本開示の1つ以上の態様又は実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、特定の合成技術、IL−15部分などに限定されることを意図するものではないことに留意するべきであり、それは、それらが、本開示が適合する技術分野の当業者により理解されうるように変動し得るためである。
本開示の特定の特徴を説明及び特許請求する際に、以下の専門用語は、別に示さない限り、下記に記載される定義に従って使用される。
本明細書及び付属する特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」が、文脈上特に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことは注記されるべきである。
1つ又は複数の実施形態の説明及び特許請求においては、以下の専門用語を下記の定義に従い用いるものとする。
「生理学的に切断可能な」又は「加水分解性」又は「分解性」結合は、生理学的条件下で水と反応する(すなわち、加水分解される)比較的不安定な結合である。結合が水中で加水分解される傾向は、所定の分子中の2つの原子を連結する結合の一般的なタイプのみに依存するのではなく、それらの原子に結合する置換基にも依存し得る。適切な加水分解的に不安定な又は弱い結合としては、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、ペプチド、オリゴヌクレオチド、チオエステル、及びカーボネートを挙げることができるが、これらに限定されない。
「酵素的に分解可能な結合」は、1つ以上の酵素による分解に供される結合を意味する。
「安定な」結合(linkage)又は結合(bond)は、水中で実質的に安定な、すなわち、長期間にわたり、認識できる任意の程度まで、生理学的条件下で加水分解を受けない化学結合を指す。加水分解的に安定な結合の例としては、一般に以下が挙げられるがこれらに限定されない:炭素−炭素結合(例えば、脂肪鎖における)、エーテル、アミド、アミンなど。一般に、安定な結合は、生理学的条件下で、1日当たり約1〜2%未満の加水分解率を示すものである。代表的な化学結合の加水分解率は、最も標準的な化学テキストに見出すことができる。
例えば、インターロイキン−15のような活性部分に共有結合したポリエチレングリコールの状況における共有「解放性」結合は、生理学的条件下で、例えば任意の好適な機構によって、臨床的に有用な速度で、ポリエチレングリコールポリマーを活性部分から解放又は分離する結合であり、例えば非限定的に加水分解性結合及び酵素分解性結合を含む。
「実質的に」又は「本質的に」は、ほぼ全体的に又は完全に(例えば95%以上の所定の量)を意味する。
同様に、本明細書で使用される「約(about)」又は「約(approximately)」は、所定の量の±5%以内を意味する。
「任意選択の」又は「任意選択的」は、続いて記載される状況が生じ得るが、必ずしも生じる必要がないことを意味し、従って、この記載は、その状況が生じる場合と生じない場合とを含む。
「薬学的に許容可能な賦形剤」又は「薬学的に許容可能な担体」は、本明細書に記載される組成物に含まれ、対象に有意な有害な毒性学的効果を生じ得ない成分を指す。
表現「薬学的に有効な量」及び「薬理学的に有効な量」及び「治療的有効量」及び「生理学的に有効な量」は、本明細書で交換可能に使用され、血液流又は標的組織中で物質の所望のレベルを提供して、所望の生物学的応答又は薬物応答を引き起こすのに必要な、本明細書に提供される長時間作用型IL−15 R作動薬の量を指す。例えば、そのような応答は、対象において標的癌細胞を破壊し、又は癌の進行を遅延若しくは抑止することができる。この用語は、標的細胞における特定の応答を誘導する用量にも適用される。正確な量は、例えば、処置される特定の状態、意図される患者集団、個々の患者の考慮事項、投与される治療組成物の成分及び物理学的特性などの多数の因子に依存するであろう。
本明細書に記載される長時間作用型IL−15 R作動薬に対する参照は、その薬学的に許容可能な塩形態を包含することが意図される。
本明細書で使用される用語「患者」又は「対象」は、本明細書に提供される化合物又は組成物の投与により予防又は処置され得る状態を患う又は該状態に罹り易い生物を指す。対象は、哺乳動物(例えば、ハツカネズミ、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を含むがこれらに限定されず、好ましくはヒトである。
水溶性ポリマー、例えばPEGに関連した分子量は、数平均分子量又は重量平均分子量のいずれとしても表すことができる。特に指示されない限り、本明細書で分子量と言うときは全て、重量平均分子量を指す。数平均及び重量平均のいずれの分子量の測定も、ゲル浸透クロマトグラフィー法又は他の液体クロマトグラフィー法を用いて計測することができる(例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー)。ゲル浸透クロマトグラフィー及びゲルろ過クロマトグラフィーが最も一般的に使用される。また、分子量を計測するための他の方法は、末端基分析、若しくは束一的性質(例えば、凝固点降下、沸点上昇、若しくは浸透圧)の計測が含まれ、それにより数平均分子量を決定してもよく、又は、光散乱法、超遠心法、MALDITOF、若しくは粘度測定法を用いることにより重量平均分子量を決定してもよい。PEGポリマーは、典型的には多分散系であり(すなわち、ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量とが等しくない)、好ましくは約1.2未満、より好ましくは約1.15未満、さらにより好ましくは約1.10未満、なおさらにより好ましくは約1.05未満、及び最も好ましくは約1.03未満の低い多分散性値を有する。
用語「活性の」、「反応性の」、又は「活性化された」は、特定の官能基と併せて使用されるとき、別の分子上の求電子剤又は求核剤と容易に反応する反応性官能基を指す。これは、反応させるために強力な触媒又は極めて非現実的な反応条件が必要な基(すなわち、「非反応性の」、又は「不活性の」基)と対比される。
本明細書で使用されるとき、用語「官能基」又はその任意の同義語は、その保護型並びに無保護型を包含することが意図される。
用語「スペーサー部分」、「連結」、及び「リンカー」は、本明細書では、例えば高分子剤の末端とIL−15部分の相互接続部分を場合により連結するために用いられる結合又は原子若しくは原子集合を指して用いられうる。スペーサー部分は、加水分解に対して安定であってもよく、又は生理的に加水分解可能か、若しくは酵素分解可能か、さもなければ解除可能な連結を含んでもよい。文脈上特に明確に指示されない限り、スペーサー部分は化合物の任意の2つの要素間に場合により存在する(例えば、IL−2部分とPEGのような水溶性ポリマーは、直接的にも、又はスペーサー部分を介して間接的にも結合することができる)。
「アルキル」は炭化水素鎖を指し、典型的には約1〜15個の範囲の原子長さである。かかる炭化水素鎖は、必須ではないが好ましくは飽和しており、分枝鎖状であっても、又は直鎖状であってもよく、但し典型的には直鎖状が好ましい。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、3−メチルペンチルなどが挙げられる。
「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を指し、直鎖状であっても、又は分枝鎖状であってもよく、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、及びt−ブチルにより例示されるとおりである。
「アルコキシ」は、−OR基であって、式中、Rがアルキルか、又は置換アルキル、好ましくはC1〜6アルキル(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシなど)である−OR基を指す。
例えば「置換アルキル」にあるような用語「置換された」は、限定はされないが、アルキル、C3〜8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチルなど;ハロ、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード;シアノ;アルコキシ、低級フェニル;置換フェニル;などの1つ又は複数の干渉しない置換基で置換された部分(例えば、アルキル基)を指す。「置換アリール」は、1つ又は複数の干渉しない基を置換基として有するアリールである。フェニル環に対する置換について、置換基はいかなる配向(すなわち、オルト、メタ、又はパラ)であってもよい。
「干渉しない置換基」は、分子中に存在するとき、典型的にはその分子中に含まれる他の官能基との反応性を有しない基である。
「アリール」とは、1つ又は複数の芳香環であって、各々が5個又は6個の中心炭素原子であるものを意味する。アリールは、ナフチルにおけるように縮合していることも、又はビフェニルにおけるように縮合していないこともある複数のアリール環を含む。アリール環はまた、1つ又は複数の環状炭化水素、ヘテロアリール、又は複素環式環と縮合していても、又は縮合していなくともよい。本明細書で使用されるとき、「アリール」にはヘテロアリールが含まれる。
「ヘテロアリール」は、1〜4個のヘテロ原子、好ましくは硫黄、酸素、若しくは窒素、又はそれらの組み合わせを含むアリール基である。ヘテロアリール環はまた、1つ又は複数の環状炭化水素、複素環式環、アリール環、又はヘテロアリール環と縮合していてもよい。
「複素環」又は「複素環式」とは、5〜12個の原子、好ましくは5〜7個の原子の1つ又は複数の環であって、不飽和特性又は芳香族特性を伴うことも、又は伴わないこともあり、且つ炭素以外の少なくとも1個の環原子を有する環を意味する。好ましいヘテロ原子としては、硫黄、酸素、及び窒素が挙げられる。
「置換ヘテロアリール」は、1つ又は複数の干渉しない基を置換基として有するヘテロアリールである。
「置換複素環」は、干渉しない置換基から形成された1つ又は複数の側鎖を有する複素環である。
「有機ラジカル」は、本明細書で使用されるとき、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールを含む。
「薬学的に許容可能な賦形剤又は担体」とは、場合により本発明の組成物中に含めることができ、患者に対して何ら有意な毒性の有害作用を引き起こすことのない賦形剤を指す。
用語「IL−15部分」は、本明細書で使用されるとき、ヒトIL−15活性を有するペプチド又はタンパク質部分を指す。加えて、用語「IL−15部分」は、コンジュゲート形成前のIL−15部分並びにコンジュゲート形成後のIL−15部分残基の双方を包含する。以下にさらに詳細に説明するとおり、当業者は、任意の所与の部分がIL−15活性を有するかどうかを決定することができる。配列番号1〜3のいずれか1つに対応するアミノ酸配列を含むタンパク質、並びにそれと実質的に相同な任意のタンパク質又はポリペプチドが、IL−15部分である。本明細書で使用されるとき、用語「IL−15部分」には、例えば部位特異的突然変異誘発によって意図的に修飾されたか、又は突然変異によって偶発的に修飾されたかかるペプチド及びタンパク質が含まれる。これらの用語にはまた、1〜6個のさらなるグリコシル化部位を有する類似体、ペプチド又はタンパク質のカルボキシ末端側の終端部に、少なくとも1個のさらなるアミノ酸であって、少なくとも1つのグリコシル化部位を含む1個又は複数のさらなるアミノ酸を有する類似体、及び少なくとも1つのグリコシル化部位を含むアミノ酸配列を有する類似体も含まれる。この用語には、天然の部分及び組換え及び合成的に産生された部分の双方が含まれる。
用語「実質的に相同な」又は「実質的に同一な」とは、特定の対象配列、例えば突然変異配列が、1つ又は複数の置換、欠失、又は付加だけ基準配列と異なるが、その正味の効果としては、基準配列と対象配列との間に機能上の有害な相違は生じないことを意味する。本発明の目的上、95パーセントを超える相同性(同一性)、所定の配列に対する等価な生物活性(必須ではないが等価な生物活性強度)、及び等価な発現特性を有する配列が、実質的に相同(同一)であると見なされる。相同性を決定する目的では、天然配列のトランケーションは無視する必要がある。本明細書で使用される例示的なIL−15ポリペプチドは、配列番号1に対して実質的に相同な配列を含む。配列番号2は配列番号1とほぼ同一であるが、配列番号2は、大腸菌(E.coli)において翻訳の開始に必要なメチオニンを配列の最初に有する。
用語「断片」は、IL−15部分の一部分又は断片のアミノ酸配列を有し、IL−15の生物活性、又は実質的に生物活性を有する任意のタンパク質又はポリペプチドを意味する。断片は、IL−15部分のタンパク質分解により生成されるタンパク質又はポリペプチド、及び当技術分野で日常的な方法による化学合成によって生成されるタンパク質又はポリペプチドを含む。
ペプチド中のアミノ酸残基は、以下のとおり略記される:フェニルアラニンはPhe又はFであり;ロイシンはLeu又はLであり;イソロイシンはIle又はIであり;メチオニンはMet又はMであり;バリンはVal又はVであり;セリンはSer又はSであり;プロリンはPro又はPであり;スレオニンはThr又はTであり;アラニンはAla又はAであり;チロシンはTyr又はYであり;ヒスチジンはHis又はHであり;グルタミンはGln又はQであり;アスパラギンはAsn又はNであり;リジンはLys又はKであり;アスパラギン酸はAsp又はDであり;グルタミン酸はGlu又はEであり;システインはCys又はCであり;トリプトファンはTrp又はWであり;アルギニンはArg又はRであり;及びグリシンはGly又はGである。
概要
本開示は、長時間作用型IL−15受容体作動薬の提供に関する。そのような作動薬は、例えば少なくとも以下の1つのような、いくつかの利点及び予想外の特徴を理想的に有するであろう:(i)連日投与の必要性を有することなく、測定可能な薬力学的効果を提供することによって持続性のIL−15活性を送達する能力、(ii)IL−15受容体αに対する高い結合度を保持する(すなわち、IL−15と比較して)、(iii)NK細胞活性化及び/若しくは増殖を刺激する、並びに/又は(iv)CD8 T細胞生存及び/若しくは記憶形成を支持する、並びに(v)腫瘍成長の阻害を提供する。驚くべきことに、本出願人らは、以下に詳細に記載される、有利な特性の独特の組み合わせを有する長時間作用型IL−15 R作動薬に到達した。
長時間作用型IL−15 R作動薬及び関連組成物
一般に、長時間作用型IL−15受容体作動薬又はその薬学的に許容可能な塩形態は、アミド結合を介してIL−15アミノ基に安定して共有結合した単一直鎖PEG(ポリエチレングリコール)部分を含む。PEG部分と、IL−15アミノ基に対する安定なアミド結合との間には、2〜5個の炭素原子を有する直鎖非置換アルキレン基(〜CH2〜)m(すなわち、m=2、3、4、又は5)が介在する。
IL−15部分を考察する場合、用語「IL−15部分」は、コンジュゲーション前のIL−15部分、及びポリ(アルキレンオキシド)(例えばポリ(エチレングリコール)又はPEG)などの非ペプチド性の水溶性ポリマーへの結合後のIL−15部分を指す。以後、PEGを非ペプチド性の水溶性ポリマーとして以下に特に参照するが、本開示は一般に、非ペプチド性の水溶性ポリマー又はポリ(アルキレングリコール)に関連することが理解されるであろう。しかしながら、元のIL−15部分がポリエチレングリコール部分に結合された場合、IL−15部分は、ポリマーに対する結合に関連した1つ以上の共有結合の存在に起因して、僅かに変更されていることが理解されるであろう。
IL−15部分は、非組換え方法からも、及び組換え方法からも得ることができ、本開示はこの点について限定されない。加えて、IL−15部分は、ヒト供給源にも、動物供給源(昆虫を含む)にも、菌類供給源(イーストを含む)にも及び植物供給源にも由来し得る。
代替的に、IL−15部分は、Grabsteinらによって記載される手順に従い得ることができる。例えば、Grabstein et al.(1994)Science 264:965−968を参照のこと。IL−15部分は、例えば、Immunex Corporationへの欧州特許第0772624 B2号明細書に記載されているものなどの組換え方法を用いて調製することもできる。IL−15部分は、例えば、GenScript USA Inc.(Piscataway NJ)及びPeprotech(Rockyhill,NJ)から市販品を購入することができる。
IL−15部分は、細菌[例えば、大腸菌(E.coli)、例えば、Fischer et al.(1995)Biotechnol.Appl.Biotechnol.21(3):295−311を参照]、哺乳動物[例えば、Kronman et al.(1992)Gene 121:295−304を参照]、酵母[例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、例えば、Morel et al.(1997)Biochem.J.328(1):121−129を参照]、及び植物[例えば、Mor et al.(2001)Biotechnol.Bioeng.75(3):259−266を参照]の発現系で発現させることができる。発現は、外因性発現によっても(宿主細胞が天然で所望の遺伝コードを含む場合)又は内因性発現によっても起こり得る。
組換えに基づくタンパク質の調製方法には違いがあり得るが、典型的には、組換え方法には、所望のポリペプチド又は断片をコードする核酸の構築、核酸の発現ベクターへのクローニング、宿主細胞(例えば、植物、細菌、酵母、トランスジェニック動物細胞、又はチャイニーズハムスター卵巣細胞若しくはベビーハムスター腎臓細胞などの哺乳動物細胞)の形質転換、及び核酸の発現による所望のポリペプチド又は断片の産生が関わる。組換えポリペプチドをインビトロで原核生物及び真核生物の宿主細胞において産生し、発現させる方法は、当業者に公知である。
組換えポリペプチドの同定及び精製を促進するため、エピトープタグ又は他の親和性結合配列をコードする核酸配列を、コード配列とインフレームで挿入又は付加し、それにより所望のポリペプチドと、結合に適したポリペプチドとを含む融合タンパク質を産生することができる。融合タンパク質の同定及び精製は、初めに融合タンパク質を含む混合物を、融合タンパク質中のエピトープタグ又は他の結合配列に対する結合部分(例えば、抗体)を有するアフィニティーカラムに通過させ、それによって融合タンパク質をカラム内に結合させることにより行うことができる。その後、カラムを適切な溶液(例えば、酸)で洗浄して結合した融合タンパク質を遊離させることにより、融合タンパク質を回収することができる。組換えポリペプチドはまた、宿主細胞の溶解、ポリペプチドの、例えばイオン交換クロマトグラフィーによる分離、親和性結合手法、疎水性相互作用手法により精製し、その後、MALDI又はウエスタンブロットにより同定し、及びポリペプチドを回収することもできる。組換えポリペプチドを同定及び精製するためのこれらの及び他の方法は、当業者に公知である。しかしながら、1つ又は複数の実施形態では、IL−15部分は融合タンパク質の形態ではない。
IL−15活性を有するタンパク質の発現に用いられる系に応じて、IL−15部分はグリコシル化されていなくても、又はグリコシル化されていてもよく、いずれも使用することができる。すなわち、IL−15部分はグリコシル化されていなくてもよく、又はIL−15部分はグリコシル化されていてもよい。1つ又は複数の実施形態では、IL−15部分はグリコシル化されていない。
IL−15部分は、有利には、1つ又は複数のアミノ酸残基、例えば、リジン、システイン及び/又はアルギニンを含む及び/又は置換するように修飾することができ、それによりポリマーがそのアミノ酸の側鎖内の原子と結合し易くなる。IL−15部分の置換の例は、米国特許第6,177,079号明細書に記載される。加えて、IL−15部分は、天然に存在しないアミノ酸残基を含むように修飾することができる。アミノ酸残基及び天然に存在しないアミノ酸残基を付加する方法は、当業者に公知である。J.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions Mechanisms and Structure,4th Ed.(New York:Wiley−Interscience,1992),and Bioinformatics for Geneticists(eds.Michael R.Barnes and Ian C Gray),2003 John Wiley&Sons,Ltd,Chapter 14,Amino Acid Properties and Consequences of Substitutions,Betts,M.J.,and Russell,R.B.を参照されたい。
加えて、IL−15部分は、有利には、官能基の結合(官能基を含むアミノ酸残基の付加によるものは除く)を含むように修飾することができる。例えば、IL−15部分は、チオール基を含むように修飾することができる。加えて、IL−15部分は、N末端のα炭素を含むように修飾することができる。加えて、IL−15部分は、1つ又は複数の炭水化物部分を含むように修飾することができる。加えて、IL−15部分は、アルデヒド基を含むように修飾することができる。加えて、IL−15部分は、ケトン基を含むように修飾することができる。本発明の一部の実施形態では、IL−15部分は、チオール基、N末端のα炭素、炭水化物、アルデヒド基及びケトン基のうちの1つ又は複数を含むようには修飾されないことが好ましい。
例示的IL−15部分は、本明細書、文献、並びに例えば米国特許出願公開第2006/0104945号明細書、Pettit et al.(1997)J.Biol.Chem.272(4):2312−2318、及びWong et al.(2013)OncoImmunology 2(11),e26442:1−3に記載される。好ましいIL−15部分には、配列番号1〜3からなる群から選択される配列、及びそれと実質的に相同の配列を含むアミノ酸配列を有するものが含まれる(ここで、配列番号2及び3、及びそれらと実質的に相同の配列が本明細書に提供されるIL−15部分のインビトロ活性基準を満たさない場合であっても、本発明の目的上、それらの配列もまた「IL−15部分」であると理解されることは理解されるであろう)。好ましいIL−15部分は、配列番号1に対応するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、IL−15部分は、配列番号1〜3のいずれか1つと少なくとも約85%又は少なくとも約90%同一性を有する機能的相同体である。いくつかの実施形態では、IL−15部分は、配列番号1〜3のいずれか1つと少なくとも約95%、98%又は99%同一性を有する機能的相同体である。
場合によっては、IL−15部分は、対応するペプチドの単一の発現が個別の単位として体系付けられる「単量体」形態であり得る。他の場合には、IL−15部分は、2つの単量体形態のタンパク質が互いに会合している「二量体」の形態(例えば、組換えIL−15の二量体)であり得る。
加えて、前駆体形態のIL−15をIL−15部分として使用することができる。例示的な前駆体形態のIL−15は配列番号3の配列を有する。
前述の配列のいずれかのトランケート型、ハイブリッド変異体、及びペプチド模倣物もまた、IL−15部分として働き得る。少なくともある程度のIL−15活性を維持する前述のいずれかの生物学的に活性な断片、欠失変異体、置換変異体又は付加変異体もまた、IL−15部分として働き得る。
所与のペプチド、タンパク質部分又はコンジュゲートについて、当該のペプチド、タンパク質部分又はコンジュゲートがIL−15活性を有するかどうかを決定することが可能である。インビトロIL−15活性を決定するための様々な方法が当該技術分野において記載されている。例示的手法はpSTATアッセイに基づく。簡潔に言えば、IL−15依存性CTLL−2細胞がIL−15活性を有する被験物質に曝露された場合、結果として、定量的に計測することのできるチロシン残基694(Tyr694)におけるSTAT5のリン酸化を含むシグナル伝達カスケードが惹起される。アッセイプロトコル及びキットは公知であり、例えば、MSD Phospho(Tyr694)/Total STATa,b全細胞ライセートキット(Meso Scal Diagnostics,LLC、Gaithersburg,MD)が含まれる;例えばこの手法を用いて、5分又は10分の少なくとも一方の時点で約300ng/mL以下(より好ましくは約150ng/mL以下)のpSTAT5 EC50値を呈する候補IL−15部分が、本開示に関連した「IL−15部分」であると見なされる。しかしながら、使用されるIL−15部分はより強力である(例えば、5分又は10分の少なくとも一方の時点で150ng/mL未満、例えば5分又は10分の少なくとも一方の時点で約1ng/mL未満、さらにより好ましくは0.5ng/mL未満のpSTAT5 EC50値を有する)ことが好ましい。
電位測定法、分光測定法、クロマトグラフィー法、及び放射測定法を含めた当該技術分野において公知の他の方法もまた、IL−15機能の評価に用いることができる。一つのかかる別のタイプのアッセイについては、例えば、Ring et al.(2012)Nat.Immunol.13(12):1187−1195を参照のこと。
IL−15部分の活性の測定に関連して使用されるアッセイは、本明細書に記載される長時間作用型IL−15 R作動薬の活性の測定にも使用することができる。例えば、本明細書に提供される支持実施例を参照されたい。
化合物は、対象への投与後、作動薬が、IL−15の投与の場合よりも長い時間、インビボでのIL−15受容体活性化作用を示す限り、本開示による長時間作用型のIL−15 R作動薬と見なされる。例えば化合物を放射性標識し、化合物をインビボで投与し、そのクリアランスを決定することを含む従来の手法を用いて、長時間作用型のIL−15 R作動薬として提案される化合物が「長時間作用型」である(すなわち、同じインビボ系に投与されたIL−15よりも長いクリアランスを有する)か否かを評価することができる。本発明の目的上、長時間作用型IL−15 R作動薬の長時間作用の性質は、フローサイトメトリーを用いて、評価されるべき作動薬をマウスに投与後の様々な時点で、リンパ球におけるSTAT5リン酸化を測定して決定され得、又は典型的には決定される。参照として、シグナルはIL−15によってほぼ24時間で喪失するが、長時間作用型IL−15作動薬の場合は、ある期間を超えて持続性である。
前述したように、好ましい長時間作用型IL−15 R作動薬は、一般に、アミド結合を介してIL−15アミノ基に安定して共有結合した単一直鎖PEG(ポリエチレングリコール)部分を含むであろう。PEG部分と、IL−15アミノ基に対する安定なアミド結合との間に、2〜5個の炭素原子を有する直鎖非置換アルキレン基(〜CH2〜)m(すなわち、m=2、3、4、又は5)が介在する。
例えば、いくつかの実施形態では、非置換アルキレン基は(〜CH2〜)2であり;又は、いくつかの追加の実施形態では、非置換アルキレン基は(〜CH2〜)3であり;いくつかのなおさらなる実施形態では、非置換アルキレン基は(〜CH2〜)4であり;いくつかのなおさらなる実施形態では、非置換アルキレン基は(〜CH2〜)5である。
例えば、いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、以下の構造を有する:
式中、IL−15は、インターロイキン−15部分であり、nは、約150〜約3,000の整数であり;mは、2〜5の整数(例えば、2、3、4、又は5)であり、n’は1である。式I(及び本明細書に提供される類似の式)において、構造中の〜NH〜は、IL−15部分のアミノ基を表す。式(I)は、以下のように示すこともでき、
ここで括弧は末端PEGメトキシ基を反映するように移動され、2つの式は、交換可能に使用され得る。例示的な化合物の例としては、式(I)により包含される以下が挙げられる:
いくつかの好ましい実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、式(Ia)又は式(Ib)に対応する。いくつかの特に好ましい実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、式(Ib)に対応する。
本明細書に記載される構造及び式に関連したいくつかのさらなる実施形態では、nは、約200〜約2000、又は約400〜約1300、又は約450〜約1200の整数である。すなわち、いくつかの実施形態では、nは、約200〜約2000の整数である。いくつかのなおさらなる実施形態では、nは、約400〜約1300の整数である。いくつかのなおさらなる実施形態では、nは、約450〜約1200の整数である。
前述のn値の範囲のいずれかに対応する分子量を有するPEGが一般に好ましい。
1つ以上の実施形態では、nは、約10,000ダルトン(ここでnは約227である)、又は約15,000ダルトン(ここでnは約340である)、又は約20,000ダルトン(ここでnは約454である)、又は約25,000ダルトン(ここでnは約568である)、又は約30,000ダルトン(ここでnは約681である)、又は約40,000ダルトン(ここでnは約909である)、又は約50,000ダルトン(ここでnは約1136である)又はさらには約60,000ダルトン(ここでnは約1364である)以上からなる群から選択される重量平均分子量を有するポリエチレングリコールポリマーに対応する値を有する整数である。
化合物のポリエチレングリコール部分に関するさらなる例示的な重量平均分子量は、前述に加えて、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000ダルトン、約14,000ダルトン、約22,500ダルトン、約35,000ダルトン、約45,000ダルトン、約55,000ダルトン、約65,000ダルトン、約70,000ダルトン、及び約75,000ダルトンを含む。
いくつかの好ましい実施形態では、化合物のポリエチレングリコールポリマー部分の重量平均分子量は、約40,000ダルトンである。
PEG部分は、好ましくは、式(I)において上記に示すように、メトキシ基で末端キャップされるが、PEG部分は、その末端を任意の低級C1−6アルコキシ基でキャップされてもよく、又はヒドロキシル基若しくは他の好適な末端キャップ基で終結してもよい。
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
(式中、n及びmの値は、上記の式(I)に関して提供したとおりである。すなわち、そのような組成物の長時間作用型IL−15受容体作動薬成分の観点から、組成物に含まれる約20モルパーセント以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬は、式(II)のものである)により包含される、約20モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。
いくつかの追加の実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
(式中、n及びmの値は、上記の式(I)に関して提供したとおりである。すなわち、そのような組成物の長時間作用型IL−15受容体作動薬成分の観点から、組成物に含まれる約15molパーセント以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬は、式(II)のものである。いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、約0.1〜20mol%以下の式(II)の化合物を含む。実施形態では、組成物は、約0.1〜15、0.1〜10、0.1〜5、0.1〜1、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、5〜20、5〜15、5〜10、10〜20、10〜15、又は15〜20mol%以下の式(II)の化合物を含む)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。
前述に関連したいくつかの特定の実施形態では、式(Ia)に関連した長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
(式中、n及びmの値は、上記の式(Ia)に関して提供したとおりである)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。
いくつかの他の好ましい実施形態では、式(Ib)に関連した長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
(式中、n及びmの値は、上記の式(Ib)に関して提供したとおりである)により包含される、15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。
いくつかの別の実施形態では、式(Ic)に関連した長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
(式中、n及びmの値は、上記の式(Ic)に関して提供したとおりである)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。
いくつかの別の実施形態では、式(Id)に関連した長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、下記の式:
(式中、n及びmの値は、上記の式(Id)に関して提供したとおりである)により包含される、約15モルパーセント(mol%)以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、約0.1〜20mol%以下の式(II)の化合物(式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む)を含む。いくつかの追加の実施形態では、組成物は、約0.1〜15、0.1〜10、0.1〜5、0.1〜1、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、5〜20、5〜15、5〜10、10〜20、10〜15、又は15〜20mol%以下の式(II)の化合物(式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1、1、5、10、15、又は20mol%以下の式(II)の化合物(式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む)を含む。組成物は、式(I)の化合物に関して当技術分野で既知の方法により精製され、その結果、式(II)の化合物が組成物中に存在しない、微量存在する、又は実質的に存在し得ないことを認識するであろう。
例えば、いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)の化合物を含む式(II)により包含される、約12モルパーセント以下、又は約10モルパーセント以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬を含む。
前述のいくつかの追加の実施形態では、組成物は、2、3に等しい、又は3を超えるn’を有する(すなわち、より高級のPEGmer)、約7mol%以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬を含む。さらなるいくつかの他の実施形態では、組成物は、2、3に等しい、又は3を超える(すなわち、2以上の)n’を有する、約5mol%以下の長時間作用型IL−15受容体作動薬を含む。
いくつかのさらなる実施形態では、組成物は、式(I)、
(式中、n及びmは上述したとおりであり、n’は、IL−15アミノ基に共有結合したポリエチレングリコール部分の平均数を表し(組成物に関して)、組成物に関するn’は、1.0〜約1.3の範囲内である。例えば、IL−15部分当たりのポリエチレングリコール部分の平均数は、約1.0、1.1、1.2及び約1.3から選択される。すなわち、式(I)による好ましい長時間作用型IL−15受容体作動薬は、本明細書では「モノペグ化」と称され得、ここで、上述したように、ペグ化度には幾分かの可変性が存在することを理解するべきである。本明細書に記載される式に関連した、いくつかの好ましい実施形態では、「m」は3に等しい)による長時間作用型IL−15受容体作動薬を含む。
長時間作用型IL−15 R作動薬の組成物は、n’が約1に等しく、PEG部分が、組成物中の実質的に全てのIL−15コンジュゲートに関して同じ位置に結合している単一種を含んでもよく、又は代替的に、直鎖ポリエチレングリコール部分の結合が、インターロイキン−15部分上の異なる部位に生じる、すなわち、特定の結合部位が、組成物中に含まれるモノペグ化IL−15種の全てに関して同じではない、モノペグ化コンジュゲート種の混合物を含んでもよい)。従って、そのような組成物は、IL−15に結合したPEG部分の数の観点から実質的に均一であるが(例えば、1−mer)、IL−15分子上のアミノ基結合の位置の観点からは不均一である。
追加のPEG構築及び結合化学を、長時間作用型IL−15 R作動薬に到達するために使用することができるが、支持実施例に鑑みて考慮する場合に明らかとなるように、前述したような化合物は、1つ以上の実施形態において好ましい。しかしながら、本明細書に提供される構造を有する、追加の長時間作用型IL−15 R作動薬も想定される。
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、式(Ia〜d)を含む式(I)により包含される、少なくとも約80mol%の長時間作用型IL−15受容体作動薬(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。1つ以上の実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、少なくとも約85mol%、90mol%、95mol%、98mol%又は99mol%の式(I)の長時間作用型IL−15受容体作動薬を含む。
上述したように、長時間作用型IL−15 R作動薬は、薬学的に許容可能な塩の形態であり得る。典型的には、そのような塩は、薬学的に許容可能な酸又は酸等価物との反応によって形成される。これに関連して用語「薬学的に許容可能な塩」は、一般に、比較的無毒の無機及び有機酸付加塩を指す。これらの塩は、投与ビヒクル若しくは剤形製造プロセスにおいてインサイチューで、又は、本明細書に記載される長時間作用型インターロイキン−15受容体作動薬を、好適な有機若しくは無機酸と別々に反応させ、そのように形成された塩を単離することによって調製され得る。代替的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(napthylate)、オキシル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.66:1−19参照)。従って、記載される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機塩から誘導され;又は酢酸、プロピオン、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリシリック酸(salicyclic)、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸(isothionic)などの有機酸から調製され得る。
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬組成物は、集合的に考えた場合、約1〜5mol%以下の遊離IL−15タンパク質(組成物中のIL−15含有分子の)を含む。いくつかのさらなる実施形態では、長時間作用型IL−15作動薬組成物は、約0.5mol%、1mol%、2mol%、3mol%、4mol%、又は5mol%以下の遊離(すなわち、非コンジュゲート化)IL−15を含む。
長時間作用型IL−15受容体作動薬を調製するために、IL−15部分を例えばそのアミノ基(例えばリシン又はN−末端)において、スクシンイミジル基(又は他の活性化エステルグループ)で官能化されたPEG試薬にコンジュゲートし得る。この手法を用いて、スクシンイミジル活性化PEGは、水性媒体中でpH約7.0〜9.0で、IL−15部分のアミノ基に結合することができるが、異なる反応条件(例えば、6〜7若しくは7〜8などのより低いpH、又は異なる温度及び/若しくは15℃未満の温度)の使用により、IL−15部分の異なる位置へのPEG部分の結合がもたらされ得る。
長時間作用型IL−15 R作動薬は、実施例1に記載するように調製することができる。例えば、長時間作用型IL−15 R作動薬は、一般に、インターロイキン−15、例えば、組換えIL−15などの精製IL−15を、活性化エステル、メトキシPEG−スクシンイミジルブタノエート、mPEG−SBAなどの活性化PEG試薬と反応させることによって調製することができる。他の好適な活性化PEG試薬としては、メトキシPEG−スクシンイミジルプロピオネート、メトキシPEG−スクシンイミジルペンタノエート、及びメトキシPEG−スクシンイミジルヘキサノエートが挙げられる。スクシンイミジル活性化基が典型的には使用されるが、任意の好適な活性エステル又は活性化基を使用することができ、そのような反応性基は、所望の安定なアミド結合の形成に好適である。一般に、インターロイキン−15は、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの好適な緩衝液に溶解される。PEG試薬は、当モル比(インターロイキン−15のモル量に対して)で、又はモル過剰で(IL−15のモル量に基づいて)、すなわち約15倍までのモル過剰、例えば、2倍モル過剰、又は5倍モル過剰、又は7倍モル過剰、又は10倍モル過剰、又はさらには12倍モル過剰以上で、一般に好適な緩衝液中の溶液のIL−15に添加され得る。いくつかの実施形態では、PEG試薬は、約5〜10倍のモル過剰で添加される。PEG試薬は、固体形態で、又は好適な溶媒中の、例えば希釈塩酸などの水性酸中の溶液として、添加され得る。
本方法のいくつかのさらなる実施形態では、インターロイキン−15は、当初、すなわちメトキシPEG−スクシンイミジルアルカノエート試薬と混合する前に、約0.5mg/mL〜約10mg/mLの濃度で溶液中に存在する。追加の例示的な濃度範囲としては、例えば、溶液中の約0.5〜5mg/mL、約0.5〜4mg/mL、約0.5〜3mg/mL、約0.5〜2mg/mL、約0.5〜1.5mg/mL、約0.5〜1mg/mL、約1〜10mg/mL、約1〜5mg/mL、約1〜4mg/mL、約1〜3mg/mL、約1〜2mg/mL、約1〜1.5mg/mL、約1.5〜10mg/mL、1.5〜5mg/mL、約1.5〜4mg/mL、約1.5〜3mg/mL、約1.5〜2mg/mL、約2〜10mg/mL、約2〜5mg/mL、約2〜4mg/mL、約2〜3mg/mL、約3〜10mg/mL、約3〜5mg/mL、約3〜4mg/mL、約4〜10mg/mL、約4〜5mg/mL又は約5〜10mg/mLのインターロイキン−15が挙げられる。いくつかの特定の、しかし非限定的な実施形態では、溶液中のインターロイキン−15の濃度は、約0.5mg/mL、1mg/mL、1.5mg/mL、2mg/mL、2.5mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、又は10mg/mLである。
任意の好適な緩衝液を使用し、又は反応混合物に添加し得ることを認識するであろう。いくつかの例示的な緩衝液としては、リン酸ナトリウム(NaPi)、酢酸ナトリウム(NaAc)、ホウ酸、ビシン、クエン酸、及びBis−TRIS緩衝液が挙げられる。
いくつかの実施形態では、IL−15溶液のpHは、PEG試薬の添加前に、ほぼpH8に調整される。
PEG試薬の添加後、次いで反応混合物を必要であれば好適なpH、例えば約7.0〜8.5、又は約8.0に調整してもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物は、pH約7.0〜8.0又は約7.4〜8.5に調整される。いくつかの特定の実施形態では、反応混合物は、pH約8.0に調整される。pHは、所望のpHを達成するために必要に応じて、PEG試薬の添加の前及び後の両方で調整され得ることを認識するであろう。
インターロイキン−15は、多くのタンパク質と同様、特により高いpHで、脱アミドに供されるが、より低いpHレベルは、例えば、イプシロン(ε)アミンにおけるより低いコンジュゲーション度、並びに/又は、増大した及び/若しくは望ましくない位置アイソフォーム、並びにタンパク質凝集などのいくつかの可能な欠点をもたらす場合がある。脱アミドはタンパク質中に負電荷を導入し、このことは、タンパク質の活性、構造、機能、安定性の変化に繋がり得、及び/又は分解に対するタンパク質の感受性を変化させ得る。従って、本作動薬及び関連方法により対処される困難の1つは、他の考慮事項の中でも、十分な活性度(すなわち、治療的に有用であるための)を維持しながら、少なくとも(i)所望のコンジュゲーション度、(ii)対象PEG試薬とのコンジュゲーションの前及び後の両方で、インターロイキン−15部分の低い脱アミド量(これは、例えばインターロイキン−15活性の低下に繋がり得る)、及び(iii)タンパク質凝集(例えば、コンジュゲーションの前及び後の両方で)をバランスする、長時間作用型インターロイキン−15受容体作動薬を提供することであった。
本明細書に記載される長時間作用型インターロイキン−15受容体作動薬を調製するための反応パラメーターに関連した、競合及び相反する困難に基づいて、インターロイキン−15溶液(PEG試薬との反応の前又は後)及び/又はIL−15−PEG試薬反応混合物のpHを調整することによって、最適な(より低いレベルの)脱アミドに到達し得るとともに、依然としてインターロイキン−15部分に対するPEG部分のコンジュゲーション(例えば、εアミン及びN−末端での)を促進して本明細書に記載される長時間作用型IL−15 R作動薬が提供されることが、本出願人らにより発見された。理論に束縛されるものではないが、多数の反応パラメーターを変化させた一連の反応に基づいて、約7.0〜約8.5、又は約7.5〜約8.2、又は約7.8〜約8.2の範囲、又は約8.0のpHが、依然としてPEG部分のコンジュゲーションを促進して本明細書に記載される生成物を形成する一方で、生成物における脱アミドのより低いレベルを提供するのに有効であり、また所望の治療的プロファイルを維持するように思われる。
例えば、本明細書に記載される方法は、約35%未満脱アミドした、又はいくつかの実施形態では、約30%未満脱アミドした、又は約25%未満脱アミドした、又は約20%未満脱アミドしたペグ化インターロイキン−15を生成するのに有効である。いくつかの実施形態では、生成物の脱アミドのレベルは、約20〜35%の範囲内、又は約20〜25%の範囲内、又は約25〜35%の範囲内、又は約25〜30%の範囲内である。或いは、いくつかの実施形態では、上記に述べたものに満たない脱アミドの程度を有するペグ化インターロイキン−15が想定される。実施例1の実験2に示すように、約7.0〜8.5の範囲内のpHの調整により、21.29%(組成物1)又は33.26%(組成物2)の脱アミドのレベルが得られた。
反応関与体は、一般に、約5〜10時間まで(両端を含む)混合される。いくつかの実施形態では、反応関与体は、約2〜5時間まで(両端を含む)混合される。いくつかの実施形態では、反応関与体は、約2時間まで(約2時間を含む)混合される。いくつかの例示的な実施形態では、反応関与体は、約30分間〜約3.0時間、又は約30分間〜2.5時間、又は約30分間〜2時間、又は約30分間〜1.5時間、又は約45分間〜約3.0時間、又は約45分間〜約2.5時間、又は約45分間〜約2.0時間、又は約45分間〜約1.5時間、又は約45分間〜約1.0時間混合される。混合は、一般に、穏やかな条件下、例えば、約20℃〜約65℃、又は約20℃〜約40℃、又は周囲温度若しくは室温(例えば約22℃)で行われる。より低いペグ化度を援助するためにより低い温度が使用される。反応は、例えば、グリシンなどのアミノ酸の添加によりクエンチされ得る。
実施形態では、組成物のpHは、脱アミドを軽減するためにさらに調整され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、pH約6.5〜7.5又は6.5〜7.0に調整される。いくつかの実施形態では、組成物は、pH約6.5、6.8、7.0又は7.5に調整される。
次いで、ペグ化rIL−15反応生成物は、一般に、任意の好適な方法、例えばイオン交換クロマトグラフィーにより精製されて、所望の生成物を得ることができる。例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いることができる。次いで、クロマトグラフィー生成物プールを濃縮し、例えばタンジェント流ろ過(TFF)を用いて好適な製剤緩衝液(例えば、ショ糖を含む酢酸ナトリウム緩衝液)中に透析ろ過し得る。分析は、例えばSDS−PAGE、逆相HPLCなどの任意の好適な方法、又は任意の他の好適な分析方法により行うことができる。
以前に記載したように、IL−15部分上のアミノ基は、IL−15部分とポリエチレングリコール部分との間の結合の部位(sie)を提供して、式(I)により包含される長時間作用型IL−15 R作動薬を提供する。例えば、本明細書に提供される例示的なIL−15アミノ酸配列を考慮すると、コンジュゲーションに利用可能であり得るε−アミノ酸を各々有する7つのリシン残基が存在することが明らかである。さらに、メチオニンのN末端アミンも、PEG部分に対する結合地点としての役割を果たし得る。ポリエチレングリコール部分は、リシン又はN−末端アミン位置の任意の1つ以上において結合し得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール部分結合部位は、Lys10及びLys11の1つ以上にある(一例として配列番号2に示される番号付けを使用、又は配列番号1を使用してLys11及びLys12)。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール部分は、N−末端アミンにおいて結合する。リシン部位のいずれも、PEG部分の結合部位(例えば配列番号1のLys37又はLys42)として好適であり得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、長時間作用型インターロイキン−15受容体作動薬は、ポリエチレングリコール部分の共有結合が主にN−末端にある(すなわち、位置異性体の集合のうち、N−末端で結合するPEG部分を有する異性体が、他の位置異性体と比較した場合に最大量で存在する)位置異性体の混合物を含む。
所望であれば、生成物プールは、さらに、好適なカラム(例えば、Amersham Biosciences又はVydacなどの会社から市販されているC18カラム又はC3カラム)を使用する逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を用いた逆相クロマトグラフィーによって、又はイオン交換カラム、例えばAmersham Biosciencesから入手可能なSepharose(商標)イオン交換カラムを使用するイオン交換クロマトグラフィーによって、位置異性体に分離されてもよい。同じ分子量を有する(すなわち、位置アイソフォーム)PEG−インターロイキン−15位置異性体を分離するために、いずれの手法も使用することができる。
このタイプの分離を行うのに好適なゲルろ過カラムとしては、GE Healthcare(Buckinghamshire,UK)から入手可能なSuperdex(商標)カラム及びSephadex(商標)カラムが挙げられる。特定のカラムの選択は、望ましい所望の分画範囲に依存し得る。溶出は、概して、リン酸、酢酸などの好適な緩衝液を使用して行われる。収集された画分は、例えば、(i)タンパク質含量についての280nmの吸光度、(ii)ウシ血清アルブミン(BSA)を標準として使用する色素ベースのタンパク質分析、(iii)PEG含量についてのヨウ素試験(Simsら(1980年)Anal.Biochem、107:60−63頁)、(iv)ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)と、続くヨウ化バリウムによる染色、及び(v)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)など、様々な異なる方法により分析され得る。
本発明の長時間作用型IL−15 R作動薬は、特定の顕著な及び有利な特徴を有することが発見されている。下記に記載する特徴は、一般に、本明細書に提供され及び式(I)により包含される化合物に適用されると考えられるが、以下の1つ以上の特徴は、特に、式(Ib)による化合物、及びその延長の式(IIb)による化合物により示され得る。長時間作用型IL−15 R作動薬は、以下の特徴の1つ以上を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、非修飾IL−15と比較した場合、EC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約7倍以下の低下を示す。例えば、1つ以上の関連実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、IL−15と比較した場合、EC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約6.5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約6倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約5.5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約4.5倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約4倍以下の低下、又はEC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約3.5倍以下の低下、又はさらにはEC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約3倍以下の低下を示す。前述の特徴に従った例示的な長時間作用型IL−15 R作動薬は、本明細書及び付随する実施例に記載されている。
実施例10に記載されるように、実例的なコンジュゲート(1、3及び5)のインビトロ活性は、huPBMCにおけるIL−15シグナル伝達を誘導し、コンジュゲート1はそのようなシグナル伝達を強力に誘導する。ヒトCD8 T細胞、NK細胞及びCD4 T細胞に対するコンジュゲート1のインビトロ活性を調べるためにさらなる実験を行った(実施例16、22及び26〜27)。図10A、10Bに示すように、少なくともコンジュゲート1は、CD56bright及びCD56low細胞内で、IL−15と比較して同様の又は増大したシグナル伝達を誘導した。コンジュゲート1は、CD8及びCD56 bright NK細胞との関与においてIL−15よりも強度が低かったが(実施例22)、コンジュゲート1は従来のIL−15と同じ最大応答を達成したことに留意することが重要である(図38A、38B参照)。実施例16でマウスモデルに関して記載したように、2つの異なる用量でのコンジュゲート1の単回注射は、CD8及びNK細胞において持続性のpSTATシグナル伝達を誘導した。実施例26のマウスモデルに記載されるように、コンジュゲート1の単回注射は、IL−15と比較して、%pSTAT5における増大をもたらした。マウスモデルにおいて、NK細胞は単回投与のコンジュゲートに対して最も感受性であり、CD8 T細胞がそれに続き、CD4 T細胞は、試験した細胞に関して感受性が最低であった。
コンジュゲート1はまた、非ヒト霊長類モデル(実施例27のカニクイザルモデル)において、NK細胞、CD8 T細胞及びCD4 T細胞内のシグナル伝達を誘導する。ハツカネズミモデルと同様、NK細胞は、コンジュゲート1による誘導に最も感受性であった。
いくつかの追加の実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、IL−15と比較した場合、受容体α結合(KD、pM)における約50%以下の低下を示す。すなわち、いくつかの関連実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、IL−15と比較した場合、受容体α結合(KD、pM)における約45%以下の低下を示し、又は受容体α結合(KD、pM)における約40%以下の低下を示し、又は受容体α結合(KD、pM)における約35%以下の低下を示し、又はさらには受容体α結合(KD、pM)における約30%以下の低下を示す。
好ましくは、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、非修飾IL−15と比較した場合、EC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約7倍以下の低下を示し、及びIL−15と比較した場合、受容体α結合(KD、pM)における約50%以下の低下を示す(上述したEC50値又はKD値における低下の任意の1つ以上の特定の組み合わせを含む)。
場合により、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む組成物に含まれる。例示的な賦形剤としては、限定なしに、炭水化物、無機塩類、抗菌剤、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝剤、酸、塩基、アミノ酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
糖、誘導体化された糖、例えば、アルジトール、アルドン酸、エステル化された糖、及び/又は糖ポリマーなどの炭水化物が、賦形剤として存在し得る。具体的な炭水化物賦形剤としては、例えば:フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類;及びマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール、シクロデキストリンなどのアルジトールが挙げられる。
賦形剤としてはまた、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせなどの無機塩又は緩衝剤も挙げることができる。
組成物はまた、微生物の繁殖を防止又は抑止するための抗菌剤も含むことができる。本発明の1つ又は複数の実施形態に好適な抗菌剤の非限定的な例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメルソール(thimersol)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
抗酸化剤も同様に組成物中に存在し得る。抗酸化剤を使用すると酸化が防止され、それによりコンジュゲート又は調製物の他の構成成分の劣化が防止される。本発明の1つ又は複数の実施形態での使用に好適な抗酸化剤としては、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
賦形剤として界面活性剤が存在してもよい。例示的な界面活性剤としては、「Tween 20」及び「Tween 80」などのポリソルベート、並びにF68及びF88(双方とも、BASF、Mount Olive、New Jerseyから入手可能)などのプルロニック;ソルビタンエステル;レシチン及び他のホスファチジルコリンなどのリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン(但し、リポソーム形態ではないことが好ましい)、脂肪酸、並びに脂肪酸エステルなどの脂質;コレステロールなどのステロイド;並びにEDTA、亜鉛及び他のかかる好適な陽イオンなどのIL−15キレート剤が挙げられる。
酸又は塩基が組成物中に賦形剤として存在してもよい。使用することのできる酸の非限定的な例としては、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸が挙げられる。好適な塩基の例としては、限定なしに、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される塩基が挙げられる。
1つ又は複数のアミノ酸は、本明細書に記載される組成物中に賦形剤として存在することができる。この関連における例示的なアミノ酸としては、アルギニン、リジン及びグリシンが挙げられる。好適な薬学的に許容可能な追加の賦形剤は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients、7th ed.、Rowe、R.C.、Ed.、Pharmaceutical Press、2012に記載されているものを含む。
組成物中に含まれる長時間作用型IL−15 R作動薬の量は、様々な要因によって異なり得るが、最適には、組成物が単位用量容器(例えば、バイアル)に保存されるとき、治療上有効な用量であり得る。加えて、医薬調製物はシリンジに収容されてもよい。治療上有効な用量は、本明細書中の臨床的に望ましいエンドポイントを生じさせる量を判断するために、長時間作用型IL−15 R作動薬の量を漸増させながら反復投与することにより実験的に決定することができる。組成物中の任意の個別の賦形剤の量は、賦形剤の活性及び組成物の特定の必要性によって異なり得る。典型的には、任意の個別の賦形剤についての最適量の決定は、ルーチンの実験を通じて、すなわち、様々な量の賦形剤(低量から高量までの範囲にわたる)を含む組成物を調製して安定性及び他のパラメーターを調べ、次にどの時点で有意な副作用なしに最適な効果が得られるかを決定することにより行われる。
長時間作用型IL−15 R作動薬は、インターロイキン−15を用いた処置に応答する状態を患う患者への投与に好適である。本方法は、一般に、治療的有効量の長時間作用型IL−15 R作動薬(好ましくは、医薬組成物の一部として提供される)を患者に非経口的に投与することを含む。前述したように、長時間作用型IL−15 R作動薬は、非経口的に(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、又は腹腔内)投与され得る。非経口投与に好適な製剤タイプは、中でも、注射準備完了注射溶液、使用前に溶媒と組み合わされる乾燥粉末、注射準備完了の縣濁液、使用前にビヒクルと組み合わされる乾燥不溶性組成物、並びに投与前に希釈される乳剤及び液体濃縮物を含む。いくつかの特定の実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、静脈内投与に好適な製剤で提供され、静脈内に投与される。いくつかの別の実施形態では、長時間作用型IL−15受容体作動薬は、皮下投与に好適な製剤で提供され、皮下に投与される。
長時間作用型IL−15受容体作動薬(例えば、医薬組成物の一部として提供される)の投与方法は、場合により、特定の範囲に局在化させるように行われ得る。例えば、作動薬を含む液体、ゲル及び固体製剤はまた、疾患範囲内(例えば腫瘍内、腫瘍付近、炎症範囲内、及び炎症範囲付近など)に外科的に移植され得る。器官及び組織は、所望の位置がコンジュゲートにより良好に暴露されることを確実にするように、画像化できることも都合がよい。
投与の方法は、長時間作用型IL−15 R作動薬の投与により治療又は予防され得る任意の状態、例えば癌などの処置に用いられ得る。例えば、長時間作用型作動薬は、IL−15療法に応答し得る状態、例えば、癌などを患う患者を処置するために、単独で又は他の薬物療法と組み合わせて使用され得る。
癌を有する対象の処置に関連して本明細書で使用されるとき、用語「処置」、「処置する」、及び「処置している」は、癌の1つ以上の症状を軽減、遅延、停止、若しくは逆行させ、又は癌が実際には除去されていない場合であっても、癌の進行を遅延させるための、対象が患っている癌の介入の全領域、例えば組み合わせの投与を含むことが意図される。処置としては、例えば、症状の重症度、症状の数、又は再発の頻度の低下、例えば腫瘍成長の阻害、腫瘍成長の抑止、又は既存の腫瘍の退行を挙げることができる。
例えば、癌又は癌関連疾患の改善は、完全又は部分的な応答として特徴付けることができる。「完全応答」は、任意の以前の異常なX線検査試験、骨髄、及び脳脊髄液(CSF)又は異常なモノクローナルタンパク質測定値の正常化を伴う、臨床的に検出可能な疾患の非存在を指す。「部分的応答」は、新たな病変の非存在下での(で_)、全ての測定可能な腫瘍負荷(すなわち、対象内に存在する悪性細胞の数、又は測定された腫瘍塊の容積、又は異常なモノクローナルタンパク質の量)における少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の低下を指す。用語「処置」は、完全及び部分的応答の両方を想定している。
用語「癌」及び「癌性」は、典型的には無秩序な細胞成長により特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指す又は記載する。
本明細書で使用される「腫瘍」及び「固形腫瘍」は、悪性又は良性のいずれかの全ての病変及び腫瘍性細胞成長及び増殖、並びに全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を指す。
例示的な状態は、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉種(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、扁平細胞癌、基底細胞癌、頭頸部癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、睾丸癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、グリア細胞腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴覚神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫(例えば、ぶどう膜黒色腫、粘膜黒色腫、及び軟膜黒色腫を含む)、神経芽腫、網膜芽細胞腫、及び白血病などの癌である。
特定の一方法では、長時間作用型IL−15 R作動薬は、白血病又はリンパ腫などの血液系悪性腫瘍を処置するために使用される。さらなる別の方法では、長時間作用型IL−15 R作動薬は、固形癌を処置するために使用される。
いくつかの実施形態では、長時間作用型IL−15 R作動薬又は組成物は、治療的有効用量で対象に投与されて、NK活性化及び/又は増殖を刺激する場合に有効である。
実施例11に記載される例示的なマウスモデルにおいて、コンジュゲート1は、細胞数の増加(細胞/μ、図12B、12Cに示すように)及び%Ki67の増大(例えば図11A)により示されるように、NK細胞の増殖及び数の持続性の増大を誘導するのに有効であった。%Ki67は、増殖する細胞に関するマーカーとして使用される。図12A〜12Dから明らかなように、細胞数の増大は、全成熟レベルのNK細胞(終末エフェクター細胞、プレNK細胞、高エフェクター細胞及び早期NK細胞)から明らかであった。実施例17に示すように、NK細胞数の増大は、全用量レベルで少なくとも96時間持続し、中及び高用量レベルは少なくとも144時間持続した。マウスモデルにおけるコンジュゲート1の投与は、ビヒクルと比較して、全用量レベルで%Ki67の増大を誘導し、これは少なくとも120時間持続した。%Ki67少なくとも中用量範囲(例えば0.1mg/kg及び0.3mg/kg)は、%Ki67の増大を誘導し、これは少なくとも144時間持続した。
コンジュゲート1の効果は、単回投与で誘導され、持続性であり得る。実施例11に記載される例示的なハツカネズミモデルにおいて、細胞数の増加は、単回用量のコンジュゲート1の投与により誘導され、持続性である。単回投与は、ハツカネズミCD49b細胞において、同じレベルの反復(例えばQ7dx3)投与と同等の持続性の%Ki67レベルを誘導した(図28A参照)。
いくつかのさらなる実施形態では、長時間作用型IL−15 R作動薬又は組成物は、治療的有効用量で投与された場合、NK細胞による細胞毒性プロテアーゼ発現の増大により証明されるように、NK細胞活性化を増大させるのに有効である。実施例28に記載される例示的な非ヒト霊長類モデルにおいて、NK細胞溶解性酵素グランザイムB及びパーフォリンの発現は、コンジュゲート1の単回投与によって誘導及び増強された。図48A〜48Cから明らかなように、全用量レベルは、投与前レベルと比較して、グランザイムB発現を増大させ、中/より高い用量は発現(MFI)を少なくとも3倍にした。図49A〜49Cから明らかなように、全用量レベルは投与前レベルと比較して、パーフォリン発現を増大させ、中/より高い用量は発現(MFI)を2倍にした。従って、コンジュゲート1は、NK細胞の細胞毒性を増大させるのに有効である。
いくつかのなおさらなる実施形態では、長時間作用型IL−15 R作動薬又は組成物は、治療的有効用量で対象に投与されて、CD8 T細胞生存及び記憶形成を支持する場合に有効である。
例示的なマウスモデルにおいて、全用量レベルでのコンジュゲート1の単回投与は、CD8細胞(図30D)並びに記憶及びエフェクター記憶CD8亜集団(図30E〜30F)における%Ki−67陽性の増大により示されるように、細胞増殖を増大させる。実施例17に示すように、ハツカネズミモデルにおけるコンジュゲート1の投与は、血液中の総CD8 T細胞の有意な増加を誘導した(図30A参照)。最低用量は、CD8 Tcm及びCD8 Temを増大させた(図30B〜30C参照)。例示的なハツカネズミモデルにおいて、コンジュゲート1の単回iv注射は、ビヒクルの投与と比較して、少なくとも240時間、細胞数の増大を維持した(例えば図30A参照)。注目すべきことに、CD8及びCD8記憶T細胞数は、コンジュゲート1がいくつかの用量レベルで投与された際、注射後の240時間においてベースラインに戻らなかった。従って、コンジュゲート1は、CD8+記憶T細胞の集団を、延長した期間、維持する。全用量レベルでのコンジュゲート1の単回投与はまた、全CD8及びCD8亜集団においてKi−67陽性を増大させ、これらの細胞の増大した増殖を示した。コンジュゲート1を用いた反復投与は、さらにCD8、CD8 Tcm、及びCD8 Tem集団の増大をもたらした(図31A〜31C参照)。反復投与も、マウスにおいてCD8、CD8 Tcm、及びCD8 Tem集団の各々に関して少なくとも240時間の細胞増殖の長期増大をもたらした。
コンジュゲート1はまた、ビヒクルの投与と比較して、非ヒト霊長類モデル(実施例27のカニクイザルモデル)におけるNK細胞及びCD8 T細胞の増殖及び細胞数の持続性の増大を誘導した。各用量レベルのコンジュゲート1は、少なくとも14日間、NK細胞数を誘導し及び持続的に増大させた(図44A参照)。コンジュゲート1は、各用量レベルで、少なくとも10日間、CD8 T細胞数を誘導し及び持続的に増大させた。
1つ以上のなおさらなる実施形態では、IL−15 R作動薬は、静脈内投与される。なおさらなる実施形態では、IL−15 R作動薬は、皮下投与される。
いくつかのなおさらなる実施形態では、投与後、IL−15 R作動薬は、リンパ球における持続性のシグナル伝達を誘導して、CD8 T細胞の増殖、及び/又はCD8中央記憶集団の優先的な拡大をもたらすのに有効である。
実際の投与用量は、対象の年齢、体重、及び全身状態並びに治療下の病態の重症度、医療専門家の判断、及び投与されるコンジュゲートに応じて異なり得る。治療有効量は当業者に公知であり、及び/又は関連する参考書及び文献に記載されている。概して、治療有効量は、約0.001mg〜100mg、好ましくは0.01mg/日〜75mg/日の用量、及びより好ましくは0.10mg/日〜50mg/日の用量の範囲であり得る。所与の用量が、例えば臨床医が適切なエンドポイント(例えば、治癒、退縮、部分退縮など)に達したことを決定するまで、定期的に投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、治療的有効用量は、約0.25〜25mcg/kgの範囲である。別の実施形態では、治療的有効用量は、1日当たり約0.25mcg/kg〜約0.1mg/kg、約0.01mg/kg〜約0.1mg/kg、又は1日当たり約0.03mg/kg〜約0.1mg/kgの範囲である。別の実施形態では、治療的有効用量は、約1〜10mcg/kg、約0.03mg/kg〜約0.1mg/kgの範囲である。いくつかの特定の、しかし非限定的な実施形態では、治療的有効用量は、約0.25mcg/kg、0.3mcg/kg、0.5mcg/kg、1mcg/kg、2mcg/kg、3mcg/kg、5mcg/kg、6mcg/kg、7mcg/kg、10mcg/kg,15mcg/kg、20mcg/kg、25mcg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.05mg/kg、又は0.1mg/kgである。本明細書の実施例に言及した用量を参照すれば、当業者は、当技術分野で既知の換算を用いて、動物用量(例えばマウス)を対応するヒトでの用量に変換することができる(例えばNair et al.、J.Basic and Clin.Parmacy(2016)7:27〜31)。
単位投薬量の任意の所与のコンジュゲート(ここでも、好ましくは医薬調製物の一部として提供されるもの)は、臨床医の判断、患者の必要性などに応じて様々な投薬スケジュールで投与することができる。具体的な投薬スケジュールは、当業者には周知であるか、又はルーチンの方法を用いて実験的に決定することができる。例示的な投薬スケジュールとしては、限定なしに、1日1回、週3回、週2回、週1回、月2回(例えばq/14日)、月1回(例えばq/30又は31日或いはq/21日)、及びそれらの任意の組み合わせの投与が挙げられる。所望される臨床的なエンドポイントが達成されると、組成物の投薬は中止又は低減される。いくつかの実施形態では、単位用量の任意の所定のコンジュゲートは、持続性の効果を達成するために、1回投与され得る。
本発明は、その好ましい具体的な実施形態に関連して説明されているが、前述の説明並びに以下の実施例は例示を目的としており、本発明の範囲を限定する意図はないことが理解されるべきである。本開示の範囲内における他の態様、利点及び変更は、本発明の係る当該技術分野の当業者には明らかであろう。
本明細書で参照される論文、著作、特許及び他の刊行物は全て、全体として参照により本明細書に援用される。本明細書の教示と、参照により組み込まれる技術との間に矛盾がある場合、この明細書における教示及び定義の意味が優先するものとする(特に、本明細書に添付の特許請求の範囲に使用されている用語に関して)。例えば、本願及び参照により組み込まれる刊行物が、同じ用語を異なるように定義する場合、用語の定義は、定義が位置する文書の教示の範囲内で保たれるものとする。
前述の記載及び続く実施例は、本明細書に提供される発明を説明するものであり、限定を意図するものではないことを理解するべきである。他の態様、利点及び修正は、本開示が関係する当業者に明らかである。
以下の実施例では、使用される数(例えば、量、温度等)に関する正確性を確保するように努めたが、いくらかの実験誤差及び偏差は考慮しなければならない。特に指示がない限り、温度は摂氏温度であり、圧力は海上気圧又はその近傍におけるものである。以下の例の各々は、当業者が本明細書に記載される実施形態の1つ又は複数を実行するための教示と見なされる。
材料及び方法
従来の技術を用いて調製した組換えIL−15(「rIL−15」)配列番号1(図1に提供される)を以下の実施例に使用したが、任意の好適なIL−15部分を同様に使用することができる。配列番号1、大腸菌(E.coli)由来の組換えヒトIL−15は、115アミノ酸を含む単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖であり、12.9kDaの分子量を有する。
反応性ポリマー試薬、直鎖mPEG−スクシンイミジルブタノエート、40kDa(「mPEG−SBA」)は、以下の構造を有する。
式中、nは、約40キロダルトンの重量平均分子量を有するポリマーを提供する単量体サブユニットの数に対応し、すなわち、nは約909である。使用に好適な追加のmPEG−スクシンイミジルブタノエート試薬は、例えば、約10kD、15kD、20kD、25kD、30kD、40kD、50kD又は60kDの重量平均分子量を有するものを含む。この活性化ポリマー試薬は、IL−15のアミノ基(例えば、リシン又はN−末端)と反応した場合、IL−15部分とポリエチレングリコール部分との間に安定なアミド結合を形成するのに有効である。
反応性フルオレニル−PEG試薬、PEG2−CAC−FMOC−20kD−NHSは、以下の構造を有する:
式中、mPEGは、メトキシ(ポリエチレングリコール)であり、ポリマー試薬の重量平均分子量は、約20キロダルトンである(すなわち、約10キロダルトンの重量平均分子量を有する各mPEG部分を有する)。異なる分子量を有する追加のPEG2−CAC−FMOC試薬は、それに従って例えば、PEG2−CAC−FMOC−10kD−NHS、PEG2−CAC−FMOC−15kD−NHS、PEG2−CAC−FMOC−30kD−NHS、PEG2−CAC−FMOC−40kD−NHSと命名され、それらの試薬は、上記に示した構造を有し、FMOCコアに結合する「mPEG」部分の分子量のみが異なる。
SDS−PAGE分析
試料はInvitrogenゲル電気泳動システム(XCell SureLock Mini−Cell)を使用してドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分析した。試料を試料緩衝液と混合した。次に、調製した試料をNuPAGE Novexプレキャストゲルにロードし、約30分間泳動した。
RP−HPLC分析
逆相クロマトグラフィー(RP HPLC)分析をAgilent 1200 HPLCシステム(Agilent)上で行った。サンプルをPoroshell 300SB−C3カラム(2.1x75mM、Agilent)を使用して60℃で分析した。使用した移動相は0.1%TFA/H2O(A)及び0.1%TFA/CH3CN(B)であった。カラムの流速は0.5ml/分であった。溶出したタンパク質及びPEG−タンパク質コンジュゲートは、280nmのUVを使用して検出した。
バイオアッセイ
CTLL−2細胞におけるSTAT5リン酸化に基づく効力アッセイ(マウスT細胞)
受容体結合後のホスホ−STAT5アッセイにおいて、次いで下流細胞シグナル伝達は、リン酸化を介して転写5(STAT5)のシグナルトランスデューサー及び活性化因子を活性化して遺伝子発現を促進し、細胞増殖を誘導することができる。ホスホ−STAT5の活性化は、CTLL−2細胞、ハツカネズミTリンパ球細胞株内で、ホスホSTAT5/総STAT5多重アッセイ(Meso Scale Discovery、MD)を用いて、サンプル及び参照処置に対する約10分間の応答により測定する。
アッセイの前日に、CTLL−2細胞を新鮮な成長培地[10%FBS、10%T細胞培養添加物(カタログ番号354115、Corning,Inc.,Tewksbury,MA)、2mM L−グルタミン酸塩、及び1mMピルビン酸ナトリウムを補足したRPMI 1640]に分けた。アッセイ当日、細胞をアッセイ培地(1%FBS、2mM L−グルタミン酸塩、及び1mMピルビン酸ナトリウムを補足したRPMI 1640)で少なくとも4時間プレインキュベートし、次に96ウェルプレート中のアッセイ培地に50,000細胞/ウェルでプレーティングした。アッセイ直前に適切な緩衝液中に被験物質の希釈物を調製した。CTLL−2細胞が入ったトリプリケートウェルに25倍被験物質溶液を移すことにより、CTLL−2細胞の刺激を開始した。プレートを37℃、5%CO2で10分間インキュベートし、細胞溶解によって反応は停止した。MSD Phospho(Tyr694)/Total STATa,b全細胞ライセートキット(Meso Scale Discovery,MD)を使用して細胞溶解物中のホスホ−STAT5及び総STAT5タンパク質レベルの検出を実施した。10分間の処理後、PeproTechから入手した組換えヒトIL−15は、0.27ng/mLの平均EC50でCTLL−2細胞においてSTAT5リン酸化を誘導することによりIL−15活性を実証し、これを対照として供した。
HuPBMC−pStat5アッセイ
様々なヒトリンパ球亜集団に対するIL−15又は長時間作用型IL−15 R作動薬の効力を、ホスホ−STAT5(Y694)用量応答アッセイにより決定した。複数のドナーからの凍結ヒトPBMCを、AllCellsにより供給した。1x106細胞/100ulを完全RPMI培地中で2時間培養した後、示される濃度(10,000ng/ml〜0.001ng/ml段階希釈)のIL−15又はコンジュゲートと共に37℃で20分間インキュベートした。次いで、細胞を固定し(BD Cytofixを使用して)、透過化し(100%予備冷却メタノールを使用して)、CD3、CD4、CD8、CD4−Tregs(CD4+CD25+Foxp3+)、CD56及びリン酸化STAT5(Y694)に対する抗体で染色した後、フローサイトメトリーで分析した。濃度−応答関係を使用してEC50値を計算した。
IL−15Rαに対する長時間作用型rIL−15受容体作動薬の受容体親和性
表面プラズモン共鳴(「SPR」)を用いて、BIAcore(商標)SPRシステムを用いて、IL−15及び例示的な長時間作用型rIL−15受容体作動薬の親和性を測定した。簡潔に言えば、1:1のNHS:EDC混合物を使用して活性NHSエステルを生じさせることにより、Biacore CM5センサーチップの表面を活性化した。ヤギ抗ヒトFc抗体を10mM酢酸ナトリウム(pH4)中において5分間注入することにより、それを表面に共有結合させた。約8000RUの抗体が表面に結合した。次に残りのNHSエステルをエタノールアミンでクエンチした。
各注入サイクルの開始時に、PBSP中における5分間の注入ステップによってセンサーチップチャネル上にIL−15−Rα−Fcを捕捉した。典型的には、150〜200RUの受容体が表面に結合した。
長時間作用型rIL−15受容体作動薬試験物品を、PBS(0.05% Tween 20及び0.1mg/ml BSAを含有する)中で10μMに希釈した。一連の3倍希釈物を作製し、IL−15Rαで被覆されたセンサーチップ上に注入した。ka及びkd率を別々に測定することにより親和性を測定し、kdとkaの比を用いてkd値を計算した。
実施例1
長時間作用型IL−15受容体作動薬の調製
実験1:2.7ml溶液のIL−15(PBS緩衝液中1.23mg/ml、pH7.4)を小型反応バイアルに移動した。300μlのpH8の0.6Mホウ酸緩衝液を添加してpHをpH8に調整した。窒素下にて−20℃で保管したmPEG SBA、40kDaを周囲温度に温めた。10倍過剰(IL−15のモル量に対して)のmPEG SBA−40Kを2mM HClに溶解して10% PEG試薬溶液を形成した。10% PEG試薬溶液をIL−15溶液に急速に加え、よく混合した。mPEG SBA−40Kを加えた後、反応混合物のpHを測定し、従来の技術を用いてpH8に調整した。mPEG SBA−40KをIL−15にカップリングさせるために(すなわち、安定なアミド結合の形成を介して)、反応溶液をSlow Speed Lab Rotator上に1.5時間配置して、室温でコンジュゲーションを促進した。反応をグリシン溶液の添加によりクエンチした。
図2は、コンジュゲーション反応混合物のRP−HPLC分析後のクロマトグラムを示す。反応は、40%モノ−コンジュゲート(すなわち、IL−15に結合した単一PEG部分を有する)、24%ジ−コンジュゲート(IL−15に結合した2つのPEGを有する)及び6%トリコンジュゲート(IL−15に結合した3つのPEGを有する)種を提供した。反応条件は最適化されていなかったが、約30%の未反応IL−15が反応混合物中に残留した。
所望のモノ−コンジュゲートを、Q Sepharose高性能カラム及び溶離相としてのリン酸ナトリウム緩衝液を使用する陰イオン交換クロマトグラフィーにより分離/単離した。精製モノ−mPEG−SBA40K−IL−15コンジュゲート(本明細書でモノ−mPEG−ブタンアミド−40K−IL−15又はモノ(メトキシPEG−N−ブタンアミドとも称される)40kDインターロイキン−15、又はモノ−mPEG40K−C4−アミド−IL−15)を、HPLC及びSDS−PAGEにより特徴付けた。他の実施例において、精製モノ−mPEG−SBA40K−IL−15はコンジュゲート1と称される。
図3は、陰イオン交換クロマトグラフィーカラムからのFPLC精製プロファイルを提供する。図4は、精製モノ−mPEG−SBA−40K−IL−15コンジュゲートのSDSゲルを示す。ゲルによって示されるように、精製コンジュゲートは高レベルの純度を有し、未反応IL−15を含まない。図5は、精製モノ−mPEG−SBA−40K−IL−15のRP−HPLC分析を示す。HPLC結果から明らかであり得るように、精製モノ−mPEG−SBA−40K−IL−15組成物は、約10%(モル量)未満のジ−又はより高級レベルのコンジュゲートを含む。
これと同じ手法を用いて、異なる重量平均分子量を有するmPEG SBAを使用して、モノ−mPEG−SBA−10K−IL−15、モノ−mPEG−SBA−15K−IL−15、モノ−mPEG−SBA−20K−IL−15、モノ−mPEG−SBA−25K−IL−15、モノ−mPEG−SBA−30K−IL−15;モノ−mPEG−SBA−40K−IL−15;モノ−mPEG−SBA−50K−IL−15;及びモノ−mPEG−SBA−60K−IL−15などのコンジュゲートを調製する。
実験2:緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、10%ショ糖、pH7.4)中の約2mg/ml溶液のIL−15を、2つの異なる反応容器の各々に移した(本明細書で組成物1及び組成物2と称される)。pHを8.0に調整するために、pH8のホウ酸緩衝液(0.4M又は0.6M)を加えた。2mM HCl中で希釈した10倍過剰(IL−15のモル量に対して)のmPEG SBA−40K(mPEG SBA、40kDa)をIL−15溶液の各々に加え、よく混合した。mPEG SBA−40Kの添加後、反応混合物のpHはpH8と決定され、又は必要であれば追加のホウ酸緩衝液を使用することにより調整した。反応物中のIL−15の最終濃度は1g/Lを目標とし、必要であれば追加の希釈剤(50mMリン酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、10%ショ糖を含む緩衝液、pH7.4を組成物1に使用し、水を組成物2に使用した)を使用した。mPEG SBA−40KをIL−15にカップリングさせるために(すなわち、優性に安定なアミド結合の形成を介して)、反応溶液を組成物1又は組成物2に関して各々室温で45又は60分間混合してコンジュゲーションを促進した。71倍過剰のグリシン(反応物に最初に添加したPEGのモル量に対して)をpH8.0で30分間加えることにより反応をクエンチした。組成物1の場合、0.2Mリン酸を使用してpH7.0に滴定することによりpHを調整した。
得られた組成物を、逆相HPLC(RP−HPLC)、SDS−PAGE、及びイオン交換HPLC(IEX−HPLC)により特徴付けた。RP−HPLC分析の結果を、下記の表1Aに提供する。
SEC−HPLC分析の結果を、下記の表1Bに提供する。
IEX−HPLC分析の結果を、下記の表1Bに提供する。
調製した組成物は、mPEG SBA−40Kモノペグ化種を優勢に含み、10%未満のPEG二量体(すなわち、2つのPEG部分がIL−15に結合している)、及びさらに少量のより高級のPEG種(すなわち、3以上のPEG部分がIL−15に結合している)を含んでいた。
さらに、組成物は、比較的低い脱アミド度を有した(表1Cの「酸性領域」として特定)。組成物1は21.29%脱アミドし、組成物2は33.26%脱アミドした。
実施例2
長時間作用型IL−15受容体作動薬の調製。
窒素下にて−80℃で保管したmPEG2−CAC−fmoc−20K−NHSを、窒素パージ下で周囲温度に温めた。mPEG2−CAC−fmoc−20K−NHSのストック溶液(200mg/mL)を2mM HCl中で調製し、mPEG2−CAC−fmoc−20K−NHSとrIL−15のモル比が5:1〜100:1の範囲であるように、mPEG2−CAC−fmoc−20K−NHSをrIL−15に加えた。混合物中のrIL−15の最終濃度は、0.5mg/mL(0.031mM)であった。重炭酸ナトリウム緩衝液(1M、pH8.0)を混合物に加えて最終濃度100mMに到達させ、コンジュゲーションを30分間進行させて[mPEG2−CAC−fmoc−20K−NHS]−[rIL−15]コンジュゲートを提供した(コンジュゲートの非公式名は、コンジュゲートの調製に使用されたポリマー試薬を反映し、得られた生成物に関して、ポリマー試薬の反応性部分は、この場合、IL−15に対する結合に置き換わっていることが理解される)。30分後、1Mグリシン(pH6.0)を反応混合物に加えることによりクエンチングを達成して、最終濃度100mMに達した。次いで、クエンチした反応混合物のpHを、カラムクロマトグラフィー精製及び特徴付けに先立って、氷酢酸を使用して4.0に調整した。
反応混合物をRP−HPLC分析により分析した。SDS−PAGEにより、反応混合物は約10〜20%モノ−コンジュゲート、約50〜70%ジ−コンジュゲート、及び約20〜30%トリ−コンジュゲートを含んでいた。すなわち、反応混合物は主として2コンジュゲート化種を含んでいた。コンジュゲート混合物をQ Sepharose高性能カラム及び溶離相としてのリン酸ナトリウム緩衝液を使用した陰イオン交換クロマトグラフィーにより分離/単離して、約2の平均ペグ化度を有する(約1.7〜2.5の範囲のペグ化度を有する)、従って精製組成物に関する上記の構造のn’が約2である、精製[mPEG2−CAC−FMOC−20kD−NHS]−IL−15を提供した。
以下の実施例において、精製[mPEG2−CAC−FMOC−20kD−NHS]−IL−15は、コンジュゲート2と称される。
実施例3
長時間作用型IL−15受容体作動薬、[モノ−PEG2−RU−ButryALD−40K]−IL15の調製
分枝鎖状mPEG−ブチルアルデヒドPEG試薬、モノ−PEG2−RU−ButryALD−40K
を使用して対象の長時間作用型IL−15 R作動薬を調製し、作動薬の調製に使用したPEG試薬の重量平均分子量は、約40,000ダルトンであった。
2.7mlのIL−15(PBS緩衝液中1.23mg/ml、pH7.4)を小型反応バイアルに移し、0.3mlの1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)を加えてpHをpH6に調整した。窒素下にて−20℃で保管したmPEG2−ru−ButyrALD、40kDaを周囲温度に温めた。15倍過剰(IL−15の量に対して)のmPEG2−ru−ButyrALDをMilliQ H2Oに溶解して10%試薬溶液を形成した。10%試薬溶液をIL−15溶液に急速に加え、よく混合した。及びRotoMixer上に15分間セットした。次いで、1/100容積の1M NaCNBH3/H2Oを反応混合物に加えた。第2級アミン結合を介したIL−15へのmPEG2−ru−ButyrALDのカップリングを可能にするために、反応溶液をRotoMixer上に4℃で17時間配置し、次いでグリシン溶液でクエンチした。ペグ化反応は酸性pHで行われるため、IL−15に対するPEG誘導体の結合は、N末端に対してより選択的であった。コンジュゲートを精製するために、Q Sepharose高性能カラム及びリン酸ナトリウム緩衝液を使用する陰イオン交換クロマトグラフィー方法も開発した。精製モノ−PEG2−ru−ButyrALD−40K−IL−15コンジュゲートを、HPLC及びSDS−PAGEにより特徴付けた。
以下の実施例及び付随する開示において、精製[モノ−PEG2−RU−ButryALD−40K]−IL−15、すなわち、アミン結合を介してIL−15に共有結合した、上記に示した構造を有する単一PEG部分を有するものは、コンジュゲート3と称される。
これと同じ手法を用いて、異なる重量平均分子量を有するPEG2−RU−ButryALD−を使用してコンジュゲートを調製する。例えば、モノ−PEG2−RU−ButryALD−20K]−IL−15は、20kDポリマー試薬を使用して、上述したように調製された(本明細書でコンジュゲート4と称される)。
実施例4
長時間作用型IL−15受容体作動薬の調製、
モノ−mPEG−ButyrALD−40K−IL−15
構造
を有するPEG試薬、直鎖mPEG−ブチルアルデヒド、40kDa(「mPEG−ButyrALD」)を使用して、対象の長時間作用型IL−15 R作動薬を調製し、作動薬の調製に使用したPEG試薬の重量平均分子量は、約40,000ダルトンであった。
2.7mlのIL−15(PBS緩衝液中1.23mg/ml、pH7.4)を小型反応バイアルに移し、0.3mlの1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)を加えてpHをpH6に調整した。窒素下にて−20℃で保管したmPEG−ButyrALD、40kDaを周囲温度に温めた。10倍過剰(IL−15の量に対して)のmPEG−ButyrALDをMilliQ H2Oに溶解して10%試薬溶液を形成した。10%試薬溶液をIL−15溶液に急速に加え、よく混合した。及びRotoMixer上に15分間セットした。次いで、1/100容積の1M NaCNBH3/H2Oを反応混合物に加えた。第2級アミン結合を介したIL−15 へのmPEG−ButyrALDのカップリングを可能にするために、反応溶液をRotoMixer上に4℃で17時間配置し、次いでグリシン溶液でクエンチした。ペグ化反応は酸性pHで行われるため、IL−15に対するPEG誘導体の結合は、N末端に対してより選択的であった。コンジュゲートを精製するために、Q Sepharose高性能カラム及びリン酸ナトリウム緩衝液を使用する陰イオン交換クロマトグラフィー方法も開発した。精製モノ−mPEG−ButyrALD−40K−IL−15コンジュゲートを、HPLC及びSDS−PAGEにより特徴付けた。
以下の実施例において、モノ−mPEG−ButryALD−40k−IL−15は、コンジュゲート5と称される。
実施例5
IL−15Rαに対する長時間作用型IL−15受容体作動薬の受容体バイアス評価
IL−15 α受容体に対する例示的な長時間作用型IL−15受容体作動薬(試験物品)の親和性を測定し、IL−15と比較した。固定化抗Fcにより捕捉されるIL−15Rα:Fcを使用するBIAcoreことにより親和性を測定した。
試験物品をPBS(0.05% Tween 20及び0.1mg/ml BSAを含有する)中で10μMに希釈した。一連の3倍希釈物を作製し、IL−15Rαで被覆されたセンサーチップ上に注入した。ka及びkd率を別々に決定することにより親和性を測定し、kdとkaの比を用いてkd値を計算した。
好ましいコンジュゲートは、一般に、非修飾IL−15と比較して、ペグ化後に可能な限りIL−15 Rα親和性を保持するものである。逆に言えば、好ましいコンジュゲートは、一般に、IL−15 Rαに対する親和性の消失が非修飾IL−15のものと比較して最小である。
例えば、いくつかの実施形態では、好ましいコンジュゲートは、IL−15と比較して、EC50値(ng/mL、CTLL−2 pSTAT5)における約7倍以下の低下、及び受容体α結合(KD、pM)における約50%以下の低下を示す。例えば、コンジュゲート1は、IL−15と比較した場合、効力における約2倍の低下を有し、IL−15の受容体親和性の約80%を保持する。
上記の表に示すように、コンジュゲート1は、長時間作用型IL−15受容体作動薬に特に好ましい特徴である、IL−15 α受容体に対するその高い親和性を保持する(すなわち、IL−15と比較した場合)。追加のコンジュゲートに関する親和性定数(KD)(単位pM)は、下記に提供される。
実施例6
インビボ研究:マウスにおける単回投与PK研究
C57BL/6マウス(n=3/グループ)に、静脈内単回用量のIL−15(対照)を0.3mg/kgで)又はコンジュゲート2を用量0.3mg/kgで投与した。投与後、血液サンプルを、投与後の様々な時点(24時間、48時間、78時間、96時間)で収集した。サンプルをプールし、リンパ球細胞集団に対する薬物作用の薬力学的分析のために、フローサイトメトリーによって評価し、ビヒクル対照に対する倍率変化として表した(結果は、下記の後の実施例に記載される)。細胞数の変化に加えて、機能的マーカー及び活性のマーカーを定量化した。最終的に、各時点で、薬物の血漿濃度を決定した。図6を参照されたい。
図6に示すように、コンジュゲート2は、非長時間作用型IL−15(中実丸)投与後に観察された血漿レベルにおける急速な低下とは対照的に、延長した期間にわたり、例えば1週間を超えて(中実四角形)、血漿中で測定可能な濃度を維持し、T1/2は約20〜30時間であった。
実施例7
インビボ研究:ラットにおける単回投与PK研究
ラット(n=3/グループ)に、静脈内単回用量のコンジュゲート2を0.3、0.15及び0.075mg/kgの投与量で、又は皮下単回用量のコンジュゲート2を0.15mg/kgで投与した。投与後、血液を投与後の1〜7日目に収集した(投与後の第1の24時間で複数のサンプルを収集した)。各時点で、薬物の血漿濃度を決定した。図7を参照されたい。
図7に示すように、マウスに関して図6に示した結果と同様、コンジュゲート2の投与は、薬物に対する持続性の及び用量比例的な暴露をもたらした。
実施例8
マウスにおけるインビボでのIL−15シグナル伝達研究
マウスに上記の実施例6に記載されるように投与して、STAT5リン酸化度により評価される、インビボでのシグナル伝達を評価した。様々なリンパ球(CD4、CD8、及びNK細胞)におけるSTAT5リン酸化度を、全血を白血球表面マーカー及びpSTAT5に関して染色した後、フローサイトメトリーにより測定することによって評価した。結果を各々IL−15及びコンジュゲート2に関する図8A及び8Bに示す。
STAT5リン酸化は、IL−15/IL−2受容体シグナル伝達において早期且つ一過性である。図8Aから明らかなように、インビボでのシグナル伝達活性は、IL−15の場合、極度に短命であるが、例示的なコンジュゲート2は、最も注目すべきことにNK細胞(中実逆三角形▼)において、及びCD8細胞(中実三角形▲)においても、持続的なSTAT5リン酸化を誘導し、NK及びCD8細胞にて示された測定可能なSTAT5リン酸化活性は、72時間を超えた。CD4細胞に関するSTAT5リン酸化活性も示す(中実四角形■)。
実施例9
非ヒト霊長類におけるインビボでのIL−15シグナル伝達研究
この研究では、カニクイザル(cyno)、1匹の雌及び1匹の雄の各々に、単回用量のコンジュゲート2(0.5mg/kg)を静脈内投与した。様々なタイプのリンパ球(CD4、CD8、及びNK細胞)におけるSTAT5リン酸化のフローサイトメトリーによる評価のために、一連の血液サンプルを、処置前(−6日目及び−1日目)及び処置後の複数の間隔で各動物から採取した。結果を図9A(CD4)、9B(CD8)、及び9C(NK)に提供する。
図9A〜9Cに示すように、結果は、マウスにおいて観察されたもの(実施例7)と同様であるが、非ヒト霊長類においては、STAT5リン酸化はCD4細胞でも観察された(図9A)。3つの細胞タイプの各々におけるSTAT5リン酸化は、実質的に投与後に上昇し、図示する長時間作用型IL−15作動薬の投与後の約3及び4日目に最大レベルに到達し、約5〜10日目までにほぼ−1日目レベル(すなわち、投与前)に戻った。実施例7と同様、これらの結果は、活性IL−15種の持続性の存在を示す。
実施例10
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)のNKサブセットにおける例示的な長時間作用型IL−15受容体作動薬のインビトロでのIL−15活性
図10A(CD56bright細胞)及び10B(CD56dim細胞)に示すように、ヒトPBMCのNK細胞サブセットにおけるシグナル伝達を研究することによって、例示的な長時間作用型IL−15受容体作動薬(例えば、コンジュゲート1、3及び5)のインビトロ活性の評価を行った。長時間作用型IL−15受容体作動薬のIL−15シグナル伝達活性を評価するために、STAT5リン酸化を前述したように評価した。
結果を図10A(CD56bright)及び10B(CD56dim)に示す。
理解し得るように、実例的なコンジュゲートの各々は、huPBMCにおいてIL−15シグナル伝達を誘導するが、コンジュゲート1はそのようなシグナル伝達を強力に誘導する。試験したコンジュゲートの中でも(全データは示されない)、コンジュゲート1は、huPBMCに対して最大の効力/活性を示した。データは、IL−15タンパク質当たり同じペグ化度(すなわち、PEG部分の数)及び同じPEG部分のサイズを維持する場合であっても、異なるPEG構築及びリンカーは、得られたコンジュゲートにおける生理活性に対して非常に異なる効果を誘発できることを示す。
第2の研究を行って、2人のドナーから得たヒトPBMC(CD3、CD4、CD8、CD56(bright及びdim)及びCD4−Tregs(CD25+Foxp3+))のIL−15、コンジュゲート1及びコンジュゲート5に対するpStat5応答を検討/比較した。0.001〜10000ng/mlの用量範囲の10倍希釈を用いて20分の刺激により、11点用量応答を調べた。試験物品の各々は、IL−15緩衝液+0.1% BSA中で希釈した。結果を以下の表に提供する。
上記の表3データに基づけば、IL−15はCD3及びCD4誘導の両方に関してコンジュゲート1の約4〜6倍強力であると思われ;コンジュゲート1及びコンジュゲート5の効力は、CD3及びCD4誘導に関して類似しているように思われる。
上記の表5のデータに基づけば、IL−15はTreg及びCD8誘導に関してコンジュゲート1の約3〜5倍強力であると思われ;コンジュゲート1及び5の効力は、CD4及びCD8誘導に関して実質的に類似しているように思われる。
表6に基づけば、IL−15はCD56誘導に関してコンジュゲート1の〜10倍強力であると思われる。しかしながら、コンジュゲート1はCD56 bright及びCD56dimの誘導においてコンジュゲート5よりも強力であると思われる。
以前のデータに基づけば、IL−15、コンジュゲート1及びコンジュゲート5は、細胞集団の全てに関して同様のpSTAT5誘導を示し、最大応答は、CD56bright及びTreg細胞に関してより高いと思われる。
前述のデータに基づけば、CD3、CD4、CD8及びTreg細胞の誘導において、IL−15はコンジュゲート1の約3〜4倍強力であり、コンジュゲート5の約5〜8倍強力であると共に、CD56bright及びCD56dim細胞の誘導において、IL−15はコンジュゲート1の約12倍強力であり、コンジュゲート5の約40〜60倍強力であり、コンジュゲート1の特定の予想外の、且つ特に有利な特徴が示唆される。
実施例11
インビボ研究:マウスにおける単回投与PD研究−細胞増殖及び活性化
Balb/cマウス(n=3/グループ)に、静脈内単回用量のビヒクル(50mMリン酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、10%ショ糖、pH7.4)又は用量0.03mg/kg(図11、低用量)、0.3mg/kg(図11、中用量)又は1mg/kg(図11、高用量)のコンジュゲート1を投与した。投与後、血液サンプルを投与後の様々な時点(24時間、48時間、78時間、96時間、120時間)で収集した。各マウスからのサンプルを、フローサイトメトリーによってリンパ球細胞集団に対する薬物作用の薬力学的分析に供した。細胞数の変化に加えて、機能的マーカー及び活性のマーカーを調べた。
コンジュゲート1の追加の投与を用量0.01mg/kg、0.1mg/kg、及び1.5mg/kgで行った。
0.03mg/kg(図11、低用量)、0.3mg/kg(図11、中用量)及び1mg/kg(図11、高用量)の各々のコンジュゲート1を投与したマウスにおけるNK細胞の増殖を示す結果を、図11A及び11Bに提供する。
CD45+CD3−CD49b+及びCD45+CD3−CD49b+Ki67+マーカー組み合わせを使用してNK細胞及びそれらの増殖を規定した。投与後、血液サンプルを、FACS DIVAソフトウエアを実行するFortessaフローサイトメーターに取得した。Flowjoソフトウエアを分析に使用し、NK細胞絶対値及びNK細胞内のKi67%陽性を、Prismを使用してプロットした。
図11Aは、経時的なKi67発現(百分率としての)のプロットであり;図11Bは、経時的なNK細胞数を提供する。プロットは、コンジュゲート1がマウスにおいて持続性のNK細胞増殖を誘導する能力を示す。
例示的な長時間作用型IL−15受容体作動薬の効果を、全成熟レベルのNK細胞に関して研究した。末梢NK細胞プールは、CD27の発現により描写することができ、CD27lo/− NK細胞はより細胞毒性であり、CD27high NK細胞よりも多量のサイトカインを産生する(Hayakawa Y、et al.、J Immunol.2006;176:1517−1524)。成熟末梢NK細胞集団は、CD11b発現の連続的な上方調節と、その後のCD27の下方調節により規定された4つの成熟段階にさらに精製されており、最も未熟なNK細胞はCD27−CD11b−であり、最も成熟したNK細胞はCD27−D11b−である(Chiossone L.、et al.、Blood、2009;113:5488−5496)。
マウスにおいて、NK細胞の4つの異なる成熟状態は、CD27及びCD11b発現により規定される。一旦、NKマーカー(CD49b+)、天然活性化NK受容体(NKp46+)及びIL−15/IL−2RB(CD122+)三重陽性細胞が特定されたら、未熟(CD11b−CD27−)、早期(CD11b−CD27+)、高エフェクター(CD11b+CD27+)及び終末エフェクター(CD11b+CD27−)NK細胞をフローサイトメトリーにより定量化した。
上述したように0.01、0.03、0.1、0.3、1.0及び1.5mg/kgのコンジュゲート1の単回投与を受け、又はq7dx3スケジュールの第3の投与後、様々な成熟状態にあるNK細胞をマウスにおいて定量化した。フローサイトメトリーを用いて、関心対象のNK集団をCD49b、NKp46及びCD122陽性により同定した。次いで、CD11b及びCD27を使用して、NK集団を未熟(CD11b−CD27−)、早期NK(CD11b−CD27+)、高エフェクター(CD11b+CD27+)及び終末エフェクター(CD11b+CD27−)亜集団にさらに区別した。末梢血をFortessaフローサイトメーターに流し、各集団に関する絶対値を、BD FACS DIVAソフトウエアを使用して、サンプル獲得中に計数ビーズを使用して決定した。Flowjoソフトウエアを使用してフローサイトメトリー分析を行い、データをPrismでプロットした。
結果を図12A〜Dに示す。追加の結果を図22A〜Dに示す。q7dx3結果を図28A〜Dに示す。プロットから理解し得るように、コンジュゲート1は、全成熟レベルのNK細胞(終末エフェクター細胞、プレNK細胞、高エフェクター細胞及び早期NK細胞)の数の増大に有効であった。NK細胞の用量依存的増加を全成熟亜集団において観察し、効果は少なくとも120時間継続した。
抗NKG2Dシグナルのフローサイトメトリー分析を用いてNKG2Dの表面発現を行い、NK細胞における平均蛍光強度(MFI)として表した。同様に、抗グランザイムBシグナルのフローサイトメトリーベースの検出を用いて細胞内グランザイムBのレベルを行い、これもNK細胞におけるMFIとして表した。Fortessaフローサイトメーター及びFACS Divaソフトウエアを用いてNKG2D及びグランザイムBシグナルを検出した後、Flowjoソフトウエアを使用して分析を行った。Prismを使用してMFI値をプロットした。結果を図13A及び13Bに示す。これらの図はさらに、ビヒクルとの比較によって、最も顕著には中及び高投与量に関して、NK細胞によるNKG2D及びグランザイムB(アポトーシス促進性セリンプロテアーゼ)の両方において持続的な増大を達成する能力により証明されるように、NK細胞活性化を増大させるコンジュゲート1の能力を示す。両方のNK活性化マーカーの用量依存的増大は、コンジュゲート1の単回投与後に観察された。
マウスにおいて、CD8 T細胞は、CD45+CD3+CD4−CD8+として規定された。マウスからの血液及び脾臓を、Fortessaフローサイトメーターを使用する免疫表現型検査に供し、分析はFlowjoソフトウエアを使用した。絶対CD8細胞数をPrismにおいて図14(血液)及び図24(脾臓)に示すようにプロットした。図14及び図24は、上述した投与量の各々でのマウスにおける単回i.v.投与後に、コンジュゲート1がCD8 T細胞の増殖及びCD8 T細胞数の持続性の増大を誘導する能力を示す。この影響は、中(0.1mg/kg、0.3mg/kg)及び高(1.0mg/kg、1.5mg/kg)投与量に関して最も顕著である。
マウスにおいて、CD8エフェクター記憶(Tem)及びCD8中央記憶(Tcm)T細胞を、CD45+CD3+CD4−CD8+CD44+CD62−及びCD45+CD3+CD4−CD8+CD44+CD62L+として同定した。これらの記憶集団の増殖を、Ki−67陽性を用いて行った。コンジュゲート1又はIL−15の単回投与後、血液及び脾臓を、Fortessaフローサイトメーター、DIVA acquisitionソフトウエア及びFlowjo分析ソフトウエアを使用する免疫表現型検査に供した。グラフはPrismにおいてプロットした。血液に関する図15A及び15Bに示すように、コンジュゲート1はエフェクター及び中央記憶CD8 T細胞の両方で用量依存的増加を誘導するが、単回投与IL−15は誘導しない。脾臓に関する図25及び26に示すように、コンジュゲート1はKi67及びグランザイムBの両方で用量依存的増加を誘導するが、単回投与IL−15は誘導しない。エフェクター及び中央記憶集団の両方は、コンジュゲート1、例示的な長時間作用型IL−15作動薬の投与に応答して増殖する。
実施例12
インビボ研究:非ヒト霊長類における単回投与PD研究
この研究では、カニクイザル、1匹の雌及び1匹の雄に500μg/kgのコンジュゲート2を静脈内投与した。リンパ球細胞数(NK細胞、CD8 T細胞など)及び活性化のフローサイトメトリーによる評価のために、処置前(−6日目及び−1日目)及び単回投与処置後の複数の間隔で、各動物から一連の血液サンプルを採取した。
NK細胞数を決定して、非ヒト霊長類において持続性のNK細胞増殖を誘導する例示的なコンジュゲート2の能力を評価した;結果を図16A及び16Bに示す。カニクイザルからの血液中のNK細胞及びそれらの増殖を、フローサイトメトリーにより同定した。NK細胞(CD45+CD3−CD16+)及びそれらの増殖状態(CD45+CD3−CD16+Ki67+)の取得及び分析は、BD FACS DIVAソフトウエアを使用して行った。NK細胞及び増殖しているNK細胞に関する絶対値を使用して、NK集団における%Ki67陽性を計算した。Prismを使用して処置前及び処置後の値をプロットした。
これらの図に示すように、単回用量のコンジュゲート2の投与は、非ヒト霊長類において持続性のNK細胞増殖を誘導するのに有効であった。
図17に示すように、投与前から投与後の14日目までの各動物に関するCD8 T細胞数も決定した。詳細には、CD8 T細胞をCD45+CD3+CD4−CD8+として規定した。サルからの血液はまた、前述したような免疫表現型検査に供した。サルにおいて、CD8 T細胞は持続的に増大し、効果は少なくとも10日間継続した。このプロットはさらに、投与後のCD8 T細胞の増殖及び数の持続性の増大を誘導する例示的な長時間作用型IL−15受容体作動薬、コンジュゲート2の能力を例示する。
サルにおいて、CD8 TEM細胞は、CD45+CD3+CD4−CD8+CD45Ra−CD197−として規定され、CD8 TCMは、CD45+CD3+CD4−CD8+CD45Ra−CD197+として規定された。フローサイトメトリーによる免疫表現型検査を行い、DIVAソフトウエア上でサンプルを取得し、Flowjoソフトウエア上でデータを分析した。Prismを使用してグラフをプロットした。各々図18A及びBに示すように、投与前から投与後の14日目までの各動物に関するCD8 Tエフェクター記憶細胞(TEM細胞)及びCD8 T中央記憶細胞(TCM)数を決定した。コンジュゲート2は、カニクイザルにおいてCD8エフェクター及び中央記憶T細胞集団の有意な及び持続性の増大を誘導する。図は、CD8エフェクター及び中央記憶T細胞集団の両方が、例示的なコンジュゲート2に応答して増殖することを示す。
実施例13
BALB/CマウスにおけるCT26−誘導皮下肺転移腫瘍モデルの抗腫瘍活性の評価
0日目に、6〜8週齢の雌Balb/cマウスに1×105マウスCT−26細胞を尾静脈注射により接種した。1日目、CT−26細胞を投与した24時間後にマウスを10グループに分割した。各グループは、6〜9匹の動物(コンジュゲート2に関して)又は9〜12匹の動物(コンジュゲート1に関して)からなっていた。(コンジュゲート1及びコンジュゲート2の投与について2つの別個の研究を行ったが、研究プロトコルは両方の研究で本質的に同じであった)。各グループを、以下のような1つの介入に割り当てた:ビヒクル、リン酸緩衝生理食塩水(グループA);天然IL−15単独(グループB);用量0.03mg/kgのコンジュゲート2(グループC);用量0.1mg/kgのコンジュゲート2(グループD);用量0.3mg/kgコンジュゲート2(グループE);用量1.0mg/kgのコンジュゲート2(グループF);用量3.0mg/kgのコンジュゲート2(グループG);コンジュゲート1の場合:ビヒクル、リン酸緩衝生理食塩水(グループH);用量0.03mg/kgのコンジュゲート1(グループI)及び用量.3mg/kgのコンジュゲート1(グループJ)。動物は1、5、及び10日目に投与された。
CT−26腫瘍細胞投与の日から13日後、マウスに麻酔をかけ、免疫表現型マーカーのさらなる分析のために血液及び脾臓細胞を収集した一方、肺はピクリン酸及びホルムアルデヒドを含むBouins溶液中で24〜48時間固定した。
各肺につき切開下で肺腫瘍小結節の数を計数し、各グループに関する肺小結節の平均を決定した。独立スチューデントt検定を用いて、ビヒクルグループ、対、介入グループの統計的有意性も得ることができた。
各々コンジュゲート2及びコンジュゲート1に対応する、処置グループに関する肺転移結果を図19及び20に示す。両方の実例的な長時間作用型IL−15受容体作動薬は、肺転移の減少の促進に有効であったが、コンジュゲート2はビヒクルと比較して、転移における65%減少を提供し、一方、コンジュゲート1は転移の85%減少を提供した。
血液及び脾臓細胞を13日目に、フローサイトメトリー及び様々な蛍光色素とコンジュゲートしたマーカー抗体を使用して、免疫表現性マーカーにおける変化に関して分析した。0.3、1、及び3mg/kgで投与したコンジュゲート2は、各々、血液中でCD8 T細胞の用量依存的増加を、ビヒクルに対して1.5、2.5、及び3.3倍誘導した。同様の観察事項が脾臓において得られ、0.3、1、及び3mg/kg用量レベルで、ビヒクルに対して1.3、1.7、及び2.2倍の増大を有した。Ki−67免疫表現型検査は、ビヒクルと比較して、同じ低、中、及び高用量レベルでの1.7,4.6及び5.3倍変化を有する血液中のCD8 T細胞増殖、並びに2.5、5.7及び6.9倍変化を有する脾臓における有意な用量依存的増大を明らかにした。加えて、コンジュゲート2処置は、CD8における生存促進性Bcl−2+MFIを血液及び脾臓の両方において1.5倍も増大させた。
実施例14
コンジュゲート1を用いた処置後のNK細胞のインビトロ及びインビボ細胞毒性
標的腫瘍細胞に対するNK細胞媒介細胞毒性を、フローサイトメトリーベースのアッセイを用いてインビトロで評価した。ネガティブ選択磁気細胞単離(マウスNK細胞濃縮キット、Stemcell Technologies)を用いてBalb/cマウスの脾臓からNK細胞を単離し、エフェクター細胞として使用した。インビトロ研究のために、単離したNK細胞を、細胞毒性アッセイに使用する前に、濃度3000、1000、300、30、3、又は0(非刺激)ng/mLのコンジュゲート1で、加湿インキュベーター内で37℃、5% CO2で一晩刺激した。インビボ研究のために、マウスに0.3mg/kgコンジュゲート1を投与し、脾臓NK細胞を投与から24、48、及び72時間後に単離し、細胞毒性アッセイに直接使用した。
PKH26で標識したYAC−1 T細胞を標的細胞として使用した。NK細胞の細胞毒性を監視するために、NK及びYAC−1細胞を様々なエフェクター:標的比(50:1、25:1、及び12.5:1)で37℃、5% CO2で4時間共培養し、次いで7−AADで10分間染色して死細胞を標識した。細胞をフローサイトメトリーによって直ちに分析した。溶解した標的細胞をPKH26+7−AAD+として同定した。
インビトロでの結果:4時間共培養した後、細胞毒性をフローサイトメトリーによって評価した。結果を図21に提供する。
インビボでの結果:0.3mg/kgで処置後の細胞毒性を、24時間、48時間及び72時間後に評価した。結果を図27に提供する。
このデータは、コンジュゲート1を用いた処置後のインビトロ及びインビボでのNK細胞の用量依存的に増大した細胞毒性を示す。
実施例15
コンジュゲート1によるグランザイムBの誘導
用量0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、及び1.5mg/kgのコンジュゲート1で処置後の、時間の関数としてのNK細胞グランザイムB発現を測定した。免疫表現型検査のために、投与後24〜240時間の全血を収集した。赤血球細胞を溶解した後、白血球細胞を生存性色素(viability dye)並びにCD45、CD3及びCD49bに特異的なマーカーで標識して、生きているNK細胞を同定した。次いで、細胞を同時に固定し、細胞内グランザイムB染色のために透過化した。染色血液をFortessaフローサイトメーターに流し、DIVAソフトウエアにより取得し、Flowjoソフトウエアを使用して分析した。データはグランザイムB発現に関して陽性であったNK細胞のパーセントとして表される。
結果を図23に提供する。このデータは、コンジュゲート1を用いた処置が、NK細胞のグランザイムB発現を増大させることを示す。
実施例16
インビボ研究:マウスにおける単回投与IL−15及びコンジュゲート1 PK及びJAK/STATシグナル伝達研究
PK分析のために、コンジュゲート1を静脈内単回用量として0.3mg/kgでbalb/cマウス(n=3)に投与した。投与後、マウスを人道的に犠牲にし、血漿を処置後の24、48、72、96、120及び144時間に収集した。別個の研究から、マウスに静脈内単回用量のIL−15(0.5mg/kg)を投与した。これらのマウスからのサンプルを、処置から6時間以内の示された時点で収集した。[PK方法は、本明細書に前述されている]。薬力学的試験のために、balb/cマウス(n=/グループ)は、0.03又は0.3mg/kgのコンジュゲート1又はビヒクル(50mMリン酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、10%ショ糖、pH7.4)のi.v.注射を受容し、投与前及び処置後の15分、1、24、48、72、96及び120時間に血液を収集した。サンプルをフローサイトメトリーによって個別に分析し、CD8及びNK細胞内のpSTAT5パーセント陽性として表した。
図29Aは、各々、balb/cマウスにおける0.5及び0.3mg/kgの静脈内単回用量の試験物品の投与後の144時間の時間経過中の、試験物品(IL−15又はコンジュゲート1)の血漿濃度のプロットである。
結果:コンジュゲート1は、約12時間の半減期を示す一方、IL−15は、1時間未満の半減期で血漿から急速に除去される。
図29Bは、マウスにおける0.03及び0.3mg/kgのコンジュゲート1の単回注射後のCD8 T細胞内のpSTAT5パーセント陽性のグラフである。
結果:コンジュゲート1は両方の用量レベルで、CD8 T細胞において持続性のpSTAT5シグナル伝達を誘導する。投与前を含む、120時間の時間経過を示す。
図29Cは、0.03及び0.3mg/kgのコンジュゲート1の単回注射後のハツカネズミNK細胞内のpSTAT5パーセント陽性のグラフである。
結果:コンジュゲート1は両方の用量レベルで、NK細胞において強力な及び持続性のpSTAT5シグナル伝達を誘導する。
実施例17
マウスにおけるインビボでの単回及びQ7DX3薬力学的研究−細胞数及び増殖
Balb/cマウス(n=3/グループ)に、0.01、0.03、0.1、0.3、1若しくは1.5mg/kgのコンジュゲート1又はビヒクルの単回投与又は一週用量を3回投与した。マウスを犠牲にし、投与後の様々な時点(24、48、72、96、120、144、240時間)で血液を収集した。各マウスからのサンプルをフローサイトメトリー分析に供して、リンパ球集団内の薬力学的効果、及び関心対象の機能的マーカー(CD8 T細胞、CD8記憶T細胞及びNK細胞の細胞数、並びに各集団内のKi−67のパーセント陽性)を調べた。結果を図30A〜F、31A〜C、及び32A〜Cに示す。
図30A〜Cは、各々、実施例17に記載される0.01、0.03、0.1、0.3、1又は1.5mg/kgのコンジュゲート1の単回投与後の、総CD8、CD8中央記憶(Tcm)及びCD8エフェクター記憶(Tem)細胞数のプロットである。0.03以上の用量レベルのコンジュゲート1は、実施例17に記載されるように、血液中の総CD8 T細胞の有意な増大を誘導する。最低用量の0.01mg/kgは、CD8 Tcm及びCD8 Temを増大させた。0.3mg/kgでは、コンジュゲート1は、CD8、CD8 Tcm及びCD8 Temを6.4X、37.9X及び14.5X増大させた。注目すべきことに、CD8及びCD8記憶T細胞数は、コンジュゲート1が0.3〜1.5mg/kgで投与された場合、注射後の240時間でベースラインに戻らず、コンジュゲート1の持続性のPD効果が示された。
図30D、30E及び30Fは、各々、実施例17に記載される、マウスにおける総CD8、CD8 Tcm及びCD8 Tem集団内のKi−67パーセント陽性のプロットである。単回投与のコンジュゲート1は、全用量レベルで、全CD8及びCD8亜集団においてKi−67陽性を増大させる。
図31A、31B及び31Cは、実施例17に記載される、コンジュゲート1の単回(点線)又は0.03及び0.3mg/kgでQ7dx3(実線)での投与後のCD8及びCD8記憶亜集団T細胞数のプロットである。反復投与はこれらの集団をさらに増大させ、CD8、CD8 Tcm、CD8 Temは各々35.3X、183X及び73.8X増大した。時間経過の終わりに(0.3mg/kgでの最初又は最後の投与から240時間後)、細胞数はマウスにおいてベースラインに戻らなかった。
図32A及び32Bは、実施例17に記載される、マウスにおける0.01〜1.5mg/kgのコンジュゲート1の単回投与後のNK細胞数及びKi−67パーセント陽性のプロットである。NK細胞数は、全用量レベルでビヒクル対照を有意に超えて増大し、投与後240時間までにベースラインに戻る。全用量レベルは、NK細胞においてKi−67パーセント陽性の強力な増大を誘導する。
図32Cは、実施例17に記載される0.03及び0.3mg/kgのコンジュゲート1の単回(実線)又はQ7dx3(破線)投与後のハツカネズミNK細胞数のプロットである。0.3mg/kgのコンジュゲート1の反復投与は、単回投与と比較して、僅かに少ないNK細胞数を誘導したが、なお有意であった。同様のNK数が0.03mg/kgの単回、対、反復投与で達成された。
結果:0.03以上の用量レベルのコンジュゲート1は、血液中の総CD8 T細胞の有意な増加を誘導する。最低用量の0.01mg/kgは、CD8 Tcm(中央記憶)及びCD8 Tem(エフェクター記憶)を増大させた。0.3mg/kgでは、コンジュゲート1は、CD8、CD8 Tcm及びCD8 Temを各々6.4X、37.9X及び14.5X増大させた。注目すべきことに、CD8及びCD8記憶T細胞数は、コンジュゲート1が0.3〜1.5mg/kgで投与された場合、注射後の240時間でベースラインに戻らず、コンジュゲート1の有益な持続性のPD効果が示された。
実施例18
コンジュゲート1で処置したマウスにおけるインビトロNK細胞毒性の測定、及び血液NK細胞グランザイムB分析
Balb/cマウス(n=2/グループ)を、コンジュゲート1(0.006、0.03又は0.3mg/kg)、IL−15(1mg/kg)又はビヒクル対照で処置した。処置後、脾臓を、NK細胞単離のために24、72、及び96時間で単離した。磁石ベースのネガティブ選択方法によりNK細胞を単離し、12.5:1、25:1及び50:1 NK(エフェクター)対YAC−1(標的細胞)比(E:T)で37C、5% CO2で4時間インキュベートした。YAC−1標的細胞を前標識し、次いでNK細胞インキュベーション後に7AADで染色した。溶解した(7AAD+)標的細胞(PKH26+)の検出をフローサイトメトリーにより行った。これらのマウスからの血液も同じ時点で収集し、NK細胞のグランザイムBの発現のフローサイトメトリー測定に供した。結果を図33A及び33Bに示す。
図33Aは、マウスにおける試験物品処置後のNK媒介標的細胞溶解における変化を測定するインビトロでのNK細胞毒性アッセイを示す。0.006、0.03又は0.3mg/kgのコンジュゲート1又は1mg/kgのIL−15で処置したbalb/cマウスから単離した脾臓NK細胞によるYAC−1細胞のパーセント特異的溶解の、示される時間における時間経過を示す。ビヒクルを投与したマウスからの脾臓NK細胞は、対照としての役割を果たした。
結果:0.3mg/kgで投与されたコンジュゲート1は、1mg/kgのIL−15の単回注射を受けたマウスからのNK細胞と比較して、規模及び持続時間において上回る、NK細胞毒性の上昇を誘導した。
図33Bは、図33AにおいてNKインビトロ細胞毒性アッセイに捧げられた同じマウスからの血液NK細胞におけるグランザイムBパーセント陽性のグラフである。
結果:0.03及び0.3mg/kgで投与されたコンジュゲート1は、NKグランザイムB発現の有意な増大を誘導し、0.3mg/kgでは強力な及び持続性の上昇が見られた。
実施例19
CT−26肺転移モデルにおけるコンジュゲート1単回薬剤有効性
Balb/cマウスは、1x105 CT−26結腸直腸癌細胞の尾静脈注射を受容した。翌日、マウス(n=9/グループ)をコンジュゲート1(0.03又は0.3mg/kg)又はビヒクル対照で毎週、2回処置した。第2の注射から5日後、マウスを人道的に犠牲にし、肺小結節を計数した。結果を図34A及び34Bに提供する。
図34A及び34Bは、静脈内CT−26腫瘍細胞注射を受容した後、0.03又は0.3mg/kgで1週間隔でコンジュゲート1処置を2回投与された、balb/cマウスにおけるパーセント肺小結節阻害を示す。
結果:0.03及び0.3mg/kgのコンジュゲート1注射は、各々、肺小結節形成を40及び80%阻害した。0.3mg/kgで投与された同じマウスは、次いで32日間のその後の腫瘍細胞注射を受けて、生存を評価した。コンジュゲート1を用いた処置は、ビヒクル対照を受容した腫瘍注入マウスと比較して生存を有意に増大させた。
実施例20
CT−26肺転移モデルにおけるコンジュゲート2有効性のNK細胞依存性の評価
CT−26マウス(n=7−11/グループ)に抗アシアロGM1又は2つの異なる対照(IgG又はPBS)を注入してNK細胞を枯渇させ、次いで1x105 CT−26腫瘍細胞を注入した。次いで、腫瘍細胞注射又はビヒクル対照後の1、5及び10日目に投与した0.3mg/kgのコンジュゲート2でマウスを処置した。マウスを犠牲にし、処置の最終日から3日後に肺小結節を計数した。結果を図35に示す。
図35は、NK細胞(オリーブグリーン色)、IgG対照(青色)、又はPBS(橙色)の抗体媒介枯渇を受けた、コンジュゲート2で処置したCT−26注入マウスにおけるパーセント肺小結節阻害を示すグラフである。データは、CT−26注入マウスに対する、NK細胞枯渇されず、ビヒクル対照(黒色)で処置されたパーセント肺小結節阻害として表される。この腫瘍モデルにおけるコンジュゲート2の有効性は、マウスがNK細胞を欠いていた場合、消失した。
実施例21
非ヒト霊長類におけるコンジュゲート1の単回投与のインビボ薬力学的研究
この研究では、カニクイザル(cyno)、1匹の雌及び1匹の雄に、各々、単回用量のコンジュゲート1(0.1mg/kg)を静脈内投与した。一連の血液サンプルを14日の時間経過にわたり各動物から採取し、様々なリンパ球(CD8 T細胞、総CD8、CD8中央記憶T細胞(Tcm)及びCD8エフェクター記憶T細胞(Tem)のKi−67パーセント陽性、NK細胞及びNK細胞のKi−67パーセント陽性)のフローサイトメトリー分析に供した。結果を、図36A〜D及び37A〜Bに提供する。
図36A及び36Bは、用量0.1mg/kgのコンジュゲート1を静脈内投与後の1匹の雄(点線)及び1匹の雌(実線)cynoの、増殖の尺度としてのCD8細胞数及びKi−67パーセント陽性に関する2週間の時間経過を示すプロットである。理解し得るように、コンジュゲート1は、cynoにおいて有意なCD8 T細胞増加を誘導し、単回投与後に細胞数は7〜10X増加する。
図36C及び36Dは、コンジュゲート1の単回注射後のcynoCD8 Tcm及びCD8 Tem細胞数の増加を示す。CD8 Tcm及びTem数は、各々、27〜30X及び21〜33X増加した。
図37A及び37Bは、cynoにおける0.1mg/kgのコンジュゲート1の単回投与後のNK細胞数及びKi−67パーセント陽性のグラフである。NK細胞は、コンジュゲート1を用いた処置後に9〜10X増大した。
実施例22
ヒトPBMCにおけるCD8及びCD56 BRIGHT NK細胞内のIL−15及びコンジュゲート1のインビトロ活性の比較
ヒトPBMCを用量範囲0.001〜10000ng/mlのIL−15又はコンジュゲート1で処置した後のNK及びCD8 JAK/STATシグナル伝達を調べることによって、コンジュゲート1のインビトロ活性の評価を行った。STAT5リン酸化を前述したように評価した。
結果を図38A及び38Bに提供する;これらの図は、ヒトPBMCのIL−15(●)、対、コンジュゲート1(■)処置に関するEC50曲線、及び続くCD8及びCD56 bright NK細胞におけるpSTAT5パーセント陽性の測定値である。
結果:コンジュゲート1は、CD8及びCD56 bright NK細胞の関与において、IL−15よりも各々5.5及び15X強力でない。しかしながら、重要なことに、コンジュゲート1は従来のIL−15と同じ最大応答を達成する。
実施例23
インビボ研究:マウスにおける単回投与PK研究
Balb/cマウス(n=3/グループ)に、静脈内単回用量のIL−15(500ug/kg)又はコンジュゲート1を10、30、100、300及び1000μg/kgで投与した。血液サンプルを投与後の示された時点(コンジュゲート1:24、48、72、96、120、144、240時間;IL−15対照:0.03、0.08、0.25、0.5、1、2、4、6、8、時間)で収集し、薬物の血漿濃度を決定した。図39を参照されたい。
図39に示すように、コンジュゲート1は、非長時間作用型IL−15で観察された血漿レベルと比較して、約14時間の半減期で、延長した薬物動態、測定可能な血漿中濃度を示し、急速に除去された。
実施例24
インビボ研究:ラットにおける単回投与PK研究
Sprague Dawleyラット(n=3)に、静脈内単回用量のコンジュゲート1を10、75及び150μg/kgで投与した。薬物の血漿濃度を、注射後の示された時点(0.03、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、24、48、72、96、120、144時間)で決定した。図40を参照されたい。
図40に示すように、コンジュゲート1は、非長時間作用型IL−15で投与後に観察された血漿レベルと比較して、約18時間の半減期で、持続性の薬物動態、測定可能な血漿中濃度を示し、急速に除去された。
実施例25
インビボ研究:非ヒト霊長類における単回投与PK研究
カニクイザル(n=2、1匹の雄及び1匹の雌)に、10、50及び100μg/kgのコンジュゲート1の静脈内単回用量を投与した。対照として50μg/kgのIL−15を静脈内単回用量として投与した。薬物の血漿濃度を、注射後の示された時点(0.03、0.25、1、4、12、24、48、72、96、120、144、168時間)で決定した。図41を参照されたい。
図41に示すように、コンジュゲート1は、100μg/kg用量に関して、非長時間作用型IL−15と比較して、約30時間の半減期で、持続性の薬物動態、測定可能な血漿中濃度を示し、血漿から急速に除去された。
コンジュゲート1は、単回投与後に複数の種(マウス、ラット及びカニクイザル)にわたって、延長した及び持続性の血漿暴露を達成した(図39〜41参照)。
実施例26
インビボ研究:マウスにおける単回投与PD研究−細胞数、増殖及びJAK/STATシグナル伝達の関与
Balb/cマウス(n=3/グループ)に、静脈内単回用量のビヒクル(実施例11に記載される)又は用量0.3mg/kg若しくは0.03mg/kgのコンジュゲート1を投与した。投与後、血液サンプルを投与後の時点(24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間及び240時間)で収集した。サンプルを、示された時点で、CD4 T細胞数(図42A参照)及び%Ki−67(図42B参照)に関する免疫表現型検査に供した。
CD4 T細胞及びそれらの増殖を、各々、CD45+CD3+CD4+CD8−及びCD45+CD3+CD4+CD8−Ki−67+マーカーにより同定した。図42Aは、CD4 T細胞数のプロットであり、図42Bは、%Ki−67陽性により経時的に測定したCD4 T細胞増殖のプロットである。CD4 T細胞は、コンジュゲート1処置に対する最小感受性集団であり、CD8及びNK細胞と比較して低い数及び%Ki−67発現の増大を有した(用量後72〜144時間に観察)(例えば、実施例11参照)。マウスにおいて、NK細胞は増殖性応答においてコンジュゲート1の単回投与による刺激に対して、CD4 T細胞又はCD8 T細胞よりも感受性であった。
CD4 T細胞におけるSTAT5リン酸化を、CD3+CD4+CD8− pSTAT5+マーカーの組み合わせを用いて決定した。図43は、用量0.03mg/kg(青色、中実四角形)又は0.3mg/kg(橙色、中実丸)におけるCD4 T細胞内のpSTAT5リン酸化パーセント陽性の経時的な(投与後0.25、1、6、24、48、72、96及び120時間の)プロットである。ビヒクルの経時的な(黒色)及び投与前(白丸)レベルも示される。
結果:CD4 T細胞は、コンジュゲート1処置に対する最小感受性集団であり、CD8及びNK細胞と比較して低いpSTAT5発現の増大を有した(用量後0.25〜72時間に観察)。マウスにおいて、NK細胞は増殖性応答において単回投与のコンジュゲート1刺激に対してCD8 T細胞又はCD4 Tよりも感受性である。
実施例27
インビボ研究:非ヒト霊長類(NHP)における最小有効用量研究
カニクイザル(n=3〜4雄)に、0.003、0.01、0.1mg/kgのコンジュゲート1又はビヒクル対照の静脈内単回注射を投与した。血液サンプルを投与前及び投与後の示された時点(−5、−2、1、2、3、4、5、6、7、10、14、17日目)で収集し、フローサイトメトリー分析に供して、リンパ球集団内の薬力学的効果を調べた。NK、CD8 T、及びCD4 T細胞の細胞数を調べ、結果を図44A〜Cに示す。NK細胞、CD8 T細胞、及びCD4 T細胞に関する増殖(%Ki−67)及びJAK/STATシグナル伝達(%pSTAT5)を調べ、結果を各々図45A〜C及び図46A〜Cに示す。CD8亜集団(T天然、Tem、Tcm及びTscm)の増殖(%Ki−67)を調べ、結果を図47A〜Dに示す。
NHPにおいて、NK(CD45+CD3−CD16+)細胞数は、コンジュゲート1の単回投与後に実質的に及び用量依存的に増加した。0.1及び0.01mg/kg用量レベルで、最大細胞数を投与から5日後に観察し、14日目まで持続した。NK細胞の有意な増加をもたらす最低用量は、0.01mg/kgであった。NK細胞数の観察の裏付けとして、コンジュゲート1はまたKi−67発現の用量依存的な及び強力な誘導を推進し、これは処置から約3〜4日後に最大に達し、約14日目まで持続し得る。%Ki−67の有意な増大は、0.001mg/kg用量レベルの次に検出され得る。コンジュゲート1はまた、NK細胞におけるJAK/STATシグナル伝達経路に強く関与し、0.001mg/kgもの低い用量レベルで%pSTAT5の用量依存的増加が検出され得る。
図44A、45A及び46Aは、各々、コンジュゲート1処置後の経時的なNK細胞数、%Ki−67及び%pSTAT5のプロットである。
NHPにおいて、コンジュゲート1は、総CD8 T細胞(CD45+CD3+CD4−CD8+として規定)のかなりの増大を誘導し、最大細胞数は処置からほぼ5日後に達成された。この効果は7日間持続し、投与後の10〜14日でベースラインに戻った。総CD8細胞数に対するコンジュゲート1の効果は、0.003mg/kgで検出し得る。これらの発見の支持として、コンジュゲート1はCD8 T細胞において低用量の0.01mg/kgで検出可能な大量の%Ki−67陽性を誘導する。JAK/STATシグナル伝達経路のコンジュゲート1関与もCD8 T細胞内で強力であり、0.1及び0.01mg/kg用量レベルでpSTAT5が用量依存的に増加する。
図44B、45B及び46Bは、各々、コンジュゲート1処置後のCD8細胞数、%Ki−67及び%pSTAT5の経時的なプロットである。
コンジュゲート1は、NHPにおいて、NK及びCD8 T細胞と比較して、総CD4 T細胞(CD45+CD3+CD4+CD8−として規定)に対して低い効果を有する。最大用量レベル0.1mg/kgで投与されたコンジュゲート1は、CD4 T細胞数、%Ki−67及び%pSTAT5において低い増大を誘導した。
図44C、45C及び46Cは、各々、コンジュゲート1処置後のCD4 T細胞数、%Ki−67及びpSTAT5の経時的なプロットである。
NK細胞は、NHPにおいて、CD8 T細胞又はCD4 T細胞と比較して、インビボでコンジュゲート1用量応答において最も感受性である。
カニクイザルにおいて、CD8天然及び記憶亜集団をCD45Ra、CD197及びCD95により規定した。CD8 T天然(CD45+CD3+CD4−CD8+CD45Ra+CD197+)、CD8 Tscm(CD45+CD3+CD4−CD8+CD45Ra+CD197+CD95+)、CD8 Tem(CD45+CD3+CD4−CD8+CD45Ra−CD197−)及びCD8 Tcm(CD45+CD3+CD4−CD8+CD45Ra−CD197+)の増殖(%Ki−67)の試験により、CD8天然T細胞と比較して、コンジュゲート1に対するCD8記憶亜集団の増大した感受性が明らかとなった。CD8 Tem、Tcm及びTscm集団内で、コンジュゲート1は強力な%Ki−67発現を用量依存的に誘導し、増殖マーカー陽性の検出可能な増大は早くも2日目に開始し、5日目に最大に達し、10〜14日目にベースラインに戻った。CD8集団内のKi−67発現及び動態は、実施例27及び図47A〜Dに示されるCD8 T細胞数の持続性の増大を支持する。
図47A〜Dは、コンジュゲート1処置後のCD8 T天然、Tscm、Tcm及びTem集団の%Ki−67の経時的なプロットである。図から明らかなように、CD8 T細胞記憶集団は、NHPにおいて、天然CD8 T細胞と比較して、インビボで単回投与のコンジュゲート1に対して増大した感受性を示した。
実施例28
コンジュゲート1によるグランザイムB又はパーフォリンの誘導
カニクイザルにおけるコンジュゲート1の単回投与後のNK細胞溶解性酵素、グランザイムB及びパーフォリンの発現を調べた。グランザイムB及びパーフォリンの発現レベルを、NK細胞内での平均蛍光強度(MFI)により0.001mg/kg、0.01mg/kg又は0.1mg/kg用量レベルで定量化した。コンジュゲート1は、0.01及び0.1mg/kgで、グランザイムBのMFIを約3倍(ピーク、対、投与前)増大させた。コンジュゲート1はまた0.01及び0.1mg/kgでパーフォリンのMFIを約2倍(ピーク、対、投与前)増大させた。総じて、コンジュゲート1は、NK細胞の強力な拡大を誘導するだけでなく、それらの機能も向上させ得る。
図48A〜Cは、NHPにおけるコンジュゲート1処置(0.0001〜0.1mg/kg)後の、投与前(ベースライン)及びピークレベル時のグランザイムBのプロットであり、図49A〜Cは、パーフォリンMFIのプロットである。
コンジュゲート1は、NHP NK細胞において、グランザイムB及びパーフォリンを構成的に発現させるなど、細胞毒性酵素のタンパク質レベルを増大させる。
配列表
配列番号1(rhIL−15)
配列番号2
配列番号3