対して軸方向および/または径方向に可動とすることができ、好ましくは軸方向または径方向のみに可動とすることができる。インターフェースを解放する方向およびインターフェースを再確立する方向は、反対の方向とすることができる。
一実施形態では、ロック機能の数は、阻止機能の数とは異なり、たとえば阻止機能の数より大きく、または阻止機能の数より小さい。
一実施形態では、阻止機能は剛性であり、または剛性的に取り付けられる。
一実施形態では、ロック機能は可撓性であり、または可撓に取り付けられる。ロック機能は、反発性(resilient)とすることができ、または反発的に取り付けることができる。したがって、ロック機能が阻止機能に対して変位された後、反発性回復力が阻止機能をその元の位置へ戻し、たとえば阻止機能に係合または当接させる傾向がある。たとえばこの反発性を使用して、解放可能ロックインターフェースを解放または再確立することができる。
一実施形態では、解放部材は、ハウジング、阻止機能、ロック機能、阻止部材、および/またはロック部材に対して、たとえば少なくとも制限された形で、好ましくは制限された形のみで、または制限されない形で回転可能である。解放部材は、第1の角度位置と第2の角度位置との間を回転可能とすることができる。解放部材は、第1の角度位置から開始して第2の角度位置の方および第2の角度位置内へ回転させることができ、好ましくは逆も同様である。第1の角度位置で、解放可能ロックインターフェースが便宜的に確立される。したがって、解放部材が第1の角度位置にあるとき、減分方向への可動部材の回転が阻止される。第2の角度位置で、解放可能ロックインターフェースは便宜的に、少なくとも一時的に、好ましくは一時的にのみ、または恒久的に解放される。このようにして、少なくとも減分方向への可動部材の制限された回転を可能にすることができる。可動部材が減分方向に回転することができる最小角度は、以下にさらに論じる単位増分(unit increment)によって画成することができる。
一実施形態では、解放部材の第1の角度位置で、ロック機能および阻止機能が係合または当接して、解放可能ロックインターフェースを確立する。第2の角度位置で、ロック機能および阻止機能が便宜的に係合解除して、解放可能ロックインターフェースを解放する。
一実施形態では、アセンブリは、第1の角度位置から第2の角度位置への解放部材の回転が解放可能ロックインターフェースの解放を引き起こすように構成される。たとえば、解放部材の回転を、阻止機能に対するロック機能の軸方向および/または径方向運動に変換することができる。別の例として、解放部材の回転を使用して、阻止機能に対するロック機能の係合解除運動を防止していたロック機能からの支持を除去することができ、それによってロック機能および阻止機能の係合解除が有効になる。
一実施形態では、第2の角度位置は、特に減分方向において、第1の角度位置から角度的にずれている。
一実施形態では、ハウジングおよび/またはロック機能に対する解放部材の軸方向位置は、第1および第2の角度位置において同じである。別法として、解放部材は、第1の角度位置および第2の角度位置において、ロック機能および/またはハウジングに対して異なる軸方向位置を有することができる。具体的には、解放部材は、第1の角度位置から第2の角度位置へ回転しているとき、軸方向に移動させることができる。たとえば、第2の角度位置では、第1の角度位置より解放部材を近位に配置することができる。
一実施形態では、アセンブリは、好ましくは解放部材が第1の角度位置にあるとき、2つの異なる構成、特に2つの異なる軸方向構成間で切換可能である。2つの構成は、減分構成(decrementing configuration)および駆動構成(driving configuration)とすることができる。減分構成は、増分および減分方向へのハウジングに対する可動部材の回転が概ね可能である構成とすることができ、減分方向への回転の場合、解放部材を回転させなければならない。駆動構成は、可動部材が減分方向に回転可能であり、好ましくは回転するように駆動される構成とすることができる。駆動構成で、可動部材は、減分構成とは別の構成要素に連結することができる。駆動構成で、可動部材の選択的な減分回転は可能ではなくなる。減分構成で、解放可能ロックインターフェースが便宜的に確立され、解放部材を第2の角度位置の方または第2の角度位置内へ回転させることによって選択的に解放することができる。駆動構成で、解放可能ロックインターフェースは便宜的に、好ましくは恒久的に、少なくとも機構が再び減分構成に切り換えられるまで解放される。駆動構成と減分構成との間で切り換えるために、ロック機能および阻止機能は、互いに対して好ましくは軸方向に変位可能である。ロック機能を阻止機能に対して軸方向に、特に遠位方向に変位させて、アセンブリを減分構成から駆動構成に切り換えることができ、または逆も同様である。このようにして、軸方向運動を使用して駆動構成に切り換え、駆動構成では回転運動を使用して、減分構成でロックインターフェースを解放する。アセンブリは、減分構成から駆動構成へ切り換えることができ、逆も同様である。したがって、アセンブリの所望の動作条件が設定され、減分動作がこれ以上必要でないことを示唆する使用者による設定動作条件の確認がなされたとき、機構を駆動構成に切り換えることができる。
一実施形態では、解放部材は、アセンブリを減分構成から駆動構成へ切り換えるために、軸方向に、特に遠位方向に変位可能である。解放部材は、阻止機能またはロック機能に連結して、これらの機能を互いに対して軸方向に動かし、減分構成から駆動構成へ切り換えることができる。
一実施形態では、阻止機能もしくは部材、ロック機能もしくは部材、および/または解放部材を減分構成のために軸方向位置へ付勢する付勢部材が設けられる。このようにして、付勢部材を用いることで、いかなる使用者の行動も必要とすることなく、アセンブリを駆動構成から減分構成へ自動的に切り換えることができる。
一実施形態では、可動部材は、エネルギー貯蔵部材(energy storage member)に動作可能に連結される。エネルギー貯蔵部材は、ねじりばねなどのばねとすることができる。ばねは、対向支承部を提供するために、ハウジングに連結することができ、またはハウジングに固定することができる。可動部材は、エネルギー貯蔵部材内に貯蔵済みまたは貯蔵可能なエネルギーによって減分方向へ回転するように、付勢することができ、または付勢可能とすることができる。好ましくは、増分方向への可動部材の回転が、エネルギー貯蔵部材内に貯蔵されるエネルギーを増大させる。解放可能ロックインターフェースは、力またはトルクに反作用することができ、そのような力またはトルクは、可動部材を減分方向に回転させる傾向があり、インターフェースが確立されたとき、エネルギー貯蔵部材を介して可動部材へ伝達される。解放部材を第2の角度位置の方または第2の角度位置内へ回転させたとき、機構を減分するために、インターフェースを解放することによってこのエネルギーまたはその一部を解放することができる。
一実施形態では、好ましくは増分方向への可動部材の回転を実行する使用者によって、エネルギー貯蔵部材内に貯蔵されているエネルギーを使用して、以下の動作のうちの1つ、任意に選択されたいくつか、またはすべてを支援または実行することができる:
− 解放可能ロックインターフェースを解放すること、
− 解放可能ロックインターフェースが解放された後、解放可能ロックインターフェースを再確立すること、
− 解放部材を第1の角度位置から第2の角度位置の方または第2の角度位置内へ回転させること、
− 解放部材を第2の角度位置から第1の角度位置の方または第1の角度位置内へ回転させること、
− 特に径方向および/または軸方向に、ロック機能を阻止機能に対して変位させることによって、阻止機能およびロック機能を係合解除すること、
− 特に軸方向および/または径方向に、ロック機能を阻止機能に対して変位させることによって、阻止機能およびロック機能を再係合すること、
− ロック機能と阻止機能との間の相対的な径方向および/または軸方向運動を駆動すること、
− 減分構成で減分方向への可動部材の回転を駆動すること、
− 駆動構成で減分または駆動方向への可動部材の回転を駆動すること。
一実施形態では、可動部材は、単位増分の倍数のみ、特に整数倍のみ、ハウジングに対して増分方向に回転可能である。1単位増分は、たとえば、設定することができる用量の最小サイズとすることができ、またはそのような最小サイズに対応することができる。減分動作中、最小単位の減分、すなわち減分動作中に可動部材を減分方向へ回転させなければならないまたは回転させることができる最小量は、単位増分以上とすることができる。すなわち、機構は、単一の減分動作中、単位増分ずつ、または複数の単位増分のみ、減分することができる。減分中、単一の減分動作において、以前に増分された単位増分のすべてを減分することができる。最大単位の減分は、最小単位の減分以上とすることができる。
一実施形態では、解放部材の第1の角度位置と第2の角度位置との間の角度距離は、40°以下または20°以下など、90°以下とすることができる。
一実施形態では、第1の角度位置と第2の角度位置との間の角度距離は、1単位増分、もしくは1単位増分の何らかの整数倍などのより多くの単位増分に対応することができ、かつ/またはそのような単位増分によって画成することができる。別法として、角度距離は、単位増分に無関係とすることができる。
一実施形態では、アセンブリは、少なくとも1つの単方向インターフェース、好ましくは単方向回転インターフェースを含む。このインターフェースは、このインターフェースが確立されたとき、インターフェースを形成する1つの構成要素が、インターフェースを形成する他の構成要素に対して、1つの回転方向にのみ相対的に回転することを可能にすることができる。好ましくは、単方向インターフェースは、単位増分を画成し、この単位増分は便宜的に、可動部材を回転させることができる最小角度によって画成される。単方向インターフェースは、ハウジングなどの静的構成要素と、可動部材または少なくとも減分構成で可動部材に回転可能に連結された構成要素など、増分方向に回転可能な回転構成要素との間に形成することができる。単方向インターフェースは、解放可能インターフェースとすることができる。
解放部材が第1の角度位置にあり、アセンブリが減分構成にあるとき、単方向インターフェースは便宜的に、たとえば恒久的に、または一時的にのみ、確立される。したがって、解放部材が第1の角度位置にあり、便宜的にアセンブリが減分構成にあるとき、ハウジングに対する可動部材の回転が増分方向にのみ可能になる。アセンブリが駆動構成にあるとき、単方向インターフェースは好ましくは解放される。この目的で、インターフェースを確立する構成要素間の相対的な軸方向運動を使用することができる。
一実施形態では、アセンブリは、投与部材を含む。投与部材は、デバイスまたはアセンブリによって送達予定の設定用量のサイズを増分または増大させるために増分方向へ、また用量のサイズを減少または減分させる減分方向へ、回転可能になるように配置することができる。そのため、投与部材は、好ましくは少なくとも制限された形で、増分方向および/または減分方向へ回転可能とすることができる。解放部材は、投与部材に連結することができ、または投与部材によって形成することができる。解放部材と投与部材との間の連結は、解放部材と投与部材との間の相対的な軸方向および/または回転運動が防止されるような連結とすることができる。
一実施形態では、可動部材は、好ましくは軸方向に、および/もしくは回転可能に、用量標示部材に連結され、または用量標示部材によって形成される。用量標示部材は、現在設定されている用量のサイズに関する情報を使用者へ提供する印を含むことができる。用量標示部材は、たとえば、数字スリーブ(number sleeve)とすることができる。
一実施形態では、減分構成で、ロック機能もしくは部材または阻止機能もしくは部材は、減分方向および/または増分方向へ回転しないように、ハウジングに対して恒久的に回転不能にロックされる。便宜的に減分方向に回転しないようにロックされていない他の機能または部材は、ハウジングに対して減分方向に回転可能とすることができるが、好ましくは解放可能ロックインターフェースが解放されたときのみ回転可能とすることができる。それぞれの機能もしくは部材は、減分構成および駆動構成で、ハウジングに対して相対回転しないように固定することができ、または駆動構成で、ハウジングに対するそれぞれの機能もしくは部材の回転運動を可能にすることができる。
一実施形態では、単方向インターフェースは解放可能ロックインターフェースである。したがって、単位増分を画成するインターフェースを使用して、解放可能ロックインターフェースを確立することができ、このインターフェースを解放して、機構を減分することができる。したがって、ロック機能および/または阻止機能は、単位増分を画成するように配置することができる。
一実施形態では、単方向インターフェースは、解放可能ロックインターフェースとは異なる。したがって、2つのインターフェース、すなわち単方向インターフェースおよび解放可能ロックインターフェースを、同時に動作状態にすることができ、または確立することができる。解放可能ロックインターフェースは、好ましくは、力経路に見て単方向インターフェースと可動部材との間に配置される。単方向インターフェースおよび/または解放可能ロックインターフェースを確立するために、別個の構成要素を設けることもでき、両方のインターフェースに対する別個の機能を単一の構成要素内に一体化することができ、または別個の構成要素内に形成することができる。
一実施形態では、単方向インターフェースは、増分方向への可動部材の回転を決定または判定し、解放可能ロックインターフェースは、減分方向への可動部材の選択的な回転可能性を決定または判定する。
一実施形態では、それぞれのインターフェース、単方向インターフェース、および/または解放可能ロックインターフェースは、径方向インターフェースまたは軸方向インターフェースである。
一実施形態では、アセンブリの駆動構成に切り換えるために、ロック部材および阻止部材は、互いに対して軸方向に変位可能である。ロック部材を阻止部材に対して軸方向に変位させることができ、または阻止部材をロック部材に対して軸方向に変位させることができる。減分構成から駆動構成に切り換えたとき、単方向インターフェースを解放することができる。別法または追加として、解放可能ロックインターフェースを解放することができる。
一実施形態では、ロック機能および/または阻止機能は、単位増分を画成するために使用される機能によって判定されるピッチで配置される。ロックおよび/または阻止機能の数は、単位増分を画成するために使用される機能の数に等しくすることができる。
一実施形態では、解放可能ロックインターフェースは、両方の回転方向における相対回転運動を阻止する。したがって、解放可能ロックインターフェースが確立されたとき、両方の回転方向におけるロック機能と阻止機能との間の相対回転運動を防止または阻止することができる。
一実施形態では、アセンブリは、複数の阻止機能および/またはロック機能を含む。これにより、アセンブリが駆動構成から再び減分構成へ切り換わったとき、ロック機能と阻止機能との間の画成された相対角度方向がより容易に得られることが確実になり、これは解放可能ロックインターフェースを再確立するために必要となりうる。特に、このようにして、解放可能ロックインターフェースを再確立するために使用者によって引き起こされる回転を回避することができ、または大幅に低減させることができる。
一実施形態では、阻止機能および/またはロック機能が配置される角度ピッチは、単方向回転インターフェースを形成するためおよび/または単位増分を画成するために使用される機能、たとえばラチェット機能の角度ピッチに対応し、またはそのような角度ピッチによって判定される。
一実施形態では、アセンブリは、被駆動部材(driven member)を含む。被駆動部材は、好ましくは、減分構成でハウジングに対して回転不能にロックされる。被駆動部材は、アセンブリの駆動構成でハウジングに対して回転可能とすることができる。減分構成と駆動構成との間で切り換わるために、被駆動部材は、ハウジングに対して軸方向に変位可能とすることができる。解放部材の軸方向運動、特に遠位方向への軸方向運動を被駆動部材へ伝達して、減分構成から駆動構成へ切り換えることができる。駆動構成で、被駆動部材を可動部材に回転不能にロックすることができる。減分構成で、好ましくは、可動部材と被駆動部材との間に回転ロックが存在しない。減分構成で、可動部材は、可動部材が減分または増分方向へ回転するとき、被駆動部材に対して回転可能とすることができる。被駆動部材は、ピストンロッドの遠位運動を駆動して薬物を投薬するために、ピストンロッドに連結することができる。
一実施形態では、ロック部材は、可動部材、被駆動部材、ハウジング、前述の部材とは異なる部材のうちの1つから選択される。これは、これらの部材のいずれかがアセンブリ内に必須に存在しなければならないことを示唆するものではない。
一実施形態では、阻止部材は、可動部材、被駆動部材、ハウジング、前述の部材とは異なる部材から選択される。これは、これらの部材のいずれかがアセンブリ内に必須に存在しなければならないことを示唆するものではない。
一実施形態では、阻止部材およびロック部材は異なる部材である。
ロック部材が被駆動部材および/または可動部材とは異なる部材によって形成された場合、ロック部材は、両方の回転方向、すなわち増分方向および減分方向に、ハウジングに対して恒久的に回転不能にロックすることができる。阻止部材が被駆動部材および/または可動部材とは異なる部材によって形成された場合、阻止部材は、両方の回転方向、すなわち増分方向および減分方向に、ハウジングに対して恒久的に回転不能にロックすることができる。したがって、それぞれの部材、すなわち阻止部材またはロック部材に対して、恒久的に静止している構成要素を使用することができる。別法として、減分構成で静止している構成要素を使用することができ、この構成要素は、減分方向への可動部材の回転が所望されるとき、駆動構成でロックシステムが必要とされないため、駆動構成で可動、たとえば回転可能とすることができる。
一実施形態では、解放部材は、第1の角度位置の方へ、または第1の角度位置から離れて第2の角度位置の方へ変位しないように、付勢される。したがって、第1の角度位置を解放部材の定位置とすることができる。解放部材を第2の角度位置へ動かすには、たとえば使用者が、付勢力に打ち勝たなければならない。解放部材が第2の角度位置にあるとき、付勢力は解放部材を第1の角度位置の方へ動かそうとする傾向がある。別法として、第2の角度位置で付勢力が存在しないこともある。
一実施形態では、解放部材は、ハウジングおよび/またはロック機能に対して第2の角度位置で解放可能に回転不能にロックされる。特に、第2の角度位置で解放可能な回転ロックを用いることで、第1の角度位置に向かう回転ならびに/または第1および第2の角度位置から離れる回転を防止することができる。特に、このようにして、解放部材がその正常な動作位置へ戻るために第1の角度位置の方へ再び回転されるまで、解放部材が第2の角度位置で安定化することを保証することができる。
一実施形態では、減分構成において、解放部材の第1の角度位置で、ロック機能は、阻止機能との係合解除もしくは当接解除状態または係合もしくは当接状態へ、径方向および/または軸方向に動かないように支持することができる。第2の角度位置で、この支持は除去され、したがって阻止機能とロック機能との間の相対運動、たとえば相対的な径方向および/または軸方向運動によって、解放可能ロックインターフェースを解放することができる。
一実施形態では、ロック機能および/または阻止機能は、径方向に向けられる。
一実施形態では、ロック機能および/または阻止機能は、軸方向に向けられる。
本開示では、機能または部材が軸方向に延びるまたは軸方向に向けられると記載するとき、その機能または部材は、軸方向自由端を有することができる。本開示では、機能または部材が径方向に延びるまたは径方向に向けられると記載するとき、その機能または部材は、径方向自由端を有することができる。
一実施形態では、ロック機能および阻止機能は、同じ方向、たとえば軸方向もしくは径方向に向けられ、または異なる方向に向けられ、たとえば一方は軸方向に、他方は径方向に向けられる。
一実施形態では、アセンブリは、支持機能を含む。支持機能は便宜的に、ロック機能に対して第1の位置と第2の位置との間で回転可能である。第1の位置で、支持機能は便宜的に、好ましくは径方向および/または軸方向に、ロック機能を支持する。したがって、支持機能がロック機能に対して第1の位置にあるとき、ロック機能の径方向または軸方向変位が防止される。このようにして、ロック機能は、阻止機能との係合または当接状態で維持することができ、解放可能ロックインターフェースは、解放されないように安定化または防止することができる。第2の位置で、ロック機能と阻止機能との間の相対運動、たとえば径方向および/または軸方向運動を可能にすることができる。第2の位置で、支持機能は、ロック機能を支持することができなくなり、したがってたとえば径方向および/または軸方向に、阻止機能との当接解除または係合解除へ、ロック機能を変位させることができ、それによってロック機能と阻止機能との間に確立された解放可能ロックインターフェースを解放することができる。アセンブリは便宜的に、解放部材が第1の角度位置にあるときは支持機能が第1の位置にあり、解放部材が第2の角度位置にあるときは支持機能が第2の位置にあるように構成される。ロック機能は、ロック機能が支持機能によって支持されているとき、径方向または軸方向に見て支持機能と阻止機能との間に配置することができる。
一実施形態では、支持機能が第1の位置にあるとき、支持機能は、径方向および/または軸方向に変位しないようにロック機能を安定化する。特に、支持機能は、変位しないようにロック機能を安定化する。そのような変位は、たとえばエネルギー貯蔵部材から阻止機能を介してロック機能へトルクまたは力が伝達されることによって生じるはずである。支持機能が第2の位置にあるとき、ロック機能は、特に支持されなくなったため、トルクまたは力によって、たとえば径方向および/または軸方向に、阻止機能に対して変位させることができる。したがって、エネルギー貯蔵部材から伝達されるトルクまたは力を使用して、解放可能ロックインターフェースを解放することができる。
一実施形態では、支持機能は、支持部材の一部であり、または支持部材に堅固に連結される。支持部材は、解放部材または別個の部材によって形成することができ、別個の部材は、好ましくは、特に回転可能に解放部材に動作可能に連結される。したがって支持部材は、解放部材が第1の角度位置から第2の角度位置へ回転されたとき、解放部材の回転運動に追従することができる。
一実施形態では、阻止機能は、径方向に延び、または径方向に向けられる。阻止機能は、ロック機能と阻止機能との間の相対的な径方向運動によって係合解除されるように設計することができる。阻止機能は、好ましくは、ロック機能と協働して、単方向の径方向ラチェットインターフェースを、特に解放可能ロックインターフェースとして形成するように設計される。単方向の径方向ラチェットインターフェースは、好ましくは、増分方向への阻止部材に対する可動部材の回転を可能にするが、減分方向への阻止部材に対する可動部材の回転は阻止する。
一実施形態では、ロック機能は、好ましくは径方向に、特にロック部材の残りに対して、可撓および/または反発的に変位可能である。ロック部材の残りは、可動部材とすることができる。
一実施形態では、解放部材は、複数の部材機能(member feature)、好ましくは径方向に延びるまたは径方向に向けられた部材機能を含む。これらの部材機能は、好ましくは、解放部材上に円周方向または角度方向に均一に配置または分散される。
一実施形態では、部材機能は、阻止機能に対して径方向に突出する。特に、部材機能の径方向延長は、阻止機能の径方向延長より大きい。部材機能は、好ましくは、ロック機能の径方向延長、阻止機能の径方向延長という値のうちの1つ以上の長さだけ、阻止機能に対して突出する。
一実施形態では、部材機能および阻止機能は、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、任意に選択されたいくつか、またはすべてが、互いに整合し、好ましくは等しくなるように、互いに調整される:
− 機能の数、
− 機能がそれぞれの部材上で分散される角度ピッチ、
− 第1の角度方向、たとえば増分方向に機能の範囲を定める側面の、特に径方向に対する傾斜、
− 第2の角度方向、たとえば減分方向に機能の範囲を定める側面の、特に径方向に対する傾斜、
− 対応する径方向位置における機能の角度幅。
一実施形態では、解放部材および阻止部材は、特に解放部材が第1の角度位置にあるとき、阻止機能および部材機能が軸方向に見て重なるように、互いに対して配置される。
一実施形態では、ロック機能の軸方向延長は、阻止機能の軸方向延長より大きく、かつ部材機能の軸方向延長より大きい。特に、ロック機能の軸方向延長は、互いに対して連続して軸方向に配置された阻止機能および部材機能とロック機能が同時に相互作用することができるように選択することができる。
一実施形態では、解放部材および阻止部材は、たとえば互いに積み重ねられて、好ましくは解放部材が第1の角度位置にあるときに各部材機能が阻止機能のうちの異なる阻止機能に重なるように、軸方向に連続して配置される。
一実施形態では、解放部材は、少なくとも1つの解放機能を含む。解放機能は便宜的に、アセンブリ内で阻止機能に対して径方向に突出する。解放部材が阻止部材、可動部材、ハウジング、および/またはロック機能に対して第1の角度位置から第2の角度位置の方へ回転されたとき、ロック機能は、好ましくは径方向に変位される。この径方向変位は便宜的に、ロック機能と解放機能との間の動作連結または相互作用によって実現される。ロック機能は、好ましくは、解放可能ロックインターフェースが解放されるまで径方向に変位され、解放可能ロックインターフェースが解放されることによって、減分方向への阻止部材に対する可動部材の回転が可能になる。解放機能は、部材機能のうちの1つによって実現することができる。解放機能が阻止機能に対して径方向に突出するため、阻止機能がロック機能と相互作用することができなくなったとき、解放機能をロック機能と協働した状態で維持することができる。したがって、第2の角度位置でも、ロック機能の画成された位置を維持することができる。
一実施形態では、解放部材は、特に解放機能に加えて、停止機能を含む。ロックインターフェースが解放されたとき、可動部材は、好ましくは、たとえば制限された形で、解放部材に対して減分方向に回転可能である。相対回転運動は、ロック機能が停止機能に当接したときに停止させることができる。したがって、アセンブリの減分動作を制御する使用者に解放部材が便宜的につながれているため、減分方向への可動部材の動きを駆動するエネルギーを使用者へ伝送することができる。したがって、減分動作を実現するのに成功したという使用者の確信が増大する。停止機能は、部材機能のうちの1つによって、好ましくは解放機能に隣接している部材機能によって実現することができる。
一実施形態では、停止機能および解放機能は、異なる部材機能によって形成される。特に、停止機能および解放機能は、隣接する部材機能によって形成することができる。したがって、部材機能に関して上記で開示した機能はまた、解放機能または停止機能に関して開示することができ、逆も同様である。
一実施形態では、解放部材が第1の角度位置にあるとき、ロック機能は、2つの阻止機能間に画成された第1のポケット内に配置され、好ましくは同時に2つの部材機能間に画成された第2のポケット内にも配置される。2つのポケットは、互いから軸方向にずらすことができる。解放部材が第2の角度位置の方へ、たとえば減分方向に回転されたとき、ロック機能は便宜的に、第1のポケットから径方向に変位されるが、第2のポケット内に留まる。解放部材の第2の角度位置では、ロック機能を第2のポケット内に配置することができる。
一実施形態では、ロック機能が第1のポケットを係合解除した後、可動部材は、解放部材に対して、たとえば制限された形で回転可能になり、好ましくは減分方向に第2のポケットの範囲を定める部材機能にロック機能が当接するまで回転可能になる。このようにして、エネルギー貯蔵部材によってかけられる駆動トルクまたは駆動力を使用者へ、特に可動部材、ロック機能、および解放部材を介して伝達することができる。使用者が駆動力またはトルクに反作用する限り、可動部材は減分方向に回転しないが、可動部材へ伝達される力は、この動きを駆動する傾向がある。力またはトルクに反作用しなくなった場合、たとえば使用者が解放部材を解放した場合、駆動トルクは、可動部材の減分回転を、たとえば1単位増分だけ駆動することができる。解放部材が第2の角度位置で維持されなくなると、解放部材はロック機能に対して再び第1の角度位置へ回転することができる。この回転は、弾性力または反発力によって、たとえばロック機能および阻止機能を係合解除するために前に実行されたロック機能の反発的変位によって駆動することができ、これはロック機能が解放部材と機械的に相互作用するときにロック機能を阻止機能に再係合させる傾向がある。
一実施形態では、解放部材が、特にハウジングに対して第2の角度位置から開始して、第1の角度位置の方へ回転されたとき、ロック機能を阻止機能の方へ変位させ、阻止機能と再係合させることができ、したがって解放可能ロックインターフェースが再確立されるため、減分方向への可動部材のさらなる回転が防止される。
一実施形態では、解放部材および/または阻止部材は、アセンブリの駆動構成に切り換わるように、ロック機能に対して軸方向に、たとえば遠位方向に変位可能である。アセンブリが駆動構成に切り換えられたとき、ロック機能を阻止機能および部材機能から係合解除することができる。アセンブリが駆動構成から再び減分構成へ切り換えられたとき、ロック機能は、以前とは異なる2つの部材機能間のポケット内に配置することができる。特に、減分構成で、ロック機能は、同じ2つの部材機能間に画成されたポケット内に一貫して配置することができるが、増分および減分中は、隣接する阻止機能間の異なるポケットへ変位させることができる。
一実施形態では、解放部材は、円周トラック、好ましくは閉じた円周トラック、たとえば環状トラックを含む。トラックは、解放部材全体の周りに角度方向に延びることができる。駆動構成で、ロック機能は便宜的に、トラック内に配置される。減分構成で、ロック機能は便宜的に、トラックの外側に配置される。トラックは、駆動構成への解放部材に対する可動部材の自由な回転を有効にすることができる。
一実施形態では、ロック部材は、好ましくは少なくとも減分構成で、たとえば減分および駆動構成で、または減分構成のみで、ハウジングに対して回転不能にロックされる。ロック部材は、たとえば、被駆動部材または静的構成要素によって形成することができる。
一実施形態では、阻止部材は、可動部材によって形成される。
一実施形態では、ロック部材は複数のロック機能を含み、これらのロック機能は、好ましくは軸方向に向けられている。
一実施形態では、解放部材の第1の角度位置で、1つのロック機能および阻止機能が係合または当接して、解放可能ロックインターフェースを確立する。第2の角度位置で、その特定のロック機能および可動部材が係合解除されて、解放可能ロックインターフェースを解放する。
一実施形態では、解放部材の第2の角度位置で、阻止機能は、異なるロック機能に係合または当接して、ロック部材のそのロック機能との解放可能ロックインターフェースを確立する。したがって、解放可能ロックインターフェースを順次解放することができ、その結果、少なくとも阻止機能が後続のロック機能に当接するまで、または阻止機能が後続のロック機能に当接するまでのみ、可動部材が減分方向へ回転することが可能になる。
一実施形態では、ロック機能は、ロック部材上に円周方向または角度方向に、好ましくは均一に、たとえばリング状に配置される。ロック機能は、軸方向に延びることができ、または軸方向に向けることができる。
一実施形態では、ロック機能は、ロック部材の上にコーム状構造に分散される。
一実施形態では、ロック機能は、単位増分を画成するように配置される。特に、ロック機能の角度方向の延長は、単位増分を画成することができる。
一実施形態では、それぞれのロック機能は、好ましくは軸方向および/または径方向に、たとえば弾性的に、偏向することができるように可撓性であり、または可撓に取り付けられる。しかし、それぞれのロック機能は、回転方向、角度方向、または接線方向の負荷または力に反作用することができる。特に、ロック機能は、エネルギー貯蔵部材からロック機能へ伝達される駆動力またはトルクに反作用することが可能である。
一実施形態では、それぞれのロック機能は、少なくとも1つの径方向および/もしくは軸方向面、好ましくは2つの面、ならびに/または少なくとも1つの角度方向面、好ましくは2つの面を有する。角度方向面は、力または負荷に露出されるように設計することができる。径方向または軸方向面は、画成された径方向もしくは軸方向位置、たとえば径方向もしくは軸方向に変位された位置、または変位されていない位置で、ロック機能を維持するように接触するように設計することができる。1つの径方向または軸方向面は、支持機能と相互作用して、ロック機能の軸方向または径方向の向きまたは位置、たとえば変位されていない位置を維持するように設計することができる。したがって、たとえば、1つの径方向面は、支持機能と相互作用して、径方向に変位されていない位置でロック機能を維持するように設計することができる。便宜的に前述した径方向または軸方向面から離れる方を向いている1つの径方向または軸方向面は、阻止機能と相互作用して、径方向または軸方向に変位されたロック機能を、径方向または軸方向に変位された位置で維持するように設計することができる。それぞれの角度方向面は、ロック機能を径方向または軸方向に変位させるように接触するように設計することができる。
一実施形態では、阻止機能は、特に1つのロック機能のみのロック機能の角度方向面に接触するように配置され、またはそのような角度方向面に接触している。阻止機能によって接触される角度方向面は、増分方向におけるロック機能の範囲を定めることができる。好ましくは、阻止機能は、第1のロック機能の角度方向面と同時に、第1のロック機能の次の少なくとも1つの第2のロック機能の径方向または軸方向面に接触する。第2のロック機能は、径方向または軸方向に変位され、阻止機能によって変位状態で維持されている。
一実施形態では、阻止機能およびロック機能のうちの少なくとも一方または両方は、特に径方向または軸方向に対して傾斜している側面を有する。傾斜側面は、阻止機能およびロック機能のうちの他方に当接し、または両方の機能が傾斜側面を有する場合、これらの傾斜側面が当接する。このようにして、力またはトルクが傾斜側面を介してロック機能へ伝達された場合、この結果、ロック機能を軸方向または径方向に、特に内方へ変位させる傾向が生じる。この変位を使用して、特定のロック機能と阻止機能との間に形成された解放可能ロックインターフェースを解放することができる。ロック機能の側面は、上記で論じた角度方向面とすることができる。
一実施形態では、阻止機能は、解放部材が増分方向へ、特に可動部材ともに回転されたとき、解放部材の機能に接触するように配置される。すなわち、阻止機能は、ロック機能と相互作用して、減分方向へ回転しないように可動部材の解放可能ロックを実現し、解放部材と相互作用して、可動部材を増分方向へ回転させるように設計することができる。
一実施形態では、支持機能は、1つまたはそれ以上のロック機能を径方向または軸方向に支持して、支持されたロック機能の軸方向または径方向の向きを保持するように配置される。支持機能は、1つまたはそれ以上のロック機能を径方向に支持して、支持されたロック機能の径方向位置を保持するように配置することができる。支持機能は、1つまたはそれ以上のロック機能を軸方向に支持して、支持されたロック機能の軸方向位置を保持するように配置することができる。角度方向面が阻止機能によって接触されているロック機能は便宜的に、支持機能によって支持される。
一実施形態では、アセンブリは支持部材を含む。支持部材は、好ましくは、支持機能を含む。支持部材は便宜的に、支持機能によって1つまたはそれ以上のロック機能を、特に径方向に選択的に支持するように、ロック部材に対して回転可能である。
一実施形態では、支持部材は、好ましくは両方の回転方向における解放部材の回転に追従するように、解放部材に連結される。好ましくは、連結は、回転クリアランスを有するように構成される。したがって、支持部材が解放部材の回転に追従するまで、解放部材は支持部材に対して回転することができる。このようにして、支持部材がたとえば減分方向に回転されるまで、阻止機能と解放部材との間の機械的相互作用が除去されることを実現することができる。別法または追加として、支持機能が増分方向に変位されるまで、阻止機能がロック機能に対してたとえば増分方向に変位されることを実現することができる。このようにして、ロック機能を径方向または軸方向に、たとえば径方向に内方または外方へ変位させることができ、阻止機能および/または支持機能がそれぞれの変位を阻止しないことを容易にすることができる。
一実施形態では、回転クリアランスは、1単位増分、2単位増分、3単位増分、4単位増分という値のうちの1つに対応するまたはそのような値によって画成される角度距離以上である。
一実施形態では、回転クリアランスは、単位増分の整数倍によって画成され、単位増分の整数倍に対応し、または単位増分の整数倍に関係する。回転クリアランスは、1単位増分、2単位増分、3単位増分、4単位増分という値のうちの1つによって画成することができ、そのような値に対応することができ、またはそのような値に関係することができる。別法として、回転クリアランスおよび単位増分は無関係とすることができる。
一実施形態では、支持機能は、阻止機能を介して支持されたロック機能へ伝達される負荷に耐えることができるように、ロック機能を選択的に支持するように配置される。ロック機能が支持されなくなった場合、阻止機能によってロック機能へ伝達される負荷の結果、そのロック機能の変位、特に軸方向または径方向、たとえば内方向への変位が生じ、可動部材が減分方向へ回転することが可能になる。したがって、支持機能が減分方向へ回転されたとき、阻止機能と、阻止機能とともに可動部材とが、たとえばエネルギー貯蔵部材から伝達される力またはトルクによって駆動されて、回転に追従することができ、また減分方向に回転することができる。エネルギー貯蔵部材の力を使用して、支持されていないロック機能および阻止機能を係合解除することができる。
一実施形態では、解放部材が減分方向に第1の角度位置から第2の角度位置の方へ回転されたとき、支持部材は同じ方向に回転し、それによってロック機能のうちの1つから支持が除去される。支持が除去されたとき、減分方向への可動部材の回転が可能になる。それによって、支持されなくなったロック機能を、特に軸方向または径方向に、たとえば内方へ変位させることができる。
一実施形態では、可動部材が減分方向に回転されたとき、阻止機能は便宜的に、後続のロック機能の角度方向面に接触する。その後続のロック機能が径方向または軸方向に変位しないように支持機能によって支持されている場合、可動部材の減分方向への回転が停止される。支持されていないときは、解放部材が回転しなくなり、支持機能によって径方向または軸方向に支持されているロック機能の角度方向面に阻止機能が当接するまで、減分方向への回転が継続する。
一実施形態では、支持機能と阻止機能との間の角度距離は、特に解放部材が第1の角度位置にあるとき、ロック機能の角度幅より小さい。これにより、ロック機能の径方向運動、特に阻止機能によって接触されるそのロック機能の径方向運動が、支持機能によって防止されることが確実になる。角度距離は、支持されなくなったロック機能が径方向に変位され、阻止機能も減分方向に回転するまで、減分動作中に増大させることができる。
一実施形態では、支持部材または支持機能は、可動部材に動作可能に連結される。この連結は、支持機能と可動部材との間の画成された相対位置、特に角度位置を確立または維持するように設計することができる。画成された相対位置は、可動部材の絶対角度位置にかかわらず、同じ相対位置とすることができる。このようにして、可動部材が増分方向へ回転された場合、支持機能がこの回転運動に追従し、阻止機能によって直前に通されたそのロック機能を支持することを実現することができる。この連結は、反発的連結または付勢連結とすることができ、たとえば可動部材と支持部材との間のばねによって確立することができ、この連結は、支持部材も同様に増分方向へ回転させる傾向がある力をかけるように構成することができる。このようにして、解放部材と支持部材との間に回転クリアランスが存在する場合でも、支持部材が増分方向への可動部材の回転運動に追従することを保証することができる。可動部材または数字スリーブを介して使用者に示される1増分だけ用量が増分され、その後使用者が可動部材を解放した場合、阻止機能が支持されたロック機能と相互作用するまで、可動部材が再び減分方向へ回転することをさらに回避することができる。この連結は、可動部材と支持部材との間に設けられる付勢された圧縮ばねなどのばねによって確立することができる。このようにして、支持部材は、便宜的に支持部材と解放部材との間の回転クリアランスが閉じられる前でも、可動部材の回転に追従することができる。
一実施形態では、支持部材は、可動部材に対して付勢される。この目的で、特に可動部材と支持部材との間に、付勢ばね、たとえば圧縮ばねを設けることができる。付勢は、支持部材を可動部材、阻止機能、または阻止部材に対して増分方向へ動かす傾向がある。使用者が解放部材を減分方向へ回転させるとき、使用者はこの付勢に打ち勝たなければならず、またはこの付勢は使用者によって増大される。
一実施形態では、支持機能は、少なくともが解放部材が第1の角度位置にあるときに第1の位置へ付勢され、好ましくは解放部材が第2の角度位置にあるときも第1の位置へ付勢される。これにより、正常動作位置中に想定される位置として、第1の角度位置を区別する。支持機能は、解放部材上に設けることができる。この場合、支持機能の第1の位置は、解放部材の第1の角度位置と一致することができ、第2の位置は、第2の角度位置と一致することができる。
一実施形態では、ロック部材、たとえばロック機能は、特に解放部材が第1の角度位置から第2の角度位置へ回転されているとき、解放部材と機械的に協働して、解放部材を第2の角度位置で解放可能にロックする。ロック部材は、好ましくは反発力を提供することができ、それにより解放部材が再び第1の角度位置へ回転するのを妨げる。しかし、たとえば使用者が、この力に打ち勝った場合、この回転を実現することができる。解放部材が第1の角度位置へ再び回転されたとき、ロック機能および阻止機能を再係合することができる。第2の角度位置から第1の角度位置へのロック機能に対する解放部材の回転運動を使用して、ロック機能を再び阻止機能に係合させる動きを駆動することができる。特に、支持機能を使用して、ロック機能を径方向または軸方向に変位させながら、第2の位置から第1の位置へ回転させることができる。
一実施形態では、ロック部材は、ロック機能に加えて、単方向インターフェースを確立するための単方向インターフェース機能を含む。したがって、ロック部材をクラッチ部材として使用することができる。クラッチ部材は、可動部材と、単方向インターフェースのための相手方、たとえばハウジングとして使用される部材との間にクラッチを提供することができる。クラッチ部材から可動部材へのインターフェースは、解放可能ロックインターフェースとすることができる。単方向インターフェースは、単方向インターフェース機能によって形成することができる。したがって、単方向インターフェースおよび解放可能ロックインターフェースは、異なるインターフェースである。これにより、2つの異なるインターフェースによって増分および減分機構を決定することができることが有効になる。増分動作は単方向インターフェースによって決定され、解放可能ロックインターフェースは減分動作を決定する。このようにして、増分および減分動作の独立した調節が容易になる。
一実施形態では、ロック機能は、特に解放可能ロックインターフェースを解放するために、単方向インターフェース機能に対して径方向または軸方向に変位可能である。
一実施形態では、アセンブリは停止機能を含む。停止機能は、ロック機能に対する減分方向への解放部材の回転を制限するように配置することができる。停止機能は、第2の角度位置を画成することができる。停止機能は、ロック部材上に設けることができる。
一実施形態では、ロック部材は、ロック機能とすることができる。たとえば、ロック部材はピンである。ピンは、まっすぐにすることができる。ピンは、阻止部材の内径によって画成される長さを有することができる。ピンは、阻止部材内に受け入れることができる。可動部材は、阻止部材として使用することができる。
一実施形態では、ロック部材またはロック機能は、解放可能ロックインターフェースを解放するために、阻止部材に対してロック位置からロック解除位置へ軸方向に、好ましくは軸方向のみに変位可能である。便宜的に、ロック機能は、解放部材に動作可能に連結することができ、したがって第1の角度位置から第2の角度位置への回転運動が、ロック位置からロック解除位置への軸方向運動に変換される。解放部材が第1の角度位置にあるとき、ロック機能は、好ましくはロック位置にあり、たとえば阻止機能に当接し、かつ/または減分方向への可動部材の回転を防止する。解放部材が第2の角度位置にあるとき、ロック機能は、好ましくはロック解除位置にあり、次いで解放可能ロックインターフェースが解放される。
一実施形態では、阻止部材は、ガイドトラックを含む。ガイドトラックは、ロック機能と相互作用するように設けることができる。ガイドトラックは、ロックセクションおよびロック解除セクションという少なくとも2つの異なるタイプのセクションを含むことができる。ロックセクションは、1つまたは複数の阻止機能によって、たとえば一方のみまたは両方の角度方向において画成または制限することができる。ロックセクションは、軸方向に延びることができ、または軸方向に向けることができる。ロック解除セクションは、螺旋状に延びることができる。ガイドトラックに沿って見たとき、ロックセクションおよびロック解除セクションは交互に配置することができる。したがって、ガイドトラックに沿って見たとき、第1のロックセクションに第1のロック解除セクションが続き、さらに第1のロック解除セクションにロックセクションが続き、後者のロックセクションは、第1のロックセクションであっても異なるロックセクションであってもよい。それぞれのセクションは、そのセクションの範囲を定めるプロファイル付き機能によって画成することができる。ガイドトラックは、1つまたはそれ以上のロックセクションおよび1つまたはそれ以上のロック解除セクションを含むことができる。ロック機能は、ロックおよびロック解除セクションと相互作用するように設けられる。
一実施形態では、アセンブリは、解放部材が第1の角度位置にあるとき、ロック機能はロック位置にあり、ガイドトラックのロックセクションと相互作用するように構成される。解放部材が第2の角度位置の方へ回転されたとき、ロック機能をロック解除位置の方および/またはロック解除位置内へ軸方向に変位させることができ、ロック解除位置で、ロック機能はロック解除セクションと協働することができる。
一実施形態では、ロック機能がガイドトラックのロックセクションと協働するとき、解放可能ロックインターフェースが確立される。したがって、阻止機能の減分方向への回転、それに応じてロック機能に対する阻止部材の回転を防止することができる。したがって、ロック位置で、解放可能ロックインターフェースを確立することができる。ロック機能がロック解除セクションと協働するとき、減分方向へのロック機能と阻止機能との間の相対回転が可能になる。したがって、ロック機能がロック解除セクションと協働するとき、かつ/またはロック機能がロック解除セクションと協働している間に、解放可能ロックインターフェースを解放することができる。好ましくは、ロック解除セクションの螺旋構成によって、相対回転を使用して、ロック機能を軸方向にロック解除位置から再びロック位置へ変位させることができる。
一実施形態では、ロック部材またはロック機能は、たとえば解放部材の回転をロック機能の軸方向変位に、特にロック位置からロック解除位置への軸方向変位に変換し、好ましくは逆も同様に変換するように、解放部材に動作可能に連結される。ロック部材またはロック機能は、少なくとも2つのインターフェース、たとえば螺旋インターフェースおよび軸方向インターフェースを介して、解放部材に動作可能に連結することができる。これらのインターフェースは、同時に確立または動作することができる。したがって、軸方向インターフェースがロック部材またはロック機能を回転不能に拘束し、ロック部材またはロック機能がまた螺旋インターフェースを介して解放部材に連結されるため、解放部材の回転をロック部材またはロック機能の軸方向変位に変換することができ、この軸方向変位を使用して、ロック部材またはロック機能を軸方向にロック位置からロック解除位置へ動かすことができ、かつ/または逆も同様に動かすことができる。
一実施形態では、アセンブリは、阻止部材が減分方向へ回転するとき、ロック機能はロック解除セクションと協働し、ロック位置の方へ軸方向に変位され、その後、ロック機能がガイドトラックのロックセクションまたは異なるロックセクションと相互作用して、解放可能ロックインターフェースを再確立するように構成される。
一実施形態では、アセンブリはクラッチ部材を含む。クラッチ部材は、ロック機能とのインターフェースを提供するように構成することができる。
一実施形態では、クラッチ部材は、特にロック機能がそれを介して解放部材に動作可能に連結されるインターフェースのうちの一方に対して、インターフェーススロットを含む。
一実施形態では、解放部材は、特にロック機能がそれを介して解放部材に動作可能に連結される他方のインターフェースに対して、インターフェーススロットを含む。
一実施形態では、ロック部材またはロック機能は、解放部材のインターフェーススロットおよびクラッチ部材のインターフェーススロットを通って延びる。具体的には、ロック部材またはロック機能は、クラッチ部材内の軸方向スロットおよび解放部材内の螺旋スロットに同時に係合することができる。クラッチ部材および/または解放部材は、2つの反対側に配置されたインターフェーススロットを含むことができ、ロック部材またはロック機能は、反対側に配置されたインターフェーススロットの両方を通って延びる。
一実施形態では、クラッチ部材は、たとえばハウジングまたは別の静的構成要素内に画成された対応する機能と協働して単位増分を画成する単方向インターフェースを確立するように設計された単方向インターフェース機能を含む。
一実施形態では、クラッチ部材は、単方向インターフェース、たとえば単方向ラチェットインターフェースを確立するように設計された単方向インターフェース機能、たとえばラチェット機能を含み、単方向インターフェースは、1つの方向のみ、たとえば増分方向へのハウジングに対する回転運動を可能にし、単方向回転インターフェースは、好ましくは、解放可能な回転ロックインターフェースに加えて存在する。
一実施形態では、ガイドトラックは、特に角度方向に閉じたトラックである。すなわち、ガイドトラックは、好ましくは、角度方向に360°にわたって延びる。特に、このトラックには角度方向開端が存在しない。
一実施形態では、ガイドトラックは、1つまたはそれ以上の軸方向開端を含む。それぞれの開端は、トラックのロックセクション内に設けることができる。これらの開端は、たとえばロック部材のために、ガイドトラックへのアクセスを提供することができる。1つまたはそれ以上の軸方向の端部は、同じ軸方向を向いても、異なる軸方向、好ましくは反対の軸方向を向いてもよい。
一実施形態では、ロックセクションのうちの少なくとも1つ、特にすべてのロックセクションが、軸方向、特に遠位方向に少なくとも1つの開端を有する。この端部は、ロック部材またはロック機能がその開端を通ってガイドトラックを離れることおよび/またはそのガイドトラックに再び入ることができることを可能にするように配置される。このようにして、たとえばアセンブリの減分構成から駆動構成へ切り換えるために、ロック部材またはロック機能をガイドトラックから係合解除することができる。ロック解除セクションは、両方の軸方向に閉じることができる。
薬物送達デバイスのためのアセンブリの特に有利な実施形態は:ハウジングと、ハウジングに対して2つの反対の回転方向、すなわち増分方向および減分方向に回転可能になるように配置された可動部材とを含み、可動部材は、好ましくはエネルギー貯蔵部材に動作可能に連結され、エネルギー貯蔵部材内に貯蔵済みまたは貯蔵可能なエネルギーによって、減分方向に回転するように付勢され、増分方向への可動部材の回転が、エネルギー貯蔵部材内に貯蔵されるエネルギーを増大させ、アセンブリは、ロックシステムをさらに含み、ロックシステムは、ロック機能、阻止機能、および解放部材を含み、ロック機能は、阻止機能と協働して、解放可能ロックインターフェースを形成するように配置され、解放可能ロックインターフェースは、解放可能ロックインターフェースが確立されたとき、減分方向へ、好ましくは減分方向のみへのハウジングに対する可動部材の回転運動が阻止されるように構成され、解放可能ロックインターフェースが解放されたとき、可動部材は減分方向に、たとえば少なくとも制限された形で、好ましくは制限された形のみで、または制限されない形で回転可能であり、解放部材は、ハウジングおよび/またはロック機能に対して、たとえば少なくとも制限された形で、好ましくは制限された形のみで、または制限されない形で、第1の角度位置と第2の角度位置との間を回転可能であり、第1の角度位置で、解放可能ロックインターフェースが確立され、第2の角度位置で、解放可能ロックインターフェースは、少なくとも一時的に、好ましくは一時的にのみ、または恒久的に解放され、アセンブリは、第1の角度位置から第2の角度位置への解放部材の回転が、解放可能ロックインターフェースの解放を引き起こすように構成される。
本明細書で使用する用語「薬剤」または「薬物」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
から選択される。
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
本開示のさらなる機能、便宜、および利点は、図面とともに例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
これらの図では、同一の要素、同一に作用する要素、および同じ種類の要素は、同じ参照番号を使用して参照する。
図1は、注射ペンの形態の薬物送達デバイスを示す。デバイスは、遠位端(図1の左端)および近位端(図1の右端)を有する。薬物送達デバイスの構成要素部材が図2に示されている。薬物送達デバイスは、本体またはハウジング10、カートリッジホルダ20、親ねじ(ピストンロッド)30、駆動スリーブ40、ナット50、用量インジケータ(数字スリーブ)60、ボタン70、ダイヤルグリップまたは用量セレクタ80、ねじりばね90、カートリッジ100、ゲージ要素110、クラッチ板120、クラッチばね130、および支承部140を含む。ニードルハブおよびニードルカバーを有するニードル配置(needle arrangement)(図示せず)を、交換することができる追加の構成要素として設けることができる。すべての構成要素が、機構の共通の主軸I(図3b)の周りに同心円状に位置している。
ハウジング10または本体は、略管状の筐体要素であり、直径が拡大された近位端を有する。ハウジング10は、液体医薬品カートリッジ100およびカートリッジホルダ20のための場所を提供する。図1および図2に示すように、ハウジングは、たとえばツインショット成形(twin−shot moulding)によってハウジング本体内に組み込まれている第1の窓11aおよび第2の窓(またはレンズ)11bを含む。窓11a、11bは、第1のショット中に半透明(好ましくは透明)の材料で成形することができ、ハウジングの外側カバーは、第2のショット中に不透明の材料で成形される。
図1〜図3bの実施形態では、ハウジングは、ハウジングの遠位端付近に内壁として位置する一体部材として、インサート12を含む。インサート12は、半透明の材料で成形することができる。代替として、インサートまたはその部材は、不透明の材料で形成することができ、または図4の実施形態に示すように、別個の構成要素部材として形成することができる。
インサート12は、カップ形の構成要素部材であり、インサート12を通って延びる側壁13および管14を有し、したがって側壁13と管14との間に環状空間を形成する。側壁13から径方向外方へ、アーム15が延びる。底壁16が、インサート12の遠位側で側壁13および管14を連結し、反対の近位側は開いている。インサート12は、様々なインターフェースを有する。たとえば、インサート12の管14は、ピストンロッド30に係合する内側ねじ山17を含む。加えて、管14と外側壁13との間の径方向空間は、駆動ばね90およびクラッチばね130を受け取る支承区域を提供することができる。さらに、インサート12上にスプライン歯18が設けられ、スプライン歯18は、駆動スリーブ40の遠位端で対応するスプライン歯41に係合する。歯18は、駆動スリーブ40と相互作用して、駆動スリーブおよびハウジング10を回転可能に連結およびデカップリングする。
図4の実施形態では、インサートは、内側ハウジングシェルの一体部材であり、内側シェルは、外側ハウジングシェルによって部分的に取り囲まれる。これらのシェルは、2回の連続する射出成形ショットによって形成することができ、したがってこれらのシェルは、互いに恒久的に取り付けられる。たとえば、内側シェルは、透明または半透明の材料から形成され、外側シェルは、不透明の材料から形成される。
図5aおよび図5bの実施形態では、インサート12は、部分的にはハウジング10との1つの単一の構成要素部材として、部分的には別個の構成要素部材19として形成される。圧縮ばねのための環状空間を有するカップ形の本体13およびねじ付きの管14は、ハウジング10と一体形成され、アーム15を介してハウジング10に連結されており、駆動スリーブ40を回転不能に拘束するためのクラッチ機能18は、ハウジング10に軸方向および回転不能に拘束された別個のリング形の構成要素部材19である。したがって、図5aおよび図5bの実施形態によれば、リング形のインサート部材19は、ねじ山17を一体部材として有していない。図5bにより詳細に示すように、リング形のインサート部材19は、駆動スリーブ40を回転不能に拘束するように、軸方向に向けられたスプライン19aを内面に含む。リング形のインサート部材19は、ハウジング10内で回転方向に保持するためのアームまたはスプライン19bをその外面にさらに含む。さらに、リング形のインサート部材19をハウジング10内で軸方向に保持するためのスナップクリップを形成するように、いくつかのフック状のアーム19cが設けられる。リング形のインサート部材19は、駆動ばね90のフック端91を受け取って固定するための孔またはポケット19dを含む。加えて、インサート部材12、19を軸方向に、および回転可能に付勢して自由な遊びを除去する機能が、リング形のインサート部材19上に存在する。
カートリッジホルダ20は、ハウジング10の遠位側に位置し、ハウジング10に恒久的に取り付けられる。カートリッジホルダは、カートリッジ100を受け取るように管状になっている透明または半透明の構成要素とすることができる。カートリッジホルダ20の遠位端には、ニードル配置を取り付けるための手段を設けることができる。カートリッジホルダ20の上にはまるように、取外し可能なキャップ(図示せず)を設けることができ、ハウジング10上のクリップ機能を介して保持することができる。
ピストンロッド30は、スプラインインターフェースを介して、駆動スリーブ40に回転不能に拘束される。回転されたとき、ピストンロッド30は、ハウジング10のインサート12とのねじインターフェースによって、駆動スリーブ40に対して軸方向に動かされる。親ねじ30は細長い部材であり、ハウジング10のインサート12の対応するねじ山に係合する外側ねじ山を有する。インターフェースは、少なくとも1つの長手方向溝またはトラックと、ドライバ40の対応する突起またはスプラインとを含む。親ねじ30の遠位端には、支承部140のクリップ取付けのためのインターフェースが設けられる。
駆動スリーブ40は、親ねじ30を取り囲む中空部材であり、数字スリーブ60内に配置される。駆動スリーブ40は、クラッチ板120とのインターフェースから延びて、クラッチばね130に接触する。駆動スリーブ40は軸方向に可動であり、クラッチばね130の付勢に逆らって、ハウジング10、ピストンロッド30、および数字スリーブ60に対して遠位方向に、クラッチばね130の付勢を受けて反対の近位方向に可動である。
インサート12とのスプライン歯インターフェース18は、用量設定中の駆動スリーブ40の回転を防止する。このインターフェースは、駆動スリーブ40の遠位端で径方向に延びる外側の歯41のリングと、ハウジング構成要素10(インサート12)の対応する径方向に延びる内側の歯18とを含む。ボタン70が押下されたとき(図3b)、これらの駆動スリーブからハウジングインサートへのスプライン歯が係合解除され、駆動スリーブ40がインサートに対して、したがってハウジング10に対して回転することが可能になる。クラッチばね130は、その歯41によってインサートの歯18に係合する位置へ、駆動スリーブ40を付勢する(図3a)。数字スリーブ60とのさらなるスプライン歯インターフェースは、ダイヤル設定中は係合されないが、ボタン70が押下されると係合し、投薬中の駆動スリーブ40と数字スリーブ60との間の相対回転を防止する。好ましい実施形態では、このインターフェースは、数字スリーブ60の内面に位置するフランジ上の内向きのスプラインと、駆動スリーブ40の径方向に延びる外側スプラインのリングとを含む。これらの対応するスプラインは、それぞれ数字スリーブ60および駆動スリーブ40上に位置し、したがって(軸方向に固定された)数字スリーブ60に対する駆動スリーブ40の軸方向運動により、スプラインを係合または係合解除して、駆動スリーブ40および数字スリーブ60を回転可能に連結またはデカップリングする。
駆動スリーブ40のさらなるインターフェースは、駆動スリーブ40の近位端面に位置するラチェット歯のリングと、クラッチ板120に位置する対応するラチェット歯のリングとを含む。
ドライバ40は、ナット50のための螺旋トラックを提供するねじ付きセクションを有する。加えて、最終用量当接部(last dose abutment)または止め具が設けられ、最終用量当接部は、ナット50の対応する最終用量止め具と相互作用し、したがってドライバのねじ山上でのナット50の動きを制限するためのねじ山トラックの端部、または好ましくは回転ハードストップ(rotational hard stop)とすることができる。ドライバ40の少なくとも1つの長手方向スプラインが、親ねじ30の対応するトラックに係合する。
最終用量ナット50は、数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間に位置する。最終用量ナット50は、スプラインインターフェースを介して、数字スリーブ60に回転不能に拘束される。最終用量ナット50は、ダイヤル設定中にのみ発生する数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の相対回転が生じたとき、ねじインターフェースを介して、螺旋経路に沿って駆動スリーブ40に対して動く。代替として、ナット50は、ドライバ40にスプライン連結し、数字スリーブ60にねじ留めすることができる。ナット50上に最終用量止め具が設けられており、カートリッジ100内の薬剤または薬物の残りの投薬可能な量に対応する用量が設定されたとき、駆動スリーブ40の止め具に係合する。
用量インジケータまたは数字スリーブ60は、管状要素である。数字スリーブ60は、用量設定(用量セレクタ80による)および用量補正中ならびに用量投薬中、ねじりばね90によって回転される。数字スリーブ60は、ゲージ要素110とともに、ゼロ位置(「静止」)および最大用量位置を画成する。したがって、数字スリーブ60は、用量設定部材として見なすことができる。
製造上の理由で、これらの図に示す実施形態の数字スリーブ60は、数字スリーブ下部60aを含み、数字スリーブ下部60aは、組立て中に数字スリーブ上部60bに剛性的に固定されて、数字スリーブ60を形成する。数字スリーブ下部60aおよび数字スリーブ上部60bは、数字スリーブ60の成形工具およびアセンブリを簡略化することのみを目的として、別個の構成要素である。代替として、数字スリーブ60は、単体の構成要素とすることができる。数字スリーブ60は、回転を可能にするが並進運動は可能にしないように、スナップ係合によってハウジング10に拘束される。数字スリーブ60は、ハウジング10の内面に位置する対応するビードに係合する環状凹部または溝を、その遠位端付近に含む。数字スリーブ下部60aには、一連の数字で印が付けられており、これらの数字は、ダイヤル設定された薬剤用量を示すために、ハウジング10内のゲージ要素110および開口部11a、11bを通して見える。
さらに、数字スリーブ下部60aは、ゲージ要素110に係合する外側ねじ山を備えた部分を有する。ねじ山の両端には、ゲージ要素110に対する相対運動を制限するための端部止め具が設けられる。
数字スリーブ上部60b上には、スプラインのリングの形態を有するクラッチ機能が、用量設定および用量補正中にボタン70のスプラインに係合するように内向きに設けられる。数字スリーブ60の外面上には、駆動スリーブ40およびゲージ部材110と相互作用してフィードバック信号を生成するクリッカアームが設けられる。加えて、数字スリーブ下部60aは、少なくとも1つの長手方向スプラインを含むスプラインインターフェースを介して、ナット50およびクラッチ板120に回転不能に拘束される。さらに、数字スリーブ下部60aは、ねじりばね90の取付けのためのインターフェースを含む。
デバイスの近位端を形成するボタン70は、用量セレクタ80に恒久的にスプライン連結される。ボタン70の近位作動面から遠位に中心軸が延びる。この軸には、数字スリーブ上部60bのスプラインと係合するためのスプラインを保持するフランジが設けられる。したがって、この軸もまた、ボタン70が押下されていないときはスプラインを介して数字スリーブ上部60bにスプライン連結されるが、このスプラインインターフェースは、ボタン70が押下されると切断される。ボタン70は、スプラインを備えた不連続な環状のスカートを有する。ボタン70が押下されたとき、ボタン70上のスプラインはハウジング10上のスプラインに係合し、投薬中のボタン70(したがって、用量セレクタ80)の回転を防止する。これらのスプラインは、ボタン70が解放されると係合解除し、用量をダイヤル設定することを可能にする。さらに、ボタンフランジの内側には、クラッチ板120との相互作用のためにラチェット歯のリングが設けられる。
用量セレクタ80は、ハウジング10に軸方向に拘束される。用量セレクタ80は、スプラインインターフェースを介して、ボタン70に回転不能に拘束される。ボタン70の環状スカートによって形成されるスプライン機能と相互作用する溝を含むこのスプラインインターフェースは、用量ボタン70の軸方向位置にかかわらず係合されたままである。用量セレクタ80または用量ダイヤルグリップは、鋸歯状の外側スカートを有するスリーブ状の構成要素である。
ねじりばね90は、その遠位端でフック91によってインサート12に、したがってハウジング10に取り付けられ、他端で数字スリーブ60に取り付けられる。ねじりばね90は、数字スリーブ60の内側に位置し、駆動スリーブ40の遠位部分を取り囲む。ねじりばね90は、組み立てたときに事前に巻かれており、したがって機構がゼロ単位にダイヤル設定されているときは数字スリーブ60にトルクを加える。用量を設定するために用量セレクタ80を回転させる動作により、数字スリーブ60がハウジング10に対して回転し、ねじりばね90がさらに付勢される。
カートリッジ100は、カートリッジホルダ20内に受け取られる。カートリッジ100は、ガラスアンプルとすることができ、可動のゴム栓をその近位端に有する。カートリッジ100の遠位端には、圧着された環状金属バンドによって定位置に保持された穿孔可能なゴム封止が設けられる。これらの図に示す実施形態では、カートリッジ100は、標準的な1.5mlのカートリッジである。デバイスは、使用者または医療従事者によってカートリッジ100を交換することができないことから、使い捨てになるように設計される。しかし、カートリッジホルダ20を取外し可能にし、親ねじ30の巻戻しおよびナット50のリセットを可能にすることによって、デバイスの再利用可能な変形形態を提供することもできる。
ゲージ要素110は、スプラインインターフェースを介して、回転を防止するがハウジング10に対する並進運動を可能にするように拘束される。ゲージ要素110は、数字スリーブ60内の螺旋状のねじ切りに係合する螺旋状の機能をその内面に有し、したがって数字スリーブ60の回転が、ゲージ要素110の軸方向並進運動を引き起こす。ゲージ要素110上のこの螺旋状の機能はまた、設定することができる最小および最大用量を制限するために、数字スリーブ60内の螺旋状のねじ切りの端部に対する停止当接部を形成する。
ゲージ要素110は略板または帯状の構成要素を有し、中心アパーチャまたは窓と、アパーチャの両側に延びる2つのフランジとを有する。フランジは、好ましくは透明ではなく、したがって数字スリーブ60を遮蔽または被覆し、アパーチャまたは窓は、数字スリーブ下部60aの一部分を見ることを可能にする。さらに、ゲージ要素110は、用量投薬の終わりに数字スリーブ60のクリッカアームと相互作用するカムおよび凹部を有する。
クラッチ板120は、リング状の構成要素である。クラッチ板120は、スプラインを介して、数字スリーブ60にスプライン連結される。クラッチ板120はまた、ラチェットインターフェースを介して、駆動スリーブ40に連結される。ラチェットは、各用量単位に対応する数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の戻り止め位置を提供し、時計回りおよび反時計回りの相対回転中に様々な歯の傾斜角に係合する。クラッチ板120上には、ボタン70のラチェット機能との相互作用のためのクリッカアームが設けられる。
クラッチばね130は圧縮ばねである。駆動スリーブ40、クラッチ板120、およびボタン70の軸方向位置は、駆動スリーブ40に近位方向の力を加えるクラッチばね130の動作によって画成される。このばね力は、駆動スリーブ40、クラッチ板120、およびボタン70を介して反作用され、「静止」しているときは、用量セレクタ80によってハウジング10へさらに反作用される。ばね力により、駆動スリーブ40とクラッチ板120との間のラチェットインターフェースが常に係合されることが確実になる。「静止」位置では、ボタンスプラインが数字スリーブスプラインに係合され、駆動スリーブ歯がハウジング10の歯に係合されることも確実になる。
支承部140は、ピストンロッド30に軸方向に拘束され、液体薬剤カートリッジ内の栓に作用する。支承部140は、親ねじ30に軸方向にクリップ留めされるが、自由に回転することができる。
図1および図3aに示すように、デバイスが「静止」状態にあるとき、数字スリーブ60はそのゼロ用量当接部に対して位置し、ゲージ要素110およびボタン70は押し下げられていない。それぞれハウジング10の窓11bおよびゲージ要素110を通して、数字スリーブ60上の用量マーキング「0」が見える。
デバイスの組立て中に複数回事前に巻かれているねじりばね90は、数字スリーブ60にトルクを加え、ゼロ用量当接部によって回転が防止される。
使用者は、用量セレクタ80を時計回りに回転させることによって、液体薬剤の可変用量を選択する。用量セレクタ80が時計回りに回転すると、数字スリーブ60にも同一の回転が生じる。数字スリーブ60の回転は、ねじりばね90の付勢を引き起こし、ねじりばね90内に貯蔵されるエネルギーを増大させる。数字スリーブ60が回転すると、ゲージ要素110は、そのねじ係合のために軸方向に並進運動し、それによってダイヤル設定された用量の値を示す。ゲージ要素110は、設定された用量の数字のみが使用者に見えることを確実にするために、ダイヤル設定された用量に隣接して数字スリーブ60上に印刷された数字を覆うフランジを窓区域の両側に有する。
本実施形態の特有の機能は、このタイプのデバイスで典型的な個別用量数字ディスプレイに加えて、視覚フィードバック機能を含むことである。ゲージ要素110の遠位端は、ハウジング10内の小さい窓11aを通して摺動スケールを形成する。代替として、摺動スケールは、異なる螺旋トラック上の数字スリーブ60に係合する別個の構成要素を使用して形成することもできる。
使用者によって用量が設定されると、ゲージ要素110は軸方向に並進運動し、動かされる距離は、設定された用量の大きさに比例する。この機能により、設定された用量の近似サイズに関する明白なフィードバックが使用者に与えられる。自動注射機構の投薬速度は、手動注射デバイスより速くすることができ、したがって投薬中に数値用量ディスプレイを読み取ることはできない。ゲージ機能は、投薬中、投薬の進捗に関するフィードバックを使用者に提供し、用量数字自体を読み取る必要はない。たとえば、ゲージディスプレイは、ゲージ要素110上の不透明の要素が、下にある対照的な色付きの構成要素を見せることによって形成することができる。別法として、見える要素に荒い用量数字または他の指標を印刷して、より精密な分解能を提供することもできる。加えて、ゲージディスプレイは、用量設定および投薬中のシリンジ動作をシミュレートする。
用量が設定され、数字スリーブ60が回転すると、駆動スリーブ40は、そのスプライン歯がハウジング10の歯に係合されるため、回転が防止される。したがって、ラチェットインターフェースを介して、クラッチ板120と駆動スリーブ40との間に相対回転が生じるはずである。
用量セレクタ80を回転させるために必要とされる使用者トルクは、ねじりばね90を巻き上げるために必要とされるトルクと、ラチェットインターフェースを緩めるために必要とされるトルクとの和である。クラッチばね130は、軸方向の力をラチェットインターフェースに提供し、クラッチ板120を駆動スリーブ40上へ付勢するように設計される。この軸方向の負荷は、クラッチ板120および駆動スリーブ40のラチェット歯係合を維持するように作用する。ラチェットを用量設定方向に緩めるために必要とされるトルクは、クラッチばね130によって加えられる軸方向の負荷、ラチェット歯の時計回りの傾斜角、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェットインターフェースの平均半径に応じる。
使用者が機構を1増分だけ増分させるのに十分に用量セレクタ80を回転させると、数字スリーブ60は駆動スリーブ40に対して1つのラチェット歯の分だけ回転する。この時点で、ラチェット歯は次の戻り止め位置へ再係合する。ラチェットの再係合によって可聴クリックが生成され、必要とされるトルク入力の変化によって触覚フィードバックが与えられる。
数字スリーブ60および駆動スリーブ40の相対回転が可能になる。またこの相対回転により、最終用量ナット50がそのねじ経路に沿って、駆動スリーブ40上のその最終用量当接部の方へ移動する。
使用者トルクが用量セレクタ80に加えられていない状態で、このとき数字スリーブ60は、クラッチ板120と駆動スリーブ40との間のラチェットインターフェースのみによって、ねじりばね90によって加えられるトルクを受けて逆回転することが防止される。ラチェットを反時計回り方向に緩めるために必要なトルクは、クラッチばね130によって加えられる軸方向の負荷、ラチェットの反時計回りの傾斜角、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェット機能の平均半径に応じる。ラチェットを緩めるために必要なトルクは、ねじりばね90によって数字スリーブ60(したがって、クラッチ板120)に加えられるトルクより大きいはずである。したがって、これが当てはまることを確実にしながら、ダイヤルアップトルクが可能な限り低くなることを確実にするために、ラチェット傾斜角は反時計回り方向に増大される。
このとき使用者は、用量セレクタ80を時計回り方向に引き続き回転させることによって、選択された用量を増大させることを選ぶことができる。数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間のラチェットインターフェースを緩めるプロセスは、用量増分ごとに繰り返される。用量増分ごとにねじりばね90内に追加のエネルギーが貯蔵され、ラチェット歯の再係合によってダイヤル設定される増分ごとに、可聴および触覚フィードバックが提供される。用量セレクタ80を回転させるために必要とされるトルクは、ねじりばね90を巻き上げるために必要とされるトルクが増大するにつれて増大する。したがって、ラチェットを反時計回り方向に緩めるために必要とされるトルクは、最大用量に到達したときにねじりばね90によって数字スリーブ60に加えられるトルクより大きいはずである。
最大用量限界に到達するまで使用者が選択用量を引き続き増大させた場合、数字スリーブ60はその最大用量当接部でゲージ要素110の最大用量当接部上に係合する。これにより、数字スリーブ60、クラッチ板120、および用量セレクタ80のさらなる回転が防止される。
用量の選択中、どれだけの増分が機構によってすでに送達されたかに応じて、最終用量ナット50はその最終用量当接部を駆動スリーブ40の止め面に接触させることができる。この当接により、数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間のさらなる相対回転が防止され、したがって選択することができる用量が制限される。最終用量ナット50の位置は、使用者が用量を設定するたびに生じた数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の相対回転の総数によって判定される。
機構が、用量が選択された状態にあるとき、使用者は、この用量から任意の数の増分を選択解除または減分することが可能である。用量の選択解除は、使用者が用量セレクタ80を反時計回りに回転させることによって実現される。使用者によって用量セレクタ80に加えられるトルクは、ねじりばね90によって加えられるトルクと組み合わせたとき、クラッチ板120と駆動スリーブ40との間のラチェットインターフェースを反時計回り方向に緩めるのに十分である。ラチェットが緩められたとき、数字スリーブ60内に(クラッチ板120を介して)反時計回りの回転が生じ、それにより数字スリーブ60をゼロ用量位置の方へ戻し、ねじりばね90を緩める。数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の相対回転により、最終用量ナット50はその螺旋経路に沿って、最終用量当接部から離れる方へ戻る。
機構が、用量が選択された状態にあるとき、使用者は、機構を起動して用量の送達を始めることが可能である。用量の送達は、使用者が遠位方向へボタン70を軸方向に押し下げることによって開始される(図3b)。
ボタン70が押し下げられたとき、ボタン70と数字スリーブ60との間のスプラインが係合解除され、ボタン70および用量セレクタ80を送達機構、すなわち数字スリーブ60、ゲージ要素110、およびねじりばね90から回転可能に切断する。ボタン70上のスプラインがハウジング10上のスプラインに係合し、投薬中のボタン70(したがって、用量セレクタ80)の回転を防止する。ボタン70は投薬中に静止しているため、ボタン70を投薬クリッカ機構内で使用することができる。ハウジング10内の停止機能は、ボタン70の軸方向移動を制限し、使用者によって加えられる軸方向のあらゆる乱用負荷に反作用し、内部構成要素を損傷するリスクを低減させる。
クラッチ板120および駆動スリーブ40は、ボタン70とともに軸方向に移動する。これにより、駆動スリーブ40と数字スリーブ60との間のスプライン歯インターフェースが係合し、投薬中の駆動スリーブ40と数字スリーブ60との間の相対回転が防止される。駆動スリーブ40とハウジングインサート12との間のスプライン歯インターフェース18、41は係合解除し、したがってこのとき駆動スリーブ40は回転することができ、数字スリーブ60およびクラッチ板120を介してねじりばね90によって駆動される。
駆動スリーブ40が回転すると、ピストンロッド30はそれらのスプライン係合によって回転し、次いでピストンロッド30がハウジング10へのそのねじ係合によって前進する。また数字スリーブ60の回転によって、ゲージ要素110が軸方向に再びそのゼロ位置へ横断し、それによってゼロ用量当接部が機構を止める。
用量投薬中の触覚フィードバックは、クラッチ板120内へ一体化された柔軟な片持ち梁クリッカアームを介して提供される。このアームは、ボタン70の内面上のラチェット機能と径方向にインターフェース連結され、それによってラチェット歯の間隔は、単一の増分投薬に必要とされる数字スリーブ60の回転に対応する。投薬中は、数字スリーブ60が回転し、ボタン70がハウジング10に回転可能に連結されるため、用量増分が送達されるたびに、ラチェット機能がクリッカアームに係合し、可聴クリックを生じさせる。
用量の送達は、使用者がボタン70を引き続き押し下げている間、上述した機械的相互作用を介して継続する。使用者がボタン70を解放した場合、クラッチばね130は駆動スリーブ40をその「静止」位置へ(クラッチ板120およびボタン70とともに)戻し、駆動スリーブ40とハウジング10との間のスプラインを係合させ、さらなる回転を防止し、用量送達を止める。
用量の送達中、駆動スリーブ40および数字スリーブ60はともに回転し、したがって最終用量ナット50内の相対運動が生じる。したがって最終用量ナット50は、ダイヤル設定中にのみ、駆動スリーブ40に対して軸方向に移動する。
用量の送達が止められた後、数字スリーブ60がゼロ用量当接部へ戻ることによって、使用者はボタン70を解放ことができ、それにより駆動スリーブ40とハウジング10との間のスプライン歯が再係合する。このとき機構は「静止」条件へ戻される。
用量投薬の終わりに、数字スリーブ60上のクリッカアームと、駆動スリーブ40上の傾斜ならびにゲージ要素110上のカムおよび凹部との相互作用を介して、デバイスがそのゼロ位置へ戻ったことを使用者に通知するために、投薬中に提供される「クリック」とは異なる「クリック」の形態の追加の可聴フィードバックが提供される。本実施形態では、デバイスが再びゼロ位置へまたはゼロ位置から離れる方へダイヤル設定された場合に生み出されるのではなく、用量送達の終わりにのみフィードバックを生み出すことが可能である。
上記で論じた薬物送達デバイスは、機構を増分することによって以前に設定された任意の数の用量投与増分を選択解除または減分するように構成される。上記で開示した機構は、ラチェットを緩めることを利用して、設定用量を減少させる。このラチェットは、ばねによってかけられる連続して増大するトルクに耐えることが可能でなければならない。このトルクは、設定用量のサイズ、すなわち用量が含む単位増分の数とともに増大する。したがって、ラチェットを緩めることは、相当な力を必要とすることがあり、かつ/または相当なノイズを生成することがある。
以下、増分および減分回転を可能にするラチェットまたはラチェット型の機構に対して、いくつかの実施形態が開示され、これらの機構は、ばねによってかけられる駆動トルクに耐えることが可能であり、容易に増分可能であり、すなわちそれほど労力を要しない。減分動作に伴うノイズを低減させることができる。好ましくは、機構を増分および減分するために必要とされる力を個々に調節することができる。これらの機構を使用して、上記で論じたラチェット機構に取って代わることができる。しかし、当業者にはすぐに明らかになるように、これらの機構は、上述した薬物送達デバイスに該当するだけでなく、他の薬物送達デバイス、またはさらには薬物を送達するように設計されていないシステムでも使用することができる。
導入部で行ったように機能を概略的に示す代わりに、以下では、上記で論じたデバイスのより具体的な名称を使用することによってこれらの機能を示す。しかし、例示的な実施形態の機能は上記で開示したより概略的な概念にも当てはまり、逆も同様であることに留意されたい。以下、実施形態の構成要素のいくつかに関して、それらの構成要素がより概略的な用語のうちのどれに対応するかを指定する。可動部材は、用量インジケータもしくは数字スリーブ60、または用量インジケータもしくは数字スリーブ60に回転不能に、好ましくは軸方向に剛性的に連結された要素に対応する。解放部材は、ボタン70および/もしくは用量セレクタ80、またはボタン70および/もしくは用量セレクタ80に回転不能に、好ましくは軸方向に剛性的に連結された要素に対応する。被駆動部材は、駆動スリーブ40に対応する。エネルギー貯蔵部材は、駆動ばね90に対応する。以下で論じる機構の減分構成は、薬物の用量を設定または選択(増分)および補正または選択解除(減分)することが可能なときである。駆動構成は、駆動ばね内に貯蔵されているエネルギーを解放して設定用量を投薬するために、数字スリーブが自由に回転することが可能な構成である。特に、駆動構成で、数字スリーブおよび駆動スリーブは、数字スリーブの回転が駆動スリーブへ伝達されるように連結される。しかし、上記の列挙は、導入部で論じたすべての要素に対する対応要素を説明していると理解されるべきではない。したがって、例示的な実施形態におけるより具体的な機能への参照もまた、導入部のより概略的な機能を参照し、逆も同様であると理解されたい。
さらに、構成要素を減分構成でハウジングに対して回転不能にロックしなければならない場合、回転ロックを実現するために、ハウジングに恒久的に、または一時的にのみ、たとえば駆動構成ではなく減分構成で、回転不能にロックされた構成要素を、その構成要素に対する相手方として使用することができる。後者の場合、たとえば駆動スリーブ40が適格である。しかしこの目的で、恒久的に静的な構成要素、ならびに駆動構成で回転可能な別の構成要素も、同様に使用することができる。
本開示で、「軸方向」、「角度方向」、「円周方向」、または「径方向」という方向を参照するとき、これらの方向が指定される軸は、それぞれの構成要素または部材の軸、ハウジングの軸、特にハウジングの主長手方向軸、構成要素もしくは部材が回転する回転軸、および/または薬物送達デバイスの軸、特にデバイスの主長手方向軸とすることができる。軸は、デバイスの近位端および/または遠位端を通って延びるように向けることができる。特に、近位または遠位方向は、この軸に平行とすることができ、かつ/またはこの軸に沿って位置することができる。
ハウジングは便宜的に静的であり、したがって構成要素が回転する場合、その構成要素は常にハウジングに対して回転する。部材は、共通の回転軸の周りを回転するように配置することができる。回転軸は、それぞれの部材を通って延びることができる。
増分および減分機構またはアセンブリの例示的な実施形態について、図6〜図9を参照して以下に説明する。
図6は、本実施形態による機構を実施する薬物送達デバイスの部材を斜視図に示す。デバイスは本質的に、図1〜図5に関連して説明したデバイスに対応し、以下に説明するようにわずかに修正されている。図6で、用量インジケータ60または数字スリーブは単一の部材として示されている。しかしすでに説明したように、数字スリーブは、単体とする代わりに複数の部材から形成することもできる。さらに、数字スリーブ上の指標は明示的に示されていない。ナット50は図6に示されていないが、このデバイスにも同様に存在することができる。図1〜図5に関連して説明した実施形態でクラッチ板120を利用して実現された減分機能は、本実施形態では異なる形で実現される。この目的で、構成要素のいくつかが修正されている。さらに、本実施形態ではクラッチ板120は存在しない。図7は、増分および減分機構の実施形態に対して修正されている図6のデバイスの構成要素を様々な図に示す。ラチェット型の機構に関与する修正された構成要素は、駆動スリーブ40、数字スリーブ60、およびボタン70である。
駆動スリーブ40には、1つまたは複数の阻止機能またはラチェット機能42、たとえば歯が設けられる。ラチェット機能42は、径方向に、特に径方向外方へ向けられている。ラチェット機能42は、円周または角度方向に均一に分散される。好ましくは、すべてのラチェット機能が同様に設計される。ラチェット機能42は剛性であり、駆動スリーブ40に剛性的に連結され、または駆動スリーブ40と一体形成される。ラチェット機能42は、単方向の径方向ラチェットインターフェースを形成するように設計され、単方向の径方向ラチェットインターフェースは、確立されたとき、1つの回転方向にのみ相対回転運動を可能にする。そのため、それぞれのラチェット機能は、たとえば非対称形の角度方向側面を含むことができる。たとえば、それぞれのラチェット機能は、急勾配の側面43および/または径方向に対して急勾配の側面ほど急勾配でない傾斜側面44を含むことができる。したがって好ましくは、2つの隣接するラチェット機能42間に形成された特定のラチェットポケット内に位置する径方向に偏向可能な機能を、ラチェットポケットから、たとえば傾斜側面に沿って、隣接するラチェットポケット内へ、1方向にのみ動かすことができる。このようにして、単方向のラチェットインターフェースが実現される。ラチェット機能42は便宜的に、近位端部内または駆動スリーブの近位端に形成される。ラチェット機能42は便宜的に、機構の単位増分、または機構を組み込むデバイスから送達されるように設定することができる最小用量を画成する。駆動スリーブ40は、10個または20個より多いラチェット機能42を含むことができる。
さらに、駆動スリーブ40は、少なくとも1つまたは複数のスプライン機能45を含む。それぞれのスプライン機能は、軸方向に延びており、機構の用量送達または駆動構成で、スプラインインターフェースを形成するように設計され、便宜的に数字スリーブ60上に対応するスプライン機能61が設けられる。このようにして、駆動構成で、数字スリーブ60および駆動スリーブ40を互いに回転不能にロックすることができ、本明細書で減分構成とも呼ばれる設定構成で、数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の相対回転が可能になる。
ボタン70は、1つまたは複数のラチェット機能、部材機能、または解放機能71を含む。これらの機能は、径方向に、特に径方向外方へ向けられている。機能71は、支持体72から径方向に突出する。支持体72は、ボタンの中心に配置された軸または柱状の構造として構成することができる。支持体72は、ボタン70の近位内端面から突出することができる。機能71は、支持体72の遠位端部内に配置することができる。支持体の遠位端面は、図7に示す部材が組み立てられたとき、駆動スリーブ40の近位端面に当接するように配置することができる。ラチェット機能71から、特に近位方向へ、領域73が軸方向にずれている。軸方向、特に近位方向において、この領域73には支持体72の別の領域74が続く。領域74の径方向幅は、領域73の径方向幅より大きくすることができる。好ましくは、領域73には、径方向に延びる突起またはラチェット機能がない。領域73は、その機能が領域73内を案内されるとき、ボタン70に対する機能の平滑でありかつ/または邪魔されない回転運動を可能にするように構成することができる。解放機能71および領域73は、隣接するラチェット機能71間に形成されたラチェットポケットから領域73への機能の遷移を可能にし、逆も同様になるように構成することができる。そのため、ラチェットポケットの底部、たとえばポケットの範囲を定める径方向端壁と、領域73との間の遷移は、ラチェットポケットから領域73内への遷移を可能にし、また逆も同様になるように、平滑にすることができる。支持体72の領域73および74間に設けられた段75は、機能がラチェットポケットから領域73へ再配置されたときに機能のための軸方向止め具を形成することができる。機能は、領域73内で支持体72に接触することができ、または機能および領域73の軸方向位置が重なるときは領域73に対して径方向距離をあけて配置することができる。領域73の軸方向延長は便宜的に、機能71が取り付けられる領域の軸方向延長および/または機能71の軸方向延長より大きい。
ボタン70は、スプライン機能またはスプライン歯76をさらに含む。これらの機能は、以下でさらに開示するように、駆動スリーブ40を駆動するためにばねのエネルギーが解放されたとき、機構がその減分構成から駆動または投薬構成へ切り換えられると、ハウジングまたは本体10上の対応する歯と相互作用して、ボタンおよび/または用量セレクタ80を回転不能にロックするように設計される。
機能71およびラチェット機能42は、互いに調整されている。特定の目的で、低減させた数の機能71を有することで十分であると以下に論じるが、機能71の数はラチェット機能42の数に等しいことが好ましい。具体的には、機能71および42は、機能71および42が互いに対して軸方向に配置されたとき、機能71が軸方向に機能42に続いて配置され、この配置で、機能71および42が互いに対して角度方向に位置合わせされたとき、それぞれ2つの隣接する機能71および42間に形成されたポケット、特にすべてのポケットが位置合わせされるように調整される。これにより、以下により詳細に説明する数字スリーブ60のロック機能62などの機能が機能71および42に同時に係合することができることが有効になる。特に、機能71によって画成されたポケットおよび機能42によって画成されたポケット内に、機能62を同時に配置することができる。それぞれの機能の側面の傾斜に対して、機能42および71を同様に形成することができる。同じことが、角度位置に対しても当てはまる。したがって、特に軸方向に沿って見たとき、機能42および71によって画成されたポケットが重なる領域内に、同じまたは少なくとも類似の幅を有するポケットが形成される。
機能42の径方向延長と比較すると、機能71の径方向延長はより大きい。特に、機能71は、機能42より径方向にさらに突出することができる。少なくとも機能71の径方向端は、関連する構成要素が回転する回転軸によって画成することができる軸から、機能42の径方向端よりさらに離れて配置されることが好ましい。これにより、以下にさらに説明するように、機能71の機能が解放機能として容易になる。機能71の長さは、機能42の長さの2倍以上とすることができる。
数字スリーブ60は、ロック機能62を含む。示されている単一のロック機能の代わりに、複数のロック機能62を設けることもできることを理解されたい。複数のロック機能が設けられている場合、これらのロック機能は便宜的に、数字スリーブ60上に角度または円周方向に均一に分散される。ロック機能62は、数字スリーブ60の残りに可撓に、好ましくは反発的に連結される。ロック機能62は、数字スリーブ本体64に対して可撓に変位可能とすることができる。ロック機能62は、数字スリーブ本体と単体で形成することができ、かつ/または特に角度方向に延びる可撓性アーム63を介して、数字スリーブ本体に連結することができる。ロック機能62は、アーム63の自由端付近の領域内またはアーム63の自由端など、たとえば可撓性アーム63から、径方向に、特に径内方向へ延びる。したがって、ロック機能62は、数字スリーブ本体64に対して径方向に内方および/または外方へ、反発的または弾性的に変位させることができる。ロック機能62は、数字スリーブ60の近位端領域内に設けることができる。ロック機能の軸方向延長は便宜的に、ラチェット機能42の軸方向延長および/または機能71の軸方向延長より大きい。これにより、同じロック機能62によって、機能42および71により画成される位置合わせされたラチェットポケットの同時係合が容易になる。ロック機能62は径方向へ反発的に偏向可能であるため、その反発性によってロック機能62を1つのラチェットポケットから出して、後続のラチェットポケットに容易に再係合することができる。領域73の軸方向延長は便宜的に、ロック機能62の軸方向延長に少なくとも等しく、または好ましくは、ロック機能62の軸方向延長より大きい。このようにして、機構の駆動構成における領域73内のロック機能の自由回転運動が容易になる。機能71は、好ましくは、ロック機能62の径方向延長、機能42の径方向延長という値のうちの1つ以上の長さだけ、機能42に対して突出する。
上記でさらに説明したように、増分および減分構成で、駆動スリーブ40は、ハウジング10に対して回転不能にロックされ、ボタン70は、両方の回転方向に回転可能である。したがって、提案される機構は、ラチェット機能42によって実現される固定ラチェットと、機能71によって実現される回転可能ラチェットとを含む。図8は、図6のデバイスに対する斜視部分断面図を示し、増分および減分機構のいくつかの構成要素が、組み立てた状態で示されている。機能71の下に配置されるため、図8では駆動スリーブ40上のラチェット機能42が見えない。
以下、提案される機構の増分および減分動作について、図9に関連して説明する。図9は、様々な状況における増分および減分機構の図A〜図Cを示す。図9Aで、機構は静止位置にあり、これはたとえば、ゼロ用量またはゼロ以外の用量が設定されているが、投薬動作はまだボタン70を軸方向に押下することによってトリガされていない状況とすることができる。図9Bは、機構の増分動作、すなわち用量を増大させるための動作を示す。図9Cは、機構の減分動作、すなわち用量がどのように減少されるかを示す。
図9Aに示す状況から開始して、ボタン70をたとえば時計回り方向に回転させることによって、機能71が増分方向に回転されたとき、機能71のうちの1つがロック機能に当接し、ロック機能62をそれとともに図9Bに示す状態で保持する。増分方向で、機能42によって実現される単方向ラチェットが、ロック機能62とラチェット機能42との間の相対回転を可能にする。したがって、ロック機能62は、回転全体にわたって機能71によって駆動されているとき、増分方向にラチェットポケットの範囲を定める機能42の傾斜側面に沿って摺動するにつれて径方向外方へ変位し、たとえば弾性回復力によって、ラチェット機能42によって実現される単方向ラチェットの次のラチェットポケット内へ、再び内方へ変位する。ロック機能62は、機能71によって画成される同じポケット内に留まる。ボタン70が増分方向に回転されたとき、ロック機能62は、単方向ラチェットのラチェットポケットから径方向に変位されるが、径方向の長さがより大きいことによって、機能71のうち便宜的に減分方向にラチェットポケットの範囲を定めるものに接触した状態のままである。1つのラチェットポケットから次のラチェットポケット内へ進んでいる間に、ロック機能62は、機能42の径方向端に沿って接触して摺動し、図9Bに示すように2つのラチェットポケットを分離することができる。単方向ラチェットの次のラチェットポケットに到達したとき、その反発性によって、ロック機能は、便宜的に径方向内方運動によって、単方向ラチェットに自動的に再係合し、数字スリーブ60が増分方向にラチェット機能42に対して回転されると、機構は1単位増分だけ増分される。駆動ばね90内で増大した駆動トルクはなお、駆動スリーブ40および単方向ラチェットによって反作用される。増分運動後、この場合も機構は、図9Aに示す状況にある。
図9Aの状況から開始して、機構がすでに増分されており、ボタン70を回転させることによって、機能71が減分方向、たとえば反時計回り方向へ回転されたとき、機能71のうちの1つがロック機能62に当接し、減分方向への回転の継続中、機能62に沿って摺動し、機能62は、その反発性によって、径方向に、特に径方向外方へ変位される。機能71が機能42より大きい径方向延長を有するため、ロック機能62は最終的に、単方向ラチェットのラチェットポケットを離れる。図9Cは、ロック機能が単方向ラチェットから係合解除された後の状況を示す。ボタン70と、ボタン70ととともにロック機能とを径方向に動かした機能71が、使用者によって図9Cに示す位置で維持される限り、ロック機能62は、単方向ラチェットから係合解除されたまま維持される。図9Cに示す状況で、ロック機能は、機能42の径方向端に接触する。したがって、ロック機能および単方向ラチェットがちょうど係合解除される。駆動ばね90によってかけられる駆動トルクは、数字スリーブ60と、数字スリーブ60とともにロック機能62とを、減分または駆動方向に駆動する傾向があるため、図9Cに示す状況は、一時的にのみ存在する。この状況から、駆動トルクは数字スリーブおよびロック機能を解放部材71に対して減分方向へ回転させ、その後、ロック機能は後続の機能71に当接し、特にその機能は、減分方向におけるポケットの範囲を定める。この機能は、機能71およびボタン70に対するロック機能62のさらなる回転運動を阻止する。ロック機能62が機能71に当接したとき、使用者がトルクに反作用する限り、駆動トルクは使用者へ伝達される。
トルクに反作用しなくなったとき、ボタン70を再び回転させることができ、ロック機能は、機能42によって形成される単方向ラチェットの次のラチェットポケットに係合することが可能になる。ロック機能は、その反発性によってそのように作用し、径方向内方へ動いて単方向ラチェットに再係合する。したがって、機能71は、ロック機能62を径方向外方へ変位させて回転ロックを減分方向に一時的に解放することによって、ラチェット機能42によってロック機能62と協働して形成される単方向ロックインターフェースを解放するための解放機能として働く。減分方向におけるラチェットポケットの範囲を定める機能71と、図9Cに存在するロック機能62との間の間隙が、駆動ばねによって数字スリーブ60にかけられるトルクによって閉じられているとき、駆動ばねによってかけられる駆動トルクは、単方向ラチェットの後続のラチェットポケットが係合されるまで、この減分運動を支援する。このようにして、機構を1単位だけ減分することができる。機構は、単位増分ずつ減分することができる。ロック機能62が単方向ラチェットに再係合した後、機構は再び図9Aに示す状況にある。ロック機能62が機能42から係合解除されたとき、使用者は、ロック機能62が機能71に当接した状態で維持されることを条件として、数字スリーブとボタン70との間の相互作用を介して減分方向に任意の数の増分だけ数字スリーブ60を能動的に回転させることもできる。これはたとえば、ロック機能62またはアーム63に径方向に当接する径方向止め具によって実現することができ、径方向止め具は、機能71の反対側に配置される。しかし当然ながら、上記で開示したように、機構を1単位ずつ減分するために駆動トルクを使用することも有利である。
図9A〜図9Cに示す状況で、ロック機能62は常に、同じ2つの機能71間に、すなわち機能71によって画成される同じポケット内に配置されることに留意されたい。増分および減分機能のために、機能71の数は、1とすることができ、または機能42の数より小さくすることができ、または機能42の数に等しくすることができる。したがって、2以上の単位増分だけ減分することを可能にする機構を構築することも可能なはずである。しかし、以下の説明から明らかになるように、同じ数の機能42および71を有することが有利である。
ボタン70を遠位方向に押下することによって、たとえば増分および減分回転を可能にする図9に示す減分構成から駆動構成へ機構が切り換えられたとき、ロック機能62とラチェット機能42との間の相対的な軸方向運動によって、減分方向への数字スリーブ60の回転を防止していた単方向インターフェースが解放される。具体的には、駆動スリーブ40が数字スリーブに対して遠位に変位され、したがってロック機能62が、ラチェット機能42によって形成された単方向ラチェットから係合解除される。また、ボタン70は、数字スリーブ60に対して遠位方向に変位され、したがってロック機能62はまた、機能71から係合解除され、特に回転方向に自由に動くことが可能になる。駆動スリーブおよび数字スリーブ60を互いに回転不能にロックするために、駆動スリーブ40の遠位運動が使用されており、したがって駆動スリーブおよび数字スリーブ60は互いに同速度で回転する。ここでロック機能62は、ボタン70の領域73内で回転することができ、それにより、数字スリーブ60と、数字スリーブ60とともに駆動スリーブ40との自由回転運動が有効になる。ここで駆動スリーブ40は、事前に設定された用量を投薬するために駆動構成にある。
使用者がボタン70を解放した後、ボタン70は近位方向に変位される。この変位は、駆動スリーブ40に近位方向の力をかけるクラッチばね130によって実現され、この力は、駆動スリーブ40がボタンに当接するとボタン70へ伝達される。これにより、機能42およびロック機能62によって実現される単方向ラチェットの再係合が可能になる。また、好ましくは機能71が数および/または角度構成に関して機能42に整合されるとき、ロック機能62はこの場合も、機能71に係合する。しかし、このときロック機能がそれらの間に配置される機能71は、用量投薬動作が始められる前のものとは異なる可能性がある。機能71の数が機能42の数より少ない場合、ロック機能62と機能71との間の相対的な角度位置は、増分運動に適していないことがある。増分または減分方向にボタン70を回転させることができ、その後、ロック機能62は再び機能71に係合する。このとき機構は、図9Aに示す状況に戻っている。
増分および減分機構の動作に対して、単方向ラチェットが機構の減分構成でハウジングに対して回転不能に固定されることで十分であることに留意されたい。したがって、駆動スリーブ40を有する代わりに、ハウジング10に恒久的に固定されまたはハウジング10によって形成された別の構成要素を有する単方向ラチェットインターフェースを実現することもできる。しかし、駆動スリーブ40のように、増分構成でハウジング10に対して回転不能に拘束され、駆動構成で駆動ばねによって数字スリーブとともに駆動される構成要素に、単方向ラチェットを一体化することで、機構を実施する高度に一体化された方法が有効になる。
簡単に言い換えると、本実施形態は、用量の増分および減分の両方を制御する2重ラチェットに関する。理論上、これは最終使用者にとってねじり力および増分サイズの点で対称であるが、これは可変の負荷選択肢(可変用量サイズによる)および常に用量を減分するように駆動しているねじり駆動ばねのために困難である。別の難題は、あらゆる使用シナリオにおいて、駆動ばねの作用下における構成要素の意図しない減分または滑りを防止することにあり、防止されなかった場合、誤った投与を招くはずである。本実施形態の基本は、2重の径方向ラチェットである。一方のラチェットは、少なくともアセンブリの減分構成で回転不能に固定され、他方は、減分構成で両方の角度方向に回転可能である。
減分中、ボタン/回転ラチェット構成要素は使用者につながれており、したがってあらゆる衝撃ノイズおよび振動が使用者の手によって減衰される。ボタン/回転ラチェット構成要素は、さらなるねじり負荷が使用者によって加えられるまで新しい位置で安定しており、さらなるねじり負荷が加えられると、プロセスが繰り返される。1単位だけ減分するために必要とされるねじり負荷は、ロック機能に関する径方向の可撓性を調整することによって調節される。用量を増分するために必要とされる力は、固定のラチェット要素面と可撓性のロック機能との間のカム角度を調整することによって調節することができる。ボタンを軸方向に押下することによって用量が投薬されたとき、ラチェットはどちらも係合解除され、駆動スリーブに対する回転自由度が提供され、親ねじが前進し、用量が投薬される。
独立した非対称形の機構は、用量の増分および減分の両方のために必要とされる力の固有の独立した調節を可能にする。これは、ラチェット要素が受けるねじり駆動負荷が角度方向および用量サイズの両方とともに変動しうるため、特に有益である。増分および減分の両方を独立して調節することによって、駆動トルクが常に加えられることによる滑りのリスクを最小に抑えながら、使用者経験を許容できる最適化された感覚および音に調整することができる。本実施形態は、大きい設計自由度を提供し、使用者の必要を厳密に満たすように調節することができる。本実施形態はまた、空間効率的であり、非常に制限された空間制約内にはまる。本実施形態はまた、様々な用量増分に対する変化に適合可能とすることができる。使用者を介して衝撃力を減衰させることで、用量を減分するときのノイズおよび振動が低減される。
増分および減分機構またはアセンブリの別の例示的な実施形態について、図10〜図12を参照して以下に説明する。
図10は、本実施形態による機構を含む薬物送達デバイスの部材を斜視図に示す。デバイスは本質的に、図1〜図5に関連して説明したデバイスに対応し、以下に説明するようにわずかに修正されている。図10で、用量インジケータまたは数字スリーブ60は単一の部材として示されている。しかしすでに説明したように、数字スリーブは、単体とする代わりに複数の部材から形成することもできる。さらに、数字スリーブ上の指標は明示的に示されていない。ナット50は図10に示されていないが、このデバイスにも同様に存在することができる。図1〜図5に関連して説明した実施形態でクラッチ板120を利用して実現された減分機能は、本実施形態では異なる形で実現される。したがって、本実施形態ではクラッチ板120は存在しない。むしろ、本実施形態の場合、構成要素のいくつかが修正されており、新しい構成要素、すなわち支持部材150が追加されている。
図11は、様々な図に基づいて、機構の構成要素を示す。図11は特に、図1〜図5に示す実施形態と比較すると本実施形態に対して修正された構成要素および追加の支持部材150を様々な図に示す。図11に示す構成要素について、以下に説明する。
駆動スリーブ40は、複数のロック機能46を含む。ロック機能46は、駆動スリーブ40の近位セクション内に配置される。ロック機能は、コーム状に配置および構成される。ロック機能46は、軸方向に向けられている。ロック機能46はさらに、径方向に可撓性である。すなわち、ロック機能46は、駆動スリーブ本体47に対して径方向に変位させることができる。特に、ロック機能46は、図11に示す位置から、径方向内方へ変位させることができる。ロック機能46は、内端位置から再び径方向外方へ変位させることができる。ロック機能46は、反発性とすることができ、または駆動スリーブ40に反発的に取り付けることができる。したがって、径方向に変位された後、ロック機能は、反発性回復力によって、元の位置を回復する傾向がある。すべてのロック機能46を同様に形成することができる。ロック機能46は、駆動スリーブ40の上に角度方向に均一に分散される。2つのロック要素間の距離、特に同じ角度方向におけるロック要素の範囲を定める隣接するロック要素46の2つの面同士の間の距離が、数字スリーブ60を増分方向に回転させることができる単位増分を画成することができる。径方向に変位可能であることに加えて、ロック機能は便宜的に剛性である。特に、ロック機能46と駆動スリーブ本体47との間の連結は、相当な角度方向または接線方向の力に耐えることができるように構成することができる。ロック機能46は、駆動トルクがロック部材46の角度方向面へ伝達されるとき、駆動ばね90によってかけられるトルクの作用下で、角度方向の変位に対して安定することができる。したがって、ロック機能46を使用して、増分的に回転しないように数字スリーブ60をロックすることができる。ロック機能、特にロック機能が配置される角度ピッチが、単位増分を画成する。
ロック機能46は保持空間48を画成し、ロック機能は保持空間の外側境界を形成する。遠位方向における保持空間48の範囲は、径方向の段状の突起49によって定められる。保持空間48は、支持部材150の少なくとも一部分を受け取るように配置される。突起49は、以下に説明するように、支持部材150に対する支承面を提供する。
支持部材150は、支持領域151を含む。支持部材150は、駆動スリーブの保持空間48内に受け取られるように設計される。支持領域151の最大外径は、特にロック機能46が偏向していない状態にあるとき、保持空間の内径に対応することができる。支持部材150は、1つまたは複数の支持機能152を含む。これらの機能は、角度方向に均一に分散させることができる。支持機能152は、支持領域151の最大外径を画成することができる。支持領域151は、支持部材150がロック機能46に対して回転可能になるように、保持空間48内に少なくとも部分的に保持されるように設計される。角度位置が支持機能152の角度位置に重なるロック機能46は、容易に径方向に変位させることができない。むしろ、そのようなロック機能46は、支持機能152によって機械的に接触されるとき、径方向に変位しないように支持される。2つの支持機能152間の角度方向領域では、支持部材150は、径方向延長が低減されたセクション153を含む。支持部材150が保持空間内に受け取られたとき、セクション153の領域内に配置されたロック機能は径方向に、特に内方向に変位させることができる。したがって、支持機能152を有する支持部材150によって、いくつかのロック機能46を径方向に変位しないように選択的に支持することができ、支持されていないロック機能46は径方向に変位させることができる。
支持部材150は、連結領域154をさらに含む。連結領域154および支持領域151は、軸方向に連続して配置することができる。連結領域154および支持領域151の軸方向延長は異なることができ、たとえば支持領域151の軸方向延長をより大きくすることができる。便宜的に、支持領域151および連結領域154は、支持領域が保持空間48内に受け取られたとき、連結領域154が駆動スリーブ40から便宜的に完全に突出するように設計される。このようにして、支持部材150とボタン70との間の連結を実現することが容易になる。連結領域154は、支持部材150をボタン70に回転可能に連結するように設計される。したがって、支持部材150は、両方の回転方向におけるボタン70の回転運動に追従するように設計される。しかし、ボタン70と支持部材150との間の回転方向の連結は、ボタン70および支持部材150が回転ロックされるまで、すなわちともに回転するまで、便宜的に両方の回転方向における支持部材150に対するボタン70の制限された相対回転運動を可能にするように構成される。支持部材150とボタン70との間で可能になる最大相対回転角度は便宜的に、機構を1増分または2増分だけ増分するために必要とされる回転角度より大きく、または少なくともそのような回転角度に等しい。連結領域154は、支持部材150をボタン70に回転可能に連結するために設けられた複数の連結機能155を有する。
ボタン70は、1つまたはそれ以上の機能77を有する。機能77は、数字スリーブ60または数字スリーブ60に堅固に取り付けられた構成要素と相互作用して、便宜的に増分方向のみへの数字スリーブ60の回転運動を駆動するように設計される。複数の機能77が存在する場合、これらの機能は好ましくは、示されているように、角度方向に均一に分散される。機能77は、支持体72から径方向に突出する。支持体72は、ボタン70の中心領域内に配置することができ、遠位方向に突出することができる。ボタン70は、受取りセクション78をさらに含む。このセクションは、支持部材の連結領域154を受け取るように設計される。受取りセクション78の形状は、連結領域154の形状に相補形とすることができ、受取りセクションは、上記で説明し以下でさらに説明するように、支持部材およびボタン70の制限された相対回転を可能にするように設計される。機能77は、支持部材150の支持機能152より径方向へさらに延びることができる。
支持部材150内で、支持領域151と連結領域154との間に段が設けられる。支持領域151の径方向幅は、連結領域154の径方向幅より大きくすることができる。この段は、ボタン70、特に支持体72の遠位面に対する支承面を提供することができる。
図12は、様々な状況において組み立てた状態にある機構の構成要素を様々な図12A〜図12Cに示す。図12で、支持部材150、特にその支持領域151は、ロック機能46間に配置されている。さらに図12Bでは、ボタン70、特にその機能77が示されており、ボタン70が支持部材150に連結される受取りセクション78も示されている。図12Aおよび図12Cは、図12Aの説明をわかりやすくする目的でボタン70を示していないが、図12Cは、ボタンがまったく存在しない領域を通って切り取った断面を示す。しかし図12Bから、機能77はロック機能46と径方向に重なることがすぐに明らかである。特に、機能77は、支持部材より径方向にさらに突出することができ、かつ/またはロック機能46の上を径方向に突出することができる。
図11に関連して論じた構成要素に加えて、図12は数字スリーブ60を示す。ロック機能46を有する駆動スリーブ40は、数字スリーブ60内に受け取られる。数字スリーブ60は、阻止機能または機能65を有する。機能65は、数字スリーブ本体64から、特に内方向へ突出する。機能65は、1つまたはそれ以上のロック機能46を径方向、特に内方向へ変位させるように配置される。好ましくは、機能65は常に、1つまたはそれ以上のロック機能46に接触している。機能65は、角度方向に見たとき、支持部材150のセクション153に重なっており、したがってセクション153によって画成された凹部内へロック機能46を径方向に偏向させることができる。角度方向において、機能65の範囲は、第1の表面651および第2の表面652という2つの表面によって定められる。第1の表面651は、好ましくは減分方向、たとえば反時計回り方向において、機能65の範囲を定める。第2の表面652は、好ましくは増分方向において、機能の範囲を定める。表面651および652は、特に径方向に対して傾斜させることができる。傾斜角度は、表面651および652に対して異なることができる。表面652は、表面651より長くすることができる。表面651は便宜的に、1つのロック機能46、便宜的に1つのみのロック機能46の角度方向面461と、機械的に協働するように配置される。表面652は、複数のロック機能と協働し、特にこれらのロック機能を径方向に変位または偏向させた状態で保持することができる。表面652は、ロック機能46の径方向を向いている表面と協働するように配置することができる。表面651は便宜的に、ロック機能46の角度方向または接線方向を向いている表面と協働するように配置される。各ロック機能46の幾何形状は便宜的に、機能、たとえばその先端への駆動ばねトルクの方向において、デバイスの主軸の周りに接線方向に加えられる力により、数字スリーブ60上の剛性の機能65の回転経路から機能が径方向に変位するように設計される。
図12Aに示す状況で、機能65は、角度方向に見たとき、1つのロック機能46に当接している。このロック機能46は、支持機能152によって径方向に支持される。したがって、機能65と機能65が当接するロック機能46との間の接触インターフェースは、機能65が減分方向に回転された場合、この回転の結果、特に内方向へのロック機能46の径方向変位が生じるように構成されているが、この変位は支持機能152によって防止される。図12Aに示す状況で、ゼロ以外の用量がすでに設定されていることがある。数字スリーブ60は、駆動ばね90のトルクの影響下にある。したがって、図12Aに示す状況で、支持部材150と、機能65が当接するロック機能46とが協働して、減分方向への数字スリーブ60の回転を防止または阻止する。
図12Aに示す状況から開始して、数字スリーブ60および支持部材150が増分方向へともに回転されたとき、偏向されたロック機能46は順次、たとえば支持部材との協働および/またはそれらの反発性によって、径方向に、特に外方へ変位され、したがって機能65、特にその表面651は、増分方向において後続の、特に次のロック機能46の範囲を定める角度方向面に係合することができる。数字スリーブ60は、ボタン70の機能77との協働によって、増分方向に回転させることができる。これは図12Bから明らかである。機能77は、機能65に当接して、増分トルクまたは力をボタンから数字スリーブへ伝達することができる。別法として、増分トルクを数字スリーブ60へ伝達するために、好ましくは異なる角度位置に、異なる機能を適用することができる。しかし、ロック機能46およびロック機能46とは異なる軸方向位置に配置されている機能77と同時に相互作用する1つの機能を有することは有利であることが明らかである。機能65の軸方向延長は、ロック機能46および/または機能77の軸方向延長より大きくすることができる。
すでに上述したように、ボタン70と支持部材150との間の連結は、回転クリアランスを有する。したがって、ボタン70を支持部材150に対して回転させることができ、その後、支持部材がボタンの回転に追従する。増分の場合、ボタン70は好ましくは機能65を増分方向に動かし、その後、支持部材150がその回転に追従する。このようにして、機能65はすでに動かされており、この動きを阻止しなくなっているため、ロック機能を径方向に、特に外方へ変位させることができるとき、増分方向への支持部材の回転は、ロック機能のうちの1つによって阻止されない。したがって、図12Bでは、図12Aと比較すると、数字スリーブ60は、図12Bに示す回転クリアランスCによって、たとえば1増分だけ増分方向にすでに回転されている。回転クリアランスは、少なくとも1つのロック機能または1単位増分、たとえば少なくとも2つまたはちょうど2つの隣接するロック機能または2単位増分によって画成される角度方向範囲以上とすることができる。回転クリアランスは、3つの後続のロック機能または3単位増分によって画成される角度方向範囲より小さくすることができる。回転クリアランスは、2つの後続のロック機能または2単位増分によって画成される角度方向範囲より小さくすることができる。図12Aの状況では、両方の方向において、ボタン70と支持部材150との間に回転クリアランスが存在することができ、図12Bでは、増分方向への特に支持部材150に対するボタン70の相対回転運動を可能にするクリアランスはすでに閉じられている。増分回転中、回転クリアランスを使用して、機能65がロック機能46に対して変位され、その後、支持部材150が増分方向に回転され、したがってセクション153内へ偏向されていたロック機能46がセクション153から出ることが容易になる。ボタン70が使用者によって増分方向、たとえば時計回り方向へ回転されたとき、機能65もまた、ロック機能46に対してこの方向に回転される。したがって、表面652は増分方向に回転され、ロック機能46、特に表面652と角度方向に位置合わせされているロック機能は、たとえば表面652との協働および/またはそれらの反発性によって、径方向に、特に内方へ偏向することができる。ばね90によってかけられる駆動トルクは、使用者によって反作用される。
明示的に示されていない一実施形態では、支持部材150を数字スリーブ60に動作可能に連結することができる。特に、連結は、支持機能と阻止機能との間の相対的な角度位置を確立および維持する傾向があるように構成することができ、阻止機能および支持機能は、1単位増分に対応する角度より小さい角度だけ分離される。連結を確立するために、数字スリーブ60および支持部材150にばねを連結することができる。数字スリーブ60がボタンによって増分方向に回転されたとき、ボタン70と支持部材150との間の回転クリアランスが閉じられる前でも、ばねは好ましくは付勢され、またはすでに付勢されており、数字スリーブ60の回転に追従するように支持部材を増分方向に動かす。このようにして、ボタンが解放された後、支持部材によって支持されたロック機能に阻止機能が当接することによって回転が止められるまで、数字スリーブが1単位増分だけ逆回転することを回避することができる。むしろ、支持部材が増分方向への可動部材の回転により密接に追従すると、現在選択されている単位増分に対応するロック機能が常に支持されることを保証することができる。これにより、自身がボタン70を解放した後でも、自身が選択して数字スリーブ60によって示された用量が同じままであるという使用者の確信が増大する。
図12Aに示す状況から開始して、たとえば設定用量を減少させるために、機構を減分する場合、ボタン70がハウジング10に対して減分方向、たとえば反時計回りに回転される。支持部材に対する回転クリアランスが閉じられるまで、ボタンは支持部材150に対して減分方向に回転する。その際、機能77は機能65から離れる方へ変位される。しかし、支持部材150はまだ回転されていないため、ばね90の駆動トルクは機能46によってなお反作用され、機能46は支持部材150によって径方向になお支持される。支持部材150およびボタン70が減分方向に同速度で回転するように回転可能に連結されたとき、支持部材150はロック機能46に対して回転され、したがって機能65が当接するロック機能が径方向に変位可能になる。この状況が図12Cに示されている。この状況で、機能65およびロック機能46によって形成される解放可能ロックインターフェースは、好ましくは一時的にのみ、解放されている。数字スリーブ60にかけられる駆動トルクによって、ロック機能は径方向に偏向または変位され、したがって数字スリーブは減分方向に、たとえば1単位増分だけ回転され、その後、機能65は、支持部材150によって支持されたロック機能46、好ましくは後続のロック機能46の角度方向面に、減分方向に係合する。このとき、機構はこの場合も、図12Aに示す状況にある。減分方向へのボタン70の回転を継続することによって、減分を単位ごとに実行することができる。数字スリーブ60は、駆動ばねの駆動トルクを使用して、ボタンの動きに自動的に追従する。
機構を駆動構成へ切り換えるために、図12Aに示す状況から開始して、ボタン70は遠位方向に軸方向に変位され、ボタン70とともに、ロック機能46を有する駆動スリーブ40も変位される。この結果、減分構成で阻止機能として働く機能65とロック機能46との間に相対的な軸方向運動が生じ、それによって駆動ばね90の影響下で減分または駆動方向への数字スリーブ60の自由な回転が可能になる。またこの結果、機能65と機能77との間に相対的な軸方向運動が生じ、それによってボタン70に対する数字スリーブ60の自由な回転が可能になる。前述したように、ボタン70上のスプラインはハウジング10上のスプラインに係合して、投薬中のボタン70の回転を防止することができる。駆動構成で、駆動スリーブ40は数字スリーブ60に回転可能に連結され、したがって駆動スリーブ40および数字スリーブ60がともに回転する。好ましくは、駆動スリーブ40は、ボタン70の軸方向運動に追従して、ハウジング10に対するスプライン連結を係合解除し、数字スリーブ60とのスプライン連結に入る。用量が送達されたとき、使用者はボタンを解放し、クラッチばね130が、駆動スリーブ40およびボタン70を近位に変位させて、機構を再び減分構成へ切り換える。支持機能と機能65との間の角度距離が大きすぎるため、支持機能152と機能65との間の相対的な角度位置が増分運動にまだ適していない場合、ボタン70と、ボタン70とともに支持部材150とを、数字スリーブ60に対して増分方向に回転させることができ、その後、数字スリーブ60が、増分方向へのボタン70または用量セレクタの回転に追従する。これが行われたとき、使用者は、機能77が機能65に再び当接したことと、自身が用量セレクタのボタン70を解放した後、選択された用量がそのままであり、数字スリーブ60によって示されるように正しい用量であることとを確信することができる。
さらに上述した実施形態と同様に、駆動スリーブ40上に設けられたロック機能46を使用する代わりに、ロック機能46はまた、アセンブリの駆動構成および減分構成でハウジング10に対して静止している構成要素上に設けることもできる。
ロック機能の概略的な構成はコームの歯に類似しており、概略的な機構の動作方法は、角度方向面を使用して構成要素の動きを一時的に阻止し、径方向の偏向を使用して、ラチェット機構を増分および/または減分するため、径方向ラチェット機構のものに類似している。
この機構には様々な利点がある。機能65は、ダイヤル設定構成要素/ボタン70に外部トルクが加えられるまで、回転してそのねじり負荷を解放することができない。これにより、機能65を介して常にかけられるねじり負荷を受けてラチェットが滑らないことが確実になる。ボタン70と支持部材150との間の回転クリアランスは、外部トルクが支持部材へすぐに伝達されることをさらに回避し、それによって意図しない減分をさらに防止する。
用量を増分および減分するために必要とされるトルクは、駆動ばねのトルク、ロック機能の径方向の剛性、および機能65とロック機能との間の係合部における接触面間の角度に依存する。駆動ばねトルクの作用下における機構の回転ロック強度は、これらの要因に依存しない。回転ロック強度は、ロック機能と駆動スリーブ40との間の可撓性の連結の接線方向または角度方向の剛性および支持機能面の幾何形状に依存する。これにより、ロック強度に影響を及ぼすことなく、用量を増分および減分するために必要とされるトルクを調節することが可能になる。これは、ロック機能が受けるねじり駆動負荷が角度方向および用量サイズの両方とともに変動することができるため、特に有益である。加えられるトルク要件およびロック作用を依存しないまま維持することは、駆動トルクが常に加えられることによる滑りのリスクを最小に抑えながら、使用者経験を許容できる最適化された感覚および音に調整することができることを意味する。現在当技術分野にあるものに対する利点は、本実施形態により、使用者の必要および滑り(用量の精度に影響を及ぼす可能性がある)がないことに対する本質的な工学要件を厳密に満たすように調節されるさらなる設計自由度が提供されることである。機構は、様々な用量増分に対する変化に適合可能とすることができる。理論上、増分および減分動作は、最終使用者にとってねじり力および増分サイズに関して対称形である。しかしこれは、可変の負荷選択肢(可変用量サイズによる)および常に用量を減分するように駆動しているねじり駆動ばねのために困難である。誤った投与を招くはずである駆動ばねの作用下における構成要素の意図しない減分または滑りが、提案される機構によって防止される。
軸方向に向けられたロック機能46を使用する代わりに、上述した機構はまた、軸方向に偏向可能である径方向に向けられた機能を使用して実現することもできることに留意されたい。この場合、上記の本説明の概略部における「径方向」への参照は便宜的に、必要に応じて「軸方向」に置き換えられる。たとえば、このとき支持部材150は、軸方向に変位しないようにロック機能46を支持しなければならないはずであり、それぞれのロック機能の軸方向面は、支持機能によって接触されるはずである。同様に、阻止機能は、軸方向に延びるが、それぞれのロック機能の角度方向面になお接触するはずである。しかし、薬物送達デバイスの場合、軸方向に延びるロック機能を有する構成が特に有利であり、これが上記の説明でこの実装に焦点を当てた理由である。
増分および減分機構またはアセンブリの別の例示的な実施形態について、図13〜図17を参照して以下に説明する。
図13は、本実施形態による機構を含む薬物送達デバイスの部材を斜視図に示す。デバイスは本質的に、図1〜図5に関連して説明したデバイスに対応し、以下に説明するようにわずかに修正されている。図13で、用量インジケータまたは数字スリーブ60は単一の部材として示されている。しかしすでに説明したように、数字スリーブは、単体とする代わりに複数の部材から形成することもできる。さらに、数字スリーブ60上の指標は明示的に示されていない。ナット50は図13に示されていないが、このデバイスにも同様に存在することができる。図1〜図5に関連して説明した実施形態でクラッチ板120を利用して実現された減分機能は、本実施形態では異なる形で実現される。したがって、本実施形態ではクラッチ板120は存在しない。むしろ、本実施形態の場合、構成要素のいくつかが修正されており、新しい構成要素、すなわちロック部材160またはクラッチ部材170が追加されている。
図14は、様々な図に基づいて、ボタン70およびロック部材160を示す。これらの構成要素は、本実施形態の増分および減分機構に関与する。図1〜図5に示すデバイスと比較すると修正されたさらなる構成要素は、ハウジング10および数字スリーブ60である。
ロック部材160は、1つまたは複数のロック機能161を含む。本実施形態では、ロック部材160は、好ましくはロック部材の上に円周方向に均一に分散された2つのロック機能を含む。しかし、1つのロック機能で、所望の機能を実現するのに十分なこともあるが、2つまたはさらには3つ以上のロック機能は、負荷のより広い分散に対して有益である。ロック機能161は、ロック部材160および数字スリーブ60を回転不能に選択的にロックするように設計される。特に、増分回転運動の場合、回転ロックを確立することができ、減分運動の場合、回転ロックを解放することができる。解放可能な回転ロックを実現するために、数字スリーブ60は、複数の阻止機能66を含む。阻止機能は、数字スリーブ60の上に角度方向に均一に分散させることができる。当然ながら、数字スリーブ60内へ一体化される代わりに、阻止機能66が数字スリーブ60に回転不能に、および軸方向にロックされるように、阻止機能を有する別個の構成要素を数字スリーブ60に剛性的に取り付けることもできる。阻止機能66は便宜的に、数字スリーブ60の近位セクション内に設けられる。ロック機能161は、ロック部材本体162に可撓に連結される。したがって、ロック機能は、ロック部材本体に対して径方向に可撓に変位させることができる。この目的で、ロック機能は、可撓性アーム163を介してロック部材本体に連結され、可撓性アーム163は、角度方向に向けることができる。ロック機能161は便宜的に、本体に反発的に連結される。特に、可撓性アーム163は、ロック部材本体162に対して弾性変位させることができる。ロック部材160は、単体の構成要素とすることができる。
ロック部材160は、1つまたは複数の単方向インターフェース機能164をさらに含む。インターフェース機能164は便宜的に、ロック部材の上に角度方向に均一に配置される。示されている実施形態では、ロック部材160は、好ましくはロック部材の上に円周方向に均一に分散された2つのインターフェース機能164を含むことができる。しかし、1つのインターフェース機能で、所望の機能を実現するのに十分なこともあるが、2つまたはさらには3つ以上のインターフェース機能は、負荷のより広い分散に対して有益である。それぞれのインターフェース機能164は、径方向に向けることができる。本実施形態では、それぞれのインターフェース機能164は、可撓性の弾性偏向可能なラチェットアームとして設計される。インターフェース機能は、対応するインターフェース機能と協働して、増分方向のみ、ここでは時計回り方向へのハウジング10に対するロック部材160の回転を可能にする単方向インターフェースを形成するように設計される。本実施形態では、機能164と協働する対応するインターフェース機能は、ハウジング10またはハウジング10に剛性的に固定された構成要素上に設けられたラチェット歯101によって実現される。インターフェース機能164は便宜的に、ロック機能161から軸方向、たとえば近位方向にずれている。ロック部材160は、低減された径方向幅を有することができる領域165をさらに含む。ロック部材160のこの領域165は便宜的に、ロック機能161から軸方向に、たとえば遠位にずれており、駆動スリーブ40内へ案内されるように配置される。阻止機能66の数は、便宜的にラチェット歯101によって画成される単位増分の数に対応することができる。具体的には、阻止機能66の数は、ラチェット歯101の数に等しくすることができる。
ロック部材160は、1つまたはそれ以上のボタンインターフェース機能166をさらに含む。これらの機能は、ロック部材の内面上に設けることができる。これらの機能は、以下でさらに説明するように、ボタン70の機能と相互作用するように設計される。インターフェース機能166は便宜的に、ボタンへの螺旋インターフェースを確立するように構成され、このインターフェースは、ボタンが減分方向に回転されたとき、近位方向へのロック部材160に対するボタン70の変位をもたらす。ボタンインターフェース機能166は便宜的に、ロック部材160の内部に設けられる。ボタンインターフェース機能166は、ロック機能161から軸方向、たとえば遠位方向にずらすことができる。
ロック部材160は、1つまたは複数の機能167をさらに含む。これらの機能は、ロック部材の内面上に設けることができる。これらの機能は、特に増分方向にボタン70および/または用量セレクタ80から数字スリーブ60へ、駆動トルクを伝達するように設計することができる。したがって、機能167を駆動機能と呼ぶこともできる。機能167は便宜的に、ロック部材160の上に円周方向に均一に配置される。機能167は、インターフェース機能166と比較すると、近位方向にずらすことができる。軸方向位置に関して、機能167はロック機能161に重なることができる。
ボタン70は、支持体72を含む。支持体72は、1つまたは複数の支持機能79を含む。支持機能79は、角度方向に均一に配置することができる。支持機能は便宜的に、軸方向に延びる。支持機能79は便宜的に、支持体72から径方向に突出する。支持機能79は、径方向に変位しないように、特に内方向に、ロック機能161を選択的に支持するように配置される。したがって、ロック機能161が支持されているとき、ロック機能と阻止機能66との係合は、この係合を解放するために必要とされるはずの特に内方向における径方向変位が支持機能79によって防止されるため、解放することはできない。
ボタン70は、支持体72上に設けられた1つまたはそれ以上の機能701をさらに含む。機能701は便宜的に、ロック部材160の機能167に係合して、駆動トルクをボタン70からロック部材160へ伝達するように設計される。機能701は、機能79から角度方向に分離される。機能701は、機能79に軸方向に重なる。機能701は便宜的に、支持体72から径方向に突出する。機能701の軸方向延長は、支持機能79の軸方向延長より大きくすることができる。
さらに、特に支持体72上のボタン70は、1つまたはそれ以上のロック部材インターフェース機能702を含む。インターフェース機能702は、インターフェース機能166と相互作用して、特にボタン70とロック部材160との間に螺旋インターフェースを提供するように設けられる。この目的で、インターフェース機能702は螺旋状に延びることができる。インターフェース機能702は、支持機能79から遠位にずらすことができ、または支持機能79より遠位に延びることができる。螺旋インターフェースによって、ボタンがロック部材に対する画成された角度位置を維持することを実現することができ、この位置は好ましくは、支持機能79がロック機能161の径方向運動を阻止する位置である。
ボタン70は、1組の歯703をさらに含む。歯703は径方向に向けられており、ハウジング内のラチェット歯101と噛み合って、機構の駆動構成でボタン70の回転運動を防止するように設計される。したがって、前述した実施形態と比較すると、この目的でボタン上に設けられていたスプライン機能76を省くことができる。
組み立てられたとき、支持体72はロック部材160内に受け取られ、したがって支持体上の機能は、ロック部材の関連機能と相互作用することができる。
図15および図16は、組み立てた状態にある増分および減分機構内に含まれる部材を示す。図15で、ラチェット歯101および単方向インターフェース機能164によって実現される単方向ラチェットが示されている。単方向インターフェースの動作方法を変更することなく、ハウジング上にラチェットアームを設けることもでき、円周方向に配置されたラチェット歯をロック部材上に設けることもできることが、当業者には容易に明らかである。ラチェット歯101は、角度方向におけるそれぞれの歯の範囲を定める非対称形の角度方向側面を、径方向に対して有する。具体的には、これらの側面は、異なる傾斜を有する。より急勾配の側面は、減分方向へのロック部材160とハウジング10との間の相対回転を阻止するように設計され、より傾斜した側面は、増分方向へのハウジング10に対するロック部材160の回転を可能にするように構成される。
図16で、ロック部材160と数字スリーブ60との間に確立されたロックインターフェースが示されている。ロックインターフェースは、支持機能がロック機能を支持する限り確立および維持され、それによりロック機能161が阻止機能66に係合した状態で維持されることが確実になる。支持機能79は、ロック機能161が偏向していない状態から反発的に偏向されるように、ロック機能161を支持することができる。したがって、ロック機能は、反発性によって阻止機能から係合解除する傾向がある。図16から明らかなように、阻止機能66は歯として実現され、これらの歯は、角度方向におけるそれぞれの歯の範囲を定める非対称形の角度方向側面を有することができる。好ましくは、減分方向における1つの歯の範囲を定める側面は、増分方向におけるその歯の範囲を定める角度方向側面より、径方向に対して傾斜させることができる。確立されたとき、ロックインターフェースは便宜的に、ロック機能161と阻止機能66との間のあらゆる相対回転運動を防止する。
増分および減分機構の前述した実施形態とは対照的に、本機構では、単方向インターフェースが増分および減分中に動作する。しかし、ロック部材160と数字スリーブ60との間の追加の回転ロックインターフェースは、ロック機能161に対する支持機能79の角度位置を変化させることによって解放することができる。ロック機能が支持されなくなった後、ロック機能を内方へ変位させることができ、それによってロックインターフェースを解放する。
以下、増分および減分のための機構の動作について、特に図15〜図17を参照して説明する。図17は、機構を増分することができるときの状況を図17Aに示し、これは本質的に、図16に示したのと同じ状況である。この状況で、ゼロまたはゼロ以外の用量を設定することができる。図17Aに示すように、支持機能79は、径方向内方へ変位しないようにロック機能161を支持し、したがってロック部材160は、両方の回転方向において数字スリーブ60に対して回転不能にロックされる。ボタン70の機能701は駆動機能167に当接し、したがって駆動トルクをボタン70からロック部材160へ増分方向に伝達することができる。ボタンが増分方向に回転された場合、この方向への回転がインターフェース機能164を介して提供される単方向インターフェースによって可能になるため、ロック部材160と、ロック部材160とともに数字スリーブ60とが、増分方向に回転される(図15参照)。駆動ばね90によってかけられる駆動トルクは、単方向ラチェットインターフェースによって反作用され、阻止機能66に係合するロック機能161によってこのインターフェースへ伝達される。
ボタン70は、特に減分方向へのボタン70とロック部材160との間の相対回転を可能にする回転クリアランスが生じるように、ロック部材160に連結される。したがって、例示的な実施形態では、機構が図17Aに示す減分構成にあるとき、減分方向、すなわち反時計回り方向へのロック部材160に対するボタン70の回転が可能になる。回転クリアランスは、好ましくは少なくとも、ロック機能161が支持機能79によって支持されなくなるように支持機能79を角度方向に動かすことができるのに十分なほど大きい。この状況が図17Bに示されている。径方向の支持が除去された後、ロック機能161は単独で駆動トルクの負荷に反作用することができなくなり、したがって駆動トルクの影響下で、減分方向における関連阻止機能の範囲を定める角度方向面とロック機能との協働によって、径方向に、たとえば内方へ変位され、数字スリーブ60は、減分方向に自由に回転することが可能になる。言い換えれば、駆動トルクを使用して、ロック機能161および阻止機能66を係合解除する。別法または追加として、ロック機能の反発性により、阻止機能66からの係合解除を支援することができる。ボタン70は、ボタン70の角度方向面、たとえば示されているように機能79の角度方向面に当接することができるロック機能161によって、増分方向へのロック部材に対するボタンの意図しない動きを防止するように、図17Bに示す位置に固定することができる。
数字スリーブ60は減分方向に回転することが可能になり、その後、ボタンがロック機能に対して増分方向に再び回転され、したがってロック機能161が阻止機能66に再係合し、または数字スリーブがその最初の位置、たとえばゼロ用量位置に到達する。ロック機能161と阻止機能66との再係合を容易にするために、支持体72とロック機能161との間のインターフェースは便宜的に、増分方向へのボタン70の回転がロック機能161の径方向運動に変換されて再び阻止機能66に係合するように構成される。たとえば、機能701は、この目的で、ロック機能161に当接する傾斜面を有することができる。減分動作中に減分される単位増分の数は、単方向インターフェースに依存せず、1単位増分と設定された全単位増分との間で変動することができる。
ボタンが減分方向に回転されているとき、機能702および166の協働によって提供される螺旋インターフェースによって、ボタンをロック部材160に対して軸方向に、特に近位に変位させることができる。これが、図17Aおよび図17Bに示す断面が異なって見える理由である。しかし、近位運動は、機構が動作するために絶対必要というわけではない。増分動作が機構の主要な動作であるため、螺旋インターフェースを介して、支持機能79がロック機能161を支持する位置の方へ、ボタンを付勢することができる。代替実施形態では、たとえば付勢ばねなどによって増分方向にボタンに加えられるねじり負荷によって、この付勢を提供することもできる。
設定用量の投薬などのために、たとえば図16に示す状況からボタン70が押し下げられたとき、機構は減分構成から駆動構成へ切り換えられる。この構成で、ロック機能161は、ロック機能161と数字スリーブ60との間の相対的な軸方向運動によって阻止機能66から係合解除される。具体的には、ロック部材160は、数字スリーブ60および阻止機能およびハウジング10に対して遠位方向に変位される。これにより、解放可能ロックインターフェースが解放される。また、駆動スリーブ40は、遠位方向に変位され、ハウジング10から回転可能に係合解除され、代わりに数字スリーブ60に回転可能に連結される。したがって、数字スリーブ60は、駆動ばね90によってかけられるトルクの影響下で、減分または駆動方向へ自由に回転することができる。このとき数字スリーブに回転可能に連結されている駆動スリーブ40は、数字スリーブとともに回転し、投薬運動を駆動することができる。ボタン70にかかる力が除去されたとき、クラッチばね130は駆動スリーブを再び近位方向に動かし、ロック機能および阻止機能が再係合される。駆動構成では、ボタンの支持体72の周りに円周方向に設けられた歯703が、ハウジング10内のラチェット歯101と噛み合って、ボタン70の回転および/またはボタンを介した使用者への駆動トルクの伝達を防止することができる。この構成で、単方向インターフェースは同様に解放および/または確立されていない。したがって、ロック部材160は、ハウジング10に対して回転することができない。しかし、駆動スリーブ40は、ロック部材160に回転可能に連結されておらず、ロック部材160に対して自由に回転することができる。
ハウジング10上にラチェット歯101を設け、ロック部材160上にインターフェース機能164を設ける代わりに、ロック部材上に歯を設け、ハウジング上にインターフェース機能を設けることもできることが、容易に明らかである。単方向インターフェースはなお、同様に機能するはずである。
言い換えれば、この機構は、2つの構成要素間の回転ロックを解放する機構とともに、径方向ラチェットを使用して、カートリッジに基づくねじり駆動式のペン注射器に対する単位用量調整の能動的増分を有効にし、内部ねじり負荷を受けて選択用量の自動的減分を可能にする。本機構には、様々な利点がある。用量増分は、増分角度方向に自由に動くことができる外部の用量ダイヤル設定構成要素(ボタン70)に使用者がねじりを加えることによって実現される。このダイヤル設定構成要素の回転により、ダイヤル設定用量が単位増分の単位で増分する。用量減分は、使用者がダイヤル設定構成要素にねじりを加えることによって実現される。この構成要素は、小さい角度、たとえば90°未満または45°未満だけ減分方向に回転し、次いで好ましくは定位置にロックされる。この回転により、1つまたはそれ以上のロック機能が解放され、それによって、使用者が外部トルクを除去するまで、内部ねじり負荷が内部被駆動構成要素(数字スリーブ60)を用量減分方向に回転させることが可能になる。減分機構は、増分機構とは別個であり、増分機構に依存しない。これにより、減分プロセスに影響を及ぼすことなく、使用者の力/変位要件を満たすための増分機構機能の微調節が有効になる。増分機構(単方向ラチェットを含む)は、減分方向に解放される必要はない。これにより、ラチェット機能101および/または機能164を最適化して、クラッチ構成要素に加えられるねじり負荷を受けてラチェットが滑らないことを確実にすることが可能になる。
提案され独立した特に非対称形の機構は、用量の増分および減分の両方のために必要とされる力の固有の独立した調節を可能にする。これは、ラチェットおよびロック機能が受けるねじり駆動負荷が角度方向および用量サイズの両方とともに変動することができるため、特に有益である。増分および減分の両方を独立して調節することによって、駆動トルクが常に加えられることによる滑りのリスクを最小に抑えながら、使用者経験を許容できる最適化された感覚および音に調整することができる。現在当技術分野にあるものに対する利点は、本実施形態により、使用者の必要および滑り(用量の精度に影響を及ぼすことがある)がないことに対する本質的な工学要件を厳密に満たすように調節されるさらなる設計自由度が提供されることである。この機構はまた、様々な用量増分に対する変化に適合可能とすることができる。減分機構の利点は、使用者があらゆるダイヤル設定または設定された用量からゼロまで用量をダイヤル設定することが、非常に容易であることである。
前述した実施形態では、減分構成で減分方向への数字スリーブ60の回転を防止する単方向インターフェースは、ハウジング10またはハウジング10に剛性的に取り付けられた構成要素と、ロック部材160との間の単方向ラチェットインターフェースによって実現された。したがって、単方向インターフェースは、恒久的に静止してデバイスの動作中にまったく動かない構成要素と、ロック部材160との間で実現される。しかし、駆動構成、たとえば減分方向に回転可能であるが、減分構成でハウジング10に対して回転不能にロックされる構成要素を使用して、ロック部材160に加えて、単方向インターフェースに対する相手方を提供することもできる。そのような構成要素は、たとえば駆動スリーブ40である。図18は、前述の実施形態に記載したデバイスのいくつかの構成要素を示し、これらの構成要素は、単方向インターフェースの1つの構成要素として駆動スリーブ40を使用するために修正されている。
この目的で、駆動スリーブ40には複数のラチェット機能42が設けられており、示されている実施形態では、ラチェット機能42は軸方向に向けられている。ロック部材160上の単方向インターフェース機能164は、同様に軸方向に向けられた歯によって実現され、これらの歯は、駆動スリーブ40上に設けられたラチェット歯42に噛み合うように構成される。したがって、機能42および164が係合されたとき、減分方向への駆動スリーブ40に対するロック部材160の回転が防止される。単方向インターフェース機能は、遠位方向に、たとえばロック部材160の遠位セクションから延びる。前述した実施形態で駆動スリーブ40内に受け取られていた領域165は、この修正によってロック部材160には存在しない。さらに、ハウジング10にはラチェット歯101が設けられなくなったため、スプライン機能76はこの場合もボタン70上に設けられ、それによりボタン70が押し下げられたときにハウジングにスプライン連結されることを確実にする。
単方向インターフェースは、ロック部材160に対する減分または駆動方向への駆動スリーブ40の回転を可能にし、したがって駆動構成で数字スリーブ60および駆動スリーブ40が回転するとき、ラチェット歯は互いを載り越える。この相対回転を使用して、可聴および/または触覚投薬または駆動フィードバックを使用者に提供することができる。クラッチばね130は、駆動スリーブ40上のラチェット歯およびロック部材160上のラチェット歯を恒久的に当接した状態で維持する傾向がある。
単方向インターフェースのために軸方向に延びるラチェット歯を使用する代わりに、径方向に向けられた歯を径方向に向けられた可撓性のラチェットアームとともに利用する径方向ラチェットを、駆動スリーブ40とロック部材160との間に適用することもできる。
駆動スリーブ40を単方向ロックインターフェースのための一時的に回転不能に固定されたベースとして使用することを有効にする修正とは別に、機構は、前述の実施形態に関連して上記でさらに論じたように機能する。
径方向に偏向可能なロック機能161ではなく、図18に関連して論じた修正を含む上述した機構は、軸方向に偏向可能なロック機能を使用して実現することもできることに留意されたい。この場合、上記の本説明の概略部における「径方向」への参照は便宜的に、必要に応じて「軸方向」に置き換えられる。たとえば、このとき支持機能79は、軸方向に変位しないようにロック機能を支持していなければならないはずであり、それぞれのロック機能の軸方向面は、支持機能によって接触されるはずである。しかし、薬物送達デバイスの場合、径方向に偏向可能なロック機能を有する構成が特に有利であり、これが上記の説明でこの実装に焦点を当てた理由である。
増分および減分機構またはアセンブリの別の例示的な実施形態について、図19〜図22を参照して以下に説明する。
図19は、本実施形態による機構を含む薬物送達デバイスの部材を斜視図に示す。デバイスは本質的に、図1〜図5に関連して説明したデバイスに対応し、以下に説明するようにわずかに修正されている。図19で、用量インジケータまたは数字スリーブ60は単一の部材として示されている。しかしすでに説明したように、数字スリーブは、単体とする代わりに複数の部材から形成することもできる。さらに、数字スリーブ上の指標は明示的に示されていない。ナット50は図19に示されていないが、このデバイスにも同様に存在することができる。図1〜図5に関連して説明した実施形態でクラッチ板120を利用して実現された減分機能は、本実施形態では異なる形で実現される。したがって、本実施形態ではクラッチ板120は存在しない。むしろ、本実施形態の場合、構成要素のいくつかが修正されており、2つの新しい構成要素、すなわちクラッチ部材170およびロック部材160が追加されている。
図20は、様々な図に基づいて、本実施形態による増分および減分機構内に含まれる構成要素を示す。
本実施形態では、ロック部材160は、ピン、特にまっすぐなピンとして実施される。ロック部材160は便宜的に剛性であり、特に減分方向への数字スリーブ60の回転運動を防止するために、デバイスの動作中に駆動ばね90によってロック部材160へ伝達される負荷に耐えることができる。ロック部材160の長さは、ロック部材が数字スリーブ60内に画成されたガイドトラック67と相互作用することができるのに十分なほど大きい。特に、ロック部材の長さは、特にガイドトラック67が配置されるセクション内の駆動スリーブ40の外径より大きく、かつ/もしくは数字スリーブ60の内径以下にすることができ、または特にガイドトラック67が配置されるセクション内の数字スリーブ60の内径以上にすることができる。特に、ロック部材160の長さは、ガイドトラック67を有するセクション内の数字スリーブの最小内径より大きく、かつ/または数字スリーブ60の最大内径以下とすることができる。ガイドトラック67を有するセクション内で、プロファイル付き機能は、ガイドトラックの範囲を定め、数字スリーブ60の最小内径を画成することができる。ロック部材160は、特に好ましくは以下により詳細に説明するガイドトラック67との協働によって、減分方向への数字スリーブ60の動きを防止する解放可能ロックインターフェースを提供するように確立される。解放可能ロックインターフェースを解放するために、ピンは、数字スリーブ60に対して軸方向に変位可能とすることができる。ロック部材160は、組み立てた機構内で、数字スリーブの長手方向軸または回転軸に対して斜めに、特に直交して延びる。
すでに上述したように、数字スリーブ60はガイドトラック67を含む。ガイドトラック67は、数字スリーブ60の近位領域内に設けることができる。ガイドトラック67は便宜的に、数字スリーブ60の円周全体にわたって延びる。ガイドトラック67は、閉じたトラックとしてさらに構成される。したがって、トラック内を角度方向に360°移動した後、再び原点に到達する。ガイドトラック67は、ロックセクション671およびロック解除セクション672という少なくとも2つの異なるタイプのセクションを有する。ガイドトラック67は、少なくとも1つのロックセクション671および少なくとも1つのロック解除セクション672を含む。好ましくは、ガイドトラックは、複数のロックセクション671およびロック解除セクション672を含む。ガイドトラック67に沿って見たとき、ロックセクション671およびロック解除セクション672は交互に配置されている。したがって、角度または円周方向に見たとき、ロックセクション671にロック解除セクション672が続き、再びロック解除セクション672にロックセクション671が続き、以下同様である。これらのセクションは、数字スリーブ60から特に径内方向に突出するプロファイル付き機能によって画成することができる。ロックセクション671は軸方向に、便宜的に軸方向のみに向けられており、ロック解除セクション672は、軸方向および角度方向に延び、その結果、ロック解除セクション672の螺旋構成または配置が得られる。ロックセクション671の近位端付近またはロックセクション671の近位端に便宜的に配置された遷移領域673を介して、ロックセクション671を後続のロック解除セクション672に連結することができる。特に増分方向、たとえば時計回り方向に、遷移領域673から見たとき、ロック解除セクションは、遷移領域673から離れる方へ軸方向、特に遠位方向および角度方向に、次のロックセクション671に到達するまで延びる。ロック解除セクションと後続のロックセクションとの間の遷移領域674は、軸方向、特に遠位方向に、遷移領域673からずらされる。便宜的に、これらのロックセクションは、角度方向に見たとき、一方の側または両側で、阻止機能として働くことができるプロファイル付き機能677によって抑制される。軸方向に見たとき、ロック解除セクションは便宜的に、プロファイル付き機能によって近位側および/または遠位側で抑制される。ロックセクション671および/またはロック解除セクション672は、角度方向に均一に分散され、かつ/または同様に形成される。
ロック部材160がロックセクション671内に配置されたとき、少なくとも1つの回転または角度方向に、好ましくは両方の回転方向に、ロック部材160と数字スリーブ60との間の相対回転が防止される。この目的で、ロック部材は、角度方向におけるロックセクションの範囲を定める壁に当接する。壁は、プロファイル付き機能677によって形成される。ロック部材がロックセクション671内に配置されたとき、ハウジング10に対する増分方向へのロック部材の回転が数字スリーブ60へ伝達される。ロック部材160がロックセクション671と協働するとき、ロック部材160に対する減分方向への数字スリーブ60の回転は阻止される。ロック部材160は、数字スリーブ60に対して、特にガイドトラック67に対して、軸方向に、特に遠位および近位方向に変位可能である。したがって、ロック部材は、ガイドトラック67の異なるセクションと協働するように動かすことができる。ロック部材160がロック解除セクション672と協働するとき、数字スリーブ60は、ハウジング10およびロック部材160に対して回転することができ、その際、ロック解除セクションの螺旋構成によって、ロック部材160を軸方向に、特に遠位方向に変位させ、その後、ロック部材がガイドトラック67の後続のロックセクション671内に配置される。次いで相対回転は再び阻止される。ロック解除セクションの角度方向の延長は、機構を1単位増分だけ増分するために及ぶべき角度距離の整数倍とすることができ、またはそのような整数倍によって画成することができる。
ロックセクション671は、少なくとも1つの軸方向開端675、特に遠位開端を有する。この端部を介して、ロック部材160は、ガイドトラック67を離れることができる。ロック部材が開端を介してガイドトラック67から取り出されたとき、機構は減分構成から駆動構成へ切り換えられる。駆動構成で、数字スリーブ60は、駆動ばね90によってかけられるトルクの影響下で、ハウジング10および/またはロック部材160に対して減分方向へ自由に回転することができる。開端675を介して、ロック部材160はまた、ガイドトラックに再び入り、機構を駆動構成から減分構成へ切り換えることができる。
これらのロックセクションのうちの少なくとも1つ、好ましくはこれらのロックセクションのうちのすべてが、別の軸方向開端676、特に近位開端を有する。近位開端を介して、ロック部材160をガイドトラック内へ挿入することができる。
クラッチ部材170は、1つまたは複数のスロット171、たとえば2つの反対側に配置されたスロットを含む。スロットは、ロック部材160がクラッチ部材170の内部からクラッチ部材の外部へ延びることができるように、ロック部材160を受け取るように配置される。具体的には、ロック部材は、たとえば両方のスロットを通って突出することによって、クラッチ部材170全体を通って延びることができる。スロット171は便宜的に、反対側に配置される。例示的な実施形態では、スロットは軸方向に延び、したがってロック部材160は、スロット171内を軸方向に移動することができる。スロット171は、軸方向に、好ましくは軸方向のみに向けられる。
クラッチ部材170は、1つまたは複数の単方向インターフェース機能172を含む。これらの機能は、ハウジング内に設けられたラチェット歯101と協働する。ラチェット歯101は、単位増分を画成する。機能172は、前述した実施形態のロック部材160の機能164と同様に、特に径方向に延びる弾性偏向可能なラチェットアームとして構成される。このようにして、単方向ラチェットインターフェースが提供され、このインターフェースが確立されたとき、増分方向のみへのハウジング10に対するクラッチ部材170の相対回転が有効になる。スロット171と比較すると、単方向インターフェース機能172は、クラッチ部材170上でより近位に配置される。機能164に関して上記で論じたのと同様に、単方向ラチェットインターフェースはまた、クラッチ部材上に歯を設け、本体またはハウジング10上にインターフェース機能を設けることによって実現することもできる。さらに、クラッチ部材170は、部材が組み立てられたときに駆動スリーブ40内に受け取られるように設計および配置された受取り領域173を含む。受取り領域173は便宜的に、スロット171から遠位にずれて配置される。
ボタン70、特に支持体72には、1つまたは複数のスロット704が設けられる。スロット704は便宜的に、反対側に配置される。スロット704は、螺旋状に延びる。スロット704は、同じ回転方向に延びる。スロット704は便宜的に、ロック部材160を受け取るように設計され、したがってロック部材160は、支持体72からそれぞれのスロットを通って、特に両側に突出することができる。支持体72は便宜的に、部材が組み立てられたとき、クラッチ部材170内に受け取られる。このときロック部材160は、クラッチ部材170、軸方向に向けられたスロット171、および螺旋状に向けられた支持体72内のスロット704を通って延びる。したがって、ボタン70がクラッチ170に対して回転された場合、この結果、ロック部材160の軸方向変位が生じる。この軸方向変位を使用して、ロック部材160をロックセクション671から変位させ、ロック部材160およびロック解除セクション672の協働を有効にすることができる。用量を増分するのに適したボタンの第1の角度位置で、ロック部材160は便宜的に、増分方向へのボタン70の回転がロック部材160とクラッチ部材170との間の相対的な軸方向変位をもたらさないように、螺旋スロット704の遠位端と協働する。クラッチ部材170とボタン70との間の減分方向への回転の結果、ロック部材160とクラッチ部材170との間の相対的な軸方向変位が生じる。ボタン70上で螺旋スロットを使用し、クラッチ部材170上で軸方向スロットを使用する代わりに、類似の機能を備えて、クラッチ部材上に螺旋スロットを設け、ボタン上に軸方向スロットを設けることもできることが、当業者には容易に明らかである。
以下、機構を増分および減分する動作、ならびに駆動動作について、図21Aおよび図21Bに機構の2つの異なる状況を示す図21に関連して説明する。図21Aおよび図21Bは、組み立てた状態にある機構の構成要素の部分断面側面図を示す。
デバイスが用量を設定する準備ができているとき、すなわちゼロ用量位置にあるとき、または用量がすでに設定されており、投薬または減分するべきであるとき、機構は、図21Aに示す状況にある。特に、ロック部材160は、ガイドトラック67のロックセクション671内に配置される。ロック部材160は便宜的に、それぞれボタンまたはクラッチ部材170内のスロット704および/または171に対して遠位端位置にある。用量を増分するべきであるとき、ボタンは増分方向に回転され、増分方向は、たとえば図21Aの時計回り方向および/または左側である。
ロック部材160がロックセクション671内のトラック67のプロファイル付き表面に当接すると、ロック部材が遠位に動くことが防止されることによって、クラッチ部材170とボタン70との間の相対回転が可能でなくなるため、ボタン70の回転はロック部材160を介して数字スリーブ60へ伝達される。したがって、数字スリーブは、所望の数の単位増分だけ増分される。駆動ばね90内の増大負荷は、機能172とラチェット歯101との間に形成された単方向インターフェースによって反作用される。
図21Aの状況から開始して、ボタン70が減分方向に、たとえば右側へ回転されたとき、ボタン70は、特に制限された量だけ、クラッチ部材170に対して回転し、その結果、ロック部材160の軸方向変位が生じる。軸方向変位は、ロック部材がスロット171によって軸方向に案内され、スロット704によって螺旋状に案内されることによって実現される。したがって、ボタンが減分方向に回転されたとき、ロック部材160は、数字スリーブ60に対して近位方向に変位される。これにより、ここでロック部材が、図21Bに示すように、ガイドトラック67のロック解除セクション672の始まりと軸方向に位置合わせされることが実現される。特にロック部材160は、ガイドトラックの遷移領域673内に配置される。ロック部材160がこの軸方向位置に到達したとき、数字スリーブ60は、ハウジング10に対して減分方向に回転することができる。したがって、ロック部材160がこの位置についた後、駆動ばね90は数字スリーブ60を減分方向へ回転させることができる。このとき使用者がなおボタン70に連結されている場合、駆動ばねの負荷が使用者に伝達され、それにより用量の減分をトリガするのに成功したことを使用者に提案する。次に数字スリーブ60は、クラッチ部材170およびロック部材160に対して回転する。それによって、ロック部材160に沿って案内されるロック解除セクションの螺旋構成により、ロック部材160は、その軸方向開始位置の方へ、特に遠位方向に再び変位され、その後、後続のロックセクションと協働する。したがって、駆動ばねによってかけられるトルクを使用して、ロック部材を軸方向に再びロック位置へ、すなわちロック部材160がガイドトラック67のロックセクション内に配置される位置へ動かす。ロック部材160の軸方向変位はまた、ボタンとロック部材との間の螺旋連結により、ボタン70を再び角度方向開始位置へ戻す。したがって、機構は、図21Aに示す状況へ自動的に再び切り換えられる。
用量を減分することができる単位の数は、ロック解除セクションの角度方向の延長によって判定される。好ましくは、ロック解除セクション672の角度方向の延長は、1単位増分に対応する角度方向の延長または角度以上であり、好ましくは5単位増分に対応する角度方向の延長または角度より大きい。
用量が設定された後、図21Aに示す状況から、ボタン70が遠位方向に押し下げられたとき、ロックセクション671が遠位端で開き、遠位端を介してロック部材160がガイドトラックを離れるため、ロック部材160はガイドトラック67から係合解除される。ボタンは、ハウジング10に対して歯101と協働する機能703によって、回転不能にロックされる。ボタン70が遠位に変位されたとき、ロック部材160によって形成される解放可能ロックインターフェースは、ボタンのこの軸方向運動によって解放される。これにより、他の実施形態に関連してすでに前述したように、数字スリーブ60が減分方向または駆動方向に自由に回転して、駆動構成で数字スリーブに回転不能にロックされる駆動スリーブ40の回転運動を駆動することが可能になる。駆動スリーブ40は、クラッチ部材170に回転可能に連結されておらず、クラッチ部材170に対して自由に回転することができる。このようにして、事前に設定された用量を投与することができる。ボタン70にかかる圧力が解放されたとき、クラッチばね130は、駆動スリーブと、駆動スリーブとともにクラッチ部材170とを、近位方向に動かし、ロック部材160は、ロックセクション671のうちの1つの遠位端を通ってガイドトラック67に再び入る。次いで、送達後、機構は再び図21Aに示す状況になる。ロック部材がガイドトラック67に再び入ることができる開端と角度方向に位置合わせされなかった場合、送達動作が完了した後、使用者は、ロック部材160がガイドトラック67の開端と位置合わせされてガイドトラックに再係合するまで、ボタン70を数字スリーブ60に対して増分方向に回転させることができる。次いで、使用者は、数字スリーブ上に示された用量が再び増分されたとき、デバイスが再び減分構成にあるという視覚的確認を得ることができる。
簡単に言い換えると、本実施形態は、2つの構成要素間の回転ロックを解放する機構とともに、径方向ラチェットを使用して、カートリッジに基づくねじり駆動式のペン注射器に対する単位用量調整の能動的増分を有効にし、内部ねじり負荷を受けて選択用量の制御された減分を可能にする。用量増分は、増分角度方向に自由に動くことができる外部の用量ダイヤル設定構成要素(ボタン70)に使用者がねじりを加えることによって実現される。このダイヤル設定構成要素の回転により、ダイヤル設定用量が単位増分で増分する。用量減分は、使用者がダイヤル設定構成要素にねじりを加えることによって実現される。この構成要素は、制限された角度だけ減分方向に回転する。ダイヤル設定構成要素の螺旋スロット内に位置するピン(ロック部材)が、減分方向への回転によって、ペン注射器軸に対して平行の方向に動かされる。ピンはまた、径方向ラチェット構成要素内に係合され、内部ねじり負荷を伴う構成要素内のプロファイル付きトラック内に係合される。ピンの軸方向運動は、内部ねじり負荷が保持されるプロファイル付きトラックの領域から、内部ねじり負荷が解放される領域へ、ピンを動かし、制限された回転を可能にし、したがって設定用量の制限された低減を可能にする。減分機構は、増分機構とは別個であり、増分機構に依存しない。これにより、減分プロセスに影響を及ぼすことなく、使用者の力/変位要件を満たすための増分機構機能の微調節が有効になる。増分機構は減分方向に解放する必要がないため、これによりラチェット要素を最適化して、クラッチ構成要素に加えられるねじり負荷を受けてラチェットが滑らないことを確実にすることが可能になる。
独立した非対称形の機構は、用量の増分および減分の両方のために必要とされる力の固有の独立した調節を可能にする。これは、ラチェットおよびロック要素が受けるねじり駆動負荷が角度方向および用量サイズの両方とともに変動することができるため、特に有益である。増分および減分の両方を独立して調節することによって、駆動トルクが常に加えられることによる滑りのリスクを最小に抑えながら、使用者経験を許容できる最適化された感覚および音(作業範囲内)に調整することができる。現在当技術分野にあるものに対する利点は、本実施形態により、使用者の必要および滑り(用量の精度に影響を及ぼすことがある)がないことに対する本質的な工学要件を厳密に満たすように調節されるさらなる設計自由度が提供されることである。この機構はまた、様々な用量増分に対する変化に適合可能とすることができる。減分機構の利点は、設定用量を固定数の単位だけ低減させることであり、この数は、プロファイル付きトラックの設計によって判定される。減分機構の追加の利点は、機構が固定数の単位を解放すると、ピンはトラックプロファイルによって並進運動され、ダイヤル設定構成要素のわずかな動きを引き起こし、触覚/触知フィードバックを使用者に提供することである。
本実施形態は、協働して用量の増分および減分を制御する2つの別個の機構に関する。しかし理論上、この機構は、論理的有用性のきっかけを促進するために、ねじり力および増分サイズに関して対称形である。本実施形態の基本は、径方向ラチェットおよび追加の回転ロックシステムである。径方向ラチェットは、用量増分方向への回転を可能にする。ロックシステムの係合解除は、ねじり駆動ばねの負荷を受けて制御された用量減分を可能にする。本実施形態は、ねじり駆動ばねの回転端に剛性的に連結された構成要素内でプロファイル付きトラックを利用する。これは、ねじり駆動ばねの回転端に連結された数字スリーブ構成要素にトラック構成要素を剛性的に取り付けることによって、またはプロファイル付きトラックをこの構成要素内へ直接一体化することによって実施することができる。プロファイル付きトラックは、デバイスの軸に対して平行の「ロック」領域と、本質的に螺旋形の「減分」領域とからなる。
単方向回転インターフェースに対して恒久的に静止している要素を使用するのではなく、ロック機能161を有するロック部材160を利用する前述した実施形態と同様に、この目的で、また駆動スリーブ40を利用することができる。
本実施形態に対して修正されたデバイスの構成要素が図22に示されている。具体的には、ボタン内の歯703が歯76に置き換えられ、それにより駆動構成でハウジングに対するスプライン係合を実現している。前述と同様に、駆動スリーブ40とクラッチ部材170との間で、単方向の回転連結が実現される。この目的で、単方向回転インターフェース機能172は、軸方向に向けられた歯として提供され、これらの歯は軸方向に延び、駆動スリーブ上に設けられたラチェット機能42と噛み合って、単方向の回転連結を確立し、増分方向のみへの駆動スリーブ40に対するクラッチ部材170の回転を可能にする。当然ながら、軸方向に延びる歯を使用して単方向の連結を確立する代わりに、単方向インターフェースのために径方向ラチェットを適用することも可能である。
駆動構成で、駆動スリーブ40は、クラッチ部材170に対して駆動または増分方向に回転し、したがって単方向回転インターフェースを提供する歯は、互いに沿って載り越え、図18に関してすでに前述したように、可聴および/または触覚フィードバックを生み出す。そのようなフィードバックは、修正に関する限り、本実施形態に類似している。
図22に示し上記で説明した修正を除いて、本実施形態の機構は、前述の実施形態に関連して説明したように機能する。
保護範囲は、本明細書に上述した例に限定されるものではない。本発明は、その構成またはその構成の組合せが特許請求の範囲または実施例に明示的に記載されていない場合でも、特に特許請求の範囲に記載の構成のあらゆる組合せを含むそれぞれの新規な特徴およびそれぞれの特徴の組合せで実施される。