JP2020501469A - スピーカ振動板 - Google Patents

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Abstract

織繊維体を含むスピーカ振動板(12)は、後向きの面(24)上に制振材料(25)、例えばPVAポリマーを支持する。織繊維体は、薄い金属被覆(32)で被覆された非金属繊維材料(例えば、ガラス繊維)の長尺物(14)で形成され得る。制振材料(25)の層の質量は、織繊維体の質量をはるかに上回り得る。したがって、より平坦な周波数応答曲線(50)を提供すると同時に望ましくない振動を減衰させる、魅力的なきらめく外観のスピーカ振動板(12)が提供され得る。

Description

本発明は、スピーカ振動板、およびそのような振動板を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、制振材料を支持する織繊維体(woven fibre body)を備えるスピーカ振動板に関するが、これに限られない。本発明はまた、スピーカ駆動ユニットおよびスピーカ筐体に関する。
GB1491080(B&W Loudspeakers Limited−または「B&W」−による)は、隣り合った繊維間に空間が残されるように熱硬化性樹脂で補強された、開きメッシュの織繊維材料、例えばKevlar(登録商標)から作られたスピーカ振動板を開示している。空間は、PVA(ポリ酢酸ビニル)エマルジョンなどの制振材料で部分的に埋められる。ファブリックのスレッド間の空間は、PVAエマルジョンと織繊維材料との間の良好な結合を可能にする。英国の会社、Bowers & Wilkins(「B&W]−www.bowers−wilkins.co.uk参照)は、樹脂で補強されPVAで被覆された織りKevlar(登録商標)ファブリックから作られたスピーカ振動板を組み込んだ中域駆動ユニットを商品化している。PVA材料は、1つまたは複数の層で織繊維材料上にはけ塗りされ、典型的には、PVA材料がスピーカ振動板の全質量の約10%〜15%を形成することになる。結果として得られるものは、次により詳細に説明するように、有用なブレークアップ挙動(break−up behaviour)、より抑えられたカラレーション、および放射される音のより均一な分散を示す、やや柔軟なコーン(以下、「B&WのKevlarコーン」)である(なおもさらなる詳細は、http://www.bowers−wilkins.com/Discover/Discover/Technologies/Kevlar.htmlで入手可能である)。
加えられる入力信号に依存しない、スピーカ振動板の連続的な振動は、「時間不明瞭化(time−smearing)」−カラレーションの一形態−と、その結果として生じる、所与の入力信号に応答して生成される音の明瞭性および入力信号からの音の正確な再現性の低下とにつながる可能性がある。PVA材料は、制振を実現するが、B&WのKevlarコーンの非等方性の特性は、重要なものとして挙げられる:織られているため、B&WのKevlarコーンの機械的特性は、繊維の向きに対する角度によって異なる。音波は、進行方向に応じて異なる速さでコーンの材料を伝わって移動する。したがって、B&WのKevlarコーンの本体にわたって進む音波の反射は、コーンの縁部周辺で異なる時点で発生して、あまり対称的でない音波のパターン、および定在波の形成による音への影響の減少をもたらす。別の方法であればコーンによって放射される遅延エネルギーによって生じるはずの音よりも少ない音が、リスナに受け取られる。結果として、望ましくない「時間不明瞭化」ノイズが少なくなる。コーンは、したがって、著しく明瞭でかつより微細な詳細を送達することができる放射音を生成する。音響再生の品質の管理を提供するものとして述べられた設計詳細には、ウィーブのタイプ、コーンの幾何形状、ならびに補強用樹脂および制振材料のタイプの選択が含まれる。
B&WのKevlarコーンは、B&Wの製品の多くで使用され、B&Wのスピーカに供給される中域駆動ユニットにおいて幅広く使用されている(www.bowers−wilkins.eu/Speakers/Theatre_Solutions/FPM_VM_Series/Technologies.html参照)。Kevlarは、上述の有利な特性を有するだけではなく、魅力的で独特の外観を好都合に有し、そのことがKevlarをスピーカ駆動ユニットの振動板の前向きの音放出面での使用に適したものにする。しかし、Kevlarは高価な材料であり、同様のまたはより良い音響性能を提供する態様で用いられ得るこの用途のための代替材料を有することが有益なはずである。また、技術的性能を実現させかつそれに必要とされる技術的特徴を満たすだけでなく、ハイファイ環境での使用に適した外観を有することも、そのような材料にとって有益なはずである。
本発明は、上述の問題のうちの1つまたは複数を緩和することを図るものである。あるいは、またはさらに、本発明は、改良されたスピーカ振動板を提供することを図るものである。あるいは、またはさらに、本発明は、実質的に同一であるかまたはより良好な音響性能を有する、上記のB&WのKevlarコーンの代替品を提供することを図るものである。
本発明は、前向きの音放射面と制振材料を支持する後向きの面とを有する織繊維体を備えるスピーカ振動板を提供し、制振材料は、好ましくは振動板の形状を形成する。重要であるが必ずしも必須とは限らない本発明の1つの態様によれば、織繊維体は、金属被覆された非金属繊維材料で形成され、この金属被覆された非金属繊維材料は、自然光であれ異なる光源からの光であれ、光で照らされたときに振動板が例えば肉眼で見たときに認識される通りにきらめく外観を有するように見えるものが好ましい。
高価でありまたそれがどのように呈示され得るか(特に、Kevlarの持ち前の色がクリームイエロー色であることを念頭に置いて)に限界があるKevlarを使用することを必要としないという潜在的な利点を持つ、B&WのKevlarコーンよりも良好にとまではいかなくとも同様に機能するそのような金属被覆された非金属繊維材料を用いて、スピーカ振動板を作ることが可能である。本発明は、従来技術のKevlar繊維製コーンの代替品を提供する便益を有するだけでなく、特に独特で魅力的な見た目を持つスピーカ振動板を提案する。織繊維体を形成するために織られる繊維の長尺物は、振動板の表面が局所レベルにおいて(例えば、マイクロメートルまたはミリメートルの尺度において)滑らかでない幾何形状を有するように、互いに内外に織り合わせられる。滑らかでない幾何形状とは、所与の(振動板の軸または前方方向に対する)入射角で受けられた入射光を金属被覆が振動板上の比較的接近した箇所間で著しく異なる方向に反射することを意味する。外側の金属表面は、例えば表面がより光沢のない外観とは対照的に鏡様の外観を有するように、主に鏡面的反射面(specularly reflective surface)であることが好ましい。したがって、振動板は、自然光であろうと異なる光源からの光であろうと、光で照らされると、魅力的なきらめく外観か、さもなければ異常に目立つ外観を有し得る。さらに、制振材料が魅力的でない外観および/または経時的な変色の可能性を有し得ることもあり得る。きらきらとして視覚的に目立つ前向きの面を有するスピーカ振動板を使用することは、さもなければより人目を引くであろう後側の制振材料の恐らく魅力的でない外観をマスクするかまたは少なくともそこから注意を逸らすものを提供するという、さらなる利点を有し得る。本発明の他の態様では、織繊維体は、金属被覆された非金属繊維材料の形態をなしていないがなおも便益を提供する材料で形成され得る。
重要であるが必ずしも必須とは限らない本発明の別の態様によれば、制振材料の層の質量は、織繊維体の質量を25%超上回る。意外にも、比較的高い制振材料の層の質量と織繊維体の質量との比率を有することにより本発明の実施形態において改善された音響性能が提供され得ることが分かった。6インチの駆動ユニットに関する、本発明の一実施形態では、織繊維体の質量および制振材料の質量は、それぞれ3グラムおよび5グラムとされ得る。比較として、(従来技術の)6インチのB&WのKevlarコーンの織繊維体の質量および制振材料の質量は、それぞれ6グラムおよび1グラムである。したがって、B&WのKevlarコーンは、制振材料が構造よりも制振を提供するために加えられていて、織繊維体によって提供される若干の最低レベルの剛性および構造的支持を有する。本発明のこの態様の実施形態では、制振材料の特性は、振動板の物理的構造および音響性能においてはるかに大きい役割を果たし、織繊維体は、より小さい役割を果たす。本発明の織繊維体の主要な役割とされ得る1つの役割は、織繊維体が、振動板の大部分を形成する制振材料を支持するための基材またはスケルトン構造として働くことであり得る。織繊維体の第2の役割とされ得る1つの役割は、織繊維体が、見た目に美しい前向きの面を提供することであり得る。
上述のように、B&WのKevlarコーンの設計(比較的薄い制振材料の層のみを支持する後向きの面を有する織繊維体を備える)との関連で従来推奨されるのよりも遙かに多い比較的大量の制振材料を有することが、驚くほど有益であり得ることが分かった。制振材料の層の質量は、織繊維体の質量を50%超上回ってもよい。制振材料の層は、織繊維体の少なくとも2倍の質量があってもよい。制振材料の層の質量は、例えば、100〜500g/m2の範囲内であってもよい。織繊維体の質量は、制振材料の層の質量の25%から80%の間であってもよい。
制振材料の層の厚さは、織繊維体の厚さを上回ってもよい。制振材料の層の厚さは、例えば0.2mmを上回ってもよい。制振材料の層の厚さは、0.5mm未満であってもよい。
織繊維体は、振動板の前向きの音放射面を形成してもよい。制振材料の層は、振動板の後向きの面を形成してもよい。したがって、振動板がサンドイッチ構造の形態をなしている場合にあり得るように、振動板の後向きの面上に織繊維体が存在しないこともある。
制振層は、単一構造であってもよい。制振層は、一様な組成を有するモノリシック構造であってもよい。したがって、制振層は、その構造内に繊維材料をほとんど、また好ましくは全く有さないようなものであってもよい。
上述のように、いくつかの実施形態では、織繊維体は、非金属繊維材料から作られる場合もある。繊維製本体は、金属被覆された繊維で形成されてもよい。金属被覆された繊維で織繊維体が形成される場合、金属被覆の厚さは、10μm未満の厚さであってもよい。金属被覆は、1μm未満の厚さであってもよい。
織繊維体は、繊維および樹脂を含むことができ、例えば、硬化樹脂基質内に(少なくとも部分的に)取り込まれた繊維を含むことができる。樹脂は、フェノール樹脂であってもよい。樹脂は、織繊維体の剛性に寄与し得る。したがって、樹脂は、補強用樹脂の形態をなし得る。繊維製本体および樹脂は、複合材構造の形態をなし得る。
少なくとも部分的に金属製である繊維で織繊維体が形成される場合、金属部分は、ラッカーの層によって保護されてもよい。ラッカーの層は、織繊維材料の剛性に寄与し得る。ラッカーに加えて補強用樹脂を使用することにより繊維材料がさらに補強される場合、織繊維材料の単位面積当たりに、より少ない補強用樹脂を使用することが可能であり得る。ラッカーは、好ましくは半透明であり、透き通った色、例えば実質的に透明であってもよい。樹脂の単位面積当たり質量は、ラッカーの単位面積当たり質量を5倍以下だけ上回ってもよい。樹脂およびラッカーの単位面積当たり質量は、合わせて20〜60g/m2の範囲内であってもよい。
振動板は、平坦な形状であってもよい。振動板は、全体的に円錐の形状を有してもよい。振動板は、少なくとも約50mmの直径を有してもよい。振動板は、約200mm以下の直径を有してもよい。
織繊維体は、ガラス繊維材料で形成されてもよい。ガラス繊維は容易に入手することができかつ比較的安価であるが、典型的には透明であり、したがって、光が織繊維材料の一方の側からガラスを介して他方の側へ伝えられることを可能にする。織繊維体の後向きの面上の制振材料へおよび/または制振材料から光を通過させることが不都合な場合もあり、そのような場合では、ガラス繊維は、最良の材料の選択を示すものではないと受け取られ得る。しかし、上記で提案された金属被覆によって提供されるような不透明な被覆でガラス繊維材料が覆われると、そのような潜在的な欠点は、緩和されるかまたは克服され得る。
織繊維体は、比較的規則的なウィーブを有し得る。例えば、単位面積当たりのスレッド長尺物の密度は、振動板の表面にわたって実質的に一定であってもよい。他の材料の長尺物と内外に織り合わさる単一の材料の長尺物を一緒に形成する繊維の集まりは、この文脈においてはそれ自体が単一のスレッドと見なされ得る。
振動板の繊維製本体の織りの性質は、材料の長尺物が互いに内外に織り進んで本体を形成するようなものであり得る。隣り合った材料の長尺物間に、隙間が存在し得る。織繊維体は、そのような隙間のアレイを画定し得る。隙間のアレイは、典型的には比較的複雑な3次元の幾何形状を有し、また典型的には規則的なアレイではないことが、理解されるであろう。各隙間は、典型的には別の隣り合った繊維の対と交差する隣り合った繊維の対によって形成されるが、少なくとも50μm、好ましくは少なくとも100μmの最大寸法を有し得る。そのように画定された隙間の実質的に全てを制振材料が埋めてもよい。
制振材料は、1kHzから8kHzの間の周波数において少なくとも0.25の動的損失率を有し得る。例えば、制振材料は、3kHzから6kHZの間の周波数において少なくとも0.5の動的損失率を有し得る。損失率は、振動板の動作周波数の範囲内の周波数において0.75より大きくてもよい。そのような制振材料は、さもなければ振動板の振動がブレークアップを始める(すなわち、単純なピストン様の挙動から逸脱する)可能性のある周波数において、特に強力な制振を実現し得る。制振材料は、エラストマー材料であってもよい。制振材料は、合成樹脂の形態であってもよい。制振材料は、適切なポリマーの形態であってもよい。ビニルポリマーが適切である場合もある。制振材料は、PVA(ポリ酢酸ビニル)材料などの高減衰ポリマー材料であってもよい。そのような材料の経時的な変色は、ハイファイスピーカ振動板でのそれらの材料の使用が、通常の使用では目に見えない領域に通常は限定されることを意味している。したがって、金属被覆された繊維材料製本体により制振材料が有益にマスクされるか隠されるかまたは他の方法で偽装される、本発明の実施形態が存在し得る。
制振材料の厚さは、制振材料が支持される後向きの面の、実質的に全範囲とまではいかなくとも大部分にわたって、実質的に一定であってもよい。繊維の織りの性質およびウィーブにおける任意の隙間からもたらされる、厚さにおけるわずかな変化は、この文脈においては考慮されるべきではないことが理解されるであろう。なぜならば、関連する振動板の肉眼的形状に関連するものとして見られるものは、制振層の厚さであるからである(したがって、繊維の織りの性質が寄与する振動板の幾何形状の変化は平坦化する/無視する)。しかし、制振材料の厚さは、特定の箇所で、例えば、ブレークアップが認められる振動の交点/節線の領域においてまたはその領域内で、より厚くなるように選択されてもよい。したがって、後向きの面と制振材料との間の異なる接触部位における制振材料の(中間の)平均厚さを10%超上回る、制振材料の(中間の)平均厚さがある、後向きの面と制振材料との間の接触領域の面積の10%超を示す(また、全接触面積の10%超を示す)領域が存在する場合もある。制振材料の厚さは、振動板の直径の少なくとも5%にわたって径方向に距離を増すにつれて単調に変化してもよい。
本発明の別の態様によれば、例えば本明細書で説明または主張されるスピーカ振動板として使用するための、スピーカ振動板を製造する方法も提供される。そのような方法は、回転され得る織繊維体に液状制振材料を塗布するステップを含み得る。織繊維体を回転させることは、液状制振材料の均一な塗布を促進するのに役立ち得る。織繊維体は、後向きの面上に液状制振材料を(例えば、渦巻きパターンで)最初に堆積させるときに、比較的遅い角速度、例えば100rpm未満で回転され得る。続いて、後向きの面上への液状制振材料の均一な塗布を促進するために織繊維体を回転させるときに、織繊維体は、比較的速い角速度、例えば約100rpm〜1000rpm)の間の速度で回転され得る。織繊維体は、比較的速い角速度で回転させるステップ時に、500rpm超で回転されてもよい。比較的速い角速度で回転させるプロセスは、約100rpmから500rpmの間の第1の速度で回転させる第1のステップと、次いで第1の角速度よりも50%超速く好ましくは500rpmよりも速い第2の角速度で回転させる第2のステップとを含み得る。
制振材料が液状物質から固形(非流動)物質に変わるように制振材料を硬化させるステップが存在し得る。液状の制振材料は、エマルジョン、例えば水ベースのエマルジョンの形態で塗布され得る。制振材料を硬化させるステップは、摂氏100度未満の温度で行われ得る。制振材料がPVA材料の水ベースのエマルジョンなどの水分を含む場合、比較的低温での硬化が重要とされ得る。PVA層は、摂氏40度から80度の間で硬化され得る。
本方法は、非金属繊維材料で形成された織繊維体を有するスピーカ振動板を作製するために行われ得る。スピーカ振動板を製造する方法は、例えば織繊維体の非金属繊維材料に金属被覆を付着させるステップを含み得る。金属被覆を付着させるステップは、蒸着法を用いて行われ得る。
本発明の別の態様によれば、特許請求の範囲に記載のまたは本明細書で説明される本発明の任意の態様による振動板を含む、スピーカ駆動ユニットも提供される。そのようなスピーカ駆動ユニットは、ハイファイスピーカのための中域駆動ユニットとして使用するために構成され得る。スピーカ駆動ユニットは、20Hzの周波数を含む周波数帯にわたる動作範囲を有し得る。スピーカ駆動ユニットは、少なくとも6kHz、場合により少なくとも8kHzの高さに及ぶ周波数帯にわたる動作範囲を有し得る。例えば、動作範囲は、200Hz〜5kHzを含んでもよい。スピーカ駆動ユニットの振動板が80mm未満の直径を有する場合、駆動ユニットが、少なくとも10kHz、場合により少なくとも15kHzの高さに及ぶ周波数帯にわたる動作範囲を有することもあり得る。
本発明のさらに別の態様によれば、特許請求の範囲に記載のまたは本明細書で説明される本発明の任意の態様によるスピーカ駆動ユニットを含む、スピーカ筐体も提供される。
本発明の別の態様によれば、例えば本明細書で説明または主張されるスピーカ振動板として使用するためのスピーカ振動板を製造する方法も提供される。そのような方法は、ガラス繊維ウィーブおよび制振材料を含む複合構造を使用してスピーカ振動板を製作するステップを含み得る。例えば、ガラス繊維ウィーブは、EO823を含んでもよく、制振材料は、PVAなどのポリマーを含んでもよい。ガラス繊維ウィーブは、5インチまたは6インチの直径のスピーカ振動板に対して最大で1kHzまでの剛性ピストンとして振る舞うことができる。この周波数を超えると、スピーカ振動板は、機械的共振を示す可能性がある。いくつかの実施形態では、スピーカ振動板における材料質量比は、25〜40%のガラス繊維ウィーブと60〜75%のPVAとであり得る。複合構造の剛性は機械的共振の音響放射を最小限に抑えるように選択され得ることに留意されたい。
いくつかの実施形態では、ガラス繊維ウィーブは、ガラス、Kevlar、石英繊維、および織り炭素繊維複合材のうちの1つもしくは複数と置き換えられるかまたはそれらによって補完される。さらに、いくつかの実施形態では、制振材料は、PVA(および、より一般的には、ポリマー)とマイクロスフェアの複合材を含む。例えば、マイクロスフェアは、ガラス、セラミック、ダイヤモンド、ダイヤモンドSP3、酸化アルミニウム、および炭化ホウ素のうちの1つまたは複数を含み得る。複合制振材料は、35〜55%のPVA対45〜65%のマイクロスフェアの体積比を含み得る。さらに、マイクロスフェアは、20〜60μmの間の直径を有し得る。PVAとマイクロスフェアの複合材の体積密度は、0.2から0.4mmの間の厚さで0.6から0.8の間であってもよく、また、変形中のPVAに剪断および引張りトレインの混合をもたらし得ることに留意されたい。さらに、PVAとマイクロスフェアの複合材は、PVAエマルジョンとマイクロスフェアとを混合し、次いでその混合物を基材上にはけ塗りするかまたは吹き付けることによって製作され得る。PVAとマイクロスフェアの複合材は、−60dBなどの、−50dB未満の第三高調波歪みを有し得る。
当然ながら、本発明の1つの態様に関して説明された特徴は本発明の他の態様に組み込まれ得ることが、理解されるであろう。例えば、本発明の方法は、本発明の装置に関して説明された特徴のいずれかを含むことができ、その逆も同様である。
次に、単なる例として、添付の概略的な図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
本発明の第1の実施形態による織繊維コーンを組み込んだスピーカ筐体の斜視図である。 図1の織繊維コーンの繊維の方向を示す図である。 図1のコーンの側面図である。 図1の織繊維コーンの一部分の拡大図を含む図である。 図4の線A−Aによって表される平面に沿った、図4に示された織繊維コーンの一部分の断面図である。 図5の材料の長尺物のうちの1つの拡大断面図である。 図1のスピーカの音響性能と従来技術の同等のスピーカとを比較した周波数応答曲線を示す図である。 図1のスピーカの音響性能と従来技術の同等のスピーカとを比較した周波数応答曲線を示す図である。 本発明の第2の実施形態による製造法を示す流れ図である。
図1は、全体的に立方形のキャビネット4の形態をなすハイファイスピーカ筐体2を示す。キャビネット4は、中域/低域の駆動ユニット6、およびツイータ8を収容する。スピーカは、前向きのポート10によって通気される。駆動ユニット6は、(図1に示されるように)正面から見たときに全体的に凹状の形状を有する、コーン形状の振動板12を備える。振動板は、約150mmの直径(6インチ駆動ユニット)を有し、かつ、20Hz〜6kHzの範囲の周波数にわたって動作する。振動板は、図2および3に概略的に示されるように織繊維コーンから形成され、図2および3は、それぞれ正面図および側面図としてコーンを示す。したがって、互いにほぼ平行に延びる隣り合った繊維の長尺物14が存在し、これらの繊維の長尺物14は、それらに対して横に延びる他の対応する隣り合った繊維の長尺物の内外に織り進んで、織りマットを形成する。繊維材料の長尺物14は、湾曲しかつ互いに異なる角度で交差して、振動板の所望の(凹状の)円錐形状を画定する。振動板12は、前向きの音放射面と、制振材料を支持する、後向きの面とを画定する。図2は、繊維の長尺物14のうちのいくつかのみの長さ方向の範囲を示し、振動板12の繊維の長尺物が有する非直線形状が示されている。
コーン形状の振動板12の全体的に凹状の形状は、中心軸12aの周りに360度延在する壁によって形成され、壁16は横断面で見たときにゆるやかに湾曲している凸形状を有することが、図3から分かるであろう。図3はまた、振動板の(図1にも見られる)前向きの音放射面22と、後向きの面24とを示す。
図4は、コーン12、およびその一部分の拡大図18を示す。図4から分かるであろうように、それぞれの繊維の長尺物14は、所与の方向に延びている概ね平行に隣り合った繊維の長尺物14間に空間20が存在するように、比較的粗い織りで織り合わせられている。図5は、3本の平行な繊維材料の長尺物14の断面を非常に概略的に示し、この断面は、図4に示された線A−Aに沿ったものである。前向きの音放射面22が図5の上部に位置する一方で、後向きの面24は、図5の下部に位置する。織りガラス繊維材料の層は、約0.2mm〜0.3mmの厚さTfを有する。振動板の後向きの面24は、制振材料の層25を支持し、制振材料の層25は、織られた繊維の長尺物14間の空間20を埋める。制振材料は、硬化PVAポリマーの形態をなし、約240g/m2の質量を有する。制振材料は、約0.2mm〜0.3mmである、ガラス繊維層の厚さTfとそれほど違わない平均厚さTdを有する。硬化PVA層25は、繊維材料の長尺物14間の隙間20を埋め、したがって、シーラントとしての働きをする(コーンは、シーラントなしでは穴だらけになるであろう)。
単一の繊維材料の長尺物14が、図6に断面図で示されている。繊維材料の長尺物は、スレッド28を形成するために平行に配置された個々のガラス繊維26(図6では個別に示されていない)の集まりを含む。織りガラス繊維は、約120g/m2(乾燥時)の質量密度を持つ開いたウィーブを有する。
繊維の長尺物14間の隙間20は、約400〜500μmの幅を有する。スレッド28を形成する繊維26は、樹脂基質30に埋設され、樹脂基質30は、その外表面がアルミニウムの薄層32で被覆され、アルミニウムの薄層32は、ラッカーの層34によって保護される。単位面積当たりに使用される樹脂の量は、単独では、ガラス繊維層に望ましい剛性を提供するのに理想的に必要とされる量に満たない。しかし、ラッカーの層34は、織繊維材料の剛性に寄与し、かつ、樹脂よりも少ないがそれでも同程度ではある単位面積当たりの質量を有する。樹脂とラッカーとを合わせた単位面積当たりの質量は、個々の用途にもよるが、典型的には20〜60g/m2の範囲内になる。(したがって、樹脂およびラッカーを含む織りガラス繊維は、約160gm2±20g/m2程度の質量密度を有する)。アルミニウムの層32は、厚さが約0.1μmであり、したがって、振動板の他の構成要素材料の質量に比べて無視できるほどの質量を有する。アルミニウムの層32の存在は、不透明性を提供し、この不透明性なしでは、ガラス繊維スレッドの後側のPVA層25および/またはガラス繊維スレッドの周りの樹脂基質30は、所望されるであろうよりもより多くの光に曝されかつ/またはより目に見えるようになり得る。アルミニウム層32は、銀色の外観を有し、かつ、光沢のある高反射性の外表面をスレッドに提供する。スレッドのウィーブにより、入射光が様々な異なる方向に反射して、輝くまたはきらめく外観を振動板に与える。経糸および緯糸が、様々な形で光を捕らえ、このことも視覚的に目立つ外観に寄与する。さらに、視角のわずかな変化が光の反射の仕方に顕著な影響を与える場合もあり、このこともまた、特に両目で見たときおよび/または観察者と振動板との間に僅かな相対運動を伴って見たときに振動板がスピーカ振動板にとって風変わりな光学的特性および外観を有することにつながる。
本明細書で説明される実施形態で使用されるPVA制振材料の量は、機械的共振(ブレークアップとしても説明される)に関して振動板の向上された性能を提供する。機械的共振に適切に対処することは、スピーカ振動板の性能にとって非常に重要である。最大で約500Hzまでの周波数で動作する、より低い周波数のユニットの場合、正しい形状および材料を選択することにより、機械的共振を帯域外にしてコーンを設計することができる。材料比弾性率(密度で割ったヤング係数)は、構造の剛性を定量化するための良好な測定基準である。高比弾性率の材料(アルミニウムまたは炭素繊維など)を選択することにより、コーンブレークアップは、500Hzよりも遙かに引き上げられ、したがって、ユニットは、ピストンのような態様でのみ作動する。中域または低〜中域の駆動ユニットの場合、それらのユニットは例えば20Hz〜6kHzといった広範囲の周波数をカバーしなければならず、そのことがこの(幅広い)帯域でブレークアップを示さないコーンを設計することをより困難にするので、問題に対処するのはそう簡単ではない。動作の周波数範囲におけるブレークアップモードに関する問題を緩和するために、従来技術の振動板のKevlarウィーブの非等方性の性質および他の機械的特性が使用されてきた。
図7は、正弦入力信号の周波数(x軸に沿う)を高めながら振動板の外径の平面から1メートルの距離にある第1の実施形態の振動板の軸に沿ったマイクロホン位置によって測定した音圧レベル(y軸に沿う)のグラフとして、周波数応答曲線50を示す。比較できるように、同等の直径のB&WのKevlarコーンを使用したスピーカの対応する周波数応答曲線52もグラフに示されており、このスピーカは、その他の点ではあらゆる点で一致する。図7のグラフの一部分54が、図8の拡大図に示されている。B&WのKevlarコーンの周波数応答曲線52は、200Hz〜6kHzの範囲にわたって比較的平坦であるが、さらなる改良の余地があることが、図7および8から分かるであろう。PVAベースの制振材料は、制振を実現するために(従来技術の)Kevlar振動板で既に使用されているが、本実施形態は、Kevlarから作られるものよりも、はるかに多くの量をガラス繊維織りコーンと併せて提案する。驚かれると思うが、Kevlar繊維の代わりにガラス繊維を使用することは、はるかに大量のPVA材料の使用を伴ったときに、より良好な結果を得ることができる。したがって、第1の実施形態の振動板の周波数応答(図8の曲線50を参照)はKevlar振動板の周波数応答(図8の曲線52を参照)よりも優れていることが、分かるであろう。Kevlar振動板の周波数応答は、3.5kHzおよび5kHzのあたりに2つのピーク56を有するが、第1の実施形態の振動板の周波数応答は、そのような周波数においてより平坦である。第1の実施形態の振動板の周波数応答(図8の曲線50を参照)は、より低い周波数においてKevlar振動板の周波数応答(図8の曲線52を参照)と同程度に平坦であることも、図7から分かるであろう。
PVA材料などの、使用される高減衰ポリマー材料の種類は、対象となる周波数帯(上記の第1の実施形態では、3.5kHz前後および5kHz前後)において高い動的損失率(0.5超)を提示し得る。動的損失率は、DMTA(動的熱機械分析)試験によって測定することができる。そのような試験は、便宜上摂氏25度で行われる。
図9は、本発明の第2の実施形態による方法を示す流れ図である。したがって、第1のステップ162として、ディスク形状の織りガラス繊維マットが提供され、ここでは、整列されたガラス繊維の束の長尺物114が織られて、繊維材料マットを形成する。次のステップ164として、この繊維材料は、繊維が未硬化の樹脂130で被覆される(また、部分的に予含浸される)(したがって、「プリプレグ」マットを形成する)ように、樹脂で被覆される。次いで、樹脂で被覆されたマットは、得られる樹脂注入ガラス繊維マットの形状を振動板の必要とされるコーン形状にする型を使用して、真空成形型装置(vacuum−forming mould apparatus)で熱処理される。いったん樹脂が硬化されると、製品において、樹脂注入されたガラス繊維の束の長尺物間に隙間120が残る。次いで、次のステップ(図9の囲み166)中、金属蒸着システムが使用されて、繊維の長尺物にアルミニウム被覆132が付着される。次いで、ラッカー吹付けシステムを使用して、金属被覆にラッカー134が付着される(ステップ168)。次いで、以下でより詳細に説明されるコーン回転付着システム(cone−spinning application system)を使用して、材料のコーンの裏面にPVA材料の厚い層125が付着される(ステップ170)。次いで、コーンはトリミングされて、当技術分野における従来通りの方法でスピーカ駆動ユニットに統合される。
コーン回転PVA付着ステップ170の結果は、コーン表面一面に液を広げるために遠心力を使用した、反転したコーンの背面への大量の液状のPVA(水ベースのエマルジョン内に保持されたPVA)の堆積である。これは、以下のように達成される。液(PVA)の連続的な玉が、低速度(1分当たり100回転未満)で回転している材料のコーンの裏面上の渦形経路内に押し出されて堆積する。液をコーン表面上に分散させてコーン上に連続的で切れ目のない液の被覆範囲を作り出すために、空気流が使用される。使用される空気流はまた、PVAを、織繊維材料のウィーブにある隙間の中に押しやる。次いで、コーンは、以下の通りに2段階プロセスにおいて高速度で回転される。回転の第1の段階は、第2の段階に先立ってPVAをコーン全体に均そうとする段階である。回転の第1の段階は、第2の段階が適切に回転するために、非PVAのいかなる島も除去することを目的とする。第1の段階の回転の速度は、約150rpmであり、おおよそ5秒間続く。回転の第2の段階は、約5秒間にわたって750rpmである(しかし、より大径のコーンに対しては、継続時間はより長いことが必要とされ得る)。これらの高速回転の段階は、コーンの表面一面にPVAを均すことに関して驚くべき効果を有し、コーンの全面積にわたってPVAの厚さが比較的一定であるきれいな仕上がりを提供する。次いで、PVAは、それが取り扱われ得るように液を乾燥させるために、また、PVAが流れてその形状を失うリスクを軽減するために、摂氏約65度で早急に硬化される。エマルジョン中の水が沸騰するリスクを軽減するために、比較的低い空気温度(<100℃)が、PVAを硬化させるために使用される。本実施形態では、使用されるPVAポリマーは、5kHz、摂氏25度において、0.5超の損失率を有する。PVA層は、コーンの全質量の2/3(3分の2)を形成するように堆積される。PVA層がコーンの質量の半分を大幅に上回る分を形成するコーンを有することにより、上述のように、特に有益な制振のレベルが提供される。PVA層は、自由層制振システム(free−layer damping system)のように働くが、振動板をシールする働きもする(PVA層なしでは、コーンは穴だらけになるであろう)。
本発明は特定の実施形態に関して説明され図示されたが、本発明は、本明細書で具体的に示されていない多くの異なる変形形態に適していることが、当業者には理解されるであろう。次に、単なる例として、いくつかの可能な変形形態について説明する。
PVA層がコーンの質量の半分を大幅に上回る分を形成するコーンを有することにより特に有益な制振のレベルが提供されることは、上記で述べた。コーンの質量の半分を大きく上回ると判断されるであろうコーンの質量の62.5%以上を形成するPVA層は特に有益であることが、理解されるであろう。
PVA被覆の一定の厚さは、必須ではない。実際には、変化する厚さを有するPVA被覆を提供することに利点がある場合もある。
高い動的損失を有する他の合成樹脂エラストマー材料などのPVA以外の材料が、関連する周波数において高い損失を適切にもたらすのであれば、使用され得る。高い粘性と高いヒステリシスとを有する材料が、適切な代替品になり得る。Barrett Varnish CoによりCone Edge Dampener E−5525として売られているビニル樹脂ベースの熱可塑性材料が、適切な代替品になり得る。別の潜在的な候補は、同じくエマルジョンとして使用可能でありかつ良好な制振特性を示す、PVB(ポリビニルブチル)である。
回転するコーンを利用するPVA付着法を用いるのではなく、ポリマーは、ポリマーの連続的な層をはけ塗りするか、スポンジングするか、または他の方法で加えることによって、付着されてもよい。必要とされる厚さを得るために、多くの層が必要とされる場合がある。
本明細書において、「織り材料」という用語は(例えば、「織繊維材料」との関連で)、材料の主たる下位構造を形成するスレッド(または材料の長尺物)間に空間を含んだメッシュ様の構造を有するファブリックを形成するために織られるか編まれるかまたは他の方法で連結するように配置される材料のスレッドまたは長尺物から形成される、任意の材料を含む。説明した実施形態では、使用される材料は、織りガラス繊維のファブリックの形態をなすが、他の織り材料または編み材料が使用され得る。例えば、本発明の実施形態は、繊維材料が、アラミド(芳香族ポリアミド)繊維、または例えばKevlarなどの類似の材料から作られる応用を有し得る。
織繊維材料の含浸に用いられる樹脂(この樹脂は、補強材料として使用される)は、合成樹脂、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、またはメラミン樹脂であってもよい。しかし、任意の他の柔軟な耐熱性熱硬化樹脂または高温熱可塑性樹脂が使用されてもよい。
スピーカ振動板のさらなる変形形態を説明する前に、設計制約に関する考察が提供される。スピーカ振動板などの電気力学的変換器は、部分的には振動するピストンの音響放射は解析的方程式を使用して説明することができるという理由から、電気信号を音圧に変換する剛性ピストンの概念に依存する。しかし、この概念の実際的な実施は、典型的には、剛性が限定された材料を使用するので、機械的共振(「ブレークアップモード」と呼ばれることもある)が組立体において自然に発生する。
機械的共振周波数において、スピーカ振動板の加速は、コーン表面にわたって一様ではない(すなわち、コーン表面上の点は、もはや全てが一致して動いてはいない)。代わりに、コーン表面は、円形膜の振動のモードの場合におけるように、節および腹を有し得る。したがって、これらの機械的共振は、軸上および軸外の両方で、音響応答におけるピークおよびディップを引き起こす(つまり、変換器電力レスポンスも影響を受ける)。さらに、ほとんどの材料は、固有の機械的制振が極めて少ないので、圧力の強さは、ブレークアップ周波数において高くなることが多い。
典型的には、高Q機械的共振が聞こえなくなることを期待して、変換器が、組立体を非常に堅くすることにより機械的共振を(100Hz未満かつ10kHz超などの)帯域外に移すまたは追いやるように設計され得る。
スピーカ振動板(「コンティニュアムコーン(continuum cone)」と呼ばれることもある)は、非常に従順なコーン構造を使用することにより、これらの問題に対処することができる。機械的な観点から、これは、スピーカ振動板が比較的低い周波数(例えば、5インチまたは6インチの直径のコーンの場合、最大で約1kHzまで)において剛性ピストンとしてのみ作動し得ることを意味する。この周波数範囲を上回ると、スピーカ振動板は、構造体または組立体に(構造損失率によって定量化されるような)機械的制振を追加することによって制御される、ブレークアップモードを示し得る。例えば、いくつかの実施形態では、スピーカ振動板における基礎構造は、(20〜140GPaのヤング係数(Yong’s modulus)などの)低剛性の開きガラス繊維ウィーブで作られ得る。さらに、スピーカ振動板は、ガラスウィーブに付着された(ポリマー、例えばPVAなどの)高制振材料の厚い層を含み得る。さらに、スピーカ振動板における材料質量比は、25〜40%のガラスと60〜75%のPVAとされ得る。いくつかの実施形態では、材料対質量比は、約33%のガラスと66%のPVAである。
従順な構造は堅い構造より容易に減衰し得るので、基礎のガラス構造の従順性は、スピーカ振動板の性能を高め得る。例えば、いくつかの実施形態の場合のように、サンドイッチ材料に対しては、複合材損失率は、層の両方の機械的弾性率比の関数であり得る。言い換えれば、所与の制振層に対して、複合材損失率は、基礎層の剛性が増大するにつれて減少し得る。
さらに、スピーカ振動板における複合構造の剛性は、ブレークアップモードの放射を最小限に抑えるように選択され得る。これは、材料における機械的波長(これは、複合材の弾性率および密度に関連し得る)と同じ周波数における音響的波長との間の関係に関連し得る。複合材の弾性率および密度は、共鳴放射を最小限に抑えるように選択されることができ、また、追加される制振は、振幅をさらに弱めることができる。
スピーカ振動板の変形形態では、EO823ガラスウィーブ、ガラス、Kevlar、石英繊維、織り炭素繊維複合材などを含む様々な材料が、基礎材料のために使用され得る。
さらに、ガラスマイクロスフェア(GMS)を基礎とするPVA複合材を含む様々な材料が、高制振材料のために使用され得る。このPVA−GMS複合材は、中空のGMSが大量に詰め込まれたPVA(例えば、45%のPVAと55%のGMSなどの、35〜55%のPVA対45〜65%のGMSの体積比)を含んで、PVAと一緒に接続されたGMSの緊密なネットワークを形成し得る。GMSは、40μmなどの、20〜60μmの間の平均直径を有し得る。さらに、PVA−GMS複合材は、PVAが含浸された低剛性の開きガラス繊維ウィーブに類似した複合材弾性率と、0.6〜0.8、例えば0.7の低い体積密度(これは、約60%のスフェア充填密度(sphere packing density)に相当する)とを有し得る。PVA−GMS複合材は変形中に(PVAが剛性スフェア間で変形しているので)PVAに関して剪断歪みと引張り歪みが混ざったものとなるトポロジーを有し得ることに留意されたい。これは、引張り変形が優位を占める設計よりも高水準の制振をもたらし得る。さらに、PVA−GMS複合材は、PVAエマルジョンとGMSとを混合し、次いでその混合物を基材上にはけ塗りするかまたは吹き付けることによって製作され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、PVA−GMS複合材の厚さは、0.2〜0.4mmの間である。PVA−GMS複合材は、制振が歪み振幅およびこの非直線性を軽減することができかつコーン質量の軽減を促進するので、(−50dB未満、例えば−60dBまたは0.1%の第三高調波歪みなどの)非常に低い高調波歪みを有し得る。
いくつかの実施形態では、PVA−GMS複合材は、充填比を高めるために、より広い範囲または分布のマイクロスフェア直径を使用することができる。これは、密度をさらに低下させ得る。さらに、マイクロスフェアは、セラミックまたはダイヤモンドなどの剛性材料を含み得る。例えば、マイクロスフェアは、シリコンクロム(silicon chromium)、ダイヤモンドSP3、酸化アルミニウム(Al23)、炭化ホウ素(B4C)などを含み得る。これは、マイクロスフェア対PVA剛性比を高めることができ、それにより、PVAにおけるさらなる歪み集中がもたらされ、したがってさらなる制振がもたされ得る。さらに、マイクロスフェア表面は、PVAとマイクロスフェアとのインターフェースを向上させるために(したがって、コーン強度を向上させるために)化学的に機能化され得る。
上記の説明において、既知の均等物、明らかな均等物、または予測できる均等物を有する完全体(integer)または要素が述べられた場合、そのような均等物は、あたかも個別に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。本発明の正確な範囲を決定するために特許請求の範囲が参照されるべきであり、本発明の正確な範囲は、いかなるそのような均等物をも包含すると解釈されるべきである。また、好ましい、有利である、好都合である、などとして説明される本発明の完全体または特徴は、任意選択のものであって、独立請求項の範囲を限定するのもではないことが、読者には理解されるであろう。さらに、そのような任意選択の完全体または特徴は、本発明のいくつかの実施形態では便益をもたらす可能性があるが、他の実施形態では望ましくない場合もあり、したがって存在しない場合もあることが、理解されるべきである。

Claims (15)

  1. 前向きの音放射面と後向きの面とを有するスピーカ振動板であって、
    前記振動板の形状を形成する制振材料を支持する織繊維体
    を備え、
    前記制振材料の質量が、前記織繊維体の質量を25%超上回る、
    スピーカ振動板。
  2. 前記織繊維体が、金属被覆された非金属繊維材料で形成される、請求項1に記載のスピーカ振動板。
  3. 前記金属被覆の厚さが、1μm未満である、請求項2に記載のスピーカ振動板。
  4. 前記織繊維体が、前記織繊維体の剛性に寄与する樹脂を含み、
    前記金属被覆が、ラッカーで被覆され、前記ラッカーも、前記織繊維材料の剛性に寄与し、
    前記樹脂の単位面積当たり質量が、前記ラッカーの単位面積当たり質量を5倍以下だけ上回る、
    請求項2または3に記載のスピーカ振動板。
  5. 前記振動板が、互いに内外に織り進んで前記織繊維体を形成する材料の長尺物を含み、 前記織繊維体が隙間のアレイを画定するように、隣り合った材料の長尺物間に隙間が存在し、各隙間が、少なくとも100μmの最大寸法を有し、
    前記制振材料が、前記隙間の実質的に全てを埋める、
    請求項1から4までのいずれか1項に記載のスピーカ振動板。
  6. 前記制振材料が、1kHzから8kHzの間の周波数において少なくとも0.5の動的損失率を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のスピーカ振動板。
  7. 前記制振材料が、合成樹脂エラストマー材料である、請求項1から6までのいずれか1項に記載のスピーカ振動板。
  8. 前記制振材料が、ポリ酢酸ビニル材料である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のスピーカ振動板。
  9. 前記制振材料の厚さが、前記振動板の直径の少なくとも5%わたって径方向に距離を増すにつれて単調に変化する、請求項1から8までのいずれか1項に記載のスピーカ振動板。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項に記載のスピーカ振動板を製造する方法であって、回転する織繊維体に液体制振材料を塗布するステップを含む、方法。
  11. 請求項1から9までのいずれか1項に記載のスピーカ振動板を製造する方法であって、前記スピーカ振動板を形成する前記織繊維体が、非金属繊維材料で形成され、前記方法が、蒸着法を用いて前記非金属繊維材料に金属被覆を付着させるステップを含む、方法。
  12. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の振動板、および/または請求項10もしくは11に記載の方法によって製造された振動板を含む、スピーカ駆動ユニット。
  13. 中域駆動ユニットとしての、スピーカ筐体内での使用に適した、請求項12に記載のスピーカ駆動ユニット。
  14. 請求項12または13に記載のスピーカ駆動ユニットを含む、スピーカ筐体。
  15. スピーカ振動板であって、
    前向きの音放射面と制振材料を支持する後向きの面とを有する織繊維体
    を備え、
    前記織繊維体が、光で照らされたときに前記振動板がきらめく外観を有するように見えるように、金属被覆された非金属繊維材料で形成される、
    スピーカ振動板。
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