本発明は一般に、薬剤充填カートリッジから用量を放出するように適合された薬剤送達装置、ならびにそのための構成要素に関する。
本発明の開示では、主に糖尿病治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
中空針を介した流体薬剤の皮下注射のための薬剤送達装置は、薬剤および生物学的薬剤を自己投与する必要がある患者の生活を大幅に改善してきた。薬剤送達装置は多くの形態を取りうるものであり、注入手段を有するアンプルに過ぎない単純な使い捨て装置から、ばね駆動であってもよく、または予め充填されたカートリッジで使用されるように適合された耐久性のある装置であってもよい、比較的複雑な予め充填された使い捨て装置を含む。それらの形態およびタイプに関わらず、それらは、患者が注射可能な薬剤および生物学的薬剤を自己投与するのを支援するに際して大きな助けとなることが実証されている。また、それらは、介護者が自己注射を行うことができない者に注射可能な薬剤を投与するのを大いに支援する。
利便性および使い勝手の良さをさらに高めるために、同じ皮下注射針を複数の連続した注射に対して使用することができ、注射間で自動的に洗浄される、薬剤送達装置が提案されてきた。例えば、WO2015/062845号は、少量の防腐剤含有流体薬剤がカートリッジから封止された貯蔵部に移される薬剤送達装置を開示するが、遠位針部分は、非使用時には「パーク(parked)」されている。貯蔵部は、遠位針貫通可能隔壁を備え、軸方向に移動可能な「伸縮式」シールドアセンブリ内に収容されるが、シールドアセンブリは近位に移動することができ、これにより、装置の使用中に針の遠位端部分が隔壁を通って突出することを可能にする。使用後、シールドアセンブリはその遠位位置に戻り、針の遠位部分が貯蔵部内に配置される。装置の初期使用前は、針の近位端は、針貫通可能カートリッジ隔壁の遠位に配置され、隔壁と流動連通しない。プライミング中、針はカートリッジに挿入され、ある量の流体薬剤が貯蔵部に移される。WO2016/041883号は、こうした伸縮式貯蔵部アセンブリを提供された予め充填された薬剤送達装置(すなわち、交換不可能なカートリッジを備える完全使い捨て装置)を開示する。
完全使い捨て薬剤送達装置が使用時に便利であるとみなされる場合があるが、こうした装置の実際の設計は通常、設計の価格と品質との間の妥協の結果である。現在市販されている使い捨て薬剤送達装置は、安全かつ信頼性のあるものとみなすことができるが、こうした装置の知覚される品質は通常、交換可能なカートリッジで使用されるよう適合される再利用可能な(「耐久性のある」)装置の知覚される品質よりも低いが、これは、カートリッジ単価は通常、耐久性のある装置が数年にわたって使用可能であり、何百回と再充填可能であるために高額となるだけであり、これはまたごみの生成を減らして環境的な利点を提供するためである。
しかしながら、耐久性のある薬剤送達装置の製造業者が、カートリッジおよび針の交換および変更が容易になる新製品を継続的に開発しているものの、耐久性のある装置の使用はより複雑である。使い捨て装置は、カートリッジを変更する必要性を除去し、装置を充填するというオプションを欠くことで再利用可能な針を使用できる回数が制限されるため、再利用可能な針に適合しうる。
したがって、最も費用効率のよい治療は耐久性のある装置を使用するが、最も単純な治療は使い捨て装置によるものとなる。この二つを組み合わせて、単純かつ費用効率のよいソリューションを提供し、使用が単純な治療をより手ごろな価格とすることを可能にして、これにより、必要とするより多くの人に利用可能な最良の治療を可能にすることが望ましい。
さらに、必要なインスリン注射を適切なタイミングで適切なサイズ行うことは、糖尿病を管理するために不可欠である、すなわち、特定のインスリンレジメンを遵守することが重要である。医療従事者が、処方された用量パターンの有効性を決定することを可能にするために、糖尿病患者は、注射ごとのサイズおよび時間のログを記録するよう奨励される。しかしながら、こうしたログは通常手書きのノートに記録され、ログされた情報から、データ処理のためにコンピュータに容易にアップロードされない場合がある。さらに、患者によって記載されるイベントのみがログされるため、ノートシステムは、ログされた情報が患者の糖尿病の治療における何らかの価値を有する場合に、患者が各注射をログすることを覚えておく必要がある。ログ中の欠如した記録または誤った記録は、注射履歴の実態が誤ったものとなり、ひいては、将来の薬物治療に関する医療従事者の意思決定の土台が誤ったものとなる。したがって、薬物送達システムからの送達情報のログを自動化することが望ましい場合がある。
それに対応して、用量監視/取得機構を有するいくつかの薬剤送達装置が提供されており、例えば、US2009/0318865号、WO2010/052275号、US7,008,399号およびWO2014/187814号を参照されたい。現在、監視機構を予め充填された使い捨て薬剤送達装置に組み込むことは非常に高価であるとみなされているため、これらの装置は全て耐久性のあるタイプのものである。このように、追加された電子監視機能に起因して追加される費用を耐久性のある装置を使用して投与される用量で割ることができるため、耐久性のある装置では、投与される用量ごとに追加される費用は相当に小さいが、使い捨て装置においては大きくなる。
現在は多くの人が事実上常時スマートフォンを携帯しているため、処理能力およびディスプレイを適合させるという課題に対する明白なソリューションは、監視したデータをスマートフォンに送信してスマートフォンの処理能力およびディスプレイを使用することである。このように、ディスプレイを除去して処理能力を低減させることができるが、既存の無線通信手段を使用することは、比較的多くの電力および空間を使用する電子回路を必要とし、全て装置の容積および費用を追加する。
上記に関して、カートリッジの変更と毎日の使用の両方の間に、高度な使い勝手の良さおよび利便性を、費用効率的かつ確実に可能にする、耐久性のある(または半使い捨て)薬剤送達装置およびシステム、ならびにそれらのための構成要素を提供することが、本発明の一般的な目的である。
薬剤送達装置の使用に関連する用量データの検出を、費用効率的かつ確実に可能にする、こうした薬剤送達装置、システムおよびそれらのための構成要素を提供することが、本発明のさらなる目的である。
本発明の開示では、上記の物体のうちの一つ以上に対処するか、または以下の開示ならびに例示的な実施形態の説明から明らかな物体に対処する実施形態および態様が記載される。
従って、本発明の第一の態様では、カートリッジ、針アセンブリ、およびキャップを備える、薬剤送達装置に取り付けられるように適合されたキャップアセンブリが提供されている。カートリッジは、流体薬剤で充填され、一般軸を画定しており、カートリッジは、軸方向に移動可能なピストンおよび針貫通可能シールを有する遠位部分を備える。針アセンブリは、遠位皮膚穿孔針端および近位シール穿孔針端を有する中空針を備える。キャップは、針遠位端を受けるように適合された貯蔵部を備え、キャップは、針アセンブリおよび少なくともカートリッジの遠位部分を収容する。針アセンブリおよびカートリッジは、近位針端がカートリッジシールの遠位に配置される初期状態と、近位針端がカートリッジシールを貫通している動作状態との間で互いに対して軸方向に移動可能に配置され、貯蔵部は、中空針を介してカートリッジから薬剤を受けるように適合される。
この配置により、カートリッジ変更および日常の使用の両方の間の、高度な使い勝手の良さおよび利便性を費用効率的かつ確実に可能にする、キャップアセンブリが提供される。貯蔵部は、中空針を介してある量の薬剤が封止されたチャンバー内に放出されることを可能にする。
キャップアセンブリは、薬剤送達主要ユニットと組み合わせて提供されてもよく、主要ユニットは、ハウジング、ピストンロッド、および設定用量に対応してピストンロッドを遠位に移動させるように適合された用量設定および放出機構を備える。カートリッジおよび薬剤送達主要ユニットは、互いに取り外し可能に接続されるように適合され、これによってピストンロッドは、カートリッジピストンと係合してこれを遠位に移動させ、中空針を介してカートリッジからある量の薬剤を放出するように配置され、キャップは、カートリッジ、およびそれに取り付けられた針アセンブリに対して取り外し可能に取り付けられる。カートリッジは、初期状態のキャップアセンブリと薬剤送達主要ユニットが互いに接続される動作状態に対応して遠位に移動して針アセンブリと係合する、すなわち、カートリッジおよび針アセンブリは、初期状態のキャップアセンブリと薬剤送達主要ユニットが互いに接続されるときに互いに「自動的に」係合するように配置されてもよい。
こうした概念は、使い捨てであるカートリッジ含有キャップアセンブリを主に意味する「半使い捨て」として記述されうるが、半使い捨てという用語は設定および放出機構を備える薬剤送達主要ユニットを特徴付けるためにも使用されうる。より具体的には、用量設定および放出機構を備える主要ユニットは、限られた数のキャップアセンブリでのみ使用することが意図されうる。例えば、ユーザーは、複数のキャップアセンブリを含むボックスと、ボックス内の所与の数のキャップアセンブリで使用された後に廃棄されることが意図されている単一の主要ユニットとを提供されうる。別の方法として、主要ユニットは、長期間、例えば、1〜4年間にわたって不特定の数のキャップアセンブリと組み合わせて使用されることが意図される「耐久性」装置であってもよい。
特定の実施形態では、キャップアセンブリはカートリッジユニットを備え、カートリッジユニットは、上述のカートリッジ、第一のカートリッジユニット結合手段、第二のカートリッジユニット結合手段、およびカートリッジユニットガイド手段を備える。キャップは、カートリッジユニットガイド手段と係合して、その間でガイドされる軸方向移動を提供する、キャップガイド手段をさらに備える。針アセンブリは、近位針端がカートリッジシールを貫通している動作状態に対応して第一のカートリッジ結合手段と係合するように適合された針結合手段を備える。カートリッジユニットは、(i)近位針端がカートリッジシールの遠位に配置される初期近位位置から、(ii)近位針端がカートリッジシールを貫通し、針結合手段が第一のカートリッジ結合手段と係合している、遠位動作位置まで、軸方向に移動することができる。こうした配置において、カートリッジは、カートリッジユニット内に軸方向に固定されて配置されてもよく、それによって、キャップに対する軸方向移動は、カートリッジユニットの移動によって生じる。
カートリッジユニットは、その中にカートリッジが配置される、概して管状のカートリッジホルダーを備えうる。記載の結合およびガイド手段は、カートリッジホルダーの一部として形成されてもよい。別の方法として、第一のカートリッジ結合手段は、例えば、Penfill(登録商標)におけるように、カートリッジに取り付けられた別個の部材であって、その後にカートリッジホルダーに挿入されてもよい。
針アセンブリは、遠位針端が貯蔵部の近位に配置される初期位置と、遠位針端が貯蔵部内に配置される動作位置との間でキャップに対して軸方向に移動可能に配置されてもよく、針アセンブリは、カートリッジユニットが初期位置から動作位置まで移動するときに初期位置から動作位置まで移動する。別の方法として、針アセンブリは、遠位針端が貯蔵部内に配置される初期軸方向位置を有してもよい。
特定の実施形態では、カートリッジユニットを備えるキャップアセンブリは、ハウジング、ピストン、設定用量に対応してピストンロッドを遠位に移動させるように適合された容量設定および放出機構、ならびに主要ユニット結合手段を備える薬剤送達ユニットと組み合わせて提供されうる。キャップアセンブリおよび薬剤送達主要ユニットは、互いに取り外し可能に接続されるように適合され、ピストンロッドは、カートリッジピストンと係合してこれを遠位に移動させ、これによってユーザーによって動作されると中空針を介してカートリッジからある量の薬剤を放出するように配置され、主要ユニット結合手段は、例えば、カートリッジホルダーの一部として形成される、第二の結合手段と取り外し可能に係合するように適合される。
カートリッジユニットは、キャップアセンブリが薬剤送達主要ユニットに接続されるときに、近位針端がカートリッジシールを貫通し、針結合手段が第一のカートリッジ結合手段と係合している、遠位動作位置に遠位に移動するよう配置されうる。
カートリッジユニットは、第三の結合手段をさらに備えてもよく、キャップには、第三のカートリッジ結合手段と取り外し可能に係合するように適合されたキャップ結合手段が提供されてもよい。こうした結合手段は、薬剤送達主要ユニットに取り付ける前に、カートリッジユニットをキャップ内に置くためにも使用されうる。別の方法としてまたは追加的に、結合手段は、キャップと薬剤送達主要ユニットとの間に提供されてもよい。
カートリッジホルダーを使用してカートリッジをキャップ内に保持して位置付けることの代替として、キャップアセンブリには、キャップアセンブリ内にカートリッジを保持して位置付ける支持手段が提供されてもよく、これは、カートリッジが、薬剤送達主要ユニットの一部として形成される前方装填されたカートリッジホルダー内に挿入されることを可能にし、支持部材は、薬剤送達主要ユニットの遠位部分がキャップ内に挿入されるときに離反する、また押し出されるように配置される。
カートリッジまたはカートリッジユニットと、薬剤送達主要ユニットとを備える、上述の組み合わせのキャップアセンブリでは、ピストンロッドが最近位の初期位置に配置されてもよく、例えば、カートリッジ交換手順中にユーザーによって近位に押されてもよい。軸方向に完全に充填されたカートリッジにおけるピストンは、初期の所定の位置範囲内に配置されてもよく、カートリッジは、初期位置から動作位置までキャップに対して軸方向に移動可能である。こうした配置では、(i)ピストンロッドがカートリッジピストンと係合する初期位置から、(ii)カートリッジがキャップ内の最遠位の位置に移動して針アセンブリと係合し、近位針端がそれによってカートリッジシールを貫通する、中間軸方向位置を介して、(iii)カートリッジピストンがカートリッジ内で遠位に移動し、それによって中空針を介してある量の薬剤を貯蔵部内に放出する、動作軸方向位置まで、カートリッジ、が初期位置にあるキャップアセンブリを薬剤送達主要ユニットに接続することができる。別の方法では、貯蔵部は、少量の薬物(例えば、2IUのインスリン)を貯蔵部内に手動で放出することによって充填されてもよい。
このようにして、カートリッジ交換中に追加的なユーザーステップを行う必要なく、貯蔵部がカートリッジ内に含まれるある量の薬剤で充填されうる。キャップが取り付けられると針遠位端が貯蔵部内に位置付けられるため、貯蔵部内の流体薬剤は針の詰まりの防止に役立ちうる。さらに、貯蔵部に初期に静菌性物質を提供される、またはカートリッジ内の流体薬剤が静菌性防腐剤を含むとき、貯蔵部内の静菌性流体は、遠位針が、最初の使用前に減菌される、または、例えば、ユーザーが針を再使用すると決定する場合に、針遠位端が貯蔵部内にパークされる間に洗浄されうることを提供する。
貯蔵部は、遠位針端を受けるように適合された針貫通可能バリアを有する封止されたチャンバーの形態であってもよい。封止されたチャンバーは、キャップの内部に開孔されてもよい。別の方法として、貯蔵部は、例えば、ある量の流体薬剤を収容するように適合されたスポンジ材料の形態であってもよい。
上述の薬剤送達主要ユニットには、設定または放出薬剤量のサイズ、例えば、用量設定および放出機構における構成要素の回転量を示す、カートリッジ内または薬剤送達主要ユニット内のパラメータの変動を決定するよう適合された用量ログ回路が提供されてもよい。
本発明の第二の態様では、キャップアセンブリが提供され、キャップアセンブリは初期状態でユーザーに供給され、薬剤で充填されて、一般軸を画定するカートリッジと、遠位皮膚穿孔針端およびカートリッジと流体連通する近位端を有する中空針と、針遠位端を受けるように適合された貯蔵部を備えるキャップとを備え、初期状態における針遠位端は、中空針を介してカートリッジから薬剤を受けるように適合された貯蔵部内に受けられる。
上述のキャップアセンブリは、ピストンロッドと、設定または予め設定された用量に対応してピストンロッドを遠位に移動させるように適合された放出機構を備える薬剤送達主要ユニットと組み合わせて使用されることが意図される。カートリッジおよび薬剤送達主要ユニットは互いに接続されるように適合され、ピストンロッドはカートリッジピストンと係合してこれを遠位に移動させ、これによって中空針を介してカートリッジからある量の薬剤を放出するように配置され、キャップは、カートリッジに対して取り外し可能に取り付けられて、遠位皮膚穿孔針端を露出させる。ピストンロッドは、最近位の初期位置にあるか最近位の初期位置に配置されてもよく、ピストンは、完全に充填されたカートリッジにおいて、所定の初期位置範囲内で軸方向に配置される初期状態にある。カートリッジが初期状態にあるキャップアセンブリは、(i)ピストンロッドがカートリッジピストンと係合する初期軸方向位置から(ii)カートリッジが薬剤送達主要ユニットに接続されてカートリッジピストンがカートリッジ内で遠位に移動して、それによって中空針を介してある量の薬剤を貯蔵部内に放出する、動作軸方向位置まで、薬剤送達主要ユニットに接続されるように適合される。
示すように、上記の配置によって、単純化されたキャップアセンブリが提供され、予め接続された針を使用してカートリッジからの薬剤で貯蔵部を充填することが可能になる。
キャップアセンブリには、上記の通りカートリッジユニットが提供されうる。予め取り付けられた針は、予め取り付けられた従来の針アセンブリの形態であってもよく、これにより、針を交換することが可能になり、または、針は、例えば、予め充填されたシリンジにおけるように、カートリッジユニットまたはカートリッジと一体的に形成されてもよい。
本発明のさらなる態様では、第一のユニットおよび互いに取り外し可能に接続されるように適合された第二のユニットを備える薬剤送達装置(またはアセンブリ)が提供される。第一のユニットは、ハウジング、一般軸を画定するピストンロッド、設定用量に対応してピストンロッドを遠位に移動させるように適合された用量設定および放出機構、および第一の結合手段を備える。第二のユニットは、薬剤充填カートリッジを備え、カートリッジは、軸方向に移動可能なピストンと、針貫通可能シールを有する遠位部分を備える。第二のユニットは、遠位皮膚穿孔針端および近位シール穿孔針端を有する中空針、遠位針端を受けるように適合された針貫通可能バリアを有する封止されたチャンバー、および第一の結合手段を係合して、これによって、ピストンロッドをカートリッジユニットと係合させて、第一のユニットおよび第二のユニットをピストンロッドと取り外し可能に接続するように適合された第二の結合手段、をさらに備える。針アセンブリおよびカートリッジは、近位針端がカートリッジシールの遠位に配置される初期状態と、近位針端がシールを貫通している動作状態との間で互いに対して軸方向に移動可能に配置される。封止されたチャンバーに、遠位針端を受けるように適合された針貫通可能バリアが提供されると定義される場合、この表現は、遠位針端が封止されたチャンバー内に配置される、第二のユニットが初期にユーザーに提供される実施形態も網羅する。
上記の配置により、カートリッジ変更および日常の使用の両方の間の、高度な使い勝手の良さおよび利便性を費用効率的かつ確実に可能にする、薬剤送達装置(またはアセンブリ)が提供される。封止されたチャンバーは、中空針を介してある量の薬剤が封止されたチャンバー内に放出されることを可能にする。
こうしたアセンブリは、使い捨てである装置アセンブリの第二のカートリッジ含有ユニットを主に意味する「半使い捨て」として記述されうるが、半使い捨てという用語は設定および放出機構を備える第一のユニット(主要ユニット)を特徴付けるためにも使用されうる。より具体的には、用量設定および放出機構を備える主要ユニットは、限られた数のカートリッジユニットでのみ使用することが意図されうる。例えば、ユーザーは、複数のカートリッジユニットを含むボックスと、ボックス内の所与の数のカートリッジユニットで使用された後に破棄されることが意図されている単一の主要ユニットとを提供されうる。別の方法として、主要ユニットは、長期間、例えば、1〜4年間にわたって特定の数のカートリッジユニットと組み合わせて使用されることが意図される「耐久性」装置であってもよい。
例示的な実施形態では、第二のユニットは、カートリッジを少なくとも部分的に封入する外し可能に取り付けられたキャップをさらに備え、キャップは、封止されたチャンバーを備える。第一のユニットおよび第二のユニットが互いに接続され、針アセンブリおよびカートリッジが動作状態にある場合、キャップが取り付けられた状態の遠位針端は、チャンバー内にバリアを貫通して配置され、キャップが取り外された状態の遠位針端は、ユーザーの皮膚を通って自由に挿入される。封止されたチャンバーは、中空針を介してカートリッジから薬剤を受けるように適合されうる。封止されたチャンバーは、キャップの内部に開孔されてもよい。
特定の実施形態では、ピストンロッドは、最近位の初期位置に配置されてもよく、完全に充填されたカートリッジ内のピストンは、所定の初期位置範囲内に配置される。針アセンブリは、直接的または間接的にカートリッジ遠位部分と結合するように適合された針ハブを備え、カートリッジは、初期位置から動作位置までキャップに対して軸方向に移動可能である。こうした配置では、(i)ピストンロッドがカートリッジピストンと係合する初期軸方向位置から、(ii)カートリッジがキャップ内の最遠位の位置に移動して針ハブと係合し、近位針端がそれによってカートリッジシールを貫通する、中間軸方向位置を介して、(iii)カートリッジピストンがカートリッジ内で遠位に移動し、それによって中空針を介してある量の薬剤をチャンバー内に放出する、動作軸方向位置まで、カートリッジが初期位置にある第二のユニットを第一のユニットに接続することができる。
カートリッジが初期位置にある第二のユニットが第一のユニットに接続されるとき、針アセンブリは、キャップに対して軸方向に移動不能かつ最遠位の位置に配置されてもよい。
例示的な実施形態では、第二のユニットは、カートリッジが軸方向に固定されるカートリッジホルダー部分を備え、カートリッジホルダー部分は、初期位置から動作位置まで軸方向に移動可能に配置され、カートリッジホルダー部分は第二の結合手段を備える。
第一のユニットには、設定または放出された薬剤の量を示す、薬剤送達装置内のパラメータの変動を決定するように適合された電子回路が提供されてもよい。検出されたパラメータは、用量設定および放出機構における構成要素の回転、例えば、駆動ばねが作用する送信部材の回転であってもよく、駆動ばねは、用量設定中に歪み、用量放出中に解除される。
本発明の第二の態様では、カートリッジホルダー、カートリッジホルダー内に配置された薬剤充填カートリッジであって、軸方向に移動可能なピストンおよび針貫通可能シールを有する遠位部分を備える、カートリッジ、遠位皮膚穿孔針端および近位シール穿孔針端を有する中空針を備える針アセンブリ、および針貫通可能バリアを有する封止されたチャンバーを備える取り外し可能に取り付けられたキャップ、を備えるカートリッジユニットが提供されており、キャップはカートリッジおよびカートリッジホルダーを少なくとも部分的に収容し、封止されたチャンバーは、カートリッジからある量の流体薬剤を受けるように適合される。カートリッジは、中空針とカートリッジとの間に流体連通がない初期位置から、針近位端がカートリッジシールを貫通している動作位置まで、キャプに対して軸方向に移動可能となるように配置される。
針アセンブリは、直接的または間接的にカートリッジ遠位部分と結合するように適合された針ハブを備えてもよく、動作状態にあるカートリッジは、針ハブと結合係合している。初期位置にあるカートリッジでは、中空針は、封止されたチャンバーと流動連通して配置されうる。
カートリッジは、カートリッジホルダー内に軸方向に固定されて配置されてもよく、カートリッジホルダーは、初期位置から動作位置まで、キャップ内を軸方向に移動可能に配置されてもよい。
カートリッジホルダーは、カートリッジピストンと係合するように適合されたピストンロッドを備える薬剤送達装置にカートリッジホルダーが接続されることを可能にする結合手段を備えてもよい。
本発明のなおさらなる態様では、第一のユニットおよび互いに取り外し可能に接続されるように適合された第二のユニットを備える薬剤送達装置(またはアセンブリ)が提供される。第一のユニットは、ハウジング、一般軸を画定するピストンロッド、設定用量に対応してピストンロッドを遠位に移動させるように適合された用量設定および放出機構、および第一の結合手段を備える。第二のユニットは、薬剤充填カートリッジを備え、カートリッジは、軸方向に移動可能なピストンと、針貫通可能シールを有する遠位部分を備える。第二のユニットは、遠位皮膚穿孔針端および近位シール穿孔針端を有する中空針と、第一の結合手段と係合し、それによって、ピストンロッドをカートリッジピストンと係合させて、第一のユニットと第二のユニットを取り外し可能に接続するように適合された第二の結合手段と、を備える、針アセンブリをさらに備える。針アセンブリおよびカートリッジは、近位針端がカートリッジシールの遠位に配置される初期状態と、近位針端がシールを貫通している動作状態との間で互いに対して軸方向に移動可能に配置される。
本明細書で使用されるとき、用語「薬剤」は、液体、溶液、ゲルまたは微細懸濁液などの制御された方法で中空針などの送達手段を通過することができる任意の薬剤含有流動性医薬製剤を包含することを意味する。薬剤は、単一の貯蔵部からの単一の薬剤化合物または予混合物または配合された複数の薬剤化合物薬剤物質であってもよい。代表的な薬剤としては、固体(分散)または液体の両方の形態における、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP−1含有薬剤ならびにその誘導体)、タンパク質およびホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養処方ならびに固体(調剤)または液体形態の他の物質が挙げられる。典型的実施形態の記載において、インスリンおよびGLP−1含有薬剤の使用、これらの類似物、ならびに一つまたは複数のその他の薬剤との組み合わせを含むことが挙げられる。
以下において、本発明を、図面を参照しながらさらに説明する。
図1は、取り付けられたカートリッジユニットを有する薬剤送達装置主要ユニットを示す。
図2は、カートリッジユニットから取り外された図1の薬剤送達装置主要ユニットを示す。
図3は、カートリッジユニットの一部透視図であり、カートリッジは近位位置にある。
図4Aは、図3のカートリッジユニットの部分断面図であり、カートリッジは遠位位置にある。
図4Bは、図4Aのカートリッジユニットの断面図である。
図5は、図1の薬剤送達装置主要ユニットの断面図である。
図6A〜6Eは、薬剤送達装置主要ユニットに取り付けられたカートリッジユニットの異なる状態の断面図である。
同上。
同上。
同上。
同上。
図7は、キャップ部材が取り外された、薬物送達装置主要ユニット上に完全に取り付けられたカートリッジユニットの断面図である。
図面において、同様の構造物は、主として同様の参照番号で識別される。
以下の用語で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、または同様の相対表現が使用されている場合、これらは単に添付図を参照するだけであり、必ずしも実際の使用状況を示さない。図示された図は、概略表現であり、その理由は、異なる構造の構成と相対的寸法が例示的な目的のみを果たすことを目的としている。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用される場合、それは一般的に、記載の実施形態において該構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、記載の構成要素の二つ以上が単一の構成要素として提供される、例えば、単一の射出成形部品として製造されうるように、同一の部材または要素が複数のサブ構成要素を備えてもよい。部材が互いに対して軸方向に自由に取り付けられると定義される場合、これは一般的に、それらが互いに対して、例えば、定義された停止位置間で移動可能であることを示し、部材が互いに対して回転自由に取り付けられると定義される場合、これは一般的に、それらが互いに対して自由に、または定義された停止位置間で回転可能であることを示す。「アセンブリ」「サブアセンブリ」という用語は、記載の構成要素が所与の組立手順の間に単一の、または機能アセンブリまたはサブアセンブリを提供するために組み立てられる必要があることを意味しておらず、機能的により密接に関連するものとして共にグループ化される構成要素を記載するために使用されるにすぎない。
図1および2を参照して、ペン形状の薬剤送達装置1を説明する。より具体的には、ペン装置1は、図1に示す動作状態ではカートリッジユニット200に取り外し可能に結合される、薬剤送達主要ユニット100を備えるアセンブリの形態である。図2は、主要ユニットから取り外されたカートリッジユニットを示す。
カートリッジユニット200は、その中に薬剤充填透明カートリッジ220が配置される、概して管状のカートリッジホルダー210を備えており、カートリッジは、近位に面して軸方向に移動可能なピストン、および針貫通可能隔壁を有する遠位部分を備える。カートリッジは、例えば、インスリン、GLP−1または成長ホルモン製剤を含みうる。カートリッジホルダー内に形成された一対の向かい合った開口部211は、ユーザーがカートリッジおよびその内容物を検査することを可能にする。カートリッジユニットは、遠位皮膚穿孔針部分231および近位隔壁穿孔部分232を有する中空針を備える針アセンブリ230をさらに備え、これは、図示の状態では、カートリッジ内部と流体連通して配置されている。
薬剤送達主要ユニット100は、近位本体部分110、および遠位に延在するガイド部分120を備える。用量設定および放出機構は近位本体部分内に配置され、取り付けられたカートリッジユニットのカートリッジピストンと係合し、それによって、遠位に移動するのに従って中空針を介してある用量の薬剤を放出するように適合されたピストンロッドを備える。近位回転可能用量設定部材180は、表示ウィンドウ112に示される所望の用量の薬剤を手動で設定する役割を果たし、その後薬剤は、解放ボタン190が作動した時に放出されうる。ウィンドウは、ハウジング内の開口部の形態であり、螺旋状に回転可能な指標部材(スケールドラム)170の一部が観察されることを可能にする。薬物送達装置内に具体化されている放出機構のタイプに応じて、放出機構は、用量設定中に歪み、その後解放ボタンが作動した時に解放されてピストンロッドを駆動する、図示の実施形態のばねを備えてもよい。別の方法として、放出機構は完全に手動であってもよく、この場合には、用量部材および作動ボタンは、設定用量サイズに対応して用量設定中に近位に移動し、その後、ユーザーによって遠位に移動されて設定用量を放出する。
遠位に延在するガイド部分120は、カートリッジホルダー上に配置される対応するガイド手段218と係合するように適合されたガイド手段128を備え、ガイド手段は、カートリッジユニットが、装置主要ユニットのガイド部分と摺動係合して軸方向に取り付けられることを可能にする。図1は、主要ユニット100に対して最近位の位置に完全に取り付けられたカートリッジユニット200を示しており、二つのユニットは、対応する取り外し可能な結合手段によって互いに取り外し可能に結合される。結合手段は、ガイド手段128、218の一部として形成されうる。別の方法として、結合手段は、主要ユニット本体部分およびカートリッジユニット上の対応する部分上に配置されてもよい。
薬剤送達装置は、取り付けられた時にカートリッジユニット(および図示の実施形態ではガイド部分)を覆うように適合されたキャップ部材(下記参照)をさらに備える。以下でより詳細に説明するように、図示の実施形態のキャップは、カートリッジからある量の防腐剤含有薬剤を受けるように適合された封止されたチャンバーの形態の貯蔵部を備えうる。
図示の薬剤送達装置1には、設定および/または放出された用量の薬剤のサイズ、例えば、用量放出中の標識部材の回転量に関連する特性を検出するように適合されたセンサ手段を備える電子回路を提供されてもよい。電子回路には、決定された用量サイズが表示されることを可能にする表示手段、および/または用量関連データが外部装置に、例えば、以後の分析および表示のためにスマートフォンに無線通信されることを可能にする通信手段が提供されてもよい。
図3、4Aおよび4Bを参照して、カートリッジユニット200を詳細に説明さする。
まず、図3を参照すると、カートリッジホルダー210および針アセンブリ230は、キャップ部材240内でそれらの初期使用前位置で図示されており、針アセンブリ230は外形が示されており、内部の詳細は示されていない。以下、キャップおよびカートリッジユニットを組み合わせたアセンブリを、キャップアセンブリ201と示す。軸方向に変位可能なピストン221および遠位針貫通可能隔壁222を有する薬剤充填カートリッジ220は、カートリッジホルダーの内側に軸方向にロックされて配置される。カートリッジは、カートリッジ遠位部分とカートリッジホルダー遠位部分との間に周縁結合空間を提供する、低減された直径の遠位部分223を備える。カートリッジホルダーは、回転不能であるが軸方向に移動可能にキャップに結合され、図3に示す初期近位位置と、図4Aおよび4Bに示す動作遠位位置との間で遠位方向に移動可能である。図示の実施形態では、キャップ内の対応するスロット242に係合する二つの一対の対向する突出部215、216によってキャップに結合され、その後結合(またはガイド)は、キャップをカートリッジホルダーから取り外し、カートリッジホルダー上に再び取り付けることを可能にする。カートリッジホルダーとキャップとの間には、取り外し可能な軸方向ロックが提供されて、使用前に、例えば、カートリッジホルダー上の突出部216と協働するように適合されたガイドスロットにおける突出部243によってカートリッジホルダーを初期位置に適切に固定するが、ロックは、カートリッジホルダーに印加された軸方向力によって克服されるよう設計される。
カートリッジホルダーの長さに沿って、カートリッジホルダーとキャップ内部表面との間に長軸方向の空間249が形成されるが、空間は上述の主要ユニットガイド部分を受けてこれを収容するように適合される。
針アセンブリ230は、その中にその遠位皮膚穿孔針部分231と近位隔壁穿孔針端部分232を有する中空針が取り付けられるハブ部材235を備えるが、ハブ部材は、キャップ部材内に形成される把持手段241によって「パークされた」位置に取り外し可能に取り付けられ、パークされた位置は、初期使用前の位置およびキャップが取り付けられた使用中の位置の両方に対応する。ハブ部材は、結合空間(図4Aおよび4Bに示す)に受けられるように適合された近位に面する周縁スカート部分236を備え、スカート部分は、カートリッジおよび/またはカートリッジホルダー上の対応する結合手段に係合させるように適合された結合手段237を備える。図示の実施形態では、結合手段は、カートリッジ遠位部分223上に取り付けられた概して管状の結合部材226上に形成されたねじ付き外部表面227、およびスカート内部表面上に形成された複数の可撓性把持リブ237の形態であり、結合配置は、スカート部分がねじ付き表面と軸方向に係合することを可能にし、さらに、必要である場合、例えば、損傷された針の交換を可能とするために、針アセンブリを回転によって取り外すことを可能にする。別の方法として、結合は取り外し不能であってもよい。
キャップには、第一および第二の開口部を備える封止されたチャンバー245がさらに提供される。第一の開口部は、針貫通可能隔壁246で封止され、第二の開口部は管状の穴247の形態であり、その中には、可撓性材料から形成されたプラグ248が配置され、プラグは、シール、ならびにキャップの内部と連通する圧力/オーバーロードリリーフ弁としての役割を果たす。針アセンブリ230がそのパークされた位置にある時、遠位針部分231は隔壁246を貫通して封止されたチャンバー245内に配置される。初期状態では、図示の封止されたチャンバーは空であるが、以下に説明するように、チャンバーは、カートリッジからある量の防腐剤含有薬剤を受けるように適合され、防腐剤は、パーク位置にある針遠位部分の無菌またはほぼ無菌環境を確実にし、これにより、カートリッジユニットに対する所期の使用時間に対応して針を再利用することが可能になる。実際には、使用前に、カートリッジユニットは、針の近位端および遠位端の両方の滅菌性が保護されるような方法で設計および包装される必要がある。
図5は、用量設定および放出機構130、ガイド部分内に配置された電子回路140、ならびにエネルギー源、例えば、図示するように、耐久性のあるタイプの主要ユニットである場合、交換可能または交換不能なAAAまたはAAAA「電池」145を備える薬剤送達主要ユニット100の概略断面図である。用量設定および放出機構は、概略的に示されているだけであり、遠位ピストン係合足部分132を有するねじ付きピストンロッド131、ピストンロッドを回転させるためのドライバ133、スケールドラム134、駆動ばね(図示せず)、用量設定部材180、放出部材190およびカートリッジユニットの交換中にピストンロッドが初期近位位置に戻ることを可能にする結合機構135を備える。別の方法として、足部分はピストンロッドに接続されて、ワッシャががたつくことを許容するピストンワッシャの形態であってもよい。用量設定および放出機構は、例えば、EP17151586.9号に記載される設計および概念を利用する、任意の適切な設計のものとしうる。それに対応して、電子回路および関連するセンサ手段は、適切な用量関連性質が決定されることを可能にする任意の適切な設計のもの、例えば、EP17151586.9号に記載のタイプの回転センサアセンブリ、またはWO2014/161952号に記載の磁石ベースのシステムであってもよい。
図6A〜6Eを参照して、キャップアセンブリ、およびそれによってカートリッジユニットを薬剤送達主要ユニット上に取り付けることを説明する。キャップアセンブリ201およびカートリッジユニット200は、図3、4Aおよび4Bを参照して説明したキャップおよびカートリッジユニットに対応し、主要ユニット100は図5を参照して説明した主要ユニットに対応する。
図6Aは、互いに分離されたキャップアセンブリ201および主要ユニット100を示し、主要ユニット内のピストンロッド131はその最近位の位置に位置付けられている。キャップアセンブリ201は、カートリッジホルダー210が近位位置にある初期状態にあり、従って、薬剤充填カートリッジ220はまだ中空針232と流体連通していない。図6Bでは、主要ユニット遠位ガイド部分上のガイドおよび結合手段128は、カートリッジホルダー上の対応するガイドおよび結合手段218と嵌合するが、これにより、ガイド部分120がキャップ内の受け入れ空間249内に導入されることが可能になる。図6Cでは、ガイド部分120は、ピストンロッド遠位端132がちょうどカートリッジピストン221の自由端と係合する位置までキャップ240の中へとさらに挿入されている。この時点で、ユーザーは、カートリッジホルダー210とキャップ部材240の間の軸方向ロックのために、ガイド部分のさらなる挿入に抵抗を感じることになる。
抵抗が克服され、軸方向ロックが解除されると、ピストンロッド131との係合により、封止された薬剤充填カートリッジ220および従ってカートリッジホルダー210が主要ユニット100に対してさらに近位に移動することが防止され、これが、キャップに取り付けられた針アセンブリ230を有するキャップ240を近位に移動させ、これによってスカート部分235が周縁結合空間に挿入される。結果として、近位針部分232がカートリッジ隔壁222を貫通し、スカート部分結合手段237が、図6Dに示すようにカートリッジ上の対応する結合手段227と係合し、それによってカートリッジ内部と封止されたキャップチャンバー245との間の流動連通が確立される。カートリッジホルダー210がキャップ部材240内のその最遠位の位置まで移動するのに従って、ガイド部分120のキャップ内へのさらなる前進が、図6Eに示すようにカートリッジホルダー210が主要ユニットハウジング110と係合するまでカートリッジピストン221がカートリッジ内で遠位に移動することにつながり、これによってある量の流体薬剤が封止されたキャップチャンバー245に移されるが、該量は、図6Dに示すカートリッジホルダーと主要ユニットハウジングとの間の距離Gに相当する。実際には、これが生じるためには、カートリッジピストン221が初期に所定の軸方向の位置範囲内に位置付けられることが必要であり、該範囲は、最小として、封止されたチャンバー245が最低限必要な防腐剤含有薬剤で充填される、または最大として、ある量の薬剤が許容可能な少量の薬剤のオーバーフローがキャップ内部に入ることを確実にする。この目的のために、流体トラップがキャップ内に提供されてもよい。
上記の説明では、カートリッジホルダーの遠位移動および封止されたチャンバーへの薬物の移動は、順に起こるものとして記述されるが、二つのイベント間である程度の時間の重複がある場合がある。
カートリッジホルダーが主要ユニットと係合すると、二つのユニットは、例えば、スナップ式結合によって互いに取り外し可能にロックされる。同時に、ピストンロッド係合が、ピストンロッド係合がその最近位の位置に移動することができるリセット状態から、カートリッジからのある用量の薬剤の放出中の遠位方向における以後の移動のために放出機構に結合される、動作位置に作動される。それに対応して、使用済みカートリッジユニットが主要ユニットから取り外されると、ピストンロッド結合がそのリセット状態に作動されて、新しいカートリッジユニットを取り付ける前に手動で、または単に新しいカートリッジユニットがピストンロッドをその最近位の位置に近位に移動させることを可能にすることで、のいずれかによって、ピストンロッドが近位に移動することを可能にする。実際には、ピストンロッドの軸方向の移動に対する抵抗は、カートリッジが、キャップ内のそのロックされた位置から解放されることを防止するのに十分に小さいべきである。主要ユニットからの使用済みカートリッジユニットの取り外しをさらに単純にするために、キャップは、キャップ部材を取り外す必要なくスナップロックを解除できるように設計されてもよい。
示されるように、上記配置によって、新たなカートリッジユニットは事実上、数秒で取り付けおよびプライミングされて使用準備が整うため、非常に高度な単純性および使い勝手の良さを提供する、半使い捨て可能薬剤送達システムが提供される。それに対応して、用量が設定されている場合、ユーザーはキャップを取り外すと、新しい針アセンブリの取付けに悩まされることなく、装置を直ちに使用して設定用量を分注することができるが、図7を参照されたい。実際には、用量はキャップが取り外された後に設定することもできる。
さらに、図示の実施形態では、比較的大きな交換可能な電池が組み込まれているが、これは、「高電力」な無線通信が実施される、例えば、互いの近傍に二つの装置を位置付ける必要なく、ユーザーによって携帯されるスマートフォンとの安全で信頼性のある通信を提供することを可能にする。
典型的実施形態の上記の説明では、異なる構成要素に対して説明された機能を提供する異なる構造および手段は、本発明の概念が同業者に明らかとなる程度まで説明されてきた。異なる構成要素の詳細な構造および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。