JP2020504106A - 標的投与のための放射性標識物質 - Google Patents

標的投与のための放射性標識物質 Download PDF

Info

Publication number
JP2020504106A
JP2020504106A JP2019532931A JP2019532931A JP2020504106A JP 2020504106 A JP2020504106 A JP 2020504106A JP 2019532931 A JP2019532931 A JP 2019532931A JP 2019532931 A JP2019532931 A JP 2019532931A JP 2020504106 A JP2020504106 A JP 2020504106A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radiolabeled substance
substance according
polymer
microspheres
radioisotope
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019532931A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020504106A5 (ja
JP7128528B2 (ja
Inventor
ウェントワース スティーブンズ ロス
ウェントワース スティーブンズ ロス
デイビッド トレッドウェル グレゴリー
デイビッド トレッドウェル グレゴリー
ジョアン ノックス カレン
ジョアン ノックス カレン
アンドリュー フィリップ リー
アンドリュー フィリップ リー
グリーンリーズ レベッカ
グリーンリーズ レベッカ
ビーティー キーラ
ビーティー キーラ
Original Assignee
ジ・オーストラリアン・ナショナル・ユニバーシティー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from AU2016905219A external-priority patent/AU2016905219A0/en
Application filed by ジ・オーストラリアン・ナショナル・ユニバーシティー filed Critical ジ・オーストラリアン・ナショナル・ユニバーシティー
Publication of JP2020504106A publication Critical patent/JP2020504106A/ja
Publication of JP2020504106A5 publication Critical patent/JP2020504106A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7128528B2 publication Critical patent/JP7128528B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/02Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by the carrier, i.e. characterised by the agent or material covalently linked or complexing the radioactive nucleus
    • A61K51/04Organic compounds
    • A61K51/06Macromolecular compounds, carriers being organic macromolecular compounds, i.e. organic oligomeric, polymeric, dendrimeric molecules
    • A61K51/065Macromolecular compounds, carriers being organic macromolecular compounds, i.e. organic oligomeric, polymeric, dendrimeric molecules conjugates with carriers being macromolecules
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/12Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by a special physical form, e.g. emulsion, microcapsules, liposomes, characterized by a special physical form, e.g. emulsions, dispersions, microcapsules
    • A61K51/1241Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by a special physical form, e.g. emulsion, microcapsules, liposomes, characterized by a special physical form, e.g. emulsions, dispersions, microcapsules particles, powders, lyophilizates, adsorbates, e.g. polymers or resins for adsorption or ion-exchange resins
    • A61K51/1244Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by a special physical form, e.g. emulsion, microcapsules, liposomes, characterized by a special physical form, e.g. emulsions, dispersions, microcapsules particles, powders, lyophilizates, adsorbates, e.g. polymers or resins for adsorption or ion-exchange resins microparticles or nanoparticles, e.g. polymeric nanoparticles
    • A61K51/1251Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by a special physical form, e.g. emulsion, microcapsules, liposomes, characterized by a special physical form, e.g. emulsions, dispersions, microcapsules particles, powders, lyophilizates, adsorbates, e.g. polymers or resins for adsorption or ion-exchange resins microparticles or nanoparticles, e.g. polymeric nanoparticles micro- or nanospheres, micro- or nanobeads, micro- or nanocapsules
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/12Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by a special physical form, e.g. emulsion, microcapsules, liposomes, characterized by a special physical form, e.g. emulsions, dispersions, microcapsules
    • A61K51/1282Devices used in vivo and carrying the radioactive therapeutic or diagnostic agent, therapeutic or in vivo diagnostic kits, stents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

本発明は、放射性標識物質であって、ポリマー、放射性同位体、および固定化剤を含み、固定化剤がポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化することができ、固定化剤が複数のペンダント金属キレート化側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である放射性標識物質に関する。本発明はまた、放射性標識物質を作製するためのプロセス、癌の治療および/または放射線画像化のための医薬の調製のための放射性標識物質の使用、ならびに癌治療における放射性標識物質の使用に関する。ポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化するための固定化剤の使用をさらに記載する。【選択図】図1

Description

本発明は、医学的用途で用いる放射性標識物質(放射性標識されたポリマーなど)の調製に関する。特に、本発明は、局所性の標的照射療法および放射性画像化における放射性標識物質の使用に関する。
放射性物質の局所投与を、癌、特に、手術のみでは首尾よく治療することが困難な癌のための治療として使用することができる。放射性物質を微粒子、シード、およびワイヤなどのデバイスに組み込み、癌に直接移植する。
選択的内部照射療法(SIRT)は、放射線治療の一形態であり、腫瘍に血液を供給する動脈に放射性物質のミクロスフェアを注射する工程を含む。
例えば、樹脂ベースの「SIR−spheres(登録商標)」(SIR−spheres(登録商標)は、Sirtex SIR−Spheres Pty Ltdの登録商標である)ミクロスフェアは、90Y同位体を保有し、SIRTのために使用される。SIR−spheres(登録商標)は、特に肝臓癌の治療において適用されている。90Yは、半径1〜2mm以内の腫瘍細胞を死滅させるので、β線治療に非常に適切である。しかし、β線は画像化が非常に困難である。制動放射線画像化(β崩壊中に生成された粒子が組織内の他の荷電粒子によって偏向されたときの減速およびその後の運動エネルギー損失によって生成された光子を使用する)は、同位体の実際の存在位置を真に示しておらず、得られる画像が低解像度であるので、あまり正確ではない。したがって、放射線が標的臓器に首尾よく送達されたかどうかおよび送達の程度を確認することは困難であり得る。
SIR−spheres(登録商標)は、特に肝臓癌の治療において適用されている。治療への適用および画像化への適用の両方のために、他の標的臓器への放射性同位体の標的投与が依然として必要とされている。
肺癌は、全ての癌の中で最も侵襲性の高い癌の1つであり、5年生存率はわずかおよそ10%である。肺癌患者では手術は稀であり、いくつかの化学療法が利用可能であるにもかかわらず、肺癌治療の改善が依然として必要とされている。いくつかの他のタイプの癌は肺に転移するので、肺癌治療の改善が必要とされるさらなる理由となっている。しかし、上記で考察されるように、SIR−spheres(登録商標)は、画像化特性を欠くので、肺癌の治療に特に適切というわけではない。さらに、90Yは非常に高エネルギーの同位体であり、肝臓の場合ほどには肺に適していない。肺は、損傷後の再生能力をいくらか有する肝臓よりも照射に対する感受性が高い。
WO2009/129577号には、ポリ−D−リジン(PDL)コーティングしたTc−99mナノ粒子(FibrinLite)の投与が肺の血管網内に放射性標識を特異的に蓄積させるための有効な方法であり、したがって、上記血管網の画像化が可能であることを示していた。ポリ−D−リジン処置したTc−99m FibrinLiteは、肺診断/予後のための標的造影剤の一例である。しかし、Tc−99mはγ線画像化技術にのみ適しているので、これらのポリ−D−リジンコーティングしたTc−99mナノ粒子は、治療への適用に適していない。さらに、PDLコーティングしたFibrinLiteナノ粒子は、およそ3時間の半減期の間のみ肺内に保持される。3時間の半減期は造影剤には適切であるが、治療に適用するためには、治療線量の放射線を提供するためにより長期間にわたって放射性標識物質が肺内に保持される必要がある。
治療線量のβ線を送達させるためにより長い期間にわたって肺内に放射性標識を保持するための別の放射性標識および手段が依然として必要である。さらに、使用される粒子は、呼吸に影響を及ぼす塞栓症や閉塞症を引き起こしてはならない。
既存の処置は、以下の問題も引き起こす。
放射性元素は、しばしば、半減期が短く、放射性物質の製造と患者への投与との間に経過した時間により、放射能が有意に喪失し得る。これにより、放射性物質の製造ならびに病院および患者への輸送に関連する費用が高くなる。
デバイス上への放射性核種の保持が不完全であることにより、放射性核種が浸出し、非標的臓器に意図しない播種を招き得る。したがって、健康な組織よりも優先して標的器官に放射線を送達させるために、放射線の照射を可能な限り最大限に制御することが望ましい。
放射性物質は、しばしば、2つ以上の放射性元素よりもむしろ1つの特定の放射性元素しか収容できず、このことが治療プログラムの多用途性を制限し得る。
したがって、本発明の目的は、1つまたは複数の上記問題を克服する、癌、特に肺癌の治療のための放射性標識物質を提供することである。特に、その後の治療用ミクロスフェアの臓器分布をより正確に予想することができる方法を開発することが望ましい。さらに、治療用ミクロスフェアを投与する場合、治療の有効性および将来の治療の必要性を判断するために、患者の体内における正確な放射線被曝部位を判断するための信頼できる方法を有することが望ましい。
本発明の第1の態様では、放射性標識物質であって、
(i)ポリマー;
(ii)放射性同位体;および
(iii)固定化剤;
を含み、
ポリマーがアニオン性置換基を含む陽イオン交換樹脂であり;
固定化剤がポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化することができ、固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である放射性標識物質を提供する。
本発明の第2の態様では、
二重放射性標識物質であって、
(i)ポリマー;
(ii)第1の放射性同位体;
(iii)第2の放射性同位体;
(iv)第1の固定化剤;および
(v)第2の固定化剤;
を含み、
ポリマーがアニオン性置換基を含む陽イオン交換樹脂であり;
第1の固定化剤がポリマー上またはポリマー中に第1の放射性同位体を固定化することができ、第1の固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子であり;第2の固定化剤がポリマー上またはポリマー中に第2の放射性同位体を固定化することができ、第2の固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である二重放射性標識物質を提供する。
本発明の第3の態様では、二重放射性標識物質であって、
(i)ポリマー;
(ii)第1の放射性同位体;
(iii)第2の放射性同位体;および
(iv)固定化剤;
を含み、
ポリマーがアニオン性置換基を含む陽イオン交換樹脂であり;
固定化剤がポリマー上またはポリマー中の第1の放射性同位体および第2の放射性同位体を固定化することができ、固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である二重放射性標識物質を提供する。
本発明の第4の態様では、上記の第1の態様の放射性標識物質を作製するプロセスであって、
(i)上記の第1の態様のポリマーを上記の第1の態様の固定化剤と混合する工程;
(ii)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程;
(iii)第1の態様の放射性同位体をさらに添加する工程;および
(iv)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程
を含むプロセスを提供する。
上記のプロセス中の工程の順序は制限されておらず;工程の順序はまた、以下であり得る:
(i)上記の第1の態様のポリマーを上記の第1の態様の放射性同位体と混合する工程;
(ii)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程;
(iii)第1の態様の固定化剤をさらに添加する工程;および
(iv)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程。
本発明の第5の態様では、ポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化するための固定化剤の使用であって、固定化剤、放射性同位体、およびポリマーは、本発明の第1の態様の通りである使用を提供する。
本発明の第6の態様では、癌の治療および/または放射線画像化のための医薬の製造のための本発明の第1の態様の放射性標識物質または本発明の第2もしくは第3の態様の二重放射性標識物質の使用を提供する。
第7の態様では、本発明は、患者の放射線治療方法であって、上記患者に治療有効量の本発明の第1の態様の放射性標識物質または本発明の第2もしくは第3の態様の二重放射性標識物質を投与する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、放射線治療は、肺のための内部照射療法である。例えば、放射線治療は、原発性および/または転移性の肺腫瘍の治療のためのものである。
本発明の第6の態様では、癌を治療する方法であって、治療有効量の本発明の第1の態様の放射性標識物質または本発明の第2もしくは第3の態様の二重放射性標識物質を必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、癌は、原発性肉腫、原発性または続発性の黒色腫、原発性頭頸部癌、原発性または続発性の脳癌、原発性または続発性の肺癌、原発性または続発性の肝臓癌、原発性または続発性の乳癌、原発性または続発性の腎臓癌(腎癌)、原発性または続発性の卵巣癌、原発性または続発性の前立腺癌、または神経内分泌癌である。
一実施形態では、癌は、原発性または続発性の肺癌である。
本発明の第7の態様では、本発明の第1の態様の放射性標識物質または本発明の第2もしくは第3の態様の二重放射性標識物質を含む医療機器を提供する。
一実施形態では、医療機器は、ミクロスフェア、シード、ステント、カテーテル、ワイヤ、またはウェーハである。
第8の態様では、本発明は、患者における医学的手順を画像化する方法であって、上記の患者に本発明の第1の態様の放射性標識物質または本発明の第2もしくは第3の態様の二重放射性標識物質を投与する工程、および上記被験体内の上記放射性標識物質または上記二重放射性標識物質を検出する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、検出する工程は、上記放射活性のガンマカメラ画像化を含む。
ポリ−L−オルニチン(PLO)に共有結合したDTPAに基づくポリマー固定化剤の図である。PLO骨格を、アミド結合を介して連結したDTPAのペンダント置換基を有するコイルとして左側に示す。示しているように、置換されていないPLOのアミノ基は、自由にプロトンを受容し、正電荷を形成する。 異なる試薬濃度で調製された5つの構築物について、PLOの5kDの分子量に関して、PLOに対するDTPAのモル比を示す。(注意:5kD PLOポリマーは、43〜44個のオルニチン残基を含む)。 ポリスチレンスルホナートミクロスフェア(1mg)との混合後の異なる量の蛍光標識されたDTPA−PLO固定化剤についての結合収率を示す。 177Lu−DPTA−PLO−ミクロスフェア(3mg/kg)の静脈内注射後の5匹の解剖したマウスの屠体のガンマカメラ画像を示す。その摘出した心臓/肺、肝臓、および脾臓を図4Aに示す。図4Bは、肺から心臓を除去した後の肺および心臓のガンマカメラ画像を示す。 177Lu−DPTA−PLO−ミクロスフェア(3mg/kg)の静脈内注射後の肺および骨格/屠体の組織重量1グラムあたりの注入量の百分率(%ID)を示す。 生理食塩水中でオートクレーブ処理した177Lu−DPTA−PLO−ミクロスフェア調製物を投与したマウスの肺において見出された放射能レベルが、水中でオートクレーブ処理した177Lu−DPTA−PLO−ミクロスフェア調製物を投与したマウスの肺において見出された放射能レベルと比較して増加したことを示す。 25000個、50000個、または100000個の4T1−luc2細胞を含むハンクス平衡塩類溶液を(尾静脈を介して)静脈内注射したマウスの肺由来の生物発光流測定を示す。肺腫瘍成長を、細胞注射後3、6、9、および13日目に測定した。マウスに、ルシフェリンを腹腔内(IP)注射し、マウスを麻酔し、肺生物発光を、IVISスペクトルin vivo画像化システムを使用して測定した。 マウス肺4T1−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DPTA−PLO−ミクロスフェア由来の内部電離放射線の影響を示す。以下の2つのマウス群についての結果を示す:177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与した処置群(177Lu);および175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与したネガティブコントロール群(Ctrl)。 マウス肺4T1−luc2腫瘍の成長を遅延させるために177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを使用した福祉エンドポイントに対する生存期間の改善を示す。 マウス肺4T1−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の3つの異なる線量の内部電離放射線の影響を示す。以下の4つのマウス群についての結果を示す:175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与したネガティブコントロール群(Ctrl);ならびに0.82、1.1、および1.37MBqの放射活性を有する177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与した3つの処置群。 マウス肺B16−F10−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の内部電離放射線の影響を示す。以下の2つのマウス群についての結果を示す:177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与した処置群(177Lu);および175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与したネガティブコントロール群(Ctrl)。 静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに24日間曝露した正常マウス由来の肺の組織学を示す。図12は、倍率が40倍のヘマトキシリンおよびエオシンで染色したマウス由来の肺組織を示す。いくつかのミクロスフェアを矢印で強調し、白色バーは50ミクロン(μm)を示す。 静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに5日間曝露した4T1−luc2腫瘍を有するマウス肺の組織学を示す。図13は、倍率が40倍のヘマトキシリンおよびエオシンで染色したマウス由来の肺組織を示す。いくつかのミクロスフェアを矢印で強調している。 5日間にわたる全血球数に及ぼす静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの影響を示す。全白血球数、リンパ球数、および好中球数に及ぼす内部照射の影響を、図14A、B、およびCにそれぞれ示す。 5日間にわたる静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の末梢血単核球(PBMC)のDNA損傷の分析結果を示す。単離PBMCを、共焦点顕微鏡法を使用して画像化し、DNA損傷フォーカスを、γH2AX抗体(左)および53BP1抗体(右)を使用して同定した。 3ヶ月後のマウスの全血球数に及ぼす静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの影響を示す。全白血球数、リンパ球数、および好中球数に及ぼす内部照射の影響を、図16A、B、およびCにそれぞれ示す。 3ヶ月後の静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の末梢血単核球(PBMC)のDNA損傷の分析結果を示す。単離PBMCを、共焦点顕微鏡法を使用して画像化し、DNA損傷フォーカスを、γH2AX抗体(左)および53BP1抗体(右)を使用して同定した。 麻酔下で177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(3.9mg/kg)を(耳静脈を介して)静脈内注射した2羽のウサギのガンマカメラ画像を示す。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを5%デキストロース溶液に含めて注射した。ガンマカメラ画像を、麻酔下で注射直後ならびに注射1、2、および3時間後に得た。可視化のために画像のカウントを50倍にした。 麻酔下で177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(3mg/kg)を(耳静脈を介して)静脈内注射した2羽のウサギのガンマカメラ画像を示す。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを生理食塩水に含めて注射した。ガンマカメラ画像を、それぞれの場合において麻酔下で注射直後ならびに注射1、6、12、および19日後に得た。可視化のために画像のカウントを50倍にした。 177Lu−DPTA−PLOミクロスフェアの静脈内注射後のウサギの肺、骨格、および腎臓に送達された組織の湿重量1グラムあたりの注入量の百分率(%ID)の19日間にわたる経時変化を示す。 ウサギの全血球数に及ぼす静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの経時的影響を示す。全白血球数、リンパ球数、および好中球数に及ぼす内部照射の影響を、図21A、B、およびCにそれぞれ示す。 静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに3ヶ月間曝露したウサギ肺の組織学を示す。図13は、倍率が40倍のヘマトキシリンおよびエオシンで染色したウサギ由来の肺組織を示す。1羽のウサギは、肺実質全体に無作為に分散した小さな肉芽腫を有していたが(左)、この肉芽腫はいかなる他のウサギ試料にも存在しなかった。いくつかのミクロスフェアを矢印で強調している。 177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの点滴注入後の2つのVX2腫瘍を有する摘出したウサギ肝臓のガンマカメラ画像を示す。 腫瘍内直接注射および4日間の曝露後のマウス皮下腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(1μm;15mg/kg)の影響を示す。注射前に腫瘍を8日間成長させ、腫瘍表面積の変化を、腫瘍成長の8日目と12日目の間にルシフェリンを腹腔内注射した後、4T1−luc2細胞由来の生物発光領域の変化として測定した。コントロール群に、同一のサイズおよび量の非放射性175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与した。
略語および定義
便宜上、本明細書中で使用した以下の略語を以下に列挙する。
本明細書中で使用される用語「SPECT」は、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法の略語である。
本明細書中で使用される用語「PET」は、陽電子放出断層撮影の略語である。
本明細書中で使用される用語「CT」は、コンピュータ断層撮影法の略語である。
本明細書中で使用される用語「MRI」は、磁気共鳴画像法の略語である。
本明細書中で使用される用語「SIRT」は、選択的内部照射療法の略語である。
本明細書中で使用される用語「PDL」は、ポリ−D−リジンの略語である。
本明細書中で使用される用語「PLO」は、ポリ−L−オルニチンの略語である。
本明細書中で使用される用語「EDTA」は、エチレンジアミン四酢酸の略語である。
本明細書中で使用される用語「DOTA」は、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸の略語である。
本明細書中で使用される用語「DTPA」は、ジエチレントリアミン五酢酸の略語である。
本明細書中で使用される金属「キレート剤」または「キレーター」という用語は、単一の中心原子、特に、放射性同位体と2つ以上の個別の配位結合を形成する多座配位子をいう。
本明細書中で使用される用語「治療有効量」には、その意味の範囲内に、所望の治療効果を得るための、本発明で用いる化合物または組成物の無毒であるが十分な量が含まれる。正確な必要量は、治療を受ける種、被験体の年齢、体重、および全身状態、共存症、治療される病態の重症度、投与される特定の薬剤、ならびに投与様式などの要因に応じて被験体毎に変動するであろう。したがって、任意の所与の場合について、適切な「有効量」を、当業者は、常法のみを使用して決定することができる。
本明細書の文脈において、用語「含む(comprising)」は、「主に含むが必ずしも単独ではない」ことを意味する。さらに、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの用語「含む(comprising)」の変形形態は、それに応じて様々な意味を有する。それ故、用語「含む(comprising)」およびその変形形態は、追加の整数または特徴が、整数Aを含む、または整数AおよびBを含むと記載される組成物、方法などに任意選択的に存在し得るように排他的な意味よりもむしろ包含的に用いられる。
本明細書の文脈において、用語「約」は、当業者によって所与の値から結び付けられる通常の許容範囲を示すと理解されるであろう。
本明細書の文脈において、ある範囲がパラメータについて記載されている場合、そのパラメータは、その範囲の記載の端点を含めて、記載の範囲内の全ての値を含むと理解されるであろう。例えば、「5〜10」の範囲は、5、6、7、8、9、および10という値ならびに記載の範囲内の任意の部分範囲(6〜10、7〜10、6〜9、7〜9などの部分範囲など)、記載の範囲の文脈において妥当な整数間の任意の値および範囲(5.5、6.5、7.5、5.5〜8.5、および6.5〜9など)が含まれると理解されるであろう。
本明細書の文脈において、用語「複数」は、1を超える任意の数を意味する。
許容される範囲で、本明細書中に引用された全ての参考文献は、その全体が参照により援用される。
本明細書中の医学での使用という言葉がヒトおよび非ヒト(動物適用など)への適用に等しく適用可能であると理解されることに留意されたい。それ故、他に示される場合を除き、患者、被験体、または個体という言葉がヒトまたは非ヒト(社会的、経済的、または研究において重要な任意の種(ウサギ目、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ、霊長類、およびげっ歯類が含まれるが、これらに限定されない)の個体など)を意味すると理解されるであろう。
同様に、本明細書中の「医療」機器という言葉が、ヒトおよび非ヒトでの使用(動物適用など)に適切な医療機器に等しく適用可能であると理解されることに留意されたい。
本明細書中で使用される用語「デバイス」は、治療(実際の病態または症状の予防および治療が含まれる)で使用することができるデバイスおよび診断(患者の身体上または体内で診断を行う場合および患者の身体から得た試料上または試料を使用して診断を行う場合が含まれる)で使用することができるデバイスが含まれると理解されるであろう。したがって、本明細書中で使用される用語「デバイス」には、治療デバイスおよび診断デバイスが含まれる。
本明細書中で使用される「診断」は、治療の有無を問わない疾患または病態の初期の調査、予後、進行などのために疾患または病態が疑われる環境およびかかる疑いは存在しないが、健康診断、集団検診、または研究の目的などのために調査が望まれる環境で行われる調査手順が含まれると理解されるであろう。
詳細な説明
本発明は、放射性標識物質であって、
(i)ポリマー;
(ii)放射性同位体;および
(iii)固定化剤;
を含み、
ポリマーがアニオン性置換基を含む陽イオン交換樹脂であり;
固定化剤がポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化することができ、固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である放射性標識物質を提供する。
固定化剤
固定化剤は、ポリマー上またはポリマー内に放射性同位体を固定化することができる化合物である。一実施形態では、固定化剤は、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である。
一実施形態では、高分子は、組織特異的な、臓器特異的な、細胞型特異的な、または病状特異的な高分子である。一実施形態では、高分子は、肺に特異的である。一実施形態では、高分子は、肺内のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合する。一実施形態では、高分子はポリカチオンである。一実施形態では、ポリカチオンは、ポリ−D−リジン(PDL)およびポリ−L−オルニチン(PLO)から選択される。一実施形態では、ポリカチオンはPDLである。一実施形態では、PDLの分子量は約4kD〜約15kDである。別の実施形態では、ポリカチオンはPLOである。一実施形態では、PLOの分子量は、約5kD〜約15kDである。
固定化剤は、好ましくは、内因性プロテイナーゼによって分解不可能であるという利点を付与するためにPDLまたはPLOで構成されたポリペプチド骨格を含むポリカチオン性高分子である。好ましくは、ポリカチオン性高分子は、2〜6個のアミノ酸残基の間隔でペンダント側鎖が存在し、且つその間に非置換の正電荷のアミノ酸側鎖が存在するように、ポリペプチド骨格の長さに沿って間隔をあけて共有結合したペンダント側鎖を有するポリペプチド骨格を有する。一実施形態では、ポリカチオンは、肺内のHSPGに対するポリカチオンの結合親和性に影響を及ぼさないようにポリペプチド骨格に沿って十分に正電荷のアミノ酸側鎖を保持している。
好ましくは、共有結合したペンダント側鎖は、金属キレーターを含む。
一実施形態では、固定化剤は、金属キレート剤の複数の共有結合した側鎖を有するポリカチオンである。一実施形態では、固定化剤は、金属キレート剤の複数の共有結合した側鎖を有するポリアミノ酸である。一実施形態では、固定化剤は、金属キレート剤の複数の共有結合した側鎖を有するPDLまたはPLOから選択される。
一実施形態では、金属キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メルカプトアセチルトリグリシン(MAG)、6−ヒドラジノプリジン−3−カルボン酸(Hynic)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(TRITA)、1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−三酢酸(NOTA)、デフェロキサミン(デスフェラール(desferral))、サルコファギン(SarAr)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−テトラ(メチレン)ホスホン酸(DOTMP);1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−テトラ(メチレン)ホスホン酸;1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−テトラ(メチレン)ホスホン酸;ジエチレントリアミン−N,N’,N’’−五酢酸およびその異性体誘導体;クリプタート[2,2,2]、クリプタート[3,2,2]、クリプタート[2,2,1]ならびにそのモノ−およびジ−ベンゾ誘導体;電子に富む(ドナー)基(ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アミド(amid)、アミン)を含む架橋カリックス[4]アレーン;1,10−ジアザ−4,7,13,16−テトラオキサシクロオクタデカン−1,10−N,N’−ビス−酢酸;および1,10−ジアザ−4,7,13,16テトラオキサシクロオクタデカン−1,10−N,N’−ビス−マロナート;ならびに当業者に公知のこれらの金属キレート剤のうちのいずれかの誘導体、および任意の他の多座配位または大環状の金属キレート剤からなる群から選択される。
好ましくは、金属キレート剤は、in vivo条件下での選択した放射性同位体の固定化を維持するように選択される。
当業者は、金属キレート剤の選択がキレート化される放射性同位体に依存することを認識するであろう。ある放射性同位体に適切な金属キレートが必ずしも別の放射性同位体に最適な金属キレートではないであろう。
DTPAまたはDOTAの共有結合したペンダント側鎖を有するPDLまたはPLOは、内因性プロテアーゼによって生分解が不可能であるので、本発明の好ましい固定化剤である。
一実施形態では、ペンダント金属キレート剤はDTPAであり、ポリカチオンはPLOである。別の実施形態では、ペンダント金属キレート剤はDOTAであり、ポリカチオンはPLOである。さらなる実施形態では、ペンダント金属キレート剤はDTPAであり、ポリカチオンはPDLである。別の実施形態では、ペンダント金属キレート剤はDOTAであり、ポリカチオンはPDLである。
一実施形態では、ポリカチオン鎖中の2〜6個のアミノ酸残基毎に1つのペンダントキレーター分子が存在する。一実施形態では、ポリカチオン鎖中の2、3、4、5、または6個のアミノ酸残基毎に1つのペンダントキレーター分子が存在する。一実施形態では、ポリカチオン鎖中の2〜5個のアミノ酸残基毎に1つのペンダントキレーター分子が存在する。別の実施形態では、ポリカチオン鎖中の2〜4個のアミノ酸残基毎に1つのペンダントキレーター分子が存在する。
一実施形態では、ペンダント金属キレート剤のポリカチオンに対するモル比は、約7〜20である。別の実施形態では、ペンダント金属キレート剤のポリカチオンに対するモル比は、約12〜18である。さらなる実施形態では、ペンダント金属キレート剤のポリカチオンに対するモル比は、約13〜17である。
一実施形態では、ペンダント金属キレート剤はDTPAであり、ポリカチオンはPLOである。一実施形態では、DTPAのPLOに対するモル比は、約7〜20である。別の実施形態では、DTPAのPLOに対するモル比は、約12〜18である。さらなる実施形態では、DTPAのPLOに対するモル比は、約13〜17である。
ポリマー
本発明のポリマーは、血液と生体適合性を示す(すなわち、いわゆる内因系経路による血液凝固や血小板接着の促進による血栓症を促進しない)表面を有する任意のポリマーであり得る。
一実施形態では、本発明のポリマーは、ポリカチオンに結合するためのアニオン性置換基(スルファート基、スルホナート基、カルボキシラート基、およびホスファート基など)を含む陽イオン交換樹脂である。
例えば、ポリマーは、当該分野で公知の任意の血液生体適合性ポリマー(ポリスチレン、ポリスチレンスルホナート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetraflouroethylene)(EPTFE)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、テフロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ポリ(ブチレンテレフタラート)(PBT)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリジオキサノン、トリメチレンカルボナート、ポリ酸無水物、およびポリ[ビス(p−カルボキシフェノキシル)プロパン:セバシン酸が含まれるが、これらに限定されない)であり得る。好ましくは、ポリマーはポリスチレンスルホナートである。
特に、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetraflouroethylene)(EPTFE)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、およびテフロンを、本発明でポリマーとして使用することができる。
人工血管のために使用することができるポリマーには、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、およびポリテトラフルオロエチレンが含まれる。
ポリマーは、カテーテル、繊維、ロッド、またはフィラメント、ワイヤ、メンブレン、ウェーハ、メッシュ、ガーゼ、多孔質スポンジ、チューブ、ステント、ビーズ、カプセル、微粒子、ミクロスフェア、ナノ粒子、およびリポソームに接着することができるか、これらの形態であり得る。好ましくは、ポリマーは、ミクロスフェア、シード、ステント、カテーテル、ワイヤ、またはウェーハの形態である。ステントを、術後の短期間に起こる再閉塞を防止するために、血管内近接照射療法のための放射性同位体と共に使用することができ、ここで、ステントは、平滑筋細胞の増殖を抑制するための放射性同位体を含む。
ポリマーミクロスフェアは、肺動脈網の前毛細血管レベルで保持されるのに適切なサイズである。ミクロスフェアの中央径は、0.5〜200ミクロン、0.5〜50ミクロン、最大35ミクロン、または0.5〜35ミクロンであることが好ましい。放射性核種含有ミクロスフェアの例は、米国特許出願第11/192,299号に記載されている。
一実施形態では、ポリマーは、中央径が0.5ミクロンと100ミクロンとの間である微粒子ミクロスフェアの形態である。一実施形態では、微粒子ミクロスフェアの中央径は、0.5〜50ミクロンである。一実施形態では、微粒子ミクロスフェアの中央径は、最大35ミクロンである。一実施形態では、微粒子ミクロスフェアの中央径は、0.5〜35ミクロンである。一実施形態では、微粒子ミクロスフェアの中央径は、8〜12ミクロンである。別の実施形態では、微粒子ミクロスフェアの中央径は、8ミクロンである。さらなる実施形態では、微粒子ミクロスフェアの中央径は、1ミクロンである。1つのなおさらなる実施形態では、微粒子ミクロスフェアの中央径は、30ミクロンである。
本発明で用いるポリマーミクロスフェアには、ポリスチレンスルホナートから構成される樹脂ベースのミクロスフェアであるSIR−spheres(登録商標)(SIR−spheres(登録商標)は、Sirtex SIR−Spheres Pty Ltdの登録商標である)ミクロスフェアの製造で使用されるものが含まれる。
放射性同位体
本発明の放射性同位体は、画像化および/または治療が可能である。好ましくは、画像化には、SPECT画像化および/またはPET画像化が含まれる。
単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)は、γ線を使用する核医学断層画像化技術であり、真の3D情報を提供することができる。情報は、しばしば、患者を横断する断面切片として提供される。同位体のγ線放出のために、放射性標識物質が患者の体内に蓄積されている場所を観察することが可能である。かかる真の3D表示は、腫瘍画像化で役立ち得る。
陽電子放出断層撮影(PET)は、3D画像を生成する核医学画像化技術であり、伝統的なSPECT画像化より感度が高い。このシステムは、体内に導入された陽電子放出放射性核種(トレーサー)によって間接的に放出されたγ線ペアを検出する。次いで、体内のトレーサー濃度の3D画像をコンピュータ解析によって構築し、3D画像化は、しばしば、同一の装置内で同一のセッション中に患者に対して実施されるコンピュータ断層撮影法(CT)X線スキャンを活用して行われる。陽電子放出同位体をCTと併せて使用して、標識した医療機器の解剖学的分布の3D画像を得ることもできる。
一実施形態では、放射性同位体により画像化および/または治療が可能である。一実施形態では、画像化には、SPECT画像化、および/またはPET画像化が含まれる。一実施形態では、放射性同位体は、Ac−225、Au−198、Bi−212、Bi−213、Co−57、Cr−51、Cu−64、Cu−67、Dy−165、Er−169、Fe−59、Ga−67、Ga−68、Gd−153、Ho−166、In−111、Ir−192、Lu−177、Pd−103、Rb−81、Rb−86、Re−186、Re−188、Ru−103、Sc−47、Sm−153、Sn−117m、Sr−89、Tb−161、Tc−99m、Tl−201、Y−90、Yb−169、およびZr−89から選択される。一実施形態では、放射性同位体は、周期表の13族から選択される。一実施形態では、放射性同位体は、Ga−67、In−111、Lu−177、Tl−201、またはY−90である。
本発明の放射性同位体には、放射性金属同位体または放射性半金属同位体が含まれ得る。好ましくは、放射性同位体は、水溶性金属カチオンである。
適切な本発明の放射性金属同位体の例には、Ac−225、Au−198、Bi−212、Bi−213、Co−57、Cr−51、Cu−64、Cu−67、Dy−165、Er−169、Fe−59、Ga−67、Ga−68、Gd−153、Ho−166、ln−111、Ir−192、Lu−177、Pd−103、Rb−81、Rb−86、Re−186、Re−188、Ru−103、Sc−47、Sm−153、Sn−117m、Sr−89、Tb−161、Tc−99m、Tl−201、Y−90、Yb−169、およびZr−89が含まれる。
特に、本発明の放射性同位体には、周期表の13族(ホウ素族)の元素(GaおよびInが含まれる)が含まれる。
特に、好ましい放射性同位体には、Ga−67、Ga−68、Lu−177、Y−90、およびIn−111が含まれる。最も好ましくは、放射性同位体は、Lu−177およびY−90である。一実施形態では、放射性同位体はLu−177である。
本発明の放射性同位体には、遷移金属(Lu−177、Y−90、Cu−64、Cu−67、およびTb−161など)も含まれる。好ましくは、放射性同位体は、Lu−177またはY−90である。
本発明の同位体は、親同位体も含まれると理解される。
本発明の放射性標識物質は、画像化および/または治療を可能にするための少なくとも2つの放射性同位体の組み合わせを含むことができる。放射性同位体の組み合わせを、Ga−68とLu−177;Ga−67とY−90;Ga−68とY−90;In−111とY−90;Lu−177とY−90、およびGa−67とTb−161から選択することができる。
本発明は、少なくとも1つの非放射性の非毒性担体金属の使用をさらに含むことができる。例えば、担体金属を、BiおよびFeから選択することができる。
特に、非放射性担体金属により、MRI画像化(例えば、Fe)またはX線造影(例えば、Bi)が可能である。
担体金属のさらなる例には、3価ビスマスが含まれる。3価ビスマスによりミクロスフェアがさらにX線造影され、その結果、ミクロスフェアをCTで画像化することができる。
本発明の放射性標識物質は、α線、β線、γ線、および/または陽電子を放出することができる。
放射性標識物質
本発明の放射性標識物質は、ポリマー、放射性同位体、および固定化剤を含み、固定化剤はポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化することができ、固定化剤は複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である。
本発明の一実施形態では、放射性標識物質は、共有結合した複数のペンダント金属キレート剤をポリマー表面に係留するためのイオン対として固定化剤のポリカチオンを使用する。一実施形態では、ポリマーは、アニオン性ポリスチレンスルホナートミクロスフェアであり、固定化剤のポリカチオンは、ポリマーミクロスフェアのアニオン性スルホン化表面とイオン対を形成する。固定化剤のポリカチオン側鎖のキレート置換は、ポリマーのスルホン化表面へのイオン対付着のためのポリカチオン特性が十分に保存されるように最小限にとどめる。次いで、ポリカチオン:スルホナート多部位相互作用は、複合材料を保持する強力な「ジッパー」としての機能を果たし、放射性同位体はペンダントキレートに結合している。この手段により、本発明者らは、治療域の線量を達成するのに十分な放射性同位体の放射能を長期間負荷することが可能であり、放射性同位体がin vivo条件下でポリマー上に安定に保持されていることを見出した。
本発明の固定化剤は、ポリマー上に1つまたは複数の放射性元素を固定化することが可能であり、各放射性元素は、異なるレベルおよびタイプの放射線(γ線およびβ線など)を生成し、異なる半減期を有する。したがって、本発明の放射性標識物質は、(SPECTまたはPETなどによって)画像化することができるようにするための放射性同位体および/または治療できるようにするための放射性同位体を含み得る。したがって、同一のポリマー粒子を、調査画像化手順(すなわち、「模倣」粒子として)および治療手順で使用することができる。このような方法で、模倣粒子は、治療用粒子の臓器分布を正確に予測して治療用粒子に適切と見なされる患者数を正確に評価することができる。
一実施形態では、本発明の放射性標識物質は、二重放射性標識物質であって、ポリマー、第1の放射性同位体、第2の放射性同位体、および固定化剤を含み、固定化剤がポリマー上またはポリマー中の第1の放射性同位体および第2の放射性同位体を固定化することができ、固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である二重放射性標識物質である。一実施形態では、固定化剤は、複数の第1のペンダント金属キレート化側鎖および複数の第2のペンダント金属キレート化側鎖を有するポリカチオンを含む。一実施形態では、第1の金属キレート化側鎖は第1の放射性同位体を固定化し、第2の金属キレート化側鎖は第2の放射性同位体を固定化する。一実施形態では、第1の放射性同位体は画像化を可能にし、第2の放射性同位体は治療を可能にする。
一実施形態では、本発明の二重放射性標識物質は、ポリマー、第1の放射性同位体、第2の放射性同位体、第1の固定化剤、および第2の固定化剤を含み、第1の固定化剤がポリマー上またはポリマー中に第1の放射性同位体を固定化することができ、第2の固定化剤がポリマー上またはポリマー中の第2の放射性同位体を固定化することができ、第1の固定化剤および第2の固定化剤は、その各々が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である。一実施形態では、第1の固定化剤はDPTA−PLOであり、第2の固定化剤はDOTA−PLOである。
さらに、本発明の固定化剤は、ポリマー上に画像化および治療に適切な1つまたは複数の放射性同位体を同時に固定化することが可能である。患者の体内の正確な治療放射線被曝部位を判断することができる画像化技術を使用することができ、したがって、治療の有効性およびさらなる治療の必要性を決定することが可能である。
固定化剤は、ポリマーからの放射性同位体の浸出を実質的に減少させる。したがって、ポリマーミクロスフェア上に画像化および治療に十分な比放射活性(単位質量あたりの放射活性)を得ることができ、その結果、ミクロスフェア数を最少にすることができる。これにより、画像化または治療線量を達成するための過剰数のミクロスフェアの使用が回避される。回避されない場合、非常に多数の血管が閉塞し、それ故、臓器の血液灌流が損なわれ、血管内のミクロスフェアの局所的蓄積または凝集塊によって画像解像度および治療有効性も低下し得る。さらに、ミクロスフェアからの治療用同位体の浸出の減少により、非標的臓器における意図しない組織損傷が減少する。
例えば、本発明の固定化剤は、重要且つ臨床的に有用な放射性同位体Lu−177に結合することが可能である。Lu−177は、β線およびγ線の両方を放出し、それにより、いくつかの腫瘍の治療および画像化の両方に適切である。Lu−177の半減期は6日である。この比較的長い半減期は、放射性標識物質の製造から、放射性元素の放射能が有意に喪失する前に患者へ投与するまでに利用できる時間がより長いので有利であり、したがって、関連するコストを抑えられる。Lu−177は、組織細胞傷害距離が短く、たった0.2mmである。したがって、Lu−177は、画像化能力および治療能力の両方が提供される適切な同位体の好ましい例である。
さらなる一例として、本発明の固定化剤は、重要且つ臨床的に有用なガリウムの同位体Ga−67(SPECT画像化用)およびGa−68(PET画像化用)をポリマーに結合することが可能である。Ga−67は、崩壊するにつれてγ線を放出する。したがって、放射性同位体からのガンマ放射線を検出するためのガンマカメラを使用する、光子放出から作成したSPECTまたはシンチグラフィの画像を使用して放射の位置を確認することができる。Ga−68は、崩壊するにつれて陽電子を放出する。陽電子放出断層撮影(PET)はより最近の核医学画像化法であり、SPECTより画像解像度が優れており、より一般的に使用されるようになってきてもいる。Ga−67の半減期は3.26日であり、したがって、輸送および送達の間に十分な放射能を維持するのにさらに有利である。
一実施形態では、固定化剤は、1つの物質中の(SPECTおよび/またはPETなどのために)最適な画像化同位体および(軟β線源または硬β線源などのために)最適な治療用同位体を結合することが可能である。好ましくは、固定化剤は、同程度の半減期を有する少なくとも2つの同位体に結合することが可能である。放射性標識物質の画像化特性および治療特性の両方が使用部位への輸送および送達に必要な期間にわたって同様に保存されるので、このことは有利である。例えば、In−111の半減期は2.8日であり、これは、治療用同位体Y−90の半減期(2.67日)と同程度である。
本発明の好ましい組み合わせは、Ga−67またはIn−111(SPECT画像化)とLu−177(SPECT画像化およびβ治療);Ga−67またはIn−111(SPECT画像化)とY−90(β治療);およびGa−68(PET画像化)とY−90(β治療)が含まれる。最も好ましい例は、Ga−67とY−90である。
異なる放射性同位体を固定化する能力により、より多用途の癌治療プログラムも得られる。固定化剤を、固定化すべき放射性同位体に適するように調整することができ、同位体または同位体の組み合わせを、癌のタイプおよび体内の腫瘍部位に適するように都合よく選択することができる。
固定化剤は酸性pHで機能し、したがって、放射性同位体はポリマーのアニオン性基から外されない。さらに、固定化剤は、pH4〜7の範囲にわたって血液への曝露後にin vivoで放射性同位体をポリマー上に保持することが可能である。
固定化剤の合成
本発明の固定化剤を、当業者は、当該分野で公知の方法および材料ならびに標準的なテキストブック(“Advanced Organic Chemistry” by Jerry March(第3版,1985,John Wiley and Sons)または“Comprehensive Organic Transformations” by Richard C.Larock(1989,VCH Publishers)など)を使用して容易に調製することができる。
例えば、固定化剤を、ポリカチオン高分子上のアミノ基と金属キレート剤上のカルボン酸との間の反応による標準的なアミド形成によって調製することができる。一実施形態では、カップリング剤を使用して、カルボン酸を活性化し、それにより、第一級アミンとカルボン酸との間のカップリングを促進してアミド結合を形成することができる。一実施形態では、カップリング剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)である。EDCは水溶性カルボジイミドであるので、カップリング剤はEDCであることが好ましい。
さらなる実施形態では、アミド結合形成を促進するために、カップリング剤に加えて活性化剤を使用することができる。一実施形態では、活性化剤は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミド(スルホ−NHS)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、およびペンタフルオロフェノールからなる群から選択される。一実施形態では、活性化剤は、水溶性スルホ−NHSである。アミド結合形成を触媒するための代替条件を、文献(例えば、G.T.Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,2013)中に見出すことができる。
一実施形態では、固定化剤を、EDCおよびスルホ−NHSの存在下でのポリカチオン(PLOまたはPDLなど)および金属キレート剤(DTPA、DOTA、またはEDTAなど)の反応によって調製する。
スキーム1に、反応を触媒するためにEDCおよびスルホ−NHSを使用したPLOのDTPAとの反応によって調製される固定化剤の代表的合成を示す。スキーム1では、m+nは、PLOポリカチオン中のオルニチン残基数を示す。例えば、5kDポリオルニチンは43〜44個のオルニチン残基を有するので、m+n=43〜44である。固定化剤生成物では、mは非置換のアミノ基側鎖数を示し、nは固定化剤のポリカチオン骨格上の金属キレート剤数を示す。
スキーム1
当業者は、種々の試薬の量を変化させることにより、ポリカチオン骨格上に組み込まれる金属キレート剤数を変化させることができると認識するであろう。例えば、連結剤(EDC)濃度を変更する一方で全ての他の反応条件を一定に保持することにより、異なる金属キレート剤のポリカチオンに対するモル比を有する異なるPLO−DTPA構築物を調製することができる。各ポリカチオン鎖上の金属キレート剤数を平均値として計算し、反応生成物を分離しない。さらに、当業者は、スキーム1に示す固定化剤は単なる代表例である−金属キレート剤側鎖はポリオルニチン骨格の長さに沿って分布すると認識するであろう。
固定化剤に組み込まれる金属キレート剤の数を、当業者に公知の標準的な方法を使用して計算することができる。一実施形態では、錯滴定結合アッセイを使用して、固定化剤中の金属キレート剤数を計算することができる。
一実施形態では、2〜6個のアミノ基側鎖毎に1個の金属キレート剤が存在する。換言すれば、金属キレート剤のポリカチオンに対するモル比は、約7〜約20である。ポリカチオン側鎖のキレート置換を、ポリマーのスルホン化表面へのイオン対付着のためのポリカチオン特性が十分に保存されるように最小限に維持する。
当業者は、代替のポリカチオンおよび金属キレート剤の選択によって代替の固定化剤を調製することができると認識するであろう。当業者はまた、2つの異なるペンダント金属キレート剤を使用して固定化剤を調製することができると認識するであろう。例えば、ポリカチオンを2つの異なる金属キレート剤と反応させて、2つの異なる金属キレート剤を有する固定化剤を生成することができ、それぞれが2つの異なる放射性同位体を固定化するように最適化されている。る。例えば、複数の第1のペンダント金属キレート化側鎖および複数の第2のペンダント金属キレート化側鎖を有するポリカチオンを含む固定化剤を調製することができる。
一実施形態では、固定化剤を、他のレポーター分子と共有結合性に標識することができる。例えば、蛍光タグ(フルオレセインなど)を、固定化剤に抱合することができる。一実施形態では、蛍光標識した固定化剤を使用して、ポリマーへの固定化剤の結合を定量することができる。
放射性標識物質の調製プロセス
本発明はまた、上記の放射性標識物質を作製するプロセスであって、
(i)上記の「ポリマー」と題する節中のポリマーを上記の「固定化剤」と題する節中の固定化剤と混合する工程と;
(ii)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程と;
(iii)上記の「放射性同位体」と題する節中の放射性同位体をさらに添加する工程と;
(iv)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程と
を含むプロセスを提供する。
あるいは、工程の順序は以下であり得る:
(i)上記の「ポリマー」と題する節中のポリマーを上記の「放射性同位体」と題する節中の放射性同位体と混合する工程;
(ii)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程
(iii)上記の「固定化剤」と題する節中の「固定化剤」をさらに添加する工程;および
(iv)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程。
あるいは、工程の順序は以下であり得る:
(i)上記の「固定化剤」と題する節中の固定化剤を上記の「放射性同位体」と題する節中の放射性同位体と混合する工程;
(ii)上記の「ポリマー」と題する節中のポリマーをさらに添加する工程;および
(iii)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程。
一実施形態では、放射性同位体を酸性溶液に添加する。一実施形態では、放射性標識を0.05M HCl溶液に添加する。一実施形態では、プロセスは、懸濁液のpHを中性に調整するさらなる工程を含む。一実施形態では、懸濁液のpHを、0.05M NaOH溶液を使用して中性に調整する。
一実施形態では、固定化剤の濃度は、約0.5〜100μg/mgポリマーである。別の実施形態では、固定化剤の濃度は、約1〜50μg/mgポリマーである。さらなる実施形態では、固定化剤の濃度は、約5〜30μg/mgポリマーである。別の実施形態では、固定化剤の濃度は、約10〜30μg/mgポリマーである。さらなる実施形態では、固定化剤の濃度は約20μg/mgポリマーである。
放射性標識物質を調製するプロセスの一実施形態では、プロセスは、以下のさらなる工程を含む:
(v)得られた混合物を水中または生理食塩水中でオートクレーブ処理し、滅菌サイクルに供する工程;
(vi)任意選択的に、得られた混合物を洗浄する工程;および
(vii)任意選択的に、得られた混合物を溶液に再懸濁する工程。
工程(v)の一実施形態では、得られた混合物を水中でオートクレーブ処理する。工程(v)の別の実施形態では、得られた混合物を生理食塩水中でオートクレーブ処理する。
本発明はまた、ポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化するための固定化剤の使用であって、固定化剤、放射性同位体、およびポリマーが上記の通りである使用を提供する。
本発明はまた、二重放射性標識物質を提供する。一実施形態では、ポリマーを、第1の固定化剤および第2の固定化剤と混合する。一実施形態では、第1および第2の固定化剤をポリマーと同時に混合する。別の実施形態では、第1および第2の固定化剤をポリマーと順次混合する。一実施形態では、第1の固定化剤は第1の放射性因子を固定化し、第2の固定化剤は第2の放射性因子を固定化する。
放射性標識物質の治療上の使用
放射性標識物質を使用して、高分子の疾患マーカーとの特異的な生物学的相互作用に基づいて、in vivoで所定の疾患部位に治療用同位体を蓄積させることができる。一実施形態では、標的疾患部位は肺である。一実施形態では、本発明の放射性標識物質は、強力な肺結合力を有する高分子(PDLおよびPLOから選択されるポリカチオンなど)を含む。
選択的内部照射療法(SIRT)は、カテーテルを介した標的臓器の血液供給動脈内へのポリマーミクロスフェアの投与を含み、したがって、標的内部照射療法が腫瘍に直接送達される。好ましくは、ミクロスフェアは、腫瘍の脈管構造内に留まる。これにより、放射線が標的臓器にゆっくりかつ連続的な様式で優先的に送達されるという利点が得られる。(周囲の健康な組織よりもむしろ)標的臓器への放射線レベルを増加させるために、適切な薬物を使用して血液供給を操作することも可能である。前述のように、本発明の固定化剤は浸出を実質的に防止し、したがってミクロスフェアが標的臓器に到達した時点で、適切な放射線が腫瘍に送達される。
しかし、カテーテルを介した標的臓器の血液供給動脈へのポリマーミクロスフェアの投与は、侵襲的手順である。本発明の放射性標識物質の好ましい実施形態では、放射性標識物質は、肺に高い特異性を有する。一実施形態では、本発明の放射性標識物質を、肺癌治療のために肺を標的するために静脈内投与することができ、これははるかに侵襲性の低い投与様式である。全ての静脈は血液を右心に戻し、次いで、この血液は肺動脈を通って肺に導かれるので、静脈内投与された任意の放射性標識物質は、最終的に肺に血液を供給する動脈に入り、それにより、放射性標識物質は肺に送達されて、この物質を身体の他の部分に排出すると考えられる左心に入ることなく肺内に留まる。
本発明の一実施形態では、放射性標識物質は、肺内の保持に高い特異性を有し、他の臓器への任意の損傷を最小限にする。一実施形態では、放射性標識物質は、放射性標識物質の静脈内投与後に投与線量の90%超が肺内に保持され、10%未満が肝臓に到達する。別の実施形態では、放射性標識物質は、放射性標識物質の静脈内投与後に肝臓内で検出されない。
肺癌治療において治療上有用であるために、治療線量の放射線を得るのに十分に長期間にわたって放射性標識物質が肺内に保持される必要がある。一実施形態では、50%を超える放射性標識物質は、放射性標識物質の静脈内投与から最大2日間肺内に保持される。別の実施形態では、50%を超える放射性標識物質は、放射性標識物質の静脈内投与から最大3日間肺内に保持される。さらなる実施形態では、50%を超える放射性標識物質は、放射性標識物質の静脈内投与から最大4日間肺内に保持される。別の実施形態では、50%を超える放射性標識物質は、放射性標識物質の静脈内投与から最大5日間肺内に保持される。
一実施形態では、放射性標識物質は、依然として肺内に保持されながら、腫瘍血管形成の微細血管に分散される。
肺を標的にする場合、放射性標識物質の投与質量は、肺機能(すなわち、呼吸)に重大な影響を及ぼさないことを確実にする必要がある。本発明の一実施形態では、肺機能に影響を及ぼさないようにするために、治療線量の放射性同位体、特にLu−177を、十分に小さな質量の放射性標識物質中に保有することができる。
さらなる実施形態では、本発明の放射性標識物質を、肝臓などの他の内部臓器に投与することができる。これは、肝腫瘍または他の内部臓器に存在する腫瘍の治療のための内部照射療法の任意の潜在的な臨床用途に適合する。
さらなる実施形態では、本発明の放射性標識物質を、皮下腫瘍または身体の表面にあるか手術によって容易に接近可能な他の固形腫瘍に、腫瘍への直接注射によって投与することができる。
本発明はまた、癌の治療および/または放射線画像化のための医薬の製造のための上記の本発明の放射性標識物質の使用を提供する。一実施形態では、癌は、原発性または続発性の肺癌である。
本発明はまた、患者の放射線治療方法であって、上記患者に治療有効量の本発明の第1の態様の放射性標識物質を投与する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、放射線治療は、肺のための内部照射療法である。例えば、放射線治療は、原発性および/または転移性の肺腫瘍の治療のためのものである。
本発明は、癌を治療する方法であって、有効量の本発明の上記の放射性標識物質を必要とする患者に投与する工程を含む方法をさらに提供する。
癌は、原発性肉腫、原発性または続発性の黒色腫、原発性頭頸部癌、原発性または続発性の脳癌、原発性または続発性の肺癌、原発性または続発性の肝臓癌、原発性または続発性の乳癌、原発性または続発性の腎臓癌(腎癌)、原発性または続発性の卵巣癌、原発性または続発性の前立腺癌、または神経内分泌癌であり得る。
本発明の方法の一実施形態では、本発明の放射性標識物質を、静脈内注射によって投与する。
本発明の方法の別の実施形態では、本発明の放射性標識物質を腫瘍内直接注射によって投与する。
一実施形態では、癌は、原発性または続発性の肺癌である。
原発性肺癌または肺内の転移性腫瘍の静脈内注射治療の好ましい例は、DTPAキレーターのペンダント側鎖を有するPLOを含む固定化剤でコーティングされ、腫瘍にβ粒子を照射するためのLu−177同位体またはY−90同位体が負荷された直径8ミクロンのポリスチレンスルホナートミクロスフェアである。
身体に表在するか、手術によって容易に接近可能な固形腫瘍の腫瘍内直接注射治療の好ましい例は、DTPAキレーターのペンダント側鎖を有するPLOを含む固定化剤でコーティングされ、腫瘍にβ粒子を照射するためのLu−177同位体またはY−90同位体が負荷された直径1ミクロンのポリスチレンスルホナートミクロスフェアである。
本発明はまた、患者における医学的手順を画像化する方法であって、上記患者に本発明の放射性標識物質を投与する工程、および上記被験体内の上記放射性標識物質を検出する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、検出する工程は、上記放射活性のガンマカメラ画像化を含む。
本発明は、本発明の上記放射性標識物質を含む医療機器をさらに提供する。
医療機器は、ミクロスフェア、シード、ステント、カテーテル、ワイヤ、またはウェーハであり得る。
一実施形態では、本発明の放射性標識物質を、注射によって投与することができる。注射液の場合、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール(liquid polyetheylene glycol)など)、これらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合の必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって適した流動性を維持することができる。種々の抗菌剤および/または抗真菌剤を含めることによって微生物の作用を防止することができる。適切な薬剤は当業者に周知であり、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、アスコルビン酸、およびチロメサールなどが含まれる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましいかもしれない。吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物に含めることによって注射用組成物の吸収を延長することができる。
一実施形態では、本発明の放射性標識物質を、静脈内注射によって投与する。静脈内投与に適切なビヒクルには、等張生理食塩水、5%デキストロース、ハートマン液、ハンクス平衡塩類溶液、または当業者に公知の静脈内使用に適切な類似の溶液が含まれる。
一実施形態では、身体の腹膜腔内に放射性標識物質を導入するために、放射性標識物質を腹腔内注射によって投与する。一実施形態では、身体の腹膜腔内への放射性標識物質の導入を使用して、腹水として腹膜腔に集合し、腹部内蔵の外側に転移する原発性腫瘍部位から離れた播種性腫瘍細胞を治療することができる。一実施形態では、播種性腫瘍細胞は播種性卵巣癌細胞である。腹水の過形成を遅延させ、それにより、腹腔内で成長している癌の重篤な症状を緩和することが癌の待機療法における共通の問題である。一実施形態では、本発明の放射性標識された(radiolabeled)材料は、腹膜腔内に注射されたとき、これらの症状の緩和に役立ち得る。
一実施形態では、肺以外の臓器内の腫瘍の治療のために、放射性標識物質を動脈内投与する。例えば、肝腫瘍の治療のために、放射性標識物質を肝臓に動脈内投与する。動脈内注射に適切なビヒクルには、等張生理食塩水、5%デキストロース、ハートマン液、ハンクス平衡塩類溶液、または当業者に公知の静脈内使用に適切な類似の溶液が含まれる。
一実施形態では、例えば、固形腫瘍が皮下にあるか、身体に表在するか、手術によって容易に接近可能である場合、本発明の放射性標識物質を腫瘍への直接注射によって投与する(すなわち、本発明の放射性標識物質を腫瘍内投与する)。腫瘍への直接注射に適切なビヒクルには、等張生理食塩水、5%デキストロース、ハートマン液、ハンクス平衡塩類溶液、または当業者に公知の静脈内使用に適切な類似の溶液が含まれる。
本発明の放射性標識物質を単回投与または複数回投与することができる。一実施形態では、本発明の放射性標識物質は、分割服薬および段階的反復服薬に適切である。当業者は、日常的実験法により、放射性標識物質を適用可能な疾患および/または感染の治療に適切な、有効な非毒性投薬レベルの本発明の放射性標識物質および投与パターンを決定することが可能であろう。
さらに、所定日数での1日あたりの本発明の放射性標識物質の投与回数などの最適な治療過程を、従来の一連の治療決定試験を使用して確認することができることが当業者に明らかであろう。
一般に、24時間あたりの有効投薬量は、約0.0001mg〜約1000mg/kg体重の範囲;例えば、約0.001mg〜約750mg/kg体重;約0.01mg〜約500mg/kg体重;約0.1mg〜約500mg/kg体重;約0.1mg〜約250mg/kg体重;または約1.0mg〜約250mg/kg体重であり得る。より適切には、24時間あたりの有効投薬量は、約1.0mg〜約200mg/kg体重;約1.0mg〜約100mg/kg体重;約1.0mg〜約50mg/kg体重;約1.0mg〜約25mg/kg体重;約5.0mg〜約50mg/kg体重;約5.0mg〜約20mg/kg体重;または約5.0mg〜約15mg/kg体重の範囲であり得る。一実施形態では、24時間あたりの有効投薬量は、約1.0mg〜約10mg/kg体重;または約3.0〜約5mg/kg体重の範囲であり得る。
本発明の放射性標識物質を、治療レジメンの一部として他の薬物と共に投与することができる。例えば、特定の疾患または状態を治療することを目的として活性化合物の組み合わせを投与することが望ましいかもしれない。したがって、2つ以上の薬学的組成物(少なくとも1つは本発明の放射性標識物質を含む)を、組成物の同時投与に適切なキットの形態で組み合わせることができることは本発明の範囲に含まれる。
本明細書の説明を、好ましい実施形態および実施例を参照して説明している。本明細書中の記載に基づいて、当業者は、代替物(放射性同位体、固定化剤、およびポリマーを含むそのような代替物)を使用する場合、適切な条件を経験的に決定することができると認識するであろう。
以下の非限定的な実施例を参照して、単なる例示として、本発明をここにさらに詳細に説明するであろう。実施例は、本発明を例示するのに役立つことを意図し、本明細書を通して説明している開示の一般性を限定すると解釈されるべきではない。
実施例
実施例1:ポリマーDTPA−PLO固定化剤の合成
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)カップリング法(Hermanson,G.T.,2013.Bioconjugate Techniques,Academic Press)を使用して、ポリ−L−オルニチン骨格(PLO、Sigma P4538;分子量5〜15kD)に沿ってランダムな第一級アミノ基に共有結合させた。例えば、PLO(10mg/mL、500μL)を、DTPA(20mM)、EDC(20mM)、およびスルホ−NHS(10mM、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)のリン酸緩衝液(pH7)(0.02M、500μL)溶液に添加した。溶液を室温で2時間混合し、次いで、PD−10脱塩カラム(GE Healthcare 17−0851−01)で精製した。
図1は、PLOに共有結合したDTPAに基づくポリマー固定化剤の図である。PLO骨格を、アミド結合を介して連結したDTPAのペンダント置換基を有するコイルとして左側に示す。示しているように、置換されていないPLOのアミノ基は、自由にプロトンを受容し、正電荷を形成する。
連結剤(EDC)の濃度を変更する一方で全ての他の反応条件を保持することにより、金属キレート剤のポリカチオンに対するモル比が異なる5つの異なるDTPA−PLO構築物を調製した(図2)。
実施例2:固定化剤についてのDTPAのPLOに対するモル比の計算
錯滴定指示薬キシレノールオレンジ(XO)およびそのFe3+との有色錯体(C.Gay,J.Collins,J.M.Gebicki,鉄(III)−キシレノールオレンジ錯体を用いた溶液中の鉄の測定,Anal.Biochem.273(1999)143−148.doi:10.1006/abio.1999.4207)を使用して、連結キレーター(DPTA)のポリカチオンポリマー(PLO)に対するモル比を決定した。既知濃度のキレート−ポリカチオンを既知濃度のFeCl溶液に添加し、遊離Fe3+を、有色XO:Fe3+錯体の形成によって決定した。試料の吸光度は、μM範囲でFe3+濃度に比例するXO:Fe3+錯体の検量線と関連していた。
実施例3:ポリマーDTPA−PLO固定化剤への蛍光タグの付加
ポリマーDTPA−PLO固定化剤を、他のレポーター分子で共有結合性に標識することができる。例えば、蛍光タグであるフルオレセインを、フルオレセインイソチオシアナート(FITC、Sigma F4274)との反応によって抱合することができる。簡潔に述べれば、DTPA−PLO(1.4mg/mL、500μL)を、FITC(0.1mg/mL)の炭酸緩衝液(pH9)(0.02M、500μL)の溶液に添加した。溶液を4℃で一晩放置し、1M塩化アンモニウム(50μL)の添加によって反応を停止させた。蛍光標識したポリカチオンを、PD−10脱塩カラム(GE Healthcare 17−0851−01)によって精製した。
実施例4:DTPA−PLO固定化剤のポリスチレンスルホナートミクロスフェアへの結合の定量
上記の実施例3にあるように調製した蛍光標識したDTPA−PLOを使用して、固定化剤のポリスチレンスルホナートミクロスフェアの表面への結合を定量した。種々の量の蛍光DTPA−PLO(5、10、20、30μg)を、ポリスチレンスルホナートミクロスフェア(1mg、直径8μm)と水または生理食塩水(1mL)中にて室温で1時間混合した。ミクロスフェアを、3000gで2分間の遠心分離によってペレット化し、上清(200μL)中の蛍光を、Varioskan LUXマルチモードプレートリーダー(励起波長485nm;発光波長525nm、Thermo Fisher Scientific)でそれぞれ測定した。
図3は、ポリスチレンスルホナートミクロスフェアとの混合後の異なる量の蛍光標識されたDTPA−PLO固定化剤ついての結合収率を示す。1mgの8μmミクロスフェアと混合した10μgまでのDTPA−PLO−FITCについて完全な結合が認められ、17〜18μgのポリカチオンで飽和するようであった。特に、おそらくDTPAカルボキシラート基とPLOアミン基との間の分子内結合が妨害され、それ故に固定化剤の高次構造の結合範囲がより広くなるので、生理食塩水の存在下でポリカチオンの結合量を増加させることができ、これにより、より多くのポリカチオンの正電荷の基が負電荷のミクロスフェアに結合し、したがって、結合がより強固になるであろう。生理食塩水の存在下で、ミクロスフェアへのDTPA−PLO−FITC結合の飽和が25μgで認められ、それにより、1mgのミクロスフェアあたりの固定化剤の結合量がおよそ39%増加した。
実施例5:177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの調製
表1は、177Lu放射性標識ミクロスフェアの調製のための例示的プロセスを示す。
実施例6:静脈内注射したミクロスフェアの肺分布および安全性への影響
in vivoでのミクロスフェアの最適な肺負荷および反復肺ミクロスフェア負荷ストラテジーの安全性を、2コホートのBALB/cマウスを使用して調査した。第1のコホートについて、5匹の健康なマウスから構成される3群に、5%デキストロース溶液中の非放射性ミクロスフェア(直径8μm)を(尾静脈を介して)静脈内に単回負荷した。群におけるミクロスフェア負荷を、6mg/kgから9mg/kgに、次いで12mg/kgに漸増させた。マウスの福祉を毎日慎重にモニタリングし、マウスを、いくつかの標準的なマウスモデル基準に対してスコアリングした(0〜3)。注射7日後に、マウスを選別し、組織学のためにその肺を採取した。各群由来の2つの肺を組織学のために公認の動物病理研究所に送り、有資格病理学者による報告を受けた。
マウスの福祉を慎重にモニタリングし、静脈内ミクロスフェア注射に起因する顕著な影響はなかった。肺組織学の結果の要約を表2に示し、病理学者の報告では、以下のように述べられている:ミクロスフェアは肺全体の間質組織に広範に分布した。単体のミクロスフェアの周囲に炎症は非常に少なく、複数のミクロスフェアの周囲に炎症はほぼ存在しなかった。ミクロスフェアは間質組織全体に無作為に分散し、大血管の周囲に密集していないようであり、大気道に隣接して密集してもいなかった。マウス1〜6におけるミクロスフェアの分散のいかなる明らかな違いも間違いなく全く認められなかった。ミクロスフェアは全て無作為に分散しており、分布には実質的な違いはないようであった。おそらく、ミクロスフェアの数が増えるにつれて、ミクロスフェアが2つまたは3つの小さなクラスターで見出される傾向がいくつかあった。しかしこれは非常に主観的見解である。ミクロスフェアの数が増加しても明らかな炎症は認められなかった。
第2コホートのマウスに、放射活性が存在しないミクロスフェアを注射によって分割負荷させた。負荷を分割し、3mg/kgを静脈内注射にて7日間間隔で3回にわたって送達させ(総負荷9mg/kg)、マウスを最後の注射後さらに7日間モニタリングした。また、マウスの福祉を慎重にモニタリングし、静脈内ミクロスフェア注射に由来する顕著な影響は認められなかった。
実施例7:異なる177Lu調製物の生体内分布および排出
3匹のBALB/cマウスから構成される4群に、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(8μm;3mg/kg;群1)、ミクロスフェアなしの177Lu−DTPA−PLO(群2)、ミクロスフェアに直接結合し、ポリマー固定剤を含まない177Lu(3mg/kg;群3)、または遊離177LuCl(群4)のいずれかを使用して(尾静脈を介して)静脈内注射した。3時間後、12匹の全てのマウスを安楽死させ、解剖して肺、肝臓、脾臓、および屠体の放射活性を測定した。結果を表3に示す。
177Lu放射性同位体の異なる調製物;177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(群1);ミクロスフェアなしの177Lu−DTPA−PLO(群2)、ミクロスフェアに直接結合し、ポリマー固定剤を含まない177Lu(群3)、または遊離177LuCl(群4)を投与した4群のマウスについての肺、肝臓/脾臓、および屠体に存在する放射活性を表3に示す。177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(群1)について高レベルの肺内177Lu保持(93%)が認められ、一方で、他の調製物は肺内に保持されなかったが、その代りに屠体において高レベルで見出され、これは骨格内に局在化していた。ポリマー固定剤を含まないミクロスフェアに結合した177Lu(群3)は屠体放射能が高く、これは遊離177LuCl(群4)と非常に似ており,DTPA−PLO固定剤が標識されたミクロスフェアの高いin vivo安定性に不可欠であることを証明している。屠体骨格への取り込みに加えて、DTPA−PLOと錯体形成しているがミクロスフェアを含まない177Lu(群2)も肝臓/脾臓によって血液から除去され、測定された放射能の32%を含んでいた。しかし、群2についての総カウント(873)は、平均して、他の群の総カウントの25%であり、177Lu−DTPA−PLOは主に別経路、おそらく腎臓系によって排出されることを示していた。
実施例8:in vivoでの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの安定性試験−長期マウス肺保持試験
5匹のBALB/cマウスに、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの調製物(3mg/kg)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、1ミリグラムあたり26MBqの177Luが負荷されている。各マウスが1.66MBqの平均放射能を照射されるように、このミクロスフェアを、5%デキストロース溶液の懸濁液(0.17mL)として注射した。注射5日後に、マウスを安楽死させ、解剖して肺、肝臓、および屠体中の放射活性を測定した。解剖したマウスを、Infinia Hawkeye4 SPECTスキャナ(GE Healthcare)を使用して画像化し、肺内の放射能を、CRC−Ultra chamber(Capintec)を使用して測定した。結果を図4および表4にまとめている。
5つの解剖したマウス屠体のガンマカメラ画像を、摘出した心臓/肺、肝臓、および脾臓と共に図4Aに示す。視覚化するために、画像のカウントを20倍にした。明らかに、注射5日後でさえも、心臓/肺内の177Lu保持は高い。肺からの心臓の除去により(図4B)、ミクロスフェアが実際に心臓から消失し、肺の毛細血管網内に留まったことが明確に証明された。
表4は、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの静脈内注射5日後の5匹のマウスの肺、肝臓、および屠体中に存在する放射活性を示す。注射5日後に、注射された放射能の57%が依然としてマウスの摘出された肺内に存在していた(放射性崩壊に対して時間を補正)。ガンマ画像由来の目的の領域(図4A)は、5日後のマウス内に残存する放射能の領域を示し、79%が肺に存在し、20%が屠体に存在し、1%が肝臓/脾臓に存在していた(表4)。
実施例9:177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアについてのマウスにおける平均in vivo肺保持および吸収線量のまとめ
一連のいくつか(n=8)の個別の実験にわたって、合計で64匹のBALB/cマウスに、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、各マウスが1.6MBqの平均放射能を照射されるように、5%デキストロース溶液(0.17mL)の懸濁液として注射した。注射後の種々の時点で(24〜552時間)、マウスを安楽死させ、解剖して肺、肝臓、および屠体中の放射活性を測定した。解剖したマウスを、Infinia Hawkeye4 SPECTスキャナ(GE Healthcare)を使用して画像化し、肺内の放射能を、CRC−Ultra chamber(Capintec)を使用して測定した。結果を表5および図5にまとめている。
表5は、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを注射した64匹のマウスの経時的な肺放射能およびガンマカメラカウントをまとめている。注射5日後の肺内の平均放射能は、注射された放射能の53%であった(崩壊に対して時間を補正)。注射23日後までに、平均肺保持は依然として注射した放射能の16%であったが、177Luの半減期が6.647日であることを考慮すると、肺内の実際の放射能は注射した放射能のたった1%であった。
表5由来のデータを使用して、肺および骨格/屠体についての1グラムの組織重量あたりの注入量の百分率(%ID)を計算した(図5)。これを、マウス肺については0.18gの平均組織湿重量、およびマウス骨格についての1.5gの重量を仮定して計算した(20gマウスの7.5%;Di Masso,R.J.,Celoria,G.C.& Font,M.T.,1998.身体の構造についての拮抗的選択を用いたマウスにおける骨の形態的特色、大腿測定、および骨塩沈着.Bone,22(5),pp.539−543)。明らかに、肺は、経時的に1グラムの組織あたり大部分の線量を照射されていた。放射線吸収線量を、医療体内放射線量(MIRD)スキーマを使用し、そして177Luからのγ線放出の軽微な寄与を無視して評価した。23日間にわたる177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアにおいて1.6MBqの放射能を注射した肺に照射された吸収線量は、75.4Grayと評価され、一方で、骨格への吸収線量はたった2.8Grayと評価された。
実施例10:in vivoマウス肺保持に及ぼす固定化剤のDTPAのPLOに対するモル比の影響
いくつかの異なるDTPA−PLO構築物を、DTPAのPLOに対する異なるモル比を用いて構築した(実施例1)。これらのポリマーのうちのDTPAのPLOに対するモル比が17.5、13.8、および7.3である3つのポリマーを使用して、3つの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(直径8μm)を構築した。これらを、各マウスが0.9MBqの平均放射能を照射されるように、5%デキストロース溶液(0.15mL)の懸濁液として4匹のBALB/cマウスから構成される3群に(尾静脈を介して)静脈内注射した。注射4日後に、マウスを安楽死させ、解剖して、肺内の放射活性をCRC−Ultra chamber(Capintec)を使用して測定した。肺保持の結果を表6にまとめている。
表6中の結果は、4日間にわたってマウス肺内の放射性同位体(177Lu)の保持を高くするためには、DTPAのPLOに対するモル比をより高くする必要があることを示す。モル比13.8で最も高い注射放射能の保持率57%が得られた。モル比を増加させると、保持率がわずかに減少した。しかし、モル比7.3では4日間にわたる注射放射能の保持率はたった5%であった。DTPAのPLOポリカチオンに対する最適比が存在するようであり、この最適比により、177Luを保持し、さらに同時に固定化剤のポリスチレンスルホナートミクロスフェアへの強固な結合を容易にするのに十分な遊離アミン基の数をPLO上に提供するのに十分なDTPA分子が存在する。モル比3の構築物(図2)は、in vitro安定性試験においてさえ十分に機能せず、これらの構築物は、血液中に存在する2mM Ca2+を模倣しているハートマン液の存在下でミクロスフェア上に177Luを保持できなかった。
実施例11:滅菌条件の最適化
滅菌177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物を、滅菌材料から出発し、滅菌技術(工程1〜5)を使用した実施例5中の方法にしたがって生成することができる。しかし、完全な調製物が標準的なオートクレーブ条件に安定であり(工程6、実施例5)、依然として高いin vivo保持を示す場合は有利であろう。そのような調製物の任意の臨床使用には、最終調製物を患者への配布および静脈内注射前にオートクレーブ処理によって滅菌することが必要であろう。BALB/cマウスにおける4つの異なる滅菌調製物のin vivo肺保持を、種々の時点での1グラムの組織の湿重量あたりの注入量の百分率として図6にまとめている。滅菌条件下で調製した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアのデータを、×記号として近似指数曲線と共に示す(実施例8由来のデータ)。これらのデータに加えて、3つの異なるオートクレーブ処理した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物を生成した。第1に(+データポイント)、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを、水中で行う工程2および6を使用して調製した(実施例5)。第2に(△のデータポイント)、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを、水中で行う工程2、および生理食塩水中で行う工程6を使用して調製した(実施例5)。第3に(○データポイント)、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを、生理食塩水中で行う工程2および6の両方を使用して調製した(実施例5)。これら3つの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物を、各マウスが1.3MBqの平均放射能を照射されるように、10匹のBALB/cマウスから構成される3群に、生理食塩水(0.17mL)の懸濁液として(尾静脈を介して)静脈内注射した。注射6日後に、各群由来の5匹のマウスを安楽死させ、解剖して、肺内の放射活性をCRC−Ultra chamber(Capintec)を使用して測定した。注射12日後に、各群の残りの5匹のマウスについてこれを繰り返した。
図6は、水中でオートクレーブ処理した調製物を投与されたマウスの肺内で見出された放射能と比較して生理食塩水中でオートクレーブ処理した調製物を投与されたマウスの肺内で見出された放射能レベルが増加したことを示す;この増加は、実験期間中維持された。これらの結果は、生理食塩水中でのミクロスフェア調製物のオートクレーブ処理が好ましい滅菌方法であることを示していた。
実施例12:マウス肺におけるマウス4T1−luc2乳癌細胞株の成長
マウス4T1−luc2乳癌細胞株は、in vivoでの腫瘍成長を非侵襲性に画像化可能であるので、一般的に使用されている肺転移モデルである。細胞株はホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc2)でトランスフェクトされており、その結果、ルシフェリンの存在下で、生細胞が生物発光カメラを使用して検出することができる光を発する。この肺転移モデルを使用して調査を開始するために、12匹のBALB/cマウスを3つの群に分け、25000、50000、または100000個の4T1−luc2細胞を含むハンクス平衡塩類溶液(150μL)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。肺腫瘍成長を、細胞注射の3、6、9、および13日後に測定した。簡潔に述べれば、マウスに、ルシフェラーゼ基質であるルシフェリンを腹腔内(IP)注射し、次いで、マウスを麻酔し、肺生物発光を、IVISスペクトルin vivo画像化システム(PerkinElmer)を使用して測定した。マウス肺由来の生物発光流の測定値を図7に示す。50000個の細胞の注射により、都合の良い範囲の生物発光流の成長曲線が得られることが見出され、この細胞数をさらなる実験による調査のために採用した。
実施例13:マウス肺におけるマウス4T1−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の内部照射の影響
4T1−luc2細胞(50000細胞)を(尾静脈を介して)静脈内注射することによって腫瘍を18匹のBALB/cマウスの肺内で腫瘍を成長させた。腫瘍成長の5日目に、肺生物発光を、IVISスペクトルin vivo画像化システム(PerkinElmer)を使用して測定し、マウスを以下の2群に分けた;処置群(n=9)およびほぼ等しい総腫瘍量を保有するネガティブコントロール群(n=9)。次いで、処置群のマウスに、各マウスが1.59MBqの平均放射能を照射されるように、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。ネガティブコントロール群のマウスに、非放射性175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを5%デキストロース溶液(0.17mL)の懸濁液として注射した。成長11日目に(内部照射への曝露の6日後に)、腫瘍生物発光を測定し、結果を図8に示す。
マウス肺4T1−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の内部電離放射線の影響を図8に示す。以下の2つのマウス群についての結果を示す:177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与した処置群(177Lu);および175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与したネガティブコントロール群(Ctrl)。処置マウスは、ルシフェラーゼをトランスフェクトした腫瘍細胞によって生成される生物発光流の変化の減少によって測定した場合、5日目と11日目との間の腫瘍成長が統計的に有意に低下した(p=0.0012)。ネガティブコントロール群の生物発光の変化の中央値は、処置群の6.58倍であった。
実施例14:マウス肺4T1−luc2腫瘍の成長を遅延させるために177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを使用した福祉エンドポイントに対する生存期間の改善
4T1−luc2細胞(50000細胞)の(尾静脈を介した)静脈内注射によって20匹のBALB/cマウスの肺内に腫瘍を成長させた。腫瘍成長の5日目に、肺生物発光を、IVISスペクトルin vivo画像化システム(PerkinElmer)を使用して測定し、マウスを以下の2群に分けた;処置群およびほぼ等しい総腫瘍量を保有するネガティブコントロール群。次いで、処置群のマウスに、各マウスが1.59MBqの平均放射能を照射されるように、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。ネガティブコントロール群のマウスに、非放射性175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを5%デキストロース溶液(0.17mL)の懸濁液として注射した。マウスの福祉を毎日慎重にモニタリングし、マウスを、いくつかの標準的なマウスモデル基準に対してスコアリングした(0〜3)。マウスをスコアリングする者は、どのマウスが各群に割り当てられているのかを知らず、全ての基準にわたって全スコアが3以上に到達した場合、肺生物発光を直ちに測定し、動物を選別した。エンドポイントにしばしば寄与する一般的基準は、毛の外観、活動、動き、呼吸、および体重であった。マウスを選別した時点を使用して2群の生存関数を評価し、これを図9に示す。
図9に示した生存関数は、マウス肺腫瘍の内部照射療法によって福祉エンドポイントまでのマウスの生存が延長されたことを明確に示す。生存日数の差の中央値は4日間であり、これは統計的に有意であった(p=0.02)。
実施例15:マウス肺内のマウス4T1−luc2腫瘍成長に及ぼす異なる線量の内部照射の影響
177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア上の異なる放射活性に曝露されたマウス肺腫瘍の成長に及ぼす影響を調査した。4T1−luc2細胞(50000細胞)の(尾静脈を介した)静脈内の注射によって40匹のBALB/cマウスの肺内で腫瘍を成長させた。腫瘍成長の5日目に、肺生物発光を、IVISスペクトルin vivo画像化システム(PerkinElmer)を使用して測定し、マウスを以下の4群に分けた;ネガティブコントロール群(n=10)およびほぼ等しい総腫瘍量を保有する3つの処置群(3×n=10)。次いで、3つの処置群のマウスに、各マウスが0.82、1.1、または1.37MBqの平均放射能を照射されるように、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。ネガティブコントロール群のマウスに、非放射性175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを5%デキストロース溶液(0.17mL)の懸濁液として注射した。成長11日目に(内部照射への曝露の6日後に)、腫瘍生物発光を測定し、結果を図10に示す。
マウス肺4T1−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の3つの異なる線量の内部電離放射線の影響を図10に示す。以下の4つのマウス群についての結果を示す;175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与したネガティブコントロール群(Ctrl);ならびに0.82、1.1、および1.37MBqの放射活性を有する177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与した3つの群。3つの処置群(0.82、1.1、および1.37MBq)の各々について、ルシフェラーゼをトランスフェクトした腫瘍細胞によって生成される生物発光流の変化の減少によって測定した場合、5日目と11日目との間の腫瘍成長が統計的に有意に低下した(それぞれ、p=0.011、0.026、および0.0017)。ネガティブコントロール群の生物発光の変化の中央値は、処置群(0.82、1.1、および1.37MBq)のそれぞれ1.9、1.8、および2.3倍であった。
実施例16:マウス肺内でのマウスB16−F10−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の内部照射の影響
肺は、患者予後が非常に不良である最も頻繁な黒色腫遠隔転移部位と見なされている(Tas,F.,& Erturk,K.(2017).Recurrence behavior in early−stage cutaneous melanoma:pattern,timing,survival,and influencing factors.Melanoma Research,27(2),134−139.http://doi.org/10.1097/CMR.0000000000000332)。C57BL/6由来のB16黒色腫は、一般的に使用されているマウス肺転移モデルである。BALB/cマウス肺内のルシフェラーゼでトランスフェクトされたB16−F10−luc2細胞株の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の内部照射の影響を調査した。
B16−F10−luc2細胞(100000細胞)の(尾静脈を介した)静脈内注射によって18匹のBALB/cマウスの肺内に腫瘍を成長させた。腫瘍成長の7日目に、肺生物発光を、IVISスペクトルin vivo画像化システム(PerkinElmer)を使用して測定し、マウスを以下の2群に分けた;処置群(n=10)およびほぼ等しい総腫瘍量を保有するネガティブコントロール群(n=10)。次いで、処置群のマウスに、各マウスが1.60MBqの平均放射能を照射されるように、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。ネガティブコントロール群のマウスに、非放射性175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを生理食塩水(0.17mL)の懸濁液として注射した。成長12日目に(内部照射への曝露の5日後に)、腫瘍生物発光を測定し、各マウスについての2つの測定値の間の生物発光の相違を計算した。これらの結果を図11に示す。
マウス肺B16−F10−luc2腫瘍の成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア由来の内部電離放射線の影響を図11に示す。以下の2つのマウス群についての結果を示す:177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与した処置群(177Lu);および175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを投与したネガティブコントロール群(Ctrl)。ルシフェラーゼをトランスフェクトした腫瘍細胞よって生成される生物発光流の変化の減少によって測定した場合、処置マウスは、7日目と12日目との間に統計的に有意な腫瘍成長の低下を示した(p=0.0004)。ネガティブコントロール群の生物発光の変化の中央値は、処置群の5.56倍であった。
実施例17:静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに24日間曝露した正常マウス由来の肺の組織学
本研究では腫瘍を持たない正常なマウス肺に及ぼす内部照射処置の影響を試験し、いくつかの耐性の証拠を得た。5匹のBALB/cマウスに、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3匹のマウス)または175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(2匹のマウス)のいずれかを(尾静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、3mg/kgを負荷する5%デキストロース溶液(0.17mL)の懸濁液として注射した。177Luを照射されたマウスは、1.66MBqの平均放射能を照射された。上記の腫瘍を有するマウスについて記載のように、マウスの福祉を毎日慎重にモニタリングし、マウスを、いくつかの標準的なマウスモデル基準に対してスコアリングした(0〜3)。注射24時間後に、マウスを安楽死させ、肺を取り出し、10%中性緩衝ホルマリン中で固定した。各マウス由来の単一の肺を組織学のために公認の動物病理研究所に送り、どのマウスが内部照射処置を受けており、そしてどのマウスがコントロール処置を受けているのかを知らされていない有資格病理学者による報告を受けた。
本研究から得た結果は、第1に、24日間の慎重な毎日のモニタリングにより、正常マウスの福祉に及ぼす内部照射療法の影響は無視できるほどであることを示した。処置マウスおよびコントロールマウスの一般的な挙動および状態は、識別不可能であった。第2に、組織学的所見に関して、図12は、倍率が40倍のヘマトキシリンおよびエオシンで染色したマウス由来の肺組織を示す。いくつかのミクロスフェアを矢印で強調し、白色バーは50μmを示す。病理学者の報告では、以下のように述べられていた:「肺全体に広範且つ無作為に分散している多数のミクロスフェアが存在していた。全体的に見て、5匹の各マウス由来の肺試料は、本質的に同一であった。ミクロスフェアに関連する炎症の組織学的に有意な証拠はなかった。肺内に線維症の証拠もなかった。さらに、フィブリン沈着の証拠および肺巨核球(血小板)の証拠はなかった。本研究のマウスの肺組織において放射線被曝に起因するいかなる有害作用も認められなかった。」
実施例18:静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに5日間曝露した4T1−luc2腫瘍を有するマウス肺の組織学
4T1−luc2細胞(50000細胞)の(尾静脈を介した)静脈内注射によって20匹のBALB/cマウスの肺内に腫瘍を成長させた。腫瘍成長の5日目に、肺生物発光を、IVISスペクトルin vivo画像化システム(PerkinElmer)を使用して測定し、マウスを以下の2群に分けた;処置群(n=9)およびほぼ等しい総腫瘍量を保有するネガティブコントロール群(n=9)。次いで、処置群のマウスに、各マウスが1.6MBqの平均放射能を照射されるように、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を(尾静脈を介して)静脈内注射した。ネガティブコントロール群のマウスに、非放射性175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3mg/kg)を注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを5%デキストロース溶液(0.17mL)の懸濁液として注射した。成長10日目に(内部照射への曝露の5日後に)、マウスを選別し、組織学的分析のためにその肺を取り出した。各群由来の4つの肺を組織学のために公認の動物病理研究所に送り、どのマウスが内部照射処置を受けており、そしてどのマウスがコントロール処置を受けているのかを知らされていない有資格病理学者による報告を受けた。
第1に、一連の実験にわたってマウスを慎重にモニタリングし、その福祉に及ぼす内部照射療法由来の影響はなかった。第2に、組織学的所見に関して、図13は、倍率が40倍のヘマトキシリンおよびエオシンで染色したマウス由来の肺組織を示す。いくつかのミクロスフェアを矢印で強調している。病理学者の報告では、以下のように述べられていた:「ミクロスフェアは、肺全体に広範且つ無作為に分布していた。概して、腫瘍内よりも肺の両方の間質組織内により多くが存在していた。異なるマウス由来の結果は合理的に一貫していることが見出され、任意のマウス間の相違は真に識別不可能であった。単体のミクロスフェアの周囲に炎症は非常に少なく、複数のミクロスフェアの周囲に炎症はほぼ存在しなかった。あるいは、複数のミクロスフェアの周囲に炎症はなかった。あるいは、いくつかのマウスにおいて、少数のミクロスフェアの周囲に非常に軽度の好中球浸潤が認められた。全てのマウスは、腫瘍内にミクロスフェアを有していた。ミクロスフェアはまた、腫瘍に隣接して認められた。腫瘍内のミクロスフェアの有無にかかわらず、全ての腫瘍に細胞死および細胞壊死が認められた。本病理学者は、肺に対する放射線損傷の可能性を評価するために肺全体の炎症を調査した。有意な肺組織全体の炎症は存在しないと考えられ、したがって、肺への明らかな照射は認められないと考えられた。肺合胞体細胞の証拠および肺内の線維症の証拠は認められなかった。腫瘍内に炎症が認められ、これは、腫瘍内のミクロスフェアの有無にかかわらず、本質的に同一の軽度の炎症であった。腫瘍細胞の変性および壊死が認められた。本病理学者は、どのマウスが処置マウスであり、そしてどのマウスがコントロールマウスであるのかという知識を持たずにこれらの症例を再検討した。しかし、全てのマウスは本質的に同一であり、マウス間に有意差はないようであった。」
実施例19:5日間にわたるマウスの全血球数に及ぼす静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの短期の影響
BALB/cマウス系統は、肺に及ぼす内部照射の生物学的影響を調査するための最も適切なモデルではないかもしれない。CBAマウス系統は、放射線肺臓炎および肺線維症を調査するためのよりよいモデルと示唆されている(Dabjan,M.B.ら,2016.マウスにおける放射線傷害のモデル化における変化傾向の調査:良好、不良、および不明を明らかにする.Laboratory Investigation,96(9),pp.936−949)。
本研究では全血球数に及ぼす内部照射処置の短期影響を試験し、耐性の証拠をさらに得た。5匹のCBAマウスから構成される5群に、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(3×5マウス)または175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(5匹のマウス)のいずれかを(尾静脈を介して)静脈内注射した。残りの5匹のマウスを、静脈内ミクロスフェア注射の影響を調査するための非注射コントロールとして放置した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、3mg/kgを負荷する生理食塩水(0.17mL)の懸濁液として注射した。177Luを投与されたマウスは、1.6MBqの平均放射能を照射された。マウスの福祉を毎日慎重にモニタリングし、マウスを、いくつかの標準的なマウスモデル基準に対してスコアリングした(0〜3)。注射5時間後、24時間後、および5日後に、3つの処置群マウスを麻酔し、心穿刺によって抗凝固薬を予め負荷したシリンジ中に採血した。注射5時間後に、ネガティブコントロールマウスを麻酔し、心穿刺によって抗凝固薬を予め負荷したシリンジ中に採血した。同一の手順によって非注射コントロールマウス群からも採血した。採取した血液を、Advia2120血液学システム(Siemens)で分析し、結果を図14に示す。
全白血球数、リンパ球数、および好中球数に及ぼす内部照射処置の影響を、それぞれ、図14A、B、およびCに示す。内部照射への曝露5時間後に細胞数のわずかな減少が認められた;しかし、これは統計的に有意ではなく、細胞レベルは24時間後に回復した。曝露5日後に、好中球レベルのわずかな上昇が測定されたが、これも統計的に有意ではなかった。全赤血球数ならびにヘモグロビン、平均赤血球容積、およびヘマトクリットの測定値などのパラメータの他の変化は認められなかった。
また、マウスのコントロール群および処置群から採取した血液を処理して末梢血単核球(PBMC)を単離し、これを使用してDNA損傷を評価した。PBMCをFicoll−Paque密度勾配遠心分離によって単離し、顕微鏡スライドに接着し、γH2AX抗体および53BP1抗体で染色して、フォーカスと呼ばれる二本鎖DNAの破壊の存在を示した。PBMCを、共焦点顕微鏡法(Leica SP1,Leica Microsystems)を使用して画像化し、DNA損傷フォーカスを、Fiji画像化ソフトウェアを使用して定量した。フォーカス分析は、γH2AXマーカーおよび53BP1マーカーについて最少で100個のPBMCを定量することが目的であった。
内部照射処置に対するPBMCのDNA損傷応答の分析結果を、図15に示す。γH2AXフォーカスおよび53BP1フォーカスを有するPBMCの百分率の増加が注射5時間後の処置群5において認められた。しかし、この増加はネガティブコントロール群と比較したときに統計的に有意ではなく、注射5日後のネガティブコントロール群と類似のレベルに戻った。175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを注射したネガティブコントロールマウスは、非注射マウスと比較してフォーカスの百分率が増加したが、この増加は、統計的に有意ではなかった。
実施例20:3ヵ月にわたるマウスの全血球数に及ぼす静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの長期の影響
本研究では全血球数に及ぼす肺内部照射処置の長期影響を評価し、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの耐性のさらなる証拠を得た。CBAマウスから構成される3群に、175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(群1、3匹のマウス、非放射性コントロール)、0.55MBqの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(群2、5匹のマウス)、または1.1MBqの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(群3、5匹のマウス)のいずれかを(尾静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、3mg/kgを負荷する生理食塩水(0.17mL)の懸濁液として注射した。177Luを投与されたマウスは、群2および3についてそれぞれ0.51MBqおよび1.0MBqの平均放射能を照射された。推定平均肺吸収線量を、群2および3についてそれぞれ23.2Gyおよび46.1Gyである過去の保持データに基づいて計算した。マウスの福祉を14日間毎日慎重にモニタリングし、その後に1周間に2回福祉評価を行った。マウスを、いくつかの標準的なマウスモデル基準に対してスコアリングした(0〜3)。注射3ヶ月後に、マウスを麻酔し、心穿刺によって抗凝固薬(0.18%EDTAのPBS溶液)を予め負荷したシリンジ中に採血した。採取した血液試料を、Advia2120血液学システム(Siemens)で分析し、結果を図16に示す。
総白血球数、リンパ球数、および好中球数に及ぼす内部照射処置の影響を、それぞれ図16A、B、およびCに示す。群3のマウスは、白血球数がわずかに増加したが、しかし、これは統計的に有意ではなかった。コントロール群と177Lu注射群との間のリンパ球数および好中球数は、有意に変化しなかった。赤血球数またはヘモグロビン、平均赤血球容積、およびヘマトクリットの測定値などの他のパラメータの変化は認められなかった。
また、マウスのコントロール群および処置群から採取した血液を処理して末梢血単核球(PBMC)を単離し、これを使用してDNA損傷を評価した。PBMCをFicoll−Paque密度勾配遠心分離によって単離し、顕微鏡スライドに接着し、γH2AX抗体および53BP1抗体で染色して、フォーカスと呼ばれる二本鎖DNAの破壊の存在を示した。PBMCを、共焦点顕微鏡法(Leica SP1,Leica Microsystems)を使用して画像化し、DNA損傷フォーカスを、Fiji画像化ソフトウェアを使用して定量した。フォーカス分析は、γH2AXマーカーおよび53BP1マーカーについて最少で100個のPBMCを定量することが目的であった。
内部照射処置に対するPBMCのDNA損傷応答の分析結果を、図17に示す。コントロール群と177Lu注射群との間にγH2AXフォーカスおよび53BP1フォーカスの百分率の有意差は認められなかった。
実施例21:3ヶ月間静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに曝露されたマウス肺の組織学
実施例20に記載のように、3つのCBAマウス群に、175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(群1、3匹のマウス、非放射性コントロール)、0.55MBqの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(群2、5匹のマウス)、または1.1MBqの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア調製物(群3、5匹のマウス)のいずれかを(尾静脈を介して)静脈内注射した。マウスの福祉を14日間毎日慎重にモニタリングし、その後に1周間に2回福祉評価を行った。マウスを、いくつかの標準的なマウスモデル基準に対してスコアリングした(0〜3)。注射3ヶ月後および採血後(実施例20)に、マウスを頸椎脱臼によって安楽死させ、肺および心臓を採取した。各マウス由来の肺組織および心臓組織の試料を組織学のために公認の動物病理研究所に送り、どのマウスが内部照射処置を受けており、そしてどのマウスがコントロール処置を受けているのかを知らされていない有資格病理学者による報告を受けた。
本研究から得た結果は、第1に、24日間の慎重な毎日のモニタリングにより、正常マウスの福祉に及ぼす内部照射療法の影響は無視できるほどであることを示した。処置マウスおよびコントロールマウスの一般的な挙動および状態は、識別不可能であった。第2に、組織学的所見に関して、病理学者の報告では、以下のように述べられていた:「試験したマウスは、31、41、51、23、24、45、15、42、44であった。全ての肺はミクロスフェアを含んでいた。心臓および心膜も試験した。他の隣接組織(食道、気管、骨格筋、および気管支リンパ節が含まれる)も試験した。全マウスの全ての肺内の肺胞マクロファージ数が軽度に増加した。これは肺水腫に起因すると考えられ、安楽死に関連する偶発的所見かもしれない。肺において、ミクロスフェア中またはその周囲に、炎症、フィブリン沈着物、血小板合胞体、壊死、または線維症の証拠はなかった。心臓または心膜におけるいかなる炎症、壊死、放射線被曝に関連する他の組織反応の証拠もなかった。食道、気管、骨格筋、または気管支リンパ節などの他の関連組織におけるいかなる炎症や壊死の証拠もなかった。」病理学者の報告のまとめを、表7に見ることができる。
実施例22:in vivoでの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの安定性試験−短期ウサギ肺保持試験
前述の試験は全てマウスモデルについて言及しており、異なる動物種、好ましくは、非げっ歯類で生体内分布および安定性の結果を確証することが望ましかった。以下のためにウサギを選択した:a)サイズがより大きく、関連臓器内の生体内分布のより良好な画像化が可能であること、およびb)異なる静脈内注射経路を介した(すなわち、耳静脈による)ミクロスフェアの投与が可能であること。2羽のニュージーランドホワイト系ウサギに、麻酔下で177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(3.9mg/kg)を(耳静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、各ウサギが107MBqの平均放射能を照射されるように、5%デキストロース溶液(3mL)で注射した。ウサギのガンマカメラ画像を、麻酔下で注射直後、ならびに注射1、2、および3時間後に得た(図18)。視覚化するために、画像のカウントを、50倍にした。さらに、2羽のニュージーランドホワイト系ウサギに、麻酔下で、177Lu−DTPA−PLOポリマー(ミクロスフェアなし)を、そして2羽のウサギに遊離177LuClを、それぞれ120MBqおよび112MBqの平均放射活性を有する5%デキストロース溶液で(耳静脈を介して)静脈内注射した。
177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアは、肺循環の限界径に留まっており、その場所でγ線放射性同位体が存続していた。図18は、肺血管網内に捕捉されたミクロスフェア上に放射性標識が効率的に保持されていることを示す。3時間後、動物を選別し、肺および肝臓を解剖した。臓器および屠体の個別のガンマカメラ画像により、総放射活性の95.7±0.3%が肺内に、0.2±0.02%が肝臓内に、そして、4.1±0.2%が屠体内に保持されることが明らかとなった(表8)。対照的に、遊離177LuClは、肺内に保持されず、屠体の骨に迅速に付随した。ミクロスフェアに結合していないポリマー177Lu−DTPA−PLOも肺内に保持されなかったが、ウサギの腎臓および膀胱内で高レベルの放射活性(それぞれ、11.5および63.3%)が見出された。これは、177Luのポリマー結合形態が腎臓系を介して迅速に排出されることを示す。
実施例23:in vivoでの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの安定性試験−長期ウサギ肺保持試験
2羽のニュージーランドホワイト系ウサギに、麻酔下で177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(3mg/kg)を(耳静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、各ウサギが74.9MBqの平均放射能を照射されるように、生理食塩水(3mL)に含めて注射した。ウサギのガンマカメラ画像を、麻酔下でそれぞれの場合において、注射直後、ならびに注射1、6、12、および19日後に得た(図19)。視覚化するために、画像のカウントを、5倍にした。ウサギの一般的な挙動および状態を注射後に毎日綿密にモニタリングして、福祉に及ぼす任意の影響を評価した。図19中のウサギガンマカメラ画像から、個別の臓器のガンマカウントを、画像上に目的の領域を描くことによって得た。これらを、既知の線源を用いた一点校正によって実際の放射能に変換した。これらのデータを表9にまとめている。
上記のマウス実験と同様に、ウサギ肺内の放射性ミクロスフェアの静脈内注射および持続は、19日間にわたって高い忍容性が認められた;福祉に識別可能な影響を及ぼさなかった。投与中のウサギのガンマカメラ画像化により、耳静脈経路を介して注射した放射性標識ミクロスフェアは、定量的に静脈を通過して、心臓、右心腔にも戻り、次いで、肺内に保持されたことが証明された(図19)。6日後に肺内に相当量の放射能(注射された放射能の平均40.9%(崩壊に対して補正))が保持され、この量は、マウスの肺内の放射性ミクロスフェアの保持(44.6%、表5)に匹敵することが明らかである。
実施例24:静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに曝露されたウサギ臓器に送達された吸収線量
表9に示したニュージーランドホワイト系ウサギの肺、骨格、および腎臓についてのガンマカウントおよび放射能を使用して、経時的に19日間にわたって臓器に送達された1グラムの組織の湿重量あたりの注入量の百分率を計算した(図20)。これを、ウサギ肺については20g、腎臓については15g、およびウサギ骨格については265.2gの平均組織湿重量を仮定して計算した(平均ウサギ重量の6%;Stephen W Barthold,2015.Pathology of Laboratory Rodents and Rabbits,Fourth Edition)。マウスと同様に、ウサギ肺は経時的に1グラムの組織あたり大部分の線量を照射される。放射線吸収線量を、医療体内放射線量(MIRD)スキーマを使用し、そして177Luからのγ線放出の軽微な寄与を無視して評価した。19日間にわたって177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア上の74.9MBqの放射能を注射した肺が照射された吸収線量は31.1Grayと推定され、一方で、腎臓および骨格への吸収線量は、それぞれたった1.5および1.1Grayであると推定された。
実施例25:ウサギの全血球数に及ぼす静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの経時的影響
本研究では全血球数に及ぼす内部照射処置の影響を試験し、忍容性の証拠をさらに得た。10羽のニュージーランドホワイト系ウサギに、麻酔下で177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(2mg/kg;2×4ウサギ)またはネガティブコントロールとしての175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(2mg/kg;2ウサギ)のいずれかを(耳静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを生理食塩水(3mL)に含めて注射し、177Luを注射したウサギに47MBqまたは94MBqのいずれかの平均放射能を照射した。ウサギの一般的な挙動および状態を注射後に毎日綿密にモニタリングして、福祉に及ぼす任意の影響を評価した。注射直前ならびに注射5時間後、24時間後、7日後、14日後、および21日後に、耳静脈を介して抗凝固薬を予め負荷したシリンジ中に採血した。採取した血液を、Advia2120血液学システム(Siemens)で分析し、結果を図21に示す。
全白血球数、リンパ球数、および好中球数に及ぼす内部照射処置の影響を、それぞれ、図21A、B、およびCに示す。内部照射処置への曝露5時間で、最高放射能群(94MBq)について平均総白血球数が増加したが、これは同一群内で非常にばらつきがあった(n=4)。両処置群についてリンパ球の減少および好中球の増加も測定され、これらの細胞数は24時間後までに正常レベルに戻った。全赤血球数ならびにヘモグロビン、平均赤血球容積、およびヘマトクリットの測定値などのパラメータの他の変化は認められなかった。
実施例26:静脈内注射した177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアに3ヶ月間曝露したウサギ肺の組織学
3群のニュージーランドホワイト系ウサギに、麻酔下で175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(群1、1羽のウサギ)または3mg/kgを負荷する177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(群2および3、各2羽のウサギ)のいずれかを(耳静脈を介して)静脈内注射した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、生理食塩水(3mL)に含めて注射し、群2および3はそれぞれ39MBqおよび90MBqの平均放射活性を照射された。ウサギの一般的な挙動および状態を注射後に毎日綿密にモニタリングして、福祉に及ぼす任意の影響を評価した。注射3ヶ月後に、ウサギを選別し、心臓および肺を採取した。肺、心臓、および心膜由来の組織試料を、組織学のために公認の動物病理研究所に送り、どのウサギが内部照射処置を受けており、そしてどのウサギがコントロール処置を受けているのかを知らされていない有資格病理学者による報告を受けた。
第1に、一連の実験にわたってウサギを慎重にモニタリングし、その福祉に及ぼす内部照射療法由来の影響はなかった。第2に、組織学的所見に関して、図22は、倍率が40倍のヘマトキシリンおよびエオシンで染色したウサギ由来の肺組織を示す。群2由来の1羽のウサギは、ミクロスフェアにしばしば関連する中等度の炎症応答を示した(図22、左)。しかし、これは群2の他のウサギや、より高い線量の放射活性を照射された群3のウサギでは存在しなかった。
病理学者の報告では、以下のように述べられていた:「ウサギ254は、肺実質全体に無作為に分散した複数の小さな十分に明確な肉芽腫を有していた。これらの肉芽腫は、しばしば、その中心にミクロスフェアを含んでいた。肉芽腫は、マクロファージおよびリンパ球の凝集によって形成されていたが、壊死またはフィブリン沈着の有意な証拠はなかった。ウサギ260、263、274、272には有意な肺病変は認められなかったが、肺全体に広く分散した多数のミクロスフェアが存在していた。すなわち、線維症、細胞死、血小板合胞体、フィブリン沈着物、または炎症もしくは肺組織球増殖症は認められなかった。ウサギ254、260、263、274、272の心膜または心臓に組織学的病変は存在しなかった。より具体的には、線維症、細胞死、血小板合胞体、フィブリン沈着物、または炎症は存在しなかった。肺と接触している心臓の側面および肺と接触していない心臓の側面に組織学的相違は存在しなかった。」報告のまとめを表10に示す。
実施例27:in vivoでの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの安定性試験−短期ウサギ肝臓保持試験
ミクロスフェアが肺内に保持された上記の全ての結果とは対照的な異なる内部臓器の環境下(すなわち、肝臓内)での標識ミクロスフェアの安定性の指標としてこの試験を行った。これは、肝腫瘍処置において本発明の内部照射療法が臨床的に使用可能かどうかに関する。5羽のニュージーランドホワイト系ウサギを、イソフルランで麻酔し、挿管し、流体(ハートマン液)を静脈内投与し、外科手術用の加温したエアベット上に置いた。肝動脈を正中線開腹術(観血手術)によって露呈し、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(3羽のウサギ)または177LuCl(2羽のウサギ)のいずれかの点滴注入のために顕微手術によってカテーテルを挿入した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、109MBqの平均放射活性で13mg/kgの平均負荷の5mLの5%デキストロース溶液に含めて注射した。177LuClを、105MBqの平均放射能で5mLの5%デキストロース溶液に含めて注射した。肝臓への通常の血流を再建し、ウサギをInfinia Hawkeye4 SPECTスキャナ(GE Healthcare)で画像化した。手術および画像化の1時間後、ウサギを依然として麻酔下でのペントバルビトンナトリウムを使用した心臓内致死注射によって安楽死させ、さらなるSPECT画像化のために臓器を取り出した。臓器カウントを表11に示す。
これらの結果により、ウサギ肺と比較してウサギ肝臓内でのミクロスフェアの短期保持率がより一層高いことが確認され(それぞれ、99.7%対95.7%)、このことは、肝腫瘍の内部照射療法における標識ミクロスフェアの重要な適用要件を満たすことが明らかである。対照的に、可溶性177Luは肝臓から迅速に枯渇され、屠体内全体に分布した。
実施例28:in vivoでの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの安定性試験−短期ウサギ肝臓VX2腫瘍保持試験
肝臓VX2腫瘍を、栓孔手術を使用してニュージーランドホワイト系ウサギの主要肝葉の1つに移植して、2つのおよそ1mmの立方体腫瘍組織を小さな切開部に植え込んだ。肝臓移植レシピエントに対する全ての手術を、無菌手術野を用いてオートクレーブ処理した器具で行い、ウサギをイソフルランで麻酔した。3週間の腫瘍成長後、9羽のウサギウサギを、イソフルランで麻酔し、挿管し、流体(ハートマン液)を静脈内投与し、外科手術用の加温したエアベット上に置いた。肝動脈を正中線開腹術(観血手術)によって露呈し、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェア(7羽のウサギ)または177LuCl(2羽のウサギ)のいずれかの点滴注入のために顕微手術によってカテーテルを挿入した。ミクロスフェアは直径8μmであり、このミクロスフェアを、112MBqの平均放射能で12mg/kgの平均負荷の5mLの5%デキストロース溶液に含めて注射した。177LuClを、82MBqの平均放射能で5mLの5%デキストロース溶液に含めて注射した。肝臓への通常の血流を再建し、ウサギをInfinia Hawkeye4 SPECTスキャナ(GE Healthcare)で画像化した。手術および画像化の1時間後、ウサギを依然として麻酔下でのペントバルビトンナトリウムを使用した心臓内致死注射によって安楽死させ、さらなるSPECT画像化のために臓器を取り出した。臓器カウントを表12に示す。
摘出した肝臓のガンマカメラ画像化(図23)は、おそらく腫瘍によって誘発された血管新生神経叢中の2つの植え込んだ腫瘍の末梢成長帯に放射活性が増強された円形ハローを示していた。動脈内投与した可溶性177Luは、正常な肝臓については上記のように肝臓から迅速に失われ、有用な腫瘍画像を得られなかった。
実施例29:in vivoでの177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの安定性試験−長期皮下マウス4T1−luc2腫瘍保持試験
本研究を、肺腫瘍および肝腫瘍を用いた上記実施例と異なる皮下腫瘍の処置における有用性に関する情報を得るために行った。ポリマーミクロスフェア(直径1μm)を、固定化剤としてDTPA−PLOを使用して177Luで放射性標識した。ミクロスフェアの懸濁液(16.7mg/mL;245MBq/mL;18μL)を、成長8日目に皮下で成長したマウス4T1−luc2腫瘍内に直接注射した。腫瘍を、2000000個の4T1−luc2細胞を含む30μLのハンクス平衡塩類溶液の皮下注射から成長させた。腫瘍成長のさらに4日後に、マウスを解剖し、腫瘍、肝臓、および屠体内の放射活性の分布を、Infinia Hawkeye4 SPECTスキャナ(GE Healthcare)を使用したガンマカメラ画像化によって決定した。結果を表13に示す。摘出した腫瘍は、12日目に(すなわち、同位体注射の4日後に)高い比率(平均97.4%)の総放射活性を含むことが見出された。
実施例30:皮下マウス4T1−luc2腫瘍成長に及ぼす177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアの影響
ルシフェリン注射(IP)後の腫瘍生物発光を測定するIVISスペクトルin vivo画像化システム(PerkinElmer)を使用して麻酔したマウスにおいて測定したマウス4T1−luc2皮下腫瘍の成長に及ぼす177Lu放射性標識ミクロスフェアの影響を図24に示す。以下の腫瘍を有する2群のマウスについての結果を示す;無処置群(Ctrl;n=10)に、非放射性175Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを8日目に腫瘍内注射し、処置群(177Lu;n=9)に、177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアを8日目に腫瘍内注射した。ミクロスフェアは直径1μmであり、このミクロスフェアを、4.4MBqの平均放射活性で0.3mgの負荷の18μLの5%デキストロース溶液に含めて注射した。各腫瘍自体をコントロールとして使用し、成長の増加を、12日目に画像化した領域から8日目の腫瘍中の画像化された生物発光領域を差し引くことによって計算した。177Lu−DTPA−PLO−ミクロスフェアで処置したマウス皮下腫瘍は、そのサイズが59%小さかった(p=0.058)。

Claims (45)

  1. 放射性標識物質であって、
    (i)ポリマー;
    (ii)放射性同位体;および
    (iii)固定化剤;
    を含み、
    前記ポリマーがアニオン性置換基を含む陽イオン交換樹脂であり;
    前記固定化剤が前記ポリマー上または前記ポリマー中に放射性同位体を固定化することができ、前記固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である、放射性標識物質。
  2. 前記ポリカチオンが、2〜6個のアミノ酸残基間隔で共有結合したペンダント側鎖を有するポリペプチド骨格を有する、請求項1に記載の放射性標識物質。
  3. 前記金属キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メルカプトアセチルトリグリシン(MAG)、6−ヒドラジノプリジン−3−カルボン酸(Hynic)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(TRITA)、1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−三酢酸(NOTA)、デフェロキサミン(デスフェラール(desferral))、サルコファギン(SarAr)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−テトラ(メチレン)ホスホン酸(DOTMP);1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−テトラ(メチレン)ホスホン酸;1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,7,10−N,N’,N’’,N’’’−テトラ(メチレン)ホスホン酸;ジエチレントリアミン−N,N’,N’’−五酢酸およびその異性体誘導体;クリプタート[2,2,2]、クリプタート[3,2,2]、クリプタート[2,2,1]ならびにそのモノ−およびジ−ベンゾ誘導体;電子に富む(ドナー)基(ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アミド(amid)、アミン)を含む架橋カリックス[4]アレーン;1,10−ジアザ−4,7,13,16−テトラオキサシクロオクタデカン−1,10−N,N’−ビス−酢酸;および1,10−ジアザ−4,7,13,16テトラオキサシクロオクタデカン−1,10−N,N’−ビス−マロナートからなる群から選択される、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  4. 前記金属キレート剤がDOTAおよびDTPAから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  5. 前記金属キレート剤が、in vivo条件下での前記選択した放射性同位体(複数可)の固定化を維持するように選択される、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  6. 前記高分子が、ポリ−D−リジン(PDL)またはポリ−L−オルニチン(PLO)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  7. 前記固定化剤が、DTPAまたはDOTAの複数の共有結合したペンダント側鎖を有するPDLまたはPLOである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  8. 前記ポリマーが、スルファート基、スルホナート基、カルボキシラート基、およびホスファート基のうちの少なくとも1つを含む陽イオン交換樹脂である、請求項1に記載の放射性標識物質。
  9. ポリマーがポリスチレンスルホナートである、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  10. 前記ポリマーが、0.5〜100ミクロンの中央径を有する微粒子ミクロスフェアの形態である、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  11. 前記微粒子ミクロスフェアの中央径が0.5〜50ミクロンである、請求項10に記載の放射性標識物質。
  12. 前記微粒子ミクロスフェアの中央径が最大35ミクロンである、請求項10または11に記載の放射性標識物質。
  13. 前記微粒子ミクロスフェアの中央径が0.5〜35ミクロンである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  14. 前記微粒子ミクロスフェアの中央径が8〜12ミクロンである、請求項10〜13のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  15. 前記微粒子ミクロスフェアの中央径が8ミクロンである、請求項10〜14のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  16. 前記放射性同位体により画像化および/または治療が可能である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  17. 前記画像化にはSPECT画像化および/またはPET画像化が含まれる、請求項16に記載の放射性標識物質。
  18. 前記放射性同位体が、Ac−225、Au−198、Bi−212、Bi−213、Co−57、Cr−51、Cu−64、Cu−67、Dy−165、Er−169、Fe−59、Ga−67、Ga−68、Gd−153、Ho−166、ln−111、Ir−192、Lu−177、Pd−103、Rb−81、Rb−86、Re−186、Re−188、Ru−103、Sc−47、Sm−153、Sn−117m、Sr−89、Tb−161、Tc−99m、Tl−201、Y−90、Yb−169、およびZr−89からなる群から選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  19. 前記放射性同位体が、周期表の13族から選択される、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  20. 前記放射性同位体が、Ga−67、In−111、Lu−177、またはY−90からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の放射性標識物質。
  21. 画像化および/または治療を可能にするための少なくとも2つの放射性同位体の組み合わせを含む、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  22. 前記放射性同位体の組み合わせが、Ga−68とLu−177;Ga−67とY−90;Ga−68とY−90;In−111とY−90;Lu−177とY−90、およびGa−67とTb−161から選択される、請求項21に記載の放射性標識物質。
  23. 少なくとも1つの非放射性担体金属をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  24. 前記非放射性担体金属が、BiおよびFeから選択される、請求項23に記載の放射性標識物質。
  25. 前記非放射性担体金属によりMRI画像化および/またはX線造影が可能である、請求項23または24に記載の放射性標識物質。
  26. 前記非放射性担体金属がMRI画像化を可能にするためのFeであり、かつ/または前記非放射性担体金属がX線造影を可能にするためのBiである、請求項23に記載の放射性標識物質。
  27. 前記放射性同位体が、γ線、β線、および/または陽電子を放出する、先行請求項のいずれかに記載の放射性標識物質。
  28. 二重放射性標識物質であって、
    (i)ポリマー;
    (ii)第1の放射性同位体;
    (iii)第2の放射性同位体;
    (iv)第1の固定化剤;および
    (v)第2の固定化剤;
    を含み、
    前記ポリマーがアニオン性置換基を含む陽イオン交換樹脂であり;
    前記第1の固定化剤が前記ポリマー上または前記ポリマー中に前記第1の放射性同位体を固定化することができ、前記第1の固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子であり;前記第2の固定化剤が前記ポリマー上または前記ポリマー中に前記第2の放射性同位体を固定化することができ、前記第2の固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である、二重放射性標識物質。
  29. 二重放射性標識物質であって、
    (i)ポリマー;
    (ii)第1の放射性同位体;
    (iii)第2の放射性同位体;および
    (iv)固定化剤;
    を含み、
    前記ポリマーがアニオン性置換基を含む陽イオン交換樹脂であり;
    前記固定化剤が前記ポリマー上または前記ポリマー中の前記第1の放射性同位体および前記第2の放射性同位体を固定化することができ、前記固定化剤が、複数のペンダント金属キレート剤側鎖を有するポリカチオンを含む高分子である、二重放射性標識物質。
  30. 請求項1に記載の放射性標識物質を作製するプロセスであって、
    (i)先行請求項のいずれかに記載のポリマーを先行請求項のいずれかに記載の固定化剤と混合する工程と;
    (ii)任意選択的に、前記得られた混合物を洗浄する工程と;
    (iii)先行請求項のいずれかに記載の放射性同位体をさらに添加する工程と;
    (iv)任意選択的に、前記得られた混合物を洗浄する工程と
    を含む、プロセス。
  31. ポリマー上またはポリマー中に放射性同位体を固定化するための固定化剤の使用であって、前記固定化剤、前記放射性同位体、および前記ポリマーが請求項1〜27のいずれか1項に記載のものである、使用。
  32. 癌の治療および/または放射線画像化のための医薬の製造のための請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質の使用。
  33. 患者の放射線治療方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を投与する工程を含む、方法。
  34. 前記放射線治療が肺のための内部照射療法である、請求項33に記載の方法。
  35. 前記放射線治療が、原発性および/または転移性の肺腫瘍の治療のためのものである、請求項33または34に記載の方法。
  36. 癌を治療する方法であって、治療有効量の請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
  37. 前記癌が、原発性肉腫、原発性または続発性の黒色腫、原発性頭頸部癌、原発性または続発性の脳腫瘍、原発性または続発性の肺癌、原発性または続発性の肝臓癌、原発性または続発性の乳癌、原発性または続発性の腎臓癌(腎癌)、原発性または続発性の卵巣癌、原発性または続発性の前立腺癌、または神経内分泌癌である、請求項36に記載の方法。
  38. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を静脈内注射によって投与する、請求項33〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を腫瘍内直接注射によって投与する、請求項33、36、または37に記載の方法。
  40. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を腹腔内注射によって投与する、請求項33、36、または37に記載の方法。
  41. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を動脈内注射によって投与する、請求項33、36、または37に記載の方法。
  42. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を含む医療機器。
  43. ミクロスフェア、シード、ステント、カテーテル、ワイヤ、またはウェーハである、請求項42に記載の医療機器。
  44. 患者における医学的手順を画像化する方法であって、前記患者に請求項1〜27のいずれか1項に記載の放射性標識物質または請求項28もしくは29に記載の二重放射性標識物質を投与する工程と、前記被験体内の前記放射性標識物質を検出する工程と、を含む、方法。
  45. 前記検出する工程が、前記放射活性のガンマカメラ画像化を含む、請求項44に記載の方法。
JP2019532931A 2016-12-16 2017-12-15 標的投与のための放射性標識物質 Active JP7128528B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
AU2016905219 2016-12-16
AU2016905219A AU2016905219A0 (en) 2016-12-16 Radiolabelled material for targeted administration
PCT/AU2017/000279 WO2018107205A1 (en) 2016-12-16 2017-12-15 Radiolabelled material for targeted administration

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2020504106A true JP2020504106A (ja) 2020-02-06
JP2020504106A5 JP2020504106A5 (ja) 2021-02-04
JP7128528B2 JP7128528B2 (ja) 2022-08-31

Family

ID=62557650

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019532931A Active JP7128528B2 (ja) 2016-12-16 2017-12-15 標的投与のための放射性標識物質

Country Status (7)

Country Link
US (1) US11896683B2 (ja)
EP (1) EP3554560A4 (ja)
JP (1) JP7128528B2 (ja)
CN (1) CN110290816B (ja)
AU (1) AU2017376822B2 (ja)
CA (1) CA3047152A1 (ja)
WO (1) WO2018107205A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3970208A4 (en) * 2019-05-13 2023-07-26 Shanghai Polaris Biology Co., Ltd. LABEL FOR MARKING BIOMOLECULES
CN111362828A (zh) * 2020-03-30 2020-07-03 山西医科大学 一种18f标记的氟丙酰化鸟氨酸及其制备方法和应用
JP2023524977A (ja) * 2020-05-06 2023-06-14 コーネル ユニヴァーシティー 銅含有セラグノスティック化合物及びその使用の方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10508302A (ja) * 1994-10-12 1998-08-18 カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー 細胞特異的遺伝子供給ビヒクル
JPH10509424A (ja) * 1994-10-03 1998-09-14 ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ペンシルバニア 磁気共鳴イメージングで顕著な効果を示すキレート錯体
JP2016525079A (ja) * 2013-07-01 2016-08-22 ジ・オーストラリアン・ナショナル・ユニバーシティー 放射標識物質

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5364613A (en) * 1989-04-07 1994-11-15 Sieving Paul F Polychelants containing macrocyclic chelant moieties
US6203775B1 (en) * 1993-03-19 2001-03-20 The General Hospital Corporation Chelating polymers for labeling of proteins
US20030120355A1 (en) 2001-06-08 2003-06-26 Urs Hafeli Biocompatible and biodegradable polymers for diagnostic and therapeutic radioisotope delivery
US8623822B2 (en) * 2002-03-01 2014-01-07 Bracco Suisse Sa KDR and VEGF/KDR binding peptides and their use in diagnosis and therapy
US20040258614A1 (en) 2003-06-20 2004-12-23 University Of Maryland, Baltimore Microparticles for microarterial imaging and radiotherapy
CN101321542A (zh) 2003-06-20 2008-12-10 巴尔的摩马里兰大学 用于微动脉成像和放射治疗的微颗粒
WO2005061006A1 (ja) 2003-12-24 2005-07-07 Nippon Suisan Kaisha, Ltd. 抗コリン薬のプロドラッグ
WO2007047668A2 (en) 2005-10-14 2007-04-26 California Institute Of Technology Use of non-canonical amino acids as metabolic markers for rapidly-dividing cells
US8834912B2 (en) * 2005-12-30 2014-09-16 Boston Scientific Scimed, Inc. Medical devices having multiple charged layers
ITBO20060593A1 (it) * 2006-08-04 2008-02-05 Francesca Cavalieri Microbolle realizzate in alcol polivinilico e relativo caricamento delle stesse con ossido di azoto
AU2009240790C1 (en) * 2008-04-24 2015-04-16 The Australian National University Methods for radiolabelling synthetic polymers
CA2768658C (en) 2009-07-22 2018-04-03 Actinium Pharmaceuticals, Inc. Methods for generating radioimmunoconjugates
US20130302243A1 (en) * 2012-05-09 2013-11-14 Bbs Nanomedicina Zrt. Radiolabeled nanosystem, process for the preparation thereof and its use
WO2014207490A1 (en) * 2013-06-28 2014-12-31 Bbs Nanotechnology Ltd. Tumorspecific spect/mr(t1), spect/mr(t2) and spect/ct contrast agents

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10509424A (ja) * 1994-10-03 1998-09-14 ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ペンシルバニア 磁気共鳴イメージングで顕著な効果を示すキレート錯体
JPH10508302A (ja) * 1994-10-12 1998-08-18 カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー 細胞特異的遺伝子供給ビヒクル
JP2016525079A (ja) * 2013-07-01 2016-08-22 ジ・オーストラリアン・ナショナル・ユニバーシティー 放射標識物質

Also Published As

Publication number Publication date
US11896683B2 (en) 2024-02-13
CA3047152A1 (en) 2018-06-21
CN110290816A (zh) 2019-09-27
AU2017376822B2 (en) 2023-08-03
AU2017376822A1 (en) 2019-07-04
CN110290816B (zh) 2022-09-30
JP7128528B2 (ja) 2022-08-31
EP3554560A1 (en) 2019-10-23
US20200038528A1 (en) 2020-02-06
WO2018107205A1 (en) 2018-06-21
EP3554560A4 (en) 2020-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11167049B2 (en) Organ protection in PSMA-targeted radionuclide therapy of prostate cancer
US6977068B1 (en) Method for detection of fibrin clots
US20040258614A1 (en) Microparticles for microarterial imaging and radiotherapy
JP7128528B2 (ja) 標的投与のための放射性標識物質
US10232062B2 (en) Radiolabelled material
KR20100135312A (ko) 합성 중합체의 방사성 표지화 방법
CN101321542A (zh) 用于微动脉成像和放射治疗的微颗粒
US9731037B2 (en) Scanning suspension comprising a particle with a diameter of at least 1 micrometer
Chen et al. Bone-seeking albumin-nanomedicine for in vivo imaging and therapeutic monitoring
Zhang et al. Near-infrared upconversion multimodal nanoparticles for targeted radionuclide therapy of breast cancer lymphatic metastases
JP5645085B2 (ja) マクロ分子を放射性標識化するための方法
Georgiou et al. Treatment of orthotopic U251 human glioblastoma multiforme tumors in NRG mice by convection-enhanced delivery of gold nanoparticles labeled with the β-particle-emitting radionuclide, 177Lu
RU2708088C2 (ru) Применение радиофармацевтической композиции с использованием меченых аутологичных лейкоцитов для визуализации местных лучевых поражений методом однофотонной эмиссионной томографии
Stephens et al. In vivo tumour imaging employing regional delivery of novel gallium radiolabelled polymer composites

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201215

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211109

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220712

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7128528

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150