JP2020517426A - 医療物質を含む汚水を処理する方法およびシステム - Google Patents

医療物質を含む汚水を処理する方法およびシステム Download PDF

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Abstract

抗生物質などの潜在的に有害な医療物質を分離する方法とシステムが開示されている。真空トイレから排出される汚水(12)には、排泄物に溶解した状態で存在する潜在的に有害な医療物質が含まれている。排出された汚水は、細菌低減(40)および破砕(52)を含む初期処理にかけられて、初期処理済みの汚水スラリがもたらされる。汚水スラリは、1または複数のバッファタンク(22)を介して中央気化ユニット(24)に送られ、そこで水が汚水スラリから気化されて、潜在的に有害な医療物質を含む減水廃棄物がもたらされる。廃棄物は、1または複数の交換可能な廃棄物容器(32)内に移される。任意選択的には、廃棄物容器(32)が取り外される前に、廃棄物を更なる水分低減にかけるようにしてもよい。【選択図】図1

Description

本発明の概念は、排泄物(尿および糞便)に溶解状態で存在する潜在的に有害な物質、特に抗生物質および細胞増殖抑制剤などの医療物質の分離に関する。
抗生物質、細胞増殖抑制剤、非ステロイド抗炎症薬などの医療物質は、病人の治療に広く使用されている。投与された物質は個々の体内に吸収される。それらは暫く循環し、その後、尿および糞便を介して元の形または代謝された形で排出される。最終的に、医療物質は下水道システムに入る。一般的な廃液処理プラントは、投入される廃液からそのような医療物質を除去するように設計されていないため、かなりの量の医療物質が環境に行き着く。
A.Tello、B.AustinおよびT.Telferによって執筆され、Environmental Health Perspectives(Volume 120)の1100−1106ページに2012年に公表された「Selective Pressure of Antibiotic Pollution on Bacteria of Importance to Public Health」という題名の記事には、環境中の抗生物質の濃度が非常に低い場合でも、抗生物質耐性菌の有病率が上昇することが示されている。さらに、抗生物質耐性の進展が排水システムで既に発生している可能性も十分にある。特に、排水システムのパイプには膨大な数の細菌が含まれている。それらは、抗生物質に長時間曝されると、抗生物質に対する耐性が益々強くなる。
病院などの医療施設の多くの患者は重病であり、そのため広域抗生物質で治療されることも多い。細菌がそれらの特に価値のある抗生物質に対する耐性を発達させ、それらが役に立たなくなるのは非常に好ましくないことである。このため、細菌耐性の危険性は、特に、比較的大量の広域抗生物質が使用されている病院に当てはまる。
これに関して、European Union Fact sheet(http://ec.europa.eu/research/fp7/pdf/antimicrobial_resistance_fact_sheet.pdf)では、EUで毎年25,000人を超える人々が、多剤耐性菌を含む薬剤耐性菌により引き起こされる感染により死亡していること、並びに、抗生物質耐性菌がEU中の多くの病院で繰り返し発見され、毎年400万人の患者に感染していることが明らかにされている。
「Multidrug−resistant Pseudomonas aeruginosa outbreaks in two hospitals:association with contaminated hospital waste−water systems」(Breathnach AS,Cubbon MD,Karunaharan RN,Pope CF,Planche TD.J Hosp Infect.2012 Sep;82(1):19−24.doi:10.1016/j.jhin.2012.06.007)という記事は、病院の下水道システムに存在する多剤耐性菌によって引き起こされる病院患者の感染について述べている。
「Spread from the Sink to the Patient:in situ Study Using Green Fluorescent Protein(GFP)Expressing−Escherichia coli to Model Bacterial Dispersion from Hand Washing Sink Trap Reservoirs.」(Appl Environ Microbiol.2017 Feb 24.pii:AEM.03327−16.doi:10.1128/AEM.03327−16.Kotay S,Chai W,Guilford W,Barry K,Mathers AJ)という記事は、病院のトイレのウォータロックに存在する細菌が、7日以内にシンク内に現れて患者に感染する可能性があるバイオフィルムを如何に形成するのかを述べている。そのような細菌が抗生物質に耐性がある場合、生命を脅かす感染症を引き起こす可能性がある。
国際公開第2014/011111号は、潜在的に有害な物質が廃水システムに放出される問題を解決するために、活性炭を使用することを提案している。
上述した点に鑑み、本発明の概念の目的は、下水道システムおよび/または環境への医療物質の放出に関する問題を軽減することにある。特に、本発明の概念は、広域抗生物質およびそれから発生する多剤耐性菌に関する問題を少なくとも軽減することを目的とする。
本発明の概念の第1の態様によれば、抗生物質などの潜在的に有害な医療物質を分離する方法が提供されており、この方法は、複数の真空トイレから真空により排出される汚水が、排泄物中に溶けた状態で存在する潜在的に有害な医療物質を含む真空トイレシステムにおいて、
排出された汚水を、細菌低減および破砕を含む初期処理にかけて、初期処理済みの汚水スラリを生成するステップと、
汚水スラリを少なくとも1の中央バッファタンクに移送し、少なくとも1の中央バッファタンク内で汚水スラリを一時的に貯蔵するステップと、
少なくとも1のバッファタンクから、1または複数の気化チャンバを含む中央気化ユニットに汚水スラリを移送するステップと、
1または複数の気化チャンバにおいて、汚水スラリから水を気化させて、潜在的に有害な医療物質を含む減水廃棄物をもたらすステップと、
減水廃棄物を1または複数の交換可能な廃棄物容器に移送するステップと、
廃棄物を含む廃棄物容器を取り外して交換するステップとを含む。
本発明の概念の第2の態様によれば、抗生物質などの潜在的に有害な医療物質を分離するためのシステムが提供されており、このシステムは、
真空により汚水が排出される複数の真空トイレであって、汚水が、排泄物中に溶けた状態で存在する潜在的に有害な医療物質を含む、複数の真空トイレと、
排出された汚水の細菌低減を行う細菌低減手段と、
汚水を破砕するための破砕手段であって、細菌低減および破砕を受けた汚水が汚水スラリを形成する、破砕手段と、
細菌低減手段の下流側に配置され、汚水スラリを受け入れて一時的に貯蔵するように構成された少なくとも1の中央バッファタンクと、
少なくとも1の中央バッファタンクから汚水スラリを受け入れるように構成された中央気化ユニットであって、汚水スラリから水を蒸発させて減水廃棄物を生成するように構成された1または複数の気化チャンバを有する中央気化ユニットと、
気化ユニットから減水廃棄物を受け入れるように構成された1または複数の交換可能な廃棄物容器を含む廃棄物処理ユニットとを備える。
本発明の概念は、少なくとも以下の利点を提供する。
・例えば、病院や他の医療施設で本発明の方法とシステムを使用して、排泄物(尿および糞便)に溶けた状態で存在する潜在的に有害な医療物質を含む可能性のある大量の汚水を処理することによって、汚水の含水量の大部分からそのような物質を効果的に分離することが可能となり、それにより、そのような潜在的に有害な医療物質が公共下水道システムに入り、最終的に環境に入ることを回避することが可能になる。
・本発明の全体的な態様は、排泄物から相当量の水を除去することにより、排泄物(尿および糞便)中に溶解している望ましくない物質を分離することである。除去された水は公共下水道システムに放出され得るが、望ましくない潜在的に有害な物質を特に含む残りの最終廃棄物は、その後、高温炉などで焼却される。このため、有害物質を含む廃棄物を安全な方法で処理し、典型的には、廃棄物を燃焼によって破壊することができる。
・汚水を破砕することで得られる利点の一つは、従来の水洗式トイレに通常使用される配管と比較して、システムの配管径を大幅に縮小できることである。特に、本発明の概念に係るシステムの必要な配管は、システム全体が施設に後付けされ得るような制限された寸法およびルーティングの可能性を有することができる。
・従来の水洗式トイレの代わりに真空トイレを使用する利点は、移送のために真空の代わりに水を使用する従来の水洗式トイレの洗浄水の量と比較して、真空トイレが各洗浄において必要とする洗浄水の量が非常に限られたものになることである。真空トイレを使用すると、処理対象の汚水スラリの含水量が実質的に制限され、それにより、気化による水分除去に必要な時間とエネルギー消費が制限されることとなる。
・排出された汚水を初期の細菌低減処理にかけることの実質的な利点は、システムの配管内で細菌が抗生物質と絶えず接触するリスクを排除するか、少なくとも実質的に減らすことである。そうでなければ、そのような絶え間ない接触は、抗生物質耐性菌を生成する可能性があり、それが、例えば病院の部門内へと逆に広がって、患者に感染する可能性がある。
・排出された汚水を初期の細菌低減処理にかけることの更なる利点は、通常の操作またはサービス中にシステムを取り扱うスタッフがシステムの配管内の病原体に感染するリスクを排除または低減することである。
・初期処理済みの汚水スラリ、すなわち細菌低減および破砕を受けた汚水は、中央気化ユニットの上流に配置された1または複数の中央バッファタンクを介して中央気化ユニットに移送される。初期処理済みの汚水スラリは、真空トイレからバッファタンク内に受け入れられて、そこで一時的に貯蔵される。その後、汚水スラリは中央気化ユニットに移送される。これは、間隔を空けてバッチで実行することができる。また、バッファタンクから中央気化ユニットへの汚水スラリの連続的な流れを持たせることも可能である。1または複数のバッファタンクを使用すると、気化チャンバで進行中の気化プロセスに汚水スラリが頻繁に供給されるのを回避することができる。気化ユニット内に新しい水性組成物を供給するたびに、気化チャンバの温度が低下して、気化プロセスが一時的に停止する可能性がある。バッファタンクは、その中での細菌の増殖を避けるために、好ましくは隔離されて、加熱されるようにしてもよい。細菌の増殖を低減するための代替的な手段は、例えばUV処理または化学処理を含むことができる。これらの代替例は、加熱と組み合わせることができる。1または複数のバッファタンクを使用することの更なる利点は、配管内の定常的な汚水を回避して、漏れのリスクを低減できることである。
いくつかの実施形態では、汚水が、真空トイレから関連する細菌低減タンクまたは容器に排出され、そこで、少なくとも初期の汚水処理の細菌低減が実行される。いくつかの実施形態では、トイレから細菌低減容器までの距離を短縮または最小化するために、各真空トイレに1つの細菌低減容器を設けるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、各細菌低減容器が、関連する真空トイレに隣接するか、または一体化され、それにより、トイレから細菌低減容器内に実質的に直接、汚水が排出される。いくつかの実施形態では、細菌破壊が、システム内の可能な限り高い上流で、すなわち、排泄物がトイレを離れた直後に起こることが好ましい。これにより、最小限の生きた細菌で、システムが保たれる。そのような細菌低減容器からの汚水または汚水スラリの更なる移送または輸送は、各洗浄後の特定の時間に、代替的には、複数回の洗浄後に行われるようにしてもよい。更なる移送は、好ましくは真空(吸引)により実行される。
細菌の低減は、加熱により、完全にまたは少なくとも部分的に実行することができる。細菌低減容器を使用する場合、そのような容器は、フラッシングに応答して予熱または加熱される隔離された容器であってもよい。そのような細菌低減容器からの汚水または汚水スラリの更なる移動または輸送は、各フラッシング後に、代替的には、複数回のフラッシング後に行われるものであってもよい。更なる移送は、好ましくは真空(吸引)により実行される。細菌低減のための代替的な手段は、例えばUV処理または化学処理を含むことができる。それらの代替例は、加熱と組み合わせることができる。
本発明の概念によれば、真空トイレから排出される汚水は、汚水が汚水スラリに変わる破砕も含む初期処理を受ける。トイレットペーパをより小さな断片に切断する破砕は、真空トイレに近いシステムの上流で行われることが好ましく、それにより、初期処理済みの汚水スラリを移送するのに、システムの大部分で小径の配管を使用することができる。細菌低減と破砕は、上述したように、特に加熱された細菌低減容器内で、本質的に同時に実行されるものであってもよい。しかしながら、細菌低減の前に少なくとも部分的に、または細菌低減の後に少なくとも部分的に、破砕を行うことも可能である。いくつかの実施形態では、各真空トイレに1つの破砕ユニットを設けることができる。破砕は、汚水を移送するために使用されるポンプ内で少なくとも部分的に行われるものであってもよい。
いくつかの実施形態では、第1および第2の細菌低減および破砕容器が少なくとも提供され、その各々が、複数の真空トイレのすべてまたはグループの処理を担うように構成されている。汚水は、真空トイレから第1および第2の容器に交互に排出され、排出された汚水は、一方の容器で細菌の低減と破砕を受ける間に、他方の容器で充填され、また他方の容器で細菌の低減と破砕を受ける間に、一方の容器で充填される。
気化ユニットでは、汚水スラリの水分含有量が、30%〜95%、好ましくは50%〜95%、最も好ましくは70%〜95%減少し得る。それにより、気化ユニットで生成された減水廃棄物は、初期含水量の70%〜5%、好ましくは50%〜5%、最も好ましくは30%〜5%の残留含水量を含むことができる。廃棄物のこの残留含水量は、気化ユニットの1または複数の気化チャンバ内の主要な堆積を回避するのに十分であろう。堆積は全く生じないか、ほんの僅かである。これには、気化チャンバを再利用できるという利点がある。
好ましい実施形態では、気化ユニットから得られた廃棄物の水分含有量は、加熱および/または減圧により実行される気化により、1または複数の廃棄物容器内でさらに低減される。廃棄物容器におけるこの任意の更なる水低減は、廃棄物容器に含まれる廃棄物の水分含有量が10%〜100%、好ましくは30%〜100%、最も好ましくは50%〜100%、さらに減少するようなものであってもよい。
廃棄物のそのような更なる水低減は、システムから廃棄物容器を取り除く前に実行されるようにしてもよい。しかしながら、システムから廃棄物容器を取り外した後に、任意選択的には別の場所で、さらに水を縮減することも可能である。また、それらの組合せも可能であり、例えば、廃棄物容器を取り外す前と後に、それぞれ部分的にさらに水を縮減することもできる。いくつかの実施形態では、廃棄物容器の除去後と、廃棄物が他のいくつかの容器に移された後に、更なる水低減を実行することも可能である。
代替的なより簡素な実施形態では、廃棄物容器が単に、除去および破壊前の廃棄物の貯蔵容器として本質的に機能するように、廃棄物容器におけるそのような更なる水低減を省くことができる。
このため、いくつかの実施形態では、気化ユニットおよび廃棄物処理ユニットにおける減水の組合せによって、最終廃棄物の最終含水量が初期汚水の含水量の10%〜0%、好ましくは5%〜0%となり、最も好ましくは0%、すなわち完全に乾燥した最終廃棄物となる。廃棄物容器内のそのような好ましい任意の最終的な水の低減は、システムから生成される廃棄物の量の極めて大きな低減をもたらすことができる。廃棄物処理ユニットでのそのような最終的な気化により、廃棄物容器内にほぼ乾燥または完全に乾燥した最終廃棄物が得られたとしても、この解決策には廃棄物容器内の堆積に関する問題を生じることがないという利点がある。何故なら、廃棄物容器を、取り外して廃棄物と一緒に破壊できる使い捨ての容器とすることができるためである。
潜在的に有害な物質を含む廃棄物を中に収容した、取り外された廃棄物容器は、高温焼却プロセスなどの破壊的処理にかけられることが好ましい。
システムの各段階のユニットの数は変わるようにしてもよい。システムは、無制限の数の真空トイレを含むことができるとともに、複数のバッファタンクを含むことができ、気化ユニットは、無制限の数の蒸発器を含むことができ、必要に応じた数の廃棄物容器があってもよい。
いくつかの実施形態では、廃棄物処理ユニットが複数の交換可能な廃棄物容器を備えており、廃棄物が、気化ユニットから複数の交換可能な廃棄物容器に順次移送される。その順序は、1または複数の以前に少なくとも部分的に満たされた廃棄物容器に存在する廃棄物から水が気化されている間に、1または複数の廃棄物容器が満たされるように、設定することができる。これにより、最終的な気化段階の効率が向上する。その順序は、廃棄物容器を取り外して交換する前に、各廃棄物容器について複数の充填/気化サイクルを含むことができる。
いくつかの実施形態では、真空トイレシステムが一定真空システム(CVS)である。これには、配管内の定常汚水を回避できるという利点がある。他の実施形態では、真空トイレシステムが、真空オンデマンド(VOD)システムである。そのようなシステムは、例えば、汚水および汚水スラリを細菌低減容器およびバッファタンクとの間で移送することに関連して、組み合わせることができる。
いくつかの実施形態では、気化ユニットおよび/または廃棄物処理ユニット内の圧力を低下させて、大気圧未満とするために、1または複数のポンプを使用することができる。これにより、沸点に関連して、気化プロセスをより適切に制御することができる。これにより、プロセス中に発生する悪臭も減少する。
いくつかの実施形態では、本発明のシステムを公共下水道システムなどの廃水システムに接続して、その廃水システムに、汚水スラリおよび任意選択的には廃棄物から得られた水蒸気および/または凝縮水を放出することができる。
いくつかの実施形態では、システムが、エアロゾル/液滴が通過するのを防いで、望ましくない物質、特に医療物質がシステムを通過するのを防ぐように構成された1または複数の保護構造、例えば、1または複数のデミスタを備えることができる。保護構造により、分離プロセスの有効性が大幅に向上し得る。特に、気化ユニットの気化チャンバ内には、1または複数の保護構造を配置することができる。気化ユニットに少なくとも1の保護構造を導入することによって達成される技術的効果は、気化プロセスで生成されて生成蒸気と一緒に引き込まれた小さなミスト形成液滴(エアロゾル)が気化チャンバから出ないようにすることである。液滴/エアロゾルは、気化チャンバで分離することが意図される、抗生物質、細胞増殖抑制剤および非ステロイド抗炎症薬などの医療物質を含む可能性がある。
細菌低減および/または破砕が1または複数の容器で行われる本発明の実施形態では、それら容器に、同じ目的のためにそのような保護構造を設けることもできる。
いくつかの実施形態では、方法およびシステムが、トイレから排出される汚水の初期破砕に加えて、汚水スラリを追加の破砕にかけるための手段をさらに含むことができる。そのような汚水スラリの追加の破砕は、バッファタンクの上流または下流の何れかで、気化ユニットの上流に集中的に配置されるようにしても、あるいは代替的には、バッファタンク内部に配置されるようにしてもよい。追加の破砕は、特に気化ユニットの近くに配置することができる。汚水スラリが気化ユニットに入る前に汚水スラリの追加の破砕を配置することにより、気化チャンバの内壁へのセルロース片(トイレットペーパの小片)の堆積を防止または少なくとも実質的に減らすことが可能となる。このような2段階の破砕を配置することの更なる利点は、真空トイレでの初期の第1のローカル破砕が、小径の配管を介した汚水スラリの移送を可能にする破砕の程度に関して十分な初期破砕を行うために、各真空トイレまたは真空トイレの各グループについて、より安価な破砕ユニットによって実行され、一方で、気化ユニット内の望ましくないセルロースの堆積を防止すべくより微細な破砕を実現するために、第2の中央破砕が、より高度で費用のかかる設備によって集中的に実行される。
いくつかの実施形態では、方法およびシステムが、汚水スラリ中のセルロースを分解するために、汚水スラリを化学処理にかける手段をさらに含むことができる。そのような手段は、バッファタンクの上流または下流の何れかで、気化ユニットの上流に集中的に配置することができる。そのような実施形態では、汚水スラリを、気化ユニット内にさらに移送される前の適切な期間中に、セルロース分解処理にかけることができる。それにより、気化チャンバの内壁へのセルロース片(トイレットペーパの小片)の堆積を防ぐか、少なくとも実質的に減らすことができる。そのような化学処理は、有利には、上述した集中的な追加の破砕と組み合わせることができ、その場合、追加の破砕は、化学処理の上流に配置することが好ましい。一例として、化学処理は、セルラーゼまたは塩酸などの強酸の使用を含むことができる。
いくつかの実施形態では、方法およびシステムが、スラリが気化ユニットに入る前に汚水スラリから固形物を除去するための手段、例えば気化ユニットの流入部に配置されたデカンタ型遠心分離機をさらに含むことができる。そのような固形物除去手段は、バッファタンクの上流または下流の何れかで、気化ユニットの上流に配置することができる。除去された固形物、主にセルロースの断片(小さなトイレットペーパ片)は、廃棄物処理ユニットに移送されて、気化ユニットから受け取った廃棄物と一緒に処理されるとともに、更なる減水処理を受けることができる。
本発明の概念およびその好ましい実施形態の上記特徴および他の特徴は、特許請求の範囲に記載されており、以下でさらに詳細に説明される。
用語
以下の表現は、物質がシステムで処理されて当該システムを介して移送されるときに、その物質に対して使用されるものである。最初にトイレから排出された物質は、「排出された汚水」と呼ばれる。細菌低減と破砕を含む初期処理の後、この物質は「初期処理済みの汚水スラリ」または単に「汚水スラリ」と呼ばれる。気化ユニットから得られて廃棄物処理ユニットに移される物質は、「減水廃棄物」と呼ばれる。廃棄物に対して任意選択的な更なる減水が行われる場合、最終物質は「更なる減水廃棄物」または「最終廃棄物」と呼ばれる。
本明細書で使用される「潜在的に有害な医療物質」という表現は、医療物質自体が有害である必要があると解釈されるべきではない。むしろ、この表現は、特に抗生物質耐性を細菌に誘導することにより、環境および/または人間に間接的かつ潜在的に有害な広域抗生物質などの医療物質にも関係している。
本明細書で使用される「潜在的に有害な医療物質を分離する」という表現は、他のすべての物質からそのような物質のみを分離することを意味する厳密な意味で解釈されるべきではない。むしろ、この表現は、そのような潜在的に有害な医療物質を少なくとも部分的に含む比較的少量の廃棄物を形成または生成する作用として広義に解釈されるべきであり、上記少量の廃棄物は、汚水の大部分、特に蒸発水から分離されるものであり、それにより、潜在的に有害な医療物質を含む物質の量を大幅に低減することを可能にするものである。
本明細書で使用される「排泄物」という表現は、尿および糞便からなる排泄物として解釈されるべきである。
本明細書で使用される「汚水」という用語は、排泄物(尿および糞便)、真空トイレで使用されるすすぎ水および任意の洗浄物質(トイレットペーパおよび可能性のある洗浄化学物質/消毒化学物質)を含む混合物として解釈されるものとする。
本明細書で使用される「細菌低減」という用語は、細菌を破壊する処理、すなわち、細菌を殺すか又は少なくとも不活性化する処理として解釈され、それにより汚水または廃棄物中の生存細菌の数を減少させるものである。この用語は、例えば、廃棄物量、適用される細菌低減手法、加熱温度および加熱時間に応じて、様々な度合いの細菌破壊を包含すると解釈されるべきである。好ましい実施形態では、細菌の完全な除去が好ましい。さらに、「細菌低減」という用語は、より広い意味で、ウイルスおよび真菌を含むすべての病原体、並びに、ファージ粒子のDNA中の抗生物質耐性遺伝子の低減にも関連する。
本明細書で使用される「破砕」という用語は、水、排泄物および洗浄物質(トイレットペーパ、並びに、可能性のある洗浄化学物質/消毒化学物質)を、粒子は溶解しないが媒体の殆ど全体にわたって通常は懸濁する好ましくは不均一な混合物からなる懸濁液に変える機械的処理またはプロセスとして解釈されるべきである。特に、トイレットペーパは、切断され、引き裂かれ、またはその他の方法でサイズが小さくなって小片になる。初期の破砕により、従来の水洗式または真空トイレシステムで未破砕の汚水を移送するために必要な大口径の下水道配管と比較して、非常に小さい直径のパイプを介して、破砕された汚水をスラリまたはより水に近い流体として供給することが可能になる。従来のトイレシステムで使用されている4〜5cm以上のパイプ直径と比べて、1〜2cm程度のパイプ内径を汚水スラリに使用することが可能である。
本明細書で使用される「バッファタンク」という用語は、汚水スラリを受け入れて、受け入れた汚水スラリを一時的に貯蔵するように構成された容器またはタンクとして解釈されるものとする。これにより、汚水スラリがバッファタンクから気化ユニットに移送される前に、汚水スラリをバッファタンク内に一定時間保管することが可能になる。それにより、汚水スラリを気化ユニットに連続的に移送する必要がなくなり、時間を空けてバッチで移送することが可能になる。しかしながら、バッファタンクから中央気化ユニットへの連続的な流れを確保することも可能である。システムの真空トイレすべてから汚水スラリを受け入れる単一の中央バッファタンクを設けるようにしてもよい。また、例えば大規模なシステムでは、複数の中央バッファタンクを設けるようにしてもよい。そのような実施形態では、各バッファタンクが、複数の真空トイレのサブセットから汚水スラリを受け入れるように構成されるものであってもよい。代替的には、複数のバッファタンクを順番に操作して、すべての真空トイレからの初期処理済みの汚水スラリを最初に第1バッファタンクに移し、その後、第1バッファタンクが満杯になったとき、または汚水スラリが気化ユニット等に移送されたときに、続く第2バッファタンクに移送するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、システムが、1または複数の中央バッファタンクに加えて、真空トイレに近いシステムの上流にローカルバッファタンクをさらに備えるようにしてもよい。そのような各ローカルバッファタンクは、一時保管のために、1つの真空トイレのみから、または真空トイレのグループから汚水スラリを受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、汚水の初期破砕が、少なくとも部分的にそのようなローカルバッファタンクで実行され、その場合、ローカルバッファタンクが汚水スラリではなく汚水を受け入れることができる。
本明細書で使用する「保護構造」という用語は、液体(エアロゾル滴など)を妨げるが蒸気の通過を許容する物理的障害物を作成することによって、液体(エアロゾル滴など)をブロックするが、蒸気を通過させるように構成された装置として解釈されるものとする。このため、保護構造は蒸気透過性であるが、霧を形成する液滴(エアロゾル)の通過を防ぐ。保護構造の一例は、複数の多孔性の変形可能な充填体を含むことができる。一例として、そのような充填体を、液体を妨げるが気体を透過させる、スチールウールまたはポリマースポンジまたは対応する多孔質材料で形成することができる。他の実施形態では、保護構造が、デミスタなどの金属ネットを含むことができる。
これに関連して、特定の技術分野の当業者に知られているように、それらの充填体は数多くの様々な方法で具体化および構成することができる。このため、典型的な充填体は、サドルまたはリングなどの形状を含むこともあり、パッキング、例えば構造化または編成されたパッキングを含むことができる。単純なバッフルも想定される。本明細書で使用される「デミスタ」という用語は、エアロゾル/液滴の通過を効果的に防止して蒸気の通過のみを可能にする、グリッド/ネット/格子として機能する細い鋼のスレッドなどからなるユニットとして解釈されるものとする。これにより、沸騰プロセスによって溶解した医療物質を含む大量のエアロゾル/液滴が形成された場合においても、溶解した望ましくない物質、特に医療物質がシステムを通過するのを効果的に防止する。
本明細書で使用される「真空トイレ」および「真空トイレシステム」という用語は、システムのトイレからの排泄物および洗浄物質の除去/洗浄手段として空気圧差を利用して、水の必要要件を最小限とするシステムを指すと広義に解釈されるものとする。
真空トイレシステムは、一定真空システム(CVS)または真空オンデマンド(VOD)システム、またはそれらの組合せであってもよい。好ましい実施形態では、「真空」が、「吸引」を意味するものとして、当技術分野における通常の意味を有することができる。しかしながら、本発明の概念の代替的な実施形態では、移送を達成するために、システムの少なくともいくつかの段階において、吸引ではなく正の空気圧の形で空気圧差を使用することも可能である。
本明細書で使用される「パイプ」および「配管」という用語は、広義に解釈されるべきであり、特に、従来のパイプだけでなく、フレキシブルチューブ/ホースも含むことができ、それらが、いくつかの実施形態では設置のための好ましい選択肢となり得る。
本明細書で使用される「使い捨て廃棄物容器」および「交換可能な廃棄物容器」という用語は、満杯になったときに別の廃棄物容器と交換される廃棄物容器として解釈されるものとする。しかしながら、後述するように、容器が所望のレベルまで満たされる前に、図4に示すように、充填/乾燥サイクルが繰り返される場合もある。これらの容器は、廃棄物隔離容器とも呼ばれる。
本発明の概念によれば、水は、気化ユニットの1または複数の気化チャンバにおいて汚水スラリから気化される。これに関連して、「汚水スラリ」という用語は、機械的処理および/または化学処理によって気化ユニットの上流の汚水スラリから固形物が除去される任意の実施形態における固形物低減物質を包含すると解釈されるべきである。
本発明の実施形態の他の特徴および利点は、以下の図面、詳細な説明および添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。
本発明の概念、いくつかの非限定的な実施形態、および本発明の概念の更なる利点を、図面を参照してさらに説明する。
図1は、本発明の概念の一実施形態に係る方法およびシステムの主なプロセス段階を概略的に示している。 図2Aおよび図2Bは、図1のシステムの第1のプロセス段階の2つの代替例を概略的に示している。 図3は、図1のシステムの第3のプロセス段階および第4のプロセス段階の一実施形態を概略的に示している。 図4A−図4Cは、図1のシステムの第4のプロセス段階における廃棄物処理の代替例を示している。 図5は、任意選択的な更なる処理ユニットを概略的に示している。 図6は、本発明の概念に係る方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 図7は、代替的な廃棄物処理を概略的に示している。 図8は、さらに別の実施形態を概略的に示している。 図9は、図1の実施形態の代替例を概略的に示している。
図1は、本発明の概念に係るシステム10の一実施例を概略的に示している。例示的な実施例として、図1のシステム10は、環境に不適または有害である医療物質が使用される集中治療室または外科部門などの病院または他の医療施設内の部門または領域11に設置することができる。特に抗生物質については、抗生物質が非常に長い時間存在する場合に、下水管または環境で耐性菌が発生するリスクが高くなる可能性がある。
システム10は、複数の真空トイレ12を備え、各真空トイレ12は、部門11内の関連するトイレ室14に配置されている。図1の例示的な実施例では、システム10が4つのプロセス段階S1〜S4を備える。例示的な実施例として、システム10の真空トイレ12は100人の患者によって使用され、1日(24時間)あたり約500リットルの汚水(尿と糞便、洗浄剤、すすぎ水および潜在的に有害な物質を含む)をもたらす。トイレ12から洗い流される、すなわち真空により排出される汚水は、排泄物に溶解状態で存在する潜在的に有害な医療物質を含み得る。
本発明のシステム10は、好ましくは、真空システム10で処理されて蒸発する水の量を減らすために、生活雑排水システムと並行して設置されている。特に、本発明のシステム10を設置する前に汚水および生活雑排水が既存の一般的な従来の重力式の配管システムによって処理されて移送される既存の病院または他の医療施設に、本発明のシステム10を後から設置するようにしてもよい。真空システム10の配管の小さな直径および真空による移送によって、真空配管は、既存の重力式の配管システムと並行して、既存の医療施設に後付けすることができる。
図1において、符号100は、部門11が配置される病院の従来の重力式の廃水システムを示している。流し台、シャワー、洗濯機などの複数の生活雑排水源102は、生活雑排水配管システム104に接続され、これにより、収集された生活雑排水は、符号106で示されるように、公共下水道システムに移送される。既存の重力式配管システム100に接続された既存の患者用水洗式トイレは取り外されるとともに、本発明のシステム10の真空トイレ102に置き換えられ、それにより、患者の汚水が並行システム100から分離された状態に保たれる。並行システム100は、純粋な生活雑排水システムであり、トイレが接続されていない。任意選択的には、スタッフ用トイレや訪問者用トイレなど、一部の非患者用水洗式トイレを接続するようにしてもよい。
本発明のシステムを第2の別個の廃水システム(既存の重力式システムなど)と並列なシステムとして設置し、真空を使用することにより、処理する水の量を大幅に減らすことが可能になる。本発明の概念を経済的なものにするためには、病院からのすべての廃水を蒸発させるべきではない。2つの個別のシステムが使用され、その一方が、廃水の大部分、特に生活雑排水を処理する主要な従来の廃水システムであり、もう一方が、患者トイレからの少量の汚水を処理する専用の処理システムである。
例示的な非限定的な実施例として、従来の重力式システムにおける生活雑排水の量は、生成される廃水(生活雑排水+廃水)の総量の約90%を示すと想定することができる。このため、各100リットルの廃水のうち、90リットルの生活雑排水は別個のシステムで処理され、本発明のシステム10で処理して蒸発させる必要はない。水洗式トイレの代わりに真空トイレを使用することにより、一例として、従来のシステムの残りの10リットルの汚水は約1リットルに減らすことができる。次に、最初の気化段階で、この1リットルの汚水を約0.1リットルの減水廃棄物に減らすことができる。最終的な任意選択の段階では、減水廃棄物の残りの含水量は、1または複数の廃棄物容器での最終気化によって実質的に完全に除去される。
第1のプロセス段階S1では、真空トイレ12から排出される汚水が、好ましくはトイレ12に可能な限り近くで、初期処理を受ける。第1のプロセス段階S1は、システム11のできるだけ上流に配置することが好ましく、いくつかの実施形態では、真空トイレ12に完全にまたは少なくとも部分的に隣接する。任意選択的には、第1のプロセス段階S1を、真空トイレ12と少なくとも部分的に統合することができる。図1の例示的な実施例では、各真空トイレ12に別個の第1のプロセス段階S1が提供される。第1のプロセス段階S1は、通常、関連するトイレ室14内に、または関連するトイレ室14の真下または壁の背後に配置することができる。
第1のプロセス段階S1の一部は、排出された汚水中の多くのまたは実質的にすべての細菌を殺すように構成された細菌低減処理を含む。
図示の実施形態では、細菌低減処理が加熱により実行される。細菌低減処理は、好ましくは、汚水が真空トイレ12から排出された直後に、すなわち、汚水がトイレを出る地点の近傍でできるだけ早く、システムにおいて実行される。その後、汚水は、例えば加熱された配管または隔離されたチューブまたはパイプの使用により、システム全体を通じて細菌増殖防止加熱状態で維持されることが好ましい。
真空トイレ12からの排出直後のプロセス段階S1での細菌低減は、システム内に細菌が存在または成長するリスクを減らすために、汚水を後続のプロセス段階に移す前に実行することが好ましい。
第1のプロセス段階S1の別の部分は、汚水の破砕を含むことができる。糞便および洗浄材料は破砕され、得られた破砕済みの汚水は、汚水スラリの形態となる。破砕により、汚水スラリおよび最終廃棄物は、システム10の残りの部分全体を通じて、比較的小径の配管16、18、20を介して移送されるようになる。
可能な配管内径は、一例として、4cm未満、好ましくは1〜2cm程度である。これは、システム10が、新しい配管システムを設置するスペースおよび可能性が非常に限られることが多い既存の病院施設に、後付けで設置される場合に特に有利である。破砕は、システム内の汚水移送に使用されるポンプ内で少なくとも部分的に実行することもできる。
システム10の第2のプロセス段階S2は、各プロセス段階S1から初期処理済みの汚水スラリを受け入れる、少なくとも1の中央バッファタンク22、大型システムにあっては場合により、複数のバッファタンクを含む。バッファタンク22は、すべてまたは少なくとも複数の真空トイレ12に共通である。バッファタンク22の主な目的は、第3のプロセス段階S3で進行中の気化プロセスに汚水スラリを規則的に分配できるようにすることであり、それにより、気化器内の温度の低下と、トイレが使用される都度の進行中の気化プロセスの一時的な停止とを回避することができる。任意選択的には、バッファタンク22を加熱することができる。
図1に示す実施例では、システム10の第3のプロセス段階S3が、部門11の真空トイレ12すべての集中的プロセス段階を構成する。第3のプロセスS3段階は、小径の真空配管18を介して、真空トイレ12から遠く離れて配置されるようにしてもよい。図示の実施例では、システムのプロセス段階S1〜S4のすべてが、一つの同じ部門11内にあり、部門ごとに同様のシステムが配置されるようにしてもよい。代替例として、第2のプロセス段階S2、第3のプロセス段階S3および第4のプロセス段階S4のうちの1または複数はすべて、真空トイレ12から離れた位置、例えば医療施設の地下エリア内に配置されるようにしてもよい。任意選択的には、2以上の部門が、例えば地下エリアにある共通の中央バッファタンク(S2)、共通の中央気化ユニット(S3)、および共通の中央廃棄物処理ユニット(S4)を共有することができる。
第3のプロセス段階S3は、少なくとも1の気化チャンバ26(蒸発器)、好ましくは複数の気化段階を含む気化ユニット24を含む。この例では、気化ユニット24が、2つの気化チャンバ26、28を含み、各気化チャンバ26、28が、第3のプロセス段階S3のそれぞれの気化段階を形成する。システムは、その中の主要な堆積を回避できるように設計されるため、気化チャンバ26、28は、好ましくは再利用可能なチャンバである。第2気化チャンバ28は、ユニット24内に第2気化段階を形成し、他の実施形態では、並列または直列で動作する複数の気化チャンバとして実施されるものであってもよい。汚水スラリは、好ましくは真空ポンプによる吸引により、バッファタンク22から受け取られる。
気化チャンバ26、28では、汚水スラリに含まれる水を蒸気に変換するような温度で、汚水スラリが気化処理を受ける。水蒸気は気化チャンバから取り除かれ、凝縮され、通常は周囲の廃水システム、例えば公共下水道システムに排出される。任意選択的には、以下でさらに説明するように、第1気化チャンバ26で生成された高温蒸気の少なくとも一部を使用して、システム内の後続の気化段階を加熱することができる。配管20での気化ユニット24からの出力は、ここでは減水廃棄物と呼ばれる減水汚水スラリを構成し、これは特に、分離すべき潜在的に有害な医療物質も含む。この減水廃棄物は、好ましくは1または複数の真空ポンプによって、第4のプロセス段階S4に移送される。
この実施形態のような多段気化ユニット24では、初期処理済みの汚水スラリの含水量が、各気化段階でさらに減少する。最適な蒸発の程度は、いくつかの要因、例えば物質を送り出す能力に依存する。気化ユニット24から出力される結果として生じる廃棄物は、最初に排出される汚水と比較して大幅に低減された含水量を有する廃棄物の形態である。
システム10の第4のプロセス段階S4は、少なくとも1の交換可能な廃棄物容器32、好ましくは複数の交換可能な使い捨て廃棄物容器32を含む廃棄物処理ユニット30を備える。
交換可能な廃棄物容器32は、各容器32が一度だけ使用された後に、その中の最終廃棄物と一緒に交換および破壊されるように、使い捨て容器であってもよい。使い捨ての態様は、廃棄物容器内で更なる水分低減が行われ、廃棄物容器32内に硬い堆積物を潜在的にもたらす本発明の概念の実施形態に特に関連する。図1に示す実施例では、廃棄物処理ユニット30が4つの廃棄物容器32を含むが、システムサイズおよびシステム容量に応じて、10、20またはそれ以上など、任意の数を含むことが可能である。
第4のプロセス段階S4では、廃棄物容器32内に存在する廃棄物から更なる水を任意選択的に蒸発させて、廃棄物容器32内にさらに水を減らした最終廃棄物を生成することができる。簡素な実施形態では、そのような更なる減水が省かれる。
廃棄物は、以下でさらに詳述するように、気化ユニット24から個々の廃棄物容器32に順次移送されることが好ましい場合がある。廃棄物容器32内で最終処理が行われた後、最終廃棄物は最終的に廃棄物容器32とともに取り除かれて破壊(好ましくは燃焼)される。
次に、図2Aおよび図2Bを参照する。これら図面は、第1のプロセス段階S1の2つの代替的な実施形態をより詳細に概略的に示している。それら代替例の違いは、基本的に破砕が行われる場所にある。
両実施形態では、第1のプロセス段階S1が、汚水の初期細菌低減を実行するために、符号42によって概略的に示されるように加熱される細菌低減容器40を含む。この実施形態では、加熱が使用されるが、上記のように、加熱の代替として、または加熱と組み合わせて、他の細菌低減手段が使用されるようにしてもよい。加熱は、外部手段によって容器40の壁を加熱すること、および/または容器40の内部に1または複数の加熱要素を配置することなど、様々な手段によって実行されるようにしてもよい。各細菌低減容器40は、ここでは、真空ポンプによって生成された真空または吸引力の影響下で、真空弁46を介して、排出された汚水を真空トイレから直接受け入れるために、関連する真空トイレ12の真下に配置されて示されている。
例示の実施形態では、限られた量の洗浄水、例えば0.5リットルが、各洗浄で弁41を介してトイレ12内に送られる。細菌低減容器40の上部領域にある真空弁43は、トイレの洗浄のために真空を適用するために使用されるものであってもよい。この真空は、別個の真空源から、またはシステムの中央の真空からもたらされる。真空弁43は空気のみを操作し、汚水を操作することはない。それは、デミスタなどの保護構造を使用することにより、吸引する液滴やエアロゾルから保護される。細菌低減容器40内の加熱による細菌低減は、汚水中の所望の量の細菌、好ましくは殆どまたはすべての細菌を確実に殺すために、洗浄後に予め設定された時間継続するようにしてもよい。その後、細菌が減少した汚水は、出口弁50を介して容器40から配管16を介して第2のプロセス段階S2のバッファタンク22に移送される。この実施形態では、その移送のために、真空ポンプ48が第2のプロセス段階S2に配置される。このため、システム10の下流に配置されたすべてまたは複数の真空トイレ12に共通の単一の集中的な真空ポンプ48があってもよい。
本発明の方法およびシステムのすべての実施形態において、真空トイレ12から排出された汚水は、第1のプロセス段階S1で細菌低減および初期破砕の両方を受けて、初期処理済みの汚水スラリとされる。上述したように、初期の破砕によって得られる利点の1つは、小径の配管で物質を移送できることである。しかしながら、初期の破砕が実行される場所については様々な選択肢が存在し、それら選択肢を組み合わせることができる。初期の破砕は、細菌低減と本質的に同時に(図2A)、または細菌低減の前または後に(図2B)実行され得る。初期の破砕は、少なくとも部分的にポンプで実行される(図2B)。有利には、汚水スラリをバッファタンク22に移送するために、より小さな直径の配管16を使用することができる。
図2Aは、少なくとも1の破砕ユニット52が各細菌低減容器40の内側に配置されている好ましい実施形態を概略的に示し、ここでは回転装置52として概略的に示されている。細菌低減容器40内で既に破砕を実行することには、小径の配管をシステムの大部分で使用することができ、全体の処理時間を短縮することができるという利点がある。汚水の破砕により、破砕の攪拌作用の結果として細菌低減時間が短縮されて、破砕のための別個のプロセス段階が回避されることがある。その結果、加熱処理中に破砕された場合、汚水に含まれる生きている細菌の数を大幅に、または完全に削減することが、恐らくより容易になる。図2Aの実施例では、順序は、真空トイレ→汚水の真空排出→細菌低減+破砕→汚水スラリの吸引→バッファタンクである。
図2Bは、符号52で概略的に示すように、ポンプ48が各第1のプロセス段階S1に配置され、破砕がポンプ48内で少なくとも部分的に生じる代替的な実施形態を示している。この実施形態は、正のポンプ圧力が移送に使用される一例である。この実施形態では、プロセス順序が、真空トイレ→汚水の真空排出→細菌低減→ポンピング中の破砕→圧力によるバッファタンクへの汚水スラリのポンピングである。破砕にポンプ48を使用する代わりに、細菌低減容器40の下流の第1のプロセス段階S1で専用の破砕ユニットを使用することも可能である。
各部門11の破砕ユニットの数を減らすことも可能である。例示的な実施例として、各部門11は、例えば、10の真空トイレ12の処理を担う2つの破砕ユニットを含むことができる。代替的な実施形態も、図9に関連してさらに以下で述べる。
好ましくは、限られた量の温水を破砕ユニットへの移送に使用することができる。水温は60度以上、好ましくは80度以上、最も好ましくは約90〜95度とする必要がある。
図2Aおよび図2Bに示す実施形態では、細菌低減が、細菌低減容器40内で実行される。汚水は、細菌低減を完了するために、一定の時間、容器40内に留まる。その後、配管16を介してバッファタンク22に移送される。また、別の細菌低減容器を使用せずに、真空トイレから排出された直後に細菌低減が実行されるシステム10を設計することも可能である。代わりに、排出/洗浄中に汚水が配管を連続的に流れている間に細菌低減が実行されるインライン加熱配管システムを配置することができる。配管は、制限された空間内で熱交換を得るために、適切な螺旋形状などを有することができる。
ここで図3を参照すると、図1のシステム10の第3のプロセス段階S3および第4のプロセス段階S4の一例がより詳細に概略的に示されている。気化ユニット24および廃棄物処理ユニット30は、破線のボックスで記されている。廃棄物移送配管は太い線で記され、高温水蒸気と凝縮水の配管は細い線で記されている。
3つのプロセス段階S2、S3、S4は、通常、互いに比較的隣接し、第1のプロセス段階S1から遠くにまたは離れて配置させることができる。この非限定的な実施形態では、第3のプロセス段階S3の気化ユニット24が、第1気化チャンバ26および第2気化チャンバ28を含む。第2チャンバ28の後に、順次作動する更なる気化チャンバ(図示省略)が続くようにしてもよい。
第2のチャンバ28は、複数の同様の追加の第2気化チャンバと並行して作動させるようにしてもよい。気化チャンバの数やサイズなどの気化ユニット24の設計は、システムコストとバランスがとれた必要な気化能力に関して最適化される。気化ユニット24の気化チャンバの温度、圧力および充填レベルを測定するために、センサ(図示省略)が配置されている。
第1気化チャンバ26は、バッファタンク22から汚水スラリを受け取るために、配管18および制御弁60を介してバッファタンク22に接続されている。好ましい実施形態では、これをバッチで実行することができる。
汚水を追加すると気化プロセスが一時的に停止する可能性があるため、新しい汚水スラリは、1日あたり数回のみ、第1気化チャンバ26で進行中の気化プロセスに導入することが好ましい。第1気化チャンバ26には、第1気化チャンバ26内の汚水スラリを汚水スラリの水が蒸発する温度まで加熱するための1または複数のマントルヒータ62が設けられている。発生した高温水蒸気は、配管61で第1チャンバ26の上部から取り除かれる。
蒸気の一部は、ポンプ70によって、弁62、メインパイプ64および凝縮器66を介して、72で公共下水道システムなどの周囲システムに移送することができる。図示の実施例では、マントルヒータ62が、チャンバ26内の物質レベルに応じて別々に作動させることができる複数の加熱要素を含むことができる。気化によってもたらされた減水された汚水スラリは、第1気化チャンバ26の下部から配管63で取り除かれて、制御弁74を介しての第2気化チャンバ28の上部に移送される。
図示の実施形態では、第2気化チャンバ28が二重壁容器であり、第1気化チャンバ26の容積の3分の1など、第1気化チャンバ26よりも小さい容積とすることができる。二重壁構造は、蒸気によって第2気化チャンバ28を加熱するために使用される。図示の実施例では、第1気化チャンバ26によって生成された蒸気が、配管61および制御弁76を介して第2気化チャンバ28の二重壁構造内に移送される。第1気化チャンバ26からの余剰蒸気は、制御弁62を介してメインパイプ64に移送される。水蒸気が排出される場所61に、1または複数のデミスタなどの保護構造を配置することができる。
いくつかの実施形態では、第1気化チャンバ26からの蒸気の熱量は非常に高く、第2気化チャンバ28での蒸発を、第1気化チャンバ26で必要な時間の半分で行うことができる。後述するように、第1気化チャンバ26によって生成された高温蒸気は、廃棄物処理ユニット30を加熱するためにも使用することができる。第2気化チャンバ28からの蒸気は、配管77および弁78を介してメインパイプ64に移送される。水蒸気が排出される場所77に、1または複数のデミスタなどの保護構造を配置することができる。
減水された廃棄物は、符号80で第2気化チャンバの下部から除去され、制御弁82を介して廃棄物処理ユニット30に移送される。
二重壁構造に入る高温蒸気によって第2気化チャンバ28を加熱するのは、熱伝達の点で有利である。チャンバ28内の内容物への熱伝達は、蒸発が生じるゾーンで主に高温蒸気の凝縮が生じるため、より効率的であろう。その結果、第2気化チャンバ28での気化動作は、レベルが低下する際の効率の損失を殆ど伴わずに実行され得る。凝縮水は、二重壁構造の下部から流出し、弁84を介してメインパイプ64に送られる。
ここで減水廃棄物と呼ばれる減水された汚水スラリは、気化ユニット24から弁82を介して廃棄物処理ユニット30に移送される。この実施形態では、廃棄物処理ユニット30が、4つの廃棄物容器32a〜32dを含む。図3は、廃棄物容器32において充填レベル87がどのように異なるかを模式的に示している。気化ユニット24からの減水廃棄物は、関連する制御弁86を介して廃棄物容器32a〜32b内に導入される。廃棄物処理ユニット30では、廃棄物が、廃棄物容器32内または別の場所での気化により、任意選択的な最終的な水分低減を受ける。
図示の実施例では、廃棄物容器が、第1気化チャンバ26から排出された高温蒸気によって加熱され、関連する弁88を介してそれぞれの廃棄物容器32に移送され、廃棄物容器の一部または別個の加熱器である二重壁シリンダ内へと移される。交換可能な廃棄物容器では、廃棄物が最終的な減水を受け、蒸気が上部で排出され、関連する弁90を介してメインパイプ64と凝縮器66に送られる。加熱された二重壁シリンダからの蒸気と凝縮水は下部で排出され、関連する弁92を介してメインパイプ64に移送される。
図示のシステムは、次のように動作する。すなわち、様々な温度、圧力、およびレベルセンサから受信した信号と、様々な弁に送信される制御信号とに基づいて、プロセス全体を制御するために、コンピュータ手段および電子機器(図示省略)が使用される。また、汚水、汚水スラリおよび廃棄物を移送し、蒸発チャンバおよび/または廃棄物容器の圧力を下げて、蒸発による水蒸気の形成を促進するために、1または複数の真空ポンプが使用される。
実施例
図示の実施例として、気化ユニットは、次のように設計および操作することができる。
処理される汚水量 300〜500リットル/日
最終廃棄物の総量 30〜60kg/日
総容量 160リットル
最大充填量 100リットル
高さ 1m
直径 450mm
熱効果 8.4kW
動作温度 95°C
動作圧力 0.7〜0.85bar
総容量 50リットル
最大充填量 33リットル
高さ 1m
直径 250mm
動作温度 80°C
動作圧力 0.5bar

廃棄物処理ユニット30
総容量 450リットル
高温蒸気で加熱するための二重壁シリンダ
動作温度 95°C
動作圧力 0.7〜0.85bar
廃棄物容器の交換間隔 3〜6日に1回程度
上述したように、各細菌低減容器40には2つの吸引出口が設けられている(図2Aおよび図2B):
・トイレ12から容器40内に汚水を引き込む洗浄真空を適用するためのフラッシング弁43における上部吸引出口。
・容器40内で汚水が適切な時間および適切な温度で処理された後に容器40から汚水スラリを移送するための下部弁50における下部吸引出口。
容器40には、容器40内の圧力を測定するための圧力センサ(図示省略)が設けられることが好ましい。フラッシング弁43の開度は圧力制御される。通常、フラッシング弁43は、圧力が大気圧に近くなるように少しだけ開いているが、好ましくは少し低く、例えば、約0.9気圧である。僅かに大気圧を下回る圧力によって、不快な臭気の漏れを防ぐことができる。
ユーザがボタンなどを押すことによってトイレ12が洗浄されると、洗浄水弁41が開かれるとともに、フラッシング上部弁43がさらに開かれて、汚水に実質的な吸引効果が働き、容器40内に引き込まれる。しかしながら、これは、容器40内に十分な利用可能なスペースがある場合にのみ発生する。このため、容器40は、レベルセンサ(図示省略)も備えるようにしてもよい。洗浄中、下部出口弁50は閉じられている。任意選択的には、容器40の上部出口にデミスタ(図示省略)などの保護構造が設けられ、それにより、跳ね返りによって生じる未処理材料を含む液滴が弁43を通ってシステム内に出るのを防ぐことができる。細菌低減を実行するために加熱が使用される場合、システムは、加熱による細菌低減および破砕が、例えば洗浄が開始されてから短い期間(例えば、5秒)後に、洗浄に応答して開始されるように設計されるようにしてもよい。加熱は、温度センサ(図示省略)によって制御されるようにしてもよい。物質の温度が予め設定された温度、例えば90度に達すると、温度が予め設定された期間、例えば30秒間このレベルで維持され、細菌の低減が完了する。
加熱プロセスは多くの方法で実行できる。一例として、容器40は、例えば60度に予熱され、その後、必要なときにのみ、より高い温度に加熱される。代替例として、加熱が洗浄時にのみ適用されるが、それはおそらくプロセスを幾分遅らせるであろう。処理時間を短縮するために、弁41で洗浄水に加熱水を使用することができる。病院の配管内の温水の温度が不十分な場合、そのような加熱された洗浄水が、任意選択的には、トイレ12またはその近傍で温水をもたらすことによって生成される。
加熱および破砕が所望の期間中に実行されると、上部弁43が閉じられ(先に閉じられていない場合)、下部出口弁50が開かれ、それにより、初期処理済みの汚水スラリがポンプ48によって容器40から放出され、バッファタンク22に移送される。容器40を空けるための吸引は、ポンプ48の代替として、またはポンプ48に加えて、システムの下流の1または複数の中央ポンプによって発生させることもできる。任意選択的には、スラリが汲み出されている間に、空気が容器40内に入ることができるように、容器40に空気入口手段が設けられる。下部弁50が、予め設定された時間、かつ/または場合によってはレベルセンサによる制御下で開かれるとき、下部弁50は、例えば15秒後に再び閉じられる。代替例として、容器40は、2回以上洗浄するまで空にされない。
トイレ12が短期間の間に複数回洗浄された場合、容器40が満杯になることが起こり得る。そのような状況では、制御電子機器は、容器内の処理が完了するまでトイレ12の洗浄が延期されるように設計されるようにしてもよい。
一例として、プロセス段階S1における様々なシーケンスの期間は以下の通りである。約15秒の間にトイレ12から容器40内に汚水が排出される。容器40内の目標温度に到達するのは約30秒である。破砕は、洗浄時またはその後すぐに開始することができる。約30秒間、加熱により細菌低減が行われる。約15秒間、下部弁45を介して空にされる。このため、1回の完全な洗浄と初期処理シーケンスに合計約1.5分かかる。ここで、物質の攪拌により容器40内の物質すべてが正確な温度に容易に到達するため、加熱中に破砕を行うのが(必須ではないが)有利である場合がある。
汚水スラリは、バッファタンク22に一時的に貯蔵されてもよく、間隔を空けてバッチで第1気化チャンバ26に移送されるようにしてもよい。そのような移送は、典型的には、第1気化チャンバ26内の気化プロセスが所望の程度まで実行されたことに応答して、第1気化チャンバ26内の残りの内容物の少なくとも一部が第2気化チャンバ28に移送されたときに、開始されるものであってもよい。
第2気化チャンバ28の壁に堆積物を形成する傾向は、様々な水溶液間で異なり、システム10に供給されるすべての水溶液についての予備試験で測定される必要がある。残留水分量は、十分な流動性があり、かつ第2気化チャンバ28の壁に堆積物が形成される傾向がほんの僅かであるのを保証するのに依然として十分な高さであるが、水分量が可能な限り少ない最適な時点で、第2気化チャンバ28の気化プロセスは停止される。最適な時点で、ここで「廃棄物」と呼ばれている残りの濃縮物質は、弁82を介して第2気化チャンバ28から廃棄物処理ユニット30に移送される。図示の実施形態では、含水量が廃棄物処理ユニット30でさらに低減される。ポンプを使用して、気化チャンバ26、28および/または廃棄物容器32内の圧力を低下させ、大気圧より低い圧力を作り出すことにより、内容物を100℃未満の温度で沸騰させることができる。
第1気化チャンバ26において、100リットルの初期汚水スラリ体積は、蒸気として除去される水の蒸発により2/3の量に減少し得る。第1気化チャンバ26に残っている66リットルの減水汚水スラリのうち、33リットルが63、74を介して第2気化チャンバ28にポンプで送られる。
その後、追加の汚水スラリがバッファタンク22から第1気化チャンバ26にポンプで送られ、それにより、気化中の第1チャンバ26は常に、最大充填量(100リットル)とその2/3の量との間で変化する充填量を示すようになる。この例では、廃棄物容器内の廃棄物の最終量は、1日あたり30〜60kgの範囲になる。なお、ここでの数値は単なる例として与えたものであり、大幅に変わる可能性があることに留意されたい。
好ましくは、第1気化チャンバ26での気化の程度または速度は、充填量が多いほど高くなる。満杯になると、すべての加熱要素62がアクティブになる一方、チャンバが満杯ではないときは、1または2の加熱要素62のみがアクティブになる。
気化ユニット24において、初期処理済みの汚水スラリの含水量は、30%〜95%、好ましくは50%〜95%、最も好ましくは70%〜95%減少する。それにより、気化ユニット24において生成される減水廃棄物は、初期含水量の70%〜5%、好ましくは50%〜5%、最も好ましくは30%〜5%の残留含水量を含むことができる。廃棄物中のこの残留含水量は、気化チャンバ26、28内の主要な堆積を回避するのに十分であろう。堆積は全く発生しないか、僅かしか発生しない。
この実施形態では、気化ユニット24からの廃棄物の含水量が廃棄物処理容器32内でさらに低減され、廃棄物容器32に含まれる最終廃棄物の含水量が、10%〜100%、好ましくは30%〜100%、最も好ましくは50%〜100%、さらに低減される。
気化ユニット24および廃棄物処理ユニット30の組み合わせた減水は、最終廃棄物の最終含水量が、初期汚水の10%〜0%、好ましくは5%〜0%、最も好ましくは0%、すなわち、完全にまたは本質的に完全に乾燥した最終廃棄物となるようにしてもよい。廃棄物容器32内の水分のこの最終的な減少によって、システム10からの生成廃棄物が大幅に低減される。廃棄物処理ユニット30におけるそのような最終的な気化が廃棄物容器32中にほぼ乾燥または完全に乾燥した最終廃棄物をもたらすとしても、廃棄物容器32が充填されて新しい空の容器と交換されるときに取り除かれるため、これは堆積についての問題を引き起こすことはないであろう。
潜在的に有害な医療物質を実質的に含まない符号72のポンプ70からの凝縮水は、廃水システム、例えば公共下水道システムに直接排出することができる。
ここで、図4A〜図4Cを参照すると、廃棄物処理ユニット30を操作するための3つの代替的なスキームが示されている。すべての代替例において、廃棄物容器は順番に満たされる。図4Aにおいて、廃棄物容器#1は、その制御弁86を介して最初に充填される。#1が一杯になると、関連する気化弁88を作動させることにより#1で乾燥が開始され、その後、容器#2で充填が行われる。容器#1が乾燥し、おそらく内容物の75%が蒸気として除去されると、2回目の充填サイクルで再び充填される。そのため、各廃棄物容器32について、動作の順序は、容器が所望のレベルまで満たされるまで、充填→乾燥→新たな充填→乾燥等であり、その後、容器が交換される。図4Aでは、充填と乾燥のサイクルが等しくなっている。図4Bおよび図4Cでは、それぞれ乾燥サイクルが充填サイクルの2倍または3倍の長さである。すべてのサイクルが完了すると、最終的な減水廃棄物が入った廃棄物容器32は、破壊のために取り除かれて、新しい容器と交換される。他のタイプの充填サイクルも可能である。
ここで図5を参照すると、第3のプロセス段階S3における任意選択的な更なる機器が概略的に示されている。これらの機器は、個別にまたは組み合わせて使用することができ、また、図5に示す順序以外の他の相互順序でも使用することができる。
第1の任意選択的な機器として、中央破砕ユニット100を配置して、中央気化ユニット24に入る前に汚水スラリをさらに破砕することができる。このユニット100では、スラリ中の既に破砕された固形物、特に破砕されたトイレットペーパは、より小さい断片または細片にさらに破砕され、それにより、気化チャンバ26、28の内壁にセルロースが堆積するリスクが低減する。バッファタンクは、中央破砕ユニット100と気化ユニット24の間に配置することができる。
第2の任意選択的な機器として、例えば、気化ユニット24の前に配置されたデカンタ型遠心分離機など、固形物除去ユニット102を配置して、スラリが気化ユニット24に入る前に汚水スラリから固形物を除去することができる。除去されたセルロース断片(小さなトイレットペーパ片)および糞便粒子のような固形分は、気化ユニットから受け取った廃棄物と一緒に処理するために、104で廃棄物処理ユニット30に移送されるようにしてもよい。蒸発によってさらに水を除去することができる。固形物除去ユニット102と気化ユニット24との間にバッファタンクを配置するようにしてもよい。
第3の任意選択的な機器として、化学処理ユニット106を配置して、汚水スラリ中のセルロース(トイレットペーパ片)を分解するようにしてもよい。汚水スラリは、さらに移送される前の適切な期間中に、セルロース分解処理にかけられるようにしてもよい。それにより、気化チャンバの内壁へのセルロース片(トイレットペーパの小片)の堆積を防ぐか、少なくとも大幅に減らすことができる。そのような化学処理ユニット106は、有利には、中央破砕ユニット100と組み合わせることができる。化学処理は、一例として、セルラーゼまたは塩酸などの強酸の使用を含むことができる。化学処理ユニット106と気化ユニット24との間にバッファタンクを配置するようにしてもよい。
図6は、本発明の概念に係る方法の一実施形態の様々なステップを示している。
図7は、気化ユニット24からの廃棄物の代替的な処理を概略的に示している。この代替的な実施形態では、バッファタンク22と気化ユニット24とを含む本発明の概念に係る装置が、第1の場所L1に配置されている。気化ユニット24からの減水廃棄物109は、タンク110に移送される。その後、廃棄物は、トラック112によって別の場所L2に輸送される。図示の実施形態では、図3の廃棄物容器32に対応する1または複数の廃棄物容器114が、任意選択的には1または複数のバッファタンクに貯蔵した後に、トラック112から廃棄物を受け入れるように構成されている。第2の場所では、加熱および/または低圧による廃棄物の更なる減水を実施して、更なる減水廃棄物118を生成することができる。前述した実施例のように、生成された水蒸気は116で容器114から除去され、任意選択的には、廃水システムまたは環境に移される。その後、図3を参照して述べたように、廃棄物容器114およびその中の更なる減水物質を破壊することができる。L2で追加の減水を実行した後、最終的に減水された廃棄物を、必要に応じて第3の場所で、破壊するために別の容器に移すことも可能である。
図8は、第1のプロセス段階S1および任意の第2のプロセス段階S2が病院などの第1の場所L3に配置され、第3のプロセス段階S3および任意の第4のプロセス段階S4が、1または複数の第1の場所L3から水性組成物を受け取って処理するためのプラントなど、異なる第2の場所L4に配置された、さらに代替的な実施形態を概略的に示している。多数のトイレ12からの汚水は、第1のプロセス段階S1で処理される。その後、汚水スラリは、第1の場所L3で一時的に貯蔵するために、1または複数のバッファタンク22に移される。その後、汚水スラリは、バッファタンク22からトラック112、113に移され、第2の場所L4に輸送される。ここで、汚水スラリは、任意選択的には1または複数のバッファタンクに貯蔵された後、第3のプロセス段階S3で気化器によって処理される。S3からの廃棄物は、上述したように第4のプロセス段階S4で受け取られて、任意選択的には処理される。代替的には、S4段階をL4以外の別の場所で実行することもできる。その後、図3を参照して述べたように、廃棄物を破壊することができる。図8では、別個の生活雑排水システム100が存在するが、示されていない。
図9は、図1の実施形態の代替例を示している。図9では、別個の生活雑排水システム100も存在するが、図示されていない。
部門11は、図1と同様に多数の真空トイレ12を備えている。図1と同様に、真空トイレ12から排出された汚水は、第1のプロセス段階S1で細菌低減と初期破砕の両方にかけられて、初期処理済みの汚水スラリがもたらされる。図9の実施形態は、各真空トイレ12が第1のプロセス段階S1を実行するための専用の細菌低減および破砕ユニットを有していない点で、図1の実施形態とは異なる。代わりに、部門11は、第1のプロセス段階S1を実行するように構成された2つ(またはそれ以上)のユニット40A、40Bを備える。各ユニット40A、40Bは、部門11内のすべての真空トイレ12、または部門11内の真空トイレ12のグループの処理を担う。このため、各ユニット40A、40Bは、図1、図2Aおよび図2Bに関連して上述したように、細菌低減のための加熱手段または他の手段、および破砕手段を備えることができる。図9に概略的に示すように、真空トイレ12の各々は、弁ユニット41を介して、2つのS1ユニット40A、40Bの一方に選択的に接続することができる。両ユニット40A、40Bは、任意選択的には適切な弁およびポンプ手段(図示省略)を介して、バッファタンク22に接続されている。
図9の実施形態の動作は次のようなものであってもよい。最初に、すべての真空トイレ12からのすべての汚水を第1のS1ユニット40Aに導くように、弁ユニット41が設定される。第1のS1ユニットが予め設定された程度まで満たされたときなど、適切な時点で、第1のユニット40Aで加熱および破砕が開始され、代わりに、第1のユニット40Aで処理が実行されている間に、真空トイレ12からの汚水を第2のS1ユニット40Bに誘導するように弁ユニット41が設定される。第1のユニット40Aでの細菌低減および破砕が完了すると、スラリがバッファタンク22に移送される。その後、第1のユニット40Aは再びアクティブになり、第2のユニット40Bで処理が行われている間に、代わりに汚水を受け入れる。その後、このプロセスが繰り返される。
真空トイレ12からS1ユニット40A、40Bに至るパイプ内の細菌の増殖を防ぐために、真空トイレ12は、好ましくは60度を超える温度、好ましくは80度を超える温度、最も好ましくは約90〜95℃の温度の高温水で洗い流される。
代替的な実施形態
上述した図示の実施形態は、特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの方法で変更を加えることができる。
加熱に関しては、気化チャンバ26、28と廃棄物容器32の両方の内容物を加熱する他の方法は数多くあり、少なくとも部分的に液体に浸されるか、チャンバの周りに置かれる加熱要素、マイクロ波、インダクションなどを使用することを含む。廃棄物容器32を加熱するために使用される二重壁シリンダは、二重壁シリンダではなく廃棄物容器のみが交換されるように、廃棄物容器32から分離されるものであってもよい。代替例として、加熱用の二重壁シリンダは、廃棄物容器と一体的に形成されたもので、交換される廃棄物容器の一部であってもよい。図示の実施形態では、第1気化チャンバ26からの高温蒸気が、後続ステップの加熱のために使用される。しかしながら、後続ステップ用に別個の加熱方法を用いることも可能である。
代替的な実施形態では、ポンプの配置および数が、図示の実施例と異なっていてもよい。例えば、各バッファタンクに、好ましくはバッファタンクの下流に、真空ポンプが配置されるようにしてもよい。その吸引は、トイレから汚水を排出するために使用することができる。また、システムを介して物質を移送するために、中央気化ユニットの下流にある1または複数の中央ポンプからの中央吸引を使用することもできる。
気化ユニットおよび/または廃棄物処理ユニットからの水蒸気が十分にきれいであることを確認するために、システムは、蒸気純度を評価する分析ユニット(図示省略)をさらに備えるようにしてもよい。評価は、例えば、凝縮蒸気の伝導率を測定するか、またはその吸収率を測定することによって行われる。計算されたデータは、コントロールパネルを介して、登録、保存および/またはシステムオペレータに提示することができる。システムは、プロセスの品質をオンラインで監視することができる。継続的な品質管理は、蒸発による凝縮蒸気が公共下水道システムに放出されるのに十分な純度であることを確保することができる。
気化チャンバの数と配置は、図示の実施形態と異なっていてもよい。代替的な実施形態では、単一の気化チャンバのみ、あるいは並行して動作する2以上のチャンバがあってもよい。例えば、並行して動作する複数の第1気化チャンバ26があってもよい。大規模な病院のシステムでは、並行して動作する第1および第2の気化チャンバが、例えば、5〜10あってもよい。
他の実施形態では、生成された蒸気を加熱に使用するための構成が異なっていてもよい。一例として、廃棄物容器32で生成された高温蒸気は、エネルギーを節約するために、弁を介して第2のチャンバ28の壁に移送されるようにしてもよい。
上記実施例では、プロセス段階S3およびS4で生成された蒸気が凝縮されて、公共下水道システムに放出される。代替的な実施形態では、凝縮水が、水タンクまたは排水溝または川に放出されるものであってもよい。代替的には、蒸気を始めに水に凝縮することなく、例えば周囲の空気中に放出するようにしてもよい。
気化ユニット24の再利用可能な気化チャンバ26、28では、潜在的に環境的に有害な物質を含む液滴が次の段階に進まないようにすることが有利となる場合がある。これは、同時係属中のPCT出願第PCT/EP2016/075957号に記載されているように、水蒸気を透過させるが、液滴を捕捉する1または複数の保護構造を配置することで、実現することができる。システムは、蒸気が保護構造で凝縮するのを防ぐために、そのような保護構造を加熱するように構成された少なくとも1のヒータをさらに備えるようにしてもよい。保護構造はデミスタとして機能する。少なくとも1の保護構造および/または少なくとも1のデミスタの加熱は、保護構造またはデミスタ上にそれらを加熱する加熱要素を配置して、熱的に接続することにより、達成することができる。加熱は、保護構造および/またはデミスタの外部に加熱要素またはヒータを配置して、保護構造体またはデミスタの一方または両方を、例えば電気的に加熱することによって達成することもできる。加熱は、電気的手段および/または熱交換によって達成することができる。別の可能性は、蒸気自体からの熱を単に使用し、デミスタを徹底的に隔離するというものである。
上記実施例では、システムが4つのプロセス段階S1〜S4を備えている。それらのプロセス段階の各々は、他のシステムで単独で使用できることに留意されたい。このため、各プロセス段階S1〜S4はそれ自体の発明とみなされ得るものであり、よって1または複数の分割出願の主題となり得ることが想定される。

Claims (29)

  1. 抗生物質などの潜在的に有害な医療物質を分離する方法であって、
    複数の真空トイレ(12)から真空により排出される汚水が、排泄物中に溶けた状態で存在する潜在的に有害な医療物質を含む真空トイレシステム(10)において、
    排出された汚水を、細菌低減(40)および破砕(52)を含む初期処理にかけて、初期処理済みの汚水スラリを生成するステップと、
    汚水スラリを少なくとも1の中央バッファタンク(22)に移送し、少なくとも1の中央バッファタンク(22)内で汚水スラリを一時的に貯蔵するステップ(16)と、
    少なくとも1のバッファタンク(22)から、1または複数の気化チャンバ(26、28)を含む中央気化ユニット(24)に汚水スラリを移送するステップ(18)と、
    1または複数の気化チャンバ(26、28)において、汚水スラリから水を蒸発させて、潜在的に有害な医療物質を含む減水廃棄物をもたらすステップと、
    減水廃棄物を1または複数の交換可能な廃棄物容器(32)に移送するステップ(20)と、
    廃棄物を含む廃棄物容器(32)を取り外して交換するステップとを含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    汚水が真空トイレ(12)から関連する細菌低減容器(40)に排出され、細菌低減が細菌低減容器(40)で行われることを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、
    各真空トイレ(12)に1つの細菌低減容器(40)が設けられており、汚水がトイレ(12)から実質的に直接細菌低減容器(40)内に排出されるように、各細菌低減容器(40)が、その関連する真空トイレ(12)に隣接して配置されるか、または一体化されていることを特徴とする方法。
  4. 請求項2または3に記載の方法において、
    破砕が、少なくとも部分的に細菌低減容器(40)で実行されることを特徴とする方法。
  5. 請求項2に記載の方法において、
    少なくとも第1および第2の細菌低減および破砕容器(40A、40B)が設けられ、その各々が、複数の真空トイレ(12)のすべてまたはグループの処理を担うように構成され、汚水が、第1および第2の容器(40A、40B)に交互に真空トイレ(12)から排出され、排出された汚水が、容器(40A、40B)のうちの一方で初期処理を受ける間に、容器(40A、40B)のうちの他方で充填され、また他方で初期処理を受ける間に、一方で充填されることを特徴とする方法。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、
    細菌低減が、加熱による細菌の低減を含むことを特徴とする方法。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法において、
    真空トイレ(12)が、汚水が真空により排出されるときに高温水で洗い流され、前記高温水が、60度を超える温度、好ましくは80度を超える温度、最も好ましくは約90〜95度の温度を有することを特徴とする方法。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、
    汚水スラリを中央気化ユニット(24)に移送するステップ(18)が、時間を空けてバッチで実行されることを特徴とする方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
    取り外した廃棄物容器(32)を、その中に含まれる廃棄物とともに、高温焼却プロセスなどの破壊的処理にかけるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、
    汚水スラリから得られた水蒸気および/または凝縮水を公共下水道システムなどの廃水システムに放出するステップ(72)をさらに含むことを特徴とする方法。
  11. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法において、
    汚水スラリの含水量が、気化ユニット(24)において30〜95%、好ましくは50〜95%、最も好ましくは70〜95%低減されることを特徴とする方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法において、
    廃棄物を1または複数の交換可能な廃棄物容器内に移送するステップの後に、
    1または複数の交換可能な廃棄物容器(32)において、廃棄物からさらに水を蒸発させて、さらに水を減らした減水廃棄物を廃棄物容器(32)に生成するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法において、
    廃棄物の含水量が、廃棄物処理ユニット(24)において10〜100%、好ましくは30〜100%、最も好ましくは50〜100%さらに低減されることを特徴とする方法。
  14. 請求項12または13に記載の方法において、
    1または複数の廃棄物容器(32)が充填されている間に、先に充填された1または複数の廃棄物容器(32)内に存在する廃棄物から水が蒸発されるように、減水廃棄物が、気化ユニット(24)から複数の交換可能な廃棄物容器(32)に順次移送される(20)ことを特徴とする方法。
  15. 請求項1乃至14の何れか一項に記載の方法において、
    初期処理済みの汚水スラリを、気化ユニット(24)の上流側で更なる破砕を行うステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  16. 請求項1乃至15の何れか一項に記載の方法において、
    気化ユニット(24)の上流側の汚水スラリから固形物(102)を除去するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  17. 請求項1乃至16の何れか一項に記載の方法において、
    気化ユニット(24)の上流側の汚水スラリを、汚水スラリ中のセルロースを分解するための化学処理(106)にかけるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  18. 抗生物質などの潜在的に有害な医療物質を分離するためのシステム(10)であって、
    複数の真空トイレ(12)であって、当該真空トイレから真空により汚水が排出され、汚水が、排泄物中に溶けた状態で存在する潜在的に有害な医療物質を含む、複数の真空トイレと、
    排出された汚水の細菌低減を行う細菌低減手段(40、42)と、
    汚水を破砕するための破砕手段(52)であって、細菌低減および破砕を受けた汚水が汚水スラリを形成する、破砕手段と、
    細菌低減手段(4)の下流側に配置され、汚水スラリを受け入れて一時的に貯蔵するように構成された少なくとも1の中央バッファタンク(22)と、
    少なくとも1の中央バッファタンク(22)から汚水スラリを受け入れるように構成された中央気化ユニット(24)であって、汚水スラリから水を蒸発させて減水廃棄物を生成するように構成された1または複数の気化チャンバ(26、28)を有する中央気化ユニット(24)と、
    気化ユニット(24)から減水廃棄物を受け入れる(20)ように構成された1または複数の交換可能な廃棄物容器(32)を含む廃棄物処理ユニット(30)とを備えることを特徴とするシステム。
  19. 請求項18に記載のシステムにおいて、
    前記細菌低減手段が、各真空トイレ(12)用の加熱された(42)細菌低減容器(40)を含み、汚水が実質的に直接細菌低減容器(40)内に排出されるように、各細菌低減容器(40)が関連する真空トイレ(12)に隣接して配置されていることを特徴とするシステム。
  20. 請求項19に記載のシステムにおいて、
    破砕手段(52)が、少なくとも細菌低減容器(40)内に存在する間に汚水を破砕するように構成されていることを特徴とするシステム。
  21. 請求項18に記載のシステムにおいて、
    前記細菌低減手段および前記破砕手段が、少なくとも第1および第2の細菌低減および破砕容器(40A、40B)を備え、その各々が、複数の真空トイレ(12)のすべてまたは一グループにサービスの処理を担うように構成されており、前記システムがさらに、真空トイレ(12)から排出された汚水を第1および第2の容器(40A、40B)に交互に案内するように構成された弁手段(41)をさらに備え、排出された汚水が容器(40A、40B)のうちの一方で細菌低減および破砕の処理を受ける間に、容器(40A、40B)のうちの他方で充填され、また他方で細菌低減および破砕の処理を受ける間に、一方で充填されるようになっていることを特徴とするシステム。
  22. 請求項18乃至21の何れか一項に記載のシステムにおいて、
    前記システムが、公共下水道システムなどの廃水システムに接続され、前記汚水スラリから得られた水蒸気および/または凝縮水を前記廃水システムに放出することを特徴とするシステム。
  23. 請求項18乃至22の何れか一項に記載のシステムにおいて、
    廃棄物処理ユニット(30)が、廃棄物容器(32)内の廃棄物から水を蒸発させて、さらに水を削減した最終廃棄物を交換可能な廃棄物容器(32)内に生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
  24. 請求項18乃至23の何れか一項に記載のシステムにおいて、
    汚水スラリが中央気化ユニット(24)に受け入れられる前に、汚水スラリをさらに破砕するために、気化ユニット(24)の上流側に配置された中央破砕手段(100)をさらに備えることを特徴とするシステム。
  25. 請求項18乃至24の何れか一項に記載のシステムにおいて、
    気化ユニット(24)の上流側に配置されたデカンタ型遠心分離機などの中央固形物除去手段(102)をさらに備え、この中央固形物除去手段が、汚水スラリが中央気化ユニット(24)に受け入れられる前に、汚水スラリから固形物を除去するように構成されていることを特徴とするシステム。
  26. 請求項18乃至25の何れか一項に記載のシステムにおいて、
    気化ユニット(24)の上流側に配置された中央化学処理手段(106)をさらに備え、この中央化学処理手段が、汚水スラリが中央気化ユニット(24)に受け入れられる前に、汚水スラリ中のセルロースを分解するように構成されていることを特徴とするシステム。
  27. 請求項18乃至26の何れか一項に記載のシステムにおいて、
    当該システムが、病院などの医療施設内の患者真空トイレからの汚水を処理するために、生活雑排水を処理するための医療施設内の別個の廃水処理システムと並列に取り付けられていることを特徴とするシステム。
  28. 病院などの医療施設であって、
    患者トイレからの汚水を処理するための請求項18乃至27の何れか一項に記載の第1の廃水システム(10)と、
    医療施設で生成された生活雑排水を処理するための別個の第2の廃水システムとを備えることを特徴とする医療施設。
  29. 病院などの医療施設で廃水を処理する方法であって、前記廃水が、一方では患者用トイレからの汚水と、他方では生活雑排水を含む残りの廃水とを含み、
    当該方法が、真空トイレと、請求項1乃至17の何れか一項に記載の方法とを使用して、第1の廃水処理システムの患者トイレからの汚水を処理して、患者トイレからの汚水に溶解状態で存在する抗生物質などの潜在的に有害な医療物質を分離するステップと、
    患者トイレからの汚水とは別に、別個の第2の廃水処理システムにおいて、生活雑排水を含む残りの廃水を処理するステップとを備えることを特徴とする方法。
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