JP2020202600A - 電力変換装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力変換装置から急速に放電させても、過大な電力が放電用抵抗器に入力されないようにする電力変換装置及びその制御方法を提案する。【解決手段】電力変換装置において、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路に並列接続するコンデンサと、コンデンサに並列接続したスイッチング素子及び放電用抵抗器を直列に接続した放電回路と、スイッチング素子を制御して、コンデンサから放電用抵抗器への放電を制御する制御回路とを備え、制御回路は、コンデンサからの放電の際、スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させるようにした。【選択図】図2
Description
本発明は、ハイブリッド自動車、電気自動車等の走行システムに適用される電力変換装置及びその制御方法に関する。
ハイブリッド自動車、電気自動車のように高電圧バッテリによってモータを駆動するシステムでは、バッテリから電力変換装置を速やかに切り離したり、電力変換装置に残留した電荷を急速に放電したりすることが必要な場合がある。例えば、米国法規FMVSS305(電気自動車の電解液の流出および感電防止)においては、車両が衝突などで停車してから5秒以内に、電力変換装置の出力電圧が所定の値になるまで放電をする必要がある。
本発明に関する従来例として例えば特許文献1,2がある。これらの従来例には、電力変換装置の放電用抵抗器がスイッチング素子を備え、電力変換装置の放電期間中スイッチング素子がオンされることによって、電力変換装置が急速に放電できることが開示されている。
従来の電力変換装置において、放電用抵抗器の抵抗値は平滑コンデンサの静電容量と、目標とする放電時間とにより決まるため、電力変換装置から急速に放電させようとすると、過大な電力が放電用抵抗器に入力され、発熱によって放電用抵抗器の内部が断線するおそれがある。そこで、過大な電力に耐えうる比較的大型の放電用抵抗器が電力変換装置に適用されていた。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、電力変換装置から急速に放電させても、過大な電力が放電用抵抗器に入力されないようにする電力変換装置及びその制御方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、電力変換装置において、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路に並列接続するコンデンサと、コンデンサに並列接続したスイッチング素子及び放電用抵抗器を直列に接続した放電回路と、スイッチング素子を制御して、コンデンサから放電用抵抗器への放電を制御する制御回路とを備え、制御回路は、コンデンサからの放電の際、スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させるようにした。
また本発明においては、電力変換装置の放電回路に接続されたスイッチング素子が制御回路によって制御されることにより、放電回路からの放電が実行されるようにした、電力変換装置の制御方法において、制御回路が、放電の際、スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させるようにした。
本発明によれば、電力変換装置から急速に放電させても、過大な電力が放電用抵抗器に入力されないようにする電力変換装置及びその制御方法を実現できる。
以下、本発明の電力変換装置をハイブリッド自動車や電気自動車等の動力源としてモータを備える車両に適用した例を用いて、本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態による電力変換装置の構成
図1に示すように、本電力変換装置10を含む車両15は、バッテリ1、コンタクタ2、インバータ回路3、モータ4、コンデンサ(平滑コンデンサ5)、放電回路6及び放電回路6の制御回路7を備えている。
図1に示すように、本電力変換装置10を含む車両15は、バッテリ1、コンタクタ2、インバータ回路3、モータ4、コンデンサ(平滑コンデンサ5)、放電回路6及び放電回路6の制御回路7を備えている。
バッテリ1は車両15の電力源であって、バッテリ1からの直流電力はインバータ回路3によって交流電力に変換され、変換された交流電力がモータ4を駆動させる。そしてモータ4が車両15を駆動させる。
インバータ回路3は、6つのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)31を備え、例えば、2つのIGBT31からなる素子A〜Cから構成される。この素子A〜Cは3相交流のU相、B相及びW相に相当する。平滑コンデンサ5は、このインバータ回路3が動作するときに発生する電圧変動を抑制するために搭載されており、比較的大きな静電容量を必要とする。
コンタクタ2は、バッテリ1と電力変換装置10とを切り離す目的で搭載されており、イグニッションスイッチON時にON、イグニッションスイッチOFF時にOFFとなる。またコンタクタ2は、電力変換装置10の異常時や事故等により車両が衝撃を検出したときもOFFとなる。
放電回路6は、放電用抵抗器61及びMOSFET62から構成され、コンタクタ2がOFFとなると、平滑コンデンサ5に充電された電荷を速やかに放電するように制御回路7によって制御される。なおここでは、スイッチング素子の一例としてMOSFET62を挙げているが本発明はこれに限られない。
以下、本発明の特徴の説明を容易にするため、数値例を用いて説明する。
バッテリ1の電圧Vbatを500V、平滑コンデンサ5の静電容量Cを500μF、時定数をτとすると、平滑コンデンサ5の電圧Vcと経過時間tとの関係は次式で表すことができる。ここで経過時間tは、コンタクタ2がOFFとなってから平滑コンデンサ5の電圧Vcが50V以下まで放電する時間の目標である2秒とする。
つまり、放電用抵抗器61の抵抗値Rは1737Ω以下にしなければ、目標である2秒以内に放電できない。例えば1600Ωの抵抗値を選定した場合、従来の方法で放電しようとすると、放電用抵抗器61には次式のような突入電力Pinが入力される。
図2に破線で従来の方法で放電した場合の波形を示す。MOSFET62のゲート信号は放電開始から2秒間はONのままとなっている。平滑コンデンサ電圧は2秒後には約41Vまで低下し、放電用抵抗器61の電力は、平滑コンデンサ電圧の減衰に伴って下がっている。なお本発明においては、衝突の検出のための時間を3秒とし、米国法規FMVSS305において定められている5秒のうちの残り2秒で電圧を低減させるようにすることを想定している。
放電用抵抗器61にはメタルクラッド型等の突入電力耐量の大きなものが使用されるが、それでも定格電力の10倍程度が限度である。このため、従来においては、突入電力Pinが160W程度であるため16W程度の定格電力を持つ抵抗が必要となる。
本発明を適用した場合の波形を図2において実線で示す。制御回路7は、放電開始から0.5秒を第1モード、0.5秒から2秒を第2モードとして、それぞれのON/OFFデューティ比(以下、これをデューティ比と呼ぶ)を50%,100%として、MOSFET62をPWMで駆動している。
なお言うまでもないが、デューティ比が高い程、平滑コンデンサ5の放電を完了させるまでの時間は短くて済むため、デューティ比を高くしたいが放電開始時にデューティ比を高くすると従来のように放電用抵抗器61の持つ定格電力の値を高くしなければならない。
これに対して、放電開始時のデューティ比を低くし、突入電力Pinが低くなる本発明においては放電用抵抗器61の持つ定格電力の値を従来に比べて低くすることができる。なおある程度放電をした後であれば、デューティ比を高くしても、突入電力Pinはそれほど高くなることはない。
放電用抵抗器61の抵抗値は、PWM駆動中の休止期間の分だけ放電期間が短くなり、従来と比較して小さい値でも従来と同じ目標時間とすることができる。このため、本実施形態では放電用抵抗器61の抵抗値を1500Ωとしており、PWM駆動により平均化された第1モード、及び第2モードの突入電力Pinはそれぞれ(6)式及び(7)式のようになり、突入電力Pinは(5)式と比較して、約半分の電力となる。
(2)本実施形態の効果
以上のように本実施形態の電力変換装置10では、放電開始時のデューティ比をそれ以降に対して低く設定する。
以上のように本実施形態の電力変換装置10では、放電開始時のデューティ比をそれ以降に対して低く設定する。
従って、本電力変換装置10によれば、放電開始時には、デューティ比を低くすることで突入電力Pinを抑え、ある程度放電された後にデューティ比を高くすることで放電完了までの時間を長くすることなく突入電力を抑えることができ、電力変換装置10から急速に放電させても、過大な電力が放電用抵抗器61に入力されないようにすることができる。
なお本電力変換装置10においては、例えばロジックICで第1のモード及び第2のモードのための制御パータンを作成すればよく変調回路を要しないため電力変換装置10の小型化も可能である。
(3)他の実施形態
なお上述の実施形態においては、デューティ比の異なる2つのモードを利用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、デューティ比の異なる3つ以上のモードを利用するようにしても良い。
なお上述の実施形態においては、デューティ比の異なる2つのモードを利用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、デューティ比の異なる3つ以上のモードを利用するようにしても良い。
例えば図3に示すように制御回路7は、放電開始から0.5秒を第1モード、0.5秒から0.9秒を第2モード、0.9秒から2秒を第3モードとして、それぞれのデューティ比を30%,50%,100%として、MOSFET62をPWMで駆動する。それぞれのモードでの突入電力は、62.5W,63.0W,64.9Wと従来の突入電力の1/3程度となり、上述の実施形態と比較し更に許容電力の低い放電用抵抗器61を電力変換装置10に採用することが可能となる。
また上述の実施形態においては、放電開始からの経過時間により制御回路7がモードを切り替る場合について述べたが、本発明はこれに限らず、平滑コンデンサ電圧によってモードを切り替えるようにしても良い。なおこのモードを切り替えるための平滑コンデンサ電圧の値は、それぞれのモードでのデューティ比による突入電力が同程度となるようにする。
さらに上述の実施形態においては、制御回路7がデューティ比の異なる2つのモードを利用しデューティ比を段階的に変化させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、制御回路7がデューティ比を連続的に徐々に変化させるようにしても良い。この場合上述の実施形態と比較し更に許容電力の低い放電用抵抗器61を電力変換装置10に採用することが可能となる。
1……バッテリ、2……コンタクタ、3……インバータ回路、4……モータ、5……平滑コンデンサ、6……放電回路、7……制御回路、10……電力変換装置、61……放電用抵抗器、62……MOSFET。
Claims (8)
- 直流電力を交流電力に変換するインバータ回路に並列接続するコンデンサと、
前記コンデンサに並列接続したスイッチング素子及び放電用抵抗器を直列に接続した放電回路と、
前記スイッチング素子を制御して、前記コンデンサから前記放電用抵抗器への放電を制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記コンデンサからの放電の際、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させる
電力変換装置。 - 前記制御回路は、放電を開始してから所定時間が経過した以降において、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を増加させる
請求項1記載の電力変換装置。 - 前記制御回路は、前記所定時間が経過するまでの第1モードと、所定時間経過した以降の第2モードと、に応じて、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させ、
前記第1モードに於ける前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比より、前記第2モードにおける前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を増加させる
請求項2記載の電力変換装置。 - 前記制御回路は、放電を開始してから、前記コンデンサの電圧が所定の値まで下降した以降、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を増加させる
請求項1記載の電力変換装置。 - 前記制御回路は、放電を開始してから、前記コンデンサの前記電圧が所定の値に下降するまでの第1モードと、前記コンデンサの前記電圧が所定の値に下降した以降の第2モードと、に応じて、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させ、
前記第1モードでの前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比より前記第2モードでの前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を増加させる
請求項4記載の電力変換装置。 - 前記制御回路は、放電を開始した以降に存在する複数のモードのそれぞれにおいて、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させる
請求項1記載の電力変換装置。 - 前記制御回路が、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を増加する際、当該デューティ比を連続的に変化させる
請求項1記載の電力変換装置。 - 電力変換装置の放電回路に接続されたスイッチング素子が制御回路によって制御されることにより、前記放電回路からの放電が実行されるようにした、電力変換装置の制御方法であって、
前記制御回路は、
放電の際、前記スイッチング素子のON/OFFデューティ比を変化させる
電力変換装置の制御方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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