JP2007072540A - 患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生活習慣病の改善を行うために、身長、体重や既往歴などの問診票及び臨床検査等の医療情報に基づいて作成された療養計画を患者が実行するとき、誤った療養を実行することで症状が悪化することがないよう、また患者自身の生活習慣改善意欲を減少させないよう医師等と患者が協力して生活習慣病治療を行うことを目的とする。
【解決手段】 本発明による生活習慣病療養支援装置は、運動療法と食事療法の具体的記録と患者の改善意欲をもとに療養計画を自動作成し、目標達成度を計算し、その結果を療養計画にフィードバックする。療養中に不安を感じる場合には、患者の分身であるエージェントが医師システムに誉められたり、注意されたりする。また、このエージェントの外見はユーザ自身の体型と連動して変化し、成果が提示される。さらに、改善意欲を向上させる対話システムにより、改善意欲を向上させるコメントを発する機能を持つ。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明による生活習慣病療養支援装置は、運動療法と食事療法の具体的記録と患者の改善意欲をもとに療養計画を自動作成し、目標達成度を計算し、その結果を療養計画にフィードバックする。療養中に不安を感じる場合には、患者の分身であるエージェントが医師システムに誉められたり、注意されたりする。また、このエージェントの外見はユーザ自身の体型と連動して変化し、成果が提示される。さらに、改善意欲を向上させる対話システムにより、改善意欲を向上させるコメントを発する機能を持つ。
【選択図】図1
Description
本発明は、生活習慣病の改善を行うために、身長、体重や既往歴などの基礎調査、生活習慣調査、改善意欲調査などの問診票、及び臨床検査等医師の治療に必要な医療情報に基づいて療養計画書を自動で作成する装置により作成された療養計画を患者が実行するとき、運動療法と食事療法の両方の効果を総合して治療に反映するために、患者が実行する運動量と食事内容を管理するとともに、療養計画書で設定された運動療法及び食事療法の目標値を達成するために実施される運動指導及び栄養指導において、患者が過不足なく適度な運動及び適切な食事摂取を継続的に実施することを可能とするために、療養計画書に対する治療状態に適応して、患者の生活習慣病の改善意欲が向上するコメントやアドバイスを対話的に提示するエージェント機能と、運動療法及び食事療法の履歴と患者の生活習慣改善意欲の時系列変化状態を、療養計画書を自動で作成する装置にフィードバックする機能を併せ持つ、生活習慣病患者のための改善意欲増進ユーザインタフェース装置に関するものである。
現在日本では、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病が増加している。これらの病気の予防、改善のためには、日々の食生活や運動習慣の管理が重要であるとされている。
これに関してはプライマリ・ケア医、とくに、患者の身近にある開業医の役割が大きいと考えられる一方、食事・運動療法の効果は患者本人の意思や受け入れのほか、医師の知識・技量、医療資源など提供する側の要因により大きく左右されることが知られている。
このために市村、須賀らは、患者の意見を取り入れた生活習慣改善プランを提示するための糖尿病治療支援システムを提案している(非特許文献1参照)。このシステムでは患者の身体状態や改善意欲に応じて複数の生活習慣改善に対する療養計画案を自動で作成し、医師と患者の合意形成の後、定められた療養計画を作成する。診察後、次の診察まで行われる在宅療養においては、自動で送信される電子メールやホームページを通じて患者の療養計画書に対する履行状態を調査し記録する機能を併せ持つ。
しかし、上記糖尿病治療支援システムにより患者の改善意欲を積極的に考慮した療養計画が作成されたとしても、患者は様々なライフスタイルのもと日常生活を送っているので、患者個人の医学的特徴、意欲を取り入れていない一般的に提示された運動療法及び食事療法では、それらの継続実行は困難である。つまり、これまで運動習慣の無かった人に急激に過度な運動を実行させたり、食事療法について正しい知識を持たない人に減量を求め、食事量を減らすだけになってしまったなど、時として誤った治療方法を選択することにもなりかねない。この結果、患者がいらいらした生活を送ったり、精神的苦痛を招くことにもなりかねなく、その場合、患者は生活習慣改善に対する意欲が低下することになり、ひどい場合はそのまま放置し、治療を受ける前よりも悪化した状態になりかねない。
食事療法については、栄養管理士などが具体的な食事内容を定め、定期的な献立を提供する方法が試みられている。しかし、食事内容自体に制限が設けられている場合が多く、患者自体が満足を感じる食事内容が提示される場合は多くない。
運動を定期的に続けられるように意欲を向上させるような機能を持つ装置としては、日々の運動量に応じて計器内の仮想生物が変化していく機能を持った運動用補助計器が知られている(特許文献1および2参照)。この運動用補助計器では、目標運動量と実際の運動量との違いをもとにして、計器内に設定された仮想生物の形態のイメージ情報を提示することで、患者の運動の成果を分かりやすい形で提示している(図14参照)。
しかし、これらの計器で管理している仮想生物は、運動量などの測定値のみを考慮しており、運動の結果に対して生じる体調の変化を考慮した結果になっていない。つまり体調不良や過剰な運動など、患者の運動状態により生じた体調の変化を捉えることで、患者に適応的にコメントやアドバイスを出力する機能はもっていない。また患者の気分や改善に対する意欲の変化に対する心理状態を考慮していないため、不安や飽きなどの状態が考慮されていない。
そこで我々は、体調不良や過剰な運動など、患者の運動状態により生じた体調の変化を捉え、患者に運動療法の一時中断などの適切な指示を出力する機能を実現する方法と、患者の心理状態の変化を考慮することができないという問題点に対して、身体状態に関する測定結果と質問など患者からシステムに送信された発話文章を解析し、非特許文献2記載の手法によって測定結果に基づいた患者の心理状態を数値化し、患者が療養計画を中断したり、断念したりすることのないように、患者の改善意欲を向上させるためのコメントやアドバイスを対話的に提示するエージェント機能を実現する方法と、運動療法及び食事療法の履歴と患者の改善意欲の時系列変化状態を、療養計画を自動で作成する装置にフィードバックし、次回の診察時に作成される療養計画に反映する方法を提案する。
この手法では、患者の運動、食物などの個人の嗜好に関し数値化された情報を取り扱うことが可能となるため、これらの数値情報を療養計画作成アルゴリズムに取り入れることが可能となり、患者の改善意欲を維持し、かつ嗜好情報を向上させる運動療法及び食事療法を作成することが可能となる処理を実現する。
また、患者の心理状態を考慮したコメントやアドバイスを生成するために、非特許文献2記載の情緒計算手法を導入する。この手法では、患者が遭遇した出来事に対して、患者の嗜好情報に基づいて快/不快を計算し、さらに状況や他者からの視点などを考慮して、20種類の情緒(喜び、苦しみ、嬉しい、ほくそ笑む、憤慨、気の毒、望み、恐れ、満足、安堵、恐れていた通り、失望、誇り、賞賛、羞恥、叱責、感謝、怒り、自己満足、自責の念)において、並列に生起された情緒の強度を数値として表現することが可能である。
特開2003−154168号
特開平11−52834号
Machi Suka,Takumi Ichimura, and Katsumi Yoshida,"Clinical decision support system applied the Analytic Hierarchy Process", Proceedings of the 7th International Conference on Knowledge−Based Intelligent Systems & Allied Technologies(KES2003),Vol.2,pp.417−423(2003)
目良和也、「Emotion Oriented Intelligent Interface」、東京都立科学技術大学博士(学術)学位論文(2003)
本発明は、生活習慣病の改善を行うために、身長、体重や既往歴などの基礎調査、生活習慣調査、改善意欲調査などの問診票、及び臨床検査等医師の治療に必要な医療情報に基づいて療養計画書を自動で作成する装置により作成された療養計画を患者が実行するとき、患者が実行する運動量と食事内容を管理するとともに、療養計画書で設定された運動療法及び食事療法の目標値を達成するために実施される栄養指導及び運動指導において、患者が過不足なく適度な運動及び適切な食事摂取を継続的に実施することを可能とするために、療養計画書に対する治療状態に適応して、患者の生活習慣病の改善意欲が向上するコメントやアドバイスを対話的に提示する機能と、運動療法及び食事療法の履歴と患者の生活習慣改善意欲の時系列変化状態を療養計画書作成に反映することにより、生活習慣病改善意欲を向上させながら、医師等と患者が協力して生活習慣病治療を行うことを目的とする。
生活習慣病に対する療養計画書に基づいて患者の運動療法及び食事療法を管理する装置で、症状や既往歴などの初診時基本調査票、生活習慣調査票、改善意欲調査票および身長、体重、血液検査などの臨床検査のデータ及び患者の過去の運動療法と食事療法の実施状態を記録したデータに基づいて、患者の健康状態と患者の意思を取り入れた、患者一人一人に適切な療養計画を作成する手段と、療養計画を実施している間の患者の運動量に対する記録をもとに集計されたデータを用いて、療養計画で定められた目標運動量と実際に行われた運動量を比較し運動療法に対する改善目標達成度を計算する手段と、療養計画を実施している間の患者の食事内容に対する記録をもとに集計されたデータを用いて、療養計画で定められた目標食事摂取内容及び摂取量と実際に摂取された食事を比較し食事療法に対する改善目標達成度を計算する手段と、これらの改善目標達成度に応じて患者の生活習慣改善に対する意欲を向上させるコメント及びアドバイスを自動で作成し患者に提示する手段と、改善目標達成度に応じて患者の心理状態を解析し心理的不安を取り除くコメントを自動で作成し患者に提示する手段と、療養計画を実施している間に変化する身長、体重、肥満率などに適応した患者の容姿を表現し提示する手段と、療養計画を実施している間の患者の運動量及び食事内容に対する日々の記録を保存するコンピュータから療養計画作成のために集計されたデータを送受信する手段を併せもつ患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置を有する。
請求項1記載の生活習慣病療養支援装置において、患者の健康状態と事前に調査された患者の意思と、療養計画を実施している間に患者の運動量と食事内容について計算された改善目標達成度から複数の療養計画候補を自動で作成する手段と、それぞれの療養計画候補に対して実施すべき重要度を付加し、重要度の高い順番で提示する手段と、医師と患者の合意形成により療養計画候補から選択された療養計画に対し医学的に矛盾がないことを自動で判断する手段と、患者自身が療養中(在宅治療中)に選択された療養計画が実行されていることを患者のパソコンやモバイル端末を用いて調査する手段と、療養計画の実行状況に応じてコメントやアドバイスを自動で生成する手段を併せ持つ患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置を有する。
請求項1記載の生活習慣病療養支援装置に送受信される、療養計画を実施している間の患者の運動量及び食事内容に対する日々の記録の集計結果を作成するコンピュータもしくは患者の所持するモバイル端末において、体調不良や過剰な運動など、患者の運動状態により生じた体調の変化を捉え、患者に運動療法に対する適切な指示を出力する手段と、身体状態に関する測定結果と質問など患者からシステムに送信された発話文章を解析することで患者の心理状態を数値化し、その数値に基づいて患者の生活習慣療養計画に対する実施意欲を向上させるためのコメントやアドバイスを自動で生成し対話的に提示する手段と、患者が実施している運動療法もしくは食事療法が誤っていれば、正しい知識を患者に提供する手段を併せ持つユーザインタラクション機能を備えた患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置を有する。
請求項3記載のユーザインタラクション装置において、患者のもつ個人的な嗜好情報を数値化し記録したデータベースに基づいて患者の生活習慣改善意欲を向上するような嗜好情報を含む運動内容及び食事内容を記録し、請求項1記載の生活習慣病療養支援装置に対して、記録した運動内容及び食事内容を送受信する手段と、患者の嗜好情報により求められた快/不快の状態から、喜び、苦しみ、嬉しい、ほくそ笑む、憤慨、気の毒、望み、恐れ、満足、安堵、恐れていた通り、失望、誇り、賞賛、羞恥、叱責、感謝、怒り、自己満足、自責の念の20種類の情緒を計算により数値化して表現する手段と、患者が療養計画を実施している間、請求項3記載の患者の生活習慣療養計画に対する実施意欲を向上させるために自動で生成されるコメントやアドバイス内容から、心理的に不安となる要因となる運動内容及び食事内容を除去する手段と、身長、体重の変化状態及び20種類の情緒の変化状態に応じて、患者の容姿を表示し、その変化に応じて療養計画の目標達成度合及び心理状態を図として表現する手段を併せ持つユーザインタラクション機能を備えた患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置を有する。
従来の生活習慣病療養計画管理装置では、問診や臨床検査結果のみに基づいて療養計画を作成していたが、本発明の手段により、患者が次回の診察までに在宅療養中に実行される運動療法及び食事療法の具体的な実施状況を記録することができるため、患者一人一人に対して患者の療養に関する行動履歴に基づいた具体的かつ適切な療養計画を作成することが可能となり、患者の生活習慣病に関する改善意欲を向上させることが可能となる。
本発明の運動内容及び食事内容を記録する手段により、在宅療養中に治療状態の検査を行うとき、患者の一人一人の療養計画において運動療法及び食事療法に関して具体的に質問を行うことができるようになるため、より詳細な実行状態を調査することが可能となり、またその調査結果に応じて生成されるコメントやアドバイス文においても、提示された運動療法及び食事療法に関する具体的な知識を提供することが可能となる。
本発明の運動達成度計算手段では、患者の目標運動量と、運動用補助計器を通じて得られた実際の運動量を比較することにより、各患者に応じた運動療法に関する目標達成度を計算することが可能となる。また、これまでの運動履歴に関連する改善プランの達成度と比較することによって、過激な運動を強いていないかについて、患者の健康状態を監視することができる。
本発明の運動達成度計算手段では、患者の目標食物摂取内容と、実際に摂取した食物摂取内容を比較することにより、各患者に応じた食事療法に関する目標達成度を計算することが可能となる。また、これまでの食物摂取の履歴に関連する改善プランの達成度と比較することによって、体調を崩すような食事療法を強いていないかについて、患者の健康状態を監視することができる。
本発明のコメント作成手段では、患者の嗜好情報に基づいて非特許文献2記載の情緒計算手法を適用し、現在の患者の心理状態を数値化することが可能である。この結果、心理状態の変化が及ぼす改善意欲の変動状態を制御することが可能となり、患者の心理状態が不安などの抑うつ、ストレスなどの傾向を示す場合、その原因となる要素を除去するためのシステムからのコメントやアドバイスを作成することができる。また、これらのコメントやアドバイスをシステムが一方的に提示するだけではなく、そのコメントやアドバイスに対する患者からの回答も受け付ける対話機能を持つことで、患者が自分の状態を容易に報告できる。
コメント提示手段では、従来患者に直接提示されていたコメントを、患者の代理として作成されたエージェントに向けて発する。これにより、医師システムからの押し付け感が減少するため、患者の改善意欲減少を抑制する効果がある。
本発明の運動療法及び食事療法に対する具体的な実行状態を記録する手段においては、運動療法及び食事療法における禁止内容と比較をすることが可能であるため、患者の療養計画実施に対する具体的な行動について評価することができ、禁止された行動を継続して実行することのないように、誤っていれば停止勧告を行うとともに、正しい知識を患者に提供することが可能となる。この結果として、患者が行う具体的な療養方法の患者自身の療養に対する目標設定に誤りがないことを再確認することができるため、設置した実行目標に信頼度を増加させることになる。さらに、その療養方法の実行を継続することで、患者自身の目標に向かって行っている努力が正当なものであるという確信を療養途中でも実感するため、療養途中でも患者の目標達成に対する満足度を向上させることができる。そのため、患者は生活習慣病改善意欲をさらに向上させる効果がある。
キャラクタ提示手段では、患者の健康状態、運動状況、生理状態をもとにキャラクタの容姿を作成する。この容姿の変化を表現することによって、本来目に見えにくい運動による成果を、患者に分かりやすく提示することができる。
患者情報送受信手段では、計器を通じて得られた運動の結果を、ネットワークを通じてサーバに送信する。これにより、サーバ側の医師は患者の療養計画達成状況を定期的に把握することができる。さらに、それらの結果をもとに療養計画書を再構築して、新たに患者側端末に送信することもできる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。本発明の生活習慣病療養支援装置の基本的な実施形態を図1に示す。まず、患者又は医師など医療従事者が、症状や既往歴などの初診時基本調査、生活習慣調査、改善意欲調査などの問診及び臨床検査等医師の治療に必要な医療情報を、診療所等に設置のネットワーク接続されたサーバ(E1)に入力する。入力された医療情報は診療所等に設置されているサーバで動作する非特許文献1記載の糖尿病治療支援システムを介して、同サーバで動作するデータベースマネージメントシステム(E2)に保存される。同サーバで動作している非特許文献1記載の糖尿病治療支援システムは、図2に示すようにインターネットで接続されたコンピュータ通信が実現できる装備のもとで、糖尿病に関する知識を提供する「知識管理サーバ(G1)」と診療所等で動作する「診療所等サーバ(G2)」により構成される。「知識管理サーバ」では「診療所等サーバ」で動作するための知識及びルールが保存され、「知識管理サーバ」から「診療所等サーバ」に対して知識及びルールの同期がとられる形で更新される。「診療所等サーバ」では、この知識及びルールを用いて、登録された医療情報に欠損値がないこと、投薬非対象患者等のシステム利用条件を満足している患者であることをプログラムにより確認し、システム利用可能者に対して糖尿病に対する優先順位が付与された療養計画案を複数個表示する機能をもっている。ここで、優先順位は予め与えられている知識及びルールに基づいて療養計画に対する数値化された重要度が付与され、数値の高い順に表示される。表示された療養計画案のうち、患者と医師の間で実行可能な案を選択し、医師の指導のもと運動療法や食事療法に関する計画を、合計で4個を優先順位の高い順に選択しこれを療養計画とする。この療養計画及び臨床検査結果の値などをもとに、図3に示すような療養計画書を自動作成する。医師による診察後、患者は次回の診察まで約1ケ月の間、作成された4個の療養計画に基づいて在宅にて療養する。この間に非特許文献1記載の糖尿病治療支援システムは、電子メール及びホームページを介して、患者の療養計画に対する実施状態を調査する。たとえば、週に1度予め登録された電子メールアドレスに対し週に1度程度患者の療養計画に対する質問を示すホームページのURLを送信し、患者は普段使用しているコンピュータもしくは携帯端末を用いて該当するホームページにアクセスし、必要な項目である体重や運動履歴及び食事履歴等の質問に回答する。回答された内容に応じて療養計画に対する実行状態を検査し、改善されていなければ改善するように、改善されていれば褒めるように、アドバイスもしくはコメントを自動生成し表示する。非特許文献1記載の糖尿病治療支援システムでは、患者とシステムの間に送受信されたすべての情報を再現できるように、データベースマネージメントシステム(E2)を用いて保存している。
本システムによって療養計画案を作成するために患者は、(1)ユーザ登録、(2)受信する病院の選択、(3)オンライン問診、(4)診察の予約、(5)実際の診察、の5つの処理を行う。ユーザ登録では、システム使用するために、ユーザIDとパスワード、さらに名前、住所、電話番号など必要な情報を登録する。病院選択画面では、ユーザ登録された住所から本システムを導入している病院を検索し、患者に提示する。患者は提示された病院のリストから、自分が通院したい病院を選択する。選択した病院のサーバにログインした後、オンライン問診に回答する。
オンライン問診では、初診時基本調査、生活習慣調査、改善意欲調査に対して回答する。生活習慣調査および改善意欲調査については、食生活、脂肪摂取、繊維摂取、身体活動の4つの観点からそれぞれ問診が行われる。初診時基本調査の動作画面を図4に示す。ここでは、自覚症状や既往症について回答する。次に、生活習慣調査および改善意欲調査の動作画面を図5、図6に示す。これらは食生活、脂肪摂取、繊維摂取、身体活動それぞれの観点から問診が行われるが、この例では食生活に関する調査の画面を示している。
一方、本システムで療養計画案を作成するにあたって、病院診療所側では、(1)ログイン、(2)保険証情報の入力、(3)患者に宛てたメッセージの作成、(4)臨床データの入力、(5)治療案の作成、という処理を行う。図7に臨床検査データ入力画面を示す。ここでは、BMIやHbAlc、糖負荷試験の結果などが入力される。
治療案作成部では、問診データと臨床データから各患者に合わせた治療案を作成する。その際、食生活、脂肪摂取、繊維摂取、身体活動それぞれに対する生活習慣改善意欲を積極的に取り入れ、専門家の知識ベースに基づいて食事/運動療法のプランを作成する(図8参照)。まず、治療案作成に必要な検査が全て行われているか確認する。次に、患者により適した治療案を作成するため、本システムによって提示されるいくつかのプランの中から、適したものを3つ選択する。プラン選択部の動作画面を図9に示す。作成された治療案は、次回診察日や、その日に行う検査予定などとともに、診療所等サーバに保存される。作成された治療案を表示している画面を図10に示す。こうして最終的な療養計画書が図3のように作成され、患者に提示される。この療養計画書の提示は、療養計画内容に対する同意書としても重要な資料となる。
在宅時における療養中の患者から入力される情報は運動量と食事の記録であるが、本発明において運動量に関する記録は運動量を測定する計器から端末に直接入力され、入力された値は糖尿病治療支援システムの「知識管理サーバ」で蓄積され、入力された値から実行運動量を計算し、糖尿病治療支援システムにおいて作成された治療計画の運動量の期待値(目標値)と実行運動量との差を計算により求める。一般に運動量は運動の種類によって異なるが、糖尿病治療支援システムでは運動量は運動の種類と運動時間によって消費が予想されるカロリー量として与えられており、治療計画の運動量及び実行運動量の差はカロリー量として数値化され与えられる。運動量が治療計画の運動療法で定められた値より小さい場合は目標に到達していなく、逆に大きい場合は目標に到達したと判断することができ、この運動量の過不足の数値に応じて、運動療法に関する治療計画の目標達成度を算出する。なお、診療所等においても、上記の計算処理を行うための能力をもつコンピュータが設置可能であるなどを条件とした利用状態が満足されており、運動の種類と運動時間によって予想される消費カロリー量の知識及びルールが保存可能である場合には、患者個人の承諾を得た後、糖尿病治療支援システムの「診療所等サーバ」に転送され蓄積された後、消費カロリーを求める同様の処理が実施される。
在宅時における療養中の患者から入力される情報のうち本発明における食事の記録については、食事の内容を患者は普段使用しているコンピュータもしくは携帯端末を用いて記録する。記録の方法はカメラにより撮影された画像をコンピュータもしくは携帯端末を通じて糖尿病治療支援システムに転送するとともに、どのような食事を行ったのかを明確にするために献立をテキスト入力もしくはメニューから選択する方法で行う。転送された画像およびテキストもしくはメニューから選択された記号は、糖尿病治療支援システムの「知識管理サーバ」で蓄積される。一般に食事による摂取カロリーは食物・飲料などの種類や量によって異なるが、予め食物飲料の種類及び摂取量によって摂取される予想カロリー量として与えられており、治療計画の食事療法に基づく食物・飲料の摂取量と実際に摂取した量との差はカロリー量として数値化され与えられる。実際の食物・飲料の摂取量が治療計画の食事療法で定められた値よりも小さい場合は目標に到達したと判断することができ、逆に大きい場合は目標に到達しなかったと判断することができる。この食物・飲料摂取量の過不足の数値に応じて、食事療法に関する治療計画の目標達成度を算出する。なお、診療所等においても、上記の計算処理を行うための能力をもつコンピュータが設置可能であるなどを条件とした利用状態が満足されており、食事による予想摂取カロリー量などの知識及びルールが保存可能である場合には、患者個人の承諾を得た後、糖尿病治療支援システムの「診療所等サーバ」に転送され蓄積された後、予想摂取カロリーを求める同様の処理が実施される。
算出された運動療法及び食事療法のそれぞれの達成度から患者が運動療法と食事療法に対し重点をおいて治療をしている度合に応じて、治療計画に対する総合的な達成度を算出し、この総合的な達成度に応じて予め定められている、誉める、注意するなどのコメント文を自動で作成し提示する。このとき、患者が操作しているコンピュータや携帯端末においてコメント文が表示されるとともに、運動療法の達成度、食事療法の達成度及び総合的な達成度が糖尿病治療支援システムから送信され、患者が使用しているコンピュータや携帯端末にその値が保存される。なお、この達成度は患者個人個人の運動量及び食事の記録から計算されるもので、療養計画の履行状態について客観的評価を数値化して与える指標となる。
コメント文の作成の際には、総合的な達成度だけでなく、運動療法及び食事療法それぞれの達成度の偏りについても考慮する。これは運動不足や栄養過多だけではなく、過度の食事制限や過激な運動などについてもコメント文が作成される。このコメント文には、運動及び食事の過不足という事実の提示だけでなく、その要因となっている運動や栄養に関する知識不足の補完や、不安や恐れなど患者が持つネガティブな情緒を取り除くようなコメントの提示の役割もある。コメントの文面を作成する際には、問診によって得た食生活、脂肪摂取、繊維摂取、身体活動それぞれに対する個人的嗜好および改善意欲を反映させる。これらのコメントは、患者の運動履歴や食事履歴を管理している知識管理サーバにおいて作成され、患者の端末に表示される。
コメント提示手段では、作成された患者キャラクタに対するコメントを、システムから患者自身に直接ではなく、患者の分身である擬人化エージェントに対して提示する。コメント提示画面を図11に示す。通常状態では、画面上に患者キャラクタのみが存在する。作成したコメントを提示する際には、画面の患者キャラクタの横に、医師役のキャラクタが提示される。そして、医師キャラクタから音声または文字表示などにより、患者キャラクタに対してコメントが発せられる。コメントに対する患者キャラクタの感情の変化は、キャラクタの表情および動作によって表現される。患者キャラクタの隣にはゲージが表示され、このゲージを用いて患者キャラクタの意欲の変化を提示する。患者キャラクタは患者自身の分身であるため、この意欲ゲージの向上を視覚的に認知することにより、自身の運動への意欲も向上しているかのような感覚を受け、結果的に自身の意欲を引き上げる効果がある。
患者が操作しているコンピュータや携帯端末において、本発明では糖尿病治療支援システムから送信されてきたコメント文を表示するのみならず、数値化された達成度をもとに患者の分身となる仮想エージェントにより擬人化された画像を表示するソフトウェアが動作する。表示される画像は、患者の外見を示す要素としての体重、身長、肥満率など実際の計測情報に基づいて計算された結果として表示され、計測値に応じて随時適応的に変化する。適応的に変化するために、ニューラルネットワークによる学習を行った結果を用いる(非特許文献2参照)。また、表示される画像は予め用意された漫画から達成度に適応的に変化する方法もしくはカメラを通じて患者自身の写真から達成度に適応的に変化する方法から選択することができる。ここで予め用意された漫画とは、性差、年齢に応じて、青年男性、中年女性などのタイプを与えたもので個人を特定できるものではない(図12参照)。逆にカメラから取得した画像は個人を特定できるもので、療養中に変化する自分の表情、体形を自ら目視により確認することができる特徴をもつ。この2種類の方法により自己の体形の数値的な変化を画像的な変化として患者に自ら確認することができる。
ところが、在宅時における療養中の患者は、運動療法及び食事療法を行う場合、具体的な実施方法の決定についてはすべて個人の判断に任せられることが多い。このため、医師や看護師または栄養管理士などから示された具体的な指導に従ったとしても、予想した通りに体重が減らなかったり、運動を続けることにより疲労が蓄積したりなど、体調が変化する過程において期待と反する身体状態になり、結果として指導された内容に対して心配や不安など負の心理的要因を生じる結果となり、それが増大すると医師や看護師または栄養管理士などに対する不信感となって、療養自体を中断してしまう患者も少なくない。そこで、患者の療養計画に対する改善意欲を削ぐことがないように、患者の心理的状態を計測するために、非特許文献2で示された情緒計算手法を適用する。本発明においては心理状態の計測値と患者の生活習慣の改善意欲との関係をルールとして与え、生活習慣の改善意欲を数値化する。さらに、療養計画の達成度を表現する仮想エージェントにおいて、数値化された患者の生活習慣の改善意欲を保持することで、患者の改善意欲が減少している場合は、これを向上させるようなコメントをエージェントが発し、患者が使用するコンピュータや携帯端末上で提示する。
対象となるコメントや事象に対する情緒計算手段では、まず、内容に対して感じる快/不快を、情緒生起者の嗜好情報に応じて計算する。次に、状況や、他者に対する好き嫌い、他者が発話内容に対して生起する快/不快などの状況をもとに、算出していた快/不快を、より詳細な20種類の情緒へと分類する。
まず事象が患者にとって快なものか不快なものかを判別する。判別には事象中の格要素に対してエージェントがあらかじめ持っている患者の好感度を用いる。例えば「私が太郎に勝つ」という事象では、“私”、“太郎”、“勝つ”の三つの語の好感度をもとに計算を行う。そしてこれらの語の好感度をベクトルとして三次元空間(感情空間)の直交軸に配置し、それらの合成ベクトルを計算する(図13参照)。そして、合成ベクトルの存在する象限により、図14のように快/不快を判別する。快/不快の強度は、ベクトルの長さから算出する。
各事象タイプにおける主要要素は、述語の分類に沿って、図15のように定義されている。
算出された快/不快は、他者の視点、将来予測、承認/非難などの条件を参照することで、喜び、苦しみ、嬉しい、ほくそ笑む、憤慨、気の毒、望み、恐れ、満足、安堵、恐れていた通り、失望、誇り、賞賛、羞恥、叱責、感謝、怒り、自己満足、自責の念の20種類の感情に分類される。各情緒の分類条件は図16のようになっている。
「他者の運命」に属する情緒は、ある事象が生起したとき、それを他者がどう感じるかによって生じる。これには嬉しい、ほくそ笑む、憤慨、気の毒がある。他者にとって望ましい事象について、自分が喜ぶ場合と不快になる場合の両方がある。本研究では、望ましい事象が起こった他者のことを、自分が好きならば喜び、嫌いなら不快と判断する。つまり、好きな人に良いことがあれば嬉しく、嫌いな人に良いことがあれば不快であると考える。これに基づき、他者にとっての事象の望ましさと自分にとっての他者の好感度を用いて、他者の運命に関する情緒を図17のように求める。表中のAは自分以外のある他者を表している。図17に基づいて作成した処理手順を図18に示す。
「将来的」に属する情緒は、未来に起こると予想した事象が自分自身にとってどういうものかを考慮することにより生じる。これには望み、恐れがある。起こると推測している事象が望ましいものであれば望み、望ましくなければ恐れを算出する。予測した事象は、予測事象リストに蓄えられ、確認の情緒の評価に利用される。図19に処理手順を示す。
「確認」に属する情緒は、予測していた事象が生起した/しなかった時に、その事象の自分自身にとっての望ましさによって生じる。これには満足、安堵、恐れていた通り、失望がある。現在認識した事象が以前に予測したものである、つまり将来的の処理で蓄積した予測事象リストに存在するか、 “予測通りであったことを暗示する副詞”が含まれていれば、その事象の望ましさによって満足、恐れていた通りを算出する。また、現在認識した事象によって予測した事象が生起しなかったことが判明すれば、予測事象の望ましさにより安堵、失望を算出する。この関係を図20に、処理手順を図21に示す。
「幸福」に属する情緒は、ある事象が自分にとって望ましいか否かによって生じる。これには喜び、苦しみがある。ある事象に対して快反応を生起すれば喜び、不快反応を生起すれば苦しみを生起する。ここでまず喜びを生起する事象に注目する。図16によると、この“ある事象”には、自分自身が望ましいと思う事象だけでなく、他者の運命、将来、確認の情緒群に含まれる以下の情緒も該当する。
(1)自分自身にとって望ましい事象
(2)好きな他者にとって望ましい事象(嬉しい)
(3)嫌いな他者にとって望ましくない事象(ほくそえむ)
(4)将来の望ましい事象(望み)
(5)確認された望ましい事象(満足)
(6)確認されなかった望ましくない事象(安堵)
このうち、「自分自身にとって望ましい」の判断は従来の情緒計算手法の出力をそのまま適用すればよい。それ以外は他の手法で生起した情緒から判断できる。なお、ここで述べた条件は快の場合についてであり、不快の場合はこの逆となる。もしある事象が喜びの条件と苦しみの条件の両方を満たした場合にはその強度によって葛藤が生じると思われる。しかし本研究では葛藤について考えず、そのまま喜びと苦しみの両方に分類する。処理手順を図22に示す。
(1)自分自身にとって望ましい事象
(2)好きな他者にとって望ましい事象(嬉しい)
(3)嫌いな他者にとって望ましくない事象(ほくそえむ)
(4)将来の望ましい事象(望み)
(5)確認された望ましい事象(満足)
(6)確認されなかった望ましくない事象(安堵)
このうち、「自分自身にとって望ましい」の判断は従来の情緒計算手法の出力をそのまま適用すればよい。それ以外は他の手法で生起した情緒から判断できる。なお、ここで述べた条件は快の場合についてであり、不快の場合はこの逆となる。もしある事象が喜びの条件と苦しみの条件の両方を満たした場合にはその強度によって葛藤が生じると思われる。しかし本研究では葛藤について考えず、そのまま喜びと苦しみの両方に分類する。処理手順を図22に示す。
「帰属」に属する情緒は、ある事象が生起した時、その行為者に対して生じる。これには誇り、賞賛、羞恥、叱責がある。ある望ましい事象に対して、その事象を行ったのが自分であれば誇り、他者であれば賞賛を算出する。また、望ましくない事象に対して、その事象を行ったのが自分であれば羞恥、他者であれば叱責を算出する。この関係を図23に、処理手順を図24に示す。
「幸福/帰属」に属する情緒は、幸福に関する情緒と帰属に関する情緒が同時に生起した場合にそれらの複合情緒として生じる。これには感謝、怒り、自己満足、自責の念がある。図25に示した通り、幸福、帰属それぞれの情緒の組み合わせによってさらに複合情緒が算出される。なお図25で(C)となっているところは、2つの情緒が複合せず、葛藤を起こすと考えられるが、葛藤については考慮せず、同じ強度の相対する情緒として扱う。処理手順を図26に示す。
このように本手法では、ある情緒生起が他の情緒生起の引き金となり、連鎖的に情緒を生起している。情緒生起の依存関係は図27のようになっている。まず自分にとっての事象の望ましさを計算する。それがもし未来の様相を持っているなら将来的に関する情緒が算出される。将来的で算出された事象は、それが実際に起こったかどうかによってさらに確認の情緒が算出される。一方、他者にとっての事象の望ましさから他者の運命の情緒が算出される。これら将来的、確認、他者の運命と自分にとっての事象の望ましさから幸福の情緒が算出される。もし対象となる事象がV(S,O,*)タイプの事象ならば、主体にとっての行為者の好感度に基づいて帰属の情緒が算出される。幸福と帰属の両方の情緒が算出されている場合は、幸福/帰属の情緒が算出される。
本手法を適用した結果および処理の流れの例を図28に示す。この例では、“迷惑な隣人のことが嫌い”、“家主のことは好きでも嫌いでもない”という好感度情報を持っていた場合に、「ゆうべ家主が迷惑な隣人を叱った」ことに対しての情緒を計算する。まず、述語“叱る”の事象タイプが動詞VIであるため、主体、客体、述語の3要素の好感度からベクトルを合成する。その結果、合成ベクトルは領域VIに存在するため、この事象は「快」とみなされる。さらに、同一事象について家主と隣人の視点からも快不快を計算すると、隣人はこの事象に対して「不快」を感じていることが分かる。ここで、“嫌いな人間が不快を感じている”ことから、“ほくそ笑む”が生起する。さらに、この“ほくそ笑む”から“喜び”が生起する。また、自分が快に思うことを他者(大家)が行ったことから、大家に対する“賞賛”と“感謝”が生起する。
情緒計算手法によって算出された20種類の情緒をもとに患者の改善意欲を計算する。生起情緒と患者の意欲の関係を図29に示す。運動や食物摂取の達成度など、主に過去の事象に関連するのは「誇り」、「自己満足」、「羞恥」、「自責の念」である。運動不足なのに自己満足状態にあったり、これまで十分目標を達成しているのに羞恥を感じていたりするような、実際の療養計画と患者の認識にズレがある状態を検知できる。また、将来の事象に関連する情緒として「望み」と「恐れ」がある。これらは、今後の目標値と患者の認識のズレを検知できる。これらの生起情緒により、実際の療養計画に沿った適切な情緒が認識された場合はその情緒を促進するようなコメントを、逆に誤った認識により療養計画とズレを生じるような情緒が認識された場合はその情緒を抑制するようなコメントを作成し、患者に提示する。
最初の診察によって作成された生活習慣病療養計画書は、その後の運動療法や食事療法の履歴及び達成度に応じて変更される。本発明では特に、運動療法における運動時間や、食事療法における摂取カロリー量など具体的な数値で表される目標値を患者の療養計画達成状況に応じて増減させる。これにより、食事制限の達成度は低い患者の運動目標量を増加させたり、運動過多の傾向がある患者の食事の制限を緩くしたりというように、各患者の食事、運動傾向に合わせて療養計画案を再構築できる。さらに、初診の際に入力した患者の食生活、脂肪摂取、繊維摂取、身体活動に関するより詳細な嗜好情報が電子メールやホームページ上に自然言語表現で記述されていれば、そこに含まれる各属性に対する嗜好情報やその程度に関する情報を抽出して、上記の達成度の値に変更を加える。
本発明の手法を生活習慣病等の療養計画管理システムで実現することにより、患者の運動療法及び食事療法に対する療養計画において、患者の改善意欲を積極的に取り入れるだけでなく、患者個人個人の運動及び食事に関する記録を電子的に保存することができ、目標との差異を計算することで、患者のライフスタイルにあった生活習慣病療養計画が適応的に作成できる。また、運動療法及び食事療法の履行状態から患者の体調の変化を監視することができ、療養に関する誤った行動をとっていれば、知識を提供することも可能となる。また、療養中に不安などを感じていれば、その不安原因を取り除き、状況に応じたコメント提示や患者の分身となるエージェントの外見に変化を与えるなどで、患者の意欲を向上する機能も備わっている。このような機能をもつシステムの実現により、プライマリ・ケア医(開業医等)と患者から構成される地域医療健康ネットワークを実現可能となる。
E1 診療所等に設置されたサーバ
E2 データベースマネージメントシステム
G1 知識管理サーバ
G2 診療所等サーバ
c1 医師キャラクタ
c2 提示コメント
c3 ユーザエージェント
E2 データベースマネージメントシステム
G1 知識管理サーバ
G2 診療所等サーバ
c1 医師キャラクタ
c2 提示コメント
c3 ユーザエージェント
Claims (4)
- 生活習慣病に対する療養計画書に基づいて患者の運動療法及び食事療法を管理する装置で、症状や既往歴などの初診時基本調査票、生活習慣調査票、改善意欲調査票および身長、体重、血液検査などの臨床検査のデータ及び患者の過去の運動療法と食事療法の実施状態を記録したデータに基づいて、患者の健康状態と患者の意思を取り入れた、患者一人一人に適切な療養計画を作成する手段と、療養計画を実施している間の患者の運動量に対する記録をもとに集計されたデータを用いて、療養計画で定められた目標運動量と実際に行われた運動量を比較し運動療法に対する改善目標達成度を計算する手段と、療養計画を実施している間の患者の食事内容に対する記録をもとに集計されたデータを用いて、療養計画で定められた目標食事摂取内容及び摂取量と実際に摂取された食事を比較し食事療法に対する改善目標達成度を計算する手段と、これらの改善目標達成度に応じて患者の生活習慣改善に対する意欲を向上させるコメント及びアドバイスを自動で作成し患者に提示する手段と、改善目標達成度に応じて患者の心理状態を解析し心理的不安を取り除くコメントを自動で作成し患者に提示する手段と、療養計画を実施している間に変化する身長、体重、肥満率などに適応した患者の容姿を表現し提示する手段と、療養計画を実施している間の患者の運動量及び食事内容に対する日々の記録を保存するコンピュータから療養計画作成のために集計されたデータを送受信する手段を併せもつ患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置。
- 請求項1記載の生活習慣病療養支援装置において、患者の健康状態と事前に調査された患者の意思と、療養計画を実施している間に患者の運動量と食事内容について計算された改善目標達成度から複数の療養計画候補を自動で作成する手段と、それぞれの療養計画候補に対して実施すべき重要度を付加し、重要度の高い順番で提示する手段と、医師と患者の合意形成により療養計画候補から選択された療養計画に対し医学的に矛盾がないことを自動で判断する手段と、患者自身が療養中(在宅治療中)に選択した療養計画が実行されていることを患者のパソコンやモバイル端末を用いて調査する手段と、療養計画の実行状況に応じてコメントやアドバイスを自動で生成する手段を併せ持つ患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置。
- 請求項1記載の生活習慣病療養支援装置に送受信される、療養計画を実施している間の患者の運動量及び食事内容に対する日々の記録の集計結果を作成するコンピュータもしくは患者の所持するモバイル端末において、体調不良や過剰な運動など、患者の運動状態により生じた体調の変化を捉え、患者に運動療法に対する適切な指示を出力する手段と、身体状態に関する測定結果と質問など患者からシステムに送信された発話文章を解析することで患者の心理状態を数値化し、その数値に基づいて患者の生活習慣療養計画に対する実施意欲を向上させるためのコメントやアドバイスを自動で生成し対話的に提示する手段と、患者が実施している運動療法もしくは食事療法が誤っていれば、正しい知識を患者に提供する手段を併せ持つユーザインタラクション機能を備えた患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置。
- 請求項3記載のユーザインタラクション装置において、患者のもつ個人的な嗜好情報を数値化し記録したデータベースに基づいて患者の生活習慣改善意欲を向上するような嗜好情報を含む運動内容及び食事内容を記録し、請求項1記載の生活習慣病療養支援装置に対して、記録した運動内容及び食事内容を送受信する手段と、患者の嗜好情報により求められた快/不快の状態から、喜び、苦しみ、嬉しい、ほくそ笑む、憤慨、気の毒、望み、恐れ、満足、安堵、恐れていた通り、失望、誇り、賞賛、羞恥、叱責、感謝、怒り、自己満足、自責の念の20種類の情緒を計算により数値化して表現する手段と、患者が療養計画を実施している間、請求項3記載の患者の生活習慣療養計画に対する実施意欲を向上させるために自動で生成されるコメントやアドバイス内容から、心理的に不安となる要因となる運動内容及び食事内容を除去する手段と、身長、体重の変化状態及び20種類の情緒の変化状態に応じて、患者の容姿を表示し、その変化に応じて療養計画の目標達成度合及び心理状態を図として表現する手段を併せ持つユーザインタラクション機能を備えた患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置。
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JP2005255856A JP2007072540A (ja) | 2005-09-05 | 2005-09-05 | 患者の意欲を向上させる生活習慣病療養支援装置 |
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