焼成多層スタックを開示する。本発明の1つの実施形態では、スタックは、基板、基板面の少なくとも一部の上の金属粒子層、基板面の少なくとも一部の上の改質金属粒子層、及び改質金属粒子層の少なくとも一部の直上にある改質インターカレーション層を備える。改質インターカレーション層は、基板から離れて対面するはんだ付け可能な面を備える。改質金属粒子層は、金属粒子層内に存在する同じ金属粒子と、改質インターカレーション層からの少なくとも1つの材料とを含む。改質インターカレーション層は、貴金属及びアンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、セリウム、セシウム、クロム、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、鉛、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、リン、カリウム、レニウム、セレン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、テルル、錫、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの組合せ、及びこれらの合金、これらの酸化物、これらの複合体、並びにこれらの他の組合せからなる群から選択される材料を含む。1つの例では、改質インターカレーション層は、貴金属と、ビスマス、ホウ素、インジウム、鉛、ケイ素、テルル、錫、バナジウム、亜鉛、これらの組合せ、これらの合金、これらの酸化物、これらの複合体、及びこれらの他の組合せからなる群から選択される材料と、を含む。
本発明の1つの実施形態では、改質インターカレーション層は、2つの相:貴金属相及びインターカレーション相を備える。改質インターカレーション層のはんだ付け可能な面の50%超は、貴金属相を含んでもよい。改質金属粒子層は、上記金属粒子及びインターカレーション相からの少なくとも1つの材料を含んでもよい。インターカレーション層は、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、セリウム、セシウム、クロム、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、鉛、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、リン、カリウム、レニウム、セレン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、テルル、錫、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの組合せ、及びこれらの合金、これらの酸化物、これらの複合体、並びにこれらの他の組合せからなる群から選択される材料を含む。貴金属相は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
本発明の別の実施形態では、改質インターカレーション層は、2つの副層:改質金属粒子層の少なくとも一部の直上にあるインターカレーション副層及びインターカレーション副層の少なくとも一部の直上にある貴金属副層を備える。改質インターカレーション層のはんだ付け可能な面は、貴金属副層を備える。改質金属粒子層は、上記金属粒子及びインターカレーション副層からの少なくとも1つの材料を含んでもよい。インターカレーション副層のために可能な材料は、インターカレーション相のための上記のものと同じである。貴金属副層のために可能な材料は、貴金属相のための上記のものと同じである。
本発明の別の実施形態では、焼成多層スタックは、その改質金属粒子層として改質アルミニウム粒子層を備える。焼成多層スタックは、2つの副層:改質アルミニウム粒子層の直上にあるビスマスリッチ副層;及びビスマスリッチ副層層の直上にある銀リッチ副層を備える改質インターカレーション層を備える。改質インターカレーション層のはんだ付け可能な面は、銀リッチ副層を含む。改質アルミニウム粒子はアルミニウム粒子を含み、酸化アルミニウム、ビスマス、及び酸化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。
1つの例では、基板面の少なくとも一部の直上にある少なくとも1つの誘電体層がある。誘電体層は、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム、並びにこれらの酸化物、窒化物、複合体、及び組合せからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。別の例では、基板面の少なくとも一部の直上にある酸化アルミニウム誘電体層及び酸化アルミニウム誘電体層の直上にある窒化ケイ素誘電体層がある。
1つの例では、基板面の直上にある固体(例えば共晶)化合物層がある。固体化合物層は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタンからなる群から選択される1つ又は複数の材料と、ケイ素、酸素、炭素、ゲルマニウム、ガリウム、ヒ素、窒素、インジウム及びリンからなる群から選択される1又は複数の材料と、を含む。
基板に隣接する基板の一部を、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、鋼及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの材料でドープしてもよい。
本発明の1つの実施形態では、焼成多層スタックの一部は変化する厚さを有する。焼成多層スタックは、山から谷までの平均高さが12μmより大きくてもよい。
改質インターカレーション層のはんだ付け可能な面の少なくとも70重量%は、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される材料を含んでよい。
基板は、ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、サファイア、ゲルマニウム、砒化ガリウム、窒化ガリウム、及びリン化インジウムからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでよい。あるいは、基板は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、鋼、亜鉛、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される材料を含んでよい。金属粒子層は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、鋼並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される材料を含んでよい。貴金属は、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される材料を含んでよい。
金属粒子層は、0.5μm〜100μmの厚さ及び/又は1〜50%の空孔率を有してもよい。改質インターカレーション層は、0.5μm〜10μmの厚さを有してもよい。焼成多層スタックは、伝送線路測定により決定されるとき、0〜5mOhm(ミリオーム)の接触抵抗を有してもよい。
改質インターカレーション層のはんだ付け可能な面の少なくとも一部の直上にあるタブリボンがあってもよい。1つの例では、タブリボン及び改質インターカレーション層間の引張強度は、1N(ニュートン)/mm超である。
本発明の別の実施形態では、焼成多層スタックは、基板、基板の少なくとも一部の上の金属粒子層、基板の少なくとも一部の上の改質金属粒子層、及び改質金属粒子層の少なくとも一部の直上にある改質インターカレーション層を備える。改質インターカレーション層は、2つの副層:改質金属粒子層の少なくとも一部の直上にあるインターカレーション副層及びインターカレーション副層の少なくとも一部の直上にある貴金属副層を備える。改質金属粒子層は、金属粒子と、インターカレーション副層からの少なくとも1つの材料と、を含む。インターカレーション副層のために可能性ある材料は上記に記載されている。
本発明の別の実施形態では、焼成多層スタックは、シリコン基板、基板の少なくとも一部の上のアルミニウム粒子層、基板の少なくとも一部の上の改質アルミニウム粒子層、及び改質金属粒子層の直上にある改質インターカレーション層を備える。改質インターカレーション層は、2つの副層:改質アルミニウム粒子層の直上にあるビスマスリッチ副層及びビスマスリッチ副層層の直上にある銀リッチ副層を備える。改質アルミニウム粒子層は、アルミニウム、酸化アルミニウム、ビスマス、及び酸化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
本発明の1つの実施形態では、太陽電池は、シリコン基板、シリコン基板の表側面の少なくとも一部の直上にある少なくとも1つの表側誘電体層、シリコン基板の表側面の一部の上の複数の微細格子線、複数の微細格子線の少なくとも1つと電気接触している少なくとも1つの表側バスバー層、シリコン基板の裏面の少なくとも一部の上のアルミニウム粒子層、及びシリコン基板の裏面の一部の上の裏側タブ層を備える。裏側タブ層は、シリコン基板の裏面の一部の上の改質アルミニウム粒子層と、改質アルミニウム粒子層の少なくとも一部の直上にある改質インターカレーション層と、を備える。改質インターカレーション層は、シリコン基板から離れて対面するはんだ付け可能な面を備える。改質アルミニウム粒子層は、アルミニウム粒子と、改質インターカレーション層からの少なくとも1つの材料と、を含む。改質インターカレーション層のために可能性ある材料は上記に記載されている。アルミニウム粒子層は、1μm〜50μmの厚さ及び/又は3〜20%の空孔率を有してもよい。裏側タブ層は、1μm〜50μmの厚さを有してもよい。シリコン基板は、p型ベース又はn型ベースのいずれかを有する単結晶シリコンウエハーであってもよい。シリコン基板は、p型ベース又はn型ベースのいずれかを有する多結晶シリコンウエハーであってもよい。
本発明の1つの実施形態では、改質インターカレーション層は、2つの相:貴金属相及びインターカレーション相を備える。はんだ付け可能な面の50%超は、貴金属相から構成されていてもよい。改質アルミニウム粒子層は、アルミニウム粒子と、インターカレーション相からの少なくとも1つの材料と、を含む。インターカレーション相のために可能性ある材料は上記に記載されている。貴金属相のために可能性ある材料は上記に記載されている。
本発明の別の実施形態では、改質インターカレーション層は、2つの副層:改質金属粒子層の少なくとも一部の直上にあるインターカレーション副層及びインターカレーション副層の少なくとも一部の直上にある貴金属副層を備える。はんだ付け可能な面は、前記貴金属副層を備える。改質アルミニウム粒子層は、アルミニウム粒子と、インターカレーション副層からの少なくとも1つの材料と、を含む。インターカレーション副層のために可能性ある材料は上記に記載されている。貴金属副層のために可能性ある材料は上記に記載されている。
本発明の別の実施形態では、改質インターカレーション層は、2つの副層:改質アルミニウム粒子層の直上にあるビスマスリッチ副層及びビスマスリッチ副層層の直上にある銀リッチ副層を備える。改質アルミニウム粒子層は、酸化アルミニウム、ビスマス、及び酸化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1つの材料をさらに含む。1つの例では、改質アルミニウム粒子層は、ビスマス及び/又は酸化ビスマスをさらに含み、ビスマス及びアルミニウムに対するビスマスの重量比(Bi:(Bi+Al))はアルミニウム粒子層より改質アルミニウム粒子層において少なくとも20%高い。ビスマスリッチ副層は、0.01μm〜5μm又は0.25μm〜5μmの厚さを有してもよい。
1つの例では、シリコン基板の裏面の少なくとも一部の直上にある少なくとも1つの裏側誘電体層がある。裏側誘電体層は、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム並びにこれらの酸化物、窒化物、複合体、及び組合せのうち1つ又は複数を含む。裏側誘電体層は、窒化ケイ素を含んでよい。別の例では、シリコン基板の裏側の少なくとも一部の直上にある酸化アルミニウム裏側誘電体層及び酸化アルミニウム裏側誘電体層の直上にある窒化ケイ素裏側誘電体層がある。1つの例では、シリコン基板の直上にある固体化されたアルミニウム−シリコン共晶層がある。1つの例では、シリコン基板の裏側と隣接するシリコン基板の一部は裏面電界場をさらに備え、裏面電界場は1017〜1020原子/cm3までp型ドープされている。
本発明の1つの実施形態では、裏側タブ層の一部は変化する厚さを有し、山から谷までの平均高さが12μmより大きくてもよい。
改質インターカレーション層のはんだ付け可能な面の少なくとも一部の直上にタブリボンがあってよい。はんだ付け可能な面は銀リッチであってよい。はんだ付け可能な面は、少なくとも75重量%の銀を含んでいてもよい。銀リッチなはんだ付け可能な面にはんだ付けされたタブリボンは、1N/mmより大きい引張強度を有してもよい。
改質アルミニウム粒子層の一部は、変化する厚さを有してもよい。改質アルミニウム粒子層の一部は、山から谷までの平均高さが12μmより大きくてもよい。裏側タブ層及びアルミニウム粒子層間の接触抵抗は、伝送線路測定により決定されるとき、0〜5mOhmであってよい。
本発明の別の実施形態では、太陽電池は、シリコン基板、シリコン基板の表側面の少なくとも一部の直上にある少なくとも1つの表側誘電体層、シリコン基板の表側面の一部の上の複数の微細格子線、複数の微細格子線の少なくとも1つと電気接触している少なくとも1つの表側バスバー層、シリコン基板の裏面の少なくとも一部の上のアルミニウム粒子層、及びシリコン基板の裏面の一部の上の裏側タブ層を備える。裏側タブ層は、はんだ付け可能な面を備える。裏側タブ層は、シリコン基板の裏面の一部の上の改質アルミニウム粒子層、改質アルミニウム粒子層の少なくとも一部の直上にあるビスマスリッチ副層、及びビスマスリッチ副層の少なくとも一部の直上にある銀リッチ副層を備える。改質アルミニウム粒子層は、アルミニウム粒子と、酸化アルミニウム、ビスマス、及び酸化ビスマスからなる群から選択される少なくとも1つの材料と、を含む。
本発明の別の実施形態では、太陽電池モジュールは、表側シート、表側シートの裏面上の表側封止層、並びに表側封止層上の第一シリコン太陽電池及び第二シリコン太陽電池を備える。各シリコン太陽電池は、ここに記載されているシリコン太陽電池のいずれであってもよい。太陽電池モジュールは、第一シリコン太陽電池の表側バスバー層及び第二シリコン太陽電池の裏側タブ層の両方と電気接触している第一タブリボンを備える第一電池インターコネクト、裏側シート、裏側シートの裏面上の裏側封止層も備える。裏側封止層の第一部分は第一シリコン太陽電池及び第二シリコン太陽電池と接触しており、裏側封止層の第二部分は表側封止層と接触している。
第一電池インターコネクトは、裏側シートと接触している接合箱を備えてもよい。接合箱は、少なくとも1つのバイパスダイオードを備えてよい。第一タブリボンと接続する少なくとも1つのバスバーリボンであってもよい。
本発明の1つの実施形態では、ペーストを開示する。ペーストは、10重量%〜70重量%の貴金属、少なくとも10重量%のインターカレーション粒子及び有機ビヒクルを含む。インターカレーション粒子は、低温卑金属粒子、結晶金属酸化物粒子、及びガラスフリット粒子からなる群から選択される1つ又は複数のものを含む。貴金属粒子に対するインターカレーション粒子の重量比は少なくとも1:5であってよい。
貴金属粒子は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。貴金属粒子は、100nm〜50μmのD50及び0.4〜7.0m2/gの比表面積を有してもよい。貴金属粒子の一部は、球状、フレーク状、及び/又は細長い形状などの形状を有してもよい。貴金属粒子は、単峰性の粒度分布を有してもよく、多峰性の粒度分布を有してもよい。1つの例では、貴金属粒子は銀であり、300nm〜2.5μmのD50及び1.0〜3.0m2/gの比表面積を有する。
インターカレーション粒子は、100nm〜50μmのD50及び0.1〜6.0m2/gの比表面積を有してもよい。インターカレーション粒子の一部は、球状、フレーク状、及び/又は細長い形状などの形状を有してもよい。インターカレーション粒子は、単峰性の粒度分布を有してもよく、多峰性の粒度分布を有してもよい。
低温卑金属粒子は、ビスマス、錫、テルル、アンチモン、鉛、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される材料を含んでよい。1つの例では、低温卑金属粒子は、ビスマスを含み、1.5〜4.0μmのD50及び1.0〜2.0m2/gの比表面積を有する。
本発明の1つの実施形態では、低温卑金属粒子の少なくとも一部は、銀、ニッケル、ニッケル−ホウ素、錫、テルル、アンチモン、鉛、モリブデン、チタン、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される材料を含む単一シェルによって囲まれたビスマスコア粒子を有する。別の実施形態では、低温卑金属粒子の少なくとも一部は、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、及びこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される材料を含む単一シェルによって囲まれたビスマスコアシェルを有する。
結晶金属酸化物粒子は、酸素及びビスマス、錫、テルル、アンチモン、鉛、バナジウム、クロム、モリブデン、ホウ素、マンガン、コバルト、並びにこれらの合金、複合体及び他の組合せからなる群から選択される金属を含んでよい。
ガラスフリット粒子は、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、セリウム、セシウム、クロム、コバルト、フッ素、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、ヨウ素、鉄、ランタン、鉛、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、カリウム、レニウム、セレン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、テルル、錫、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの合金、酸化物、これらの複合体、並びにこれらの多の組合せからなる群から選択される材料を含んでよい。
ペーストは30重量%〜80重量%の固形適用量を有してもよい。インターカレーション粒子は、少なくとも15重量%のペーストを構成していてもよい。1つの例では、ペーストは、45重量%のAg粒子、30重量%のビスマス粒子、及び25重量%の有機ビヒクルを含む。別の例では、ペーストは、30重量%のAg粒子、20重量%のビスマス粒子、及び50重量%の有機ビヒクルを含む。ペーストは、25℃で4秒−1のせん断速度において10,000〜200,000cP(センチポアズ)の粘度を有してもよい。
本発明の1つの実施形態では、焼成多層スタックを形成する共焼成方法を記載する。方法は、a)基板面の少なくとも一部の上に湿った金属粒子層を付与する工程、b)この湿った金属粒子層を乾燥して乾燥金属粒子層を形成する工程、c)この乾燥金属粒子層の少なくとも一部の上に湿ったインターカレーション層を直接付与する工程、d)多層スタックを乾燥する工程、及びe)この多層スタックを共焼成して焼成多層スタックを形成する工程を含む。
本発明の別の実施形態では、焼成多層スタックを形成する逐次方法を記載する。方法は、a)基板面の少なくとも一部の上に湿った金属粒子層を付与する工程、b)この湿った金属粒子層を乾燥して乾燥金属粒子層を形成する工程、c)この乾燥金属粒子層を焼成して金属粒子層を形成する工程、d)この金属粒子層の少なくとも一部の上に湿ったインターカレーション層を直接付与する工程、e)多層スタックを乾燥する工程、及びf)この多層スタックを焼成して焼成多層スタックを形成する工程を含む。
1つの例では、共焼成方法及び逐次方法の両方のため、湿ったインターカレーション層は、10重量%〜70重量%の貴金属粒子、少なくとも10重量%のインターカレーション粒子、及び有機ビヒクルを有する。インターカレーション粒子は、低温卑金属粒子、結晶金属酸化物粒子、及びガラスフリット粒子からなる群から選択される1つ又は複数のものを含んでよい。湿った金属粒子層は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、鋼並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せを含む群から選択される材料からなる金属粒子を含んでよい。
1つの例では、共焼成方法及び逐次方法の両方のため、工程a)の前に更なる工程がある。更なる工程は、基板面の少なくとも一部の上に、少なくとも1つの誘電体層を成膜する工程を含む。この例では、工程a)は、誘電体層の少なくとも一部の上に湿った金属粒子層を直接付与することを含む。
共焼成方法及び逐次方法の両方のため、各付与工程は、スクリーン印刷、グラビア印刷、スプレー堆積、スロット塗布、3D印刷及びインクジェット印刷からなる群から選択される方法を含んでよい。1つの例では、工程a)は、パターンスクリーンによりスクリーン印刷して、変化する厚さを有する湿った金属粒子層を製造することを含む。
共焼成方法及び逐次方法の両方のため、工程b)及びd)は、1秒間〜90分間500℃未満の温度、又は1秒間〜60分間150℃〜300℃の温度で乾燥することを含んでよい。工程e)は、空気中0.5秒間〜60分間600℃より高い温度までの急速加熱、又は空気中0.5秒間〜3秒間700℃より高い温度での急速加熱を含んでよい。
1つの例では、共焼成方法及び逐次方法の両方のため、更なる工程f)は、焼成多層スタックの一部の上にタブリボンをはんだ付けすることを含む。
低温卑金属粒子、結晶金属酸化物粒子、ガラスフリット粒子、及び金属粒子層については、上記に詳細に記載している。
本発明の別の実施形態では、太陽電池の製造方法は:a)シリコンウエハーを準備する工程、b)このシリコンウエハーの裏面の少なくとも一部の上に湿ったアルミニウム粒子層を付与する工程、c)この湿ったアルミニウム粒子層を乾燥してアルミニウム粒子層を形成する工程、d)このアルミニウム粒子層の少なくとも一部の上に湿ったインターカレーション層を直接付与して多層スタックを形成する工程、e)この多層スタックを乾燥する工程、f)シリコンウエハーの表側面上に複数の微細格子線及び少なくとも1つの表側バスバー層を付与する工程、g)複数の微細格子線及び少なくとも1つの表側バスバー層を乾燥して構造物を形成する工程、並びにh)この構造物を共焼成してシリコン太陽電池を形成する工程を含む。
湿ったインターカレーション層については、上記に記載されている。
1つの例では、工程a)及び工程b)の間に更なる工程がある。更なる工程は、シリコンウエハーの裏面の少なくとも一部の上に、少なくとも1つの誘電体層を成膜する工程を含む。この例では、工程b)は、誘電体層の少なくとも一部の上に湿ったアルミニウム粒子層を直接付与することを含む。
各付与工程は、スクリーン印刷、グラビア印刷、スプレー堆積、スロット塗布、3D印刷及びインクジェット印刷からなる群から選択される方法を含んでよい。1つの例では、工程b)は、パターンスクリーンによりスクリーン印刷して、変化する厚さを有する湿ったアルミニウム粒子層を製造することを含む。
共焼成方法及び逐次方法の両方のため、工程e)及びg)は、1秒間〜90分間500℃未満の温度、又は1秒間〜60分間150℃〜300℃の温度で乾燥することを含んでよい。工程h)は、空気中0.5秒間〜60分間600℃より高い温度までの急速加熱、又は空気中0.5秒間〜3秒間700℃より高い温度での急速加熱を含んでよい。
低温卑金属粒子、結晶金属酸化物粒子、及びガラスフリット粒子については、上記に詳細に記載している。
本発明の別の実施形態では、ここに記載された太陽電池のいずれも、改質インターカレーション層のはんだ付け可能な面の少なくとも一部の上の導電性接着層を備える。第一のこのような太陽電池及び第二のこのような太陽電池があってよい。1つの例では、第一太陽電池は裏側タブ層を備え、第一太陽電池は導電性接着剤により第二太陽電池のバスバーと接続している。
本発明の別の実施形態では、屋根材太陽電池アレイは、シリコン太陽電池が直列に互いに電気的に接続するように、互いに重なり導電接合された隣接するシリコン太陽電池の端部と直列に配置された複数のシリコン太陽電池を備える。複数の太陽電池における各シリコン太陽電池は、ここに記載されている太陽電池のいずれかであってよい。第二シリコン太陽電池の表側バスバー層が第一太陽電池の裏側タブ層の下になるように、隣接するシリコン太陽電池のいずれかの対のうち、第一シリコン太陽電池の一部は、第二シリコン太陽電池の一部と重なっている。電気導電性接着剤は、第二シリコン太陽電池の表側バスバー層、及び第一シリコン太陽電池の裏側タブ層の両方と導電接続し、第一シリコン太陽電池及び第二シリコン太陽電池を電気的に接続する。
本発明の別の実施形態では、太陽電池モジュールは、表側面及び裏面を備える表側シート、表側シートの裏面上の表側封止層、表側封止層上のここに記載された複数の屋根ふきされたシリコン太陽電池アレイを備え、屋根材シリコン太陽電池アレイは互いに電気的に接続している。複数の可撓性導電インターコネクトがあり、各可撓性導電インターコネクトは隣接する屋根材シリコン太陽電池アレイと導電接続している。表側面及び裏面を備え、裏側シートの裏面が外部環境にさらされている裏側シート及び裏側シートの表側面上の裏側封止層があり、裏側封止層の第一部分は複数の屋根材シリコン太陽電池アレイ上のあり、裏側封止層の第二部分は表側封止層上にある。一部又は全ての可撓性導電インターコネクトは、裏側シートと接触している接合箱をさらに備えてよい。屋根材太陽電池アレイの一部と接続し、バイパスダイオード及び接合箱と電気的に接続されたバスリボンがあってもよい。
<詳細な説明>
好ましい実施形態を、金属粒子層上の焼成インターカレーションペーストとの関連で例示する。しかしながら、当業者は、ここに開示された材料及び方法は、半導体又は導体と良好な電気接触することが望ましい場合、特に良好な接着性、高性能、及び低コストが重要である場合、数多くの状況下での応用があることを容易に理解する。
参照された全出版物は、あたかもここに完全に記載されているように、全目的のためこれらの全文を参照することによりここに組み入れられるものとする。
貴金属粒子及びインターカレーション粒子を含む組成物及びインターカレーションペーストの使用をここに開示し、これは、金属粒子層上に印刷してこれらを焼成多層スタックに焼成した後、金属粒子層の特性を変えることができるものである。本発明の1つの実施形態では、インターカレーションペーストを使用してそれ自体はんだ付け可能でなかった金属粒子層上にはんだ付け可能な面を提供する。インターカレーションペーストを使用して焼成多層スタック内の接着性を改良し、又は金属粒子層と下位層基板との相互作用を変更することもできる。インターカレーションペーストは、トランジスター、発光ダイオード、及び集積回路を含む多くの用途に広く応用することができるが、下記開示された実施例の大部分は光起電力電池に焦点を当てている。
(定義及び方法)
本明細書で使用された走査電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散X線分光法(EDX)(まとめてSEM/EDXと呼ぶ)を、Bruker XFlash(登録商標)6|60検出器を取り付けたZeiss Gemini Ultra−55分析用電界放出走査電子顕微鏡を用いて行った。操作条件に関する詳細は各分析について記載されている。
焼成多層スタックの断面SEM画像をイオンミリングによって準備した。エポキシ薄層を焼成多層スタックの上部に付与し、少なくとも30分間乾燥した。それから、サンプルを、JEOL IB−03010CPイオンミル装置に移動し、5kV及び120μAで8時間操作してサンプル端部から80ミクロン取り除いた。ミリングされたサンプルをSEM/EDXの前に窒素グローブボックス内で保管した。
用語「乾燥」は、500℃の温度もしくはより低い温度又は400℃未満、又は300℃未満において、1秒〜90分若しくはその中に包含されたいずれかの範囲での熱処理を表す。ペーストは、典型的には、スクリーン印刷又は別の成膜方法により基板に付与して、「湿った」層を製造する。湿った層を乾燥して溶媒などの揮発性有機化学種を低減又は除去して「乾燥」層を製造することができる。
用語「焼成」は、500℃超、600℃超、又は700℃超の温度において、1秒〜60分の時間又はその中に包含されたいずれかの範囲の間で加熱することを表す。用語「焼成層」は、焼成乾燥層を表す。
用語「多層スタック」は、ここでは、基板を表すために使用され、この基板はその上に異なる材料の2つ又は複数の層を有する。「焼成多層スタック」は、その層が乾燥され焼成された多層スタックである。このような多層スタックを焼成するいくつかの方法がある。用語「共焼成」は、多層スタックが1回のみ焼成されるという処理を表すために使用される。例えば、シリコン太陽電池製造中、アルミニウム粒子ペーストの層を先ず基板に付与して乾燥する。それから、裏側タブペースト層を、乾燥アルミニウム粒子層の一部の上に付与してから乾燥し、乾燥アルミニウム粒子層及び乾燥裏側タブ層を得る。共焼成中、両方の乾燥層は一段階で同時に焼成される。用語「逐次焼成」は、多層スタックが複数回焼成されるという処理を表すために使用される。逐次処理中、金属粒子ペーストを基板上に付与し、乾燥してから焼成する。そして、乾燥され焼成された金属粒子ペースト(金属粒子層と呼ぶ)の一部の上に、インターカレーションペーストを付与する。そして、多層スタック全体を乾燥し、二度目の焼成を行う。なお、共焼成された多層スタック又は構造物について述べる本発明の実施形態は、逐次に焼成された多層スタック又は構造物に対しても適している。
用語「インターカレーション」は、ここでは、多孔質材料への浸透を表すために使用される。ここに記載されている実施形態との関連で、用語「インターカレーション」は、焼成処理中、インターカレーション層中のインターカレーション粒子からの材料が、隣接する多孔性乾燥金属粒子層(複数可)へ浸透して、金属粒子の少なくとも一部の上にインターカレーション粒子材料がコーティング(部分的又は完全)することを表す。用語「改質金属粒子層」は、ここでは、インターカレーション粒子からの材料が浸透したこのような焼成金属粒子層を表すために使用される。
隣接する層間の関係性の説明において、ここでは、層は互いに直接物理的に接触していても、していなくてもよいことを意味するために前置詞「on」(の上に)を使用する。例えば、層が基板上にあると言うことは、層は基板と直接隣接しているか又は間接的に基板の上にあるか若しくは間接的に基板と隣接しているかのいずれかで位置していると言うことである。特定の層が間接的に基板の上にあるか又は間接的に基板と隣接していると言うことは、特定の層及び基板の間に1つ又は複数の更なる層があってもよく、なくてもよいことを言うことである。隣接する層間の関係性の説明において、ここでは、層は互いに直接物理的に接触していることを意味するために前置詞「directly on」(の直上に)を使用する。例えば、層が基板の直上にあると言うことは、層は基板と直接隣接して位置していると言うことである。
金属粒子層が主に金属Aの粒子からなる場合、「金属A粒子層」と呼ぶことができる。例えば、金属粒子層が主にアルミニウム粒子からなる場合、アルミニウム粒子層と呼ぶことができる。改質金属粒子層が主に金属Aの粒子からなる場合、「金属A改質粒子層」と呼ぶことができる。例えば、改質金属粒子層が主にアルミニウム粒子からなる場合、改質アルミニウム粒子層と呼ぶことができる。
用語「はんだ付け可能な面」は当技術分野において周知である。「はんだ付け可能な面」は、はんだ付けリボンにはんだ付けすることができる面を表す。当業者は、はんだ付け可能な面の概念に精通している。はんだ付け可能な面を生み出す材料の例としては、カドミウム、金、銀、パラジウム、ロジウム、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、これらの合金、これらの組合せ、これらの複合体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。1つの実施形態では、面の少なくとも70重量%が銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、これらの合金、複合体、及び他の組合せなどの材料からなる場合、面ははんだ付け可能である。
ここに記載されている粒子は、様々な形状、サイズ、比表面積、及び酸素含有率を示し得る。粒子は、ISO3252によって定義されているように、楕円状、針状、角状、樹状、繊維状、フレーク状、顆粒状、不規則形状、及び結節状であってよい。用語「球状(spherical)」は、本明細書では一般的に球状(spherical shape)を表すために使用され、楕円状、顆粒状、結節状、及び時々、不規則形状を含み得ると理解されるべきである。用語「フレーク」はフレーク状を表し、時々、角状、繊維状、及び不規則形状を表す。用語「細長い」は、ISO3252:1999によって定義されているように、針状を表し、時々、角状、樹状、繊維状、及び不規則形状を表す。粒子形状、形態、サイズ、及び粒度分布は合成技術にしばしば依存する。粒子群は、異なる形状及びサイズの粒子の組合せを含んでよい。
球状又は細長い粒子は、そのD50、比表面積及び粒度分布によって通常記載される。D50値は、粒子集団の半分がこの値未満の径を有し、この粒子集団の半分がこの値より大きい径を有する値として定義される。粒度分布の測定は、通常、Horiba LA−950などのレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて行う。例えば、球状粒子は充分に分離する溶媒中で分散し、透過光の散乱は最小から最大寸法の粒度分布と直接的に相関する。レーザー回折結果を表す一般的アプローチは、体積分布基準のD50値を報告することである。粒径の統計分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することもできる。貴金属粒子が単峰性又は多峰性粒度分布のいずれかを有することは一般的である。単峰性分布では、粒度は単分散であり、D50は単分散の中心にある。多峰性粒度分布は、粒度分布中に2つ以上の最頻値(又はピーク)を有する。多峰性粒度分布は、粉末のタップ密度を増大させることができ、典型的には、より高い生乾き密度をもたらす。
本発明のいくつかの実施形態では、粒子は上記フレーク形状又は細長い形状を有してもよい。フレークは、1μm〜100μm又は1μm〜15μmの径、及び100nm〜500nmの厚さを有してもよい。細長い形状は、200nm〜1000nmの径、及び1μmより長い長さを有してもよい。本発明の別の実施形態では、粒子の形状に制限はなく、その最大寸法が50μm、5μm、又は1μm以下である限り、いずれの粒子形状も使用することができる。
粒子の比表面積は、DIN ISO9277、2003−05に従ってBET(ブルナウアー・エメット・テラー)法を用いて測定することができる。ここで開示されている粒子、特に銀粒子及びビスマス粒子の比表面積を、次の試験方法によって決定する:物理吸着分析技術に基づいて操作するTriStar3000(Micromeritics Instrument Corporation)を用いてBET測定を行う。サンプル調製では、脱ガスを行って吸着された分子を取り出す。窒素は分析ガスであり、サンプル管の空隙容量を決定するためにヘリウムを使用する。Micromeritics社は、調製手順及び試験条件に加えて、参照物質として使用するためのシリカアルミナを提供している。サンプル管に参照物質の既知質量を添加し、BET装置マニホールド上にサンプル管を載せることにより測定が始まる。熱的に安定な投与マニホールド、サンプル管、及び飽和圧(P0)測定のための専用管を排気する。充分な真空に達したら、マニホールドをヘリウム(非吸着ガス)で満たし、サンプルポートを開いて室温におけるサンプルのウォームフリースペースを決定する。参照物質を含むサンプル管を液体窒素に浸して、約77K(ケルビン)まで冷却し、フリースペース分析を再度行う。吸着物質の飽和圧をP0管を用いて測定し、次いで、大気圧以上でマニホールドに窒素を投入する。窒素の圧及び温度を記録してから、サンプルポートを開き、窒素をサンプル上に吸着させる。暫くした後、ポートを閉じて吸着を平衡に達するようにする。吸着量は、マニホールドから取り除かれた窒素量からサンプル管中の残窒素を差し引いた値である。吸着等温線に沿った測定点を使用して参照物質の比表面積(m2/g)を算出し;ここに記載されている粒子などの対象のサンプルを用いてこの手順を繰り返す。
ここに記載されている粒子は、突出した熱特性:融点及び/又は軟化点を有し、その双方は材料の結晶化度に依存する。粒子の融点を、TA Instrumentsにより製造されたDSC2500示差走査熱量計を用い、ASTM E794−06(2012)に記載されている方法を使用して、示差走査熱量測定によって決定することができる。結晶材料の融点を、加熱ステージ及びX線回折を用いて決定してすることもできる。結晶材料をその融点を超えて加熱すると、回折ピークは消滅し始める。軟化点は、非晶質、又はガラス状粒子が軟化し始める温度である。ガラス粒子の軟化点を、膨張計を用いて決定してもよい。軟化点をASTM C338−57に記載されている繊維伸び法によって得てもよい。
(焼成多層スタックの製造方法)
本発明の1つの実施形態では、基板、金属粒子ペースト及びインターカレーション粒子は、焼成多層スタックを形成する。基板は、固体、平面、又は硬質材料であってよい。1つの実施形態では、基板は、ケイ素、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、サファイア、ゲルマニウム、砒化ガリウム、窒化ガリウム、及びリン化インジウムからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。このような基板は、一般的に、トランジスター、発光ダイオード、集積回路及び光起電力電池を構成する層の成膜用に使用する。基板は導電性及び/又は可撓性であってもよい。別の実施形態では、基板は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、鋼、亜鉛、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
本発明の1つの実施形態では、金属粒子ペーストは、金属粒子及び有機ビヒクルを含む。1つの例では、金属粒子ペーストは、ガラスフリットなどの無機バインダーも含む。1つの例では、一般的な市販の金属粒子ペーストを使用する。シリコン太陽電池に一般的に使用されるアルミニウム含有金属ペーストは、Ruxing Technology(例えば、RX8252H1)、Monocrystal(例えば、EFX−39)、及びGigaSolar Materials(例えば、M7)によって販売されている。金属ペーストは、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、又はこれらの合金、複合体、若しくは他の組合せのうち少なくとも1つを含んでよい。様々な例では、金属粒子は、100nm〜100μm、500nm〜50μm、500nm〜20μm、又はその中に包含されたいずれかの範囲のD50を有する。金属粒子は球状、細長い又はフレーク形状を有してよく、単峰性又は多峰性粒度分布を有してもよい。ガラスフリットは、少量(すなわち、5重量%未満)で金属粒子ペースト中に含まれてもよい。1つの実施形態では、金属粒子ペーストは、70重量%〜80重量%のアルミニウム粒子、2重量%未満のガラスフリット、及び有機ビヒクルを含む。
本発明の1つの実施形態では、インターカレーションペーストは、貴金属粒子、インターカレーション粒子及び有機ビヒクルを含む。用語「固形適用量」は、ペースト中の貴金属及びインターカレーション粒子固体物の量又は比率を記載するためにペーストとの関連で使用することができる。ここで記載されているペーストは、必ずして明示的に言及されないが、有機ビヒクルも含む。
(インターカレーションペースト成分)
本発明の一実施形態において、ここに記載されている貴金属粒子は、金、銀、白金、パラジウム、及びロジウム、並びにこれらの合金、複合体、又は他の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。一実施形態において、貴金属粒子は、ペーストの10重量%〜70重量%で含まれる。種々の実施形態において、貴金属粒子は、約100nm〜50μm、300nm〜10μm、300nm〜5μm、又はこれらに属するいずれかの範囲のD50を有する。種々の実施形態において、貴金属粒子は、約0.4〜7.0m2/g若しくは約1〜5m2/gの範囲又はこれらに属するいずれかの範囲の比表面積を有する。前記貴金属は、最大で2重量%の酸素含有率を有していてよく;前記酸素は、前記粒子全体にわたって均一に混合されていてよく、又は、最大で500nmの厚さを有する酸化物シェルとして見出されてよい。前記貴金属粒子は、球形、細長又はフレーク形状を有していてよく、また、単峰性又は多峰性の粒度分布を有していてよい。銀粒子は、ソーラー産業において金属化ペーストに一般に使用されている。例示的な実施形態において、少なくともいくつかの貴金属粒子は、300nm〜2.5μmのD50及び1〜3m2/gの比表面積を有する銀である。
「インターカレーション粒子」という用語は、加熱されたときに変形し得る粒子を記載するのに使用され、他の金属粒子の多孔質層に隣接して設けられるときには、少なくとも部分的に、この多孔質金属粒子層に挿入され、熱の影響下で他の金属粒子から相分離し得る。種々の例において、インターカレーション粒子は、50nm〜50μm、50nm〜10μm、300nm〜5μm、又はこれらに属するいずれかの範囲のD50を有する。一実施形態において、インターカレーション粒子は、300nm〜3μmのD50を有する。種々の実施形態において、インターカレーション粒子は、約0.1〜6m2/g、約0.5〜3m2/g若しくは約0.5〜4m2/gの範囲又はこれらに属するいずれかの範囲の比表面積を有する。一実施形態によると、インターカレーション粒子は、フレークであり、約1.0〜3.0m2/gの比表面積を有する。前記インターカレーション粒子は、球形、細長又はフレーク形状を有していてよく、また、単峰性又は多峰性の粒度分布を有していてよい。
インターカレーション粒子として使用され得る3つの粒子群:低温卑金属粒子(LTBM)、結晶性金属酸化物粒子、及びガラスフリット粒子;が存在する。いくつかの例において、インターカレーション粒子は、低温卑金属粒子、又は結晶性金属酸化物粒子、又はガラスフリット粒子のみからなる。別の例において、インターカレーション粒子は、これらの群の2以上からの粒子の混合物である。前記インターカレーション粒子の元素は、隣接する金属粒子層における元素との溶解性が低いこと、及びかかる元素と合金化しないことが望ましい。
一実施形態において、インターカレーション粒子は、低温卑金属粒子である。「低温卑金属粒子」(LTBM)という用語は、低温融点、すなわち、専ら又は実質的に、450℃未満の融点を有する任意の卑金属又は金属合金からなる粒子を記載するのに使用される。いくつかの例において、LTBMはまた、最大で2重量%の酸素を含有していてもよく;前記酸素は、前記粒子全体にわたって均一に混合されていてよく、又は、最大で500nmの厚さを有し且つ粒子をコーティング若しくは部分的にコーティングする酸化物シェルにおいて見出されてよい。いくつかの例において、LTMBの融点はさらに低く、例えば、350℃未満又は300℃未満である。本発明の一実施形態において、LTBMは、専ら又は実質的に、ビスマス、錫、テルル、アンチモン、鉛、又はこれらの合金、複合体、若しくは他の組み合わせからなる。一実施形態において、インターカレーション粒子は、ビスマスのみを含有し、1.5〜4μmのD50及び1〜2m2/gの比表面積を有する。
別の実施形態において、LTBMインターカレーション粒子は、金属又は金属酸化物シェルによって包囲されているであるビスマスコア粒子である。別の実施形態において、LTBMインターカレーション粒子は、銀、ニッケル、ニッケルホウ素のようなニッケル合金、錫、テルル、アンチモン、鉛、モリブデン、チタン、複合体、及び/又はこれらの他の組み合わせで構成される単一のシェルによって包囲されているビスマスコア粒子である。別の実施形態において、LTBMインターカレーション粒子は、シリコンの酸化物、マグネシウムの酸化物、ホウ素の酸化物、又はこれらの任意の組み合わせである単一のシェルによって包囲されているビスマスコア粒子である。これらのシェルは、いずれも、0.5nm〜1μm、若しくは0.5nm〜200nmの範囲、又はこれらに属するいずれかの範囲の厚さを有していてよい。
別の実施形態において、インターカレーション粒子は、結晶性金属酸化物粒子である。金属酸化物は、少なくとも1つの酸素原子(−2の酸化状態を有するアニオン)及び少なくとも1つの金属原子を有する任意の化合物である。多くの金属酸化物は、複数の金属原子を含有し、金属粒子は全て同じであっても又は種々の金属を含んでいてもよい。当業者によって理解されるように、広い範囲の金属対酸素原子比が可能である。金属酸化物が、規則的な周期構造を形成するとき、これらは結晶性である。かかる結晶性金属酸化物は、これらの結晶構造の強度特性を変化させるピークパターンでX線放射線を回折し得る。一実施形態において、結晶性金属酸化物粒子は、専ら又は実質的に、以下の金属:ビスマス、錫、テルル、アンチモン、鉛、バナジウム、クロム、モリブデン、ホウ素、マンガン、コバルト、及びこれらの合金、複合体又は他の組み合わせ;のうちの少なくとも1つの酸化物からなる。
ここに開示されていて以下により詳細に記載されている構造では、結晶性金属酸化物粒子が加熱されると、異なる組成の金属粒子間の構造内で大幅な相互拡散が起こり得る温度よりも低い温度でこれら粒子が溶融し始める(すなわち、融点(TM)に達する)場合に有用である。混合層における結晶性材料の融点は、加熱ステージと及びX線回折を使用して決定され得る;サンプルがその融点を超えて加熱されると、回折ピークが減少し次いで消失する。いくつかの例示的な実施形態において、酸化ホウ素(III)(B2O3 TM=450℃)、酸化バナジウム(V)(V2O5 TM=690℃)、酸化テルル(IV)(TeO2 TM=733℃)、及び酸化ビスマス(III)(Bi2O3 TM=817℃)は、焼成プロセスの際に変形して隣接する多孔質金属粒子層に挿入され、改質金属粒子層を作り出すことができる。例示的な実施形態において、前記インターカレーション粒子は、50nm〜2μmのD50及び1〜5m2/gの比表面積を有する結晶性酸化ビスマスである。別の実施形態において、結晶性金属酸化物粒子は、当該粒子の融点を調整し得る、1又は複数のさらなる元素も少量(すなわち、10重量%未満)で含有する。このようなさらなる元素としては、限定されないが、シリコン、ゲルマニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、炭素、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、硫黄、セレン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ランタン、及びセリウムが挙げられる。
別の実施形態において、インターカレーション粒子は、ガラスフリット粒子である。一実施形態において、ガラスフリット粒子は、専ら又は実質的に、酸素と、以下の元素:シリコン、ホウ素、ゲルマニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、炭素、錫、鉛、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ランタン、セリウム、酸素、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせ;のうちの少なくとも1つとの組み合わせからなる。焼成の際に効果的に変形するために前記ガラスフリットが900℃未満又は800℃未満の軟化点を有する場合に有用である。例示的な実施形態において、前記インターカレーション粒子は、50nm〜2μmのD50及び1〜5m2/gの比表面積を有するケイ酸ビスマスガラスフリット粒子である。
「有機ビヒクル」という用語は、ペースト中に固体成分を溶融、分散及び/又は懸濁させることを助ける有機化学物質又は化合物の混合物又は溶液を記載している。ここに記載されているインターカレーションペーストでは、多くの異なる有機ビヒクル混合物が使用されてよい。かかる有機ビヒクルは、チクソ剤、安定剤、乳化剤、増粘剤、可塑剤、界面活性剤及び/又は他の一般的な添加剤を含有していても含有していなくてもよい。
有機ビヒクルの成分は、当業者に周知である。有機ビヒクルの主な構成成分には、1又は複数のバインダー及び1又は複数の溶媒が含まれる。バインダーは、ポリマー若しくはモノマー有機化合物、若しくは「樹脂」、又はこれら2つの混合物であってよい。ポリマーバインダーは、種々の分子量及び種々の多分散性指数を有していてよい。ポリマーバインダーは、コポリマーとして知られている、2つの異なるモノマー単位の組み合わせを含んでいてよく、ここで、モノマー単位は、単独又は大きなブロック(ブロックコポリマー)のいずれかで交互になっていてよい。多糖体は、一般的に使用されているポリマーバインダーであり、これらとして、限定されないが、アルキルセルロース及びアルキル誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、これらの誘導体及び混合物が挙げられる。他のポリマーバインダーとして、限定されないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリレート(ポリメタクリレート及びポリメタクリル酸メチルを含む)、ポリビニル(ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ビニルを含む)、ポリアミド、ポリグリコール(ポリエチレングリコールを含む)、フェノール樹脂、ポリテルペン、これらの誘導体並びに組み合わせが挙げられる。有機ビヒクルバインダーは、1〜30重量%のバインダーを含んでいてよい。
溶媒は、熱的手段、例えば、蒸発による処理の際にペーストから通常除去される有機種である。一般に、ここに記載されているペーストにおいて使用され得る溶媒は、限定されないが、極性、非極性、プロトン性、非プロトン性、芳香族、非芳香族、塩素化、及び非塩素化溶媒が挙げられる。ここに記載されているペーストにおいて使用され得る溶媒の例は、限定されないが、アルコール、ジ−アルコール(グリコールを含む)、多価−アルコール(グリセロールを含む)、モノ−及びポリ−エーテル、モノ−及びポリ−エステル、アルコールエーテル、アルコールエステル、一及び二置換アジピン酸エステル、モノ−及びポリアセテート、エーテルアセテート、グリコールアセテート、グリコールエーテル(エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルを含む)、グリコールエーテルアセテート(エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含む)、線状又は分岐の飽和及び不飽和アルキル鎖(ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、及びデカンを含む)、テルペン(α−、β−、γ−、及び4−テルピネオールを含む)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール(商標)としても知られている)、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(カルビトール(商標)としても知られている)、これらの誘導体、組み合わせ、並びに混合物が挙げられる。
一例において、有機ビヒクルは、70〜100重量%の溶媒を含有する。前記バインダー、溶媒、及び任意の添加剤の割合及び組成は、当業者によって理解されるように、ペースト粒子の所望の分散若しくは懸濁、所望の炭素含有率、及び/又は所望のレオロジー特性を達成するように調整されてよい。例えば、前記ペーストのレオロジーは、チクソ剤、例えば、Thixatrol Max(登録商標)を添加することによって改質され得る。別の例において、前記有機ビヒクルの炭素含有率は、前記バインダー及びチクソ剤を改質すること、並びに、ピークの焼成温度、焼成プロファイル、及び熱的アニーリングの際に生じるであろう気流を考慮することによって増加又は減少され得る。少しの添加剤が含まれていてもよい。かかる添加剤として、限定されないが、チクソ剤及び界面活性剤が挙げられる。かかる添加剤は、当該分野において周知であり、かかる成分の有用な量は、デバイスの効率及び信頼性を最大にするように常套の実験を通して決定され得る。本発明の一実施形態において、金属化ペーストは、温度制御された粘度計Brookfield RVDV−II+Proを使用して測定される、10,000〜200,000cPの、25℃における粘度、及び4秒−1の剪断速度を有する。
(インターカレーションペースト配合物)
本発明のいくつかの実施形態による、インターカレーションペーストの例示的な組成範囲を表Iに示す。種々の実施形態において、前記インターカレーションペーストは、30重量%〜80重量%の固体が投入されており、貴金属粒子が、前記インターカレーションペーストの10重量%〜70重量%を構成し、インターカレーション粒子が、前記インターカレーションペーストの少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、又は40重量%を構成し、インターカレーション粒子対貴金属粒子の比が、重量基準で少なくとも1:5である。例示的な実施形態において、前記貴金属粒子の含有率は、50重量%であり、前記インターカレーション粒子が、前記インターカレーションペーストの少なくとも10重量%を構成する。種々の実施形態において、前記インターカレーションペーストにおけるインターカレーション粒子対貴金属粒子の比は、重量基準で少なくとも1:5、又は2:5、又は3:5、又は1:1、又は5:2である。
本発明の一実施形態において、太陽電池用途では、インターカレーションペーストは、20〜50重量%の貴金属粒子(すなわち、表Iにおけるインターカレーションペースト範囲II)及び10〜35重量%のインターカレーション粒子を含有し、LTBM、結晶性金属酸化物、ガラスフリット、又はこれらの組み合わせを有していてよい。一実施形態において、前記インターカレーション粒子は、金属性ビスマス粒子である。インターカレーションペーストA(表I)は、50重量%の銀粒子、12.5重量%のビスマス粒子、及び37.5重量%の有機ビヒクルを含有して、1:4のインターカレーション粒子対貴金属粒子比(重量基準で)を結果として生じ得る。インターカレーションペーストC(表I)は、45重量%の銀粒子、30重量%のビスマス粒子、及び25重量%の有機ビヒクルを含有して、1:1.5のインターカレーション粒子対貴金属粒子比(重量基準で)を結果として生じ得る。前記インターカレーションペーストが銀及びビスマス粒子を含むとき、「Ag:Bi」という記述が使用される。
別の実施形態において、前記インターカレーション粒子は、ガラスフリット粒子である。インターカレーションペーストB(表I)は、45重量%の銀粒子、30重量%のビスマス系ガラスフリット粒子、及び25重量%の有機ビヒクルを含有して、1:1.5のインターカレーション粒子対貴金属粒子比(重量基準で)を結果として生じ得る。別の実施形態において、インターカレーション粒子は、LTBM、結晶性金属酸化物粒子、及びガラスフリット粒子の混合物である。インターカレーションペーストD(表I)は、30重量%の銀粒子、15重量%の金属性ビスマス粒子、5重量%の高鉛含有率ガラスフリット粒子及び50重量%の有機ビヒクルを含有し得る。前記インターカレーションペーストの配合は、具体的な金属層について所望のバルク抵抗、接触抵抗、層厚、及び/又は引張強度を達成するように調整され得る。
本発明の別の実施形態において、インターカレーションペーストを形成する方法は、貴金属粒子を付与する工程、インターカレーション粒子を付与する工程、並びに前記貴金属粒子及びインターカレーション粒子を有機ビヒクル中に一緒に混合する工程を含む。一例において、前記インターカレーション粒子は、前記有機ビヒクルに添加されて、遊星型ミキサー(例えば、Thinky AR−100)において混合され、次いで前記貴金属粒子(及び、所望により、さらなる有機ビヒクル)が添加されて前記遊星型ミキサーにおいて混合される。前記インターカレーションペーストは、次いで、例えば、3ロールミル(例えば、Exakt 50 I)を使用することによって、ミリングされてもミリングされなくてもよい。一例において、前記インターカレーションペーストは、10〜70重量%の貴金属粒子及び10重量%超のインターカレーション粒子を含有する。
(焼成多層スタックを形成する方法)
本発明の一実施形態において、焼成多層スタックは、少なくとも1つの金属粒子層及び少なくとも1つのインターカレーション層が存在する基板を含む。一実施形態において、焼成多層スタックは、次の工程:基板表面上に金属粒子層を付与する工程、前記金属粒子層を乾燥する工程、前記乾燥金属粒子層の一部の上にインターカレーション層を直接付与する工程、前記インターカレーション層を乾燥する工程、及び、次いで、前記多層スタックを共焼成する工程;を含む共焼成プロセスを使用して形成される。別の実施形態において、焼成多層スタックは、次の工程:基板表面上に金属粒子層を付与する工程、前記金属粒子層を乾燥する工程、前記金属粒子層を焼成する工程、前記焼成金属粒子層の一部の上にインターカレーション層を直接付与する工程、前記インターカレーション層を乾燥する工程、及び、次いで、前記多層スタックを焼成する工程;を含む逐次焼成プロセスを使用して形成される。一実施形態において、焼成の際、前記インターカレーション層の一部が前記金属粒子層に入り込むことにより、前記金属粒子層を改質金属粒子層に変換する。いくつかの実施形態において、各付与工程は、スクリーン印刷、グラビア印刷、スプレー堆積、スロット塗布、3D印刷及びインクジェット印刷からなる群から独立して選択される方法を含む。一実施形態において、金属粒子層は、金属粒子ペーストを基板の一部にスクリーン印刷することによって付与され、インターカレーション層は、インターカレーションペーストを、乾燥した後の金属粒子層の一部に直接スクリーン印刷することによって付与される。一実施形態において、基板表面の一部が、少なくとも1つの誘電体層によって覆われており、金属粒子層が前記誘電体層の一部に付与される。
(乾燥及び焼成多層スタックの形態)
図1は、本発明の実施形態による、共焼成される前の多層スタック100を示す概略断面図である。乾燥金属粒子層120は、基板110の一部の直上にある。インターカレーション層130は、上記に記載されているように、インターカレーション粒子及び貴金属粒子から構成されていて、前記乾燥金属粒子層120の一部の直上にある。本発明の種々の実施形態において、前記インターカレーション層130は、0.25μm〜50μm、1μm〜25μm、1μm〜10μm、又はこれらに属するいずれかの範囲の平均厚さを有する。本発明の一実施形態において、前記インターカレーション層130は、貴金属粒子、インターカレーション粒子、及び任意選択的には有機バインダー(乾燥後に前記インターカレーション層130に残存していてよい)を含む。共焼成の前に、前記貴金属粒子及びインターカレーション粒子は、前記インターカレーション層130内に均一に分布されていてもよい。一例において、前記貴金属粒子及び前記インターカレーション粒子は、乾燥後(及び焼成の前)に変形されず、元のサイズ及び形状を保持している。
本発明の一実施形態において、前記乾燥金属粒子層120は、多孔質であり、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。一例において、共焼成の前に、前記乾燥金属粒子層120は、金属粒子を含有しており、有機バインダーを含有していても含有していなくてもよく、ガラスフリットのような非金属性粒子を含有していても含有していなくてもよい。前記金属粒子は、典型的には、乾燥後(及び焼成の前)に変形されず、元のサイズ及び形状を保持している。
焼成の際、前記インターカレーション層130からの前記インターカレーション粒子は、前記インターカレーション層130に隣接する(図1において以下に示す)前記乾燥金属粒子層120の一部に挿入される。前記インターカレーション層130に隣接していて、前記インターカレーション粒子材料が入り込む前記乾燥金属粒子層120の一部は、本開示の目的で「改質金属粒子層」と呼ばれる。焼成後、前記インターカレーション層と隣接していない、インターカレーション粒子材料が入り込まない又は微量の当該材料のみが入り込む前記乾燥金属粒子層120の残存部分は、本開示の目的で「金属粒子層」と称される。一例において、焼成の際、前記乾燥金属粒子層120における粒子は、焼結又は溶融してよく、その結果、前記金属粒子層が、前記乾燥金属粒子層120とは異なる形態及び当該層よりも低い空孔率を有することとなる。焼成の際に起こる変化、及び前記焼成多層スタック構造を、以下においてより詳細に考察する。
図2は、本発明の実施形態による、焼成多層スタック200(焼成された後の図1の前記構造100)を示す概略断面図である。前記焼成多層スタック200は、基板210の少なくとも一部に隣接する改質(焼成に起因)金属粒子層222、及び前記改質金属粒子層222に隣接する改質(焼成に起因)インターカレーション層230を含む。焼成の際、前記インターカレーション層(焼成前の、図1において130として示されている)における前記貴金属粒子及びインターカレーション粒子の少なくとも一部が、互いに相分離する相を形成する。前記貴金属粒子は、焼結又は溶融して、形態が変化し、前記改質インターカレーション層230の空孔率を低減し得る。前記貴金属粒子(焼結又は溶融してもよい)の少なくとも一部が前記改質インターカレーション層230のはんだ付け可能な面230Sに向かって移動すると、前記インターカレーション粒子の少なくとも一部は溶融及び流動し又は前記隣接する改質金属粒子層222に挿入される。前記改質金属粒子層222は金属粒子を含み、前記インターカレーション層(焼成前の、図1において130として示されている)における前記インターカレーション粒子からの材料が入り込むことで前記乾燥金属粒子層(焼成前の、図1において120として示されている)の一部の材料特性を改変して前記改質金属粒子層222を形成している。前記インターカレーション粒子からの前記材料は、前記改質金属粒子層222におけるゆるく充填された金属粒子を接続し得、又は、前記改質金属粒子層222において互いに既に接触している金属粒子をコーティングし得る。
いくつかの例において、インターカレーション粒子材料がほとんど入り込んでいない又は微量のインターカレーション粒子材料のみが入り込んでいる金属粒子領域220も存在する。一例において、金属粒子層220は、前記改質インターカレーション層230と直接接触しておらず、前記インターカレーション粒子からの増加した濃度の元素を含有していない。いくつかの例において、前記金属粒子層220及び前記改質金属粒子層222は、前記基板210と共に化合物(複数可)を形成し、共焼成の際に前記基板210にドープする(図示せず)。図2は、前記金属粒子層領域220と前記改質金属粒子層222との間の鮮明な境界を示しているが、かかる境界は、概して鮮明ではないことが理解されるべきである。いくつかの例において、前記境界は、共焼成の際の前記金属粒子層220への前記改質インターカレーション層230材料の側方拡散の程度によって決定される。
本発明のいくつかの実施形態において、図2における前記改質インターカレーション層230における前記材料は、前記インターカレーション粒子からの材料を含有する相と、前記貴金属を含有する相とに相分離されている。図3は、焼成多層スタック390(図2の構造200と等価)を示す概略断面図であり、前記インターカレーション層330が相分離されている。前記焼成多層スタック390(領域350内のみ)は、基板300の一部と改質(焼成に起因)インターカレーション層330との間の領域350に、改質(焼成に起因)金属粒子層322を含む。金属粒子392を含有する金属粒子層320は、前記多層スタック領域350に隣接する前記基板300上にある。
前記改質インターカレーション層330は、2相:貴金属相335及びインターカレーション相333;を含有し、はんだ付け可能な面335Sを有する。前記はんだ付け可能な面の大部分(少なくとも50%超)が、前記貴金属相335から構成されている。いくつかの例において、前記貴金属相335及びインターカレーション相333は、焼成の際に完全には相分離しておらず、その結果、前記はんだ付け可能な面335Sに前記インターカレーション相333のいくらかも存在することとなる。前記改質金属粒子層322は、金属粒子392と、前記インターカレーション相333からの材料の一部とを含有する。前記改質金属粒子層322において、前記改質インターカレーション領域330と前記隣接する金属粒子392との間に界面3221が存在する。前記界面3221は、平滑でなくてよく、前記金属粒子392のサイズ及び形状、並びに焼成条件に依る。焼成前の前記乾燥金属粒子層(図1における120)にガラスフリットが任意選択的に含まれている実施形態において、前記改質金属粒子層322及び前記金属粒子層320はまた、前記層の3重量%未満を構成する、少量のガラスフリット(図示せず)を含有していてもよい。
他の実施形態において、図2における前記改質インターカレーション層230における前記材料は、相分離されて、層状構造を形成している。図4は、2つの副層を有するインターカレーション層を含む焼成多層スタック400(図2の構造200と等価)を示す概略断面図である。前記焼成多層スタック400(領域450内のみ)は、基板410の一部と、改質(焼成に起因)インターカレーション層430との間の領域450に、改質(焼成に起因)金属粒子層422を含む。金属粒子402を含有する金属粒子層420は、前記多層スタック領域450に隣接する前記基板410上にある。
前記改質インターカレーション層430は、2つの副層:前記改質金属粒子層422の直上にあるインターカレーション副層433、及び前記改質インターカレーション層433の直上にある貴金属副層435;を含有する。前記貴金属副層435は、はんだ付け可能な面435Sを有する。前記改質金属粒子層422は、金属粒子402と、前記インターカレーション副層433からのいくらかの材料403とを含有する。前記改質金属粒子層422において、前記改質インターカレーション層430(又は前記改質インターカレーション層433)と最上の金属粒子402との間に界面4221が存在する。焼成前の前記乾燥金属粒子層(図1における120)にガラスフリットが任意選択的に含まれている実施形態において、前記改質金属粒子層422及び前記金属粒子層420はまた、前記層の3重量%未満を構成する、少量のガラスフリット(図示せず)を含有していてもよい。
断面SEM画像を使用して、前記層を同定し、多層スタックにおける層厚を測定した。焼成多層スタックにおける層の平均層厚は、それぞれが断面画像を横断して少なくとも10μm離間している、少なくとも10の厚さ測定値を平均することによって得た。本発明の種々の実施形態において、金属粒子層(例えば、図2における220)は、0.5μm〜100μm、1μm〜50μm、2μm〜40μm、20μm〜30μm、又はこれらに属するいずれかの範囲の平均厚さを有する。基板におけるかかる金属粒子層は、1×1mmのエリアにわたって平均金属粒子層厚の20%以内の最小及び最大層厚を有し、典型的には平滑である。断面SEMに加えて、記載のエリアにわたっての層厚及びばらつきは、Olympus LEXT OLS4000 3Dレーザー測定顕微鏡及び/又はVeeco Dektak 150のような表面形状測定装置を使用して正確に測定され得る。
例示的な実施形態において、金属粒子層(図2において例えば220)は、焼結されたアルミニウム粒子でできており、25μmの平均厚さを有する。金属粒子層の空孔率は、水銀ポロシメータ、例えば、CE instrument Pascal 140(低圧)又はPascal 440(高圧)を使用して、0.01kPa〜2Mpaの範囲で測定され得る。焼成金属粒子層は、1%〜50%、2%〜30%、3%〜20%、又はこれらに属するいずれかの範囲の空孔率を有し得る。アルミニウム粒子からできていて、ソーラー用途において使用される焼成金属粒子層は、10%〜18%の空孔率を有し得る。
図4においてそれぞれ433及び435で模式的に示されるようなインターカレーション副層及び貴金属副層の厚さは、断面SEM/EDXを使用して実際の多層スタックにおいて測定した。前記副層は、前記インターカレーション相と貴金属相との間のコントラストの違いに起因してSEMにおいて区別した。EDXマッピングを使用して、図4において4321として示されている界面の位置を同定した。種々の実施形態において、前記貴金属副層は、0.5μm〜10μm、0.5μm〜5μm、1μm〜4μm、又はこれらに属するいずれかの範囲の厚さを有する。種々の実施形態において、前記インターカレーション副層は、0.01μm〜5μm、0.25μm〜5μm、0.5μm〜2μm、又はこれらに属するいずれかの範囲の厚さを有する。
本発明の一実施形態において、改質インターカレーション層は、2つの相:貴金属相及びインターカレーション相;を含有する。かかる構造を図4に詳細に示した。典型的には、前記インターカレーション相は、はんだ付け可能ではなく、そのため、前記はんだ付け可能な面230Sはその大部分において前記貴金属相を含有して、はんだ付け適性を確保する場合に有用である。種々の例において、前記はんだ付け可能な面は、50%超、60%超、又は70%超の貴金属相を含有する。一例において、前記改質インターカレーション層の前記はんだ付け可能な面は、大部分が貴金属(複数可)を含有する。平面図EDXを使用して、前記改質インターカレーション層の表面における元素の濃度を決定した。SEM/EDXを、上記に記載されている機器によって、7mmのサンプル作動距離及び500倍の倍率で10kVの加速電圧において実施した。種々の実施形態において、前記改質インターカレーション層230の外面230Sの少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも98重量%が、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせのうちの1又は複数を含有する。焼成条件、インターカレーション粒子及び貴金属粒子のタイプ及びサイズは、全てが、改質インターカレーション層形態における相分離の程度に影響する。
前記改質金属粒子層(図2において222として示されている)は、前記金属粒子層(図2において220として示されている)よりもかなり高濃度の前記インターカレーション粒子材料を含有する。実際の多層スタックにおける前記改質金属粒子層及び前記金属粒子層の断面から採取したEDXスペクトルの比較は、前記改質金属粒子層に挿入された前記改質インターカレーション層からの材料の濃度を決定するのに使用され得る。上記に記載されているSEM/EDX機器は、7mmのサンプル作動距離で20kVにおいて操作され、これを使用して、前記改質金属粒子層の断面サンプルにおける、前記インターカレーション粒子(例えば、ビスマス)からの金属対全金属(例えば、ビスマス及びアルミニウム)の比を測定した。重量比(インターカレーションペースト金属対全金属)は、IM:M比と称される。基準のEDX分析を、再現性のある測定値を確保するために前記改質金属粒子層から少なくとも500μm離間している前記金属粒子層の領域において実施した。第2のEDXスペクトルを前記改質金属粒子層から採取し、前記スペクトルを比較した。前記IM:M比の決定において、金属性元素のピークのみを考慮した(すなわち、炭素、硫黄、及び酸素からのピークを無視した)。前記比を分析するとき、信頼できない結果を防止するために、前記基板からの貴金属及びあらゆる金属元素を排除した。例示的な実施形態において、前記乾燥金属粒子層(図1において120として示されている)がアルミニウム粒子を含有し且つ前記インターカレーション層130がビスマス及び銀粒子を含有したとき、前記金属粒子層(すなわち、焼成後)は、1:99のBi:(Al+Bi)(IM:M)比で、およそ1重量%のビスマス及び98重量%超のアルミニウムを含有した。他のインターカレーションペースト金属成分は、前記改質金属粒子層の0.25重量%未満を構成し、前記IM:M比の算出において考慮されない。種々の他の実施形態において、前記IM:M比は、1:106、1:1000、1:100、1:50、1:25、又は1:10である。
基板は、いくらかの表面粗さを有し、これによりそれらとの界面も粗くさせ得る得ることに注意されるべきである。図5は、本発明の実施形態による、かかる基板510、改質金属粒子層522及び改質インターカレーション層530の一部を示す概略断面図である。前記基板510と前記改質金属粒子層522との間には非平面状界面501Bが存在する。前記改質金属粒子層522と前記改質インターカレーション層530との間には非平面状界面522Bが存在する。線502は、前記改質金属粒子層522への前記基板510の最も深い侵入を示している。線504は、前記改質金属粒子層522への前記改質インターカレーション層530の最も深い侵入を示している。線502と線504との間の前記改質金属粒子層522の領域は、サンプリング領域522Aと称され得る。前記改質金属粒子層522における前記IM:M比を求める際に、界面粗さに起因する誤った結果を回避するために、かかる分析を前記サンプリング領域522Aに限定することが有用であり得る。
例示的な実施形態において、改質金属粒子層における前記IM:M比は、金属粒子層における(前記改質金属粒子層から少なくとも500μm離間している領域における)ものよりも20%高く、50%高く、100%高く、200%高く、500%高く、又は1000%高い。例示的な実施形態において、ビスマス粒子を含有するインターカレーション層は、アルミニウム粒子層上にあり、前記改質金属粒子層(図5において522Aとして示されているようなサンプリング領域において分析される)は、1:25のBi:(Al+Bi)(又はIM:M)比で4重量%のビスマス及び96重量%のアルミニウムを含有する。前記Bi:(Al+Bi)比は、前記金属粒子層中よりも、前記改質金属粒子層中で400%高い。
1を超える金属を含有する結晶性金属酸化物及び/又はガラスフリットをインターカレーション層が含有するとき、インターカレーション金属成分はEDXによって定量化されそして合計されて、IM:M比を求める。例えば、ガラスフリットが、ビスマス及び鉛の両方を含有するとき、前記比は、(Bi+Pb):(Bi+Pb+Al)として記載される。
種々の実施形態において、焼成多層スタックは固体化合物層も含み、これは、焼成の際に乾燥金属粒子層における金属粒子と基板との間の相互作用から形成される。前記固体化合物層は、限定されないが、合金、共晶体、複合体、混合物、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。一例において、改質金属粒子層及び基板は、これらの界面において固体化合物領域(複数可)を形成する。前記固体化合物領域(複数可)は、1又は複数の合金を含有し得る。前記固体化合物領域(複数可)は、連続的(層)であっても、半連続的であってもよい。前記基板及び金属粒子層の組成に応じて、形成する合金(複数可)又は他の化合物は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、シリコン、酸素、炭素、ゲルマニウム、ガリウム、ヒ素、インジウム及びリンのうちの1又は複数を含んでいてよい。例えば、アルミニウム及びシリコンは660℃超で共晶体を形成し、冷却の際、結果として、固体アルミニウム−シリコン(Al−Si)共晶層をシリコン界面で生じさせる。例示的な実施形態において、前記固体化合物層は、シリコン基板の一部に形成される固体Al−Si共晶層である。前記固体Al−Si共晶層の形成及び形態は、シリコン太陽電池において周知である。別の実施形態において、基板は、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせのうちの少なくとも1つがドープされる。一例において、アルミニウムは、シリコンにおけるp型ドーパントであり、焼成の際、前記基板に隣接するアルミニウム粒子層からのアルミニウムが、さらなるアルミニウムドーパントを付与して高度にp型ドープされた領域を前記シリコン基板に形成し、これは裏面電界として知られている。
大気条件に応じて、インターカレーション粒子は、溶融して焼成多層スタックにおける改質金属粒子層に挿入されるときに、複数の相変化を経ることがある。前記改質金属粒子層及び前記基板における材料に応じて、前記インターカレーション粒子はまた、前記改質金属粒子層に挿入されるときに、結晶性化合物を形成することもある。かかる結晶性化合物は、前記改質金属粒子層における金属粒子間の凝集を改善し、特定の元素の相互拡散を防止し、及び/又は前記焼成多層スタックにおける金属層間の電気接触抵抗を低減し得る。一実施形態において、前記改質インターカレーション層及び前記改質金属粒子層は、ビスマスと、酸素、シリコン及び銀、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせのうちの少なくとも1つの他のものとから構成される結晶を含有する。
本発明の一実施形態において、貴金属相は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、並びにこれらの合金、これらの複合体、及びこれらの他の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。一例において、前記貴金属相は、実質的にこれらの材料のうちの1又は複数からなる。これらの材料のうちの1つが前記貴金属相の大部分を構成するとき、前記貴金属相は、当該材料がリッチであるとして記載される。例えば、貴金属相、貴金属層、又は亜貴金属副層が、大部分が銀を含有するとき、これらは、それぞれ、銀リッチ領域、銀リッチ層、又は銀リッチ副層と称され得る。
インターカレーション相は、インターカレーション粒子からの元素を含有しており、また、外部環境からの元素(例えば、酸素)、並びに、焼成の際に入り込んだ、隣接する金属粒子層における貴金属粒子及び近隣の基板からの元素の少量も含み得る。低温卑金属、結晶性金属酸化物及び/又はガラスフリットがインターカレーション粒子として使用されるか否かに応じて、幅広い元素アレイが前記インターカレーション相にあってよい。一実施形態において(前記インターカレーション粒子が専ら低温卑金属であるとき)、前記インターカレーション相は、ビスマス、ホウ素、錫、テルル、アンチモン、鉛、酸素、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する。別の実施形態において(前記インターカレーション粒子が専ら結晶性金属酸化物であるとき)、前記インターカレーション相は、ビスマス、錫、テルル、アンチモン、鉛、バナジウム、クロム、モリブデン、ホウ素、マンガン、コバルトの酸化物、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する。別の実施形態において(前記インターカレーション粒子が専らガラスフリットであるとき)、前記インターカレーション相は、酸素と、以下の元素:シリコン、ホウ素、ゲルマニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、炭素、錫、鉛、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ランタン、セリウム、並びにこれらの合金、複合体、及び他の組み合わせ;のうちの少なくとも1つと、を含有する。これらの材料のうちの1つが前記インターカレーションペースト領域の大部分を構成するとき、前記インターカレーションペースト領域は、当該材料がリッチであるとして記載される。例えば、インターカレーションペースト領域、インターカレーション層、又はインターカレーション副層が、大部分がビスマスを含有するとき、これらは、それぞれ、ビスマスリッチ領域、ビスマスリッチ層、又はビスマスリッチ副層と称され得る。
(焼成多層スタック及び用途の例)
大部分がアルミニウム、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、及びチタンを含有する金属粒子層は、焼成後、穏やかに活性化された(RMA)フラックス及び錫系はんだによるはんだ付けが可能ではない。しかし、太陽電池及び他のデバイスにおいて、リボンをはんだ付けして、金属粒子層、例えば、アルミニウム粒子層との電気接続を行うことが高く望まれている。ここに開示されているように、貴金属、例えば、銀及び金を含有する本発明インターカレーションペーストは、金属粒子層上で使用され、空気中で焼成されて、高度にはんだ付け可能な面を生じ得る。通常は、多層スタックにおいて焼成の際に貴金属が金属粒子層(例えば、アルミニウム)と相互拡散してしまい、うまくはんだ付けするには貴金属の含有量が少なすぎるはんだ付け可能な面を結果として生じさせるので、貴金属を添加することによって金属粒子層のはんだ付け適性を増加させるということは他の試みとは対照的である。例えば、アルミニウム粒子層上に10重量%未満のガラスフリットを含有する市販の銀裏側タブペーストの層の焼成しても、はんだ付け可能な面を結果として生じさせない。かかる層は、焼成工程の際に大幅な銀−アルミニウム相互拡散を経験し、得られる銀アルミナイド面が、はんだ付け可能ではない。
インターカレーション層は、ここに開示されているように、1)貴金属の拡散をブロックしてはんだ付け可能な面を付与する、2)前記金属粒子層を機械的に強化する、及び3)前記金属粒子層の下の層のエッチングを補助することを目的に、金属粒子層の材料特性を改質するのに使用され得る。本発明の一実施形態において、銀でできている貴金属粒子、及びビスマス金属又はビスマス系ガラスフリットでできているインターカレーション粒子を含有するインターカレーションペースト、並びにアルミニウム粒子を含有する隣接する金属粒子層を使用して多層スタックを形成した。
SEM/EDS分析を使用して、研磨された断面の焼成多層スタックにおける種々の領域の元素組成を決定し、インターカレーションペーストプロセスを研究した。SEM/EDXを、2つの異なる操作モードを使用して、上記に記載されている機器によって実施した。SEM顕微鏡写真を、SE2及びInlensと称される2つのモードを使用してZeiss Gemini Ultra−55分析電界放出SEMによって画像化した。前記SE2モードを、SE2二次電子検出器及び10秒の走査サイクル時間により5〜10kV及び5〜7mmの作動距離で操作した。前記インターカレーションペースト領域と前記Al粒子との間のコントラストを最大にするために、輝度及びコントラストを、それぞれ0〜50%及び0〜60%で変化させた。前記Inlensモードを、InLens二次電子検出器及び10秒の走査サイクル時間により1〜3kV及び3〜7mmの作動距離で操作した。前記InlensモードにおいてBSFを画像化するために、前記輝度を0%に設定し、前記コントラストを40%付近に設定した。
本発明の一実施形態において、10〜15重量%のインターカレーション粒子を含むインターカレーションペーストは、貴金属(すなわち、銀)と金属粒子(すなわち、アルミニウム)との間で相互拡散をブロックする。インターカレーションペーストA(表Iに示す)は、12.5重量%のビスマス粒子及び50重量%のAgを含み、重量基準で1:4のインターカレーション粒子対貴金属粒子比を結果として生じる。焼成多層スタックを上記に記載されているように作製した。前記焼成多層スタックのSEMを、5kVの加速電圧、7mmの作動距離、及び4000倍の倍率で、上記に記載されている機器によってSE2モードで実施した。
図6は、前記共焼成多層スタックの走査電子顕微鏡断面画像である。改質金属粒子層622の直上に改質インターカレーション層630が存在する。前記改質インターカレーション層630は、酸化ビスマスを含むビスマスリッチ(インターカレーション相)副層632、及び銀リッチ(貴金属)副層634を含む。前記改質金属粒子層622は、アルミニウム粒子621、及び前記ビスマスリッチ副層632から広がったインターカレーション相材料623を含有する。前記インターカレーション領域632は、前記アルミニウム粒子621の直上の少なくとも界面領域631の近くにある。前記インターカレーション副層632は、共焼成プロセスの際に、前記改質インターカレーション層630からの銀及び前記改質金属粒子層622からのアルミニウムの相互拡散を防止すると思われる。図6は、上記の図4に記載されている前記層状構造の例である。前記貴金属副層634は、高度にはんだ付け可能な面(前記改質金属粒子層622から離間している)を与える。前記インターカレーション相材料623は、前記改質金属粒子層622に遠くまで侵入しない。前記改質金属粒子層622は、一緒に弱く焼結されたアルミニウム粒子を大部分が含有し、共焼成後の機械的強度が低い。前記金属粒子層622に深く侵入するのに利用可能な十分なビスマスが存在せず、前記インターカレーション副層632は前記改質金属粒子層622への応力を印加してもよく、前記共焼成多層スタックを機械的に弱くし得る。かかる共焼成多層スタックの引張強度は、Al粒子間の顕著な機能停止機構により0.4N/mm(ニュートン/ミリメートル)未満である。現在のソーラー産業の基準では、商業的に実行可能であるとされる1N/mm超の引張強度を必要とする。
インターカレーションペーストB(表Iに示されている)は、はんだ付け可能な面を得るために前記インターカレーション粒子としてガラスフリットを使用する。インターカレーションペーストBは、30重量%のビスマス系ガラスフリット(インターカレーション)粒子及び45重量%のAgを含有して、重量基準で1:1.5のインターカレーション粒子対貴金属粒子比を結果として生じる。前記ガラスフリットは、主にビスマスを含有し、387℃のガラス転移温度及び419℃の軟化点を有する。前記焼成多層スタックのSEMを、5kVの加速電圧、7mmの作動距離、及び4000倍の倍率で、上記に記載されている機器によってSE2モードで実施した。図7は、本発明の実施形態による、かかる共焼成多層スタックの走査電子顕微鏡断面画像である。改質金属粒子層722は、アルミニウム粒子730を含有する。共焼成の際、前記ビスマス系ガラスフリットは、Ag粒子から完全に相分離しておらず、上記の図3に示すものと同様に2つの相:貴金属相721及びビスマス系インターカレーション相740;を有する改質インターカレーション層750を結果として生じさせる。前記改質インターカレーション層750上の面750Sは、50%超の貴金属相721を含有する。前記面750Sは、太陽電池産業において一般的に使用されているフラックス(例えば、Kester952S、Kester951及びΑlpha NR205)によってはんだ付け可能である。前記焼成多層スタックの合計引張強度は0.5N/mm未満であり、これは、前記改質アルミニウム粒子層722への前記ビスマスインターカレーション相740の比較的低い入り込みに起因し得る。概して、前記改質インターカレーション層の形態は、前記インターカレーション粒子の組成の変更及び前記インターカレーション層への投入を変更することによって改変され得る。
(元素の相互拡散をブロックし下層の金属粒子層を強化するインターカレーションペースト)
上記の例は、貴金属(すなわち、銀)と金属粒子(すなわち、アルミニウム)との間の相互拡散をブロックするように設計された2つのペースト配合を説明しているが、これらの焼成層は、はんだ付けされたとき、適度な機械的強度を欠いている。インターカレーションペーストC(表Iに示す)は、30重量%のビスマス粒子及び45重量%の銀粒子(すなわち、Ag:Biインターカレーションペースト)を含有し、重量基準で1:1.5のインターカレーション粒子対貴金属粒子比を結果として生じる。前記ペーストにおける増加したインターカレーション粒子含有率は、前記改質金属粒子層における、より高濃度の層間材料を生じさせ、結果として、機械的により強い焼成多層スタックを生じさせる。インターカレーションペーストCを、BSF、多結晶、p型太陽電池の製作の際に市販の銀裏側タブペーストの完全互換品として使用した。インターカレーションペーストCはまた、銀−on−アルミニウム(Ag−on−Al)、裏側タブ、フローティング裏側タブ、又はタブインターカレーションペーストとも称され得る。前記IM:M(インターカレーションペースト金属:金属)比、貴金属表面被覆率を評価して、結晶子が前記インターカレーションペースト領域において形成されているか否かを決定するために、得られた焼成多層スタックにおいて一連の特性決定ツールを使用した。
前記金属粒子層上の前記インターカレーション層の影響は、インターカレーション層の非存在下でのシリコン基板上の焼成アルミニウム粒子層の形態をまず図示することによって、最も良好に実証される。図8は、インターカレーション層を含有しないシリコン太陽電池のある領域から採取した、シリコン基板810上でのかかる焼成アルミニウム粒子層822のSE2モードでの走査電子顕微鏡(SEM)断面画像である。前記焼成アルミニウム粒子層822は、約20μmの厚さであり、アルミニウム粒子821、及び少量の無機バインダー(すなわち、ガラスフリット)840を含有する。同じアルミニウム粒子層のInLensモード走査電子顕微鏡写真を図9に示す。InLensモードでは、前記アルミニウム粒子層922、アルミニウム粒子921及び前記シリコン基板910が、裏面電界領域970及び固化アルミニウム−シリコン(Al−Si)共晶層980に加えて明確に視認できる。
共焼成後の改質金属粒子層の生成におけるインターカレーション層の影響は、図10を参照して理解され得る。図10は、図8に示す画像において使用される同じシリコン太陽電池のInLens SEM断面画像であるが、インターカレーションペーストC(表Iに示されている)を使用して作製される共焼成多層スタックを含有する領域から採取されている。前記共焼成多層スタック1000は、改質インターカレーション層1030、改質アルミニウム粒子層1022、固化Al−Si共晶層1080、アルミニウムドープ裏面電界(BSF)領域1070、及びシリコン基板1010を含有する。例示的な実施形態において、前記シリコン基板における前記BSFは、1017〜1020原子/cm3のドープp型である。
図10の前記共焼成多層スタックのSE2モード走査電子顕微鏡写真を図11に示す。前記InLensモードは前記BSF領域を明確に示すが、SE2モードは、前記改質アルミニウム粒子層におけるビスマス(インターカレーション相)を画像化するための好ましいモードである。前記共焼成多層スタック1100は、改質インターカレーション層1130、改質アルミニウム粒子層1122及びシリコン基板1110を含有する。前記改質インターカレーション層1130における銀副層1134及びビスマスインターカレーション副層1132もまた見られ得る。前記BSF領域及び前記固化Al−Si共晶層は、この画像においては明確に見ることができない。前記改質アルミニウム粒子層1122は、共焼成の際にアルミニウム粒子1102の周囲に挿入された多量のビスマスインターカレーション材料1103を含有する。いくつかの例において、前記ビスマス及び銀間のコントラストは、前記副層、及び前記アルミニウム粒子層へのビスマス挿入の程度を明確に同定するのに十分に強くなくてよい。かかる場合において、断面の元素マップは、前記共焼成多層スタックにおける銀及びビスマス置き換えを完全に決定するためにSEM/EDXを使用して作成され得る。
挿入に起因した、改質アルミニウム粒子層におけるインターカレーション金属(すなわち、ビスマス)の量は、同じ断面サンプルにおける改質アルミニウム粒子層領域及びアルミニウム粒子層領域から採取したEDXスペクトルを比較することによって決定され得る。これは、前記領域が互いに1μmを超えて離間している場合に最も有用である。この比較をする方法は、IM:M又はBi:(Bi+Al)比として上記に記載されている。かかる分析は、インターカレーションペーストが太陽電池の製作において使用されたか否かを決定するのに有用であり得る。太陽電池における金属化層は、典型的には、アルミニウム、銀、ビスマス、鉛、及び亜鉛を含む、狭い金属サブセットからなる。市販の太陽電池において、前記アルミニウム粒子層は、ほぼ専ら、アルミニウムを含有する。
一例において、インターカレーションペーストCにおけるインターカレーション粒子は、専ら、ビスマスを含有し、前記金属粒子層における金属粒子は、大部分がアルミニウムである。前記アルミニウム粒子層(すなわち、前記インターカレーションペーストと相互作用しない)及び前記改質アルミニウム粒子層においてビスマス対ビスマス+アルミニウム(Bi:(Bi+Al))の比を比較することは、インターカレーションペーストが太陽電池に組み込まれたか否かを決定する際に有用な測定基準である。これらの2層のEDXスペクトルを、20kVの加速電圧及び7mmの作動距離で、上記に記載されている機器を使用して、およそ3分間測定した。図8における前記焼成アルミニウム粒子層822のEDXスペクトルを領域898から収集した。図11における前記改質アルミニウム粒子層1122のEDXスペクトルを領域1199から収集した。元素定量化を、これらのスペクトルにおいて、自動元素同定、バックグラウンド減算、及びピークフィッティングにBruker Quantax Esprit2.0ソフトウェアを使用して実施した。前記EDXスペクトルを図12に示す。アルミニウム及びビスマス金属ピーク面積を定量化し、重量%を前記2層についての図12における前記EDXスペクトルから算出し、表IIにおいて以下にまとめる。前記EDXスペクトルにおいて、いずれの他の金属も有意な量で同定できなかった。表IIに示されているように、図12Aに示されている前記アルミニウム粒子層のEDXスペクトルは、1:244のBi:(Bi+Al)重量%比を生じ、図12Bに示されている前記改質アルミニウム粒子層スペクトルは、およそ1:4のBi:(Bi+Al)重量%比を生じる。前記改質アルミニウム粒子層1122における前記Bi:(Bi+Al)重量%比は、前記Ag:Biインターカレーション層と接触していない前記焼成アルミニウム粒子層822よりも約62倍高い。種々の実施形態において、作製された焼成多層スタックにおける前記比Bi:(Bi+Al)は、前記焼成アルミニウム粒子層よりも前記改質アルミニウム粒子層において少なくとも20%、又は少なくとも50%、又は少なくとも2倍、又は少なくとも倍、又は少なくとも10倍又は少なくとも50倍高い。
平面図EDXは、シリコン太陽電池における裏側タブ層の表面上での元素の濃度を決定するのに使用され得る。平面図において、EDXが、約4μm以下の深さまで前記法面の領域を探り、これを、共焼成多層スタックにおける相互拡散の程度を同定するのに有用な技術とする:より高い貴金属濃度は、相互拡散がより少ないことを意味し、より低い貴金属濃度は、相互拡散がより多いことを意味する。図13は、本発明の実施形態による、Ag:Biインターカレーション層を含有する裏側タブ層の表面から採取した平面図EDXスペクトルである。SEMを使用して、10kVの加速電圧、7mmの作動距離、及び500倍の倍率で操作し、前記EDXスペクトルを収集した。3.5〜4keVの主要なピーク、及び0.3keVにおけるより小さいピークは、全て銀と同定される。前記スペクトルにおける残りの主要でないピークは、以下と同定される:0.3keV(主要でない銀ピークと共に入り組んでいる)において炭素;0.52keVにおいて酸素;1.48keVにおいてアルミニウム;及び2.4keVにおいてビスマス。バックグラウンドを減算し、元素ピークを同定し、次いで、x線エネルギーのピーク強度をフィッティングするBruker Quantax Esprit2.0ソフトウェアを使用して、元素定量化を自動的に実施した。各元素の正規化重量百分率を以下の表IIIに示す。前記裏側タブ層の表面の合計銀被覆率は、96.3重量パーセント(重量%)である。
銀及びビスマスを含有するインターカレーション層は、乾燥アルミニウム系金属粒子層上で焼成されるとき、いくつかの特有の結晶相を形成し得る。XRDは、前記インターカレーション層においてビスマス粒子を使用する焼成多層スタックと、前記無機バインダーとしての10重量%未満のガラスフリットによる従来の銀系タブペーストを使用する焼成多層スタックとを区別するのに使用され得る。XRDを、VANTEC−500エリア検出器並びに35kV及び40mAで操作されるコバルトX線源を備えたBruker ZXS D8 Discover GADDS X線回折計を使用して実施した。シリコン太陽電池の裏側タブ層における焼成多層スタックのXRDパターンを図14に示す。ディフラクトグラムを、2θで25〜80°の合計ウインドウで組み合わせた2つの25°フレームにおいてコバルトKα波長を使用して測定した。各フレームをX線照射下で30分間測定した。図14における前記2つの回折パターンにおいてはバックグラウンド減算を実施しなかった。パターンを最も大きなピークに対して単位元に正規化し、0.01のバックグラウンドをデータに加算して、Log(強度)においてプロットした。
前記XRD回折パターンは、Ag:Biインターカレーション層によって形成される焼成多層スタック、又は太陽電池における裏側タブ層が、ビスマスを用いずに形成されたものと比較して異なるパターンを有することを示している。XRDパターンAは、シリコン太陽電池の裏側タブ層上の共焼成多層スタックに由来する。前記共焼成多層スタックは、およそ45重量%の銀、30重量%のBi、及び25重量%の有機ビヒクル(上記表IにおけるペーストCに関して)を含有するインターカレーションペーストを使用して形成される改質インターカレーション層を含んでいた。ピーク1410は、銀と同定され、ピーク1420は、酸化ビスマス(Bi2O3)の結晶子である。XRDパターンBは、アルミニウム粒子層上での前記インターカレーション層として10重量%未満のガラスフリットを含有する市販の裏側タブペーストを使用して形成されるシリコン太陽電池の裏側タブ層上の共焼成多層スタックに由来する。前記共焼成多層スタックは、色が暗く、大幅な銀−アルミニウム相互拡散を示している。ピーク1450は、シリコン−アルミニウム共晶相と同定される。ピーク1460は、銀−アルミニウム合金相(すなわち、Ag2Al)と同定される。銀ピーク1410は、酸化ビスマス化合物と併せてパターンAにおいて観察され、銀が銀−アルミニウム合金1450の部分としてのみ観察されるパターンBにおいては観察されない。これは、ビスマスが焼成多層スタックにおいて相互拡散を防止するというさらなる証拠である。一実施形態において、シリコン太陽電池における裏側タブ層は、ビスマスと、少なくとも1つの他の元素、例えば、シリコン、銀、及びこれらの酸化物、これらの合金、これらの複合体、又はこれらの他の組み合わせとの結晶子を含有する。別の実施形態において、裏側タブ層は、酸化ビスマス結晶子を含有する。別の実施形態において、インターカレーション領域は、焼成の際に複数の相変換を経る。
(インターカレーション層は、焼成の際に誘電体層を通してエッチングし得る)
いくつかのデバイス用途において、前記基板表面を不動態化するために、また、電子的特性を改善するために、金属層が配置される前に誘電体層が基板表面上に堆積される。前記誘電体層はまた、前記基板と隣接する金属粒子層(複数可)との間での種の相互拡散も防止し得る。いくつかの場合において、前記基板と前記金属粒子層との間に化合物を形成して前記基板と前記金属粒子層との間の電気伝導を改善するために前記誘電体層を通してエッチングすることが高く望まれるかもしれない。ビスマス及び鉛を含有するガラスフリットは、シリコン太陽電池の共焼成の際に種々の誘電体層(例えば、シリコン窒化物)を貫通することが知られている。例示的な実施形態において、インターカレーションペーストD(上記表Iから)は、およそ30重量%の銀、20重量%のインターカレーション粒子(15重量%の金属性ビスマス粒子、5重量%の高鉛含有率ガラスフリット)及び50重量%の有機ビヒクルを含有する。かかるインターカレーションペーストは、誘電体層を通してのエッチングが望ましい場合に特に有用であり得る。
図15は、本発明の実施形態による、焼成の前に少なくとも1つの誘電体層1513でコーティングされた基板1510を含む多層スタック1500の概略断面図を示す。乾燥金属粒子層1520は、前記誘電体層1513の一部の上にある。インターカレーション層1530は、上記に記載されているように、インターカレーション粒子及び貴金属粒子から構成されていて、前記乾燥金属粒子層1520の一部の上にある。焼成の前に、前記貴金属粒子及びインターカレーション粒子は、前記インターカレーション層1530内に均一に分布されていてもよい。前記誘電体層は、シリコン、アルミニウム、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム、これらの酸化物、これらの窒化物、これらの複合体、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含有する。一例において、前記誘電体層1513は、75nm厚のシリコン窒化物層である。別の実施形態において、前記誘電体層1513と前記基板1510との間に第2の誘電体層(図示せず)が存在する。一例において、前記第2の誘電体層は、前記基板1510の直上にある10nm厚のアルミナ層であり、前記誘電体層1513は、前記アルミナ層の直上にある75nm厚のシリコン窒化物層である。乾燥金属粒子層1520は、前記誘電体層1513上に金属粒子ペーストを堆積させ、その後、乾燥することによって形成される。一例において、前記乾燥金属粒子層1520は、20μm厚であり、アルミニウム粒子を含有する。鉛又はビスマスを含有するガラスフリット(複数可)のようなインターカレーション粒子を含有するインターカレーション層1530は、前記乾燥金属粒子層1520上に配置されて、前記乾燥金属粒子層1520の少なくとも一部を覆い、次いで乾燥される。
図16は、本発明の実施形態による、焼成多層スタック1600(焼成された後の図15の構造1500)を示す概略断面図である。基板1610の一部は、少なくとも1つの誘電体層1614によってコーティングされている。共焼成の際、改質インターカレーション層1630における前記インターカレーション粒子(図15を参照して記載されているようにガラスフリット(複数可)を含む)の少なくともいくらかが溶融して流動し始め、改質金属粒子層1622に挿入される。一例において、前記改質インターカレーション層1630におけるガラスフリット粒子からの材料は、前記改質金属粒子層1622における前記金属粒子に入り込んで貫通し、前記誘電体層1613(焼成前の1513)にエッチングして、前記改質金属粒子層1622からのいくらかの金属が前記基板1610と化学的及び電気的に相互作用することを可能にし、1又は複数の新しい化合物1614を形成する。前記改質インターカレーション層1630からの他のインターカレーション粒子(例えば、ビスマス粒子)もまた、前記改質金属粒子層1622に挿入され得、構造的な支持を与え得る。一例において、図2の参照において、より詳細に上記に記載されているように、前記改質インターカレーション層1630における前記貴金属粒子及びインターカレーション粒子の少なくとも一部が、互いに相分離する相を形成する。いくつかの例において、インターカレーション粒子材料がほとんど入り込んでいない又は微量のインターカレーション粒子材料のみが入り込んでいる金属粒子領域1620(前記誘電体層1613上)も存在する。例示的な実施形態において、前記インターカレーション粒子は、ビスマス粒子及びガラスフリット粒子であり、前記金属粒子はアルミニウムである。
(湾曲を低減するための金属粒子層の厚さ変化の導入)
インターカレーション層は、焼成中に下地の改質金属粒子層に応力を生じさせる可能性があり、これにより湾曲又はしわを生じさせることがあり、よって層の強度及び層間での電気的連通が不十分となる。例えば、インターカレーション層は、隣接する改質金属粒子層とは異なる熱膨張係数を有することがあり、焼成中、層の異なる膨張又は収縮を引き起こす。隣接する改質金属粒子層における別の応力源は、溶融したインターカレーション粒子材料の金属粒子間への挿入であるかもしれない。そのような応力が、改質金属粒子層及び/又は改質インターカレーション層に湾曲又はしわを生じさせる可能性がある。湾曲又はしわは、層の厚さにおいて、大きな周期的な又は非周期的な偏差として述べることができる。多くの場合、これが層間剥離をもたらす。例えば、乾燥した金属粒子層上のインターカレーション層が焼成される前に、インターカレーション層及び乾燥した金属粒子層を含むスタックの初期の厚さは、どこでもほぼ同じである。共焼成後、改質インターカレーション層及び改質金属粒子層を含有する焼成多層スタックの厚さは、いくつかの領域では初期の厚さの3倍も大きくなり得る。
図17は、湾曲が発生した共焼成多層スタックの平面光学顕微鏡写真である。改質インターカレーション層1730が見て取れる。改質インターカレーション層1730は湾曲しており、いくつかのピーク領域1712が図17に示されている。隣接する金属粒子層1720は湾曲しておらず、平滑又は略平坦なままである。インターカレーション層1730が湾曲しても、共焼成後の多層スタックの機械的保全としては、1N/mmより大きい引張強度の強さを残している。しかし、湾曲は、改質インターカレーション層1730とタブリボン(図示せず)とを一緒にはんだ付けするときに、良好かつ強固な接触を困難にする可能性がある。改質インターカレーション層1730の湾曲された表面は、インターカレーション層1730の範囲にわたって不完全なはんだ濡れを生じ、引張強度及びはんだ接合の信頼性を低下させる可能性がある。タブリボンへのはんだ付けを確実にするために、共焼成後の多層スタックの湾曲を低減又は排除することが有効であり得る。
層の湾曲及び/又はしわを大幅に低減するために、変化する厚さを焼成多層スタックに組み込むことができる。1つ以上の層が変化する厚さを有する場合、そのような層の間に非平面界面が生じることがある。変化する厚さの表示は、焼成された多層積層膜内の層の間における非平面界面である。変化する厚さは、第1の層の一部をパターニングし、続いて、第1の層のパターン形成された部分に第2の層を直接印刷して、2つの層の間に非平面界面を作り出すことによって作成することができる。一例において、1つの層は、パターン化されたスクリーンを使用して印刷された結果、変化する厚さを有することになる。焼成後、個々の層の厚さを減少させることができるが、焼成しても変化する厚さの層は均一な厚さの層とはならない。この層の変化する厚さは、焼成前後に断面SEM及び表面トポロジ技術の両方を用いて測定及び定量化することができる。様々な実施形態において、層が1×1mm内で測定された層の平均厚さよりも少なくとも20%大きい又は少なくとも20%小さい厚さの変化を有する場合、その相は変化する厚さを有すると記載することができる。
図18は、本発明の一実施形態による、乾燥した金属粒子層に変化する厚さを達成するために金属粒子ペーストを堆積する間に使用することができるスクリーンである。スクリーン1800は、開口メッシュ1810といくつかのパターン領域1820とを有する。パターン領域1820は、閉囲領域1821と開口領域1822とを含む。湿潤金属粒子層の印刷中にスクリーン1800が使用されるとき、ペーストは開口1822と開口メッシュ1810を通って流れ、閉囲領域1821によって塞がれ、堆積した湿潤金属粒子層の厚さを変化させる。一実施形態では、その後、湿潤金属粒子層を乾燥させて変化する厚さの乾燥金属粒子層を形成し、変化する厚さの乾燥金属粒子層の直上にインターカレーションペーストを堆積させる。
乾燥金属粒子層における変化する厚さに影響を及ぼすことができるいくつかの要因;例えば、メッシュ数、ワイヤの直径及び形状、フレームに対するワイヤ角度、エマルジョンの厚さ及びスクリーン設計などがある。メッシュサイズ及びワイヤの直径は、印刷可能な最小のパターン形状及び開口を決定する。乾燥金属粒子層の厚さの変化は、層の崩壊に影響を及ぼす金属粒子ペーストのレオロジーによっても影響される。ペーストは、基板上に堆積する場所を正確に制御するために、高粘度及びチキソトロピーで設計することができる。スクリーンのエマルジョン厚さを調節することによって金属粒子層における厚さの変化の大きさを変えることも可能である。変化する層厚を有する基板表面上の連続的な乾燥金属粒子層を全体的に又は特定の領域のみに確実に堆積するように設計することもできる。例示的な実施形態において、金属粒子ペーストは、230−メッシュスクリーンを使用して5μmのエマルジョン厚さで印刷される。一例において、パターン1820は、100μm×3mmの閉囲領域1821に隣接する一連の100μm×3mmの開口領域1822を有する。パターンの種類、周期性(又はその欠如)、又はサイズに制限はない。多くのパターンは変化する厚さをもたらすことができ、パターンは様々な印刷条件及びペースト配合物のために調整することができる。
図19は、本発明の一実施形態による、図18のスクリーン1800を使用して、基板1910上に堆積された変化する厚さを有する乾燥金属粒子層を示す概略断面図である。領域1925の外側の乾燥金属粒子層1920は、スクリーン1800の開口メッシュ領域1810を通して金属粒子ペーストを堆積し、次いで、金属粒子ペーストを乾燥することによって形成された。領域1925における変化する厚さの乾燥金属粒子層1922は、スクリーン1800のマスク領域1820を介して堆積され、変化する厚さを有する。次いで、領域1925における変化する厚さの乾燥金属粒子層1922の直上にインターカレーションペーストを印刷し、乾燥させてインターカレーション層1930を形成した。
図20は、本発明の一実施形態による、共焼成後の図19の構造を示す概略断面図である。上述したように、共焼成は、インターカレーション層1930(図19)からの材料を、その下地である変化する厚さの乾燥金属粒子層1922(図19)に挿入させ、変化する厚さの金属粒子層1922を、変化する厚さの改質金属粒子層2022に変換し、そして、インターカレーション層1930を、改質インターカレーション層2030に変換させることができる。一例において、改質金属粒子層2022は、パターン化された変化する厚さを有し、限定されないが、周期的なバンプ、隆起部、エッジ及び他の顕著な形状を含む。尚、改質インターレーション層1930の厚さはしばしば均一であり、改質インターカレーション層と改質金属粒子層との間の非平面界面(その変化する厚さに起因する)は、多層スタックの全層厚さにおける変化を測定することによって推測が可能である。
図21は、図18に示すようなスクリーンを使用して、金属粒子ペーストが(いくつかの領域で)変化する厚さで印刷された共焼成多層スタックの平面光学顕微鏡写真である。金属粒子層の変化する厚さの領域の直上にインターカレーション層を印刷し、多層スタックを共焼成して、ほぼ平面の金属粒子層2120によっていずれかの側に隣接する改質インターカレーション層2121を上面に形成した。金属粒子層2120は、平坦な上面を有する。改質インターカレーション層2121の表面は、下地の改質金属粒子層の厚さの変化を反映するパターンを有する非平面である。改質インターカレーション層2121の表面は、図17の改質インターカレーション層1730においてはっきりと見て取れるように、湾曲又はしわの徴候を示さない。本発明の一実施形態では、共焼成多層スタックの一部は変化する厚さを有する。
変化する厚さを説明する有用な基準は、山の厚さ及び谷の厚さを平均層厚さと比較することである。いずれの層においても意図しない厚さの変化があり得るが、そのような変化は通常、層の平均厚さの20%未満である。層の厚さが層の平均厚さの20%未満で変化する場合、層は平面である(均一な厚さを有する)とみなすことができる。金属粒子ペーストを印刷するためのスクリーンを慎重に設計することにより、1×1mmの領域内で測定された場合に、層の平均厚さよりも少なくとも20%大きい又は少なくとも20%より小さい厚さの変化を有する変化する厚さを伴った層を作製することが可能である。
焼成多層スタックの変化する厚さは、研磨された断面サンプルのSEM画像から測定することができる。図22は、本発明の一実施形態による、変化する厚さを有する焼成多層スタック2210の一部の断面SEM画像である。断面サンプルを調製し、上記の方法を使用して画像化した。焼成多層スタック2210は、改質インターカレーション層2211、改質アルミニウム粒子層2212、及びシリコン基板2213を含む。改質アルミニウム粒子層2212の両側の2つの界面、即ち、シリコン基板2213と改質アルミニウム粒子層2212との界面2218と、改質アルミニウム粒子層2212と改質インターカレーション層2211との間の界面2217が画像において識別される。界面2216ははんだ付け可能な面である。比較のために、図23は、変化する厚さを伴わない平面アルミニウム粒子膜2321を有するシリコン基板2322を示す。
図22の改質アルミニウム粒子層2212の平均厚さは、厚さ測定値を平均化することによって計算される。図22の2つの界面2217と2218との間の厚さは、サンプルを横切って規則的な間隔(例えば、10ミクロン)で測定された。厚さはまた、極大値及び極小値で測定した。ImageJ 1.50aなどのソフトウェアを使用して、平均厚さ、最小厚さ及び最大厚さを得ることができる。単一の断面サンプルに見られる山及び谷は、焼成多層スタック全体を代表するものではない可能性がある。従って、非常に多くの山と谷が測定されることを確実にするために、いくつかの断面サンプルにわたってそのような測定を行うことは有用である。これらは、当業者には知られている方法である。
図22に示すサンプルの場合、改質アルミニウム粒子層2212は11.3μmの平均厚さ、18.4μmの山の厚さ、及び5.2μmの谷部分の厚さを有する。山の厚さは平均厚さより64%大きく、谷部分は平均厚さより54%小さい。様々な実施形態において、変化する厚さを有する層は、層の平均厚さよりも少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%大きい山の厚さを有する。様々な実施形態において、変化する厚さを有する層は、層の平均厚さよりも少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%小さい谷部分の厚さを有する。
改質インターカレーション層2211が連続的で厚さがほぼ均一である場合、改質インターカレーション層2211のはんだ付け可能な面2216は、界面2217にほぼ平行である。本発明の一実施形態では、改質アルミニウム粒子層2212について上述した全ての測定は、はんだ付け可能な面2216と界面2217との間に存在する改質アルミニウム粒子層2212と改質インターカレーション層2211の合計厚さに対して行うことができる。2つの組み合わされた層の厚さ測定値の比較は、改質アルミニウム粒子層2212のみについての厚さ測定値の比較のための良好な近似値である。図22の組み合わされた層の場合、山の厚さは13.2μmの平均全厚のよりも44%大きく、谷部分の厚さは平均全厚よりも43%小さい。この代替方法は、焼成多層スタックの厚さの変化を体系的に測定していない可能性がある。
いくつかの用途では、焼成多層スタックの一部のみが変化する厚さを有することが望ましい場合がある。例えば、シリコン太陽電池の裏側のアルミニウム粒子層は、一般には平坦である。そのような電池の裏側に、裏側タブ層部分(改質インターカレーション層を含む)に変化する厚さを導入することは有用であり得る。周囲のアルミニウム粒子層の一部における厚さの変化と裏側タブ層の一部の厚さの変化を比較して、変化する厚さを有する層が太陽電池の裏側に使用されたかどうかを判定することができた。
焼成多層積層膜における変化する厚さを判定するための別の有用な基準は、山から谷までの平均高さであり、これは局所最大値の平均と局所最小値の平均との間の差である。断面SEM画像では、画像内の極大及び極小が保証されていないため、プロフィロメトリ、コヒーレント走査干渉法、及び焦点変動顕微鏡法などの表面形状測定法がより有用である。プロフィルメーターの一例は、Bruker又はVeeco Dektak150又は同等のものである。コヒーレント走査干渉法は、オリンパスLEXT OLS4000 3Dレーザー測定顕微鏡を用いて行うことができる。これらの方法に付随するソフトウェアは、平均的な山から谷までの差を自動的に計算することができる。
例示的な実施形態では、同じサンプル内で、変化する厚さを有する焼成多層スタックと、均一な厚さを有するアルミニウム粒子層との両方について、山から谷までの平均高さを測定するためにプロフィロメトリが用いられる。Veeco Dektak 150を使用して、半径12.5mmのプローブを用い、1×1mmの領域の表面を測定し、3Dトポロジカル表面マップを作成した。図24は、変化する厚さを有する焼成多層スタックの3D表面トポロジーマップであり、図25は、均一な厚さを有する(隣接する)アルミニウム粒子層の3D表面トポロジーマップである。図中の最も明るい領域は極大を示し、最も暗い領域は極小を示す。図24は、変化する厚さの改質金属粒子層を含む焼成多層スタックに期待される厚さの変化(−20.2μmから15.9μmまで)を示している。図25は、均一な厚さを有するアルミニウム粒子層に期待される厚さの変化(−4.9μm〜5.5μm)を示す。Veeco Vision v4.20プログラムを使用して、山から谷までの平均高さを計算し、極大値と極小を自動的に特定して平均し、その差を減算した。図24の焼成多層スタックの山から谷までの平均的な高さは35.54μmであり、図25のアルミニウム層は9.51μmである。様々な実施形態では、山から谷までの平均高さが10μmを超える場合、12μmを超える場合、又は15μmを超える場合、層は変化する厚さを有しており、山から谷までの平均高さが10μm未満の場合、12μm未満の場合、又は15μm未満の場合、層は均一の厚さを有する。
本発明の一実施形態では、図20に示されるような共焼成された変化する厚さの多層スタックの改質インターカレーション層がタブリボンにはんだ付けされるとき、変化する厚さを有さない焼成多層スタックの引張強度の2倍の引張強度を有することになる。一例において、このような変化する厚さの焼成された多層スタックの表面上にある改質インターカレーション層は、錫系のタブリボンにはんだ付けされ、1.5N/mmより大きい、又は2N/mmより大きい、又は3N/mmより大きい引張強度を有する。厚さの変化は、シリコン太陽電池用の基板上に連続的な金属粒子層及び裏面電界場を提供するように最適化することができる。そのような共焼成された変化する厚さの多層スタックにおける接触抵抗が、ほぼ平面の共焼成後の多層スタックの接触抵抗と同等かそれよりも低くなるように、厚さの変化を最適化することができる。例示的な実施形態では、誘電体層を貫通してエッチングするためにインターカレーションペーストを使用する場合、乾燥金属粒子層及び改質金属粒子層における厚さの変化は、20μm、10μm、5μm又は2μm未満の領域を含む。
上述の変化する厚さの層(複数可)は、ここに記載の焼成多層スタックのいずれかの構成要素(複数可)として使用することができる。変化する厚さの乾燥金属粒子層及び改質金属粒子層などの変化する厚さの層(複数可)を、あらゆるシリコン太陽電池に使用して、裏側タブ層の湾曲を減少させることができる。
(シリコン太陽電池における完全互換品としてのインターカレーションペースト)
一実施形態では、45重量%の貴金属粒子、30重量%のインターカレーション粒子、及び25重量%の有機ビヒクル(上記の表IのペーストC)を含むインターカレーションペーストを、シリコン太陽電池内の裏側タブ層を形成するための完全互換品として使用することができる。p−n接合シリコン太陽電池の製造は、当該技術分野において周知である。グッドリッチら(Goodrich et al.)は、裏面電界場シリコン太陽電池を製造するための全プロセスフローを提供しているが、これは「標準c−Si太陽電池(standard c−Si solar cell)」と呼ばれる。「ウエハーベースの単結晶シリコン光起電力ロードマップ:製造コストのさらなる削減のために既知の技術改善機会を利用」、Solar Energy Materials and Solar Cells(2013年)110〜135ページを参照されたい。これを参照によりここに組み込む。一実施形態では、太陽電池電極を製造する方法は、表側面の一部が少なくとも1つの誘電体層で覆われたシリコンウエハーを提供する工程、そのシリコンウエハーの裏面にアルミニウム粒子層を付与する工程、アルミニウム粒子層を乾燥する工程、アルミニウム粒子層の一部の上にインターカレーションペースト(裏側タブ)層を付与する工程、インターカレーションペースト層を乾燥する工程、複数の微細格子線及び少なくとも1つの表側バスバー層をシリコンウエハー表側面の誘電体層に付与する工程、そして、シリコンウエハーを乾燥させ共焼成する工程を含む。スクリーン印刷、グラビア印刷、スプレー堆積、スロット塗布、3D印刷及び/又はインクジェット印刷などの方法を用いて、様々な層を付与することができる。一実施例として、Ekra又はBacciniスクリーンプリンタを使用して、アルミニウム粒子層、インターカレーションペースト層及び表側格子線及びバスバー層を堆積させることができる。別の実施形態では、太陽電池は、シリコンウエハーの裏側面の少なくとも一部を覆う少なくとも1つの誘電体層を有する。PERC(不動態化エミッタ裏面セル)構造物では、アルミニウム粒子層の付与に先立って、2つの誘電体層(即ち、アルミナ及び窒化ケイ素)がシリコン太陽電池の裏側面に付与される。様々な層の乾燥は、150℃〜300℃の温度のベルト炉で30秒〜15分間行うことができる。一例において、Despatch CDF7210ベルト炉を使用して、ここに記載の焼成多層スタックを含むシリコン太陽電池を乾燥及び共焼成する。一例において、共焼成は急速加熱技術を用い、空気中で0.5秒〜3秒間760℃以上の温度に加熱することで行われ、これはアルミニウム裏面電界場シリコン太陽電池の一般な温度プロファイルである。ウエハーの温度プロファイルは、ベアウエハーに取り付けられた熱電対を備えるDataPaq(商標)システムを用いて較正されることが多い。
図26は、シリコン太陽電池2600の表側(又は照射面)を示す概略図である。シリコン太陽電池2600は、少なくとも1つの誘電体層(図示せず)を伴うシリコンウエハー2610を有し、その上に微細格子線2620と表側バスバー線2630が存在する。一実施形態では、シリコンウエハーの表側の誘電体層は、ケイ素、窒素、アルミニウム、酸素、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム、これらの複合材、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。別の実施形態では、シリコンウエハーの表側の誘電体層は窒化ケイ素であり、厚さは200nm未満である。当業界で知られている市販の表側銀メタライズペーストを使用して、微細格子線2620及び表側バスバー線2630を形成することができる。表側銀層(すなわち、銀メタライズペーストから作られた微細格子線2620及び表側バスバー線2630)は、共焼成の間に誘電体層を貫通してエッチングされ、シリコンウエハー2610と直接接触する。一実施形態では、シリコンウエハー2610は単結晶であり、n型又はp型のいずれかにドープされる。別の実施形態では、シリコンウエハー2610は多結晶であり、n型又はp型のいずれかにドープされる。例示的な実施形態では、基板は、n型エミッタを有する多結晶のp型シリコンウエハーである。
図27は、シリコン太陽電池2700の裏側を示す概略図である。この裏側はアルミニウム粒子層2730で被覆され、シリコンウエハー2710上に分布された裏側タブ層2740を有する。一実施形態では、裏側の誘電体層は、シリコンウエハーの表側面に、ケイ素、窒素、アルミニウム、酸素、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム、これらの複合材、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。別の例示的な実施形態では、シリコンウエハー表側面上の誘電体層は窒化ケイ素であり、厚さは200nm未満である。一実施形態では、シリコンウエハーの裏側に誘電体層は存在しない。当業界で知られている市販のアルミニウムペーストは、焼成前のシリコンウエハー裏面の全表面積の少なくとも85%、又は少なくとも90%又は少なくとも95%、又は少なくとも97%に印刷することができ、これを完全なAl被覆と記載することができる。アルミニウム粒子層(共焼成後)2730の平均厚さは20〜30μmである。様々な実施形態において、アルミニウム粒子層2730は、3〜20%、10〜18%、又はここに含まれるいずれかの範囲の空孔率を有する。従来のBSF(裏面電界場)太陽電池構造物では、裏側タブ層がシリコンウエハーに直接的に付与される。しかし、太陽電池の電力変換効率を改善するには、アルミニウム粒子層上に裏側タブ層を印刷することが有用となり得る。一実施形態では、インターカレーション層が、乾燥アルミニウム粒子層の一部の上に直接付与され、裏側タブ層2740を形成する。図27は、裏側タブ層2740の1つの可能なパターンを示している。インターカレーション層及びその下のアルミニウム粒子層は共焼成されて、ここに記載の焼成多層スタックを形成する。様々な例において、改質インターカレーション層(又は裏側タブ層)2740は、1μm〜20μm、又は2μm〜10μm、又は2.5μm〜8μmの平均厚さを有する。
先に説明した変化する厚さの金属(アルミニウム)粒子層を、シリコン太陽電池の裏側に使用して裏側タブ層の湾曲を低減し、接着及び電気接触を改善することができる。本発明の一実施形態では、裏側タブ層の一部は変化する厚さを有する。本発明の別の実施形態では、改質アルミニウム粒子層の一部は、変化する厚さを有する。一例において、そのような変化する厚さの改質アルミニウム粒子層の表面上に存在する裏側タブ層は、錫系タブリボンにはんだ付けされ、0.7N/mm超、1.5N/mm超、又は2N/mm超、又は3N/mm超の引張強度をもたらす。この厚さの変化は、シリコン太陽電池用の基板上に連続金属粒子層及び裏面電界場を提供するように最適化することができる。別の実施形態では、裏側タブ層領域において、その領域の複合層(改質アルミニウム粒子層及び裏側タブ層)の一部は、1×1mmの面積にわたって測定した複合層の平均的な厚さよりも少なくとも20%、30%、又は40%大きい厚さを有する。別の実施形態では、裏側タブ層領域において、その領域の複合層(改質アルミニウム粒子層及び裏側タブ層)の一部は、1×1mmの面積にわたって測定した複合層の平均的な厚さよりも少なくとも20%、30%、又は40%小さい厚さを有する。
本発明の一実施形態では、ここで記載する焼成多層スタックのいずれかを含む太陽電池を、ソーラーモジュールに組み込むことができる。当業者に知られているように、多くの可能な太陽電池の設計が存在し、ここにそのような太陽電池が使用される。モジュール内の太陽電池の数を制限することを意図するものではない。一般には、60又は72個の太陽電池が市販のモジュールに組み込まれているが、用途(即ち、民生用電子機器、住宅、商業、ユーティリティなど)に応じてこれよりも多く又はこれよりも少なく組み込むことが可能である。モジュールは通常、バイパスダイオード(図示せず)、接合箱(図示せず)及び太陽電池に直接接触しない支持フレーム(図示せず)を備える。バイパスダイオード及び接合箱は、セルインターコネクトの一部とみなすこともできる。
図28は、本発明の一実施形態による太陽電池モジュールの一部を示す概略断面図である。この太陽電池モジュールは、少なくとも1つのシリコン太陽電池2840を含む。シリコン太陽電池2840の表側2840Fは、第1のタブリボン2832(一枚の前後方向に位置)に取り付けられ、その上には表側封止層2820及び表側シート2810が存在する。シリコン太陽電池2840の裏側2840Bは、第2のタブリボン2834に取り付けられ、その上には裏側封止層2850及びバックシート2860が存在する。タブリボン2832,2834は、隣接する太陽電池を、はんだ付け接続を介して1つのセルの表側(すなわち、表側の表側バスバー)と、隣接する太陽電池セルの裏側(即ち、裏側の裏側タブ層)とを電気的に接続する。ソーラーモジュール内の多数の太陽電池は、セルのインターコネクトとしてタブリボンを使用し互いに電気的に結合させることができる。
典型的なセルインターコネクトには、太陽電池にはんだ付けされた金属タブリボンと、タブリボンを接続する金属バスリボンが含まれる。本発明の一実施形態では、タブリボンは、はんだコーティングを有する金属リボンである。このようなはんだコーティングされたタブリボンは、20〜1000μm、100〜500μm、50〜300μmの厚さの範囲、又はここに含まれるいずれかの範囲の厚さを有することができる。はんだコーティングされたタブリボンの幅は、0.1〜10mm、0.2〜1.5mm、又はここに含まれるいずれかの範囲であり得る。タブリボンの長さは、用途、デザイン、基板の寸法によって決まる。はんだコーティングの厚さは、0.5〜100μm、10〜50μm、又はここに含まれるいずれかの範囲の厚さを有することができる。はんだコーティングは、錫、鉛、銀、ビスマス、銅、亜鉛、アンチモン、マンガン、インジウム、又はこれらの合金、これらの複合材、又はこれらの他の組み合わせを含むことができる。金属タブリボンは、1μm〜1000μm、50〜500μm、75〜200μm、又はここに含まれるいずれかの範囲の厚さを有し得る。金属タブリボンは、銅、アルミニウム、銀、金、炭素、タングステン、亜鉛、鉄、錫又はこれらの合金、これらの複合材、又はこれらの他の組み合わせを含むことができる。金属タブリボンの幅は、0.1〜10mm、0.2〜1.5mm、又はここに含まれるいずれかの範囲とすることができる。一実施形態では、タブリボンは、厚さ200μm、幅1mmの銅リボンであり、全面に厚さ20μmの錫:鉛(60:40重量%)のはんだでコーティングされている。
図28の表側シート2810は、モジュールに何らかの機械的支持を与え、太陽電池2840が吸収するように設計された太陽スペクトルの部分にわたって良好な光伝送特性を有する。ソーラーモジュールは、表側シート2810が太陽光2860などの照明源に対向するように配置される。表側シート2810は、一般には、鉄含有量が低いソーダ石灰ガラスで作られる。表側封止層2820及び裏側封止層2850は、動作中に太陽電池2840を電気的、化学的及び物理的ストレス要因から保護する。封入剤は、一般にはポリマーシートの形態である。封入剤として使用できる材料の例には、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン共メタクリル酸(イオノマー)、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ウレタン(TPU)、ポリ−α−オレフィン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、他のポリシロキサン(即ち、シリコン)、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
バックシート2860は、裏側から太陽電池2840を保護し、光学的に透明であってもなくてもよい。ソーラーモジュールは、バックシート2860が太陽光2860などの照明源から離れて面するように構成される。バックシート2860は、3つのポリマーフィルムからなる多層構造であってもよい。DuPont(登録商標)Tedlar(商標)ポリフッ化ビニル(PVF)フィルムは、一般にはバックシートに使用される。フルオロポリマー及びポリエチレンテレフタレート(PET)もバックシートに使用することができる。バックシートとしてガラスシートを使用することもでき、ソーラーモジュールに構造的支持を与えるのを支援することができる。支持フレーム(図示せず)を用いて構造的支持を改善することもでき、支持フレームは、一般にはアルミニウム製である。
本発明の一実施形態では、太陽電池モジュールを形成する方法が提供される。はんだタブを、手動で又は自動タブ付け装置又はストリング装置を使用して、個々の太陽電池(ここに記載の焼成多層スタックのいずれかを含む)に付与する。次いで、個々のセルを、タブリボンに直接はんだ付けすることによって、直列に電気的接続する。結果として生じた構造を「セルストリング(cell string)」と称する。表側シートに付与された表側封止層上に複数のセルストリングが配置されることが多い。これらの複数のセルストリングは、バスリボンを使用して互いに接続されて電気回路を形成する。バスリボンは、セルストリングに使用されているタブリボンよりも幅が広い。すべてのセルストリング間の電気回路が完成すると、接続されたセルストリングの裏側に裏側封止材料が付与され、裏側封止材料上にバックシートが構成される。次いで、真空積層法を用いてアセンブリを封止し、封止材料を重合させるために加熱する(一般には200℃未満)。一般に、表側シートの周りにフレームが取り付けられ、構造的支持を与える。最後に、接合箱がセルインターコネクトに接続され、ソーラーモジュールに取り付けられる。バイパスダイオードはセルインターコネクト処理時に接合箱内にあるか又はモジュール内部に取り付けられる。
本発明の一実施形態では、ソーラーモジュールを形成する方法は、a)表側面と焼成多層スタックを含む裏面とを有する少なくとも1つの太陽電池を提供する工程、b)タブリボンの一部を裏側タブ層及び表側バスバー層の一部分にはんだ付けしてセルストリングを形成する工程、c)任意に、電気回路を完成させるためにタブリボンをバスリボンにはんだ付けする工程、d)表側シートに付与された表側封止層上にセルストリングを構成する工程、e)セルストリングに裏側封止層を付与し、裏側封止層にバックシートを取り付けてモジュールアセンブリを形成する工程、f)モジュールアセンブリをラミネートする工程、g)接合箱を電気的に接続し物理的に取り付ける工程とを含む。
ソーラーモジュールを分解して、ここに記載の焼成多層スタックが以下の工程を使用して組み込まれているかどうかを判定することが可能である。バックシートと裏側封止材を取り外して、太陽電池のタブ付き裏側面を露出させる。タブリボンと太陽電池の裏側面周囲に速硬化エポキシを付与する。エポキシが硬化した後、モジュールからセルを取り出し、ダイヤモンド鋸を使用してタブリボン/太陽電池の区間を切断する。前述のイオンミルを使用して断面を研磨し、SEM/EDXを実行して、構造が本発明の実施形態に記載されているものであるかどうかを判定する。図29は、太陽電池の裏側(非照射面)の研磨された断面SEM画像である。このサンプルは、ソーラーモジュールに組み込まれた太陽電池(新規の焼成多層スタックを含む)からのものであり、次いで、上記のように外された。画像は、焼成多層スタック2902にはんだ付けされた金属タブリボン2932及びそのはんだコーティング2931を示す。焼成多層スタック2902の構成層がはっきりと見て取れる。はんだコーティング2931の直下には、改質インターカレーション層2945、改質金属粒子層2944、及びシリコン基板2941が存在する。図で識別された層は、EDXを用いてより容易に識別することができる。
(他の光起電力電池の構造物)
インターカレーションペーストを用いて、多くの異なる太陽電池の構造物の表側及び裏側におけるメタライズ層として使用できる様々な焼成多層スタックを作製することができる。ここで開示するインターカレーションペースト及び焼成多層スタックは、BSFシリコン太陽電池、不動態化したエミッタ及び裏側電極(PERC)太陽電池、及び両面及び櫛形裏面電極太陽電池を含む太陽電池の構造物に使用することができるが、これらに限定されるものでもない。
PERC太陽電池の構造物は、シリコン基板と裏面電極との間の誘電体バリアを使用して、裏面電極表面再結合を低減することによってBSF太陽電池の構造物を改善する。PERCセルでは、シリコンウエハーの裏側の一部(即ち、非照射面)が少なくとも1つの誘電体層で不動態化され、電流キャリア再結合が低減される。ここに開示した新規な焼成多層スタックは、PERC太陽電池に使用可能である。一実施形態では、シリコンウエハーの裏側の誘電体層は、ケイ素、窒素、アルミニウム、酸素、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム、これらの複合材、又はこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、シリコンウエハーの裏側の誘電体層は、シリコン表面上に厚さ10nmのアルミナ層と、アルミナ層上に厚さ75nmの窒化シリコン層とを含む。PERCセル用に設計された一般に使用されるアルミニウムペースト(例えば、単結晶EFX−39、EFX−85)は、誘電体層(複数可)を貫通しない。アルミニウム粒子層が化学的に相互作用してシリコンとオーム接点するためには、アルミニウム粒子層の堆積に先立って、誘電体層のいくつかの領域をレーザアブレーションによって除去する。
PERL(裏側の局所に拡散した不動態化エミッタ)及びPERT(不動態化エミッタ、裏側の全てに拡散したもの)は、デバイスの性能をさらに改善するPERCセルにおける構造物の2つの変形例である。それら両方の変形例は、裏面電極での再結合をさらに抑制するためにシリコン基板の裏側部分をドーピングすることに依存し、BSFセルの裏面電界場に類似した役割を果たす。PERLセルでは、シリコン基板の裏側面は、裏側アルミニウム層と接触する誘電体の開口の周りでドープされる。ドーピングは、通常、BSF製造プロセスと同様に、ホウ素化合物又は裏面電極を構成するアルミニウム粒子からのアルミニウムを用い、誘電体開口部を通してドーパントを拡散させることによって達成される。PERTセルはPERLに類似するが、裏面電極と接触する誘電体開口部に隣接するシリコンに加えて、裏側誘電体層と接触するシリコン全体がドープされる。
一実施形態では、誘電体層(複数可)を貫通してエッチングしないインターカレーション粒子を含むインターカレーションペーストが、PERC、PERL、又はPERTセルの裏側タブ層として使用される。「非エッチング」インターカレーションペーストは、はんだ付け可能な銀表面を提供するとともに、下地(改質された)アルミニウム粒子層を機械的に強化するために使用される。得られた焼成多層スタックは、少なくとも1つの誘電体層、改質アルミニウム粒子層及び改質インターカレーション層で覆われたシリコンウエハーを含み、PERL又はPERTの場合、シリコンは、誘電体開口部のみ又は同様に誘電体界面全体にそれぞれドープされる。非エッチングインターカレーションペーストを使用することにより、誘電体層(複数可)のエッチングをさらに低減し、表面再結合を減らすことができる。例えば、PERCセルの裏側タブ層に従来使用されていたバスバーペーストを誘電体層上に直接印刷すると、誘電体層を部分的にエッチングして共焼成中に表面再結合を増加させてしまう。
本発明の一実施形態によれば、裏側誘電体層を使用するセル(即ち、PERC、PERL、PERT)では、インターカレーションペーストは改質誘電体層をエッチングし、誘電体開口部におけるシリコン領域の拡散ドーピングを支援するように変更することができる。「エッチング」インターカレーションペースト(例えば、表IのインターカレーションペーストD)を用いて、はんだ付け可能な銀表面を提供し、下地(改質)アルミニウム粒子層を機械的に強化し、誘電体層をエッチングして、シリコン表面をアルミニウム粒子に暴露すると、露出したシリコンのアルミニウムドーピングを引き起こすことができる。得られる焼成多層スタックは、シリコンウエハー、改質アルミニウム粒子層及び改質インターカレーション層を含む。この焼成多層スタックは、シリコン表面付近のAlドープ領域(BSFセルの裏面電界場に類似)と、シリコンウエハーと改質アルミニウム粒子層との間の界面に固体ケイ素アルミニウム共晶層とをさらに含むことができる。インターカレーションペーストを使用して誘電体層(複数可)をエッチングすることは、いくつかの利点を有する。第1に、これは、過去において高価で信頼性が低いことが証明されているレーザアブレーション工程の安価な代替である。第2に、レーザアブレーションは、多くの場合、数十〜数百ミクロンのシリコン基板材料を除去することができるため、ウエハーの共焼成時にシリコン基板とアルミニウム粒子層との間に大きな空孔形成をもたらす可能性がある。エッチングインターカレーションペーストは共焼成前にウエハー表面に変動を生じさせないため、これにより結合形成が改善され、空孔形成が低減され、レーザアブレーション使用の場合よりも再現性が向上する。
本発明の一実施形態によれば、インターカレーションペーストを使用して、アルミニウム粒子層に依存してp型シリコンとオーム接点をさせるセル構造物におけるはんだ付け可能な面を提供することができる。これらの構造物の実施例には、櫛形裏面電極(IBC)太陽電池、n型BSFセル構造及び両面太陽電池が含まれる。一実施形態では、インターカレーションペーストC(表Iから)が、ゼブラ(Zebra)セルのような櫛形裏面電極型太陽電池の構造物におけるAl層上に付与される。完全にAl被覆されたセルに対して20%の電力変換効率を得たn型BSFの構造物では、インターカレーション粒子はシリコンに直接接触する従来の裏側タブAgペーストに取って代わることができ、これにより太陽電池のVocを低減する。いくつかのn型ウエハー系の太陽電池構造物では、インターカレーションペーストを表側(即ち、照射面)に使用することができる。インターカレーションペーストは、両面太陽電池のコストを低減するために、Alペーストと併用可能である。現在、両面太陽電池構造物は、少量のアルミニウム(即ち、5重量%未満のAl)を含むAgペーストを使用して、p型シリコン層とオーム接点をさせる。現在の両面体構造物では、BSFの構造物と比較してほぼ2倍の量の銀を使用するが、これではコストが高くなる可能性がある。両面体構造物で純粋なアルミニウムペーストを使用することは有用であるが、Alははんだ付けできない。銀を含有するインターカレーションペースト(例えば、表IのペーストC)であれば、両面設計のAlペースト上に印刷することができ、使用するAgの量を低減しながら機械的安定性とはんだ付け可能な面との両方を提供する。
(焼成多層スタックの材料特性とシリコン太陽電池への影響)
太陽電池及び他の電子デバイスで使用するための焼成多層スタックにおける重要な材料特性には、ハンダ付け適性、引張強度、及び接触抵抗が含まれる。
ハンダ付け適性は、400℃未満の温度で溶融金属はんだを2つの金属表面間に流すことにより、その金属表面間に強い物理的結合を形成する能力である。焼成多層スタックの改質インターカレーション層へのはんだ付けは、大気中で650℃超で加熱した後に行うことができる。はんだ付けはフラックスの使用を含み、フラックスは溶融はんだのリフロー前に表面の一方又は両方を洗浄又はエッチングする任意の化学薬品である。RMA(例えば、Kester(商標)186)又はR(例えば、Kester(商標)952)と呼ばれる、一般に太陽電池に使用されるはんだフラックスがタブリボン上に配置され、70℃で乾燥される。これらのフラックスは、大気中で焼成されたときにアルミニウム粒子上に形成されるアルミナ(Al2O3)などの多くの金属酸化物のエッチングには有効ではない。
引張強度は、はんだ接合強度の指標であり、集積回路、発光ダイオード及び太陽電池活用における信頼性の指標である。幅が0.8〜20mmで厚さが100〜300μmであるはんだ被覆金属リボンをフラックスに浸漬して乾燥させることができる。これを改質インターカレーション層上に置き、200℃〜400℃の温度ではんだごてを用いてはんだ付けすることができる。引張強度とは、はんだ付け方向から180°の角度で、所与の引張速度に対してはんだ付けしたリボンの幅で割り、剥離するのに必要な力である。このはんだ付けプロセスで形成されるはんだ接合部は、1mm/秒において1N/mmより大きい平均引張強度を有する(例えば、2mmのタブリボンは、タブリボンを取り除くのに2Nより大きい剥離力を必要とする)。太陽電池は、タブリボンによって電気的に接続されており、このタブリボンは、1つのセルの表側バスバー及び隣接するセルの裏側タブ層にはんだ付けされたものである。市販されている太陽電池のタブリボンにおいて電極上での引張強度が1.5〜4N/mmであることが一般である。裏側タブ層として焼成多層スタックを使用する場合、一次故障モード(primary failure mode)はAl−Si界面の近くにあり、これは平面図SEM/EDXを用いて判定することができる。例示的な実施形態では、(改質インターカレーション層の)銀リッチ副層が錫系タブリボンではんだ付けされると、引張強度は1N/mmを超える。
マイヤーら(Meier et al.)は、完成した太陽電池上の各メタライズ層の抵抗率を測定するために、4点プローブの電気測定をどのように使用するかを説明している。マイヤーらによる「完成したセルにおける測定から直列抵抗の成分判定(Determining components of series resistance from measurements on a finished cell)」、IEEE(2006年)pp.21615を参照され、これはここに参照によって取り込まれる。メタライズ層のバルク抵抗は、それが作製される材料のバルク抵抗に直接関係する。本発明の一実施形態では、純Agのバルク抵抗は1.5×10−8Ω−mであり、産業用太陽電池に使用される純粋なAgメタライズ層は、純粋なAgのバルク抵抗の1.5倍から5倍高いバルク抵抗を有する。バルク抵抗は、比較的長い(即ち、1cm以上の)長さにわたって電流を輸送しなければならない微細格子線にとって重要である。セルがモジュール内でタブ付けされている場合、表側バスバーと裏側タブ層の抵抗はあまり重要ではない。
ほとんどの集積回路、LED及び太陽電池の構造物では、電流は、金属粒子層から改質金属粒子層を通って、改質インターカレーション層に流れる。焼成多層スタックの場合、これらの3つの層の間の接触抵抗は、デバイス性能において重要な役割を果たすことができる。焼成多層スタックにおけるそれら層間の接触抵抗は、伝送線路測定(TLM)を使用することによって測定することができる(参考文献:マイヤーらによる、「銅裏面バスバーテープ(Cu Backside Busbar Tape):結晶性シリコン太陽電池及びモジュールにおけるAgの除去及び完全なアルミニウム被覆の実現(Eliminating Ag and Enabling Full Al coverage in Crystalline Silicon Solar Cells and Modules)」、IEEE PVSC(2015年)pp.1−6)。このTLMは、電極間において抵抗対距離としてプロットされる。TLMは、具体的には、1)金属粒子層と改質金属粒子層の間の接触抵抗、2)改質金属粒子層と改質インターカレーション層の間の接触抵抗を測定するために用いた。焼成多層スタックの接触抵抗は、上記の接触抵抗1)及び2)の合計である。焼成多層スタックの接触抵抗は、抵抗対距離の測定の直線近似のy切片値の半分である。バスバー間の電気抵抗は、Keithley 2410 Sourcemeterを使用して、4点プローブを設定し、−0.5Aと+0.5Aの間で電流を供給し、電圧を測定した。様々な実施形態において、焼成多層スタックの接触抵抗は、0〜5mOhm、0.25〜3mOhm、0.3〜1mOhm、又はここに含まれるいずれかの範囲である。金属粒子層のシート抵抗は、線の傾きと電極の長さの積によって決定される。接触抵抗及びシート抵抗は、伝送長さ及びその後の接触抵抗率を数値的に判定するために使用される。直列抵抗の変動は、接触抵抗率を改質インターカレーション層の面積被覆率で割ることによって判定される。様々な実施形態において、直列抵抗の変動は、0.200Ω−cm2未満、0.100Ω−cm2未満、0.050Ω−cm2未満、0.010Ω−cm2未満、又は0.001Ω−cm2未満である。
裏側タブ層とアルミニウム粒子層との間の接触抵抗は、太陽電池の直列抵抗及び電力変換効率に影響を及ぼす可能性がある。このような接触抵抗は、伝送線路測定によって判定することができる。アルミニウム粒子層と300μmの重なりを有するシリコン上の従来の銀裏側タブ層の伝送線路プロットを図30に示す。図31には、アルミニウム粒子層上で裏側タブ層として使用される改質インターカレーション層の伝送線路プロットが示されている。図31のy切片値は、図30のy切片値0.88と比較して1.11mOhmである。裏側タブ(インターカレーション)層とアルミニウム粒子層との間の接触抵抗は0.56mOhmである。従来の裏側タブ構造の接触抵抗は0.44mOhmである。様々な実施形態において、裏側タブ(インターカレーション)層とアルミニウム粒子層との間の接触抵抗は、0〜5mOhm、0.25〜3mOhm、又は0.3〜1mOhm、又はここに含まれるいずれかの範囲である。アルミニウム層のシート抵抗は、線の傾きと電極の長さとの積によって判定され、図30及び31では約9mOhm/平方である。
TLMは、焼成多層スタック(即ち、裏側タブ層及びアルミニウム粒子層)の接触抵抗を正確に抽出するための好ましい方法であり、4点プローブ法を用いて完全な太陽電池の接触抵抗を決定することが可能である。この方法は、最初に2つの裏側タブ層(RAg−to−Ag)間の抵抗を測定し、続いて、プローブをアルミニウム粒子層上(裏側タブ層の1mm以内)で移動させてRAl−to−Alを取得する。この接触抵抗は、RAl−to−AlからRAg−to−Agを引いて2で割ることによって特定される。これは、TLM測定ほど正確ではないが、複数の太陽電池からの測定値を平均すると、0.50mOhm以内に近似させることができる。
接触抵抗及びシート抵抗は、伝送長さ及びその後の接触抵抗率を数値的に判定するために使用される。図31において、共焼成後の多層スタックの伝送長さは5mmであり、接触抵抗は2.2mΩである。直列抵抗の変動は、この数をインターカレーション層の面積被覆率で割ることによって推定することができる。図31において、直列抵抗の推定変動は0.023Ω−cm2であり、これは図30で測定した従来の裏側タブ層について計算した直列抵抗0.020Ω−cm2の推定変動に等しい。直列抵抗の変動は、完全なAl被覆及び裏側タブ層のない制御BSF(裏面電界場)シリコン太陽電池を製造し、完全なアルミニウム被覆及びAg:Biインターカレーション層を有するBSFシリコン太陽電池を製造することによって直接測定することができる。電池の直列抵抗は、様々な光強度下での電流−電圧曲線を介して導き出すことができ、直列抵抗の差は、裏側タブと焼成アルミニウム粒子層との間の接触抵抗の増加に帰することができる。様々な実施形態において、太陽電池における直列抵抗の変動は、0.200Ω−cm2未満、0.100Ω−cm2未満、0.050Ω−cm2未満、0.010Ω−cm2未満、又は0.001Ω−cm2未満である。
シリコン太陽電池上にインターカレーション層を使用することの1つの利点は、シリコンウエハーにおける連続的な裏面電界場形成によって生じる開回路電圧(Voc)の改善である。両方のデバイスが同じ裏側バスバー表面積を有する場合、ここに記載されるように、従来のBSF太陽電池をAg:Biインターカレーションペーストを含むBSF太陽電池と比較することにより、Voc利得を直接測定することができる。従来のBSFシリコン太陽電池は、銀系の裏側タブペーストがシリコンウエハー上に直接印刷され、アルミニウム粒子層によって取り囲まれて製造される。インターカレーション層(例えば、インターカレーションペーストCを使用して製造されたもの)は、完全なアルミニウム表面被覆率を有するシリコン太陽電池に使用することができる。両方の太陽電池のVocは、1つの太陽光強度下で電流−電圧試験によって測定される。裏側タブ表面積が5cm2を超える太陽電池の場合、インターカレーション層を使用して従来のシリコンの構造物上の裏側タブ層と比較すると、Vocを少なくとも0.5mV、少なくとも1mV、少なくとも2mV、又は少なくとも4mV増加させることができる。最後に、短絡電流密度(Jsc)及びフィルファクタも、従来の裏側タブ設計の代わりにインターカレーション層の構造物を使用する場合に改善され得る。銀はp型シリコンとオーム接点しない。p型シリコンの直上に存在する銀タブ層は、完全又は不完全な太陽電池上でエレクトロルミネッセンス又はフォトルミネセンス測定を行うことによって推定できる電流収集を減少させる。Jscの増加は、シリコン直上のインターカレーションの構造物と裏側タブ層とを有する電池を試験することによっても測定することができる。もう1つの利点はフィルファクタの増加であり、これはVocの増加、接触抵抗の減少、及び/又は太陽電池の裏側面上における再結合ダイナミクスの変動により積極的に変更可能である。
(屋根材太陽電池アレイ)
本発明の別の実施形態では、ここに記載される太陽電池は、屋根材太陽電池のアレイを形成するために使用される。図32は、屋根材構造に配列された太陽電池3210の概略断面説明図であり、隣接する太陽電池3210の端部が重なって電気的に接続して太陽電池3200の屋根材アレイを形成している。各太陽電池3210はここに記載される太陽電池のいずれであってもよい。
太陽電池3200の屋根材アレイで、隣接する太陽電池3210は、重なるところで互いに導電結合する。図32Bは、図32Aで点線内に示される領域の拡大である。導電性結合材料3220は隣接する太陽電池と互いに結合するために使用され、下側に配置された太陽電池3212の表側面のメタライズ部分が上側から覆いかぶさる太陽電池3214の裏側面のメタライズ部分と導電結合する。適切な導電性結合材料3220は、例えば、導電性接着剤、導電性接着フィルム及びテープ、ならびに従来のはんだを含んでもよい。導電性結合材料3220は、隣接する太陽電池3210間の結合を提供するのに有用であり、これは、導電性結合材料3220の熱膨張係数と太陽電池3210の熱膨張係数との間の不均衡から生じる応力を吸収することができる。一例において、導電性結合材料3220は、太陽電池3210のエッジの長さに十分に延在する連続的なラインの代わりに太陽電池3210の重なり領域に沿った特定の場所にのみ付与される。
一例において、結合材料は、導電性接着剤、導電性接着フィルム及びテープである。一例において、導電性結合材料は、熱及び圧力を屋根材太陽電池のアレイに付与することにより硬化し、それにより隣接して重なっている長方形のシリコン太陽電池を互いに結合し、それらの間の良好な電気接触を保証する。例示的な実施形態において、電気導電性接着剤は日立化成株式会社製のCP−300である。
屋根材太陽電池のアレイにおける太陽電池が全て同一の正方形又は長方形の形状を有していると有用である。一例において、屋根材太陽電池アレイの太陽電池は全て長方形であり、約1:2〜1:20のアスペクト比を有する。
小さな太陽電池を屋根材太陽電池アレイに配列することは、そのようなアレイはタブリボンを介して互いに接続された大きな電池を含む従来のアレイよりも抵抗性電力損失を小さくし得るので、有利となることができる。小さい太陽電池は大きい太陽電池よりも少ない電流を生じる。抵抗性電力損失は、I2R(電流の二乗と抵抗との積)に比例し、従って少ない電流は少ない抵抗性電力損失を意味する。さらに、電流が太陽電池の短辺に平行に流れるように長方形の太陽電池を屋根材アレイに注意深く配列することにより、(表側の)バスバーに到達する前に電流が流れる距離を減少してもよく、抵抗性電力損失も減少することができる。そして、もちろん、太陽電池を直列に接続するために重なった太陽電池を互いに結合することは、従来どおりにタブ付けされた直列接続の太陽電池のストリングと比較して隣接する太陽電池間の電気的接続の長さを減らし、さらに抵抗性電力損失を減少することができる。
他の態様において、太陽モジュールは、モジュールの表側面を形成するモジュールの幅にまたがって、2つ以上の平行な列に配列された太陽電池の複数の屋根材アレイを含む。太陽電池の各屋根材アレイは、上述の複数のシリコン太陽電池を含む。本発明の実施形態では、可撓性導電インターコネクトが太陽電池の隣接する屋根材アレイを接続するために使用されることができる。例えば、モジュール内で、可撓性導電インターコネクトは、第1の列でモジュールのエッジに隣接する太陽電池の第1の屋根材アレイの一端を、第2の列でモジュールの同一のエッジに隣接する太陽電池の第2の屋根材アレイの一端に接続してもよい。可撓性導電インターコネクトは、太陽電池の第1の屋根材アレイの表側面に導電性接着結合材料を用いて個別の位置の数で結合してもよい。可撓性導電インターコネクトは、モジュールのエッジに平行に延びてもよい。可撓性導電インターコネクトの少なくとも一部は、太陽電池の第1の屋根材アレイの端部に巻き付いてモジュールの表側からの視界から隠れてもよい。
可撓性のあるインターコネクトは、例えば、重なった太陽電池の結合に使用する上述のものと同じ導電性結合材料を用いて、太陽電池の屋根材アレイを導電的に結合してもよい。一例において、導電性結合材料は、太陽電池の屋根材アレイのエッジの長さに十分に延在する連続的なラインよりも太陽電池の屋根材アレイのエッジに沿った個別の位置にのみ配置されて、導電性結合材料又はインターコネクトの熱膨張係数と太陽電池の屋根材アレイの熱膨張係数との間の不均衡から生じる太陽電池の屋根材アレイのエッジに平行な応力を減少又は吸収してもよい。一例において、可撓性のあるインターコネクトは、薄い銅シートから形成されるかそれを含む。可撓性のあるインターコネクトは、例えばスリット、スロット又はホールでパターン化して、太陽電池の屋根材アレイのエッジに垂直及び平行な応力を減少又は吸収するための可撓性を増してもよい。
本発明の実施形態では、屋根材太陽電池アレイはライン状に配置された複数のシリコン太陽電池を含み、これらは隣接するシリコン太陽電池の端部で重なって互いに導電結合し、シリコン太陽電池を直列に電気的に接続している。各シリコン太陽電池は、表側面と裏側面を有するシリコン基板、シリコン基板の表側面の少なくとも一部の直上の少なくとも1つの表側誘電体層、シリコン基板の表側面の一部の上の複数の微細格子線、複数の微細格子線の少なくとも1つと電気接触した少なくとも1つの表側バスバー層、シリコン基板の裏側面の少なくとも一部の上のアルミニウム粒子層、及びシリコン基板の裏側面の一部の上の裏側タブ層を含んでもよい。裏側タブ層は、シリコン基板の裏側面の一部の上に改質アルミニウム粒子層と、改質アルミニウム粒子層の少なくとも一部の直上に改質インターカレーション層を含んでもよい。改質インターカレーション層は、はんだ付け可能な面を含んでもよい。改質インターカレーション層は、貴金属と、アンチモン、ヒ素、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、セリウム、セシウム、クロム、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、鉄、ランタン、鉛、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、リン、カリウム、レニウム、セレン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、テルル、錫、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、それらの組み合わせ、又はそれらの合金、それらの酸化物、それらの複合材、あるいはそれらの他の組み合わせのいずれかを含んでもよい。改質アルミニウム粒子層は、アルミニウム粒子と、改質インターカレーション層からの少なくとも1つの材料とを含んでもよい。隣接するシリコン太陽電池のいずれかのペア内で、第1のシリコン太陽電池の一部は第2のシリコン太陽電池の一部に重なり、第2のシリコン太陽電池の表側バスバー層が第1の太陽電池の裏側タブ層より下になるようにしてもよい。電気導電性接着剤は、第2のシリコン太陽電池の表側バスバー層と第1のシリコン太陽電池の裏側タブ層の両者と導電結合して第1のシリコン太陽電池と第2のシリコン太陽電池を電気的に接続するために使用されてもよい。
改質インターカレーション層の各種構成の詳細な可能性はここで記載されている。
表側誘電体層は、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム、又はそれらの酸化物、それらの窒化物、それらの複合材、又はそれらの組み合わせのいずれかを含んでもよい。一例において、シリコン基板の裏側面の直上に少なくとも1つの裏側誘電体層もある。裏側誘電体層は、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ハフニウム、ガリウム、それらの酸化物、それらの窒化物、それらの複合材、又はそれらの組み合わせのいずれかを含んでもよい。一例において、シリコン基板の裏側面の少なくとも一部の直上に酸化アルミニウムを含む第1の裏側誘電体層と、第1の裏側誘電体層の直上に窒化ケイ素を含む第2の裏側誘電体層とが存在する。
シリコン基板の裏側面の直上に固体アルミニウム−シリコン共晶層があってもよい。裏側タブ層の一部は、変化する厚さを有してもよい。
本発明の他の実施形態では、太陽電池モジュールは、表側面と裏側面を有する表側シート、表側シートの裏側面の表側封止層、及び表側封止層上に本発明に記載されるような複数の屋根材シリコン太陽電池アレイを含み、屋根材シリコン太陽電池アレイは、互いに電気的に接続される。可撓性の導電性インターコネクトが複数あってもよく、各可撓性の導電性インターコネクトは、隣接するシリコン屋根材太陽電池アレイに導電接続される。表側面と裏側面を有し裏側面が外部環境に露出するする裏側シートと、裏側シートの表側面上に裏側封止層とが存在していてもよく、裏側封止層の第1の部分は、複数の屋根材シリコン太陽電池アレイ上にあり、裏側封止層の第2の部分は、表側封止層上にある。
可撓性の導電性インターコネクトは、さらに裏側シートと接触する接合箱を含んでもよい。屋根材太陽電池アレイの一部と接続してバイパスダイオード及び接合箱と電気的に接続されたバスリボンがあってもよい。
シリコン太陽電池の屋根材アレイ(スーパーセルとしても知られる)の設計及び製造についてのさらなる詳細は、2016年11月1日に発行された、米国特許第9,484,484号に見つけることができ、ここに参照により含まれる。
ここに記載された発明は、異なる装置、材料及び装置によって実施することができ、装置及び操作手順の両方に関する様々な変更を、本発明そのものの範囲から逸脱することなく達成することができることを理解されたい。