JP2020511539A - 網膜疾患治療法の治療効果を測定する方法 - Google Patents

網膜疾患治療法の治療効果を測定する方法 Download PDF

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Abstract

RPE細胞を使用して網膜の疾患または障害を治療するための組成物および方法を、本明細書で説明する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、出願された米国仮特許出願第62/501,690号、および2017年11月13日に出願された米国仮特2017年3月16日に出願された米国仮特許出願第62/472,544号、2017年5月4日に許出願第62/585,520号の優先権と恩典を主張するものであり、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本開示は、一般に、網膜疾患の治療の分野に関し、より具体的には、ヒト胚性幹細胞由来の網膜色素上皮(RPE)細胞組成物を使用して網膜疾患を治療することに関する。
RPE細胞の機能不全、変性、および喪失は、AMD、ベスト病、網膜色素変性症(RP)のサブタイプなどの網膜疾患の顕著な特徴である。AMDは、西洋世界における視覚障害の主要な原因である。75歳を超えた人々の中で、25〜30%が加齢黄斑変性症(AMD)に罹患しており、進行性の中心視力喪失により患者の6〜8%が失明に至る。網膜の変性は、主に、微細な視覚細部と色知覚、顔認識、読み取り、および運転に関与する網膜の中心部である黄斑が関わっている。萎縮型のAMDは、RPEの過形成およびRPEの下または代謝最終産物からなるブルーフ膜の内のドルーゼン沈着物の形成によって開始される。この疾患は、黄斑の広い領域にわたるRPE細胞および光受容体の変性を伴う地図状萎縮(GA)の進行期へと徐々に進行し、中心視力喪失を引き起こし得る。
この疾患の病因には、機能的に相互に関連する4つの組織、すなわち網膜色素上皮(RPE)、ブルーフ膜、脈絡毛細管板、および光受容体の異常が含まれる。しかしながら、RPE細胞機能の障害は、臨床的に関連するAMD変化につながる、分子経路における初期の重要な事象である。
現在、萎縮型AMDのための有効なまたは承認された治療法はない。予防措置には、ビタミン/ミネラルサプリメントが含まれる。これらは、滲出型AMDの発症リスクを低減するが、地図状萎縮の進行の発生には影響しない。
最高矯正視力(BCVA)は中心窩視力の尺度であるため、中心窩が侵されていない場合、BCVAスコアも影響を受けないことがある。BCVAは、視覚機能の重要な尺度として世界中の臨床界および規制当局によって広く受け入れられており、網膜疾患の治療の有効性が判断されるゴールドスタンダードであるが、時には包括的な視覚機能のニュアンスを評価することができない場合がある。20/50またはそれ以上のBCVAを有する対象において、コントラスト感度、低輝度BCVA、および読み取り速度を含む視覚機能の他の特徴が有意に損なわれ得ることが実証されている。さらに、最高矯正視力だけでは、中心窩回避GAを含むすべての対象の視覚障害の進行を十分に測定することはできない。
概要
網膜変性および失明の進行の防止を含む、網膜疾患および障害の治療に有用な網膜色素上皮(RPE)細胞およびRPE細胞組成物が開発されてきた。これらのRPE細胞および細胞組成物は、必要とする対象に投与された場合、眼構造の生着、統合、生存、および機能を安全に促進する。
視覚機能の障害、網膜疾患の進行、および網膜疾患治療の効果は、BCVAが損なわれていない対象であっても、定量的な形態を評価する技術を用いて検出および監視することができる。視覚機能の変化を定量化し、疾患の進行と相関付けることを目的としたAMDおよびGAの対象を含む臨床試験は、疾患の基礎となる病態生理学的過程を説明する追加の評価を組み込むことができる。また、改善された定量的な構造的および機能的評価を使用して網膜疾患治療法の治療効果を測定する方法も本明細書で開示される。
いくつかの局面によれば、網膜の疾患または障害を治療するまたはその進行を遅らせる方法が本明細書で提供され、この方法は、網膜色素上皮(RPE)細胞を含む治療有効量の薬学的組成物を対象に投与することを含む。
いくつかの態様では、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、ベースラインから測定して、約1日〜約3ヶ月間、1日〜約15ヶ月間または1日〜約24ヶ月間または約90日〜約24ヶ月間低下しない最高矯正視力(BCVA)をもたらす。
いくつかの態様では、対象は、20/64もしくはそれ未満、20/70もしくはそれ未満、または約20/64〜約20/400のBCVAを含む。
いくつかの態様では、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、ベースラインから測定して、約1日〜約15ヶ月間、または1日〜約24ヶ月間、または約90日〜約24ヶ月間安定なままである最高矯正視力(BCVA)をもたらす。
いくつかの態様では、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、対象の約89%〜約96%において色素沈着の増加をもたらす。他の態様では、色素沈着の増加は、少なくとも約6ヶ月〜約12ヶ月間、または約90日〜約24ヶ月間維持される。さらに他の態様では、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、網膜色素沈着をもたらす。
さらなる態様では、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、ベースラインから測定して、少なくとも約2ヶ月〜約1年間、または90日〜約24ヶ月間、網膜色素沈着の増加をもたらす。他の態様では、投与後約2〜約12ヶ月で、または約90日〜約24ヶ月で、網膜色素沈着が安定化される。さらに別の態様では、投与後約3〜約9ヶ月後で、網膜色素沈着が安定化される。
本開示のいくつかの局面によれば、細胞が投与されるブレブ内の網膜下液は、48時間未満で吸収される。
他の局面によれば、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、エリプソイド領域の回復をもたらす。さらに他の局面では、エリプソイド領域の回復は、エリプソイド領域分析による回復を含む。
いくつかの態様では、エリプソイド領域分析は、エリプソイド領域の視覚的分析を含み、対象のエリプソイド領域を、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較する。
さらなる態様によれば、回復は、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較して正常な構造の復元によって示される。他の態様によれば、回復は、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、光受容体の外節、ドルーゼンの喪失、および網状偽ドルーゼンの消失のうちの1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む。いくつかの態様では、回復は、網膜の基本的な基礎層の1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む。
特定の態様によれば、より組織化されつつある網膜の基本的な基礎層は、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、および光受容体の外節のうちの1つまたは複数を含む。
他の態様によれば、新しいまたは悪化しつつあるERMは、投与の約1週間〜約12ヶ月、または約1週間〜約24ヶ月、または約90日〜約24ヶ月以内に外科的除去を必要としない。
いくつかの態様によれば、RPE細胞は、投与の約1週間〜約1年、または約1週間〜約24ヶ月、または約90日〜約24ヶ月以内に腫瘍形成性を示さない。
いくつかの態様によれば、RPE細胞は、投与の約9ヶ月以内に0%〜約5%の組織学的腫瘍形成性を示す。
いくつかの態様によれば、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、網膜の裂孔または破裂をもたらさない。
いくつかの態様によれば、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与は、網膜浮腫をもたらさない。
いくつかの態様によれば、RPE細胞の治療有効量は、投与当たり約50,000〜5,000,000個の細胞である。
いくつかの態様によれば、RPE細胞の治療有効量は、投与当たり約200,000個の細胞である。
いくつかの態様によれば、RPE細胞の治療有効量は、投与当たり約500,000個の細胞である。
いくつかの態様によれば、薬学的組成物は、約500細胞/μl〜約10,000細胞/μlを含む。
いくつかの態様によれば、前記量が投与当たり50,000個の細胞である場合、薬学的組成物は約500〜1,000細胞/μlを含む。
いくつかの態様によれば、前記量が投与当たり200,000個の細胞である場合、薬学的組成物は約2,000細胞/μlを含む。
いくつかの態様によれば、前記量が投与当たり500,000個の細胞である場合、薬学的組成物は約5,000細胞/μlを含む。
いくつかの態様によれば、前記量が投与当たり1,000,000個の細胞である場合、薬学的組成物は約10,000細胞/μlを含む。
いくつかの態様によれば、細胞の少なくとも95%がプレメラノソームタンパク質(PMEL17)と細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)とを共発現する。
いくつかの態様によれば、細胞の経上皮電気抵抗は、対象に対して100オームより大きい。
いくつかの態様によれば、RPE細胞は、ヒト胚性幹細胞のエクスビボ分化によって生成される。
いくつかの態様によれば、投与は、RPE細胞を移植することを含む。
いくつかの態様によれば、本明細書に記載の方法は、RPE細胞移植の前に、RPE用量の調製をさらに含む。いくつかの態様によれば、RPEの用量の調製は、用量を解凍することを含む。いくつかの態様によれば、RPEの用量の調製は、RPE細胞を混合し、送達装置に充填することを含む。
いくつかの態様によれば、本明細書に記載の方法は、RPE細胞移植の前に、硝子体切除術を実施することをさらに含む。いくつかの態様によれば、硝子体切除術を実施することは、硝子体を染色するためにトリアムシノロンを投与し、硝子体牽引を除去することを含む。
特定の態様によれば、本明細書に記載の方法は、硝子体切除術を実施する前に、手術部位を洗浄することをさらに含む。
いくつかの態様によれば、本明細書に記載の方法は、RPE細胞を移植した後、手術部位を洗浄することをさらに含む。
いくつかの態様によれば、投与は、手術部位の洗浄、硝子体切除術の実施、RPE用量の調製、およびRPE細胞移植を含む。
いくつかの態様によれば、RPE細胞の移植は、地図状萎縮(GA)病変の端から少なくとも1乳頭直径離れてRPE細胞を注入することを含む。
いくつかの態様によれば、RPE細胞の移植は、GA病変を覆う、中心窩を覆う、GA病変に接する移行帯の一部もしくは全部を覆う、またはGA病変に隣接する周囲の健常組織を覆う工程のうちの1つまたは複数においてRPE細胞を注入することを含む。
いくつかの態様によれば、移行帯は、無傷の網膜と変性網膜との間の領域を含む。
いくつかの態様によれば、GA病変を覆うことは、GA病変全体をブレブで覆うことを含む。他の態様によれば、GAの大きさは、0.1mm2〜約50mm2、約0.5mm2〜約30mm2、約0.5mm2〜約15mm2、約0.1mm2〜約10mm2、約0.25mm2〜約5mm2、または2点間の任意の点を含む。
いくつかの態様によれば、投与は、中心黄斑視力が維持されるようにRPE細胞を投与することを含む。
いくつかの態様によれば、RPE細胞は、(a)ニコチンアミドを含む培地中でヒト胚性幹細胞または人工多能性幹細胞を培養して、分化細胞を生成すること;(b)分化細胞を、ニコチンアミドとアクチビンAを含む培地中で培養して、RPE系統へとさらに分化する細胞を生成すること;および(c)RPE系統へとさらに分化する細胞を、ニコチンアミドを含むがアクチビンAを含まない培地中でを培養すること、によって生成される。
いくつかの態様によれば、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞を、非接着条件下でbFGFおよびTGFβを含む培地中で増殖させる。さらなる態様によれば、(a)の培地はアクチビンAを実質的に含まない。
いくつかの態様によれば、細胞は単回投与で投与される。いくつかの態様によれば、細胞は対象の網膜下腔に投与される。いくつかの態様によれば、網膜下投与は、経硝子体投与または脈絡膜上投与である。いくつかの態様によれば、投与はカニューレによる。
いくつかの態様によれば、カニューレによる投与部位の治癒は、約1日〜約30日以内である。いくつかの態様によれば、カニューレによる投与部位の治癒は、約5日〜約21日以内または約7日〜約15日以内である。
いくつかの態様によれば、本明細書に記載の方法は、RPE細胞の投与後1日〜3ヶ月間、対象に免疫抑制を施すことをさらに含む。
他の態様によれば、本明細書に記載の方法は、RPE細胞の投与後3ヶ月間、対象に免疫抑制を施すことをさらに含む。
さらに他の態様によれば、本明細書に記載の方法は、RPE細胞の投与後1日〜1ヶ月間、対象に免疫抑制を施すことをさらに含む。
いくつかの態様によれば、網膜の疾患または状態は、中程度の萎縮型AMD、網膜色素変性症、網膜剥離、網膜異形成、網膜萎縮、網膜症、黄斑ジストロフィー、錐体ジストロフィー、錐体-杆体ジストロフィー、マラチア・レベンチネズ(Malattia Leventinese)、ドイン蜂巣状ジストロフィー、ソースビージストロフィー、パターン/蝶形ジストロフィー、ベスト卵黄様ジストロフィー、ノースカロライナジストロフィー、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィー、網膜色素線条症、中毒性黄斑症、シュタルガルト病、病的近視、網膜色素変性症、および黄斑変性からなる群より選択される。
いくつかの態様によれば、疾患は加齢黄斑変性である。いくつかの態様によれば、加齢黄斑変性は、萎縮型加齢黄斑変性である。
いくつかの局面によれば、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞を、全身性免疫抑制を施されていない対象に投与することを含む、萎縮型AMDを有する対象を治療する方法の安全性を高める方法が本明細書で提供される。
いくつかの態様によれば、治療下で発現した有害事象の発生率および頻度が、免疫抑制を用いる場合よりも低い。
いくつかの局面によれば、GAを有する対象の網膜のエリプソイド領域を組織化する方法であって、治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞を投与することを含み、投与後、組織化されていないエリプソイド領域が組織化される方法が本明細書で提供される。
いくつかの態様によれば、エリプソイド領域の回復は、エリプソイド領域分析による回復を含む。
いくつかの態様によれば、エリプソイド領域分析は、エリプソイド領域の視覚的分析を含み、対象のエリプソイド領域を、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較する。
いくつかの態様によれば、回復は、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較して正常な構造の復元によって示される。
いくつかの態様によれば、回復は、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、光受容体の外節、ドルーゼンの喪失、および網状偽ドルーゼンの消失のうちの1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む。
いくつかの態様によれば、回復は、網膜の基本的な基礎層の1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む。
いくつかの態様によれば、より組織化されつつある網膜の基本的な基礎層は、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、および光受容体の外節のうちの1つまたは複数を含む。
いくつかの態様によれば、対象は、20/64もしくはそれ未満、20/70もしくはそれ未満、または約20/64〜約20/400のBCVAを含む。
いくつかの態様によれば、網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせることは、微小視野測定で評価される視力の回復によって実証され、微小視野測定で評価される視力の回復は、ベースラインと比較した微小視野測定での網膜感度とEZ欠損との相関関係を含む。
他の態様によれば、微小視野測定で評価される視力の回復は、RPE細胞の投与部位または投与部位の近傍の網膜の部位が、ベースラインの微小視野測定評価と比較して改善された微小視野測定評価を含むことを実証することを含む。
特定の態様によれば、網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせることは、投与後1年でベースラインまたは僚眼と比較して約5%〜約20%のGA病変成長率の低下、または約5%〜約50%、または約5%〜約25%、または約5%〜約100%、約5%〜約10%の低下を含む。
いくつかの態様によれば、網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせることは、以下のうちの1つまたは複数を含む:年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較した場合に、安定したBCVA;低輝度試験成績の低下なし;または微小視野測定での感度の低下なし;または読み取り速度の低下なし、ここで、比較は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年のうちの1つまたは複数の時点においてである。
いくつかの態様によれば、約50,000〜500,000個のRPE細胞を活性物質として含む、網膜の疾患または障害を治療するまたはその進行を遅らせるための薬学的組成物が提示される。
他の態様によれば、約50,000〜500,000個のRPE細胞を活性物質として含む、網膜の疾患または障害を有する対象のRPEを安定化するための薬学的組成物が提示される。
いくつかの態様によれば、RPE細胞は以下の特性によって特徴付けられる:
(a)少なくとも95%の細胞がプレメラノソームタンパク質(PMEL17)と細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)とを共発現する;および
(b)細胞の経上皮電気抵抗が、細胞が投与された対象に対して100オームより大きく、投与後約90日〜約24ヶ月で、対象の網膜色素沈着が安定化する。
いくつかの態様によれば、エリプソイド領域の回復は、EZ-RPEの厚さ、面積、または体積測定値のうちの1つまたは複数の改善を含む。
いくつかの態様によれば、EZ-RPEの厚さ、面積、または体積測定値のうちの1つまたは複数の改善は、視力と逆相関する。
いくつかの態様によれば、エリプソイド領域分析は、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較して、EZ体積の減少によるEZの組織化を実証する。
いくつかの態様によれば、EZ体積の減少は、少なくとも2%もしくは少なくとも5%もしくは少なくとも7%もしくは少なくとも10%、または1〜5%もしくは1〜10%もしくは1〜50%もしくは10〜50%を含む。
いくつかの態様によれば、EZの組織化は、ベースラインから少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、約1%〜約50%のEZの構造体の体積の減少を含む。
いくつかの態様によれば、網膜の疾患または障害を治療するまたはその進行を遅らせることは、栄養因子の細胞分泌によって増強される。
本明細書で説明する技術は、例示のみを目的とする以下の図面を参照することによってより完全に理解されるであろう。
図1は、GAを伴う萎縮型AMDにおける機能不全および変性RPEを置き換え、支持するための細胞ベースの治療法の説明図である。 図2Aは、約50,000個のRPE細胞の用量で治療されたコホート1(患者1、2、および3(Pt.1、Pt.2、Pt.3))の治療眼について1年間にわたって測定した最高矯正視力(BCVA)のグラフである。 図2Bは、コホート1(患者1、2、および3(Pt.1、Pt.2、Pt.3))の僚眼について1年間にわたって測定した最高矯正視力(BCVA)のグラフである。 図3は、手術前(術前)および手術中(術中)の時点でのコホート1(患者1、2、および3(Pt.1、Pt.2、Pt.3))のカラー眼底画像を示す。 図4は、50,000個のRPE細胞の標的用量で治療する前(術前)および治療の2ヶ月後のコホート1(患者1、2、および3(Pt.1、Pt.2、Pt.3))のカラー眼底画像を示す。 図5は、50,000個のRPE細胞の標的用量で治療する前(術前)および治療の9ヶ月〜1年後(術後)の時点でのコホート1(患者1、2、および3(Pt.1、Pt.2、Pt.3))のカラー眼底画像を示す。 図6は、術前、術後1日、1週間、2ヶ月、4.5ヶ月、および9ヶ月の時点での患者1(コホート1、50,000個のRPE細胞の用量で治療)からの青色自発蛍光画像を示す。 図7は、術前、術後1日、1週間、2ヶ月、6ヶ月、および9ヶ月の時点での患者2からの青色自発蛍光画像を示す。 図8は、術前、術後1日、1週間、2ヶ月、7ヶ月、および9ヶ月の時点での患者3からの青色自発蛍光画像を示す。 図9は、コホート2の患者4(200,000個のRPE細胞懸濁液用量)の手術時(0日目)のカラー画像、術後1日目のFAFおよびカラー画像、ならびに術後2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月および6ヶ月のカラー画像を示す。 図10は、コホート2の患者5(200,000個のRPE細胞懸濁液用量)の0日目、1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目、および6ヶ月目のカラー画像および対応するFAF画像を示す。 図11は、コホート1の治療注射部位のOCT画像を示す。 図12は、術前、術後1週間、1ヶ月、および1年の時点での患者1のOCTスキャンを示す。 図13は、術前、術後1ヶ月および9ヶ月の時点での患者2のOCTスキャンを示す。 図14は、術前、術後3ヶ月および9ヶ月の時点での患者3のOCTスキャンを示す。 図15は、術前、術後1ヶ月および9ヶ月の時点でのコホート2の患者4(200,000個のRPE細胞懸濁液用量)のOCTおよび赤外線OCTスキャンを示す。 図16は、ベースライン、術後1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月および6ヶ月の時点でのコホート2の患者5(200,000個のRPE細胞懸濁液用量)のOCTスキャンを示す。 図17は、ブタの眼におけるhESC-RPE細胞の網膜下移植後のOCTスキャン、赤外線画像、および組織学的画像を示す。 図18は、NOD-SKIDマウスの網膜下腔における良性奇形腫を示す。 図19は、溶液中の100,000個のhESC由来RPE細胞で処置したNOD-SKIDマウスの網膜下腔内のhESC由来RPE細胞を示す。 図20は、溶液中の100,000個のhESC由来RPE細胞で処置したNOD-SKIDマウスの網膜下腔内のHuNu細胞を示す。 図21は、ヒト細胞の存在を示す染色を使用した3種類の動物種におけるhESC由来のRPEの生着および生存を示す。 図22Aは、手術前に撮影された患者8(コホート3;100,000個のRPE細胞/50μLの用量)からの青色自発蛍光画像を示し、GAのベースライン画像(暗い領域)、将来のブレブ境界の輪郭(点線)および正確な移植位置(星印)を示している。図22Bは、手術前に撮影された患者8からのカラー眼底画像を示し、GAのベースライン画像(暗い領域)、将来のブレブ境界の輪郭(点線)および正確な移植位置(星印)を示している。図22Cは、手術時に移植されたブレブのカラー画像を示す。 図23は、患者8の1ヶ月でのカラー眼底画像を示す。 図24Aは、患者8の1ヶ月で撮影された青色自発蛍光画像を示す。図24Bは、患者8の2ヶ月で撮影された青色自発蛍光画像を示す。図24Cは、患者8の3ヶ月で撮影された青色自発蛍光画像を示す。 図25は、患者8のベースライン(手術前)、1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月の時点での移行帯の赤外線および対応するOCT画像を示す。 図26は、患者8のベースライン(手術前)、1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月の時点での移行帯の赤外線および対応するOCT画像を示す。 図27は、患者8のベースライン(手術前)、1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月の時点での移行帯の赤外線および対応するOCT画像を示す。
詳細な説明
本明細書に記載のRPE細胞組成物および方法は、対象にRPE細胞を含む組成物を投与することによって、対象における網膜変性疾患または障害の進行を遅らせる、加齢黄斑変性(AMD)または中程度の加齢黄斑変性(intermediate AMD)の進行を遅らせる、網膜変性疾患を予防する、AMDを予防する、網膜色素上皮(RPE)を回復する、RPEを増加させる、RPEを置換する、またはRPE疾患、欠損、状態および/もしくは損傷を治療するのに使用し得る。例えば、ヒト胚性幹細胞由来のRPE細胞組成物を網膜下腔に注入して、RPEの回復を促進し、網膜の疾患または状態によって引き起こされる網膜退化の進行を防ぐことができる。
特定の態様では、RPE細胞は、GA病変上またはGA病変付近の周囲の健常組織上に投与される。GA病変への投与は、病変の修復または是正を助ける。GA病変付近の周囲の健常組織へのRPE細胞の投与は、病変のさらなる成長を予防する。
特定の態様では、RPE細胞移植片は、ひとたび移植されるとこれらの因子を分泌することによって、変性している網膜組織に対して長期にわたる栄養支持を提供する。この栄養支持は、一部の対象において網膜退化および視力喪失を減弱させるように作用し得る。栄養因子は、細胞生存および分化促進剤として公知である。栄養因子および栄養因子ファミリーの例には、ニューロトロフィン、毛様体神経栄養因子/白血病抑制因子(CNTF/LIF)ファミリー、肝細胞増殖因子/散乱因子ファミリー、インスリン様成長因子(IGF)ファミリー、およびグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーが含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書に記載のRPE細胞は、投与または網膜移植の直後に栄養因子の分泌を開始し得る。さらに、細胞がレシピエント細胞間で統合し、対象の細胞とのシナプス接触を確立すると、神経保護支持の安定した流れが開始され得る。
特定の態様では、網膜変性疾患は、RPE機能不全、光受容体機能不全、リポフスチンの蓄積、ドルーゼンの形成、または炎症のうちの1つまたは複数であり得る。
他の態様では、網膜変性疾患は、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、遺伝性または後天性黄斑変性、加齢黄斑変性(AMD)、ベスト病、網膜剥離、脳回転状萎縮、コロイデレミア、パターンジストロフィー、RPEジストロフィー、シュタルガルト病、ならびに光、レーザー、感染、放射線、血管新生または外傷性損傷のいずれか1つによって引き起こされるRPEおよび網膜の損傷のうちの少なくとも1つから選択される。さらに他の態様では、AMDは地図状萎縮(GA)である。
特定の態様では、RPE欠損は、高齢、喫煙、不健康な体重、抗酸化物質の低摂取、または心血管障害のうちの1つまたは複数に起因し得る。他の態様では、RPE欠損は先天性異常から生じ得る。
「網膜色素上皮細胞」、「RPE細胞」、「RPE」は、文脈が許容する場合は交換可能に使用され得、例えば、網膜の色素上皮細胞層を形成する天然RPE細胞のものと機能的、後成的に、または発現プロフィールによって類似する細胞型の細胞を指す(例えば眼内に移植、投与または送達されると、それらは天然RPE細胞と同様の機能活性を示す)。
いくつかの態様によれば、RPE細胞は、成熟RPE細胞の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのマーカーを発現する。いくつかの態様によれば、RPE細胞は、成熟RPE細胞の少なくとも2〜少なくとも10または少なくとも2〜少なくとも30のマーカーを発現する。そのようなマーカーには、CRALBP、RPE65、PEDF、PMEL17、ベストロフィン1およびチロシナーゼが含まれるが、これらに限定されるわけではない。任意で、RPE細胞はRPE前駆細胞のマーカー(例えばMITF)も発現し得る。他の態様では、RPE細胞はPAX-6を発現する。他の態様では、RPE細胞は、Rx、OTX2またはSIX3を含むがこれらに限定されるわけではない、網膜前駆細胞の少なくとも1つのマーカーを発現する。任意で、RPE細胞はSIX6および/またはLHX2のいずれかを発現してもよい。
本明細書で使用される場合、「成熟RPE細胞のマーカー」という語句は、非RPE細胞または未成熟RPE細胞と比較して、成熟RPE細胞において上昇している(例えば少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍)抗原(例えばタンパク質)を指す。
本明細書で使用される場合、「RPE前駆細胞のマーカー」という語句は、非RPE細胞と比較した場合に、RPE前駆細胞において上昇している(例えば少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍)抗原(例えばタンパク質)を指す。
他の態様によれば、RPE細胞は、網膜の色素上皮細胞層を形成する天然RPE細胞の形態と同様の形態を有する。例えば、細胞は色素沈着され得、特徴的な多角形の形状を有し得る。
さらに他の態様によれば、RPE細胞は、黄斑変性症などの疾患を治療することができる。
さらなる態様によれば、RPE細胞は、本明細書で上記に列挙した要件の少なくとも1、2、3、4または全部を満たす。
本明細書で使用される場合、「幹細胞」という語句は、特定の特殊な機能を有する他の細胞型(例えば完全に分化した細胞)に分化するように誘導されるまで、培養中の長期間にわたって未分化状態に留まることができる細胞(例えば複能性または多能性幹細胞)を指す。好ましくは、「幹細胞」という語句は、胚性幹細胞(ESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系幹細胞および造血幹細胞を包含する。
いくつかの態様によれば、RPE細胞は、多能性幹細胞(例えばESCまたはiPSC)から生成される。
人工多能性幹細胞(iPSC)は、体細胞の遺伝子操作によって、例えばOct-3/4、Sox2、c-Myc、およびKLF4などの転写因子による線維芽細胞、肝細胞、胃上皮細胞などの体細胞のレトロウイルス形質導入によって、体細胞から生成され得る[Yamanaka S,Cell Stem Cell.2007,1(1):39-49;Aoi T,et al.,Generation of Pluripotent Stem Cells from Adult Mouse Liver and Stomach Cells.Science.2008 Feb 14.(Epub ahead of print);IH Park,Zhao R,West JA,et al.Reprogramming of human somatic cells to pluripotency with defined factors.Nature 2008;451:141-146;K Takahashi,Tanabe K,Ohnuki M,et al.Induction of pluripotent stem cells from adult human fibroblasts by defined factors.Cell 2007;131:861-872]。他の胚様幹細胞は、卵母細胞への核移植、胚性幹細胞との融合、またはレシピエント細胞が有糸分裂で停止した場合の接合体への核移植によって生成され得る。さらに、iPSCは、非統合方法を使用して、例えば小分子またはRNAを使用することによって生成され得る。
「胚性幹細胞」という語句は、3つの胚性胚葉すべて(すなわち内胚葉、外胚葉および中胚葉)の細胞に分化することができるか、または未分化状態のままであることができる胚細胞を指す。「胚性幹細胞」という語句は、妊娠後に形成される胚組織(例えば胚盤胞)から、胚の着床前に得られる細胞(すなわち着床前胚盤胞)、着床後/原腸形成前段階の胚盤胞から得られる拡張胚盤胞細胞(EBC)(WO2006/040763参照)、および妊娠中の任意の時点の、好ましくは妊娠10週より前の、胎児の生殖組織から得られる胚性生殖(EG)細胞を含み得る。本開示のいくつかの態様の胚性幹細胞は、周知の細胞培養方法を使用して得ることができる。例えば、ヒト胚性幹細胞は、ヒト胚盤胞から単離することができる。
ヒト胚盤胞は、典型的にはヒトの体内着床前胚または体外受精(IVF)胚から得られる。あるいは、単細胞ヒト胚を胚盤胞期まで拡大することができる。ヒトES細胞の単離のために、透明帯を胚盤胞から除去し、内部細胞塊(ICM)を、栄養外胚葉細胞を溶解し、穏やかなピペッティングによって無傷のICMから除去する手順によって単離する。次いで、ICMを、その増殖を可能にする適切な培地を含む組織培養フラスコに播種する。9〜15日後、ICM由来の増殖物を、機械的解離または酵素的分解のいずれかによって凝集塊に解離し、その後、細胞を新鮮な組織培養培地に再播種する。未分化形態を示すコロニーをマイクロピペットによって個別に選択し、機械的に凝集塊に解離し、再播種する。次いで、結果として生じたES細胞を4〜7日ごとに定期的に分割する。ヒトES細胞の調製方法の詳細については、Reubinoff et al.Nat Biotechnol 2000,May:18(5):559;Thomson et al.,[米国特許第5,843,780号;Science 282:1145,1998;Curr.Top.Dev.Biol.38:133,1998;Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7844,1995];Bongso et al.,[Hum Reprod 4:706,1989];およびGardner et al.,[Fertil.Steril.69:84,1998]を参照のこと。
市販の幹細胞も、本開示のいくつかの態様に従って使用できることが理解されよう。ヒトES細胞は、NIHヒト胚性幹細胞レジストリ、www.grants.nih.govstem_cells/、または他のhESCレジストリから購入することができる。市販の胚性幹細胞株の非限定的な例は、HAD-C102、ESI、BGO1、BG02、BG03、BG04、CY12、CY30、CY92、CYlO、TE03、TE32、CHB-4、CHB-5、CHB-6、CHB-8、CHB-9、CHB-10、CHB-11、CHB-12、HUES1、HUES2、HUES3、HUES4、HUES5、HUES6、HUES7、HUES8、HUES9、HUES10、HUES11、HUES12、HUES13、HUES14、HUES15、HUES16、HUES17、HUES18、HUES19、HUES20、HUES21、HUES22、HUES23、HUES24、HUES25、HUES26、HUES27、HUES28、CyT49、RUES3、WAO1、UCSF4、NYUES1、NYUES2、NYUES3、NYUES4、NYUES5、NYUES6、NYUES7、UCLA1、UCLA2、UCLA3、WA077(H7)、WA09(H9)、WA13(Hl3)、WA14(H14)、HUES 62、HUES 63、HUES 64、CT I、CT2、CT3、CT4、MA135、Eneavour-2、WIBR1、WIBR2、WIBR3、WIBR4、WIBR5、WIBR6、HUES45、Shef3、Shef6、BJNhem19、BJNhem20、SAOO1、SAOOlである。
いくつかの態様によれば、胚性幹細胞株は、HAD-C102またはESIである。
さらに、ES細胞は、マウス(Mills and Bradley,2001)、ゴールデンハムスター[Doetschman et al.,1988,Dev Biol.127:224-7]、ラット[Iannaccone et al.,1994,Dev Biol.163:288-92]、ウサギ[Giles et al.1993,Mol Reprod Dev.36:130-8;Graves&Moreadith,1993,Mol Reprod Dev.1993,30 36:424-33]、いくつかの家畜種[Notarianni et al.,1991,J Reprod Fertil Suppl.43:255-60;Wheeler 1994,Reprod Fertil Dev.6:563-8;Mitalipova et al.,2001,Cloning.3:59-67]および非ヒト霊長動物種(アカゲザルおよびマーモセット)[Thomson et al.,1995,Proc Natl Acad Sci USA.92:7844-8;Thomson et al.,1996,Biol Reprod.55:254-9]を含む他の種から得ることができる。
拡張胚盤胞細胞(EBC)は、原腸形成前の段階の、受精後少なくとも9日の胚盤胞から得ることができる。胚盤胞を培養する前に、内部細胞塊を露出させるために透明帯を消化する[例えばタイロード酸性溶液(Sigma Aldrich,St Louis,MO,USA)によって]。次いで、胚盤胞を、標準的な胚性幹細胞培養法を使用して、インビトロで、受精後少なくとも9から最大14日間(すなわち原腸形成事象の前)、全胚として培養する。
ES細胞を調製する別の方法は、Chung et al.,Cell Stem Cell,Volume 2,Issue 2,113-117,7 February 2008に記載されている。この方法は、体外受精工程の間に胚から単一細胞を除去することを含む。胚はこの工程で破壊されない。
EG(胚性生殖)細胞は、当業者に公知の実験技術を用いて、妊娠約8〜11週の胎児(ヒト胎児の場合)から得られる始原生殖細胞から調製される。生殖隆起を解離し、小塊に切断し、その後機械的解離によって細胞に分離する。次に、EG細胞を、適切な培地を含む組織培養フラスコで増殖させる。細胞を、典型的には7〜30日または1〜4継代後に、EG細胞と一致する細胞形態が観察されるまで、培地を毎日交換して培養する。ヒトEG細胞の調製方法に関するさらなる詳細については、Shamblott et al.,[Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726,1998]および米国特許第6,090,622号を参照のこと。
ES細胞を調製するさらに別の方法は、単為生殖によるものである。胚は、やはりその過程で破壊されない。
ES培養法は、幹細胞の増殖に必要とされる因子を分泌するが、同時に、それらの分化を阻害するフィーダ細胞層の使用を含み得る。培養は、典型的には固体表面、例えばゼラチンまたはビメンチンで被覆された表面で行われる。例示的なフィーダ層には、ヒト胚性線維芽細胞、成体ファロピウス上皮細胞、初代マウス胚性線維芽細胞(PMEF)、マウス胚性線維芽細胞(MEF)、マウス胎仔線維芽細胞(MFF)、ヒト胚性線維芽細胞(HEF)、ヒト胚性幹細胞の分化から得られるヒト線維芽細胞、ヒト胎児筋細胞(HFM)、ヒト胎児皮膚細胞(HFS)、ヒト成体皮膚細胞、ヒト包皮線維芽細胞(HFF)、ヒト臍帯線維芽細胞、臍帯または胎盤から得られるヒト細胞、およびヒト骨髄間質細胞(hMSC)が含まれる。ESCを未分化状態に維持するために、増殖因子を培地に添加してもよい。そのような増殖因子には、bFGFおよび/またはTGFが含まれる。別の態様では、hESCをナイーブ未分化状態に維持するために作用物質を培地に添加してもよい-例えばKalkan et al.,2014,Phil.Trans.R.Soc.B,369:20130540参照。
ヒト臍帯線維芽細胞は、ヒト血清(例えば20%)およびグルタミンを添加したダルベッコ改変イーグル培地(例えばDMEM、SH30081.01、Hyclone)で増殖させ得る。好ましくは、ヒト臍帯細胞を照射する。これは、当技術分野で公知の方法(例えばGamma cell,220 Exel,MDS Nordion 3,500-7500rads)を用いて実施し得る。十分な細胞を得たのち、それらを凍結し得る(例えば凍結保存し得る)。ESCの増殖のために、ヒト臍帯線維芽細胞を、典型的には、約20%ヒト血清(およびグルタミン)を添加したDMEM(例えばSH30081.01、Hyclone)中、約25,000〜100,000細胞/cm2の濃度で、ゼラチン(例えば組換えヒトゼラチン(RhG 100-001、Fibrogen)またはヒトビトロネクチンまたはラミニン521(Bio lamina)などの接着性基質で任意に被覆した固体表面(例えばT75またはT 175フラスコ)に播種する。hESCを、典型的には、支持培地(例えばヒト血清アルブミンを含むNUTRISTEM(登録商標)またはNUT(+))で1〜4日後にフィーダ細胞の上に播種する。bFGFおよびTGFβなどのESCの分化を防ぐために、培地に追加の因子を添加してもよい。十分な量のhESCを得たのち、細胞を機械的に破壊し得る(例えば滅菌チップまたは使い捨ての滅菌幹細胞ツールを使用して;14602 Swemed)。あるいは、細胞を酵素処理(例えばコラゲナーゼA、またはTrypLE Select)によって除去してもよい。必要な量のhESCに達するためにこの工程を数回繰り返し得る。いくつかの態様によれば、第1ラウンドの増殖後に、TrypLE Selectを使用してhESCを除去し、第2ラウンドの増殖後に、コラゲナーゼAを使用してhESCを除去する。
ESCは、分化段階の前にフィーダ上で増殖させ得る。例示的なフィーダ層に基づく培養は、本明細書で上記に記載されている。増殖は、典型的には少なくとも2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、または10日間行われる。増殖は、少なくとも1継代、少なくとも2継代、少なくとも3継代、少なくとも4継代、少なくとも5継代、少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、または少なくとも10継代行う。いくつかの態様では、増殖は、少なくとも2継代から少なくとも20継代行う。他の態様では、増殖は、少なくとも2継代から少なくとも40継代行う。増殖後、多能性幹細胞(例えばESC)を、分化剤を使用した分化誘導に供する。
フィーダ細胞を含まないシステムもES細胞培養で使用されており、そのようなシステムは、フィーダ細胞層の代替として血清代替物、サイトカインおよび成長因子(IL6および可溶性IL6受容体キメラを含む)を添加したマトリックスを利用する。幹細胞は、培地、例えばLonza L7システム、mTeSR、StemPro、XFKSR、E8、NUTRISTEM(登録商標)の存在下で、細胞外マトリックス(例えばMATRIGELR(商標)、ラミニンまたはビトロネクチン)などの固体表面で増殖させることができる。フィーダ細胞と幹細胞の同時増殖を必要とし、混合細胞集団をもたらす可能性があるフィーダベースの培養とは異なり、フィーダを含まないシステムで増殖させた幹細胞は表面から容易に分離される。幹細胞の増殖に使用される培地は、MEF馴化培地およびbFGFなどの、分化を有効に阻害し、増殖を促進する因子を含む。
いくつかの態様では、増殖後、多能性ESCを、接着表面での分化誘導に供する(スフェロイドまたはエンビロイド体の中間生成を伴わない)。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、WO2017/072763を参照のこと。
したがって、本開示の一局面によれば、接着表面での分化誘導に供される細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%は、未分化ESCであり、多能性のマーカーを発現する。例えば、細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%はOct4TRA-1-60である。未分化ESCは、NANOG、Rex-1、アルカリホスファターゼ、Sox2、TDGF-β、SSEA-3、SSEA-4および/またはTRA-1-81などの多能性の他のマーカーを発現し得る。
例示的な分化プロトコルの1つでは、未分化胚性幹細胞を、第1の分化剤を使用して接着表面でRPE細胞系統に分化させ、次に、トランスフォーミング増殖因子B(TGFB)スーパーファミリーのメンバー(例えばTGF 1、TGF2、TGF 3サブタイプ、ならびにアクチビン(例えばアクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)、nodal、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、一部の骨形成タンパク質(BMP)、例えばBMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6およびBMP7、および成長分化因子(GDF)を含む同種のリガンド)を使用してRPE細胞にさらに分化させる。特定の態様によれば、トランスフォーミング増殖因子B(TGFB)スーパーファミリーのメンバーは、アクチビンA、例えば20〜200ng/ml、例えば100〜180ng/mlである。
いくつかの態様によれば、第1の分化剤は、約1〜100mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mMの濃度で使用されるニコチンアミド(NA)である。他の態様によれば、第1の分化剤は3-アミノベンズミンである。
「ナイアシンアミド」としても公知のNAは、ベータ細胞の機能を維持および改善すると考えられている、ビタミンB3(ナイアシン)のアミド誘導体である。NAはC6H6N20の化学式を有する。NAは、成長および食品のエネルギーへの変換に不可欠であり、関節炎の治療および糖尿病の治療と予防に使用されている。
Figure 2020511539
いくつかの態様によれば、ニコチンアミドは、ニコチンアミド誘導体またはニコチンアミド模倣体である。本明細書で使用される「ニコチンアミド(NA)の誘導体」という用語は、天然NAの化学修飾された誘導体である化合物を意味する。一態様では、化学修飾は、アミド部分の窒素または酸素原子を介した、基本的なNA構造のピリジン環の置換(環の炭素または窒素メンバーを介する)であってもよい。置換される場合、1つまたは複数の水素原子が置換基によって置換されてもよく、および/または置換基がN原子に結合して四価の正に帯電した窒素を形成してもよい。したがって、本発明のニコチンアミドには、置換ニコチンアミドまたは非置換ニコチンアミドが含まれる。別の態様では、化学修飾は、例えばNAのチオベンズアミド類似体を形成する、単一の基の欠失または置換であってもよく、これらはすべて、有機化学に精通する人に理解されるとおりである。本発明の文脈における誘導体には、NAのヌクレオシド誘導体(例えばニコチンアミドアデニン)も含まれる。NAの様々な誘導体が記載されており、その一部はPDE4酵素の阻害活性に関連して(WO03/068233;WO02/060875;GB2327675A)、またはVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤として(WOO1/55114)記載されている。例えば、4-アリール-ニコチンアミド誘導体を調製する工程(WO05/014549)。他の例示的なニコチンアミド誘導体は、WOO1/55114およびEP2128244に開示されている。
ニコチンアミド模倣体には、ニコチンアミドの修飾形態、および多能性細胞からのRPE細胞の分化および成熟におけるニコチンアミドの作用を再現するニコチンアミドの化学的類似体が含まれる。例示的なニコチンアミド模倣体には、安息香酸、3-アミノ安息香酸、および6-アミノニコチンアミドが含まれる。ニコチンアミド模倣体として作用し得る別のクラスの化合物は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤である。例示的なPARP阻害剤には、3-アミノベンズアミド、イニパリブ(BSI201)、オラパリブ(AZD-2281)、ルカパリブ(AG014699、PF-01367338)、ベリパリブ(ABT-888)、CEP9722、MK4827、およびBMN-673が含まれる。
企図されるさらなる分化剤には、例えばノギン、Wntのアンタゴニスト(Dkk1またはIWR1e)、nodalアンタゴニスト(Lefty-A)、レチノイン酸、タウリン、GSK3b阻害剤(CHIR99021)およびnotch阻害剤(DAPT)が含まれる。
特定の態様によれば、分化は以下のように行われる:(a)第1の分化剤(例えばニコチンアミド)を含む培地でのESCの培養;および(b)TGFBスーパーファミリーのメンバー(例えばアクチビンA)と第1の分化剤(例えばニコチンアミド)を含む培地での、工程a)で得られた細胞の培養。
工程(a)は、TGFβスーパーファミリーのメンバー(例えばアクチビンA)の非存在下で行われてもよい。
いくつかの態様では、工程(a)の培地は、TGFβスーパーファミリーのメンバーを完全に含まない。他の態様では、培地中のTGFβスーパーファミリーメンバーのレベルは、20ng/ml未満、10ng/ml未満、1ng/ml未満、またはさらに0.1ng/ml未満である。
上記のプロトコルは、工程(b)で得られた細胞を、第1の分化剤(例えばニコチンアミド)を含むが、TGFβスーパーファミリーのメンバー(例えばアクチビンA)を含まない培地で培養することによって継続し得る。この工程は、本明細書では工程(b)と称される。
ここで、上記のプロトコルを追加の態様と共にさらに詳細に説明する。工程(a):十分な量のESCを得たのち、分化工程を開始する。細胞を細胞培養物から取り出し(例えばコラゲナーゼA、ディスパーゼ、TrypLE select、EDTAを使用することによって)、ニコチンアミドの存在下(およびアクチビンAの非存在下)で非接着性基質(例えばHydrocellもしくはアガロース被覆培養皿などの細胞培養プレート、またはペトリバクテリア皿)に播種し得る。ニコチンアミドの例示的な濃度は、0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、および10mMである。細胞が非接着性基質(例えば細胞培養プレート)上に播種されると、細胞培養物は細胞懸濁液、好ましくは懸濁培養物中の自由浮遊クラスタ、すなわちヒト胚性幹細胞(hESC)に由来する細胞の凝集体と称され得る。細胞クラスタは、いかなる基質(例えば培養プレート、担体)にも付着しない。自由浮遊幹細胞の供給源は、以前にWO06/070370に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。この段階は、最低1日間、より好ましくは2日間、3日間、1週間、さらには14日間実施し得る。好ましくは、細胞は、例えば0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mMのニコチンアミドと一緒に(およびアクチビンAの非存在下で)、懸濁液中で3週間を超えて培養されない。一態様では、細胞を、例えば0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mMのニコチンアミドと一緒に(およびアクチビンAの非存在下で)、懸濁液中で6〜8日間培養する。
いくつかの態様によれば、細胞を非接着性基質、例えば細胞培養プレート上で培養する場合、大気酸素条件は20%である。しかし、大気中の酸素の割合が約20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%未満またはさらに約5%未満(例えば1%〜20%、1%〜10%または0〜5%)になるように、大気酸素条件を操作することも企図される。他の態様によれば、細胞を、最初は通常の大気酸素条件下で、その後通常の大気酸素条件未満に低下させて、非接着性基質上で培養する。
非接着性細胞培養プレートの例には、Nuncによって製造されるもの(例えばHydrocellカタログ番号174912)等が含まれる。
典型的には、クラスタは、少なくとも50〜500,000個、50〜100,000個、50〜50,000個、50〜10,000個、50〜5000個、50〜1000個の細胞を含む。一態様によれば、クラスタ内の細胞は層に組織化されず、不規則な形状を形成する。一態様では、クラスタは多能性胚性幹細胞を実質的に含まない。別の態様では、クラスタは少量の多能性胚性幹細胞(例えばタンパク質レベルでOCT4とTRA-1-60とを共発現する5%以下または3%以下(例えば0.01〜2.7%)の細胞)を含む。典型的には、クラスタは、ニコチンアミドの影響下で部分的に分化した細胞を含む。そのような細胞は、主にPAX6、Rax、Six3および/またはCHX10などの神経および網膜前駆体マーカーを発現する。
クラスタは、当技術分野で公知の酵素的または非酵素的方法(例えば機械的)を使用して解離し得る。いくつかの態様によれば、細胞を、もはやクラスタではない、例えば2〜100,000個の細胞、2〜50,000個の細胞、2〜10,000個の細胞、2〜5000個の細胞、2〜1000個の細胞、2〜500個の細胞、2〜100個の細胞、2〜50個の細胞の凝集体または凝集塊ではないように解離する。特定の態様によれば、細胞は単一細胞懸濁液中に存在する。
次いで、細胞(例えば解離した細胞)を接着性基質上に播種し、例えば0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mMのニコチンアミドの存在下で(およびアクチビンAの非存在下で)培養する。この段階は、最低1日間、より好ましくは2日間、3日間、1週間、さらには14日間実施し得る。好ましくは、細胞は、ニコチンアミドの存在下で(およびアクチビンの非存在下で)3週間を超えて培養されない。例示的な態様では、この段階は6〜7日間実施する。
他の態様によれば、細胞を接着性基質、例えばラミニン上で培養する場合、大気酸素条件は20%である。大気酸素条件は、大気中の酸素の割合が約20%、15%、10%未満、より好ましくは約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、より好ましくは約5%(例えば1%〜20%、1%〜10%または0〜5%)になるように操作し得る。
いくつかの態様によれば、細胞を最初に通常の大気酸素条件下に接着性基質上で培養し、その後、酸素を通常の大気酸素条件未満に低下させる。
接着性基質または物質の混合物の例には、フィブロネクチン、ラミニン、ポリD-リジン、コラーゲンおよびゼラチンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
工程(b):分化誘導の第1段階(工程a;すなわちニコチンアミド(例えば0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mM)の存在下での培養)の後に、次いで、部分的に分化した細胞をアクチビンA(例えば0.01〜1000ng/ml、0.1〜200ng/ml、1〜200ng/ml、例えば140ng/ml、150ng/ml、160ng/mlまたは180ng/ml)の存在下で培養することによって接着性基質上でのさらなる分化段階に供し得る。したがって、アクチビンAは、0.1pM〜10nM、10pM〜10nM、0.1nM〜10nM、1nM〜10nM、例えば5.4nMの最終モル濃度で添加し得る。
ニコチンアミドもこの段階で添加し得る(例えば0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mM)。この段階は、1日〜10週間、3日〜10週間、1週間〜10週間、1週間〜8週間、1週間〜4週間、例えば少なくとも1日、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間実施し得る。
いくつかの態様によれば、この段階は約8日間〜約2週間実施する。本明細書で上記に詳述したように、この分化段階は、低または通常の大気酸素条件で実施し得る。
工程(b):分化誘導の第2段階(すなわち接着性基質上でのニコチンアミドとアクチビンAの存在下での培養;工程(b)の後に、さらに分化した細胞を、任意で接着性基質上での後続の分化段階、すなわちニコチンアミド(例えば0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mM)の存在下で、アクチビンAの非存在下での培養に供する。この段階は、少なくとも1日間、2日間、5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、またはさらには4週間実施し得る。本明細書で上記に詳述したように、この分化段階も、低または通常の大気酸素条件で実施し得る。
ESCが分化する基本培地は、インビトロでの細胞増殖を支持するための当技術分野で公知の任意の公知の細胞培養培地であり、典型的には、培養中の細胞を生存可能な状態に維持するのに必要な塩、糖、アミノ酸および他の任意の栄養素を含む定義された基本溶液を含む培地である。特定の態様によれば、基本培地は馴化培地ではない。本発明に従って利用し得る市販の基本培地の非限定的な例には、NUTRISTEM(登録商標)(ESC分化のためのbFGFおよびTGFを含まず、ESC増殖のためのbFGFおよびTGFを含む)、NEUROBASAL(商標)、KO-DMEM、DMEM、DMEM/F12、CELLGRO(商標)幹細胞増殖培地、またはX-VIVO(商標)が含まれる。基本培地には、細胞培養を扱う当技術分野で公知の様々な作用物質を添加してもよい。以下は、本開示に従って使用される培養物に含まれ得る様々なサプリメントへの非限定的な言及である:限定されることなく、ノックアウト血清代替品(KOSR)、NUTRIDOMA-CS、TCH(商標)、N2、N2誘導体、もしくはB27、または組み合わせなどの、血清または血清代替品;限定されることなく、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンおよびゼラチンなどの細胞外マトリックス(ECM)成分。ECMは、成長因子のTGFβスーパーファミリーの1つまたは複数のメンバー:限定されることなく、ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗菌剤;ならびに非必須アミノ酸(NEAA)、限定されることなく、BDNF、NT3、NT4などの培養中のSCの生存を促進するのに役割を果たすことが公知のニューロトロフィンを運ぶのに使用し得る。
いくつかの態様によれば、ESCを分化させるために使用される培地は、NUTRISTEM(登録商標)培地(Biological Industries、06-5102-01-1A)である。
いくつかの態様によれば、ESCの分化および増殖はゼノフリー条件下で行われる。他の態様によれば、増殖/成長培地は実質的に異種混入物を含まない、すなわち血清、動物由来成長因子およびアルブミンなどの動物由来成分を含まない。したがって、これらの態様によれば、培養は異種混入物の非存在下で実施される。ゼノフリー条件下でESCを培養する他の方法は、米国特許出願第20130196369号に提供されており、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
RPE細胞を含む調製物は、適正製造基準(GMP)(例えば調製物がGMPに準拠している)および/または現在の適正組織基準(GTP)(例えば調製物がGTPに準拠し得る)に従って調製し得る。
分化段階の間、胚性幹細胞の分化状態を監視し得る。細胞分化は、分化の指標であることが公知の細胞または組織特異的マーカーの検査で決定することができる。
組織/細胞特異的マーカーは、当技術分野で周知の免疫学的技術を使用して検出することができる[Thomson JA et al.,(1998).Science 282:1145-7]。例には、膜結合または細胞内マーカーの場合はフローサイトメトリ、細胞外および細胞内マーカーの場合は免疫組織化学、ならびに分泌分子マーカーの場合は酵素免疫測定法が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本明細書の上記の分化段階後に、色素細胞と非色素細胞の両方を含む混合細胞集団を得ることができる。この局面によれば、混合細胞集団の細胞をプレートから取り出す。いくつかの態様では、これは酵素的に行われる(例えばトリプシンを使用して(TrypLE Select);例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2017/021973参照)。本発明のこの局面によれば、培養物から取り出される(およびその後増殖される)細胞の少なくとも10%、20%、30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%は非色素細胞である。他の態様では、これは機械的に、例えばセルスクレーパーを使用して行われる。さらに他の態様では、これは化学的に(例えばEDTAによって)行われる。酵素処理と化学処理の組み合わせも企図される。例えば、EDTAと酵素処理を使用することができる。さらに、培養物から取り出される(およびその後増殖される)細胞の少なくとも10%、20%、またはさらには30%が色素細胞であり得る。
本開示の一局面によれば、培養物中のすべての細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%を取り出し、その後増殖させる。
細胞の混合集団の増殖は、細胞外マトリックス上、例えばゼラチン、コラーゲンI、コラーゲンIV、ラミニン(例えばラミニン521)、フィブロネクチンおよびポリD-リジン上で実施し得る。増殖のために、細胞を無血清KOM、血清含有培地(例えば20%ヒト血清を含むDMEM)またはNUTRISTEM(登録商標)培地(06-5102-01-1A、Biological Industries)で培養し得る。これらの培養条件下では、適切な条件下で継代した後、非色素細胞に対する色素細胞の比率が増加し、精製されたRPE細胞の集団が得られる。そのような細胞は、RPE細胞の特徴的な多角形の形態と色素沈着を示す。
一態様では、増殖は、ニコチンアミド(例えば0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mM)の存在下で、およびアクチビンAの非存在下で行われる。
細胞の混合集団は、懸濁液(マイクロキャリアを含むもしくは含まない)または単層で増殖させ得る。単層培養物または懸濁培養物における細胞の混合集団の増殖は、当業者に周知の方法によってバイオリアクタまたはマルチ/ハイパースタックでの大規模増殖に変更し得る。
いくつかの態様によれば、増殖段階は、少なくとも1〜20週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、さらには10週間実施する。好ましくは、増殖段階は、1週間〜10週間、より好ましくは2週間〜10週間、より好ましくは3週間〜10週間、より好ましくは4週間〜10週間、または4週間〜8週間実施する。
さらに他の態様によれば、混合細胞集団を、増殖段階中に少なくとも1回、増殖段階中に少なくとも2回、増殖段階中に少なくとも3回、増殖段階中に少なくとも4回、増殖段階中に少なくとも5回、または増殖段階中に少なくとも6回継代する。
本発明者らは、細胞を酵素的に収集する場合、8継代超、9継代超、さらには10継代超(例えば11〜15継代)にわたって増殖を継続することが可能であることを示した。総細胞倍加の数は、30を超えて、例えば31、32、33、34またはそれ以上まで増加させることができる(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、WO2017/021973を参照のこと)。
本明細書に記載の方法に従って生成されるRPE細胞の集団は、いくつかの異なるパラメータに従って特徴付けられ得る。したがって、例えば、得られるRPE細胞は、形状が多角形の形状で、色素沈着され得る。
本明細書に開示される細胞集団および細胞組成物は、一般に未分化ヒト胚性幹細胞を欠くことが理解されよう。いくつかの態様によれば、例えばFACSによって測定した場合に、1:250,000個未満の細胞がOct4+TRA-1-60+細胞である。細胞はまた、PCRで測定した場合に、GDF3またはTDGFの発現が下方調節され得る(5,000倍超)。この局面のRPE細胞は、胚性幹細胞マーカーを実質的に発現しない。前記1つまたは複数の胚性幹細胞マーカーは、OCT-4、NANOG、Rex-1、アルカリホスファターゼ、Sox2、TDGF-β、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、および/またはTRA-1-81を含み得る。
治療用RPE細胞調製物は、非RPE細胞と比較して実質的に精製され得、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のRPE細胞を含み得る。RPE細胞調製物は、本質的に非RPE細胞を含まないか、またはRPE細胞からなり得る。例えば、RPE細胞の実質的に精製された調製物は、約25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満の非RPE細胞型を含み得る。例えば、RPE細胞調製物は、約25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または0.0001%未満の非RPE細胞を含み得る。
RPE細胞調製物は、非RPE細胞および他のレベルの成熟度のRPE細胞の両方と比較して実質的に純粋であり得る。調製物は、非RPE細胞と比較して実質的に精製され得、成熟RPE細胞が濃縮され得る。例えば、成熟RPE細胞が濃縮されたRPE細胞調製物では、RPE細胞の少なくとも約30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%が成熟RPE細胞である。調製物は、非RPE細胞と比較して実質的に精製され得、成熟RPE細胞ではなく分化したRPE細胞について濃縮され得る。例えば、RPE細胞の少なくとも約30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が、成熟RPE細胞ではなく分化したRPE細胞であり得る。
本明細書に記載の調製物は、HIVI、HIV2、HBV、HCV、HAV、CMV、HTLV1、HTLV2、パルボウイルスB19、エプスタイン-バーウイルス、またはヘルペスウイルス1型および2型、SV40、HHV5、6、7、8、CMV、ポリオーマウイルス、HPV、エンテロウイルスの存在を含むがこれらに限定されるわけではない、細菌、ウイルス、または真菌の汚染または感染を実質的に含まないと考えられる。本明細書に記載の調製物は、マイコプラズマ汚染または感染を実質的に含まないと考えられる。
本明細書に開示される細胞集団を特徴付ける別の方法は、マーカー発現によるものである。したがって、例えば、免疫染色によって測定した場合に、細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%または100%がベストロフィン1を発現し得る。一態様によれば、細胞の80〜100%がベストロフィン1を発現する。
他の態様によれば、免疫染色によって測定した場合に、細胞の少なくとも80%、85%、87%、89%、90%、95%、97%または100%が小眼球症関連転写因子(MITF)を発現する。例えば、細胞の80〜100%がMITFを発現する。
他の態様によれば、免疫染色によって測定した場合に、細胞の少なくとも80%、85%、87%、89%、90%、95%、97%または100%が小眼球症関連転写因子(MITF)およびベストロフィン1の両方を発現する。例えば、細胞の80〜100%がMITFとベストロフィン1を共発現する。
他の態様によれば、免疫染色によって測定した場合に、細胞の少なくとも80%、85%、87%、89%、90%、95%、97%または100%が小眼球症関連転写因子(MITF)およびZ0-1の両方を発現する。例えば、細胞の80〜100%がMITFとZ0-1を共発現する。
他の態様によれば、免疫染色によって測定した場合に、細胞の少なくとも80%、85%、87%、89%、90%、95%、97%または100%がZ0-1およびベストロフィン1の両方を発現する。例えば、細胞の80〜100%がZ0-1とベストロフィン1を共発現する。
別の態様によれば、免疫染色またはFACSによって測定した場合に、細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、87%、89%、90%、95%、97%または100%がペアードボックス遺伝子6(PAX-6)を発現する。例えば、細胞の少なくとも50%〜100%がペアードボックス遺伝子6(PAX-6)を発現する。
別の態様によれば、免疫染色によって測定した場合に、細胞の少なくとも80%、85%、87%、89%、90%、95%、97%または100%が細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)を発現する。例えば、細胞の80〜100%がCRALBPを発現する。
別の態様によれば、免疫染色によって測定した場合に、細胞の少なくとも80%、85%、87%、89%、90%、95%、97%または100%が細胞性メラノサイト系列特異的抗原GP100(PMEL17)を発現する。例えば、細胞の約80〜100%がPMEL17を発現する。
RPE細胞は、最終分化を示すマーカー、例えばベストロフィン1、CRALBPおよび/またはRPE65を共発現し得る。一態様によれば、得られるRPE細胞集団の細胞の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、またはさらに約50%〜100%が、プレメラノソームタンパク質(PMEL17)と細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)の両方を共発現する。
特定の態様によれば、細胞は、PMEL17(SwissProt No.P40967)と、細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP;SwissProt No.P12271)、レシチンレチノールアシルトランスフェラーゼ(LRAT;SwissProt No.095327)および性決定領域Yボックス9(SOX 9;P48436)からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドとを共発現する。
特定の態様によれば、集団の細胞の少なくとも80%が検出可能なレベルのPMEL17および上記ポリペプチドのうちの1つ(例えばCRALBP)を発現し、より好ましくは集団の細胞の少なくとも85%が検出可能なレベルのPMEL17および上記ポリペプチドのうちの1つ(例えばCRALBP)を発現し、より好ましくは集団の細胞の少なくとも90%が検出可能なレベルのPMEL17および上記ポリペプチドのうちの1つ(例えばCRALBP)を発現し、より好ましくは集団の細胞の少なくとも95%が検出可能なレベルのPMEL17および上記ポリペプチドのうちの1つ(例えばCRALBP)を発現し、より好ましくは集団の細胞の100%が検出可能なレベルのPMEL17および上記ポリペプチドのうちの1つ(例えば当業者に公知の方法(例えばFACS)によってアッセイされるCRALBP)を発現する。
別の態様によれば、CRALBPと上記ポリペプチドのうちの1つ(例えばPMEL17)の共発現のレベルは(例えば平均蛍光強度によって測定した場合)、未分化ESCと比較して、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも4倍、さらにより好ましくは少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍増加する。
一態様では、RPEは最終分化しており、一般にPax6を発現しない。別の態様では、RPE細胞は最終分化しており、一般にPax6を発現する。
本明細書に記載のRPE細胞はまた、移植後に機能的RPE細胞として作用することができ、RPE細胞は、移植細胞を受け入れる患者の神経感覚網膜と脈絡膜との間に単層を形成し得る。RPE細胞はまた、隣接する光受容体に栄養素を供給し、食作用によって脱落した光受容体外節を処分し得る。
一態様によれば、単層の細胞の経上皮電気抵抗は、100オームより大きい。
好ましくは、細胞の経上皮電気抵抗は、150、200、250、300、300、400、500、600、700、800オームより大きく、さらには900オームより大きい。
経上皮電気抵抗(TEER)を測定するための装置は当技術分野で公知であり、例えばEVOM2上皮電圧計(World Precision Instruments)が含まれる。
増殖段階の後、RPE細胞を含む細胞集団が得られ、その少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらには100%がCRALBP+PMEL17+である。
RPE細胞の誘導が非常に有益であることは、当業者に十分に理解されるであろう。RPE細胞は、その生存、再生および機能を促進する新薬の開発のためのインビトロモデルとして使用し得る。RPE細胞は、RPE細胞に対して毒性または再生作用を有する化合物のハイスループットスクリーニングに役立ち得る。それらは、光受容体細胞の発生、分化、維持、生存および機能のために重要な機構、新しい遺伝子、可溶性または膜結合因子を明らかにするのに使用し得る。
本明細書に記載のRPE細胞はまた、網膜変性および他の変性障害における機能不全または変性RPE細胞の移植、補充および支持のためのRPE細胞の無制限の供給源として役立ち得る。さらに、遺伝子改変されたRPE細胞は、移植後に遺伝子を眼と網膜に運び、発現させるためのベクターとして役立ち得る。
特定の態様では、RPE細胞組成物は、以下の方法に従って生成し得る:(1)ヒト血清アルブミン(HSA)を含むNUT+において2週間、CWプレートのhUCF上でhESCを培養する、(2)HSAを含むNUT+において4〜5週間(または細胞の所望の量まで)、CWプレートのhUCF上でhESCを増殖させるために機械的に継代する、(3)HSAを含むNUT+においてさらに1週間、6cmプレートのhUCF上でhESCコロニーを継続して増殖させる(例えばコラゲナーゼを使用して)、(4)ニコチンアミド(NIC)を含むNUT-において約1週間、約5つの6cmプレートからコロニーを1つのHydroCellに移植することによってスフェロイド体(SB)を調製する、(5)NICを含むNUT-において約1週間、SBを6ウェルプレートの2〜3ウェルに移すことによってLam511上のSBを平坦化する、(6)NICおよびアクチビンを含むNUT-においてLam511上で付着細胞を約1〜2週間培養し、培地を、NICを含むNUT-と置き換えて1〜3週間培養する、(7)例えばTrypLE Selectなどの酵素を使用して色素細胞を濃縮する、(8)20%ヒト血清およびとNUT-において約2〜9週間(培地を交換して)、フラスコ内のゼラチン上でRPE細胞を増殖させる、ならびに(9)RPE細胞を採取する。
RPE細胞の増殖した集団の採取は、当技術分野で公知の方法を使用して(例えばトリプシンなどの酵素を使用して、またはEDTA等を使用して化学的に)実施し得る。いくつかの態様では、RPE細胞を、PBSまたはBSSプラスなどの適切な溶液を使用して洗浄し得る。他の態様では、凍結保存のためおよび解凍後すぐに対象に投与するためのRPE細胞組成物の製剤化の前に、RPE細胞を濾過し得る。
採取後、RPE細胞の増殖集団を特定の治療用量(例えば細胞数)で製剤化し、診療所への出荷のために凍結保存することができる。次いで、すぐに投与できる(RTA)RPE細胞療法組成物は、解凍後さらに処理することなく直接投与することができる。凍結保存に適した培地の例には、90%ヒト血清/10%DMSO、培地3 10%(CS10)、培地2 5%(CS5)および培地1 2%(CS2)、Stem Cell Banker、PRIME XV(登録商標)FREEZIS、HYPOTHERMASOL(登録商標)、トレハロース等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
解凍後すぐに投与できる(RTA)用途に適した凍結保存培地中に製剤化されたRPE細胞には、アデノシン、デキストラン□40、ラクトビオン酸、HEPES(N□(2□ヒドロキシエチル)ピペラジン□N'□(2□エタンスルホン酸))、水酸化ナトリウム、L-グルタチオン、塩化カリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、デキストロース、スクロース、マンニトール、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および水に懸濁したRPE細胞が含まれ得る。この凍結保存培地の一例は、CRYOSTOR(登録商標)の商品名で市販されており、BioLife Solutions,Incによって製造されている。
さらなる態様では、凍結保存培地には、プリンヌクレオシド(例えばアデノシン)、分岐グルカン(例えばデキストラン□40)、両性イオン性有機化学緩衝剤(例えばHEPES(N□(2□ヒドロキシエチル)ピペラジン□N'□(2□エタンスルホン酸)))、および細胞が忍容性の極性非プロトン性溶媒(例えばジメチルスルホキシド(DMSO))が含まれる。なおさらなる態様では、プリンヌクレオシド、分岐グルカン、緩衝剤、および極性非プロトン性溶媒のうちの1つまたは複数は、一般に米国FDAによって安全であると認識されている。
いくつかの態様では、凍結保存培地は、糖酸(例えばラクトビオン酸)、塩基の1つまたは複数(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、酸化防止剤(例えばL-グルタチオン)、1つまたは複数のハロゲン化物塩(例えば塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム)、塩基性塩(例えば重炭酸カリウム)、リン酸塩(例えばリン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)、1つまたは複数の糖(例えばデキストロース、スクロース)、糖アルコール(例えばマンニトール)、および水のうちの1つまたは複数をさらに含む。
他の態様では、糖酸、塩基、ハロゲン化物塩、塩基性塩、酸化防止剤、リン酸塩、糖、糖アルコールのうちの1つまたは複数は、一般に米国FDAによって安全であると認識されている。
DMSOは、凍結保存工程中に細胞を死滅させ得る氷晶の形成を防ぐための凍結保護剤として使用することができる。いくつかの態様では、凍結保存可能なRPE細胞療法組成物は、約0.1%〜約2%のDMSO(v/v)を含む。いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は、約1%〜約20%のDMSOを含む。いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は約2%のDMSOを含む。いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は約5%のDMSOを含む。
いくつかの態様では、解凍後すぐに投与できる用途に適した凍結保存培地中に製剤化されたRPE細胞療法剤は、DMSOを含まない凍結保存培地に懸濁したRPE細胞を含み得る。例えば、RTA RPE細胞療法組成物は、トロロックス、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、cl-、H2P04-、HEPES、ラクトビオネート、スクロース、マンニトール、グルコース、デキストラン-40、アデノシン、DMSO(ジメチルスルホキシド、(CH32SO)を含まないグルタチオン、または他の任意の双極性非プロトン性溶媒に懸濁したRPE細胞を含み得る。この凍結保存培地の一例は、HYPOTHERMOSOL(登録商標)またはHYPOTHERMOSOL(登録商標)-FRSの商品名で市販されており、BioLife Solutions,Incによって製造されている。他の態様では、解凍後すぐに投与できる用途に適した凍結保存培地中に製剤化されたRPE細胞組成物は、トレハロースに懸濁したRPE細胞を含み得る。
RTA RPE細胞療法組成物は、任意でRPEの生着、統合、生存、効力等を支持する追加の因子を含んでもよい。いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は、本明細書に記載のRPE細胞調製物の機能の活性化剤を含む。いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物はニコチンアミドを含む。いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は、約0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mMの濃度のニコチンアミドを含む。他の態様では、RTA RPE細胞療法組成物はレチノイン酸を含む。いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は、約0.01〜100mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、5〜50mM、5〜20mM、例えば10mMの濃度のレチノイン酸を含む。
いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は、本明細書に記載のものなどのRPE細胞調製物のブランチ膜への付着を増加させることが示されている様々なインテグリンの活性化剤を含むように製剤化され得る。例えば、いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物は、約5μM〜1,000μMの濃度の細胞外マンガン(Mn2+)を含む。他の態様では、RTA RPE細胞療法組成物は、立体構造特異的モノクローナル抗体、TS2/16を含む。
他の態様では、RTA RPE細胞療法組成物はまた、RPE細胞の免疫調節活性の活性化剤を含むように製剤化され得る。
いくつかの態様では、RTA RPE細胞療法組成物はROCK阻害剤を含み得る。
いくつかの態様では、解凍後すぐに投与できる用途に適した凍結保存培地中に製剤化されたRPE細胞療法剤は、1つまたは複数の免疫抑制化合物を含み得る。特定の態様では、解凍後すぐに投与できる用途に適した凍結保存培地中に製剤化されたRPE細胞療法剤は、1つまたは複数の免疫抑制化合物の徐放用に製剤化された1つまたは複数の免疫抑制化合物を含み得る。本明細書に記載の製剤と共に使用するための免疫抑制化合物は、免疫抑制薬の以下のクラスに属し得る:グルココルチコイド、細胞増殖抑制薬(例えばアルキル化剤または代謝拮抗薬)、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)、イムノフィリンに作用する薬物(例えばシクロスポリン、タクロリムスまたはシロリムス)。さらなる薬物には、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノレートおよび小さな生物学的作用物質が含まれる。免疫抑制薬の例には、間葉系幹細胞、抗リンパ球グロブリン(ALG)ポリクローナル抗体、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)ポリクローナル抗体、アザチオプリン、BAS 1L1 X 1MAB(登録商標)(抗IL-2Ra受容体抗体)、シクロスポリン(シクロスポリンA)、DACLIZUMAB(登録商標)(抗IL-2Ra受容体抗体)、エベロリムス、ミコフェノール酸、RITUXIMAB(登録商標)(抗CD20抗体)、シロリムス、タクロリムス、タクロリムス、および/またはミコフェノール酸モフェチルが含まれる。
RPE細胞は、様々な形態で移植し得る。例えば、RPE細胞は、マトリックスと共に、またはマトリックスもしくは膜、細胞外マトリックスもしくは生分解性ポリマーなどの基質もしくは組み合わせに付着して、単一細胞懸濁液の形態で標的部位に導入し得る。RPE細胞はまた、マトリックスまたは足場に印刷し得る。RPE細胞はまた、光受容体などの他の網膜細胞と共に移植(共移植)し得る。治療の有効性は、視覚および眼の機能と構造の様々な尺度によって評価され得、これには、とりわけ、最高矯正視力(BCVA)、暗および明順応状態での視野測定または微小視野測定で測定した光に対する網膜感度、全視野、多焦点、焦点またはパターン網膜電図検査5 ERG)、コントラスト感度、読み取り速度、色覚、臨床生体顕微鏡検査、眼底撮影法、光干渉断層法(OCT)、眼底自発蛍光撮影法(FAF)、赤外線および多色イメージング、フルオレセインまたはICG血管造影、採用光学、ならびに視覚機能と眼構造を評価するのに使用される追加の手段が含まれる。
特定の態様では、網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせる、停止状態を維持するまたは逆転させることは、微小視野測定で評価した視力の回復によって実証され、ここで、微小視野測定で評価した視力の回復は、ベースライン、年齢が一致し性別が一致する対照、または対象の僚眼と比較した、微小視野測定での網膜感度とEZ欠損との相関関係を含む。特定の態様では、網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせる、停止状態を維持するまたは逆転させることは、微小視野測定で評価した視力の回復によって実証され、ここで、スペクトル領域光干渉断層法(SD-OCT)でのエリプソイド領域(EZ)欠損と、眼底視野計(macular integrity assessment)(MAIA)微小視野測定での網膜感度低下には相関関係がある。その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Invest Ophthalmol Vis Sci.2017 May 1;58(6):BIO291-BIO299.doi:10.1167/iovs.17-21834,“Correlation Between Macular Integrity Assessment and Optical Coherence Tomography Imaging of Ellipsoid Zone in Macular Telangiectasia Type 2”;Mukherjee D.et al.を参照のこと。
他の態様では、エリプソイド領域のトポグラフィックマップ、例えば直交トポグラフィック(正面)マップを、OCTボリュームスキャン、例えばハイデルベルグスペクトラリスOCTボリュームスキャン(15×10°エリア、30μm Bスキャン間隔)またはZeiss Cirrus HD-OCT 4000 512 x 128キューブスキャンから作成して、マップを、年齢が一致し性別が一致する対照、対象のベースラインまたは対象の僚眼と比較することによって、網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせる、停止状態を維持するまたは逆転させることを実証した。EZの組織化と網膜の感度の間には相関関係がある。RPE細胞の投与後、EZ領域が組織化され、網膜感度が改善する。例えば、図25および26の3ヶ月目参照。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Retina,2018 Jan;38 Suppl 1:S27-S32.“Correlation Of Structural And Functional Outcome Measures In A Phase One Trial Of Ciliary Neurotrophic Factor In Type 2 Idiopathic Macular Telangiectasia,”Sallo FB,et al.を参照のこと。
特定の態様では、網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせる、停止状態を維持する、または逆転させることは、投与の前後に、年齢が一致し性別が一致する対照、対象のベースラインまたは僚眼と比較して、OCT-Aによって実証される。
例えば、スペクトル領域(SD)-OCTおよびOCT-Aイメージングを使用し、ならびに、例えばOCT EZマッピングを使用してSD-OCTデータを分析し、黄斑キューブ全体のEZ-網膜色素上皮(RPE)複合体の線形、面積、および体積測定値を得る。OCT-A網膜毛細血管密度は、例えばOptovue Avanti分割スペクトル振幅脱相関血管造影アルゴリズムを使用して測定することができる。EZ-RPEパラメータを、年齢が一致し性別が一致する対照、対象のベースラインまたは僚眼と比較する。
一態様では、投与後、EZ-RPE中心窩平均厚さが改善し、EZ-RPE中心窩厚さが改善し、EZ-RPE中央サブフィールド体積が改善する。EZ-RPEの厚さ、面積、および体積は、治療応答を測定するための視力の改善と相関する。これらの測定値はそれぞれ、視力と逆相関する。ベースラインから3ヶ月まで、EZの体積が減少している、図25および26を参照のこと。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Invest Ophthalmol Vis Sci.2017 Jul 1;58(9):3683-3689,“OCT Angiography and Ellipsoid Zone Mapping of Macular Telangiectasia Type 2 From the AVATAR Study, Runkle AP.,et al.に概説されている方法を参照のこと。
一態様では、回復は、例えば、以下のうちの1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価である:外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、光受容体の外節、ドルーゼンの喪失、および網状偽ドルーゼンの消失。回復は、網膜の基本的な基礎層の1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的な評価も含み得る。本明細書で使用される場合、より組織化されつつある網膜の基本的な基礎層は、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、および光受容体の外節のうちの1つまたは複数を含む。図25および26に見られるように、組織化は、例えばEZの構造体の体積の減少によって実証され、例えばベースラインと2ヶ月目および3ヶ月目との比較参照。例えば、EZの体積は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%減少する。
一態様では、エリプソイド領域分析は、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較したEZ体積の減少によってEZの組織化を実証する。別の態様では、EZ体積の減少は、少なくとも2%もしくは少なくとも5%もしくは少なくとも7%もしくは少なくとも10%、または1〜5%もしくは1〜10%もしくは1〜50%もしくは10〜50%を含む。別の態様では、EZの組織化は、例えばEZの構造体の体積の減少によって実証され、例えばベースラインと2ヶ月目および3ヶ月目の比較を参照のこと。例えば、EZの体積は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%減少する。
一態様では、回復は、EZ-RPE中心窩平均厚さの改善、EZ-RPE中心窩厚さの改善、およびEZ-RPE中心サブフィールド体積の改善のうちの1つまたは複数を含む。EZ-RPEの厚さ、面積、および体積は、治療応答を測定するための視力の改善と相関する。これらの測定値はそれぞれ、視力と逆相関する。
本開示に従って製剤化されたRTA RPE細胞療法剤は、対象の眼への注射前の最終用量製剤の調製のためにGMP設備の使用を必要としない。本明細書に記載のRTA RPE細胞療法製剤は、臨床現場に直接出荷できる最終用量製剤を含む非毒性の凍結溶液で凍結保存され得る。必要に応じて、製剤を解凍し、中間準備工程を実施することなく対象の眼に投与することができる。
RPE細胞は、例えば、Idelson M,Alper R,Obolensky A et al.(Directed differentiation of human embryonic stem cells into functional retinal pigment epithelium cells.Cell Stem Cell 2009;5:396-408)の方法に従って、またはParul Choudhary et al.(“Directing Differentiation of Pluripotent Stem Cells Toward Retinal Pigment Epithelium Lineage”,Stem Cells Translational Medicine,2016)、またはWO2008129554に従って生成することができ、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
対象に投与し得る生細胞の数は、典型的には用量当たり少なくとも約50,000〜約5x106個である。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約100,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約150,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約200,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約250,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約300,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約350,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約400,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約450,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞療法組成物は、少なくとも約500,000個の生細胞を含む。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は、少なくとも約600,000個、少なくとも約700,000個、少なくとも約800,000個、少なくとも約900,000個、少なくとも約1,000,000個、少なくとも約2,000,000個、少なくとも約3,000,000個、少なくとも約4,000,000個、少なくとも約5,000,000個、少なくとも約6,000,000個、少なくとも約7,000,000個、少なくとも約8,000,000個、少なくとも約9,000,000個、少なくとも約10,000,000個、少なくとも約11,000,000個、または少なくとも約12,000,000個の生細胞を含む。
特定の態様では、RPE細胞療法剤は、約100,000細胞/ml〜約1,000,000細胞/mlの細胞濃度で製剤化され得る。特定の態様では、RPE細胞療法剤は、約1,000,000細胞/ml、約2,000,000細胞/ml、約3,000,000細胞/ml、約4,000,000細胞/ml、約5,000,000細胞/ml、6,000,000細胞/ml、7,000,000細胞/ml、8,000,000細胞/ml、約9,000,000細胞/ml、約10,000,000細胞/ml、約11,000,000細胞/ml、約12,000,000細胞/ml、13,000,000細胞/ml、14,000,000細胞/ml、15,000,000細胞/ml、16,000,000細胞/ml、約17,000,000細胞/ml、約18,000,000細胞/ml、約19,000,000細胞/ml、または約20,000,000細胞/mlの細胞濃度で製剤化され得る。
いくつかの態様では、RPE細胞組成物は凍結保存でき、約-4℃〜約-200℃の温度で保存し得る。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は凍結保存でき、約-20℃〜約-200℃の温度で保存し得る。いくつかの態様では、RPE細胞組成物は凍結保存でき、約-70℃〜約-196℃の温度で保存し得る。いくつかの態様では、凍結保存に適した温度または凍結保存温度は、約-4℃〜約-200℃の温度、または約-20℃〜約-200℃、-70℃〜約-196℃の温度を含む。
いくつかの態様では、細胞組成物を網膜下腔に投与する。他の態様では、細胞組成物を注入する。
いくつかの態様では、細胞組成物を単回投与治療として投与する。
いくつかの態様では、RPE細胞は、治療的または薬学的に許容される担体または生体適合性媒体で投与される。いくつかの態様では、対象に投与されるRPE製剤の容量は、約10μl〜約50μl、約20μl〜約70μl、約20μl〜約100μl、約25μl〜約100μl、約100μl〜約150μl、または約10μl〜約200μlである。特定の態様では、10μl〜200μlのRPE製剤を2回またはそれ以上投与することができる。特定の態様では、一定量のRPE製剤を対象の眼の網膜下腔に投与する。特定の態様では、網膜下送達方法は、経硝子体または脈絡膜上であり得る。いくつかの態様では、一部の対象について、経硝子体または脈絡膜上網膜下送達法を使用してERMのインシデントを低減し得る。いくつかの態様では、一定量のRPE製剤を対象の眼に注射することができる。
治療し得る対象には、霊長動物(ヒトを含む)、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、イノシシ科動物(例えばブタ))、鳥類、および他の対象が含まれる。商業的重要性を有するヒトおよび非ヒト動物(例えば家畜および飼育動物)は特に関心対象である。治療し得る例示的な哺乳動物には、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、げっ歯動物等および霊長動物、特にヒトが含まれる。非ヒト動物モデル、特に哺乳動物、例えば霊長動物、マウス、ウサギ等が実験的研究に使用され得る。
本明細書に記載されるように生成されたRPE細胞は、対象の眼または他の場所(例えば脳)内の様々な標的部位に移植し得る。一態様によれば、RPE細胞の移植は、RPEの通常の解剖学的位置(光受容体外節と脈絡膜の間)である、眼の網膜下腔に対してである。さらに、細胞の遊走能力および/または正のパラクリン作用に応じて、硝子体腔、内網膜または外網膜、網膜周辺部、脈絡膜内を含むがこれらに限定されるわけではないさらなる眼区画への移植を考慮することができる。
移植は、当技術分野で公知の様々な技術によって実施し得る。RPE移植を実施する方法は、例えば、米国特許第5,962,027号、同第6,045,791号および同第5,941,250号、ならびにEye Graefes Arch Clin Exp Opthalmol March 1997;235(3):149-58;Biochem Biophys Res Commun Feb.24,2000;268(3):842-6;Opthalmic Surg February 1991;22(2):102-8に記載されている。角膜移植を実施する方法は、例えば、米国特許第5,755,785号およびEye 1995;9(Pt 6 Su):6-12;Curr Opin Opthalmol August 1992;3(4):473-81;Ophthalmic Surg Lasers April 1998;29(4):305-8;Ophthalmology April 2000;107(4):719-24;およびJpn J Ophthalmol November-December 1999;43(6):502-8に記載されている。主にパラクリン作用を利用する場合、細胞はまた、半透性容器または生分解性細胞外マトリックス内にカプセル化されて眼に送達および維持され得、これは、宿主免疫系への細胞の曝露も減少させる(Neurotech USA CNTF delivery system;PNAS March 7,2006 vol.103(10)3896-3901)。
いくつかの態様によれば、移植は、経毛様体扁平部硝子体切除手術の後に、小さな網膜開口部を通して網膜下腔に細胞を送達することによって、または直接注射によって行われる。
対象は、RPE細胞の投与の前または投与と同時に、プレドニゾロンまたはメチルプレドニゾロン、プレドフォルテなどのコルチコステロイドを投与され得る。別の態様によれば、対象は、RPE細胞の投与の前または投与と同時に、プレドニゾロンまたはメチルプレドニゾロン、プレドフォルテなどのコルチコステロイドを投与されない。
免疫抑制薬は、治療前、治療と同時に、および/または治療後に対象に投与され得る。免疫抑制薬は、以下のクラス:グルココルチコイド、細胞増殖抑制薬(例えばアルキル化剤または代謝拮抗薬)、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)、イムノフィリンに作用する薬物(例えばシクロスポリン、タクロリムスまたはシロリムス)に属し得る。さらなる薬物には、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノレートおよび小さな生物学的作用物質が含まれる。免疫抑制薬の例には、間葉系幹細胞、抗リンパ球グロブリン(ALG)ポリクローナル抗体、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)ポリクローナル抗体、アザチオプリン、BAS 1L1 X 1MAB(登録商標)(抗IL-2Ra受容体抗体)、シクロスポリン(シクロスポリンA)、DACLIZUMAB(登録商標)(抗IL-2Ra受容体抗体)、エベロリムス、ミコフェノール酸、RITUXIMAB(登録商標)(抗CD20抗体)、シロリムス、タクロリムス、タクロリムス、および/またはミコフェノール酸モフェチルが含まれる。
免疫抑制薬は、例えば局所的、眼内、網膜内、または全身的に対象に投与され得る。免疫抑制薬は、これらの方法の1つまたは複数で同時に投与されてもよく、または送達方法は、時間をずらす方法で使用されてもよい。
あるいは、免疫抑制薬を使用せずにRTA RPE細胞療法組成物を投与してもよい。
抗生物質を、治療の前、治療と同時、および/または治療後に対象に投与してもよい。抗生物質の例には、オフロックス、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール、トブレックス、ビガモックス、または眼での使用が認可されている任意の他の局所抗生物質製剤が含まれる。
いくつかの態様では、細胞組成物は、投与後に炎症を引き起こさない。いくつかの態様では、炎症は、炎症に関連する細胞の存在によって特徴付けられ得る。
AMDは、網膜中心部の進行性慢性疾患であり、世界中で失明の主な原因となっている。ほとんどの失明は、血管新生型(「滲出型(wet)」)AMDおよび地図状萎縮(GA、「萎縮型(dry)」)の2つの過程のいずれかに起因して疾患の後期段階で発生する。GAでは、網膜色素上皮、脈絡毛細管板、および光受容体の進行性萎縮が起こる。萎縮型のAMDはより一般的であるが(全症例の85〜90%)、「滲出」型に進行することがあり、治療せずに放置すると、急速で重度の視力喪失につながる。
AMDの推定有病率は、米国および他の先進国では2,000人に1人である。この有病率は、一般人口における高齢者の割合と共に増加すると予想される。この疾患の危険因子には、環境的要因と遺伝的要因の両方が含まれる。
この疾患の病因には、機能的に相互に関連する4つの組織、すなわち網膜色素上皮(RPE)、ブルーフ膜、脈絡毛細管板および光受容体の異常が含まれる。しかしながら、RPE細胞機能の障害は、臨床的に関連するAMD変化につながる、分子経路における初期の重要な事象である。
現在、萎縮型AMDの承認された治療法はない。予防措置には、ビタミン/ミネラルサプリメントが含まれる。これらは、滲出型AMDの発症リスクを低減するが、地図状萎縮(GA)の進行の発生には影響しない。
細胞移植は、疾患の進行を遅らせ、RPEの再生を誘導し、中心視力を回復するために使用できる。
RPEがなければ、光受容細胞は動作不能になる。したがって、イメージング技術を使用したGAの検出は、視野内の暗点を同定することによって行われる。GAを有する一部の対象の眼では、疾患は最初、中心窩などの視力が最も高い網膜の領域を回避する独得のパターンで進行し得る。これらの対象では、中心窩は疾患の後期段階でのみ影響を受ける。
したがって、本明細書に記載の方法を使用して、細胞療法などの網膜疾患療法の治療効果を測定することができる。一態様では、この方法は、治療された網膜疾患を有する対象の眼の定量的構造評価および定量的機能評価を含む。
記載される方法に従って治療の効果を測定し得る疾患の非限定的なリストには、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、遺伝性または後天性黄斑変性、加齢黄斑変性(AMD)、地図状萎縮(GA)、ベスト病、網膜剥離、脳回転状萎縮、コロイデレミア、パターンジストロフィーおよびRPEの他のジストロフィー、シュタルガルト病、光、レーザー、炎症、感染、放射線、血管新生または外傷性損傷のいずれか1つによって引き起こされる損傷に起因するRPEおよび網膜の損傷が含まれる。特定の態様によれば、疾患は萎縮型AMDである。別の態様によれば、疾患はGAである。
FDAは、網膜疾患治療法の評価のための臨床試験のエンドポイントとして眼の構造の測定を承認している。特定の態様では、眼構造の測定は、眼底自発蛍光(FAF)イメージングを使用して行うことができる。眼底自発蛍光は、網膜障害のある眼の萎縮領域の正確な測定を可能にする。FAFイメージングでは、萎縮領域は、軽度の過蛍光を有する正常な網膜組織に囲まれた過蛍光(暗い)に見える。GAを有する対象の大部分では、萎縮領域は強い過蛍光の辺縁部によって取り囲まれている。この過蛍光は、アポトーシスおよび細胞死の領域に関連する。開示されている方法の態様によれば、特に治療後に、過蛍光の測定を使用して疾患の進行を確認することができる。疾患進行の減速または停止は、萎縮領域を取り囲む強い過蛍光の辺縁部の縮小または消失によって実証され得る。
特定の態様では、FAFイメージング後の萎縮領域の周囲の過蛍光辺縁部の存在によって証明される、活動性病変(すなわち萎縮領域または瘢痕)があるGAを有する対象は、例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2016/108219に記載されている方法、または同様の方法、または免疫抑制の低減を伴う新しい方法に従って、hESC由来のRPEの移植を用いて治療することができる。疾患の進行に対する治療の効果を測定するために、最初に、FAFイメージング装置によって生成された、治療領域と平行に病変を横切るラインを挿入することによって病変を人為的に2つに分割する。次に、病変の2つの部分が同様の面積になるまで、ラインを治療領域の反対側に向かって垂直に移動させる。網膜の病変領域を横切るラインの位置は、対象のその後の測定全体を通して一定に保つ。次いで、病変領域の半分は、hESC由来のRPE移植による治療を受け(治療領域)、病変の残りの半分は未治療のままにする。
治療後の指定された時間に、FAFを使用して、特に病変の辺縁部周囲の過蛍光を検出し、萎縮領域のサイズを測定することができる。病変の全体的なサイズの縮小に加えて、病変の周辺の過蛍光辺縁部のサイズの縮小または消失は、治療が疾患の進行を減速または停止させていることを示すために使用できる。病変の治療された半分と病変の治療されていない半分との間の過蛍光の差を測定し、治療の有効性を判定するために使用できる。したがって、同じ眼を治療対象および対照対象として使用し得る。
治療領域が過蛍光から低蛍光への変化を受け、それによって疾患進行の減速または停止を示すことを実証するためにFAFが利用できるという決定は、FAFを使用する現在の治療効果評価手法の改善である。この改善された手順は、臨床試験での治療効果の代用として使用することができる。
一態様では、FAFは、BluePeak Blue Laser Autofluorescence(Heidelberg Engineering GmbH,Max-Jarecki-Straβe 8 69115 Heidelberg Germany)を使用して実施される。BluePeakは、リポフスチンを指標として用いて網膜の代謝ストレスを明らかにする、非侵襲性の走査型レーザー眼底イメージング法である。BluePeak画像は、RPEと視細胞の機能不全を明らかにすることができる。
別の態様では、眼底自発蛍光の二次元イメージングを使用する治療効果評価は、光干渉断層法(OCT)を使用して増強される。OCTは、三次元の高解像度画像を生成するために使用でき、特に網膜疾患の治療を受けている対象において、網膜層の構造評価のための重要な断面情報を提供することができる。OCTを使用すると、網膜障害の治療が投与される前と投与後に網膜層のプロフィール画像を取得することができる。健常眼では、網膜組織の個々の層は明確に定義されたバンドとして見ることができる。逆に、例えばAMDまたはGAによって引き起こされる特徴的な欠陥は、RPEおよび光受容体層の退化の境界が極めて明瞭な領域として見ることができる。GAを有する多くの眼では、OCT画像は、ブランチ膜と外網状層の間に発生し得るくさび形の低反射構造を示すことができる。そのような構造の同定と監視は、AMDおよびGAを有する患者の網膜層の生存能を維持することを目的とした治療法の臨床試験において重要な、光受容体層のOCT境界を定義するのに有用であり得る。
OCTの網膜層のセグメンテーションと眼底自発蛍光の代謝マッピングを組み合わせることによって、機能変化に関連する形態学的変化をより明確に見ることができる。特殊なソフトウェアを使用して、FAF画像に見られる病変領域を定量化し、経時的に追跡することができる。病変を覆うRPE再生領域を含む治療効果も特定でき、網膜の厚さを測定することによってRPEの回復を定量化できる。
現時点では、OCTは必ずしも臨床試験における網膜形態の評価に標準とは限らない。しかし、記載した方法の態様によれば、OCTを他の構造的および機能的評価手法と組み合わせて使用すると、治療の効果の測定を最適化でき、必要な患者数がより少なくて済むより短い臨床試験を可能にし得る。
本明細書に記載の方法の別の局面は、網膜疾患の治療の効果を測定するための機能的評価の構成要素を含む。現在、低輝度視力、コントラスト感度評価、読み取り速度評価、微小視野測定、および生活の質の評価を含む、いくつかの機能評価手法が利用可能である。一態様では、微小視野測定の使用のための改善された方法を説明する。
低輝度視力とコントラスト感度は、全体的な視覚機能に対する輝度とコントラストの影響を測定するが、網膜の特定の領域にわたる機能をより詳細に評価することはできない。黄斑または中心窩におけるGAまたは他の網膜疾患病変の特定の位置は、視力の転帰を決定し得る。したがって、GAなどの障害を有する対象の視力の機能評価には、高いレベルの詳細が重要である。
微小視野測定では、網膜の特定の領域が光の点で刺激され、対象はボタンを押して刺激の知覚を確認する。機能的領域と非機能的領域を識別することに加えて、網膜の特定の領域の相対的な感度を特定するために刺激強度を変化させることもできる。眼底は赤外線カメラで監視でき、視野の感度を眼底写真にマッピングして、他の手法で取得した画像と比較することができる。
いくつかの態様では、注射部位の治癒は、治療手技後約1日(24時間)、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間以内に起こる。他の態様では、注射部位の治癒は、RPE細胞の投与後約1日〜約30日以内に起こる。さらに他の態様では、カニューレによる投与部位の治癒は、5日〜約21日以内または約7日〜約15日以内である。
いくつかの局面では、本明細書に記載のRPE細胞で治療された対象のBCVAは、年齢が一致し性別が一致する対照、対象のベースラインまたは僚眼の測定値と比較した場合に、約1日、約1週間、約2週間、約3週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月後に増加を示す。いくつかの局面では、本明細書に記載のRPE細胞組成物で治療された対象のBCVAは、年齢が一致し性別が一致する対照、対象のベースラインまたは僚眼の測定値と比較して、RPE細胞での治療後約1ヶ月〜約1年で増加を示す。
いくつかの態様では、本明細書に記載のRPE細胞で治療された対象の網膜下色素沈着は、治療の実施後約1ヶ月〜約24ヶ月間安定化する。いくつかの態様では、本明細書に記載のRPE細胞で治療された対象の網膜下色素沈着は、治療の実施後約2ヶ月〜約12ヶ月、約3ヶ月〜約11ヶ月、約1ヶ月〜約6ヶ月、約4ヶ月〜約18ヶ月間安定化する。
いくつかの態様では、対象へのRPE細胞の投与後約1ヶ月〜約24ヶ月で、網膜下色素沈着が安定化する。いくつかの態様では、対象へのRPE細胞の投与後約2ヶ月〜約24ヶ月で、網膜下色素沈着が安定化する。いくつかの態様では、対象へのRPE細胞の投与後約2ヶ月〜約12ヶ月、約3ヶ月〜約11ヶ月、約1ヶ月〜約6ヶ月、約4ヶ月〜約18ヶ月で、網膜下色素沈着が安定化する。
本明細書に記載されているような同種細胞移植処置を受けている対象は、これらの細胞に対する免疫応答を発現することがあり、それによって細胞の生存および機能性が制限され得る。したがって、対象は、硝子体切除術および長期的な全身治療後慣例的に、局所ステロイド治療からなる、RPE細胞の投与前および/または投与後の全身免疫抑制療法(薬物の処方情報に基づく低用量の免疫抑制)を受ける場合がある。
他の態様では、対象は、1日〜3ヶ月間の免疫抑制を受ける。他の態様では、対象は、RPE細胞治療の実施後、1日〜3ヶ月間の免疫抑制を受ける。1つの方法は、漸減しながらプレドニゾロンまたはデキサメタゾン点滴剤を1日4〜8回のコースを提供することである。全身性(PO)タクロリムス0.01mg/kg/日(3〜7ng/mLの血中濃度に達するように用量を調整する)は、移植の最大2週間前から、責任医師の裁量によって移植後6週間まで継続される。
移植の最大2週間前から投与され、移植後1年間継続される、最大2g/日の全身性(PO)ミコフェノール酸モフェチルを使用し得る。
一局面では、萎縮型AMDの治療を受けている対象の安全性を高める方法は、免疫抑制剤の投与を含まない。他の局面では、治療下で発現した有害事象の発生率および頻度は、対象に免疫抑制が施される場合よりも低い。
ここで、上記の説明と共に本開示のいくつかの態様を例示する、以下の非限定的な実施例に言及する。
一般に、本明細書で使用される命名法および本開示で利用される実験手順には、分子、生化学、微生物学および組換えDNA技術が含まれる。そのような技術は文献において十分に説明されている。例えば、“Molecular Cloning:A laboratory Manual”Sambrook et al.,(1989);“Current Protocols in Molecular Biology”Volumes I-III Ausubel,R.M.,ed.(1994);Ausubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,“A Practical Guide to Molecular Cloning”,John Wiley&Sons,New York(1988);Watson et al.,“Recombinant DNA”,Scientific American Books,New York;Birren et al.(eds)“Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”,Vols.1-4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号および同第5,272,057号に記載されている方法;“Cell Biology:A Laboratory Handbook”,Volumes I-III Cellis,J.E.,ed.(1994);“Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique”by Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),Third Edition;“Current Protocols in Immunology”Volumes I-III Coligan J.E.,ed.(1994);Stites et al.(eds),“Basic and Clinical Immunology”(8th Edition),Appleton&Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(eds),“Selected Methods in Cellular Immunology”,W.H.Freeman and Co.,New York(1980);利用可能なイムノアッセイは、特許および科学文献に広範に記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;同第4,098,876号;同第4,879,219号;同第5,011,771号および同第5,281,521号参照;“Oligonucleotide Synthesis”Gait,M.J.,ed.(1984);“Nucleic Acid Hybridization”Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1985);“Transcription and Translation”Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1984);“Animal Cell Culture”Freshney,R.I.,ed.(1986);“Immobilized Cells and Enzymes”IRL Press,(1986);“A Practical Guide to Molecular Cloning”Perbal,B.,(1984)and“Methods in Enzymology”Vol.1-317,Academic Press;“PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications”Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak et al.,“Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual”CSHL Press(1996)を参照のこと;これらはすべて、本明細書に完全に記載されているかのごとくに参照により本明細書に組み入れられる。他の一般的な参照は、この書類全体を通じて提供される。その中の手順は、当技術分野で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。その中に含まれるすべての情報は、参照により本明細書に組み入れられる。
RPE細胞の生物学的活性の理論的根拠は、RPE細胞変性に起因する黄斑変性疾患患者の網膜下腔にhESC由来のRPE細胞を安全に移植することができ、それらが、死滅したまたは死にかけているRPEを機能的RPEに置き換え、萎縮領域の成長率の低下および関連する視力喪失の減速または停止を含む生物学的恩恵をもたらすことである。機能的RPEを用いた移植は、1)機能的RPE層の再確立、2)既存の光受容体の保存、3)既存の細胞の生存と細胞機能および/または構造の継続を促進する微小環境の創造、ならびに4)疾患進行の最終的な減速または逆転とそれによる視力の維持をもたらし得る。
本明細書に記載されるRPE細胞移植は、GAおよび関連する視覚機能の喪失の進行を低減する、減少させるまたは停止させる;微小視野測定および/または多焦点ERGに基づいて、移植領域の光受容体機能を維持する;罹患部のエリプソイド領域(EZ)の変化、OCTで証明されるRPE生着、および網膜厚さの改善によって決定される正常な解剖学的構造の領域の改善または回復を示す。さらに、RPE移植は、中心窩領域の視力を維持し、BCVA、低輝度試験および/または読み取り速度を改善する。
特定の対象(例えば患者)では、GA病変のサイズは、約0.1mm2〜約500mm2、約0.5mm2〜約30mm2、約0.5mm2〜約15mm2、約0.1mm2〜約10mm2、約0.25mm2〜約5mm2、約5mm2〜約50mm2、約100mm2〜約500mm2、約2mm2〜約25mm2であり得る。GA病変のサイズは、本明細書に記載の方法または当技術分野で公知の方法によって測定され得る。
除外基準には、患者が、硝子体切除術を受けられない、またはブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、CRVO、BVO、AION、視神経萎縮、抗VEGFを使用した滲出型AMDの積極的治療のための進行中の治療、末期緑内障、糖尿病性網膜症、血管閉塞、ブドウ膜炎、コーツ病、緑内障の病歴を有する、有水晶体眼である、または中等度から重度のERMの存在を有することが含まれる。
RPE細胞移植は、一態様では、例えば解凍注射製剤での100〜250K RPEの単回注射として施される。RPE移植では、反復投与を決定する必要があり得る。別の態様では、RPE移植は、反復投与を必要とせずに100〜250K RPEの単回注射として投与される。特定の態様では、投与は、経硝子体網膜下注射を含む。他の態様では、投与は、経硝子体網膜下注射を含む。
実施例1
臨床プロトコル
本明細書に記載のRPE細胞の安全性と忍容性を、GAを伴う進行した萎縮型AMD患者での用量漸増第I/IIa相臨床試験において評価した。コホート1の患者(患者1、2、および3、20/200またはそれ未満のBCVAを有する74〜80歳)は、100μlの容量で50,000個のRPE細胞の標的用量を投与された。コホート2の患者(患者4、5、および6、同じく20/200またはそれ未満のBCVAを有する65および82歳)は、100μlの容量で200,000個のRPE細胞の標的治療用量を投与された。コホート3(20/200またはそれ未満のBCVAを有する、患者7、8、および9)は、50μlで100,000個の細胞を投与された。本明細書で論じたRPE細胞は成功裏に投与され、重篤な有害事象はなかった。網膜イメージングデータは、投与されたRPE細胞が患者に生着し、天然のRPEの特徴である単層に定着することを示した。少なくとも最初の患者については、RPE細胞は1年後も存在し続けた。2番目の患者は、6ヶ月の時点で同様の結果を示した。追加コホートの対象では、200,000〜500,000個のRPE細胞のより高い用量を使用する。
コホート1からのデータは、9ヶ月と12ヶ月の時点の読み取りを完了した患者における生物学的活性を示す、安定した視力とFAFの読み取りを示した。さらに、この初期データは、患者に移植されているRPE細胞が生着し、少なくとも1年間、潜在的にはより長く生存することを示唆する。生物学的活性の初期徴候もいくつか存在する。
この試験デザインには、4つのコホートに分けられた、進行した萎縮型AMDおよび地図状萎縮(GA)を有する患者の単一施設第I/IIa相試験が含まれる:それぞれ20/200またはそれ未満の最高矯正視力を有する3人の法定盲人からなる、最初の3つのコホートは、コホート1に50x103細胞、コホート2およびコホート3に200x103細胞の漸増用量を使用して、RPE細胞の単回網膜下注射を受けた。4番目のコホートは、20/64〜約20/400、20/70〜約20/400、または約20/64もしくはそれ未満の最高矯正視力を有する9人の患者を含み、200,000〜500,000個のRPE細胞の単回網膜下注射を受ける。
硝子体切除術の後、細胞を、小さな網膜切開術を介してカニューレによって黄斑部の網膜下腔に送達する。GA拡大の危険性がある領域に、最大約50〜250μlの総容量の細胞懸濁液を注入する。
外科的処置に加えて、患者は、以下を含む軽い免疫抑制および抗生物質治療を受ける場合がある:
1.硝子体切除後に慣例的な局所ステロイドおよび抗生物質治療:6週間にわたって局所ステロイド療法(プレドフォルテ点眼薬を、漸減しながら1日4〜8回)および局所抗生物質点眼薬(オフロックスまたは等価物を1日4回)。
2.移植の1週間前から移植後6週間まで継続して、全身性(PO)タクロリムス0.01mg/kg/日(用量は3〜7ng/mlの血中濃度に達するように調整される)。
3.移植の2週間前から投与し、移植後1年間継続して、全身性(PO)ミコフェノール酸モフェチル、合計2gr/日。
プロトコルの強化は、免疫抑制の必要期間を12ヶ月から3ヶ月に短縮することを可能にする。これは患者にとって重要である。本発明者らは、免疫抑制なしでRPE細胞を投与することを計画しており、安全性の向上と同等または改善された有効性を期待する。
患者を、細胞の投与後12ヶ月間にわたって事前に予定された間隔で評価する。試験後の追跡調査は、手術後15ヶ月、2、3、4および5年目に行う。
患者組み入れ基準には、以下の要素が含まれる:年齢55歳およびそれ以上;両眼における萎縮型(非血管新生型)加齢黄斑変性の診断;サイズが試験対象眼で0.5乳頭面積(1.25mm2および最大17mm2)を超え、僚眼で0.5乳頭面積を超える、黄斑における地図状萎縮を伴う萎縮型AMDの眼底検査所見;ETDRS視力検査による試験対象眼の、コホート1〜3では20/200またはそれ未満、コホート4では20/64またはそれ未満の最高矯正中心視力;非手術眼の視力は、手術眼の視力を上回るかまたは手術眼と等しくなければならない;すべての試験関連処置に参加することを可能にし、試験(医療記録)を完了するのに十分な良好な健康状態を有する患者;モニターされた麻酔管理下で硝子体網膜手術を受ける能力;正常な血球数、血液化学、凝固および尿検査;HIV、HBCおよびHCVについて陰性、CMV IgMおよびEBV IgMについて陰性;年齢一致スクリーニング検査に基づき(試験担当医師の裁量で)、現在の悪性腫瘍またはその病歴(治療が成功した皮膚の基底細胞癌/扁平上皮癌を除く)を有さない患者;手術前の7日間、アスピリン、アスピリン含有製品および任意の他の凝固調節薬の服用を中止することが許される患者;将来のすべての献血および組織提供を控える意思がある;インフォームドコンセントを理解することができ、署名する意思がある。
患者の除外基準には、以下の因子が含まれる:病歴による、ならびにいずれかの眼におけるベースラインでの臨床検査、フルオレセイン血管造影(FA)、または光干渉断層法(OCT)による、血管新生型AMDの証拠;糖尿病性網膜症、血管閉塞、ブドウ膜炎、コーツ病、緑内障、白内障もしくは後極視覚化を妨げる中間透光体混濁、または試験対象眼の視力を損なったかもしくは損なう可能性があり、主要転帰の解析を混乱させ得るAMD以外の重大な眼疾患の病歴または存在;試験対象眼における網膜剥離修復の病歴;-6ジオプタを上回る軸性近視;過去3ヶ月間における試験対象眼の眼科手術;認知障害または認知症の病歴;全身的な免疫抑制の禁忌;試験対象眼における脈絡膜血管新生と関連するAMD以外の疾病の病歴(例えば病的近視または推定される眼ヒストプラスマ症);以下の疾患について活動性であるかまたはその病歴:癌、腎疾患、糖尿病、過去12ヶ月間における心筋梗塞、免疫不全;女性;妊娠または授乳;別の臨床試験への現在の参加。全身投与または眼投与された薬物の臨床試験への過去の参加(6ヶ月以内)。
有効性は、移植片の生存期間によって、ならびにGAの進行速度、生着領域における網膜感度、中心暗点の範囲と深さ、および視力の変化の検査によって測定し得る。
有害事象(AE)とは、治験医療処置に関係するか否かに関わらず、対象、使用者、またはその他の人物における、有害な医学的事象、意図しない疾患もしくは損傷、または有害な臨床徴候(異常な検査所見を含む)を意味する。
重篤な有害事象(SAE)とは、死亡、損傷または身体構造もしくは身体機能の永続的な障害をもたらした、対象の健康状態の深刻な低下を引き起こした、生命を脅かす疾病もしくは損傷、または身体構造もしくは身体機能の永続的な障害、または入院患者の入院もしくは既存の入院の延長、または生命を脅かす疾病を防ぐための医学的または外科的介入のいずれかをもたらした、胎児の窮迫、胎児の死亡または先天性異常もしくは先天性欠損を引き起こした、有害事象を意味する。
この試験では、治療に関連するSAEは報告されなかった。
この実施例では、RPE投与のために選択される眼は、最も劣悪な視覚機能を有する眼である。手術は、外科医の裁量でおよび患者と話し合って、モニターされた静脈内鎮静を伴う眼球後また眼球周囲麻酔ブロックによって、または全身麻酔によって実施され得る。手術を受ける眼を施設のプロトコルに従って準備し、無菌的に布で覆う。開瞼器を配置した後、標準的な3ポート硝子体切除術を行う。これは、23G注入カニューレおよび2つの23Gポートの配置を含み得る。硝子体腔内の注入カニューレを目視検査した後、注入ラインを開き、手術全体を通じて眼球の構造が維持されることを確実にする。次いで、標準的な23G器具を用いて慎重に中心部硝子体切除術を行い、続いて後部硝子体面を剥離する。これは、後極への遮るもののないアクセスを可能にする。
この実施例では、後極内の所定の部位で、好ましくはGAの境界に近接してまだ比較的保存されている領域内で網膜を貫通して、RPEを網膜下腔に導入する。血管を避ける。細胞を、50〜150μlの体積で、小さなブレブの形成を介して網膜下腔に送達する。
送達システムは、10cmエクステンションチューブを介してPeregrine 25G/41Gフレキシブル網膜カニューレに接続された1mLシリンジで構成され得る。
硝子体腔内に逆流された細胞を除去することができ、流体-空気交換を行い得る。注入カニューレを取り外す前に、医原性網膜裂傷または裂孔が生じていないことを確認するために慎重な検査を実施し得る。その後、注入カニューレを取り外すことができる。結膜下抗生物質およびステロイドを投与し得る。眼をパッチとプラスチックシールドで覆ってもよい。外科的投与処置を記録し得る。
この実施例では、50,000細胞/50〜150μLまたは50,000細胞/100μLの低用量、200,000細胞/100μL(または100,000細胞/50μL)の中用量、および500,000細胞/50〜100μLの高用量を使用した。用量の選択は、前臨床試験で試験された最大実行可能用量の安全性、および眼とブレブのサイズに基づいて計算されたヒト等価用量に基づいた。
本明細書で提供される治療には、網膜下に送達される治療用RPE細胞の懸濁液が含まれる。それらは高度に精製され、分化したヒト多能性幹細胞であり、誘導および生産工程のいずれの時点でも動物製品が使用されていないことを意味する、「ゼノフリー」でもある。(例えば、どちらもその全体が参照により本明細書に組み入れられる、Idelson M,et al.2009.“Directed differentiation of human embryonic stem cells into functional retinal pigment epithelium cells.”Cell Stem Cell Oct 2,5(4):396-408およびTannenbaum SE,et al.2012.“Derivation of xeno-free and GMP-grade human embryonic stem cells-platforms for future clinical applications.”PLoS One.7(6):e35325を参照のこと)。
萎縮型AMDの満たされていない主要な医学的必要性を標的とする臨床段階の試験で投与されたRPE細胞。加齢黄斑変性症、またはAMDは、60歳を超えた人々における失明の主な原因である。萎縮型AMDに罹患している人々の数は、滲出型AMDの数の9倍と推定される。しかし、現在、萎縮型AMDのための承認された製品はない。
実施例2
2人の初期対象におけるRPE細胞の成長および生存
萎縮型AMDおよびGAを治療するためのhESC由来のRPE細胞移植の効果を、本明細書に記載の方法の態様を使用して2人の初期対象で測定した。2人の対象を、WO2016/108219に記載されている方法、または同様の方法、または免疫抑制の低減を伴う新しい方法に従って、hESC由来のRPEの移植を用いて治療した。RPEの新たな成長を、OCTを使用して網膜の厚さの増加を測定することによって実証した。移植された細胞が網膜下で移植後6ヶ月間生存できることを示すデータも収集した。図1は、GAを伴う萎縮型AMDにおける機能不全および変性RPEを置き換えるもしくは支持するまたは置き換えと支持の両方を行うために使用される細胞ベースの治療法の一例の概略図を示す。
これら2人の初期対象の病変のサイズを、FAFを使用して測定した。さらに、改善された方法を使用して、病変の周囲の過蛍光辺縁部のサイズを測定し、移植細胞が疾患の進行に影響を及ぼしたかどうかを判定した。
これら2人の対象から収集したデータは、治療領域に最も近い病変の半分で、過蛍光が減少または消失したことを示し、疾患進行の停止を実証した。
実施例3
臨床試験のコホート1および2の安全性と有効性の結果
懸濁液中の50,000個のRPE細胞の網膜下移植を受けたコホート1(患者1、2および3)、ならびに懸濁液中の200,000個のRPE細胞の網膜下移植を受けたコホート2(患者4、5および6)の患者からの安全性およびイメージングデータを提示する。
患者は高齢で、著しい視力喪失および大きな面積の臨床的に重要なGAを有していた。対象の人口統計学およびベースライン特徴を表1に示す。
(表1)ベースライン時の対象の年齢およびAMDの特徴
Figure 2020511539
1人の患者は指しか数えることができなかった。
コホート1および2については、局所麻酔下での23G硝子体切除術後に網膜下注射によってRPE細胞の移植を実施した。例えば注射を実施するために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2016/108219に記載されているような方法に従い得る。コホート1および2の患者では、移植の1週間前から1年後まで全身性免疫抑制を施した。しかし、免疫抑制を含まない方法も使用し得る。全身および眼の安全性を注意深く監視した。網膜の機能および構造を、BCVA、カラーおよび眼底自発蛍光(FAF)イメージング、ならびにOCTを含む様々な手法を使用して評価した。
図2Aでは、コホート1(患者(Pt.)1、2および3)の治療された眼について、最高矯正視力(BCVA)を提示している。示されているように、患者1、2または3の治療眼でBCVAは低下しなかった。患者2は著明な改善を示したが、これは、部分的には手術中に発生した硝子体および後嚢混濁の解消に関連する可能性がある。僚眼のBCVAを図2Bに示しており、試験した1年間にわたって安定なままであった。
図2C〜図2Fに示すように、BCVAは安定なままであり、コホート2(患者4、5および6)の治療眼では低下せず、僚眼では安定していた。個々の患者の治療された眼を図2Cおよび図2Eに示す。
網膜は、視像を脳が理解する電気インパルスに変換する、眼の神経感覚組織を含む。網膜を記録する眼底写真も、疾患の進行と治療効果を監視するために使用した。手術前(術前)および手術中(術中)の時点でのコホート1のカラー眼底画像を図3に示す。治療用RPE細胞懸濁液の注入後に発生する網膜下ブレブの境界(治療領域)を、術中画像の矢印で強調表示している。手術は問題なく、48時間未満で網膜下液が吸収された。図3に示すように、コホート1の患者は大きな面積のGAを発症しており、術中に得られた画像は移植細胞の正しい配置を明らかにする。
術前および2ヶ月の時点でのコホート1のカラー眼底画像を図4に示し、比較している。術後に、患者1および2は、最初の2〜3ヶ月にわたって網膜下ブレブの下部に発生した網膜下色素沈着の領域を示す。最初の2〜3ヶ月後、図5に示すように、網膜下色素沈着が安定化し始めた。
図6を参照すると、術前、術後(手術後)1日、1週間、2ヶ月、4.5ヶ月、および9ヶ月の時点での患者1からの青色自発蛍光画像が提供されている。治療された対象の青色眼底自発蛍光(FAF)イメージングは、大きな面積のGAおよびRPE細胞で治療された網膜の下限(点線で描かれている)を説明するのに役立つ。これらのFAF画像は、指定された時点での、黒い矢印で指示されている移植されたRPE細胞の証拠も示す。
術前、術後1日、1週間、2ヶ月、6ヶ月、および9ヶ月の時点での患者2からの青色自発蛍光画像が図7に見られる。術前、術後1日、1週間、2ヶ月、7ヶ月、および9ヶ月の時点での患者3からの青色自発蛍光画像は図8に見られる。
最初の2〜3ヶ月にわたって患者1および2の網膜下ブレブの下部領域に網膜下低蛍光および過蛍光スポットが発生し、その後安定した。図6および図7は、図6の術後画像の右上隅の黒い矢印で指示された、細胞数、色素上皮(PE)発生、およびRPE細胞によって覆われた表面積の漸進的な増加を明らかにする。
図9は、200,000個のRPE細胞懸濁液の投与を受けた患者4(コホート2)についての手術時(0日目)のカラー画像、術後1日目のFAFおよびカラー画像、ならびに術後2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月および6ヶ月目のカラー画像を示す。ブレブ領域の境界では、網膜下色素沈着が最大6ヶ月まで認められる。画像に示されているように、重力によって細胞が定着し、色素沈着がブレブ境界に局在化され得る。
図10は、やはり200,000個のRPE細胞懸濁液の投与を受けた患者5(コホート2)についての術後0日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、および6ヶ月目のカラーおよび対応するFAF画像を示す。図10に示すように、治療は良好に忍容され、6ヶ月目まで安定した色素が増加した。
図11は、注射部位の治癒を示す。示されているように、網膜下液は急速に(48時間未満に)吸収され、OCT画像は、2週間以内にカニューレによる網膜貫通部位(矢印)の治癒を示す。一部の症例では、薄い網膜上膜(ERM)が発生した。
OCTスキャンを使用して、RPE細胞による治療後の移行帯の変化を分析することができる。網膜変性疾患では、健康な光受容体を含む比較的正常な網膜と、極度の光受容体萎縮を伴う重度に罹患した網膜(例えばGA病変、プレGA病変)との間に移行帯が生じる。OCTスキャンを使用して、コホート1(患者1、2および3)ならびにコホート2(患者4および5)の患者の移行帯の分析を行った。
OCTスキャンを、患者1について術前、術後1週間、1ヶ月および1年の時点で取得し、図12に示している。術前および術後1ヶ月と9ヶ月の時点での患者2のOCTスキャンを図13に示す。図14は、術前、術後3ヶ月および9ヶ月の時点でのコホート1の患者3のOCTスキャンを示す。図15は、術前および術後1ヶ月の時点でのコホート2の患者4のOCTおよび赤外線OCTスキャンを示す。図15は、術前および術後1ヶ月の時点でのコホート2の患者4のFAF(第1列)、赤外線OCTスキャン(第2列)およびOCTスキャン(第3列)を示す。
図12、図13および図15の術後OCTスキャンは、ベースラインで萎縮していた領域(図12の緑色の矢印)を含む、治療領域の網膜下腔における不規則な反射率(黄色の矢印)を示す。この不規則な反射率は、網膜下腔内の新しいRPE細胞の存在を示し得る。コホート2の対象からの画像は、移植されたhESC-RPE細胞の網膜下層化を示唆する。眼底自発蛍光(FAF)、赤外線SLO(IR SLO)およびスペクトル領域OCT(SD-OCT)によるベースライン、1ヶ月および9ヶ月の追跡調査時に撮影された画像を提示する。白い垂直線は、IR SLOおよびOCT画像の地図状領域の境界を示す。緑色の線は、右側の列のSD-OCTスキャンを表す。黄色の点線は、RPE細胞で治療された網膜の下限を表す。この線は手術直後の眼底画像から取得し、その他の画像様式に重ね合わせた。
図15の眼底画像を参照すると、経時的に治療ブレブの下部に低蛍光スポットが認められ、疾患の進行の減少を明らかにする。色素沈着もブレブの境界に発現しているのが見られる。図15の赤外線OC画像(中央の列)では、手術後1ヶ月で色素細胞がGAの上部(赤い線はGAの境界を示す)を覆い隠しているのが認められる。これは、細胞が遊走し、GAの上部を均一に覆う能力を有し、ブレブの端に局在したままではないことを明らかにする。赤外線OCTは網膜のいくつかの層を貫通する能力を有するので、細胞、正常組織、および瘢痕をすべて観察することができる。
図15の最後の列では、術前のOCT画像でRPE細胞が露出したGAの領域を見ることができる。しかし、術後1ヶ月および9ヶ月目に撮影されたOCT画像は、RPE細胞が生着していることを示す(黄色の矢印)。1ヶ月目に、術前の画像に示された欠損を覆うRPE細胞の均一な単層が示され、色素上皮と網膜厚さの回復を実証する。9ヶ月目に、色素上皮はGA境界線の左右に示される正常な細胞領域と同じくらいの厚さになる。さらに、一部の領域はエリプソイド領域(EZ)の構造的改善を実証した。EZは、RPE細胞が光受容体に接触する、視覚機能に関連する網膜の重要な領域であり、視覚過程が始まる網膜の領域である。
図16は、ベースライン、術後1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月および6ヶ月の時点でのコホート2の患者5(200,000個のRPE細胞懸濁液用量)のOCTスキャンを示す。患者5で浮腫または嚢胞が観察されない(自己免疫反応がある場合は存在する)ことは、治療が良好に忍容され、免疫抑制薬を含めない方法で同等の結果が得られることを示した。
網膜下移植はすべての患者で良好に忍容され、最大15ヶ月の追跡調査を伴って、懸濁液中で50,000または200,000個の細胞を投与されたコホート1および2から蓄積されたデータは、重篤な全身性有害作用および予期せぬ眼への有害作用を示さなかった。進行した萎縮型AMD患者の網膜下腔へのhESC由来のRPEの移植後、SD-OCT画像は、2週間以内にカニューレによる網膜貫通部位の治癒を示す。BCVAは安定なままで、OCTイメージングでの不規則な網膜下高反射率と相関する網膜下色素沈着は大部分の患者において明らかであり、網膜下腔に新しいRPE細胞が存在することを実証する。これらの結果は、高用量の細胞で治療される将来のコホートにおける構造的および機能的評価の枠組みを提供する。
実施例4
ブタの眼におけるhESC-RPE細胞の網膜下移植
上記の方法によって得られたヒト胚性幹細胞由来のRPE細胞(hESC-RPE細胞)をブタの眼に網膜下移植し、安全性と細胞生存をさらに分析した。OCTスキャンを術後3ヶ月に実施し(図17)、コホート1および2の治療患者で見られたのと同様の、網膜下腔における不規則な反射率を示す(右上の画像の黄色の矢印)(図12〜図16参照)。この不規則な反射率は、この層の反射率が均一である、ブレブ境界を超える領域(桃色の矢印)と比較することができる。
組織学的分析も行った。ヒト特異的マーカーTRA-1-85を使用した免疫組織化学(ICH)を実施した。TRA-1-85抗原は、ほぼすべてのヒト細胞型で発現される細胞表面決定因子であり、ヒト起源の組織を特定するために体細胞ハイブリッド試験で使用される。組織学的検査で、網膜下に移植されたヒト細胞の層化が明らかであった(図17に赤色で示されている)。これらの結果は、移植されたRPE細胞が、投与後数ヶ月のOCTスキャンで不規則な反射率を示した領域に存在し、天然のブタRPEと区別できることを明らかにする。
実施例5
NOD-SCIDマウスにおけるhESC由来のRPE細胞の腫瘍形成性、生着および生存
hESC由来RPE細胞の腫瘍形成性、生着および生存を、NOD-SCIDマウスにおいて最大9ヶ月間試験した。このアッセイでは、懸濁液中の100,000個のhESC由来RPE細胞をNOD-SKIDマウスの網膜下腔に注入した。上記の方法に従って、hESC由来のRPE細胞を調製した。陽性対照群には、hESC断片を網膜下に注入した。ビヒクル対照群にはBSS Plusを注入した。
表2に示すように、100,000個の細胞の用量でhESC由来のRPEを網膜下に注射した142匹のマウスにおいて、奇形腫またはヒト腫瘍は認められなかった。驚くべきことに、hESC由来のRPEを網膜下に注射したマウスの群では奇形腫は認められず、ここで、hESC由来のRPE細胞懸濁液は最大10%のhESCを含んでおり、これはヒト対象に注入される場合よりも1,000倍高い。マウスの5%未満は、9ヶ月目で認められたまれなhESC-RPE増殖細胞を有していた。表2に示すように、懸濁液中100,000個の細胞の用量でhESC由来のRPE細胞と同様に調製したhESCを注射したマウスでは、網膜下における奇形腫形成の潜在的可能性の低下(15%未満)が実証された。図18に示すように、hESC断片を注射した陽性対照動物の大部分(54.5%〜80%)で奇形腫が認められた(矢印は良性奇形腫を示す)。
(表2)網膜下注射後9ヶ月でのhESC、hESC断片、およびhESC由来RPEの腫瘍形成性および生存率
Figure 2020511539
懸濁液中100,000個の細胞の用量でhESC由来のRPE細胞を注射したマウスにおいて、9ヶ月後に網膜下腔の組織学を使用して長期の一貫した生着と生存を測定した。表2に示すように、注射されたマウスの89.5%〜96.4%は網膜下腔に色素細胞を有しており、83%〜93%はRPEを有していた。図19は、懸濁液中100,000個のhESC由来RPE細胞を注射したマウスの網膜下腔におけるhESC由来RPEを示す(矢印は網膜下腔内のhESC由来RPEを指し示す)。図20は、HuNu+PMEL17+染色細胞の画像を示し、9ヶ月後に100,000個のhESC由来RPE細胞を注射したマウスの網膜下腔におけるhESC由来RPE細胞の存在を明らかにする。ヒト細胞核を抗ヒト核抗体で染色し、マウス核をDAPIで対比染色している。
最大100,000個のhESC由来RPEの用量を網膜下に投与されたNOD-SCIDマウス(雄性および雌性)は、9ヶ月の試験期間にわたって網膜下腔における長期の一貫したhESC由来RPE細胞の生存を示し、製品に関連する奇形腫/腫瘍/異常は認められなかった。最大10%のhESC不純物を含むhESC由来RPEの投与は、奇形腫の形成を引き起こさなかった。
さらに、図21は、ヒト細胞の存在を示す染色を使用した3つの動物種の網膜におけるhESC由来RPEの生着と生存を示す:hESC由来RPEの移植後19週間のRCSラット、hESC由来RPEの移植後9ヶ月のNON-SCIDマウス、およびhESC由来RPEの移植後3ヶ月のブタ網膜。RCSラット網膜画像の矢印は、抗GFP染色とRPE細胞の生着の位置を表し、NON-SCIDマウス網膜画像の矢印は、抗ヒト核染色を表し、ブタ網膜画像の矢印は、ヒト特異的マーカーTRA-1-85の染色を表す。
実施例6
臨床試験のコホート3の患者8の安全性と有効性の結果
上記のように、患者8に50μL中100,000個のhESC由来RPE細胞を網膜下に投与した。図22Aは、手術前に撮影された青色自発蛍光画像であり、GAのベースライン画像(暗い領域)、将来のブレブ境界の輪郭(点線)、および正確な移植位置(星印)を示す。図22Bは、手術前に撮影されたカラー眼底画像であり、GAのベースライン画像(暗い領域)、将来のブレブ境界の輪郭(点線)、および正確な移植位置(星印)を示す。図22Cは、手術時に移植されたブレブのカラー画像である。
図23は、1ヶ月目のカラー眼底画像を示す。わずかな網膜下の低蛍光が、1ヶ月目のブレブの上部に見られる。
図24A、図24Bおよび図24Cは、それぞれ1ヶ月、2ヶ月、および3ヶ月目に撮影された青色自発蛍光画像である。画像に示されているように、低蛍光スポットが経時的に治療ブレブの下部に見られ、疾患の進行の減速を明らかにする。ブレブ領域内に色素沈着斑が発現しているのも認められる。
図25、図26および図27は、患者8のベースライン(手術前)、1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月の時点での移行帯の異なる断面の赤外線および対応するOCT画像を示す。ベースラインおよび1ヶ月の時点での図25および図26のOCT画像の垂直矢印は、これらの時点に存在するドルーゼン体の一部を示す。これらのドルーゼンの顕著な減少は、hESC由来のRPE細胞組成物での治療後2ヶ月および3ヶ月で観察された。さらに、3ヶ月の時点で撮影されたOC画像は、水平矢印で強調表示された領域によって例示される、エリプソイド領域の回復と再確立を示す。これらの画像は、エリプソイド領域分析によるエリプソイド領域の回復を示す。エリプソイド領域分析は、例えばエリプソイド領域の視覚的分析を含む。エリプソイド領域分析は、エリプソイド領域の視覚的分析を含み、対象のエリプソイド領域を、年齢が一致し性別が一致する対照、対象のベースラインまたは対象の僚眼と比較する。
回復は、例えばエリプソイド領域(EZ)-内節と外節(IS/OS)の接合部を含む、内節と外節の主観的評価によって示される。回復は、正常な構造の復元によって示される(図25、図26および図27の下部画像参照)。回復は、例えば年齢が一致し性別が一致する対照、対象のベースラインまたは対象の僚眼と比較した場合の正常な構造の復元によって示される。正常な構造の復元は、潜在的な視力の復元を示す。例えば回復は、例えば外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、光受容体の外節、およびドルーゼンの喪失のうちの1つまたは複数を見ることができることの開始を示す、主観的な評価によって示される。一部の対象では、網状偽ドルーゼンが消失している。いくつかの態様では、回復は、網膜の基本的な基礎層の組織化、網膜の12〜14層のうちの2〜6層の組織化によって実証される。
回復は、例えば、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、光受容体の外節、ドルーゼンの喪失、および網状偽ドルーゼンの消失のうちの1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価である。回復は、網膜の基本的な基礎層の1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的な評価も含み得る。本明細書で使用される場合、より組織化されつつある網膜の基本的な基礎層は、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、および光受容体の外節のうちの1つまたは複数を含む。
コホート1〜3のFAF画像に見られる均一な茶色がかった色は、RPE損傷後の応答として色素分散が起こる場合に見られる黒っぽい色とは対照的に、色素細胞と一致する。少なくとも4人の患者において、GAの境界の外側と内側の両方で、ブレブの領域内での色素変化が見られた。FAF画像に見られる、これらの色素沈着の変化および自発蛍光の領域は、患者のRPEが消失した領域に新しい網膜下物質がRPEに似た微細な層として見えるOCT画像の所見に対応する。これらの結果は、移植されたhESC由来RPE細胞が生存し、宿主網膜に接合する能力を有することを示す。
外科的安全性の評価には、治癒しない網膜剥離、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜下、網膜または硝子体内の出血、および手術部位でのまだ比較的健康な網膜の損傷が含まれ得る。しかし、これらの事象は、本試験ではいずれのコホートでも観察されなかった。ブレブの形成は、RPEまたは神経感覚層のいずれにも障害を引き起こさなかった。同様に、網膜の裂孔または破裂は発生しなかった。GAを覆う網膜はより薄く、網膜裂孔を引き起こす危険性は無視できないため、網膜裂孔がないことは注目に値する。
様々な画像診断法を使用した所見は、hESC由来RPE細胞を使用して試験したマウス、ラットおよびブタモデルの動物データによって裏付けられた観察である、ヒト対象の網膜下腔における細胞の存在を示唆する。手術後48時間未満でブレブ内の網膜下液が吸収され、数週間以内にカニューレによる網膜貫通部位が治癒したことを示すSD-OCT画像により、外科的処置は十分に忍容された。BCVAは、これらの進行した患者の治療眼において安定したままであった。OCTでの不規則な網膜下高反射率と相関する網膜下色素沈着は、患者の大部分(5/6)で明らかであり、網膜下腔に細胞が存在することを示唆する。
将来のコホートには、視覚変化を積極的に評価するための追加の方法があり、これらの結果に基づいて、潜在的な有効性を決定するために、微小視野測定、低輝度視力、読み取り速度などの追加の様々な客観的および主観的な評価が組み込まれるであろう。
実施例7
網膜下RPE移植手術手順
外科的処置は、従来の経毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)とそれに続くRPE細胞の細胞懸濁液の網膜下注入に基づく。
術前段階
手術された眼の瞳孔膨張
・シクロペントラート塩酸塩1%(5分ごとに3回)
・フェニレフリン塩酸塩2.5%(5分ごとに3回)
・トロピカミド1%(5分ごとに3回)または
・施設の手術標準手順に従う
麻酔
・眼球後またはテノン嚢下ブロック
・外科医の基準に従って全身麻酔が実施され得る
・外科医の基準に従って軽い鎮静剤が投与され得る
・ケアの標準に従って投与される眼球周囲または眼球後麻酔薬(一般的に使用される組み合わせは、リドカイン2%とブピバカイン0.75%からなる)
洗浄
・ポビドンヨード溶液または施設の手術標準手順に従う
硝子体切除術
・標準的な3ポート経毛様体扁平部硝子体切除術を実施する。
・DORCは23Gと適合性である。
・23Gトロカールシステム。
・コンビネーション23G/25Gトロカールシステム
・「シャンデリア」タイプの照明用の4番目のトロカールを追加してもよい
・トリアムシノロン(眼科用)40mg/ml(4%濃度)を使用して硝子体を染色し、後部硝子体の完全な分離を確実にする:
・希釈されていないトリアムシノロンアセトニド(0.1〜0.3ml)を、ソフトチップカニューレを介して視覚化されるべき領域(例えば視神経乳頭および後極)に向けて硝子体腔に注入する
・術前に特定された硝子体牽引(例えば硝子体黄斑牽引、重要な網膜前膜)を除去する。
・任意で術中OCTを使用して(可能な場合)、後部硝子体面の完全な分離が達成されたことを確認する。
送達装置(DD)の準備
・シリンジに細胞懸濁液を充填し、バイアルに排出することによってRPE細胞を2〜3回慎重に混合する
・0.35mLのRPE細胞の細胞懸濁液をシリンジに充填する
・シリンジを上向きに保持しながら18G針を取り外し、プランジャーを押してシリンジを軽くたたくことによって空気と気泡をすべて放出する
・シリンジをDORC送達装置の延長チューブに接続する
・DORCの伸長可能な41G網膜下注射針に、カニューレの先端に滴が現れるまでRPE細胞懸濁液を満たす
・先端に少量の空気を入れるためにプランジャー(またはマイクロドーズを使用する場合はポンプ)を少し後ろに引く(これは、最初の空気注入時に先端が網膜下腔にあることを認識するのに役立ち、細胞注入の前に空気で網膜下腔を拡大するのを助け、および細胞注入中に硝子体腔に細胞が逆流する危険性を低下させる)。
・タイマーを起動して、細胞が装置内に保持された時間を記録する
・準備されたDDから移植開始までの時間は2分を超えてはならない
・DDの準備ができたときにタイマーをオンにし、移植が開始されたときにオフにする
・DDが装着され、組み立てられたら、細胞がシリンジおよびチューブの内部に沈殿する可能性があるので、DDの反転/回転を続け、平ら/静置状態にしてはならない
・直ちに、DDの装着後2分以内に細胞移植を開始する
・DDの組み立てから2分を超えて経過した場合は、装着したDDを廃棄して新しいDDを準備する
RPE細胞の移植
・患者の画像に基づいてあらかじめ選択した注射部位を特定する。
・注射部位は、地図状萎縮(GA)病変の端から少なくとも1乳頭直径離れて、GA病変の上方または側頭上またはGA病変上またはGA病変に近い周囲の健康な組織上に位置するべきである。
・ポートを通してカニューレを挿入し、注入の事前に計画された網膜位置に先端を置き、慎重に網膜を貫通する。
・網膜下腔へのRPE細胞の注入を緩やかに開始し、カニューレの先端が網膜下腔にあることを確認する。
・ブレブが形成し始めたら、カニューレの先端を網膜下腔内へと緩やかに進め(RPE細胞が網膜下腔から逆流するのを避けるため)、指定量のRPE細胞が網膜下腔に送達されるまで緩やかに注入を続ける。
・ブレブが望ましくない方向に拡大していると思われる場合は、注入を中止し、RPE細胞の残量を別の場所に移植することを検討する。
移植中に逆流が認められた場合、外科医は直ちにRPE細胞の注入を停止し、続いて硝子体のほとんどの逆流細胞が確実に除去されるように完全な硝子体切除術を実施すべきである。
移植中に逆流が認められない場合は、手術を完了する前にビデオテープを見直して、逆流が発生していないことを確認する。見直しの際に逆流が認められた場合は、硝子体中のほとんどの逆流細胞が除去されていることを確認するために完全な硝子体切除術を実施すべきである。
さらなるブレブが必要な場合(上記で説明した理由により)、新しいブレブの位置は、RPE細胞が移植された元のブレブの位置またはその近くでよい。
・ブレブ全体が見えることを確認する
・RPE細胞の細胞懸濁液50μLを網膜下腔に緩やかに送達する。
・カニューレを静かにゆっくりと引き抜く。
・手術が終了した時刻を記録する
術後
・手順の最後に、以下を適用する:
・テノン嚢下セフロキシム0.1cc(10mg/ml)または同等の抗生物質、および/または
・マキシトロール眼軟膏(1g中に硫酸ネオマイシン3.5mg、1g中に硫酸ポリミキシンb 10000[USP]、1g中にデキサメタゾン1mg)を術後に1回投与する
結果に影響を及ぼし得る因子には、例えば選択された網膜領域、ブレブを作成する試行回数(試行回数が多いほど最適な結果が得られなくなる)、合併症、逆流の程度(なし、軽度、中程度、大)、トリアムシノロンの使用、実施された硝子体の洗浄、逆流が発生したかどうか、硝子体の色素細胞が除去されたかどうか、および投与されたすべての併用薬剤が含まれる。
Eckardt,C.,Tran's conjunctival suture less 23-gauge vitrectomy.Retina,2005.25(2):p.208-11。
Fujii,G.Y.,et al.,A new 25-gauge instrument system for trans-conjunctival sutureless vitrectomy surgery.Ophthalmology,2002.109(10):p.1807-12;discussion 1813。
(表3)対象1〜9の概要
Figure 2020511539
曖昧
HRA=ハイデルベルグ網膜血管造影;OCT=光干渉断層法;FAF=眼底自発蛍光;CFP=カラー眼底(網膜)写真
対象1〜9は、現在まで治療に関連する全身性SAEがないことを示しているが、2人の対象で2例の無関係なSAEが発生した;予期せぬ眼のAEは観察されていない;予想されるAEには、手術関連の結膜出血、白内障の悪化および網膜上膜形成(ERM)が含まれる;新たなERMまたはERMの悪化が観察されている(8/9);網膜浮腫はなく、RPE細胞に対する免疫応答がないことを示唆する。
対象1〜8は、対象の少なくとも75%が投与後2〜24ヶ月にRPE細胞を有することを示している。このデータが作成された時点では、対象9の細胞の徴候を見るには時期尚早であった。
本明細書の説明は多くの詳細を含むが、これらは本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではなく、単に現在の好ましい態様のいくつかの例示を提供するものとして解釈されるべきである。したがって、本開示の範囲は、当業者に明らかとなり得る他の態様を完全に包含することが理解されるであろう。
特許請求の範囲において、単数形の要素への言及は、明示的に述べられていない限り、「唯一の」を意味するのではなく、むしろ「1つまたは複数の」を意味することが意図されている。当業者に公知の、開示された態様の要素に対するすべての構造的、化学的、および機能的等価物は、参照により明示的に本明細書に組み入れられ、本特許請求の範囲に包含されることが意図されている。さらに、本開示の要素、成分、または方法工程は、その要素、成分、または方法工程が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かに関わらず、公に捧げることを意図されない。本明細書の請求要素は、その要素が「ための手段」という語句を使用して明示的に列挙されていない限り、「手段プラス機能」要素として解釈されるべきではない。本明細書の請求要素は、「ための工程」という語句を使用して明示的に列挙されていない限り、「工程プラス機能」要素として解釈されるべきではない。

Claims (87)

  1. 網膜色素上皮(RPE)細胞を含む治療有効量の薬学的組成物を対象に投与する工程を含む、網膜の疾患または障害を治療するまたはその進行を遅らせる方法。
  2. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与が、ベースラインから測定して、約1日〜約3ヶ月間、1日〜約15ヶ月間または1日〜約24ヶ月間または約90日〜約24ヶ月間低下しない最高矯正視力(BCVA)をもたらす、請求項1に記載の方法。
  3. 対象が、20/64もしくはそれ未満、20/70もしくはそれ未満、または約20/64〜約20/400のBCVAを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与が、ベースラインから測定して、約1日〜約15ヶ月間、または1日〜約24ヶ月間または約90日〜約24ヶ月間安定なままである最高矯正視力(BCVA)をもたらす、請求項1に記載の方法。
  5. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与が、対象の約89%〜約96%において色素沈着の増加をもたらす、請求項1に記載の方法。
  6. 色素沈着の増加が、少なくとも約6ヶ月〜約12ヶ月間、または約90日〜約24ヶ月間維持される、請求項5に記載の方法。
  7. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与が網膜色素沈着をもたらす、請求項1に記載の方法。
  8. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与が、ベースラインから測定して、少なくとも約2ヶ月〜約1年間、または90日〜約24ヶ月間、網膜色素沈着の増加をもたらす、請求項7に記載の方法。
  9. 投与後約2〜約12ヶ月で、または約90日〜約24ヶ月で、網膜色素沈着が安定化される、請求項7に記載の方法。
  10. 投与後約3〜約9ヶ月で網膜色素沈着が安定化される、請求項7に記載の方法。
  11. 前記細胞が投与されるブレブ内の網膜下液が48時間未満で吸収される、請求項1に記載の方法。
  12. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与がエリプソイド領域の回復をもたらす、請求項1に記載の方法。
  13. エリプソイド領域の回復が、エリプソイド領域分析による回復を含む、請求項12に記載の方法。
  14. エリプソイド領域分析が、エリプソイド領域の視覚的分析を含み、対象のエリプソイド領域を、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較する、請求項12に記載の方法。
  15. 回復が、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較して正常な構造の復元によって示される、請求項12に記載の方法。
  16. 回復が、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、光受容体の外節、ドルーゼンの喪失、および網状偽ドルーゼンの消失のうちの1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む、請求項12に記載の方法。
  17. 回復が、網膜の基本的な基礎層の1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む、請求項12に記載の方法。
  18. より組織化されつつある網膜の基本的な基礎層が、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、および光受容体の外節のうちの1つまたは複数を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 新しいまたは悪化しつつあるERMが、投与の約1週間〜約12ヶ月、または約1週間〜約24ヶ月、または約90日〜約24ヶ月以内に外科的除去を必要としない、請求項1に記載の方法。
  20. RPE細胞が、投与の約1週間〜約1年、または約1週間〜約24ヶ月、または約90日〜約24ヶ月以内に腫瘍形成性を示さない、請求項1に記載の方法。
  21. RPE細胞が、投与の約9ヶ月以内に0%〜約5%の組織学的腫瘍形成性を示す、請求項1に記載の方法。
  22. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与が網膜の裂孔または破裂をもたらさない、請求項1に記載の方法。
  23. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞の投与が網膜浮腫をもたらさない、請求項1に記載の方法。
  24. RPE細胞の治療的有効量が、投与当たり約50,000〜5,000,000個の細胞である、請求項1に記載の方法。
  25. RPE細胞の治療的有効量が、投与当たり約200,000個の細胞である、請求項1に記載の方法。
  26. RPE細胞の治療的有効量が、投与当たり約500,000個の細胞である、請求項1に記載の方法。
  27. 薬学的組成物が、約500細胞/μl〜約10,000細胞/μlを含む、請求項1に記載の方法。
  28. 前記量が投与当たり50,000個の細胞である場合、薬学的組成物が約500〜1,000細胞/μlを含む、請求項1に記載の方法。
  29. 前記量が投与当たり200,000個の細胞である場合、薬学的組成物が約2,000細胞/μlを含む、請求項1に記載の方法。
  30. 前記量が投与当たり500,000個の細胞である場合、薬学的組成物が約5,000細胞/μlを含む、請求項1に記載の方法。
  31. 前記量が投与当たり1,000,000個の細胞である場合、薬学的組成物が約10,000細胞/μlを含む、請求項1に記載の方法。
  32. 前記細胞の少なくとも95%がプレメラノソームタンパク質(PMEL17)と細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)とを共発現する、請求項1に記載の方法。
  33. 前記細胞の経上皮電気抵抗が、対象に対して100オームより大きい、請求項32に記載の方法。
  34. RPE細胞が、ヒト胚性幹細胞のエクスビボ分化によって生成される、請求項1に記載の方法。
  35. 投与が、RPE細胞を移植することを含む、請求項1に記載の方法。
  36. RPE細胞移植の前に、RPE用量の調製をさらに含む、請求項35に記載の方法。
  37. RPEの用量の調製が、用量を解凍することを含む、請求項36に記載の方法。
  38. RPEの用量の調製が、RPE細胞を混合し、送達装置に充填することを含む、請求項37に記載の方法。
  39. RPE細胞移植の前に、硝子体切除術を実施することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
  40. 硝子体切除術を実施することが、硝子体を染色するためにトリアムシノロンを投与し、硝子体牽引を除去することを含む、請求項39に記載の方法。
  41. 硝子体切除術を実施する前に、手術部位を洗浄することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
  42. RPE細胞を移植した後、手術部位を洗浄することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
  43. 投与が、手術部位の洗浄、硝子体切除術の実施、RPE用量の調製、およびRPE細胞移植を含む、請求項1に記載の方法。
  44. RPE細胞の移植が、地図状萎縮(GA)病変の端から少なくとも1乳頭直径離れてRPE細胞を注入することを含む、請求項1に記載の方法。
  45. RPE細胞の移植が、GA病変を覆う、中心窩を覆う、GA病変に接する移行帯の一部もしくは全部を覆う、またはGA病変に隣接する周囲の健常組織を覆う工程のうちの1つまたは複数においてRPE細胞を注入することを含む、請求項1に記載の方法。
  46. 移行帯が、無傷の網膜と変性網膜との間の領域を含む、請求項45に記載の方法。
  47. GA病変を覆う工程が、GA病変全体をブレブで覆うことを含む、請求項45に記載の方法。
  48. GAの大きさが、0.1mm2〜約50mm2、約0.5mm2〜約30mm2、約0.5mm2〜約15mm2、約0.1mm2〜約10mm2、約0.25mm2〜約5mm2、または2点間の任意の点を含む、請求項45に記載の方法。
  49. 投与が、中心黄斑視力が維持されるようにRPE細胞を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  50. RPE細胞が、
    (a)ニコチンアミドを含む培地中でヒト胚性幹細胞または人工多能性幹細胞を培養し、分化細胞を生成すること;
    (b)ニコチンアミドとアクチビンAとを含む培地中で該分化細胞を培養し、RPE系統へとさらに分化する細胞を生成すること;および
    (c)RPE系統へとさらに分化する該細胞を、ニコチンアミドを含むがアクチビンAを含まない培地中で培養すること
    によって生成される、
    請求項1に記載の方法。
  51. 胚性幹細胞または人工多能性幹細胞を、非接着条件下でbFGFおよびTGFβを含む培地中で増殖させる、請求項50に記載の方法。
  52. (a)の培地がアクチビンAを実質的に含まない、請求項50に記載の方法。
  53. 前記細胞を単回投与で投与する、請求項1に記載の方法。
  54. 前記細胞を対象の網膜下腔に投与する、請求項1に記載の方法。
  55. 網膜下投与が、経硝子体投与または脈絡膜上投与である、請求項1に記載の方法。
  56. 投与がカニューレによる、請求項1に記載の方法。
  57. カニューレによる投与部位の治癒が約1日〜約30日以内である、請求項56に記載の方法。
  58. カニューレによる投与部位の治癒が約5日〜約21日以内または約7日〜約15日以内である、請求項56に記載の方法。
  59. RPE細胞の投与後1日〜3ヶ月間、対象に免疫抑制を施すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  60. RPE細胞の投与後3ヶ月間、対象に免疫抑制を施すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  61. RPE細胞の投与後1日〜1ヶ月間、対象に免疫抑制を施すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  62. 網膜の疾患または状態が、中程度の萎縮型AMD、網膜色素変性症、網膜剥離、網膜異形成、網膜萎縮、網膜症、黄斑ジストロフィー、錐体ジストロフィー、錐体-杆体ジストロフィー、マラチア・レベンチネズ(Malattia Leventinese)、ドイン蜂巣状ジストロフィー、ソースビージストロフィー、パターン/蝶形ジストロフィー、ベスト卵黄様ジストロフィー、ノースカロライナジストロフィー、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィー、網膜色素線条症、中毒性黄斑症、シュタルガルト病、病的近視、網膜色素変性症、および黄斑変性からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  63. 疾患が加齢黄斑変性である、請求項62に記載の方法。
  64. 加齢黄斑変性が萎縮型加齢黄斑変性である、請求項63に記載の方法。
  65. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞を、全身性免疫抑制を施されていない対象に投与する工程を含む、萎縮型AMDを有する対象を治療する方法の安全性を高める方法。
  66. 治療下で発現した有害事象の発生率および頻度が、免疫抑制を用いる場合よりも低い、請求項65に記載の方法。
  67. 治療有効量の網膜色素上皮(RPE)細胞を投与する工程を含む、GAを有する対象の網膜のエリプソイド領域を組織化する方法であって、投与後に、組織化されていないエリプソイド領域が組織化される、前記方法。
  68. エリプソイド領域の回復が、エリプソイド領域分析による回復を含む、請求項67に記載の方法。
  69. エリプソイド領域分析が、エリプソイド領域の視覚的分析を含み、対象のエリプソイド領域を、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較する、請求項67に記載の方法。
  70. 回復が、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較して正常な構造の復元によって示される、請求項67に記載の方法。
  71. 回復が、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、光受容体の外節、ドルーゼンの喪失、および網状偽ドルーゼンの消失のうちの1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む、請求項67に記載の方法。
  72. 回復が、網膜の基本的な基礎層の1つまたは複数がより組織化されつつあるという主観的評価を含む、請求項67に記載の方法。
  73. より組織化されつつある網膜の基本的な基礎層が、外境界膜、ミオイド領域(光受容体の内節)、エリプソイド領域(IS/OS接合部)、および光受容体の外節のうちの1つまたは複数を含む、請求項17に記載の方法。
  74. 対象が、20/64もしくはそれ未満、20/70もしくはそれ未満、または約20/64〜約20/400のBCVAを含む、請求項67に記載の方法。
  75. 網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせることが、微小視野測定で評価される視力の回復によって実証され、微小視野測定で評価される視力の回復が、ベースラインと比較した微小視野測定での網膜感度とEZ欠損との相関関係を含む、請求項1に記載の方法。
  76. 微小視野測定で評価される視力の回復が、RPE細胞の投与部位または投与部位の近傍の網膜の部位が、ベースラインの微小視野測定評価と比較して改善された微小視野測定評価を含むことを実証することを含む、請求項1に記載の方法。
  77. 網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせることが、投与後1年でベースラインまたは僚眼と比較して約5%〜約20%のGA病変成長率の低下、または約5%〜約50%、または約5%〜約25%、または約5%〜約100%、約5%〜約10%の低下を含む、請求項1に記載の方法。
  78. 網膜疾患を治療するまたはその進行を遅らせることが、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較した場合に、安定したBCVA;低輝度試験成績の低下なし;または微小視野測定での感度の低下なし;または読み取り速度の低下なし、のうちの1つまたは複数を含み、比較が1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年のうちの1つまたは複数の時点においてである、請求項1に記載の方法。
  79. 約50,000〜500,000個のRPE細胞を活性物質として含む、網膜の疾患または障害を治療するまたはその進行を遅らせるための薬学的組成物。
  80. 約50,000〜500,000個のRPE細胞を活性物質として含む、網膜の疾患または障害を有する対象のRPEを安定化するための薬学的組成物。
  81. RPE細胞が、
    (a)少なくとも95%の細胞がプレメラノソームタンパク質(PMEL17)と細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)とを共発現するという特性;および
    (b)細胞の経上皮電気抵抗が、細胞が投与された対象に対して100オームより大きく、投与後約90日〜約24ヶ月で、対象の網膜色素沈着が安定化するという特性
    によって特徴付けられる、
    請求項80に記載の組成物。
  82. エリプソイド領域の回復が、EZ-RPEの厚さ、面積、または体積測定値のうちの1つまたは複数の改善を含む、請求項12に記載の方法。
  83. EZ-RPEの厚さ、面積、または体積測定値のうちの1つまたは複数の改善が視力と逆相関する、請求項82に記載の方法。
  84. エリプソイド領域分析が、年齢が一致し性別が一致する対照、ベースライン、または僚眼と比較したEZ体積の減少によってEZの組織化を実証する、請求項12に記載の方法。
  85. EZ体積の減少が、少なくとも2%もしくは少なくとも5%もしくは少なくとも7%もしくは少なくとも10%、または1〜5%もしくは1〜10%もしくは1〜50%もしくは10〜50%を含む、請求項84に記載の方法。
  86. EZの組織化が、ベースラインから少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、約1%〜約50%のEZの構造体の体積の減少を含む、請求項84に記載の方法。
  87. 網膜の疾患または障害を治療するまたはその進行を遅らせることが、栄養因子の細胞分泌によって増強される、請求項1に記載の方法。
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