JP2020521513A - 卵非含有模造卵食品 - Google Patents

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Abstract

卵非含有模造卵食品の製造用の組成物を開示する。本発明の組成物は、ホエイタンパク質、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料、および水分を加えた該組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤を含む。本発明の組成物に水分を加えて調理することによって、鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品が得られる。

Description

本発明は、水分を加えて調理することによって卵非含有模造卵食品を得ることができる組成物に関する。また、本発明は、このような組成物から製造された食品に関する。
卵は、人の食事における栄養源として有益であり、高品質なタンパク質、脂質、ビタミン類およびミネラルを含む。また、鶏卵は、特有の調理機能性を有し、食品において乳化作用、熱凝固作用および安定化作用を発揮する。しかしながら、卵は、保存期間の制限、壊れやすさ、生産コストおよび流通コストの点から、必ずしも消費者にとって簡便な形態であるとは限らない。また、全卵は、飽和脂肪およびコレステロールが比較的高く、健康上の理由から食事における摂取量を制限する必要のある消費者も多い。さらに、鳥インフルエンザなどの鳥類関連疾患や、細菌の存在による食物由来疾患などが卵に存在する可能性があることから、常にリスクがあり、低温殺菌処理や放射線照射処理などのさらなる加工工程が必要とされ、これにより、最終的に得られる卵製品のコストが増加し、卵製品の機能性に悪影響が見られることがある。また、大型の商業養鶏場において鳥インフルエンザが断続的に発生した場合、その地域全体の鶏を殺処分することが必要となり、倫理的問題、経費の増加、運営妨害および価格変動が生じる。
したがって、栄養の改善、鳥インフルエンザなどの鳥類関連疾患のリスクの低減、および菜食主義や宗教上の理由などの個人的な食事の嗜好を理由に、卵由来の食物タンパク質源を敬遠する消費者が増加している。
鶏卵の官能的特性および調理機能性を模倣することを試みた様々な卵代替品および卵の増量材が入手可能である。しかし、これらの卵代替品および増量材の多くは、卵を全く含んでいないわけではなく、卵の流動性(および特に熱凝固機能性)を達成するため、少なくともある程度の量の卵白を含む必要がある。別のタンパク質源を含む既存の卵代替品の多くでは、卵の流動性が達成されておらず、卵以外の材料により付与される特有の「不快な」風味を有することから、品質が低いことが多い。さらに、このような卵代替品および増量材の多くは、卵の栄養特性が再現されておらず、卵のpH、見た目、食感などの物理的特性も再現されていない。卵の栄養および調理における卵特有の機能性の点において、消費者の食事において鶏卵と完全に置換することが可能な卵代替品の製造は、当技術分野における継続的な課題となっている。
卵を全く含んでいなくてもよい模造卵食品、このような卵非含有模造卵食品を製造するための組成物を提供することには利点があると考えられる。
第1の態様において、本発明は、卵非含有模造卵食品の製造用の組成物を提供する。本発明の組成物は、ホエイタンパク質、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料、および水分を加えた前記組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤を含む。本発明の組成物に水分を加えて調理することによって、鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品が得られる。
本発明の組成物は、全卵の完全な代替品を提供するものであり、この全卵の代替品は、調理機能性を付与する材料のユニークな組み合わせを含み、この全卵代替品のみを使用して調理した場合または各種調理法でこの全卵代替品を調理した場合に、鶏卵と類似した官能的特性が得られる。本発明者らは、ホエイタンパク質、大豆材料およびpH調整剤を含む本発明の組成物に水分を加えて調理すると、鶏の全卵を機能的かつ官能的に忠実に模倣した卵非含有食品を形成することができることを発見した。実際に、本発明の実施形態に従って製造することができる模造卵食品は、従来の方法で鶏卵を使用して製造した同じ卵食品と類似した官能的特性を持つことができる。本発明の組成物中に含まれるホエイタンパク質は、卵白の官能的特性および調理機能性を模倣する。また、本発明の組成物中に含まれる大豆材料は、卵黄と類似した栄養特性および官能的特性を提供し、適切なpHにおいてホエイタンパク質と一体となって、ホエイタンパク質の凝固を緩和し、予想されるよりも柔らかく凝固した製品が得られる。本発明者らの知る限りでは、卵、特に卵白を使用せずに、このような機能性と官能的特性を有する食品は過去に達成されていない。
詳細は後述するが、いくつかの実施形態において、水分を加えて調理した本発明の組成物に、全卵、卵白または卵黄の食感品質を付与するために、本発明の組成物中のホエイタンパク質と大豆材料の割合を様々に変えてもよい。実際に、本発明の組成物中のホエイタンパク質と大豆材料の割合を調節して、調理品中の模造卵白または模造卵黄の食感を様々に変化させることができる。したがって、本発明の組成物は、鶏卵を使用した調理用途と同様に、様々な調理用途に有利に使用してもよい。
いくつかの実施形態において、前記ホエイタンパク質は、ホエイタンパク質単離物であってもよい。
いくつかの実施形態において、前記大豆材料は、リポキシゲナーゼを失活させた大豆子葉粉を含んでいてもよい。また、前記大豆材料は、たとえば、オーストラリア特許第559031号に記載されているような(詳細は後述する)、加工大豆材料(PSM)であってもよい。
いくつかの実施形態において、前記pH調整剤は、たとえば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム二水和物およびこれらの組み合わせからなる群から選択してもよい。いくつかの実施形態において、前記pH調整剤は、水分を加えた本発明の組成物をpH約7.2〜8.5までアルカリ化するのに有効であってもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物はさらに油を含んでいてもよい。本発明の組成物に油が含まれていると、乾燥粉末形態において本発明の組成物の取扱性および保存性が向上し、調理品に望ましい官能的特性を付与でき、最終的に得られる食品に有用な栄養特性を付与できるなどの利点が得られることが本発明者らによって見出されている。さらに、油は、疎水性成分(たとえば、ビタミン類や香味料など)を溶解可能であってもよく、これによって、疎水性成分の安定性が向上し、模造卵食品の風味プロファイルが向上してもよい。いくつかの実施形態において、前記油は、植物油であってもよく、たとえば、ヒマワリ油、パーム果実油、キャノーラ油、大豆油、ベニバナ油、オリーブ油、米油、トウモロコシ油、ココナッツ油、これらの組み合わせなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、前記油は動物油であってもよい。動物油または魚油を使用することによって、たとえば、望ましいオメガ3脂肪酸またはDHA脂肪酸を、最終的に得られる食品に導入してもよい。
いくつかの実施形態において、前の段落で述べたのと同様の理由で、本発明の組成物はさらに脂肪を含んでいてもよい。このような脂肪も、最終的に得られる食品の官能的特性に寄与するものであってもよく、鶏卵にも天然の脂肪が含まれていることには注目されたい。いくつかの実施形態において、前記脂肪は、取扱性を向上させるために水素添加されていてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物はさらなる成分をさらに含んでいてもよく、該さらなる成分として、塩(塩化ナトリウム)、糖類、乳化剤、香味料、着色料、酸化防止剤、安定剤、繊維(可溶性または不溶性)、ビタミン類およびミネラルのうちの1つ以上から選択される成分が挙げられる。
第2の態様において、本発明は、卵非含有模造卵食品の製造用の組成物を提供する。該組成物は、ホエイタンパク質 約28%w/w〜約70%w/w、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉 約15%w/w〜約50%w/w、水分を加えた前記組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤 約0.2%w/w〜約1.8%w/w、および任意の油を含む。
本発明の第2の態様による組成物は、水分を加えて調理した場合に、鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品を製造することができる。
本発明の第1の態様または第2の態様による組成物は、たとえば、粉末形態(たとえば、ドライミックスの形態)で提供され、次いで、この乾燥粉末を水性液体と混合することによって水分を吸収させてもよい。いくつかの実施形態において、たとえば、約25gの乾燥粉末組成物を、約75gの水性液体(たとえば水または牛乳)と混合することによって、水分が加えられた製品を、調理に使用可能なバッター液の形態で得てもよい。
第3の態様において、本発明は、卵非含有模造卵食品の製造用の液状組成物であって、本発明の第1の態様または第2の態様による組成物と液体を含む液状組成物を提供する。この液状組成物は、卵非含有模造卵食品を得るために調理してもよく、あるいは、加熱調理をしていない卵非含有模造卵食品(たとえば、加熱調理をしていない鶏卵を従来含むマヨネーズまたは飲料)の製造に使用してもよい。
第4の態様において、本発明は、本発明の第1の態様もしくは第2の態様による組成物に水分を加えたもの、または本発明の第3の態様による液状組成物を調理することによって製造された卵非含有模造卵調理食品を提供する。このような調理食品は、たとえば、オムレツ、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、茶碗蒸し、目玉焼き、または調理された卵白もしくは調理された卵黄を含む食品と類似した官能的特性を有していてもよい。
本発明の第1の態様、第2の態様および第3の態様による組成物は、卵の増量材として使用してもよく、卵含有食品を製造する際に鶏卵と混合してもよい。このような方法で本発明の組成物を使用することによって、最終的に得られる(すなわち増量された)卵食品のコストを有利に低減してもよく、総コレステロール含量の低減などによって有益な栄養上の利点を付与してもよい。
第5の態様において、本発明は、卵非含有模造卵調理食品を製造する方法を提供する。該方法は、
ホエイタンパク質、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;
前記乾燥混合物を液体と混合する工程;ならびに
前記混合物を調理して、鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性を有する卵非含有模造卵調理食品を得る工程
を含む。
第6の態様において、本発明は、卵非含有模造卵調理食品を製造する方法を提供する。該方法は、
ホエイタンパク質 約28%w/w〜約70%w/w、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉 約15%w/w〜約50%w/w、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤 約0.2%w/w〜約1.8%w/w、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;
前記乾燥混合物を液体と混合する工程;ならびに
前記混合物を調理して、鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性を有する卵非含有模造卵調理食品を得る工程
を含む。
本発明の第5の態様および第6の態様による方法を使用して、たとえば、オムレツ、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、茶碗蒸し、目玉焼き、または調理された卵白もしくは調理された卵黄(またはこれらの組み合わせ)を含む食品と類似した官能的特性を有する調理食品を製造してもよい。
第7の態様において、本発明は、加熱調理をしていない卵非含有模造卵食品(たとえば、加熱調理をしていない鶏卵を従来含むマヨネーズまたは飲料)を製造する方法を提供する。このような方法は、
ホエイタンパク質、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;ならびに
前記乾燥混合物を液体と混合する工程
を含む。
第8の態様において、本発明は、加熱調理をしていない卵非含有模造卵食品を製造する方法を提供する。このような方法は、
ホエイタンパク質 約28%w/w〜約70%w/w、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉 約15%w/w〜約50%w/w、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤 約0.2%w/w〜約1.8%w/w、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;ならびに
前記乾燥混合物を液体と混合する工程
を含む。
本発明の第5の態様、第6の態様、第7の態様または第8の態様による方法の実施形態のいくつかにおいて、前記乾燥混合物は、本発明の第1の態様または第2の態様による組成物を含んでいてもよい。
本発明のその他の態様、実施形態および利点を以下で述べる。
本発明は、卵非含有模造卵食品の製造用の組成物であって、
ホエイタンパク質;
リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料;および
水分を加えた前記組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤
を含む組成物を提供する。
本発明の組成物に水分を加えて調理することによって、鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品が製造される。
また、本発明は、卵非含有模造卵食品の製造用の組成物であって、
ホエイタンパク質 約28%w/w〜約70%w/w;
リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉 約15%w/w〜約50%w/w;
水分を加えた前記組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤 約0.2%w/w〜約1.8%w/w;および
任意の油
を含む組成物を提供する。
本発明の組成物を有利に使用することによって、鶏卵を使用して製造された同じ食品と類似した官能的特性を有する卵非含有模造卵調理食品を製造することができる。実際、本発明者らは、本発明に従って調製した以下で詳述する卵代替品ほどに鶏卵に近い官能的特性を有する他の卵代替品を口にしたことはない。また、特定のホエイタンパク質調製物と大豆材料を選択することによって、卵を使用して調製した卵食品と類似した栄養プロファイルを有するが、コレステロールを含まない(または有意に少ない量のコレステロールしか含んでいない)模造卵食品を得ることができる。本発明に従って製造してもよい卵非含有模造卵食品としては、たとえば、オムレツ、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、茶碗蒸し、および目玉焼きが挙げられる。また、本発明の組成物は、ケーキ、カスタード(たとえばカスタードプディング)、タルト、クッキー、スフレ、フリッタータ、マフィン、パンケーキ、クレープ、スプレッド、パン、プディング、サラダ、スープ、ソース、タルト、詰め物、ソーセージ、フリッター、パイなどの調理食品を作製する調理法において使用することもできる。さらに、本発明の組成物は、加熱調理をしていない鶏卵を従来含むマヨネーズや飲料などの、加熱調理をしていない食品を作製する調理法においても使用することができる。
本明細書で述べる「鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性」または「調理した卵と類似した官能的特性」とは、これらの用語が指す卵非含有模造食品が、鶏卵を使用して従来の方法で製造した同じ種類の食品を模倣した官能的特性(味、香り、見た目、匂い、食感、口当たりなど)を有することを意味すると解される。
本明細書で述べる「卵」または「鶏卵」は、あらゆる食用の家禽卵を指し、鶏卵、ガチョウの卵、ウズラの卵、その他の鳥類から得られる公知の食用卵を含む。本明細書で述べる「卵白」は、卵黄が除去された前述の種類の卵を指す。同様に、本明細書で述べる「卵黄」は、卵白が除去された前述の種類の卵を指す。
水分を加えた本発明の組成物の調理機能性(熱凝固性、乳化性、起泡性など)は、鶏の全卵の調理機能性を非常によく模倣したものとすることができる。鶏卵は、乳化性、起泡性、特に熱凝固性などの有用な機能特性を数多く有しており、このような機能特性を有することから、様々な食品において鶏卵が幅広く使用されている。鶏卵の卵白は熱凝固性を有することから、鶏卵の卵白を使用して数多くの食品を製造することが可能となる。この熱凝固性は、約60℃において卵白の流動性が失われ、最終的には約80℃で強固なゲルを形成するという性質によるものである。鶏卵の卵黄は、卵白とは異なる熱凝固性を有し、約65℃で流動性を失い始め、約85℃で凝固して、柔らかくぽろぽろと崩れるような食感となる。卵黄のpHは約6.4であり、卵白のpHは約7.0〜9.0である。全卵のpHは約7.1〜7.9である。
本明細書で述べる「鶏卵と類似した調理機能性」とは、この用語が指す水分を加えた(かつ必要に応じて調理された)組成物が、鶏卵を模倣した物理的特性(たとえば、流動性、乳化性、起泡性、熱凝固性など)および化学的特性(たとえば、pH、栄養素の含量)を有することを意味すると解される。
さらに、水分を加えて加熱した本発明の組成物に、卵白または卵黄の官能的「食感品質」を付与するために、本発明の組成物中のホエイタンパク質と大豆材料の割合を様々に変えてもよい。このように、本発明の組成物の実施形態を使用して、鶏卵の両方の部分(すなわち卵白および卵黄)のそれぞれを模倣できることから、本発明の組成物の実施形態は、卵の見た目、味、食感、調理法および栄養を忠実に模倣することができ、鶏卵の代替として数多くの調理用途に利用することができる。また、本発明の組成物の実施形態を複数組み合わせることによって、鶏の全卵を使用した目玉焼き、半熟卵または茶碗蒸しの調理法で通常得られるような、形が崩れていない卵黄と、一緒に調理された卵白アルブミンを模倣してもよく、この場合も従来の調理方法を変更する必要はない。したがって、(形が崩れていない卵を調理する際などにおいて)卵白の機能および卵黄の機能を必要とする調理法では、模造黄色卵黄の調理品が模造卵白部分に取り囲まれるようにしてもよい。全卵の目玉焼き、全卵の半熟卵、電子レンジで調理した全卵、または全卵から調理した茶碗蒸しにおける各部分の食感、風味、色および見た目は、本発明の組成物を複数組み合わせることによって模倣することができる。あるいは、本発明の組成物の実施形態をいくつか使用して、マヨネーズの調理法に必要な、鶏卵の卵黄の乳化機能性を模倣してもよい。
本発明の組成物は、任意の適切な形態で提供してもよい。通常、本発明の組成物は、使用前に暫くの間保存されることから、液体と混合して使用する乾燥粉末の形態で提供してもよい。このような「ドライミックス」は、食品産業において一般的であり、消費者によく知られており、広く受け入れられている。ドライミックスは、常温で長期保存可能であるとともに、すぐに使用可能な消費者向けの製品であり、従来の調理法で本物の鶏卵を調理する場合と全く同じように、消費者の手によって水(または、たとえば牛乳などの別の水性液体)を加え、(たとえば、鶏卵で通常行うように、フォークまたは電動スティックブレンダーで泡立てるようにかき混ぜて)手動で混合することによって、すぐに使用可能な(たとえば調理可能な)卵様食品を得ることができる。
標準的なドライミックスと同じ方法で調製された乾燥調製物は、通常、水を混合することによって、使用可能な(たとえば調理可能な)卵様食品を得ることができる。しかし、スキムミルクまたはその他の種類の牛乳や、野菜の出し汁、肉の出し汁、鶏の出し汁などの様々な出し汁などの、その他の液状食品成分を水の代わりに、または水とともに使用することもできる(このような代替の液体は、微量のコレステロールを含んでいる場合があり、pHが中性ではない場合もあることには注意されたい)。
あるいは、本発明の組成物は、たとえば濃縮液またはバッター液などの液体の形態で提供してもよく、このような形態であれば、長期間にわたって本発明の組成物を保存することがないと考えられる商業施設のキッチンなどでの有用性が向上すると考えられる。このような濃縮液またはバッター液を冷蔵または冷凍した場合、液状組成物の安定性がさらに向上すると考えられる。本発明の別の一態様において、たとえば、液状の卵代替組成物は、本明細書に記載の本発明の組成物と水性液体を含む。このような「液状ミックス」は、恐らくは、同等の「ドライミックス」よりも保存期間が短くなるが、保存期間が比較的短くても実用には問題がなく、特に保存料または非加熱保存方法(たとえば高圧処理)を使用した場合、または液状ミックスを冷蔵保存または冷凍保存した場合には、実用に関して何ら問題はない。いくつかの実施形態において、常温で長期保存可能であり、ポンプ移送または注入が可能な液状の濃縮ミックスを、適切な量の油を使用して調製してもよい。このような常温で長期保存可能な液状組成物は、たとえば、産業用途に有用であると考えられる。
あるいは、本発明の組成物は、粉末形態と液体形態の混合物中に各成分を含んでいてもよい。たとえば、pH調整剤を液体形態で提供し、乾燥状態のその他の成分とは別の容器に入れてもよい。このような実施形態において、前記組成物に水分を加えて下ごしらえをする場合、液状のpH調整剤は、液体(たとえば水)とともに粉末に加えてもよい。
新鮮な卵のみの機能持性に依存する全卵調理法の例の1つとして、フランス風オムレツが挙げられる。フランス風オムレツは、ボールに入れた新鮮な卵2個を軽く泡立て、あらかじめバターを入れて弱火で加熱したフライパンに泡立てた卵を注ぎ、卵が固まり始めたら注意深くオムレツを数回回転させて巻き、通常フライパン側の表面に焼き色がなく、内側は水分を含んで柔らかくなり、ふんわりとした黄色の円筒形のオムレツを形成することによって作製される。この調理法は、模倣することが難しい卵食品であることが本発明者らによって見出されていたことから、本発明の組成物および最終的に得られる模造卵食品の機能性および官能的特性を評価するための基準として使用することができる。実際に、本発明者らは、鶏卵をのみ使用して作製したフランス風オムレツに匹敵するような、フランス風オムレツ調理品を完璧に模倣できる市販の卵代替品は存在しないことを見出している。
本発明の別の一態様において、本発明の組成物に水分を加えたもの、または本発明の液状組成物を加熱(すなわち調理)することによって製造された卵非含有模造卵調理食品を提供する。この卵非含有調理食品は、たとえば、オムレツ、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、茶碗蒸し、目玉焼き、または調理された卵白もしくは調理された卵黄を含む食品と類似した官能的特性を有する。
また、本発明の組成物は、オムレツ、目玉焼き、ポーチドエッグ、茶碗蒸し、目玉焼き、スクランブルエッグ、ケーキ、カスタード(たとえばカスタードプディング)、タルト、クッキー、スフレ、フリッタータ、マフィン、パンケーキ、クレープ、スプレッド、パン、プディング、サラダ、スープ、ソース、タルト、詰め物、ソーセージ、フリッター、パイなどの食品を作製する調理法において使用することができる。
本発明の組成物中のホエイタンパク質、大豆材料およびpH調整剤の相対的割合およびそれらの形態は、鶏卵と類似した調理機能性を有する水分を加えた組成物、および鶏卵から作製されたものと類似した官能的特性を有する調理食品を得るために様々に変更することができる。本発明の組成物中の各成分および/または本発明の組成物におけるこれらの相対的割合を様々に変更することによって、様々な食品を得ることができ、このようにして、様々な種類の卵含有食品と類似した官能的特性を有する様々な模造卵食品を得ることができる。特定の種類の卵非含有模造卵食品を形成することが可能な、本発明の組成物中に含まれる各成分に関する指針を以下で述べる。当業者であれば、本明細書に記載の教示に基づいて、日常的な実験以上のものを使用せずとも、恐らくは試行錯誤を行いながら、特定の組成物が本発明の範囲内であるかどうかを確認することができる。
ホエイタンパク質、大豆材料およびpH調整剤を含む特定の組成物が、本発明の第1の態様の範囲内に含まれるかどうかを確認するための試験は、当然のことながら、得られる食品の官能的特性(特に味および口当たり)を、卵を含む同じ食品と比較することによって行われる。本明細書で述べるフランス風オムレツを作製する試験は、たとえば、特定の組成物の官能的特性の評価に適した基準の1つである。ホエイタンパク質、大豆材料およびpH調整剤を含む特定の組成物に水分を加えて調理することによって、鶏卵を使用して作製したフランス風オムレツと類似した官能的特性を有する卵非含有模倣フランス風オムレツが得られた場合、その組成物は本発明の範囲内であると判断できる。また、その他の卵含有食品の調理法も同様によく知られている。
以下、本発明の組成物の各成分について説明する。
大豆材料
本発明の組成物は、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料を含む。
大豆および大豆由来の大豆材料は、タンパク質、油およびその他の重要な成分を多く含むが、コレステロールを含んでいない(実際、大豆や大豆材料は、コレステロールの吸収を低下させることが示されている)。全脂大豆粉は、タンパク質の含量が約42%であり、脂肪の含量が約21%である。全脂大豆粉は、大豆の皮を剥き、大豆の子葉に含まれる酵素(特にリポキシゲナーゼ)を失活させる条件に子葉を暴露させ、該酵素が、本発明の組成物中(または本発明の組成物が混合されるその他の食品中)のその他の成分と有害な相互作用を起こさないようにすることによって得ることができる。このような有害な相互作用の結果として、たとえば、ペンキ臭さや青臭さが発生することがあり、このような異臭は食品にとって非常に望ましくない。大豆材料中のリポキシゲナーゼを熱不活化することによって、有害な影響を起こしうるその他の酵素も失活されて、消化性を示す指標が上昇すると考えられる。
また、リポキシゲナーゼを欠損させた遺伝子組換え大豆が市販品として入手可能であることにも注目されたい。本発明者らは、本発明の組成物において遺伝子組換え大豆を特に試験しなかったが、このような遺伝子組換え大豆からでも、本発明において使用可能な、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉が得られると予想している。このような遺伝子組換え大豆は、天然の大豆よりも加工処理が少なく済むという利点がある。
処理された(すなわち、酵素を失活させたか、または酵素を欠損させた)大豆(たとえば、後述の大豆子葉)は、模造卵食品(たとえば最終的に得られる調理品)に「ざらついた」食感や口当たりを付与しないような粒度に粉砕される。実際に、最終的に得られる大豆粉は、模造卵食品において、粉の食感に気が付かない程度の粒度を有することが理想的である。
本発明において、大豆材料は、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉(すなわち、酵素を失活させた大豆粉)を含む(またはリポキシゲナーゼを失活させた大豆粉である)。いくつかの実施形態において、大豆材料は、酵素(リポキシゲナーゼ)を失活させた全脂大豆粉を含んでいてもよい(または酵素を失活させた全脂大豆粉である)。入手可能な様々な形態の大豆材料(いくつかは後述する)のうち、高品質な全脂大豆粉は、天然のものに近い大豆タンパク質を含むことから、本発明での使用に好ましい。高品質な全脂大豆粉に含まれる天然に近い大豆タンパク質は、ほとんど変性しておらず、高い分散性指標を示し(抽出したタンパク質では分散性が失われていることが多い)、使用時により迅速に水分を吸収することができる。このような大豆材料は、大豆風味のプロファイルが低く(または穏やかな大豆風味を有し)、バターのような自然な卵様の風味を有し、タンパク質の品質、タンパク質の溶解性、乳化性および抗酸化性に関して機能性が高く、大豆全体(子葉)に含まれる有益な天然成分の含量が比較的高く、天然の大豆油を含んでおり、比較的低コストであり、卵のような色を有している。本発明者らは、別の大豆加工技術(すなわち、後述の種類の大豆材料の製造方法)を利用すると、大豆タンパク質以外の成分の含量が低下する場合があり、タンパク質の溶解性が低下して異臭の発生が増加しうることを見出した。
いくつかの実施形態において、大豆材料は、酵素(すなわちリポキシゲナーゼ)を失活させた全粒大豆子葉粉(たとえば、リポキシゲナーゼを失活させた全脂全粒大豆子葉粉)を含んでいてもよい。たとえば、リポキシゲナーゼのみを失活させてトリプシン阻害因子活性が低下するように加工された全粒大豆子葉粉調製物を入手することができ、このような全粒大豆子葉粉調製物は、水溶解性および水分散性が高いまま維持されている。理想的には、本発明の組成物において使用される大豆材料は、(後述の)大豆タンパク質単離物を得るためなどに実施される通常の油抽出法で加工されたものではない。このような油抽出法による加工では、大豆タンパク質の溶解性が低下し、大豆タンパク質の色および風味が劣化することがある。詳細については後述する本発明の実施形態において、全粒大豆子葉粉調製物は、模造卵黄の見た目、機能性(たとえば乳化性および高い抗酸化活性)、色、食感、穏やかな風味、いくつかの望ましい栄養成分および味の特徴を付与することが見出された。
いくつかの実施形態において、前記大豆材料は加工大豆材料(PSM)である。制御された方法で加工された全脂大豆粉は、オーストラリア特許第559031号(参照により本明細書に援用される)に開示された方法および製品で例示されており、穏やかな風味、高い安定性、易湿潤性、分散性および顕著な乳化性を有するという利点がある。オーストラリア特許第559031号において開示されたこの加工大豆材料は、顕著な熱凝固性は持たないが、重要な点として、加熱すると凝固して、最終的に得られる調理食品に、卵黄とよく似た口当たりを与える。実際に、オーストラリア特許第559031号に開示された加工大豆材料は、本発明者らによって卵黄代替品として有用であることが判明しており、オーストラリア特許出願第2005216574号(この文献における開示は、参照により本明細書に援用される)の主題としてこの知見が利用されている。具体的には、加工大豆材料(およびオーストラリア特許出願第2005216574号に記載されているものと類似した大豆調製物)は、卵黄の食感品質によく似ており、経済的であり、天然の低飽和脂肪の含量が約21%であることが過去に判明している。また、加工大豆材料は、特に必須アミノ酸に関して比較的高い栄養価を有している。さらに、加工大豆材料は、有用な炭水化物含量を有し、ある程度の量の繊維を含み、容易に消化吸収されるが、低いグリセミック指数を示し、これらはいずれも健康に良い食品に有用な特性である。さらに、加工大豆材料は、レシチンおよびビタミンE、ならびにその他の微量栄養素の含量が高く、食品材料として理想的である。加工大豆材料中に含まれる抗酸化活性物質は、該加工大豆材料が添加された食品に安定性を付与できると考えられ(たとえば、食品中に含まれている脂質、脂肪酸および香味料を安定化させることによって安定性を付与する)、その結果、保存期間を改善することができる。さらに、加工大豆材料は非常に穏やかな味を有し、淡いクリームイエロー色をしていることから、卵を使用した調理法(後述の卵白模造品など)に容易に組み入れることができる。
加工大豆材料中に含まれる大豆材料(大豆タンパク質を含む)も、大豆タンパク質単離物や脱脂大豆粉の製造に使用される化学的抽出法で処理されたものではない。オーストラリア特許第559031号に記載の、制御下で穏やかに蒸す方法で加工大豆材料を製造することによって、大豆中のリポキシゲナーゼを失活させ(これによりペンキ臭さおよび青臭さの発生を抑制する)、タンパク質の溶解性を高いまま維持することができる。このように加工された大豆から製造された大豆粉を、特定の(非常に細かい)粒度に精製することによって、水性液体と混合した際に実質的に即座に水分を吸収するようにすることができ、最終的に得られる模造卵食品にざらついた口当たりがないようにすることができる。また、加工大豆材料粉は、食感、風味、凝固性、栄養などの卵様食品の品質に寄与することが可能な、天然のタンパク質、油、乳化剤、酸化防止剤、繊維および炭水化物の混合物であり、大豆抽出物では、このような卵様食品の品質を実現することはできない。
穏やかな風味のその他の大豆材料が、本発明の組成物または最終的に得られる模造卵食品に有利な特性を付与し(たとえば、大豆タンパク質の含量を増加させ)、(たとえば、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む組成物の機能性または官能的特性に悪影響を及ぼすことにより)本発明の組成物または最終的に得られる模造卵食品の性能に有害な影響を及ぼさない限り、このような材料も本発明の組成物に微量で使用してもよい。たとえば、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉の他に使用してもよいその他の形態の大豆材料としては、大豆タンパク質単離物(タンパク質含量:約90%)、大豆濃縮物(タンパク質含量:約70%)、脂肪が完全または部分的に除去された脱脂大豆粉(タンパク質含量が約50%であり、天然油が除去されている)、および脂肪を補充した大豆粉または大豆濃縮物が挙げられる。当業者であれば、ある程度の試行錯誤を伴うことがある日常的な実験を行うことによって、本発明の組成物から製造される模造卵食品の官能的特性に対するさらなる大豆材料の寄与を確認することができ、これによって、得られる組成物が本発明の範囲内であるかどうかを確認することができる。
加工大豆材料粉は、タンパク質の含量が約40〜43%であり、天然油の含量が約20〜22%である。前述したような、油の抽出法の副産物から得られるその他の大豆材料は、タンパク質の含量が約50%〜約90%の範囲であってもよく、前述したように本発明において使用してもよい(すなわち、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉の副原料として使用してもよい)。いくつかの実施形態において、選択された大豆材料とホエイタンパク質を混合することによって、選択したタンパク質含量とすることができ、必要に応じて、乾燥重量に基づいて全卵中のタンパク質含量(約55%)に近いものにすることもできる。
本発明の組成物中の大豆材料の含量は、本発明の組成物に水分を加えて調理することによって、鶏卵を使用して作製した同じ食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品が得られるような量である。大豆材料は、凝固性を有するホエイタンパク質に対して、制御された噛みやすい柔らかさを付与し、卵黄と類似した食感の口当たり、見た目および味を提供する。本発明者らは、過剰な量の大豆材料を添加すると(これに応じてホエイタンパク質の量を減らす必要がある)、(特にオムレツの)凝固性が失われ、中心が液状となり脆く凝固した食品が得られることを見出した。同様に、本発明者らは、大豆材料の含量が不十分であると、卵のような望ましい噛みやすくクリーミーな食感がない極めてゴムに近いオムレツが得られることを見出した。さらに、大豆材料は、水分を加えて調理された組成物からの離漿を低減することによって、食品の安定化を促進することができ、これは、恐らく、本発明の組成物中の繊維の含量および多糖類の含量が増えることに起因し、さらに全粒大豆粉中のレシチンの作用によるものであると考えられる。
本発明の組成物中の大豆材料の実際の量は、本発明の組成物から製造される卵食品の特性、大豆材料の種類、ホエイタンパク質の量および種類、ならびに本発明の組成物および/または食品中に含まれるその他の成分などの要因に応じて決まる。水分を加えた組成物および調理食品のpHも、大豆材料(およびホエイタンパク質)の必要量に影響を及ぼす。当業者であれば、本明細書に記載の指針としての教示を利用し、本発明の組成物中の大豆材料の様々な量を試行し、最終的に得られる模造卵食品を評価することを含む日常的な実験を行うことによって、適正量の大豆材料を含む組成物を製造することができる。
大豆材料は、最終的に得られる食品に機能的特性を付与するだけでなく、本発明の組成物の全体的な製造コストを低減することができる経済的な材料である。
概して言えば、本発明者らは、本発明の組成物中に、リポキシゲナーゼを失活させた全脂大豆粉が約15%w/w〜約50%w/w含まれているべきであると考えている。いくつかの実施形態において、たとえば、本発明の組成物中のリポキシゲナーゼを失活させた大豆粉の含量は、約18%w/w〜約50%w/w、約20%w/w〜約40%w/w、約25%w/w〜約45%w/w、約30%w/w〜約40%w/wまたは約35%w/w〜約40%w/wであってもよい。いくつかの実施形態において、たとえば、本発明の組成物中のリポキシゲナーゼを失活させた大豆粉の含量は、約15%w/w、約18%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/wまたは約50%w/wであってもよい。%w/wで示される値は、本明細書において乾燥組成物中の重量パーセント(%w/w)を示すことには注意されたい。
リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉に加えて、大豆単離物または大豆濃縮物(たとえば加工大豆材料(PSM)またはその他の大豆粉)を使用する場合、最終的な食品に大豆タンパク質の必要量を付加するのに十分な量で使用される。
ホエイタンパク質
本発明の組成物はホエイタンパク質をさらに含む。
前述したように、鶏卵は、ユニークな乳化性、起泡性および熱凝固性を有する。卵白は、約60℃で熱凝固し(すなわち固まり)、約80℃で強固なゲルを形成する。オムレツやスクランブルエッグなどの大部分の卵製品は、特徴的な官能的特性を得るために柔らかく凝固したゲルを必要とする。しかしながら、ホエイタンパク質のゲルが柔らかい場合は、通常不安定で離漿を起こし、これに対して、ホエイゲルが固い場合は、通常、半透明でゼラチンのような望ましくない見た目となり、調理した卵よりも顕著に固く、乾燥し、崩れやすい食感であることが多い。本発明者らは、驚くべきことに、予想外にも、ホエイタンパク質と、本発明の組成物のその他の重要な成分とを含む調製物は、加熱した場合に、柔らかく凝乳状に白色凝固した卵白の官能的特性と非常によく似た状態で凝固することを発見した。本発明のユニークな組成物中に含まれるホエイタンパク質のこのような熱凝固品質によって、鶏卵と非常によく似た調理機能性が組成物に付与される。さらに、ホエイタンパク質の栄養プロファイルおよび比較的穏やかな味は、卵白の栄養プロファイルおよび味と適度によく一致している。実際、本発明による組成物を使用して製造した模造卵食品は、本発明者らがこれまでに経験した他の卵代替食品よりも、鶏卵に近い官能的特性を有している。
ホエイタンパク質は様々な形態で提供してもよく、最も一般的な形態として、ホエイタンパク質単離物(タンパク質の含量が90重量%以上であり、タンパク質を有意に変性させることなく、脂肪、ラクトースおよび塩を実質的に除去する加工がされたもの)、ホエイタンパク質濃縮物(タンパク質の含量が約29〜89重量%であり、脂肪、コレステロールおよびラクトースも含む)、加水分解物(容易に代謝されるように加工されたホエイタンパク質)、および天然ホエイ(チーズの製造法の副産物ではなく、スキムミルクから抽出されたもの)が挙げられる。
よく知られているように、ホエイタンパク質は、ホエイタンパク質の供給源およびその加工方法に応じて、様々なタンパク質の混合物を含む。たとえば、ホエイは、通常、β−ラクトグロブリン(約65%)、α−ラクトグロブリン(約25%)、ウシ血清アルブミン(約8%)および免疫グロブリンの混合物である。
前述した形態のホエイタンパク質のうち、いずれを本発明に使用してもよいが、タンパク質含量が比較的高く(これによりゲル化が促進される)、脂肪含量が低く、塩分が低減されており、コレステロールおよびラクトース(糖類)を実質的に含んでいないことから、ホエイタンパク質単離物(WPI)が通常好ましく、未変性の可溶性ホエイタンパク質を含むホエイタンパク質単離物(WPI)が好ましい。このようなホエイタンパク質は、たとえば、膜分離処理またはイオン交換法によって作製してもよく、また、市販品として容易に入手可能である。また、ホエイタンパク質単離物(WPI)は、穏やかな風味を有し、白色〜クリーム色であり、通常、乳製品由来のスイートホエイを原料として(たとえば、スプレー乾燥などによって)すぐに使用できるような粉末の形態に加工されており、乳製品粉末加工業者から容易に入手可能である。
一方、いくつかの実施形態において、その他の形態のホエイタンパク質を使用すると有利な場合がある。あるいは、様々な形態のホエイタンパク質を組み合わせる(たとえば、ホエイタンパク質単離物と組み合わせる)ことによって有利な機能性または特性が付与される場合(たとえば、このような組み合わせによって、本発明の組成物または模造卵調理食品に別の栄養プロファイルが付与される場合)、様々な形態のホエイタンパク質を組み合わせると有利な場合がある。ホエイタンパク質単離物以外のホエイタンパク質を無害な量で使用すると、本発明の組成物にかかる総コストを下げることができる。たとえば、ホエイタンパク質単離物(WPI)(タンパク質含量:90%)とホエイタンパク質濃縮物(WPC)(タンパク質含量:35%または80%)を以下の割合:
(1)WPI(90%):WPC(80%)=1:1.7、
(2)WPI(90%):WPC(35%)=1:0.42、または
(3)WPI(90%):WPC(80%):WPC(35%)=1:0.21:0.21
で含む、ホエイタンパク質含有乾燥粉末の組み合わせを使用すると、適度に良好な食感で形成された模造オムレツが得られることが判明している。このようなオムレツにホエイタンパク質濃縮物が含まれていると、味がより甘くなる傾向があったが、このような特性は特定の状況下(たとえば、パンケーキなどを調理する場合などの、甘い味が所望とされるような状況下)では有利な場合がある。ホエイタンパク質濃縮物(WPC)を含むこのような食品はラクトースも含み、消費者の中には、ラクトースに対する耐性がない人もいることには注意されたい。
当業者であれば、本明細書に記載の指針としての教示を利用し、本発明の組成物において様々な形態(および量)のホエイタンパク質調製物を使用し、最終的に得られる模造卵食品を評価することを含む日常的な実験を、恐らくはある程度の試行錯誤を伴いながら実施することによって、所望の食品を得るための、適切なホエイタンパク質またはその組み合わせを含む組成物を調製することができる。
本発明の組成物中のホエイタンパク質の含量は、水分を加えた本発明の組成物を調理(すなわち加熱)することによって、鶏卵を使用して作製した食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品が得られるような量である。したがって、最終的に得られる調理された組成物は、卵を調理することによって食品に付与される特性を忠実に模倣する。実際に、ホエイタンパク質は、水分を加えて調理すると凝固するが、凝固の過程で大豆材料と一体となり、本明細書で開示されたユニークな模造卵食品が得られる。本明細書で述べる「凝固」は、固い食感が増加する不可逆的な移行を意味すると解され、これは、本発明の組成物に水分を加えた後、タンパク質がほどけて変性し粘度が増加したゲルまたはマトリックスを形成する温度にまで該組成物を加熱した場合に起こる。この効果は、圧縮抵抗の増加(たとえば、噛んだときの噛みきれる固さ)および液状部分の減少として物理的に示され、したがって、最終的に得られる半固体から固体の調理品から液が分離することはない。たとえばオムレツなどの卵調理食品の所望の凝固食感および見た目は、柔らかく凝固した不透明な卵白アルブミン、これよりも柔らかく凝固した不透明な黄色の卵黄、またはこれらの組み合わせで構成されており、得られる卵調理食品は、フォークで容易にカットでき、離漿が見られない。凝固したゲルは、脆すぎてはならず、ゴムのように固すぎてもいけず、口の中の水分を奪うものであってもいけない。また、透明であってもならず、液状であってもならず、脆すぎてもいけない。
本発明者らは、過剰な量のホエイタンパク質が含まれていると、過度に固い(たとえば)オムレツとなることがあり、脆いゴムのような望ましくない状態となりうることを見出した。同様に、本発明者らは、ホエイタンパク質の含量が不十分であると、過度に柔らかく、凝乳状で、凝固が不十分なオムレツとなりうることを見出した。本発明の組成物中のホエイタンパク質の実際の量は、本発明の組成物から製造される模造食品の特性、該組成物中の大豆材料の量、ならびに該組成物中に含まれるその他の成分などの要因に応じて決まる。ここでも、当業者であれば、本明細書に記載の指針としての教示を利用し、本発明の組成物中のホエイタンパク質の量を様々に変更して、最終的に得られた食品を評価することを含む日常的な実験を行うことによって、所望の官能的特性を有する卵非含有食品を製造するための、適切な量のホエイタンパク質を含む組成物を製造することができる。
しかし、概して言えば、本発明者らは、本発明の組成物(すなわち水分を加える前の組成物)中に、ホエイタンパク質が約28%w/w〜約70%w/w含まれているべきであると考えている。いくつかの実施形態において、たとえば、本発明の組成物中のホエイタンパク質の含量は、約30%w/w〜約60%w/w、約35%w/w〜約55%w/w、約40%w/w〜約50%w/w、または約35%w/w〜約45%w/wであってもよい。いくつかの実施形態において、たとえば、本発明の組成物中のホエイタンパク質の含量は、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/wまたは約70%w/wであってもよい。
これらの割合は、組成物自体(たとえば「ドライミックス」)における割合であることに注意されたい。調理前に、適切な量の水性液体で本発明の組成物に水分を加える。いくつかの実施形態において、たとえば(詳細に後述するように)、約75gの水に約25gの本発明の組成物を加えると、水分を加えた組成物中において各成分の割合(%w/w)が4分の1になる。
前述の量は、本発明の組成物中のホエイタンパク質の総量に関し、該組成物中のホエイタンパク質含有物質の総量と同じではない場合もあることには注意されたい(たとえば、ホエイタンパク質単離物(WPI)およびホエイタンパク質濃縮物(WPC)がホエイタンパク質の100%を占めるわけではない)。
また、前記範囲をわずかに外れる含量でホエイタンパク質を含む組成物を、本発明において使用してもよい。たとえば、ホエイタンパク質単離物(WPI)25%と、比較的少量のホエイタンパク質を補うためのガムを含む組成物から、満足のいく模造卵食品を作製してもよい。ここでも、当業者であれば、日常的な試行錯誤以上のものを使用せずに、そのような組成物が本発明の範囲内であることを判断できるであろう。
pH調整剤
本発明の組成物は、水分を加えた該組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤をさらに含む。前述したように、新鮮な卵黄のpHは約6.4であり、卵白のpHは約7.0〜9.0であり、全卵のpHは約7.1〜7.9である(ただし、これらのpHは長期保存中に約8.5と同程度まで上昇することがある)。本発明の組成物(すなわち液体形態の本発明の組成物)は、これらのpHを模倣するという利点があり、この利点によって、卵を使用した従来既存の調理法での用途に使用する場合に、本発明の組成物の官能的特性および予想される機能性を向上することができる。
さらに、ホエイタンパク質の熱凝固機能性は、pHの影響を受けることがあり、特に酸性条件下において顕著な影響を受けることがある。したがって、本発明の組成物中のその他の成分や、調理中に添加される可能性のあるその他の食品材料に関係なく、ホエイタンパク質が加熱凝固するように、本発明の組成物のpHがアルカリ性になるようにすることが重要である。
いくつかの実施形態(たとえば全卵様組成物の実施形態)において、pH調整剤は、水分を加えた前記組成物を、鶏卵と類似したpHであるpH約7.2〜8.5までアルカリ化するのに有効であってもよい。
アルカリ条件下での熱凝固が実質的に完了した後、得られた食品を酸性化して、所望の風味を達成し、かつ/または食品の保存安定性を向上させてもよいことには注意されたい。したがって、pH調整剤は、意図する模造食品に応じて、水分を加えた後のみ、または水分を加えた後の調理中において、本発明の組成物のアルカリ化に有効であってもよい。
pH調整剤が、水分を加えた後の組成物をアルカリ化することができ、かつ本発明の組成物(特にホエイタンパク質)の凝固に悪影響を及ぼしたり、最終的に得られる食品の官能的特性に悪影響を及ぼしたりしない限り、どのような食用pH調整剤を本発明において使用してもよい。pH調整剤は、本発明の組成物のpHを所望の(アルカリ性の)pHに維持するように作用してもよく、本発明の組成物のpHを所望の(アルカリ性の)pHまで上昇させるように作用してもよい。
当業者であれば、本明細書に記載の教示を使用し、日常的な実験以上のものを行うことなく、特定のpH調整剤が、本発明の組成物での使用に適しているかどうか判断することができる。pH調整化合物が、水分を加えた本発明の組成物をアルカリ化できず、本発明の組成物に水分を加えて調理しても、調理した卵と類似した官能的特性を有する模造卵食品を作製することができなかった場合、そのpH調整化合物は本発明の範囲外であると言える。pH調整剤を選択する際に考慮に入れるべきその他の因子として、アルカリ化剤としてのpH調整剤の溶解性、その粉末度および吸湿性が挙げられる。適切なpH調整剤の例としては、食品中に通常添加される酸(水分を加えた本発明の組成物のpHが高すぎるような状況は起こりそうにないが、このような状況が発生した場合)および塩基が挙げられる。pH調整剤は、たとえば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性リン酸カルシウム、酒石酸水素カリウムなどであってもよい。本発明者らが試験した具体的なpH調整剤としては、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、リン酸三カリウム(TKP)およびリン酸二ナトリウム二水和物(DSP)が挙げられる。さらに、アルカリ性リン酸塩を使用して、タンパク質の溶解および油と水の乳化を促進してもよく、このように、本発明の組成物にアルカリ性リン酸塩を添加することによってさらなる利点を付与してもよい。
いくつかの実施形態において、前述したようなpH調整剤を複数組み合わせることによって、本発明の組成物または調理品に有利な特性が付与される場合、このような複数のpH調整剤の組み合わせを使用してもよい。本発明者らによって有用であることが見出されたpH調整剤の組み合わせとして、たとえば、炭酸水素ナトリウムとリン酸三カリウムの組み合わせが挙げられる。本発明者らによって有用であることが見出された別のpH調整剤の組み合わせとしては、炭酸水素ナトリウムとリン酸三カリウムとリン酸二ナトリウム二水和物の組み合わせが挙げられる。ナトリウムが過剰に含まれていると、凝固に悪影響を及ぼす可能性があり、栄養的にも許容されないと考えられることから、いくつかの実施形態において、ナトリウム濃度が低くなるpH調整剤の組み合わせを使用すると好ましい場合がある。
たとえば、全粒大豆粉(加工大豆材料)8.4%w/w、ホエイタンパク質単離物(WPI)12.5%w/w、油3.8%w/wおよび水75%w/wを含む卵代替組成物を、前述の方法で調理してフランス風オムレツを製造した本発明者らによる一連の試行実験において、最も適していると判断されたpH調整剤(すなわち、鶏卵から作製されたオムレツと非常に類似した味を有する食品を得ることができたpH調整剤)は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)(0.25%)とリン酸三カリウム(TKP)(0.075%)の組み合わせであった。このpH調整剤によって、水分を加えた本発明の組成物のpHが7.2〜8.0に調整された。本発明の組成物においてpH調整剤を使用しなかった場合、該組成物のpHは約6.3〜6.6の酸性となり、卵非含有オムレツ調理品は凝固しなかった。
本発明の組成物中のpH調整剤の量は、水分を加えた該組成物を加熱/調理することによって、鶏卵を使用して作製された同じ食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品を得ることができるpHになるように、水分が加えられた該組成物をアルカリ化するのに有効な量である。本明細書に記載の指針としての教示に基づいて、日常的な試行および実験を行うことによって、特定の製剤における特定のpH調整剤の適切な量を確認することができる。しかしながら、通常、本発明の組成物(すなわちドライミックス)に含まれるpH調整剤の含量は、約0.2%w/w〜約1.8%w/wであってもよい。いくつかの実施形態において、たとえば、本発明の組成物中のpH調整剤の含量は、約0.8%w/w〜約1.2%w/w、または約1.0%w/w〜約1.2%w/wであってもよい。いくつかの実施形態において、たとえば、本発明の組成物中のpH調整剤の含量は、約0.2%w/w、約0.5%w/w、約0.8%w/w、約1.0%w/w、約1.2%w/w、約1.5%w/wまたは約1.8%w/wであってもよい。ここでも、これらの数値は乾燥組成物中の重量パーセント(%w/w)であることに注意されたい。前述したように、いくつかの実施形態において、pH調整剤は液体形態で提供してもよく、本発明の組成物の乾燥材料とは別の容器に入れてもよい。これに応じ、そのような実施形態において、各材料の割合(%w/w)を調整する必要があってもよい。

本発明の組成物は任意で油をさらに含み、油は本発明の組成物に栄養的価値を付加し、最終的に得られる卵様食品の官能的特性に有利に寄与する可能性がある。油を含む本発明の組成物は、たとえば、鶏卵から調理した食品と類似した口当たり、食感および風味を有しうる。また、油によって滑らかさと柔化作用を付加してもよい。さらに、本発明者らは、「ドライミックス」組成物に油を添加することによって、取扱性を向上させることができることを見出した。さらに、油は、本発明の乾燥粉末組成物の製造工程において有益な利点を付与することができ、たとえば、粉の散乱を防いだり、ビタミン類、着色料、香味料などのその他の油溶性材料の添加が容易になったりする。また、添加される油のうち、いくつかの種類は、本発明の食品に天然油由来の可溶性色素(たとえばビタミンの色素)を付与してもよく、このような可溶性色素も非常に栄養価が高い。
いくつかの実施形態において、前述と似た理由で、本発明の組成物はさらに脂肪を含んでいてもよい。動物油または魚油を使用することによって、たとえば、望ましいオメガ3脂肪酸またはドコサヘキサエン酸(DHA)脂肪酸を最終的な食品に導入してもよい。いくつかの実施形態において、脂肪は、取扱性を向上させるために水素添加されていてもよい。いくつかの実施形態において、脂肪は、(たとえば油の代用として)単独で使用してもよく、油と組み合わせて使用してもよい。
鶏卵の卵黄中の脂肪含量(26.5%)は、全卵の脂肪含量(10.1〜12%)の大部分を占めている。全卵の脂肪中の多価不飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸の比率は、0.34/1.4/1であり、すなわち、多価不飽和脂肪酸が12.4%を占め、一価不飽和脂肪酸が51.1%を占め、飽和脂肪酸が36.5%を占める。卵のコレステロールの含量は約375mg/100gである。本発明において、総脂質の含量、飽和脂肪酸の含量およびコレステロールの含量を最小限に抑えることができれば、健康的な食事に有益だと考えられる。
模造食品に必要とされる栄養価、消費者の嗜好、または様々な調理法において必要とされる機能性に応じて、鶏卵と同程度の脂肪量、それを超える脂肪量またはそれ未満の脂肪量を達成するために、本発明の組成物に油を加えることができる。大量の油を使用してスラリー形態の組成物を得てもよく、これによって、加工処理工程においてポンプでの移送が可能となる。調理前に水で希釈すると、脂肪含量は卵と類似した量になる。本発明の組成物に添加される油は、植物由来であることが望ましく、たとえば、ヒマワリ種子油、ベニバナ油、キャノーラ油、ナタネ油、米油、パーム果実油、ゴマ油および綿実油が挙げられる。また、トウモロコシ油、ラッカセイ油、オリーブ油、米油または大豆油を使用してもよい。硬化油や硬化脂肪などの、その他の植物由来食用油を使用してもよい。様々な脂肪酸飽和度の油の混合物を加えてもよい。植物油は、完全に水素添加されていてもよく、部分的に水素添加されていてもよい。あるいは、植物油は、植物油、完全に水素添加された植物油および部分的に水素添加された植物油のうちの1種以上の混合物であってもよい。
脂肪に溶解するその他の材料をドライプレミックスに添加することを目的として、乾燥材料に油を添加することもでき、脂肪に溶解する材料としては、たとえば、乳化剤、酸化防止剤、ビタミン類(ルテインやゼアキサンチンなどのキサントフィル、トコフェロール、葉酸、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)、香味料および着色料が挙げられ、これらは、鶏卵に通常含まれている。油の添加によって、本発明の組成物中のビタミン類(など)の保存期間が延長されてもよい。
ドライプレミックスに添加される油の量は、0〜約45%であってもよいが、この脂肪含量のうちの一部は、大豆材料または本発明の組成物中のその他の材料に由来してもよい。油(好ましくは植物油)は、(乾燥)組成物の重量に対して約0〜約30%w/wの範囲であってもよく、約10〜約20%w/wであることがより好ましい。本発明の組成物が、ペースト状の組成物またはポンプで移送可能な組成物の形態である実施形態において、該組成物中の油の含量は、約30〜45%w/wの範囲であってもよい。
水分を加えた場合の、本発明の実施形態による組成物の脂肪含量は、平均総脂肪量が6.78%であってもよく、そのうち、多価不飽和脂肪酸が4.02%を占め、一価不飽和脂肪酸が1.54%を占め、飽和脂肪酸が0.91%を占める。コレステロールの含量は、約0〜0.17mg/100gであった。前述したように、本発明の卵様食品の脂肪含量のうちの少なくとも一部は、添加した全粒大豆粉(たとえば加工大豆材料)に由来するものである。全粒大豆粉に由来する脂肪は、非常に健康的な植物性脂肪であり、前述の実施形態において、最終製品の約1.75%を占める。
フランス風オムレツの形態である食品の製造用の組成物の特定の実施形態を以下で述べる。これらの実験の結果を(以下の)表1に示し、以下で説明する。
新鮮な卵(実験i)、市販の卵粉末(実験ii)、本発明の特定の組成物に水分を加えたもの(実験iii〜viii、実験xおよび実験xi)または本発明の範囲外の組成物(実験ix)から、フランス風オムレツの調理法を使用して調理した食品の特性を以下の表1に示した。
これらの実験では、以下の表に示した各ホエイタンパク質を、油(16%w/w、乾燥組成物)、炭酸水素ナトリウム(1%w/w、乾燥組成物)とリン酸三カリウム(0.3%、乾燥組成物)とを含むpH調整剤、および全粒大豆粉(前述した加工大豆材料(PSM))と混合し、乾燥組成物の総量を100%w/wとした。次に、この粉末混合組成物25gを小さめのボールに入れ、水75gを加え、得られた混合物をフォークで1分間泡立てるようにかき混ぜた。泡立てるようにかき混ぜた混合物を、予熱して油を引いた24cmのフライパンに注ぎ、調理面に広げ、固まり始めたら巻いていき、オムレツを得た(前述参照)。
次に、最終的に得られた食品の官能的特性を調べるため、パネリストにより調理品質および官能的特性を評価し、採点を行った。この際、以下の点について評価を行った。
1.凝固の程度および調理中の混合物の巻き易さ
2.巻かれた形状を維持する能力
3.膨張度(体積)
4.調理中および調理後の離漿の程度
5.色
6.風味
7.食感
8.香り
9.調理品の嚥下の容易さ

パネリストによる評価において、9ポイントの嗜好尺度を使用した(Carpenter, R. P., Lyon, D. H and Hasdell, T. A. 2000. Guidelines for Sensory Analysis in Food Product Development and Quality Control. Aspen Publisher. 2ed. 210p. Gaithersburg, Maryland)。
Figure 2020521513
表1に示した結果から分かるように、表に記載の組成物/食品の実施形態において、ホエイタンパク質(この場合、好ましくはホエイタンパク質単離物(WPI))の理想的な量は、約7.53%w/w〜約11.25%w/wである(実験No.iii、ivおよびvのオムレツは、鶏卵から作製されたオムレツに近い調理スコアを有している)。オムレツの形態で調理された全卵に最も類似した模造品を得ることが可能な、加工大豆材料(PSM)およびホエイタンパク質単離物(WPI)に由来する総タンパク質の最適な濃度は、約12.55〜14.6%w/wであり、約14.0%w/wが最も適している。
実験iiiでは、オムレツ中のホエイタンパク質の総濃度は7.5%w/wであり(ホエイタンパク質単離物(WPI):8.4%w/w、WPI中のホエイタンパク質の含量は90%である)、非常に良好なオムレツ製品が形成された。実験ivにおいて、ホエイタンパク質の総濃度を10%w/wまで上昇させると(11.25%×WPI中のタンパク質含量90%w/w)、オムレツのしっとりさおよび安定性が改善した。同じホエイタンパク質濃度のホエイタンパク質濃縮物(WPC)(80%)でホエイタンパク質単離物(WPI)(90%)の一部を置き換えたところ、ホエイタンパク質の総濃度は15.9%になり(実験vi)、増えた重量の分だけ加工大豆材料(PSM)の量を減らしたが、実験ivのもの(実験ivのオムレツは、他のものよりも水分が多く、本物の卵と類似した優れた食感性を有していた)よりも乾燥し、脆く、金属のような異味がしたものの、良好なオムレツを形成することができた。ホエイタンパク質単離物(WPI)に由来するホエイタンパク質の濃度が高いと(たとえば11.6%w/w;実験v)、より強固な食感を達成することができ、もし消費者の嗜好に合うのであれば、有益だと考えられる。
実験viiおよび実験viiiでは、ホエイタンパク質の総濃度はそれぞれ7.31%w/wおよび6.75%w/wしかなく、いずれの組成物でも凝固性が低下した。本発明者らは、ホエイタンパク質濃縮物が含まれている場合に、負の影響があることに気付いたが、これは恐らく、ホエイタンパク質濃縮物を含む調製物中に、残留塩、ラクトースおよび変性タンパク質が比較的高濃度で含まれていたことによると考えられた。ホエイタンパク質濃縮物(WPC)を使用した実験viのように、ホエイタンパク質の総濃度を15.6%w/wに増加させた場合であっても、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)を加えたことによって、実験ivにおける加工大豆材料(PSM)の含量(9.43%)よりも加工大豆材料(PSM)の含量を減らした(1.74%w/w)ことから、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)による拮抗作用がなお見られた。
例示した模造オムレツにおいて、凝固性を付与できる(しかしわずかに官能的特性が劣る)ホエイタンパク質の最小量は約6.48%である(実施例xi)。オムレツに満足な食感を付与するホエイタンパク質の最大量は、約13.5%である(実施例x)。ホエイタンパク質が過剰量であると過度に固い食感となり、ホエイタンパク質濃縮物が少なすぎたり、多すぎたりすると、不十分な凝固となる。
表1に示した模造卵食品における(加工大豆材料(PSM)に由来する)大豆材料の最小量は約5.5%w/wであり、加工大豆材料に由来する大豆材料の含量の最大量は約12.5%w/wであることが分かった。これらの組成物において、加工大豆材料の含量が少なすぎると、これよりも多量に含まれるホエイタンパク質が大きな効果を発揮するため、過度に強固で、歯ごたえのある食感となり、水分を含んだ味が失われ、柔らかく凝固せず、離漿を示す傾向がある。逆に、加工大豆材料の含量が多すぎると、ホエイタンパク質単離物の凝固作用が弱まり、凝固性が失われて、オムレツの中心の液状性が増し、脆く凝固する。前述の実験に基づくと、ホエイタンパク質単離物(WPI)の含量が11.25%w/wである場合、オムレツの形態の卵模造食品における加工大豆材料由来の大豆材料の最適な含量は、約9.13%w/wであった。
表1に示した結果から明らかなように、少なくとも表1に記載した組成物(すなわち、本明細書に記載のその他の成分も含む組成物)のうち、実験iのもの(すなわち鶏卵のみを使用して調理されたフランス風オムレツ)と類似した官能的特性を有する模造卵食品を得ることができなかった組成物に関して言えば、ホエイタンパク質の量は、本発明の範囲外である。同様に、実施例iのフランス風オムレツと類似した官能的特性を有する模造卵食品を得ることができなかった組成物における大豆材料の量は、本発明の範囲外である。
さらに、表1から分かるように、たとえ少量であっても、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)がこれらの組成物中に含まれている場合、ホエイタンパク質の凝固機能性が低下しうる。本発明者らは、これは、増加した塩分(ホエイタンパク質濃縮物には塩分が含まれていることが多い)と、恐らくは(ホエイタンパク質濃縮物の製造方法に起因して)未変性ホエイタンパク質の含量が比較的少ないことによるものであると推測している。したがって、(たとえば、本発明の組成物中のタンパク質含量を増加させることを目的として)このような形態のホエイタンパク質を使用するにあたっては、注意深く評価する必要がある。
前述の実験に基づいて、本発明者らは、フランス風オムレツの製造用の組成物の実施形態における、ホエイタンパク質単離物(WPI)および加工大豆材料(PSM)の最小量、最大量および好ましい量と、これらの量における両者の割合を決定した。これらの実験の結果を以下の表2にまとめる。各成分の割合は、前述の液体形態の組成物(すなわち、乾燥組成物25gを水75gと混合して得た液状組成物)における割合として示されていることには注意されたい。したがって、元の乾燥組成物中の各成分の割合は、4倍することによって求めることができる。
Figure 2020521513
卵様食品(特にこの場合ではフランス風オムレツ)を得るための、前記組成物を使用した前述の方法論は、本発明の範囲内であるその他の組成物にも広く適用可能であり、特定の形態および特定の量のホエイタンパク質、および特定の形態および特定の量の大豆材料が、本発明の範囲内であるかどうかを確認するためにも広く使用できる。フランス風オムレツ以外の卵様食品における適用において、全卵食品の模造またはその他の調理法で使用される卵代替品の提供を目的として、ホエイタンパク質と大豆材料の比率およびそれらの種類を調節することによって、最終製品を製造/形成することができる。特定の場合では、各成分を極端な比率で含む組成物が有用な場合もある。たとえば、模造卵白を得る場合、ホエイタンパク質を最大量で使用してもよく、模造卵黄を得る場合、大豆材料(たとえば加工大豆材料)を最大量で使用してもよい。
本発明者らは、驚くべきことに、表1に示した組成物と類似した組成物中の加工大豆材料(PSM)の量とホエイタンパク質単離物(WPI)の量を調節して、ドライミックス組成物を調製し、(加工大豆材料の量をホエイタンパク質の量よりも比較的少なくして)模造鶏卵卵白の調理品を作製するとともに、これとは全く逆にして(すなわち、ホエイタンパク質の量を加工大豆材料の量よりも比較的少なくして)模造卵黄の調理品を作製することができたことも見出した。たとえば、水分を加えた組成物中の加工大豆材料(PSM)とホエイタンパク質単離物(WPI)の比率を約1部:3.7部とすることによって、柔らかい模造調理卵白を製造してもよい。また、たとえば、水分を加えた組成物中の加工大豆材料(PSM)とホエイタンパク質単離物(WPI)の比率を約1部:1.1部とすることによって、柔らかい模造調理卵黄を製造してもよい。
さらに、本発明者らは、大豆タンパク質単離物の形態の大豆材料を使用すると、前述のような結果は得られないことを見出したが、これは、恐らく大豆タンパク質単離物の加工工程中に大豆タンパク質に損傷が起こることによると推測された。実際、前述と類似した実験において、加工大豆材料の代わりに大豆タンパク質単離物を使用したところ、暗褐色の製品が得られ、調理中に亀裂が入って離漿が生じ、良好な体積のオムレツを形成するのが難しく、豆臭さも発生することが分かった。
使用可能なその他の材料
本発明の組成物は、任意でさらなる材料をさらに含んでいてもよく、このようなさらなる材料は、本明細書に記載の機能特性および官能的特性に悪影響を及ぼさず、本発明の組成物および最終的に得られる模造卵食品の改善に有用なものである。このようなさらなる材料の例を以下で述べる。
本発明の組成物は、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩をさらに含んでいてもよい。塩は、イオン強度効果を増加させることによって、ホエイタンパク質のゲル化を誘導することが過去に報告されている。一般に、卵含有食品には食塩が加えられることから、塩化ナトリウムを使用して本発明の食品の味を向上させてもよい。本発明の組成物中に塩化ナトリウムが含まれる場合、本発明の(乾燥)組成物中の塩化ナトリウムの含量は、約0.5%w/w以下であるべきである。本発明者らは、塩化ナトリウムの濃度が過剰であると(たとえば乾燥組成物の重量の1%を超えると)、調理品の食感を邪魔し、ざらつき感を引き起こし、スポンジ状の食感をもたらし、オムレツ模造食品の凝固が均一にならないことを見出している。したがって、調理が終わってから、さらなる塩化ナトリウムを加え、味を見た方がよいと考えられる。
本発明の組成物は、糖類をさらに含んでいてもよい。糖類により、本発明の組成物および最終的に得られる食品に甘味を与えてもよい。また、加熱された調理面に糖類が接触するとカラメル化することから、(たとえば、アメリカ風オムレツや目玉焼きなどでは焼き色が所望されるように)糖類によって、本発明の食品に調理したときの色が付きやすくなるようにしてもよい(ただし、本発明の組成物が、ラクトースを多く含むホエイ粉末を含む場合、糖類を加えなくても焼き色を付けることができると考えられる)。また、本発明の組成物は、甘味料をさらに含んでいてもよい。甘味料は、食用グレードの糖類であってもよく、たとえば、固形コーンシロップ、コーンシロップ、ラクトース、デキストリン、ショ糖、デキストロース、フルクトース、デンプン、加工デンプン、フルクトース、マルトデキストリン、ポリデキストロース、多価アルコール、これらの組み合わせなどが挙げられる。本発明の組成物中に糖類または甘味料が含まれる場合、本発明の組成物中の該糖類または該甘味料は、最終的に得られる食品に甘味を付与するのに有効な量で含まれ、たとえば、本発明の組成物の重量に対して約0.5〜約15重量%の範囲であり、約1%〜約9重量%であることがより好ましい。
別の一実施形態において、前記甘味料は、非栄養甘味料であってもよく、たとえば、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファム(たとえばアセスルファムK)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ステビア甘味料、タウマチン、グリチルリチン、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、フラクトオリゴ糖甘味料などが挙げられる。本発明の組成物中に非栄養甘味料が含まれる場合、本発明の組成物中の該非栄養甘味料の含量は、0.001重量%程度の微量であり、ただし、約0.05重量%〜約2.5重量%の範囲の量であるとより有用である場合があるが、その含量は非栄養甘味料の甘みの強さによる。
本発明の組成物は、該組成物中の各材料の均質化を促進し、各材料をより均一に分散させるために、乳化剤をさらに含んでいてもよい。市販の乳化剤としては、レシチン;リゾレシチン;レシチンのホスファチジルコリン濃縮画分;ポリソルベート;モノグリセリド;ジグリセリド;モノグリセリドおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル;モノグリセリドおよびジグリセリドのリン酸一ナトリウム誘導体;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;フマル酸、乳酸、酒石酸およびクエン酸からなる群から選択される酸のエステルと、脂肪酸または脂肪族アルコールとの組み合わせ;フマル酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、酢酸およびコハク酸からなる群から選択される酸のエステルと、モノグリセリドまたはジグリセリドとの組み合わせ;ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。本発明の組成物中に乳化剤が含まれる場合、該乳化剤は、本発明の組成物中の各成分を乳化するのに有効な量で含まれ、たとえば、約0.05〜約5%の範囲の量であり、たとえば、約0.1〜約1重量%である。
本発明の組成物は香味料をさらに含んでいてもよい。適切な香味剤としては、デキストロース;グルタミン酸一ナトリウム;酵母加水分解物;タマネギ、ニンニク、トウガラシ、海草、ショウガ、カプサイシン、ウコン、セロリ、卵、卵模倣香味料、コショウなどの香辛料抽出物(ただしこれらに限定されない);食塩;などが挙げられる。いくつかの模造卵食品に望ましいと考えられるその他の香味料としては、たとえば、バニラ、シナモン、ナツメグ、チョコレート、ハチミツおよびバターが挙げられる(これらは、甘い食品への使用に特に有用だと考えられる)。本発明の組成物中に香味料が含まれる場合、該香味料は、風味を付加するのに有効な量で含まれ、たとえば、約0.1%〜約10%(w/w)の範囲の量であり、たとえば、約0.2%〜約5%(w/w)である。
本発明の組成物は着色料をさらに含んでいてもよい。着色料はマーケティングに重要であり、製品が消費者に受け入れられやすくするためにも重要だと考えられる。適切な着色料としては、フラボノイド、フェノール、カロテノイド、キサントフィル、クロロフィル、ベタレイン、FD&C Yellow No. 5、およびFDAの認可を受けた類似の着色料(たとえば、Durkeeブランドの「Egg shade」)が挙げられる。本発明の組成物中に着色料が含まれる場合、該着色料は微量で含まれ、たとえば、約0.01重量%〜約5重量%の範囲であり、たとえば、約0.1重量%〜約2重量%、たとえば、約0.5重量%〜約1重量%である。
本発明の組成物は、製品の保存期間を延長し、酸敗しないように、酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。当技術分野で公知の酸化防止剤を使用してもよく、このようなものとして、トコフェロール、アスコルビン酸塩、ビタミンE、亜硫酸塩、EDTA、没食子酸塩、フェノールなどが挙げられる。本発明の組成物中に酸化防止剤が含まれる場合、該酸化防止剤は、抗酸化に有効な量で含まれ、たとえば、約1重量%未満の量で含まれる。前述したように、加工大豆材料(PSM)を含む大豆材料は、ビタミンEなどのビタミン類を含んでいることが多く、ビタミンEは非常に強力な酸化防止剤である。このようなビタミン類は、特に本発明の組成物が油を含む場合に、本発明の組成物全体と密接に混合することができる。
本発明の組成物は、安定剤をさらに含んでいてもよい(安定剤は乳化剤と同様に機能してもよい)。安定剤は、製品を乳化し安定化させる1種以上の構成成分を含んでいてもよい。安定剤としては、植物性ガム、たとえば、キサンタンガム、ローカストビーンガム(カロブビーンガム)、アガーガム、カラギーン、グアー、トラガカントガム(これらはいずれも任意でデキストロースと混合してもよい);認証を受けたデンプン;カラギーン;モノグリセリド;およびジグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物中に安定剤が含まれる場合、該安定剤は安定化に有効な量で含まれ、たとえば、本発明の組成物の重量に対して約0.1〜約1.5重量%の範囲で含まれる。
本発明の組成物は、ビタミン類またはミネラルをさらに含んでいてもよい。このビタミン成分は、たとえば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンEなどを含んでいてもよい。ミネラルとしては、カルシウム、カリウム、亜リン酸塩、マグネシウム、硫黄、ナトリウムなどが挙げられる(これらのミネラルは、塩の形態または有機キレートの形態で含まれていてもよい)。本発明の組成物中にビタミン成分またはミネラル成分が含まれる場合、該ビタミン成分またはミネラル成分は、本発明の組成物の重量に対して約0.01重量%〜約0.5重量%の範囲の量で含まれる。
本発明の組成物は、製品の保存期間を延長するために、保存料をさらに含んでいてもよい。本発明の組成物が水分を加えた液体形態である場合に保存料が特に必要となる。食用グレードの適切な保存料であれば、どのようなものを使用してもよく、適切な保存料の具体例としては、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の組成物中に保存料が含まれる場合、該保存料は本発明の組成物の保存に有効な量で含まれ、この有効量は、通常約1%(w/w)未満である。
別の方法では、水分を加えた液体形態の本発明の組成物は、非加熱処理方法を使用して微生物学的に安定化されていてもよく、たとえば、高気圧処理を行った後、チルド冷蔵保存してもよい。
微量のカルシウム、亜鉛、その他の微量元素などのさらなるミネラル添加物、および/またはさらなるビタミン類の添加が有益である場合、これらを本発明の組成物に加えてもよい。ミネラルの供給源のいくつかは酸味物質中に含まれているが、このことを考慮に入れて、本発明の組成物への酸味物質の添加が、本発明の組成物の機能性または最終的な食品の官能的特性に悪影響を及ぼさないようにする必要がある。
本発明の組成物は、常温で長期保存可能なプロバイオティクス成分およびプレバイオティクス成分、ならびに/またはその他の栄養増強剤をさらに含んでいてもよい。本発明の組成物中にこのような成分が含まれる場合、これらの成分は有効量で含まれ、たとえば、約1%(w/w)未満の量で含まれる。
別の態様において、本発明は、卵非含有模造卵調理食品を製造する方法に関する。一態様において、このような方法は、たとえば、
ホエイタンパク質、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH剤、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;
前記乾燥混合物を液体と混合する工程;ならびに
前記混合物を調理して、鶏卵を使用して形成された卵食品と類似した官能的特性を有する卵非含有模造卵調理食品を得る工程
を含む。
別の一態様において、前記方法は、
ホエイタンパク質 約28%w/w〜約70%w/w、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉 約15%w/w〜約50%w/w、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤 約0.2%w/w〜約1.8%w/w、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;
前記乾燥混合物を液体と混合する工程;ならびに
前記混合物を調理して、鶏卵を使用して形成された卵食品と類似した官能的特性を有する卵非含有模造卵調理食品を得る工程
を含んでいてもよい。
さらに別の一態様において、本発明は、加熱調理をしていない卵非含有模造卵食品(たとえば、加熱調理をしていない鶏卵を従来含むマヨネーズまたは飲料)を製造する方法に関する。このような方法は、たとえば、
ホエイタンパク質、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH剤、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;ならびに
前記乾燥混合物を液体と混合する工程
を含んでいてもよい。
本発明の組成物中に乾燥材料および油が含まれる場合、適切な手法を使用して、これらの乾燥材料および油を混合することによって、「ドライミックス」と呼ばれる粉末を得てもよい。「ドライミックス」とは、さらさらしたパン粉のような混合物を指す。本発明者らは、このような方法で調製した本発明の組成物の実施形態は、驚くべきことに、恐らくは油の保護作用によって(油によって組成物中の粒子がコーティングされ、さらに、油に酸化防止剤などを担持することができるため)、酸化および酸敗に抵抗性を示すことがあることを見出した。加工大豆材料(PSM)を含む本発明の実施形態では、加工大豆材料中に含まれる酸化防止剤によって、各材料が混合された食品を保護してもよい。
食品が滑らかな口当たりを有するようにするため、すなわち、オムレツ、スクランブルエッグ、カスタードなどの、卵を使用した食品に特徴的なように、口の中に粉っぽさを感じないようにするため、前記粉末中の粒子の粒度を小さくすることが理想的である。したがって、本発明の組成物の各成分の平均粒度は、約100μm未満、たとえば約50μm未満、たとえば約40μm未満、たとえば約30μm未満、たとえば約20〜約30μmであることが望ましい。特定のバッチにおける粒度は、ある程度のバラツキがある場合があるものの、本発明の組成物中の粒子の平均粒度は、通常約50μm未満などである。粒度は、当技術分野でよく知られている方法を使用して容易に測定することができる。粒度について述べる場合、この粒度は、粒子の一端から他端に伸びる想像線上の2点間の距離を意味し、この想像線は該粒子の中央を通過していなければならない。たとえば、粒子が球体である場合、平均粒度は該粒子の直径を指す。
本発明の組成物に含まれる成分の大部分は粒子を有するが、これらの成分のうち、最終的に得られる模造卵食品にざらついた口当たりを与えうる成分は、大豆材料である(大豆材料の少なくとも一部は大豆粉の形態で提供される)。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の組成物のその他の成分と混合する前に、大豆材料(たとえば加工大豆材料(PSM))の機械的処理を行ってもよい。別の方法では、各成分を混合して組成物と油の混合物を得た後、この混合物を機械的に処理して、該組成物中の粒子が即座に水分を吸収し、かつ粉末のダマができないような(すなわち粒子が凝集しないような)粒度になるまで、該混合物の粒度を可能な限り小さくする。通常、食品に滑らかな口当たりが付与される程度まで、すなわち、口の中に粉っぽさを感じない程度まで粒度を小さくする。
得られた精製乾燥製品に、たとえば、ほぼ室温(24℃/75°F)の水などの水性液体を混合すると、急速に再構築されて、水分を吸収した組成物が形成される。「急速に水分を吸収する」とは、乾燥混合製品に、室温または24℃(75°F)の所定量の水を加え、約20〜60秒間混合することによって、該乾燥混合製品が完全に分散/溶解することを指す。
前述のようにして形成した液状組成物を、通常は卵を含む調理法または食品に組み込むことによって、卵の成分を完全に置換してもよい。たとえば、本発明の組成物を適切に調味および調理することによって、オムレツ、目玉焼き、スクランブルエッグ、ゆで卵、ポーチドエッグ、茶碗蒸しなどを製造してもよい。あるいは、卵を従来使用する食品に本発明の組成物を加えてもよく、たとえば、カスタードプディング、カスタードソース、デザートなどに加えてもよく;キッシュ、クレープ、パンケーキまたはワッフルに使用してもよく;マフィン、ケーキ、クッキー、酵母で発酵した製品(パンなど)などのベーカリー製品において使用してもよく;フリッターのつなぎとして使用してもよく;バッター液、マヨネーズ、サラダドレッシング、温かい清涼飲料または冷たい清涼飲料(たとえばエッグノッグ)、スプレッド、ソース、栄養製品または栄養補助食品などにおいて使用してもよく;通常の新鮮な卵を使用するその他の調理法で使用してもよい。水分を加えた本発明の組成物を食品に加える場合、該組成物は、鶏卵と同じように使用してもよく、卵を完全に置換することができる。本発明の組成物を、天然の卵と同じ量でその他の材料に加え、天然の卵を含む製品と同じ方法で模造卵食品を作製することが理想的である。
本発明の別の有益な特徴の1つとして、水分を加えた本発明の組成物は、消費前に加熱調理を必要としないことが挙げられる。また、本発明の組成物は常温で長期保存可能であることから、各材料中の微生物含量は非常に少なく、鳥類関連疾患を伝播することがないという、新鮮な卵と比べて明らかな利点を有する。たとえば、マヨネーズ製品の作製では、加熱調理は必要とされず、本発明を使用して卵黄を模造することができる。卵を加熱調理する必要のない別の例として、卵入りミルクセーキが挙げられる。
このように、本発明の組成物を使用して、鶏卵を完全に置換することができ、これは前述した理由により有益であると考えられる。
全卵を使用した調理法の多くは、卵黄または卵白を別々に調理することを特徴としている。前述したように、本発明者らは、驚くべきことに、本発明によって、卵白の状態から卵黄の状態までの様々な段階の特徴を、作製した食品において再現できることを発見した。たとえば、特定の組成物において、加工大豆材料の相対的割合を増加させ、ホエイタンパク質の相対的割合を減少させることによって、調理された模造卵黄の食感および組成を得ることができる。このようにして得た組成物に、トコフェロール、カロテノイド、ルテイン、その他の色素などの、天然の色素を加えることによって、天然の卵黄の実際の色および栄養価を得ることができる。また、加工大豆材料の含量が比較的少なく、ホエイタンパク質単離物の含量が比較的多くなるように処方された無着色のドライミックス組成物と、前記模造卵黄組成物とを混合し、(一緒にまたは別々に)調理することによって、卵白アルブミンおよび黄色卵黄からなる天然の混合物を模造することができる。
模造全卵の別の一態様において、本発明による2種類のプレミックスに別々に水分を加え、適切な型に入れて、中心に位置する卵黄の周りをリング状の卵白が取り囲むように整形し、次いで調理することよって全卵様の食品を形成してもよい。連続生産ラインを構成するために同時押出し調理器を使用してもよく、最終的に得られた冷蔵または冷凍された模造調理全卵を、蒸したり、湯煎したり、焼いたりすることにより調理される模造卵白および模造卵黄として、フードサービスで使用してもよい。
一例として、加工大豆材料(PSM)約36%w/wおよびホエイタンパク質単離物(WPI)約45%w/wを含むドライミックス組成物を使用して全卵を模造してもよい。一方、卵白模造組成物は、加工大豆材料(PSM)約18%w/wおよびホエイタンパク質単離物(WPI)約67%w/wを含んでいてもよく、卵黄模造組成物は、加工大豆材料(PSM)約40%w/wおよびホエイタンパク質単離物(WPI)約39%w/wを含んでいてもよい。柔らかい卵黄を有する模造卵食品の作製では、加工大豆材料(PSM)約50%w/wおよびホエイタンパク質単離物(WPI)約28%w/wを含む組成物が適している。特定の組成物中のPSM/WPI(および、より一般的に言えば、大豆材料/ホエイタンパク質)の割合を様々に変えることによって、鶏卵の卵黄または卵白と類似した調理特性を有する組成物を得ることができる。
本発明の特定の実施形態を、オムレツ、スクランブルエッグ、カスタードなどの、非常に広く親しまれている従来の卵の調理法に関連して以下で述べる。新鮮な全卵を従来のオムレツの調理法で調理した場合、全卵は特有の熱凝固性を示し、調理したての鶏卵の口当たりおよび風味と水分を保ちながら、繊細で柔らかく固まった食感を持ちつつ、ふんわりと体積の増した円筒形の丸い形状を形成することができる。
通常、消費者が本発明の模造卵食品を作製する際には、一定量の水(またはその他の水性液体(たとえば牛乳や出し汁))を本発明の組成物に加えて混合する。次に、得られた液体またはバッター液を従来のオムレツと同様に調理してもよく、すなわち、料理用脂肪(たとえばマーガリンまたはバター)をフライパンに入れ、該脂肪が焦げないように注意しながらジューと音を立てて溶けるまでフライパンを加熱し、前述のようにして水分を加えた組成物(液体またはバッター液)を適切な量でフライパンに注ぎ、注いだ組成物の底部が熱凝固し始めたら、オムレツを巻き始め、オムレツをひっくり返して合わせ目を閉じることによって調理してもよい。最後に、調理された模造オムレツに塩およびコショウを振りかけて味を調えてから食卓に出してもよい。オムレツを焼く際の焼き色は、日常調理で使用される通常の方法により様々な程度にすることができる。広く好まれているオムレツの調理法に代表的なその他の食材を添加しても、本発明の卵様食品と非常によく合い、添加してもよい食材として、野菜、チーズ、調味料、着色料、香辛料、ハーブ、キノコ、肉などが挙げられる。
本発明の組成物を使用して実施可能なその他の調理法として、スクランブルエッグ、目玉焼き、ケーキ、カスタードプディング、カスタードソース、フリッタータ、スフレ、パンケーキ、クレープ、パン、プディング、クッキー、スープ、ソースおよびタルトの従来の調理法が挙げられる。
以下、本発明の特定の実施形態による実施例について述べる。
実施例1
以下の実施例は、卵様食品組成物の調製と、一般に全卵から調理されるが、ここでは、本発明の実施形態による方法を使用して該卵様食品組成物から製造された標準的なオムレツの形態の模造卵食品を示す。
Figure 2020521513
表3に示す材料から本発明の組成物を調製する。粉末材料を均一に混合し、ふるいにかけ、任意で精製する。乾燥粉末材料をボールミキサーで混合し、脂質材料を加え、完全に均一になるように混合する。混合した乾燥材料組成物25gをミキシングボールに小分けし、冷たい水道水75gを加え、混合した粉末と水から粉っぽさがなくなり多少とろみのついた溶液が形成されるまで、キッチンフォークを使用して1分間泡立てるように手動でかき混ぜ、または電動のスティックミキサー(たとえばバーミックス)を使用して約20秒間かけて泡立てるように手動でかき混ぜる。小さな粉の塊がいくつか見られても問題はない。
こびりつかない調理面を有するオムレツ用のフライパンを、最大火力の約半分〜3分の2にしたコンロの上で予熱し、バター(1.5g)(任意で植物油またはマーガリンを使用してもよい)を加える。加熱されたフライパン上でバターがジューと音を立てて溶けてフライパン全体に広がったら、前記で調製した卵様混合物をフライパンに注ぐ。卵様混合物をフライパンの調理面全体に広げ、熱が卵様混合物に行き渡ると、通常の卵オムレツと同じように卵様混合物が凝固し始める。1.5分間ほど調理を続けると、一部はまだ固まっていないものの、オムレツ混合物を通常の方法で円筒形に巻くことができ、巻いてから10〜15秒間そのままの状態でおいて完成させ、食器に盛る。
オムレツの外側の表面(フライパン側の調理された面)は、卵オムレツに見られるように、調理した人の好みに応じて、焼き色がないか、または非常にわずかに焼き色の付いた淡黄色の外観を呈することができる。巻かれたオムレツの内側は、柔らかく水分を含み、半固形状に凝固するが、加熱調理時間を長くすると、全体が柔らかく固まる。焼き具合は、消費者の食感の好みによる。オムレツをカットすると、断面の見た目は、通常の全卵オムレツとよく似て、わずかに空気を含んで固まった構造をしている。オムレツの食感は、触れるとわずかに弾力があるが、口に入れると柔らかく、容易に咀嚼することができる。調理されたオムレツは、すぐに口からなくなり、材料の粉っぽい味もせず、スポンジや塊のような食感もなく、(大豆材料でよく見られるような)野菜っぽい豆臭さや酸味もない。オムレツは、調理された全卵に特有の風味を有していた。卵混合物のpHは、卵と同様に中性から弱アルカリ性であった。
実施例2
以下の実施例は、全粒大豆粉である加工大豆材料(PSM)を使用することによって得られる有益な効果を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用し、香味料を加えて作製した卵様食品の調製を示す。
Figure 2020521513
実施例1と同様にして、表4に示す各試料用粉末材料を均一に混合した。実施例1と同様に、別々のミキシングボールで混合した各乾燥粉末材料25gに、冷たい水道水80gを順に加え、粉末と水から粉っぽさがなくなり多少とろみのついた溶液が形成されるまで、キッチンフォークを使用して約60秒間泡立てるように手動でかき混ぜた。これと同時に、最大火力の約3分の2にした電気コンロの上でフライパンを予熱し、植物油1.5gを加えて加熱し、フライパンの調理面全体に広げた。各混合物を実施例1と同様に調理した。また、50gの鶏卵2個を混合し、前述と同じ方法で調理することによって、従来のオムレツを作製した。
試料2Aでは、鶏卵オムレツと同一の色とほぼ同じ食感を有し、外側は弾力があり、内側はクリーミーで水分を含んだ、本発明による卵様オムレツが得られた。体積は卵オムレツと同様に増加した。この卵様オムレツの風味は、卵オムレツと非常によく似ていた。また、鶏卵オムレツと卵様オムレツに塩とコショウを振りかけて試食したところ、これらは非常によく似た味であった。
試料2Bでは、全粒大豆粉である加工大豆材料(PSM)を大豆タンパク質単離物で置き換え、大豆タンパク質の濃度をほぼ同じとした。しかし、調理をすると、明らかな亀裂が生じ、オムレツを巻くことが難しく、調理品から液体が染み出して離漿が見られた。食感には弾力がなく、体積は増加しなかった。試食してみると、スポンジのような食感がし、塊のような口当たりがし、すっきりとした味ではなく、口の中で柔らかい塊となって飲み込むことが困難であった。色は、くすんだ淡黄褐色がかった茶色であり、豆のような匂いと味がし、受け入れがたいものであった。
試料2Cでは、大豆タンパク質単離物の一部を、全粒大豆粉である加工大豆材料(PSM)で置き換えた。これによって、亀裂が少なくなり、調理性能が向上したが、依然として離漿が発生し、食感は試料2Aよりも柔らかかったが、試料2Bよりも固かった。試食してみると、口の中で柔らかい塊を生じて液体が染み出し、口の中にスポンジ状の柔らかい塊が残り、飲み込むことが難しく、受け入れがたいものであった。
前述したように、試料2Bおよび試料2Cは、鶏卵を使用して作製したオムレツと類似した官能的特性は有しておらず、本発明による組成物に該当するとは言えなかった。本実施例では、前述したような組成物中での全粒大豆粉としての加工大豆材料(PSM)の有用性が示されている。大豆タンパク質単離物は、卵様凝固性および官能的特性を損ない、試料2Aと同様の品質を有するオムレツを製造することができないため、前述したような組成物においては、加工大豆材料(PSM)を大豆タンパク質単離物で完全に置き換えることはできない。
実施例3
以下の実施例は、様々な材料の機能的特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した卵様食品の調製を示す。
Figure 2020521513
実施例1と同様にして、表5に示す粉末材料を均一に混合した。別々のミキシングビーカーで混合した各試料用乾燥粉末材料A〜E25gに、冷たい水80gを順に加え、粉末と水から粉っぽさがなくなり多少とろみのついたバッター液が形成されるまで、スティックブレンダーを使用して約30秒間泡立てるように手動でかき混ぜた。これと同時に、実施例1と同様にして、各試料用のフライパンをコンロの上で予熱し、油1.5gを加えた。実施例1および実施例2と同様にしてオムレツを作製した。
試料3Aは非常に容易に巻くことができ、過度に焼き色が付いたり、フライパンにくっつくこともなく、外側の質感は、良好な体積を有して弾力があり、内部の質感は、水分を含んで良好に凝固した見た目であり、離漿は見られなかった。さらに、この模造オムレツは柔らく食べやすかった。
試料3Bのオムレツはしっかりと凝固せず、中心は液状に近く極めて凝乳状であり、非常に脆く、受け入れがたいものであり、ホエイタンパク質の含量が不十分であったことを示していた。
試料3Cは、急速に焼き色が付き、巻くことがさらに難しく、膨れて、他のものよりも柔らかい食感を呈した。中心は、水分を含んでどろどろの状態となり、離漿が起こったことがはっきりと示された。
試料3Dは、オムレツを形成することができたが、固すぎ、ゴムのような食感であった。オムレツの中心は、クリーミーではなく、水分を含んでおらず、むしろ卵白に似ていた。
試料3Eでは、ホエイタンパク質単離物の代わりにホエイタンパク質濃縮物(WPC)(タンパク質含量:80%)を使用したが、ホエイタンパク質濃縮物(タンパク質含量:80%)は、ホエイタンパク質単離物のようには懸濁しないため、バッター液は均一にならず、分離したペーストが沈殿した。バッター液は、より容易に焼き色が付く傾向があり、柔らかくそれほどしっかりしていないオムレツを形成する傾向があり、凝乳状を呈し、より不均一であり、わずかに乾燥していた。
本実施例では、オムレツのバッター液には、約7〜10%w/wの範囲のホエイタンパク質が含まれている必要があること、およびホエイタンパク質は、ホエイタンパク質単離物として含まれていると、食感と熱凝固性が最も良好となり、好ましいことが示されている。ホエイタンパク質の含量が10%を超えると、凝固性が強すぎ、クリーミーで水分を含んだ食感が得られないが、これに対して、ホエイタンパク質の含量が7%未満であると、オムレツが十分に凝固せず安定しない。バッター液中の加工大豆材料(PSM)の好ましい含量は、約9〜13.5%の範囲である。加工大豆材料(PSM)とホエイタンパク質単離物(WPI)の好ましい割合は、約1:1.23であり、1:2.69〜1:0.68の範囲である。
実施例4
以下の実施例は、様々なpH調整剤およびその他の塩材料の機能的特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した卵様食品の調製を示す。
Figure 2020521513
各試料を使用して実施例2と同様にオムレツを作製した。
試料4Aは、良好な体積を有し弾力のある良好なオムレツを形成したが、試料2Aよりもホエイタンパク質単離物の含量が多かったことから、わずかに固かった。模造オムレツを形成するための組成物として、(試料4A〜4Eのうち)試料4Aが好ましかった。試料4Aの組成物において、炭酸水素ナトリウムおよびリン酸三カリウムを、1%のリン酸水素二ナトリウム(弱アルカリ性緩衝剤)と置き換えると(結果示さず)、バッター液のpHは6.66となり、調理すると、離漿が多く、亀裂が入り、水分を含んだ凝乳状となり、オムレツの形状にすることは困難であった。味はスポンジのようで、飲み込むことが難しく、受け入れがたかった。しかし、試料4A中のリン酸三カリウムのみを1%のリン酸水素二ナトリウムと置き換えた場合は、良好なオムレツが得られた。
試料4Bを調理したところ、むしろクレープのようになって、平坦な見た目となり、フライパンにくっつきやすかった。ざらついた味が残っていたが、塩味はおいしく感じた。塩(すなわちNaCl)の含量が比較的高かったことから、オムレツのゲルが強固になったようであったが、ゲルマトリックスが粒状となり不安定化するという悪影響が見られた。
試料4Cは、うまく凝固せず、他のオムレツよりも柔らかく、見た目もいびつであった。さらに、オムレツは非常に脆く、巻こうとした際に崩れてしまった。オムレツは柔らくざらついた食感をしており、見た目も良くなかった。試料4C中のリン酸三カリウムの含量を1.5%に増加したところ、バッター液のpHは7.48となり、オムレツの食感は試料4Aのものと同程度まで改善したが、カリウムの含量が増えたことから風味は苦くなった。また、試料4Cの組成物に炭酸水素カリウムを0.5%加えたところ、得られたオムレツは、口の中でやや崩れやすくなり、添加前ほどにはすっきりとした味ではなかったが、ほどほどの質のオムレツが得られた。粉末全体に対する割合を1%とした炭酸水素カリウムで炭酸水素ナトリウムの全量を置換したところ、バッター液のpHは7.44となり、調理したところ、ほどほどの質のオムレツが得られたが、食感が柔らかくなって弾力が低下し、より凝固して乾燥していた。
炭酸水素ナトリウムを加えなかった試料4Dでは、バッター液のpHが6.20に低下し、調理したところ、亀裂が入り、材料がうまく混和せず、オムレツの形状を形成することができなかった。食感はざらつき、どろどろとしたもので、受け入れがたかった。バッター液のpHは、炭酸水素ナトリウムの含量が2倍の他の試料よりも大幅に低くなり、適切なゲル化とオムレツの固まった食感および安定性を得るには、バッター液のpHに下限があることが示された。これらの処方では、閾値pHは約7.15であり、このpHを下回ると、オムレツは凝固しない。
実施例4Eの処方は、リン酸三カリウムを添加しなかったこと以外は試料4Aと同一であった。オムレツは、フライパンにくっつく傾向があり、試料4Aよりも柔らかく、さらに粥状になったが、オムレツを巻くことはできた。試験した試料のうち、試料4A(pHを調整する塩として、炭酸水素ナトリウムとリン酸三カリウムの両方を含む)が好ましく、オムレツに最もよく似た模造オムレツを得ることができた。
実施例5
以下の実施例は、様々な材料の食感特性による卵黄様製品および卵白様製品の形成を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した卵様食品の調製を示す。
Figure 2020521513
試料5Aの各粉末を混合し、得られた混合物25gをボール中で冷たい水道水85gと合わせ、電動スティックミキサー(バーミックス)で20秒間混合した。得られたバッター液を、予熱して油を引いたフライパンに注いで調理し、卵白から作製したオムレツの模造品を得た。別に小分けしたバッター液33gを、予熱して油を引いたフライパンに置いた目玉焼きリングに注ぎ、2分間焼いたところ、得られた食品は、見た目、食感および味の点で焼いた卵白と似ていた。別に小分けしたバッター液33gを、予熱して油を引いたエッグコドラー(半熟卵の型)に注ぎ、蓋をして、沸騰しない程度の湯浴中で3分間調理したところ、得られた食品は、食感、見た目および味の点で、蒸気で調理した卵白と似ていた。
試料5Aと同様にして、試料5Bの各粉末を調理した。得られた食品は、見た目、食感および味の点で、調理した本物の鶏卵の卵黄と似ていた。得られた食品は、柔らかい食感とコクのある卵黄のような風味を有しており、良好に凝固していたが、試料5Aと比べてぽろぽろと崩れる食感があり、弾力もなかった。
全卵の模造調理品を、試料5Aのバッター液33gと試料5Bのバッター液17gから調理した。小分けした試料5Aのバッター液33gを、予熱して油を引いたエッグコドラーに注ぎ、蓋を外したまま、沸騰しない程度の湯浴中で1.5分間かけて途中まで調理した後、半熟状態の試料5Aの中心に試料5B17gを注いで蓋をし、計6分間調理を行った。得られた食品は、中心に卵黄を有する調理された卵白と似ていた。食品の食感および味は、本物の鶏卵と似ていた。
実施例6
以下の実施例は、様々な材料の栄養特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した模造卵食品の調製を示す。
本発明の模造卵食品の代表例として、実施例2Aに従って作製した卵非含有模造オムレツの栄養分析を実施し、典型的な市販の鶏卵(たとえば、Ecoeggs.com.au)と比較した結果を表8Aに示した。比較を容易にするため、実施例2Aのデータは、鶏卵100gから得られるエネルギー量(約550kJ)に概算して示した。
Figure 2020521513
本発明の食品には、栄養素全体に対する有意な利点がある。たとえば、実施例2Aの模造オムレツのタンパク質量は卵よりも約20%高く;脂肪含量は卵よりも45%低く;P/M/S比(多価不飽和脂肪酸(P):一価不飽和脂肪酸(M):飽和脂肪酸(S)の比率)は、飽和脂肪酸が低く、多価不飽和脂肪酸は高く;コレステロールは含まれておらず;相当量のカルシウムが含まれている。さらに、これらのパラメーターはいずれも、消費者の要求に応じて容易に変更することができる。
食品中のタンパク質の品質は、これらのタンパク質に含まれる必須アミノ酸の組成と消化性に関連する。高品質なタンパク質は、すべての必須アミノ酸の含量が、一般に理想的だと認められているタンパク質中の基準量(以下参照)よりも多く、卵白または乳タンパク質の消化性と同等またはそれ以上の消化性を有している。動物性タンパク質は、植物性タンパク質よりも優れた品質を有するが(植物性タンパク質は特定の必須アミノ酸を含んでいないことが多い)、驚くべきことに、本発明者らは、十分な機能性を有する大豆粉(加工大豆材料(PSM))とホエイタンパク質製品とを注意深く組み合わせることによって、理想的なタンパク質における制限必須アミノ酸の基準量を超えることができ、このような調整を行っても、調理において模造全卵、模造卵白または模造卵黄の機能性を達成することができることを見出した。さらに、タンパク質の利用能は腸の微生物叢に依存することが知られており(Eggum et al British Journal of Nutrition (1985), 54, 727-739)、全粒大豆粉調製物(加工大豆材料(PSM)など)に含まれているような食物繊維が含まれていることで、有益な腸内細菌叢を改善するプレバイオティクスを提供できることも知られている。
本発明による模造食品のタンパク質の品質を予測するために、必須アミノ酸組成を分析した。国連のFAO(ローマ)は、「Dietary protein quality evaluation in human nutrition, 2011 Expert Consultation, FAO Food and Nutrition Paper 92」という報告書を2013年に発表している。この報告書では、食物タンパク質の品質および栄養素としての食物アミノ酸に関する重要な知見と、食品から摂取可能な栄養の指標としての、食物アミノ酸の消化性の指標またはバイオアベイラビリティの指標とが特定されている。
消化性必須アミノ酸スコア:DIAAS(%)=100×[(食物タンパク質1g中の消化性食物必須アミノ酸のmg数)/(参照タンパク質1g中の同じ食物必須アミノ酸のmg数])
卵は、非常に栄養価の高い基本的な食品として世界中で食されていることから、本発明者らは、実施例2Aで作製した卵様食品100g中の処方表示における必須アミノ酸の組成を、全卵100g中の必須アミノ酸の組成と比較し、さらに、FAO(2011)による理想的な必須アミノ酸の一覧とも比較した。
表8Bから分かるように、試料6A(試料2Aと同じ試料)は、総タンパク質中の総必須アミノ酸含量が46.6%であり、これは、理想的なタンパク質中の総必須アミノ酸含量よりも60%も高く、全卵中の総必須アミノ酸含量に近い値であった。1食あたりの全卵のエネルギー量(550kJ)に基づいて換算すると、試料6Aは、7.89%の総必須アミノ酸を含んでおり、これは、全卵中の総必須アミノ酸量(8.65%)に非常に近かった。
Figure 2020521513
実施例7
以下の実施例は、スクランブルエッグにおける機能的特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した甘くない料理用の卵様食品の調製を示す。
Figure 2020521513
3個の全卵と同量になるように、表9に示したドライミックス37.5gと水120gをボールに入れ、泡立てるようにかき混ぜて混合する。こびりつかない小ぶりのソースパンにマーガリン4gを入れて、ジューと音を立てて溶けるまで熱する。バッター液をソースパンに注ぎ、水分を多く含んでクリーミーな状態で少し固まるまで、弱火で1〜2分間優しく混ぜる。得られた食品は、本物の鶏卵から作られたスクランブルエッグと同じ見た目、食感、色および味を有していた。
実施例8
以下の実施例は、カスタードプディングにおける卵様食品の機能的特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した甘い料理用の卵様食品の調製を示す。
ボールに入れた水80gに、表9に示した混合粉末25gを加え、スティックミキサー(たとえばバーミックス)で混合物を20秒間混ぜた。牛乳120gをソースパンに入れて、沸騰直前の温度(約70℃)まで温め、火から外した。温めた牛乳に、実施例7の液体混合物の1/3量を加えて混合し、粉糖17g、塩0.2g、ナツメグ粉末0.02gおよびバニラエッセンス0.5gを加えて混ぜた。
得られたカスタード混合物100gをプディングの型に入れ、天板に水を張って、プディングの型を置き、予熱したオーブンに入れて160℃で50分間焼いた。オーブンからカスタードプディングを取り出し、暖かいまま、または冷やして食卓に出した。得られたカスタードプディングは、卵から作られた通常のカスタードプディングと同様に、水分を含んで柔らかく食べやすい固さで凝固し、亀裂が入らず、表面にわずかに焼き色が付いていた。食感は、絹のように滑らかで、卵から作られたカスタードプディングと同様の固さと風味を有していた。
実施例9
以下の実施例は、ケーキにおける卵様食品の機能的特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した甘い料理用の卵様食品の調製を示す。
表9に示した調製物から製造した卵様食品で鶏の全卵を置き換えたこと以外は同様にして、通常のマフィンの調理法を使用した。まず、(卵1個分に相当する量になるように)粉末12.5gと冷水40gを混合した。ベーキングパウダー入りの小麦粉250g、ベーキングパウダー小さじ2杯、塩小さじ1/2杯およびグラニュー糖150gを大きめのボールに入れて混ぜた。卵1個分に相当する量の卵様食品に牛乳1カップを加え、植物油を大さじ3杯加え、得られた混合物を前記小麦粉に加えてかき混ぜ、もったりとしたバッター液を得た。大きめのマフィン型6個分にバッター液を分け入れ、予熱した家庭用オーブンに入れて200℃で25分間焼いた。8分後、マフィンケーキは優れた釜伸びを示し、本物の鶏卵から作られたマフィンと同等の生地感、密度および味を有するしっかりと固まった大きなマフィンケーキが得られた。
実施例10
以下の実施例は、マヨネーズにおける卵様食品の機能的特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した模造卵黄組成物を使用したスプレッド用の卵様食品の調製を示す。
Figure 2020521513
実施例1と同様にして、表10に示した乾燥組成物を調製し、乾燥粉末15.3gと水45.9gを混ぜ合わせて、大きめの卵黄の3個分に相当する量を調製した。泡立て器が付属した電動ミキサーのボールに混合物を入れ、これにマスタード粉末1gを混合した。次に、ヒマワリ油100gを混合物にゆっくりと滴下し、もったりとしたエマルションを得た。次に、10%の酢10gを加えて混合し、最後に混合物をホモジネートして、気密性のある瓶に詰めた。得られたマヨネーズは、さわやかな卵のような風味があり、従来のマヨネーズと同様の非常に滑らかな粘度を有していた。
実施例11
以下の実施例は、調理したオランデーズソースにおける卵様食品の機能的特性を実証するための、本発明の実施形態による方法を使用して製造した模造卵黄組成物を使用したソース用の卵様食品の調製を示す。
実施例1と同様にして、表10に示した乾燥組成物を調製し、乾燥粉末15.3gと水45.9gを混ぜ合わせて、大きめの卵黄の3個分に相当する量を調製した。フツフツとなる程度に沸かして予熱した二重鍋のボールに混合物を入れ、水30gを加え、とろみが出てくるまで手動でかき混ぜた。そのまま8〜10分間かき混ぜ続け、室温に戻した固形バター150gを加え、バターが混ざるようにかき混ぜ、乳化した。バターをすべて加えたら、とろみがついたソースを火から外し、レモン汁50gをゆっくりと混ぜた。最後に、塩およびコショウでソースの味を整えた。
得られた暖かいソースは、クリーミーで滑らかであり、注ぐことができる粘度を有しており、濃厚な卵とレモンの味がした。得られたソースは、調製中および保存中に、従来のオランデーズソースよりも良好な安定性を示し、これは恐らく、使用した大豆材料中のデンプンと乳化剤によるものであると考えられたことには注目されたい。
本発明の組成物の実施形態、およびこの組成物から製造された卵様食品は、以下の利点の1つ以上を有していてもよい。
・卵を全く含んでいないが、本物の卵から作られた同等の食品を忠実に模倣した調理機能性および官能的特性を有する。
・オムレツ、キッシュ、スクランブルエッグ、目玉焼き、ポーチドエッグ、半熟卵、茶碗蒸し、電子レンジで調理した卵などの、純粋な鶏全卵から調理したての卵食品を模倣した熱凝固性を有する。
・別々に調理された鶏卵の卵黄および卵白を模倣することができる。
・マフィンやケーキなどのベーカリー製品、カスタードなどのその他のデザート用途、マヨネーズなどに使用してもよい。
・菜食主義者に好適である。
・ラクトースを含んでおらず、亜硫酸塩を添加する必要がない。
・プロバイオティクス、プレバイオティクス、ビタミン類、ミネラル、ルテイン、酸化防止剤、オメガ3/DHA脂肪酸、繊維、植物性タンパク質などの、常温で長期保存可能な栄養材料の添加と適合する。
・全卵に類似した栄養組成を有する。
・コレステロールを実質的に含んでいないため、適切にバランスの取れた食事の一部として摂取することにより、血清中コレステロール濃度の低下がもたらされる可能性がある。
・全卵より脂肪含量が少なくなるように調製してもよい。
・冷水を加えると即座に水分を再吸収する乾燥製品として提供してもよく、冷蔵または冷凍される液体製品として提供してもよい。
・冷蔵庫または冷凍庫での保存を必要とすることなく、乾燥形態で長い保存期間(>12ヶ月)を有する。
・新鮮卵または乾燥卵よりもコストが低い(本発明者らの推算によると、コストは卵1個分あたり約11セントに相当し、本物の卵1個あたりのコストの約20セントと比較すると、工場からの直売価格と同程度である)。
・容易に入手可能な(かつ比較的安価な)有機材料から製造され、必要な材料が少なく、鶏卵に近い栄養プロファイルを有する。
・本発明の組成物は、経済的、低エネルギーかつ簡便で、水の添加を必要としない製造方法を使用して製造することができる。
・得られる食品の必須アミノ酸プロファイルは、FAO/WHOの理想的なタンパク質を上回っており、鶏卵の必須アミノ酸プロファイルに近い。
本発明の分野に属する当業者であれば、本発明の要旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えてもよいことを理解するであろう。
本明細書において引用された先行技術文献はいずれも、当技術分野の技術常識の一部を構成することを認めるものではないと解される。
後述の請求項および先行する本発明の説明において、用語の明示や必要な含意により非包括的な意味が文脈に必要とされる場合を除き、「comprise(含む)」という用語または「comprises」や「comprising」などのその変化形は、包括的な意味で使用され、すなわち、本発明の様々な実施形態において、述べられた特徴の存在を特定するために使用されるが、さらなる特徴の存在や付加を排除するものではない。

Claims (22)

  1. 卵非含有模造卵食品の製造用の組成物であって、
    ホエイタンパク質;
    リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料;および
    水分を加えた前記組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤
    を含み、
    前記組成物に水分を加えて調理することによって、鶏卵を使用して製造された卵食品と類似した官能的特性を有する模造卵食品が製造される、組成物。
  2. 前記ホエイタンパク質がホエイタンパク質単離物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物中の前記ホエイタンパク質の含量が、約28%w/w〜約70%w/wである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記大豆材料が、リポキシゲナーゼを失活させた大豆子葉粉を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記大豆材料が、加工大豆材料(PSM)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記組成物中の前記大豆材料の含量が、約15%w/w〜約50%w/wである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記組成物中の前記ホエイタンパク質と前記大豆材料の比率が、約1.55:1.0〜約0.66:1.0である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記pH調整剤が、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム二水和物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記pH調整剤が、炭酸水素ナトリウムとリン酸三カリウムの組み合わせである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記pH調整剤が、水分を加えた前記組成物をpH約7.2〜8.5までアルカリ化するのに有効である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 前記組成物中の前記pH調整剤の含量が、約0.2%w/w〜約1.8%w/wである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 油をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 前記油が植物油である、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記組成物中の前記油の含量が約45%w/w以下である、請求項12または13に記載の組成物。
  15. 塩化ナトリウム、糖類、乳化剤、香味料、着色料、酸化防止剤、安定剤、繊維、ビタミン類およびミネラルの1つ以上をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 卵非含有模造卵食品の製造用の組成物であって、
    ホエイタンパク質 約28%w/w〜約70%w/w;
    リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉 約15%w/w〜約50%w/w;
    水分を加えた前記組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤 約0.2%w/w〜約1.8%w/w;および
    任意の油
    を含む組成物。
  17. 乾燥粉末として提供される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
  18. 卵非含有模造卵食品の製造用の液状組成物であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物と液体を含む組成物。
  19. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物に水分を加えたもの、または請求項18に記載の液状組成物を調理することによって製造された卵非含有模造卵調理食品。
  20. オムレツ、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、茶碗蒸し、目玉焼き、または調理された卵白もしくは調理された卵黄を含む食品と類似した官能的特性を有する、請求項19に記載の卵非含有模造卵調理食品。
  21. 卵非含有模造卵調理食品を製造する方法であって、
    ホエイタンパク質、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉を含む大豆材料、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;
    前記乾燥混合物を液体と混合する工程;ならびに
    前記混合物を調理して、鶏卵を使用して形成された卵食品と類似した官能的特性を有する卵非含有模造卵調理食品を得る工程
    を含む方法。
  22. 卵非含有模造卵調理食品を製造する方法であって、
    ホエイタンパク質 約28%w/w〜約70%w/w、リポキシゲナーゼを失活させた大豆粉 約15%w/w〜約50%w/w、水分を加えた組成物のアルカリ化に有効なpH調整剤 約0.2%w/w〜約1.8%w/w、および任意の油を混合して、乾燥混合物を得る工程;
    前記乾燥混合物を液体と混合する工程;ならびに
    前記混合物を調理して、鶏卵を使用して形成された卵食品と類似した官能的特性を有する卵非含有模造卵調理食品を得る工程
    を含む方法。
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