JP2020512847A - 全肩補綴物 - Google Patents

Abstract

本発明は、肩関節のための全補綴物に関する。それは、上腕骨における凹状部材と肩甲骨上の凸状部材とを伴ういわゆるリバース型のものである。

Description

（発明の分野）
本発明は、肩関節のための全補綴物に関する。それは、上腕骨における凹状部材と肩甲骨上の凸状部材とを伴ういわゆるリバース型のものである。

（背景）
全肩関節形成は、現在最も急速に発展する関節置換である。これは、部分的には、インプラントの臨床上の性能の向上によるものであるが、しかし、リバース型の補綴物がますます容認されていることによる。解剖学型の補綴物においては、上腕骨頭が、もっとも典型的には上腕骨の幹の近位端に置かれる、同様の大きさと形をした補綴物のヘッドと置き換えられる。関節窩は、自然的な関節窩にとても類似した形のインプラントによって置き換えられ、一般にスクリューによって固定され、そして、二次的な骨成長に適合する。

リバース型の補綴物においては、関節接合の形と広がりはとても類似したものとなるが、単に、リバースされている。つまり、近位の上腕骨は、浅い空洞を有し、肩甲骨は、大きな半径のどちらかといえば平らなヘッドを有する。これにより、回転の中心は、肩甲骨の中へと移る。これが臨床上の結果に役立つか否かは明らかではないが、動作範囲は一般に高まる。

現在の手順には、まだ問題がある。脱臼、関節接合の摩耗、および、骨への恒久的な固定の不成功である。

本発明は、従来的なアプローチから抜本的に新発展することにより、この重要な整形外科的な介入における問題の大部分に対処する。加えて、それは、手術時間を短縮し手順を著しく低侵襲的にする。

（発明の説明）
本発明はリバース型の全肩補綴物を開示する。上腕骨頭の切除面の下において近位の上腕骨に固定される凹状部材は深いカップであり、肩甲骨に固定される補綴物のヘッドの約１８０°またはそれ以上、例えば、約１８０°から約２００°をカバーする。それは、全臀部補綴物の寛骨臼のカップにとても類似し、好ましくは、リーミングによってできる網状構造の骨の土台に圧入によって固定され、続いて、骨成長による二次的な安定化が生じる。

凸状部材は球状のヘッドであり、全臀部関節形成における大腿骨置換のそれにとても類似する。それは肩甲骨のアンカに取り付けられる。ここでアンカはチューブ状のスクリューとして形作られ、関節窩の軟骨下骨を通じて肩甲骨に挿入され、そして、肩甲骨の長い軸にそって,肩甲骨の三連構造を形成する３つの平らな骨の中へと部分的に食い込む。

本発明の補綴物は、衝撃のない広い動作範囲、優れた安定性、および、明快かつ時間を節約する手術を提供する。それは、人間及び動物の医療に用いるのに適している。

したがって、本発明の一つの態様は、リバース型の全肩補綴物であって、
（ｉ） 近位の上腕骨への取り付けに適した凹状部材３００、および、
（ｉｉ） 球状のヘッド２００と肩甲骨への取り付けに適した骨アンカ１００を含む凸状部材
とを備え、
ここで、前記凹状部材３００は前記球状のヘッド２００を受けるのに適した凹所３０１を備え、
そして、ここで、前記凹状部材３００は、前記球状のヘッド１００の少なくとも１８０°のカバレッジを提供する、
補綴物、
に関する。

本発明の更なる態様は、上述の補綴物を、それを必要とする対象にインプラントすることを含む肩の手術のための方法に関する。

本発明の全肩補綴物は、上腕骨の中に深い球状の関節接合を設け、その中心は、リバース型であるにもかかわらず、その本来の位置のちょうど近くである。従来的なリバース型の肩補綴物では、肩甲骨に固定された大きな半径の平らなヘッドを有し、回転の中心がとても近位に置かれる。解剖学型またはリバース型の補綴物のいずれの安定性も、それらの浅い関節接合によって制限される。本発明の補綴物は、優れた安定性と、最高の材料および関節接合の配置に基づく洗練された構造によって、極めて低い摩耗性を提供する。

両部材の固定は、本関節に特有であり、手術面において、簡便かつ安全である。インプラント料金と手術料金の両方についてのより低い費用と共に手術時間の大幅な節約が期待される。

以下において、本発明の好ましい実施態様について、添付図を参照しつつ、記載する。

図１は、本発明の補綴物の好ましい実施態様の肩甲骨の部材の透視図および平面図を示す。 図２は、本発明の補綴物の好ましい実施態様の上腕骨カップの透視図を示す。 図３から１１は、本発明の補綴物をインプラントする手術ステップを示す。 図１２および１３は、犬の上腕骨にインプラントされた上腕骨カップの実施態様を示す。

図１ａは肩甲骨のアンカスクリュー１００の透視図を示す。前記アンカスクリューの円筒状でチューブ状の前記ボディ１０１は、その遠位において、円錐状のネックを有する。中空とされたコア１０３は、その場に、骨の大部分を残す。スレッド１０４の間には、迅速かつ強固な骨への一体化およびアンカスクリューのコアの骨の血管再生を促進する多くの穴が存する。これらの穴のわずか３つのカラムしか図には示されていないが、好ましくは、穴は、スクリューの周囲に完全に広がる。アンカスクリュー１００の好ましい材料は、ひとつのチタン合金、最も好ましくは、チタン−アルミニウム−ニオブであり、高い強度と優れた整体適合性を有する。改善された骨の一体化のために、それは、多孔のチタンおよび／またはハイドロキシアパタイトによってコートされていてもよい。

図１ｂは前記アンカスクリューおよび前記円錐状のネック１０２にフィットする前記肩甲骨のヘッド２００の正射影図を示す。前記円錐状のネック１０２の端部において、前記アンカスクリューは、スクリュードライバーの凹所１０６を備える。当該アンカスクリューネック部をカニューレ処置することができ、それにより、カニューレ処置されたスクリュードライバーを用いて、ガイドピンを通じて挿入することができる。前記肩甲骨のヘッドは、ひとつの適合するメタル合金、例えば、コバルトクロムから作られることができ、または、より好ましくは、高強度のセラミック、例えば、アルミナ、ジルコニア、または、これらのブレンドから作られることができる。

図２は上腕骨カップ３００の透視図を示す。凹所３０１は、球状のヘッド２００を受けるのに適している。
それは、前記ヘッドを少なくとも１８０°、好ましくは、さらに約１９０°または約２００°まで、カバーし、脱臼をより防ぎつつ、同時に、衝撃のない十分な動作範囲を伴う。前記カップのボディ３０２は、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）などの生体適合性のポリマーから作られてもよく、前記ヘッドとの環状の接触部位において、強化材料から作られたリング３０３、特に、強化ＰＥＥＫリング、例えば、カーボンファイバーで強化されたＰＥＥＫリング３０３を備えてもよい。セラミックのヘッドと関節接合する際のこのリングの摩耗は極めて低い。前記カップの裏側、すなわち、前記凸状部材に対して遠位側は、チタンおよび／またはハイドロキシアパタイトの多孔のレイヤーによってコートされていてもよい。放射線による特定のため、前記カップは、放射線に関するタグ、例えば、赤道上のメタルリング３０４を備えてもよい。

図３から１１は、本発明の肩補綴物のインプランテーションのための手術ステップの順序を示す。本順序は、人の肩に類似した骨格を有する、犬の肩関節のプラスチックのモデル上で作成された。本発明は、人間、および、一定の動物種、とりわけ、犬にも、同様に十分に適用できる。

図３は、上腕骨の中の半球状の空洞のリーミングを示す。上腕骨頭は、ヘッドからネックに移る部分のちょうど上方において、平面骨切断術によって取り除かれた。

図４は肩甲骨へのガイドピンの挿入を示す。開始位置は関節窩の中心である。その方向は、肩甲骨の３つの平面状のウイングが会するラインに沿う。
軽微な手術によって関節窩の端のちょうど上で関節窩の背後の骨を露出させることは、正しい方向を見出すのに有用であり得る。関節窩に対して約９０°を狙うという別の方法もある。

図５は、カニューレ処理された短い芯抜き器による肩甲骨への円筒状の切断の芯抜きの第１のステップを示す。

図６は、カニューレ処理された短い芯抜き器による肩甲骨へのより深い切断の第２のステップを示す。この切断具の長さは、ガイドピンに渡る正確なガイドを妨げるが、ひとたび先ず、短い切断具を用いて、ガイドピンに渡って、切断を正確に中心に置いたならば、この長い道具を用いて、安全に新抜きを完遂することができる。

図７は、インプラントのための芯抜きが完遂された後の関節窩への眺めを示す。ここで、切断は、関節窩軟骨下骨の背後の骨から出て、肩甲棘へと入る。

図８は、肩甲骨のアンカスクリューの挿入を示す。当該スクリューは、肩甲骨の複数の場所に入ったり出たりすることで、肩甲骨の中に固定される。それらの切断に沿った骨の骨膜反応には、迅速かつ強固なインプラントの一体化を導くことが期待される。

スクリューが挿入されると、正確な円錐状のフィッティングを介して、補綴物のヘッドがアンカに取り付けられる（図９）。ネックの長さは、例えば、全臀部置換において慣用的に行われているように、アンカの挿入の深さによって、あるいは、異なる凹所の深さを有するヘッドを選択することによって、変更することができる。

図１０は、調整された空洞に挿入された上腕骨カップを示す。これは、好ましくは、セメントのないタイプであるが、別のひとつの方法として、骨セメントによるカップの固定がある。

図１１は、出来上がりの全肩補綴物を示す。肩甲骨の部材のネックは、ヘッドの直径と比べて小さな直径を有するので、前記補綴物は衝撃のないとても広い動作範囲を有する。

アンカはほとんど曲がらないことが期待される。その適応は、関節力ベクターにおける大きなばらつきに耐えられないとても浅い関節窩である。

図１２は、犬の死体に挿入された上腕骨カップの正接図を示す。この領域における海綿状の骨はとても良好であり、従来的なステムがなくとも安定な固定が信頼性をもって得られるはずである。

図１３は上腕骨カップの透視図であり、その適切な大きさと適切な場所を示す。

Claims (13)

1. リバース型の全肩補綴物であって、
   （ｉ） 近位の上腕骨への取り付けに適した凹状部材３００、および、
   （ｉｉ） 球状のヘッド２００と肩甲骨への取り付けに適した骨アンカ１００を含む凸状部材
   とを備え、
   ここで、前記凹状部材３００は前記球状のヘッド２００を受けるのに適した凹所３０１を備え、そして、ここで、前記凹状部材３００は前記球状のヘッド１００の少なくとも１８０°のカバレッジを提供する、
   補綴物。
2. 請求項１に記載の補綴物であって、
   ここで、前記凹状部材は、前記球状のヘッド１００の１８０°から２００°のカバレッジを提供する、
   補綴物。
3. 請求項１又は２に記載の補綴物であって、
   ここで、前記凹状部材３００は、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）などの生体適合性のポリマーから作られたボディ３０２を有する、
   補綴物。
4. 請求項１−３のいずれか１項に記載の補綴物であって、
   ここで、前記凹状部材３００は、前記球状のヘッド２００との接触領域において、強化材料から作られたリング３０３を備え、
   ここで、強化材料は、例えば、強化ＰＥＥＫである、
   補綴物。
5. 請求項１−４のいずれか１項に記載の補綴物であって、
   ここで、前記凹状部材３００の裏側は、多孔のレイヤー、特に、メタル（例えば、チタン）、および／または、セラミック材料（例えば、ハイドロキシアパタイト）の多孔のレイヤー、によって少なくとも部分的にコートされている、
   補綴物。
6. 請求項１−５のいずれか１項に記載の補綴物であって、
   ここで、前記球状のヘッド２００は、メタル（例えば、コバルトクロムなどのメタル合金）または、セラミック（例えば、アルミナ、ジルコニア、または、これらのブレンド）から作られる、
   補綴物。
7. 請求項１−６のいずれか１項に記載の補綴物であって、
   ここで、前記骨アンカ１００は、スレッド１０４を有するボディ１０１を備えるスクリューとして形成されており、ここで、前記ボディ１０１は、その遠位において前記球状のヘッド２００への取り付けに適したネック１０２を備え、
   ここで、前記ボディ１０１は、例えば、円筒状でチューブ状のボディであり、および、／または、
   ここで、前記ネック１０２は、例えば、円錐状のネックである、
   補綴物。
8. 請求項１−７のいずれか１項に記載の補綴物であって、
   ここで、前記骨アンカ１００は、中空のコア１０３を有する、チューブ状のボディ１０１を備える、
   補綴物。
9. 請求項８に記載の補綴物であって、
   ここで、前記チューブ状のボディ１０１は、好ましくは前記ボディの周囲に広がる、複数の穴１０５を備える、
   補綴物。
10. 請求項７−９のいずれか１項に記載の補綴物であって、
    ここで、前記骨アンカボディ１０１は、球状のヘッド２００への取り付けのために、ネック１０２の端部において凹所１０６を備え、
    ここで、前記凹所１０６は、例えば、スクリュードライバーの凹所である、
    補綴物。
11. 請求項１−１０のいずれか１項に記載の補綴物であって、
    ここで、骨アンカ１００は、メタル、例えば、チタン、または、チタン−アルミニウム−ニオブなどのチタン合金から作られている、
    補綴物。
12. 請求項１１に記載の補綴物であって、
    ここで、当該メタルは、多孔のレイヤー、特に、メタル（例えば、チタン）、および／または、セラミック材料（例えば、ハイドロキシアパタイト）の多孔のレイヤー、によって少なくとも部分的にコートされている
    補綴物。
13. 肩の手術のための方法であって、
    請求項１−１２のいずれか１項に記載の補綴物を、それを必要とする対象にインプラントすることを含む、
    方法。