JP2020515813A - アルツハイマー病の診断および治療においてgm6を使用する方法 - Google Patents
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Abstract
本研究の1つの態様は、GM6として知られるMNTF由来ペプチドが、アルツハイマー病に関連する遺伝子の発現を改変するかどうかを評価するための生物情報学的解析を提供することであった。遺伝子発現解析は、DNAマイクロアレイまたはRNA−seq技術により生成されたいくつかの遺伝子発現プロファイリングデータセットを用いて行われる。本発明者らの結果は、アルツハイマー病関連遺伝子が、GM6処置に対して固有の応答を示し、アルツハイマー病発症および進行の根底にある中核的プロセスに関連するシグナル伝達経路に影響を及ぼすことを示している。本明細書に記載された特定の目的とする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの発現。本発明者らは、GM6で治療されたALS患者が、治療後に血漿中タウの存在量の大幅な減少を示すことを示す(図1D)。本発明者らはまた、GM6がSH−5YSY細胞におけるMAPT mRNAを抑制したことも示す(図2)。
Description
本技術分野は、アルツハイマー病の診断、モニタリング、予後診断、予防、発症遅延、または治療のために、GM6として知られるMNTF因子を使用することを含む。
関連出願
本出願は、その全体が参照により組み込まれる、Pui−Yuk Dorothy Koによる「Methods of using GM6 in treating Alzheimer’s disease and in modulating Alzheimer’s disease biomarkers」と題する、2016年12月23日に出願された米国特許出願公開第62/438,837号明細書からの優先権を受けるものである。
本出願は、その全体が参照により組み込まれる、Pui−Yuk Dorothy Koによる「Methods of using GM6 in treating Alzheimer’s disease and in modulating Alzheimer’s disease biomarkers」と題する、2016年12月23日に出願された米国特許出願公開第62/438,837号明細書からの優先権を受けるものである。
以下は、本発明を理解する上で有用となり得る情報を含む。本明細書に提供された情報のいずれかが、本明細書に記載もしくは主張された発明の従来技術であり、または本明細書に記載もしくは主張された発明に関係があること、あるいは明確にまたは暗示的に言及された任意の刊行物または文献が従来技術であることを認めるものではない。
アルツハイマー病(AD)は、記憶喪失、脳萎縮、およびニューロン死を特徴とする進行性認知症である。病因は十分に理解されていないが、細胞外βアミロイド斑および細胞内タウ神経原線維変化の加齢関連蓄積を伴うとされている。今日まで、5種類の薬物のみが米国食品医薬品局によって承認されており、利用可能な治療がこれまでにAD患者に提供してきた有益性および有効性は限られている(例えば、ACh阻害剤、NMDA受容体拮抗薬)。しかし、他の神経変性疾患のために開発中の治療が、ADに対して有効性を示す可能性がある(すなわち「多目的」神経変性薬)。
ラット筋肉組織からの2種類の運動ニューロン栄養因子(MNTF1およびMNTF2)の単離および特徴付け、ならびにヒト網膜芽細胞腫cDNAライブラリーから得られた組換えMNTF1−F6遺伝子のその後のクローニングは、本出願人の以前の米国特許第6,309,877号明細書においてすでに報告されている。MNTF1−F6遺伝子配列は、以下のアミノ酸配列:LGTFWGDTLNCWMLSAFSRYARCLAEGHDGPTQ[配列番号1]を有する、配列番号1と本明細書で呼ばれる33アミノ酸配列をコードする。
天然に存在するおよび組換えMNTF1ポリペプチドは、ラット腰髄外植片から単離された前角運動ニューロンのインビトロでの生存能を選択的に高めることが示された。処置された培養物の顕微鏡写真は、有髄神経線維の神経突起伸長、ならびに非ニューロン細胞、例えばグリア細胞および線維芽細胞の成長の著しい低下を示した。同様に、外科的に軸索切断されたラット末梢神経へのMNTF1のインビボ投与は、未処置対照より著しく高いパーセンテージの生存している運動ニューロンをもたらし、これは、抗MNTF1モノクローナル抗体の同時投与によってブロックすることができた。
MNTF1のさらなる有益な効果が、脊髄半側切断に供され、末梢神経自家移植片によって修復され、脊髄との神経移植接合部にごく近接してMNTF1含有ゲル切片を移植されたラットにおいて実証された。MNTF1処置された動物は、より多数の生存している運動ニューロン、運動および感覚機能の回復の改善、炎症反応の低下(より少ない浸潤マクロファージおよびリンパ球)、ならびに移植部位におけるコラーゲン含有瘢痕組織形成の減少、正常なシュワン細胞形態ならびに正常な有髄および無髄神経線維形成を示した。
MNTF1の既知の生物学的活性にとって十分であると思われる、MNTF1−F6分子内の2つの以前に認識されていない重複ドメインが現在同定されている。本明細書で「WMLSAFS」および「FSRYAR」ドメインとして指定されるこれらのドメインの各々は、MNTF1−F6 33−merと類似の方法で運動ニューロン由来細胞株の増殖を刺激するのに十分である。同様に、「FSRYAR」ドメインは、MNTF1−F6 33−merと類似の方法でインビボでの運動ニューロンによる筋肉標的の選択的神経再支配を指示するのに十分である。さらに、「FSRYAR」ドメインは、MNTF1−F6 33−merを含む「FSRYAR」配列を含有する任意のMNTFペプチドを認識する抗体を産生するのに十分な抗原エピトープを提供する。
ニューロン細胞における生存能および成長を調節することができるMNTFの活性断片由来の新規のペプチドおよび組成物、ならびに神経栄養機能または神経向性機能にとって十分な「WMLSAFSドメイン」または「FSRYARドメイン」のどちらかを含有する新規のペプチドおよび組成物を使用して、ニューロン細胞生存能および成長を調節する方法が、米国特許第7,183,373号明細書に記載されている。その中で実証されているポリペプチドドメインは、ニューロン細胞の選択的な維持および軸索再生、ならびにその構造および/または機能を模倣することができるペプチドおよび/または分子にとって十分であった。その発明の好ましい実施形態は、ALS適応のGM604としても知られるGM6の配列である、アミノ酸配列:FSRYAR[配列番号2]を有するペプチド、およびそのアナログを含む。好ましくはそのようなアナログは、GM6[配列番号2]の機能的等価物である。
GM6は、ニューロンが作られ、終末のシナプス標的に達する胎児発生期に存在する内因性の主要な神経成長調節物質、MNTFの活性ドメインを包含する。胎生期は、特にCNS内でヒト成長および発達の最も著しいおよび急速な時期である。前臨床試験では、げっ歯類におけるGM604の処置が神経の再生を促進し、栄養効果および向性効果の両方を示すことを実証した(Chau RMW et al. 1990 Neuronotrophic Factor. Chin J. Neuroanat. 6:129-138;Chau RMW et al. 1992. Muscle neurotrophic factors specific for anterior horn motoneurons of rat spinal cord. Recent Adv. Cell Mol Biol. 5:89-94;Yu J. et al. 2008. Motoneuronotrophic Factor analog GM604 reduces infarct volume and behavioral deficits following transient ischemia in the mouse. Brain Res. 1238:143-153;米国特許第7,183,373号明細書)。
本発明者らのインビトロおよびインビボ試験から、本発明者らは、本明細書に記載されGM604と呼ばれるMNTF 6 merが、複数の作用機序を含むことを現在理解している。GM6は、インスリン受容体に結合し、インスリン受容体およびIGF−1のTyr 1162/1163の自己リン酸化を引き起こす(米国特許第8,986,676号明細書)。GM6はまた、SH−SY5Y細胞パーキンソン病モデルによるインビトロ試験で示されたように(ワートマニン(PI3K阻害剤)による処置がMNTFの作用を抑制し、PI3K経路を通じた作用を意味した)、PI3Kを通じた経路も活性化し、調節する。(米国特許第8,673,852号明細書)。本発明者らはまた、抗アポトーシス、神経発生および抗炎症におけるGM6の役割も示した。米国特許第8,673,852号明細書において、本発明者らは、GM604が血液脳関門を透過できることを示した。
本出願は、アルツハイマー病におけるGM6の役割の研究における本発明者らの結果を報告するものであり、本明細書に提供された本発明の実施形態は、アルツハイマー病を診断、モニタリング、予後診断、および予防、発症遅延、または治療する方法に関する。
本明細書に記載および主張された本発明は、本概要に明記または記載または言及されたものを含むがこれらに限定されない、多くの属性および実施形態を有する。本明細書に記載および主張された本発明は、本概要に同定された特徴または実施形態に限定されず、または本概要に同定された特徴または実施形態によって限定されない。本概要は、例示の目的のみで含まれ、制限の目的で含まれるものではない。
本明細書に記載および主張された本発明のこれらのおよび他の態様および実施形態は、本出願および特許請求の範囲から、ならびに本出願および特許請求の範囲を通して明らかとなり、それらの全てが、その書かれた記載の一部と見なされるものとする。
本明細書に提供された本発明は、アルツハイマー病を診断、モニタリング、予後診断、および予防、発症遅延、または治療する方法に関する。
したがって、1つの実施形態は、アルツハイマー病を予防、発症遅延、または治療する方法に関する。方法は、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失を阻害または予防するステップを含み、GM6の投与が、以下の遺伝子:NDUFB1、NDUFA12、COX5A、ATP5O、COX7B、COX7A2、NDUFB7、NDUFB2、NDUFAB1、COX6C、NDUFC1、NDUFB6、NDUFB4、COX7C、UQCRH、NDUFA2、NDUFA8、NDUFS6、NDUFA7、NDUFB11、NDUFB10、NDUFS5、NDUFB9、NDUFA13、ATP5D、NDUFS8、NDUFA6、COX5B、NDUFS4、NDUFA1、COX6B1、NDUFS3、UQCRQ、PSENEN、NDUFA9、FADD、CALM3、COX8A、ATP5G3、PPP3CA、PLCB2、NDUFB3、COX4I1、CYC1、HSD17B10、CYCS、SDHB、CDK5、NDUFA5、APH1A、NDUFB5、COX7A2L、ATP5C1、ATP5F1、CACNA1F、MAPT、MAPK3、BAD、COX6B2、FAS、ATP5J、およびUQCRBの1つまたは複数を調節することによりミトコンドリア媒介細胞死を阻害する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を予防、発症遅延、または治療する方法であって、アミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を対象に投与して、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失を阻害または予防するステップを含み、GM6の投与が、以下の遺伝子:CLU、SORL1、PICALM、GNAQ;IDE;ADAM10;PSEN1;PPP3CB;CASP3、CASP9、ITPR3、GSK3B、RTN3、BACE1、CDK5R1、ITPR2、EIF2AK3、ADAM17、CALML4、NCSTN、ATP5B、ATF6、APP、ATP2A1、PLCB4の1つまたは複数を調節することにより、アミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させる、方法に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を予防、発症遅延、または治療する方法であって、対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、タウ(MAPT)の発現および蓄積を制限することによりアルツハイマー病を阻害または予防するステップを含む方法に関する。
いくつかの実施形態において、GM6の投与は、NDUFB1;NDUFA12;COX5A;ATP5O;COX7B;COX7A2;NDUFB7;NDUFB2;NDUFAB1;COX6C;NDUFC1;NDUFB6;NDUFB4;COX7C;UQCRH;NDUFA2;NDUFA8;NDUFS6;NDUFA7;NDUFB11;NDUFB10;NDUFS5;NDUFB9;NDUFA13;ATP5D;NDUFS8;NDUFA6;COX5B;NDUFS4;NDUFA1;COX6B1;NDUFS3;UQCRQ;PSENEN;NDUFA9;FADD;COX8A;ATP5G3;PLCB2;NDUFB3;COX4I1;NDUFB5から選択される遺伝子を調節することによりミトコンドリア媒介細胞死を阻害する。いくつかの実施形態においてGM6の投与は、NDUFB1;NDUFA12;COX5A;ATP5O;およびCOX7Bから選択される遺伝子を調節することによりミトコンドリア媒介細胞死を阻害する。いくつかの実施形態においてGM6の投与は、GNAQ;IDE;ADAM10;PSEN1;PPP3CB;およびCASP3から選択される遺伝子を調節してアミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させる。いくつかの実施形態においてGM6の投与は、CLU、SORL1、PICALMから選択される遺伝子を調節してアミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させる。
別の実施形態は、アルツハイマー病を予防、発症遅延、または治療する方法であって、対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失を阻害または予防するステップを含み、GM6の投与が、以下の遺伝子:VLDLR、SORL1、C3orf17、STK11、RNF6、CNTN1、STK24、RELN、MAN2A1、TMEM106B、PICALM、CTNNA2、FARP1、APBB2、APP、PSEN1、ADAM10の1つまたは複数を調節することにより、樹状突起形態形成、神経発生、または軸索発達を増加させる、方法に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を予防、発症遅延、または治療する方法であって、患者を選択するステップと、ii)前記患者において、NDUFB1、NDUFA12、COX5A、ATP5O、COX7B、COX7A2、NDUFB7、NDUFB2、NDUFAB1、COX6C、NDUFC1、NDUFB6、NDUFB4、COX7C、UQCRH、NDUFA2、NDUFA8、NDUFS6、NDUFA7、NDUFB11、NDUFB10、NDUFS5、NDUFB9、NDUFA13、ATP5D、NDUFS8、NDUFA6、COX5B、NDUFS4、NDUFA1、COX6B1、NDUFS3、UQCRQ、PSENEN、NDUFA9、FADD、CALM3、COX8A、ATP5G3、PPP3CA、PLCB2、NDUFB3、COX4I1、CYC1、HSD17B10、CYCS、SDHB、CDK5、NDUFA5、APH1A、NDUFB5、COX7A2L、ATP5C1、ATP5F1、CACNA1F、MAPT、MAPK3、BAD、COX6B2、FAS、ATP5J、およびUQCRB;CLU、SORL1、GNAQ、IDE;ADAM10、PSEN1;PPP3CB;CASP3、CASP9、ITPR3、GSK3B、RTN3、BACE1、CDK5R1、ITPR2、EIF2AK3、ADAM17、CALML4、NCSTN、ATP5B、ATF6、ATP2A1、およびPLCB4;VLDLR、C3orf17、STK11、RNF6、CNTN1、STK24、RELN、MAN2A1、TMEM106B、PICALM、CTNNA2、FARP1、APBB2、またはAPPからなる群から選択される、アルツハイマー病のバイオマーカーを定量化するステップと、iii)前記バイオマーカーの量が、選択された対象の所定のレベルと十分に異なると判定される場合、患者をアルツハイマー病の治療を必要とすると分類するステップと、iv)治療を必要とすると分類された対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、GM6の投与が、ミトコンドリア媒介細胞死を阻害し、アミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させるように、またはタウ(MAPT)の発現および蓄積を制限することにより、上記のバイオマーカーの1つまたは複数を制御するステップと、v)バイオマーカーの制御をアルツハイマー病進行の改善と相関させるステップとを含む方法に関する。
別の実施形態は、患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のAPOE e2、APOE e3、およびAPOE e4からなる群から選択されるアポリポタンパク質E(APOE)の1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの対照発現レベルと比較した、試料中の前記1つまたは複数の遺伝子バリアントの差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、APOE e2、APOE e3、およびAPOE e4からなる群から選択されるアポリポタンパク質E(APOE)の1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法に関する。
別の実施形態は、患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のPLAU、NGFR、CACNA1G、CLU、およびRYR3からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、PLAU、NGFR、CACNA1G、CLU、およびRYR3からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子の発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法に関する。
別の実施形態は、患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のDOCK2、VEGFA、IL6R、HMGB1およびPTK2Bからなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、i)DOCK2、VEGFA、IL6R、HMGB1およびPTK2Bからなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子の発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法に関する。
別の実施形態は、患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のCOX412、NDUFS2、NDUFB8、NDUFS4およびCOX10からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM604)を投与して、COX412、NDUFS2、NDUFB8、NDUFS4およびCOX10からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子の発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法に関する。
別の実施形態は、患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のABCA7、CLU、CR1、PICALM、PLD3、TREM2、およびSORL1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法に関する。
別の実施形態は、アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、ABCA7、CLU、CR1、PICALM、PLD3、TREM2、およびSORL1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法に関する。
定義
「バイオマーカー」は、治療的介入に対する正常な生物学的プロセス、発病プロセスまたは薬理ゲノム学的プロセスの指標として客観的に測定され、評価される任意の特徴として定義される。FDAおよびEMAの両方は、医薬品開発プロセスにおいてバイオマーカーのますます重要な役割を認識している。深刻な疾患に関して、疾患関連バイオマーカーの探索により、薬物標的の同定を促進することができる。治験における代替エンドポイントとしての疾患関連バイオマーカーの使用は、腫瘍学における医薬品承認を促進している。疾患特異的バイオマーカーの潜在的な臨床的有益性には、医薬品開発を加速することになる、より迅速および正確な疾患診断、ならびに臨床治験の規模および期間の潜在的低減が挙げられる。アルツハイマー病の医薬品開発へのバイオマーカーの適用は、薬物がその提案された標的に命中するかどうか(「標的バイオマーカー」)、および薬物が疾患の経過を変えるかどうか(「有効性バイオマーカー」)の両方を決定するべきである。
「バイオマーカー」は、治療的介入に対する正常な生物学的プロセス、発病プロセスまたは薬理ゲノム学的プロセスの指標として客観的に測定され、評価される任意の特徴として定義される。FDAおよびEMAの両方は、医薬品開発プロセスにおいてバイオマーカーのますます重要な役割を認識している。深刻な疾患に関して、疾患関連バイオマーカーの探索により、薬物標的の同定を促進することができる。治験における代替エンドポイントとしての疾患関連バイオマーカーの使用は、腫瘍学における医薬品承認を促進している。疾患特異的バイオマーカーの潜在的な臨床的有益性には、医薬品開発を加速することになる、より迅速および正確な疾患診断、ならびに臨床治験の規模および期間の潜在的低減が挙げられる。アルツハイマー病の医薬品開発へのバイオマーカーの適用は、薬物がその提案された標的に命中するかどうか(「標的バイオマーカー」)、および薬物が疾患の経過を変えるかどうか(「有効性バイオマーカー」)の両方を決定するべきである。
「代替エンドポイント」は、アルツハイマー病の場合などで、既知の臨床的エンドポイントの代わりになることが意図されるバイオマーカーとして定義される。代替エンドポイントは、疫学的、治療的、病態生理学的または他の科学的証拠に基づき有益性(または有害性、もしくは有益性の欠如)を予測すると予想される(Biomarkers Definitions Working Group (2001), Biomarkers and surrogate endpoints: preferred definitions and conceptual framework. Clin. Pharmacol. Ther.;69(3):89-95)。そのようなバイオマーカーはまた、療法に応答した疾患進行をモニタリングするのにしばしば使用される。
医薬組成物
本明細書に提供された医薬製剤は、任意選択の成分として、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤または乳化剤、および当技術分野で利用可能なタイプの塩をさらに含んでもよい。そのような物質の例には、生理緩衝食塩水などの通常の生理食塩水および水が挙げられる。本発明の医薬製剤において有用な担体および/または希釈剤の特定の非限定的な例には、水、およびリン酸緩衝生理食塩水、pH7.0〜8.0などの生理学的に許容される緩衝生理食塩水が挙げられる。適切な薬学的担体には、滅菌水、塩類溶液(リンゲル液など)、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的調製物は滅菌することができ、所望であれば、助剤、例えば、活性化合物と有害に反応しない潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤、および/または芳香物質等と混合することができる。薬学的調製物はまた、所望であれば、代謝分解を低減する他の活性物質、例えば、酵素阻害剤と組み合わせることもできる。
本明細書に提供された医薬製剤は、任意選択の成分として、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤または乳化剤、および当技術分野で利用可能なタイプの塩をさらに含んでもよい。そのような物質の例には、生理緩衝食塩水などの通常の生理食塩水および水が挙げられる。本発明の医薬製剤において有用な担体および/または希釈剤の特定の非限定的な例には、水、およびリン酸緩衝生理食塩水、pH7.0〜8.0などの生理学的に許容される緩衝生理食塩水が挙げられる。適切な薬学的担体には、滅菌水、塩類溶液(リンゲル液など)、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的調製物は滅菌することができ、所望であれば、助剤、例えば、活性化合物と有害に反応しない潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤、および/または芳香物質等と混合することができる。薬学的調製物はまた、所望であれば、代謝分解を低減する他の活性物質、例えば、酵素阻害剤と組み合わせることもできる。
本明細書に提供された化合物は、該化合物に加えて、薬学的に許容される担体、増粘剤、希釈剤、緩衝液、防腐剤、表面活性剤、中性またはカチオン性脂質、脂質複合体、リポソーム、浸透促進剤、担体化合物、および他の薬学的に許容される担体または賦形等を含み得る医薬組成物に製剤化することができる。
医薬組成物はまた、インターフェロン、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬等などの1つまたは複数の活性成分も含むことができる。非経口投与用の製剤には、緩衝液、リポソーム、希釈剤、および他の適切な添加剤も含有し得る滅菌水溶液が挙げられ得る。本明細書に提供された化合物を含む医薬組成物は、化合物の食事性送達を増強するために浸透促進剤を含んでもよい。浸透促進剤は、5つの広義のカテゴリー、すなわち、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、界面活性剤および非界面活性剤の1つに属するものとして分類され得る(Lee et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 8, 91-192 (1991);Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 7, 1-33 (1990))。これらの広義のカテゴリーの1つまたは複数からの1つまたは複数の浸透促進剤が含まれ得る。
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、局所、経鼻、経口、胃腸、気管支内、膀胱内、膣内、子宮内、皮下、筋肉内、関節周囲、関節内、脳脊髄液内(ICSF)、脳組織内(例えば頭蓋内投与)、脊髄内、創傷内、腹腔内もしくは胸腔内、または全身、例えば静脈内、動脈内、門脈内、もしくは心臓などの器官に直接的に投与することができる。
本明細書に提供された化合物は、非経口投与されてもよい。医薬組成物を製造するために、特定の化合物が薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わされることが、時として好ましい。適切な担体および希釈剤には、等張生理食塩水、例えばリン酸緩緩衝生理食塩水が挙げられる。組成物は、非経口、筋肉内、脳内、静脈内、皮下、または経皮投与用に製剤化されてもよい。哺乳動物細胞による核酸の取り込みは、いくつかの公知のトランスフェクション法、例えば、トランスフェクション剤を使用するものによって増強される。投与される製剤は、そのような薬剤を含有してもよい。これらの剤の例には、カチオン性薬剤(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE−デキストラン)およびリポフェクタント(例えばリポフェクタム(商標)およびトランスフェクタム(商標))が挙げられる。
局所投与用の製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴薬、座薬、スプレー、液体、および粉末が挙げられ得る。従来の薬学的担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤等が必要である、または望ましい場合がある。コーティングされた手袋、コンドーム等も有用であり得る。経口投与用の組成物には、粉末もしくは顆粒、水もしくは非水性媒体中の懸濁液もしくは溶液、カプセル、サシェまたは錠剤が挙げられる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が望ましい場合がある。非経口投与用の組成物には、緩衝液、希釈剤および他の適切な添加剤も含有し得る滅菌水溶液が挙げられ得る。いくつかの場合において、治療レジメンの有効性を高めるために、他の伝統的な治療モダリティと併用した化合物で患者を治療することがより有効であり得る。本明細書で使用される場合、用語「治療レジメン」は、治療、緩和および予防モダリティを包含することを意味する。
投薬は、治療される病状の重症度および応答性、ならびに数日から数ヶ月続く治療経過により、または治癒がもたらされる、もしくは病状の縮小が達成されるまでを含むいくつかの要因に依存し得る。本明細書に提供された化合物の毒性および治療的有効性は、細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順によって決定することができる。例えば、LD50(集団の50%に死をもたらす用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するため。毒性作用と治療効果の間の用量比は治療指数であり、それは比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。有毒な副作用を示す化合物が使用され得るが、非感染細胞への潜在的傷害を最小限にするために、そのような化合物を罹患組織の部位にターゲティングする送達系を設計し、それにより副作用を低減する注意が払われるべきである。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量範囲を策定する上で使用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性がほとんどない、または毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内に好ましくはある。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。本発明の方法において使用される任意の化合物に関して、治療有効用量は、細胞培養アッセイから初めに推定することができる。用量は、細胞培養で決定されるようなIC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成するテスト化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルで策定され得る。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するのに使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。投薬スケジュールは、患者の体内における薬物蓄積の測定から計算することができる。
適切な投与量は、投与経路に応じて、例えば、約0.1ugから総用量約1グラムまで変動し得る。特定の投与量および送達方法に関するガイダンスが文献に提供されており、当業者に一般に利用可能である。当業者は、タンパク質またはその阻害剤用とは異なるヌクレオチド用の製剤を使用するであろう。同様に、本明細書に提供された化合物の送達は、特定の細胞、状態、および位置に特異的であろう。一般に、投与量は、体重1kgあたり0.01mg/kgから100mgであり、日、週、月もしくは年に1回もしくはそれ以上、またはさらに低い頻度で与えられてもよい。特定の状態の治療または予防において、適当な投与量レベルは、一般に、患者の体重1kgあたり1日約0.001から100mgであり、単回または複数回で投与することができる。本発明による化合物(例えば、抗体およびその結合断片)は、周知の方法論による投与のための医薬組成物に製剤化することができる。医薬組成物は、例えば、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて1つまたは複数の組換え発現構築物、および/またはそのような構築物の発現産物を含んでもよい。そのような担体は、使用される投与量および濃度においてレシピエントに非毒性となろう。適切な投与量は、典型的には皮内、皮下、筋肉内または静脈内経路、または他の経路により、約0.01μg/kgから約1g/kg体重であり得る。より典型的な投与量は、約1μg/kgから約500mg/kgであり、約10μg/kg、100μg/kg、1mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、50mg/kg、100mg/kg、200mg/kg、300mg/kg、400mg/kg、およびこれらの量内の様々な範囲が、投与のためにさらにより典型的である。投与の回数および頻度が宿主の応答に依存することは、当業者に明白であろう。治療的使用のための「薬学的に許容される担体」は、薬学分野で周知であり、例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A.R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。例えば、生理学的pHの滅菌生理食塩水およびリン酸緩緩衝生理食塩水が使用されてもよい。防腐剤、安定剤、色素およびさらに香味剤が、医薬組成物中で提供されてもよい。例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが、防腐剤として添加されてもよい。同上、1449。さらに、抗酸化剤および懸濁剤が使用されてもよい。同上。
「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物および有機酸もしくは無機酸(酸付加塩)または有機塩基または無機塩基(塩基付加塩)の組み合わせから得られる本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物は、遊離塩基形態または遊離塩形態のどちらかで使用することができ、両方の形態は本発明の範囲内であると見なされる。
しかし、本明細書に提供された医薬組成物は、組成物が患者に投与されるようにするいずれの形態であってもよい。例えば、組成物は、固体、液体または気体(エアロゾル)の形態であってもよい。典型的な投与経路には、経口、局所、非経口(例えば、舌下または口腔)、舌下、直腸、膣、および鼻内が挙げられるが、これらに限定されない。非経口という用語は、本明細書で使用される場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内、陰茎海綿体内、髄腔内、内耳道内、尿道内注射または注入法を含む。医薬組成物は、その中に含有される活性成分が、患者への組成物の投与時に生体利用可能となるように製剤化される。患者に投与される組成物は、1つまたは複数の投与単位の形態をとり、例えば、錠剤は単一投与単位であり得、エアロゾル形態での本発明の1つまたは複数の化合物の容器は、複数の投与単位を保ち得る。
経口投与に関して、賦形剤および/または結合剤が存在してもよい。例は、スクロース、カオリン、グリセリン、デンプンデキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、およびエチルセルロースである。着色剤および/または香味剤が存在してもよい。コーティングシェルが使用されてもよい。
組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルションまたは懸濁液であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であってもよい。経口投与用である場合、好ましい組成物は、1つまたは複数の結合ドメイン−免疫グロブリン融合構築物または発現産物に加えて、1つまたは複数の甘味剤、防腐剤、色素/着色料および調味料を含有する。注射により投与されることが意図される組成物では、1つまたは複数の界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝液、安定剤および等張剤が含まれてもよい。
液体医薬組成物は本明細書で使用される場合、溶液、懸濁液の形態であろうとまたは他の同様の形態であろうと、1つまたは複数の以下の補助剤を含んでもよい:注射用の水、生理食塩水、好ましくは生理学的食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒体として機能し得る合成モノグリセリドまたはジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸またはリン酸などの緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧調整剤。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは反復投与バイアルに封入することができる。生理学的食塩水が好ましい補助剤である。注射用医薬組成物は、好ましくは滅菌されている。
本明細書に記載された化合物は、診断、治療、予防において、ならびに研究試薬としておよびキットで使用することができる。本発明の化合物を検出する手段の提供は、日常的に達成され得る。そのような提供には、酵素共役、放射標識または任意の他の適切な検出系が挙げられ得る。本発明の化合物の存在または非存在を検出するキットもまた調製することができる。
本発明の化合物はまた、研究目的に使用することもできる。故に、化合物によって示される特定の活性またはモダリティが、アッセイ、精製、細胞産物の調製のために、および当業者に理解され得る他の方法論で使用され得る。
本発明の様々な態様が、以下の実験セクションを参照してこれより記載される。これらは実例としてのみ提供され、本発明の範囲に対する制限となるものではないことが理解される。
以下の実施例は、例示のために含まれ、制限するものではない。
[実施例1]
本試験は、GM6にAD薬候補と一致する効果があるかどうかを評価するために行った。本発明者らは、筋萎縮性側索硬化症患者のGM6による短期(2週間)治療が、血漿中タウの有意な治療後減少をもたらしたことを示す(P=0.005)。これと一致して、GM6によるSH−SY5Y細胞の処置は、タウタンパク質をコードするMAPT mRNAの発現を抑制した。マイクロアレイ解析は、ミトコンドリア機能を有するAD関連遺伝子がGM6によって抑制されることをさらに示した(例えば、NDUFB1、NDUFA12、COX5A)。対照的に、遺伝子研究によってADに関連づけられ、アミロイド前駆体タンパク質の異化と関連するいくつかの遺伝子は、GM6によって上方制御された(例えば、SORL1、PICALM)。最後に、本発明者らは、AD患者由来の死後CSFで処置したラット皮質ニューロンの生存率を、GM6が部分的にレスキューすることを示す。これらの知見は、ミトコンドリア機能障害の減弱、および神経原線維変化またはアミロイド斑蓄積を含む、GM6がADに有効となり得る複数の機序を示唆するものである。本発明者らは、12名のALS患者による最近のフェーズ2A治験からのタウタンパク質の変化、GM6発現シグネチャのマイクロアレイおよび生物情報学的解析、ならびにAD患者由来の死後CSF内の細胞毒に対するGM6の保護効果を評価するインビトロ試験からの結果を報告する。
本試験は、GM6にAD薬候補と一致する効果があるかどうかを評価するために行った。本発明者らは、筋萎縮性側索硬化症患者のGM6による短期(2週間)治療が、血漿中タウの有意な治療後減少をもたらしたことを示す(P=0.005)。これと一致して、GM6によるSH−SY5Y細胞の処置は、タウタンパク質をコードするMAPT mRNAの発現を抑制した。マイクロアレイ解析は、ミトコンドリア機能を有するAD関連遺伝子がGM6によって抑制されることをさらに示した(例えば、NDUFB1、NDUFA12、COX5A)。対照的に、遺伝子研究によってADに関連づけられ、アミロイド前駆体タンパク質の異化と関連するいくつかの遺伝子は、GM6によって上方制御された(例えば、SORL1、PICALM)。最後に、本発明者らは、AD患者由来の死後CSFで処置したラット皮質ニューロンの生存率を、GM6が部分的にレスキューすることを示す。これらの知見は、ミトコンドリア機能障害の減弱、および神経原線維変化またはアミロイド斑蓄積を含む、GM6がADに有効となり得る複数の機序を示唆するものである。本発明者らは、12名のALS患者による最近のフェーズ2A治験からのタウタンパク質の変化、GM6発現シグネチャのマイクロアレイおよび生物情報学的解析、ならびにAD患者由来の死後CSF内の細胞毒に対するGM6の保護効果を評価するインビトロ試験からの結果を報告する。
本発明者らは、フェーズ2A試験においてALS患者由来のCSFおよび血漿中のタウタンパク質を調べた。フェーズ2A試験中、患者は2週間にわたりGM6またはプラセボの6回投与を受け(受診1〜6)、次いで治療後10週間モニタリングされた(受診7および8)(図1)。最終のGM6治療後、GM6治療患者由来のCSFでタウ減少のわずかな証拠があった(P=0.095;図1B)。血漿では、全てのGM6治療患者が、受診6と7の間の治療後期間にタウ減少を示した(図1Bおよび1D;P=0.005)。ALS患者における短期GM6治療は、故に、血漿中タウの有意な治療後減少をもたらした(図1D)。
タウを低下させることがADを治療する戦略の1つであるため、フェーズ2A血漿バイオマーカータウデータは、GM6がADを治療するための治療選択肢となり得る肯定的な兆しを示すことを示すものである。
[実施例2]−生物情報学的解析および作用機序
DNAマイクロアレイを使用して、GM6および対照処置SH−SY5Y細胞における遺伝子発現を比較した(1回の処置あたり、n=2複製物;48時間のGM6処置)。KEGG AD病経路(hsa05010)に基づき、本発明者らは171個のAD関連遺伝子を同定し、このうち134個がSH−SY5Y細胞において検出可能なレベルで発現した(図2)。これらの134個のAD関連遺伝子のうち、22個はGM6により増加したが、より多く(62個)はGM6により減少した(図2)。集団として、シミュレーション解析は、134個のAD関連遺伝子が、SH−SY5Y細胞によって発現される無作為に採取された遺伝子セットと比較して、GM6により減少する可能性が平均的にはるかに高いことを示した(図3A)。62個のAD関連GM6減少遺伝子は、ミトコンドリアと関連する遺伝子オントロジー(GO)生物学的プロセス(BP)タームと高い頻度で関連づけられた(図3C)。特に、微小管関連タンパク質タウをコードするMAPT mRNAは、GM6によって下方制御された(FC=0.71;FDR=0.023;図2)。
DNAマイクロアレイを使用して、GM6および対照処置SH−SY5Y細胞における遺伝子発現を比較した(1回の処置あたり、n=2複製物;48時間のGM6処置)。KEGG AD病経路(hsa05010)に基づき、本発明者らは171個のAD関連遺伝子を同定し、このうち134個がSH−SY5Y細胞において検出可能なレベルで発現した(図2)。これらの134個のAD関連遺伝子のうち、22個はGM6により増加したが、より多く(62個)はGM6により減少した(図2)。集団として、シミュレーション解析は、134個のAD関連遺伝子が、SH−SY5Y細胞によって発現される無作為に採取された遺伝子セットと比較して、GM6により減少する可能性が平均的にはるかに高いことを示した(図3A)。62個のAD関連GM6減少遺伝子は、ミトコンドリアと関連する遺伝子オントロジー(GO)生物学的プロセス(BP)タームと高い頻度で関連づけられた(図3C)。特に、微小管関連タンパク質タウをコードするMAPT mRNAは、GM6によって下方制御された(FC=0.71;FDR=0.023;図2)。
KEGG AD経路ダイアグラムの検討により、6つのミトコンドリア成分の5つがGM6によって下方制御されたことが明らかにされた(図4)。電位依存性カルシウムチャネル(CACNA1F)およびFas関連デスドメイン(Fas associated via death domain)(FADD)をコードする遺伝子を含む複数の上流経路成分も、GM6により抑制された(図4)。
本発明者らは、NHGRI−EBI GWASカタログおよびOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)データベースを使用して、遺伝子解析によってADに関連づけられた遺伝子を同定した。そのような遺伝子は、GM6によって不釣り合いに誘導された(GWASカタログ:202遺伝子、P=0.026;OMIM:14遺伝子、P=0.002;n=2000回シミュレーション試行)。ADと遺伝的に関連するGM6増加遺伝子は、アミロイド前駆体タンパク質の異化およびニューロン形態形成に関与していた(図5)。
最後に、本発明者らは、ALSおよびAD患者由来の死後CSFに曝露後のラット皮質ニューロンを、GM6がレスキューし得るかどうかを評価した(図6)。神経変性疾患がない対照患者由来のCSFで処置したニューロン培養物(48時間)は、生存率の低下を示さなかったが、ALSまたはAD患者由来のCSFは、生存率が60%低下した(図6)。両方の疾患に関して、GM6は、部分的レスキューを提供し、細胞生存率が有意に改善した(図5)。GM6は、故に、ALSおよびAD CSFにおいて細胞毒性因子によって誘導される細胞死を改善した。これは、GM6が複数の神経変性疾患による細胞死と闘い得るという概念を支持する。これらの知見は、AD薬候補としてのGM6の試験に対する支持および根拠を提供し、この文脈でGM6が神経変性を遅らせ得る複数の機序を示唆するものである。
GM6で治療したALS患者では、血漿中タウが治療後有意に減少し(図1D)、これと一致して、GM6はSH−5YSY細胞においてMAPT mRNAを抑制した(図2)。マイクロアレイ解析は、ADと関連するミトコンドリア遺伝子が、GM6によって優位に下方制御され(図3および4)、一方、APP異化と関連するいくつかを含む、遺伝子研究によってADに関連づけられた遺伝子は上方制御されることをさらに示した(例えば、SORL1;図5)。本発明者らは、AD患者由来の死後CSFを用いて培養したラット皮質ニューロンにおける生存率を、GM6が部分的にレスキューすることをさらに示した(図6)。
これらのデータは、GM6が、ミトコンドリア機能障害(例えば、ROS生成、内因アポトーシスの調節異常)を減弱し、タウ発現および蓄積(MAPT)を制限し、ならびにAPP異化を強化することにより、AD関連ニューロン喪失を防ぎ得ることを示唆している。AD患者におけるGM6の臨床的有効性に取り組むために、無作為化二重盲検プラセボ対照試験からの長期データが必要とされる。
追加の生物情報学的解析
培養SH−5YSY細胞を様々な時間、GM6で処置したインビトロ試験から生成した6つのデータセットに関して、分析を反復した(表1)。
培養SH−5YSY細胞を様々な時間、GM6で処置したインビトロ試験から生成した6つのデータセットに関して、分析を反復した(表1)。
データセット(1)は、DNAマイクロアレイ技術および2つの技術的反復を用いて生成された。これらのデータに関して、差次的発現解析は、推定倍変化(FC)値およびFDR推定値に基づき行われる。技術的反復および非生物学的反復がこの実験で使用されたため、FDR推定値はヒューリスティックな目的で計算されるが、真のFDR推定値(生物学的複製を必要とすることになる)ではない。
データセット(2)〜(6)は、RNA−seq技術を用いて生成され、実験はSunny Biodiscovery(サンタ・ポーラ、CA)またはSBH Sciences(ナティック、MA)の研究所によって実施された。データセット(2)〜(4)に関して、RNA−seqデータはUniversity of Michigan(アン・アーバー、MI)の中核施設によって生成されたが、データセット(5)および(6)のRNA−seqは、Phalanx Biotech(サンディエゴ、CA)によって実施された。
遺伝子は、7つのデータベースソースの1つまたは複数からの関連に基づきADに関連づけられた(表2)。使用したデータベースは、遺伝子をAD関連遺伝子として同定するための基準および厳密性の点で異なる。この報告に含まれる全ての解析は、7つのデータベースソースの少なくとも2に基づきADに関連づけられた遺伝子を用いて行った。この報告で浮かび上がった全ての遺伝子は、故に少なくとも2つの異なるソースによってADに関連づけられ、多くの遺伝子が、いくつかのソースに基づきADに関連づけられた(表2)。
(3)結果
5つ以上のソースに基づきADに関連づけられた遺伝子の平均倍変化(GM6/CTL)は、3つのデータセットに関して有意に増加した(アレイ 48時間;UM RNA−seq 48時間;SBH RNA−seq 24時間;図7および8)。例えば、マイクロアレイ試験に関して、5+ソースに基づきADに関連づけられた24個のAD関連遺伝子は30%増加した。これは、無作為に採取された24個の遺伝子セットで観察されるよりも有意に強い増加である(P=0.001;図7B)。全体として、GM6による24時間以上のSH−SY5Y細胞の処置は、AD関連遺伝子の発現を増加させる傾向があるという一般的傾向があった(表3)。
5つ以上のソースに基づきADに関連づけられた遺伝子の平均倍変化(GM6/CTL)は、3つのデータセットに関して有意に増加した(アレイ 48時間;UM RNA−seq 48時間;SBH RNA−seq 24時間;図7および8)。例えば、マイクロアレイ試験に関して、5+ソースに基づきADに関連づけられた24個のAD関連遺伝子は30%増加した。これは、無作為に採取された24個の遺伝子セットで観察されるよりも有意に強い増加である(P=0.001;図7B)。全体として、GM6による24時間以上のSH−SY5Y細胞の処置は、AD関連遺伝子の発現を増加させる傾向があるという一般的傾向があった(表3)。
第2のアプローチは、発現が上昇または抑制されたかどうかにかかわらず、他の遺伝子と比べて、AD関連遺伝子がGM6刺激に対してより応答したかどうかを評価することであった。故に、平均絶対倍変化[abs(log2(GM6/CTL))]を検定統計量として、上記の解析を繰り返した(図9および10)。これは、上記で同定されたいくつかの傾向を確認したが、4+データベースソースによってADに関連づけられた遺伝子に関して、および2つのデータセットについてのみであった(アレイ 48時間;UM RNA−seq 48時間;図10Aおよび10D)。
上記に記載した遺伝子セット解析は、AD関連遺伝子に対するGM6の平均効果を評価する(すなわち、遺伝子セット解析;図7〜10)。表3は、これらの解析および2つの代替解析方法から生成されたp値を要約している。まとめると(表3;図7〜10)、これらの結果は、GM6がAD関連遺伝子の発現に対して方向効果を有し、AD関連遺伝子の発現を減少させるよりむしろAD関連遺伝子を増加させる傾向があることを示唆している。
ADとの関連が、強い証拠によって最も頑健に支持される個々の遺伝子の間の傾向を調べることは有益である。全体として、4535個の遺伝子が、少なくとも1つのデータベースソースに基づきADに関連づけられると同定されたが、これらのごく一部のみが複数のソースに基づきADに関連づけられた(データ不図示)。1個の遺伝子、アポリポタンパク質E(APOE)のみが、解析に組み込まれた7つ全てのデータベースに基づきADに関連づけられた(表2)。RNA−seq知見にはGM6がAPOE発現を増加させることを実証する明らかな傾向があり、1つの実験はGM6処置の48時間後に2.86倍の増加を実証した(P=0.000697;データ不図示)。
同様に、6つ以上のデータベースソースに基づくADと関連する7個の遺伝子があり、これらのうち6個が、少なくとも1つの比較に関してGM6によって有意に変化した(P<0.05;PSEN2、PSEN1、APP、ADAM10、MAPT、SORL1;データ不図示)。これらのうち、最も高い頻度で変化したのは微小管関連タンパク質タウ(MAPT)であり、マイクロアレイデータセットに関して有意に減少した(FC=0.71;P=0.00721)が、対照的に、RNA−seqデータセットに関連する3つの比較に関しては有意に増加した(P≦0.000586で23〜38%増加;データ不図示)。
2つ以上データベースソースに基づきADに関連づけられた遺伝子のうち、マイクロアレイデータセットにおいて最も強く増加した遺伝子は、IREB2、GNAQおよびRGS4を含み、最も強く減少した遺伝子は、NDUFB1、NDUFB7およびNDUFA12を含んだ(FDR<0.10;図5B)。RNA−seq解析は、EDNRB(FC=3.82)、ACHE(FC=3.61)およびPTGS1(FC=3.61)の強い発現増加、ならびにDOCK2(FC=0.38)、COX4l2(FC=0.48)およびNEDD9(FC=0.54)の強い発現減少を実証した(図12)。
UMおよびSBH RNA−seqデータセットは、最も良好に反復され(1回の処置あたりn=3〜5)、故にさらなる解析を行って、これらの実験から同定されたGM6制御遺伝子を特徴付けた(図13および14)。UM RNA−seqデータセットに関して、評価した3つの時点全ての中から、合計64個のGM6増加AD関連遺伝子および30個のGM6減少AD関連遺伝子を同定した(FDR<0.10)。64個のGM6増加遺伝子は、死の制御、ベータアミロイド形成の負の制御、およびコレステロールの流出の正の制御と有意に関連した(図12A)が、30個のGM6減少AD関連遺伝子は、細胞走化性、白血球遊走の制御、および挙動の正の制御と有意に関連した(図12B)。同様に、SBH RNA−seqデータセットに関して、評価した2つの時点から、合計97個のGM6増加AD関連遺伝子および47個のGM6減少AD関連遺伝子を同定した(FDR<0.10)。97個のGM6増加AD関連遺伝子は、局在化の制御、細胞死の制御、および二価金属イオンの輸送と関連した(図14A)が、47個のGM6減少AD関連遺伝子は、核酸塩基小分子代謝、ヌクレオチド代謝およびリボースリン酸代謝と関連した(図14B)。
GM6遺伝子制御のパターンを、ADダイアグラムにおけるKEGG経路を用いて可視化した(hsa05010)。このダイアグラムは、ヒトADの様々な形態において最も多く活性化または阻害される経路に対する遺伝子マッピングを提供する。該経路は、アポトーシスの誘導、APPプロセシング、遺伝子発現の調節、酸化的リン酸化、ニューロン損傷、および神経原線維変化と集合的に関係している(図15〜20)。これらのダイアグラムは、いくつかの上流制御因子がGM6によって有意に変化することを明らかにした(図15〜20)。RNA−seq解析に関して、GM6によって上方制御される遺伝子は、上流成分LRP、NMDAR、ApoE、VDCC、NEPおよびPLCと関連し、GM6によって下方制御される遺伝子は、上流成分BACEおよびRyRと関連した(図15〜20)。マイクロアレイおよびRNA−seqデータセットの両方に関して、ミトコンドリア成分と関連する遺伝子の下方制御の傾向があり、最も強い効果が、SH−5YSY細胞の長期処置について観察された(すなわち、≧24時間;図15、16、17および20)。
(4)結論
GM6によって制御されるAD関連遺伝子を同定し、そのような遺伝子の機能特性を特徴付けした。GM6は、SH−5YSYにおけるAD関連遺伝子の発現を高い頻度で増加させ、より強い傾向が24時間以上処置した細胞で観察された(図7〜10)。GM6によるAD関連遺伝子発現の調節を、故に処置期間の延長によって最大化した(>24時間)。解析はまた、AD発症および進行に対して潜在的に重要な効果を有するGM6制御遺伝子も同定した(図21)。これらの遺伝子を、(1)遺伝子リスクの調節、(2)Aβ分解/クリアランスの増大によるAβ産生の阻害、(3)神経炎症の阻害、および(4)内因性アポトーシスカスケードの阻害を含む、4つの仮定された作用機序に関して分類した(図21)。
GM6によって制御されるAD関連遺伝子を同定し、そのような遺伝子の機能特性を特徴付けした。GM6は、SH−5YSYにおけるAD関連遺伝子の発現を高い頻度で増加させ、より強い傾向が24時間以上処置した細胞で観察された(図7〜10)。GM6によるAD関連遺伝子発現の調節を、故に処置期間の延長によって最大化した(>24時間)。解析はまた、AD発症および進行に対して潜在的に重要な効果を有するGM6制御遺伝子も同定した(図21)。これらの遺伝子を、(1)遺伝子リスクの調節、(2)Aβ分解/クリアランスの増大によるAβ産生の阻害、(3)神経炎症の阻害、および(4)内因性アポトーシスカスケードの阻害を含む、4つの仮定された作用機序に関して分類した(図21)。
アポリポタンパク質E(APOE)をコードする遺伝子は、両方のRNA−seq試験でGM6によって有意に増加し、GM6処置の48時間後、3倍近く上昇した(FC=2.86;P=0.000697)。APOEは、本解析に含まれた7つのデータベースソース全てに基づきADに関連づけられた唯一の遺伝子であった。これは、極めて高い信頼度の遺伝子−疾患関連を示すものである(データ不図示)。APOE遺伝子のバリアントは、遅発性ADの最も重要な遺伝子リスク因子である(PMID:23296339)。該遺伝子は、リポタンパク質成分の異化を媒介するカイロミクロンアポタンパク質をコードする。特にAPOE e4対立遺伝子は、ADにおける病的バリアントとして同定されているが、e4バリアントが、毒性機能の獲得または保護機能の喪失によりADリスクを増大させるかどうかは不明なままである。潜在的に、GM6によるAPOE発現の上方制御は、APOE e4担体において好ましい代償効果を有し得る。これは、GM6の効果が表現型依存性であり得、e2またはe3バリアントを有するものと比べて、病的e4バリアントを有するものにおいて異なる応答が観察されたことを示唆する。この可能性の重要な帰結は、ADに対するGM6の効果を評価する臨床試験を設計し、表現型特異的治療応答の検出を可能にするために分析すべきであるということである。
AD病理における細胞外Aβ斑の役割は、広範な議論の対象となっている(PMID:28994715)。AD関連認知症の媒介物質としての推定上の役割に加えて、Aβ斑は、頭蓋内出血の長期リスクを増加させる得る血管障害を促進すると考えられている(PMID:29120920)。本解析は、PLAU(プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ)、NGFR(神経成長因子受容体)、およびCACNA1G(カルシウム電位依存性チャネルサブユニットアルファ1 G)の上方制御、ならびにCLU(クラスタリン)およびRYR3(リアノジン受容体3)の下方制御を含む、GM6がAβ斑負荷を減弱し得るいくつかの機序を同定した(図15)。PLAUは、Aβ斑に寄与すると考えられる分泌セリンプロテアーゼをコードするのに対し(PMID:15615772)、NGFRは、Aβ毒性に対する保護機能を有する(PMID:25917367)。CACNA1Gは、神経伝達物質放出に関与するカルシウムシグナル伝達に寄与する電位感受性カルシウムチャネルをコードし、ADは、CACNA1G発現の加齢に伴う減少を増悪するようである(PMID:24268883)。クラスタリン(CLU)は、ADおよび他の疾患の治療標的として登場し、その存在量はAD脳で上昇し、Aβ斑存在量に影響を与えると考えられている(PMID:27978767)。最後に、RYR3は、Aβ斑産生を媒介し、ADのより後期に急性病的効果を有し得る、細胞内カルシウム放出を制御するリアノジン受容体をコードする(PMID:22915123)。GM6に対するこれらの遺伝子発現応答全体が、それ故に、認知的加齢の過程においてAβ斑の蓄積低減に有利に働き得る。
慢性神経炎症は、AD、パーキンソン病および多発性硬化症などの加齢の複数の神経変性疾患に寄与する(PMID: 28790893)。神経炎症の制御因子は、それ故に、そのような疾患の治療標的として登場した(PMID: 25652642)。炎症性反応の成分として、DOCK2(dedicator of cytokinesis 2)は、リンパ球遊走を促進することが実証されており、末梢血白血球およびミクログリアで高度に発現される。DOCK2発現は、6時間のGM6処置によって下方制御された(FC=0.38;P=7.51e−06)が、24時間のGM6処置は、DOCK2発現を増加させた(FC=2.09;P=0.0168)。DOCK2発現のGM6の効果は、それ故に時間依存性であるが、観察された最も強い応答は、短期の6時間の処置時間後に下方制御された。DOCK2は、AD脳内のミクログリア細胞の自然免疫状態を制御するため、この短期の応答はADの設定において有益であり得(PMID:19729484)、DOCK2の除去は、Aβ斑レベルを低減することが示された。これは、DOCK2が有効な治療標的となり得ることを示唆している(PMID:23318649)。
アポトーシス率の上昇は、ADの特徴のようであり、ニューロン喪失に寄与し得る(PMID:25322820)。そのようなアポトーシス性ニューロン死は、ミトコンドリアに局在化したカスケードに大きく媒介され(PMID:14555243)、ミトコンドリアはAβ斑毒性をさらに促進するようである(PMID:11387250)。この試験は、48時間のGM6処置後にCOX4I2(シトクロムcオキシダーゼサブユニット4I2)の有意な下方制御を見出した(FC=0.48;P=7.71e−07)。この遺伝子は、ミトコンドリア呼吸鎖の末端酵素である、酵素シトクロムcオキシダーゼ(COX)のサブユニットをコードする。様々な時点でGM6によって下方制御される他のミトコンドリア関連遺伝子には、NDUFS2、NDUFB8、NDUFS4およびCOX10が挙げられる(図15)。これらの結果は、GM6がミトコンドリアの活性および/または存在量に対する阻害効果を有している可能性があり、内因性経路を通じたアポトーシスの減少および/または活性酸素種の産生低下に寄与し得ることを示している(PMID:19853657)。
[実施例3]
GM6は重要なCNS治療的処置戦略として血液脳関門を通過することができる
脳に移行する能力をテストした。C57BL6マウスを、0.2および2.0mg/kgでGM6の単回ボーラスIV尾静脈注射により注射した。4時間時点で、動物をと殺し、脳の半分をELISA解析用に凍結させた。脳ホモジネートからの上清を用いたELISAアッセイは、対照と比較して、用量依存的に全ての用量で統計的に有意なレベルでGM6を検出した(P=0.0001)(図22を参照のこと)。
GM6は重要なCNS治療的処置戦略として血液脳関門を通過することができる
脳に移行する能力をテストした。C57BL6マウスを、0.2および2.0mg/kgでGM6の単回ボーラスIV尾静脈注射により注射した。4時間時点で、動物をと殺し、脳の半分をELISA解析用に凍結させた。脳ホモジネートからの上清を用いたELISAアッセイは、対照と比較して、用量依存的に全ての用量で統計的に有意なレベルでGM6を検出した(P=0.0001)(図22を参照のこと)。
結論
本発明者らの結果は、ALS患者が、GM6による治療によって有意に減少する血漿中タウ存在量を有することを示している(図1D)。本発明者らはまた、GM6がSH−5YSY細胞におけるMAPT mRNAを抑制したことも示している(図2)。マイクロアレイ解析は、ADと関連するミトコンドリア遺伝子が、GM6によって優位に下方制御され(図3および4)、一方、APP異化と関連するいくつかを含む、遺伝子研究によってADに関連づけられた遺伝子は上方制御されることをさらに示した(例えば、SORL1;図5)。本発明者らは、AD患者由来の死後CSFを用いて培養したラット皮質ニューロンにおける生存率を、GM6が部分的にレスキューすることをさらに示した(図6)。RNA−seqは、追加の有意に上方または下方制御されたAD関連遺伝子を同定した。これらの遺伝子を、(1)遺伝子リスクの調節、(2)Aβ分解/クリアランスの増大によるAβ産生の阻害、(3)神経炎症の阻害、および(4)内因性アポトーシスカスケードの阻害を含む、4つの仮定された作用機序に関して分類した。脳に達するGM6の能力、およびAD患者のCSFにおける毒性効果に対するニューロンのためのGM6の神経保護は、上記に概説した作用機序を通じた、ADに対する可能性のある治療的処置であるという結論を支持するものである。
本発明者らの結果は、ALS患者が、GM6による治療によって有意に減少する血漿中タウ存在量を有することを示している(図1D)。本発明者らはまた、GM6がSH−5YSY細胞におけるMAPT mRNAを抑制したことも示している(図2)。マイクロアレイ解析は、ADと関連するミトコンドリア遺伝子が、GM6によって優位に下方制御され(図3および4)、一方、APP異化と関連するいくつかを含む、遺伝子研究によってADに関連づけられた遺伝子は上方制御されることをさらに示した(例えば、SORL1;図5)。本発明者らは、AD患者由来の死後CSFを用いて培養したラット皮質ニューロンにおける生存率を、GM6が部分的にレスキューすることをさらに示した(図6)。RNA−seqは、追加の有意に上方または下方制御されたAD関連遺伝子を同定した。これらの遺伝子を、(1)遺伝子リスクの調節、(2)Aβ分解/クリアランスの増大によるAβ産生の阻害、(3)神経炎症の阻害、および(4)内因性アポトーシスカスケードの阻害を含む、4つの仮定された作用機序に関して分類した。脳に達するGM6の能力、およびAD患者のCSFにおける毒性効果に対するニューロンのためのGM6の神経保護は、上記に概説した作用機序を通じた、ADに対する可能性のある治療的処置であるという結論を支持するものである。
Claims (22)
- 患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のAPOE e2、APOE e3、およびAPOE e4からなる群から選択されるアポリポタンパク質E(APOE)の1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの発現レベルを検出することを含み、前記1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの対照発現レベルと比較した、前記試料中の前記1つまたは複数の遺伝子バリアントの差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、APOE e2、APOE e3、およびAPOE e4からなる群から選択されるアポリポタンパク質E(APOE)の1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法。
- 患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のPLAU、NGFR、CACNA1G、CLU、およびRYR3からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、前記試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、PLAU、NGFR、CACNA1G、CLU、およびRYR3からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子の発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法。
- 患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のDOCK2、VEGFA、IL6R、HMGB1およびPTK2Bからなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、前記試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、DOCK2、VEGFA、IL6R、HMGB1およびPTK2Bからなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子の発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法。
- 患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のCOX412、NDUFS2、NDUFB8、NDUFS4およびCOX10からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、前記試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、COX412、NDUFS2、NDUFB8、NDUFS4およびCOX10からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子の発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法。
- 患者におけるアルツハイマー病を診断する方法であって、前記患者由来の生物学的試料中のABCA7、CLU、CR1、PICALM、PLD3、TREM2、およびSORL1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するステップを含み、前記1つまたは複数の遺伝子の対照発現レベルと比較した、前記試料中の前記1つまたは複数の遺伝子の差次的発現がアルツハイマー病を示す、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、ABCA7、CLU、CR1、PICALM、PLD3、TREM2、およびSORL1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子または遺伝子バリアントの発現を調節することにより、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失または機能障害を阻害または予防するステップを含む方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失を阻害または予防するステップを含み、GM6の投与が、以下の遺伝子:NDUFB1、NDUFA12、COX5A、ATP5O、COX7B、COX7A2、NDUFB7、NDUFB2、NDUFAB1、COX6C、NDUFC1、NDUFB6、NDUFB4、COX7C、UQCRH、NDUFA2、NDUFA8、NDUFS6、NDUFA7、NDUFB11、NDUFB10、NDUFS5、NDUFB9、NDUFA13、ATP5D、NDUFS8、NDUFA6、COX5B、NDUFS4、NDUFA1、COX6B1、NDUFS3、UQCRQ、PSENEN、NDUFA9、FADD、CALM3、COX8A、ATP5G3、PPP3CA、PLCB2、NDUFB3、COX4I1、CYC1、HSD17B10、CYCS、SDHB、CDK5、NDUFA5、APH1A、NDUFB5、COX7A2L、ATP5C1、ATP5F1、CACNA1F、MAPT、MAPK3、BAD、COX6B2、FAS、ATP5J、およびUQCRBの1つまたは複数を調節することによりミトコンドリア媒介細胞死を阻害する、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失を阻害または予防するステップを含み、GM6の投与が、以下の遺伝子:CLU、SORL1、PICALM、GNAQ;IDE;ADAM10;PSEN1;PPP3CB;CASP3、CASP9、ITPR3、GSK3B、RTN3、BACE1、CDK5R1、ITPR2、EIF2AK3、ADAM17、CALML4、NCSTN、ATP5B、ATF6、APP、ATP2A1、PLCB4の1つまたは複数を調節することにより、アミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させる、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、タウ(MAPT)の発現および蓄積を制限することによりアルツハイマー病を阻害または予防するステップを含む方法。
- GM6の投与が、NDUFB1;NDUFA12;COX5A;ATP5O;COX7B;COX7A2;NDUFB7;NDUFB2;NDUFAB1;COX6C;NDUFC1;NDUFB6;NDUFB4;COX7C;UQCRH;NDUFA2;NDUFA8;NDUFS6;NDUFA7;NDUFB11;NDUFB10;NDUFS5;NDUFB9;NDUFA13;ATP5D;NDUFS8;NDUFA6;COX5B;NDUFS4;NDUFA1;COX6B1;NDUFS3;UQCRQ;PSENEN;NDUFA9;FADD;COX8A;ATP5G3;PLCB2;NDUFB3;COX4I1;NDUFB5から選択される遺伝子を調節することによりミトコンドリア媒介細胞死を阻害する、請求項11に記載の方法。
- GM6の投与が、NDUFB1;NDUFA12;COX5A;ATP5O;およびCOX7Bから選択される遺伝子を調節することによりミトコンドリア媒介細胞死を阻害する、請求項11に記載の方法。
- GM6の投与が、GNAQ;IDE;ADAM10;PSEN1;PPP3CB;およびCASP3から選択される遺伝子を調節してアミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させる、請求項12に記載の方法。
- GM6の投与が、CLU、SORL1、PICALMから選択される遺伝子を調節してアミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させる、請求項12に記載の方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、i)対象にアミノ酸FSRYARからなるMNTFペプチド(GM6)を投与して、アルツハイマー病に関連するニューロン喪失を阻害または予防するステップを含み、GM6の投与が、以下の遺伝子:VLDLR、SORL1、C3orf17、STK11、RNF6、CNTN1、STK24、RELN、MAN2A1、TMEM106B、PICALM、CTNNA2、FARP1、APBB2、APP、PSEN1、ADAM10の1つまたは複数を調節することにより、樹状突起形態形成、神経発生、または軸索発達を増加させる、方法。
- アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、
i)患者を選択するステップと、
ii)前記患者において、NDUFB1、NDUFA12、COX5A、ATP5O、COX7B、COX7A2、NDUFB7、NDUFB2、NDUFAB1、COX6C、NDUFC1、NDUFB6、NDUFB4、COX7C、UQCRH、NDUFA2、NDUFA8、NDUFS6、NDUFA7、NDUFB11、NDUFB10、NDUFS5、NDUFB9、NDUFA13、ATP5D、NDUFS8、NDUFA6、COX5B、NDUFS4、NDUFA1、COX6B1、NDUFS3、UQCRQ、PSENEN、NDUFA9、FADD、CALM3、COX8A、ATP5G3、PPP3CA、PLCB2、NDUFB3、COX4I1、CYC1、HSD17B10、CYCS、SDHB、CDK5、NDUFA5、APH1A、NDUFB5、COX7A2L、ATP5C1、ATP5F1、CACNA1F、MAPT、MAPK3、BAD、COX6B2、FAS、ATP5J、およびUQCRB;CLU、SORL1、GNAQ、IDE;ADAM10、PSEN1;PPP3CB;CASP3、CASP9、ITPR3、GSK3B、RTN3、BACE1、CDK5R1、ITPR2、EIF2AK3、ADAM17、CALML4、NCSTN、ATP5B、ATF6、ATP2A1、およびPLCB4;VLDLR、C3orf17、STK11、RNF6、CNTN1、STK24、RELN、MAN2A1、TMEM106B、PICALM、CTNNA2、FARP1、APBB2、APPからなる群から選択される、アルツハイマー病のバイオマーカーを定量化するステップと、
iii)前記バイオマーカーの量が、選択された対象の所定のレベルと十分に異なると判定される場合、前記患者をアルツハイマー病の治療を必要とすると分類するステップと、
iv)治療を必要とすると分類された対象にアミノ酸FSRYAR[配列番号2]からなるMNTFペプチド(GM6)を投与して上記のバイオマーカーの1つまたは複数を制御し、GM6の投与が、ミトコンドリア媒介細胞死を阻害し、アミロイド前駆体タンパク質の異化を増加させ、またはタウ(MAPT)の発現および蓄積を制限するステップと、
v)前記バイオマーカーの前記制御をアルツハイマー病進行の改善と相関させるステップと
を含む方法。 - GM6が、別の薬物または療法と組み合わせて使用される、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
- GM6が静脈内投与される、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
- GM6が経口投与される、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
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