JP2020204664A - 光学装置 - Google Patents

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淳二 小橋
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Abstract

【課題】低電圧で変調可能な光学装置を提供する。【解決手段】光源50と、光源50と向かい合う第1側面11Cを備え、第1屈折率を有する第1基板10と、第1基板10に対向する第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間に設けられ、光学異方性を有する液晶層30と、を備え、第1基板10の第1屈折率は、液晶層30の常光屈折率より大きく、液晶層30の異常光屈折率とほぼ同等である、光学装置1。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、光学装置に関する。
近年、入射光に対して拡散状態と透過状態とを切り替え可能な拡散変調素子を備えた表示装置が提案されている。一例では、拡散変調素子は、光変調層として高分子分散液晶層を備えている。拡散変調素子は、導光板の背後に配置され、導光板の側面から入射した光を拡散または透過するものである。
このような高分子分散液晶層においては、高分子の存在により、液晶分子を駆動するための駆動電圧の増大を招く。このため、消費電力の低減が要望されている。
特開2013−80646号公報
本実施形態の目的は、低電圧で変調可能な光学装置を提供することにある。
本実施形態によれば、
光源と、前記光源と向かい合う第1側面を備え、第1屈折率を有する第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、光学異方性を有する液晶層と、を備え、前記第1基板の第1屈折率は、前記液晶層の常光屈折率より大きく、前記液晶層の異常光屈折率とほぼ同等である、光学装置が提供される。
図1は、本実施形態の光学装置1の一構成例を示す断面図である。 図2は、図1に示した第1電極12及び第2電極22の一構成例を示す図である。 図3は、図1に示した第1電極12及び第2電極22の他の構成例を示す図である。 図4は、図1に示した第1電極12及び第2電極22の他の構成例を示す図である。 図5は、第1電極12と第2電極22との間に電界が形成されていないオフ時を説明するための図である。 図6は、第1電極12と一部の第2電極22aとの間に電界が形成されたオン時を説明するための図である。 図7は、s偏光SPLを液晶層30に取り出すための一構成例を説明するための図である。 図8は、s偏光SPLを液晶層30に取り出すための他の構成例を説明するための図である。 図9は、第2基板20に到達したp偏光PPLを光学装置1の外部に取り出すための一構成例を説明するための図である。 図10は、第2基板20の他の構成例を説明するための図である。 図11は、第2基板20の他の構成例を説明するための図である。 図12は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。 図13は、第1電極12と第2電極22との間に電界が形成されていないオフ時を説明するための図である。 図14は、第1電極12と一部の第2電極22aとの間に電界が形成されたオン時を説明するための図である。 図15は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。 図16は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。 図17は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
図1は、本実施形態の光学装置1の一構成例を示す断面図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、光学装置1を構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、光学装置1の厚さ方向に相当する。本実施形態においては、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX−Y平面を見ることを平面視という。
光学装置1は、第1基板10と、第2基板20と、液晶層30と、シール40と、光源50と、を備えている。第2基板20は、第3方向Zにおいて第1基板10に対向している。第1基板10及び第2基板20は、シール40によって接着されている。液晶層30は、第1基板10と第2基板20との間に設けられ、シール40によって封止されている。液晶層30は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有する液晶分子31を含んでいる。図1に拡大して示すように、液晶分子31の屈折率分布を模式的に示すと、楕円形で表すことができる。このような液晶分子31に直線偏光が入射するとき、その直線偏光の振動面にかかわらず屈折率が一定である方向を液晶分子31の光軸Oと称する。また、液晶分子31において光軸Oに垂直な方向に進む異常光線の屈折率を液晶層30の異常光屈折率neと称し、また、常光線の屈折率を液晶層30の常光屈折率noと称する。
第1基板10は、第1絶縁基板11と、第1電極12と、第1配向膜13と、を備えている。第1絶縁基板11は、例えばガラス基板等の透明基板である。第1絶縁基板11は、主面(外面)11Aと、主面11Aの反対側の主面(内面)11Bと、第1側面11Cと、第1側面11Cの反対側の第2側面11Dと、を有している。主面11A及び11Bは、例えばX−Y平面にほぼ平行な平坦面である。第1側面11Cは、第2方向Yにおいて光源50と向かい合っている。図1に示す例では、主面11A及び第2側面11Dは、空気層に接しているが、各種薄膜で覆われていてもよい。
第1電極12は、第1絶縁基板11上に設けられている。第1電極12は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。第1配向膜13は、第1電極12を覆い、液晶層30に接している。第1配向膜13は、X−Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。一例では、第1配向膜13は、第2方向Yに沿って配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
第1絶縁基板11は、1.6以上の屈折率を有する基板であり、高屈折率導光層として機能する。
第1電極12及び第1配向膜13の第3方向Zに沿った厚さは、第1基板10を透過する光の波長(可視光域の波長)に比べて十分に薄い。このため、第1基板10において、第1電極12及び第1配向膜13の屈折率はほぼ無視できる。つまり、第1絶縁基板11の屈折率は、第1基板10の屈折率n1と読み替えることができる。また、第1絶縁基板11の第1側面及び第2側面は、それぞれ第1基板10の第1側面11C及び第2側面11Dと読み替えることができる。
第1基板10の屈折率n1は、液晶層30の常光屈折率noより大きく(n1>no)、液晶層30の異常光屈折率neとほぼ同等である(n1≒ne)。
屈折率n1と常光屈折率noとの差は、少なくとも0.04であり、0.1以上であることが望ましい。一例では、常光屈折率noは、1.45以上、1.55未満である。また、屈折率n1と異常光屈折率neとの差は、0.1未満であることが望ましい。一例では、異常光屈折率neは、1.55以上、1.70以下である。
第2基板20は、第2絶縁基板21と、第2電極22と、第2配向膜23と、を備えている。第2絶縁基板21は、後述する光取出構造を有している。第2絶縁基板21は、典型的には透明基板である。但し、光拡散性の程度を示すヘイズ値に関して、第2絶縁基板21のヘイズ値が第1絶縁基板11のヘイズ値よりも高い場合がある。第2絶縁基板21は、主面(外面)21Aと、主面21Aの反対側の主面(内面)21Bと、を有している。主面21A及び21Bは、例えばX−Y平面にほぼ平行な平坦面である。主面21Aは、空気層に接している。なお、主面21Aは、反射防止膜などの各種薄膜で覆われていてもよい。
第2電極22は、第2絶縁基板21上に設けられている。第2電極22は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極である。第2配向膜23は、第2電極22を覆い、液晶層30に接している。第2配向膜23は、第1配向膜13と同様の水平配向膜であり、例えば、第2方向Yに沿って配向処理されている。
このような光学装置1では、液晶分子31は、その光軸Oが第2方向Yに沿うように初期配向している。ポジ型の液晶層30については、第1電極12と第2電極22との間に電界が形成された際には、液晶分子31は、その光軸Oが電界に沿うように配向する。例えば、第3方向Zに沿った縦電界が液晶層30に形成された場合、液晶分子31は、その光軸Oが第3方向Zに沿うように配向する。
光源50は、発光素子51と、光学系52と、を備えている。発光素子51は、例えば発光ダイオードであるが、レーザー光源なども適用可能である。発光素子51は、第1側面11Cに向かって光を出射する。発光素子51から出射される光は、入射面(図1に示す例では、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY−Z平面)と平行な振動面を有するp偏光、及び、入射面に垂直な振動面を有するs偏光を含んでいる場合がある。なお、発光素子51から出射される光が直線偏光(例えばp偏光)であってもよい。光学系52は、レンズ等で構成され、発光素子51と第1基板10との間に設けられている。光学系52は、例えば発光素子51から出射された光を第1絶縁基板11の厚さ以下に集光する。なお、発光素子51から出射される光を集光する必要がない場合には、光学系52を省略することができる。
図2は、図1に示した第1電極12及び第2電極22の一構成例を示す図である。上記の通り、第1電極12及び第2電極22は、液晶層30を挟んで対向している。第1電極12は、単一のシート状電極によって構成されている。第1電極12は、第1駆動部DR1と電気的に接続されている。複数の第2電極22は、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配置されている。平面視において、複数の第2電極22は、第1電極12に重畳している。第2電極22の各々は、スイッチング素子SWを介して第2駆動部DR2と電気的に接続されている。より具体的には、第2駆動部DR2は、ゲートドライバGD及びソースドライバを備えている。複数の走査線Gは、ゲートドライバGDと電気的に接続されている。複数の信号線Sは、ソースドライバSDと電気的に接続されている。スイッチング素子SWの各々は、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだ複数のスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ複数のスイッチング素子SWと電気的に接続されている。第2電極22は、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。なお、走査線G、信号線S、及び、スイッチング素子SWは、図1に示した第2基板20に設けられている。
このような構成例では、第1駆動部DR1が第1電極12に印加する電圧を制御し、第2駆動部DR2が第2電極22の各々に対して個別に印加する電圧を制御する。第1電極12と第2電極22との電位差(液晶層30の駆動電圧)により、第1電極12と第2電極22との重畳部に電界が形成される。図1に示した液晶分子31の配向状態(あるいは配向方向)は、第1電極12と第2電極22との間に生じる電界によって制御される。
図3は、図1に示した第1電極12及び第2電極22の他の構成例を示す図である。
図3に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、第2電極22が第2方向Yの延びる帯電極である点で相違している。複数の第2電極22は、第1方向Xに間隔を置いて並んでいる。なお、第2電極22は、第1方向Xに延びる帯電極であってもよい。
このような構成例では、第1駆動部DR1が第1電極12に印加する電圧を制御し、第2駆動部DR2が第2電極22の各々に対して個別に印加する電圧を制御することにより、第1電極12と第2電極22との重畳部において液晶分子31の配向状態が制御される。
図4は、図1に示した第1電極12及び第2電極22の他の構成例を示す図である。
図4に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、第1電極12が第1方向Xの延びる帯電極であり、第2電極22が第2方向Yの延びる帯電極である点で相違している。複数の第1電極12は、第2方向Yに間隔を置いて並んでいる。複数の第2電極22は、第1方向Xに間隔を置いて並んでいる。複数の第1電極12は、複数の第2電極22と交差している。
このような構成例では、第1駆動部DR1が第1電極12の各々に対して個別に印加する電圧を制御し、第2駆動部DR2が第2電極22の各々に対して個別に印加する電圧を制御することにより、第1電極12と第2電極22との交差部の各々において液晶分子31の配向状態が制御される。
図5は、第1電極12と第2電極22との間に電界が形成されていないオフ時を説明するための図である。
ここでは、第1基板10を伝播するp偏光PPLについて説明する。すなわち、光源50から出射されたp偏光PPLは、第1側面11Cから第1基板10に入射する。第1基板10に入射したp偏光PPLは、第1基板10と液晶層30との界面において、液晶分子31の配向方向に応じて異なる屈折率を感じる。例えば、オフ時の液晶分子31が理想的にX−Y平面に沿って水平配向している場合(液晶分子31の光軸が第2方向Yに平行である場合)、p偏光PPLは、伝播角θに応じた実効異常光屈折率ne(θ’)を感じる。ここでの伝播角θは第1基板10から液晶層30に向かうp偏光PPLの入射角に相当し、角度θ’はp偏光PPLの屈折角に相当する。
伝播角θと屈折角θ’との関係は以下の通りである。
n1*sinθ=ne(θ’)*sinθ’
また、実効異常光屈折率ne(θ’)は以下の通り規定される。
ne(θ’)=no*ne/(no*sinθ’+ne*cosθ’)1/2
なお、上記の式において、n1は第1基板10の屈折率であり、neは液晶層30の異常光屈折率であり、noは液晶層30の常光屈折率である。
このとき、実効異常光屈折率ne(θ’)が常光屈折率noと同等であり、実効異常光屈折率ne(θ’)が第1基板10の屈折率n1と比較して十分小さい場合(例えば、実効異常光屈折率ne(θ’)と屈折率n1との差が0.05以上の場合)、全反射条件が成立する。このため、第1基板10と液晶層30との界面に到達したp偏光PPLは、第1基板10内に反射される。
図6は、第1電極12と一部の第2電極22aとの間に電界が形成されたオン時を説明するための図である。
第1電極12と第2電極22aとの間の液晶分子31が理想的にX−Y平面に対して垂直配向している場合(液晶分子31の光軸が第3方向Zに平行である場合)、p偏光PPLは、伝播角θに応じた実効異常光屈折率ne’(θ’)を感じる。実効異常光屈折率ne’(θ’)は以下の通り規定される。
ne’(θ’)=no*ne/(ne*sinθ’+no*cosθ’)1/2
このとき、実効異常光屈折率ne’(θ’)が第1基板10の屈折率n1と同等である場合(例えば、実効異常光屈折率ne’(θ’)と屈折率n1との差が0.05未満の場合)、全反射条件が成立しなくなる。このため、第1基板10と液晶層30との界面に到達したp偏光PPLの一部は、液晶層30に到達する。液晶層30に到達したp偏光PPLは、第2基板20に到達する。第2基板20に到達したp偏光PPLの外部への取出方法については後述する。一般的な異常光屈折率neは、上記の通り1.55〜1.70程度であるが、実効異常光屈折率ne’(θ’)と屈折率n1との差が小さいほど、第1基板10から液晶層30に到達するp偏光PPLの光量を増大することができる。
ところで、光源50から出射された光のうち、s偏光は、第1基板10と液晶層30との界面において、液晶層30の駆動電圧の大きさにかかわらず、液晶層30の常光屈折率noを感じる。このため、s偏光は、液晶分子31の配向状態によらず、ほとんど液晶層30に到達しない。
図7は、s偏光SPLを液晶層30に取り出すための一構成例を説明するための図である。
図7に示す構成例は、図1に示した構成例と比較して、光学装置1が第2側面11Dに対向する反射層61と、第2側面11Dと反射層61との間に位置する位相差層62と、を備えた点で相違している。位相差層62は、自身を透過する直線偏光に位相差を付与するものであり、例えば基準波長の直線偏光に1/4波長の位相差を付与するものである。
このような構成例によれば、光源50から出射された光のうち、s偏光SPLは、第1側面11Cから入射した後に第2側面11Dに到達すると、位相差層62を透過し、さらに反射層61にて反射され、再び位相差層62を透過する。つまり、s偏光SPLは、1/2波長の位相差を付与され、p偏光PPLに変換される。変換されたp偏光PPLは、第2側面11Dから第1基板10に入射する。第1電極12と第2電極22aとの間に電界が形成された場合、s偏光SPLは液晶層30に到達しないが、変換されたp偏光PPLは液晶層30に到達し、その後、第2基板20に到達する。
図8は、s偏光SPLを液晶層30に取り出すための他の構成例を説明するための図である。
図8に示す構成例は、図1に示した構成例と比較して、光学装置1が外面11Aに対向する反射層61と、外面11Aと反射層61との間に位置する位相差層62と、を備えた点で相違している。位相差層62は、図7を参照して説明したものと同様である。なお、位相差層62と空気層との間に全反射条件が成立する屈折率差がある場合には、反射層を省略してもよい。
このような構成例によれば、光源50から出射されたs偏光SPLは、第1側面11Cから入射した後に外面11Aに到達すると、位相差層62を透過し、さらに反射層61にて反射され、再び位相差層62を透過する。つまり、s偏光SPLは、1/2波長の位相差を付与され、p偏光PPLに変換される。変換されたp偏光PPLは、外面11Aから第1基板10に入射する。第1電極12と第2電極22aとの間に電界が形成された場合、変換されたp偏光PPLは液晶層30に到達し、その後、第2基板20に到達する。
図7及び図8を参照して説明したように、第1基板10を伝播するs偏光SPLは、位相差層62を介して反射されることで、p偏光PPLに変換される。s偏光SPLをp偏光PPLに変換する手法は、上記の例に限らない。例えば、第1基板10が光学異方性を有する材料によって形成されることで、s偏光SPLが第1基板10を伝播する途中で、s偏光SPLをp偏光PPLに変換することができる。また、第1基板10に凹凸を設け、s偏光SPLが繰り返し反射される際に位相差が付与されることで、s偏光SPLをp偏光PPLに変換することができる。これにより、本来利用できないs偏光SPLもp偏光PPLに変換した上で、液晶層30に取り出すことができる。
図9は、第2基板20に到達したp偏光PPLを光学装置1の外部に取り出すための一構成例を説明するための図である。
図9に示す構成例では、第2基板20は、光学異方性を有する第1材料201及び光学等方性を有する第2材料202からなる複合材料によって形成された第2絶縁基板21を備えている。第1材料201は、異常光屈折率ne2と、常光屈折率no2とを有している。第2材料202は、屈折率n2を有している。常光屈折率no2は、屈折率n2とほぼ同等である(no2≒n2)。一例では、常光屈折率no2と屈折率n2との差は、0.1未満であることが望ましい。
例えば、このような第2絶縁基板21は、光重合性の液晶モノマーと等方性モノマーとの混合材料を用いて形成することができる。液晶モノマーとしては、ネマティック液晶のような一軸異方性を有する材料が利用できる。液晶モノマーを所望の方向に配向させた状態で、等方性モノマーが重合される。このように形成された第2絶縁基板21においては、液晶モノマーが第1材料201に相当し、等方性モノマーを重合させることで得られるポリマーが第2材料202に相当する。図9に示す構成例では、第1材料(液晶モノマー)201は、その光軸O2が第3方向Z(あるいは第2基板20の法線)にほぼ平行となるように配向している。
続いて、光学装置1の外部に光を取り出すための原理について説明する。
第1材料201の常光屈折率no2と第2材料202の屈折率n2とが一致している場合、第1材料201の光軸O2に沿って伝播する光は、その偏光状態によらず一様な屈折率を感じる。
一方で、光軸O2とは異なる方向に沿って伝播する光、特に光軸O2に垂直な方向に伝播する光については、一部の偏光成分は常光屈折率no2(≒屈折率n2)と異常光屈折率ne2からなる屈折率分布を感じる。その結果、第2基板20に到達した光は、散乱あるいは回折される。図9に示すように、第1材料201の光軸O2が第3方向Zに設定された場合、すなわち液晶モノマーを垂直配向させた状態で等方性モノマーを重合した場合には、液晶層30から第2基板20に到達したp偏光PPLを効率よく散乱させることができる。このとき、意図せぬ回折を避けるため、第1材料201の分布はある程度のランダム性を持つことがより好ましい。
図10は、第2基板20の他の構成例を説明するための図である。
図10に示す構成例は、図9に示した構成例と比較して、第1材料201の光軸O2が第2基板20の法線Nに対して、光源50側に傾斜している点で相違している。なお、第2基板20のうち、第2絶縁基板21のみを図示している。このような構成例によれば、第2基板20に入射したp偏光PPLは、光軸O2に対して垂直な方向に伝播し、より大きな屈折率差を感じる。このため、散乱光あるいは回折光の輝度を向上することができる。
図11は、第2基板20の他の構成例を説明するための図である。なお、第2基板20のうち、第2絶縁基板21のみを図示している。
図11の(A)乃至(C)に示す構成例においては、第2絶縁基板21の外面21Aは、微小な凹凸を有している。例えば、図11の(A)に示す構成例では、外面21Aには、微小な凸レンズが形成されている。また、図11の(B)に示す構成例では、外面21Aには、凸状の微小なプリズムが形成されている。また、図11の(C)に示す構成例では、外面21Aには、凹状の微小な回折格子(溝)が形成されている。また、図示しないが、外面21Aが粗面化されてもよい。なお、外面21Aの凹凸は、必ずしも周期的に配列されている必要はない。
一方で、第2絶縁基板21の内面21Bは、ほぼ平坦面である。換言すると、第2絶縁基板21において、外面21Aの表面粗さは、内面21Bの表面粗さより大きい。このような微小な凹凸が外面21Aに形成されたことにより、空気層と第2絶縁基板21との界面での全反射条件が成立しにくくなり、外面21Aに到達した光を外部に取り出すことができる。ここで説明した第2絶縁基板21は、光学等方性を有する材料によって形成することができる。
なお、光取出構造を有する第2絶縁基板21については、上記の例に限らない。例えば、第2絶縁基板21として、微小な柱状構造体が傾斜した状態で配列された光学フィルムが適用されてもよい。また、第2絶縁基板21の内面に微小な凹凸が形成されてもよい。また、液晶層30にレンズ、プリズム、回折格子などが形成されてもよい。
本実施形態によれば、液晶層30の屈折率分布を制御することにより、高屈折率の第1基板10を伝播する光を取り出すことができる。液晶層30の屈折率分布は、液晶分子31の配向状態(あるいは液晶層30の駆動電圧)に応じて制御される。本実施形態の液晶層30において、液晶分子31は高分子に拘束されていないため、高分子分散液晶層の液晶分子を駆動する場合と比較して、液晶層30の駆動電圧を低減することができる。これにより、消費電力を低減することができる。
本実施形態の光学装置1は、例えば、表示装置として適用することができる。この場合、第1電極12は共通電極に相当し、第2電極22は画素毎に配置される画素電極に相当する。光源50から出射された光は、第1側面11Cから第1基板10に入射し、繰り返し反射されながら、第1基板10の内部を伝播する。液晶層30に電圧が印加されていないオフ時には、第1基板10の内部を伝播する光は、液晶層30に取り出されず、第2基板20から外部に取り出されることもない。一方、液晶層30に電圧が印加されたオン時には、第1基板10の内部を伝播する光(p偏光)は、液晶層30に取り出され、第2基板20から外部に取り出される。したがって、第2基板20側から表示装置を観察した際に、画像を視認することができる。なお、表示装置は、第2基板20側から観察可能であるとともに、第1基板10側からも観察可能である。また、表示装置が第1基板10側から観察された場合であっても、第2基板20側から観察された場合であっても、表示装置を介して、表示装置の背景を観察可能である。
また、本実施形態の光学装置1は、局所的に照明する照明装置としても適用することができる。
また、第1基板10に入射した光のうち、p偏光PPLとs偏光SPLとでは、第1基板10と液晶層30との界面での挙動が異なる。すなわち、上記の例では、例えばp偏光PPLは、液晶分子31の配向を制御することで第1基板10から液晶層30に取り出すことができる一方で、s偏光SPLは、液晶分子31の配向状態にかかわらず第1基板10から液晶層30に取り出すことができない。つまり、本実施形態の光学装置1は、p偏光PPLとs偏光SPLとを分離する素子として利用することができる。
上記の例では、電界制御複屈折(ECB)タイプを適用した光学装置1について説明したが、これに限らず、本実施形態の光学装置1は、液晶層30内で全反射条件を満たす他のモード(例えば、垂直配向モードやハイブリッド配向モードなど)を適用することができる。以下、IPS(In−Plane Switching)モードを適用した光学装置1について説明する。
図12は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。図12に示す構成例は、図1に示した構成例と比較して、第2基板20が第1電極12及び第2電極22を備えた点で相違している。すなわち、第1基板10は、第1絶縁基板11と、第1配向膜13と、を備えている。第1絶縁基板11は、図1に示した構成例と同様のガラス基板である。第1配向膜13は、第1絶縁基板11を覆い、液晶層30に接している。
第2基板20は、第2絶縁基板21と、第1電極12と、絶縁膜25と、第2電極22と、第2配向膜23と、を備えている。第1電極12は、第2絶縁基板21上に設けられている。絶縁膜25は、第1電極12を覆っている。第2電極22は、絶縁膜25上に設けられている。第2配向膜23は、第2電極22を覆い、液晶層30に接している。
第1電極12及び第2電極22は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極である。絶縁膜25は、無機絶縁膜または有機絶縁膜である。第1配向膜13及び第2配向膜23は、X−Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜であり、例えば、第2方向Yに沿って配向処理されている。
このような構成例の光学装置1では、液晶分子31は、その光軸Oが第2方向Yに沿うように初期配向している。ポジ型の液晶層30については、第1電極12と第2電極22との間にフリンジ電界(あるいは横電界)が形成された際には、液晶分子31は、X−Y平面内で回転し、その光軸Oが電界に沿うように配向する。
なお、図12に示す構成例では、第2基板20が第1電極12及び第2電極22を備える場合について説明したが、第1基板10が第1電極12及び第2電極22を備えていてもよい。
図13は、第1電極12と第2電極22との間に電界が形成されていないオフ時を説明するための図である。
ここでは、第1基板10を伝播するs偏光SPLについて説明する。すなわち、光源50から出射されたs偏光SPLは、第1側面11Cから第1基板10に入射する。第1基板10に入射したs偏光SPLは、第1基板10と液晶層30との界面において、伝播角θに応じた実効異常光屈折率ne(θ’)を感じる。図5を参照して説明したように、実効異常光屈折率ne(θ’)が第1基板10の屈折率n1と比較して十分小さい場合、全反射条件が成立する。このため、第1基板10と液晶層30との界面に到達したs偏光SPLは、第1基板10内に反射される。
図14は、第1電極12と一部の第2電極22aとの間に電界が形成されたオン時を説明するための図である。
第1基板10に入射したs偏光SPLは、第1基板10と液晶層30との界面において、伝播角θに応じた実効異常光屈折率ne’(θ’)を感じる。図6を参照して説明したように、実効異常光屈折率ne’(θ’)が第1基板10の屈折率n1と同等である場合、全反射条件が成立しなくなる。このため、第1基板10と液晶層30との界面に到達したs偏光SPLの一部は、液晶層30に到達する。液晶層30に到達したs偏光SPLは、第2基板20に到達する。
図15は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。図15に示す構成例では、光源50から出射されたp偏光PPLの一部は、液晶層30を経て第2基板20に到達し、特定の方向に向けて反射または回折される。このような構成例の光学装置1によれば、特定の方向に向けて画像を表示する表示装置、あるいは、特定の方向に向けて照明光を出射する照明装置を提供することができる。
図16は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。図16に示す構成例では、第2基板20において、第1材料201の空間分布が異なっている。例えば、第2基板20の第1領域A1では、第1材料201がX−Y平面に沿うように傾斜し、第2基板20の第2領域A2では、第1材料201が第3方向Zに沿うように配向している。なお、空間分布が異なる他の例としては、第1材料201の配列周期が異なっていてもよいし、第1材料201の第3方向Zに沿った厚さが異なっていてもよい。
光源50から出射されたp偏光PPLの一部は、液晶層30を経て第2基板20に到達する。第2基板20の第1領域A1及び第2領域A2に到達したp偏光PPLは、第1領域A1と第2領域A2とで屈折し、集光される。このような構成例の光学装置1によれば、特定の方向に集光された画像を表示する表示装置、あるいは、特定の方向に集光された照明光を出射する照明装置を提供することができる。
図17は、本実施形態の光学装置1の他の構成例を示す断面図である。図17に示す構成例は、図9に示した構成例と比較して、光学装置1が第1基板10の両面に光取出構造を有している点で相違している。すなわち、光学装置1は、図9に示した構成例に加えて、第3方向Zにおいて第1基板10に対向する第3基板70と、第1基板10と第3基板70との間に設けられた液晶層80と、を備えている。
第3基板70は、第2基板20と同様に構成され、第3絶縁基板71と、第3電極72と、第3配向膜73と、を備えている。第3絶縁基板71は、第2絶縁基板21と同様に構成され、光学異方性を有する第3材料701及び光学等方性を有する第4材料702からなる複合材料によって形成されている。第3電極72は、第3絶縁基板71上に設けられている。第3配向膜73は、第3電極72を覆い、液晶層80に接している。
第1基板10は、主面11B上に第1電極12を備えている一方で、主面11Bの反対側の主面11A上に第4電極14を備えている。第4配向膜15は、第4電極14を覆い、液晶層80に接している。第3電極72及び第4電極14は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極である。第3配向膜73及び第4配向膜15は、水平配向膜であり、例えば、第2方向Yに沿って配向処理されている。
液晶層80は、液晶層30と同様に、光学異方性あるいは屈折率異方性を有する液晶分子81を含んでいる。また、上記の構成例と同様に、第1基板10の屈折率n1は、液晶層30及び80の常光屈折率noより大きく(n1>no)、液晶層30及び80の異常光屈折率neとほぼ同等である(n1≒ne)。
このような構成例において、光源50から出射されたp偏光PPLのうち、液晶層30を介して第2基板20に到達した光が外部に取り出されるとともに、液晶層80を介して第3基板70に到達した光も外部に取り出される。このような光学装置1が表示装置として適用された場合、第1電極12及び第4電極14は共通電極に相当し、第2電極22及び第3電極72は画素毎に配置される画素電極に相当する。そして、第2基板20から外部に光が取り出されることにより、第2基板20側から観察した際に画像を視認することができ、しかも、第3基板70から外部に光が取り出されることにより、第3基板70側から観察した際にも画像を視認することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、低電圧で変調可能な光学装置を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…光学装置
10…第1基板 20…第2基板 30…液晶層 50…光源
12…第1電極 13…第1配向膜 22…第2電極 23…第2配向膜
61…反射層 62…位相差層

Claims (12)

  1. 光源と、
    前記光源と向かい合う第1側面を備え、第1屈折率を有する第1基板と、
    前記第1基板に対向する第2基板と、
    前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、光学異方性を有する液晶層と、を備え、
    前記第1基板の第1屈折率は、前記液晶層の常光屈折率より大きく、前記液晶層の異常光屈折率とほぼ同等である、光学装置。
  2. 前記第1基板の第1屈折率は1.6以上であり、
    前記第1屈折率と前記常光屈折率との差は0.1以上であり、
    前記第1屈折率と前記異常光屈折率との差は0.1未満である、請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記常光屈折率は1.45以上、1.55未満であり、
    前記異常光屈折率は1.55以上、1.70以下である、請求項1に記載の光学装置。
  4. 前記光源は、前記第1側面に向かって、入射面と平行な振動面を有するp偏光を出射する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学装置。
  5. 前記第1基板は、第1電極と、前記液晶層に接する第1配向膜と、を備え、
    前記第2基板は、第2電極と、前記液晶層に接する第2配向膜と、を備え、
    前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間の電界により配向状態が制御される液晶分子を含んでいる、請求項4に記載の光学装置。
  6. 前記光源は、前記第1側面に向かって、入射面と垂直な振動面を有するs偏光を出射する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学装置。
  7. 前記第1基板は、第1電極と、第2電極と、前記液晶層に接する第1配向膜と、を備え、
    前記第2基板は、前記液晶層に接する第2配向膜を備え、
    前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間の電界により配向状態が制御される液晶分子を含んでいる、請求項6に記載の光学装置。
  8. 前記第1基板は、前記第1側面の反対側の第2側面を有し、
    さらに、前記第2側面に対向する反射層と、
    前記第2側面と前記反射層との間に位置する位相差層と、を備えている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学装置。
  9. さらに、記第1基板の外面に対向する反射層と、
    前記外面と前記反射層との間に位置する位相差層と、を備えている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学装置。
  10. 前記第2基板は、光学異方性を有する第1材料及び光学等方性を有する第2材料からなる複合材料によって形成された第2絶縁基板を備え、
    前記第1材料の常光屈折率は、前記第2材料の第2屈折率とほぼ同等である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学装置。
  11. 前記第1材料の光軸は、前記第2基板の法線に対して傾斜している、請求項10に記載の光学装置。
  12. 前記第2基板は、外面に凹凸を有する第2絶縁基板を備えている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学装置。
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