JP2020514256A - 抗pcnaモノクローナル抗体及びその使用 - Google Patents

抗pcnaモノクローナル抗体及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、細胞質PCNAに対する増加された結合親和性を有しNKp44とのその相互作用を阻止するモノクローナル抗体又はその抗原結合部分を提供する。本発明はさらに、癌などの、NKp44の上昇した発現に関連する疾患の治療における抗体又はその抗原結合部分の使用を提供する。【選択図】図1A

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2016年12月15日に出願された米国仮特許出願第62/434,532号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、モノクローナル抗体の分野である。
発明の背景
NKp44 RNAの選択的スプライシングは、受容体の細胞質部分の中の免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)の存在によって分けることができる3つのスプライスバリアントを生じる。NKp44−1アイソフォームはITIM陽性であることが示され、一方でNKp44−2及びNKp44−3アイソフォームはITIM陰性である。ITIMは、NKp44−PCNA(増殖細胞核抗原)相互作用の阻害の性質を仲介する。
NKp44−1対PCNA相互作用に高度に特異的で、この相互作用を阻止する能力を有する薬剤を開発する必要がある。
発明の概要
本発明は、PCNAに対する増加した結合親和性を有するモノクローナル抗体又はその抗原結合部分を提供する。都合がよいことに、本明細書に記載の抗体は中和抗体である。本発明はさらに、NKp44、特に、NKp44−1と関連する疾患の治療におけるこれらの抗体又はその抗原結合部分の使用のためなどの、組成物、キット及び方法を提供する。本発明はさらに、癌などの非核PCNA関連疾患の検出及び診断におけるこれらの抗体又はその抗原結合部分の使用のためなどの、組成物、キット及び方法を提供する。
一態様によれば、本発明は、3つの重鎖CDR(CDR−H)及び3つの軽鎖CDR(CDR−L)を含む抗体又はその抗原結合部分を提供し、
CDR−H1は、配列番号1(GFSFNI)及び配列番号21(IYAMN)から選択されるアミノ酸配列を含み、
CDR−H2は、配列番号2(RIRSKSNNYATY)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−H3は、配列番号3(HPNYSGFNYPFAS)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−L1は、配列番号4(RSSQSIVHSNGKTYFE)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−L2は、配列番号5(KVSNRFS)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−L3は、配列番号6(FQGSHVPYT)に記載のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態によれば、抗体又はその抗原結合部分の上記CDR−H1は、配列番号22(GFSFNIYAMN)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態によれば、抗体又はその抗原結合部分の上記CDR−H2は、配列番号23(RIRSKSNNYATYYADSVKD)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変領域重鎖を含む。いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号9のアミノ酸配列を含む定常領域重鎖を含む。
いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変領域軽鎖を含む。いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号10のアミノ酸配列を含む定常領域軽鎖を含む。
別の態様によれば、本発明は、3つの重鎖CDR(CDR−H)及び3つの軽鎖CDR(CDR−L)を含む抗体又はその抗原結合部分を提供し、
CDR−H1は、配列番号11(VYAFSS)及び配列番号24(SSWMN)から選択されるアミノ酸配列を含み、
CDR−H2は、配列番号12(RIYPADGDTN)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−H3は、配列番号13(WLRAMDY)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−L1は、配列番号14(KASQNVGTNVA)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−L2は、配列番号15(SASYRYS)に記載のアミノ酸配列を含み、
CDR−L3は、配列番号16(QQYNSYPYT)に記載のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態によれば、抗体又はその抗原結合部分の上記CDR−H1は、配列番号25(VYAFSSSWMN)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態によれば、抗体又はその抗原結合部分の上記CDR−H2は、配列番号26(RIYPADGDTNYNGNFRG)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号17のアミノ酸配列を含む可変領域重鎖を含む。いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号19のアミノ酸配列を含む定常領域重鎖を含む。
いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号18のアミノ酸配列を含む可変領域軽鎖を含む。いくつかの実施形態によれば、上記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号20のアミノ酸配列を含む定常領域軽鎖を含む。
一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、Fv、Fab、F(ab’)2、scFV又はscFV断片からなる群から選択される。
一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、PCNAへの増加された結合親和性を有する。一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、PCNAとNKp44−1の間の相互作用を阻止する能力を有する。
別の態様によれば、本発明は、抗体、又はその抗原結合部分、及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
別の態様によれば、本発明は、癌を含むがこれに限定されないITIM関連疾患、又はNKp44−1関連疾患若しくは障害の治療で使用するための、抗体、又はその抗原結合部分、及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
別の態様によれば、本発明は、癌を含むがこれに限定されないITIM関連疾患に罹患している対象を治療するための方法であって、本発明の治療有効量の抗体又はその抗原結合部分を含む医薬組成物を上記対象に投与することを含む、方法を提供する。
別の態様によれば、本発明は、癌を含むがこれに限定されないNKp44−1関連疾患に罹患している対象を治療するための方法であって、本発明の治療有効量の抗体又はその抗原結合部分を含む医薬組成物を上記対象に投与することを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本方法は、抗膜結合PCNA抗体と試料を接触させる工程、及び膜結合PCNAへの抗体の結合を検出する工程、を含む。いくつかの実施形態において、膜結合PCNAの増加されたレベルは、NKp44−1関連疾患又はその重篤度の指標である。
別の態様によれば、本発明は、対象における非核PCNA(例えば、膜結合PCNA)を検出する方法であって、抗PCNA抗体と非核分画試料を接触させること並びに非核PCNAと抗体の結合を検出することによってなどの、対象由来の非核分画の試料中のPCNAのレベルを検出することを含む、方法を提供する。
別の態様によれば、本発明は、NKp44−1関連疾患(例えば、癌)に罹患している対象の治療についての適合性を診断、予知又は決定する方法であって、抗PCNA抗体と試料を接触させること並びに、非核PCNAと抗体の結合を検出することによってなどの、対象由来の試料中にPCNAが存在するかどうかを検出することを含み、試料中のPCNAの存在が、対象におけるNKp44−1関連疾患の指標である、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、試料は非核画分を含む。いくつかの実施形態において、抗PCNA抗体は、非核PCNAへの増加された結合親和性を有する。
いくつかの実施形態において、NKp44−1関連疾患は癌である。いくつかの実施形態において、癌は、前立腺癌、白血病、腎臓癌、頭頸部癌、舌癌、及び乳癌から選択される。
別の態様によれば、本発明は、抗体又はその抗原結合部分を含む、非核PCNAを検出するためのキットを提供する。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。
図1A−図1C。NK92細胞株における単一NKp44スプライスバリアントの過剰発現は、異なる機能をもたらす。アイソフォーム1、2及び3(それぞれ、NK92−44−1、NK92−44−2、及びNK92−44−3)を過剰発現するように、NK92細胞をNKp44/NCR2アイソフォームで形質導入した。(A)HeLa GFP及びHeLa GFP PCNAとの18時間インキュベーション後の、NK92−44−1、NK92−44−2、NK92−44−3細胞株による相対的なIFNγ分泌。(B)免疫シナプス特異的Fアクチン蓄積の相対的定量の例。エフェクターNK細胞を、CFSE標識標的HeLa細胞と共焦点チャンバースライド上で共インキュベートし、固定し透過処理し、ファロイジン及びDAPIで染色した。NKエフェクター−HeLa標的相互作用の代表的な画像が示される(左パネル)。画像解析(右パネル)については、バックグラウンド蛍光ノイズを、ImageJ平均閾値アルゴリズムを用いて除去した。標的細胞F−アクチンから生じる蛍光信号及び染色強度のばらつきを無視するために、ゲーティングしたシナプスF−アクチンMFIを総共役MFIで割った。(C)CFSE標識標的HeLa細胞と共インキュベートした野生型(wt)NK92、NK92−44−1、NK92−44−2、及びNK92−44−3細胞株のシナプス画像の分析(n=30〜40画像/グループ);過剰飽和画素を有する画像を、分析から除外した。代表的な画像がヒストグラム・バーの下にある。 図2A−図2D。IL−2又はIL−15と培養した後のNKp44スプライスバリアントの発現及び初代末梢NK細胞の機能。初代ヒトNK細胞を血液から単離し、IL−2又はIL−15の存在下で6日間培養した。(A)CD3/CD56ゲーティング細胞についての、0日目及び6日目でのCD16及びNKp44の発現のフローサイトメトリーに基づく分析。(B)0日目での及びIL−2又はIL−15による処理の6日後の初代NK細胞におけるNKp44スプライスバリアント発現のqPCR分析。6日間のIL−2(C)又はIL−15(D)培養初代ヒトNK細胞の機能;抗NKp44(p44−8mAb)でブロッキングして又はブロッキングせずにHeLa GFP細胞の溶解と比較したHeLa GFP PCNA細胞の溶解。バー、±SD。、p<0.05;**、p<0.01;***p<0.001;対応のないt検定、両側。 図3A-図3F。急性骨髄性白血病(AML)患者におけるNKp44−1の生存不良のプロファイル。AML患者(TCGAデータ)から得られた骨髄試料のRNA配列解析:(A)全てのNKp46AML症例からのNKp46NKp44(n=51)及びNKp46NKp44(n=115)患者の割合。(B)TCGAデータに記録された「死の日」の情報を有するNKp46NKp44(n=36)及びNKp46NKp44(n=60)患者の生存;差異は統計的に有意ではない。(C)NKp46NKp44(n=51)AML症例中のNKp44スプライスバリアントの相対的な分布。(D)全NKp46NKp44(n=51)AML症例からのNKp44スプライスバリアントのパーセンテージのプロファイル。(E)NKp44−1(n=24)対NKp44−2/3(n=12)対NKp44(n=60)のプロファイルを有するNKp46AML症例の生存。(F)NKp44−1の差次的プロファイル:NKp44−1(n=12)対NKp44−1(n=12)を有するNKp46AML症例の生存。比較を容易にするために、NKp44−2/3(n=12)対NKp44(n=60)プロファイル(Eから)を再プロットしている。 図4A−図4C。抗PCNA mAbは、腫瘍媒介性抑制を阻止する。PCNAに対するmAbを、発明者らの研究室で作製した。(A)mAb 14.25の滴定濃度の存在下で、プレートに結合した組換えPCNAへの組換えNKp44の結合。Y軸は、14.25を含まない場合のNKp44結合に対して正規化したNKp44の結合の割合(%)である(左カラム、100%)。抗PCNA抗体又は記載の対照mIgG1でプレコーティングしたHeLa細胞の存在下で、抗NKp44(B)又は抗NKp30(C)が結合したプレート上で活性化されたNK92−44細胞によるIFNγ分泌。 図5A−図5B。本明細書に記載のmAbを作製するための手順下の軽鎖アガロースゲル電気泳動を示す。各レーンは、8種のフォワード縮重プライマーのそれぞれ1種とリバースプライマーで増幅された軽鎖のPCR産物を示す(レーン1〜8)。 図6A−図6C。(A)ハイブリドーマ産生のためのマウスにおける免疫スケジュールの概略図。(B)特異的モノクローナル抗体産生クローンを選択するためのスクリーニング戦略。(C)選択したクローンの細胞培養スープによるMBP−PCNAへのNKp44受容体結合の阻害を表すELISAの結果並びにFACSによる膜PCNA染色。 図7A−図7C。(A)14−25−9による組換えPCNAの特異的認識を確証するウェスタンブロットの結果。(B)MBP−PCNA、His−PCNA及び無関係のタンパク質であるHis−DJ1とのFPLC精製モノクローナル抗体14−25−9の結合を表すELISAの結果であり、IgG1はアイソタイプ対照である。(C)14−25−9によるPCNAへのNKp44受容体結合の用量依存的阻害並びに市販の抗PCNA mAbクローンPC10との比較を示すELISAの結果。 図8A−図8B。(A)ウェスタンブロットにより表される、14−25−9及びPC10による3つの異なる細胞株からの細胞PCNAの認識。(B)ProteOnを使用して測定した、PCNAに対する精製14−25−9の親和性。濃度:0〜80nM。 市販のPC10クローンと比較した、K562生細胞株における精製14−25−9による膜発現PCNA認識を示すFACS染色である。 (A)14−25−9による主な細胞質PCNAの認識、(B)PC10が核PCNAと結合すること、を示すイメージストリームの結果(HeLa細胞からの)を示す。 (A)14−25−9による主な細胞質PCNAの認識、(B)PC10が核PCNAと結合すること、を示すイメージストリームの結果(HeLa細胞からの)を示す。 図11A−図11B。14−25−9及びPC10による、ヒトホルマリン固定正常組織及び腫瘍組織;(A)舌及び(B)頭頸部のパラフィン包埋生検試料の蛍光免疫組織化学顕微鏡写真である。 図12A−図12B。14−25−9及びPC10による、ヒトホルマリン固定正常組織及び腫瘍組織;(A)腎臓及び(B)乳房のパラフィン包埋生検試料の蛍光免疫組織化学顕微鏡写真である。 図13A−図13B。14−25−9 mAbによるヒトNK活性化を示すグラフを含む。(A)新たに単離されたヒトNK細胞を、14−25−9又は対照としてのIgG1の存在下で、固形腫瘍及び白血病からの異なる癌細胞株(HeLa、DU145、721.221及びK562)と一晩共インキュベーションした。14−25−9とインキュベートされたNK細胞は、対照としてのマウスIgG1と比較して、IFN−γ放出の増加を示した。(B)抗PCNA mAb 14−25−9は、1:3のエフェクター:標的の比で721.221 CW6と相互作用させた時に、新鮮な初代ヒトNK細胞の溶解活性を向上させた。 図13A−図13B。14−25−9 mAbによるヒトNK活性化を示すグラフを含む。(A)新たに単離されたヒトNK細胞を、14−25−9又は対照としてのIgG1の存在下で、固形腫瘍及び白血病からの異なる癌細胞株(HeLa、DU145、721.221及びK562)と一晩共インキュベーションした。14−25−9とインキュベートされたNK細胞は、対照としてのマウスIgG1と比較して、IFN−γ放出の増加を示した。(B)抗PCNA mAb 14−25−9は、1:3のエフェクター:標的の比で721.221 CW6と相互作用させた時に、新鮮な初代ヒトNK細胞の溶解活性を向上させた。 ヌードマウスにおける異種移植片に対するインビボヒトNK活性化の非限定的な実験スキームである。(左)生検/摘出腫瘍の、NCR2スプライスバリアントIの正規化された(生検内の免疫部に正規化される)発現(RNA)をチェック+処理のために使用した同じmAbによるPCNAの膜局在化についてのFFPE切片の染色。(右)患者由来の異種移植片(PDX):IL−2と共にインビトロで増殖させた2×10個の患者の自己由来NK(CD56陽性選択)細胞のマウスへの腫瘍内注射。14−25−9mAb(10mg/Kg)又はモックの同じ麻酔尾静脈注射。6時間後、腫瘍を切除かつ:腫瘍の一部:RNA(hiNg及びNKp44スプライスバリアントのqRTPCR)のために凍結;腫瘍の別の部分:MACS解離剤での消化、並びに腫瘍細胞上の膜PCNA及びNK上の膜hCD107aについての単一細胞の染色。 患者のPBMCから単離しIL−2で増殖させたNK細胞のFACS染色である。抗ヒトCD56(左パネル)での染色は、中程度又は高いCD56レベルを発現する予想されたNK細胞の表現型を示した。両方のNK細胞型は、NKp44発現について陽性であった(右パネル)。X軸−FL6−A MFI、ベース−10 logスケール。 収集し可溶化した患者由来の異種移植片からのヒトNK細胞の、ヒトCD 107aの膜発現について染色したFACS染色である。X軸−FL2−A MFI。Y軸−FL6−A−MFI。両方の軸は、ベース−10 logスケールである。 自己NKをPDX内注射し14−25−9でIV処置したPDX担持マウスのペアと対照処理マウスを比較する、CD107a(NK活性化マーカー)の垂直棒グラフ比較である。 図18A−図18C。(A)13−10−1による組換えPCNAの特異的認識を明らかにしたウェスタンブロットの結果(左パネル)を含む。14−25−9及びPC10による3つの異なる細胞株からの細胞PCNAの認識も、ウェスタンブロットによって記録された(右パネル)。(B)13−10−1による染色の同じ実験からの追加を含む、図4に示した結果のコピー。(C)13−10−1及びPC10による、ホルマリン固定し、パラフィン包埋した口腔癌の生検試料のヒト免疫組織化学。 精製した13−10−1のPCNAに対する親和性を示すProteOnアレイ。得られた値は、ka=1.10E+4(ミリ秒−1);kd=9.90E−5(秒−1);KD=8.99E−9 M;濃度:0〜80nMであった。
発明の詳細な説明
いくつかの実施形態において、本発明は、PCNAに対する増大された結合親和性を有し、かつPCNAとNKp44アイソフォーム1の相互作用を阻止する能力を有する抗体又はその抗体断片を対象とする。
いくつかの実施形態において、本発明は、PCNAに対する増大された結合親和性を有し、かつPCNAとITIM陽性NKp44の相互作用を阻止する能力を有する抗体又はその抗体断片を対象とする。
いくつかの実施形態において、NKp44は、配列番号35(MAWRALHPLLLLLLLFPGSQAQSKAQVLQSVAGQTLTVRCQYPPTGSLYEKKGWCKEASALVCIRLVTSSKPRTMAWTSRFTIWDDPDAGFFTVTMTDLREEDSGHYWCRIYRPSDNSVSKSVRFYLVVSPASASTQTSWTPRDLVSSQTQTQSCVPPTAGARQAPESPSTIPVPSQPQNSTLRPGPAAPIALVPVFCGLLVAKSLVLSALLVWWGDIWWKTMMELRSLDTQKATCHLQQVTDLPWTSVSSPVEREILYHTVARTKISDDDDEHTL)に記載のポリペプチド配列を有するアイソフォーム−1 NKp44(又は互換的に「天然細胞傷害性誘発受容体2」又は「NCR2」)である。
本発明は、いくつかの実施形態において、PCNA、具体的には、膜結合PCNAに対する増加された結合親和性を有する単離抗体又はその単離抗体断片を対象とする。
本明細書で使用する用語「膜結合PCNA」は、非核PCNAを指す。いくつかの実施形態において、本発明の方法、キット及び組成物は、核PCNAへの親和性がないか、又は最小の親和性を有する抗膜結合PCNA抗体を提供する。
一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、PCNAとNKp44アイソフォーム1の相互作用を阻止する能力を有する。一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、PCNAとNKp44アイソフォーム2及び/又はNKp44アイソフォーム3のいずれか一方の間の相互作用に対して最小の影響を有する。
一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、NKp44−PCNA相互作用を実質的に阻止する。
一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、腫瘍細胞に曝露した後でなどの、NK活性を実質的に増強する。
本発明は、NKp44−PCNA相互作用を阻止する新規抗体の発見に一部基づく。本明細書に開示される抗体は、NKp44アイソフォーム1(すなわち、ITIM陽性)との相互作用の阻止に対する増加された特異性を有するので、開示される抗体又はその断片は、癌などのNKp44でITIM+(陽性)に関連する疾患を治療するために使用され得る。
本明細書に記載されるように、本発明の抗PCNA抗体は、本明細書で実証されるように、癌、具体的にはAMLなどの、NKp44アイソフォーム1の発現又は活性が関与する疾患又は病態の診断薬及び/又は予後薬として使用できる。
「抗PCNA抗体」、「PCNAを認識する抗体」、又は「PCNAに対する抗体」は、十分な親和性及び特異性でPCNAに結合する抗体である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示する抗PCNA抗体は、PCNAに対し中和活性を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体又はその抗原結合部分は好ましくは、核PCNAよりも非核PCNAに結合する。非限定的な例として、本明細書で使用する本発明の抗体又はその抗原結合部分である「13−10−1」及び「14−25−9」は、それぞれ8.99E−9M及び3.54E−8MのKD値で非核PCNAに結合する。
本明細書で使用する用語「増加された結合親和性」及び「より高い結合親和性」は交換可能である。いくつかの実施形態において、本発明の抗体又はその抗原結合部分は、核PCNAと比較して非核PCNAに対してより高い結合親和性を有する。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は10%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は30%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は50%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は75%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は100%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は150%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は250%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は500%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は1000%の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は1.5倍の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は2倍の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は5倍の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は10倍の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は50倍の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は100倍の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は500倍の差である。一実施形態において、本明細書で使用するより高い親和性は1000倍の差である。
用語「抗体」(「免疫グロブリン」とも呼ばれる)は、最も広い意味で使用され、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体及び抗体断片を包含する。特定の実施形態において、キメラ抗体又はヒト化抗体の使用も本発明に包含される。
天然に存在する抗体構造の基本単位は、非共有結合とジスルフィド結合の両方によって連結される2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質複合体である。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的に離間される鎖内ジスルフィド架橋を有する。5つのヒト抗体クラス(IgG、IgA、IgM、IgD及びIgE)が存在し、これらのクラス内で、様々なサブクラスは、単一の抗体分子中の免疫グロブリン単位の数、個々の単位のジスルフィド架橋構造、並びに鎖の長さ及び配列の差異などの、構造の違いに基づいて認識される。抗体のクラス及びサブクラスは、そのアイソタイプである。
重鎖及び軽鎖のアミノ末端領域は、カルボキシ末端領域よりも配列により多様性があるので、可変ドメインと呼ばれる。抗体構造のこの部分は、抗体の抗原結合特異性を付与する。重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインは、共に単一の抗原結合部位を形成し、そのため、基本的な免疫グロブリンユニットは、2つの抗原結合部位を有する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考えられている(Chothiaら,J.Mol.Biol.186,651−63(1985);Novotny及びHaber,(1985) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82 4592−4596)。
重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端部分は、定常ドメイン、すなわち、CH1、CH2、CH3、CLを形成する。これらのドメインでの多様性ははるかに低いが、動物種によって差異があり、さらに、同一個体内に、いくつかの異なる抗体のアイソタイプが存在し、それぞれが異なる機能を有する。
用語「フレームワーク領域」又は「FR」は、本明細書で定義される超可変領域のアミノ酸残基以外である、抗体の可変ドメイン中のアミノ酸残基を指す。本明細書で使用する用語「超可変領域」は、抗原結合を担う、抗体の可変ドメイン中のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含む。CDRは主に、抗原のエピトープへの結合に関与する。FR及びCDRの範囲は、正確に定義されている(Kabatらを参照されたい)。
免疫グロブリン可変ドメインはまた、IMGT情報システム(www://imgt.cines.fr/)(IMGT(商標)/V−Quest)を用いて分析されて、CDRを含む可変領域セグメントを特定できる。例えば、Brochet,X.ら,Nucl.Acids Res.J6:W503−508(2008)を参照されたい。
Kabatらはまた、任意の抗体に適用できる可変ドメイン配列のためのナンバリングシステムを定義した。当業者は、配列それ自体を越えた実験データに依存することなく、任意の可変ドメイン配列にこの「Kabatナンバリング」システムを明確に割り当てることができる。本明細書で使用する場合、「Kabatナンバリング」は、Kabatら、米国保健社会福祉部門、「免疫学的目的のタンパク質の配列」(U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequence of Proteins of Immunological Interest”(1983))によって記載されたナンバリングシステムを指す。
表1.本発明の抗体のCDR配列のアミノ酸配列
Figure 2020514256
「抗原」は、抗体の形成を誘発し抗体に結合され得る分子又は分子の部分である。抗原は、1つ又は2以上のエピトープを有し得る。上で言及した特異的反応は、抗原が、他の抗原によって誘発され得る多くの他の抗体ではなく、その対応する抗体と高度に選択的な様式で反応することを示すことを意味する。
本発明による用語「抗原決定基」又は「エピトープ」は、特定の抗体と特異的に反応する抗原分子の領域を指す。エピトープ由来のペプチド配列は、動物を免疫するため、かつさらなるポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を産生するために、当技術分野で公知の方法を適用して、単独で、又は担体部分と組み合わせて使用されてよい。
モノクローナル抗体は、本明細書では具体的に、それらが所望の生物学的活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来する抗体中の対応配列と同一若しくは相同であるか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属し、一方で鎖(複数可)の残りは、別の種に由来する抗体中の対応配列と同一若しくは相同であるか、又は別の抗体のクラス若しくはサブクラス、及びそのような抗体の断片に属する、「キメラ」抗体を含む(米国特許第4,816,567号;及びMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 57:6851−6855(1984))。加えて、相補性決定領域(CDR)グラフト化が、親和性又は特異性を含む抗体分子の特定の特性を変更するために実行され得る。CDR移植の非限定的な例は、米国特許第5,225,539号に開示される。
キメラ抗体は分子であり、その異なる部分は、マウスmAb由来の可変領域及びヒト免疫グロブリン定常領域を有するものなどの、異なる動物種に由来する。実質的にヒト抗体(アクセプター抗体と呼ばれる)からの可変領域フレームワーク残基と実質的にマウス抗体(ドナー抗体と呼ばれる)からの相補性決定領域を有する抗体はまた、ヒト化抗体と呼ばれる。キメラ抗体は、適用における免疫原性を低減するため、および生成収量を向上させるために主に使用され、例えば、マウスmAbは、ハイブリドーマからの収量はより高いが、ヒトにおける免疫原性もより高いため、ヒト/マウスキメラmAbが使用される。キメラ抗体及びそれらの生成方法は、当技術分野で公知である(例えば、PCT特許出願WO 86/01533、WO 97/02671、WO 90/07861、WO 92/22653及び米国特許第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、同第5,530,101号及び同第5,225,539号)。本明細書で使用する用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体からのフレームワーク領域及び非ヒト(通常マウス又はラット)免疫グロブリンからの1以上のCDRを含む抗体を指す。ヒト化免疫グロブリンの部分は、おそらくCDRを除き、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。しかしながら、場合によっては、例えば、フレームワーク領域中の特定のアミノ酸残基が、ヒト化抗体の性能を最適化するように変更され得る。重要なことに、ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合すると予想される。詳細については、例えば、医学研究評議会、英国(Medical Research Council,UK)に譲渡された米国特許第5,225,539号を参照されたい。用語「アクセプターヒト免疫グロブリンからのフレームワーク領域」及び「アクセプターヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域」、及び類似の文法的表現は、アクセプターヒト免疫グロブリンの同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域又はその部分を指すために、本明細書で互換的に使用される。
本明細書で使用する用語「CAR−T細胞」及び「CAR−NK細胞」は、目的の少なくとも1つのタンパク質(例えば、エピジェネティック改変剤での処理後に発現が増加した免疫原性タンパク質)に対する特異性を有し免疫エフェクター細胞(T細胞又はNK細胞)上にグラフトされる、工学処理された受容体を指す。いくつかの実施形態において、CAR−T細胞は、T細胞上にグラフトされたモノクローナル抗体の特異性を有する。いくつかの実施形態において、CAR−NK細胞は、NK細胞上にグラフトされたモノクローナル抗体の特異性を有する。いくつかの実施形態において、T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球及び制御性T細胞から選択される。
CAR−T及びCAR−NK細胞及びそれらのベクターは、当技術分野で周知である。そのような細胞は、受容体が結合するタンパク質を標的とし、それに対し細胞傷害性である。いくつかの実施形態において、CAR−T又はCAR−NK細胞は、少なくとも1つのウイルススタンパク質を標的とする。いくつかの実施形態において、CAR−T又はCAR−NK細胞は、複数のウイルススタンパク質を標的とする。いくつかの実施形態において、CAR−T又はCAR−NK細胞は、エピジェネティック改変剤との接触によって発現が増加したウイルススタンパク質を標的とする。
CAR−T細胞の構築は、当技術分野において周知である。非限定的な一例では、ウイルススタンパク質に対するモノクローナル抗体を作製でき、次いで、抗体をコードするベクターを構築する。ベクターはまた、共刺激シグナル領域を含む。いくつかの実施形態において、共刺激シグナル領域は、既知のT細胞又はNK細胞刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、以下のもの:CD3Z、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドの少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態において、ベクターはまた、CD3Zシグナル伝達ドメインを含む。このベクターは次いで、例えばレンチウイルス感染によって、T細胞にトランスフェクトされる。
本明細書で使用する用語「免疫療法剤」は、活性な免疫応答を誘発する任意の分子、化合物、溶液又は細胞を指す。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は免疫系を活性化する。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は癌標的免疫療法剤である。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、癌又はその細胞に対して活性な免疫応答を誘発する。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、一般的な免疫応答を誘発する。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、特異的タンパク質、タンパク質グループ、転写物又は転写物のグループに対する免疫応答を誘発する。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。免疫チェックポイント阻害剤は、一般的な免疫応答を誘発する免疫療法剤の非限定的な例である。キメラ抗原受容体CAR−T細胞、CAR−NK細胞又は細胞傷害性モノクローナル抗体は、特異的タンパク質に対する応答を誘発する免疫療法剤の非限定的な例である。ワクチンは、タンパク質又は転写物のグループ(又は単一のタンパク質又は転写物)に対する応答を誘発する免疫療法剤の非限定的な例である。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、CAR−T細胞、ワクチン、抗体及び免疫チェックポイント阻害剤から選択される。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、CAR−T細胞、ワクチン、細胞傷害性抗体又は免疫チェックポイント阻害剤である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、免疫原性タンパク質に結合する。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、増加した免疫原性タンパク質に結合する。そのような実施形態において、免疫療法剤は、特定のタンパク質又は複数のタンパク質を標的とする薬剤である。そのような実施形態において、免疫療法剤は、CAR−T細胞、CAR−NK細胞、ワクチン、及び細胞傷害性モノクローナル抗体から選択される。いくつかの実施形態において、ウイルスは、内因性のウイルスであり、免疫療法剤は、増加した免疫原性タンパク質に直接結合する。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」又は「mAb」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は同一であり、かつ/又は同じエピトープに結合するが、但し、モノクローナル抗体の生成時に生じ得、一般的に少量で存在するバリアントを除く。異なる決定基(エピトープ)に対して作られた異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンが混入していないという点で都合がよい。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を指し、本明細書で提供される方法に従って使用される抗体が最初にKohlerら、Nature 256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製され得ると解釈されるべきではない。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら、Nature 352:624−628(1991)及びMarksら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991)に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離できる。
本発明のmAbは、IgG、IgM、IgD、IgE又はIgAを含む任意の免疫グロブリンクラスのものであり得る。mAbを生成するハイブリドーマは、インビトロ又はインビボで培養され得る。高力価のmAbは、インビボ生産で取得することができ、個々のハイブリドーマからの細胞をプリスティン(pristine)刺激Balb/cマウスに腹腔内注射して高濃度の所望のmAbを含有する腹水を生産する。アイソタイプIgM又はIgGのmAbは、当業者に周知のカラムクロマトグラフィー法を用いて、そのような腹水から、又は培養上清から精製され得る。
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;タンデムダイアボディー(taDb)、線形抗体(例えば、米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapataら、Protein Eng.8(10):1057−1062(1995));片腕抗体、単一可変ドメイン抗体、ミニボディ、単鎖抗体分子;抗体断片から形成される多重特異性抗体(例えば、Db−Fc、taDb−Fc、taDb−CH3、(scFV)4−Fc、di−scFv、bi−scFv、又はタンデム(ジ、トリ)−scFv))を含むが、これらに限定されない);及び二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)を含む。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を生成し、それぞれ単一抗原結合部位、及び残留「Fc」断片を有し、その名前は、容易に結晶化するその能力を反映する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有しかつ依然として抗原を架橋できる、F(ab’)2断片を生じる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。この領域は、密接に非共有結合した1つの重鎖と1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。VH−VL二量体の3面は、この配置にある。まとめると、6つの超可変領域は、抗体に対する抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識し結合する能力を有する。
Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一の定常ドメイン(CHI)を含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1以上のシステインを含む重鎖CHIドメインのカルボキシ末端における数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは本明細書では、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1個の遊離チオール基を担持する、Fab’に対する命名である。F(ab’)2抗体断片は最初に、それらの間にヒンジシステインを有するab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明らかに異なる型の一方に割り当てることができる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体を異なるクラスに割り当てることができる。インタクトな抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、さらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分割され得る。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、a、デルタ、e、ガンマ、及びマイクロと呼ばれる。サブユニット構造及び免疫グロブリンの異なるクラスの三次元構造は、周知である。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖中に存在する。いくつかの実施形態において、Fvポリペプチドはさらに、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VHとVLドメインの間のポリペプチドリンカーを含む。scFvの概説については、Pluckthunのモノクローナル抗体の薬理学(Pharmacology of Monoclonal Antibodies)、113巻、Rosenburg及びMoore(編)、Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照されたい。
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、この断片は、同じポリペプチド鎖中に軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を含む。短すぎて同じ鎖上の2つのドメイン間で対形成ができないリンカーを使用することによって、これらのドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対を形成し2つの抗原−結合部位を作製することを余儀なくされる。ダイアボディは、Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)である。
用語「多重特異性抗体」は、最も広い意味で用いられ、具体的には、ポリエピトープ特異性を有する抗体をカバーする。そのような多重特異性抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、VHVL単位がポリエピトープ特異性を有する抗体、2以上のVL及びVHドメインを有し、各VHVL単位が異なるエピトープに結合する抗体、2以上の単一可変ドメインを有し、各単一可変ドメインが異なるエピトープに結合する抗体、全長抗体、Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、トリアボディ、3機能性抗体、共有結合又は非共有結合で連結された抗体断片などの抗体断片を含むが、これらに限定されない。「ポリエピトープ特異性」は、同一又は異なる標的(複数可)上の2以上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を指す。
本発明のモノクローナル抗体は、当技術分野で周知の方法を用いて調製され得る。例としては、Kohler,G.及びMilstein,C,Nature 256:495−497(1975);Kozborら,Immunology Today 4:72(1983);Coleら,モノクローナル抗体及び癌療法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY)の中の77〜96ページ,Alan R.Liss,Inc.(1985)の中のものなどの様々な技術を含む。
インビボで抗体を生成する従来の方法に加えて、抗体は、ファージディスプレイ技術を用いてインビトロで作製できる。そのような組換え抗体生成は、従来の抗体生成と比較してはるかに速く、それらは膨大な数の抗原に対して作製できる。さらに、従来の方法を使用する場合、多くの抗原は、非免疫原性であるか又は非常に毒性であることが判明し、したがって動物において抗体を作製するために使用できない。また、組換え抗体の親和性成熟(すなわち、親和性及び特異性を増加させる)は、非常に簡単でかつ比較的速い。最後に、特定の抗原に対する異なる多数の抗体は、1つの選択手順で作製できる。
組換えモノクローナル抗体を作製するために、全てディスプレイライブラリーに基づく様々な方法を使用して異なる抗原認識部位を有する抗体の大きなプールを作製できる。そのようなライブラリーは、いくつかの方法で作ることができる:重鎖胚細胞系遺伝子のプール中の合成CDR3領域をクローニングすること、ひいては、大きな抗体レパートリーを作製することによって合成レパートリーを作製でき、そこから様々な特異性を有する組換え抗体断片を選択できる。抗体ライブラリーの構築のための出発物質として、ヒトのリンパ球のプールを使用できる。ヒトIgM抗体のナイーブレパートリーを構築し、ひいては大規模な多様性のヒトのライブラリーを作製できる。この方法は、異なる抗原に対する多数の抗体を選択するために首尾よく広く使用されてきた。バクテリオファージライブラリーの構築及び組換え抗体の選択のためのプロトコルは、周知の参照テキストである免疫学における現在のプロトコル(Current Protocols in Immunology)、Colliganら(編)、John Wiley & Sons,Inc.(1992−2000),第17章、セクション17.1に提供される。
非ヒト抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によってヒト化され得る。1つの方法では、非ヒト相補性決定領域(CDR)は、ヒト抗体又はコンセンサス抗体フレームワーク配列に挿入される。さらなる変更を次いで抗体フレームワークに導入して、親和性又は免疫原性を調節できる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、中和抗体である。本明細書で議論される「中和」は、本発明の抗体によるNKp44−PCNA相互作用の低下として定義される。
いくつかの実施形態において、中和抗体は、抗体、抗体の断片、Fab及びF(ab’)2、単一ドメイン抗原結合組換え断片及び天然のナノボディを含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の抗体をコードする核酸配列を提供する。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号27):TGACATTGTGATGACTCAGTCTCAAAAAATCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCGTCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTGGGTACTAATGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGGCAATCTCCTAAAGTACTGATTTACTCGGCATCCTACCGGTACAGTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCAGCATCAGCAATGTGCAGTCTGAAGACTTGGCAGAGTATTTCTGTCAGCAATATAACAGCTATCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAAを含むDNA配列によってコードされる軽鎖可変ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号28):CGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAAGACATCAATGTCAAGTGGAAGATTGATGGCAGTGAACGACAAAATGGCGTCCTGAACAGTTGGACTGATCAGGACAGCAAAGACAGCACCTACAGCATGAGCAGCACCCTCACGTTGACCAAGGACGAGTATGAACGACATAACAGCTATACCTGTGAGGCCACTCACAAGACATCAACTTCACCCATTGTCAAGAGCTTCAACAGGAATGAGTGTTAGAを含むDNA配列によってコードされる軽鎖定常ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号29):GAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCTGTCTACGCATTCAGTAGTTCCTGGATGAACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGAAAGGGTCTTGAGTGGATTGGACGGATTTATCCTGCAGATGGAGATACTAACTACAATGGGAACTTCAGGGGCAAGGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAGCAGTCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTACTTCTGTGCAAGATGGTTACGGGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCAを含むDNA配列によってコードされる重鎖可変ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号30):GCCAAAACAACATACCCCCCATCTGTCTATCCACTGGCCCCTGGATCTGCTGCCCAAACTAACTCCATGGTGACCCTGGGATGCCTGGTCAAGGGCTATTTCCCTGAGCCAGTGACAGTGACCTGGAACTCTGGATCCCTGTCCAGCGGTGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTGCAGTCTGACCTCTACACTCTGAGCAGCTCAGTGACTGTCCCCTCCAGCACCTGGCCCAGCGAGACCGTCACCTGCAACGTTGCCCACCCGGCCAGCAGCACCAAGGTGGACAAGAAAATTGTGCCCAGGGATTGTGGTTGTAAGCCTTGCATATGTACAGTCCCAGAAGTATCATCTGTCTTCATCTTCCCCCCAAAGCCCAAGGATGTGCTCACCATTACTCTGACTCCTAAGGTCACGTGTGTTGTGGTAGACATCAGCAAGGATGATCCCGAGGTCCAGTTCAGCTGGTTTGTAGATGATGTGGAGGTGCACACAGCTCAGACGCAACCCCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACTTTCCGCTCAGTCAGTGAACTTCCCATCATGCACCAGGACTGGCTCAATGGCAAGGAGTTCAAATGCAGGGTCAACAGTGCAGCTTTCCCTGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGCAGACCGAAGGCTCCACAGGTGTACACCATTCCACCTCCCAAGGAGCAGATGGCCAAGGATAAAGTCAGTCTGACCTGCATGATAACAGACTTCTTCCCTGAAGACATTACTGTGGAGTGGCAGTGGAATGGGCAGCCAGCGGAGAACTACAAGAACACTCAGCCCATCATGGACACAGATGGCTCTTACTTCGTCTACAGCAAGCTCAATGTGCAGAAGAGCAACTGGGAGGCAGGAAATACTTTCACCTGCTCTGTGTTACATGAGGGCCTGCACAACCACCATACTGAGAAGAGCCTCTCCCACTCTCCTGGTAAATGAを含むDNA配列によってコードされる重鎖定常ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号31):TGATGTTGTGATGACCCAAACTCCGCTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGAGCATTGTACATAGTAATGGAAAGACCTATTTTGAATGGTACCTTCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATCTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGAATTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAAを含むDNA配列によってコードされる軽鎖可変ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号32):CGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAAGACATCAATGTCAAGTGGAAGATTGATGGCAGTGAACGACAAAATGGCGTCCTGAACAGTTGGACTGATCAGGACAGCAAAGACAGCACCTACAGCATGAGCAGCACCCTCACGTTGACCAAGGACGAGTATGAACGACATAACAGCTATACCTGTGAGGCCACTCACAAGACATCAACTTCACCCATTGTCAAGAGCTTCAACAGGAATGAGTGTTAGを含むDNA配列によってコードされる軽鎖定常ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号33):AAGCTGGTGGAGTCTGGTGGAGGATTGGTGCAGCCTACAGGGTCATTGAAACTCTCATGTGTAACCTCTGGATTCAGTTTCAATATCTACGCCATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGAAAGGGTTTGGAATGGGTTGCTCGCATAAGAAGTAAAAGTAATAATTATGCAACATATTATGCCGATTCAGTGAAAGACAGATTCACCATCTCCAGAGATGATTCAGAAAGCATGCTCTATCTCCAAATGAACAACTTGAAAACTGAGGACACAGCCATGTATTACTGTATGAGACACCCCAATTACTCCGGCTTTAACTACCCGTTTGCTTCCTGGGGCCCAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAを含むDNA配列によってコードされる重鎖可変ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の核酸配列(配列番号34):GCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCCCCTGGATCTGCTGCCCAAACTAACTCCATGGTGACCCTGGGATGCCTGGTCAAGGGCTATTTCCCTGAGCCAGTGACAGTGACCTGGAACTCTGGATCCCTGTCCAGCGGTGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTGCAGTCTGACCTCTACACTCTGAGCAGCTCAGTGACTGTCCCCTCCAGCACCTGGCCCAGCCAGACCGTCACCTGCAACGTTGCCCACCCGGCCAGCAGCACCAAGGTGGACAAGAAAATTGTGCCCAGGGATTGTGGTTGTAAGCCTTGCATATGTACAGTCCCAGAAGTATCATCTGTCTTCATCTTCCCCCCAAAGCCCAAGGATGTGCTCACCATTACTCTGACTCCTAAGGTCACGTGTGTTGTGGTAGACATCAGCAAGGATGATCCCGAGGTCCAGTTCAGCTGGTTTGTAGATGATGTGGAGGTGCACACAGCTCAGACGAAACCCCGGGAGGAGCAGATCAACAGCACTTTCCGTTCAGTCAGTGAACTTCCCATCATGCACCAGGACTGGCTCAATGGCAAGGAGTTCAAATGCAGGGTCAACAGTGCAGCTTTCCCTGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGCAGACCGAAGGCTCCACAGGTGTACACCATTCCACCTCCCAAGGAGCAGATGGCCAAGGATAAAGTCAGTCTGACCTGCATGATAACAAACTTCTTCCCTGAAGACATTACTGTGGAGTGGCAGTGGAATGGGCAGCCAGCGGAGAACTACAAGAACACTCAGCCCATCATGGACACAGATGGCTCTTACTTCGTCTACAGCAAGCTCAATGTGCAGAAGAGCAACTGGGAGGCAGGAAATACTTTCACCTGCTCTGTGTTACATGAGGGCCTGCACAACCACCATACTGAGAAGAGCCTCTCCCACTCTCCTGGTAAATGAを含むDNA配列によってコードされる重鎖定常ドメインを含む。
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、本明細書に記載のDNA配列と少なくとも75%の同一性を有するDNA配列を含むDNA分子によってコードされる。一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、本明細書に記載のDNA配列と少なくとも80%の同一性を有するDNA配列を含むDNA分子によってコードされる。一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、本明細書に記載のDNA配列に少なくとも85%の同一性を有するDNA配列を含むDNA分子によってコードされる。一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、本明細書に記載のDNA配列と少なくとも90%の同一性を有するDNA配列を含むDNA分子によってコードされる。一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、本明細書に記載のDNA配列と少なくとも95%の同一性を有するDNA配列を含むDNA分子によってコードされる。
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリペプチドのmRNAを保有しかつ検出可能なレベルでそれを発現すると考えられる組織から調製されるcDNAライブラリーを含むが、これに限定されない任意の供給源から取得され得る。したがって、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリーから都合よく取得できる。ポリペプチドコード遺伝子はまた、ゲノムライブラリから、又は公知の合成手順(例えば、自動核酸合成)により取得され得る。
例えば、ポリヌクレオチドは、軽鎖又は重鎖などの、全免疫グロブリン分子鎖をコードし得る。完全な重鎖は、重鎖可変領域(VH)だけでなく、典型的には3つの定常ドメイン:CH1、CH2及びCH3を含む重鎖定常領域(CH);並びに「ヒンジ」領域を含む。いくつかの状況では、定常領域の存在が望ましい。
ポリヌクレオチドによってコードされ得る他のポリペプチドは、単一ドメイン抗体(「dAb」)、Fv、scFv、Fab’及びCHIなどの抗原結合抗体断片を含み、CK又はCLドメインは切除されている。ミニボディは従来の抗体よりも小さいので、診断/臨床用途における良好な組織浸透を達成するはずであるが、二価であり、dAbなどの一価抗体断片よりも、より高い結合親和性を保持するはずである。したがって、文脈が別途指示しない限り、本明細書で使用する用語「抗体」は、全抗体分子だけでなく、上述の種類の抗原結合抗体断片も包含する。コードされたポリペプチド中に存在する各フレームワーク領域は、対応するヒトアクセプターフレームワークに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。そのため、例えば、フレームワーク領域は、アクセプターフレームワーク領域に対して、合計で3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含み得る。開示されたタンパク質産物を含む個々のアミノ酸の性質を考えると、いくつかの合理的な置換は、当業者によって認識される。アミノ酸置換、すなわち「保存的置換」は、例えば、極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は関与する残基の両親媒性の性質における類似性に基づいて作製できる。
適切には、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、単離及び/又は精製され得る。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。
本明細書で使用する用語「非天然」物質、組成物、実体、及び/又は物質、組成物、若しくは実体の任意の組み合わせ、又はその任意の文法的変形は、「天然に存在する」と当業者によって十分に理解されるか、又は、いつでも、「天然に存在する」と裁判官若しくは行政若しくは司法機関によって決定若しくは解釈されるか、又は決定若しくは解釈される可能性のある物質、組成物、実体、及び/又は物質、組成物、若しくは実体の任意の組み合わせのそれらの形態を明示的に除外するが、除外するだけである、条件付き用語である。
治療及び診断のための方法
本明細書で使用する用語「治療」は、治療される個人の疾患の経過を変更させる試みにおける臨床的介入を指し、予防のために又は臨床病理経過中に実行できる。治療の望ましい効果は、疾患の発生又は再発の予防、症状の軽減、疾患の病理学的結果の低下、疾患進行の速度の低下、疾患状態の改善、寛解又は予後の改善を含む。用語「治療」はまた、培養中の細胞又は組織に影響を与えるエクスビボ手順を包含し得る。
本明細書で使用する用語「対象」は個人、又は患者を指し、それは脊椎動物、例えば、特にヒトを含む、哺乳動物である。
本明細書で定義されるように、抗体による抗原分子の結合は、記抗原の活性の阻止をもたらす。本明細書で使用する用語「阻止」は、「減衰」、「阻害」、「低減」及び「減少」と交換可能である。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は2%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は5%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は10%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は25%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は50%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は75%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は90%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は95%超低減される。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、阻止は99%低減される。
本明細書で定義されるように、「生物学的試料」は、任意の動物からの物理的検体を指す。別の実施形態において、生物学的試料は、哺乳動物から得られる。別の実施形態において、生物学的試料は、ヒトから得られる。別の実施形態において、生物学的試料は、当業者の能力の範囲内で十分に得られる。生物学的試料は、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳汁、全血、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、及び均質化組織などの組織抽出物、及び細胞抽出物を含む組織培地などの生物学的液体を含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、生物学的試料は、生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、切除された腫瘍である。別の実施形態において、生物学的試料は、当業者に知られるように処理された組織切片を含む。本明細書で使用する用語の試料及び生物学的試料は交換可能である。
本明細書で定義されるように、非核画分は、細胞核を除く任意の組織又は細胞の抽出物を指す。一実施形態において、非核抽出物は、細胞質を含む。一実施形態において、非核抽出物は、細胞小器官を含む。一実施形態において、非核抽出物は、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ装置、リソソーム、及びエキソソームなどを含む。一実施形態において、非核抽出物は、細胞膜又はその断片を含む。一実施形態において、非核抽出物は、タンパク質を含む。一実施形態において、非核タンパク質は、細胞質と周辺タンパク質を含む。一実施形態において、非核抽出物は、可溶性分子を含む。一実施形態において、非核抽出物は、膜結合分子を含む。一実施形態において、膜結合分子は統合的であり、膜を貫通する又は細胞膜に近接している。
いくつかの実施形態において、分子の非核プロファイルを作成するために、細胞内コンパートメント、又は細胞小器官は、当業者に公知の標準的な方法で均質化される。いくつかの実施形態において、異なる分画手順は、分子の画分を濃縮するために使用される。一実施形態において、得られた分子は、いくつかの分画カラム上を通過させられる。一実施形態において、分画カラムはタンデム又はパラレルで使用される様々な検出器を利用して、臓器、細胞、細胞コンパートメント、又は細胞小器官について分子プロファイルを作製する。
本明細書で使用する用語「疾患」は、抗体を用いる治療から恩恵を受ける任意の病態を指す。
一実施形態において、本発明は、癌、具体的には、AMLに罹患している対象の治療、診断、予後又は治療の適合性の決定のための方法に関する。
本明細書で使用する「癌」又は「前悪性」は、細胞増殖に関連する疾患である。非限定的な種類の癌は、癌腫、肉腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫及び胚細胞腫瘍を含む。一実施形態において、癌は、上皮細胞由来の腫瘍を指し、乳癌、前立腺癌、肺癌、膵臓癌、及び結腸癌を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、肉腫は、間葉系細胞に由来する腫瘍を指し、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫及び軟部組織肉腫を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、リンパ腫は、骨髄を離れリンパ節で成熟する傾向がある造血細胞に由来する腫瘍を指し、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫及び免疫増殖性疾患を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、白血病は、骨髄を離れ血液中で成熟する傾向がある造血細胞由来の腫瘍を指し、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、T細胞前リンパ球性白血病、大顆粒リンパ球性白血病及び成人T細胞白血病を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、芽細胞種は、未成熟前駆細胞又は胚組織に由来する腫瘍を指し、肝芽腫、髄芽細胞腫、腎芽細胞腫、神経芽細胞腫、膵芽腫、胸膜芽細胞腫、網膜芽細胞腫及び多形神経膠芽細胞腫を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、胚細胞腫瘍は、胚細胞に由来する腫瘍を指し、胚細胞性又はセミノーマ性胚細胞腫瘍(GGCT、SGCT)及び非胚細胞腫瘍性又は非セミノーマ性胚細胞腫瘍(NGGCT、NSGCT)を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、胚細胞腫瘍又はセミノーマ腫瘍は、胚細胞腫、未分化胚細胞腫及びセミノーマを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、非胚細胞腫瘍又は非セミノーマ腫瘍は、純粋な及び混合の胚細胞腫瘍を指し、胎児性癌、内胚葉洞腫瘍、絨毛癌、ティールーム(tearoom)、多胚腫、性腺芽腫及び奇形癌を含むがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、疾患の診断、検出、段階分け、及び療法に有用である。いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、ヒト疾患の診断、検出、段階分け、及び療法に有用である。いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、癌の診断、検出、段階分け、及び療法に有用である。
一実施形態において、本発明のモノクローナル抗体及びその断片は、ヒト化される又は完全にヒトである。
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において悪性腫瘍を診断又は治療する方法であって、本発明のモノクローナル抗体若しくはその断片又は抗体融合タンパク質若しくはその断片を含む治療有効量の治療用コンジュゲートを対象に投与することを含み、本発明のモノクローナル抗体若しくはその断片又は抗体融合タンパク質若しくはその断片が、少なくとも1つの診断薬及び/又は治療薬に結合され、次いで薬学的に適切な賦形剤で製剤化される、方法を提供する。
インビトロ診断用のモノクローナル抗体の使用は、当業者に周知である。例えば、Carlssonら,Bio/Technology 7(6):567(1989)を参照されたい。例えば、モノクローナル抗体は、生検試料からの組織中の腫瘍関連抗原の存在を検出するために使用できる。モノクローナル抗体はまた、ラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ、及び蛍光イムノアッセイなどの技術を用いて、臨床流体試料中の腫瘍関連抗原の量を測定するために使用できる。腫瘍標的化モノクローナル抗体及び毒素のコンジュゲートは、生体内で癌細胞を選択的に殺すために使用できる(Spalding,Bio/Technology 9(8):701(1991);GoldenbERg,Scientific American Scienc & Medicine 1(1):64(1994))。例えば、実験動物モデルにおける治療研究は、細胞傷害性放射性核種を保有する抗体の抗腫瘍活性を実証した。
また、本明細書に記載されるのは、本発明の抗体、若しくは抗体融合タンパク質若しくはその断片のいずれかのモノクローナル抗体若しくはその断片を含む抗体成分を含む、癌細胞を標的とする診断用又は治療用コンジュゲートであり、抗体成分は、少なくとも1つの診断薬又は少なくとも1つの治療薬に結合される。一実施形態において、診断用コンジュゲートは、光活性診断薬/検出薬である。一実施形態において、診断用コンジュゲートは、超音波で検出可能な薬剤である。一実施形態において、診断用コンジュゲートは、MRI造影剤である。別の実施形態において、診断薬/検出薬は、20〜4,000keVのエネルギーを有する放射性核種である。
さらに、本発明は、対象における癌を診断する方法を含む。いくつかの実施形態において、診断は、薬学的に好適な賦形剤で製剤化された診断有効量の診断用コンジュゲートを投与すること、および上記標識を検出することによって達成される。本発明のモノクローナル抗体又はそれ由来の融合タンパク質又はその断片は、診断薬/検出薬にコンジュゲートされ得るか、又は診断薬/検出薬の投与前に、投与と同時に、又は投与後に、診断薬/検出薬にコンジュゲートされずに投与され得る。一実施形態において、適切な非放射性診断薬/検出薬は、磁気共鳴画像(MRI)、X線、コンピューター断層撮影(CT)又は超音波に適する造影剤である。別の実施形態において、磁気造影剤は、本発明の抗体と共に使用される場合、例えば、2−ベンジルDTPA及びそのモノメチル及びシクロヘキシル類似体を含む金属キレートの組み合わせと複合体化された、マンガン、鉄及びガドリニウムなどの非放射性金属を含む。参照によりその全体が組み込まれる、2001年10月10日出願の米国特許第09/921,290号を参照されたい。
いくつかの実施形態において、本発明で企図されるMRI造影剤などの造影剤は、ガドリニウムイオン、ランタンイオン、ジスプロシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン又は他の同等の標識、CT造影剤、及び超音波造影剤を含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、常磁性イオンが本発明に適する。一実施形態において、常磁性イオンは、クロム3+、マンガン2+、鉄3+、鉄2+、コバルト2+、ニッケル2+、銅2+、ネオジム3+、サマリウム3+、イッテルビウム3+、ガドリニウム3+、バナジウム2+、テルビウム3+、ジスプロシウム3+、ホルミウム3+及びエルビウム3+を含み、ガドリニウムが特に好ましい。別の実施形態において、X線イメージングなどの他の状況に有用なイオンは、ランタン3+、金3+、鉛2+、及び特にビスマス3+を含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、金属はまた診断薬/検出薬に有用であり、磁気共鳴イメージング技術用のものを含む。一実施形態において、これらの金属は、ガドリニウム、マンガン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム及びネオジムを含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、放射性金属又は常磁性イオンを有する抗体成分の添加は、イオンを結合するための多数のキレート基が取り付けられる長いテールを有する試薬と抗体を反応させる必要があり得る。一実施形態において、そのような尾部は、ポリリシンなどのポリマー、多糖、又は例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス−チオセミカルバゾン、ポリオキシム、及びこの目的に有用であることが知られる基などのキレート基を結合させることができるペンダント基を有する他の誘導体化された又は誘導体化できる鎖であり得る。
いくつかの実施形態において、コンジュゲート診断薬は、放射線不透過性材料及び造影剤である。一実施形態において、これらの放射線不透過性診断薬は、X線及びコンピューター断層撮影を増強するために使用され、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物などを含む。別の実施形態において、特定の化合物は、バリウム、ジアトリゾエート、ヨード化ケシ油エチルエステル、クエン酸ガリウム、イオカルミン酸、イオセタミン酸、ヨードアミド、イオジパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセミン酸、イオセファム酸、イオセリン酸、イオスラミドメグルミン、イオセメチン酸、イオタスル、イオテトリン酸、イオタラム酸、イオトロキシン酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾアート、プロピリオドン、及び塩化タリウムを含む。
いくつかの実施形態において、コンジュゲート診断薬は、蛍光剤である。別の実施形態において、蛍光標識化合物は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、レノグラフィン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド及びフルオレサミンを含む。一実施形態において、ローダミン及びフルオレセインは、しばしば、イソチオシアネート中間体を介して連結される。一実施形態において、蛍光標識された抗体は特に、フローサイトメトリー分析のために使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体、融合タンパク質、及びそれらの断片は、検出化学発光化合物に抗体を結合することによって検出可能に標識できる。一実施形態において、化学発光標識化合物は、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びシュウ酸エステルなどを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、生物発光化合物は、本発明の抗体及びその断片を標識するために使用できる。一実施形態において、生物発光標識化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリンを含むが、これらに限定されない。
別の態様によれば、本発明は、疾患を患う対象の治療の方法であって、NKp44アイソフォーム1、又はそれらの任意の断片に対する本発明の少なくとも1つの抗体、融合タンパク質及びそれらの断片の治療有効量を上記対象に投与することを含む、方法を提供する。
用語「治療有効量」は、所望の治療的又は予防的結果を達成するための、必要な用量で及び期間の、有効な量を指す。正確な剤形及びレジメンは、患者の状態に応じて医師によって決定される。
医薬組成物
本発明はまた、ヒトの医学的用途用の医薬製剤を企図し、それは本明細書に記載の様々な病態の治療、診断又は予防のための治療用組成物の製造のための、PCNAを認識する少なくとも1つの抗体を活性剤として含む。
そのような医薬及び医薬製剤において、活性剤は好ましくは、1以上の医薬として許容される担体(複数可)及び必要に応じて、任意の他の治療成分と共に利用される。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合しかつそのレシピエントに対して過度に有害でないという意味で、医薬として許容されなければならない。活性剤は、上記の所望の薬理学的効果を達成するのに有効な量で、かつ所望の日用量を達成するのに適する量で提供される。
典型的には、抗体の抗原結合部分を含む本発明の分子は、治療用途のための滅菌生理食塩水溶液中に懸濁される。医薬組成物は代替的に、活性成分(抗体の抗原結合部分を含む分子)の放出を制御するために、又は患者の系におけるその存在を延長するために製剤化され得る。多数の適切な薬物送達システムが知られており、例えば、移植可能な薬物放出システム、ヒドロゲル、ヒドロキシメチルセルロース、マイクロカプセル、リポソーム、マイクロエマルジョン、及びマイクロスフェアなどを含む。制御放出調製物は、本発明に係る分子を複合体化又は吸着するためのポリマーの使用を介して調製できる。例えば、生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)のマトリックス及びステアリン酸二量体とセバシン酸のポリ無水物コポリマーのマトリックスを含む。本発明に係る分子、すなわち、抗体又は抗体断片のそのようなマトリックスからの放出速度は、分子の分子量、マトリックス内の分子量、及び分散粒子のサイズに依存する。
本発明の医薬組成物は、経口、局所、鼻腔内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、関節内、病巣内又は非経口などの、任意の適切な手段によって投与され得る。通常、静脈内(i.v.)、関節内、局所又は非経口投与が好ましい。
本発明に係る分子の治療有効量は、とりわけ、投与スケジュール、投与される分子の単位用量、分子が他の治療薬と組み合わせて投与されるかどうか、患者の免疫状態及び健康状態、投与される分子の治療活性及び治療する医師の判断に依存することは当業者には明らかである。
本発明の分子(抗体又はその断片)の適切な用量は、投与経路、分子(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、有機分子など)の種類、年齢、体重、性別、又は患者の病態に依存して変化し、経口投与の場合は、最終的には医師によって決定されるべきであるが、日用量は一般的に、体重1kg当たり約0.01mg〜約500mg、好ましくは約0.01mg〜約50mg、より好ましくは約0.1mg〜約10mgであり得る。非経口投与の場合には、日用量は一般的に、体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、好ましくは約0.001mg〜約10mg、より好ましくは約0.01mg〜約1mgであり得る。毎日の投与量は、例えば、典型的には、毎日1〜4回の個々の投与のレジメンで投与できる。投与の他の好ましい方法は、体重1kg当たり約0.01mg〜約100mgの関節内投与を含む。効果的な量の達成における様々な考察は、例えば、Goodman及びGilman’s:治療薬の薬理学的基本(The Pharmacological Bases of Therapeutics),第8版,Pergamon Press,1990;並びにレミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences),第17版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990に記載される。
併用化学療法の好適な投与レジメンは、当技術分野で公知であり、例えば、Saltzら,Proc ASCO 1999,18,233a及びDouillardら,Lancet 2000,355,1041〜7に記載される。
活性成分としての本発明の分子は、周知のとおり、医薬として許容され活性成分と適合性がある賦形剤に溶解、分散又は混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、デキストロース、グリセロール、又はエタノールなど、及びそれらの組み合わせである。他の適切な担体は、当業者に周知である。加えて、所望であれば、組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤などの少量の補助物質を含有してよい。
別の態様によれば、本発明は、活性成分として治療有効量の本発明のポリペプチド、並びに医薬として許容される担体及び/又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、本発明のポリペプチド又はそれらの類似体、又はそれらの誘導体の医薬として許容される塩の形態で製剤化され得る。別の実施形態において、医薬として許容される塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、及び酒石酸などの非毒性無機酸又は有機酸から誘導される塩などの、遊離アミノ基と形成されるそれらの塩、並びにナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、及びプロカインなどの非毒性無機塩基又は有機塩基から誘導される塩などの、遊離カルボキシル基と形成されるそれらの塩を含む。
本明細書で使用する用語「担体」は、治療化合物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。そのような医薬担体は、水、並びにピーナッツ油、大豆油、鉱油、及びゴマ油などの、石油、動物、植物又は合成起源のものを含む油類、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒などの無菌の液体であり得る。医薬組成物が静脈内投与される場合には、水が好ましい担体である。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に注射溶液のための液体担体として使用できる。適切な医薬賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、及びエタノールなどを含む。組成物は、所望であれば、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤も含有してよい。ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性の調整のための薬剤も想定される。担体は、本明細書に提示される医薬組成物を、合計で約0.1重量%〜約99.99999重量%含み得る。
本明細書で使用する用語「医薬として許容される」は、対象、例えば、ヒトへの投与に適することを意味する。例えば、用語「医薬として許容される」は、連邦又は州政府の規制当局によって承認されるか、又は米国薬局方又は動物、より詳細にはヒトでの使用のための他の一般に認められた薬局方に記載されることを意味する。
別の実施形態において、本発明の組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、ゲル、クリーム、軟膏、泡、ペースト、及び持続放出製剤などの形態をとる。別の実施形態において、本発明の組成物は、トリグリセリド、微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの従来の結合剤及び担体と共に、座薬として製剤化できる。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含んでよい。適切な医薬担体の例は、E.W.Martinによるレミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。そのような組成物は、対象への適切な投与のための形態を提供するのに適する量の担体と共に、治療有効量の本発明のポリペプチドを、好ましくは実質的に精製された形態で含有する。
本発明の一実施形態によれば、医薬組成物は、0.1%〜95%の本発明のポリペプチド(複数可)、その誘導体、又は類似体を含有する。本発明の別の実施形態によれば、医薬組成物は、1%〜70%のポリペプチド(複数可)、その誘導体、又は類似体を含有する。本発明の別の実施形態によれば、投与されるべき組成物又は製剤は、治療される対象の病態又は疾患を治療するのに有効な量で本発明の実施形態に係るポリペプチド(複数可)、その誘導体、又はその類似体の量を含有し得る。
本発明の実施形態は、薬学の分野で周知の任意の方法によって単位剤形で提示され調製される本発明のポリペプチド、その誘導体、又は類似体に関する。本発明の実施形態において、単位剤形は、錠剤、カプセル、トローチ、ウェハ、パッチ、アンプル、バイアル又は予め充填されたシリンジの形態にある。加えて、インビトロアッセイが必要に応じて、最適な用量範囲の特定を助けるために使用され得る。製剤に使用される正確な用量はまた、投与の経路、及び疾患又は障害の性質に依存し、医師の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、インビトロ又はインビボ動物モデルの試験バイオアッセイ又はシステムから導かれる用量反応曲線から外挿できる。
一実施形態によれば、本発明の組成物は、医薬として許容される担体又は希釈剤と共に本発明の活性成分(キメラポリペプチド)の少なくとも1つを含む医薬組成物の形態で投与される。別の実施形態において、本発明の組成物は、任意の従来の経口、非経口又は経皮剤形で、個別に又は共に投与できる。いくつかの実施形態において、医薬組成物はさらに、化学療法剤などの少なくとも1種の抗癌剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、毒素療法又は手術などの抗癌治療との組み合わせ投与のために採用される。
本明細書で使用する用語「投与する」、「投与」及び同様の用語は、健全な医療行為において、治療効果を提供するような様式で活性薬剤を含有する組成物を対象に送達する、任意の方法を指す。
目的の組織の位置に依存して、本発明のポリペプチドは、目的の組織内の細胞へ、ポリペプチドの提供に適した任意の様式で投与できる。したがって、例えば、本発明のポリペプチドを含有する組成物は、例えば、全身循環内へ導入でき、それは目的の組織にペプチドを分布させる。あるいは、組成物は、目的の組織に局所的に適用されてよい(例えば、注射される、又は連続注入としてポンピングされるか、又は組織内ボーラスとして皮膚の表面の全て又は一部へ適用される)。
いくつかの実施形態において、キメラポリペプチドを含む医薬組成物は、経口、直腸、経膣、局所、経鼻、眼、経皮、皮下、筋肉内、腹腔内又は静脈内の投与経路を介して投与される。医薬組成物の投与経路は、治療すべき疾患又は病態に依存する。適切な投与経路は、非経口注射、例えば、皮内、静脈内、筋肉内、病巣内、皮下、髄腔内、及び当技術分野で知られる注射の任意の他のモードを含むが、これらに限定されない。他の経路によって投与されるペプチドの生物学的利用能は、非経口注射を介して投与した場合よりも低い可能性があるが、適切な製剤を使用することによって、経皮、経口、直腸、膣、局所、鼻腔、吸入及び眼の治療のモードを介して本発明の組成物を投与できることが想定される。加えて、脳室内及び髄腔内注射を含む、任意の適切な経路によって本発明の医薬組成物を導入することが望ましい場合があり;脳室内注射は、例えば、リザーバに取り付けられた脳室内カテーテルによって容易にできる。肺投与も、例えば、吸入器又は噴霧器の使用により用いられる。
局所適用のために、本発明のペプチド、その誘導体、類似体又は断片は、所望の活性に基づいて、有効な投薬量が送達されるように、医薬として許容される担体と組み合わされてよい。担体は、例えば、限定されないが、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、泡、エアゾール、坐剤、パッド又はゲル化スティックの形態であり得る。
経口適用については、医薬組成物は、錠剤又はカプセルの形態であってよく、それは以下の成分、又は類似の性質の化合物:微結晶セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン若しくはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤;又はコロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤のいずれかを含有してよい。投薬単位形態がカプセルである場合、それは上記種類の材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してよい。加えて、投与単位形態は、投与単位の物理的形態を変更する様々な他の材料、例えば、糖のコーティング剤、シェラック、又は他の腸溶性薬剤を含有してよい。本発明の錠剤は、さらにフィルムコーティングできる。
非経口投与の目的のために、ゴマ油若しくは落花生油中の又は水性プロピレングリコール中の溶液、並びに対応する水溶性塩の無菌水溶液を使用できる。そのような水溶液は、必要であれば、適切に緩衝化でき、液体希釈剤は最初に、十分な生理食塩水又はグルコースで等張にされる。これらの水溶液は、特に、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内注射の目的に適する。
いくつかの実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチド、その誘導体、又は類似体は、制御放出システムで送達できる。別の実施形態において、注入ポンプは、例えば、特定の器官若しくは腫瘍にインスリン又は化学療法剤を送達するために使用されるものなどのペプチドを投与するために使用できる。別の実施形態において、本発明のペプチドは、選択された部位で制御された期間にわたりペプチドを放出する、生分解性、生体適合性ポリマーインプラントと組み合わせて投与される。好適なポリマー材料の例は、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレンビニルアセテート、コポリマー及びそのブレンドを含むが、これらに限定されない(制御放出の医学的応用(Medical applications of controlled release),Langer及びWise(編)、1974、CRC Pres.,Boca Raton,Fla.を参照されたく、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに別の実施形態において、制御放出システムは、治療標的に近接して配置でき、したがって、全身用量の一部のみを必要とする。
本明細書に記載のペプチド、その誘導体、又はその類似体はまた、リポソーム、ISCOMS、徐放性粒子、及び血清中のペプチド又はポリペプチドの半減期を増加させる他のビヒクルなどの人工的に作製された構造中に含有され得る。リポソームは、エマルジョン、泡、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散物、及びラメラ層などを含む。本発明のペプチドと共に使用するためのリポソームは、中性及び負に荷電したリン脂質及びコレステロールなどのステロールを一般的に含む標準的な小胞形成脂質から形成される。脂質の選択は一般的に、血液中のリポソームのサイズ及び安定性などを考慮して決定される。様々な方法が、例えば、Coligan,J.E.ら,タンパク質科学の最新プロトコル(Current Protocols in Protein Science),1999,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkによって概説されるように、リポソームを調製するために利用可能であり、かつ米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、及び同第5,019,369号も参照されたい。
組成物はまた、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのポリマー化合物の粒状調製物の中若しくは上への、又はリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層若しくは多層の小胞、赤血球ゴースト、若しくはスフェロプラスト上への活性物質の組み込みを含む。そのような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボ放出の速度、及びインビボクリアランスの速度に影響を与える。
一実施形態において、本発明は、組み合わされる調製物を提供する。一実施形態において、「組み合わされる調製物」は、上で定義した組み合わせパートナーが、独立して投与できるか、又は組み合わせパートナーの別々の量での異なる固定された組み合わせの使用により、すなわち、同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、別々に又は逐次投与できるという意味で、特に「パーツのキット」を定義する。いくつかの実施形態において、パーツのキットのパーツは次いで、例えば、同時に投与するか、又は経時的に互い違いに、すなわち異なる時点で、かつパーツのキットの任意のパーツについて等しい又は異なる時間間隔で、投与されてよい。組み合わせパートナーの総量の比は、いくつかの実施形態において、組み合わされる調製物で投与できる。一実施形態において、組み合わされる調製物は、当業者であれば容易に行うことができるように、例えば、治療される患者亜集団のニーズ又はその異なるニーズが特定の疾患、疾患の重篤度、年齢、性別、又は体重によるものであり得る単独患者のニーズに対応するために、変更できる。
一実施形態において、本発明のペプチドは、単独で各薬剤を用いる治療と比較して改善された治療効果を達成するために、追加の活性剤と共に個人に提供されてよいことが理解される。別の実施形態において、併用療法に関連付けられる副作用のために、対策(例えば、相補剤の投薬及び選択)が講じられる。
一実施形態において、治療される病態の重篤度及び応答性に依存して、投薬は、数日〜数週間、又は治癒されるか又は疾患状態の減少が達成されるまで継続する治療過程での、単回投与又は複数回投与であり得る。
いくつかの実施形態において、ペプチドは、治療上安全かつ有効な量で投与される。本明細書で使用する用語「安全かつ有効な量」は、本明細書に記載の方法で使用される場合、合理的な利益/リスク比に見合った過度の有害な副作用(毒性、刺激、又はアレルギー反応など)なしに所望の治療応答を得るのに十分である成分の量を指す。別の実施形態において、治療有効量のポリペプチドは、インビボで測定可能な期待される生物学的効果に必要なポリペプチドの量である。投与される実際の量、並びに投与の速度及び時間経過は、治療される病態の性質及び重篤度に依存する。治療の処方、例えば、投与量、タイミングなどの決定は、一般開業医又は専門医の責任の範囲内であり、典型的には、治療される障害、個々の患者の病態、送達部位、投与方法及び開業医に知られる他の要因が考慮される。技術及びプロトコルの例は、レミントン:科学と実践薬学(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)、第21版、Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.,(2005)の中で見つけることができる。いくつかの実施形態において、有効量又は用量の調製は、最初にインビトロアッセイから推定できる。一実施形態において、用量は、動物モデルにおいて定められてよく、そのような情報を、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用できる。
一実施形態において、本明細書に記載の活性成分の毒性及び治療効果は、細胞培養又は実験動物において、インビトロで標準的な薬学的手順によって決定できる。一実施形態において、これらのインビトロアッセイ及び細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための用量の範囲を定めるのに使用できる。一実施形態において、投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて変化する。一実施形態において、正確な製剤化、投与経路及び投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。[例えば、Finglら、(1975) 「治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、チャプター1、ページ1を参照されたい]。
活性成分として本明細書に記載のポリペプチドを含有する医薬組成物は、従来の医薬配合技術に従って調製できる。例えば、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第18版、Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990)を参照されたい。また、レミントン:科学と実践薬学(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第21版、Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.(2005)を参照されたい。
一実施形態において、適合性のある医薬担体で製剤化される本発明の調製物を含む組成物は、示される病態の治療のために調製され、適切な容器に入れられ、ラベリングされる。
一実施形態において、本発明の組成物は、FDA承認キットなどのパック又はディスペンサーデバイス中で提供され、それは活性成分を含有する1以上の単位剤形を含有する。一実施形態において、パックは、例えば、金属又はブリスターパックなどのプラスチックフォイルを含む。一実施形態において、パック又はディスペンサー装置は、投与のための指示書が添付される。一実施形態において、パック又はディスペンサーは、医薬品の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形式で容器に付けられた通知を伴い、この通知は、組成物の形態又はヒト若しくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、一実施形態において、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベリングか、又は承認された製品添付文書である。
以下の実施例は、本発明の化合物の作製方法及び使用方法、並びに本発明の方法を説明することを意図するものであり、決して、限定するものと解釈されるべきではない。本発明は、これから、その特定の実施形態に関連して説明されるが、多くの変更及び変形が当業者に明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に入る全てのそのような変更及び変形を包含することが意図される。
実施例
一般的に、本明細書で使用する命名法、及び本発明で利用される実験手順は、分子、生化学、微生物学及び組み換えDNAの技術を含む。そのような技術は、文献で詳細に説明される。例えば、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A laboratory Manual)」、Sambrookら,(1989);「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular biology)」、I−III巻、Ausubel,R.M.(編)、(1994);Ausubelら,「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular biology)」,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,「分子クローニングの実用ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」,John Wiley & Sons,New York(1988);Watsonら、「組換えDNA(Recombinant DNA)」,Scientific American books,New York;Birrenら(編)“、「ゲノム解析:実験室マニュアルシリーズ(Genome Analysis: A Laboratory Manual Series)」,1〜4巻,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号及び同第5,272,057号に記載の方法;「細胞生物学:研究室ハンドブック(Cell Biology: A Laboratory Handbook)」,I−III巻、Cellis,J.E.(編)、(1994);Freshneyによる「動物細胞の培養−基本技術のマニュアル(Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique)」,Wiley−Liss,N.Y.(1994),第3版;「免疫学における最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)」、I−III巻、Coligan J.E.(編)(1994);Stitesら(編),「基礎及び臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(第8版),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell及びShiigi(編),「タンパク質精製及び特性評価のための戦略−研究室コースマニュアル(Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual)」、CSHL Press(1996);「モノクローナル抗体:方法及びプロトコル(Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols)」、Vincent Ossipow,Nicolas Fischer.Humana Press(2014);「モノクローナル抗体:方法及びプロトコル(Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols)」、Maher Albitar.Springer Science & Business Media(2007)を参照されたく、これらの全ては、参照により組み込まれる。他の一般的な参考文献は、本明細書を通じて提供される。
材料及び方法
組換えヒトPCNA生成
pET−28又はpMAL−c2xベクターを用いて、Rosetta(商標)2(DE3)細胞中で組換えヒトPCNA(hPCNA)を生成した。PCNAのmRNA配列を含有するプラスミドを、熱ショックによりRosetta(商標)2細胞中に形質転換し、LB+Kan+CP寒天プレート上で増殖させた。形質転換した細菌の新鮮なコロニーを、37℃および250rpmに設定したインキュベーターシェーカー中にて、5mlのLB+Kan+CP中で一晩増殖させた。翌日、細菌細胞を、500mlのLB+Kan+CP中に1:100希釈し(死細胞を廃棄するため)、0.6〜0.8のO.D.(λ=650nm)に増殖させた。イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)をPCNA(0.5mM)の誘導のために添加し、細胞をさらに26℃で4時間インキュベートした(hPCNA)。細胞を次いで遠心分離し、ペレットを、溶液A(20mMのトリス−HCl pH8.0、0.5MのNaCl、20mMのイミダゾール)で再懸濁し、6回超音波処理し(40秒間隔で20秒)、0.45μm(Sartorius Stedimbiotech)フィルターを通して篩にかけ、その後、Hisタグ又はアミロセレシン(Amyloseresin)ビーズ上に添加した。Hisタグ付きタンパク質の精製を、キットのプロトコルに従って、「HisPur(商標)Ni−NTA樹脂」ビーズキット(Thermo−Scientific;沈降樹脂1ミリリットル当たり、細菌源からの28kDaの6x Hisタグ付きタンパク質の結合能≦60mg)と共に重力流カラム(Gravity−flow Column)用いて行った。MBPタグ付きタンパク質の精製を、アミロース樹脂ビーズ(カタログ番号E8035S)を用いて行った。
表面プラズモン共鳴による抗体の動態解析
ProteOn(商標)XPR36タンパク質相互作用アレイシステム(BIo−Rad)を用いて、hisタグ付き組換えPCNAに対するモノクローナル抗体14−25−9の親和性を測定した。アッセイのために、HTGチップ及びProteOn Managerバージョン3.1.0.6(Bio−Rad Laboratories)を用いた。EDC/S−NHSアミンカップリング手順を用いたチップの活性化後に、リガンド固定化プロセスを、Hisタグ付き組換えPCNA及び対照としてHisタグ付きIL−2を用いて、異なるフローセル中で30μl/分の流速で実行した。異なる検体(14−25−9)濃度(100〜0nM)を40μl/分の流速で注入し、それぞれその後50mMのNaOHを用いて表面の再生を行った。二価結合モデルを用いてデータを解析した。
細胞株及び細胞培養
以下の細胞株を使用した:A549、ヒト肺腺癌(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションCCL−185);HeLa、ヒト子宮頚腺癌(ATCC CCL−2);MDA−MB−435、ヒト黒色腫(https://www.atcc.org/Products/All/HTB−129.aspx)(ATCC HTB−129);K562、ヒト慢性骨髄性白血病(ATCC CCL−243)及び以前に作製されたHLA−C分子を発現する721.221cw6、安定721.221(MHCクラスI陰性ヒトB細胞株)形質転換体(J Exp Med.1996 Sep 1;184(3):913−22)。細胞を、10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM又はRPMI−1640(Gibco,Life Technologies)培地中で培養した。NK−92細胞株(ATCC CRL−2407)由来のヒトNK細胞白血病を、FLAGタグ付きNKp44構築物でレトロウイルス形質導入して、NK−92−NKp44で細胞株を生成した。レトロウイルス形質導入を、以前に記載したように行った。安定NK−92−NKp44細胞株を次いで、10%ウマ血清、10%FBS、0.2mMのミオ−イノシトール(Sigma)、0.1mMのβ−メルカプトエタノール(Sigma)、20μΜの葉酸(Fisher Scientific)、100 IU/mlの組換えヒトIL−2(PeproTech)、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies)を補充したα−MEM培地(Gibco,Life Technologies)中で培養した。
初代ヒトNK細胞の単離及び培養
ネゲブ・ベングリオン大学の治験審査委員会からの事前の承認を得て、ヒト初代ナチュラルキラー細胞の単離を、RosetteSepヒトNK細胞濃縮カクテルキット(Stem Cell Technologies)を使用して、インフォームドコンセント得た健常ボランティアドナーの末梢血から行った。精製後に、細胞を、健常ドナーからの10%熱不活性化ヒト血漿、1mMのピルビン酸ナトリウム、2mMのL−グルタミン、1×MEM非必須アミノ酸、1% ペニシリン/ストレプトマイシン、10mMのHEPES(Life Technologies)、及び300 IU/mlのヒトIL−2(PeproTech)を補充したCellGro幹細胞無血清増殖培地(CellGenix)中で培養した。
IFN−γ分泌アッセイのためのELISA
精製しビオチン化した抗ヒトIFN−γ抗体(BioLegend)のペアセットを、IFN−γ分泌アッセイのサンドイッチELISAに使用した。96ウェルのU底プレート(NUNC)を、NaHPO緩衝液(0.1M、pH9)で希釈した0.5μg/mlの抗ヒトNKp30 mAb(R&D Systems)又は緩衝液のみのいずれかで、4℃で18時間プレコーティングした。腫瘍細胞を、1×PBS、抗マウスIgG1又は異なる濃度の14−25−9 mAb(初代NK細胞を用いる研究では2、5及び10μg/ml並びにNK−92−NKp44細胞株では10、20及び30μg/ml)のいずれかとインキュベートした。それらを次いで、37℃、5% COインキュベーター中にて事前にコーティングした96ウェルU底プレート中で初代ヒトNK細胞又はNK−92−NKp44のいずれかと18時間共培養した(エフェクター:標的比 1:3)。インキュベーション後、各ウェルからの上清を、0.25μg/mlの精製抗ヒトIFN−γで事前にコーティングした96ウェル平底ELISAプレートの対応するウェルに移し、インキュベートし、0.25μg/mlのビオチン化抗ヒトIFN−γを用いて再捕捉した。捕捉したIFN−γを、マルチプレートELISAリーダー中で、HRPタグ付きストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)及びTMB基質(Dako)を用いて定量した。
フローサイトメトリーベースのNK細胞媒介性溶解アッセイ
IFN−γ分泌アッセイでのように、カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル染色された(CellTrace(商標)CFSE細胞増殖キット、Thermo)腫瘍細胞を最初に、1×PBS、抗マウスIgG1又は異なる濃度の14−25−9 mAbのいずれかとインキュベートし、次いで0.5μg/mlの抗ヒトNKp30 mAb又は緩衝液のいずれかでプレコーティングした96ウェルU底プレート中で、初回刺激した初代ヒトNK細胞又はNK−92−NKp44細胞と4時間(37℃、5% CO)共培養した。アッセイ解析は、以下のゲーティング戦略に基づいた:CFSE陽性腫瘍細胞を、生/死識別に供した(PI陰性又は陽性染色に応じて)。特異的な細胞傷害性の割合を以下のように算出した(Journal of Immunological Methods 2001 253:177−187):特異的溶解の割合(%)=100×(試料溶解の割合(%)−基礎溶解の割合(%))/100−基礎溶解の割合(%)。
実施例1
NKp44−1は免疫チェックポイントとして独自の役割を有する
以前の報告は、腫瘍発現PCNAが、NK受容体NCR2/NKp44での相互作用を介して、NK活性を抑制するために癌細胞によって利用され得ることを示した。各NKp44スプライスバリアントの役割を評価するために、NK92細胞を、3つのNKp44スプライスバリアントの各々をコードするcDNAでトランスフェクトした。3つのNK92形質転換体(すなわち、NK92−44−1、NK92−44−2及びNK92−44−3)のスプライスバリアントプロファイルのqPCR分析は、全ての3つの中でのトランスフェクトされたスプライスバリアントのドミナント発現を示した。
共培養(標的)細胞によるPCNAの過剰発現は、NK92−44−1細胞によるIFNγ分泌を阻害したが、NK92−44−2及びNK92−44−3細胞によるIFNγ分泌を阻害しなかった(図1A)。本発明者らは次に、PCNA障害性及びPCNA応答性NK機能的表現型が、安定な溶解性免疫シナプスの形成に必要な細胞骨格再構成に影響を与え得るかどうかを検討した。安定な溶解性免疫シナプスの形成を、各NKp44スプライスバリアントでトランスフェクトしたNK92細胞株で調べた。NK92wt(親)、NK92−44−1、NK92−44−2及びNK92−44−3(エフェクター)細胞を、CFPのみ又はCFP−PCNA融合タンパク質を発現するHeLa細胞と共インキュベートし、免疫シナプスにおけるF−アクチンの相対的蓄積を評価した(図1B、C)。驚くべきことに、NKp44−1スプライスバリアントの過剰発現は、PCNA過剰発現標的細胞とのNK92−44−1細胞の相互作用時に、免疫シナプスで蓄積するF−アクチンの相対量の有意な減少(−22.6%±3.9%)をもたらしたことが見出された(図1C)。対照的に、スプライスバリアント2及び3でトランスフェクトしたNK92細胞は、対照WT NK92エフェクター細胞と比較してF−アクチン蓄積での有意な減少を示さなかった(それぞれ+6.9%及び+4.6%)(図1C)。
初代NK細胞においてこの発見をさらに試験するために、ヒトNK細胞を末梢血単核細胞(PBMC)から単離し、IL−2又はIL−15の存在下で6日間培養した。実際に、NKp44は、フローサイトメトリーにより休眠CD3−/CD56+/CD16+及びCD3−/CD56+/CD16−初代NK細胞の表面上で検出されなかったが、IL−2又はIL−15の存在下で上方制御された(図2A)。総NKp44 mRNAのqPCR分析は、NKp44タンパク質表面発現と同様の結果を明らかにした。NKp44スプライスバリアントの示差発現をqPCRによりさらに調べると、NKp44−1とNKp44−3は両方とも有意に上方制御され、一方でNKp44−2発現は低いままであった。しかしながら、NKp44−1スプライスバリアントは、NKp44−3と比較してより高度に上方制御された(図2B)。
PCNA過剰発現システムモデルにおいて、IL−2活性化初代NK細胞は、対照HeLa細胞と比較して、PCNAを過剰発現するHeLa標的細胞に対するより低い溶解活性を示した(図2C、HeLa GFP対HeLa GFP PCNA)。同じ機能的結果が、IL−15培養初代NK細胞についても観察された(図2D、HeLa GFP対HeLa GFP PCNA)。両方の現象は、IL−2又はIL−15と初代NKを培養した後の、NKp44−1スプライスバリアント発現の優位性と相関する(図2B)。これらの知見は、癌標的細胞の抑制された溶解をもたらす初代NK細胞の障害性機能的表現型が、NKp44−1ドミナント発現と関連付けられ得ることを示す。
実施例1は、NKp44−1の高発現が末梢NK細胞の障害性機能的表現型に関連付けられることを示し、免疫チェックポイントとしてのNKp44−1の役割を示唆する。
実施例2
急性骨髄性白血病(AML)におけるNKp44−1の生存不良プロファイル
癌性状態におけるNKp44−1の生理学的役割をさらに調べるために、癌ゲノムアトラス(Cancer Genome Atlas)(TCGA)に寄託されたAML患者の末梢血試料から得られたRNAseqデータにてレトロスペクティブ解析を行った。RNA−seqデータを有する173個の末梢血試料を、NK細胞特異的受容体であるNKp46(すなわち、総NKp46)の発現を使用して、NK細胞の存在について末梢血試料を最初にフィルターにかけることによって解析した。173症例のうち164は、NKp46陽性であり、さらなる分析のために選択された。164のNKp46陽性症例から、31%がNKp44陽性であった(すなわち、総NKp44;図3A)。
その後、AML患者の生存へのNKp44発現の寄与を、NKp46+NKp44+グループとNKp46+NKp44−グループを比較することにより調べた。NKp46+NKp44−の60症例及びNKp46+NKp44+の36症例のみが、TCGAに預けられた「死までの日」のデータを有した。NKp46+NKp44+とNKp46+NKp44−の症例グループの間の生存率(%)に違いは見られなかった(図3B)。
NCR2 mRNAは3つの異なるスプライスバリアント:NKp44−1、NKp44−2及びNKp44−3へとスプライスされ得るので、AML関連罹患率におけるNKp44の役割をさらに調べるために、NKp44アイソフォームの発現を分析した。
NKp46+NKp44+試料中のNKp44スプライスバリアントの相対的RNAseqベース発現は、図3Cに詳述される。個々のAML患者は、発現される単一NKp44スプライスバリアントから混合スプライスバリアント発現プロファイルに及ぶ、広範囲のNKp44スプライスバリアント発現を示す。NKp46+NKp44+症例のほぼ3分の2が、NKp44−1スプライスバリアントのみを発現した(図3D)。そのため、NKp46+NKp44−1+のみを、NKp44−1プロファイルを有する試料と考え、一方でNKp44−2/3プロファイルを、それらがNKp44−2又はNKp44−3を単独で、又はNKp44−1の発現と共に発現するかどうかにかかわらず、全ての他のNKp46+試料を含むと定義した。NKp46+NKp44−試料を、NKp44陰性プロファイルを有すると定義した。
図3Eは、NKp44−1プロファイルグループの生存が、NKp44陰性及びNKp44−2/3プロファイルグループよりも有意に低かったことを示す。NKp44−1発現レベルとAML患者の生存の間の関連性をよりよく特徴付けるために、NKp44−1プロファイルを、NKp44−1高(発現の上半分)及びNKp44−1低(発現の下半分)プロファイルにさらに分けた。本発明者らは次いで、NKp44−1高、NKp44−1低、NKp44−2/3及びNKp44陰性プロファイルについて、AML症例の生存率(%)をプロットした。NKp44−1低、NKp44−2/3及びNKp44陰性プロファイルの生存率(%)に有意差はなかった。しかしながら、NKp44−1高プロファイルを有する患者グループは、有意により低い生存率を示した(図3F)。
実施例2は、NKp44−1プロファイルがAMLと診断された患者の生存不良を示すことを示す。
実施例3
抗PCNA mAbによるNCR2ベースの免疫チェックポイントの操作
PCNAへのNKp44/NCR2結合を阻害できる抗PCNA mAbを、NCR2アイソフォーム1ベースの免疫チェックポイントを阻止する試みで作製した。マウスを組換えPCNAで免疫し、脾細胞を骨髄腫同等物に融合し、次いでPCNAへの結合について及びPCNAへのNKp44の結合の阻害について陽性であるコロニーをスクリーニングした。
2つのクローン:13.10(30%阻止)及び14.25(55%阻止、図4A)のみが、NKp44−PCNA相互作用を阻止できた。阻止効果は、腫瘍細胞への曝露後にNK機能を強化するこれらのmAbの能力と直接相関した(図4B、C)。NK細胞を、抗NKp44(NKp44−PCNA相互作用を阻止しない)又は抗NKp30のいずれかで予め活性化したことに留意されたい。両方の場合において、1:2のET比でのいくつかの癌細胞株(例えば、HeLa細胞)の添加は、NK機能を阻害した。これらの抗PCNA mAbの添加は、初回刺激よりも高いレベルにNK機能を増強した(図4B、C)。これは、標的癌細胞が阻害活性化シグナルを備えており、阻害シグナル(例えば、PCNA)が阻止されると、癌細胞によって媒介されるNK活性化シグナルがNK機能に寄与することを示す。
実施例4
抗PCNA mAbの軽鎖及び重鎖の配列決定
RNAを、TRI試薬(Sigmaカタログ番号T9424、ロットBCBQ3717V)を用いて、ハイブリドーマペレット細胞から抽出した。アガロースゲル電気泳動により抽出したRNAの完全性を視覚化した後、RNAを、ランダムプライマー及びオリゴdTを用いるスーパースクリプトファーストストランド合成システム(Invitrogenカタログ番号11904−018、ロット1404272)を用いるcDNA調製のために使用した。重鎖を、定常領域及び可変領域を別々に標的とするプライマーを用いるPCR反応によってコード領域から増幅した。軽鎖を、可変領域のN末端配列を標的とする縮重フォワードプライマー及びそれぞれの定常領域を標的とするリバースプライマーを用いるPCR反応によってコード領域から増幅した(図5A〜B)。PCR産物をアガロースゲル電気泳動により可視化し、対応するバンドをゲルから抽出し、配列決定分析のために採取した。配列決定を、BigDye VI.1化学を使用するSOP 11−001に従いABI3730xl遺伝子解析装置で行い、配列決定ファイルを作製した(AB1及びSEQ)。PCR反応によりバンドが全く得られなかった場合には、新たなプライマーを設計して、重鎖及び軽鎖の関連領域を増幅し、上記のように配列決定した。重鎖及び軽鎖のDNA配列を解析し、IMGTデータベース及び/又はExPASyツールを用いてそれぞれのタンパク質配列を得た。
具体的な実施形態の前述の説明は、本発明の一般的性質を完全に明らかにするので、過度の実験をすることなく、かつ一般的概念から逸脱することなく、現在の知識を適用することにより、そのような具体的な実施形態を容易に変更し、かつ/又は様々な用途に適合させることができ、したがって、そのような適応及び変更は、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内で理解されるべきであり、理解されることが意図される。本明細書中で用いられる表現又は用語は、説明の目的のためであり、限定するものではないことを理解されたい。様々な開示された機能を実行するための手段、材料、及び工程は、本発明から逸脱することなく、別の様々な形態をとり得る。
実施例5
膜PCNAに対する特異的モノクローナル抗体の生成
ハイブリドーマ技術を、膜PCNAに対する特異的モノクローナル抗体の生成のために使用した。5匹のC57BL6マウスの免疫を、(図6A)に示す模式図に従ってCFA及びIFA中のHis−PCNA(ヒト)で行った。免疫化スケジュール中の43日目に、抗PCNAポリクローナル抗体の血清力価を各マウスから調べ、それらのうち2匹を、それらの血清抗体の最高力価に従い選択した。脾細胞を次いで、これらの2匹のマウスから採取し、ハイブリドーマ生成のためにSP2/0細胞と融合した(図6A)。目的の抗体のスクリーニングのために、2つのアプローチをとり、1つ目はELISAにおけるMBP−PCNAへのNKp44受容体の結合阻害であり、2つ目はFACSを介する癌細胞表面PCNA認識であった。384個の全PCNA陽性ハイブリドーマから、14−25−9と命名した(14−25−2−9の略)1つのクローンが、両方のスクリーニングについて陽性の結果を示した(図1B〜C)。同じ手順を用いて、PCNAに匹敵する結合能を示す第2のモノクローナル抗体13−10−1を生成した(図18及び19)。
実施例6
14−25−9 mAbのPCNA結合能の特徴付け
ELISA及びウェスタンブロットを使用して、無関係のタンパク質His−DJ1と比較して、組換えHis及びMBPタグ付きPCNAによる14−25−9 mAbの顕著な結合を示した(図7A〜B)。ウェスタンブロットによるいくつかの癌細胞株由来の内因性PCNAの認識は、14−25−9が市販の抗PCNA mAb(クローンPC10)と同様に結合することを示した(図8A)。PCNAに対する14−25−9の結合親和性を、ProteOnを用いて決定し、KD値は3.54E−08 Mであることが判明した(図8B)。キメラNKp44受容体Igとの14−25−9又はPC10の共インキュベーションで、14−25−9のみが、PCNAとのNKp44受容体Igの結合の強い阻害を示した(図7C)。14−25−9の阻害は用量依存的であり、10μg/mlが最も高い阻害を示した。
実施例7
14−25−9 mAbによる細胞表面PCNA認識
細胞表面PCNAを特異的に認識する14−25−9 mAbの能力を試験するために以下の実験を行った。FACSにおけるいくつかの腫瘍細胞株例えば、K562の表面染色は、14−25−9が、市販のクローンPC10がほとんど表面染色を示さない細胞表面PCNAを認識したことを示した(図9)。PCNAの細胞内分布を「イメージストリーム(Image Stream)」実験で確認したところ、本発明者らは、14−25−9が主に細胞質PCNAを認識し、PC10がHeLa細胞の核PCNAを認識することを観察した(図10)。
実施例8
14−25−9 mAbは、癌組織からの非核PCNAを認識するが、患者適合非癌組織からの非核PCNAを認識しない
mAb 14−25−9はまた、癌患者からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト生検試料中の非核(細胞質−膜)PCNAに結合することが示された。対照的に、PC10は、これらの試料中の核PCNAに主に結合することが示された。同じ患者の同じ組織からの適合された非癌試料において、14−25−9は染色を示さなかったが、PC10はより少ない程度に核PCNAを染色したことに留意されたい。これは、ヒトの舌癌及び頭頸部癌(図11)並びに腎臓癌及び乳癌(図12)についてFFPEブロックからの切片の蛍光免疫組織化学を用いて観察された。
実施例9
癌細胞に作用するヒトNK細胞の能力に対する14−25−9 mAbの効果
ヒトNK細胞を活性化する14−25−9 mAbの能力を試験するために、以下の実験を行った。新たに単離したヒトNK細胞を、14−25−9又はIgG1(対照)の存在下で、固形腫瘍及び白血病からの異なる癌細胞株(HeLa、DU145、721.221及びK562)と一晩共インキュベートした。14−25−9とインキュベートしたNK細胞は、マウスのIgG1対照と比較してIFN−γ放出の増加を示した(図13A)。抗PCNA mAb14−25−9はまた、1:3のエフェクター:標的の比率で主に721.221 CW6と相互作用する場合、新鮮な初代ヒトNK細胞の溶解活性も向上させることができることが示された(図13B)。
実施例10
腫瘍に対するNK細胞の活性化に対する14−25−9のインビボ効果
14−25−9の活性のインビボ検証のために、免疫不全NOD/SCIDマウスを使用した。患者由来の異種移植片(PDX)をそれらのマウスで増殖させ、同時に、患者の自家CD56+NK細胞を、インビトロで培養して増殖させた。PDXが測定可能であった場合、自己NKの腫瘍内注射を行い、同時に14−25−9を尾静脈注入した(図14)。注入したヒトNK細胞は、CD56細胞とCD56細胞(予想通り)の両方を含有し、NKp44陽性であった(図15)。6時間後に、PDXを収集し、溶解し、ヒトCD 107aの発現を、CD56陽性ヒトNK細胞のゲーティングから解析した(図16での例)。PDX中のヒトNK細胞は、未処理マウスと比較したCD 107a発現の増加によって分かるように、尾静脈への14−25−9接種により活性化された(図17)。
本発明をその特定の実施態様と共に説明してきたが、多くの代替、変更及び変形が当業者に明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に入る全てのそのような代替、変更及び変形を包含することが意図される。

Claims (26)

  1. 抗体又はその抗原結合部分であって、抗体は3つの重鎖CDR(CDR−H)及び3つの軽鎖CDR(CDR−L)を含み、
    CDR−H1が、配列番号1(GFSFNI)及び配列番号21(IYAMN)から選択されるアミノ酸配列を含み、
    CDR−H2が、配列番号2(RIRSKSNNYATY)に記載のアミノ酸配列を含み、
    CDR−H3が、配列番号3(HPNYSGFNYPFAS)に記載のアミノ酸配列を含み、
    CDR−L1が、配列番号4(RSSQSIVHSNGKTYFE)に記載のアミノ酸配列を含み、
    CDR−L2が、配列番号5(KVSNRFS)に記載のアミノ酸配列を含み、かつ
    CDR−L3が、配列番号6(FQGSHVPYT)に記載のアミノ酸配列を含む、
    抗体又はその抗原結合部分。
  2. CDR−H1が、配列番号22(GFSFNIYAMN)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  3. CDR−H2が、配列番号23(RIRSKSNNYATYYADSVKD)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  4. 配列番号7のアミノ酸配列を含む可変領域重鎖を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  5. 配列番号8のアミノ酸配列を含む可変領域軽鎖を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  6. 配列番号9のアミノ酸配列を含む定常領域重鎖を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  7. 配列番号10のアミノ酸配列を含む定常領域軽鎖を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  8. 抗体又はその抗原結合部分であって、抗体は3つの重鎖CDR(CDR−H)及び3つの軽鎖CDR(CDR−L)を含み、
    CDR−H1が、配列番号11(VYAFSS)及び配列番号24(SSWMN)から選択されるアミノ酸配列を含み、
    CDR−H2が、配列番号12(RIYPADGDTN)に記載のアミノ酸配列を含み、
    CDR−H3が、配列番号13(WLRAMDY)に記載のアミノ酸配列を含み、
    CDR−L1が、配列番号14(KASQNVGTNVA)に記載のアミノ酸配列を含み、
    CDR−L2が、配列番号15(SASYRYS)に記載のアミノ酸配列を含み、かつ
    CDR−L3が、配列番号16(QQYNSYPYT)に記載のアミノ酸配列を含む、
    抗体又はその抗原結合部分。
  9. CDR−H1が、配列番号25(VYAFSSSWMN)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  10. CDR−H2が、配列番号26(RIYPADGDTNYNGNFRG)に記載のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  11. 配列番号17のアミノ酸配列を含む可変領域重鎖を含む、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  12. 配列番号18のアミノ酸配列を含む可変領域軽鎖を含む、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  13. 配列番号19のアミノ酸配列を含む定常領域重鎖を含む、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  14. 配列番号20のアミノ酸配列を含む定常領域軽鎖を含む、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  15. 前記抗原結合部分が、Fv、Fab、F(ab’)、scFV又はscFV断片からなる群から選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合部分。
  16. 増加された非核PCNAへの結合親和性を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合部分。
  17. PCNAとNKp44−1の間の相互作用を阻止する能力を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合部分、及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
  19. NKp44−1関連疾患若しくは障害に罹患している対象を治療するための方法であって、請求項1〜18のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合部分、及び医薬として許容される担体を含む治療有効量の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
  20. 前記NKp44−1関連疾患が、癌である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記癌が、前立腺癌、白血病、腎臓癌、頭頸部癌、舌癌、及び乳癌からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  22. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合部分を含む非核PCNAを検出するためのキット。
  23. 対象において非核PCNAを検出する方法であって、抗PCNA抗体と試料を接触させることおよび前記非核PCNAと前記抗体の間の結合を検出することにより非核PCNAが前記試料中に存在するかどうかを前記対象に由来する試料中で検出することを含む、方法。
  24. 対象においてNKp44−1関連疾患を診断する方法であって、抗PCNA抗体と前記試料を接触させることおよび前記非核PCNAと前記抗体の間の結合を検出することにより、非核PCNAが前記対象に由来する試料中に存在するかどうかを検出することを含み、前記試料中のPCNAの存在が、前記対象におけるNKp44−1関連疾患の指標である、方法。
  25. 前記試料が、非核画分を含む、請求項23又は24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記抗PCNA抗体が、増加された非核PCNAへの結合親和性を有する、請求項23又は24のいずれか一項に記載の方法。
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