JP2020200546A - 針葉樹由来の紙用パルプ繊維の製造方法及び針葉樹由来の紙用パルプ繊維 - Google Patents
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Abstract
Description
[態様1]
針葉樹由来の紙用パルプ繊維の製造方法であって、針葉樹由来の材料パルプ繊維を、水を含む液体の存在下で叩解する叩解工程と、前記叩解された前記材料パルプ繊維を、オゾン水で処理するオゾン処理工程と、を備える、製造方法。
本製造方法では、針葉樹由来の材料パルプ繊維を叩解することで、繊維長が短くなるように調整しつつ、繊維の表面を毛羽立たせる等することができる。それゆえ、その叩解された材料パルプ繊維をオゾン水で処理したとき、材料パルプ繊維の表面や内部に付着しているリグニンや他の有機物をオゾンに接触させ易くすることができる。よって、それらリグニン等の不純物をオゾンで酸化分解し、水に可溶化することで、材料パルプ繊維からそれらを容易に除去できる。これらにより、製造された紙用パルプ繊維では、フィブリル化、細線化が進み、枝別れが多くなる。このように、本製造方法により、紙用パルプ繊維において、繊維長を短くし、不純物を的確に除去し、細線化や枝分かれを増加させるなどの、叩解工程とオゾン処理工程との相乗効果を得ることができる。それにより、この紙用パルプ繊維を用いて紙を製造すると、製品の表面の毛羽立ちを抑制し、表面を平滑にし易くすることができ、同じ坪量でも厚さを薄くし易く、繊維同士の交点の数を飛躍的に増大させて、引張強度を高くすることができる。言い換えると、本製造方法により、良質な紙の材料として使用可能な針葉樹由来の紙用パルプ繊維を製造することが可能となる。
前記叩解された前記材料パルプ繊維を、前記叩解工程で使用された前記水を含む液体と共に前記オゾン処理工程へ移送する移送工程を更に備える、態様1に記載の製造方法。
本製造方法では、連続する叩解工程、移送工程、及びオゾン処理工程において、材料パルプ繊維を、常に水を含む液体中に保持することで、乾燥させずに湿潤な状態に維持している。そのため、叩解工程で得られた、材料パルプ繊維の表面の状態を維持しつつ、オゾン処理工程にて材料パルプ繊維にオゾン水の処理を実行できる。それにより、叩解工程とオゾン処理工程との相乗効果をより確実に得ることができ、良質な紙の材料として使用可能な針葉樹由来の紙用パルプ繊維を製造することが可能となる。
使用済み吸収性物品由来のパルプ繊維を前記材料パルプ繊維として、前記叩解工程へ供給する供給工程を更に備える、態様1又は2に記載の製造方法。
一般に、使用済み吸収性物品由来のパルプ繊維としては、針葉樹由来のパルプ繊維を用いている。そこで、本製造方法では、使用済み吸収性物品由来のパルプ繊維を、針葉樹由来の材料パルプ繊維として叩解工程へ供給している。すなわち、環境負荷低減のために、使用済み吸収性物品由来のパルプ繊維を再利用することができる。この場合、使用済み吸収性物品由来のパルプ繊維は、排泄物や高吸水性ポリマーを不純物として含む可能性があり、紙の性質に悪影響を与えるおそれがある。しかし、本製造方法では、叩解工程により、材料パルプ繊維の表面を毛羽立たせ、内部を露出させるので、オゾン処理工程により、材料パルプ繊維の表面や内部に付着したそれら不純物を容易に酸化分解し、水に可溶化して、材料パルプ繊維から除去できる。それにより、使用済み吸収性物品由来のパルプ繊維を材料パルプ繊維として用いても、叩解工程とオゾン処理工程との相乗効果をより確実に得ることができ、良質な紙の材料として使用可能な針葉樹由来の紙用パルプ繊維を製造することが可能となる。
前記叩解工程は、前記材料パルプ繊維を、前記水溶液としての酸性水溶液の存在下で叩解する工程を含む、態様1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
本製造方法では、材料パルプ繊維を酸性水溶液の存在下で叩解するので、材料パルプ繊維の表面や内部に残存し得る水分を酸性とすることができる。それにより、オゾン処理工程において、材料パルプ繊維の表面や内部において、オゾンを失活し難くすることができ、オゾンをより効果的に機能させることができる。したがって、叩解工程とオゾン処理工程との相乗効果をより確実に得ることができ、良質な紙の材料として使用可能な針葉樹由来の紙用パルプ繊維を製造することが可能となる。
前記叩解工程は、前記材料パルプ繊維をコニカル型リファイナーにより叩解する工程を含む、態様1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
本製造方法では、材料パルプ繊維をコニカル型リファイナーにより叩解することで、材料パルプ繊維の表面を毛羽立たせつつ、繊維長をより確実に短くすることができる。それにより、叩解工程とオゾン処理工程との相乗効果をより確実に得ることができ、良質な紙の材料として使用可能な針葉樹由来の紙用パルプ繊維を製造することが可能となる。
前記オゾン処理工程にて、前記オゾン水のオゾン濃度は1〜200質量ppmであり、前記オゾン水での処理時間は5〜120分であり、前記オゾン濃度と前記処理時間との積は100〜6000ppm・分である、態様1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。
本製造方法では、オゾン処理工程において、オゾン濃度、処理時間、オゾン濃度と処理時間との積を、所定の範囲にすることにより、材料パルプ繊維の表面や内部に付着しているリグニンや他の有機物をより確実に酸化分解し、水に可溶化して、それらを材料パルプ繊維から容易に除去できる。それにより、叩解工程とオゾン処理工程との相乗効果をより確実に得ることができ、良質な紙の材料として使用可能な針葉樹由来の紙用パルプ繊維を製造することが可能となる。
前記オゾン処理工程後の前記紙用パルプ繊維の長さ荷重平均繊維長は、1.6〜2.1mmである、態様1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法。
本製造方法では、紙用パルプ繊維の長さ荷重平均繊維長を1.6〜2.1mmに短繊維化することができる。この紙用パルプ繊維を用いて紙を製造することで、製品の表面の毛羽立ちを抑制する等の効果や、引張強度を高くする等の効果を奏することができる。
前記オゾン処理工程後の前記紙用パルプ繊維のカナダ標準ろ水度は、500CSF ml以上である、態様7に記載の製造方法。
叩解工程後のカナダ標準ろ水度は一般的に低くなる。本製造方法では、叩解工程後にオゾン処理工程を施すことで紙用パルプ繊維のカナダ標準ろ水度を500ml以上に高めることができる。それにより製造された紙用パルプ繊維の脱水効率を高めることができる。
針葉樹由来の紙用パルプ繊維であって、長さ荷重平均繊維長が、1.6〜2.1mmである、針葉樹由来の紙用パルプ繊維。
本紙用パルプ繊維は、長さ荷重平均繊維長が1.6〜2.1mmの短繊維である。この紙用パルプ繊維を用いて紙を製造することで、製品の表面の毛羽立ちを抑制し、表面を平滑にし易くすることができ、同じ坪量でも厚さを薄くし易く、繊維同士の交点の数を飛躍的に増大させて、引張強度を高くすることができる。
前記紙用パルプ繊維のカナダ標準ろ水度は、500CSF ml以上である、態様9に記載の紙用パルプ繊維。
本紙用パルプ繊維は、紙用パルプ繊維のカナダ標準ろ水度が500ml以上である。それにより、製造された紙用パルプ繊維の脱水効率を高めることができ、紙用パルプ繊維に含まれる水分を容易に低下させることができ(例示:水分率50%以下)、資材としての搬送効率を向上できる。
前記紙用パルプ繊維の配合量を90質量%以上として製造された手抄き紙は、密度が300g/m3以上であり、最長伸度が5%以上であり、引張強度が35N/25mm以上である、態様9又は10に記載の紙用パルプ繊維。
本紙用パルプ繊維では、紙用パルプ繊維の配合量を90質量%以上として製造された手抄き紙を、高密度(300g/m3以上)、高伸張(5%以上)、かつ高引張強度(35N/25mm以上)にできる。すなわち、良質な紙の材料として使用可能な紙用パルプ繊維を得ることができる。
(1−1)原料
以下のパルプ繊維を原料として準備した。
・原料A:針葉樹クラフトパルプ(NBKP)ウェアハウザー社製。この原料A:針葉樹クラフトパルプは、使用済み吸収性物品のパルプ繊維と見ることもできる。
・原料B:広葉樹クラフトパルプ(LBKP)セニブラ社製。
上記原料を用いて以下の試料を準備した。
・実施例1:原料Aに叩解工程S31〜オゾン処理工程S33を実施したもの。
・比較例1:原料A(ブランク)
・比較例2:原料Aにオゾン処理工程S33のみを実施したもの。
・比較例3:原料Aに叩解工程S31のみを実施したもの。
・比較例4:原料B
ただし、叩解工程S31の条件としては、刃幅×溝幅×角度を4mm×5mm×8°、回転数を800rpm、入口圧/出口圧を0.078MPa/0.096MPa、通過回数を4回とし、室温で行った。
また、オゾン処理工程S33の条件としては、CT値を3000(200質量ppm×15分)とし、室温で行った。
なお、叩解工程S31の溶液及びオゾン水としては、酸性水溶液、具体的にはクエン酸水溶液を用いた。
(a)カナダ標準ろ水度
上記の実施例1、比較例1〜4の試料につき、カナダ標準ろ水度(以下、単に「ろ水度」ともいう。)を求めた。ろ水度の測定方法うじは後述される。
(b)長さ荷重平均繊維長
上記の実施例1、比較例1〜4の試料につき、長さ荷重平均繊維長を求めた。長さ荷重平均繊維長の測定方法は後述される。
(a)ろ水度
上記の実施例1、比較例1〜4の試料に関し、ろ水度の評価結果を表1に示す。
パルプ繊維にオゾン処理のみを実施することで、ろ水度が高くなり、したがってパルプ繊維が水を保持し難くなった(比較例2)。その理由は、パルプ繊維の水酸基が酸化され、パルプ繊維と水との水素結合が弱くなること、パルプ繊維に含まれるリグニンが分解され、パルプ繊維のフィブリル化が進むこと、パルプ繊維に含まれるヘミセルロースが分解され、パルプ繊維の膨潤が抑えられること等が考えられる。
一方、パルプ繊維に叩解処理のみを実施することで、ろ水度が低くなり、したがってパルプ繊維が水を保持し易くなった(比較例3)。その理由は、叩解処理で発生したパルプ繊維の微粉末が水を保持するためと考えられる。
実施例1では、パルプ繊維に叩解処理を実施し、その後にオゾン処理を実施した。それにより、叩解処理で発生したパルプ繊維の微粉末や小片が、オゾン処理によりパルプ繊維から離脱し易くなり、オゾン処理後の脱水時に除去されるため、上記のオゾン処理本来の効果と合わせ、パルプ繊維のろ水度を高くすることができた。そして、出来上がったパルプ繊維のろ水度を、針葉樹クラフトパルプ(比較例1)や広葉樹クラフトパルプ(比較例4)のろ水度と同程度に、言い換えると500CSF ml以上にすることができた。すなわち、生成される紙用パルプ繊維のろ水度は約500〜700CFS mlであり、約550〜650CFS mlであった。
ここで、叩解処理後のパルプ繊維(比較例3)はろ水度が335CSF mlと低く、水を保持し易く、脱水が困難であるが、追加でオゾン処理を実施したパルプ繊維(実施例1)ではろ水度が555CSF mlと高くなり、水を保持し難くなり、脱水効率が高くなった。したがって、そのようなパルプ繊維(実施例1)を脱水することで、低含水化したパルプ繊維(水分率50%程度)を製造でき、よって低重量のパルプ繊維を製造できる。それゆえ低重量のパルプ繊維を資材として搬送することで、搬送効率の向上が図れる。
上記の実施例1、比較例1〜4の試料に関し、長さ荷重平均繊維長の評価結果を表2及び表3に示す。なお、表2及び表3では、実施例1、比較例1、4については、同じ試料を2度測定している。
パルプ繊維に叩解処理のみを実施すると、長さ荷重平均繊維長が非常に短くなり(約3割減)、パルプ繊維の切断やフィブリル化が起きたことが確認された(表2:比較例3)。一方、オゾン処理のみを実施すると、長さ荷重平均繊維長はあまり変化せず(約1割減)、リグニンやミセルロースなどの分解や、パルプ繊維のフィブリル化が起きたと推認された(表3:比較例2)。
実施例1では、先にパルプ繊維に叩解処理を実施することで、パルプ繊維を短くすると共に、フィブリル化して、表面積を多くし、内部を露出させて、後続するオゾン処理の効果を高められるようにした。そして、その後にオゾン処理を実施することで、リグニンやミセルロースなどの分解や、パルプ繊維のフィブリル化をより進められたと共に、叩解処理で発生したパルプ繊維の微粉末や小片を除去できたと推認された。それにより、叩解処理及びオゾン処理の両方を実施しても、繊維長が小さくなり過ぎることを抑制できた。よって、出来上がったパルプ繊維の長さ荷重平均繊維長を、針葉樹クラフトパルプ(比較例1)と広葉樹クラフトパルプ(比較例4)の間の値にすることができた。すなわち、生成される紙用パルプ繊維の長さ荷重平均繊維長は約1.6〜2.1mmであり、1.8〜2.0mmであった。
(2−1)試料
上記の実施例1、比較例1、比較例2のパルプ繊維を用いて、以下の作製方法により、以下の紙の試料を準備した。
(a)紙の作製方法
(イ)実施例1、比較例1及び比較例2のうちのいずれかのパルプ繊維を準備する。
(ロ)紙を構成するパルプ繊維のうちの100%が、上記(イ)で準備されたパルプ繊維となるように、手抄き法にて抄紙する。そのとき、紙の坪量が概ね50g/m2となり、紙の形状が25cm角となるように抄紙する。抄紙は角型シートマシン(250mm角)(No.2555:熊谷理機工業株式会社製)を使用し作成した。
(b)紙の試料
・実施例2:実施例1のパルプ繊維を使用して上記の作製方法で得た紙。
・比較例5:比較例1のパルプ繊維を使用して上記の作製方法で得た紙。
・比較例6:比較例2のパルプ繊維を使用して上記の作製方法で得た紙。
(2−2)評価方法
(a)坪量、厚さ、密度、剛軟度
上記の実施例2、比較例5及び比較例6の試料につき、坪量、厚さ、密度、剛軟度を求めた。坪量、厚さ、密度、剛軟度の測定方法は後述される。
(b)平滑性
上記の実施例2、比較例5及び比較例6の試料につき、平滑性を求めた。平滑性は、触感及び見た目の印象による官能評価により測定した。
(c)引張による伸度と強度との関係
上記の実施例2、比較例5及び比較例6の試料につき、引張による伸度と強度との関係を求めた。引張による伸度と強度係の測定方法は後述される。
(a)坪量、厚さ、密度、カンチレバー
上記の実施例2、比較例5及び比較例6の試料に関し、坪量、厚さ、密度、剛軟度の評価結果を表4に示す。
紙の厚さは、オゾン処理のパルプ繊維(比較例2)を用いることで減少し(比較例6)、追オゾン処理+叩解処理(実施例1)のパルプ繊維を用いることで更に減少した(実施例2)。フィブリル化の進行のためと考えられる。それに伴い、紙の密度も、オゾン処理のパルプ繊維(比較例2)を用いることで高くなり(比較例6)、追オゾン処理+叩解処理(実施例1)のパルプ繊維を用いることで更に高くなった(実施例2)。すなわち、実施例1のパルプ繊維を用いることで、非常に密度の高い紙を得ることが判明した(実施例2)。すなわち、生成された紙用パルプ繊維の配合量を90質量%以上として製造された手抄き紙は、密度が300kg/m3以上(坪量54g/m2以上、厚さ0.18mm以下)であった。ただし、剛軟度に関しては、実施例2は密度が高いが繊維長が短く、比較例6は密度は低いが繊維長が長いため、どちらも高くなったが同程度となった。
(b)平滑性
上記実施例2、比較例5及び比較例6の試料に関し、平滑性の評価結果を表4に示す。ただし、平滑性が高いことを〇で示し、低いことを×で示した。
触感及び見た目の印象から、密度が低い場合(比較例5、6)、紙の表面の毛羽立ちが目立ち、表面が粗く感じられるが、密度が高い場合(実施例2)、紙の表面の毛羽立ちが著しく減少し、表面が平滑に感じられ、平滑性が向上したことが確認された。
上記の実施例2、比較例5及び比較例6の試料に関し、引張による伸度と強度との関係の評価結果を表5に示す。
紙の伸度3%強度、引張強度及び最大伸度については、ブランクのパルプ繊維(比較例1)を用いた紙(比較例5)及びオゾン処理のパルプ繊維(比較例2)を用いた紙(比較例6)と比較して、オゾン処理+叩解処理(実施例1)のパルプ繊維を用いた紙(実施例2)が極めて大きな値を示した。したがって、実施例1のパルプ繊維を用いることで、張強度及び最大伸度の極めて高い紙を得ることができることが判明した(実施例2)。すなわち、生成された紙用パルプ繊維の配合量を90質量%以上として製造された手抄き紙は、伸度3%強度が10N/25mmであり、最長伸度が5%以上であり、引張強度が35N/25mm以上であった。
カナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness)(CSF ml)は、JIS P8121−2:2012 パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法に準拠して測定された。
カナダ標準ろ水度法の概略的な手順は以下のとおりである。
(1)ろ水筒を支持台のアームに付け、下ふたを閉じ、上ふたの空気コックを開く。
(2)メスシリンダーを、側管からの排水を受け得る位置に置く。
(3)1000mLメスシリンダーに、試料を正確に1000mL量り採る。
ただし、試料は、上記JIS法の「スラリー状でないパルプの試料調整」に依った。
(4)メスリシンダーの内容物を、静かにろ水筒に流し込む。
(5)試料を入れ終わってから5秒後に、空気コックを開いて試料を流下させる。
(6)側管の排水が止まったら、側管から出た排水量を読み取る。
(7)この排水量を補正表(付表1,2)によって標準濃度0.30%、標準温度20℃の値に補正し、これをカナダ標準ろ水度、すなわち、ろ水度(CSF ml)とする。
長さ荷重平均繊維長(mm)は、バルメットファイバーイメージアナライザー(バルメットFS5:バルメットコーポレーション製)により測定された。
長さ荷重平均繊維長の測定方法の概略的な手順は以下のとおりである。
(1)パルプ繊維をビーカーへ適量入れる。そして、ビーカーの約半分を水で満たす。
下記(2)の測定時に5〜90本/秒になるようにパルプ繊維の量を調製する。
(2)バルメットFS5に試料をセットし、測定条件設定し、測定を開始する。
(3)規定の本数を測定後、測定を終了し、L(I)の値を長さ荷重平均繊維長(mm)とする。
紙の坪量(g/m2)、厚さ(mm)及び密度(kg/m3)は以下の方法で測定された。
(1)紙の坪量:紙を5cm×5cmの大きさに切り出して試料とし、100℃以上の雰囲気での乾燥処理後に質量を測定する。測定した質量を試料の面積で割り算して試料の坪量を算出する。10個の試料の坪量を平均した値を紙の坪量(g/m2)とする。
(2)紙の厚さ:15cm2の測定子を備えた厚さ計(FS−60DS:株式会社大栄化学精器製作所製)を用い、3g/cm2の測定荷重の条件で紙の厚さを測定する。1個の試料で3か所の厚さを測定し、3か所の厚さの平均値を紙の厚さ(mm)とする。
(3)紙の密度:紙の密度は、上記方法で求めた紙の秤量を、上記方法で求めた紙の厚みで割り算して、紙の密度(kg/m3)とする。
剛軟度(mm)は、JIS L 1096:2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準拠して測定された。
剛軟度の測定方法の概略的な手順は以下のとおりである。
(1)測定対象の紙を幅25mm×長さ150mmの大きさに切り出して試料とする。 (2)試料を、カンチレバー剛軟度試験装置(CAN−1MCA:株式会社大栄科学精器製作所製)にセットし、移動速度:5mm/秒の測定条件で測定する。
(3)剛軟度としては、異なる試料において、一方の面を上として5回、そして他方の面を上として5回測定し、それらの平均値を採用する。
紙の引張強度(N/25mm)及び引張伸度(%)の測定方法の概略的な手順は以下のとおりである。
(1)測定対象の紙を幅25mm×長さ160mmの大きさに切り出して試料とする。 (2)試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(オートグラフAGS−1kNG:島津製作所株式会社製)にセットし、100mmのチャック間距離、100mm/分の引張速度の条件で伸度と強度とを測定する。
(3)伸度と強度との関係を測定し、強度が最大となる伸度を最大伸度とし、最大伸度での強度を引張強度とする。5つの試料で同様の測定を行い、それらの平均値を最大伸度(%)及び引張強度(N/25mm)とする。また、伸度が3%となるときの強度を伸度3%強度(N/25mm)とする。
S33 オゾン処理工程
Claims (11)
- 針葉樹由来の紙用パルプ繊維の製造方法であって、
針葉樹由来の材料パルプ繊維を、水を含む液体の存在下で叩解する叩解工程と、
前記叩解された前記材料パルプ繊維を、オゾン水で処理するオゾン処理工程と、
を備える、製造方法。 - 前記叩解された前記材料パルプ繊維を、前記叩解工程で使用された前記水を含む液体と共に前記オゾン処理工程へ移送する移送工程を更に備える、
請求項1に記載の製造方法。 - 使用済み吸収性物品由来のパルプ繊維を前記材料パルプ繊維として、前記叩解工程へ供給する供給工程を更に備える、
請求項1又は2に記載の製造方法。 - 前記叩解工程は、前記材料パルプ繊維を、前記水溶液としての酸性水溶液の存在下で叩解する工程を含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記叩解工程は、前記材料パルプ繊維をコニカル型リファイナーにより叩解する工程を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記オゾン処理工程において、
前記オゾン水のオゾン濃度は1〜200質量ppmであり、
前記オゾン水での処理時間は5〜120分であり、
前記オゾン濃度と前記処理時間との積は100〜6000ppm・分である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記オゾン処理工程後の前記紙用パルプ繊維の長さ荷重平均繊維長は、1.6〜2.1mmである、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記オゾン処理工程後の前記紙用パルプ繊維のカナダ標準ろ水度は、500CSF ml以上である、
請求項7に記載の製造方法。 - 針葉樹由来の紙用パルプ繊維であって、
長さ荷重平均繊維長が、1.6〜2.1mmである、
針葉樹由来の紙用パルプ繊維。 - 前記紙用パルプ繊維のカナダ標準ろ水度は、500CSF ml以上である、
請求項9に記載の紙用パルプ繊維。 - 前記紙用パルプ繊維の配合量を90質量%以上として製造された手抄き紙は、密度が300kg/m3以上であり、最長伸度が5%以上であり、引張強度が35N/25mm以上である、
請求項9又は10に記載の紙用パルプ繊維。
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