JP2020200294A - レチノール内包リポソーム - Google Patents
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Abstract
【課題】熱安定性が低い油溶性物質であるレチノールを、水添リン脂質を用いて調製するリポソームに安定に効率よく内包する手法を提供すること。【解決手段】レチノールを内包するリポソームであって、水添ホスファチジルコリンを膜成分として含み、前記水添ホスファチジルコリンが純度90%以上の水添ホスファチジルコリンである、リポソーム。【選択図】なし
Description
本発明は、レチノールを内包するリポソーム及び当該リポソームを含有する組成物並びに当該リポソームの製造方法等に関する。
リポソームは生体膜の主要構成成分であるリン脂質等から構成された人工のカプセルである。リン脂質は両親媒性構造であり、脂質二重層(言い換えれば二分子膜)を形成する。二分子膜内には油溶性物質を取り込むことができる。この性質を利用し、いくつかの油溶性物質については、その安定性を高める等の目的で、当該油溶性物質をリポソームに内包させることが行われている。
また、リポソームを調製するために用いられるリン脂質は、水素添加されていてもよい(すなわち、水添リン脂質であってもよい)。但し、水添リン脂質を用いてリポソームを調製するためには、リン脂質の相転移温度以上での加熱撹拌工程を経ることが求められる。一方で、水素添加されていないリン脂質を用いてリポソームを調製する場合は、加熱せずに撹拌しても問題無くリポソームを調製することができるが、水素添加していないリン脂質はその構造に炭素間二重結合を有するリン脂質(言い換えれば、構成する脂肪酸が不飽和脂肪酸)であることがほとんどであり、このためにリン脂質が酸化されやすく、作製したリポソーム溶液も分離しやすい。つまり、形成されたリポソームの経時安定性が悪い。
以上の事情から、通常内包物質の安定性を高めるためにリポソームを利用する場合には、水添リン脂質を用いてリポソームを調製することがほとんどである。ところが、前記の通り、水添リン脂質を用いてリポソームを調製する場合には加熱操作が必要になるため、内包する物質が熱に不安定である場合には、リポソームを調製した段階で相当量が失われてしまう。
本発明者らは、熱安定性が低い油溶性物質であるレチノールを、水添リン脂質を用いて調製するリポソームに安定に効率よく内包する手法を提供すべく、検討を重ねた。
本発明者らは、純度の高い水添ホスファチジルコリンを用いてレチノール内包リポソームを調製することにより、調製工程における加熱によってもレチノールが不安定とならない可能性を見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
レチノールを内包するリポソームであって、
水添ホスファチジルコリンを膜成分として含み、
前記水添ホスファチジルコリンが純度90%以上の水添ホスファチジルコリンである、リポソーム。
項2.
前記水添ホスファチジルコリンが遺伝子組み換えでない植物由来の水添ホスファチジルコリンである、項1に記載のリポソーム。
項3.
前記水添ホスファチジルコリンが大豆由来の水添ホスファチジルコリンである、項1又は2に記載のリポソーム。
項4.
項1〜3のいずれかに記載のリポソームを含有する、医薬品組成物、化粧品組成物、食品組成物、又は口腔用組成物。
項5.
レチノールを内包するリポソームの製造方法であって、
レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを含むリポソーム原料液を調製する工程、及び
当該原料液を加熱及び撹拌する工程
を含む、方法。
項6.
当該原料液を加熱及び撹拌する工程が、
当該原料液を40℃以上に加熱及び撹拌する工程である、
項5に記載の方法。
項7.
レチノールの熱安定性を高める方法であって、
少なくとも、レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを混合する工程を含む、方法。
項8.
加熱及び撹拌する工程を経て調製されるリポソームに内包するためのレチノールの熱安定性を高める方法であって、
少なくとも、レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを混合してリポソーム原料液を調製する工程を含む、方法。
項1.
レチノールを内包するリポソームであって、
水添ホスファチジルコリンを膜成分として含み、
前記水添ホスファチジルコリンが純度90%以上の水添ホスファチジルコリンである、リポソーム。
項2.
前記水添ホスファチジルコリンが遺伝子組み換えでない植物由来の水添ホスファチジルコリンである、項1に記載のリポソーム。
項3.
前記水添ホスファチジルコリンが大豆由来の水添ホスファチジルコリンである、項1又は2に記載のリポソーム。
項4.
項1〜3のいずれかに記載のリポソームを含有する、医薬品組成物、化粧品組成物、食品組成物、又は口腔用組成物。
項5.
レチノールを内包するリポソームの製造方法であって、
レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを含むリポソーム原料液を調製する工程、及び
当該原料液を加熱及び撹拌する工程
を含む、方法。
項6.
当該原料液を加熱及び撹拌する工程が、
当該原料液を40℃以上に加熱及び撹拌する工程である、
項5に記載の方法。
項7.
レチノールの熱安定性を高める方法であって、
少なくとも、レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを混合する工程を含む、方法。
項8.
加熱及び撹拌する工程を経て調製されるリポソームに内包するためのレチノールの熱安定性を高める方法であって、
少なくとも、レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを混合してリポソーム原料液を調製する工程を含む、方法。
調製時に加熱を要する、水添リン脂質を膜成分として含むリポソームに、レチノールを安定に内包させることができる。
以下、本発明に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本発明は、レチノールを内包する特定のリポソーム、当該リポソームの製造方法、当該リポソームを含有する組成物、及びレチノールの熱安定性を高める方法等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本発明は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
本発明に包含されるレチノール内包リポソームは、水添ホスファチジルコリンを膜成分として含む。以下、本発明に包含される当該リポソームを「本発明のリポソーム」ということがある。また、本発明のリポソームを含有する組成物を「本発明のリポソーム組成物」ということがある。
本発明のリポソームは、レチノールを内包するリポソームであって、水添ホスファチジルコリンを膜成分として含み、前記水添ホスファチジルコリンが純度90%以上の水添ホスファチジルコリンである、リポソームである。
当該水添ホスファチジルコリンの由来は特に制限はされず、例えば動物又は植物由来の水添ホスファチジルコリンを好ましく用いることができ、より具体的には、例えば卵黄、大豆、ヒマワリ、又は菜種由来の水添ホスファチジルコリンを好ましく用いることができる。これらの中でも、大豆由来の水添ホスファチジルコリンがより好ましい。なお、某(例えば動物又は植物)由来の水添ホスファチジルコリンとは、某(例えば動物又は植物)由来のホスファチジルコリンを水添処理して得られる水添ホスファチジルコリンのことである。
また、水添ホスファチジルコリンは、遺伝子組み換えでない植物由来であることがより好ましい。遺伝子組み換えでない植物とは、遺伝子組み換えがなされていない植物であり、遺伝子組み換え植物以外の植物である。(但し、本明細書では、人為的な選択や交雑による品種改良などの本質的に生物学的なプロセスによって得られた植物は、遺伝子組み換え植物には含めない。)
遺伝子組み替えでない植物としては、遺伝子組み換えにより、その個体が保有していない遺伝子が組み込まれていない植物が好ましい。特に、例えば除草剤グリホサート及びグルホシネート耐性遺伝子が組み込まれていない植物が好ましい。グリホサート耐性遺伝子としては、例えばグリホサートに非感受性の5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)遺伝子が好ましい。また、グルホシネート耐性遺伝子としては、例えばホスフィノトリシンアセチル基転移酵素(PAT)遺伝子が好ましい。
また例えば、日本国において許可されている遺伝子組み換え植物については、独立行政法人農林水産消費安全技術センターのウェブページなどで公開されている。例えば、遺伝子組み換え大豆としては、以下の表に記載の大豆が挙げられる。
なお、理論に拘束されることを望むものではないが、ホスファチジルコリンは油脂成分であって核酸やタンパク質ではないから、遺伝子組み換え植物から得られたホスファチジルコリンと遺伝子組み換えでない植物から得られたホスファチジルコリンとでは、本質的な違いは存在しないと考えられる。しかし意外なことに、これに水添処理をして得られる水添レシチンでは、リポソームの膜構成成分として用いた場合、当該リポソームに内包されるレチノールの安定性に異なる影響を与える(遺伝子組み換えでない植物由来のレシチンに水添処理したものを用いたリポソームの方が、内包されるレチノールの安定性がより高い)。
水添ホスファチジルコリンは、好ましくは、純度が91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%以上であってもよい。なお、水添ホスファチジルコリンは市販品を購入して用いることができ、市販品は純度が定められて販売されていることがほとんどである。例えば純度95%の水添ホスファチジルコリン、等が市販されている。本発明に用いる水添ホスファチジルコリンは、例えばLipoidkosmetik社等から購入することができる。より具体的には、例えば、ホスフォリポン90H、リポイドP100−3、リポイドH100−3等を用いることができる。
なお、純度が低い(100%未満である)水添ホスファチジルコリンには、水添ホスファチジルコリンとは異なるリン脂質若しくは水添リン脂質が含まれる。言い換えれば、本明細書において、純度が100%未満の水添ホスファチジルコリンは、水添ホスファチジルコリンとその他のリン脂質及び/又は水添リン脂質との混合物を意味する。本発明に用いる純度が100%未満の水添ホスファチジルコリンに含まれるその他のリン脂質及び/又は水添リン脂質としては、特に制限はされないが、レシチン及び/又は水添レシチン(例えば、大豆レシチン、水添大豆レシチン、コーンレシチン、水添コーンレシチン、綿実油レシチン、水添綿実油レシチン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、卵白レシチン、水添卵白レシチン等)であることが好ましく、中でも大豆レシチン及び/又は水添大豆レシチンであることが好ましい。本発明に用いる純度が100%未満の水添ホスファチジルコリンとしては、レシチンにおいてホスファチジルコリンの純度を高めたうえで水素添加して得た水添レシチンを好ましく用いることができ、特に、大豆レシチンにおいてホスファチジルコリン含有率を高め(すなわち純度を高め)、さらに水素添加したものをより好ましく用いることができる。
なお、水添ホスファチジルコリンが遺伝子組み換えでない植物由来の水添ホスファチジルコリンである場合、純度が100%未満の、遺伝子組み換えでない植物由来の水添レシチンの好ましい例は、当該特定の植物(遺伝子組み換えでない)由来の水添レシチンとその他のリン脂質及び/又は水添リン脂質との混合物である。
なお、本発明のリポソームにおいては、膜に含まれるリン脂質は、純度90%以上の水添ホスファチジルコリンのみであることがより好ましい。
本発明のリポソームは、例えば、少なくともレチノール、水、及び純度90%以上のホスファチジルコリンを混合して得られるリポソーム原料液を、加熱及び撹拌することにより調製することができる。当該原料液には、多価アルコールが配合されることが好ましい。多価アルコールとしては、例えばグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、特にプロピレングリコールが好ましい。また、当該原料液には、その他にもリポソーム分野で配合されることが公知の成分を配合してもよい。例えば、ステロールや防腐剤等が配合されてもよい。ステロールとしては例えばコレステロールが好ましく挙げられる。また、防腐剤としては例えばパラオキシ安息香酸メチルエステル(メチルパラベン)が好ましく挙げられる。
リポソーム原料液における各成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されない。例えば、純度90%以上の水添ホスファチジルコリン4質量部に対して、レチノールは好ましくは0.01〜1質量部程度、より好ましくは0.05〜0.5質量部程度、さらに好ましくは0.08〜0.2質量部程度含まれ、多価アルコールは好ましくは5〜20質量部程度、より好ましくは8〜17質量部程度、さらに好ましくは10〜15質量部程度含まれる。また、ステロールが含まれる場合は、純度90%以上の水添ホスファチジルコリン4質量部に対して、例えば0.5〜2質量部程度含まれ得る。また例えば、水は、純度90%以上の水添ホスファチジルコリン4質量部に対して80質量部以上程度含まれることが好ましい。また、水は、リポソーム原料液全体の80質量%以上程度含まれることが好ましい。
リポソーム原料液を加熱及び撹拌することにより、リポソームが調製される。当該操作においては、加熱しつつ撹拌されることが好ましい。加熱は、リポソーム原料液が40℃以上となるように行うことが好ましく、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80℃以上となるように行うことがより好ましい。より具体的な加熱及び撹拌操作の一例として、リポソーム原料液をビーカーに入れ、当該ビーカーを高温槽に入れた状態で、当該ビーカー中の原料液を例えばホモミキサー等を用いて撹拌するという操作が挙げられる。この場合、撹拌槽の温度はリポソーム原料液が上記温度以上となるように適宜設定することができ、例えば50、55、60、65、70、75、又は80℃以上程度であることが好ましい。
また、本発明は、レチノールの熱安定性を高める方法をも包含する。当該方法は、少なくとも、レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを混合する工程を含む。当該工程は、上述したリポソーム原料液を調製する工程に相当する。よって、当該工程において混合される成分は、好ましくは上述したリポソーム原料液の材料であり得る。また、その他、上述したリポソーム原料液及びリポソーム製造方法の内容が、当該方法においても、そのまま好ましく適用され得る。
本発明のリポソームを含有するリポソーム組成物も本発明は包含する。当該リポソーム組成物は水性組成物であることが好ましい。また、当該組成物は、例えば、医薬品組成物(特に外用医薬品組成物)、化粧品組成物、食品組成物、及び口腔用組成物等として用いることができる。これらの組成物は例えば常法により調製することができる。
なお、上述の通り、リポソーム原料液を加熱及び撹拌することにより、リポソームが調製されるが、この際リポソーム原料液からリポソーム懸濁液が得られる。このようにして得られるリポソーム懸濁液は、そのまま本発明のリポソームを含有するリポソーム組成物として用いることもできる。また、当該リポソーム懸濁液に、さらに、外用医薬品組成物、口腔用組成物、及び化粧品組成物で公知の成分を適宜配合して、リポソーム組成物として用いることもできる。
本発明のリポソーム及びリポソーム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の成分を含有してもよい。例えば、油性成分、脂質、水溶性物質、生理活性物質などが挙げられる。特に、外用医薬品又は化粧品に用いることが公知の成分を好ましく用いることができる。特に制限はされないが、例えば、殺菌剤(特に、イソプロピルメチルフェノール等のフェノール系殺菌剤);乳酸、クエン酸などの有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ性化合物;ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン等の脂質;キトサン、フコイダン、ヒアルロン酸等の天然高分子;ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー等の合成高分子;トレハロース、ラクチュロース、マルチトール等の糖質;グリセリンなどのポリオール等が挙げられる。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本発明は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
また、上述した本発明の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本発明に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本発明には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
表2(各成分の配合量)及び表3(各例に用いた水添ホスファチジルコリン)に示す組成に従ってリポソーム原料液を調製し、これを加熱及び撹拌して、実施例1、2及び比較例1、2のリポソームを調製した。
より詳細には、表2及び表3に記載の組成に従い、80℃の恒温槽に設置したビーカーに、プロピレングリコール、水添ホスファチジルコリン、レチノール、コレステロール、及びメチルパラベンを加えて溶解させ(80℃加熱)、これに80℃に加熱した水を添加し、1時間、80℃恒温槽により加熱しながら5000rpmで撹拌し、各実施例及び比較例のリポソーム懸濁液を調製した。なお、当該撹拌処理はホモミキサー(ホモミキサーMARK II:PRIMIX社)を用いて行った。
なお、使用した水添ホスファチジルコリンは、PL−100P、PC−98Nはキューピー株式会社から、S10−Mは日光ケミカルズ株式会社から、その他のものはLipoidkosmetik社から、購入した。
得られた各リポソームについて、含まれるレチノール量を測定した。レチノールの定量は高速液体クロマトグラフィー(AGILENT TECHNOLOGY HP1200)により行った。(カラム:SunShell C18 2.1×100mm (2.6μm)、カラム温度:40℃、移動相:0.1%酢酸メタノール溶液:0.1%酢酸水溶液=90:10、流速:0.3mL/min、注入量1.0μL、検出器:325nm)。レチノール標準液は、初めにレチノール0.01gを秤量し、メタノール100mLへメスアップして(100ppm)調製した。その後、これを10ppm、5ppm、1ppmへと希釈を行い、これら3点を検量線とした。リポソームについては、加温調製直後のリポソーム溶液を5μL採取し、メタノール995μLを加え溶解し、測定サンプルとした(200倍希釈)。レチノール残存量を求めるにあたり、まず、定量後の数値に200を乗算し、溶液中のレチノール量を算出した。次に、作製初期のリポソーム中レチノール配合量が1000ppmであるため、算出した値を1000で除算し、百分率で示し、レチノール残存量とした。各例のリポソームに含有されるレチノール量を、相対値(%)として、図1に示す。なお、当該相対値は、リポソーム溶液を調製する際に配合したレチノール量(1000ppm)を100%としたときの相対値である。
当該結果から、純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを膜成分として用い、レチノール内包リポソームを調製した場合に、特にレチノールが安定に保たれることが分かった。また、また、レチノールの安定性は、純度90%以上の、遺伝子組み換えでない植物由来の水添ホスファチジルコリンを用いた場合に、特に優れることも分かった。
さらに、当該レチノール量測定において相対値(%)が50%を超えていた各例のレチノール内包リポソームを室温にて静置し、1ヶ月後、2ヶ月後、及び3ヶ月後のレチノール量(相対値(%))を上記と同様にして測定した。結果を図2に示す。
当該結果から、特に大豆由来の水添ホスファチジルコリンを膜成分として用い、レチノール内包リポソームを調製した場合に、当該レチノールの経時的安定性が特に優れることも分かった。
Claims (8)
- レチノールを内包するリポソームであって、
水添ホスファチジルコリンを膜成分として含み、
前記水添ホスファチジルコリンが純度90%以上の水添ホスファチジルコリンである、リポソーム。 - 前記水添ホスファチジルコリンが遺伝子組み換えでない植物由来の水添ホスファチジルコリンである、請求項1に記載のリポソーム。
- 前記水添ホスファチジルコリンが大豆由来の水添ホスファチジルコリンである、請求項1又は2に記載のリポソーム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリポソームを含有する、医薬品組成物、化粧品組成物、食品組成物、又は口腔用組成物。
- レチノールを内包するリポソームの製造方法であって、
レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを含むリポソーム原料液を調製する工程、及び
当該原料液を加熱及び撹拌する工程
を含む、方法。 - 当該原料液を加熱及び撹拌する工程が、
当該原料液を40℃以上に加熱及び撹拌する工程である、
請求項5に記載の方法。 - レチノールの熱安定性を高める方法であって、
少なくとも、レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを混合する工程を含む、方法。 - 加熱及び撹拌する工程を経て調製されるリポソームに内包するためのレチノールの熱安定性を高める方法であって、
少なくとも、レチノール、水、及び純度90%以上の水添ホスファチジルコリンを混合してリポソーム原料液を調製する工程を含む、方法。
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