詳細な説明
2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(CAS番号111−90−0;ジエチレングリコールモノエチルエーテルとしても知られている)は、とりわけ、Transcutol(登録商標)という商標名で市販されている。2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、FDAの不活性成分(IIG)リストに挙げられている。Transcutolは、主に溶媒として、他の医薬製品中および化粧品中に広範に使用されてきた。
しかし、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを活性成分に対して試験する場合(例えば、ダプソーンゲル)、ざ瘡を有する患者における、炎症性病変の数を低下する活性を有するように見えることに、本発明者らは気づいた。理論によって拘泥されないが、本発明者らは、この作用の機構は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが皮膚表面の脂質を流動化することができ、これにより、微小面皰の形成が抑制されることであると考えている。2−(2−エトキシエトキシ)エタノールにより、脂質が、落屑したケラチノサイトに「一緒に付着する」ことがないようになると、詰まった毛包数、およびその後の炎症病変の数が低下する可能性が高くなると思われる。本発明の組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、その源におけるざ瘡の形成を停止させる手段を提供する。脂質および落屑したケラチノサイトで詰まった毛穴により、炎症および面皰の形成がもたらされる。本発明の組成物は、通常通りの洗顔液として使用すると、ざ瘡をなくすのに活性となり得る。
2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは親油性である。したがって、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、皮膚への吸収に乏しい。したがって、妥当な時間枠内に、好適な表面積に、それを必要とする哺乳動物に、治療有効量の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを首尾よく投与することは、実質的に限られてきた。
さらに、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、粘度が高い、付着性の物質である。したがって、顔面への不快な付着、ならびに/または衣類および他の表面への望ましくない移動を引き起こさないように、それを必要とする哺乳動物に治療有効量の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを投与する選択肢は、実質的に限られてきた。
本開示は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが溶解されて、ざ瘡の処置のための医薬組成物を形成することができるという驚くべき発見に基づいている。このような医薬組成物は、ざ瘡を処置するため、局所的に適用されて、この後に、シロキサンの少なくとも一部が蒸発して、in situで2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが濃縮され、皮膚の治療関連領域(好ましくは、表皮および真皮層)への浸透を促進することができる。重要なことに、抗ざ瘡薬およびある種の他の局所的に適用される薬物向けの担体と以前に考えられていた2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが、ざ瘡の処置に治療的利益を有する。同様に、重要なことに、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの適切な製剤は、臨床的利益を発揮するために、関連する皮膚層への2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの浸透を促進する。
したがって、本発明は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒である第1の溶媒中に、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶液を含む、局所用医薬組成物を提供する。
好ましくは、第1の溶媒はシロキサンである。
高濃度の溶解した2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(固体または結晶性2−(2−エトキシエトキシ)エタノールとは対照的)を提供する医薬組成物の局所投与は、一部が真皮にまで浸透することを伴う、皮膚、特に表皮(表皮基底層を含む)への2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの適切な送達度の増強に関して、有利であることが期待される。皮膚の外側表面の高濃度の溶解した2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、皮膚、特に表皮および真皮への2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの浸透を増強する濃度勾配を引き起こすと考えられる。
本発明により送達される2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、好ましくは、皮膚の表皮に浸透し、大部分の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールがその層に留まる。好ましくは、一部は、真皮にまでさらに浸透し、ほとんどの2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、全身に吸収されることになる皮下の層にまでさらに浸透することはない。組成物が送達される皮膚は、好ましくは、哺乳動物の皮膚、より好ましくはヒト哺乳動物の皮膚である。
医薬組成物は、(i)低分子量アルコールなどのさらなる揮発性溶媒、および/または(ii)脂肪族アルコールおよび/またはアルキルポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールエーテル(アルキルPEG/PPGエーテル)など揮発性が低い溶媒を含んでもよい。揮発性が低い溶媒は、シロキサン(および、存在する場合、さらなる揮発性溶媒)の蒸発後に皮膚に留まるので、残留溶媒と呼ぶ。これらの追加的な揮発性溶媒および残留溶媒は、組成物が、ざ瘡を処置するために、in situで、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃縮溶液を生成する能力、ならびに/または表皮および真皮まで2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの送達を容易にする能力をさらに増強することができる。
組成物
ざ瘡を処置するために局所分布を達成するため、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの大部分が表皮まで浸透して、好ましくはそこに留まり、一部の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは真皮にまでさらに浸透するが、ほとんどの2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは皮下層までさらに浸透して、全身的に吸収されることはないということが有利である。このような場合では、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、表皮に集中すると思われ、こうして、その局所作用を最大化する。局所作用は、潜在的な治療的利益を増大させるだけではなく、患者の体内で循環する活性化合物の量は低減されるので、全身的な2−(2−エトキシエトキシ)エタノール投与に伴ういかなる潜在的な副作用の頻度および/または重症度も潜在的に軽減される。
したがって、本発明は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒である第1の溶媒中に、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶液を含む、局所用医薬組成物を提供する。好ましくは、第1の溶媒はシロキサンである。
本発明は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールおよび第1の溶媒を含む、医薬組成物であって、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが該組成物に溶解している、医薬組成物をさらに提供する。本発明は、ざ瘡の処置または予防のための、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールおよび第1の溶媒を含む医薬組成物をさらに提供する。好ましくは、第1の溶媒はシロキサンである。
本発明は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールおよび1種もしくは複数種の薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む、医薬組成物であって、非2−(2−エトキシエトキシ)エタノール活性医薬成分を含まない、医薬組成物をさらに提供する。
好ましい一実施形態では、本組成物は非水性である。別の好ましい実施形態では、本組成物は、保存剤を含まない。
本発明は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが、(i)2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃縮溶液として、または(ii)2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃縮溶液中の結晶性2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの懸濁液として、局所投与され得るという驚くべき発見に少なくとも一部、基づいている。本組成物は、使用されると、揮発性2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒の部分的なまたは完全な蒸発後に、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの結晶化を伴うことなく、皮膚表面に高濃度の非結晶性の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの薄い層を形成することができる。
好ましくは、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、(i)シロキサン中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃縮溶液として、または(ii)シロキサン中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃縮溶液中の結晶性2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの懸濁液として、局所投与される。本組成物は、使用されると、揮発性シロキサンの部分的なまたは完全な蒸発後に、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの結晶化を伴うことなく、皮膚表面に高濃度の非結晶性の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの薄い層を形成することができる。
シロキサンなどの揮発性溶媒の使用によって、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの非結晶性の一層高い濃度(すなわち、溶液中において)を実現することが可能となる。2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、多数の他のそれほど揮発性ではない溶媒よりも、揮発性溶媒にかなり高い濃度で溶解することができ、次に、一旦、皮膚に適用されて揮発性溶媒が蒸発すると、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが高濃度で皮膚表面に留まる。
したがって、本発明の組成物は、以下を含むことができる:
・ 2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、および2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒である第1の溶媒、
・ 2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒である第1の溶媒、および揮発性の第2の溶媒、
・ 2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒である第1の溶媒、および第1の溶媒ほど揮発性ではない第3の溶媒、
・ 2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、第1の溶媒、揮発性の第2の溶媒、および第1の溶媒ほど揮発性ではない第3の溶媒。
好ましくは:第1の溶媒はシロキサンである。揮発性の第2の溶媒はアルコールであり、好ましくは低分子量アルコールである。第1の溶媒ほど揮発性ではない第3の溶媒は残留溶媒、好ましくはアルキルPEG/PPGエーテルおよび/または脂肪族アルコールである。
残留溶媒
2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、シロキサンよりも揮発性が低い溶媒の追加によって、シロキサンなどの揮発性溶媒の蒸発後に、皮膚上に非結晶形態で好ましくは維持される。本明細書全体を通して、この揮発性の低い溶媒は、揮発性溶媒(例えば、シロキサン、および必要に応じて低分子量アルコールなどの別の揮発性溶媒)の蒸発後に、皮膚に好ましくは留まり、揮発性溶媒の蒸発後に、非結晶性状態の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを維持するので、残留溶媒と呼ばれる。好ましくは、残留溶媒は、アルキルポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールエーテルおよび/または脂肪酸アルコールである。好ましくは、残留溶媒は、24時間にわたり、20%未満が皮膚の温度で蒸発するような、低揮発性を有する。好ましくは、残留溶媒は、疎水性末端部および親水性末端部を有する鎖状構造を有する。好ましくは、残留溶媒は、32℃またはそれ未満の温度において液体である。好ましくは、残留溶媒は、シロキサンを溶解する。好ましくは、残留溶媒は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが20%から最大で70%の濃度で、非結晶形態の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを維持する。
必要な揮発性溶媒の総量(シロキサン、および必要に応じて低分子量アルコールなどの別の揮発性溶媒)および残留溶媒は、存在する場合、組成物が皮膚に一旦適用されると、約3〜8時間の間、室温で2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを非結晶に維持するのに十分な量である。
このような投与は、純粋なおよび/または結晶性の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールと比べて、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの皮膚の表皮および真皮への送達の増強を好ましくはもたらし、これは、そのような処置を必要とする患者において、ざ瘡を有意に低減し、したがってこれを処置するのに有効となることが期待される。
本発明の組成物は、送達の増強に加えて、より多い用量の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを、拭き取る、または使用者にとって許容できないと思われる残留物の厚い層を持たせる必要なく、適用することが可能となり得る。本明細書に記載されている局所用医薬組成物は、組成物の準安定な高い推進力または過飽和のために、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを一層迅速に送達することが可能となる。要約すると、いかなる理論によっても拘泥されないが、皮膚の外側表面の高濃度の溶解した2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、表皮および真皮への2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの浸透を増強する濃度勾配を引き起こすと考えられる。
残留溶媒は、アルキルポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールエーテル(アルキルPEG/PPGエーテル)および/または脂肪族アルコールとすることができる。
2−(2−エトキシエトキシ)エタノール対第1の溶媒対残留溶媒の好ましい比は、(w/w%):0.5〜20%の間の2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、1〜99%の間の第1の溶媒および0.1〜99%の間の残留溶媒;5〜20%の間の2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、4〜70%の間の第1の溶媒および1%〜70%の間の残留溶媒;1〜15%の間の2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、20〜95%の間の第1の溶媒および1〜15%の間の残留溶媒からなる範囲から選択される。好ましくは、第1の溶媒は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール溶媒であり、より好ましくは、第1の溶媒はシロキサンである。
2−(2−エトキシエトキシ)エタノール対シロキサン対残留溶媒の好ましい比は、(w/w%):0.5〜20%の間の2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、1〜99%の間のシロキサンおよび0.1〜99%の間の残留溶媒;5〜20%の間の2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、4〜70%の間のシロキサンおよび1%〜70%の間の残留溶媒;1〜15%の間の2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、20〜95%の間のシロキサンおよび1〜15%の間の残留溶媒からなる範囲から選択される。
シロキサン
シロキサンは、燃えず、刺激も与えず、芳香も有しておらず、したがって、ざ瘡を処置するための局所適用に非常に有利である。本発明の組成物にとって重要なことに、シロキサンは低分子量であるために、揮発性が高い。
一実施形態では、シロキサンは、2個または3個のケイ素原子を含有する。シロキサンは、1〜8つの間のメチル基を有することができる。一実施形態では、シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびそれらの組合せからなる群から選択される。これらは、大部分が揮発性シロキサンであり、したがって、最も有利である。好ましくは、シロキサンの揮発性レベルは、イソプロピルアルコール(IPA)のそれとほぼ同じである。
別の実施形態では、シロキサンは、4個または5個のケイ素原子を含有し、例えば、デカメチルテトラシロキサンまたはドデカメチルペンタシロキサンである。別の実施形態では、シロキサンは、オクタメチルシクロテトラシロキサン(CAS番号556−67−2)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(CAS番号541−02−6)などの4個または5個のケイ素原子の環式化合物である。
ある種の実施形態では、シロキサン中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶解度および結晶化度の特徴のさらなる改善は、低分子量アルコールを含む、アルコールの形態のさらなる揮発性溶媒の添加により実現することができる。シロキサン中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶解度および結晶化度特徴の改善もまた、アルキルPEG/PPGエーテルおよび/または脂肪族アルコールの添加によって実現することができる。
第1の溶媒、好ましくはシロキサン中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶解度および結晶化度特徴の改善もまた、残留溶媒、必要に応じてアルキルPEG/PPGエーテルおよび/または脂肪族アルコールの添加によって実現することもできる。
アルキルポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールエーテル
ある種の実施形態では、第1の溶媒、好ましくはシロキサン中での2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶解度特徴のさらなる改善は、アルキルポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールエーテル(アルキルPEG/PPGエーテル)の添加によって実現することができる。アルキルPEG/PPGエーテル、および本発明により使用することができる好適なアルキルPEG/PPGエーテルの特性は、Cosmetic Ingredient Review(CIR) Expert Panel 2013年「Safety Assessment of Alkyl PEG/PPG Ethers as Used in Cosmetics」 Report(www.cir−safety.org/sites/default/files/PEGPPG062013tent.pdf;2016年12月21日にアクセスした)に議論されており、この文書の内容は本明細書に組み込まれている。
アルキルPEG/PPGエーテルは、第1の溶媒、好ましくはシロキサンおよび必要に応じた低分子量アルコールの一部または全部が蒸発した後に、残留溶媒としても働き、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを非結晶状態に維持するのを支援し得る。
有利には、一部の実施形態では、本組成物はまた、1種または複数のアルキルPEG/PPGエーテルも含む。アルキルPEG/PPGエーテルは、アルキルアルコールと、それぞれが1当量またはそれより多い当量のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとの反応生成物である(それぞれ、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)の繰り返し単位を形成する)。
ステアリルアルコールおよびブチルアルコールのポリプロピレングリコールエーテルを含めたアルキルPEG/PPGエーテルを添加すると、シロキサン溶媒中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶解度が改善され得る。初期組成物中、ならびに適用および溶媒蒸発後の皮膚上の最終組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度をこのように向上することができることにより、皮膚上の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの残留濃度を高く実現することが可能になる。アルキルPEG/PPGエーテルは、揮発性溶媒または溶媒混合物の蒸発後に、例外的に高い濃度の溶液で2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを保持することができる残留溶媒を供給することができる。
有利には、一部の実施形態では、アルキルPEG/PPGエーテルは、周囲温度において液体である。好ましくは、アルキルPEG/PPGエーテルは、約30℃もしくはそれ未満、または約25℃で液体である。
有利には、一部の実施形態では、アルキルPEG/PPGエーテルは、24時間にわたり、20%未満が皮膚の温度で蒸発するような、低揮発性を有する。
有利には、一部の実施形態では、アルキルPEG/PPGエーテルは、10〜50の間のPG単位のPEG/PPG鎖長、および2〜20個の間の炭素のエーテル構成成分を有しており、PG単位とエーテル構成成分の炭素の合計は、好ましくは20〜60の間である。アルキルPEG/PPGエーテルの範囲は、Cosmetic Ingredient Review (CIR) Expert Panel 2013年「Safety Assessment of Alkyl PEG/PPG Ethers as Used in Cosmetics」Report (www.cir−safety.org/sites/default/files/PEGPPG062013tent.pdf;2016年12月21日にアクセスした)に議論されており、そのような文書の内容は、本明細書に組み込まれている。
有利には、一部の実施形態では、アルキルPEG/PPGエーテルは、ステアリルアルコールまたはブチルアルコールのポリプロピレングリコールエーテル、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
具体的な実施形態では、アルキルPEG/PPGステアリルエーテルまたはブチルエーテルは、PPG−15ステアリルエーテルおよびPPG−40ブチルエーテルなどの、ポリプロピレングリコール(PPG)ステアリルエーテルおよびポリプロピレングリコールブチルエーテル、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。
具体的な実施形態では、アルキルPEG/PPGエーテルの相対量は、以下の群:少なくとも1%w/w、少なくとも2%w/w、少なくとも3%w/w、少なくとも4%w/w、少なくとも5%w/wから選択される。具体的な実施形態では、アルキルPEG/PPGエーテルの最大濃度は、50%w/wである。具体的な実施形態では、アルキルPEG/PPGエーテルの最大濃度は、80%w/wである。
好ましくは、アルキルPEG/PPGエーテルの量は、一層揮発性の溶媒(単数または複数)の部分または完全蒸発後に、皮膚上に非結晶形態の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを維持するのに十分である。
脂肪族アルコール
有利には、ある種の実施形態では、本局所用組成物は、該組成物が脂肪族アルコールを含むことをさらに特徴とする。脂肪族アルコールの目的は、第1の溶媒、好ましくはシロキサン、および必要に応じて低分子量アルコールなどの、より揮発性の構成成分が一旦、蒸発すると、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの残留溶媒として作用させることである。具体的な実施形態では、脂肪族アルコールは、C12〜22脂肪族アルコールである。具体的な実施形態では、脂肪族アルコールは、C16〜22脂肪族アルコールである。具体的な実施形態では、脂肪族アルコールは、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコール、2−へキシルデシルアルコールからなる群から選択される。
具体的な実施形態では、脂肪族アルコールの相対量は、以下の群:少なくとも2%w/w、少なくとも3%w/w、少なくとも4%w/w、少なくとも5%w/wから選択される。具体的な実施形態では、脂肪族アルコールの最大濃度は、50%w/wである。具体的な実施形態では、脂肪族アルコールの最大濃度は、80%w/wである。
好ましくは、脂肪族アルコールの量は、一層揮発性の溶媒(単数または複数)の部分または完全蒸発後に、皮膚上に非結晶形態の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを維持するのに十分な量である。
低分子量アルコール
有利には、一部の実施形態では、本局所用組成物はまた、第2の溶媒、好ましくはアルコール、より好ましくは低分子量アルコールも含む。本発明者らは、少量の低分子量アルコールにより、第1の溶媒中、好ましくはシロキサン中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの溶解度が改善され得ることを見出した。初期組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度をこのように向上することができることにより、適用後に皮膚上の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの残留濃度を高く実現することが可能になる。好ましくは、低分子量アルコールは、第1の溶媒、好ましくはシロキサンに加えて、さらなる揮発性溶媒を形成する。好ましくは、低分子量アルコールの揮発性レベルは、イソプロピルアルコールのそれとほぼ同じである。低分子量アルコールなどの第2の揮発性溶媒の添加は、初期組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度が非常に高い場合、特に有利となり得る。
有利には、一部の実施形態では、低分子量アルコールは、周囲温度において液体である。好ましくは、低分子量アルコールは、約30℃もしくはそれ未満、または約25℃で液体である。好ましくは、低分子量アルコールの揮発性レベルは、イソプロピルアルコール(IPA)のそれとほぼ同じである。好ましくは、低分子量アルコールの沸点は、標準圧において約100℃未満である。好ましくは、低分子量アルコールの沸点は、標準圧において約90℃未満である。好ましくは、低分子量アルコールの沸点は標準圧において、約85℃未満、約80℃〜約85℃の間である。
有利には、一部の実施形態では、低分子量アルコールは、C2〜6アルコール、およびそれらの組合せからなる群から選択される。有利には、一部の実施形態では、低分子量アルコールは、C2〜4アルコール、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
具体的な実施形態では、低分子量アルコールは、エチルアルコール(またはエタノール)、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される。
具体的な実施形態では、低分子量アルコールの相対量は、以下の群:少なくとも2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/w、11%w/w、12%w/w、13%w/w、14%w/w、15%w/w、20%w/w、25%w/w、30%w/w、35%w/w、40%w/w、45%w/wから選択される。具体的な実施形態では、低分子量アルコールの最大濃度は、50%w/wである。具体的な実施形態では、低分子量アルコールの最大濃度は、60%w/w、70%w/w、80%w/wである。低分子量アルコールの量は、1%w/w〜50%w/w、1%w/w〜40%、1%w/w〜30%w/w、1%w/w〜20%w/w、1%w/w〜10%w/wの間とすることができる。
2−(2−エトキシエトキシ)エタノール
ある種の実施形態では、本発明の局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、少なくとも2%w/w、少なくとも3%w/w、少なくとも4%w/w、少なくとも5%w/w、少なくとも6%w/w、少なくとも7%w/w、少なくとも8%w/w、少なくとも9%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも11%w/w、少なくとも12%w/w、少なくとも13%w/w、少なくとも14%w/wおよび少なくとも15%w/wからなる群から選択することができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、少なくとも40%w/w、少なくとも50%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/wおよび少なくとも99%w/wからなる群から選択することができる。このような濃度は、揮発性シロキサン、および必要に応じて低分子量アルコール構成成分の少なくとも一部の蒸発後に達成することができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/w、11%w/w、12%w/w、13%w/w、14%w/wおよび15%w/wからなる群から選択される下限値、ならびに20%w/w、30%w/w、40%w/w、50%w/w、60%w/w、65%w/w、70%w/w、80%w/w、90%w/w、95%w/wおよび99%w/wからなる群から選択される上限値を有する範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜99%w/w、3%w/w〜70%w/w、4%w/w〜70%w/w、5%w/w〜70%w/w、6%w/w〜70%w/w、7%w/w〜70%w/w、8%w/w〜99%w/w、9%w/w〜99%w/w、10%w/w〜99%w/w、11%w/w〜99%w/w、12%w/w〜99%w/w、13%w/w〜99%w/w、14%w/w〜99%w/wおよび15%w/w〜99%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜95%w/w、3%w/w〜95%w/w、4%w/w〜95%w/w、5%w/w〜95%w/w、6%w/w〜95%w/w、7%w/w〜95%w/w、8%w/w〜95%w/w、9%w/w〜95%w/w、10%w/w〜95%w/w、11%w/w〜95%w/w、12%w/w〜95%w/w、13%w/w〜95%w/w、14%w/w〜95%w/wおよび15%w/w〜95%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜90%w/w、3%w/w〜90%w/w、4%w/w〜90%w/w、5%w/w〜90%w/w、6%w/w〜90%w/w、7%w/w〜90%w/w、8%w/w〜90%w/w、9%w/w〜90%w/w、10%w/w〜90%w/w、11%w/w〜90%w/w、12%w/w〜90%w/w、13%w/w〜90%w/w、14%w/w〜90%w/wおよび15%w/w〜90%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜80%w/w、3%w/w〜80%w/w、4%w/w〜80%w/w、5%w/w〜80%w/w、6%w/w〜80%w/w、7%w/w〜80%w/w、8%w/w〜80%w/w、9%w/w〜80%w/w、10%w/w〜80%w/w、11%w/w〜80%w/w、12%w/w〜80%w/w、13%w/w〜80%w/w、14%w/w〜80%w/wおよび15%w/w〜80%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜70%w/w、3%w/w〜70%w/w、4%w/w〜70%w/w、5%w/w〜70%w/w、6%w/w〜70%w/w、7%w/w〜70%w/w、8%w/w〜70%w/w、9%w/w〜70%w/w、10%w/w〜70%w/w、11%w/w〜70%w/w、12%w/w〜70%w/w、13%w/w〜70%w/w、14%w/w〜70%w/wおよび15%w/w〜70%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜65%w/w、3%w/w〜65%w/w、4%w/w〜65%w/w、5%w/w〜65%w/w、6%w/w〜65%w/w、7%w/w〜65%w/w、8%w/w〜65%w/w、9%w/w〜65%w/w、10%w/w〜65%w/w、11%w/w〜65%w/w、12%w/w〜65%w/w、13%w/w〜65%w/w、14%w/w〜65%w/wおよび15%w/w〜65%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜60%w/w、3%w/w〜60%w/w、4%w/w〜60%w/w、5%w/w〜60%w/w、6%w/w〜60%w/w、7%w/w〜60%w/w、8%w/w〜60%w/w、9%w/w〜60%w/w、10%w/w〜60%w/w、11%w/w〜60%w/w、12%w/w〜60%w/w、13%w/w〜60%w/w、14%w/w〜60%w/wおよび15%w/w〜60%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜50%w/w、3%w/w〜50%w/w、4%w/w〜50%w/w、5%w/w〜50%w/w、6%w/w〜50%w/w、7%w/w〜50%w/w、8%w/w〜50%w/w、9%w/w〜50%w/w、10%w/w〜50%w/w、11%w/w〜50%w/w、12%w/w〜50%w/w、13%w/w〜50%w/w、14%w/w〜50%w/wおよび15%w/w〜50%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜40%w/w、3%w/w〜40%w/w、4%w/w〜40%w/w、5%w/w〜40%w/w、6%w/w〜40%w/w、7%w/w〜40%w/w、8%w/w〜40%w/w、9%w/w〜40%w/w、10%w/w〜40%w/w、11%w/w〜40%w/w、12%w/w〜40%w/w、13%w/w〜40%w/w、14%w/w〜40%w/wおよび15%w/w〜40%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜30%w/w、3%w/w〜30%w/w、4%w/w〜30%w/w、5%w/w〜30%w/w、6%w/w〜30%w/w、7%w/w〜30%w/w、8%w/w〜30%w/w、9%w/w〜30%w/w、10%w/w〜30%w/w、11%w/w〜30%w/w、12%w/w〜30%w/w、13%w/w〜30%w/w、14%w/w〜30%w/wおよび15%w/w〜30%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
ある種の実施形態では、本局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの濃度は、1%w/w、2%w/w〜20%w/w、3%w/w〜20%w/w、4%w/w〜20%w/w、5%w/w〜20%w/w、6%w/w〜20%w/w、7%w/w〜20%w/w、8%w/w〜20%w/w、9%w/w〜20%w/w、10%w/w〜20%w/w、11%w/w〜20%w/w、12%w/w〜20%w/w、13%w/w〜20%w/w、14%w/w〜20%w/wおよび15%w/w〜20%w/wからなる群から選択される範囲内とすることができる。
他の薬剤
2−(2−エトキシエトキシ)エタノールは、皮膚の外観および/または潤いを改善することができる、さらなる活性部分を有する組成物に配合され得る。さらに、本発明の組成物は、ざ瘡の処置のために、他の局所的に適用される鎮痛剤、および/または全身的に利用可能な薬剤と組み合わせて使用することができる。
しかし、多くの場合、本医薬組成物は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールおよび好適な溶媒からなる、またはこれらから本質的になる。したがって、本組成物は、ざ瘡または他の状態を処置するための従来の活性成分を含まない。すなわち、本発明の組成物中の唯一の活性成分は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールである。したがって、本発明は、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、および1種もしくは複数種の薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む、医薬組成物であって、非2−(2−エトキシエトキシ)エタノール活性医薬成分を含まない、医薬組成物を提供する。
したがって、ある種の場合、本組成物は、以下:ルフィン、シクラゾシン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルフィセプチン、メペリジン、チフルアドム(trifluadom)、ベンゼンアセトアミン、ジアシルアセトアミド、ベンゾモルファン、アルカロイド、ペプチド、フェナントレン、および薬学的に許容されるそれらの塩、プロドラッグまたは誘導体のうちの1つまたは複数を含まない。存在しない化合物の具体例は、以下のうちの1つまたは複数を含む:モルフィン、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシンおよびナルブフィンが含まれる。本明細書においてオピオイド剤の文脈に使用される場合、「薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび誘導体」とは、例えば、酸もしくはその塩基塩を作製することにより、または化合物に存在する官能基を、決まった手順の操作もしくはin vivoのどちらかで修飾が開裂して鎮痛活性な親化合物を生じるように修飾することにより改変された、オピオイド鎮痛性化合物の誘導体を指す。例には、以下に限定されないが、アミンなどの酸性残基の無機塩もしくは有機塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリもしくは有機塩、すなわち酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、酒石酸塩および安息香酸誘導体などが含まれる。具体的に上で言及されているものを含めた、好適なオピオイド鎮痛剤はまた、GoodmanおよびGilman、前記文献、28章、521〜555頁にも記載されている。
ある種の場合、組成物は、以下のうちの1つまたは複数を含んでいない:レチノイド系(トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸およびレチノールなど);サリチル酸;レゾルシノール;スルファセタミド;ウレア;イミダゾール系(ケトコナゾールおよびエルビオールなど);エッセンシャルオイル;アルファ−ビサボロール;グリチルリチン酸ジカリウム;樟脳;ベータ−グルカン;アラントイン;ナツシロギク;フラボノイド系(ダイズイソフラボンなど);ノコギリパルメット;キレート剤(EDTAなど);リパーゼ阻害剤(銀および銅イオンなど);植物タンパク質加水分解物;塩化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオンである無機イオン、およびそれらの非イオン性誘導体、すなわち塩素、ヨウ素、フッ素;合成リン脂質および天然リン脂質;ステロイド系抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン アルファ−メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デゾニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフルオラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド(fluosinolone acetonide)、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、アムシナフェル(amciafel)、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、二プロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロン、一プロピオン酸フルチカゾン、フルチカゾンフロエート、モメタゾンフロエート、ブデソニド、シクレソニドなど)ならびにそれらの塩およびプロドラッグ;非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(イブプロフェン、ナプロキセン、サリチル酸、ケトプロフェン、ヘトプロフェン(hetprofen)およびジクロフェナクを含めた、COX阻害剤、LOX阻害剤、p38キナーゼ阻害剤など);疼痛および掻痒を処置するための鎮痛性活性剤(サリチル酸メチル、メントール、サリチル酸トロラミン、カプサイシン、リドカイン、ベンゾカイン、プラモキシン塩酸塩およびヒドロコルチゾンなど);抗生剤(ムピロシン、ネオマイシン硫酸塩バシトラシン、ポリミキシンB、1−オフロキサシン、リン酸クリンダマイシン、ゲンタミシン硫酸塩、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、四級アンモニウム化合物、ティ−ツリー油、テトラサイクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシンなど);免疫抑制剤(シクロスポリンおよびサイトカイン合成阻害剤、テトラサイクリン、ミノサイクリンおよびドキシサイクリンなど)、またはそれらの任意の組合せ。
ある種の場合、本組成物は、長期間にわたりそれほど有効ではない場合、鎮痛剤が十分に有効になるまで、一層迅速な疼痛緩和レベルをもたらすことができる、キシロカイン、コカイン、リドカイン、ベンゾカインなどのうちの1つまたは複数を含んでいない。
ある種の場合、本組成物はデキストロメトルファンを含まない。
ある種の場合、本明細書に記載の医薬組成物は、ざ瘡を処置するために、以下の薬剤:レチノイド系(トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸およびレチノールなど);サリチル酸;レゾルシノール;スルファセタミド;ウレア;イミダゾール系(ケトコナゾールおよびエルビオールなど);エッセンシャルオイル;アルファ−ビサボロール;グリチルリチン酸ジカリウム;樟脳;ベータ−グルカン;アラントイン;ナツシロギク;フラボノイド系(ダイズイソフラボンなど);ノコギリパルメット;キレート剤(EDTAなど);リパーゼ阻害剤(銀および銅イオンなど);植物タンパク質加水分解物;塩化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオンである無機イオン、およびそれらの非イオン性誘導体、すなわち塩素、ヨウ素、フッ素;合成リン脂質および天然リン脂質;ステロイド系抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン アルファ−メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デゾニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフルオラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、二プロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロン、一プロピオン酸フルチカゾン、フルチカゾンフロエート、モメタゾンフロエート、ブデソニド、シクレソニドなど)ならびにそれらの塩およびプロドラッグ;非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(イブプロフェン、ナプロキセン、サリチル酸、ケトプロフェン、ヘトプロフェンおよびジクロフェナクを含めた、COX阻害剤、LOX阻害剤、p38キナーゼ阻害剤など);疼痛および掻痒を処置するための鎮痛性活性剤(サリチル酸メチル、メントール、サリチル酸トロラミン、カプサイシン、リドカイン、ベンゾカイン、プラモキシン塩酸塩およびヒドロコルチゾンなど);抗生剤(ムピロシン、ネオマイシン硫酸塩バシトラシン、ポリミキシンB、1−オフロキサシン、リン酸クリンダマイシン、ゲンタミシン硫酸塩、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、四級アンモニウム化合物、ティ−ツリー油、テトラサイクリン、クリンダマイシン、エリトロマイシンなど);免疫抑制剤(シクロスポリンおよびサイトカイン合成阻害剤、テトラサイクリン、ミノサイクリンおよびドキシサイクリンなど)、またはそれらの任意の組合せのうちの1部または全部を含んでいない。
ざ瘡の処置および治療法
ある種の実施形態では、本明細書に記載されている組成物による2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの局所適用は、ざ瘡の出現率および/または重症度を低減することが期待される。本発明の治療作用には、以下に限定されないが、赤みの軽減、脂性、掻痒、疼痛または刺激の低下、腫れ物、丘疹、水膨れまたは膿疱の軽減、感染の低下、腫れ、ひび割れ、滲出、かさぶた形成および鱗屑の低下、ならびに/または炎症の一般的な低下が含まれる。
ある種の実施形態では、本明細書に記載されている組成物による2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの局所適用は、ざ瘡の症状を改善することが期待される。
用語「改善する」は、本発明が、供給、適用または投与された組織の外観、形態、特徴および/または物理的特質のいずれかを変化させることを表現するために使用される。形態の変化には、以下:皮膚の外観の増強;皮膚の炎症低下、炎症または水膨れの予防、皮膚の脂性の低下、水膨れの拡散の低下、皮膚の潰瘍形成の低減、赤みの低減、瘢痕化の低減、病変の低下、水膨れの治癒、皮膚の肥厚化の低減、創傷および病変の封鎖、以下に限定されないが、疼痛、炎症、掻痒、稗粒腫、もしくは炎症状態などに伴う他の症状を含む症状の低下を単独で、または組み合わせてのいずれかによって実証され得る。
処置は、皮膚の治癒の改善をもたらすことができる。例えば、ざ瘡の処置に使用されると、皮膚の腫れ、ひび割れまたは鱗屑は、未処置のまま放置した場合と比べて、一層迅速におよび/または完全に治癒することがある。
処置は、1つまたは複数の治療作用をもたらすことができる。罹患エリアにおける治療作用には、以下に限定されないが、赤み、掻痒、疼痛または刺激、ざ瘡の病変の数および重症度の低下、感染の低下、腫れ、ひび割れ、滲出、かさぶた形成および鱗屑の低下、ならびに/または炎症の一般的な低下が含まれる。本発明による処置が好適な状態のいずれかに行われると、これらの治療作用のうちの1つまたは複数が観察されることが期待される。
一態様では、本開示は、局所2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを使用する、ざ瘡を処置する方法を対象としている。ある種の実施形態によれば、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを含有する局所用組成物は、ざ瘡に罹患したエリアに局所的に好ましくは適用される。好ましくは、ある種の実施形態による2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの適用により、赤み、掻痒、疼痛または刺激の低下、腫れ物、丘疹、水膨れまたは膿疱の軽減、感染の低下、皮膚におけるコラーゲンおよびエラスチンがそれほど機能停止しないことおよび喪失されないこと、腫れ、ひび割れ、滲出、かさぶた形成および鱗屑の低下、および/または炎症の一般的な低下がもたらされる。
したがって、本発明は、そのような処置を必要とする患者において、ざ瘡を処置または予防するための方法であって、予防有効量または治療有効量の本発明による医薬組成物を局所投与するステップを含む方法を提供する。
本発明は、それを必要とする患者における、ざ瘡の予防または処置のための、本発明による局所用医薬組成物を製造する、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールおよび第1の溶媒、好ましくはシロキサンの使用をさらに提供する。
本発明は、ざ瘡の局所処置または予防に使用するための、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールをさらに提供する。
医薬組成物
本発明の組成物のある種の実施形態は、任意の局所的に許容される、非経皮的に有効な担体ビヒクルを含む。好ましい局所的に許容されるビヒクルには、以下に限定されないが、ゲル、軟膏および液体が含まれる。好ましい実施形態の投与は、選択された局所的に許容される形態に最も順応する様式に従って行われる。例えば、ゲル、ローション、クリームおよび軟膏は、広げるによって好ましくは投与される。
局所用組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの希釈は、重要な考慮事項となり得る。組成物中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノール濃度は、患者が組成物を乾燥させるのに過度に長時間、待つ必要がない程度に高くあるべきである。一方、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール濃度は、患者が罹患エリアの有効範囲を実現することができるほど十分に希釈されているべきである。さらに、本組成物は、空気または紫外線照射への曝露に応答して、重合する構成成分を含むことができる。
適用される組成物の量は、やはり、第1の溶媒(例えば、シロキサン)、第2の溶媒(例えば、低分子量アルコール)、残留溶媒(例えば、脂肪族アルコールおよび/またはアルキルPEG/PPGエーテル)の選択に応じて様々になるであろう。例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールが、薬物の溶液を噴霧により投与される場合、単回用量中の全量は、0.1mlと少なくてもよい。2−(2−エトキシエトキシ)エタノールがゲルまたはクリーム中で投与される場合、その全量は、10mlと多くてもよい。反対に、ざ瘡が、散在した病変を含む場合、各病変に適用される量は、一層少なくてもよい。選択される担体、およびその適用方法は、患者の必要性、および投与する医師の好みを考慮して、好ましくは選択される。
好ましい一実施形態では、本組成物は、罹患エリア上にゲルを広げることによって、好ましくは投与されるゲルを含む。他の好ましい実施形態では、本組成物は、液体を含み、この液体は、噴霧によって、またはそうでない場合、罹患エリア上に液体を適用することによって投与することができる。本組成物は、水を含有してもよく、または水を含有しなくてもよい。好ましくは、本組成物は、水を含有していない。すなわち、非水性である。
本明細書に記載されている適用される2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの量。一般に、5〜100cm2のエリアに、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを0.1〜200mgとなる治療当量の量が適用されるのが好ましい。
ある種の実施形態によれば、本組成物は、軽減が得られるまで、罹患エリアに定期的に適用される。好ましい一実施形態では、本組成物は、1時間ごと、2時間ごと、3時間ごと、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、毎週1回、毎週2回、2週間に1回、および毎月1回からなる群から選択される投与レジメンを使用して、そのような処置を必要とする患者の皮膚に投与される。しかし、本発明により、他の適用スケジュールが利用されてもよい。
ある種の実施形態では、本発明の組成物は、以下に限定されないが、液体またはゲル、リーブオン調製物(leave−on preparation)、ウォッシュオフ調製物(wash−off preparation)を含む群から選択される形態で提供され得る。
一実施形態では、本組成物は不純物を含み、該組成物の総重量の百分率としての不純物の量は、20%未満の不純物(組成物の総重量基準);15%未満の不純物、10%未満の不純物、8%未満の不純物、5%未満の不純物、4%未満の不純物、3%未満の不純物、2%未満の不純物、1%未満の不純物、0.5%未満の不純物、0.1%未満の不純物からなる群から選択される。一実施形態では、本組成物は、微生物不純物または二次代謝産物を含み、該組成物の総重量の百分率としての微生物不純物の量は、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満からなる群から選択される。一実施形態では、本組成物は無菌であり、密封して滅菌した容器中で保管される。一実施形態では、本組成物は、検出可能レベルの微生物汚染物を含有していない。
定義
本明細書中の以下の定義は、限定的な意味というよりはむしろ、例示的に解釈されるよう意図されている。したがって、それらの定義は、包括的に解釈されるべきであり、列挙されている具体的な定義に限定されること意図するものではない。
アンタゴニスト:受容体の機能的特性を増強もしないし、刺激もしないが、アゴニストによるそのような作用を遮断する化合物。
帯具:罹患エリアを覆うために使用される包帯。
中枢神経系:脳および脊髄。
皮膚の(dermal):真皮に関連するもの。
包帯コンバイン(Dressing combine):温熱および保護をもたらして、切開部または創傷部から排出することがある多量の液体を吸収するよう設計されている。吸収性ティッシュを備えるまたは備えていない繊維を取り囲む、不織布の覆いからなる。
炎症:局所部位における赤み、熱、腫れおよび疼痛を特徴とする、免疫系が媒介する過程。
哺乳動物:毛髪、3つの中耳骨および乳腺を有する脊椎動物。哺乳動物には、ヒトが含まれる。
皮膚:動物の身体の外部の覆い。哺乳動物の皮膚は、以下の3層:(i)ケラチノサイト、ならびに少数のメラノサイトおよびランゲルハンス細胞(抗原提示細胞)から主に構成されている表皮層、(ii)神経末端、汗腺および脂(皮脂)腺、毛包および血管を含んでおり、線維芽細胞から主に構成されている真皮層、および(iii)より深い皮下の脂肪および結合組織からなる皮下組織層を含む。表皮自体は、時として基底膜と呼ばれる、2つの層、すなわち外側角質層および内側表皮基底層から構成されている。角質層の目的は、感染、脱水、化学物質および機械的ストレスから下部組織を保護するための障壁を形成することである。
治療有効量:治療作用をもたらすのに必要な量。
経皮:真皮の通過。
一般
本明細書の全体を通して、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、「を含む(comprise)」の語、または「を含む(comprises)」または「を含んでいる(comprising)」などの変化形は、明示した整数または整数の群を含むことを意味するが、他のいかなる整数または整数の群を除外することを意味するものではないと理解される。
本明細書において使用されている選択された用語の他の定義が、発明を実施するための形態に見出すことができ、全体を通して、これが該当する。特に定義されない限り、本明細書において使用される他の科学的および技術的用語はすべて、発明が属する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
当業者は、本明細書に記載されている発明が、具体的に記載されているもの以外の変形および改変を受け易いことを認識しているであろう。本発明は、このような変形および改変をすべて含む。本発明はまた、本明細書に言及されている、または示されている工程、特徴、製剤および化合物のすべてを、個別にもしくはまとめて、ならびに任意の組合せおよびすべての組合せ、あるいは工程もしくは特徴のいずれか2つまたはそれより多くを含む。
本文に引用されている文書、参照文献、特許出願または特許はそれぞれ、その全体が本明細書に参照により明示的に組み込まれており、このことは、本文の一部として読者によって一読および考慮されるべきであることを意味する。本文に引用されている文書、参照文献、特許出願または特許が、本文に繰り返されていないことは、簡潔さが理由であるに過ぎない。
本明細書において言及されている、または参照により本明細書に組み込まれている任意の文書中の任意の製品に関する任意の製造業者の指示書、説明、製品の規格、および製品シートは、参照により本明細書に組み込まれており、本発明の実施に使用することができる。
本明細書に記載されている発明は、1つまたは複数の範囲の値(例えば濃度)を含むことができる。値の範囲は、この範囲を規定する値、および範囲に対する境界を規定する値に直に接する値と同じ、または実質的に同じ転帰をもたらす範囲に接する値を含めた、範囲内のすべての値を含むことが理解されよう。
以下の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、本開示の残りを決して限定するものではない。これらの実施例は、単に本発明を例示するために含まれているに過ぎない。それらの実施例は、上で述べられている本発明の幅広い要約、開示または説明に関する限定として理解されるべきではない。当業者は、さらに精査することなく、上述の説明を使用して、本発明をその最も幅広い程度まで利用することができると考えられる。上述および以下の実施例において、温度はすべて、摂氏度で補正しないで記載されており、特に示さない限り、すべての部および百分率は、重量基準である。
本発明のさらなる特徴は、そのいくつかの非限定的な実施形態の以下の説明に一層、十分に記載されている。この説明は、本発明を例示するために単に含まれているに過ぎない。この説明は、上で述べられている本発明の幅広い要約、開示または説明に関する限定として理解されるべきではない。
(実施例1)
2−(2−エトキシエトキシ)エタノールを含有する組成物の透過性を確認するための実施例技法。
ヒト皮膚の透過性は、数十年間、研究されてきた。皮膚は、2つの主な層、すなわち外側の表皮および内側の真皮からなる。表皮の最外の10〜20μmとなる角質層(「SC」)は、大部分の薬物の経皮送達に対して、皮膚の優れた拡散抵抗性を担っている。皮膚の酵素活性の大部分は、生存可能な表皮の基底細胞層にある。繊維性コラーゲンは、真皮の主要な構造上の構成成分である。皮膚の血管構造は、このコラーゲンにより支持されており、表皮下の数ミクロンに存在している。基本的に、ここで浸透は終わり、全身的取り込みが始まる。多くの研究者が、皮膚浸透剤の物理化学的パラメーター(分子量、分子体積、親油性、水素結合の可能性、極性など)に基づいて、皮膚透過性の関係を開発してきた。しかし、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの経皮投与に対処する場合、これらの皮膚浸透性の関係には、極度の親油性と同時に起こる代謝という潜在的な複合事象を考慮して修正する必要がある。
表皮および真皮に送達するための2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの選択および最適化には、その皮膚の代謝を理解することが必要である。さらに、局所の皮膚代謝のin vivoでの研究は、血液、肝臓または他の組織での代謝と容易に区別することができないので、皮膚の代謝は、in vitroで良好に研究される。しかし、このようないずれのin vitro研究の成功も、とりわけ、組織での生存率を維持する際の、in vivo条件を模倣する理想的な条件を見出すことに大きく依存する。したがって、最適なレシーバー溶液の選択は、任意のこのようなin vitro研究の成功に重要である。
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイは、試料中の2−(2−エトキシエトキシ)エタノールの分析に使用することができる。適切なHPLCシステムは、Waters717およびオートサンプラー、Waters1525バイナリーHPLCポンプ、ならびにWaters Breezeソフトウェアを備えたWaters2487デュアルA吸光度検出器からなることができる。C−18逆相7μmガードカラム(15×3.2mm)を装備したBrown−lee C−18逆相Spheri−5μmカラム(220×4.6mm)を、215nmの波長に設定したUV検出器と共に使用することができる。移動相は、アセトニトリル:25mMリン酸緩衝液(0.1%のトリエチルアミンを含む、pH3.0)(80:20)から構成することができる。移動相の適切な流量は1.5mLであり、100μLの試料をカラムに注入する。
PermeGearフロースルー(インライン、Riegelsville、Pa.)拡散セルシステムが、皮膚浸透の研究に適切である。経皮水分喪失量は、セル中に皮膚を固定した後に測定することができる(Evaporimeter EPl(商標)、ServoMed、Sweden)。10g/m2/時未満の読取り値を有する皮膚片を拡散研究に使用する。拡散セル中の皮膚表面は、循環水浴を用いて32℃に維持する。適切なレシーバー溶液は、40%ポリエチレングリコール400を含有する、ゲンタマイシン(微生物成長を阻害するため)を含むHEPES緩衝化Hanks平衡塩(pH7.4)とし、流速は、1.1mL/時に調節した。過剰量のCBDを、10分間、超音波照射した、6%v/vで浸透促進剤を含むおよび含まないドナー用ビヒクル(プロピレングリコール:Hanksの緩衝液(80:20))溶液に加え、次に、皮膚に適用する。ドナービヒクル中の薬物の化学電位を極大かつ一定に維持するため、過剰量の薬物を、拡散実験全体において、ドナー用コンパートメントに使用する。各セルに個々の薬物溶液0.25mLを適切に投入する。試料を48時間、6時間刻みで適切に採取する。試料はすべて、HPLC分析まで4℃に適切に保管する。
皮膚試料中の薬物の位置は、48時間の実験の終了時に測定する。皮膚組織をnanopure水により洗い、ペーパータオルで拭き取る。表面に付着している薬物製剤を除去するため、ブック用テープ(Scotch(登録商標)、3M、St.Paul、Minn.)を使用して、2回、皮膚をテープストリップ(tape strip)する。薬物に接触している皮膚を切除し、外科用メスを使用して小さく切り、予め秤量したバイアルに入れる。薬物は、振とう水浴中、室温で、ACN10mLと一晩、平衡にすることにより皮膚から抽出する。試料をHPLCにより分析して、CBD含量を湿潤組織重量1グラムあたりの薬物のマイクロモル(μm)数で決定する。SigmaStat2.03を使用して、in vitroでのヒト皮膚浸透度データの統計解析を行うことができる。様々な処置間で、Tukey事後検定によるANOVA一元配置分散分析を使用して、統計学的差異を検定することができる。
(実施例2)
脂性皮膚を有する患者における、正常な皮膚の洗浄と比べた、BTX1701溶液による、皮膚表面の脂の低下を評価するためのスプリットフェイス研究。
この研究の目的は、皮膚の写真の分析により測定した、脂性皮膚を有する対象において、BTX1701溶液が皮膚表面の脂およびテカテカ感を低下することができる能力を決定することである。
方法
対象は、本研究に参加する適格性を判定するためのスクリーニングを開始する。人口統計学的特性、身長、体重および併用医薬を採取する。この研究は、18〜65歳(これらの年齢を含む)の間の男性および女性の参加者を含んだ。対象は、セブメーターを用いて測定すると、皮脂が≧150μg/cm2/時により規定される、脂性皮膚を有するべきである。対象は、日焼け、肌の色合いのむら、入れ墨、瘢痕、多毛、そばかす、母斑、ほくろも、顔面の皮膚を評価することができないと思われる他の皮膚損傷および異常も有さないべきである。対象はまた、以下に限定されないが、アトピー性皮膚炎、口囲皮膚炎または酒さなど、脂性皮膚以外の顔面の皮膚状態をなんら有さないべきである。軽度のざ瘡は許容される。
セブメーターを使用して、前額部の皮膚の脂性のレベルをアセスメントする。適格性基準の点検を行う。
対象が適格である場合、スクリーニングのための訪問後の5日以内、および24時間以上に、処置のための訪問を行う。いかなる処置の前に、Canfield VISIA−CRシステムを使用して、顔面の写真を得る。対象は、顔面の右側または左側のどちらか一方を交互(すなわち、左、右、左、右、左)に、BTX1701による処置を受ける。対側をCetaphil(登録商標)Daily Facial Cleanserにより洗浄する。研究施設の職員は、BTX1701を適用して、供給された処置用パッドにより顔面を洗浄する。
処置後に、処置後の30分時、および1、2、3および4時間時に、対象の顔面の写真を得る。
皮膚忍容性アセスメントも、処置後の30分時および4時間時に得る。有害事象は、処置後、4時間の期間にわたりモニタリングする。
処置後の4時間時の写真の終了後、対象は、研究から解放される。
研究施設は、Courage+Khazaka Electronic GmbH(Koln、Germany)により製造されたSebumeter(登録商標)SM815を使用する。SERを測定する前に、対象は、30分間、周囲環境にまず順応する。次に、臨床職員は、70%のイソプロピルアルコールを用いて対象の前額部を拭き、このエリアを5分間、乾燥させる。1時間の皮脂収集期間の後、セブメーター測定を行う。施設をテンプレートに応じて、3つの区分に分ける。各区分から、1回の測定を行い、場所は、その参加者および記録された平均測定値に関して略図に印を付ける。
対象は、臨床施設職員により行われる臨床施設において、1日目に調査製品の適用を受ける。3mLの調査製品をパッド上に分注する。臨床施設職員は、次に、この調査製品を顔面の一方の側に適用する。適用は、登録済みの各対象に対して、顔面の一方の側から他方の側に入れ替える(すなわち、対象001の場合、左側に、対象002の場合、右側に、対象003の場合、左側になど)。調査製品は、各適用に関して一貫した方法で適用されるべきである。適用は以下の順序で続く:
1.前額部
2.頬から顎までのライン
3.鼻
4.上唇
5.下頬から顎までのライン
安全性アセスメント
安全性は、有害事象の報告および皮膚忍容性アセスメントの収集によりアセスメントする。研究中に起こる、処置中に発生した有害事象(TEAE)はすべて、対象によって記録して列挙する。処置中に発生した有害事象とは、研究医薬の最初の適用時またはその後に発症したそのようなAEである。報告されたTEAE、すなわち、対象が報告した事象の数、重症度、調査製品との関連性および深刻度はすべて、処置された顔面の側(BTX1701または洗浄液)毎にまとめる。重症な有害事象(SAE)は、対象によって列挙される。
対象は、調査製品による処置後に、皮膚忍容性に関してモニタリングされる。皮膚忍容性アセスメントは、研究責任医師主任、または適切に訓練を受けた設計者により行われる。皮膚忍容性の徴候および症状は、以下のスケール:0、なし;1、わずか;2、中等度;3、重度を使用してグレード付けする。
各評価において、以下に関する評価、およびそのグレード付けを行う。
・ 紅斑
・ 鱗屑
・ 乾燥
・ ヒリヒリ感/刺感、および
・ 刺激物/アレルギー性接触皮膚炎
皮膚の脂性、テカテカ感、および蛍光画像
ベースラインの写真から、有資格画像解析技術者(IAT)が、対象の左、右および前面の視野画像上で、目的のエリア(AOI)を図で描く。この対象のすべての経過観察画像を、ベースライン画像に関して弾性的に登録するか、またはベースラインの描かれたAOIを、すべての時間点にわたり同じ分析エリアを維持するよう、対象のすべての経過観察画像を登録するかのどちらかを行う。登録中に、IATは、AOIを調節して、妨害および干渉が確実に含まれないようにしてもよい。
次に、ある時間点および図に関して対象の交差および並行偏光画像を組み合わせたものを、AOI内の皮膚の銀色/白色の反射領域および均質な光沢領域を特定するための自動アルゴリズムにより解析する。このアルゴリズムは、両方の領域に対して、合計面積および平均/メジアン強度測定値を報告する。銀色/白色の反射領域から得た測定値は、テカテカ感について評価する一方、均質な光沢領域に由来するものは、皮膚表面の脂性を評価する。対応する時間点、および対象の蛍光画像の図を解析するために、同じAOIを使用する。黄緑色の蛍光スポットは、コプロポルフィリンIII蛍光として検出される一方、赤色の蛍光スポットは、プロトポルフィリンIX蛍光として検出される。このアルゴリズムは、両方の蛍光シグナルに対して、スポットの総数、総面積および平均/メジアン強度を報告する。黄緑色の蛍光スポットから得られる測定値は、P.acnes細菌の分布およびコロニー形成の指標として評価する一方、赤色の蛍光スポットからの測定値は、皮脂生成の指標として評価する。
統計解析
統計学的処理はすべて、特に明記しない限り、SAS(登録商標)を使用して行う。
処置前、ならびに処置後の30分時、1、2、3および4時間時に、対象の顔面の全体の写真を得る。処置は、顔面の一方の側へのBTX1701の適用、および顔面の対側への洗顔液による洗浄として定義する。
各時間点において、テカテカ感および脂性に関して写真を解析する。皮膚の銀色/白色の反射エリアは、テカテカ感として/テカテカ感について評価する一方、ほとんど均質な光沢を有するエリアは、脂性として/脂性に関して評価する。蛍光画像は、緑−黄色(コプロポルフィリンIII)および赤色(プロトポルフィリンIX)蛍光シグナルの測定値に関して解析する。
人口統計学的特性は、年齢、性別、人種、民族性、身長および体重により要約する。連続変数に関すると、平均値、標準偏差(SD)、メジアンおよび範囲は、95%の信頼区間(CI)と共に提示する。カテゴリー変数は、95%のCIと共に比率によってまとめる。
Canfieldの専用写真装置によりアセスメントすると、BTX1701溶液が、顔面の脂性およびテカテカ感を軽減する能力の区別を決定するために、5名の対象の試料が適切であると考えられる。
前述の実施例から、本発明によるtranscutolを使用すると、ざ瘡の処置および/またはその治癒の改善することができることが期待される。一般に、本発明による処置によって、治癒期間の短縮がもたらされる。