JP2020201898A - 生活習慣病予防改善支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】生活習慣病を予防改善するための目標を検討する際に、対象者に適した目標を提案することができ、対象者が生活習慣を見直すための契機を提供する。【解決手段】情報処理端末、情報処理装置及び保存部を備える生活習慣病予防改善支援システムであって、前記保存部は(a)性格問診項目(b)生活習慣問診項目(c)行動目標(d)前記行動目標ごとの臨床的な効果の度合い(e)対象者情報を有し、前記情報処理装置は、前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として前記保存部から抽出し、前記第1の行動目標の中から前記対象者により選択された行動目標を第2の行動目標として前記保存部に設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、生活習慣病予防改善支援システムに関する。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、食生活の乱れや運動不足などが原因で引き起こされる。生活習慣病になると、食事制限や投薬治療などを強いられるだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などの命の危険が生じることもある。
しかし、身に付いた生活習慣を改善することは非常に難しく、また、改善した生活習慣を維持していくことは非常に難しい。生活習慣病を予防、改善するための技術として例えば以下の技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、対象患者に類似した参照患者を抽出し、参照患者の情報を対象患者に表示する生活習慣病改善支援システムが開示されている。特許文献1では、生活習慣改善を行う動機づけを提供することができるとしている。
また、特許文献2では、肥満に関する事項について患者の解釈を取得し、解釈が誤りである場合、正しいとされる情報を含む認知行動療法情報を提供する肥満患者のためのプログラムが開示されている。特許文献2では、患者の肥満状況に応じて、療法の選択、療法の実行タイミングを変更でき、長期にわたって肥満治療を受けることができるとしている。
特許第6173316号公報 特開2017−45254号公報
しかしながら、従来技術は生活習慣病を改善する動機づけや認知行動療法情報を患者に対して提供するものであるが、患者の情報を把握することが十分ではなく、提供した情報がその患者に適したものでない場合がある。そのため、医療スタッフが患者と対面で聞き取りを行った後に指導や情報を提供する手法に劣ることが多い。しかし、糖尿病をはじめとする生活習慣病は、薬物のみならず食事、身体活動の生活習慣への介入が重要であるが、患者の生活習慣の把握は容易ではなく、特に食習慣については、聞き取りでは詳細な内容を把握することが難しい。また、患者の生活習慣は性格に影響されることが多く、性格や生活習慣を把握しきれていないと、その患者に適した目標であって生活習慣病の予防改善に有効な目標を提示や提案することが難しい。
そこで、本発明は、生活習慣病を予防改善するための目標を検討する際に、対象者に適した目標を提案することができ、対象者が生活習慣を見直すための契機を提供する生活習慣病予防改善支援システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の生活習慣病予防改善支援システムは、
対象者によって操作される情報処理端末と、
前記情報処理端末と通信可能な情報処理装置と、
前記情報処理装置の内部又は外部に備えられた保存部と、を備える生活習慣病予防改善支援システムであって、
前記保存部は、
(a)前記対象者の性格を分析するための性格問診項目、
(b)前記対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目、
(c)生活習慣病を予防改善するための行動目標、
(d)前記行動目標ごとの臨床的な効果の度合い、及び、
(e)前記対象者に関する対象者情報
を有し、
前記情報処理端末は、前記性格問診項目及び前記生活習慣問診項目を前記情報処理装置から受け取り、前記対象者により回答された前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答を前記情報処理端末に送信し、
前記情報処理装置は、
前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として前記保存部から抽出する抽出部と、
前記第1の行動目標の中から前記対象者により選択された行動目標を第2の行動目標として前記保存部に設定する設定部と、
前記性格問診項目、前記生活習慣問診項目、前記性格問診項目の回答、前記生活習慣問診項目の回答、前記第1の行動目標、前記第2の行動目標、及び、前記対象者によって選択された行動目標を、前記情報処理端末に送信又は前記情報処理端末から受信する送受信部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、生活習慣病を予防改善するための目標を検討する際に、対象者に適した目標を提案することができ、対象者が生活習慣を見直すための契機を提供することができる。
本発明の生活習慣病予防改善支援システムの一例における構成図である。 本発明の生活習慣病予防改善支援システムの他の例における構成図である。 情報処理端末における生活習慣問診項目の表示例を示す図である。 行動目標ごとの臨床的な効果の度合いの一例を示す図である。 情報処理装置の一例における機能構成を説明するための図である。 情報処理端末における行動目標の選択をする際の表示の一例を示す図である。 情報処理端末における継続情報の表示の一例を示す図である。
以下、本発明に係る生活習慣病予防改善支援システムについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
(第1の実施形態)
本発明に係る生活習慣病予防改善支援システムの一実施形態について説明する。本実施形態では、性格分析と生活習慣分析を対象者に行い、その結果に基づいて、対象者に適した行動目標を提示する。
本実施形態の生活習慣病予防改善支援システムは、
対象者によって操作される情報処理端末と、
前記情報処理端末と通信可能な情報処理装置と、
前記情報処理装置の内部又は外部に備えられた保存部と、を備える生活習慣病予防改善支援システムであって、
前記保存部は、
(a)前記対象者の性格を分析するための性格問診項目、
(b)前記対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目、
(c)生活習慣病を予防改善するための行動目標、
(d)前記行動目標ごとの臨床的な効果の度合い、及び、
(e)前記対象者に関する対象者情報
を有し、
前記情報処理端末は、前記性格問診項目及び前記生活習慣問診項目を前記情報処理装置から受け取り、前記対象者により回答された前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答を前記情報処理端末に送信し、
前記情報処理装置は、
前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として前記保存部から抽出する抽出部と、
前記第1の行動目標の中から前記対象者により選択された行動目標を第2の行動目標として前記保存部に設定する設定部と、
前記性格問診項目、前記生活習慣問診項目、前記性格問診項目の回答、前記生活習慣問診項目の回答、前記第1の行動目標、前記第2の行動目標、及び、前記対象者によって選択された行動目標を、前記情報処理端末に送信又は前記情報処理端末から受信する送受信部と、を備えることを特徴とする。
本実施形態の生活習慣病予防改善支援システムは、生活習慣病の予防のために用いられてもよく、生活習慣病の改善のために用いられてもよく、又は、生活習慣病の予防及び改善のために用いられてもよい。
生活習慣病としては、生活習慣に起因した疾病が挙げられ、例えば、糖尿病(特に2型糖尿病)、糖尿病性腎症、高血圧、肥満症等が挙げられる。
本実施形態において、対象者(ユーザーなどとも称する)としては、生活習慣病を予防及び/又は改善を望む者が挙げられ、生活習慣病を予防及び/又は改善を望む者本人が情報処理端末を操作することが想定されるが、これに限られるものではない。例えば、生活習慣病を予防及び/又は改善を望む者の家族、友人等が情報処理端末を操作してもよく、生活習慣病を予防及び/又は改善を望む者の生活指導を行う者等が情報処理端末を操作してもよい。
図1に、本実施形態の生活習慣病予防改善支援システムを示す。以下、本実施形態の生活習慣病予防改善支援システムを単にシステムと称することがある。
本実施形態のシステムは、情報処理装置10、ユーザーによって操作され、情報処理装置10と通信可能な情報処理端末12、情報処理装置10の内部又は外部に備えられた保存部14を備えている。
図1では、保存部14は情報処理装置10の外部に備えられている。情報処理装置10、情報処理端末12、保存部14はネットワーク20によって通信可能となっている。
<情報処理装置>
情報処理装置10としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(外部送受信用インターフェース)、HDD(Hard Disk Drive)等を備える。機能構成や処理については後述する。
<情報処理端末>
情報処理端末12は、性格問診項目及び生活習慣問診項目を情報処理装置10から受け取り、対象者により回答された性格問診項目の回答及び生活習慣問診項目の回答を情報処理端末に送信する。
情報処理端末12としては、例えば、PC、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。中でも、PCやスマートフォンが好ましい。情報処理端末12としては、情報を送受信する手段と、情報を表示する手段を有することで本システムを実施することができる。
<保存部>
保存部14としては、例えば、メモリやハードディスク等が挙げられるが、特に制限されるものではない。本実施形態の保存部14は、通信ネットワーク20を介して、情報処理装置と接続されている。本実施形態においては、このような構成に限られるものではなく、情報処理装置と直接接続されていてもよい。
また、図2に示されるように、情報処理装置10の内部に備えられていてもよい。また、保存部14は、1つの装置、機器、部材等を保存部として用いられてもよいし、複数の装置、機器、部材等からなる構成であってもよい。
本実施形態の保存部14は、
(a)対象者の性格を分析するための性格問診項目、
(b)対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目、
(c)生活習慣病を予防改善するための行動目標、
(d)行動目標ごとの臨床的な効果の度合い、及び、
(e)対象者に関する対象者情報
を有しており、必要に応じてその他の情報を有していてもよい。
(a)対象者の性格を分析するための性格問診項目
対象者の性格を分析するための性格問診項目としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。
対象者の性格を分析する手法によっても適宜変更される。例えば、書籍「頑張らなくてもやせられる!メンタルダイエット」(木村穣)に挙げられている項目を用いてもよい。
対象者の性格を分析する手法としては、特に制限されるものではなく、公知の手法を用いることができるが、例えば、交流分析法が挙げられる。
交流分析法は、アメリカの精神科医エリック・バーン氏が創案したパーソナリティ理論である。交流分析法では、「親」、「大人」、「子ども」という3つの人格をベースにし、親と子どもは2つに分けて、計5つのタイプに分類する。5つのタイプとしては、批判的な親(クリティカルペアレント、CP)、保護的な親(ナーサリングペアレント、NP)、合理的な大人(アダルト、A)、自由な子ども(フリーチャイルド、FC)、従順な子ども(アダプテッドチャイルド、AC)が挙げられる。
交流分析法を用いる場合、性格問診項目として、対象者が上記5つのどのタイプに分類されるかを判定するための質問項目が挙げられる。例えば、「時間を守らないことが嫌だ」、「人の気持ちが感情を理解する方だ」、「物事を分析し、事実に基づいて考える」などの質問が挙げられる。また、CP、NP、A、FC、ACのどのタイプに分類されるかだけでなく、それぞれのタイプの傾向がどの程度強いか、弱いか等の分析を行ってもよい。
また、上記5つのタイプをグラフ化して分析する手法であるエゴグラムにより対象者の性格を分類してもよい。例えば、5つのタイプを得点化し、左からCP、NP、A、FC、ACの順に並べて棒グラフにより表し、その形を分析するものである。その形が例えばW型、U型、N型である場合、ストレスをためやすい傾向があり、食べ物を食べてストレスを解消する傾向がある。
また、思い込みをよく行う性格か否かを判定するための質問項目を含めてもよい。肥満解消のためのダイエットに失敗した経験があると、自分はやせにくい体質であると思い込んでしまう傾向がある。このような傾向の人物である場合、生活習慣病を予防改善するための目標を設定しても、達成できなかったり、継続できなかったりする可能性が高い。
また、前向きな性格であるか否かを判定するための質問項目を含めてもよい。前向きな性格である場合、目標が達成できなくてもあきらめずに挑戦する傾向がある。一方で、前向きな性格の人物は、目標が達成できない場合、生活習慣病になってもなんとかなるだろうと考えて、生活習慣病の予防改善そのものをやめてしまう傾向があるため、この傾向を考慮した行動目標を提案することが好ましい。
また、ストレスをためやすい性格であるか否かを判定するための質問項目を含めてもよい。ストレスがたまると食べる量が増えたり、ストレス解消のために暴食したりすることがあるため、これを考慮した行動目標を提案することが好ましい。
保存部14に保存される性格問診項目の数としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。
(b)対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目
対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、自炊や外食の頻度、食事の内容、食事をとるタイミング、食事の回数、仕事の勤務時間、仕事の内容、通勤時間・通学時間、通勤手段・通学手段、睡眠時間、間食の有無・種類・タイミング、運動の有無・頻度・量(運動の習慣)、喫煙の有無・頻度・期間、食べる速度、飲み物の種類、ダイエットを行っているか否か、ダイエットの経験、食の好み、食事や運動に関する知識、趣味、家族構成等が挙げられる。
保存部14に保存される生活習慣問診項目の数としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。
図3に、情報処理端末12における生活習慣問診項目の表示例を示す。ここでの例では、問診項目に対して、「1:まったくそう思わない」、「2:あまり思わない」、「3:そう思う」、「4:まったくその通り」から選択する。符号41は選択ボタンであり、ここでは、1〜4のうちの1つのみを選択できるようになっている。
回答結果を情報処理端末12から情報処理装置10に送信するデータの内容としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、上記の例では、「Q1−1」などのように、質問項目番号と回答番号とが対応してわかるような形式とすることができる。
(c)生活習慣病を予防改善するための行動目標
生活習慣病を予防改善するための行動目標としては、適宜変更することができ、例えば、食生活に関する目標、運動に関する目標等が挙げられる。
<<食生活に関する目標>>
食生活に関する目標としては、例えば、太りやすい4つの食習慣の観点から行動目標を挙げることができる。下記の4つのタイプは、性格問診項目や生活習慣問診項目により分析された対象者の性格や生活習慣により分類することができる。
(1)知識・認識不足型
生活習慣病を予防・改善するための食習慣の知識や認識が不足している場合、無意識に太りやすい食生活を送っていると考えられる。このタイプの目標としては、生活習慣病を予防・改善するために必要な栄養素などの知識を身に付けることが目標として挙げられる。例えば、本実施形態のシステムにより、必要な栄養素などに関する情報を提供し、ユーザーに理解を促すことが挙げられる。
この他にも、書籍やネットなどを挙げ、ユーザーに知識を蓄積させることが挙げられる。
また、ファストフードや飲酒なども生活習慣病を招くおそれがあるが、このような認識をしていない場合もあるため、生活習慣病を予防・改善していくにはどうすればいいのかを認識することを目標とする。
(2)早食い・大食い型
早食い・大食いはどちらも肥満を招く。このタイプの目標としては、例えば、1回の食事で30分以上時間をかける、1回の食事を○○kcal以内にする等が挙げられる。
(3)食べ物誘惑型
好きなものや甘いもの、新商品などの誘惑により、肥満を招いている場合がある。このタイプの目標としては、例えば、好きなものは日を決めて食べる、食べたいと思っても3日間は我慢する、1回に食べる量は○○kcal以内にする、テレビや雑誌を見ながらお菓子を食べない等が挙げられる。
(4)ストレス解消・暇つぶし型
ストレス解消や暇つぶしのために食べ物を食べると肥満を招く。このタイプの目標としては、例えば、食べたくなったときにする別の行動を用意する、別の行動をすることで気を紛らわす、食べること以外のストレス解消法を見つける、食べたくなったときに水やお茶を飲む等が挙げられる。
<<運動に関する目標>>
運動に関する目標としては、例えば、歩数計をつける、歩数計をつけて1日8000歩を歩く、毎日20分程度のウォーキングをする、コンビニやスーパーは少し遠い店舗を選ぶ、電車やバスをひと駅手前で降りて歩く、オフィスでは階段を使う、テレビを見る際に背すじを伸ばす、休みの日には1日に最低1回は外出する、スポーツジムに通う、ジョギングを20分以上やる等が挙げられる。
(d)行動目標ごとの臨床的な効果の度合い
行動目標ごとの臨床的な効果の度合いとしては、医療機関、施設、家庭等において測定可能な数値を用いることができる。臨床的な効果の度合いに関する項目としては、例えば、体重、血圧、血糖値、HbA1c、尿中微量アルブミン等が挙げられる。その他にも例えば、BMI(Body Mass Index)、体脂肪率、等が挙げられる。
効果の度合いは、例えば、数値化してもよいし、値に応じて大中小の3つの段階に分けてもよい。その他にも、5段階や10段階で分けてもよい。
例えば、体重における効果の度合いとして、「フライや天ぷらなど揚げ物の衣は半分外す」という行動目標を効果の度合い「中」としたとき、「フライや天ぷらなど揚げ物の衣は全部外す」という行動目標を効果の度合いを「大」などとしてもよい。また、「一日2000歩歩く」という行動目標を効果の度合い「小」としたとき、「一日8000歩歩く」という行動目標を効果の度合い「大」などとしてもよい。
行動目標ごとに効果の度合いを決める方法としては、適宜変更することが可能であり、文献に基づいて決めてもよいし、過去の患者に対して実際に行動目標を設定し、各項目がどのように変化するかを記録したデータに基づいて決めてもよい。
図4に、行動目標ごとの臨床的な効果の度合いの一例を説明するための図を示す。図4に示される例では、野菜を食べることに関する行動目標と、その行動目標ごとの臨床的な効果の度合いを示した例である。ここでは、効果の度合いを1〜3の3段階で表している。
また、例えば臨床的な効果の度合いを表す項目ごとに、それぞれ効果の度合いを設定するようにしてもよい。図4では、例として体重の項目と血糖値の項目を挙げている。目的に応じて、どの項目に注目するか適宜変更してもよい。
(e)対象者に関する対象者情報
対象者情報としては、例えば、性格問診項目や生活習慣問診項目の回答結果の他、対象者の年齢、性別、職業、家族構成、居住地などが挙げられる。後述の第2の行動目標や経過情報を対象者情報として保存してもよい。
また、例えば体重、身長、BMI、腹囲、体脂肪率等の対象者の身体的特徴を対象者情報として保存してもよい。なお、対象者の身体的特徴は、性格問診項目や生活習慣問診項目の回答結果として保存してもよい。
<情報処理装置の機能構成>
次に、本実施形態の情報処理装置の機能構成について説明する。
図5に、本実施形態の情報処理装置の機能構成図を示す。本実施形態の情報処理装置10は、抽出部31、設定部32、送受信部33を備える。
−抽出部−
抽出部は、前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として前記保存部から抽出する。
第1の行動目標を抽出する条件や方法は、適宜変更することができる。
例えば性格問診項目の回答に基づいて性格の傾向を分析し、分析した結果により候補となる行動目標を抽出する。なお、本実施形態において、「抽出する」の実施形態としては、第1の行動目標を対象者に提示する際に、優先順位をつける形態も含むものである。
性格問診において、例えば交流分析法を用いた場合、CP(クリティカルペアレント)の傾向が高い対象者は納得するまで行動を起こしにくく、いったん納得すると真面目に取り組む傾向があるため、例えば早い時期に効果が得られる行動目標を抽出するようにしてもよい。また、決められたルールを守り、完璧にこなそうとする傾向があるため、高い効果が得られるが継続が難しい行動目標の場合、継続できない場合が多い。そのため、効果が低くても完璧にこなせる行動目標を抽出することが好ましい。一方、CPの傾向が低い対象者の場合は、ルーズになりがちであるため、日常生活であまり意識せずに取り組める行動目標であることが好ましい。
交流分析法を用いた場合、他にも、NP(ナーサリングペアレント)の傾向が高い対象者の場合、他人と一緒に取り組める行動目標を抽出したり、NPの傾向が低い対象者の場合、一人で取り組める行動目標を抽出したりするようにしてもよい。この他にも、A、FC、ACの傾向によって行動目標の抽出条件を変更することができ、また、交流分析法以外の方法によって対象者の性格を分析した場合にも抽出条件を適宜変更することができる。
また、例えば生活習慣問診項目の回答に基づいて生活習慣の傾向を分析し、分析した結果により候補となる行動目標を抽出する。例えば、食生活に関して、早食い・大食い型の傾向が高い対象者である場合、1回の食事で30分以上時間をかける、1回の食事を○○kcal以内にする、よく噛んで食べる、固い食べ物を一品付ける等の行動目標が挙げられる。
本実施形態では、性格問診項目の回答と生活習慣問診項目の回答をともに考慮して行動目標を抽出することが好ましい。例えば、CPの傾向が高く、早食い・大食い型の傾向が高い対象者である場合、決められたルールを守るような行動目標を抽出するようにし、例えば1回の食事で30分以上時間をかけるという行動目標にすると継続して実行しやすくなる。
上記のように、対象者の性格と生活習慣を合わせて考慮して、対象者が継続して実行可能な行動目標を抽出する。「継続して実行可能」とあるのは、行動目標の種類や行動する頻度などによっても異なるため、一律に規定することは難しいが、例えば1か月、3か月、1年などの所定の期間、継続して実行できる場合であってもよいし、例えば5回、10回などの所定の回数を実行できる場合であってもよい。
また、対象者の性格と生活習慣を合わせて考慮して、臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を抽出する。
臨床的な効果の度合いとしては、上述したように、医療機関、施設、家庭等において測定可能な数値を用いることができる。臨床的な効果の度合いに関する項目としては、例えば、体重、血圧、血糖値、HbA1c、尿中微量アルブミン等が挙げられる。
閾値としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、項目の違いによっても適宜変更される。また、数値が同じでも対象者によって効果の度合いが異なるため、例えば、改善傾向が見られる場合を、臨床的な効果の度合いが閾値以上である場合としてもよい。
対象者の性格問診項目の回答及び生活習慣問診項目の回答に基づいて、臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を抽出する方法としては、適宜変更することが可能であり、例えば、上記のように対象者が継続して実行可能な行動目標を抽出する方法と同様に行うことができる。例えば、CPの傾向が高く、早食い・大食い型の傾向が高い対象者である場合、決められたルールを守るような行動目標を抽出するようにし、例えば1回の食事で30分以上時間をかけるという行動目標にすると体重を減らしやすくなる。
抽出部によって抽出される行動目標、すなわち第1の行動目標は、対象者が継続して実行可能な行動目標であり、かつ、臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標であってもよいし、どちらか一方の条件を満たす行動目標であってもよい。
対象者にとって、どちらの条件が適しているかは一概にいえない場合があり、一律に規定することが難しい。例えば、生活習慣病の予防改善において、臨床的な効果が低いと考えられる行動目標であっても、まずは実行可能な行動目標を設定し、継続して実行することで臨床的な効果が得られるという場合もある。また、例えば、継続して実行することが難しいと考えられる行動目標であっても、臨床的な効果の度合いが高い行動目標を設定し、実行してみることで、効果が得られると対象者が実感した場合、継続して行動していくことにつながる場合もある。
制限されるものではないが、対象者が継続して実行可能な行動目標であり、かつ、臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標とすることが好ましい。すなわち、抽出部は、前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標を前記保存部から抽出した後、該抽出された行動目標のうち、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を前記第1の行動目標とすることが好ましい。この場合、対象者が継続しやすく、臨床的な効果も得られやすいので、生活習慣病の予防改善について大きな効果が期待できる。
上記のような抽出方法は、いわば文献等に基づいて理論的に抽出する方法といえるが、抽出部が行動目標を抽出する条件や方法は、上記の他にも適宜変更することができる。例えば、過去のデータを用いるようにしてもよい。過去のデータとしては、被験者に対して性格問診と生活習慣問診を行い、行動目標を設定して実際に行動した際の結果を記録して作成したものを用いることができる。このような過去のデータを用いて、対象者の性格及び生活習慣が近い傾向の被験者を選び出し、被験者が継続して実行できた行動目標を抽出するようにしてもよい。
過去データとしては、例えば、性格問診項目及び生活習慣問診項目により被験者の性格及び生活習慣を分析し、被験者に対して、保存部が有する行動目標を設定し、実際に被験者が設定された行動目標に沿って行動を行い、どの程度の期間、継続して行動できたか、臨床的な数値がどの程度改善したかを記録したデータが好ましい。このような過去データに基づいて行動目標を抽出することにより、対象者が継続しやすく、臨床的な効果も得られやすいので、生活習慣病の予防改善について大きな効果が期待できる。
抽出部は、前記過去データを用いて機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて第1の行動目標を抽出することが好ましい。従来では、人間である医療スタッフの経験や勘により提案されていた行動目標が機械により一律に提案することができ、提案の精度が向上する。また、人間では気付かなかった相関関係が見出されることもある。例えば所定の性格の人物が所定の行動目標に沿って行動したときに、継続しやすい(もしくは継続しにくい)という特徴が見出されることもある。これにより、対象者により適した行動目標を抽出することができ、より効果的に生活習慣病の予防改善につなげることができる。詳細は後述する。
本実施形態では、抽出部によって抽出された第1の行動目標は情報処理端末に送信され、対象者は第1の行動目標の中から自分にできそうだ、やってみよう、効果がありそうだと思う行動目標を選択することが好ましい。対象者が自ら行動目標を選択することにより、主体性が生まれ、行動を起こしやすくなる。主体性が生じることにより、生活習慣の改善につながりやすくなり、生活習慣が改善されやすくなる。そして、成果が現れると、やればできるという自己効力感が高められ、改善された生活習慣を継続しやすくなる。
行動目標の選択としては、第1の行動目標の一部又は全部を選択することができる。
また、情報処理端末に第1の行動目標を表示する際には、第1の行動目標と合わせて、例えば「この中からやってみたい目標を選択してください」等の選択を促すメッセージを表示するようにしてもよい。
このように対象者によって選択された行動目標を第2の行動目標として、後述の設定部により設定される。
図6に、情報処理端末12における第1の行動目標の表示例を示す。ここで示される例では、第1の行動目標の表示と合わせて、できそうか、できなさそうかを選択する選択ボタン42を設けている。
選択結果を情報処理端末12から情報処理装置10に送信するデータの内容としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、上記の例では、「できる」場合を1とし、「できない」場合を2として、「できる場合」とするには「1−1」などのように目標番号と回答番号とが対応してわかるような形式としてもよい。
なお、情報処理端末に第2の行動目標を表示する場合、対象者が継続して実行しやすい順や臨床的な効果の度合いが期待できる順に並べ替えて表示するようにしてもよい。この場合、例えば「おすすめの目標はこちらです」などのメッセージを表示するようにしてもよい。
−設定部−
設定部35は、前記第1の行動目標の中から前記対象者により選択された行動目標を第2の行動目標として前記保存部に設定する。
設定される行動目標の数は、特に制限されるものではなく、1つでもよいし、複数でもよい。
−送受信部−
送受信部は、前記性格問診項目、前記生活習慣問診項目、前記性格問診項目の回答、前記生活習慣問診項目の回答、前記第1の行動目標、前記第2の行動目標、及び、前記対象者によって選択された行動目標を、前記情報処理端末に送信又は前記情報処理端末から受信する。
また、送受信部32は、保存部14が情報処理装置10の外部に備えられている場合は、保存部14と送受信を行う。
送受信部32としては、送信を行う送信部と、受診を行う受信部が一体となっていてもよいし、別体となっていてもよい。
送受信部32が情報処理端末12に送信する性格問診項目及び生活習慣問診項目の数としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。情報処理端末12を操作する対象者は、性格問診項目及び生活習慣問診項目に対して回答を行うことになるため、性格問診項目及び生活習慣問診項目の数は適宜調整することが好ましい。また、段階を分けて提示(情報処理端末に送信)してもよく、例えば2段階や3段階に分けて回答するようにしてもよい。この他にも、対象者の回答状況に応じて1問ずつ又は数問ずつ連続的に送信してもよいし、1つの問診項目を送信し、それに対する回答を受信するというやり方でもよい。
<実施例1>
本実施形態の一例を説明する。
本例ではまず、情報処理装置の送受信部から情報処理端末に性格問診項目を送信することで対象者に性格問診項目を提示し、対象者からの回答に基づいて対象者の性格を分析する性格分析工程を行う。
次いで、情報処理装置の送受信部から情報処理端末に生活習慣問診項目を送信することで対象者に生活習慣問診項目を提示し、対象者からの回答に基づいて対象者の生活習慣を分析する生活習慣分析工程を行う。なお、情報処理端末から受信した性格問診項目の回答及び生活習慣問診項目の回答は保存部に保存される。
次いで、性格分析工程及び生活習慣分析工程によって得られた対象者の性格及び対象者の生活習慣に基づいて、生活習慣病を予防改善するための行動目標を複数有する保存部から、対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として抽出する抽出工程を行う。
次いで、情報処理装置から情報処理端末に第1の行動目標を送信することで、対象者に第1の行動目標を提示する提示工程を行う。
次いで、対象者が第1の行動目標の中から、できそうだ、やってみようなどと思う行動目標を選択する。選択した結果は情報処理端末から情報処理装置に送信される。
次いで、第1の行動目標の中から対象者により選択された行動目標を第2の行動目標として保存部に設定する設定工程を行う。
本実施形態によれば、ユーザーの性格や生活習慣を考慮した目標を提案することができる。そのため、対象者に適した生活習慣病を予防改善するための目標を提案することができ、対象者が生活習慣を見直すための契機を提供することができる。
また、本実施形態によれば、認知行動療法的アプローチに基づいて、生活習慣病の予防改善を行うことができる。
認知行動療法は、認知療法と行動療法を組み合わせた概念である。対象者の性格の分析や生活習慣の分析を行うことにより、認知療法的なアプローチを行うことができる。また、生活習慣病を予防改善するための行動目標を対象者に提示することで、行動療法的なアプローチを行うことができる。行動目標を対象者に提示することで、生活習慣を変える(改善する)契機となり得るし、更には生活習慣を変える助けにもなる。当然ながら、生活習慣を改善して、改善された生活習慣を継続していくことが好ましいが、行動目標を対象者に提示する段階であっても、認知療法と組み合わせることにより生活習慣病の予防改善効果が期待できる。
そして、認知療法と行動療法を組み合わせることで、生活習慣病の予防改善に非常に優れた効果が期待できる。
また、本実施形態によれば、生活習慣病の予防改善についての指導を遠隔で受けられるという利点がある。従来であれば、生活習慣病の予防改善を望む対象者が病院等の施設に赴き、医師や看護師等の医療スタッフから問診を受け、生活習慣についての指導を受けることになる。このような指導においては、医療スタッフが対象者の性格や生活習慣等を考慮して、その対象者に効果があると考えられる指導を行うことになる。医療スタッフから指導を受けるには、対象者が実際に病院等の施設に赴く必要があるが、僻地であったり、居所の近くに施設がなかったりする場合には、指導を受けることが難しい。
一方、本実施形態によれば、スマートフォンやPCなどの身近なツールを用いて、性格の分析や生活習慣の分析を受けることができ、対象者に適した行動目標が提示されるので、いわば遠隔的に生活習慣の指導を受けることができる。これにより、通院に伴う対象者の負担を減らすことができ、更には医療スタッフの負担を軽減することができる。
また、従来では、医療スタッフにより性格や生活習慣の問診が行われていたが、施設によって性格問診項目や生活習慣問診項目が異なっている場合もあり、一貫した指導を受けることができない場合がある。また、性格や生活習慣を分析する手法も医療スタッフや施設によって異なる場合があり、更には、指導内容も異なる場合があるため、一貫した指導を受けることができない場合がある。一方、本実施形態によれば、一貫した内容に基づいて行動目標を対象者に提案することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る生活習慣病予防改善支援システムの他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
本実施形態において、前記送受信部は、前記情報処理端末から前記第2の行動目標の経過情報を受信する。また、前記設定部は、前記経過情報に基づいて前記第2の行動目標の見直しを行い、見直した結果に基づいて前記第2の行動目標の再設定を行う。
本実施形態のように経過情報を取得することにより、設定された行動目標を見直すことができ、生活習慣病の予防改善をより継続しやすくなる。また、対象者が経過情報を継続的に送信することで、自発的に生活習慣の予防改善を続けることを促すことができる。
経過情報としては、適宜変更することができる。例えば、第2の行動目標を達成できているかについての対象者の自己評価に基づく達成率が挙げられる。
自己評価についての一例を図7に示す。図7では、行動目標の一例である「ごはん、糖類を1食あたり0.5人前にする」という目標に対して、「◎よくできた」、「○まあまあできた」、「△あまりできなかった」、「×できなかった」の4段階で評価する。該当するものを対象者が選び、選択ボタン41にチェックを入れる。必要に応じて、その他の行動目標について評価を行い、送信ボタン(不図示)を押下し、自己評価を送信する。
自己評価に基づく達成率の求め方としては、例えば、上記の自己評価を4段階で行った場合、例えば、「◎」を達成率100%、「○」を達成率75%、「△」を達成率50%、「×」を達成率25%などとしてもよい。また、複数の日において上記の4段階の自己評価を行い、平均化して達成率を求めてもよい。
上記の他にも、対象者が達成率を自ら数値化するようにしてもよい。例えば、0%〜100%の中から数値を選ぶようにしてもよい。
達成率としては、特に限られるものではないが、60%〜90%であることが好ましく、70%〜80%であることがより好ましい。このような範囲である場合、設定された行動目標が適切であるといえる。また、90%以下である場合、適度に挑戦する状況となり、好ましい。例えば達成率が100%である場合、そのユーザーにとって簡単すぎる設定目標であるといえ、場合によってはそこで満足してしまい、継続しなくなることもある。
前記経過情報としては、上記の他にも、前記対象者の体重、血圧、血糖値、歩数、睡眠時間等が挙げられる。
経過情報が体重である場合、目標とする体重、又は、どの程度減らすかを定めて、それに対する達成具合がどうであるかを求めることが好ましい。例えば、1か月で5kg減らすとした目標である場合、1か月で体重を5kg減らすことができれば対象者に適した行動目標であるといえる。また、1か月で体重が1kg減少した場合、見直し対象となる。
経過情報が血圧である場合、例えば、目標とする血圧値に対して、測定した血圧値との比率を求める。また、血圧の求め方としては、医療機関を受診するようにしてもよいし、対象者が自ら行うことができる公知の測定手段を用いてもよい。
血糖値の求め方としては、医療機関を受診するようにしてもよいし、対象者が自ら行うことができる公知の検査手段を用いてもよい。また、血糖値としては、空腹時で測定することが好ましい。血糖値は食事や間食によって値が変わるためである。これを考慮し、血糖値としてはHbA1cの値を用いることが好ましい。HbA1cの値は、食事や間食によっても値が変わらないため、好ましい。
経過情報が血糖値である場合、目標とする血糖値、又は、どの程度減らすかを定めて、それに対する達成具合がどうであるかを求めることが好ましい。例えば、1か月で空腹時の血糖値を10[mg/dl]減らすとした目標である場合、1か月で血糖値を10[mg/dl]減らすことができれば適した行動目標であるといえる。また、1か月で血糖値を5[mg/dl]減らすことができた場合も適した設定内容であるといえる。
経過情報が歩数である場合、例えば、目標とする1日あたりの歩数に対して、実際の歩数との比率を求める。また、歩数の求め方としては、公知の測定手段を用いてもよい。
経過情報が睡眠時間である場合、例えば、目標とする1日あたりの睡眠時間に対して、実際の睡眠時間との比率を求める。
経過情報としては、上記の他にも対象者の食事を撮影した画像が挙げられる。
ユーザーの食事を撮影した画像については、例えば画像認識の技術を用いることが好ましい。画像認識の技術を用いて、生活習慣病を予防・改善できる献立になっているか、必要な栄養素が足りているか等を判断することで、生活習慣病の予防改善に更なる効果が期待できる。また、これにより、食べた方がよい料理や摂取した方がよい栄養素を提案することができ、より生活習慣病を予防・改善できる食事内容を提案することができる。
経過情報を送受信する頻度としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することができ、経過情報の種類によっても異なる。例えば体重の場合、1日1回、決められた時間に測定したものを送受信することが好ましい。血糖値の場合、1日に数回、食事前、食事後などの同じタイミングで測定したものを送受信することが好ましい。
どのような場合に、設定部が経過情報に基づいて第2の行動目標の見直しを行い、再設定するかについては適宜変更することができる。例えば、自己評価に基づく達成率が例えば50%や60%などの所定の値を下回る場合に見直しを行うようにしてもよいし、達成率が例えば90%などの所定の値を上回る場合に見直しを行うようにしてもよいし、所定の期間連続で所定の値を下回るもしくは上回る場合に見直しを行うようにしてもよい。
また、体重などの臨床的な数値が所定の期間を過ぎても改善が見られない場合に見直しを行うようにしてもよい。上記の他にも、食事を撮影した画像について、所定の期間を過ぎても改善が見られない場合に見直しを行うようにしてもよい。
再設定される第2の行動目標の候補としては、適宜変更することが可能であるが、例えば、第2の設定目標の数が複数である場合には、第2の設定目標の数を減らしたものであってもよい。この場合、どの行動目標を減らすかは、対象者に提示し、対象者が選択するようにしてもよい。また、経過情報に基づいて見直しの対象と判断された理由を合わせて表示するようにしてもよい。
その他にも、第1の行動目標の中から、現時点で設定されている第2の行動目標とは別の行動目標を候補として挙げてもよい。この場合、候補として挙げられた行動目標を対象者に提示し、対象者が選択した行動目標を再度、第2の行動目標として設定するようにしてもよい。
経過情報を取得する方法としては、特に制限されるものではなく、例えば対象者が情報処理端末を用いて情報処理装置に送信してもよいし、別の装置を用いてもよく、例えばIoTの技術を用いて取得するようにしてもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る生活習慣病予防改善支援システムの他の実施形態について説明する。
上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
本実施形態において、抽出部は、過去データを用いて機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて第1の行動目標を抽出する。
過去データとしては、例えば、性格問診項目及び生活習慣問診項目により被験者の性格及び生活習慣を分析し、被験者に対して、保存部が有する行動目標を設定し、実際に前記被験者が設定された行動目標に沿って行動を行い、どの程度の期間、継続して行動できたか、臨床的な数値がどの程度改善したかを記録したデータが挙げられる。なお、過去データは例えば保存部に保存しておいてもよい。
本実施形態で用いられる学習済みモデルは、対象者における性格問診項目の回答結果と、生活習慣問診項目の回答結果とを読み込んで、対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を出力するように、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである。
本実施形態で用いられる学習済みモデルは、過去データを用いた教師データにより機械学習を行うことで得られる。
機械学習に用いられる教師データとしては、被験者に対して性格問診項目を用いて問診を行うことにより得られた被験者の被験者性格傾向と、被験者に対して前記生活習慣問診項目を用いて問診を行うことにより得られた被験者の被験者生活習慣と、生活習慣病を予防改善するために被験者に設定した被験者行動目標と、被験者行動目標に対してどの程度の期間、継続することができたかを表す項目と、臨床的な数値がどの程度改善したかを表す項目とを含むことが好ましい。
なお、被験者行動目標に対してどの程度の期間、継続することができたかを表す項目(以下、第1の項目と称する)と、臨床的な数値がどの程度改善したかを表す項目(以下、第2の項目と称する)は、両方含まれていることが好ましいが、どちらか一方でもよい。
本実施形態で用いられる学習済みモデルは、被験者性格傾向及び被験者生活習慣に基づいて被験者行動目標を定めたときに、第1の項目及び/又は第2の項目が高くなるように重み付け係数が定められた例えばニューラルネットワークを有している。なお、ニューラルネットワークに限られるものではなく、適宜変更することが可能であり、またその数も適宜変更することが可能である。
上記のような学習済みモデルを用いることにより、対象者における性格問診項目の回答結果と、生活習慣問診項目の回答結果とを読み込んで、第1の項目及び/又は第2の項目が所定の値よりも高くなる行動目標を出力するようにコンピュータを機能させることができる。これにより、対象者に更に適した生活習慣病を予防改善するための目標を提案することができ、対象者が生活習慣を見直すための契機を提供することができる。
また、本実施形態によれば、上記学習済みモデルを用いることにより、従来では、人間である医療スタッフの経験や勘により提案されていた行動目標が機械により一律に提案することができ、提案の精度が向上する。また、人間では気付かなかった相関関係が見出されることもある。例えば所定の性格の人物が所定の行動目標に沿って行動したときに、継続しやすい(もしくは継続しにくい)という特徴が見出されることもある。これにより、対象者により適した行動目標を抽出することができ、より効果的に生活習慣病の予防改善につなげることができる。
被験者の数、換言すると教師データの数としては、特に制限されるものではないが、多いことが好ましい。多いことにより、機械学習の精度が向上する。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る生活習慣病予防改善支援システムの他の実施形態について説明する。
上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
本実施形態において、抽出部は、過去データを用いた協調フィルタリングにより第1の行動目標を抽出する。また、抽出部は送受信部を介して又は送受信部は対象者に行動目標の提案(レコメンド)を行う。抽出、提案の実施形態としては、対象者に提案する行動目標の優先順位をつける形態も含まれるものである。
過去データとしては、例えば、性格問診項目及び生活習慣問診項目により被験者の性格及び生活習慣を分析し、被験者に対して、保存部が有する行動目標を設定し、実際に前記被験者が設定された行動目標に沿って行動を行い、どの程度の期間、継続して行動できたか、臨床的な数値がどの程度改善したかを記録したデータが挙げられる。なお、過去データは例えば保存部に保存しておいてもよい。
以下、本実施形態における協調フィルタリングの一例を説明する。
まず、上記のような過去データを用い、被験者に対して性格診断及び生活習慣診断を行った結果に基づいて、被験者を性格の観点及び生活習慣の観点からいくつかのグループに分ける。グループ分けとしては、適宜変更することが可能であり、グループの数やグループに属する被験者の数などは適宜変更される。できるだけ、近い傾向の被験者がまとめられていることが好ましい。
次いで、対象者に行った性格問診及び生活習慣問診の結果から、対象者と性格及び生活習慣の傾向が近い被験者が属するグループを選択する。このとき、1つのグループが選択される場合や複数のグループが選択される場合もあるが、特に制限されるものではない。
次いで、対象者と傾向が近い被験者が属するグループにおいて設定された行動目標のうち、継続することができた期間が長かったものや臨床的な数値の改善結果が良かったもの等を抽出する。このときの抽出条件としては、適宜変更することが可能であり、継続して実行可能な行動目標、及び、臨床的な数値の改善が見られた行動目標であってもよいし、両者のうちのどちらか一方であってもよい。前者であることが好ましく、この場合、対象者が継続しやすく、臨床的な効果も得られやすいので、生活習慣病の予防改善について大きな効果が期待できる。
上記のように、行動目標を抽出、提案することにより、対象者に更に適した生活習慣病を予防改善するための目標を提案することができ、対象者が生活習慣を見直すための契機を提供することができる。
上記の「傾向が近い」については、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。性格分析について例えば交流分析法を用いる場合、5つのタイプのどれに属するかによって、近い傾向であるか判断してもよい。また、5つのタイプについてそれぞれの傾向の高さによって判断してもよい。生活習慣については、例えば食事を食べる速度、運動の有無、喫煙の有無などを考慮して近い傾向であるかを総合的に判断してもよい。
協調フィルタリングは、上記の過去データを用いて機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて行うことが好ましい。本実施形態における機械学習及び学習済みモデルについては、上記第3の実施形態と同様とすることができる。ただし、グループ分けの概念等を用いて行う。
10 情報処理装置
12 情報処理端末
14 保存部
20 通信ネットワーク
31 抽出部
32 設定部
33 送受信部
41、42 選択ボタン
上記課題を解決するために、本発明の生活習慣病予防改善支援システムは、
対象者によって操作される情報処理端末と、
前記情報処理端末と通信可能な情報処理装置と、
前記情報処理装置の内部又は外部に備えられた保存部と、を備える生活習慣病予防改善支援システムであって、
前記保存部は、
(a)交流分析法により前記対象者の性格を分析するための性格問診項目、
(b)前記対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目、
(c)生活習慣病を予防改善するための行動目標、
(d)前記行動目標ごとの臨床的な効果の度合い、及び、
(e)前記対象者に関する対象者情報
を有し、
前記情報処理端末は、前記性格問診項目及び前記生活習慣問診項目を前記情報処理装置から受け取り、前記対象者により回答された前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標であり、かつ、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として前記保存部から抽出する抽出部と、
前記第1の行動目標の中から前記対象者により選択された行動目標を第2の行動目標として前記保存部に設定する設定部と、
前記性格問診項目、前記生活習慣問診項目、前記性格問診項目の回答、前記生活習慣問診項目の回答、前記第1の行動目標、前記第2の行動目標、及び、前記対象者によって選択された行動目標を、前記情報処理端末に送信又は前記情報処理端末から受信する送受信部と、を備え
前記抽出部は、下記過去データを用いて機械学習を行うことにより得られた学習済みモ デルを用いて前記第1の行動目標を抽出することを特徴とする。
<<過去データ>>
前記性格問診項目及び前記生活習慣問診項目により被験者の性格及び生活習慣を分析し 、前記被験者に対して、前記保存部が有する行動目標を設定し、実際に前記被験者が設定 された行動目標に沿って行動を行い、どの程度の期間、継続して行動できたか、及び、臨 床的な数値がどの程度改善したかを記録したデータ。

Claims (10)

  1. 対象者によって操作される情報処理端末と、
    前記情報処理端末と通信可能な情報処理装置と、
    前記情報処理装置の内部又は外部に備えられた保存部と、を備える生活習慣病予防改善支援システムであって、
    前記保存部は、
    (a)前記対象者の性格を分析するための性格問診項目、
    (b)前記対象者の生活習慣を分析するための生活習慣問診項目、
    (c)生活習慣病を予防改善するための行動目標、
    (d)前記行動目標ごとの臨床的な効果の度合い、及び、
    (e)前記対象者に関する対象者情報
    を有し、
    前記情報処理端末は、前記性格問診項目及び前記生活習慣問診項目を前記情報処理装置から受け取り、前記対象者により回答された前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答を前記情報処理端末に送信し、
    前記情報処理装置は、
    前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標、及び/又は、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を第1の行動目標として前記保存部から抽出する抽出部と、
    前記第1の行動目標の中から前記対象者により選択された行動目標を第2の行動目標として前記保存部に設定する設定部と、
    前記性格問診項目、前記生活習慣問診項目、前記性格問診項目の回答、前記生活習慣問診項目の回答、前記第1の行動目標、前記第2の行動目標、及び、前記対象者によって選択された行動目標を、前記情報処理端末に送信又は前記情報処理端末から受信する送受信部と、を備えることを特徴とする生活習慣病予防改善支援システム。
  2. 前記抽出部は、前記対象者の前記性格問診項目の回答及び前記生活習慣問診項目の回答に基づいて、前記対象者が継続して実行可能な行動目標を前記保存部から抽出した後、該抽出された行動目標のうち、前記臨床的な効果の度合いが閾値以上となる行動目標を前記第1の行動目標とすることを特徴とする請求項1に記載の生活習慣病予防改善支援システム。
  3. 前記送受信部は、前記情報処理端末から前記第2の行動目標の経過情報を受信し、
    前記設定部は、前記経過情報に基づいて前記第2の行動目標の見直しを行い、見直した結果に基づいて前記第2の行動目標の再設定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の生活習慣病予防改善支援システム。
  4. 前記経過情報は、前記第2の行動目標を達成できているかについての前記対象者の自己評価に基づく達成率を含むことを特徴とする請求項3に記載の生活習慣病予防改善支援システム。
  5. 前記経過情報は、前記対象者の体重、血圧、血糖値、歩数及び睡眠時間から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の生活習慣病予防改善支援システム。
  6. 前記経過情報は、前記対象者の食事を撮影した画像を含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の生活習慣病予防改善支援システム。
  7. 前記臨床的な効果の度合いは、体重、血圧、血糖値、HbA1c及び尿中微量アルブミンから選ばれる少なくとも1つの項目であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の生活習慣病予防改善支援システム。
  8. 前記抽出部は、下記過去データに基づいて前記第1の行動目標を抽出することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の生活習慣病予防改善支援システム。
    <<過去データ>>
    前記性格問診項目及び前記生活習慣問診項目により被験者の性格及び生活習慣を分析し、前記被験者に対して、前記保存部が有する行動目標を設定し、実際に前記被験者が設定された行動目標に沿って行動を行い、どの程度の期間、継続して行動できたか、及び/又は、臨床的な数値がどの程度改善したかを記録したデータ。
  9. 前記抽出部は、前記過去データを用いた協調フィルタリングにより前記第1の行動目標を抽出することを特徴とする請求項8に記載の生活習慣病予防改善支援システム。
  10. 前記抽出部は、前記過去データを用いて機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて前記第1の行動目標を抽出することを特徴とする請求項8又は9に記載の生活習慣病予防改善支援システム。
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