現状技術による往復動内燃機関の最高および平均効率は、比較的低い。自動車では、最高効率は、オットーサイクルポジティブ点火機関では、ほぼ35パーセント程度であり、ディーゼルサイクル機関では、ほぼ40パーセント程度である。自走車機関の現在の平均効率に関しては、ほとんどの場合、ポジティブ点火機関では、20パーセント未満、ディーゼル機関では25パーセント未満である。
上記機関では、燃料の燃焼によって放出されて、有用な動作に変換されないエネルギーの一部分は、冷却システムの中、および上記機関の排気の熱の形で主に放散される。
低い効率に加えて、自動車で使用される往復動内燃機関は、環境および健康に有害である汚染ガスおよび汚染粒子を生み出す。
こうした不利な特徴にもかかわらず、より良いエネルギーに関する、環境的、機能的、および経済的な妥協案を提供する他の解決策がないために、オットーサイクルまたはディーゼルサイクルの内燃機関が、世界中に流通しているほぼすべての自動車に据え付けられている。
この状況は、内燃機関のエネルギーおよび環境のバランスをなんとしても改善するべく機関製造業者によって研究開発において払われている大幅な労力を説明している。こうした労力は、そのような機関を構築し、新しい方略の実施を可能にする新機能でそれらを補うのに使用される技術を完成させることを特に目的とするものである。
こうした方略の中に、往復動内燃機関の空気および燃料チャージを中性ガスまたは酸素が豊富な新鮮な空気を用いて希釈することがある。
本発明は、そのような希釈に焦点を置いており、特に、多くの場合ガソリンまたは天然ガスを消費するポジティブ点火を用いる往復動内燃機関を対象とする。
新鮮な空気を用いて、または予め冷却された排出ガスを用いてポジティブ点火機関のチャージを希釈することで、上記機関の平均熱力学的効率および/または最高熱力学的効率を上げることが可能になる。このことにより、生み出される同じ動作量に対する燃料消費量が結果的に削減される。
ポジティブ点火機関が、部分的トルクで作動するとき、希釈されたチャージをシリンダに導入すると、希釈されていないチャージを導入するよりも生じるポンプ損失が少なくなる。上記損失の減少は、希釈されたチャージは、同じエネルギー含量で、より大きい体積を有しているという事実に起因する。したがって、上記シリンダに同じエネルギー量を導入するために、スロットルバルブによって通常なされる上記機関の吸気上でのスロットリングは、顕著ではなくなり、かつ上記吸入で起こるガスの圧力は、高くなる。
さらに、同じエネルギーがポジティブ点火機関のシリンダに導入された状態では、チャージを希釈すると、後者の質量および総熱容量は増大する。したがって、他の条件が同じなら、上記チャージの燃焼は、より低い温度で起こる。燃焼によって発生される酸化窒素の量を減少することに加えて、上記低温は、上記チャージによってその熱の一部を上記壁へ伝達することに起因するシリンダの壁の熱損失を削減する。
最終的には、チャージが、具体的には、低酸素である、または酸素を含まない中性ガスを用いて希釈される場合、上記チャージは、空気と燃料の混合物の制御不良自己点火に反応しにくい。この自己点火は、がたがた音の原因であり、ポジティブ点火機関の効率を悪化させ、それらの機械的な構成要素に損傷を与える爆発的燃焼によって特徴付けられる望ましくない現象である。チャージの希釈によってもたらされる、がたがた音への減感により、上記機関が、より高い圧縮比で作動すること、または効率を高める可能性のある最も好ましい時間に誘発された点火を用いて作動すること、またはその両方が可能になる。
空気および燃料チャージの希釈とのこの特有の関連において、化学量論的混合物上で作動しているポジティブ点火機関が、存在しており、上記機関は、「希薄混合物」とも呼ばれる過剰空気量で作動している。
化学量論的混合物で作動する機関は、燃焼から生じる汚染物質を後処理するよく知られた装置である、スリーウェイ触媒コンバータとだけ適合性を有している。上記触媒コンバータは、熱機関の燃焼室において燃焼されていない炭化水素を燃焼させるのに関与するものである。この燃焼の生成物は、大気の中にすでに存在する水蒸気および二酸化炭素である。さらに、上記スリーウェイ触媒コンバータは、周知のとおり汚染した一酸化炭素も二酸化炭素に変換するためにその一酸化炭素の酸化を完了し、酸化窒素を、地球上の大気の約78パーセントを構成しており、本来無公害である大気の二窒素に還元する。
スリーウェイ触媒作用による酸化窒素の還元には、機関に導入されるチャージが、化学量論的である必要がある、すなわち、それが、上記チャージに含有される炭化水素の燃焼に必要な適正な量の酸素の量を含有している必要がある。「過剰な酸素は、スリーウェイ触媒コンバータによって酸化窒素を還元することを不可能にする。したがって、過剰空気の中で作動している機関の排気ガスの中に含有される酸化窒素を、スリーウェイ触媒コンバータを用いて後処理することは可能ではない。
これは、−これまで以上に厳しい環境規制を満たすために−過剰空気の中で作動している機関が、酸化窒素トラップ、または酸化窒素を選択的に尿素に還元するための何らかの型の触媒装置などの、酸化窒素を還元するように特に設計された装置をここで備えている理由を説明する。そのような装置は、一般的には、未燃炭化水素を予め燃焼しておき、そしてますます頻繁に、微粒子フィルタの一酸化炭素の酸化を完了させるツーウェイ酸化触媒コンバータの排出口に配置される。
ヨーロッパのユーロVI規格の効力が発生して以来、ディーゼル機関が、当然過剰空気の中で作動すると考えると、ほとんどすべてのヨーロッパのディーゼル車は、酸化窒素を後処理して、二窒素に変換する装置を備えている。
この装置の課題は、それらが、高価で、複雑であること、そして、それらのサイズおよび保守管理制約が、上記装置が、実際には過剰空気の中でだけ作動することができるディーゼル機関上だけでほぼ使用されているほど高いことである。
ポジティブ点火機関に関する限り、それらが、基本的に単純で、安価であるスリーウェイ触媒コンバータと適合性を有する状態を維持するように、機関製造業者は、なんとしてもそれらを化学量論的混合物と機能させるように努力している。
酸化窒素トラップまたは酸化窒素を尿素に選択的に還元するための触媒装置の特有の経済的欠点に悩まされる必要なく、ポジティブ点火機関のチャージの希釈によって誘発される燃料消費の削減から恩恵を得るためには、したがって、上記機関の上記チャージを、酸素が豊富な空気を用いてではなく、酸素がない中性ガスを用いて希釈することが必要である。
この後者のガスは、通常、機関自体の排気ガスを再利用することで供給され、上記ガスは、酸素をもはや含有してなく、利用可能であり、かつ豊富である。この方略は、「排気ガス再循環方式」、より正確には頭字語「EGR:Exhaust Gas Recirculation」として知られている。
上記ガスは、ポジティブ点火機関の排気において高温で出ており、それらが、上記機関に導入されたチャージを過熱することを防止するために、それらを新鮮なガスと混合する前にそれらの温度を下げることが必要である。
この方略は「冷却EGR」として知られており、これは、再循環排気ガスを上記機関によって受容された新鮮なガスと混合する前に、再循環排気ガスが、冷却されることを必要とする。「フランス語化した英語」の形態の「EGR refroidi」という用語が、フランス人のモータリストによって使用されている。
EGRガスの従来の冷却は、少なくとも2つの目的で必要とされる。
第1に、ポジティブ点火機関によって消費されるEGRガス/新しいガス混合物の温度は、全トルクで作動するときに、上記機関の体積効率が高い状態を維持するように、低い状態を維持しなければならない。実際に、所与の吸気圧力では、上記機関のシリンダに導入される多量の上記混合物は、上記混合物が冷温であることがいっそう重要である。上記機関がターボチャージャによって、または何らかの別の手段によって過給される場合、EGRガスの予冷は、さらにより不可欠になる。
第2に、EGRガス/新鮮なガスの混合物が高温であるほど、上記機関の効率に弊害をもたらすがたがた音の発生が、より促進される。
課題は、冷却EGRを用いて希釈されたチャージが、低酸素であることである。具体的には、チャージが、化学量論的で、がたがた音に抵抗する状態を維持することが、探求される目標でもあるので、これは逆説的である。この酸素減損によって、燃焼の初期化を成し遂げることはより困難になり、上記燃焼の進行は、上記チャージが冷却EGRを用いて希釈されないときより遅くなる。
ポジティブ点火機関では、燃焼の初期化は、相互から1ミリメートルの十分のいくつかのところに配置された2つの電極の間に、高温アークを作成することによって行われる。
空気燃料チャージが、冷却EGRを用いて大量に希釈される場合、電気アークは、酸素および燃料が全般的に不十分な混合物を通過する。偶然にも、スパークプラグの陰極を陽極から1ミリメートルの十分のいくつか隔てる空間が、十分な可燃性を有するEGRガス/新鮮なガスの混合物を含有していない場合には、ポケットは、酸素および/または燃料が他より豊富な状態で、実際には、不均質性が、燃焼室の3次元空間の中に必然的に作り出されるという理由で、不点火のリスクが、高くなる。
燃焼が、要望通り初期化される場合には、チャージに含有される燃料エネルギーは、熱として放出され始め、炎が出現し始める。こうするために、上記炎は、可燃物層の後に可燃物層と、連続的手法によって、包囲EGRガス/新鮮なガスの混合物に、その熱を伝達する。各層は、その前の層によってその点火温度に導かれ、燃焼し、それが次の層に、以下同様に伝達する熱を放出する。連鎖反応の原則によれば、炎は、ポジティブ点火機関の燃焼室の3次元空間の中に伝搬する。
冷却EGRの主な課題は、それが、燃焼の初期化を困難にし、次いで、その温度の全体的低下と、燃焼室の容積の中で、そしてしたがって炎の経路上で見つかる燃焼物および/または燃料の含有量の不均質性との両方が原因で、後者の進行をかなり遅らせることである。
そのうえ、実験は、冷却EGRチャージ含有量が高いほど、機関は、より不安定になることを示す。特定の含有量から、不点火が発生し、−それまでチャージの冷却EGR含有量と共に増加傾向にあった−効率は、低下する。上記EGRの中の特定の含有量を越えると、ポジティブ点火モータは停止し、燃焼は、自ら初期化することができない。
さらに、排出ガスの未燃の炭化水素および一酸化炭素含有量は、チャージの冷却EGR含有量と平行して増加することが観察される。これは、あまりに乏しくて経路上で炎と遭遇して適切に燃焼することができない混合物のポケットと、機関の燃焼室の冷温内部壁近くに炎を閉じ込める境界層のシックニングとの両方に起因する。
実験は、点火力が高いほど、機関の安定性に大きく影響を及ぼすことなく、チャージの冷却EGR含有量を増加させる可能性がより高くなることをさらに示す。
このように、−米国の「Southwest Research Institute」などの−多くの研究室は、チャージの冷却EGR含有量のアクセス可能な限界を追求するように、ますます強力な電気点火装置を開発してきた。この方略の目的は、言うまでもなく、ポジティブ点火機関の効率を改善することである。
電気点火の力を求めるリープフロッギングの課題は、それらのパフォーマンスがそれらの力と共に急速に低下するということである。追加的な点火力をだんだん少なくするには、より多くの電力が、必要とされる。
さらに、高電力は、電極が、可燃物ポケットを横切るより多くの可能性をスパークに付与するために、スパークプラグから離れる方向に移動する場合、またはスパークの持続時間が増大される場合、またはスパークが再発生する場合に限り、重要である。このことは、スパークプラグの電気絶縁を達成するために、それをより複雑にするますます高い電圧および電気出力につながり、一方同時にスパークプラグの寿命を大幅に短縮する。
チャージに点火することの難しさは、さらに、冷却EGRは、そのがたがた音に対する感度が、なんとしても下げられるように求められる過給機付きのポジティブ点火機関上ではいっそう興味深いという事実から生じる。しかしながら、過給圧が高いほど、EGRガス/新鮮なガスの混合物の濃度が、スパーク誘導の瞬間にスパークプラグの電極間においてより重要になり、上記スパークを誘導するのに必要な電圧がより高くなる。
この観点から、同じエネルギーが機関のシリンダに導入された状態では、電極の間にあるガスの質量は増大し、上記ガスの自己点火に対する抵抗も増大するので、冷却EGRは、正しい方向に進まない。
出願人に帰属する特許FR2986564は、この課題にしっかりと応じたものであることを留意されたい。上記特許に記載の内燃機関用のスパーク点火および高圧ラミネーション装置は、冷却EGRを用いて希釈されておらず、燃料が潜在的にいくぶん豊富であるという理由から高い可燃性を有する、ほぼ化学量論的なパイロットチャージを、高圧下において、スパークプラグの中央で、スパークが誘発されるすぐ前に、噴射することを提案している。
上記装置によって噴射されれば、電気アークが上記電極の間に形成されるとすぐに、上記パイロットチャージは、スパークプラグの電極を浸し、上記チャージは、直ちに発火し、それが含有するエネルギーを放出する。このように、上記チャージはそれ自体で、それに点火することを可能にした電気アークの力より数百倍から数千倍大きい力の点火手段を構成する。電気的手段だけでそのような点火力を得ることは、事実上不可能である。
経験上、利用できる単一の最も強力な電気点火装置だけを用いたほぼ30パーセント程度の率と比較して、そのような装置を用いれば、ほぼ50パーセント程度の冷却EGR率が可能である。
特許FR2986564で採用される手法は、発明者Fred N. SauerおよびJ. Brian Barryの米国特許第4,319,552号、またはBosch社に帰属する特許DE4140962A1の中の関連形態で見られることを留意される必要がある。
いかなる場合も、Orbital社の米国特許第6,564,770号は、その記述によれば、その対象が、比較的低い圧力ではできるだけ均質な主チャージの構成を確実にし、EGRを用いて高度に希釈された主チャージの点火にはパイロットチャージを提供しないものであるという理由から、このカテゴリに分類されない。
特許FR2986564によって、およびそれらが列挙されている関連特許において説明された装置の課題は、非常に効率的である燃焼の初期化におけるものではなく、上記燃焼の進行におけるものである。特に、主チャージに含有される燃料の燃焼した一部分が約50パーセントに達するとき、燃焼は、ほとんど進まず、その結果、主チャージ全体を燃焼させるのに必要とされる総時間が、冷却EGRを用いて希釈されていない主チャージ全体を燃焼させるのに必要とされる時間より長くなる。
結果的に、冷却EGRの潜在的なエネルギーゲインの部分は、あまりにゆっくり進行する燃焼が原因で失われる。
しかしながら、一方では、その冷却EGR含有量がほぼ50パーセント程度であり、他方では、後者が希釈されていないチャージを燃焼させるときに、同じ上記機関上で見られるものに相当する安定性および燃焼の総持続時間を備えた主チャージと同時にポジティブ点火機関を作動させることが可能であれば、冷却EGRの最大の恩恵が、見られるであろう。
解決策は、パイロットチャージが導入される副燃焼室の使用によってもたらされる可能性があり、米国特許第4,319,552号で提案されるように、上記副燃焼室は、スパークプラグの電極を収納し、しかも上記スパークプラグの一体部分を形成することもできる。
そのような副燃焼室の第1の利点は、それが、潜在的に、パイロットチャージをスパークプラグの電極にできるだけ近い状態に保つことであり、これは、上記チャージの点火の前に、ポジティブ点火モータの主燃焼室における、上記チャージの分散を制限することを可能にする。
上記副燃焼室の第2の利点は、点火されると、パイロットチャージが、フレーミングガストーチを、上記副燃焼室の中に備えられる開口部を通して、ポジティブ点火機関の主燃焼室に高速で送る上記副燃焼室に加圧することである。
通常のスパークプラグを備えた例のように、燃焼室の中心から開始するのではなく、炎は、燃焼室の多数の場所で初期化され、室の周縁部から半径方向に室の中心に向かって、そして各トーチの間で接線方向に進行するので、トーチを用いた主チャージのこの点火は、非常に効率的である。
したがって、燃料のエネルギーは、非常に短い時間に放出され、これは、誘発が、動作に関してより生産的であるだけでなく、さらに、そのような高速燃焼に起因するがたがた音に対する感度が低下したことで、上記機関を著しく高い容量比で作動させることが可能になるので、ポジティブ点火機関の熱力学的効率に好都合である。
いかなる場合も、米国特許第4,319,552号、または出願人に帰属している特許FR2,986,564または先に述べた関連特許で提唱された解決策は、燃料だけを、または燃料だけではないもの、および空気と燃料の混合物ではないものを副燃焼室の中に噴射する必要のある多数の特許と比較することができない。
これらの特許には、例えば、Fluid Research社に帰属している特許GB2311327A、Tice Technology社に帰属している米国特許第4,864,989号、General Motorsに帰属している米国特許第4,124,000号、フォードモーター社に帰属している米国特許第4,239,023号、発明者Dieter Kuhnertに帰属している米国特許第4,892,070号、発明者Radu OpreaおよびEdward Rakosiに帰属している米国特許第2001/0050069A1号、またはFormula 1の機関用にドイツの会社「Mahle」によって開発された、「乱流ジェット点火」と呼ばれる点火システムの原則に基づく、発明者William Attardに帰属している米国特許第2012/0103302A1号が含まれる。
実のところ、いわゆる「燃費がよい」ポジティブ点火機関を目的としていて、チャージは、概して、燃料は低濃度であるが、酸素は高濃度であるので、唯一の目的が、点火の点の周囲で燃料チャージを豊かにすることである上述の特許の中に記載された解決策と、特許FR2986564および以下に記載する関連特許の中に記載される解決策との間には根本的な相違がある。これららの特許は、冷却EGRを用いて高度に希釈されたチャージを用いて作動しているポジティブ点火機関を主に対象としており、上述の特許は、チャージが、概して、燃料および酸素が低濃度であるので、燃料および酸素が高濃度の混合物を点火点の周囲に供給するように意図されている。
現時点で、特許FR2,986,56で提案されるように、上記チャージを用いてスパークプラグの電極を包囲するために、空気および燃料から構成される高度な可燃性を有するパイロットチャージを噴射することが、EGRを用いて高度に希釈された主チャージを効果的に点火することを可能にすることが注目されている。
上記主チャージが点火されると、上記チャージに含有される燃料の総量の約50パーセントが、燃焼されるまで、燃焼は、急速に進行することがさらに注目されている。上記50パーセントを越えると、燃焼は、より緩慢に進化し、その結果、主チャージの中の特定のEGR含有量から、ポジティブ点火機関の熱力学的効率が、予想通りに増大するのではなく減少するようになる。
米国特許第4,319,552号の中で提案されるように、パイロットチャージが、その中にスパークプラグの電極が収納されている副燃焼室に噴射された場合、50パーセントを越える燃焼の進行についての後者の課題は、完全にまたは部分的に解決されると想定される。
実際に、上記副燃焼室は、点火点の周囲で大きな半径方向長さにわたって燃焼を共に初期化する、高速で動画化されるフレーミングガスのトーチを、その開口部を通して噴射し、さらに上記トーチに対して垂直に炎の進行を強化する、火炎面に畝を付ける。
しかしながら、後者の解決策は、多くの理由で完全に満足なものではなく、いくつかの理由で、特にポジティブ点火機関との関連で、副燃焼室に基づいた点火装置を結果的に断念することになった。
実のところ、効率的であるために、その中を通って、フレーミングガスが噴射されて、トーチを形成する開口部が、機関の冷温内部壁に触れないように、副燃焼室は、十分に突出したドームを有していなければならない。高速で上記開口部を通過することによって、上記ガスは、Stuart Herbert−Akroydによって発明され、1891年12月4日の特許CHD4226の中に記載されている、内燃機関の点火システムと同じように「フレーミングボール」のように−特定の温度から−挙動する上記ドームを加熱する。そのようなホットスポットは、次いで、スパークによって制御されない主チャージの不用意な点火を結果的にもたらす可能性がある。続いて起こり得るがたがた音は、ポジティブ点火機関に損傷を与える、または破壊することさえある可能性がある。
1つの解決策は、上記ドームを、それがホットスポットになるのを防止するために、集中的に冷却することであり得る。しかしながら、結果として生じる熱搬出が、一方で、その温度および速度が、上記ドームの開口部を通って通過する間に低下されるフレーミングガストーチの効率に、他方で、ポジティブ点火機関の熱力学的効率に悪い影響を及ぼす。
換言すれば、ドームが熱すぎても、または冷たすぎても、最も重要なのは、主チャージの点火は、副燃焼室およびパイロットチャージに依存しすぎるようになる。ポジティブ点火機関が、EGRを用いた主チャージの希釈をほとんど、または全く必要としないときには、この依存性は、不利な条件であり、これは、多くの場合に起こる。
実際に、高圧に導かれる空気燃料パイロットチャージの構成は、エネルギーの点で自由でない。まず、ポジティブ点火機関それ自体によって駆動される圧縮器を必要とする空気を圧縮すること、次いで、上記空気の中に燃料を噴射することが必要である。別の方略は、予め形成された空気と燃料の混合物を直接圧縮することにある場合もある。
同じ点火効率では、パイロットチャージの質量が、主チャージと比べて小さいほど、それが高率EGR下で作動するとき、ポジティブ点火機関の最終的なエネルギー出力が、良くなることは、無視することができないエネルギーコストの理由で、留意する必要がある。したがって、上記パイロットチャージの質量に対して可能な限り大きい主チャージに点火するための特定の性能を、パイロットチャージに与えるためにできるすべてのことをすることが必要である。
換言すれば、同じ点火効率では、パイロットチャージは、結果的に、可能な最低圧力下で、可能な最少量の空気と燃料の混合物の圧縮をもたらさなければならない。
しかしながら、特に主チャージが、EGRを用いてほとんど、または全く希釈されていないときには、パイロットチャージの圧縮に関するエネルギー消費は、必ずしも正当化されない。しかしながら、−大部分の動作時間における車両機関の作用作を特徴付ける−部分的チャージで、ポンプ損失は、吸気弁の柔軟な制御によって減らすことができる。
部分的チャージで、「可変弁作動」として知られるこの方略は、都合よく、EGRを置き換えて、結果的に、エネルギーを大いに消費するパイロットチャージを使わざる得なくなることなく、上記EGRによって可能になるものと同様のポジティブ点火機関収率をもたらす。
強力なターボ過給下での高チャージは、パイロットチャージが必要ではない別の事例である場合もある。
実際に、EGRは、同じエネルギーをポジティブ点火機関のシリンダの中に導入される状態に必要とされるブースト圧力を上げる。非常に高いチャージで、一方で、上記機関のチャージが、EGRを用いて希釈されているとき、ポジティブ点火機関用の所望の力を得るために、過給機圧縮器は、チャージが希釈されなかった場合より激しく動作しなければならない。EGRの特定の率を越えると、機関の排気に配置されるタービンは、上記圧縮器を動かすのに十分な力をもはや有していない。アクセス可能なEGRの率は、パイロットチャージが、燃焼の初期化および進行を確実にするのにもはや必要ではない点に制限される。
要するに理想的状態は、上記チャージが、EGRを用いて、ほとんどまたは全く希釈されないときには、従来型のスパークプラグを用いて、そして上記チャージが、EGRを用いて高度に希釈されるときには、可能であれば副燃焼室を備えた、パイロットチャージを用いる引火装置を用いて、主チャージに点火するべきである。
第2のスパークプラグは、この必要性を最終的に補償することができる。しかしながら、シリンダ当たり4つの弁、および直接燃焼室に通じているインジェクタを備えた現代の自動車機関のシリンダヘッドの中に上記第2のスパークプラグを収容することは、実質的に不可能である。
したがって、一方で、特許FR2986564の中で述べられた原則によるパイロットチャージ噴射を用いるとき、例えば米国特許第4,319,552号に記載されているような副燃焼室の長所から、他方で、従来型のスパークプラグを備えた従来型の点火の長所から、同時に恩恵を得ることを望む場合、従来型のスパークプラグが、作動するとき、上記副燃焼室を引き戻すことが可能でなければならず、逆もまた同じである。
さらに、副燃焼室が使用されるとき、上記副燃焼室が、前述のように、「フレーミングボール」点火装置のように挙動しないこと、または少なくとも主チャージの燃焼の初期化が、選択された時間に効率的に誘発され、制御されていない時間には起こらないことが必要となる。
これは、フレーミングガストーチを、主チャージを含有する機関の燃焼室の3次元空間の中に拡散することにおける上記副燃焼室の効果を減少させることなく、自己点火を誘発しやすい副燃焼室のフレーミング区分を冷却する必要がある。
しかしながら、現代の過給機関が、ほとんどの場合に、直接的なガソリン噴射を受容する限りにおいて、同じ手段を用いながら、パイロットチャージを用いずに主チャージに点火することが可能であることを望む場合、パイロットチャージを点火するためにスパークプラグの電極がその中に収納されている副燃焼室の採用は、ほぼ不可能である。
実際に、EGRを用いて冷却されるチャージを大いに希釈することは、この型の機関では非常に有利である。しかしながら、燃料インジェクタによって形成される高度に可燃性を有する燃料混合物が、上記電極を浸すように、直接噴射を伴う過給機関のスパークプラグの電極は、突出していなければならない。ここで、上記電極が、開口部を備えた副燃焼室の内部にある場合、この条件は、満たされてなく、燃焼の初期化は、もはや保証されることができない。この課題を回避するために、そのエネルギーコストが、収益的に限界ではないパイロットチャージによる点火を常に用いることが、必要である。
上記電極が、副燃焼室の中に収納されている場合に、燃料混合物を用いてスパークプラグの電極に達することの難しさは、例えば、Peugeot Citroen Automobileに帰属している特許EP1464804A1で、詳細に対処されており、この特許は、重大な直接的噴射圧が、副燃焼室の内側の空気と燃料の混合物の部分が、上記副燃焼室の壁の開口部を通って侵入するのを促進することを主張している。
そのうえ、後者の特許は、暗にそこにおいて対処されている「フレーミングボール」効果が、潜在的に副燃焼室によって生み出され、がたがた音を誘発する理由でモータリストによって恐れられている、同じ出願人の特許EP1411221A2の原則を継承している。
実際に、上記特許の請求項10では、副燃焼室の壁を、少なくとも10W/K/m、好ましくは少なくとも30W/K/mの20℃の熱伝導率を有する合金から形成することが、提案されている。副燃焼室の壁が、「フレーミングボール」効果を回避するために、可及的速やかに冷却することが可能であるように、この特徴が、求められていると考えられる。
同じ特許の請求項13では、副燃焼室の壁および開口部は、耐火材で被覆されることができ、これは、フレーミングガストーチの温度を極端に下げないように、そして熱機関の冷温部分へのあまりに多くの熱搬出を回避するように、材料を十分な高温にさらに保つことの必要性を示していることがさらに見つけられる。しかしながら、そのような耐火材は、それに関しては克服しがたい「フレーミングボール」効果を必ず促進することになる。
さらに、上記特許EP1464804A1およびEP1411221A2に開示される潜在的課題は、副燃焼室がその中に配置されるスパークプラグを記載する多くの特許において、さまざまな形態で見られることが、容易に理解される。これらの特許には、DE0675272A1および変型例WO03/071644A1の下で知られているもの、およびEP1143126A2またはEP1701419A1の下で公告されたものが含まれる。
1936年7月14日の米国特許第2,047,575号によって証明されるように、一体化された副燃焼室を備えたスパークプラグを生み出すというアイデアは古いことに留意されたい。
さらに、これらの特許の中に開示されたスパークプラグは、開口部を備えた単純キャップを含む「受動的な」副燃焼室を備える。この型の副燃焼室は、安定した速度で作動する機関で主に使われる。実際に、フレーミングガストーチが、上記開口部を通って十分な放出速度に達するべく、十分な差圧が、副燃焼室の中に含有されるチャージの一部分の点火時に得られるように、上記副燃焼室の開口部の区分が、提供される。
課題は、副燃焼室が、上記開口部を通じて空になる場合、それが、同じ開口部を通じて充填もすることである。したがって、そのようなスパークプラグの使用は、開口部の区分と機関の回転速度との間の正確なバランスによるものである。このことは、この型のスパークプラグが、ポジティブ点火機関の速度が、絶えず変化している車では使用されていない理由を説明する助けとなる。
副燃焼室の高温と、充填することおよび空にすることとによって提起される課題に加えて、特許FR2986564で提案されるように、空気と燃料の混合物を含んでいるパイロットチャージの噴射との特有の関連において、主チャージの中での上記パイロットチャージの分散についての課題は、上記パイロットチャージの点火の前に、同様に起こることに留意する必要がある。そのような分散は、主チャージに点火するパイロットチャージの特定の効率を下げる。これは、上記パイロットチャージの質量を増やすことによって、唯一補うことができ、これは、ポジティブ点火機関の最終的なエネルギー効率を犠牲にして行われる。
課題は、パイロットチャージを主チャージに導入するインジェクタが、主チャージの圧力より必然的に大きい圧力下で、上記パイロットチャージの噴射を実行するためには時間を必要とするという事実から生じる。
パイロットチャージの噴射圧力は、ほぼ一定のままであり、一方、ポジティブ点火機関のピストンが、上死点に向かって上昇することに続いて、主チャージの圧力は、圧縮の影響下で増大することも留意する必要がある。パイロットチャージの噴射の開始は、したがって、上記噴射の終了より大きい差圧下で起こる。パイロットチャージの成分ガスの噴射速度は、噴射の終了時より噴射の開始時により大きいということになる。
可能ではないが、大容積副燃焼室が存在する場合を除いて、パイロットチャージの一部は、副燃焼室の開口部から、絶えず出て行き、EGRの高含有量を有する主チャージと混合する。パイロットチャージと主チャージとの間の混合物は、噴射の開始時に特に顕著である。したがって、このようにして空気、燃料、およびEGRで構成される混合物の燃焼性は、必然的に、副燃焼室の容積の中と副燃焼室の外とでは不均質になる。可及的速やかに発火するパイロットチャージの効率、ならびに主チャージに点火する燃焼ガストーチの効率は、低下することになる。効率のこの低下は、パイロットチャージの空気および燃料質量の増加によって唯一相殺され得るが、それは、ポジティブ点火機関の全体的エネルギー効率を犠牲にする。
理想的には、したがって、上記パイロットチャージの点火の前に主チャージの中にパイロットチャージを分散させることは、何としても回避されなければならない。
さらに、理想的には、これまで見てきたように、ポジティブ点火機関が、EGRの高水準下で作動するときだけ、副燃焼室の中に空気燃料パイロットチャージを噴射することが必要となり、他方で、上記機関が、低EGR下、または全くない状態でだけ作動するときには、従来型のスパークプラグが、主チャージに点火するのに使用されなければならない。
圧縮のエネルギーのコストを最小化するために、パイロットチャージの重量を最低限に制限すること、および主チャージに点火する上記パイロットチャージの効率を可能な限り上昇させることは、機関が、高い割合の冷却EGRの下で作動しているとき、常に目的の一部でなければならない。
従来型のスパークプラグだけが主チャージに点火するのに使用されるとき、副燃焼室が、「フレーミングボール」のような何らかの方法で挙動することができないように、副燃焼室が除去されることが−ここでも、理想的に−最善であろう。
最終的に、非常に高水準の冷却EGRの下で燃焼を開始するのに、かつ主チャージの中に含有された燃料の約50パーセントが燃焼されるまで、上記燃焼を進行するのに効率的であると証明された、特許FR2986564によって説明される装置に、上記燃料の少なくとも90パーセント、または100パーセントが、燃焼されるまで、非常に迅速に上記燃焼を進行させる能力を与えることは、非常に有利である。
これは、米国特許第4,319,552号によって提起されるように副燃焼室を用いて、しかし上記予燃室の通常の重大な欠陥を回避し、かつ効率を大幅に向上させるという唯一の条件で、実現されることができる。
これらの目的はすべて、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグによって対処されるものであり、これは、−具体的な実施形態によれば−
・パイロットチャージが、噴射され、フレーミングガストーチを用いて主チャージに点火するために次いで点火される副燃焼室の利点から、およびガソリンの直接的な噴射と適合性を有し、かつ上記電極の間に形成される電気アークを用いて直接に主チャージに点火することを可能にする、副燃焼室で包囲されていない突出した電極の利点から、単一のスパークプラグを用いて恩恵をうけることと、
・副燃焼室が、主チャージの時機を逸した自己点火を引き起こす可能性がある何らかのフレーミングスポットを発生させることを防止することと、
・EGRを用いて高度に希釈された主チャージの燃焼を初期化するためだけでなく、上記主チャージの全てが燃焼するまで上記燃焼が急速に進行することを確実にするためにも必要なパイロットチャージの質量を最小化することと、
・後者の目的において、上記主チャージにおいて上記パイロットチャージを噴射する間、主チャージにおけるパイロットチャージの分散を回避することと
を可能にする。
これらの目的を達成するために、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、
・副燃焼室を、それが無用であるときには引き戻し、次いで上記副燃焼室は、突出した電極に置き換えられることと、
・副燃焼室が引き戻されると、2つの燃焼サイクルの間に、フレーミングガスにさらされた上記副燃焼室の表面を能動的に冷却することと、
・パイロットチャージのガスが、主チャージのガスと混合する可能性がない密閉空間の中で実行されるパイロットチャージの噴射時間の大部分の間、副燃焼室を閉状態に保つことと
を可能にする。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、点火スパークを生じさせるために、上記スパークプラグの端子の電圧を大幅に上昇させることを必要とせず、上記電圧は、通常のスパークプラグで通常使用される電圧に近い状態を維持することを留意する必要がある。
シャトル電極を備えた上記スパークプラグは、自動車を含む、それが目的とされる大部分の用途の経済的な制約と適合性を有する状態を維持するために、大量生産するのに安価であると予想される。さらに、上記スパークプラグの実用寿命は、従来型のスパークプラグの実用寿命と類似していると想定される。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、どのような種類であっても、それが消費するのが、ガス状、液状、または固体状のどのような燃料であっても、そして主チャージが、希釈されるのに、冷却された、もしくは冷却されていないEGRを用いようとも、どのような種類の中性ガスを用いようとも、または酸素もしくは他の燃焼物が豊富なガスを用いようとも、いかなる内燃ポジティブ点火機関にでも適用され得ると考えられる。
さらに、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグの副燃焼室によって受容されるパイロットチャージは、ポジティブ点火機関の主チャージを構成する燃料および/または燃焼物とは異なる燃料および/または燃焼物を含有してもよいと考えられる。
本発明のシャトル電極を備えたスパークプラグは、ピストンが、平行移動して、主チャージが点火され得る燃焼室を−シレンダヘッドと共に−形成することができる少なくとも1つのシリンダを備えた内燃機関に提供され、後者は、一方で、燃焼物と燃料の混合物を含んでいて、他方で、酸素が豊富な空気を用いて、または中性ガスを用いて多かれ少なかれ希釈されており、上記内燃機関は、上記室に通じる吸気ダクトおよび排気ダクトをさらに備える。
本発明のシャトル電極を備えたスパークプラグは、少なくとも電極と、基部スレッドを有する金属製基部の中に収納されたセラミック絶縁体と、少なくとも1つの中心電極と、少なくとも1つの接地電極とを備え、上記スパークプラグは、ラミネーションダクトによって内燃機関の中に含まれる燃焼室に接続されたラミネーションキャビティをさらに備え、一方で、ラミネーションインジェクタは、予め加圧されたパイロットチャージを上記キャビティの中に直接的または間接的に噴射することができ、上記チャージは、スパークを用いて非常に燃し易い燃焼物とAF燃料の混合物を含んでおり、上記シャトル電極を備えたスパークプラグは、本発明によって、
・ラミネーションキャビティに通じる少なくとも1つの中心電極と、
・全面的または部分的に電気伝導性材料でできており、小隙間を有しながらラミネーションダクトの中に部分的または全面的に収納されている少なくとも1つのシャトル電極であって、上記シャトル電極が、中心電極と接地電極との間に差し挿まれていて、第1に、接地電極に面し、燃焼室の中に行き渡った圧力にさらされている室側端部と、第2に、中心電極に面し、ラミネーションキャビティの中に行き渡った圧力にさらされているキャビティ側端部とを有しており、上記シャトル電極が、その中に行き渡った圧力が、燃焼室の中に行き渡った圧力より低いときには、ラミネーションキャビティに向かって、もしくは後者の中に行き渡った圧力が、ラミネーションキャビティの中に行き渡った圧力より低いときには、燃焼室に向かってガスの圧力の影響下で上記ダクトの中で平行移動することができる、少なくとも1つのシャトル電極と、
・ラミネーションキャビティに最も近いシャトル電極の位置を決定する少なくとも1つのキャビティ側シャトル電極橋台と、
・燃焼室に最も近いシャトル電極の位置を決定する少なくとも1つの室側シャトル電極橋台と
を備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、それがラミネーションキャビティに最も近いときには、ラミネーションダクトの全部または一部を閉じ、一方でそれが、燃焼室に最も近く配置されているときには、それは、より広い区分で上記ダクトを開く、シャトル電極を備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、上記ダクトと一体化しており、シャトル電極と上記ダクトとの間に半径方向および/または軸方向に差し挿まれている、電気絶縁性および/または熱的絶縁性および/または耐火性の材料を含む絶縁スリーブを有するラミネーションダクトの全部または一部を備え、上記シャトル電極は、上記スリーブの内部で平行移動することができる。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、ガスがラミネーションキャビティから燃焼室に、またはその逆に移動することを可能にするガス通過用の少なくとも1つの長手方向チャネルを備える絶縁スリーブを備え、上記チャネルは、上記スリーブの内部および/または内面上もしくは外面上に配置されている可能性がある。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、電気的絶縁材料でできた絶縁シャトル本体を含むシャトル電極を備え、上記本体は、それが一体化している導電性コアによって長手方向に一方の側から他方の側へ横断されており、上記コアは、電気伝導性材料でできており、上記コアの第1の端部は、接地電極に面し、一方、上記コアの第2の端部は、中心電極に面している。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、ラミネーションダクトの中、または上記ダクトのどちらかの端部に配置されたシャトル電極閉鎖部座を含むキャビティ側シャトル電極橋台を備え、上記座は、シャトル電極の周縁部、および/または端部に嵌められるシャトル電極閉鎖部フランジと協働する。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、相互に接触しているとき、シールを形成する、シャトル電極閉鎖部座およびシャトル電極閉鎖部フランジを備え、上記シールは、燃焼室の中に広がる圧力が、ラミネーションキャビティの中に広がる圧力より大きいとき、ガスが上記接触点を通過することをいっさい防止する。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、ラミネーションダクトの中もしくは上記ダクトのどちらかの端部、または金属製基部の中に配置されたシャトル電極開口部座を含む室側シャトル電極橋台を備え、上記座は、シャトル電極の周縁部、および/または端部に嵌められるシャトル電極開口部フランジと協働する。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、ガスが上記接触点を通過することをいっさい防止するように、相互に接触しているとき、シールを形成する、シャトル電極開口部座およびシャトル電極開口部フランジを備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、上記シャトル電極を、上記シャトル電極の上記ダクトに対する軸方向位置にかかわらず、ラミネーションダクトの中のほぼ中央に、そして上記ダクトとほぼ同じ長手方向方位に維持する案内手段を周縁部に備えるシャトル電極を備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、ガスがラミネーションキャビティから燃焼室に、またはその逆に移動することを可能にするガス通過用の少なくとも1つの長手方向チャネルを備えるシャトル電極を備え、上記チャネルは、上記シャトル電極の内部および/または表面上に配置されている可能性があり、上記シャトル電極の全長にわたって設けられている可能性があり、一方で、上記チャネルの2つの端部は、室側の端部とキャビティ側の端部でそれぞれ、または上記長さの一部だけに沿って開いており、一方で、上記チャネルの上記2つの端部の少なくとも1つは、シャトル電極の外面から半径方向に開いている。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、一方でラミネーションキャビティと、他方で少なくとも1つのガス噴射開口部を介して燃焼室と同時に通じているトーチ点火副燃焼室を、−上記閉鎖部/開口部フランジがシャトル電極開口部座と接触しているとき−ラミネーションダクトと共に画定する1つの単一閉鎖部/開口部フランジを一緒に形成する、シャトル電極閉鎖部フランジおよびシャトル電極開口部フランジを備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、絶縁スリーブの内部に配置されるトーチ点火副燃焼室を備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、金属製基部から突出して、そこからガス噴射開口部が開いている、突出した噴射ドームを呈する絶縁スリーブを備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、絶縁スリーブ上のインサートである突出した噴射ドームを備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、突出した噴射ドームの中に配置されるシャトル電極開口部座を備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、円筒形であるトーチ点火副燃焼室の内周壁を備え、一方で、閉鎖部/開口部フランジは、上記副燃焼室の中の低半径方向隙間に収納されている。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、シャトル電極が、燃焼室の近くに、すなわち、それが協働する室側シャトル電極橋台周辺に、またはそれと接触して配置されるとき、シャトル電極閉鎖部フランジが、ラミネーションキャビティを燃焼室と接続する少なくとも1つのガス噴射開口部を開放することを可能にする。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、パイロットチャージを、金属製基部が基部スレッドを用いてその中にねじ込まれる、ねじ山付きプラグ凹所の中、もしくは上記金属製基部の外周縁上、または上記凹所の中および上記基部の上記周縁部の両方に配置されるパイロットチャージ噴射の環状室を通して、インジェクタ排出ダクトを介して、ラミネーションキャビティの中に直接的または間接的に噴射することができるインジェクタを備え、上記環状室は、金属製基部の中にほぼ半径方向に配置された少なくとも1つのガス噴射チャネルを介してラミネーションキャビティと通じている。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグは、セラミック絶縁体の内部に配置されたラミネーションキャビティを備える。
添付図面を参照しながらこのあとに続き、非限定的な例として提供される説明は、本発明、それが備える特徴、およびそれが提供する可能性のある恩恵をいっそう良く理解することを可能にする。
図1〜図21は、シャトル電極を備えたスパークプラグ1、構成要素のさまざまな詳細、変型例、およびアクセサリを示す。
図1に図示したように、シャトル電極を備えたスパークプラグ1は、ピストン9が平行移動して、主チャージ12が点火され得る燃焼室11を−シリンダヘッド10と共に−構成することができる少なくとも1つのシリンダ8を備える内燃機関2に提供され、後者は、一方で、燃焼物と燃料の混合物を含んでいて、他方で、酸素が豊富な空気を用いて、または中性ガスを用いて多かれ少なかれ希釈されている。
シャトル電極を備えたスパークプラグ1が提供される内燃機関2は、燃焼室11に通じる吸気ダクト13および排気ダクト14をさらに備える。一方で、上記スパークプラグ1は、基部スレッド5を有する金属製基部4の中に収納されているセラミック絶縁体3を備える。
シャトル電極を備えたスパークプラグ1は、少なくとも1つの中心電極6および少なくとも1つの接地電極7をさらに備える一方で、それは、ラミネーションダクト16によって燃焼室11に接続されたラミネーションキャビティ15をさらに備え、一方で、ラミネーションインジェクタ17は、ラミネーション圧縮器19によって予め加圧されたパイロットチャージ18を直接的または間接的に上記キャビティ15の中に噴射することができ、上記チャージ18は、スパークを用いて容易に燃やすことができる燃焼物とAF燃料の混合物を含んでいる。
図1〜図21は、シャトル電極を備えたスパークプラグ1は、中心電極6が、ラミネーションキャビティ15の中に通じているという点において現状技術とは異なることを示す。
図1〜図21は、シャトル電極を備えたスパークプラグ1が、全面的または部分的に電気伝導性材料でできており、ラミネーションダクト16の中の小隙間を用いて部分的にまたは全体的に収納されているシャトル電極20を含むことを示す。
図1〜図21では、シャトル電極20は、中心電極6と接地電極7との間に差し挿まれていて、一方で、接地電極7に面し、燃焼室11の中に行き渡る圧力にさらされている室側端部21と、他方で、中心電極6に面し、ラミネーションキャビティ15の中に行き渡る圧力にさらされているキャビティ側端部22とを有することに留意されよう。
本発明のシャトル電極を備えたスパークプラグ1によれば、上記シャトル電極20は、後者の中に行き渡った圧力が、燃焼室11の中に行き渡った圧力より低いときには、ラミネーションキャビティ15に向かって、もしくは後者の中に行き渡る圧力が、ラミネーションキャビティ15の中に行き渡る圧力より低いときには、燃焼室11に向かってガスの圧力の影響下でラミネーションダクト16の中で平行移動することができることに留意されよう。
シャトル電極20は、さらに、長所または所望の作用モードとは何ら解釈され得ない重力または加速の影響下で、ラミネーションダクト16の中に移動することができることに留意され得よう。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1は、ラミネーションキャビティ15に最も近いシャトル電極20の位置を決定する少なくとも1つのキャビティ側シャトル電極橋台23をさらに備える。
最終的に、本発明による上記スパークプラグ1は、燃焼室11に最も近いシャトル電極20の位置を決定する少なくとも1つの室側シャトル電極橋台24を備える。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の特定の実施形態によれば、キャビティ側シャトル電極橋台23および/または室側シャトル電極橋台24はそれぞれ、中心電極6および/または接地電極7を含むことができることに留意されよう。
あるいは、シャトル電極20は、それが平行移動してラミネーションダクト16の中に入ることを妨げることなく、それが、上記軸に沿って回転するのを防止する、縦軸に沿って回転するインデックス付与手段を備えることができる。
好都合にも、シャトル電極20および/またはそれが中で平行移動するラミネーションダクト16は、周知の減摩性および/または非接着性およびまたは耐火性を有する材料で被覆され得ることに留意されよう。
さらに、シャトル電極20は、中空であっても、または軽減手段を有していてもよく、一方で、当業者に知られているあらゆる種類の電極が、室側端部21またはキャビティ側端部22で、中心電極6、接地電極7に適用され得る。
図2〜図21で特に認識し易い、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の特定の実施形態によれば、シャトル電極20は、それがラミネーションキャビティ15に最も近いときに、ラミネーションダクト16の全部または一部を閉じ、一方でそれが、燃焼室11に最も近く配置されるときに、それは、より広い区分で上記ダクト16を開く。
図2〜図11に図示されるように、ラミネーションダクト16の全部または一部は、上記ダクト16と一体化しており、シャトル電極20と上記ダクト16との間に半径方向および/または軸方向に差し挿まれている、電気絶縁性および/または熱的絶縁性および/または耐火性の材料でできた絶縁スリーブ25を備えることができる上記シャトル電極20は、上記スリーブ25の内部で平行移動することができる。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の特定の実施形態によれば、絶縁スリーブ25は、セラミック絶縁3と一体化されていてもよく、後者と同じ材料片で準備されていてもよいと留意される必要がある。あるいは、空気ギャップが、上記スリーブ25と上記ダクト16との間の熱交換を制限するように、絶縁スリーブ25の少なくとも一部とラミネーションダクト16との間に残っていてもよい。
図3〜図8および図11は、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の変型実施形態として、絶縁スリーブ25は、ガスがラミネーションキャビティ15から燃焼室11に、またはその逆に移動することを可能にするガス通過用の少なくとも1つの長手方向チャネル35を備え、上記チャネル35は、上記スリーブ25の内部および/または内面上もしくは外面上に配置されている可能性があることを示す。
図12〜図21は、シャトル電極20は、自体が電気的絶縁材料でできている、絶縁シャトル本体26を含むことができ、上記本体26は、それが一体化している導電性コア27によって長手方向に端から端まで横断されており、上記コア27は、電気伝導性材料でできていて、上記コア27の第1の端部28は、接地電極7に面し、一方、上記コア27の第2の端部29は、中心電極6に面していることを具体的に示す。
図3〜図8、図11、図13〜図18、および図20および図21は、キャビティ側シャトル電極橋台23は、ラミネーションダクト16の中、または上記ダクト16のどちらかの端部に設けられたシャトル電極閉鎖部座30を含み、上記座30は、シャトル電極20の周縁部、および/または端部に設けられるシャトル電極閉鎖部フランジ31と協働することを明白にする。
ラミネーションダクト16が、絶縁スリーブ25を収納している場合、シャトル電極閉鎖部座30は、上記スリーブ25の中、または上記スリーブ25の端部に配置されてもよいと留意される必要がある。
シャトル電極閉鎖部フランジ31は、電気伝導性材料でできているシャトル電極20に取り付けられるために、熱的絶縁性および/または耐火性の材料でできていることができるとさらに留意される必要がある。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の特定の実施形態として、シャトル電極閉鎖部座30およびシャトル電極閉鎖部フランジ31は、それらが相互に接触しているとき、シールを形成することができ、上記シールは、燃焼室11の中に広がる圧力が、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力より大きいとき、ガスが上記接触点を通過することをいっさい防止する。
図2〜図8は、室側シャトル電極橋台24は、ラミネーションダクト16の中または上記ダクト16のどちらかの端部、または金属製基部4の中に配置されるシャトル電極開口部座32を含み、上記座32は、シャトル電極20の周縁部、および/または端部に設けられるシャトル電極開口部フランジ33と協働することを明白に示す。
ラミネーションダクト16が、絶縁スリーブ25を収納する場合、シャトル電極開口部座32は、上記スリーブ25の中、または上記スリーブ25のどちらかの端部に配置されることができると留意される必要がある。
シャトル電極開口部フランジ33は、熱的絶縁性および/または耐火性の材料でできていて、シャトル電極20に取り付けられることができ、後者は、電気伝導性材料でできているとさらに留意される必要がある。
ガスが上記接触点を通過することをいっさい防止するように、相互に接触しているとき、シャトル電極開口部座32およびシャトル電極開口部フランジ33は、シールを提供することができることをさらに理解されたい。
図21は、シャトル電極20は、上記シャトル電極20の上記ダクト16に対する軸方向位置にかかわらず、ラミネーションダクト16の中のほぼ中央に、そしてシャトル電極20を上記ダクト16とほぼ同じ長手方向方位に保持する案内手段34を周縁部に備えることができることを明白に示す。
図9および図19を除いた図2〜図21は、シャトル電極20は、ガスがラミネーションキャビティ15から燃焼室11に、またはその逆に移動することを可能にするガス通過用の少なくとも1つの長手方向チャネル35を備えることができ、上記チャネル35は、上記シャトル電極20の内部および/または表面上に配置されていて、上記シャトル電極20の全長にわたって設置されている可能性があり、一方で、上記チャネル35の2つの端部は、室側の端部21とキャビティ側の端部22でそれぞれ、または上記長さの一部だけで開いており、一方で、上記チャネル35の上記2つの端部の少なくとも1つは、シャトル電極20の外面から半径方向に開いていることを示す。
図2〜図8、図10および図11に示すように、シャトル電極閉鎖部フランジ31およびシャトル電極開口部フランジ33は、−上記閉鎖部―開口部フランジ36がシャトル電極開口部座32と接触しているとき−ラミネーションダクト16と共に、トーチ点火副燃焼室37を画定する単一の閉鎖部―開口部フランジ36を一緒に形成することができる。
この場合、トーチ点火副燃焼室37は、金属製基部4の中、または絶縁スリーブ25の中で、一方でラミネーションキャビティ15と、他方で、例えばほぼ半径方向に配置されていてもよい、少なくとも1つのガス噴射口部38を介して燃焼室11と同時に通じていると留意される必要がある。
ガス噴出開口部38は、燃焼室11に向かってだいたい方向付けられていてもよく、金属製基部4の円周のだいたい接線方向に出てもよいことに留意されよう。さらに、ガス噴出開口部38の幾何形状は、上記開口部38から出るガスの噴射が、かなり有向的に提供されるのか、それともかなり拡散的に提供されるのかによって、変化し得る。
例えば、ガス噴出開口部38は、円筒形、円錐形でもよく、または、収束的または発散的な形をしていてもよい。さらに、閉鎖部−開口部フランジ36は、電気伝導性材料でできているシャトル電極20上に配置されるために、熱的絶縁性および/または耐火性の材料でできていることができる。
図3〜図8、図10および図11は、トーチ点火副燃焼室37が、絶縁スリーブ25の内部に配置され得ることを示す。
この場合、絶縁スリーブ25は、金属製基部4から突出して、そこからガス噴射開口部38が開く、突出した噴射ドーム47を呈し、上記ドーム47は、クランプによって、またはクリンピングフランジによって、例えば、上記基部4の中の定位置に保持されることができる。
そのうえ、図2〜図11に示すように、突出した噴出ドーム47は、同様に、電気絶縁性および/または熱的絶縁性および/または耐火性の材料でできている絶縁スリーブ25上のインサートであってもよい。
この特有の構成は、具体的には、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1を組み立てること、およびシャトル電極20を構成している閉鎖部/開口部フランジ36をトーチ点火副燃焼室37の中に据え付けることを可能にする。
図3〜図8は、シャトル電極開口部座32が、突出した噴出ドーム47の中に配置され得ることを示す。
図10および図11では特に認識し易いように、トーチ点火副燃焼室37の内周壁は、円筒形であってもよく、一方で、閉鎖部/開口部フランジ36は、ラミネーションダクト16に対するシャトル電極20の位置に関係なく、上記フランジ36と上記壁との間に小半径方向隙間を残すように、上記副燃焼室37の中の小半径方向隙間に収納されていることができ、上記小半径方向隙間は、ラミネーションキャビティ15と燃焼室11との間のガスの通過を減速させる制限的通過を構成している。
そのうえ、図13、図16、図17、および図18は、シャトル電極20が、燃焼室11の近くに、すなわち、それが協働する室側シャトル電極橋台24周辺に、またはそれと接触して配置されるとき、シャトル電極閉鎖部フランジ31は、ラミネーションキャビティ15を燃焼室11と接続する少なくとも1つのガス噴射開口部38を開放することが可能であり、上記開口部38は、例えば、金属製基部4の中にほぼ半径方向に配置されており、燃焼室11に向かってだいたい方向付けられ、金属製基部4の円周のだいたい接線方向に出ることを示す。
さらに、ガス噴出開口部38の幾何形状は、上記開口部38から出るガスの噴射が、かなり有向的に提供されるのか、それともかなり拡散的に提供されるのかによって、変化し得る。例えば、ガス噴出開口部38は、円筒形、円錐形でもよく、または、収束的または発散的な形をしていてもよい。
図2および図12に具体的に示される本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の特定の変型例によれば、ラミネーションインジェクタ17は、パイロットチャージ18を、インジェクタ排出管42を経て、環状パイロットチャージ噴射室39を介して上記キャビティ15の中に直接的または間接的に噴射することができる。
そのような場合には環状パイロットチャージ噴射室39は、金属製基部4が基部ねじ切り部5を用いてその中にねじ込まれる、ねじ山付きスパークプラグ凹所40の中、もしくは上記金属製基部4の外周上、または上記凹所40の中、および上記基部4の上記周縁部上の両方に配置され、上記環状室39は、金属製基部4の中にほぼ半径方向、または場合によっては後者の接線方向に配置された少なくとも1つのガス噴射チャネル41を介してラミネーションキャビティ15と通じている。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の別の変型例として、ラミネーションキャビティ15は、セラミック絶縁体3の内部に配置されることに留意されよう。あるいは、上記キャビティ15は、熱的絶縁性および/または耐火性の材料で被覆されることができる。
シャトル電極20、キャビティ側シャトル電極橋台23、または室側シャトル電極橋台24などの、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の主な革新的構成要素は、中心電極に面する接地電極がない従来型のスパークプラグの金属製基部がその中にねじ込まれる、シリンダヘッド10の中に加えられた基部の中に収納されてもよいことに留意されよう。
本発明の作用
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の作用は、図1〜図21中の説明図から容易に理解される。
図1は、シャトル電極を備えたスパークプラグ1は、ここでは内燃機関2上に取り付けられており、金属製基部4は、上記機関2のシリンダヘッド10の中にねじ込まれていることを示す。
上記作用を詳述すると、図2〜図11に図示されるように本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の例示的実施形態は、ここでは、保持されることになり、これらの図では、この事例では金属であるシャトル電極20が、1つの電気伝導性材料だけでできていることが分かる。この例によれば、シャトル電極20は、シャトル電極20とラミネーションダクト16との間に半径方向に差し挿まれ、セラミックまたは同種のものなどの電気的絶縁性および熱的絶縁性の材料を含む、ラミネーションダクト16の中に含まれた絶縁スリーブ25の中に平行移動することができる。
絶縁スリーブ25は、ガスがラミネーションキャビティ15から燃焼室11に、またはその逆に移動することを可能にする、ガス通過用の3つの長手方向大断面チャネル35を有することに留意されよう。上記チャネル35は、上記スリーブ25の内部に配置されている。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1のこの非制限的な実施形態によれば、キャビティ側シャトル電極橋台23は、絶縁スリーブ25の端部に配置されるシャトル電極閉鎖部座30を含み、上記座30は、シャトル電極20の周縁部にあるシャトル電極閉鎖部フランジ31と協働することに留意されたい。
燃焼室11の圧力が、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力より大きいときに、ガスが上記接触点を通過することをいっさい防止するように、シャトル電極閉鎖部座30およびシャトル電極閉鎖部フランジ31は、相互に接触しているとき、シールを形成することを理解されたい。
さらにこの例示的実施形態によれば、室側シャトル電極橋台24は、絶縁スリーブ25の中にさらに設けられるシャトル電極開口部座32を含み、上記座32は、シャトル電極20によって周縁部および/または端部に設けられるシャトル電極開口部フランジ33と協働することも留意されよう。
シャトル電極開口部座32およびシャトル電極開口部フランジ33は、何らかのガスが上記接点を通過することを防止するように相互に接触しているとき、シールを形成すると留意される必要がある。
作用を説明するために、ここで検討されている本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の特定の実施形態によれば、シャトル電極閉鎖部フランジ31およびシャトル電極開口部フランジ33は、組み合わされて一緒に1つの単一閉鎖部/開口部フランジ36を形成するとさらに留意される必要がある。これは、図2〜図8、および図10および図11で特に認識し易い。
閉鎖部/開口部フランジ36が、それが協働するシャトル電極開口部座32と接触しているとき、それは、一方でラミネーションキャビティ15と、他方で少なくとも8つのガス噴射開口部38を介して燃焼室11と同時に通じているトーチ点火副燃焼室37を、絶縁スリーブ25と一緒に画定することを、図3、図6〜図8、および図10でさらに留意されたい。
この特定の例によれば、上記開口部38の直径は、1ミリメートルの15/100であると想定される。
図2〜図11で特に図示されるように、トーチ点火副燃焼室37を受容するために、絶縁スリーブ25は、上記副燃焼室37が配置される突出した噴射ドーム47によって延長される。図示されるように、上記ドーム47は、金属製基部4から突出しており、ガス噴射開口部38は、上記ドーム47から開く。
図2〜図11に示されるように、突出した噴射ドーム47は、熱的絶縁性および耐火性の材料で同様にできている絶縁スリーブ25に加えられた要素であり、一方で、シャトル電極開口部座32は、実際に上記ドーム47の中に配置されている。
トーチ点火副燃焼室37の内周壁は、円筒形であり、一方で、閉鎖部/開口部フランジ36は、ラミネーションダクト16に対するシャトル電極20の位置に関係なく、上記フランジ36と上記壁との間に小半径方向隙間を残すように、上記副燃焼室37の中の低半径方向隙間−例えば1ミリメートルの5/100−に収納されていることに留意されよう。
上記低半径方向隙間は、燃焼室11からラミネーションキャビティ15に、またはその逆に移送されるガスの大部分を、トーチ点火副燃焼室37の内周壁と閉鎖部/開口部フランジ36との間ではなく、ガス噴射開口部38を通して移動させる。
ラミネーションキャビティ15の圧力が、燃焼室11の中に広がる圧力より低いのか、それとも高いのかによって、シャトル電極20は、図4および図5に示すような、キャビティ側シャトル電極橋台23上に、それとも図2および図3、図6〜図8、および図10に図示されるように、室側シャトル電極橋台24上に自体を配置するように作られ得ると留意される必要がある。
この事例では、そしてまさに述べたように、キャビティ側シャトル電極橋台23は、シャトル電極閉鎖部座30にほかならず、一方で、室側シャトル電極橋台24は、シャトル電極開口部座32を含む。
シャトル電極20が、キャビティ側シャトル電極橋台23と接触しているとき、室側端部21と接地電極7との間に残された空間は、この解説用の例では、1ミリメートルの7/10であり、一方で、キャビティ側端部22と中心電極6との間に残された空間は、1ミリメートルの1/10である。
対照的に、容易に考え得るように、シャトル電極20が、室側シャトル電極橋台24と接触しているとき、室側端部21と接地電極7との間に残された空間は、1ミリメートルの1/10であり、一方で、キャビティ側端部22と中心電極6との間に残された空間は、1ミリメートルの7/10ミリメートルである。
このようにして、接地電極7と中心電極6との間に生み出される電気アーク−その他の方法では、スパークと名付けられる−の全長は、一定の1ミリメートルの8/10あり、一方で、シャトル電極20が一方の橋台23、24から、他方に進むために移動しなければならない距離は、1ミリメートルの6/10である。
したがって、好都合にも、上記電気アークを作成するために生成された電圧は、一定で、かつポジティブ点火機関のスパークプラグとの関連において通常使用される値に近い状態を維持し、一方で、上記アークの最大長は、シャトル電極20がキャビティ側シャトル電極橋台23と接触しているとき、燃焼室11の中で、そしてシャトル電極20が室側シャトル電極橋台24と接触しているとき、ラミネーションキャビティ15の中で発生する。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の作用を理解するために、作用を内燃機関2の4つのステージに分解することは、有用である。
第一段階では、上記機関2は、実質的には希釈されていない、したがって可燃性の高い主チャージ12を燃焼すると考えられる。上記パイロットチャージ18を圧縮し、この関連において、上記機関2に最高効率を提供しなければならないことを回避する、パイロットチャージ18の使用は、必要ではない。
シャトル電極20が、キャビティ側シャトル電極橋台23と接触している状態において、内燃機関2の吸気位相の間、ピストン9は、下ってシリンダ8の中に進む。燃焼室11の容積は増大し、上記室11の中に広がる圧力は低下する。主チャージ12は、吸気弁45を通って内燃機関2の吸気ダクト13を経てシリンダ8の中に導入される。
したがって、燃焼室11の中に広がる圧力は、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力より瞬間的に低くなる。その結果、ラミネーションキャビティ15の中に含有されたガスは、次いでそれが協働するシャトル電極閉鎖部座30との閉接点が形成されるまで、閉鎖部/開口部フランジ36上に力を及ぼす。当該状況は、図6に図示される。
上記力の後、閉鎖部/開口部フランジ36とシャトル電極閉鎖部座30との間の接触は、解かれ、シャトル電極20は、閉鎖部/開口部フランジ36がシャトル電極開口部座32と接触するまで、燃焼室11に向かって移動し、これも、同様に図6に図示される。
そうする中で、ラミネーションキャビティ15の中に依然として含有される直前のサイクルの燃焼された、または非燃焼のガスは、後者から抜け出て、絶縁スリーブ25、トーチ点火副燃焼室37、およびガス噴射開口部38の中に含まれる、ガス通過用の3つの長手方向チャネル35を主におよびそれぞれ通って燃焼室11に向かって進む。
その行路の間、閉鎖部/開口部フランジ36は、最初のうちは部分的に、次いで、それがシャトル電極開口部座32に向かって移動するにつれて次第に、そして最終的には完全にガス噴射開口部38を開くことによって、ガス通過用の長手方向チャネル35を利用したガス通路を漸進的に開くとさらに留意される必要がある。
ちょうど今説明したシーケンスは、図3の中に図示された状況において本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1を見つけることを可能にする。
ピストン9が、最低死点に到達し、吸気弁45が閉じると、上記ピストン9は、シリンダ8の中を上昇して、主チャージ12を圧縮し始める。燃焼室11の容積は、減少し、上記室11の中に広がる圧力は、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力より高くなる点まで上昇する。
その結果、燃焼室11の中に含有されたガスは、それが協働するシャトル電極開口部座32との閉接点が形成される時点まで、閉鎖部/開口部フランジ36上に力を及ぼす。その結果、シャトル電極20は、閉鎖部/開口部フランジ36が、シャトル電極閉鎖部座30に当接して、再びそれと閉接点を形成するまで、移動する。このことは、図4に示される状況を導く。
閉鎖部/開口部フランジ36が、その間にシャトル電極閉鎖部座30と閉接点を形成する短い瞬間を除いた、すべての場合において、上記フランジ36上に作用して、シャトル電極20を平行移動で動かすのは、主に、ラミネーションキャビティ15から燃焼室11に、またはその逆方向の後者の移動と関連付けられる動的なガス圧であると留意される必要がある。
閉鎖部/開口部フランジ36を通過して、燃焼室11からラミネーションキャビティ15に、またはその逆に進むガスの量は、ピストン9の動きによって決まるが、さらに、一方で、シリンダ8の中に含有された上記ガスの全容積と燃焼室11の中に含有された上記ガスの全容積との間の比率によって決まり、他方で、トーチ点火副燃焼室37、ガス通過用の長手方向チャネル35、ラミネーションキャビティ15、ガス噴射チャネル41、環状パイロットチャージ噴射室39、およびインジェクタ排出管42の中に含有された上記ガスの全容積によって決まることを理解すべきである。
閉鎖部/開口部フランジ36が、シャトル電極開口部座32と閉鎖部接触を形成するとき、そして燃焼室11内の圧力が、上昇している間、上記フランジ36によって上記室11の中に含有されたガスの圧力にさらされる総断面は、ガス噴射開口部38の総断面よりかなり大きいとさらに留意される必要がある。このことは、シャトル電極20上に、シリンダ8におけるピストン9の上昇の間に、ラミネーションキャビティ15に向かってそれを十分に高い速度で押し進めるのに十分な力を作り出すことを可能にする。
シリンダ8の中で上昇を続けるピストン9は、主チャージ12を圧縮し、これは、漸進的に、閉鎖部/開口部フランジ36をシャトル電極閉鎖部座30上に押圧する。
主チャージ12が点火される必要があるとき、1ミリメートルの1/10の電気アークが、上記中心電極6とシャトル電極20のキャビティ側端部22との間に生じ、一方で、1ミリメートルの7/10の第2の電気アークが、接地電極7とシャトル電極20の室側端部21との間に生じるように、高電圧流が、中心電極6に加えられる。この状況は、図5に示される。
中心電極6とシャトル電極20のキャビティ側端部22との間の距離が、不十分であるので、ラミネーションキャビティ15に存在し得る可燃性を有するガスは、点火されない。実際に、上記距離は、ラミネーションキャビティ15の内面に沿って並ぶ周知の炎−閉鎖部層の厚さを下回っている。
主チャージ12自体は、実質的に希釈されてなく、高度な可燃性を有する主チャージ12を用いて作動しているどのようなポジティブ点火機関においても見られる条件と類似の条件下で、点火される。
ピストン9が、上死点を横切ると、それは、下ってシリンダ8の中に進んで、そのとき燃えている主チャージ12の成分ガスを緩和させる。上記ピストン9は、この降下を行い、一方で、上記クランク軸43が協働する連結棒44を用いて、内燃機関2の中に含まれるクランク軸43上に作用をもたらす。
ピストン9が下死点の近くに到着するとき、内燃機関2の排気弁46は、広がり、既燃ガスは、燃焼室11から排気ダクト14を通って抜け出し始める。上記室11の中に広がる圧力は、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力より急激に低くなる点まで急落する。
ラミネーションキャビティ15の中に含有されたガスは、次いでそれが協働するシャトル電極閉鎖部座30との閉接点が形成されるまで、閉鎖部/開口部フランジ36上に力を及ぼす。
この作用の後、そして図6に示されるように、シャトル電極20は、閉鎖部/開口部フランジ36がシャトル電極開口部座32と接触するまで、燃焼室11に向かって移動する、あるいは、そうではなく、実際には、ピストン9が下死点を越えて進んでしまったので、この移動に残された時間が短すぎる場合、それは、燃焼ガスを燃焼室11から排気ダクト14を通じて吐出し始める。
ピストン9の排気行程の間、ガス圧は、燃焼室11の中で、シャトル電極20がラミネーションキャビティ15に向かって後退することができる点まで実質的に上がり、そして閉鎖部/開口部フランジ36が、シャトル電極閉鎖部座30と接触するまでそうなることを理解されたい。すべてまたは一部において起こるこの状況は、図4に図示される。
ピストン9が排気行程終了時に上死点に到達していると、内燃機関2は、その点火が、従来型のスパークプラグを備え、ほとんど希釈されていない、または全く希釈されていない、したがって、高度な可燃性を有する主チャージ12を作用させる、すべての上記ポジティブ点火機関2で見られる条件と類似の条件下で、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1によって引き起こされると解釈される新しい4サイクル熱力学サイクルを実行することができる。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の利点は、主チャージ12が、例えば「冷却EGR」と呼ばれる冷却された再循環排出ガスを用いて高度に希釈されているときにだけ有意である。実際に、結果として生じるガス混合物は、点火に対してより強い抵抗性を有し、燃焼室11の3次元空間における、燃焼の急速な進行は決して引き起こさない。
このような条件下でパイロットチャージ18の使用は、上記チャージ18が、燃焼を開始することだけでなく、さらに上記燃焼をできるだけ短時間で進行させることにおいても、効率的であるという条件で推奨され、これらの2つの目標は、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1によってまさにかなえられる。
作用を説明するためにここで検討されるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の実施形態の非制限的な例によれば、パイロットチャージ18は、主チャージ12の中に含有される燃料の1パーセントを含有すると想定される。
前述のように、シャトル電極20がキャビティ側シャトル電極橋台23と接触しているとき、上記機関2の吸気位相の間、ピストン9は、下ってシリンダ8の中に進む。
燃焼室11の容積は、増大し、上記室11の中に広がる圧力は、低下する。主チャージ12は、内燃機関2の吸気ダクト13を経て、吸気弁45を通ってシリンダ8の中に導入される。
前述のように、燃焼室11の中の圧力は、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力より瞬間的に低くなる。その結果、ラミネーションキャビティ15の中に含有されたガスは、次いで、それが協働するシャトル電極閉鎖部座30との閉接点が形成されるまで、閉鎖部/開口部フランジ36上に力を及ぼす。
これが発生した後、そして図6に示されるように、閉鎖部/開口部フランジ36とシャトル電極閉鎖部座30との間の接触は、解かれ、シャトル電極20は、閉鎖部/開口部フランジ36がシャトル電極開口部座32と接触するまで、燃焼室11に向かって移動する。
そうする中で、ラミネーションキャビティ15の中に依然として含有される直前のサイクルの燃焼された、または非燃焼のガスは、後者から抜け出て、絶縁スリーブ25、トーチ点火副燃焼室37、および8つのガス噴射開口部38の中に含まれる、ガス通過用の3つの長手方向チャネル35をそれぞれ通って、燃焼室11に向かって進む。
ピストン9が、下死点に到達し、吸気弁45が閉じると、上記ピストン9は、昇ってシリンダ8に戻り、冷却EGRを用いて強く希釈された主チャージ12を圧縮し始める。燃焼室11の容積は、減少し、上記室11の中の圧力は、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力より高くなる点まで上昇する。
その結果、燃焼室11の中に含有されたガスは、それが協働するシャトル電極開口座32との閉接点が形成されるそのときまで、閉鎖部/開口部フランジ36上に力を及ぼす。その結果、そして図4に示されるように、シャトル電極20は、閉鎖部/開口部フランジ36が、シャトル電極閉鎖部座30に当接して、後者との閉接点を形成するまで、迅速に移動する。
ピストン9がシリンダ8の中で上昇し続けるとき、燃焼室11の中に広がる圧力は、上昇し続けるが、一方で、ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力は、もはや上昇せず、閉鎖部/開口部フランジ36が、シャトル電極閉鎖部座30に当接して、それとともに密接を形成するとき、それが有していた値を保持する。
ラミネーションキャビティ15は、燃焼室11の中に含有されたガスが、もはや侵入することができない保護された容積をこのとき形成する。
ラミネーションインジェクタ17が、容易に燃焼し易い燃焼物とAF燃料の混合物を含むパイロットチャージ18を、インジェクタ排出管42を通じて、そしてねじ山付きスパークプラグ凹所40の中に配置された環状パイロットチャージ噴射室39を経てラミネーションキャビティ15の中に噴射し始めるのは、この瞬間である。
図2〜図12に見られるように、これは、環状パイロットチャージ噴射室39は、−この非制限的な例によれば−環状パイロットチャージ噴射室39のレベルの金属製基部4の中に半径方向に配置されたガス噴射41の8つのチャネルによってラミネーションキャビティ15と通じているという事実によって可能になる。
ラミネーションキャビティ15が、閉じていて保護された容積を最初に形成するとき、パイロットチャージ18を形成する高度に燃え易い燃焼物とAF燃料の混合物は、低燃焼性ガスを用いて希釈されていない、なぜならば、それが、主チャージ12を形成する、冷却EGRを用いて高度に希釈されているからである。
閉鎖部/開口部フランジ36がシャトル電極閉鎖部座30上で隣接する前には、ラミネーションキャビティ15の中に導入された残留EGR希釈ガスだけが、残っており、上記希釈されたガスは、パイロットチャージ18のほんの数パーセントを表している。
ラミネーションインジェクタ17によるパイロットチャージ18のラミネーションキャビティ15への噴射を開始することは、上記インジェクタ17の動力および流量を考慮に入れる、内燃機関2の管理コンピュータ(図示せず)の命令で誘発され、その結果、主チャージ12の点火前に、クランクシャフト43をほんの数度回転させると、上記キャビティ15内の圧力が、燃焼室11の中に広がる圧力より大きくなることに留意されよう。
ラミネーションキャビティ15の中に広がる圧力が、燃焼室11の中に広がる圧力より実際に大きくなるとき、力が、容易に燃え易い燃焼物とAF燃料の混合物を主に含むガスによって閉鎖部/開口部フランジ36上に及ぼされる。
その結果、上記フランジ36は、燃焼室11に向かって迅速に移動して、シャトル電極開口部座32上に当接し、それとともに閉接点を形成する。この状況は、図7の中に明白に図示される。
変位の間、閉鎖部/開口部フランジ36は、パイロットチャージ18を構成する容易に燃え易い燃焼物とAF燃料の混合物の少量部分を、主にガス噴射開口部38を通して出す。
シャトル電極開口部座32と接触すると、1ミリメートルの7/10の電気アークが、上記中心電極6とシャトル電極20のキャビティ側端部22との間に生じ、一方で、第2の、1ミリメートルの1/10の電気アークが、接地電極7とシャトル電極20の室側端部21との間に生じるべく、高圧電流が、ここで中心電極6に加えられ得るように、上記フランジ36は、シャトル電極20のキャビティ側端部22を中心電極6から1ミリメートルの7/10だけ効率的に移動させた。この状況は、図8の中に図示される。
パイロットチャージ18が、このようにして発生されたスパークの熱に局所的にさらされることから、そしてそれが主に高度に燃え易い燃焼物とAF燃料の混合物を含むという理由で、圧力が、燃焼室11の中で同時に広がる圧力より数バール上回る、ラミネーションキャビティ15の中および環状パイロットチャージ噴射室39の中で激しく上昇するとき、それは迅速に発火する。
その結果、パイロットチャージ18のさらなる未燃の一部分は、8つのガス噴射開口部38を通じて燃焼室11に噴射され、上記一部分のすぐ後に、それに点火するフレーミングガストーチが続き、上記トーチは、さらに、図7に示すように、スパークが誘発される前に、ガス噴射開口部38を通じて噴射されたパイロットチャージ18の成分ガスの一部に点火する。
この特定の構成は、いくつかの利点を提供し、その全てが、パイロットチャージ18を用いた主チャージ12の最も効率的点火に恩恵を与え、後者は、特にラミネーション圧縮器19を用いて、圧縮のエネルギーのコストを最小化する可能性が最も低い。
まず第1に、そして我々が上で見てきたように、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1は、上記パイロットチャージ18の噴射の間、および後者の点火の前に、主チャージ12におけるパイロットチャージ18の何らかの過剰な分散を回避することを可能にする。
次いで、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1は、パイロットチャージ18の一部が、フレーミングガストーチを用いて上記部分に点火する前に、容易に燃え易い燃焼物とAF燃料の混合物の中で非常に局所的にそれを濃縮するために、数マイクロ秒の間、主チャージ12に侵入することを可能にする。この特徴は、フレーミングガスによって、あまりに多くの熱が、ラミネーションキャビティ15の内部壁、および特にガス通過用の長手方向チャネル35の内部壁、トーチ点火副燃焼室37、およびガス噴射開口部38に無駄に伝達されるのを回避することを可能にする。
さらに、図8の中に明らかに示されるように、突出した噴射ドーム47の中に半径方向に配置される8つのガス噴射開口部38を通じて放出されたフレーミングガスは、燃焼室11の多数の場所で、主チャージ12に点火するフレーミングガストーチを形成し、上記チャージ12の燃焼は、次いで、上記室11の周縁部から上記室11の中心まで半径方向に、そして各上記トーチの間で接線方向に進行する。
上記トーチが燃焼室11の容積の中に侵入することに起因する強力な局部的乱気流は、さらに、各上記トーチによって発生される炎の正面を折り曲げることに有利に働き、これは、さらに、主チャージ12の高速燃焼を促進することにおけるそれらの効果を増大させる。
ついでながら中心電極6とガス噴射開口部38との間のガスの容積が、ラミネーションインジェクタ17の排出口と上記中心電極6との間のガスの容積に対して大きいほど、トーチの構成の前にガス噴射開口部38によって吐出される未燃の燃焼物とAF燃料の混合物AFの質量は、大きくなることに留意されよう。したがって、自動車技師が、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の各種構成要素の相対位置および容積を適切に適応させることによってこの比率を選ぶことが可能である。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1は、内燃機関2が希釈されていない主チャージ12を用いて、したがってパイロットチャージ18を用いることなく、長期間作動するときであっても、突出した噴射ドーム47の清浄さを確実にすることを容易にすることにさらに留意されよう。
実際には、よく知られているように、ポジティブ点火機関の燃焼室11に導入されるスパークプラグのセラミック絶縁体ヘッドは、すべての炭素デポジットまたは炭化油を燃焼させる約摂氏400度と、それを超えると、主チャージ12の制御不良自己点火の深刻なリスクが存在する摂氏800度との間で、温度を理想的に維持する必要がある。
したがって、作用を説明するための例としてちょうどとりあげてきた、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の特定の構成によれば、低温が原因で、汚染される可能性があるのは、または過度な温度が原因で、主チャージ12の制御不良自己点火を引き起こす可能性があるのは、突出した噴射ドーム47であることが、観察される。
上記フランジ36は、フレーミングガスが、それをかすめてラミネーションキャビティ15から出る、または後者に入るときに、熱くなって高熱になり、次いで主チャージ12の燃焼が、それが協働するシャトル電極閉鎖部座30上で数回休止することによって終了されると、冷却するという点において、閉鎖部/開口部フランジ36の汚れは、特定の課題を何らもたらさない。
主チャージ12の燃焼が、パイロットチャージ18を必要としないとき、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1は、むしろ「冷温」スパークプラグのように挙動し、突出した噴射ドーム47は、内燃機関2が、公称動作温度に到達したとき、摂氏110度程度に通常維持されるシリンダヘッド10と自体が接触している金属製基部4と直接接触している。
空隙は、上記スリーブ25と上記ダクト16との間の熱交換を制限するように、絶縁スリーブ25の部分とラミネーションダクト16との間に残されることができると留意される必要がある。このことは、突出した噴射ドーム47の平均温度を調整することを可能にする。
あるいは、掃除が成し遂げられるまで、上記ドーム47の温度を上げるラミネーションインジェクタ17を用いてパイロットチャージ18を定期的に噴射することによって、突出した噴射ドーム47を熱的に掃除することが、可能である。
対照的に、これが妥当である場合には、例えば内燃機関2の給気位相または排気位相の間に、例えばラミネーションキャビティ15の中に空気単体の噴射を実施することによって、突出した噴射ドーム47の温度を下げることが同様に可能である。
点火電圧を制限することにおけるシャトル電極20の決定的な役割は、着目されなければならない。実際に、高い点火電圧は、特に、それらが含有する電極の腐食によりスパークプラグの実用寿命を大きく下げる。さらに、そのような電圧は、収納するのが困難であり、温度変化の影響下で破断を起こし易い塊状の絶縁体を必要とする。
ここでは、他の条件が同じなら、必要な点火電圧は、電極間空間の長さと、ほぼ比例し、他方で、上記電極の間のガスの濃度が高いほど、上記電圧は、高くなる必要がある。
したがって、過給機付きのポジティブ点火機関では、例えばターボチャージャによって、特に推奨され、点火時に主チャージ12の圧力を上昇させる対応物を用いて、上記機関の容量比、およびしたがってそれらの平均効率を上昇させることを好都合にも可能にする、冷却EGRの方略に関する難しさを理解することは、容易である。
このことは、あまりに高い点火電圧を使用することを回避するために、後者の間の距離を狭くすることを必要とする電極の間に高濃度のガスをもたらす。
しかしながら、シャトル電極20が、ラミネーションキャビティ15、または燃焼室11のいずれかの中の最大長のスパークを二者択一的に許可するために移動するので、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の作用を説明するためにここで使用される例によれば、上記スパークの全長は、1ミリメートルの8/10に常に制限され続ける。
機関が、冷却EGRを用いて高度に希釈された主チャージ12を作動させる場合、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1は、高度に燃え易い燃焼物とAF燃料の混合物を含むパイロットチャージ18を使用するので、結果的に生じる電極間空間は、常に十分であり、一方で、主チャージ12が、希釈されていない場合、電極間空間は、当業者によって通常維持される技術的な規則による状態を維持する。
したがって、シャトル電極20は、収容するのが困難になるであろう、それぞれがコイルおよび導電ワイヤを備えた二点点火方式、または高点火電圧を必要とする増大した総電極間空間のどちらかを提供する必要なく、2つの別個の点火場所−この場合、ラミネーションキャビティ15および燃焼室11−を提供する。
どちらか一方の選択は、ラミネーションインジェクタ17が、パイロットチャージ18をラミネーションキャビティ15の中に噴射するのかしないのかによって、自動的に行われる。
ラミネーション圧縮器19、ラミネーションインジェクタ17、またはラミネーションキャビティ15に、高度に燃え易い燃焼物とAF燃料の混合物を供給することを可能にする何らかの要素が故障した場合に、すべての上記機関2が、冷却EGRを用いて希釈されていない主チャージ12を作動させるとき、シャトル電極を備えたスパークプラグ1は、内燃機関2が正常に動作することを可能にすることにさらに留意される必要がある。
この場合、主チャージ12の点火は、もはや何らかの「受動的な」副燃焼室を介して引き起こされることは全くなく−この種類の副燃焼室は、無限に可変的な速度およびチャージで動作している自動車機関には適していない−、その作用が、自動車産業で通常に大量生産されて、大量に市場に出されるスパークプラグの作用と類似している、ガソリンの直接的な噴射と適合性を有する突出した電極を介して引き起こされる。
図2〜図11に示される、本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の変型実施形態は、作用を説明するための例として選ばれた。図12〜図21に示される、上記スパークプラグ1の別の実施形態は、類似の原則に基づいていること、そして今まで提供してきた説明は、上記作用に関して同じ相対オーダに分類される上記図12〜図21に容易に適応させられ得ることを留意される必要がある。
本発明によるシャトル電極を備えたスパークプラグ1の可能性は、今まで説明してきた適用例に限定されるものではない。前述の説明は、ほんの一例として提供されていて、上記本発明の範囲を制限するものではなく、記載された要素を何らかの他の等価な要素に置き換えることが、本発明の範囲を越えていると解釈されてはならないこともさらに理解される必要がある。