JP2020202497A - 固体撮像素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】混色を抑制した高精細で感度の良い固体撮像素子を提供する。【解決手段】複数の光電変換素子11を二次元的に配置した半導体基板10上に、光電変換素子に対応した複数の色の色フィルター14、15、・・・を具備する固体撮像素子であって、隣り合う異なる色の色フィルター間に隔壁13、18を有し、複数の色から選択した第1の色の色フィルター14は、色フィルターの厚さ方向に切断した断面視で、他の色フィルターと対向する側壁に連続した凸凹形状が形成され、第1の色の色フィルターの側壁に設けられた隔壁13は、隔壁の厚さ方向に、屈折率の異なる2種類以上の材料が積層されて構成され、且つ、第1の色の色フィルターとは反対側の面を、断面視で、連続した凸凹形状に形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、CMOSの光電変換素子を使用した固体撮像素子に関する技術である。
デジタルカメラ等に搭載されるCMOS(相補型金属酸化膜半導体)の固体撮像素子は、近年、高画素化、微細化が進んでおり、特に微細なものでは1.4μm×1.4μmを下回るレベルの画素サイズとなっている。
固体撮像素子は、画素のそれぞれに配置された光電変換素子と、所定の色パターンからなる色フィルター層とによってカラー化を図っている。また、各光電変換素子が光電変換に寄与する領域(開口部)は、固体撮像素子のサイズや画素数に依存する。その開口部は、固体撮像素子の全面積に対し、20〜50%程度に限られている。開口部が小さいことはそのまま光電変換素子の感度低下につながることから、固体撮像素子では感度低下を補うために、光電変換素子上に集光用のマイクロレンズを形成することが一般的である。
また、近年、裏面照射の技術を用いたイメージセンサが開発されており、光電変換素子の開口部を固体撮像素子の全面積の50%以上にすることができるようになっている。しかしながら、この場合、ひとつの色フィルターに対し、隣接する他の色フィルターの漏れ光が入る可能性があるため、適切なサイズや形状のマイクロレンズを形成することが必要となっている。
所定パターンの色フィルター層を形成する方法としては、通常、特許文献1に記載のように、フォトリソグラフィプロセスによって各色の色フィルターをパターン形成する手法が用いられる。
また、他のパターン形成の方法として、特許文献2には、固体撮像素子上に、1色目の色フィルター層をドライエッチング工程によりパターニングして形成し、2色目以降の色フィルター層をフォトリソグラフィ工程によりパターニングして形成する方法が記載されている。
更に、特許文献3には、全ての色の色フィルターをドライエッチングによりパターニングして形成する方法が記載されている。
近年、800万画素を超える高精細CMOS撮像素子への要求が大きくないっている。これら高精細CMOSにおいて、付随する色フィルターパターンの画素サイズとして1.4μm×1.4μmを下回るレベルの撮像素子への要求が大きくなっている。しかしながら、画素サイズを小さくすることにより、フォトリソグラフィプロセスでパターン形成された色フィルター層の解像性が不足し、固体撮像素子の特性に悪影響を及ぼすという問題が生じている。すなわち、一辺が1.4μm以下、あるいは1.1μmや0.9μm近傍の画素サイズの固体撮像素子では、解像性の不足がパターンの形状不良に起因する色むらとなって現れるという課題がある。
また、画素サイズが小さくなると、色フィルター層のパターンのアスペクト比が大きくなる(色フィルター層のパターンの幅に対して厚さが大きくなる)。このような色フィルター層をフォトリソグラフィプロセスでパターン形成する場合、本来除去されるべき部分(画素の有効外部分)が完全に除去されず、残渣となって他の色の画素に悪影響を及ぼしてしまう。このとき、残渣を除去するために現像時間を延長する等の方法を行った場合は、硬化させた必要な画素まで剥がれてしまうという問題も発生している。
また、満足する分光特性を得ようとすると、色フィルターの膜厚を厚くせざるを得ない。しかしながら、色フィルターの膜厚が厚くなると、画素の微細化が進むにしたがって、パターン形成した各色フィルターの角が丸まる等、解像度が低下する傾向となる。色フィルターの膜厚を厚くし且つ分光特性を得ようとすると、色フィルターの材料に含まれる顔料濃度(着色剤の濃度)を上げる必要がある。しかしながら、顔料濃度を上げると光硬化反応に必要な光が色フィルター層の底部まで届かず、色フィルター層の硬化が不十分となるおそれがある。このため、フォトリソグラフィにおける現像工程で色フィルター層が剥離し、画素欠陥が発生するという問題がある。
また、色フィルターの膜厚を薄くし且つ分光特性を得るために色フィルターの材料に含まれる顔料濃度を上げた場合、相対的に光硬化成分を低減させることになる。このため、色フィルター層の光硬化が不十分となり、形状の悪化、面内での形状不均一、形状崩れ等が発生しやすくなる。また、十分に光硬化させるために硬化時の露光量を多くすることで、スループットが低下するという問題が発生する。
色フィルター層のパターンの高精細化により、色フィルター層の膜厚は、製造工程上の問題だけではなく、固体撮像素子としての特性にも影響する。色フィルター層の膜厚が厚い場合、斜め方向から入射した光が特定色の色フィルターによって分光された後、隣接する他の色のフィルターパターン部及びその下の光電変換素子に入光する場合がある。この場合、混色が生じるという問題が発生する。この混色の問題は、画素サイズが小さくなり、パターンサイズを規定する画素サイズと色フィルターの膜厚とのアスペクト比が大きくなるにつれて顕著になる。
また、画素の斜め方向からの入射等による混色防止のために、各色の色フィルターの間に光を遮る隔壁を形成する方法が知られている。液晶ディスプレイ等の光学表示デバイスに用いられる色フィルターでは、黒色の材料によるブラックマトリクス構造(BM)による隔壁が一般的に知られている。しかし、固体撮像素子の場合は、各色フィルターパターンのサイズが数μm以下である。このため、一般的なブラックマトリクスの形成方法を用いて隔壁を形成した場合は、パターンサイズが大きいため、画素欠陥のように一部BMで塗りつぶされてしまい解像性が低下してしまう。
高精細化が進んでいる固体撮像素子の場合、求められる隔壁のサイズは数百nmサイズ、より好ましくは寸法200nm以下程度であり、一つの画素サイズが1μm程度となるまで画素サイズの高精細化が進んでいる。このため、混色を抑制できる遮光性能を満たせるのであれば、100nm以下の膜厚が望ましい。このサイズの隔壁形成には、BMを用いたフォトリソグラフィ法では困難である。このため、金属やSiO2等の無機物を用いて、ドライエッチング、蒸着、スパッタ等による成膜や、エッチング技術を用いて格子パターン上に削ることによって隔壁を形成する方法等も考えられる。
以上のことから、固体撮像素子の画素数を増やすためには、色フィルター層のパターンの高精細化が必要であり、色フィルター層の薄膜化や混色防止方法が重要となる。
上述のように、従来の、色フィルター用材料に感光性を持たせてフォトリソグラフィにより形成される色フィルター層のパターン形成は、画素の寸法の微細化が進むにつれて、色フィルター層の膜厚の薄膜化も求められる。この場合、色フィルター用材料中の顔料成分の含有割合が増えることから、感光性成分を十分な量含有できず、解像性が得られない、残渣が残りやすい、画素剥がれが生じやすいという問題があり、固体撮像素子の特性を低下させる課題があった。
特開平11−68076号公報 特許第4857569号公報 特許第4905760号公報
本発明の課題は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、混色を抑制した高精細で感度の良い固体撮像素子を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の本態様は、複数の光電変換素子を二次元的に配置した半導体基板上に、光電変換素子に対応した複数の色の色フィルターを具備する固体撮像素子であって、隣り合う異なる色の色フィルター間に隔壁を有し、上記複数の色から選択した第1の色の色フィルターは、色フィルターの厚さ方向に切断した断面視で、他の色フィルターと対向する側壁に連続した凸凹形状が形成され、上記第1の色の色フィルターの側壁に設けられた上記隔壁は、隔壁の厚さ方向に、屈折率の異なる2種類以上の材料が積層されて構成され、且つ、上記第1の色の色フィルターとは反対側の面が、上記断面視で、連続した凸凹形状となっていることを要旨とする。
また、本発明の他の態様である固体撮像素子の製造方法は、複数の光電変換素子が二次元的に配置された半導体基板上全面に、可視光を透過する層を形成する工程と、可視光を透過する層の上に第1の色の色フィルター材を塗布し硬化させる工程と、ドライエッチングで、上記第1の色以外の他の色フィルターパターン形成箇所に位置する、上記可視光を透過する層及びその上の第1の色以外の他の色フィルターを開口し、その際、第1の色の色フィルター形状の側壁を、色フィルターの厚さ方向に切断した断面視で連続した凸凹形状とする第1の工程と、上記第1の工程で上記第1の色の色フィルターの層をドライエッチングする際に生じる色フィルター及び上記可視光を透過する層の材料とドライエッチングガスの副生成物とを用いて、上記第1の色の色フィルターの側壁に第1の隔壁を形成する工程と、上記形成した第1の隔壁の上に、色フィルターよりも屈折率の高い材料を成膜する工程と、を備え、色フィルターよりも屈折率の高い材料を成膜する際に、第1の色の色フィルターを囲む隔壁の外面形状を断面視で連続した凸凹形状とすることを要旨とする。
本発明の態様によれば、各色フィルターの薄膜化及び色フィルター間の隔壁によって、混色を抑制でき、また、ドライエッチングによるプラズマダメージが抑えられて、パターン配置した全ての色フィルターが高感度化した高精細な固体撮像素子を提供することが可能となる。
本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の部分断面図であり、図2のA−A‘線での断面図である。 本発明の実施形態に係る固体撮像素子の色フィルター配列の部分平面図である。 本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の製造工程断面図である。 本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の製造工程断面図である。 本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の製造工程断面図である。 本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の製造工程断面図である。 本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の製造工程断面図である。 本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の製造工程断面図である。 本発明の本実施形態に係る固体撮像素子の製造工程断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、色フィルターなどの厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す各実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下、本実施形態では、製造工程上、最初に形成する、最も面積が広い色フィルターを第1の色の色フィルター14とした場合で説明する。また、製造工程上二番目に形成する色フィルターを第2の色の色フィルター15、製造工程上三番目に形成する色フィルターを第3の色の色フィルター16と記載する。
<固体撮像素子の構成>
本実施形態に係る固体撮像素子1は、図1及び図2に示すように、二次元的に配置された複数の光電変換素子11を有する半導体基板10と、半導体基板10の上方に配置された複数のマイクロレンズ30からなるマイクロレンズ群と、半導体基板10とマイクロレンズ30との間に設けられた色フィルター層及び隔壁200とを備えている。色フィルター層は、複数色の各色フィルター14、15、16が所定の規則パターンで配置されて構成される。隔壁200は、複数色の各色フィルターのそれぞれの間に構成される。
また、本実施形態では、色フィルター層のうち、第1の色の色フィルター14の下部にのみ下層平坦化層12が構成されている。他の色フィルターの下部にも下層平坦化層12が設けられていても良い。
更に隔壁200は、第1の色の色フィルター14の側壁に形成されており、図1のように、少なくとも半導体基板10では、隔壁200の厚さ方向に、第1の色の色フィルター14側から第1の隔壁13、次いで第2の隔壁18の2層が積層した隔壁となっている。その積層した隔壁は、隔壁200の厚さ方向に、屈折率の異なる2種類以上の材料からなる。隔壁200の全体が、上記の積層した隔壁の構造となっていてもよい。積層した隔壁の積層数は3層以上でも良い。
また、第1の色の色フィルター14は、色フィルターの厚さ方向に切断した断面視で、側壁の面に連続した凸凹形状が形成されている。凸凹形状とは、半導体基板10に向けて、つまり厚さ方向に沿って、ある特徴的な形状が連続的に形成される形状であり、図1では、凸形状が連続的に形成された例を示している。他にも球面形状、放物線形状、Sin形状、偏心形状、凹形状が挙げられる。
隔壁200が第1の色の色フィルター14の側壁に形成されることで、第1の色の色フィルター以外の色の各色フィルターは、それぞれ異なる隔壁200によって囲まれて、平面視で閉断面構造となっている。
本実施形態に係る固体撮像素子1では、第1の色の色フィルター14には、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂が含まれている。光硬化性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂の含有量よりも少ない。また本実施形態では、色フィルター層が、複数色のグリーン、ブルー、レッドの3色から構成され、ベイヤー配列の配置パターンで配置される場合で例示する。4色以上からなる色フィルター層であってもよい。
以下の説明では、第1の色がグリーンの場合を想定して説明するが、第1の色がブルー又はレッドであっても良い。
以下、固体撮像素子の各部について詳細に説明する。
(光電変換素子及び半導体基板)
半導体基板10は、画素に対応させて複数の光電変換素子11が二次元的に配置されている。複数の光電変換素子11は、光を電気信号に変換する機能を有している。
光電変換素子11が形成されている半導体基板10は、通常、表面(光入射面)の保護及び平坦化を目的として、最表面に保護膜が形成されている。半導体基板10は、可視光を透過して、少なくとも300℃程度の温度に耐えられる材料で形成されている。このような材料としては、例えば、Si、SiO等の酸化物及びSiN等の窒化物、並びにこれらの混合物等、Siを含む材料等が挙げられる。
(マイクロレンズ)
各マイクロレンズ30は、画素位置に対応させて、半導体基板10の上方に配置されている。すなわち、マイクロレンズ30は、半導体基板10に二次元配置された複数の光電変換素子11毎に設けられる。マイクロレンズ30は、マイクロレンズ30に入射した入射光を光電変換素子11のそれぞれに集光させることにより、光電変換素子11の感度低下を補う。マイクロレンズ30は、レンズトップからレンズボトムの高さが300nm以上800nm以下の範囲であることが好ましい。
(下層平坦化層)
下層平坦化層12は、半導体基板10の表面保護及び平坦化のために、半導体基板10の最表面上に設けられた層である。下層平坦化層12は、光電変換素子11の作製によって生じる半導体基板10の上面の凹凸を低減し、第1の色の色フィルター14、第2の色の色フィルター15及び第3の色の色フィルター16を形成するためのカラーフィルター用材料の半導体基板10に対する密着性を向上させることができる。
下層平坦化層12は、可視光が通過可能な層を構成する。
下層平坦化層12は、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノールノボラック系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スチレン系樹脂及びケイ素系樹脂等のうち一又は複数を含む樹脂により形成される。
また下層平坦化層12は、有機化合物以外でも、例えば珪素、炭素、酸素、水素、錫、亜鉛、インジウム、アルミニウム、ガリウム、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ハフニウム、銀及びフッ素のうち少なくとも1種類を含有する化合物、酸化化合物又は窒化化合物により形成されても良い。これらの材料の化合物としては、例えばシロキサンやITO、ZnO、TiO、HfO等を用いることができる。更に、多孔質層にするため、シリカやアルミナを含有する材料を用いても良い。
また、下層平坦化層12は、これらの材料により単層又は多層に形成される。本実施形態による固体撮像素子1において、下層平坦化層12は、当該下層平坦化層12を構成する材料によって、第1の隔壁13の形成に用いられる隔壁形成用材料の供給源としても機能する。下層平坦化層12は、後述する第1の色の色フィルター14のドライエッチング時において、ドライエッチングガスと反応して第1の隔壁13となる反応生成物を形成するための隔壁形成用材料を供給することができる。
本実施形態では、下層平坦化層12の膜厚を、0nmより大きく200nm以下に形成する。下層平坦化層12の膜厚は、透過率、混色防止、エッチングストッパーとして機能する観点からは薄いほど好ましく、50nm以上100nm以下がより好ましい。
(色フィルター)
所定パターンで色フィルター層を構成する各色フィルター14,15,16は、入射光を色分解する各色に対応するフィルターである。各色フィルター14,15,16は、半導体基板10とマイクロレンズ30との間に設けられ、画素位置に応じて、複数の光電変換素子11のそれぞれに対応するように予め設定された規則パターンで配置されている。
ここで、第1の色の色フィルター14は、第1の色の色フィルター14の厚さ方向での断面視において、少なくとも半導体基板10側で、第1の色の色フィルター14の側壁の面に、厚さ方向に連続した凸凹形状を有している。
このように、第1の色の色フィルター14の側壁に連続した凸凹形状を有することで、凸凹構造がレンズとして機能し、その結果、入射光を散乱させ、遮蔽効果を発揮する。特に、色フィルターパターンの画素サイズが小さくなるにつれて固体撮像素子は、シールガラス面や、赤外線カットフィルター、カメラセットの光学系などからの反射による結像に関与しない不要光が撮像面に到達すると、迷光が生じ、画質に悪影響を及ぼすフレア、ゴーストが発生する。その対策として、色フィルターを光が透過する際に、隣接する色フィルターに漏れ出す光を遮断するのに有効である。凸凹形状は遮蔽効果を発揮する構造であればよく、特に限定されないが、球面形状、放物線形状、Sin形状、偏心形状、凸形状、凹形状の内、何れか一つの形状が連続して形成されることが好ましい。断面視で、凸凹形状のピッチP及び幅Wとなる最大高さと底面との高低差(図5(g)参照)は、可視光の波長以下であることが好ましく、製造条件の制約の観点から50nm〜200nmである。これにより散乱効果を発揮し、斜入射に対して光の向きを変更することが出来る。ピッチPは、凸凹の連続方向に沿った、凸形状又は凹形状のピッチで、その隣り合う凸形状又は凹形状間のピッチ幅である。幅Wは、凸凹の最大高さと底辺の高低差である。
図2に、各色フィルター14,15,16及び各色フィルター14,15,16の間に形成する隔壁200の配列を平面的に示す。図2に示す配列は、いわゆるベイヤー配列であり、四隅が丸みをおびた四角形状の各色フィルター14,15,16のパターン(第1、第2及び第3の色の色フィルター)を敷き詰めた配列である。
各色フィルター14,15,16は、所定の色の顔料(着色剤)と、熱硬化成分や光硬化成分を含んでいる。例えば、第1の色の色フィルター14は着色剤としてグリーン顔料を含み、第2色の色フィルター15はブルー顔料を含み、第3の色の色フィルター16はレッド顔料を含んでいる。
本実施形態では、第1の色の色フィルター14は、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂とを含んでいるが、熱硬化性樹脂の配合量の方が多いことが好ましい。この場合、例えば、固形分中の硬化成分は5質量%以上40質量%以下とし、熱硬化性樹脂を5質量%以上20質量%以下とし、光硬化性樹脂を1質量%以上20質量%以下、好ましくは熱硬化性樹脂を5質量%以上15質量%以下とし、光硬化性樹脂を1質量%以上10質量%以下の範囲とする。
ここで、硬化成分を熱硬化成分のみとする場合には、固形分中の硬化成分は5質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上15質量%以下の範囲とする。
一方、硬化成分を光硬化成分のみとする場合には、固形分中の硬化成分は10質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上20質量%以下の範囲とする。
(隔壁)
隔壁200は、図2のように、隣り合う色フィルター14、15、16のそれぞれの間に介在するようにして構成される。第1の色の色フィルター14の側壁全周に設けられた隔壁200により、第1の色の色フィルター14と、第2、第3の色の色フィルター15、16とのそれぞれを分けることができる。
本実施形態の隔壁200の第2の隔壁18は、第1の色の色フィルター14の側壁が備える連続した凸凹形状に追従するように凸凹形状を備えている。本実施形態の隔壁200は、色フィルター14側で最内面を形成する第1の隔壁13と、色フィルター14から離れた側で最外面を形成する第2の隔壁18で構成されている。隔壁200が3層以上から構成されてもよい。
第1の隔壁13は、可視光を通過する透明層であり、色フィルターよりも低い屈折率を有する。色フィルター層の内、最も低い屈折率は、一般に1.55程度である。したがって第1の隔壁13の屈折率13は、その屈折率は1.2〜1.5が好ましい。
また、第2の隔壁18は、色フィルターよりも高い屈折率を有する高屈折材料を用いて形成される。色フィルター層の内、最も低い屈折率は、1.55程度である。高屈折材料の屈折率は1.8〜3.0が好ましい。
上記のように、第1の隔壁13と第2の隔壁18とがの積層した隔壁構成とすることで、色フィルターとの屈折率差を複数設けることができる。この結果、入射光に対して反射する効果を得やすくなり、効果的な隔壁とすることができる。
また、加えて第2の隔壁18を連続した凸凹形状としたことで、凸凹形状を形成せず第1の隔壁13と第2の隔壁18を平行な隔壁200の場合と比較して、色フィルターを光が通過する際に凸凹形状がレンズ構造として機能して、光を散乱させ光の反射を抑制することが出来る。この結果として光電変換素子11への入射光の受光感度を向上することができる。
第1の隔壁13の材料は、第1の色の色フィルター14に含まれる第1の色の色フィルター用材料及び下層平坦化層12に含まれる材料と、第1の色の色フィルター14を形成する際に用いるドライエッチングガスとの反応生成物を含んでいる。具体的には、第1の隔壁13の材料は、例えば亜鉛、銅、ニッケル、珪素、炭素、酸素、水素、窒素、臭素、塩素から少なくとも一種を含んだ化合物を含んでおり、下層平坦化層12に含まれる化合物が、第1の隔壁に微量に含まれる。
第2の隔壁18の材料は、色フィルターよりも高い屈折率を有する高屈折材料及び、第2の隔壁を形成する際に用いるドライエッチングガスとの反応生成物を含んでいる。高屈折材料は、例えば、タンタル、ルテニウム、タングステン、アルミニウム、銅等の金属若しくはその酸化膜を用いることができる。例示すればCeF、Al、ZrO、TiO及びNbなどを用いることができる。また、高屈折材料は、カーボンブラック樹脂や、チタンブラックを内添加した有機材料であってもよい。
また、色フィルター層を薄膜化するため、第1から第3の色の色フィルター14,15,16に含有する顔料(着色剤)の濃度は、50質量%以上であることが好ましい。
また、第1の隔壁13及び第2の隔壁18からなる隔壁200の形成幅は、200nm以下で形成されている。ここで、隔壁200の幅を200nm以下としているのは、隔壁200の幅が200nmより大きくなると、隔壁200によって光電変換素子11に入射する光が大幅に低減されて受光感度が低減してしまうおそれがあるためである。第1の隔壁13および第2の隔壁18における製造条件の制約の観点から、隔壁200の形成幅の下限値は60nmである。隔壁200の形成幅が60〜200nmの範囲であれば、安定して隔壁を形成でき、効果的に散乱効果を発揮し、斜入射に対して光の向きを変更することが可能となる。
<固体撮像素子の製造方法>
次に、図3から図9を参照して、本実施形態の固体撮像素子の製造方法について説明する。
固体撮像素子の製造方法は、複数の光電変換素子が二次元的に配置された半導体基板上全面に、可視光を透過する層(下層平坦化層)を形成する工程と、
可視光を透過する層の上に第1の色の色フィルター材を塗布し硬化させる工程と、
ドライエッチングで、上記第1の色以外の他の色フィルターパターン形成箇所に位置する、上記可視光を透過する層及びその上の第1の色以外の他の色フィルターを開口し、その際、第1の色の色フィルター形状を、色フィルターの厚さ方向に切断した断面視で、その側面を連続した凸凹形状とする第1の工程と、
上記第1の工程で上記第1の色の色フィルターの層をドライエッチングする際に生じる色フィルター及び上記可視光を透過する層の材料とドライエッチングガスの副生成物とを用いて、上記第1の色の色フィルターの側壁に第1の隔壁を形成する工程と、
上記形成した第1の隔壁の上に、色フィルターよりも屈折率の高い材料を成膜する工程と、を備える。
色フィルターよりも屈折率の高い材料を成膜する際に、第1の色の色フィルターを囲む隔壁の外面形状を断面視で連続した凸凹形状とする。
以下、製造方法について詳説する。
(下層平坦化層の形成工程)
図3(a)に示すように、複数の光電変換素子11を有する半導体基板10を準備し、その表面の色フィルター層形成位置全面に、下層平坦化層12を形成する。
下層平坦化層12は、例えば上述したアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノールノボラック系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スチレン系樹脂及びケイ素系樹脂等の樹脂を一又は複数含んだ樹脂を下部平坦化用材料として塗布し硬化させることで形成する。本実施形態では、下層平坦化層12に有機系樹脂を用いることで、第1の色の色フィルター14以外の色フィルター(第2の色の色フィルター15及び第3の色の色フィルター16)の下層に下層平坦化層12がほぼ無い構造となる。
(第1の色の色フィルター形成工程(第1の工程))
複数の光電変換素子11が二次元的に配置された半導体基板10上に形成した下層平坦化層12の表面に、図3(b)に示すように、第1の色の色フィルター用材料(第一のカラーフィルタ材料)を塗布し、第1の色の色フィルター14を形成する。第1の色の色フィルター用材料は、樹脂材料を主成分とし第1の顔料(着色剤)を分散させた第1の樹脂分散液からなる。
次に、第1の色の色フィルター14の全面に紫外線を照射して、第1の色の色フィルター14を光硬化する、第一のカラーフィルタ加熱硬化処理を行う(図3(c))。本実施形態では、従来手法のように色フィルター用材料に感光性を持たせて露光することで所望のパターンを直接形成する場合と異なり、第1の色の色フィルター14の全面を硬化するため、感光性成分の含有量を低下させても硬化が可能となる。第1の色の色フィルター用材料に光硬化性樹脂を混合しない場合は、この露光工程を実施しなくても良い。
又は、第1の色の色フィルター14を150℃以上300℃以下で熱硬化する、第一のカラーフィルタ加熱硬化処理を行う(図3(c))。より具体的には、170℃以上270℃以下の温度で加熱することが好ましい。固体撮像素子の製造においては、マイクロレンズ30の形成時に100℃以上300℃以下の高温加熱工程が用いられることが多いため、第1の色の色フィルター用材料は、高温耐性があることが望ましい。このため、樹脂材料として、高温耐性のある熱硬化性樹脂を用いることがより好ましい。
次に、図3(d)に示すように、第1の色の色フィルター14の表面に、感光性樹脂材料を塗布して乾燥し、感光性樹脂層17を形成する。
次に、図4(e)に示すように、感光性樹脂層17に対してフォトマスク(図示せず)を用いて第1の色の色フィルター14を形成しない位置に相当する第1の色の色フィルター14の領域を露光し、必要なパターン以外が現像液に可溶となる化学反応を起こす。
次に、図4(f)に示すように、現像により感光性樹脂層17の不要部(露光部)を除去する。これにより、開口部を有するエッチングマスク17aが形成される。開口部の位置には、後の工程で第2の色の色フィルター又は第3の色の色フィルターが形成される。
感光性樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノールノボラック系樹脂、その他の感光性を有する樹脂を単独で又は複数混合あるいは共重合して用いることができる。感光性樹脂層をパターニングするフォトリソグラフィプロセスに用いる露光機は、スキャナー、ステッパー、アライナー、ミラープロジェクションアライナーが挙げられる。また、電子線での直接描画、レーザでの描画等により露光を行ってもよい。なかでも、微細化の必要な固体撮像素子の第1の色の色フィルター14を形成するためには、ステッパーやスキャナーが一般的に用いられる。
この際用いるフォトレジストは、ドライエッチング耐性の高いものが望ましい。ドライエッチング時のエッチングマスク材として用いる場合は、エッチング部材とのエッチング速度である選択比を向上させるために、現像後にポストベークと呼ばれる熱硬化工程が用いられることが多い。しかし、熱硬化工程が含まれると、ドライエッチング後に、エッチングマスクとして用いた残留レジストの除去工程での除去が困難となることがある。このため、フォトレジストとしては、熱硬化工程を用いなくてもエッチング部材との間で選択比が得られるものが好ましい。また、良好な選択比が得られない場合、フォトレジスト材料の膜厚を厚く形成する必要があるが、厚膜化すると微細パターン形成が困難となる。このため、フォトレジストとしては、ドライエッチング耐性が高い材料が好ましい。
具体的には、エッチングマスクである感光性樹脂材料とドライエッチングの対象である第1の色の色フィルター用材料のエッチング速度比(選択比)は、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましい。この選択比があれば、エッチングマスク17aを全て消滅させることなく、色フィルター14をエッチングすることが可能である。第1の色の色フィルター用材料の膜厚が0.2μm以上0.7μm以下程度の場合、感光性樹脂層の膜厚は、0.5μm以上2.0μm以下程度であることが望ましい。
次に、ドライエッチングガスを用いたドライエッチングにより、図5(g)に示すように、開口部から露出する第1の色の色フィルター14以外の部分を除去すると共に、第1の隔壁13を形成する。
ドライエッチングの手法としては、例えば、ECR、平行平板マグネトロン、DRM、ICP、あるいは2周波タイプのRIE(Reactive Ion Etching)等が挙げられる。エッチング方式については、ボッシュプロセスと呼ばれる方法が好ましい。ボッシュプロセスは、SF6ガス等のエッチングガスを用いて厚み方向にプラズマエッチング工程と、C4F8ガス等の堆積ガスを用いてフロロカーボン系ポリマーを保護膜としてエッチング面に堆積させるプラズマデポジションの工程を交互に繰り返すプロセスである。
ドライエッチング時のプラズマ密度、圧力、温度、使用するガス、エッチングバイアス等を適宜選択して、第1の色の色フィルター14の断面視での側壁部の形状を連続した凸凹形状にすることが可能である。例えば、第1の色の色フィルターをエッチングするエッチング用ガスで等方性ドライエッチングを行うステップと、エッチングされることにより形成される反応生成物を生成する側壁保護用ガスで側壁保護膜を形成するステップを交互に繰り返し行う。その際、等方性ドライエッチングのステップと側壁保護膜を形成するステップの各ステップ時間を短くすることで、凸凹形状の第1の色の色フィルター14が形成される。図5(g)に示す断面視で、凸凹形状のピッチP及び幅Wとなる最大高さと底面との高低差は、可視光の波長以下であることが好ましく、50nm〜200nmである。
(隔壁形成工程(第2の工程))
またこのとき、図5(g)に示すように、第1の色の色フィルター14及び下層平坦化層12をドライエッチングする際に生成される反応生成物を、最終的に各色フィルター14,15,16のそれぞれの間に設けられる隔壁200の内、最内層である第1の隔壁13を第1の色の色フィルター14の側面に形成する。第1の隔壁13は、第1の色の色フィルター用材料及び下層平坦化層材料とドライエッチングガスとの反応生成物により形成される。この際、異方性のあるエッチングを行う場合は、ドライエッチングによる反応生成物が第1の色の色フィルター14の側壁へ付着して形成される側壁保護層の制御が重要となる。この際、第1の色フィルター側壁部の凸凹形状に追従して第1の隔壁13は形成される。
ドライエッチングにおいてイオンによる物理的衝撃を用いた反応により、スパッタリング効果で反応生成物の側壁への堆積量(付着量)を増加させることが可能となる。例えば使用するドライエッチング用ガスとしては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、及びキセノン(Xe)等の希ガスが考えられ、特にArやHeが望ましい。
(エッチングマスクパターン除去工程)
次に、残存しているエッチングマスク17aの除去を行う(図5(h)参照)。エッチングマスク17aの除去には、例えば薬液や溶剤を用いることで第1の色の色フィルター14に影響を与えず、エッチングマスク17aを溶解、剥離する除去方法が挙げられる。
エッチングマスク17aを除去する溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸ブチル、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤を単独又は、複数を混合した混合溶剤が用いられる。また、この際用いる溶剤は、色フィルター用材料に影響を与えないものであることが望ましい。色フィルター用材料に影響を与えないのであれば、酸系の薬品を用いた剥離方法でも問題ない。
また、溶剤等のウェットプロセス以外の除去方法も用いることができる。光励起や酸素プラズマを用いたレジストの灰化技術であるアッシング技術を用いる方法により、エッチングマスク17aを除去することができる。また、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。例えば、始めに、光励起や酸素プラズマによる灰化技術であるアッシング技術を用いて、エッチングマスク17aの表層のドライエッチングによる変質層を除去した後、溶剤等を用いたウェットエッチングにより残りの層を除去する方法が挙げられる。また、第1の色の色フィルター用材料にダメージの無い範囲であれば、アッシングのみでエッチングマスク17aを除去しても構わない。また、アッシング等のドライプロセスだけでなく、CMPによる研磨工程等を用いても良い。以上のようにして、図5(h)に示すように、隔壁13を備えた第1の色の色フィルター14が形成される。
(隔壁形成工程(第3の工程))
次に、図6(i)に示すように、第2の隔壁18を形成するために、高屈折材料18aとして、窒化シリコン、タングステン、アルミニウム、銅等の金属若しくはその酸化膜を、スプレー法、塗布法、CVD法などの化学的作製法と真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法などの物理的作製方法で形成する。化学的作製方法は、塩化物の加水分解や、有機化合物の熱分解反応により作製する方法である。また、高屈折材料18aはこれらの材料を含んだ物質の塗布、加熱硬化などで形成しても良い。
第1の色の色フィルター14及び第1の隔壁13をパターン形成した半導体基板10の表面全面に、高屈折材料18aを形成した場合、半導体基板10の電極部分なども覆っているため、図6(j)のように、第1の色の色フィルター14上部や電極部分及び第2、第3の色の色フィルターに該当する箇所の高屈折材料18aを除去する必要がある。
高屈折材料18aの部分的な除去方法としては、ドライエッチングやウェットエッチングなどの除去方法を用いることや、リフトオフ法などの事前に除去可能な材料で埋めておく方法などの公知の方法が使用できる。本形態ではドライエッチングを用いて除去する。第2の隔壁18は、高屈折材料18aとドライエッチングガスとの反応生成物が、第1の隔壁の側壁へ付着して形成される。この際、第1の色フィルター側壁部、及び第1の隔壁13の凸凹形状に追従して第2の隔壁18は形成される。第2の隔壁形成において、側壁保護層の制御が重要となる。
エッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)、塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。塩素を含有するガスを用いてエッチングを行うことで、塩素を含有しないガスを用いる場合と比較して、エッチングの面内ばらつきを低減することができるためである。
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四フッ化炭素(CF)、フッ化硫黄(SF)、フッ化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
以上の第1から第3の工程により、ドライエッチングによって発生する反応生成物により形成された第1の隔壁13と高屈折材料からなる第2の隔壁18とを備えた隔壁200が形成される。
また、高屈折率を有する第2の隔壁18により光閉じ込め効果を発揮し、更に第1の隔壁13は、第2の隔壁18の保護膜としての機能と、第2の隔壁18の吸収を抑制する効果を発揮する。このように、隔壁200を低屈折と高屈折の2層構成とすることで他色からの漏れ光及び移染を抑制することによって、混色抑制効果となる。
(第2以降の色フィルターのパターンの形成工程について(第4の工程))
次に、図7及び図8に示すように、第1の色の色フィルター14とは異なる色を含む第2、第3の色の色フィルター15、16を形成する。
第1の色の色フィルター14及び隔壁200のパターンをガイドパターンとすると共に、第2、第3の色の色フィルター15、16に光硬化性樹脂を含んだ感光性色フィルター用材料を用いて形成し、従来手法で選択的に露光してパターンを形成する手法である。
まず図7(a)に示すように、第1の色の色フィルター14及び隔壁200をパターン形成した半導体基板10の表面全面に、第2の色の色フィルター用材料として感光性色フィルター用材料を塗布、乾燥を行い第2の色の色フィルター層15aを形成する。この際用いる感光性色フィルター用材料は、光照射により硬化するネガ型の感光性成分を含有する。
次に、図7(b)に示すように、第2の色の色フィルター15を形成する部分に対して、フォトマスクを用いて露光を行い、第2の色の色フィルター層15aのパターン領域を選択的に光硬化させて、現像工程で選択的に露光されていない第2の色の色フィルター層15aのパターン領域外(第3の色の色フィルター形成位置)を除去する。次に、図7(c)に示すように露光・現像を行った第2の色の色フィルター層15aのパターン領域と半導体基板10との密着性向上及び実デバイス利用での耐熱性を向上させるために、高温加熱での硬化処理を行うことで第2の色の色フィルター層15aを硬化させる。これにより、第2の色の色フィルター15のパターンを形成する。この際、硬化に用いる温度は、200℃以上が好ましい。
次に、図8(d)に示すように、第3の色の色フィルター用材料を半導体基板10の全面に塗布、乾燥を行う。すなわち第2の色の色フィルター層15aのパターン領域外の全面に第3の色の色フィルター用材料を塗布して、第3の色の色フィルター層16aを形成する。次に、図8(e)に示すように、第3の色の色フィルター層16aのうちの第3の色の色フィルター16を形成するパターン領域を選択的に露光し、第3の色の色フィルター層16aを光硬化させて、現像によって露光されていない第3の色の色フィルター層16aのパターン領域外を除去する。次に、図8(f)のように、露光・現像を行った第3の色の色フィルター層16aの一部と半導体基板10との密着性向上及び実デバイス利用での耐熱性を向上させるために、高温加熱での硬化処理を行うことで第3の色の色フィルター層16aを硬化させる。これにより、第3の色の色フィルター16を形成する。
なお、この第2の色の色フィルター15以降のパターン形成工程を繰り返すことで、所望の色数の色フィルターを形成することが可能である。
(マイクロレンズ形成工程について(第5の工程))
次いで、図9(a)に示すように、形成された色フィルター14,15,16及び隔壁200上に上層平坦化層19を形成する。上層平坦化層19は、例えばアクリル系樹脂等の樹脂材料を一つ又は複数含んだ樹脂を用いて形成することができる。複数色の各色フィルター14,15,16及び隔壁200上に樹脂材料を塗布して加熱により硬化することで、上層平坦化層19を形成することができる。また、上層平坦化層19は、例えば酸化物又は窒化物等の化合物を用いて形成することができる。この場合、上層平坦化層19は、蒸着、スパッタ、CVD等の各種の成膜方法により形成することができる。
最後に、図9(b)に示すように、上層平坦化層19上に、マイクロレンズ30を形成する。マイクロレンズ30は、熱フローを用いた作製方法、グレートーンマスクによるマクロレンズ作製方法、ドライエッチングを用いた上層平坦化層19へのマイクロレンズ転写方法等の公知の技術により形成される。
上層平坦化層19の膜厚は、例えば1nm以上300nm以下である。好ましくは100nm以下、より好ましくは60nm以下である。
以上の工程により、本実施形態の固体撮像素子1が完成する。
以下、本発明の固体撮像素子及び従来法による固体撮像素子について、実施例により具体的に説明する。
<実施例1>
半導体基板上に、珪素系樹脂を含む塗布液を回転数2000rpmでスピンコートし、ホットプレートにて200℃で20分間の加熱処理を施して樹脂を硬化した。これにより、半導体基板上に下層平坦化層を形成した。この際の下層平坦化層の膜厚は100nmで、可視光の透過率は91%、屈折率は1.30であった。
次に、1色目であるグリーンの顔料を含む第1の色の色フィルター用材料として、感光性硬化樹脂と熱硬化性樹脂を含ませたグリーン顔料分散液を1000rpmの回転数でスピンコートした。この1色目の色フィルター用材料のグリーンの顔料には、カラーインデックスにてC.I.PG58を用いており、その顔料濃度は70質量%、膜厚は500nmであった。
次に、グリーンフィルター用材料の硬化を実施するため、i線の露光装置であるステッパーを用いて全面の露光を行い、感光性成分の硬化を実施した。この感光性成分の硬化により、グリーンフィルターの表面の硬化を実施した。続いて、ホットプレートを用いて230℃で6分間ベークを行い、グリーンフィルターの熱硬化を行った。
次に、ポジ型レジスト(OFPR−800:東京応化工業株式会社製)を、スピンコーターを用いて1000rpmの回転数でスピンコートした後、90℃で1分間プリベークを行った。これにより、エッチングマスクとなるポジ型レジストを膜厚1.5μmで塗布したサンプルを作製した。
このサンプルに対して、フォトマスクを介して露光するフォトリゾグラフィーを行った。露光装置は光源にi線の波長を用いた露光装置を用いた。ポジ型レジストは、紫外線照射により、化学反応を起こして現像液に溶解するようになった。
次に、2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)を現像液として用いて現像工程を行い、第2及び第3の色の色フィルターを形成する箇所に開口部を有するエッチングマスクを形成した。ポジ型レジストを用いる際には、現像後脱水ベークを行い、ポジ型レジストの硬化を行うことが多い。しかしながら、今回はドライエッチング後のエッチングマスクの除去を容易にするため、ベーク工程を実施しなかった。そのため、レジストが硬化せず選択比の向上が見込めないため、レジストの膜厚をグリーンフィルターである第1の色の色フィルターの膜厚の2倍以上である、1.5μmの膜厚で形成した。この際の開口部パターンは、1.1μm×1.1μmで形成した。
これにより、ポジ型レジストを用いたエッチングマスクパターンを形成した。
次に、形成したエッチングマスクパターンを用いて、グリーンフィルター層のドライエッチングを行った。この際、用いたドライエッチング装置は、ICP方式のドライエッチング装置を用いた。また、断面形状を凸凹形状にするため、途中でドライエッチング条件の変更を行い、ドライエッチングを多段階で実施した。SEMを用いてグリーンフィルターパターンの断面形状を確認したところ、凸形状となっていた。このときの隔壁幅W(凸凹の最大高さと底辺の高低差)は50nm、ピッチP(隣り合う凸形状間のピッチ幅)は100nmであった。
また、上記ドライエッチングの際に、グリーンフィルターパターンの側壁にグリーンフィルター用材料及び下層平坦化層である珪素系樹脂と、ドライエッチングガスとの反応生成物を含んだ第1の隔壁を形成した。第1の隔壁はドライエッチング条件の時間調整で、隔壁の寸法(横幅)を制御可能である。反応生成物による第1の隔壁の寸法は25nmであった。また、SEMを用いてグリーンフィルターパターンと第1の隔壁を含む断面形状を確認したところ、凸形状が連続した凸凹形状となっていた。
次に、エッチングマスクとして用いたポジ型レジストの除去を行った。この際用いた方法は溶剤を用いた方法であり、剥離液104(東京応化工業株式会社製)を用いてスプレー洗浄装置でポジ型レジストの除去を行った。
次に、上記第1の隔壁を備えるグリーンフィルター上に、高屈折材料として屈折率1.9を有する酸化アルミニウム膜をマグネトロンスパッタリング法によって、50nmの膜厚で成膜した。次に半導体基板の電極部分及び第2、3に該当する箇所を開口するために、塩素と三塩化ホウ素の混合を用いて、ドライエッチングを実施して、上記グリーンフィルターの側壁に追従するように第2の隔壁を形成した。第2の隔壁の寸法は25nmであった。SEMを用いて1画素の断面形状を確認したところ、グリーンフィルター及び第1及び第2の隔壁を有する画素は凸形状が連続した凸凹形状となっていた。
(第2の色の色フィルターの作製)
次に第2の色の色フィルター形成工程を行った。第2の色の色フィルターを設けるべく顔料分散ブルーを含有している感光性を有したブルーレジストを半導体基板全面に塗布した。
次に、フォトリソグラフィによりブルーレジストを選択的に露光して、現像を行い、ブルーフィルターパターンを形成した。このとき、ブルーレジストに用いた顔料は、それぞれカラーインデックスにてC.I.PB156、C.I.PV23であり、顔料濃度は50質量%であった。また、ブルーフィルターの膜厚は600nmであった。また、ブルーレジストの主成分である樹脂としては、感光性を持たせたアクリル系の樹脂を用いた。
次に、ブルーフィルター層を強固に硬化させるため、ホットプレートを用いて230℃で6分間ベークを行い、硬化した。この加熱工程を経た後は、第3の色の色フィルター形成工程等の工程を経ても、剥がれや、パターンの崩れ等が確認されなかった。ブルーフィルターは周囲をグリーンフィルター及び隔壁に覆われており、底面及び周囲との間で密着性良く硬化することが確認された。
(第3の色の色フィルターの作製)
次に第3の色の色フィルター形成工程を行った。第3の色の色フィルターを設けるべく顔料分散レッドを含有している感光性を有したレッドレジストを半導体基板全面に塗布した。
次に、フォトリソグラフィによりレッドレジストを選択的に露光して、現像を行い、レッドフィルターパターンを形成した。このとき、レッドレジストに用いた顔料は、それぞれカラーインデックスにてC.I.PR254、C.I.PY139であり、顔料濃度は60質量%であった。また、レッドフィルターの膜厚は600nmであった。
次に、レッドフィルター層を強固に硬化させるため、ホットプレートを用いて230℃で6分間ベークを行い、硬化した。この際、第3の色の色フィルターは周囲を矩形性の良いグリーンフィルター及び隔壁に覆われており、底面及び周囲との間で密着性良く硬化することが確認された。
次に、上記の工程で形成した色フィルター上にアクリル樹脂を含む塗布液を回転数1000rpmでスピンコートし、ホットプレートにて200℃で30分間の加熱処理を施して、樹脂を硬化し、上層平坦化層を形成した。
最後に、上層平坦化層上に、上述した公知の技術であるエッチバックによる転写方法を用いてレンズトップからレンズボトムまでの高さを500nmとなるマイクロレンズを形成し、実施例1の固体撮像素子を完成した。
<実施例2>
実施例1における第2に隔壁を形成する高屈折材料を、屈折率2.5を有する亜鉛酸化物へ変更した点以外は、実施例1と同様にして固体撮像素子を作製した。
<実施例3>
実施例1における第1に隔壁を形成する珪素系材料の屈折率を1.5へ変更した点以外は、実施例1と同様にして固体撮像素子を作製した。
<実施例4>
実施例1における第1の色フィルターの側壁部の形状を凹形状が連続して形成される形状に変更した点以外は、実施例1と同様にして固体撮像素子を作製した。
<従来法>
特許文献1に記載の従来法に基づき、フォトリソグラフィプロセスによって各色の色フィルターパターンを形成した。
但し、グリーン、ブルー、レッドの三色の膜厚を700nmと薄膜に設定し、各色の色フィルター全部の下層に透明樹脂層(100nm)を設けた。
その他は、第1実施例と同様にして(但し、凸凹形状に形成しない)、従来法による固体撮像素子を作製した。
(評価)
実施例の固体撮像素子の赤色信号、緑色信号及び青色信号の強度について、従来法のフォトリソグラフィでグリーン、ブルー、レッドの三色の膜厚を700nmで分光特性を合わせた構造で作製した固体撮像素子の赤色信号、緑色信号及び青色信号の強度と比較評価をした。
以下の表1に実施例1から4に係る固体撮像素子における各色の信号強度の評価結果を表1に示す。表1に示す数値は、実施例1から4に係る固体撮像素子における各色の信号強度を従来法における固体撮像素子における各色の信号強度で規格化された値である。
Figure 2020202497
表1に示すように、ドライエッチング法を用いて、グリーンフィルターを薄膜化及び側壁部を連続した凸凹形状を形成して、隔壁を2層構成として形成した実施例1から実施例4の固体撮像素子では、従来法のフォトリソグラフィで形成した場合と比較して、各色の信号強度が増加した。これは、隔壁により、画素の斜め方向からの入射光がカラーフィルターを通過して他のカラーフィルターパターンに向かう場合に、隔壁により入射が遮られるか、又は光路が変わるためである。このため、他のカラーフィルターパターンに向かう光が他の光電変換素子に入射することが抑制され、混色が抑制される。
また、側壁部が凸凹形状であるため、光の再入射光が散乱され、光電変換素子に入射することが抑制され、フレア、ゴーストの発生が抑制される。
実施例1から4の作製方法でOCF形成後に分光特性の評価をした結果、分光特性の変化は観察されなかった。これは、実施例1から3の熱硬化及び光硬化により、薄膜化したグリーンフィルターを十分に硬化しており、溶剤耐性を満たしていることを示している。薄膜化したグリーンフィルターでフォトリソグラフィ形成のグリーンフィルター膜厚(700nm)と同等の色分光を行うために、顔料含有率の高いグリーンフィルター用材料を使用したが分光特性の変化は発生せず、薄膜化の効果によりマイクロレンズトップからデバイスまでの距離が短くなりグリーンの信号強度が増加した。
また、薄膜化によっても斜め方向からの入射光が色フィルターを通過して他の色フィルターパターンに向かう確率が低下し、他の色フィルターパターンに向かう光が他の光電変換素子に入射することが抑制され、混色を抑制したため信号強度が増加した。
10・・・半導体基板
11・・・光電変換素子
12・・・下層平坦化層
13・・・第1の隔壁
14・・・第1の色の色フィルター(GREEN)
15・・・第2の色の色フィルター(BLUE)
15a 第2の色の色フィルター層
16・・・第3の色の色フィルター(RED)
16a 第2の色の色フィルター層
17・・・感光性樹脂層
17a エッチングマスク
18・・・第2の隔壁
18a 高屈折材料
19・・・上層平坦化層
30・・・マイクロレンズ
100・・・色フィルター層
W・・・凸凹形状の幅
P・・・凸凹形状のピッチ

Claims (4)

  1. 複数の光電変換素子を二次元的に配置した半導体基板上に、光電変換素子に対応した複数の色の色フィルターを具備する固体撮像素子であって、
    隣り合う異なる色の色フィルター間に隔壁を有し、
    上記複数の色から選択した第1の色の色フィルターは、色フィルターの厚さ方向に切断した断面視で、他の色フィルターと対向する側壁に連続した凸凹形状が形成され、
    上記第1の色の色フィルターの側壁に設けられた上記隔壁は、隔壁の厚さ方向に、屈折率の異なる2種類以上の材料が積層されて構成され、且つ、上記第1の色の色フィルターとは反対側の面が、上記断面視で、連続した凸凹形状となっていることを特徴とする固体撮像素子。
  2. 上記第1の色の色フィルターの側壁に形成された凸凹形状は、球面形状、放物線形状、Sin形状、偏心形状、凸形状、凹形状の内、何れか一つの形状が連続して形成された形状であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
  3. 上記第1の色の色フィルターの側壁に形成された凸凹形状は、断面視で、幅方向の最大高さと底辺の高低差である幅、及び凸凹の並びのピッチが、それぞれ50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体撮像素子。
  4. 複数の光電変換素子が二次元的に配置された半導体基板上全面に、可視光を透過する層を形成する工程と、
    可視光を透過する層の上に第1の色の色フィルター材を塗布し硬化させる工程と、
    ドライエッチングで、上記第1の色以外の他の色フィルターパターン形成箇所に位置する、上記可視光を透過する層及びその上の第1の色以外の他の色フィルターを開口し、その際、第1の色の色フィルター形状の側壁を、色フィルターの厚さ方向に切断した断面視で連続した凸凹形状とする第1の工程と、
    上記第1の工程で上記第1の色の色フィルターの層をドライエッチングする際に生じる色フィルター及び上記可視光を透過する層の材料とドライエッチングガスの副生成物とを用いて、上記第1の色の色フィルターの側壁に第1の隔壁を形成する工程と、
    上記形成した第1の隔壁の上に、色フィルターよりも屈折率の高い材料を成膜する工程と、を備え、
    色フィルターよりも屈折率の高い材料を成膜する際に、第1の色の色フィルターを囲む隔壁の外面形状を断面視で連続した凸凹形状とすることを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
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