JP2020500884A - イメージング剤および使用の方法 - Google Patents

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Abstract

イメージング剤および対象の組織における壊死をイメージングするためのその使用の方法。イメージング方法は、陽電子放射断層撮影(PET)であり得る。少なくとも一実施形態では、イメージング剤は、2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)、またはその薬学的に許容される塩を含む。イメージング剤は、薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、またはビヒクル中に配されていてもよい。イメージング剤はキット内に収容されていてもよい。本開示は、少なくとも一実施形態において、イメージングにおいて使用するための18F−FGAなどの放射性医薬品を調製する方法を含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる、2016年12月2日出願の米国特許出願公開第62/429,169号明細書についての米国特許法第119条(e)による優先権を主張する。
政府支援
該当なし。
心筋梗塞(MI)は、米国および世界中のほとんどの先進国において死亡の主な原因である。MIとは、酸素の要求量と心臓組織への供給量のミスマッチに起因する急性症状であることも、または主に左心室機能不全が原因である慢性心不全であることもある。急性MIには、効果的でタイムリーな血栓溶解療法のために迅速な診断が必要であり、一方、慢性心不全には、血行再建術に先立ち、心筋生存能の正確な評価および機能不全領域の位置確認が求められる。非侵襲的核イメージング手法は、MI患者の評価において計り知れない診断上の価値を示す。評価されたパラメータに応じて、これらの手法は、冠血流を評価するための灌流イメージングに(例えば、99mTc−セスタ−メトキシイソブチルイソニトリル(99mTc−セスタミビ)および201Tl−TlCl)、または心臓の代謝を定量化するための代謝イメージング(例えば、18F−FDG(2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース)および11C−アセテート)に、分類される。第3の核技術とは、梗塞親和性シンチグラフィーである。有効な放射性医薬品が現在利用できないので、梗塞親和性シンチグラフィーは比較的利用されていない手法である。灌流イメージング試験は、生体組織によって取り込まれるイメージング剤に依拠し、したがって、梗塞または壊死の区域は間接的に示されるだけである。灌流イメージングでは、低流量、心室壁厚減少、および減衰の区域間を区別できない。加えて、肝臓への取込みが高いことで、画像の読影を困難とするイメージングアーチファクトが生じる。最終的には、灌流スキャンは虚血領域と壊死領域とを区別することができない。なぜなら両方とも灌流の低下を示すからである。
灌流イメージング剤とは対照的に、梗塞親和性剤は損傷の部位に蓄積する。正常な心筋による取込みがないので、梗塞親和性シンチグラフィーは、より少ないバックグラウンドおよびシグナル対雑音比の増強を示す。現在使用可能な2つの梗塞親和性剤は、99mTc−ピロリン酸塩(PyP)および111In−アンチミオシンである。これらは、梗塞心筋の領域に蓄積する傾向があることから、「ホットスポット」マーカーと呼ばれている。しかし、これらの薬剤には難点がある。例えば、111In−アンチミオシンに関して、不十分な点として、111Inの比較的貧弱な放射性核種の特徴、血液クリアランスの遅延、および顕著な肝臓への取込みが挙げられる。他方、PyPは特異性を欠く(64%)とともに、心内膜下梗塞の検出に対して低い感度(40%)を示す。さらに、その取込みは、梗塞の24〜48時間の後になって初めて陽性になるので、PyPは急性MIの早期診断にはそれほど有用ではない。PyPおよびアンチミオシンに加えて、MIの急性の位置確認についてはグルカル酸の99mTc−標識アナログが調査されている。梗塞へ向けてのそのアビディティーは、損傷を受けた組織において露出している高塩基性ヒストンへのその結合に基づいている。99mTc−グルカル酸塩による単一光子放射断層撮影(SPECT)は、心筋壊死の存在に特異的であることが示されており、そしてPyPおよび111In−アンチミオシンでのほとんどの難点に対処することができた。しかし、SPECTにおいて使用される99mTc−グルカル酸塩の欠点は、99mTcがグルカル酸塩分子と、共有結合するのではなく、錯体を形成するに過ぎないことである。結果として、99mTcはいずれグルカル酸塩から解離し、他の循環リガンドにトランスキレート化(transchelate)して、正確性に劣る診断がもたらされる可能性がある。
陽電子放射断層撮影(PET)では、SPECTと比較して検出に関して分解能および感度の改善が可能となる。さらに、PETは画像のアーチファクトおよび減衰を生じにくい。Flurpiridazなどの18F−標識血流製剤を最近導入したことより、PETでの心筋灌流イメージング(MPI)は、MI患者の管理における客観的な判断を下すための従来のSPECT/PETプロトコルを補完するかまたはそれに取って代わる可能性がある。しかし、現在、心筋梗塞を特異的にイメージングするためのPET剤は存在しない。
急性MIと同様に、脳卒中の病変も発作後の極めて早期に壊死の発症を伴う。脳卒中は世界で死因の中で2番目に多く、生存者には相当な障害が伴う。脳卒中生存者は長期間相当な障害を示し、2013年には、これは合計で約1億1300万の障害調整生命年になる。脳卒中のおよそ80%は血栓性または塞栓性脳血管閉塞による虚血性梗塞からのものであり、残りは出血性卒中に分類される。一過性脳虚血発作(TIA)または軽度の卒中の後、一部のサブグループでは、最初の1カ月以内にさらなる卒中のリスクが30%程度の高さに達する。卒中によって全世界の総医療費の2〜4%が消費されるが、先進国では数値は4%を超える。卒中患者の現行の管理は、虚血性であるが生存可能な組織(別名、ペナンブラ)への血液供給を回復させることによって、危険な状態にある脳組織が梗塞へ向けて進行するのを妨げることを目的としている。卒中の進行の種類および段階に対する処置のタイミングによって、処置の奏功は決定的に左右される。磁気共鳴(MR)画像またはコンピュータ断層撮影(CT)画像における拡散−灌流ミスマッチ(diffusion-perfusion mismatch)に基づく神経画像化は、非生存組織と生存組織とを見分けるのにルーチンで用いられ、脳卒中患者の処置を最適化する。しかし、急性の逆転を示す病変もあれば、梗塞へ移行しない病変もあるので、拡散−灌流のミスマッチは回復可能な組織の常に信頼できる指標とは限らない。MR画像またはCT画像において拡散および灌流の欠損を描出するのに用いられる閾値についての一致した見解の欠如も存在する。したがって、梗塞イメージングは、脳卒中の診断および処置計画において多大な支援を提供するであろう。
本開示のいくつかの実施形態は本明細書において、添付の図面に例示されている。ただし、添付の図面は、典型的ないくつかの実施形態を例示するものにすぎず、したがって本明細書に開示の本発明の概念の範囲を制限するものとみなすべきではないことに、留意されたい。本特許または出願のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含んでいる。カラー図面による本特許または特許出願刊行物の写しは、請求に応じておよび必要な手数料が支払われた場合に、米国特許商標庁により提供される。
TEMPO/NaBr/NaOCl系を使用するグルコースのグルカル酸への酸化反応(スキーム1)を示す図である。 (a)d−グルコース、(b)d−グルカル酸、および(c)d−グルコースとd−グルカル酸との混合物の分離の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の結果を示す図であり、および(d)薄層クロマトグラム(TLC)にd−グルコースとd−グルカル酸との混合物の分離が示されている。 TEMPO/NaBr/NaOCl系を使用して市販の2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース(18F−FDG)から[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)を製造する酸化反応を示す図である。 (a)18F−FDG(F−18−FDG)、および(b)18F−FGA(F−18−FGA)のラジオ−TLCクロマトグラムを示す図である。 反応開始剤(漂白剤−NaOCl)添加後の酸化剤による18F−FDG(F−18−FDG)の18F−FGA(F−18−FGA)への酸化に関するラジオ−HPLCの経時の結果を示す図である。(a)開始前、(b)開始して5秒後、(c)開始して1分後、および(d)開始して3分後。最終精製18F−FGAのラジオ−HPLCを(e)に示す。18F−FDGは漂白剤の添加の3分以内に完全に消費された。 18F−FGAの循環動態を示す図である。データは平均値およびSEM(n=4)として提示されている。薬物動態学的パラメータは、30〜180分の時点から導出した。 ISO注射ラットの心臓の肉眼的組織像を示す図である。(a)の左パネルは、ISO処理ラットから摘出した心臓全体を示す。安楽死の約30分前に、ラットに1%エバンスブルー色素(2ml/kg)を注射した。TTC染色スライス((a)の右パネル)をホルマリンで固定した。損傷を受けた組織は、染色されていない(薄い)領域によって表示され、一方、正常な組織は、より暗く染色された領域として示されている。ISO処理に応じた、これらの動物における第I誘導ECG記録を図5(b〜c)に示す。 イソプロテレノール(ISO)−誘発性ミオパチーの結果:ISO処理前後の(a)心臓トロポニンレベルおよび(b)コルチコステロンレベルを示す図である。両側スチューデントT検定で比較を行った。(c)ECG計測は、ISO処理後、ISO処理の日にRR間隔の減少を示すが、正常に戻る。(d)ST延長は、ISO投与の結果としての心室再分極の遅延を示す。(c)と(d)との比較は、一元配置ANOVAを用いて行った。p<0.05、**p<0.01。 およそ1mCiの18F−FGAを注射したISO処理ラットの代表的なPET画像を示す図である。ラットを注射後1時間および4時間で画像化した。融合PET/CT画像は、正面および左側面、観察者の向きに示されている。心臓は矢印で表示されている。 およそ0.1mCiの18F−FDGを注射した対照ラットおよびISO処理ラットの代表的なPET画像を示す図である。ラットを注射後1時間で画像化した。融合PET/CT画像は、正面および左側面、観察者の向きに示されている。心臓は矢印で示され、褐色脂肪は矢頭で表示されている。 99mTc−セスタミビ(別名、Tc−99m−MIBI)を使用した灌流イメージングからの代表的なスキャンを示す図である。対照ラットおよびISO処理ラットにおよそ2.5mCiのTc−99m−MIBIを注射し、1時間後に画像化した。 マウスMCAOモデルにおける18F−FGAの同側(I)対対側(C)蓄積を示すPET画像を示す図である。上の画像はMCAOの2時間後、下の画像はMCAOの24時間後である。 18F−FGAが脳卒中によって引き起こされる壊死に局在するという証拠を示す図である。18F−FGAは中大脳動脈閉塞のマウスモデルにおいて同側大脳半球の卒中領域に蓄積する(左側の列)。相応するHMPAO/SPECTの灌流画像は、卒中領域では不十分な取込みを示すが、対側大脳半球では正常な取込みを示す(中央列)。剖検での脳のTTC染色スライス(右側の列)は、矢印で表示した卒中領域を示す。 18F−FDGから18F−FGAを製造する方法における品質管理に関する薄層クロマトグラフィー(TLC)プロトコルの非限定的な例を示す図である。
本開示は、壊死組織(例えば、壊死組織を有する、心筋系および脳系、または他の任意の臓器系)に局在するイメージング剤を対象とする。したがって、イメージング剤は、PETなどの梗塞親和性のイメージング方法を通じて梗塞または壊死の急性の区域を診断するために使用することができる。少なくとも一つの実施形態では、イメージング剤は、2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−標識グルカル酸は、また本明細書では、[18F]フルオログルカル酸、18F−FGA、FGA、およびF−18−FGAともいう)である。PETは、心筋梗塞および脳卒中における血流、グルコース代謝、および酸素抽出の高解像度機能的イメージング向けの極めて高感度な技術であることが知られている。しかし、梗塞組織または壊死組織を直接可視化することは不可能であった。現在開示されている新規化合物の前には、梗塞区域の成長を評価する長期的なPETイメージングに利用できる梗塞親和性イメージング剤は存在しなかった。下に説明のとおり、18F−FGAは、MIおよび脳卒中を描出することが示されてきた、梗塞イメージングに対して実証された有効性を有する最初の梗塞親和性のPET剤である。18F−FGAは、身体からの急速なクリアランスを受け、そうでなければイメージングアーチファクトおよび/または高いバックグラウンドシグナルを生じるはずであるが、正常組織に蓄積しない。18F−FGAは、電気的シグナル伝達または血清タンパク質レベルとは無関係で梗塞において発生する早期の細胞変化を標的とする。したがって、18F−FGAは、MI後または発作後(例えば、脳卒中)の早期に、または例えば外傷性脳損傷による、梗塞組織を診断するのに使用することができる。18F−FGAはまた、乳房、前立腺、結腸、腎臓、脾臓、四肢、および肺の壊死組織、ならびにがんを含めて、梗塞および/または壊死を発症する恐れのあるその他の組織および臓器を検出するためのイメージング剤としても使用できる。
例示的な説明、実施例、および結果により本開示の組成物および方法の様々な実施形態をより詳細にさらに説明する前に、本開示の実施形態は、適用にあたっては、以下の説明に記載の方法および組成物の詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書で提供される説明は、例示のみを目的とし、限定的な意味で解釈されることを意図していない。本開示の発明概念は、他の実施形態が可能であり、あるいは種々の方法で実施または実行することができる。したがって、本明細書で使用される言い回しは、その最も広い可能な範囲および意味を付与することを意図するものであり、その実施形態は、網羅的ではなく例示的であることを意味するものであり、本開示がこれらの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。また、本明細書において用いられる表現および用語は説明を目的とし、そうであると別段の記載がない限り、限定的とみなされるべきでないことが理解されるべきである。さらに、以下の詳細な説明では、本開示のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、本開示の実施形態はこれらの具体的な詳細なしでも実施できることが、当業者であれば理解されるであろう。他の例では、当業者であればよく知られている特色は、説明の不必要な複雑化を避けるために詳細には説明されていない。当業者であれば明らかな全ての代替物、置換物、改変物および均等物は本開示の範囲内に含まれることが意図される。本明細書に開示されている全ての組成物および製造方法ならびにそれらの適用および使用は、本開示に照らして過度の実験をすることなく製造および実行することができる。したがって、本開示の組成物および方法を特定の実施形態によって説明してきたが、本開示の本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、製剤、化合物、または組成物および/または方法に、ならびに本明細書に記載の方法のステップにおいてまたはステップの順序において変更を加えてもよいことは、当業者であれば明らかであろう。
本明細書に記述の全ての特許、特許出願公開、および非特許文献は、本開示が関連する当業者の技術レベルを示すものである。さらに、2016年12月2日出願、米国仮特許出願第62/429,169号を含むがこれに限定されない、本出願のいずれかの部分において参照される全ての特許、公開特許出願、および非特許文献は、各個々の特許または刊行物が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度にその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
本明細書において別途定義されない限り、本開示に関し使用される科学的および技術的用語は、当業者であれば一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈により別途必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
本開示の方法および組成物に従って使用されるとおり、以下の用語は、別段の記載がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
「a(1つ)」または「an(1つ)」という言葉遣いが、特許請求の範囲および/または明細書中で、「comprising(含む)」という用語とともに使用される場合は、「one(1)」を意味することもあるが、それはまた「one or more(1または複数の)」、「at least one(少なくとも1つの)」および「one or more than one(1以上)」の意味とも整合性がある。特許請求の範囲における用語「or(または)」の使用は、代替物のみを指すことが明示的に記載されていない限り、あるいは当該代替物が相互排他的でない場合、「and/or(および/または)」を意味するために使用されているが、本開示は、代替物のみ、および「and/or(および/または)」を指す定義を支持する。用語「at least one(少なくとも1つ)」の使用は、1ならびに、それらに限定されないが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、またはそれらに含まれる任意の整数を含めて、1より大きな任意の数量を含むと理解されるだろう。用語「at least one(少なくとも1つ)」は、付随する用語に応じ、最大100以上または1000以上に拡張されてよい;加えて、より高い制限値も、満足する結果をもたらし得る場合、100/1000の数量は限定的とみなされるべきでない。加えて、用語「at least one of X,Y and Z(X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ)」の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、さらには、X、YおよびZの任意の組み合わせも含むものとして理解される。
本明細書で使用する場合、全ての数値または範囲は、文脈により明白に示されない限り、かかる範囲内に値と整数の小数部、ならびにかかる範囲内に整数の小数部を含む。すなわち、例示として、1〜10などの数値範囲の言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、ならびに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等以下同様を含む。したがって、1〜50の範囲への言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20等、50も含めて最高50まで、ならびに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5等以下同様を含む。一連の範囲への言及は、その一連の中で、異なる範囲の境界値を合わせた範囲を含む。すなわち、例示として、例えば、1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜75、75〜100、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜400、400〜500、500〜750、750〜1,000の一連の範囲への言及は、例えば、1〜20、10〜50、50〜100、100〜500、および500〜1,000の範囲を含む。さらなる例として、1wt%〜99wt%の範囲は、その中に任意の部分範囲を含むことが意図されているが、当該部分範囲は、本明細書で明示的に指定されていなくてもよい。例えば、1wt%〜99wt%の範囲は1から99までの全ての整数を含むので、その中の当該部分範囲は1wt%〜98wt%の最小値および2wt%〜99wt%の任意の最大値を有する任意の範囲、例えば、それらに限定されないが、5wt%〜75wt%、10wt%〜50wt%、または15wt%〜40wt%を含む。
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、言葉「comprising(含む)」(ならびに「comprise」および「comprises」などのcomprisingの任意の形態)、「having(有する)」(ならびに「have」および「has」などのhavingの任意の形態)、「including(含む)」(ならびに「includes」および「include」などのincludingの任意の形態)、または「containing(含有する)」(ならびに「contains」および「contain」などのcontainingの任意の形態)は、包摂的またはオープンエンド型であり、さらなる記載されていない要素または方法のステップを除外しない。
本明細書で使用する場合、用語「or combinations thereof(またはそれらの組み合わせ)」とは、当該用語に先行する列挙項目のあらゆる入替および組み合わせを指す。例えば、「A,B,C,or combinations thereof(A、B、C、またはそれらの組み合わせ)」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含むことを意図し、かつ、特定の内容において順序が重要な場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABも含む。この例で続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB以下同様などの、1または複数の項目または用語の反復を含有する組み合わせが、明示的に含まれる。文脈から別途明らかな場合を除き、通常、任意の組み合わせにおける項目または用語の数に関して限定がないことは、当業者の理解するところである。
本願全体を通じて、用語「about(約)」とは、ある値が、組成物、組成物を投与するのに使用される方法に関する誤差の本質的なばらつき、または研究対象間に存在するばらつきを含むことを示すために使用されている。本明細書で使用する場合、限定詞「about(約)」または「approximately(およそ)」とは、正確な値、量、程度、向き、または他の限定された特徴もしくは値を含むことを意図するだけではなく、測定誤差、製造公差、例えば、様々な部品または構成要素にかかるストレス、観察者誤差、損耗、ならびにそれらの組み合わせ、に起因する一部のわずかな変動を含むことをも意図する。本明細書で使用する場合、用語「about(約)」または「approximately(およそ)」とは、量、時の持続時間等などの測定可能な値を指す場合、例えば、特定の値から±20%または±10%、または±5%、または±1%、または±0.1%の変動を包含することを意味するが、こういった変動は開示の方法を実施するのに適当であるためであり、当業者によって理解されるとおりである。本明細書で使用する場合、用語「substantially(実質的に)」とは、その後に記載される事象または状況が完全に起こること、またはその後に記載される事象または状況がかなりの程度または或る程度まで起こることを意味する。例えば、用語「substantially(実質的に)」とは、その後に記載される事象または状況(例えば、反応)が少なくとも90%の時間、または少なくとも95%の時間、または少なくとも99%の時間起こることを意味するか、または少なくとも90%完了まで、または少なくとも95%完了まで、または少なくとも99%完了まで起こることを意味する。
本明細書で使用する場合、「one embodiment(一実施形態)」または「an embodiment(一実施形態)」への言及はいずれも、その実施形態に関して説明された特定の要素、特色、構造、または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における句「in one embodiment(一実施形態では)」の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
用語「薬学的に許容される」とは、合理的な利益/リスク比に見合った、毒性、刺激および/またはアレルギー反応などの過度の有害な副作用なしでヒトおよび/または動物への投与に適した化合物および組成物を指す。本開示の化合物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、ビヒクル、および/または希釈剤と組み合わせることができ、これらは、化合物の溶解性、送達性、分散性、安定性、および/または立体配座の完全性を改善し得る。
「生物学的に活性」とは、活性剤がその生理学的効果をいかに有するのかと関係なく、生物の生理系を改変するまたはこれに影響する能力を意味する。
本明細書で使用する場合、「純粋な」または「実質的に純粋な」とは、対象種(例えば、イメージング剤)が、存在する主たる種であること(すなわち、モル基準でそれが、その組成物中において他の任意の対象種よりも多いこと)を意味し、特に、実質的に精製された画分とは、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モル基準で)を対象種が、構成しているところの、組成物である。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80%超を構成し、より具体的には、約85%超、約90%超、約95%超、または約99%超を構成することになる。用語「純粋」または「実質的に純粋」とはまた、対象種(例えば、イメージング剤)が少なくとも60%(w/w)純粋、または少なくとも70%(w/w)純粋、または少なくとも75%(w/w)純粋、または少なくとも80%(w/w)純粋、または少なくとも85%(w/w)純粋、または少なくとも90%(w/w)純粋、または少なくとも92%(w/w)純粋、または少なくとも95%(w/w)純粋、または少なくとも96%(w/w)純粋、または少なくとも97%(w/w)純粋、または少なくとも98%(w/w)純粋、または少なくとも99%(w/w)純粋、または100%(w/w)純粋である調製物も指す。
用語「対象」および「患者」とは、本明細書において同じ意味で使用され、かつ、温血動物、特に哺乳動物、より具体的にはヒトを指すと理解される。本明細書で使用する場合、用語「対象」の範囲に該当する動物には、それらに限定されないが、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット、チンチラ、ウマ、ヤギ、ウシなどの反芻動物、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、シチメンチョウなどの家禽、動物園の動物、旧世界と新世界のサル、ならびに非人類霊長類が含まれる。
「処置」とは、治療的処置または診断的処置を指す。「予防」とは、予防的(prophylactic)または防止的(preventative)処置対策を指す。用語「処置する」とは、治療目的または診断目的で、患者に組成物を投与することを指す。
用語「治療組成物」、「医薬組成物」、および「診断組成物」とは、当技術分野で知られているまたはそうでなければ本明細書に企図される任意の方法により、対象に投与することができる活性剤含有組成物(例えば、イメージング剤、例えば、18F−FGAを含む組成物)を指し、ここで、組成物の投与によって、本明細書の別の箇所に記載の効果がもたらされる。加えて、本開示の組成物は、当技術分野でよく知られる製剤技術を使用して、遅延性、制御性、延長性、および/または持続性放出を提供するように設計することができる。
用語「有効量」とは、本発明の概念の様式で使用する場合には、合理的な利益/リスク比に見合った、検出可能な効果を示すのに十分な、または過度の有害な副作用(毒性、刺激およびアレルギー反応などの)なしの結果を示すのに十分な、本明細書に定義される活性剤(例えば、イメージング剤)(例えば、18F−FGA)の量を指す。患者に対する有効量は、患者のタイプ、患者のサイズおよび健康状態、処置または診断予定の状態の特質および重度、投与の方法、処置期間、同時に行う治療(もしあれば)の特質、用いる具体的な製剤等に応じて異なるであろう。したがって、正確な有効量を事前に特定することは不可能である。しかし、所定の状況に対する有効量は、本明細書で提供される情報に基づいて、ルーチンの実験を使用して、当業者であれば決定し得る。
本明細書で使用する場合、少なくとも一部の実施形態については、用語「緩衝剤」とは、反応中所望のpH範囲(例えば、pH9〜12)を維持することができるのに十分な強度(例えば、0.1M〜2M)の任意のアルカリ性緩衝液(それらに限定されないが、炭酸ナトリウム、アンモニア−塩化アンモニウム、またはN−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸などの)を指す。
本明細書で使用する場合、少なくとも一部の実施形態については、用語「酸化剤」とは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルラジカル(TEMPO)またはその誘導体を指す。TEMPOの誘導体には、それらに限定されないが、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOメタクリレート、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPOベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−TEMPO、4−マレイミド−TEMPO、4−イソチオシアナト−TEMPO、4−(2−ブロモアセトアミド)−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−シアノ−TEMPO、4−アミノ−4−カルボキシ−TEMPO、4−ホスホノオキシ−TEMPO水和物、および2,2,6,6−テトラメチル−4−(メチルスルホニルオキシ)−1−ピペリジノオキシ、が含まれる。TEMPOまたはTEMPO誘導体はフリーの化合物であってもよく、ビーズ、樹脂またはポリマーに連結していてもよい。使用可能なその他の酸化剤には、それらに限定されないが、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、過マンガン酸塩化合物、ハロゲン、および金属触媒酸化剤が含まれる。酸化はまた、化学触媒の存在下または非存在下での電気化学的酸化を介して、ペルオキシダーゼ活性を模倣する金または他のナノ粒子を介して、酵素的酸化を介してまたはグルコースオキシダーゼなどの酵素によって、あるいは他の任意の物理化学的手段またはグルコースが電子供与を経ることを強いられることが可能な条件を介しても、起こり得る。実際、本開示の酸化条件は、グルコースを酸化することができる任意の条件を含むことが意図されている。
本明細書で使用する場合、用語「反応促進剤」には、それらに限定されないが、NaBrおよびKBrが含まれる。用語「反応開始剤」とは、本明細書で使用する場合、18F−FDGが18F−FGAに転換される反応を開始する上で有効である、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))などの、任意の化合物である。用語「反応抑制剤」とは、本明細書で使用する場合、18F−FDGが18F−FGAに転換される反応を阻害する上で有効な、エタノールなどの任意の化合物である。本明細書で使用する場合、用語「反応温度」には、例えば約1℃〜約10℃、および約2℃〜約5℃を含めて、約0℃〜約25℃の範囲の温度が含まれる。
ある特定の非限定的な実施形態では、例えばPETイメージングのために対象に投与される活性剤(例えば、18F−FGA)の投与量は、約5mCi〜約30mCiなどの、約1mCi〜約50mCi(またはその範囲を含めた任意の量)の範囲の放射性核種活性剤の或る量を含有する。しかし、この量は主治医または診断医によって決定され、この範囲より高くても低くてもいずれかでもよい。活性剤は一般に、放射能の崩壊による有効性の損失を避けるために、活性剤(例えば、18F−FGA)の製造後約3時間以内に試験予定の対象に導入されることになる。PETイメージングは一般に、実施が望まれる臨床的評価に応じて、注射直後(0時間)から注射後約4時間までに実施されることになる。標準的なイメージングは一般に注射後約2時間以内に実施される。
投与量は、所望の効果、結果、または処置対象の状態に応じて、例えば、ただしそれらには限定されないが、一回ベースで投与することができ、または必要に応じて複数回で投与することができ、または点滴静注を介して連続的に投与することができる。非限定的な一例では、組成物はIV注入で提供される。医薬組成物において、または本開示の方法を実践するために、使用される化合物の投与は、それらに限定されないが、経口で、吸入による、直腸内に、または皮膚、皮下、腹腔内、膣内、もしくは静脈内注射によるなどの、様々な従来の方法で行うことができる。経口製剤は、化合物が消化器系の一部を通過した後に放出されるように製剤化されてもよく、例えばこれは小腸または結腸に達してからやっと放出されてもよい。
活性剤を含む投与量を経口で投与する場合、これはカプセル剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤、メルト剤、散剤、懸濁剤、液剤、エリキシル剤または乳剤などの固体調製物または液体調製物の形態であり得る。固体の単位剤形は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、ならびにラクトース、スクロース、およびコーンスターチなどの不活性充填剤を含有する通常のゼラチン型のカプセル剤とすることができ、または剤形は持続性放出調製物とすることができる。組成物は、ゼラチンまたはアジュバントなどの固体担体を含有してもよい。錠剤、カプセル剤、および散剤は、乾燥重量で活性物質化合物を約0.05から約95%まで含有してもよい。液体形態で投与する場合、液体担体を、例えば、水、石油、動物起源の油または落花生油、鉱物油、大豆油、もしくはゴマ油などの植物起源の油、あるいは合成油を添加してもよい。組成物の液体形態は、生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖類の溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどのグリコールをさらに含有してもよい。液体形態で投与する場合、組成物は活性剤を約0.005から約95重量%まで特に含有する。例えば、1日に1回または2回、約10mg〜約1000mgの用量を経口投与することが可能である。
別の実施形態では、本開示の活性剤は、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、ジャガイモデンプンまたはアルギン酸などの崩壊剤、およびステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と組み合わせて、ラクトース、スクロース、およびコーンスターチなどの従来の錠剤基剤とともに、錠剤化することができる。液体調製物は、当技術分野で知られているとおり、懸濁剤、甘味剤、香味剤、および保存剤も含有する場合もある、水性または非水性の薬学的に許容される溶媒に組成物を溶かすことによって調製される。
非経口投与については、例えば、活性剤を生理学的に許容される医薬担体、希釈剤、またはビヒクルに溶かし、溶液または懸濁液のいずれかとして投与してよい。適切な医薬担体、希釈剤、またはビヒクルの例示は、水、食塩水、デキストロース溶液、フルクトース溶液、エタノール、または動物性、植物性もしくは合成起源の油である。医薬担体、希釈剤、またはビヒクルはまた、当技術分野で知られているとおり、保存剤および緩衝液を含有してもよい。
有効量の活性剤(イメージング剤)を静脈内、皮膚または皮下注射により投与する場合、化合物は特に、発熱物質フリーの形態、非経口的に許容される水溶液または懸濁液の形態である。pH、等張性、安定性等に十分な配慮を持って、かかる非経口的に許容される溶液を調製することは、十分に当業者の範囲内である。静脈内、皮膚または皮下注射用の特定の組成物は、活性剤に加えて、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸化リンゲル注射液、または当技術分野で知られているその他のビヒクルなどの等張性ビヒクルを含有してもよい。本開示の組成物はまた、安定剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、または当業者に知られているその他の添加剤を含有してもよい。
述べたように、投与の特定の量および様式は、当業者によって決定することができる。製剤を調製する当業者であれば、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed.に記載されている、当技術分野で知られている製剤技術を使用して、選択された組成物の特定の特徴、評価すべき条件、およびその他の関連する状況に応じて、投与の適当な形態および適当な様式を容易に選択することができる。
さらなる薬学的方法を用いて組成物の作用の持続時間を制御してもよい。半減期が増加したおよび/または放出制御の調製物は、ポリマーを使用して、本明細書に記載の活性物質をコンジュゲートする、これと錯体を形成する、および/またはこれを吸収することによって得ることができる。送達の制御および/または半減期の増加は、放出を制御するために、適切な高分子(例えば、限定するものではないが、多糖類、ポリエステル、ポリアミノ酸、ホモポリマーポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、およびN−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドなどのアクリルアミド)、および高分子の適切な濃度、ならびに組み込み方法を選択することによって、行うことができる。化合物はまた、上記の高分子にイオン結合でまたは共有結合でコンジュゲートしてもよい。
放出制御調製物および半減期によって化合物または組成物の作用の持続時間を制御するのに有用な別の可能な方法は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)、エチレンビニルアセテートコポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)およびポリ(1−アスパルトアミド)のコポリマーミセルなどのポリマー材料の粒子への化合物の組み込みである。
次に、本開示を、いくつかの具体的な、非限定的な実施例および実施形態によって論じる。特定の実施形態を含む以下に記載の実施例は、本開示の実践を例示するものである。示される詳細は、一例であり、かつ特定の実施形態の例示的な議論の目的のためであり、かつ、手順ならびに本開示の原理および概念的態様に関する有用で、容易に理解される説明であると思われるものを提供するために提示されているものであることを理解されたい。
材料および方法
以下の供給源からの化合物をそれ以上精製せずに使用した:D−グルコース(99.5%、Sigma−Aldrich、St.Louis、Missouri、米国)、2−デオキシ−D−グルコース(98%、Alfa Aesar、Ward Hill、Massachusetts、米国)、2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコース(99%、Synquest Laboratories、Alachua、Florida、米国)、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO;98%、Sigma−Aldrich)、臭化ナトリウム(分析グレード、Malinckrodt、Paris、Kentucky、米国)、水酸化ナトリウム(食品グレード、Mallinckrodt)、重炭酸ナトリウム(実験室グレード、Sigma Aldrich)、イソプロテレノール(ISO;Sigma−Aldrich)、および次亜塩素酸ナトリウム溶液(14%有効塩素、Alfa Aesar)。18F−FDGは、University of Oklahoma−Nuclear Pharmacyから購入した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
190nmに設定したRainin Dynamax UV−1吸光度検出器(Mettler Toledo、Columbus、OH、米国)およびBioscan B−FC−3300(Bioscan、Washington DC、米国)の放射能検出器とインターフェースで接続したBeckman System Gold 128 Solvent Module(Beckman Coulter、Brea、CA、米国)を使用してHPLCを実施した。反応生成物を70℃に温めたPhenomenex Rezex ROA−Organic Acid H+(8%)カラム(300×7.8mm)上で分離した。移動相は、毎分0.5mlの流速で0.025mMのHSOからなっていた。
薄層クロマトグラフィー(TLC)
該当する場合は、反応物を、60オングストローム孔径の200μmアルミニウム裏打ちのSi60シリカプレート(EMD Millipore、Darmstadt、ドイツ)上のTLCによってモニターした。展開溶媒は、7部のn−ブタノール、2部の氷酢酸、および3部の水からなっていた。分離した成分を、ヨウ素で染色することにより、または37%HCl1ml、アニリン2ml、85%HPO10ml、ジフェニルアミン2gおよび酢酸エチル100mlの混合物を使用して可視化し、ホットプレート上で200℃で展開した。このような条件下で、4−アセトアミド−TEMPO、2−デオキシ−D−グルコース、および2−デオキシ−D−グルカル酸のRf値は、それぞれ0.62、0.4、および0.28であった。放射性反応物は、Bioscan mini−scan 1000(Bioscan、Washington DC、米国)で分析した。
核磁気共鳴(NMR)
H NMRスペクトルおよび13C NMRスペクトルを、Mercury−VX 300およびVarian VNMRS−400 NMR分光計で300MHzおよび75MHzで記録し、Mnova(Santiago de Compostela、スペイン)を使用して処理した。スペクトルは残留プロトン化溶媒を基準とした。化学シフトおよびカップリング定数は、それぞれδ百万分率(ppm)およびヘルツ(Hz)で報告した。
グルコースの酸化
本発明者らは以前に報告のTEMPOベースの方法を修正して、ナノスケールでの18F−FGAの合成を容易にした。4−アセトアミド−TEMPO(8mg、0.038mmol、0.2当量)およびNaBr(80mg、0.77mmol、5当量)を含有する5mlの丸底フラスコに、D−グルコース(0.166mmol)、2−デオキシ−D−グルコース(0.187mmol)、または2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコース(0.182mmol)をおよそ30mg添加した。1M NaHCO緩衝液(pH11.6)およそ3mlを添加し、混合物を室温で5分間撹拌した。反応混合物を氷上でさらに3分間インキュベートすることにより0〜2℃に冷却した。NaOCl(14%溶液、0.75ml、1.69mmol、10当量)を2分間にわたって氷冷反応混合物に少しずつ添加した。残留酸化剤の存在についてKIストリップで反応をモニターした。酸化剤が完全に消費されたら、反応混合物を氷冷エタノール40mlと急速に混合し、続いて遠心分離(5,000rpmで5分間)して沈殿物を収集した。沈殿物を氷冷エタノールで洗浄し、100℃で一晩乾燥した。生成物をNMRおよびHPLC分析に供した。H NMR(DO、300MHz):δ4.38(br s、2H、H、H)、4.26(br s、1H、H)、4.17(br s、1H、H)。13C NMR(DO、75MHz):δ178.65、178.60(C、C)、73.85、73.67、73.57、71.61(C、C、C、C)。H−NMRおよび13C−NMRは、文献に引用されているものと一致した。
18F−FGAの合成
本発明者らは、酸化グルコースのマクロスケール合成について標準化された手順を適応させた。簡潔にいえば、4−アセトアミド−TEMPO(0.8mg)、NaHCO緩衝液(pH11.6、1ml)、NaBr(8mg)、および18F−FDG(0.25〜0.5ml、約20mCi)の混合物を5mlの反応バイアル中で0〜2℃に冷却した。およそ20μlの14%NaOClを混合物に添加して反応を開始させた。反応の進行を、ラジオ−TLC向けに反応混合物5μlをサンプリングすることによってモニターした。反応が完了したら、混合物を氷冷エタノール10mlに移し、続いて遠心分離(5000rpm×5分)した。沈殿物を氷冷エタノールで1回洗浄し、中和のために2M HCl200μlを添加し、混合物を注射用水3mlに溶かした。透明な溶液を0.2μmシリンジフィルターを通して濾過滅菌した。最終生成物を、上記のラジオ−TLCにより分析した(18F−FDGのR=0.65および18F−FGAのR=0.2)。
少なくとも1つの実施形態では、本開示は、例えば、PETイメージング剤として使用するための、18F−FGAを製造するための方法およびキットを対象とする。非限定的な一実施形態では、試薬キットは、酸化剤、例えばTEMPOまたは4−アセトアミド−TEMPOなどのTEMPO誘導体、NaBrなどの反応促進剤、およびNaHCOなどの緩衝剤を含有する1つまたは複数の試薬バイアル(例えば、5〜10ml容量)を含み、このバイアルは凍結乾燥され、セプタスケールされ(septa-scaled)、窒素パージされている。合成時に、或る量の放射性前駆体18F−FDG(例えば、限定されないが、約0.5ml中5〜30mCi)および次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))などの反応開始剤を、4−アセトアミド−TEMPO、NaBr、およびNaHCOを含有する試薬バイアルの内容物と合わせ、反応を2〜4℃で(例えば氷浴中で)進行させる。NaOClは溶液(例えば14%溶液)として提供される。NaOClの代わりにCa(ClO)を反応開始剤として使用する場合、これは例えば固相代替物として提供することができ、任意選択で試薬バイアル中に含有させることができる。低温を、例えば氷浴、アルミブロック、予冷18F−FDGを使用することによって、またはこういったステップの組み合わせによって、維持することができる。例えば3〜6分の期間後、例えばエタノール0.1mlを添加することにより反応を停止させる。あるいは、例えば反応開始剤(NaOClまたはCa(ClO))の濃度を最適化することによって、標準化条件で18F−FDGの過剰酸化が生じない場合、エタノール添加ステップを除くことができる。一般に、18F−FDGの100%が副反応なしに18F−FGAに転換され、したがって、精製の必要性が解消される。しかし、所望ならば、またはそうでなくても必要とされるなら、18F−FGA反応生成物を、例えば陰イオン交換カートリッジまたはHPLCを使用することによって、前駆体18F−FDGから分離することができる。生成物の放射化学的純度は放射活性−TLCで評価される。例えば、非限定的な実施形態では、95%アセトニトリル/5%酢酸の系で、18F−FGAのフローは18F−FDGのフローと比較してより遅い。別の非限定的な実施形態では、90%アセトニトリル/10%水の系を使用することができる。最終的な18F−FGA生成物を、pH(例えば、6.5〜7.5pH)および浸透圧(例えば、300±15mOsmol)について調整し、濾過滅菌し(0.2μm)、そしてラジオ−HPLCによって特徴付けることができる。試薬キットは一般に、キットの内容物を18F−FDGと合わせて18F−FGAを製造するための取扱説明書をさらに含む。非限定的な一実施形態では、試薬キットは、(1)TEMPOまたはTEMPO誘導体などの酸化剤、(2)NaBrまたはKBrなどの反応促進剤、および(3)NaHCOなどの緩衝剤を含有するバイアルなどの第1の反応物容器と、反応開始剤NaOClを含有するバイアルなどの第2の容器とを含む。任意選択で、キットはエタノールなどの反応阻害剤の容器を含む。別の非限定的な実施形態では、試薬キットは、(1)TEMPOまたはTEMPO誘導体などの酸化剤、(2)NaBrまたはKBrなどの反応促進剤、3)NaHCOなどの緩衝剤、および(4)反応開始剤Ca(ClO)を含有する、バイアルなどの第1の反応物容器を含む。任意選択で、キットは、エタノールなどの反応阻害剤の容器を含む。キットは、薄層クロマトグラフィーストリップおよび/または溶媒などの品質管理成分を任意選択で含み得る。
以下の非限定的なシナリオを、18F−FGAを製造する際のキットの使用のためにおよび18F−FGA製品の使用方法として、例えばPETイメージング手法で使用するために、想定することができる。一実施形態では、医師であるカスタマーは、MIまたは卒中(または乳房、前立腺、肺、もしくは結腸の各組織においてなどの壊死の検出が望まれるその他の状態)で壊死を検出するための18F−FGAイメージングを実施することを望む。医師(または技術者などの他のユーザー)は、核薬局(nuclear pharmacy)と連絡を取り、或る量の18F−FGAを要求する。4−アセトアミド−TEMPO、NaBr、およびNaHCO(および任意選択でCa(Cl0))を含有する試薬キットを使用することによるか、または例えば上記の個別の反応物を手動で合わせることによるなどの、本明細書に記載の方法に従って、核薬局は18F−FGAを製造する。製品18F−FGAは、臨床試験のために医院またはイメージング施設に配達される。
マウスにおける体内分布研究
本明細書に記載の全ての動物実験は、NIH Animal Use and Care Guidelinesに準拠して行われ、所内IACUCによって承認されたものである。9匹のオスおよび3匹のメスCD1マウス(20〜36g)をHarlan Laboratories(Indianapolis、IN)から入手し、12時間の昼夜サイクルの管理された環境に収容した。マウスを少なくとも1週間順応させた後に、研究に組み入れた。イメージングの日に、動物を酸素気流に含まれる2〜3%イソフルランで麻酔した。18F−FGAおよそ100μCiを尾静脈に静脈内注射した。動物を、生体内分布まで吸収パッドを備えたケージに入れた。簡潔にいえば、マウスを過剰用量のイソフルラン(4%)、それに続く頸椎脱臼によって、注射後1時間後または3時間後に安楽死させた。様々な臓器を摘出し、食塩水で洗浄し、秤量し、適切な組織試料を自動ガンマカウンター(Packard Cobra II Auto Gamma、Perkin Elmer、Boston、MA)でカウントした。総血液量、骨、および筋肉量はそれぞれ体重の5.7%、10%、40%と推定した。注入した18F−FGAの希釈試料を比較基準として供した。
循環動態
5匹のオスのCD−1マウスに、18F−FGA100μCiを尾静脈を介して静脈内注射した。注射後0、30、60、90、120、および180分に、眼窩後洞から血液25〜50μlをサンプリングした。血液を秤量し、自動ガンマカウンター(Packard Cobra II Auto Gamma、Perkin Elmer、Boston、MA)でカウントした。剖検時の異常な腎臓の形態についての肉眼的観察に基づいて、1匹のマウスを研究から除外した。
ISO誘発性心筋障害のラットモデル
オスのSprague Dawley系ラット(250〜300g)をHarlan(Indianapolis、IN、米国)から購入し、通常の明/暗サイクルで収容し、実験に先立ち少なくとも5日間順応させた。ISOの滅菌水溶液を用量割合150mg/kg体重で投与することによって心筋損傷を誘発した。薬物を2日連続して腹腔内注射した。
心電図検査(ECG)
イソフルラン麻酔ラットの第1誘導ECGを、右前足に負電極、左前足に正電極、および左後足に接地リードを配置することによって記録した。電極をリード線(CB Sciences C−ISO−255)、生体アンプ(ETH−225)、およびアナログ−デジタル転換器(iWorx 118)に固定し、Labscripe 2.0ソフトウェア(iWorx、Dover、NH)を使用してシグナルを記録した。生データを解析する前に、シグナルをフィルタして60Hzの電源周波数を除去した。
イメージング
損傷後にラットを3回のイメージングセッション:第3日目に18F−FGAイメージング、続いて第4日目に99mTc−セスタミビイメージングおよび18F−FDGイメージングに供した。損傷後のイメージングに加えて、ISO損傷を誘発する前にベースライン画像も取得した。18F−FGA、99mTc−セスタミビ、および18F−FDGの用量は、それぞれ、1mCi(0.5〜1ml)、2.5mCi(0.5〜1ml)、および0.1mCi(0.2〜0.4ml)とした。全ての注射は、麻酔した(2%イソフルラン−酸素混合物)ラットの尾静脈内に静脈内で投与し、イメージングについては注射後、示されてある時間に実施した。イメージング期間を通して、2%イソフルラン−酸素混合物で麻酔を維持した。PETについては、ラットを、PET−CTデュアルモダリティマシン(Gamma Medica Ideas、Northridge、CA)のガントリにおいて背臥で配置した。胸部領域のフライモードCTは、20分のリストモードPETデータ取得の前に取得した。SPECTイメージングは、それぞれ60秒の24フレームで、胸部領域のヘリカルSPECT取得により、NanoSPECTマシーン(Trifoil Imaging、Chatsworth、CA)で実施した。イメージングの後、ラットを覚醒し、安楽死の時まで彼らのケージで飼育した。
取得したPET画像をフィルタ補正逆投影アルゴリズムによって再構成し、CTと融合して複合PET−CT画像を作成した。SPECT取得を、システムとともに提供されたHiSPECT再構成アルゴリズムを用いて再構成した。
CT画像を使用して心臓周辺の三次元関心領域(ROI)を定めることによって標準取込値(SUV)を計算した。バックグラウンドは、左肺の後内側区域のXY平面内の4番目の胸骨分節と同じレベルに球状のROIを配置することによって決定した。心臓のボクセルあたりの平均カウントをボクセルあたりの平均バックグラウンドカウントに正規化した。
心臓トロポニンIアッセイ
安楽死の前に血液試料を採取し、血漿を遠心分離(5,000rpmで5分間)によって分離した。本発明者らは、Life Diagnostics(West Chester、PA)から入手したラット特異的酵素結合免疫アッセイキットを使用することによって血漿中の心臓のTnI(cTnI)のレベルを決定した。推定前に、血漿試料をPBSで1:2希釈を行った。
コルチコステロン酵素結合免疫吸着法(ELISA)
本発明者らは、Cayman Chemicals(Ann Arbor、Michigan)製のELISAキットを使用することによって、未希釈血漿中のストレスホルモンであるコルチコステロンの濃度を測定した。コルチコステロンはラットに存在する唯一のグルココルチコイドである。
塩化2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム(TTC)染色
イメージングおよび血液試料採取の最終セッションの後、ラットを安楽死させ、その心臓を直ちに採取し、−20℃で2時間凍結した。心臓を2mmのスライスに切片とし、37℃で間欠的に振盪しながらPBS中1%TTC溶液に置いた。30分の染色後、TTCを除去し、一晩10%緩衝ホルマリンに置き換えた。
データ解析
統計学的比較のために、本発明者らはGraphPad Prism 6ソフトウェア(GraphPad、La Jolla、CA)を用いた。スチューデントのT検定を使用して2群比較を実施し、一元配置ANOVAを使用して3群以上の間の比較を行った。薬物動態学的パラメータは、残差法を使用して時間−活性曲線の片対数プロットから計算した。
中大脳動脈閉塞(MCAO)マウスモデル
絶食マウスをO:N混合物の気流(30:70、1L/分)に含まれる1.5%イソフルランで麻酔し、37℃で恒温ブランケットで覆った。左後頭部および上甲状腺動脈、外頸動脈(ECA)の枝、翼状動脈、内頸動脈(ICA)の枝を電気凝固し、切断する。総頸動脈をマイクロクリップによって閉塞する。左のECAを結紮し、凝固させ、頭蓋甲状腺動脈の遠位側で切断する。15mmのモノフィラメントナイロン縫合糸(6−0、熱で丸くなった先端の直径=0.2〜0.3mm)をECAに挿入し、その先端がMCAの起点を閉塞するまでICAを通して静かに進める。縫合糸の正しい配置は、左MCA領域の局所皮質血流が基底流の10〜20%に急落することによって示される。CBFを、非侵襲的レーザードップラーフローメトリー(Moor Instruments)によってモニターする。>80%の持続的な低下によってMCAOの成功が示される。モノフィラメントを結紮糸で定位置に固定し、皮膚切開部を閉じる。モノフィラメント縫合糸は、永久MCAOについては留置するが、一過性MCAOについては、マウスを麻酔し創傷を再び開くことにより1時間後に閉塞縫合糸を除去する。
結果
グルコースからのグルカル酸の合成
TEMPO/NaBr/NaOCl系を使用してグルコースをグルカル酸に酸化した(図1のスキーム1を参照されたい)。反応の進行は、KIストリップで読み取った酸化剤の消費によってモニターした。酸化反応は一般に、反応混合物にNaOClを添加して20分以内に完了した。酸化剤の濃度の増加によって、反応速度の上昇がもたらされたが、これによってまた、グルコースを望ましくない開裂生成物へと過剰酸化する傾向が高まるという結果となった。グルコースおよびグルカル酸は、それぞれ16分および12分の保持時間で、ROAカラム上のHPLCによって効果的に分離された(図2a〜c)。ブタノール:水:酢酸(7:3:2v/v)TLC系において、グルコースおよびグルカル酸は、それぞれ、0.62および0.28のR値を示した(図2d)。最適条件下で実施された反応のエタノール沈殿生成物は、排他的にグルカル酸を示したH NMRによって特徴付けられた。任意の副生成物、TEMPOまたは残留グルコースは上清中に残った。沈殿物の重量分析が示したところによると、等濃度のHClの添加により中和することができた過剰の重炭酸ナトリウムもグルカル酸とともに沈殿した。
18F−FDGから18F−FGAの合成
本発明者らは、スキーム1の合成プロセスを適合させて市販の18F−FDGから18F−FGAを製造した(図3のスキーム2を参照されたい)。濃い重炭酸塩緩衝液の使用によって、pHをモニターし調整する必要なしに反応を進行させることが可能となった。酸化試薬は比例的に減少させ、反応は鉛遮蔽箱の内部で実施した。ラジオ−TLCにより完了について反応をモニターした(図4a〜b)。ラジオ−HPLCでモニターした反応の時間経過に示すとおり(図5a〜d)、反応は非常に急速に進行し、18F−FDGは、漂白剤(NaOCl)の添加後約3分以内に完全に消費された。反応を6分まで延長しても、望ましくない副生成物の生成はもたらされないと思われた。このシリーズの最終クロマトグラムによって、エタノール沈殿、遠心分離、洗浄、および注射用水へのペレットの再溶解後の18F−FGAのプロファイルが示されている(図5e)。本発明者らは通常、崩壊補正なしで50%超の収率を得ており、合成、精製、およびTLC品質管理についてはルーチンで1時間以内に完了した。
マウスにおける18F−FGAの生体内分布
注射の1時間後および3時間後の正常マウスの様々な臓器における18F−FGAの全身分布分析の結果を表1に示す。正常な健康なマウスに18F−FGA(0.1mCi)を尾静脈を介して注射し、マウスを注射後の1時間目および3時間目に安楽死させた。注射された放射能の大部分は腎臓系を介して排泄されることがわかった。その他の全ての臓器には、注射用量/g組織の0.5%未満が蓄積した。循環中の18F−FGAの濃度もまたごく少量であった。これらの結果が示唆したところによると、18F−FGAは身体から急速にクリアされ、心筋イメージングを曖昧にする可能性を持つ組織である肝臓、肺、または骨に蓄積しない。
マウスにおける18F−FGAの循環動態
18F−FGAの循環動態について3時間にわたって研究した。図6に示すとおり(左パネル)、30分までに、注射された用量の99%超が循環から除去された。時間−活性関係の消失相から、本発明者らは半減期をおよそ35分、消失速度定数を0.83h−1であると計算した。薬物動態学的パラメータを30〜180分の時点から計算したが、表様式で提示する(図6、右パネル)。
ラットにおけるISO誘発性心筋損傷
図7aに示すとおり、2日間連続してISO注射した後、エバンスブルーで灌流した代表的な全心臓およびTTC染色した心臓スライスの切片は、広汎性かつ広範囲の壊死の区域(白色領域)を示した。ISO処理に応じた、これらの動物における第I誘導ECG記録を図7b〜cに示す。ECGの変化は全てのISO処理動物で起こったが、ISO処理は非特異的な壊死領域を生じるので、変化についてはラット全体にわたって重度または欠損が首尾一貫していなかった。しかし、ISO処理の同日に、R−R間隔は有意に減少し、心拍数の増加を示した(図8c)。ISO処理の経過にわたって、ST期間もまた増加した(図8d)。このことによって心室再分極が遅延したことが示されたが、これは心臓毒の投与の結果として起こることが知られている、プルキンエ線維中の活動電位の延長が原因とすることができる。
心臓トロポニンは、対照/ベースライン血漿(n=6)では検出できなかったが、ISO処理ラット血漿では63pg/ml(n=4)であることが判明した(図8a)。トロポニンレベルは有意に増加したが、ISO後血漿試料はISO投与後24〜48時間に得たので、そのレベルは予想されたほど高くはない。この時期までに、かなりの循環トロポニンは血液からクリアされていると予想される。コルチコステロンの血漿濃度を図8bに示す。ISO投与で予想されたように、ISO処理ラットのコルチコステロンの血漿レベル(34.1ng/ml、n=6)はベースラインレベル(113.5ng/ml、n=5)と比較して有意に減少した。
ISO誘発性心筋損傷における18F−FGA、99mTc−セスタミビ、および18F−FDGの蓄積
ISOで処理する前および2日間連続してISO処理した後、ラットを18F−FGAで画像化した。結果を図9に示す。本発明者らは、正常(ベースライン)心筋組織においてごくわずかな取込みを見いだしたが、ISO処理ラットの1時間の画像において、心臓組織は大量の注射した18F−FGAを蓄積していた。心筋組織と非標的組織とにおける18F−FGAの蓄積の間のコントラストは、注射後の4時間目にイメージングを繰り返した場合、非常に顕著になった。対照ラットおよびISO処理ラットにおける18F−FGAイメージングの日の翌日に、ラットを、臨床的に利用されている2種のイメージング剤、即ち99mTc−セスタミビおよび18F−FDGによっても画像化した。図10に18F−FDG注射の1時間後のPET画像を示し、図11に99mTc−セスタミビ投与の1時間後のSPECT画像を示す。99mTc−セスタミビ−SPECTでは、ISO誘発性の心筋病変を描出することができなかった(図11)。一方、18F−FDG−PETでは、ISO処理ラットにおいて18F−FDGの心筋蓄積の減少を示した。画像のROIベースの解析に基づいて、18F−FDG取込みの減少は、対照ラットとISO処理ラットとの間でおよそ48%であった。
18F−FGAは、正常な脳に蓄積せず、正常マウスの身体から急速にクリアされる。
本発明者らは、0.1mCi(50μl)の18F−FGAを正常な健康なマウス(n=8)に注射し、注射後1時間目にカウント向けに臓器を採取した。脳の蓄積は約0.1%未満であり、全ての主要臓器において蓄積は注射用量の0.5%を下回り、18F−FGAは腎臓系を介してクリアされた。臨床的に使用される脳血流製剤、99mTc−HMPAO(Ceretec)および18F−FDGが脳内に著明に蓄積することは留意すべきことであり、このことが、画像の読影に重大な問題を起こす。健康な脳組織における急速なクリアランスおよび蓄積の非存在によって、明瞭な梗塞イメージング向けに18F−FGAが有効であることが、示された。
18F−FGAは、永久MCAOを有するマウスの梗塞領域に局在する。
本研究では、18F−FGAは、中大脳動脈閉塞(MCAO)によって作出された脳卒中のマウスモデルの脳に蓄積することが、見いだされた。脳内梗塞のイメージング向けの18F−FGAを試験するために、本発明者らは永久MCAOのマウスモデルを用いた。PETをMCAO手術の2時間後に実施した。およそ1mCiの18F−FGAを注射し(i.v.)、注射の1時間後に20分の画像を取得した。同側は中央区域の18F−FGA蓄積を示したが、このコア領域周辺の灌流は有意に減少した。対側は正反対のシナリオを示した(図12、上)。本発明者らはまた、MCAO後1日目に、18F−FGA注射の2時間後に摘出した脳のイメージングを実施した。摘出脳のこの画像は、同側において、対側におけるよりも高い蓄積を明瞭に示した(図12、下)。
18F−FGAが脳卒中によって引き起こされた壊死に局在するというさらなる証拠を図13に示す。18F−FGAは、中大脳動脈閉塞のマウスモデルにおいて、同側大脳半球の卒中領域に蓄積する(左側の列)。相応するHMPAO/SPECTの灌流画像は、卒中領域では不十分な取込みを示すが、対側脳半球では正常な取込みを示す(中央列)。剖検時の脳のTTC染色スライス(右側の列)は、矢印で表示された脳卒中領域を示す。
18F−FDGから18F−FGAを作製するためのおよび製品品質を評価するためのプロセスおよびキット取扱説明書のセットの例を下に示す。18F−FGA製品の作製、使用、および分析のための本開示の実施形態が、以下の例に示されるプロセスおよび取扱説明書によって限定されることを意図するものではない。
I.F−18−FDG(18F−FDG)からF−18−FGA(18F−FGA)を合成するためのキット取扱説明書
II.グルカル酸は、両末端がカルボン酸に酸化されているグルコースの誘導体である。これはまた、グルコース代謝の自然経過で身体によって産生され、米国FDAによってGRAS(一般に安全と認められている)であるとみなされている。グルカル酸は急性壊死の区域に蓄積する傾向があるが、想定されているところでは、なぜなら、これは瀕死状態にある組織中の露出した正帯電のヒストンタンパク質に対して親和性を有するからである。このキットを使用すると、ユーザーが市販のF−18−FDG(18F−FDG)を滅菌用量のF−18−FGA(18F−FGA)に転換することが可能となる。F−18−FDGは、がん、脳、および心臓病のイメージング向けに陽電子放射断層撮影(PET)センターによって広く使用されている。
III.キットで供給される材料
1.成分A:4−アセトアミド−TEMPO(0.8mg)、NaBr(8mg)、およびNaHCO(24mg)を含有する凍結乾燥バイアル
2.成分B:すぐに使用できる注射器中の滅菌NaOCl(水中の14%有効塩素)
3.成分C:すぐに使用できる注射器中の滅菌HCl(0.2N、1.5mL)
4.TLC溶媒(90%アセトニトリル/10%水)を含有するガラス瓶
5.TLCストリップ(アルミバッキング上のシリカゲル60)
6.pHペーパーストリップ
7.シリンジフィルター(0.2μM MCE)
IV.ユーザーによって供給される材料:
注射用F−18−FDG(およそ0.2〜2mL中1〜50mCi)
V.保管:
キットは使用まで4℃で保管する必要がある。
VI.F−18−FGA生成物の作製方法:
F−18−FDGを成分Aバイアルに注入し、続いて直ちに成分Bを成分Aバイアルに注入する。穏やかに混合し5分間待った後に、成分Cの内容物を成分Aバイアルに注入する。回転により混合し、成分Aバイアルの内容物を滅菌注射器に吸引する。任意選択で、内容物は供給された0.2μMシリンジフィルターを通して濾過することができる。
VII.F−18−FGA生成物の品質評価:
放射化学的純度:別々の2つのTLCストリップ上に1滴の前駆体F−18−FDGおよび生成物F−18−FGAをスポットする(F−18−FGA製造の品質管理のためのTLCプロトコルと題する図[図14]を参照されたい)。スポットを1〜2分間乾燥させる。供給されたTLCストリップを40mmまで展開する。溶媒先端を鉛筆でマークする。起点から20mmでTLCストリップを切断し、ウェルカウンターで上部と下部の断片の放射能カウントを測定して、転換率を計算する。転換率の値は95%を超えているべきである。あるいは、ラジオ−TLCリーダーを使用して切断せずにストリップを読み取ることができる。
転換率=100×下部断片のカウント/(下部断片のカウント+上部断片のカウント)。
注射液のpH(6.5〜7.5):pHを確認するためにpHペーパーストリップ上に調製物の小滴(25〜50μL)を置く。
取扱説明書は、キットとともに提供される添付文書とすることもできるし、キットとともに提供されるユニフォームリソースロケータ(URL)またはウェブアドレスを介してキットのユーザーによって事実上アクセス可能とすることもできる。
考察
急性心筋梗塞(MI)は、世界中で何百万人もの死亡の原因である最も深刻な形態の心機能不全である。2010年における米国での入院の110万件超が、MIが原因であるとされた。迅速な診断はこれらの患者の良好な予後にとって重要である。MIの一次診断は、古典的な心電図検査(ECG)の変化に基づくことができるが、ECGは多くの場合決定的ではない。筋細胞壊死は全ての虚血性事象の最終結果であるので、末梢血中の心筋トロポニンの上昇が、壊死に関して汎用されるバイオマーカーとして浮かび上がってきた。しかし、トロポニンレベルが心臓の状態を正確に反映しない可能性がある多くの事例が存在する。高感度心筋トロポニンは、非ST部分上昇型MIの臨床診断を有する患者において安定であると報告されてきた。第二に、心筋炎および腎不全などのMI以外の状態のためにトロポニンレベルが上昇する場合もある。さらに、心筋トロポニンアッセイの感度が高まると、特異性の低下が必然的に伴う。
MIの急性期の診断および臨床的ケアの進歩とともに、70%を超えるMI患者が急性の入院期を生き延びる。心臓リモデリング、左心室機能、誘発性虚血の存在、機能不全の生存心筋の存在、心室性不整脈および心不全のリスクといった有害事象の将来のリスク、ならびに抗凝固療法の必要性、に関連する問題に対する回答を提供することによって、心臓イメージングとは、これらの患者の最適な臨床管理に極めて重要な価値を付加する。壊死性心筋組織の高解像度イメージングは、こういった状況では極めて重要である。前述のとおり、本開示以前には、MIのPETイメージングに利用可能な薬剤は存在しなかった。本研究では、本発明者らは18F標識フルオログルカル酸を合成する方法を開発した。原理証明として、本発明者らは、18F−FGAの有効性を試験するために本発明者らの出発物質として18F−FDGを使用して、ラットモデルにおいてイソプロテロノール(ISO)によって誘発した心筋障害を描出した。血漿中の心筋トロポニンの増加およびECGプロファイルの変化から明らかなように、ISO処理によって重大な心筋症がもたらされる。本発明者らはまた、ISO処理ラットにおいて血漿コルチコステロンの有意な減少を見いだしたが、これは、ISO誘発性MIにおいては血清タンパク質結合のその低下を伴ってコルチコステロンのクリアランスが上昇するという知見を裏付けるものである。
硝酸による酸化は、グルコースからグルカル酸を大規模製造するのに最も広く使用されている方法である。しかし、この方法では50%未満の収率が得られ、完了するのに数時間かかり、有毒ガスが生成する。電気化学的酸化は比較的クリーンであるが、化学触媒の非存在下では、反応によって収率および選択性が低下した。したがって、こういった方法のいずれも、PET向けの放射性標識グルカル酸の定量的かつ迅速な合成に適用することができなかった。したがって、本開示では、放射能標識グルカル酸を製造するための新規方法について記載するが、非限定的な例示的実施形態では、本方法は、TEMPOおよび次亜塩素酸ナトリウム(または次亜塩素酸カルシウム)を使用する。TEMPOまたは4−アセトアミド−TEMPOなどのTEMPO誘導体は、第一級アルコールをアルデヒドに、そしてアルデヒドをカルボン酸に選択的に酸化する安定なフリーラジカルである。この方法は、pHおよび温度に関して制御された条件を必要とする反応においてグルコースからグルカル酸を製造する有効な方法として以前に報告されている。この方法によって硝酸ベースの酸化よりも高い収率(85%)がもたらされるが、さらなる難しい課題を伴う。この反応の難しさの1つは、塩基性pH(例えば、約11〜11.6の間)を絶えずモニターし維持する必要があることである。加えて、グルコースの過剰酸化による副生成物の過剰な形成を妨げる温度(例えば、<5℃)で、反応を行う必要がある。これらの難点および酸化のために比較的高価な酸化剤TEMPOが必要であるということは、つまりグルカル酸の大規模製造にとってかかる方法の有用性は限られていることを意味した。しかし、本明細書で発見されたとおり、本発明の方法は、市販の18F−FDGから18F−FGAを製造するのに適していた。
本研究の結果が少なくとも1つの非限定的な実施形態において示すとおり、ナノスケールレベルでの短時間反応における18F−FDGのTEMPO媒介酸化を、氷または冷蔵などのその他の冷却手段によって反応ブロックの温度を維持することによって、および重炭酸塩緩衝液で反応混合物を緩衝することによって、効果的に制御することができる。これらの改変によって、反応混合物の連続的なpHモニタリングの必要性が排除され、18F−FDGの過剰酸化が妨げられた。最適化後、少なくとも1つの実施形態では、本発明の方法では、前駆体18F−FDGの18F−FGAへの実質的な100%転換におよそ5分を要する(図5)。18F−FGAを製造するのに前駆体として18F−FDGを使用することは、その使用によって、特殊な製品を創製するためにサイクロトロンを用いることで商業生産サイクルを逸脱させる必要性が解消されるので、革新的である。
正常マウスにおける生体内分布に関する本結果が示したところによると、18F−FGAはほとんど排他的に腎臓系を介して身体からクリアされ、他のいずれの臓器においてもごくわずかの蓄積しかない。一方、18F−FDGは健康な心臓、脳、代謝的に活性な組織に蓄積することが知られている。注射用量の99%超が注射の最初の30分以内に血液から出ていたので、血液からの18F−FGAクリアランスの二相性速度論の第一相は非常に急速であった。これらの知見は、MIイメージング向けの18F−FGAの好ましい特徴を描いている。18F−FGAは、正常な心臓ならびに周囲の組織および臓器、特に肝臓に多大に蓄積することが無く、これは血液から急速にクリアされることから、MIにおける高い標的/非標的比が見込まれた。
ISO誘発性MIのラットモデルにおいて、本発明者らは、ISO処理心臓における18F−FGAの蓄積が1時間以内でかなり急速であることを見いだした。ラットを注射後4時間目で画像化した場合、コントラストは高まった。加えて、早期イメージングまたは遅延イメージング中に正常心臓に検出可能なシグナルは存在しなかった。正常心臓では、18F−FGAの蓄積に対して、18F−FDGの実質的な蓄積が存在した。18F−FDGの蓄積は、ISO処理の心臓では減少したが、褐色脂肪を含めて、周囲の組織でも検出された。これらの結果は、心筋症の18F−FDG蓄積について報告された臨床のおよび前臨床の知見に沿っている。本発明者らは、ISO処理ラットにおける心臓18F−FDG蓄積の減少は、壊死区域が18F−FDGを蓄積することができないことに起因すると、推察する。しかし、低用量のISOによって、褐色脂肪および一部の腫瘍株における18F−FDGの取込みが増加することが示されている。
加えて、99mTc−MIBI画像では、心筋の病変を明確に描出することができなかった(図11)。99mTc−MIBIは生存可能な心筋組織によって取り込まれるが、壊死組織によっては取り込まれないので、本発明者らは、ISO処理心臓では取込みの減少が見られると予想した。しかし、損傷を受けた心筋と正常な心筋との間の差分取込みは、この薬剤ではそれほど顕著ではなかった。他のグループは、心臓毒およびミオパチーの結果として、MIBIの取込みに関して様々な度合いの変化を報告している。ドキソルビシン誘発心毒性を有する患者では、MIBI取込みが増加することが報告されている。対照とスタチン誘発ミオパチーを有する患者との間ではMIBI取込みの明らかな変化についての報告はなかった。一研究では、健康な患者とうっ血性心不全を有する患者との間で心臓の取込み率に差は見られなかった。MIBIの取込みは細胞の完全性とミトコンドリアの生存能とによって左右されるので、心筋症の状態での取込みは、ミトコンドリア機能が損傷によってどれほど変化しているかによって変わるであろう。ISO処理によって生じた損傷はびまん性であり、心臓に広く蔓延している。壊死の病巣域がない場合、MIBIによってISO誘発性の組織障害の鑑別診断を提供することは明らかにできない。
18F−FDGイメージングおよび99mTc−MIBIイメージングとは対照的に、18F−FGAのPET画像によって、ラットにおいてISO誘発性心筋症を明確に診断した。傷害を受けた心臓組織における18F−FGAの正確な分子標的は知られていないものの、理論に縛られることを望まないが、99mTc−グルカル酸塩を用いた以前の研究が示唆するところによると、壊死中に露出した核ヒストンタンパク質にこれが結合する。負に帯電したグルカル酸塩はインタクトな細胞膜を横切って、正に帯電したヒストンに結合することができないが、壊死組織において膜の完全性が喪失すると、グルカル酸塩は細胞内に入ることが可能となる。
上記のとおり、結果は、18F−FGAが脳卒中によって引き起こされた壊死に局在することを示している(図13)。18F−FGAは、中大脳動脈閉塞のマウスモデルにおいて同側脳半球の卒中領域に蓄積する。HMPAO/SPECTの相応する灌流画像は、卒中領域での不十分な取込みを示すが、対側脳半球では正常な取込みを示す。
したがって、本研究が示すところによると、緩衝された酸化条件を使用すると、市販の18F−FDGを転換することによって18F−FGAを合成することができる。かかる条件は、18F−FGAの専用の前駆体を必要とせずに臨床的に有用な製品を製造するための迅速な精製およびプロセシングにつながる。さらに、本発明者らはISO誘発性損傷のラットモデルにおける心筋障害を画像化するための18F−FGAの有用性を実証した。18F−FGAの取込みは健康なラットの心臓では検出されなかったが、ISO処理ラットでは明確な蓄積が存在した。FDGおよびMIBIと比較して、FGA使用すると、ラットにおいて対照とイソプロテレノール誘発性心筋障害との間をより明確に描出することができる。MIの正確で早期の検出が患者のケアに多大な影響を与えるため、確定診断は極めて重要である。18F−FDGおよび99mTc−セスタミビなどの臨床的に使用される診断剤と比較した場合、18F−FGAは、損傷を受けた心筋から健全心筋を描出する上で機能性に優れた。比較対照試験によって灌流イメージングのための新しいPET剤(FlurpiridazおよびBFPET)の役割がさらに解明されるであろう。しかし、インタクトな灌流によって示されたように、心筋生存能のイメージングによって、MIの血行再建術または治療の臨床結果を常に予測できたわけではないことは、注目に値する。本明細書に開示の梗塞親和性剤18F−FGAは、PETによる灌流イメージングにおける進歩を補完するかまたはそれに取って代わるであろう。本発明者らの知っている限りでは、18F−FGAは、血流製剤を使用して壊死を間接的にイメージングすることに対して、PETによって壊死を直接イメージングするための最初の薬剤である。
上記によれば、本開示は少なくとも以下の非限定的な実施形態を対象とする。
項1.少なくとも1つの実施形態では、本開示は、2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)またはその薬学的に許容される塩を含むイメージング剤を含む。
項2.薬学的に許容される担体、希釈剤、ビヒクル、または賦形剤中に配された、項1に記載のイメージング剤を含む組成物。
項3.対象の陽電子放射断層撮影(PET)イメージングの方法であって、2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)またはその薬学的に許容される塩を含むイメージング剤を対象に投与するステップと;壊死を含有すると疑われる、対象の組織へとイメージング剤を浸透させるステップと;壊死を含有すると疑われる組織のPET画像を収集するステップとを含む方法。
項4.或る量の2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース(18F−FDG)から、18F−FGAまたはその薬学的に許容される塩を調製するステップを含み、ここで、投与するステップは、18F−FGAを調製後約3時間以内に行われる、項3に記載の方法。
項5.対象は、がん、脳卒中、外傷性脳損傷、または心筋梗塞に起因する組織障害の疑いがある、項3または4に記載の方法。
項6.組織は、心筋、脳、乳房、前立腺、結腸、腎臓、脾臓、四肢、および肺の組織からなる群から選択される、項3から5のいずれか一項に記載の方法。
項7.イメージング剤は、壊死に優先的に蓄積する、項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
項8.PETイメージングで使用するための放射性医薬品を調製する方法であって、
或る量の2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース(18F−FDG)を酸化剤およびアルカリ性緩衝剤と合せて、反応混合物を形成するステップと;反応混合物を約10分未満の期間反応させて、実質的に全部の18F−FDGの、2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)への転換を引き起こすステップとを含む方法。
項9.酸化剤は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOメタクリレート、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPOベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−TEMPO、4−マレイミド−TEMPO、4−イソチオシアナト−TEMPO、4−(2−ブロモアセトアミド)−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−シアノ−TEMPO、4−アミノ−4−カルボキシ−TEMPO、4−ホスホノオキシ−TEMPO水和物、2,2,6,6−テトラメチル−4−(メチルスルホニルオキシ)−1−ピペリジノオキシ、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、過マンガン酸塩化合物、ハロゲン、金属触媒酸化剤、金ナノ粒子、ペルオキシダーゼ活性模倣ナノ粒子を模倣するナノ粒子、グルコースオキシダーゼ、およびグルコース酸化酵素または化合物からなる群から選択される、項8に記載の方法。
項10.アルカリ性緩衝剤は、約9〜約12のpH範囲で緩衝能を有する、項8または9に記載の方法。
項11.反応させるステップは、約0℃〜約25℃の範囲の反応温度で行われる、項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
項12.18F−FDGを18F−FGAに転換した後に反応混合物に酸を添加して、反応混合物のpHを約6.5〜約7.5の範囲のpHに変えるステップを含む、項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
項13.酸化剤は、遊離化合物であるか、またはビーズ、樹脂、もしくはポリマーに連結している、項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
項14.反応混合物は反応開始剤をさらに含む、項8〜項13のいずれか一項に記載の方法。
項15.反応開始剤は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)および次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))からなる群から選択される、項14に記載の方法。
項16.反応混合物は、反応促進剤をさらに含む、項8〜15のいずれか一項に記載の方法。
項17.反応促進剤は、臭化ナトリウム(NaBr)および臭化カリウム(KBr)からなる群から選択される、項16に記載の方法。
項18.2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)を製造するためのキットであって、(1)酸化剤、(2)反応開始剤、(3)反応促進剤、および(4)アルカリ性緩衝剤;ならびに或る量の2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース(18F−FDG)を酸化剤、反応開始剤、反応促進剤、および緩衝剤と合わせて18F−FGAを製造するための取扱説明書を含むキット。
項19.18F−FDGを含有する容器をさらに含む、項18に記載のキット。
項20.酸化剤、反応促進剤、および緩衝剤は、第1の容器に配され、反応開始剤は、第2の容器に配されている、項18または19に記載のキット。
項21.酸化剤、反応促進剤、緩衝剤、および反応開始剤は、別々の容器に配されている、項18〜20のいずれか一項に記載のキット。
項22.アルカリ性緩衝剤は、約pH9〜約pH12の範囲で緩衝能を有する、項18〜21のいずれか一項に記載のキット。
項23.反応混合物を約6.5〜7.5の範囲のpHに中和することができる酸をさらに含む、項18〜22のいずれか一項に記載のキット。
項24.酸化剤は、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOメタクリレート、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPOベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−TEMPO、4−マレイミド−TEMPO、4−イソチオシアナト−TEMPO、4−(2−ブロモアセトアミド)−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−シアノ−TEMPO、4−アミノ−4−カルボキシ−TEMPO、4−ホスホノオキシ−TEMPO水和物、2,2,6,6−テトラメチル−4−(メチルスルホニルオキシ)−1−ピペリジノオキシ、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、過マンガン酸塩化合物、ハロゲン、金属触媒酸化剤、金ナノ粒子、ペルオキシダーゼ活性模倣ナノ粒子を模倣するナノ粒子、グルコースオキシダーゼ、およびグルコース酸化酵素または化合物からなる群から選択される、項18〜23のいずれか一項に記載のキット。
項25.反応開始剤は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)および次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))からなる群から選択される、項18〜24のいずれか一項に記載のキット。
項26.反応促進剤は,臭化ナトリウム(NaBr)および臭化カリウム(KBr)からなる群から選択される、項18〜25のいずれか一項に記載のキット。
項27.酸化剤は、遊離化合物であるか、またはビーズ、樹脂、もしくはポリマーに連結している、項18〜26のいずれか一項に記載のキット。
項28.取扱説明書は、添付文書として提供される、項18〜27のいずれか一項に記載のキット。
項29.取扱説明書は、ユニフォームリソースロケータ(URL)またはウェブアドレスを介してキットのユーザーによって事実上アクセス可能である、項18〜28のいずれか一項に記載のキット。
項30.取扱説明書は、18F−FGAを対象に投与するための指示を含む、項18〜29のいずれか一項に記載のキット。
項31.少なくとも1つの薄層クロマトグラフィー(TLC)ストリップを含む、項18〜30のいずれか一項に記載のキット。
項32.TLC溶媒を含む、項18〜31のいずれか一項に記載のキット。
本開示の態様がより十分に理解されかつ認識され得るように、ある特定の実施形態に関連して、本開示を本明細書において説明してきたが、本開示をこれらの特定の実施形態に限定することを意図するものではない。逆に、全ての代替物、改変物および均等物は本明細書において規定される本発明の範囲内に含まれることを意図するものである。したがって、特定の実施形態を含む上記の実施例は、本開示の発明の概念の実践を例示するように働き、示される詳細は、一例であり、かつ特定の実施形態の例示的な議論の目的のためのみであり、ならびに、手順ならびに本開示の原理および概念的態様に関する最も有用で、容易に理解される説明であると思われるものを提供するために提示されているものであることが理解される。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の様々な組成物の製剤、本明細書に記載の方法、または本明細書に記載の方法のステップにおいてまたはステップの順序において変更が行われてもよい。さらに、本開示の様々な実施形態が以下の特許請求の範囲に記載されているが、本開示がこれらの特定の特許請求の範囲に限定されることを意図するものではない。

Claims (31)

  1. 2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸、またはその薬学的に許容される塩を含むイメージング剤。
  2. 薬学的に許容される担体、希釈剤、ビヒクル、または賦形剤中に配された、請求項1に記載のイメージング剤を含む組成物。
  3. 対象の陽電子放射断層撮影(PET)イメージングの方法であって、
    2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA、)、またはその薬学的に許容される塩を含むイメージング剤を前記対象に投与するステップと;
    壊死を含有すると疑われる、前記対象の組織へと前記イメージング剤を浸透させるステップと;
    前記壊死を含有すると疑われる前記組織のPET画像を収集するステップと
    を含む方法。
  4. 或る量の2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース(18F−FDG)から、前記18F−FGAまたはその薬学的に許容される塩を調製するステップを含み、前記投与するステップは、前記18F−FGAを調製後約3時間以内に行われる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記対象は、がん、脳卒中、外傷性脳損傷、または心筋梗塞に起因する組織障害の疑いがある、請求項3に記載の方法。
  6. 前記組織は、心筋、脳、乳房、前立腺、結腸、腎臓、脾臓、四肢、および肺の組織からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  7. 前記イメージング剤は、前記壊死に優先的に蓄積する、請求項3に記載の方法。
  8. PETイメージングで使用するための放射性医薬品を調製する方法であって、
    或る量の2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース(18F−FDG)を酸化剤およびアルカリ性緩衝剤と合せて、反応混合物を形成するステップと;
    前記反応混合物を約10分未満の期間反応させて、実質的に全部の、前記18F−FDGの2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)への転換を引き起こすステップと
    を含む方法。
  9. 前記酸化剤は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOメタクリレート、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPOベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−TEMPO、4−マレイミド−TEMPO、4−イソチオシアナト−TEMPO、4−(2−ブロモアセトアミド)−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−シアノ−TEMPO、4−アミノ−4−カルボキシ−TEMPO、4−ホスホノオキシ−TEMPO水和物、2,2,6,6−テトラメチル−4−(メチルスルホニルオキシ)−1−ピペリジノオキシ、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、過マンガン酸塩化合物、ハロゲン、金属触媒酸化剤、金ナノ粒子、ペルオキシダーゼ活性模倣ナノ粒子を模倣するナノ粒子、グルコースオキシダーゼ、およびグルコース酸化酵素または化合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記アルカリ性緩衝剤は約9〜約12のpH範囲において緩衝能を有する、請求項8に記載の方法。
  11. 前記反応させるステップは、約0℃〜約25℃の範囲の反応温度で行われる、請求項8に記載の方法。
  12. 前記18F−FDGを18F−FGAに転換した後に前記反応混合物に酸を添加して、前記反応混合物のpHを約6.5〜約7.5の範囲のpHに変えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
  13. 前記酸化剤は、遊離化合物であるか、またはビーズ、樹脂、もしくはポリマーに連結している、請求項8に記載の方法。
  14. 前記反応混合物は反応開始剤をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  15. 前記反応開始剤は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)および次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記反応混合物は、反応促進剤をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  17. 前記反応促進剤は、臭化ナトリウム(NaBr)および臭化カリウム(KBr)からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 2−デオキシ−2−[18F]フルオログルカル酸(18F−FGA)を製造するためのキットであって、(1)酸化剤、(2)反応開始剤、(3)反応促進剤、および(4)アルカリ性緩衝剤;ならびに或る量の2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース(18F−FDG)を前記酸化剤、前記反応開始剤、前記反応促進剤、および前記緩衝剤と合わせて前記18F−FGAを製造するための取扱説明書を含むキット。
  19. 前記18F−FDGを含有する容器をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  20. 前記酸化剤、反応促進剤、および緩衝剤は、第1の容器に配され、前記反応開始剤は、第2の容器に配されている、請求項18に記載のキット。
  21. 前記酸化剤、反応促進剤、緩衝剤、および反応開始剤は、別々の容器に配されている、請求項18に記載のキット。
  22. 前記アルカリ性緩衝剤は、約pH9〜約pH12の範囲で緩衝能を有する、請求項18に記載のキット。
  23. 前記反応混合物を約6.5〜7.5の範囲のpHに中和することができる酸をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  24. 前記酸化剤は、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOメタクリレート、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPOベンゾエート、4−(2−ヨードアセトアミド)−TEMPO、4−マレイミド−TEMPO、4−イソチオシアナト−TEMPO、4−(2−ブロモアセトアミド)−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−シアノ−TEMPO、4−アミノ−4−カルボキシ−TEMPO、4−ホスホノオキシ−TEMPO水和物、2,2,6,6−テトラメチル−4−(メチルスルホニルオキシ)−1−ピペリジノオキシ、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、オゾン、硝酸、過マンガン酸塩化合物、ハロゲン、金属触媒酸化剤、金ナノ粒子、ペルオキシダーゼ活性模倣ナノ粒子を模倣するナノ粒子、グルコースオキシダーゼ、およびグルコース酸化酵素または化合物からなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
  25. 前記反応開始剤は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)および次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO))からなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
  26. 前記反応促進剤は,臭化ナトリウム(NaBr)および臭化カリウム(KBr)からなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
  27. 前記酸化剤は、遊離化合物であるか、またはビーズ、樹脂、もしくはポリマーに連結している、請求項18に記載のキット。
  28. 前記取扱説明書は,添付文書として提供される、請求項18に記載のキット。
  29. 前記取扱説明書は、ユニフォームリソースロケータ(URL)またはウェブアドレスを介して前記キットのユーザーによって事実上アクセス可能である、請求項18に記載のキット。
  30. 前記取扱説明書は、前記18F−FGAを対象に投与するための指示を含む、請求項18に記載のキット。
  31. 薄層クロマトグラフィー(TLC)ストリップおよびTLC溶媒のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のキット。
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